JP2003529567A - 後眼部眼疾患を治療および予防する方法と組成物 - Google Patents

後眼部眼疾患を治療および予防する方法と組成物

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Abstract

(57)【要約】 治療剤を含有する局所眼科用組成物を用いた、後眼部に付随する眼疾患の予防および治療処置用の方法および組成物。本発明は特に、バチマスタットなどのヒドロキサム酸マトリックスメタプロテアーゼ阻害剤を含む局所眼科用組成物を用いた、血管新生に付随する網膜疾患の予防および治療処置用の方法および組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
本発明は、眼の疾患に関し、詳しくは、局所眼科用組成物を用いる、後眼部に
関連する疾患の予防的または治療的処置に関する。
【0002】
【発明の背景】
後眼部疾患は、後眼部または眼の後区(posterior segment) 、すなわち、硝子
体、網膜、視神経および脈絡膜をおかす。これらの疾患は、異常な血管新生およ
び異所性の増殖、萎縮および神経細胞死、炎症および感染、および剥離などの症
状を含む。共通にこれらの徴候に関連する疾患および症状には、黄斑変性、糖尿
病性網膜症、未熟児網膜症、網膜色素変性症、黄斑部の腫脹、緑内障、後部ブド
ウ膜炎、眼内炎、眼の傷害、およびウイルス感染、関節炎およびしゅさなどの全
身性疾患の眼での出現がある。
【0003】 後眼部を支える血管系および細胞の萎縮性および増殖性の疾患は世界的にも失
明の主要な原因である。網膜およびブドウ膜の2つの血管系が後眼部を支えてい
る。網膜の血管系は内部網膜の神経の代謝的要求を支える動脈と静脈の複合体で
ある。鋭敏な色覚を担う黄斑の中心の光受容体細胞の特別な領域である窩を除い
て、網膜は平行な10層に組織化された8つの異なる細胞種からなる。外部からの
光は、角膜、水晶体および硝子体を通過し、網膜中の最も高い視力領域である黄
斑上に集束する。外部網膜の光受容体は、光を神経学的シグナルに変換し、この
シグナルは網膜ニューロンにより処理され、視神経により脳に伝達される。ブド
ウ膜は、眼の外部結合組織の下に存在する毛細管および動脈の系である。ブドウ
膜の後部、脈絡膜、は強膜と網膜の間に挟まれた着色した血管の層である。肝臓
を除き、脈絡膜は、主に光受容体および網膜色素上皮(RPE) の代謝的要求を処理
するために、血管叢の最も豊富な血液供給物を有する。ブドウ膜の前部、毛様体
および虹彩はより複雑である。しかし、これらの前区組織における感染は、ブド
ウ膜領域によって後区へ容易に広がる。
【0004】 血管新生(新生血管形成) は、血管の構造要素を形成する内皮細胞の増殖性疾
患である。血管は、典型的には、組織への血流の減少に応答して、組織中で成長
し増殖する。血管新生は典型的には、存在する血管系に置き換わる代わりに、新
しい血管を作り出すことにより、組織中の血流を改善する。異常な血管新生は、
酵素作用による組織の分解、および異所性の位置での新たな未成熟血管および線
維膜の形成の両者を含む。新しい血管の形成は、ブドウ膜、網膜および脈絡膜中
の動脈および静脈の機能および複合構造を傷つけ、出血と瘢痕の結果、最終的に
視力を永久に失うことがある。新生血管要素により分泌される栄養因子および線
維性新生血管膜により生じる癒着が、網膜の剥離およびサイトカイン類および炎
症性要素による正常な無血管領域の侵襲を通して、さらに視覚機能を低下させる
【0005】 後眼部の新生血管性疾患には、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性 (湿式または
滲出性黄斑変性としても知られる) 、新生血管性緑内障、未熟児網膜症、鎌状細
胞網膜症、網膜血管塞栓、酸素誘導網膜症、および外傷性もしくは外科的損傷ま
たは眼組織の移植などの眼の傷害による血管新生が含まれる。網膜の血管新生の
出現と関連するその他の症状や疾患には、網膜の一部が周囲組織に比べ比較的非
灌流状態を受ける疾患もしくは症状、血管新生と関連する何らかの1または2以
上のタンパク質、プロテアーゼ、ホルモン類もしくは細胞内シグナルが検出され
る疾患もしくは症状、または新しい血管の成長が検出もしくは観察されうる疾患
もしくは症状がある。さらに、マトリックスメタプロテアーゼ(MMP) 活性、内皮
細胞侵襲または新血管の生成を含む疾患もまた、本発明の異常な血管新生と関連
するかもしれない。
【0006】 炎症性応答および免疫応答が起こり得る眼内空間は、硝子体腔と網膜下空間で
ある。膜に結合された可溶性の免疫調節因子の構成性発現および全身性免疫異常
の誘導は、健康な眼に、免疫特権が与えられた (immunoprivileged) 特異な微環
境を与える。しかし、後眼部の炎症が生じると、失明の主要な原因となる。本発
明によれば、炎症性疾患は、4つの異なる臨床的特徴の1つを示す疾患である:
炎症性細胞の不定サイズの脈絡−網膜浸潤物;網膜血管炎症;硝子体細胞浸潤物
;および黄斑、視神経乳頭または網膜全体の腫脹。その他の症状には、感染およ
び炎症と一致する細胞またはサイトカインのプロフィールが検出されうる症状が
ある。炎症は、増殖性要素が免疫系の細胞である特殊な種類の増殖性疾患である
。これらの例では、組織は、正常では休止しているか、炎症部位に補充された免
疫細胞により分泌された化学物質に反応する。後眼部における炎症性反応は、過
敏症 (アレルギー) 、感染性の因子、または未知の免疫性の原因によるかもしれ
ない。過敏性炎症では、好酸球が補充される。脱顆粒時には、これらの細胞は、
顆粒タンパク質、プロスタグランジンおよび炎症反応を持続させるサイトカイン
を含む各種メディエーターの放出を刺激する。感染性因子が原因である場合は、
適切な治療は直接的であることが多いが、適切な薬剤は副作用が大きいという側
面を有する。
【0007】 後眼部の萎縮性疾患は、分化細胞の死により視覚を損なうような疾患である。
細胞死は、環境および遺伝的要因の両者が引き金となることがあり、アポトーシ
スまたは壊死のいずれかとして区別されうる。萎縮性細胞死は、眼およびその血
管系の発達期の間に生じる正常なプログラムされた細胞死とは同等でない。本発
明の目的にとって、後眼部の萎縮性疾患は、外傷、全身性疾患、血管不全、細胞
老化または細胞傷害性の損傷が引き金となる網膜の萎縮を含む。
【0008】 加齢性黄斑変性(ARMD)は、米国では高齢者の失明の主要な原因の1つである。
この疾患の萎縮型 (以下に記載) は、この症例の85%を説明する。「湿式」すな
わち滲出性型は、65歳以上のヨーロッパ系の米国人において失明の90%を引き起
こす血管新生性の疾患である。湿式ARMDは、網膜色素上皮(RPE) 細胞への傷害、
および脈絡膜の毛細管からの未成熟血管による無血管外部網膜の侵襲により、通
常両眼に中央視覚が欠如することを特徴とする。この侵襲は、血管−網膜関門を
構成するRPE 細胞層が裂けることを含む。侵襲が黄斑に関与する場合、患者は重
大な視覚の損傷を受ける。ARMDにおける血管新生の自然な過程は、黄斑上の円形
瘢痕の発現および不可逆的な失明である。視覚の発色団、11- シスレチナール、
の変性におけるそれらの役割に加え、RPE 細胞は脈絡膜の血管層から光受容体細
胞を分割する。血管新生に特徴的な、組織侵襲および分解、並びにRPE および光
受容体細胞の欠損は、プロテアーゼ、MMP の作用、並びにインテグリンおよびイ
ンテグリン結合要素の変化した発現により容易になる。侵襲している血管、およ
び侵襲された組織 (Bruch 膜、RPE および網膜) の代謝における変化もまた生じ
、これは、増殖因子の調節不全、血管内皮増殖因子(VEGF)および増殖を合図する
その他の分子の正の調節、並びに基本繊維芽細胞増殖因子(bFGF)および MMP活性
を調節するその他のシグナル分子の負の調節などの種々の事象が原因となるかも
しれない。Plantner JJ et al., Exp. Eye Res. 67(6):637-45 (1998) ;Guo L
et al., Invest Ophthalmol Vis Sci. 40(11): 2676-82 (1999) ;Steen B et a
l., Invest Ophthalmol Vis Sci. 39(11): 2194-200 (1998)参照。
【0009】 糖尿病性網膜症は、米国の勤労年齢の大人の間において失明の主要な原因であ
る。これは、長期 (10年以上) のインスリン依存性真性糖尿病の患者の90%まで
において観察される。Klein et al., Arch. Ophth. 112: 1217 (1994) 。まず、
真性糖尿病に罹患している人々に共通の高い血糖値が、眼における糖タンパク質
および増殖因子濃度の上昇を引き起こす。「糖尿病性網膜症の前段階」として知
られるこの状態は、予防的に処置されないと網膜症へと進行しうる。「背景的糖
尿性網膜症」としても知られる、非増殖性または初期段階糖尿病性網膜症は、基
底膜の肥厚化、網膜周皮細胞の消失、微小血管異常、網膜内微小動脈瘤、網膜出
血 (「ドット- ブロット (dot-blot) 」または「生綿(cotton wool) スポットと
して知られる) 、網膜腫脹、毛細管塞栓、および軟かいおよび硬い滲出物を特徴
とする。後期または増殖性の糖尿病性網膜症は、血管新生および線維血管増殖、
すなわち網膜または網膜の内部表面上の視神経からの、または硝子体腔への、膠
状および線維状要素を含む瘢痕を特徴とする。活性な血管新生部位では、タンパ
ク質ウロキナーゼの高い (54kD) および低い (33kD) 分子量形態の両者が、正常
な網膜におけるよりもかなり高いレベルで見出された。マトリックスメタプロテ
アーゼMMP-2(ゼラチナーゼA) およびMMP-9 ( ゼラチナーゼB) の前駆形態およ
び活性形態のレベルも、正常な膜に比べて新生血管膜ではかなり高い。Das et a
l., Investigative Ophthalmology & Visual Sciences 40:809-13 (1999); Coor
s et al., Investigative Ophthlmology & Visual Science 40(4): S231 (1999)
参照。典型的には、コラゲナーゼ、ストロメリシンおよびゼラチナーゼなどの M
MPの活性形態は正常網膜では検出可能なレベルでは存在しない。
【0010】 未熟児網膜症(ROP) は、米国および先進国における子供の失明のよくある原因
である。未熟児は、子宮内(in utero)状態に比べ雰囲気中のより高い酸素分圧の
ため、誕生後高酸素状態に曝される。未熟児の生存にとって酸素の補充は必要で
あるが、 ROPを生じることがある。高酸素雰囲気は、網膜血管が周辺網膜へ発達
することを停止させ、発達している網膜の代謝的要求は増加するので、虚血およ
び局部的低酸素状態を引き起こす。その結果生じた局部的低酸素症は、網膜およ
び硝子体への、およびその上の網膜血管新生および線維血管増殖を刺激する。血
管新生は通常退行するが、不可逆的な失明を生じることがある。 ROPの処置方法
は予防である。Gaynon MV and Stevenson DK, Pediatrics 105(2): 295-310 (20
