JP2003532370A - 新規なTh2特異的分子およびその使用方法 - Google Patents

新規なTh2特異的分子およびその使用方法

Info

Publication number
JP2003532370A
JP2003532370A JP2000573349A JP2000573349A JP2003532370A JP 2003532370 A JP2003532370 A JP 2003532370A JP 2000573349 A JP2000573349 A JP 2000573349A JP 2000573349 A JP2000573349 A JP 2000573349A JP 2003532370 A JP2003532370 A JP 2003532370A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
polypeptide
specific
nucleic acid
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000573349A
Other languages
English (en)
Inventor
ソフィ レハール,
ステファン マニング,
アンソニー ジェイ. コイル,
ホセ−カルロス グティエルレツ−ラモス,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Millennium Pharmaceuticals Inc
Original Assignee
Millennium Pharmaceuticals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Millennium Pharmaceuticals Inc filed Critical Millennium Pharmaceuticals Inc
Publication of JP2003532370A publication Critical patent/JP2003532370A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/04Immunostimulants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/57Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the type of response, e.g. Th1, Th2
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 新規なTh特異的ポリペプチド、タンパク質核酸分子が開示される。単離された全長Th2特異的タンパク質に加えて、本発明はさらに、単離されたTh2特異的融合タンパク質、抗原性ペプチド、および抗Th2特異的抗体を提供する。本発明はまた、Th2特異的核酸分子、本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクター、発現ベクターが導入された宿主細胞、およびTh2特異的遺伝子が導入されるかまたは妨害された非ヒトトランスジェニック動物を提供する。本発明の組成物を利用する診断方法、スクリーニング方法、および治療方法もまた提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、新規なTh2特異的核酸配列およびタンパク質に関する。ベクター
、宿主細胞、およびこの新規な分子を作製およびこれを使用するための組換え方
法もまた提供される。
【0002】 (発明の背景) Tリンパ球の2つの異なる型が認識されている:CD8-細胞傷害性Tリンパ
球(CTL)およびCD4+ヘルパーTリンパ球(Th細胞)。CTLは、クラ
スI主要組織適合性複合体(MHC)分子とともに、外来抗原をそれらの細胞表
面に提示する細胞を認識し、そして殺傷する。この認識プロセスは、前駆体CT
Lの活性化、成熟、および増殖を誘発し、その結果、外来物質として認識された
細胞を破壊しうるCTLクローンを生じる。
【0003】 T細胞活性化は、2工程のプロセスを包含する。抗原特異的シグナルは、TC
R/CD3複合体(認識の特異性を規定する)、次いで、リンホカインの発現お
よび増殖を調節すると考えられるアクセサリ細胞により送達される第2のシグナ
ル(CD28)によって生成される(Meullerら(1989)Ann.R
ev.Immunol.7:445;Kohnoら(1990)Cell.Im
munol.131:1)。CD28は、CD4-胸腺細胞およびCD8+胸腺細
胞の表面(Martinら(1986)J.Immunol.136:3282
)ならびに大部分のT細胞(Haraら(1985)J.Exp.Med.16
1:1513)に発現される、44kDaのジスルフィド結合されたホモダイマ
ーである。構造的に、CD28は、単一の免疫グロブリン様ドメインおよび51
アミノ酸の細胞質テールから構成される(Aruffoら(1987)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 84:8573)。CD28シグナル
伝達は、最初に種々のリンホカインについてのmRNAを安定化し、次いで、転
写を増加させる(Lindstenら(1989)Science 244:3
39)。
【0004】 これらの細胞は、エフェクター免疫応答の体液性形態および細胞媒介性形態に
関与する。細胞媒介性、すなわち細胞性免疫応答は、細胞内位置に存在する微生
物を中和するように機能する。例えば、ウイルス抗原のような外来抗原は、感染
細胞内で合成され、そしてクラスIMHCと会合してこのような細胞の表面に提
示される。このことにより、CD8+クラスIMHC拘束CTLの刺激が導かれ
る。体液性、すなわち抗体免疫応答に関しては、抗体は、Th細胞との相互作用
を通じてBリンパ球により生成される。具体的には、細胞外抗原が、抗原提示細
胞(APC)によりエンドサイトーシスされ、プロセシングされ、そしてクラス
II MHC分子と優先的に会合して、CD4+ MHC拘束Th細胞に提示さ
れる。これらのTh細胞は、次いで、B細胞を活性化し、結果として抗体生成を
生じる。
【0005】 免疫応答の過程の間に、T細胞は、サイトカイン分泌および免疫調節特性のそ
れらのパターンによって規定されたTh表現型に分化する(Abbasら(19
96)Nature 383:787)。この細胞は、少なくとも2つの異なる
亜集団(Th1およびTh2細胞亜集団とよばれる)から構成される(Mosm
annら(1989)Ann.Rev.Immunol.7:145;Del
Preteら(1991).J.Clin.Invest.88:346;Wi
ernengaら(1990)J.Immunol.144:4651;Yam
amuraら(1991)Science 254:277,Robinson
ら(1993)J.Allergy Clin.Immunol.92:313
)。Th1およびTh2細胞は、免疫系の異なるエフェクター機能の一部として
機能するようである(Mosmannら(1989)Ann.Rev.Immu
nol.7:145)。具体的には、Th1細胞は、細胞媒介性免疫の発生を方
向付け、ファゴサイト媒介宿主防御を誘発し、そして遅延型過敏症と関連づけら
れる。従って、細胞内微生物の感染は、Th1型応答を誘導する傾向がある。T
h2細胞は、体液性免疫応答を駆動し、これは、例えば、特定の寄生性寄生生物
(helminthic parasite)に対する防御と関連づけられ、そ
して抗体およびアレルギー性応答に関与する。
【0006】 Th1細胞は、インターロイキン−2(IL−2)、インターフェロン−γ(
IFN−γ)、および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)を分泌する。これらのサ
イトカインは、炎症性の細胞媒介性応答を増強し、そして自己免疫疾患の発症に
病理的役割を有する。Th2細胞は、インターロイキン−4(IL−4)、イン
ターロイキン−5(IL−5)、インターロイキン−10(IL−10)、およ
びインターロイキン−13(IL−13)を分泌する。これらのサイトカインは
、炎症性応答を抑制する一方で、体液性免疫を増強し、そして疾患進行を制御お
よび逆転させる(Scottら(1994)Immunity 1:73;Sm
ithら(1998)J.Immunol.160:4841;Abbasら(
1996)Nature 383:787)。刺激の際のサイトカイン放出の異
なる型が、疾患進行の中心であることが実証された(ChuおよびLondei
(1996)J.Immunol.157:2685;Hsiehら(1993
)Science 260:547)。
【0007】 可溶性CD28アンタゴニストを用いた動物モデルでのインビボ処置は、移植
片拒絶および自己免疫を抑制しうる。この阻害性効果は、IL−2生成および炎
症性応答を生成するに必要なクローン性増殖の阻害の結果であることが最初に実
証された(Padridら(1998)Am.J.Respir.Cell.M
ol.Biol.18:453;およびLenschowら(1992)Sci
ence 257:789)。最近、CD28レセプターによる差次的シグナル
伝達がTh2サイトカイン(Il−4およびIL−5を含む)の生成に対して異
なる効果を有するという研究が記載された。一般に、CD28シグナル伝達は、
IL−4生成を調節することによりTh2細胞の発生を増強しうるが、Th1細
胞の発生には必須ではない(Reilifsonら(1997)J.Immun
ol.158:658)。
【0008】 一旦Th1およびTh2亜集団が増殖されると、この細胞型は、各々に対して
独特のサイトカインの作用を通じて互いを負に調節する傾向がある。例えば、T
h1が生成するIFN−γは、Th2細胞を負に調節するが、Th2が生成する
IL−10はTh1細胞を負に調節する。さらに、Th1およびTh2によって
生成されるサイトカインは、互いのエフェクター機能と拮抗する(Mosman
nら(1991)Immunol.Today 12:49)。さらに、移植片
および自己免疫疾患の両方における抵抗性の誘導および維持は、Th1細胞の損
失における増強したTh2活性の直接的な結果である(Stromら(1996
)Curr.Opin.Immunol.8:688)。
【0009】 感染プロセスを制御または解決できないことは、しばしば、不十分な免疫応答
よりむしろ、不適切な免疫応答から生じ、そして種々の明らかな免疫学的障害が
根底にあり得る。このような障害としては、例えば、喘息のようなアトピー状態
(すなわち、IgE媒介性アレルギー状態)、アレルギー性鼻炎を含むアレルギ
ー、乾癬を含む皮膚炎、病原体感受性、慢性炎症疾患、器官特異的自己免疫、移
植片拒絶および対宿主性移植片病が挙げられる。例えば、非治癒性形態のヒトお
よびマウスのリーシュマニア症は、強力であるが、意図とは逆の結果を招くTh
2様支配性(Th2−like−dominated)免疫応答から生じる。ラ
イ腫ライはまた、優性であるが不適切なTh2様応答を特徴とするようである。
Th−1様細胞 対 他のTh細胞亜集団の比の低下は、HIV感染における疾
患症状に向かって進行することに重要な役割を果たしうる。
【0010】 さらに、多くの病原微生物に対するTh1媒介性炎症応答は有益である一方、
自己抗原に対するこのような応答は、通常有害である。Th1様応答の優先的な
活性は、多発性硬化症およびインスリン依存性糖尿病のようなヒト炎症性自己免
疫疾患の病理の中心であることが示唆された。例えば、Th1型サイトカインは
、多発性硬化症を有する患者の脳脊髄液、インスリン依存性糖尿病患者の膵臓、
橋本甲状腺炎の甲状腺、およびクローン病患者の腸において優勢であり、このこ
とは、このような患者が、このような障害の原因病理に関与する抗原に対して、
Th2様ではなくTh1様の応答を増大させることが示唆される。
【0011】 天然の免疫応答のプロファイル(具体的には、ナチュラルキラー細胞または好
塩基系列の細胞によりサイトカイン生成)は、その後の免疫応答の表現型を決定
する。従って、免疫応答を調節する、特にTh1またはTh2応答を調節するた
めの方法が必要である。T細胞の2つのサブセットの間で差次的に発現された遺
伝子およびタンパク質は、その後の免疫応答の表現型を決定する際に役割を果た
しうる。
【0012】 (発明の要旨) Th2特異的核酸配列に対応する単離された核酸分子が提供される。さらに、
ポリヌクレオチドに対応するアミノ酸が包含される。特に、本発明は、配列番号
2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列
番号14、および配列番号16に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチ
ド配列、またはATCC受託番号203302、ATCC受託番号203569
、ATCC受託番号203797として細菌宿主において寄託されるDNA配列
をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。さらに、
本明細書中に記載される核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有するTh
2特異的ポリペプチドが提供される。
【0013】 本発明はまた、ベクターおよび本明細書中に記載される核酸分子の組換え発現
のための宿主細胞、ならびにこのようなベクターおよび宿主細胞を作製する方法
ならびに組換え技術により本発明のポリペプチドまたはペプチドの生成のために
それらを用いるための方法を提供する。
【0014】 本発明のTh2特異的分子は、免疫および呼吸器応答の表現型を調節するため
に、特に、Th1またはTh2応答を調節するために有用である。この分子は、
炎症性障害および呼吸器障害の診断および処置のために、特に、Tリンパ球関連
障害の処置および診断のために有用である。これらの障害としては、喘息および
アレルギーのようなアトピー状態(アレルギー性鼻炎を含む)、乾癬、病原体感
染の効果、慢性炎症疾患、器官特異的自己免疫、移植片拒絶および対宿主性移植
片病が挙げられるが、これらに限定されない。従って、1つの局面において、本
発明は、Th2特異的タンパク質または生物学的に活性なその部分をコードする
単離された核酸分子、ならびにTh2特異的コード核酸の検出のためのプライマ
ーおよびハイブリダイゼーションプローブとして適切な核酸フラグメントを提供
する。
【0015】 本発明の別の局面は、単離されたか、または組換えのTh2特異的タンパク質
およびポリペプチドを特徴とする。好ましいTh2特異的タンパク質およびポリ
ペプチドは、天然に存在するTh2特異的タンパク質により保有される、少なく
とも1つの生物学的活性を有する。
【0016】 配列表に示されるヌクレオチド配列およびアミノ酸配列に対して実質的に相同
な改変核酸分子およびポリペプチドは、本発明に包含される。さらに、このヌク
レオチド配列およびアミノ酸配列のフラグメントおよび実質的に相同なフラグメ
ントが提供される。
【0017】 Th2特異的ポリペプチドおよびフラグメントを選択的に結合する抗体および
抗体フラグメントが提供される。このような抗体は、Th2特異的ポリペプチド
を検出する際に、およびT細胞免疫応答を調節する際に有用である。
【0018】 別の局面において、本発明は、生物学的サンプルと、Th2特異的活性の指標
を検出し得る薬剤とを接触させることにより、この生物学的サンプル中のTh2
特異的活性または発現の存在を検出するための方法を提供する。この結果、Th
2特異的活性の存在が、生物学的サンプル中で検出される。
【0019】 なお別の局面において、本発明は、Th2特異的活性を調節する方法を提供し
、この方法は、細胞と、Th2特異的活性または発現を調節する(阻害するか、
または刺激する)薬剤とを接触させ、その結果、この細胞中のTh2特異的活性
または発現が調節される工程を包含する。1つの実施態様において、この薬剤は
、Th2特異的タンパク質に特異的に結合する抗体である。別の実施態様におい
て、この薬剤は、Th2特異的遺伝子の転写、Th2特異的mRNAのスプライ
シング、またはTh2特異的mRNAの翻訳を調節することにより、Th2特異
的タンパク質の発現を調節する。なお別の実施態様において、この薬剤は、Th
2特異的mRNAまたはTh2特異的遺伝子のコード鎖に対してアンチセンスで
あるヌクレオチド配列を有する核酸分子である。
【0020】 1つの実施態様において、本発明の方法は、異常なTh2特異的タンパク質活
性または核酸発現により特徴付けられる障害を有する被験体にTh2特異的モジ
ュレーターである薬剤を投与することにより、この被験体を処置するために使用
される。1つの実施態様において、このTh2特異的モジュレーターは、Th2
特異的タンパク質である。別の実施態様において、このTh2特異的モジュレー
ターは、Th2特異的核酸分子である。他の実施態様において、このTh2特異
的モジュレーターは、ペプチド、ペプチド模倣物、または他の低分子である。
【0021】 本発明はまた、以下のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる遺伝的病変
または変異の存在または非存在を同定するための診断アッセイを提供する:(1
)Th2特異的タンパク質をコードする遺伝子の異常な改変または変異;(2)
Th2特異的タンパク質をコードする遺伝子の誤調節;および(3)Th2特異
的タンパク質の異常な翻訳後修飾。ここで、野生型形態の遺伝子は、Th2特異
的活性を有するタンパク質をコードする。
【0022】 別の局面において、本発明は、Th2特異的タンパク質に結合するか、または
その活性を調節する化合物を同定する方法を提供する。一般に、このような方法
は、試験化合物の存在下または非存在下でTh2特異的タンパク質の生物学的活
性を測定する工程、およびTh2特異的タンパク質の活性を改変するそれらの化
合物を同定する工程を包含する、 本発明はまた、化合物の存在下または非存在下でTh2特異的配列の発現を測
定することにより、Th2特異的遺伝子の発現を調節する化合物を同定するため
の方法を提供する。
【0023】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から
明らかである。
【0024】 (発明の詳細な説明) 本発明は、アミノ酸配列が、それぞれ、配列番号2、4、6、8、10、12
、14、および16において与えられるTh2特異的ポリペプチド、あるいはこ
のポリペプチドの改変体またはフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含
む、単離された核酸分子を提供する。本発明のTh2特異的タンパク質をコード
するヌクレオチド配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、および1
5に示される。
【0025】 本発明は、免疫障害および呼吸障害、特にTヘルパー(Th)細胞障害および
Th細胞様関連障害の調節、診断、および処置のための方法および組成物に関す
る。このような免疫障害としては、慢性炎症性疾患および障害(例えば、クロー
ン病、反応性関節炎(ライム病を含む)、インスリン依存性糖尿病、器官特異的
自己免疫(多発性硬化症を含む、橋本甲状腺炎およびグレーヴズ病を含む)、接
触皮膚炎、乾癬、移植片拒絶、対宿主性移植片病、サルコイドーシス、アトピー
状態(例えば、喘息およびアレルギー(アレルギー性鼻炎、胃腸アレルギー(食
物アレルギーを含む))、好酸球増加症、アレルゲン誘発(allergen−
provoked)気道炎症、および結膜炎)、糸球体腎炎、特定の病原体感受
性(例えば、蠕虫(例えば、リーシュマニア症)、特定のウイルス感染(HIV
を含む)、ならびに細菌感染(結核およびらい腫らいを含む)が挙げられるがこ
れらに限定されない。
【0026】 呼吸障害としては、無呼吸、喘息、特定の気管支喘息、および関連した気道応
答性亢進、レベリリウム(reberillim)病、気管支拡張症、気管支炎
、気管支肺炎、嚢胞性線維症、ジフテリア、呼吸困難、気腫、慢性閉塞性肺疾患
、アレルギー性肺アスペルギルス症、肺炎、急性肺水腫、百日咳、咽頭炎、無気
肺、ヴェーゲナー肉芽腫症、レジオネラ症、胸膜炎、リウマチ熱、および静脈洞
炎が挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】 3つの新規なヒト遺伝子(h1419、h1022、およびh1228)、な
らびにそれらのマウスオルソログ(orthologue)(m1419、m1
022、およびm1228)が、提供される。この遺伝子は、Tヘルパー細胞の
Th2サブセットにおいて差示的に発現される。このような配列は、「Th2特
異的」といわれ、これは、遺伝子がTヘルパー細胞のTh2サブセットにおいて
発現されるが、Th1サブセットにおいて発現されないか、または非常に低レベ
ルで発現されるのみであることを示す。これらの遺伝子は、CD3/TCR活性
化Th2細胞において過剰発現される。
【0028】 本発明の分子(例えば、核酸分子、ポリペプチド、アンチセンス分子、抗体)
は、免疫応答を調節するために使用され得る。「調節する」により、免疫応答の
アップレギュレーションおよびダウンレギュレーションが意図される。1つの実
施態様において、免疫応答は、T細胞(例えば、Tヘルパー細胞(例えば、Th
1および/またはTh2細胞))応答である。T細胞(例えば、Tヘルパー細胞
)応答は、例えば、リンホカイン産生、細胞増殖、シグナル伝達事象、および他
のエフェクター機能によって顕示され得る。例えば、Th1細胞応答は、IL−
2、腫瘍壊死因子β、およびインターフェロンγの産生を含み得る。一般に、T
h1細胞は、自己免疫疾患の発症における病因的役割を有する。別の実施態様に
おいて、Th2細胞応答は、IL−3、GM−CSF、IL−4、IL−5、I
L−10、および/またはIL−13の生成、ならびに/あるいは抗体(例えば
、IgE抗体)の産生(例えば、B細胞の発生および/または機能を調節するこ
とによって)、ならびに/あるいは好酸球の産生、移動、機能および/または分
化(例えば、最終分化)を含み得る。さらなるTh1細胞応答およびTh2細胞
応答は、AndersonおよびCoyle(1994)Trends in
Pharmacological Sciences 15:324〜332(
この内容は、本明細書によって参考として援用される)に見出され得る。代表的
には、Th2細胞は、疾患の進化を制御し、そして逆転にする。従って、免疫応
答の調節は、本明細書中に記載される1以上のTh1細胞応答および/またはT
h2細胞応答の調節に関与し得る。
【0029】 これらのTh2特異的遺伝子のうちの第1であるh1419は、384アミノ
酸のタンパク質(配列番号16)をコードする。h1419に対するヌクレオチ
ド配列は、配列番号15に提供される。Prositeプログラム分析は、h1
419タンパク質内の種々の部位を推定するために使用された。Nグリコシル化
部位は、アミノ酸(aa)214〜217、229〜232、およびaa260
〜263と推定された。cAMP依存性プロテインキナーゼおよびcGMP依存
性プロテインキナーゼのリン酸化部位は、aa61〜64、258〜261、お
よび308〜311と推定された。プロテインキナーゼCリン酸化部位は、47
〜49、86〜88、116〜118、158〜160、174〜176、25
6〜258、281〜283、301〜303、および304〜306と推定さ
れた。カゼインキナーゼIIリン酸化部位は、aa17〜20、47〜50、1
30〜133、216〜219、251〜254、281〜284、317〜3
20、322〜325、および343〜346と推定された。N−ミリストイル
化(N−myristoylation)部位は、aa29〜34、112〜1
17、166〜171、177〜182、183〜188、270〜275、お
よび364〜369と推定された。
【0030】 マウスオルソログm1419は、配列番号1に示される対応するcDNAを有
する、3.6Kbの転写物をコードする。この転写物は、およそ42.8kDa
(翻訳後修飾を除く)の分子量を有する392アミノ酸のタンパク質(配列番号
2)をコードする。Nグリコシル化部位は、アミノ酸(aa)230〜233お
よびaa261〜264と推定された。cAMP依存性プロテインキナーゼおよ
びcGMP依存性プロテインキナーゼのリン酸化部位は、aa61〜64、25
9〜262、および316〜319と推定された。プロテインキナーゼCのリン
酸化部位は、aa47〜49、86〜88、116〜118、158〜160、
174〜176、257〜259、289〜291、309〜311、および3
12〜314と推定された。カゼインキナーゼIIリン酸化部位は、aa17〜
20、47〜50、130〜133、217〜220、252〜255、325
〜328、330〜333、および351〜354と推定された。N−ミリスト
イル化部位は、aa29〜34、112〜117、166〜171、177〜1
82、183〜188、271〜276、および372〜377と推定された。
このタンパク質は、機能が未知である推定Caenorhabditis el
egans遺伝子(GenBank登録番号AAB00590)によってコード
される推定タンパク質配列に対して、相同性(140アミノ酸の重複にわたって
、少なくとも40%〜約44%の同一性)を示す。
【0031】 h1419cDNAインサートを含むプラスミド(P1419と命名された)
は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、10801 Un
iversity Blvd.Manassas、Virginiaに1999
年2月25日に寄託され、そして受託番号203797を割り当てられた。この
寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の規
約の下に維持される。この寄託は、単に、当業者に対する便宜として行われた。
そしてこれは、寄託物が米国特許法第112条の下で要求されるということの承
認ではない。
【0032】 これらのTh2特異的遺伝子の第2であるh1022は、481アミノ酸のタ
ンパク質(配列番号14)をコードする。h1022についてのヌクレオチド配
列は、配列番号13に示される。h1022の分析は、N末端の70アミノ酸が
シグナルペプチドを示すことを推定した。アミノ酸(aa)7〜23の膜貫通セ
グメントは、MEMSATによって推定された。Prositeプログラム分析
は、このh1022タンパク質内の種々の部位を推定するために使用された。N
グリコシル化部位は、aa293〜296およびaa397〜400と推定され
た。Nグリコシル化された部位は、aa293〜296、および397〜400
と推定された。グリコサミノグリカン結合部位は、aa20〜23および236
〜239と推定された。プロテインキナーゼCリン酸化部位は、aa117〜1
19、148〜150、176〜178、226〜228、276〜278、4
30〜432、および466〜469に推定された。カゼインキナーゼIIリン
酸化部位は、aa143〜146、156〜159、240〜243、248〜
251、284〜287、306〜309、449〜452、および466〜4
68に推定された。チロシンキナーゼリン酸化部位は、aa67〜73に推定さ
れた。N−ミリストイル化部位は、aa10〜15、112〜117、237〜
242、266〜271、406〜411、および420〜425に推定された
。アミド化部位は、aa94〜97に推定された。EFハンドカルシウム結合ド
メインは、aa158〜171に推定された。
【0033】 マウスオルソログm1022は、2つの転写物(配列番号3に示される対応す
るマウスcDNA有する、より短い1.6Kbの形態、および配列番号5に示さ
れる対応するマウスcDNAを有する、より長い4.4Kbの形態)をコードす
る。両方の転写物は、およそ54.2kDaの分子量(翻訳後修飾を除く)を有
する、464アミノ酸のタンパク質(配列番号4および6)をコードする。この
m1022タンパク質は、Trypanosoma brucei(GenBa
nk登録番号CAA43286)由来のDNAポリメラーゼのαコアサブユニッ
トに相同(全体で、約20〜25%の同一性)である。m1022の分析により
、N末端の70アミノ酸(aa)がシグナルペプチドを示すことが推定された。
aa7〜23の膜貫通セグメントは、MEMSATにより推定された。Pros
iteプログラム分析は、このm1022タンパク質内の種々の部位を推定する
ために使用された。Nグリコシル化部位は、aa276〜279およびaa38
0〜383に推定された。グリコサミノグリカン結合部位は、aa219〜22
2に推定された。プロテインキナーゼCリン酸化部位は、aa117〜119、
147〜149、219〜221、259〜261、413〜415、および4
49〜451に推定された。カゼインキナーゼIIリン酸化部位は、aa142
〜145、155〜158、163〜166、267〜270、289〜292
、432〜435、および449〜452に推定された。チロシンキナーゼリン
酸化部位は、aa67〜73および223〜230に推定された。N−ミリスト
イル化部位は、aa6〜11、112〜117、249〜254、389〜39
4、および403〜408に推定された。アミド化部位は、aa94〜97に推
定された。
【0034】 P1022と命名された、h1022 cDNAインサートを含むプラスミド
を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、10801 Un
iversity Blvd.,Manassas,Virginiaに199
9年1月8日に寄託した。これは、受託番号第203569号を割り当てられた
。この寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条
約の規約の下で維持される。この寄託は、単に、当業者に対する便宜として行わ
れた。そしてこれは、寄託物が米国特許法第112条の下で要求されるというこ
との承認ではない。
【0035】 第3のこれらのTh2特異的遺伝子であるh1228は、198アミノ酸のタ
ンパク質(配列番号12)をコードする。h1228のヌクレオチド配列は、配
列番号11に示される。このタンパク質は、hCD28に対して33%の相同性
およびhCLTA−4に対して26%の相同性を有する、Igスーパーファミリ
ーのメンバーである。このアミノ酸配列の試験は、細胞外ドメインにおける4つ
の保存されたシステイン残基(配列番号12のアミノ酸41、62、82、およ
び135)ならびに保存されたPPPモチーフ(FDPPPFとして表される(
配列番号12のアミノ酸113〜118))(これは、CD28およびその関連
のホモログであるCTLA−4に共通である)を明らかにした。h1228配列
はさらに、CD28およびCTLA−4において共通なホスホチロシンに基づく
モチーフpYMNM(これはCD28媒介性PI−3K活性に必要とされるよう
である)と類似したYMFMモチーフ(配列番号12のアミノ酸残基178〜1
81)を含む。1228を介したシグナル伝達は、Th2サイトカイン産生に必
要とされる。さらに、喘息のマウスモデルにおける1228の阻害は、Th2粘
膜炎症および気道応答性亢進(hyperresponsiveness)を減
衰させる。1228は、効率的にCD28シグナルを置換し、そしてTh2効果
細胞からのサイトカイン産生に特異的な共刺激性シグナルを提供し得る。
【0036】 マウスのオルソログm1228は、より短い2.1Kb形態(配列番号7に示
される対応cDNA配列を有する)、およびより長い3.3Kb形態(配列番号
9に示される対応cDNA配列を有する)の2つの転写物をコードする。両方の
転写物は、約22.7kDaの分子量(翻訳後修飾を除いて)を有する200ア
ミノ酸のタンパク質(配列番号8および10)をコードする。このタンパク質は
、h1228と69%の同一性、mCD28と36.5%の同一性、およびmC
TLA−4と38.5%の同一性を共有する。
【0037】 P1228と命名された、h1228 cDNAインサートを含むプラスミド
を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、10801 Un
iversity Blvd.,Manassas,Virginiaに199
8年10月2日に寄託した。これは、受託番号第203302号を割り当てられ
た。この寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト
条約の規約の下で維持される。この寄託は、単に、当業者に対する便宜として行
われた。そしてこれは、寄託物が米国特許法第112条の下で要求されるという
ことの承認ではない。
【0038】 本発明のTh2特異的配列は、保存された機能的特徴を有する分子のファミリ
ー(「Th2特異的ファミリー」)のメンバーである。用語「ファミリー」は、
本発明のタンパク質および核酸分子をいう場合、本明細書中で規定されるような
十分なアミノ酸配列同一性またはヌクレオチド配列同一性を有する、2つ以上の
タンパク質または核酸分子を意味することが意図される。このようなファミリー
のメンバーは天然に存在し得、そして同一種または異なる種のいずれかに由来し
得る。例えば、1つのファミリーが、マウス起源の第1タンパク質およびそのタ
ンパク質のヒト起源のホモログ、ならびにヒト起源の第2の異なるタンパク質お
よびそのタンパク質のマウスホモログを含み得る。1つのファミリーのメンバー
はまた、共通の機能的特徴を有し得る。
【0039】 本発明の好ましいTh2特異的ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、1
0、12、14、または16のアミノ酸配列に対して十分に同一なアミノ酸配列
を有する。用語「十分に同一な」は、本明細書中で、第2のアミノ酸配列または
ヌクレオチド配列に対して十分または最少の数の同一または等価な(例えば、類
似の側鎖を有する)アミノ酸残基またはヌクレオチドを含む第1のアミノ酸配列
またはヌクレオチド配列であって、その結果、この第1および第2のアミノ酸配
列またはヌクレオチド配列が共通の機能的ドメインおよび/または共通の機能的
活性を有する、第1のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列をいうために使用さ
れる。例えば、少なくとも約45%、55%、または65%の同一性、好ましく
は75%の同一性、より好ましくは85%、95%、または98%の同一性を有
する共通の機能的ドメインを含むアミノ酸配列またはヌクレオチド配列は、十分
に同一であるとして本明細書中で規定される。
【0040】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸のパーセント同一性を決定するため、配
列を、最適比較の目的のために整列させる。2つの配列間のパーセント同一性は
、この配列によって共有される同一な位置の数の関数である(すなわち、パーセ
ント同一性=同一な位置の数/位置の総数(例えば、重複している位置)×10
0)。1つの実施態様では、2つの配列は同一の長さである。2つの配列間のパ
ーセント同一性は、ギャップを許容することを伴ってかまたは伴わずに、以下に
記載の技術と類似の技術を使用して決定され得る。パーセント同一性を算出する
際には、正確な一致のみを計数する。
【0041】 2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達
成され得る。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好まし
い非制限的な例は、KarlinおよびAltschul(1990)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264のアルゴリズムであり
、これは、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 90:5873−5877においてのように改
変される。このようなアルゴリズムを、Altschulら(1990)J.M
ol.Biol.215:403のNBLASTおよびXBLASTプログラム
に組み込み得る。BLASTヌクレオチド検索は、本発明のTh2特異的核酸分
子に対して相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム(ス
コア=100、ワード長(wordlength)=12)で実施され得る。B
LASTタンパク質検索は、本発明のTh2特異的タンパク質分子に対して相同
なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム(スコア=50、ワード
長=3)で実施され得る。比較目的のためにギャップのある整列を得るためには
、Gapped BLASTを、Altschulら(1997)Nuclei
c Acids Res.25:3389に記載のように利用し得る。あるいは
