JP2004003498A - 内燃機関のスロットルアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の第1の目的は電機子への電流の切り換えが頻繁ではなく、且つ、高精度のモータ回転角度検出器が必要とならない内燃機関のスロットルアクチュエータを提供することにある。
【解決手段】固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段を有するように構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段を有するように構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸入通路内に配されるスロットルバルブを回転するスロットルアクチュエータ、及び、内燃機関に供給する吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路内にはスロットルバルブが配されている。従来から、このスロットルバルブはアクセルペダルとワイアで機械的に接続されていた。ところが、近年、トラクションコントロールやオートクルーズなどの制御、及び、排気ガス浄化や燃費向上のために、モータ等によりスロットルバルブを制御する試みがなされてきた。このような例として、特開昭62−91640 号公報に知られるように、直流機にギヤを介してスロットルバルブを接続し、直流機に印加する電圧を操作することによってスロットルバルブを制御する技術がある。
【0003】
直流機はブラシ整流子を介して電機子巻線に電流を供給して永久磁石界磁との間で回転力を発生するようになっている。このように回転子にブラシを押圧するようになっているので、直流機の正転方向と逆転方向ではヒステリシス摩擦が発生してしまい、スロットルバルブの位置制御が困難であった。また、電機子に押圧力がかかっていたので、この力に打ち勝つ力を発生しなければ直流機が回転し始めず反応の特性が悪かった。
【0004】
そこで、ブラシを用いずに回転子を回転するブラシレスモータ(交流機)を用いてスロットルバルブを開閉することが考え付かれた。このような技術は特開平1−315641 号公報などに記載されている。この公報に記載されたものでは、ブラシレスモータの回転子にスロットルバルブが直接に固定されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−91640号公報
【特許文献2】
特開平1−315641号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平1−315641号公報に記載された技術では、ブラシレスモータの回転子にスロットルバルブが直接に固定されているので、モータの発生する力を大きくするためには、極数を多くしなければならない。ブラシレスモータの極数を多くすると、回転子の回転に伴う固定巻線に供給する電流の切り換えを、細かい角度でせざるを得なく、特にモータの回転が高速になったときに顕著になるが、電流の切り換えの制御が充分に追従できないという問題があった。また、電流を切り換える回転子の角度が小さくなってしまうので、高精度のモータ回転角度検出器が必要であった。
【0007】
本発明の第1の目的は巻線子への電流の切り換えの角度が小さくなく、且つ、高精度のモータ回転角度検出器が必要とならない内燃機関のスロットルアクチュエータ及び内燃機関の吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0008】
さらに、一般に、従来のブラシレスモータの固定子巻線が巻相される固定子鉄心には、鉄損を小さくするために、打ち抜いた珪素鋼板を積層して用いていた。しかしながら、積層しているために、軸方向に空気が入り込み磁気抵抗を形成する。そのために、ブラシレスモータの出力が低下し、応答性が低下するという問題点があった。
【0009】
第2の目的はブラシレスモータの出力の低下をなくし充分な応答性を持った内燃機関のスロットルアクチュエータを提供することにある。
【0010】
また、一般に、従来のブラシレスモータでは、固定子の固定子鉄心と磁石回転子の磁石とは軸線方向に同じ距離となるように形成されていた。固定子鉄心の周囲には巻線が巻かれているが、巻線を巻回すと、この巻線の軸方向の距離は磁石の軸方向の距離より長くなる。そうすると、固定子巻線の発生する磁束が有効に使われなくなり、ブラシレスモータの出力が低下し力が出なくなり、応答性が低下するという問題点があった。
【0011】
第3の目的は、第2の目的と同様に、ブラシレスモータの出力の低下をなくし充分な応答性を持った内燃機関のスロットルアクチュエータを提供することにある。
【0012】
また、上記の特開平1−315641 号公報に記載の技術では、回転子の出力軸に4極の磁石を固定し、この磁石を検出素子で検出し、この検出素子の出力に基づいて固定子に供給する電流を切り換えるようにしている。しかしながら、ブラシレスモータが高速で回転するときに正確に固定子に供給する電圧を切り換えるようにするためには、磁石の工作精度を上げ、また、磁石と回転子を正確にあわせなくてはならない。
【0013】
第4の目的は、ブラシレスモータの固定子に供給する電流の切り換えのための信号が比較的容易に得られる吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0014】
また、上記の特開平1−315641 号公報に記載の技術では、検出素子の検出信号を論理演算することによって、ブラシレスモータの固定子に供給する電流の切り換えを行っていた。このように、検出素子の出力を論理演算等することによってブラシレスモータに供給する電流を切り換えていたので、少なくとも、論理演算をする装置が必要となり、複雑で、高価になっていた。
【0015】
第5の目的は、ブラシレスモータに供給する電流の切り換えをするのに簡単で、廉価な吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0016】
さらに、上記の従来技術では、故障の検出について充分に配慮されていなかった。
【0017】
第6の目的は故障の検出が可能な内燃機関の吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
第1の目的を達成するために、第1の発明では、固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段を有するように構成した。
【0019】
第2の目的を達成するために、第2の発明では、軸の周囲に磁石を配した磁石回転子と、前記磁石回転子に磁束を与える固定子巻線と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記磁石回転子により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記固定子巻線が巻相される固定子鉄心を軸方向に連続な金属で構成した。
【0020】
第3の目的を達成するために、第3の発明では、軸の周囲に磁石を配した磁石回転子と、前記磁石回転子に磁束を与える固定子巻線と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記磁石回転子により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記固定子鉄心の巻線部の軸方向長さを対向する部分の前記磁石回転子の軸方向長さよりも短くするように構成した。
【0021】
第4の目的を達成するために、第4の発明では、固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記スロットルバルブを制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記固定子巻線の発生する逆起電圧を検出する逆起電圧検出器を有し、前記スロットル制御ユニットは前記逆起電圧検出器の出力に基づいて前記スロットルバルブを制御するように構成した。
【0022】
第5の目的を達成するために、第5の発明では、固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記固定子巻線に電流を供給するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記固定子巻線に電流を供給する時点を示す電流切り換え検出器を有し、前記スロットル制御ユニットは前記電流切り換え検出器の出力があると前記固定子巻線に電流を供給するように構成した。
【0023】
第6の目的を達成するために、第6の発明では、回転力を発生する駆動手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記駆動手段を制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記駆動手段の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段と、前記スロットルバルブが全閉状態から開き始めるのを検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段の検出信号の発生に応じて前記の駆動手段の回転角度を検出する第2の検出手段と、前記第2の検出手段の出力に基づいて異常を検出する第1の異常検出手段を有するように構成した。
【0024】
さらに、第6の目的は、第7の発明のように、回転力を発生する駆動手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記駆動手段により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記駆動手段を制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記駆動手段の回転角度を検出する第3の検出手段と、前記スロットルバルブの開度を検出する第4の検出手段と、前記第4の検出手段の出力と前記第4の検出手段の出力を比較して異常を検出する第2の異常検出手段を有するように構成することによっても達成できる。
【0025】
第1の構成によれば、回転子の回転は減速手段を介してスロットルバルブの回転力として伝えられる。そのために、磁極数を増加させなくても充分な力を発生させることができ、電流の切り換えの制御が充分に追従できるようになる。また、電流を切り換える回転子の角度を小さくしなくてもよく、高精度のモータ回転角度検出器が必要でなくなることが可能となる。
【0026】
第2の構成によれば、固定子巻線の固定子鉄心を連続体の鉄で構成したので、軸方向の空隙を生じないように固定子鉄心を構成することができ、そのために、固定子巻線で発生する磁束を有効に使うことができ、目標となる開度まで速やかにスロットルバルブを移動する。
【0027】
第3の構成によれば、固定子鉄心の巻線部の軸方向長さを対向する部分の磁石回転子の軸方向長さよりも短くしたので、固定子鉄心に巻回した巻線の軸方向の長さと回転子の磁石との軸方向の長さをほぼ同じにすることができ、巻線で発生する磁束を有効に使うことができ、目標となる開度まで速やかにスロットルバルブを移動することが可能となる。
【0028】
第4の構成によれば、スロットル制御ユニットは逆起電圧検出器の出力に基づいてスロットルバルブを制御する。そのために、複雑な検出装置を備えることなくブラシレスモータの固定子に供給する電流を切り換えることが可能になる。
【0029】
第5の構成によれば、電流切り換え検出器の信号をそのままブラシレスモータの固定子に供給する電圧の切り換え信号として用いることができる。このように、検出器の信号をそのまま制御信号として用いることができるので、簡単で安価な吸入空気量制御装置を得ることができる。
【0030】
