JP2003526346A5 - - Google Patents

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JP2003526346A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 Relタンパク質とステロイド受容体による調節因子の相乗活性
【特許請求の範囲】
【請求項1】 調節因子に対するステロイド受容体とRelタンパク質の相乗効果を調節することが可能な化合物の同定方法であって、
−ステロイド受容体とRelタンパク質により相乗的に活性化されることが可能な調節因子を含む細胞であって、更に調節因子の相乗的活性化を可能にするのに十分量の前記ステロイド受容体と前記Relタンパク質又はその機能的等価物を含む細胞を提供する段階と、
−前記細胞を少なくとも1種の化合物と接触させる段階と、
調節因子の活性化が前記化合物によって調節されるかどうか判定することを含む、前記方法。
【請求項2】 前記ステロイド受容体がエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β及び鉱質コルチコイド受容体又はその機能的等価物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】 Relタンパク質がNF−κB1、Lyt−10、cRel、RelA及びRelB又はその機能的等価物からなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】 調節因子が5HT1−A受容体遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】 調節因子がEセレクチン遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】 前記細胞が、調節因子の活性化を指示することが可能なレポーター遺伝子でトランスフェクトされている請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】 5HT1A受容体遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物を含む核酸でトランスフェクトされた細胞であって、
−ステロイド受容体又はその機能的等価物を前記細胞内で機能的に発現することが可能な前記ステロイド受容体をコードする核酸と、
−Relタンパク質を前記細胞内で機能的に発現することが可能な前記Relタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸を更に含む、前記細胞。
【請求項8】 前記ステロイド受容体がエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β及び/又は鉱質コルチコイド受容体又はその機能的等価物からなる群から選択される請求項7に記載の細胞。
【請求項9】 Relタンパク質がNF−κB1、Lyt−10、cRel、RelA及びRelB又はその機能的等価物からなる群から選択される請求項7又は8に記載の細胞。
【請求項10】 前記細胞が、5HT1A受容体遺伝子のプロモーターの活性化を指示することが可能なレポーター遺伝子でトランスフェクトされている請求項7から9のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項11】 5HT1A受容体遺伝子のプロモーターを含む核酸及び/又はステロイド受容体をコードする核酸及び/又はRelタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸が前記細胞にトランスフェクトされている請求項7から10のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項12】 E−セレクチン遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物を含む核酸でトランスフェクトされた細胞であって、
−ステロイド受容体又はその機能的等価物を前記細胞内で機能的に発現することが可能な前記ステロイド受容体をコードする核酸と、
−Relタンパク質を前記細胞内で機能的に発現することが可能な前記Relタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸を更に含む、前記細胞。
【請求項13】 前記ステロイド受容体がエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β及び/又は鉱質コルチコイド受容体又はその機能的等価物からなる群から選択される請求項12に記載の細胞。
【請求項14】 Relタンパク質がNF−κB1、Lyt−10、cRel、RelA及びRelB又はその機能的等価物からなる群から選択される請求項12又は13に記載の細胞。
【請求項15】 前記細胞が、E−セレクチン遺伝子のプロモーターの活性化を指示することが可能なレポーター遺伝子でトランスフェクトされている請求項12から14のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項16】 E−セレクチン遺伝子のプロモーターを含む核酸及び/又はステロイド受容体をコードする核酸及び/又はRelタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸が前記細胞にトランスフェクトされている請求項12から15のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項17】 セロトニン受容体の脳中濃度を調節する化合物の同定における請求項7から16のいずれか一項に記載の細胞の使用。
【請求項18】 医薬として使用されるための、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法で同定された化合物。
【請求項19】 中枢神経系疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1から4及び6のいずれか一項に記載の方法で同定された化合物の使用。
【請求項20】 循環系疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1から3、5又は6のいずれか一項に記載の方法で同定された化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はステロイド受容体とRelタンパク質の相乗作用により調節因子を活性化する新規に発見されたメカニズムを調節することが可能な化合物の同定方法に関する。本発明は核酸をトランスフェクトした細胞と、調節因子の制御下に遺伝子発現レベルを調節する化合物の同定アッセイにおける前記細胞の使用と、このようなアッセイで同定された化合物の医薬的使用にも関する。
【0002】
核因子κB(NF−κB)/Relファミリーの転写アクチベータータンパク質のメンバーはその阻害タンパク質(I−κB)に密接な関係があり、細胞質に存在する。これらのメンバーは前炎症性サイトカインにより誘導することができ、化学誘引物質、サイトカイン(NF−κBにより誘導されるサイトカイン自体を含む)、サイトカイン受容体及び細胞接着分子の転写を誘導するので免疫作用と炎症作用に重要である。誘導後、relタンパク質は二量化して核に移動し、その標的遺伝子のプロモーター中のNF−κB結合モチーフを介して標的遺伝子を活性化する。種々のNFκB二量体により認識されるDNA配列を試験した結果、好ましい標的部位は既存のrelタンパク質の二量体の組合せにより多少異なり(Chenら,−Nature Struct.Biol.5:67−73,1998;Kunschら,Mol.Cell Biol.12:4412−4421,1992;ParryとMackman,J.Biol.Chem.269:20823−20825,’94)、種々のプロモーターで同定されたNFκB応答因子が幅広く変動することが裏付けられた。
【0003】
