JP2004004121A - 角速度センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 XY平面に対して平行な可撓基板110と固定基板120とをセンサ筐体140内に設ける。可撓基板110の下面には振動子130を接合する。可撓基板110の上面には電極F1〜F5(F3,F4は、F5の手前および向うに配置)を形成し、固定基板120の下面には電極E1〜E5(E3,E4は、E5の手前および向うに配置)を形成する。電極E3,F3間およびE4,F4間に逆位相の交流信号を加えることにより、振動子130をY軸方向に振動させる。この状態で、このセンサにZ軸まわりの角速度ωzが作用すると、X軸方向にコリオリ力Fxが発生する。電極E1,F1からなる容量素子の静電容量値と電極E2,F2からなる容量素子の静電容量値との差により、コリオリ力Fxを検出し、角速度ωzを求める。
【選択図】 図17
Description
質量をもった振動子と、
この振動子を収容するセンサ筐体と、
振動子を、各座標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、センサ筐体に接続する接続手段と、
振動子を、各座標軸方向に振動させる励振手段と、
振動子の各座標軸方向への変位を検出する変位検出手段と、
を設けたものである。
振動子を第1の座標軸方向に振動させるように励振手段に対して指示を与えるとともに、振動子の第2の座標軸方向への変位を検出するように変位検出手段に対して指示を与え、検出された変位に基いて第3の座標軸まわりの角速度を求める第1の検出動作と、
振動子を第2の座標軸方向に振動させるように励振手段に対して指示を与えるとともに、振動子の第3の座標軸方向への変位を検出するように変位検出手段に対して指示を与え、検出された変位に基いて第1の座標軸まわりの角速度を求める第2の検出動作と、
振動子を第3の座標軸方向に振動させるように励振手段に対して指示を与えるとともに、振動子の第1の座標軸方向への変位を検出するように変位検出手段に対して指示を与え、検出された変位に基いて第2の座標軸まわりの角速度を求める第3の検出動作と、
を実行する制御手段を更に設けたものである。
振動子をいずれの方向にも振動させないように励振手段に対して指示を与えるとともに、振動子の第1〜第3のすべての座標軸方向への変位を検出するように変位検出手段に対して指示を与え、検出された変位に基づいて各座標軸方向に作用した加速度を求める第4の検出動作を、制御手段に更に実行させるようにしたものである。
可撓性をもった可撓基板と、
この可撓基板の上方に所定の距離を保って対向するように配置された固定基板と、
可撓基板の下面に固着された振動子と、
可撓基板および固定基板を支持するとともに振動子を収容するセンサ筐体と、
振動子を、各座標軸方向に振動させる励振手段と、
振動子の各座標軸方向への変位を検出する変位検出手段と、
を設けたものである。
可撓性をもった可撓基板と、
この可撓基板の上方に所定の距離を保って対向するように配置された固定基板と、
可撓基板の下面に固着された振動子と、
可撓基板および固定基板を支持するとともに振動子を収容するセンサ筐体と、
可撓基板の上面に形成された複数の下部電極と、
固定基板の下面に形成され、複数の下部電極のそれぞれに対向する位置に配置された複数の上部電極と、
互いに向かい合った所定の下部電極と上部電極との間に交流信号を供給することにより、振動子を各座標軸方向に振動させる手段と、
互いに向かい合った所定の下部電極と上部電極との間の静電容量を求めることにより、振動子の各座標軸方向への変位を検出する手段と、
を設けたものである。
可撓基板の主面に対して平行な平面上でX軸およびY軸が交わるようなXYZ三次元座標系を定義し、
第1の下部電極および第1の上部電極をX軸の正の領域に配置し、第2の下部電極および第2の上部電極をX軸の負の領域に配置し、第3の下部電極および第3の上部電極をY軸の正の領域に配置し、第4の下部電極および第4の上部電極をY軸の負の領域に配置し、第5の下部電極および第5の上部電極を原点に対応する位置に配置したものである。
第5の下部電極および第5の上部電極間に交流信号を供給して振動子をZ軸方向に振動させた状態において、第3の下部電極および第3の上部電極間の静電容量と、第4の下部電極および第4の上部電極間の静電容量と、の差を求め、この差に基づいてX軸まわりの角速度を検出する第1の検出動作と、
第1の下部電極および第1の上部電極間、ならびに第2の下部電極および第2の上部電極間に、それぞれ逆位相の交流信号を供給して振動子をX軸方向に振動させた状態において、第5の下部電極および第5の上部電極間の静電容量を求め、この静電容量に基づいてY軸まわりの角速度を検出する第2の検出動作と、
第3の下部電極および第3の上部電極間、ならびに第4の下部電極および第4の上部電極間に、それぞれ逆位相の交流信号を供給して振動子をY軸方向に振動させた状態において、第1の下部電極および第1の上部電極間の静電容量と、第2の下部電極および第2の上部電極間の静電容量と、の差を求め、この差に基づいてZ軸まわりの角速度を検出する第3の検出動作と、
を実行する制御手段を更に設けたものである。
第1の下部電極および第1の上部電極をXY平面についての第1象限領域に配置し、第2の下部電極および第2の上部電極をXY平面についての第2象限領域に配置し、第3の下部電極および第3の上部電極をXY平面についての第3象限領域に配置し、第4の下部電極および第4の上部電極をXY平面についての第4象限領域に配置し、第5の下部電極および第5の上部電極を原点に対応する位置に配置したものである。
板状の圧電素子と、
この圧電素子の上面に形成された複数の上部電極と、
圧電素子の下面に形成され、複数の上部電極のそれぞれに対向する位置に配置された複数の下部電極と、
下部電極の下面に固着され、可撓性をもった可撓基板と、
可撓基板の下面に固着された振動子と、
可撓基板を支持するとともに振動子を収容するセンサ筐体と、
互いに向かい合った所定の下部電極と上部電極との間に交流信号を供給することにより振動子を各座標軸方向に振動させる手段と、
