JP4618759B2 - 単一チップcmos送信機/受信機およびその使用方法 - Google Patents
単一チップcmos送信機/受信機およびその使用方法 Download PDFInfo
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Description
[発明の背景]
(1.発明の分野)
本発明は、通信システムに関し、特にCMOS無線周波数(RF)通信システムに関する。
【0002】
(2.関連技術の背景)
今日の無線周波数(RF)通信システムは、PCS通信ならびにIMTシステムを含めた多様な応用を有する。システムのCMOSチップ集積化それ自体も、コスト、サイズならびに消費電力の低減が追及されてきている。
【0003】
概して、RF通信システムは、RFフロントエンド・ブロックおよびベースバンド・デジタル信号処理(digital signal processing:DSP)ブロック、もしくはベースバンド・モデム・ブロックからなる。現在のところベースバンドDSPブロックは、低コスト、かつ低電力のCMOSテクノロジを用いてインプリメントすることができる。しかしながら、RFフロントエンドについては、速度、帯域幅、およびノイズ特性における限界、すなわち一般的なRF通信システムの速度、周波数ならびにノイズ仕様に達しないという限界からCMOSテクノロジによるインプリメンテーションが可能でない。
【0004】
たとえば、PCSハンドフォン・システム(PCS hand-phone systems)は、2.0GHzを超える周波数において動作するが、現在のCMOSテクノロジが、速度ならびにノイズという意味に関して信頼性をもって動作し得る周波数は、最大でも約1.0GHzである。したがって、RFフロントエンド・ブロックは、バイポーラ、bi−CMOS、もしくはGaAsテクノロジを使用してインプリメントされており、これらはCMOSテクノロジより速度、帯域幅、およびノイズ特性において優れているが、より高価であり、消費電力も大きい。
【0005】
現在、「ダイレクト変換」およびスーパーヘテロダイン(ダブル変換)と呼ばれる2つの異なるタイプのRFアーキテクチャがCMOS・RF通信システムに使用されている。これらのアーキテクチャは、いずれもCMOSインプリメンテーションという意味において利点ならびに欠点を有する。
【0006】
図1は、関連技術のダイレクト変換RF通信システム100を示している。この関連技術のダイレクト変換CMOS・RFシステム100は、アンテナ105、RFフィルタ110、低ノイズ増幅器(low noise amplifier:LNA)120、フェイズロックループ(phase-locked loop:PLL、位相同期ループ)130、第1のミキサ140、第2のミキサ142、第1および第2の増幅器150、152、第1のローパスフィルタ(low pass filter:LPF)160、第2のLPF162、それぞれが自動利得コントロール(automatic gain control:AGC)ループを含む第1および第2の可変利得増幅器(variable gain amplifiers:VGA)170、172、第1のアナログ/デジタル(A/D)コンバータ180、第2のA/Dコンバータ182、第3のミキサ190、および電力増幅器192を含んでいる。
【0007】
アンテナ105は、RF信号を受信する。受信されたRF信号は、各種のRF帯域からなる。その後、選択されたRF信号がRFフィルタ110においてフィルタリングされる。つまり、帯域外RF信号(たとえば無関係なRF帯域)がRFフィルタ110によって除去される。フィルタリングされた帯域内RF信号は、LNA120において利得を伴って増幅される。しかしながら、この帯域内RF信号は、帯域内チャンネル、および可能性としてはイメージ帯域からなり、図1および2においてはそれがAとして示されている。LNA120を通過する帯域内RF信号は、LO周波数が搬送周波数に等しいことから、第1および第2のミキサ140および142において、直交乗算によってベースバンド信号にダイレクトに復調される。PLL130は、電圧コントロール・オシレータ(VCO)を用いて、好ましくは2つのタイプのクロック信号、すなわちIクロック信号およびQクロック信号を生成する。Iクロック信号およびQクロック信号は、位相が異なることを除けば等しい。I信号とQ信号は、好ましくは90度の位相差を有する。言い換えるとQ信号は、直交位相シフトに関して位相シフトされたI信号である。好ましくは、2セットのI信号およびQ信号を使用して、RFシステムの有用性を向上させ、ノイズならびに干渉にかかわりなく、受信した情報の識別もしくは維持を行う。異なる位相を有する2つのタイプの信号を送信することは、情報の喪失もしくは変化の確率を低減することになる。
【0008】
図1および2のBに示されるように、ダウン‐コンバートされた信号は、所望のチャンネル、隣接チャンネル、およびアップ‐コンバートされた信号を含んでいる。ダウン‐コンバートされた信号は、ローパスフィルタ(LPF)160、162からのノイズ注入による信号対ノイズ比(SNR)の過大な劣化を防止するために、増幅器150、152によって増幅された後にLPF160、162に通されるが、図1および2においてはそれがCとして示されている。LPF160、162から出た信号は、それぞれ可変利得増幅器(variable gain amplifiers:VGA)170、172によって増幅され、それぞれ、第1および第2のA/Dコンバータ180、182におけるA/D変換に求められる信号となる。しかしながら、所望のチャンネルが必要レベルまで増幅される前に、隣接チャンネルが線形限界に到達してしまう可能性があることから、所望チャンネルを線形限界によって許容される最大レベルまで増幅することができない。このように、関連技術のダイレクト変換アーキテクチャ100においては、隣接チャンネルの電力の増加に従って全チャンネルの増幅が抑えられ、それが結果的にSNRの低下ももたらしている。図1および2におけるDに示されるように、LPF160、162は、大きなノイズ・フロアを出力し、それがLPF160、162によって所望のチャンネルに追加される。したがって、図1および2におけるEに示されるように、A/D変換に先行して所望チャンネルが必要レベルまで増幅されるとき、所望チャンネルならびにノイズ・フロアがともに増幅される。
【0009】
その後、デジタル信号がベースバンドの離散時間信号処理(discrete-time signal processing:DSP)ブロック(図示せず)に転送される。チャンネル選択は、フェイズロックループ(PLL)130における周波数f0を変更することによって行われる。
【0010】
前述したように、関連技術のダイレクト変換RFシステム100は、その単純さを理由としてCMOS・RF集積化のための利点を有する。関連技術のダイレクト変換RFシステムにおいては、単一のPLLだけが求められる。しかも、関連技術のダイレクト変換RFシステムにおいては、高品質フィルタが必要とされない。しかしながら、関連技術のダイレクト変換アーキテクチャは、単一チップ集積化が困難もしくは不可能であるという欠点を有する。図3Aに示されるように、VCO等の局部発振器(LO)からのクロック信号cos ωLOtが、ミキサ入力ないしはアンテナに漏れることがあるが、局部発振器(LO)がRF搬送波と同じ周波数を有することから、それにおいて放射を生じる可能性がある。意図しない送信クロック信号Δ(t)cos ωLOtは、近隣の物体によって反射され、ミキサによって「再受信」されることもある。ローパスフィルタは、クロック信号の漏れを原因として、信号M(t)+Δ(t)を出力する。図3Bに示されるように、局部発信機との自己混合は、ミキサの出力において時間的に変化するDCオフセットあるいはDCオフセットの「ふらつき」といった問題を招く。時間的に変化するDCオフセットは、固有の回路オフセットとともに、受信機部分のダイナミックレンジを著しく狭める。さらに、前述したように、関連技術のダイレクト変換RFシステムは、高周波、低位相ノイズのPLLをチャンネル選択のために必要とするが、CMOS電圧コントロール・オシレータ(VCO)を用いてこれを達成することは困難である。
【0011】
図4は、ダブル変換アーキテクチャに係る関連技術のRF通信システム400のブロック図を示しており、これにおいては可能性のあるすべてのチャンネルが考慮され、同調可能なチャンネル選択PLLの使用によって、まずRFからIFへ、続いてIFからベースバンドへの周波数変換が行われる。図4に示されるように、このRF通信システム400は、アンテナ405、RFフィルタ410、LNA420、IRフィルタ425、フェイズロックループ(PLL)PLL1 430、第1のミキサ435、IFフィルタ440、IF・VGA450、PLL2 460、第2のミキサ465、LPF470、A/Dコンバータ480、第3のミキサ490、および電力増幅器492を含んでいる。
【0012】
ミキサ435、465は、いずれも復調用のミキサであるが、ミキサ490は変調用のミキサである。ミキサ435は、選択されたRF周波数用のミキサであり、ミキサ465は、中間周波数(intermediate frequency:IF)用のミキサである。PLL1 430は、高い周波数、つまりRF周波数のクロック信号を生成し、PLL2 460は、低い周波数、つまり中間周波数(IF)を有するクロック信号を生成する。
【0013】
送信データは、ミキサ490によって、オリジナルの送信データ周波数を持つように、PLL430からの高い周波数を有するクロック信号を用いた乗算が行われる。ミキサ490の出力信号は、電力増幅器492において利得を伴った増幅が行われ、その後、アンテナ405を介して放射される。
【0014】
次に、関連技術のスーパーヘテロダイン受信機の動作について説明する。まずRF信号が、アンテナ405によって受信される。受信されたRF信号は、各種のRF周波数帯を含んでいる。RFフィルタ410が、帯域外RF信号をフィルタ・アウトし、LNA420が、帯域内信号および可能性としてはイメージ帯域からなる帯域内RF信号の増幅を行うが、それを図4および5のAに示す。イメージ帯域は、図4および5のBに示されるように、イメージ除去(IR)フィルタ425によってフィルタ・アウトされる。この除去を行わないと、イメージ帯域が、ミキサ435およびPLL1 430の組み合わせによる第1のダウン・コンバージョンの後に、帯域内RF信号と混合されることになる。したがって、帯域内RFチャンネルが、図4および5のCに示されるように、局部発振器信号LO1を使用するミキサ435において、第1のダウン・コンバージョンによってIF周波数にダウン・コンバートされる。PLL1 430は、RF信号のI信号用、およびRF信号のQ信号用の局部発振器信号を生成する。
【0015】
バンドパスIFフィルタ440は隣接チャンネルを除去し、その結果、図4および5のDに示されるように、所望の、あるいは専用のチャンネルがIF周波数において支配的な電力レベルを有することになる。IF・VGA450は、AGCループを含んでおり、IF周波数における専用チャンネルを増幅し、下流にあるLPF470の大きなノイズ・フロアに打ち勝つ充分に大きな振幅を持たせる。AGCループは、IF・VGA450の出力の振幅を連続的に検出して、そのVGA利得をコントロールし、その結果、線形限界によって許容される最大振幅を獲得することが可能になる。このように、デュアル変換受信機は、IFフィルタリングおよび増幅によって、図4および5のEに示されるように、必要なSNRを達成することができる。IF・VGA450によってIF増幅が行われる前にIFフィルタ440によるフィルタリングが行われることから、隣接チャンネルがIF増幅のボトルネックまたは問題点となることはない。しかしながら、IF増幅の前に隣接チャンネルの除去が行われないときには、専用チャンネルを最大レベルまで増幅する前に、隣接チャンネルが線形限界に到達する可能性があることから、専用チャンネルを最大値まで増幅することができない。
【0016】
増幅後のRF信号は、PLL2 460からの局部発振器信号LO2を使用する第2のダウン・コンバージョン・ミキサ465によって再度ダウン・コンバートされ、図4および5のFに示されるように、ベースバンドに変換される。ローパスフィルタ470は、アップ・コンバートされた信号および残りの隣接チャンネルを出力し、それを図4および5のGに示すが、それにはLPF470によって追加されるノイズ・フロアが示されている。A/Dコンバータ480は、この信号をデジタル・データに変換し、その後それがベースバンドの離散時間信号処理(DSP)ブロック(図示せず)に転送される。IF段のすべてのチャンネルは、チャンネル選択用の同調可能なPLL2 460によって、ベースバンド周波数にダイレクトに周波数変換される。
【0017】
前述したように、関連技術のスーパーヘテロダインRFシステム400は、各種の利点を有する。関連技術のダブル変換RF通信システム400は、より高い周波数の(つまりRFの)第1のPLL430ではなく、より低い周波数の(つまりIFの)第2のPLL460を使用してチャンネル同調を行う。したがって、高い周波数のRF・PLL430を周波数が固定されたPLLとすることが可能であり、それによってより効果的な最適化が可能になる。さらに、より低い周波数において動作するIF・PLL460を用いてチャンネル同調が行われることから、チャンネル選択に対する位相ノイズの寄与を抑えることができる。しかしながら、関連技術のダブル変換RFシステム400は、単一チップ集積化に関して克服しなければならない各種の欠点も有する。関連技術のダブル変換RFシステム300は、2つのPLLを使用するが、それらを単一チップ内に集積化することは困難である。さらに第1のPLLは、CMOSテクノロジ、特にCMOS・VCOを用いたインプリメンテーションにとっては周波数が高すぎる。それに加えて、第2のPLLが、IFの所望搬送波と同一の周波数にあることから、これにおいても自己混合の問題が生じる。第2のミキサの出力信号が基板に漏れる可能性、あるいは再度それが第2のミキサに漏れる可能性がある。時間的に変化するDCオフセットは、固有の回路オフセットとともに、受信機部分のダイナミックレンジを著しく狭める。さらにまた、IRフィルタならびにIFフィルタのCMOS集積化は、非常に困難もしくは不可能である。
【0018】
関連技術のCMOS低ノイズ増幅器(LNA)
関連技術のCMOS・LNAは、各種の欠点を有する。スパイラル・インダクタ等のオンチップ・インダクタの使用によって関連技術のCMOS・LNA用のインダクタンスのインプリメンテーションを行う場合、オンチップ・スパイラル・インダクタは、必要なパフォーマンス特性を提供することができず、また大量製造の間においても許容可能な歩留まりをもたらすことができない。関連技術のCMOS・LNA用のインダクタンスをオフチップ・インダクタ・エレメントに求めれば、オフチップ・インダクタによって、より複雑な製造プロセス、およびボード・レイアウトがもたらされる可能性があり、CMOS・RF通信システム等の全体的なシステムにおけるコストの上昇を招きかねない。さらに、オフチップ・エレメントに対して必要となる接続が、パフォーマンス特性を低下させることになる。
【0019】
関連技術のCMOS電圧コントロール・オシレータ(VCO)およびミキサ構造
前述したように、各種の応用にとっては、周波数レンジが広いこと、および位相ノイズが低いことが望ましい。しかしながら、CMOS・VCOミキサ構造は、信頼性のある位相ノイズならびに周波数レンジを伴おうとすれば、最大でも1GHzの周波数しかサポートすることができない。VCOミキサ構造のパフォーマンスは、VCOからのクロック信号LO+およびLO−の周波数が増加するに従って、位相ノイズならびに周波数レンジという意味においてさらに悪化する。したがって、VCOおよびミキサ構造は、クロック信号LO+およびLO−の周波数f0が1GHzを超える場合には、信頼性をもってインプリメントすることができない。
【0020】
関連技術のCMOS自動利得コントロール・ループ
関連技術のダイレクト変換受信機は、DCオフセット・キャンセルを必要とする。DCオフセット・キャンセルのための従来技術のアプローチは、利得段に組み込まれたDCオフセット電圧のハイパスフィルタリングを使用する。ハイパスフィルタの集積化は、コーナー周波数およびDCオフセット除去の量に依存する。DCオフセットのスペクトルがゼロ周波数の近傍に限定されることから、またハイパスフィルタが所望信号を減損させてはならないことから、望ましいコーナー周波数は、可能な限り低くする必要がある。DCオフセット・キャンセル・ループのキャパシタンスCは、コーナー周波数fCが低くなるに従って、また開ループ順方向利得AVが増加するに従って増加する。キャパシタンスCは、通常、数百nFに到達し、このような値のキャパシタを単一チップ上に集積することは困難である。このため、一般にはチップの外にキャパシタが配置されることになる。残念ながら、オフチップ・キャパシタをチップに配線するとき、フィードバック・ループが構成され、ボンド・ワイヤ結合を介して無視できない量のノイズが追加される。このノイズは、信号の完全性を損なうことになり、また信号対ノイズ比(SNR)を低下させる。
【0021】
関連技術のCMOSフェイズロックループ(PLL)
