JP2003527091A - 新規カルパインプロテアーゼ26176およびその使用 - Google Patents

新規カルパインプロテアーゼ26176およびその使用

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JP2003527091A JP2001521752A JP2001521752A JP2003527091A JP 2003527091 A JP2003527091 A JP 2003527091A JP 2001521752 A JP2001521752 A JP 2001521752A JP 2001521752 A JP2001521752 A JP 2001521752A JP 2003527091 A JP2003527091 A JP 2003527091A
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Abstract

(57)【要約】 新規カルパインプロテアーゼポリペプチド、タンパク質および核酸分子を開示する。単離された全長のカルパインプロテアーゼタンパク質に加えて、本発明は、単離カルパインプロテアーゼ融合タンパク質、抗原性ペプチド、および抗カルパインプロテアーゼ抗体をさらに提供する。本発明は、カルパインプロテアーゼ核酸分子、本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクター、前記発現ベクターが導入された宿主細胞、およびカルパインプロテアーゼ遺伝子が導入または破壊されている非ヒトトランスジェニック動物も提供する。本発明の組成物を使用した、診断、スクリーニング、および治療法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、新規カルパイン(calpain)プロテアーゼ核酸配列およびタ
ンパク質に関する。本発明は、新規分子を製造し、使用するための、ベクター、
宿主細胞、および組換え法も提供する。
【0002】 (発明の背景) カルパインは、典型的にシステイン-プロテイナーゼおよびカルシウム結合特
徴を有するエンドペプチダーゼのスーパーファミリーである、カルシウムにより
活性化される中性プロテイナーゼを意味する。これらのプロテイナーゼは、種々
の基質タンパク質を限定的に切断し、典型的には、一般的な基質の分解ではなく
、機能および/または活性の修飾がもたらされる。
【0003】 カルパインは、そのドメイン内容物および/または多様性に基づいて、典型的
なカルパインすなわち慣用的なカルパインと非典型的なカルパインの、2つの主
な種に分類される。典型的なカルパインは、さらに、その優性な発現パターンに
基づいて、遍在的および組織特異的カルパインのもとに下位分類される。
【0004】 脊椎動物において2つの形の遍在的カルパインが十分に特徴づけられている。
μ−カルパイン(カルパインI、CAPN1)およびm−カルパイン(カルパイ
ンII、CAPN2)(これらは、インビトロで、μモル濃度またはmモル濃度
のカルシウムによりそれぞれ活性化される)。中間μ/mカルパインがニワトリ
において特徴づけられている。
【0005】 遍在的μ−カルパインおよびm−カルパインはへテロダイマーであり、各々、
別個であるが、相同性である大80kDaサブユニット(μCLまたはmCLと
それぞれ称する)および同一の小30kDaサブユニット(30KまたはCsと
称する)を有する。大サブユニットは、N末端からC末端まで、I〜IVと称さ
れる、4つのドメインを有する。ドメインIの機能は不明である。ドメインII
は、カルパインプロテアーゼ活性に関与する、システインプロテアーゼドメイン
である。ドメインIIIは、カルモジュリン結合タンパク質に相同性であり、カ
ルシウムが結合すると、大サブユニット(ドメインIV)および小サブユニット
(ドメインVI)のカルシウム結合ドメインと相互作用し、活性するためにプロ
テアーゼドメインが自由となると推論されている(Gollら(1992)Bi
oEssays 14:549〜556)。大サブユニットのドメインIVは、
4つのEF−ハンドカルシウム結合モチーフを含む、カルモジュリン様カルシウ
ム結合ドメインである。カルモジュリンに構造的に類似しているが、ドメインI
Vは、ソルシン(sorcin)、ALG−2、およびグランカルシン(gla
ncalcin)に、より類似している。ソルシンは、培養細胞系の多剤耐性に
関与し、近年、心臓リアノジン受容体に会合すると報告された。グランカルシン
は、おそらく、顆粒−膜融合および脱顆粒に役割を果たしているのだろう。AL
G−2は、アポトーシスに関与すると考えられ、腫瘍プロモーターにより誘導さ
れる。Meyersら(1995)J.Biol.Chem.270:2641
1〜26418;Meyersら(1985)J.Cell.Biol.100
:588〜597;Vitoら(1996)Science 271:521〜
525;Teahanら(1992)Biochem.J.286:549〜5
54;Boyhanら(1992)J.Biol.Chem.267:2928
〜2933参照。
【0006】 カルパインの大サブユニットは、触媒サブユニットである。ドメインIIに存
在する3つの非連続的アミノ酸残基Cys、HisおよびAsnは、活性部位の
一部である。実質的に、ドメインI、ドメインIIおよびドメインIIIからな
る組換えカルパインは、カルシウム独立的活性を示した。従って、ドメインIV
ではなく、IIが、プロテアーゼ活性に必要かつ十分であると結論された。Vi
leiら(1997)J.Biol.Chem.272:25802〜2580
8;およびSuzukiら(1998)FEBS Letters 433(1
、2):1〜4参照。
【0007】 典型的なカルパインの小サブユニットは、N末端からC末端までに、Vおよび
VIと称される2つのドメインを含む。ドメインVは、N末端グリシン−クラス
ター形成疎水性領域である。ドメインVI(これは大サブユニットのドメインI
Vに類似している)も、6つのEF−ハンド、すなわち大サブユニットと同じE
F2−EF5、およびEF1およびEF6を含む、カルシウム結合ドメインであ
る。ドメインVIのEF5は、カルシウムに結合せず、大サブユニットおよび小
サブユニット間の相互作用中の、ドメインIVおよびドメインVIのヘテロダイ
マー結合に関与すると提唱されている。
【0008】 全てのカルパインが、阻害剤または偽基質として作用することによりカルパイ
ン活性の調節因子であると同定されている、小サブユニットを含むわけではない
。ヘテロダイマーカルパインでは、小サブユニットは、会合および解離により、
カルパインのカルシウム感度を調節し得る(Yoshizawaら(1995)
Biochem.Bipphys.Res.Commun.208:376〜3
83)。しかし、サブユニットは、触媒中にも会合したままである(Zhang
ら(1996)Biochem.Biphys.Res.Commun.227
:890〜896)。
【0009】 カルパインの活性機序は、完全に明らかではない。示唆されている機序は、サ
ブユニットのN末端の自己分解、ホモおよびヘテロダイマーの会合/解離、カル
パイン内因性阻害剤のカルパスタチンとカルパインの比および結合状態、カルシ
ウムの存在およびカルシウムの濃度、および活性部位の酸化還元状態の組合せを
含む。Johnsonら(1997)BioEssays 19(11)101
1〜1018参照。
【0010】 μ−カルパインおよびm−カルパインは、インビトロの生理的レベルより有意
に高いカルシウム濃度により活性化されるので、カルシウム要求を低下させるイ
ンビボ機序が提唱されている。かかる機序は、膜リン脂質および/または膜会合
タンパク質の相互作用を含む。Inomataら(1990)Biochem.
Biophys.Res.Comm.171:625〜632;およびInom
ataら(1995)Biochim.Biophys.Acta.1235:
107〜114参照。
【0011】 ラット脳μ−カルパインに特異的なアクチベータータンパク質が、Mello
niら(1998)J.Biol.Chem.273:12827〜12831
により、単離およびシークエンスされている。m−カルパインに特異的な別のア
クチベータータンパク質が骨格筋に見られる。さらに、リン脂質、特に酸性リン
脂質が、活性化に必要なカルシウム濃度を大きく低下させることが判明した。D
NAを含む他のアクチベーターおよび因子も報告されている(Mellgren
(1991)J.Biol.Chem.266:13920〜13924)。
【0012】 カルパスタチンは、大半のカルパインの内因性阻害剤であり、組織特異的カル
パインp94は例外である。カルパスタチン(これは5つのドメインを有する)
は、ドメイン間領域を、カルパインにより切断され、阻害性ペプチドを生成する
。カルパスタチンの阻害効果は、カルパインドメインのII、III、IVおよ
びVIとの相互作用に起因し得る。カルパスタチンの反応性部位は、他のプロテ
アーゼ阻害剤と明らかな相同性を全く示さず、共通配列TIPPXYR(これは
阻害に必須である)を含む。Kawasakiら(1989)J.Bioche
m.106:274〜281;Croallら(1994)Biochem.3
3:13223〜13230;Croallら(1991)Physiol.R
ev.71:813〜847;Kawasakiら(1996)Mol.Mem
br.Biol.13:217〜224;Melloniら(1989)Tre
nds Neurosci 12:438〜444;Sorimachiら(1
997)J.Biochem.328:721〜732;およびJohnson
ら(1997)BioEssays 19(11):1011〜1018参照。
【0013】 カルパインおよび他のシステインプロテアーゼに種々の特異性を有する、合成
活性部位阻害剤は、E−64およびE−64の誘導体と、ロイペプチン(N−ア
セチル−Leu−Leu−アルギニナル)と、カルパイン阻害剤I(N−アセチ
ル−Leu−Leu−ノルロイシナル)と、II(N−アセチル−Leu−Le
u−メチオニナル)と、オキソアミド阻害剤分子AK295、AK275、およ
びCX275と、ペプチジルα−オキソ化合物の誘導体とを含む。これらの活性
部位阻害剤とは対照的に、PD150606は、カルパインを、カルシウム結合
ドメインに結合することにより阻害する。PD150606および活性部位阻害
剤(例えばAK295)の組合せは、高い特異性でカルパインを阻害できる。F
igueiredo−Pereiraら(1994)J.Neuro.Chem
.62:1989〜1994);Tsubukiら(1996)J.Bioch
em.(東京)119:572〜576);およびSorimachiら(19
97)J.Biochem.328:721〜732参照。
【0014】 脊椎動物において、数個の典型的な組織特異的カルパインが知られており、こ
れは、骨格筋p94(nCl−1、カルパイン3’、CAPN3)、胃nCL2
(CAPN4)およびnCL2’、および消化管nCL4。p94はEFハンド
を含むが、プロテイナーゼ活性にカルシウムは必要としない。p94は、μCL
およびmCLに類似したドメインIV配列を含むが、小30kDaサブユニット
には結合しない(Kinbaraら(1997)Arch.Biochem.B
iophys.342:99〜107)。p94は、ドメインIIおよびドメイ
ンIIIとIVの間に見出される、IS1およびIS2と称される独特な挿入配
列を含む。IS2は、核局在化シグナル様塩基性配列(Arg−Pro−Xaa
−Lys−Lys−Lys−Lys−x−Lys−Pro)を含む。コネクチン
/チチン(titin)結合も、IS2に起因する。p94は、細胞周期依存的
にその局在を変化し得、MyoDファミリーと相互作用することにより、筋肉分
化に関与し得る。事実、プロテアーゼp94の欠損は、肢帯型筋ジストロフィー
2A型(LGMD2A)の原因である。Sorimachiら(1995)J.
Biol.Chem.270:31158〜31162;Sorimachiら
(1993)J.Biol.Chem.268:10593〜10605;Gr
egoriouら(1994)Eur.J.Biochem.223:455〜
464;およびBelcastroら(1998)Mol.Cell.Bioc
hem.179(1、2):135〜145参照。
【0015】 非典型的カルパインは、真菌タンパク質PalB、酵母PalB相同体、Ca
enorhabditis elegansタンパク質Tra−3、ヒトCAP
N(htra3)、CAPN6、およびネズミCAPN7を含む。非典型的カル
パインは、典型的カルパインの大サブユニットのドメインIIに相同的なシステ
インプロテアーゼドメインを有しているが、それらは、タンパク質のC末端部分
のカルシウム結合ドメイン(ドメインIV)を欠失している。Suzukiら(
1998)FEBS Letters 433(1、2):1〜4;Sorim
achiら(1997)J.Biochem.328:721〜732;Fra
nzら(1999)Mammalian Genome 10(3):318〜
312;Gollら(1992)BioEssays 14:549〜556;
およびLinら(1997)Nature Struct.Biol.4:53
9〜547参照。
【0016】 PalB(これは、Aspergillus nidulansのアルカリ適
合に関与する)は、それのみが、初期発達中の性決定カスケードに関与するシス
テインプロテアーゼドメインTra3を有し、非典型的カルパイン大サブユニッ
トのドメインI、IIおよびIIIに類似したドメインを有するという点で異常
である。ヒトおよびマウスのTra3相同体が、同定され、第x染色体に位置決
定され、これは、哺乳動物の性決定におけるカルパインの役割を示唆する。Ba
rnesら(1996)EMBO J.15:4477〜4484;およびSo
rimachiら(1997)J.Biochem.328:721〜732参
照。
【0017】 非典型的哺乳動物カルパインは、CAPNの5、6および7を含む。CAPN
の6および7は、そのC末端領域に別個のTドメインを含み、小サブユニットと
会合しないだろう。これらのTドメインは、他のカルパインのカルモジュリン様
カルシウム結合C末端ドメインに有意な相同性を示さない。さらに、CAPN6
は、活性部位に重要であると考えられている残基を欠失しており、プロテアーゼ
活性を欠失しているだろう。Franzら(1999)Mammalian G
enome 10(3):318〜321参照。
【0018】 カルパインは、酵素の多様な基質個体群に関連した広い生理的役割および病理
的役割を有する。カルパイン基質は、「PEST」タンパク質(これは、高含量
のプロリン、グルタミン、セリンおよびトレオニンを有する)と、カルパインお
よびカルパスタチンと、プロテインキナーゼC、転写因子c−Jun、c−Fo
s、およびヘテロ三量体Gタンパク質のαサブユニットとを含むシグナル伝達タ
ンパク質;P53腫瘍サプレッサー、増殖因子受容体(例えば上皮増殖因子受容
体)、c−Jun、c−Fos、およびN−mysを含む、細胞増殖および癌に
関与するタンパク質;Ca++−ATPアーゼ、BandIII、トロポニン、ト
ロポミオシン、およびミオシン軽鎖キナーゼを含む、筋肉における生理的役割の
確立されたタンパク質;ミオトニンプロテインキナーゼ;ミエリンタンパク質、
ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、軸索ニューロフィラメントタンパク質(
NFP)、ミエリンタンパク質MAGを含む、脳および中枢神経系における生理
的役割の確立されたタンパク質;トロポニン、タリン、ニューロフィラメント、
スペクトリン、微小管会合タンパク質MAP−2、tau、MAPIB、フォド
リン(fodrin)、デズミン、α−アクチニン、ビメンチン、スペクトリン
、インテグリン、カドヘリン、フィラミン、およびN−CAMを含む、細胞骨格
および細胞接着タンパク質;プロテインキナーゼAおよびCおよびホスホリパー
ゼCを含む酵素;およびヒストンを含む。Sorimachiら(1997)J
.Biochem.328:721〜732;Johnsonら(1997)B
ioEssays 19(11)1011〜1018;Shieldsら(19
99)J.Neuroscience Res.55(5)533〜541;お
よびBelcastroら(1998)Mol.Cell.Biochem.1
79(1、2):135〜145参照。
【0019】 カルパインは、膜形態の変化、記憶の長期増強、軸索再生、神経突起伸長、細
胞増殖(分裂)、胃の塩酸分泌、胚発達、分泌顆粒移動、細胞分化および調節、
細胞遊走中の細胞骨格および膜変化、細胞骨格再構築、性決定、および真菌のア
ルカリ適合を含む、多種多様の生理的プロセスに関与している。Solaryら
(1998)Cell Biol.Toxicol.14:121〜132;S
orimachiら(1997)J.Biochem.328:721〜732
;Johnsonら(1997)BioEssays 19(11):1011
〜1018;Suzukiら(1998)FEBS Letters 433(
1、2):1〜4;Franzら(1999)Mammalian Genom
e 10(3):318〜321;Shieldsら(1999)J.Neur
oscience Res.55(5):533〜541;Schellman
nら(1998)Renal Failure 20(5)679〜686;B
anikら(1998)Annals New York Acad.Sci.
844:131〜137;Belcastroら(1998)Mol.Cell
.Biochem.179(1、2):135〜145;およびMcIntos
hら(1998)J.Neurotrauma 15(10):731〜769
参照。
【0020】 生理的条件下では、カルパインの異常調節および/または活性は、細胞および
組織に有害であり得る。これに関して、カルパインは、運動により誘発される損
傷および修復;T細胞受容体により誘導されるアポトーシス、HIV感染細胞ア
ポトーシス、エクトポシド処理による細胞アポトーシス、神経成長因子欠乏神経
アポトーシスを含む、アポトーシス;虚血、例えば脳および心筋虚血;外傷脳損
傷;アルツハイマー病および他の神経変性疾患;実験的アレルギー性脳炎(EA
E)および多発性硬化症を含む脱髄疾患;LGMD2A筋ジストロフィー;脊髄
損傷(SCI);癌;白内障形成;および多様な毒物による腎細胞死を含む、多
種多様の疾病状態に関与する。
【0021】 細胞プロセスおよび疾患状態におけるカルパインの多様性から、カルパインに
指向された組成物および方法は、種々の組織におけるカルパイン活性に影響を及
ぼし、よって、異常なカルパイン機能および/または調節に罹患した、細胞およ
び組織への保護を伸展するのに有用である。
【0022】 (発明の概要) カルパインプロテアーゼ核酸配列に対応する単離核酸分子が提供される。さら
に、ポリヌクレオチドに対応する追加のアミノ酸配列も包含される。特に、本発
明は、配列番号2に示したアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または
ATCCに寄託番号PTA−1649として寄託された細菌宿主のDNA配列を
コードするヌクレオチドを含む単離核酸分子を提供する。さらに本明細書に記載
の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有するカルパインプロテアーゼポ
リペプチドも提供される。
【0023】 本発明はまた、本明細書に記載の核酸分子の組換え発現用のベクターおよび宿
主細胞、並びに、かかるベクターおよび宿主細胞の製造法、および、組換え技術
による本発明のポリペプチドまたはペプチドの製造におけるそれらの使用法を提
供する。
【0024】 本発明の別の態様は、単離または組換えされたカルパインプロテアーゼタンパ
ク質およびポリペプチドを特徴とする。好ましいカルパインプロテアーゼタンパ
ク質およびポリペプチドは、天然カルパインプロテアーゼタンパク質の有する生
物活性の少なくとも1つを有する。
【0025】 配列表に示したヌクレオチドおよびアミノ酸配列に実質的に相同な変異形核酸
分子およびポリペプチドが本発明により包含される。さらに、ヌクレオチドおよ
びアミノ酸配列の断片および実質的に相同な断片が提供される。
【0026】 カルパインプロテアーゼポリペプチドおよび断片に選択的に結合する抗体およ
び抗体断片が提供される。かかる抗体は、カルパインプロテアーゼポリペプチド
の検出、並びに、T細胞免疫応答および細胞活性、特に成長および増殖の調節に
有用である。
【0027】 別の態様において、本発明は、生物学的サンプルを、カルパインプロテアーゼ
活性の指示物質を検出できる物質と接触させ、よってカルパインプロテアーゼ活
性の存在が生物学的サンプル中に検出されることにより、生物学的サンプル中の
カルパインプロテアーゼ活性または発現の存在を検出する方法を提供する。
【0028】 さらに別の態様において、本発明は、細胞を、カルパインプロテアーゼ活性ま
たは発現を変調(阻害または刺激)する物質と接触させ、よって細胞中のカルパ
インプロテアーゼ活性または発現が変調されることを含む、カルパインプロテア
ーゼ活性の変調法を提供する。1つの具体例において、前記物質は、カルパイン
プロテアーゼタンパク質に特異的に結合する抗体である。別の具体例において、
前記物質は、カルパインプロテアーゼ遺伝子の転写、カルパインプロテアーゼm
RNAのスプライシング、またはカルパインプロテアーゼmRNAの翻訳を変調
することによりカルパインプロテアーゼタンパク質の発現を変調する。さらに別
の具体例において、前記物質は、カルパインプロテアーゼmRNAまたはカルパ
インプロテアーゼ遺伝子のコード鎖にアンチセンスであるヌクレオチド配列を有
する核酸分子である。
【0029】 1つの具体例において、本発明の方法を使用して、カルパインプロテアーゼモ
ジュレーターである物質の被検者への投与により、異常なカルパインプロテアー
ゼタンパク質活性または核酸発現を特徴とする疾患を有する被検者を処置する。
1つの具体例において、カルパインプロテアーゼモジュレーターはカルパインプ
ロテアーゼタンパク質である。別の具体例において、カルパインプロテアーゼモ
ジュレーターはカルパインプロテアーゼ核酸分子である。他の具体例において、
カルパインプロテアーゼモジュレーターはペプチド、ペプチド擬態または他の小
分子である。
【0030】 本発明はまた、以下の少なくとも1つを特徴とする遺伝子病変または変異の存
在または非存在を同定する診断アッセイを提供する:(1)カルパインプロテア
ーゼタンパク質をコードする遺伝子の異常修飾または変異;(2)カルパインプ
ロテアーゼタンパク質をコードする遺伝子の誤調節;および(3)カルパインプ
ロテアーゼタンパク質の異常翻訳後の修飾、ここで、野生型形の遺伝子は、カル
パインプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする。
【0031】 別の態様において、本発明は、カルパインプロテアーゼタンパク質に結合また
はその活性を変調する化合物を同定する方法を提供する。一般に、かかる方法は
、試験化合物の存在下および非存在下でカルパインプロテアーゼタンパク質の生
物活性を測定し、カルパインプロテアーゼタンパク質の活性を変化させる化合物
を同定することを包含する。
【0032】 本発明はまた、該化合物の存在下および非存在下でカルパインプロテアーゼ配
列の発現を測定することにより、カルパインプロテアーゼ遺伝子の発現を変調す
る化合物を同定する方法を特徴とする。
【0033】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳述および特許請求の範囲から明らか
であろう。
【0034】 (発明の詳細な説明) 本発明は、アミノ酸配列が配列番号2に示されるカルパインプロテアーゼポリ
ペプチド、または該ポリペプチドの変異形またはポリペプチドの断片をコードす
るヌクレオチド配列を含む単離核酸分子を提供する。本発明のカルパインプロテ
アーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、配列番号1に示す。配列
は、チオールプロテアーゼのカルパインファミリーのメンバーであり、ペプチダ
ーゼC2とも称される。
【0035】 カルパインプロテアーゼは、切断部位が、機能的ドメイン内ではなく、その間
である、エンドペプチダーゼである。結果として、カルパインプロテアーゼの酵
素基質は、通常、弱められるよりは活性化され、他のタンパク質は、一般に、弱
められるよりはその機能が変化する。カルパインプロテアーゼは、一般に、カル
シウム依存性であり、細胞内カルシウムシグナル伝達を媒介すると考えられてい
る。これらのプロテアーゼの制御された活性化は、明らかに、細胞/細胞核再構
築、血小板活性化、および細胞の分裂、増殖、発達および分化を含むがこれに限
定されない、多くの生理的プロセスの中心である。
【0036】 開示の本発明は、カルパインプロテアーゼにより媒介される疾患の変調、診断
、および処置のための方法および組成物に関する。かかる疾患は、撹乱した細胞
増殖および分化;運動により誘発される損傷および修復;T細胞受容体により誘
導されるアポトーシス、HIV感染細胞アポトーシス、エクトポシド処理による
細胞アポトーシス、神経成長因子欠乏神経アポトーシスを含むアポトーシス;虚
血;外傷脳損傷;アルツハイマー病および他の神経変性疾患;実験的アレルギー
性脳炎(EAE)および多発性硬化症を含む脱髄疾患;LGMD2A筋ジストロ
フィー;脊髄損傷(SCI);癌、例えばメラノーマ、前立腺癌、子宮癌、乳癌
、大腸癌または肉腫などの増殖性疾患または分化性疾患;および多様な毒物によ
る腎細胞死に関連した疾患を含むがこれに限定されない。
【0037】 本発明の配列は、増殖疾患、分化疾患、または発達障害などの、正常発現と比
較して、プロテアーゼ発現の増加または減少を含む疾患の診断に用途を見出す。
この配列はまた、プロテアーゼ関連応答の変調に用途を見出す。「変調」により