、PSI−Blastを使用して、分子間の遠縁関係を検出する累積(iter
ate)検索を実施し得る。Altschulら(1997)前出、を参照のこ
と。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI−Blastプログ
ラムを利用する場合、個々のプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLA
ST)のデフォルトパラメーターを使用し得る。http://www.ncb
i.nlm.nih.gov.を参照のこと。配列の比較のために利用される数
学的アルゴリズムの別の好ましい非制限的な例は、MyersおよびMille
r(1988)CABIOS 4:11−17のアルゴリズムである。このよう
なアルゴリズムを、ALIGNプログラム(バージョン2.0)(これは、GC
G配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部である)に組込む。アミノ
酸配列の比較のためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重の
残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナ
ルティー(gap length penalty)、および4のギャップペナ
ルティーが使用され得る。
【0042】 従って、本発明の別の実施態様は、Th2特異的タンパク質活性を有する、単
離されたTh2特異的タンパク質およびポリペプチドを特徴付ける。本明細書中
で交換可能に使用される場合、「Th2特異的タンパク質活性」「Th2特異的
タンパク質の生物学的活性」または「Th2特異的タンパク質の機能的活性」は
、標準的アッセイ技術に従ってインビボまたはインビトロで決定されるような、
Th2特異的応答細胞に対してTh2特異的タンパク質、ポリペプチド、または
核酸分子により及ぼされる活性をいう。Th2特異的活性は、直接的な活性(例
えば、第2のタンパク質との会合または第2のタンパク質に対する酵素的活性)
、または間接的な活性(例えば、Th2特異的タンパク質の第2のタンパク質と
の相互作用により媒介される細胞シグナル伝達活性)であり得る。好ましい実施
態様では、Th2特異的活性は、少なくとも1つ以上の以下の活性を含む:(1
)細胞の増殖、分化、および/または機能を調節すること(刺激すること、およ
び/または増強すること、もしくは阻害すること)(特に、免疫細胞(例えば、
白血球));(2)Th2特異的免疫応答を調節すること;(3)Th1免疫応
答を阻害すること;(4)移植および自己免疫疾患の両方において、寛容を誘導
することおよび/または維持すること;(5)Th2特異的リガンドを結合する
こと;あるいは(6)Th2特異的特異的サイトカイン(例えば、IL−4、I
ll−5、IL−10、およびIL−13)を調節すること。
【0043】 「単離された」または「精製された」Th2特異的核酸分子もしくはタンパク
質、またはその生物学的に活性な部分は、組換え技術により生成される場合に、
他の細胞性物質または培養培地を実質的に含まないか、あるいは化学的に合成さ
れる場合に、化学的前駆物質または他の化学薬品を実質的に含まない。好ましく
は、「単離された」核酸は、この核酸が由来する生物体のゲノムDNAにおいて
、この核酸に天然で隣接する配列(すなわち、この核酸の5’末端および3’末
端に位置付けられる配列)(好ましくは、タンパク質コード配列)を含まない。
本発明の目的のために、「単離された」は、核酸分子をいうために使用される場
合には、単離された染色体を除外する。例えば、種々の実施態様では、単離され
たTh2特異的核酸分子は、この核酸が由来する細胞のゲノムDNAにおいて、
この核酸分子に天然で隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0
.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。細胞性物質を
実質的に含まないTh2特異的タンパク質は、約30%、20%、10%、また
は5%(乾燥重量による)未満の非Th2特異的タンパク質(本明細書中で、「
夾雑タンパク質」としても言及される)を有する、Th2特異的タンパク質の調
製物を含む。Th2特異的タンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換え
的に生成される場合、好ましくは、培養培地が、タンパク質調製物の容量の約3
0%、20%、10%、または5%未満を表す。Th2特異的タンパク質が化学
的合成により生成される場合、好ましくは、タンパク質調製物は、約30%、2
0%、10%、または5%(乾燥重量による)未満の化学的前駆体または非Th
2特異的化学薬品を有する。
【0044】 本発明の種々の局面を、以下の小節において、さらに詳細に説明する。
【0045】 (I.単離された核酸分子) 本発明の1つの局面は、Th2特異的タンパク質をコードするヌクレオチド配
列を含む単離された核酸分子、またはその生物学的に活性な部分、ならびにTh
2特異的コード核酸(例えば、Th2特異的mRNA)を同定するためのハイブ
リダイゼーションプローブとしての使用のために十分な核酸分子、およびTh2
特異的核酸分子の増幅または変異のためのPCRプライマーとしての使用のため
のフラグメントに関する。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、
DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば
、mRNA)、ならびにヌクレオチドアナログを使用して作製されるDNAまた
はRNAのアナログを含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖
であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0046】 本発明のTh2特異的タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号
1、3、5、7、9、11、13、および15に示される配列、受託番号203
302、203569、および203797としてATCCに寄託されたプラス
ミドのcDNAインサート(「ATCC 203302のcDNA」、「ATC
C 203569のcDNA」、または「ATCC 203797のcDNA」
として言及される)のヌクレオチド配列、およびそれらの相補体を含む。「相補
体」とは、所定のヌクレオチド配列に対して十分に相補的であり、その結果、所
定のヌクレオチド配列にハイブリダイズし得、それにより安定な二重鎖を形成し
得る、ヌクレオチド配列を意図する。これらのヌクレオチド配列によりコードさ
れるTh2特異的タンパク質について対応するアミノ酸配列を、それぞれ、配列
番号2、4、6、8、10、12、14、および16に示す。
【0047】 これらのTh2特異的ヌクレオチド配列のフラグメントである核酸分子もまた
、本発明により包含される。「フラグメント」とは、本発明のTh2特異的タン
パク質をコードするヌクレオチド配列の一部分を意図する。Th2特異的ヌクレ
オチド配列のフラグメントは、Th2特異的タンパク質の生物学的に活性な部分
をコードし得るか、またはこれは、以下に開示される方法を使用する、ハイブリ
ダイゼーションプローブまたはPCRプライマーとして使用され得るフラグメン
トであり得る。Th2特異的タンパク質の生物学的に活性な部分は、本発明のT
h2特異的ヌクレオチド配列のうちの1つの一部分を単離すること、Th2特異
的タンパク質のコード部分を発現させること(例えば、インビトロでの組換え発
現により)、およびTh2特異的タンパク質のコード部分の活性を評価すること
により、調製され得る。一般的に、Th2特異的ヌクレオチド配列のフラグメン
トである核酸分子は、意図される用途に依存して、少なくとも15、20、50
、75、100、325、350、375、400、425、450、500、
550、600、650、700、800、900、1,000、1,100、
1,200、1,300、1350、1400、1450、1500、もしくは
1550ヌクレオチド、または本明細書中に開示される全長Th2特異的ヌクレ
オチド配列に存在するヌクレオチドの数(例えば、配列番号1、3、5、7、9
、11、13、または15について、それぞれ、3631、1587、4382
、2080、3266、2703、1795、または3868ヌクレオチド)ま
でを含む。
【0048】 単離されたフラグメントは、本発明より以前には開示されていない任意の連続
配列、ならびに実質的に同一であるが開示されていない配列を含むことが理解さ
れる。従って、フラグメントが本発明より前に開示されている場合、このフラグ
メントは、本発明により包含することを意図しない。配列が本発明より以前には
開示されていない場合、単離された核酸フラグメントは、少なくとも約12、1
5、20、25、または30の連続ヌクレオチドである。ヌクレオチド配列の他
の領域は、以前に開示された配列との潜在的な相同性に基づいて、種々のサイズ
のフラグメントを含み得る。
【0049】 h1022について、例えば、ヌクレオチド配列1〜約210および約565
〜約602は、本発明より以前には開示されていない。ヌクレオチド配列の約1
〜約325は、20、21、または25ヌクレオチドより長いフラグメントを含
み;ヌクレオチド配列の約306〜約602は、約148、150、または16
0ヌクレオチドより長いフラグメントを含み;ヌクレオチド配列の約600〜約
850は、約212、215、または220ヌクレオチドより長いフラグメント
を含み;ヌクレオチド配列の約815〜約1006は、約54、58、60、ま
たは70ヌクレオチドより長いフラグメントを含み;ヌクレオチド配列の約10
06〜約1281は、約32、35、または40ヌクレオチドより長いフラグメ
ントを含み;そして、ヌクレオチド配列の約1200〜約1795は、約490
または500ヌクレオチドより長いフラグメントを含む。
【0050】 h1419について、例えば、ヌクレオチド配列1〜約1274、約1385
〜約2146、約2190〜約2202、約2404〜約2434、約2563
〜約2678、および約3425〜約3790は、本発明より以前には開示され
ていない。ヌクレオチド配列の約1〜約2146は、約17、20、25ヌクレ
オチドより長いフラグメントを含み;ヌクレオチド配列の約2140〜約280
6は、約21、23、または25ヌクレオチドより長いフラグメントを含み;ヌ
クレオチド配列の約2806〜約3406は、約263、265、または275
ヌクレオチドより長いフラグメントを含み;そして、ヌクレオチド配列の約34
06〜約3868は、約37、38、40、または45ヌクレオチドより長いフ
ラグメントを含む。
【0051】 本発明のTh2特異的タンパク質の生物学的に活性な部分をコードする、Th
2特異的ヌクレオチド配列のフラグメントは、少なくとも15、25、30、5
0、100、150、200、250、300、350、400、または450
の連続したアミノ酸、または本発明の全長Th2特異的タンパク質に存在するア
ミノ酸の総数まで(例えば、配列番号2、4、および6、8、ならびに10、1
2、14、または16について、それぞれ、392、464、200、198、
481、または384アミノ酸)をコードする。PCRプライマーのためのハイ
ブリダイゼーションプローブとして有用なTh2特異的ヌクレオチド配列のフラ
グメントは、一般に、Th2特異的タンパク質の生物学的に活性な部分をコード
する必要はない。
【0052】 本明細書中に開示されるTh2特異的ヌクレオチド配列の改変体である核酸分
子もまた、本発明によって包含される。Th2特異的ヌクレオチド配列の「改変
体」は、本明細書中に開示されるTh2特異的タンパク質をコードするが、遺伝
暗号の縮重が理由で保存的に異なるそれらの配列を含む。これらの天然に存在す
る対立遺伝子改変体を、周知の分子生物学的技術(例えば、以下に概説されるよ
うな、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびハイブリダイゼーション技術)を
使用して同定し得る。改変体ヌクレオチド配列はまた、例えば、部位特異的変異
誘発を使用することにより生成されたが、以下で考察されるように、本発明にお
いて開示されるTh2特異的タンパク質をなおコードする、合成的に誘導された
ヌクレオチド配列を含む。一般的に、本発明のヌクレオチド配列改変体は、本明
細書中で開示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも45%、55%、6
5%、75%、85%、95%、または98%の同一性を有する。改変体Th2
特異的ヌクレオチド配列は、本明細書中で開示されるTh2特異的タンパク質の
アミノ酸配列に対して、少なくとも45%、55%、65%、75%、85%、
95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を有するTh2特異的タン
パク質をコードする。
【0053】 配列番号1、3、5、7、9、11、13、および15に示されるTh2特異
的ヌクレオチド配列、ATCC 203302のcDNAのヌクレオチド配列、
ATCC 230569のcDNAのヌクレオチド配列、およびATCC 20
3797のcDNAのヌクレオチド配列に加えて、Th2特異的タンパク質のア
ミノ酸配列中の変化を導くDNA配列多型性が、集団(例えば、ヒト集団)内に
存在し得ることは、当業者によって理解される。Th2特異的遺伝子におけるこ
のような遺伝的多型性は、天然の対立遺伝子改変に起因して、集団内の個体の間
で存在し得る。対立遺伝子は、所定の遺伝子座で代替的に生じる一群の遺伝子の
うちの1つである。本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」および「組換
え遺伝子」は、Th2特異的タンパク質、好ましくは哺乳動物Th2特異的タン
パク質をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子をいう。本明
細書中で使用される場合、句「対立遺伝子改変体」は、Th2特異的遺伝子座で
生じるヌクレオチド配列、またはこのヌクレオチド配列によりコードされるポリ
ペプチドをいう。このような天然の対立遺伝子改変は、代表的に、Th2特異的
遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の分散を生じ得る。天然の対立遺伝
子改変の結果であり、かつTh2特異的タンパク質の機能的活性を改変しない、
Th2特異的配列における任意およびすべてのこのようなヌクレオチドの変動お
よび結果として生じるアミノ酸の多型性または変動は、本発明の範囲内であると
意図される。
【0054】 さらに、本明細書中に開示されるTh2特異的配列のヌクレオチド配列とは異
なるヌクレオチド配列を有する、他の種由来のTh2特異的タンパク質(Th2
特異的ホモログ)をコードする核酸分子が、本発明の範囲内であると意図される
。本発明のTh2特異的cDNAの天然の対立遺伝子改変体およびホモログに対
応する核酸分子を、本明細書中に開示されるマウスTh2特異的核酸に対するそ
れらの同一性に基づき、以下に開示されるようなストリンジェントなハイブリダ
イゼーション条件下での標準的ハイブリダイゼーション技術に従うハイブリダイ
ゼーションプローブとしてマウスcDNAまたはその一部分を使用して単離し得
る。
【0055】 集団中に存在し得るTh2特異的配列の天然に存在する対立遺伝子改変体に加
えて、当業者は、Th2特異的タンパク質の生物学的活性を改変することなく、
コードされるTh2特異的タンパク質のアミノ酸配列中に変化を導く、本発明の
ヌクレオチド配列内への変異により変化を導入し得ることをさらに理解する。従
って、配列番号2、4、6、8、10、12、14、または16の配列とは異な
る配列を有するTh2特異的タンパク質をコードする単離された核酸分子を、本
明細書中に開示されるヌクレオチド配列内に1つ以上のヌクレオチドの置換、付
加、または欠失を導入することにより作製し得、その結果、1つ以上のアミノ酸
の置換、付加、または欠失が、コードされるタンパク質中に導入される。変異を
、標準的技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)により
導入し得る。このような改変体ヌクレオチド配列もまた、本発明により包含され
る。
【0056】 例えば、好ましくは、保存的アミノ酸置換が、1つ以上の推定(好ましくは、
非必須)のアミノ酸残基でなされ得る。「非必須」のアミノ酸残基は、生物学的
活性を改変することなく、Th2特異的タンパク質の野生型の配列(例えば、配
列番号2、4、6、8、10、12、14、または16の配列)から改変され得
る残基である。一方、「必須」のアミノ酸残基は、生物学的活性のために必要と
される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基を、類似の側鎖を有するアミ
ノ酸残基で置き換える置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリ
ーは、当該分野において規定されている。これらのファミリーとしては、以下が
挙げられる:塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒス
チジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸
)、非荷電性極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グ
ルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有する
アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フ
ェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝側鎖を有するアミノ
酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するア
ミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)
。このような置換は、クローン1228のシステイン残基のような保存されたア
ミノ酸残基、1228のPPPモチーフ(FDPPPF(配列番号12のアミノ
酸113〜118)として表される)およびYMFMモチーフ(配列番号12の
アミノ酸178〜181)のような保存されたモチーフ中に存在するアミノ酸残
基(ここで、このような残基は、タンパク質活性に必須である)についてはなさ
れない。
【0057】 あるいは、改変体Th2特異的ヌクレオチド配列を、Th2特異的コード配列
のすべてまたは一部分に沿って無作為に変異を導入すること(例えば、飽和変異
誘発により)により作製し得、そして結果として生じた変異体を、Th2特異的
な生物学的活性についてスクリーニングして、活性を保持する変異体を同定し得
る。変異誘発後、コードされるタンパク質を組換え的に発現させ得、そしてこの
タンパク質の活性を標準的アッセイ技術を使用して決定し得る。
【0058】 従って、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書中に開示されるそれらの配列
、ならびにそれらのフラグメントおよび改変体を含む。本発明のTh2特異的ヌ
クレオチド配列、ならびにそれらのフラグメントおよび改変体をプローブおよび
/またはプライマーとして使用して、他の細胞型(例えば、他の組織由来)中の
Th2特異的ホモログ、ならびに他の哺乳動物由来のTh2特異的ホモログを同
定および/またはクローン化し得る。このようなプローブを使用して、同様また
は同一のタンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出し得る。これら
のプローブは、例えば、被験体由来の細胞サンプル中のTh2特異的コード核酸
のレベルを測定すること(例えば、Th2特異的mRNAのレベルを検出するこ
と、またはゲノムTh2特異的遺伝子が変異または欠失しているか否かを決定す
ること)により、Th2特異的タンパク質を誤発現(misexpress)す
る細胞または組織を同定するための診断用試験キットの部分として使用され得る
【0059】 この様式では、PCR、ハイブリダイゼーションなどのような方法を使用して
、本発明の配列に対して実質的な同一性を有するような配列を同定し得る。例え
ば、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:
Labboratory Manual(第2版、Cold Spring H
arbor Laboratory Press、Plainview、NY)
およびInnisら(1990)PCR Protocols:A Guide
to Methods and Applications(Academi
c Press、NY)を参照のこと。本明細書中に示されるTh2特異的ヌク
レオチド配列またはそれらのフラグメントおよび改変体に対するそれらの配列同
一性に基づいて単離されたTh2特異的ヌクレオチド配列は、本発明によって包
含される。
【0060】 ハイブリダイゼーション方法では、既知のTh2特異的ヌクレオチド配列のす
べてまたは一部分を使用して、cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー
をスクリーニングし得る。このようなcDNAライブラリーおよびゲノムライブ
ラリーの構築方法は、当該分野において一般的に知られており、そしてSamb
rookら(1989)Molecular Cloning:A Labor
atory Manual(第2版、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、Plainview、NY)において開示
されている。いわゆるハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNAフラグ
メント、cDNAフラグメント、RNAフラグメント、または他のオリゴヌクレ
オチドであり得、そして32Pのような検出可能基、または他の放射性同位元素、
蛍光化合物、酵素、もしくは酵素補因子のような任意の他の検出可能マーカーで
標識され得る。ハイブリダイゼーションのためのプローブは、本明細書中に開示
される既知のTh2特異的ヌクレオチド配列に基づく合成オリゴヌクレオチドを
標識することにより作製され得る。既知のTh2特異的ヌクレオチド配列または
コードされるアミノ酸配列中の保存されたヌクレオチドまたはアミノ酸残基に基
づいて設計された縮重プライマーがさらに使用され得る。このプローブは代表的
に、本発明のTh2特異的ヌクレオチド配列またはそのフラグメントもしくは改
変体の中の少なくとも約12、好ましくは約25、より好ましくは約50、75
、100、125、150、175、200、250、300、350、または
400の連続するヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。ハイブリダイゼーションのためのプ
ローブの調製は、当該分野で一般的に知られており、そしてSambrookら
(1989)Molecular Cloning:A Laboratory
Manual(第2版、Cold Spring Harbor Labor
atory Press、Plainview、New York)(本明細書
中で参考として援用される)において開示されている。
【0061】 例えば、1つの実施態様では、以前に同定されていないTh2特異的核酸分子
が、ストリンジェントな条件下で、本発明のTh2特異的ヌクレオチド配列また
はそのフラグメントのうちの1つを含む核酸分子であるプローブにハイブリダイ
ズする。別の実施態様では、以前には未知のTh2特異的核酸分子は、少なくと
も300、325、350、375、400、425、450、500、550
、600、650、700、800、900、1000、2,000、3,00
0、4,000、または5,000ヌクレオチド長であり、そしてストリンジェ
ントな条件下で、本明細書中に開示されるTh2特異的ヌクレオチド配列または
そのフラグメントのうちの1つを含む核酸分子であるプローブにハイブリダイズ
する。
【0062】 従って、別の実施態様では、本発明の単離された以前には未知のTh2特異的
核酸分子は、少なくとも300、325、350、375、400、425、4
50、500、550、600、650、700、800、900、1000、
1,100、1,200、1,300、または1,400ヌクレオチド長であり
、そしてストリンジェントな条件下で、本発明のヌクレオチド配列、好ましくは
、配列番号1、3、5、7、9、11、13、または15に示されるコード配列
、ATCC 203302のcDNA、ATCC 203569のcDNA、A
TCC 203797のcDNA、またはそれらの相補体、フラグメントもしく
は改変体のうちの1つを含む核酸分子であるプローブにハイブリダイズする。
【0063】 本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズする」は、互いに対して少なくとも60%、65%、70%、好ましくは7
5%の同一性を有するヌクレオチド配列が、代表的に、互いにハイブリダイズし
たまま残存するハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記載することが意図
される。このようなストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、そしてC
urrent Protocols in Molecular Biolog
y(John Wiley&Sons、New York(1989))6.3
.1−6.3.6に見出され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション
条件の好ましい非制限的な例は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(S
SC)中で約45℃でのハイブリダイゼーション、次ぐ0.2×SSC、0.1
%SDS中で50〜65℃での1回以上の洗浄である。別の好ましい実施態様で
は、ストリンジェントな条件は、6×SSC中で42℃でのハイブリダイゼーシ
ョン、次ぐ1×SSC中で55℃での洗浄を含む。好ましくは、ストリンジェン
トな条件下で、本発明のTh2特異的配列にハイブリダイズする単離された核酸
分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書中で使用される場合、「
天然に存在する」核酸分子は、天然において存在する(例えば、天然のタンパク
質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNA分子またはDNA分子をいう
【0064】 従って、本明細書中に開示されるTh2特異的ヌクレオチド配列ならびにその
フラグメントおよび改変体に加えて、本発明の単離された核酸分子はまた、本明
細書中に開示されるTh2特異的ヌクレオチド配列またはその改変体およびフラ
グメントから得られる完全配列または部分的配列とのハイブリダイゼーションに
より、他の細胞および/または生物体から同定および単離された相同なDNA配
列を包含する。
【0065】 本発明はまた、アンチセンス核酸分子(すなわち、タンパク質をコードするセ
ンス核酸に対して相補的(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に対して相補
的、またはmRNA配列に対して相補的)である分子)を包含する。従って、ア
ンチセンス核酸は、センス核酸に水素結合し得る。アンチセンス核酸は、Th2
特異的コード鎖全体、またはその一部分(例えば、タンパク質コード領域(すな
わち、オープンリーディングフレーム)のすべてまたは一部分)のみに対して相
補的であり得る。アンチセンス核酸分子は、Th2特異的タンパク質をコードす
るヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域に対してアンチセンスであり得る
。非コード領域は、コード領域に隣接する5’配列および3’配列であり、そし
てアミノ酸に翻訳されない。
【0066】 本明細書中に開示されるTh2特異的タンパク質をコードするコード鎖配列(
例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、および15)を考慮して、
本発明のアンチセンス核酸を、ワトソンおよびクリックの塩基対形成の法則に従
って設計し得る。アンチセンス核酸分子は、Th2特異的mRNAのコード領域
全体に対して相補的であり得るが、より好ましくは、Th2特異的mRNAのコ
ード領域または非コード領域のうちの一部分のみに対してアンチセンスであるオ
リゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、Th2
特異的mRNAの翻訳開始部位周辺の領域に対して相補的であり得る。アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、3
5、40、45、または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス
核酸は、当該分野において公知のキメラ合成手順および酵素的連結手順を使用し
て構築され得る。
【0067】 例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、
天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加させるように
、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間で形成される二重鎖の物理的安
定性を増加させるように設計された種々の改変ヌクレオチド(例えば、ホスホロ
チオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが挙げられるが、これらに
限定されない)を使用して、化学的に合成され得る。あるいは、アンチセンス核
酸は、アンチセンス配向で核酸がサブクローニングされている発現ベクターを使
用して、生物学的に産生され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されるR
NAは、目的の標的核酸に対してアンチセンス配向のものである(以下の小節で
さらに説明される))。
【0068】 本発明のアンチセンス核酸分子は代表的に、被験体に投与されるかまたはイン
サイチュで産生され、その結果、それらは、Th2特異的タンパク質をコードす
る細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするかまたは結
合し、それによりそのタンパク質の発現を阻害する(例えば、転写および/また
は翻訳を阻害することによる)。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例
としては、組織部位での直接注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分
子は、選択された細胞を標的化するように修飾され得、次いで、全身的に投与さ
れ得る。例えば、アンチセンス分子は、ペプチドまたは抗体に連結されて、選択
された細胞表面上で発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合する複合体
を形成し得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載されるベクター
を使用して、細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成
するために、アンチセンス核酸分子が、強力なpol IIプロモーターまたは
pol IIIプロモーターの制御下に配置されているベクター構築物が好まし
い。
【0069】 本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子であり得る。α−ア
ノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する。こ
こでは、通常のβ−ユニットとは対照的に、鎖は互いに対して平行に走る(Ga
ultierら(1987)Nucleic Acids Res.15:66
25−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−O−メチルリボヌクレ
オチド(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res.15
:6131−6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら(
1987)FEBS Lett.215:327−330)を含み得る。
【0070】 本発明はまた、それらが相補的領域を有する一本鎖核酸(例えば、mRNA)
を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である、リボザイ
ムを包含する。リボザイム(例えば、ハンマーヘッド型リボザイム(Hasel
hoffおよびGerlach(1988)Nature 334:585−5
91に記載))を使用して、Th2特異的mRNA転写物を触媒的に切断し得、
それにより、Th2特異的mRNAの翻訳を阻害し得る。Th2特異的コード核
酸に対する特異性を有するリボザイムを、本明細書中に開示されるTh2特異的
cDNAのヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、1
3、または15)に基づいて設計し得る。例えば、Cechら、米国特許第4,
987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照
のこと。あるいは、Th2特異的mRNAを使用して、特異的リボヌクレアーゼ
活性を有する触媒性RNAを、RNA分子のプールから選択し得る。例えば、B
artelおよびSzostak(1993)Science 261:141
1−1418を参照のこと。
【0071】 本発明はまた、三重ヘリックス構造を形成する核酸分子を包含する。例えば、
Th2特異的遺伝子の発現は、Th2特異的タンパク質の調節領域(例えば、T
h2特異的プロモーターおよび/またはエンハンサー)に対して相補的なヌクレ
オチド配列を標的化して、標的細胞におけるTh2特異的遺伝子の転写を妨げる
三重ヘリックス構造を形成することにより阻害され得る。一般的には、Hele
ne(1991)Anticancer Drug Des.6(6):569
;Helene(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27
;およびMaher(1992)Bioassays 14(12):807を
参照のこと。
【0072】 好ましい実施態様では、本発明の核酸分子を、例えば、分子の安定性、ハイブ
リダイゼーション、または可溶性を改善するために、塩基部分、糖部分、または
リン酸骨格で修飾し得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を修飾し
て、ペプチド核酸を作製し得る(Hyrupら(1996)Bioorgani
c&Medicinal Chemistry 4:5を参照のこと)。本明細
書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリ
ボースリン酸骨格が偽ペプチド骨格により置換され、そして4つの天然の核酸塩
基(nucleobase)のみが保持されている核酸模倣物(例えば、DNA
模倣物)をいう。PNAの中性の骨格は、低イオン強度の条件下で、DNAおよ
びRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示された。
PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら(1996)、前出;Perry−O
’Keefeら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
93:14670に記載のような、標準的固相ペプチド合成プロトコルを使用し
て実施され得る。
【0073】 Th2特異的分子のPNAは、治療的適用および診断的適用において使用され
得る。例えば、PNAは、遺伝子発現の配列特異的調節(例えば、転写または翻
訳の停止を誘導すること、または複製を阻害することによる)のためのアンチセ
ンス剤またはアンチジーン(antigene)剤として使用され得る。本発明
のPNAはまた、例えば、PNA指向PCRクランピング(PNA−direc
ted PCR clamping)による遺伝子内の一塩基対変異の分析にお