互いに向かい合った所定の下部電極と上部電極との間に発生する電圧を測定することにより振動子の各座標軸方向への変位を検出する手段と、
を設けたものである。
座標系の原点位置に配置された磁性材料からなる振動子と、
この振動子を収容するセンサ筐体と、
この振動子を、各座標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、センサ筐体に接続する接続手段と、
座標系の第1の座標軸の正および負の位置においてセンサ筐体に取り付けられた第1のコイル対と、
座標系の第2の座標軸の正および負の位置においてセンサ筐体に取り付けられた第2のコイル対と、
座標系の第3の座標軸の正および負の位置においてセンサ筐体に取り付けられた第3のコイル対と、
各コイル対に所定の交流信号を供給することにより、振動子を各座標軸方向に振動させる励振手段と、
各コイル対のインピーダンスの変化に基づいて、振動子の各座標軸方向への変位を検出する変位検出手段と、
を設けたものである。
第1のコイル対に交流信号を供給して振動子を第1の軸方向に振動させた状態において、第2のコイル対のインピーダンスの変化を求め、このインピーダンスの変化に基づいて第3の軸まわりの角速度を検出する第1の検出動作と、
第2のコイル対に交流信号を供給して振動子を第3の軸方向に振動させた状態において、第3のコイル対のインピーダンスの変化を求め、このインピーダンスの変化に基づいて第1の軸まわりの角速度を検出する第2の検出動作と、
第3のコイル対に交流信号を供給して振動子を第3の軸方向に振動させた状態において、第1のコイル対のインピーダンスの変化を求め、このインピーダンスの変化に基づいて第2の軸まわりの角速度を検出する第3の検出動作と、
を実行する制御手段を更に設けたものである。
質量をもった振動子と、
この振動子を収容するセンサ筐体と、
振動子を、3つの各座標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、センサ筐体に接続する接続手段と、
振動子を、少なくとも2つの座標軸方向に振動させる励振手段と、
振動子の少なくとも2つの座標軸方向への変位を検出する変位検出手段と、
を設けたものである。
振動子を第1の座標軸方向に振動させるように励振手段に対して指示を与えるとともに、振動子の第2の座標軸方向への変位を検出するように変位検出手段に対して指示を与え、検出された変位に基いて第3の座標軸まわりの角速度を求める第1の検出動作と、
振動子を第2の座標軸方向に振動させるように励振手段に対して指示を与えるとともに、振動子の第3の座標軸方向への変位を検出するように変位検出手段に対して指示を与え、検出された変位に基いて第1の座標軸まわりの角速度を求める第2の検出動作と、
を更に設けたものである。
質量をもった振動子と、
この振動子を収容するセンサ筐体と、
振動子を、3つの各座標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、センサ筐体に接続する接続手段と、
振動子を、第1の座標軸方向に振動させる励振手段と、
振動子の第2の座標軸方向および第3の座標軸方向への変位を検出する変位検出手段と、
を設け、
変位検出手段によって検出された第2の座標軸方向への変位に基づいて第3の座標軸まわりの角速度を求め、
変位検出手段によって検出された第3の座標軸方向への変位に基づいて第2の座標軸まわりの角速度を求めるようにしたものである。
質量をもった振動子と、
この振動子を収容するセンサ筐体と、
振動子を、3つの各座標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、センサ筐体に接続する接続手段と、
振動子を、第1の座標軸方向および第2の座標軸方向に振動させる励振手段と、
振動子の第3の座標軸方向への変位を検出する変位検出手段と、
を設け、
振動子が第1の座標軸方向に振動しているときに変位検出手段によって検出された第3の座標軸方向への変位に基づいて第2の座標軸まわりの角速度を求め、
振動子が第2の座標軸方向に振動しているときに変位検出手段によって検出された第3の座標軸方向への変位に基づいて第1の座標軸まわりの角速度を求めるようにしたものである。
質量をもった振動子と、
この振動子を収容するセンサ筐体と、
振動子を、3つの各座標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、センサ筐体に接続する接続手段と、
振動子を、第1の座標軸方向および第2の座標軸方向に振動させる励振手段と、
振動子の第2の座標軸方向への変位および第3の座標軸方向への変位を検出する変位検出手段と、
を設け、
振動子が第1の座標軸方向に振動しているときに変位検出手段によって検出された第2の座標軸方向への変位に基づいて第3の座標軸まわりの角速度を求め、
振動子が第1の座標軸方向に振動しているときに変位検出手段によって検出された第3の座標軸方向への変位に基づいて第2の座標軸まわりの角速度を求め、
振動子が第2の座標軸方向に振動しているときに変位検出手段によって検出された第3の座標軸方向への変位に基づいて第1の座標軸まわりの角速度を求めるようにしたものである。
<0.1> 一軸の角速度センサ
F=2m・v・ω
で表される。ここで、mは振動子10の質量、vは振動子10の振動についての瞬時の速度、ωは振動子10の瞬時の角速度である。
上述した従来の角速度センサは、Z軸まわりの角速度を検出するためのものであり、X軸あるいはY軸まわりの角速度の検出を行うことはできない。本発明は、第2図に示すように、所定の物体20について、XYZ三次元座標系におけるX軸まわりの角速度ωx、Y軸まわりの角速度ωy、Z軸まわりの角速度ωz、のそれぞれを別個独立して検出することのできる多軸角速度センサを提供するものである。その基本原理を、第3図〜第5図を参照して説明する。いま、XYZ三次元座標系の原点位置に振動子30が置かれているものとする。この振動子30のX軸まわりの角速度ωxを検出するには、第3図に示すように、この振動子30にZ軸方向の振動Uzを与えたときに、Y軸方向に発生するコリオリ力Fyを測定すればよい。コリオリ力Fyは角速度ωxに比例した値となる。また、この振動子30のY軸まわりの角速度ωyを検出するには、第4図に示すように、この振動子30にX軸方向の振動Uxを与えたときに、Z軸方向に発生するコリオリ力Fzを測定すればよい。コリオリ力Fzは角速度ωyに比例した値となる。更に、この振動子30のZ軸まわりの角速度ωzを検出するには、第5図に示すように、この振動子30にY軸方向の振動Uyを与えたときに、X軸方向に発生するコリオリ力Fxを測定すればよい。コリオリ力Fxは角速度ωzに比例した値となる。