第6の構成によれば、スロットルバルブが全閉状態から開き始めたときの、駆動手段の回転角度によって、異常の検出ができる。
【0031】
第7の構成によれば、駆動手段の回転角度とスロットルバルブの開度を比較することによって異常の検出が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。まず、本実施例のシステム構成図を図2に示す。エアクリーナ10を介して吸入された吸入空気は、スロットルチャンバ6内に設けられたスロットルバルブ4に制御され、吸気通路2を通ってエンジン1のシリンダに導びかれる。一方、噴射弁16から供給された燃料は、吸入空気と混合され、混合気となって、エンジン1のシリンダに導びかれる。混合気は圧縮及び爆発行程を経た後に排気通路3から外部に放出される。
【0033】
アクセル9の踏み込み量ACCはアクセルセンサ8により、エンジン1の水温TMは水温センサ12により、クランク軸18の回転角度NPはクランク角センサ13により、スロットルバルブ4の回転角度PFはスロットル開度センサ17により、前車輪の回転速度VF及び後車輪の回転速度VRは、車輪速センサ19,20により検出され、それぞれの検出信号は制御ユニット14に入力される。
【0034】
エンジン制御ユニット14は、各センサからの信号を演算処理して吸入空気量を演算する。さらにエンジン制御ユニット14は、この演算結果に基づいてスロットルアクチュエータ5を駆動して吸入空気を制御する。また、実際にエンジンに供給される吸入空気量QAを吸入空気量センサ7により検出し、この信号はエンジン制御ユニット14に入力される。エンジン制御ユニット14はこの吸入空気量センサ7の出力信号に基づいて燃料供給量Tiを演算し、噴射弁16を駆動して燃料供給を制御する。
【0035】
なお、詳細は後述するが、本実施例では、スロットルアクチュエータ5のモータとしてブラシレスモータを用い、このモータの固定子巻線(3相)に電流を供給することによってスロットルバルブ4を開閉している。
【0036】
エンジン制御ユニット14の詳細を図3に示す。エンジン制御ユニット14は燃料制御ユニット21及びスロットル制御ユニット22により構成される。燃料制御ユニット21は各センサの出力に基づいて燃料供給量Ti及びスロットル開度指定PSを演算し出力する。一方、スロットル制御ユニット22はスロットル開度指令PS,ブラシレスモータの磁極位置MP及びブラシレスモータの電流値Iに基づいて、ブラシレスモータに与える電流のデューティPWMとブラシレスモータの回転子の各相の切り換え信号A,B,Cを演算し、スロットルアクチュエータ5を駆動する。
【0037】
スロットルアクチュエータ5及びスロットル制御ユニット22の詳細を図1に示す。ブラシレスモータ25(3相)は固定子23及び磁石回転子24より構成される。磁石回転子24の中心軸には減速歯車26が接続される。これによって、磁石回転子24の回転力はスロットルバルブ4に伝えられる。また、磁石回転子24の回転は磁極位置検出器27によって検出される。スロットルバルブ4はリターンスプリング29によって閉方向に付勢される。電源31の電圧はドライバ30によって制御され固定子25に供給される。また、この電流Iは電流検出器32によって検出される。
【0038】
スロットル制御ユニット22は、A/D変換器33,35と波形整形器34より成る入力部と、ワンチップマイクロコンピュータ38より構成される。ワンチップマイクロコンピュータ38は機能的に磁極検出手段36及びスロットル開度制御手段37の2つの機能を有している。電流検出器32の出力IはA/D変換器35を介して、スロットル開度センサ28の出力PFはA/D変換器33を介して、スロットル開度制御手段37に入力される。スロットル開度制御手段37はスロットル開度指令PS(燃料制御ユニット21より出力),スロットル開度PF及びモータ電流値Iに基づいてPWMを演算してドライバ30に出力する。また、磁極位置検出器27の出力は波形整形回路34により波形整形され磁極位置検出手段36に入力される。磁極位置検出手段36はこの信号(A,B,C)に基づいて、固定子23の各相切り換え信号A,B,Cをドライバ30に出力する。
【0039】
ブラシレスモータ25は、ギヤ比が8で4極のものを用いる。つまり、2回転でほぼ90度のバルブ開度となる。ここでは120度通電方式の永久磁石ブラシレスモータを使用する。ドライバ30の各アームの上下への通電のパターンは固定子23と磁石回転子24の位置関係から割り振られる。各アームへの通電モードは電気角1サイクルの繰返しとなる。なお、ブラシレスモータ25を4極とすると8極以上のものと比べて周波数が小さくなるので鉄損が減少し、巻線数が小さくなり、また着磁がやりやすくなるので磁束量が大きくなり、サーボに用いたときのイナーシャが小さくなる。なお、2極であればさらに性能が向上する。
【0040】
ここで、ブラシレスモータ25の駆動力を増大させるためにギヤ26が使用されている。これは、特に、スロットルバルブの制御は位置制御であるため、常時ブラシレスモータ25に電流を通電させてスロットルバルブ4の開度を制御する必要がある、また、故障時の復帰を早めるためにリターンスプリング29の力を強めなければならないため、ブラシレスモータ25のギヤ直結方式ではトルクが小さくモータ体格が大きくなり、消費電力が多くなる。このような問題があるからである。
【0041】
スロットルアクチュエータ5の詳細を図4に示す。空気をエンジンに導く吸入通路2の中を、ベアリング41によって支承されるとともに、約90度の範囲で回転することによって空気量を制御するスロットルバルブ4と、スロットルバルブ4を閉方向に常に戻ろうとする力を発生させるリターンスプリング29とスロットルバルブ4の開度を示すスロットル開度センサ28と、変換機であるギヤ
26を介してスロットルバルブ4を開閉する力を発生するブラシレスモータ25とで構成されている。ここで、ブラシレスモータ25は永久磁石型の3相ブラシレスモータを用いる。ブラシレスモータ25は固定子巻線42を巻き回した固定子鉄心39からなる固定子23と、永久磁石からなる磁石回転子24とで構成される。このブラシレスモータ25は磁極位置検出器27の出力信号によって3相の固定子巻線42への電流を変化させるものである。また、この磁石回転子24はギヤ4に連結され、またベアリング40を介して支承されている。
【0042】
ブラシレスモータ25の固定子23及び回転子24の詳細を図5に示す。ブラシレスモータ25は主として圧粉鉄心で製作された固定子鉄心39に巻回された固定子巻線42とからなる固定子23と、永久磁石とからなる回転子24(N,S,N,S)とで構成される。ここで、固定子鉄心39の巻線部の軸方向長さは、これと対向する永久磁石側(内径側)より短くした構成とする。これによって、巻線の長さが短くでき、消費電力の低減あるいはモータの全長も短くすることができる。
【0043】
ブラシレスモータの固定子鉄心39において従来は薄板の珪素鋼板を打ち抜き、積層して使用している。これは、高速回転数時の鉄損を小さくするためである。一方、スロットルアクチュエータにおいては移動角度の最大が90度であるため、高速回転時の動作は、短時間であり、圧粉鉄心の使用は不利とはならず、さらに、前述のように低消費電力,小型化が達成できる。また、積層鉄心の内転型モータでは固定子鉄心42を打ち抜いた後の中側の円形鉄心は使わないためにムダになるが、圧粉鉄心では材料のムダが無く、経済的である。
【0044】
磁極位置検出器27の詳細を図6に示す。磁極位置検出器27は位置検出用回転子50及びホール素子51〜53より成る。位置検出用回転子50は4極の磁石(N,S,N,S)で構成され磁石回転子24と一体となって回転される。位置検出用回転子50の周囲には120度(機械角)毎にホール素子51〜53が配される。ホール素子51〜53は位置検出用回転子50の回転位置を検出し、それぞれ図7に示すようなA相,B相及びC相の出力をする。さらに、ホール素子51〜53の出力は波形整形回路34で図7に示すようなパルス状の信号に整形される。
【0045】
ドライバ30の詳細を図8に示す。スロットル制御ユニット22は前述したようにアナログ入力ポートAN0からAN2にそれぞれ信号PF,PS,Iを入力しPWM信号を発生し、また、磁極位置検出器27の出力A,B,Cを受けて各相の切り換えA,B,C信号を発生する。スロットル制御ユニット22の各相の切り換えA,B,C信号はそれぞれ、インバータ54a,54b,54cに入力される。このインバータ54a,54b,54cの出力はアンドゲート55a,55b,55cの一方に入力される。アンドゲート55a,55b,55cの他方にはPとM信号が入力される。アンドゲート55a,55b,55cの出力は抵抗57a,57b,57cを介してドライブトランジスタ59a,59b,59cのベースに入力される。ドライブトランジスタ59a,59b,59cのエミッタはFET(上アーム)61a,61b,61cに入力される。インバータ54a,54b,54cの出力はナンドゲート58a,58b,58cの一方に入力される。ナンドゲート58a,58b,58cの他方はスロットル制御ユニット 22の出力する各相の切り換えA,B,C信号が入力される。ナンドゲート58a,58b,58cの出力は抵抗63a,63b,63cを介してドライブトランジスタ60a,60b,60cのベースに入力される。ドライブトランジスタ 60a,60b,60cのエミッタはFET(下アーム)62a,62b,62cに入力される。なお、図7に磁極位置検出器27の出力信号(波形整形回路34)と、FET(上アーム)61a,61b,61cとFET(下アーム)62a,62b,62cのスイッチング状態が示されている。この図において、各A,B,Cと表現されているものは各相のFETのスイッチングがオン状態であることを示している。また、表現されていない場合は、各相のFETのスイッチング状態がオフであることを示している。例を挙げて説明すると、図7中の(イ)のように磁極位置検出器27が出力しているときには、FET61a〜61c(上アーム)中で61c(C相)のみがオン状態であり、他のFET(上アーム)61a(A相),61b(B相)はオフ状態になっている。また、FET(下アーム)62a〜62cの中で、62b(B相)のみがオン状態であり、他のFET(下アーム)62a(A相),62c(C相)はオフ状態となっている。
【0046】
このようにドライバ30は、まず、磁極位置検出信号にかわるABC信号からAND,NAND,INVロジックによってFETの上アームおよび下アームを制御する信号を作る。この場合上アームの信号にはワンチップマイクロコンピュータ14で計算されたPWM信号が重畳される。さらにこの信号がそれぞれFET(上アーム)のドライブトランジスタ59a,59b,59cと、FET(下アーム)のドライブトランジスタ60a,60b,60cとを介してそれぞれを制御する構成である。
【0047】
次に、スロットル制御ユニット22の演算動作について図9から図11のフローチャート図を用いて説明する。まず、PWMデューティの演算動作を図9に示す。まずステップ901で電流検出器32の検出した電流値Iが所定値ICより大きいか判断する。電流値Iが所定値Iより大きければ過電流がFET61a〜61c,62a〜62cに流れているのでステップ907に進み前回のPWMデューティから所定量L(かなり大きい)を減算しこのフローを終了する。ステップ901で過電流が検出されなければステップ902で燃料制御ユニット21からのスロットル関係指令PSを取り込み、さらに、ステップ903でスロットル開度センサ28の検出値PFを取り込む。ステップ904で偏差PEを求め、ステップ905でPWMデューティを演算する。ステップ906では、この演算値をレジスタにセットし出力する。ここでは比例制御の例で示したが、必要に応じてPID制御が採用される。またマイナーループに速度制御を入れても良い。ここで、Kは制御の比例定数である。PWM信号の周波数は、モータの騒音や、トランジスタのスイッチング損失等を考えて決定する。
