JP2003522522A - 新規ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニット - Google Patents

新規ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニット

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、カルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニットβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dをコードする新規ヒトDNA配列、該DNA配列にコードされるタンパク質、該DNA配列を含むベクター、該ベクターを含有する宿主細胞、ならびにヒトβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットを含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルのインヒビターおよびアゴニスト、およびβ3遺伝子の転写のインヒビターおよびアゴニストの同定方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、カルシウム感受性カリウムチャンネルのサブユニットをコードする
新規ヒトDNA配列に関する。
【0002】 (発明の背景) 電位依存性カリウムチャンネルは、細胞膜電位の変化に応答して開閉する膜貫
通孔を形成し、選択的にカリウムイオンが該膜を通過するのを可能にする。電位
依存性カリウムチャンネルは、興奮性であると伝統的にみなされている細胞(例
えば、ニューロン、筋細胞、分泌細胞)および非興奮性であると伝統的にみなさ
れている細胞(例えば、T細胞、破骨細胞)の両方で見出されており、そのよう
な細胞における細胞膜電位を維持し活動電位の再分極を制御することが示されて
いる。脱分極後、電位依存性カリウムチャンネルは開き、カリウム流出を可能に
して、膜の再分極を可能にする。この挙動のため、電位依存性カリウムチャンネ
ルは、種々の疾患に関連した薬物発見のための重要な標的となっている。その結
果、多数の電位依存性カリウムチャンネルが同定されており、多数がクローニン
グされている。それらは、一次構造および発現の組織特異的パターンの違いによ
り並びに電気生理学的および薬理学的特性により区別されうる。電位依存性カリ
ウムチャンネルの総説としては、Robertson,1997,Trends
Pharmacol.Sci.18:474−483;Jan & Jan,
1997,J.Physiol.505:267−282;Catterall
,1995,Ann.Rev.Biochem.64:493−531を参照さ
れたい。
【0003】 多数の機能的電位依存性カリウムチャンネルは、6個の膜貫通伸長セグメント
をそれぞれが含有する4個のαサブユニットの四量体であると考えられている。
四量体を構成するαサブユニットは同一であることもあれば(ホモ四量体の場合
)、異なることもある(ヘテロ四量体の場合)。該四量体を構成する膜伸長αサ
ブユニットは、該αサブユニットの挙動を改変しうる追加的なβサブユニットを
伴うことがある。
【0004】 電位依存性カリウムチャンネルの個々のタイプとしては、電位依存性およびカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルが挙げられ、これはカルシウム感受性カリウ
ムチャンネルとしても公知である。カルシウム感受性カリウムチャンネルは多種
多様な細胞に存在する。また、それは電位依存性カリウムチャンネルのなかでは
独特である。なぜなら、その活性が、膜電位の変化によってだけではなく、細胞
内カルシウム濃度によっても調節されるからである。形質膜の脱分極および細胞
質カルシウム濃度の増加は共に、カルシウム感受性カリウムチャンネルの開口の
可能性を増大させる。したがって、カルシウム感受性カリウムチャンネルは、膜
興奮性および細胞内カルシウムの増加を含む細胞過程の間の連絡体として機能し
うる。カルシウム感受性カリウムチャンネルは、グルコース媒介インスリン放出
、血管筋緊張、気管支気道平滑筋緊張、眼圧の調節などの細胞内カルシウムの増
加を伴うシグナリング事象を終結させることにより負のフィードバックの役割を
果たしていると考えられている(Tanakaら,1997,J.Physio
l.502:545−557;Kaczorowskiら,1996,J.Bi
oenerg.Biomem.28:255−267;Vergaraら,19
98,Curr.Opin.Neurobiol.8:321−329)。
【0005】 ある種のカルシウム感受性カリウムチャンネルが単離され、研究されている。
機能的カルシウム感受性カリウムチャンネルは、αサブユニットと、それより小
さくそれに会合したβサブユニットとから構成される。αサブユニットはチャン
ネル孔を形成していると考えられており、一方、既に記載されているβサブユニ
ットはカルシウム感受性を増加させ、ある物質、例えばデヒドロソヤサポニンに
