JP2002502590A - Card関連蛋白質ファミリーの新規分子とその使用 - Google Patents

Card関連蛋白質ファミリーの新規分子とその使用

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JP2002502590A JP2000530530A JP2000530530A JP2002502590A JP 2002502590 A JP2002502590 A JP 2002502590A JP 2000530530 A JP2000530530 A JP 2000530530A JP 2000530530 A JP2000530530 A JP 2000530530A JP 2002502590 A JP2002502590 A JP 2002502590A
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ジョン ベルティン
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ミレニアム ファーマシューティカルズ インク.
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Abstract

(57)【要約】 新規CARD-3、CARD-4L、CARD-4S、CARD-4Y、CARD-4ZおよびマウスCARD-4Lポリペプチド、蛋白質および核酸分子を開示する。単離されたCARD-3、CARD-4L、CARD-4S、CARD-4Y、CARD-4ZおよびマウスCARD-4L蛋白質のほかに、本発明はCARD-3、CARD-4L、CARD-4S、CARD-4Y、CARD-4ZおよびマウスCARD-4L融合蛋白質、抗原性ペプチド、ならびに抗CARD-3、抗CARD-4L、抗CARD-4S、抗CARD-4Y、抗CARD-4Zおよび抗マウスCARD-4L抗体をさらに提供する。本発明はまた、CARD-3、CARD-4L、CARD-4S、CARD-4Y、CARD-4ZおよびマウスCARD-4L核酸分子、本発明の核酸分子を含む組換え型発現ベクター、発現ベクターが導入された宿主細胞、ならびにCARD-3、CARD-4L、CARD-4S、CARD-4Y、CARD-4ZおよびマウスCARD-4L遺伝子が導入された、または破壊されているヒト以外のトランスジェニック動物を提供する。本発明はさらに、CARD-3またはCARD-4に結合するCARD-3およびCARD-4標的蛋白質ならびにヒトCARD-4の対立遺伝子変異体を提供する。本発明の組成物を使用した診断、スクリーニング、および治療方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願の相互参照 本出願は、1998年2月6日に提出された米国特許出願第09/019,942号の一部継
続出願である、1998年6月17日に提出された米国特許出願第09/099,041号の一部
継続出願である、1998年12月8日に提出された米国特許出願第09/207,359号の一
部継続出願である。これらの出願のそれぞれの内容は参照として本明細書に組み
入れられる。
【0002】 発明の背景 多細胞生物において、生体恒常性は、細胞死の速度と細胞増殖の速度とのバラ
ンスを保つことによって維持されている。細胞増殖は、典型的に細胞周期の進行
を促進する多数の増殖因子およびプロトオンコジーンの発現によって影響を受け
る。対照的に、腫瘍抑制遺伝子の発現を含む多くの事象によって、細胞増殖を停
止させることができる。
【0003】 分化した細胞では、内部自殺プログラムが活性化されると、アポトーシスと呼
ばれる特定のタイプの細胞死が起こる。このプログラムは、例えば遺伝子損傷に
反応して細胞内に生成されるシグナルと共に多様な外部シグナルによって開始さ
れうる。死につつある細胞は炎症反応を起こすことなく速やかに貪食細胞によっ
て除去されるため、何年もの間アポトーシス細胞死の程度は認識されなかった。
【0004】 アポトーシスを媒介するメカニズムは広く研究されている。これらのメカニズ
ムは、内因性プロテアーゼの活性化、ミトコンドリア機能の喪失、ならびに細胞
骨格の破壊、細胞収縮、膜水疱形成、およびDNAの分解による核濃縮のような構 造変化を伴う。アポトーシスを誘発する様々なシグナルは、C. エレガンス(C.
elegans)のような虫からヒトまで高度に保存されている遺伝子の発現によって 調節される共通の細胞死経路に収束することによってこれらの事象を生じると考
えられている。実際に、無脊椎動物モデル系は、アポトーシスを制御する遺伝子
の同定および特徴付けにおいて非常に貴重なツールであった。無脊椎動物および
より進化した動物の研究から、細胞死に関連する無数の遺伝子が同定されている
が、その産物がアポトーシスプログラムを実行するために相互作用する様式はあ
まりわかっていない。
【0005】 アポトーシスプログラムの中心となる蛋白質のクラスであるカスパーゼは、基
質切断部位でアスパラギン酸に対する特異性を有するシステインプロテアーゼで
ある。これらのプロテアーゼは主に、細胞蛋白質の分解に関与しており、このた
めアポトーシスを起こしつつある細胞では形態学的変化が認められる。例えばヒ
トにおいて同定されたカスパーゼの一つは、これまで、プロIL-1αを活性なサイ
トカインにプロセシングする原因となるシステインプロテアーゼである、インタ
ーロイキン-1α(IL-1α)転換酵素(ICE)として知られていた。Rat-1繊維芽細
胞にICEを過剰発現させると、アポトーシスが誘導される(ミウラ(Miura)ら、
Cell 75:653、1993)。
【0006】 多くのカスパーゼおよびカスパーゼと相互作用する蛋白質は、カスパーゼ集合
ドメイン(CARD)と呼ばれるアミノ酸約60個のドメインを有する。ホフマン(Ho
fmann)ら(TIBS 22:155、1997)および他の研究者は、特定のアポトーシス蛋 白質はそのCARDを通じて互いに結合すること、そしてCARDの異なるサブタイプに
よって例えば様々なカスパーゼの活性を調節する結合特異性が与えられると仮定
した。
【0007】 CARDの機能的重要性は最近の論文において証明されている。デュアン((Duan
)ら、Nature 385:86、1997)は、アポトーシスに関与する新しく同定された蛋
白質であるRAIDDのN末端でCARDを欠失させると、RAIDDがカスパーゼに結合する 能力が失われることを示した。さらに、リ(Li)ら(Cell 91:479、1997)は、
カスパーゼ-9結合能を与えるためには、アポトーシスプロテアーゼ活性化因子-1
(Apaf-1)のN末端アミノ酸97個で十分であることを示した。イノハラ(Inohara
)ら(J. Biol. Chem. 273:12296〜12300、1998)は、Apaf-1がカスパーゼ-4お
よびカスパーゼ-8のような他の幾つかのカスパーゼに結合することができること
を示した。Apaf-1は、CARD-CARD相互作用によってカスパーゼと相互作用するこ とができる(リ(Li)ら、上記、フ(Hu)ら、PNAS 95:4386〜4391、1998)。
【0008】 核因子-κB(NF-κB)は、多くの細胞タイプに発現される転写因子であり、そ
のプロモーターにκB部位を有するホモ接合またはヘテロ接合遺伝子を活性化す る。休止期NF-κBは、p50およびp65と呼ばれる蛋白質のヘテロダイマーとして細
胞質に存在し、調節タンパク質IκBと複合体を形成する。NF-κBがIκBに結合す
ると、NF-κBは細胞質に留まる。NF-κBを活性化する少なくとも2ダースの刺激
が知られており(New England Journal of Medicine 336:1066、1997)、それ らには、サイトカイン、プロテインキナーゼC活性化物質、酸化剤、ウイルスお よび免疫系の刺激が含まれる。NF-κB活性化刺激は、IκBを燐酸化してこれを分
解させる特異的IκBキナーゼを活性化する。IκBから離れると、NFκBは核に移 動してそのプロモーターにκB部位を有する遺伝子を活性化する。これらのNF-κ
B活性化刺激が全てどのように作用するかは現時点では不明であり、新規NF-κB 経路の成分が関係すると思われる。NF-κBおよびNF-κB経路は喘息、潰瘍性大腸
炎、リウマチ性関節炎(New England Journal of Medicine 336:1066、1997) のような炎症性疾患における慢性炎症の媒介に関係しており、NF-κBまたはNF- κB経路を阻害することは、これらの疾患を治療する有効な方法となる可能性が ある。NF-κBおよびNF-κB経路はまた、アテローム性動脈硬化症(American Jou
rnal of Cardiology 76:18C、1995)、特に、脂肪条痕形成の媒介にも関係して
おり、NF-κBまたはNF-κB経路を阻害すれば、アテローム性動脈硬化症にとって
有効な治療となる可能性がある。
【0009】 発明の概要 本発明は、少なくとも一部CARD-3およびCARD-4をコードする遺伝子の発見に基
づいている。CARD-4遺伝子はCARD-4Lをコードする長い転写物、部分的CARD-4Sを
コードする短い転写物、または2つのCARD-4スプライシング変異体を発現するこ
とができる。CARD-4Lのマウスオルソログである完全長のマウスcDNA配列も提供 する。CARD-3およびCARD-4はカスパーゼ活性化を調節する際に関係すると予想さ
れる細胞内蛋白質である。CARD-4は、NF-κB経路を活性化して、カスパーゼ-9媒
介細胞死を増強することが判明している。さらに、CARD-3およびhNUDCを含む、C
ARD-4に結合する蛋白質を紹介する。
【0010】 下記のCARD-3 cDNA(配列番号:1)は、アミノ酸540個の蛋白質(配列番号:
2)をコードする1620ヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(配列番号
:1のヌクレオチド214〜1833位;配列番号:3)を有する。CARD-3は配列番号 :2のアミノ酸1位〜300位に及ぶキナーゼドメイン;配列番号:4を含み、こ れに配列番号:2のアミノ酸301位〜アミノ酸431位に及ぶリンカードメイン;配
列番号:5および配列番号:2のアミノ酸432位からアミノ酸540位に及ぶCARDド
メイン;配列番号:6が続く。
【0011】 CARD-4の少なくとも4つの型、すなわち長い型であるCARD-4L、短い型であるC
ARD-4S、および2つのスプライシング変異体、CARD-4YおよびCARD-4Zが細胞に存
在する。下記のCARD-4L(配列番号:7)のcDNAは、アミノ酸953個の蛋白質(配
列番号:8)をコードする2859ヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(
配列番号:7のヌクレオチド245〜3103位;配列番号:9)を有する。CARD-4L蛋
白質はCARDドメイン(アミノ酸15〜114位;配列番号:10)を有する。ヒトCARD-
4Lのマウスオルソログに対応する完全長のcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:
42)を、マウスCARD-4Lの推定アミノ酸配列(配列番号:43)と共に示す。ヒトC
ARD-4LとマウスCARD-4Lの推定アミノ酸配列の比較も図17に示す。
【0012】 ヒトCARD-4Lはまた、配列番号:8のアミノ酸約198位からアミノ酸約397位に 及ぶヌクレオチド結合ドメイン;配列番号:11、配列番号:8のアミノ酸約202 位〜アミノ酸約209位に及ぶウォーカーボックス「A」;配列番号:12、配列番号
:8のアミノ酸約280位〜約284位に及ぶウォーカーボックス「B」;配列番号:1
3、配列番号:8のアミノ酸約127位〜約212位に及ぶキナーゼ1a(Pループ)サブ
ドメイン;配列番号:46、配列番号:8のアミノ酸約273位〜約288位に及ぶキナ
ーゼ2サブドメイン;配列番号:47、配列番号:8のアミノ酸約327位〜約338位
に及ぶキナーゼ3aサブドメイン;配列番号:14、および配列番号:8のアミノ酸
約674位〜約950位に及ぶロイシンリッチリピート10個を有すると予想される。第
一のロイシンリッチリピートは配列番号:8のアミノ酸約674位〜約701位に及ぶ
;配列番号:15。第二のロイシンリッチリピートは配列番号:8のアミノ酸約70
2位〜約727位に及ぶ;配列番号:16。第三のロイシンリッチリピートは配列番号
:8のアミノ酸約728位〜約754位に及ぶ;配列番号:17。第四のロイシンリッチ
リピートは配列番号:8のアミノ酸約755位〜約782位に及ぶ;配列番号:18。第
五のロイシンリッチリピートは配列番号:8のアミノ酸約783位〜約810位に及ぶ
;配列番号:19。第六のロイシンリッチリピートは配列番号:8のアミノ酸約81
1位〜約838位に及ぶ;配列番号:20。第七のロイシンリッチリピートは配列番号
:8のアミノ酸約839位〜約866位に及ぶ;配列番号:21。第八のロイシンリッチ
リピートは配列番号:8のアミノ酸約867位〜約894位に及ぶ;配列番号:22。第
九のロイシンリッチリピートは配列番号:8のアミノ酸約895位〜約922位;配列
番号:23に及び、そして第十のロイシンリッチリピートは配列番号:8のアミノ
酸約923位〜約950位に及ぶ;配列番号:24。
【0013】 下記のCARD-4S(配列番号:25)の部分的cDNAは、アミノ酸490個の蛋白質(配
列番号:26)をコードする1470ヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(
配列番号:25のヌクレオチド1〜1470位;配列番号:27)を有する。CARD-4S蛋 白質はCARDドメイン(配列番号:26のアミノ酸1〜74位;配列番号:28)を有す
る。CARD-4Sは配列番号:26のアミノ酸約163位〜約170位に及ぶP-ループ;配列 番号:29、および配列番号:26のアミノ酸約241位〜約245位に及ぶウォーカーボ
ックス「B」;配列番号:30を有すると予想される。
【0014】 ヒトCARD-4YヌクレオチドcDNA配列(配列番号:38)を、予想されるCARD-4Y産
物(配列番号:39)のアミノ酸配列と共に示す。ヒトCARD-4ZヌクレオチドcDNA 配列(配列番号:40)を、予想されるCARD-4Z産物(配列番号:41)のアミノ酸 配列と共に示す。CARD-4Y、CARD-4Z、およびヒトCARD-4Lの推定アミノ酸配列の 比較を図14に示す。
【0015】 CARDドメインを含む他の蛋白質と同様に、CARD-3およびCARD-4はいずれもカス
パーゼ活性に至る相互作用のネットワークに関与すると予想される。ヒトCARD-4
Lは、カスパーゼ活性化においてApaf-1と類似の機能的役割を果たすと予想され る(ゾウ(Zou)ら、Cell 90:405〜413、1997)。例えば、活性化されると、CA
RD-4Lはヌクレオチドに結合して、このようにCARD-CARD相互作用を通じてCARD-4
LをCARD-含有カスパーゼに結合させて活性化させ、その結果細胞のアポトーシス
死が起こる。したがって、CARD-3およびCARD-4分子は細胞増殖および細胞死を含
む多様な細胞プロセスを調節する調節物質として有用である。一つの局面におい
て、本発明はCARD-3もしくはCARD-4蛋白質をコードする単離核酸分子またはその
生物活性部分と共に、CARD-3もしくはCARD-4コード核酸を検出するためのプライ
マーまたはハイブリダイゼーションプローブとして適した核酸断片を提供する。
【0016】 本発明はアポトーシス細胞死の異常なレベルまたは速度(望ましくないほど高
い、または望ましくないほど低い)、Fas/APO-1受容体複合体の異常な活性、TNF
受容体複合体の異常な活性、またはカスパーゼの異常な活性に関連した障害を有
する患者を、CARD-3もしくはCARD-4の発現を調節する(DNA、mRNAまたは蛋白質 レベルで、例えばmRNAスプライシングを変化させることによって)化合物を投与
することによって、またはCARD-3もしくはCARD-4の活性を変化させることによっ
て、診断および治療する方法を含む。そのような化合物の例には低分子、アンチ
センス核酸分子、リボザイム、およびポリペプチドが含まれる。
【0017】 特定の障害は、アポトーシスが阻害された場合に、産生されて生存または増殖
し続ける生存細胞数が増加したことに関連している。これらの障害には癌(特に
濾胞性リンパ腫、p53変異に関連した癌、ならびに乳癌、前立腺癌、および卵巣 癌のようなホルモン依存的腫瘍)、自己免疫障害(全身性紅斑性狼瘡、免疫媒介
糸球体腎炎)、ならびにウイルス感染症(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス
、およびアデノウイルスによって引き起こされる感染症のように)が含まれる。
【0018】 発達の際に生じる、または免疫応答の際の体細胞変異の結果として発生する自
己免疫細胞を除去できなければ、自己免疫疾患が起こりうる。リンパ球の細胞死
を調節するために重要な役割を果たしている分子の一つは、Fasの細胞表面受容 体である。
【0019】 細胞集団はしばしば、ウイルス感染症の事象では枯渇するが、おそらく最も劇
的な例はヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされた細胞枯渇である 。意外にも、HIV感染症の際に死滅するほとんどのT細胞は、HIVに感染していな いように思われる。これについて多くの説明がなされているが、最近の証拠から
、CD4受容体の刺激によって、非感染T細胞のアポトーシスに対する感受性が増加
することが示唆されている。
【0020】 広く多様な神経疾患は、特定のセットのニューロンが次第に失われることを特
徴とする。そのような障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性
側索硬化症(ALS)、色素性網膜炎、棘筋萎縮、および様々な型の小脳変性が含 まれる。これらの疾患における細胞喪失は炎症反応を誘発せず、アポトーシスが
細胞死のメカニズムであるように思われる。
【0021】 さらに、多くの血液疾患が、血液細胞産生の減少に関連している。これらの障
害は慢性疾患に関連した貧血、再生不良性貧血、慢性好中球減少症、および骨髄
異形成症候群が含まれる。骨髄異形成症候群および特定の型の再生不良性貧血の
ような血球産生障害は、骨髄内部でのアポトーシス細胞死の増加に関連している
。これらの障害はアポトーシスを促進する遺伝子の活性化、間質細胞もしくは造
血生存因子における後天性欠損、または毒素および免疫応答メディエータの直接
作用が原因で起こる可能性がある。
【0022】 細胞死に関連した二つの一般的な障害は、心筋梗塞と脳卒中である。いずれの
障害においても、血流が急激に減少するという事象において生じた虚血の中心部
分の細胞が、壊死の結果として急速に死滅するように思われる。しかし、中心部
虚血域の外側では細胞はより長い期間をかけて死滅し、形態学的にアポトーシス
によって死滅するように思われる。
【0023】 本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:9、配列
番号:25、配列番号:27、配列番号:38、配列番号:40、および配列番号:42に
示すヌクレオチド配列、ATCCにアクセッション番号(「ATCC のcDNA」)とし
て登録されたプラスミドのcDNAインサートのヌクレオチド配列、ATCCにアクセッ
ション番号(「ATCC のcDNA」)として登録されたプラスミドのcDNAインサー
トのヌクレオチド配列、ATCCにアクセッション番号(「ATCC のcDNA」)とし
て登録されたプラスミドのcDNAインサートのヌクレオチド配列、またはその相補
物と少なくとも45%(または55%、65%、75%、85%、95%、もしくは98%)同
一である核酸分子を特徴とする。
【0024】 本発明は、配列番号:1もしくは配列番号:3に示すヌクレオチド配列の少な
くとも150(300、325、350、375、400、425、450、500、550、600、650、700、8
00、900、1000、1300、1600、または1931)ヌクレオチドの断片、またはATCC のcDNAのヌクレオチド配列、またはその相補物を含む核酸分子を特徴とする 。
【0025】 本発明はまた、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:43に示すヌクレオチ
ド配列の少なくとも150(350、400、450、500、550、600、650、700、800、900 、1000、1300、1600、1900、2100、2400、2700、3000もしくは3382)ヌクレオチ
ドの断片、またはATCC のcDNAのヌクレオチド配列、またはその相補物を含 む核酸分子を特徴とする。
【0026】 また、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:38、配列番号:40に示すヌク
レオチド配列の少なくとも150(350、400、450、500、550、600、650、700、800
、900、1000、1300、1600、1900、2100、2400、2700、および3080)ヌクレオチ ドの断片、またはATCC のcDNAのヌクレオチド配列、またはその相補物を含 む核酸分子も本発明に含まれる。
【0027】 本発明は、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配列
番号:41、および配列番号:43のアミノ酸配列と少なくとも45%(または55%、
65%、75%、85%、95%、もしくは98%)同一であるアミノ酸配列、またはATCC のcDNAによってコードされるアミノ酸配列、ATCC のcDNAによってコード
されるアミノ酸配列、もしくはATCC のcDNAによってコードされるアミノ酸配
列を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を特徴とする。
【0028】 一つの態様において、CARD-3核酸分子は配列番号:1もしくは配列番号:3に
示すヌクレオチド配列、またはATCC のcDNAのヌクレオチド配列を有する。 もう一つの態様において、CARD-4L核酸分子は配列番号:7もしくは配列番号: 9に示すヌクレオチド配列、またはATCC のcDNAのヌクレオチド配列を有す る。さらにもう一つの態様において、CARD-4S核酸分子は配列番号:25もしくは 配列番号:27に示すヌクレオチド配列、またはATCC のcDNAのヌクレオチド配
列を有する。もう一つの態様において、マウスCARD-4L核酸分子は配列番号:42 に示すヌクレオチド配列を有する。もう一つの態様において、CARD-4Y核酸分子 は配列番号:38に示すヌクレオチド配列、またはATCC のcDNAのヌクレオチ ド配列を有する。もう一つの態様において、CARD-4Z核酸分子は、配列番号:40 に示すヌクレオチド配列、またはATCC のcDNAのヌクレオチド配列を有する 。
【0029】 また、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配列番号
:41もしくは配列番号:43のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片、配列番
号:2、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配列番号:41もしくは配
列番号:43の少なくとも15個(25、30、50、100、150、300、400、もしくは540 、600、700、800、953個)の連続するアミノ酸を含む断片、またはATCCアクセッ
ション番号 のcDNAによってコードされるポリペプチド、またはATCCアク
セッション番号 のcDNAによってコードされるポリペプチド、またはATCC
アクセッション番号 のcDNAによってコードされるポリペプチド、をコー
ドする核酸分子も本発明に含まれる。
【0030】 本発明は、核酸分子が配列番号:1、配列番号:3、配列番号:38、配列番号
:40もしくは配列番号:42を含む核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズする、配列番号:2、配列番号:39、配列番号:41、もしくは配列番号
:43のアミノ酸配列、またはATCCアクセッション番号 のcDNAによってコ
ードされるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異
体をコードする核酸分子を含む。本発明はまた、核酸分子が配列番号:7または
配列番号:9を含む核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
、配列番号:8のアミノ酸配列、またはATCCアクセッション番号 のcDNA
によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に存在する対立遺
伝子変異体をコードする核酸分子を含む。
【0031】 本発明はまた、核酸分子が配列番号:25または配列番号:27を含む核酸分子と
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、配列番号:26のアミノ酸配列
、またはATCCアクセッション番号 のcDNAによってコードされるアミノ酸
配列を含むポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体をコードする核酸分
子を含む。一般に、遺伝子の対立遺伝子変異体は、上記遺伝子と同じ染色体位置
にマッピングされることから容易に識別されるであろう。例えば、実施例6にお
いて、ヒトCARD-4遺伝子の染色体位置は、SHGC-31928遺伝子マーカーに近い第7
染色体であることが見出されている。ヒトCARD-4の対立遺伝子変異体は、遺伝子
マーカーSHGC-31928付近の第7染色体上のヒトCARD-4にマッピングされることか
ら容易に識別されると思われる。
【0032】 また、以下も本発明に含まれる:配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも約
65%、好ましくは75%、85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有す
る単離CARD-3蛋白質;配列番号:2のキナーゼドメイン(例えば、配列番号:2
のアミノ酸残基約1〜300位;配列番号:4)と少なくとも約85%、95%、また は98%同一であるアミノ酸配列を有する単離CARD-3蛋白質;および配列番号:2
のリンカードメイン(例えば、配列番号:2のアミノ酸残基約301〜431位;配列
番号:5)と少なくとも約85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有
する単離CARD-3蛋白質;配列番号:2のCARDドメイン(例えば、配列番号:2の
アミノ酸残基約432〜540位;配列番号:6)と少なくとも約85%、95%、または
98%同一であるアミノ酸配列を有する単離CARD-3蛋白質;配列番号:8のアミノ
酸配列と少なくとも約65%、好ましくは75%、85%、95%、または98%同一であ
るアミノ酸配列を有する単離CARD-4L蛋白質;配列番号:8のCARDドメイン(例 えば、配列番号:8のアミノ酸残基約15〜114位;配列番号:10)と少なくとも 約85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有する単離CARD-4L蛋白質 ;配列番号:8のヌクレオチド結合ドメイン(例えば、配列番号:8のアミノ酸
残基約198〜397位;配列番号:11)と少なくとも約85%、95%、または98%同一
であるアミノ酸配列を有する単離CARD-4L蛋白質;配列番号:8のキナーゼ1a(P
-ループ)サブドメイン(例えば、配列番号:8のアミノ酸残基約127〜212位; 配列番号:46)と少なくとも約85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列
を有する単離CARD-4L蛋白質;配列番号:8のキナーゼ2サブドメイン(例えば 、配列番号:8のアミノ酸残基約273〜288位;配列番号:47)と少なくとも約85
%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有する単離CARD-4L蛋白質;配 列番号:8のキナーゼ3aサブドメイン(例えば、配列番号:8のアミノ酸残基約
327〜338位;配列番号:14)と少なくとも約85%、95%、または98%同一である
アミノ酸配列を有する単離CARD-4L蛋白質;配列番号:8のロイシンリッチリピ ート(例えば、配列番号:8のアミノ酸残基約674〜701位;配列番号:15;配列
番号:8のアミノ酸702〜727位;配列番号:16;配列番号:8のアミノ酸728〜7
54位に及ぶ配列;配列番号:17;配列番号:8のアミノ酸755〜782位に及ぶ配列
;配列番号:18;配列番号:8のアミノ酸783〜810位に及ぶ配列;配列番号:19
;配列番号:8のアミノ酸811〜838位に及ぶ配列;配列番号:20;配列番号:8
のアミノ酸839〜866位に及ぶ配列;配列番号:21;配列番号:8のアミノ酸867 〜894位に及ぶ配列;配列番号:22;配列番号:8のアミノ酸895〜922位に及ぶ 配列;配列番号:23;および配列番号:8のアミノ酸923〜950位に及ぶ配列;配
列番号:24)と少なくとも約85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を
有する単離CARD-4L蛋白質;配列番号:26のアミノ酸配列と少なくとも約65%、 好ましくは75%、85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有する単離
CARD-4S蛋白質;配列番号:26のCARDドメイン(例えば、配列番号:26のアミノ 酸残基約1〜74位;配列番号:28)と少なくとも約85%、95%、または98%同一 であるアミノ酸配列を有する単離CARD-4S蛋白質。同様に、配列番号:43のアミ ノ酸配列と少なくとも約65%、好ましくは75%、85%、95%、または98%同一で
あるアミノ酸配列を有する単離マウスCARD-4L蛋白質も本発明に含まれる。同様 に、配列番号:39のアミノ酸配列と少なくとも約65%、好ましくは75%、85%、
95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有する単離CARD-4Y蛋白質も本発明 に含まれる。同様に、配列番号:41のアミノ酸配列と少なくとも約65%、好まし
くは75%、85%、95%、または98%同一であるアミノ酸配列を有する単離CARD-4
Z蛋白質も本発明に含まれる。
【0033】 同様に、以下も本発明に含まれる:配列番号:3またはATCC のcDNAと少な
くとも約65%、好ましくは75%、85%、または95%同一であるヌクレオチド配列
を有する核酸分子によってコードされる単離CARD-3蛋白質;配列番号:1の一部
をコードするキナーゼドメイン(例えば配列番号:1のヌクレオチド約213〜111
3位)と少なくとも約65%、好ましくは75%、85%、または95%同一であるヌク レオチド配列を有する核酸分子によってコードされる単離CARD-3蛋白質;配列番
号:1の一部をコードするリンカードメイン(例えば配列番号:1のヌクレオチ
ド約1114〜1506位)と少なくとも約65%、好ましくは75%、85%、95%、または
98%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされる単離CA
RD-3蛋白質;および配列番号:1の一部をコードするCARDドメイン(例えば配列
番号:1のヌクレオチド約1507〜1833位)と少なくとも約65%、好ましくは75%
、85%、または95%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコー
ドされる単離CARD-3蛋白質;および配列番号:3のヌクレオチド配列またはATCC のcDNAの非コード鎖を有する核酸分子とストリンジェントなハイブリダイゼ
ーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によっ
てコードされる単離CARD-3蛋白質。同様に、配列番号:38またはATCC のcDNA
と少なくとも約65%、好ましくは75%、85%、または95%同一であるヌクレオチ
ド配列を有する核酸分子によってコードされる単離CARD-4Y蛋白質も本発明に含 まれる。同様に、配列番号:7のヌクレオチド約2759〜2842位;配列番号:7の
ヌクレオチド約2843〜2926位;配列番号:7のヌクレオチド2927〜3010位;配列
番号:7のヌクレオチド約3011〜3094位を含む核酸分子;および配列番号:9の
ヌクレオチド配列またはATCC のcDNAの非コード鎖を有する核酸分子とストリ
ンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド
配列を有する核酸分子によってコードされる単離CARD-4L蛋白質も本発明に含ま れる。
【0034】 同様に、配列番号:27またはATCC のcDNAと少なくとも約65%、好ましくは
75%、85%、または95%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸分子によって
コードされる単離CARD-4S蛋白質;配列番号:25の一部をコードするCARDドメイ ン(例えば、配列番号:25のヌクレオチド約1〜222位)と少なくとも約65%、好
ましくは75%、85%、または95%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸分子
によってコードされる単離CARD-3蛋白質;配列番号:25の一部をコードするP-ル
ープドメイン(例えば、配列番号:25のヌクレオチド約485〜510位)と少なくと
も約65%、好ましくは75%、85%、または95%同一であるヌクレオチド配列を有
する核酸分子によってコードされる単離CARD-3蛋白質も本発明に含まれる。
【0035】 同様に、ポリペプチドが配列番号:1もしくは配列番号:3を含む核酸分子と
ストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、
配列番号:2のアミノ酸配列、またはアクセッション番号 としてATCCに登
録されているプラスミドのcDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を
含むポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体であるポリペプチドも本発
明に含まれる。
【0036】 同様に、ポリペプチドが配列番号:7もしくは配列番号:9を含む核酸分子と
ストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、
配列番号:8のアミノ酸配列、またはアクセッション番号 としてATCCに登
録されているプラスミドのcDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を
含むポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体であるポリペプチドも本発
明に含まれる。
【0037】 同様に、ポリペプチドが配列番号:25もしくは配列番号:27を含む核酸分子と
ストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、
配列番号:26のアミノ酸配列、またはアクセッション番号 としてATCCに登
録されているプラスミドのcDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を
含むポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体であるポリペプチドも本発
明に含まれる。
【0038】 本発明のもう一つの態様は、CARDスーパーファミリーの他のメンバーをコード
する核酸分子と比較して、CARD-3またはCARD-4核酸分子を特異的に欠損するCARD
-3またはCARD-4蛋白質を特徴とする。例えば、一つの態様において、CARD-4L核 酸分子は、配列番号:7もしくは配列番号:9のヌクレオチド配列、ATCC
cDNAまたはその相補物を含む核酸分子とストリンジェントな条件でハイブリダイ
ズする。もう一つの態様において、CARD-4L核酸分子は、長さが少なくとも300(
350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、1300、1600、1900
、2100、2400、2700、3000または3382)ヌクレオチドであり、配列番号:7もし
くは配列番号:9に示すヌクレオチド配列、ATCC のcDNAまたはその相補物を
含む核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。もう一つの態
様において、単離CARD-4L核酸分子は、CARD-4LのCARDドメインをコードする配列
番号:7のヌクレオチド287〜586位またはその相補物を含む。さらにもう一つの
態様において、本発明はCARD-4L核酸のコード鎖とアンチセンスである単離核酸 分子を提供する。
【0039】 本発明のもう一つの局面は、ベクター、例えば本発明のCARD-3またはCARD-4核
酸分子を含む組換え型発現ベクターを提供する。もう一つの態様において、本発
明はそのようなベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明はまた、CARD-3また
はCARD-4蛋白質が産生されるように、組換え型発現ベクターを含む本発明の宿主
細胞を適した培地中で培養することによって、CARD-3またはCARD-4蛋白質を製造
する方法を提供する。
【0040】 本発明のもう一つの局面は、単離または組換え型CARD-3またはCARD-4蛋白質お
よびポリペプチドを特徴とする。好ましいCARD-3またはCARD-4蛋白質およびポリ
ペプチドは、天然に存在するヒトCARD-3またはCARD-4が有する生物活性、例えば
(1)アポトーシスシグナル伝達経路において蛋白質と蛋白質・蛋白質相互作用 を形成できること;(2)アポトーシスシグナル伝達経路において蛋白質とCARD-
CARD相互作用を形成できること;(3)CARD-3またはCARD-4リガンドに結合でき ること;および(4)細胞内標的に結合できること、を少なくとも1つ有する。 その他の活性には、(1)細胞増殖の調節、(2)細胞分化の調節、および(3)N
F-κB経路の調節が含まれる。
【0041】 本発明のCARD-3もしくはCARD-4蛋白質、またはその生物活性部分は、非CARD-3
もしくは非CARD-4ポリペプチド(例えば異種アミノ酸配列)に機能的に結合して
それぞれ、CARD-3またはCARD-4融合蛋白質を形成することができる。本発明はさ
らに、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のような、CARD-3またはCA
RD-4蛋白質に特異的に結合する抗体を特徴とする。さらに、CARD-3もしくはCARD
-4蛋白質またはその生物活性部分は、薬学的に許容される担体を選択的に含む薬
学的組成物に組み入れることができる。
【0042】 もう一つの局面において、本発明は、CARD-3またはCARD-4活性の有無が生体試
料中に検出されるように、CARD-3またはCARD-4活性の指標を検出することができ
る物質と生体試料とを接触させることによって、生体試料中にCARD-3またはCARD
-4の活性または発現の有無を検出する方法を提供する。
【0043】 もう一つの局面において、本発明は、細胞におけるCARD-3またはCARD-4の活性
または発現が調節されるように、CARD-3またはCARD-4の活性または発現を調節す
る(阻害または刺激する)物質と細胞とを接触させる段階を含む、CARD-3または
CARD-4活性を調節する方法を提供する。一つの態様において、物質はCARD-3また
はCARD-4蛋白質に特異的に結合する抗体である。もう一つの態様において、物質
はCARD-3もしくはCARD-4遺伝子の転写、CARD-3もしくはCARD-4 mRNAのスプライ シング、またはCARD-3もしくはCARD-4 mRNAの翻訳を調節することによってCARD-
3もしくはCARD-4の発現を調節する。さらにもう一つの態様において、物質はCAR
D-3もしくはCARD-4 mRNA、またはCARD-3もしくはCARD-4遺伝子のコード鎖に対し
てアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する核酸分子である。
【0044】 一つの態様において、本発明の方法を用いて、異常なCARD-3もしくはCARD-4蛋
白質または核酸の発現もしくは活性を特徴とする障害を有する被験者を、被験者
にCARD-3もしくはCARD-4調節物質である物質を投与することによって治療する。
一つの態様において、CARD-3またはCARD-4調節物質はCARD-3またはCARD-4蛋白質
である。もう一つの態様において、CARD-3またはCARD-4調節物質はCARD-3または
CARD-4核酸分子である。その他の態様において、CARD-3またはCARD-4調節物質は
ペプチド、ペプチド模倣体、またはその他の低分子である。
【0045】 本発明はまた、遺伝子の野生型がCARD-3またはCARD-4活性を有する蛋白質をコ
ードする、(i)CARD-3またはCARD-4蛋白質をコードする遺伝子の異常な改変ま たは変異;(ii)CARD-3またはCARD-4蛋白質をコードする遺伝子の誤った調節;
(iii)異常なRNAスプライシング;および(iv)CARD-3またはCARD-4蛋白質の異
常な翻訳後改変、の少なくとも1つを特徴とする遺伝子病変または変異の有無を
同定する診断的アッセイ法を提供する。
【0046】 もう一つの局面において、本発明は、CARD-3またはCARD-4蛋白質に結合する、
またはそれらの活性を調節する化合物を同定する方法を提供する。一般的に、そ
のような方法は、試験化合物の存在下および非存在下においてCARD-3またはCARD
-4蛋白質の生物活性を測定する段階およびCARD-3またはCARD-4蛋白質の活性を変
化させる化合物を同定する段階を含む。
【0047】 本発明は、化合物の存在下および非存在下でのCARD-3またはCARD-4の発現を測
定することによって、CARD-3またはCARD-4の発現を調節する化合物を同定する方
法も特徴とする。
【0048】 本発明のその他の特徴および利点は以下の詳細な説明および特許請求の範囲か
ら明らかとなると思われる。
【0049】 詳細な説明 本発明はヒトCARD-3タンパク質、ヒトCARD-4タンパク質、及びマウスCARD-4L 部分タンパク質をコードするcDNA分子の発見に一部基づく。ヒトCARD-3タンパク
質をコードする塩基配列を図1(配列番号:1;配列番号:3はオープンリーディ ングフレームのみを含む。)に示す。CARD-3タンパク質の推定アミノ配列を図2 に示す(配列番号:2)。CARD-4は長い形態であるCARD-4Lと短い形態のCARD-4S の少なくとも2つの形態、及び二つ以上のスプライス変異体を有する。ヒトCARD-
4Lタンパク質をコードする塩基配列を図3に示す(配列番号:7;配列番号:9は オープンリーディングフレームのみを含む。)CARD-4Lタンパク質の推定アミノ 配列を図4に示す(図8)。ヒトCARD-4Sタンパク質をコードする塩基配列を図5に
示す(配列番号:25;配列番号:27はオープンリーディングフレームのみを含む
。)CARD-4Sタンパク質の推定アミノ酸配列も図6に示す(配列番号:26)。図10
と図11(ヒトCARD-4Y)及び、図12と図13(ヒトCARD-4Z)はヒトCARD-4の二つの
別のスプライス変異体を示す(推定アミノ酸配列:配列番号:39及び41、核酸配
列:配列番号:38及び40)。これら二つのスプライス変異体はそれぞれ249及び1
64のアミノ酸を含むことが予想される。ヒトCARD-4Y、ヒトCARD-4Z 及びヒトCAR
D-4Lの配列(アライメント)を図14に示す。
【0050】 ヒトCARD-4タンパク質に加え、ヒトCARD-4Lのマウスのオルソログの全長塩基 配列を図15に示す(配列番号:42)。マウスCARD-4Lの配列をヒトCARD-4Lと共に
図17に示す。
【0051】 図1のヒトCARD-3のcDNA(配列番号:1)は、非翻訳領域を含む約1931ヌクレオ
チドの長さで、分子量約61kDaを有するタンパク質アミノ酸をコードする(翻訳 後修飾を除く)。ヒトCARD-3をコードするcDNAを含むプラスミド(cDNAのインサ
ート名 とともに)はアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、Mana
ssass、VA)に寄託され、アクセッション番号 として登録された。この寄 託物は、特許手続きを目的とする微生物の寄託の国際認識におけるブタペスト条
約の条件下で維持される。本寄託物は当業者の便宜にのみ行われ、寄託が35 U.