、応答のアップレギュレートまたはダウンレギュレートを意味する。すなわち、
本発明の組成物は、標的化活性に正または負に影響を及ぼす。
【0038】 本発明の1つの具体例は、チオールプロテアーゼのカルパインファミリーに特
徴的な共通モチーフまたはタンパク質ドメインに基づいて同定された、プロテア
ーゼ核酸分子、好ましくはヒトプロテアーゼ分子を特徴とする。特に、クローン
h26176と称される新規ヒト遺伝子が提供される。この配列およびh261
76タンパク質または断片をコードする他のヌクレオチド配列およびその変異体
は、「カルパインプロテアーゼ配列」と称され、これは、この配列が、他のカル
パインプロテアーゼ遺伝子に対して配列類似性を共有することを示す。
【0039】 クローンh26176と称されるカルパインプロテアーゼ遺伝子を、ヒトT細
胞cDNAライブラリーで同定した。クローンh26176は、配列番号1に示
した対応するcDNAを有する、約3.78KbのmRNA転写物をコードする
。この転写物は、813アミノ酸タンパク質(配列番号2)をコードする、24
39ヌクレオチドオープンリーディングフレーム(配列番号1のヌクレオチド2
76〜2714)を有する。全長h26176ポリペプチドのMEMSATによ
る解析により、アミノ酸(aa)286〜302由来の膜貫通ドメインが予測さ
れる。Prositeプログラム解析を使用して、h26176タンパク質内の
種々の部位を予測した。Nグリコシル化部位は、aa366〜369であると予
測され、実際の残基は最初の残基であった。cAMPおよびcGMP依存的プロ
テインキナーゼリン酸化部位は、aa759〜762であると予測され、実際の
リン酸化残基は最後の残基であった。プロテインキナーゼCリン酸化部位は、a
a165〜167、215〜217、251〜253、281〜283、422
〜424、594〜596、668〜670、689〜691および710〜7
12であると予測され、実際のリン酸化部位は最初の残基であった。カゼインキ
ナーゼIIリン酸化部位は、aa4〜7、48〜51、123〜126、205
〜208、373〜376、393〜396、445〜448、490〜493
、523〜526、551〜554、594〜597、657〜660、748
〜751、および761〜764であると予測され、実際のリン酸化残基は、最
初の残基であった。チロシンキナーゼリン酸化部位は、aa20〜26およびa
a320〜326であると予測され、実際のリン酸化残基は、最後であった。N
−ミリストイル化部位は、aa201〜206、390〜395、453〜45
8、630〜635、および698〜703であると予測され、実際の修飾残基
は最初であった。アミド化部位は、aa614〜617であると予測された。カ
ルパインプロテアーゼタンパク質h26176は、HMMerバージョン2によ
り予測されたように、aa231〜537由来のカルパインファミリーシステイ
ンプロテアーゼドメイン(ドメインII)、および、aa685〜810由来の
カルパイン大サブユニットドメインIIIを有する。
【0040】 タンパク質は、PalBHと称されるヒト遺伝子(寄託番号GPU:gi[5
102944]dbj[BAA78730](AB028639)に最も近い類
似性を示す。h26176タンパク質はまた、ネズミCAPN7タンパク質に対
する類似性、768アミノ酸重複(h26176タンパク質のアミノ酸残基45
〜813)におよび、約93%の同一性および約95%の全体的類似性を示し、
これは、h26176が、このネズミタンパク質のヒト相同分子種であることを
示す。
【0041】 h26176cDNA挿入断片を含むプラスミドを、2000年4月6日に、
10801ユニバーシティ・ブールバード、マナッサス、バージニア州のアメリ
カン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)の特許寄託機関に寄託し
、特許寄託番号PTA−1649を割当てられた。この寄託物は、特許手続き上
の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の項目下で維持される。こ
の寄託物は、単に当業者の便宜のためになされ、寄託が米国特許法第112条下
で必要であることを示すものではない。
【0042】 本発明のカルパインプロテアーゼ配列は、保存機能特徴を有するプロテアーゼ
分子ファミリーのメンバーである。本発明のタンパク質および核酸分子を言及す
る場合の「ファミリー」なる語は、本明細書に定義したような十分なアミノ酸ま
たはヌクレオチド配列同一性を有する2つまたはそれ以上のタンパク質または核
酸分子を意味すると捉えられる。かかるファミリーメンバーは、天然で存在し得
、同じ種由来でも異なる種由来でもよい。例えば、ファミリーは、ネズミ起源の
第一タンパク質およびヒト起源のそのタンパク質の相同分子種、並びに、ヒト起
源の第二の異なるタンパク質およびそのタンパク質のネズミ相同分子種を含むこ
とができる。ファミリーメンバーはまた、共通の機能的特徴を有し得る。
【0043】 本発明の好ましいカルパインプロテアーゼポリペプチドは、配列番号2のアミ
ノ酸配列に十分に同一であるアミノ酸配列を有する。「十分に同一」なる語は、
本明細書で、第一アミノ酸および第二アミノ酸またはヌクレオチド配列が共通の
構造ドメインおよび/または共通の機能活性を有するような、第二アミノ酸また
はヌクレオチド配列に対して、十分または最小数の同一または等価な(例えば類
似の側鎖を有する)アミノ酸残基またはヌクレオチドを含む、第一アミノ酸また
はヌクレオチド配列を意味するために使用される。例えば、少なくとも約45%
、約55%、または約65%の同一性、好ましくは約75%の同一性、より好ま
しくは約85%、約95%または約98%の同一性を有する共通構造ドメインを
含むアミノ酸またはヌクレオチド配列が、本明細書で十分に同一として定義され
る。
【0044】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性%を決定するために、配列を最
適に比較する目的でアラインさせる。2つの配列間の同一性%は、配列の共有す
る同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置の数/全位置数(
例えば重複位置)×100)。1つの具体例において、2つの配列は同じ長さで
ある。2つの配列間の同一性%は、ギャップを含みまたは含まずに、以下に記載
した技術に類似した技術を使用して決定できる。同一性%の計算において、典型
的には正確な適合のみを計測する。
【0045】 2つの配列間の同一性%の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成できる
。2つの配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの好ましい非制限的な例は
、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 90:5873〜5877のように修飾した、Karl
inおよびAltschulら(1990)Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 87:2264のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、
Altchulら(1990)J.Mol.Biol.215:403のNBL
ASTおよびXBLASTプログラムに取込む。BLASTヌクレオチド探索は
、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長さ=12を用いて実施し
て、本発明のカルパインプロテアーゼ核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得る
ことができる。BLASTタンパク質探索は、XBLASTプログラム、スコア
=50、ワード長さ=3を用いて実施して、本発明のカルパインプロテアーゼタ
ンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較のためにギャップ
を入れたアラインメントを得るために、ギャップを入れたBLASTを、Alt
schulら(1997)Nucleic Acids Res.25:338
9に記載のように利用できる。別に、PSI−Blastを使用して、分子間の
遠位関係を検出する反復探索を実施できる。Altschulら(1997)上
記参照。BLAST、ギャップを入れたBLAST、およびPSI−Blast
プログラムを使用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTおよび
NBLAST)のデフォールトパラメータを使用できる。http://www
.ncbi.nlm.nih.gov参照。配列比較に使用される別の好ましい
非制限的な数学的アルゴリズムの例は、MyersおよびMillerら(19
88)CABIOS 4:11〜17のアルゴリズムである。かかるアルゴリズ
ムを、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIG
Nプログラム(バージョン2.0)に取込む。アミノ酸配列比較にALIGNプ
ログラムを使用する場合、PAM120重量残基表、ギャップ長さペナルティー
12、およびギャップペナルティー14を使用できる。
【0046】 従って、本発明の別の具体例は、カルパインプロテアーゼタンパク質活性を有
する単離カルパインプロテアーゼタンパク質およびポリペプチドを特徴とする。
本明細書で同義語として使用した「カルパインプロテアーゼタンパク質活性」、
「カルパインプロテアーゼタンパク質の生物活性」、または「カルパインプロテ
アーゼタンパク質の機能活性」は、標準的なアッセイ技術に従ってインビトロま
たはインビボで決定した、カルパインプロテアーゼ応答細胞上でカルパインプロ
テアーゼタンパク質、ポリペプチドまたは核酸分子により奏効される活性を意味
する。カルパインプロテアーゼ活性は、第二タンパク質との会合またはその酵素
活性などの直接活性、または、カルパインプロテアーゼタンパク質と第二タンパ
ク質の相互作用により媒介される細胞シグナル伝達活性などの間接的活性であり
得る。好ましい具体例において、カルパインプロテアーゼ活性は、以下の活動の
少なくとも1つ以上を含む:(1)細胞増殖、分化および/または機能(例えば
、肺、肝臓、大腸、および乳房などの正常および癌組織内の細胞;脳および骨格
筋細胞等で発現される、細胞において)の変調(刺激および/または増強または
阻害);(2)カルパインプロテアーゼ応答の変調;(3)細胞の有糸分裂への
侵入の変調;(4)細胞分化の変調;(5)細胞死の変調。
【0047】 「単離」または「精製」カルパインプロテアーゼ核酸分子またはタンパク質、
またはその生物学的に活性な部分は、実質的に他の細胞物質または組換え技術に
より産生した場合には培養培地を含まない、または化学合成した場合には実質的
に化学物質前駆物質または他の化学物質を含まない。好ましくは、「単離」核酸
は、核酸が得られる生物のゲノムDNAの核酸(すなわち、核酸の5Nおよび3
N末端に位置する配列)に天然にフランキングする配列(好ましくはタンパク質
コード配列)を含まない。本発明の目的のために、核酸分子を言及するために使
用する場合の「単離」は、単離染色体を除く。例えば、様々な具体例において、
単離カルパインプロテアーゼ核酸分子は、核酸が得られる細胞のゲノムDNAの
核酸分子に天然にフランキングする、約5kb、約4kb、約3kb、約2kb
、約1kb、約0.5kb、または約0.1kb未満のヌクレオチド配列を含む
ことができる。細胞物質を実質的に含まないカルパインプロテアーゼタンパク質
は、約30%、約20%、約10%または約5%(乾燥重量で)の非カルパイン
プロテアーゼタンパク質(本明細書では「汚染タンパク質」とも称する)を有す
るカルパインプロテアーゼタンパク質の調製物を含む。カルパインプロテアーゼ
タンパク質またはその生物学的に活性な部分を組換え産生する場合、好ましくは
、培養培地は、タンパク質調製物の約30%、約20%、約10%または約5%
未満の容量を示す。カルパインプロテアーゼタンパク質を化学合成により製造す
る場合、好ましくはタンパク質調製物は、化学前駆物質または非カルパインプロ
テアーゼ化学物質の約30%、約20%、約10%、または約5%(乾燥重量で
)未満を有する。
【0048】 本発明の様々な態様は、以下の小段落でさらに詳述する。
【0049】 I.単離核酸分子 本発明の1つの態様は、カルパインプロテアーゼタンパク質およびポリペプチ
ドまたはその生物学的に活性な部分をコードするヌクレオチド配列を含む単離核
酸分子、並びに、カルパインプロテアーゼ核酸分子の増幅または変異用のPCR
プライマーとして使用するための、カルパインプロテアーゼコード核酸(例えば
カルパインプロテアーゼmRNA)および断片を同定するためのハイブリダイゼ
ーションプローブとして使用するに十分な核酸分子に関する。本明細書に使用し
たような「核酸分子」なる語は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDN
A)およびRNA分子(例えばmRNA)およびヌクレオチド類似体を使用して
作成した、DNAまたはRNAの類似体を含むと捉えられる。核酸分子は、一本
鎖でも二本鎖でもよいが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0050】 本発明のカルパインプロテアーゼタンパク質をコードするヌクレオチド配列は
、配列番号1に示した配列、ATCCに寄託番号PTA−1649として寄託さ
れたプラスミドのcDNA断片(「特許寄託番号PTA−1649のcDNA」
)、およびその相補体を含む。「相補体」により、あるヌクレオチド配列にハイ
ブリダイズして、よって安定な二重鎖を形成できる、あるヌクレオチド配列に十
分に相補的なヌクレオチド配列を意味する。これらのヌクレオチド配列によりコ
ードされるカルパインプロテアーゼタンパク質の対応するアミノ酸配列は、配列
番号2に示す。
【0051】 これらのカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列の断片である核酸分子も本
発明に包含される。「断片」により、カルパインプロテアーゼタンパク質をコー
ドするヌクレオチド配列の一部を意味する。カルパインプロテアーゼヌクレオチ
ド配列の断片は、カルパインプロテアーゼタンパク質の生物学的に活性な部分を
コードし得るか、または、それは、以下に開示した方法を使用してハイブリダイ
ゼーションプローブまたはPCRプライマーとして使用できる断片であり得る。
カルパインプロテアーゼタンパク質の生物学的に活性な部分は、本発明のカルパ
インプロテアーゼヌクレオチド配列の1つの一部を単離し、カルパインプロテア
ーゼタンパク質のコード部分を発現し(例えばインビトロでの組換え発現により
)、そしてカルパインプロテアーゼタンパク質のコード部分の活性を評価するこ
とにより調製できる。カルパインプロテアーゼヌクレオチド配列の断片である核
酸分子は、少なくとも15、20、50、75、100、200、300、35
0、400、450、500、550、600、650、700、750、80
0、850、900、950、1000、1100、1200、1300、14
00、1500、1750、2000、2250、2500、2750、300
0、3250、3500、3750ヌクレオチド、または、目的の用途に応じて
、本明細書に開示した全長カルパインプロテアーゼヌクレオチド配列(例えば、
配列番号1では3777ヌクレオチド)に存在するヌクレオチドの数までを含む
【0052】 単離断片は、本発明より前に開示されていない任意の連続配列、並びに、実質
的に同じで開示されていない配列を含むことがわかる。従って、単離断片が本発
明より前に開示されている場合、断片は、本発明により包含されない。配列が本
発明より前に開示されていない場合、単離核酸断片は、少なくとも約12、約1
5、約20、約25または約30の連続ヌクレオチドである。ヌクレオチド配列
の他の領域は、以前に開示された配列との相同性の可能性に応じて、様々なサイ
ズの断片を含み得る。
【0053】 本発明のカルパインプロテアーゼタンパク質の生物学的に活性な部分をコード
するカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列の断片は、少なくとも15、25
、30、50、75、100、125、150、175、200、250、30
0、350、400、450、500、550、600、650、750、80
0連続アミノ酸、または本発明の全長カルパインプロテアーゼタンパク質に存在
するアミノ酸の全数までをコードする(例えば、配列番号2では813アミノ酸
)。PCRプライマー用のハイブリダイゼーションプローブとして有用なカルパ
インプロテアーゼヌクレオチド配列の断片は、一般に、カルパインプロテアーゼ
タンパク質の生物学的に活性な部分をコードする必要がない。
【0054】 本明細書に開示したカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列の変異形である
核酸分子も本発明に包含される。カルパインプロテアーゼヌクレオチド配列の「
変異形」は、本明細書に開示したカルパインプロテアーゼタンパク質をコードす
るが、遺伝子コードの縮重のために保存的に異なる配列を含む。これらの天然対
立遺伝子変異形は、以下に概略を示したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および
ハイブリダイゼーション技術などの既知の分子生物学技術の使用により同定でき
る。変異形ヌクレオチド配列はまた、例えば、部位特異的変異誘発により作成し
、合成的に誘導したヌクレオチド配列を含むが、それでもなお以下に述べる本発
明に開示したカルパインプロテアーゼタンパク質をコードする。一般に、本発明
のヌクレオチド配列変異形は、本明細書に開示した特定のヌクレオチド配列に少
なくとも45%、55%、65%、75%、85%、95%、または98%の同
一性を有する。変異形カルパインプロテアーゼヌクレオチド配列は、本明細書に
開示したカルパインプロテアーゼタンパク質のアミノ酸配列に少なくとも45%
、55%、65%、75%、85%、95%、または98%の同一性を有するア
ミノ酸配列を有するカルパインプロテアーゼタンパク質をコードする。
【0055】 配列番号1に示したカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列、および特許寄
託番号PTA−1649のcDNAのヌクレオチド配列に加えて、カルパインプ
ロテアーゼタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多形が個体群
(例えばヒト個体群)内に存在し得ることが当業者により理解される。カルパイ
ンプロテアーゼ遺伝子のかかる遺伝子多形は、天然対立遺伝子変異により個体群
内で個体間に存在し得る。対立遺伝子は、ある遺伝子座で別に起こる遺伝子の1
群である。本明細書に使用した「遺伝子」および「組換え遺伝子」なる語は、カ
ルパインプロテアーゼタンパク質、好ましくは哺乳動物カルパインプロテアーゼ
タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を意味す
る。本明細書に使用した「対立遺伝子変異形」なる語句は、カルパインプロテア
ーゼ遺伝子座に存在するヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列によりコー
ドされるポリペプチドを意味する。かかる天然対立遺伝子変異は、典型的には、
カルパインプロテアーゼ遺伝子のヌクレオチド配列に1〜5%の変動をもたらし
得る。天然対立遺伝子変異の結果であり、カルパインプロテアーゼタンパク質の
機能活性を変化させない、カルパインプロテアーゼ配列の任意および全てのかか
るヌクレオチド変異および生じるアミノ酸多形または変異が本発明の範囲内と捉
えられる。
【0056】 さらに、本明細書に開示したカルパインプロテアーゼ配列とは異なるヌクレオ
チド配列を有する、他の種由来のカルパインプロテアーゼタンパク質をコードす
る核酸分子(カルパインプロテアーゼ相同体)も、本発明の範囲内と捉えられる
。例えば、本発明のヒトカルパインプロテアーゼcDNA配列の天然対立遺伝子
変異形および相同体に対応する核酸分子は、以下に開示したストリンジェントな
ハイブリダイゼーション条件下で標準的なハイブリダイゼーション技術に従って
ハイブリダイゼーションプローブとしてヒトcDNAまたはその一部を使用して
、本明細書に開示したヒトカルパインプロテアーゼ核酸に対するその同一性に基
づいて単離できる。
【0057】 個体群に存在し得るカルパインプロテアーゼ配列の天然対立遺伝子変異形に加
えて、当業者はさらに、変化を、変異により本発明のヌクレオチド配列に導入し
、よってカルパインプロテアーゼタンパク質の生物活性を変化させることなく、
コードカルパインプロテアーゼタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすこと
ができることを理解する。従って、配列番号2の配列とは異なる配列を有するカ
ルパインプロテアーゼタンパク質をコードする単離核酸分子は、1つ以上のヌク
レオチド置換、付加、または欠失を、本明細書に開示した対応するヌクレオチド
配列に導入して、1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失をコードタンパク質
に導入することにより創製できる。変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒
介変異誘発などの標準的な技術により導入できる。かかる変異形ヌクレオチド配
列も本発明に包含される。
【0058】 例えば、好ましくは、保存アミノ酸置換は、1つまたはそれ以上の推定された
、好ましくは非必須アミノ酸残基で行い得る。「非必須」アミノ酸残基は、生物
活性を変化させることなく、カルパインプロテアーゼタンパク質の野生型配列(
例えば配列番号2の配列)から変化できる残基であり、一方、「必須」アミノ酸
残基は生物活性に必要とされる。「保存アミノ酸置換」は、アミノ酸残基を、類
似の側鎖を有するアミノ酸残基と交換するものである。類似の側鎖を有するアミ
ノ酸残基のファミリーは、当分野で定義されている。これらのファミリーは、塩
基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパ
ラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、
グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例え
ばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、
メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソ
ロイシン)、および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプト
ファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。かかる置換は、保存アミノ酸残
基、すなわち、カルパインファミリーシステインプロテアーゼドメイン(配列番
号2のaa残基231〜537)などの、保存モチーフ内にあるアミノ酸残基(
かかる残基はタンパク質活性に必須である)には実施しない。
【0059】 別に、変異形カルパインプロテアーゼヌクレオチド配列は、飽和変異誘発によ
るなどの、カルパインプロテアーゼコード配列の全部または一部に沿って無作為
に変異を導入することにより作成でき、得られた変異体を、カルパインプロテア
ーゼ生物活性についてスクリーニングして、活性を保持する変異体を同定できる
。変異誘発後、コードタンパク質を組換え発現し、タンパク質の活性を標準的な
アッセイ技術を使用して決定できる。
【0060】 従って、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書に開示した配列、並びに、そ
の断片および変異形を含む。本発明のカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列
、およびその断片および変異形は、プローブおよび/またはプライマーとして使
用して、例えば他の組織などの他の細胞型のカルパインプロテアーゼ相同体、並
びに、他の哺乳動物からのカルパインプロテアーゼ相同体を同定および/または
クローン化できる。かかるプローブを使用して、同じまたは同一タンパク質をコ
ードする転写物またはゲノム配列を検出できる。これらのプローブは、被検者か
らの細胞のサンプル中のカルパインプロテアーゼコード核酸のレベルを測定する
ことにより、例えば、カルパインプロテアーゼmRNAレベルを検出することに
より、またはゲノムカルパインプロテアーゼ遺伝子が変異または欠失したかを決
定することなどによる、カルパインプロテアーゼタンパク質を誤発現する細胞ま
たは組織を同定するための診断試験キットの一部として使用できる。
【0061】 このように、PCR、ハイブリダイゼーション等の方法を使用して、本発明の
配列にかなりの同一性を有する配列を同定できる。例えば、Sambrookら
(1989)分子クローニング:実験マニュアル(第2版、NY州プレインビュ
ーのコールドスプリングハーバー研究所プレス)およびInnsら(1990)
PCRプロトコル:方法および応用へのガイド(NYのアカデミックプレス)参
照。本明細書に示したカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列に対するその配
列の同一性に基づいて単離したカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列または
その断片および変異形も本発明に包含される。