よる調節に対して該チャンネルを感受性にする(McManusら,1995,
Neuron 14:645−650)。ウシ気管平滑筋由来のカルシウム感受
性カリウムチャンネルが精製されており、〜130kDaのαサブユニットおよ
び31kDaのβサブユニットから構成されることが示されている(Garci
a−Calvoら,1994,J.Biol.Chem.269:676−68
2)。Tseng−Crankら(1994,Neuron 13:1315−
1330)は、ヒトの脳から9個の関連カルシウム感受性カリウムチャンネルα
サブユニットをクローニングした。これらのαサブユニットは、単一遺伝子h−
slo遺伝子由来のスプライス変異体であると考えられている(Tseng−C
rankら,1994,Neuron 13:1315−1330)。Knau
ssら(1994,J.Biol.Chem.269:17274−17278
)は、気管平滑筋からカルシウム感受性カルシウムチャンネルのβサブユニット
を精製しクローニングした。
【0006】 ほとんどの細胞では、カルシウム感受性カリウムチャンネルの開口は非不活性
化過分極カリウム電流の生成を引き起こす。しかし、ある種の細胞(例えば、副
腎のクロム親和性細胞および海馬ニューロン)では、該電流は不活性化性である
。本明細書に記載の発明の知見が得られた後、Wallnerら,1999,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 96:4137−4132は、
αサブユニットと一緒になって不活性化カルシウム感受性カリウムチャンネルを
形成するヒトβ2カルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニットの存在を開
示した。不活性化を付与する能力は、該β2サブユニットのN末端の19アミノ
酸によるものであるとされた。
【0007】 米国特許第5,776,734号は、カルシウム感受性カリウムチャンネルの
ウシおよびヒトβ1サブユニットをコードする核酸に関するものである。米国特
許第5,637,470号は、カルシウム感受性カリウムチャンネルの活性をモ
ジュレーションする化合物の同定方法に関するものである。
【0008】 (発明の概要) 本発明は、カルシウム感受性カリウムチャンネルのβサブユニットをコードす
る新規ヒトDNA配列に関する。本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャ
ンネルのβサブユニットβ2、β3a、β3b、β3cおよびβ3dをコードす
るDNAを含む。該DNAは、配列番号1(β2)、配列番号3(β3a)、配
列番号5(β3b)、配列番号7(β3c)および配列番号9(β3d)に示す
ヌクレオチド配列を含む。また、該新規DNA配列にコードされるタンパク質を
提供する。該タンパク質は、配列番号2(β2)、配列番号4(β3a)、配列
番号6(β3b)、配列番号8(β3c)および配列番号10(β3d)に示す
推定アミノ酸配列を含む。組換え系内で該新規サブユニットタンパク質を発現さ
せる方法、および該サブユニットを含むカリウムチャンネルのアクチベーターお
よびインヒビターの同定方法を提供する。
【0009】 本発明はまた、該β3a、β3b、β3cおよびβ3dサブユニットの5’部
分、および該β3サブユニットのコアタンパク質の5’部分を含有するゲノムD
NA断片を含む。このゲノムDNA断片は該サブユニットのプロモーター要素を
含有する。該β3a、β3b、β3cおよびβ3dサブユニットをコードする遺
伝子の転写に影響を及ぼす化合物に関するスクリーニング方法も提供する。
【0010】 (図面の簡単な記載) 図1Aは、該ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ2サブユニットを
コードするDNA配列(配列番号1)を示す。該開始ATGコドンは271−2
73位であり、該終結コドンは976−978位である。図1Bは、該β2サブ
ユニットの推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【0011】 図2Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3aサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号3)を示す。該開始ATGコドンは341−3
43位であり、該終結コドンは1172−1174位である。図2Bは、該β3
aサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【0012】 図3Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3bサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号5)を示す。該開始ATGコドンは796−7
98位であり、該終結コドンは1567−1569位である。図3Bは、該β3
bサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【0013】 図4Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3cサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号7)を示す。該開始ATGコドンは869−8
71位であり、該終結コドンは1694−1696位である。図4Bは、該β3
cサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【0014】 図5Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3dサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号9)を示す。該開始ATGコドンは457−4
59位であり、該終結コドンは1294−1296位である。図5Bは、該β3
dサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号10)を示す。
【0015】 図6は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ1(配列番号11)、β
2(配列番号2)、β3a(配列番号4)、β3b(配列番号6)、β3c(配
列番号8)およびβ3d(配列番号10)サブユニットの推定アミノ酸配列のア
ライメントを示す。
【0016】 図7は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのαサブユニットにより形
成されるイオンチャンネルの電気生理学的特性に対する本発明の新規βサブユニ
ットの共発現の効果を示す。図7Aは、カルシウム感受性カリウムチャンネルα
またはαおよびβサブユニットを発現するインサイドアウトパッチにおいて記録
した電流−電位関係を示す。最大効果を検出するために、αおよびβサブユニッ
トcRNAを1:10のモル比(βが過剰)で共注入した。該電位固定法は、−
160mVまでの予備パルス(200ms)、ついで−80〜+80mVの20
mV脱分極工程(500ms)よりなるものであり、保持電圧は−80mVであ
り、内部Ca2+は30μMであった。サブユニットβ3bおよびβ3dは、電
流密度を減少させうるものの、αサブユニットにより形成されるチャンネルの電
位依存性および速度論における認められうる変化を誘発しなかった。図7B:ピ
ーク電流から算出され試験電位の関数としてプロットされた図7Aに示す記録に
関する正規化コンダクタンスに、ボルツマン方程式をあてはめた。V1/2値は
20mV(αサブユニット単独)、−55mV(α+β2サブユニット)、45
.36mV(α+β3aサブユニット)、20mV(α+β3cサブユニット)
である。図7Cは、αサブユニットRNAよりモル過剰(10×まで)のβ3サ
ブユニットRNAの共発現が、カルシウム感受性カリウムチャンネル電流の非不
活性化成分を減少させたが排除しなかったことを示す。不活性化速度および部分
(fractional)不活性化電流は、実施例2に記載のとおりに計算した
【0017】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【0018】 (発明の詳細な記載) 本発明の目的においては、「他のタンパク質を実質的に含有しない」は、他の
タンパク質から少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは99%、
より一層好ましくは99.9%フリーである(すなわち、かかる割合分は他のタ
ンパク質を含有しない)ことを意味する。したがって、他のタンパク質を実質的
に含有しないヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、
β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質調製物は、その全タンパク質に対す
る割合として、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、よ
り一層好ましくは0.1%以下の非ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するで
あろう。ある与えられたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質調製物が他のタンパク質
を実質的に含有しないか否かは、適当な検出方法(例えば、銀染色または免疫ブ
ロット法)と組合せた例えばドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電
気泳動(SDS−PAGE)などのタンパク質純度を評価する通常の技術により
判定することができる。
【0019】 「他の核酸を実質的に含有しない」は、他の核酸から少なくとも90%、好ま
しくは95%、より好ましくは99%、より一層好ましくは99.9%フリーで
あることを意味する。したがって、他の核酸を実質的に含有しないヒトカルシウ
ム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユ
ニットDNA調製物は、その全核酸に対する割合として、10%以下、好ましく
は5%以下、より好ましくは1%以下、より一層好ましくは0.1%以下の非ヒ
トカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ
3dサブユニット核酸を含有するであろう。ある与えられたヒトカルシウム感受
性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット
DNA調製物が他の核酸を実質的に含有しないか否かは、適当な染色方法(例え
ば、臭化エチジウム染色、ノーザンまたはサザンブロット法)と組合せた例えば
アガロースゲル電気泳動などの核酸純度を評価する通常の技術により、または配
列決定により判定することができる。
【0020】 「同類アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、化学的に類似した別のアミノ
酸残基により置換されることを意味する。そのような同類置換の具体例としては
、疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリンまたはメチオニン)間での置換
、ある極性残基を同じ電荷の別の極性残基で置換すること(例えば、リシンから
アルギニンへの、アスパラギン酸からグルタミン酸への置換)、芳香族アミノ酸
(トリプトファン、チロシンまたはフェニルアラニン)間での置換が挙げられる
【0021】 あるポリペプチドが「ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットと実質的に同じ生物活性」を有する
のは、そのポリペプチドが、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルαサブユ
ニットと一緒になって機能的カリウムチャンネルを形成することが可能であり、
該ポリペプチドが、該β2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット
により付与される特性に類似した特性を該αサブユニットに付与し、該ポリペプ
チドが、BLASTまたはFASTAなどの標準的なプログラムにより測定され
た場合に配列番号2、4、6、8または10と少なくとも約50%同一であるア
ミノ酸配列を有する場合である。例えば、アミノ酸配列においてβ3a(配列番
号4)と50%同一であるポリペプチドであって、該ポリペプチドおよびαサブ
ユニットから形成されるイオンチャンネルの電気生理学的測定値が例えば図7A
〜Cにβ3aサブユニットおよび該αサブユニットに関して記載のグラフを与え
る特性をαサブユニットに付与するポリペプチドは、「ヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ3aサブユニットと実質的に同じ生物活性」を有するポリペ
プチドである。
【0022】 本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルの成分であるヒトカルシ
ウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブ
ユニットをコードするDNAの同定およびクローニングに関する。該β1サブユ
ニットに対する相同性を有する配列に関してデータベースを検索することにより
、EST(expressed sequence tag)(GenBank
アクセッション番号AA904191、AI299145およびAI30117
5)を同定した。該ESTをコードするcDNAを購入し、両方向で配列決定し
た。AA904191をコードするクローンは全β2サブユニットをコードする
ことが確認された。なぜなら、それは、該オープンリーディングフレームの開始
ATGの5’側のインフレームの終結コドンと該全オープンリーディングフレー
ムとを含有していたからである。
【0023】 ついで該β2コード配列を使用して、追加的なβサブユニットに関して該デー
タベースを検索した。同定したESTからコンティグを集合させ、それを使用し
て該データベースをもう一度検索した。この反復法でいくつかのESTを同定し
た(GenBankアクセッション番号AA195381、AA236930、
AA236968、AA279911、AA761761およびAA93487
6)。これらのESTをコードする重要なcDNAを購入し、両方向で配列決定
した。これらのクローンはいずれも完全長ではなかった。ほとんどは、B細胞に
富む扁桃の調製物において単離されたため、本発明者らは、B細胞に富むもう1
つの組織であるヒト脾臓由来の商業的に製造されたcDNA(Clontech
カタログ#7412−1)を鋳型として使用し、3’非翻訳領域(UTR)にお
いて遺伝子特異的オリゴヌクオチドを使用して、5’RACE(rapid a
mplification of cDNA ends)を行った。このように
して複数のDNA断片を増幅し、クローニングし、両方向で配列決定した。配列
決定は、5’末端だけが異なる完全長クローンの4個のサブファミリーβ3a、