上述したように、本発明に係る多軸角速度センサでは、振動子を特定の座標軸方向に振動させるための機構と、振動子に作用した特定の座標軸方向のコリオリ力を検出するための機構とが必要になる。振動機構としては、次のような各機構を利用することができる。
<1.1> 第1の実施例に係るセンサの構造
まず、本発明の第1の実施例に係る多軸角速度センサについて説明する。この第1の実施例は、振動機構としてクーロン力を利用した機構を用い、検出機構として静電容量の変化を利用する機構を用いたセンサである。
いま、このセンサの所定の電極層間に電圧を供給した場合にどのような現象が起こるかを検討する。まず、電極層E1,F1間に所定の電圧を印加した場合を考える。たとえば、第9図に示すように、電極層E1側が正、F1側が負となるように電圧を供給すると、両電極層間にはクーロン力に基づく吸引力が作用する。前述したように、可撓基板110は可撓性をもった基板であり、このような吸引力により撓みが生じることになる。すなわち、第9図に示すように、電圧を印加した電極層E1,F1間の距離が縮まるように、可撓基板110は機械的に変形する。可撓基板110にこのような機械的変形が生じると、振動子130はX軸の正の方向にΔXだけ変位を生じることになる。
1.3.1 X軸まわりの角速度ωxに基づくコリオリ力
続いて、このセンサに作用するコリオリ力を、静電容量の変化を利用して検出する機構について説明する。はじめに、このセンサにX軸まわりの角速度ωxが作用した場合の現象について考える。たとえば、第2図に示す物体20が、X軸まわりに角速度ωxで回転運動している場合、この物体20にこのセンサを搭載しておけば、振動子130に対してX軸まわりの角速度ωxが作用することになる。ところで、第3図で説明したように、X軸まわりの角速度ωxが作用している状態において、振動子に対してZ軸方向の振動Uzを与えると、Y軸方向にコリオリ力Fyが発生する。したがって、このセンサの電極層E5,F5間に、第14図に示すような波形をもった電圧V5を供給し、振動子130にZ軸方向の振動Uzを与えれば、Y軸方向にコリオリ力Fyが発生するはずである。
次に、このセンサにY軸まわりの角速度ωyが作用した場合の現象について考える。第4図で説明したように、Y軸まわりの角速度ωyが作用している状態において、振動子に対してX軸方向の振動Uxを与えると、Z軸方向にコリオリ力Fzが発生する。したがって、このセンサの電極層E1,F1間および電極層E2,F2間に、第12図に示すような波形をもった電圧V1および電圧V2を供給し、振動子130にX軸方向の振動Uxを与えれば、Z軸方向にコリオリ力Fzが発生するはずである。
最後に、このセンサにZ軸まわりの角速度ωzが作用した場合の現象について考える。第5図で説明したように、Z軸まわりの角速度ωzが作用している状態において、振動子に対してY軸方向の振動Uyを与えると、X軸方向にコリオリ力Fxが発生する。したがって、このセンサの電極層E3,F3間および電極層E4,F4間に、第13図に示すような波形をもった電圧V3,V4を供給し、振動子130にY軸方向の振動Uyを与えれば、X軸方向にコリオリ力Fxが発生するはずである。
上述したように、この第1の実施例に係るセンサでは、X軸まわりの角速度ωxは容量値C3とC4との差ΔC34を求めることにより検出され、Y軸まわりの角速度ωyは容量値C5を求めることにより検出され、Z軸まわりの角速度ωzは容量値C1とC2との差ΔC12を求めることにより検出される。そこで、ここではこのような容量値あるいは容量値の差を測定するのに適した回路の一例を開示しておく。
上述した第1の実施例に係るセンサでは、クーロン力に基づく吸引力を作用させて振動子130を振動させている。たとえば、振動子130をX軸方向に振動させる場合は、第9図に示すように両電極層E1,F1に逆極性の電荷を供給して吸引力を作用させた第1の状態と、第10図に示すように両電極層E2,F2に逆極性の電荷を供給して吸引力を作用させた第2の状態と、が交互に繰り返されるようにすればよい。しかしながら、このような振動をより安定させるには、吸引力とともに排斥力を作用させるのが好ましい。たとえば、第22図に示すように、上部電極層E1に正の電荷を、下部電極層F1に負の電荷を、それぞれ供給して、両電極層間に吸引力を作用させるのと同時に、上部電極層E2および下部電極層F2の両方に負の電荷を供給し(両方に正の電荷を供給してもよい)、両電極層間に排斥力を作用させると、振動子130をX軸の正方向にΔXだけ変位させる動作をより安定して行うことができる。第9図に示す状態と、第22図に示す状態とは、振動子130に変位ΔXを生じさせるという点では同じであるが、前者は1か所に作用する力に依存しているのに対し、後者は2か所に作用する力に依存しており、後者の方が前者より安定する。
上述の変形例1は、第6図に示すセンサに比べて構造はやや複雑になる。これに対して、ここに述べる変形例2は、第6図に示すセンサの構造をより単純化したものである。すなわち、この変形例2のセンサでは、第27図に示すように、上部電極層E1〜E5の代わりに単一の共通電極層E0が形成されている。この共通電極層E0は、下部電極層F1〜F5のすべてに対向するような大きさの円盤状の電極層である。このように、一方の電極層を1枚の共通電極層にしても、常にこの共通電極層側を基準電位にとるようにすれば、このセンサの動作には何ら支障は生じない。たとえば、振動子130に振動を与えるために、特定の電極層間に電圧を印加する場合、共通電極層E0側をアースにして、下部電極層F1〜F5のうちの所定の電極層に電圧を供給すればよい。また、容量値の変化に基づいてコリオリ力の検出を行う場合も同様に、共通電極層E0側をアースにして各容量素子C1〜C5を取り扱うようにすればよい。
