JP2003534673A - 単一チップcmos送信機/受信機およびその使用方法 - Google Patents

単一チップcmos送信機/受信機およびその使用方法

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    • H03F2200/372Noise reduction and elimination in amplifier

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  • Control Of Amplification And Gain Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 送信機および受信機を含む単一チップRF通信システムおよび方法を提供する。本発明に係るRF通信システムは、RF信号の受信/送信が可能なアンテナ、搬送周波数と異なる周波数を有する多相クロック信号および搬送周波数を有する基準信号を生成するPLL、受信したRF信号と、搬送周波数と異なる周波数を有する多相クロック信号を混合し、搬送周波数に対して低減された周波数を有する信号を出力する復調ミキサ、選択されたチャンネル信号を必要なダイナミック・レベルに増幅する2段階増幅、および混合ユニットからのRF信号をデジタル信号に変換するA/D変換ユニットを含むことができる。この2段階増幅は、隣接チャンネルの信号の方がより大きな振幅もしくは電力を伴って復調ミキサから出力された場合でも、選択された信号を充分な利得をもって提供することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の背景] (1.発明の分野) 本発明は、通信システムに関し、特にCMOS無線周波数(RF)通信システ
ムに関する。
【0002】 (2.関連技術の背景) 今日の無線周波数(RF)通信システムは、PCS通信ならびにIMTシステ
ムを含めた多様な応用を有する。システムのCMOSチップ集積化それ自体も、
コスト、サイズならびに消費電力の低減が追及されてきている。
【0003】 概して、RF通信システムは、RFフロントエンド・ブロックおよびベースバ
ンド・デジタル信号処理(digital signal processing:DSP)ブロック、も
しくはベースバンド・モデム・ブロックからなる。現在のところベースバンドD
SPブロックは、低コスト、かつ低電力のCMOSテクノロジを用いてインプリ
メントすることができる。しかしながら、RFフロントエンドについては、速度
、帯域幅、およびノイズ特性における限界、すなわち一般的なRF通信システム
の速度、周波数ならびにノイズ仕様に達しないという限界からCMOSテクノロ
ジによるインプリメンテーションが可能でない。
【0004】 たとえば、PCSハンドフォン・システム(PCS hand-phone systems)は、2
.0GHzを超える周波数において動作するが、現在のCMOSテクノロジが、
速度ならびにノイズという意味に関して信頼性をもって動作し得る周波数は、最
大でも約1.0GHzである。したがって、RFフロントエンド・ブロックは、
バイポーラ、bi−CMOS、もしくはGaAsテクノロジを使用してインプリ
メントされており、これらはCMOSテクノロジより速度、帯域幅、およびノイ
ズ特性において優れているが、より高価であり、消費電力も大きい。
【0005】 現在、「ダイレクト変換」およびスーパーヘテロダイン(ダブル変換)と呼ば
れる2つの異なるタイプのRFアーキテクチャがCMOS・RF通信システムに
使用されている。これらのアーキテクチャは、いずれもCMOSインプリメンテ
ーションという意味において利点ならびに欠点を有する。
【0006】 図1は、関連技術のダイレクト変換RF通信システム100を示している。こ
の関連技術のダイレクト変換CMOS・RFシステム100は、アンテナ105
、RFフィルタ110、低ノイズ増幅器(low noise amplifier:LNA)12
0、フェイズロックループ(phase-locked loop:PLL、位相同期ループ)1
30、第1のミキサ140、第2のミキサ142、第1および第2の増幅器15
0、152、第1のローパスフィルタ(low pass filter:LPF)160、第
2のLPF162、それぞれが自動利得コントロール(automatic gain control
:AGC)ループを含む第1および第2の可変利得増幅器(variable gain ampl
ifiers:VGA)170、172、第1のアナログ/デジタル(A/D)コンバ
ータ180、第2のA/Dコンバータ182、第3のミキサ190、および電力
増幅器192を含んでいる。
【0007】 アンテナ105は、RF信号を受信する。受信されたRF信号は、各種のRF
帯域からなる。その後、選択されたRF信号がRFフィルタ110においてフィ
ルタリングされる。つまり、帯域外RF信号(たとえば無関係なRF帯域)がR
Fフィルタ110によって除去される。フィルタリングされた帯域内RF信号は
、LNA120において利得を伴って増幅される。しかしながら、この帯域内R
F信号は、帯域内チャンネル、および可能性としてはイメージ帯域からなり、図
1および2においてはそれがAとして示されている。LNA120を通過する帯
域内RF信号は、LO周波数が搬送周波数に等しいことから、第1および第2の
ミキサ140および142において、直交乗算によってベースバンド信号にダイ
レクトに復調される。PLL130は、電圧コントロール・オシレータ(VCO
)を用いて、好ましくは2つのタイプのクロック信号、すなわちIクロック信号
およびQクロック信号を生成する。Iクロック信号およびQクロック信号は、位
相が異なることを除けば等しい。I信号とQ信号は、好ましくは90度の位相差
を有する。言い換えるとQ信号は、直交位相シフトに関して位相シフトされたI
信号である。好ましくは、2セットのI信号およびQ信号を使用して、RFシス
テムの有用性を向上させ、ノイズならびに干渉にかかわりなく、受信した情報の
識別もしくは維持を行う。異なる位相を有する2つのタイプの信号を送信するこ
とは、情報の喪失もしくは変化の確率を低減することになる。
【0008】 図1および2のBに示されるように、ダウン‐コンバートされた信号は、所望
のチャンネル、隣接チャンネル、およびアップ‐コンバートされた信号を含んで
いる。ダウン‐コンバートされた信号は、ローパスフィルタ(LPF)160、
162からのノイズ注入による信号対ノイズ比(SNR)の過大な劣化を防止す
るために、増幅器150、152によって増幅された後にLPF160、162
に通されるが、図1および2においてはそれがCとして示されている。LPF1
60、162から出た信号は、それぞれ可変利得増幅器(variable gain amplif
iers:VGA)170、172によって増幅され、それぞれ、第1および第2の
A/Dコンバータ180、182におけるA/D変換に求められる信号となる。
しかしながら、所望のチャンネルが必要レベルまで増幅される前に、隣接チャン
ネルが線形限界に到達してしまう可能性があることから、所望チャンネルを線形
限界によって許容される最大レベルまで増幅することができない。このように、
関連技術のダイレクト変換アーキテクチャ100においては、隣接チャンネルの
電力の増加に従って全チャンネルの増幅が抑えられ、それが結果的にSNRの低
下ももたらしている。図1および2におけるDに示されるように、LPF160
、162は、大きなノイズ・フロアを出力し、それがLPF160、162によ
って所望のチャンネルに追加される。したがって、図1および2におけるEに示
されるように、A/D変換に先行して所望チャンネルが必要レベルまで増幅され
るとき、所望チャンネルならびにノイズ・フロアがともに増幅される。
【0009】 その後、デジタル信号がベースバンドの離散時間信号処理(discrete-time si
gnal processing:DSP)ブロック(図示せず)に転送される。チャンネル選
択は、フェイズロックループ(PLL)130における周波数fを変更するこ
とによって行われる。
【0010】 前述したように、関連技術のダイレクト変換RFシステム100は、その単純
さを理由としてCMOS・RF集積化のための利点を有する。関連技術のダイレ
クト変換RFシステムにおいては、単一のPLLだけが求められる。しかも、関
連技術のダイレクト変換RFシステムにおいては、高品質フィルタが必要とされ
ない。しかしながら、関連技術のダイレクト変換アーキテクチャは、単一チップ
集積化が困難もしくは不可能であるという欠点を有する。図3Aに示されるよう
に、VCO等の局部発振器(LO)からのクロック信号cos ωLOtが、ミ
キサ入力ないしはアンテナに漏れることがあるが、局部発振器(LO)がRF搬
送波と同じ周波数を有することから、それにおいて放射を生じる可能性がある。
意図しない送信クロック信号Δ(t)cos ωLOtは、近隣の物体によって
反射され、ミキサによって「再受信」されることもある。ローパスフィルタは、
クロック信号の漏れを原因として、信号M(t)+Δ(t)を出力する。図3B
に示されるように、局部発信機との自己混合は、ミキサの出力において時間的に
変化するDCオフセットあるいはDCオフセットの「ふらつき」といった問題を
招く。時間的に変化するDCオフセットは、固有の回路オフセットとともに、受
信機部分のダイナミックレンジを著しく狭める。さらに、前述したように、関連
技術のダイレクト変換RFシステムは、高周波、低位相ノイズのPLLをチャン
ネル選択のために必要とするが、CMOS電圧コントロール・オシレータ(VC
O)を用いてこれを達成することは困難である。
【0011】 図4は、ダブル変換アーキテクチャに係る関連技術のRF通信システム400
のブロック図を示しており、これにおいては可能性のあるすべてのチャンネルが
考慮され、同調可能なチャンネル選択PLLの使用によって、まずRFからIF
へ、続いてIFからベースバンドへの周波数変換が行われる。図4に示されるよ
うに、このRF通信システム400は、アンテナ405、RFフィルタ410、
LNA420、IRフィルタ425、フェイズロックループ(PLL)PLL1 430、第1のミキサ435、IFフィルタ440、IF・VGA450、P
LL2 460、第2のミキサ465、LPF470、A/Dコンバータ480
、第3のミキサ490、および電力増幅器492を含んでいる。
【0012】 ミキサ435、465は、いずれも復調用のミキサであるが、ミキサ490は
変調用のミキサである。ミキサ435は、選択されたRF周波数用のミキサであ
り、ミキサ465は、中間周波数(intermediate frequency:IF)用のミキサ
である。PLL1 430は、高い周波数、つまりRF周波数のクロック信号を
生成し、PLL2 460は、低い周波数、つまり中間周波数(IF)を有する
クロック信号を生成する。
【0013】 送信データは、ミキサ490によって、オリジナルの送信データ周波数を持つ
ように、PLL430からの高い周波数を有するクロック信号を用いた乗算が行
われる。ミキサ490の出力信号は、電力増幅器492において利得を伴った増
幅が行われ、その後、アンテナ405を介して放射される。
【0014】 次に、関連技術のスーパーヘテロダイン受信機の動作について説明する。まず
RF信号が、アンテナ405によって受信される。受信されたRF信号は、各種
のRF周波数帯を含んでいる。RFフィルタ410が、帯域外RF信号をフィル
タ・アウトし、LNA420が、帯域内信号および可能性としてはイメージ帯域
からなる帯域内RF信号の増幅を行うが、それを図4および5のAに示す。イメ
ージ帯域は、図4および5のBに示されるように、イメージ除去(IR)フィル
タ425によってフィルタ・アウトされる。この除去を行わないと、イメージ帯
域が、ミキサ435およびPLL1 430の組み合わせによる第1のダウン・
コンバージョンの後に、帯域内RF信号と混合されることになる。したがって、
帯域内RFチャンネルが、図4および5のCに示されるように、局部発振器信号
LO1を使用するミキサ435において、第1のダウン・コンバージョンによっ
てIF周波数にダウン・コンバートされる。PLL1 430は、RF信号のI
信号用、およびRF信号のQ信号用の局部発振器信号を生成する。
【0015】 バンドパスIFフィルタ440は隣接チャンネルを除去し、その結果、図4お
よび5のDに示されるように、所望の、あるいは専用のチャンネルがIF周波数
において支配的な電力レベルを有することになる。IF・VGA450は、AG
Cループを含んでおり、IF周波数における専用チャンネルを増幅し、下流にあ
るLPF470の大きなノイズ・フロアに打ち勝つ充分に大きな振幅を持たせる
。AGCループは、IF・VGA450の出力の振幅を連続的に検出して、その
VGA利得をコントロールし、その結果、線形限界によって許容される最大振幅
を獲得することが可能になる。このように、デュアル変換受信機は、IFフィル
タリングおよび増幅によって、図4および5のEに示されるように、必要なSN
Rを達成することができる。IF・VGA450によってIF増幅が行われる前
にIFフィルタ440によるフィルタリングが行われることから、隣接チャンネ
ルがIF増幅のボトルネックまたは問題点となることはない。しかしながら、I
F増幅の前に隣接チャンネルの除去が行われないときには、専用チャンネルを最
大レベルまで増幅する前に、隣接チャンネルが線形限界に到達する可能性がある
ことから、専用チャンネルを最大値まで増幅することができない。
【0016】 増幅後のRF信号は、PLL2 460からの局部発振器信号LO2を使用す
る第2のダウン・コンバージョン・ミキサ465によって再度ダウン・コンバー
トされ、図4および5のFに示されるように、ベースバンドに変換される。ロー
パスフィルタ470は、アップ・コンバートされた信号および残りの隣接チャン
ネルを出力し、それを図4および5のGに示すが、それにはLPF470によっ
て追加されるノイズ・フロアが示されている。A/Dコンバータ480は、この
信号をデジタル・データに変換し、その後それがベースバンドの離散時間信号処
理(DSP)ブロック(図示せず)に転送される。IF段のすべてのチャンネル
は、チャンネル選択用の同調可能なPLL2 460によって、ベースバンド周
波数にダイレクトに周波数変換される。
【0017】 前述したように、関連技術のスーパーヘテロダインRFシステム400は、各
種の利点を有する。関連技術のダブル変換RF通信システム400は、より高い
周波数の(つまりRFの)第1のPLL430ではなく、より低い周波数の(つ
まりIFの)第2のPLL460を使用してチャンネル同調を行う。したがって
、高い周波数のRF・PLL430を周波数が固定されたPLLとすることが可
能であり、それによってより効果的な最適化が可能になる。さらに、より低い周
波数において動作するIF・PLL460を用いてチャンネル同調が行われるこ
とから、チャンネル選択に対する位相ノイズの寄与を抑えることができる。しか
しながら、関連技術のダブル変換RFシステム400は、単一チップ集積化に関
して克服しなければならない各種の欠点も有する。関連技術のダブル変換RFシ
ステム300は、2つのPLLを使用するが、それらを単一チップ内に集積化す
ることは困難である。さらに第1のPLLは、CMOSテクノロジ、特にCMO
S・VCOを用いたインプリメンテーションにとっては周波数が高すぎる。それ
に加えて、第2のPLLが、IFの所望搬送波と同一の周波数にあることから、
これにおいても自己混合の問題が生じる。第2のミキサの出力信号が基板に漏れ
る可能性、あるいは再度それが第2のミキサに漏れる可能性がある。時間的に変
化するDCオフセットは、固有の回路オフセットとともに、受信機部分のダイナ
ミックレンジを著しく狭める。さらにまた、IRフィルタならびにIFフィルタ
のCMOS集積化は、非常に困難もしくは不可能である。
【0018】 関連技術のCMOS低ノイズ増幅器(LNA) 関連技術のCMOS・LNAは、各種の欠点を有する。スパイラル・インダク
タ等のオンチップ・インダクタの使用によって関連技術のCMOS・LNA用の
インダクタンスのインプリメンテーションを行う場合、オンチップ・スパイラル
・インダクタは、必要なパフォーマンス特性を提供することができず、また大量
製造の間においても許容可能な歩留まりをもたらすことができない。関連技術の
CMOS・LNA用のインダクタンスをオフチップ・インダクタ・エレメントに
求めれば、オフチップ・インダクタによって、より複雑な製造プロセス、および
ボード・レイアウトがもたらされる可能性があり、CMOS・RF通信システム
等の全体的なシステムにおけるコストの上昇を招きかねない。さらに、オフチッ
プ・エレメントに対して必要となる接続が、パフォーマンス特性を低下させるこ
とになる。
【0019】 関連技術のCMOS電圧コントロール・オシレータ(VCO)およびミキ
サ構造 前述したように、各種の応用にとっては、周波数レンジが広いこと、および位
相ノイズが低いことが望ましい。しかしながら、CMOS・VCOミキサ構造は
、信頼性のある位相ノイズならびに周波数レンジを伴おうとすれば、最大でも1
GHzの周波数しかサポートすることができない。VCOミキサ構造のパフォー
マンスは、VCOからのクロック信号LO+およびLO−の周波数が増加するに
従って、位相ノイズならびに周波数レンジという意味においてさらに悪化する。
したがって、VCOおよびミキサ構造は、クロック信号LO+およびLO−の周
波数fが1GHzを超える場合には、信頼性をもってインプリメントすること
ができない。
【0020】 関連技術のCMOS自動利得コントロール・ループ 関連技術のダイレクト変換受信機は、DCオフセット・キャンセルを必要とす
る。DCオフセット・キャンセルのための従来技術のアプローチは、利得段に組
み込まれたDCオフセット電圧のハイパスフィルタリングを使用する。ハイパス
フィルタの集積化は、コーナー周波数およびDCオフセット除去の量に依存する
。DCオフセットのスペクトルがゼロ周波数の近傍に限定されることから、また
ハイパスフィルタが所望信号を減損させてはならないことから、望ましいコーナ
ー周波数は、可能な限り低くする必要がある。DCオフセット・キャンセル・ル
ープのキャパシタンスCは、コーナー周波数fが低くなるに従って、また開ル
ープ順方向利得Aが増加するに従って増加する。キャパシタンスCは、通常、