いて、他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ)と組み合わせて使用される場合の
人工制限酵素として(Hyrup(1996)、前出);またはDNA配列およ
びハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマーとして(Hyrup(1
996)、前出;Perry−O’Keefeら(1996)、前出)使用され
得る。 別の実施態様では、Th2特異的分子のPNAは、例えば、それらの安
定性、特異性、または細胞取り込みを増加させるために、PNAに対して親油性
基または他のヘルパー基(helper group)を付着させることにより
、PNA−DNAキメラの形成により、またはリポソームもしくは当該分野にお
いて公知の他の薬物送達技術の使用により修飾され得る。PNA−DNAキメラ
の合成は、Hyrup(1996)、前出;Finnら(1996)Nucle
ic Acids Res.24(17):3357−63;Magら(198
9)Nucleic Acids Res.17:5973;およびPeter
serら(1975)Bioorganic Med.Chem.Lett.5
:1119に記載のように実施され得る。
【0074】 (II.単離されたTh2特異的タンパク質および抗Th2特異的抗体) Th2特異的タンパク質もまた、本発明に包含される。「Th2特異的タンパ
ク質」により、配列番号2、4、6、8、10、12、14、または16に示さ
れるアミノ酸配列を有するタンパク質、ならびにそれらのフラグメント、生物学
的に活性な部分、および改変体が意図される。
【0075】 「フラグメント」または「生物学的に活性な部分」は、抗Th2特異的抗体を
惹起するための免疫原として使用するために適切なポリペプチドフラグメントを
含む。フラグメントは、本発明のTh2特異的タンパク質のアミノ酸配列と十分
に同一であるかまたはそれに由来するアミノ酸配列を含み、かつTh2特異的タ
ンパク質の少なくとも1つの活性を示すペプチドを含むが、これは、本明細書中
に開示される全長Th2特異的タンパク質よりも少ないアミノ酸を含む。代表的
には、生物学的に活性な部分は、Th2特異的タンパク質の少なくとも1つの活
性を有するドメインまたはモチーフを含む。Th2特異的タンパク質の生物学的
に活性な部分は、例えば、10、25、50、100、またはそれ以上のアミノ
酸の長さであるポリペプチドであり得る。このような生物学的に活性な部分は、
組換え技術により調製され得、そしてネイティブのTh2特異的タンパク質の1
つ以上の機能的活性について評価され得る。
【0076】 「改変体」により、配列番号2、4、6、8、10、12、14、または16
のアミノ酸配列に対して、少なくとも約45%、55%、65%、好ましくは約
75%、85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有するタンパ
ク質またはポリペプチドが意図される。改変体はまた、受託番号203302、
ATCC受託番号203569、もしくはATCC受託番号203797として
ATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによってコードされるポ
リペプチド、あるいはストリンジェントな条件下で、配列番号1、3、5、7、
9、11、13、もしくは15の核酸分子またはそれらの相補体にハイブリダイ
ズする核酸分子によってコードされるポリペプチドを含む。このような改変体は
、一般的に、本発明のTh2特異的タンパク質の機能的活性を保持する。改変体
は、天然の対立遺伝子変動または変異誘発に起因して、アミノ酸配列において異
なるポリペプチドを含む。
【0077】 本発明はまた、Th2特異的キメラタンパク質または融合タンパク質を提供す
る。本明細書中で使用される場合、Th2特異的「キメラタンパク質」または「
融合タンパク質」は、非Th2特異的ポリペプチドに作動可能に連結されたTh
2特異的ポリペプチドを含む。「Th2特異的ポリペプチド」は、Th2特異的
タンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、「非Th2
特異的ポリペプチド」は、Th2特異的タンパク質に対して実質的に同一ではな
いタンパク質(例えば、Th2特異的タンパク質とは異なり、かつ同一または異
なる生物体に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドをいう。Th2特異的融合タンパク質において、Th2特異的ポリペプチドは
、Th2特異的タンパク質のすべてまたは一部分、好ましくは、Th2特異的タ
ンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分に対応し得る。融合タンパク
質において、用語「作動可能に連結された」は、Th2特異的ポリペプチドおよ
び非Th2特異的ポリペプチドが、互いにインフレームで融合されていることを
示すことが意図される。非Th2特異的ポリペプチドは、Th2特異的ポリペプ
チドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0078】 1つの有用な融合タンパク質はGST−Th2特異的融合タンパク質であり、
ここでTh2特異的配列は、GST配列のC末端に融合される。このような融合
タンパク質は、組換えTh2特異的タンパク質の精製を容易にし得る。
【0079】 さらに別の実施態様では、融合タンパク質はTh2特異的−免疫グロブリン融
合タンパク質であり、ここでTh2特異的タンパク質のすべてまたは一部分は、
免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合される。
本発明のTh2特異的−免疫グロブリン融合タンパク質は、薬学的組成物中に組
込まれ得る。そしてこれは、被験体に投与されて、細胞表面上でのTh2特異的
リガントとTh2特異的タンパク質との間の相互作用を阻害し得、それによって
Th2特異的媒介性シグナル伝達をインビボで抑制し得る。Th2特異的免疫グ
ロブリン融合タンパク質を使用して、Th2特異的同族リガンドのバイオアベイ
ラビリティに影響し得る。Th2特異的リガンド/Th2特異的相互作用の阻害
は、増殖障害および分化障害を処置するため、ならびに細胞生存を調節する(例
えば、促進または阻害する)ための両方のために、治療上有用であり得る。さら
に、本発明のTh2特異的−免疫グロブリン融合タンパク質は、被験体において
抗Th2特異的抗体を産生するため、Th2特異的リガンドを精製するため、お
よびスクリーニングアッセイにおいて、Th2特異的リガンドとTh2特異的タ
ンパク質の相互作用を阻害する分子を同定するための免疫原として使用され得る
【0080】 好ましくは、本発明のTh2特異的キメラタンパク質または融合タンパク質は
、標準的組換えDNA技術により生成される。例えば、異なるポリペプチド配列
をコードするDNAフラグメントを、共にインフレームで連結し得るか、または
融合遺伝子を、例えば、自動化DNA合成装置を用いて合成し得る。あるいは、
遺伝子フラグメントのPCR増幅を、2つの連続した遺伝子フラグメント間の補
完的オーバーハング(overhang)を生じさせるアンカープライマーを使
用して実施し得、これを引き続いて、アニールおよび再増幅してキメラ遺伝子配
列を作製し得る(例えば、Ausubelら編、(1995)Current
Protocols in Molecular Biologyを参照のこと
)(Greene Publishing and Wiley−Inters
cience、NY)。さらに、Th2特異的コード核酸を、既存の融合部分に
インフレームで連結されるように市販の発現ベクター中にクローン化し得る。
【0081】 Th2特異的タンパク質の改変体は、Th2特異的アゴニスト(模擬体)また
はTh2特異的アンタゴニストのいずれかとして機能し得る。Th2特異的タン
パク質の改変体を、変異誘発(例えば、Th2特異的タンパク質の個別の点変異
または短縮化(truncation))により作製し得る。Th2特異的タン
パク質のアゴニストは、天然に存在する形態のTh2特異的タンパク質の生物学
的活性と実質的に同一な活性か、またはそのサブセットを保持し得る。Th2特
異的タンパク質のアンタゴニストは、天然に存在する形態のTh2特異的タンパ
ク質の1つ以上の活性を、例えば、このTh2特異的タンパク質を含む細胞シグ
ナルカスケードの上流または下流のメンバーに対して競合的結合することによっ
て阻害し得る。従って、特定の生物学的効果を、制限された機能の改変体で処理
することにより誘発し得る。このタンパク質の天然に存在する形態の生物学的活
性のサブセットを有する改変体での被験体の処置は、天然に存在する形態のTh
2特異的タンパク質での処置と比較して、被験体においてより少ない副作用を有
し得る。
【0082】 Th−2特異的アゴニストまたはTh−2特異的アンタゴニストのいずれかと
して機能するTh−2タンパク質の改変体は、変異体(例えば、Th−2特異的
タンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性についてのTh−2特異的タン
パク質の短縮型変異体)のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングによ
って同定され得る。1つの実施態様において、Th−2特異的改変体の多様なラ
イブラリーは、核酸レベルにおけるコンビナトリアル変異誘発によって生成され
、そして多様な遺伝子ライブラリーによってコードされる。Th−2特異的改変
体の多様なライブラリーは、例えば、遺伝子配列に合成ヌクレオチドの混合物を
酵素的に連結することによって産生され得、その結果、潜在的なTh−2特異的
配列の縮重セットが個々のポリペプチドとして、または代替的に、そこにTh−
2特異的配列のセットを含む、より大きな融合タンパク質のセットとして(例え
ば、ファージディスプレイのために)発現可能である。縮重オリゴヌクレオチド
配列から潜在的なTh−2特異的改変体のライブラリーを産生するために使用し
得る種々の方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動化DNA合成機
において実行され、次いで合成遺伝子は、適切な発現ベクターに連結され得る。
遺伝子の縮重セットの使用は、1つの混合物において、潜在的なTh−2特異的
配列の所望のセットをコードする配列のすべての提供を可能にする。縮重オリゴ
ヌクレオチドを合成するための方法は、当該分野で公知である(例えば、Nar
ang(1983)Tetrahedron 39:3,Itakuraら(1
984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakuraら
(1984)Science 198:1056;Ikeら(1983)Nuc
leic Acid Res.11:477を参照のこと)。
【0083】 さらに、Th−2特異的タンパク質コード配列のフラグメントのライブラリー
は、Th−2特異的タンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択の
ためにTh−2特異的フラグメントの多様な集団を生成するために使用され得る
。1つの実施態様において、コード配列フラグメントのライブラリーは、Th−
2特異的コード配列の二本鎖PCRフラグメントを、ニックが1分子あたり約1
つだけ生じる条件下でヌクレアーゼで処理すること、二本鎖DNAを変性させる
こと、DNAを再生させて、異なるニックを有する生成物からセンス/アンチセ
ンス対を含み得る二本鎖DNAを形成すること、S1ヌクレアーゼを用いる処理
によって、再形成された二重鎖から一本鎖部分を除去すること、および得られる
フラグメントライブラリーを発現ベクターに連結すること、によって生成され得
る。この方法によって、Th−2特異的タンパク質のN末端および種々のサイズ
の内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを誘導し得る。
【0084】 点変異および短縮化によって作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝
子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物に
ついてのcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技術が、
当該分野で公知である。このような技術は、Th−2特異的タンパク質のコンビ
ナトリアル変位誘発によって生成される遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニン
グのために適合可能である。高スループット分析に従う、大きい遺伝子ライブラ
リーのスクリーニングのための最も広範に使用される技術は、代表的には、複製
可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローニング、得られるベクター
のライブラリーでの適切な細胞の形質転換、および所望の活性の検出が、遺伝子
産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下でのコ
ンビナトリアル遺伝子の発現を含む。帰納的アンサンブル変異誘発(recur
sive ensamble mutagenesis)(REM)は、ライブ
ラリーにおける機能的変異体の頻度を高める技術であり、Th−2特異的改変体
を同定するためにスクリーニングアッセイと組み合わせて使用され得る(Ark
inおよびYourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 89:7811−7815;Delgraveら(1993)Pro
tein Engeering 6(3):327−331)。
【0085】 単離された本発明のTh−2特異的ポリペプチドは、ポリクローナルおよびモ
ノクローナル抗体調製のための標準的な技術を使用して、Th2−特異的タンパ
ク質を結合する対応する抗体を生成するための免疫原として使用され得る。「対
応する抗体」によって、その抗体が、免疫原として使用される特定のTh2−特
異的タンパク質に結合することが意図される。全長Th2−特異的タンパク質が
使用され得るか、または代替的に、本発明は、免疫原としての使用のためのTh
2−特異的タンパク質の抗原性ペプチドフラグメントを提供する。Th2−特異
的タンパク質の抗原性ペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14
、または16に示されるアミノ酸配列の少なくとも8、好ましくは10、15、
20、または30アミノ酸残基を含み、そしてTh2−特異的タンパク質のエピ
トープを含み、その結果、そのペプチドに対して惹起された抗体は、Th2−特
異的タンパク質との特異的な免疫複合体を形成する。その抗原性ペプチドによっ
て含まれる好ましいエピトープは、そのタンパク質の表面に位置するTh2−特
異的タンパク質の領域(例えば、親水性領域)である。
【0086】 従って、本発明の別の局面は、Th2−特異的タンパク質に結合する、抗Th
2−特異的ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体に関する。ポリクロー
ナル抗Th2−特異的抗体は、Th2−特異的免疫原で適切な被験体(例えば、
ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)を免疫することによって調製され
得る。免疫した被験体における抗Th2−特異的抗体力価は、標準的な技術によ
って(例えば、固定化されたTh2−特異的タンパク質を使用する、酵素結合免
疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて)長時間モニタリングされ得る。免疫後
の適切な時間に(例えば、抗Th2−特異的抗体力価が最高であるときに)、抗
体産生細胞は、被験体から得られ得、そして標準的な技術(例えば、Kohle
rおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497
によってもともと記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技
術(Kozborら(1983)Immunol.Today 4:72)、E
BV−ハイブリドーマ技術(Coleら(1985)Monoclonal A
ntibodies and Cancer Therapy、Reisfel
dおよびSell編(Alan R.Liss,Inc.,New York,
NY)77−96頁)、またはトリオーマ技術)によってモノクローナル抗体を
調製するために使用され得る。ハイブリドーマを産生するための技術は周知であ
る(一般的には、Coliganら編(1994)Current Proto
cols in Immunology(John Wiley & Sons
,Inc.,New York,NY);Galfreら(1977)Natu
re 266:550−52;Kenneth(1980)Monoclona
l Antibodies: A New Dimension In Bio
logical Analyses(Plenum Publishing C
orp.,NY);およびLerner(1981)Yale J.Biol.
Med.,54:387−402を参照のこと)。
【0087】 モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの調製に対する代替手段として、Th
2−特異的タンパク質を用いて(それによってTh2−特異的タンパク質に結合
する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離するために)、組換えコンビナ
トリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライ
ブラリー)をスクリーニングすることによって、モノクローナル抗Th2−特異
的抗体が同定および単離され得る。ファージディスプレイライブラリーを生成お
よびスクリーニングするためのキットは市販されている(例えば、Pharma
cia Recombinant Phage Antibody Syste
m,カタログ番号27−9400−01;およびStratagene Sur
fZAPTM Phage Display Kit、カタログ番号240612
)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーを生成およびスクリーニングする際
の使用に特に受け入れられる方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,2
23,409号;PCT公開番号WO92/18619;WO91/17271
;WO92/20791;WO92/15679;WO93/01288;WO
92/01047;WO92/09690;およびWO90/02809;Fu
chsら(1991)Bio/Technology 9:1370−1372
;Hayら(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:
81−85;Huseら(1989)Science 246:1275−12
81;Griffithsら(1993)EMBO J.12:725−734
において見出され得る。
【0088】 さらに、標準的な組換えDNA技術を用いて作製され得る組換え抗Th2−特
異的抗体(例えば、キメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体
(ヒト部分および非ヒト部分の両方を含む))は、本発明の範囲内にある。この
ようなキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野
で公知の組換えDNA技術によって産生され得、例えば、PCT公開番号WO8
6101533およびWO87/02671;欧州特許出願番号184,187
、同171,496、同125,023、および同173,494;米国特許第
4,816,567号および同第5,225,539号;欧州特許出願125,
023;Betterら(1988)Science 240:1041−10
43;Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
84:3439−3443;Liuら(1987)J.Immunol.139
:3521−3526;Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 84:214−218;Nishimuraら(1987)C
anc.Res.47:999−1005;Woodら(1985)Natur
e 314:446−449;Shawら(1988)J.Natl.Canc
er Inst.80:1553−1559;Morrison(1985)S
cience 229:1202−1207;Oiら(1986)Bio/Te
chniques 4:214;Jonesら(1986)Nature 32
1:552−525;Verhoeyanら(1988)Science 23
9:1534;およびBeidlerら(1988)J.Immunol.14
1:4053−4060に記載される方法を使用する。
【0089】 完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置のために特に所望される。このよう
な抗体は、内因性の免疫グロブリン重鎖および軽鎖の遺伝子を発現し得ないが、
ヒトの重鎖および軽鎖の遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを使用し
て産生し得る。例えば、LonbergおよびHuszar(1995)Int
.Rev.Immunol.13:65−93;および米国特許第5,625,
126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;5,661
,016号;および同第5,545,806号を参照のこと。さらに、Abge
nix,Inc.(Freemont,CA)のような企業は、上記に記載した
技術と同様の技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供すること
に従事し得る。
【0090】 選択されたエピトープを認識する完全なヒト抗体は、「誘導型選択」といわれ
る技術を使用して生成され得る。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモ
ノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同じエピトープを認識する完全な
ヒト抗体の選択を誘導するために使用される。この技術は、Jespersら(
1994)Bio/Technology 12:899−903によって記載
される。
【0091】 抗Th2−特異的抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、標準的な技術(例
えば、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降)によってTh2−特
異的タンパク質を単離するために使用され得る。抗Th2−特異的抗体は、細胞
由来の天然のTh2−特異的タンパク質、および宿主細胞において発現された、
組換え的に産生されたTh2−特異的タンパク質の精製を容易にし得る。さらに
、抗Th2−特異的抗体は、Th2−特異的タンパク質の発現の量およびパター
ンを評価するために、(例えば、細胞溶解物または細胞上清において)Th2−
特異的タンパク質を検出するために使用され得る。抗Th2−特異的抗体は、例
えば、所定の処置レジメの効力を決定するために、臨床試験の手順の一部として
、組織におけるタンパク質レベルを診断的にモニターするために使用され得る。
検出は、抗体を検出可能な物質と結合させることによって容易にされ得る。検出
可能な物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生体発光物
質、および放射活性物質を含む。適切な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリン
エステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン
/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ;適切な蛍光物質の例には、ウン
ベリフェロン(umbelliferone)、フルオレセイン、フルオレセイ
ンイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイ
ン、ダンシルクロライド、またはフィコエリトリンが含まれ;発光物質の例には
、ルミノールが含まれ;生体発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン
、およびエクオリンが含まれ;ならびに、適切な放射活性物質の例には、125
131I、35S、または3Hが含まれる。
【0092】 さらに、抗体(またはそのフラグメント)は、治療的部分(例えば、サイトト
キシン、治療薬剤、または放射活性金属イオン)と結合体化され得る。サイトト
キシンまたは細胞毒性薬剤には、細胞に対して有害である任意の薬剤が含まれる
。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウ
ム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビ
ンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシア
ントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、
1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン
、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにこれらのア
ナログまたはホモログが含まれる。治療剤としては、代謝拮抗剤(例えば、メト
トレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フ
ルオロウラシル、ダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(
例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルフ
ァラン、カルムスチン(BSNU)、およびロムスチン(CCNU)、シクロホ
スファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマ
ンニトール、ストレプトゾシン(streptozotocin)、マイトマイ
シンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)
、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およ
びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマ
イシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC
))、抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含むが
これらに限定されない。本発明の結合体は、所定の生物学的応答を修飾するため
に使用され得、薬物部分は、古典的な化学治療剤に限定されるように解釈されな
い。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペ
プチドであり得る。このようなタンパク質は、例えば、毒素(例えば、アブリン
、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素);タンパク質(例
えば、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長
因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノゲン活性化因子)、または、生物学
的応答修飾因子(例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」
)、インターロイキンー2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−
6」)、顆粒球マクロファージ(macrophase)コロニー刺激因子(「
GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」))、または他の
成長因子を含み得る。
【0093】 抗体にこのような治療用部分を結合体化するための技術は当該分野で周知であ
る。例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies
For Immunotargeting Of Drugs In Canc
er Therapy」、Monoclonal Antibodies An
d Cancer Therapy、Reisfeldら(編)243−56頁
(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstromら、「A
ntibodies For Drug Delivery」、Control
led Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)6
23−53頁(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorp
e、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Ag
ents In Cancer Therapy;A Review」Mono
clonal Antibodies ’84:Biological And
Clinical Applications、Pincheraら(編)4
75−506頁(1985);「Analysis,Results,And
Future Prospective Of The Therapeuti
c Use Of Radiolabeled Antibody In Ca
ncer Therapy」Monoclonal Antibodies F
or Cancer Detection And Therapy、Bald
winら(編)303−16頁(Academic Press 1985)、
およびThorpeら「The Preparation And Cytot
oxic Properties Of Antibody−Toxin Co
njugates」、Immunol.Rev.62:119−58(1982
)を参照のこと。あるいは、抗体は、Segelによって、米国特許第4,67
6,980号において記載されるように、第2の抗体と結合体化されて抗体ヘテ
ロ結合体を形成し得る。
【0094】 本発明の抗体関連分子(すなわち、Th2−特異的タンパク質に結合する対応
する抗体および治療用部分に結合体化されたこのような対応する抗体)は、単独
で、または治療用部分とともにもしくは治療用部分なしで組み合わせて、所望の
生物学的応答を修飾するために(例えば、本発明の方法に従って、Th2−応答
を調節するために)使用され得る。従って、例えば、所定の生物学的応答の調節
は、本発明の抗体関連分子を被験体に投与することによって達成される。この投
与には以下が含まれるがこれらに限定されない:1)少なくとも1つの本発明の
抗体、2)少なくとも1つの本発明の抗体および少なくとも1つの遊離の(すな
わち、抗体と結合体化されていない)治療用部分、3)治療用部分と結合体化さ
れた少なくとも1つの本発明の抗体、4)少なくとも1つの本発明の抗体および
治療用部分と結合体化された少なくとも1つの本発明の抗体、5)治療用部分と
結合体化された少なくとも1つの本発明の抗体、および少なくとも1つの遊離の
治療用部分、または6)少なくとも1つの本発明の抗体、治療用部分と結合体化
された少なくとも1つの本発明の抗体、および少なくとも1つの遊離の治療用部
分。これらの抗体関連分子は、互いに別々に、同時にかまたは異なる時間でのい
ずれかで被験体に投与され得る。あるいは、これらの抗体関連分子は、混合物(
例えば、本発明の抗体および治療用部分に結合体化された抗体の両方を含む混合
物、または上記のような本発明の抗体関連分子の任意の組み合わせを含む混合物
)中で同時に投与され得る。
【0095】 (III.組換え発現ベクターおよび宿主細胞) 本発明の別の局面は、ベクター、好ましくは、Th2−特異的タンパク質(ま
たはその部分)をコードする核酸を含む発現ベクターに関する。「ベクター」と
は、それに連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子をいい、例えば、さら
なるDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループである「プラスミ
ド」、またはさらなるDNAセグメントがウイルスゲノムに連結され得るウイル
スベクターである。ベクターは、宿主細胞における自律的複製のために有用であ
るか、または宿主細胞への導入に際して宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それ
によって宿主ゲノムに沿って複製される(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベク
ター)。発現ベクターは、それに作動可能に連結された遺伝子の発現を指示し得
る。一般的に、組換えDNA技術における有用な発現ベクターは、しばしば、プ
ラスミド(ベクター)の形態である。しかし、本発明は、等価な機能を提供する
、ウイルスベクターのような発現ベクターのこのような他の形態(例えば、複製
欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)を含むこと
を意図する。
【0096】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での核酸の発現のために適切な形
態である本発明の核酸を含む。このことは、組換え発現ベクターが1つ以上の調
節配列を含み、この調節配列は、発現される核酸配列に作動可能に連結された、
発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択されることを意味する。「作動
可能に連結される」とは、目的のヌクレオチド配列が、そのヌクレオチド配列の
発現を可能にする様式で調節配列(単数または複数)に(例えば、インビトロ転
写/複製系において、またはベクターが宿主細胞に導入される場合の宿主細胞に
おいて)連結されることを意味することが意図される。用語「調節配列」は、プ
ロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデ
ニル化シグナル)を含むことが意図される。例えば、Goeddel(1990
)Gene Expression Technology:Methods
in Enzymology 185(Academic Press,San
Diego,CA)を参照のこと。調節配列は、多くの型の宿主細胞において
ヌクレオチド配列の構成的発現を指示する配列および特定の宿主細胞においての
みヌクレオチド配列の発現を指示する配列(例えば、組織特異的調節配列)を含
む。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞、所望されるタンパク質の
発現のレベルなどの選択のような因子に依存し得ることが当業者に理解される。
本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それによって、本明細書中に記
載されるような核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチドを含む
タンパク質またはペプチド(例えば、Th2−特異的タンパク質、Th2−特異
的タンパク質の変異型、融合タンパク質など)を産生し得る。
【0097】 本発明の組換え発現ベクターは、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞に
おけるTh2−特異的タンパク質の発現のために設計され得る。原核生物におけ
るタンパク質発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現
を指示する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターでE.