β3b、β3cまたはβ3dを示した。
【0024】 本発明のヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cおよびβ3dサブユニットは発現の組織特異的パターンを示す。種々の組織
から単離したmRNAのノーザンブロット法は、該β2サブユニットが主として
子宮、心臓、卵巣、甲状腺、胎児腎、副腎髄質および膵臓で発現され、該β3a
サブユニットが主として心臓および骨格筋で発現され、該β3bサブユニットが
脳、骨格筋および精巣以外の調べたほとんどの組織で発現されることを示してい
る。該β3cおよび/またはβ3dサブユニットは膵臓で見出されている。
【0025】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cおよ
びβ3dサブユニットの組織特異的発現パターンは、これらの異なるサブユニッ
トが、異なる組織で認められるカルシウム感受性カリウムチャンネルの機能的多
様性に寄与しうるという仮説を支持している。したがって、特異的サブユニット
を含有する特異的カルシウム感受性カリウムチャンネルのアクチベーターおよび
インヒビターは、特定の病態に関与するカルシウム感受性カリウムチャンネルの
サブユニット組成に応じた種々の病態における薬理学的効力を有しうる。
【0026】 染色体マッピング研究は、β2およびβ3サブユニットが共にヒト染色体3q
23−terに位置づけられることを示している。本発明のβサブユニットは、
既に公知のヒトβ1サブユニット(GenBankアクセッション番号U251
38)に対して約30〜45%のアミノ酸配列同一性を有する。本発明のβ2お
よびβ3サブユニットは、お互いに対して約40%のアミノ酸配列同一性を有す
る。該β3a、β3b、β3cおよびβ3dサブユニットは、それらの最もN末
端の1〜20アミノ酸が異なるにすぎず、単一遺伝子の選択的スプライシング変
異体である。実際のところ、連続的断片中の保存されたコアの開始部位およびβ
3a、β3b、β3c/dの5’ドメインを含有するGenBankデータベー
ス中のヒトDNAのゲノム断片(アクセッション番号AC007823.4)が
同定されている。図8を参照されたい。また、保存されたコアドメインを含有す
る2つの細菌人工染色体(BAC)が単離されている。また、これらのBACの
うちの1つは、β3c/d特異的配列を含有する。したがって、本発明者らは、
全β3オープンリーディングフレームを一緒になってコードする重複BACクロ
ーンを同定した。該β2サブユニットは別の遺伝子にコードされる。
【0027】 本発明は、他の核酸を実質的に含有しないヒトカルシウム感受性カリウムチャ
ンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットをコードするD
NAを提供する。本発明はまた、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2
、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットをコードする単離された及
び/又は組換えDNA分子を提供する。本発明は、配列番号1、3、5または9
に示すヌクレオチド配列を含む他の核酸を実質的に含有しないDNA分子を提供
する。β3bの143位に相当するアミノ酸位置でセリンまたはアスパラギンを
コードする配列多型性を示す各β3サブユニットをコードするcDNAが単離さ
れている。これは、保存されたコアドメインのアミノ酸142に相当する。
【0028】 したがって、本発明は、配列番号4、セリンの代わりにアスパラギンを163
位に有する配列番号4、配列番号6、アスパラギンの代わりにセリンを143位
に有する配列番号6、配列番号8、セリンの代わりにアスパラギンを161位に
有する配列番号8、配列番号10およびアスパラギンの代わりにセリンを165
位に有する配列番号10よりなる群から選ばれるポリペプチドをコードする、他
の核酸を実質的に含有しないDNAならびに単離された及び/又は組換えDNA
を含む。
【0029】 本発明は、保存されたβ3コアアミノ酸配列、配列番号6の2−246位を含
むポリペプチドをコードする、他の核酸を実質的に含有しないDNAならびに単
離された及び/又は組換えDNAを含む。
【0030】 本発明は、配列番号1、3、5、7および9のコード領域を含む単離されたD
NA分子および他の核酸を実質的に含有しないDNA分子を含む。したがって、
本発明は、配列番号1の271−975位、配列番号3の341−1171位、
配列番号5の796−1566位、配列番号7の869−1693位または配列
番号9の457−1293位を含む配列を有する単離されたDNA分子および他
の核酸を実質的に含有しないDNA分子を含む。
【0031】 また、配列番号1の271−975位、配列番号3の341−1171位、配
列番号5の796−1566位、配列番号7の869−1693位または配列番
号9の457−1293位を含むヌクレオチド配列を有する組換えDNAも含ま
れる。ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3c
