JP2001522234A - β−カテニン、TCF−4およびAPCは相互作用して癌を防ぐ - Google Patents

β−カテニン、TCF−4およびAPCは相互作用して癌を防ぐ

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Abstract

(57)【要約】 APC癌抑制タンパタ質は、Tcf/Lef転写因子と相互作用することが最近示されたタンパク質である、β-カテニンに結合する。ここに、大腸上皮に発現している、Tcfファミリーの一員をコードする遺伝子(hTcf-4)をクローン化し、特徴付けた。hTcf-4は、β-カテニンと結合したときにのみ転写をトランス活性化する。APC-/-大腸癌細胞の核に、Tcfレポーター遺伝子の転写によって測定されるように、構成的に活性な、安定なβ-カテニンhTCF-4複合体が含まれていることを見出した。APCを再び導入するとhTcf4からβ-カテニンが除かれ、転写のトランス活性化が失われた。APC機能の喪失に起因するTCF標的遺伝子の構成的な転写は、大腸癌の初期の悪性形質転換における決定的な出来事であり得る。大腸癌に見出される変異体APC遺伝子の産物はβ-カテニン/Tcf-4転写活性化の調節ができないことも、ここに示す。さらに、無傷のAPC遺伝子を持つ大腸癌が、機能的重要なリン酸化部位を変えるような、β-カテニンの微妙な活性化変異を含むことを示した。これらの結果は、β-カテニンの調節がAPCの腫瘍抑制効果に決定的であること、およびこの調節をAPCあるいはβ-カテニンのいずれかの変異によって回避し得ることを示している。

Description

【発明の詳細な説明】 β-カテニン、TCF-4およびAPCは相互作用して癌を防ぐ アメリカ合衆国政府は、本発明に関して支払い済みのライセンスを有し、限ら れた状況においては特許権者に対し、国立衛生研究所から与えられた補助金CA57 345の条件によって規定されている通りの妥当な条件で他者にライセンスを与え るよう要求する権利を有する。発明の属する技術分野 本発明は、癌の診断および治療の分野に関する。さらに詳しくは、APCまたは β-カテニンの変異に関連した癌を診断および治療する方法に関する。発明の背景 腺腫様大腸ポリポーシス(APC)遺伝子の変異は、ヒトにおける、疾患の原因 となる最も一般的な遺伝子事象であり、その集団のおよそ50%が、平均的な寿命 のあいだにそのような変異から始まる大腸ポリープになるだろう(14)。結腸直腸 腫瘍形成におけるAPCの癌抑制あるいは“監視”機能と一致して、APC変異を遺伝 的に受け継いだ個体は何千個もの結腸直腸腫瘍を生じる(15、16)。APCはそのア ミノ末端を介してホモニ量化し(17)、他の少なくとも6つのタンパク質、すなわ ちβ-カテニン(18)、γ-カテニン(プラコグロビン)(19)、チューブリン(20)、 EB1(21)、Drosophila腫瘍抑制タンパク質の相同体であるhDLG(22)、およびZW3/G SK3βキナーゼ(23)と相互作用する。これらの相互作用するタンパク質のうち に、どれかAPC増殖調節シグナルを伝達するものがあるかどうかは不明である。 それゆえ、この技術分野では、腫瘍抑制遺伝子APCが細胞内でどのように機能す るかをより完全に理解する必要がある。 発明の概要 転写活性化タンパク質をコードするヒトのヌクレオチド配列を提供することは 、本発明の1つの目的である。 転写活性化タンパク質の単離された調製物を提供することは、本発明の別の目 的である。 野生型APCあるいはAPC転写調節経路の下流タンパク質が細胞内に存在するかあ るいは存在しないかを決定する方法を提供することは、本発明の1つの目的であ る。 本発明の別の目的は、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)患者あるいは癌を発 生するリスクの高まった患者に使用するための候補薬物を同定する方法を提供す ることである。 癌患者、とりわけAPCあるいはβ-カテニン変異のある癌患者を治療するための 候補薬物を同定する方法を提供することは、本発明のさらに別の目的である。 本発明の別の目的は、腫瘍性(neoplastic)であると疑われる試料に関して癌 を診断する方法を提供することである。 本発明の別の目的は、結腸直腸癌あるいはFAPと関連する他の癌の患者を治療 する方法を提供することである。 本発明のこれらおよび他の目的は、以下に記載する1つあるいはそれ以上の態 様を提供することにより達成される。本発明の一態様においては、SEQ ID NO:2 または4に示すTcf-4タンパク質をコードする、イントロンフリーのDNA分子を提 供する。 本発明の別の態様に従い、単離されたTcf-4タンパク質を提供する。このタン パク質は、他のヒトタンパク質を事実上含まず、SEQ ID NO:2または4に示す配列 を有する。 本発明の別の態様においては、野生型APCあるいはAPC転写調節経路の下流タン パク質が細胞内に存在するかあるいは存在しないかを決定する方法を提供する。 その方法には以下の段階が含まれる。すなわち、 Tcf応答性レポーター遺伝子を細胞内に導入すること;および、 前記レポーター遺伝子の転写を測定すること;であって、前記レポーター遺 伝子の活発な転写を支持する細胞は、野生型APCを有していないか、あるいはAPC 転写調節経路の野生型の下流タンパク質を有していない。 本発明のさらに別の態様に従い、野生型APCが細胞内に存在するかあるいは存 在しないかを決定する方法を提供する。その方法には以下の段階が含まれる。す なわち、 Tcf応答性レポーター遺伝子を細胞の可溶化物と接触させること;および、 前記レポーター遺伝子の転写を測定すること;であって、前記転写を阻害す るような可溶化物が野生型APCを有する。 本発明のさらに別の態様においては、候補薬物を同定する方法を提供する。そ の薬物は、FAPあるいは他の癌の患者、または癌を発生するリスクの高まった患 者の治療に有用であり得る。その方法には以下の段階が含まれる。すなわち、 野生型APCを持たないか、あるいは変異体β-カテニンを含む細胞を試験化合物 と接触させること; cf応答性レポーター遺伝子の転写を測定すること;であって、レポーター遺 伝子の転写を阻害するような試験化合物が、癌治療のための候補薬物である。 本発明のさらに別の観点に従い、FAP患者、結腸癌患者、β-カテニンあるいは APCに変異のある患者、あるいは癌を発生するリスクの高まった患者に使用する ための候補薬物を同定する、別の方法を提供する。その方法には以下の段階が含 まれる。すなわち、 Tcf応答性レポーター遺伝子を、レポーター遺伝子が試験化合物の非存在下 で転写されるような条件下で、試験化合物と接触させること;および、 Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定すること;であって、前記転写を 阻害するような試験化合物が癌治療のための候補薬物である。 本発明の別の観点に従い、FAP患者あるいは癌を発生するリスクの高まった患 者に使用するための候補薬物を同定する方法を提供する。その方法には以下の段 階が含まれる。すなわち、 試験化合物を、β-カテニンおよびTcf-4が互いに結合するような条件下で、 β-カテニンおよびTcf-4と接触させること、および、 試験化合物がβ-カテニンとTcf-4の結合を阻害するかどうか決定すること、 であって、結合を阻害するような試験化合物が癌の治療あるいは予防のための候 補である。 