S. C. 112下で要求される許可ではない。
【0052】 図3のヒトCARD-4LのcDNA(配列番号:7)は、非翻訳領域を含む約3382ヌクレ オチドの長さで、分子量約108kDaを有するタンパク質アミノ酸をコードする(翻
訳後修飾を除く)。ヒトCARD-4L をコードするcDNAを含むプラスミド(cDNAのイ
ンサート名 とともに)はアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC
、Manassass、VA)に寄託され、アクセッション番号 として登録された。 この寄託は、特許手続きを目的とする微生物の寄託の国際認識におけるブタペス
ト条約の条件下で維持される。本寄託物は当業者の便宜にのみ行われ、寄託が35
U. S. C. 112の下で要求される許可ではない。
【0053】 図5のヒトCARD-4SのcDNA(配列番号:25)は、非翻訳領域を含む約3082ヌクレ
オチドの長さである。ヒトCARD-4SをコードするcDNAを含むプラスミド(cDNAの インサート名 とともに)はアメリカンタイプカルチャーコレクション(AT
CC、Manassass、VA)に寄託され、アクセッション番号 として登録された 。この寄託は、特許手続きを目的とする微生物の寄託の国際認識におけるブタペ
スト条約の条件下で維持される。本寄託は当業者の便宜のみに行われ、寄託が35
U. S. C. 112下で要求される許可ではない。
【0054】 ヒトCARD-4Lタンパク質の一領域(配列番号:8)は、CARD-3(配列番号:6) のCARDドメイン、ARC-CARD(配列番号:31)、cIAP1-CARD(配列番号:32)及び
cIAP2-CARD(配列番号:33)にある程度の類似性を有する。この比較を図7に示 す。
【0055】 0 ヒトCARD-3及びCARD-4はある保存された構造的及び機能的特徴を有する分子
のファミリー(CARDファミリー)のメンバーである。用語「ファミリー」が、本
発明のタンパク質及び核酸分子を示す場合には、ここに定義されるような共通の
構造的ドメイン及び十分なアミノ酸または核酸配列の同一性を有する複数のタン
パク質または核酸分子を意味することを意図する。このようなファミリーのメン
バーは天然に発生することができ、また同種または異種からも発生する。例えば
、ファミリーはヒト由来の1番目のタンパク質及びマウス由来の同タンパク質の
相同体、及び、特定のヒト由来の2番目のタンパク質及びマウス由来の同タンパ ク質の相同体を含むことができる。ファミリーのメンバーはまた共通の機能的特
徴を有することもある。
【0056】 一つの態様においては、CARD-3及びCARD-4タンパク質は、配列番号:6のCARD ドメイン、または、配列番号:10のCARDドメイン、或いは、配列番号:28のCARD
ドメインと少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なく
とも85%、95%あるいは98%のアミノ酸配列が同一であるCARDドメインを含む。
【0057】 本発明の好ましいCARD-3及びCARD-4のポリペプチドは、それぞれ、配列番号:
6、配列番号:10、配列番号:28のCARDドメインの共通アミノ酸配列と十分に同 一なアミノ酸配列を有する。CARD-3のポリペプチドはまた、配列番号:4のキナ ーゼドメインの共通配列に十分に同一なアミノ酸配列及び、配列番号:5のリン カードメインと十分に同一なアミノ酸配列を有する。CARD-4Lのポリペプチドは 、配列番号:11のヌクレオチド結合ドメインと十分に同一なアミノ酸配列、配列
番号:12のウォーカーボックス「A」と十分に同一なアミノ酸配列、または配列 番号:13のウォーカーボックス「B」と十分に同一なアミノ酸配列、配列番号:4
6のキナーゼ1aのサブドメインと十分に同一なアミノ酸配列、配列番号:47のキ ナーゼ2のサブドメインと十分に同一なアミノ酸配列、配列番号:14のキナーゼ3
aのサブドメインと十分に同一なアミノ酸配列、あるいは配列番号:14、配列番 号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号
:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23のロイシンリッチリピートと
十分に同一なアミノ酸配列を有する。本明細書で使用される「十分に同一な」と
いう用語は、二番目のアミノ酸または塩基配列と十分にまたは最小な数が同一な
、または同等な(例えば類似の側鎖を有するアミノ酸)アミノ酸残基またはヌク
レオチドを含む一番目のアミノ酸または塩基配列を意味し、1番目と2番目のア ミノ酸または塩基配列が共通の構造的ドメイン及び/または共通の機能活性を有
するものである。例えば、約65%、好ましくは75%、より好ましくは85%、95%
、あるいは98%の同一性を有する共通の構造的ドメインを含むアミノ酸または塩
基配列を、「十分に同一な」とここでは定義する。
【0058】 ここで互換的に使用されるように、「CARD-3またはCARD-4の活性」、「CARD-3
またはCARD-4の生物活性」、あるいは「CARD-3またはCARD-4の機能活性」は、常
法に従いインビボあるいはインビトロで測定されたCARD-3またはCARD-4反応性細
胞内のCARD-3またはCARD-4タンパク質ポリペプチドまたは核酸分子により働く活
性を意味する。CARD-3またはCARD-4の活性は、二番目のタンパク質との関連また
は二番目のタンパク質内の酵素活性のような直接的活性、またはCARD-3またはCA
RD-4タンパク質と2番目のタンパク質との相互作用により仲介される細胞シグナ ル活性のような間接的活性であることができる。ひとつの態様においては、CARD
-3またはCARD-4の活性は次にあげる活性の少なくとも一つまたは複数を有する:
(i)断片化シグナル経路におけるタンパク質との相互作用、(ii)CARD-3また はCARD-4のリガンドとの相互作用、(iii)細胞内標的タンパク質との相互作用 、(iv)カスパーゼとの直接的相互作用。例えば、実施例4ではCARD-3含有タン パク質はCARD-4含有タンパク質と会合することが示された。実施例9ではCARD-4 タンパク質はNF-eB媒介性転写を促進することが示された。実施例10ではCARD-3 及びCARD-4タンパク質はカスパーゼ9を促進することが示された。
【0059】 また本発明の別の態様は、CARD-3またはCARD-4の活性を有するCARD-3またはCA
RD-4タンパク質及びポリペプチドを取り上げる。
【0060】 本発明の様々な局面を次のサブセクションで詳しく説明する。
【0061】 I. 単離核酸分子 本発明の一つの局面は、CARD-3及びCARD-4タンパク質、またはそれらの生物活
性部分をコードする単離核酸分子、及びCARD-3及またはCARD-4をコードする核酸
(例えばCARD-3またはCARD-4のmRNA)を同定するためのハイブリダイゼーション
のプローブとして使用するに十分な核酸分子、及びCARD-3及びCARD-4の核酸分子
を増幅または変異させるためにPCRプライマーとして使用するための断片に関す る。ここで使用されるように、「核酸分子」という用語はDNA分子(例えばcDNA やゲノムDNA)、RNA分子(例えばmRNA)、及び核酸類似体を用いて作製されたDN
AまたはRNAの類似体を含むことを意図する。核酸分子は一本鎖でも二本鎖でよい
が好ましくは二本鎖DNAである。
【0062】 「単離された」核酸分子は核酸の天然の発生源に存在する別の核酸分子から分
離されたものである。好ましくは、「単離された」核酸(好ましくはタンパク質
をコードする配列)は、核酸が由来する生物のゲノムDNA内で該核酸に自然に隣 接する配列(例えば核酸の5'及び3'末端に位置する配列)を含まない。例えば、
様々な態様では、単離されたCARD-3又はCARD-4L/S核酸分子は、核酸が由来する 細胞のゲノムDNA内で核酸分子に自然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.
5kb、又は0.1kbより短い塩基配列を含むことができる。さらに、cDNA分子のよう
な「単離された」核酸分子は、実質的に細胞材料を、あるいは組換え技術により
作製された場合は他の培地材料を、または、化学的に合成された場合には化学的
前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。
【0063】 例えば配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:2
5、配列番号:26、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、ATCC のc
DNA、ATCC のcDNA、またはこれらの任意の核酸配列の相補的な塩基配列を 有する核酸分子のような、本発明の核酸分子を分子生物学の常法およびここで供
給される配列情報を用いて単離することができる。配列番号:1、配列番号:3 、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:38、配
列番号:40、配列番号:42、ATCC のcDNA、ATCC のcDNAの核酸配列の
全てまたは一部を、ハイブリダイゼーション用プローブとして使用し、ハイブリ
ダイゼーション及びクローニングの常法(例えば、Sambrookら編集、Molecular
Cloning; A Laboratory Manual、 第二版、Cold Spring Harbor Laboratory、Co
ld Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載の ように)を用いて、CARD-3及びCARD-4の核酸分子を単離することができる。
【0064】 本発明の核酸を、PCR増幅の常法に従い、鋳型としてcDNA、mRNA、またはゲノ ムDNAを、また適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、増幅することが できる。増幅した核酸は適切なベクターにクローニングし、DNA配列分析により 解析できる。さらにCARD-3及びCARD-4の塩基配列に対応するオリゴヌクレオチド
は、例えば自動DNA合成機を用いるなどして、標準的合成方法により作製できる 。
【0065】 別の態様においては、本発明の単離された核酸分子は配列番号:1、配列番号
:3、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:38 、配列番号:40、配列番号:42、ATCC のcDNA、ATCC のcDNA、または
それらの一部の相補的な塩基配列である核酸分子を有する。任意の塩基配列に相
補的な核酸分子は、任意の塩基配列にハイブリダイズできるに十分に任意の核酸
配列に相補的で、ハイブリダイズして安定な二本鎖を形成する分子である。
【0066】 さらに、本発明の核酸分子は、CARD-3及びCARD-4をコードする核酸配列の一部
だけを有することもでき、例えば、プローブまたはプライマーとして利用できる
断片、またはCARD-3及びCARD-4の生物活性部分をコードする断片を有することも
できる。ヒトCARD-3及びCARD-4のクローニングから決定された塩基配列、及びマ
ウスCARD-4遺伝子の一部を利用して、例えば、別の組織のような別の細胞のタイ
プでのCARD-3及びCARD-4の相同体、あるいは他の哺乳動物からのCARD-3及びCARD
-4の相同体またはオルトログの同定及び/またはクローニングに使用するために
設計されたプローブ及びプライマーを作成できる。該プローブ/プライマーは実
質的に精製されたオリゴヌクレオチドを特徴的に有する。該プローブ/プライマ
ーは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、ATCC のcDNA、ATCC のcDNA、または自然発生する配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列
番号:9、ATCC のcDNA、ATCC のcDNAの変異体の、少なくとも約12、 好ましくは約25、より好ましくは約50、75、100、125、150、175、200、250、30
0、350、または400の連続した核酸のセンスまたはアンチセンス配列とストリン ジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列の領域を有する。
【0067】 ヒトCARD-3またはCARD-4、またはマウスCARD-4の塩基配列に基づくプローブは
、同一のまたは類似なタンパク質をコードする転写産物またはゲノム配列を同定
するために利用できる。該プローブは例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素
、酵素補因子のような、付属の標識基を有する。このようなプローブは本発明の
CARD-3またはCARD-4タンパク質の対立遺伝子変異体やオルトログの同定、CARD-3
またはCARD-4タンパク質を誤発現する細胞または組織の同定のための診断試験キ
ットの一部として、例えば被験物からの細胞の検体内のCARD-3またはCARD-4をコ
ードする核酸のレベルを、例えば、CARD-3及びCARD-4のmRNAのレベルを検出する
、あるいはゲノムCARD-3またはCARD-4遺伝子が突然変異または欠失を起こしてい
るかどうかを決定するなどして測定することで、利用することができる。
【0068】 「CARD-3またはCARD-4Lの生物活性部位」をコードする核酸断片は、CARD-3ま たはCARD-4の生物活性を有するポリペプチドをコードする配列番号:1、配列番
号:3、配列番号:7、配列番号:9、またはATCC のcDNAの塩基配列、また はATCC のcDNAの塩基配列の一部を(例えばインビトロでの組換え発現などで)
単離し、CARD-3またはCARD-4タンパク質のコードされた部分を発現し、CARD-3ま
たはCARD-4のコードされた部分の活性を測定して、調整できる。例えば、CARD-3
またはCARD-4の生物活性部分をコードする核酸断片には、例えば配列列番号6、 配列番号:10、または配列番号:26のような、CARDドメインが含まれる。
【0069】 本発明はまた、遺伝暗号の縮重により、配列番号:1、配列番号:3、配列番 号:7、配列番号:9、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:38、配列番号:
40、配列番号:42、ATCC のcDNA、またはATCC のcDNAの塩基配列とは
異なり、従って、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:9、配 列番号:25、配列番号:27、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、ATCC のcDNA、またはATCC のcDNAに記載の塩基配列によりコードされるも
のと同じCARD-3及びCARD-4タンパク質をコードする核酸分子を有する。
【0070】 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:25、配 列番号:27、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42のATCC のcDNA、
またはATCC のcDNA記載のヒトCARD-3またはCARD-4の塩基配列、及び配列番
号:42記載のマウスCARD-4LのcDNA以外にも、CARD-3またはCARD-4のアミノ酸配 列内に変化を引き起こすDNA配列の多形が集団内(例えばヒトの集団)に存在す る可能性があることを当業者は認識すると思われる。このようなCARD-3またはCA
RD-4における遺伝子多形は、天然の対立遺伝子変異体により一つの集団内の個々
の間に存在する可能性がある。ここで使用されるように、「遺伝子」及び「組換
え遺伝子」という用語は、CARD-3またはCARD-4タンパク質、好ましくは哺乳動物
CARD-3またはCARD-4タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有
する核酸分子を示す。このような天然の対立遺伝子変異体は、典型的にはCARD-3
またはCARD-4遺伝子の塩基配列間の1-5%の変異につながる。天然の対立遺伝子 変異体の結果であり、またCARD-3またはCARD-4の機能活性を変化させないCARD-3
またはCARD-4内の任意の全てのこのような核酸変異とその結果のアミノ酸多形は
本発明の範囲内であることが意図される。
【0071】 さらに、別の種(例えばCARD-3またはCARD-4のオルトログ/相同体)からのCA
RD-3またはCARD-4をコードする核酸分子は、ヒトCARD-3またはCARD-4の塩基配列
とは異なった塩基配列を有しており、本発明の範囲内であることが意図される。
例えば、実施例5はマウスCARD-4のオルトログを示す。本発明のCARD-3またはCAR
D-4のcDNAの天然の対立遺伝子変異体や相同体に対応する核酸分子は、ストリン ジェントな条件下で、ハイブリダイゼーションの常法を用い、ヒトまたはマウス
のcDNA、またはその一部をハイブリダイゼーション用プローブとして用いて、こ
こで公開されたヒトCARD-3またはヒトまたはマウスCARD-4との同一性に基づき単
離することができる。一般的に、遺伝子の対立遺伝子変異体は該遺伝子と同じ染
色体上の位置にマッピングされ容易に同定されると思われる。例えば、実施例6 においては、ヒトCARD-4遺伝子の染色体上の位置はSHGC-31928遺伝子マーカーに
近い染色体7番上であることが発見される。ヒトCARD-4の対立遺伝子変異体は、S
HGC-31928遺伝子マーカーに近い染色体7番上のヒトCARD-4の遺伝子座へマッピン
グされ容易に同定されると思われる。
【0072】 さらにまた別の態様では、本発明の単離核酸分子は少なくとも300(325、350 、375、400、425、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、1300、160
0、あるいは1931)ヌクレオチドの長さで、ストリンジェントな条件下で、塩基 配列、好ましくは配列番号:1、配列番号:3またはATCC のcDNAのコード配
列を有する核酸分子にハイブリダイズする。また別の態様では、本発明の単離さ
れた核酸分子は少なくとも300(325、350、375、400、425、450、500、550、600
、650、700、800、900、1000、または1300、1640、1900、あるいは2200、2500、
2800、3100、または3382)ヌクレオチドの長さで、ストリンジェントな条件下で
、塩基配列、好ましくは配列番号:7、配列番号:9、配列番号:38、配列番号:
40、またはATCC のcDNAのコード配列を有する核酸分子にハイブリダイズす
る。また別の態様では、本発明の単離された核酸分子は少なくとも300(325、35
0、375、400、425、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、1300、16
40、1900あるいは2200、2500、2800、3100、3300、3600、3900、4200或いは4209
)塩基の長さで、ストリンジェントな条件下で、塩基配列、好ましくは配列番号
:42のコード配列を有する核酸分子にハイブリダイズする。
【0073】 ここで使われるように、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」
という用語は、少なくともお互いに60%(65%、70%好ましくは75%)同一な配
列がお互いに特異的にハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーション条
件及び洗浄条件を示すことを意図する。このようなストリンジェントな条件は当
業者に周知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley &So
ns, N. Y. (1989)の6.3.1-6.3.6で見つけることができる。ストリンジェント なハイブリダイゼーション条件の非限定的な例としては、約45度での6X塩化ナト
リウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブダイゼーション、50-65度での、
一回または複数回の0.2X SSC及び0.1%SDSでの洗浄がある。好ましくは配列番号
:1、配列番号:3、ATCC のcDNAの配列にストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズする本発明の単離された核酸分子は、自然発生する核酸分子に対応す
る。ここで使用されるように、「自然発生する」核酸分子とは、天然に発生する
塩基配列を有するRNAまたはDNA分子(例えば天然のタンパク質をコードする)を
意味する。
【0074】 集団内に存在する可能性のある自然発生するCARD-3またはCARD-4の対立遺伝子
変異体に加え、当業者は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列番号
:9、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:4
2、ATCC のcDNA、ATCC のcDNA、またはATCC のcDNAの塩基配列 へ突然変異により変異を導入し、それによりコードされたCARD-3、CARD-4L/Sタ ンパク質、CARD-4スプライス変異体、またはマウスCARD-4のアミノ酸配列に、CA
RD-3、CARD-4L/Sタンパク質、CARD-4スプライス変異体、またはマウスCARD-4の タンパク質の機能の変化を伴わないで、変化を起こすことができること認識する
と思われる。例えば、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸の置換につながるヌ
クレオチドの置換を行うことができる。「非必須」アミノ酸残基とは、生物活性
の変化を伴わず、CARD-3、CARD-4L/S、CARD-4スプライス変異体、マウスCARD-4 タンパク質の野生型配列(例えば配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配
列番号:39、配列番号:41及び配列番号:43の配列)から変化させることができ
る残基で、一方、「必須」アミノ酸残基は生物活性に不可欠である。例えば、 C
ARD-3、CARD-4L/S、CARD-4スプライス変異体,またはマウスCARD-4タンパク質の
様々な種間で保存されるアミノ酸残基は、とりわけ変化に従わないことが予測さ
れる。
【0075】 例えば、本発明の好ましいCARD-3またはCARD-4タンパク質は少なくとも一つの
CARDドメインを含む。また、CARD-3タンパク質は、少なくとも一つのキナ−ゼド
メイン、または少なくとも一つのリンカードメインを含む。CARDドメインは少な
くとも一つのヌクレオチド結合ドメイン、またはロイシンリッチリピートを含む
。このような保存されたドメインは突然変異に従いにくい。しかしながら他のア
ミノ酸残基は(例えば様々な種のCARD-3またはCARD-4間で保存されていないまた
は半保存されたアミノ酸残基)は、活性に不可欠ではないかもしれず、従って変
化に依存しやすい。
【0076】 また、本発明の別の局面は、活性に必須でないアミノ酸残基内の変化を含むCA
RD-3またはCARD-4タンパク質をコードする核酸分子に関する。このようなCARD-3
またはCARD-4タンパク質は、アミノ酸配列が配列番号:2、配列番号:8、配列番
号:25、配列番号:39、配列番号:41、または配列番号:43とは異なるが、しか
し、生物活性を保持する。別の態様においては、単離された核酸分子は、配列番
号:2、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配列番号:41または配列番
号:43のアミノ酸配列と少なくとも45%、65%、75%、85%、95%または98%同
一なアミ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列を含む。
【0077】 配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配列番号:41また
は配列番号:43の配列とは異なる配列を有するCARD-3またはCARD-4タンパク質を
コ−ドする単離核酸分子は、CARD-3(配列番号:1、配列番号:3、ATCC のcDNA)、またはCARD-4L(配列番号:7、配列番号:9、ATCC のcDNA)、
またはCARD-4S(配列番号:25、配列番号:27、ATCC のcDNA)または、ヒ
トCARD-4スプライス変異体(配列番号:38、配列番号:40、ATCC のcDNA )、またはマウスCARD-4(配列番号:42)への一つまたは複数の塩基の置換、付
加、又は欠失を導入し、従って一つまたは複数のアミノ酸の置換、付加、又は欠
失がコードされたタンパク質へ導入されることで作製される。突然変異は、部位
特異的変異誘発やPCR媒介性変異誘発のような常法により導入できる。好ましく は、保存的アミノ酸置換は、一つまたは複数の推定非必須アミノ酸残基でおこる
。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残
基で置換されるものである。類似の側鎖を有するのアミノ酸残基のファミリーは
当技術分野で定義されている。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えばリジン
、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸
)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、ス
レオニン、チロシン、システイン)、非電極側鎖(例えばアラニン、バリン、ロ
イシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトフ
ァン)、β分枝側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族
側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有
するアミノ酸を含む。従ってCARD-3またはCARD-4内の予測される非必須アミノ酸
は好ましくは同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基と置換される。また、例え
ば飽和変異誘発などを用いてCARD-3、またはCARD-4をコ−ドする配列の全てまた
は一部にランダムに突然変異を導入でき、得られた突然変異体でCARD-3、または
CARD-4の生物活性を選抜し、活性を保持する変異体を特定することができる。変
異誘発後、コードされたタンパク質を組換えて発現させ、タンパク質の活性を測
定できる。
【0078】 また別の態様では、変異体CARD-3、またはCARD-4タンパク質の(1)タンパク 質の形成能:断片化シグナル経路内でのタンパク質間の相互作用;(2)CARD-3 、またはCARD-4のリガンドへの結合能、または(3)細胞内標的タンパク質との 結合能を測定できる。例えば、(1)実施例7はCARD-3及びCARD-4間の物理的相互
作用の2ハイブリッドスクリーニング解析を示し、(2)実施例8はCARD-4とその
リガンドのhNUDC間の相互作用の2ハイブリッドスクリーニング解析を示し、(3
)実施例12はCARD-3とそのリガンドのCARD-4間の相互作用の免疫共沈降を示す。
また別の態様では、変異体CARD-3、またはCARD-4タンパク質における細胞増殖、
細胞分化、または細胞死の変調能が測定できる。例えば実施例10では、CARD-3ま
たはCARD-4による細胞死(アポトーシス)の制御の測定が示されている。また別
の態様では、変異体CARD-3またはCARD-4の細胞シグナル伝達経路の制御の測定が
できる。例えば実施例9では、CARD-4によるNF-κB経路の制御の測定が示されて いる。
【0079】 本発明は、アンチセンス核酸分子、すなわち、例えば二本鎖cDNA分子のコード
鎖に相補的、あるいは、mRNA配列に相補的などの、タンパク質をコードするセン
ス核酸に相補的な分子を含む。アンチセンス核酸はセンス核酸と水素結合する。
アンチセンス核酸は、例えばタンパク質をコードする領域(またはオープンリー
ディングフレーム)の全て、または一部のように、CARD-3またはCARD-4のコード
鎖に相補的または、それらの一部とのみ相補的であることができる。アンチセン
ス核酸分子はCARD-3またはCARD-4をコードする塩基配列のコード鎖の非コーディ
ング領域にアンチセンスであることもできる。非コーディング領域(「5'及び3'
非翻訳領域」)はコーディング領域に隣接するが、アミノ酸へは翻訳されない5'
及び3'配列である。
【0080】 本明細書で開示されたCARD-3またはCARD-4をコードするコード鎖配列(例えば
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:25、配列番
号:27、配列番号:38、配列番号:40又は配列番号:42)が得られれば、本発明
のアンチセンス核酸をワトソンとクリックの塩基対の法則にしたがって設計でき
る。アンチセンス核酸分子はCARD-3またはCARD-4L/SのmRNAの全コーディング領 域と相補的であることができるが、しかしより好ましくは、CARD-3またはCARD-4
のmRNAのコーディング領域または非コーディング領域の一部にのみアンチセンス
であるオリゴヌクレオチドである。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、
例えば配列CCCTGGTACTTGCCCCTCCGGTAG(配列番号:34)およびCCTGGTACTTGCCCCT
CC(配列番号:35)の配列を有するオリゴヌクレオチドのように、CARD-3のmRNA
の翻訳開始部位の周辺領域と相補的な、または例えば配列TCGTTAAGCCCTTGAAGACA
GTG(配列番号:36)またはTCGTTAGCCCTTGAAGACCAGTGAGTGTAG(配列番号:37) 配列を有するオリゴヌクレオチドのように、CARD-4のmRNA翻訳開始部位の周辺領
域と相補的であることもできる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは例えば約10
、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチドの長さである。本発明のア
ンチセンス核酸は当技術分野で周知の方法を用いた化学合成及び酵素連結反応を
用いて構築できる。例えば、アンチセンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌク
レオチド)は、自然発生する塩基、または該分子の生物学的安定を促進するため
、またはアンチセンス及びセンス核酸間に形成された二本鎖の安定を促進するた
めに設計された様々な修飾塩基を用いて化学的に合成でき、例えばホスホロチオ
エート誘導体やアクリジン置換塩基を用いることができる。アンチセンス核酸を
作製するために使用できる修飾塩基の例には5-フルオロウラシル、5-ブロモウラ
シル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-
アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキ
シメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキメチルアミノメチルウラシ ル、ジヒドウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6- イソペンテ ニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、
2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、
N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシ アミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5'-メトキシカルボ キシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルア
デニン、ウラシル-5-オキシ酸酢(v)、ワイブトコシン、シュードウラシル、ケ
オシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4--チオ
ウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシ ル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボ
キシプロピル)ウラシル、(acp3)w、及び2,-6ジアミノプリンが含まれる。ま た、核酸がアンチセンスの方向にサブクローニングされた発現ベクターを用いて
、アンチセンス核酸を生物学的に作成することができる(すなわち、次のサブセ
クションで詳しく述べるように、挿入核酸から転写されたRNAは対象の標的核酸 に対してアンチセンス方向となる。)
【0081】 本発明のアンチセンス核酸分子は、特徴的に被験物に投与されるか、またはCA
RD-3またはCARD-4タンパク質をコードする細胞mRNA及び/またはゲノムDNAにハ イブリダイズするまたは結合するようにインサイチューで作製され、例えば、転
写または翻訳を阻害するなどして、該タンパク質の発現を阻害する。ハイブリダ
イゼーションは従来のヌクレオチド相補性により行われ、安定な二本鎖を形成し
、または、例えばDNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重らせ んの主グルーブ内での特定の相互作用による。本発明のアンチセンス核酸分子の
投与経路の例には、組織部位への直接注入が含まれる。また、アンチセンス核酸
分子を修飾し、選択した細胞を標的とし全身投与できる。例えば、全身投与の場
合、例えば細胞表面レセプターや抗原に結合するペプチドや抗体にアンチセンス
核酸分子を結合させるなどして、選択した細胞表面で発現するレセプターや抗体
に特異的に結合するようにアンチセンス核酸分子を修飾できる。アンチセンス核
酸分子は、また、ここで表記するベクターを用いて細胞に運搬できる。アンチセ
ンス分子の十分な細胞内濃度を得るために、アンチセンス核酸分子が強力なpol
IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれたベクターの構築物が好ましい 。
【0082】 本発明のアンチセンス核酸分子はまたαアノマー核酸分子であることもできる
。αアノマー核酸分子は相補的RNAとの特定の二本鎖ハイブリッドを形成し、そ こでは通常のβユニットとは逆で、鎖がお互いに平行である(Gaultierら、1987
、Nucleic Acids. Res. 15:6625-6641)。アンチセンス核酸分子はまた2'-o-メ チルリボヌクレオチド(井上ら、1987、Nucleic Acids Res. 15:6131-6148)ま たは、キメラRNA-DNA類似体(井上ら、1987、FEBS Lett. 215: 327-330)を含む
ことができる。
【0083】 本発明はまたリボザイムを含む。リボザイムは、mRNAのような、相補的な領域