現在のVCO・CMOSテクノロジが、速度ならびにノイズという意味に関して信頼性をもってサポートできる周波数は、最大でも約1.0GHzである。局部発振器クロック信号LO+およびLO−の周波数f0が1GHzを超えて上昇することから、CMOS・VCOをインプリメントすることはできない。しかしながら、PCS等の商業的応用に充分な低位相ノイズを得るためであれば、LC共振オシレータの位相ノイズ・パフォーマンスが、CMOSリング‐オシレータ・タイプのVCOより良好であることから、それが使用される。関連技術のVCOは、各種の欠点を有する。RF受信機または通信システムのCMOS単一チップ集積化の場合は、集積化されたスパイラル・インダクタがVCO発振に充分な高さのQファクタを有していなければならないことから、大量製造に見合う歩留まりを伴うスパイラル・インダクタのオンチップ・インプリメンテーションが達成されていない。オンチップ・スパイラル・インダクタについては、基板に分布する損失をもたらす抵抗に起因して、高いQファクタに関する製造歩留まりの達成が困難になる。
【0022】
関連技術のCMOS同調回路
関連技術のアプローチにおいては、高いQファクタがマスタとスレーブの間に不充分な整合をもたらす可能性があり、あるいはgm‐C積分器の入力を外部のオシレータから取り込み、その出力をOTAセルから取り込むことも可能であるが、それによってタイミングが不正確になる可能性がある。
【0023】
以上の引用箇所は、追加または他の形態の詳細、特徴および/または技術的背景を適切に教示するために適切な場合は、本明細書において参照して援用する。
【0024】
[発明の概要]
本発明の目的の1つは、少なくとも上記の問題点および/または欠点を解決し、かつ少なくともこの後に述べる利点を提供することにある。
【0025】
また本発明の他の目的は、単一チップCMOS送信機/受信機を提供すること、および関連技術の問題点ならびに欠点の1ないしは複数を実質的に除去する方法を提供することにある。
【0026】
さらに本発明の他の目的は、CMOS・RFフロントエンドを製造すること、およびRF通信システムの単一チップ集積化を可能にするその使用のための方法を提供することにある。
【0027】
さらにまた本発明の他の目的は、RF通信システムを提供すること、およびコストおよび電力要件の低減を伴う方法を提供することにある。
【0028】
さらにまた本発明の他の目的は、信頼性があり、高速かつ低ノイズのCMOS・RF通信システムを提供すること、およびそれを使用する方法を提供することにある。
【0029】
さらにまた本発明の他の目的は、RF通信システムのRFフロントエンドの周波数レンジを増加することにある。
【0030】
さらにまた本発明の他の目的は、ダイレクト変換RF通信システムを提供すること、および隣接チャンネルの電力レベルと無関係に指定SNRを提供する方法を提供することにある。
【0031】
さらにまた本発明の他の目的は、選択的な2段階増幅を使用して、選択されたRFチャンネルのための所望の利得を満たし、かつより大きな隣接チャンネルを除去する単一チップのCMOS・RF受信機に関するベースバンド構造を提供することにある。
【0032】
少なくとも上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように、ダイレクト変換通信システムが提供されており、当該システムは、搬送周波数を有する選択された信号を含む信号を受信する受信機ユニット、受信した搬送周波数の選択された信号を混合し、ベースバンドの選択された信号を出力する復調ミキサ、およびベースバンドの選択された信号を受け取り、選択的に帯域内信号を所定の振幅に増幅する、第1および第2段のAGC増幅器を含むベースバンド増幅回路を包含する。
【0033】
さらに上記の目的をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目的に従って、単一チップRF通信システムが提供されており、当該システムは、RF信号の受信および送信を行うトランシーバ、f0を搬送周波数とし、Nを正の整数とするとき、実質的に同一の周波数2×f0/Nを有する複数の2N相のクロック信号を生成するためのPLL、トランシーバからのRF信号と、PLLからの複数の2N相のクロック信号を混合し、搬送周波数f0に対して低減された周波数を有するRFを出力する復調ミキサであって、複数の2入力ミキサを包含する復調ミキサ、復調ミキサに結合されたAGCループ、AGCループに結合された利得マージ・フィルタ、および利得マージ・フィルタに結合され、復調ミキサからのRF信号をデジタル信号に変換するA/D変換ユニットを包含する。
【0034】
さらに上記の目的をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目的に従って、RF通信システムを動作させる方法が提供されており、当該方法は、搬送周波数を有する選択された信号を含む信号を受信するステップ、2を超える数の多相クロック信号であって、搬送周波数と異なり、かつ互いに実質的に同一の周波数を有する多相クロック信号を生成するステップ、受信した選択された信号と、前記2を超える数の多相クロック信号を混合して、搬送周波数から低減された周波数を有する復調後の選択された信号を出力するステップであって、第1の搬送周波数信号および第2の搬送周波数信号のうちの一方を復調するために、前記2を超える数の多相クロック信号のうちのいくつかが混合されるものとしたステップ、復調後の選択された信号を、選択されたチャンネルおよび隣接チャンネルのうちの一方が線形限界に到達するまで増幅するステップ、および隣接チャンネルの増幅ならびにフィルタリングを行い、かつ選択されたチャンネルを所望のダイナミックレンジまで増幅するステップを包含する。
【0035】
また本発明の他の目的は、インダクタを伴わずに構成されるLNAを提供することにある。
【0036】
さらに本発明の他の目的は、スパイラル・タイプのオンチップ・インダクタを伴わずに構成されるCMOS・LNAを提供することにある。
【0037】
さらにまた本発明の他の目的は、コストを抑えたCMOS・LNAを提供することにある。
【0038】
さらにまた本発明の他の目的は、インダクタを伴わないLNAを使用するCMOS・RF通信システムを提供することにある。
【0039】
さらにまた本発明の他の目的は、大量製造のためのよりシンプルなプロセスおよび向上した歩留まりを有するCMOS・LNAを提供することにある。
【0040】
さらにまた本発明の他の目的は、第1および第2の利得コントロール段を有するCMOS・LNAを提供することにある。
【0041】
さらにまた本発明の他の目的は、向上したダイナミックレンジを有するCMOS・LNAを提供することにある。
【0042】
さらにまた本発明の他の目的は、それぞれが第1および第2の対称回路を含む第1および第2の利得コントロール段を有するCMOS・LNAを提供することにある。
【0043】
さらにまた本発明の他の目的は、それぞれが第1および第2の対称回路を含む第1および第2の利得コントロール段を有し、対称フル‐アップならびにフル‐ダウン・オペレーションを可能にするCMOS・LNAを提供することにある。
【0044】
少なくとも上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように、CMOS低ノイズ増幅器(LNA)が提供されており、当該CMOS・LNAは、入力端子と出力端子の間に結合される複数の増幅段、および複数の増幅段のそれぞれに結合される利得コントローラを包含しており、スパイラル・インダクタが含まれていない。
【0045】
また本発明の他の目的は、単一基板上におけるVCOミキサおよびそれを使用する方法を提供することにある。
【0046】
さらに本発明の他の目的は、ミキサ装置およびその方法における周波数レンジを増加することにある。
【0047】
さらにまた本発明の他の目的は、ノイズを低減したミキサおよびそれを使用する方法を提供することにある。
【0048】
さらにまた本発明の他の目的は、ミキサ構造のパフォーマンスを向上させることにある。
【0049】
さらにまた本発明の他の目的は、対称スイッチ構造を有するシングル/ダブル・バランス・ミキサおよびその方法を提供することにある。
【0050】
さらにまた本発明の他の目的は、RF通信受信機を単一基板上に構成することにある。
【0051】
さらにまた本発明の他の目的は、単一基板上に多相ミキサを含むRF通信送信機およびその方法を提供することにある。
【0052】
これらの利点を達成するため、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように回路が提供されており、当該回路は、異なる位相を有する複数の第1のクロック信号であり、それぞれが基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロック信号を受け取るミキサであって、複数の第1のクロック信号を混合して、より高い第2の周波数を有する複数の局部発振器信号を生成し、かつ複数の局部発振器信号と入力信号の乗算を行って出力端子に出力信号を提供するミキサを包含する。
【0053】
また本発明の他の目的は、DCオフセット・キャンセル装置を提供することにある。
【0054】
さらに本発明の他の目的は、より低いコーナー周波数、および高いDCオフセット電圧除去を同時に提供することにある。
【0055】
さらにまた本発明の他の目的は、単一チップ・バイパス・フィルタを提供することにある。
【0056】
さらにまた本発明の他の目的は、利得段の数を増加させるときの、AGCループの合計のキャパシタンスを下げることにある。
【0057】
これらの利点を達成するため、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように、本発明の構造は、入力RF信号を受け取り、かつ増幅する、直列に接続された複数の利得段、および利得段の個々の1つ対応するフィードバック・ループであって、それぞれの利得段の出力ポートおよび入力ポートに結合されて、オフセット電圧のフィルタリングを行う複数のフィードバック・ループを包含する。
【0058】
また本発明の他の目的は、シングルCMOSチップ上においてPLLを含むRF通信システムを構成することにある。
【0059】
さらに本発明の他の目的は、PLLの周波数レンジを増加することにある。
【0060】
さらにまた本発明の他の目的は、PLLのノイズを低減することにある。
【0061】
さらにまた本発明の他の目的は、PLLのパフォーマンスを向上させることにある。
【0062】
さらにまた本発明の他の目的は、CMOSリング・オシレータの位相ノイズを最小化することが可能なPLLのためのCMOS・VCOを提供することにある。
【0063】
さらにまた本発明の他の目的は、短縮もしくは最小化された立ち上がり‐立ち下がり時間を伴う大振幅信号を出力することができるVCOを提供することにある。
【0064】
さらにまた本発明の他の目的は、VCOの供給ノイズ効果を低減もしくは最小化することにある。
【0065】
さらにまた本発明の他の目的は、帯域幅およびスペクトル・パフォーマンスを向上したPLLのためのプリスケーラを提供することにある。
【0066】
さらにまた本発明の他の目的は、分数スパー(fractional-spur:以下単に「分数スパー」とする)問題を除去する分数N(fractional-N:以下単に「分数N」とする)プリスケーラ・アーキテクチャを提供することにある。
【0067】
上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目的に従って、具体化され、かつ広範に記述されているように回路が提供されており、当該回路は、異なる位相を有する複数の第1のクロックであって、それぞれが基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロックを生成するクロック・ジェネレータ、および、前記クロック・ジェネレータに結合され、複数の第1のクロック信号を受け取り、分周されたクロックの第2のクロック信号を生成するプリスケーラを包含する。
【0068】
また本発明の他の目的は、周波数もしくはQファクタの要件から制限を受けないマスタ・スレーブ回路を提供することにある。
【0069】
さらに本発明の他の目的は、多相フィルタを使用するマスタ・スレーブ同調回路を提供することにある。
【0070】
さらにまた本発明の他の目的は、マスタ・スレーブ・フィルタ内において比較される第1のフィルタおよび第2のフィルタに関して同一の電気的特性を有するgm‐C多相フィルタを提供することにある。
【0071】
さらにまた本発明の他の目的は、同一回路によって提供されるハイパスフィルタおよびローパスフィルタからの出力信号を有するgm‐C多相フィルタを提供することにある。
【0072】
さらにまた本発明の他の目的は、向上した精度を伴うマスタ・スレーブ同調回路を提供することにある。
【0073】
さらにまた本発明の他の目的は、精度が向上し、かつ構成が簡素化された、より堅牢なマスタ・スレーブ同調回路を提供することにある。
【0074】
上記の目的ならびに利点をすべて、もしくは部分的に達成するため、また本発明の目的に従って同調回路が提供されており、当該同調回路は、スレーブ・フィルタ・ブロック、およびスレーブ・フィルタ・ブロックに向けてコントロール信号を出力するマスタ・フィルタ・ブロックを包含し、マスタ・フィルタ・ブロックが、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタを含む第1のフィルタであって、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタのそれぞれがコントロール信号を受け取るものとする第1のフィルタ、ハイパスフィルタに結合される第1の整流器、ローパスフィルタに結合される第2の整流器、および第1および第2の整流器に結合され、コントロール信号を出力するコンバータを包含する。
【0075】
本発明のその他の利点、目的、および特徴は、その一部が以下の説明に示されており、また当業者であれば以下を精査することで明らかになり、あるいは本発明を実施することで知得し得る。本発明の目的ならびに利点は、添付した特許請求の範囲において特定されるように具現化し達成し得る。
【0076】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明するが、これらの図面においては、類似の要素に類似の参照番号が用いられている。
【0077】
[好ましい実施態様の詳細な説明]
CMOSテクニックを使用して構成される単一チップ無線周波数(RF)通信システムは、次のような動作要件を満足する必要がある。CMOS電圧コントロール・オシレータ(VCO)は、ノイズ特性が良好でない。したがって、CMOSフェイズロックループ(PLL)の組み込みが必要になる。しかしながら、PLLの数を少なくし、かつPLLの中心周波数を、CMOS・VCOを使用した結果としてもたらされる位相ノイズをコントロールするために、好ましくは送信RF周波数から充分に離す(たとえば充分に低くする)。高品質フィルタは、CMOS構成における関連の面積ならびに電力仕様上の不利益から、好ましくは除去する。また、CMOS・RFシステム内のコンポーネント数は、パフォーマンスの低下を伴うことなく、小さくするか、あるいは抑える必要がある。
【0078】
図6は、第1の好ましい実施態様とする「多相低減周波数」(MPRF)変換RF通信システム600を示しており、これはシングルCMOSチップ上において好適に構成することができる。この第1の実施態様は、1.8〜2.4GHzといった優に1GHzを超える周波数において動作することが可能である。ここで「多相低減周波数変換」という用語を用いているが、これは、高い周波数を有する単相周期信号が、多相低周波数周期信号を互いに組み合わせ、あるいは乗ずることによって好適に得られることによる。第1の好ましい実施態様のMPRF変換RF通信システム600は、フロントエンドMPRF・RFブロック602、およびデジタル信号処理(DSP)ブロック604を有し、好ましくはそれをベースバンドとする。前述したように、関連技術のDSPブロックは、CMOSテクニックを使用して構成することができる。したがって、デジタル信号プロセッサ650を含むDSPブロック604については、詳細な説明を省略している。
【0079】
MPRF変換RFブロック602は、アンテナ605、RF受信機部分640、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ690、D/Aコンバータ695、およびミキサ660とアンテナ605の間に結合された電力増幅器670を含んでいる。受信機部分640は、変調ならびに復調クロックを生成、つまり局部発振器(LO)周波数を生成し、その周波数f0は、基準クロックによって決定される。
【0080】
図7は、受信機700の第1の好ましい実施態様を示したブロック図であり、これは、受信機部分640として機能することができる。図7に示されるように、受信機700は完全CMOSの低ノイズ増幅器710、N相ミキサ720A、720B、多相(たとえば800MHz)LO信号(たとえばLO[0:11])を生成するPLL730、第1の自動利得コントロール(AGC)ループを伴う可変利得増幅器(VGA)740A、740B、第2のAGCループを伴う利得マージ(たとえば4つの3次Gm‐C楕円フィルタ)フィルタ750A、750B、多相フィルタ構成を伴うGm‐C同調回路760を含んでいる。IチャンネルおよびQチャンネル信号のそれぞれは、アナログ・デジタル・コンバータ(たとえば、4ビット・フラッシュのADC)770A、770Bのそれぞれに結合されている。