【0048】
次に、磁極位置検出器14の出力に基づくスロットル開度の演算とこれによる故障診断を図10に示す。まずステップ1001で磁極位置検出器27の出力を波形整形して得られたパルスA,B,C(3相)を取り込む。ステップ1002でこのA,B,Cのいずれかの信号に変化があったか判断する。変化がなければステップ1006までジャンプする。一方、ステップ100でA,B,Cの信号のいずれかに変化すれば、ステップ1003で正転か逆転か判断し、正転であればステップ1004でCカウンタを1だけインクリメントし、また、逆転であればステップ1005で1だけデクリメントしてステップ1006に進む。ステップ1006ではCカウンタ値に基づいてスロットル開度の推論値THETAを求める。ステップ1007で実際のスロットル開度PFを取り込だらステップ1008でスロットル開度PFが零か判断する。零であれば故障診断をしないものとする。ステップ1009で実際のスロットル開度PFが零でなければ、実際のスロットル開度PFと推論値THETAに基づいて故障診断をする。すなわち、実際のスロットル開度PFと推論値THETAが所定(C)以上に離れていれば故障と判断しステップ1010で故障を示すフラグNGFLAGを1とする。また、ステップ1009で故障が認められなければステップ1011に進む。最後に、磁極位置検出器27による検出パルスをそのまま各相の切り換え信号A,B,Cとしてドライバ30に出力する。
【0049】
次に、スロットル開度が零であるときの故障診断を図11に示す。まず、ステップ1101でスロットルバルブ4がブラシレスモータ25により負荷がかけているか(スロットルバルブ4がリターンスプリング29によって充分に付勢されているか)判断する。1101で実際のスロットル開度が零か判断し、さらに PWMデューティが零か判断する。一方でも条件がととなわなければそのままステップ1104に進む。両方の条件がととのったときにはステップ1103で故障診断力を示すフラグCFLAGを1とする。ステップ1104でCFLAGが1か判断する。CFLAGが1でなければそのままフローを終了する。
【0050】
ここで、図11のフローチャートに示す故障診断の方法を簡単に説明する。スロットルバルブの開度が零のブラシレスモータ25の回転による進み角の移動範囲はギヤ26のガタによってブラシレスモータ25が移動できる範囲である。このようすを図12に示す。つまり、上記以外ではリターンスプリング29の力によってブラシレスモータ25は閉方向の力を受け、ガタは無いが、ギヤ26のガタの移動角の範囲では、スロットルバルブ4は、設けられたストッパ(図示せず)に当たり、リターンスプリング29の力は全てストッパで受けてくれるために、ブラシレスモータ25はギヤ26のガタの分だけ移動可能となる。特に、ギヤ比が大きい場合には、この距離が大きくなる。この範囲に着目し、エンジンの始動の前後に、閉方向あるいは開方向に、適切な駆動トルクをブラシレスモータ25に与える。これによって、ブラシレスモータ25は移動し、それにともなって図7に示したように電気角60度毎に生じる上アーム,下アームの切り換え信号が発生する。その数をカウントし、所定数量に達した場合には、ブラシレスモータ25及び駆動装置が健全であると判定することができる。さらには、この間における通電モードの順が保たれているかをチェックすることによって、さらにドライバ30、あるいは磁極位置検出器27等の健全性が確認でき、一層診断の信頼性を高めることができる。
【0051】
ステップ1105でCFLAGが1かどうか判断する。CFLAGが1でなければこのフローを終了する。ステップ1105でCFLAGが1であればステップ1105で前回の実際のスロットル開度PFが零であったか判断する。零でなければこのフローを終了する。ステップ1105で前回の実際のスロットル開度PFが零でなければステップ1106で今回の実際のスロットル開度PFが零より大きいか判断する。零より大きくなければこのフローを終了する。ステップ1106で今回の実際のスロットル開度PFが零より大きければステップ1007でCカウンタが所定値CNより大きいか判断する。大きければスロットルアクチュエータ5の全体が正常であると判断しステップ1009でCFLAGを再び零に戻してこのフローを終了する。ステップ1007でCカウンタがCNより大きくなければ故障も判断しステップ1008でNGFLAGを1にする。ステップ1009でCFLAGを零に戻しこのフローを終了する。
【0052】
さらに、本実施例の有する効果を説明する。ブラシレスモータ25が発生するトルクTmotor は以下の式で表される。
【0053】
Tmotor=Tacc+Tsp+Tfr …(1)
ここで、Tacc はモータ,ギヤ,バルブのイナーシャに打ち勝って、スロットルバルブを加速させるためのトルクを示す。Tspはバネの力と釣り合う為のトルクを、Tfrはアクチュエータを含めたスロットル系の摩擦トルクを表す。従来の直流機方式の特にギヤを使用する方式では、ブラシと整流子との間の摩擦力によって特に上記のTfrの値が大きくなる。この摩擦トルクはヒステリシス特性を示すため、位置決めが困難になる。また、これはバルブ側で見ると、実際の摩擦トルクのギヤ比の倍数となるため、バルブ側で見た摩擦トルクが大きくなり、位置決めがしにくくなる。また、摩擦トルクの存在はスロットルバルブアクチュエータの故障の際に、バルブを閉の状態に戻すのに長い時間がかかる欠点がある。実際には一定時間以内に戻す必要があるため、使用バネの強さを大きくしておく必要が有り、モータを必要以上に大きくする欠点もある。ギヤの比を大きくするに従って直流機を使用するとその不利は大きく、ギヤ比が5以上ではその影響が一層顕著となる。
【0054】
さらには、固定子鉄心39として圧粉鉄心材を利用し、かつ、圧粉鉄心材と使用した固定子鉄心39として軸方向の長さの異なる形状とすることによって、効率のよいモータを構成でき、かつ性能の劣化も少なくすることができる。
【0055】
また、装置全体の摩擦トルクの低減が重要であるが、スロットルバルブ4を閉じる方向に作用させるリターンスプリング29として図1で示すように鶴巻状のバネを利用することによって、スロットル装置全体の摩擦トルクを低減することができる。
【0056】
また、図1,図2で示したようにブラシレスモータ25と、この出力トルクを増幅し、かつかみあい形式のギヤ26と、スロットルバルブ4とをほぼ同一直線の上に配置することによっても、スロットルアクチュエータ全体の摩擦トルクを低減することができる。
【0057】
第2の実施例を図13から図15を用いて説明する。第2の実施例では、回転角度に対してリニアな出力をする磁極位置検出器を用いる。第1の実施例ではドライバ30がFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを決めていたが、第2の実施例ではスロットル制御ユニット22がFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを演算する。図13において、スロットル制御ユニット22のA,B,C相(上アーム)の出力はそれぞれアンドゲート55a〜55cに入力される。アンドゲート55a〜55cの他端にはPWM出力が入力される。また、スロットル制御ユニット22のA,B,C相(下アーム)の出力は直接にドライバ60a〜60cのベースに加えられる。なお、磁極位置検出器27の出力はスロットル制御ユニット22のアナログ入力ポートAN3に入力され、スロットル制御ユニット22はA/D変換してワンチップマイクロコンピュータに取り込むようになっている。
【0058】
次に、動作について説明する。第1の実施例の図10のフローチャートに示す動作に換えて、図14のフローチャートに示す動作をおこなう。ステップ1401でモータ回転角度PMを取り込む。ステップ1402でモータ回転角度PMに応じたFET61a〜61c,62a〜62cの通電モード(各相の切り換え信号A,B,C)を演算する。この場合に図15に示すようなモータ回転角PMに対すると通電モードを予めROMに記憶しておき、これを読み出すようにする。
【0059】
なお、他の部分は第1の実施例と同様なので説明を省略する。
【0060】
第3の実施例を図16から図17を用いて説明する。第3の実施例では、スロットル開度センサ28の出力PFに基づいてFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを演算する。スロットル制御ユニット22は図14のフローチャートに示す動作に換えて図16のフローチャートに示す動作をおこなう。すなわち、ステップ1601でスロットル開度センサ28の出力PFを取り込む。ステップ1602で検出値RFに基づいてFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを演算する。すなわち、図17に示すようなスロットル開度RFに対するFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを予めROMに記憶させておき、このROMから記憶値を読み出すようにする。ステップ1403でA,B,Cをドライバ10に出力する。
【0061】
なお、他の部分は第2の実施例と同様なので説明を省略する。
【0062】
次に第4の実施例を説明する。第4の実施例ではブラシレスモータ25の回転位置を検出するものである。スロットルアクチュエータのバルブを開く速度は0〜90度で0.1 秒以下の性能が求められる。一方、永久磁石ブラシレスモータとしてトルクアップのためには多極化が有利であり、4極以上の極数が選定しても良い。この場合、速度が0〜45度までは直線的に増加し、45〜90度までは直線的に減少すると仮定すると、最高回転数は約3000回転にもなることが推定される。この回転数における電気角60時間間隔は約500μsとなり、ソフトで電気角各60度の切り換えのタイミングを見出すには少なくとも電気角 60度の中を5以上のサンプリングが必要となる。これを達成するためには高速のマイクロプロセッサを使わねばならないこと、通電モードの検出以外のシステムの処理ができなくなってしまう不便がある。高速回転数になるに従って、電気角60度の所要時間は短くなっていく。上記の欠点を補う制御方式として高速回転数時にはブラシレスモータの各相巻線への通電の切り換えのタイミングを発生させる機構をモータもしくは開度センサ側に備えることによって可能である。これを割込み信号として制御演算装置に切り換えをおこなえば良い。実施例では、モータの逆起電圧を利用し、電気角60度の相変わりのタイミングはハードによって検出するようにする。
【0063】
逆起電圧位置検出器73の詳細構成を図18(a)に示す。巻線の各相の電圧を一次遅れフィルタ70を介して比較器71a〜71cの一方に入れ、かつその他方には各相の巻線から抵抗を介して星型接続した中性点を接続する。星型接続した中性点の電位は各相電圧の平均値となり、これと各相巻線電圧と比較することによって電気角60度の相切り換わり点を見出すことができる。各比較器の出力は図示図18(b)の(イ),(ロ),(ハ)のように120度の位相差の矩形波信号となり、この三つの矩形波信号を立上り立下り検出器72で合成することによって電気角60度の信号が図示図18(b)の(ニ)のように合成できる。この信号をワンチップマイクロコンピュータ38の割込み信号として使用することによって、電気角60度の相変わり角で瞬時に通電モードを切り換えることができる。この時の電気角60度の相変わり角の通電モードのデータは逆起電圧位置検出器のデータを使っても良く、スロットル開度センサ28からの通電情報を示しても良い。
【0064】
第4の実施例のスロットル制御ユニット22の動作を説明する。第4の実施例では第3の実施例の図16のフローチャートに示される動作の換わりに図19のフローチャートに示される動作をおこなう。逆起電圧検出器72の発生するパルスがワンチップマイクロコンピュータ38のIRQ端子に入力されると、ステップ1901で正転か判断し、正転であればステップ1902でDカウンタを1だけ増加されてこのフローを終了する。一方、ステップ1901で正転と判断されないとDカウンタを1だけ減少させてこのフローを終了する。
