JP2004002962A - 基材の表面改質方法及び改質された基材、並びに装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素含有材料からなる基材表面の活性化直後に飛散粒子の付着を行うことにより、付着性、密着性等を向上させた基材の表面改質方法及び改質された基材、並びに装置を提供する。
【解決手段】真空紫外線発生装置2より真空紫外線が発生されると、真空にした容器4内に配置された樹脂基板Sの表面に露光されて樹脂表面が活性化する。一方、電子ビーム蒸着装置3より発生した中性原子、イオン、クラスタ等の微粒子が、活性化された樹脂基板S表面に強固に密着する。これにより、樹脂基板Sは、電子補給や逆励起の発生が阻止されて活性な表面が長時間維持されるので、優れた付着性、密着性等を発揮することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂基板等の炭素含有材料からなる基材の表面に物理的特性や化学的特性等の種々の特性を付与するための基材の表面改質方法及び改質された基材、並びに装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂基板の表面を改質する技術として、放射光からのX線や真空紫外線を露光したり、紫外線ランプにより紫外線を露光することにより樹脂表面の活性化を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、X線や真空紫外線等を露光した後、大気下若しくはガス雰囲気下において、用途に応じた別途の処理を施している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−316485号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては、放射光等の露光により活性化した樹脂基板の表面が経時変化により、或いはガス雰囲気にさらされることにより、不活性化した後に、用途に応じた別途の処理を施すことになり、X線等の露光効果が薄れるという問題がある。また、放射光を発生させるための設備は大型の設備であって、時間シェアリング的に利用される場合が殆どであり、多くのサンプルを試行錯誤的に用いて材料を開発することが困難であるという問題がある。一方、波長200nm以上の紫外線を主体とする紫外線ランプ露光の場合は、樹脂表面の吸収率が波長50nm乃至100nmの真空紫外線と比べると1/100以下であるため、活性化の効果が非常に少ないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した問題点に鑑み、炭素含有材料からなる基材表面の活性化直後に飛散粒子の付着を行うことにより、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐デント性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、撥水性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等を向上させた基材の表面改質方法及び改質された基材、並びに装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の基材の表面改質方法は、炭素含有材料からなる基材の表面を改質する方法であって、真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記基材の表面に飛散粒子を付着させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
従って、炭素含有材料における吸収性が高い真空紫外線が炭素含有材料からなる基材の表面に露光されると、基材表面では炭素原子の外殻電子であるp電子が励起若しくは電離することにより分子の結合が破壊され、炭素含有材料表面が活性化される。そして、真空紫外線の露光により活性化された基材の表面に飛散粒子を付着させることにより、粒子が基材の表面に強固に密着する。よって、樹脂基板等の炭素含有材料からなる基材の表面に、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与するとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性を向上させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の基材の表面改質方法は、前記基材をターゲット材料のレーザー光照射面側に配置し、前記ターゲット材料にレーザー光を照射して発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記ターゲット材料より飛散する粒子を、前記基材の表面に付着させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
従って、ターゲット材料にレーザー光が照射されることにより、ターゲット材料の表面に高温のプラズマが形成され、このプラズマより真空紫外線が発生する。この真空紫外線は炭素含有材料における吸収性が高く、真空紫外線がターゲット材料のレーザー光照射面側に配置された基材の表面に露光されると、基材表面では炭素原子の外殻電子であるp電子が励起若しくは電離することにより分子の結合が破壊され、炭素含有材料表面が活性化される。一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料の表面では、中性原子、イオン、クラスタ等が形成され、プラズマ内部若しくはターゲット材料表面より粒子が音速レベルの高速で飛散する。このため、真空紫外線の露光により基材の表面が活性化され、その直後に飛散粒子が付着するため、粒子が基材の表面に強固に密着する。
【0010】
尚、ターゲット材料としては、表面改質された基材の用途により、Cu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の基材の表面改質方法は、容器(望ましくは真空容器)内で前記基材をターゲット材料のレーザー光照射面側に配置し、その容器(望ましくは真空容器)内に配置された前記ターゲット材料にレーザー光を照射するようにしたことを特徴とする。
【0012】
従って、容器(望ましくは真空容器)内で前記基材をターゲット材料のレーザー光照射面側に配置し、その容器内に配置された前記ターゲット材料にレーザー光を照射することにより、プラズマより真空紫外線が発生する。このとき、容器内では真空紫外線が大気により吸収されることがないので、炭素含有材料からなる基材表面を良好に活性化することができる。また、プラズマ内部若しくはターゲット材料表面より音速レベルの高速で飛散する粒子が、基材とターゲット材料との間の雰囲気分子によって遮断若しくは減速されることがなく、真空紫外線の露光により活性化された基材の表面に確実に飛散粒子を付着させることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の基材の表面改質方法は、シールドガス雰囲気下で、又は少なくとも前記基材と前記ターゲット材料との間にシールドガスを供給しつつ、前記ターゲット材料にレーザー光を照射するようにしたことを特徴とする。
【0014】
従って、シールドガス雰囲気下で、又は少なくとも前記基材と前記ターゲット材料との間に真空紫外線の吸収が少ないシールドガスを供給しつつ、前記ターゲット材料にレーザー光を照射することにより、シールドガス雰囲気中でプラズマより真空紫外線が発生する。このとき、シールドガスの供給によって、真空紫外線が大気により吸収されることが防止され、基材表面を良好に活性化することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の基材の表面改質方法は、前記シールドガスとして、水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスのいずれか、これらの任意の組み合わせからなる混合ガス、又はこれらのガスを主成分とする混合ガスを使用したことを特徴とする。
【0016】
従って、真空紫外線の吸収が極めて少ない水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、又はこれらの任意の組み合わせからなる混合ガスをシールドガスとして使用することにより、大気下で確実に真空紫外線(例えば、波長50nm乃至100nm)を発生させ、基材表面に露光することができる。
【0017】
請求項6に記載の基材の表面改質方法は、前記基材が、レーザー光を透過可能な透明基材からなり、前記ターゲット材料に前記透明基材を通してレーザー光を照射するようにしたことを特徴とする。
【0018】
従って、透明基材を通してターゲット材料にレーザー光が照射されるようにすることにより、レーザー光をターゲット材料上へ集光させるために焦点距離の短いレンズを用いることができ、大きなF値での照射を行うことができる。このため、透明な樹脂フィルム等の透明基材の表面改質を大気に近い雰囲気で行うことが可能となる。また、表面改質された透明基材は、熱線反射若しくは吸収特性、ガスバリア性、電磁シールド等の特性が優れており、熱線防護膜、電磁シールド膜、ガスバリア層、等の被覆を実現することができる。
【0019】
また、請求項7に記載の基材の表面改質方法は、前記レーザー光が、パルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスレーザー光であることを特徴とする。
【0020】
従って、パルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスレーザー光を用いるので、透明基材をレーザー光が透過しても、透明基材にダメージや変質を生じさせることがない。
【0021】
また、請求項8に記載の基材の表面改質方法は、前記レーザー光の照射条件が、前記ターゲット材料から波長50nm乃至100nmの真空紫外線を発生させるように設定されていることを特徴とする。
【0022】
従って、レーザー光がターゲット材料に照射されることにより、炭素含有材料による吸収性が高い波長50nm乃至100nmの真空紫外線が発生し、その真空紫外線が基材表面に露光されるので、炭素含有材料の分子の結合が効果的に破壊されて基材表面が確実に活性化される。
【0023】
また、請求項9に記載の基材の表面改質方法は、前記レーザー光の照射強度を、10W/cm乃至1012W/cmに設定したことを特徴とする。
【0024】