数百nFに到達し、このような値のキャパシタを単一チップ上に集積することは
困難である。このため、一般にはチップの外にキャパシタが配置されることにな
る。残念ながら、オフチップ・キャパシタをチップに配線するとき、フィードバ
ック・ループが構成され、ボンド・ワイヤ結合を介して無視できない量のノイズ
が追加される。このノイズは、信号の完全性を損なうことになり、また信号対ノ
イズ比(SNR)を低下させる。
【0021】 関連技術のCMOSフェイズロックループ(PLL) 現在のVCO・CMOSテクノロジが、速度ならびにノイズという意味に関し
て信頼性をもってサポートできる周波数は、最大でも約1.0GHzである。局
部発振器クロック信号LO+およびLO−の周波数fが1GHzを超えて上昇
することから、CMOS・VCOをインプリメントすることはできない。しかし
ながら、PCS等の商業的応用に充分な低位相ノイズを得るためであれば、LC
共振オシレータの位相ノイズ・パフォーマンスが、CMOSリング‐オシレータ
・タイプのVCOより良好であることから、それが使用される。関連技術のVC
Oは、各種の欠点を有する。RF受信機または通信システムのCMOS単一チッ
プ集積化の場合は、集積化されたスパイラル・インダクタがVCO発振に充分な
高さのQファクタを有していなければならないことから、大量製造に見合う歩留
まりを伴うスパイラル・インダクタのオンチップ・インプリメンテーションが達
成されていない。オンチップ・スパイラル・インダクタについては、基板に分布
する損失をもたらす抵抗に起因して、高いQファクタに関する製造歩留まりの達
成が困難になる。
【0022】 関連技術のCMOS同調回路 関連技術のアプローチにおいては、高いQファクタがマスタとスレーブの間に
不充分な整合をもたらす可能性があり、あるいはgm‐C積分器の入力を外部の
オシレータから取り込み、その出力をOTAセルから取り込むことも可能である
が、それによってタイミングが不正確になる可能性がある。
【0023】 以上の引用箇所は、追加または他の形態の詳細、特徴および/または技術的背
景を適切に教示するために適切な場合は、本明細書において参照して援用する。
【0024】 [発明の概要] 本発明の目的の1つは、少なくとも上記の問題点および/または欠点を解決し
、かつ少なくともこの後に述べる利点を提供することにある。
【0025】 また本発明の他の目的は、単一チップCMOS送信機/受信機を提供すること
、および関連技術の問題点ならびに欠点の1ないしは複数を実質的に除去する方
法を提供することにある。
【0026】 さらに本発明の他の目的は、CMOS・RFフロントエンドを製造すること、
およびRF通信システムの単一チップ集積化を可能にするその使用のための方法
を提供することにある。
【0027】 さらにまた本発明の他の目的は、RF通信システムを提供すること、およびコ
ストおよび電力要件の低減を伴う方法を提供することにある。
【0028】 さらにまた本発明の他の目的は、信頼性があり、高速かつ低ノイズのCMOS
・RF通信システムを提供すること、およびそれを使用する方法を提供すること
にある。
【0029】 さらにまた本発明の他の目的は、RF通信システムのRFフロントエンドの周
波数レンジを増加することにある。
【0030】 さらにまた本発明の他の目的は、ダイレクト変換RF通信システムを提供する
こと、および隣接チャンネルの電力レベルと無関係に指定SNRを提供する方法
を提供することにある。
【0031】 さらにまた本発明の他の目的は、選択的な2段階増幅を使用して、選択された
RFチャンネルのための所望の利得を満たし、かつより大きな隣接チャンネルを
除去する単一チップのCMOS・RF受信機に関するベースバンド構造を提供す
ることにある。
【0032】 少なくとも上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため
、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように、
ダイレクト変換通信システムが提供されており、当該システムは、搬送周波数を
有する選択された信号を含む信号を受信する受信機ユニット、受信した搬送周波
数の選択された信号を混合し、ベースバンドの選択された信号を出力する復調ミ
キサ、およびベースバンドの選択された信号を受け取り、選択的に帯域内信号を
所定の振幅に増幅する、第1および第2段のAGC増幅器を含むベースバンド増
幅回路を包含する。
【0033】 さらに上記の目的をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目
的に従って、単一チップRF通信システムが提供されており、当該システムは、
RF信号の受信および送信を行うトランシーバ、fを搬送周波数とし、Nを正
の整数とするとき、実質的に同一の周波数2×f/Nを有する複数の2N相の
クロック信号を生成するためのPLL、トランシーバからのRF信号と、PLL
からの複数の2N相のクロック信号を混合し、搬送周波数fに対して低減され
た周波数を有するRFを出力する復調ミキサであって、複数の2入力ミキサを包
含する復調ミキサ、復調ミキサに結合されたAGCループ、AGCループに結合
された利得マージ・フィルタ、および利得マージ・フィルタに結合され、復調ミ
キサからのRF信号をデジタル信号に変換するA/D変換ユニットを包含する。
【0034】 さらに上記の目的をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目
的に従って、RF通信システムを動作させる方法が提供されており、当該方法は
、搬送周波数を有する選択された信号を含む信号を受信するステップ、2を超え
る数の多相クロック信号であって、搬送周波数と異なり、かつ互いに実質的に同
一の周波数を有する多相クロック信号を生成するステップ、受信した選択された
信号と、前記2を超える数の多相クロック信号を混合して、搬送周波数から低減
された周波数を有する復調後の選択された信号を出力するステップであって、第
1の搬送周波数信号および第2の搬送周波数信号のうちの一方を復調するために
、前記2を超える数の多相クロック信号のうちのいくつかが混合されるものとし
たステップ、復調後の選択された信号を、選択されたチャンネルおよび隣接チャ
ンネルのうちの一方が線形限界に到達するまで増幅するステップ、および隣接チ
ャンネルの増幅ならびにフィルタリングを行い、かつ選択されたチャンネルを所
望のダイナミックレンジまで増幅するステップを包含する。
【0035】 また本発明の他の目的は、インダクタを伴わずに構成されるLNAを提供する
ことにある。
【0036】 さらに本発明の他の目的は、スパイラル・タイプのオンチップ・インダクタを
伴わずに構成されるCMOS・LNAを提供することにある。
【0037】 さらにまた本発明の他の目的は、コストを抑えたCMOS・LNAを提供する
ことにある。
【0038】 さらにまた本発明の他の目的は、インダクタを伴わないLNAを使用するCM
OS・RF通信システムを提供することにある。
【0039】 さらにまた本発明の他の目的は、大量製造のためのよりシンプルなプロセスお
よび向上した歩留まりを有するCMOS・LNAを提供することにある。
【0040】 さらにまた本発明の他の目的は、第1および第2の利得コントロール段を有す
るCMOS・LNAを提供することにある。
【0041】 さらにまた本発明の他の目的は、向上したダイナミックレンジを有するCMO
S・LNAを提供することにある。
【0042】 さらにまた本発明の他の目的は、それぞれが第1および第2の対称回路を含む
第1および第2の利得コントロール段を有するCMOS・LNAを提供すること
にある。
【0043】 さらにまた本発明の他の目的は、それぞれが第1および第2の対称回路を含む
第1および第2の利得コントロール段を有し、対称フル‐アップならびにフル‐
ダウン・オペレーションを可能にするCMOS・LNAを提供することにある。
【0044】 少なくとも上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため
、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように、
CMOS低ノイズ増幅器(LNA)が提供されており、当該CMOS・LNAは
、入力端子と出力端子の間に結合される複数の増幅段、および複数の増幅段のそ
れぞれに結合される利得コントローラを包含しており、スパイラル・インダクタ
が含まれていない。
【0045】 また本発明の他の目的は、単一基板上におけるVCOミキサおよびそれを使用
する方法を提供することにある。
【0046】 さらに本発明の他の目的は、ミキサ装置およびその方法における周波数レンジ
を増加することにある。
【0047】 さらにまた本発明の他の目的は、ノイズを低減したミキサおよびそれを使用す
る方法を提供することにある。
【0048】 さらにまた本発明の他の目的は、ミキサ構造のパフォーマンスを向上させるこ
とにある。
【0049】 さらにまた本発明の他の目的は、対称スイッチ構造を有するシングル/ダブル
・バランス・ミキサおよびその方法を提供することにある。
【0050】 さらにまた本発明の他の目的は、RF通信受信機を単一基板上に構成すること
にある。
【0051】 さらにまた本発明の他の目的は、単一基板上に多相ミキサを含むRF通信送信
機およびその方法を提供することにある。
【0052】 これらの利点を達成するため、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ
広範に記述されているように回路が提供されており、当該回路は、異なる位相を
有する複数の第1のクロック信号であり、それぞれが基準周波数より低い第1の
周波数を有する複数の第1のクロック信号を受け取るミキサであって、複数の第
1のクロック信号を混合して、より高い第2の周波数を有する複数の局部発振器
信号を生成し、かつ複数の局部発振器信号と入力信号の乗算を行って出力端子に
出力信号を提供するミキサを包含する。
【0053】 また本発明の他の目的は、DCオフセット・キャンセル装置を提供することに
ある。
【0054】 さらに本発明の他の目的は、より低いコーナー周波数、および高いDCオフセ
ット電圧除去を同時に提供することにある。
【0055】 さらにまた本発明の他の目的は、単一チップ・バイパス・フィルタを提供する
ことにある。
【0056】 さらにまた本発明の他の目的は、利得段の数を増加させるときの、AGCルー
プの合計のキャパシタンスを下げることにある。
【0057】 これらの利点を達成するため、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ
広範に記述されているように、本発明の構造は、入力RF信号を受け取り、かつ
増幅する、直列に接続された複数の利得段、および利得段の個々の1つ対応する
フィードバック・ループであって、それぞれの利得段の出力ポートおよび入力ポ
ートに結合されて、オフセット電圧のフィルタリングを行う複数のフィードバッ
ク・ループを包含する。
【0058】 また本発明の他の目的は、シングルCMOSチップ上においてPLLを含むR
F通信システムを構成することにある。
【0059】 さらに本発明の他の目的は、PLLの周波数レンジを増加することにある。
【0060】 さらにまた本発明の他の目的は、PLLのノイズを低減することにある。
【0061】 さらにまた本発明の他の目的は、PLLのパフォーマンスを向上させることに
ある。
【0062】 さらにまた本発明の他の目的は、CMOSリング・オシレータの位相ノイズを
最小化することが可能なPLLのためのCMOS・VCOを提供することにある
【0063】 さらにまた本発明の他の目的は、短縮もしくは最小化された立ち上がり‐立ち
下がり時間を伴う大振幅信号を出力することができるVCOを提供することにあ
る。
【0064】 さらにまた本発明の他の目的は、VCOの供給ノイズ効果を低減もしくは最小
化することにある。
【0065】 さらにまた本発明の他の目的は、帯域幅およびスペクトル・パフォーマンスを
向上したPLLのためのプリスケーラを提供することにある。
【0066】 さらにまた本発明の他の目的は、分数スパー(fractional-spur:以下単に「
分数スパー」とする)問題を除去する分数N(fractional-N:以下単に「分数N
」とする)プリスケーラ・アーキテクチャを提供することにある。
【0067】 上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発
明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように回路が提供さ
れており、当該回路は、異なる位相を有する複数の第1のクロックであって、そ
れぞれが基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロックを生成
するクロック・ジェネレータ、および、前記クロック・ジェネレータに結合され
、複数の第1のクロック信号を受け取り、分周されたクロックの第2のクロック
信号を生成するプリスケーラを包含する。
【0068】 また本発明の他の目的は、周波数もしくはQファクタの要件から制限を受けな
いマスタ・スレーブ回路を提供することにある。
【0069】 さらに本発明の他の目的は、多相フィルタを使用するマスタ・スレーブ同調回
路を提供することにある。
【0070】 さらにまた本発明の他の目的は、マスタ・スレーブ・フィルタ内において比較
される第1のフィルタおよび第2のフィルタに関して同一の電気的特性を有する
gm‐C多相フィルタを提供することにある。
【0071】 さらにまた本発明の他の目的は、同一回路によって提供されるハイパスフィル
タおよびローパスフィルタからの出力信号を有するgm‐C多相フィルタを提供
することにある。
【0072】 さらにまた本発明の他の目的は、向上した精度を伴うマスタ・スレーブ同調回
路を提供することにある。
【0073】 さらにまた本発明の他の目的は、精度が向上し、かつ構成が簡素化された、よ
り堅牢なマスタ・スレーブ同調回路を提供することにある。
【0074】 上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発
明の目的に従って同調回路が提供されており、当該同調回路は、スレーブ・フィ
ルタ・ブロック、およびスレーブ・フィルタ・ブロックに向けてコントロール信
号を出力するマスタ・フィルタ・ブロックを包含し、マスタ・フィルタ・ブロッ
クが、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタを含む第1のフィルタであって
、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタのそれぞれがコントロール信号を受
け取るものとする第1のフィルタ、ハイパスフィルタに結合される第1の整流器
、ローパスフィルタに結合される第2の整流器、および第1および第2の整流器
に結合され、コントロール信号を出力するコンバータを包含する。
【0075】 本発明のその他の利点、目的、および特徴は、その一部が以下の説明に示され
ており、また当業者であれば以下を精査することで明らかになり、あるいは本発
明を実施することで知得し得る。本発明の目的ならびに利点は、添付した特許請
求の範囲において特定されるように具現化し達成し得る。
【0076】 以下、図面を参照して本発明を詳細に説明するが、これらの図面においては、
類似の要素に類似の参照番号が用いられている。
【0077】 [好ましい実施態様の詳細な説明] CMOSテクニックを使用して構成される単一チップ無線周波数(RF)通信
システムは、次のような動作要件を満足する必要がある。CMOS電圧コントロ
ール・オシレータ(VCO)は、ノイズ特性が良好でない。したがって、CMO
Sフェイズロックループ(PLL)の組み込みが必要になる。しかしながら、P
LLの数を少なくし、かつPLLの中心周波数を、CMOS・VCOを使用した
結果としてもたらされる位相ノイズをコントロールするために、好ましくは送信
RF周波数から充分に離す(たとえば充分に低くする)。高品質フィルタは、C
MOS構成における関連の面積ならびに電力仕様上の不利益から、好ましくは除
去する。また、CMOS・RFシステム内のコンポーネント数は、パフォーマン
スの低下を伴うことなく、小さくするか、あるいは抑える必要がある。
【0078】 図6は、第1の好ましい実施態様とする「多相低減周波数」(MPRF)変換
RF通信システム600を示しており、これはシングルCMOSチップ上におい
て好適に構成することができる。この第1の実施態様は、1.8〜2.4GHz
といった優に1GHzを超える周波数において動作することが可能である。ここ
で「多相低減周波数変換」という用語を用いているが、これは、高い周波数を有
する単相周期信号が、多相低周波数周期信号を互いに組み合わせ、あるいは乗ず
ることによって好適に得られることによる。第1の好ましい実施態様のMPRF
変換RF通信システム600は、フロントエンドMPRF・RFブロック602
、およびデジタル信号処理(DSP)ブロック604を有し、好ましくはそれを
ベースバンドとする。前述したように、関連技術のDSPブロックは、CMOS
テクニックを使用して構成することができる。したがって、デジタル信号プロセ
ッサ650を含むDSPブロック604については、詳細な説明を省略している
【0079】 MPRF変換RFブロック602は、アンテナ605、RF受信機部分640
、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ690、D/Aコンバータ695、
およびミキサ660とアンテナ605の間に結合された電力増幅器670を含ん
でいる。受信機部分640は、変調ならびに復調クロックを生成、つまり局部発
振器(LO)周波数を生成し、その周波数fは、基準クロックによって決定さ
れる。
【0080】 図7は、受信機700の第1の好ましい実施態様を示したブロック図であり、
これは、受信機部分640として機能することができる。図7に示されるように
、受信機700は完全CMOSの低ノイズ増幅器710、N相ミキサ720A、
720B、多相(たとえば800MHz)LO信号(たとえばLO[0:11]
)を生成するPLL730、第1の自動利得コントロール(AGC)ループを伴
う可変利得増幅器(VGA)740A、740B、第2のAGCループを伴う利
得マージ(たとえば4つの3次Gm‐C楕円フィルタ)フィルタ750A、75