【0062】 ハイブリダイゼーション法において、既知カルパインプロテアーゼヌクレオチ
ド配列の全部または一部を使用して、cDNAまたはゲノムライブラリーをスク
リーニングできる。かかるcDNAおよびゲノムライブラリーの作成法は、一般
に当分野で公知であり、Sambrookら(1989)分子クローニング:実
験マニュアル(第2版、NY州プレインビューのコールドスプリングハーバー研
究所プレス)に開示されている。いわゆるハイブリダイゼーションプローブは、
ゲノムDNA断片、cDNA断片、RNA断片、または他のオリゴヌクレオチド
であり得、32Pまたは任意の他の検出可能なマーカー、例えば他の放射性同位体
、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子などの検出可能な基で標識し得る。ハイ
ブリダイゼーションプローブは、本明細書に開示した既知のカルパインプロテア
ーゼヌクレオチド配列に基づいて合成オリゴヌクレオチドを標識することにより
作成できる。既知カルパインプロテアーゼヌクレオチド配列またはコードアミノ
酸配列の保存ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に基づいて設計した変性プライマ
ーをさらに使用できる。プローブは、典型的には、ストリンジェントな条件下で
、本発明のカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列またはその断片または変異
形の少なくとも約12、好ましくは約25、より好ましくは約50、約75、約
100、約125、約150、約175、約200、約250、約300、約3
50、または約400の連続ヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配
列の領域を含む。ハイブリダイゼーション用のプローブの調製は、一般に当分野
で公知であり、Sambrookら(1989)分子クローニング:実験マニュ
アル(第2版、NY州プレインビューのコールドスプリングハーバー研究所プレ
ス)に開示されている。これを引用することにより本明細書の一部をなすものと
する。
【0063】 例えば、1つの具体例において、以前に未同定のカルパインプロテアーゼ核酸
分子は、ストリンジェントな条件下で、本発明のカルパインプロテアーゼヌクレ
オチド配列の1つまたはその断片を含む核酸分子であるプローブにハイブリダイ
ズする。別の具体例において、以前に未同定のカルパインプロテアーゼ核酸分子
は、少なくとも300、325、350、375、400、425、450、5
00、550、600、650、700、800、900、1000、2,00
0、3,000、4,000または5,000ヌクレオチド長であり、ストリン
ジェントな条件下で、本明細書に開示したカルパインプロテアーゼヌクレオチド
配列の1つまたはその断片を含む核酸分子であるプローブにハイブリダイズする
【0064】 従って、別の具体例において、以前には知られていない本発明の単離カルパイ
ンプロテアーゼ核酸分子は、少なくとも300、325、350、375、40
0、425、450、500、550、600、650、700、800、90
0、1000、1,100、1,200、1,300、または1,400ヌクレ
オチド長であり、ストリンジェントな条件下で本発明のヌクレオチド配列の1つ
、好ましくは配列番号1のコード配列、特許寄託番号PTA−1649のcDN
A、またはその相補体、断片、または変異形を含む核酸分子であるプローブにハ
イブリダイズする。
【0065】 本明細書に使用したような「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ」な
る語は、互いに少なくとも60%、65%、70%、好ましくは75%の同一性
を有するヌクレオチド配列が典型的には互いにハイブリダイズを維持する、ハイ
ブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記載すると捉えられる。かかるストリン
ジェントな条件は当業者には公知であり、分子生物学の現在のプロトコル(Jo
hn Wiley&Sons、ニューヨーク(1989))6.3.1〜6.3
.6に見出し得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい
非制限的な例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SS
C)中でのハイブリダイゼーション、次いで50〜65℃での0.2×SSC、
0.1%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄である。別の好ましい具体例に
おいて、ストリンジェントな条件は、42℃で6×SSC中でのハイブリダイゼ
ーション、次いで55℃での1×SSCでの洗浄を含む。好ましくは、ストリン
ジェントな条件下で本発明のカルパインプロテアーゼ配列にハイブリダイズする
単離核酸分子は、天然核酸分子に対応する。本明細書に使用した「天然」核酸分
子は、天然に存在するヌクレオチド配列を有する(例えば天然タンパク質をコー
ドする)RNAまたはDNA分子を意味する。
【0066】 従って、本明細書に開示したカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列および
その断片および変異形に加えて、本発明の単離核酸分子はまた、本明細書に開示
したカルパインプロテアーゼヌクレオチド配列またはその変異形および断片から
得られた全配列または一部配列とのハイブリダイゼーションにより、他の細胞お
よび/または生物から同定および単離された相同的DNA配列も包含する。
【0067】 本発明はまた、アンチセンス核酸分子、すなわち、タンパク質をコードするセ
ンス核酸に相補的な、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的な、また
は、mRNA配列に相補的な分子を包含する。従って、アンチセンス核酸は、セ
ンス核酸に水素結合できる。アンチセンス核酸は、全カルパインプロテアーゼコ
ード鎖、またはその一部のみ、例えばタンパク質コード領域(またはオープンリ
ーディングフレーム)の全部または一部に相補的であり得る。アンチセンス核酸
分子は、カルパインプロテアーゼタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコ
ード鎖の非コード領域に対してアンチセンスであり得る。非コード鎖は、コード
領域にフランキングする5N配列および3N配列であり、アミノ酸に翻訳されな
い。
【0068】 本明細書に開示したカルパインプロテアーゼタンパク質をコードするコード鎖
配列(例えば配列番号1)が与えられたので、本発明のアンチセンス核酸を、ワ
トソンおよびクリックの塩基対形成則に従って設計できる。アンチセンス核酸分
子は、カルパインプロテアーゼmRNAの全コード領域に相補的であり得るが、
より好ましくは、カルパインプロテアーゼmRNAのコードまたは非コード領域
の一部にのみアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、カルパインプロテアーゼmRNAの翻訳開始部位を
囲む領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約
5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、また
は約50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当分野で公
知の化学合成および酵素ライゲーション手順を使用して作成できる。
【0069】 例えば、アンチセンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天
然ヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増加またはアンチセンスとセンス
核酸の間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加させるために設計した様々に
修飾したヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置
換ヌクレオチドを含むがこれに限定されない)を使用して化学合成できる。別に
、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配向で(すなわち、挿入核酸から転
写されたRNAは、以下の小段落でさらに記載した、目的の標的核酸にアンチセ
ンス配向である)サブクローニングされている発現ベクターを使用して、生物学
的に産生できる。
【0070】 本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、被検者に投与するか、または
カルパインプロテアーゼタンパク質をコードする細胞mRNAおよび/またはゲ
ノムDNAにハイブリダイズまたは結合し、よって、例えば、転写および/また
は翻訳を阻害することにより、タンパク質の発現を阻害するように、インサイツ
で産生される。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路例は、組織部位での直
接注射を含む。別に、アンチセンス核酸分子を修飾して、選択細胞を標的化でき
、次いで全身投与できる。例えば、アンチセンス分子を、ペプチドまたは抗体に
連結させ、選択細胞表面上に発現される受容体または抗源に特異的に結合する複
合体を形成できる。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記載したベクター
を使用して細胞に送達できる。十分な細胞内アンチセンス分子濃度を達成するた
めに、アンチセンス核酸分子が強力なpolIIプロモーターまたはpolII
Iプロモーターの制御下に配置されたベクター作成物が好ましい。
【0071】 本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子であり得る。α−ア
ノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、通常の
β−ユニットとは逆に、鎖は互いに平行に走る(Gaultierら(1987
)Nucleic Acids Res.15:6625〜6641)。アンチ
センス核酸分子はまた、2'−O−メチルリボヌクレオチド(Inoueら(1
987)Nucleic Acids Res.15:6131〜6148)ま
たはキメラRNA−DNA類似体(Inoueら(1987)FEBS Let
t.215:327〜330)を含むことができる。
【0072】 本発明はまた、相補的領域を有し、mRNAなどの一本鎖核酸を切断でき、リ
ボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子であるリボザイムを包含する。リボ
ザイム(例えばハンマー状の頭部をしたリボザイム(Haselhofffおよ
びGerlach(1988)Nature 334:585〜591))を使
用して、カルパインプロテアーゼmRNA転写物を触媒的に切断し、よってカル
パインプロテアーゼmRNAの翻訳を阻害できる。カルパインプロテアーゼコー
ド核酸に特異性を有するリボザイムを、本明細書に開示したカルパインプロテア
ーゼcDNAのヌクレオチド配列(例えば配列番号1)に基づいて設計できる。
例えばCechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国
特許第5,116,742号参照。別に、カルパインプロテアーゼmRNAを使
用して、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RN
Aを選択できる。例えばBartelおよびSzostak(1993)Sci
ence 261:1411〜1418参照。
【0073】 本発明はまた、三重ヘリックス構造を形成する核酸分子も包含する。例えば、
カルパインプロテアーゼ遺伝子発現は、カルパインプロテアーゼタンパク質の調
節領域(例えばカルパインプロテアーゼプロモーターおよび/またはエンハンサ
ー)に相補的なヌクレオチド配列に標的化し、標的細胞でのカルパインプロテア
ーゼ遺伝子の転写を防ぐ三重らせん構造を形成することにより阻害できる。一般
に、Helene(1991)Anticancer Drug Des.6(
6):569;Helene(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.
660:27;およびMaher(1992)Bioassay 14(12)
:807参照。
【0074】 好ましい具体例において、本発明の核酸分子は、例えば、分子の安定性、ハイ
ブリダイゼーション、または可溶性を向上させるために、塩基部分、糖部分、ま
たはリン酸骨格で修飾できる。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を修
飾して、ペプチド核酸を作成できる(Hyrupら(1996)Bioorga
nic&Medicinal Chemistry 4:5参照)。本明細書に
使用した「ペプチド核酸」すなわち「PNA」なる語は、デオキシリボース骨格
が偽ペプチド骨格で置換され、僅か4つの天然核塩基のみが保持されている、核
酸模倣体、例えばDNA模倣体を意味する。PNAの中性骨格により、低いイオ
ン強度の条件下でのDNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションが可
能となることが示された。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら(1996
)上記;Perry−O'Keefeら(1996)Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 93:14670に記載の標準的な固相ペプチド合成プ
ロトコルを使用して実施できる。
【0075】 カルパインプロテアーゼ分子のPNAは、治療用および診断適用に使用できる
。例えば、PNAは、例えば、転写または翻訳停止の誘導または複製阻害により
、遺伝子発現の配列特異的変調用のアンチセンスまたはアンチ遺伝子物質として
使用できる。本発明のPNAは、例えば、PNAに指向したPCRクランピング
による遺伝子における1塩基対変異の解析に、他の酵素、例えばS1ヌクレアー
ゼと組合せて使用する場合の人工制限酵素として(Hyrup(1996)上記
;または、DNAシークエンスおよびハイブリダイゼーション用のプローブまた
はプライマーとして(Hyrup(1996)、上記;Perry−O'Kee
feら(1996)上記)使用できる。
【0076】 別の具体例において、カルパインプロテアーゼ分子のPNAは、親油性または
他のヘルパー基をPNAに付着させることにより、PNA−DNAキメラの形成
により、または、リポソームまたは当分野で公知の薬物送達技術の使用により、
例えば、その安定性、特異性または細胞取込みを増強するように修飾できる。P
NA−DNAキメラの合成は、Hyrup(1996)、上記;Finnら(1
996)Nucleic Acids Res.24(17)3357〜63;
Magら(1989)Nucleic Acids Res.17:5973;
およびPeterserら(1975)Bioorganic Med.Che
m.Lett.5:1119に記載の通りに実施できる。
【0077】 II.単離カルパインプロテアーゼタンパク質および抗カルパインプロテアー ゼ抗体 カルパインプロテアーゼタンパク質も本発明に包含される。「カルパインプロ
テアーゼタンパク質」により、配列番号2に示したアミノ酸配列を有するタンパ
ク質、並びに、その断片、生物学的に活性な部分、および変異形を意味する。
【0078】 「断片」または「生物学的に活性な部分」は、抗カルパインプロテアーゼ抗体
を産生するために、免疫原として使用するに適切なポリペプチド断片を含む。断
片は、本発明のカルパインプロテアーゼタンパク質または部分的な長さのタンパ
ク質のアミノ酸配列に十分に同一またはそれから得られたアミノ酸配列を含むペ
プチドを含み、カルパインプロテアーゼタンパク質の少なくとも1つの活性を示
すが、本明細書に開示した全長(配列番号2)カルパインプロテアーゼタンパク
質よりも少ないアミノ酸を含むペプチドも含む。典型的には、生物学的に活性な
部分は、カルパインプロテアーゼタンパク質の少なくとも1つの活性を有するド
メインまたはモチーフを含む。カルパインプロテアーゼタンパク質の生物学的に
活性な部分は、例えば、10、25、50、100またはそれ以上のアミノ酸長
である、ポリペプチドであり得る。かかる生物学的に活性な部分は、組換え技術
により調製し、天然カルパインプロテアーゼタンパク質の1つまたはそれ以上の
機能的活性について評価できる。ここで使用したような、以前に開示されていな
い断片は、配列番号2の少なくとも5個連続したアミノ酸を含む。本発明は、他
の断片、しかし、以前に開示されていない、6、7、8、または9よりも多いア
ミノ酸のタンパク質の任意の断片も包含する。
【0079】 「変異形」により、配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも約45%、約55
%、約65%、好ましくは約75%、約85%、約95%、または約98%同一
であるアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチドを意味する。変異形
はまた、ATCCに特許寄託番号PTA−1649として寄託されたプラスミド
のcDNA挿入断片によりコードされるポリペプチド、または配列番号1の核酸
分子またはその相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分
子によりコードされるポリペプチドを含む。かかる変異形は、一般に、本発明の
カルパインプロテアーゼタンパク質の機能的活性を保持する。変異形は、天然対
立遺伝子変異または変異誘発によりアミノ酸配列が異なるポリペプチドを含む。
【0080】 本発明はまた、カルパインプロテアーゼキメラまたは融合タンパク質も提供す
る。本明細書に使用した、カルパインプロテアーゼ「キメラタンパク質」または
「融合タンパク質」は、非カルパインプロテアーゼポリペプチドに作動可能に連
結したカルパインプロテアーゼポリペプチドを含む。「カルパインプロテアーゼ
ポリペプチド」は、カルパインプロテアーゼタンパク質に対応するアミノ酸配列
を有するポリペプチドを意味し、ここでの「非カルパインプロテアーゼポリペプ
チド」は、カルパインプロテアーゼタンパク質に実質的に同一ではないタンパク
質、例えば、カルパインプロテアーゼタンパク質とは異なり、同じまたは異なる
生物から得られるタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意
味する。カルパインプロテアーゼ融合タンパク質内で、カルパインプロテアーゼ
ポリペプチドは、カルパインプロテアーゼタンパク質の全部または一部に、好ま
しくはカルパインプロテアーゼタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な
部分に対応し得る。融合タンパク質内で、「作動可能に連結」なる語は、カルパ
インプロテアーゼポリペプチドおよび非カルパインプロテアーゼポリペプチドが
互いにインフレームで融合することを示すと捉えられる。非カルパインプロテア
ーゼポリペプチドは、カルパインプロテアーゼポリペプチドのN末端またはC末
端に融合できる。
【0081】 1つの有用な融合タンパク質は、カルパインプロテアーゼ配列がGST配列の
N末端またはC末端に融合したGST−カルパインプロテアーゼ融合タンパク質
である。かかる融合タンパク質は、組換えカルパインプロテアーゼタンパク質の
精製を容易にし得る。
【0082】 さらに別の具体例において、融合タンパク質は、カルパインプロテアーゼタン
パク質の全部または一部が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバー由
来の配列に融合した、カルパインプロテアーゼ−免疫グロブリン融合タンパク質
である。本発明のカルパインプロテアーゼ−免疫グロブリン融合タンパク質は、
医薬組成物に取込み、被検者に投与して、細胞表面上でのカルパインプロテアー
ゼリガンドとカルパインプロテアーゼタンパク質の間の相互作用を阻害でき、よ
って、カルパインプロテアーゼ媒介シグナル伝達をインビボで抑制することがで
きる。カルパインプロテアーゼ−免疫グロブリン融合タンパク質を使用して、カ
ルパインプロテアーゼ同族リガンドのバイオアベイラビリティーに影響を及ぼす
ことができる。カルパインプロテアーゼリガンド/カルパインプロテアーゼ相互
作用の阻害は、増殖および分化疾患の処置および細胞生存の変調(例えば促進ま
たは阻害)の両方に、治療的に有用であり得る。さらに、本発明のカルパインプ
ロテアーゼ−免疫グロブリン融合タンパク質は、被検者に抗カルパインプロテア
ーゼ抗体を産生するための免疫原として、カルパインプロテアーゼリガンドを精
製するために、および、スクリーニングアッセイで、カルパインプロテアーゼリ
ガンドとカルパインプロテアーゼタンパク質の相互作用を阻害する分子を同定す
るために使用できる。
【0083】 好ましくは、本発明のカルパインプロテアーゼキメラまたは融合タンパク質は
、標準的な組換えDNA技術により産生される。例えば、異なるポリペプチド配
列をコードするDNA断片を共にインフレームで連結し得るか、または融合遺伝
子を、自動DNA合成機などで合成できる。別法として、PCRによる遺伝子断
片増幅を、2つの連続的遺伝子断片間の相補的オーバーハングをもたらすアンカ
ープライマーを使用し、次いで、アニーリングし、再増幅して、キメラ遺伝子配
列を作成することにより実施できる。(例えばAusubelら編(1995)
分子生物学の現在のプロトコル)(NYのGreene Publishing
およびWiley−Interscience参照)。さらに、カルパインプロ
テアーゼコード核酸を、インフレームで連結して現存する融合部分になるように
、市販で入手可能なベクターにクローン化できる。
【0084】 カルパインプロテアーゼタンパク質の変異形は、カルパインプロテアーゼアゴ
ニスト(模倣体)またはカルパインプロテアーゼアンタゴニストとして機能でき
る。カルパインプロテアーゼタンパク質の変異形は、変異誘発により、例えば、
カルパインプロテアーゼタンパク質の別個の点変異または切断短縮により作成で
きる。カルパインプロテアーゼタンパク質のアゴニストは、天然形のカルパイン
プロテアーゼタンパク質の生物活性と実質的に同じまたはそのサブセットを保持
できる。カルパインプロテアーゼタンパク質のアンタゴニストは、天然形のカル
パインプロテアーゼタンパク質の1つまたはそれ以上の活性を、例えば、カルパ
インプロテアーゼタンパク質を含む細胞シグナル伝達カスケードの下流または上
流メンバーへの競合的結合により、阻害できる。従って、特異的生物効果は、機
能の限定された変異形で処理することにより誘発できる。天然形タンパク質の生
物活性のサブセットを有する変異形による被検者の処理は、天然形のカルパイン
プロテアーゼタンパク質での処理に比べて、被検者により少ない副作用を及ぼし
得る。
【0085】 カルパインプロテアーゼアゴニストまたはカルパインプロテアーゼアンタゴニ
ストとして機能するカルパインプロテアーゼタンパク質の変異形は、カルパイン
プロテアーゼタンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性について、カルパ
インプロテアーゼタンパク質の変異体、例えば切断短縮変異体の組合せライブラ
リーをスクリーニングすることにより同定できる。1つの具体例において、カル
パインプロテアーゼ変異形の色とりどりのライブラリーは、核酸レベルでの組合
せ変異誘発により作成され、とりどりの遺伝子ライブラリーによりコードされる
。とりどりのカルパインプロテアーゼ変異形のライブラリーは、例えば、合成オ
リゴヌクレオチドの混合物を、遺伝子配列に酵素的にライゲートし、よって、あ
り得るカルパインプロテアーゼ配列の縮重セットを個々のポリペプチドとして、
または別に、ここでのカルパインプロテアーゼ配列のセットを含む1セットのよ
り大きな融合タンパク質として(例えばファージディスプレイ)発現できるよう
に、産生できる。変性オリゴヌクレオチド配列からのあり得るカルパインプロテ
アーゼ変異形のライブラリーを産生するために使用できる様々な方法が存在する
。変性遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成機で実施でき、合成遺伝子は次
いで適切な発現ベクターにライゲートできる。縮重セットの遺伝子の使用により
、1つの混合物中での、所望のセットのあり得るカルパインプロテアーゼ配列を
コードする全配列の提示が可能となる。縮重オリゴヌクレオチドの合成法は当分
野で公知である(例えばNarang(1983)Tetrahedron 3
9:3;Itakuraら(1984)Ann.Rev.Biochem.53
:323;Itakuraら(1984)Science 198:1056;
Ikeら(1983)Nucleic Acids Res.11:477)。
【0086】 さらに、カルパインプロテアーゼタンパク質コード配列の断片のライブラリー
を使用して、カルパインプロテアーゼタンパク質の変異形をスクリーニングし、
その後、選択するための、色とりどりのカルパインプロテアーゼ断片の個体群を
作成できる。1つの具体例において、コード配列断片のライブラリーは、カルパ
インプロテアーゼコード配列の二本鎖PCR断片を、ニッキングが1分子あたり
約1回のみ起こる条件下でヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを変性させ、D
NAを再生して、様々なニッキング産物からのセンス/アンチセンス対を含み得
