JP2004002345A - フェノールの製造方法 - Google Patents

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Masayuki Watanabe
渡辺 昌幸
Kazumichi Hirayama
平山 一道
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Abstract

【課題】有機酸による蒸留塔の腐食を防止する方法を提供する。
【解決手段】有機酸及び他の有機不純物を含み、かつ高沸点成分の含有量がフェノールに対して0.1重量%以下の粗フェノールと水とを、蒸留塔に供給して蒸留し、塔頂から有機不純物、フェノール及び水を留出させ、塔の中間から水、有機酸及びフェノールを含む側流液を抜き出し、塔底から精製フェノールを取得するフェノールの精製方法において、側流液を蒸留塔内で水濃度が1〜40重量%である帯域から抜き出すことを特徴とする方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機酸及び他の有機不純物を含み、かつ高沸点成分をほとんど含まない粗フェノールから、蒸留により有機酸や有機不純物の低減された精製フェノールを取得する方法に関するものである。詳しくは、有機酸が蒸留塔内に蓄積するのを防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノールは工業的に極めて重要な化学品であり、その大部分がキュメン法により製造されている。この方法では、先ずベンゼンとプロピレンとを反応させてイソプロピルベンゼン、すなわちキュメンとし、これを酸化してキュメンハイドロパーオキサイドとする。次いで、このキュメンハイドロパーオキサイドを酸で分解してフェノールとアセトンを生成させる。反応生成液は中和し、洗浄により塩を除去した後、蒸留してフェノール及びアセトンを取得する。反応生成液からフェノール及びアセトンを取得するには、通常は反応生成液を粗アセトン塔で蒸留して、アセトンその他の軽沸点成分を留出させ、次いで粗アセトン塔の塔底から得られたフェノール及び高沸点成分を含む塔底液を粗フェノール塔で蒸留して、粗フェノールとフェノールよりも高沸点の成分とに分離する。粗フェノール塔の塔頂から得られる粗フェノールの純度は通常95重量%以上であり、高沸点成分はほとんど含まれていない。高沸点成分を含む場合でも、通常は粗フェノール中のフェノールに対して0.1重量%以下、多くの場合には0.01重量%以下である。高沸点成分以外の不純物の主なものはα−メチルスチレン、2−フェニルブテン等であるが、他に微量のメシチルオキシド、2−メチルベンゾフラン、及び蟻酸、酢酸等の有機酸が含まれている。
【0003】
従来から、この粗フェノールの精製には、水を抽剤とする抽出蒸留が用いられている。この方法では、蒸留塔に粗フェノールと水とを供給して蒸留し、塔頂から有機不純物、フェノール及び水を留出させ、塔の中間から有機酸、水及びフェノールを含む側流液を抜き出し、塔底から精製フェノールを取得する。この精製フェノールは、蒸留等により更に精製されて製品となる。
【0004】
蒸留塔に供給される粗フェノールに含まれている蟻酸、酢酸等の有機酸は、常用の金属装置材料に対する腐食性が強いので、蒸留に際しては、塔内にこれらの有機酸ができるだけ蓄積しないようにすることが重要である。そのためには、塔内において有機酸の濃度が高い帯域から側流液を抜き出すべきである。従来は、このような観点から、塔頂から測って蒸留帯域の高さの約2/3の位置、つまり水濃度が約50重量%の位置に側流液の抜き出し口を設けている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平7−112992号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この粗フェノールの蒸留塔及び後続する精製フェノールの蒸留塔の腐食は依然として大きな問題であり、塔内の有機酸を更に効率よく抜き出す方法が求められている。本発明はこのような要求に応えようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、蒸留塔に有機酸及び他の有機不純物を含み、かつ高沸点成分の含有量がフェノールに対して0.1重量%以下の粗フェノールと水とを供給して蒸留し、塔頂から有機不純物、フェノール及び水を留出させ、塔の中間から水、有機酸及びフェノールを含む側流液を抜き出し、塔底からこれらの不純物が除去された精製フェノールを取得するフェノールの精製方法において、側流液を蒸留塔内で水濃度が1〜40重量%である帯域から抜き出すことにより、蒸留塔内から有機酸を効率よく抜き出すことができる。なお、本明細書において蒸留帯域とは、蒸留塔のうち塔底部及び塔頂部を除いた気液接触の行われる部分、すなわち最も下の段から最も上の段までの間の帯域を指す。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において蒸留塔に供給される粗フェノールは、蟻酸、酢酸等の有機酸及び他の有機不純物を含み、かつ、高沸点の成分の含有量はフェノールに対して0.1重量%以下のものである。高沸点成分の含有量はフェノールに対して0.01重量%以下、特に0.005重量%以下であるのが好ましい。その代表的なものは、キュメン法フェノールの製造プロセスにおいて、キュメンハイドロパーオキサイドの酸接触分解工程から得られた反応生成液を中和し、生成した塩を洗浄により除去した後、粗アセトン塔で蒸留してアセトン及びα−メチルスチレンを含む軽沸点成分を塔頂から留去させ、塔底から抜き出した高沸点成分を含むフェノールを粗フェノール塔で蒸留して、高沸点成分を除去して得られたものである。ここで高沸点成分とは、アセトフェノン、パラクミルフェノール、α−メチルスチレンダイマーを主体とする重質成分をいう。この方法で得られる粗フェノールの組成の例を、表1に示す。
