JP2003525404A - 摩耗検知装置を備えた玉継手 - Google Patents

摩耗検知装置を備えた玉継手

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Abstract

(57)【要約】 有利には自動車の走行装置サスペンションまたはステアリングのための玉継手であって、継手ソケットとボールスタッドとを有しており、ボールスタッドが球状の座面によって、１部分または多部分から成るベアリングシェル内に回転可能かつ偏位運動可能に支承されており、その場合、ベアリングシェルが継手ソケット内に固定されており、かつその場合、継手ソケットまたはボールスタッドが走行装置サスペンションまたはステアリングに電気的に絶縁されて固定されている形式のものが設けられており、この玉継手において本発明によれば継手ソケット（１）とボールスタッド（２）とが電気的なコンタクト（１２，１４）によって電位差測定装置（１３）に接続されており、かつ、ボールスタッド（２）の球状の座面と、対応する対向座面とが継手ソケット（１）内で互いに電気的に絶縁されて形成されている。本発明のこの手段によれば、玉継手の摩耗状態が決定されることができ、かつ自動車の利用者が玉継手の耐用寿命の終わりと必要な修理との指示を適時に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 背景技術 本発明は有利には自動車の走行装置サスペンションまたはステアリングのため
の玉継手であって、継手ソケットとボールスタッドとを有しており、ボールスタ
ッドが球状の座面によって、１部分または多部分から成るベアリングシェル内に
回転可能かつ偏位運動可能に支承されており、その場合、ベアリングシェルが継
手ソケット内に固定されており、かつその場合、継手ソケットまたはボールスタ
ッドが走行装置サスペンションまたはステアリングに電気的に絶縁されて固定さ
れている形式のものに関する。
【０００２】 この種の玉継手は久しい以前から公知であり、かつ特に自動車産業において大
量に使用される。自動車の運転中にそこに組み込まれた玉継手は相応の負荷によ
って自然の摩耗にさらされる。玉継手の摩耗限界および耐用寿命は、球付きピン
とケーシングとの間に配置されたベアリングシェルが摩耗またはその他の消耗に
より支承機能を全体的にまたは部分的にもはや果たさなくなった時に到達する。
シール機構がシール性を失い、要するにシールベローズが損傷し、その結果、湿
りもしくは汚物が直に継手内部に侵入した場合には、しばしば著しい摩耗が生じ
る。このようにベアリングシェルが消耗すると、球付きピンは最終的には完全に
継手から解離する。それゆえ、耐用寿命に達した玉継手の機能は著しく制約され
、または完全な故障につながり、このことは、特に安全にとって重要な位置に使
用される玉継手では、あってはならないことである。このような完全な故障は、
隣接する構成部分の機能性にとっても深刻な結果を有し、かつ場合によっては当
該自動車の利用者にとって生命の危険をも招く。
【０００３】 それゆえ、本発明の課題は冒頭に記載した形式の玉継手を改良して、玉継手の
ベアリングシシェルの摩耗を適当手段によって検知し、これにより大きな危険の
可能性の発生前に適時に当該玉継手を交換することができるようにすることにあ
る。
【０００４】 この課題は請求項１の上位概念に記載した特徴に関連して請求項１の特徴部分
に記載した技術理論によって解決される。
【０００５】 その場合、継手ソケットおよびボールスタッドが電気的なコンタクトを介して
電位差測定装置に接続されており、かつ、ボールスタッドの球状の座面と、継手
ソケット内の対応する対向座面とが互いに電気的に絶縁されて形成されている。
【０００６】 本発明によるこの構成によれば、この電気的な接触接続によって、正常な玉継
手では継手ソケットとボールスタッドとの間に電位差が生じるが、この電位差は
ボールスタッドと継手ソケットとの間の絶縁が摩耗により１つの箇所で著しく減
少し、または失なわれた時点で排除される。このことは一般に、有利にはプラス
チック材料から製作されていてボールスタッドと継手ソケットとの間に配置され
