JP2004002256A - 光学活性オキサジン誘導体 - Google Patents

光学活性オキサジン誘導体 Download PDF

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Shinji Ine
稲 真嗣
Kenshiro Yamana
山名 研司郎
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
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Abstract

【課題】優れたPDEIV阻害作用を有する化合物の提供。
【解決手段】本発明は、(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オンまたはその水和物若しくは溶媒和物に関する。また本発明は、該化合物を含有してなる医薬組成物、好ましくはホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害薬、更に好ましくは炎症性疾患、特に喘息若しくは慢性閉塞性肺疾患の予防および治療薬に関する。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase、PDE)IV阻害作用を有する新規な化合物及びそれを含む医薬組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(±)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン(WO98/04534号公報参照)は、強いホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害作用を有し、気管支拡張作用及び抗炎症作用を発現することが知られており、喘息、皮膚炎などの炎症性疾患、リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患等に有効と考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(±)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オンは、ラセミ体(比旋光度0°)で6位に不斉炭素を有し、(+)−体と(−)−体の二種類の異性体の存在が予想はされていたが、3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン骨格を有する化合物の異性体の分離方法は一般化されておらず、ラセミ体から異性体を分離することは達成し得なかった。特に上記の(±)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オンは酸性若しくは塩基性を示す官能基を有しておらず、その分離に光学活性な有機塩基や有機酸を利用したジアステレオマー光学分割法などの手法は利用できなかった。従って、そのホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害作用および副作用の違いについては知られておらず、検討することもできなかった。
【0004】
本発明者は、各々の異性体を純粋に取得するために研究を重ねた結果、(±)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オンを高速液体クロマトグラフィーで純粋な各異性体に分離する方法を見出した。そして、得られた各異性体のホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害作用及び抗喘息作用、並びに毒性及び水に対する溶解性を検討し、特定の異性体が医薬として優れた性質を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0006】
すなわち、本発明は、(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン又はその水和物若しくはその溶媒和物に関する。
また本発明は、(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン並びにその水和物及びその溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む医薬に関する。
本発明の化合物はホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害作用を示し、これに基づき、本発明の医薬は、喘息、皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患等の炎症性疾患;多発性硬化症;リウマチ等の自己免疫疾患の治療及び/又は予防のための医薬として有用である。
【0007】
別の観点からは、本発明により、上記の医薬の製造のための(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン並びにその水和物及びその溶媒和物からなる群から選ばれる物質の使用;上記物質を含むホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害剤が提供される。