coli中で、最も頻繁に実行される。融合ベクターは、そこにコ−ドされるタ
ンパク質に、通常、組み換えタンパク質のアミノ末端に多数のアミノ酸を付加す
る。代表的な融合発現ベクターには、pGEX(Pharmacia Biot
ech Inc.;SmithおよびJohnson(1988)Gene 6
7:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Be
verly,MA)、およびpRIT5(Phamacia,Piscataw
ay,NJ)が含まれ、これらはそれぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ
(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを、標的組換え
タンパク質に融合させる。適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例に
は、pTrc(Amannら(1988)Gene 69:301−315)お
よびpET11d(Studierら(1990)Gene Expressi
on Technology:Methods in Enzymology
185(Academic Press,San Diego,CA)、60−
89頁)が含まれる。E.coliにおける組換えタンパク質の発現を最大化す
るためのストラテジーは、Gottesman(1990)Gene Expr
ession Technology:Methods in Enzymol
ogy 185(Academic Press,CA)、119−128頁お
よびWadaら(1992)Nucleic Acids Res.20:21
11−2118に見出され得る。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハ
イブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写
に依存する。
【0098】 適切な真核生物宿主には、昆虫細胞(培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)に
おけるタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターの例には
、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell.Biol.3
:2156−2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSumm
ers(1989)Virology 170:31−39)が含まれる);酵
母細胞(酵母S.cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例には
、pYepSec1(Baldariら(1987)EMBO J.6:229
−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz(1982)
Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultzら(198
7)Gene 54:113−123)、pYES2(Invitrogen
Corporation,San Diego,CA)、およびpPicZ(I
nvitrogen Corporation,San Diego,CA))
;または哺乳動物(哺乳動物発現ベクターには、pCDM8(Seed(198
7)Nature 329:849)およびpMT2PC(Kaufmanら(
1987)EMBO J.6:187:195)が含まれる)が挙げられる。適
切な哺乳動物細胞には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCO
S細胞が挙げられる。哺乳動物細胞において、発現ベクターの制御機能は、しば
しばウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一般に使用されるプ
ロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、および
シミアンウイルス40に由来する。原核生物細胞および真核生物細胞両方につい
ての他の適切な発現系については、Sambrookら(1989)Molec
ular Cloning:A Laboratory Manual(第2版
、Cold Spring Harbor Laboratory Press
、Plainview,NY)の第16章および第17章を参照のこと。Goe
ddel(1990)Gene Expression Technology
:Methods in Enzymology 185(Academic
Press,San Diego,CA)を参照のこと。あるいは、組換え発現
ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用
して、インビトロで転写および翻訳され得る。
【0099】 用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で交換可能に用い
られる。このような用語は、特定の対象の細胞をいうのみではなく、このような
細胞の子孫または潜在的な子孫をいうことが理解される。変異または環境的影響
による特定の改変は次の世代に生じ得るので、このような子孫は、実際、親の細
胞と同一でないかもしれないが、なお、本明細書中で使用されるような用語の範
囲内に含まれる。
【0100】 1つの実施態様において、発現ベクターは、特定の細胞型において優先的に核
酸の発現を指向する組織特異的調節エレメントを含む、組換え哺乳動物発現ベク
ターである。適切な組織特異的プロモーターとしては、アルブミンプロモーター
(肝臓特異的;Pinkertら(1987)Genes Dev 1:268
−277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(19
88)Adv Immunol 43:235−275)、T細胞レセプターの
特定のプロモーターにおいて(WinotoおよびBaltimore(198
9)EMBO J 8:729−733)および免疫グロブリン(Banerj
iら(1983)Cell 33:729−740;QueenおよびBalt
imore(1983)Cell 33:741−748)、ニューロン特異的
プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;Byrneおよび
Ruddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
6:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(198
5)Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモータ
ー(例えば、ミルク乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および
欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。発生的に調節されるプロモー
ターもまた含まれる(例えば、マウスホックス(murine hox)プロモ
ーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:
374−379)およびα−フェトタンパク質プロモーター(Campesおよ
びTilghman(1989)Genes Dev 3:537−546など
)。
【0101】 本発明はさらに、アンチセンス方向で発現ベクターにクローニングされた本発
明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、そのDNA分
子は、Th2−特異的mRNAに対するアンチセンスであるRNA分子の発現(
DNA分子の転写によって)を可能にする様式で調節配列に作動可能に連結され
る。アンチセンス方向でクローニングされた核酸に作動可能に連結される調節配
列が選択されて、種々の細胞型におけるアンチセンスRNA分子の連続的な発現
を指示し得る。例えば、ウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハンサー、
または調節配列が選択されて、アンチセンスRNAの構成的発現、組織特異的発
現、または細胞特異的発現を指示し得る。アンチセンス発現ベクターは、組換え
プラスミド、ファージミド、または弱毒化されたウイルスの形態であり得、ここ
ではアンチセンス核酸は、高効率調節領域の制御下で産生され、その活性は、ベ
クターが導入される細胞型によって決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用す
る遺伝子発現の調節の議論については、Weintraubら(1986)Re
views−Trends in Genetics、第1巻(1)を参照のこ
と。
【0102】 ベクターDNAは、従来的な形質転換またはトランスフェクション技術を介し
て原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書中で使用される場
合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来性の核酸(例
えば、DNA)を宿主細胞に導入するための当該分野で認識される種々の技術を
いうことを意図し、これらには、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈
殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、また
はエレクトロポレーションが含まれる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェ
クションするための適切な方法は、Sambrookら(1989)Molec
ular Cloning:A Laboratory Manual(第2版
、Cold Spring Harbor Laboratory Press
,Plainview,N.Y.)および他の実験室マニュアルに見出され得る
【0103】 安定な哺乳動物細胞のトランスフェクションのために、使用される発現ベクタ
ーおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞のほんの一部のみが外来D
NAをそのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの要素を同定およ
び選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードす
る遺伝子が、一般的には目的の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。好ましい
選択マーカーには、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン、およびメトト
レキサート)に対する耐性を付与するものが含まれる。選択マーカーをコードす
る核酸は、Th2−特異的タンパク質をコードするベクターと同じベクター上で
宿主細胞に導入され得るか、あるいは別々のベクター上で導入され得る。導入さ
れた核酸を用いて安定にトランスフェクトされる細胞は、薬物選択によって同定
され得る(例えば、選択マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生存し、一方他の細
胞は死滅する)。
【0104】 本発明の宿主細胞(例えば、培養中の原核生物細胞および真核生物細胞)は、
Th2−特異的タンパク質を産生(すなわち、発現)するために使用され得る。
従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して、Th2−特異的タンパ
ク質を産生するための方法を提供する。1つの実施態様において、この方法は、
Th2−特異的タンパク質が産生されるような適切な培地中で、Th2−特異的
タンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入された本発明の宿主細胞を培
養する工程を包含する。別の実施態様において、本方法はさらに、培地または宿
主細胞からTh2−特異的タンパク質を単離する工程を包含する。
【0105】 本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使
用され得る。例えば、1つの実施態様において、本発明の宿主細胞は、Th2−
特異的コード配列が導入される、受精した卵母細胞または胚性幹細胞である。次
いで、このような宿主細胞は、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために
使用され得、ここで外因性のTh2−特異的配列は、それらのゲノムまたは相同
組換え動物に導入され、ここで内因性のTh2−特異的配列は変更された。この
ような動物は、Th2−特異的遺伝子およびタンパク質の機能および/または活
性を研究するため、ならびにTh2−特異的活性のモジュレーターを同定および
/または評価するために有用である。本明細書中で使用される場合、「トランス
ジェニック動物」とは、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物であり、より好ましく
は、ラットまたはマウスのような齧歯動物であり、ここで1つ以上の動物の細胞
は、トランスジーンを含む。トランスジェニック動物の他の例には、非ヒト霊長
類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などを含む。トランスジーン
は、細胞(この細胞からトランスジェニック動物が発生する)のゲノムに組み込
まれ、そして成熟動物のゲノムに残存する外因性のDNAであり、それによって
、トランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織においてコードされた
遺伝子産物の発現を指示する。本明細書中で使用される場合、「相同組換え動物
」とは、非ヒト動物であり、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスであり
、ここで内因性のTh2−特異的遺伝子は、内因性の遺伝子と、動物の発生の前
に動物の細胞(例えば、動物の胚細胞)に導入された外因性のDNA分子との間
の相同組換えによって変更された。
【0106】 本発明のトランスジェニック動物は、Th2を特異的にコードする核酸を受精
卵母細胞の雄性前核へ導入すること(例えば、マイクロインジェクション、レト
ロウイルス感染によって)、および卵母細胞が偽妊娠の雌性フォスター動物にお
いて発達するのを可能にすることによって作製され得る。Th2特異的なcDN
A配列は、非ヒト動物のゲノムに導入遺伝子として導入され得る。あるいは、マ
ウスのTh2特異的遺伝子のホモログは、ハイブリダイゼーションに基づいて単
離され得、そして導入遺伝子として用い得る。イントロン配列およびポリアデニ
ル化シグナルもまた、導入遺伝子の発現の効率を上昇させるために導入遺伝子内
に含まれ得る。組織特異的な調節配列は、特定の細胞へTh2特異的タンパク質
の発現を指向するために、Th2特異的導入遺伝子に作動可能に連結され得る。
胚操作およびマイクロインジェクションを介するトランスジェニック動物(特に
マウスのような動物)を産生する方法は、当該分野において慣習的になり、そし
て例えば、米国特許番号第4、736、866号、第4、870、009号、お
よび第4、873、191号に、そしてHogan(1986) Manipu
lating the Mouse Embryo(Cold Spring
Harbor Laboratory Press、Cold Spring
Harbor、NY、1986)に記載される。類似の方法は、他のトランスジ
ェニック動物の産生に用いられる。トランスジェニックファウンダー(foun
der)動物は、そのゲノム中のTh2特異的導入遺伝子の存在および/または
その動物の組織中または細胞中でのTh2特異的mRNAの発現に基づいて同定
され得る。次いでトランスジェニックファウンダー動物は、その導入遺伝子を運
ぶさらなる動物を繁殖するために用い得る。さらに、Th2特異的遺伝子をコー
ドする導入遺伝子を運ぶトランスジェニック動物は、他の導入遺伝子を運ぶ他の
トランスジェニック動物へ繁殖され得る。
【0107】 相同組換え動物を作製するために、欠失、付加、または置換が導入されて、そ
れによってTh2特異的遺伝子を改変する(例えば、機能的に破壊する)Th2
特異的遺伝子またはこの遺伝子のホモログの少なくとも一部分を含むベクターが
調製される。好ましい実施態様において、相同組換えに際して、内因性のTh2
特異的遺伝子を機能的に破壊する(すなわち、もはや機能的タンパク質をコード
しない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ようにベクターを設計し得る
。あるいは、相同組換えに際して、内因性のTh2特異的遺伝子が変異または別
の改変をされるがなお機能的タンパク質をコードするように、ベクターを、設計
し得る(例えば、上流調節領域が改変され、それによって内因性のTh2特異的
タンパク質の発現を改変し得る)。相同組換えベクターにおいて、Th2特異的
遺伝子の改変された部分は、相同組換えがベクターによって運ばれる外因性のT
h2特異的遺伝子と胚幹細胞中の内因性のTh2特異的遺伝子との間に生じるの
を可能にするために、Th2特異的遺伝子のさらなる核酸がその5’末端および
3’末端に隣接する。さらなる隣接するTh2特異的核酸は、内因性遺伝子との
首尾良い相同組換えを可能にするに十分な長さである。代表的には、数キロベー
スの隣接するDNA(5’末端および3’末端の両方)は、ベクター内に含まれ
る(例えば、相同組換えベクターの説明について、ThomasおよびCape
cchi(1987) Cell 51:503を参照のこと)。このベクター
は、胚幹細胞株内へ(例えば、エレクトロポレーションによって)導入され、そ
して導入されたTh2特異的遺伝子を内因性のTh2特異的遺伝子と相同的に組
換えた細胞が、選択される(例えば、Liら(1992) Cell 69:9
15を参照のこと)。次いで選択された細胞は、キメラの凝集を形成するように
動物(例えば、マウス)の胚盤胞へ注入される(例えば、Bradley(19
87)、Teratocarcinomas and Embryonic S
tem Cells:A Practical Approach、Rober
tson編(IRL、Oxford)、113〜152頁を参照のこと)。次い
でキメラの胚は、適切な偽妊娠の雌性フォスター動物へ移植され得、この胚は誕
生に至り得る。相同的に組換えられたDNAがその生殖細胞中に宿る子孫は、そ
の動物のすべての細胞が導入遺伝子の生殖系列伝達によって相同的に組換えられ
たDNAを含む動物を繁殖するのに用い得る。相同的な組換えベクターの構築お
よび相同組換え動物の構築の方法は、さらにBradley(1991) Cu
rrent Opinion in Bio/Technology 2:82
3〜829ならびにPCT公開番号WO90/11354、WO91/0114
0、WO92/0968、およびにWO93/04169に記載される。
【0108】 別の実施態様において、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された
系を含むトランスジェニック非ヒト動物は、産生され得る。このような系の一つ
の例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。
cre/loxPリコンビナーゼ系の記述に関しては、例えばLaksoら(1
992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232〜
6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyc
es cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系(O’Gormanら(
1991) Science 251:1351〜1355)である。cre/
loxPリコンビナーゼ系が導入遺伝子の発現を調節するのに用いられるのなら
ば、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入
遺伝子を含む動物が、要求される。このような動物は、「二重の」トランスジェ
ニック動物の構築(例えば、一方が選択されたタンパク質をコードする導入遺伝
子を含み、他方がリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む二つのトランス
ジェニック動物を交配することによって)を通じて供給され得る。
【0109】 本明細書中に記載の非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wil
mutら(1997) Nature 385:810〜813ならびにPCT
公開番号WO97/07668およびWO97/07669に記載の方法によっ
て産生され得る。
【0110】 (IV 薬学的組成物) 本発明のTh2特異的核酸分子、Th2特異的タンパク質、および抗Th2特
異的抗体(本明細書中で「活性な化合物」としても言及する)は、投与に好適な
薬学的組成物中に組み込まれ得る。代表的には、このような組成物は、核酸分子
、タンパク質、または抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本明細書
中で用いられるような言葉「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的な投与に
適合性の任意およびすべての溶媒、分散媒(dispersion media
)、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張性の薬剤および吸収遅延剤、な
どを含むことを企図される。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および
薬剤の使用は、当該分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活
性な化合物と非適合性であるような場合を除いて、組成物におけるその使用は、
企図される。補足の活性な化合物もまた、この組成物中に組み込まれ得る。
【0111】 本発明の組成物は、本明細書中で述べられた任意の障害を処置するのに有用で
ある。この組成物は、治療的に有効な量で提供される。「治療的に有効な量」は
、所望の応答を調節しまたは所望の応答を引き起こすのに十分な量を企図する。
例えば、Th2応答が調節されるべきである場合、本発明の組成物の治療的に有
効な量は、Th2応答を調節するのに十分な量である。本明細書中で規定するよ
うに、タンパク質またはポリペプチドの治療的に有効な量(すなわち、有効な投
薬量)は、約0.001〜30mg/kg体重の範囲であり、好ましくは約0.
01〜25mg/kg体重、さらに好ましくは約0.1〜20mg/kg体重、
そしてずっとさらに好ましくは約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜
8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg体重の範囲である。
【0112】 当業者は、特定の因子(疾患または障害の重篤度、最近の処置、その被験体の
一般的な健康および/または年齢、および他の疾患の存在を含むがそれに限定さ
れない)が被験体を効果的に処置するのに要求される投薬量に影響を及ぼし得る
ことを認める。さらに、タンパク質、ポリペプチド、または抗体の治療的に有効
な量での被験体の処置は、単一の処置を含み得、または、好ましくは、一連の処
置を含み得る。好ましい例において、被験体は、約0.1〜20mg/kg体重
の間の範囲の抗体、タンパク質、またはポリペプチドを用いて、1〜10週間の
間にわたって、好ましくは2〜8週間、さらに好ましくは約3〜7週間、そして
さらにより好ましくは約4、5、または6週間にわたって一週間に一回で処置さ
れる。処置に用いられた抗体、タンパク質、またはポリペプチドの有効な投薬量
が、特定の処置の経過にわたって増加または減少し得ることもまた、理解される
。投薬量の変化が、生じ得、そして本明細書中に記載されるような診断的アッセ
イの結果から明らかになり得る。
【0113】 本発明は、発現または活性を調節する薬剤を含む。例えば、薬剤は、低分子で
あり得る。例えば、このような低分子は、ペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸
、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオ
チド、ヌクレオチドアナログ、一モル当たり約10,000グラム未満の分子量
を有する有機化合物または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機化合物および有機
金属化合物を含む)、一モル当たり約5,000グラム未満の分子量を有する有
機化合物または無機化合物、一モル当たり約1,000グラム未満の分子量を有
する有機化合物または無機化合物、一モル当たり約500グラム未満の分子量を
有する有機化合物または無機化合物、ならびにこのような化合物の塩、エステル
、および他の薬学的に受容可能な型を含むが、それに限定されない。
【0114】 低分子剤の適切な用量が当該分野の内科医、獣医師、または研究者の知識内の
多くの因子に依存することは、理解されている。低分子の用量は、例えば、処置
された被験体またはサンプルの個性、大きさおよび状態に依存して変動し、もし
適用可能ならば、組成物が投与されるべき経路にさらに依存して、そして本発明
の核酸またはポリペプチドに対する効果をこの低分子が有することを開業医が所
望するような効果にさらに依存して変動する。模範的な用量は、被験体またはサ
ンプルの重さ1kg当たりミリグラムまたはマイクログラムの量のこの低分子を
含む(例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約100μg/kg〜約
5mg/kg、または1μg/kg〜約50mg/kg)。低分子の適切な用量
が、調節される発現または活性に関するこの低分子の効力に依存するということ
は、さらに理解されている。このような適切な用量は、本明細書中に記載される
アッセイを用いて決定され得る。本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または
活性を調節するために一つ以上のこれらの低分子が動物(例えば、ヒト)に投与
されるべきである場合、内科医、獣医師、または研究者は、例えば、最初比較的
低い用量を処方し得、適切な応答が得られるまで引き続き用量を増加する。さら
に、任意の特定の動物被験体に対する特異的な用量レベルが、種々の因子(使用
した特定の化合物の活性、被験体の年齢、体重、一般的健康、性別、および食事
、投与の時間、投与の経路、排泄の割合、任意の薬物の組合せ、ならびに調節さ
れるべき発現の程度または活性の程度を含む)に依存することが理解されている
【0115】 本発明の薬学的組成物は、企図される投与の経路と適合されて処方される。投
与の経路の例は、非経口的(例えば、静脈内投与)、皮内投与、皮下投与、経口
(例えば、吸入)投与、経皮投与(局所的な)、経粘膜投与および直腸投与を含
む。非経口的、皮内的、または皮下的な適用に用いる溶液および懸濁液は、以下
の成分を含み得る:注射用水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌した希
釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤; アスコルビ
ン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸の
ようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝液および塩
化ナトリウムまたはデキストロースのような緊張(tonicity)調節剤。
pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いて調節し得る
。非経口的な調製物は、アンプル、使い捨てのシリンジ、またはガラス製または
プラスチック製の多回用量のバイアル中に封入され得る。
【0116】 注射用途に好適な薬学的組成物は、滅菌した水溶液(水溶性の)または分散お
よび滅菌した注射用溶液または分散の即時調製のための滅菌した粉末を含む。静
脈内の投与に関して、好適なキャリアは、生理食塩水、静菌性の水、Cremo
phor ELTM(BASF;Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝
化生理食塩水(PBS)を含む。すべての場合において、この組成物は、滅菌で
なければならなく、そして容易な注射可能性(syringability)が
存在する程度にまで液状であるべきである。この組成物は、製造および貯蔵の条
件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の混入作用
に逆らって保存されなければならない。このキャリアは、例えば、水、エタノー
ル、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポ
リエチレングリコール、など)、およびその好適な混合物を含む溶媒または分散
媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用
によって、分散の場合において要求される粒子の大きさの維持によって、および
界面活性物質の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌
剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコ
ルビン酸、チメロサール、など)によって達成され得る。多くの場合において、
組成物中に等張性剤(例えば、糖、マンニトールのようなポリアルコール、ソル
ビトール、塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注射用組成物の延長した吸
収は、吸収を遅延する薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラ
チン)を組成物中に含ませることによってもたらされ得る。
【0117】 滅菌した注射用溶液は、上に列挙された成分のひとつまたは組合せとともに、
活性な化合物(例えば、Th2特異的タンパク質または抗Th2特異的抗体)を
、適切な溶媒中に要求される量で組み込み、求められるならば、濾過滅菌するこ
とによって調製され得る。一般には、分散は、基本分散媒および上に列挙された
ものから要求される他の成分を含む滅菌されたビヒクルの中に活性な化合物を組
み込むことによって調製される。滅菌した注射用溶液の調製のための滅菌した粉
末の場合において、調製の好ましい方法は、以前に滅菌濾過されたその溶液から
活性な成分に加えて任意のさらに所望される成分の粉末を得る真空乾燥および凍
結乾燥である。
【0118】 一般には、経口的な組成物は、不活性の希釈液または食用のキャリアを含む。
これらは、ゼラチンカプセル中に封入され得るか、または錠剤に圧縮され得る。
経口的な治療的な投与の目的のために、この活性な化合物は、賦形剤とともに組
込まれ得、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形で用いられ得る。経口的
な組成物はまた、うがい薬のような使用のために液体のキャリアを用いて調製さ
れ得、ここでこの液体キャリア中の組成物は、経口的に適用され、そしてピュー
と音を立て(swish)、そして吐き出すかまたは飲み込まれる。薬学的に適
合性の結合剤、および/またはアジュバント物質は、組成物の一部として含まれ
得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、任意の以下の成分、または類似
の性質の化合物を含み得る:微結晶性のセルロース、トラガントゴム、またはゼ
ラチンのような結合剤;デンプンまたはラクトースのような賦形剤、アルギン酸
、プリモゲル(Primogel)、またはコーンスターチのような崩壊剤;ス
テアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterotes)のような滑沢剤
;コロイド状二酸化ケイ素のような滑面剤(glidant);スクロースまた
はサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、または
オレンジ香味料のような人工香味料。吸入による投与に関して、この組成物は、
加圧容器または好適な噴霧剤(例えば、二酸化炭素のような気体)を含むディス
ペンサー、または噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0119】 全身性の投与はまた、経粘膜的または経皮的手段により得る。経粘膜的または
経皮的投与に関して、障壁を浸透するのに適切な浸透剤(penetrant)
は、その処方物において用いられる。このような浸透剤は、一般には当該分野に
おいて公知であり、そして例えば、経粘膜的投与に関しては、界面活性剤、胆汁
酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、経鼻スプレーまたは坐剤
の使用を通じて達成され得る。経皮的な投与に関して、活性な組成物は、当該分
野において一般に公知の軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル
、またはクリームに処方される。この組成物はまた、直腸送達のための坐剤(例
えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤ベースと共に)ま
たは停留浣腸の形で調製され得る。
【0120】 一つの実施態様において、この活性な化合物は、移植物およびマイクロカプセ
ルに入れられた送達系を含む制御放出処方物のように、身体からの急激な排除か
ら化合物を保護するキャリアを用いて調製される。エチレンビニルアセテート、
ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ
乳酸のような、生分解性で生体適合性なポリマーが、用いられ得る。このような
処方物の調製の方法は、当業者に明らかである。この物質もまた、Alza C
orporationおよびNova Pharmaceuticals,In
cから商業的に入手され得る。リポソームの懸濁液(ウイルス抗原に対するモノ
クローナル抗体を含む感染した細胞に標的されるリポソームを含む)はまた、薬
学的に受容可能なキャリアとして用い得る。これらは、当業者に公知の方法(例
えば、米国特許第4,522,811号に記載のように)によって調製され得る
【0121】 投与の容易さまたは投薬の均一性のための投薬量単位の形式において、経口的
または非経口的組成物を処方することは、特に有利である。本明細書中において
用いるような投薬量単位の形式は、被験体が、要求される薬学的なキャリアと組
み合わせて、所望の治療的効果を生じるように計算された活性な化合物の、所定
の量を含む各々の単位で処置されるための単位投薬として好適な物理的に別個の
単位に言及する。疾患の型および重篤度に依存して、約1μg/kg〜約15m
g/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)の抗体は、例えば、一回以上に分
けた投与によるか、または連続する注入によるかのいずれであろうと、患者への
投与に関して最初の候補投薬量である。代表的な毎日の投薬量は、上述の因子に
依存して、約1μg/kg〜約100μg/kgまたはそれ以上の範囲であり得
る。状態に依存して、数日またはそれ以上にわたる反復投与に関して、所望の疾
患の症状の抑制が生じるまで、この処置は続けられる。しかし、他の投薬レジメ
ンが、有用であり得る。この治療の進行は、従来技術およびアッセイによって容
易にモニターされる。模範的な投薬レジメンは、WO94/04188に開示さ
れる。本発明の投薬量単位の形式に関する詳細は、以下によって指示され、そし
て以下に直接依存する:この活性な化合物の独特の特徴および達成される特定の
治療効果、ならびに個体の処置のためのこのような活性な化合物を調合する当該
分野に固有の制限。
【0122】 本発明の核酸分子は、ベクターに挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとし
て用い得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許
第5,328,470号)によって、または定位的な注射(例えば、Chenら
(1994) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:305
4−3057を参照のこと)によって被験体に送達され得る。遺伝子治療ベクタ
ーの薬学的調製物は、受容可能な希釈液中に遺伝子治療ベクターを含み得るか、
または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる遅延放出マトリックスを含み得る。あ
るいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞から無傷で産生され得る場合(
例えば、レトロウイルスベクター)、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する
一つ以上の細胞を含み得る。
【0123】 この薬学的組成物は、投与のための説明書と共に、容器、包装、またはディス
ペンサーに含まれ得る。
【0124】 (V 本発明の使用および方法) 本明細書中に記載の核酸分子、タンパク質、タンパク質ホモログ、および抗体
は、一つ以上の以下の方法において用い得る:(a)スクリーニングアッセイ;
(b)検出アッセイ(例えば、染色体のマッピング、組織のタイピング、法医生
物学);(c)予防医学(例えば、診断的アッセイ、予後的アッセイ、臨床試験
のモニタリング、および薬理遺伝学(pharmacogenomics));
および(d)処置の方法(例えば、治療的および予防的)。本発明の単離された
核酸分子は、Th2特異的タンパク質を発現する(例えば、遺伝子治療の適用に
おいて宿主細胞において組換え発現ベクターを介して)ために、Th2特異的m
RNA(例えば、生物学的サンプルにおいて)またはTh2特異的遺伝子中の遺
伝的損傷を検出するために、およびTh2特異的活性を調節するために用い得る
。さらに、Th2特異的タンパク質は、免疫応答を調節する薬物または化合物を
スクリーニングするために、およびTh2特異的タンパク質の不十分なまたは過
剰な産生、またはTh2特異的野生型タンパク質と比較して減少した活性または
異常な活性を有するTh2特異的タンパク質形態の産生によって特徴付けられた
障害を処置するために用いられ得る。さらに、本発明の抗Th2特異的抗体は、
Th2特異的タンパク質を検出および単離するのに用いられ得、そしてTh2特
異的活性を調節するのに用いられ得る。
【0125】 (A スクリーニングアッセイ) 本発明は、Th2特異的タンパク質に結合するまたは、例えば、Th2特異的
発現もしくはTh2特異的活性に対して刺激性効果もしくは抑制性効果を有する
モジュレーター、すなわち、候補化合物もしくは試験化合物または薬剤(例えば
、ペプチド、ペプチド分解性物、低分子、または他の薬物)を同定するための方
法(本明細書中において「スクリーニングアッセイ」とも呼ばれる)を提供する
【0126】 本発明の試験化合物は、当該分野において公知のコンビナトリアルライブラリ
ー法の任意の多数のアプローチ(生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能
な平行固相ライブラリーまたは液相ライブラリー、デコンボリューションを必要
とする合成ライブラリー法、「一ビーズ一化合物」ライブラリー法、およびアフ
ィニティクロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を含む)を用いて
得うる。この生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定
され、一方他の四つのアプローチは、化合物のペプチドライブラリー、非ペプチ
ドライブラリー、オリゴマーライブラリー、または低分子ライブラリーに適用可
能である(Lam(1997) Anticancer Drug Des.1
2:145)。
【0127】 分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該分野において見出され得る
。例えば、DeWittら(1993) Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 90:6909;Erbら(1994) Proc.Natl.A
cac.Sci.USA 91:11422、Zuckermannら(199
4).J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993) Sci
ence 261:1303;Carrellら(1994) Angew.C