0B、多相フィルタ構成を伴うGm‐C同調回路760を含んでいる。Iチャン
ネルおよびQチャンネル信号のそれぞれは、アナログ・デジタル・コンバータ(
たとえば、4ビット・フラッシュのADC)770A、770Bのそれぞれに結
合されている。
【0081】 PLL730は、好ましくはN相の電圧コントロール・オシレータ(VCO)
732、位相周波数検出器(PFD)およびチャージ・ポンプ736、ループ・
フィルタ738、およびプリスケーラ734を含む。VCO732は、好ましく
はマルチフィードバック・ループVCOであり、それにおいては、VCO732
の各VCOセルが、好ましくは立ち上がり/立ち下がり時間が短い、大きなスイ
ングを含んでおり、広帯域の2.4GHz CDMA応用に充分な位相ノイズの
低減が得られる。プリスケーラ734は、好ましくは多相サンプリング分数Nプ
リスケーラであり、分数N演算を実行する一方、チャンネル帯域幅の内側におけ
る分数スパーを防止する。つまり、PLL730は、低位相ノイズの2.4GH
z W‐CDMAに充分な帯域幅を、そのチャンネル帯域幅の内側に分数スパー
を伴うことなく組み込む。
【0082】 図7に示されるように、PLL730は、7つの異なるチャンネル周波数用に
12相のLO信号(LO[0:11])を生成する。N相のミキサを、好ましく
は直交ダウン・コンバータとし、図7に示されるように、2つの6相シングル‐
バランス・ミキサ720A、720Bを含めるが、それにおいて一方はIチャン
ネル用、他方はQチャンネル用になる。たとえば、図7に示されるように、6相
のミキサ720Aは、800MHzの6相LO信号(LO[0,2,4,6,8
,10])をIチャンネル用に受信し、6相のミキサ720Bは、800MHz
の6相LO信号(LO[1,3,5,7,9,11])をQチャンネル用に受信
する。したがって、12相の直交ダウン・コンバータ720は、単相2.4GH
zのLO信号を受信するシングル‐バランス・ミキサの機能を提供する。この例
においては、ミキサ720A、720Bによって、CMOS・VCOが、搬送周
波数fの周波数2f/N(たとえば1/3)において多相クロック信号を提
供することが可能になる。つまり、VCO732が800MHzで動作すること
から、LOの支配的な電力およびそれに関連する漏れが2.4GHz(搬送波の
周波数)において生じることがない。このように、受信機700の第1の好まし
い実施態様においては、DCオフセットの量が、VCO732の2×f/N周
波数に起因して著しく低減される。
【0083】 図7に示されるように、ミキサ720A、720Bは、ベースバンドRF信号
を出力する。受信機700のベースバンド構造は、第1のAGCループ740A
および第2のAGCループ750Aを含んでいる。AGCループ740Aは、n
個のVGA段(たとえばn=7)742a、742b、...、742n、n個
のDCオフセット・キャンセル・ループ744a、744b、...、744n
(たとえばn=7)を含むカスケード接続されたDCオフセット・キャンセル・
ループ744、および第1のフィードバック・ループ746を含んでいる。自動
利得ループ・コントロール装置に関する追加の説明は、2000年11月6日に
出願された同時係属出願の米国特許出願番号(代理人整理番号:GCT‐11)
号に記載されており、その記載内容をここで参照して援用する。第2のAGCル
ープ750Aは、利得マージの4つの3次Gm‐C楕円フィルタ752、DCオ
フセット・キャンセル・ループ754、および第2のフィードバック・ループ7
56を含んでいる。第1のAGCループは、大きな隣接チャンネル条件が存在す
る場合に備えて、好ましくはチャンネル選択フィルタの手前において、所望チャ
ンネルが最大利得を達成することを可能にする。第2のAGCループは、好まし
くは、大きな隣接チャンネルのブロッカに起因して失われた所望チャンネルの利
得を補償する。受信機700のQチャンネル用の、ベースバンド構造の第1のA
GCループ740Bおよび第2のAGCループ(フィルタを伴う)750Bは、
Iチャンネルと類似の構成を有する。各フィードバック・ループは、ピーク検出
器746a、756a、チャージ・ポンプ746b、756b、およびループ・
フィルタ746c、756cを含んでいる。
【0084】 図8は、受信機700のベースバンド構造における信号の流れを図示している
。この図8を参照すると、2つの異なる状態が図示されている。第1の状態にお
いては、ミキサ720から、隣接チャンネル820の電力が所望チャンネル81
0の電力に等しいかそれより小さい入力RF信号805が受け取られる。受信機
700の第1の好ましい実施態様によれば、好ましくは、所望チャンネルが主と
して第1のAGCループ740から必要な利得を得る。第2の状態においては、
ミキサ720から、隣接チャンネル840の電力が所望チャンネル830の電力
より大きい(たとえば、実質的に大きい)入力RF信号825が受け取られる。
RF信号825を受け取ったとき、第1のAGCループ740は、隣接チャンネ
ルの電力840が許容線形限界に到達するまで、所望チャンネル830の増幅を
行う。第2のAGCループ750においては、AGCループがGm‐Cチャンネ
ル選択フィルタ内においてマージされ、それが所望チャンネルを、許容線形限界
によって制限される所望レベルに増幅する。選択的に、状態および第1および第
2の(たとえばカスケード結合された)AGCループ740、750の動作をコ
ントロールすることによって、RF信号825を受け取った場合であっても、所
望チャンネル内のRF信号が、RF信号805に対して有効な最大利得を受ける
ことができる。このように、受信機700のベースバンド構造の第1の実施態様
は、デュアル変換受信機によって提供される利得を得ることになる。
【0085】 上記に加えて、図8に示されるように、第1のAGCループ内のVGAループ
の最後のVGAから出力される出力信号が、VGA3に戻されている。しかしな
がら本発明には、このように限定されることが意図されていない。たとえば、こ
の出力信号をVGA1等のVGAループ内の先行する別のVGAに、あるいはす
べてのVGA段にループ・バックさせることもできる。
【0086】 図9は、受信機700の利得分布を示した概略図である。この図9を参照する
と、ケースIに、隣接チャンネル・ブロッカの振幅が帯域内信号に等しい(たと
えば、それ以下の)状態が示されている。図9に示されるように、受け取った帯
域内信号910は、最大検出可能信号(MDS)に等しい値を有している。同様
に、隣接チャンネル・ブロッカ920は、MDSに等しい初期値を有している。
図9のケースIに示されているように、帯域内信号910および帯域外信号92
0は、ともにRF段930による利得GRFdB(デシベル)を受け取る。好ま
しい実施態様においては、RF段930がLNA710およびN相ミキサ720
を含んでいる。つまり、図9のケースIにおけるポイントBに示されるように、
帯域内信号910および帯域外信号920は、ミキサ720の出力端子において
は(MDS+GRF)dBを有する信号になる。なおGRFは、RFセクション
930によって提供されるRF利得として定義される。
【0087】 AGC 940は、第1段AGCであり、帯域内信号910および帯域外信号
920をともに、特定の線形限界932まで増幅する。ケースIにおいては、隣
接チャンネル・ブロッカ(たとえば帯域外信号920)によって帯域内信号91
0が充分な増幅を受けることが妨げられない。つまり、帯域内信号910および
帯域外信号920がともに、第1のAGCループ段940の出力端子において(
MDS+GRF+GAGC)dBmまで増幅される。ただし、GAGCは、第1
のAGCループ940によるAGC利得である。したがって、図9に示されるケ
ースIの場合、第2のAGCループ950においては、すでに充分な増幅が行わ
れて受信機700の専用信号レベルに一致していることから、好ましくは帯域内
信号の増幅が行われない。好ましくは、第1のAGCループ段940がこの増幅
を達成する。しかしながら、第2のAGCループ950においては、隣接チャン
ネル・ブロッカ920が部分的にフィルタリングされ、振幅が縮小される。図9
に示されているように、第2のAGCループ950においては、隣接チャンネル
・ブロッカ920が、好ましくはフィルタ段のフィルタ除去比(たとえば、4×
)によって抑圧され、かつ第2のAGCループ950により利得Gが0に
セットされていることから、それには増幅を伴わない。このGは、第2のAG
Cループ950の3次の楕円フィルタのマージ利得であり、Rは、3次の楕円
フィルタの除去比である。まとめると、図9に示したケースIにおいては、好ま
しくは第1のAGCループに含まれるVGAの利得が、必要なダイナミックレン
ジを充分にカバーし、GAGC=DALLとなる。単一チップCMOS・RF受
信機の場合は、DALLが帯域内信号を転送するための必要ダイナミックレンジ
になる。このように、図9のケースIにおいては、GAGCとDALLが等しい
【0088】 図9のケースIIを参照すると、隣接チャンネル・ブロッカ980の振幅が、
帯域内信号970より、必要な隣接チャンネル・ブロック比のB dBだけ大き
い。図9のケースIIに示されるように、帯域内信号970のMSD dBmお
よび帯域外信号980の(MSD+B)dBmが、RF段930に印加される。
したがって、RF段930の出力端子(たとえばミキサ出力)においては、帯域
内信号970が(MSD+GRF)dBmの利得を、帯域外信号980が(MS
D+B+GRF)dBmの利得をそれぞれ有する。ケースIIにおいては、AG
Cループ940のVGAが、好ましくは隣接チャンネル・ブロッカ980が線形
限界932に達するまで、信号970および980をともに増幅する。この結果
、AGCループ940の出力(たとえば、VGA出力端子)において、帯域内信
号970が(MSD+GRF+GAGC)dBmの利得を、帯域外信号980が
(MSD+GRF+GAGC+B)dBmの利得をそれぞれ有する。図9のケー
スIと比較すると、VGA利得VAGC(ケースII)がVGA利得VAGC
ケースI)よりB dBだけ小さい。図9のケースIIにおけるAGCループ9
50の場合は、利得マージ・フィルタ954が、好ましくは帯域内信号970を
(4×G)だけ増幅するものとし、好ましくはそれが必要な隣接チャンネル・
ブロック比のB dBに等しいものとする。帯域外信号980は、(4×G
により増幅され、かつ同時に第2のAGCループ950内の利得マージ・フィル
タによって(4×R)によりリジェクトされ、その結果、(4×(R−G ))の合計または正味のリジェクションがもたらされる。つまり、図9に示した
受信機のベースバンド構造の第2の好ましい実施態様においては、必要なダイナ
ミックレンジが第1のAGCループ940(VGA)および第2のAGCループ
950(利得マージ・フィルタ)によって共有されて、必要なダイナミックレン
ジDALL=GAGC+4×G=GAGC+Bが提供される。
【0089】 図9に示したベースバンド構造の第2の好ましい実施態様においては、第1の
AGCループに第2のAGCループ950が続いているが、本発明は、そのよう
な限定を意図していない。すなわち、第2のAGCループ950を第1のAGC
ループ940の手前の、RFセクション930のミキサの後に続けることもでき
る。その場合、帯域内RF信号が、好ましくはまず、Gm‐Cフィルタによって
処理され、好ましくはVGA増幅器を使用する第1のAGCループ940からの
利得に先行して隣接チャンネルがブロックされる。
【0090】 前述したように、CMOS受信機アーキテクチャの実施態様およびそれを使用
する方法は、各種の利点を有する。好ましい実施態様においては、スーパーヘテ
ロダイン受信機に匹敵するSNRを有するダイレクト変換受信機が提供される。
さらに、本発明に係るベースバンド構造の好ましい実施態様およびそれを使用す
る方法においては、隣接チャンネルの電力レベルと無関係に、充分なSNRが入
力信号に提供される。
【0091】 図10は、本発明に係るCMOS・LNAの第1の好ましい実施態様を示した
ブロック図であり、好ましくはそれが、より良好な線形性ならびにコントロール
性を提供し、かつインダクタなしに構成される。CMOS・LNA1300は、
好ましくはRF信号入力INを受け取るために結合される入力端子1310、入
力端子1310に結合される第1の増幅段1320、第1の増幅段1320の出
力ノード1326に結合される第2の増幅段1340、および好ましくはRF出
力信号OUTを送出する出力端子1360を含んでいる。さらにCMOS・LN
A1300は、第1および第2の利得段1320および1340に結合される利
得コントローラ1350を含む。
【0092】 CMOS・LNAの第1の好ましい実施態様は、2つの増幅段からなり、CM
OS・RF通信システムにおいて使用するために適合されるCMOS・LNA1
300に必要な利得を達成することができる。第1および第2の増幅段1320
および1340のそれぞれは、好ましくは同一の構成を有する。ただ、本発明は
これに限定されるものでない。第1の増幅段1320は、図10に示されるよう
に、出力ノード1326と第1の増幅段1320の第1の増幅回路1324の間
に結合されるフィードバック・ループ1322を含んでいる。フィードバック・
ループ1322は、好ましくは第1の増幅段1320の出力ノード1326のD
Cバイアス・ポイントを設定する。
【0093】 第1の増幅段1320は、好ましくは対称CMOS回路網を含み、CMOS・
LNA1300のダイナミックレンジ、特に大きなRF信号入力INの下におけ
るそれを増加させる。さらに、CMOS・LNA1300の利得は、利得コント
ローラ1350の使用によってコントロールすることができる。好ましくは利得
コントローラ1350が電流ソースIを含む。利得コントローラ1350の電流
ソースIによって提供される電流レベルは、好ましくは第1および第2の増幅段
1320、1340にコピーされる。たとえば、電流ミラー等を使用して電流レ
ベルをコピーすることができる。
【0094】 図11に、図10のCMOS・LNA1300の、第1の好ましい実施態様を
より詳細に示す。CMOS・LNA1300は、スターブド・インバータ・タイ
プのLNAとすることができる。図11に示されるように、第1の増幅回路13
24は、電源電圧VDDとグラウンド電圧の間に直列に結合される4つのトラン
ジスタ1400P1、1400P2、1400N2、および1400N1を含ん
でいる。入力端子1310は、トランジスタ1400P2および1400N2の
ゲート電極に結合されており、これらのトランジスタは共通ドレイン結合されて
第1の増幅段1320の出力端子1326を形成している。さらにキャパシタ1
400C2が、グラウンド電圧と、トランジスタ1400P1と1400P2を
結合するジャンクションの間に結合されており、キャパシタ1400C1が、グ
ラウンド電圧と、トランジスタ1400N2とトランジスタ1400N1を結合
するジャンクションの間に結合されている。
【0095】 第2の増幅段1340は、電源電圧VDDとグラウンド電圧の間に直列に結合
される4つのトランジスタ1400P3、1400P4、1400N4、および
1400N3を含んでいる。トランジスタ1400P4および1400N4のゲ
ート電極は、第1の増幅段1320の出力ノード1326に結合されており、か
つこれらのトランジスタはドレインがコモン結合されて第2の増幅段1340の
出力ノードを形成している。図14に示されるように、第2の増幅段1340の
出力ノードは、出力端子1360でもある。さらにキャパシタ1400C4およ
び1400C3が、それぞれグラウンド電圧と、トランジスタ1400P3と1
400P4を結合するジャンクション、およびトランジスタ1400N4と14
00N3を結合するジャンクションの間に結合されている。
【0096】 第1の増幅段1320のフィードバック・ループ1322は、抵抗1400R
2、キャパシタ1400C6、演算増幅器OPAMP1、およびトランジスタ1
400N1を含んでいる。抵抗1400R2は、第1の増幅回路1324の出力
ノード1326と演算増幅器OPAMP1の非反転入力の間に結合されている。
キャパシタ1400C6は、グラウンド電圧と演算増幅器OPAMP1の非反転
入力の間に結合されている。演算増幅器OPAMP1の出力は、トランジスタ1
400N1のゲート電極に結合され、演算増幅器OPAMP1の反転入力は、電
圧ノード1に結合されている。
【0097】 図11に示されるように、抵抗1400R1およびキャパシタ1400C8が
入力端子1310とグラウンドの間に結合されている。抵抗1400R1とキャ
パシタ1400C8の間のジャンクションには、電圧ノード1が結合される。抵
抗1400R2、キャパシタ1400C6、演算増幅器OPAMP1、およびト
ランジスタ1400N1を含むフィードバック・ループ1322は、第1の増幅
段1320の出力ノード1326および第2の増幅段1340の入力のDCバイ
アス・ポイントを設定し、好ましくはそれが、電圧ノード1に対する結合のため
に0.5VDDに調整される。
【0098】 類似の手法で、第2の増幅段1340のフィードバック・ループは、抵抗14
00R3、キャパシタ1400C7、演算増幅器OPAMP2、およびゲート電
極において演算増幅器OPAMP2の出力を受け取るトランジスタ1400N3
を含む。フィードバック・ループ1322と同様に、抵抗1400R3が、第2
の増幅段1340の出力ノードと演算増幅器OPAMP2の非反転入力の間に結
合される。キャパシタ1400C7は、グラウンド電圧と演算増幅器OPAMP
2の非反転入力の間に結合されている。演算増幅器OPAMP2の反転入力は、
電圧ノード1に結合される。
【0099】 好ましくは、トランジスタ1400P1〜1400P4をPMOSタイプのト
ランジスタとし、トランジスタ1400N1〜1400N4をNMOSタイプの
トランジスタとする。ここで認識されようが、好ましい実施態様がこの種のトラ
ンジスタ・タイプに拘束されることはない。
【0100】 利得コントローラ1350は、トランジスタ1400P5および電流ソース1
400Isを含み、電源電圧VDDとグラウンド電圧の間に直列に結合されてい
る。さらにトランジスタ1400P5のゲート電極は、ドレイン電極と共通結合
され、電流ソース1400Isに接続されている。それに加えて、トランジスタ
P5のゲート電極は、トランジスタ1400P1のゲート電極、トランジスタ1