また、さらに別の観点からは、ヒトを含む哺乳類動物においてホスホジエステラーゼ(PDE)IVを阻害する方法であって、(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン並びにその水和物及びその溶媒和物からなる群から選ばれる物質の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。
【0008】
本発明の光学活性的に純粋な化合物は、例えば国際公開WO98/04534号に記載の方法により製造されるラセミ体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて下記の実施例に記載の如く特定の条件で処理することにより、二種類の光学活性体[即ち(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン及び(+)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン]に分割することにより得られる。また、得られた光学活性体を必要に応じて各種溶媒により再結晶を行うことにより、更に高純度の光学活性体を得ることができる。
【0009】
光学活性体の再結晶は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の単一溶媒又は2種若しくはそれ以上の溶媒を組み合わせた混合溶媒により行うことができる。
【0010】
上記の方法により得られる光学活性体の(−)−体[(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オンの略]および(+)−体[(+)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オンの略]のPDE IV阻害活性および抗喘息作用をラセミ体[(±)−体]と比較して下記の表1に示す。表1は後記の試験例1及び試験例2の結果をまとめたものである。
【0011】
【表1】
Figure 2004002256
【0012】
上記表に示した様に、(−)−体はラセミ体の約2倍のPDE IV阻害作用及び抗喘息作用を有すのに対し、(+)−体はラセミ体の約1/3のPDE IV阻害作用および約1/4以下の抗喘息作用しか有さず、薬理活性は相当弱いがラセミ体と同程度の毒性を示す。さらに、(−)−体はラセミ体に比べ水に対する溶解性が著しく高く、各種液剤としての利用の可能性が高くなるとともに、消化管などにおける吸収性も改善される可能性があり好ましい。以上の通り、(−)−体はラセミ体に比べてPDE IV阻害薬および抗喘息薬などの医薬として極めて有用であることが確認された。
【0013】
また、(−)−体がアレルギー性結膜炎に対する改善作用、TNF−α産生抑制作用、及びNK受容体拮抗作用を有することも新たに確認された。ラセミ体がPDE IV阻害薬および抗喘息薬として有用であることは国際公開WO98/04534号に開示されているが、(−)−体がアレルギー性眼疾患治療薬、TNF−α産生阻害薬、及びNK受容体拮抗薬として有用であることは示唆ないし教示されておらず、(−)−体は医薬の有効成分として極めて優れている。
【0014】
本発明の化合物を有効成分として含む医薬としては、上記の方法により得られる光学活性な化合物並びにその水和物及びその溶媒和物からなる群から選ばれる物質を単独で用いてもよいが、又は上記物質を薬学的に許容される担体と混合し、適当な形態の医薬組成物として調製することもできる。
【0015】
全身投与に適する医薬組成物としては、例えば、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、又は液剤等の経口投与に適する医薬組成物、あるいは注射剤(静脈内、筋肉内、皮下)、点滴剤、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤、吸入剤等の非経口投与に適する医薬組成物を例示することができる。局所投与に適する医薬組成物としては、点眼剤、眼軟膏剤、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤、吸入剤等を挙げることができる。
【0016】
なお、上記の医薬組成物の製造のためには、必要により1種又は2種以上の製剤用添加物、例えば、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、保存剤、緩衝剤、増粘剤、溶解補助剤、キレート剤、安定化剤、pH調整剤、等張化剤のような通常用いられる各種製剤用添加剤を用いてもよい。
【0017】
例えば、経口投与のための医薬組成物は、乳糖、結晶セルロース、ブドウ糖、コーンスターチ、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、エリスリトールなどの賦形剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、硬化油などの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アラビアゴムなどの湿潤剤、その他必要に応じて界面活性剤、矯味剤などを使用して所望の投与剤型に調製することができる。
【0018】