従って、照射強度が10W/cm乃至1012W/cmに設定されたレーザー光をターゲット材料に照射することにより、炭素含有材料による吸収性が高い波長50nm乃至100nmの真空紫外線が確実に発生する。そして、その真空紫外線が基材表面に露光されるので、炭素含有材料の分子の結合が効果的に破壊されて基材表面が確実に活性化される。
【0025】
また、請求項10に記載の改質された表面部をもつ基材は、炭素含有材料からなる基材と、真空紫外線を露光した前記基材の少なくとも一部表面に付着した付着粒子とを有することを特徴とする。
【0026】
従って、真空紫外線の露光により活性化された炭素含有材料からなる基材の表面に粒子が付着したものであるので、付着粒子が基材の表面に強固に密着している。よって、基材の表面は、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性が付与されているとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れている。
【0027】
また、請求項11に記載の基材の表面改質装置は、炭素含有材料からなる基材の表面を改質する装置であって、前記基材の表面に真空紫外線を露光する真空紫外線露光手段と、前記真空紫外線が露光された前記基材の表面に付着させるための飛散粒子を発生させる飛散粒子発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
従って、真空紫外線露光手段が炭素含有材料からなる基材の表面に炭素含有材料における吸収性が高い真空紫外線を露光することにより、基材表面では炭素原子の外殻電子であるp電子が励起若しくは電離することにより分子の結合が破壊され、炭素含有材料表面が活性化される。そして、飛散粒子発生手段は、飛散粒子を発生させるとともに、その粒子を前記真空紫外線の露光により活性化された前記基材の表面に付着させるので、粒子が基材の表面に強固に密着する。よって、炭素含有材料からなる基材(例えば、樹脂基板等)の表面に、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与するとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性を向上させることができる。
【0029】
また、請求項12に記載の基材の表面改質装置は、前記真空紫外線露光手段による真空紫外線露光と前記飛散粒子発生手段による飛散粒子発生とを同時に行うように構成されたことを特徴とする。
【0030】
従って、真空紫外線露光手段による真空紫外線露光と飛散粒子発生手段による飛散粒子発生とが同時に行われることにより、真空紫外線露光によって基材表面が活性化された直後に飛散粒子が付着するので、確実に粒子を基材表面へ強固に密着させることができる。
【0031】
また、請求項13に記載の基材の表面改質装置は、炭素含有材料からなる基材の表面を改質する装置であって、レーザー光を発生するレーザー光発生装置と、ターゲット材料と、そのターゲット材料のレーザー光照射面側に配置された炭素含有材料からなる基材と、前記レーザー光発生装置より発生されるレーザー光を前記ターゲット材料上にて集光する光学部材と、を備え、前記ターゲット材料に前記光学部材を介してレーザー光を照射して発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、レーザー照射されたターゲット材料の表面より飛散する粒子を、前記基材の表面に付着させるように構成したことを特徴とする。
【0032】
従って、レーザー光発生装置よりレーザー光が発生されると、光学部材がそのレーザー光をターゲット材料上にて集光する。レーザー光が集光照射されたターゲット材料の表面には高温のプラズマが形成され、そのプラズマから真空紫外線が発生する。この真空紫外線は炭素含有材料における吸収性が高く、真空紫外線がターゲット材料のレーザー光照射面側に配置された基材の表面に露光されると、基材表面では炭素原子の外殻電子であるp電子が励起若しくは電離することにより分子の結合が破壊され、炭素含有材料表面が活性化される。一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料の表面では、中性原子、イオン、クラスタ等が形成され、プラズマ内部若しくはターゲット材料表面より粒子が音速レベルの高速で飛散する。このため、簡単な構成で確実に、真空紫外線の露光により炭素含有材料からなる基材の表面を活性化し、その直後に飛散粒子を付着させ、粒子を基材の表面に強固に密着させることができる。よって、炭素含有材料からなる基材(例えば、樹脂基板等)の表面に、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与するとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性を向上させることができる。
【0033】
尚、ターゲット材料としては、表面改質された基材の用途により、Cu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0034】
また、請求項14に記載の基材の表面改質装置は、内部にて前記基材を前記ターゲット材料のレーザー光照射面側に配置する容器(望ましくは真空容器)を備え、前記レーザー光発生装置より発生されるレーザー光を前記光学部材を介して前記容器(望ましくは真空容器)内に導くとともに、前記ターゲット材料上にて集光するように構成されたことを特徴とする。
【0035】
従って、レーザー光発生装置より発生されるレーザー光を光学部材を介して容器(望ましくは真空容器)内に導くとともに、ターゲット材料上にて集光することにより、プラズマより真空紫外線が発生する。このとき、容器内では真空紫外線が大気により吸収されることがないので、基材表面を良好に活性化することができる。また、プラズマ内部若しくはターゲット材料表面より音速レベルの高速で飛散する粒子が、基材とターゲット材料との間の雰囲気分子によって遮断若しくは減速されることがなく、真空紫外線の露光により活性化された基材の表面に確実に飛散粒子を付着させることができる。
【0036】
また、請求項15に記載の基材の表面改質装置は、シールドガスを供給するシールドガス供給手段を備え、前記シールドガス供給手段により少なくとも前記基材と前記ターゲット材料との間にシールドガスを供給しつつ、前記ターゲット材料に前記光学部材を介してレーザー光を照射するように構成されたことを特徴とする。
【0037】
従って、シールドガス供給手段により少なくとも基材とターゲット材料との間にシールドガスを供給しつつ、ターゲット材料に光学部材を介してレーザー光を照射することにより、シールドガス雰囲気中でプラズマより真空紫外線が発生する。このとき、シールドガスの供給によって、真空紫外線が大気により吸収されることが防止され、基材表面を良好に活性化することができる。さらに、真空紫外線の吸収が少ないヘリウムガス等をシールドガスとして使用し、シールドガス雰囲気中で基材に真空紫外線の露光を行うので、処理対象の基材を真空容器内に配置する必要がなく、基材を所定枚数単位でバッチ処理する方法に限られず、連続的な表面改質処理や大型部品への表面改質処理の実施が可能となる。
【0038】
また、請求項16に記載の基材の表面改質装置は、内部がシールドガス雰囲気に保たれると共に、前記基材を前記ターゲット材料のレーザー光照射面側に配置する処理室を備え、その処理室内で、前記ターゲット材料に前記光学部材を介してレーザー光を照射して発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、レーザー照射されたターゲット材料の表面より飛散する粒子を、前記基材の表面に付着させるように構成したことを特徴とする。
【0039】
従って、シールドガス雰囲気が保たれた処理室内で、ターゲット材料に光学部材を介してレーザー光を照射して発生する真空紫外線を基材の表面に露光させるとともに、レーザー照射されたターゲット材料の表面より飛散する粒子を、基材の表面に付着させる。このとき、シールドガス雰囲気によって、真空紫外線が大気により吸収されることが防止され、基材表面を良好に活性化することができる。
【0040】
また、請求項17に記載の基材の表面改質装置は、外部空間と前記処理室との間に前記処理室に連通する準備室が設けられ、前記基材を前記外部空間から前記準備室を介して前記処理室へ搬入又は搬出するように構成されたことを特徴とする。
【0041】
従って、基材を、準備室を介して外部空間から処理室へ搬入又は搬出するように構成されているので、処理室に外部空間から大気が入ることが防止され、処理室をシールドガス雰囲気に確実に保つことができる。さらに、処理対象の基材を順次、外部空間から準備室を介して処理室へ搬送して表面改質処理を施し、処理後の基材を処理室から準備室を介して外部空間へ搬送するように構成されているので、大量の基材に連続的且つ効率的に表面改質処理を施すことが可能な生産システムを実現することができる。
【0042】
また、請求項18に記載の基材の表面改質装置は、前記シールドガスとして空気よりも比重が小さい気体を用いると共に、前記処理室を前記準備室に対して上方位置に設けたことを特徴とする。
【0043】
従って、空気よりも比重が小さいシールドガスが、準備室に対して上方位置に設けられた処理室に偏在するので、処理室をシールドガス雰囲気に確実に保つことができる。
【0044】
また、請求項19に記載の基材の表面改質装置は、前記シールドガスとして空気よりも比重が大きい気体を用いると共に、前記処理室を前記準備室に対して下方位置に設けたことを特徴とする。
【0045】
従って、空気よりも比重が大きいシールドガスが、準備室に対して下方位置に設けられた処理室に偏在するので、処理室をシールドガス雰囲気に確実に保つことができる。
【0046】
また、請求項20に記載の基材の表面改質装置は、前記処理室と前記準備室との間及び/又は外部空間と前記準備室との間に開閉可能な隔壁を設け、その隔壁の開閉により前記処理室と前記準備室との連通/隔離及び/又は外部空間と前記準備室との連通/隔離を切り換えるように構成されたことを特徴とする。
【0047】
従って、処理室と準備室との間及び/又は外部空間と前記準備室との間で処理対象の基材を搬送する際に隔壁を開放して処理室と準備室及び/又は外部空間と前記準備室とを連通させ、それ以外では隔壁を閉鎖して処理室と準備室及び/又は外部空間と前記準備室とを隔離することにより、シールドガスの比重が空気の比重に近い等の理由によりシールドガスと空気とが混合しやすい場合であっても、処理室をシールドガス雰囲気に確実に保つことができる。