本発明のさらに別の態様に従い、腫瘍性であると疑われる試料に関して癌を診 断する方法を提供する。その方法には以下の段階が含まれる。すなわち、 試料中に見出されるCTNNB配列を、正常組織に見出される第二のCTNNB配列 と比較することであって、第一および第二の配列の間の違いが癌の指標である。 本発明の別の観点に従い、結腸直腸癌あるいはFAPに関連した他の癌の患者を 治療する方法を提供する。その方法には以下の段階が含まれる。すなわち、 APCコード配列の一部分を含むヌクレオチド配列を患者に投与することであ って、前記一部分はβ-カテニン結合部位を含む。 本発明の別の観点に従い、結膀直腸癌あるいはFAPに関連した他の癌の患者を 治療する方法を提供する。その方法には以下の段階が含まれる。すなわち、 APCコード配列の一部分を含むポリペプチドを患者に投与することであって 、前記一部分はβ-カテニン結合部位を含む。 このように、本発明は、とりわけFAPおよびAPCあるいはβ-カテニン変異を伴 う他の癌に有用な診断、治療および薬物発見の方法を用いる技術を提供する。 図面の簡単な説明 図1 hTcf-4およびhTcf-1の配列の比較 おのおの異なるCOOH末端をコードする、hTcf-4の2つの選択的スプライス型を 同定した。一方の型(hTcf-4E)はhTCF-1E(上段)(7)と相同であり、もう一方 の型(hTcf-4B)はhTcf-1B(下段)と相同であった。非常に保存されたNH2末端 の相互作用ドメインおよび高移動度グループ(HMG)ボックスDNA結合領域を囲っ てある。アミノ酸に対する略語は、A、Ala;C、Cys;D、Asp;E、Glu;F、Phe; G、Gly;H、His;I、Ile;IC、Lys;L、Leu;M、Met;N、Asn;P、Pro;Q、Gln ;P、Arg;S、Ser;T、Thr;V、Val;W、Trp;およびY、Tyrである。ヌクレオチ ド配列はGenBankに寄託してある(受託番号:)。 図2 結腸上皮におけるhTcf-4発現の解析 (図2A)Jurkat T細胞(レーン1);結腸粘膜(レーン2);結腸癌腫細胞株DLD-1(レ ーン3)、HCT116(レーン4);SW480(レーン5);SW620(レーン6);HT29(レーン7) におけるhTcf-4、hTcf-1、hLef-1発現のノーザンブロット解析。レーン2には5μ gの総RNAが含まれており、その他すべてには15μgの総RNAが含まれている。18S および28SリボソームRNAの位置を示してある。EtBrは臭化エチ ジウム染色である。(図2B)hTcf-4プローブに対する健常なヒト結腸組織のin s ituハイブリダイゼーション。(図2C)陰性対照プローブ(大腸菌ネオマイシン 耐性遺伝子の断片)に対するin situハイブリダイゼーション。 図3 β-カテニン/hTcf-4のトランス活性化特性 全てのレポーターアッセイを二重のトランスフェクションとして行った。各条 件ごとに、両方の値を示してある。(図3A)IIA 1.6B細胞におけるレポーター遺 伝子アッセイ。細胞に1μgのルシフェラーゼレポータープラスミド、5μgのβ- カテニン発現プラスミド、および3II-hTcf-4発現プラスミドを、エレクトロポレ ーションによりトランスフェクトした。空のpCDNAを、プラスミドDNAが合計10μ gになるまで加えた。(図3B)SW480結腸癌細胞におけるレポーター遺伝.子アッ セイ。細胞に、0.3μgの表示ルシフェラーゼレポーター遺伝子、内部対照として 0.7μgのpCATCONTROL、表示量のpCMVNeoAPC、そしてプラスミドDNAが合計2.5μg になるまで空のPCDNAをトランスフェクトした。対照のCAT値を右パネルに示して ある。 図4 APC-/-細胞におけるβ-カテニンhTcf-4複合体の構成的な存在 表示の細胞株由来の核抽出物に対し、Zn++に20時間曝露する前と後に、ゲル遅 延アッセイを行った。レーン1、4、7、10の試料を標準的な条件下でインキュベ ーションした。レーン2、5、8、11の試料に、0.25μgの抗β-カテニンを加えた 。レーン3、6、9、12の試料に、0.25μgの対照(ヒトCD4)抗体を加えた。N.S. すなわち非特異的なバンドも、変異体(非結合)プローブ(レーンMt)とともに 観察された。 図5 CRTに対するAPC変異の影響。(図5A)野生型(WT)および変異体APCの概 略図。APCは、アミノ末端にアルマジロ(ARM)リピート(33)、中央の領域に15お よび20 AAβ-カテニン結合リピート(18、19)、そしてカルボキシ末端に塩基性領 域(32)を含む、2843アミノ酸(AA)タンパク質である(32)。カルボキシ末端に は、DLG結合を媒介するTXV配列も含まれている(22)。(図5B)CRTに対するWTお よび変異体APCの影響。内在性変異体APCを含むSW480細胞に、(図5A)に示すAPC 発現ベクターをトランスフェクトし、CRTを測定した。細胞に、徐々に増加する 量のWT APC(0、0.15および0.5μg)あるいは0.5μgの変異 体APCをトランスフェクトした。CRTレポーター活性は、WT APCを含まないアッセ イに対する割合で表してあり、3回の反復実験の平均である。エラーバーは標準 誤差を表す。 リポフェクタミン(Lipofectamine)を用いてSW480に、内部対照(0.5μgのpCM V-βgal)、レポーター構築物(0.5μgのpTOPFLASHあるいはpFOPFLASH)および表 示量の様々なAPC発現ベクターをコトランスフェクトした。pTOPFLASHレポーター はルシフェラーゼレポーター遺伝子の5'に、最適化されたTcf結合部位を含んだ のに対し、pFOPFLASHはTcfに結合しないような変異された部位を含んだ。各トラ ンスフェクションにおけるDNAの量は、適切な量の空の発現ベクター(pCEP4)を 加えることにより一定に保った。トランスフェクション後16時間にルシフェラー ゼおよびβ-ガラクトシダーゼ活性を求めた。ルシフェラーゼ活性を、トランス フェクション効率(対照のβ-ガラクトシダーゼ活性を用いて)および非特異的 転写(pFOPFLASH対照を用いて)に関して補正した。 図6 WT APCを持つ結腸直腸癌細胞株におけるCRTの評価。(図6A)APCモノクロ ーナル抗体FE9(34)にて発色させた、DLD1、SW480、HCT116、SW48および293細 胞における内在性APCのイムノブロット。(図6B)内在性の変異あるいはWT APCを 持つ細胞株における、CRTに対する外来性WT APCの影響。細胞に、徐々に増加す る量(DLD1およびSW48については0、0.15μg、0.5μg;HCT116については0、0.5 μg、5μg)のWT APCあるいはAPC1309Δ変異体(DLD1およびSW48については0.5 μg;HCT116については5μg)をトランスフェクトし、CRTを図5のように評価し た。CRTレポーター活性は、外来性APCなしの抽出物における活性に対する割合で 表してあり、3回の反復実験の平均である。エラーバーは標準偏差を表す。 図7 WT APCを持つ結腸直腸癌細胞株におけるβ-カテニンの評価。(図7A)β- カテニンモノクローナルC19220(Transduction Laboratories、Lexington、KY) (31)にて発色させた、本研究で用いた細胞株のイムノブロット。(図7B)HCT116お よびSW48におけるCTNNB1の配列。完全なCTNNB1を構成する、オーバーラップする 部分を、SW480、DLD1、HCT116、およびSW48細胞からRT-PCRにより増幅し、Therm oSequenase(Amersham)を用いて直接、配列決定した。