またはβ3dサブユニットをコードする本発明の新規DNA配列は、全体的また
は部分的に、他のDNA配列(すなわち、ヒトカルシウム感受性カリウムチャン
ネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットが天然では結合し
ていないDNA配列)と結合して、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットをコードする「組換えD
NA分子」を形成しうる。そのような他の配列は、転写または翻訳を制御するD
NA配列、例えば、翻訳開始配列、IRES(internal riboso
me entry sites)、RNAポリメラーゼIIのプロモーター、転
写または翻訳終結配列、エンハンサー配列、微生物における複製を制御する配列
、抗生物質耐性を付与する配列、またはポリペプチド「タグ」(例えば、ポリヒ
スチジン領域、FLAGエピトープ、mycエピトープ、GSTまたはマルトー
ス結合タンパク質)をコードする配列を含みうる。本発明の新規DNA配列は、
プラスミド、コスミド、ウイルスベクター、P1人工染色体、酵母人工染色体な
どのベクター内に挿入することができる。
【0032】 本発明はまた、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットのゲノム配列を含む、他の核酸を実質的に
含有しないDNAならびに単離された及び/又は組換えDNAを含む。本発明は
、配列番号20、配列番号20の1−40,467位、配列番号20の17,4
04−17,806位、配列番号20の24,710−25,507位、配列番
号20の32,590−33,514位、配列番号20の33,515−33,
705位、または配列番号20の1−17,404位を含む、他の核酸を実質的
に含有しないDNAならびに単離された及び/又は組換えDNAを含む。
【0033】 本発明には、高いストリンジェンシーの条件下で配列番号1、3、5、7、9
または20の少なくとも1つにハイブリダイズするDNA配列が含まれる。例え
ば、高いストリンジェンシーの条件を用いる方法は、以下のとおりであるが、そ
れらに限定されるものではない。DNAを含有するフィルターのプレハイブリダ
イゼーションを、5×SSC、10×デンハルト液、50% ホルムアミド、2
% SDSおよび100μg/ml 変性サケ精子DNAを含むバッファー中、
65℃で2時間〜一晩行なう。32P標識ランダムプライムドプローブのハイブ
リダイゼーションを、5×SSPE、10×デンハルト液、50% ホルムアミ
ド、2% SDSおよび100μg/ml サケ精子DNA中、42℃で一晩行
う。2×SSC、0.05% SDS中、42℃で40分間、ついで0.1×S
SC、0.05% SDS中、65℃で40分間、洗浄を行なう。
【0034】 高いストリンジェンシーの条件を用いる他の方法は、5×SSC、5×デンハ
ルト液、50% ホルムアミド中、42℃で12〜48時間行なうハイブリダイ
ゼーション、または0.2×SSPE、0.2% SDS中、65℃で30〜6
0分間行なう洗浄工程を含むであろう。
【0035】 高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを行なうための前記方法で
挙げた試薬は当技術分野でよく知られている。これらの試薬の組成の詳細は、例
えば、Sambrook,FritschおよびManiatis,1989, Molecular Cloning:A Laboratory Manua ,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory
Pressに記載されている。前記のもの以外の使用可能な他の高いストリンジ
ェンシー条件は当技術分野でよく知られている。
【0036】 遺伝暗号の縮重のため、2種のアミノ酸を除く全てのアミノ酸に関しては、2
以上のコドンが特定のアミノ酸をコードする。このため、配列番号1、3、5、
7または9のヌクレオチド配列とは有意に異なるが配列番号2、4、6、8また
は10と同じヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、
β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を尚もコードする合成DNAヌクレ
オチド配列を有するヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β
3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質コード化合成DNAの構築が
可能となる。そのような合成DNAは本発明の範囲内にあると意図される。
【0037】 配列番号1、3、5、7または9の突然変異形態は本発明の範囲内にあると意
図される。特に、野生型カルシウム感受性カリウムチャンネルと比較して改変さ
れた電位依存性、カルシウム感受性、電流速度論(例えば、活性化、不活性化ま
たは非活性化)または薬理学的特性を有するカルシウム感受性カリウムチャンネ
ルを該αサブユニットと一緒になった場合に与える又はαサブユニットと相互作