る二本鎖DNAを形成し、S1ヌクレアーゼでの処理により再形成した二重鎖か
ら一本鎖部分を除去し、そして、得られた断片ライブラリーを発現ベクターにラ
イゲートすることにより作成できる。この方法により、カルパインプロテアーゼ
タンパク質のN末端および様々なサイズの内部断片をコードする発現ライブラリ
ーを得ることができる。
【0087】 点変異または切断短縮により作成された組合せライブラリーの遺伝子産物をス
クリーニングし、および選択特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラ
リーをスクリーニングする数個の技術が当分野で既知である。かかる技術は、カ
ルパインプロテアーゼタンパク質の組合せ変異誘発により作成した遺伝子ライブ
ラリーの迅速なスクリーニングに適応している。大きな遺伝子ライブラリーのス
クリーニングのためにハイスループット解析に受け入れられる最も広く使用され
ている技術は、典型的には、遺伝子ライブラリーを、複製可能な発現ベクターに
クローニングし、適切な細胞を、得られたベクターのライブラリーで形質転換し
、そして、組合せ遺伝子を、所望の活性の検出により、産物が検出された遺伝子
をコードするベクターが単離し易くなる条件下で発現させることを含む。ライブ
ラリー中の機能的変異体の頻度を増強する技術である、循環的アンサンブル(r
ecursiv ensemble)変異誘発(REM)を、スクリーニングア
ッセイと組合せて使用して、カルパインプロテアーゼ変異形を同定できる(Ar
kinおよびYourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 89:7811〜7815;Delgraveら(1993)Pr
otein Engineering 6(3):327〜331)。
【0088】 本発明の単離カルパインプロテアーゼポリペプチドは、免疫原として使用して
、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製の標準的な技術を使用して、カ
ルパインプロテアーゼタンパク質に結合する抗体を作成することができる。全長
カルパインプロテアーゼタンパク質を使用し得るか、または別に、本発明は、免
疫原として使用するためのカルパインプロテアーゼタンパク質の抗原性ペプチド
断片を提供する。カルパインプロテアーゼタンパク質の抗原性ペプチドは、配列
番号2に示したアミノ酸配列の少なくとも8、好ましくは10、15、20、ま
たは30個のアミノ酸残基を含み、ペプチドに対して産生された抗体がカルパイ
ンプロテアーゼタンパク質と特異的免疫複合体を形成するように、カルパインプ
ロテアーゼタンパク質のエピトープを包含する。抗原性ペプチドに包含される好
ましいエピトープは、例えば親水性領域などのタンパク質の表面上に位置するカ
ルパインプロテアーゼタンパク質の領域である。
【0089】 従って、本発明の別の態様は、カルパインプロテアーゼタンパク質に結合する
、抗カルパインプロテアーゼポリクローナルおよびモノクローナル抗体に関する
。ポリクローナル抗カルパインプロテアーゼ抗体は、適切な被検者(例えばウサ
ギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)をカルパインプロテアーゼ免疫原で免
疫化することにより調製できる。免疫化被検者における抗カルパインプロテアー
ゼ抗体力価は、時間をかけて、固定カルパインプロテアーゼタンパク質を使用し
て酵素結合イムノソルベントアッセイ(エリザ)などの標準的技術によりモニタ
リングできる。免疫化後の適切な時間に、例えば、抗カルパインプロテアーゼ抗
体力価が最高である場合に、抗体産生細胞を、被検者から得て、Kohlerお
よびMilstein(1975)Nature 256:495〜497によ
り最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Ko
zborら(1983)Immunol.Today 4:72)、EBV−ハ
イブリドーマ技術(Coleら(1985)モノクローナル抗体および癌療法、
ReisfeldおよびSell編(Alan R.Liss,Inc.、ニュ
ーヨーク、NY)、77〜96項)またはトリオーマ技術などの標準的技術によ
りモノクローナル抗体の調製に使用できる。ハイブリドーマを産生する技術は公
知である(一般に、Coliganら編(1994)免疫学の現在のプロトコル
(NY州ニューヨークのJohn Wiley&Sons,Inc);Galf
reら(1977)Nature 266:55052;Kenneth(19
80)モノクローナル抗体:生物学的解析における新規次元(Plenum P
ublishing Corp.、NY;およびLerner(1981)Ya
le J.Biol.Med.54:387〜402参照)。
【0090】 モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの調製の代替法として、モノクローナ
ル抗カルパインプロテアーゼ抗体を、組換え組合せ免疫グロブリンライブラリー
(例えば抗体ファージディスプレイライブラリー)を、カルパインプロテアーゼ
タンパク質を用いてスクリーニングすることにより同定および単離して、よって
カルパインプロテアーゼタンパク質に結合する免疫グロブリンライブラリーメン
バーを単離できる。ファージディスプレイライブラリーを作成およびスクリーニ
ングするキットは市販で入手できる(例えば、ファルマシア組換えファージ抗体
システム、カタログ番号27−9400−01;およびストラタジーンSurf
ZAP(登録商標)ファージディスプレイキット、カタログ番号240612)
。さらに、抗体ディスプレイライブラリーの作成およびスクリーニングに使用す
るに特に受け入れ可能な方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223
,409号;PCT公開公報第WO92/18619号;第WO91/1727
1号;第WO92/20791号;第WO92/15679号;第93/012
88号;第WO92/01047号;第92/09690号;および第90/0
2809号;Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1
370〜1372;Hayら(1992)Hum.Antibod.Hybri
domas 3:81〜85;Huseら(1989)Science 246
:1275〜1281;Griffithsら(1993)EMBO J.12
:725〜734に見出し得る。
【0091】 さらに、標準的な組換えDNA技術を使用して作成できる、ヒトおよび非ヒト
部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの組換え抗カル
パインプロテアーゼ抗体は、本発明の範囲内である。かかるキメラおよびヒト化
モノクローナル抗体は、例えば、PCT公開公報第WO86101533号およ
び第WO87/02671号;欧州特許出願番号第184,187号、第171
,496号、第125,023号、および第173,494号;米国特許第4,
816,567号および第5,225,539号;欧州特許出願第125,02
3号;Betterら(1988)Science 240:1041〜104
3;Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
4:3439〜3443;Liuら(1987)J.Immunol.139:
3521〜3526;Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 84:214〜218;Nishimuraら(1987)Ca
nc.Res.47:999〜1005;Woodら(1985)Nature
314:446〜449;Shawら(1988)J.Natl.Cance
r.Inst.80:1553〜1559);Morrison(1985)S
cience 229:1202〜1207;Oiら(1986)Bio/Te
chniques 4:214;Jonesら(1986)Nature 32
1:552〜525;Verhoeyanら(1988)Science 23
9:1534;およびBeidlerら(1988)J.Immunol.14
1:4053〜4060に記載の方法を使用して、当分野で既知の組換えDNA
技術により産生できる。
【0092】 完全なヒト抗体が、ヒト患者の治療処置に特に望ましい。かかる抗体は、内因
性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現できないが、ヒト重鎖および軽鎖
遺伝子は発現できる、トランスジェニックマウスの使用により産生できる。例え
ば、LonbergおよびHuszar(1995)Int.Rev.Immu
nol.13:65〜93);および米国特許第5,625,126号;第5,
633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;および
第5,545,806号参照。さらに、Abgenix,Inc.(CA州フレ
モント)などの会社は、上記の技術に類似した技術を使用して、選択抗原に対し
て指向されたヒト抗体を提供することに携わることができる。
【0093】 選択エピトープを認識する完全なヒト抗体は、「誘導選択」と称される技術を
使用して作成できる。このアプローチで、選択した非ヒトモノクローナル抗体、
例えばネズミ抗体を使用して、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択
を誘導する。この技術は、Jespersら(1994)Bio/Techno
logy 12:899〜903)により記載されている。
【0094】 抗カルパインプロテアーゼ抗体(例えばモノクローナル抗体)は、アフィニテ
ィークロマトグラフィーまたは免疫沈降法などの標準的な技術によりカルパイン
プロテアーゼタンパク質を単離するのに使用できる。抗カルパインプロテアーゼ
抗体は、細胞からの天然カルパインプロテアーゼタンパク質の精製、および宿主
細胞で発現される組換え産生カルパインプロテアーゼタンパク質の精製を容易に
し得る。さらに、抗カルパインプロテアーゼ抗体を使用してカルパインプロテア
ーゼタンパク質(例えば細胞溶解液または細胞上清中)を検出して、カルパイン
プロテアーゼタンパク質の発現の量およびパターンを評価できる。抗カルパイン
プロテアーゼ抗体を診断的に使用して、例えば、ある処置措置の効力を決定する
ために、臨床試験手順の一部として組織中のタンパク質レベルをモニタリングで
きる。検出は、検出可能な物質への抗体のカップリングにより容易になり得る。
検出可能な物質の例は、様々な酵素、接合団、蛍光物質、発光物質、生物発光物
質、および放射性物質を含む。適切な酵素の例は、セイヨウワサビペルオキシダ
ーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリン
エステラーゼを含み;適切な接合団複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチ
ンおよびアビジン/ビオチンを含み;適切な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン
、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロ
トリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリン
を含み;発光物質の例は、ルミノールを含み;生物発光物質の例は、ルシフェラ
ーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含み;そして、適切な放射性物質の例
は、125I、131I、35S、または3Hを含む。
【0095】 III.組換え発現ベクターおよび宿主細胞 本発明の別の態様は、カルパインプロテアーゼタンパク質(またはその一部)
をコードする核酸を含む、ベクター、好ましくは発現ベクターに関する。「ベク
ター」は、それが連結した別の核酸を輸送できる核酸分子、例えば追加のDNA
セグメントをライゲートできる環状の二本鎖DNAループである「プラスミド」
、または、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートできるウイル
スベクターを意味する。ベクターは、宿主細胞での自律的複製に有用であるか、
または宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに取込み得ることにより宿主ゲノ
ムと共に複製される(例えば非エピソーム哺乳動物ベクター)。発現ベクターは
、作動可能に連結した遺伝子の発現を指令できる。一般に、組換えDNA技術に
有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミド(ベクター)の形である。しかし
、本発明は、等価な機能に役立つ、ウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロ
ウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)などのこのような他の
形の発現ベクターを含むと捉えられる。
【0096】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞での核酸の発現に適した形の本発明
の核酸を含む。これは、組換え発現ベクターは、発現する核酸配列に作動可能に
連結した、発現に使用する宿主細胞に基づいて選択した、1つ以上の調節配列を
含むことを意味する。「作動可能に連結」は、目的のヌクレオチド配列が、ヌク
レオチド配列の発現(例えば、インビトロ転写/翻訳系でまたはベクターを宿主
細胞に導入する場合には宿主細胞で)を可能とする様式で調節配列(群)に連結
していることを意味すると捉えられる。「調節配列」なる語は、プロモーター、
エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル
)を含むと捉えられる。例えば、Goeddel(1990)遺伝子発現技術:
酵素学における方法185(CA州サンディエゴのアカデミックプレス)参照。
調節配列は、多くの宿主細胞型でヌクレオチド配列の直接的構成的発現を指令す
るもの、および、ある宿主細胞のみでヌクレオチド配列の発現を指令するもの(
例えば組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計は、形質転換する宿主
細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等などの因子に依存し得ると当業者
により理解される。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入し、よって、本明細
書に記載の核酸によりコードされる融合タンパク質またはペプチドを含むタンパ
ク質またはペプチドを産生できる(例えば、カルパインプロテアーゼタンパク質
、変異形のカルパインプロテアーゼタンパク質、融合タンパク質等)。
【0097】 本発明の組換え発現ベクターは、原核宿主細胞または真核宿主細胞でのカルパ
インプロテアーゼタンパク質の発現用に設計できる。原核細胞でのタンパク質の
発現は、最もしばしば、融合または非融合タンパク質の発現を指令する、構成性
プロモータまたは誘導性プロモーターを含むベクターを用いてE.コリ中で実施
される。融合ベクターは、多くのアミノ酸を、そのコードされるタンパク質に加
え、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に加える。典型的な融合発現ベクター
は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパ
ク質、またはプロテインAをそれぞれ、標的組換えタンパク質に融合させる、p
GEX(ファルマシアバイオテック社;SmithおよびJohnson(19
88)Gene 67:31〜40)、pMAL(MA州バーバリーのニューイ
ングランドバイオラブズ)、およびpRIT5(NJ州ピスケートウェイのファ
ルマシア)を含む。適切な誘導性非融合E.コリ発現ベクターの例は、pTrc
(Arnannら(1988)Gene 69:301〜315)およびpET
11d(Studierら(1990)遺伝子発現技術:酵素学の方法185(
CA州サンディエゴのアカデミックプレス)、60〜89項)を含む。E.コリ
中での組換えタンパク質発現を最大化する戦略は、Gottesman(199
0)、遺伝子発現技術:酵素学の方法185(CA州のアカデミックプレス)、
119〜128項およびWadaら(1992)Nucleic Acids
Res.20:2111〜2118に見出し得る。pTrcベクターからの標的
遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNA
ポリメラーゼ転写に依拠する。
【0098】 適切な真核宿主細胞は、昆虫細胞(培養昆虫細胞(例えばSf9細胞)中での
タンパク質の発現に利用できるバキュロウイルスベクターの例は、pAcシリー
ズ(Smithら(1983)Mol.Cell.Biol.3:2156〜2
165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(198
9)Virology 170:31〜39)を含む);酵母細胞(酵母S.セ
レビジアエの発現用のベクターの例は、pYepSec1(Baldariら(
1987)EMBO J.6:229〜234)、pMFa(Kurjanおよ
びHerskowitz(1982)Cell 30:933〜943)、pJ
RY88(Schultzら(1987)Gene 54:113〜123)、
pYES2(CA州サンディエゴのインビトロゲンコーポレイション)およびp
PicZ(CA州サンディエゴのインビトロゲンコーポレイション)を含む);
または哺乳動物細胞(哺乳動物発現ベクターは、pCDM8(Seed(198
7)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(
1987)EMBO J.6:187:195)を含む)を含む。適切な哺乳動
物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞を含む
。哺乳動物細胞では、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレ
メントにより提供される。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオー
マ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40か
ら得られる。原核および真核細胞の両方における他の適切な発現系については、
Sambrookら(1989)分子クローニング:実験マニュアル(第2版、
NY州プレインビューのコールドスプリングハーバーラボラトリープレス)の第
16および17章参照。Goeddel(1990)遺伝子発現技術:酵素学の
方法185(CA州サンディエゴのアカデミックプレス)参照。別に、組換え発
現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使
用して、インビトロで転写および翻訳できる。
【0099】 「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」なる語は、本明細書では同義語として
使用する。かかる用語は、特定の主題細胞だけでなく、かかる細胞の子孫または
潜在的な子孫も意味すると理解する。ある修飾が、変異または環境的な影響によ
り後続の世代に起こり得るので、かかる子孫は、事実、親細胞とは同一ではない
が、本明細書に使用した用語の範囲内に含める。
【0100】 1つの具体例において、発現ベクターは、特定の細胞型での核酸の発現を優先
的に指令する、組織特異的調節エレメントを含む組換え哺乳動物発現ベクターで
ある。適切な組織特異的プロモーターは、アルブミンプロモーター(肝特異的;
Pinkertら(1987)Genes Dev.1:268〜277)、リ
ンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(1988)Adv.
Immunol.43:235〜275)、特にT細胞受容体のプロモーター(
WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO J.8:729
〜733)および免疫グロブリン(Banerjiら(1983)Cell 3
3:729〜740;QueenおよびBaltimore(1983)Cel
l 33:741〜748)、神経特異的プロモーター(例えばニューロフィラ
メントプロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 86:5473〜5477)、膵特異的プ
ロモーター(Edlundら(1985)Science 230:912〜9
16)、および哺乳動物腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米
国特許第4,873,316号および欧州出願特許公開第264,166号)を
含む。発達的に調節されるプロモーターも包含され、例えば、ネズミhoxプロ
モーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249
:374〜379)、α−フェトプロテインプロモーター(Campesおよび
Tilghman(1989)Genes Dev.3:537〜546)等で
ある。
【0101】 本発明はさらに、アンチセンス配向で発現ベクターにクローン化された本発明
のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、DNA分子は、
カルパインプロテアーゼmRNAにアンチセンスであるRNA分子の(DNA分
子の転写による)発現を可能とする様式で調節配列に作動可能に連結している。
アンチセンス配向でクローニングした核酸に作動可能に連結された調節配列、例
えばウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーを、様々な細胞型でのア
ンチセンスRNA分子の連続的発現を指令するように選択できるか、または、調
節配列は、アンチセンスRNAの構成的、組織特異的、または細胞型特異的発現
を指令するように選択できる。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド
、ファージミド、または弱毒化ウイルスの形であり得、アンチセンス核酸分子は
、高い効率の調節領域の制御下で産生され、その活性は、ベクターを導入する細
胞型により決定できる。アンチセンス遺伝子を使用した遺伝子発現の調節の考察
については、Weintraubら(1986)Reviews−Trends
in Genetics 1巻:1参照。
【0102】 ベクターDNAは、慣用的な形質転換またはトランスフェクション技術を介し
て、原核または真核細胞に導入できる。本明細書に使用した「形質転換」および
「トランスフェクション」なる語は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共
沈降、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、
または電気穿孔法を含む、外来核酸(例えばDNA)の宿主細胞への導入の、様
々な当分野で認識される技術を意味すると捉えられる。宿主細胞を形質転換また
はトランスフェクトするに適切な方法は、Sambrookら(1989)分子
クローニング:実験マニュアル(第2版、NY州プレインビューのコールドスプ
リングハーバー研究所プレス)および他の実験マニュアルに見出し得る。
【0103】 哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについては、使用する発現ベクタ
ーおよびトランスフェクション技術に応じて、ほんの少数の細胞のみが、外来D
NAをそのゲノムに組込み得ることが知られている。これらの組込み体を同定お
よび選択するために、選択マーカー(例えば抗生物質耐性)をコードする遺伝子
を、一般に、目的の遺伝子と共に宿主細胞に導入する。好ましい選択マーカーは
、G418、ヒグロマイシン、およびメトトレキサートなどの薬物に耐性を付与
するものを含む。選択マーカーをコードする核酸を、カルパインプロテアーゼタ
ンパク質をコードするものと同じベクターの宿主細胞に導入しても、または別々
のベクターに導入してもよい。導入した核酸で安定にトランスフェクトした細胞
は、薬物選択により同定できる(例えば、選択マーカー遺伝子を取り込んだ細胞
は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0104】 培養液中の原核宿主細胞または真核宿主細胞などの本発明の宿主細胞を使用し
て、カルパインプロテアーゼタンパク質を産生(すなわち発現)できる。従って
、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用したカルパインプロテアーゼタンパ
ク質の産生法を提供する。1つの具体例において、該方法は、カルパインプロテ
アーゼタンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入された、本発明の宿主
細胞を、カルパインプロテアーゼタンパク質が産生されるような適切な培地中で
培養することを含む。別の具体例において、該方法はさらに、培地細胞または宿
主細胞からカルパインプロテアーゼタンパク質を単離することを含む。
【0105】 本発明の宿主細胞は、非ヒトトランスジェニック動物の産生に使用できる。例
えば、1つの具体例において、本発明の宿主細胞は、カルパインプロテアーゼコ
ード配列が導入された、受精卵母細胞または胚幹細胞である。次いで、かかる宿