【0065】
また別のルーチンにおいて、ステップ1910で回転数が所定値NSより大きいか判断する。所定値NSより大きければ、Dカウンタに応じて各アームの通電モードを演算する。すなわち、図20に示されるDカウンタに対する通電モードが予めROMに記憶されており、これを読み出すことによって通電モードを求める。ステップ1910で回転数が所定値NSより大きくないときには、スロットルセンサ28の出力RFを取り込む。さらにステップ1911で実際のスロットル開度RFに基づいて各アームの通電モードを求める(第3の実施例と同様)。ステップ1912で各相の切り換え信号A,B,Cを出力してこのフローを終了する。
【0066】
次に、第5の実施例を説明する。第5の実施例はブラシレスモータ25が15度(機械角)毎にパルスを発生する磁極位置検出器27を用いたものである。この磁極位置検出器27の詳細を図21に示す。全周にわたり15度毎に24個の突起を有した回転体27の回転を検出コイル76によって検出する。検出コイル76は図21(b)のような信号を出力し、波形整形回路77は波形整形し図
21(c)のようなパルスを発生する。
【0067】
第5の実施例では、この波形整形回路77の出力パルスによりワンチップマイクロコンピュータ38に割込(IRQ)み、このパルスをDカウントし、カウントマップ,カウントダウンすることによってブラシレスモータの回転角度を演算し、これに基づいてA,B,C各相の信号をドライバ20に出力する(図19において、ステップ1910,ステップ1911,ステップ1912を省略したもの)。
【0068】
次に第6の実施例を図22を用いて説明する。第6の実施例では永久磁石回転子32の変わりに可変リラクタンス型の回転子78を用いた。ここで、回転子78は磁性材からなる突極形状の例で示す。永久磁石回転子32が、固定子の巻線によって作る磁極と永久磁石回転子との吸引,反発を利用した原理であるのに対して、これは固定子の巻線によって作る磁極と突極回転子の吸引力のみを利用しており、効率は悪いが、構成が簡単で、低価格なモータとすることができる。この構成も、摺動に伴う摩擦トルクがないために、前記と同様の効果が期待できる。また、磁極位置検出器が必要なことは永久磁石回転子の場合と同じである。
【0069】
なお、他の部分は第1の実施例から第5の実施例と同様なので省略する。
【0070】
なお、スロットルアクチュエータは自動車エンジンの心臓部を制御するために信頼性が非常に重要となる。このため、モータの出力軸にクラッチを備えてモータがロックして動かなくなったときにクラッチでモータとバルブの連結を解き、別に備えたアクセルワイヤで制御することも可能である。この場合、クラッチを使用したときにはモータの磁極の位置関係と、開度センサの位置関係がずれて成り立たなくなってしまう。そこで、クラッチとして常にモータ側とバルブ側とが一定の位置に復帰するようなクラッチ機構とすることによってクラッチの使用にかかわらず、安定した特性を持つスロットルアクチュエータとすることができる。そのほか、開度センサの動きと、逆起電圧位置検出器の動きから学習して、開度センサの動きと、逆起電圧位置検出器の動きを実時間で、学習し修正することも考えられる。
【0071】
なお、制御演算装置として、マイクロコンピュータを使用する方式では開度センサのアナログ情報をA/D変換器を介してデジタル量として取り込む。電気角60度のデジタルの量は計算されるが、ビット数の少ないA/D変換器を使用する場合には予め、電気角60度に相当するデジタル量をA/D変換器の最小分解能の整数倍に同期させることによって、少ないビット数でかつ性能を落すこと無く運転することができる。
【0072】
なお、永久磁石のブラシレスモータで説明したが、可変リラクタンス型のブラシレスモータの場合でも良く、また、ステップモータの位置を検出してクローズドループ運転する形式の場合にも適用可能である。
【0073】
また、スロットルバルブ開閉装置について説明したが、他のバルブ開閉装置にも適用できる。また、バルブ開閉装置以外のブラシレスモータの制御装置にも適用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明では、電機子への電流の切り換え角度が小さくなく、且つ、高精度のモータ回転角度検出器が不必要とすることが可能となる。第2の発明及び第3の発明ではブラシレスモータの出力の低下をなくし、充分な応答性を有し、スロットルバルブを目標のスロットル開度に速やかに移動することが可能となる。第4の発明では複雑な検出装置を備えることなくブラシレスモータの固定子に供給する電流を切り換えることが可能となる。第5の発明では装置全体を簡単で安価とすることが可能となる。第6の発明及び第7の発明では系全体の異常の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スロットルアクチュエータ及びスロットル制御ユニットを示す図である。
【図2】システム構成図である。
【図3】制御ユニットの詳細を示す図である。
【図4】スロットルアクチュエータの詳細を示す図である。
【図5】ブラシレスモータの詳細を示す図である。
【図6】磁極位置検出器の詳細を示す図である。
【図7】磁極位置値検出器の出力とFETのスイッチング状態を示す図である。
【図8】ドライバの詳細を示す図である。
【図9】スロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図10】スロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図11】スロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図12】スロットル開度とブラシレスモータの回転角の関係を示す図である。
【図13】第2の実施例のドライバの詳細を示す図である。
【図14】第2の実施例のスロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図15】第2の実施例とブラシレスモータの回転角とスイッチング状態を示す図である。
【図16】第3の実施例のスロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図17】第3の実施例のスロットル開度とFETのスイッチング状態を示す図である。
【図18】逆起電圧位置検出器の詳細を示す図である。
【図19】第4の実施例のスロットル開度とFETのスイッチング状態を示す図である。
【図20】第4の実施例のDカウンタとFETのスイッチング状態を示す図である。
【図21】第5の実施例の磁極位置検出器の詳細を示す図である。
【図22】第6の実施例の可変リラクタンスの図である。
【符号の説明】
2…吸入通路、4…スロットルバルブ、5…スロットルアクチュエータ、22…スロットル制御ユニット、24…磁石回転子、26…減速機、27…磁極位置検出器、28…スロットル開度センサ、42…固定子巻線、73…逆起電圧検出器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸入通路内に配されるスロットルバルブを回転するスロットルアクチュエータ、及び、内燃機関に供給する吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路内にはスロットルバルブが配されている。従来から、このスロットルバルブはアクセルペダルとワイアで機械的に接続されていた。ところが、近年、トラクションコントロールやオートクルーズなどの制御、及び、排気ガス浄化や燃費向上のために、モータ等によりスロットルバルブを制御する試みがなされてきた。このような例として、特開昭62−91640 号公報に知られるように、直流機にギヤを介してスロットルバルブを接続し、直流機に印加する電圧を操作することによってスロットルバルブを制御する技術がある。
【0003】
直流機はブラシ整流子を介して電機子巻線に電流を供給して永久磁石界磁との間で回転力を発生するようになっている。このように回転子にブラシを押圧するようになっているので、直流機の正転方向と逆転方向ではヒステリシス摩擦が発生してしまい、スロットルバルブの位置制御が困難であった。また、電機子に押圧力がかかっていたので、この力に打ち勝つ力を発生しなければ直流機が回転し始めず反応の特性が悪かった。
【0004】
そこで、ブラシを用いずに回転子を回転するブラシレスモータ(交流機)を用いてスロットルバルブを開閉することが考え付かれた。このような技術は特開平1−315641 号公報などに記載されている。この公報に記載されたものでは、ブラシレスモータの回転子にスロットルバルブが直接に固定されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−91640号公報
【特許文献2】
特開平1−315641号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平1−315641号公報に記載された技術では、ブラシレスモータの回転子にスロットルバルブが直接に固定されているので、モータの発生する力を大きくするためには、極数を多くしなければならない。ブラシレスモータの極数を多くすると、回転子の回転に伴う固定巻線に供給する電流の切り換えを、細かい角度でせざるを得なく、特にモータの回転が高速になったときに顕著になるが、電流の切り換えの制御が充分に追従できないという問題があった。また、電流を切り換える回転子の角度が小さくなってしまうので、高精度のモータ回転角度検出器が必要であった。
【0007】
本発明の第1の目的は巻線子への電流の切り換えの角度が小さくなく、且つ、高精度のモータ回転角度検出器が必要とならない内燃機関のスロットルアクチュエータ及び内燃機関の吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0008】
さらに、一般に、従来のブラシレスモータの固定子巻線が巻相される固定子鉄心には、鉄損を小さくするために、打ち抜いた珪素鋼板を積層して用いていた。しかしながら、積層しているために、軸方向に空気が入り込み磁気抵抗を形成する。そのために、ブラシレスモータの出力が低下し、応答性が低下するという問題点があった。
【0009】
第2の目的はブラシレスモータの出力の低下をなくし充分な応答性を持った内燃機関のスロットルアクチュエータを提供することにある。
【0010】
また、一般に、従来のブラシレスモータでは、固定子の固定子鉄心と磁石回転子の磁石とは軸線方向に同じ距離となるように形成されていた。固定子鉄心の周囲には巻線が巻かれているが、巻線を巻回すと、この巻線の軸方向の距離は磁石の軸方向の距離より長くなる。そうすると、固定子巻線の発生する磁束が有効に使われなくなり、ブラシレスモータの出力が低下し力が出なくなり、応答性が低下するという問題点があった。
【0011】
第3の目的は、第2の目的と同様に、ブラシレスモータの出力の低下をなくし充分な応答性を持った内燃機関のスロットルアクチュエータを提供することにある。
【0012】
また、上記の特開平1−315641 号公報に記載の技術では、回転子の出力軸に4極の磁石を固定し、この磁石を検出素子で検出し、この検出素子の出力に基づいて固定子に供給する電流を切り換えるようにしている。しかしながら、ブラシレスモータが高速で回転するときに正確に固定子に供給する電圧を切り換えるようにするためには、磁石の工作精度を上げ、また、磁石と回転子を正確にあわせなくてはならない。
【0013】
第4の目的は、ブラシレスモータの固定子に供給する電流の切り換えのための信号が比較的容易に得られる吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0014】