00); Phelps DL et al., Cochrane Database Syst Rev. (2): CD001073 (2000)
参照。しかし、重症の患者では、レーザーダイオード、硝子体切除または網膜除
去手術が避けられないかもしれない。少なくとも年に10,000人の ROPの新たな患
者が発生し、世界中で見積もって合計1000万人の患者がいる。
【0011】 緑内障は、視神経の損傷および視野の欠如を含む、特定の形態の失明を特徴と
する一群の疾患である。眼内圧の向上は危険要因であり、緑内障の眼における視
神経萎縮および網膜細胞死の場合の全部ではないが一部の原因となる。人種は、
重い緑内障になりやすい1要因である。アフリカ系の人々は、ヨッーロッパ系の
人々よりも6倍も両眼失明になりやすいようだ。眼内圧(IOP) の向上が示されな
くても、網膜において緑内障細胞死が生じる。視神経における軸索の束と網膜神
経繊維層との間の分離が変化すると、視神経損傷が生じる。緑内障の治療は、通
常 IOPを下げることに絞られ、これは症状を緩和するが、細胞死をすべて防止す
ることはできない。Hitchings RA., Br J Ophthalmol. 84(7): 678-9 (2000); R
itch R., Curr Opin Ophthalmol. 11(2): 78-84 (2000)参照。
【0012】 萎縮性細胞死はまた、「乾燥」、すなわち非滲出性の、加齢性黄斑変性におい
ても生じる。乾燥性黄斑変性、65歳以上の患者においてARMDの優勢な形態である
。この疾患の新生血管型とは異なり、人種は乾燥性ARMDの発現においては危険因
子ではないようだ。この疾患の初期の徴候は、脈絡膜循環系からの酸素の核酸を
損なう、RPE とBruch 膜との間の結晶腔と称されるものの生成を含む。進行した
疾患は、周辺網膜の局部領域によく見られる RPEおよび光受容体細胞の死 (地理
的萎縮) 、および RPE細胞の増殖および剥離を防止するBruch 膜における変質を
特徴とする。乾燥性黄斑変性の治療は、典型的には、食事へのビタミンEおよび
食品フプルメントの添加を含む、これは組織の代謝能を高め、脈絡膜および RPE
に光防御性色素を回復させる。Delcourt C et al., Arch Ophthalmol. 117(10):
1384-90 (1991); Jacques PF, Int J Vitam Natr Res. 69(3): 198-205 (1999)
参照。結晶腔を破壊、または虹彩色素上皮もしくは RPE細胞を移植する実験的外
科的介入も試みられてもよい。Friberg TR, Semin Ophthalmol. 14(1): 45-50 (
1999); Abe T et al., Tohoku J Exp Med. 189(4): 295-305 (1999); Algverre
PV et al., Eur J Ophthalmol. 9(3): 217-30 (1999)参照。
【0013】 色素性網膜炎(RD)は、世界中で3000人中1人が罹患する、光受容体または RPE
タンパク質における突然変異により引き起こされる一群の遺伝性網膜疾患である
。最も普通のRPの形態は、ロドプシンの機能または産生を変化させる突然変異を
含む。RPは桿状光受容体の選択的消失と、夜盲を特徴とする。進行した病状は、
視野の狭窄 (トンネル視) および周辺の失明を含む。RPを示す患者は、一般に、
30歳までに失明する。現在、RPの治療は、ビタミンAパルミチン酸塩を食事に補
うことを含む。Fex GA t al., Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. Aug: 234 S
uppl 1: S18-21 (1996) 参照。慢性の黄斑部の腫脹は、RPの患者においてよく見
られる合併症である。通常、経口の炭酸脱水酵素阻害剤 (例、アセタゾルアミド
) での治療が処方される。Wolfensberge, TJ Doc Ophthalmol. 97(3-4): 387-97
(1999) 参照。光受容体タンパク質を置換するか、特異的増殖および生存因子を
増加させるための実験的遺伝子治療が、RPの動物モデルの治療において成功して
きた。Ali RR et al., Nat Genet. Jul:25(3): 306-10 (2000); Lewin AS et al
., Nat Med. Aug:4(8):967-71 (1998)参照。
【0014】 後部ブドウ膜炎は、網膜炎、脈絡網膜炎および脈絡膜炎を含む、後眼部の視覚
を脅かす一群の炎症性疾患である。この症状の治療は、一般に、コルチコステロ
イドまたは他の免疫抑制剤の全身への使用を含む。しかし、全身投与は重い副作
用の可能性があるため、理想的投与経路ではない。
【0015】 眼内炎は、侵襲する細菌、または菌類および寄生性微生物に対する炎症性反応
である。これは一般的には、硝子体および網膜を含み、侵襲性生物の毒性、およ
びこれらの生物により産生される毒素の程度に応じ、短期間の間に失明すること
がありうる。これは、白内障手術、濾過操作、および貫通性の眼損傷の重大な合
併症である。この疾患の予後がよくないことは、主に、後眼部へ抗生物質があま
り浸透しないことに起因する可能性がある。
【0016】 後眼部疾患のための既知の外科手術および薬理学的処置には、硝子体切除、レ
ーザーおよび放射線治療などの外科的処置、寒冷療法および化学療法などの薬理
学的処置がある。全網膜レーザー凝固は、増殖性の糖尿病性網膜症の古典的治療
方であるが、中心窩のやけど、出血、網膜剥離、脈絡膜血管増殖、周辺および夜
間の視力低下、および色覚の変化などの重大な副作用があるかもしれない。硝子
体切除、寒冷治療方およびレーザー治療は、 ROPおよびその他の新生血管性の疾
患の治療に使用できるが、完全に有効というわけではなく、眼を損傷し、視力を
低下させることもある。加齢性黄斑変性の滲出性の症例などの一部の疾患におい
ては、失明の一時的防止がレーザーまたは光力学的治療によりなされるかもしれ
ないが、網膜血管新生と関連する一部の疾患形態には永久的治療は利用できない
【0017】 薬剤療法は、組織侵襲がより小さく、眼組織上にかかるストレスがより小さい
という点でマイクロおよびレーザー手術に比べて利点を有する。しかし、有効な
薬剤の数は極めて少ない。さらに、患者のコンプライアンスは全身性副作用によ
り負の影響を受けるかもしれない。結合組織破壊に関与する MMPの作用を阻害す
る化合物は、増殖性網膜症、新生血管性緑内障、およびその他の形態の網膜血管
新生などの新脈管形成依存性疾患の治療においては有効である可能性がある。あ
る種の薬剤が MMPを阻害するのに提案されてきた (米国特許第5,917,090 号参照
) 。特に、 MMP阻害剤は、眼窩内投与、組織特異的微量注入または硝子体内注射
による網膜の可能な処置法として用いられてきた (例えば、欧州特許公開EP 093
0067、1999年7月21日公開;米国特許第5,260,059 号; PCT出願公開WO 97/1883
5)。これらの治療法は後眼部に直接作用する一方、投与が困難であること、およ
び患者へ麻酔薬を同時に投与することが必要という欠点を有する。
【0018】 局所用組成物は、患者により自己投与され、麻酔薬を同時に投与する必要がな
いため、局所処置が好ましいであろう。しかし、結膜、角膜および強膜を通る浸
透力の欠如および血液−網膜関門の存在のため、局所用組成物は一般的に、有効
成分を後眼部に治療有効量供給するのに有効ではない。高度に可溶性であるβ−
遮断薬などの一部の眼科治療薬は、鼻粘膜または瞼の縁の血管を通って血流に吸
収され、全身をめぐって網膜へ行くので、局所投与後に網膜へ達することが見出
されている (Osborne et al., Exp. Eye Res. 69:331-42 (1999)参照) 。この方
法は、血液−網膜関門を通過しない比較的不溶性の薬剤には有効ではなく、片眼
の治療が必要な場合には望ましくない。さらに、血流への吸収は、全身性副作用
を生じることがあり、これは低濃度局所投与および眼組織による直接の吸収では
生じないかもしれない。
【0019】 必要とされるのは、後眼部への有効成分の治療有効量を送り込むことができる
、後眼部疾患の予防的および治療剤的処置のための局所眼科用組成物である。ま
た、後眼部疾患の予防または治療的処置のための方法も要望されている。
【0020】
【発明の要約】 本発明は、治療剤を含有する本発明の組成物の局所投与が、後眼部に治療有効
量の治療剤を送り込むことができるという、予想外の発見に関する。この発見は
、比較的不溶性の化合物に対する従来の局所投与方法は、治療有効量の該化合物
を後眼部に到達させ、そこにとどまらせることに失敗していたことから、予想外
であった。
【0021】 本発明は、後眼部に治療有効量の治療剤を送り込むことができる組成物を、眼
に局所投与することからなる、眼疾患の処置を必要とする哺乳動物の眼疾患を処
置する方法、またはかかる疾患を発現し易い哺乳動物の眼疾患を予防する方法を
提供する。
【0022】 本発明の他の方法としては、後眼部に治療有効量の治療剤を送り込むことがで
きる組成物を、眼に局所投与することからなり、該組成物がポリマー懸濁剤と治
療剤とを含有する、後眼部疾患の処置を必要とする哺乳動物の後眼部疾患を処置
する方法、または後眼部疾患を発現し易い哺乳動物の該疾患を予防する方法が挙
げられる。
【0023】 さらに提供されるのは、治療剤とポリマー懸濁剤とを含有する組成物を眼に局
所投与することからなり、該組成物が後眼部に治療有効量の該治療剤を送り込む
ことができるものである、眼疾患の処置を必要とする哺乳動物の眼疾患を処置す
る方法、または眼疾患を発現し易い哺乳動物の眼疾患を予防する方法である。
【0024】 本発明はまた、治療有効量の治療剤を含有する、眼への局所投与により哺乳動
物の後眼部眼疾患を処置または予防するのに使用するための眼科用組成物、なら
びに治療有効量の治療剤とポリマー懸濁剤とを含有する、眼への局所投与により
哺乳動物の後眼部眼疾患を処置または予防するのに使用するための眼科用組成物
も提供する。
【0025】 さらに提供されるのは、治療剤を含有する、哺乳動物の後眼部眼疾患の処置ま
たは予防用の局所眼科用組成物であって、該組成物が後眼部に治療有効量の該治
療剤を送り込むことができるものである、局所眼科用組成物である。治療剤とポ
リマー懸濁剤とを含有する、哺乳動物の後眼部眼疾患の処置または予防用の局所
眼科用組成物であって、該組成物が後眼部に治療有効量の該治療剤を送り込むこ
とができるものである、局所眼科用組成物もまた提供される。
【0026】 バチマスタット化合物とポリマー懸濁剤とを含有する組成物であって、該組成
物が治療有効量のバチマスタット化合物を網膜に送り込むことができるものであ
る、哺乳動物の網膜血管新生を処置または予防するのに用いる局所眼科用組成物
もまた提供される。約0.1 〜約0.3 重量%のバチマスタットと、約0.5 〜約1.25
重量%のポリマー懸濁剤とを含有する組成物であって、該組成物が治療有効量の
バチマスタットを網膜に送り込むことができるものである、哺乳動物の網膜血管
新生を処置または予防するのに用いる局所眼科用組成物、ならびに約0.1 〜約0.