400P3のゲート電極、およびキャパシタ1400C5と共通結合されており
、さらにキャパシタは、グラウンド電圧にも結合される。
【0101】 第1および第2の増幅段1320、1340の0.5VDDバイアス、および
対称PMOSおよびNMOS回路網によって、対称動作ポイントが可能になり、
その結果、PMOSおよびNMOS回路網は、増加したヘッド‐ルームあるいは
最大のヘッド‐ルーム、および増加したダイナミックレンジあるいは最大のダイ
ナミックレンジを、特に入力端子1310において大きなRF信号入力を受け取
る場合に持つことになる。また0.5VDDバイアスによって、大きなRF入力
信号を受け取った場合においてもトランジスタ1400N2、1400P2、1
400N4、および1400P4が飽和領域において動作することが可能になる
【0102】 結果として得られる第1の増幅段の利得(GAIN1st)は、トランジスタ
1400P2およびトランジスタ1400N2のトランスコンダクタンス(たと
えば、gm400P2+gm400N2)およびトランジスタ1400P2およ
びトランジスタ1400N2の並列コンビネーションの結果として得られる出力
インピーダンス(たとえば、ro400P2||ro400N2)から決定する
ことが可能であり、GAIN1st=(gm400P2+gm400N2)×(
ro400P2||gm400N2)となる。類似の態様で、第2の増幅段の利
得(GAIN2nd)は、GAIN2nd=(gm400P4+gm400N4 )×(ro400P4||gm400N4)となる。CMOS・LNA1300
の第1の好ましい実施態様が対称構造を有していない場合、フルダウンおよびフ
ルアップ条件が、異なるヘッドルームならびに異なる特性を持つことになり、そ
れによってフルダウンならびにフルアップ条件に依存する信号分布がもたらされ
、この種のCMOS・LNAの線形性が低下することになる。
【0103】 上記に加えて、CMOS・LNA1300の第1の好ましい実施態様の利得は
、電流ソース140OIsの値を変化させることによってもコントロールするこ
とができる。電流ソース140OIsからの電流レベルは、好ましくはトランジ
スタ1400P5、1400P3、および1400P1からなる電流ミラーを介
して、第1および第2の増幅段1320、1340のそれぞれにコピーすること
ができる。電流ソース140OIsの値を増加させることによって、トランジス
タ1400P2、1400N2、1400P4、および1400N4のトランス
コンダクタンスが増加し、その結果として利得の増加が得られる。好ましくはキ
ャパシタ1400C6および1400C7を使用して第1の増幅段1320およ
び第2の増幅段1340それぞれの、2つのフィードバック・ループを安定させ
る。キャパシタ1400C1〜1400C5および1400C8は、好ましくは
ACグラウンドを構成するために使用される。
【0104】 前述したように、CMOS・LNAおよびそれを使用する方法の好ましい実施
態様は、選択した周波数だけでなく、広い周波数レンジにわたって所望する利得
を提供する。さらに、より高い利得が必要とされるときには、CMOS・LNA
の段数を増加することができる。それに加えて、本発明に従って利得コントロー
ラの代替実施態様を使用することもできる。たとえば、各段に負荷キャパシタン
スを配置しそれをコントロールすることによって利得をコントロールすることが
できる。負荷キャパシタンスに関するその種の回路は、パス‐トランジスタおよ
びキャパシタの直列接続によってインプリメントすることが可能であり、パス‐
トランジスタのゲート電極の電圧のコントロールによって、有効負荷キャパシタ
ンスをコントロールすることができる。
【0105】 前述したように、本発明に係るCMOS・LNAの好ましい実施態様およびそ
れを使用するための方法は、各種の利点を有する。本発明に係る好ましい実施態
様は、インダクタを使用しないCMOS・LNAを提供する。LNAの好ましい
実施態様は、単純化された製造プロセスを使用することができる。さらに、この
CMOS・LNAの好ましい実施態様は、対称増幅段を有し、それによって所望
の利得を達成しつつ、対称なプル‐アップおよびプル‐ダウンの動作が可能にな
る。それに加えて、好ましい実施態様は、線形パフォーマンスの向上を提供する
【0106】 図12Aは、本発明の第1の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造を示し
たブロック図である。この構造を、RF通信システムに使用することができる。
この構造は、多相電圧コントロール・オシレータVCO2100および多相ミキ
サ2200を含む。多相ミキサ2200は、差動増幅回路2200Aおよび結合
回路2200Bを含んでいる。
【0107】 基準周波数fREF=fを有する基準クロック信号が使用される場合、多相
VCO2100が、複数の周波数2×fNを有するN相のクロック信号LO(
i=0〜N−1)を生成するが、それにおいてN=N×2であり、Nは多相
VCO2100内の遅延セルの数に等しい。言い換えるとVCO2100は、周
波数fを2×fNまで低減する。周波数2×f/Nは、多相VCOの位相
ノイズを下げ、周波数レンジを増加させる。
【0108】 周波数2×f/Nを有するN相中間クロック信号LO(0)、LO(1)、
...、LO(N−1)は、多相ミキサ2200の結合回路2200Bに入力さ
れ、この入力信号、たとえばRF信号RF+およびRF−は、差動増幅回路22
00Aに入力される。差動増幅回路2200Bは、無線周波数信号RF+および
RF−の差動増幅を行う。結合回路2200Bは、バイアス電圧VBiasに応
じて、かつ好ましくはN相中間クロック信号LO(0)〜LO(N−1)を合成
してオリジナルの周波数fを有するクロック信号LOT+ならびにLOT−を
生成する。その後ミキサ2200が、LOT+ならびにLOT−と、RF信号R
F+ならびにRF−の乗算を行う。
【0109】 図12Bは、第1の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造2100、22
00の回路図を示している。多相VCO2100は、直列に結合されたN個の
遅延セル2100〜2100NDを含む。このような構成を基礎として、多相
VCOは、周波数2×f/Nを有するN相中間クロック信号LO(0)〜LO
(N−1)を生成する。周波数コントロール信号を生成するVCO2100のた
めのコントロール回路は、位相周波数検出器2054、チャージ・ポンプ205
6、およびループ・フィルタ2058を含み、遅延セル2100〜2100 のそれぞれに対して周波数コントロール信号を出力する。位相周波数検出器2
054は、基準クロック分周回路2052から基準クロック信号frefを、お
よびVCOクロック分周回路2053からVCOクロック信号fVCOをそれぞ
れ受け取る。クロック信号LO(0)〜LO(N−1)の周波数2×f/Nは
、M’/K’(fref)=2×f/Nによって表される。つまり周波数f は、基準クロック信号frefおよび分周回路2052ならびに2053に基づ
いている。言い換えるとfVCOは、分周回路2052ならびに2053のM’
/K’のセッティングによって2×f/Nとすることができる。
【0110】 多相ミキサ2200の差動増幅回路2200Aは、2つの差動増幅器2200
および2200Aにそれぞれ結合された2つの負荷抵抗R1’およびR2
’を含む。差動増幅器2200Aは、2つのNMOSトランジスタ2210お
よび2212を含んでおり、差動増幅器2200Aは、2つのNMOSトラン
ジスタ2214および2216を含んでいる。NMOSトランジスタ2210お
よび2216のドレインは、それぞれ負荷抵抗R1’およびR2’に結合されて
おり、NMOSトランジスタ2210および2216のゲートは、RF信号RF
+を受け取るべく結合されている。さらに、NMOSトランジスタ2212およ
び2214のドレインは、それぞれ負荷抵抗R2’およびR1’に結合されてお
り、それらのゲートは、RF信号RF−を受け取るべく結合されている。NMO
Sトランジスタ2210ならびに2212のソース、およびNMOSトランジス
タ2214ならびに2216のソースはそれぞれ互いに結合されており、かつ多
相ミキサの結合回路2200Bに結合されている。
【0111】 差動増幅器2200Aおよび2200Aは、それぞれRF信号RF+およ
びRF−を差動的に増幅し、その結果、より正確な出力信号OUT−およびOU
T+を得ることができる。さらにこの差動増幅は、RF信号RF+およびRF−
にノイズが加えられている場合には、それを取り除く。図12Bに示されるよう
に、ミキサ2200は、多相ダブル‐バランス・ミキサである。この好ましい実
施態様においては、2つの差動増幅器2200Aおよび2200Aが含めら
れているが、代替実施態様においては、単一の差動増幅器を使用して本発明を達
成することもできる。
【0112】 結合回路2200Bは、バイアスNMOSトランジスタ2232および223
4、それぞれバイアスNMOSトランジスタ2232および2234に結合され
る第1の結合ユニット2200Bおよび第2の結合ユニット2200B、お
よび第1および第2の結合ユニット2200Bおよび2200Bに結合され
る電流ソースIS1を含んでいる。第1の結合ユニット2200Bは、複数の
トランジスタ・ユニット2220、2220、...、2220N−2を含
み、第2の結合ユニットは、第2の複数のトランジスタ・ユニット2220
2220、...、2220N−1を含む。
【0113】 好ましくは、複数のトランジスタ・ユニットのそれぞれが、直列接続された複
数のトランジスタを含み、それにおいて直列接続されたトランジスタは、複数の
トランジスタ・ユニットの、直列接続されたトランジスタと並列に結合される。
好ましくは各トランジスタ・ユニットは、2つの直列接続されたトランジスタを
含む。つまり、好ましい実施態様においては、それぞれの結合ユニット2200
Aまたは2200B内に合計してN/2個のトランジスタ・ユニットがあり、全
体のNMOSトランジスタの数は、2×N個となる。
【0114】 バイアスNMOSトランジスタ2232および2234のゲートは、バイアス
電圧VBiasを受け取るための結合がなされており、第1および第2の複数の
トランジスタ・ユニットのゲートは、対応する、周波数2×f/Nを有するN
相中間クロック信号LO(i)および/LO(i)を受け取るための結合がなさ
れているが、これにおいて/LO(i)=LO(N/2+i)であり、i=0、
1、...、N/2−1である。この好ましい実施態様においては、バイアスN
MOSトランジスタ2232および2234がエラー防止のために含められてい
るが、代替実施態様においてはこれらのトランジスタを省略することもできる。
さらに、結合回路2200Bの、2N個のNMOSトランジスタの連続的なオン
‐オフ・オペレーションは、ナンド(NAND)ロジック回路に等しく、代替実
施態様においては別の等価ロジック回路ならびに構造に置き換えることも可能で
ある。
【0115】 全体的な図12Bの構造は、単一チップ上、すなわちCMOSテクノロジを使
用するシングル半導体基板上における多相VCO2100および多相ミキサ22
00の集積化を可能にする。この種の構造ならびにレイアウトは、寄生キャパシ
タンスによって生じるノイズを含めてノイズを低減する。前述したように、差動
増幅回路2200A内のRF信号RF+およびRF−を使用する差動増幅器は、
ノイズを低減する。
【0116】 基準周波数fを周波数2×f/Nを有するN相中間クロック信号LO(i
)に下げていることからもノイズが低減されている。CMOSテクノロジ用の半
導体基板等の同一基板上に複数のトランジスタが形成されるとき、複数のP‐N
接合が基板内に形成される。寄生キャパシタンスの多くは、P‐N接合に見られ
る。トランジスタのゲートに印加される信号の周波数が非常に高い場合には、低
減された周波数2×f/Nに比較すると、より高い周波数のfの方が、より
多くのノイズを生じさせる。
【0117】 さらに、差動増幅回路2200Aならびに結合回路2200Bの動作が、それ
ぞれ第1の結合ユニット2200Bおよび第2の結合ユニット2200B
ら、周波数2×f/Nを有するN相中間クロック信号LO(i)を結合するこ
とによって提供される周波数fを有する出力クロック信号LOT+およびLO
T−に依存する。バイアス電圧VBiasが印加されると、NMOSトランジス
タ2232および2234が、出力クロック信号LOT+およびLOT−に応じ
てオンまたはオフになる。NMOSトランジスタ2210、2212、2214
、および2216は、ゲート電極に印加されるRF信号RF+ならびにRF−に
よってオンになるが、出力信号OUT+ならびにOUT−を生成するための、R
F信号RF+ならびにRF−および出力クロック信号LOT+ならびにLOT−
の増幅は、クロック信号LOT+およびLOT−によってバイアスNMOSトラ
ンジスタ2232および2234がオフになっているときに行われる。
【0118】 図13は、N=3かつN=6とした多相VCOおよび多相ミキサの第2の好
ましい実施態様を示しており、図14A〜14Hは、図13の好ましい実施態様
の動作タイミング図を示している。これに示されるように、VCO2110は、
3つの遅延セル2110〜2110を含み、6相の中間クロック信号LO(
0)〜LO(5)を生成する。例示の回路は、それぞれの遅延セル2110
2110ごとに、図示(つまり遅延セル2110)のように5つのトランジ
スタを含む。ここでは例示のみを目的として示すが、入力信号が周波数f=1
.5GHzを有する場合、6相の中間クロック信号LO(0)〜LO(5)は、
0.5GHzの周波数を有することになる。
【0119】 6相のミキサ2250は、差動増幅回路2250Aおよび結合回路2250B
を含んでいる。差動増幅回路2250Aは、NMOSトランジスタ2260およ
び2262を有する第1の差動増幅器2250A、およびNMOSトランジス
タ2264および2266を有する第2の差動増幅器2250Aを含み、これ
らには、負荷抵抗R3およびR4がそれぞれ結合されている。結合回路2250
Bは、第1の結合ユニット2250Bおよび2250Bを含み、これらは電
流ソースIS2に共通結合されている。第1および第2の結合ユニット2250
および2250Bは、第1および第2の差動増幅器2250Aおよび2
250Aと、バイアスNMOSトランジスタ2282および2284を介して
それぞれ結合されており、これらのトランジスタは、VBiasによってバイア
スされている。第1および第2の結合ユニット2250Bおよび2250B は、漸増的に6つのトランジスタ・ユニット2270〜2270を含み、合
計で12のトランジスタを伴う。
【0120】 図14A〜14Fに示されているように、6相のVCO2110は、低減され
た周波数f/3を有する6相の中間クロック信号LO(1)〜LO(5)を生
成する。6相のミキサ2250は、6相の中間クロック信号LO(1)〜LO(
5)およびRF信号RF+およびRF−を受け取る。各中間クロック信号LO(
1)〜LO(5)および/LO(0)〜/LO(2)、すなわち/LO(0)=
LO(3)、/LO(1)=LO(4)かつ/LO(2)=LO(5)が第1お
よび第2の結合ユニット2250Bおよび2250Bの対応するトランジス
タに印加される。第1および第2の結合ユニット2250Bおよび2250B は、周波数f/3を有する6相の中間クロック信号LO(0)、LO(1)
、...、LO(4)、LO(5)を結合し、周波数fを有する出力クロック
信号LOT+およびLOT−を生成する。
【0121】 図14A〜14Hに示されるように、LO(0)がハイであり、LO(1)が
ローのとき(LO(4)がハイのとき)は、2つの出力信号LOT+およびLO
T−が、それぞれローおよびハイになる。LO(1)がハイであり、LO(2)
がローのとき(LO(5)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−
が、それぞれハイおよびローになる。LO(2)がハイであり、LO(3)がロ
ーのとき(LO(0)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−が、
それぞれローおよびハイになる。LO(3)がハイであり、LO(4)がローの
とき(LO(1)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−が、それ
ぞれハイおよびローになる。LO(4)がハイであり、LO(5)がローのとき
(LO(2)がハイのとき)は、ミキサ2503の出力信号LOT+およびLO
T−が、それぞれローおよびハイになる。LO(5)がハイであり、LO(0)
がローのとき(LO(3)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−
が、それぞれローおよびハイになる。
【0122】 結合回路内のNMOSトランジスタの各ペアは、順序に従ってオンになり、そ
れによって図14Gおよび14Hに示されるように、出力信号LOT+およびL
OT−が生成される。
【0123】 図15は、第3の好ましい実施態様の本発明に係る多相シングル‐バランス・
ミキサを示している。この第3の好ましい実施態様の多相ミキサ2500は、シ
ングル‐バランス・タイプのミキサである。多相ミキサ2500は、好ましくは
N相の、2×f/N MHzのLOクロック(LO(0:N−1))およびR
F信号を受け取り、単相のf MHzのLOクロックおよびRF信号を受け取
るシングル‐バランス・ミキサに等しい乗算を行う。
【0124】 多相シングル‐バランス・ミキサ2500は、好ましくは4つの機能ブロック
、すなわち負荷ブロック2510、スイッチ・アレイ・ブロック2520、ノイ
ズ除去ブロック2530、および入力ブロック2540を含む。図15に示され
ているように、負荷ブロック2510は、好ましくは2つのPMOSトランジス
タ2511、2512、および2つの負荷抵抗2513、2514を含む。2つ
のPMOSトランジスタ2511、2512は、ソース電極がソース電圧VDD に結合されており、ゲート電極が互いに共通結合されている。負荷抵抗2513
、2514は、それぞれPMOSトランジスタ2511、2512のゲート電極
とドレイン電極の間に結合されている。
【0125】 PMOSトランジスタ2511、2512は、好ましくは飽和領域において動
作してハイ‐インピーダンスを提供し、抵抗2513、2514は、負荷抵抗と