HCT116の場合、欠 失領域を含むPCR産物もpCI-neo(Promega、Madison)内にクローン化し、各アリ ルに相当する複数のクローンを個別に配列決定した。 左パネル(HCT116由来のnts121から143)は、WT配列の他に欠失の存在を示し ている。中央のパネル(HCT116の、WTおよび欠失したアリルのアンチセンス鎖156 から113)は、半分のクローンにおいてコドン45を除くような3bpの欠失(ΔTCT)を 示している。右パネル(SW48由来のnts80から113)は、コドン33に影響するCか らAへの変化(TCTからTAT)を示している。(図7C)アルマジロリピート(33) および負の調節ドメインを図示する、β-カテニンの概略図。大きい方の活字の 残基はGSK3βリン酸化(29)のコンセンサス配列に合っており、太字のものは、 GSK3βリン酸化を介してβ-カテニンの抑制制御に影響することがXenopus胚にお いて明らかにされている(27)。ヒト結腸癌において見出された5つの変異を上段 に示してある。 図8 β-カテニン変異体の機能の評価。(図8A)HCT116細胞におけるβ-カテ ニンおよびTcfの構成的な核複合体。核のβ-カテニンTcf複合体の存在を、ゲル シフトアッセイにより評価した。レーン1から3、最適化されたTcf遅延プローブ が、抗体無し(レーン1)、抗β-カテニン(0.25μg、レーン2)、あるいは無関係な 抗体(0.25μg、レーン3)添加した、HCT116細胞由来の核抽出物とともに移動し た。レーン4、変異体Tcf遅延プローブが、HCT116細胞由来の核抽出物とともに移 動した。n.s.、変異体プローブで見られた非特異的な移動。(図8B)CRTに対す るβ-カテニン変異の影響。293細胞に、WT(WT)または変異体(Δ45、S33Y)β-カ テニンをトランスフェクトし、CRTを評価した。CRTレポーター活性は、WT β-カ テニンに対する割合で表してあり、3回の反復実験の平均である。エラーバーは 標準偏差を表す。β-カテニン発現構築物を以下のように調製した。WT CTNNB1を SW480細胞からRT-PCRにより増幅し、ほ乳類発現ベクターpCI-neo(Promega)内 にクローン化してpCI-neo-β-catを作出した。pCI-neo-β-cat内のコドン1から8 9を、それぞれHCT116またはSW48 cDNA由来の同等の領域をコードするPCR産物で 置き換えることにより、pCI-neo-β-catΔ45およびS33Yを得た。すべての構築物 の構造を配列解析によって確認した。リポフェクタミンを用いて、293 細胞に内部対照(0.1μgのCMV-βgal)、レポーター(0.5μgのpTOPFLASHまたはpFO PFLASH)、Tcf-4発現ベクター(0.5μgのpCDNA-TCF4)、およびβ-カテニン(0.5μ g)またはドミナントネガティブhTcf-4(1.0μg)発現ベクターをコトランスフ ェクトした。CRTを上に記載のように決定した。 詳細な説明 結腸直腸上皮細胞においてhTcf-4がβ-カテニンに結合し、転写を活性化する ということは、本発明の発見である。さらに、現在、少なくとも部分的にはβ- カテニンに結合することにより、APCがこの転写活性化を調節するということが わかっている。結腸直腸癌細胞においては、APCの変異あるいはβ-カテニンの変 異のいずれかによって、この制御はしばしば排除されている。 ヒトTcf-4の2つの選択的スプライス型が見出された。一方の型(hTcf-4E)は、h Tcf-1Eと相同であり、もう一方(hTcf-4B)はhTcf-1Bに相同である。ヌクレオチド の配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:1-4に示す。コード配列およびタンパク 質は、以下に記載するようにアッセイに用いることができる。もともとはmRNA分 子の逆転写によって作られた、イントロンフリーのDNA分子を提供する。それら は細胞内で増やし得るか、あるいは望むように増幅し得る。例えば、ヌクレオチ ド配列を非ヒト細胞内に発現させる場合は、単離されたTcf-4タンパク質は他の ヒトタンパク質を事実上含まないように提供し得る。そのような発現を達成する ための方法およびベクターは、この技術分野では十分に知られている。そのよう な発現手段の選択は、目的とする用法および都合にしたがって当業者によってな される。 細胞を試験して、野生型APCあるいは、本明細書中ではCRT経路(β-カテニン/T cfにより制御される転写、β-catenin/Tcf-regulated transcription)と呼ぶAPC 転写調節経路の野生型の下流タンパク質を持っているかどうか決定し得る。ヒト の癌における変異の標的として同定された、CRT経路内の1つのタンパク質は、β -カテニン(CTNNB1遺伝子によってコードされる)である。この経路の他の部分 も標的となり得る。CRT経路の標的遺伝子は同定されていないが、本明細書中に 開示の系を用いて容易に同定し得る。例えば、野生型および変異体CTNNB1 の存在下で異なって転写されるような遺伝子を同定し得る。 Tcf応答性レポーター遺伝子は、Tcf応答性エレメントにcisで結合している、 容易に検出できるあるいはアッセイできる遺伝子(ルシフェラーゼ、β-ガラクト シダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなど)を含む構築 物である。そのような応答性エレメントはこの技術分野で知られており(7)、そ れらのどのエレメントも用い得る。最適なTcfモチーフには、配列CCTTTGATCが含 まれている。1から20コピー、好ましくは3から6コピーのモチーフを用い得る。 配列がCCTTTGGCCに変異すると、応答性を失う。そのような構築物の別の必要な 部分は、c-Fosあるいはヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーターなどの 最小プロモーターである。レポーター遺伝子の転写は、この技術分野で知られて いるあらゆる手段によって、免疫学的な検出方法も用い得るが一般的にはコード されている遺伝子の活性をアッセイすることにより行うことができる。加えて、 典型的にはオリゴヌクレオチドプローブを用いて、転写されたmRNAを直接測定す ることにより、転写をモニターすることができる。 以下に示すように、野生型APCタンパク質を持つ細胞はCRTを阻害するだろう。 しかし、APC内のほとんどの変異は、APCをCRTを阻害できないようにする。同様 に、CTNNB1における特定の変異は、β-カテニンを超活性にする、および/また はAPCによる阻害に対して不応性にする。それゆえ、Tcf応答性レポーター遺伝子 の転写を測定することは、APCおよびCTNNB1の状態の指標である。これら遺伝子 の両方の変異は癌と関連し、そしてしたがって、診断的または予防的情報を提供 する。 CRTに関するアッセイはin vitroまたは細胞内でなし得る。アッセイを細胞内 で行う場合は、Tcf応答性レポーター遺伝子を細胞内に導入しなければならない 。感染、トランスフェクション、エレクトロポレーションを含むがそれらに限定 されない、細胞内に遺伝物質を導入するためのあらゆる方法を用い得る。アッセ イをin vitroで行う場合は、転写の構成要素が存在しなければならない。これら には、リボヌクレオチドはもちろん適切なバッファー、RNAポリメラーゼも含ま れる。