3 重量%のバチマスタットと. 約0.5 〜約1.5 重量%のポリカーボフィルとを含
有する組成物であって、該組成物が治療有効量のバチマスタットを網膜に送り込
むことができるものである、人間の網膜血管新生を処置または予防するのに用い
る局所眼科用組成物、もまた提供される。バチマスタット化合物を約0.01〜約3
重量%の濃度で含有する眼科用組成物、バチマスタット化合物を約0.05〜約0.5
重量%の濃度で含有する眼科用組成物、ならびにバチマスタット化合物を約0.1
〜約0.3 重量%の濃度で含有する眼科用組成物もまた提供される。
【0027】 本発明の方法および組成物で使用するポリマー懸濁剤は、1種または2種以上
のポリマーを含有しうる。特に、架橋ポリマー、アクリル酸含有ポリマー、およ
びカルボキシ−ビニル含有ポリマーを使用しうる。特に好ましいポリマーとして
は、ポリカーボフィル、デュラサイト(DuraSite)TMポリマー薬剤送給系 (InSite
Vision, Inc.,カリフォルニア州アラメダ) 、およびムコミメティック(mucomim
etic, 偽粘液性) ポリマー (例えば、米国特許第5,932,572 号を参照) が挙げら
れる。
【0028】 本発明の上記以外の利点および特徴は、本発明の好適態様を例示する以下の詳
細な説明、図面および実施例から明らかとなろう。
【0029】
【好適態様の詳細な説明】
以下、本発明の現時点で好ましい態様に関して詳しく述べるが、これは、図面
および後述する実施例と共に、本発明の原理を説明するものである。これらの態
様について当業者が本発明を実施することができる程度に十分に詳しく説明する
が、他の態様も利用でき、本発明の技術思想および範囲内で構造上、生物学的お
よび化学的変更をなしうることはいうまでもない。
【0030】 特に定義しない限り、ここで用いた全ての技術および科学用語は、本発明が属
する技術分野の当業者が普通に理解するのと同じ意味である。ここに説明するの
と類似または均等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用する
ことができるが、以下には好ましい方法、装置および材料を説明する。
【0031】 当業者は、ここに説明する公知技術または均等技術の詳しい説明について、一
般的な参考書を参照してもよい。このような参考書としては、例えば、Current
Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., 編, John Wiley & Sons, N
.Y. および1999年6月までの追録); Current Protocols in Immunology (Coliga
n et al., 編, John Wiley & Sons, N.Y. および1999年6月までの追録); Curre
nt Protocols in Pharmacology (Enna et al.,編, John Wiley & Sons, N.Y. お
よび1999年6月までの追録); The Pharmacological Basis of Therapeutics (Fi
ngl et al., 1975); Remington's Pharmaceutical Science (Mack Publishing C
o., Easton, PA, 18版 (1990)); およびPrinciples and Practice of Ophthalmo
logy (AlbertおよびJakobiec編, W.B. Saunders Company, (1994))がある。
【0032】 本発明は、治療剤(therapeutic agent) による眼疾患、特に後眼部眼疾患の予
防および治療処置用の方法および組成物に関する。それらを用いた組成物および
方法は、動物の眼に局所投与した場合に、予想外にも後眼部に治療有効量の治療
剤を送り込むことが見出された。治療剤は能動もしくは促進輸送により、または
受動輸送機構により、結膜を経て輸送されうる。
【0033】 治療剤なる用語は、ある治療剤の任意の薬剤に許容される塩、誘導体、立体異
性体、もしくは立体異性体混合物、またはその治療剤それ自体を意味する。治療
剤の薬剤に許容される塩または誘導体も本発明の方法および組成物に使用できる
。ここで用いた「薬剤に許容される塩」なる用語は、親化合物の薬剤としての性
質 (例、毒性、効力等) に著しいまたは有害な影響を及ぼさない親化合物の塩を
意味する。本発明の組成物によって投与可能な薬剤に許容される塩としては、例
えば、塩化物、ヨウ化物、臭化物、塩酸塩、酢酸塩、硝酸塩、ステアリン酸塩、
パモ酸塩、リン酸塩、および硫酸塩が挙げられる。薬剤に許容される誘導体を製
造するための代表的な方法としては、メチル化、ハロゲン化、アセチル化、エス
テル化、およびヒドロキシル化が挙げられる。他の例としては米国特許第5,917,
090 号に記載されたものから選択または誘導したものが挙げられる。
【0034】 本発明の方法および組成物に有用な治療剤としては、バチマスタット(batimas
tat)、マルミアスタット(marmiastat)もしくはAG-3340 のようなMMP インヒビタ
ー;ヒドロキサム酸類(hydroxamic acids);大環状抗コハク酸ヒドロキサム酸誘
導体;テトラサイクリン類;メタロプロテアーゼ翻訳のステロイド不活性化剤;
DNA 結合 (副溝<minor groove>) 物質;TIMP、N-カルボキシアルキルペプチド、
ポリアミンおよびグリコサミノグリカンのようなペプチド様治療剤;非ステロイ
ド系抗炎症薬 (NSAID);コルチコステロイド;免疫抑制剤;抗生物質;受容体ア
ンタゴニスト;RNA アプタマー(aptamers);抗酸化剤および抗体が挙げられる。
【0035】 ヒドロキサム酸系治療剤は、米国特許第5,240,958 号に記載されており、好ま
しくは下記一般式を有する化合物またはその塩である。
【0036】
【化1】
【0037】 式中、R1はチエニル基を表し;R2は水素原子またはC1〜C6アルキル、C1〜C6
ルケニル、フェニル (C1〜C6) アルキル、シクロアルキル (C1〜C6) アルキルも
しくはシクロアルケニル (C1〜C6) アルキル基を表し;R3はアミノ酸側鎖または
C1〜C6アルキル、ベンジル、 (C1〜C6アルコキシ) ベンジルもしくはベンジルオ
キシ (C1〜C6アルキル) もしくはベンジルオキシベンジル基を表し;R4は水素原
子またはC1〜C6アルキル基を表し;R5は水素原子またはメチル基を表し;nは0
、1または2の値を持つ整数であり;そしてAは、場合により1または2以上の
C1〜C6アルキル、フェニルまたは置換フェニルで置換されていてもよいC1〜C6
化水素鎖を表す。
【0038】 他のヒドロキサム酸系治療剤としては、ホスフィンアミド系ヒドロキサム酸、
p-NH2-Bz-Gly-Pro-D-Leu-D-Ala-NHOH(FN-439) を含むペプチジルヒドロキサム酸
、第四級ヒドロキシ基を持つヒドロキサム酸、およびバチマスタットに関係する
コハク酸誘導ヒドロキサム酸が挙げられる。例えば、Pikul et al., Journal of
Medical Chemistry 42(1):87-94 (1999); Odake et al., Biochem Biophys Res
Commun 199(3):1442-46 (1994); Jacobson et al., Bioorganic Medical Chemi
stry Letters 8(7):837-42 (1998); Stein et al., Bioorganic Medical Chemis
try Letters 8(16):2087-92 (1998)を参照。大環状抗コハク酸ヒドロキサム酸誘
導体も有効な治療剤である。Cherney et al., Bioorganic Medical Chemistry L
etters 9(9):1279-84 (1999)を参照。バチマスタット (BB-94 とも呼ばれる) は
、比較的不溶性の化学物質であって、その化学名は、[2-R-[1(S*),2R*,3S*]]-N4 -ヒドロキシ-N1-[2-(メチルアミノ)-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-2-(2
-メチルプロピル)-3-[(2-チエニルチオ)メチル]ブタンジアミドまたは (2S,-3R)
-5-メチル-3-[[(αS)-α-(メチルカルバモイル) フェネチル] カルバモイル]-2-
[(2-チエニルチオ) メチル]ヘキサノヒドロキサム酸であり、構造式は次の通り
である。
【0039】
【化2】
【0040】 抗血管形成剤は、成長 (増殖) 因子、サイカインおよびペプチドを包含するあ
る種の化合物からなり、これは血管形成、内皮細胞増殖、遊走、管形成、および
血管新生 (新生血管形成) を阻害する能力といった性質に加担する。好ましい抗
血管形成剤としては、エンドスタチンおよび活性コラーゲン断片誘導体、例えば
、アレステン (IV型コラーゲンのα1鎖の26 kDa NC1ドメイン) 、トロンボスポ
ンジン、インターロイキン-12 、アンギオスタチン、ならびにプラスミノゲンの
活性断片および誘導体が挙げられる。Colorado et al., Cancer Research 60(9)
:2520-26 (2000); Sunamura et al., Pancreas 20(3):227-33 (2000); Griscell
et al., Proceedings of the National Academy of Sciences U.S.A., 95(11):
6367-72 (1998)を参照。他の好ましい抗血管形成剤は、基本線維芽細胞増殖因子
(bFGF)のような成長 (増殖) 因子であり、これを単独で、または全トランスレチ
ノイン酸のような他の抗血管形成剤と組合わせて使用して、メタロプロテアーゼ
-1 (TIMP-1) タンパク質の組織インヒビターのような天然MMP インヒビターを刺
激しうる。Bigg et al., European Journal of Biochemistry 267(13):4150-56
(2000)を参照。
【0041】 他の好ましい治療剤としては、テトラサイクリン類、特にミノサイクリン、デ
オキシサイクリン、およびCOL-3 、ならびにデキサメタゾンのようなメタロプロ
テアーゼ翻訳のステロイド不活性化剤が挙げられる。Fife et al., Cancer Lett
ers 153(1-2):75-8 (2000); Gilbertson-Beadling et al., Cancer Chemother.
Pharmacol. 36(5):418-24 (1995); Greenwald et al., Journal of Rheumatolog
y 19(6):927-38 (1992); Shapiro et al., Journal of Immunology 146(8):2724
-29 (1991)を参照。さらなる一群の治療剤としては、ジスタマイシンAおよびそ
のスルホン酸誘導体PNU145156EおよびPNU153429 、アントラマイシン、ピロロ[2
,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン (PBD)およびそのメチルエステル、ならびに他のポ
リピール副溝結合剤といった、DNA 結合 (副溝) 化合物が挙げられる。例えば、
Baraldi et al., Journal of Medical Chemistry 42(25):5131-41 (1999); Poss
ati et al., Clin. Exp. Metastasis 17(7):575-82 (1999) を参照。
【0042】 ペプチド様治療剤は、ペプチド、ペプチド模擬物、プソイドペプチド、ポリア
ミン、およびグリコサミノグリカンを包含する多様な種類の化合物からなる。メ
タロプロテアーゼの組織インヒビター (TIMP) は、メタロプロテアーゼの作用を
阻害し、鎖内ジスルフィド結合のような構造特性に加担するペプチドおよびポリ
ペプチドである。好ましいTIMPとしては、TIMP-1 (28.5 kDaポリペプチド) 、TI
MP-2 (22 kDaポリペプチド) 、およびTIMP-3 (24〜25 kDaポリペプチド) 、なら
びに阻害機能を保持しているその断片を包含する天然TIMPの組換えおよび単離形
態が挙げられる。G. Murphy et al., Biochemistry 30(33):8097-102 (1991); A
.N. Murphy et al., Journal of Cell Physiology 157(2):351-58 (1993); Kish
nani et al., Matrix Biology 14(6):479-88 (1995) を参照。
【0043】 N-カルボキシアルキルペプチドは、in vivo 治療剤として作用することが示さ
れた種類のペプチドである。好ましいN-カルボキシアルキルペプチドとしては、
CH3CH2CH2(R,S)CH(COOH)-NH-Leu-Phe-Ala-NH2, N-[D,L-2-イソブチル-3(N'-ヒド
ロキシカルボニルアミド)-プロパノイル]-O-メチル-L-チロシン・メチルアミド
、およびHSCH2CH[CH2CH(CH3)2]CO-Phe-Ala-NH2 (SIMP) が挙げられる。Fini et
al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 32(11):2997-3001 (1991); Stack et al.