また、請求項21に記載の基材の表面改質装置は、前記シールドガスが、水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスのいずれか、又はこれらの任意の組み合わせからなる混合ガスであることを特徴とする。
【0048】
従って、真空紫外線の吸収が極めて少ない水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、又はこれらの任意の組み合わせからなる混合ガスをシールドガスとして使用することにより、大気下で確実に真空紫外線(例えば、波長50nm乃至100nm)を発生させ、基材表面に露光することができる。
【0049】
また、請求項22に記載の基材の表面改質装置は、前記基材が、レーザー光を透過可能な透明基材からなり、前記レーザー光発生装置は、前記透明基材を通して前記ターゲット材料にレーザー光を照射するように構成されたことを特徴とする。
【0050】
従って、レーザー光発生装置が透明基材を通してターゲット材料にレーザー光を照射するように構成されているので、レーザー光をターゲット材料上へ集光させるために焦点距離の短いレンズを用いることができ、大きなF値での照射を行うことができる。このため、透明な樹脂フィルム等の透明基材の表面改質を大気に近い雰囲気で行うことが可能となる。また、表面改質された透明基材は、熱線反射若しくは吸収特性、ガスバリア性、電磁シールド等の特性が優れており、熱線防護膜、電磁シールド膜、ガスバリア層、等の被覆を実現することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の基材の表面改質方法及び改質された基材、並びに装置を具体化した各実施形態について説明する。
(第一の実施形態)
まず、本発明の第一の実施形態における基材の表面改質装置1について、図1を参照しつつ説明する。
【0052】
図1は、表面改質装置1の全体構成を概略的に示す概略構成図である。表面改質装置1は、真空紫外線発生装置2と、電子ビーム蒸着装置3と、内部に表面改質処理の対象となる樹脂基板Sが設置される容器4とから構成されている。尚、真空紫外線発生装置2が、本発明の真空紫外線露光手段を、電子ビーム蒸着装置3が飛散粒子発生手段をそれぞれ構成するものである。
【0053】
樹脂基板Sは、ポリ四フッ化エチレン、シリコンゴム、エポキシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等種々の樹脂材料からなる基板である。但し、表面改質の対象は樹脂基板には限定されるものではなく、炭素−炭素結合を有する炭素含有材料、好ましくは有機材料、さらに好ましくは樹脂材料から成る基材であれば表面改質の対象とすることができる。尚、樹脂基板Sが本発明の炭素含有材料からなる基材に相当するものである。
【0054】
真空紫外線発生装置2は、波長50nmから波長100nmの真空紫外線(真空紫外光とも称する)を発光可能なランプであり、真空にした容器4内に設置された樹脂基板Sに真空紫外線を露光するように配置される。尚、本明細書においては、波長200nm以下の紫外線を真空紫外線と称している。
【0055】
電子ビーム蒸着装置3は、樹脂基板Sの用途に応じて、Cu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等の粒子を飛散させることが可能な装置である。
【0056】
次に、表面改質装置1を用いて樹脂基板Sの表面改質処理を行う場合の作用及び効果について、図2(a)を参照しつつ説明する。
【0057】
真空紫外線発生装置2が波長50nmから波長100nmの真空紫外線を発生すると、真空にした容器4内に設置された樹脂基板S表面に真空紫外線が露光される。すると、樹脂基板S表面では、電子−ホールペアと励起子との分離が生じ(図2(a−1)参照)、炭素原子の外殻電子であるp電子が励起若しくは電離する非緩和過程を経て(図2(a−2)参照)、樹脂構造の主鎖や副鎖等の結合が切断されて、結合に関与していた電子が放出され、活性末端が形成される(図2(a−3)参照)。
【0058】
続いて、電子ビーム蒸着装置3により発生した中性原子、イオン、クラスタ等の飛散粒子(アブレータ粒子とも称する)を、真空紫外線の露光により活性化された樹脂基板S表面に付着させることにより、活性末端が固定化されて活性末端と飛散粒子(=アブレータ粒子)とが混在する状態となり、電子補給や逆励起の発生が阻止されて活性な樹脂表面が長時間維持される(図2(a−4)参照)。
【0059】
よって、上述した本実施形態の方法により得られた改質された表面部をもつ樹脂基板Sによれば、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性が付与されているとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れているという効果を奏する。
【0060】
ここで、比較のため、樹脂基板Sに真空紫外線の露光のみを行った場合及び飛散粒子の付着のみを行った場合における樹脂基板S表面の構造について、図2(b)及び(c)を参照しつつ説明する。
【0061】
樹脂基板Sに真空紫外線の露光のみを行った場合には、樹脂基板S表面で電子−ホールペアと励起子との分離が生じ(図2(b−1)参照)、炭素原子の外殻電子であるp電子が励起若しくは電離する非緩和過程を経て(図2(b−2)参照)、樹脂構造の主鎖や副鎖等の結合が切断されて原子が放出されることにより、一旦、活性末端が形成されるが(図2(b−3)参照)、この状態で放置すると、内部若しくは外部からの電子の補給若しくは逆励起によりp電子が元の状態に戻り(緩和過程)、樹脂基板S表面には活性末端がなくなって不活性な状態に戻ってしまう(図2(b−4)参照)。
【0062】
一方、樹脂基板Sに飛散粒子の付着のみを行った場合には、活性末端のない緩和状態において(図2(c−1)参照)、樹脂基板S表面に飛散粒子が物理吸着するのみであり(図2(c−2)参照)、活性な樹脂表面は形成されない。
【0063】
以上より、樹脂基板等の炭素含有材料からなる基材に真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを行った場合にのみ、活性な表面が維持されることがわかる。
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態における基材の表面改質装置11について、図4を参照しつつ説明する。
【0064】
図4は、表面改質装置11の全体構成を概略的に示す概略構成図である。表面改質装置11は、YAGレーザー装置12と、集光レンズ13と、内部に表面改質処理の対象となる炭素含有材料からなる基材としての樹脂基板Sが設置される真空容器14と、ターゲット材料15aを保持するターゲット駆動システム15とから構成されている。尚、YAGレーザー装置12が、本発明のレーザー光発生装置を、集光レンズ13が光学部材を、YAGレーザー装置12及びターゲット駆動システム15が真空紫外線露光手段及び飛散粒子発生手段をそれぞれ構成するものである。
【0065】
樹脂基板Sは、上述した第一の実施形態における樹脂基板と同様のものであるので、詳細な説明を省略する。また、処理対象は樹脂基板に限定されず、炭素含有材料からなる基材であればよい点も第一の実施形態において述べたとおりである。
【0066】
YAGレーザー装置12は、公知のレーザー光発生装置であり、真空容器14内のターゲット材料15aに向かってレーザー光を照射するように配置される。
【0067】
集光レンズ13は、YAGレーザー装置12と真空容器14との間に設けられ、YAGレーザー装置12から発せられるレーザー光を真空容器14のガラスからなる窓部14a内に導くとともに、真空容器14内を通してターゲット材料15a上にて集光する光学部材である。集光レンズ13は、レーザー光がターゲット材料15a上に集光されて所定の照射強度となるようにレンズの大きさや屈折率が設定される。また、照射強度は、ターゲット材料15aのプラズマから樹脂基板における吸収性の高い波長範囲の真空紫外線が発生するように設定されるのが好ましい。より詳細には、レーザー光の照射強度の好ましい範囲は、10W/cm乃至1012W/cmである。
【0068】
真空容器14は、内部が真空に保たれた容器であり、処理対象の樹脂基板Sと、ターゲット駆動システム15とが内部に配置される。真空容器14内において、樹脂基板Sは、ターゲット駆動システム15に保持されたターゲット材料15aのレーザー光照射面側に配置されている。また、真空容器14には、YAGレーザー装置12から発生されたレーザー光が内部に入射可能となるように、ガラス等の透明材料からなる窓部14aが設けられている。
【0069】
ターゲット駆動システム15は、長尺状のターゲット材料15aと、そのターゲット材料15aをレーザー光照射位置に繰り出すとともにレーザー照射後のターゲット材料15aを巻回し収納する一対のローラ装置15bとから構成されている。ターゲット材料15aとしては、樹脂基板Sの用途に応じて、Cu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0070】
次に、表面改質装置11を用いて樹脂基板Sの表面改質処理を行う場合の作用及び効果について説明する。
【0071】
YAGレーザー装置12からレーザー光が発生されると、レーザー光は集光レンズ13により導かれ窓部14aを通して真空容器14内に入射され、ターゲット材料15a上で集光される。レーザー光の照射によりターゲット材料15aの表面には高温のプラズマが形成され、そのプラズマ温度を制御することにより、プラズマから波長50nmから波長100nmの真空紫外線が発生する。この波長範囲の真空紫外線は、樹脂材料への吸収が高く、樹脂基板S表面に暴露することにより樹脂表面の分子の結合を破壊し、樹脂表面を活性化するはたらきを有している。
【0072】
一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料15aの表面では、中性原子、イオン、クラスタが形成され、これらがプラズマ内部やターゲット材料15a表面より音速レベルの高速で飛散する。
【0073】
このため、ターゲット材料15aに形成されるプラズマの近傍に配置された樹脂基板Sの表面は、真空紫外線が露光されることにより活性化され、その直後に、ターゲット材料15aの飛散粒子が樹脂基板Sの表面に付着するので、粒子は樹脂基板S表面に強固に密着する。これにより、電子補給や逆励起の発生が阻止され、活性な表面が長時間維持される。尚、以上の過程において樹脂基板S表面に順次発生する現象については、第一の実施形態において詳述した通りである。
【0074】