タンパク質産物がアッセイ可能な場合は、リボソームおよびアミノ酸とい った翻訳の構成要素も存在しなければならない。 これらのアッセイは、抗癌治療剤として可能性のある化合物をスクリーニング するのにも用い得る。このアッセイのin vitroあるいは細胞での方法のいずれか を用いて、野生型APCの効果を模倣できるかどうかを決定するのに、あるいは変 異体APCをCRTを阻害できる形に、または変異体β-カテニンをAPCによって調節可 能な形に変換するのに、試験化合物を導入し得る。加えて、β-カテニンとTcf-4 の結合を阻害し、それゆえAPCの作用を模倣する能力に関して化合物を試験する ことができる。そのような試験は、例えばツーハイブリッドアッセイを用いて、 in vitroあるいはin vivoで行い得る。 癌の診断のための手段は、CTNNB1変異が腫瘍細胞、とりわけ野生型APCを持つ ものに見出されるという観察の結果である。そのような変異は、とりわけ試料中 に見出される遺伝子あるいはタンパク質のいずれかを配列決定することにより見 つけ得る。β-カテニンがAPCまたはTcf-4に結合するかどうか、あるいはCRTを媒 介することが出来るかどうかなど、機能的なアッセイも用い得る。配列を、ヒト 、とりわけ試験すべき試料を提供したのと同一のヒトの正常組織に見出されるも のと比較することができる。試験に適した腫瘍には、FAPと関連するものが含ま れるが、それらに限定はされない。適した腫瘍には、結腸直腸癌、甲状腺癌、脳 癌、髄芽腫、デスモイド腫瘍、骨腫、乳癌、頭部および頚部癌が含まれる。APC 変異は非常に頻繁にあり、さらにAPC変異はCTNNB1変異と同一の腫瘍には起こら ないとみられるため、CTNNB1決定を行う前に、APC変異について試料をあらかじ めスクリーニングすることができる。 APC遺伝子のうちβ-カテニン結合部位をコードする部分を、遺伝子治療の形式 に用い得る。遺伝子を腫瘍に投与することに関して、適切な手法がこの技術分野 で知られており、そのような手法のいずれも用い得る。適切な発現ベクターもこ の技術分野で知られており、適したものを選択することは当業者の技術の範囲内 にある。腫瘍細胞内にAPCのβ-カテニン結合部位を発現させると、β-カテニン が結合し、Tcf-4に結合して絶えず滴定され、それゆえCRT標的遺伝子の非制御発 現を妨げるだろう。同様に、β-カテニン結合部位を含むAPCのポリペプチド部分 を細胞に投与して、β-カテニンの滴定を行うことができる。そのような細胞へ の投与の手法は、この技術分野で十分に知られている。ポリヌクレオチドあるい はポリペプチドのいずれかにより処理される細胞を使用して、APCとβ-カテニン 間の相互作用を研究し、そしてそのような結合を妨げる薬物を開発することがで きる。 上記の開示は、本発明を概略的に説明している。より完全な理解は、本明細書 中で例証のみの目的で提供されており、本発明の範囲を限定することは意図して いない、以下の特定の実施例を参照することにより得ることができる。 実施例1 この実施例は、結腸直腸上皮細胞中においてファミリーの構成分子として発現 されているものとしてTcf-4を同定し、そしてクローン化されたcDNAの完全配列 を提供する。 ほ乳類においては、Tcf/Lefファミリーの既知の構成分予が4種存在する:すな わちリンパ球特異的因子Tcf-1およびLef-1(7、8)、およびそれよりもあまり特性 決定されていないTcf-3および4(9)である。我々は、43種の結腸腫瘍細胞株に対 して、4種のTcf/Lef遺伝子の発現について、定性的逆転写酵素-ポリメラーゼ連 鎖反応アッセイを行った。ほとんどの結腸細胞株が1つより多い遺伝子を発現し たが、hTcf-4のmRNAのみが本質的にすべての株において発現された。 我々は次いで、ヒト胎児cDNAライブラリーをスクリーニングし、そして完全長 hTcf-4をコードするクローンを回収した(図1)。hTcf-4のHMGボックス領域(7)を コードするゲノム断片を使用して、ラムダGT-11中のヒト12週胎児cDNAをプロー ブした。陽性のクローンをpBluescriptSK中にサブクローニングし、そして配列 決定した(SEQ ID No:1および3を参照)。hTcf-4の予測された配列は、hTcf-1の配 列とほとんど同一であった。選択的スプライシングの結果2種のCOOH末端を得、 それらはhTcf-1およびhTcf-4の間で保存されていた。hTcf-1、mLef-1およびXeno pusのTCF-3ではβ-カテニンに対する結合を媒介する(6)NH2末端もまた、hTcf-4 において保存されていた。選択された結腸癌腫細胞のノザンブロット解析により 、hTcf-4の高レベルの発現が示された(図2)。ノザンブロットハイブリダイゼー ション(7)を、完全長hTcf-1、hLef-1およびhTcf-4のcDNAを用いて行 った。結胴上皮細胞は、健康な外科的結腸試料から切除した粘膜調製物から新し く調製した。試料を細かく刻み、そして1mMのジチオスレイトール(DTT)ととも にHanks'培地中でインキュベーションし、粘液を除去した。室温にてHanks'培地 中0.75mMのEDTA中、室温でインキュベーションすることにより、単一細胞懸濁液 を調製した。上皮細胞は、Percoll密度勾配遠心法によりリンパ球から分離した 。 in situハイブリダイゼーション(図2BおよびC)およびノザンブロット(図2A )により明らかになったように、hTcf-4のmRNAは正常の結腸上皮では容易に検出 可能であるのに対して、hTcf-1およびhLef-1は検出できなかった。健康な結腸バ イオプシー試料の6μの凍結切片についてin situハイブリダイゼーションを記載 されたように行った(10)。アミノ酸200から310をコードするhTcf-4のcDNAを増幅 し、そしてPCRによりDig-11-dUTP(Boehringer Mannheim,Germany)で標識した。 ハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、続いてマウス抗-Dig抗体(Boehringer )およびホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスイムノグロブ リン抗体(Dako,Glostrup,Denmark)とともに切片をインキュベーションした 。シグナルは、赤茶色の沈殿を生じるジアミノベンジジンを用いて視覚化した。 青の対比染色は、ヘマトキシリンを用いて行った。 実施例2 この実施例は、Tcf-4およびβ-カテニンの相互作用、およびそれらの転写活性 化因子としての機能を示す。 hTcf-4が機能的にβ-カテニンと相互作用するかどうかを研究するため、我々 は、β-カテニン-Tcfレポーター遺伝子アッセイにおいて2セットのレポーター構 築物を使用した(7)。一つは、最小c-Fosプロモーター駆動ルシフェラーゼ発現部 位の上流に、3コピーの最適TcfモチーフであるCCTTTGATC、または3コピーの変異 モチーフであるCCTTTGGCCを含む(PTOPFLASHおよびPFOPFLASH)。第二のセットは 、最小ヘルペスウィルスチミジンキナーゼプロモーター駆動クロラムフェニコー ルアセチルトランスフェラーゼ(CAT)発現部位の上流に、3コピーの最適モチー フ、または3コピーの変異モチーフを含む(それぞれPTOPCATおよび PFOPCAT)。レポーター遺伝子アッセイは、(7)に記載されるように行った。