して作用する。抵抗2513およびPMOSトランジスタ2511の出力インピ
ーダンスの並列の組み合わせは、抵抗2513に比べてトランジスタ2511の
出力インピーダンスが大きいことから、抵抗2513だけが存在する場合に近い
動作をもたらす。同様に、抵抗2514およびトランジスタ2512の出力イン
ピーダンスの並列の組み合わせは、抵抗2516だけが存在する場合に近い動作
をもたらす。トランジスタ2511および2512のドレイン電極は、多相クロ
ックの乗算を実行するスイッチ・アレイ・ブロック2520の第1および第2の
スイッチ・ネットワーク2520Aおよび2520Bにそれぞれ結合されている
。第1のスイッチ・ネットワーク2520Aは、複数のトランジスタ・ユニット
2522、2522、...、2522N−2を含んでおり、第2のスイッ
チ・ネットワーク2520Bは、第2の複数のトランジスタ・ユニット2522 、2522、...、2522N−1を含んでいる。
【0126】 好ましくはN相シングル‐バランス・ミキサ2500は、N相クロック信号L
O[0:N−1]およびRF信号を受け取る。6相ミキサの場合であれば、LO
信号は、LO[0:5]となる。図14G〜14Hに示されるように、スイッチ
・アレイ・ブロック2520は、周波数が2×f/NのN相のLO信号を使用
することによって、周波数がFの単相信号の印加に等しい効果を結果的にもた
らすメカニズムを提供する。第3の好ましい実施態様に係るN相シングル‐バラ
ンス・ミキサ2500は、N相のLO信号によってコントロールされるN個のス
イッチを含む。第1のスイッチ・ネットワーク2520A内のN/2個のスイッ
チの1つ2522および第2のスイッチ・ネットワーク2520B内のN/2
個のスイッチの1つ2522は、図14A〜14Fに示されるように、それぞ
れの位相間隔ごとに交番してオンになる。その結果、図14G〜14Hに示され
るような仮想波形LOT+およびLOT−が、多相オペレーションによって、出
力端子IOUT−およびIOUT+においてそれぞれ得られる。
【0127】 好ましくは、スイッチ2522〜2522N−1のそれぞれが、少なくとも
第1および第2の複数の直列結合されたトランジスタを含む。すなわち、図15
に示されるように、スイッチ2522〜2522のそれぞれは、トランジス
タ2524Cと直列に結合されたトランジスタ2524A、およびトランジスタ
2524Dと直列に結合されたトランジスタ2524Bを含む。また、トランジ
スタ2524Aおよび2524Dのゲート電極が共通結合されて多相クロック信
号LO(たとえばLO(0))を受け取り、トランジスタ2524Bおよび25
24Cのゲート電極が共通結合されて対応する多相クロック信号LO(たとえば
LO(1)B)を受け取る。さらにトランジスタ2524Aおよび2524Bの
ソース電極が出力端子IOUT−において負荷ブロック2510に結合されてお
り、トランジスタ2524Cおよび2524Dのソース電極がノード2526に
結合されている。
【0128】 好ましくは、スイッチ2522〜2522N−1それぞれが、4つのNMO
Sトランジスタを含む。つまり、第3の好ましい実施態様においては、第1およ
び第2のスイッチ・ネットワーク2520Aおよび2520Bのそれぞれに、N
/2個のスイッチが含まれ、NMOSトランジスタの合計の数は4×Nになる。
それに加えて、スイッチ2522〜2522N−1のそれぞれが、対称NMO
Sトランジスタを含み、各スイッチ2522〜2522N−1の入力ポート2
525A、2525Bに対して等価もしくは対称の電気的状態を提供する。
【0129】 ノイズ除去ブロック2530は、好ましくはカスケードNMOSトランジスタ
2531を含み、そのゲート電極には、バイアス電圧VBiasが結合される。
ノイズ除去ブロックは、スイッチ・ネットワーク2520から入力ブロックを分
離するべく作用し、入力RF信号2550に対するノイズの結合を防止する。第
3の好ましい実施態様においては、エラーを防止するためにバイアスNMOSト
ランジスタ2531が含められているが、代替実施態様においては、バイアス電
圧VBiasによってイネーブルされるこの種のトランジスタを省略することが
できる。
【0130】 入力ブロック2540は、好ましくは低ノイズ増幅器からRF入力信号255
0を、ゲート電極において受け取るべく結合されたNMOSトランジスタ254
1を含んでいる。トランジスタ2541は、トランジスタ2531とグラウンド
電圧の間に結合される。トランジスタ2540入力電圧は、トランジスタ254
1のトランスコンダクタンスによって電流レベルに変換される。周波数2×f /Nを有する複数のN相クロック信号LO(0)、LO(1)、...、LO(
N−1)は、多相ミキサ2500のスイッチ・アレイ・ブロック2520に入力
され、RF入力信号2550は、トランジスタ2541に入力される。
【0131】 負荷ブロック2510は、バイアス電圧VBiasを受け取るトランジスタ2
531に応答して、スイッチ・アレイ・ブロック2520が、好ましくN相クロ
ック信号LO(0)〜LO(N−1)を結合し、出力端子IOUT−、IOUT
+においてオリジナルの周波数fを有する出力信号LOT+およびLOT−を
生成するとき、RF入力信号2500を増幅することができる。その後、ミキサ
2500は、出力信号LOT+およびLOT−と、RF入力信号2550の乗算
を完了する。このように、多相シングル‐バランス・ミキサ2500は、周波数
を低減した多相LOクロック信号を使用して、高周波f信号の印加に等しいオ
ペレーションを実行することができる。
【0132】 例を示すと、あるRF通信システムにおいて、図16に示されるような12相
直交ダウン・コンバータを、第3の好ましい実施態様に従って、2つの6相のシ
ングル‐バランス・ミキサ2600A、2600Bから構成することができる。
図16に示したように、6相のLO信号(LO[0、2、4、6、8、10])
がIチャンネルのダウン・コンバージョン用に使用され、残りの6相のLO信号
(LO[1、3、5、7、9、11])がQチャンネルのダウン・コンバージョ
ン用に使用される。図16に示した6相のミキサのそれぞれは、周波数f/3
MHzを有する6相のLO信号を使用して、f MHzの単相LO信号を用
いるシングル‐バランス・ミキサと同じ機能を実行する。ミキサ構造の第3の好
ましい実施態様は、立ち上がり/立ち下がり時間が短縮された大きな振幅のLO
[0:11]の使用を可能にし、その結果、ミキサの変換利得を増加させるとと
もにノイズを減少させる。IおよびQ出力端子IOUT−、IOUT+、QOU
T−、QOUT+において、より正確な出力信号を提供するために、RF信号の
入力パス2650に抵抗およびキャパシタのペア2670を追加することができ
る。さらに代替実施態様においては、ミキサ2600Aおよび2600Bによっ
て負荷ブロック2610を共有することもできる。
【0133】 上記に代えて、本発明に係る多層ミキサの第4の実施態様においては、図17
に示されるように、2つのダブル‐バランス・ミキサを使用して直交ダウン・コ
ンバータを構成することができる。シングル‐エンドRF入力を受け取ることが
できるシングル‐バランス・ミキサ2500および2600とは異なり、ダブル
‐バランス・ミキサ2700は、差動RF入力RF+、RF−を受け取る。図1
7に示されているように、多相ダブル‐バランス・ミキサ2700には、単一の
負荷ブロック2710が組み込まれ、第1および第2のスイッチ・アレイ272
0が共通に結合されている。それぞれのスイッチ2722は、第2の好ましい
実施態様に類似の構造を使用している。それに加えて、差動RF入力とグラウン
ド電圧の間に結合される電流ソース2780を組み込み、パフォーマンス特性を
向上させることができる。
【0134】 前述したように、ミキサの好ましい実施態様およびそれを使用する方法には、
各種の利点が備わる。好ましい実施態様によって、堅牢であり、ノイズの低いV
COならびにミキサを単一基板上に、好ましくは半導体基板上にCMOSテクノ
ロジを使用して作成することが可能になる。好ましい実施態様は、入力信号と入
力クロック信号によってもたらされる干渉を除去するが、これは多相中間クロッ
ク信号の周波数が搬送波信号周波数ならびに変調周波数からそれていることによ
る。フェイズロックループ(PLL)周波数レンジが低減された周波数の多相ク
ロック信号周波数状態に基づいていることから、PLL周波数レンジを増加させ
ることができる。さらに、これらの結果が、RF通信システムにおけるRFフロ
ントエンドのチャンネル選択能力を強化することができる。
【0135】 図18aは、本発明の好ましい実施態様に係るDCオフセット・キャンセル回
路3200のブロック図である。図18bは、図18aのDCオフセット・キャ
ンセル回路3200の概略図を示している。図18aおよび18bに示されてい
るように、DCオフセット・キャンセル回路3200は、直列に接続された複数
の利得段3210を含んでいる。しかしながら、単一のサーボ・フィードバック
・ループに代えて、それぞれの利得段3210は、独自のフィードバック・ルー
プおよびDCオフセット・キャンセル回路3220を有し、それぞれの利得段3
210のDCオフセットを除去する。別の好ましい実施態様においては、各利得
段3210が可変利得増幅器(VGA)を有し、各DCオフセット・キャンセル
回路3220がハイパスフィルタを含んでいる。
【0136】 電圧Vinを有する到来信号は、それぞれの利得段3210において増幅され
る。各利得段3210(i)は、利得Aviを有し、このAGCループの合計の
利得は、次の式(1)(数1)によって表される。
【0137】
【数1】
【0138】 また、各利得段3210に関する伝達関数は、次式のように表される。
【0139】
【数2】
【0140】 利得段3210がカスケード接続されていることから、多数の利得段3210
(N)を有するAGCループ3200に関する全体的な伝達関数は、次の式(2
)(数3)のように表される。
【0141】
【数3】
【0142】 各利得段のカットオフ周波数fciは、次の式(3)(数4)によって与えら
れる。
【0143】
【数4】
【0144】 また、好ましくはそれが最良の全体的パフォーマンスに関して実質的に等しい
。この好ましい実施態様によるAGCの合計キャパシタンス値は、N個の利得段
のそれぞれに関するキャパシタンスCの合計となる。合計キャパシタンス値の
比は、この好ましい実施態様のDCオフセット・キャンセル回路に必要なキャパ
シタンス値を表す。この比は、次に示す式(4)(数5)によって与えられる。
【0145】
【数5】
【0146】 これにおいてCは、関連技術のDCオフセット・キャンセル回路に関するキ
ャパシタンス値を表しており、Cは、複数のDCオフセット・キャンセル回路
3220を伴う本発明の好ましい実施態様に関するキャパシタンス値を表してい
る。上記の式(4)(数5)によれば、利得段3210の数Nの増加に伴って分
子は指数関数的に増加するが、分母は線形に増加する。すなわち、合計キャパシ
タンス値は、利得段3210の数Nの増加に伴って指数関数的に減少する。した
がって、本発明の好ましい実施態様のキャパシタンス値は、控えめな数の利得段
に関する場合であっても、関連技術の回路のキャパシタンス値に比べて数桁も小
さくなる。
【0147】 本発明の好ましい実施態様の別の利点は、好ましい実施態様におけるDCオフ
セット除去の量が、関連技術の単一サーボ・フィードバックのアプローチより大
きいことである。式(4)(数5)に基づけば、それぞれの利得段3220に関
して、DCオフセットが20dB/ディケード下がり、これは関連技術が単一フ
ィードバック・ループ全体の全利得段について20dB/ディケードであること
と対照的である。言い換えると、本発明のこの好ましい実施態様においては、関
連技術のアプローチの場合に比べてDCオフセットの量がN倍になる。このこと
は、カットオフ周波数とDCオフセット除去の量の間におけるトレードオフを実
質的に排除するという利益をもたらす。本発明の好ましい実施態様の大きなロー
ル‐オフ・レートは、低いカットオフ周波数の場合においてさえも、充分なDC
オフセットの抑制を可能にする。
【0148】 CMOSリング・オシレータの位相ノイズを分析するための方法においては、
次に示す式(5)(レッスン(Lesson)の等式)(数6)を用いることができる
【0149】
【数6】
【0150】 式(5)(数6)によれば、位相ノイズを周波数オフセット(logΔω)に
対してプロットした位相ノイズ(Δω)曲線は、3つの異なる勾配部分から構成
される。第1の部分は、搬送周波数(f)からの周波数オフセットが充分に小
さいところに存在する、(1/Δω)に比例する部分である。この第1の部分
(1/Δω)に続いて、(1/Δω)に比例する部分曲線を有する第2の部
分が存在する。さらに、大きな周波数オフセットに対して位相ノイズ・スペクト
ルが、位相ノイズΔωの平方として連続的に低下するのではなく、最終的に第3
の部分として平坦になる。このようなノイズ・フロアは、VCOと測定装置の間
に配置されるあらゆる能動エレメント(バッファ等)に関連付けされるノイズに
起因するか、あるいは測定装置自体の限界を反映している可能性もある。ファク
タFは、経験に基づくものであり、かつオシレータごとに大きく変動する。した
がってF値は、測定から決定されなければならない。式(1)(数1)によれば
、Qファクタの増加、信号振幅の増加、もしくは中心周波数の減少を行うことが
、位相ノイズを低減する方法となる。
【0151】 VCOの位相ノイズを分析するための別のモデル(ハジミリ(Hajimiri))は
、インパルス・ノイズが印加されたときにオシレータ信号の位相変位が依存する
ことを明らかにしている。つまり、位相ノイズ分析は、時間的に変化し、式(5
)(レッスン(Lesson)の等式)(数6)等の線形の時間的に不変なノイズ分析
の欠点が明らかになる。線形性が良好な仮定を残している範囲までは、位相変位
の量がノイズ・インパルスの大きさに比例し、合計の信号チャージと逆比例して
変化する。したがって、位相変位に関するインパルス応答は、次の式(6)(数
7)によって示すことができる。
【0152】
【数7】
【0153】 これにおいてqmaxは、信号に関する最大チャージ変位、u(t)は単位ス
テップ、関数Γ(x)はインパルス感度関数(ISF)であり、これは無次元の
周波数ならびに振幅に依存しない、2πの周期性を有する関数である。ISFは
、システムの感度に関する情報を位相ωτにおいて注入されたインパルスにエ
ンコードする。ISFは、オシレータごとに変化する。ISFが(標準的な方法
によって)決定された後は、次の式(7)(数8)に示されるように、線形性の
仮定の下における累積積分の使用を通じて過剰な位相を決定することができる。
【0154】
【数8】
【0155】 図19は、関連技術のCMOSリング・オシレータのISFの形状を示した概
略図である。図19に示されているように、式(3)(数4)に従ったISF関
数の絶対値は、過渡状態の期間内に最大値を持つ。言い換えると、デバイスのノ
イズ電流によって生じたノイズ・インパルスは、過渡領域における位相変位に影
響を及ぼす。つまり、CMOSリング・オシレータの位相ノイズを低減もしくは
最小化するためには、立ち上がり/立ち下がり時間(Trise、Tfall
を短縮もしくは最小化する必要がある。
【0156】 上記に加えて、電源がCMOS・VCOの位相ノイズに影響を与える。電源の
揺らぎは、CMOSリング・オシレータに突然の位相変位を導く可能性があり、
その結果として位相ノイズの増加が招かれる。CMOS・VCOに対する電源ノ
イズの影響を低減するために、VCO回路のトップにソース・フォロアを追加す
ることが、電源ノイズ除去のための解決策として一般に受け入れられている。ソ
ース・フォロアを使用することによって、電源ノイズの影響を低減もしくは最小
化してVCOの周波数をコントロールすることが可能になる。電源は、ソース・
フォロアのドレイン電極に接続され、その結果、電源ノードから見たときにハイ
・インピーダンスになる。ソース・フォロアのソース電極が、VCOの実際の電
源ノードとなり、それが現実の電源の揺らぎによって影響されることはほとんど
ない。
【0157】 PC、WLL、およびIMT2000等の商業的RF標準をサポートするため
には、プリスケーラをPLLに追加して(a)CMOSリング・オシレータの大
きな位相ノイズに打ち勝つ大きな帯域幅を提供し、かつ(b)比較的小さいチャ
ンネル間隔を提供して標準に適合させる必要がある。しかしながら、PLL帯域
幅およびチャンネル間隔は、位相検出器に印加される基準周波数に比例すること
から、大きな帯域幅のサポートおよび小さいチャンネル間隔のサポートは、互い
のトレードオフとなる(すなわち、相反要件)。言い換えると、大きなチャンネ
ル間隔に関しては、比較的低いVCO位相ノイズを達成することができる。
【0158】 整数Nプリスケーラおよび分数Nプリスケーラは、それぞれ図20および21
に示されているようは、一般に使用されている関連技術のプリスケーラ・アーキ
テクチャである。図20を参照すると、関連技術の整数Nプリスケーラを含むP
LLアーキテクチャは、位相周波数検出器4210、およびVCO4230に対
して周波数コントロール信号を出力するチャージ・ポンプおよびループ・フィル
タ4220を含んでいる。位相周波数検出器4210は、VCOクロック分周回
路4240から基準クロック信号FrefおよびVCOクロック信号Fvcoを
受け取る。VCOからの局部発振器クロック信号の周波数fは、(Fref)
=fによって表すことができる。つまり、周波数Fvcoは、基準クロック信
号Frefおよび図20の回路4240を基礎とし、Fvcoの周波数は、基準
クロック信号Frefによって決定される。
【0159】 たとえば、図20に示されるような関連技術のPCSシステム用の整数Nアー
キテクチャにおいては、周波数検出器に印加される基準周波数(Fref)を、
チャンネル間隔(BW channel)に等しくする必要があり、それが約600KHz
になる。このように、整数Nアーキテクチャを使用するPLLの帯域幅は、チャ
ンネル間隔に対して固定されており、CMOSリング・オシレータの大きな位相
ノイズに打ち勝つ充分な帯域幅を、整数Nアーキテクチャの使用によって獲得す
ることは困難である。それとは別に、整数Nアーキテクチャには、「基準スパー
」問題がある。位相検出器4210が基準周波数Frefと、VCO4230の