また、非経口投与のための医薬組成物の製造には、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、寒天、トラガントガムなどの希釈剤を用いて、必要に応じて溶解補助剤(ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンモノステアレート等)、保存剤(クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、フェネチルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベゼトニウム等)、緩衝剤(ホウ酸緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、クエン酸緩衝剤等)、安定化剤(エデト酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)、pH調整剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸、クエン酸、リン酸等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、多価アルコール、ソルビトール、マンニトール、グルコース等)、無痛化剤などを使用することができる。
眼軟膏剤の場合には、通常使用されている基剤(眼科用白色ワセリン、プラスチベース、プロペト等)を使用でき、添加剤としては、流動パラフィンなどが挙げられる。
【0019】
本発明の医薬の投与量は、全身投与用の製剤として経口投与する場合、通常、成人に対し本発明の化合物の重量として1日あたり0.01〜1000mgであり、好ましくは0.01〜100mgである。投与量は、年齢、病状、症状のほか、同時投与の医薬の有無等により適宜増減することが好ましい。前記1日投与量を1日1回、又は適当間隔をおいて1日に2〜3回に分けて投与してもよいし、数日ごとに間欠投与してもよい。全身投与用の注射剤として用いる場合には、本発明の化合物の重量として、成人に対し1回量0.001〜100mgを連続投与又は間欠投与することが好ましい。
【0020】
本発明の医薬を局所投与する場合の投与量は、吸入剤の場合、通常、成人に対し1日量0.001〜300mgであり、好ましくは0.001〜30mgである。点眼剤の場合には、通常0.01〜3.0w/v%の濃度で使用され、眼軟膏剤の場合には、通常0.01〜10.0w/v%の濃度で使用される。投与量は、年齢、病状、症状のほか、同時投与の医薬の有無等により適宜増減することが好ましい。注射剤の場合、1日に1〜数回に分けて投与することができる。点眼剤の場合、通常1日に1〜6回、1回に1〜2滴を点眼することができ、眼軟膏の場合、通常1日に1〜2回、結膜嚢内に適量を塗布することができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び試験例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例および試験例に限定されるものではない。
【0022】
<実施例1>
(±)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン 70gを変性エタノール7.0Lに溶解した後、一度に約3.0gのサンプル溶液をカラムに注入し、下記の条件でHPLCを行った。
カラム:CHIRALPAK AS(10cmφ×50cm)
溶媒:変性エタノール
流量:100mL/分
第1ピーク及び第2ピークそれぞれの分画液を減圧濃縮し、得られた油状の残渣にエタノール及びn−ヘキサンを添加後、再び減圧濃縮し、粉末状の光学活性体を得た。以上のような操作を繰り返すことにより(±)−体 70gより二種類の光学活性体、(−)−体 31.5g、(+)−体 29.6gを得た。尚、構造については、光学分割前のラセミ体のNMRと比較することにより確認した。
【0023】
(−)−体:保持時間50〜62分、カラム温度40℃
[α]20  −68°(c=1.00, MeOH)
H−NMR(CDCl)δ(ppm)
1.68(3H, s)、2.14(1H, ddd, J=14.0, 10.6, 5.6 Hz)、2.30(1H, ddd, J=14.0, 3.9, 3.9 Hz)、3.06(1H, ddd, J=10.6, 10.6, 4.8 Hz)、3.20(1H, dd,J=16.7, 3.9 Hz)、3.22(1H, dd, J=16.7, 3.9 Hz)、3.25−3.30(1H, m)、3.36(1H, dd, J=16.7, 6.6 Hz)、3.37(1H, dd, J=16.7, 6.6 Hz)、3.81(3H,s)、5.21(1H, dddd, J=6.6, 6.6, 3.9, 3.9Hz)、6.13(1H, broad)、6.86(1H, d, J=8.3Hz)、6.90(1H, dd, J=8.3, 2.2Hz)、6.95(1H, d, J=2.2Hz)、7.15−7.19(2H, m)、7.21−7.23(2H, m)
(+)−体:保持時間69〜88分、カラム温度40℃
[α]20  +68°(c=1.00, MeOH)
【0024】
(±)−体の H−NMR(CDCl)δ(ppm)
1.66(3H, s)、2.11(1H, ddd, J=13.9, 10.3, 5.4Hz)、2.27(1H, ddd, J=13.9, 4.2, 4.2Hz)、3.00−3.07(1H, m)、3.20(1H, dd, J=16.6, 3.7Hz)、3.22(1H, dd, J=16.6, 3.7Hz)、3.22−3.29(1H, m)、3.36(2H, dd, J=16.6, 6.6Hz)、3.80(3H, s)、5.21(1H, dddd, J=6.6, 6.6, 3.7, 3.7Hz)、6.13(1H, broad)、6.86(1H, d, J=8.3Hz)、6.90(1H, dd, J=8.3, 2.2Hz)、6.95(1H, d, J=2.2Hz)、7.14−7.18(2H, m)、7.19−7.23(2H, m)