【0081】
PLL730は、好ましくはN相の電圧コントロール・オシレータ(VCO)732、位相周波数検出器(PFD)およびチャージ・ポンプ736、ループ・フィルタ738、およびプリスケーラ734を含む。VCO732は、好ましくはマルチフィードバック・ループVCOであり、それにおいては、VCO732の各VCOセルが、好ましくは立ち上がり/立ち下がり時間が短い、大きなスイングを含んでおり、広帯域の2.4GHz CDMA応用に充分な位相ノイズの低減が得られる。プリスケーラ734は、好ましくは多相サンプリング分数Nプリスケーラであり、分数N演算を実行する一方、チャンネル帯域幅の内側における分数スパーを防止する。つまり、PLL730は、低位相ノイズの2.4GHz W‐CDMAに充分な帯域幅を、そのチャンネル帯域幅の内側に分数スパーを伴うことなく組み込む。
【0082】
図7に示されるように、PLL730は、7つの異なるチャンネル周波数用に12相のLO信号(LO[0:11])を生成する。N相のミキサを、好ましくは直交ダウン・コンバータとし、図7に示されるように、2つの6相シングル‐バランス・ミキサ720A、720Bを含めるが、それにおいて一方はIチャンネル用、他方はQチャンネル用になる。たとえば、図7に示されるように、6相のミキサ720Aは、800MHzの6相LO信号(LO[0,2,4,6,8,10])をIチャンネル用に受信し、6相のミキサ720Bは、800MHzの6相LO信号(LO[1,3,5,7,9,11])をQチャンネル用に受信する。したがって、12相の直交ダウン・コンバータ720は、単相2.4GHzのLO信号を受信するシングル‐バランス・ミキサの機能を提供する。この例においては、ミキサ720A、720Bによって、CMOS・VCOが、搬送周波数f0の周波数2f0/N(たとえば1/3)において多相クロック信号を提供することが可能になる。つまり、VCO732が800MHzで動作することから、LOの支配的な電力およびそれに関連する漏れが2.4GHz(搬送波の周波数)において生じることがない。このように、受信機700の第1の好ましい実施態様においては、DCオフセットの量が、VCO732の2×f0/N周波数に起因して著しく低減される。
【0083】
図7に示されるように、ミキサ720A、720Bは、ベースバンドRF信号を出力する。受信機700のベースバンド構造は、第1のAGCループ740Aおよび第2のAGCループ750Aを含んでいる。AGCループ740Aは、n個のVGA段(たとえばn=7)742a、742b、...、742n、n個のDCオフセット・キャンセル・ループ744a、744b、...、744n(たとえばn=7)を含むカスケード接続されたDCオフセット・キャンセル・ループ744、および第1のフィードバック・ループ746を含んでいる。自動利得ループ・コントロール装置に関する追加の説明は、2000年11月6日に出願された同時係属出願の米国特許出願番号(代理人整理番号:GCT‐11)号に記載されており、その記載内容をここで参照して援用する。第2のAGCループ750Aは、利得マージの4つの3次Gm‐C楕円フィルタ752、DCオフセット・キャンセル・ループ754、および第2のフィードバック・ループ756を含んでいる。第1のAGCループは、大きな隣接チャンネル条件が存在する場合に備えて、好ましくはチャンネル選択フィルタの手前において、所望チャンネルが最大利得を達成することを可能にする。第2のAGCループは、好ましくは、大きな隣接チャンネルのブロッカに起因して失われた所望チャンネルの利得を補償する。受信機700のQチャンネル用の、ベースバンド構造の第1のAGCループ740Bおよび第2のAGCループ(フィルタを伴う)750Bは、Iチャンネルと類似の構成を有する。各フィードバック・ループは、ピーク検出器746a、756a、チャージ・ポンプ746b、756b、およびループ・フィルタ746c、756cを含んでいる。
【0084】
図8は、受信機700のベースバンド構造における信号の流れを図示している。この図8を参照すると、2つの異なる状態が図示されている。第1の状態においては、ミキサ720から、隣接チャンネル820の電力が所望チャンネル810の電力に等しいかそれより小さい入力RF信号805が受け取られる。受信機700の第1の好ましい実施態様によれば、好ましくは、所望チャンネルが主として第1のAGCループ740から必要な利得を得る。第2の状態においては、ミキサ720から、隣接チャンネル840の電力が所望チャンネル830の電力より大きい(たとえば、実質的に大きい)入力RF信号825が受け取られる。RF信号825を受け取ったとき、第1のAGCループ740は、隣接チャンネルの電力840が許容線形限界に到達するまで、所望チャンネル830の増幅を行う。第2のAGCループ750においては、AGCループがGm‐Cチャンネル選択フィルタ内においてマージされ、それが所望チャンネルを、許容線形限界によって制限される所望レベルに増幅する。選択的に、状態および第1および第2の(たとえばカスケード結合された)AGCループ740、750の動作をコントロールすることによって、RF信号825を受け取った場合であっても、所望チャンネル内のRF信号が、RF信号805に対して有効な最大利得を受けることができる。このように、受信機700のベースバンド構造の第1の実施態様は、デュアル変換受信機によって提供される利得を得ることになる。
【0085】
上記に加えて、図8に示されるように、第1のAGCループ内のVGAループの最後のVGAから出力される出力信号が、VGA3に戻されている。しかしながら本発明には、このように限定されることが意図されていない。たとえば、この出力信号をVGA1等のVGAループ内の先行する別のVGAに、あるいはすべてのVGA段にループ・バックさせることもできる。
【0086】
図9は、受信機700の利得分布を示した概略図である。この図9を参照すると、ケースIに、隣接チャンネル・ブロッカの振幅が帯域内信号に等しい(たとえば、それ以下の)状態が示されている。図9に示されるように、受け取った帯域内信号910は、最大検出可能信号(MDS)に等しい値を有している。同様に、隣接チャンネル・ブロッカ920は、MDSに等しい初期値を有している。図9のケースIに示されているように、帯域内信号910および帯域外信号920は、ともにRF段930による利得GRFdB(デシベル)を受け取る。好ましい実施態様においては、RF段930がLNA710およびN相ミキサ720を含んでいる。つまり、図9のケースIにおけるポイントBに示されるように、帯域内信号910および帯域外信号920は、ミキサ720の出力端子においては(MDS+GRF)dBを有する信号になる。なおGRFは、RFセクション930によって提供されるRF利得として定義される。
【0087】
AGC 940は、第1段AGCであり、帯域内信号910および帯域外信号920をともに、特定の線形限界932まで増幅する。ケースIにおいては、隣接チャンネル・ブロッカ(たとえば帯域外信号920)によって帯域内信号910が充分な増幅を受けることが妨げられない。つまり、帯域内信号910および帯域外信号920がともに、第1のAGCループ段940の出力端子において(MDS+GRF+GAGC)dBmまで増幅される。ただし、GAGCは、第1のAGCループ940によるAGC利得である。したがって、図9に示されるケースIの場合、第2のAGCループ950においては、すでに充分な増幅が行われて受信機700の専用信号レベルに一致していることから、好ましくは帯域内信号の増幅が行われない。好ましくは、第1のAGCループ段940がこの増幅を達成する。しかしながら、第2のAGCループ950においては、隣接チャンネル・ブロッカ920が部分的にフィルタリングされ、振幅が縮小される。図9に示されているように、第2のAGCループ950においては、隣接チャンネル・ブロッカ920が、好ましくはフィルタ段のフィルタ除去比(たとえば、4×RF)によって抑圧され、かつ第2のAGCループ950により利得GFが0にセットされていることから、それには増幅を伴わない。このGFは、第2のAGCループ950の3次の楕円フィルタのマージ利得であり、RFは、3次の楕円フィルタの除去比である。まとめると、図9に示したケースIにおいては、好ましくは第1のAGCループに含まれるVGAの利得が、必要なダイナミックレンジを充分にカバーし、GAGC=DALLとなる。単一チップCMOS・RF受信機の場合は、DALLが帯域内信号を転送するための必要ダイナミックレンジになる。このように、図9のケースIにおいては、GAGCとDALLが等しい。
【0088】
図9のケースIIを参照すると、隣接チャンネル・ブロッカ980の振幅が、帯域内信号970より、必要な隣接チャンネル・ブロック比のB dBだけ大きい。図9のケースIIに示されるように、帯域内信号970のMSD dBmおよび帯域外信号980の(MSD+B)dBmが、RF段930に印加される。したがって、RF段930の出力端子(たとえばミキサ出力)においては、帯域内信号970が(MSD+GRF)dBmの利得を、帯域外信号980が(MSD+B+GRF)dBmの利得をそれぞれ有する。ケースIIにおいては、AGCループ940のVGAが、好ましくは隣接チャンネル・ブロッカ980が線形限界932に達するまで、信号970および980をともに増幅する。この結果、AGCループ940の出力(たとえば、VGA出力端子)において、帯域内信号970が(MSD+GRF+GAGC)dBmの利得を、帯域外信号980が(MSD+GRF+GAGC+B)dBmの利得をそれぞれ有する。図9のケースIと比較すると、VGA利得VAGC(ケースII)がVGA利得VAGC(ケースI)よりB dBだけ小さい。図9のケースIIにおけるAGCループ950の場合は、利得マージ・フィルタ954が、好ましくは帯域内信号970を(4×GF)だけ増幅するものとし、好ましくはそれが必要な隣接チャンネル・ブロック比のB dBに等しいものとする。帯域外信号980は、(4×GF)により増幅され、かつ同時に第2のAGCループ950内の利得マージ・フィルタによって(4×RF)によりリジェクトされ、その結果、(4×(RF−GF))の合計または正味のリジェクションがもたらされる。つまり、図9に示した受信機のベースバンド構造の第2の好ましい実施態様においては、必要なダイナミックレンジが第1のAGCループ940(VGA)および第2のAGCループ950(利得マージ・フィルタ)によって共有されて、必要なダイナミックレンジDALL=GAGC+4×GF=GAGC+Bが提供される。
【0089】
図9に示したベースバンド構造の第2の好ましい実施態様においては、第1のAGCループに第2のAGCループ950が続いているが、本発明は、そのような限定を意図していない。すなわち、第2のAGCループ950を第1のAGCループ940の手前の、RFセクション930のミキサの後に続けることもできる。その場合、帯域内RF信号が、好ましくはまず、Gm‐Cフィルタによって処理され、好ましくはVGA増幅器を使用する第1のAGCループ940からの利得に先行して隣接チャンネルがブロックされる。
【0090】
前述したように、CMOS受信機アーキテクチャの実施態様およびそれを使用する方法は、各種の利点を有する。好ましい実施態様においては、スーパーヘテロダイン受信機に匹敵するSNRを有するダイレクト変換受信機が提供される。さらに、本発明に係るベースバンド構造の好ましい実施態様およびそれを使用する方法においては、隣接チャンネルの電力レベルと無関係に、充分なSNRが入力信号に提供される。
【0091】
図10は、本発明に係るCMOS・LNAの第1の好ましい実施態様を示したブロック図であり、好ましくはそれが、より良好な線形性ならびにコントロール性を提供し、かつインダクタなしに構成される。CMOS・LNA1300は、好ましくはRF信号入力INを受け取るために結合される入力端子1310、入力端子1310に結合される第1の増幅段1320、第1の増幅段1320の出力ノード1326に結合される第2の増幅段1340、および好ましくはRF出力信号OUTを送出する出力端子1360を含んでいる。さらにCMOS・LNA1300は、第1および第2の利得段1320および1340に結合される利得コントローラ1350を含む。
【0092】
CMOS・LNAの第1の好ましい実施態様は、2つの増幅段からなり、CMOS・RF通信システムにおいて使用するために適合されるCMOS・LNA1300に必要な利得を達成することができる。第1および第2の増幅段1320および1340のそれぞれは、好ましくは同一の構成を有する。ただ、本発明はこれに限定されるものでない。第1の増幅段1320は、図10に示されるように、出力ノード1326と第1の増幅段1320の第1の増幅回路1324の間に結合されるフィードバック・ループ1322を含んでいる。フィードバック・ループ1322は、好ましくは第1の増幅段1320の出力ノード1326のDCバイアス・ポイントを設定する。
【0093】
第1の増幅段1320は、好ましくは対称CMOS回路網を含み、CMOS・LNA1300のダイナミックレンジ、特に大きなRF信号入力INの下におけるそれを増加させる。さらに、CMOS・LNA1300の利得は、利得コントローラ1350の使用によってコントロールすることができる。好ましくは利得コントローラ1350が電流ソースIを含む。利得コントローラ1350の電流ソースIによって提供される電流レベルは、好ましくは第1および第2の増幅段1320、1340にコピーされる。たとえば、電流ミラー等を使用して電流レベルをコピーすることができる。
【0094】
図11に、図10のCMOS・LNA1300の、第1の好ましい実施態様をより詳細に示す。CMOS・LNA1300は、スターブド・インバータ・タイプのLNAとすることができる。図11に示されるように、第1の増幅回路1324は、電源電圧VDDとグラウンド電圧の間に直列に結合される4つのトランジスタ1400P1、1400P2、1400N2、および1400N1を含んでいる。入力端子1310は、トランジスタ1400P2および1400N2のゲート電極に結合されており、これらのトランジスタは共通ドレイン結合されて第1の増幅段1320の出力端子1326を形成している。さらにキャパシタ1400C2が、グラウンド電圧と、トランジスタ1400P1と1400P2を結合するジャンクションの間に結合されており、キャパシタ1400C1が、グラウンド電圧と、トランジスタ1400N2とトランジスタ1400N1を結合するジャンクションの間に結合されている。
【0095】
第2の増幅段1340は、電源電圧VDDとグラウンド電圧の間に直列に結合される4つのトランジスタ1400P3、1400P4、1400N4、および1400N3を含んでいる。トランジスタ1400P4および1400N4のゲート電極は、第1の増幅段1320の出力ノード1326に結合されており、かつこれらのトランジスタはドレインがコモン結合されて第2の増幅段1340の出力ノードを形成している。図14に示されるように、第2の増幅段1340の出力ノードは、出力端子1360でもある。さらにキャパシタ1400C4および1400C3が、それぞれグラウンド電圧と、トランジスタ1400P3と1400P4を結合するジャンクション、およびトランジスタ1400N4と1400N3を結合するジャンクションの間に結合されている。
【0096】
第1の増幅段1320のフィードバック・ループ1322は、抵抗1400R2、キャパシタ1400C6、演算増幅器OPAMP1、およびトランジスタ1400N1を含んでいる。抵抗1400R2は、第1の増幅回路1324の出力ノード1326と演算増幅器OPAMP1の非反転入力の間に結合されている。キャパシタ1400C6は、グラウンド電圧と演算増幅器OPAMP1の非反転入力の間に結合されている。演算増幅器OPAMP1の出力は、トランジスタ1400N1のゲート電極に結合され、演算増幅器OPAMP1の反転入力は、電圧ノード1に結合されている。
【0097】
図11に示されるように、抵抗1400R1およびキャパシタ1400C8が入力端子1310とグラウンドの間に結合されている。抵抗1400R1とキャパシタ1400C8の間のジャンクションには、電圧ノード1が結合される。抵抗1400R2、キャパシタ1400C6、演算増幅器OPAMP1、およびトランジスタ1400N1を含むフィードバック・ループ1322は、第1の増幅段1320の出力ノード1326および第2の増幅段1340の入力のDCバイアス・ポイントを設定し、好ましくはそれが、電圧ノード1に対する結合のために0.5VDDに調整される。
【0098】
類似の手法で、第2の増幅段1340のフィードバック・ループは、抵抗1400R3、キャパシタ1400C7、演算増幅器OPAMP2、およびゲート電極において演算増幅器OPAMP2の出力を受け取るトランジスタ1400N3を含む。フィードバック・ループ1322と同様に、抵抗1400R3が、第2の増幅段1340の出力ノードと演算増幅器OPAMP2の非反転入力の間に結合される。キャパシタ1400C7は、グラウンド電圧と演算増幅器OPAMP2の非反転入力の間に結合されている。演算増幅器OPAMP2の反転入力は、電圧ノード1に結合される。
【0099】