, Arch. Biochem. Biophys. 287(2):240-49 (1991); Wentworth et la., Invest
. Ophthalmol. Vis. Sci. 33(7):2174-79 (1992)を参照。他のペプチド様治療剤
としては、α−ジフルオロメチルオルニチンのようなポリアミン、ならびにコン
ブレタスタチンおよびヘパリンのようなグリコサミノグリカンがある。Wallon e
t al., Mol. Carcinog. 11(3):138-44 (1994); Dark et al., Cancer Research
57(10):1829-34 (1997); Lyons-Giordano et al., Exp. Cell Research 186(1):
39-46 (1990)を参照。
【0044】 MMP 阻害活性を有するMMP のペプチド誘導体も本発明の方法および組成物に使
用しうる。好ましいペプチドは、MMP プロ酵素のアミノ酸配列の類似物、変異物
および誘導体である。特に好ましいペプチドとしては、MRKPRCGNPDV (プロコラ
ーゲナーゼ)(配列番号1) またはMRKPRCGVPDVG (プロストロメリシン)(配列番号
2) であると択一的に報告されている、全ての既知MMP プロ酵素に見られる高保
存ペプチド配列の類似物、変異物および誘導体が挙げられる。Hanglow et al.,
Agents Actions 39 Spec. No.:C148-50 (1993); Melchiori et al., Cancer Res
earch 52(8):2353-56 (1992)を参照。より好ましいペプチドは、アミノ酸配列 A
rg-Cys-Gly (配列番号3) 、Arg-Cys-Gly-Val (配列番号4) 、Arg-Cys-Gly-Val
-Pro (配列番号5) 、Arg-Cys-Gly-Val-Pro-Asp (配列番号6) 、およびTMRKPRC
GNPDVAN (配列番号7) を有する。他のペプチドとしては、ピロGlu-Asn-Trp の
ようなメタロプロテアーゼの類似物、変異物および誘導体、ならびにSCH 47890
のような合成リガンドが挙げられる。Zhang et al., Proceedings of the Natio
nal Academy of Science U.S.A. 91:8447-51 (1994) を参照。
【0045】 スルホンアニリドおよびスルホンアミドといったイオウ系治療剤も、本発明の
方法および組成物に使用しうる。好ましいイオウ系治療剤としては、ニメスリド
のようなスルホンアニリド非ステロイド抗炎症薬 (NSAID)、アクリルスルホンア
ミド、ならびにマロニルα−メルカプトケトンおよびα−メルカプトアルコール
が挙げられる。例えば、Bevilacqua et al., Drugs 46 Suppl. 1:40-47 (1993);
Hannessian et al., Bioorganic Medical Chemistry Letters 9(12):1691-96 (
1999); Campbell et al., Bioorganic Medical Chemistry Letters 8(10):1157-
62 (1998) を参照。
【0046】 非ステロイド抗炎症薬 (NSAID)またはシクロオキシゲナーゼインヒビターも、
本発明の方法および組成物に治療剤として使用しうる。代表的なNSAID としては
、サリシレート、フェナメート、インドール類、フェニルアルカン酸、およびピ
ラゾロン類が挙げられる。代表的なシクロオキシゲナーゼインヒビターとしては
、これらに限られないが、プロピオン酸、酢酸、フェナム酸、ビフェニルカルボ
ン酸およびオキシカムの誘導体が挙げられる。これらのシクロオキシゲナーゼイ
ンヒビターは、COX-1 および/またはCOX-2 インヒビターを包含しうる。好まし
いNSAID としては、アスピリン、ベノキサプロフェン、ベンゾフェナク、ブクロ
キシン酸、ブチブフェン、カルプロフェン、シクロプロフェン、シンメタシン、
クリンダナク、クロピラク、ジクロフェナック、エトドラク、フェンブフェン、
フェンクロフェナック、フェンクロラク、フェノプロフェン、フェンチアザク、
フルノキサプロフェン、フラプロフェン、フルルビプロフェン、フロブフェン、
フロフェナック、イブプロフェン、イブフェナック、インドメタシン、インドプ
ロフェン、イソキセパク、ケトロプロフェン、ラクトロラク、ロナゾラク、メチ
アジニク、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキセピナク、フ
ェナセチン、ピプロフェン、ピラゾラク、プロチジン酸、スリンダク、スプロフ
ェン、チアプロフェン酸、トルメチン、およびゾメピラクが挙げられる。好まし
いCOX-2 インヒビターとしては、セレコキシブ、ロフェコキシブ、メロキシカム
、JTE-522 、およびHN-56249が挙げられる。
【0047】 別の種類の治療剤としては、後眼部眼疾患に関与する受容体、例えば、血管内
皮増殖因子 (VEGF) 受容体、に拮抗する化合物が挙げられる。VEGFアンタゴニス
トとしては、VEGFのその受容体への結合を阻害するペプチド、例えば、短鎖ジス
ルフィド束縛ペプチド、および合成ペプチド Ala-Thr-Trp-Leu-Pro-Pro-Arg (配
列番号8) が挙げられる。Fairbrother et al., Biochemistry 37(51):17754-64
(1998); Binetruy-Tournaire et al., EMBO J. 19(7):1525-33 (2000)を参照。
VEGFアンタゴニストは、VEGFがその受容体と接触する能力を阻害することにより
、血管の成長を阻害する。この抗血管形成のメカニズムは、天然のプロテアーゼ
インヒビターを刺激することにより血管形成を阻害する作用を示す、bFGFの
ような増殖因子の刺激により引き起こされるメカニズムとは異なるように作用す
る。他のVEGFアンタゴニストは、VEGFそれ自体の非対称変異物から誘導しうる。
例えば、Siemester et al., Proceedings of the National Academy of Science
U.S.A. 95:4625-29 (1998) を参照。他の有用な治療剤は、RNA アプタマーであ
り、これはVEGFもしくは近縁の血小板由来増殖因子 (PDGF) に拮抗するように設
計したものでよく、ポリエチレングリコールまたは脂質に結合させて投与しうる
。例えば、Floege et al., American Journal of Pathology 154(1):169-79 (19
99); Ostendorf et al., J. Clin. Invest. 104(7):913-23 (1999); Willis et
al., Bioconjug. Chem. 9(5):573-82 (1998)を参照。
【0048】 本発明の方法および組成物に使用する抗体は、後眼部眼疾患の発症に関与する
インテグリンのような受容体または化合物に関係するものでよい。代表的な抗体
としては、抗α(v)β(3) および抗α(5) インテグリン抗体のような抗インテグ
リンが挙げられ、これらは環状Arg-Gly-Asp と組合わせて使用しうる。Bayless
et al., American Journal of Pathology 156(5):1673-83 (2000) を参照。他の
抗体としては、ビンブラスチンおよびDC101 (VEGF受容体を標的とするモノクロ
ーナル中和抗体) が挙げられる。Klement et al., J. Clin. Invest. 105(8):R1
5-24 (2000) を参照。
【0049】 他の2種類の有用な治療剤として、免疫抑制剤および抗生物質が挙げられる。
免疫抑制剤は免疫系を抑制する薬剤である。免疫抑制としては、すべてのコルチ
コステロイド;ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、エトグル
シド、マンノムスチン、メルファラン、ミトブロニトール、ムスチン、チオテパ
、トレタミンおよびウラムスチンのようなアルキル化剤;葉酸アンタゴニスト (
メトトレキセート) 、プリンアンタゴニスト (メルカプトプリン、アザチオプリ
ン、チオグアニン) 、およびピリミジンアンタゴニスト (フルオロウラシル、シ
タラビン、フロクスウリジン) のような抗代謝剤;ビンクリスチン、ビンブラス
チン、およびデモコルシンのようなアルカロイド;グルコシド (エトポシド) ;
サイクロスポリン;アスパラギナーゼ;ならびにプロカルバジン、デカルバジン
、ヒドロキシウレア、ロザキサン、ウレタン、およびシスプラチンのような他の
もの、が挙げられる。抗生物質治療剤としては、トブラマイシン、ゲンタマイシ
ン、フルオロキノロン誘導体 (ノルフロキサシン、オフロキサシンおよびシプロ
フロキサシンを含む) 、ナフチリジン、テトラサイクリン、オキサゾリジノン、
ならびにエリスロマイシン、クラリトロマイシンおよびアジスロマイシンのよう
なマクロライドが挙げられる。
【0050】 さらに、本発明の組成物は、ある治療剤の1種または2種以上の立体異性体の
濃度を高めてもよく、またある1種の立体異性体に関して実質的に光学的に純粋
にしてもよい。治療剤の使用方法も、富化 (高濃度化) した立体異性体または混
合物を含んでいてもよい。当業者は、1種もしくは2種以上の光学的に純粋な試
薬または中間体、または立体異性体が富化された試薬もしくは中間体を用いて、
実質的に光学的に純粋な組成物または立体異性体が富化された組成物を得るよう
にする合成スキームの設計について熟知している。実質的に純粋な組成物は、あ
る1種の立体異性体を約85〜約95%またはそれ以上の割合で含有する。治療剤、
治療剤の混合物、またはある治療剤の製造に使用する任意の中間体もしくは試薬
の立体異性体の富化または精製のために、クロマトグラフィー、酵素または選択
的晶析の方法を使用しうる。
【0051】 1好適態様において、本発明の組成物は治療有効量の治療剤を含有する。本発
明の組成物中の治療剤の好ましい濃度は、約0.01〜約10%(wt/wt) の範囲内であ
る。より好ましい濃度範囲は約0.05〜約5.0 %であり、さらに一層好ましい濃度
は約0.1 〜約1.0 %である。
【0052】 ここで用いた「治療有効量」なる用語は、薬剤組成物または方法の各有効成分
の合計量が、意味ある患者の利益、即ち、網膜もしくは周囲組織における、慢性
症状の治癒もしくは改善;血管新生、炎症、萎縮もしくは他の症候の軽減;この
ような症状の治癒速度の増大;あるいはMMP レベル、サイトカインプロファイル
、または細胞活性もしくは他の関連の生化学的事象の検出可能な変化、を示すの
に十分であることを意味する。個々の有効成分を単独で投与する場合には、この
用語はその成分単独を意味する。2以上の有効成分を組合わせて投与する場合に
は、この用語は、投与が混合物、逐次的、または同時のいずれかである時に、有
効成分の合計量が治療効果を生ずることを意味する。
【0053】 組成物の治療効力および毒性は、細胞培養物または実験動物における標準的な
製薬学的、薬理学的および毒物学的手法により決定しうる。例えば、ED50 (集団
の50%に治療上有効な用量) およびLD50 (集団の50%に対する致死量) を決定す
る多くの方法が存在する。治療効果と毒性効果との間の用量比が治療指数であり
、これはED50/LD50として表すことができる。高い治療指数を示す組成物が好ま
しい。細胞培養物の検定または動物試験から得られたデータを、人間用の投与量
の範囲を処方するのに使用できる。投与量は、毒性をほとんど又はまったく示さ
ずにED50を含む濃度範囲内とすることが好ましく、この範囲内で、使用する剤形
、患者の鋭敏度、および投与経路に応じて変動させうる。
【0054】 本発明の組成物のpHは約5〜約8の範囲内とすることが好ましく、使用する個
々の治療剤ごとに調整しうる。USP(米国薬局方) 精製水、ならびに眼科用に適し
た各種の酸および塩基、または酸と塩基の組合わせ、を組成物のpH調整に使用し
うる。酸および塩基の制限を意図しない例としては、酢酸、ホウ酸、クエン酸、
乳酸、リン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム
、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびTRISが挙げら
れる。
【0055】 組成物の浸透圧は、本技術分野で既知の方法により、約40〜約400 ミリオスモ
ル(mOsM)の範囲内、より好ましくは約100 〜約300 mOsMの範囲内に調整しうる。
浸透圧の好ましい調整方法は、生理学的および眼科学的に許容される塩の添加で
ある。用いて浸透圧を調整できる。生理学的流体に近い塩化ナトリウムが約0.01
〜約1重量%の範囲内の濃度、またはその範囲内の任意の値で使用するのに適し
た塩である。好ましくは、この濃度は約 0.1〜約1%である。カリウム、アンモ
ニウムなどのカチオンと、塩素、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、
重炭酸、硫酸、チオ硫酸、重硫酸などのアニオンとからなる塩、例えば、塩化カ
リウム、チオ硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなど、の1
種もしくは2種以上の塩の等価の量を、塩化ナトリウムに加えてまたは塩化ナト
リウムに代えて使用して、上記範囲内の浸透圧を得ることもできる。
【0056】 組成物の追加成分を、薬剤処方組成物、特に眼への局所投与用のもの、に使用
されているか、使用可能である任意のものから選ぶことができる。成分の制限を
意図しないリストは、保存剤、安定剤、キレート剤、染料、抗生物質、抗菌剤、
および抗真菌剤を包含する。塩化ベンザルコニウムのような保存剤は、約0.001
〜約1重量%の範囲内、またはこの範囲内の任意の値で使用しうる。本発明の組
成物は、局所眼科用投与に適した、薬剤に許容される担体、賦形剤、ゲル、溶液
、または希釈剤をさらに含有していてもよく、また薬剤に許容されるポリマー懸
濁剤を含有しうる。好適な担体または賦形剤としては、これらに限られないが、
、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種糖類、デンプン、セルロース誘導体
、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーが挙げられる。本
発明の組成物の処方および投与に関する好適な技法は、Remington's Pharmaceut
ical Sciences 第18版 (1990)に見ることができる。
【0057】 別の好ましい態様において、本発明の組成物は、治療有効量の治療剤と、該治
療剤の眼内での滞留時間を増大させることができる、薬剤に許容されるポリマー
懸濁剤とを含有する。滞留時間の増大は、治療剤の濃度が比較的低くても、より
多量の治療剤が結膜を透過して、または他の経路で、後眼部に輸送されるのを可
能にする点で望ましい。一般に、治療剤の濃度は、全身吸収および起こり得る副
作用を避けるために、比較的低くすることが好ましい。
【0058】 ポリマー懸濁剤の例としては、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリ
ビニルピロリドン、多糖類ゲル、ゲルライト(Gelrite)TM、ヒドロキシプロピル
・メチルセルロースのようなセルロース系ポリマー、ならびにアクリル酸のポリ
マーもしくはコポリマーのようなカルボキシル含有ポリマー、さらには高分子粘
滑剤が挙げられる。好ましいポリマー懸濁剤は、水膨潤性で水不溶性のポリマー
、特に架橋カルボキシル含有ポリマーである。
【0059】 本発明の実施に使用できる架橋カルボキシる含有ポリマーは、一般に本技術分
野では周知である。1好適態様にあっては、かかるポリマーは、存在するモノマ
ーの合計重量に基づく重量%で少なくとも約90%、好ましくは約95%〜約99.9%
の1種もしくは2種以上のカルボキシル含有モノエチレン性不飽和モノマーから
製造しうる。アクリル酸が好ましいカルボキシル含有モノエチレン性不飽和モノ
マーであるが、他の不飽和で重合性のカルボキシル含有モノマー、例えば、メタ
クリル酸、エタクリル酸、β−メチルアクリル酸 (クロトン酸) 、 cis−α−メ
チルクロトン酸 (アンゲリカ酸) 、 trans−α−メチルクロトン酸 (チグリン酸
) 、α−ブチルクロトン酸、α−フェニルアクリル酸、α−ベンジルアクリル酸
、α−シクロヘキシルアクリル酸、β−フェニルアクリル酸 (ケイ皮酸) 、クマ
リン酸 (o−ヒドロキシケイ皮酸) 、ウンベル酸 (p−ヒドロキシクマリン酸)
などを、アクリル酸に加えて、またはアクリル酸に代えて使用しうる。
【0060】 このポリマーは、多官能性架橋剤、好ましくは二官能性架橋剤により架橋させ
たものでよい。架橋剤の量は、不溶性ポリマー粒子を形成するのに十分であるが
、治療剤化合物の徐放性を不当に妨げるほどには多くない量とすべきである。典
型的にはポリマーは軽度にしか架橋させない。好ましくは、架橋剤は存在するモ
ノマーの合計重量に基づいて約0.01%〜約5%、好ましくは約0.1 %〜約5.0 %
、より好ましくは約0.2 %〜約1%の量で含有させる。
【0061】 適当な架橋剤としては、ジビニルグリコール、 2,3−ジヒドロキシヘキサ−1,
5 −ジエン、 2,5−ジメチル−1,5 −ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、 N,N−
ジアリルアクリルアミド、 N,N−ジアリルメタクリルアミドなどの非ポリアルケ
ニルポリエーテル型の二官能性架橋用モノマーが挙げられる。他の適当な架橋剤
としては、ポリアリルスクロースもしくはポリアリルペンタエリスリトール等の
ポリアルケニルポリエーテル架橋剤 (例えば、米国特許第2,798,053 号を参照)
ならびに米国特許第4,192,827 号および第4,136,250 号に開示されているような
、ジオレフィン性、非親水性のマクロマー(macromeric)架橋剤が挙げられる。
【0062】 この架橋カルボキシ−ビニルポリマーは、存在するモノエチレン性不飽和モノ
マーが1種もしくは2種以上のカルボキシ−ビニルモノマーだけからなり、これ
と1種もしくは2種以上の架橋剤とから製造したものでよい。好ましくは、この
ポリマーは、1種もしくは2種以上のカルボキシル含有モノエチレン性不飽和モ
ノマーの重量で約40%まで、好ましくは約0%〜約20%を、生理学的および眼科
学的に無害な置換基のみを含有し、カルボキシ基を含有しない1種もしくは2種
以上のモノエチレン性不飽和モノマーで置換したポリマーである。かかるカルボ
キシ基を含有しないモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルアクリレ
ート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルメタクリ
レート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレー
トなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、N-ビニルピロ
リドンなどが挙げられる。かかる追加のモノエチレン性不飽和モノマーのより広
範なリストについては、Mueller ら米国特許第4,548,990 号 (その全内容をここ
に参考として援用) を参照。
【0063】 特に好ましいポリマーは、架橋用モノマーが 2,3−ジヒドロキシヘキサ−1,5
−ジエンまたは 2,3−ジメチルヘキサ−1,5 −ジエンである、軽度に架橋したア
クリル酸ポリマーである。好ましい市販のポリマーとしては、ポリカーボフィル
(polycarbophil) (Noveon AA-1)およびカルボポール(Carbopol)TMが挙げられる
。最も好ましいのは、制御された速度で薬剤を放出する持効性局所眼科用薬剤供
給系である、ポリカーボフィルを含有する登録商標デュラサイト(DuraSite)TM
リマー供給系 (InSite Vision, Inc., Alameda, CA) を、本発明の組成物におい
てポリマー懸濁剤として使用することである。
【0064】 本発明の実施に使用する架橋カルボキシ−ビニルポリマーは、慣用のラジカル
(遊離基) 重合触媒を用いて、等積球径(equivalent spherical diameter) で約
1〜10μm以下の乾燥粒度になるまで、例えば等積球径で約1〜約30μm、好ま
しくは約5〜約20μmの粒度範囲の乾燥ポリマー粒子を形成するように、モノマ
ーを懸濁または乳化重合させることにより製造することが好ましい。より大きな
ポリマー粒子を機械的に粉砕してこの粒度することにより得たポリマー粒子を使
用するのは避けることが好ましい。一般に、かかるポリマーの分子量については
、約250,000 〜5,000,000,000 までのさまざまな報告がある。
【0065】 本発明の最も好ましい態様では、架橋カルボキシ−ビニルポリマーの粒子は単
分散性である。これは、粒子の少なくとも80%が幅10μmの主要粒度分布幅の範
囲に入るような粒度分布を有することを意味する。より好ましくは、粒子の少な
くとも90%、最も好ましくは少なくとも95%が幅10μmの主要粒度分布幅の範囲
に入る。また、単分散粒度は、粒度が1μm以下の粒子の割合が20%以下、好ま
しくは10%以下、最も好ましくは5%以下であることも意味する。単分散の粒子
を使用すると、ある一定の粒度について、眼科用薬剤供給系の粘度が最高になり
、その眼内滞留時間が長くなるであろう。粒度が30μm以下の単分散粒子が特に
好ましい。粒度分布が狭いと良好な粒子充填が助長される。
【0066】 本発明の組成物は、一般に0.01〜10%、好ましくは0.05〜5.0 %、より好まし
くは 0.1〜1.03%の治療剤と、 0.1〜10%、好ましくは 0.5〜6.5 %のポリマー
懸濁剤とを含有する。上述した水不溶性で水膨潤性の架橋カルボキシ−ビニルポ
リマーの場合には、ポリマー懸濁剤のより好ましい量は約0.5 〜約2.0 の範囲内
の量、またはこれらの%の範囲内で選んだ任意の値である。特に好ましい態様は
、組成物の重量に基づいて約0.5 %〜約1.3 %、一部の態様では約0.6 〜約0.9
%のポリマーを含有する。単数形で言及したが、架橋カルボキシル含有ポリマー
のようなポリマー懸濁剤は、合計量が上記範囲内となるようにして1種もしくは
2種以上を使用できることはいうまでもない。1好適態様において、組成物は、
ノベオン(NOVEON) AA-1 のようなポリカーボフィルを約0.5 〜約2.0 %、または
これらの%の範囲内で選んだ任意の値で含有し、より一層好ましいのは約0.60〜
約1.3 %の範囲である。
【0067】 1好適態様において、不溶性の軽度に架橋したカルボキシ−ビニルポリマー粒
子の量、pHおよび浸透圧を、相互に、および架橋の程度と相関させて、粘度が約
500 〜約100,000 cps 、好ましくは約1,000 〜約30,000 cpsまたは約1,000 〜約
10,000 cpsの範囲内の組成物を与えることができる。この粘度は、25番スピンド
ルおよび13R 少量サンプルアダプターを取り付けたブルックフィールドディジタ
ルLVT 粘度計を用いて室温 (約25℃) で12 rpmで測定した値である。或いは、粘
度が 500〜3000 cpsの範囲内である場合には、ブルックフィールドDV-11+型粘度
計により、cp-52 番スピンドルを選んで6rpm で粘度を測定してもよい。当業者
は、薬剤組成物の粘度の調整および最適化の方法について熟知している。ヒドロ
キシプロピル・メチルセルロースのような水溶性ポリマーを懸濁剤として使用す
る場合には、粘度は典型的には約10〜約400 cps 、より典型的には約10〜約200
cps または約10〜約25 cpsとなろう。
【0068】 本発明により、後眼部に現れるか、付随する疾患および症状の予防および治療
処置の方法も提供され、この方法は、かかる処置を必要とする動物に、本発明の
局所眼科用組成物を投与することからなる。提供される別の方法は、治療剤を投
与するための局所眼科用組成物を同定または選択する方法である。この方法は、
治療剤を選択し、ポリマー型担体またはポリマー懸濁剤を選択し、そして意味あ
る患者の利益 (薬効) 、例えば、後眼部のプロテアーゼ活性の阻害、の出現を検
出することからなる。
【0069】 予防および治療処置の持続時間は、処置すべき具体的疾患または症状に応じて
変動しよう。一部の疾患では急性の処置が向いているのに対し、他の疾患は長期