を有する一本鎖核酸を切断できるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子で ある。従って、リボザイム(例えばHaselhoffとGerlach、1988、Nature 334: 58
5-591に示されるハンマーヘッドリボザイムなど)を利用して、触媒的にCARD-3 又はCARD-4のmRNAの転写産物を切断し、CARD-3又はCARD-4のmRNAの翻訳を阻害で
きる。CARD-3又はCARD-4をコードする核酸への特異性を有するリボザイムを本明
細書に開示するCARD-3又はCARD-4のcDNAの核酸配列(例えば配列番号:1、配列 番号:3、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:25、配列番号:27、配列番号 :38、配列番号:40及び配列番号:42)に基づき設計することができる。例えば
CARD-3又はCARD-4をコードするmRNAにおいて、活性部位の塩基配列が切断される
塩基配列と相補的であるテトラヒメナ(Tetrahymena)L-19 IVS RNAの誘導体を 構築することができる。例えば、Cechら、米国特許第4,987,071号、Cechら、米 国特許第5,116,742号参照。また、CARD-3又はCARD-4のmRNAを用い、RNA分子のプ
ールから特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選抜できる。Bartel とSzostak、1993、Science 261: 1411-1418参照。
【0084】 本発明はまた三重螺旋構造を形成する核酸分子を含む。例えば、CARD-3又はCA
RD-4の調節領域(例えばCARD-3又はCARD-4のプロモーター及び/またはエンハン
サー)に相補的な塩基配列を標的として、標的細胞内のCARD-3又はCARD-4の転写
を阻害する三重螺旋構造を形成させ、CARD-3又はCARD-4の遺伝子発現を阻害する
ことができる。一般的なものとして、Helene、1991、Anticancer Drug Des. 6 (
6): 569-84; Helene (1992)、Ann. N. Y. Acad Sci. 660:27-36; 及びMaher、19
92、Bioassays、 14 (12): 807-15参照。
【0085】 一態様においては、本発明の核酸分子は塩基部分、糖部分、または燐酸バック
ボーンで修飾でき、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、あるいは
溶解度を改変できる。例えば、核酸のデオキシリボース燐酸バックボーンを修飾
し、ペプチド核酸を作製できる(Hyrupら、1996、Bioorganic & Mdeical Chemis
try 4 (1): 5-23参照)。ここで使用される「ペプチド核酸」や「PNA」という用
語は、デオキシリボースリン酸バックボーンが擬似ペプチドバックボーンに置換
され、わずか4つの元来の核塩基のみが残っている、例えばDNA模倣物などの、核
酸模倣物を意味する。PNAの中性バックボーンは、低いイオン強度条件下では、 特異的なDNA及びRNAのハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている
。Hyrupら(1996、上記); Perry-O' Keefeら、1996、Proc Natl. Acad. Sci. U
SA 93: 14670-675が示す固相ペプチド合成の常法により、PNAオリゴマーを合成 できる。
【0086】 CARD-3又はCARD-4のPNAを治療及び診断へ応用できる。例えば、PNAをアンチセ
ンスまたは抗原剤として用い、例えば転写の促進または翻訳停止または複製を阻
害するなどして、遺伝子発現を配列特異的に修飾できる。CARD-3又はCARD-4のPN
Aはまた、例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup、1996、上記)等の他の酵素と組み合 わせて用いる場合には「人工制限酵素」として、またDNA配列決定及びハイブリ ダイゼーションのためのプローブやプライマーとして、(Hyrupら、1996、上記;
Perry-O' Keefeら、1996、Proc Natl. Acad. Sci. USA 93: 14670-675)例えば
PNS特異的PCRクランピングにより、遺伝子内の単一塩基対の突然変異を分析する
ことなどに利用できる。
【0087】 また別の態様に於いては、親油性または別のヘルパー基をPNAに付着させたり 、または、PNA-DNAのキメラを形成して、あるいは、当技術分野で既知のリポソ ームや別の薬物運搬方法を用いて、CARD-3又はCARD-4のPNAを修飾して、例えば 、それらの安定性や細胞への取込みを向上させることができる。例えば、CARD-3
又はCARD-4のPNA-DNAのキメラを作製し、PNA又はDNAの有利な形質を組み合わせ ることができる。このようなキメラを用い、PNA部分が高い結合親和性や特異性 を与える一方で、例えばRNAse HやDNAポリメラーゼ等のDNA制限酵素がDNA部分に
作用することができる。PNA-DNAのキメラは、塩基のスタッキングや、核塩基間 の結合数、方向(Hyrup、1996、上記)に基づき選択された適切な長さのリンカ ーを用いて結合させることができる。Hyrup、1996、上記やFinnら、1996、Nucle
ic Acids Research 24 (17): 3357-63に記載のようにして、PNA-DNAのキメラを 合成できる。例えば、標準的なホスホルアミダイトカップリング化学やを用いて
固相上でDNA鎖を合成でき、修飾ヌクレオシド類似体、例えば5'-4(-メトキシト リチル)アミノ-5'-デオキシ-チミジンホスホロアミダイトをPNAとDNAの5'末端 との間において用いることができる(Magら、1989、Nucelic Acid Res. 17: 597
3-88)。PNAモノマーをその後段階的にカップリングさせ、5' PNAセグメント及 び3' DNAセグメントを有するキメラ分子を作製できる(Finnら、1996、Nucleic
Acid Res. 24 (17): 3357-63)。また、5' DNAセグメント及び3'PNAセグメント を有するキメラ分子を合成することもできる(Peterserら、1975、Bioorganic M
ed. Chem. Lett. 5: 1119-11124)。
【0088】 別の態様においては、オリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えばインビボで宿
主細胞レセプターを標的にするために)、または細胞膜間の輸送を容易にする薬
剤(例えばLetsinger ら、1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 6553-6556;
Lemaitreら、1987、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 648-652; PCT国際公開公 報第88/09810号参照)、もしくは血液−脳関門(例えばPCT国際公開公報第89/10
134号参照)の輸送を容易にする薬剤等の他の付属基を含む。さらに、オリゴヌ クレオチドはハイブリダイゼーション刺激切断剤(例えばKrolら、1988、Bio/Te
chniques 6: 958-976参照)、または挿入剤(例えばZon、1988、Pharm. Res. 5:
539-549参照)などで修飾できる。このために、オリゴヌクレオチドは、例えば
ペプチド、ハイブリダイゼーション刺激クロスリンカー剤、輸送剤、ハイブリダ
イゼーション刺激切断剤等の別の分子に接合させることも可能である。
【0089】 II. 単離CARD-3又はCARD-4タンパク質、及び抗CARD-3抗体又は抗CARD-4抗体 本発明の一つの局面は単離されたCARD-3又はCARD-4タンパク質、それらの生物
活性部位、及び抗CARD3抗体又は抗CARD4抗体を作成するための免疫原としての使
用に適したポリペプチドの断片を含む。一つの態様では、天然のCARD-3又はCARD
-4タンパク質は、タンパク質精製の常法により、適切な精製の計画で細胞または
組織源から単離できる。また別の態様では、CARD-3又はCARD-4タンパク質は、組
換えDNA技術で製造できる。組換え発現の代わりに、CARD-3又はCARD-4タンパク 質またはポリペプチドはペプチド合成の常法により化学合成できる。
【0090】 単離された、または精製されたタンパク質、またはそれらの生物活性部位は、
実質的に細胞材料やまたはCARD-3又はCARD-4が派生する細胞や組織材料に汚染さ
れたタンパク質を含まない、または化学合成された場合には、化学的前駆体や別
の化学物質を実質的に含まない。「実質的に細胞材料を含まない」という用語は
、CARD-3又はCARD-4がそこから単離または組換えて生産された細胞の細胞構成物
質からタンパク質が単離される、CARD-3又はCARD-4の調整品を含む。従って、細
胞材料を実質的に含まないCARD-3又はCARD-4には、非CARD-3又はCARD-4タンパク
質(ここではまた「汚染タンパク質」とも表現される。)を約30%、20%、10%
、または5%未満有するCARD-3又はCARD-4の調整品が含まれる。CARD-3又はCARD-
4タンパク質、あるいはそれらの生物活性部位が組換えて製造される場合、好ま しくは培地を実質的に含まず、すなわち培地は、タンパク質調整品の体積の約20
%、10%、または5%未満である。CARD-3又はCARD-4タンパク質を化学合成する 場合、好ましくは、化学的前駆体や別の化学物質を含まず、すなわち、タンパク
質の合成に関係した化学的前駆体や別の化学物質から分離される。従って、この
ようなCARD-3又はCARD-4タンパク質の調整品は、約30%、20%、10%、5%(乾 燥重量に基づく)未満の化学的前駆体または非CARD-3又はCARD-4化学物質を含む
【0091】 CARD-3又はCARD-4の生物活性部位にはCARD-3又はCARD-4タンパク質のアミノ酸
配列と十分に同一な配列、またはCARD-3又はCARD-4タンパク質のアミノ酸配列か
ら派生したアミノ酸配列(例えば配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配
列番号:39、配列番号:41または配列番号:43に記載のアミノ酸配列等)を有す
るペプチドが含まれ、それらは、全長CARD-3又はCARD-4タンパク質より少数のア
ミノ酸を含むか、あるいはCARD-3又はCARD-4タンパク質の少なくとも一つの活性
を示す。特徴的に生物活性タンパク質はCARD-3又はCARD-4タンパク質の少なくと
も一つの活性を有するドメインまたはモチーフを有する。CARD-3又はCARD-4タン
パク質の生物活性部位は、例えば、10、25、50、100叉はそれ以上の長さのアミ ノ酸を有するポリペプチドである。好ましいCARD-3又はCARD-4タンパク質の生物
活性部位には、一つまたは複数の同定されたCARD-3又はCARD-4の構造ドメイン、
例えば、CARDドメイン(配列番号:6、配列番号:10または配列番号:27)が含 まれる。
【0092】 さらに、別の生物活性タンパク質には、タンパク質の別の領域が欠失している
ものがあり、これらは組換え技術により調整でき、天然のCARD-3又はCARD-4タン
パク質の一つまたは複数の機能活性を評価できる。
【0093】 CARD-3又はCARD-4タンパク質は配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配
列番号:39、配列番号:41または配列番号:43に記載のアミノ酸配列を有する。
他の有益なCARD-3又はCARD-4タンパク質は、天然の対立遺伝子変異体または変異
誘発により、アミノ酸配列は異なっているものの、配列番号:2、配列番号:8、
配列番号:26、配列番号:39、配列番号:41または配列番号:43と実質的に同一
で、また、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配列番号
:41または配列番号:43のタンパク質の機能活性を保持する。CARD-3又はCARD-4
はアポトーシス経路内でのカスパーゼの活性化に関係している。例えば、実施例
10では、CARD-4がカスパーゼ9活性を促進させることが示されている。また、有 益なCARD-3又はCARD-4タンパク質は、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26
、配列番号:39、配列番号:41または配列番号:43に記載のアミノ酸配列と少な
くとも約45%、好ましくは55%、65%、75%、85%、95%または99%同一なアミ
ノ酸配列を含み、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配
列番号:41または配列番号:43のCARD-3又はCARD-4タンパク質の機能活性を保持
するタンパク質である。別の例としては、CARD-3又はCARD-4タンパク質は、CARD
-3又はCARD-4LのCARDドメイン(配列番号:6、配列番号:10及び配列番号:27 )と55%、65%、75%、85%、95%または98%同一なアミノ酸配列を有するタン
パク質である。また別の態様では、CARD-3又はCARD-4タンパク質は配列番号:2 、配列番号:8、配列番号:26、配列番号:39、配列番号:41または配列番号:4
3のCARD-3又はCARD-4タンパク質の機能活性を保持する。
【0094】 二つのアミノ酸配列または核酸配列の同一性を決定するために、配列は最適な
比較を目的として整列化される(例えば、二番目のアミノ酸または核酸配列との
最適な配列のために、第一のアミノ酸または核酸配列にギャップが導入できる。
)その後、対応するアミノ酸の位置、または塩基の位置でのアミノ酸残基または
塩基を比較する。最初の配列のある位置が二番目の配列内の対応する位置と同じ
アミノ酸残基または塩基で占められている場合、この位置での分子は同一となる
。二つの配列間での同一性の百分率は同一な位置の数を配列で割った関数である
(例えば、同一性%=同一な位置の数/全位置数x100)。
【0095】 二つの配列の相同性百分率は数学アルゴリズムを用いて決定できる。二つの配
列の比較に使用する数学アルゴリズムの、好ましい、しかし非限定的な二つの配
列の比較に利用される数学アルゴリズムの例として、KarlinとAltschul(1990、
Proc Nat'lAcad Sci. USA 87: 2264-2268)のアルゴリズムで、KarlinとAltschul
(1993、Proc Nat'lAcad Sci. USA 90: 5873-5877)によって改変されたものがあ
げられる。このようなアルゴリズムは、Altschulら(1990、J. Mol. Biol. 215:
403-410)のNBLAST及びXBLASTプログラムに取り入れられた。BLAST塩基検索を スコアーが100、単語数が12でNBLASTのプログラムで行い、本発明のCARD-3又はC
ARD-4核酸分子と類似のまたは相同な塩基配列を得ることができる。例えば、実 施例5はTBLASTプログラムを使って、ヒトCARD-4ペプチド配列でcDNA配列の全長 または部分配列のデータベースを検索し、マウスCARD-4を発見する例が示されて
いる。また実施例4では、BLASTNを使って、CARD-4の5'非翻訳配列で占有ESTの データベースを検索し、二つのヒトCARD-4のスプライス変異体を発見する例が示
されている。BLASTタンパク質検索は、スコアーが50、単語数が3でXBLASTプログ
ラムを用いて行われ、本発明のCARD-3又はCARD-4タンパク質分子と相同なアミノ
酸配列を得ることができる。比較のためのギャップのある配列を得るために、Al
tschulら(1997、Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402)に記載のように、ギャッ
プBLASTを用いることができる。BLAST及びギャップBLASTプログラムを使用する 場合は、それぞれのプログラムの不履行パラメーター(例えばXBLAST及びNBLAST
)使用できる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.参照。配列の比較に使用する数学
アルゴリズムの、好ましい、しかし非限定的な別の例としては、MyersとMiller 、CABIOS(1989)のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムはGCG配列アラ イメントソフトウエアのパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2
.0)へ取り込まれる。アミノ酸配列の比較のためにALIGNプログラムを使用する 場合は、PAM120ウェイト残基表、12のギャップ長ペナルティー、及び4ギャップ 長ペナルティーを使用できる。
【0096】 二つの配列間の同一性百分率は、ギャップありかまたはなしで先述の方法に類
似の方法で決定できる。同一性百分率を計算する場合、正確な一致のみを数える
【0097】 本発明はCARD-3又はCARD-4のキメラまたは融合タンパク質を供給する。本明細
書において使用されるCARD-3又はCARD-4の「キメラタンパク質」または「融合タ
ンパク質」は、非CARD-3又はCARD-4ポリペプチドと機能的に結合したCARD-3又は
CARD-4ポリペプチドを有する。「CARD-3又はCARD-4ポリペプチド」とは、CARD-3
又はCARD-4L/S、またはマウスCARD-4、またはヒトCARD-4スプライス変異体に対 応するアミノ酸配列を有するポリピペプチドを意味し、一方、「非CARD-3又はCA
RD-4ポリペプチド」は、CARD-3又はCARD-4L/S、またはマウスCARD-4、またはヒ トCARD-4スプライス変異体と実質的に同一でないタンパク質に対応するアミノ酸
配列を有するポリペプチド、例えば、CARD-3又はCARD-4タンパク質とは異なるタ
ンパク質、及び同じまたは異なる生物由来のタンパク質に対応するアミノ酸配列
を有するポリペプチドを意味する。CARD-3又はCARD-4Lの融合タンパク質間では 、CARD-3又はCARD-4ポリペプチドは、CARD-3又はCARD-4の全てまたは一部に対応
し、好ましくは少なくとも、CARD-3又はCARD-4の生物活性部位の一つに対応する
。融合タンパク質間では、「機能的に結合する」という用語はCARD-3又はCARD-4
ポリペプチドと、非CARD-3又はCARD-4ポリペプチドがフレーム内でお互いに融合
していることを意味する。非CARD-3又はCARD-4ポリペプチドはCARD-3又はCARD-4
ポリペプチドのN-末端またはC-末端と融合することができる。
【0098】 有効な融合タンパク質の一つとしては、GST配列のC末端とCARD-3又はCARD-4配
列が融合しているGST-CARD-3またはGST-CARD-4融合タンパク質がある。このよう
な融合タンパク質は組換えCARD-3又はCARD-4の精製を容易にする。
【0099】 別の態様では、融合タンパク質は別のタンパク質のシグナル配列を含む。ある
宿主細胞(例えば哺乳類の宿主細胞)では、CARD-3又はCARD-4の発現及び/また
は分泌は非相同なシグナル配列により増幅できる。例えば、バキュロウイルス膜
タンパク質のgp67分泌配列を非相同なシグナル配列として使用できる(Current
Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons、1992)。
また、別の真核生物の非相同なシグナル配列の例には、メリチン(melittin)及
びヒトの胎盤のアルカリホスファターゼ(Stratagene;LA Jolla、CAlifornia)
の分泌配列が含まれる。また別の例として、有効な原核生物の非相同名なシグナ
ル配列の例には、phoA分泌シグナル(Molecular Cloning Sambrookら、第2版、C
old Spring Harbor Laboratory Press、1989)やタンパク質A分泌シグナル(Pha
rmacia Biotech;Piscataway、New Jersey)が含まれる。
【0100】 また別の態様では、融合タンパク質は、CARD-3又はCARD-4の全てまたは一部が
、イムノグロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列と融合して
いるCARD-3又はCARD-4-イムノグロブリン融合タンパク質である。本発明のCARD-
3又はCARD-4-イムノグロブリン融合タンパク質を薬学的組成物中に取り入れ、被
験者に投与し、細胞表面でのCARD-3又はCARD-4のリガンドとCARD-3又はCARD-4タ
ンパク質との相互作用を阻害し、それによりインビボでのCARD-3又はCARD-4媒介
性シグナル伝達を阻害することができる。CARD-3又はCARD-4イムノグロブリン融
合タンパク質は、CARD-3又はCARD-4の同種リガンドの生体利用性に作用するため
に使用できる。CARD-3リガンド/CARD-3またはCARD-4リガンド/CARD-4間の相互
作用の阻害は増殖及び分化の異常の治療、及び細胞生存の調整(例えば促進また
は阻害)にとって、治療上有効である可能性がある。さらに、本発明のCARD-3又
はCARD-4イムノグロブリン融合タンパク質を免疫原として使用し、被験者内で抗
CARD-3または抗CARD-4抗体を生産し、CARD-3またはCARD-4のリガンドを精製し、
スクリーニング解析においてCARD-3またはCARD-4とCARD-3またはCARD-4のリガン
ドの相互作用を阻害する分子を同定できる。
【0101】 好ましくは、CARD-4とCARD-3のキメラ又は融合タンパク質は組換えDNAの常法 により製造できる。例えば、異なったポリペプチド配列をコードするDNA断片を 、例えば、結合用の平滑または付着末端を用い、制限酵素で適切な末端を設け、
適切に付着末端を埋め、アルカリホスファターゼ処理で望ましくない結合を避け
、酵素連結を行うなど従来の方法に従ってインフレームで連結できる。また別の
態様では自動DNA合成機などの従来の方法で、融合遺伝子を合成できる。また、 アニールして再増幅された二つの連続した遺伝子断片間で相補的オーバーハング
を産出するアンカープライマーを用いて遺伝子断片を増幅し、キメラ遺伝子配列
を作製できる(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編 、John WileyとSons:1992参照)。さらに、すでに融合部分(例えばGSTポリペ プチド)をコードする多くの発現ベクターを購入できる。CARD-3及びCARD-4をコ
ードする核酸はこのような発現ベクターにクローニングされ、融合部分はCARD-4
及びCARD-3タンパク質とインフレームで連結する。
【0102】 本発明はまた、CARD-3もしくはCARD-4のアゴニスト(模倣物)またはCARD-3も
しくはCARD-4のアンタゴニストとして機能するCARD-3またはCARD-4タンパク質の
変異体に関係する。例えばCARD-3またはCARD-4タンパク質の点突然変異や短縮(
端の切り取り)等の変異誘発によりCARD-3またはCARD-4タンパク質の変異体を産
出できる。CARD-3またはCARD-4タンパク質のアゴニストは、自然発生するCARD-3
またはCARD-4タンパク質の形態と実質的に同様の生物活性、またはそれらのサブ
セットを維持する。CARD-3またはCARD-4タンパク質のアンタゴニストは、例えば
、CARD-3またはCARD-4タンパク質を含む細胞シグナルカスケードの下流または上
流メンバーへの競合的結合等により、自然発生するCARD-3またはCARD-4タンパク
質の形態の一つまたは複数の活性を阻害することができる。従って、限定的な機
能の変異体と共に処理することによって特異的な生物学的作用を促進できる。該
タンパク質の自然発生する形態の生物活性のサブセットを有する変異体によって
被験者を治療し、CARD-3またはCARD-4タンパク質における自然発生する形態での
治療と比較することで被験者への副作用を軽減できる。
【0103】 CARD-3またはCARD-4のアゴニスト(模倣物)またはCARD-3またはCARD-4タンパ
ク質のアンタゴニストとして機能するCARD-3またはCARD-4タンパク質の変異体を
、例えばCARD-3またはCARD-4タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストの活
性においてCARD-3またはCARD-4タンパク質のトランケーション変異体等の、変異
体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングして同定できる。別の態様
では、CARD-3またはCARD-4の変異体の種々のライブラリーは、核酸レベルでのコ
ンビナトリアル変異誘発により産出され、様々なライブラリーでコードされる。
様々なCARD-3またはCARD-4の変異体ライブラリーは、例えば合成オリゴヌクレオ
チドの混合物を遺伝子配列へ酵素を用いて結合し、可能性のあるCARD-3またはCA
RD-4の配列の縮重セットを個々のポリペプチドとして、あるいはCARD-3またはCA
RD-4の配列の集合を含むより大きな融合タンパク質(例えばファージディスプレ
イのため)として発現できる方法により産出できる。縮重オリゴヌクレオチド配
列から可能性のあるCARD-3またはCARD-4の変異体のライブラリーを産出できる様
々な方法がある。自動DNA合成機で縮重オリゴヌクレオチド配列を化学合成し、 合成遺伝子を適切な発現ベクターと結合させる。遺伝子の縮重セットを用いて、
可能性のあるCARD-3またはCARD-4の配列の所望のセットをコードする全ての配列
を、一つの混合物内で調整できる。縮重オリゴヌクレオチドの合成方法は当技術
分野では周知である(例えば、Narang、1983、Tetrahedron 39:3、Itakuraら、1
984、Annu. Rev. Biochem. 53: 323; Itakuraら、1984、Scicence 198: 1056; I
keら、1983、nucleic Acid Res. 11: 477参照)。
【0104】 有効なCARD-3またはCARD-4の断片には、例えばキナーゼドメインまたはCARDド
メインのような、本明細書に記載のドメインまたはサブドメインを含む断片、ま
たはそれらから成る断片が含まれる。
【0105】 さらには、CARD-3またはCARD-4タンパク質をコードする配列の断片のライブラ
リーを用いて、様々なCARD-3またはCARD-4断片の集団を作製し、 CARD-3またはC
ARD-4タンパク質の変異体をスクリーニングしその後選抜できる。一つの態様で は、CARD-3またはCARD-4をコードする配列の二本鎖PCR断片を、一分子につきニ ックが約一回だけ起る条件下でヌクレアーゼ処理し、二本鎖DNAを変性させ、DNA
を復元し、異なったニック産物からのセンス/アンチセンス対を含む二本鎖DNA を形成し、S1ヌクレアーゼ処理で、復元した二本鎖から一本鎖の部分を削除し、
得られた断片を発現ベクターに結合して、コード配列断片のライブラリーを作製
できる。この方法で、CARD-3またはCARD-4タンパク質のN末端及び様々な大きさ の内部断片をコードする発現ライブラリーができる。
【0106】 点突然変異またはトランケーションで作製されたコンビナトリアルライブラリ
ーの遺伝子産物をスクリーニングし、また、選択された形質を有する遺伝子産物
をcDNAライブラリーからスクリーニングする幾つかの方法が当技術分野では周知
である。このような方法はCARD-3またはCARD-4タンパク質のコンビナトリアル変
異誘発で産出された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適応する。最
も広く使われている、高処理量分析が容易な、大きな遺伝子ライブラリーのスク
リーニング方法には、典型的に、複製可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリ
ーのクローニング、得られたライブラリーベクターの適切な細胞のトランスフォ
ーメーションと、望ましい活性の検出によって、その産物が検出された遺伝子を
コードするベクターの単離を容易にする条件下でのコンビナトリアル遺伝子の発
現とが含まれる。ライブラリー内の機能的変異体の頻度を増加させる方法である
、リカーシブアンサンブル変異誘発(Recursive ensemble mutagenesis: REM) を、スクリーニング解析と共に用いて、CARD-3またはCARD-4変異体を同定できる
(ArkinとYourvan、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 7877-7815; Delgra
veら、1993、Protein Engineering 6(3): 327-331)。
【0107】 単離されたCARD-3またはCARD-4タンパク質、またはその一部または断片を免疫
原として用い、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体作成の常法で、 C
ARD-3またはCARD-4に結合する抗体を作製できる。また、全長CARD-3またはCARD-
4タンパク質を用い、代替的には本発明により、CARD-3またはCARD-4の抗原ペプ チドの断片を作成し、免疫原として使用できる。CARD-3またはCARD-4の抗原ペプ
チドは、配列番号:2、配列番号:8、配列番号:26また配列番号:39または配列
番号:41または配列番号:43に記載のアミノ酸配列の少なくとも8個(好ましく
は、10、15、20又は30個)のアミノ酸残基、またはヒトCARD-4Lの129〜139位ま たは287〜298位アミノ酸を含むポリペプチドを含み、且つCARD-3またはCARD-4の
エピトープを含み、該ペプチドに対して産性された抗体がCARD-3またはCARD-4と
特異的な免疫複合体を形成する。
【0108】 有効な抗体には、例えばキナーゼドメインやCARDドメインなどの、本明細書に
記載するCARD-3またはCARD-4のドメインまたはサブドメインに結合する抗体を含
む。
【0109】 抗原ペプチドに含まれる好ましいエピトープは、例えば親水性領域等の、該タ
ンパク質の表面に位置するCARD-3またはCARD-4の領域である。他の重要な基準と
して、末端配列が好ましいこと、高い抗原指数(例えばJameson-Wolfのアルゴリ
ズムにより予測されるもの)、ペプチド合成が容易であること(例えばプロリン
の削除)や表面の可能性が高いこと(例えばEminiのアルゴリズムにより予測さ れるもの、図8及び9)を含む。
【0110】 CARD-3またはCARD-4の免疫原を利用し、典型的に、適当な被験者(例えばウサ
ギ、ヤギ、マウスや他の哺乳動物)を免疫原で免疫して抗体を作製できる。適切
な免疫原の調整品としては、例えば、発現されたCARD-3またはCARD-4組換えタン
パク質、または化学合成CARD-3またはCARD-4ポリペプチドを含む。調整品はさら
に、例えばフロイントの完全または不完全アジュバント等のアジュバント、また
は類似の免疫促進剤を含む。適切な被験者の免疫原CARD-3またはCARD-4調整品に
よる免疫は、抗CARD-3または抗CARD-4のポリクローナル抗体反応を促進する。例
えば、ヒトCARD-4Lのアミノ酸128〜139位または、287〜298位を含むポリペプチ ドはKLHに接合し、得られた接合体を用いてウサギに免疫し、二つの免疫原ペプ チドを特異的に認識するポリクローナル抗体が製造された。
【0111】 また、本発明の別の局面は抗CARD-3抗体または抗CARD-4抗体に関する。「抗体
」という用語はここでは、イムノグロブリン分子や、イムノグロブリン分子の免
疫学的に活性な部分、すなわち、CARD-3またはCARD-4のような抗原に特異的に結
合する抗原結合部位をもつ分子を指す。CARD-3またはCARD-4に特異的に結合する
分子はCARD-3またはCARD-4に結合する分子ではあるが、例えば元来CARD-3または
CARD-4を有する生物検体等の検体内のような試料中においては、別の分子と実質
的に結合しない分子である。イムノグロブリン分子の免疫学的に活性な部分には
、ペプシンなどの酵素で抗体を処理し産生することのできるF(ab)及びF(ab')2断
片が含まれる。本発明によりCARD-3またはCARD-4に結合するポリクローナル抗体
またはモノクローナル抗体が得られる。本明細書で使用される「モノクローナル
抗体」または「モノクローナル抗体組成物」の用語は、CARD-3またはCARD-4の特
定のエピトープと免疫作用できる抗原結合部位を一種のみ有する抗体分子の集団
を示す。従ってモノクローナル抗体組成物は典型的には、モノクローナル抗体が
免疫作用する特定のCARD-3またはCARD-4への単一結合親和性を示す。
【0112】 抗ARD-3または抗CARD-4のポリクローナル抗体は、上記のように適切な被験者 をCARD-3またはCARD-4免疫原で免疫して調整できる。免疫された被験者内の抗-C
ARD-3またはCARD-4抗体の力価は、例えば、固定化CARD-3またはCARD-4を用いて 固相酵素免疫検定法(ELISA)等の常法に従い、経時的に測定できる。必要であ れば、CARD-3またはCARD-4に対する抗体分子を哺乳動物(例えば血液)から単離
し、例えばタンパク質Aクロマトグラフィーのような周知の方法でさらに精製し 、IgG分画を得ることができる。免疫後の適切な時、例えば、CARD-3またはCARD-
4抗体の力価の最大時に、抗体産出細胞を被験物から得て、常法、例えば最初にK
ohlerとMilstein(1975、Nature 256: 495-497)に示されたハイブリドーマ法、
ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozborら、1983、Immunol Today 4: 72)、EBV-ハ
イブリドーマ法(Coleら、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、
Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)またはトリオーマ法を用いて、モノクローナ ル抗体を調整できる。様々なモノクローナル抗体ハイブリドーマを作製する方法
は周知である(一般的なものとしてCurrent Protocols in Immunology、1994、C
oliganら編、John WileyとSons、Inc.、New York、NY参照)。手短には、不死の
細胞系(典型的にはミエローマ)を、先述のように、CARD-3またはCARD-4免疫原
で免疫した哺乳動物からのリンパ細胞(典型的には脾臓細胞)と融合させ、得ら
れたハイブリドーマ細胞の培養上清を選抜し、CARD-3またはCARD-4に結合するハ
イブリドーマ産生モノクローナル抗体を同定する。
【0113】 リンパ細胞と不死化細胞を融合させる多くの周知の方法のいずれかを用いて、
抗-CARD-3またはCARD-4モノクローナル抗体を産出できる(例えば、Current Pro
tocols in Immunology、上記、Galfreら、1977、Nature 266: 55052;R. H. Ken
nith、Monoclonal Antobodies: A new Dimension In Biological Analyses, Ple
num Publishing Corp.、New York、New York、1980;及びLerner 1981、Yale J.