好ましくは、トランジスタ1400P1〜1400P4をPMOSタイプのトランジスタとし、トランジスタ1400N1〜1400N4をNMOSタイプのトランジスタとする。ここで認識されようが、好ましい実施態様がこの種のトランジスタ・タイプに拘束されることはない。
【0100】
利得コントローラ1350は、トランジスタ1400P5および電流ソース1400Isを含み、電源電圧VDDとグラウンド電圧の間に直列に結合されている。さらにトランジスタ1400P5のゲート電極は、ドレイン電極と共通結合され、電流ソース1400Isに接続されている。それに加えて、トランジスタP5のゲート電極は、トランジスタ1400P1のゲート電極、トランジスタ1400P3のゲート電極、およびキャパシタ1400C5と共通結合されており、さらにキャパシタは、グラウンド電圧にも結合される。
【0101】
第1および第2の増幅段1320、1340の0.5VDDバイアス、および対称PMOSおよびNMOS回路網によって、対称動作ポイントが可能になり、その結果、PMOSおよびNMOS回路網は、増加したヘッド‐ルームあるいは最大のヘッド‐ルーム、および増加したダイナミックレンジあるいは最大のダイナミックレンジを、特に入力端子1310において大きなRF信号入力を受け取る場合に持つことになる。また0.5VDDバイアスによって、大きなRF入力信号を受け取った場合においてもトランジスタ1400N2、1400P2、1400N4、および1400P4が飽和領域において動作することが可能になる。
【0102】
結果として得られる第1の増幅段の利得(GAIN1st)は、トランジスタ1400P2およびトランジスタ1400N2のトランスコンダクタンス(たとえば、gm400P2+gm400N2)およびトランジスタ1400P2およびトランジスタ1400N2の並列コンビネーションの結果として得られる出力インピーダンス(たとえば、ro400P2||ro400N2)から決定することが可能であり、GAIN1st=(gm400P2+gm400N2)×(ro400P2||gm400N2)となる。類似の態様で、第2の増幅段の利得(GAIN2nd)は、GAIN2nd=(gm400P4+gm400N4)×(ro400P4||gm400N4)となる。CMOS・LNA1300の第1の好ましい実施態様が対称構造を有していない場合、フルダウンおよびフルアップ条件が、異なるヘッドルームならびに異なる特性を持つことになり、それによってフルダウンならびにフルアップ条件に依存する信号分布がもたらされ、この種のCMOS・LNAの線形性が低下することになる。
【0103】
上記に加えて、CMOS・LNA1300の第1の好ましい実施態様の利得は、電流ソース140OIsの値を変化させることによってもコントロールすることができる。電流ソース140OIsからの電流レベルは、好ましくはトランジスタ1400P5、1400P3、および1400P1からなる電流ミラーを介して、第1および第2の増幅段1320、1340のそれぞれにコピーすることができる。電流ソース140OIsの値を増加させることによって、トランジスタ1400P2、1400N2、1400P4、および1400N4のトランスコンダクタンスが増加し、その結果として利得の増加が得られる。好ましくはキャパシタ1400C6および1400C7を使用して第1の増幅段1320および第2の増幅段1340それぞれの、2つのフィードバック・ループを安定させる。キャパシタ1400C1〜1400C5および1400C8は、好ましくはACグラウンドを構成するために使用される。
【0104】
前述したように、CMOS・LNAおよびそれを使用する方法の好ましい実施態様は、選択した周波数だけでなく、広い周波数レンジにわたって所望する利得を提供する。さらに、より高い利得が必要とされるときには、CMOS・LNAの段数を増加することができる。それに加えて、本発明に従って利得コントローラの代替実施態様を使用することもできる。たとえば、各段に負荷キャパシタンスを配置しそれをコントロールすることによって利得をコントロールすることができる。負荷キャパシタンスに関するその種の回路は、パス‐トランジスタおよびキャパシタの直列接続によってインプリメントすることが可能であり、パス‐トランジスタのゲート電極の電圧のコントロールによって、有効負荷キャパシタンスをコントロールすることができる。
【0105】
前述したように、本発明に係るCMOS・LNAの好ましい実施態様およびそれを使用するための方法は、各種の利点を有する。本発明に係る好ましい実施態様は、インダクタを使用しないCMOS・LNAを提供する。LNAの好ましい実施態様は、単純化された製造プロセスを使用することができる。さらに、このCMOS・LNAの好ましい実施態様は、対称増幅段を有し、それによって所望の利得を達成しつつ、対称なプル‐アップおよびプル‐ダウンの動作が可能になる。それに加えて、好ましい実施態様は、線形パフォーマンスの向上を提供する。
【0106】
図12Aは、本発明の第1の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造を示したブロック図である。この構造を、RF通信システムに使用することができる。この構造は、多相電圧コントロール・オシレータVCO2100および多相ミキサ2200を含む。多相ミキサ2200は、差動増幅回路2200Aおよび結合回路2200Bを含んでいる。
【0107】
基準周波数fREF=f0を有する基準クロック信号が使用される場合、多相VCO2100が、複数の周波数2×f0Nを有するN相のクロック信号LO(i=0〜N−1)を生成するが、それにおいてN=ND×2であり、NDは多相VCO2100内の遅延セルの数に等しい。言い換えるとVCO2100は、周波数f0を2×f0Nまで低減する。周波数2×f0/Nは、多相VCOの位相ノイズを下げ、周波数レンジを増加させる。
【0108】
周波数2×f0/Nを有するN相中間クロック信号LO(0)、LO(1)、...、LO(N−1)は、多相ミキサ2200の結合回路2200Bに入力され、この入力信号、たとえばRF信号RF+およびRF−は、差動増幅回路2200Aに入力される。差動増幅回路2200Bは、無線周波数信号RF+およびRF−の差動増幅を行う。結合回路2200Bは、バイアス電圧VBiasに応じて、かつ好ましくはN相中間クロック信号LO(0)〜LO(N−1)を合成してオリジナルの周波数f0を有するクロック信号LOT+ならびにLOT−を生成する。その後ミキサ2200が、LOT+ならびにLOT−と、RF信号RF+ならびにRF−の乗算を行う。
【0109】
図12Bは、第1の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造2100、2200の回路図を示している。多相VCO2100は、直列に結合されたND個の遅延セル21001〜2100NDを含む。このような構成を基礎として、多相VCOは、周波数2×f0/Nを有するN相中間クロック信号LO(0)〜LO(N−1)を生成する。周波数コントロール信号を生成するVCO2100のためのコントロール回路は、位相周波数検出器2054、チャージ・ポンプ2056、およびループ・フィルタ2058を含み、遅延セル21001〜2100NDのそれぞれに対して周波数コントロール信号を出力する。位相周波数検出器2054は、基準クロック分周回路2052から基準クロック信号frefを、およびVCOクロック分周回路2053からVCOクロック信号fVCOをそれぞれ受け取る。クロック信号LO(0)〜LO(N−1)の周波数2×f0/Nは、M’/K’(fref)=2×f0/Nによって表される。つまり周波数f0は、基準クロック信号frefおよび分周回路2052ならびに2053に基づいている。言い換えるとfVCOは、分周回路2052ならびに2053のM’/K’のセッティングによって2×f0/Nとすることができる。
【0110】
多相ミキサ2200の差動増幅回路2200Aは、2つの差動増幅器2200A1および2200A2にそれぞれ結合された2つの負荷抵抗R1’およびR2’を含む。差動増幅器2200A1は、2つのNMOSトランジスタ2210および2212を含んでおり、差動増幅器2200A2は、2つのNMOSトランジスタ2214および2216を含んでいる。NMOSトランジスタ2210および2216のドレインは、それぞれ負荷抵抗R1’およびR2’に結合されており、NMOSトランジスタ2210および2216のゲートは、RF信号RF+を受け取るべく結合されている。さらに、NMOSトランジスタ2212および2214のドレインは、それぞれ負荷抵抗R2’およびR1’に結合されており、それらのゲートは、RF信号RF−を受け取るべく結合されている。NMOSトランジスタ2210ならびに2212のソース、およびNMOSトランジスタ2214ならびに2216のソースはそれぞれ互いに結合されており、かつ多相ミキサの結合回路2200Bに結合されている。
【0111】
差動増幅器2200A1および2200A2は、それぞれRF信号RF+およびRF−を差動的に増幅し、その結果、より正確な出力信号OUT−およびOUT+を得ることができる。さらにこの差動増幅は、RF信号RF+およびRF−にノイズが加えられている場合には、それを取り除く。図12Bに示されるように、ミキサ2200は、多相ダブル‐バランス・ミキサである。この好ましい実施態様においては、2つの差動増幅器2200A1および2200A2が含められているが、代替実施態様においては、単一の差動増幅器を使用して本発明を達成することもできる。
【0112】
結合回路2200Bは、バイアスNMOSトランジスタ2232および2234、それぞれバイアスNMOSトランジスタ2232および2234に結合される第1の結合ユニット2200B1および第2の結合ユニット2200B2、および第1および第2の結合ユニット2200B1および2200B2に結合される電流ソースIS1を含んでいる。第1の結合ユニット2200B1は、複数のトランジスタ・ユニット22200、22202、...、2220N−2を含み、第2の結合ユニットは、第2の複数のトランジスタ・ユニット22201、22203、...、2220N−1を含む。
【0113】
好ましくは、複数のトランジスタ・ユニットのそれぞれが、直列接続された複数のトランジスタを含み、それにおいて直列接続されたトランジスタは、複数のトランジスタ・ユニットの、直列接続されたトランジスタと並列に結合される。好ましくは各トランジスタ・ユニットは、2つの直列接続されたトランジスタを含む。つまり、好ましい実施態様においては、それぞれの結合ユニット2200Aまたは2200B内に合計してN/2個のトランジスタ・ユニットがあり、全体のNMOSトランジスタの数は、2×N個となる。
【0114】
バイアスNMOSトランジスタ2232および2234のゲートは、バイアス電圧VBiasを受け取るための結合がなされており、第1および第2の複数のトランジスタ・ユニットのゲートは、対応する、周波数2×f0/Nを有するN相中間クロック信号LO(i)および/LO(i)を受け取るための結合がなされているが、これにおいて/LO(i)=LO(N/2+i)であり、i=0、1、...、N/2−1である。この好ましい実施態様においては、バイアスNMOSトランジスタ2232および2234がエラー防止のために含められているが、代替実施態様においてはこれらのトランジスタを省略することもできる。さらに、結合回路2200Bの、2N個のNMOSトランジスタの連続的なオン‐オフ・オペレーションは、ナンド(NAND)ロジック回路に等しく、代替実施態様においては別の等価ロジック回路ならびに構造に置き換えることも可能である。
【0115】
全体的な図12Bの構造は、単一チップ上、すなわちCMOSテクノロジを使用するシングル半導体基板上における多相VCO2100および多相ミキサ2200の集積化を可能にする。この種の構造ならびにレイアウトは、寄生キャパシタンスによって生じるノイズを含めてノイズを低減する。前述したように、差動増幅回路2200A内のRF信号RF+およびRF−を使用する差動増幅器は、ノイズを低減する。
【0116】
基準周波数f0を周波数2×f0/Nを有するN相中間クロック信号LO(i)に下げていることからもノイズが低減されている。CMOSテクノロジ用の半導体基板等の同一基板上に複数のトランジスタが形成されるとき、複数のP‐N接合が基板内に形成される。寄生キャパシタンスの多くは、P‐N接合に見られる。トランジスタのゲートに印加される信号の周波数が非常に高い場合には、低減された周波数2×f0/Nに比較すると、より高い周波数のf0の方が、より多くのノイズを生じさせる。
【0117】
さらに、差動増幅回路2200Aならびに結合回路2200Bの動作が、それぞれ第1の結合ユニット2200B1および第2の結合ユニット2200B2から、周波数2×f0/Nを有するN相中間クロック信号LO(i)を結合することによって提供される周波数f0を有する出力クロック信号LOT+およびLOT−に依存する。バイアス電圧VBiasが印加されると、NMOSトランジスタ2232および2234が、出力クロック信号LOT+およびLOT−に応じてオンまたはオフになる。NMOSトランジスタ2210、2212、2214、および2216は、ゲート電極に印加されるRF信号RF+ならびにRF−によってオンになるが、出力信号OUT+ならびにOUT−を生成するための、RF信号RF+ならびにRF−および出力クロック信号LOT+ならびにLOT−の増幅は、クロック信号LOT+およびLOT−によってバイアスNMOSトランジスタ2232および2234がオフになっているときに行われる。
【0118】
図13は、ND=3かつN=6とした多相VCOおよび多相ミキサの第2の好ましい実施態様を示しており、図14A〜14Hは、図13の好ましい実施態様の動作タイミング図を示している。これに示されるように、VCO2110は、3つの遅延セル21101〜21103を含み、6相の中間クロック信号LO(0)〜LO(5)を生成する。例示の回路は、それぞれの遅延セル21101〜21103ごとに、図示(つまり遅延セル21101)のように5つのトランジスタを含む。ここでは例示のみを目的として示すが、入力信号が周波数f0=1.5GHzを有する場合、6相の中間クロック信号LO(0)〜LO(5)は、0.5GHzの周波数を有することになる。
【0119】
6相のミキサ2250は、差動増幅回路2250Aおよび結合回路2250Bを含んでいる。差動増幅回路2250Aは、NMOSトランジスタ2260および2262を有する第1の差動増幅器2250A1、およびNMOSトランジスタ2264および2266を有する第2の差動増幅器2250A2を含み、これらには、負荷抵抗R3およびR4がそれぞれ結合されている。結合回路2250Bは、第1の結合ユニット2250B1および2250B2を含み、これらは電流ソースIS2に共通結合されている。第1および第2の結合ユニット2250B1および2250B2は、第1および第2の差動増幅器2250A1および2250A2と、バイアスNMOSトランジスタ2282および2284を介してそれぞれ結合されており、これらのトランジスタは、VBiasによってバイアスされている。第1および第2の結合ユニット2250B1および2250B2は、漸増的に6つのトランジスタ・ユニット22700〜22705を含み、合計で12のトランジスタを伴う。
【0120】
図14A〜14Fに示されているように、6相のVCO2110は、低減された周波数f0/3を有する6相の中間クロック信号LO(1)〜LO(5)を生成する。6相のミキサ2250は、6相の中間クロック信号LO(1)〜LO(5)およびRF信号RF+およびRF−を受け取る。各中間クロック信号LO(1)〜LO(5)および/LO(0)〜/LO(2)、すなわち/LO(0)=LO(3)、/LO(1)=LO(4)かつ/LO(2)=LO(5)が第1および第2の結合ユニット2250B1および2250B2の対応するトランジスタに印加される。第1および第2の結合ユニット2250B1および2250B2は、周波数f0/3を有する6相の中間クロック信号LO(0)、LO(1)、...、LO(4)、LO(5)を結合し、周波数f0を有する出力クロック信号LOT+およびLOT−を生成する。
【0121】
図14A〜14Hに示されるように、LO(0)がハイであり、LO(1)がローのとき(LO(4)がハイのとき)は、2つの出力信号LOT+およびLOT−が、それぞれローおよびハイになる。LO(1)がハイであり、LO(2)がローのとき(LO(5)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−が、それぞれハイおよびローになる。LO(2)がハイであり、LO(3)がローのとき(LO(0)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−が、それぞれローおよびハイになる。LO(3)がハイであり、LO(4)がローのとき(LO(1)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−が、それぞれハイおよびローになる。LO(4)がハイであり、LO(5)がローのとき(LO(2)がハイのとき)は、ミキサ2503の出力信号LOT+およびLOT−が、それぞれローおよびハイになる。LO(5)がハイであり、LO(0)がローのとき(LO(3)がハイのとき)は、出力信号LOT+およびLOT−が、それぞれローおよびハイになる。
【0122】
結合回路内のNMOSトランジスタの各ペアは、順序に従ってオンになり、それによって図14Gおよび14Hに示されるように、出力信号LOT+およびLOT−が生成される。