処置を必要とする。例えば、増殖性網膜症は、ROP (未熟児網膜症) 、一部の場
合の糖尿病性網膜症、および血管新生緑内障に見られるように、数日程度で閾値
に達することがある。未熟児は、妊娠35週付近、誕生後数週、に血管新生の危険
性があり、網膜が血管化するまでの短期間も危険な状態にとどまる。糖尿病性網
膜症も急性な場合があるが、より長期間にわたって増殖期にとどまることもある
。糖尿病性網膜症は最終的には、血管新生および網膜の破壊により血管増殖シグ
ナルが減少するにつれて静止期になる。
【0070】 具体的な問題または環境への本発明の教示の応用 (適用) は、ここに含めた教
示に照らして当業者の能力の範囲内である。本発明の生成物および方法の実例は
下記の実施例に見られる。
【0071】
【実施例1】 治療剤を含有する組成物の調製 本発明の各種処方組成物を調合した。これらを次の表に列挙する。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】 本発明の組成物の物理的および化学的特性を、本技術分野のスキルに従って修
正または最適化しうる。例えば、pH、浸透圧、粘度、および各種追加成分の含有
量を、任意の適当な公知範囲から選択し、またはここに示した実施例から変更す
ることができる。ポリマー懸濁剤を含有する処方組成物例の調製および選択の方
法は、例えば、米国特許第5,188,826 号および第5,192,535 号に記載されている
。一般に、本発明の薬剤組成物は、それ自体公知の方法、例えば、慣用の混合、
溶解、乳化、カプセル化 (マイクロカプセル化) 、捕捉または凍結乾燥方法によ
って、製造しうる。
【0075】 組成物はいくつかの方法のいずれによっても処方することができる。例えば、
軽度に架橋したポリマー粒子、治療剤、浸透圧調整用の塩、および任意成分も使
用する場合にはその成分、を予備混合し、水の全量または一部の量に添加し、見
かけのポリマー分散が完了するまで (これは目に見えるポリマー凝集物が存在し
ないことで判定でき、通常は約1時間以内に起こる) 激しく攪拌する。その後、
所望のpHになるように十分なpH調整剤を添加し、必要であれば、この時点で100
%の処方重量になるようにさらに水を加えることができる。
【0076】 別の好都合な方法では、最終の水の量の約95%に治療剤を添加し、攪拌を溶液
の飽和に十分な時間続ける。溶液の飽和は、既知の方法、例えば、分光光度計を
用いて決定することができる。軽度に架橋したポリマー粒子と浸透圧調整用の塩
をまず乾燥形態で混合してから、薬剤が飽和した懸濁液に添加し、見かけのポリ
マー水和が完了するまで攪拌する。所望のpHに到達するのに十分なpH調整剤を少
しずつ添加した後、残りの水を攪拌しながら添加して、組成物を100 %の処方重
量にする。
【0077】 本発明の局所眼科用組成物の好ましい処方方法は、ゲル100 グラム当たり90グ
ラムの水にポリマーを添加し、次にゲルが完全に水和するまで約1時間攪拌する
。その後、水溶液または水性懸濁液の状態の治療剤を攪拌しながら添加する。次
に、固体の塩化ナトリウムを、全体を100 グラムにするのに十分な水と一緒に添
加し、例えば、10N 水酸化ナトリウムでpHを最終pHに調整する。
【0078】 調製した組成物を、その後、好ましくは短時間加熱 (例、約121 ℃の蒸気で約
30分間) により滅菌し、適当な容器に充填する。別のやり方として、処方組成物
の滅菌を、薬剤を適当な溶媒中に溶解し、無菌濾過し、処方組成物中で沈殿させ
ることにより行うこともできる。保存剤を含まない組成物を、好ましい粘度で、
一回量容器に充填し、水銀系保存剤のような保存剤を含有する眼科用薬剤から特
に起こることが認められてきたような、角膜上皮の保存剤に関係する刺激および
鋭敏化の可能性を排除することができる。
【0079】 特に、本発明の組成物の粘度は、一定の正確な用量を必要に応じて一日に何回
も眼に点眼投与することを可能にするので、所望により、保存剤を含有する組成
物を、好ましい粘度で多数回容器に充填してもよい。保存剤を含有させるべき組
成物では、適当な保存剤としては、約0.001 〜約0.02%の範囲内の量の塩化ベン
ザルコニウム、好ましくは約0.5 %のクロロブタノール、好ましい約0.5 %のク
ロロブタノールクロラール誘導体、好ましくは約0.01〜0.05%のメチルパラベン
およびプロピルパラベン、好ましくは約0.2 %のソルビン酸、好ましくは約0.01
%のセトリミド(Cetrimide) 、好ましくは約0.001 %のポリクアット(polyquat)
、好ましくは約0.01%の臭化セチル等が挙げられ、上記保存剤の量はいずれも組
成物の全重量に基づく量である。
【0080】
【実施例2】 治療剤を含有する組成物のマウスにおける局所眼投与 糖尿病性網膜症および酸素誘発失明といった網膜血管新生症状および疾患のモ
デルとして使用しうる、未熟児網膜症の新生マウス動物モデルは、後眼部への治
療剤の局所眼投与の有用性と予期し得ない利点を実証する。
【0081】 出生7日の新生マウスを7日から11日目まで高酸素 (75%) 中に置き、その後
、12日目に普通の部屋に移す。相対的な高酸素 (酸素過剰) 状態が生じ、網膜血
管新生が17日目までに露出した動物の100 %に見られる。最初に上記酸素サイク
ルに露出した動物の一部 (n=9) は、14〜17日目 (4日間) に右目に1日4回
の処方組成物1の点眼を受ける (第I群) 。一部の動物 (n=9) は、13〜17日
目に、同様に処方した同じ点眼を受ける (第II群) 。別の群の動物 (n=9)(第
III 群) では、上記点眼剤を右目に点眼し、普通の食塩水を左目に点眼する (対
照) 。17日目に動物を致死させる。17日間、室内空気だけに置いておいた新生動
物を対照としうる。
【0082】 眼組織を処理してパラフィン包埋切片を作製し、これをDAPI (ジアミジノフェ
ニルインドール) で処理して核を染色する。切片を蛍光顕微鏡で検査することが
でき、微小血管細胞を表す、網膜の内境界膜の硝子体側の核の数を、マスクド・
プロトコル(masked protocol) を用いて、各切片について数える。
【0083】 高酸素状態 (75%酸素) の後、室内空気に曝した動物の硝子体中に網膜から突
き出た多数の血管新生の房状突起(tufts) が見られ得る。定量の結果は、実験動
物 (薬剤処置なし) では切片当たり約52.86 の血管新生核が見られのに対し、対
照では切片当たり0.53血管新生核である。処方組成物1により処置された動物は
、それぞれ27.8% (第I群) 、38.3% (第II群) 、および39.47 % (第III 群)
の血管新生核の減少を示す (図1) 。
【0084】 網膜血管新生に罹患した動物のMMP-2 活性の分析では、対照に対してMMP-2 の
プロ形態 (72 kDa) の著しい増大を示す (図2) 。対照では検出できないMMP-2
の活性形態 (62 kDa) も、血管新生に罹患した動物では著しく増大している。処
方組成物1の点眼は、プロ形態および活性形態の両方のMMP-2 の活性を減少させ
る。網膜血管新生に罹患した動物のMMP-9 活性の分析では、対照に対してMMP-9
のプロ形態 (92 kDa) の著しい増大を示す (図3) 。対照では検出できないMMP-
9 の活性形態 (84 kDa) も、網膜血管新生に罹患した動物では著しく増大してい
る。処方組成物1の点眼による処置は、プロ形態および活性形態の両方のMMP-9
の活性を著しく減少させる。網膜血管新生に罹患した動物はまた、対照に比べて
、ウロキナーゼの32 kDaと54 kDaの両方の分子量の形態の著しい増大を示す。ザ
イモグラフ (酵素電気泳動法) による解析は、処方組成物1の点眼で処置した動
物におけるいずれの形態のウロキナーゼの活性にも変化を示さない (図4) 。
【0085】 別の試験において、動物を上述したように高酸素状態で処置する。その後、腹
腔内注射 (IP) により動物にバチマスタットを導入する。12、14および16日目の
IP注射の間に、同じ動物モデル内で血管新生の72%の減少を示す (Das et al.,
Archives of Ophthalmology, 117:498-503 '1999))。
【0086】 ザイモグラフ解析およびウロキナーゼ検定 (図4) が示すように、処方組成物
1の点眼が網膜血管新生に及ぼす結果は顕著であり、この効果はMMP 阻害に特異
的である。これらの結果はまた、薬剤が網膜組織に効果的に到達し、従って局所
供給により網膜を治療 (処置) するのに使用できることも示している。
【0087】
【実施例3】 治療剤を含有する組成物のラビットにおける局所眼投与 ラビットでの試験は、DuraSiteTM供給ビヒクル中に標識した治療剤 (バチマス
タット) 0.3 %を含有する局所眼科用組成物の投与後の、眼組織および血漿中の14 C活性を検査する。検査する眼組織は、眼房水、角膜、虹彩および毛様体、硝
子体液、網膜および脈絡膜、ならびに強膜である。試験は、3段階方式の期間で
進む:第1期は、投与後20分、40分、1時間および2時間で14C活性を検査し、
第2期は投与後3および4時間で14C活性を検査し、第3期は投与後6および8
時間で14C活性を検査する。最初は、6匹のラビット (12個の目) を各時点で検
査する。どれかの期の試験を行わない場合には、その期に割り当てられたラビッ
トを、生物学的利用能および薬物動態学のより良好な推定のために他の時点に再
割当てしてもよい。1つの時点については、どれも12匹を超えるラビットは割り
当てない。この試験には合計48〜54匹のラビットが使用されると予想される。偏
りを抑制するため、動物は試験にランダムに振り分ける。動物室 (全容量は54匹
のラビット) 内で、試験への参加に適した各ラビットにランダムに仮の連続番号
を付与する。その後、ラビットを仮の番号の順序に順に試験での使用に選んでい
く。
【0088】 この試験は、到着時の体重がほぼ 1.8〜2.8 kgで、約9週齢の48〜54匹の雌性
ニュージーランド白ラビットを使用する。各ラビットは、独自の番号を記入した
耳タグで識別し、そのラビットのケージも同じ番号を有する。ラビットは、試験
に使用する前に、最低2週間は所定の隔離 (検疫) 領域に置いて実験室環境に順
化させる。ラビットは市販飼料の日常食と随意に水道水を摂取する。ラビットは
毎日監視する。ラビットは14C標識試験物質の点眼を受けた後は、仮のハウジン
グに移す。ラビットは、in vivo 実験期間の最後に麻酔して安楽死させる。
【0089】 試験物質は、容積型マイクロピペッターを用いて投与する。分配 (供給) した
試験物質の平均質量および標準偏差を推定する。約25 mg の試験物質を両眼の下
盲管に点眼する。試験物質は、下眼瞼を眼球から穏やかに引き離して、カップ状
空隙を形成し、そこに試験物質を滴下することにより、眼に入れる。
【0090】 ラビットを、予定した眼房水採取時間の約20分前に、ケタミンおよびキシラジ
ン (各0.4 ml/kg)の筋肉内注射により麻酔する。眼房水を本技術分野で既知の方
法に従って両眼から採取する。眼房水は先に右眼から、次に左眼から採取する。
固定28Gx1/2"針を装着した0.5 mlの注射器を使用し、0.5 %塩酸プロパラカイン
の眼科用溶液を、結膜反射について試験せずに、全ての眼に予防的に投与する。
眼を市販の眼灌注溶液を用いて灌注する。右眼から始めて、両眼を摘出する。採
取する組織は、眼球(bulbar conjunctiva)、角膜、虹彩、強膜、硝子体液、およ
び網膜を包含する。組織は、予め計量したシンチレーションバイアルに入れる。
全てのシンチレーションバイアルを密栓し、秤量する。両眼から眼房水を採取し
たらすぐに、約5mlの血液を心臓内穿刺により採取する。血液はヘパリン加試験
管に採取する。
【0091】 眼球、角膜、虹彩、強膜、および網膜/毛様体に対しては、各サンプルに100
μl の逆浸透 (RO) 精製水を加え、サンプルを渦流処理する。250 μl の水酸化
ヒアミン(hyamine hydroxide) を各バイアルに添加し、サンプルを再び渦流処理
する。次にサンプルを水浴中、55℃で、可溶化するまで (約1〜4時間) 保温す
る。可溶化が完了したら、サンプルを再び渦流処理し、各サンプルに6mlのCyto
ScintESTMシンチレーションカクテルを添加する。密栓したバイアルを繰り返し