主細胞は、内因性カルパインプロテアーゼ配列がそのゲノムに導入された非ヒト
トランスジェニック動物または外来性カルパインプロテアーゼ配列が変化した相
同的組換え動物の創製に使用できる。かかる動物は、カルパインプロテアーゼ遺
伝子およびタンパク質の機能および/または活性を研究するのに、および、カル
パインプロテアーゼ活性のモジュレーターの同定および/または評価に有用であ
る。本明細書に使用した「トランスジェニック動物」は、1つ以上の動物細胞が
導入遺伝子を含んだ、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはラット
またはマウスなどのげっ歯類である。他のトランスジェニック動物の例は、非ヒ
ト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等を含む。導入遺伝子
は、細胞のゲノムに取り込まれ(これからトランスジェニック動物が発生する)
、成熟動物のゲノムに留まり、よって、トランスジェニック動物の1つまたはそ
れ以上の細胞型または組織中でのコード遺伝子産物の発現を指令する、外来性D
NAである。本明細書に使用した「相同的組換え動物」は、内因性カルパインプ
ロテアーゼ遺伝子が、動物の発生前に、内因性遺伝子と、動物の細胞、例えば動
物の胚細胞に導入された外来性DNA分子の間の相同的組換えにより変化した、
非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
【0106】 本発明のトランスジェニック動物は、カルパインプロテアーゼコード核酸を、
受精卵母細胞の雌前核に、例えばマイクロインジェクション、レトロウイルス感
染により導入し、卵母細胞を、偽妊娠雌育成動物中で発達させることにより創製
できる。カルパインプロテアーゼcDNA配列を、非ヒト動物のゲノムに導入遺
伝子として導入できる。別に、マウスカルパインプロテアーゼ遺伝子の相同体を
ハイブリダイゼーションに基づいて単離し、導入遺伝子として使用できる。イン
トロン配列およびポリアデニル化シグナルも、導入遺伝子に含めて、導入遺伝子
の発現効率を高めることができる。組織特異的調節配列(群)を、カルパインプ
ロテアーゼ導入遺伝子に作動可能に連結させ、特定の細胞へのカルパインプロテ
アーゼタンパク質の発現を指令できる。胚操作およびマイクロインジェクション
を介したトランスジェニック動物、特にマウスなどの動物の産生法は当分野で慣
用的となっており、例えば、米国特許第4,736,866号、米国特許第4,
870,009号、および米国特許第4,873,191号およびHogan(
1986)マウス胚の操作(コールドスプリングハーバー研究所プレス、コール
ドスプリングハーバー、NY、1986)に記載されている。類似の方法が、他
のトランスジェニック動物の産生に使用される。トランスジェニック確立動物は
、そのゲノム中のカルパインプロテアーゼ導入遺伝子の存在および/または動物
の組織または細胞中でのカルパインプロテアーゼmRNAの発現に基づいて同定
できる。次いで、トランスジェニック確立動物を使用して、導入遺伝子を有する
さらなる動物を繁殖できる。さらに、カルパインプロテアーゼ遺伝子をコードす
る導入遺伝子を有するトランスジェニック動物をさらに、他の導入遺伝子を有す
る他のトランスジェニック動物に交配できる。
【0107】 相同的組換え動物を創製するために、欠失、付加、または置換が導入され、そ
れにより、カルパインプロテアーゼ遺伝子を変化、例えば機能的に破壊した、カ
ルパインプロテアーゼ遺伝子の少なくとも一部または該遺伝子の相同体を含むベ
クターを調製する。好ましい具体例において、ベクターは、相同的組換え時に、
内因性カルパインプロテアーゼ遺伝子が機能的に破壊されるように設計する(す
なわち、もはや機能的タンパク質をコードしていない;「ノックアウト」ベクタ
ーとも称される)。別に、ベクターは、相同的組換え時に、内因性カルパインプ
ロテアーゼ遺伝子が変異または別様に変化しているが、依然として機能的タンパ
ク質をコードしているように設計できる(例えば、上流調節領域を変化させ、そ
れにより内因性カルパインプロテアーゼタンパク質の発現を変化させることがで
きる)。相同的組換えベクターにおいて、カルパインプロテアーゼ遺伝子の変化
した部分を、その5Nおよび3N末端で、カルパインプロテアーゼ遺伝子の追加
の核酸によりフランキングして、相同的組換えが、ベクターの有する外来性カル
パインプロテアーゼ遺伝子と胚幹細胞中の内因性カルパインプロテアーゼ遺伝子
の間に起こることが可能となる。追加のフランキングカルパインプロテアーゼ核
酸は、内因性遺伝子との成功裡の相同的組換えに十分な長さである。典型的には
、数キロベースのフランキングDNA(5'および3'末端の両方において)がベ
クターに含まれる(例えば、相同的組換えベクターの記載については、Thom
asおよびCapecchi(1987)Cell 51:503参照)。ベク
ターは、胚幹細胞系に導入され(例えば電気穿孔法により)、導入カルパインプ
ロテアーゼ遺伝子が内因性カルパインプロテアーゼ遺伝子で相同的に組み換えら
れた細胞を選択する(例えばLiら(1992)Cell 69:915参照)
。次いで、選択した細胞を、動物(例えばマウス)の胚盤胞に注入して、凝集キ
メラを形成する(例えばBradley(1987)奇形癌腫および胚幹細胞:
実践的アプローチ、Robertson編(IRL、オックスフォード、113
〜152項)。次いで、キメラ胚を、適切な偽妊娠雌育成動物に移植し、胚を成
熟させる。その胚細胞に相同組換えDNAを有する子孫を使用して、動物の全細
胞が導入遺伝子の生殖系列伝達により相同的組換えDNAを含む動物を繁殖でき
る。相同的組換えベクターおよび相同的組換え動物を作成する方法は、さらにB
radley(1991)Current Opinion in Bio/T
echnology 2:823〜829およびPCT公開番号第WO90/1
1354号、第WO91/01140号、第WO第92/0968号、および第
WO93/04169号に記載されている。
【0108】 別の具体例において、導入遺伝子の調節発現を可能とする、選択した系を含む
トランスジェニック非ヒト動物を産生できる。かかる系の一例は、バクテリオフ
ァージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコ
ンビナーゼ系の記載については、Laksoら(1992)Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 89:6232〜6236参照。リコンビナーゼ
系の別の例は、サッカロミセス・セレビジアエのFLPリコンビナーゼ系である
(O'Gormanら(1991)Science 251 1351〜135
5)。cre/loxPリコンビナーゼ系を使用して導入遺伝子の発現を調節す
る場合、Creリコンビナーゼおよび選択タンパク質の両方をコードする導入遺
伝子を含む動物が必要である。かかる動物は、例えば、2つのトランスジェニッ
ク動物(一方は、選択タンパク質をコードする導入遺伝子を含み、他方はリコン
ビナーゼをコードする導入遺伝子を含む)の交尾により、「二重」トランスジェ
ニック動物の作成を通じて提供できる。
【0109】 本明細書に記載の非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wilm
utら(1997)Nature 385:810〜813およびPCT公開第
WO97/07668号および第WO97/07669号に記載の方法に従って
産生できる。
【0110】 IV.医薬組成物 本発明のカルパインプロテアーゼ核酸分子、カルパインプロテアーゼタンパク
質、および抗カルパインプロテアーゼ抗体(本明細書では「活性化合物」とも称
する)は、投与に適した医薬組成物に取込むことができる。かかる組成物は、典
型的には、核酸分子、タンパク質、または抗体および医薬的に許容される担体を
含む。本明細書に使用した「医薬的に許容される担体」なる語は、医薬投与に適
合性である、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌および抗
真菌剤、等張化および吸収遅延剤等を含むものと捉えられる。医薬的に活性な物
質におけるかかる媒体および物質の使用は、当分野で公知である。任意の慣用的
媒体または物質が活性化合物と非適合性でない限り、その組成物における使用が
考えられる。補助活性化合物も組成物に取込むことができる。
【0111】 本発明の医薬組成物は、その目的の投与経路に適合するように製剤化される。
投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、
経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与を含む。非経口、皮内、または皮下適用
に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる。無菌希釈剤
、例えば注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン
、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗細菌剤、例えばベンジルアルコ
ールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または重硫酸ナト
リウム;キレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸;緩衝剤、例えば酢酸
塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および等張調節剤、例えば塩化ナトリウムまた
はデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウム
で調節できる。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスま
たはプラスチック製の複数回投与用バイアル中に封入できる。
【0112】 注射使用に適切な医薬組成物は、無菌水溶液(水溶性)または分散液、および
、無菌注射溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末を含む。静脈内投与では、
適切な担体は、生理食塩水、静菌水、クレモホアEL(登録商標)(BASF;
NJ州パーシッパニー)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての場合
において、組成物は無菌でなければならず、シリンジが容易に使用できる程度に
流動性であるべきである。製造および保存の条件下で安定でなければならず、細
菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピ
レングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)およびその適切な混合
物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン
などのコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持に
より、および界面活性剤の使用により維持できる。微生物の作用の防御は、様々
な抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ア
スコルビン酸、チメロサール等により達成できる。多くの場合、等張化剤、例え
ば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム
を組成物に含めることが好ましい。注射組成物の延長吸収は、組成物に、吸収を
遅延する物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めるこ
とによりもたらすことができる。
【0113】 無菌注射溶液は、活性化合物(例えばカルパインプロテアーゼタンパク質また
は抗カルパインプロテアーゼ抗体)を、必要量、適切な溶媒中、必要であれば上
記に列挙した成分の1つまたは組合せと共に取込み、次いで滅菌ろ過することに
より調製できる。一般に、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒体および上
記に列挙したものからの必要な他の成分を含む無菌ベヒクルに取込むことにより
調製される。無菌注射溶液の調製用の無菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空
乾燥および凍結乾燥であり、これにより、以前に滅菌ろ過したその溶液から、活
性成分と追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0114】 経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらは、ゼラ
チンカプセルに封入しても、圧縮して錠剤にしてもよい。経口治療投与のために
、活性化合物を添加剤と共に取込み、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形
で使用できる。経口組成物はまた、うがい薬として使用する流動担体を使用して
調製でき、ここでの流動担体中の化合物は、口に適用し、ガラガラと音をたて、
喀痰または嚥下する。医薬的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント物
質は、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トロ
ーチ剤等は、以下の成分のいずれか、または類似の性質の化合物を含むことがで
きる:結合剤として、例えば微結晶セルロース、トラガカントゴム、またはゼラ
チン;添加剤として、例えばデンプンまたはラクトース、崩壊剤として、例えば
アルギン酸、プリモゲル、またはコーンスターチ;潤滑剤として、例えばステア
リン酸マグネシウムまたはステロート(Sterote);滑沢剤として、例え
ばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤として、例えばスクロースまたはサッカリン
;または香味剤として、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレン
ジ芳香。吸入投与のために、化合物は、適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などの
気体を含む加圧容器または施薬器またはネブライザーからのエアゾールスプレー
の形で送達される。
【0115】 全身投与はまた、経粘膜または経皮手段により得る。経粘膜または経皮投与の
ために、浸透する障壁に適切な浸透剤を製剤中に使用する。かかる浸透剤は、一
般に、当分野で公知であり、例えば、経粘膜投与用に、洗浄剤、胆汁酸塩、およ
びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔スプレーまたは坐剤の使用によ
り達成できる。経皮投与用に、活性化合物は、当分野で一般に公知の軟膏、ロウ
膏、ゲル、またはクリームに製剤化する。化合物はまた、坐剤(例えば、ココア
バターおよび他のグリセリドなどの慣用的な坐剤基剤を用いる)または直腸送達
用の保持浣腸の形で調製できる。
【0116】 1つの具体例において、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル
送達系を含む、放出制御製剤などの、該化合物の生体からの急速な消失から保護
する担体と共に調製される。エチレンビニルアセテート、ポリアンヒドリド、ポ
リグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生
分解性で生物適合性のポリマーを使用できる。かかる製剤の調製法は、当業者に
は公知である。物質はまた、アルツァコーポレイションおよびノバファーマソイ
ティカルズ社から市販で得ることができる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に
対するモノクローナル抗体を有する、感染細胞に標的化されたリポソーム)も、
医薬的に許容される担体として使用できる。これらは、例えば、米国特許第4,
522,811号に記載のような、当業者には既知の方法に従って調製できる。
【0117】 投与を簡単におよび投与形を均一にするために、投与単位形で経口または非経
口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書に使用した投与単位形は
、処置する被検者に単位投与量として適した物理的に別個の単位を意味し;各単
位は、必要な医薬担体と組合せて所望の治療効果をもたらすことが計算された、
予め決定した量の活性化合物を含む。疾病の種類および重度に応じて、約1μg
/kgから約15mg/kg(例えば0.1から20mg/kg)の抗体が、例
えば、1回またはそれ以上の別々の投与による、または、連続的点滴による、患
者への候補初回投与量である。典型的な1日量は、上記の因子に応じて、約1μ
g/kgから約100mg/kgまたはそれ以上の範囲であり得る。数日間また
はそれ以上におよぶ反復投与では、容態に応じて、疾病症状の所望の抑制が生じ
るまで持続する。しかし、他の投与措置も有用であり得る。この療法の進行は、
慣用的な技術およびアッセイにより容易にモニタリングされる。例示的な投与措
置は、第WO94/04188号に開示されている。本発明の投与単位形の明細
は、活性化合物の独特の特徴、および達成すべき具体的な治療効果、および個体
の処置用の活性化合物などの配合の分野に固有の制限により指示され、直接的に
依存する。
【0118】 本発明の核酸分子は、ベクターに挿入し、遺伝子療法ベクターとして使用でき
る。遺伝子療法ベクターは、被検者に、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特
許第5,328,470号)、または定位注射(例えば、Chenら(1994
)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054〜3057
参照)により送達できる。遺伝子療法ベクターの医薬調製物は、許容される希釈
剤中に遺伝子療法ベクターを含んでも、遺伝子送達ベヒクルを包埋する遅延放出
マトリックスを含んでもよい。別に、完全な遺伝子送達ベクターを、組換え細胞
、例えばレトロウイルスベクターから無傷で産生できる場合、医薬調製物は、遺
伝子送達系を産生する1つまたはそれ以上の細胞を含むことができる。
【0119】 医薬組成物は、投与説明書と共に、容器、パック、または施薬器に含めること
ができる。
【0120】 V.本発明の使用および方法 本明細書に記載の核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、および抗体は、
以下の方法の1つまたはそれ以上に使用できる:(a)スクリーニングアッセイ
;(b)検出アッセイ(例えば、染色体マッピング、組織タイピング、法医学的
生物学);(c)予測医学(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、臨床試験の
モニタリング、および薬理ゲノミクス);および(d)処置法(例えば治療およ
び予防)。本発明の単離核酸分子は、カルパインプロテアーゼタンパク質(例え
ば遺伝子療法適用で宿主細胞において組換え発現ベクターを介して)を発現する
ために、カルパインプロテアーゼmRNA(例えば生物学的サンプル中の)また
はカルパインプロテアーゼ遺伝子中の遺伝子病変を検出するために、およびカル
パインプロテアーゼ活性を変調するために使用できる。さらに、カルパインプロ
テアーゼタンパク質は、免疫応答を変調する薬物または化合物をスクリーニング
、並びに、不十分または過剰なカルパインプロテアーゼタンパク質の産生、また
は、カルパインプロテアーゼ野生型タンパク質と比べて減少したまたは異常な活
性を有するカルパインプロテアーゼタンパク質形の産生を特徴とする疾患の処置
のために使用できる。さらに、本発明の抗カルパインプロテアーゼ抗体は、カル
パインプロテアーゼタンパク質の検出および単離およびカルパインプロテアーゼ
活性の変調に使用できる。
【0121】 本発明の使用および方法は、特に、大腸、乳房、肺、骨、卵巣、脾臓、腎臓、
心臓、神経組織、前立腺、胸腺およびT細胞を含むがこれに限定されない、カル
パインプロテアーゼの発現が生じる組織での使用および方法に適用する。従って
、方法および使用は、特に、これらの組織およびこれらの組織に関与する疾患に
適用する。
【0122】 脾臓に関与する疾患は、非特異的急性脾炎、うっ血性脾腫および脾梗塞を含む
、脾腫;新生物、先天性異常および破裂を含むがこれに限定されない。脾腫に関
連した疾患は、感染、例えば非特異的脾炎、感染性単核球症、結核、腸チフス熱
、ブルセラ症、サイトメガロウイルス症、梅毒、マラリア症、ヒストプラスマ症
、トキソプラスマ症、カラアザール症、トリパノソーマ症、住血吸虫症、リーシ
ュマニア症、およびエキノコックス症;部分的高血圧に関連したうっ血状態関連
、例えば肝硬変、門脈または脾臓静脈血栓症、および心不全;リンパ血行疾患、
例えばホジキン病、非ホジキンリンパ腫/白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖疾患
、溶血性貧血、および血小板減少性紫斑病;免疫炎症容態、例えば慢性関節リウ
マチおよび全身性エリテマトーデス;沈着症、例えばゴーシェ病、ニーマン・ピ
ック病、およびムコ多糖症;および他の容態、例えばアミロイド症、原発性真正
物および嚢胞、および続発性新生物を含む。
【0123】 肺に関与する疾患は、先天性異常;無気肺;肺うっ血、および、血行力学的肺
水腫および微小血管損傷により引き起こされた水腫を含む、肺水腫、成人呼吸困
難症候群(びまん性肺胞障害)、肺塞栓症、出血、および梗塞、および肺性高血
圧および血管硬化などの血管起源の疾病;気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、お
よび気管支拡張などの、慢性閉塞性肺疾患;じん肺、サルコイドーシス、特発性
肺線維症、剥離型間質性肺炎、過敏症肺炎、肺好酸球増加症(好酸球増加症を伴
う肺浸潤)、器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎、グッドパスチャー症候群、特
発性肺血鉄症および他の出血症候群を含むびまん性肺出血、膠原病の肺併発、お
よび肺胞タンパク質症などの、びまん性間質性(浸潤性、限定性)疾患;薬物誘
発肺疾患、放射線誘発肺疾患、および肺移植などの治療法の合併症;腫瘍随伴症
候群を含む気管支癌、細気管支肺胞上皮癌、気管支カルチノイドなどの神経内分
泌腫瘍、種々の腫瘍、および転移性腫瘍などの腫瘍;炎症性胸水、非炎症性胸水
、気胸、および、孤立線維性腫瘍(胸水)および悪性中皮種を含む胸膜腫瘍を含
む、胸膜の病態を含むがこれに限定されない。
【0124】 大腸に関与する疾患は、閉鎖症および狭窄、メッケル憩室、先天性神経節細胞
欠損巨大結腸−ヒルシュプルング病などの、先天性異常;下痢および赤痢、ウイ
ルス性胃腸炎、細菌性腸炎、壊死性腸炎、抗生物質関連腸炎(偽膜性腸炎)およ
び膠原性およびリンパ球性腸炎を含む感染性腸炎、寄生虫および原虫、後天性免
疫不全症候群、移植、薬物誘発腸損傷、放射線腸炎、好中球減少性大腸炎(盲腸
炎)、および分流性大腸炎を含む種々の腸炎症疾患などの腸炎;クローン病およ
び潰瘍性大腸炎をなどの特発性炎症性腸疾患;非腫瘍性ポリープ、腺腫、家族性
症候群、大腸直腸発癌、大腸直腸癌、およびカルチノイド腫瘍などの大腸の腫瘍
を含む。
【0125】 T細胞に関与する疾患は、細胞により媒介される過敏症、例えば遅延型過敏症
およびT細胞媒介細胞毒性、および移植拒絶;自己免疫疾患、例えば全身性エリ
テマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬化症、炎症性筋障害、混合性結合
組織病、および結節性多発性動脈炎および他の血管炎;胸腺低形成症などの原発
性免疫不全、重症複合免疫不全およびエイズを含むがこれに限定されない、免疫
不全症候群;白血球減少症;白血球増多症、急性非特異的リンパ節炎、および慢
性非特異的リンパ節炎を含むがこれに限定されない、反応性(炎症性)白血球の
増殖;リンパ新生物、例えば前駆T細胞新生物、例えば急性リンパ性白血病/リ
ンパ腫、末梢T細胞およびナチュラルキラー細胞新生物(末梢T細胞リンパ腫、
分類不可能な成人T細胞白血病/リンパ腫、菌状息肉腫およびセザリー症候群を
含む)およびホジキン病を含むがこれに限定されない、新生物による白血球の増
殖を含むがこれに限定されない。
【0126】 心臓に関与する疾患は、心肥大、左心不全、および右心不全を含むがこれに限
定されない、心不全;狭心症、心筋梗塞、慢性虚血性心疾患、および突然心臓死
を含むがこれに限定されない、虚血性心疾患;全身性(左)高血圧性心疾患およ
び肺性(右)高血圧性心疾患を含むがこれに限定されない、高血圧性心疾患;石
灰化により引き起こされる心臓弁変性、例えば石炭沈着性大動脈狭窄、先天性二
尖大動脈弁の石灰化、および僧帽弁輪石灰化、および僧帽弁の粘液腫性変性(僧
帽弁逸脱)、リウマチ熱よびリウマチ性心疾患、感染性心内膜症、および非感染
植生、例えば非細菌性血栓性心内膜炎および全身性エリテマトーデスの心内膜炎
(リブマン−サックス病)、カルチノイド心疾患、および人工弁の合併症を含む
がこれに限定されない、心臓弁膜症;拡張型心筋症、肥大型心筋症、収縮型心筋
症、および心筋炎を含むがこれに限定されない、心筋症;心嚢貯留液および心膜
血症および心膜炎(急性心膜炎および治癒型心膜炎を含む)、およびリウマチ性
心疾患を含むがこれに限定されない、心膜疾患;原発性心臓腫瘍、例えば粘液腫
、脂肪腫、乳頭状線維弾性症、横紋筋融解症、および肉腫、および非心臓新生物
の心臓効果を含むがこれに限定されない、新生物性心疾患;左右シャント後期チ
アノーゼ、例えば心房中隔欠損、心室中隔欠損、動脈管開存症、および房室中隔