また、上記の特開平1−315641 号公報に記載の技術では、検出素子の検出信号を論理演算することによって、ブラシレスモータの固定子に供給する電流の切り換えを行っていた。このように、検出素子の出力を論理演算等することによってブラシレスモータに供給する電流を切り換えていたので、少なくとも、論理演算をする装置が必要となり、複雑で、高価になっていた。
【0015】
第5の目的は、ブラシレスモータに供給する電流の切り換えをするのに簡単で、廉価な吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0016】
さらに、上記の従来技術では、故障の検出について充分に配慮されていなかった。
【0017】
第6の目的は故障の検出が可能な内燃機関の吸入空気量制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
第1の目的を達成するために、第1の発明では、固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段を有するように構成した。
【0019】
第2の目的を達成するために、第2の発明では、軸の周囲に磁石を配した磁石回転子と、前記磁石回転子に磁束を与える固定子巻線と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記磁石回転子により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記固定子巻線が巻相される固定子鉄心を軸方向に連続な金属で構成した。
【0020】
第3の目的を達成するために、第3の発明では、軸の周囲に磁石を配した磁石回転子と、前記磁石回転子に磁束を与える固定子巻線と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記磁石回転子により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記固定子鉄心の巻線部の軸方向長さを対向する部分の前記磁石回転子の軸方向長さよりも短くするように構成した。
【0021】
第4の目的を達成するために、第4の発明では、固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記スロットルバルブを制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記固定子巻線の発生する逆起電圧を検出する逆起電圧検出器を有し、前記スロットル制御ユニットは前記逆起電圧検出器の出力に基づいて前記スロットルバルブを制御するように構成した。
【0022】
第5の目的を達成するために、第5の発明では、固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記固定子巻線に電流を供給するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記固定子巻線に電流を供給する時点を示す電流切り換え検出器を有し、前記スロットル制御ユニットは前記電流切り換え検出器の出力があると前記固定子巻線に電流を供給するように構成した。
【0023】
第6の目的を達成するために、第6の発明では、回転力を発生する駆動手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記駆動手段を制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記駆動手段の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段と、前記スロットルバルブが全閉状態から開き始めるのを検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段の検出信号の発生に応じて前記の駆動手段の回転角度を検出する第2の検出手段と、前記第2の検出手段の出力に基づいて異常を検出する第1の異常検出手段を有するように構成した。
【0024】
さらに、第6の目的は、第7の発明のように、回転力を発生する駆動手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記駆動手段により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記駆動手段を制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記駆動手段の回転角度を検出する第3の検出手段と、前記スロットルバルブの開度を検出する第4の検出手段と、前記第4の検出手段の出力と前記第4の検出手段の出力を比較して異常を検出する第2の異常検出手段を有するように構成することによっても達成できる。
【0025】
第1の構成によれば、回転子の回転は減速手段を介してスロットルバルブの回転力として伝えられる。そのために、磁極数を増加させなくても充分な力を発生させることができ、電流の切り換えの制御が充分に追従できるようになる。また、電流を切り換える回転子の角度を小さくしなくてもよく、高精度のモータ回転角度検出器が必要でなくなることが可能となる。
【0026】
第2の構成によれば、固定子巻線の固定子鉄心を連続体の鉄で構成したので、軸方向の空隙を生じないように固定子鉄心を構成することができ、そのために、固定子巻線で発生する磁束を有効に使うことができ、目標となる開度まで速やかにスロットルバルブを移動する。
【0027】
第3の構成によれば、固定子鉄心の巻線部の軸方向長さを対向する部分の磁石回転子の軸方向長さよりも短くしたので、固定子鉄心に巻回した巻線の軸方向の長さと回転子の磁石との軸方向の長さをほぼ同じにすることができ、巻線で発生する磁束を有効に使うことができ、目標となる開度まで速やかにスロットルバルブを移動することが可能となる。
【0028】
第4の構成によれば、スロットル制御ユニットは逆起電圧検出器の出力に基づいてスロットルバルブを制御する。そのために、複雑な検出装置を備えることなくブラシレスモータの固定子に供給する電流を切り換えることが可能になる。
【0029】
第5の構成によれば、電流切り換え検出器の信号をそのままブラシレスモータの固定子に供給する電圧の切り換え信号として用いることができる。このように、検出器の信号をそのまま制御信号として用いることができるので、簡単で安価な吸入空気量制御装置を得ることができる。
【0030】
第6の構成によれば、スロットルバルブが全閉状態から開き始めたときの、駆動手段の回転角度によって、異常の検出ができる。
【0031】
第7の構成によれば、駆動手段の回転角度とスロットルバルブの開度を比較することによって異常の検出が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。まず、本実施例のシステム構成図を図2に示す。エアクリーナ10を介して吸入された吸入空気は、スロットルチャンバ6内に設けられたスロットルバルブ4に制御され、吸気通路2を通ってエンジン1のシリンダに導びかれる。一方、噴射弁16から供給された燃料は、吸入空気と混合され、混合気となって、エンジン1のシリンダに導びかれる。混合気は圧縮及び爆発行程を経た後に排気通路3から外部に放出される。
【0033】
アクセル9の踏み込み量ACCはアクセルセンサ8により、エンジン1の水温TMは水温センサ12により、クランク軸18の回転角度NPはクランク角センサ13により、スロットルバルブ4の回転角度PFはスロットル開度センサ17により、前車輪の回転速度VF及び後車輪の回転速度VRは、車輪速センサ19,20により検出され、それぞれの検出信号は制御ユニット14に入力される。
【0034】
エンジン制御ユニット14は、各センサからの信号を演算処理して吸入空気量を演算する。さらにエンジン制御ユニット14は、この演算結果に基づいてスロットルアクチュエータ5を駆動して吸入空気を制御する。また、実際にエンジンに供給される吸入空気量QAを吸入空気量センサ7により検出し、この信号はエンジン制御ユニット14に入力される。エンジン制御ユニット14はこの吸入空気量センサ7の出力信号に基づいて燃料供給量Tiを演算し、噴射弁16を駆動して燃料供給を制御する。
【0035】
なお、詳細は後述するが、本実施例では、スロットルアクチュエータ5のモータとしてブラシレスモータを用い、このモータの固定子巻線(3相)に電流を供給することによってスロットルバルブ4を開閉している。
【0036】
エンジン制御ユニット14の詳細を図3に示す。エンジン制御ユニット14は燃料制御ユニット21及びスロットル制御ユニット22により構成される。燃料制御ユニット21は各センサの出力に基づいて燃料供給量Ti及びスロットル開度指定PSを演算し出力する。一方、スロットル制御ユニット22はスロットル開度指令PS,ブラシレスモータの磁極位置MP及びブラシレスモータの電流値Iに基づいて、ブラシレスモータに与える電流のデューティPWMとブラシレスモータの回転子の各相の切り換え信号A,B,Cを演算し、スロットルアクチュエータ5を駆動する。
【0037】
スロットルアクチュエータ5及びスロットル制御ユニット22の詳細を図1に示す。ブラシレスモータ25(3相)は固定子23及び磁石回転子24より構成される。磁石回転子24の中心軸には減速歯車26が接続される。これによって、磁石回転子24の回転力はスロットルバルブ4に伝えられる。また、磁石回転子24の回転は磁極位置検出器27によって検出される。スロットルバルブ4はリターンスプリング29によって閉方向に付勢される。電源31の電圧はドライバ30によって制御され固定子25に供給される。また、この電流Iは電流検出器32によって検出される。
【0038】
スロットル制御ユニット22は、A/D変換器33,35と波形整形器34より成る入力部と、ワンチップマイクロコンピュータ38より構成される。ワンチップマイクロコンピュータ38は機能的に磁極検出手段36及びスロットル開度制御手段37の2つの機能を有している。電流検出器32の出力IはA/D変換器35を介して、スロットル開度センサ28の出力PFはA/D変換器33を介して、スロットル開度制御手段37に入力される。スロットル開度制御手段37はスロットル開度指令PS(燃料制御ユニット21より出力),スロットル開度PF及びモータ電流値Iに基づいてPWMを演算してドライバ30に出力する。また、磁極位置検出器27の出力は波形整形回路34により波形整形され磁極位置検出手段36に入力される。磁極位置検出手段36はこの信号(A,B,C)に基づいて、固定子23の各相切り換え信号A,B,Cをドライバ30に出力する。
【0039】
ブラシレスモータ25は、ギヤ比が8で4極のものを用いる。つまり、2回転でほぼ90度のバルブ開度となる。ここでは120度通電方式の永久磁石ブラシレスモータを使用する。ドライバ30の各アームの上下への通電のパターンは固定子23と磁石回転子24の位置関係から割り振られる。各アームへの通電モードは電気角1サイクルの繰返しとなる。なお、ブラシレスモータ25を4極とすると8極以上のものと比べて周波数が小さくなるので鉄損が減少し、巻線数が小さくなり、また着磁がやりやすくなるので磁束量が大きくなり、サーボに用いたときのイナーシャが小さくなる。なお、2極であればさらに性能が向上する。
【0040】
ここで、ブラシレスモータ25の駆動力を増大させるためにギヤ26が使用されている。これは、特に、スロットルバルブの制御は位置制御であるため、常時ブラシレスモータ25に電流を通電させてスロットルバルブ4の開度を制御する必要がある、また、故障時の復帰を早めるためにリターンスプリング29の力を強めなければならないため、ブラシレスモータ25のギヤ直結方式ではトルクが小さくモータ体格が大きくなり、消費電力が多くなる。このような問題があるからである。
【0041】