よって、上述した方法により得られた改質された表面部をもつ樹脂基板Sによれば、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性が付与されているとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れているという効果を奏する。
【0075】
また、本実施形態によれば、ターゲット材料にレーザー光を照射する構成とすることにより真空紫外線露光手段と飛散粒子発生手段とが同時に実現される構造となっており、装置全体の構成を極めて単純なものとすることができる。
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態における基材の表面改質装置21について、図11を参照しつつ説明する。
【0076】
図11は、表面改質装置21の全体構成を概略的に示す概略構成図である。表面改質装置21は、YAGレーザー装置22と、第1光学系部材23と、アブレーションガン24と、ターゲット材料28とから構成される。尚、YAGレーザー装置22が、本発明のレーザー光発生装置を、YAGレーザー装置22及びターゲット材料28が真空紫外線露光手段及び飛散粒子発生手段をそれぞれ構成するものである。
【0077】
樹脂基板Sは、上述した第一の実施形態における樹脂基板と同様のものであるので、詳細な説明を省略する。また、処理対象は樹脂基板に限定されず、炭素含有材料からなる基材であればよい点も第一の実施形態において述べたとおりである。
【0078】
YAGレーザー装置22は、公知のレーザー光発生装置であり、第1光学系部材23のハーフミラー23aに向かってレーザー光(L)を照射するように配置される。
【0079】
第1光学系部材23は、ハーフミラー23aと反射ミラー23bとからなり、YAGレーザー装置22より照射されるレーザー光(L)を二系統に分離してアブレーションガン24内に導く部材である。すなわち、YAGレーザー装置22より照射されるレーザー光(L)が約45度の入射角でハーフミラー23aに入射され、入射光の光量の半分が反射されてアブレーションガン24内に導かれる(以後、第1経路L1と称する)。一方、入射光の残り半分は、ハーフミラー23aを透過して反射ミラー23bに約45度の入射角で入射され、反射ミラー23bにより全反射されて第1の系統のレーザー光と平行にアブレーションガン24内に導かれる(以後、第2経路L2と称する)。
【0080】
アブレーションガン24は、ケース25と、第2光学系部材26と、ヘリウムガスを噴射するガスノズル27と、ターゲット材料28とから構成されている。尚、第1光学系部材23及び第2光学系部材26が本発明の光学部材を、ガスノズル27がシールドガス供給手段をそれぞれ構成するものである。
【0081】
ケース25は、後端部に第1光学系部材23からレーザー光を入射させる入射口25aと、前端部にターゲット材料28から飛散する粒子を処理対象の樹脂基板Sに向かって放出させる発射口25bとがそれぞれ形成されている。また、ケース25は、第2光学系部材26とガスノズル27とターゲット材料28とを内部に収納している。
【0082】
第2光学系部材26は、第1経路L1のレーザー光を集光する集光レンズ26aと、その集光レンズ26aにより集光されたレーザー光を反射させてターゲット材料28の発射口25bに対向する側の表面上に照射する反射ミラー26bと、第2経路L2のレーザー光を集光する集光レンズ26cと、その集光レンズ26cにより集光されたレーザー光を反射させてターゲット材料28の発射口25bに対向する側の表面上に照射する反射ミラー26dとから構成される。
【0083】
集光レンズ26a,26cは、レーザー光がターゲット材料28上に集光された時に所定の照射強度となるようにレンズの大きさや屈折率が設定される。また、照射強度は、ターゲット材料28のプラズマから樹脂基板Sにおける吸収性の高い波長範囲の真空紫外線が発生するように設定されるのが好ましい。より詳細には、レーザー光の照射強度の好ましい範囲は、10W/cm乃至1012W/cmである。
【0084】
ガスノズル27は、ターゲット材料28から発生する真空紫外光と飛散粒子とをシールドするシールドガスとしてのヘリウムガスを、ターゲット材料28と樹脂基板Sとの間に供給するガス噴射ノズルである。ガスノズル27は、ヘリウムガスを貯留する図示しないガスタンクに接続されており、ケース25内のターゲット材料28後方(図11左方向)において噴射口27aを発射口25b側に向けて配置される。
【0085】
ここで、図12は、1気圧のヘリウムガスの真空紫外光の透過特性を示している。図12から明らかなように、ヘリウムガスにおける波長50nm乃至100nmの真空紫外光の透過率はほぼ100%であり(言い換えると、真空紫外光の吸収が極めて少なく)、ヘリウムガス雰囲気下では真空紫外線露光が可能であることがわかる。
【0086】
ターゲット材料28は、レーザー光の照射により表面から粒子を飛散させる材質からなる断面円形状のロッド状部材であり、第1と第2の経路L1,L2と直交する向き(図11では紙面に垂直な向き)に配置され、図示しないターゲット駆動システムにより回動される。ターゲット材料28としては、樹脂基板Sの用途に応じてCu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0087】
次に、表面改質装置21を用いて樹脂基板Sの表面改質処理を行う場合の作用及び効果について説明する。
【0088】
YAGレーザー装置22からレーザー光が発生されると、入射光の光量の半分が反射されて入射口25aよりアブレーションガン24のケース25内の第1経路L1に導かれる。第1経路L1のレーザー光は、集光レンズ26aにより集光され、反射ミラー26bにより反射されてターゲット材料28の発射口25bに対向する側の表面上に照射される。一方、ハーフミラー23aを透過した残りのレーザー光は、反射ミラー23bにより反射されて入射口25aよりアブレーションガン24のケース25内の第2経路L2に導かれる。第2経路L2のレーザー光は、集光レンズ26cにより集光され、反射ミラー26dにより反射されてターゲット材料28の発射口25bに対向する側の表面上に照射される。従って、第1と第2の経路L1,L2から導入されたレーザー光は、ターゲット材料28表面に互いに異なる角度から照射されて重畳されるので、所望の照射強度のレーザー光がターゲット材料28の発射口25b対向側の表面上に偏り無く照射される。
【0089】
また、レーザー光の照射と並行して、ガスノズル27からヘリウムガスがターゲット材料28の後方から発射口25bに向かって噴射される。これにより、ターゲット材料28と発射口25bに対向配置された樹脂基板Sとの間の空間が、真空紫外線の吸収が極めて少ないヘリウムガス雰囲気に保たれる。
【0090】
そして、ヘリウムガス雰囲気中で、レーザー光の照射によりターゲット材料28の表面には高温のプラズマが形成され、そのプラズマ温度を制御することにより、プラズマから波長50nmから波長100nmの真空紫外線が発生する。このとき、シールドガスとしてのヘリウムガスの供給によって、真空紫外線が大気により吸収されることが防止される。また、上述した波長範囲の真空紫外線は、樹脂材料への吸収が高く、樹脂基板S表面に暴露することにより樹脂表面の分子の結合を破壊し、樹脂表面を活性化するはたらきを有している。
【0091】
一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料28の表面では、中性原子、イオン、クラスタが形成され、これらがプラズマ内部やターゲット材料28表面より音速レベルの高速で飛散する。
【0092】
このため、発射口25bに対向配置された樹脂基板Sの表面は、真空紫外線が露光されることにより活性化され、その直後に、ターゲット材料28の飛散粒子が樹脂基板Sの表面に付着するので、粒子は樹脂基板S表面に強固に密着する。これにより、電子補給や逆励起の発生が阻止され、活性な表面が長時間維持される。尚、以上の過程において樹脂基板S表面に順次発生する現象については、第一の実施形態において詳述した通りである。
【0093】
よって、上述した方法により得られた改質された表面部をもつ樹脂基板Sによれば、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性が付与されているとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れているという効果を奏する。
【0094】
また、本実施形態によれば、ターゲット材料にレーザー光を照射する構成とすることにより真空紫外線露光手段と飛散粒子発生手段とが同時に実現される構造となっており、装置全体の構成を極めて単純なものとすることができる。
【0095】
また、真空紫外線の吸収が少ないヘリウムガスをシールドガスとして使用し、ヘリウムガス雰囲気中で樹脂基板Sに真空紫外線の露光を行うので、処理対象の樹脂基板Sを真空容器内に配置する必要がない。よって、樹脂基板Sを所定枚数単位でバッチ処理する方法に限られず、連続的な表面改質処理や大型部品への表面改質処理の実施が可能となる。
【0096】
また、真空紫外線はターゲット材料28上に形成されたプラズマより垂直方向に多く発生し、飛散粒子はターゲット材料28表面より垂直方向に多く放出されるので、樹脂基板Sへの真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを一方向からほぼ同時に行うことができる。
【0097】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【0098】
例えば、レーザー光をターゲット材料28上に集光させる光学系は、上述した第1と第2の光学部材23,26の構成には限られず、種々の態様で実施することが可能である。
【0099】
また、上述した実施形態では、真空紫外線が大気により吸収されることを防止するためにヘリウムガスを使用したが、水素ガス、ネオンガス又はアルゴンガスをシールドガスとして使用してもよい。要するに、真空紫外線の吸収が少ないガスをシールドガスとして用いればよいのである。
(第四の実施形態)
次に、本発明の第四の実施形態における基材の表面改質装置31について、図13を参照しつつ説明する。
【0100】
図13は、表面改質装置31の全体構成を概略的に示す概略構成図である。表面改質装置31は、YAGレーザー装置32と、集光レンズ33と、ターゲット材料38とから構成される。また、表面改質装置31において、各構成要素は、パルスYAGレーザー装置32、集光レンズ33、透明樹脂フィルムS’、ターゲット材料38の順に直線上に配置されている。尚、YAGレーザー装置32が、本発明のレーザー光発生装置を、YAGレーザー装置32及びターゲット材料38が真空紫外線露光手段及び飛散粒子発生手段をそれぞれ構成するものである。