【0009】
【表1】
Figure 2004002345
【0010】
なお、本発明で蒸留精製に供する粗フェノールはこれに限られるものではなく、例えば、粗アセトン塔の塔底から得られるα−メチルスチレン、フェノール及び高沸点成分などからなる塔底成分を水と共に蒸留塔に供給し、塔頂からα−メチルスチレン及び水を主体とする成分を留出させ、塔の中間から有機酸、水及びフェノールからなる側流液を抜き出し、塔底から高沸点成分を含むフェノールを取得し、この高沸点成分を含むフェノールを粗フェノール塔で蒸留して、高沸点成分を除去したものを用いることもできる。
【0011】
本発明では、蒸留塔に粗フェノールと共に抽剤の水を供給する。水の量は、通常、粗フェノールに対し1重量%以上であり、1.5重量%以上、特に2重量%以上であるのが好ましい。水の供給量が多いほど有機酸の除去には有利であるが、蒸留塔に供給した水は最終的に廃水処理設備で処理しなければならないので、大量の水を供給すると、粗フェノール中の有機酸量にもよるが、廃水処理設備の負荷を増大させる。したがって、水量は粗フェノールに対し、通常、10重量%以下であり、8重量%以下、特に5重量%以下であるのが好ましい。通常は蒸留塔の塔頂乃至塔頂に近い位置に水を供給し、その下方、例えば蒸留帯域の上から10〜20%の位置に粗フェノールを供給する。
【0012】
本発明では、蒸留そのものは常法に従って行うことができる。すなわち、塔底のリボイラーで塔底液を加熱し、塔頂から流出した蒸気はコンデンサーで凝縮させた後、油水分離槽で水相と油相に分離し、水相の一部は塔に還流させ、水相の残部と油相とは系外に抜き出す。なお、油水分離槽での油相と水相との分離を安定かつ良好に行わせるには、α−メチルスチレン及び/又はキュメンを蒸留塔に供給するのが好ましい。これらの炭化水素を供給すると、凝縮液中の水溶性有機物を油相側に抽出し、もって凝縮水と共に蒸留塔に還流される水溶性有機物を減少させることができる。これらの炭化水素は、粗フェノールに対して1〜7重量%供給するのが好ましい。また、蒸留塔の有機酸が濃縮されている帯域から側流を抜き出し、塔底から精製フェノールを取得する。この精製フェノールは後続する精製工程で更に精製されて製品となる。
【0013】
蒸留塔内では、液相は水並びにα−メチルスチレン及び/又はキュメンを含んでいてもよいフェノールからなっている。そして両者の分布は、蒸留帯域の上方では水の比率が大きく、下方ではフェノールの比率が大きくなっている。本発明者らの検討により、塔内には液相組成が急激に変化する帯域があり、有機酸が高濃度に存在するのは、水よりもフェノールの比率が大きくなった帯域であることが判明した。したがって、この帯域から側流液を抜き出せば、有機酸を効率よく除去することができ、塔内における有機酸の濃度を低く保つことができる。本発明では、従来法で側流液を抜き出していた液相の水濃度約50重量%の帯域よりも低い帯域、具体的には水濃度が1〜40重量%、好ましくは2〜30重量%の帯域から側流液を抜き出す。この帯域は蒸留帯域の上から測って、通常は全長の70〜87%の部分、好ましくは80〜85%の部分に相当する。なお、有機酸でも蟻酸と酢酸とでは塔内における濃度分布が異なっており、一般に蟻酸の方が酢酸よりも上方に濃縮されている。したがって、酢酸よりも蟻酸を抜き出したい場合には、水濃度が5〜30重量%の帯域から側流液を抜き出すのが好ましい。この帯域は、通常、全長の74〜82重量%、好ましくは76〜80%の部分に相当する。
【0014】
また、有機酸が高濃度に存在する帯域が蒸留塔のどの部分になるかは、蒸留条件によっても左右される。側流液抜き出しの水濃度が1〜40重量%になる蒸留条件は、側流液抜き出し部の圧力が100KPaのとき99〜141℃、150KPaのとき111〜152℃、240KPaのとき126〜167℃、300KPaのとき133〜176℃である。すなわち、側流液抜き出しが、水1重量%とフェノール99重量%の沸点から、水40重量%とフェノール60重量%の沸点までの間の温度となるように運転すればよい。なお、本明細書中の圧力は絶対圧を示す。
【0015】
蒸留塔側流液抜き出し口の温度として、例えば塔頂圧力が220KPaで側流液抜き出し口までの圧力損失が20KPaの場合、126〜167℃、特に140℃近辺を選択し、有機酸が最も高濃度に濃縮されている帯域から側流液を抜き出すのが好ましい。
側流抜き出し口は、通常塔の高さ方向に沿って2個以上設置するが、2〜4個でよく、2〜3個で十分なことが多い。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものでない。
(実施例1)
表2に示す組成の粗フェノールを理論段数48段の蒸留塔の上から6段目に供給し、水を上から2段目に供給し、側流液を上から39段目より抜き出しつつ抽出蒸留を行った。操作条件は次の通りである。
【0017】
塔頂圧力:220KPa、塔頂温度:123℃
塔底圧力:247KPa、塔底温度:218℃
水の還流比:8
蒸留塔への供給−抜き出し量の目標値を表3に、各段における液相組成を表4に示す。
【0018】
【表2】
Figure 2004002345
【0019】
【表3】
Figure 2004002345
【0020】
【表4】
Figure 2004002345