hem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994
) Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;および
Gallopら(1994) J.Med.Chem.37:1233。
【0128】 化合物のライブラリーは、溶液中(例えばHoughten(1992) B
io/Techniques 13:412−421)、またはビーズ上(La
m(1991) Nature 354:82−84)、チップ上(Fodor
(1993) Nature 364:555−556)、細菌上(米国特許第
5,223,409号)、胞子上(米国特許第5,571,698号;同第5,
403,484号;および同第5,223,409号)、プラスミド上(Cul
lら(1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1
865−1869)、またはファージ上(ScottおよびSmith(199
0) Science 249:386−390;Devlin(1990)
Science 249:404−406;Cwirlaら(1990) Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6378−6382、およ
びFelici(1991) J.Mol.Biol.222:301−310
)に提示され得る。
【0129】 試験化合物がTh2特異的タンパク質に結合する能力を決定することは、例え
ば、試験化合物のTh2特異的タンパク質またはその生物学的に活性な部分への
結合が、複合体中の標識化合物を検出することによって決定され得るように、試
験化合物を放射性同位体または酵素的標識と連結することによって達成され得る
。例えば、試験化合物は、直接的または間接的のいずれかで125I、35S、14
、または3Hで標識され得、そして放射性同位体は放射性放出(radioem
mission)の直接計測によってまたはシンチレーション計測によって検出
され得る。さらに、試験化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アル
カリホスファターゼ、またはルシフェラーゼによって酵素的に標識され得、そし
てこの酵素的標識は、生成物への適切な基質の変換の決定によって検出され得る
【0130】 類似の様式において、Th2特異的標的分子へ結合するまたはTh2特異的標
的分子と相互作用するTh2特異的タンパク質の能力が決定され得る。「標的分
子」とは、Th2特異的タンパク質が天然に結合するまたは相互作用する分子を
意味する。好ましい実施態様において、Th2特異的標的分子へ結合するまたは
Th2特異的標的分子と相互作用するTh2特異的タンパク質の能力は、その標
的分子の活性をモニタリングすることによって決定され得る。例えば、その標的
分子の活性は、以下によってモニターされ得る:その標的の細胞性セカンドメッ
センジャー(例えば、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3、など)の
誘導を検出すること、適切な基質に対する標的の触媒的/酵素的活性を検出する
こと、レポーター遺伝子(例えば、検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラー
ゼ)をコードする核酸に作動可能に連結されたTh2特異的応答性調節エレメン
ト)の誘導を検出すること、または細胞性応答(例えば、細胞性分化もしくは細
胞増殖)を検出すること。
【0131】 さらに別の実施態様において、本発明のアッセイは、以下を含む無細胞アッセ
イである:Th2特異的タンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合
物と接触すること、およびTh2特異的タンパク質またはその生物学的に活性な
部分に結合する試験化合物の能力を決定すること。Th2特異的タンパク質への
試験化合物の結合は、上述のように直接的または間接的のいずれかで決定され得
る。好ましい実施態様において、アッセイは、以下を含む:Th2特異的タンパ
ク質またはその生物学的に活性な部分を、Th2特異的タンパク質を結合する公
知の化合物と接触し、アッセイ混合物を形成すること、アッセイ混合物を試験化
合物と接触すること、および公知の化合物と比較してTh2特異的タンパク質ま
たはその生物学的に活性な部分に優先的に結合する試験化合物の能力を決定する
こと。
【0132】 別の実施態様において、アッセイは、以下を含む無細胞アッセイである:Th
2特異的タンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触するこ
と、およびTh2特異的タンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調
節する(例えば、刺激するまたは阻害する)試験化合物の能力を決定すること。
Th2特異的タンパク質の活性を調節する試験化合物の能力を決定することは、
例えば、直接的な結合を決定するために上述のようなTh2特異的標的分子に結
合するTh2特異的タンパク質の能力を決定することによって達成され得る。代
替の実施態様において、Th2特異的タンパク質の活性を調節する試験化合物の
能力を決定することは、Th2特異的標的分子をさらに調節するTh2特異的タ
ンパク質の能力を決定することによって達成され得る。例えば、適切な基質に対
する標的分子の触媒的/酵素的活性は、先に記載されたように決定され得る。
【0133】 さらに別の実施態様において、この無細胞アッセイは以下を含む:Th2特異
的タンパク質またはその生物学的に活性な部分を、Th2特異的タンパク質に結
合する公知の化合物と接触させて、アッセイ混合物を形成すること、このアッセ
イ混合物を試験化合物と接触させること、Th2特異的標的分子に優先的に結合
するまたはTh2特異的標的分子の活性を調節する試験化合物の能力を決定する
こと。
【0134】 上述のアッセイにおいて、Th2特異的タンパク質またはその標的分子のいず
れかを固定化し、一方または両方のタンパク質の非複合体形態からの複合体形態
の分離を容易にすること、ならびにアッセイの自動化を適応することが望ましく
あり得る。一つの実施態様において、一方または両方のタンパク質がマトリック
スに結合することを可能にするドメインを加える融合タンパク質が、提供され得
る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/Th2特異的融合タンパ
ク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質は、グ
ルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、St.Lou
is、MO)上またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着
され得、次いでこれらは、試験化合物または試験化合物および吸着されなかった
標的タンパク質もしくは吸着されなかったTh2特異的タンパク質のいずれかと
組み合わせられ、そしてこの混合物は、複合体形成を誘導する条件下において(
例えば、塩およびpHについて生理的な条件において)インキュベートした。イ
ンキュベートに続いて、このビーズまたはマルチタイタープレートウェルは、任
意の非結合成分を取り除くために洗浄され、そして複合体形成は、例えば、上述
のように直接的または間接的のいずれかで測定される。あるいは、この複合体は
、マトリックスから分離され得、そしてTh2特異的結合または活性のレベルは
、標準技術を用いて決定され得る。
【0135】 タンパク質をマトリクス上に固定するための他の技術もまた、本発明のスクリ
ーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、Th2特異的タンパク質また
はその標的分子のいずれかは、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用
して固定化され得る。ビオチン化されたTh2特異的分子または標的分子は、当
該分野で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemic
als,Rockford,IL)を使用してビオチン−NHS(N−ヒドロキ
シ−スクシンイミド)から調製され、そしてストレプトアビジンをコートした9
6ウェルプレート(Pierce Chemicals)のウェル中に固定化さ
れ得る。あるいは、Th2特異的タンパク質または標的分子との抗体反応(しか
し、これは、その標的分子に対するTh2特異的タンパク質の結合を干渉しない
)は、このプレートのウェルに誘導体化され得、そして結合されない標的または
Th2特異的タンパク質は、抗体結合によってウェル中に捕捉され得る。GST
固定化複合体について上記に記載される方法に加えて、このような複合体を検出
するための方法は、Th2特異的タンパク質または標的分子との抗体反応を使用
する複合体の免疫検出、ならびにTh2特異的タンパク質または標的分子に関連
する酵素活性の検出に依存する酵素連結アッセイを含む。
【0136】 別の実施態様において、Th2特異的発現のモジュレーターは、細胞を候補化
合物に接触させて、そして細胞中のTh2特異的mRNAまたはTh2特異的タ
ンパク質の発現を、その候補化合物の非存在下での細胞中のTh2特異的mRN
AまたはTh2特異的タンパク質の発現と比較して決定する方法において同定さ
れる。発現が、候補化合物の非存在下より候補化合物の存在下でより大きい(統
計学的に有意により大きい)場合、この候補化合物は、Th2特異的mRNAま
たはTh2特異的タンパク質の発現の刺激因子として同定される。あるいは、発
現が、候補化合物の非存在下より候補化合物の存在下でより少ない(統計学的に
有意により少ない)場合、この候補化合物は、Th2特異的mRNAまたはTh
2特異的タンパク質の発現のインヒビターとして同定される。細胞中のTh2特
異的mRNAまたはTh2特異的タンパク質の発現レベルは、Th2特異的mR
NAまたはTh2特異的タンパク質を検出するための本明細書中に記載の方法に
よって決定され得る。
【0137】 本発明のなお別の局面において、Th2特異的タンパク質を、ツーハイブリッ
ドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283
,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;M
aduraら(1993)J.Biol.Chem.268:12046−12
054:Bartelら(1993)Bio Techniques 14:9
20−924;Iwabuchiら(1993)Oncogene 8:169
3−1696;およびPCT公開番号WO94/10300を参照のこと)にお
ける「ベイト(bait)タンパク質」として使用し、Th2特異的タンパク質
(「Th2特異的結合タンパク質」または「Th2特異的bp」)に結合するか
、またはそれと相互作用して、Th2特異的活性を調節する、他のタンパク質を
同定し得る。このようなTh2特異的結合タンパク質はまた、例えば、Th2特
異的経路の上流エレメントまたは下流エレメントとして、Th2特異的タンパク
質によるシグナル伝達に関与するようである。
【0138】 本発明はさらに、上記スクリーニングアッセイによって同定された新規薬剤お
よび本明細書中に記載のような処置のためのそれらの使用に関する。
【0139】 (B.検出アッセイ) 本明細書中に同定されたcDNA配列(および対応する完全遺伝子配列)の部
分またはフラグメントは、ポリヌクレオチド試薬として多くの方法において使用
され得る。例えば、これらの配列は、(1)染色体上のそれらの各遺伝子をマッ
ピングするため;(2)微量の生物学的サンプルから個体を同定(組織型決定)
するため;および(3)生物学的サンプルの法医学的同定を補助するために使用
され得る。これらの適用は、以下の小節に記載される。
【0140】 (1 染色体マッピング) 本発明の単離された完全または部分Th2特異的遺伝子配列を使用して、染色
体上のそれらの各Th2特異的遺伝子をマッピングし得、これによって、遺伝的
疾患に関連する遺伝子領域の位置付けを容易にする。Th2特異的配列のコンピ
ューター分析を使用して、ゲノムDNA中の1つのエキソンを超えてわたらない
PCRプライマー(好ましくは、15〜25bp長)を迅速に選択し得、これに
よって、増幅プロセスを単純化する。次いで、これらのプライマーを、個々のヒ
ト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用し得る
。Th2特異的配列に対応するヒト遺伝子を含むこれらのハイブリッドのみが、
増幅フラグメントを生じる。
【0141】 体細胞ハイブリッドは、異なる哺乳動物由来の体細胞(例えば、ヒトおよびマ
ウスの細胞)を融合することによって調製される。ヒトおよびマウスの細胞のハ
イブリッドが、増殖および分裂するにつれて、これらは徐々に、ランダムな順序
でヒト染色体を損失するが、マウス染色体は維持する。マウス細胞が(それらマ
ウス細胞が、特定の酵素を欠失するために)増殖し得ないが、ヒト細胞は増殖し
得る培地を使用することによって、その必要な酵素をコードする遺伝子を保持す
る1つのヒト染色体が、維持される。種々の培地を使用することによって、ハイ
ブリッド細胞株の集団を樹立し得る。ある集団の各細胞株は、単一のヒト染色体
または少数のヒト染色体のいずれか、および完全セットのマウス染色体を保持し
、特異的ヒト染色体への個々の遺伝子の容易なマッピングを可能にする(D’E
ustachioら(1983)Science 220:919−924)。
ヒト染色体のフラグメントのみを含む体細胞ハイブリッドはまた、転移および欠
失を有するヒト染色体を使用することによって生成され得る。
【0142】 Th2特異的配列をその染色体にマッピングするために同様に使用され得る他
のマッピングストラテジーとしては、インサイチュハイブリダイゼーション(F
anら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6
223−27)、標識化されてフロー識別された染色体の前スクリーニング、お
よび染色体特異的cDNAライブラリーへのハイブリダイゼーションによる前選
択が挙げられる。さらに、中期染色体スプレッドに対するDNA配列の蛍光イン
サイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用して、1工程で正確な染色
体位置を提供し得る。この技術の概論については、Vermaら、(1988)
Human Chromosomes:A Manual of Basic
Techniques(Pergamon Press,NY)を参照のこと。
FISH技術は、500または600塩基程度のDNA配列を用いて使用され得
る。しかし、1,000塩基より大きいクローンは、単純な検出のために十分な
シグナル強度を伴い、固有の染色体位置に、より結合するようである。好ましく
は、1,000塩基、そしてより好ましくは2,000塩基は、適度な時間で良
好な結果を得るのに十分である。
【0143】 染色体マッピングのための試薬は、単一の染色体またはその染色体の単一の部
位を印付けために個々に使用され得るか、または複数の試薬が、複数の部位およ
び/または複数の染色体を印付けするために使用され得る。実際に、遺伝子の非
コード領域に対応する試薬は、マッピング目的に好ましい。コード配列は、遺伝
子ファミリー内に保存されている傾向が強く、従って、染色体マッピングの間の
クロスハイブリダイゼーションの機会を増加させる。
【0144】 一旦、正確な染色体位置に配列がマッピングされると、その染色体上のその配
列の物理的位置が、遺伝子マップデータと相関付けられ得る(このようなデータ
は、例えば、V.McKusick,Mendelian Inheritan
ce in Man(John Hopkins University We
lch Medical Libraryを通じてオンラインで入手可能)に見
出される)。次いで、同じ染色体領域にマッピングされた、遺伝子と疾患との間
の関係が、例えば、Eglandら(1987)Nature 325:783
−787に記載される、連鎖解析(物理的に隣接する遺伝子の同時遺伝)によっ
て同定され得る。
【0145】 さらに、Th2特異的遺伝子に関連する疾患に罹患した個体と罹患していない
個体との間のDNA配列の差異を決定し得る。変異が、この罹患した個体のいく
らかまたは全てにおいて観察されるが、罹患していない個体のいずれにおいても
観察されない場合、この変異は、特定の疾患の原因因子でありそうである。罹患
した個体と罹患していない個体との比較は、一般に、染色体スプレッドから可視
的であるか、またはそのDNA配列に基づくPCRを使用して検出可能である、
染色体における構造変化(例えば、欠失または転移)を最初に探索する工程を含
む。最終的に、いくつかの個体由来の遺伝子の完全な配列決定を実行して、変異
の存在を確認し、そして多型由来の変異を区別し得る。
【0146】 (2.組織型決定) 本発明のTh2特異的配列はまた、微量の生物学的サンプルから個体を同定す
るために使用され得る。例えば、米軍は、その人物の同定のために制限フラグメ
ント長多型(RFLP)の使用を検討している。この技術において、個体のゲノ
ムDNAを、1以上の制限酵素で消化して、そしてサザンブロット上にプローブ
して同定のための固有のバンドを生じさせる。本発明の配列は、RFLP(米国
特許第5,272,057号に記載される)のためのさらなるDNAマーカーと
して有用である。
【0147】 さらに、本発明の配列は、個体のゲノムの選択された部分の実際の塩基ごとの
DNA配列を決定するための代替的技術を提供するために使用され得る。従って
、本発明のTh2特異的配列を使用して、この配列の5’末端および3’末端由
来の2つのPCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを使用
して、個体のDNAを増幅し、それに続きこのDNAを配列決定し得る。
【0148】 この様式で調製された、個体由来の対応するDNA配列の集団は、固有の個体
の同定を提供し得る。なぜなら、各個体は、対立遺伝子の差異に起因する、この
ようなDNA配列の固有のセットを有するからである。本発明のTh2特異的配
列は、ヒトゲノムの部分を固有に表示する。対立遺伝子変異は、これらの配列の
コード領域においてある程度、そして非コード領域においてより高い程度で生じ
る。個々のヒトの間の対立遺伝子変異は、各500塩基あたり約1回の頻度で生
じることが推定される。本明細書中に記載される配列の各々は、個体由来のDN
Aが同定目的のために比較され得るスタンダードとして、ある程度で、使用され
得る。配列番号1、3、5、7、9、11、13または15の非コード配列は、
その各々が100塩基の増幅された非コード配列を生じる10〜1,000プラ
イマーの集団を用いて、ポジティブな個体同定を快適に提供し得る。推定コード
配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13または15の配列)を
使用する場合、ポジティブな個体同定のためにより適切なプライマーの数は、5
00〜2,000である。
【0149】 (3.法医学的生物学における部分的なTh2特異的配列の使用) DNAに基づく同定技術もまた、法医学的生物学において使用され得る。この
様式において、PCR技術を使用して、組織(例えば、毛または皮膚)あるいは
体液(例えば、犯罪現場で見出された血液、唾液または精液)のような、非常に
少量の生物学的サンプルから採取されたDNA配列を増幅し得る。次いで、この
増幅された配列は、スタンダードと比較され得、それによってこの生物学的サン
プルの起源の同定を可能にする。
【0150】 本発明の配列は、ヒトゲノム中の特定の遺伝子座に標的化されるポリヌクレオ
チド試薬(例えば、PCRプライマー)を提供するために使用され得る。このポ
リヌクレオチド試薬は、例えば、特定の個体に固有の別の「同定マーカー」を提
供することによって、DNAに基づく法医学的同定の信頼性を増強し得る。上記
のように、実際の塩基配列情報が、制限酵素によって生成されたフラグメントに
よって形成されるパターンに対する、正確な代替物として、同定のために使用さ
れ得る。配列番号1、3、5、7、9、11、13または15の非コード領域に
標的化された配列は、より多数の多型がこの非コード領域中に存在し、この技術
を使用する個体の識別をより容易にするので、この用途に特に適切である。ポリ
ヌクレオチド試薬の例としては、Th2特異的配列またはその部分(例えば、少
なくとも20または30塩基の長さを有する、配列番号1、3、5、7、9、1
1、13または15のの非コード領域由来のフラグメント)が挙げられる。
【0151】 本明細書に記載されるTh2特異的配列はさらに、特定の組織を同定するため
のポリヌクレオチド試薬(例えば、標識されたプローブまたは標識可能なプロー
ブ(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション技術において使用され得る)
)を提供するために使用され得る。これは、法医学病理学者が、未知の起源の組
織に遭遇する場合に非常に有用であり得る。このようなTh2特異的プローブの
集団は、種および/または器官型によって組織を同定するために使用され得る。
【0152】 同様に様式で、これらの試薬(例えば、Th2特異的プライマーまたはプロー
ブ)は、組織培養物を混入についてスクリーニングするため(すなわち、培養物
中の異なる型の細胞の混合物の存在についてスクリーニングするため)に使用さ
れ得る。
【0153】 (C.予測的医学) 本発明はまた、予測的医学の分野に関し、ここで、診断アッセイ、予後アッセ
イ、薬物動態学、およびモニタリング臨床試験(trail)が、予後(予測的
)目的のために使用され、それによって個体を予防的に処置する。これらの適用
を、以下の小節に記載する。
【0154】 (1.診断アッセイ) 本発明の1つの局面は、生物学的サンプルの状況下での、Th2特異的タンパ
ク質および/またはTh2特異的核酸の発現、ならびにTh2特異的活性を検出
するための診断アッセイに関する。生物学的サンプル中のTh2特異的タンパク
質の存在または非存在を検出するための例示的方法は、試験被験体由来の生物学
的サンプルを得る工程、およびこの生物学的サンプルに、Th2特異的タンパク
質またはTh2特異的タンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノム
DNA)を検出し得る、化合物または薬剤を接触させる工程を包含し、その結果
、Th2特異的タンパク質の存在は、この生物学的サンプル中で検出される。こ
の試験被験体由来の生物学的サンプルを用いて得られる結果は、コントロール被
験体由来の生物学的サンプルを用いて得られる結果と比較され得る。
【0155】 Th2特異的mRNAまたはTh2特異的ゲノムDNAを検出するための好ま
しい薬剤は、Th2特異的mRNAまたはTh2特異的ゲノムDNAにハイブリ
ダイズし得る、標識された核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば、
全長Th2特異的核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13また
は15の核酸)またはその部分(例えば、少なくとも15、30、50、100
、250または500ヌクレオチド長であり、そしてストリンジェント条件下で
Th2特異的mRNAまたはTh2特異的ゲノムDNAに特異的にハイブリダイ
ズするのに十分である核酸分子)であり得る。本発明の診断アッセイにおける使
用のための他の適切なプローブは、本明細書中に記載される。
【0156】 Th2特異的タンパク質を検出するための好ましい薬剤は、Th2特異的タン
パク質に結合し得る抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗体である。抗体
は、ポリクローナルであり得るか、またはより好ましくは、モノクローナルであ
り得る。インタクトな抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(
ab’)2)が使用され得る。プローブまたは抗体に関して、用語「標識された
」とは、検出可能な基質をプローブまたは抗体にカップリングさせる(すなわち
、物理的に連結させる)ことによる、プローブまたは抗体の直接的標識、ならび
に直接的に標識される別の試薬との反応性による、プローブまたは抗体の間接的
標識を包含することが意図される。間接的標識の例としては、蛍光標識された二
次抗体を使用する一次抗体の検出、およびDNAプローブのビオチンでの末端標
識(その結果、これは、蛍光標識されたストレプトアビジンで検出され得る)が
挙げられる。
【0157】 用語「生物学的サンプル」とは、被験体から単離された組織、細胞および生物
学的体液、ならびに被験体内に存在する組織、細胞および体液を含むことが意図
される。つまり、本発明の検出方法を使用して、インビトロおよびインビボで、
生物学的サンプル中のTh2特異的mRNA、Th2特異的タンパク質またはT
h2特異的ゲノムDNAを検出し得る。例えば、Th2特異的mRNAの検出の
ためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサ
イチュハイブリダイゼーションが挙げられる。Th2特異的タンパク質の検出の
ためのインビトロ技術としては、酵素酵素結合イムノソルベント検定法(ELI
SA)、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が挙げられる。Th2特
異的ゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイ
ゼーションが挙げられる。さらに、Th2特異的タンパク質の検出のためのイン
ビトロ技術としては、被験体への標識された抗Th2特異的抗体の導入が挙げら
れる。例えば、この抗体は、放射性マーカーで標識され得、そのマーカーの被験
体における存在および位置が、標準的な画像化技術によって検出され得る。
【0158】 1つの実施態様において、この生物学的サンプルは、試験被験体由来のタンパ
ク質分子を含む。あるいは、この生物学的サンプルは、試験被験体由来のmRN
A分子または試験被験体由来のゲノムDNA分子を含み得る。好ましい生物学的
サンプルは、被験体から従来の手段によって単離された、末梢血白血球サンプル
である。
【0159】 本発明はまた、生物学的サンプル(試験サンプル)におけるTh2特異的タン
パク質の存在を検出するためのキットを包含する。このようなキットを使用して
、被験体が、Th2特異的タンパク質の異常な発現に関連する障害(例えば、免
疫学的障害)に罹患しているか、またはこのような障害を発症する危険性が増加
しているか否かを決定し得る。例えば、このキットは、生物学的サンプル中のT
h2特異的タンパク質またはTh2特異的mRNAを検出し得る、標識された化
合物または薬剤、およびそのサンプル中のTh2特異的タンパク質の量を測定す
るための手段(例えば、抗Th2特異的抗体、またはTh2特異的タンパク質を
コードするDNA(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13または1
5)に結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を備え得る。キットはまた、Th
2特異的タンパク質またはTh2特異的mRNAの量が、正常レベルより高いか
、または低い場合に、その試験された被験体は、Th2特異的配列の異常な発現
に関連する障害に罹患されるか、またはそのような障害の危険性があることを観
察するための説明書を備え得る。
【0160】 抗体に基づくキットについて、このキットは、例えば、以下を備え得る:(1
)Th2特異的タンパク質に結合する第1の抗体(例えば、固体支持体に付着さ
れる);そして必要に応じて(2)Th2特異的タンパク質または第1の抗体に
結合し、そして検出可能な薬剤に結合体化される、第2の、異なる抗体。オリゴ
ヌクレオチドに基づくキットについて、このキットは、例えば、以下を備え得る
:(1)Th2特異的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(例え
ば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド)、または(2)Th2特異的核
酸分子を増幅するために有用なプライマー対。
【0161】 このキットはまた、例えば、緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化剤を備
え得る。このキットはまた、検出可能な薬剤(例えば、酵素または基質)を検出
するために必要な成分を備え得る。このキットはまた、アッセイされ、そして含
まれる試験サンプルと比較され得る、コントロールサンプルまたは一連のコント
ロールサンプルを備え得る。キットの各成分は、通常、個々の容器内に封入され
、そしてこの種々の容器の全ては、試験された被験体が、Th2特異的タンパク
質の異常な発現に関連する障害に罹患されるか、またはそのような障害を発症す
る危険性があるか否かを観察するための説明書と共に、単一のパッケージ内にあ
る。
【0162】 (2.予後アッセイ) 本明細書中に記載の方法は、さらに、試験された被験体は、Th2特異的タン
パク質、Th2特異的核酸発現またはTh2特異的活性に関連する疾患または障
害を罹患するか、またはそのような疾患または障害を発症する危険性がある被験
体を同定するための、診断アッセイまたは予後アッセイとして利用され得る。予
後アッセイは、予防目的または予測目的のために使用されて、Th2特異的タン
パク質、Th2特異的核酸発現、またはTh2特異的活性によって特徴付けられ
るか、またはそれらに関連する障害の発症前に、個体を予防的に処置し得る。
【0163】 従って、本発明は、試験サンプルを被験体から得て、そしてTh2特異的タン
パク質またはTh2特異的核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する
方法を提供し、ここで、Th2特異的タンパク質またはTh2特異的核酸の存在
は、異常なTh2特異的発現または活性に関連する疾患または障害を罹患するか
、またはそれらの発症する危険性のある被験体について診断的である。本明細書
中で使用される場合、「試験サンプル」とは、目的の被験体から得られた生物学
的サンプルをいう。例えば、試験サンプルは、生物学的体液(例えば、血清)、
細胞サンプル、または組織であり得る。
【0164】 さらに、本明細書中に記載される予後アッセイを使用して、本発明は、被験体
が、特定の薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タン
パク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬物候補物)または薬剤のクラス
(例えば、Th2特異的活性を減少させる型の薬剤)を投与されて、異常なTh
2特異的発現またはTh2特異的活性に関連する、疾患または障害を効果的に処
置し得るか否かを決定するための方法を提供する。この様式において、試験サン
プルを得て、そしてTh2特異的タンパク質またはTh2特異的核酸を検出する
。Th2特異的タンパク質またはTh2特異的核酸の存在は、その薬剤が投与さ
れて、異常なTh2特異的発現またはTh2特異的活性に関連する障害を処置さ
れ得る被験体について診断的である。
【0165】 本発明の方法はまた、Th2特異的遺伝子における遺伝子損傷または遺伝子変
異を検出し、それによって、その損傷遺伝子を有する被験体は、異常な細胞増殖
および/または細胞分化によって特徴付けられる障害の危険性があるか否かを決
定するために使用され得る。好ましい実施態様において、この方法は、被験体由
来のサンプルまたは細胞において、Th2特異的タンパク質をコードする遺伝子
の完全性、またはTh2特異的遺伝子の誤発現をもたらす、少なくとも1つの変
化によって特徴付けられる、遺伝子損傷または遺伝子変異の存在または非存在を
検出する工程を包含する。例えば、このような遺伝子損傷または遺伝子変異は、
以下の少なくとも1つの存在を確認することによって検出され得る:(1)Th
2特異的遺伝子からの1以上のヌクレオチドの欠失;(2)Th2特異的遺伝子
に対する1以上のヌクレオチドの付加;(3)Th2特異的遺伝子の1以上のヌ
クレオチドの置換;(4)Th2特異的遺伝子の染色体再構成;(5)Th2特
異的遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルの変化;(6)Th2特異的
遺伝子の異常な改変(例えば、ゲノムDNAのメチル化パターンの異常な改変)
;(7)Th2特異的遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライ
シングパターンの存在;(8)非野生型レベルのTh2特異的タンパク質;(9
)Th2特異的遺伝子の対立遺伝子欠失;および(10)Th2特異的タンパク
質の不適切な翻訳後修飾。本明細書中に記載されるように、Th2特異的遺伝子
における損傷を検出するために使用され得る、当該分野で公知の多くのアッセイ
技術が存在する。Th2特異的タンパク質が発現される、任意の細胞型または組
織(好ましくは、末梢血白血球)は、本明細書中に記載される予後アッセイにお
いて利用され得る。
【0166】 特定の実施態様において、損傷の検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(
例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号を参
照のこと)(例えば、アンカーPCRまたはRACE PCR)、あるいはリガ
ーゼ(ligation)連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら
(1988)Science 241:1077−1080;およびNakaz
awaら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:
360−364を参照のこと)における、プローブ/プライマーの使用を含む。
この後者は、Th2特異的遺伝子における点変異を検出するために特に有用であ
り得る(例えば、Abravayaら(1995)Nucleic Acids
Res.23:675−682を参照のこと)。PCRおよび/またはLCR
は、本明細書中に記載の変異を検出するために使用される技術のいずれかと組み
合わせて、予備的増幅工程として使用するために所望され得る。
【0167】 代替的増幅方法としては、自己持続性配列複製(self sustaine
d sequence replication)(Guatelliら(19
90)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−18
78)、転写増幅系(Kwohら(1989)Pro.Natl.Acad.S
ci.USA 86:1173−1177)、Q−Beta Replicas
e(Lizardiら(1988)Bio/Technology 6:119
7)または任意の他の核酸増幅方法、それに続く、当業者に周知の技術を使用す
るその増幅された分子の検出が挙げられる。これらの検出スキームは、核酸分子
が、非常に低量で存在する場合に、そのような分子の検出に特に有用である。
【0168】 代替的実施態様において、サンプル細胞由来のTh2特異的遺伝子における変
異は、1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化された単離された試験サンプルお
よびコントロールDNAの制限酵素切断パターンにおける変化によって同定され
得る。さらに、配列特異的リボザイムの使用(例えば、米国特許第5,498,
531号を参照のこと)を使用して、リボザイム切断部位の発生または損失によ
る特異的変異の存在についてスコア付けし得る。
【0169】 他の実施態様において、Th2特異的分子における遺伝子変異は、サンプル核
酸およびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)を数百または数千の
オリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイ(Croninら(1996)
Human Mutation 7:244−255;Kozalら(1996
)Nature Medicine 2:753−759)にハイブリダイズさ
せることによって同定され得る。なお別の実施態様において、当該分野で公知の
任意の種々の配列決定反応を使用して、Th2特異的遺伝子を直接的に配列決定
し、そしてサンプルのTh2特異的遺伝子の配列を対応する野生型(コントロー
ル)配列と比較することによって変異を検出し得る。配列決定反応の例としては
、MaximおよびGilbert((1997)Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 74:560)またはSanger((1997)Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463)によって開発され
た技術に基づく配列決定反応が挙げられる。任意の種々の自動配列決定手順が、
質量分析法による配列決定(例えば、PCT公開番号WO94/16101;C
ohenら(1996)Adv.Chromatogr.36:127−162
;およびGriffinら(1993)Appl.Biochem.Biote
chnol.38:147−159を参照のこと)を含む、診断アッセイ((1
995)Bio/Techniques 19:448)を実施する場合に使用
され得ることもまた意図される。
【0170】 Th2特異的遺伝子における変異を検出するための他の方法としては、切断剤
からの保護を使用して、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖にお
けるミスマッチ塩基を検出する方法(Myersら(1985)Science
230:1242)が挙げられる。Cottonら(1988)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 85:4397;Saleebaら(19
92)Methods Enzymol.217:286−295もまた参照の
こと。好ましい実施態様において、コントロールのDNAまたはRNAが、検出
のために標識され得る。
【0171】 さらに別の実施態様において、ミスマッチ切断反応は、1以上の「DNAミス
マッチ修復」酵素を使用し、これらの酵素は、細胞のサンプルから得られたTh
2特異的cDNAにおける点変異を検出およびマッピングするための規定された
系において、二本鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する。例えば、Hsuら
(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662を参照
のこと。例示的な実施態様に従って、Th2特異的配列(例えば、野生型Th2
特異的配列)に基づくプローブを、試験細胞由来のcDNAまたは他のDNA産
物にハイブリダイズさせる。この二重鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理し、
そして、もし存在する場合に、この切断産物を電気泳動プロトコルなどから検出
し得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
【0172】 他の実施態様において、電気泳動移動度における変化を使用して、Th2特異
的遺伝子における変異を同定する。例えば、一本鎖配座多型(single−s
trand conformation polymorphism)(SSC
P)を使用して、変異体核酸と野生型核酸との間の電気泳動移動度における差異
を検出し得る(Oritaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 86:2766;またCotton(1993)Mutat.Re
s.285:125−144;Hayashi(1992)Genet.Ana
l.Tech.Appl.9:73−79を参照のこと)。このアッセイの感度
は、(DNAよりむしろ)RNAを使用することによって増強され得、ここで、
その二次構造が、配列における変化に対してより感受性である。好ましい実施態
様において、この方法は、ヘテロ二重鎖分析を利用して、電気泳動移動度におけ
る変化に基づく二本鎖へテロ二重鎖分子を分離する(Keenら(1991)T
rends Genets.7:5)。
【0173】 なお別の実施態様において、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲル中の
変異体または野生型のフラグメントの移動は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE
)(Myersら(1985)Nature 313:496)を使用してアッ
セイされる。DGGEが分析方法として使用される場合、DNAは、例えば、P
CRによって高い融解性のGCリッチなDNAの約40pのGCクランプを付加
することによって、DNAが完全には変性しないことを確証するように修飾され
る。さらなる実施態様において、温度勾配を、変性勾配の代わりに用いて、コン
トロールDNAおよびサンプルDNAの移動度における差異を同定する(Ros
enbaumおよびReissner(1987)Biophys.Chem.