Relタンパク質の二量化と核内移動は細菌及びウイルス病原体、免疫及び炎症性サイトカイン並びに各種細胞傷害物質を含む多数の物質により誘導される。このファミリーの転写因子はエストロゲン受容体や糖質コルチコイド受容体等のステロイド受容体と相互作用して標的遺伝子を抑制することが判明したので、Relタンパク質による活性化の標的となる遺伝子は更に多いと思われる。
【0004】
エストロゲンと他のステロイドは中枢神経系に強い作用がある(1)。特に、エストロゲンは脳セロトニン系を調節できるため、鬱病とその治療に関連するメカニズムに関与していると思われる(2,3)。しかし、ER発現は広く分布しているので、エストロゲンがアテローム硬化症、アルツハイマー病及び骨粗鬆症に対する保護を含む数種の他の有益な効果をもつことも意外ではない。エストロゲン治療による乳癌や子宮内膜癌の危険の増加といった副作用の危険を減らすために、組織選択的ER結合化合物の研究に多大な労力が費やされている。
【0005】
エストロゲン以外に、他のステロイド受容体の組織選択的効果も大きな注目を集めている。これらのステロイド受容体についても、大半種のステロイド受容体は組織分布が広いため、1組の組織又は臓器(例えば精神病の脳)のみを標的とする化合物の開発を阻んでいる。このため、ステロイド受容体に媒介される効果を組織選択的にスクリーニングできるようなアッセイが大きな関心を集めている。
【0006】
エストロゲンの効果は核ホルモン受容体のサブファミリーに属する2種のエストロゲン受容体(ERα及びβ)により媒介されることが知られている(15〜18)。これらの2種のERは十分に保存されたモジュール構造を共有する。DNA結合ドメインはERα及びβ間で高度に保存されており(一致度96%)、リガンド結合ドメインも比較的十分に保存されている(一致度58%)が、A/B領域は2種の受容体間で保存度が低い(一致度20%)。リガンド結合後、活性化された受容体は二量化し、標的遺伝子の調節領域に位置するエストロゲン応答因子(ERE)と呼ばれる特定DNA配列と相互作用する。その後、DNAに結合した受容体は転写を正又は負に調節することができる。ERαについては、A/Bドメインに位置するAF−1とリガンド結合ドメインに位置するAF−2の2種のトランス活性化領域により転写調節を媒介することが知られている。これらの2種のトランス活性化領域は細胞やプロモーターの状況に応じて独立して機能する場合と協同する場合がある(19,20)。最近、エストロゲンが標的遺伝子を調節する他のメカニズムも発見された。これらはER作用の標的配列として調節因子を利用する遺伝子(21)や、AP−1やSp1のように夫々のDNA結合部位に結合した他の転写因子との相互作用を介してERにより調節される遺伝子(22〜23,36〜38)である。
【0007】
本発明者らはNF−κBとステロイド受容体ファミリーのメンバーが相乗的に作用して種々の調節因子との相互作用により遺伝子発現を活性化するメカニズムを発見したことを今般報告する。Relタンパク質とステロイド受容体の相互阻害については多くの報告があるが、このような相乗活性化はまだ報告されていない。新規に発見されたメカニズムは調節因子の発現を調節する化合物を開発するために必要な手段を提供する。調節因子によってはこのような化合物が局在ステロイド受容体を介して作用するにも拘らず組織選択的応答を生じる場合もある。
【0008】
第1の例として、本発明者らはエストロゲンがセロトニン系を調節する分子メカニズムを検討した。具体的には、5−HT1A受容体遺伝子に対するエストロゲンの効果を検討した。セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン,5−HT)は種々の行動プロセスの制御に関与している(4)。セロトニン系の調節障害は鬱病や不安等の神経精神障害に重要な役割を果たすと考えられる(5,6)。セロトニンの複雑な作用は大きいファミリーの関連受容体により媒介される(7)。アデニル酸シクラーゼを負に調節するGタンパク質結合受容体である5−HT1A受容体が特に注目されている(8)。5−HT1A受容体は制限されたパターンで脳で発現され、辺縁領域、大脳皮質及び脳縫線核に高レベルの受容体が検出された(9〜11)。本発明者らはERαがNF−κBと相乗的に作用して5−HT1A受容体プロモーターを活性化することを今般報告する。この活性化はホルモンの不在下でも生じたが、17β−エストラジオール(E)又は4−ヒドロキシタモキシフェン(OH−T)の添加のみならずICI164384によっても誘導することができた。ERβもこの効果を媒介することができたが、この場合にはERαの効果のほうが著しく強かった。更に、本発明者らはこの相乗活性化がNF−κBのp65サブユニットのトランス活性化ドメインとAF−1を含むERαのA/Bドメインの両者に依存することを見出した。本発明者らの知見によると、エストロゲンはNF−κBとERによる相乗活性化を介する新規メカニズムにより5−HT1A受容体の発現を調節すると思われる。
【0009】
同一相乗効果がNF−κBと鉱質コルチコイド受容体(MR)等のステロイド受容体によりE−セレクチンプロモーターの活性化にも関与していることが意外にも判明した。これについては図7と明細書の後欄で詳細に説明する。調節因子を介するNF−κBとの相乗効果はERに限定されず、MRでも認められることが分かったので、他のステロイド受容体にも同様の結果が期待される。
【0010】
本発明によると、新規に発見されたメカニズムを調節することが可能な化合物を同定するためのスクリーニングアッセイを設計することが可能になる。例えば、5HT1A受容体は脳組織のみに存在し、E−セレクチンは内皮細胞のみにより発現されるので、このようなアッセイで検出されるリガンドはCNS疾患及び/又は循環系疾患を治療するために特異的に使用することができ、従って、組織特異的に作用する化合物を同定することができる。このようなリガンドから他の組織を標的とするものを排除するアッセイは標準手法であり、当業者に公知である。
【0011】
本発明において、本発明者らは5−HT1A受容体のシス調節領域が2個の推定NF−κB結合部位を含み、NF−κBタンパク質の存在がERによる相乗誘導に不可欠であることも報告する。これは、NF−κB複合体がERと協同して5−HT1A受容体遺伝子発現を相乗的に調節することを示す。従来検討されている大半の系では、エストロゲンとNF−κBのシグナル伝達経路は相互に拮抗している。例えば、IL−6プロモーターの調節は広く研究されており、NF−κBにより誘導されるこの遺伝子の活性化はエストロゲンにより明白に阻害することができた(33,34)。これらの知見と同様に、本発明者らは人工NF−κBレポーター構築物とE−セレクチンプロモーター(図7)でエストロゲンがNF−κB活性を阻害することを立証した。しかし、5−HT1A受容体プロモーターではエストロゲンはNF−κBにより誘導される活性を更に増し、エストロゲンによる正又は負の調節がプロモーターの状況に依存することが予想された。
【0012】
ERαとERβはDNA結合ドメインにおいて高度の相同性を示し、リガンド結合ドメインで中度の相同を示すが、A/B領域は2種の受容体間の保存度が低い。数種の異なるアプローチに基づき、NF−κBとERによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化はAF−1を含むERαのN末端領域に依存することが判明した。第1に、ERβのA/B領域をERαのA/B領域で置換すると(ERα/β)、5−HT1A受容体プロモーターの活性化に関して野生型ERαよりも更に強力なキメラ受容体が得られた。他方、ERαのA/B領域をERβのA/B領域で置換すると(ERβ/α)、受容体はプロモーターを相乗的に活性化することが全くできなくなった。第2に、AF−2欠損突然変異体であるERα1−339による相乗活性化は野生型ERαと同等であったが、AF−1欠損突然変異体であるERα121−599の効果は野生型ERβと同等であった。第3に、ERβがこの相乗効果を媒介する効果はERαに比較して著しく弱かった。第4に、AF−2のみを阻害する部分抗エストロゲンOH−Tは5−HT1A受容体プロモーターの活性化に関してEと同程度に強力であった。抗エストロゲンのAF−1に媒介されるアゴニスト効果はERβのA/B領域ではなくERαのA/B領域を介することが最近報告されている(28)。ERαとERβのこれらの相違は2種のERサブタイプの調節機能が異なることを示唆している。これらのデータをまとめると、ERαAF−1は5−HT1A受容体プロモーター調節に明白に関与している。