【0123】
図15は、第3の好ましい実施態様の本発明に係る多相シングル‐バランス・ミキサを示している。この第3の好ましい実施態様の多相ミキサ2500は、シングル‐バランス・タイプのミキサである。多相ミキサ2500は、好ましくはN相の、2×f0/N MHzのLOクロック(LO(0:N−1))およびRF信号を受け取り、単相のf0 MHzのLOクロックおよびRF信号を受け取るシングル‐バランス・ミキサに等しい乗算を行う。
【0124】
多相シングル‐バランス・ミキサ2500は、好ましくは4つの機能ブロック、すなわち負荷ブロック2510、スイッチ・アレイ・ブロック2520、ノイズ除去ブロック2530、および入力ブロック2540を含む。図15に示されているように、負荷ブロック2510は、好ましくは2つのPMOSトランジスタ2511、2512、および2つの負荷抵抗2513、2514を含む。2つのPMOSトランジスタ2511、2512は、ソース電極がソース電圧VDDに結合されており、ゲート電極が互いに共通結合されている。負荷抵抗2513、2514は、それぞれPMOSトランジスタ2511、2512のゲート電極とドレイン電極の間に結合されている。
【0125】
PMOSトランジスタ2511、2512は、好ましくは飽和領域において動作してハイ‐インピーダンスを提供し、抵抗2513、2514は、負荷抵抗として作用する。抵抗2513およびPMOSトランジスタ2511の出力インピーダンスの並列の組み合わせは、抵抗2513に比べてトランジスタ2511の出力インピーダンスが大きいことから、抵抗2513だけが存在する場合に近い動作をもたらす。同様に、抵抗2514およびトランジスタ2512の出力インピーダンスの並列の組み合わせは、抵抗2516だけが存在する場合に近い動作をもたらす。トランジスタ2511および2512のドレイン電極は、多相クロックの乗算を実行するスイッチ・アレイ・ブロック2520の第1および第2のスイッチ・ネットワーク2520Aおよび2520Bにそれぞれ結合されている。第1のスイッチ・ネットワーク2520Aは、複数のトランジスタ・ユニット25220、25222、...、2522N−2を含んでおり、第2のスイッチ・ネットワーク2520Bは、第2の複数のトランジスタ・ユニット25221、25223、...、2522N−1を含んでいる。
【0126】
好ましくはN相シングル‐バランス・ミキサ2500は、N相クロック信号LO[0:N−1]およびRF信号を受け取る。6相ミキサの場合であれば、LO信号は、LO[0:5]となる。図14G〜14Hに示されるように、スイッチ・アレイ・ブロック2520は、周波数が2×f0/NのN相のLO信号を使用することによって、周波数がF0の単相信号の印加に等しい効果を結果的にもたらすメカニズムを提供する。第3の好ましい実施態様に係るN相シングル‐バランス・ミキサ2500は、N相のLO信号によってコントロールされるN個のスイッチを含む。第1のスイッチ・ネットワーク2520A内のN/2個のスイッチの1つ2522iおよび第2のスイッチ・ネットワーク2520B内のN/2個のスイッチの1つ2522jは、図14A〜14Fに示されるように、それぞれの位相間隔ごとに交番してオンになる。その結果、図14G〜14Hに示されるような仮想波形LOT+およびLOT−が、多相オペレーションによって、出力端子IOUT−およびIOUT+においてそれぞれ得られる。
【0127】
好ましくは、スイッチ25220〜2522N−1のそれぞれが、少なくとも第1および第2の複数の直列結合されたトランジスタを含む。すなわち、図15に示されるように、スイッチ25220〜2522Nのそれぞれは、トランジスタ2524Cと直列に結合されたトランジスタ2524A、およびトランジスタ2524Dと直列に結合されたトランジスタ2524Bを含む。また、トランジスタ2524Aおよび2524Dのゲート電極が共通結合されて多相クロック信号LO(たとえばLO(0))を受け取り、トランジスタ2524Bおよび2524Cのゲート電極が共通結合されて対応する多相クロック信号LO(たとえばLO(1)B)を受け取る。さらにトランジスタ2524Aおよび2524Bのソース電極が出力端子IOUT−において負荷ブロック2510に結合されており、トランジスタ2524Cおよび2524Dのソース電極がノード2526に結合されている。
【0128】
好ましくは、スイッチ25220〜2522N−1それぞれが、4つのNMOSトランジスタを含む。つまり、第3の好ましい実施態様においては、第1および第2のスイッチ・ネットワーク2520Aおよび2520Bのそれぞれに、N/2個のスイッチが含まれ、NMOSトランジスタの合計の数は4×Nになる。それに加えて、スイッチ25220〜2522N−1のそれぞれが、対称NMOSトランジスタを含み、各スイッチ25220〜2522N−1の入力ポート2525A、2525Bに対して等価もしくは対称の電気的状態を提供する。
【0129】
ノイズ除去ブロック2530は、好ましくはカスケードNMOSトランジスタ2531を含み、そのゲート電極には、バイアス電圧VBiasが結合される。ノイズ除去ブロックは、スイッチ・ネットワーク2520から入力ブロックを分離するべく作用し、入力RF信号2550に対するノイズの結合を防止する。第3の好ましい実施態様においては、エラーを防止するためにバイアスNMOSトランジスタ2531が含められているが、代替実施態様においては、バイアス電圧VBiasによってイネーブルされるこの種のトランジスタを省略することができる。
【0130】
入力ブロック2540は、好ましくは低ノイズ増幅器からRF入力信号2550を、ゲート電極において受け取るべく結合されたNMOSトランジスタ2541を含んでいる。トランジスタ2541は、トランジスタ2531とグラウンド電圧の間に結合される。トランジスタ2540入力電圧は、トランジスタ2541のトランスコンダクタンスによって電流レベルに変換される。周波数2×f0/Nを有する複数のN相クロック信号LO(0)、LO(1)、...、LO(N−1)は、多相ミキサ2500のスイッチ・アレイ・ブロック2520に入力され、RF入力信号2550は、トランジスタ2541に入力される。
【0131】
負荷ブロック2510は、バイアス電圧VBiasを受け取るトランジスタ2531に応答して、スイッチ・アレイ・ブロック2520が、好ましくN相クロック信号LO(0)〜LO(N−1)を結合し、出力端子IOUT−、IOUT+においてオリジナルの周波数f0を有する出力信号LOT+およびLOT−を生成するとき、RF入力信号2500を増幅することができる。その後、ミキサ2500は、出力信号LOT+およびLOT−と、RF入力信号2550の乗算を完了する。このように、多相シングル‐バランス・ミキサ2500は、周波数を低減した多相LOクロック信号を使用して、高周波f0信号の印加に等しいオペレーションを実行することができる。
【0132】
例を示すと、あるRF通信システムにおいて、図16に示されるような12相直交ダウン・コンバータを、第3の好ましい実施態様に従って、2つの6相のシングル‐バランス・ミキサ2600A、2600Bから構成することができる。図16に示したように、6相のLO信号(LO[0、2、4、6、8、10])がIチャンネルのダウン・コンバージョン用に使用され、残りの6相のLO信号(LO[1、3、5、7、9、11])がQチャンネルのダウン・コンバージョン用に使用される。図16に示した6相のミキサのそれぞれは、周波数f0/3 MHzを有する6相のLO信号を使用して、f0 MHzの単相LO信号を用いるシングル‐バランス・ミキサと同じ機能を実行する。ミキサ構造の第3の好ましい実施態様は、立ち上がり/立ち下がり時間が短縮された大きな振幅のLO[0:11]の使用を可能にし、その結果、ミキサの変換利得を増加させるとともにノイズを減少させる。IおよびQ出力端子IOUT−、IOUT+、QOUT−、QOUT+において、より正確な出力信号を提供するために、RF信号の入力パス2650に抵抗およびキャパシタのペア2670を追加することができる。さらに代替実施態様においては、ミキサ2600Aおよび2600Bによって負荷ブロック2610を共有することもできる。
【0133】
上記に代えて、本発明に係る多層ミキサの第4の実施態様においては、図17に示されるように、2つのダブル‐バランス・ミキサを使用して直交ダウン・コンバータを構成することができる。シングル‐エンドRF入力を受け取ることができるシングル‐バランス・ミキサ2500および2600とは異なり、ダブル‐バランス・ミキサ2700は、差動RF入力RF+、RF−を受け取る。図17に示されているように、多相ダブル‐バランス・ミキサ2700には、単一の負荷ブロック2710が組み込まれ、第1および第2のスイッチ・アレイ2720が共通に結合されている。それぞれのスイッチ2722iは、第2の好ましい実施態様に類似の構造を使用している。それに加えて、差動RF入力とグラウンド電圧の間に結合される電流ソース2780を組み込み、パフォーマンス特性を向上させることができる。
【0134】
前述したように、ミキサの好ましい実施態様およびそれを使用する方法には、各種の利点が備わる。好ましい実施態様によって、堅牢であり、ノイズの低いVCOならびにミキサを単一基板上に、好ましくは半導体基板上にCMOSテクノロジを使用して作成することが可能になる。好ましい実施態様は、入力信号と入力クロック信号によってもたらされる干渉を除去するが、これは多相中間クロック信号の周波数が搬送波信号周波数ならびに変調周波数からそれていることによる。フェイズロックループ(PLL)周波数レンジが低減された周波数の多相クロック信号周波数状態に基づいていることから、PLL周波数レンジを増加させることができる。さらに、これらの結果が、RF通信システムにおけるRFフロントエンドのチャンネル選択能力を強化することができる。
【0135】
図18aは、本発明の好ましい実施態様に係るDCオフセット・キャンセル回路3200のブロック図である。図18bは、図18aのDCオフセット・キャンセル回路3200の概略図を示している。図18aおよび18bに示されているように、DCオフセット・キャンセル回路3200は、直列に接続された複数の利得段3210を含んでいる。しかしながら、単一のサーボ・フィードバック・ループに代えて、それぞれの利得段3210は、独自のフィードバック・ループおよびDCオフセット・キャンセル回路3220を有し、それぞれの利得段3210のDCオフセットを除去する。別の好ましい実施態様においては、各利得段3210が可変利得増幅器(VGA)を有し、各DCオフセット・キャンセル回路3220がハイパスフィルタを含んでいる。
【0136】
電圧Vinを有する到来信号は、それぞれの利得段3210において増幅される。各利得段3210(i)は、利得Aviを有し、このAGCループの合計の利得は、次の式(1)(数1)によって表される。
【0137】
【数1】
【0138】
また、各利得段3210に関する伝達関数は、次式のように表される。
【0139】
【数2】
【0140】
利得段3210がカスケード接続されていることから、多数の利得段3210(N)を有するAGCループ3200に関する全体的な伝達関数は、次の式(2)(数3)のように表される。
【0141】
【数3】
【0142】
各利得段のカットオフ周波数fciは、次の式(3)(数4)によって与えられる。
【0143】
【数4】
【0144】
また、好ましくはそれが最良の全体的パフォーマンスに関して実質的に等しい。この好ましい実施態様によるAGCの合計キャパシタンス値は、N個の利得段のそれぞれに関するキャパシタンスCiの合計となる。合計キャパシタンス値の比は、この好ましい実施態様のDCオフセット・キャンセル回路に必要なキャパシタンス値を表す。この比は、次に示す式(4)(数5)によって与えられる。
【0145】
【数5】
【0146】
これにおいてCrは、関連技術のDCオフセット・キャンセル回路に関するキャパシタンス値を表しており、Cmは、複数のDCオフセット・キャンセル回路3220を伴う本発明の好ましい実施態様に関するキャパシタンス値を表している。上記の式(4)(数5)によれば、利得段3210の数Nの増加に伴って分子は指数関数的に増加するが、分母は線形に増加する。すなわち、合計キャパシタンス値は、利得段3210の数Nの増加に伴って指数関数的に減少する。したがって、本発明の好ましい実施態様のキャパシタンス値は、控えめな数の利得段に関する場合であっても、関連技術の回路のキャパシタンス値に比べて数桁も小さくなる。
【0147】
本発明の好ましい実施態様の別の利点は、好ましい実施態様におけるDCオフセット除去の量が、関連技術の単一サーボ・フィードバックのアプローチより大きいことである。式(4)(数5)に基づけば、それぞれの利得段3220に関して、DCオフセットが20dB/ディケード下がり、これは関連技術が単一フィードバック・ループ全体の全利得段について20dB/ディケードであることと対照的である。言い換えると、本発明のこの好ましい実施態様においては、関連技術のアプローチの場合に比べてDCオフセットの量がN倍になる。このことは、カットオフ周波数とDCオフセット除去の量の間におけるトレードオフを実質的に排除するという利益をもたらす。本発明の好ましい実施態様の大きなロール‐オフ・レートは、低いカットオフ周波数の場合においてさえも、充分なDCオフセットの抑制を可能にする。
【0148】
CMOSリング・オシレータの位相ノイズを分析するための方法においては、次に示す式(5)(レッスン(Lesson)の等式)(数6)を用いることができる。
【0149】
【数6】
【0150】
式(5)(数6)によれば、位相ノイズを周波数オフセット(logΔω)に対してプロットした位相ノイズ(Δω)曲線は、3つの異なる勾配部分から構成される。第1の部分は、搬送周波数(f0)からの周波数オフセットが充分に小さいところに存在する、(1/Δω)3に比例する部分である。この第1の部分(1/Δω)3に続いて、(1/Δω)2に比例する部分曲線を有する第2の部分が存在する。さらに、大きな周波数オフセットに対して位相ノイズ・スペクトルが、位相ノイズΔωの平方として連続的に低下するのではなく、最終的に第3の部分として平坦になる。このようなノイズ・フロアは、VCOと測定装置の間に配置されるあらゆる能動エレメント(バッファ等)に関連付けされるノイズに起因するか、あるいは測定装置自体の限界を反映している可能性もある。ファクタFは、経験に基づくものであり、かつオシレータごとに大きく変動する。したがってF値は、測定から決定されなければならない。式(1)(数1)によれば、Qファクタの増加、信号振幅の増加、もしくは中心周波数の減少を行うことが、位相ノイズを低減する方法となる。
【0151】
VCOの位相ノイズを分析するための別のモデル(ハジミリ(Hajimiri))は、インパルス・ノイズが印加されたときにオシレータ信号の位相変位が依存することを明らかにしている。つまり、位相ノイズ分析は、時間的に変化し、式(5)(レッスン(Lesson)の等式)(数6)等の線形の時間的に不変なノイズ分析の欠点が明らかになる。線形性が良好な仮定を残している範囲までは、位相変位の量がノイズ・インパルスの大きさに比例し、合計の信号チャージと逆比例して変化する。したがって、位相変位に関するインパルス応答は、次の式(6)(数7)によって示すことができる。
【0152】
【数7】
【0153】
これにおいてqmaxは、信号に関する最大チャージ変位、u(t)は単位ステップ、関数Γ(x)はインパルス感度関数(ISF)であり、これは無次元の周波数ならびに振幅に依存しない、2πの周期性を有する関数である。ISFは、システムの感度に関する情報を位相ω0τにおいて注入されたインパルスにエンコードする。ISFは、オシレータごとに変化する。ISFが(標準的な方法によって)決定された後は、次の式(7)(数8)に示されるように、線形性の仮定の下における累積積分の使用を通じて過剰な位相を決定することができる。
【0154】
【数8】
【0155】
図19は、関連技術のCMOSリング・オシレータのISFの形状を示した概略図である。図19に示されているように、式(3)(数4)に従ったISF関数の絶対値は、過渡状態の期間内に最大値を持つ。言い換えると、デバイスのノイズ電流によって生じたノイズ・インパルスは、過渡領域における位相変位に影響を及ぼす。つまり、CMOSリング・オシレータの位相ノイズを低減もしくは最小化するためには、立ち上がり/立ち下がり時間(Trise、Tfall)を短縮もしくは最小化する必要がある。
【0156】
上記に加えて、電源がCMOS・VCOの位相ノイズに影響を与える。電源の揺らぎは、CMOSリング・オシレータに突然の位相変位を導く可能性があり、その結果として位相ノイズの増加が招かれる。CMOS・VCOに対する電源ノイズの影響を低減するために、VCO回路のトップにソース・フォロアを追加することが、電源ノイズ除去のための解決策として一般に受け入れられている。ソース・フォロアを使用することによって、電源ノイズの影響を低減もしくは最小化してVCOの周波数をコントロールすることが可能になる。電源は、ソース・フォロアのドレイン電極に接続され、その結果、電源ノードから見たときにハイ・インピーダンスになる。ソース・フォロアのソース電極が、VCOの実際の電源ノードとなり、それが現実の電源の揺らぎによって影響されることはほとんどない。
【0157】