用しないタンパク質をコードする配列番号1、3、5、7または9の突然変異形
態は、本発明の範囲内にあると意図される。そのような突然変異形態は、ヌクレ
オチドの欠失、置換または付加を有することにより、配列番号1、3、5、7ま
たは9とは異なりうる。
【0038】 また、配列番号1、3、5、7または9に対応する配列を有するRNA分子も
、本発明の範囲内にあると意図される。配列番号1、3、5、7または9または
それらの一部の逆相補体であるアンチセンスヌクレオチド、DNAまたはRNA
も、本発明の範囲内である。また、少数の位置が非天然または修飾ヌクレオチド
(例えば、イノシン、メチル−シトシンまたはデアザ−グアノシン)で置換され
た配列番号1、3、5、7または9に基づくポリヌクレオチドは、本発明の範囲
内にあると意図される。本発明のポリヌクレオチドはまた、該ヌクレオチド間に
非天然連結が存在する配列番号1、3、5、7または9に基づく配列を含みうる
。そのような非天然連結は、例えば、メチルホスファート、ホスホロチオアート
、ホスホロジチオナート、ホスホロアミジットおよびホスファートエステルであ
りうる。本発明のポリヌクレオチドはまた、ヌクレオチド間の架橋としてデ−ホ
スホ結合、例えばシロキサン、カルボナート、カルボキシメチルエステル、アセ
トアミダート、カルバマートおよびチオエーテル架橋を有する配列番号1、3、
5、7または9に基づく配列を含みうる。存在しうる他のヌクレオチド間連結は
、N−ビニル、メタクリルオキシエチル、メタクリルアミドまたはエチレンイミ
ン連結を含む。配列番号1、3、5、7または9に基づくペプチド核酸も、本発
明に含まれる。
【0039】 本発明のもう1つの態様は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、
β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするDN
A配列を含有および/または発現するように操作された宿主細胞を含む。ヒトカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3d
サブユニットタンパク質を産生させるために、そのような組換え宿主細胞を適当
な条件下で培養することができる。また、そのような組換え宿主細胞は、本明細
書に記載のカルシウム感受性カリウムチャンネルのアクチベーターおよびインヒ
ビターの同定方法において有用である。組換え宿主細胞内でヒトカルシウム感受
性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット
タンパク質を発現させるために、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2
、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするD
NAを含有する発現ベクターを使用することができる。組換え宿主細胞は、原核
性または真核性であることが可能であり、それらには、大腸菌(E.coli)
などの細菌、酵母などの真菌細胞、ヒト、ウシ、ブタ、サルおよびげっ歯類由来
の細胞系を含む(これらに限定されるものではない)哺乳類細胞、ツメガエル(
Xenopus)卵母細胞などの両生類細胞、およびショウジョウバエ(Dro
sophila)およびカイコに由来する細胞系を含む(これらに限定されるも
のではない)昆虫細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3d
サブユニットタンパク質の組換え発現に適した広く入手可能な細胞および細胞系
には、L細胞L−M(TK)(ATCC CCL 1.3)、L細胞L−M(
ATCC CCL 1.2)、293(ATCC CRL 1573)、Raj
i(ATCC CCL 86)、CV−1(ATCC CCL 70)、COS
−1(ATCC CRL 1650)、COS−7(ATCC CRL 165
1)、CHO−K1(ATCC CCL 61)、3T3(ATCC CCL
92)、NIH/3T3(ATCC CRL 1658)、HeLa(ATCC
CCL 2)、C127I(ATCC CRL 1616)、BS−C−1(
ATCC CCL 26)、MRC−5(ATCC CCL 171)、CPA
E(ATCC CCL 209)、Saos−2(ATCC HTB−85)、
ARPE−19ヒト網膜色素上皮(ATCC CRL−2302)、ツメガエル
(Xenopus)黒色素胞およびツメガエル(Xenopus)卵母細胞が含
まれるが、これらに限定されるものではない。
【0040】 哺乳類細胞内で組換えヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を発現させるためには、
種々の哺乳類発現ベクターを使用することができる。商業的に入手可能な適当な
哺乳類発現ベクターには、pMC1neo(Stratagene)、pSG5
(Stratagene)、pcDNAIおよびpcDNAIamp、pcDN
A3、pcDNA3.1、pCR3.1(Invitrogen)、EBO−p