【0013】
本発明者らの知見は、NF−κB複合体とNF−κB結合部位がERによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化に重要な役割を果たすことを明示している。しかし、−901luc構築物で2種のNF−κB分子を突然変異させると、ER効果は維持されたが、NF−κB効果は失われた。1つの仮説として、NF−κBタンパク質はモノマーとしてこれらの突然変異κB因子に結合すると考えられる。このNF−κB−DNA複合体はこの構成では転写活性できず、ERにより安定化されると予想されるため、5−HT1A受容体遺伝子のプロモーター中の他の応答配列に対応して活性化される。更に、ERαの機能的DNA結合ドメインは必要であるが、EREレポーターと5−HT1A受容体プロモーターのERα活性に明白な相関がないことはERα突然変異体とキメラの使用から明らかである。従って、5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化を説明する最も有望な仮説は、ERがDNAとの直接結合ではなくタンパク質−タンパク質相互作用によりこのプロモーターを活性化すると説明できる。ERαはERαのDNA結合ドメインとp65のRHDを介してp65と直接相互作用することが記載されている(34)ので、ERαのDNA結合ドメインとp65の無傷RHDの両方が相乗活性化に必要であるという事実によりこのモデルは裏付けられる。更に、この応答にはp65とERαのAF−1両者のトランス活性化ドメインが必須である。従って、本発明の結果はNF−κB複合体がERと協同してAF−1を介してコアクチベーターを複合体に補充し、それにより5−HT1A受容体プロモーターを相乗的に活性化することを示唆している。
【0014】
古典的ホルモン活性化経路に加え、他のシグナル伝達経路がERαを含む多数のステロイド受容体をホルモンリガンドから独立して調節することも記載されている。核受容体はリン酸化を介してドーパミン、成長因子及びPKAアクチベーター等の非ステロイド物質により活性化されることが示されている(39)。ERαのリン酸化は受容体活性を増すことが示されており、主要リン酸化部位は受容体のA/B領域に位置する(40,41)。最近、ERβAF−1のリン酸化は補因子の補充と非ステロイドアクチベーターによる遺伝子活性化を調節し(42)、ペルオキシソームプロリフィレーター活性化受容体γのA/Bドメインのリン酸化はその転写活性を低下させる(43)ことが報告された。ERαとERβのA/B領域内に数個のキナーゼ部位が存在することからAF−1ドメインのリン酸化が変動し、その結果、種々のアクチベーターにより受容体の種々の応答を生じるのではないかと思われる。この別経路の存在はホルモン非依存性受容体活性化におけるAF−1の重要性を強く裏付けている。
【0015】
いくつかの証拠から、エストロゲンはCNSにおける5−HT1A受容体発現も調節すると思われる。例えば、出産前と閉経開始時のエストロゲン低下は負の効果と相関しているが(44)、エストロゲン添加療法により女性の鬱病又は不安を緩和できる場合がある(45,46)。更に、卵巣摘出により5−HT結合部位と5−HT輸送体結合部位が減少した(12〜14)が、卵巣摘出したラットにエストロゲンを添加するとこの減少は食止められた。ERαとERβのいずれも皮質、海馬及び縫線核を含む脳の複数の領域で同定されている(47)。更に、NF−κBが脳、特に皮質と海馬で活性であることも記載されている(48)。同時に、NF−κBが免疫細胞で機能するだけでなく、ニューロン柔軟性、神経変性及びニューロン発生等のプロセスに固有の役割をもつことが立証されつつある(49)。即ち、これらの転写因子及び経路は脳における5−HT1A受容体遺伝子発現の調節に重要な役割を果たすと思われる。エストロゲンが気分や精神状態に著しく強い作用をもつことに対する一因はこのホルモンがセロトニン作動性受容体機能を調節できるためであると思われる。
【0016】
ステロイド受容体とRelタンパク質の相乗活性化はE−セレクチンプロモーターでも見られた。E−セレクチンプロモーター活性に対する鉱質コルチコイドの効果を調べるために、MRをコードする発現ベクターと共にE−セレクチンプロモーターの部分を含むルシフェラーゼレポーター構築物をU−2OS細胞に一過的にトランスフェクトした。図7Aに示すように、IL−1βにより誘導したプロモーター活性はMRにより相乗的に刺激された。MRの存在下にNF−κBにより誘導したE−セレクチンプロモーターのこの活性はアルドステロンを加えると更に増強することができた。E−セレクチンプロモーターを含まないルシフェラーゼベクターで実験を繰返すことによりこのメカニズムの選択性が判明した。IL−1β及び/又のMRに対する効果は認められなかった(図7B)。
【0017】
興味深いことに、MRの代わりにERαをコトランスフェクトすると、E−セレクチンプロモーター活性に対する相乗効果は認められなかった。その代わりに、これらの条件下ではIL−1βにより誘導されるプロモーター活性はリガンドがなければERαにより抑制されず、この効果は17β−エストラジオールを加えると更に増した(図7C)。これらの結果もリガンドで活性化した受容体とNF−κBの相乗効果が特定プロモーターの状況と特定ステロイド受容体−プロモーター組合せの選択性に依存することを示している。
【0018】
E−セレクチンプロモーターは、E−セレクチンプロモーターに対する鉱質コルチコイドの相乗効果に関与している可能性が最も高い多重NF−κBコンセンサス部位を含む(Collins,T.,Williams,A.,Johnston,G.I.,Kim,J.,Eddy,R.,Shows,T.,Gimbrone,M.A.,Bevilacqua,M.P.(1991)J.Biol.Chem.266:2466−2473)。MRとの上記相乗効果におけるNF−κBの役割はTKプロモーターの前にコンセンサスNF−κB結合部位3コピーを含む合成レポーター構築物である3NF−κB−TKレポーターで鉱質コルチコイドの効果を調べる試験で確認された(図7D)。図7Dに使用した目盛に示すように、合成3NF−κB−TKレポーターはIL−1βによる刺激とMRの相乗効果の両者に著しく感受性である。このことは、このレポーターがNF−κB応答因子の多重反復を含むので、意外ではない。アルドステロンを加えてもrelタンパク質とMRの相乗効果がそれ以上増加しないのは、アルドステロンの不在下でIL−1βとMRの相乗効果が大きいためであると思われる。MRとERがIL−1βがなければプロモーター活性を誘導又は抑制できるという知見(図7A、C及びD、3番目と4番目の棒参照)は、U−2OS細胞がサイトカインがなければNF−κB活性を構成的に含むことを示唆している。あるいは、U−2OS細胞自体がサイトカインを生産しているか、細胞を培養した血清からサイトカイン活性が誘導されるとも考えられる。E−セレクチンプロモーターと3NF−κB−tkレポーターの調節に他種転写因子も関与している可能性(Kaszubska,W.,Hooft van Huijsduijnen,R.,Ghersa,P.,DeRaemy−Schenk,A.−M.,Chen,B.P.,Hai,T.,Delamarter,J.F.,Whelan,J.Mol.Cell.Biol.13:7180−7190)もあるが、上記結果は、少くともNF−κBが鉱質コルチコイドによる該プロモーター−レポーターの刺激に重要な役割を果たしていることを示している。IL−1βにより誘導したRelタンパク質との相乗作用又は拮抗作用におけるERαとMRの上記相違はERα又はMRと種々のNF−κBを含む複合体の活性差に起因すると思われる。更に、本発明は、種々の核受容体がNF−κB応答性プロモーターに対してNF−κBと相乗効果をもつことも報告する。効果の厳密な性質はステロイド受容体種の組合せとプロモーターの種類に明白に依存する。
【0019】