265:12753)。
【0174】 点変異を検出するための他の技術の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハ
イブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長が挙げられる
が、これらに限定されない。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、既知の
変異が中央に配置され、次いで完全な一致が見出される場合のみにハイブリダイ
ゼーションを可能にする条件下で標的DNAにハイブリダイズされるように調製
され得る(Saikiら(1986)Nature 324:163;Saik
iら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:62
30)。このような対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオ
チドが、ハイブリダイズしているメンブランに付着され、そして標識化標的DN
Aとハイブリダイズされる場合に、PCR増幅される標的DNA、または多数の
異なる変異体にハイブリダイズされる。
【0175】 あるいは、対立遺伝子特異的増幅技術は(これは、選択的PCR増幅に依存す
る)本発明と共に用いられ得る。特異的増幅のためのプライマーとして用いられ
るオリゴヌクレオチドは、分子の中央において目的の変異を実施し得、その結果
、増幅は、示差的ハイブリダイゼーション(Gibbsら、(1989)Nuc
leic Acids Res.17:2437−2448)、または適切な条
件下で、ミスマッチがポリメラーゼ伸長を防止もしくは減少させ得る(Pros
sner(1993)Tibtech 11:238)、1つのプライマーのい
ちばん端の3’末端に依存する。さらに、変異の領域に新規の制限部位を導入し
て、切断に基づく検出を作り出すことが好適であり得る(Gaspariniら
(1992)Mol.Cell.プローブ6:1)。特定の実施態様において、
増幅はまた、増幅のためのTaqリガーゼを用いて行われ得ることが予測される
(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
88:189)。このような場合において、連結は、5’配列の3’末端での完
全一致が存在し、特定の部位での既知の変異の存在を、増幅の存在または非存在
を探すことによって検出可能にする場合にのみ生じる。
【0176】 本明細書中に記載される方法は、例えば、本明細書中に記載される少なくとも
1つのプローブ核酸または抗体試薬を含むパッケージ化された診断キットを利用
することによって、行われ得る。このキットは、例えば、臨床的設定において、
Th2−特異的遺伝子に関する疾患もしくは疾病の症状または家族歴を示す患者
を診断するために、都合良く使用され得る。 (薬理遺伝学) 本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定されるような、
TH2−特異的活性(例えば、Th2−特異的遺伝子発現)に対する刺激または
阻害効果を有する試薬もしくはモジュレーターは、個体に投与されて、異常なT
h2−特異的活性と関連する(予防的または治療的)障害を処置し、かつ免疫応
答の表現型を調節し得る。このような処置と共に、薬理遺伝学(すなわち、個体
の遺伝子型の間の関連性、および外来の化合物もしくは薬物に対する個体の応答
の間の関連性の研究)が、考察され得る。治療薬の代謝における差異は、薬理学
的に活性な薬物の用量と血中濃度との間の関連性を変化させることによって、重
篤な毒性または治療的失敗を引き起こし得る。従って、個体の薬理遺伝学は、個
体の遺伝子型の考察に基づいて、予防的または治療的な処置のための有効な薬剤
(例えば、薬物)の選択を可能にする。このような薬理遺伝学をさらに用いて、
適切な投薬量および治療法を決定し得る。従って、個体における、Th2−特異
的タンパク質の活性、Th2−特異的核酸の発現、またはTh2−特異的遺伝子
の変異量を決定して、それによって個体の治療的または予防的な処置のための適
切な薬剤を選択する。
【0177】 薬理遺伝学は、罹患した人における薬物蓄積および異常な作用を変化させるこ
とにより、薬物に対する応答における臨床的に有意な遺伝的変動を扱う。例えば
、Linder(1997)Clin.Chem.43(2):254−266
を参照のこと。一般に、2つの型の薬理遺伝的状態は異なり得る。身体に対する
薬物作用の様式を変化させる単一の因子として伝えられる遺伝状態は、「変化さ
れた薬物作用」といわれる。薬物に対する身体作用の様式を変化させる単一の因
子として薬物伝えられる遺伝状態は、「変化した薬物代謝」といわれる。これら
の薬理遺伝的状態は、まれな欠損または多型のいずれかとして生じ得る。例えば
、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症(G6PD)は、一般的な遺
伝酵素病である。この主な臨床的合併症は、酸化薬物(抗マラリア剤、スルホン
アミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの消費の後の溶血である
【0178】 例示的な実施態様として、酵素を代謝する薬物の活性は、薬物作用の効力およ
び持続時間の両方の主な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチル
トランスフェラーゼ2(NAT2)、ならびにシトクロムP450酵素のCYP
2D6およびCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、何人かの患者が、薬物の
標準的かつ安全な用量を得た後に、予想される薬物効果を得ないか、または悪化
した薬物応答および重篤な毒性を示す理由に関しての説明を提供した。これらの
多型は、集団における2つの表現型(高代謝群(high metaboliz
er)(EM)および低代謝群(PM)(poor metabolizer)
)で表される。PMの罹患率は、種々の集団について異なる。例えば、CYP2
D6をコードする遺伝子は、高度な多型であり、かついくつかの変異がPMにお
いて同定されており、これは、全て機能的CYP2D6の非存在を導く。CYP
2D6およびCYP2C19の低代謝群は、それらが、標準的な用量を受ける時
に、悪化した薬物応答および副作用を、きわめて頻繁に経験する。代謝産物が、
活性な治療用分子である場合、PMは、そのCYP2D6型代謝産物であるモル
ヒネによって媒介されるコデインの鎮痛効果について実証されるような、治療的
応答を示さない。他の極端なものは、いわゆる、標準的な用量に応答しない超迅
速代謝群(ultra−rapid metabolizer)である。最近、
超迅速代謝の分子的な基礎は、CYP2D6遺伝子増幅によるものであることが
確認された。
【0179】 従って、個体における、Th2−特異的タンパク質の活性、Th−2特異的核
酸の発現、Th−2特異的遺伝子の変量を決定して、それによって個体の治療的
または予防的な処置のための適切な薬剤を選択し得る。さらに、薬理遺伝的研究
を用いて、個体の薬物応答性表現型の同定に、薬物代謝酵素をコードする多型対
立遺伝子の遺伝子型決定を適用し得る。この知見は、投薬または薬物の選択に適
用する場合に、有害な反応または治療的失敗を避け得、従って被検体をTh2−
特異的モジュレーター(例えば、本明細書中に記載される例示的スクリーニング
アッセイの1つによって同定されるモジュレーター)を用いて処置する場合に、
治療的または予防的な効果を増大させる。 (4.臨床試験の間の効果のモニタリング) TH2−特異的遺伝子の発現または活性に対する薬剤(例えば、薬物、化合物
)の影響(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を調節する能力)をモニ
ターすることは、基本的薬物スクリーニングにおいてのみならず、臨床試験にお
いても適用され得る。例えば、Th−2特異的遺伝子発現、タンパク質レベル、
またはタンパク質活性を、増大または低下させることに対する、本明細書中に記
載されるようなスクリーニングアッセイによって決定されるような、薬剤の有効
性は、低下または増大したTh−2特異的遺伝子発現、タンパク質レベル、もし
くはタンパク質活性を示す被検体の臨床試験においてモニターされ得る。このよ
うな臨床試験において、Th−2特異的発現または活性、および好ましくは、例
えば、細胞増殖障害に関与する他の遺伝子の発現または活性は、特定の細胞の免
疫応答性のマーカーとして用いられ得る。
【0180】 例えば、そして限定を意味しないが、Th2−特異的活性を調節する薬剤(例
えば、化合物、薬物、または低分子)での処理によって細胞において調節される
遺伝子が、(例えば、本明細書中に記載されているスクリーニングのアッセイに
おいて同定されるように)同定され得る。従って、細胞増殖障害に対する薬剤の
効果を研究するために、例えば、臨床試験において、細胞は、単離され得、そし
てRNAが調製され、そしてTh2−特異的遺伝子、およびこの障害に関与する
他の遺伝子の発現のレベルについて分析される。遺伝子発現のレベル(すなわち
、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に記載されるような、ノーザンブロット
分析もしくはRT−PCRによって定量され得るか、あるいは産生されるタンパ
ク質の量を測定することによって、本明細書中に記載されるような方法の1つに
よって、またはTh2−特異的遺伝子もしくは他の遺伝子のレベルを測定するこ
とによって、定量され得る。この方法において、遺伝子発現パターンは、薬剤に
対する細胞の生理学的応答を示す、マーカーとして役立ち得る。従って、この応
答状態は、薬剤での個体の処置の前、およびその間の様々な時点で測定され得る
【0181】 好ましい実施態様において、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴ
ニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または本明細
書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される他の薬物候補)で
の被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法を提供する。この方法は
、(1)薬剤の投与の前に被検体由来の投与前サンプルを得る工程;(2)投与
前サンプルにおいて、Th2−特異的タンパク質、mRNA、もしくはゲノムD
NAの発現のレベルを検出する工程;(3)被検体由来の1つ以上の投与前サン
プルを得る工程;(4)投与後のサンプルにおいてTh−2特異的タンパク質、
mRNA、もしくはゲノムDNAの発現もしくは活性のレベルを検出する工程;
(5)投与後のサンプルにおけるTh2−特異的タンパク質、mRNA、ゲノム
DNAと、投与前サンプルにおけるTh2−特異的タンパク質、mRNA、ゲノ
ムDNAの発現もしくは活性のレベルを比較する工程;ならびに(iv)被験体
への薬剤の投与を変化させて、結果的に所望の効果(すなわち、例えば、Th2
−特異的タンパク質の発現または活性の増加もしくは減少)をもたらす工程、を
包含する。 (C.処置の方法) 本発明は、異常なTh2−特異的発現または活性と関連する障害の危険性のあ
る(もしくは障害に感受性である)、またはその障害を有する、被検体を処置す
る予防的および治療的な方法の両方を提供する。さらに、本発明の組成物は、T
リンパ球応答を調節することにおける用途を見出す。従って、免疫障害および呼
吸障害に対する療法は、本明細書中に包含される。 (1.予防法) 1つの局面において、本発明は、Th2−特異的発現、または少なくとも1つ
のTh2−特異的遺伝子活性を調節する薬剤を被験体に投与することによって、
異常なTh2−特異的発現もしくは活性と関連する疾患または状態を、患者にお
いて防止する方法を提供する。異常なTh2−特異的発現もしくは活性によって
、引き起こされるか、または異常なTh2−特異的発現もしくは活性に寄与する
、疾患の危険性のある被検体は、例えば、本明細書中ようなアッセイを診断また
は予防のアッセイのいずれか、もしくは組合せによって同定され得る。予防的薬
剤の投与は、Th2−特異的異常性の特徴的な症状の徴候の前に起こり、その結
果疾患または障害は、その進行において予防され得るか、または遅らされ得る。
Th2−特異的異常性の型に依存して、例えば、Th2−特異的アゴニストまた
はTh2−特異的アンタゴニストは、被検体を処置するために用いれられ得る。
適切な薬剤は、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイに基づいて、決
定され得る。 (2.治療法) 本発明の別の局面は、治療目的のためのTH2−特異的な発現または活性を調
節する方法に関する。本発明の調節方法は、細胞と関連するTh2−特異的タン
パク質活性の1つ以上の活性を調節する薬剤と、細胞とを接触させる工程を包含
する。Th2−特異的タンパク質活性を調節する薬剤は、本明細書中に記載され
る薬剤(例えば、核酸もしくはタンパク質、Th2−特異的タンパク質の天然に
存在する同族リガンド、ペプチド、Th2−特異的ペプチド模倣物、または他の
低分子)であり得る。1つの実施態様において、この薬剤は、Th2−特異的タ
ンパク質の生物学的活性の1つ以上を刺激する。このような刺激性薬剤の例とし
ては、活性なTh2−特異的タンパク質および細胞に導入されたTh2−特異的
タンパク質をコードする核酸分子が挙げられる。別の実施態様において、この薬
剤は、Th2−特異的タンパク質の生物学的活性の1つ以上を阻害する。このよ
うな阻害性薬剤の例としては、アンチセンスTh2−特異的核酸分子および抗T
h2−特異的抗体が挙げられる。
【0182】 これらの調節効果は、(例えば、この薬剤で細胞を培養することによって)イ
ンビトロで、あるいは(例えば、被検体にこの薬剤を投与することによって)イ
ンビトロで行われ得る。このように、本発明は、Th2−特異的なタンパク質ま
たは核酸分子の異常な発現もしくは活性によって特徴付けられる疾患または障害
に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施態様において、本方法は
、Th2−特異的な発現または活性を調節する(例えば、アップレギュレートす
るか、もしくはダウンレギュレートする)、薬剤(例えば、本明細書中に記載さ
れるスクリーニングアッセイによって同定される薬剤)、または薬剤の組合せを
投与することを包含する。別の実施態様において、本方法は、治療としてTh2
−特異的なタンパク質または核酸を投与して、低下したまたは異常なTh2−特
異的な発現もしくは活性を補償することを包含する。
【0183】 Th2−特異的活性の刺激は、Th2−特異的タンパク質が異常にダウンレギ
ュレートされる状況、および/または増大したTh2−特異的活性が有益な効果
を有するようである状況において望ましい。対照的に、Th2−特異的活性の阻
害は、Th2−特異的活性が異常にアップレギュレートされる状況、および/ま
たは低下したTh2−特異的活性が有益な効果を有するようである状況において
望ましい。
【0184】 本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。これは限定として解釈さ
れるべきではない。
【0185】 (実施例) T細胞活性化のインビトロおよびインビボ研究は、MHC−II/ペプチド複
合体によってT細胞レセプター(TCR)に送達されるシグナルに加えて、抗原
提示細胞(APC)による同時刺激シグナルは、完全な免疫活性化のために重要
であり、このシグナルの非存在は、頓挫性の免疫応答を生じるという、広く受け
入れられる仮説を導いた(Schwartz(1990)Science 49
61:1349−56)。休止T細胞に送達される最も重要な同時刺激シグナル
は、B7分子によるCD28結合の際に生じる(Jenkinsら(1991)
J.Immunol.8:2461−6;Hardingら、(1992)Na
ture 6370:607−9)。CD28と対照的に、このファミリーの分
子の第2のメンバーであるCTLA−4は、CD28媒介同時刺激に対抗して、
活性化T細胞に負のシグナルを送達する(Walunasら(1994)Imm
unity 1(5):405−413)。
【0186】 最近のインビトロでの実験は、CD28/B7媒介同時刺激への依存性は、T
細胞の抗原性経験により非常に影響されることを示唆した。従って、ナイーブな
CD4+T細胞は、IL−2産生およびクローン増殖のためのCD28媒介シグ
ナル伝達を必要とする(Sederら(1994)J.Exp.Med.1:2
99−304;McKnightら(1994)J.Immunol.11:5
220−5)が、最近の活性化Tヘルパーサブセットの最適な活性化は、CD2
8連結とは無関係に生じる(SchweitzerおよびSharpe(199
8)J.Immunol 6:2762−71)。さらに、CD28刺激は、イ
ンビトロで、Th2表現型への分化を促進することが報告されている(Ruli
fsonら(1997)J.Immunol.15:658−65)が、CD2
8遺伝子標的化マウスにおいて行われる研究は、少なくともいくつかの環境下で
、正常なTh2エフェクター免疫応答が生成され得ることが実証されており、こ
のことは他の同時刺激シグナルはTh2エフェクター機能に重要であることを示
唆する(Brownら(1996)J.Exp.Med.3:803−10;G
auseら(1997)J.Immunol.158:4082−7;Wuら(
1998)J.Exp.Med.187:1151−1156)。
【0187】 Tヘルパーエフェクター細胞の同時刺激因子として機能し得る新規の候補遺伝
子を同定する試みにおいて、活性化マウスのTh1クローン対Th2クローン由
来の差し引きライブラリーを作成した。マウスのTh2 mRNA対Th1 m
RNAにおいて、差し引きハイブリダイゼーション−PCRアプローチを用いて
、Tヘルパー細胞のTh2サブセットにおいて示差的に発現される3つの新規の
ヒト遺伝子に対するマウスオルソログを同定した。第1のこれらのオルソログで
あるm1419は、CD3/TCR活性化Th2細胞において過剰発現される3
.6Kbの転写物(配列番号1に示されるcDNAセットに対応する)をコード
する。この転写物のオープンリーディングフレーム(ヌクレオチド126−13
04)は、予想される329アミノ酸である42.8kDaタンパク質(配列番
号2)をコードする。ヌクレオチドおよびタンパク質データベースの検索は、m
1419 cDNAが新規であることを示した。検出された唯一の有意な相同性
は、Caenorhabditis elegans配列(GenBank登録
番号AAB00590;FultonおよびGattung(1994)Nat
ure 368:32−38;Waterston,R.,Direct Su
bmission,1996年5月19日、Genome Sequencin
g Center,Department of genetics,Wash
ington University,St.Louis,MO,63110
USA)に対するものであった。m1419についてのアミノ酸配列は、これら
のC.elegans配列の1つの推定の翻訳物と140アミノ酸にわたって約
40%の同一性を示した。対応するヒトTh2−特異的遺伝子であるh1419
(配列番号15)についてのcDNA(3.9Kb転写物に対応する)を単離し
た;このcDNAのオープンリーディングフレーム(ヌクレオチド325−14
79)は、348アミノ酸タンパク質(配列番号16)をコードする。
【0188】 第2のこれらのマウスオルソログであるm1022は、2つの転写物をコード
する(より短い1.6Kb形態(配列番号3に示すcDNAに対応する)および
より長い4.4Kb形態(配列番号5に示すcDNAに対応する))。これらは
、CD3/TCR活性化Th2細胞において過剰発現される。これらの配列は、
それらの3’非翻訳領域においてのみ異なり、ここで、より短い形態は、より長
い形態のヌクレオチド1〜1587に対応する。両転写物のオープンリーディン
グフレーム(ヌクレオチド36〜1430)は、464アミノ酸の54.2KD
aタンパク質(配列番号4および6)をコードする。これは、Trypanos
oma brucei由来のDNAポリメラーゼのαコアサブユニット(Lee
gwater,Direct Submission,1991年7月19日、
International Laboratory for Researc
h on Animal Disease,私書箱30709、Nairobi
,Kenya;Leegwaterら(1991)Nucleic Acids
Res.19:6411−6447)をコードする、GenBank登録番号
CAA43286と相同である(60アミノ酸重複にわたって、48.3%の同
一性;図1を参照のこと)。対応するヒトTh2−特異的遺伝子であるh102
2(配列番号13)についてのcDNA(1.8Kb転写物に対応する)を単離
した;このcDNAのオープンリーディングフレーム(ヌクレオチド57〜15
02)は、481アミノ酸タンパク質(配列番号14)をコードする。
【0189】 第3のマウスオルソログであるm1228は、2つの転写物をコードする(よ
り短い2.1Kb形態(配列番号7に示すcDNAに対応する)およびより長い
3.3Kb形態(配列番号9に示すcDNAに対応する))。これらは、CD3
/TCR活性化Th2細胞において過剰発現される。これらの配列は、それらの
3’非翻訳領域においてのみ異なり、ここで、より短い形態は、より長い形態の
ヌクレオチド1〜2080に対応する。両転写物のオープンリーディングフレー
ム(ヌクレオチド40〜642)は、予測された200アミノ酸の22.7KD
aタンパク質(配列番号8および10)をコードする。ヒトTh2−特異的遺伝
子に対応するcDNA(2.7 Kb転写物に対応する)であるh1228(配
列番号11)を単離した;このcDNAのオープンリーディングフレーム(ヌク
レオチド115711)(配列番号12)は、198アミノ酸タンパク質をコー
ドする。h1228タンパク質および対応するm122タンパク質は、Igスー
パーファミリーメンバーである。これは、それらの全長アミノ酸配列にわたって
、69%の同一性を共有する。
【0190】 予想されるh1228およびm1228 タンパク質は、ヒトならびにマウス
のCD28およびCTLA−4の両方と相同性を共有する(図2を参照のこと)
。h1228配列は、CD28と33%の同一性、およびhCTLA−4と26
%の同一性を共有する。マウスオルソログm1228は、mCD28と36.5
%の同一性およびmCTLA−4と38.5%の同一性を共有する。m1228
のヒトホモログは、最近ICOS(CD28/CTLA−4ファミリーの第3の
メンバー)と命名されている(Hutloffら(1999)Nature 6
716:263)。m1228遺伝子およびタンパク質は、このように、以下の
実施例6においてmICOSとも呼ばれている。m1228およびh1228の
アミノ酸配列の試験は、4つの保存されたシステイン残基を示した(配列番号8
および10の、アミノ酸残基42、63、83、および137;配列番号12の
、アミノ酸残基41、62、82、および135)。これらは、CD28、およ
びその関連するホモログCTLA−4に共通する保存されたPPPモチーフであ
る。このモチーフ(これは細胞外ドメインにある)を、以下において見出した:
ヒトCD28のMYPPPY(配列番号19のアミノ酸残基117−122)、
ヒトCTLA−4のMYPPPY(配列番号21のアミノ酸残基134−139
)、m1228 のFDPPPF(配列番号8および10のアミノ酸残基114
−119)、ならびにh1228のFDPPPF(配列番号12のアミノ酸残基
113−118)。さらに、1228配列は、CD28媒介ホスファチジルイノ
シトール3−キナーゼ(PI−3K)活性に必要とされるようである、CD28
およびCTLA−4に共通するYXXMモチーフ(ここでXは任意のアミノ酸で
あり得る)を含む。このモチーフ(これは、CD28および1228の細胞内ド
メインにある)は、シグナル伝達経路に関与する。この配列を、以下において見
出した:ヒトCD28のYMNM(配列番号19のアミノ酸残基191−194
)、ヒトCTLA−4のYVKM(配列番号21のアミノ酸残基201−204
)、m1228のYMFM(配列番号8および10のアミノ酸残基181−18
4)、ならびにh1228のYMFM(配列番号12のアミノ酸残基178−1
81)。まとめると、これらのデータは、h1228および対応するm1228
が、新規のTh2特異的同時刺激分子として機能することを示唆する。
【0191】 マウスオルソログおよび対応するヒト遺伝子を同定するため、ならびにそれら
の発現パターンの特徴付けのために採用した方法は、以下の実施例に記載される
【0192】 (実施例1:Th1およびTh2 mRNA産生) DO11.10 αβ−TCR(これは、I−Adと関連するニワトリオボア
ルブミン(OVA)の残基323−339認識する)についての導入遺伝子を発
現するマウスを、BALB/c生育環境において維持した。このマウスを、施設
および国のガイドラインに従って、無病原体状態下で、極小隔離飼育器ケージ(
microisolator cage)中で、動物施設において飼育した。
【0193】 DO11.10 TCR−トランスジェニックCD4+T細胞を、OVA 3
23−339(1mM)およびマイトマイシンC−処理BALB/c脾臓細胞を
有する完全RPMI 1640において培養した。Th1表現型発生のために、
10ng/mlの組換えマウスIL−12(R & D Systems)およ
び中和抗−IL−4 mAb(11B11)(10μg/ml)を添加し、そし
てTh2表現型の発生のために、組換えマウスIL−4(R & D Syst
ems)および中和ポリクローナル抗−マウスIL−12(10μg/ml)(
TOSH−2,Endogen,Cambridge,MA)を添加し、そして
抗原性ペプチドOVA322−339を用いて刺激した。細胞を極性条件下で3
回の抗原性刺激のために培養した。次いで、細胞を洗浄し、そしてmIL−2(
10ng/ml)において48時間培養した。次いで、死細胞を、勾配遠心分離
によって取り除き、そして細胞(5×106/ウェル)をhIL−2の存在下で
、6ウェルプレート上に固定したCD3(2C11、10μg/ml)に6、2
4または48時間プレートした。休止細胞を、刺激せずに、IL−2において4
8時間培養し、そして非活性化コントロール細胞として用いた。 (実施例2:差し引きハイブリダイゼーションプロトコル) Poly−A+ RNAを、FastTrack mRNA単離キット(In
vitrogen,San Diego CA)を用いて単離した。Th2−特
異的ライブラリーを、Clontech PCR−Select cDNA S
ubtraction Kit(Clontech,Palo Alto,CA
)を用いて、添付のプロトコルに従って作成した。活性化Th2細胞由来の2.
0μgのpoly−A+ RNAを、「テスター」として用い、そして活性化T
h1細胞由来の2.0 μgのpoly−A+ RNAを、「ドライバー」とし
て用いた。得られたライブラリー由来のPCR産物を、PCRIIクローニング
ベクター(Invitrogen,San Diego,CA)にクローン化し
た。個々のクローン由来のプラスミドDNAを、ナイロンフィルター上にスポッ
トし、そしてDNAを、1.5M NaC1、0.5M NaOH、次いで1.