Biol. Med., 54: 387-402)。さらには、一般的な当業者は有効な多くのこのよ
うな方法の変法があることに気付くと思われる。典型的には、不死細胞(例えば
ミエローマ細胞系)は、リンパ球と同じ哺乳動物種に由来する。例えばヒポキサ
ンチン、アミノプテリン、チミジンを含有する培地(「HAT培地」)に感受性の ミエローマ細胞系等の、不死化したマウス細胞系と本発明の免疫調整品で免疫し
たマウスからのリンパ球を融合させることで、例えばマウスハイブリドーマを作
成できる。例えば、p3-NS1/1-Ag4-1、p3-x63-Ag8.653またはSp2/O-Ag14ミエロー
マ細胞系のような、多くのミエローマ細胞系のいずれの細胞系も、常法に従い融
合相手として利用できる。これらのミエローマ細胞系はATCCより入手可能である
。特に、HAT感受性マウスミエローマ細胞を、ポリエチレングリコール(「PEG」
)を用いてマウス脾臓細胞に融合させる。そして該融合で得られたハイブリドー
マ細胞をHAT培地で選抜し、HAT培地により非融合及び非生産的に融合したミエロ
ーマ細胞が死滅する(非融合脾臓細胞は、形質転換されていないので、数日後に
死滅する)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例
えばELISAの常法で、CARD-3またはCARD-4に結合する抗体を培地上清を選抜する ことによって検出される。
【0114】 モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、抗CARD-3または
抗CARD-4モノクローナル抗体を同定し、CARD-3またはCARD-4で、組換えコンビナ
トリアルイムノグロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイラ
イブラリー)のスクリーニングにより単離し、CARD-3またはCARD-4に結合するイ
ムノグロブリンライブラリーのメンバーを単離できる。ファージディスプレイラ
イブラリーの産生及び選抜のキットは入手できる(例えばPharmacia Recombinan
t Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01、及びStratagene SurfZAP
Phage Display Kit、カタログ番号240612)。また、抗体ディスプレイライブラ リーの産生及び選抜における利用が特に可能な方法及び試薬の例は、例えば、米
国特許第5,223,409号; PCT国際公開公報第92/18612号;PCT国際公開公報第91/17
271号;PCT国際公開公報第92/20791号;PCT国際公開公報第92/15679号;PCT国際
公開公報第93/01288号; PCT国際公開公報第92/01047号; PCT国際公開公報第92
/09690号;PCT国際公開公報第90/02809号; Fuchsら、1991、Bio/Technology 9:
1370-1372; Hayら、1992、Hum. Antibod. Hybridomas 3: 81-85; Huseら、1989
、Science 246: 1275-1281; Griffithsら、1993、EMBO J 12: 725-734に見出す ことができる。
【0115】 また、ヒト及び非ヒトの部分を含み、組換えDNAの常法により作成できる、キ メラ及びヒト化モノクローナル抗体のような、組換え抗CARD-3抗体または抗CARD
-4抗体は、本発明の範囲内である。このようなキメラ及びヒト化モノクローナル
抗体は、例えば、PCT国際公開公報第87/02671号; 欧州特許出願第184,187号; 欧
州特許出願第171,496号; 欧州特許出願第173,494号; PCT国際公開公報第86/0153
3号; 米国特許第4,816,567号; 欧州特許出願第125,023号; Betterら、1988、Sci
ence 240: 1041-1043; Liuら、1987、Poc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 3439-344
3; Liuら、1987、J. Immunol. 139: 3521-3526; Sunら、1987、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 84: 214-218; Nishimuraら、1987、Canc. Res. 47: 999-1005; Woo
dら、1985、Nature 314: 446-449; 及びShawら、1988、J. Natl. Cancer Inst.
80: 1553-1559; Morrison、1985、Science 229: 1202-1207 Oiら、1986、Bio/Te
chniques 4: 214; 米国特許第5,225,539号; Jonesら、1986、Nature 321: 552-5
25; Verhoeyanら、1988、Science 239: 1354; 及びBeidlerら、1988、J. Immuno
l. 141: 4053-4060に記載の方法を用いて、当技術分野で周知の組換えDNA技術に
より産出できる。
【0116】 抗-CARD-3またはCARD-4抗体(例えばモノクローナル抗体)を用い、アフィニ ティークロマトグラフィーや免疫沈降のような常法を用い、CARD-3またはCARD-4
を単離できる。細胞由来の天然のCARD-3またはCARD-4及び宿主細胞内で発現し組
換えて産出されたCARD-3またはCARD-4を、抗-CARD-3またはCARD-4抗体を用いて 容易に精製できる。さらに、抗CARD-3またはCARD-4抗体を用い、CARD-3またはCA
RD-4タンパク質(例えば細胞溶解物や細胞上清内の)を検出し、CARD-3またはCA
RD-4タンパク質の発現の強度とパターンを評価できる。抗-CARD-3またはCARD-4 抗体を診断的に利用し、例えば、所定の治療レジメの効能を決定するためのよう
な、臨床試験方法の一部として、組織内のタンパク質レベルを測定できる。検出
可能な物質と該抗体をカップリングさせ、検出を容易にできる。検出可能な物質
の例には様々な酵素、補欠分子族(prosthetic group)、蛍光材料、発光材料、
生物発光材料及び放射性材料が含まれる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビ
ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはア セチルコリンエステラーゼ;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプト
アビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチン;適切な蛍光材料の例としては、ウ
ンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオサイアネイト、ロー
ダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド、ま
たはフィコエリチリン;適切な発光材料の例としては、ルミノール;適切な生物
発光材料の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及び、エクオリン;適
切な放射性材料の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hが含まれる。
【0117】 III.組換え発現ベクター及び宿主細胞 本発明の別の局面はベクターに関連し、好ましくはCARD-3またはCARD-4(また
はそれらの部分)をコードする核酸を含む発現ベクターである。本明細書で用い
られる「ベクター」という用語は、それが結合されている別の核酸を運搬する能
力のある核酸分子を意味する。ベクターの一タイプが「プラスミド」であり、そ
れに別のDNAセグメントを連結できるような環状の二本鎖DNAループを意味する。
ベクターのもう一つのタイプにはウイルス性のベクターがあり、これでは別のDN
Aセグメントがそのウイルスのゲノムに結合できる。ある種のベクターは宿主細 胞で自律複製ができ、その細胞にそれらベクターが導入される(例えば、細菌性
の複製起点を備えた細菌性ベクター及びエピソーム性哺乳類ベクターである)。
他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳類ベクター)は宿主細胞に導入され
ると哺乳動物のゲノムに統合し、それによって宿主のゲノムとともに複製される
。さらにある種のベクター、即ち発現ベクターは、それらが機能的に結合した遺
伝子の発現を促す能力がある。一般に組換えDNA法で用いられる発現ベクターは 、プラスミド(ベクター)の形態であることが多い。しかしながら本発明は、等
価の機能を有する発現ベクターの他の形態、例えばウイルス性ベクター(例えば
複製欠損性レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ-関連ウイルス)のよう な発現ベクターを含むことを意図している。
【0118】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞において核酸を発現させるにふさわ
しい形態になった本発明の核酸を含んでおり、つまり組換え発現ベクターが、発
現のために利用される宿主細胞に基づいて選択され、発現されるべき核酸配列に
機能的に結合している一個またそれ以上の調節配列を含んでいることを意味して
いる。組換え発現ベクターにおいて「機能的に結合した」とは、対象の核酸配列
が調節配列に、核酸配列の発現が可能になるような様式(例えば、インビトロで
の転写/翻訳系における様式、またはベクターが宿主細胞に導入された場合にそ
の宿主細胞における様式)で結合していることを意味すると解釈される。「調節
配列」という用語には、プロモーター、エンハンサー及び他の発現調節要素(例
えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれると解釈される。このような調節配列
は、例えばGoeddelの[Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 18
5, Academic Press, San Diego, CA (1990)]に記載されている。調節配列には、
多くのタイプの宿主細胞において核酸配列の構成的発現を起こさせるものや、あ
る種の宿主細胞においてのみその核酸の発現を起こさせるもの(例えば組織特異
的な調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の
選択、望まれるタンパク質の発現レベルなどの因子に応じて異なることが当業者
には認識されると思われる。本発明の発現ベクターが宿主細胞に導入されること
によって、本明細書に記載されたような核酸(例えば、CARD-3またはCARD-4タン
パク質、CARD-3またはCARD-4タンパク質の突然変異体、融合タンパク質など)に
コードされる、融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチド
が産生できる。
【0119】 本発明の組換え発現ベクターは、例えば大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(バ
キュロウイルス発現ベクターを用いる)、酵母細胞または哺乳動物細胞などの原
核細胞または真核細胞において、CARD-3またはCARD-4を発現できるように設計す
ればよい。好ましい宿主細胞についてもさらに、Goeddelの[Gene Expression Te
chnology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990
)]に記載されている。また、組換え発現ベクターはインビトロで転写及び翻訳が
可能であり、例えばT7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを用いて行う。
【0120】 原核細胞におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質か非融合タンパク質の
いずれかを発現させる構成的プロモーターまたは誘導プロモーターを含むベクタ
ーを用いて大腸菌で行うことが最も多い。融合ベクターは、それにコードされる
タンパク質に、通常はその組換えタンパク質のアミノ末端に、多くのアミノ酸を
付加する。このような融合ベクターは典型的には次の三つの目的を達成する。即
ち1)組換えタンパク質の発現を増加させること、2)組換えタンパク質の溶解性
を高めること、及び3)親和性精製法でリガンドとして作用させることによって 組換えタンパク質の精製を促進させることの三つである。融合発現ベクターでは
よく、タンパク質分解部位が融合部分と組換えタンパク質の連結部に導入される
ことによって、融合タンパク質を精製すべく融合部分の配列から組換えタンパク
質を分離できる。このような酵素、またそれらと同じ性質の認識配列には、Xa因
子、トロンビン及びエンテロキナーゼが含まれる。代表的な融合発現ベクターと
しては、pGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Johnson (1988) Gene 67: 3
1-40)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, MA)及びpRIT5(Pharmacia, Pi
scataway, NJ)が挙げられ、それらは標的組換えタンパク質にグルタチオンS-ト
ランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質Aが それぞれ結合している。
【0121】 好ましい誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例には、pTrc(Amann et al., (1
988) Gene 69: 301-315)及びpET 11d(Studier et al., Gene Expression Tech
nology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California
(1990) 60-89)が挙げられる。pTrcベクターからの標的遺伝子の発現は、ハイ ブリッドtrp-lac融合プロモーターから宿主のRNAポリメラーゼ転写に依存する。
pET 11dベクターからの標的遺伝子の発現は、同時に発現したウイルス性RNAポリ
メラーゼ(T7 gnl)によって仲介されたT7 gn10-lac融合プロモーターからの転 写に依存する。このウイルス性ポリメラーゼは、宿主の菌株BL21(DE3)またはH
MS174(DE3)によって、lacUV5プロモーターの転写調節下でT7 gnl遺伝子を係留
する内因性プロファージから供給される。
【0122】 大腸菌において組換えタンパク質発現を最大にするための戦略の一つは、組換
えタンパク質をタンパク質分解的に開裂させる修復能力を持つタンパク質を宿主
細菌中に発現させることである(Gottwsman, Gene Expression Technology: Met
hods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 119
-128)。別の戦略は、それぞれのアミノ酸に対する個々のコドンが大腸菌で優先
的に用いられるようなアミノ酸のコドンとなるように、発現ベクターに挿入され
るべき核酸の核酸配列を変えることである(Wada et al., (1992) Nucleic Acid
s Res. 20: 2111-2118)。本発明の核酸配列に対するこのような変更は、標準的
なDNA合成法によって遂行できる。
【0123】 別の態様では、CARD-3またはCARD-4発現ベクターは酵母の発現ベクターである
。酵母S. Cerivisaeで発現するためのベクターの例には、pYepSec1(Baldari et
al., (1987) EMBO J. 6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, (1982) C
ell 30: 933-943)、pJRY88(Schultz et al., (1987) Gene 54:113-123)、pYE
S2(Invitrogen Corporation, San Diego, CA)、pGBT9(Clontech, Palo Alto,
CA)、pGAD10(Clontech, Palo Alto, CA)、pYADE4とpYGAE2とpYPGE2(Brunel
li and Pall, (1993) Yeast 9: 1299-1308)、pYPGE15(Brunelli and Pall, (1
993) Yeast 9: 1309-1318)、pACTTII(Dr. S. E. Elledge, Baylor College of
Medicine)、及びpicZ(InVitrogen Corp, San diego, CA)が挙げられる。例 えば実施例7には、酵母発現ベクターpGBT9からS. cerevisiae転写因子GAL4のDNA
-結合ドメインに融合したヒトCARD-4Lのアミノ酸1〜145を含む融合タンパク質の
発現について記載されている。別の実施例では、実施例8に酵母発現ベクターpGB
T9からS. cerevisiae転写因子GAL4のDNA-結合ドメインに融合したヒトCARD-4Lの
アミノ酸406〜953を含む融合タンパク質の発現について記載されている。更に別
の実施例では、実施例7に、酵母発現ベクターpACT11からS. cerevisiae転写因子
GAL4の転写活性ドメインに融合したCARD-3を含む融合タンパク質の発現について
記載されている。
【0124】 またCARD-3またはCARD-4は、バキュロウイルスの発現ベクターを用いて昆虫細
胞中に発現させることができる。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)においてタ ンパク質を発現させるのに有用なバキュロウイルスベクターには、pAc系列(Smi
th et al., (1983) Mol. Cell Biol. 3: 2156-2165)及びpVL系列(Lucklow and
Summers (1989) Virology 170: 31-39)が含まれる。
【0125】 更に別の態様においては、本発明の核酸は哺乳動物の発現ベクターを用いて哺
乳動物細胞において発現する。哺乳動物の発現ベクターの例には、pCDM8(Seed
(1987) Nature 329: 840)、pCl(Promega)、及びpMT2PC(Kaufman et al., (1
987) EMBO J. 6: 187-195)が含まれる。哺乳動物の細胞において使用する場合 、発現ベクターの調節機能はウイルスの調節要素によってもたらされることがよ
くある。例えば、共通して用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイ
ルス2、サイトメガロウイルス及びシミアンウイルス40から誘導される。原核細 胞および真核細胞の両方に対して好適な他の発現系は、Sambrookら (同上文献)
の第16章及び17章を参照されたい。例えば実施例9、実施例10、及び実施例12に は、哺乳動物の発現ベクターpCIからヒトCARD-4もしくはそのフラグメント、CAR
D-3、またはそれらの両方が発現する点が記載されている。
【0126】 別の態様において、哺乳動物の組換え発現ベクターに、特定の細胞型で優先的
に核酸を発現させる能力がある(例えば、組織特異的調節要素がその核酸を発現
させるために用いられる)。組織特異的調節要素は当技術分野では既知である。
適当な組織特異的プロモーターに関する非限定的な例には、アルブミンプロモー
ター(肝臓特異的、Pinkertら(1987) Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ特異的 プロモーター(CalameおよびEaton (1988) Adv. Immunol. 43: 235-275)、特定
するならばT細胞受容体のプロモーター(Winoto and Baltimore (1989) EMBO J.
8: 729-733)及び免疫グロブリン(Banerji et al, (1983) Cell 33: 729-740 、Queen and Baltimore (1983) Cell 33: 741-748)、ニューロン特異的プロモ ーター(例えばニューロフィラメントプロモーター、Byrne and Ruddle (1989)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlu
nd et al. (1985) Science 230: 912-916)、及び乳腺特異的プロモーター(例 えば、ミルクホエー(乳清)プロモーター、米国特許第4,873,316号及び欧州特 許出願第264,166号)が挙げられる。開発された調節プロモーターも含まれ、例 えばマウスのホックスプロモーター(KesselおよびGruss (1990) Science 249:
374-379)及びαフェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman (1989)
Genes Dev. 3: 537-546)である。
【0127】 本発明はさらに、アンチセンス配向でその発現ベクターにクローニングされた
本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。即ちこのDNA分子は、CA
RD-3またはCARD-4のmRNAにアンチセンスであるRNA分子が発現(DNA分子の転写に
よって)できるような様式で調節配列に機能的に結合している。アンチセンス配
向でクローニングされた核酸に機能的に結合している調節配列を選択することが
可能で、それはさまざまな細胞型でアンチセンスRNA分子の連続的発現をもたら す。例えばウイルスのプロモーターやエンハンサー、もしくは調節配列を選択す
ることが可能で、それはアンチセンスRNAの組織特異性、または細胞型特異性の 連続的な発現をもたらす。このアンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド
、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態にすることができ、そこではアンチ
センスな核酸は非常に効率的な調節領域のコントロールを受けて産生され、その
活性はベクターが導入された細胞タイプによって決定することができる。アンチ
センス遺伝子を用いて遺伝子発現の調節を行う点の議論は、Weintraub et al. (
Reviews-Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986)参照のこと。
【0128】 本発明のもう一つの局面は、本発明の組換え発現ベクターまたは本発明の単離
核酸分子が導入される宿主細胞に関連する。「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞
」という用語は、本明細書では相互変換可能に用いられる。このような用語は、
特定の対象とした細胞だけでなく、そのような細胞の子孫や潜在的な子孫にも関
連している。突然変異や環境の影響のいずれかに起因して後代にある種の変化が
起きる可能性があるため、実際にはこのような子孫は親細胞と同一でないかもし
れないが、それでも本明細書で用いたような用語の範囲に含められる。
【0129】 宿主細胞は原核細胞であっても真核細胞であってもよい。例えばCARD-3または
CARD-4タンパク質は、大腸菌などの細菌性細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物
細胞(例えばチャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)で発現
できる。この他にも適当な宿主細胞が当業者に知られている。例えば実施例7に は、組換えCARD-4及びCARD-3の発現のためのサッカロマイセス・セレビジエ(Sa
ccharomyces cerevisiae)宿主細胞が記載されており、また実施例9、10、及び1
2には、CARD-4もしくはそのフラグメントまたはCARD-3の発現のための293T宿主 細胞が記載されている。
【0130】 本発明のベクターDNAまたは単離核酸分子は、従来の形質転換法またはトラン スフェクション法によって原核細胞あるいは真核細胞に導入することができる。
本明細書で用いられる「形質転換」及び「トランスフェクション」という用語は
、外来の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための技術的に認められた さまざまな方法のことを指すと解釈され、それには燐酸カルシウムもしくは塩酸
カルシウムとの共沈降法、DEAE-デキストラン-仲介トランスフェクション法、リ
ポフェクション法、またはエレクトロポレーション法が含まれる。宿主細胞を形
質転換またはトランスフェクトする適切な方法は、Sambrookら(同上文献)、及び
他の実験マニュアルにて見出すことができる。
【0131】 哺乳動物細胞の安定的なトランスフェクションでは、用いた発現ベクターとト
ランスフェクション法に依存して、細胞の小さなフラクションだけが外来のDNA をそれらのゲノムに統合できることがわかっている。ある場合には、ベクターDN
Aは宿虫細胞に保持される。別の場合では、宿主細胞はベクターDNAを保持せず、
そのベクターによって運搬された本発明の単離核酸分子だけを保持する。あるケ
ースでは、本発明の単離核酸分子を用いることによってベクターを使用すること
なく細胞を形質転換できる。
【0132】 これらの統合物を同定し選択するために、選別可能なマーカー(例えば抗生物
質に対する耐性)をコードする遺伝子を対象の遺伝子とともに宿主細胞に導入す
ることが一般的である。好ましい選択可能マーカーには、例えばG418、ハイグロ
マイシン及びメトトレキセートのような薬物に対する抵抗性を付与するものが含
まれる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、CARD-3またはDARD-4をコード
するベクターと同一のベクターで宿主細胞に導入してもよいし、あるいは分離し
たベクターで導入してもよい。導入された核酸を用いて安定的にトランスフェク
ションした細胞は、薬物選択法によって確認することができる(例えば、選択可
能なマーカー遺伝子を導入した細胞は生き残るし、これに対して他の細胞は死ん
でしまう)。
【0133】 本発明の宿主細胞は、例えば培養物中に含まれる原核性の宿主細胞または真核
性の宿主細胞であるが、それはCARD-3またはCARD-4タンパク質を産生(即ち、発
現)できる。したがって本発明はさらに、本発明の宿主細胞を用いてCARD-3また
はCARD-4を製造する方法も提供する。一態様においてこの方法は、本発明の宿主
細胞(それにCARD-3またはCARD-4をコードする組換え発現ベクターまたは単離核
酸分子が導入されている)を、CARD-3またはCARD-4タンパク質が産生されるよう
な適当な培地中で培養する段階を含む。別の態様では、この方法はさらに、CARD
-3またはCARD-4をその培地または宿主細胞から単離する段階を含む。
【0134】 本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を作製するためにも
用いることができる。例えば一態様において、本発明の宿主細胞は受精卵母細胞
または胚幹細胞であり、それにCARD-3またはCARD-4をコードする配列が導入され
ている。次にこのような宿主細胞を用いることによって、外因性のCARD-3または
CARD-4配列がゲノム中に導入されている非ヒトトランスジェニック動物や、内因
性のCARD-3またはCARD-4配列が変化している相同的組換え動物を作製することが
できる。このような動物はCARD-3またはCARD-4の機能や活性を研究するために用
いることができるし、また、CARD-3またはCARD-4活性のモジュレーターを同定し
たり評価したりするために用いることもできる。本明細書で用いられる「トラン
スジェニック動物」とは非ヒト動物であり、好ましくは哺乳動物、更に好ましく
はラットやマウスのようなげっ歯類動物であって、その動物の一つまたは複数の
細胞が導入遺伝子を含むものである。トランスジェニック動物の他の実例として
は、非ヒトの霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両性類などが含ま
れる。導入遺伝子とは、細胞のゲノム中に組み込まれてトランスジェニック動物
を発生させ、かつ成熟した動物のゲノムに残ることによって、トランスジェニッ
ク動物の一つまたは複数の細胞型もしくは組織でコードされる遺伝子産物を発現
させるような外因性DNAである。本明細書で用いられる「相同的組換え動物」と は、非ヒトの動物、好ましくは哺乳動物、更に好ましくはマウスであって、内因
性のCARD-3またはCARD-4遺伝子が、内因性の遺伝子と、その動物の細胞、例えば
その動物の胚細胞にその動物が発生する前に導入された外因性のDNA分子との間 で相同的組換えを行うことで改変されている動物である。
【0135】 本発明のトランスジェニック動物は、CARD-3またはCARD-4をコードする核酸を
受精した卵母細胞の雄の前核に導入することによって、例えばマイクロインジェ
クション法、レトロウイルスの感染、及びその卵母細胞を偽妊娠させた雌の仮親
動物で成長できるようにして作製できる。CARD-3またはCARD-4のcDNA配列は例え
ば(配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:25、配
列番号:27、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42もしくはATCC
cDNA、またはATCC のcDNA、またはATCC のcDNA)の配列であり、非ヒ
ト動物のゲノムに導入遺伝子として組み込むことができる。また、ヒトCARD-3ま
たはCARD-4遺伝子の非ヒト相同体もしくはオルソログは、例えばマウスのCARD-3
またはCARD-4遺伝子であるが、ヒトCARD-3またはCARD-4のcDNAへのハイブリダイ
ゼーションに基づいて単離することができ、導入遺伝子として用いることが可能
である。例えば、CARD-4のマウスのオルソログである図15及び配列番号:42は、
標準的な方法を用いてトランスジェニック動物を作製するために使用することが
できる。この導入遺伝子にイントロン配列とポリアデニル化シグナルも含めるこ
とによって、導入遺伝子の発現効率を高めることができる。組織特異的調節配列
は、CARD-3またはCARD-4タンパク質が特定の細胞で発現するようにCARD-3または
CARD-4導入遺伝子に機能的に結合されている。胚の操作やマイクロインジェクシ
ョンによってトランスジェニック動物、特にマウスのような動物を発生させるた
めの方法は、当技術分野では慣例的になってきており、例えば米国特許第4,736,
866号及び第4,870,009号、米国特許第4,873,191号並びにHogan Manipulating th
e Mouse Embryo (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor
N. Y., 1986)に記載されている。類似の方法が他のトランジェニック動物を作製
するために用いられる。形質転換に失敗した動物はその後、導入遺伝子を運搬す
る別の動物と繁殖させるために使用できる。またCARD-3またはCARD-4をコードす
る導入遺伝子を運搬するトランジェニック動物は、他の導入遺伝子を運搬する他
のトランジェニック動物とさらにかけあわせてもよい。
【0136】 相同的組換え動物を作製するために、少なくとも一部分のCARD-3またはCARD-4
遺伝子(例えば、マウスのCARD-3またはCARD-4遺伝子のようなCARD-3またはCARD
-4遺伝子のヒトもしくは非ヒト相同体)を含むベクターであって、それに欠失、
付加または置換が導入されたことでCARD-3またはCARD-4遺伝子が例えば機能的に
崩壊するなどして変化しているベクターを準備する。ある態様においてはこのベ
クターは、相同的組換えを行って内因性のCARD-3またはCARD-4遺伝子が機能的に
崩壊している(即ち、もはや機能的タンパク質をコードしない。「ノックアウト
」ベクターとも言われる。)ように設計されている。またこのベクターは、相同
的組換えを行って内因性のCARD-3またはCARD-4遺伝子が変異したり他の様式で変
わったりしているものの、それでも機能的タンパク質はコードするように設計す
ることができる(例えば、上流側の調節領域を改変することによって内因性のCA
RD-3またはCARD-4タンパク質の発現を変化させることができる)。相同的組換え
ベクターでは、ベクターによって運搬される外因性のCARD-3またはCARD-4遺伝子
と、胚幹細胞中の内因性のCARD-3またはCARD-4遺伝子との間で相同的組換えが起
こりうるように、CARD-3またはCARD-4遺伝子の変化部分は、その5'末端及び3'末
端がCARD-3またはCARD-4遺伝子の付加的な核酸に連結されている。この隣接して
いる付加的なCARD-3またはCARD-4核酸は、内因性遺伝子とうまく相同的組換えす
るのに十分な長さである。典型的には数キロベースの隣接DNA(5'末端及び3'末 端の両方で隣接する)がベクターに含まれる(例えば、相同的組換えベクターに
ついて説明したThomasおよびCapecchi (1987) Cell 51: 503参照)。このベクタ
ーは胚幹細胞系に導入され(例えば、エレクトロポレーションによって)、そし
てその導入されたCARD-3またはCARD-4遺伝子が内因性のCARD-3またはCARD-4遺伝
子と相同的組換えを行った細胞が選択される(例えば、Liら(1992) Cell 69: 91
5参照)。続いてその選択された細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入 することによって、キメラの集団が形成できる(例えば、Bradley in Teratocar
sinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approsch, Robertson, ed. (
IRL, Oxford, 1987) pp.113-152参照)。次にキメラの胚を適当な偽妊娠させた 雌の仮親動物に移植することができ、その胚は出産日に至る。生殖細胞に相同的
組換えDNAを有している子孫は、導入遺伝子を生殖系で伝達させることによって 全ての細胞に相同的組換えDNAを含む動物を繁殖させるために利用できる。相同 的組換えベクターと相同的組換え動物を構築する方法は、[Bradley (1991) Curr
ent Opunion in Bio/Technology 2: 823-829]及びPCT国際公開公報第90/11354号
、第91/01140号、第92/0968号、及び第93/04169号に更に説明されている。
【0137】 別の態様においては、導入遺伝子の調節された発現が可能になるよう選択され
た系を備えたトランジェニック非ヒト動物を作製できる。このような系の一例は
、バクテリオファージP1のcre/loxP組換え酵素系である。このcre/loxP組換え
酵素系についての説明は、例えば[Laksoら(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA
89:6232-6236]参照のこと。組換え酵素系の別の例は、サッカロマイセス・セレ
ビジエ(Saccharomyces cerevisiae)のFLP組換え酵素系がある(O'Gorman et a
l. (1991) Science 251:1351-1355)。cre/loxP組換え酵素系が導入遺伝子の発
現を調節するために用いられる場合、Cre組換え酵素と選択されたタンパク質の 両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要である。このような動物は、「二
重」トランジェニック動物を構築することによって、例えば一方は選択されたタ
ンパク質をコードする導入遺伝子を有し、もう一方は組換え酵素をコードする導
入遺伝子を有するような二種類のトランジェニック動物を掛け合わせることによ
って提供できる。
【0138】 本明細書で記載した非ヒトトランジェニック動物のクローンは、Wilmutら(199
7) Nature 385:810-813並びにPCT国際公開公報第97/07668号及び第97/07669号に
説明されている方法に従って作製することもできる。簡単に説明すると、トラン
ジェニック動物から例えば体細胞などの細胞を取り出し、成長周期を脱してG0