以上、本発明の数種の特定態様について記載したが、当然のことながら当業者はRelタンパク質とステロイド受容体により相乗的に活性化される他の調節因子を選択できる。要約すると、これはRelタンパク質とステロイド受容体をコードする発現ベクターと共にレポーター遺伝子に機能的に結合した特定調節因子をコトランスフェクトすることにより最良に実施することができる。特に、NF−κBとステロイド受容体をコードする発現ベクターがこの目的に適している。ステロイド受容体はERαでもMRでもよいし、ERβでもERαとERβの併用でもよい。これらの例は本発明により相乗的に活性化することが可能な調節因子を更に選択するために必要な手段を提供する。
【0020】
Relタンパク質とステロイド受容体が相互作用して調節因子を相乗的に活性化する新規メカニズムの発見に伴い、この新規メカニズムに特異的に相互作用する化合物をスクリーニングすることが可能性になる。従って、本発明の一態様として調節因子に対するステロイド受容体とRelタンパク質の相乗効果を調節することが可能な化合物の同定方法として、
−ステロイド受容体とRelタンパク質により相乗的に活性化することが可能な調節因子を含み、更に調節因子の相乗活性化を可能にするために十分な量の前記ステロイド受容体と前記Relタンパク質又はその機能的等価物を含む細胞を提供する段階と、
−前記細胞を少なくとも1種の化合物と接触させる段階と、
調節因子の活性化が化合物により調節されるか否かを決定する段階を含む方法に関する。
【0021】
Relタンパク質とステロイド受容体の相乗効果を調節することが可能な化合物としては相乗効果を刺激又は抑制する化合物が挙げられる。セロトニン1A受容体のプロモーター又はE−セレクチンプロモーターに対する所定のステロイド受容体とRelタンパク質の相乗効果を刺激することが可能な公知化合物の例は実施例の項に示す。
【0022】
この点でRelタンパク質の機能的等価物とはRelドメインに相同があり、遺伝子調節に関与するRelファミリーのタンパク質複合体と解釈すべきであり(LiouとBaltimore,Current Opinion in Cell Biology,5:477−487,1993)、例えばNF−κB1、Lyt−10、cRel、RelA及びRelBが挙げられるが、これらに限定されない。所定生物機能を維持するNF−κBの機能的等価物でもよく、少なくともNF−κBのトランス活性化ドメインとDNA結合ドメインを含むフラグメントが好ましい。
【0023】
調節因子」又は「プロモーター」とは細胞内でRNAポリメラーゼと直接又は間接的に結合し、下流(3’側)コーディング配列の転写を開始することが可能なDNA配列を意味する。
【0024】
調節因子の活性化を指示することが可能な異種レポーター遺伝子にプロモーターを結合してもよい。このような構築物では、プロモーターは異種遺伝子からの転写に作用する。適切なレポーター遺伝子は例えばルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ及び分泌胎盤アルカリホスファターゼである。
【0025】
この点でERの機能的等価物とは少なくともERαのAF−1トランス活性化領域とERαのDNA結合ドメインを含むER断片と解釈すべきである。
【0026】
「機能的等価物」なる用語は一般に元の分子と同一生物機能を発揮することが可能な分子と解釈すべきである。
【0027】
細胞中のステロイド受容体とRelタンパク質の量は調節因子の相乗活性化を生じるために十分な量でなければならない。これは十分な量のステロイド受容体とRelタンパク質を構成的に合成する適切な細胞又は適当な因子を加えてステロイド受容体とRelタンパク質の発現を誘導することが可能な適切な細胞を選択することにより得られる。あるいは、適当な組換えDNAベクターと当分野で公知のトランスフェクション法を使用してステロイド受容体とRelタンパク質を細胞にトランスフェクトしてもよい。
【0028】
好適な態様としては、本発明は前記ステロイド受容体がエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β及び/又は鉱質コルチコイド受容体又はその機能的等価物から構成される群から選択される上記方法に関する。
【0029】
別の好適態様では、本発明はRelタンパク質がNF−κB、Lyt−10、cRel、RelA及びRelB又はその機能的等価物から構成される群から選択される上記方法に関する。
【0030】
別の好適態様では、本発明は調節因子が5HT1−A受容体遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物である上記方法に関する。
【0031】
別の好適態様では、本発明は調節因子がEセレクチン遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物である上記方法に関する。
【0032】
別の好適態様では、本発明は調節因子の活性化を指示することが可能なレポーター遺伝子を前記細胞にトランスフェクトする上記方法に関する。
【0033】
本発明は更に5HT1A受容体遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物を含む核酸をトランスフェクトした細胞にも関し、前記細胞は該当ステロイド受容体又はその機能的等価物を前記細胞内で機能的に発現することが可能なステロイド受容体をコードする核酸と、該当Relタンパク質を前記細胞内で機能的に発現することが可能なRelタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸を更に含む。
【0034】
本発明は更に前記ステロイド受容体がエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β及び/又は鉱質コルチコイド受容体又はその機能的等価物から構成される群から選択される本発明の細胞に関する。
【0035】
本発明は更にRelタンパク質がNF−κB、Lyt−10、cRel、RelA及びRelB又はその機能的等価物から構成される群から選択される本発明の細胞に関する。
【0036】
本発明は更に5HT1A受容体遺伝子のプロモーターの活性化を指示することが可能なレポーター遺伝子を前記細胞にトランスフェクトした本発明の細胞に関する。
【0037】
本発明は更に5HT1A受容体遺伝子のプロモーターを含む核酸及び/又はステロイド受容体をコードする核酸及び/又はRelタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸を前記細胞にトランスフェクトした本発明の細胞に関する。
【0038】
本発明は更にE−セレクチン遺伝子のプロモーター又はその機能的等価物を含む核酸をトランスフェクトした細胞に関し、前記細胞は該当ステロイド受容体又はその機能的等価物を前記細胞内で機能的に発現することが可能なステロイド受容体をコードする核酸と、該当Relタンパク質を前記細胞内で機能的に発現することが可能なRelタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸を更に含む。
【0039】
本発明は更に前記ステロイド受容体がエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β及び/又は鉱質コルチコイド受容体又はその機能的等価物から構成される群から選択される本発明の細胞に関する。
【0040】
本発明は更にRelタンパク質がNF−κB、Lyt−10、cRel、RelA及びRelB又はその機能的等価物から構成される群から選択される本発明の細胞に関する。
【0041】
本発明は更にE−セレクチン遺伝子のプロモーターの活性化を指示することが可能なレポーター遺伝子を前記細胞にトランスフェクトした本発明の細胞に関する。
【0042】
本発明は更にE−セレクチン遺伝子のプロモーターを含む核酸及び/又はステロイド受容体をコードする核酸及び/又はRelタンパク質又はその機能的等価物をコードする核酸を前記細胞にトランスフェクトした本発明の細胞に関する。
【0043】
本発明は更にセロトニン受容体の脳濃度を調節する化合物の同定における上記細胞の使用に関する。