周波数Fvcoの比較を行うときは、必ずチャージ・ポンプ4220がループ・
フィルタ用に、基準とVCOクロックの間における位相誤差に対応する電荷を提
供する。周波数がチャンネル間隔に等しいチャージ・ポンプ・メカニズムは、「
基準スパー」と呼ばれるスプリアス・スペクトル・スパーを導き、それがチャン
ネル間隔に等しい周波数を有する。「基準スパー」は、帯域内領域の中にスパー
の周波数が存在することから、RF送信機TXおよびRF受信機RXの周波数変
換フローに重大な問題をもたらす。
【0160】 図21に示されるような関連技術の分数Nアーキテクチャ4340においては
、基準周波数(Fref)を、チャンネル間隔(BWchannel)と無関係
に増加させることが可能であり、その結果、CMOSリング・オシレータの大き
な位相ノイズに打ち勝つ充分な帯域幅を獲得することが可能になる。図21に示
されているように、FrefはN×BWchannelに等しい。このNを増加
することによって、基準周波数Frefが増加し、その結果として大きな帯域幅
がもたらされる。しかしながら、周波数がチャンネル間隔に等しい「分数スパー
」が、整数Nアーキテクチャにおける「基準スパー」に類似の問題を招き得るこ
とから、関連技術の分数Nアーキテクチャ4340には、「分数スパー」の問題
が存在する。さらに、「分数スパー」の量は、図20に示した関連技術の整数N
アーキテクチャにおける「基準スパー」の量よりはるかに大きい。したがって、
CMOS・RF通信システムに適用可能な関連技術のPLLアーキテクチャは、
帯域幅ならびにスパー両方の問題を克服することができない。
【0161】 RF通信システムに適用可能なCMOS PLLの好ましい実施態様は、多相
サンプリング分数NプリスケーラならびにVCOの好ましい実施態様およびそれ
らを使用する方法を含み、それについて次に説明する。
【0162】 図22は、本発明に係るCMOS・VCOの好ましい実施態様を示した概略図
である。CMOS・VCOの好ましい実施態様によれば、マルチフィードバック
CMOS・VCO4400が、低位相ノイズ用の複数のフィードバック・ループ
4420を含む。図22に示されるように、CMOS・VCOは、複数の、直列
に結合された遅延セル4410A、4410B、...、4410Nを含み、複
数のN相のクロック信号LO[0:N−1]を出力する。VCO4400は、V
CO周波数を増加し、局部発振器のLO波形の立ち上がり/立ち下がり時間を短
縮するために複数のフィードバック・ループを有する。図22に示されるように
、VCOセル4410(i=1〜N)は、4つの入力ポート(INP、INN
、INNB、INPB)および2つの出力ポート(OUT、OUTB)を有する
。出力端子OUT(セル4410)は、入力端子INNB(セル4410i+ )および入力端子INPB(セル4410i+2)に結合されている。出力信
号OUT(セル4410)は、入力端子INN(セル4410i+1)および
入力端子INP(セル4410i+2)に結合されている。しかしながら、セル
4410(N−1)からの出力信号OUT、OUTBは、それぞれセル4410
(0)のINPB、INPに、またセル4400(N)からの出力信号OUT、
OUTBは、それぞれセル4400(0)のINNB、INNにフィードバック
される。
【0163】 次に、VCO4400の遅延セル4410の好ましい実施態様について説明
する。図22に示されているように、各遅延セル4410は、4つの入力端子
INP、INN、INNB、INPB、2つの出力端子OUT、OUTBを有し
、電源VDDとグラウンド電圧の間に結合されており、さらにコントロール電圧
Vctrlを受け取る。図22に示されるように、セル遅延セル4410は、
電源電圧VDDと第1のノードN1の間に結合される第1のNMOSトランジス
タMN0を含んでいる。NMOSトランジスタMN0のゲート電極は、好ましく
はオンチップ・レギュレータからバイアス電圧VBIASを受け取る。また各セ
ル4410は、第1のノードN1とグラウンド電圧の間に結合された、MP3
‐MN3、MP1‐MN1、MP5‐MN5、MP6‐MN6、MP2‐MN2
、およびMP4‐MN4を含むトランジスタのペアを含んでいる。さらに、入力
端子INPがトランジスタMP4およびMP2のゲート電極に結合され、入力端
子INNがトランジスタMN4およびMN2のゲート電極に結合され、入力端子
INPBがトランジスタMP3およびMP1のゲート電極に結合され、入力端子
INNBがトランジスタMN3およびMN1のゲート電極に結合されている。セ
ル4400の出力端子OUTは、トランジスタ・ペアMP3‐MN3のドレイ
ン電極間の接合部分、およびトランジスタ・ペアMP5‐MN5のドレイン電極
間の接合部分に結合されている。出力端子OUTBは、トランジスタ・ペアMP
4‐MN4のドレイン電極間の接合部分、およびトランジスタ・ペアMP6‐M
N6のドレイン電極間の接合部分に結合されている。トランジスタMN7は、ゲ
ート電極においてコントロール電圧Vctrlを受け取り、ノードFEEDとF
EEDBの間に結合されている。トランジスタ・ペアMP1‐MN1の結合され
たドレイン電極およびトランジスタ・ペアMP6‐MN6の結合されたゲート電
極もまた、ノードFEEDに結合されている。トランジスタ・ペアMP2‐MN
2の結合されたドレイン電極およびトランジスタ・ペアMP5‐MN5の結合さ
れたゲート電極は、ノードFEEDBに結合されている。さらに、ソース電極が
第1のノードN1に結合され、ドレイン電極が出力端子OUTに結合され、ゲー
ト電極が出力端子OUTBに結合されたトランジスタMP7が備わる。トランジ
スタMP8は、ソース電極が第1のノードN1に結合され、ドレイン電極が出力
端子OUTBに結合され、ゲート電極が出力端子OUTに結合されている。
【0164】 次に、マルチフィードバックCMOS・VCO4400の好ましい実施態様に
係るセル4410の動作について説明する。セル4410においては、トラ
ンジスタMN0が電源の揺らぎによって生じるノイズの注入を防止する。好まし
くは、トランジスタMN0が、電源電圧VDDサイドにおいてハイ・インピーダ
ンスを有し、第1のノードN1においてロー・インピーダンスを有する。したが
って、VCOの動作に対する電源の揺らぎの影響が低減される。トランジスタ・
ペアMP3‐MN3およびトランジスタ・ペアMP4‐MN4から構成されるイ
ンバータ構造が、手前のセル4410(i−1)から信号INPB、INNB、
INP、およびINNをそれぞれ受け取り、共通結合されたドレイン電極におい
て出力信号OUT、OUTBを生成する。トランジスタMP7およびMP8は、
正帰還(正のフィードバック)回路またはフィードバック・ループを構成し、V
CO4400の発振を補助もしくは増進し、立ち上がり/立ち下がりの時間を短
縮する。第2の正帰還回路は、好ましくは4つのインバータ、すなわちインバー
タ1(トランジスタ・ペアMP1‐MN1)、インバータ2(トランジスタ・ペ
アMP5‐MN5)、インバータ3(トランジスタ・ペアMP2‐MN2)、お
よびインバータ4(トランジスタ・ペアMP6‐MN6)から構成され、トラン
ジスタMN7のゲート電圧Vctrlを変化させることによってVCO4400
の周波数をコントロールする。コントロール電圧Vctrlが下がると、インバ
ータ1の出力ノードFEEDおよびインバータ3の出力ノードFEEDBが絶縁
される。それにより、出力ノードFEEDおよびFEEDBの信号が反転された
態様で動作し、その結果、インバータ1およびインバータ3が出力端子OUTB
の信号動作に正帰還を提供し、インバータ2およびインバータ4が出力端子OU
Tの信号動作に正帰還を提供する。この場合、出力端子OUT、OUTB上の波
形の立ち上がり/立ち下がり時間が最小化されるが、強い正帰還が、VCO44
00の信号によるVCO4400の信号の状態の迅速な変更を妨げることからV
CO周波数が下がる。言い換えると、VCO4400の信号が信号状態を変化し
、伝播するための時間遅延が生成される。コントロール電圧Vctrlが上昇す
ると、MN7の導電率が高くなり、出力ノードFEEDおよびFEEDBの信号
が反転された態様で動作することを妨げる。言い換えると、出力ノードFEED
およびFEEDBの信号の振幅が、MN7の増加した導電率によって下げられる
。その結果、インバータ1およびインバータ2による、出力端子OUTB上の正
帰還の長さが短縮され、あるいは弱くなり、それによってVCO4400の信号
の迅速な状態変化がもたらされ、VCO4400の周波数が増加する。言い換え
ると、弱い正帰還によって、抵抗の低減とともにVCO4400の信号の迅速な
状態変化が促進され、その結果、周波数の増加がもたらされる。
【0165】 したがって、PLLにおけるCMOS・VCO4400の好ましい実施態様は
、VCO信号の振幅を増加し、VCO信号の立ち上がり/立ち下がり時間を最小
化もしくは低減し、かつ電源の揺らぎがもたらすVCOに対するノイズ効果を最
小化することによって、CMOSリング・オシレータの位相ノイズを最小化する
。図22に示されるように、トランジスタMNO〜MN7は好ましくはNMOS
タイプのトランジスタとし、トランジスタMP1〜MP8は好ましくはPMOS
タイプのトランジスタとする。しかしながら、本発明がそのように限定されるこ
とは意図されていない。
【0166】 前述したように、CMOS・VCOの好ましい実施態様およびその動作のため
の方法は、各種の利点を有する。CMOS・VCOの好ましい実施態様は、対称
PMOS/NMOS構造を有して局部発振器のLO波形の立ち上がり/立ち下が
り時間を整合させ、それが立ち上がり/立ち下がり時間の不整合によって生じる
位相ノイズを低減することができる。さらに、好ましい実施態様に係るVCOの
周波数を、フィードバック回路の強度を調整することによってコントロールする
ことができる。好ましい実施態様は、フィードバック回路に関して単純な構造を
使用している。詳細に述べれば、コントロール信号の値(たとえばVctrl)
が小さくなると、フィードバック回路によるフィードバックの量が増加する。V
CO4400の好ましい実施態様においては、Vctrlが下がると、出力ノー
ドFEEDおよびFEEDBの電圧レベルが上昇し、フィードバック回路による
フィードバックの量が増加する。したがって低減された周波数における場合であ
っても、好ましい実施態様によって、VCOに関する迅速な、すなわち鋭い立ち
上がり/立ち下がり時間を維持することができる。このように、CMOS・VC
Oの好ましい実施態様およびその使用の方法は、迅速な立ち上がり/立ち下がり
時間および高い電源除去比(PSRR)を伴うフルスイングのLO信号を提供す
る。
【0167】 図23は、本発明の第2の好ましい実施態様に係るフェイズロックループを示
した概略図である。この図23に示されているように、PLLの第2の好ましい
実施態様は、CMOS・VCO4400を含み、多相サンプリング分数Nプリス
ケーラ4500は、パルス‐スワロー除算器4510、多段(たとえば12段)
多相サンプラ4520、マルチプレクサ4530(たとえば12‐1マルチプレ
クサ)、およびモジュラ・カウンタ4540を含んでいる。
【0168】 パルス‐スワロー除算器4510は、好ましくは[4×P+S]による除算を
実行する。このパルス‐スワロー除算器4510は、除算器4512およびカウ
ンタ4514を含んでいる。関連技術においてはLO周波数が高すぎ、マルチプ
レクサ・オペレーション等の選択オペレーションを使用し、多相信号の間におい
て1つの位相信号を選択するといった堅牢な論理演算を行うことができない。し
たがって、多相クロックの中から1つの位相信号を選択する前に、パルス‐スワ
ロー除算器4510により除算を行い、より堅牢な論理演算を提供するために周
波数を下げている。
【0169】 パルス‐スワロー除算器4510の出力は、好ましくは直列に結合された複数
のNフリップ・フロップ4522を含む多相サンプラ4520によってサンプリ
ングされる。図23に示されているように、多相サンプラ4520は、12相8
00MHzのLOクロック(LO[0:ll])を使用してサンプリングを行う
。12段サンプラ4520(TCK[0:ll])の出力は、12相のLOクロ
ックによって決定された12の異なるタイミングを有する。隣接TCKクロック
信号との間におけるタイミングの差は、(1+1/12)×TVCOであり、そ
れにおいてTVCOは、VCO4400から到来するLOクロックの周期とする
。たとえば、図23に示されるような、多相クロック信号LOの数が12であり
、かつLOクロックの周波数が800MHzである場合には、TVCOが1.2
5ナノ秒になり、隣接TCKクロック信号との間におけるタイミングの差が(1
+1/12)×1.25ナノ秒になる。タイミングの差が1/12×TVCO
はなく、(1+1/12)×TVCOとなる理由は、12段サンプラ4520の
セットアップおよびホールドの時間ウインドウが1/12×TVCOより大きく
、かつ(1+1/12)×TVCOより小さいことによる。モジュラ・カウンタ
4520は、0から11までの範囲にわたる入力コントロール信号Mに従ってT
CK[0:ll]の1つを周期的に選択する。結果として得られる12‐1マル
チプレクサ4530出力DIVCKの周期は、[4×P+S+M+M/12]×
VCOになる。したがって、結果として得られる、プリスケーラ4500の第
1の実施態様の除算比は[4×P+S+M+M/12]となる。
【0170】 前述したように、関連する分数Nプリスケーラの分数スパーが、プリスケーラ
のクロック周波数によってもたらされ、それがチャンネル間隔に等しい。プリス
ケーラ4500の好ましい実施態様は、周波数がチャンネル間隔に等しいタイミ
ング・ソースを使用しない。その結果、分数‐12オペレーション(たとえばN
=12)を伴うプリスケーラ4500は、分数スパーを伴うことなくPLL帯域
幅を増加し、位相ノイズを低減する。詳細には、プリスケーラ4500の分数ス
パー周波数が基準クロック周波数(たとえば800MHz)に等しく、それはチ
ャンネル間隔からはるかに離れている。P、S、およびMの値を変更することに
よって、VCO4400およびプリスケーラ4500を含むPLLが、異なるチ
ャンネル周波数をサポートすることが可能になる。
【0171】 次に、多相サンプリング分数Nプリスケーラ4500の好ましい実施態様の動
作について説明する。図24は、M=3の場合のプリスケーラ4500の動作な
らびにタイミング波形を示したタイミングチャートである。TCK[0:11]
の周期は、(4×P+S)×TVCOである。図24に示されるように、当初、
TCK[7]がDIVCKとして選択されている。この時点においては、POI
NT[0:11]が000000010000である。最初のサイクルの後、モ
ジュラ・カウンタ4530が値3だけPOINT[0:11]をシフトし、その
結果、POINT[0:11]が000000000010になる。つまり、T
CK[10]が2番目のサイクルのためのDIVCKとして選択される。この2
番目のサイクルの後は、POINT[0:11]が010000000000に
なる。3番目のサイクルの後は、TCK[1]が選択される。しかしながら図2
4に示した3番目のサイクルにおいては、ポインタの値が直前のサイクルより小
さい(たとえば1<10)ことを示すコントロール信号OVERFLOWがモジ
ュラ・カウンタ4530によって検出される。モジュラ・カウンタ4530は、
OVERFLOW信号をアサートしてPSカウンタ4514をコントロールし、
その除算ファクタを13×TVCOだけ増加させて、図24に示されるように正
確なタイミングを維持する。この結果、位相検出器PFDの一方の入力に印加さ
れるDIVCKの周期が、[4×P+S+3×(1+1/12)]×TVCO
なる。位相検出器PFDの他方の入力は、基準周波数、たとえば20MHzのR
EFKである。したがって、図25に示されるプリスケーラ4500の有効除算
ファクタは、[4×P+S+3×(1+1/12)]となる。
【0172】 図25は、M=7の場合のプリスケーラ4500の動作ならびにタイミング波
形を示したタイミング・チャートである。TCK[0:11]の周期は、(4×
P+S)×TVCOである。図25に示されるように、当初、TCK[4]がD
IVCKとして選択されている。この時点においては、POINT[0:11]
が000010000000である。最初のサイクルの後、モジュラ・カウンタ
4530が値7だけPOINT[0:11]をシフトし、その結果、POINT
[0:11]が000000000001になる。つまり、TCK[11]がD
IVCKとして選択される。2番目のサイクルの後は、POINT[0:11]
が000000100000になる。3番目のサイクルにおいては、TCK[6
]が選択される。しかしながら、3番目のサイクルにおいては、ポインタの値が
直前のサイクルより小さい(たとえば6<11)ことを示すコントロール信号O
VERFLOWがモジュラ・カウンタ4530によって検出される。モジュラ・
カウンタ4530は、OVERFLOW信号を印加して、PSカウンタ4514
に、その除算ファクタを13×TVCOだけ増加させて、図25に示されるよう
に正確なタイミングを維持する。この結果、位相検出器PFDの一方の入力に印
加されるDIVCKの周期が、図24に示されるように、[4×P+S+7×(
1+1/12)]×TVCOになる。したがって、図24に示されるプリスケー
ラ4500の有効除算ファクタは、[4×P+S+7×(1+1/12)]とな
る。
【0173】 前述したように、プリスケーラ4500の好ましい実施態様は、各種の利点を
有する。多相分数Nプリスケーラを含むPLLの好ましい実施態様およびその使
用の方法は、大きな帯域幅ならびにスペクトルの完全性を提供する。さらに、こ
の好ましい実施態様によれば、プリスケーラが分数スパーの問題を低減するか、
あるいは除去する。したがって、VCOおよびプリスケーラ・アーキテクチャの
好ましい実施態様を統合したPLLおよびその使用の方法は、RF CMOS単
一チップ通信システムのためのパフォーマンス特性を向上させる。
【0174】 図26は、本発明に係るマスタ・スレーブgm‐C同調回路の好ましい実施態
様を示したブロック図である。図26を参照すると、マスタ・ブロック5410
は、コントロール電圧5430をスレーブ・フィルタ5440にコピーする。マ
スタ・ブロックは、第1の整流器5413、第2の整流器5414、電圧‐電流
(V‐I)コンバータ5416、およびgm‐C多相フィルタ5420を含んで