Claims (5)

  1. 有機酸及び他の有機不純物を含み、かつ高沸点成分の含有量がフェノールに対して0.1重量%以下の粗フェノールと水とを、蒸留塔に供給して蒸留し、塔頂から有機不純物、フェノール及び水を留出させ、塔の中間から水、有機酸及びフェノールを含む側流液を抜き出し、塔底から精製フェノールを取得するフェノールの精製方法において、側流液を蒸留塔内で水濃度が1〜40重量%である帯域から抜き出すことを特徴とする方法。
  2. 水濃度が2〜30重量%である帯域から側流液を抜き出すことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 有機酸及び他の有機不純物を含み、かつ高沸点成分の含有量がフェノールに対して0.1重量%以下の粗フェノールと水とを、蒸留塔に供給して蒸留し、塔頂から有機不純物、フェノール及び水を留出させ、塔の中間から水、有機酸及びフェノールを含む側流液を抜き出し、塔底から精製フェノールを取得するフェノールの精製方法において、側流液を蒸留帯域の上から測って70〜87%の位置から抜き出すことを特徴とする方法。
  4. 粗フェノールに対し1〜10重量%の水を蒸留塔に供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 蒸留塔が、高さ方向に2以上の側流抜き出し口を有するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
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JP2015178476A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 三菱化学株式会社 フェノールの製造方法

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