【0101】
表面改質の対象となる透明樹脂フィルムS’としては、例えば、透明なポリエチレンフィルム等の透明な樹脂材料からなる基材を用いることができる。但し、表面改質の対象は透明樹脂フィルムには限定されるものではなく、炭素−炭素結合を有する炭素含有材料、好ましくは有機材料、さらに好ましくは樹脂材料から成り、且つレーザー光を透過可能な透明な基材であれば表面改質の対象とすることができる。尚、透明樹脂フィルムS’が本発明の透明基材に相当するものである。
【0102】
YAGレーザー装置32は、公知のパルスレーザー光発生装置であり、パルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスレーザー光を発生する。YAGレーザー装置32は、透明樹脂フィルムS’を挟んでターゲット材料38とは反対側に設けられ、集光レンズ33及び透明樹脂フィルムS’を通してターゲット材料38に向かってレーザー光を照射するように配置される。
【0103】
集光レンズ33は、YAGレーザー装置32より照射されるパルスレーザー光をターゲット材料38上にて適当なサイズに集光するための凸レンズである。集光レンズ33は、パルスレーザー光がターゲット材料38上に集光された時に所定の照射強度となるようにレンズの大きさや屈折率が設定される。また、照射強度は、ターゲット材料38のプラズマから透明樹脂フィルムS’における吸収性の高い波長範囲の真空紫外線が発生するように設定されるのが好ましい。より詳細には、レーザー光の照射強度の好ましい範囲は、10W/cm乃至1012W/cmである。
【0104】
ターゲット材料38は、レーザー光の照射により表面から粒子を飛散させる材質からなる。ターゲット材料38は、透明樹脂フィルムS’を挟んでYAGレーザー装置32とは反対側に設けられ、YAGレーザー装置32から発せられたパルスレーザー光が集光レンズ33により集光されつつ透明樹脂フィルムS’を透過してターゲット材料38に照射される。ターゲット材料38としては、透明樹脂フィルムS’の用途に応じて、Cu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0105】
次に、表面改質装置31を用いて透明樹脂フィルムS’の表面改質処理を行う場合の作用及び効果について説明する。
【0106】
YAGレーザー装置32からパルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスレーザー光が発生されると、パルスレーザー光は集光レンズ33により集光されつつ透明樹脂フィルムS’を透過してターゲット材料38に照射される。このとき、透明樹脂フィルムS’は透明であるため、パルスレーザー光が透過してもダメージや変質を生じることがない。
【0107】
そして、パルスレーザー光の照射によりターゲット材料38の表面には高温のプラズマが形成され、そのプラズマ温度を制御することにより、プラズマから波長50nmから波長100nmの真空紫外線が発生する。また、上述した波長範囲の真空紫外線は、樹脂材料への吸収が高く、透明樹脂フィルムS’表面に暴露することにより樹脂材料表面の分子の結合を破壊し、樹脂材料表面を活性化するはたらきを有している。
【0108】
一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料38の表面では、中性原子、イオン、クラスタが形成され、これらがプラズマ内部やターゲット材料38表面より音速レベルの高速で飛散する。
【0109】
このため、透明樹脂フィルムS’のターゲット材料38に対向する側の表面は、真空紫外線が露光されることにより活性化され、その直後に、ターゲット材料38の飛散粒子が透明樹脂フィルムS’の表面に付着するので、粒子は透明樹脂フィルムS’表面に強固に密着する。これにより、電子補給や逆励起の発生が阻止され、活性な表面が長時間維持される。尚、以上の過程において樹脂基板S’表面に順次発生する現象については、第一の実施形態において詳述した通りである。
【0110】
よって、上述した方法により得られた改質された表面部をもつ透明樹脂フィルムS’によれば、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性が付与されているとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れているという効果を奏する。さらに表面改質された透明基材は、熱線反射若しくは吸収特性、ガスバリア性、電磁シールド等の特性が優れており、熱線防護膜、電磁シールド膜、ガスバリア層、等の被覆を実現することができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、ターゲット材料にレーザー光を照射する構成とすることにより真空紫外線露光手段と飛散粒子発生手段とが同時に実現される構造となっており、装置全体の構成を極めて単純なものとすることができる。
【0112】
また、透明樹脂フィルムS’を通してターゲット材料38にレーザー光が照射されるようにすることにより、レーザー光をターゲット材料38上へ集光させるために焦点距離の短い集光レンズ33(例えば、焦点距離40mm程度)を用いることができ、大きなF値での照射を行うことができる。このため、透明樹脂フィルムS’の表面改質を、真空状態に限らず、減圧下若しくは大気に近い雰囲気、好ましくはシールドガス雰囲気下において行うことも可能となる。
【0113】
また、パルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスレーザー光を用いるので、透明樹脂フィルムS’をレーザー光が透過しても、透明樹脂フィルムS’にダメージや変質を生じさせることがない。
【0114】
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【0115】
例えば、前記各実施形態では、YAGレーザー装置を用いてレーザー光を発生させる構成としたが、他の種類のレーザー光発生装置を用いる構成としても構わない。
【0116】
また、ターゲット材料の形態としては、ロッド状、テープ状、ディスク状等種々の形態のものを用いることができる。
(第五の実施形態)
次に、本発明の第五の実施形態における基材の表面改質装置41について、図15を参照しつつ説明する。
【0117】
図15は、表面改質装置41の全体構成を概略的に示す概略構成図である。表面改質装置41は、アブレーション装置42と、アブレーション装置42が内部に配置されて樹脂基板Sへの表面改質処理が行われる処理室43と、処理室43に連通するように設けられた準備室44とから構成される。
【0118】
樹脂基板Sは、上述した第一の実施形態における樹脂基板と同様のものであるので、詳細な説明を省略する。また、処理対象は樹脂基板に限定されず、炭素含有材料からなる基材であればよい点も第一の実施形態において述べたとおりである。
【0119】
処理室43は、内部がシールドガス雰囲気に保たれた空間となっており、アブレーション装置42と処理対象の樹脂基板Sとが内部に配置される。また、シールドガス雰囲気としては、真空紫外線の吸収が少ないガスが用いられ、例えば、水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスのいずれか、又はこれらの任意の組み合わせからなる混合ガスが使用される。
【0120】
準備室44は、外部空間と処理室43との間に、処理室43に連通するように設けられた空間である。処理対象の樹脂基板Sは、外部空間から準備室44を介して処理室43内へ搬入され、処理室43内でアブレーション装置42によって表面改質処理が施された後、処理室43から準備室44を介して外部空間へと搬出される。
【0121】
ここで、処理室43におけるシールドガス雰囲気として空気よりも比重が小さいガス(例えば、水素ガス、ヘリウムガス等)を用いる場合、図15に示すように、処理室43は、準備室44に対して上方位置に設けることが好ましい。すなわち、表面改質装置41内において、空気よりも比重の小さい水素ガス等は、相対的に高い位置に設けられた処理室43に偏在し、水素ガス等よりも比重の大きい空気が、相対的に低い位置に設けられた準備室44に偏在する。よって、処理室43内は、水素ガス等のシールドガス雰囲気が保たれる。さらに、処理室43と外部空間との間に準備室44が設けられているため、処理室43の雰囲気中に外部空間から大気が入り込むことが防止される。
【0122】
これに対し、処理室43におけるシールドガス雰囲気として空気よりも比重が大きいガス(例えば、アルゴンガス等)を用いる場合、処理室43は、準備室44に対して下方位置に設けることが好ましい(図示せず)。すなわち、表面改質装置41内において、空気よりも比重の大きいアルゴンガス等は、相対的に低い位置に設けられた処理室43に偏在し、アルゴンガス等よりも比重の小さい空気が、相対的に高い位置に設けられた準備室44に偏在する。よって、処理室43内は、アルゴンガス等のシールドガス雰囲気が保たれる。さらに、処理室43と外部空間との間に準備室44が設けられているため、処理室43の雰囲気中に外部空間から大気が入り込むことが防止される。
【0123】
次に、アブレーション装置42の詳細構成について、図16を参照しつつ説明する。
【0124】
アブレーション装置42は、図16に示すように、YAGレーザー装置421と、第1光学系部材422と、アブレーションガン423とから構成される。尚、YAGレーザー装置421が、本発明のレーザー光発生装置を、YAGレーザー装置421及びターゲット材料426が真空紫外線露光手段及び飛散粒子発生手段をそれぞれ構成するものである。
【0125】
YAGレーザー装置421は、公知のレーザー光発生装置であり、第1光学系部材422のハーフミラー422aに向かってレーザー光(L)を照射するように配置される。
【0126】
第1光学系部材422は、ハーフミラー422aと反射ミラー422bとからなり、YAGレーザー装置421より照射されるレーザー光(L)を二系統に分離してアブレーションガン423内に導く部材である。すなわち、YAGレーザー装置421より照射されるレーザー光(L)が約45度の入射角でハーフミラー422aに入射され、入射光の光量の半分が反射されてアブレーションガン423内に導かれる(以後、第1経路L1と称する)。一方、入射光の残り半分は、ハーフミラー422aを透過して反射ミラー422bに約45度の入射角で入射され、反射ミラー422bにより全反射されて第1の系統のレーザー光と平行にアブレーションガン423内に導かれる(以後、第2経路L2と称する)。