スロットルアクチュエータ5の詳細を図4に示す。空気をエンジンに導く吸入通路2の中を、ベアリング41によって支承されるとともに、約90度の範囲で回転することによって空気量を制御するスロットルバルブ4と、スロットルバルブ4を閉方向に常に戻ろうとする力を発生させるリターンスプリング29とスロットルバルブ4の開度を示すスロットル開度センサ28と、変換機であるギヤ
26を介してスロットルバルブ4を開閉する力を発生するブラシレスモータ25とで構成されている。ここで、ブラシレスモータ25は永久磁石型の3相ブラシレスモータを用いる。ブラシレスモータ25は固定子巻線42を巻き回した固定子鉄心39からなる固定子23と、永久磁石からなる磁石回転子24とで構成される。このブラシレスモータ25は磁極位置検出器27の出力信号によって3相の固定子巻線42への電流を変化させるものである。また、この磁石回転子24はギヤ4に連結され、またベアリング40を介して支承されている。
【0042】
ブラシレスモータ25の固定子23及び回転子24の詳細を図5に示す。ブラシレスモータ25は主として圧粉鉄心で製作された固定子鉄心39に巻回された固定子巻線42とからなる固定子23と、永久磁石とからなる回転子24(N,S,N,S)とで構成される。ここで、固定子鉄心39の巻線部の軸方向長さは、これと対向する永久磁石側(内径側)より短くした構成とする。これによって、巻線の長さが短くでき、消費電力の低減あるいはモータの全長も短くすることができる。
【0043】
ブラシレスモータの固定子鉄心39において従来は薄板の珪素鋼板を打ち抜き、積層して使用している。これは、高速回転数時の鉄損を小さくするためである。一方、スロットルアクチュエータにおいては移動角度の最大が90度であるため、高速回転時の動作は、短時間であり、圧粉鉄心の使用は不利とはならず、さらに、前述のように低消費電力,小型化が達成できる。また、積層鉄心の内転型モータでは固定子鉄心42を打ち抜いた後の中側の円形鉄心は使わないためにムダになるが、圧粉鉄心では材料のムダが無く、経済的である。
【0044】
磁極位置検出器27の詳細を図6に示す。磁極位置検出器27は位置検出用回転子50及びホール素子51〜53より成る。位置検出用回転子50は4極の磁石(N,S,N,S)で構成され磁石回転子24と一体となって回転される。位置検出用回転子50の周囲には120度(機械角)毎にホール素子51〜53が配される。ホール素子51〜53は位置検出用回転子50の回転位置を検出し、それぞれ図7に示すようなA相,B相及びC相の出力をする。さらに、ホール素子51〜53の出力は波形整形回路34で図7に示すようなパルス状の信号に整形される。
【0045】
ドライバ30の詳細を図8に示す。スロットル制御ユニット22は前述したようにアナログ入力ポートAN0からAN2にそれぞれ信号PF,PS,Iを入力しPWM信号を発生し、また、磁極位置検出器27の出力A,B,Cを受けて各相の切り換えA,B,C信号を発生する。スロットル制御ユニット22の各相の切り換えA,B,C信号はそれぞれ、インバータ54a,54b,54cに入力される。このインバータ54a,54b,54cの出力はアンドゲート55a,55b,55cの一方に入力される。アンドゲート55a,55b,55cの他方にはPとM信号が入力される。アンドゲート55a,55b,55cの出力は抵抗57a,57b,57cを介してドライブトランジスタ59a,59b,59cのベースに入力される。ドライブトランジスタ59a,59b,59cのエミッタはFET(上アーム)61a,61b,61cに入力される。インバータ54a,54b,54cの出力はナンドゲート58a,58b,58cの一方に入力される。ナンドゲート58a,58b,58cの他方はスロットル制御ユニット 22の出力する各相の切り換えA,B,C信号が入力される。ナンドゲート58a,58b,58cの出力は抵抗63a,63b,63cを介してドライブトランジスタ60a,60b,60cのベースに入力される。ドライブトランジスタ 60a,60b,60cのエミッタはFET(下アーム)62a,62b,62cに入力される。なお、図7に磁極位置検出器27の出力信号(波形整形回路34)と、FET(上アーム)61a,61b,61cとFET(下アーム)62a,62b,62cのスイッチング状態が示されている。この図において、各A,B,Cと表現されているものは各相のFETのスイッチングがオン状態であることを示している。また、表現されていない場合は、各相のFETのスイッチング状態がオフであることを示している。例を挙げて説明すると、図7中の(イ)のように磁極位置検出器27が出力しているときには、FET61a〜61c(上アーム)中で61c(C相)のみがオン状態であり、他のFET(上アーム)61a(A相),61b(B相)はオフ状態になっている。また、FET(下アーム)62a〜62cの中で、62b(B相)のみがオン状態であり、他のFET(下アーム)62a(A相),62c(C相)はオフ状態となっている。
【0046】
このようにドライバ30は、まず、磁極位置検出信号にかわるABC信号からAND,NAND,INVロジックによってFETの上アームおよび下アームを制御する信号を作る。この場合上アームの信号にはワンチップマイクロコンピュータ14で計算されたPWM信号が重畳される。さらにこの信号がそれぞれFET(上アーム)のドライブトランジスタ59a,59b,59cと、FET(下アーム)のドライブトランジスタ60a,60b,60cとを介してそれぞれを制御する構成である。
【0047】
次に、スロットル制御ユニット22の演算動作について図9から図11のフローチャート図を用いて説明する。まず、PWMデューティの演算動作を図9に示す。まずステップ901で電流検出器32の検出した電流値Iが所定値ICより大きいか判断する。電流値Iが所定値Iより大きければ過電流がFET61a〜61c,62a〜62cに流れているのでステップ907に進み前回のPWMデューティから所定量L(かなり大きい)を減算しこのフローを終了する。ステップ901で過電流が検出されなければステップ902で燃料制御ユニット21からのスロットル関係指令PSを取り込み、さらに、ステップ903でスロットル開度センサ28の検出値PFを取り込む。ステップ904で偏差PEを求め、ステップ905でPWMデューティを演算する。ステップ906では、この演算値をレジスタにセットし出力する。ここでは比例制御の例で示したが、必要に応じてPID制御が採用される。またマイナーループに速度制御を入れても良い。ここで、Kは制御の比例定数である。PWM信号の周波数は、モータの騒音や、トランジスタのスイッチング損失等を考えて決定する。
【0048】
次に、磁極位置検出器14の出力に基づくスロットル開度の演算とこれによる故障診断を図10に示す。まずステップ1001で磁極位置検出器27の出力を波形整形して得られたパルスA,B,C(3相)を取り込む。ステップ1002でこのA,B,Cのいずれかの信号に変化があったか判断する。変化がなければステップ1006までジャンプする。一方、ステップ100でA,B,Cの信号のいずれかに変化すれば、ステップ1003で正転か逆転か判断し、正転であればステップ1004でCカウンタを1だけインクリメントし、また、逆転であればステップ1005で1だけデクリメントしてステップ1006に進む。ステップ1006ではCカウンタ値に基づいてスロットル開度の推論値THETAを求める。ステップ1007で実際のスロットル開度PFを取り込だらステップ1008でスロットル開度PFが零か判断する。零であれば故障診断をしないものとする。ステップ1009で実際のスロットル開度PFが零でなければ、実際のスロットル開度PFと推論値THETAに基づいて故障診断をする。すなわち、実際のスロットル開度PFと推論値THETAが所定(C)以上に離れていれば故障と判断しステップ1010で故障を示すフラグNGFLAGを1とする。また、ステップ1009で故障が認められなければステップ1011に進む。最後に、磁極位置検出器27による検出パルスをそのまま各相の切り換え信号A,B,Cとしてドライバ30に出力する。
【0049】
次に、スロットル開度が零であるときの故障診断を図11に示す。まず、ステップ1101でスロットルバルブ4がブラシレスモータ25により負荷がかけているか(スロットルバルブ4がリターンスプリング29によって充分に付勢されているか)判断する。1101で実際のスロットル開度が零か判断し、さらに PWMデューティが零か判断する。一方でも条件がととなわなければそのままステップ1104に進む。両方の条件がととのったときにはステップ1103で故障診断力を示すフラグCFLAGを1とする。ステップ1104でCFLAGが1か判断する。CFLAGが1でなければそのままフローを終了する。
【0050】
ここで、図11のフローチャートに示す故障診断の方法を簡単に説明する。スロットルバルブの開度が零のブラシレスモータ25の回転による進み角の移動範囲はギヤ26のガタによってブラシレスモータ25が移動できる範囲である。このようすを図12に示す。つまり、上記以外ではリターンスプリング29の力によってブラシレスモータ25は閉方向の力を受け、ガタは無いが、ギヤ26のガタの移動角の範囲では、スロットルバルブ4は、設けられたストッパ(図示せず)に当たり、リターンスプリング29の力は全てストッパで受けてくれるために、ブラシレスモータ25はギヤ26のガタの分だけ移動可能となる。特に、ギヤ比が大きい場合には、この距離が大きくなる。この範囲に着目し、エンジンの始動の前後に、閉方向あるいは開方向に、適切な駆動トルクをブラシレスモータ25に与える。これによって、ブラシレスモータ25は移動し、それにともなって図7に示したように電気角60度毎に生じる上アーム,下アームの切り換え信号が発生する。その数をカウントし、所定数量に達した場合には、ブラシレスモータ25及び駆動装置が健全であると判定することができる。さらには、この間における通電モードの順が保たれているかをチェックすることによって、さらにドライバ30、あるいは磁極位置検出器27等の健全性が確認でき、一層診断の信頼性を高めることができる。
【0051】
ステップ1105でCFLAGが1かどうか判断する。CFLAGが1でなければこのフローを終了する。ステップ1105でCFLAGが1であればステップ1105で前回の実際のスロットル開度PFが零であったか判断する。零でなければこのフローを終了する。ステップ1105で前回の実際のスロットル開度PFが零でなければステップ1106で今回の実際のスロットル開度PFが零より大きいか判断する。零より大きくなければこのフローを終了する。ステップ1106で今回の実際のスロットル開度PFが零より大きければステップ1007でCカウンタが所定値CNより大きいか判断する。大きければスロットルアクチュエータ5の全体が正常であると判断しステップ1009でCFLAGを再び零に戻してこのフローを終了する。ステップ1007でCカウンタがCNより大きくなければ故障も判断しステップ1008でNGFLAGを1にする。ステップ1009でCFLAGを零に戻しこのフローを終了する。
【0052】
さらに、本実施例の有する効果を説明する。ブラシレスモータ25が発生するトルクTmotor は以下の式で表される。
【0053】
Tmotor=Tacc+Tsp+Tfr …(1)
ここで、Tacc はモータ,ギヤ,バルブのイナーシャに打ち勝って、スロットルバルブを加速させるためのトルクを示す。Tspはバネの力と釣り合う為のトルクを、Tfrはアクチュエータを含めたスロットル系の摩擦トルクを表す。従来の直流機方式の特にギヤを使用する方式では、ブラシと整流子との間の摩擦力によって特に上記のTfrの値が大きくなる。この摩擦トルクはヒステリシス特性を示すため、位置決めが困難になる。また、これはバルブ側で見ると、実際の摩擦トルクのギヤ比の倍数となるため、バルブ側で見た摩擦トルクが大きくなり、位置決めがしにくくなる。また、摩擦トルクの存在はスロットルバルブアクチュエータの故障の際に、バルブを閉の状態に戻すのに長い時間がかかる欠点がある。実際には一定時間以内に戻す必要があるため、使用バネの強さを大きくしておく必要が有り、モータを必要以上に大きくする欠点もある。ギヤの比を大きくするに従って直流機を使用するとその不利は大きく、ギヤ比が5以上ではその影響が一層顕著となる。