【0044】
本発明は上記方法で同定された医薬用化合物にも関する。
【0045】
本発明は中枢神経系疾患治療用医薬の製造における上記方法で同定された化合物の使用にも関する。
【0046】
好適態様において、ステロイド受容体とRelタンパク質の相乗効果を調節する化合物はRelタンパク質又はステロイド受容体が個々に調節因子に作用するメカニズムには作用しない。これらの化合物は化合物の臨床使用に最も望ましい選択性を提供する。
【0047】
図面の説明
図1。NF−κBとヒトERαによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクター(白棒)とERαもしくはERβをコードする発現ベクター(線影棒)と共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。(B)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとERαもしくはERβをコードする発現ベクターと共に4×NF−κB(HIV)tklucをCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(白棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【0048】
図2。NF−κBとヒトERαによる5−HT1A受容体プロモーター調節におけるκB因子の重要性。(A)使用したルシフェラーゼ(luc)レポーター構築物の模式図であり、ラット5−HT1A受容体(5−HT1AR)プロモーター欠失を含む。2個の白丸(○)はNF−κB結合部位を示す。(B)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクター(白棒)とERαをコードする発現ベクター(線影棒)と共に各種指定レポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【0049】
図3。OH−TはNF−κBとヒトERαにより5−HT1A受容体プロモーターの活性を増すことができるが、ICIはできない。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとERαもしくはERβをコードする発現ベクターと共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、E、OH−T又はICIで24時間指定通りに処理した。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【0050】
図4。NF−κBとヒトERαによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化にはp65のトランス活性化機能が必要である。空の発現ベクター又は指定通りにp50、p65、p65RHDもしくはp65Nsiをコードする発現ベクター(白棒)とERαをコードする発現ベクター(線影棒)と共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBサブユニットにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【0051】
図5。マウスERαによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化はAF−2非依存的に生じる。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとマウスERα、ERβ、ERα121−599、ERα1−339もしくはERαC241/244Aをコードする発現ベクターと共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。(B)空の発現ベクター又はマウスERα、ERβ、ERα121−599、ERα1−339もしくはERαC241/244Aをコードする発現ベクターと共に3×ERE−TATAlucをCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してERにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【0052】
図6。5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化にはERαのA/Bドメインが必須である。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとヒトERα、ERβ、ERα/βもしくはERβ/αをコードする発現ベクターと共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。(B)空の発現ベクター又はヒトERα、ERβ、ERα/βもしくはERβ/αをコードする発現ベクターと共に3×ERE−TATAlucをCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してERにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【0053】
図7。NF−κBと夫々MR又はERαによるE−セレクチンプロモーターの相乗活性化又はトランス抑制。(A)E−セレクチンプロモーター−レポーターをU−2OS細胞に一過的にコトランスフェクトし、0.1μMアルドステロンの不在下又は存在下にIL−1β、MRのコトランスフェクション又はIL−1βとMRの併用の効果を測定した。(B)ELAMプロモーターを含まないルシフェラーゼ−レポーターをU−2OS細胞に一過的にコトランスフェクトし、0.1μMアルドステロンの不在下又は存在下にIL−1β、MRの同時発現又はIL−1βとMRの併用の効果を測定した。(C)E−セレクチンプロモーター−レポーターをU−2OS細胞に一過的にコトランスフェクトし、0.1μM17β−エストラジオールの不在下又は存在下にIL−1β、MRのコトランスフェクション又はIL−1βとERαの併用の効果を測定した。(D)合成3NF−κB−tkプロモーター−レポーターをU−2OS細胞に一過的にコトランスフェクトし、0.1μMアルドステロンの不在下又は存在下にIL−1β、MRのコトランスフェクション又はIL−1βとMRの併用の効果を測定した。未処理細胞(各図の最初の棒)に比較した誘導倍率として結果を表す。全値は2回測定値の平均±S.D.を表す。A、B、CとDで目盛が異なることに留意されたい。
【0054】
実施例
実施例1
使用した材料と方法
特定試薬。17β−エストラジオールはSigma Chemical Co(St Louis,MO)から入手した。4−ヒドロキシタモキシフェンとICI164384は英国Zeneca PharmaceuticalsのA.Wakeling博士の寄贈品を用いた。
【0055】
細胞培養。サルCOS−1細胞とヒト293胚性腎細胞はAmerican Type Culture Collection(ATCC;Rockville,MD)から入手し、DMEMとHamのF−12培地(DF;Life Technologies Inc.)の1:1混合物を重炭酸塩で緩衝し、7.5%FCSを加えた中で培養した。従来記載されているように(25)FCSをデキストラン被覆活性炭で処理してステロイドを除去することによりデキストラン被覆活性炭(DCC)−FCSを調製した。
【0056】