に入るように誘導すればよい。続いてその静止細胞を、例えば電気パルスを使用
して同種の動物から得られる核を除去した卵母細胞に融合し、そこから静止細胞
を単離することができる。次にこの再構築した卵母細胞を培養して桑実胞または
胚盤胞に成長させ、それを偽妊娠した雌の仮親動物に移植する。この雌の仮親動
物が生んだ子供は、例えば体細胞などの細胞が単一である動物のクローンとなる
【0139】 IV.薬学的組成物 本発明のCARD-3またはCARD-4の核酸分子、CARD-3またはCARD-4のタンパク質、
及び抗CARD-3抗体または抗CARD-4抗体(本明細書では「活性化合物」とも言われ
る)は、投与するにふさわしい薬学的組成物に組み入れることができる。このよ
うな組成物は通常、核酸分子、タンパク質、または抗体と、薬学的に許容される
担体とを含んでいる。本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」という
用語には、いずれか及び全ての溶媒、分散媒体、被膜剤、抗菌剤及び抗真菌剤、
等張化剤及び吸収遅延化剤など、薬学的投与で相互作用を及ぼさないものが含ま
れる。薬学的活性物質に対するこのような媒体や添加剤の使用は当技術分野では
周知である。任意のよく用いられる媒体または添加剤が、活性化合物と不適合で
ない限り、組成物においての使用が企図される。補助的な活性化合物もその組成
物に組み入れることが可能である。
【0140】 本発明の薬学的組成物は、投与する予定の経路と適合するよう処方される。投
与経路の例には、非経口投与、例えば静脈内投与、皮内投与、皮下投与や、経口
投与(例えば吸入)、経皮投与(局所)、粘膜経由投与、及び直腸内投与が挙げ
られる。非経口投与、経皮投与、または皮下投与に用いられる溶液または懸濁液
には、次の成分を含んでいてもよい。即ち、注射のための水のような滅菌性の希
釈剤、塩水、固定化オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレン
グリコールまたは他の合成溶媒、さらにベンジルアルコールやメチルパラベンの
ような抗酸化剤、さらにエチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート化剤、さ
らに酢酸塩、クエン酸塩または燐酸塩のような緩衝剤、さらに塩化ナトリウムや
ブドウ糖のような等張性を調節する添加剤である。pHは酸または塩基、例えば塩
酸や水酸化ナトリウムを用いて調節すればよい。非経口投与用の製剤は、ガラス
製かプラスチック製のアンプル、使い捨ての注射器、または多数回分の用量が入
った容器に封入することができる。
【0141】 注入して使用するに適した薬学的組成物には、滅菌した注入可能な溶液または
分散剤を即時調製するための滅菌性の水性溶液(水溶性の場合)または分散剤と
滅菌性の粉末とが含まれる。静脈内投与のための適当な担体として、生理食塩水
、静菌性の水、クレモホール(Cremophor)EL(BASF; Parsippany, NJ)または 燐酸緩衝塩類溶液(PBS)が挙げられる。いずれの場合でも組成物は滅菌されて いなくてはならず、また容易に注射可能な出口を出て広がる液体でなくてはなら
ない。製造や保存の条件下では安定であることが必要で、細菌や真菌のような微
生物で汚染される作用から保護されなくてはならない。担体は溶媒または分散剤
であり、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレン
グリコール、及び液状のポリエチレングリコール、並びに類似のもの)、及びそ
れらの適当な混合液が含まれる。適切な流動性は、例えばレシチンのような被膜
剤を使用することによって、分散剤の場合には必要とされる粒子の大きさを保守
することによって、また表面活性剤を使用することによって維持できる。微生物
の作用の抑制は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビ
ン酸、チメロザールなどのような種々の抗菌剤及び抗真菌剤によって達成するこ
とができる。多くの場合、例えば糖類、マンニトールのようなポリアルコール類
、ソルビトール、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に含ませることが好ま
しいであろう。注射可能な組成物の吸収を延長させるためには、例えばアルブミ
ンモノステアリン塩とゼラチンのような吸収を遅らせる添加剤を組成物に含有さ
せることによって達成できる。
【0142】 注入可能な滅菌溶液は、活性化合物(例えば、CARD-3もしくはCARD-4のタンパ
ク質または抗CARD-3抗体もしくは抗CARD-4抗体)を適当な溶媒中で必要な量だけ
、上記に列挙した成分の一つまたはそれらの成分を組み合わせたものと一緒に組
み入れ、必要に応じてあとで濾過滅菌して調製できる。一般に分散剤は、活性化
合物を、ベースの分散媒と上記に列挙した成分のなかから必要とされる成分とを
含む滅菌性のビヒクルに組入れて調製する。滅菌性の注入可能な溶液を調製する
ために滅菌性の粉末を使用する場合、好ましいその調製方法は真空乾燥及び凍結
乾燥であり、望ましい添加成分をプラスした活性成分の予め濾過滅菌した溶液か
らそれらの粉末が得られる。
【0143】 経口投与用の組成物は一般に、不活性な希釈剤または口にするに適した担体が
含まれる。それらはゼラチンカプセルに封入してもよいし、圧縮して錠剤にして
もよい。経口での治療薬投与の目的で活性化合物は賦形剤とともに調合してもよ
く、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の剤形にすればよい。経口組成物はま
た、口腔洗浄剤として用いる場合には液状の担体を使用して調製すればよく、そ
の際液状担体中に含まれる化合物が経口的に供給され、そしてシュッと音を立て
て吐き出されるか飲み込まれる。薬学的に適合性である結合剤および/またはア
ジュバント剤をその組成物の一部として含めることもできる。錠剤、丸剤、カプ
セル剤、トローチ剤などの薬剤は、以下の成分のいずれかを含むことができる。
即ち、類似の性質の化合物、微結晶のセルロース、トラガカントガムもしくはゼ
ラチン、澱粉やラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)
、もしくはコーンスターチのような分解可能な添加剤、ステアリン酸マグネシウ
ムもしくはステロート(Sterotes)のような潤滑剤、コロイド状の二酸化珪素のよ
うなグライダント、ショ糖やサッカリンのような甘味剤、またはペパーミント、
サリチル酸メチル、もしくはオレンジ風味のような風味料である。吸入によって
投与する場合、その化合物は適当な推進剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含
む加圧容器即ちディスペンサーから、あるいは噴霧器からエアロゾルスプレーの
形態で供給される。
【0144】 また全身性の投与では、粘膜経由や皮膚経由の手段によってもよい。粘膜経由
または皮膚経由の投与方法では、透過させるべき障壁にふさわしい浸透剤が処方
物中で用いられる。このような浸透剤は一般に当技術分野では公知であり、例え
ば経粘膜投与のための洗浄剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が含まれる。経
粘膜投与は、鼻腔用スプレーや坐薬を利用して行うことができる。経皮投与では
、一般的に当技術分野で知られているような軟膏、膏薬、ゲル、またはクリーム
に活性化合物が配合される。
【0145】 またこの化合物は、直腸輸送するための坐薬(例えば、ココアバター及び他の
グリセライドのような従来よりある坐薬の基剤とともに)または停留する浣腸の
形態として調製してもよい。
【0146】 一つの態様における活性化合物は、該化合物が体内から急速に消失するのを防
ぐ担体とともに調製され、それは例えば、移植片やマイクロカプセルにした供給
系などの放出をコントロールする配合剤である。生分解可能で生体適合性である
、例えばエチレンビニルアセテート、ポリアンヒドライド類、ポリグリコール酸
、コラーゲン、ポリオルトエステル類、及びポリラクチン酸のようなポリマーを
用いることができる。このような配合剤の調製方法は当業者には明らかであると
思われる。またこれらの材料は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,
Inc.から商業的に入手してもよい。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対する モノクローナル抗体を感染させた細胞を標的とするリポソームを含む)も薬学的
に許容される担体として用いることができる。これらは、例えば米国特許第4,52
2,811号に記載されているように、当業者に公知の方法に従って調製できる。
【0147】 投与を容易にし且つ一用量を均一にするために、一用量単位形態として経口ま
たは非経口組成物を処方すると特に都合がよい。本明細書で用いられる用量単位
形態とは、治療すべき患者にとって単一用量と適当な物理的に別々の単位を意味
し、そのそれぞれの単位は、必要とされた薬学的担体と関連して望ましい治療効
果を生み出すように計算された予め決められた量の活性化合物を含んでいる。本
発明の用量単位形態についての詳述では、活性化合物の特有の特徴及び達成され
るべき特定の治療効果、並びに個人の治療のためにこのような活性化合物を複合
化するという当技術分野における固有の制限に側面から及び直接的に関係して指
示されている。
【0148】 本発明の核酸分子はベクターに挿入し、遺伝子治療用のベクターとして用いる
ことができる。遺伝子治療用ベクターは、例えば静脈内注入、局所投与(米国特
許第5,328,470号)によって、または定位への注入(例えば、Chenら(1994) Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 91: 3054-3057参照)によって患者に供給することがで
きる。この遺伝子治療用ベクターの薬学的製剤は、許容される希釈剤中にその遺
伝子治療用ベクターを含有させてもよいし、あるいはその遺伝子輸送ビヒクルが
埋め込まれた徐放性の基質を構成してもよい。また、完全な遺伝子輸送ベクター
が例えばレトロウイルスベクターのような組換え細胞からそのまま産生できる場
合、薬学的製剤はその遺伝子輸送系を産生する1個または複数の細胞を含んでい ればよい。
【0149】 この薬学的組成物は、投与指示書とともに、容器、パッケージ、またはディス
ペンサー中に含めることができる。
【0150】 V.本発明の使用及び方法 本明細書に記載された核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、及び抗体は
以下の方法の一つまたは複数の方法で用いることができる。即ち、a)スクリー ニング解析、b)検出アッセイ(例えば、染色体マッピング、組織のタイプ分け 、法定での生物学)、c)予測用医薬品(例えば、診断解析、予後解析、臨床試 験のモニタリング、及び薬理遺伝学)、及びd)治療方法(例えば、治療用また は予測用)である。CARD-3またはCARD-4タンパク質は他の細胞のタンパク質と相
互作用し、そのため(i)細胞増殖の調節、(ii)細胞分化の調節、及び(iii)
細胞の生存の調節のために使用することができる。本発明の単離核酸分子は、CA
RD-3またはCARD-4のタンパク質を発現させるため(例えば、遺伝子治療に適用す
る際、宿主細胞に入れた組換え発現ベクターを介して)、CARD-3もしくはCARD-4
のmRNA(例えば、生物サンプルに含まれる)またはCARD-3もしくはCARD-4遺伝子
における遺伝的障害を検出するため、そしてCARD-3またはCARD-4の活性を調節す
るために用いることができる。さらにCARD-3またはCARD-4のタンパク質は、CARD
-3もしくはCARD-4のタンパク質の産生が不十分であったりあるいは過剰であった
りすることによって、またはCARD-3もしくはCARD-4の野生型タンパク質に比べて
活性が減少していたり異常であったりするCARD-3もしくはCARD-4のタンパク質型
が産生されることによって特徴づけられる疾患を治療するために用いられるのは
もちろんのこと、CARD-3またはCARD-4の活性や発現を調節する薬物または化合物
をスクリーニングするためにも用いられる。更に、本発明の抗CARD-3抗体または
抗CARD-4抗体は、CARD-3またはCARD-4のタンパク質を検出して単離するため、そ
してCARD-3またはCARD-4の活性を調節するために用いることができる。
【0151】 本発明はさらに、上記に記載したスクリーニング解析によって同定された新規
な薬物、及び本明細書に記載されたような治療の目的でそれらを使用する方法に
も関連する。
【0152】 A.スクリーニング解析 本発明は、モジュレーター、即ち、CARD-3もしくはCARD-4のタンパク質または
それの生物的に活性な部分に結合したり、あるいは例えばCARD-3もしくはCARD-4
の発現またはCARD-3もしくはCARD-4の活性に対する刺激作用または阻害作用を持
っていたりする候補もしくは試験用の化合物または薬物(例えば、ペプチド、擬
似ペプチド、小分子、または他の薬物)を同定するための方法(本明細書では「
スクリーニング解析」とも称する)を提供する。ヒトのCARD-4の生物学的に活性
なタンパク質の例は、実施例7に記載されたようなCARD-3-結合活性を充分に示す
CARDドメインをコードする1〜145アミノ酸である。LRRドメインを含むヒトCARD4
Lのアミノ酸406〜953は、実施例8に記載するようにhNUDC-結合活性を有している
ため、CARD-4Lの生物学的に活性な部分を表している。
【0153】 一態様において本発明は、CARD-3もしくはCARD-4のタンパク質またはペプチド
か、あるいはそれらの生物学的に活性な部分に結合するか、それともそれらの活
性を調節する候補または試験化合物をスクリーニングするための方法を提供する
。本発明の試験化合物は、当技術分野で既知の組合せライブラリーの方法で非常
に多くのアプローチのうちのいずれかを用いて得ることができる。そのライブラ
リーには、生物学的ライブラリー、所在アドレスを呼び出せる平行固相ライブラ
リーまたは液相ライブラリー、複雑性を無くす必要のある合成ライブラリー法、
「1-ビーズ・1-化合物」ライブラリー法、及び親和性クロマトグラフィー選別法
を利用する合成ライブラリー法が含まれる。生物学的ライブラリーアプローチは
ペプチドライブラリーに限定されるが、これに対して他の4つのアプローチはペ プチド、非ペプチドオリゴマーまたは小分子の化合物ライブラリーに適用可能で
ある(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12: 145)。分子ライブラリーを合成 するための方法の例は、当技術分野で、例えばDeWittら(1993) Proc, Natl. Aca
d. Sci. U.S.A. 90: 6909、Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91
: 11422、Zuckermann et al. (1994). J. Med. Chem. 37: 2678、Cho et al. (1
993) Science 261: 1303、Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl
. 33: 2059、Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061、 及びGallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 1233に見出すことができる。
【0154】 化合物のライブラリーは溶液で存在していてもよいし(例えば、Houghten (19
92) Bio/Techniques 13: 412-421)、またはビーズ上(Lam (1991) Nature 354:
82-84)、チップ(Fodor (1993) Nature 364: 555-556)、細菌(米国特許第5,
223,409号)、胞子(特許第5,571,698号、第5,403,484号、及び第5,223,409号)
、プラスミド(Cullら(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-1869)、 もしくはファージ上(ScottおよびSmith (1990) Science 249: 386-390、Devlin
(1990) Science 249: 404-406、Cwirlaら(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:
6378-6382、及びFelici (1991) J. Mol. Biol. 222: 301-310)に存在していて もよい。
【0155】 試験化合物の、CARD-3もしくはCARD-4またはそれらの生物学的活性部分の活性
を調節する能力の測定は、例えばCARD-3またはCARD-4のタンパク質がCARD-3また
はCARD-4の標的分子に結合したりそれらと相互反応したりする能力を測定するこ
とによって行われる。本明細書で用いられる「標的分子」とはCARD-3またはCARD
-4のタンパク質が天然で相互作用する分子であり、例えば細胞膜の内部表面に結
合する分子や細胞質内の分子である。CARD-3またはCARD-4の標的分子は、本発明
に係る非CARD-3分子もしくは非CARD-4分子、またはCARD-3もしくはCARD-4のタン
パク質かポリペプチドであることができる。一態様においてはCARD-3またはCARD
-4の標的分子は、アポトーシスシグナルの形質導入経路の成分、例えばCARD-3ま
たはCARD-4である。標的分子は例えば、下流をシグナル化した分子とCARD-3もし
くはCARD-4との関連を容易にする触媒活性またはタンパク質を備えた第2の細胞 内タンパク質であってもよい。別の態様においてCARD-3またはCARD-4の標的分子
は、CARD-3がCARD-4に結合することが判明した(実施例7及び12)ためCARD-3を 含んでおり、またhNUDCがCARD-4に結合することが判明した(実施例8)ためhNUD
Cを含んでいる。
【0156】 CARD-3もしくはCARD-4またはそれらの生物学的活性部分の活性を調節できる試
験化合物の能力の測定は、例えばCARD-3またはCARD-4の標的分子として前のパラ
グラフで列記した特定のタンパク質のいずれかに結合したり、そのいずれかと相
互作用するCARD-3またはCARD-4のタンパク質の能力を測定することによって行わ
れる。別の態様におけるCARD-3またはCARD-4の標的分子には、2ハイブリッドシ
ステム結合解析においてCARD-3またはCARD-4のタンパク質またはそれらの断片に
結合する全てのタンパク質が含まれる。そのアッセイ法は、cDNAまたはゲノムの
2ハイブリッドシステムライブラリーからこのようなタンパク質を単離するため
に過度の実験を行うことなく利用できるアッセイ法である。例えば実施例7には 、2ハイブリッドスクリーニングでCARD-3を同定するためにCARD-4ドメイン領域
を使用する点について記載されており、また実施例8には、2ハイブリッドスク リーニングでhNUDCを同定するためにCARD-4 LRR領域を使用する点について記載 されている。このセクションで記載した結合解析は、細胞をベースとしていても
よいしまたは細胞フリーであってもよい(後述した)。
【0157】 CARD-3またはCARD-4の標的分子と結合するかそれらと相互作用するCARD-3また
はCARD-4のタンパク質の能力の測定は、直接結合性を測定する上記に記載された
方法の一つによって行うことができる。一態様では、CARD-3またはCARD-4の標的
分子と結合するかそれらと相互作用するCARD-3またはCARD-4のタンパク質の能力
の測定は、標的分子の活性を測定することによって行うことができる。例えば標
的分子の活性は、その標的の細胞内第2メッセンジャー(例えば、細胞内のCa2+ 、ジアシルグリセロール、IP3、他)の誘導を検出することによって、適当な基 質上で標的の触媒的/酵素的活性を検出することによって、リポーター遺伝子(
例えば、ルシフェラーゼのような検出可能なマーカーをコードする核酸に機能的
に結合したCARD-3またはCARD-4-応答性調節要素)の誘導を検出することによっ て、または例えば細胞の生存性、細胞の分化、もしくは細胞の増殖のような細胞
の反応を検出することによって測定することができる。例を挙げると、実施例12
にはCARD-4がCARD-3に結合する点が記載されており、また実施例10には細胞の応
答性をモニターすることによって、CARD-4がカスパーゼ9(caspase 9)の活性、
細胞死、またはアポトーシスを高める点が記載されている。CARD-3またはCARD-4
がカスパーゼ9の活性を高めるため、CARD-3またはCARD-4の活性はカスパーゼ9が
仲介するアポトーシスの細胞応答かあるいはカスパーゼ9の酵素活性を検定して モニターできる。さらに別の態様においては、CARD-3またはCARD-4の発現によっ
て誘導される遺伝子は、細胞系でCARD-3またはCARD-4を発現させ、そして空の発
現ベクターで形質転換した細胞系とCARD-3またはCARD-4発現ベクターで形質転換
した細胞系のmRNAの発現パターンを比較する転写特性の実験を課すことで確認す
ることができる。CARD-3またはCARD-4の発現によって誘導された遺伝子のプロモ
ーターは、例えばルシフェラーゼ、分泌性のアルカリホスファターゼ、またはβ
-ガラクトシダーゼのようなスクリーニングを行うに際して適切なリポーター遺 伝子に機能的に結合することが可能であり、得られた構築物は適当な発現ベクタ
ーに導入すればよい。CARD-3またはCARD-4を含み、リポーター遺伝子に機能的に
結合するCARD-3またはCARD-4応答性プロモーターを含む発現ベクターでトランス
フェクトした組換え細胞系は、CARD-3またはCARD-4活性を調節する試験化合物を
、組換え細胞系とその試験化合物とを接触させたことに反応してリポーター遺伝
子が発現するのを解析することによって確認するために用いることができる。CA
RD-3またはCARD-4のアゴニストはリポーター遺伝子の発現が増加することで確認
できるし、またCARD-3またはCARD-4のアンタゴニストはそのリポーター遺伝子の
発現が減少することで確認できる。
【0158】 本発明の別の態様では、CARD-3、CARD-4、またはそれらの生物学的に活性な部
分の活性を調節する試験化合物の能力が、CARD-3またはCARD-4の影響を仲介する
CARD-3またはCARD-4標的タンパク質が既知であれまたは未知であれ、CARD-3もし
くはCARD-4-依存的な経路または工程を調節するという試験化合物の能力を解析 することによって検出できる。潜在的なCARD-3またはCARD-4-依存的な経路もし くは工程には、細胞シグナルの形質導入経路及びそれが関与する第2メッセンジ ャー分子(例えば、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3、cAMP、他)の調
節、細胞の酵素活性の調節、細胞の応答(例えば、細胞の生存性、細胞の分化、
または細胞の増殖)の調節、または細胞内mRNAもしくは異種mRNAやタンパク質の
誘導もしくは抑制の調節が含まれるが、これらに限定するわけではない。CARD-3
またはCARD-4-依存的経路または工程は、研究中の特殊な経路または工程に適し た、細胞をベースとした、もしくは細胞フリーの標準的なアッセイ法によって解
析できる。例えば実施例9には、293T細胞におけるCARD-4SまたはCARD-4Lの発現 がNF-κB経路をどのように誘導するかについて、同時にトランスフェクトしたNF
-κB経路のルシフェラーゼリポーター遺伝子を測定することによって検出できる
と記載されている。別の態様においては、CARD-4とNF-κBのルシフェラーゼリポ
ーター遺伝子とを用いて同時にトランスフェクトした細胞を試験化合物と接触さ
せればよく、そしてCARD-4活性が遮断されている試験化合物がCARD-4-依存性NF-
κB経路のルシフェラーゼリポーター遺伝子の発現が減少することによって確認 できる。CARD-4を作動する試験化合物は、リポーター遺伝子の発現を増加させる
と予想できる。別の態様においては、CARD-4はある細胞系で発現させることがで
き、その組換えCARD-4-発現細胞系を試験化合物と接触させればよい。CARD-4活 性を阻害する試験化合物は、NF-κB経路のリポーター遺伝子解析、NF-κBの核局
在化解析、IκBの燐酸化もしくはタンパク質分解の解析、または当技術分野で公
知である、NF-κB経路の活性化についての他の標準的なアッセイ法によって測定
した場合に、CARD-4-依存的NF-κB経路の刺激が減少することによって確認でき る。
【0159】 さらに別の態様においては、本発明のアッセイ法は細胞フリーのアッセイ法で
あり、そのアッセイ法にはCARD-3もしくはCARD-4のタンパク質またはそれらの生
物学的活性部分を試験化合物と接触させる段階、そしてCARD-3もしくはCARD-4の
タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分に結合する試験化合物の能力を
検出する段階が含まれる。CARD-3またはCARD-4のタンパク質に試験化合物が結合
したことは、上記に記載したように直接的または間接的のいずれかで検出するこ
とができる。ある態様における競合的結合解析は、CARD-3またはCARD-4のタンパ
ク質またはそれらの生物学的に活性な部分を、CARD-3またはCARD-4と結合してア
ッセイ混合物を形成することがわかっている化合物と接触させる段階、そのアッ
セイ混合物を試験化合物と接触させる段階、及びCARD-3またはCARD-4のタンパク
質と相互作用する試験化合物の能力を検出する段階を含むアッセイ法であって、
CARD-3またはCARD-4のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を検出する前
記段階には、CARD-3もしくはCARD-4またはそれらの生物学的活性な部分が既知の
結合化合物に比較して優先的に結合するという試験化合物の能力を検出する方法
が含まれる。
【0160】 別の態様におけるアッセイ法は、CARD-3もしくはCARD-4のタンパク質またはそ
れらの生物学的活性部分を試験化合物と接触させる段階、及びCARD-3もしくはCA
RD-4のタンパク質またはそれらの生物学的活性部分の活性を調節(例えば、刺激
または阻害)する試験化合物の能力を検出する段階を含む細胞フリーのアッセイ
法である。CARD-3またはCARD-4の活性を調節する試験化合物の能力の検出は、例
えば、CARD-3またはCARD-4の標的分子に結合するCARD-3またはCARD-4のタンパク
質の能力を、直接的な結合を検出するための上記に記載した方法のうちの一つで
検出することによって行われる。他の態様ではCARD-3またはCARD-4の活性を調節
する試験化合物の能力の検出は、CARD-3またはCARD-4の標的分子をさらに調節す
るCARD-3またはCARD-4のタンパク質の能力を検出することによって達成できる。
例えば適当な基質上の標的分子の触媒的/酵素的活性は前述したように測定すれ
ばよい。
【0161】 さらに別の態様では、細胞フリーのアッセイ法には、CARD-3もしくはCARD-4の
タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分を、CARD-3またはCARD-4と結合
してアッセイ混合物を形成する既知の化合物と接触させる段階、そのアッセイ混
合物を試験化合物と接触させる段階、及びCARD-3またはCARD-4のタンパク質と相
互作用する試験化合物の能力を検出する段階を含むアッセイ法であって、CARD-3
またはCARD-4のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を検出する前記段階
には、CARD-3またはCARD-4の標的分子に優先的に結合したりその活性を優先的に
調節したりするCARD-3またはCARD-4のタンパク質の能力を検出する方法が含まれ
る。本発明の細胞フリーのアッセイ法は、CARD-3またはCARD-4の可溶型と膜結合
型のどちらに使用しても感受性が高い。CARD-3またはCARD-4の膜結合型とは、膜
結合性の標的分子と相互作用するCARD-3またはCARD-4を意味する。CARD-3または
CARD-4の膜結合型を含む細胞フリーアッセイ法の場合には、CARD-3またはCARD-4
の膜結合型が溶液中に維持されるように可溶化薬剤を使用することが望ましいと
考えられる。このような可溶化薬剤の例には非イオン性洗浄剤が含まれ、例えば
n-オクチルグルコシド、n-ドデシルグルコシド、n-ドデシルマルトシド、オクタ
ノイル-N-メチルグルカミド、デカノイル-N-メチルグルカミド、トリトン(登録
商標)X-100、トリトン(登録商標)X-144、テジット(登録商標)、イソトリデ
シポリ(エチレングリコールエーテル)n、3-[(3-クロラミドプロピル)ジメ チルアミニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、3-[(3-クロラミドプロピ
ル)ジメチルアミニオ]-2-ハイドロキシ-1-プロパンスルホネート(CHAPSO)、
またはN-ドデシル=N,N-ジメチル-3-アミニオ-1-プロパンスルホネートである 。
【0162】 本発明の上記のアッセイ法の一つ以上の態様では、CARD-3またはCARD-4かある
いはその標的分子のいずれかを固定することによって、アッセイの自動化に順応
できるという点はもちろんのこと、それらのタンパク質の一方または両方ともが
複合していない形態から複合した形態を分離するのが容易になるという点で望ま
しい。CARD-3もしくはCARD-4への試験化合物の結合、または候補となる化合物が
存在する場合や存在しない場合においてのCARD-3もしくはCARD-4と標的分子との
相互作用は、反応物を入れるにふさわしい容器中で行わせるとよい。このような
容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、及び微量遠心分離管が
挙げられる。一つの態様において融合タンパク質は、一つまたは両方のタンパク
質を基質に結合させるドメインを加えて形成するとよい。例えば、グルタチオン
-S-トランスフェラーゼ/CARD-3もしくはCARD-4の融合タンパク質またはグルタ チオン-S-トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質を、グルタチオンセファロ ースビーズ(Shigma Chemical; St. Louis, MO)またはグルタチオンを誘導させ
たマイクロタイタープレートに吸着させ、続いてそれを試験化合物と結合させた
り、あるいは試験化合物と非吸着性の標的タンパク質またはCARD-3もしくはCARD
-4タンパク質のいずれかと結合させ、それからその混合物が複合体を形成できる
よう整えた条件(例えば、塩類及びpHについては生理学的条件で)下でインキュ
ベートするとよい。インキュベートに続いてそのビーズまたはマイクロタイター
プレートのウェルを洗浄して結合していない成分を除去し、ビーズの場合には基
質を固定化し、例えば上記に記載されたように直接的または非直接的のいずれか
で複合体を検出した。またこの複合体はマトリックスと無関係にすることができ
、CARD-3もしくはCARD-4の結合性または活性のレベルを標準的な方法を用いて検
出した。別の態様においては、MYCまたはHAのエピトープ標識をつけたCARD-3も しくはCARD-4融合タンパク質、あるいはMYCまたはHAのエピトープ標識をつけた 標的の融合タンパク質は、抗MYC抗体もしくは抗HA抗体を被覆したマイクロビー ズに吸着させるか、または抗MYC抗体もしくは抗HA抗体を被覆したマイクロタイ タープレートに吸着させ、続いてそれを試験化合物と結合させたり、あるいは試
験化合物と非吸着性の標的タンパク質またはCARD-3もしくはCARD-4タンパク質の
いずれかと結合させ、それからその混合物が複合体を形成できるよう整えた条件
(例えば、塩類及びpHについては生理学的条件で)下でインキュベートするとよ
い。インキュベートに続いてそのビーズまたはマイクロタイタープレートのウェ
ルを洗浄して結合していない成分を除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固
定化し、例えば上記に記載されたように直接的または非直接的のいずれかで複合
体を検出した。またこの複合体は基質と無関係にすることができ、CARD-3もしく
はCARD-4の結合性または活性のレベルを標準的な方法を用いて検出した。実施例
12には、免疫共沈降において、MYCエピトープの標識をつけたCARD-3と物理的に 相互作用するHAエピトープの標識をつけたCARD-4タンパク質が記載されている。
本発明の一態様では、このパラグラフの最初の方で記載したタンパク質-タンパ ク質相互作用解析の方法で、HAエピトープの標識をつけたCARD-4がMYCエピトー プの標識をつけたCARD-3と組み合わせて用いられる。
【0163】 基質上にタンパク質を固定化する他の手法も本発明のスクリーニング解析とし
て用いることができる。例えば、CARD-3もしくはCARD-4またはその標的分子のい
ずれかは、ビオチン及びストレプトアビジンの組合せを用いて固定化することが
できる。ビオチン化したCARD-3もしくはCARD-4または標的分子は、当技術分野で
周知の方法(例えば、ビオチン化キット Pierce Chemicals; Rockford, IL)を
用いてビオチン-NHS(N-ハイドロキシ-サクシンイミド)から調製でき、そして ストレプトアビジン-被膜の96穴プレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化
すればよい。別法では、CARD-3もしくはCARD-4または標的分子と反応するが、CA
RD-3またはCARD-4タンパク質がその標的分子に結合するのを妨害しない抗体を、
そのプレートのウェルに誘導し、結合しなかった標的分子またはCARD-3もしくは
CARD-4を抗体複合体によってウェル中で捕捉した。GST-固定化複合体及びエピト
ープ標識をつけた固定化複合体について上記に記載した方法とは別に、このよう
な複合体を検出するための方法には、CARD-3もしくはCARD-4または標的分子と関
連した酵素活性の検出に依存している酵素-結合解析はもちろんのこと、CARD-3 もしくはCARD-4または標的分子と反応する抗体を用いた複合体の免疫検出法が含
まれる。
【0164】 別の態様においては、CARD-3またはCARD-4の発現のモジュレーターは、細胞を
候補の化合物と接触させ、その細胞中にCARD-3またはCARD-4のプロモーター、mR
NAまたはタンパク質が発現するのを検出する方法において確認される。候補の化
合物が存在する場合のCARD-3もしくはCARD-4のmRNAまたはタンパク質の発現レベ
ルは、候補の化合物が存在しない場合のCARD-3もしくはCARD-4のmRNAまたはタン
パク質の発現レベルと比較される。それからこの比較結果に基づいて、候補の化
合物がCARD-3またはCARD-4の発現のモジュレーターとして同定できる。例えば、
CARD-3もしくはCARD-4のmRNAまたはタンパク質の発現が、候補の化合物が存在す
る場合に存在しない場合よりも多い(統計学的に有意に多い)とき、その候補の
化合物がCARD-3もしくはCARD-4のmRNAまたはタンパク質発現の刺激物質として同
定される。またCARD-3もしくはCARD-4のmRNAまたはタンパク質の発現が、候補の
化合物が存在する場合に存在しない場合よりも少ない(統計学的に有意に少ない
)とき、その候補の化合物がCARD-3もしくはCARD-4のmRNAまたはタンパク質発現
の阻害物質として同定される。その細胞内でのCARD-3またはCARD-4のmRNAまたは
タンパク質の発現レベルは、CARD-3またはCARD-4のmRNAまたはタンパク質を検出
するための本明細書に記載された方法によって検出することができる。CARD-3ま
たはCARD-4のプロモーターの活性は、例えばルシフェラーゼ、分泌されたアルカ
リホスファターゼ、またはβ-ガラクトシダーゼのようなリポーター遺伝子にCAR
D-3またはCARD-4のプロモーターを結合する段階、そして得られた構築物を適当 なベクターに導入する段階、宿主にトランスフェクトする段階、及び試験化合物
に応答させてリポーター遺伝子の活性を測定する段階によって解析できる。例え
ば、CARD-4-特異的な二つのmRNAがノーザンブロット実験法で検出されたが、そ の一つは4.6キロベースであり、もう一つは6.5〜7.0キロベースであった(実施 例11)。実施例11においてCARD-4-特異的なmRNA種は、研究に用いた組織や細胞 系に広く分布していることがわかった。