欠損、右左シャント初期チアノーゼ、例えばファロー四徴症、大血管転位、動脈
幹、三尖弁閉鎖、および全肺静脈還流異常、閉塞性先天性異常、例えば大動脈狭
窄、肺動脈狭窄および閉鎖、および大動脈狭窄および閉鎖、および心臓移植に関
与する疾患を含むがこれに限定されない、先天性心不全を含むがこれに限定され
ない。
【0127】 胸腺に関与する疾患は、胸腺低形成症または形成不全を伴うディジョージ症候
群などの、発達障害;胸腺嚢胞;胸腺濾胞低形成症を引き起こす、胸腺内のリン
パ濾胞の出現に関与する、胸腺低形成症;および胚細胞腫瘍、リンパ腫、ホジキ
ン病、およびカルチノイドを含む胸腺腫を含む。胸腺腫は、良性または被包胸腺
腫、および悪性胸腺腫I型(浸潤性胸腺腫)またはII型(胸腺癌と称する)を
含み得る。
【0128】 腎臓に関与する疾患は、海綿腎、および髄質性嚢胞腎−尿毒症性髄嚢胞疾患、
後天性(透析関連)嚢胞疾患、例えば単純嚢胞を含むがこれに限定されない、嚢
胞性腎形成異常、常染色体優性(成人)多発性嚢胞腎、常染色体劣性(小児)多
発性嚢胞腎、および副腎髄質嚢胞疾患を含むがこれに限定されない、嚢胞腎を含
むがこれに限定されない、先天性異常;抗GBM腎炎、ハイマン腎炎、および埋
めこみ抗原に対する抗体、循環免疫複合体腎炎、糸球体細胞に対する抗体、糸球
体腎炎における細胞性免疫、別の補体経路の活性化、上皮細胞損傷、および、細
胞性および可溶性メディエーターを含む糸球体損傷のメディエーターの関与する
病理、急性糸球体腎炎、例えば急性増殖性(連鎖菌感染後)糸球体腎炎(連鎖菌
感染後の糸球体腎炎および非連鎖菌感染後の急性糸球体腎炎を含むがこれに限定
されない)、急速進行性(半月性)糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、膜様糸球体
腎炎(膜性腎症)、微小変化群(リポイドネフローゼ)、巣状分節性糸球体硬化
症、膜性増殖性糸球体腎炎、IgjinnshougaiA(ベルジェ病)、巣
状増殖性および壊死性糸球体腎炎(巣状糸球体腎炎)、遺伝性腎炎(アルポート
症候群および薄膜(thin membrane)病を含むがこれに限定されな
い)、慢性糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ・シューシライン紫
斑病、細菌性心内膜炎、糖尿病性糸球体硬化症、アミロイド症、線維性およびイ
ムノタクトイド(immunotactoid)糸球体腎炎、および他の全身疾
患を含むがこれに限定されない全身疾患に関連した糸球体病変;腎盂腎炎および
尿路感染、急性腎盂腎炎、慢性腎盂腎炎および逆流性腎症、および薬物および毒
素により誘導される尿細管間質腎炎(急性薬物誘導間質腎炎、鎮痛薬乱用腎症、
非ステロイド抗炎症薬に関連した腎称を含むがこれに限定されない)、および他
の尿細管間質疾患(尿酸腎症、高カルシウム血症および腎石灰化症および多発性
骨髄腫を含むがこれに限定されない)を含むがこれに限定されない、急性尿細管
壊死および尿細管間質腎炎を含む、尿細管および間質に影響を及ぼす疾患;良性
腎硬化症、悪性高血圧および加速度的な腎硬化症、腎動脈狭窄、および血栓性微
小血管障害(古典的(小児)溶血性貧血症候群、性腎溶血性貧血症候群/血栓性
血小板減少性紫斑病、特発性HUS/TTP、および他の血管疾患(アテローム
硬化型虚血腎疾患、アテローム塞栓性腎疾患、鎌状赤血球腎症、びまん性皮質壊
死、および腎梗塞を含むがこれに限定されない)を含む、血管の疾患;尿路閉塞
(閉塞性尿路疾患);尿路結石(腎結石、石);および、良性腫瘍(例えば腎乳
頭状腺腫、腎線維腫または血腫(腎髄質間質細胞腫瘍)、血管筋脂肪腫およびオ
ンコサイトーマ)および悪性腫瘍(腎盂の尿路上皮癌を含む、腎細胞癌(副腎腫
、腎臓腺癌)を含む)を含むがこれに限定されない腎臓腫瘍を含むがこれに限定
されない。
【0129】 乳房の疾患は、発達障害;周囲管(periductal)乳腺炎、周囲管乳
腺炎(再発乳輪下膿瘍、乳管の扁平異形成)、哺乳動物管拡張症、脂肪壊死、肉
芽腫性乳腺炎、およびシリコン胸部インプラントに関連した病理を含むがこれに
限定されない、炎症;線維嚢胞性変化;上皮過形成、硬化性腺症、および小管乳
頭腫を含むがこれに限定されない、増殖性乳房疾患;間質腫瘍、例えば線維腺腫
、葉状腫瘍、および肉腫、および上皮腫瘍、例えば大管乳頭腫を含むがこれに限
定されない、腫瘍;インサイツの管(ductal)腫瘍(ページェット病を含
む)およびインサイツの小葉(lobular)癌を含むインサイツ(非侵襲性
)癌、および、侵襲性管癌、特別な型ではない侵襲性小葉癌、髄癌、粘液(膠性
)癌、管状癌、および侵襲性乳頭癌、および種々の悪性新生物を含むがこれに限
定されない侵襲性(浸潤性)癌を含む乳癌を含むがこれに限定されない。
【0130】 男性乳房の疾患は、女性化乳房および癌を含むがこれに限定されない。
【0131】 前立腺に関与する疾患は、炎症、良性拡大、例えば、結節過形成(良性前立腺
肥大または過形成)、および癌などの腫瘍を含むがこれに限定されない。
【0132】 甲状腺に関与する疾患は、甲状腺機能亢進症;クレチン症および粘液水腫を含
むがこれに限定されない甲状腺機能亢進症;橋本甲状腺炎、亜急性(肉芽腫)甲
状腺炎および亜急性リンパ性(無疼痛)甲状腺炎を含むがこれに限定されない、
甲状腺炎;グレーブス病;びまん性無毒性(単純)甲状腺腫および多結節性甲状
腺腫、甲状腺の新生物(腺腫、他の良性腫瘍、および癌(乳頭癌、濾胞癌、髄癌
、および未分化癌を含むがこれに限定されない)を含むがこれに限定されない)
を含むがこれに限定されない、びまん性および多結節性甲状腺腫を含むがこれに
限定されない。
【0133】 前駆T細胞新生物に関与する疾患は、前駆Tリンパ性白血病/リンパ腫を含む
。末梢T細胞およびナチュラルキラー細胞新生物に関与する疾患は、T細胞慢性
リンパ性白血病、大顆粒リンパ性白血病、菌状息肉腫およびセザリー症候群、末
梢T細胞リンパ腫、分類されていない血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、血管中
心性リンパ腫(NK/T細胞リンパ腫4a)、腸T細胞リンパ腫、成人T細胞白血
病/リンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫を含む。
【0134】 好ましい疾患は、乳房および大腸の癌を含む。本発明の使用および方法に特に
関するさらなる疾患は、肺癌を含む。使用および方法はまた、副甲状腺に関与す
る腫瘍に適用する。
【0135】 遺伝子は、第3染色体p21〜24にマッピングされた。近くの変異/遺伝子
座は、ヒト−SCCL、小細胞肺癌;膵内分泌腫瘍サプレッサー1;CMD1E
;拡張型1E心筋症;DFNB6、難聴、神経感覚、常染色体劣性6;もやもや
病;FANCD、ファンコニー貧血、相補群D;膵臓内分泌腫瘍サプレッサー1
;マルファン様結合組織疾患;SCCL、小細胞肺癌;進行性外眼筋麻痺2型;
LRS1ラルセン症候群、常染色体優性;RCC1、腎細胞癌1;マウス−マウ
ス−Sluc3、肺癌感受性3;Otsl、卵巣奇形腫感受性1;Cor、副腎
皮質細胞におけるコルチコステロンの分布;cdf、葉の欠損した小脳(cer
ebellar deficienct folia);mnd2、運動神経変
性2;tc、切断短縮;fe、漸減(faded);Cia3、コラーゲン誘導
関節炎QTL3;Ldr2、乳酸デヒドロゲナーゼ調節因子2;Cyx、シクロ
ヘキシジンテースティング(tasting);Qui、キニン感受性、味;C
d、屈曲(crooked);Rua、ラフィノースアセテートテースティング
。近くの既知遺伝子は、BTD、SAB、KIAA0210、SATB1、SE
MA3F、RAB5A、PCAF、UBE2E1、NR1D2、RPL15、R
ARB、TOP2B、THRB、TDGF1、TGFBR2、CYNNB1、M
LH1を含むがこれに限定されない。
【0136】 RCC1は、遺伝子座に関連した多くの変異遺伝子を有する。1つのファミリ
ーにおける腎癌の素因は、遺伝性染色体転座、t(3:8)(p21:q24)
(Cohenら(1979)New Eng.J.Med.301:592〜5
95)に関連していた。ある患者において、切断点は、サブバンド3p14.2
(3p21ではない)および8q24.1に存在することがさらに実証された(
Cancer Genet.Cytogenet.11:479〜481(19
84))。3p14.2領域は、アフィジコリンにより誘導される最も感度の高
い脆弱な部位であるFRA3Bも含む。HRCA1(遺伝性腎癌関連1)と称さ
れる遺伝子は、切断点のすぐの隣接したマッピングとして同定された。染色体位
置を基に、それは候補腫瘍サプレッサー遺伝子であると考えられた(Boldo
gら、Proc.Natl.Acad.Sci.90:8509〜8513(1
993))。
【0137】 SCCL遺伝子座は、3p領域の欠失に関連していた(Whang−Peng
ら(1982)Science 215:181〜182)。欠失は、3p(1
4〜23)に特にマッピングされた。分子遺伝子アプローチを使用して、Kok
ら(Nature 330:578〜581(1987))は、SCCLだけで
なく、全ての主な型の肺癌に、3p21領域の一貫した欠失の証拠を見出した。
Johnsonら(J.Clin.Invest.82:502〜507(19
88))は、25名中23名の患者の腫瘍組織中の3p14〜p21領域に少な
くとも1つのマーカーのホモ接合型欠失を見出した。従って、3つの分子機序が
、肺癌発達に関与すると提唱されている。3pの欠失、MYCファミリー遺伝子
および増殖因子の脱調節発現および構成性3p14.2脆弱部位(Birrer
ら、Semin.Oncol.15:226〜235(1988))。
【0138】 従って、カルパインプロテアーゼが関連するさらなる疾患は、小細胞肺癌およ
び腎細胞癌を含む。
【0139】 マウスゲノムの対応する領域中の遺伝子および遺伝子座に関して、SLUC3
、QTSおよびCORが特に関連性がある。SLUC3は、マウスの肺癌感受性
に影響を及ぼす(Fijnemanら、Nat.Genet.14:465〜4
67(1996))。
【0140】 A.スクリーニングアッセイ 本発明は、カルパインプロテアーゼタンパク質に結合する、または、例えばカ
ルパインプロテアーゼ発現またはカルパインプロテアーゼ活性に対して刺激また
は阻害効果を有する、モジュレーター、すなわち候補または試験化合物または物
質(例えば、ペプチド、ペプチド模倣体、小分子、または他の薬物)を同定する
方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも称する)を提供する。
【0141】 本発明の試験化合物は、生物学的ライブラリー、空間的に指定可能な固相また
は液相ライブラリー、デコンボルーションを必要とする合成ライブラリー法、「
1ビーズ1化合物」ライブラリー法、およびアフィニティークロマトグラフィー
選択を使用した合成ライブラリー法を含む、当分野で既知のコンビナトリアルラ
イブラリーの多くのいずれかのアプローチを使用して得ることができる。生物学
的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つ
のアプローチは、ペプチド、非ペプチド、オリゴマー、または小分子ライブラリ
ー化合物に適用できる(Lam(1997)Anticancer Drug
Des.12:145)。
【0142】 分子ライブラリーの合成法の例は、当分野で、例えば、DeWittら(19
93)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Er
bら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11
422;Zuckermannら(1994)J.Med.Chem.37:2
678;Choら(1993)Science 261:1303;Carre
lら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:20
59;Carrelら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.En
gl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Che
m.37:1233に見出すことができる。
【0143】 化合物ライブラリーは、溶液中(例えばHoughten(1992)Bio
/Techniques 13:412〜421)、またはビーズ(Lam(1
991)Nature 354:82〜84)、チップ(Fodor(1993
)Nature 364:555〜556)、細菌(米国特許第5,223,4
09号)、胞子(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;
および第5,223,409号)、プラスミド(Cullら(1992)Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869)、また
はファージ(ScottおよびSmith(1990)Science 249
:386〜390;Devlin(1990)Science 249:404
〜406;Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 87:6378〜6382;およびFelici(1991)J.M
ol.Biol.222:301〜310)上で提示し得る。
【0144】 試験化合物のカルパインプロテアーゼタンパク質への結合能の決定は、例えば
、試験化合物を、放射性同位体または酵素標識にカップリングさせ、これにより
、試験化合物のカルパインプロテアーゼタンパク質またはその生物学的に活性な
部分への結合を、複合体中の標識化合物の検出により決定できる。例えば、試験
化合物は、125I、35S、14Cまたは3Hで直接的または間接的に標識でき、放射
性同位体を、放射線放出の直接的計測により、またはシンチレーション計測によ
り検出できる。別に、試験化合物を、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ
、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識でき、酵素標
識を、適切な基質の産物への変換の決定により検出できる。
【0145】 類似の方法で、カルパインプロテアーゼタンパク質の、カルパインプロテアー
ゼ標的分子への結合能またはそれとの相互作用能を決定し得る。「標的分子」に
より、カルパインプロテアーゼタンパク質が自然に結合または相互作用する分子
を意味する。好ましい具体例において、カルパインプロテアーゼタンパク質のカ
ルパインプロテアーゼ標的分子への結合能またはそれとの相互作用能は、標的分
子の活性のモニタリングにより決定できる。例えば、標的分子の活性は、標的の
細胞セカンドメッセンジャー(例えば細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、I
P3等)の誘導の検出、適切な基質上での標的の触媒/酵素活性の検出、レポー
ター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼなどの検出マーカーをコードする核酸に作
動可能に連結したカルパインプロテアーゼ応答性調節エレメント)の誘導の検出
、または細胞応答、例えば細胞分化または細胞増殖の検出によりモニタリングで
きる。
【0146】 さらに別の具体例において、本発明のアッセイは、カルパインプロテアーゼタ
ンパク質またはその生物学的に活性な部分を、試験化合物と接触させ、試験化合
物のカルパインプロテアーゼタンパク質またはその生物学的に活性な部分への結
合能を決定することを含む、細胞非含有アッセイである。試験化合物のカルパイ
ンプロテアーゼタンパク質への結合は、上記のように直接または間接的に決定で
きる。好ましい具体例において、アッセイは、カルパインプロテアーゼタンパク
質またはその生物学的に活性な部分を、カルパインプロテアーゼタンパク質に結
合する既知の化合物と接触させ、アッセイ混合物を形成し、アッセイ混合物を、
試験化合物と接触させ、そして試験化合物が、既知の化合物と比べて、カルパイ
ンプロテアーゼタンパク質またはその生物学的に活性な部分に優先的に結合する
能力を決定することを含む。
【0147】 別の具体例において、アッセイは、カルパインプロテアーゼタンパク質または
その生物学的に活性な部分を、試験化合物と接触させ、試験化合物が、カルパイ
ンプロテアーゼタンパク質またはその生物学的に活性な部分を変調(例えば刺激
または阻害)する能力を決定することを含む、細胞非含有アッセイである。試験
化合物がカルパインプロテアーゼタンパク質活性を変調する能力の決定は、例え
ば、カルパインプロテアーゼタンパク質が、直接的結合の決定について上記した
ようなカルパインプロテアーゼ標的分子に結合する能力を決定することにより達
成できる。別の具体例において、試験化合物が、カルパインプロテアーゼタンパ
ク質の活性を変調する能力の決定は、カルパインプロテアーゼタンパク質が、カ
ルパインプロテアーゼ標的分子をさらに変調する能力を決定することにより達成
できる。例えば、適切な基質上の標的分子の触媒/酵素活性は、以前に記載のよ
うに決定できる。
【0148】 さらに別の具体例において、細胞非含有アッセイは、カルパインプロテアーゼ
タンパク質またはその生物学的に活性な部分を、カルパインプロテアーゼタンパ
ク質に結合する既知化合物と接触させて、アッセイ混合物を形成し、アッセイ混
合物を試験化合物と接触させ、そして試験化合物が、カルパインプロテアーゼ標
的分子に優先的に結合またはその活性を変調する能力を決定することを含む。
【0149】 上記のアッセイにおいて、一方または両方のタンパク質の非複合体形からの複
合体の分離を容易にし、並びに、アッセイの自動化を実行するために、カルパイ
ンプロテアーゼタンパク質またはその標的分子を固定することが望ましくあり得
る。1つの具体例において、一方または両方のタンパク質をマトリックスに結合
させることのできるドメインを加えた融合タンパク質を提供できる。例えば、グ
ルタチオン−S−トランスフェラーゼ/カルパインプロテアーゼ融合タンパク質
またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質を、グルタ
チオンセファロースビーズ(MO州セントルイス所在シグマケミカル社)または
グルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着でき、これを次いで試験
化合物または試験化合物および非吸着標的タンパク質またはカルパインプロテア
ーゼタンパク質と合わせ、混合物を、複合体形成を実施する条件下(例えば塩お
よびpHに関する生理的条件)でインキュベートする。インキュベート後、ビー
ズまたはマイクロタイタープレートを洗浄して、全ての非結合成分を除去し、複
合体形成を、例えば、上記したように、直接または間接的に測定する。別法とし
て、複合体を、マトリックスから解離し、カルパインプロテアーゼ結合または活
性レベルを、標準的な技術を使用して決定できる。
【0150】 タンパク質をマトリックスに固定する他の技術も、本発明のスクリーニングア
ッセイに使用できる。例えば、カルパインプロテアーゼタンパク質またはその標
的分子を、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲートを使用して固定
できる。ビオチニル化カルパインプロテアーゼ分子または標的分子は、ビオチン
−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から、当分野で公知の技術(例え
ば、IL州ロックフォード所在ピアスケミカルズのビオチニル化キット)を使用
して調製でき、ストレプトアビジン覆膜96ウェルプレート(ピアスケミカルズ
)のウェルに固定できる。別法として、カルパインプロテアーゼタンパク質また
はその標的分子と反応性であるが、カルパインプロテアーゼタンパク質またはそ
の標的分子の結合は妨害しない抗体を、プレートのウェルに誘導体化でき、非結
合標的またはカルパインプロテアーゼタンパク質を、抗体コンジュゲートにより
ウェルに捕獲する。GST−固定複合体について上記したものに加えて、前記複
合体の検出法は、カルパインプロテアーゼタンパク質または標的分子と反応性の
抗体を使用した複合体の免疫検出、並びに、カルパインプロテアーゼタンパク質
または標的分子に関連した酵素活性の検出に依拠した酵素結合アッセイを含む。
【0151】 別の具体例において、細胞を、候補化合物と接触させ、細胞中のカルパインプ
ロテアーゼmRNAまたはタンパク質の発現を、候補化合物の非存在下の細胞中
のカルパインプロテアーゼmRNAまたはタンパク質の発現と比べて決定する方
法において、カルパインプロテアーゼ発現のモジュレーターを同定する。発現が
、候補化合物の非存在下よりも存在下の方が高い(統計学的に有意に高い)場合
、候補化合物は、カルパインプロテアーゼmRNAまたはタンパク質発現の刺激
物質と同定される。別に、発現が、その非存在下よりも存在下の方が低い(統計
学的に有意に低い)場合、候補化合物は、カルパインプロテアーゼmRNAまた
はタンパク質発現の阻害剤と同定される。細胞中のカルパインプロテアーゼmR
NAまたはタンパク質発現のレベルは、カルパインプロテアーゼmRNAまたは
タンパク質の検出について本明細書で上記した方法により決定できる。
【0152】 本発明のさらに別の態様において、カルパインプロテアーゼタンパク質は、「
バイトタンパク質」として、二重ハイブリッドアッセイまたは三重ハイブリッド
アッセイで使用して(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos
ら(1993)Cell 72:223〜232;Maduraら(1993)
J.Biol.Chem.268:12046〜12054;Bartelら(
1993)Bio/techniques 14:920〜924;Iwabu
chiら(1993)Oncogene 8:1693〜1696;およびPC
T公開公報第WO94/10300号)、カルパインプロテアーゼタンパク質に
結合またはそれと相互作用し、カルパインプロテアーゼ活性を変調する、他のタ
ンパク質(「カルパインプロテアーゼタンパク質結合タンパク質」すなわち「カ
ルパインプロテアーゼ−bp」)を同定できる。前記カルパインプロテアーゼ結
合タンパク質はまた、例えば、カルパインプロテアーゼ経路の上流または下流エ
レメントとして、カルパインプロテアーゼタンパク質によるシグナルの増殖に関
与するようである。
【0153】 本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイにより同定される新規物質、
および、本明細書に記載のような処置におけるその使用に関する。
【0154】 B.検出アッセイ 本明細書で同定したcDNA配列(および対応する完全遺伝子配列)の部分ま
たは断片を、ポリヌクレオチド試薬として多くの方法で使用できる。例えば、こ
れらの配列は、(1)染色体上のそのそれぞれの遺伝子のマッピング;(2)ネ
ズミ生物学的サンプルから個体の同定(組織タイピング)および(3)生物学的
サンプルの法医学的同定の補助に使用できる。これらの適用は、以下の小段落に
記載する。
【0155】 1.染色体マッピング 本発明の単離完全または部分カルパインプロテアーゼ遺伝子配列を使用して、
染色体上のそのそれぞれのカルパインプロテアーゼ遺伝子をマッピングし、よっ
て、遺伝子疾患に関連した遺伝子領域の位置を容易にすることができる。カルパ
インプロテアーゼ配列のコンピューター解析を使用して、ゲノムDNA中で1つ
より多いエクソンにおよばない、PCRプライマー(好ましくは15〜25bp
長)を迅速に選択でき、よって増幅プロセスを簡素化できる。次いで、これらの
プライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRによるスク
リーニングに使用できる。カルパインプロテアーゼ配列に対応するヒト遺伝子を
含むハイブリッドのみが、増幅断片を生成する。
【0156】 体細胞ハイブリッドは、異なる哺乳動物(例えばヒトおよびマウス細胞)から
の体細胞を融合することにより調製する。ヒトおよびマウス細胞のハイブリッド
が増殖および分裂すると、次第に無作為な順序でヒト染色体を欠失するが、マウ
ス染色体は保持する。マウス細胞は増殖しない(特定の酵素が欠失しているため
)がヒト細胞は増殖できる培地を使用することにより、必要な酵素をコードする
遺伝子を含む1つのヒト染色体が保持される。様々な培地を使用することにより
、ハイブリッド細胞系のパネルを確立できる。パネル中の各細胞系は、1つのヒ
ト染色体または少数のヒト染色体、および完全なセットのマウス染色体を含み、
特定のヒト染色体に対して個々の遺伝子を容易にマッピングできる(D’Eus
tachioら(1983)Science 220:919〜924)。ヒト
染色体の断片のみを含む体細胞ハイブリッドも、転座および欠失を有するヒト染
色体を使用することにより産生できる。
【0157】 カルパインプロテアーゼ配列をその染色体にマッピングするために同じように
使用できる他のマッピング戦略は、インサイツハイブリダイゼーション(Fan
ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:622
3〜27)、標識フロー選別染色体によるプレスクリーニング、および染色体特
異的cDNAライブラリーへのハイブリダイゼーションによるプレ選択を含む。
さらに、DNA配列の中期染色体伸展への蛍光インサイツハイブリダイゼーショ
ン(FISH)を使用して、1段階で正確な染色体位置を提供できる。この技術
の総説については、Vermaら(1988)Human Chromosom
es:基本的技術マニュアル(NYのPergamon Press)参照。F
ISH技術を、500塩基または600塩基という短いDNA配列と共に使用で
きる。しかし、1,000塩基より大きいクローンが、簡単に検出するに十分な