【0127】
アブレーションガン423は、ケース424と、第2光学系部材425と、ターゲット材料426とから構成されている。尚、第1光学系部材422及び第2光学系部材425が本発明の光学部材を構成するものである。
【0128】
ケース424は、後端部に第1光学系部材422からレーザー光を入射させる入射口424aと、前端部にターゲット材料426から飛散する粒子を処理対象の樹脂基板Sに向かって放出させる発射口424bとがそれぞれ形成されている。また、ケース424は、第2光学系部材425とターゲット材料426とを内部に収納している。
【0129】
第2光学系部材425は、第1経路L1のレーザー光を集光する集光レンズ425aと、その集光レンズ425aにより集光されたレーザー光を反射させてターゲット材料426の発射口424bに対向する側の表面上に照射する反射ミラー425bと、第2経路L2のレーザー光を集光する集光レンズ425cと、その集光レンズ425cにより集光されたレーザー光を反射させてターゲット材料426の発射口424bに対向する側の表面上に照射する反射ミラー425dとから構成される。
【0130】
集光レンズ425a,425cは、レーザー光がターゲット材料426上に集光された時に所定の照射強度となるようにレンズの大きさや屈折率が設定される。また、照射強度は、ターゲット材料426のプラズマから樹脂基板Sにおける吸収性の高い波長範囲の真空紫外線が発生するように設定されるのが好ましい。より詳細には、レーザー光の照射強度の好ましい範囲は、10W/cm乃至1012W/cmである。
【0131】
ターゲット材料426は、レーザー光の照射により表面から粒子を飛散させる材質からなる断面円形状のロッド状部材であり、第1と第2の経路L1,L2と直交する向き(図16では紙面に垂直な向き)に配置され、図示しないターゲット駆動システムにより回動される。ターゲット材料426としては、樹脂基板Sの用途に応じてCu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0132】
次に、表面改質装置41を用いて樹脂基板Sの表面改質処理を行う場合の作用及び効果について説明する。尚、以下、処理室43は、ヘリウムガス雰囲気であるとして説明する。
【0133】
まず、処理対象の樹脂基板Sが、大気下の外部空間から準備室44へ搬入され、処理室43に向かって搬送される。そして、処理対象の樹脂基板Sは、準備室44内の搬送過程において、大気下からヘリウムガス雰囲気へ徐々に近づいていく。
【0134】
樹脂基板Sがヘリウムガス雰囲気の処理室43に搬入されると、アブレーション装置42によって以下に示す表面改質処理としてのレーザーアブレーション処理が施される。
【0135】
すなわち、YAGレーザー装置421からレーザー光が発生されると、入射光の光量の半分が反射されて入射口424aよりアブレーションガン423のケース424内の第1経路L1に導かれる。第1経路L1のレーザー光は、集光レンズ425aにより集光され、反射ミラー425bにより反射されてターゲット材料426の発射口424bに対向する側の表面上に照射される。一方、ハーフミラー422aを透過した残りのレーザー光は、反射ミラー422bにより反射されて入射口424aよりアブレーションガン423のケース424内の第2経路L2に導かれる。第2経路L2のレーザー光は、集光レンズ425cにより集光され、反射ミラー425dにより反射されてターゲット材料426の発射口424bに対向する側の表面上に照射される。従って、第1と第2の経路L1,L2から導入されたレーザー光は、ターゲット材料426表面に互いに異なる角度から照射されて重畳されるので、所望の照射強度のレーザー光がターゲット材料426の発射口424b対向側の表面上に偏り無く照射される。
【0136】
そして、ヘリウムガス雰囲気中で、レーザー光の照射によりターゲット材料426の表面には高温のプラズマが形成され、そのプラズマ温度を制御することにより、プラズマから波長50nmから波長100nmの真空紫外線が発生する。このとき、処理室43内のヘリウムガスによって、真空紫外線が大気により吸収されることが防止される。また、上述した波長範囲の真空紫外線は、樹脂材料への吸収が高く、樹脂基板S表面に暴露することにより樹脂表面の分子の結合を破壊し、樹脂表面を活性化するはたらきを有している。
【0137】
一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料426の表面では、中性原子、イオン、クラスタが形成され、これらがプラズマ内部やターゲット材料426表面より音速レベルの高速で飛散する。
【0138】
このため、発射口424bに対向配置された樹脂基板Sの表面は、真空紫外線が露光されることにより活性化され、その直後に、ターゲット材料426の飛散粒子が樹脂基板Sの表面に付着するので、粒子は樹脂基板S表面に強固に密着する。これにより、電子補給や逆励起の発生が阻止され、活性な表面が長時間維持される。尚、以上の過程において樹脂基板S表面に順次発生する現象については、第一の実施形態において詳述した通りである。
【0139】
そして、レーザーアブレーション処理が施されて表面改質された樹脂基板Sは、ヘリウムガス雰囲気の処理室43から準備室44を介して大気下の外部空間へ搬出される。
【0140】
よって、上述した方法により得られた改質された表面部をもつ樹脂基板Sによれば、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性が付与されているとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れているという効果を奏する。
【0141】
また、本実施形態によれば、ターゲット材料にレーザー光を照射する構成とすることにより真空紫外線露光手段と飛散粒子発生手段とが同時に実現される構造となっており、装置全体の構成を極めて単純なものとすることができる。
【0142】
また、真空紫外線の吸収が少ないヘリウムガス雰囲気中で樹脂基板Sに真空紫外線の露光を行うので、処理対象の樹脂基板Sを真空容器内に配置する必要がない。よって、樹脂基板Sを所定枚数単位でバッチ処理する方法に限られず、連続的な表面改質処理や大型部品への表面改質処理の実施が可能となる。
【0143】
また、真空紫外線はターゲット材料28上に形成されたプラズマより垂直方向に多く発生し、飛散粒子はターゲット材料28表面より垂直方向に多く放出されるので、樹脂基板Sへの真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを一方向からほぼ同時に行うことができる。
【0144】
また、処理対象の樹脂基板Sを、準備室44を介して外部空間から処理室43へ搬入又は搬出するように構成されているので、処理室43に外部空間から大気が入ることが防止され、処理室43をシールドガスとしてのヘリウムガス雰囲気に確実に保つことができる。さらに、樹脂基板Sを順次、外部空間から準備室44を介して処理室43へ搬送して表面改質処理を施し、処理後の樹脂基板Sを処理室43から準備室44を介して外部空間へ搬送するように構成されているので、大量の樹脂基板Sに連続的且つ効率的に表面改質処理を施すことが可能な生産システムを実現することができる。
【0145】
また、空気よりも比重が小さいヘリウムガスが、準備室44に対して上方位置に設けられた処理室43に偏在するので、処理室43をヘリウムガス雰囲気に確実に保つことができる。
【0146】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【0147】
例えば、レーザー光をターゲット材料426上に集光させる光学系は、上述した第1と第2の光学部材422,425の構成には限られず、種々の態様で実施することが可能である。
【0148】
また、上述した実施形態では、処理室43と準備室44とが常に連通している構造としたが、処理室43と準備室44との間及び/又は外部空間と準備室44との間に開閉可能な隔壁を設け、その隔壁の開閉によって処理室43と準備室44との連通/隔離及び/又は外部空間と準備室44との連通/隔離を切り換える構成を追加してもよい。すなわち、処理対象の樹脂基板Sを外部空間から準備室44、準備室44から処理室43へ搬入又は搬出する際にのみ隔壁を開放して外部空間と準備室44、準備室44と処理室43とを連通させ、搬送時以外は隔壁を閉鎖して外部空間と準備室44、準備室44と処理室43とを隔離するようにしてもよい。このような構成とすることにより、例えば、シールドガス雰囲気として、比重が空気に近いために空気と混合しやすいガス(例えば、アルゴンガス等)を用いた場合であっても、処理室43へ外部空間から大気が入り込むことが防止されて、シールドガス雰囲気に確実に保つことができる。
【0149】
また、レーザーアブレーション処理を減圧して行う必要がある場合は、処理室43若しくはアブレーションガン423先端部を差動排気して減圧するようにしてもよい。
【0150】
尚、図16に示したアブレーション装置42に代えて、図11に示した第二の実施形態の表面改質装置21と同様の構成を有するアブレーション装置を処理室43内に配置して、樹脂基板Sとターゲット材料426との間にシールドガスを供給しながら、レーザーアブレーション処理を施すように構成してもよい。
【0151】
【実施例】
次に、上述した各実施形態に基づいて実際に実験を行った各実施例について、図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
まず、上述した第一の実施形態に基づいて実験を行った実施例1について説明する。
【0152】
樹脂基板Sサンプルとしてポリエチレンフィルムを使用し、真空にした容器4内で真空紫外線発生装置2による真空紫外線露光と、電子ビーム蒸着装置3により発生したアルミナの飛散粒子の付着とを行い、得られたサンプルの光電子分光分析を行った。比較例として、ポリエチレンフィルムに真空紫外線露光だけを行ったサンプル、ポリエチレンフィルムにアルミナの飛散粒子の付着だけを行ったサンプル、未処理のポリエチレンフィルムのサンプルについて、それぞれ光電子分光分析を行った。これらの光電子分光分析の結果を図3のグラフに示す。このグラフは、炭素の1s電子のスペクトルを示したものであり、横軸が結合エネルギー(eV)、縦軸が強度をそれぞれ表している。図3において、真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを行ったサンプルでは、未処理サンプルのスペクトルと比較して、酸素との結合(C−O、C=O、CO等)に起因してシフトの生じたスペクトルが観察されるのに対し、真空紫外線露光のみを行ったサンプルや飛散粒子の付着のみを行ったサンプルでは、未処理サンプルとほとんど同じスペクトルが観察された。このことより、真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを行った場合だけが、活性の表面(活性末端)が形成・維持されていることがわかる。