いる。図26に示されているように、整流器5413は、ハイパスフィルタの出
力信号5425A、5425Bをフィルタ5420から受け取り、整流器541
4は、ローパスフィルタ出力信号5429A、5429Bをフィルタ5420か
ら受け取る。V‐Iコンバータ5416は、整流器5413、5414からの出
力を受け取り、コントロール電圧5430をスレーブ・フィルタ5440に向け
て出力する。gm‐C多相フィルタ5420は、トランスコンダクタンス増幅器
5422、5424、5426、5428を含んでいる。トランスコンダクタン
ス増幅器5422の正および負の入力ポートは、同相モード基準信号を受け取る
。トランスコンダクタンス増幅器5424の正の出力ポートは、トランスコンダ
クタンス増幅器5422の負の出力ポートおよびトランスコンダクタンス増幅器
5424の負の入力ポートに結合されている。トランスコンダクタンス増幅器5
424の負の出力ポートは、トランスコンダクタンス増幅器5422の正の出力
ポートおよびトランスコンダクタンス増幅器5424の正の入力ポートに結合さ
れている。それに加えて、トランスコンダクタンス増幅器5424の正および負
の出力ポートは、それぞれハイパスフィルタ(HPF)出力信号5425B、5
425Aのための出力ノードになる。さらに、トランスコンダクタンス増幅器5
426の正および負の入力ポートが、基準入力信号5450を受け取るべく結合
される。トランスコンダクタンス増幅器5428の正の出力ポートは、トランス
コンダクタンス増幅器5426の負の出力ポートおよびトランスコンダクタンス
増幅器5428の負の入力ポートに結合されている。トランスコンダクタンス増
幅器5428の負の出力ポートは、トランスコンダクタンス増幅器5426の正
の出力ポートおよびトランスコンダクタンス増幅器5428の正の入力ポートに
結合されている。トランスコンダクタンス増幅器5428の正および負の出力ポ
ートは、それぞれローパスフィルタ(LPF)出力信号5429B、5429A
のための出力ノードになる。このようにフィルタ5420は、ハイパスフィルタ
回路5420Aおよびローパスフィルタ回路5420Bを含んでいる。基準入力
信号5450は、キャパシタ5423Bおよび5423Aを介してそれぞれトラ
ンスコンダクタンス増幅器5424の正および負の入力ポートに結合される。ト
ランスコンダクタンス増幅器5428の負および正の出力端子と、グラウンド電
圧の間には、キャパシタ5427Aおよび5427Bが結合されている。図26
には、gm‐C多相フィルタ5420の等価回路5460も図示してある。
【0175】 マスタ・スレーブgm‐C同調回路の好ましい実施態様においては、トランス
コンダクタンス増幅器5426、5428がフィードバック・ループ・コントロ
ール信号Vctrlをコントロール信号として受け取り、それぞれトランスコン
ダクタンス増幅器5422および5424に向けてコントロール信号Vctrl
を出力する。基準信号としては、好ましくは正弦波が使用される。図26に示さ
れているように、4MHzの正弦波が基準信号として使用され、フィルタ542
0のカットオフ周波数をセットする。
【0176】 マスタ・ブロック5410の動作の間に、Vctrl 5430の値が上昇す
ると、トランスコンダクタンス値(gm)が増加し、LPF出力信号5429A
、5429Bの振幅が増加し、HPF出力信号5425A、5425Bの振幅が
減少する。整流器5413、5414は、比較のために、それぞれ好ましくはH
PFおよびLPF出力信号のピーク・レベルを検出する。V‐Iコンバータ54
16は、整流器5413、5414からの整流後の出力を受け取り、好ましくは
整流後の出力の振幅の差に比例するポンピング電流を生成する。結果的に、負帰
還(負のフィードバック)ループによってHPF出力信号およびLPF出力信号
が等化され、次の式(8)(数9)に示される安定状態のトランスコンダクタン
ス値gmがもたらされる。
【0177】
【数9】
【0178】 前述したように、好ましい実施態様に係るマスタ・ブロック5410等のマス
タ・ブロックは、各種タイプのトランスコンダクタンス増幅器用の同調回路とし
て適合させることができる。一例のトランスコンダクタンス増幅器を図29に示
す。マスタ・ブロック5410のハイパスフィルタ・セクションおよびローパス
フィルタ・セクション内のトランスコンダクタンス増幅器は、好ましくは1/g
mオームの値を有する抵抗等価としての動作と類似の機能を提供する。さらに、
同相モード基準信号は、好ましくはVDDの約半分(たとえば、電源電圧の1/
2)の値のDC電圧とする。それに加えてマスタ・ブロック5410においては
、好ましい基準信号5450が正弦波となっているが、三角波等の別のタイプの
信号を印加することもできる。基準信号5450の周波数は、好ましくは対応す
るスレーブ・ブロックのカットオフ周波数に従って適用される。たとえば、スレ
ーブ・フィルタのカットオフ周波数を6MHzとするときには、4MHzの正弦
波を6MHzの正弦波に置き換える必要がある。
【0179】 図27は、本発明に係る整流器の好ましい実施態様を図示した概略図である。
図27に示されているように、整流器5500は、ノードAとグラウンド電圧の
間に並列に結合されたPMOSタイプのトランジスタ5501、5502を含ん
でいる。PMOSトランジスタ5501、5502のゲート電極は、それぞれ入
力信号INおよび入力信号の補信号INBを受け取る。ソース電圧VDDとノー
ドAの間には、PMOSタイプのトランジスタ5503が結合されており、ソー
ス電圧VDDとノードBの間には、PMOSタイプのトランジスタ5504が結
合されている。PMOSトランジスタ5503および5504のゲート電極は、
バイアス電圧VBiasを受け取る。第5のPMOSタイプのトランジスタ55
05が、ノードBとグラウンド電圧の間に結合されている。演算増幅器は、反転
端子がノードBに結合され、非反転端子がノードAに結合され、出力がPMOS
タイプのトランジスタ5505のゲート電極に結合されて、整流器5500の出
力信号を提供する。この整流器5500は、図26の整流器5413、5414
として使用することができる。
【0180】 図28は、本発明に係るV‐Iコンバータ5600の好ましい実施態様を示し
た概略図である。図28に示されているように、電源ソース電圧VDDとグラウ
ンド電圧の間にトランジスタ5601および5602が直列に結合されている。
さらにソース電圧VDDとグラウンド電圧の間には、トランジスタ5603およ
び5604が直列に結合されており、それらのドレイン電極が共通結合されてV
‐Iコンバータ5600の出力信号を提供する。トランジスタ5605および5
606は、ソース電圧VDDと電流ソースIsの間に直列に結合され、電流ソー
スはグラウンド電圧に結合されている。トランジスタ5607および5608は
、共通結合されたドレイン電極によってソース電圧VDDと電流ソースIsの間
に直列に結合されている。さらに、トランジスタ5605のゲート電極およびド
レイン電極は、ともにトランジスタ5601のゲート電極に結合されている。同
様に、トランジスタ5607のゲート電極およびドレイン電極が、ともにトラン
ジスタ5603のゲート電極に結合されている。トランジスタ5606および5
608のゲート電極は、それぞれ入力信号5620および5622を受け取る。
このコンバータ5600は、図26におけるV‐Iコンバータ5416として使
用することができる。
【0181】 前述したように、本発明に係るマスタ・スレーブ同調回路の好ましい実施態様
およびそれを使用する方法は、各種の利点を有している。フィードバック・ルー
プのコントロール電圧(たとえばVctrl)がスレーブ回路にコピーされ、マ
スタおよびスレーブ回路は、いずれもgm‐Cフィルタを使用する。正確な振幅
比較のために、たとえば共通負荷レベル、負荷ケイパビリティを含む電気的特性
を整合させる必要がある。好ましい実施態様に係る多相フィルタ内の多相フィル
タのハイ・パスおよびローパスフィルタ部分は、異なる構成を伴って同一のフィ
ルタを使用する。さらにハイおよびローパスフィルタリングの出力信号が同一回
路から到来し、その結果、いずれの信号も同一の電気的特性を有することになり
、それによって関連技術の同調回路に比べてより正確な同調回路が得られる。さ
らにまた、gm‐C多相フィルタ同調回路の好ましい実施態様は、マスタおよび
スレーブ・フィルタ両方の本体に関してよりシンプルな回路構成を提供する。こ
れらに加えて、同調回路の好ましい実施態様は、VCOタイプの関連技術の同調
回路に比較すると、発振の難しさ、および当該VCOタイプの同調回路の高いQ
ファクタ要件によってもたらされる不利点の排除によって、向上された堅牢な動
作を提供する。
【0182】 以上示した実施態様および利点は、単なる例示であり、本発明を限定するもの
と解釈されるべきではない。本発明の教示は、別のタイプの装置にも容易に適用
することができる。本発明の説明は例示を意図しており、特許請求の範囲を限定
するものではない。当業者であれば、各種の置換、修正、変形が明らかであろう
。特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション節(機能的表現)にお
いては、本明細書で説明した構造を、請求項に記載した機能を実行するものとし
て包含するよう意図しており、構造上の均等物に限られず、均等な構造も含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 関連技術のRF通信システムを示した回路図である。
【図2】 図2A〜図2Eは、図1のシステムにおける信号の伝播を示した概略図である
【図3】 図3Aおよび図3Bは、図1のシステムにおけるクロック信号の漏れを示した
概略図である。
【図4】 別の関連技術のRF通信システムを示した回路図である。
【図5】 図5A〜図5Gは、図4のシステムにおける信号の伝播を示した概略図である
【図6】 本発明に係る多相低減周波数(MPRF)RF通信システムの好ましい実施態
様を示した概略図である。
【図7】 本発明の好ましい実施態様に係るRF通信システムの受信機を示したブロック
図である。
【図8】 図7のRF通信システムにおける信号の流れを示したブロック図である。
【図9】 本発明の別の好ましい実施態様に係るRF通信システムの受信機を示したブロ
ック図である。
【図10】 本発明に係るCMOS・LNAの好ましい実施態様を示したブロック図である
【図11】 本発明に係るCMOS・LNAの好ましい実施態様を示した回路図である。
【図12A】 図12Aは、本発明の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造を示したブロ
ック図である。
【図12B】 図12Bは、図2AのVCOミキサ構造を示した回路図である。
【図13】 本発明の別の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造を示した回路図である
【図14】 図14A〜図14Hは、図3のミキサを示した動作タイミング図である。
【図15】 本発明に係るミキサのさらに別の好ましい実施態様を示した回路図である。
【図16】 第3の好ましい実施態様に係る一例の直交ダウン・コンバータを示した回路図
である。
【図17】 本発明に係るミキサのさらに別の好ましい実施態様を示した回路図である。
【図18】 図18Aは、本発明の好ましい実施態様に係るシングル・フィードバック・ル
ープを伴うDCオフセット・キャンセル回路のブロック図である。 図18Bは、図18AのDCオフセット・キャンセル回路の回路図である。
【図19】 関連技術に係るCMOSリング・オシレータに関するインパルス感度関数を示
した概略図である。
【図20】 関連技術の整数Nアーキテクチャを示した概略図である。
【図21】 関連技術の分数Nアーキテクチャを示した概略図である。
【図22】 好ましい実施態様に係るCMOS・VCOを示した概略図である。
【図23】 本発明に係る分数Nプリスケーラの好ましい実施態様を示した概略図である。
【図24】 分数Nプリスケーラの好ましい実施態様に係る動作ならびにタイミング波形を
示した概略図である。
【図25】 分数Nプリスケーラの好ましい実施態様に係る動作ならびにタイミング波形を
示した概略図である。
【図26】 本発明に係るマスタ・スレーブ同調回路の好ましい実施態様を示した概略図で
ある。
【図27】 整流器の好ましい実施態様を示した概略図である。
【図28】 電圧‐電流コンバータの好ましい実施態様を示した概略図である。
【図29】 一例のトランスコンダクタンス増幅器を示した回路図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ジョン ドッギュン 大韓民国 ソウル市 クアンアッ区 シン リムドン 山56−1 ソウル大学 電気工 学部301棟803号 (72)発明者 バック ズンベ 大韓民国 ソウル市 ソチョ区 ソチョド ン 1685番地 サンプング2棟906号 (72)発明者 キム ウォンチャン 大韓民国 ソウル市 クアンアッ区 シン リムドン 山56−1 Fターム(参考) 5J100 JA01 LA00 LA01 QA01 SA01 SA02

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 搬送周波数を有する選択された信号を含む信号を受信する受
    信機ユニットと、 前記受信した搬送周波数の選択された信号を混合し、ベースバンドの選択され
    た信号を出力する復調ミキサと、 前記ベースバンドの選択された信号を受け取り、選択的に帯域内信号を所定の
    振幅に増幅する、第1および第2段のAGC増幅器を含むベースバンド増幅回路
    と、 を備えるダイレクト変換通信システム。
  2. 【請求項2】 前記所定の振幅が、前記通信システムの必要ダイナミックレ
    ンジより大きいことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
  3. 【請求項3】 前記ベースバンドの選択された信号内の隣接チャンネルが、
    チャンネル内信号より大きな電力レベルを有し、かつ前記第2段のAGC増幅器
    が利得マージ・フィルタであることを特徴とする請求項2記載の通信システム。
  4. 【請求項4】 前記通信システムはさらに、 前記受信機ユニットに結合され、前記受信した選択された信号のフィルタリン
    グを行うRFフィルタと、 前記RFフィルタに結合され、利得を伴って前記フィルタリング後の選択され
    た信号の増幅を行う低ノイズ増幅器と、 前記復調ミキサからの前記選択された信号をデジタル信号に変換するA/D変
    換ユニットと、 前記デジタル信号を受け取る離散時間処理ユニットと、 を備えることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
  5. 【請求項5】 RF信号の受信および送信を行うトランシーバと、 fを搬送周波数とし、Nを正の整数とするとき、実質的に同一の周波数2×
    /Nを有する複数の2N相のクロック信号を生成するためのPLLと、 前記トランシーバからの前記RF信号と、前記PLLからの前記複数の2N相
    のクロック信号を混合し、前記搬送周波数fに対して低減された周波数を有す
    るRFを出力する復調ミキサであって、複数の2入力ミキサを包含する復調ミキ
    サと、 前記復調ミキサに結合されるAGCループと、 前記AGCループに結合される利得マージ・フィルタと、 前記利得マージ・フィルタに結合され、前記復調ミキサからのRF信号をデジ
    タル信号に変換するA/D変換ユニットと、 を備える単一チップRF通信システム。
  6. 【請求項6】 I搬送周波数信号およびQ搬送周波数信号のうちの少なくと
    も1つを復調するために、前記複数の2N相のクロック信号のいくつかが結合さ
    れることを特徴とする請求項5記載の通信システム。
  7. 【請求項7】 搬送周波数を有する選択された信号を含む信号を受信するス
    テップと、 2を超える数の多相クロック信号であって、前記搬送周波数と異なり、かつ互
    いに実質的に同一の周波数を有する多相クロック信号を生成するステップと、 前記受信した選択された信号と、前記2を超える数の多相クロック信号を混合
    して、前記搬送周波数から低減された周波数を有する復調後の選択された信号を
    出力するステップであって、第1の搬送周波数信号および第2の搬送周波数信号
    のうちの一方を復調するために、前記2を超える数の多相クロック信号のうちの
    いくつかが混合されるものとしたステップと、 前記復調後の選択された信号を、選択されたチャンネルおよび隣接チャンネル
    のうちの一方が線形限界に到達するまで増幅するステップと、 前記隣接チャンネルの増幅ならびにフィルタリングを行い、かつ前記選択され
    たチャンネルを所望のダイナミックレンジまで増幅するステップと、 を備えるRF通信システム動作方法。
  8. 【請求項8】 前記隣接チャンネルが、前記復調後の選択された信号であっ
    て、前記選択されたチャンネルより大きな電力レベルを有することを特徴とする
    請求項7記載のRF通信システム動作方法。
  9. 【請求項9】 前記RF通信システム動作方法がさらに、 前記受信した選択された信号のRFフィルタリングを行うステップと、 前記フィルタリング後の選択された信号を、利得を伴って増幅するステップと
    、 ベースバンドに対して前記低減された周波数を有する復調後の選択された信号
    のローパスフィルタリングを行うステップと、 前記ローパスフィルタリング後の低減された周波数の選択された信号をデジタ
    ル信号にA/D変換するステップと、 前記デジタル信号の離散時間信号処理を行うステップと、 を備えることを特徴とする請求項7記載のRF通信システム動作方法。
  10. 【請求項10】 入力端子と出力端子の間に結合される複数の増幅段と、 前記複数の増幅段のそれぞれに結合される利得コントローラと、 を備えており、 スパイラル・インダクタを含まないCMOS低ノイズ増幅器(LNA)。
  11. 【請求項11】 前記増幅段のそれぞれが、 第1および第2の対称回路と、 それぞれの前記増幅段の出力ノードと、前記第2の対称回路の間に結合される
    フィードバック・ループと、 を備えることを特徴とする請求項10記載のCMOS・LNA。