<2.1> 第2の実施例に係るセンサの構造
続いて、本発明の第2の実施例に係る多軸角速度センサについて説明する。この第2の実施例も、振動機構としてクーロン力を利用した機構を用い、検出機構として静電容量の変化を利用する機構を用いた点において、前述した第1の実施例のセンサと同様である。ただ、その構造は複数の基板を積層したものになっており、より大量生産に向いたものとなっている。
さて、振動子211上に形成された5枚の下部電極層G1〜G5と、これに対向する上部電極層G0と、の間に所定のタイミングで所定の電圧を供給することにより、両電極層間にクーロン力を作用させ、その結果として、振動子211を所定の方向に振動させることができる点は、前述の第1の実施例のセンサと同様である。ただ、この第2の実施例のセンサと、前述した第1の実施例のセンサとでは、電極層の配置が若干異なっている。第1の実施例のセンサでは、第7図に示すように、X軸上に電極層F1,F2が配され、Y軸上に電極層F3,F4が配されている。これに対して、ここで述べる第2の実施例のセンサでは、第29図に示すように、電極層G1〜G4はいずれもX軸上あるいはY軸上には配されていない。すなわち、電極層G1〜G4は、それぞれXY平面についての第1象限〜第4象限に配されている。このため、振動子211を特定の方向に振動させるために必要な電圧の印加方法は、前述の例とは若干異なる。以下、これを具体的に説明する。
この第2の実施例に係るセンサにおいて、振動子211に作用したコリオリ力を検出する原理は、前述の第1の実施例に係るセンサと同様に、静電容量の変化を利用するものである。ただ、電極層の配置に若干の相違があるため、検出対象として用いる容量素子の組み合わせに若干の違いがある。以下、これを具体的に説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、下部電極層G1〜G5と上部電極層G0との組み合わせによって構成される5組の容量素子を、それぞれ容量素子C1〜C5と呼び、これら容量素子の容量値も同じくC1〜C5と呼ぶことにする。
第32図に示すセンサは、第28図に示した第2の実施例に係るセンサの変形例である。この変形例では、第1の基板210、第2の基板220、第3の基板230、の他に、更に第4の基板240が用いられている。第4の基板240は、振動子241と台座242とによって構成されている。振動子241は上から見ると正方形状をしたブロックであり、台座242はその周囲を囲うような形状をしたフレームである。第4の基板の振動子241は第1の基板の振動子211に接合されており、振動子211および241は全体が1つの振動子として機能する。このように第4の基板240を付加することにより、振動子の質量を増加させることができ、より感度の高い検出が可能になる。なお、この変形例では、5つの下部電極層G1〜G5に対向する電極層として、共通の上部電極層G0を設ける代わりに、5つの上部電極層G6〜G10が設けられている。
第33図に示すセンサは、第28図に示した第2の実施例に係るセンサのまた別な変形例である。このセンサの中枢として機能する基板は可撓基板250である。第34図は、この可撓基板250の上面図である。図に破線で示されているように、可撓基板250の下面には、円環状の溝が形成されており、この溝が形成された部分は肉厚が薄いために可撓性をもっている(第33図に、可撓部252として示されている)。ここでは、この円環状の可撓部252に囲まれた内側の部分を作用部251と呼び、可撓部252の外側の部分を固定部253と呼ぶことにする。作用部251の下面には、ブロック状の振動子260が固着されている。また、固定部253は、台座270によって支持されており、台座270はベース基板280に固定されている。結局、振動子260は、台座270によって囲まれた空間内において宙吊りの状態となっている。肉厚の薄い可撓部252が可撓性をもっているため、振動子260は、ある程度の自由度をもってこの空間内で変位できる。また、可撓基板250の上部には、蓋基板290が所定の空間を確保しながら覆うように取り付けられている。
<3.1> 第3の実施例に係るセンサの構造
続いて、本発明の第3の実施例に係る多軸角速度センサについて説明する。この第3の実施例は、振動機構としてクーロン力を利用した機構を用いる点においては、前述した第1の実施例および第2の実施例のセンサと同様であるが、検出機構としてはピエゾ抵抗素子を利用した機構を用いている点に特徴がある。
このセンサにおいて、振動子321を所定の軸方向に振動させる機構は、第6図に示した第1の実施例に係るセンサと全く同様である。第36図に示す5枚の下部電極層F1〜F5は、第7図に示す5枚の下部電極層F1〜F5と、形状に若干の違いはあるものの本質的な機能の点では全く等価である。したがって、この5枚の下部電極層F1〜F5と、これに対向する共通の上部電極層E0と、の間に所定のタイミングで所定の電圧を供給することにより、両電極層間にクーロン力を作用させ、その結果として、振動子321をXYZ三次元座標系におけるX軸,Y軸,Z軸のいずれの方向にも振動させることができる。
この第3の実施例に係るセンサの特徴は、ピエゾ抵抗素子を用いてコリオリ力の検出を行う点にある。この検出方法を以下に説明する。いま、第38図に示すように、振動子321にX軸正方向のコリオリ力Fxが作用した場合を考える(図が繁雑になるのを避けるため、この図では、各電極層は図示を省略してある)。コリオリ力Fxが作用すると、第1の基板310の可撓部312に図のような撓みが生じる。そして、このような撓みは、X軸に沿って配置された4個のピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4の抵抗値を変化させる。具体的には、ピエゾ抵抗素子Rx1,Rx3の抵抗値は増え(図には“+”符号で示す)、ピエゾ抵抗素子Rx2,Rx4の抵抗値は減る(図には“−”符号で示す)。しかも増減の程度は、作用したコリオリ力Fxの大きさに比例する。また、X軸負方向のコリオリ力−Fxが作用した場合は、増減の関係が逆転する。したがって、これら各ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化を検出すれば、作用したコリオリ力Fxを求めることができる。