【0025】
<実施例2>
錠剤の製造
30gの(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン、乳糖253g、トウモロコシデンプン63g、低置換ヒドロキシプロピルセルロース40g、ステアリン酸カルシウム4gを混和し、通常の方法で圧縮して前記化合物10mgを含む錠剤を製造した。
【0026】
<実施例3>
カプセル剤の製造
30gの(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン、乳糖260g、トウモロコシデンプン66g、ステアリン酸カルシウム4gを混和した後、通常の方法でゼラチンカプセルに充填し、前記化合物10mgを含むカプセル剤を製造した。
【0027】
<実施例4>
吸入剤の製造
(−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オンをよく粉砕し、粒子径を1〜5μmとしたもの0.15gと乳糖(325メッシュ、ディー.エム.ブイ.社製)60gを混和する。通常の方法でカプセルに充填し、各カプセルが前記化合物50μgを含むようにする。吸入は粉末吸入容器にカプセルを装填して行う。
【0028】
<試験例1>
ホスホジエステラーゼ(PDE)の分離及びPDE阻害活性の測定
化合物のPDE阻害活性および選択性を調べるためにI型、III型、IV型及びV型の、4種類のPDEアイソザイムを準備した[Trends Pharmacol.Sci.,12,19−27(1992)]。I型PDEはシグマ社より購入したものを用いた。また、III型、IV型及びV型のPDEアイソザイムはラットより採取した血小板(III型およびV型)又は好中球(IV型)から部分精製した。各酵素源を20mMビストリス、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)2mM、PMSF(フェニルメチルスルフォニルフルオライド)0.1mM、2−メルカプトエタノール5mM、ペプスタチン0.001mM、ロイペプチン0.01mMを含む緩衝液(pH6.5)中でホモジナイズし、30000×Gで30分間遠心して得られた遠心上清をイオン交換カラム(Qセファロースファーストフロー、ファルマシア社製)にかけ、0〜1Mの酢酸ナトリウムで溶離した。部分精製したアイソザイムは各々既知の選択的阻害剤の効果を調べることによって同定した。
【0029】
被検物質はDMSO(ジメチルスルホキシド)中に溶解し、5mMの塩化マグネシウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液中に添加した。この反応液に上記のPDEアイソザイムおよびH−cAMP(III型、IV型PDEのとき)又はH−cGMP(I型、V型PDEのとき)を基質として加え、30℃で30分間反応させた。反応後100度の沸騰液中に5分間つけることによって反応を停止した。PDEによって生成したヌクレオチドは5’−ヌクレオチダーゼでH−アデノシンまたはH−グアノシンに分解し、未反応の基質と反応生成物はイオン交換カラム(QAEセファデックス、ファルマシア社製)を通して分離した。溶出したH−ヌクレオシドの放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。各被検物質の阻害活性はIC50値(μM)で表し、IV型に対する阻害活性を表2に示した。また、各被検物質のI型、III型、V型に対する阻害活性はIV型に対する阻害活性の10分の1以下であった。
【0030】
【表2】
Figure 2004002256
【0031】
<試験例2>
抗原誘発気道収縮抑制作用(抗喘息作用)
ハートレイ系雄性モルモットに卵白アルブミン(OA)を35mg筋肉内投与して感作し、4日後に同様に追加感作を行った。初回感作から25〜29日後、ペントバルビタール麻酔したモルモットに気管カニューレを挿入して人工呼吸を施した。Konzett−Roessler法により気道抵抗をモニターし、OA0.05mg/kg静脈内投与で惹起される気道抵抗の増加を調べた。被検物質は0.5%カルボキシメチルセルロースに懸濁して抗原投与の45分前に十二指腸内投与した。本発明の化合物の効果をED50値で表し、表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 2004002256
【0033】
<試験例3>
アレルギー性結膜炎モデルに対する改善作用
実験にはウイスター系のラット(日本クレア)を使用した。ラットに卵白アルブミン(OA、シグマ社製)100μgと10mg水酸化アルミニウム(Alum、PIERCE社製)を1mLの生理食塩液に懸濁し、腹腔内投与することによって感作した。アレルギー性結膜炎は、感作日から3週目以降のラットを用い、生理食塩液で30mg/mLの濃度に調製したOAを10μL点眼することによって惹起した。薬物は、1.0%(w/v)の濃度で生理食塩液に懸濁し、OAで結膜炎を惹起する10分前に点眼した(陽性対照薬としてジフェンヒドラミンを0.3%(w/v)の濃度で生理食塩液に懸濁し、OAで結膜炎を惹起する10分前に点眼した)。