PC、WLL、およびIMT2000等の商業的RF標準をサポートするためには、プリスケーラをPLLに追加して(a)CMOSリング・オシレータの大きな位相ノイズに打ち勝つ大きな帯域幅を提供し、かつ(b)比較的小さいチャンネル間隔を提供して標準に適合させる必要がある。しかしながら、PLL帯域幅およびチャンネル間隔は、位相検出器に印加される基準周波数に比例することから、大きな帯域幅のサポートおよび小さいチャンネル間隔のサポートは、互いのトレードオフとなる(すなわち、相反要件)。言い換えると、大きなチャンネル間隔に関しては、比較的低いVCO位相ノイズを達成することができる。
【0158】
整数Nプリスケーラおよび分数Nプリスケーラは、それぞれ図20および21に示されているようは、一般に使用されている関連技術のプリスケーラ・アーキテクチャである。図20を参照すると、関連技術の整数Nプリスケーラを含むPLLアーキテクチャは、位相周波数検出器4210、およびVCO4230に対して周波数コントロール信号を出力するチャージ・ポンプおよびループ・フィルタ4220を含んでいる。位相周波数検出器4210は、VCOクロック分周回路4240から基準クロック信号FrefおよびVCOクロック信号Fvcoを受け取る。VCOからの局部発振器クロック信号の周波数f0は、(Fref)=f0によって表すことができる。つまり、周波数Fvcoは、基準クロック信号Frefおよび図20の回路4240を基礎とし、Fvcoの周波数は、基準クロック信号Frefによって決定される。
【0159】
たとえば、図20に示されるような関連技術のPCSシステム用の整数Nアーキテクチャにおいては、周波数検出器に印加される基準周波数(Fref)を、チャンネル間隔(BW channel)に等しくする必要があり、それが約600KHzになる。このように、整数Nアーキテクチャを使用するPLLの帯域幅は、チャンネル間隔に対して固定されており、CMOSリング・オシレータの大きな位相ノイズに打ち勝つ充分な帯域幅を、整数Nアーキテクチャの使用によって獲得することは困難である。それとは別に、整数Nアーキテクチャには、「基準スパー」問題がある。位相検出器4210が基準周波数Frefと、VCO4230の周波数Fvcoの比較を行うときは、必ずチャージ・ポンプ4220がループ・フィルタ用に、基準とVCOクロックの間における位相誤差に対応する電荷を提供する。周波数がチャンネル間隔に等しいチャージ・ポンプ・メカニズムは、「基準スパー」と呼ばれるスプリアス・スペクトル・スパーを導き、それがチャンネル間隔に等しい周波数を有する。「基準スパー」は、帯域内領域の中にスパーの周波数が存在することから、RF送信機TXおよびRF受信機RXの周波数変換フローに重大な問題をもたらす。
【0160】
図21に示されるような関連技術の分数Nアーキテクチャ4340においては、基準周波数(Fref)を、チャンネル間隔(BWchannel)と無関係に増加させることが可能であり、その結果、CMOSリング・オシレータの大きな位相ノイズに打ち勝つ充分な帯域幅を獲得することが可能になる。図21に示されているように、FrefはN×BWchannelに等しい。このNを増加することによって、基準周波数Frefが増加し、その結果として大きな帯域幅がもたらされる。しかしながら、周波数がチャンネル間隔に等しい「分数スパー」が、整数Nアーキテクチャにおける「基準スパー」に類似の問題を招き得ることから、関連技術の分数Nアーキテクチャ4340には、「分数スパー」の問題が存在する。さらに、「分数スパー」の量は、図20に示した関連技術の整数Nアーキテクチャにおける「基準スパー」の量よりはるかに大きい。したがって、CMOS・RF通信システムに適用可能な関連技術のPLLアーキテクチャは、帯域幅ならびにスパー両方の問題を克服することができない。
【0161】
RF通信システムに適用可能なCMOS PLLの好ましい実施態様は、多相サンプリング分数NプリスケーラならびにVCOの好ましい実施態様およびそれらを使用する方法を含み、それについて次に説明する。
【0162】
図22は、本発明に係るCMOS・VCOの好ましい実施態様を示した概略図である。CMOS・VCOの好ましい実施態様によれば、マルチフィードバックCMOS・VCO4400が、低位相ノイズ用の複数のフィードバック・ループ4420を含む。図22に示されるように、CMOS・VCOは、複数の、直列に結合された遅延セル4410A、4410B、...、4410Nを含み、複数のN相のクロック信号LO[0:N−1]を出力する。VCO4400は、VCO周波数を増加し、局部発振器のLO波形の立ち上がり/立ち下がり時間を短縮するために複数のフィードバック・ループを有する。図22に示されるように、VCOセル4410i(i=1〜N)は、4つの入力ポート(INP、INN、INNB、INPB)および2つの出力ポート(OUT、OUTB)を有する。出力端子OUT(セル4410i)は、入力端子INNB(セル4410i+1)および入力端子INPB(セル4410i+2)に結合されている。出力信号OUT(セル4410i)は、入力端子INN(セル4410i+1)および入力端子INP(セル4410i+2)に結合されている。しかしながら、セル4410(N−1)からの出力信号OUT、OUTBは、それぞれセル4410(0)のINPB、INPに、またセル4400(N)からの出力信号OUT、OUTBは、それぞれセル4400(0)のINNB、INNにフィードバックされる。
【0163】
次に、VCO4400の遅延セル4410iの好ましい実施態様について説明する。図22に示されているように、各遅延セル4410iは、4つの入力端子INP、INN、INNB、INPB、2つの出力端子OUT、OUTBを有し、電源VDDとグラウンド電圧の間に結合されており、さらにコントロール電圧Vctrlを受け取る。図22に示されるように、セル遅延セル4410iは、電源電圧VDDと第1のノードN1の間に結合される第1のNMOSトランジスタMN0を含んでいる。NMOSトランジスタMN0のゲート電極は、好ましくはオンチップ・レギュレータからバイアス電圧VBIASを受け取る。また各セル4410iは、第1のノードN1とグラウンド電圧の間に結合された、MP3‐MN3、MP1‐MN1、MP5‐MN5、MP6‐MN6、MP2‐MN2、およびMP4‐MN4を含むトランジスタのペアを含んでいる。さらに、入力端子INPがトランジスタMP4およびMP2のゲート電極に結合され、入力端子INNがトランジスタMN4およびMN2のゲート電極に結合され、入力端子INPBがトランジスタMP3およびMP1のゲート電極に結合され、入力端子INNBがトランジスタMN3およびMN1のゲート電極に結合されている。セル4400iの出力端子OUTは、トランジスタ・ペアMP3‐MN3のドレイン電極間の接合部分、およびトランジスタ・ペアMP5‐MN5のドレイン電極間の接合部分に結合されている。出力端子OUTBは、トランジスタ・ペアMP4‐MN4のドレイン電極間の接合部分、およびトランジスタ・ペアMP6‐MN6のドレイン電極間の接合部分に結合されている。トランジスタMN7は、ゲート電極においてコントロール電圧Vctrlを受け取り、ノードFEEDとFEEDBの間に結合されている。トランジスタ・ペアMP1‐MN1の結合されたドレイン電極およびトランジスタ・ペアMP6‐MN6の結合されたゲート電極もまた、ノードFEEDに結合されている。トランジスタ・ペアMP2‐MN2の結合されたドレイン電極およびトランジスタ・ペアMP5‐MN5の結合されたゲート電極は、ノードFEEDBに結合されている。さらに、ソース電極が第1のノードN1に結合され、ドレイン電極が出力端子OUTに結合され、ゲート電極が出力端子OUTBに結合されたトランジスタMP7が備わる。トランジスタMP8は、ソース電極が第1のノードN1に結合され、ドレイン電極が出力端子OUTBに結合され、ゲート電極が出力端子OUTに結合されている。
【0164】
次に、マルチフィードバックCMOS・VCO4400の好ましい実施態様に係るセル4410iの動作について説明する。セル4410iにおいては、トランジスタMN0が電源の揺らぎによって生じるノイズの注入を防止する。好ましくは、トランジスタMN0が、電源電圧VDDサイドにおいてハイ・インピーダンスを有し、第1のノードN1においてロー・インピーダンスを有する。したがって、VCOの動作に対する電源の揺らぎの影響が低減される。トランジスタ・ペアMP3‐MN3およびトランジスタ・ペアMP4‐MN4から構成されるインバータ構造が、手前のセル4410(i−1)から信号INPB、INNB、INP、およびINNをそれぞれ受け取り、共通結合されたドレイン電極において出力信号OUT、OUTBを生成する。トランジスタMP7およびMP8は、正帰還(正のフィードバック)回路またはフィードバック・ループを構成し、VCO4400の発振を補助もしくは増進し、立ち上がり/立ち下がりの時間を短縮する。第2の正帰還回路は、好ましくは4つのインバータ、すなわちインバータ1(トランジスタ・ペアMP1‐MN1)、インバータ2(トランジスタ・ペアMP5‐MN5)、インバータ3(トランジスタ・ペアMP2‐MN2)、およびインバータ4(トランジスタ・ペアMP6‐MN6)から構成され、トランジスタMN7のゲート電圧Vctrlを変化させることによってVCO4400の周波数をコントロールする。コントロール電圧Vctrlが下がると、インバータ1の出力ノードFEEDおよびインバータ3の出力ノードFEEDBが絶縁される。それにより、出力ノードFEEDおよびFEEDBの信号が反転された態様で動作し、その結果、インバータ1およびインバータ3が出力端子OUTBの信号動作に正帰還を提供し、インバータ2およびインバータ4が出力端子OUTの信号動作に正帰還を提供する。この場合、出力端子OUT、OUTB上の波形の立ち上がり/立ち下がり時間が最小化されるが、強い正帰還が、VCO4400の信号によるVCO4400の信号の状態の迅速な変更を妨げることからVCO周波数が下がる。言い換えると、VCO4400の信号が信号状態を変化し、伝播するための時間遅延が生成される。コントロール電圧Vctrlが上昇すると、MN7の導電率が高くなり、出力ノードFEEDおよびFEEDBの信号が反転された態様で動作することを妨げる。言い換えると、出力ノードFEEDおよびFEEDBの信号の振幅が、MN7の増加した導電率によって下げられる。その結果、インバータ1およびインバータ2による、出力端子OUTB上の正帰還の長さが短縮され、あるいは弱くなり、それによってVCO4400の信号の迅速な状態変化がもたらされ、VCO4400の周波数が増加する。言い換えると、弱い正帰還によって、抵抗の低減とともにVCO4400の信号の迅速な状態変化が促進され、その結果、周波数の増加がもたらされる。
【0165】
したがって、PLLにおけるCMOS・VCO4400の好ましい実施態様は、VCO信号の振幅を増加し、VCO信号の立ち上がり/立ち下がり時間を最小化もしくは低減し、かつ電源の揺らぎがもたらすVCOに対するノイズ効果を最小化することによって、CMOSリング・オシレータの位相ノイズを最小化する。図22に示されるように、トランジスタMNO〜MN7は好ましくはNMOSタイプのトランジスタとし、トランジスタMP1〜MP8は好ましくはPMOSタイプのトランジスタとする。しかしながら、本発明がそのように限定されることは意図されていない。
【0166】
前述したように、CMOS・VCOの好ましい実施態様およびその動作のための方法は、各種の利点を有する。CMOS・VCOの好ましい実施態様は、対称PMOS/NMOS構造を有して局部発振器のLO波形の立ち上がり/立ち下がり時間を整合させ、それが立ち上がり/立ち下がり時間の不整合によって生じる位相ノイズを低減することができる。さらに、好ましい実施態様に係るVCOの周波数を、フィードバック回路の強度を調整することによってコントロールすることができる。好ましい実施態様は、フィードバック回路に関して単純な構造を使用している。詳細に述べれば、コントロール信号の値(たとえばVctrl)が小さくなると、フィードバック回路によるフィードバックの量が増加する。VCO4400の好ましい実施態様においては、Vctrlが下がると、出力ノードFEEDおよびFEEDBの電圧レベルが上昇し、フィードバック回路によるフィードバックの量が増加する。したがって低減された周波数における場合であっても、好ましい実施態様によって、VCOに関する迅速な、すなわち鋭い立ち上がり/立ち下がり時間を維持することができる。このように、CMOS・VCOの好ましい実施態様およびその使用の方法は、迅速な立ち上がり/立ち下がり時間および高い電源除去比(PSRR)を伴うフルスイングのLO信号を提供する。
【0167】
図23は、本発明の第2の好ましい実施態様に係るフェイズロックループを示した概略図である。この図23に示されているように、PLLの第2の好ましい実施態様は、CMOS・VCO4400を含み、多相サンプリング分数Nプリスケーラ4500は、パルス‐スワロー除算器4510、多段(たとえば12段)多相サンプラ4520、マルチプレクサ4530(たとえば12‐1マルチプレクサ)、およびモジュラ・カウンタ4540を含んでいる。
【0168】
パルス‐スワロー除算器4510は、好ましくは[4×P+S]による除算を実行する。このパルス‐スワロー除算器4510は、除算器4512およびカウンタ4514を含んでいる。関連技術においてはLO周波数が高すぎ、マルチプレクサ・オペレーション等の選択オペレーションを使用し、多相信号の間において1つの位相信号を選択するといった堅牢な論理演算を行うことができない。したがって、多相クロックの中から1つの位相信号を選択する前に、パルス‐スワロー除算器4510により除算を行い、より堅牢な論理演算を提供するために周波数を下げている。
【0169】
パルス‐スワロー除算器4510の出力は、好ましくは直列に結合された複数のNフリップ・フロップ4522を含む多相サンプラ4520によってサンプリングされる。図23に示されているように、多相サンプラ4520は、12相800MHzのLOクロック(LO[0:ll])を使用してサンプリングを行う。12段サンプラ4520(TCK[0:ll])の出力は、12相のLOクロックによって決定された12の異なるタイミングを有する。隣接TCKクロック信号との間におけるタイミングの差は、(1+1/12)×TVCOであり、それにおいてTVCOは、VCO4400から到来するLOクロックの周期とする。たとえば、図23に示されるような、多相クロック信号LOの数が12であり、かつLOクロックの周波数が800MHzである場合には、TVCOが1.25ナノ秒になり、隣接TCKクロック信号との間におけるタイミングの差が(1+1/12)×1.25ナノ秒になる。タイミングの差が1/12×TVCOではなく、(1+1/12)×TVCOとなる理由は、12段サンプラ4520のセットアップおよびホールドの時間ウインドウが1/12×TVCOより大きく、かつ(1+1/12)×TVCOより小さいことによる。モジュラ・カウンタ4520は、0から11までの範囲にわたる入力コントロール信号Mに従ってTCK[0:ll]の1つを周期的に選択する。結果として得られる12‐1マルチプレクサ4530出力DIVCKの周期は、[4×P+S+M+M/12]×TVCOになる。したがって、結果として得られる、プリスケーラ4500の第1の実施態様の除算比は[4×P+S+M+M/12]となる。
【0170】
前述したように、関連する分数Nプリスケーラの分数スパーが、プリスケーラのクロック周波数によってもたらされ、それがチャンネル間隔に等しい。プリスケーラ4500の好ましい実施態様は、周波数がチャンネル間隔に等しいタイミング・ソースを使用しない。その結果、分数‐12オペレーション(たとえばN=12)を伴うプリスケーラ4500は、分数スパーを伴うことなくPLL帯域幅を増加し、位相ノイズを低減する。詳細には、プリスケーラ4500の分数スパー周波数が基準クロック周波数(たとえば800MHz)に等しく、それはチャンネル間隔からはるかに離れている。P、S、およびMの値を変更することによって、VCO4400およびプリスケーラ4500を含むPLLが、異なるチャンネル周波数をサポートすることが可能になる。
【0171】
次に、多相サンプリング分数Nプリスケーラ4500の好ましい実施態様の動作について説明する。図24は、M=3の場合のプリスケーラ4500の動作ならびにタイミング波形を示したタイミングチャートである。TCK[0:11]の周期は、(4×P+S)×TVCOである。図24に示されるように、当初、TCK[7]がDIVCKとして選択されている。この時点においては、POINT[0:11]が000000010000である。最初のサイクルの後、モジュラ・カウンタ4530が値3だけPOINT[0:11]をシフトし、その結果、POINT[0:11]が000000000010になる。つまり、TCK[10]が2番目のサイクルのためのDIVCKとして選択される。この2番目のサイクルの後は、POINT[0:11]が010000000000になる。3番目のサイクルの後は、TCK[1]が選択される。しかしながら図24に示した3番目のサイクルにおいては、ポインタの値が直前のサイクルより小さい(たとえば1<10)ことを示すコントロール信号OVERFLOWがモジュラ・カウンタ4530によって検出される。モジュラ・カウンタ4530は、OVERFLOW信号をアサートしてPSカウンタ4514をコントロールし、その除算ファクタを13×TVCOだけ増加させて、図24に示されるように正確なタイミングを維持する。この結果、位相検出器PFDの一方の入力に印加されるDIVCKの周期が、[4×P+S+3×(1+1/12)]×TVCOになる。位相検出器PFDの他方の入力は、基準周波数、たとえば20MHzのREFKである。したがって、図25に示されるプリスケーラ4500の有効除算ファクタは、[4×P+S+3×(1+1/12)]となる。