上述したセンサにおける各下部電極層F1〜F4は、前述した第1の実施例に係るセンサと同様に、X軸およびY軸上に配されている。これに対し、第29図に示した第2の実施例に係るセンサにおける下部電極層G1〜G4のように、XY平面についての第1象限〜第4象限に配置することも可能である。また、4個のピエゾ抵抗素子Rz1〜Rz4を配置する軸の向きは任意でよく、X軸あるいはY軸に平行な軸に沿って配置してもかまわない。
<4.1> 第4の実施例に係るセンサの構造
ここでは、本発明の第4の実施例に係る多軸角速度センサについて説明する。この第4の実施例は、振動機構および検出機構の双方に圧電素子を利用した機構を用いたセンサである。
いま、このセンサの所定の電極層に所定の極性をもった電荷を供給した場合にどのような現象が起こるかを検討する。電極層E1に負、F1に正の電荷を供給すると、第43図(b) に示す性質により、この両電極層に挟まれた圧電素子の一部分には、厚み方向に縮む方向の力が発生する。また、電極層E2に正、F2に負の電荷を供給すると、第43図(a) に示す性質により、この両電極層に挟まれた圧電素子の一部分には、厚み方向に伸びる方向の力が発生する。この結果、圧電素子430は、第44図に示すように変形し、振動子440はX軸正方向に変位することになる。ここで、電極層E1,F1,E2,F2に供給していた電荷の極性を逆転させると、圧電素子の伸縮状態も逆転することになり、振動子440はX軸負方向に変位する。この2つの変位状態が交互に起こるように、供給電荷の極性を交互に反転させてやれば、振動子440をX軸方向に往復運動させてやることができる。別言すれば、振動子440に対して、X軸方向に関する振動Uxを与えることができる。
続いて、この第4の実施例に係るセンサにおいて各軸方向に作用したコリオリ力の検出方法について説明する。なお、紙面を節約する上で、前述した振動子の振動方法の説明に用いた第44図および第45図を、このコリオリ力の検出方法の説明においても用いることにする。
本発明に係る多軸角速度センサの目的は、§0において説明したように、第1の軸まわりの角速度ωを検出するために、振動子に対して第2の軸方向の振動Uを与え、そのときに第3の軸方向に発生するコリオリ力Fを検出することにある。上述したように、この第4の実施例に係るセンサでは、所定の電極層間に交流信号を印加することにより、振動子430をX軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸方向に沿って振動させることができ、そのときに発生した各軸方向のコリオリ力Fx,Fy,Fzを、それぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして検出することができる。したがって、第3図〜第5図に示す原理により、X軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸まわりの角速度ωを検出することができる。
上述した第4の実施例に係るセンサによれば、XYZ三次元座標系におけるコリオリ力Fx,Fy,Fzを、それぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして求めることができる。そして、これらの電位差に基づいて角速度の検出が可能である。しかしながら、これらの電位差を検出するためには、各電極層に対して、第46図〜第48図の回路図に示すような配線を行う必要がある。この配線は、上部電極層と下部電極層とが入り乱れたものとなっており、このセンサを大量生産する場合、製品の全コストに比べて配線のためのコストが無視できなくなる。この変形例1は、圧電素子の分極特性を部分的に変えることにより、配線を単純化し製造コストを低減するようにしたものである。
上述した変形例1のように、局在的な分極特性をもった圧電素子470を用いた場合、5枚の下部電極層F1〜F5を導通させる配線が可能になる。このように、下部電極層F1〜F5を導通させることができるのであれば、あえてこれら5枚の電極層を、それぞれ独立した電極層にしておく必要はない。すなわち、第54図の側断面図に示されているように、共通の下部電極層F0を1枚だけ設けるようにすればよい。共通の下部電極層F0は、1枚の円盤状の電極層であり、5枚の上部電極層E1〜E5のすべてに対向した電極となる。
上述した変形例2の構造を更に単純化するには、可撓基板410の代わりに、導電性の材料(たとえば、金属)からなる可撓基板480を用いればよい。こうすれば、第55図の側断面図に示されているように、特別な下部電極層F0を用いずに、圧電素子470の下面を可撓基板480の上面に直接接合した構造が実現できる。この場合、可撓基板480自身が共通の下部電極層F0として機能することになる。
上述したセンサは、いずれも物理的に単一の圧電素子430あるいは470を用いているが、これらを物理的に複数の圧電素子で構成してもかまわない。たとえば、第50図において、領域A1〜A5のそれぞれを別個独立した圧電素子で構成し、合計で5個の圧電素子を用いるようにしてもかまわない。このように、物理的にいくつの圧電素子を用いるかは、設計上適宜変更できる事項である。
<5.1> 第5の実施例に係るセンサの構造
ここでは、本発明の第5の実施例に係る多軸角速度センサについて説明する。この第5の実施例も、前述した第4の実施例と同様に、振動機構および検出機構の双方に圧電素子を利用した機構を用いたセンサである。
続いて、このセンサの所定の電極層に所定の極性をもった電荷を供給した場合にどのような現象が起こるかを検討する。いま、X軸上に配置された4つの局在素子D1〜D4を構成する各電極層に、第61図に示すような極性の電荷を供給した場合を考える。すなわち、電極層L1,M2,L3,M4には正の電荷を、電極層M1,L2,M3,L4には負の電荷を、それぞれ供給する。すると、局在素子D1およびD3については、第60図(a) に示す性質によりXY平面に沿って伸びることになる。逆に、局在素子D2およびD4については、第60図(b) に示す性質によりXY平面に沿って縮むことになる。その結果、可撓基板510は、第61図に示すように変形し、振動子550はX軸正方向に変位することになる。ここで、各電極層に供給していた電荷の極性を逆転させると、圧電素子の伸縮状態も逆転することになり、振動子550はX軸負方向に変位する。この2つの変位状態が交互に起こるように、供給電荷の極性を交互に反転させてやれば、振動子550をX軸方向に往復運動させてやることができる。別言すれば、振動子550に対して、X軸方向に関する振動Uxを与えることができる。