【0165】 本発明のさらに別の局面でCARD-3またはCARD-4のタンパク質は、2ハイブリッ
ドアッセイ法または3ハイブリッドアッセイ法(例えば、米国特許第5,283,317 号、Zervosら(1993) Cell 72:223-232、Maduraら(1993) J. Biol. Chem. 268: 1
2046-12054、Bartelら(1993) Bio/Techniques 14: 920-924、Iwabuchiら(1993)
Oncogene 8: 1693-1696、及びPCT国際公開公報第94/10300号参照)において「お
とりタンパク質」として用いることにより、CARD-3またはCARD-4と結合したりそ
れらと相互作用したりする他のタンパク質(「CARD-3またはCARD-4-結合性タン パク質」即ち「CARD-3またはCARD-4-bp」)を同定でき、またCARD-3またはCARD-
4の活性を調節できる。またこのようなCARD-3またはCARD-4-結合性タンパク質も
、例えばCARD-3またはCARD-4経路の上流または下流の要素としてCARD-3またはCA
RD-4のタンパク質によるシグナルの増殖に関与するようである。例えば実施例7 には、CARDドメインを含むヒトCARD-4Lアミノ酸1-145のような2ハイブリッドス
クリーニングのおとり構築物と、ヒトの乳腺及び前立腺の2ハイブリッドライブ
ラリーをスクリーニングして結果的にCARD-4の相互作用タンパク質としてヒトの
CARD-3の同定が行えるようにそのおとり構築物を使用する構成が記載されている
。もう一つの実施例で実施例8には、LRRドメインを含むヒトCARD-4アミノ酸406 〜953のような2ハイブリッドスクリーニングのおとり構築物と、ヒトの乳腺の 2ハイブリッドライブラリーをスクリーニングして結果的にCARD-4の相互作用タ
ンパク質としてhNUDCの同定が行えるようにそのおとり構築物を使用する構成が 記載されている。
【0166】 2ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合ドメインと活性化ドメインを 構成する最も多い転写因子のモジュールの性質に基づいている。簡単に言うとこ
のアッセイ法は、二つの異なるDNA構築物を利用する。一つの構築物ではCARD-3 またはCARD-4をコードする遺伝子が、既知の転写因子(例えば、GAL-4)のDNA結
合ドメインをコードする遺伝子に融合される。もう一つの構築物では、同定され
ていないタンパク質(「プレイ(prey)」または「サンプル」)をコードし、DNA 配列のライブラリーから得られるDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメイン をコードしている遺伝子に融合される。「おとり」タンパク質及び「プレイ」タ
ンパク質が生体内で相互作用してCARD-3またはCARD-4-依存性の複合体を形成す る場合、転写因子のDNA-結合ドメインと活性化ドメインはきわめて近接して運ば
れて来る。このように近接しているため、転写因子に応答する転写調節部位に機
能的に結合するリポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能になる。リポー
ター遺伝子の発現が検出できると、機能的な転写因子を含む細胞コロニーが単離
でき、それをCARD-3またはCARD-4と相互作用するタンパク質をコードするクロー
ン遺伝子を得るために用いることができる。
【0167】 本発明の一態様においては、CARD-3、CARD-4、またはそれらの生物学的に活性
な部分の活性を調節する試験化合物の能力を、2ハイブリッドシステム解析でCA
RD-3及びCARD-4がそれらの標的タンパク質に結合するのをブロックする試験化合
物の能力を検定することによって検出できる。実施例7にはCARD-3とCARD-4との 間の相互作用に対する2ハイブリッドシステム解析が記載されており、また実施
例8にはCARD-4とその標的タンパク質であるhNUDCとの間の相互作用に対する2ハ
イブリッドシステム解析が記載されている。CARD-3及びCARD-4並びにそれらの標
的タンパク質、即ち限定するわけではないがCARD-3、CARD-4、及びhNUDCなどの 間の相互作用をブロックする試験化合物をスクリーニングするために、相互作用
するおとりとプレイの構築物である、例えば実施例7に記載されたようなCARD-4 のおとり構築物及びCARD-3のプレイ構築物を共に発現する2ハイブリッドスクリ
ーニングの酵母の菌株を試験化合物と接触させ、2ハイブリッドシステムのリポ
ーター遺伝子である、通常HIS3、lacZ、またはURA3の活性を解析する。菌株が生
存しているものの、リポーター遺伝子の活性が有意に減少しているならば、この
ことは試験化合物がプレイタンパク質とおとりタンパク質との間の相互作用を阻
害していることを示していると考えられる。このアッセイ法は、高処理量の薬物
スクリーニングを達成するために自動化することができる。本発明の別の態様に
おいては、CARD-3またはCARD-4及びそれらの標的タンパク質は、効率的な薬物ス
クリーニングを行うべく特別に設計された逆相2ハイブリッドシステム(Vidal ら(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 10321-6、及びVidalら(1996) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 93: 10315-20)に配置してもよい。この逆相2ハイブリ
ッドシステムでは、標的タンパク質を用いてCARD-3またはCARD-4の物理的相互作
用が阻害され、標的タンパク質を用いてCARD-3またはCARD-4の物理的相互作用を
阻害することによってリポーター遺伝子の抑制を導く通常の2ハイブリッドシス
テムとは対照的に、結果的にリポーター遺伝子の誘導が起こる。この逆相2ハイ
ブリッドシステムは、リポーター遺伝子の誘導の方がリポーター遺伝子の抑制よ
りもはるかに容易に検定できるため、薬物スクリーニングに好ましい。
【0168】 本発明の別の態様は、CARD-3またはCARD-4に結合するタンパク質と物理的に相
互作用することが判明したタンパク質である。CARD-3またはCARD-4の相互作用物
質には、限定するわけではないがhNUDCとCARD-3が含まれ、それらは2ハイブリ ッドシステムのおとりとして形成でき、そしてCARD-3及びCARD-4の経路の付加的
な要素を同定するために2ハイブリッドスクリーニングで用いられる。この方法
で確認されるCARD-3またはCARD-4の相互作用物質は、CARD-4が関与する疾患及び
病状に治療的介入をするための有用な標的となると考えられ、また酵素活性と結
合活性の解析は、CARD-3またはCARD-4の活性を調節する試験化合物の同定を行う
ために有用であると考えられる。
【0169】 本発明はさらに、上記に記載したスクリーニング解析によって同定された新規
な薬物、及び本明細書に記載したような治療のためのその使用方法に関する。
【0170】 B.検出アッセイ法 本明細書において同定したcDNA配列の一部または断片(および対応する完全な
遺伝子配列)は、ポリヌクレオチド物質として多くの方法で使用することができ
る。例えばこれらの配列を用いて:(i)染色体上にそれらの各遺伝子をマッピン グし;かつ、これにより遺伝性疾患に関連した遺伝子領域を突き止めること;(i
i)微小生体試料から個体を同定すること(組織タイピング);ならびに(iii)生 体試料の法医学的識別を補助することができる。これらの用途は、以下の小項目
において説明する。
【0171】 1. 染色体地図の作成 一旦遺伝子の配列(または配列の一部)が単離されると、この配列を用いて染
色体上の遺伝子の位置をマッピングすることができる。従って、ここで説明され
たCARD-3またはCARD-4核酸分子またはそれらの断片を用いて、染色体上のCARD-3
またはCARD-4遺伝子の位置をマッピングすることができる。染色体に対するCARD
-3またはCARD-4配列のマッピングは、これらの配列を疾患に関連した遺伝子と関
連付ける際の重要な第一工程である。
【0172】 簡単に述べると、CARD-3またはCARD-4遺伝子は、CARD-3またはCARD-4配列から
PCRプライマー(好ましくは長さ15〜25bp)を調製することによって、染色体に マッピングすることができる。CARD-3またはCARD-4配列のコンピュータ解析を用
いて、ゲノムDNAにおいて1個以上のエクソンに及ぶことのないプライマーを迅 速に選択することができ、その結果増幅過程を複雑にする。次にこれらのプライ
マーを、個人のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングに使 用することができる。CARD-3またはCARD-4配列に相当するヒト遺伝子を含むそれ
らのハイブリッドのみが、増幅断片を生じると考えられる。例えば、実施例6に
おいて、ヒトのCARD-4-特異的PCRプライマーを用いて、体細胞ハイブリッドパネ
ルからDNAをスクリーニングし、ヒトCARD-4は第7番染色体上SHGC-31928遺伝子 マーカーの近傍にマッピングすることができることを示した。
【0173】 体細胞ハイブリッドは、様々な哺乳類由来の体細胞(例えばヒトおよびマウス
細胞)の融合により調製される。ヒトおよびマウス細胞のハイブリッドが増殖お
よび分裂すると、これらは次第に無作為な順番でヒト染色体を失っていくが、マ
ウス染色体は維持しつづける。特定の酵素を欠いているためにマウス細胞は増殖
できないがヒト細胞は増殖できる培地を使用することによって、必要な酵素をコ
ードしている遺伝子を含む1種のヒト染色体が維持される。様々な培地を使用す
ることによって、ハイブリッド細胞株のパネルを確立することができる。パネル
中の各細胞株は、 単一のヒト染色体または少数のヒト染色体のいずれか、およ びマウス染色体の完全なセットを含み、特定のヒト染色体に個々の遺伝子をマッ
ピングすることが容易になる(D'Eustachioら、Science, 220:919-924(1983))。 ヒト染色体の断片のみを含む体細胞ハイブリッドは、転座および欠失を伴うヒト
染色体を用いて作製することもできる。
【0174】 体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の配列を特定の染色体に割付け る迅速な方法である。1回の熱サイクルで、1日に3種以上の配列を割付けるこ
とができる。オリゴヌクレオチドプライマーをデザインするためにCARD-3または
CARD-4配列を使用し、特異的染色体由来の断片のパネルにより仮位置確認(sublo
calization)を行うことができる。CARD-3またはCARD-4配列をその染色体にマッ ピングするために同様に使用される他のマッピング戦略は、インサイチューハイ
ブリダイゼーション(Fanらの論文に記載、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:62
23-27(1990))、標識したフロー分取された(flow-sorted)染色体による予備スク リーニング、および染色体に特異的なcDNAライブラリーへのハイブリダイゼーシ
ョンによる予備スクリーニングを含む。
【0175】 更に中期染色体塗沫標本(spread)へのDNA配列の蛍光インサイチューハイブリ ダイゼーション(FISH)を、更に1工程で正確な染色体位置を提供するために使用
することができる。染色体塗沫標本は、紡錘体を破壊するコルセミドのような化
学物質により分裂が中期で停止された細胞を用いて作製することができる。これ
らの染色体は、短時間トリプシン処理し、その後ギムザ染色することができる。
明暗のバンドパターンが各染色体に出現し、その結果これらの染色体を個別に同
定することができる。FISH技法は、500または600塩基のように短いDNA配列で使 用することができる。しかし、1,000塩基より大きいクローンは、簡単な検出に 十分なシグナル強度を持つ独自の染色体位置に結合している可能性がより高い。
妥当な時間で良好な結果を得るには、好ましくは1,000塩基、より好ましくは2,0
00塩基で十分であろう。この技術の検証のためには、Vermaらの論文を参照のこ と(「ヒト染色体:基本技術マニュアル(Human Chromosomes:A Manual of Basi
c Techniques)」(Pergamon Press, New York, 1988)) 。
【0176】 染色体マッピングのための試薬を個別に使用し、1個の染色体または染色体上
の単一部位に印をつけるか、もしくは、試薬のパネルを用いて複数部位および/
または複数の染色体に印をつけることができる。実際に遺伝子の非コード領域に
対応する物質がマッピングを目的とする場合に好ましい。コード配列は、遺伝子
ファミリーにおいて恐らく保存されており、その結果染色体マッピングの間に交
差ハイブリダイゼーションする機会が増大すると考えられる。
【0177】 一旦配列が正確な染色体位置にマッピングされると、染色体上の配列の物理的
位置を遺伝子地図データにより補正することができる(このようなデータは、例
えばV. McKusickの著書、「Mendelian Inheritance in Man」、Johns Hopkins U
niversity Welch Medical Libraryからオンンラインで入手可能なものに記され ている)。その後同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患の間の関係は
、連鎖解析により同定することができ(物理的に隣接する遺伝子の同時遺伝(co-
inheritance))、これは例えばEgelandらの論文(Nature, 325:783-787(1987))
に記されている。
【0178】 更にCARD-3またはCARD-4遺伝子に関連した疾患に感染した個体および感染して
いない個体の間のDNA配列の差異を決定することができる。変異が感染した個体 の一部または全てにおいて認められたが、感染していない個体においては認めら
れないならば、この変異は恐らくその特定疾患の起因物質(causative agent)で あると考えられる。感染個体および非感染個体の比較は一般に、最初に染色体の
構造的変動、例えば染色体塗沫標本から認めることが可能な、もしくは、そのDN
A配列を基にしたPCRによって検出可能な欠失または転座などを探すことに関連し
ている。最終的には、いくつかの個体に由来する遺伝子の完全な配列決定が行わ
れ、変異の存在を確認し、かつ多型から変異を識別することができる。
【0179】 2. 組織タイピング 本発明のCARD-3またはCARD-4配列は、微小生体試料から個体を同定するために
も使用することもできる。例えば米軍では、兵士の識別に制限断片長多型(RFLP)
の使用を考慮している。この技術では、個人のゲノムDNAを、1種以上の制限酵 素で消化し、サザンブロット法においてプローブとし、識別のための独自のバン
ドを得る。この方法は、亡くしたり、交換したりもしくは盗難にあうこともあり
、明確な(positive)識別を行うことが困難であるような「ドッグタッグ」を用い
る場合の現時点の制約を受けない。本発明の配列は、RFLP用の追加DNAマーカー として有用である(米国特許第5,272,057号に開示されている)。
【0180】 更に、本発明の配列を用いて、個体ゲノムの選択された部分の実際の塩基毎の
(base-by-base)DNA配列を決定する代替技術を提供することができる。従って、 本明細書に記したCARD-3またはCARD-4配列を用いて、この配列の5'および3'末端
から2種のPCRプライマーを作成することができる。その後これらのプライマー を用いて、個体DNAを増幅し、引き続きそれを配列決定することができる。
【0181】 各個体は対立遺伝子の相違に起因するようなDNA配列の独自のセットを有する ので、前述の方法で作成された個体に由来する対応するDNA配列のパネルは、独 自の個体の識別を提供することができる。本発明の配列を用いて、個体および組
織から、このような識別配列を得ることができる。本発明のCARD-3またはCARD-4
配列は、ヒトゲノムの一部を独自に示している。対立遺伝子の変動は、これらの
配列のコード領域にはある程度生じ、非コード領域により多く生じる。ヒト個体
間の対立遺伝子の変動は、500塩基当たりおよそ1個の頻度で生じると推定され る。本明細書に記した各配列は、識別を目的として、個体由来のDNAを比較する ための標準としてかなり使用される。非コード領域により多くの多型が生じるの
で、個体の識別に必要な配列は非常に少ない。配列番号:1、配列番号:7、配
列番号:25および配列番号:42の非コード配列は、各々が100塩基の増殖された 非コード配列を生じるおそらく10〜1,000のプライマーのパネルにより、明確な 個体の識別を容易に提供することができる。配列番号:3、配列番号:9、およ
び配列番号:27のような予想されるコード配列が使用される場合、明確な個体の
識別にとってより適切な数のプライマーは、500〜2,000であると考えられる。
【0182】 本明細書に記したCARD-3またはCARD-4配列由来の物質のパネルを用いて個人に
関する独自の識別用データベースを作成する場合、個体由来の組織を同定するた
めに、これらの同じ物質を後に使用することができる。独自の識別用データベー
スを使用し、生死にかかわらず個人の明確な識別を、極めて少量の組織試料によ
り行うことができる。
【0183】 3. 法医生物学におけるCARD-3またはCARD-4の部分配列の使用 DNAをベースにした識別技術は、法医生物学においても使用することができる 。法医生物学は、例えば犯罪加害者の明確な識別の手段として、犯罪現場で見つ
かった生物学的証拠の遺伝子タイピングを用いる科学的分野である。このような
識別をするために、PCR技法が使用され、例えば犯罪現場で見つかった毛髪もし くは皮膚のような組織、または血液、唾液もしくは精液のような体液などの、非
常に小さい生体試料から得られたDNA配列が増幅される。その後増幅された配列 を標準と比較し、これにより当該の生体試料の起源を識別することができる。
【0184】 本発明の配列を用いて、ヒトゲノムの特定の座を標的化したポリヌクレオチド
物質、例えばPCRプライマーなどを提供することができ、これは、例えば別の「 識別マーカー」(すなわち、特定の個体に特有の別のDNA配列)を提供すること によって、DNAをベースにした法医学的識別の信頼性を増すことができる。前述 のように、実際の塩基配列情報を、制限酵素が作出した断片によって形成された
パターンに対する正確な代用物として識別に用いることができる。配列番号:1
、配列番号:7および配列番号:25の非コード領域を標的化した配列は、より多
数の多型が非コード領域に生じるので、このような使用に特に適しており、この
技法を用いることで個人の区別がより簡便となる。ポリヌクレオチド物質の例は
、CARD-3またはCARD-4配列もしくはそれらの一部を含み、例えば少なくとも20〜
30塩基長を有する配列番号:1、配列番号:7、または配列番号:25の非コード
領域に由来する断片を含む。
【0185】 更に本明細書に記したCARD-3またはCARD-4配列を使用して、例えば脳組織のよ
うな特定の組織を同定するためのインサイチューハイブリダイゼーション技法な
どにおいて使用することができるようなポリヌクレオチド物質、例えば標識また
は非標識のプローブなどを提供することができる。これは、法医病理学者が出自
が明らかでない組織を提示した場合に非常に有用である。このようなCARD-3また
はCARD-4プローブのパネルを用いて、種別および/または臓器型別に組織を同定
することができる。
【0186】 同様の方法で、これらの物質、例えばCARD-3またはCARD-4プライマーもしくは
プローブなどは、組織培養物の夾雑物に関するスクリーニングに使用することが
できる(すなわち培養物中の異なる細胞種の混在のスクリーニング)。
【0187】 C. 予測医学 本発明は更に、予後判定(予測)を目的とした、診断解析、予後判定解析、薬
理遺伝学(pharmacogenomics)、および臨床試験のモニタリングを使用し、これに
より個人に予防的治療を行う、予測医学の分野に関する。従って本発明のある局
面は、生体試料(例えば血液、血清、細胞、組織)に関して、CARD-3またはCARD
-4タンパク質および/または核酸の発現、更にはCARD-3またはCARD-4活性を測定
し、これにより異常なCARD-3またはCARD-4の発現または活性に関連した疾患また
は障害に個体が罹患しているかどうか、もしくは、障害を発症するリスクがある
かどうかを決定するような診断解析に関する。本発明は更に、個体にCARD-3また
はCARD-4タンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を発症するリスクが
あるかどうかを決定するための診断(または予測的)解析法を提供する。例えば
、CARD-3またはCARD-4遺伝子の変異は、生体試料中で解析することができる。こ
のような解析は、予後判定または予測を目的として使用することができ、これに
よりCARD-3またはCAPL-4のタンパク質、核酸の発現または活性に関連しているこ
とを特徴とする障害が症状発現する前に個体の予防的治療を行うことができる。
【0188】 本発明の別の局面は、個人においてCARD-3またはCARD-4のタンパク質、核酸の
発現もしくはCARD-3またはCARD-4の活性を測定し、これによりそのような個人に
適した治療的物質または予防的物質を選択する方法を提供する(本明細書におい
ては「薬理遺伝学(pharmacogenomics)」と称する)。薬理遺伝学は、個人の遺
伝子型(例えば個人の特定の物質に対する応答能力を決定するために試験した個
人の遺伝子型)を基にした個人の治療的または予防的処置のための物質(例えば
薬剤)の選択を可能にする。
【0189】 更に別の本発明の局面は、臨床試験におけるCARD-3またはCARD-4の発現または
活性に対する物質(例えば薬剤または他の化合物)の影響をモニタリングするこ
とに関する。
【0190】 これらおよび他の物質は、下記の項目でより詳細に説明する。
【0191】 1. 診断解析 生体試料中のCARD-3またはCARD-4の有無を検出する方法の例は、被験者から生
体試料を得て、この生体試料をCARD-3またはCARD-4タンパク質またはCARD-3また
はCARD-4タンパク質をコードしている核酸(例えばmRNA、ゲノムDNA)を検出す ることが可能な化合物または物質と接触させ、その結果CARD-3またはCARD-4の存
在を生体試料中で検出することに関する。CARD-3またはCARD-4のmRNAまたはゲノ
ムDNAを検出するための物質は、CARD-3またはCARD-4のmRNAまたはゲノムDNAとハ
イブリダイゼーション可能な標識された核酸プローブであった。この核酸プロー
ブは、例えば完全な長さのCARD-3またはCARD-4核酸、例えば配列番号:1または
3、配列番号:7または9、配列番号:25または27の核酸、もしくは、その一部、
例えば長さが少なくとも15、30、50、100、250または500のヌクレオチドであり 、かつストリンジェントな条件下でCARD-3またはCARD-4のmRNAまたはゲノムDNA に特異的にハイブリダイズするのに十分であるオリゴヌクレオチド、もしくは配
列番号:38または配列番号:40の核酸のようなヒトCARD-4のスプライシング変異
体であることができる。本発明の診断解析における使用に適した他のプローブを
本明細書に記す。例えば実施例11は、ヒト組織および細胞株においてCARD-4 mRN
Aを検出するための核酸プローブの使用を説明しており、かつこの実験は、診断 解析に使用され得る。
【0192】 CARD-3またはCARD-4タンパク質の検出のための物質は、CARD-3またはCARD-4 タンパク質に結合することが可能な抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗
体であることができる。抗体は、ポリクローナル抗体、またはより好ましくはモ
ノクローナル抗体であり得る。例えば、ヒトCARD-4Lのアミノ酸128-139および28
7-298に相当するポリペプチドを用いて、ウサギを免疫化し、ヒトCARD-4Lを特異
的に認識するポリクローナル抗体を作成する。完全な抗体、またはその断片(例
えばFabまたはF(ab')2)を使用することができる。プローブまたは抗体に関する 用語「標識した」とは、プローブまたは抗体を検出可能な物質へ結合(すなわち
、物理的連結)することによりプローブまたは抗体を直接標識することに加え、
直接標識された別の物質との反応性によりプローブまたは抗体を間接的に標識す
ることを包含することが意図されている。間接的標識の例は、蛍光標識された二
次抗体を用いる一次抗体の検出、および蛍光標識したストレプトアビジンで検出
できるビオチンによるDNAプローブの末端標識を含む。用語「生体試料」は、被 験者から単離された組織、細胞および生物学的液体に加え、被験者に存在する組
織、細胞および液体を含むことが意図されている。すなわち、本発明の検出法は
、生体試料中のCARD-3またはCARD-4のmRNA、タンパク質、またはゲノムDNAをイ ンビトロに加えインビボにおいても検出するために使用することができる。例え
ば、CARD-3またはCARD-4のmRNAのインビトロ検出法は、ノーザンハイブリダイゼ
ーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションを含む。例えば、実施例
11は、ヒト組織および細胞株由来のRNA試料中に検出されたヒトCARD-4Lによりコ
ードされたmRNA種のノーザンブロット分析のためにヒトCARD-4L核酸プローブを 使用することを含む。CARD-3またはCARD-4タンパク質のインビトロ検出法は、固
相酵素免疫検定法(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降法、および免疫蛍光 法を含む。CARD-3またはCARD-4ゲノムDNAのインビトロ検出法は、サザンハイブ リダイゼーションを含む。更にCARD-3またはCARD-4タンパク質のインビボ検出法
は、被験者への標識した抗CARD-3抗体または抗CARD-4抗体の導入を含む。例えば
、この抗体は、被験者におけるその存在または位置を標準の造影法で検出するこ
とができるような放射性マーカーで標識することができる。
【0193】 ある態様において、生体試料は、被験者に由来するタンパク質分子を含む。あ
るいは生体試料は、被験者に由来するmRNA分子または被験者に由来するゲノムDN
A分子を含む。生体試料は、被験者から常法により単離された末梢血白血球試料 である。
【0194】 別の態様において、この方法は更に、対照被験者から対照生体試料を得ること
、対照試料をCARD-3またはCARD-4タンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出可能 な化合物または物質と接触し、該生体試料中のCARD-3またはCARD-4のタンパク質
、mRNAまたはゲノムDNAの存在を検出し、かつ対照試料中のCARD-3またはCARD-4 のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を、被験試料中のCARD-3またはCARD-
4のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較することを含む。
【0195】 本発明は更に、生体試料(被験試料)中のCARD-3またはCARD-4の存在を検出す
るためのキットを包含している。このようなキットは、被験者が、CARD-3または
CARD-4の異常な発現に関連した障害(例えば免疫障害)を罹患しているかどうか
、もしくは、発症するリスクが増大しているかどうかを決定するために使用する
ことができる。例えばこのキットは、生体試料中のCARD-3またはCARD-4のタンパ
ク質またはmRNAを検出することが可能な標識された化合物または物質、ならびに
試料中のCARD-3またはCARD-4の量を測定する手段(例えば、抗CARD-3抗体または
抗CARD-4抗体、もしくは、CARD-3またはCARD-4をコードするDNAに結合するオリ ゴヌクレオチドプローブ、例えば配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、
配列番号:9、配列番号:25または配列番号:27)で構成することができる。キ
ットは更に、CARD-3またはCARD-4のタンパク質またはmRNAの量が正常値以上また
は以下である場合に、被験者がCARD-3またはCARL-4の異常な発現に関連した障害
に罹患しているか、もしくは、発症するリスクがあるかどうかを観察するための
指示書を含んでも良い。
【0196】 抗体をベースにしたキットは、例えば以下を含み得る:(1)CARD-3またはCARD-
4タンパク質に結合する第一の抗体(例えば、固相支持体に付着したもの);お よび、選択的に、(2)CARD-3またはCARD-4タンパク質もしくは第一の抗体に結合 し、かつ検出可能な物質に複合される第二の異種抗体。
【0197】 オリゴヌクレオチドをベースにしたキットは、例えば以下を含み得る:(1)オ リゴヌクレオチド、例えば検出できるように標識されたオリゴヌクレオチドであ
って、これはCARD-3またはCARD-4核酸配列とハイブリダイズするもの、または(2
)CARD-3またはCARD-4核酸分子の増幅に有用なプライマー対。
【0198】 このキットは更に、例えば緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化剤を含ん
でも良い。更にこのキットは、検出可能な物質の検出に必要な成分(例えば酵素
または基質)を含んでも良い。このキットは更に、アッセイしかつ含まれた被験
試料と比較することができる一種の対照試料または一連の対照試料を含んでも良
い。キットの各成分は、通常個別の容器に封入されており、様々な容器の全てを
被験者がCARD-3またはCARL-4の異常な発現に関連した障害に罹患しているか、も
しくは、発症するリスクがあるかどうかを観察するための指示書と共に様々な容
器の全てを単一のパッケージ内に収めている。
【0199】 2. 予後判定解析 本明細書に記した方法は更に、異常なCARD-3またはCARD-4の発現または活性に
関連した疾患または障害を発症しているまたはそのリスクがある被験者を同定す
るための診断または予後判定解析として使用することができる。例えば本明細書
に記した診断前解析または診断後解析のようなアッセイ法を、CARD-3またはCARD
-4のタンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を発症しているまたはそ
のリスクがある被験者を同定するために使用することができる。あるいは、診断
解析を、このような疾患または障害を発症しているまたはそのリスクがある被験
者を同定するために使用することができる。従って、本発明は、被験試料を被験
者から得、かつCARD-3またはCARD-4のタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲ
ノムDNA)を検出する方法であって、ここでCARD-3またはCARD-4のタンパク質また
は核酸の存在が、被験者が異常なCARD-3またはCARD-4の発現または活性に関連し
た疾患または障害を発症しているまたはそのリスクがあるかどうかの診断となる
ような方法を提供する。本明細書で用いられる「被験試料」とは、問題の被験者
から得られた生体試料を意味する。例えば被験試料は、生物学的液体(例えば血
清)、細胞試料、または組織である。更に本明細書に記した予後判定解析は、異
常なCARD-3またはCARD-4の発現または活性に関連した疾患または障害を治療する
ために、被験者に、物質(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、擬似ペプチド
、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬剤の候補)を投与するこ
とができるかどうかを決定するために使用することができる。例えば、このよう
な方法は、被験者が、特定の物質または物質のクラス(例えば、CARD-3またはCA
RD-4活性を減じる型の物質)によって有効に治療され得るかどうかを決定するた
めに使用することができる。従って、本発明は、被験試料が得られ、かつCARD-3
またはCARD-4のタンパク質または核酸が検出された場合に、被験者が、異常なCA
RD-3またはCARD-4の発現または活性に関連した障害に関する物質により効果的に
治療されるかどうかを決定する方法を提供する(例えばCARD-3またはCARD-4のタ
ンパク質または核酸の存在は、異常なCARD-3またはCARD-4の発現または活性に関
連した障害を治療するための物質を投与することができる被験者について診断さ
れる。)。
【0200】 本発明の方法は更に、CARD-3またはCARD-4遺伝子の遺伝的病変または変異を検
出し、これにより病変した遺伝子を有する被験者が、異常な細胞増殖および/ま
たは分化を特徴とする障害のリスクを有するかどうかを決定するために使用する
ことができる。好ましい態様において、本方法は、被験者由来の細胞試料中の、
CARD-3またはCARD-4-タンパク質をコードしている遺伝子の完全性に影響を及ぼ す変更、またはCARD-3またはCARD-4遺伝子の誤発現の少なくともひとつを特徴と
する遺伝的病変の有無を検出することを含む。例えば、このような遺伝的病変は
、以下の少なくともひとつの存在を確認することで検出することができる:1)CA
RD-3またはCARD-4遺伝子由来の1個以上のヌクレオチドの欠失;2)1個以上のヌ
クレオチドのCARD-3またはCARD-4遺伝子への付加;3)CARD-3またはCARD-4遺伝子
の1個以上のヌクレオチドの置換;4)CARD-3またはCARD-4遺伝子の染色体再編成
;5)CARD-3またはCARD-4遺伝子のmRNAの転写レベルでの変更;6)CARD-3またはCA
RD-4遺伝子の異常な修飾、例えばそのゲノムDNAのメチル化パターンの異常な修 飾;7)CARD-3またはCARD-4遺伝子のmRNAの転写の非野生型スプライシングパター
ンの存在(例えば、スプライス供与部位またはスプライス受容部位における突然
変異により引き起こされたもの);8)CARD-3またはCARD-4-タンパク質の非野生 型レベル;9)CARD-3またはCARD-4遺伝子の対立遺伝子の喪失;ならびに10)CARD-
3またはCARD-4-タンパク質の不適当な転写後修飾。本明細書に記したように、CA
RD-3またはCARD-4遺伝子の病変の検出に使用することができる当該技術分野にお
いて公知の非常に多くのアッセイ法がある。生体試料は、被験者から常法により
単離された末梢血白血球試料である。
【0201】 ある態様において、前述の病変の検出は、アンカーPCRまたはRACE PCRのよう な、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許第4,683,195号および第4,683,
202号を参照のこと)、あるいは、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Land
egranら、Science, 241:1077-1080(1988);およびNakazawaら、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 91:360-364(1994)を参照のこと)におけるプローブ/プライマー の使用に関連しており、後者は特に、CARD-3またはCARD-4-遺伝子における点突 然変異を検出するために有用である(例えば、Abravayaら、Nucleic Acids Res.
, 23:675-682(1995)を参照のこと)。この方法は、患者から細胞試料を採取する
段階、試料細胞から核酸(例えばゲノム、mRNAまたは両方)を単離する段階、こ
の核酸試料をCARD-3またはCARD-4遺伝子と特異的にハイブリダイズする1種以上
のプライマーと、CARD-3またはCARD-4-遺伝子(存在する場合)のハイブリダイ ゼーションおよび増幅が生じるような条件下で接触させる段階、ならびに増幅産
物の有無を検出するか、もしくは、増幅産物の大きさを検出しかつ対照試料の長
さと比較する段階を含んでいる。PCRおよび/またはLCRは、本明細書に記した変
異の検出のために使用されるいずれかの技法と組合わせて、主要増幅工程として
使用することが望ましいことは予想される。
【0202】 別の増幅法は以下を含む:自己維持された配列の複製(Guatelliら、Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 87:1874-1878(1990))、転写増幅システム(Kwohら、Proc.