たベアリングシェルが支承部の１箇所に生じた摩耗によりその絶縁機能を果たす
ことができないことにより生じる。この箇所にはボールスタッドと継手ソケット
との間に導電的な結合が生じ、これにより、両方の構成部分の間の電位差が失わ
れる。接続された電位差測定装置は永続的に玉継手の電気的な状態を監視して、
電位差変動の発生時に自動車の利用者に例えば摩耗した玉継手の必要な修理を表
示することのできる後置された表示装置を起動制御することができる。
【０００７】 さらに、本発明による電位差測定装置によれば、ベアリングシェルの増大した
消耗も表示されることができ、その結果、金属の接触、要するに直接的な電気的
な結合、が生じるのに先立っていち早く玉継手の交換が可能となる。
【０００８】 本発明の対象のさらに別の特別な構成の枠内で、ボールスタッドの座面が導電
性でない被覆を有することができる。この構成は、間挿されたベアリングシェル
が特定の材料選択によりその機能を果たすことができない場合に必要である。
【０００９】 実施例の説明 次に添付図面につき本発明の１実施例を詳細に説明する。
【００１０】 図１に示す玉継手は主として継手ソケット１と、ボールスタッド２と、このボ
ールスタッド２と継手ソケット１との間に配置された２部分から成るベアリング
シェル３ａ，３ｂから成る。ボールスタッド２は軸部４を有しており、この軸部
はねじ山付加部５を介して車体側の支持体６内に受容されている。車体側の支持
体６内でのねじ山付加部５の受容は電気的に絶縁性の材料、有利にはプラスチッ
クから成るねじ山ブッシュ７を介して行われている。さらに、当然のことながら
絶縁の別の可能性も考えられる。軸部４のねじ山付加部５とは逆の側の端部には
球状の座面８が設けられており、この座面は対応して凹球状に形成された全体を
符号３で示されたベアリングシェル内に回転可能かつ偏位運動可能に受容されて
いる。ベアリングシェル３は継手ソケット１内でほぼ円筒形の孔内に受容されて
おり、その場合、継手ソケット１はベアリングシェル３およびボールスタッド２
の挿入の後にケーシングカバー９によって閉鎖されている。継手ソケット１の反
対側の端部にはシールのために継手ソケットとボールスタッドとの間に有利には
ゴム製のベローズ１０が配置されている。継手ソケット１は車体側の固定のため
に付加部１１を有しており、この付加部は図１ではたんに略示されているにすぎ
ない。
【００１１】 図１からさらに分かるように、継手ソケット１には電気的なコンタクト１２が
配置されており、このコンタクトは適当な導線を介して電位差測定装置１３に接
続されている。ボールスタッド２はそのねじ山付加部５に同様に電気的なコンタ
クト１４を備えており、このコンタクトは同様に電位差測定装置１３に結合され
ている。この電位差測定装置１３は当業者にとっては従来技術から一般的な形式
で表すことができるため、図１ではブラックボックスとして示されている。電位
差測定装置１３には別の電気的な構成素子として表示装置１５が接続されている
。ボールスタッド２が最大に偏位運動した際にボールスタッド２と継手ソケット
１との間の電気的な結合を回避するために、ボールスタッドは球状の座面８の下
方にプラスチックリング１６を有しており、このプラスチックリングは同時にベ
ローズ１０を位置決めしている。
【００１２】 図１の全体図から明らかなように、一般にはプラスチック材料から製作される
ベアリングシェル３の絶縁的な性質によりボールスタッド２と継手ソケット１と
の間に電気的な絶縁が生じている。図１の図示は継手ソケットをノーマルな状態
で示しており、この状態ではベアリングシェル３は予め与えられた材料厚により
その絶縁機能を問題なく果たすことができる。
【００１３】 ベアリングシェルの端部領域内にしばしば玉継手の摩耗問題が生じることがあ
るので、図２ａには図１の詳細Ａが拡大してもう一度示されている。図２ａと図
２ｂとの符号付けは図１の符号付けに相応している。図２ａではベアリングシェ
ル３がその厚さとその材料の性質とによりボールスタッド２を継手ソケット１に
対して完全に電気的に絶縁していることが明らかである。
【００１４】 これに対して、図２ｂからは、ベアリングシェルが玉継手負荷によってその端