続いて、この第5の実施例に係るセンサにおいて各軸方向に作用したコリオリ力の検出方法について説明する。なお、紙面を節約する上で、前述した振動子の振動方法の説明に用いた第61図および第62図を、このコリオリ力の検出方法の説明においても用いることにする。
以上述べたように、この第5の実施例に係る多軸角速度センサでは、所定の局在素子に交流信号を印加することにより、振動子550をX軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸方向に沿って振動させることができ、そのときに発生した各軸方向のコリオリ力Fx,Fy,Fzを、それぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして検出することができる。したがって、第3図〜第5図に示す原理により、X軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸まわりの角速度ωを検出することができる。
上述した第5の実施例に係るセンサによれば、XYZ三次元座標系におけるコリオリ力Fx,Fy,Fzを、それぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして求めることができる。そして、これらの電位差に基づいて角速度の検出が可能である。しかしながら、これらの電位差を検出するためには、各電極層に対して、第63図〜第65図の回路図に示すような配線を行う必要がある。この配線は、上部電極層と下部電極層とが入り乱れたものとなっており、このセンサを大量生産する場合、製品の全コストに比べて配線のためのコストが無視できなくなる。この変形例1は、圧電素子の分極特性を部分的に変えることにより、配線を単純化し製造コストを低減するようにしたものである。
上述した変形例1のように、局在的な分極特性をもった圧電素子540を用いた場合、16枚の下部電極層M1〜M16を導通させる配線が可能になる。このように、下部電極層M1〜M16を導通させることができるのであれば、あえてこれら16枚の電極層を、それぞれ独立した電極層にしておく必要はない。すなわち、第73図の側断面図に示されているように、共通の下部電極層M0を1枚だけ設けるようにすればよい。共通の下部電極層M0は、1枚のドーナツ盤状の電極層であり、16枚の上部電極層L1〜L16のすべてに対向した電極となる。
上述した変形例2の構造を更に単純化するには、可撓基板510の代わりに、導電性の材料(たとえば、金属)からなる可撓基板570を用いればよい。こうすれば、第74図の側断面図に示されているように、特別な下部電極層M0を用いずに、圧電素子540の下面を可撓基板570の上面に直接接合した構造が実現できる。この場合、可撓基板570自身が共通の下部電極層M0として機能することになる。
上述したセンサは、いずれも物理的に単一の圧電素子520あるいは540を用いているが、これらを物理的に複数の圧電素子で構成してもかまわない。たとえば、第59図において、局在素子D1〜D16のそれぞれを別個独立した圧電素子を用いて構成し、合計で16個の圧電素子を用いるようにしてもかまわない。また、たとえば、局在素子D1,D2について単一の圧電素子を用い、局在素子D3,D4について別な圧電素子を用いる、というように、2つの局在素子について1つの局在素子を用い、合計8個の圧電素子を用いるようにすることもできる。このように、物理的にいくつの圧電素子を用いるかは、設計上適宜変更できる事項である。
<6.1> 第6の実施例に係るセンサの原理
ここで述べる第6の実施例に係る多軸角速度センサは、振動機構として電磁力を利用した機構を用い、検出機構として差動トランスを利用した機構を用いたセンサである。はじめに、第75図に基づいて、その原理を簡単に説明する。いま、磁性材料からなる振動子610の重心位置に原点Oをとり、XYZ三次元座標系を定義する。そして、この振動子610を挟むように、X軸上に一対のコイルJ1,J2を設け、Y軸上に一対のコイルJ3,J4を設け、Z軸上に一対のコイルJ5,J6を設ける。
第76は、上述した原理に基づく多軸角速度センサの具体的な構造を示す側断面図である。鉄などの磁性材料からなる円柱状の振動子610は、センサ筐体620内に収容されている。センサ筐体620の上面には、仕切り板630が接合されており、この仕切り板630の上面には、皿状のダイヤフラム640が伏せた状態で取り付けられている。このダイヤフラムの中心には、連結棒650の上端が固着されている。仕切り板630の中央には貫通孔が形成されており、連結棒650はこの貫通孔を挿通している。連結棒650の下端には、振動子610が取り付けられており、振動子610はセンサ筐体620内において、連結棒650によって宙吊りの状態になっている。また、仕切り板630の上方には、ダイヤフラム640を覆うように保護カバー660が取り付けられている。
<7.1> 加速度の検出