【0172】
図25は、M=7の場合のプリスケーラ4500の動作ならびにタイミング波形を示したタイミング・チャートである。TCK[0:11]の周期は、(4×P+S)×TVCOである。図25に示されるように、当初、TCK[4]がDIVCKとして選択されている。この時点においては、POINT[0:11]が000010000000である。最初のサイクルの後、モジュラ・カウンタ4530が値7だけPOINT[0:11]をシフトし、その結果、POINT[0:11]が000000000001になる。つまり、TCK[11]がDIVCKとして選択される。2番目のサイクルの後は、POINT[0:11]が000000100000になる。3番目のサイクルにおいては、TCK[6]が選択される。しかしながら、3番目のサイクルにおいては、ポインタの値が直前のサイクルより小さい(たとえば6<11)ことを示すコントロール信号OVERFLOWがモジュラ・カウンタ4530によって検出される。モジュラ・カウンタ4530は、OVERFLOW信号を印加して、PSカウンタ4514に、その除算ファクタを13×TVCOだけ増加させて、図25に示されるように正確なタイミングを維持する。この結果、位相検出器PFDの一方の入力に印加されるDIVCKの周期が、図24に示されるように、[4×P+S+7×(1+1/12)]×TVCOになる。したがって、図24に示されるプリスケーラ4500の有効除算ファクタは、[4×P+S+7×(1+1/12)]となる。
【0173】
前述したように、プリスケーラ4500の好ましい実施態様は、各種の利点を有する。多相分数Nプリスケーラを含むPLLの好ましい実施態様およびその使用の方法は、大きな帯域幅ならびにスペクトルの完全性を提供する。さらに、この好ましい実施態様によれば、プリスケーラが分数スパーの問題を低減するか、あるいは除去する。したがって、VCOおよびプリスケーラ・アーキテクチャの好ましい実施態様を統合したPLLおよびその使用の方法は、RF CMOS単一チップ通信システムのためのパフォーマンス特性を向上させる。
【0174】
図26は、本発明に係るマスタ・スレーブgm‐C同調回路の好ましい実施態様を示したブロック図である。図26を参照すると、マスタ・ブロック5410は、コントロール電圧5430をスレーブ・フィルタ5440にコピーする。マスタ・ブロックは、第1の整流器5413、第2の整流器5414、電圧‐電流(V‐I)コンバータ5416、およびgm‐C多相フィルタ5420を含んでいる。図26に示されているように、整流器5413は、ハイパスフィルタの出力信号5425A、5425Bをフィルタ5420から受け取り、整流器5414は、ローパスフィルタ出力信号5429A、5429Bをフィルタ5420から受け取る。V‐Iコンバータ5416は、整流器5413、5414からの出力を受け取り、コントロール電圧5430をスレーブ・フィルタ5440に向けて出力する。gm‐C多相フィルタ5420は、トランスコンダクタンス増幅器5422、5424、5426、5428を含んでいる。トランスコンダクタンス増幅器5422の正および負の入力ポートは、同相モード基準信号を受け取る。トランスコンダクタンス増幅器5424の正の出力ポートは、トランスコンダクタンス増幅器5422の負の出力ポートおよびトランスコンダクタンス増幅器5424の負の入力ポートに結合されている。トランスコンダクタンス増幅器5424の負の出力ポートは、トランスコンダクタンス増幅器5422の正の出力ポートおよびトランスコンダクタンス増幅器5424の正の入力ポートに結合されている。それに加えて、トランスコンダクタンス増幅器5424の正および負の出力ポートは、それぞれハイパスフィルタ(HPF)出力信号5425B、5425Aのための出力ノードになる。さらに、トランスコンダクタンス増幅器5426の正および負の入力ポートが、基準入力信号5450を受け取るべく結合される。トランスコンダクタンス増幅器5428の正の出力ポートは、トランスコンダクタンス増幅器5426の負の出力ポートおよびトランスコンダクタンス増幅器5428の負の入力ポートに結合されている。トランスコンダクタンス増幅器5428の負の出力ポートは、トランスコンダクタンス増幅器5426の正の出力ポートおよびトランスコンダクタンス増幅器5428の正の入力ポートに結合されている。トランスコンダクタンス増幅器5428の正および負の出力ポートは、それぞれローパスフィルタ(LPF)出力信号5429B、5429Aのための出力ノードになる。このようにフィルタ5420は、ハイパスフィルタ回路5420Aおよびローパスフィルタ回路5420Bを含んでいる。基準入力信号5450は、キャパシタ5423Bおよび5423Aを介してそれぞれトランスコンダクタンス増幅器5424の正および負の入力ポートに結合される。トランスコンダクタンス増幅器5428の負および正の出力端子と、グラウンド電圧の間には、キャパシタ5427Aおよび5427Bが結合されている。図26には、gm‐C多相フィルタ5420の等価回路5460も図示してある。
【0175】
マスタ・スレーブgm‐C同調回路の好ましい実施態様においては、トランスコンダクタンス増幅器5426、5428がフィードバック・ループ・コントロール信号Vctrlをコントロール信号として受け取り、それぞれトランスコンダクタンス増幅器5422および5424に向けてコントロール信号Vctrlを出力する。基準信号としては、好ましくは正弦波が使用される。図26に示されているように、4MHzの正弦波が基準信号として使用され、フィルタ5420のカットオフ周波数をセットする。
【0176】
マスタ・ブロック5410の動作の間に、Vctrl 5430の値が上昇すると、トランスコンダクタンス値(gm)が増加し、LPF出力信号5429A、5429Bの振幅が増加し、HPF出力信号5425A、5425Bの振幅が減少する。整流器5413、5414は、比較のために、それぞれ好ましくはHPFおよびLPF出力信号のピーク・レベルを検出する。V‐Iコンバータ5416は、整流器5413、5414からの整流後の出力を受け取り、好ましくは整流後の出力の振幅の差に比例するポンピング電流を生成する。結果的に、負帰還(負のフィードバック)ループによってHPF出力信号およびLPF出力信号が等化され、次の式(8)(数9)に示される安定状態のトランスコンダクタンス値gmがもたらされる。
【0177】
【数9】
【0178】
前述したように、好ましい実施態様に係るマスタ・ブロック5410等のマスタ・ブロックは、各種タイプのトランスコンダクタンス増幅器用の同調回路として適合させることができる。一例のトランスコンダクタンス増幅器を図29に示す。マスタ・ブロック5410のハイパスフィルタ・セクションおよびローパスフィルタ・セクション内のトランスコンダクタンス増幅器は、好ましくは1/gmオームの値を有する抵抗等価としての動作と類似の機能を提供する。さらに、同相モード基準信号は、好ましくはVDDの約半分(たとえば、電源電圧の1/2)の値のDC電圧とする。それに加えてマスタ・ブロック5410においては、好ましい基準信号5450が正弦波となっているが、三角波等の別のタイプの信号を印加することもできる。基準信号5450の周波数は、好ましくは対応するスレーブ・ブロックのカットオフ周波数に従って適用される。たとえば、スレーブ・フィルタのカットオフ周波数を6MHzとするときには、4MHzの正弦波を6MHzの正弦波に置き換える必要がある。
【0179】
図27は、本発明に係る整流器の好ましい実施態様を図示した概略図である。図27に示されているように、整流器5500は、ノードAとグラウンド電圧の間に並列に結合されたPMOSタイプのトランジスタ5501、5502を含んでいる。PMOSトランジスタ5501、5502のゲート電極は、それぞれ入力信号INおよび入力信号の補信号INBを受け取る。ソース電圧VDDとノードAの間には、PMOSタイプのトランジスタ5503が結合されており、ソース電圧VDDとノードBの間には、PMOSタイプのトランジスタ5504が結合されている。PMOSトランジスタ5503および5504のゲート電極は、バイアス電圧VBiasを受け取る。第5のPMOSタイプのトランジスタ5505が、ノードBとグラウンド電圧の間に結合されている。演算増幅器は、反転端子がノードBに結合され、非反転端子がノードAに結合され、出力がPMOSタイプのトランジスタ5505のゲート電極に結合されて、整流器5500の出力信号を提供する。この整流器5500は、図26の整流器5413、5414として使用することができる。
【0180】
図28は、本発明に係るV‐Iコンバータ5600の好ましい実施態様を示した概略図である。図28に示されているように、電源ソース電圧VDDとグラウンド電圧の間にトランジスタ5601および5602が直列に結合されている。さらにソース電圧VDDとグラウンド電圧の間には、トランジスタ5603および5604が直列に結合されており、それらのドレイン電極が共通結合されてV‐Iコンバータ5600の出力信号を提供する。トランジスタ5605および5606は、ソース電圧VDDと電流ソースIsの間に直列に結合され、電流ソースはグラウンド電圧に結合されている。トランジスタ5607および5608は、共通結合されたドレイン電極によってソース電圧VDDと電流ソースIsの間に直列に結合されている。さらに、トランジスタ5605のゲート電極およびドレイン電極は、ともにトランジスタ5601のゲート電極に結合されている。同様に、トランジスタ5607のゲート電極およびドレイン電極が、ともにトランジスタ5603のゲート電極に結合されている。トランジスタ5606および5608のゲート電極は、それぞれ入力信号5620および5622を受け取る。このコンバータ5600は、図26におけるV‐Iコンバータ5416として使用することができる。
【0181】
前述したように、本発明に係るマスタ・スレーブ同調回路の好ましい実施態様およびそれを使用する方法は、各種の利点を有している。フィードバック・ループのコントロール電圧(たとえばVctrl)がスレーブ回路にコピーされ、マスタおよびスレーブ回路は、いずれもgm‐Cフィルタを使用する。正確な振幅比較のために、たとえば共通負荷レベル、負荷ケイパビリティを含む電気的特性を整合させる必要がある。好ましい実施態様に係る多相フィルタ内の多相フィルタのハイ・パスおよびローパスフィルタ部分は、異なる構成を伴って同一のフィルタを使用する。さらにハイおよびローパスフィルタリングの出力信号が同一回路から到来し、その結果、いずれの信号も同一の電気的特性を有することになり、それによって関連技術の同調回路に比べてより正確な同調回路が得られる。さらにまた、gm‐C多相フィルタ同調回路の好ましい実施態様は、マスタおよびスレーブ・フィルタ両方の本体に関してよりシンプルな回路構成を提供する。これらに加えて、同調回路の好ましい実施態様は、VCOタイプの関連技術の同調回路に比較すると、発振の難しさ、および当該VCOタイプの同調回路の高いQファクタ要件によってもたらされる不利点の排除によって、向上された堅牢な動作を提供する。
【0182】
以上示した実施態様および利点は、単なる例示であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の教示は、別のタイプの装置にも容易に適用することができる。本発明の説明は例示を意図しており、特許請求の範囲を限定するものではない。当業者であれば、各種の置換、修正、変形が明らかであろう。特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション節(機能的表現)においては、本明細書で説明した構造を、請求項に記載した機能を実行するものとして包含するよう意図しており、構造上の均等物に限られず、均等な構造も含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 関連技術のRF通信システムを示した回路図である。
【図2】 図2A〜図2Eは、図1のシステムにおける信号の伝播を示した概略図である。
【図3】 図3Aおよび図3Bは、図1のシステムにおけるクロック信号の漏れを示した概略図である。
【図4】 別の関連技術のRF通信システムを示した回路図である。
【図5】 図5A〜図5Gは、図4のシステムにおける信号の伝播を示した概略図である。
【図6】 本発明に係る多相低減周波数(MPRF)RF通信システムの好ましい実施態様を示した概略図である。
【図7】 本発明の好ましい実施態様に係るRF通信システムの受信機を示したブロック図である。
【図8】 図7のRF通信システムにおける信号の流れを示したブロック図である。
【図9】 本発明の別の好ましい実施態様に係るRF通信システムの受信機を示したブロック図である。
【図10】 本発明に係るCMOS・LNAの好ましい実施態様を示したブロック図である。
【図11】 本発明に係るCMOS・LNAの好ましい実施態様を示した回路図である。
【図12A】 図12Aは、本発明の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造を示したブロック図である。
【図12B】 図12Bは、図2AのVCOミキサ構造を示した回路図である。
【図13】 本発明の別の好ましい実施態様に係るVCOミキサ構造を示した回路図である。
【図14】 図14A〜図14Hは、図3のミキサを示した動作タイミング図である。
【図15】 本発明に係るミキサのさらに別の好ましい実施態様を示した回路図である。
【図16】 第3の好ましい実施態様に係る一例の直交ダウン・コンバータを示した回路図である。
【図17】 本発明に係るミキサのさらに別の好ましい実施態様を示した回路図である。
【図18】 図18Aは、本発明の好ましい実施態様に係るシングル・フィードバック・ループを伴うDCオフセット・キャンセル回路のブロック図である。
図18Bは、図18AのDCオフセット・キャンセル回路の回路図である。
【図19】 関連技術に係るCMOSリング・オシレータに関するインパルス感度関数を示した概略図である。
【図20】 関連技術の整数Nアーキテクチャを示した概略図である。
【図21】 関連技術の分数Nアーキテクチャを示した概略図である。
【図22】 好ましい実施態様に係るCMOS・VCOを示した概略図である。
【図23】 本発明に係る分数Nプリスケーラの好ましい実施態様を示した概略図である。
【図24】 分数Nプリスケーラの好ましい実施態様に係る動作ならびにタイミング波形を示した概略図である。
【図25】 分数Nプリスケーラの好ましい実施態様に係る動作ならびにタイミング波形を示した概略図である。
【図26】 本発明に係るマスタ・スレーブ同調回路の好ましい実施態様を示した概略図である。
【図27】 整流器の好ましい実施態様を示した概略図である。
【図28】 電圧‐電流コンバータの好ましい実施態様を示した概略図である。
【図29】 一例のトランスコンダクタンス増幅器を示した回路図である。
Claims (43)
- 搬送周波数を有する選択された信号を含む信号を受信する受信機ユニットと、
前記受信した搬送周波数の選択された信号を混合し、ベースバンドの選択された信号を出力する復調ミキサと、
前記ベースバンドの選択された信号を受け取り、選択的に帯域内信号を所定の振幅に増幅する、第1および第2段のAGC増幅器を含むベースバンド増幅回路と、
を備えるダイレクト変換通信システム。 - 前記所定の振幅が、前記通信システムの必要ダイナミックレンジより大きいことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
- 前記ベースバンドの選択された信号内の隣接チャンネルが、チャンネル内信号より大きな電力レベルを有し、かつ前記第2段のAGC増幅器が利得マージ・フィルタであることを特徴とする請求項2記載の通信システム。
- 前記通信システムはさらに、
前記受信機ユニットに結合され、前記受信した選択された信号のフィルタリングを行うRFフィルタと、
前記RFフィルタに結合され、利得を伴って前記フィルタリング後の選択された信号の増幅を行う低ノイズ増幅器と、
前記復調ミキサからの前記選択された信号をデジタル信号に変換するA/D変換ユニットと、
前記デジタル信号を受け取る離散時間処理ユニットと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の通信システム。 - RF信号の受信および送信を行うトランシーバと、
f0を搬送周波数とし、Nを正の整数とするとき、実質的に同一の周波数2×f0/Nを有する複数の2N相のクロック信号を生成するためのPLLと、
前記トランシーバからの前記RF信号と、前記PLLからの前記複数の2N相のクロック信号を混合し、前記搬送周波数f0に対して低減された周波数を有するRFを出力する復調ミキサであって、複数の2入力ミキサを包含する復調ミキサと、
前記復調ミキサに結合されるAGCループと、
前記AGCループに結合される利得マージ・フィルタと、
前記利得マージ・フィルタに結合され、前記復調ミキサからのRF信号をデジタル信号に変換するA/D変換ユニットと、