薬物の効果は、OA点眼後から20分間に観察された、後肢で眼瞼を引っ掻く仕草(Itch−Scratch response:痒みの指標と考えられる)の回数を測定し、下記式より痒みの抑制率を求めた。
【0034】
コントロール群:予め感作したラットにOAで結膜炎を惹起する10分前に生理食塩水を点眼した。
無処置群:感作していないラットに生理食塩水を点眼した。
計算式:
【数1】
Figure 2004002256
その結果、(−)−体は例数5で71.4%の抑制率を示した。
【0035】
<試験例4>
TNF−α産生抑制作用
ラットをペントバルビタール麻酔下にてヘパリン処置した試験管に採血を行った。採血した血液と等量のRPMI−1640培地を加え、24well plateに分注し、溶媒(DMSO)、または、溶媒に溶かした被験薬を添加し、30分間、37℃、5%COでプレインキュベーションを行った。反応はLPS(リポポリサッカライド)を添加して開始し、4時間、37℃、5%COでインキュベーションを行い、氷浴にて反応を停止した。反応停止後、3000rpm、4℃、15分間遠心分離し、上清中のTNF−αをELISA法にて測定した。被験薬の活性は溶媒対照群に対する産生抑制率を求め、TNF−α産生を50%抑制する被験薬濃度を求め評価した。
その結果、(−)−体のIC50(μM)は0.11であった。
【0036】
<試験例5>
NK受容体拮抗作用
ヒト型NK受容体を発現させたCHO細胞を25mM Tris−HCl、6mM MnCl、1mM EDTA、10μM PMSFを含むpH7.4の緩衝液中でホモジナイズし、800×gで10分間遠心した。上清を100000×gで1.0時間遠心し、得られた沈渣を上記緩衝液中に再度懸濁した。タンパク量を測定後、0.02mg protein/mLになるように、20mM HEPES、1.0mM MnCl、0.01%BSAを含むpH7.4の緩衝液で希釈し、NK受容体標本として使用した。
NK受容体への親和性は、[H]SR140333のbindingの阻害を測定することによって求めた。前述したNK受容体標本にDMSO中に溶解した被験物質及び[H]SR140333(最終濃度0.25nM)を加え、25℃で90分間インキュベートした後、グラスフィルターで吸引濾過し、1mLの50mM Tris−HCl緩衝液pH7.4で3回洗浄後、フィルター上の放射能活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。尚、被験物質は最終濃度で10μM添加し、[H]SR140333のバインディング阻害活性を測定した。
その結果、(−)−体はほぼ100%の抑制率を示した。
【0037】
<試験例5>
モルモット摘出気管支のサブスタンスP(NK)収縮に対する抑制作用
体重330〜496gのハートレイ系雄性モルモットを脱血屠殺後に気管を摘出し、鎖状標本を作製した。これを95% O + 5% COの混合ガスを通気した3μMインドメタシンを含むKrebs−Henseleit液を満たしたorgan bath中に1gの負荷で懸垂した。標本の収縮反応はFDピックアップ及びひずみ圧力アンプを介してペンレコーダーで記録した。標本が安定した後、サブスタンスPを10−9〜10−5Mの濃度となるよう低濃度から累積添加して収縮反応を確認した。標本をKrebs−Henseleit液で数回洗浄した後、本発明化合物を添加して20分間作用させた。その後、サブスタンスPを累積添加して収縮を惹起した。
その結果、(−)−体はモルモットの摘出気管支におけるサブスタンスP誘発収縮のグラフを用量依存的に右側にシフトさせ、拮抗的な阻害作用を示した。
【0038】
【発明の効果】
本発明の化合物はラセミ体に比べて約2倍のホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害作用及び抗喘息作用を有しており、またラセミ体に比べて水に対する溶解性が著しく高いことから、喘息、慢性閉塞性肺疾患等の炎症性疾患などの治療及び/又は予防のための医薬の有効成分として極めて有用である。

Claims (7)

  1. (−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン又はその水和物若しくはその溶媒和物。
  2. (−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン並びにその水和物及びその溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む医薬。
  3. 有効成分である上記の物質と製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態の請求項2に記載の医薬。
  4. 炎症性疾患の治療及び/又は予防のための請求項2又は請求項3に記載の医薬。
  5. 喘息の治療及び/又は予防のための請求項2又は請求項3に記載の医薬。
  6. 慢性閉塞性肺疾患の治療及び/又は予防のための請求項2又は請求項3に記載の医薬。
  7. (−)−6−[3−(2−インダニルオキシ)−4−メトキシフェニル]−6−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3−オキサジン−2−オン並びにその水和物及びその溶媒和物からなる群から選ばれる物質を含むホスホジエステラーゼIV阻害薬。
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