プラスミド。−901lucはO.Meijer博士(オランダ、ライデン)の寄贈品である−1588lucをStyIで部分消化し、平滑化し、SmaIで消化したpGL3に連結し、HindIIIで再消化して再連結することにより構築し、−81lucは−1588lucをStyIで部分消化し、平滑化してBglIIで消化し、SmaI/BglIIで消化したpGL3に連結することにより構築し、−901 365Mlucと−901 64Mlucは夫々オリゴヌクレオチド5’−gagccgaattctacagactaa−3’及び5’−aactgcaaggagatctacatcgcccctcg−3’を使用して部位特異的突然変異誘発により元のプロモーター構築物に点突然変異を導入することにより構築した。−901 365/64Mlucは−901 64MlucをSacII/HindIIIで消化し、SacII/HindIIIで消化した−901 365Mlucに連結することにより構築し、−81 64Mlucは−901 64MlucをStyIで部分消化して再連結することにより構築した。ヒトp65(RelA)、p50(NF−κB)及びp65RHD(1−305)、p65Nsi(1−551E39I)をコードする全長cDNAを含むCMV4発現ベクターは従来記載されている(26,27)。ヒトERα(pSG5−HEGO)とヒトERβ(pSG5−ERβ530)をコードする発現ベクターは夫々Chambon博士(フランス、ストラスブール)とGustafsson博士(スウェーデン、ストックホルム)の寄贈品を使用した。キメラヒトERα/ERβ及びERβ/ERα受容体は従来記載されており(28)、ERα/ERβキメラはERαのA/BドメインとERβのC、D、E、Fドメインを含み、ERβ/ERαキメラはERβのA/BドメインとERαのC、D、E、Fドメインを含む。マウスERα(pMT2MOR)、ERα1−339、ERα121−599及びERαC241/244A(29)はParker博士(英国、ロンドン)から寄贈された。使用したレポータープラスミド4×NF−κB(HIV)ktluc及び3×ERE−TATA−lucは従来記載されている(30,31)。
【0057】
一過性トランスフェクション。一過性トランスフェクションでは、24穴プレートで5%DCC−FCSを加えたDF+中でCOS−1細胞と293細胞を培養した。リン酸カルシウム共沈法を使用してルシフェラーゼレポーター0.4μg、PDMlacZ0.6μg及び指定発現プラスミド0.2μgを細胞にトランスフェクトした。pBluescript SKを加えてDNA合計量1.8μg/ウェルとした。16時間後に培地を交換し、指定ホルモンを加えた。24時間後に細胞を回収し、Lucliteルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイキット(Packard Instruments,CT)とTopcount液体シンチレーションカウンター(Packard Instruments,CT)を製造業者のプロトコールに従って使用してルシフェラーゼ活性を定量した。β−ガラクトシダーゼ活性を測定することによりトランスフェクション効率値を補正した(32)。
【0058】
実施例2
NF−κBとERによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化
5−HT1A受容体プロモーター活性に対するエストロゲンの効果を調べるために、ERα又はERβをコードする発現ベクターと共に5−HT1A受容体プロモーターを含むレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。図1Aに示すように、ERα又はERβをコトランスフェクトし、細胞を17β−エストラジオール(E)で処理したが、5−HT1Aプロモーター活性に殆ど効果がなかった。しかし、直接調節以外にERと他の転写因子の相互作用により間接的にER標的遺伝子が調節される可能性もある。−901luc 5−HT1A受容体プロモーター構築物には推定NF−κB結合部位が存在することが判明し(図2A参照)、NF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターと共にこのレポーター構築物をトランスフェクトすると、レポーターの誘導倍率は10倍になった。興味深いことに、ERαをNF−κBとコトランスフェクトすると、非常に大きいプロモーター活性が誘導され、Eを加えると更に増すことができた(図1A)。ERαに対してERβはNF−κBとコトランスフェクトした場合の誘導倍率が著しく低く、Eの効果も認められなかった。293細胞でも同様の結果が得られた(結果は示さず)が、ERαによる活性化レベルはCOS−1細胞よりも低かった。これらの結果は、5−HT1A受容体プロモーターをNF−κBとERにより相乗的に活性化できることを示している。
【0059】
過去に数グループがNF−κB活性に対するエストロゲンの阻害効果を報告している(33〜35)。従って、本発明者らもERα又はERβとNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現構築物と共にルシフェラーゼに結合したチミジンキナーゼプロモーターの前にHIV−LTRからの4種のNF−κB因子を含むレポーター構築物に対するエストロゲンの効果を検討した。このレポーター構築物では、ERαをコトランスフェクトするとホルモンがなくてもNF−κBの転写活性が抑制されたが、ホルモンを加えると更に抑制された(図1B)。ERβをコトランスフェクトした場合にもNF−κB活性は多少抑制された。293細胞でも同様の結果が得られた(結果は示さず)。これらの結果をまとめると、ERはICAMプロモーターからのコンセンサス応答因子に基づく合成NF−κBレポーター構築物にNF−κBの転写リプレッサーとして作用すると共に、ERはNF−κBと協同して転写アクチベーターとして5−HT1A受容体プロモーターに作用する。
【0060】
実施例3
NF−κBとERによる5−HT1A受容体プロモーター調節におけるNF−κB因子の関与
5−HT1A受容体プロモーターに対するERの効果が何に起因するのかを調べるために、数種のプロモーター欠失構築物を使用した(図2A)。両方のNF−κB因子を突然変異させると(−901 356/64Mluc)、5−HT1A受容体プロモーターに対するNF−κBの効果は完全に失われた(図2B)。他方、ERαをNF−κBと併用するだけで野生型プロモーター(−901luc)と同等の効率でプロモーター活性を誘導することができた。同様に、プロモーター構築物−81lucは1個のNF−κB因子を含んでいたが、NF−κBにより誘導することができなかった。しかし、このプロモーター構築物でもERαとNF−κBの併用効果が認められた。−81luc構築物に存在する単一NF−κB因子を突然変異させると(−81 64Mluc)、ERα効果はほぼ完全に失われた。従って、5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化はNF−κB結合部位を介するが、NF−κB自体によるプロモーターの活性化はERの効果に必要ないと思われる。これらの結果は、ERによるこの相乗プロモーター活性化がDNA結合に依存せず、タンパク質−タンパク質相互作用に起因することを示唆している。
【0061】
実施例4
5−HT1A受容体プロモーターに対する抗エストロゲンの効果
抗エストロゲンはプロモーターの状況と受容体サブタイプに応じて種々の効果をもつことが報告されている。トランス活性化実験においてOH−Tは古典的EREにより調節される遺伝子の転写を阻害し、Eと同様にAP−1因子と−ERαの制御下にある遺伝子の転写を活性化した(22)。本発明者らはAF−2を阻害する部分アンタゴニストOH−TとAF−1及びAF−2を阻害する「純」アンタゴニストICI164384(ICI)を使用して5−HT1A受容体プロモーターに対する抗エストロゲンの効果を試験した。図3に示すように、ICIで処理しても5−HT1A受容体プロモーターの活性はERαとNF−κBにより増加せず、OH−Tは転写活性化においてEと同等に強力であった。これらのデータをまとめると、AF−1活性能を保持する部分アンタゴニストOH−Tは、ERαによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性においてEと同等に強力である。
【0062】
実施例5
5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性に関与するNF−κBとERのドメイン