部領域内で完全に摩耗しており、その結果、継手ソケット１の表面とボールスタ
ッド２の表面とがこの領域内で直に接触していることが分かる。絶縁性の材料に
よってはじめは電位差を有していた両方の構成部分のこの直接的な接触は電圧均
一化を招き、これが電位差測定装置１３によって記録される。次いでこの電位差
均一化は制御信号によって表示装置に伝達され、表示装置は車両利用者に玉継手
の交換の必要性を信号化する。当然のことながら、ベアリングシェルが完全には
絶縁的に作用しない材料から製作されることも考えられる。この場合には、電位
差測定装置によって、ベアリングシェルの完全な摩耗に先立っていち早く、ベア
リングシェル３の厚さ減少にもとづく電位差均一化により限界値ΔＰliemを下回
った電位差が生じる。限界値を下回ったこの電位差は、ボールスタッド２と継手
ソケット１との間の直接的な接触が生じた場合と同様に表示装置の起動制御をも
たらす。この種の構成が有する利点は、玉継手のぎりぎりの限界耐用寿命の到達
に先立って早くも、当該構成部分の交換を行うことができることにあり、このこ
とは安全性の観点から明らかにポジティブに評価される。
【００１５】 さらに、やむを得ない材料選択によりベアリングシェル３がボールスタッド２
と継手ソケット１との間のその絶縁機能を果たすことができない場合には、継手
ソケット１の内側領域またはボールスタッド２の座面に絶縁性の被覆を備えるこ
とが考えられる。この場合も、両方の構成部分の間の電気的な結合が生じるほど
にボールスタッドの被覆が摩耗した場合に上述の実施例と類似的に摩耗限界が到
達される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による玉継手を車両サスペンションに組付けた状態で部分的に破断して
示す図である。
【図２】 ａは、玉継手の新品状態における、図１からの詳細Ａの拡大図である。 ｂは、玉継手の耐用寿命の終りにおける、図１からの詳細の拡大図である。
【符号の説明】
１ 継手ソケット、 ２ ボールスタッド、 ３ａ，３ｂ ベアリングシェル
、 ４ 軸部、 ５ ねじ山付加部、 ６ 車体側の支持体、 ７ ねじ山ブッ
シュ、 ８ 座面、 ９ ケーシングカバー、 １０ ベローズ、 １１ 付加
部、 １２ 電気的なコンタクト、 １３ 電位差測定装置、 １４ 電気的な
コンタクト、 １５ 表示装置、 １６ プラスチックリング

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 有利には自動車の走行装置サスペンションまたはステアリン
    グのための玉継手であって、継手ソケットとボールスタッドとを有しており、ボ
    ールスタッドが球状の座面によって、１部分または多部分から成るベアリングシ
    ェル内に回転可能かつ偏位運動可能に支承されており、その場合、ベアリングシ
    ェルが継手ソケット内に固定されており、かつその場合、継手ソケットまたはボ
    ールスタッドが走行装置サスペンションまたはステアリングに電気的に絶縁され
    て固定されている形式のものにおいて、 継手ソケット（１）およびボールスタッド（２）が電気的なコンタクト（１２
    ，１４）を介して電位差測定装置（１３）に接続されており、かつ、ボールスタ
    ッド（２）の球状の座面と、継手ソケット（１）内の対応する対向座面とが互い
    に電気的に絶縁されて形成されていることを特徴とする、摩耗検知装置を備えた
    玉継手。
  2. 【請求項２】 継手ソケット（１）とボールスタッド（２）との間に配置さ
    れたベアリングシェル（３）が非導電性の材料から成る、請求項１記載の玉継手
    。
  3. 【請求項３】 ボールスタッド（２）の座面が非導電性の被覆を有している
    、請求項１記載の玉継手。
  4. 【請求項４】 電位差測定装置（１３）が表示装置（１５）に結合されてお
    り、この表示装置に、電位差ΔＰliemを下回わる電位差で、制御信号が印加され
    る、請求項１から３までのいずれか１項記載の玉継手。
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