Nati. Acad. Sci. USA, 86:1173-1177(1989))、Q-βレプリカーゼ(Lizardiら
、Bio/Technology, 6:1197(1988))、または他の核酸増幅法と、それに続く当業
者には周知の技術を用いる増幅された分子の検出である。これらの検出スキーム
は、核酸分子が非常に少ない数存在する場合の核酸分子の検出に特に有用である
【0203】 別の態様において、試料細胞由来のCARD-3またはCARD-4遺伝子の変異は、制限
酵素切断パターンの変更によって確定することができる。例えば、試料および対
照DNAを単離し、増幅し(任意)、1種以上の制限エンドヌクレアーゼで消化し 、かつ断片長サイズを、ゲル電気泳動により決定し比較する。試料および対照DN
A間の断片長サイズの差異は、試料DNAにおける変異を示している。更に、配列に
特異的なリボザイムを使うと(例えば米国特許第5,498,531号を参照のこと)、 リボザイム切断部位の出現または消失により、特異的変異の存在のスコアとして
使用することができる。
【0204】 別の態様において、CARD-3またはCARD-4の遺伝子変異を、試料および対照核酸
、例えばDNAまたはRNAの、数百から数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高
密度アレイ(array)へのハイブリダイゼーションにより、同定することができる (Croninら、Human Mutation, 7:244-255(1996);Kozalら、Nature Medicine, 2
:753-759(1996))。例えば、前記Croninらの論文に記載されたように、CARD-3ま たはCARD-4の遺伝子変異は、光により生成された(light-generated)DNAプローブ
を含む2次元アレイにおいて同定することができる。簡単に述べると、プローブ
の第一のハイブリダイゼーションアレイを用いて、試料および対照中のDNAの長 い伸張をスキャニングし、順番が重複するプローブの線状アレイを作成すること
によってこれらの配列間の塩基の変化を同定することができる。この工程は、点
変異の同定を可能にする。この工程には、第二のハイブリダイゼーションアレイ
が続き、これは、検出された全ての変種または変異に対し相補的なより小さい特
定のプローブアレイを用いることにより、特異的変異の特徴づけを可能にする。
各変異アレイは、並行のプローブセットで構成され、一方は野生型遺伝子に対し
相補的であり、他方は変異体遺伝子に対して相補的である。
【0205】 更に別の態様において、当技術分野において公知の様々な配列決定反応のいず
れかを用いて、CARD-3またはCARD-4遺伝子を直接配列決定し、かつ試料のCARD-3
またはCARD-4の配列を、対応する野生型(対照)配列と比較し、変異を検出する
ことができる。配列決定反応の例は、MaxamおよびGilbertが開発した技術(Proc
. Natl. Acad. Sci. USA, 74:560(1977))またはSangerが開発した技術(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 74:5462(1977))を基にしたものを含む。診断解析を行 う場合に、様々な自動配列決定法のいずれか(Bio/Techniques, 19:448(1995))
を用い、これはを質量スペクトルによる配列決定(例えばPCT国際公開公報第94/
16101号;Cohenら、Adv. Chromatogr., 36:127-162(1996);およびGriffinら、A
ppl. Biochem. Biotechnol., 38:147-159(1993))を含むことも意図されている 。
【0206】 CARD-3またはCARD-4遺伝子中の変異を検出する他の方法は、切断物質からの保
護を用いて、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖においてミスマッチの塩基を検
出する方法を含む(Myersら、Science, 230:1242(1985))。一般に、当該技術分
野の「ミスマッチ切断」技法は、野生型CARD-3またはCARD-4配列を含む(標識さ
れた)RNAまたはDNAの、組織試料から得られた可能性のある変異体RNAまたはDNA
とのハイブリダイゼーションによって作成されたヘテロ二重鎖を提供することに
よって開始される。この二本鎖の二重鎖(double-stranded duplexes)は、試料鎖
および対照鎖の間の塩基対合のミスマッチのために存在するであろうこの二重鎖
の一本鎖領域を切断する物質で処理される。例えば、RNA/DNA二重鎖をRNaseで処
理し、およびDNA/DNAハイブリッドをS1ヌクレアーゼで処理し、ミスマッチ領域 を酵素的に消化することができる。別の態様において、DNA/DNAまたはRNA/DNA二
重鎖のいずれかを、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミニウムで処理し、か
つピペリジンで処理し、ミスマッチ領域を消化する。ミスマッチ領域の消化後、
得られる材料を、変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズ別に分離し、突然変異
部位を決定する。これについては例えばCottonら、Proc. Natl Acad Sci USA, 8
5:4397(1988);Saleebaら、Methods Enzymol., 217:286-295(1992)を参照のこと
。ある態様において、対照DNAまたはRNAを検出のために標識することができる。
【0207】 更に別の態様において、ミスマッチ切断反応は、細胞試料から得られたCARD-3
またはCARD-4 cDNAにおける点突然変異の検出およびマッピングのための限定さ れたシステムにおいて、二本鎖DNA中でミスマッチした塩基対合を認識する1種 以上のタンパク質(いわゆる、「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例え ば、大腸菌のmutY酵素は、G/Aミスマッチ部位でAを切断し、かつHeLa細胞由来の
チミジンDNAグリコシル化は、G/Tミスマッチ部位でTを切断する(Hsuら、Carcin
ogenesis, 15:1657-1662(1994))。実施態様に従って、例えば野生型CARD-3また はCARD-4配列のような、CARD-3またはCARD-4配列を基にしたプローブは、被験細
胞(複数)由来のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイゼーションされる。こ の二重鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理し、必要ならばその切断産物を電気泳 動プロトコールなどにより検出することができる。これについては例えば、米国
特許第5,459,039号を参照のこと。
【0208】 別の態様において、電気泳動移動度の変更を用いて、CARD-3またはCARD-4遺伝
子の変異を同定することができる。例えば、一本鎖の立体配座多型(SSCP)を用い
て、変異体と野生型の核酸の間の電気泳動移動度の差異を検出することができる
(Oritaら、Proc Natl. Acad. Sci USA, 86:2766(1989)、更にCotton、Mutat. R
es., 285:125-144(1993);ならびにHayashi、Genet Anal Tech Appl, 9:73-79(1
992))も参照のこと。試料および対照のCARD-3またはCARD-4核酸の一本鎖DNA断片
は、変性し、かつ再生することができる。一本鎖核酸の二次構造は、配列に応じ
て変動し、生じる電気泳動移動度の変更は、1個の塩基の変化であっても検出す
ることが可能である。このDNA断片は、標識するか、または標識されたプローブ で検出することができるる。このアッセイ感度は、(DNAよりもむしろ)RNAを使
用することで増強され、この場合二次構造は、配列の変化に対してより敏感にな
る。ある態様において対象の方法は、電気泳動移動度の変化を基に二本鎖ヘテロ
二重鎖分子を分離するために、ヘテロ二重鎖の分析を使用する(Keenら、Trends
Genet, 7:5(1991))。
【0209】 更に別の態様において、変性剤の勾配を含有するポリアクリルアミドゲル中の
変異体または野生型の断片の移動は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッ
セイされる(Myersら、Nature, 313:495(1985))。分析法としてDGGEを使用する 場合、PCRによる高融解の(high-melting)GCが豊富なDNAのおよそ40bpのGCクラン
プを添加することにではDNAが完全に変性されないことを保証するように、DNAは
修飾されるであろう。更なる態様において、対照および試料DNAの移動度の差異 を確認するために、変性勾配の代わりに温度勾配が使用される(Rosenbaumおよ びReissner、Biophys Chem, 265:12753(1987))。
【0210】 点突然変異を検出する別の技術の例は、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダ
イゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸張を含むが、これらに限
定されるものではない。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、公知の変異
を中央に配置し、その後完全な一致が認められた場合にのみハイブリダイゼーシ
ョンを可能にするような条件下で標的DNAとハイブリダイゼーションすることで 、調製することができる(Saikiら、Nature, 324:163(1986);Saikiら、Proc. N
atl Acad. Sci USA, 86:6230(1989))。このような対立遺伝子に特異的なオリゴ ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーション膜に結合される
場合はPCRで増幅された標的DNAまたは多くの様々な変異にハイブリダイズされ、
かつ標識された標的DNAでハイブリダイズされる。
【0211】 あるいは、選択的PCR増幅によって決まる対立遺伝子に特異的な増幅技法を、 本発明と共に使用することができる。特異的増幅のためにプライマーとして使用
されるオリゴヌクレオチドは、分子の中央に問題の変異を保持するか(その結果
増幅は、ディファレンシャルハイブリダイゼーションによって決まる)(Gibbs ら、Nucleic acids Res., 17:2437-2448(1989))、または適当な条件下でミスマ ッチが、ポリメラーゼ伸張を妨害または低下するような一つのプライマーの3'最
末端(extreme 3' end)に問題の変異を保持することができる(Prossner、Tibtec
h, 11:238(1993))。加えて、この変異領域に新規制限部位を導入し、切断をベ ースにした検出ができるようにすることが望ましい(Gaspariniら、Mol. Cell P
robes, 6:1(1992))。特定の態様において、増幅は、増幅用Taqリガーゼを用い て行うことができると予測される(Barany、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 88:18
9(1991))。このような場合、ライゲーションは、5'側配列の3'末端で完全なマ ッチが存在する場合にのみ生じ、増幅の有無を調べることによって特定の部位で
の公知の変異の存在の検出を可能にすると考えられる。
【0212】 本明細書に記した方法は、例えば本明細書で説明したプローブ核酸または抗体
試薬を少なくとも1種含み、例えばCARD-3またはCARD-4遺伝子に関する疾患また
は疾病の症状を示すかまたは家族歴を有するような患者を診断するために臨床の
環境において簡便に使用することができるような、あらかじめパッケージされた
診断キットを用いて行うことができる。
【0213】 更に、CARD-3またはCARD-4が発現されているあらゆる細胞型または組織、好ま
しくは末梢血白血球を、本明細書に記した予後判定解析において使用することが
できる。
【0214】 3. 薬理遺伝学 本明細書に記したスクリーニング解析によって同定されるような、CARD-3また
はCARD-4活性(例えば、CARD-3またはCARD-4遺伝子発現)に対する刺激または阻 害の作用を有する物質、またはモジュレータは、異常なCARD-3またはCARD-4活性
に関連した障害(例えば免疫障害)を(予防的または治療的に)処置するために
個人に投与することができる。このような治療と組合わせて、個人の薬理遺伝学
(すなわち、個人の遺伝子型と個人の外来化合物または薬剤に対する反応の間の
関係の研究)が考察されている。治療薬の代謝における差異は、薬学的活性のあ
る薬剤の用量と血中濃度の関係の変化によって、重度の毒性または治療失敗につ
ながり得る。従って、個人の薬理遺伝学により、個人の遺伝子型の考察を基にし
た予防的または治療的処置に関する有効物質(例えば薬剤)の選択が可能になる
。このような薬理遺伝学は更に、適切な用量および治療法の決定に使用すること
ができる。従って、個人におけるCARD-3またはCARD-4タンパク質の活性、CARD-3
またはCARD-4核酸の発現、またはCARD-3またはCARD-A遺伝子の変異含量を決定す
ることができ、これにより、個人の治療的または予防的処置のための適当な物質
(複数)が選択される。
【0215】 薬理遺伝学は、作用を受けた個人における変更された薬剤の生体内動態および
異常な作用に起因した、薬剤に対する反応の臨床的に重大な遺伝的変動に対処す
るものである。これについては例えば、Linder、Clin. Chem., 43(2):254-266(1
997)を参照のこと。一般に、2種類の薬理遺伝学的条件を区別することができる
。生体に対し薬剤が作用する方法を変更する単一の因子として伝達される遺伝的
条件(変更された薬剤作用)、または生体が薬剤に対し作用する方法を変更する
単一の因子として伝達される遺伝的条件(変更された薬剤代謝)である。これら
の薬理遺伝学的条件は、稀な欠損または多型のいずれかとして生じることができ
る。例えば、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症(G6PD)は、主要な臨 床合併症が酸化剤(抗マラリヤ薬、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)摂
取および豆類(fava beans)の摂食後の溶血であるような、よくある遺伝される酵
素病である。
【0216】 例証的な態様において、薬剤代謝酵素の活性は、主に薬剤作用の強度および持
続期間の両方で決まる。薬剤代謝酵素(例えばN-アセチルトランスフェラーゼ2(
NAT 2)ならびにシトクロムP450酵素であるCYP2DGおよびCYP2Cl9)の遺伝的多型 の発見は、一部の患者では、薬剤の標準の安全な用量を摂取後に、期待される薬
剤作用を得ることができないか、もしくは、過大な薬剤作用および重篤な毒性を
示す理由を説明している。これらの多型は、集団において、過剰な代謝体(metab
olizer)(EM)および貧弱な代謝体(PM)の2種の表現型で示される。PMの有病率は 様々な集団間において異なる。例えばCYP2D6をコードしている遺伝子は高い多型
性があり、およびいくつかの変異がPMにおいて同定されており、それらは全て機
能性CYP2D6の欠損につながっている。CYP2D6およびCYP2Cl9の貧弱な代謝体は、 標準用量で摂取された場合に過剰な薬物反応および副作用を経験することが極め
て多い。代謝物が治療活性のある部分であるならば、PMは治療的反応を示さず、
これはそのCYP2D6が生成した代謝物モルヒネによって媒介されたコデインの鎮痛
作用で示される。別の過剰な代謝体は、標準用量では反応しないようないわゆる
超即効型代謝体(ultra-rapid metabolizers)である。最近になって、超即効型代
謝の分子的基礎が、CYP2D6の遺伝子増幅に起因するものであることが確定された
【0217】 従って、個人においてCARD-3またはCARD-4タンパク質の活性、CARD-3またはCA
RD-4核酸の発現、またはCARD-3またはCARD-4遺伝子の変異含量を決定し、これに
よって、個人の治療的または予防的処置に適した薬剤(複数)を選択することが
できる。加えて遺伝薬理学的研究は、個人の薬剤反応性の表現型を確定するため
に、薬剤代謝酵素をコードしている多型対立遺伝子の遺伝子型決定を適用する際
に用いることができる。本明細書において例証したスクリーニング解析の一つで
同定されたモジュレータのようなCARD-3またはCARD-4モジュレータで被験者を治
療する場合に、この知識が用量決定または薬剤選択に適用されるならば、有害反
応または治療の失敗を避けることができ、結果的に治療的または予防的効能を増
強することができる。
【0218】 4. 臨床試験時の作用モニタリング CARD-3またはCARD-4の発現または活性(例えば異常な細胞の増殖および/また
は分化を調節する能力)に対する物質(例えば薬剤、化合物)の影響のモニタリ
ングは、基本的な薬剤スクリーニングのみではなく、臨床試験においても適用す
ることができる。例えば、本明細書に記したようなスクリーニング解析によって
決定された物質が、CARD-3またはCARD-4の遺伝子発現、タンパク質レベルを増大
し、またはCARD-3またはCARD-4の活性をアップレギュレートする有効性は、CARD
-3またはCARD-4の遺伝子発現、タンパク質レベルの減少、またはCARD-3またはCA
RD-4の活性のダウンレギュレーションを示す被験者の臨床試験でモニタリングす
ることができる。あるいは、スクリーニング解析によって決定された物質が、CA
RD-3またはCARD-4の遺伝子発現、タンパク質レベルを減少し、またはCARD-3また
はCARD-4の活性をダウンレギュレーションする有効性も、CARD-3またはCARD-4の
遺伝子発現、タンパク質レベルの増大、またはCARD-3またはCARD-4の活性のアッ
プレギュレーションを示す被験者の臨床試験でモニタリングすることができる。
このような臨床試験において、CARD-3またはCARD-4の、ならびに好ましくは細胞
増殖性疾患などに関連している他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の免
疫応答の「読み取り値(read out)」またはマーカーとして使用することができる
【0219】 限定を意図しない例として挙げる、CARD-3またはCARD-4活性(例えば本明細 書に記したスクリーニングアッセイにより同定される)をモジュレートする物質
(例えば化合物、薬剤または小分子)による処理により、細胞でモジュレートさ
れるCARD-3またはCARD-4を含む遺伝子を同定することができる。従って、臨床試
験などにおいて細胞増殖性疾患に対する物質の作用を研究するために、細胞を単
離し、RNAを調製し、かつCARD-3またはCARD-4ならびに該疾患に関連した他の遺 伝子の発現レベルを分析することができる。遺伝子発現のレベル(すなわち遺伝
子発現パターン)は、本明細書に記したノーザンブロット分析またはRT-PCRによ
り、あるいは、産生されたタンパク質量を測定すること、または本明細書に記さ
れた方法のひとつにより、またはCARD-3またはCARD-4または他の遺伝子の活性の
レベルを測定することにより、定量することができる。この方法では、遺伝子発
現パターンは、マーカー、物質に対する細胞の生理的反応の指標として利用する
ことができる。従って、この反応状態は、個人の該物質による治療の前、および
治療の様々な時点で、決定することができる。
【0220】 ある態様において、本発明は、物質(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、
擬似ペプチド、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または本明細書に記した
スクリーニング解析によって同定された他の薬剤候補)による被験者の治療の有
効性をモニタリングする方法で、(i)物質を投与する前に被験者から投与前試料 を得る段階;(ii)投与前試料中のCARD-3またはCARD-4タンパク質、mRNA、または
ゲノムDNAの発現レベルを検出する段階;(iii)被験者から1個以上の投与後試料
を得る段階;(iv)投与後試料中のCARD-3またはCARD-4のタンパク質、mRNA、また
はゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出する段階;(v)投与前試料中のCARD
-3またはCARD-4のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベ ルを、投与後試料中のCARD-3またはCARD-4のタンパク質、mRNA、またはゲノムDN
Aと比較する段階;および、(vi)これに従って被験者への物質の投与を変更する 段階を含む方法を提供する。例えば、CARD-3またはCARD-4の発現または活性を、
検出された時点よりもより高いレベルに増大するため、すなわち物質の有効性を
増大するためには、物質の投与を増量することが望ましい。あるいは、CARD-3ま
たはCARD-4の発現または活性を、検出された時点よりもより低いレベルに減少す
るため、すなわち物質の有効性を減少するためには、物質の投与を減量すること
が望ましい。
【0221】 C.治療方法 本発明は、CARD-3またはCARD-4の異常な発現または活性に関連する疾患のリス
クを有する(すなわち疾患に罹患しやすい)被験者またはCARD-3もしくはCARD-4
の異常な発現もしくは活性に関連する疾患を有する被験者を治療する予防方法と
治療方法とを提供する。
【0222】 1.予防方法 一つの局面において、本発明は、CARD-3もしくはCARD-4の発現またはCARD-3も
しくはCARD-4の少なくとも一方の活性を調節する薬剤を被験者に投与する段階に
よって、CARD-3もしくはCARD-4の異常な発現または活性に関連する疾患または状
態を被験者において防止するための方法を提供する。CARD-3またはCARD-4の異常
な発現または活性によって生ずる疾患、またはCARD-3もしくはCARD-4の異常な発
現もしくは活性に起因する疾患のリスクのある被験者は、例えば、本明細書に記
載する診断法または予後アッセイ法のいずれかまたは組み合わせによって同定す
ることができる。疾患または障害を予防する、または進行を遅延するようにCARD
-3またはCARD-4の異常を特徴とする症状の発現の前に予防薬の投与を実施するこ
とができる。CARD-3またはCARD-4の異常の種類に応じて、例えば、CARD-3もしく
はCARD-4アゴニストはまたCARD-3もしくはCARD-4拮抗薬を被験者を治療するため
に使用することができる。本明細書に記載するスクリーニングアッセイ法に基づ
いて適当な薬剤を決定することができる。予防目的のために調節されると思われ
るCARD-3またはCARD-4の活性には、1)CARD-3またはCARD-4遺伝子またはタンパ ク質の発現、例えば実施例11のヒトCARD-4のmRNA発現パターンの記載を参照のこ
と、2)標的タンパク質へのCARD-3またはCARD-4の結合、例えば実施例7、8およ び12のCARD-3またはCARD-4に結合することが既知のタンパク質の記載を参照のこ
と、3)実施例9に記載するNF-κBのCARD-4調節、および4)実施例10に記載する カスパーゼ-9活性のCARD-3またはCARD-4による増強が含まれるが、これらに限定
されない。
【0223】 2. 治療方法 本発明の別の局面は、治療目的のためにCARD-3またはCARD-4の発現または活性
を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、細胞に関連するCARD-3またはCA
RD-4タンパク質活性の活動の1つ以上を調節する薬剤を細胞に接触させる段階を 含む。CARD-3またはCARD-4タンパク質の活性を調節する薬剤は、核酸またはタン
パク質、CARD-3またはCARD-4タンパク質の天然型同源リガンド、CARD-3またはCA
RD-4ペプチド模倣物または他の小分子などの本明細書に記載する薬剤であっても
よい。一態様において、薬剤はCARD-3またはCARD-4タンパク質の生物活性の1つ 以上を刺激する。このような刺激剤の例には活性CARD-3またはCARD-4タンパク質
および細胞内に導入されていてCARD-3またはCARD-4をコードする核酸分子が含ま
れる。別の態様において、薬剤はCARD-3またはCARD-4タンパク質の生物活性の1 つ以上を阻害する。このような阻害剤の例にはアンチセンスCARD-3またはCARD-4
核酸分子および抗-CARD-3抗体または抗-CARD-4抗体が含まれる。このような調節
方法はインビトロ(例えば、細胞を薬剤と共に培養する段階によって)またはイ
ンビボ(例えば、薬剤を被験者に投与する段階によって)において実施すること
ができる。このように、本発明は、CARD-3もしくはCARD-4タンパク質または核酸
分子の異常な発現または活性によって特徴づけられる疾患または障害に罹患した
個体を治療する方法を提供する。一態様において、本発明の方法は、薬剤(例え
ば、本明細書に記載するスクリーニングアッセイ法によって同定される薬剤)ま
たはCARD-3またはCARD-4の発現または活性を調節する(例えば、アップレギュレ
ーションまたはダウンレギュレーション)薬剤の組み合わせを投与する段階を含
む。別の態様において、本発明の方法は、CARD-3またはCARD-4の発現または活性
の低下または異常を補償する治療としてCARD-3またはCARD-4タンパク質または核
酸分子を投与する段階を含む。治療目的のために調節されると思われるCARD-3ま
たはCARD-4の活性には、1)CARD-3もしくはCARD-4遺伝子またはタンパク質の発 現、例えば、実施例11のヒトCARD-4のmRNA発現パターンの記載を参照のこと、2 )標的タンパク質へのCARD-3またはCARD-4の結合、例えば、実施例7、8および12
のCARD-3またはCARD-4に結合することが既知のタンパク質の記載を参照のこと、
3)実施例9に記載するNF-κBのCARD-4調節および4)実施例10に記載するカスパ ーゼ-9活性のCARD-4増強が含まれるが、これらに限定されない。
【0224】 CARD-3またはCARD-4活性の刺激は、CARD-3またはCARD-4が異常にダウンレギュ
レーションされている場合および/またはCARD-3またはCARD-4活性の増加が有用 な影響を与える可能性がある場合には望ましい。逆に、CARD-3またはCARD-4活性
の阻害は、CARD-3またはCARD-4が異常にアップレギュレーションされている場合
、例えば心筋梗塞においておよび/またはCARD-3またはCARD-4活性の低下が有用 な影響を与える可能性がある場合には望ましい。CARD-4はサイトカインの処理に
関与すると思われることから、CARD-4の活性または発現を阻害することは、異常
な炎症を有する患者において有用である場合がある。
【0225】 本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは限定するもの
と解釈されるべきではない。本出願全体にわたって引用されている全ての参考文
献、特許および公開されている特許出願の内容は参照として本明細書に組み入れ
られている。
【0226】実施例 実施例1:全長ヒトCARD-3 cDNA及びCARD-4L/S cDNAの単離及び特徴決定 TBLASTN(ワシントン大学(Washington University);バージョン2.0、BLOSU
M62サーチ・マティックス(search matix))を用いてcDNA配列及び部分cDNA配 列のデータベースを検索するため、既知のCARDドメインのプロフィールが用いら
れた。この検索により、CARD-3が同定された。cDNA配列及びcDNA部分配列のデー
タベースを検索するため、CARD-3が用いられ、もう一つの可能性のあるCARD cDN
Aが見出された。ヒト臍静脈内皮ライブラリー(HUVE)をスクリーニングするた め、このcDNA配列が用られ、部分CARD-4Sを含むクローンが同定された。次に、 部分CARD-4S配列に対して設計されたプローブを用いてヒト臍静脈内皮ライブラ リーが再スクリーニングされ、CARD-4L配列を含むクローンが同定された。
【0227】 実施例2:CARD-3タンパク質及びCARD-4L/Sタンパク質の特徴決定 この実施例においては、ヒトCARD-3タンパク質及びCARD-4L/Sタンパク質の推 定アミノ酸配列が、既知のタンパク質のアミノ酸配列と比較され、様々なモチー
フが同定された。例えば、CARD-3及びCARD-4のCARDドメインが、ARC-CARD(配列
番号:31)、cIAP1-CARD(配列番号:32)、及びcIAP2-CARD(配列番号:33)の
CARDドメインと整列化された(図7)。さらに、ヒトCARD-3タンパク質及びCARD-
4L/Sタンパク質の分子量が推定された。
【0228】 ヒトCARD-3 cDNAは、前記のようにして単離され(図1;配列番号:1)、540ア
ミノ酸からなるタンパク質(図2;配列番号:2)をコードする。CARD-3も、一つ
の推定キナーゼ・ドメイン(配列番号:2のアミノ酸1位からアミノ酸300位;配 列番号:4)を含み、その後には推定リンカー・ドメイン(配列番号:2のアミノ
酸301位からアミノ酸431位;配列番号:5)及び推定CARDドメイン(配列番号:2
のアミノ酸432位からアミノ酸540位;配列番号:6)が続く。
【0229】 ヒトCARD-4L cDNAは、前記のようにして単離され(図3;配列番号:7)、953 アミノ酸からなるタンパク質(図4;配列番号:8)をコードする2859ヌクレオチ
ドからなるオープン・リーディング・フレーム(配列番号:7のヌクレオチド245
位〜3103位:配列番号:9)を有する。CARD-4Lは、推定CARDドメイン(アミノ 酸15-114位;配列番号:10)を含む。CARD-4Lは、配列番号:8のおよそアミノ 酸198位からおよそアミノ酸397位までに相当するヌクレオチド結合ドメイン;配
列番号:11、配列番号:8のおよそアミノ酸202位からおよそアミノ酸209位まで に相当する推定ウォーカー・ボックス(Walker Box)「A」;配列番号:12、配 列番号:8のおよそアミノ酸280位からおよそアミノ酸284位までに相当する推定 ウォーカー・ボックス「B」;配列番号:13、配列番号:8のおよそアミノ酸197 位からおよそアミノ酸212位までに相当する推定キナーゼ1a(Pループ)ドメイン
;配列番号:46、配列番号:8のおよそアミノ酸273位からおよそアミノ酸288位 までに相当する推定キナーゼ2ドメイン;配列番号:47、配列番号:8のおよそア
ミノ酸327位からおよそアミノ酸338位までに相当する推定キナーゼ3aサブドメイ
ン;配列番号:14、配列番号:8のおよそアミノ酸674位からおよそアミノ酸950 位までに相当する10個の推定ロイシン・リッチ・リピートも有すると推定される
。最初のロイシン・リッチ・リピートは、配列番号:8のおよそアミノ酸674位か
らおよそアミノ酸701位まで;配列番号:15に相当すると推定される。第二のロ イシン・リッチ・リピートは、配列番号:8のおよそアミノ酸702位からおよそア
ミノ酸727位まで;配列番号:16に相当すると推定される。第三のロイシン・リ ッチ・リピートは、配列番号:8のおよそアミノ酸728位からおよそアミノ酸754 位まで;配列番号:17に相当すると推定される。第四のロイシン・リッチ・リピ
ートは、配列番号:8のおよそアミノ酸755位からおよそアミノ酸782位まで;配 列番号:18に相当すると推定される。第五のロイシン・リッチ・リピートは、配
列番号:8のおよそアミノ酸783位からおよそアミノ酸810位まで;配列番号:19 に相当すると推定される。第六のロイシン・リッチ・リピートは、配列番号:8 のおよそアミノ酸811位からおよそアミノ酸838位まで;配列番号:20に相当する
と推定される。第七のロイシン・リッチ・リピートは、配列番号:8のおよそア ミノ酸839位からおよそアミノ酸866位まで;配列番号:21に相当すると推定され
る。第八のロイシン・リッチ・リピートは、配列番号:8のおよそアミノ酸867位
からおよそアミノ酸894位まで;配列番号:22に相当すると推定される。第九の ロイシン・リッチ・リピートは、配列番号:8のおよそアミノ酸895位からおよそ
アミノ酸922位まで;配列番号:23に相当すると推定され、第十のロイシン・リ ッチ・リピートは、配列番号:8のおよそアミノ酸923位からおよそアミノ酸950 位まで;配列番号:24に相当すると推定される。
【0230】 前記のようにして単離されたヒト部分CARD-4S cDNA(図5;配列番号:25)は 、490アミノ酸からなるタンパク質(図6;配列番号:26)をコードする。CARD-4
Sは、一つの推定部分CARDドメイン(配列番号:26のアミノ酸1〜74位)を含む。
CARD-4Sは、配列番号:26のおよそアミノ酸163位からおよそアミノ酸170位まで に相当するPループ;配列番号:29、及び配列番号:26のおよそアミノ酸241位か
らおよそアミノ酸245位までに相当する推定ウォーカー・ボックス「B」;配列番
号:30も有すると推定される。
【0231】 CARD-4Lの推定構造的特徴を示すプロットが、図8に表されている。この図は、
推定α領域(Garnier-Robinson及びChou-Fasman)、推定β領域(Garnier-Robin
son及びChou-Fasman)、推定ターン領域(Garnier-Robinson及びChou-Fasman) 、及び推定コイル領域(Garnier-Robinson及びChou-Fasman)を示す。図面中に は、親水性プロット(Kyte-Doolittle)、推定α及びβ・アンファティック(am
phatic)領域(Eisenberg)、推定可変領域(Karplus-Schulz)、推定抗原性指 数(Jameson-Wolf)、及び推定表面確率プロット(Emini)も含まれている。
【0232】 CARD-4Sの推定構造的特徴を示すプロットも、図9に表されている。この図は、
推定α領域(Garnier-Robinson及びChou-Fasman)、推定β領域(Garnier-Robin
son及びChou-Fasman)、推定ターン領域(Garnier-Robinson及びChou-Fasman) 、及び推定コイル領域(Garnier-Robinson及びChou-Fasman)を示す。図面中に は、親水性プロット(Kyte-Doolittle)、推定α及びβ・アンファティック領域
(Eisenberg)、推定可変領域(Karplus-Schulz)、推定抗原性指数(Jameson-W
olf)、及び推定表面確率プロット(Emini)も含まれている。
【0233】 CARD-3の推定分子量はおよそ61kDaである。CARD-4Lの推定分子量はおよそ108k
Daである。
【0234】 実施例3:CARD-3タンパク質及びCARD-4タンパク質の調製 組換えCARD-3及びCARD-4は、様々な発現系において産生されうる。例えば、CA
RD-3ペプチド及びCARD-4ペプチドを、大腸菌において組換えグルタチオン-S-ト ランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現させ、融合タンパク質を単 離及び特徴決定することができる。特に、前記のように、CARD-3又はCARD-4をGS
Tと融合させ、融合タンパク質を大腸菌PEB199株において発現させることができ る。PEB199におけるGST-CARD-3又はGST-CARD-4融合タンパク質の発現は、IPTGに
より誘導されうる。組換え融合タンパク質は、グルタチオン・ビーズ上でのアフ
ィニティ・クロマトグラフィーにより、誘導されたPEB199株の粗細菌溶解物から
精製されうる。
【0235】 実施例4:CARD4のスプライス変異体の同定 さらなるCARD-4 cDNAクローンのため、BLASTN(ワシントン大学;バージョン2
.0、BLOSUM62サーチ・マトリクス(search matrix))を用いてcDNA配列及びcDN
A部分配列のデータベースを検索するため、CARD-4L由来の5'非翻訳配列が用いら
れた。この検索により、2つのcDNAクローン、ヒト・リンパ節ライブラリー由来 のZクローン及びヒト脳cDNAライブラリー由来のYクローンが同定された。両クロ
ーンが配列決定され、Yは249アミノ酸からなるタンパク質をコードし、Zは164ア
ミノ酸からなるタンパク質をコードしており、両クローンはおそらく短縮型CARD -4タンパク質をコードするCARD-4のスプライス変異体を表していることが見出さ れた。図10はヒトCARD-4Yのヌクレオチド配列(配列番号:38)を示し、図11は 推定アミノ酸配列(配列番号:39)を示す。図12はヒトCARD-4Zのヌクレオチド 配列(配列番号:40)を示し、図13はアミノ酸配列(配列番号:41)を示す。図 14は、PAM250残基重量表を用いてクラスタル(Clustal)プログラムにより作製 されたCARD-4L、CARD-4Y、及びCARD-4Zのアミノ酸配列の整列化を示す。
【0236】 実施例5:マウスCARD-4の同定 マウスCARD-4 cDNAクローンのため、TBLASTN(バージョン1.4、BLOSUM62サー チ・マトリクス、ワード・レングス(word length)3)を用いてcDNA配列及びcD
NA部分配列のデータベースを検索するため、CARD-4ポリペプチド配列を用いた。
この検索により、マウスCARD-4Lと名付けられた部分マウスCARD-4クローンが同 定された。マウスCARD-4L cDNAの5'末端を明らかにするため、マウスCARD-4Lク ローンの5'末端に、cDNA末端迅速同定法(RACE)が適用された。図15はマウスCA
RD-4Lヌクレオチド配列(配列番号:42)を示し、図16はマウスCARD-4Lアミノ酸
配列(配列番号:43)を示し、図17はPAM250残基重量表を用いてクラスタル・プ
ログラムにより作製されたマウスCARD-4L及びヒトCARD-4Lのアミノ酸配列の整列
化を示す。
【0237】 実施例6:ヒトCARD-4の染色体位置の同定 ヒトCARD-4遺伝子の染色体位置を決定するため、5'-3'配列agaaggtctggtcggca
aa(配列番号:44)を有するヒトCARD-4特異的プライマーcard4tを用いて、ポリ
メラーゼ連鎖反応が実施され、市販された入手可能な体細胞ハイブリッド・パネ
ル由来のDNAをスクリーニングするため、5'-3'配列aagccctgagtggaagca(配列番
号:45)を有するcard4kが用いられた。この分析により、ヒトCARD-4が、第7染 色体のSHGC-31928遺伝子マーカーの近傍にマッピングされることが示された。
【0238】 実施例7:ヒトCARD-4のCARDドメインと物理的に相互作用するタンパク質に関 する酵母2ハイブリッド・スクリーニングにおけるCARD-3の同定 2ハイブリッド・スクリーニングのためのCARD-4,1-145-GAL4 DNA結合ドメイ ン融合物を作製するため、CARDドメインを含むヒトCARD-4のアミノ酸1〜145をコ