NF−κBのトランス活性化機能の重要性を調べるために、本発明者らは、一過性トランスフェクションアッセイで、5−HT1A受容体プロモーターとERの相乗活性能における、トランス活性化ドメインの欠失又はNF−κBのp65サブユニットのDNA結合機能の付与についての効果を検討した。p50とp65又はp65単独をERα及びEとコトランスフェクトするとプロモーターは強く活性化されたが、トランス活性化機能をもたないp50単独をコトランスフェクトしてもほとんど効果がなかった。p65のトランス活性化ドメインを欠失させ、Rel相同ドメインのみを含む構築物を作製した(p65RHD)。p65RHDはDNAとの結合能を保持していた(27)が、ERαとEの不在下又は存在下のいずれでもプロモーターを活性化することはできなかった。DNA結合欠損突然変異体(p65Nsi)はまだ無傷のトランス活性化ドメインを含んでいたが、やはりプロモーターを相乗的に活性化することはできなかった。これらのデータをまとめると、ERによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化にはトランス活性化とp65のDNA結合機能の両方が不可欠である。
【0063】
5−HT1A受容体プロモーターの活性化に関与するERαの領域を同定するために、AF−1を含むA/Bの部分を欠失するか又はAF−2を含むリガンド結合領域の部分を欠失するマウスERαの欠失構築物を使用した。A/B領域(ERα121−599)を欠失させるとプロモーターの相乗活性化は完全に失われたが、リガンド結合ドメイン(ERα1−339)を欠失させた場合には野生型ERαと少なくとも同等の活性を示す受容体が得られた(図5A)。ERαのDNA結合欠損突然変異体(ERαC241/244A)は5−HT1A受容体プロモーターを活性化することができなかったが、これはNF−κBとの相互作用に機能的DNA結合ドメインが必要であるためであると思われる(34)。ヒトERαに比較して、マウスERαでは5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化にリガンド依存性が認められない。NF−κBがなければERα1−339ではプロモーターの活性は弱いけれども(結果は示さず)、ERαによるプロモーターのこの相乗活性はNF−κBと併用した場合にのみ観察できた。対照実験でルシフェラーゼに結合したコンセンサスEREとTATAボックス3コピーを含むレポーター構築物とERα、ERβ及び欠失突然変異体をコトランスフェクトし、古典的EREから転写を活性化できるか否かを調べた。図5Bに示すように、ERαとERβはどちらも3×ERE−TATA−lucからの転写を刺激したが、従来記載されている通り(28)、ERβの転写活性はERαよりも著しく弱かった。AF−1又はAF−2を欠失する欠失突然変異体はどちらも転写を刺激したが、野生型ERαよりも効率が著しく低く、トランス活性化ドメインはこのプロモーター構築物に相乗作用できると予想された。更に、ERα1−339はリガンドがなくても最大限に活性化されており、AF−1のリガンド非依存性活性を明白に示している。予想通り、DNA結合欠損突然変異体ERαC241/244Aはこのレポーター構築物を活性化することができなかった。5−HT1A受容体プロモーターの活性化能においてERαとERβには相違が認められたので、ERα及びERβとのキメラ構築物を使用してこの活性化に関与するERαとERβの領域を調べた。ERβのA/B領域をERαのA/B領域で置換すると(ERα/β)、5−HT1A受容体プロモーターの活性化に関して野生型ERαよりも更に強力なキメラ受容体が得られた(図6A)。他方、ERαのA/B領域をERβのA/B領域で置換すると(ERβ/α)、受容体のプロモーターに対する相乗活性能はほぼ完全に失われた。NF−κBがなくてもERα/βではプロモーターのリガンド非依存性活性は弱いが認められた(結果は示さず)が、この場合もERαとERα/βによるプロモーターのこの相乗活性はNF−κBと併用した場合にしか認められなかった。対照実験ではどちらのキメラ構築物も野生型ERαと同等の効率で3×ERE−TATA−lucからの転写を活性化できたが、ERα/βではわずかなリガンド非依存性活性しか認められなかった(図6B)。これらの結果は、ERαとNF−κBによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性がDNA結合ドメインとAF−1を含むERαのA/B領域に依存することを示唆している。要約すると、エストロゲンは気分や精神状態に強い作用がある。エストロゲンがセロトニン作動的機能を調節できるならば、鬱病とその治療に関するメカニズムに関与している可能性がある。エストロゲンが気分に作用する細胞メカニズムはセロトニン系の各種レベルに関与する遺伝子の調節を介すると思われる。本発明者らはエストロゲンがNF−κBとエストロゲン受容体による相乗活性化に関与する新規メカニズムを介してセロトニン−1A受容体の発現を正に調節できることを今般報告する。部分抗エストロゲン4−ヒドロキシタモキシフェンもエストロゲンと同一効果があった。更に、突然変異分析の結果、この相乗調節にはp65のトランス活性化とエストロゲン受容体αの活性化機能1の両方が不可欠であることが判明した。従って、NF−κB複合体がエストロゲン受容体と協同して補因子を複合体に補充し、DNAとの直接受容体結合を介さないメカニズムにより非古典的エストロゲン応答因子によりセロトニン−1A受容体プロモーターを相乗的に活性化すると予想される。
【0064】
実施例6
材料と方法
特定試薬。アルドステロン(N.V.Organon)は濃度0.1μMで使用した。組換えヒトIL−1βはGenzymeから購入し、濃度100u/mlで使用した。
【0065】
細胞培養。ヒト骨肉腫U−2OS細胞はAmerican Type Culture Collection(ATCC;Rockville,MD)から入手し、無フェノールDMEMとHamのF−12培地(DF;Life Technologies Inc.)の1:1混合物であるM505を重炭酸塩で緩衝し、10%FCSを加えた中で培養した。
【0066】
プラスミド。pGL3−ELAMはE−セレクチンプロモーターをpGL3−basic(Promega)のSacI及びXhoI部位にクローニングすることにより構築した。E−セレクチンプロモーター領域はオリゴヌクレオチドプライマー5’−ctgcagatctgagtttctgacatcattgta−3’及び5’−atcattcgaagaagtcagccaagaacagct−3’を使用してヒトゲノムDNAでPCRにより得た。PCR産物をpCR(登録商標)2.1(TA−Cloningキット,Invitrogen)にサブクローニングし、SacIとXhoIで消化した後、pGL3−basicに連結した。
【0067】
ルシフェラーゼレポータープラスミド3NF−κB−TKはICAMプロモーター(van de Stolpe,A.,Caldenhoven,E.,Stade,B.G.,Koendermans,L.,Raaijmakers,J.A.M.,Johnson,J.P.& van der Saag,P.T.(1994)J.Biol.Chem.269:6185−6192)からのNF−κB結合部位の3反復を単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)プロモーターの前に挿入することにより構築した。TKプロモーターはpGL3−basic(Promega)のBglII部位にクローニングした。NF−κB結合部位の三重反復はオリゴヌクレオチドプライマー5’−catacggtaagcttggggtcatcgccctgccaccgccgcccgattgctttagcttggaaattccgga−3’及び5’−gtatgccaaagcttctccggaatttccaagctccggaatttccaagctccggaatttccaagctaaa−3’をアニールした後にPCR増幅してpCR(登録商標)2.1ベクターにサブクローニングすることにより構築した。HindIIIを使用してインサートを切出し、Klenow DNAポリメラーゼで平滑にし、pGL3−tk−lucのSmaI部位に連結した。
【0068】
pNGV1−hMR発現ベクターはSV40プロモーターの制御下に野生型ヒトMRを含み、PKCRE−ERα発現ベクターはSV40プロモーターの制御下に野生型ヒトERを含む。
【0069】