簡 単に言うと、2×106個の細胞に対してエレクトロポレーションによりプラスミド をトランスフェクトした。24時間後に細胞を回収し、そして1mM DTT、1%Triton X-100、15%グリセロール、25mM Tris pH7.8そして8mM MgCl2中で溶解した。My cでタグ付けされた型のβ-カテニンおよびhTcf-4をコードするcDNAを、ほ乳類発 現ベクターであるpCDNA(Invitrogen)中に挿入した。SV40プロモーターの調節 下でCAT酵素をコードするPCATCONTROLは、Promega社から購入した。 エピトープをタグ付けしたhTcf-4およびNH2末端の30アミノ酸を欠損する欠失 変異体(ΔNhTcf-4)を、発現ベクターpCDNA中でクローニングした。一過性トラ ンスフェクションをネズミのB細胞株(IIA1.6)中で行ったところ、Tcf遺伝子は 何も発現していない(6)。 TOPFLASHレポーターは、β-カテニンおよびhTcf-4プラスミドと組合せてコト ランスフェクションすると強力に転写されたが、しかしプラスミド単独、または β-カテニンおよびΔNhTcf-4プラスミドと組合せても強力には転写されなかった 。陰性対照であるPFOPFLASHでトランスフェクトした細胞中では、転写の向上は 全く検出されなかった(図3A)。これらの結果から、hTcf-4のNH2-末端とβ-カテ ニンとの相互作用は、結果として転写の活性化を引き起こすことが示される。 実施例3 この実施例は、野生型APCによるCRT転写活性の機能的制御を示す。 3種類のAPC-/-癌腫細胞株であるSW480、SW620およびDLD-1(Fig.3B)において 、PTOPFLASHレポーターは、PFOPFLASHよりも5〜20倍活発に転写された。重要な ことは、レポーター遺伝子およびAPC発現ベクターによりSW480細胞をトランスフ ェクションすることにより、濃度依存的に転写活性が排除される(Fig.3B)。対照 的に、APCは、コトランスフェクションした内部対照(pCATCONTROL)上で何の作 用も有さないか、またはPFOPFLASHの基底レベルの転写に効果を有している(図3B )。PTOPFLASHおよびPFOPFLASHのかわりにPTOPCATおよびPFOPCATについて、同等 の観察を行った。APC-/-結腸癌腫細胞におけるTcfレポーター遺伝子の構成的転 写活性は、IIA1.6B細胞(図3A)、C57MG乳癌腫細胞株;JurkatおよびBW5147 T細胞株;DaudiおよびNs1 B細胞株;K562赤血球脊髄性細胞株;HeLa子宮頸管癌 腫細胞株;HepG2ヘパトーマ細胞株;3T3、3T6、およびRat-1繊維芽細胞;そして 腎臓由来SV40-トランスフォームCOS細胞株(7、16)を含む非結腸細胞株中でのこ れら遺伝子の不活性と明確な対照をなした。 実施例4 この実施例は、機能的β-カテニン-hTcf-4複合体がAPC-/-細胞中で構成的に存 在することを示す。 我々は、APCがメタロチオネインプロモーターにより調節されている、HT29-AP C-/-結腸癌腫細胞(12)を使用した。Zn++による誘導は、野生型レベルのAPCを 回復させ、そしてアポトーシスを誘導する(12)。Zn++-誘導LacZ遺伝子を保持す るHT29-Gal細胞を対照として使用した。HT29中で発現される唯一のTcfファミリ ーの構成分子は、hTcf-4である(図2C)。誘導されていないHT29由来トランスフェ クタント由来の核抽出物において、我々はゲル遅延によりhTcf-4を容易に検出し た(図4)。若干より遅く移動する別のバンドも観察された。β-カテニン抗体を添 加することにより、後者のバンドが特異的に遅延するという結果が得られたこと から、これがβ-カテニン-hTcf-4複合体を示すことが示された(図4)(12)。20時 間にわたるZn++誘導の後、HT29-APC1中におけるβ-カテニンhTcf-4複合体は、複 合体化されていないhTcf-4と比較して1/6に減少したが、その一方でHT29-Ga1細 胞中では顕著な変化は何も観察されなかった(図4)。重要なことは、細胞β-カテ ニンの全体的レベルは、HT29-APC1細胞中では誘導期間中ずっと変化していない( 12)。 ゲル遅延アッセイは、ほかの文献(7)中で記載されたように行った。抽出物 は、4回洗浄して細胞質β-カテニンが混在しないようにした無傷の核から調製し た。最適Tcf/Lefプローブとして、我々は二本鎖15量体CCCTTTGATCTTACCを使用し ;対照プローブはCCCTTTGGCCTTACCとした(すべてのオリゴヌクレオチドはIsogen e,Hollandより入手した)。β-カテニン抗体はTransduction Laboratory(Lexlng ton,KY)より購入した。典型的な結合反応においては、25μlの結合バッファー( 60mMKCl、1mM EDTA、1mM DTT、10%グリセロール)中に、3μgの核タンパク質、 0.1 ngの放射標識プローブ、100ngのdIdCを含んだ。試料を室温で20分間インキュベ ーションし、抗体を添加し、そして試料をさらに20分間インキュベーションした 。 これらのデータをもとにして、我々は以下のモデルを提案する。正常な結腸上 皮において、hTcf-4はTcfファミリーのうちで唯一発現されている構成分子であ る。β-カテニンとhTcf-4との相互作用は、APCにより制御されている。適切な細 胞外シグナルが上皮細胞に送達されると、GSK3β-APCとは複合体化せず、そして その核輸送を可能にしそしてhTcf-4と結合する形態で、β-カテニンは蓄積する 。hTcf-4のHMGドメインは、特異的標的遺伝子の制御配列に配列特異的様式で結 合し;β-カテニンはトランス活性化ドメインを供給する。このように標的遺伝 予の転写活性化は、hTcf-4がβ-カテニンと結合するときにのみ生じる。hTcf-4 標的遺伝子は、相変わらず同定されている。しかしながら、APCおよびカテニン との結合は、これらの遺伝子が上皮細胞の生成およびターンオーバーに関与しう ることを示唆する。野生型APCの欠損の場合には、細胞外刺激の非存在下で単量 体β-カテニンが蓄積し、hTcf-4標的遺伝子の非調節転写を引き起こす。いくつ かの結腸癌腫細胞株中におけるTcfファミリーのその他の構成分子の一見すると 新しい発現により、同一の機構によるTcf標的遺伝子発現の非制御をさらに引き 起こしているようでもある。β-カテニン-Tcfシグナリングの調節は、APCの監視 機能(19)の重要な部分であるようであり、そしてその崩壊は悪性転帰の初期工 程であるようである。 実施例5 この実施例は、変異APCタンパク質がCRTを制御し、そしてAPCにおける完全な セットの20-AAリピートがCRTの阻害を媒介するために必要とされることを示す。 我々は、トランスフェクションアッセイにおいてβ-カテニン/Tcf-制御された 転写(CRT)を阻害する能力について、4種のAPC変異体を試験した(図5)。第一の 変異体であるAPC331Δは、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)の患者の生殖系列 中および散発性腫瘍中に見られる変異の型を示す(15)。APC331Δタンパク質は、 コドン331で短縮され、アミノ末端側のコドン1020および1169の間の3つの15-ア ミノ酸(AA)β-カテニン結合リピートを短縮している。第二の変異体であるAPC 1309Δは、もっとも一般的な生殖系列APC変異であり(15)、5bpの欠失によりコド ン1309にフレームシフトを起こし、そしてタンパク質が短縮されている。