反転させて、可溶化したサンプルを直ちにシンチレーションカクテルと混合する
。激しい振盪は避ける。
【0092】 硝子体液については、各サンプルに100 μl の逆浸透 (RO) 精製水を加え、サ
ンプルを渦流処理する。750 μl の水酸化ヒアミンを各バイアルに添加し、サン
プルを再び渦流処理する。次にサンプルを水浴中、55℃で、可溶化するまで保温
する。可溶化が完了したら、サンプルを再び渦流処理し、各サンプルに約18 ml
のCytoScintESTMシンチレーションカクテルを添加する。密栓したバイアルを繰
り返し反転させて、可溶化したサンプルを直ちにシンチレーションカクテルと混
合する。激しい振盪は避ける。
【0093】 眼房水については、6mlのCytoScintESTMシンチレーションカクテルを各眼房
水のサンプルに直接加え、密栓したバイアルを繰り返し反転させて混合する。眼
房水サンプルは可溶化する必要がない。血液サンプルは、アイスパックを入れた
クーラーに入れて、分離するまで低温に保持する。4℃で1200〜1500g にて15分
の遠心分離により赤血球から血漿を分離する。遠心分離の後ただちに、1mlの血
漿を試験管からピペット採取し、20 ml のシンチレーションバイアルに入れる。
各血漿サンプルに18 ml のCytoScintESTMシンチレーションカクテルを直接加え
、密栓したバイアルを繰り返し反転させて混合する。全てのサンプルを一晩暗順
応させてから、Beckman LS 3801 カウンターでカウントする。
【0094】 図5に示すように、局所バチマスタット組成物は、眼への局所投与後まもなく
網膜組織に到達し、少なくとも8時間は治療有効レベルで網膜組織中に保持され
る。これらの結果は、薬剤が有効に網膜組織に到達し、局所供給により網膜を処
置するのに使用できることを示す。
【0095】 以上の明細書で挙げた全ての刊行物および特許はここに参考のために援用する
。上記の説明、図面および実施例は、本発明の目的、特徴および利点を達成する
好適態様の例示にすぎない。本発明は例示した態様に制限されるものではない。
特許請求の範囲の技術思想および範囲内に包含される本発明のあらゆる変更も本
発明の一部と考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス網膜組織の切片における血管新生事象の数に及ぼす治療剤の効果を示す
【図2】 対照、高酸素非処理、および高酸素処理の各マウス網膜組織のMMP-9 活性の相
対レベルを示す。
【図3】 対照、高酸素非処理、および高酸素処理の各マウス網膜組織のMMP-2 活性の相
対レベルを示す。
【図4】 対照、高酸素非処理、および高酸素処理の各マウス網膜組織のウロキナーゼ活
性の相対レベルを示す。
【図5】 ラビットの眼への局所投与後のバチマスタットの網膜組織濃度の経時変化を示
す。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/711 A61K 31/711 31/716 31/716 38/00 39/395 39/395 45/00 45/00 A61P 27/02 A61P 27/02 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ロウ−レンドルマン、シェリル アメリカ合衆国、カリフォルニア州94598、 ウォルナット・クリーク、スティンソン・ サークル3006 (72)発明者 ロイ、サミー アメリカ合衆国、カリフォルニア州、サ ン・ラモン、モルガン・ドライブ2844 Fターム(参考) 4C076 AA16 BB24 CC10 EE09F FF16 4C084 AA02 AA17 BA01 BA08 BA15 BA23 BA31 CA59 CA62 DC50 MA22 MA58 NA10 ZA331 ZA332 4C085 AA13 BB11 DD23 EE01 4C086 BB02 DA10 EA16 MA01 MA04 MA22 MA58 NA10 NA11 ZA33 4C206 AA01 AA02 FA01 GA07 KA05 MA02 MA05 MA11 MA13 MA21 MA23 MA42 MA78 NA10 NA11 ZA33

Claims (122)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後眼部に治療有効量の治療剤を送り込むことができる組成物
    を、眼に局所投与することからなる、眼疾患の処置を必要とする哺乳動物の眼疾
    患を処置する方法。
  2. 【請求項2】 哺乳動物が人間である、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 後眼部に治療有効量の治療剤を送り込むことができる組成物
    を、眼に局所投与することからなる、眼疾患を発現し易い哺乳動物の眼疾患を予
    防する方法。
  4. 【請求項4】 哺乳動物が人間である、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 後眼部に治療有効量の治療剤を送り込むことができる組成物
    を眼に局所投与することからなり、該組成物がポリマー懸濁剤と治療剤とを含有
    する、後眼部眼疾患の処置を必要とする哺乳動物の該疾患を処置する方法。
  6. 【請求項6】 哺乳動物が人間である、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項5記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項5記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在する
    、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 治療剤がヒドロキサム酸類である、請求項5記載の方法。
  11. 【請求項11】 治療剤がMMP インヒビターである、請求項5記載の方法。
  12. 【請求項12】 治療剤が大環状抗コハク酸ヒドロキサム酸誘導体である、
    請求項5記載の方法。
  13. 【請求項13】 治療剤が抗血管形成剤である、請求項5記載の方法。
  14. 【請求項14】 治療剤がテトラサイクリンである請求項5記載の方法。
  15. 【請求項15】 治療剤がメタロプロテアーゼ翻訳のステロイド不活性化剤
    である、請求項5記載の方法。
  16. 【請求項16】 治療剤がDNA 結合化合物である、請求項5記載の方法。
  17. 【請求項17】 治療剤がメタロプロテアーゼタンパク質の組織インヒビタ
    ーである、請求項5記載の方法。
  18. 【請求項18】 治療剤がN-カルボキシアルキルペプチドである、請求項5
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 治療剤がポリアミンである、請求項5記載の方法。
  20. 【請求項20】 治療剤がグリコサミノグリカンである、請求項5記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 治療剤が配列番号3〜8よりなる群から選ばれたアミノ酸
    配列から本質的になるペプチドである、請求項5記載の方法。
  22. 【請求項22】 治療剤がNSAID である、請求項5記載の方法。
  23. 【請求項23】 治療剤がコルチコステロイドである、請求項5記載の方法
  24. 【請求項24】 治療剤が抗生物質である、請求項5記載の方法。
  25. 【請求項25】 治療剤が免疫抑制剤である、請求項5記載の方法。
  26. 【請求項26】 治療剤がVEGFアンタゴニストである、請求項5記載の方法
  27. 【請求項27】 治療剤がRNA アプタマーである請求項5記載の方法。
  28. 【請求項28】 治療剤が抗体である、請求項5記載の方法。
  29. 【請求項29】 後眼部に治療有効量の治療剤を送り込むことができる組成
    物を、眼に局所投与することからなり、該組成物がポリマー懸濁剤と治療剤とを
    含有する、後眼部疾患を発現し易い哺乳動物の該疾患を予防する方法。
  30. 【請求項30】 治療剤とポリマー懸濁剤とを含有する組成物を眼に局所投
    与することからなり、該組成物が後眼部に治療有効量の該治療剤を送り込むこと
    ができるものである、眼疾患の処置を必要とする哺乳動物の眼疾患を処置する方
    法。
  31. 【請求項31】 治療剤とポリマー懸濁剤とを含有する組成物を眼に局所投
    与することからなり、該組成物が後眼部に治療有効量の該治療剤を送り込むこと
    ができるものである、眼疾患を発現し易い哺乳動物の眼疾患を予防する方法。
  32. 【請求項32】 治療有効量の治療剤とポリマー懸濁剤とを含有する、眼へ
    の局所投与により哺乳動物の後眼部の眼疾患を処置または予防するのに用いる眼
    科用組成物。
  33. 【請求項33】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項32記載の
    組成物。
  34. 【請求項34】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項32記載
    の組成物。
  35. 【請求項35】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在す
    る、請求項8記載の方法。
  36. 【請求項36】 治療剤がヒドロキサム酸類である、請求項32記載の組成物
  37. 【請求項37】 治療剤がMMP インヒビターである、請求項32記載の組成物
  38. 【請求項38】 治療剤が大環状抗コハク酸ヒドロキサム酸誘導体である、
    請求項32記載の組成物。
  39. 【請求項39】 治療剤が抗血管形成剤である、請求項32記載の組成物。
  40. 【請求項40】 治療剤がテトラサイクリンである請求項32記載の組成物。
  41. 【請求項41】 治療剤がメタロプロテアーゼ翻訳のステロイド不活性化剤
    である、請求項32記載の組成物。
  42. 【請求項42】 治療剤がDNA 結合化合物である、請求項32記載の組成物。
  43. 【請求項43】 治療剤がメタロプロテアーゼタンパク質の組織インヒビタ
    ーである、請求項32記載の組成物。
  44. 【請求項44】 治療剤がN-カルボキシアルキルペプチドである、請求項32
    記載の組成物。
  45. 【請求項45】 治療剤がポリアミンである、請求項32記載の組成物。
  46. 【請求項46】 治療剤がグリコサミノグリカンである、請求項32記載の組
    成物。
  47. 【請求項47】 治療剤が配列番号3〜8よりなる群から選ばれたアミノ酸
    配列から本質的になるペプチドである、請求項32記載の組成物。
  48. 【請求項48】 治療剤がNSAID である、請求項32記載の組成物。
  49. 【請求項49】 治療剤がコルチコステロイドである、請求項32記載の組成
    物。
  50. 【請求項50】 治療剤が免疫抑制剤である、請求項32記載の組成物。
  51. 【請求項51】 治療剤が抗生物質である、請求項32記載の組成物。
  52. 【請求項52】 治療剤がVEGFアンタゴニストである、請求項32記載の組成
    物。
  53. 【請求項53】 治療剤がRNA アプタマーである請求項32記載の組成物。
  54. 【請求項54】 治療剤が抗体である、請求項32記載の組成物。
  55. 【請求項55】 治療剤を含有する、哺乳動物の後眼部眼疾患の処置または
    予防用の局所眼科用組成物であって、該組成物が後眼部に治療有効量の該治療剤
    を送り込むことができるものである、局所眼科用組成物。
  56. 【請求項56】 治療剤とポリマー懸濁剤とを含有する、哺乳動物の後眼部
    眼疾患の処置または予防用の局所眼科用組成物であって、該組成物が後眼部に治
    療有効量の該治療剤を送り込むことができるものである、局所眼科用組成物。
  57. 【請求項57】 網膜に治療有効量のバチマスタット化合物を送り込むこと
    ができる組成物を、眼に局所投与することからなり、該組成物がポリマー懸濁剤
    と約0.01〜約3重量%のバチマスタット化合物とを含有する、網膜血管新生の処