一過性トランスフェクション。一過性トランスフェクションでは、U−2OS細胞を6穴プレートにまいた。2又は3日後にレポーター、発現ベクター及びβ−ガラクトシダーゼ対照ベクターを細胞にトランスフェクトした。2種の異なる実験条件を使用した。MRとIL−1βの相乗効果を試験するために、pGL3−ELAM又は3NF−κB−TK1μg、pNGV1−hMR1μg又はPKCRE−ERα1μg及びβ−ガラクトシダーゼ対照プラスミド0.25μgを細胞にトランスフェクトした。種々の量の導入DNAをインサートなしの発現ベクターに相関させた。リポフェクチン試薬(Life Technologies)を使用して一過性トランスフェクションを行った。リポフェクチンによる一過性トランスフェクションは製造業者の指示を多少変更して実施した。トランスフェクトするDNA1μg当たりリポフェクチン5μlを使用し、トランスフェクション混合物と共に細胞を5時間培養した後、トランスフェクション混合物を吸引し、M505+10%DCC−FCSに交換した。トランスフェクトした細胞を試験化合物(例えばIL−1β、デキサメタゾン及びアルドステロンの各種併用)と共に一晩培養した後、細胞溶解させた。夫々ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)とGalacto−light plus(Tropix)を製造業者のプロトコールに従って使用してルシフェラーゼ活性とβ−ガラクトシダーゼ活性の測定を実施し、Victor 1420マルチラベルカウンター(Wallac)で測定した。β−ガラクトシダーゼ活性の検出はトランスフェクション効率の対照として使用した。
【0070】
【表1】
Figure 2003526346
Figure 2003526346
Figure 2003526346
【図面の簡単な説明】
【図1】
NF−κBとヒトERαによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクター(白棒)とERαもしくはERβをコードする発現ベクター(線影棒)と共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。(B)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとERαもしくはERβをコードする発現ベクターと共に4×NF−κB(HIV)tklucをCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(白棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【図2】
NF−κBとヒトERαによる5−HT1A受容体プロモーター調節におけるκB因子の重要性。(A)使用したルシフェラーゼ(luc)レポーター構築物の模式図であり、ラット5−HT1A受容体(5−HT1AR)プロモーター欠失を含む。2個の白丸(○)はNF−κB結合部位を示す。(B)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクター(白棒)とERαをコードする発現ベクター(線影棒)と共に各種指定レポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【図3】
OH−TはNF−κBとヒトERαにより5−HT1A受容体プロモーターの活性を増すことができるが、ICIはできない。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとERαもしくはERβをコードする発現ベクターと共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、E、OH−T又はICIで24時間指定通りに処理した。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【図4】
NF−κBとヒトERαによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化にはp65のトランス活性化機能が必要である。空の発現ベクター又は指定通りにp50、p65、p65RHDもしくはp65Nsiをコードする発現ベクター(白棒)とERαをコードする発現ベクター(線影棒)と共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトし、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBサブユニットにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【図5】
マウスERαによる5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化はAF−2非依存的に生じる。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとマウスERα、ERβ、ERα121−599、ERα1−339もしくはERαC241/244Aをコードする発現ベクターと共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。(B)空の発現ベクター又はマウスERα、ERβ、ERα121−599、ERα1−339もしくはERαC241/244Aをコードする発現ベクターと共に3×ERE−TATAlucをCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してERにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【図6】
5−HT1A受容体プロモーターの相乗活性化にはERαのA/Bドメインが必須である。(A)空の発現ベクター又はNF−κBのp50及びp65サブユニットをコードする発現ベクターとヒトERα、ERβ、ERα/βもしくはERβ/αをコードする発現ベクターと共に−901lucレポーター構築物をCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してNF−κBにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。(B)空の発現ベクター又はヒトERα、ERβ、ERα/βもしくはERβ/αをコードする発現ベクターと共に3×ERE−TATAlucをCOS−1細胞に一過的にトランスフェクトした。細胞は処理しない(線影棒)か、10−8M Eで24時間処理した(黒棒)。空の発現ベクターをトランスフェクトした細胞に比較してERにより誘起されたルシフェラーゼ活性の誘導倍率を示す。各棒は少なくとも3回の独立実験の平均±S.D.を表す。
【図7】
NF−κBと夫々MR又はERαによるE−セレクチンプロモーターの相乗活性化又はトランス抑制。(A)E−セレクチンプロモーター−レポーターをU−2OS細胞に一過性コトランスフェクトし、0.1μMアルドステロンの不在下又は存在下にIL−1β、MRのコトランスフェクション又はIL−1βとMRの併用の効果を測定した。(B)ELAMプロモーターを含まないルシフェラーゼ−レポーターをU−2OS細胞に一過的にコトランスフェクトし、0.1μMアルドステロンの不在下又は存在下にIL−1β、MRの同時発現又はIL−1βとMRの併用の効果を測定した。(C)E−セレクチンプロモーター−レポーターをU−2OS細胞に一過性コトランスフェクトし、0.1μM17β−エストラジオールの不在下又は存在下にIL−1β、MRのコトランスフェクション又はIL−1βとERαの併用の効果を測定した。(D)合成3NF−κB−tkプロモーター−レポーターをU−2OS細胞に一過性コトランスフェクトし、0.1μMアルドステロンの不在下又は存在下にIL−1β、MRのコトランスフェクション又はIL−1βとMRの併用の効果を測定した。未処理細胞(各図の最初の棒)に比較した誘導倍率として結果を表す。全値は2回測定値の平均±S.D.を表す。A、B、CとDで目盛が異なることに留意されたい。
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