以上述べてきた種々の実施例は、いずれも多軸角速度センサであるが、実はこれらのセンサは、多軸加速度センサとしての機能も兼ね備えている。これを第1の実施例のセンサについて示そう。第15図は、この第1の実施例のセンサにおいて、X軸まわりの角速度ωxを検出する動作を説明する図である。角速度ωxを検出するには、振動子130に対してZ軸方向の振動Uzを与えた状態で、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを測定すればよい。ところで、このようなY軸方向のコリオリ力Fyが発生するのは、角速度ωxが作用した状態において、振動子130をZ軸方向に意図的に振動させたためである。もし、振動子130を振動させなかったら、コリオリ力Fyは発生しない。しかしながら、振動子130を振動させていないにもかかわらず、振動子130をY軸方向に動かそうとする力Fyが発生する場合がある。これは、振動子130にY軸方向の加速度が作用した場合である。力学の基本法則によれば、質量をもった物体に加速度が作用すると、この加速度と同じ方向に、物体の質量に比例した力が作用する。したがって、振動子130に対して、Y軸方向の加速度が作用した場合には、この振動子130の質量に比例した大きさをもったY軸方向の力Fyが作用することになる。このように加速度に起因した力Fyも、コリオリ力Fyも、力としては全く同じであり、コリオリ力の検出方法と全く同様の方法により加速度に起因した力を検出することができる。
上述したように、本発明に係るセンサは、多軸角速度センサとしての機能と多軸加速度センサとしての機能を兼ね備えている。そこで、実際には、第77図の流れ図に示すような時分割検出動作を行うことにより、X軸方向の加速度αx,Y軸方向の加速度αy,Z軸方向の加速度αz,X軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωz、という6つの成分の検出を行うことができる。
続いて、前述のような時分割検出動作を行うための検出回路の基本構成を第78図に示す。ここで、ブロック700は、これまで述べてきた多軸角速度センサの種々の実施例に対応するものであり、機能の観点から、振動部710と検出部720との2つの部分に分けて示してある。振動部710は、内蔵した振動子を所定の軸方向に振動させる機能をもった部分であり、図にX,Y,Zと示した各端子に駆動信号を供給すると、振動子はそれぞれX軸,Y軸,Z軸方向に振動する。また、検出部720は、内蔵した振動子の変位を示す検出信号を出力する機能をもった部分であり、図にX,Y,Zと示した各端子から、それぞれX軸,Y軸,Z軸方向についての変位の検出信号が出力される。実際のセンサにおいては、1つの電極層が振動部710側の機能と、検出部720側の機能とを兼ねる場合もあり、センサを構成する各部を、振動部710か検出部720かのいずれかにはっきりと分類することは困難であるが、ここでは便宜上、このセンサを機能的にとらえることによりブロック700のような単純なモデルで表現することにする。
スイッチSW1:OFF スイッチSW4:OFF
スイッチSW2:OFF スイッチSW5:ON
スイッチSW3:ON スイッチSW6:OFF
とする指示を、マルチプレクサ712,722に与える。その結果、振動部710は振動子にZ軸方向の振動Uzを与え、検出部720はこのとき発生するコリオリ力Fyの作用による振動子のY軸方向の変位を示す検出信号を端子Yから出力する。変位検出回路721は、この検出信号に基づきY軸方向の変位量を検出する。コントローラ740は、検出値出力回路730に対して、検出された変位量をX軸まわりの角速度ωxの値として出力するよう指示する。こうして、変位検出回路721において検出されたY軸方向の変位量は、検出値出力回路730から、角速度ωxとして出力される。
スイッチSW1:ON スイッチSW4:ON
スイッチSW2:OFF スイッチSW5:OFF
スイッチSW3:OFF スイッチSW6:OFF
とする指示を、マルチプレクサ712,722に与える。その結果、振動部710は振動子にX軸方向の振動Uxを与え、検出部720はこのとき発生するコリオリ力Fzの作用による振動子のZ軸方向の変位を示す検出信号を端子Zから出力する。変位検出回路721は、この検出信号に基づきZ軸方向の変位量を検出する。コントローラ740は、検出値出力回路730に対して、検出された変位量をY軸まわりの角速度ωyの値として出力するよう指示する。こうして、変位検出回路721において検出されたZ軸方向の変位量は、検出値出力回路730から、角速度ωyとして出力される。
スイッチSW1:OFF スイッチSW4:OFF
スイッチSW2:ON スイッチSW5:OFF
スイッチSW3:OFF スイッチSW6:ON
とする指示を、マルチプレクサ712,722に与える。その結果、振動部710は振動子にY軸方向の振動Uyを与え、検出部720はこのとき発生するコリオリ力Fxの作用による振動子のX軸方向の変位を示す検出信号を端子Xから出力する。変位検出回路721は、この検出信号に基づきX軸方向の変位量を検出する。コントローラ740は、検出値出力回路730に対して、検出された変位量をZ軸まわりの角速度ωzの値として出力するよう指示する。こうして、変位検出回路721において検出されたX軸方向の変位量は、検出値出力回路730から、角速度ωzとして出力される。
多軸角速度の検出に関するこれまでの説明は、いずれも、第3図〜第5図に示す基本原理に基づくものであった。これに対し、第79図〜第81図に示す基本原理に基づく検出も可能である。たとえば、X軸まわりの角速度ωxを検出する場合、第3図に示す基本原理によれば、振動子にZ軸方向の振動Uzを与えたときにY軸方向に発生するコリオリ力Fyを検出することになるが、第79図に示す基本原理によれば、振動子にY軸方向の振動Uyを与えたときにZ軸方向に発生するコリオリ力Fzを検出すればよい。同様に、Y軸まわりの角速度ωyを検出する場合、第4図に示す基本原理によれば、振動子にX軸方向の振動Uxを与えたときにZ軸方向に発生するコリオリ力Fzを検出することになるが、第80図に示す基本原理によれば、振動子にZ軸方向の振動Uzを与えたときにX軸方向に発生するコリオリ力Fxを検出すればよい。また、Z軸まわりの角速度ωzを検出する場合、第5図に示す基本原理によれば、振動子にY軸方向の振動Uyを与えたときにX軸方向に発生するコリオリ力Fxを検出することになるが、第81図に示す基本原理によれば、振動子にX軸方向の振動Uxを与えたときにY軸方向に発生するコリオリ力Fyを検出すればよい。
上述したように、本発明による角速度検出においては、第3図〜第5図に示す基本原理に基づく検出と、第79図〜第81図に示す基本原理に基づく検出と、のいずれも可能であるが、更に、両者を組み合わせた検出も可能である。ここで、理解を容易にするために、各基本原理を整理してみると、次の表に示すような6とおりの検出動作が可能であることがわかる。