【0054】
さらには、固定子鉄心39として圧粉鉄心材を利用し、かつ、圧粉鉄心材と使用した固定子鉄心39として軸方向の長さの異なる形状とすることによって、効率のよいモータを構成でき、かつ性能の劣化も少なくすることができる。
【0055】
また、装置全体の摩擦トルクの低減が重要であるが、スロットルバルブ4を閉じる方向に作用させるリターンスプリング29として図1で示すように鶴巻状のバネを利用することによって、スロットル装置全体の摩擦トルクを低減することができる。
【0056】
また、図1,図2で示したようにブラシレスモータ25と、この出力トルクを増幅し、かつかみあい形式のギヤ26と、スロットルバルブ4とをほぼ同一直線の上に配置することによっても、スロットルアクチュエータ全体の摩擦トルクを低減することができる。
【0057】
第2の実施例を図13から図15を用いて説明する。第2の実施例では、回転角度に対してリニアな出力をする磁極位置検出器を用いる。第1の実施例ではドライバ30がFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを決めていたが、第2の実施例ではスロットル制御ユニット22がFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを演算する。図13において、スロットル制御ユニット22のA,B,C相(上アーム)の出力はそれぞれアンドゲート55a〜55cに入力される。アンドゲート55a〜55cの他端にはPWM出力が入力される。また、スロットル制御ユニット22のA,B,C相(下アーム)の出力は直接にドライバ60a〜60cのベースに加えられる。なお、磁極位置検出器27の出力はスロットル制御ユニット22のアナログ入力ポートAN3に入力され、スロットル制御ユニット22はA/D変換してワンチップマイクロコンピュータに取り込むようになっている。
【0058】
次に、動作について説明する。第1の実施例の図10のフローチャートに示す動作に換えて、図14のフローチャートに示す動作をおこなう。ステップ1401でモータ回転角度PMを取り込む。ステップ1402でモータ回転角度PMに応じたFET61a〜61c,62a〜62cの通電モード(各相の切り換え信号A,B,C)を演算する。この場合に図15に示すようなモータ回転角PMに対すると通電モードを予めROMに記憶しておき、これを読み出すようにする。
【0059】
なお、他の部分は第1の実施例と同様なので説明を省略する。
【0060】
第3の実施例を図16から図17を用いて説明する。第3の実施例では、スロットル開度センサ28の出力PFに基づいてFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを演算する。スロットル制御ユニット22は図14のフローチャートに示す動作に換えて図16のフローチャートに示す動作をおこなう。すなわち、ステップ1601でスロットル開度センサ28の出力PFを取り込む。ステップ1602で検出値RFに基づいてFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを演算する。すなわち、図17に示すようなスロットル開度RFに対するFET61a〜61c,62a〜62cの通電モードを予めROMに記憶させておき、このROMから記憶値を読み出すようにする。ステップ1403でA,B,Cをドライバ10に出力する。
【0061】
なお、他の部分は第2の実施例と同様なので説明を省略する。
【0062】
次に第4の実施例を説明する。第4の実施例ではブラシレスモータ25の回転位置を検出するものである。スロットルアクチュエータのバルブを開く速度は0〜90度で0.1 秒以下の性能が求められる。一方、永久磁石ブラシレスモータとしてトルクアップのためには多極化が有利であり、4極以上の極数が選定しても良い。この場合、速度が0〜45度までは直線的に増加し、45〜90度までは直線的に減少すると仮定すると、最高回転数は約3000回転にもなることが推定される。この回転数における電気角60時間間隔は約500μsとなり、ソフトで電気角各60度の切り換えのタイミングを見出すには少なくとも電気角 60度の中を5以上のサンプリングが必要となる。これを達成するためには高速のマイクロプロセッサを使わねばならないこと、通電モードの検出以外のシステムの処理ができなくなってしまう不便がある。高速回転数になるに従って、電気角60度の所要時間は短くなっていく。上記の欠点を補う制御方式として高速回転数時にはブラシレスモータの各相巻線への通電の切り換えのタイミングを発生させる機構をモータもしくは開度センサ側に備えることによって可能である。これを割込み信号として制御演算装置に切り換えをおこなえば良い。実施例では、モータの逆起電圧を利用し、電気角60度の相変わりのタイミングはハードによって検出するようにする。
【0063】
逆起電圧位置検出器73の詳細構成を図18(a)に示す。巻線の各相の電圧を一次遅れフィルタ70を介して比較器71a〜71cの一方に入れ、かつその他方には各相の巻線から抵抗を介して星型接続した中性点を接続する。星型接続した中性点の電位は各相電圧の平均値となり、これと各相巻線電圧と比較することによって電気角60度の相切り換わり点を見出すことができる。各比較器の出力は図示図18(b)の(イ),(ロ),(ハ)のように120度の位相差の矩形波信号となり、この三つの矩形波信号を立上り立下り検出器72で合成することによって電気角60度の信号が図示図18(b)の(ニ)のように合成できる。この信号をワンチップマイクロコンピュータ38の割込み信号として使用することによって、電気角60度の相変わり角で瞬時に通電モードを切り換えることができる。この時の電気角60度の相変わり角の通電モードのデータは逆起電圧位置検出器のデータを使っても良く、スロットル開度センサ28からの通電情報を示しても良い。
【0064】
第4の実施例のスロットル制御ユニット22の動作を説明する。第4の実施例では第3の実施例の図16のフローチャートに示される動作の換わりに図19のフローチャートに示される動作をおこなう。逆起電圧検出器72の発生するパルスがワンチップマイクロコンピュータ38のIRQ端子に入力されると、ステップ1901で正転か判断し、正転であればステップ1902でDカウンタを1だけ増加されてこのフローを終了する。一方、ステップ1901で正転と判断されないとDカウンタを1だけ減少させてこのフローを終了する。
【0065】
また別のルーチンにおいて、ステップ1910で回転数が所定値NSより大きいか判断する。所定値NSより大きければ、Dカウンタに応じて各アームの通電モードを演算する。すなわち、図20に示されるDカウンタに対する通電モードが予めROMに記憶されており、これを読み出すことによって通電モードを求める。ステップ1910で回転数が所定値NSより大きくないときには、スロットルセンサ28の出力RFを取り込む。さらにステップ1911で実際のスロットル開度RFに基づいて各アームの通電モードを求める(第3の実施例と同様)。ステップ1912で各相の切り換え信号A,B,Cを出力してこのフローを終了する。
【0066】
次に、第5の実施例を説明する。第5の実施例はブラシレスモータ25が15度(機械角)毎にパルスを発生する磁極位置検出器27を用いたものである。この磁極位置検出器27の詳細を図21に示す。全周にわたり15度毎に24個の突起を有した回転体27の回転を検出コイル76によって検出する。検出コイル76は図21(b)のような信号を出力し、波形整形回路77は波形整形し図
21(c)のようなパルスを発生する。
【0067】
第5の実施例では、この波形整形回路77の出力パルスによりワンチップマイクロコンピュータ38に割込(IRQ)み、このパルスをDカウントし、カウントマップ,カウントダウンすることによってブラシレスモータの回転角度を演算し、これに基づいてA,B,C各相の信号をドライバ20に出力する(図19において、ステップ1910,ステップ1911,ステップ1912を省略したもの)。
【0068】
次に第6の実施例を図22を用いて説明する。第6の実施例では永久磁石回転子32の変わりに可変リラクタンス型の回転子78を用いた。ここで、回転子78は磁性材からなる突極形状の例で示す。永久磁石回転子32が、固定子の巻線によって作る磁極と永久磁石回転子との吸引,反発を利用した原理であるのに対して、これは固定子の巻線によって作る磁極と突極回転子の吸引力のみを利用しており、効率は悪いが、構成が簡単で、低価格なモータとすることができる。この構成も、摺動に伴う摩擦トルクがないために、前記と同様の効果が期待できる。また、磁極位置検出器が必要なことは永久磁石回転子の場合と同じである。
【0069】
なお、他の部分は第1の実施例から第5の実施例と同様なので省略する。
【0070】
なお、スロットルアクチュエータは自動車エンジンの心臓部を制御するために信頼性が非常に重要となる。このため、モータの出力軸にクラッチを備えてモータがロックして動かなくなったときにクラッチでモータとバルブの連結を解き、別に備えたアクセルワイヤで制御することも可能である。この場合、クラッチを使用したときにはモータの磁極の位置関係と、開度センサの位置関係がずれて成り立たなくなってしまう。そこで、クラッチとして常にモータ側とバルブ側とが一定の位置に復帰するようなクラッチ機構とすることによってクラッチの使用にかかわらず、安定した特性を持つスロットルアクチュエータとすることができる。そのほか、開度センサの動きと、逆起電圧位置検出器の動きから学習して、開度センサの動きと、逆起電圧位置検出器の動きを実時間で、学習し修正することも考えられる。
【0071】
なお、制御演算装置として、マイクロコンピュータを使用する方式では開度センサのアナログ情報をA/D変換器を介してデジタル量として取り込む。電気角60度のデジタルの量は計算されるが、ビット数の少ないA/D変換器を使用する場合には予め、電気角60度に相当するデジタル量をA/D変換器の最小分解能の整数倍に同期させることによって、少ないビット数でかつ性能を落すこと無く運転することができる。
【0072】
なお、永久磁石のブラシレスモータで説明したが、可変リラクタンス型のブラシレスモータの場合でも良く、また、ステップモータの位置を検出してクローズドループ運転する形式の場合にも適用可能である。
【0073】
また、スロットルバルブ開閉装置について説明したが、他のバルブ開閉装置にも適用できる。また、バルブ開閉装置以外のブラシレスモータの制御装置にも適用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明では、電機子への電流の切り換え角度が小さくなく、且つ、高精度のモータ回転角度検出器が不必要とすることが可能となる。第2の発明及び第3の発明ではブラシレスモータの出力の低下をなくし、充分な応答性を有し、スロットルバルブを目標のスロットル開度に速やかに移動することが可能となる。第4の発明では複雑な検出装置を備えることなくブラシレスモータの固定子に供給する電流を切り換えることが可能となる。第5の発明では装置全体を簡単で安価とすることが可能となる。第6の発明及び第7の発明では系全体の異常の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スロットルアクチュエータ及びスロットル制御ユニットを示す図である。
【図2】システム構成図である。
【図3】制御ユニットの詳細を示す図である。
【図4】スロットルアクチュエータの詳細を示す図である。
【図5】ブラシレスモータの詳細を示す図である。