5M NaC1、0.5M Tris pH 8.0に連続してフィルターを浸
漬することによって変性させた。一本鎖プローブを、2つの細胞集団に由来する
Poly−A+ RNAから、32P標識dCTPを用いる逆転写によって調製し
た。Th2対Th 1cDNAに対する示差的ハイブリダイゼーションを示すク
ローンを、選択し、そして配列決定した。さらなる分析の際に、m1419、m
1022、およびm1228と名付けたcDNAクローンを、同定した。 (実施例3: cDNAクローンm1419、m1022、およびm1228の
mRNA発現) このライブラリー由来の、得られた3つのマウスcDNAクローンの各々の示
差的発現を、0.1−1.0 μgのpoly−A+ RNA、または5.0μ
gの総RNA(これらは、上記のように分極化したTh1およびTh2細胞の2
つの独立した調整物から精製した)を用いて、標準的技術を使用するノーザンブ
ロット分析(Maniatisら(1982)Molecular Cloni
ng:A Laboratory Manual(Cold Spring H
arbor Laboratory Press,Cold Spring H
arbor,NY))によって確認した。各クローンについて、cDNAプロー
ブを、標準的な技術(Maniatisら、前出)を用いて32P−dCTPで標
識した。クローンm1419(配列番号1)についてのプローブは、全長m14
19 cDNAのヌクレオチド2,310〜ヌクレオチド3,000に由来する
領域からなる713bpのcDNAである。クローンm1022(配列番号3お
よび5)についてのプローブは、全長m1022 cDNAのヌクレオチド47
0〜ヌクレオチド970に由来する領域からなる482bpのcDNAのもので
ある。クローンm1228(配列番号7および9)についてのプローブは、完全
長m1228 cDNAのヌクレオチド87〜ヌクレオチド1051に由来する
領域からなる965bpのcDNAである。
【0194】 これらの3つのクローンの各々についてのmRNAの発現を、(a)CD3/
TCR架橋の48時間後のTh1およびTh2のmRNAか、または(b)Th
1およびTh2集団における、休止細胞ならびにCD3活性化の6 時間後にお
いて決定した。休止Th1およびTh2細胞の両方は、m1419 mRNAを
発現したが、この転写物をTh2集団において明らかにアップレギュレートし、
かつTh1集団においてダウンレギュレートした。
【0195】 これらの3つのクローンのmRNAの各々についてのmRNAの発現をまた、
正常な未処置またはLPS−処置動物由来のマウス組織において分析した。ノー
ザンブロット分析を、以下の組織由来の0.5μlのpoly−A+ RNAを
用いて行った:肝臓、肺、脳、腎臓、心臓、骨格筋、皮膚、骨、リンパ節、脾臓
および胸腺。m1419 mRNAを、活性化リンパ節、およびより少ない程度
で脳において検出した。クローンm1022の発現を、正常なマウス組織または
LPS処置動物由来の組織のいずれにおいても検出しなかった。
【0196】 (実施例4:全長cDNAクローニング) cDNAライブラリーを、上記の差し引きTh2ライブラリーのために用いた
ものと同じpoly−A+ RNA由来のマウスTh2細胞から調製した。cD
NAを、SaIIおよびNotIクローニング部位を用いて、λファージ発現ベ
クターであるγZIPLOX(Gibco BRL,Gaithersburg
,MD)にクローン化した。それぞれ、m1419、m1O22、およびm12
28 プローブを用いて、同定された転写物に対応するcDNAを、このライブ
ラリーから単離した。 (実施例5:h1228、1022、および1419の単離) ヒト1228クローン(配列番号11に示すcDNA)、ヒト1022クロー
ン(配列番号13に示すcDNA)、およびヒト1419クローン(配列番号1
5に示すcDNA)を、対応するマウスプローブを用いてヒト混合リンパ球ライ
ブラリーをスクリーニングすることによって得た。このライブラリーを作成する
ための材料と方法は、RNAの供給源を除き、マウスクローンを得るために用い
た方法と同一であった。このライブラリーを、1228(配列番号9,ヌクレオ
チド40−642)、1022(配列番号5、ヌクレオチド36〜1430)、
または1419(配列番号1、ヌクレオチド126〜1304)のいずれかにつ
いてのマウス遺伝子のコード領域全体を含むプローブを用いてスクリーニングし
た。ハイブリダイゼーションを、40℃(65℃の代わりに)にて行い、そして
フィルターを、低ストリンジェンシー下(室温にて、0.5×SSC、0.1%
SDS)で洗浄した。
【0197】 (実施例6:m1228クローンのさらなる特徴付け) m1228として同定されたマウスクローン(以下mICOSといわれる)を
、Th2免疫応答におけるその役割のさらなる特徴付けのために選択した。
【0198】 (材料および方法) (mICOSの発現) mICOS発現の制限パターンを、リアルタイム定量PCR分析(Taqma
TM)を用いて伸長させた。簡単には、オリゴヌクレオチドプローブを、2つの
PCRプライマー間でmICOS遺伝子にアニールするように設計した。次いで
、このプローブを、5’末端でFAM(レポーター色素)で、そして3’末端で
TAMRA(消光色素)で蛍光標識した。類似のプローブおよびPCRプライマ
ーをmGAPDHについて設計した。この遺伝子についてのプローブは、VIC
をレポーター色素として取り込んだ。種々の細胞および組織から作製されたcD
NAと同様に、これらの2つの遺伝子についてのプライマーおよびプローブを含
んだPCR反応を実行した。ポリメラーゼが反応の間に遺伝子にわたって移動す
るにつれて、これは、各プローブの一方の末端からこの色素を切断し、このこと
により、Sequence Detector 7700により測定される蛍光
発光が生じる。次いで、各cDNAについて記録された発光を、mGAPDHの
発現に正規化されたmICOSについての発現のレベルに転換され得る。脾臓C
D4、CD8、およびCD3細胞をネガティブ選択(R&D Systems)
によって精製した。B細胞を、ラット抗CD19を用いて細胞を標識化し、そし
てラットIG結合ビーズ(MACS Microbeads Miltenyi
Biotec,CA)を用いてこの細胞を分離することによるポジティブ選択
によって単離した。好中球を、チオグリコール酸処理後の腹膜から入手し、そし
てマクロファージを、腹膜細胞の付着性画分として入手した。最後に、好酸球(
92%純度)を、IL−5トランスジェニックマウスから入手した腹膜細胞の非
付着性集団として単離した。
【0199】 (第1染色体に対するmICOSのマッピング) mICOS特異的プライマー(順方向−AACCTTCTAGTCCTTTG
GTCTGC、配列番号23;逆方向−GGCCCAGGCTACAGGCTG
、配列番号24)を使用して、C57BL/6Jおよび野生型のMus spr
etus SPRET/EiJ株の両方から159bpのPCR産物を増幅した
。一本鎖高次構造多型(SSCP)分析は、C57BL/6JおよびM.spr
etusの間の多型を同定した。M.spretus対立遺伝子の遺伝的分離を
、(C57BL/6J×M.spretus)×C57BL/6の181の子孫
のマッピングパネルをSSCPによって追跡した。M.spretus対立遺伝
子の遺伝的分離パターンを、この戻し交雑パネルにおいてマッピングした359
の他の遺伝子座の分離パターンと比較した。mICOSは、マウス第1染色体に
、マイクロサテライトマーカーD1MIT4に対しておよそ16.2±2.75
cM遠位で、かつマーカーD1MIT8に15.91±2.76cM近位でマッ
ピングした。さらに、CD28およびCTLA−4遺伝子の公開配列から設計し
たSSCPマーカーを使用して、mICOSが、この遺伝子マッピングパネル上
でこれらの遺伝子と完全に共分離することが見出された(いずれの組み合わせも
3つの遺伝子全ての間で検出可能でなかった)。
【0200】 (mICOS−Ig融合タンパク質の生成) mICOSの細胞外ドメインを含有するDNA配列をPCR増幅し、そしてC
D5シグナル配列およびヒトIgG1定常領域を含むベクターにクローニングし
た(mICOS−Ig)。COS細胞を、リポフェクタミンTM(GIBCO)を
用いて一過的にトランスフェクトし、そして組換えタンパク質をプロテインAカ
ラムによって精製した。続いて、ICOS−Igの純度を、クーマシー染色SD
S−PAGEによって評価し、そして90%より多いことを決定した。ICOS
−Igの同一性を、理論的トリプシン消化物に対する抽出ゲルバンドから生成し
たトリプシンペプチドを比較することにより、質量分析によってさらに確認した
(MALDI−TOF分析によるペプチド質量フィンガープリンティング)。
【0201】 (トランスフェクタントおよび抗原提示細胞(APC)へのICOS−Igの
結合) マウスB7−1またはB7−2を発現するEL−4細胞株を、FcBlockTM (Pharmingen)とのプレインキュベーション後に、100μg/m
lのICOS−Ig、10μg/mlのCD28−Igまたは1μg/mlのC
TLA−4−Ig(R&D Systems)と、4℃で30分間インキュベー
トした。ヒトIgを、結合についてのネガティブコントロールとして使用した。
次いで、細胞を、ラット抗ヒトIg−FITCとインキュベートし、そして蛍光
を、生存細胞に対してゲートすることにより、フローサイトメトリー(FACs
tar Vantage、Becton Dickinson)によって決定し
た。さらに、本発明者らは、他で詳細に記載(Inabaら(1992)J.E
xp.Med.6:1693−1702)されるように調製したか、または精製
脾臓B細胞上の骨髄由来樹状細胞へのICOS−Igの結合を調査した。結合を
、休止細胞上、または可溶性抗CD40mAb(10μg/ml)による活性化
24時間後に決定した。
【0202】 (mICOSを発現する安定なJurkat細胞の生成) Jurkat細胞を、pcDNA3(Invitrogen)においてサブク
ローニングした2μg mICOS−Flag DNAによるエレクトロポレー
ションによってトランスフェクトした。2週間の薬物選択後、高Flagポジテ
ィブ発現細胞をフローサイトメトリー(FACstar Vantage、Be
cton Dickinson)によって分別し、サブクローン化し、そして安
定な株を生成した。次いで、mICOSおよび空ベクター細胞を、hCD3およ
びhCD28の比較可能な表面発現に基づいて選択した。
【0203】 (免疫沈降および免疫ブロッティング) 免疫沈降のために、Jurkat mICOS−Flagベクタートランスフ
ェクト細胞および空ベクタートランスフェクト細胞を、未刺激のままで置くか、
または抗CD28(10μg/ml、4B10)または抗Flag mAb(1
0μg/ml)で2分間、およびウサギ抗マウス抗体(5μg/ml)で7.5
分間、刺激するかのいずれかを行った。次いで、細胞を、氷冷溶解緩衝液(20
mMTris−HCl(pH8.3)、150mM NaCl中に1%Trit
onX−100(v/v)を含有する)中に溶解した。この溶解緩衝液は、1m
M PMSF、1mM Na4VO3、10mM NaF、および1mM Na4
27を含有した。溶解物を、氷上で20分間インキュベートし、その後、1,
500×gで4℃で15分間遠心分離した。後核溶解物(postnuclea
r lysate)を、示されたモノクローナル抗体と共に、4℃で攪拌しなが
ら1時間インキュベートした。溶解緩衝液中で膨張させ、そして洗浄したプロテ
インA−セファロースビーズ(30μl、Pharmacia)を添加し、そし
て4℃で1時間インキュベートした。ビーズを、氷冷緩衝液中で3回洗浄し、そ
してタンパク質をSDSサンプル緩衝液中で5分間煮沸することによって溶出し
、SDS−PAGEにより分離し、そして免疫ブロッティングのためにニトロセ
ルロースに転写した。このメンブレンを、TBS(10mM Tris−HCl
(pH7.6),150mM NaCl)中5%乳汁でブロックし、p85抗血
清とインキュベートした。結合抗体を、増強化学発光(ECL、Amersha
m)を用いる西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化抗ウサギ抗体によ
って明らかにした。結果を以下に要約する。
【0204】 (脂質キナーゼアッセイ) Jurkat mICOS−Flagベクタートランスフェクト細胞および空
ベクタートランスフェクト細胞を、未刺激のままで置くか、または抗CD28(
10μg/ml、4B10)または抗Flag mAb(10μg/ml)で2
分間、およびウサギ抗マウス抗体(5μg/ml)で7.5分間、刺激するかの
いずれかを行った。次いで、細胞を、1%TritonX−100(v/v)ベ
ースの溶解緩衝液(プロテアーゼインヒビターおよびホスファターゼインヒビタ
ーを有する)中に溶解し、そして上記のように沈降に供した。免疫複合体を、溶
解緩衝液で3回洗浄し、100mMTris−HCl(pH7.5)(0.5m
LiClを有する)で3回洗浄し、そしてTNE(10mM Tris−HC
l(pH7.5)、150mM NaCl、および1mM EGTA)で2回洗
浄した。脂質キナーゼ反応を、以前に記載(Prasadら(1994)Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 91:2834−2838)のよう
に、ダイズPIリポソームおよびγ[32]ATP[20μCi]を用いてビーズ
上で行った。
【0205】 (mICOS−IgによるTエフェクター機能の阻害) エフェクター細胞の活性化におけるmICOSの効果を決定するために、CD
4細胞を、Th1細胞およびTh2細胞に分化し、次いでマイトマイシンC処理
した1×105脾臓細胞/ウェルと一緒に96ウェルプレート(5×104/ウェ
ル)中で再活性化し、そしてhIgまたはmICOS−IG(1〜100μg/
ml)のいずれかの存在下で10μg/ml OVAペプチドで刺激した。IL
−4、IL−5、およびIFN−γを特異的ELISAによって測定した。
【0206】 (二次T細胞依存性B細胞免疫応答) 雄性Balb/cマウス(15〜20g)を、4mgミョウバン中の10μg
OVAで、0日目に足蹠に免疫した。8日目に、マウスを、100μg OV
A/ミョウバンを皮下投与してブーストした。ICOS−IgまたはヒトIgG
(100μg/マウス)を、7、8、および9日目に腹腔内注射した。18日目
に、マウスを採血し、そして抗原特異的IgEおよびIgG1を特異的ELIS
A(Pharmingen)によって測定した。
【0207】 (エアロアレルゲン(aeroallergen)チャレンジについての能動
的免疫プロトコル) 雄性Balb/cマウス(15〜20g)を、4mgミョウバン(Serva
、Heidelburg、Germany)中の10μgのOVAで、0日目お
よび14日目に腹腔内で免疫した。21日目に、マウスをエアロゾル化OVA(
50mg/ml)で20分間チャレンジした。コントロールマウスをOVAの代
わりにPBSでチャレンジした。抗原感作およびチャレンジの1時間前、マウス
に100μgのCTLA−4−Ig、ICOS−Ig、またはヒトIgを鼻腔内
注射した。48時間後、気管にカニューレ挿入し、気管支肺胞洗浄(BAL)を
行った。細胞遠心分離(Cytospin)調製物を調製し、そしてギムザ試薬
で染色し、そして総計200細胞を標準的な形態学的規準を用いて示差的に計数
した。
【0208】 (インビボにおける抗原特異的T細胞の養子移入) レシピエントの正常Balb/cマウスに、2×106のTh1またはTh2
のエフェクター細胞を静脈内注射した。24時間後、マウスを、2日連続して、
20分間、オボアルブミン(50mg/ml)のエアロゾルに曝露した。アレル
ゲン曝露の1時間前に、レシピエントマウスを、100μgのmICOS−Ig
、CTLA−4−Ig、またはhIg(Sigma、St.Louis、MO)
のいずれかを静脈内注射した。24時間後、BALを実施し、そして洗浄液中の
サイトカインレベルをELISAによって測定した。肺を抗原チャレンジの24
時間後に摘出し、10%中性緩衝化ホルマリンで膨張させ、そしてパラフィン包
埋した。4ミクロン切片を、24時間プレハイブリダイズし、その後、35S標識
mICOSセンスおよびアンチセンスリボプローブ(1.2×106cpm/ス
ライド)を添加し、そして一晩ハイブリダイズさせた。スライドを、エマルジョ
ン中に浸漬し、そして2週間曝露し、発色させ、そしてヘマトキシリンで対比染
色した。
【0209】 (気道反応性亢進の測定) 最後のエアロゾルチャレンジの24時間後、Th1レシピエントマウスおよび
Th2レシピエントマウスにおいて、1分間吸入させた20mg/mlのメタコ
リンに応じる全身プレチスモグラフィ(Buxco、EMKA Technol
ogies,France)によって呼吸圧曲線を記録することによって、気道
反応性亢進を測定した。気道反応性亢進を、強調停止(enhanced pa
use;Penh)、計算値(これは、気道抵抗性の測定値と相関する)、イン
ピーダンス、および同じマウス中の胸内圧で表した。Penh=(Te/TR1
)×Pef/Pif(Te=呼気時間、Tr=緩和時間、Pef=呼気流ピーク
、Pif=吸気流ピーク)、これは、他に詳細に記載される(Tsuyukiら
、(1977)J.Exp.Med.9:1671−1679;Hamelma
nnら(1977)Am.J.Respir.Crit.Care Med.1
56:766−775)。
【0210】 (結果および考察) (mICOSの発現) マウスICOS(mICOS)は、ヒト遺伝子に対して69%の相同性を示す
(図2)。CD28(Tヘルパーサブセットにおいて比較可能なレベルで発現さ
れる)と異なり、ノーザンブロット分析は、ナイロンマイクロアレイ特異的ハイ
ブリダイゼーションデータを確認し、そしてmICOSが、Th2クローンにお
いて構成的に発現されるが、Th1クローンでは発現されないことを示した。同
様に、mICOSは、活性化Th1細胞と比較した場合、共通Tヘルパー前駆(
Thp)細胞由来のTh2細胞におけるCD3/TCR架橋の際に過剰発現され
た。mICOSは、リアルタイム定量PCR分析(TaqmanTM、Perki
n Elmer)を用いて決定されるように、B細胞、休止CD4、CD8、マ
クロファージ、好中球、または好酸球によって発現されなかった(図4)。一本
鎖高次構造多型分析(SSCP)を用いて、mICOSは、第1染色体にマッピ
ングした。これは、CD28およびCTLA−4と共分離し、ICOSがCD2
8ファミリーの第三のメンバーを表すという要求をさらに支持する。
【0211】 (ICOSは、活性化B細胞および樹状細胞上の非B7対レセプター(cou
nterreceptor)に結合する) mICOSは、そのヒト対応物と同様に、114位から119位にFDPPP
Fモチーフを有する。これは、CD28とCTLA−4との両方において見出さ
れる推定B7 MYPPPY結合ドメインの代わりとなる。しかし、CD28と
mICOSとの間の相同性にも関わらず、mICOSの細胞外部分およびヒトI
gG1からなる可溶性タンパク質は、mB7−1またはmB7−2の安定性トラ
ンスフェクト体のいずれに対する結合も示さなかった(図5)。これらの所見は
、CD28の推定B7 MYPPPY結合ドメインのチロシン残基の、mICO
Sの対応する115位および119位でのフェニルアラニンへの変異が、B7結
合の完全な喪失を生じる以前の報告(Karivら(1996)J.Immun
ol.1:29−38)を支持する。しかし、mICOS−Igの推定結合部位
は、CD40刺激したB細胞において同定されたが、休止B細胞では同定されず
(図6A)、そして骨髄由来樹状細胞(図6B)で同定されたが、休止細胞また
は活性化CD3+T細胞では同定されなかった。
【0212】 (ICOSおよびCD28は、いくつかの共通のシグナル伝達機構を共有する
) mICOSとCD28とのさらなる比較において、レセプターを、それらが細
胞内シグナル伝達タンパク質と相互作用する能力について比較した。CD28は
、ホスホチロシンベースのモチーフ(pYMNM;これは、PI−3KのSrc
相同性ドメイン(SH2ドメイン)についての結合ドメインとして働く)によっ
て、脂質キナーゼホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI−3K)に結
合することが、以前に示されている(Truittら(1994)J.Exp.
Med.3:1071−1076;Pasadら(1994)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 91:2834−2838)。CD28への結
合の際に、次いで、PI−3Kを形質膜の内側面に隔絶する(sequeste
r)。ここで、PI−3Kは、その標的基質に対して作用し得る。mICOSは
、同様のYMFMモチーフ(残基181〜184)を保有し、そして従って、ま
たP1−3Kのp85サブユニットへの結合について潜在的に適切である。mI
COSの免疫沈降は、CD28と同様に、抗p85免疫ブロッティングによって
検出されるようにPI−3Kのp85サブユニットに対応する85kDaバンド
を同時沈降し、そしてCD28と同様に、mICOS−Flagエピトープを架
橋する際に脂質キナーゼ活性を増大した。mICOSトランスフェクタントにお
ける細胞質テイル(mICOS d180C)の欠失は、PI−3K会合および
脂質キナーゼ活性の両方を除去した。これらのデータは、CD28およびmIC
OSがいくつかの共通の下流シグナル伝達エレメントを共有することを示す。し
かし、CD28 pYMNM部位もまた、PI−3Kより10倍低いとはいえ、
Grb−2のSH2ドメインに結合するので、mICOSは、Grb−2を補充
できなかった。このことは、191位でのアルギニン残基がGrb−2会合のた
めに必要であるという以前のデータ(Schneiderら(1995)Eur
.J.Immunol.4:1044−1050)を支持する。にもかかわらず
、いくつかの共通のシグナル伝達機構にもかかわらず、mICOS−Igは、C
TLA−4−Igとは異なり、いずれの抗原特異的増殖も阻害せず、そして抗原
刺激したナイーブCD4+T細胞からのIL−2分泌に対してわずかな効果のみ
を有した。このことは、mICOSが、T細胞活性化におけるCD28とは異な
る役割を演じることを示唆する(表1)。
【0213】 表1.ICOSではなくCD28によるシグナル伝達は、抗原特異的増殖およ
びIL−2産生に必要である。CD4+抗原特異的細胞を、hIgG、CTLA
−4−Ig、またはmICOS−Ig(100μg/ml)のいずれかの存在下
でのOVAペプチド(10μg/ml)で刺激した。増殖を、3Hチミジン取り
込みを用いる刺激後の1日目、2日目、3日目、および4日目に測定した。IL
−2レベルを、特異的ELISAによって3日目の上清中で測定した。有意性を
、スチューデントT検定によって決定した;p<0.05の値を有意であるとみ
なし、そして*によって示す。
【0214】
【表1】 (ICOSの阻害は、インビトロでTh2サイトカイン産生を減弱する) CTLA−4−Igを用いるインビトロでの研究は、CD28/B7同時刺激
が、IL−2産生にだけでなく、IFN−γおよびIL−4産生についてナイー
ブなCD4+T細胞をプライミングするためにも必要であることを示唆した(S
ederら(1994)J.Exp.Med.1:299−304;McKni
ghtら(1994)J.Immunol.11:5220−5225)。しか
し、CD28により送達されたシグナルは、近年活性化されたTヘルパーエフェ
クターサブセットからのIFN−γまたはIL−4のいずれの最適な分泌につい
ても必要ではない(SchweitzerおよびSharpe(1998)J.
Immu8nol.6:2762−2771)。Th2エフェクター細胞におけ
るmICOSの過剰発現を考慮すると、mICOSは、Th2エフェクター細胞
に特異的であるが、Th1エフェクター細胞には特異的でないCD28非依存性
同時刺激シグナルを提供し得ると仮定された。
【0215】 この問題に取り組むために、Th1エフェクター細胞およびTh2エフェクタ
ー細胞を、IL−12+抗IL−4mAbおよびIL−4+抗IL−12mAb
のそれぞれの影響下で共通の抗原特異的Thp細胞から生成した。mICOSが
シグナル伝達分子として本質的な役割を演じるか否かを決定するために、膜結合
mICOSと、その推定リガンドへの結合について直接的に競合し、従ってmI
COSシグナル伝達をブロックするmICOS−Ig融合タンパク質を用いて、
実験を実施した。mICOS−Igは用量依存様式でTh2細胞からのIL−4
およびIL−5の産生を阻害した(図7A)が、hIG処理細胞に比較した場合
(黒棒)、Th1エフェクター細胞からのIFN−γ分泌を改変しなかった(図
7B)。これらのデータは、mICOSがCD28シグナルを有効に置換し、そ
してTh2エフェクター細胞からのサイトカイン産生に特異的な同時刺激シグナ
ルを提供し得ることを示唆する。まとめると、これらのデータは、CD28につ
いての代替リガンドの存在を支持しないCD28遺伝子標的化マウスにおいて生
成された以前の所見(Greenら(1994)Immunity 6:501
−508)を支持し、そして同時にTh2免疫偏向におけるCD28/B7軸の
限定された役割(Brownら(1996)J.Exp.Med.3:803−
810)を調和させる。
【0216】 (ICOSによるT細胞依存性B細胞抗体産生の調節) CTLA−4−Igが、初期T細胞活性化の時点で投与された場合、インビボ
において多くの免疫応答を阻害するのに有効であるが、一方、いくつかの状況で
は、CTLA−4−Ig処理の遅延が、有効でないことが報告されている(Co
rryら(1997)J.Immunol.9:4142−4148;Saye
ghら(1995)J.Exp.Med.5:1869−1874)。同様に、
CTLA−4−Igが一次免疫応答の阻害において有効であるが(Luら(19
95)J.Immunol.154:1078−1087;Harrisら(1
999)Eur.J.Immunol.29(1):311−316)、いくつ
かの研究は、二次免疫応答が、エフェクター細胞のB7非依存性活性化と一致し
て、CTLA−4−Igの投与によって完全に抑制され得ないことを示した(T
angら(1996)J.Immunol.1:117−125;Gauseら
(1996)J.Immunol.158:4082−7;Harrisら(1
999)Eur.J.Immunol.29(1):311−316)。
【0217】 ICOSはエフェクター応答を調節し得るか否かに取り組むために、ICOS
−Ig融合タンパク質を用いる一連のインビボ実験を行った。最初に、二次免疫
応答におけるICOSのT細胞依存性B細胞抗体産生の寄与を、可溶性抗原/ア
ジュバント免疫後に抗原特異的抗体を測定することにより研究した。ICOS−
Igの投与は、抗原特異的IgEの顕著な減弱を生じ、そしてIgG1レベルを
約10倍穏やかに減少した(図8)。IgE/IgG1の産生がIL−4によっ
て調節されるので(Snapperら(1988)J.Exp.Med.167
:183−196;Finkelmanら(1990)Annu.Rev.Im
munol.8:303−333;Kopfら(1993)Nature 18
:362、245−248)、これらのデータは、ICOSがT細胞依存性体液
性免疫応答を調節し得る、一番目のインビボの証拠を提供する。
【0218】 (ICOS−Igによる肺粘膜炎症の減弱) 感作したマウスのアレルゲン誘発は、Th2依存性肺炎応答を生じる。CTL
A−4Igは、気道の好酸球炎症、それに続くエアロアレルゲン誘発(Tsuy
ukiら(1997)HJ.Exp.Med.9:1671−1679)および
その他(Padridら(1998)Am.J.Respir.Cell.Mo
l.Biol.4:453−462;Keane−Myersら(1997)J
.Immunol.158:2042−2049)によって特徴付けられる肺粘
膜免疫応答を阻害し得ることが、以前に報告されている。ICOSおよびCD2
8の役割を直接比較するために、ICOS−IgまたはCTLA−4−Igのい
ずれかを、アレルゲンチャレンジの1時間前に、肺に直接投与した。次いで、肺
炎の程度を、気管支肺胞洗浄液の細胞組成の分析によって測定した。これらの環
境下では、ICOS−Igは、気道炎症の抑制においてCTLA−4−Igと少
なくとも同程度に有効であり、好酸球の数は70%より多く減少した(図9)。
粘膜炎症のこの活性モデルの複雑度および関係している異なる経路の数(概説と
して、AndersonおよびCoyle(1994)Trends Phar
macol.Sci.15:324−332;Wills−Karp(1999
)Annu.Rev.Immunol.17:255−281)のために、イン
ビトロで生成した抗原特異的細胞の活性化によりもっぱら媒介される、インビボ
の肺粘膜免疫応答へのmICOSの寄与は、肺粘膜免疫のTh1およびTh2細
胞養子移入モデルにおいて取り組まれた(Chonら(1997)J.Exp.