APC130 9Δタンパク質は、15-AAβ-カテニンリピートは保持するが、コドン1323および2 075の間にありβ-カテニンの結合とリン酸化に関与する7つの20-AAリピートを欠 損する(18)。第三の変異体であるAPC1941Δは、結腸直腸腫瘍において観察され るもっとも末端の体細胞変異の一つを示す(25)。APC1941Δタンパク質はコドン1 941で短縮され、そしてしたがって15-AAリピートおよび終わり二つの20-AAリピ ートを除くすべての20-AAリピートを含む。最後に、APC2644Δは、コドン2644に おいて4bpの欠失に由来する生殖系列変異を示す。異常なカルボキシ末端変異の この型を伴う患者は、ほとんどポリープを発生しないが(減弱ポリポーシス)、結 腸外疾患、特にデスモイド腫瘍を引き起こす(26)。 それぞれのAPC変異体を、CRTレポーターとともにSW480結腸直腸癌細胞株中に コトランスフェクションした。SW480細胞は短縮されたAPCを有し、外来性WTCRT により抑制することができる構成的に活性なCRTを有する。すべて4種類の変異体 がトランスフェクション後に匹敵するレベルのAPCタンパク質を産生するが、そ れらはそのCRT阻害活性において異なる。典型的なポリポーシスまたは癌を伴う 患者において見いだされる3種の変異体は、CRTの阻害を顕著に欠損していた(図5 B)。APC1309ΔおよびAPC1941Δの活性の減少から、β-カテニン結合がCRTのAPC 媒介阻害に十分でなく、そして完全なセットの20-AAリピートが必要であること が示唆される。興味深いことに、減弱ポリポーシスに関連するAPC2644Δ変異体 の阻害活性は、WT APCの阻害活性と匹敵することから(図5B)、APCのカルボキシ 末端に存在するDLG結合ドメインはCRTの抑制制御には必要とされないことが示唆 される。 WTおよび変異APC構築物(2μg)を、293、SW480およびHCT116細胞中にリポフ ェクタミン(GIBCO/BRL,Gaithersburg)を使用してトランスフェクトした。タ ンパク質を24時間後に回収し、そしてAPCモノクローナル抗体FE9を使用するイム ノブロット解析に供した(23)。HCT116および293細胞においては、外来性WT APC が内在性変異APCとともに移動した。SW480細胞においては、APC1309Δが内在性A PCとともに移動した。その他のすべてのケースでは、トランスフェクションして いないAPC構築物(APC331Δ、APC1309ΔおよびAPC1941Δ)がAPCのCRT機能型(A PC WTおよびAPC2644Δ)と同等かまたはそれ以上のタンパク質を産生した。 実施例6 この実施例は、APC制御経路の他の構成要素がいくつかの癌細胞において影響 を受けることを示す。 我々は、完全長のAPCを発現する2種の結腸直腸腫瘍細胞株(HCT116およびSW48 )においてCRTを評価した(図6A)。HCT116およびSW48は両方とも、構成的に活性 なCRTを示し、そして短縮型のAPCを有する細胞株(DLD1およびSW480)と比較し て、この活性が外来性WT APCにより阻害されなかった(図5Bおよび6B)。WT APCを 発現するその他の(非結腸直腸癌)細胞株は、構成的CRT活性を示さない。これ らのトランスフェクションの結果から、HCT116およびSW48における構成的CRTがA PC腫瘍抑制経路の改変された下流構成要素によっていることが示唆された。 実施例7 この実施例は、CRTに影響を及ぼす、β-カテニンをコードする遺伝子中の欠損 を、いくつかの癌細胞中において示す。 我々は、同じ4種類の株中で、APC腫瘍抑制経路であるβ-カテニンの下流構成 要素として候補になりそうな状態を評価した。すべて4種類の株は、イムノブロ ットにより評価した場合、一見して無傷のβ-カテニンを、同様な量発現した(図 7A)。しかしながら、配列解析からは、HCT116およびSW48の両方がβ-カテニン遺 伝子中に変異を有していることが示された(CTNNB1)(図7B)。HCT116は、3bpの 欠失を有し、その結果一つのAA(Ser-45)が除去され、そしてSW48はCからAへの ミスセンス変異を有し、その結果Ser-33がTyrに変化した。HCT116の患者から採 取されたパラフィン包埋された保存組織を解析することにより、この変異の体細 胞の性質および培養前に原発性腫瘍中のその存在を確認した。興味深いこ とに、両方の変異はセリンに影響を与え、その結果Xenopus胚においてZW3/GSK3 βキナーゼによるリン酸化を介して、β-カテニンの抑制制御に関与した(図7C )(27、28)。 HCT116細胞株の由来である患者から採取したパラフィン包埋した正常組織およ び腫瘍組織から、ゲノムDNAを単離した。次いで、変異を含む95bpのPCR産物をPC Rで増幅し、そしてTHERMOSEQUENASE(Amersham)を使用して直接配列決定した。 3bpの欠失は腫瘍組織中では観察されたが、正常組織中では観察されなかった。 この変異機構の普遍性を試験するため、我々は、APCの完全コード領域を配列 決定することにより変異がないことを示した5種の原発結腸直腸癌を評価した(25 )。これら5種の腫瘍のうち3種で、潜在的なZW3/GSK3βリン酸化部位を変化させ るCTNNB1変異を含むことがわかった(S45F、S45F、およびT44A)(図7C)。それぞ れの変異は、2個のCTNNB1アリルのうちの一方だけに影響を与え、そして体細胞 的であるようであった。 凍結切片にした結腸直腸癌からゲノムDNAを単離し、次いでPCRによりCTNNB1の エクソン3を含む1001bpのPCR産物を増幅し、ThermoSequenase(Amersham)を使 用して直接配列決定した。コドン41におけるACCのGCCへの変化(T41A)およびコ ドン45におけるTCTのTTTへの変化(S45F)をそれぞれ、1および2種の腫瘍中で観 察した。 実施例8 この実施例は、WT APCの作用に対してCRT非感受性を付与するCTNNB1のドミナ ント変異を示す。 β-カテニン変異はヘテロ接合体であったので、我々は、変異がドミナント作 用を発揮し、APC媒介抑制制御に対して非感受性の細胞β-カテニンの一部を付与 しうると仮定した。この見解を試験するため、我々はトランスフェクトしていな いHCT116細胞から採取した核抽出物を用いてゲルシフト解析を行った。無傷のAP Cを有する非結腸直腸癌細胞株と比較すると、HCT116細胞は最適化Tcf-結合オリ ゴヌクレオチドをゲルシフトするβ-カテニン/Tcf複合体を含み、そしてこの複 合 体は抗β-カテニンとともにスーパーシフトした(図8A)。我々はまた、β-カテニ ン発現ベクターを構築し、そしてHCT116から採取した変異β-カテニン(β-CatΔ 45)およびSW48から採取した変異β-カテニン(β-CatS33Y)の生物学的活性を、 WTのものと比較した。これらの実験のために、非常にトランスフェクトしやすく 、内在性CRTが低いことが示され、そして高レベルの内在性APCを含むという理由 から、293腎臓上皮細胞株を使用した(図6A)。内在性APCの存在下においては、両 方の変異β-カテニンがWTタンパク質と比較して少なくとも6倍高い活性を示し 、そしてこの活性はドミナントネガティブなhTcf-4により阻害された(図8B)。 同時に、これらの結果から、APC媒介性CRT制御を破壊することは結腸直腸腫瘍 形成に対して決定的であることが示される。