ードするDNAを、酵母2ハイブリッド・スクリーニング・ベクターにクローニン グした。CARD-4,1-145と物理的に会合することができる遺伝子産物に関して、ヒ
ト乳腺及びヒト前立腺の2ハイブリッド・ライブラリーをスクリーニングするた
め、CARD-4,1-145-GAL4 DNA結合ドメイン融合物を用いた。CARD-4,1-145相互作 用タンパク質を発現する12のライブラリー・プラスミドが、CARDドメイン含有タ
ンパク質CARD-3を含むことが見出され、これによりCARD-4とCARD-3との間の直接
的又は間接的な物理的相互作用が確立された。
【0239】 さらに、CARD-3,435-540-GAL4転写活性化ドメイン融合物を作製するため、CAR
D-3のCARDドメインを含むCARD-3のアミノ酸435〜540位(配列番号:6)をコード
するDNAを、酵母2ハイブリッドGAL4転写活性化ドメイン融合ベクターにクロー ニングした。CARD-3のCARDドメインがCARD-4,1-145に結合するか否かを試験する
ため、CARD-3,435-540-GAL4転写活性化ドメイン融合発現ベクターとCARD-4,1-14
5-GAL4 DNA結合ドメイン融合ベクターとを、2ハイブリッド・スクリーニング・
サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(酵母)株に共形
質転換した。得られた共形質転換酵母株は、実験における2ハイブリッド・タン
パク質間、すなわちこの場合には、CARD-3,435-540-GAL4転写活性化ドメイン融 合タンパク質とCARD-4,1-145-GAL4 DNA結合ドメイン融合タンパク質との間の物 理的相互作用を示す、2つのレポーター遺伝子を発現した。この実験により、CAR
D-3のCARDドメインとCARD-4のCARDドメインとの間の物理的相互作用が確立され た。
【0240】 実施例8:ヒトCARD-4のLRRドメインと物理的に相互作用するタンパク質に関す
る酵母2ハイブリッド・スクリーニングにおけるhNUDCの同定 2ハイブリッド・スクリーニングのためのCARD-4,406-953-GAL4 DNA結合ドメ イン融合物を作製するため、LRRドメインを含むヒトCARD-4Lのアミノ酸406〜953
位をコードするDNAを、酵母2ハイブリッド・スクリーニング・ベクターにクロ ーニングした。CARD-4,406-953と物理的に会合することができる遺伝子産物に関
して、ヒト乳腺2ハイブリッド・ライブラリーをスクリーニングするため、CARD
-4,406-953-GAL4 DNA結合ドメイン融合物を用いた。CARD-4,406-953相互作用タ ンパク質を発現する1つのライブラリー・プラスミドが、核運動(nuclear movem
ent)に関与するラットNUDCタンパク質のヒト・オルソログであるhNUDCタンパク
質を含むことが見出され(Morris et al.,Curr.Biol.8:603[1988],Morris et al
.,Exp.Cell Res.238:23[1988])、これによりCARD-4とhNUDCとの間の物理的相互
作用が確立された。
【0241】 実施例9:NF-κBのCARD-4による制御の発見 この実施例に記載される第一の実験群は、CARD-4がNF-κB経路を活性化するこ
とができるか否かを決定するため実施された。NF-κB経路は(New England Jour
nal of Medicine 336:1066[1997])及び(American Journal of Cardiology 76:
18C[1995])及びその他の当業者に既知の参考文献に記載された多くの疾患に関 与しているため、NF-κB経路のCARD-4による制御は重要である。NF-κB経路にCA
RD-4が関与しているのであれば、CARD-4は、NF-κB経路依存性の疾患、状態、及
び生物学的過程の治療のためNF-κB経路経路を調節する薬剤にとって、魅力的な
標的となると考えられる。
【0242】 第一の実験群は、特異的なCARD-4介在NF-κB経路誘導を示した。
【0243】 この実施例に記載される第二の実験群は、NF-κBの誘導に参加していることが
既知のタンパク質である(McCarthy et al.,J.Biol.Chem.273:16968[1998])、C
ARD-3、NIKセリン/トレオニン・プロテインキナーゼ(Su et al.,EMBO J.16:12
79[1997])、又はシグナル伝達タンパク質TRAF6(Cao et al.,Nature 383:443[1
996])が、CARD-4依存性NF-κB経路誘導シグナルの伝達に関与しているか否かを
決定するため実施された。CARD-3、NIK、及びTRAF6は全て、CARD-4介在NF-κB経
路誘導シグナルの伝達に関与していることが見出された。
【0244】 9つのトランスフェクション実験において、NF-κBレポーター・プラスミドと 、pCI、pCI-CARD-4L(CARD-4Lを発現)、pCI-CARD-4S(CARD-4Sを発現)、pCI-A
PAFL(Apaf-1を発現)、pCI-APAFS(WDリピートを欠くApaf-1変異体を発現)、p
CI-CARD-4LnoCARD(CARDドメインを含まないCARD-4Lを発現)、pCI-CARD-4LnoLR
R(LRRを含まないCARD-4Lを発現)、pCI-CARD4LCARDonly(CARD-4L CARDドメイ ンのみを発現)、又はpCI-CARD4NBSonly(CARD-4Lヌクレオチド結合配列のみを 発現)のいずれかとを共発現する293T細胞を作製した。293T細胞を6穴プレート (35mmウェル)に播き、2日後(90%コンフルエンシー)に、スーパーフェクト (SuperFect)トランスフェクション試薬(キアゲン(Qiagen))を用いて、1μ
gのNF-κBルシフェラーゼ・レポーター・プラスミド(pNF-κB-Luc、ストラタジ
ーン(Stratagene))、200ngのpCMV β-gal、600ngのpCIベクター、及び200ng の指示された発現プラスミドでトランスフェクトした。優性ネガティブ実験のた
め、2ngのCARD4発現プラスミド及び800ngの優性ネガティブ・プラスミドを用い た。トランスフェクションの48時間後、細胞を回収し、ルシフェラーゼ・アッセ
イ・システム(Luciferase Assay System)(プロメガ(Promega))を用いて、
1000倍希釈細胞抽出物中のルシフェラーゼ活性を測定した。さらに、β-ガラク トシダーゼ活性を測定し、トランスフェクション効率を標準化するために用いた
【0245】 各トランスフェクション細胞系においてpCI基盤プラスミドにより発現された 遺伝子によるNF-κB経路活性化を調査するため、実験の最後に相対ルシフェラー
ゼ活性を決定した。pCI、pCI-APAFS、pCI-APAFL、pCI-CARD-4LnoCARD、及びpCI-
CARD4NBSonlyを含む細胞系は、類似の基線レベルのルシフェラーゼ発現を有して
いたが、pCI-CARD-4L、pCI-CARD-4LnoLRR、及びpCI-CARD4LCARDonlyを含む細胞 系は、基線と比較して約9倍上昇したルシフェラーゼ発現を有し、pCI-CARD-4Sを
含む細胞系は、基線と比較して16倍上昇したルシフェラーゼ発現を有していた。
この結果から、NF-κB経路のCARD-4S及びCARD-4Lによる誘導が証明された。CARD
ドメインを欠いたCARD-4を発現するpCI-CARD-4noCARDがルシフェラーゼ・レポー
ター遺伝子を誘導せず、CARD-4のCARDドメインを発現するpCI-CARD4LCARDonlyが
ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子を誘導したことから、このCARD-4介在NF-κB
経路誘導は、CARD-4 CARDドメインに依存している。また、LRRドメインを欠いた
CARD-4変異型タンパク質を発現するpCI-CARD4LnoLRRがルシフェラーゼ・レポー ター遺伝子を誘導することができないことから、CARD-4L LRRドメインはNF-κB 経路活性化にとって必要でない。さらに、CARD-4L NBSドメインを発現するpCI-C
ARD4NBSonlyがルシフェラーゼ・レポーター遺伝子を誘導することができないこ とから、CARD-4L NBSドメインはNF-κB経路活性化にとって充分でない。さらに 、この実験におけるApaf発現構築物はいずれもルシフェラーゼ活性化を誘導しな
かったため、CARD-4によるNF-κB経路の誘導は特異的である。
【0246】 5つのトランスフェクション実験において、NF-κBレポーター・プラスミド(N
F-κB-ルシフェラーゼ、ストラタジーン(Stratagene))と、pCI-CARD-4Lとベ クターなし、pCI-TRAF6-DN(TRAF-6の優性ネガティブ型を発現)、pCI-NIK-DN(
NIKキナーゼの優性ネガティブ型を発現)、pCI-CARD3CARDonly(CARD-3の優性ネ
ガティブ型として作用するCARD-3のCARDドメインを発現)、又はpCI-Bcl-XL(抗
アポトーシス・タンパク質Bcl-XLを発現)のいずれかとを共発現する293T細胞を
作製した。TRAF6-DN、NIK-DN、CARD3-CARDonlyは、それぞれ、TRAF6遺伝子、NIK
遺伝子、CARD3遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子である。48時間後、細胞を溶 解し、各トランスフェクション細胞系において一つ又は二つのpCI基盤プラスミ ドにより発現された遺伝子によるNF-κB経路活性化を調査するため、相対ルシフ
ェラーゼ活性を決定した(プロメガ・キット(Promega Kit))。pCI-CARD-4Lの
み、又はpCI-CARD-4L及びpCI-Bcl-XLを含む細胞系は、約18ユニットの相対ルシ フェラーゼ・レポーター遺伝子発現を有していた。pCI-CARD-4L及びpCI-TRAF6-D
N、pCI-CARD-4L及びpCI-NIK-DN、又はpCI-CARD-4L及びpCI-CARD3CARDonlyを含む
細胞系は、約4ユニットの相対ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子発現を有して いた。Bcl-XLはCARD-4介在NF-κB経路誘導を阻害しなかったため、TRAF6-DN、NI
K-DN、CARD3-CARDonlyによるCARD-4L介在NF-κB経路誘導の阻害は、特異的であ る。
【0247】 これらの結果から、それぞれpCI-TRAF6-DN、pCI-NIK-DN、pCI-CARD3CARDonly から発現されたTRAF6、NIK、CARD-3の優性ネガティブ対立遺伝子は、CARD-4L発 現(pCI-TCARD-4L)によるNF-κBレポーター遺伝子の誘導を遮断することが証明
され、TRAF6、NIK、CARD-3が、CARD-4LによるNF-κB経路誘導刺激を伝達するた めCARD-4Lの下流で作用することが示唆された。
【0248】 さらなる実験において、CARD-4とRICKのCARDドメインとの共発現により、RICK
のCARDドメインが優性ネガティブ変異体として機能することが明らかとなり、RI
CKがCARD-4機能の下流メディエーターであることが示唆された。
【0249】 実施例10:カスパーゼ-9活性のCARD-4増強の発見 10のトランスフェクション実験において、生細胞のマーカーとしてβガラクト
シダーゼ-発現プラスミド(ストラタジーン(Stratagene)社製のpCMV β-gal)
と、pCI、pCI-CARD-3、pCI-APAF、pCI-CARD-4L、pCI-CARD-4S、pCI-CARD4LnoLRR
、pCI-CARD4NBSonly、pCI-CARD4LCARDonly、pCI-CARD-4LnoCARDまたはpCI-casp9
(カスパーゼ-9を発現)のいずれかとを共発現する293T細胞を作製した。トラン
スフェクションは400 ngのpCMV β-gal、800 ngの発現プラスミドおよびキアゲ ン(Qiagen)社製のスーパーフェクト(Superfect)トランスフェクション試薬 を含み、製造業者の指示によって実施した。40〜48時間後、細胞を固定し、β- ガラクトシダーゼ発現について染色し、細胞の生存度はβガラクトシダーゼ陽性
細胞の数を計数することによって求めた。pCI、pCI-CARD-3、pCI-APAF、pCI-CAR
D-4L、pCI-CARD-4S、pCI-CARD4LnoLRR、pCI-CARD4NBSonly、pCI-CARD4LCARDonly
およびpCI-CARD-4LnoCARDの発現により細胞の生存度は損失しなかった。予期し たとおり、293T細胞におけるpCI-casp9の発現によりこの実験において細胞の約7
5%生細胞が損失した。
【0250】 次に、pCI、pCI-CARD-3、pCI-APAF、pCI-CARD-4L、pCI-CARD-4S、pCI-CARD4Ln
oLRR、pCI-CARD4NBSonly、pCI-CARD4LCARDonlyまたはpCI-CARD-4LnoCARDがカス パーゼ-9-媒介アポトーシスを調節するかどうかを試験した。9つのトランスフェ
クション実験において、生細胞のマーカーとしてβガラクトシダーゼ-発現プラ スミドと、pCI-casp9およびpCI、pCI-CARD-3、pCI-APAF、pCI-CARD-4L、pCI-CAR
D-4S、pCI-CARD4LnoLRR、pCI-CARD4NBSonly、pCI-CARD4LCARDonly、およびpCI-C
ARD-4LnoCARDのいずれかとを共発現する293T細胞を作製した。40〜48時間後、細
胞を固定し、β-ガラクトシダーゼ発現について染色し、細胞の生存度はβガラ クトシダーゼ陽性細胞の数を計数することによって求めた。カスパーゼ-9-発現2
93T細胞におけるpCI、pCI-CARD-4LnoCARDおよびpCI-CARD4NBSonlyの発現はカス パーゼ-9-誘導性アポトーシスに影響を与えなかった。しかし、pCI-CARD-3、pCI
-CARD-4L、pCI-CARD-4S、pCI-CARD4LnoLRR、pCI-CARD4LCARDonlyおよび予測され
る通りpCI-APAFは、1実験あたり約100のβガラクトシダーゼ陽性細胞から1実験 あたり20未満のβガラクトシダーゼ陽性細胞までカスパーゼ-9誘導性アポトーシ
スのレベルを増した。
【0251】 CARD-4LまたはCARD-4Sとカスパーゼ-9との共発現はカスパーゼ-9媒介性アポト
ーシスを劇的に増加するので、CARD-4はカスパーゼ-9媒介性アポトーシスを増強
することができることをこの実験において実証した。さらに、CARD-ドメインを 欠くCARD-4L(pCI-CARD-4LnoCARD)はカスパーゼ-9-媒介性アポトーシスを増強 しないが、単独で発現されるCARD-4CARDドメイン(pCI-CARD-4LCARDonly)はカ スパーゼ-9媒介性アポトーシスを誘導するので、CARD-4CARDドメイン(配列番号
:10)が、カスパーゼ-9-賦活性アポトーシスのCARD-4-媒介性増強に必要であり
、十分である。また、LRRを欠くCARD-4タンパク質の発現もカスパーゼ-9-媒介性
アポトーシスを増強するので、CARD-4に存在するLRRはカスパーゼ-9-媒介性アポ
トーシスのCARD-4増強に必要ない。CARD4-NBSのみ(pCI-CARD4NBSonly)はカス パーゼ-9媒介性アポトーシスを増強しないので、CARD-4NBSはカスパーゼ-9-媒介
性アポトーシスのCARD-4増強に十分ではない。この実験はまた、CARD-3はカスパ
ーゼ-9-媒介性アポトーシスを増強することができることを実証している。
【0252】 以下の実施例12に詳細に記載するように、CARD-4はカスパーゼ-9と直接相互作
用すると思われない。これは、CARD-4によるカスパーゼ-9活性の増強が下流の経
路の活性化によって媒介されることを示唆している。
【0253】 実施例11:ヒトCARD-4遺伝子によって発現されるmRNA種の同定および組織分布 成人ヒト組織から抽出したmRNAのノーザン分析によって、検討したほとんどの
組織で発現している4.6 キロ塩基のmRNAが明らかにされた。最も多量の発現は心
臓、脾臓、胎盤および肺で観察された。CARD-4はまた胎児脳、肺、肝臓および腎
臓で発現することも観察された。4.6 キロ塩基のCARD-4 mRNAを発現する癌細胞 系統には、HeLa、K562、Molt4、SW480、A549および黒色腫が含まれる。より大き
い6.5〜7.0キロ塩基のCARD-4 mRNAは心臓、脾臓、肺、胎児肺、胎児肝臓並びにM
olt4およびSW480細胞系統において発現されていた。
【0254】 実施例12:CARD-4とCARD-3の物理的会合 HAエピトープ標識をコードする3'プライマーを有するCARD-4特異的PCRプライ マーを使用して、HAで標識したCARD-4L遺伝子エピトープを増幅し、このPCR産物
を哺乳動物発現ベクターpCIにクローニングした。MYCエピトープ標識をコードす
る5'プライマーを有するCARD-3特異的PCRプライマーを使用して、MYCで標識した
CARD-3遺伝子エピトープを増幅し、このPCR産物を哺乳動物発現ベクターpCIにク
ローニングした。MYCエピトープ標識をコードする5'プライマーを有するCARD-3-
特異的PCRプライマーを使用して、MYCで標識したCARDドメイン(配列番号:6) を欠くCARD-3遺伝子を増幅し、このPCR産物を哺乳動物発現ベクターpCIにクロー
ニングした。MYCエピトープ標識をコードする3'プライマーを有するカスパーゼ-
9-特異的PCRプライマーを使用してMYCで標識したカスパーゼ-9遺伝子エピトープ
を増幅し、このPCR産物を哺乳動物発現ベクターpCIにクローニングした。3つの トランスフェクション実験において、pCI-CARD-4LcHAと、pCI-CARD-3nMYC、pCI-
CARD3noCARDnMYCまたはpCI-casp9cMYCのいずれかとを共発現する293T細胞を作製
した。トランスフェクションした各系統の細胞を細胞溶解して、抗-MYCエピトー
プ標識抗体を用いて各細胞溶解物に免疫沈降法を実施して、各細胞系統および物
理的に関係のある任意のタンパク質によって発現されるCARD-4LcHAを沈降させた
。免疫沈降したタンパク質を変性ポリアクリルアミドゲルの電気泳動によって分
離し、ナイロンフィルターに転写し、ウェスタンブロット実験において抗-HAエ ピトープ標識抗体でプローブ化し、CARD-4LcHAタンパク質と共発現したMYC-標識
タンパク質がCARD-4LcHAタンパク質と同時に免疫沈降したかどうかを判定した。
この実験において、CARD-3はCARD-4と共に同時に免疫沈降することが見いだされ
たが、CARDドメインを欠くCARD-3およびカスパーゼ-9はCARD-4と同時に免疫沈降
しなかった。この実験は、CARD-4およびCARD-3は物理的に会合すること、および
CARD-3はCARD-4結合するCARDドメインを必要とすることを実証している。また、
CARD-4はカスパーゼ-9とは会合しないと思われる。
【0255】 実施例13:CARD-4ゲノム配列 図18は、CARD-4の32042ヌクレオチドのゲノム配列を図示している。この配列 は上記のCARD-4 cDNA配列およびBAC配列(DBESTアクセッション番号第AC006027 )に基づいている。上記のCARD-4 cDNA配列を使用して、1カ所のエラーにより1 カ所のフレームシフトが生ずるようなエラーを含むBAC配列の3カ所のエラーを補
正した。図18のCARD-4ゲノム配列は以下のイントロンおよびエクソンを含む:エ
クソン1:アミノ酸1〜67位をコードするヌクレオチド364〜685位(ヌクレオチド
485〜487位に開始コドン);イントロン1:ヌクレオチド686〜2094位;エクソン
2:アミノ酸67〜126位をコードするヌクレオチド2095〜2269位;イントロン2: ヌクレオチド2270〜4365位;エクソン3:アミノ酸126〜734位をコードするヌク レオチド366〜6190位;イントロン3:ヌクレオチド6191〜9024位;エクソン4: アミノ酸734〜762位をコードするヌクレオチド9025〜9108位;イントロン4:ヌ クレオチド9109〜10355位;エクソン5:アミノ酸762〜790位をコードするヌクレ
オチド10356〜10439位;イントロン5:ヌクレオチド10440〜11181位;エクソン6
:アミノ酸790〜818位をコードするヌクレオチド1182〜11265位;イントロン6:
ヌクレオチド11266〜19749位;エクソン7:アミノ酸818〜846位をコードするヌ クレオチド19750〜19833位;イントロン7:ヌクレオチド19834〜21324位;エク ソン8:アミノ酸846〜874位をコードするヌクレオチド21325〜21408位;イント ロン8:ヌクレオチド21409〜24226位;エクソン9:アミノ酸874〜903位をコード
するヌクレオチド24227〜24310位;イントロン9:ヌクレオチド24311〜27948位 ;エクソン10:アミノ酸903〜930位をコードするヌクレオチド27949〜28032位;
イントロン10:ヌクレオチド28033〜31695位:エクソン11:アミノ酸930〜953位
をコードするヌクレオチド31696〜32024位(ヌクレオチド31766〜31768位に停止
コドン)。
【0256】 CARD-4ゲノム配列中のイントロンは共通スプライスドナーおよびアクセプター
部位を含有する(Molecular Cell Biology, Darnell et al., eds., 1996)。CA
RD-ゲノム配列は遺伝子同定並びに突然変異のマッピングおよび同定に有用であ る。例えば、突然変異はスプライスドナーまたはスプライスアクセプター部位で
ある。
【0257】 等価物 当業者は、通常の実験だけを使用して本明細書に記載する本発明の具体的な態
様の等価物を認識または確認することができる。このような等価物は添付の特許
請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトCARD-3のcDNA配列(配列番号:1)を図示する。CARD-3(配 列番号:1)のオープンリーディングフレームはヌクレオチド213位からヌクレオ
チド1833位までに相当する(配列番号:3)。
【図2】 ヒトCARD-3の推定アミノ酸配列(配列番号:2)を図示する。
【図3】 CARD-4LのcDNA配列(配列番号:7)を図示する。配列番号:7の オープンリーディングフレームはヌクレオチド245位からヌクレオチド3103位ま でに相当する(配列番号:9)。
【図4】 ヒトCARD-4Lの推定アミノ酸配列(配列番号:8)を図示する。
【図5】 ヒトCARD-4SのcDNA部分配列(配列番号:25)およびヒトCARD-4S
の推定アミノ酸配列(配列番号:25)を図示する。CARD-4(配列番号:25)のオ
ープンリーディングフレームはヌクレオチド1位からヌクレオチド1470位までに 相当する(配列番号:27)。
【図6】 ヒトCARD-4Sの推定アミノ酸配列(配列番号:26)を図示する。
【図7】 CARD-4(配列番号:10)、CARD-3(配列番号:6)、ARC-CARD( 配列番号:31)、cIAP1-CARD(配列番号:32)およびcIAP2-CARD(配列番号:33
)のCARDドメインを整列化したものを図示する。
【図8】 ヒトCARD-4Lの推定される構造の特徴を示すプロットである。
【図9】 ヒトCARD-4Sの推定される構造の特徴を示すプロットである。
【図10】 ヒトCARD-4Yスプライス変異体クローンのcDNA配列(配列番号 :38)を図示する。ヒトCARD-4Yスプライス変異体クローンの推定オープンリー ディングフレームはヌクレオチド438位からヌクレオチド1184位までに相当する 。
【図11】 ヒトCARD-4Y cDNAオープンリーディングフレームによってコ ードされることが推定されるタンパク質のアミノ酸配列(配列番号:39)を図示
する。
【図12】 ヒトCARD-4Zスプライス変異体クローンのcDNA配列(配列番号 :40)を図示する。ヒトCARD-4Zスプライス変異体クローンの推定オープンリー ディングフレームはヌクレオチド489位からヌクレオチド980位までに相当する。
【図13】 ヒトCARD-4ZcDNAオープンリーディングフレームによってコー ドされることが推定されるタンパク質のアミノ酸配列(配列番号:41)を図示す
る。
【図14】 ヒトCARD-4L(配列番号:8)、ヒトCARD-4Yの推定アミノ酸配 列(配列番号:39)およびヒトCARD-4Zの推定アミノ酸配列(配列番号:41)を 整列化したものを図示する。
【図15】 マウスCARD-4L cDNA(配列番号:42)のヌクレオチド配列を図
示する。
【図16】 マウスCARD-4L(配列番号:43)の推定アミノ酸配列を図示す る。
【図17】 ヒトCARD-4L(配列番号:8)およびマウスCARD-4Lの推定アミ ノ酸配列(配列番号:43)を整列化したものを示す。
【図18】 CARD-4の32042ヌクレオチドのゲノム配列を図示する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 A C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A (31)優先権主張番号 09/207,359 (32)優先日 平成10年12月8日(1998.12.8) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のa)〜l)からなる群より選択される単離核酸分子: a) 配列番号:38のヌクレオチド配列またはその相補物を含む核酸; b) 配列番号:40のヌクレオチド配列またはその相補物を含む核酸; c) 配列番号:42のヌクレオチド配列またはその相補物を含む核酸; d) 配列番号:38のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子; e) 配列番号:40のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子; f) 配列番号:42のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子; g) 配列番号:38のヌクレオチド配列またはその相補物を含む核酸; h) 配列番号:40のヌクレオチド配列またはその相補物からなる核酸; i) 配列番号:42のヌクレオチド配列またはその相補物からなる核酸; j) 配列番号:38のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核酸分子
    ; k) 配列番号:40のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核酸分子
    ; l) 配列番号:42のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核酸分子
  2. 【請求項2】 請求項1記載の核酸分子の一つを含む宿主細胞。
  3. 【請求項3】 以下のa)〜l)からなる群より選択される単離ポリペプチド: a) 配列番号:39のアミノ酸配列を含むポリペプチド; b) 配列番号:41のアミノ酸配列を含むポリペプチド; c) 配列番号:43のアミノ酸配列を含むポリペプチド: d) 配列番号:39のアミノ酸配列からなるポリペプチド: e) 配列番号:41のアミノ酸配列からなるポリペプチド: f) 配列番号:43のアミノ酸配列からなるポリペプチド: g) 配列番号:39の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含む、配列番号:39
    のアミノ酸配列を含むポリペプチドの断片: h) 配列番号:41の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含む、配列番号:41
    のアミノ酸配列を含むポリペプチドの断片: i) 配列番号:43の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含む、配列番号:43
    のアミノ酸配列を含むポリペプチドの断片: j) ポリペプチドが配列番号:38からなる核酸分子とストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、配列番号:39記載のア
    ミノ酸配列からなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体; k) ポリペプチドが配列番号:40からなる核酸分子とストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、配列番号:41記載のア
    ミノ酸配列からなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体; l) ポリペプチドが配列番号:42からなる核酸分子とストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、配列番号:43記載のア
    ミノ酸配列からなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のポリペプチドのいずれか一つに選択的に結合
    する抗体。
  5. 【請求項5】 以下のa)〜l)からなる群より選択されるポリペプチドの製造
    方法であって、核酸分子が発現される条件下で請求項2記載の宿主細胞を培養す
    る段階を含む方法: a) 配列番号:39のアミノ酸配列を含むポリペプチド; b) 配列番号:41のアミノ酸配列を含むポリペプチド; c) 配列番号:43のアミノ酸配列を含むポリペプチド; d) 配列番号:39のアミノ酸配列からなるポリペプチド; e) 配列番号:41のアミノ酸配列からなるポリペプチド; f) 配列番号:43のアミノ酸配列からなるポリペプチド; g) 配列番号:39の少なくとも15個の連続するアミノ酸を含む、配列番号:39
    のアミノ酸配列を含むポリペプチドの断片; h) 配列番号:41の少なくとも15個の連続するアミノ酸を含む、配列番号:41
    のアミノ酸配列を含むポリペプチドの断片; i) 配列番号:43の少なくとも15個の連続するアミノ酸を含む、配列番号:43
    のアミノ酸配列を含むポリペプチドの断片; j) ポリペプチドが配列番号:38からなる核酸分子とストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、配列番号:39のアミノ
    酸配列からなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体; k) ポリペプチドが配列番号:40からなる核酸分子とストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、配列番号:41のアミノ
    酸配列からなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体; l) ポリペプチドが配列番号:42からなる核酸分子とストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、配列番号:43のアミノ
    酸配列からなるポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異体。
  6. 【請求項6】 以下の段階を含む、試料中の請求項2記載のポリペプチドの
    有無を検出する方法: a) 請求項2記載のポリペプチドに選択的に結合する化合物と試料とを接触さ
    せる段階;および b) 該化合物が試料中で請求項2記載のポリペプチドに結合するか否かを決定
    する段階。
  7. 【請求項7】 以下の段階を含む、試料中の請求項1記載の核酸分子の有無
    を検出する方法: a) 該核酸分子に選択的にハイブリダイズする核酸プローブまたはプライマー
    と試料とを接触させる段階;および b) 該核酸プローブまたはプライマーが試料中で該核酸分子に結合するか否か
    を決定する段階。
  8. 【請求項8】 以下の段階を含む、請求項2記載のポリペプチドに結合する
    化合物を同定する方法: a) ポリペプチド、または請求項2記載のポリペプチドを発現する細胞と、試
    験化合物とを接触させる段階;および b) 該ポリペプチドが該試験化合物に結合するか否かを決定する段階。
  9. 【請求項9】 試験化合物とポリペプチドとの結合が以下からなる群より選
    択される方法によって検出される、請求項8記載の方法: a) 試験化合物/ポリペプチド結合を直接検出することによる結合の検出; b) 競合的結合アッセイ法を用いた結合の検出;および c) CARD-4LまたはCARD-4S媒介シグナル伝達のアッセイ法を用いた結合の検出
  10. 【請求項10】 ポリペプチド、または請求項2記載のポリペプチドを発現す
    る細胞と、ポリペプチドの活性を調節するために十分な濃度でポリペプチドに結
    合する化合物とを接触させる段階を含む、請求項2記載のポリペプチドの活性を
    調節する方法。
  11. 【請求項11】 以下の段階を含む、請求項2記載のポリペプチドの活性を調
    節する化合物を同定する方法: a) 請求項2記載のポリペプチドを試験化合物と接触させる段階;および b) ポリペプチドの活性に及ぼす試験化合物の影響を調べ、それによってポリ
    ペプチドの活性を調節する化合物を同定する段階。
  12. 【請求項12】 以下の段階を含む、CARD-4ドメインを含むCARD-4蛋白質とCA
    RD-4相互作用蛋白質との相互作用を遮断する化合物を同定する方法であって、上
    記相互作用物質がCARD-3およびhNUDCからなる群より選択され、上記CARD-4ドメ インが配列番号:8および配列番号:43からなる群より選択されるアミノ酸配列
    のアミノ酸1〜145位を含む方法: a) 試験物質の存在下および非存在下において上記CARD-4蛋白質と上記相互作
    用物質とをインキュベートする段階; b) 上記試験物質が上記CARD-4蛋白質と上記相互作用物質との結合を減少させ
    るか否かを決定する段階;および c) 上記化合物が上記CARD-4蛋白質と上記相互作用物質との結合を減少させれ
    ば、上記CARD-4蛋白質と上記相互作用物質との相互作用を遮断する化合物である
    ことが同定される段階。
  13. 【請求項13】 CARD-4ドメインを含むCARD-4蛋白質が以下からなる群より選
    択される、請求項12記載の方法: a) 配列番号:8のアミノ酸配列を含むポリペプチド; b) 配列番号:39のアミノ酸配列を含むポリペプチド; c) 配列番号:41のアミノ酸配列を含むポリペプチド;および d) 配列番号:43のアミノ酸配列を含むポリペプチド
  14. 【請求項14】 CARD-4蛋白質および相互作用物質が組換え型原核細胞もしく
    は真核細胞株において発現される、またはCARD-4蛋白質および相互作用物質が単
    離された蛋白質であるか、もしくは細胞不含蛋白質抽出物中に存在する、請求項
    12記載の方法。
  15. 【請求項15】 以下の段階を含む、CARD-4蛋白質によるNF-κB経路の誘導を
    阻害する化合物を同定する方法: a) 試験物質の存在下および非存在下でCARD-4を発現するベクターを含む組換
    え型細胞株をインキュベートする段階; b) 上記試験物質がCARD-4によるNF-κBの誘導を阻害するか否かを決定する段
    階;および c) CARD-4によるNF-κB経路の誘導を阻害する化合物を同定する段階。
  16. 【請求項16】 CARD-4ドメインを含むCARD-4蛋白質が以下からなる群より選
    択される、請求項15記載の方法: a) 配列番号:8のアミノ酸配列を含むポリペプチド; b) 配列番号:39のアミノ酸配列を含むポリペプチド; c) 配列番号:41のアミノ酸配列を含むポリペプチド;および d) 配列番号:43のアミノ酸配列を含むポリペプチド
  17. 【請求項17】 以下の段階をさらに含む請求項15記載の方法: a) 試験化合物の存在下および非存在下において、CARD-4を発現し、且つNF- κB経路リポーター遺伝子をも発現する組換え型細胞株をインキュベートする段 階; b) 上記試験物質がCARD-4によるNF-κB経路リポーター遺伝子の誘導を阻害す
    るか否かを決定する段階;および c) CARD-4によるNF-κB経路リポーター遺伝子の誘導を阻害する化合物を同定
    する段階。
  18. 【請求項18】 以下の段階を含む、CARD-4ドメインを含むCARD-4蛋白質によ
    るカスパーゼ9活性の増強を阻害する化合物を同定する方法: a) 試験物質の存在下および非存在下においてカスパーゼ9およびCARD-4を発
    現する組換え型細胞株をインキュベートする段階; b) 上記試験物質がカスパーゼ9活性を阻害するか否かを決定する段階;なら
    びに c) CARD-4蛋白質によるカスパーゼ9活性の増強を阻害する化合物を同定する
    段階。
  19. 【請求項19】 以下の段階をさらに含む、請求項18記載の方法: a) 試験化合物の存在下および非存在下において、カスパーゼ9およびCARD-4
    を発現する組換え型細胞株と、β-ガラクトシダーゼ発現ベクターとをインキュ ベートする段階; b) 上記試験物質の存在によってβ-ガラクトシダーゼ染色陽性である細胞の 比率が増加するか否かを決定する段階;および c) β-ガラクトシダーゼ染色陽性である細胞の比率を増加させる化合物を同 定することによって、CARD-4蛋白質によるカスパーゼ9活性の増強を阻害する化
    合物を同定する段階。
  20. 【請求項20】 CARD-4ドメインを含むCARD-4蛋白質が以下のa)〜d)からなる
    群より選択される、請求項18記載の方法: a) 配列番号:8のアミノ酸配列を含むポリペプチド; b) 配列番号:39のアミノ酸配列を含むポリペプチド; c) 配列番号:41のアミノ酸配列を含むポリペプチド;および d) 配列番号:43のアミノ酸配列を含むポリペプチド
  21. 【請求項21】 以下の段階を含む、CARD-3ドメインを含むCARD-3蛋白質によ
    るカスパーゼ9活性の増強を阻害する化合物を同定する方法: a) 試験物質の存在下および非存在下においてカスパーゼ9およびCARD-3を発
    現する組換え型細胞株をインキュベートする段階; b) 上記試験物質がカスパーゼ9活性を阻害するか否かを決定する段階; c) CARD-3蛋白質によるカスパーゼ9活性の増強を阻害する化合物を同定する
    段階。
  22. 【請求項22】 以下の段階をさらに含む、請求項21記載の方法: a) 試験物質の存在下および非存在下で、カスパーゼ9およびCARD-3を発現す
    る組換え型細胞株と、β-ガラクトシダーゼ発現ベクターとをインキュベートす る段階; b) 上記試験物質の存在によってβ-ガラクトシダーゼ染色陽性である細胞の 比率が増加するか否かを決定する段階;および c) β-ガラクトシダーゼ染色陽性である細胞の比率を増加させる化合物を同 定することによって、CARD-3蛋白質によるカスパーゼ9活性の増強を阻害する化
    合物を同定する段階。
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