【0153】
続いて、上述した各サンプルに塗装を行い、その付着性評価を行った結果、真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを行った場合だけが、高い付着性能を示した。(実施例2)
次に、上述した第二の実施形態に基づいて実験を行った実施例2について説明する。
【0154】
本実施例では、図4に示す構成を有する表面改質装置11において、YAGレーザー装置12として、基本振動数の2倍の振動数を有する高調波であって、パルス当たりのエネルギーが1J、パルス幅7ナノ秒のレーザー光を発生するものを用いた。ターゲット材料15aとしては、銅からなる銅ターゲットを用いた。YAGレーザー装置12から発せられるレーザー光を集光レンズ13により真空容器14内に導き、銅ターゲット上で直径800ミクロン程度に集光し、照射強度10W/cmのレーザー光を銅ターゲットに照射した。レーザー光が照射されると、銅ターゲット上に高温のプラズマが形成され、その結果、銅のプラズマから、図5のグラフに示す波長−強度分布を有する真空紫外線のスペクトルが発生した(キュープレートによる測定値)。図5から明らかなように、樹脂における吸収率の高い波長50nmから100nm及びその周辺の波長において輝度の高い連続したスペクトルが観察されることがわかる。
【0155】
次に、樹脂の一種であるポリ四フッ化エチレンの真空紫外線に対する透過特性について、図6のグラフを参照しつつ説明する。条件は、C濃度2.2、膜厚0.2ミクロンとした。図6のグラフより、波長60nm付近における真空紫外線の透過率が10−8で最低となっており、この波長周辺の真空紫外線に対して急激に透過率が低下(すなわち、吸収率が上昇)していることがわかる。これは、ポリ四フッ化エチレンの成分の一つである炭素の吸収特性に依存するものである。図6より、ポリ四フッ化エチレンにおいて、波長50nmから100nmの真空紫外線の吸収率が高いことがわかる。
【0156】
次に、樹脂基板としてシリコンゴム基板を用い、本実施例の装置にて銅ターゲットから発生した飛散粒子をシリコンゴム基板により採集し、これを走査型電子顕微鏡を用いて観察し撮影を行った(図7)。図7の写真より、粒子径が数ミクロン以下のサイズの銅微粒子(白く写っている点)がシリコンゴム基板上に付着していることがわかる。
【0157】
また、シリコンゴム基板に本実施例による表面改質処理を施し、処理後のシリコンゴム基板の表面に形成された銅粒子からなる膜に粘着テープを押しつけ、その後、テープを引き剥がすことにより銅粒子の基板への密着性を評価したところ、引き剥がしたテープには銅粒子は殆ど付着していなかった。図8(a)はシリコンゴム基板上の銅粒子からなる膜を密着性評価前に撮影した写真であり、(b)は密着性評価後に撮影した写真である。図8(a),(b)より、密着性評価によって、膜の亀裂(白く写っている部分)が若干増えているが、膜は剥がれていない様子がわかる。
【0158】
一方、樹脂基板としてポリ四フッ化エチレン樹脂基板を用い、本実施例による表面改質処理を1分間施した。図9は、波長60nm付近の真空紫外線露光と銅の微粒子付着とをほぼ同時に行ったポリ四フッ化エチレン樹脂基板表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。図9の写真より、きめ細かな銅の微粒子が基板上に付着していることがわかる。
【0159】
続いて、処理後のポリ四フッ化エチレン樹脂基板の表面に形成された銅粒子からなる膜に粘着テープを押しつけ、その後、テープを引き剥がすことにより銅粒子の基板への密着性を評価したところ、引き剥がしたテープには銅粒子は殆ど付着していなかった。図10(a)はポリ四フッ化エチレン樹脂基板上の銅粒子からなる膜を密着性評価前に撮影した写真であり、(b)は密着性評価後に撮影した写真である。図10(a),(b)より、密着性評価によって、膜の亀裂(白く写っている部分)が若干増えているが、膜は剥がれていない様子がわかる。
【0160】
一方、比較のために、電子ビーム蒸着により銅粒子を付着させたポリ四フッ化エチレン樹脂基板、紫外線露光後に電子ビーム蒸着により銅粒子を付着させたポリ四フッ化エチレン樹脂基板について、それぞれ粘着テープによる引き剥がしを行った結果、殆どの銅粒子がテープに付着した。
【0161】
さらに、基板の材質としてエポキシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートをそれぞれ用いて本実施形態の表面改質処理を施したところ、いずれも上述した実施例と同様に良好な結果が得られた。また、ターゲット材料としてアルミニウムを用いた場合でも、銅を用いた場合と同様に良好な結果が得られた。
(実施例3)
次に、上述した第三の実施形態に基づいて実験を行った実施例3について説明する。
【0162】
本実施例では、図11に示す構成を有する表面改質装置21において、YAGレーザー装置22として、基本振動数の2倍の振動数を有する高調波であって、パルス当たりのエネルギーが1J、パルス幅7ナノ秒のレーザー光を発生するものを用いた。ターゲット材料28としては、厚さ30ミクロンの高分子フィルムに厚さ15ミクロンの銅テープを貼り合わせてなる銅テープターゲットを用いた。YAGレーザー装置22から発せられるレーザー光を第1と第2の光学部材23,26により、銅テープターゲット28上で直径800ミクロン程度に集光し、照射強度2.5×10W/cmのレーザー光を銅テープターゲット28に照射した。レーザー光が照射されると、銅テープターゲット上に高温のプラズマが形成され、その結果、銅のプラズマから、真空紫外線のスペクトルが発生した。並行して、ガスノズル27より銅テープターゲット28の後方から発射口25bに向かって、ヘリウムガスの供給を行い、銅テープターゲット材料28と樹脂基板Sとの間をヘリウムガス雰囲気とした。
【0163】
アブレーションガン24先端の発射口5bより5mmから1cm離隔した位置にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂基板Sを配置し、実施例装置を用いて銅のアブレートを5分間行った。尚、1気圧のヘリウムガス雰囲気での飛散粒子の到達距離は材質や大きさにより異なるが、条件によっては数cm以上に設定することが可能である。
【0164】
上述した工程によりPET樹脂基板S上にアブレートされた銅粒子からなる薄膜の厚さを、段差計を用いて測定したところ、薄膜の厚さは約800nmであった。また、粘着テープを用いて、樹脂基板上にアブレートされた銅粒子の引き剥がし試験を行った結果、銅粒子の剥がれはほとんど生じなかった。
(実施例4)
次に、上述した第四の実施形態に基づいて実験を行った実施例4について説明する。
【0165】
本実施例では、図13に示す構成を有する表面改質装置31において、YAGレーザー装置32として、パルス当たりのエネルギーが1J、パルス幅7ナノ秒のパルスレーザー光を発生するものを用いた。透明樹脂フィルムS’としては、厚さ50ミクロンのポリエチレンフィルムを使用した。ターゲット材料38としては、アルミナを使用した。1/10気圧程度のヘリウムガス雰囲気の減圧下で、YAGレーザー装置32から発せられるレーザー光を焦点距離40mmの短焦点の集光レンズ33により、ターゲット材料38上で直径2mm程度になるように集光してターゲット材料38に照射した。レーザー光が照射されると、アルミナからなるターゲット材料38上に高温のプラズマが形成され、その結果、アルミナのプラズマから、真空紫外線のスペクトルが発生した。実施例装置を用いて3分間のレーザーアブレーションを行ったところ、ポリエチレンフィルムからなる透明樹脂フィルムS’上にアルミナが一様に堆積した。図14の写真において、白く見える部分は、アルミナが堆積した部分であり、灰色に見える中央の正方形部分(実際のサイズでは一辺が10mmの正方形)はアルミナの厚さを測定するためにカバーガラスで覆った部分である。厚さ測定の結果、アルミナの膜厚は、200nm程度であった。尚、ガスバリア膜として使用する場合は、厚さ20nm程度でよいため、透明樹脂フィルムS’を15cm/分程度の送り速度にすることにより、広範囲の領域に均一なアルミナコートを形成することができる。
【0166】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の基材の表面改質方法によれば、真空紫外線の露光により炭素含有材料からなる基材の表面が活性化され、その直後に飛散粒子が付着するため、粒子が基材の表面に強固に密着し、これにより、基材の表面に、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与するとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性を向上させることができるという効果を奏する。
【0167】
また、本発明の改質された表面部をもつ基材によれば、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性等の機械的特性、物理的特性、化学的特性が付与されているとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れているという効果を奏する。
【0168】
また、本発明の基材の表面改質装置によれば、簡単な構成で確実に、真空紫外線の露光により炭素含有材料からなる基材の表面を活性化し、その直後に飛散粒子を付着させることにより、粒子を基材の表面に強固に密着させることができ、これにより、基材の表面に、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与するとともに、塗装やめっき等の被覆の密着性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態における基材の表面改質装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】樹脂基板表面の構造を模式的に示す図であり、(a)は、真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを行った場合を、(b)は、真空紫外線露光のみを行った場合を、(c)は、飛散粒子の付着のみを行った場合をそれぞれ表している。