Med.10:1737−1747)。抗原特異的Th1またはTh2を輸液さ
れたマウスのエアロアレルゲン誘発は、IFN−γまたはIL−5のいずれかお
よびIL−4の分泌に至り、そしてそれぞれ、好中球または好酸球のいずれかの
肺粘膜炎症応答と関連する(Chonら(1997)J.Exp.Med.10
:1737−1747)。mICOSアンチセンスリボプローブを用いるインサ
イチュハイブリダイゼーションは、Th2の抗原チャレンジ後に肺においてmI
COSおよびmRNAの顕著な誘導を明らかにしたが、Th1レシピエントマウ
スでは見られなかった。OVA曝露Th2レシピエントマウスにおけるmICO
S−Igの全身投与は、IL−5の産生を阻害し、そして気道の好酸球炎症を8
0%より多く顕著に抑制した(図10B)。著しく対照的に、mICOS−Ig
の阻害は、IFN−γ分泌またはTh1媒介好中球肺炎のいずれかによって明ら
かにされるように、Th1エフェクター応答を改変しなかった(図10A)。こ
れらのデータは、ICOSを選択的に阻害することは、アレルギー性肺粘膜炎症
応答の間の抗原特異的Th2エフェクター細胞の活性化の病理学的結果を排除し
、しかし、Th1エフェクター細胞ではそうでないことを示唆する。対照的に、
CTLA−4−Igの投与は、Th1およびTh2媒介炎症とサイトカイン産生
との両方を阻害した。後者は、抑制に対してTh1媒介炎症よりも感受性である
【0219】 (ICOSは、Th2媒介の気道応答性の改変に重要であるが、Th1媒介で
はそうではない) 非特異的刺激(例えば、メタコリン)に対する気道反応性亢進は、気管支ぜん
息の特徴的な性質である。長期の(7〜10日)エアロアレルゲンは、Th2レ
シピエントマウスにおいてのみ気道反応性亢進を生じており(Cohnら(19
97)J.Exp.Med.10:1737−1747)、一方、急性エアロチ
ャレンジ(2日)は、劇的なTh1細胞媒介気道反応性亢進を生じ、そしてより
低い程度でTh2媒介気道反応性亢進を生じる(それぞれ図11Aおよび11B
)。IL−13がTh2依存性気道反応性亢進を媒介するという証拠が出現して
おり(Cohnら(1997)前出;Wills−Karpsら(1998)S
cience 282:2258−2261)、一方、以前の研究は、LPSへ
の気道の曝露が、肺における好中球蓄積を生じ、これがまた、IL−4、IL−
5、またはIL−13のいずれかの不在下での気道反応性亢進を(Lefort
ら(1998)J.Immunol.161:474−480)、および好酸球
炎症を生じることを示したが、このTh1媒介肺炎の基礎となる機構は不明であ
る。関与する正確な機構が何であれ、この系は、吸入メタコリンに対する気道応
答性におけるTh1およびTh2媒介変化へのCD28/ICOSの相対的寄与
を分析するために使用されている。CTLA−4−Ig処置は、Th1およびT
h2媒介炎症に対するCD28の遮断の効果と一致して、Th1およびTh2の
両方の媒介の高められた気道感受性を抑制した。対照的に、ICOS−Igは、
Th1媒介気道反応性亢進のいかなる抑制効果もなく、Th2細胞媒介気道反応
性亢進のみを抑制した(図11)。
【0220】 これらの研究は、誘導性ICOS遺伝子によって媒介されるTh2サブセット
特異的同時刺激の存在についての直接の証拠を提供する。ナイーブT細胞のクロ
ーン増殖は、CD28の不在下では制限され得るが、エフェクター応答はなお、
最近の所見によって示唆されるように発達し得る。この所見は、アネルギー細胞
においてクローン増殖が制限されるにもかかわらず、Tヘルパーエフェクター機
能は妨げられないことを示している(Malveyら(1998)J.Immu
nol.5:2168−2177)。CD28の不在下で、Th2エフェクター
細胞に対するICOS連結(engagement)は、CD28に対する代替
のシグナル伝達経路として使用されることが提案される。最終的に、これらのデ
ータは、疾患(例えば、喘息およびアレルギー)においてmICOSの抑制を介
して不適当なTh2応答を選択的に弱め、一方、細菌および細胞内寄生生物に対
する防御的Th1免疫は完全なままにしておくという治療上の利益を強調する。
【0221】 当業者は、本明細書中に記載の本発明の特定の実施態様に対する多くの等価物
を認識するか、または慣用にすぎない実験を用いて確認し得る。このような等価
物は、上述の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0222】 本明細書中で言及した全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する技術分
野の当業者の水準を示す。全ての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊
行物または特許出願が、詳細にかつ個々に参照によって援用されると示されるの
と同程度に、参照によって本明細書中に援用される。
【0223】 前述の発明は、理解を明確にする目的で、説明および例示によって幾分か詳細
に記載されているが、特定の変更および改変が、上述の特許請求の範囲の範囲内
で実施され得ることは明らかである。
【0224】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、マウス1022(配列番号5)によってコードされるタンパク質(m
1022;配列番号6)、およびヒト1022(配列番号13)によってコード
されるタンパク質(h1022;配列番号14)に対する、DNAポリメラーゼ
のTrypanosoma brucei αコアサブユニット(GenBan
k登録番号CAA43286、配列番号17)とのアミノ酸配列のアライメント
を示す。
【図2】 図2は、マウス1228(配列番号9)によってコードされるタンパク質(m
ICOSといわれる、m1228;配列番号10)、およびヒト1228(配列
番号11)によってコードされるタンパク質(hICOSといわれる、h122
8;配列番号18)について、マウス糖タンパク質CD28前駆体(mCD28
;GenBank登録番号AAA37395;配列番号18)、ヒトT細胞特異
的表面糖タンパク質CD28前駆体(hCD28;SP登録番号P10747;
配列番号19)、マウス細胞傷害性T−リンパ球タンパク質4前駆体(mCTL
A−4;SP登録番号P09793;配列番号20)、およびヒト細胞傷害性t
−リンパ球タンパク質4前駆体(hCTLA−4;GI登録番号4885167
;配列番号21)とのアミノ酸配列アライメントを示す。これらの配列の推定膜
貫通ドメインは、囲みで示される。
【図3】 図3は、マウス1419(配列番号1)によってコードされるタンパク質(m
1419;配列番号2)、およびヒト1419(配列番号15)によってコード
されるタンパク質(h1419;配列番号16)について、Caenorhab
ditis elegans C54H2.1遺伝子産物(配列U58728番
号1326268;GenBank登録番号AAB00590;配列番号22)
とのアミノ酸配列のアライメントを示す。
【図4】 図4は、休止している白血球および活性化白血球におけるmICOS発現のリ
アルタイムPCR分析(TaqmanTM)を示す。
【図5】 図5は、mICOS−Ig(100μg/ml)(太い実線)が、mB7−1
またはmB7−2 EL−4のいずれかのトランスフェクタントに結合し得ない
が、一方、CTLA−4−Ig(1μg/ml)(薄線(light line
))およびCD280−Ig(10μg/ml)(破線)は、10〜1000倍
より低い濃度で結合することを実証する。ヒトIgで処理した細胞(点線)は、
比較のために示される。
【図6A】 図6は、mICOS−Ig(10μg/ml)がCD40活性化に結合するが
、休止していないB細胞(A)、および休止しかつCD40刺激された骨髄由来
樹状細胞(B)に結合することを実証する。
【図6B】 図6は、mICOS−Ig(10μg/ml)がCD40活性化に結合するが
、休止していないB細胞(A)、および休止しかつCD40刺激された骨髄由来
樹状細胞(B)に結合することを実証する。
【図7】 図7は、mICOSシグナル伝達がTh2エフェクター細胞の活性化に重要で
あるが、Th1エフェクター細胞には重要ではないことを実証する。DO11.
10αβ−TCRトランスジェニックマウス由来のCD4+T細胞は、Th1ま
たはTh2エフェクター集団に分化された。次いで、細胞を、mICOS−Ig
(1〜100μg/ml)(白四角)またはhIg(閉鎖バー)の存在下で再び
活性化された。データは、三連ウェルの平均±s.e.m.差として示され、そ
して4つの異なる実験を表す。
【図8】 図8は、ICOS−Igによる液性応答の阻害を実証する。マウスは、0日目
にOVA/ミョウバンを用いてフットパッドに免疫され、8日目に皮下でブース
トされた。10日後に、血液を、尾静脈から採取し、そして抗原特異的IgE(
A)およびIgG1(B)の血清力価が、特異的ELISAによって測定された
。マウスは、7日目、8日目、および9日目に、ICOS−Ig(100μg/
マウス)(黒四角)または適切なコントロールとしてのhIg(白四角)を用い
て腹腔内処置された。データは、血清の系列希釈にて、平均±s.e.m.の吸
光度(O.D.)として示され、そしてn=5〜6の個々の動物からのデータを
表す。
【図9】 図9は、ICOS−IgおよびCTLA−4Igによる能動的な免疫モデルに
おける気道の好酸性炎症の阻害を実証する。アレルゲンチャレンジの1時間前に
、免疫したマウスは、ICOS−Ig(白柱)、CTLA−4−Ig(影付柱)
または適切なアイソタイプコントロールとしてのhIg(黒柱)のいずれかを1
00μg用いて鼻腔内に処置した。データは、n=5の動物について、1mlあ
たりの平均±s.e.m.の好酸球×103として示される。統計学的な有意性
(p<0.05)は、スチューデントT検定によって決定され、そして*によっ
て示される。
【図10A】 図10は、mICOS−IgによるTh2媒介性粘膜炎症の減衰作用を実証す
るが、Th1媒介性粘膜炎症の減衰作用を実証しない。養子移入後のTh1(A
)またはTh2(B)レシピエントのエアロアレルゲン(aeroallerg
en)チャレンジは、それぞれ、IFN−γまたはIL−5分泌と関連した好中
球性応答または好酸球性応答を生じる。mICOS−IgまたはCTLA−4−
Ig(白いバー)での予備処置は、Th2媒介性炎症を阻害した。対照的に、I
COS−IgではなくCTLA−4−Igは、hIgで処置したマウス(黒いバ
ー)と比較して、Th1媒介性炎症を阻害した。データは、n−4〜6のマウス
の平均±s.e.m.として示され、そして3つの異なる実験を表す。有意性(* )は、スチューデントT検定によって決定され、そしてp<0.05の値が、
有意であるとみなされた。
【図10B】 図10は、mICOS−IgによるTh2媒介性粘膜炎症の減衰作用を実証す
るが、Th1媒介性粘膜炎症の減衰作用を実証しない。養子移入後のTh1(A
)またはTh2(B)レシピエントのエアロアレルゲン(aeroallerg
en)チャレンジは、それぞれ、IFN−γまたはIL−5分泌と関連した好中
球性応答または好酸球性応答を生じる。mICOS−IgまたはCTLA−4−
Ig(白いバー)での予備処置は、Th2媒介性炎症を阻害した。対照的に、I
COS−IgではなくCTLA−4−Igは、hIgで処置したマウス(黒いバ
ー)と比較して、Th1媒介性炎症を阻害した。データは、n−4〜6のマウス
の平均±s.e.m.として示され、そして3つの異なる実験を表す。有意性(* )は、スチューデントT検定によって決定され、そしてp<0.05の値が、
有意であるとみなされた。
【図11A】 図11は、ICOS−Igによる気道の応答性亢進のTh2に媒介される変化
の選択的抑制を実証する。(A)Th1レシピエントマウスおよび(B)Th2
レシピエントマウスの両方にOVAを曝すことは、PBSに曝されたマウスと比
較して、メタコリン(20mg/ml)に対する気道の応答性亢進の増大を生じ
る。ベースラインの応答は、白いバーで示され、そして吸入したメタコリンに対
する最大応答は、黒いバーで示される。有意性(#)は、スチューデントT検定
によって決定され、そしてp<0.05の値が、有意であるとみなされた。コン
トロールマウスは、適切なアイソタイプコントロールとしてhIgを受けた。デ
ータは、n=3〜6のマウスの平均±s.e.m.として示され、そして2つの
異なる実験を表す。IgIg処置したマウスからの有意性(*)は、スチューデ
ントT検定によって決定され、そしてp<0.05の値が、有意であるとみなさ
れた。
【図11B】 図11は、ICOS−Igによる気道の応答性亢進のTh2に媒介される変化
の選択的抑制を実証する。(A)Th1レシピエントマウスおよび(B)Th2
レシピエントマウスの両方にOVAを曝すことは、PBSに曝されたマウスと比
較して、メタコリン(20mg/ml)に対する気道の応答性亢進の増大を生じ
る。ベースラインの応答は、白いバーで示され、そして吸入したメタコリンに対
する最大応答は、黒いバーで示される。有意性(#)は、スチューデントT検定
によって決定され、そしてp<0.05の値が、有意であるとみなされた。コン
トロールマウスは、適切なアイソタイプコントロールとしてhIgを受けた。デ
ータは、n=3〜6のマウスの平均±s.e.m.として示され、そして2つの
異なる実験を表す。IgIg処置したマウスからの有意性(*)は、スチューデ
ントT検定によって決定され、そしてp<0.05の値が、有意であるとみなさ
れた。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/04 C12P 21/02 C 4C084 C07K 14/47 C12Q 1/02 4C085 C12N 5/10 G01N 33/15 Z 4H045 C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/02 33/566 G01N 33/15 C07K 16/18 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 B // C07K 16/18 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 09/413,136 (32)優先日 平成11年10月6日(1999.10.6) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 マニング, ステファン アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02474, アーリントン, アパートメン ト エム5, ミスティック ストリート 151 (72)発明者 コイル, アンソニー ジェイ. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02116, ボストン, クラレンドン ス トリート 30 (72)発明者 グティエルレツ−ラモス, ホセ−カルロ ス アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01907, スワンプスコット, リトルズ ポイント ロード 31 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA36 FB03 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 CA09 HA14 HA17 4B063 QA18 QQ79 QR48 QR77 QX02 4B064 AG31 CA19 DA08 DA13 4B065 AA92Y AA94Y CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 BA22 CA18 DA12 DA16 DA17 NA14 ZA591 ZB051 ZB071 ZB111 ZB212 ZC412 4C085 AA13 AA14 BB07 BB23 CC03 DD62 EE01 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA42 DA01 EA29 EA52 FA74

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番
    号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15のヌクレオチド配列、受託番
    号203302としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサート、
    受託番号203569としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサ
    ート、受託番号203797としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNA
    インサートを含む単離された核酸分子、またはその相補体。
  2. 【請求項2】 ベクターの核酸配列をさらに含む、請求項1に記載の単離さ
    れた核酸分子。
  3. 【請求項3】 異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求
    項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の核酸分子を含む、宿主細胞。
  5. 【請求項5】 哺乳動物細胞である、請求項4に記載の宿主細胞。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の核酸分子を含む、非ヒト哺乳動物宿主細胞
  7. 【請求項7】 配列番号14のアミノ酸配列または受託番号203569と
    してATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされる
    アミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  8. 【請求項8】 異種アミノ酸配列をさらに含む、請求項7に記載のポリペプ
    チド。
  9. 【請求項9】 配列番号14のアミノ酸配列または受託番号203569と
    してATCCに寄託されるプラスミドのcDNAインサートによりコードされる
    アミノ酸配列を含むポリペプチドを生成するための方法であって、該方法は、配
    列番号13のヌクレオチド配列または受託番号203569としてATCCに寄
    託されたプラスミドのcDNAインサートを含む核酸分子を含む宿主細胞を、該
    核酸分子が発現される条件下で培養する工程を包含する、方法。
  10. 【請求項10】 サンプルにおける請求項7に記載のポリペプチドの存在を
    検出するための方法であって、該方法は、 a)サンプルと、請求項7に記載のポリペプチドに選択的に結合する化合物と
    を接触させる工程;および b)該化合物が、該サンプル中の該ポリペプチドに結合するか否かを決定する
    工程、 を包含する、方法。
  11. 【請求項11】 前記ポリペプチドに結合する前記化合物が、抗体である、
    請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 請求項7に記載のポリペプチドに結合する化合物を同定す
    るための方法であって、該方法は、 a)請求項7に記載のポリペプチドまたはポリペプチドを発現する細胞と、試
    験化合物とを接触させる工程;および b)該ポリペプチドが該試験化合物に結合するか否かを決定する工程、 を包含する、方法。
  13. 【請求項13】 前記試験化合物のポリペプチドに対する結合が、 a)試験化合物/ポリペプチドの結合の直接検出による結合の検出; b)競合結合アッセイを用いる、結合の検出; c)Th2特異的媒介シグナル伝達についてのアッセイを用いる、結合の検出
    、 からなる群より選択される方法により検出される、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項7に記載のポリペプチドの活性を調節するための方
    法であって、該方法は、該ポリペプチドまたは該ポリペプチドを発現する細胞と
    、該ポリペプチドの活性を調節するに十分な濃度で該ポリペプチドに結合する化
    合物とを接触させる工程を包含する、方法。
  15. 【請求項15】 請求項7に記載のポリペプチドの活性を調節する化合物を
    同定する方法であって、該方法は、 a)請求項7に記載のポリペプチドと、試験化合物とを接触させる工程;およ
    び b)該ポリペプチドの活性に対する該試験化合物の効果を決定し、それにより
    該ポリペプチドの活性を調節する化合物を同定する工程、 を包含する、方法。
  16. 【請求項16】 哺乳動物におけるTh2応答を調節するための方法であっ
    て、該方法は、治療的に有効な量のポリペプチドまたは対応する抗体を該哺乳動
    物に投与する工程を包含し、ここで、該ポリペプチドが、 a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドのフラグメントであって、ここで該フラグメントが、配列番号2、配列番号4
    、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、また
    は配列番号16に記載の少なくとも15の連続するアミノ酸を含むフラグメント
    である、フラグメント; b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、配列番号16のアミノ酸配列、受託番号203302
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列、受託番号203569としてATCCに寄託されたプラスミド
    のcDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列、受託番号203797
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列を含む、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体であっ
    て、ここで、該ポリペプチドが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番
    号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15を含む核酸に、
    またはストリンジェントな条件下でその相補体にハイブリダイズする核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体;ならびに c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番
    号11、配列番号13、配列番号15のヌクレオチド配列を含む核酸分子、また
    はその相補体に少なくとも45%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチド、 からなる群より選択される、方法。
  17. 【請求項17】 哺乳動物における免疫応答を調節するための方法であって
    、該方法は、前記ポリペプチドもしくは該ポリペプチドに対応する抗体の治療的
    に有効な量を該哺乳動物に投与する工程、または該ポリペプチドをコードするヌ
    クレオチド配列の哺乳動物における発現を調節する工程により、該哺乳動物にお
    けるポリペプチドの活性を変化させる工程を包含し、ここで該ポリペプチドは、 a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドのフラグメントであって、ここで該フラグメントが、配列番号2、配列番号4
    、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、また
    は配列番号16に記載の少なくとも15の連続するアミノ酸を含むフラグメント
    である、フラグメント; b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、配列番号16のアミノ酸配列、受託番号203302
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列、受託番号203569としてATCCに寄託されたプラスミド
    のcDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列、受託番号203797
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列を含む、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体であっ
    て、ここで、該ポリペプチドが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番
    号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15を含む核酸に、
    またはストリンジェントな条件下でその相補体にハイブリダイズする核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体;ならびに c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番
    号11、配列番号13、配列番号15のヌクレオチド配列を含む核酸分子、また
    はその相補体に少なくとも45%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチド、 からなる群より選択される、方法。
  18. 【請求項18】 哺乳動物における気道の炎症を抑制するための方法であっ
    て、該方法は、前記ポリペプチドに対応する抗体の治療的に有効な量を該哺乳動
    物に投与する工程、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の該哺
    乳動物における発現を調節する工程により、該哺乳動物におけるポリペプチドの
    活性を変化させる工程を包含し、ここで該ポリペプチドは、 a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドのフラグメントであって、ここで該フラグメントが、配列番号2、配列番号4
    、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、また
    は配列番号16に記載の少なくとも15の連続するアミノ酸を含むフラグメント
    である、フラグメント; b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、配列番号16のアミノ酸配列、受託番号203302
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列、受託番号203569としてATCCに寄託されたプラスミド
    のcDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列、受託番号203797
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列を含む、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体であっ
    て、ここで、該ポリペプチドが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番
    号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15を含む核酸に、
    またはストリンジェントな条件下でその相補体にハイブリダイズする核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体;ならびに c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番
    号11、配列番号13、配列番号15のヌクレオチド配列を含む核酸分子、また
    はその相補体に少なくとも45%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチド、 からなる群より選択される、方法。
  19. 【請求項19】 哺乳動物における気道の応答性亢進を抑制するための方法
    であって、該方法は、前記ポリペプチドに対応する抗体の治療的に有効な量を該
    哺乳動物に投与する工程、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
    の該哺乳動物における発現を調節する工程により、該哺乳動物におけるポリペプ
    チドの活性を変化させる工程を包含し、ここで該ポリペプチドは、 a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドのフラグメントであって、ここで該フラグメントが、配列番号2、配列番号4
    、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、また
    は配列番号16に記載の少なくとも15の連続するアミノ酸を含むフラグメント
    である、フラグメント; b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列
    番号12、配列番号14、配列番号16のアミノ酸配列、受託番号203302
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列、受託番号203569としてATCCに寄託されたプラスミド
    のcDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列、受託番号203797
    としてATCCに寄託されたプラスミドのcDNAインサートによりコードされ
    るアミノ酸配列を含む、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体であっ
    て、ここで、該ポリペプチドが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番
    号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15を含む核酸に、
    またはストリンジェントな条件下でその相補体にハイブリダイズする核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体;ならびに c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番
    号11、配列番号13、配列番号15のヌクレオチド配列を含む核酸分子、また
    はその相補体に少なくとも45%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子に
    よりコードされる、ポリペプチド、 からなる群より選択される、方法。
JP2000573349A 1998-10-07 1999-10-06 新規なTh2特異的分子およびその使用方法 Withdrawn JP2003532370A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16822998A 1998-10-07 1998-10-07
US09/168,229 1998-10-07
US25867099A 1999-02-26 1999-02-26
US09/258,670 1999-02-26
US41313699A 1999-10-06 1999-10-06
PCT/US1999/023156 WO2000019988A1 (en) 1998-10-07 1999-10-06 NOVEL Th2-SPECIFIC MOLECULES AND USES THEREOF
US09/413,136 1999-10-06

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003532370A true JP2003532370A (ja) 2003-11-05

Family

ID=27389502

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000573349A Withdrawn JP2003532370A (ja) 1998-10-07 1999-10-06 新規なTh2特異的分子およびその使用方法

Country Status (6)

Country Link
US (2) US20020164697A1 (ja)
EP (1) EP1119253A4 (ja)
JP (1) JP2003532370A (ja)
AU (1) AU1102000A (ja)
CA (1) CA2346496A1 (ja)
WO (1) WO2000019988A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012050440A (ja) * 2011-09-16 2012-03-15 Chiba Univ ヒトTh1/Th2分化誘導の評価方法

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3521382B2 (ja) 1997-02-27 2004-04-19 日本たばこ産業株式会社 細胞間接着及びシグナル伝達を媒介する細胞表面分子
US7112655B1 (en) 1997-02-27 2006-09-26 Japan Tobacco, Inc. JTT-1 protein and methods of inhibiting lymphocyte activation
DE19821060A1 (de) * 1997-09-23 1999-04-15 Bundesrepublik Deutschland Let Ko-stimulierendes Polypeptid von T-Zellen, monoklonale Antikörper sowie die Herstellung und deren Verwendung
JP3871503B2 (ja) 1999-08-30 2007-01-24 日本たばこ産業株式会社 免疫性疾患治療剤
JP4210454B2 (ja) 2001-03-27 2009-01-21 日本たばこ産業株式会社 炎症性腸疾患治療剤
JP3597140B2 (ja) 2000-05-18 2004-12-02 日本たばこ産業株式会社 副刺激伝達分子ailimに対するヒトモノクローナル抗体及びその医薬用途
CN101498731A (zh) * 2000-05-18 2009-08-05 日本烟草产业株式会社 抗协同刺激信号转导分子ailim的人单克隆抗体及其药物用途
CN101255192A (zh) * 2000-05-26 2008-09-03 布里斯托尔-迈尔斯斯奎布公司 可溶性ctla4突变体分子及其应用
ES2536653T3 (es) * 2000-11-28 2015-05-27 Amgen Inc. Polipéptidos implicados en la respuesta inmunitaria
JP4212278B2 (ja) 2001-03-01 2009-01-21 日本たばこ産業株式会社 移植片拒絶反応抑制剤
CA2497661A1 (en) * 2002-09-11 2004-03-25 Genentech, Inc. Compositions and methods for the diagnosis of immune related diseases using pro71061
EP1618132A2 (en) * 2003-04-29 2006-01-25 Genentech, Inc. Composition and methods for the treatment of immune disorders
EP1740617B1 (en) 2004-04-23 2013-10-16 BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND letztvertreten durch das Robert Koch-Institut vertreten durch seinen Präsidenten Method for the treatment of t cell mediated conditions by depletion of icos-positive cells in vivo
MA41414A (fr) 2015-01-28 2017-12-05 Centre Nat Rech Scient Protéines de liaison agonistes d' icos

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5783182A (en) * 1996-01-30 1998-07-21 Baylor College Of Medicine Method for identifying metastatic sequences
DE69734141T2 (de) * 1996-06-05 2006-07-13 Bml Inc. PROTEIN, DAS FÜR MENSCHLICHE Th2-ZELLEN SPEZIFISCH IST, DAFÜR KODIERENDES GEN UND KORRESPONDIERENDE TRANSFORMANTE, REKOMBINANTER VEKTOR UND MONOKLONALER ANTKÖRPER
JP3521382B2 (ja) * 1997-02-27 2004-04-19 日本たばこ産業株式会社 細胞間接着及びシグナル伝達を媒介する細胞表面分子
US6190909B1 (en) * 1997-04-17 2001-02-20 Millennium Pharmaceuticals, Inc. TH2-specific gene
DE19821060A1 (de) * 1997-09-23 1999-04-15 Bundesrepublik Deutschland Let Ko-stimulierendes Polypeptid von T-Zellen, monoklonale Antikörper sowie die Herstellung und deren Verwendung
US7259247B1 (en) * 1997-09-23 2007-08-21 Bundersrespublik Deutschaland Letztvertreten Durch Den Direktor Des Robert-Koch-Institutes Anti-human T-cell costimulating polypeptide monoclonal antibodies

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012050440A (ja) * 2011-09-16 2012-03-15 Chiba Univ ヒトTh1/Th2分化誘導の評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
CA2346496A1 (en) 2000-04-13
WO2000019988A1 (en) 2000-04-13
EP1119253A4 (en) 2005-12-21
WO2000019988A8 (en) 2000-05-25
AU1102000A (en) 2000-04-26
US20020164697A1 (en) 2002-11-07
US20050202013A1 (en) 2005-09-15
EP1119253A1 (en) 2001-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20050202013A1 (en) Novel Th2-specific molecules and uses thereof
US20090269783A1 (en) B7-H2 molecules, novel members of the B7 family and uses thereof
AU751396B2 (en) Novel molecules of the Tango-77 related protein family and uses thereof
US6274362B1 (en) RGS-containing molecules and uses thereof
JP2003516719A (ja) ヒトbリンパ球活性化抗原b7ファミリーのメンバーをコードするポリヌクレオチドおよびこれらによりコードされるポリペプチド
AU2002249948B2 (en) Type 2 cytokine receptor and nucleic acids encoding same
US20060246065A1 (en) Fail molecules and uses thereof
US7408038B2 (en) Secreted immunomodulatory proteins
JP2003525634A (ja) Fctrxと命名されたタンパク質およびこれをコードする核酸
US20020090680A1 (en) Novel IL-9/IL-2 receptor-like molecules and uses thereof
WO2000069880A1 (en) Il-9/il-2 receptor-like molecules and uses thereof
WO2000008045A2 (en) Novel molecules of the tango-93-related protein family and uses thereof
WO2000018800A1 (en) Novel secreted immunomodulatory proteins and uses thereof
WO1999026980A1 (en) Methods and reagents for the utilization of sap family member proteins, novel signal transduction regulators
MXPA01009491A (es) Moleculas de acido desoxirribonucleico (adn) que codifican para proteinas clax humanas y sus proteinas de fusion solubles.
AU3486699A (en) Novel molecules of the t129-related protein family and uses thereof
US20030059892A1 (en) Novel molecules of the TANGO-93-related protein family and uses thereof
JP2002518061A (ja) T110関連タンパク質ファミリーの新規な分子及びその使用

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070109