  12. 【請求項12】 前記第1の回路が、 第1の所定電圧と、前記増幅段の対応する出力ノードの間に直列に結合される
    第1および第2のPMOSタイプのトランジスタと、 第2の所定の電圧と、前記第1および第2のPMOSタイプのトランジスタの
    ジャンクションの間に結合される第1のキャパシタと、 を備えており、 前記第2の回路が、 前記増幅段の前記出力ノードと前記第2の所定電圧の間に直列に結合される第
    1および第2のNMOSタイプのトランジスタと、 前記第2の所定電圧と、前記第1および第2のNMOSタイプのトランジスタ
    のジャンクションの間に結合される第2のキャパシタと、 を備えることを特徴とする請求項11記載のCMOS・LNA。
  13. 【請求項13】 前記フィードバック・ループが、 前記第2のNMOSタイプのトランジスタのコントロール電極に結合される出
    力を有する第1の演算増幅器と、 前記増幅器段の前記出力ノードおよび前記第1の演算増幅器の第1の入力に結
    合される第1の抵抗と、 前記第2の所定電圧と前記演算増幅器の前記第1の入力の間に結合される第3
    のキャパシタと、 を備えており、 前記第1の演算増幅器の第2の入力が、第3の所定電圧に結合され、前記第3
    の所定電圧のレベルが、前記第1および第2の所定電圧の間のレベルであること
    を特徴とする請求項12記載のCMOS・LNA。
  14. 【請求項14】 前記CMOS・LNAは、さらに 前記入力端子に結合される第2の抵抗と、 前記第2の抵抗と前記第2の所定電圧の間に直列に結合される第4のキャパシ
    タと、 を備えており、前記第2の抵抗と前記第4のキャパシタを結合するジャンクショ
    ンが、前記第3の所定電圧を提供することを特徴とする請求項13記載のCMO
    S・LNA。
  15. 【請求項15】 前記利得コントローラが、 前記第1の所定電圧と前記第2の所定電圧の間に直列に結合される利得電流ソ
    ースおよび利得トランジスタと、 前記第2の所定電圧と前記利得トランジスタのコントロール電極の間に結合さ
    れる利得キャパシタと、 を備えており、前記利得トランジスタのコントロール電極および第2の電極が互
    いに結合されることを特徴とする請求項14記載のCMOS・LNA。
  16. 【請求項16】 前記利得コントローラおよび前記増幅段の第1のPMOS
    タイプのトランジスタが電流ミラーを構成しており、前記第3の所定電圧が前記
    第1の所定電圧の2分の1であることを特徴とする請求項15記載のCMOS・
    LNA。
  17. 【請求項17】 異なる位相を有する複数の第1のクロック信号であり、そ
    れぞれが基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロック信号を
    受け取るミキサであって、前記複数の第1のクロック信号を混合して、より高い
    第2の周波数を有する複数の局部発振器信号を生成し、かつ前記複数の局部発振
    器信号と入力信号の乗算を行って出力端子に出力信号を提供するミキサを備える
    回路。
  18. 【請求項18】 前記局部発振器信号の、第1の局部発振器信号および第2
    の局部発振器信号が、Iチャンネルの変換およびQチャンネルの変換にそれぞれ
    使用されることを特徴とする請求項17記載の回路。
  19. 【請求項19】 前記回路はさらに、基準周波数を有する基準信号を受け取
    り、複数の第1のクロック信号を生成するクロック・ジェネレータを包含してお
    り、前記クロック・ジェネレータは、異なる位相を有する複数の第1のクロック
    信号を提供する直列に結合された複数の遅延セルを含むことを特徴とする請求項
    17記載の回路。
  20. 【請求項20】 異なる位相を有する複数の第1のクロックであって、それ
    ぞれが入力信号の基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロッ
    クを生成するステップと、 前記複数の第1のクロック信号を混合して、前記第1の周波数より高い第2の
    周波数を有する複数の局部発振器信号を生成するステップと、 前記複数の局部発振器信号と前記入力信号の乗算を行って出力端子に出力信号
    を提供するステップと、 を備える入力信号変調方法。
  21. 【請求項21】 前記出力信号がベースバンドであることを特徴とする請求
    項20記載の回路。
  22. 【請求項22】 電圧を有する信号を増幅するための直列に結合された、そ
    れぞれが前記信号の前記電圧を増加させる複数の利得段であって、かつそれぞれ
    が前記信号を受け取るための入力ポートおよび結果として得られる増幅後の信号
    を送出するための出力ポートを含む複数の利得段と、 前記結果として得られる増幅後の信号の望ましくないオフセットをキャンセル
    する複数のフィードバック・ループであって、それぞれの利得段に、対応する利
    得段の望ましくないオフセットをキャンセルする対応のフィードバック・ループ
    が結合されるように、それぞれが前記利得段の対応する1つの前記出力ポートお
    よび前記入力ポートに結合された複数のフィードバック・ループと、 を備えるループ装置。
  23. 【請求項23】 前記望ましくないオフセットが直流オフセット電圧であり
    、各フィードバック・ループが、それに対応する利得段によって累算された前記
    直流オフセット電圧を除去するための直流オフセット・キャンセル・ユニットを
    含むことを特徴とする請求項22記載のループ装置。
  24. 【請求項24】 各直流オフセット・キャンセル・ユニットが、前記直流オ
    フセット電圧のフィルタリングを行うハイパスフィルタを含むことを特徴とする
    請求項23記載のループ装置。
  25. 【請求項25】 各利得段が、可変利得増幅器を含むことを特徴とする請求
    項22記載のループ装置。
  26. 【請求項26】 前記複数の利得段およびフィードバック・ループが、1チ
    ップ上にマウントされており、各フィードバック・ループが前記チップ上にマウ
    ントされたキャパシタを含むことを特徴とする請求項22記載のループ装置。
  27. 【請求項27】 直列に結合された複数の利得段に信号を伝播させることに
    よって前記信号の電圧を増幅するステップであって、それぞれの利得段は、前記
    信号の前記電圧を増加させるものであり、かつ前記信号を受け取るための入力ポ
    ートおよび結果として得られる増幅後の信号を送出するための出力ポートを含む
    ものとするステップと、 複数のフィードバック・ループを用いて前記結果として得られる増幅後の信号
    の望ましくないオフセットをキャンセルするステップであって、各フィードバッ
    ク・ループは、前記利得段の対応する1つの前記出力ポートおよび前記入力ポー
    トに結合され、その結果それぞれの利得段に、対応する利得段の望ましくないオ
    フセットをキャンセルする対応のフィードバック・ループが結合されるものとす
    るステップと、 を備える信号利得制御方法。
  28. 【請求項28】 異なる位相を有する複数の第1のクロックであって、それ
    ぞれが基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロックを生成す
    るクロック・ジェネレータと、 前記クロック・ジェネレータに結合され、前記複数の第1のクロック信号を受
    け取り、前記第1の周波数より高い、前記基準周波数に基づいた第2のクロック
    信号を生成するプリスケーラと、 を備える回路。
  29. 【請求項29】 前記クロック・ジェネレータが、異なる位相を有する前記
    複数の第1のクロックを提供するための、直列に結合された複数の遅延セルを含
    んでおり、前記複数の遅延セルの第1の遅延セルがその後に続く前記遅延セルの
    1つからフィードバック信号を受け取ることを特徴とする請求項28記載の回路
  30. 【請求項30】 前記遅延セルのそれぞれが、第1および第2の出力端子お
    よび第1から第4までの入力端子を含むことを特徴とする請求項29記載の回路
  31. 【請求項31】 前記遅延セルのそれぞれが、 第2の電極によって、第1のノードと第1の所定電圧の間に直列に結合される
    第1のペアのトランジスタであって、前記第1のペアのトランジスタのコントロ
    ール電極が、それぞれ第4および第3の出力端子に結合される第1のペアのトラ
    ンジスタと、 第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結
    合される第2のペアのトランジスタであって、前記第2のペアのトランジスタの
    コントロール電極が、それぞれ第1および第2の入力端子に結合される第2のペ
    アのトランジスタと、 第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結
    合される第3のペアのトランジスタであって、前記第3のペアのトランジスタの
    コントロール電極が、それぞれ第4および第3の入力端子に結合されており、共
    通結合された第2の電極が、前記第1の出力端子に結合される第3のペアのトラ
    ンジスタと、 第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結
    合される第4のペアのトランジスタであって、前記第4のペアのトランジスタの
    コントロール電極が、それぞれ第1の入力端子および第2の入力端子に結合され
    ており、前記第4のペアのトランジスタの前記第2の電極が、前記第2の出力端
    子に結合される第4のペアのトランジスタと、 第2のノードと第3のノードの間に結合されるフィードバック回路と、 第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結
    合される第5のペアのトランジスタであって、前記第5のペアのトランジスタの
    前記第2の電極が、前記第1の出力端子に結合されており、前記第5のペアのト
    ランジスタのコントロール電極が、前記第3のノードに結合される第5のペアの
    トランジスタと、 第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結
    合される第6のペアのトランジスタであって、前記第6のペアのトランジスタの
    前記第2の電極が、前記第2の出力端子に結合されており、前記第6のペアのト
    ランジスタのコントロール電極が、前記第2のノードに結合される第6のペアの
    トランジスタと、 第1のノードと第1の出力端子の間に結合され、コントロール電極が前記第2
    の出力端子に結合される第7のトランジスタと、 第1のノードと前記第2の出力端子の間に結合される第8のトランジスタであ
    って、そのコントロール電極が前記第1の出力端子に結合される第8のトランジ
    スタと、 第2の所定電圧と前記第1のノードの間に結合される第9のトランジスタと、
    を備えることを特徴とする請求項30記載の回路。
  32. 【請求項32】 前記フィードバック回路が、フィードバック・コントロー
    ル信号を受け取るべく結合されるフィードバック・トランジスタを含むことを特
    徴とする請求項31記載の回路。
  33. 【請求項33】 前記プリスケーラが、 前記複数の第1のクロック信号の1つを受け取るべく結合される除算回路と、 直列に結合される複数のフリップフロップを含み、前記除算回路の出力信号を
    受け取るサンプラ回路であって、複数の第3のクロック信号を出力するサンプラ
    回路と、 前記第3の複数のクロック信号および選択信号を受け取るべく結合されるマル
    チプレクサであって、前記第2のクロック信号を出力するマルチプレクサと、 前記除算回路と前記マルチプレクサの間に結合されるカウンタ回路と、 を包含することを特徴とする請求項28記載の回路。
  34. 【請求項34】 前記除算回路がパルス‐スワロー除算回路を備えており、 前記サンプラ回路は、直列に結合される複数のフリップフロップを備えており
    、 前記複数のフリップフロップのそれぞれが、前記第1の複数のクロック信号の
    対応する1つを受け取り、前記第3の複数のクロック信号の1つを出力し、 第1のフリップフロップが前記除算回路の出力信号を受け取ることを特徴とす
    る請求項33記載の回路。
  35. 【請求項35】 前記回路はさらに、 前記第2のクロック信号および基準クロック信号を受け取る位相検出器と、 前記位相検出器に結合されるチャージ・ポンプ回路と、 前記チャージ・ポンプに結合され、前記クロック・ジェネレータに向けて前記
    フィードバック・コントロール信号を出力するループ・フィルタと、 を包含することを特徴とする請求項33記載の回路。
  36. 【請求項36】 前記クロック・ジェネレータが電圧コントロール・オシレ
    ータ(VCO)であって、前記第2のクロック信号が分周されたクロック信号で
    あり、前記プリスケーラは前記VCOによって生成される位相ノイズ内の分数ス
    パーを低減することを特徴とする請求項35記載の回路。
  37. 【請求項37】 前記回路が、単一チップ上に構成されるCMOS回路であ
    ることを特徴とする請求項36記載の回路。
  38. 【請求項38】 スレーブ・フィルタ・ブロックと、 前記スレーブ・フィルタ・ブロックにコントロール信号を出力するマスタ・フ
    ィルタ・ブロックとを備えており、 前記マスタ・フィルタ・ブロックは、 ハイパスフィルタおよびローパスフィルタを含み、前記ハイパスフィルタお
    よびローパスフィルタのそれぞれが前記コントロール信号を受け取る第1のフィ
    ルタと、 前記ハイパスフィルタに結合される第1の整流器と、 前記ローパスフィルタに結合される第2の整流器と、 前記第1および第2の整流器に結合され、前記コントロール信号を出力する
    コンバータとを備えている 同調回路。
  39. 【請求項39】 前記コントロール信号の値が増加すると、前記ハイパスフ
    ィルタの出力信号の第1の振幅が減少し、かつ前記ローパスフィルタの出力信号
    の第2の振幅が増加することを特徴とする請求項38記載の同調回路。
  40. 【請求項40】 前記コントロール信号の値が、前記第1の振幅と前記第2
    の振幅が等しくなるまで調整されることを特徴とする請求項39記載の同調回路
  41. 【請求項41】 前記第1のフィルタが、 第1および第2の出力端子において、第1のペアの出力信号を出力するべく
    直列に結合された第1および第2のトランスコンダクタンス増幅器(TA)と、 第3および第4の出力端子において、第2のペアの出力信号を出力するべく直
    列に結合された第3および第4のトランスコンダクタンス増幅器(TA)と、 を包含することを特徴とする請求項38記載の同調回路。
  42. 【請求項42】 前記第1のTAの第1および第2の入力が第1の所定基準
    信号を受け取り、前記第2のTAの第1の出力が、前記第2の出力端子、前記第
    1のTAの第2の出力、および前記第2のTAの第2の入力に結合されており、
    前記第2のTAの第2の出力が、第1の出力端子、前記第1のTAの第1の出力
    、および前記第2のTAの第1の入力に結合されていることを特徴とする請求項
    41記載の同調回路。
  43. 【請求項43】 前記第3のTAの第1および第2の入力が第2の所定基準
    信号を受け取り、前記第4のTAの第1の出力が、前記第4の出力端子、前記第
    3のTAの第2の出力、および前記第4のTAの第2の入力に結合されており、
    前記第4のTAの第2の出力が、前記第3の出力端子、前記第3のTAの第1の
    出力、および前記第4のTAの第1の入力に結合されていることを特徴とする請
    求項42記載の同調回路。
  44. 【請求項44】 前記第1から第4までのTAのコントロール端子が、前記
    コントロール信号を受け取ることを特徴とする請求項43記載の同調回路。
  45. 【請求項45】 前記同調回路はさらに、 前記第1および第2の出力端子と前記第2の基準信号の間に結合される第1お
    よび第2のキャパシタと、 それぞれ前記第3および第4の出力端子と第1の所定基準電圧の間に結合され
    る第3および第4のキャパシタと、 を包含することを特徴とする請求項44記載の同調回路。
  46. 【請求項46】 前記第1の整流器が、 第1のノードと第1の所定電圧レベルの間に結合される第1および第2のトラ
    ンジスタと、 第2の所定電圧レベルと前記第1のノードの間に結合される第3のトランジス
    タと、 前記第2の所定電圧レベルと前記第1の所定電圧レベルの間の、第2のノード
    において直列に結合された第4および第5のトランジスタと、 それぞれ前記第1および第2のノードに結合された第1および第2の入力、お
    よび前記第5のトランジスタのコントロール電極に結合された出力を有する演算
    増幅器と、 を包含しており、前記第3および第4のトランジスタのコントロール電極が第3
    の所定電圧を受け取り、第1および第2のトランジスタのコントロール電極がそ
    れぞれ第1および第2の入力信号を受け取ることを特徴とする請求項45記載の
    同調回路。
  47. 【請求項47】 前記コンバータが電圧‐電流コンバータであって、前記電
    圧‐電流コンバータは、 第2の所定電圧と第1の所定電圧の間に直列に結合される第1および第2のト
    ランジスタと、 前記第2の所定電圧と前記第1の所定電圧の間の、前記コンバータの出力端子
    において直列に結合される第3および第4のトランジスタと、 前記第2の所定電圧と第1のノードの間において直列に結合される第5および
    第6のトランジスタと、 前記第2の所定電圧と前記第1のノードの間において直列に結合される第7お
    よび第8のトランジスタと、 前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に結合される電流ソースと、 を包含することを特徴とする請求項45記載の同調回路。
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