<U> <F> <ω> 原理図
検出動作1 X Y Z 第81図
検出動作2 X Z Y 第4図
検出動作3 Y Z X 第79図
検出動作4 Y X Z 第5図
検出動作5 Z X Y 第80図
検出動作6 Z Y X 第3図
ここで、Uの欄は振動子を励振する軸方向を示し、Fの欄は振動子に作用するコリオリ力を検出する軸方向を示し、ωの欄は検出対象となる角速度に関する軸を示す。第3図〜第5図に示す基本原理に基づく検出は、上掲の表の偶数番目の3つの検出動作を行うものであり、第79図〜第81図に示す基本原理に基づく検出は、奇数番目の3つの検出動作を行うものである。このような3つの検出動作により、XYZの3つの軸まわりの角速度が検出できることは既に述べたとおりである。
11,12…圧電素子
20…物体
30…振動子
110…可撓基板
120…固定基板
130…振動子
140…センサ筐体
151,152…インバータ
153…抵抗
154…排他的OR回路
161,162…インバータ
163,164…抵抗
165…排他的OR回路
171,172…誘電体基板
210…第1の基板
211…振動子
212…架橋部
213…支持枠
220…第2の基板
221…窪み
230…第3の基板
231…切削面
240…第4の基板
241…振動子
242…台座
250…可撓基板
251…作用部
252…可撓部
253…固定部
260…振動子
270…台座
280…ベース基板
290…蓋基板
310…第1の基板
311…作用部
312…可撓部
313…固定部
320…第2の基板
321…振動子
322…台座
330…第3の基板
331…窪み
340…第4の基板
350…電源
361〜363…電圧計
410…可撓基板
420…固定基板
430…圧電素子
440…振動子
450…センサ筐体
460…圧電素子
470…圧電素子
480…可撓基板
490…可撓基板
510…可撓基板
520…圧電素子
530…圧電素子
540…圧電素子
550…振動子
560…センサ筐体
570…可撓基板
610…振動子
620…センサ筐体
630…仕切板
640…ダイヤフラム
650…連結棒
660…保護カバー
700…角速度センサを示すブロック
710…振動部
711…振動発生回路
712…マルチプレクサ
720…検出部
721…変位検出回路
722…マルチプレクサ
730…検出値出力回路
740…コントローラ
a…遅延時間
b…パルス幅/遅延時間
C1〜C5…容量素子/容量値
ΔC,ΔC12,ΔC34…容量値の差
D1〜D16…局在素子
d…パルス幅/遅延時間
d1,d2…遅延時間
E0,E1〜E5…上部電極層
E1a〜E5a…補助電極層
F0,F1〜F5…下部電極層
F1a〜F5a…補助電極層
F,Fx,Fy,Fz…コリオリ力
f…周期
G…重心
G0…上部電極層
G1〜G5…下部電極層
G6〜G10…上部電極層
H1〜H4…開口部
J1〜J6…コイル
L1〜L16…上部電極層
M0,M1〜M16…下部電極層
N1〜N4…ノード
R…ピエゾ抵抗素子
Rx1〜Rx4…ピエゾ抵抗素子
Ry1〜Ry4…ピエゾ抵抗素子
Rz1〜Rz4…ピエゾ抵抗素子
SW1〜SW6…スイッチ
T1〜T4,Tx1,Ty1,Tz1,Tx2,Ty2,Tz2…端子
t1〜t5…期間
U,Ux,Uy,Uz…振動
V,V1〜V5…電圧
Vx,Vy,Vz…ブリッジ電圧
W1,W2,X,Y,Z…座標軸
α,αx,αy,αz…加速度
ω,ωx,ωy,ωz…角速度
Claims (2)
- XYZ三次元座標系におけるZ軸まわりの角速度を検出する角速度センサであって、
センサ筐体に固定され、XY平面に平行な板状面を有する第1の要素と、
前記第1の要素の板状面に対して所定の距離を保って平行に配置された板状面を有する中心部分と、この中心部分の外側に位置する可撓性をもった中間部分と、この中間部分の外側に位置する周囲部分と、によって構成され、前記周囲部分が前記第1の要素に固定されている第2の要素と、
を備え、
前記中心部分に対して外力が作用した場合に、前記中間部分に撓みが生じることにより、前記中心部分が前記第1の要素に対して変位を生じるように構成され、
前記第2の要素の前記中心部分には、第1の変位電極、第2の変位電極、第3の変位電極、第4の変位電極が形成されており、前記第1の要素における前記第1の変位電極、前記第2の変位電極、前記第3の変位電極、前記第4の変位電極に対向する板状面には、それぞれ第1の固定電極、第2の固定電極、第3の固定電極、第4の固定電極が形成されており、前記第1の固定電極と前記第1の変位電極とにより第1の容量素子が形成され、前記第2の固定電極と前記第2の変位電極とにより第2の容量素子が形成され、前記第3の固定電極と前記第3の変位電極とにより第3の容量素子が形成され、前記第4の固定電極と前記第4の変位電極とにより第4の容量素子が形成されており、
前記第1の容量素子と前記第2の容量素子は、前記中心部分がX軸方向に変位を生じた際に、一方の電極間隔が増加し、他方の電極間隔が減少するような位置に配置されており、前記第3の容量素子と前記第4の容量素子は、前記中心部分がY軸方向に変位を生じた際に、一方の電極間隔が増加し、他方の電極間隔が減少するような位置に配置されており、
前記第3の容量素子を構成する一対の電極間および前記第4の容量素子を構成する一対の電極間に互いに位相が異なる交流信号を供給することによりクーロン力を作用させ、作用したクーロン力によって前記中心部分をY軸方向に振動させる手段と、
前記第1の容量素子の静電容量値と前記第2の容量素子の静電容量値との差に基づいて、Z軸まわりの角速度を示す値を出力する手段と、
を更に備えることを特徴とする角速度センサ。 - 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
第1の容量素子をX軸の正の領域上に配置し、第2の容量素子をX軸の負の領域上に配置し、第3の容量素子をY軸の正の領域上に配置し、第4の容量素子をY軸の負の領域上に配置したことを特徴とする角速度センサ。
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