シグナル強度をもって、独特な染色体位置に結合する可能性が高い。好ましくは
1,000塩基、より好ましくは2,000塩基が、妥当な時間で良好な結果を
得るのに十分である。
【0158】 染色体マッピングの試薬は、個々に使用して、1つの染色体またはその染色体
上の1つの部位に印を付すことができるか、または、試薬パネルを、複数の部位
および/または複数の染色体の印に使用できる。遺伝子の非コード領域に対応す
る試薬が、実際に、マッピング目的に好ましい。コード配列は、遺伝子ファミリ
ー内で保存される可能性がより高く、従って、染色体マッピング中に交差ハイブ
リダイゼーションする確率は増加する。
【0159】 一旦配列が、正確な染色体位置にマッピングされると、染色体上の配列の物理
的位置を、遺伝子マップデータと相関できる(前記データは、例えば、ジョンホ
プキンズ大学ウェルチ医学ライブラリーからオンラインで入手できるV.McK
usickの人間のメンデル遺伝に見出される)。次いで、同じ染色体領域にマ
ッピングされた、遺伝子と疾患の間の関係は、例えばEgelandら(198
7)Nature 325:783〜787に記載の、連鎖解析(物理的に隣接
した遺伝子の共遺伝)により同定できる。
【0160】 さらに、カルパインプロテアーゼ遺伝子に関連した疾患に罹患および罹患して
いない個体間のDNA配列の差異を決定できる。変異が、罹患個体の数人または
全員に観察されるが、罹患していない個体には観察されない場合、変異は、特定
の疾患の原因因子のようである。罹患および罹患していない個体の比較は、一般
に、最初に、染色体伸展から可視であるか、または、DNA配列に基づいたPC
Rを使用して検出可能である、欠失または転座などの、染色体中の構造的変化を
探すことを含む。最終的に、数個の個体からの遺伝子の完全なシークエンスを実
施して、変異の存在を確認し、多形からの変異を識別できる。
【0161】 2.組織タイピング 本発明のカルパインプロテアーゼ配列はまた、僅かな生物学的サンプルから個
体を同定するのに使用できる。米軍は、例えば、その個人の同定のために、制限
断片長多型(RFLP)の使用を考えている。この技術では、個体のゲノムDN
Aを、1つ以上の制限酵素で消化し、サザンブロット上でプローブし、識別用の
独特なバンドを生成する。本発明の配列は、RFLPのさらなるDNAマーカー
として有用である(米国特許第5,272,057号に記載)。
【0162】 さらに、本発明の配列は、個体ゲノムの選択部分の実際の塩基ごとのDNA配
列の決定のための代替技術を提供するために使用できる。従って、本発明のカル
パインプロテアーゼ配列を使用して、配列の5N末端および3N末端から2つの
PCRプライマーを調製できる。次いで、これらのプライマーを使用して、個体
のDNAを増幅し、次いでそれをシークエンスできる。
【0163】 各個体は、対立遺伝子差異に因る独特なセットのDNA配列を有するので、こ
のように調製した、個体からの対応するDNA配列のパネルは、独特な個々の同
定を提供できる。本発明のカルパインプロテアーゼ配列は、独特に、ヒトゲノム
の一部を示す。対立遺伝子変異は、ある程度、これらの配列のコード領域で生じ
、かなり高い頻度で非コード領域に生じる。個体ヒト間の対立遺伝子変異は、各
500塩基ごとに約1回の頻度で生じると推定される。本明細書に記載の各配列
は、ある程度、個体由来のDNAを同定のために比較できる、標準として使用で
きる。配列番号1の非コード配列は、快適に、100塩基の非コード増幅配列を
各々生じる、おそらく10から1,000個のプライマーのパネルを用いて、正
の個体同定を提供できる。配列番号1のような推定コード配列を使用する場合、
正の個体同定用のプライマーのより適切な数は、500から2,000であろう
【0164】 3.法医学的生物学における部分的カルパインプロテアーゼ配列の使用 DNAをベースとした同定技術も、法医学的生物学に使用できる。このように
、PCR技術を使用して、事件現場で見られる、例えば毛または皮膚などの組織
、または例えば血液、唾液または精液などの体液などの、非常に少量の生物学的
サンプルから採取したDNA配列を増幅できる。次いで、増幅配列を標準と比較
し、これにより生物学的サンプルの起源を同定できる。
【0165】 本発明の配列を使用して、例えば、特定の個体に独特である、別の「同定マー
カー」を提供することにより、DNAをベースとした法医学的同定の確実性を向
上し得る、ヒトゲノムの特定の遺伝子座に標的化した、ポリヌクレオチド試薬、
例えばPCRプライマーを提供できる。上記したように、実際の塩基配列情報を
、制限酵素生成断片により形成されたパターンに対する的確な代替物として、同
定に使用できる。配列番号1の非コード領域に標的化した配列は、非常に多くの
多形が非コード領域に存在するため、この使用に特に適切であり、この技術を使
用した個体の識別がより容易になる。ポリヌクレオチド試薬の例は、カルパイン
プロテアーゼ配列またはその一部、例えば少なくとも20または30塩基長を有
する配列番号1の非コード領域から得られる断片を含む。
【0166】 本明細書に記載のカルパインプロテアーゼ配列をさらに使用して、例えばイン
サイツハイブリダイゼーション技術に使用できる、ポリヌクレオチド試薬、例え
ば標識または標識可能なプローブを提供して、特定の組織を同定できる。これは
、法医学的病理学者に、起源の不明な組織が提示された場合に、非常に有用であ
り得る。前記カルパインプロテアーゼプローブのパネルを使用して、種による、
および/または器官の種類による組織の同定が可能である。
【0167】 同じように、これらの試薬、例えばカルパインプロテアーゼプライマーまたは
プローブを使用して、汚染について組織培養物をスクリーニングできる(すなわ
ち、培養液中の異なる種類の細胞の混合物の存在についてスクリーニングする)
【0168】 C.予測医学 本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノミクス、および臨床試
験のモニタリングを、予後(予測)のために使用して、これにより個体を予防処
置する、予測医学の分野に関する。これらの適用は、以下の小段落に記載する。
【0169】 1.診断アッセイ 本発明の1つの態様は、生物学的サンプルに関して、カルパインプロテアーゼ
タンパク質および/または核酸発現、並びに、カルパインプロテアーゼ活性の検
出のための診断アッセイに関する。生物学的サンプル中のカルパインプロテアー
ゼタンパク質の存在または非存在を検出する例示的方法は、生物学的サンプルを
、試験被検者から得、生物学的サンプルを、カルパインプロテアーゼタンパク質
またはカルパインプロテアーゼタンパク質をコードする核酸(例えばmRNA、
ゲノムDNA)を検出できる化合物または物質と接触させ、よって、カルパイン
プロテアーゼタンパク質の存在を、生物学的サンプル中で検出することを含む。
試験被検者由来の生物学的サンプルを用いて得られた結果を、対照被検者由来の
生物学的サンプルを用いて得られた結果と比較し得る。
【0170】 カルパインプロテアーゼmRNAまたはゲノムDNAを検出するに好ましい物
質は、カルパインプロテアーゼmRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズで
きる、標識核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、全長カルパインプロ
テアーゼ核酸、例えば配列番号1の核酸、またはその一部、例えば、少なくとも
15、30、50、100、250、または500ヌクレオチド長であり得、ス
トリンジェントな条件下でカルパインプロテアーゼmRNAまたはゲノムDNA
に特異的にハイブリダイズするに十分であり得る。本発明の診断アッセイに使用
する他の適切なプローブは本明細書に記載する。
【0171】 カルパインプロテアーゼタンパク質の検出に好ましい物質は、カルパインプロ
テアーゼタンパク質に結合できる抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗体
である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであり
得る。無傷抗体、またはその断片(例えばFabまたはF(abN)2)を使用
できる。プローブまたは抗体に関する「標識」なる語は、プローブまたは抗体に
検出可能な物質をカップリング(すなわち物理的に連結)することにより、プロ
ーブまたは抗体を直接標識すること、並びに、直接標識した別の試薬との反応性
によりプローブまたは抗体を間接的に標識することを包含するものとする。間接
的標識の例は、蛍光標識二次抗体およびビオチンによるDNAプローブの末端標
識を使用した、一次抗体の検出を含み、よって蛍光標識ストレプトアビジンで検
出できる。
【0172】 「生物学的サンプル」なる語は、被検者から単離した組織、細胞、および生物
学的液体、並びに、被検者内に存在する組織、細胞、および液体を含むものとす
る。すなわち、本発明の検出法を使用して、インビトロ並びにインビボで、生物
学的サンプル中のカルパインプロテアーゼmRNA、タンパク質またはゲノムD
NAを検出できる。例えば、カルパインプロテアーゼmRNAの検出のインビト
ロ技術は、ノザンハイブリダイゼーションおよびインサイツハイブリダイゼーシ
ョンを含む。カルパインプロテアーゼタンパク質の検出のインビトロ技術は、酵
素結合イムノソルベントアッセイ(エライザ)、ウェスタンブロット、免疫沈降
法、および免疫蛍光法を含む。カルパインプロテアーゼゲノムDNAの検出のイ
ンビトロ技術は、サザンハイブリダイゼーションを含む。さらに、カルパインプ
ロテアーゼタンパク質の検出のインビボ技術は、被検者に、標識抗カルパインプ
ロテアーゼ抗体を導入することを含む。例えば、抗体を、被検者におけるその存
在および位置が、標準的なイメージング技術により検出できる、放射性マーカー
で標識できる。
【0173】 1つの具体例において、生物学的サンプルは、試験被検者由来のタンパク質分
子を含む。別に、生物学的サンプルは、試験被検者由来のmRNA分子または試
験被検者由来のゲノムDNA分子を含み得る。好ましい生物学的サンプルは、被
検者から慣用的な手段により単離した末梢血白血球サンプルである。
【0174】 本発明はまた、生物学的サンプル(試験サンプル)中のカルパインプロテアー
ゼタンパク質の存在を検出するキットを包含する。前記キットを使用して、被検
者が、カルパインプロテアーゼタンパク質の異常発現に関連した疾患(例えば免
疫疾患)に罹患しているか、またはそれを発達する危険性が増加しているかどう
かを決定できる。例えば、キットは、生物学的サンプル中のカルパインプロテア
ーゼタンパク質またはmRNAを検出できる標識化合物または物質、および、サ
ンプル中のカルパインプロテアーゼタンパク質の量を決定する手段を含むことが
できる(例えば、抗カルパインプロテアーゼ抗体、または、カルパインプロテア
ーゼタンパク質、例えば配列番号1をコードするDNAに結合するオリゴヌクレ
オチドプローブ)。キットはまた、カルパインプロテアーゼタンパク質またはm
RNAの量が正常レベルより上または下である場合に、試験した被検者が、カル
パインプロテアーゼ配列の異常発現に関連した疾患を罹患している、またはそれ
を発達する危険性があるかを観察するための説明書を含むことができる。
【0175】 抗体をベースとしたキットでは、キットは、例えば、(1)カルパインプロテ
アーゼタンパク質に結合する一次抗体(例えば固相支持体に付着);および、所
望により(2)カルパインプロテアーゼタンパク質または一次抗体に結合する、
異なる二次抗体を含むことができ、検出可能な物質にコンジュゲートしている。
オリゴヌクレオチドをベースとしたキットでは、キットは、例えば、(1)カル
パインプロテアーゼ核酸分子にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド、例え
ば、検出可能なように標識されたオリゴヌクレオチド、または、(2)カルパイ
ンプロテアーゼ核酸分子を増幅するのに有用なプライマー対を含むことができる
【0176】 キットはまた、例えば、緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化剤を含むこ
とができる。キットはまた、検出可能な物質(例えば酵素または基質)の検出に
必要な成分を含むことができる。キットはまた、アッセイ可能で、含まれる試験
サンプルと比較できる、対照サンプルまたは一連の対照サンプルを含むことがで
きる。キットの各成分は、通常、個々の容器に封入され、全ての様々な容器は、
試験被検者が、カルパインプロテアーゼタンパク質の異常発現に関連した疾患に
罹患しているか、またはその発達の危険性があるかどうかを観察するための説明
書と共に、1つのパッケージ内にある。
【0177】 2.予後アッセイ 本明細書に記載の方法はさらに、診断または予後アッセイとして使用して、カ
ルパインプロテアーゼタンパク質、カルパインプロテアーゼ核酸発現、またはカ
ルパインプロテアーゼ活性に関連した疾病または疾患に罹患している、またはそ
の発達の危険性のある、被検者を同定できる。予後アッセイを、予後または予測
のために使用し、これにより、カルパインプロテアーゼタンパク質、カルパイン
プロテアーゼ核酸発現、またはカルパインプロテアーゼ活性を特徴とする、また
はそれに関連した疾患の発症の前に、個体を予防処置できる。
【0178】 従って、本発明は、試験サンプルを被検者から得、カルパインプロテアーゼタ
ンパク質または核酸(例えばmRNA、ゲノムRNA)を検出する方法を提供し
、ここでのカルパインプロテアーゼタンパク質または核酸の存在は、異常カルパ
インプロテアーゼ発現または活性に関連した疾病または疾患に罹患している、ま
たはその発達の危険性のある被検者の診断となる。本明細書に使用したような「
試験サンプル」は、目的の被検者から得られた生物学的サンプルを意味する。例
えば、試験サンプルは、生物学的液体(例えば血清)、細胞サンプル、または組
織であり得る。
【0179】 さらに、本明細書に記載の予後アッセイを使用して、本発明は、異常カルパイ
ンプロテアーゼ発現または活性に関連した疾病または疾患を効果的に処置するた
めに、特異的物質(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣体、タン
パク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬物候補)または物質群(例えば
、カルパインプロテアーゼ活性を減少する種類の物質)を投与できるかどうかを
決定する方法を提供する。このように、試験サンプルを得、カルパインプロテア
ーゼタンパク質または核酸を検出する。カルパインプロテアーゼタンパク質また
は核酸の存在は、異常カルパインプロテアーゼ発現または活性に関連した疾患を
処置するために物質を投与できる被検者の診断となる。
【0180】 また本発明の方法を使用して、カルパインプロテアーゼ遺伝子中の遺伝子病変
または変異を検出し、よって、病変遺伝子を有する被検者が、異常細胞増殖およ
び/または分化を特徴とする疾患の危険性があるかどうかを決定できる。好まし
い具体例において、この方法は、被検者由来の細胞のサンプル中で、カルパイン
プロテアーゼタンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも
1つの変化またはカルパインプロテアーゼ遺伝子の誤発現を特徴とする、遺伝子
病変または変異の存在または非存在を検出することを含む。例えば、前記遺伝子
病変または変異は、(1)カルパインプロテアーゼ遺伝子からの1つ以上のヌク
レオチドの欠失;(2)カルパインプロテアーゼ遺伝子への1つ以上のヌクレオ
チドの付加;(3)カルパインプロテアーゼ遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの
置換;(4)カルパインプロテアーゼ遺伝子の染色体再編成;(5)カルパイン
プロテアーゼ遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルの変化;(6)ゲノ
ムDNAのメチル化パターンなどの、カルパインプロテアーゼ遺伝子の異常修飾
;(7)カルパインプロテアーゼ遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生
型スプライシングパターンの存在;(8)カルパインプロテアーゼタンパク質の
非野生型レベル;(9)カルパインプロテアーゼ遺伝子の対立遺伝子欠失;およ
び(10)カルパインプロテアーゼタンパク質の不適切な翻訳後修飾の中の少な
くとも1つの存在を確認することにより検出できる。本明細書に記載したように
、カルパインプロテアーゼ遺伝子の病変を検出できる、当分野で既知の多くのア
ッセイ技術がある。カルパインプロテアーゼタンパク質が発現している、任意の
細胞型または組織、好ましくは末梢血白血球を、本明細書に記載の予後アッセイ
に使用し得る。
【0181】 特定の具体例において、病変の検出は、PCRまたはRACE PCRなどの
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許第4,683,195号および第4
,683,202号参照)における、または別に、ライゲーション連鎖反応(L
CR)(例えば、Landegranら(1988)Science 241:
1077〜1080;およびNakazawaら(1994)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 91:360〜364参照)におけるプローブ
/プライマーの使用を含み、その後者は、カルパインプロテアーゼ遺伝子におけ
る点変異の検出に特に有用であり得る(例えば、Abravayaら(1995
)Nucleic Acids Res 23:675〜682参照)。PCR
および/またはLCRは、本明細書に記載の変異の検出に使用される任意の技術
と共に、前増幅段階として使用することが望ましくあり得る。
【0182】 別の増幅法は、自己保持配列複製(Guatelliら(1990)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874〜1878)、転写増
幅系(Kwohら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:1173〜1177)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardiら(
1988)Bio/Technology 6:1197)、または任意の他の
核酸増幅法、その後の、当業者に公知の技術を使用した増幅分子の検出を含む。
これらの検出スキームは、前記分子が非常に少数で存在する場合、核酸分子の検
出に特に有用である。
【0183】 別の具体例において、サンプル細胞由来のカルパインプロテアーゼ遺伝子の変
異は、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化した、単離試験サンプルおよび
対照DNAの制限酵素切断パターンの変化により、同定できる。さらに、配列特
異的リボザイム(例えば米国特許第5,498,531号参照)を使用して、リ
ボザイム切断部位の発生または欠損による特異的変異の存在をスコアリングでき
る。
【0184】 他の具体例において、カルパインプロテアーゼ分子中の遺伝子変異は、サンプ
ルおよび対照核酸、例えばDNAまたはRNAを、数百個または数千個のオリゴ
ヌクレオチドプローブを含む、高密度のアレイにハイブリダイズすることにより
同定できる(Croninら(1996)Human Mutation 7:
244〜255;Kozalら(1996)Nature Medicine
2:753〜759)。さらに別の具体例において、当分野で既知の様々なシー
クエンス反応のいずれかを使用して、カルパインプロテアーゼ遺伝子を直接シー
クエンスし、対応する野生型(対照)配列を有するサンプルカルパインプロテア
ーゼ遺伝子の配列を比較することにより変異を検出できる。シークエンス反応の
例は、MaximおよびGilbert((1977)Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 74:560)またはSanger((1977)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463)により開発さ
れた技術に基づいたものを含む。また、診断アッセイ((1995)Bio/T
echniques 19:448)を実施する場合、質量分析(例えばPCT
公開公報第WO94/16101号;Cohenら(1996)Adv.Chr
omatogr.36:127〜162;およびGriffinら(1993)
Appl.Biochem.Biotechnol.38:147〜159)に
よるシークエンスを含む、様々な自動シークエンス手順のいずれかを使用できる
と考えられる。
【0185】 カルパインプロテアーゼ遺伝子中の変異を検出する他の方法は、切断物質から
の保護を使用して、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖における
ミスマッチ塩基を検出する方法を含む(Myersら(1985)Scienc
e 230:1242)。また、Cottonら(1988)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 85:4397;Saleebaら(1992
)Methods Enzymol 217:286〜295参照。好ましい具
体例において、対照DNAまたは対照RNAを検出のために標識できる。
【0186】 さらに別の具体例において、ミスマッチ切断反応は、細胞サンプルから得られ
たカルパインプロテアーゼcDNAの点変異を検出およびマッピングするために
、規定の系で二本鎖DNAのミスマッチ塩基対を認識する、1つ以上の「DNA
ミスマッチ修復」酵素を使用する。例えば、Hsuら(1994)Carcin
ogenesis 15:1657〜1662参照。例示的具体例により、カル
パインプロテアーゼ配列、例えば野生型カルパインプロテアーゼ配列に基づいた
プローブを、試験細胞(群)由来のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダ
イズする。二重鎖を、DNAミスマッチ修復酵素で処理し、存在する場合には切
断産物を、電気泳動プロトコルまたは類似法から検出できる。例えば米国特許第
5,459,039号参照。
【0187】 他の具体例において、電気泳動移動度の変化を使用して、カルパインプロテア
ーゼ遺伝子の変異を同定する。例えば、一本鎖コンフォメーション多形(SSC
P)を使用して、変異および野生型核酸の間の電気泳動移動度の差異を検出し得
る(Oritaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:2766;またCotton(1993)Mutat.Res.285
:125〜144;Hayashi(1992)Genet.Anal.Tec
h.Appl.9:73〜79参照)。アッセイの感度は、配列の変化により感
度が高いRNA(DNAではなく)を使用することにより増強し得る。好ましい
具体例において、対象の方法は、ヘテロ二重鎖解析を使用して、電気泳動度の変
化に基づいて二本鎖へテロ二重鎖分子を分離する(Keenら(1991)Tr
ends Genet 7:5)。
【0188】 さらに別の具体例において、勾配のある変性剤を含むポリアクリルアミドゲル
中での変異または野生型断片の移動を、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使
用してアッセイする(Myersら(1985)Natures 313:49
5)。DGGEを解析法として使用する場合、DNAを、例えば、PCRにより
約40bpの高溶融GCリッチDNAのGCクランプの添加により、完全に変性
しないように修飾する。さらなる具体例において、温度勾配を、変性勾配の代わ
りに使用して、対照およびサンプルDNAの移動度の差異を同定する(Rose
nbaumおよびReissner(1987)Biophys.Chem.2
65:12753)。
【0189】 点変異を検出する他の技術の例は、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼ
ーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長を含むがこれに限定されな
い。例えば、既知の変異が中心に配置されているオリゴヌクレオチドプライマー
を調製し得、次いで、完全なマッチが見出される場合のみ、ハイブリダイゼーシ
ョンの可能な条件下で、標的DNAにハイブリダイズし得る(Saikiら(1
986)Nature 324:163);Saikiら(1989)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230)。対立遺伝子特異的
オリゴヌクレオチドがハイブリダイズ膜に付着し、標的DNAによって、ハイブ
リダイズすると、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、PCR増幅標的DN
Aまたは多くの異なる変異に、ハイブリダイズする。
【0190】 別に、対立遺伝子特異的増幅技術(これは、選択的PCR増幅に依存する)を
、本発明と組合せて使用し得る。特異的増幅のプライマーとして使用するオリゴ
ヌクレオチドは、分子の中心に目的の変異を有し、よって、増幅は、差次的ハイ
ブリダイゼーション(Gibbsら(1989)Nucleic Acids
Res 17:2437〜2448)、または、1つのプライマーの3N最末端
(ここで、適切な条件下、ミスマッチは、ポリメラーゼ伸長を防止または減少で
きる)(Prossner(1993)Tibtech 11:238)に依存
する。さらに、変異領域に新規制限部位を導入して、切断をベースとした検出を
創製することが望ましくあり得る(Gaspariniら(1992)Mol.