    置を必要とする哺乳動物の網膜血管新生の処置方法。
  58. 【請求項58】 哺乳動物が人間である、請求項57記載の方法。
  59. 【請求項59】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項57
    記載の方法。
  60. 【請求項60】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項57記載の
    方法。
  61. 【請求項61】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項57記載
    の方法。
  62. 【請求項62】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在す
    る、請求項61記載の方法。
  63. 【請求項63】 網膜に治療有効量のバチマスタット化合物を送り込むこと
    ができる組成物を、眼に局所投与することからなり、該組成物がポリマー懸濁剤
    と約0.01〜約3重量%のバチマスタット化合物とを含有する、網膜血管新生を発
    現し易い哺乳動物の網膜血管新生を予防する方法。
  64. 【請求項64】 哺乳動物が人間である、請求項63記載の方法。
  65. 【請求項65】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項63
    記載の方法。
  66. 【請求項66】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項63記載の
    方法。
  67. 【請求項67】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項63記載
    の方法。
  68. 【請求項68】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在す
    る、請求項67記載の方法。
  69. 【請求項69】 網膜に治療有効量のバチマスタット化合物を送り込むこと
    ができる組成物を、眼に局所投与することからなる、網膜血管新生の処置を必要
    とする哺乳動物の網膜血管新生の処置方法。
  70. 【請求項70】 網膜に治療有効量のバチマスタット化合物を送り込むこと
    ができる組成物を、眼に局所投与することからなる、網膜血管新生を発現し易い
    哺乳動物の網膜血管新生を予防する方法。
  71. 【請求項71】 バチマスタット化合物とポリマー懸濁剤とを含有する組成
    物を眼に局所投与することからなり、該組成物が網膜に治療有効量のバチマスタ
    ット化合物を送り込むことができるものである、網膜血管新生の処置を必要とす
    る哺乳動物の網膜血管新生の処置方法。
  72. 【請求項72】 哺乳動物が人間である、請求項72記載の方法。
  73. 【請求項73】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項72
    記載の方法。
  74. 【請求項74】 バチマスタット化合物が約0.01〜約3重量%の濃度で存在
    する、請求項72記載の方法。
  75. 【請求項75】 バチマスタット化合物が約0.05〜約0.5 重量%の濃度で存
    在する、請求項72記載の方法。
  76. 【請求項76】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項72記載の
    方法。
  77. 【請求項77】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項72記載
    の方法。
  78. 【請求項78】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在す
    る、請求項77記載の方法。
  79. 【請求項79】 バチマスタット化合物とポリマー懸濁剤とを含有する組成
    物を眼に局所投与することからなり、該組成物が網膜に治療有効量のバチマスタ
    ット化合物を送り込むことができるものである、網膜血管新生を発現し易い哺乳
    動物の網膜血管新生を予防する方法。
  80. 【請求項80】 哺乳動物が人間である、請求項79記載の方法。
  81. 【請求項81】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項79
    記載の方法。
  82. 【請求項82】 バチマスタット化合物が約0.01〜約3重量%の濃度で存在
    する、請求項79記載の方法。
  83. 【請求項83】 バチマスタット化合物が約0.05〜約0.5 重量%の濃度で存
    在する、請求項79記載の方法。
  84. 【請求項84】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項79記載の
    方法。
  85. 【請求項85】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項79記載
    の方法。
  86. 【請求項86】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在す
    る、請求項85記載の方法。
  87. 【請求項87】 バチマスタット化合物を含有する組成物を眼に局所投与し
    、治療有効量のバチマスタット化合物を網膜に送り込むことからなる、網膜血管
    新生の処置を必要とする哺乳動物の網膜血管新生の処置方法。
  88. 【請求項88】 バチマスタット化合物を含有する組成物を眼に局所投与し
    、治療有効量のバチマスタット化合物を網膜に送り込むことからなる、網膜血管
    新生を発現し易い哺乳動物の網膜血管新生を予防する方法。
  89. 【請求項89】 網膜に治療有効量のバチマスタット化合物を送り込むこと
    ができる組成物を、眼に局所投与することからなり、該組成物がカルボキシ−ビ
    ニルポリマー懸濁剤と約0.01〜約3重量%のバチマスタット化合物とを含有する
    、網膜血管新生の処置を必要とする哺乳動物の網膜血管新生の処置方法。
  90. 【請求項90】 哺乳動物が人間である、請求項89記載の方法。
  91. 【請求項91】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項89
    記載の方法。
  92. 【請求項92】 バチマスタット化合物が約0.05〜約0.5 重量%の濃度で存
    在する、請求項89記載の方法。
  93. 【請求項93】 バチマスタット化合物が約0.1 〜約0.3 重量%の濃度で存
    在する、請求項89記載の方法。
  94. 【請求項94】 網膜に治療有効量のバチマスタット化合物を送り込むこと
    ができる組成物を、眼に局所投与することからなり、該組成物がカルボキシ−ビ
    ニルポリマー懸濁剤と約0.01〜約3重量%のバチマスタット化合物とを含有する
    、網膜血管新生を発現し易い哺乳動物の網膜血管新生を予防する方法。
  95. 【請求項95】 哺乳動物が人間である、請求項94記載の方法。
  96. 【請求項96】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項94
    記載の方法。
  97. 【請求項97】 バチマスタット化合物が約0.05〜約0.5 重量%の濃度で存
    在する、請求項94記載の方法。
  98. 【請求項98】 バチマスタット化合物が約0.1 〜約0.3 重量%の濃度で存
    在する、請求項94記載の方法。
  99. 【請求項99】 治療有効量のバチマスタット化合物を含有する、眼への局
    所投与により哺乳動物の網膜血管新生を処置または予防するのに用いる眼科用組
    成物。
  100. 【請求項100】 治療有効量のバチマスタット化合物とポリマー懸濁剤と
    を含有する、眼への局所投与により哺乳動物の網膜血管新生を処置または予防す
    るのに用いる眼科用組成物。
  101. 【請求項101】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項
    100 記載の組成物。
  102. 【請求項102】 バチマスタット化合物がバチマスタット塩である、請求
    項100 記載の組成物。
  103. 【請求項103】 バチマスタット化合物が約0.01〜約3重量%の濃度で存
    在する、請求項100 記載の組成物。
  104. 【請求項104】 バチマスタット化合物が約0.05〜約0.5 重量%の濃度で
    存在する、請求項100 記載の組成物。
  105. 【請求項105】 バチマスタット化合物が約0.1 〜約0.3 重量%の濃度で
    存在する、請求項100 記載の組成物。
  106. 【請求項106】 第2のバチマスタット化合物をさらに含有する、請求項
    100 記載の組成物。
  107. 【請求項107】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項100 記
    載の組成物。
  108. 【請求項108】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項100
    記載の組成物。
  109. 【請求項109】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在
    する、請求項108 記載の組成物。
  110. 【請求項110】 バチマスタット化合物とポリマー懸濁剤とを含有する組
    成物であって、該組成物が治療有効量のバチマスタット化合物を網膜に送り込む
    ことができるものである、哺乳動物の網膜血管新生を処置または予防するのに用
    いる局所眼科用組成物。
  111. 【請求項111】 バチマスタット化合物がバチマスタットである、請求項
    100 記載の組成物。
  112. 【請求項112】 バチマスタット化合物がバチマスタット塩である、請求
    項110 記載の組成物。
  113. 【請求項113】 バチマスタット化合物が約0.01〜約3重量%の濃度で存
    在する、請求項110 記載の組成物。
  114. 【請求項114】 バチマスタット化合物が約0.05〜約0.5 重量%の濃度で
    存在する、請求項110 記載の組成物。
  115. 【請求項115】 バチマスタット化合物が約0.1 〜約0.3 重量%の濃度で
    存在する、請求項110 記載の組成物。
  116. 【請求項116】 第2のバチマスタット化合物をさらに含有する、請求項
    110 記載の組成物。
  117. 【請求項117】 ポリマー懸濁剤が1つのポリマーを含む、請求項110 記
    載の組成物。
  118. 【請求項118】 ポリマー懸濁剤がポリカーボフィルを含む、請求項110
    記載の組成物。
  119. 【請求項119】 ポリカーボフィルが約 0.5〜約1.5 重量%の濃度で存在
    する、請求項118 記載の組成物。
  120. 【請求項120】 請求項110 記載の組成物を哺乳動物の眼に局所投与する
    ことからなる、哺乳動物の網膜血管新生の処置または予防方法。
  121. 【請求項121】 約0.1 〜約0.3 重量%のバチマスタットと、約0.5 〜約
    1.25重量%のポリマー懸濁剤とを含有する組成物であって、該組成物が治療有効
    量のバチマスタットを網膜に送り込むことができるものである、哺乳動物の網膜
    血管新生を処置または予防するのに用いる局所眼科用組成物。
  122. 【請求項122】 約0.1 〜約0.3 重量%のバチマスタットと、約0.5 〜約
    1.5 重量%のポリカーボフィルとを含有する組成物であって、該組成物が治療有
    効量のバチマスタットを網膜に送り込むことができるものである、人間の網膜血
    管新生を処置または予防するのに用いる局所眼科用組成物。
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