両方のAPCアリルの劣性不活性化変 異により、このことはほとんど一般的に達成されるが、しかしここで示したよう に、WT APCの作用に対してCRT非感受性を付与するCTNNB1のドミナント変異によ り、このことを達成することもできる。我々の結果から、CRTのAPC阻害では、複 数の部位でβ-カテニンをリン酸化する必要があることが示唆された。これらの 潜在的なリン酸化部位は、XenopusおよびDrosophila細胞中でβ-カテニンを負に 制御し(27)、ほ乳類細胞中ではAPCおよびβ-カテニンと相互作用をする(23)セ リンキナーゼである、ZW3/GSK3βの既知の特異性(29)と矛盾しない。これらの 結果からその他の腫瘍型において観察される偶然のCTNNB1変異についての機能的 基礎を示唆し(30)、そして経路の別の構成要素における変異を発見することによ り、どのようにヒト疾患において重要な経路を解明することができるのかを示す 。APC機能の理解における次の工程は、hTcf-4/β-カテニン複合体により活性化 されそしてWT APCにより阻害される遺伝子を同定することであろう。これらの遺 伝子は、結腸直腸癌細胞においてアポトーシスを誘導するAPCの能力に関連して いるようである(31)。
【手続補正書】 【提出日】平成11年12月8日(1999.12.8) 【補正内容】 1. 請求の範囲を次の通り補正する。 『1. SEQ ID No:5または6に示されるTcf-4タンパク質をコードする、イント ロンフリーのDNA分子。 2. SEQ ID No:1または2のヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載のDN A分子。 3. SEQ ID No:5または6に示される配列を有する、実質的に他のヒトタンパ ク質を含まない、単離されたTcf-4タンパク質。 4. 細胞内において野生型APCまたはAPC転写制御経路中の下流タンパク質が 存在するかまたは存在しないかを決定する方法であって、以下の工程: Tcf応答性レポーター遺伝子を細胞中に導入すること;そして 前記レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中で、前記レポーター遺 伝子の活発な転写を支持する細胞が野生型APCまたはAPC転写制御経路中の下流タ ンパク質を有さないこと を含む前記方法。 5. 細胞内において野生型APCが存在するかまたは存在しないかを決定する 方法であって、以下の工程: Tcf応答性レポーター遺伝子を細胞の可溶化物と接触させること;そして 前記レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中で、前記転写を阻害す る可溶化物は野生型APCを含むこと を含む前記方法。 6. FAP患者、APCまたはβ-カテニン変異を有する患者、または癌を発生す るリスクが高まった患者において使用するための候補薬物を同定する方法であっ て、以下の工程: 野生型APCを有さないかまたは変異β-カテニンを有する細胞を試験化合物と 接触させること; Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中でレポーター遺 伝子の転写を阻害する試験化合物が癌療法に対する候補薬物であること を含む前記方法。 7. 細胞が、β-カテニン結合または制御を欠損するAPCタンパク質を生成す る、請求項6に記載の方法。 8. 細胞が、超活性またはAPC結合を欠損するかまたはAPC制御に耐性である β-カテニンタンパク質を生成する、請求項6に記載の方法。 9. 細胞が検出可能なAPCタンパク質を何も生成しない、請求項6に記載の 方法。 10. FAP患者、APCまたはβ-カテニン変異を有する患者、または癌を発生 するリスクが高まった患者において使用するための候補薬物を同定する方法であ って、以下の工程: レポーター遺伝子が試験化合物の非存在下において転写される条件下で、Tc f応答性レポーター遺伝子を試験化合物と接触させること; Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中で前記転写を阻 害する試験化合物が癌療法に対する候補薬物であること を含む前記方法。 11.野生型APCを有さない細胞の可溶化物の存在下で接触する工程を行う、 請求項10に記載の方法。 12. APC結合を欠損するかまたはAPC制御に抵抗性である変異β-カテニン を有する細胞、または超活性である細胞の可溶化物の存在下で接触する工程を行 う、請求項10に記載の方法。 13. 細胞が、β-カテニン結合または制御を欠損するAPCタンパク質を生成 する、請求項11に記載の方法。 14. 腫瘍性が疑われる試料中で癌を診断する方法であって、以下の工程: 試料中で見いだされるCTNNB配列を、正常組織中で見いだされる第二のCTNNB 配列と比較することであって、その中で、第一の配列と第二の配列との間の相違 が癌の指標であること を含む前記方法。 15. 配列がヌクレオチド配列である、請求項14に記載の方法。 16. 配列がアミノ酸配列である、請求項14に記載の方法。 17. 正常組織が試料として同一のヒトから単離されたものである、請求項 14に記載の方法。 18. 癌が、結腸直腸癌、甲状腺癌、脳癌、髄芽腫、デスモイド腫瘍、骨腫 、乳癌、および頭部および頸部癌からなる群から選択される、請求項14に記載 の方法。 19. 以下の工程: 試料中で見いだされる第一のAPC配列を正常組織中で見いだされる第二のAPC 配列と比較すること により比較工程を行う、請求項14に記載の方法。 20. 第一および第二のAPC配列間に相違が検出されない、請求項19に記 載の方法。 21. 試料中にAPC変異が検出されない、請求項14に記載の方法。 22. 結腸直腸癌またはFAPに関連するその他の癌を有する患者を治療する 方法であって、以下の工程: 患者に対して、APCコード配列の一部分を含むヌクレオチド配列であって、 前記一部分がβ-カテニン結合部位からなる配列を投与すること を含む前記方法。 23. 結腸直腸癌またはFAPに関連するその他の癌を有する患者を治療する 方法であって、以下の工程: 患者に対して、APCコード配列の一部分を含むポリペプチドであって、前記 一部分がβ-カテニン結合部位からなるポリペプチドを投与すること を含む前記方法。 24. FAP患者または癌を発生するリスクが高まった患者において使用する ための候補薬物を同定する方法であって、以下の工程: β-カテニンおよびTcf-4が互いに結合する条件下で、試験化合物をβ-カテ ニンおよびTcf-4と接触させること; 試験化合物がβ-カテニンおよびTcf-4との結合を阻害するかどうかを決定し 、結合を阻害する試験化合物が癌療法または予防のための候補化合物であること を含む前記方法。』 2. 明細書の記載を次の通り補正する。 (1) 明細書第2頁第14〜16行の「本発明の一態様においては、SEQ ID NO:2ま たは4に示すTcf-4タンパク質をコードする、イントロンフリーのDNA分子を提供 する。」の記載を、『本発明の一態様においては、SEQ ID NO:5または6に示すTc f-4タンパク質をコードする、イントロンフリーのDNA分子を提供する。』と補正 する。 (2) 明細書第2頁第17〜19行の「このタンパク質は、他のヒトタンパク質を 事実上含まず、SEQ ID NO:2または4に示す配列を有する。」の記載を、『このタ ンパク質は、他のヒトタンパク質を事実上含まず、SEQ ID NO:5または6に示す配 列を有する。』