Cell.Probes 6:1)。ある具体例において、増幅は、増幅用のT
aqリガーゼを使用して実施し得ると期待される(Barany(19919)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189)。このような
場合、ライゲーションは、5N配列の3N末端で完全にマッチし、よって、増幅
の存在または非存在を探索することにより、特異的部位の既知の変異の存在を検
出できるようになる。
【0191】 本明細書に記載の方法は、例えば、カルパインプロテアーゼ遺伝子に関連した
疾病または病気の症状または家族歴を示す診断患者への臨床状況で慣用的に使用
され、本明細書に記載の少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含む、
パッケージングされた診断キットを使用することにより実施し得る。
【0192】 3.薬理ゲノミクス 本明細書に記載のスクリーニングアッセイにより同定したような、カルパイン
プロテアーゼ活性(例えばカルパインプロテアーゼ遺伝子発現)に対する刺激ま
たは阻害効果を有する、物質すなわちモジュレーターを、個体に投与して、異常
カルパインプロテアーゼ活性に関連した疾患を処置(予防または治療)、並びに
、免疫応答の表現型を変調できる。かかる処置と組合せて、個体の薬理ゲノミク
ス(すなわち、個体の遺伝子型と、外来化合物または薬物に対する個体の応答の
間の関係の研究)を考慮し得る。治療薬の代謝の差異により、薬理活性薬物の投
与量と血中濃度の関係を変化させることにより、重度の毒性または治療失敗に至
り得る。従って、個体の薬理ゲノミクスにより、個体の遺伝子型の考慮に基づい
た、予防または治療処置に効果的な物質(例えば薬物)の選択が可能となる。か
かる薬理ゲノミクスは、さらに、適切な投与量および治療措置の決定に使用でき
る。従って、個体におけるカルパインプロテアーゼタンパク質の活性、カルパイ
ンプロテアーゼ核酸の発現、またはカルパインプロテアーゼ遺伝子の変異含量を
決定して、これにより、個体の治療または予防処置に適切な物質(群)を選択で
きる。
【0193】 薬理ゲノミクスは、罹患ヒトにおける薬物処分の変化および異常作用に因る、
薬物に応答した、臨床的に重要な遺伝変異を扱う。例えばLinder(199
7)Clin.Chem.43(2)254〜266参照。一般に、2種類の薬
理ゲノミクス状態を区別できる。薬物が生体に作用する方法を変化させる単一因
子として伝えられる遺伝子状態は、「薬物作用の変化」と称する。生体が薬物作
用する方法を変化させる単一因子として伝えられる遺伝子状態は、「薬物代謝の
変化」と称する。これらの薬理ゲノミクス状態は、稀な欠陥として、または多形
として生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症(G
6PD)は、共通の遺伝性酵素異常症であり、主な臨床合併症は、酸化体薬物(
抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛剤、ニトロフラン)の摂取およびソラマメ
の消化後の溶血である。
【0194】 例示的な具体例として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および期間の
両方の主な決定要因である。薬物代謝酵素(例えばN−アセチルトランスフェラ
ーゼ2(NAT2)およびチトクロムP450酵素CYP2D6およびCYP2
C19)の遺伝子多形の発見により、なぜ数人かの患者は、期待した薬物効果を
得ないのか、または、標準的で安全な薬物投与量を服用した後に過度の薬物応答
および重度の毒性を示すのかの説明が提供された。これらの多形性は、個体群に
おいて2つの表現型で、高い代謝体(EM)および低い代謝体(PM)で発現さ
れる。PMの割合は、異なる個体群間で異なる。例えば、CYP2D6をコード
する遺伝子は、高度に多形であり、数個の変異が、PMで同定されており、その
全てが、機能的CYP2D6が存在しないようにする。CYP2D6およびCY
P2C19の低い代謝体は、標準的な投与量を受けた場合に、極めて頻繁に、過
度の薬物応答および副作用を示す。代謝物が活性治療部分である場合、PMは、
治療応答を全く示さず、これは、そのCYP2D6の形成する代謝物であるモル
ヒネにより媒介されるコデインの鎮痛効果により実証された。他の極端な例は、
いわゆる、標準的な投与量に応答しない、超急速な代謝体である。近年、超急速
代謝体の分子基本は、CYP2D6遺伝子増幅によると同定された。
【0195】 従って、個体におけるカルパインプロテアーゼタンパク質の活性、カルパイン
プロテアーゼ核酸の発現、またはカルパインプロテアーゼ遺伝子の変異含量を決
定し、これにより、個体の治療または予防処置に適切な物質(群)を選択できる
。さらに、薬理ゲノミクス研究を使用して、薬物代謝酵素をコードする多形対立
遺伝子の遺伝子タイピングを、個体の薬物応答性表現型の同定に適用できる。こ
の知見は、投与量または薬物選択に適用する場合、副作用または治療失敗を回避
でき、従って、カルパインプロテアーゼモジュレーター、例えば本明細書に記載
の例示的スクリーニングアッセイの1つにより同定されたモジュレーターで被検
者を処置する場合の、治療または予防効力は増強し得る。
【0196】 4.臨床試験中の効果のモニタリング カルパインプロテアーゼ遺伝子の発現または活性(例えば、異常な細胞増殖お
よび/または分化を変調する能力)に対する物質(例えば薬物、化合物)の影響
のモニタリングは、基本的な薬物スクリーニングに適用できるだけでなく、臨床
試験にも適用できる。例えば、カルパインプロテアーゼ遺伝子発現、タンパク質
レベル、またはタンパク質活性を増加または減少する、本明細書に記載のスクリ
ーニングアッセイにより決定したような物質の効力は、カルパインプロテアーゼ
遺伝子発現、タンパク質レベル、またはタンパク質活性の減少または増加を示す
被検者の臨床試験でモニタリングできる。かかる臨床試験で、カルパインプロテ
アーゼ発現または活性、および、好ましくは例えば細胞増殖疾患に関与している
他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の免疫応答性のマーカーとして使用
できる。
【0197】 例えば、限定するためではないが、(例えば、本明細書に記載のスクリーニン
グアッセイで同定する)カルパインプロテアーゼ活性を変調する物質(例えば化
合物、薬物、または小分子)での処理により、細胞中で変調される遺伝子を同定
できる。従って、例えば臨床試験で、細胞増殖疾患に対する物質の効果を研究す
るために、細胞を単離し、RNAを調製し、カルパインプロテアーゼ遺伝子およ
び疾患に関与する他の遺伝子の発現レベルについて解析した。遺伝子発現レベル
(すなわち遺伝子発現パターン)は、本明細書に記載したようなノザンブロット
解析またはRT−PCRにより、または別に、本明細書に記載の方法の1つによ
り、産生されたタンパク質の量を測定することにより、または、カルパインプロ
テアーゼ遺伝子または他の遺伝子の活性レベルを測定することにより定量できる
。このように、遺伝子発現パターンは、細胞の物質に対する生理的応答の指標で
ある、マーカーとして作用できる。従って、この応答状態は、個体を物質で処置
する前、その間の様々な時点で決定し得る。
【0198】 好ましい具体例において、本発明は、(1)物質を投与する前に、被検者から
投与前サンプルを得;(2)投与前サンプル中の、カルパインプロテアーゼタン
パク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出し;(3)被検者か
ら1つ以上の投与後サンプルを得;(4)投与後サンプル中の、カルパインプロ
テアーゼタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを
検出し;(5)投与前サンプル中の、カルパインプロテアーゼタンパク質、mR
NA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを、投与後サンプルまたはサ
ンプル群中の、カルパインプロテアーゼタンパク質、mRNA、またはゲノムD
NAと比較し;そして(vi)被検者への物質の投与を変化させ、よって、所望
の効果、すなわち、例えばカルパインプロテアーゼタンパク質の発現または活性
の増加または減少をもたらす段階を含む、被検者を物質で(例えば、本明細書に
記載のスクリーニングアッセイにより同定された、アゴニスト、アンタゴニスト
、ペプチド模倣体、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬物候補
)処置した効力をモニタリングする方法を提供する。
【0199】 C.処置法 本発明は、異常カルパインプロテアーゼ発現または活性に関連した疾患の危険
性(または感受性)がある、または前記疾患を有する、被検者を処置するための
、予防および治療法の両方を提供する。さらに、本発明の組成物は、本明細書に
記載の疾患の処置に用途を見出す。従って、カルパインプロテアーゼ活性の変化
に関連した疾患の治療法が包含される。前記疾患は、撹乱した細胞増殖および分
化;運動により誘発される損傷および修復;T細胞受容体アポトーシス、HIV
感染細胞アポトーシス、エクトポシド処理細胞アポトーシス、神経成長因子枯渇
神経アポトーシスを含むアポトーシス;虚血;外傷後脳損傷;アルツハイマー病
および他の神経変性疾患;実験的アレルギー脳症(EAE)および多発性硬化症
を含む脱髄疾患;LGMD2A筋ジストロフィー;脊髄損傷(SCI);癌、例
えばメラノーマ、前立腺癌、子宮癌、乳癌、大腸癌または肉腫などの増殖性疾患
または分化性疾患;多様な毒物に関連した腎細胞死を含むがこれに限定されない
【0200】 さらに、本明細書の実施例の章で考察したように、カルパインプロテアーゼの
発現は、特定の組織で同定され、従って、これらの組織を含む疾患に関連する。
従って、処置法は、前記疾患および組織にまでおよぶ。
【0201】 1.予防法 1つの態様において、本発明は、被検者に、カルパインプロテアーゼ発現また
は少なくとも1つのカルパインプロテアーゼ遺伝子活性を変調する物質を投与す
ることにより、異常カルパインプロテアーゼ発現または活性に関連した、被検者
における疾病または容態を予防する方法を提供する。異常カルパインプロテアー
ゼ発現または活性により引き起こされる、またはそれに起因する、疾病の危険性
のある被検者を、例えば、本明細書に記載の診断または予後アッセイのいずれか
または組合せにより同定できる。予防物質の投与は、カルパインプロテアーゼ異
常に特徴的な症状の顕現の前に行ない得、よって、疾病または疾患を予防、また
は別に、その進行を遅延させる。カルパインプロテアーゼ異常の種類に応じて、
例えば、カルパインプロテアーゼアゴニストまたはカルパインプロテアーゼアン
タゴニスト物質を、被検者の処置に使用できる。適切な物質は、本明細書に記載
のスクリーニングアッセイに基づいて決定できる。
【0202】 2.治療法 本発明の別の態様は、治療のために、カルパインプロテアーゼ発現または活性
を変調する方法に関する。本発明の変調法は、細胞を、細胞に関連したカルパイ
ンプロテアーゼタンパク質活性の1つ以上の活性を変調する物質と接触させるこ
とを含む。カルパインプロテアーゼタンパク質活性を変調する物質は、本明細書
に記載の物質、例えば核酸またはタンパク質、カルパインプロテアーゼタンパク
質の天然同族リガンド、ペプチド、カルパインプロテアーゼペプチド模倣体、ま
たは他の小分子であり得る。1つの具体例において、物質は、カルパインプロテ
アーゼタンパク質の1つ以上の生物活性を刺激する。前記刺激物質の例は、活性
カルパインプロテアーゼタンパク質および細胞に導入されているカルパインプロ
テアーゼタンパク質をコードする核酸分子を含む。別の具体例において、物質は
、カルパインプロテアーゼタンパク質の1つ以上の生物活性を阻害する。前記阻
害物質の例は、アンチセンスカルパインプロテアーゼ核酸分子および抗カルパイ
ンプロテアーゼ抗体を含む。
【0203】 これらの変調法は、インビトロで(例えば、細胞を物質と共に培養することに
より)または別にインビボで(例えば、物質を被検者に投与することにより)実
施できる。従って、本発明は、カルパインプロテアーゼタンパク質または核酸分
子の異常な発現または活性を特徴とする疾病または疾患に罹患した個体を処置す
る方法を提供する。1つの具体例において、この方法は、カルパインプロテアー
ゼ発現または活性を変調(例えばアップレギュレートまたはダウンレギュレート
)する、物質(例えば本明細書に記載のスクリーニングアッセイにより同定した
物質)または物質の組合せを投与することを含む。別の具体例において、この方
法は、治療法としてカルパインプロテアーゼタンパク質または核酸分子を投与し
、低下または異常なカルパインプロテアーゼ発現または活性を補うことを含む。
【0204】 カルパインプロテアーゼ活性の刺激は、カルパインプロテアーゼタンパク質が
異常にダウンレギュレートされている状況および/またはカルパインプロテアー
ゼ活性の増加が、有益な効果を示すようである状況に望ましい。逆に、カルパイ
ンプロテアーゼ活性の阻害剤は、カルパインプロテアーゼ活性が異常にアップレ
ギュレートされている状況および/またはカルパインプロテアーゼ活性の減少が
有益な効果を示すようである状況に望ましい。
【0205】 本発明は、さらに、以下の実施例により説明されるが、これは、限定的と捉え
るべきではない。
【0206】 実験 実施例1:h26176の単離 クローンh26176は、ヒトT細胞cDNAライブラリーから単離した。同
定したクローンh26176は、約3.78Kb(配列番号1に示したcDNA
に対応する)の転写物をコードする。この転写物のオープンリーディングフレー
ム(ヌクレオチド276〜2714)は、予測された813アミノ酸タンパク質
(配列番号2)をコードする。
【0207】 ヌクレオチドおよびタンパク質データベースの探索により、h26176は、
数個のカルパインプロテアーゼと類似性を共有するポリペプチドをコードするこ
とが判明し、最大の類似性は、ネズミCAPN7タンパク質(EMB寄託番号A
J012475)に見られた。このネズミタンパク質と、h26716ポリペプ
チドのアラインメントを図1に示す。アラインメントは、PAM250残基重量
表を用いてClustal法を使用して作成し、配列同一性を、対でのアライン
メントにより決定した。
【0208】 実施例2:クローンh26176のmRNA発現 新規h26176カルパインプロテアーゼの発現は、以下のヒト組織から調製
したcDNAにおいて、TaqMan(登録商標)定量的PCR(パーキンエル
マーアプライドバイオシステムズ)により測定した。正常大腸、大腸癌、正常肝
臓、大腸転移、正常肺、肺癌、正常乳房、および乳癌。
【0209】 プローブは、h26176配列に基づいてプライマーエクスプレスソフトウェ
ア(PEバイオシステムズ)により設計した。h26176およびβ−2ミクロ
グロブリンの発現解析用のプライマーおよびプローブは以下の通りであった: h26176正プライマー AATAGTATCGGATTGCTCCTTTGTG h26176逆プライマー GCCGGTAATTAACTTCTTATTAAAACG h26176TaqManプローブ CATCACTGGCCATCAGTGCAGCTTATG β−2ミクログロブリン正プライマー CACCCCCACTGAAAAAGATGA β−2ミクログロブリン逆プライマー CTTAACTATCTTGGGCTGTGACAAAG β−2ミクログロブリンTaqManプローブ TATGCCTGCCGTGTGAACCACGTG
【0210】 h26176配列プローブを、FAM(6−カルボキシフルオレセイン)を使
用して標識し、β2−ミクログロブリン参照プローブを、異なる蛍光ダイVIC
で標識した。標的カルパインプロテアーゼ配列の差次的標識および内部標準遺伝
子により、同じウェルでの測定が可能となった。正プライマーおよび逆プライマ
ーおよびβ2−ミクログロブリンおよび標的h26176配列の両方のプローブ
を、TaqMan(登録商標)ユニバーサルPCRマスターミックス(PEアプ
ライドバイオシステムズ)に加えた。プライマーおよびプローブの最終濃度は変
化し得るが、各々は、ある実験内で内部で一貫していた。典型的な実験は、20
0nMの正および逆プライマーと、100nMのβ2ミクログロブリンのプロー
ブ、および、600nMの正および逆プライマーと、200nMの標的h261
76配列のプローブを含んだ。TaqManマトリックス実験は、ABI PR
ISM 7700シークエンス検出システム(PEアプライドバイオシステムズ
)で実施した。サーマルサイクラー条件は、以下の通りであった:50℃で2分
間、95℃で10分間維持し、次いで95℃で15秒間、次いで60℃で1分間
の40サイクルについて2段階のPCRを実施。
【0211】 以下の方法を使用して、同じ組織でのβ−2ミクログロブリン発現と比べた、
様々な組織でのh26176発現を定量的に計算した。閾値サイクル(Ct)値
は、蛍光の統計学的に有意な増加が検出されるサイクルで規定する。より低いC
t値は、より高いmRNA濃度の指標である。h26176配列のCt値は、β
−2ミクログロブリン遺伝子のCt値を差し引き、以下の式を使用してΔCt値
を得ることにより標準化する:ΔCt=Cth26176−Ctβ-2ミクロク゛ロフ゛リン。次い で、発現を、cDNAサンプルに対して検量線を作成し、これにより、h267
16配列の発現レベルが比較的低いことが示される。次いで、標準物質サンプル
のΔCtを、以下の式に従って、各組織サンプルのΔCtから差し引く:ΔΔC
t=ΔCtサンフ゜ル−ΔCt標準物質次いで、相対的発現を、2-ΔΔCtにより示さ れる算術式を使用して計算する。次いで、試験した各組織での標的h26176
配列の発現を、図6にグラフで示した。
【0212】 推定カルパインプロテアーゼh26176のmRNAを、様々な腫瘍で発現す
る。大腸癌および乳癌で有意なアップレギュレートが見られた(図6)。従って
、カルパインプロテアーゼの発現は、大腸癌および乳癌に関連性がある。追加の
実験で、この遺伝子は、4中3個の正常肺組織で発現されていたが、肺癌臨床サ
ンプルでは16中15個であった(データは示していない)。従って、カルパイ
ンプロテアーゼの発現は、肺癌でも同様に関連性がある。これは、プロテアーゼ
は、細胞周期、分化、アポトーシス、または癌発達および/または進行に影響を
及ぼす他のプロセスの調節因子を不活性化または活性化することにより、癌発生
に機能し得るという仮説と一致する。この遺伝子は、大腸癌でアップレギュレー
トされるという事実から、この遺伝子は、腫瘍進行の阻害に有用である。従って
、このプロテアーゼの発現阻害は、癌発生の進行を低下できる。
【0213】 さらに、ノザンブロット実験により、骨、卵巣、T細胞、脾臓および腎臓組織
でのカルパインプロテアーゼの発現が示された。従って、プロテアーゼは、これ
らの組織に関連した疾患に関連している。
【0214】 さらに、発現は、心臓、神経組織、単球および前立腺に観察されている。従っ
て、遺伝子の発現は、これらの組織に関連した疾患に関連している。
【0215】 最後に、発現は、副甲状腺腫瘍および胸腺で観察されている。従って、これら
の組織、特にこれらの組織に関連した疾患において、遺伝子の発現の検出または
発現の変調は関連している。
【0216】 明細書に記載した全ての刊行物および特許文献は、本発明が属する当業者のレ
ベルを示す。全ての刊行物および特許出願を、各々の個々の刊行物または特許文
献を具体的かつ個々に示して引用することにより、本明細書の一部をなすものと
する。
【0217】 当業者は、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載の特定の具体例に対
する多くの等価物を認識するか、または確信するだろう。かかる等価物は、特許
請求の範囲により包含されるものとする。
【0218】
【表1】
【0219】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、26176カルパインプロテアーゼヌクレオチド配列(配列番号1)
および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図2】 図2は、26176カルパインプロテアーゼアミノ酸配列の解析を示す;αβ
ターンおよびコイル領域;親水性;両親媒性領域;可動領域;抗原性係数;およ
び表面確率プロット。これらの領域は、とりわけ、抗原性断片の作成に関して有
用である。
【図3】 図3は、26176カルパインプロテアーゼ受容体疎水性プロットを示す。
【図4】 図4は、配列番号2の特定の機能部位に対応するアミノ酸の26176カルパ
インプロテアーゼオープンリーディングフレームの解析を示す。
【図5】 図5は、h26176遺伝子の3p21〜24のマッピング位置と比較した、
ヒト第3染色体上のマーカーの配置である。
【図6】 図6は、大腸、肝臓、肺および乳房の正常および癌組織サンプルにおける、h
26187の相対的発現を示す。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/53 D 4H045 33/50 M 33/53 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA26 AA34 AA35 CB01 DA13 DA36 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA11 BA19 CA04 DA02 DA12 EA04 GA11 HA12 HA15 4B050 CC01 CC04 DD11 EE10 LL03 4B063 QA01 QA19 QQ02 QQ36 QQ44 QQ79 QR08 QR14 QR20 QR31 QR42 QR56 QR58 QR59 QR77 QX02 4B065 AA01X AA57X AA90X AA90Y AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 AA30 CA40 DA75 DA89 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)配列番号1のヌクレオチド配列、またはATCCに特許
    寄託番号PTA−1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片、ま
    たはその相補体に少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子
    と、 b)配列番号1のヌクレオチド配列、またはATCCに特許寄託番号PTA−
    1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片、またはその相補体の
    少なくとも15個のヌクレオチド断片を含む核酸分子と、 c)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番号PTA−1
    649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされるアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子と、 d)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番号PTA−1
    649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされるアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチド断片であって、配列番号2またはATCCに特許寄
    託番号PTA−1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片により
    コードされるポリペプチドの少なくとも15個の連続的アミノ酸を含むポリペプ
    チド断片をコードする核酸分子と、 e)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番号PTA−1
    649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされるアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドの天然対立遺伝子変異体をコードする核酸分子であ
    って、配列番号1またはその相補体を含む核酸分子に、ストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズする核酸分子と からなる一群から選択される単離核酸分子。
  2. 【請求項2】 a)配列番号1のヌクレオチド配列、またはATCCに特許
    寄託番号PTA−1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片、ま
    たはその相補体を含む核酸分子と、 b)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番号PTA−1
    649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされるアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子と からなる一群から選択される請求項1の単離核酸分子。
  3. 【請求項3】 ベクター核酸配列をさらに含む請求項1の核酸分子。
  4. 【請求項4】 異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む請求項
    1の核酸分子。
  5. 【請求項5】 請求項1の核酸分子を含む宿主細胞。
  6. 【請求項6】 哺乳動物宿主細胞であることを特徴とする請求項5の宿主細
    胞。
  7. 【請求項7】 請求項1の核酸分子を含む非ヒト哺乳動物宿主細胞。
  8. 【請求項8】 a)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄
    託番号PTA−1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片により
    コードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド断片であって、配列番号2または
    ATCCに特許寄託番号PTA−1649として寄託されたプラスミドのcDN
    A挿入断片によりコードされるアミノ酸配列の少なくとも15個の連続的アミノ
    酸を含むポリペプチド断片と、 b)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番号PTA−1
    649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされるアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドであって、配列番号1またはその相補体を含む核酸
    分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコードさ
    れるポリペプチドの天然対立遺伝子変異体と、 c)配列番号1のヌクレオチド配列またはその相補体を含む核酸に少なくとも
    45%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされるポリペプ
    チドと からなる一群から選択される単離ポリペプチド。
  9. 【請求項9】 配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番
    号PTA−1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコー
    ドされるアミノ酸配列を含む請求項8の単離ポリペプチド。
  10. 【請求項10】 異種アミノ酸配列をさらに含む請求項8のポリペプチド。
  11. 【請求項11】 請求項8のポリペプチドに選択的に結合する抗体。
  12. 【請求項12】 請求項5の宿主細胞を、核酸分子を発現する条件下で培養
    するステップを含む、 a)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番号PTA−1
    649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされるアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドと、 b)配列番号2のアミノ酸配列の断片、または、ATCCに特許寄託番号PT
    A−1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされ
    るアミノ酸配列の断片であって、配列番号2またはATCCに特許寄託番号PT
    A−1649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされ
    るアミノ酸配列の少なくとも15個の連続的アミノ酸を含むアミノ酸配列の断片
    を含むポリペプチドと、 c)配列番号2のアミノ酸配列、または、ATCCに特許寄託番号PTA−1
    649として寄託されたプラスミドのcDNA挿入断片によりコードされるアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドであって、配列番号1またはその相補体を含む核酸
    分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコードさ
    れるポリペプチドの天然対立遺伝子変異体と からなる一群から選択されるポリペプチドを産生する方法。
  13. 【請求項13】 前記ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列、または
    、ATCCに特許寄託番号PTA−1649として寄託されたプラスミドのcD
    NA挿入断片によりコードされるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1
    2の方法。
  14. 【請求項14】 a)サンプルを、請求項8のポリペプチドに選択的に結合
    する化合物と接触させるステップと、 b)該化合物が該サンプル中の該ポリペプチドに結合するかどうかを決定するス
    テップと を含む該サンプル中の請求項8のポリペプチドの存在を検出する方法。
  15. 【請求項15】 前記ポリペプチドに結合する化合物は抗体であることを特
    徴とする請求項14の方法。
  16. 【請求項16】 請求項8のポリペプチドに選択的に結合する化合物および
    使用説明書を含むキット。
  17. 【請求項17】 a)サンプルを、核酸分子に選択的にハイブリダイズする
    核酸プローブまたはプライマーと接触させるステップと、 b)該核酸プローブまたは該プライマーが該サンプル中の核酸分子に結合する
    かどうかを決定するステップと を含む、該サンプル中の請求項1の核酸分子の存在を検出する方法。
  18. 【請求項18】 前記サンプルはmRNA分子を含み、前記サンプルを前記
    核酸プローブと接触させることを特徴とする請求項17の方法。
  19. 【請求項19】 請求項1の核酸分子に選択的にハイブリダイズする化合物
    および使用説明書を含むキット。
  20. 【請求項20】 a)ポリペプチド、または請求項8のポリペプチドを発現
    している細胞を試験化合物と接触させるステップと、 b)該ポリペプチドが該試験化合物に結合するかどうかを決定するステップと を含む請求項8のポリペプチドに結合する化合物を同定する方法。
  21. 【請求項21】 前記試験化合物の前記ポリペプチドへの結合は、 a)試験化合物とポリペプチドとの結合の直接的な検出による結合の検出と、 b)競合結合アッセイを使用する結合の検出と、 c)カルパインプロテアーゼ媒介シグナル伝達用のアッセイを使用した結合の
    検出と からなる一群から選択する方法により検出することを特徴とする請求項20の
    方法。
  22. 【請求項22】 ポリペプチドまたは請求項8のポリペプチドを発現してい
    る細胞を、ポリペプチドの活性を変調するのに十分な濃度において、前記ポリペ
    プチドに結合する化合物と接触させるステップを含む請求項8のポリペプチドの
    活性を変調する方法。
  23. 【請求項23】 a)請求項8のポリペプチドを試験化合物と接触させるス
    テップと、 b)前記ポリペプチドの活性に対する前記試験化合物の効果を決定することに
    より、ポリペプチドの活性を変調する化合物を同定するステップと を含む請求項8のポリペプチドの活性を変調する化合物を同定する方法。
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