【図3】ポリエチレンフィルムに真空紫外線露光と飛散粒子の付着とを行った実施例サンプル及び比較例のサンプルについて光電子分光分析を行った結果を示すグラフである(実施例1)。
【図4】本発明の第二の実施形態における基材の表面改質装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図5】銅ターゲットから発生した真空紫外線のスペクトルの強度分布を示すグラフである。
【図6】ポリ四フッ化エチレン樹脂の真空紫外線に対する透過特性を示すグラフである。
【図7】銅ターゲットから飛散した粒子を採集したシリコンゴム基板を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である(実施例2)。
【図8】(a)はシリコンゴム基板上に形成された銅粒子からなる膜を密着性評価前に撮影した写真であり、(b)は密着性評価後に撮影した写真である(実施例2)。
【図9】ポリ四フッ化エチレン樹脂基板に形成された銅微粒子からなる膜を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である(実施例2)。
【図10】(a)はポリ四フッ化エチレン樹脂基板上に形成された銅粒子からなる膜を密着性評価前に撮影した写真であり、(b)は密着性評価後に撮影した写真である(実施例2)。
【図11】本発明の第三の実施形態における基材の表面改質装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図12】1気圧のヘリウムガスにおける真空紫外光の透過特性を示すグラフである。
【図13】本発明の第四の実施形態における基材の表面改質装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図14】ポリエチレンフィルム上に形成したアルミナ膜を撮影した写真である(実施例4)。
【図15】本発明の第五の実施形態における基材の表面改質処理システムの全体構成を示す概略構成図である。
【図16】本発明の第五の実施形態におけるレーザーアブレーション装置の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41…基材の表面改質装置、2…真空紫外線発生装置(真空紫外線露光手段)、3…電子ビーム蒸着装置(飛散粒子発生手段)、12,22,32,421…YAGレーザー装置(レーザー光発生装置、真空紫外線露光手段、飛散粒子発生手段)、42…アブレーション装置(真空紫外線露光手段、飛散粒子発生手段)、13,33…集光レンズ(光学部材)、4…容器、14…真空容器、15…ターゲット駆動システム、15a,28,38,426…ターゲット材料(真空紫外線露光手段、飛散粒子発生手段)、23,422…第1光学系部材(光学部材)、26,425…第2光学系部材(光学部材)、27…ガスノズル(シールドガス供給手段)、43…処理室、44…準備室、S…樹脂基板(炭素含有材料からなる基材)、S’…透明樹脂フィルム(透明基材)。

Claims (22)

  1. 炭素含有材料からなる基材の表面を改質する方法であって、
    真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記基材の表面に飛散粒子を付着させるようにしたことを特徴とする基材の表面改質方法。
  2. 前記基材をターゲット材料のレーザー光照射面側に配置し、前記ターゲット材料にレーザー光を照射して発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記ターゲット材料より飛散する粒子を、前記基材の表面に付着させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の基材の表面改質方法。
  3. 容器内で前記基材をターゲット材料のレーザー光照射面側に配置し、その容器内に配置された前記ターゲット材料にレーザー光を照射するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の基材の表面改質方法。
  4. シールドガス雰囲気下で、又は少なくとも前記基材と前記ターゲット材料との間にシールドガスを供給しつつ、前記ターゲット材料にレーザー光を照射するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の基材の表面改質方法。
  5. 前記シールドガスとして、水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスのいずれか、これらの任意の組み合わせからなる混合ガス、又はこれらのガスを主成分とする混合ガスを使用したことを特徴とする請求項4に記載の基材の表面改質方法。
  6. 前記基材は、レーザー光を透過可能な透明基材からなり、前記ターゲット材料に前記透明基材を通してレーザー光を照射するようにしたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の基材の表面改質方法。
  7. 前記レーザー光は、パルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスレーザー光であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の基材の表面改質方法。
  8. 前記レーザー光の照射条件は、前記ターゲット材料から波長50nm乃至100nmの真空紫外線を発生させるように設定されていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の基材の表面改質方法。
  9. 前記レーザー光の照射強度を、10W/cm乃至1012W/cmに設定したことを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載の基材の表面改質方法。
  10. 炭素含有材料からなる基材と、真空紫外線を露光した前記基材の少なくとも一部表面に付着した付着粒子とを有することを特徴とする改質された表面部をもつ基材。
  11. 炭素含有材料からなる基材の表面を改質する装置であって、
    前記基材の表面に真空紫外線を露光する真空紫外線露光手段と、
    前記真空紫外線が露光された前記基材の表面に付着させるための飛散粒子を発生させる飛散粒子発生手段と、
    を備えたことを特徴とする基材の表面改質装置。
  12. 前記真空紫外線露光手段による真空紫外線露光と前記飛散粒子発生手段による飛散粒子発生とを同時に行うように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の基材の表面改質装置。
  13. 炭素含有材料からなる基材の表面を改質する装置であって、
    レーザー光を発生するレーザー光発生装置と、
    ターゲット材料と、
    そのターゲット材料のレーザー光照射面側に配置された炭素含有材料からなる基材と、
    前記レーザー光発生装置より発生されるレーザー光を前記ターゲット材料上にて集光する光学部材と、
    を備え、
    前記ターゲット材料に前記光学部材を介してレーザー光を照射して発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、レーザー照射されたターゲット材料の表面より飛散する粒子を、前記基材の表面に付着させるように構成したことを特徴とする基材の表面改質装置。
  14. 内部にて前記基材を前記ターゲット材料のレーザー光照射面側に配置する容器を備え、
    前記レーザー光発生装置より発生されるレーザー光を前記光学部材を介して前記容器内に導くとともに、前記ターゲット材料上にて集光するように構成されたことを特徴とする請求項13に記載の基材の表面改質装置。
  15. シールドガスを供給するシールドガス供給手段を備え、
    前記シールドガス供給手段により少なくとも前記基材と前記ターゲット材料との間にシールドガスを供給しつつ、前記ターゲット材料に前記光学部材を介してレーザー光を照射するように構成されたことを特徴とする請求項13又は14に記載の基材の表面改質装置。
  16. 内部がシールドガス雰囲気に保たれると共に、前記基材を前記ターゲット材料のレーザー光照射面側に配置する処理室を備え、
    その処理室内で、前記ターゲット材料に前記光学部材を介してレーザー光を照射して発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、レーザー照射されたターゲット材料の表面より飛散する粒子を、前記基材の表面に付着させるように構成したことを特徴とする請求項13又は15に記載の基材の表面改質装置。
  17. 外部空間と前記処理室との間に前記処理室に連通する準備室が設けられ、
    前記基材を前記外部空間から前記準備室を介して前記処理室へ搬入又は搬出するように構成されたことを特徴とする請求項16に記載の基材の表面改質装置。
  18. 前記シールドガスとして空気よりも比重が小さい気体を用いると共に、前記処理室を前記準備室に対して上方位置に設けたことを特徴とする請求項17に記載の基材の表面改質装置。
  19. 前記シールドガスとして空気よりも比重が大きい気体を用いると共に、前記処理室を前記準備室に対して下方位置に設けたことを特徴とする請求項17に記載の基材の表面改質装置。
  20. 前記処理室と前記準備室との間及び/又は外部空間と前記準備室との間に開閉可能な隔壁を設け、その隔壁の開閉により前記処理室と前記準備室との連通/隔離及び/又は外部空間と前記準備室との連通/隔離を切り換えるように構成されたことを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の基材の表面改質装置。
  21. 前記シールドガスは、水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスのいずれか、又はこれらの任意の組み合わせからなる混合ガスであることを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載の基材の表面改質装置。
  22. 前記基材は、レーザー光を透過可能な透明基材からなり、前記レーザー光発生装置は、前記透明基材を通して前記ターゲット材料にレーザー光を照射するように構成されたことを特徴とする請求項13乃至21のいずれかに記載の基材の表面改質装置。
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