と補正する。 (3) 明細書第8頁第13〜14行の「ヌクレオチドの配列およびアミノ酸配列をS EQ ID NO:1-4に示す。」の記載を、『ヌクレオチドの配列およびアミノ酸配列 をSEQ ID NO:1、2、5および6に示す。』と補正する。 (4) 明細書第11頁第22〜23行の「陽性のクローンをpBluescriptSK中にサブ クローニングし、そして配列決定した(SEQ ID No:1および3を参照)。」の記載を 、『陽性のクローンをpBluescriptSK中にサブクローニングし、そして配列決定 した(SEQ ID No:1および2を参照)。』と補正する。 (5) 第23頁〜第35頁に記載の配列表を次の配列表と差し替える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 A61K 37/02 (72)発明者 クレヴェルス,ハンス オランダ国 エヌエル―3712 エイピー, ルイスダーラーン 7 (72)発明者 キンツラー,ケネス・ダブリュー アメリカ合衆国メリーランド州21015,ベ ルエアー,ハルカーク・ウェイ 1403 (72)発明者 コリネック,ウラジミール チェコ国共和国 14000 プラハ 4,カ プリツカ 49/856 (72)発明者 モリン,パトリス・ジェイ アメリカ合衆国メリーランド州21030,コ ロンビア,ジー・マルコム・サークル 10335 (72)発明者 スパークス,アンドリュー・ビー アメリカ合衆国メリーランド州21208,ボ ルティモア,ブレトン・ヒル・ロード―3 エイ 10 (72)発明者 ヴォーゲルスティン,バート アメリカ合衆国メリーランド州21208,ボ ルティモア,ブレトン・ウェイ 3700 【要約の続き】 の調節をAPCあるいはβ-カテニンのいずれかの変異によ って回避し得ることを示している。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. SEQ ID No:2または4に示されるTcf-4タンパタ質をコードする、イント ロンフリーのDNA分子。 2. SEQ ID No:1または3のヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載のDN A分子。 3. SEQ ID No:2または4に示される配列を有する、実質的に他のヒトタンパ ク質を含まない、単離されたTcf-4タンパク質。 4. 細胞内において野生型APCまたはAPC転写制御経路中の下流タンパク質が 存在するかまたは存在しないかを決定する方法であって、以下の工程: Tcf応答性レポーター遺伝子を細胞中に導入すること;そして 前記レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中で、前記レポーター遺 伝子の活発な転写を支持する細胞が野生型APCまたはAPC転写制御経路中の下流タ ンパク質を有さないこと を含む前記方法。 5. 細胞内において野生型APCが存在するかまたは存在しないかを決定する 方法であって、以下の工程: Tcf応答性レポーター遺伝子を細胞の可溶化物と接触させること;そして 前記レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中で、前記転写を阻害す る可溶化物は野生型APCを含むこと を含む前記方法。 6. FAP患者、APCまたはβ-カテニン変異を有する患者、または癌を発生す るリスクが高まった患者において使用するための候補薬物を同定する方法であっ て、以下の工程: 野生型APCを有さないかまたは変異β-カテニンを有する細胞を試験化合物と 接触させること; Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中でレポーター遺 伝子の転写を阻害する試験化合物が癌療法に対する候補薬物であること を含む前記方法。 7. 細胞が、β-カテニン結合または制御を欠損するAPCタンパク質を生成す る、請求項6に記載の方法。 8. 細胞が、超活性またはAPC結合を欠損するかまたはAPC制御に耐性である β-カテニンタンパク質を生成する、請求項6に記載の方法。 9. 細胞が検出可能なAPCタンパタ質を何も生成しない、請求項6に記載の 方法。 10. FAP患者、APCまたはβ-カテニン変異を有する患者、または癌を発生 するリスクが高まった患者において使用するための候補薬物を同定する方法であ って、以下の工程: レポーター遺伝子が試験化合物の非存在下において転写される条件下で、Tc f応答性レポーター遺伝子を試験化合物と接触させること; Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定すること;その中で前記転写を阻 害する試験化合物が癌療法に対する候補薬物であること を含む前記方法。 11.野生型APCを有さない細胞の可溶化物の存在下で接触する工程を行う、 請求項10に記載の方法。 12. APC結合を欠損するかまたはAPC制御に抵抗性である変異β-カテニン を有するか、または超活性である細胞の可溶化物の存在下で接触する工程を行う 、請求項10に記載の方法。 13. 細胞が、β-カテニン結合または制御を欠損するAPCタンパク質を生成 する、請求項11に記載の方法。 14. 腫瘍性が疑われる組織中で癌を診断する方法であって、以下の工程: 試料中で見いだされるCTNNB配列を正常組織中で見いだされる第二のCTNNB配 列と比較することであって、その中で、第一の配列と第二の配列との間の相違が 癌の指標であること を含む前記方法。 15. 配列がヌクレオチド配列である、請求項14に記載の方法。 16. 配列がアミノ酸配列である、請求項14に記載の方法。 17. 正常組織が試料として同一のヒトから単離されたものである、請求項 14に記載の方法。 18. 癌が、結胴直腸癌、甲状腺癌、脳癌、髄芽腫、デスモイド腫瘍、骨腫 、乳癌、および頭部および頸部癌からなる群から選択される、請求項14に記載 の方法。 19. 以下の工程: 試料中で見いだされる第一のAPC配列を正常組織中で見いだされる第二のAPC 配列と比較すること により比較工程を行う、請求項14に記載の方法。 20. 第一および第二のAPC配列間に相違が検出されない、請求項19に記 載の方法。 21. 試料中にAPC変異が検出されない、請求項14に記載の方法。 22. 結腸直腸癌またはFAPに関連するその他の癌を有する患者を治療する 方法であって、以下の工程: 患者に対して、APCコード配列の一部分を含むヌクレオチド配列であって、 前記一部分がβ-カテニン結合部位からなる配列を投与すること を含む前記方法。 23. 結腸直腸癌またはFAPに関連するその他の癌を有する患者を治療する 方法であって、以下の工程: 患者に対して、APCコード配列の一部分を含むポリペプチドであって、前記 一部分がβ-カテニン結合部位からなるポリペプチドを投与すること を含む前記方法。 24. FAP患者または癌を発生するリスクが高まった患者において使用する ための候補薬物を同定する方法であって、以下の工程: β-カテニンおよびTcf-4が互いに結合する条件下で、試験化合物をβ-カテ ニンおよびTcf-4と接触させること; 試験化合物がβ-カテニンおよびTcf-4との結合を阻害するかどうかを決定し 、結合を阻害する試験化合物が癌療法または予防のための候補化合物であること を含む前記方法。
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