を備える単一チップRF通信システム。 - I搬送周波数信号およびQ搬送周波数信号のうちの少なくとも1つを復調するために、前記複数の2N相のクロック信号のいくつかが結合されることを特徴とする請求項5記載の通信システム。
- 搬送周波数を有する選択された信号を含む信号を受信するステップと、
2を超える数の多相クロック信号であって、前記搬送周波数と異なり、かつ互いに実質的に同一の周波数を有する多相クロック信号を生成するステップと、
前記受信した選択された信号と、前記2を超える数の多相クロック信号を混合して、前記搬送周波数から低減された周波数を有する復調後の選択された信号を出力するステップであって、第1の搬送周波数信号および第2の搬送周波数信号のうちの一方を復調するために、前記2を超える数の多相クロック信号のうちのいくつかが混合されるものとしたステップと、
前記復調後の選択された信号を、選択されたチャンネルおよび隣接チャンネルのうちの一方が線形限界に到達するまで増幅するステップと、
前記隣接チャンネルの増幅ならびにフィルタリングを行い、かつ前記選択されたチャンネルを所望のダイナミックレンジまで増幅するステップと、
を備えるRF通信システム動作方法。 - 前記隣接チャンネルが、前記復調後の選択された信号であって、前記選択されたチャンネルより大きな電力レベルを有することを特徴とする請求項7記載のRF通信システム動作方法。
- 前記RF通信システム動作方法がさらに、
前記受信した選択された信号のRFフィルタリングを行うステップと、
前記フィルタリング後の選択された信号を、利得を伴って増幅するステップと、
ベースバンドに対して前記低減された周波数を有する復調後の選択された信号のローパスフィルタリングを行うステップと、
前記ローパスフィルタリング後の低減された周波数の選択された信号をデジタル信号にA/D変換するステップと、
前記デジタル信号の離散時間信号処理を行うステップと、
を備えることを特徴とする請求項7記載のRF通信システム動作方法。 - 入力端子と出力端子の間に結合される複数の増幅段と、
前記複数の増幅段のそれぞれに結合される利得コントローラと、
を備えており、
スパイラル・インダクタを含まないCMOS低ノイズ増幅器(LNA)であって、
前記増幅段のそれぞれが、
第1および第2の対称回路と、
それぞれの前記増幅段の出力ノードと、前記第2の対称回路の間に結合されるフィードバック・ループと、
を備えることを特徴とするCMOS・LNA。 - 前記第1の回路が、
第1の所定電圧と、前記増幅段の対応する出力ノードの間に直列に結合される第1および第2のPMOSタイプのトランジスタと、
第2の所定の電圧と、前記第1および第2のPMOSタイプのトランジスタのジャンクションの間に結合される第1のキャパシタと、
を備えており、
前記第2の回路が、
前記増幅段の前記出力ノードと前記第2の所定電圧の間に直列に結合される第1および第2のNMOSタイプのトランジスタと、
前記第2の所定電圧と、前記第1および第2のNMOSタイプのトランジスタのジャンクションの間に結合される第2のキャパシタと、
を備えることを特徴とする請求項10記載のCMOS・LNA。 - 前記フィードバック・ループが、
前記第2のNMOSタイプのトランジスタのコントロール電極に結合される出力を有する第1の演算増幅器と、
前記増幅器段の前記出力ノードおよび前記第1の演算増幅器の第1の入力に結合される第1の抵抗と、
前記第2の所定電圧と前記演算増幅器の前記第1の入力の間に結合される第3のキャパシタと、
を備えており、
前記第1の演算増幅器の第2の入力が、第3の所定電圧に結合され、前記第3の所定電圧のレベルが、前記第1および第2の所定電圧の間のレベルであることを特徴とする請求項11記載のCMOS・LNA。 - 前記CMOS・LNAは、さらに
前記入力端子に結合される第2の抵抗と、
前記第2の抵抗と前記第2の所定電圧の間に直列に結合される第4のキャパシタと、
を備えており、前記第2の抵抗と前記第4のキャパシタを結合するジャンクションが、前記第3の所定電圧を提供することを特徴とする請求項12記載のCMOS・LNA。 - 前記利得コントローラが、
前記第1の所定電圧と前記第2の所定電圧の間に直列に結合される利得電流ソースおよび利得トランジスタと、
前記第2の所定電圧と前記利得トランジスタのコントロール電極の間に結合される利得キャパシタと、
を備えており、前記利得トランジスタのコントロール電極および第2の電極が互いに結合されることを特徴とする請求項13記載のCMOS・LNA。 - 前記利得コントローラおよび前記増幅段の第1のPMOSタイプのトランジスタが電流ミラーを構成しており、前記第3の所定電圧が前記第1の所定電圧の2分の1であることを特徴とする請求項14記載のCMOS・LNA。
- 異なる位相を有する複数の第1のクロック信号であり、それぞれが基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロック信号を受け取るミキサであって、前記複数の第1のクロック信号を混合して、より高い第2の周波数を有する複数の局部発振器信号を生成し、かつ前記複数の局部発振器信号と入力信号の乗算を行って出力端子に出力信号を提供するミキサを備える回路。
- 前記局部発振器信号の、第1の局部発振器信号および第2の局部発振器信号が、Iチャンネルの変換およびQチャンネルの変換にそれぞれ使用されることを特徴とする請求項16記載の回路。
- 前記回路はさらに、基準周波数を有する基準信号を受け取り、複数の第1のクロック信号を生成するクロック・ジェネレータを包含しており、前記クロック・ジェネレータは、異なる位相を有する複数の第1のクロック信号を提供する直列に結合された複数の遅延セルを含むことを特徴とする請求項16記載の回路。
- 異なる位相を有する複数の第1のクロックであって、それぞれが入力信号の基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロックを生成するステップと、
前記複数の第1のクロック信号を混合して、前記第1の周波数より高い第2の周波数を有する複数の局部発振器信号を生成するステップと、
前記複数の局部発振器信号と前記入力信号の乗算を行って出力端子に出力信号を提供するステップと、
を備える入力信号変調方法。 - 前記出力信号がベースバンドであることを特徴とする請求項19記載の回路。
- 電圧を有する信号を増幅するための直列に結合された、それぞれが前記信号の前記電圧を増加させる複数の利得段であって、かつそれぞれが前記信号を受け取るための入力ポートおよび結果として得られる増幅後の信号を送出するための出力ポートを含む複数の利得段と、
前記結果として得られる増幅後の信号の望ましくないオフセットをキャンセルする複数のフィードバック・ループであって、それぞれの利得段に、対応する利得段の望ましくないオフセットをキャンセルする対応のフィードバック・ループが結合されるように、それぞれが前記利得段の対応する1つの前記出力ポートおよび前記入力ポートに結合された複数のフィードバック・ループと、
を備えており、
前記望ましくないオフセットが直流オフセット電圧であり、各フィードバック・ループが、それに対応する利得段によって累算された前記直流オフセット電圧を除去するための直流オフセット・キャンセル・ユニットを含み、
各直流オフセット・キャンセル・ユニットが、前記直流オフセット電圧のフィルタリングを行うハイパスフィルタを含むことを特徴とするループ装置。 - 各利得段が、可変利得増幅器を含むことを特徴とする請求項21記載のループ装置。
- 前記複数の利得段およびフィードバック・ループが、1チップ上にマウントされており、各フィードバック・ループが前記チップ上にマウントされたキャパシタを含むことを特徴とする請求項21記載のループ装置。
- 異なる位相を有する複数の第1のクロックであって、それぞれが基準周波数より低い第1の周波数を有する複数の第1のクロックを生成するクロック・ジェネレータと、
前記クロック・ジェネレータに結合され、前記複数の第1のクロック信号を受け取り、前記第1の周波数より高い、前記基準周波数に基づいた第2のクロック信号を生成するプリスケーラと、
を備える回路。 - 前記クロック・ジェネレータが、異なる位相を有する前記複数の第1のクロックを提供するための、直列に結合された複数の遅延セルを含んでおり、前記複数の遅延セルの第1の遅延セルがその後に続く前記遅延セルの1つからフィードバック信号を受け取ることを特徴とする請求項24記載の回路。
- 前記遅延セルのそれぞれが、第1および第2の出力端子および第1から第4までの入力端子を含むことを特徴とする請求項25記載の回路。
- 前記遅延セルのそれぞれが、
第2の電極によって、第1のノードと第1の所定電圧の間に直列に結合される第1のペアのトランジスタであって、前記第1のペアのトランジスタのコントロール電極が、それぞれ第4および第3の出力端子に結合される第1のペアのトランジスタと、
第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結合される第2のペアのトランジスタであって、前記第2のペアのトランジスタのコントロール電極が、それぞれ第1および第2の入力端子に結合される第2のペアのトランジスタと、
第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結合される第3のペアのトランジスタであって、前記第3のペアのトランジスタのコントロール電極が、それぞれ第4および第3の入力端子に結合されており、共通結合された第2の電極が、前記第1の出力端子に結合される第3のペアのトランジスタと、
第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結合される第4のペアのトランジスタであって、前記第4のペアのトランジスタのコントロール電極が、それぞれ第1の入力端子および第2の入力端子に結合されており、前記第4のペアのトランジスタの前記第2の電極が、前記第2の出力端子に結合される第4のペアのトランジスタと、
第2のノードと第3のノードの間に結合されるフィードバック回路と、
第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結合される第5のペアのトランジスタであって、前記第5のペアのトランジスタの前記第2の電極が、前記第1の出力端子に結合されており、前記第5のペアのトランジスタのコントロール電極が、前記第3のノードに結合される第5のペアのトランジスタと、
第2の電極によって、前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に直列に結合される第6のペアのトランジスタであって、前記第6のペアのトランジスタの前記第2の電極が、前記第2の出力端子に結合されており、前記第6のペアのトランジスタのコントロール電極が、前記第2のノードに結合される第6のペアのトランジスタと、
第1のノードと第1の出力端子の間に結合され、コントロール電極が前記第2の出力端子に結合される第7のトランジスタと、
第1のノードと前記第2の出力端子の間に結合される第8のトランジスタであって、そのコントロール電極が前記第1の出力端子に結合される第8のトランジスタと、
第2の所定電圧と前記第1のノードの間に結合される第9のトランジスタと、
を備えることを特徴とする請求項26記載の回路。 - 前記フィードバック回路が、フィードバック・コントロール信号を受け取るべく結合されるフィードバック・トランジスタを含むことを特徴とする請求項27記載の回路。
- 前記プリスケーラが、
前記複数の第1のクロック信号の1つを受け取るべく結合される除算回路と、
直列に結合される複数のフリップフロップを含み、前記除算回路の出力信号を受け取るサンプラ回路であって、複数の第3のクロック信号を出力するサンプラ回路と、
前記第3の複数のクロック信号および選択信号を受け取るべく結合されるマルチプレクサであって、前記第2のクロック信号を出力するマルチプレクサと、
前記除算回路と前記マルチプレクサの間に結合されるカウンタ回路と、
を包含することを特徴とする請求項24記載の回路。 - 前記除算回路がパルス‐スワロー除算回路を備えており、
前記サンプラ回路は、直列に結合される複数のフリップフロップを備えており、
前記複数のフリップフロップのそれぞれが、前記第1の複数のクロック信号の対応する1つを受け取り、前記第3の複数のクロック信号の1つを出力し、
第1のフリップフロップが前記除算回路の出力信号を受け取ることを特徴とする請求項29記載の回路。 - 前記回路はさらに、
前記第2のクロック信号および基準クロック信号を受け取る位相検出器と、
前記位相検出器に結合されるチャージ・ポンプ回路と、
前記チャージ・ポンプに結合され、前記クロック・ジェネレータに向けて前記フィードバック・コントロール信号を出力するループ・フィルタと、
を包含することを特徴とする請求項29記載の回路。 - 前記クロック・ジェネレータが電圧コントロール・オシレータ(VCO)であって、前記第2のクロック信号が分周されたクロック信号であり、前記プリスケーラは前記VCOによって生成される位相ノイズ内の分数スパーを低減することを特徴とする請求項31記載の回路。
- 前記回路が、単一チップ上に構成されるCMOS回路であることを特徴とする請求項32記載の回路。
- スレーブ・フィルタ・ブロックと、
前記スレーブ・フィルタ・ブロックにコントロール信号を出力するマスタ・フィルタ・ブロックとを備えており、
前記マスタ・フィルタ・ブロックは、
ハイパスフィルタおよびローパスフィルタを含み、前記ハイパスフィルタおよびローパスフィルタのそれぞれが前記コントロール信号を受け取る第1のフィルタと、
前記ハイパスフィルタに結合される第1の整流器と、
前記ローパスフィルタに結合される第2の整流器と、
前記第1および第2の整流器に結合され、前記コントロール信号を出力するコンバータとを備えている
同調回路。 - 前記コントロール信号の値が増加すると、前記ハイパスフィルタの出力信号の第1の振幅が減少し、かつ前記ローパスフィルタの出力信号の第2の振幅が増加することを特徴とする請求項34記載の同調回路。
- 前記コントロール信号の値が、前記第1の振幅と前記第2の振幅が等しくなるまで調整されることを特徴とする請求項35記載の同調回路。
- 前記第1のフィルタが、
第1および第2の出力端子において、第1のペアの出力信号を出力するべく直列に結合された第1および第2のトランスコンダクタンス増幅器(TA)と、
第3および第4の出力端子において、第2のペアの出力信号を出力するべく直列に結合された第3および第4のトランスコンダクタンス増幅器(TA)と、
を包含することを特徴とする請求項34記載の同調回路。 - 前記第1のTAの第1および第2の入力が第1の所定基準信号を受け取り、前記第2のTAの第1の出力が、前記第2の出力端子、前記第1のTAの第2の出力、および前記第2のTAの第2の入力に結合されており、前記第2のTAの第2の出力が、第1の出力端子、前記第1のTAの第1の出力、および前記第2のTAの第1の入力に結合されていることを特徴とする請求項37記載の同調回路。
- 前記第3のTAの第1および第2の入力が第2の所定基準信号を受け取り、前記第4のTAの第1の出力が、前記第4の出力端子、前記第3のTAの第2の出力、および前記第4のTAの第2の入力に結合されており、前記第4のTAの第2の出力が、前記第3の出力端子、前記第3のTAの第1の出力、および前記第4のTAの第1の入力に結合されていることを特徴とする請求項38記載の同調回路。
- 前記第1から第4までのTAのコントロール端子が、前記コントロール信号を受け取ることを特徴とする請求項39記載の同調回路。
- 前記同調回路はさらに、
前記第1および第2の出力端子と前記第2の基準信号の間に結合される第1および第2のキャパシタと、
それぞれ前記第3および第4の出力端子と第1の所定基準電圧の間に結合される第3および第4のキャパシタと、
を包含することを特徴とする請求項40記載の同調回路。 - 前記第1の整流器が、
第1のノードと第1の所定電圧レベルの間に結合される第1および第2のトランジスタと、
第2の所定電圧レベルと前記第1のノードの間に結合される第3のトランジスタと、
前記第2の所定電圧レベルと前記第1の所定電圧レベルの間の、第2のノードにおいて直列に結合された第4および第5のトランジスタと、
それぞれ前記第1および第2のノードに結合された第1および第2の入力、および前記第5のトランジスタのコントロール電極に結合された出力を有する演算増幅器と、
を包含しており、前記第3および第4のトランジスタのコントロール電極が第3の所定電圧を受け取り、第1および第2のトランジスタのコントロール電極がそれぞれ第1および第2の入力信号を受け取ることを特徴とする請求項41記載の同調回路。 - 前記コンバータが電圧‐電流コンバータであって、前記電圧‐電流コンバータは、
第2の所定電圧と第1の所定電圧の間に直列に結合される第1および第2のトランジスタと、
前記第2の所定電圧と前記第1の所定電圧の間の、前記コンバータの出力端子において直列に結合される第3および第4のトランジスタと、
前記第2の所定電圧と第1のノードの間において直列に結合される第5および第6のトランジスタと、
前記第2の所定電圧と前記第1のノードの間において直列に結合される第7および第8のトランジスタと、
前記第1のノードと前記第1の所定電圧の間に結合される電流ソースと、
を包含することを特徴とする請求項41記載の同調回路。
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