【図6】磁極位置検出器の詳細を示す図である。
【図7】磁極位置値検出器の出力とFETのスイッチング状態を示す図である。
【図8】ドライバの詳細を示す図である。
【図9】スロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図10】スロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図11】スロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図12】スロットル開度とブラシレスモータの回転角の関係を示す図である。
【図13】第2の実施例のドライバの詳細を示す図である。
【図14】第2の実施例のスロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図15】第2の実施例とブラシレスモータの回転角とスイッチング状態を示す図である。
【図16】第3の実施例のスロットル制御ユニットの動作を示すフローチャート図である。
【図17】第3の実施例のスロットル開度とFETのスイッチング状態を示す図である。
【図18】逆起電圧位置検出器の詳細を示す図である。
【図19】第4の実施例のスロットル開度とFETのスイッチング状態を示す図である。
【図20】第4の実施例のDカウンタとFETのスイッチング状態を示す図である。
【図21】第5の実施例の磁極位置検出器の詳細を示す図である。
【図22】第6の実施例の可変リラクタンスの図である。
【符号の説明】
2…吸入通路、4…スロットルバルブ、5…スロットルアクチュエータ、22…スロットル制御ユニット、24…磁石回転子、26…減速機、27…磁極位置検出器、28…スロットル開度センサ、42…固定子巻線、73…逆起電圧検出器。
Claims (20)
- 固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、前記固定子巻線に供給する電流を制御する電流制御手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段を有したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、前記固定子巻線に供給する電流を制御する電流制御手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の回転はギヤを介して前記スロットルバルブに伝えられるように構成したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 請求項1において、前記回転子と、前記減速手段及び前記スロットルバルブをほぼ1つの軸線上に乗るように配置したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 請求項1において、前記スロットルバルブを閉じ方向に付勢するリターンスプリングを有し、さらに、前記リターンスプリングとして渦巻状のバネを用いたことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 軸の周囲に磁石を配した磁石回転子と、前記磁石回転子に磁束を与える固定子巻線と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記磁石回転子により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記固定子巻線が巻相される固定子鉄心を軸方向に連続な金属で構成したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 請求項5において、前記固定子鉄心は圧粉鉄心で構成したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 請求項6において、前記固定子鉄心の軸方向の長さを前記磁石回転子の軸方向の長さとほぼ同じにしたことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 軸の周囲に磁石を配した磁石回転子と、前記磁石回転子に磁束を与える固定子巻線と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記磁石回転子により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記固定子鉄心の巻線部の軸方向長さを対向する部分の前記磁石回転子の軸方向長さよりも、短くしたことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、前記固定子巻線に供給する電流を制御する電流制御手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記スロットルバルブを制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記回転子の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段を有したことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記スロットルバルブを制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記固定子巻線の発生する逆起電圧を検出する逆起電圧検出器を有し、前記スロットル制御ユニットは前記逆起電圧検出器の出力に基づいて前記スロットルバルブを制御するように構成したことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 請求項10において、前記回転子の回転状態を検出する第2の回転状態検出器を有し、前記スロットル制御ユニットは、前記逆起電圧検出器又は前記第2の回転状態検出器の出力の一方の出力に基づいて前記スロットルバルブを制御するように構成したことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 請求項10において、前記スロットル制御ユニットは、前記回転子が高速回転で回転しているときには、前記逆電圧検出器の出力に基づいて前記スロットルバルブを制御するように構成したことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記固定子巻線に電流を供給するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記固定子巻線に電流を供給する時点を示す電流切り換え検出器を有し、前記スロットル制御ユニットは前記電流切り換え検出器の出力があると前記固定子巻線に電流を供給するように構成したことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 請求項13において、前記スロットル制御ユニットはマイクロコンピュータを含み、前記電流切り換え検出器の出力があると前記マイクロコンピュータに割込みがかかるように構成したことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 回転力を発生する駆動手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記駆動手段を制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記駆動手段の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段と、前記スロットルバルブが全閉状態から開き始めるのを検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段の検出信号の発生に応じて前記の駆動手段の回転角度を検出する第2の検出手段と、前記第2の検出手段の出力に基づいて異常を検出する第1の異常検出手段を有したことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 回転力を発生する駆動手段と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記駆動手段により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブと、前記駆動手段を制御するスロットル制御ユニットを有した内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記駆動手段の回転角度を検出する第3の検出手段と、前記スロットルバルブの開度を検出する第4の検出手段と、前記第3の検出手段の出力と前記第4の検出手段の出力を比較して異常を検出する第2の異常検出手段を有したことを特徴とする内燃機関の吸入蒸気量制御装置。
- 固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の極数をPとし、前記固定子への通電モードの繰返し数をKとしたときに、K<P*3が成り立つように構成したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 固定子巻線と、前記固定子巻線の磁束の変化によって回転する回転子と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記吸入通路内に配されて吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記スロットルバルブの回転角度よりも前記回転子の回転角度が大きくなるように構成したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 複数の磁極で構成される回転子と、前記回転子と同数の磁極で構成される固定子と、前記固定子の固定子巻線に供給する電流を制御する制御装置と、内燃機関に吸入空気を供給する吸入通路と、前記回転子により回転して吸入空気を増減するスロットルバルブを有した内燃機関のスロットルアクチュエータにおいて、前記回転子の回転を減速して前記スロットルバルブに伝える減速手段を有したことを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
- 請求項19において、前記磁極数は4以下であることを特徴とする内燃機関のスロットルアクチュエータ。
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JP2003170177A JP2004003498A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | 内燃機関のスロットルアクチュエータ |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4094992A Division JPH05240070A (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 内燃機関のスロットルアクチュエータ及び内燃機関の吸入空気量制御装置 |
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JP2010196709A (ja) * | 2009-02-20 | 2010-09-09 | Johnson Electric Sa | スロットル制御モジュール |
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2003
- 2003-06-16 JP JP2003170177A patent/JP2004003498A/ja active Pending
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