SV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC
37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37
224)、pRSVgpt(ATCC 37199)、pRSVneo(ATC
C 37198)、pIZD35(ATCC 37565)およびpSV2−d
hfr(ATCC 37146)が含まれるが、これらに限定されるものではな
い。もう1つの適当なベクターとしては、PT7TS卵母細胞発現ベクターが挙
げられる。
【0041】 組換え細胞内での発現後、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β
3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を、他のタンパク質
を実質的に含有しないレベルにまで通常の技術により精製することができる。使
用しうる技術には、硫安沈殿、疎水性または親水性相互作用クロマトグラフィー
、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ホスホ
セルロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、分取ゲル電気
泳動およびアルコール沈殿が含まれる。いくつかの場合には、そのような技術に
加えてタンパク質の変性および/またはリフォールディング工程を用いるのが有
利かもしれない。
【0042】 ある種の電位依存性カリウムチャンネルサブユニットは、高レベルで適切に発
現され膜内に挿入されるためには、他の電位依存性カリウムチャンネルサブユニ
ットの発現を要する。例えば、KCNQ3の共発現は、ツメガエル(Xenop
us)卵母細胞におけるKCNQ2の発現を増強するらしい(Wangら,19
98,Science 282:1890−1893)。また、いくつかの電位
依存性カリウムチャンネルKv1αサブユニットは他の関連αサブユニット(J
eglaおよびSalkoff,1997,J.Neurosci.17:32
−44)またはKvβ2サブユニット(Shiら,1995,Neuron 1
6:843−852)を要する。したがって、ヒトカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質の
組換え発現は、ある条件下では、他のタンパク質の共発現から利益が得られるこ
とがあり、そのような共発現は本発明の範囲内にあると意図される。特に好まし
い共発現形態は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質(またはその組合せ)とヒトカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルαサブユニットタンパク質との共発現である
。そのような共発現は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードする発現ベクタ
ーを、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルαサブユニットタンパク質を天
然で発現する細胞内にトランスフェクトすることにより行うことができる。ある
いは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3c
またはβ3dサブユニットタンパク質をコードする発現ベクターを、ヒトカルシ
ウム感受性カリウムチャンネルαサブユニットをコードする発現ベクターもトラ
ンスフェクトされている細胞内にトランスフェクトすることができる。好ましく
は、そのような細胞は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルαまたはβサ
ブユニットを天然では発現しない。
【0043】 本発明は、他のタンパク質を実質的に含有しないヒトカルシウム感受性カリウ
ムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク
質を含む。完全長ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質の推定アミノ酸配列は、それぞ
れ配列番号2、4、6、8および10に示されている。したがって、本発明は、
アミノ酸配列配列番号2、配列番号4、セリンの代わりにアスパラギンを163
位に有する配列番号4、配列番号6、アスパラギンの代わりにセリンを143位
に有する配列番号6、配列番号8、セリンの代わりにアスパラギンを161位に
有する配列番号8、配列番号10およびアスパラギンの代わりにセリンを165
位に有する配列番号10を有する、他のタンパク質を実質的に含有しないヒトカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3d
サブユニットタンパク質を含む。本発明はまた、アミノ酸配列配列番号2、配列
番号4、セリンの代わりにアスパラギンを163位に有する配列番号4、配列番
号6、アスパラギンの代わりにセリンを143位に有する配列番号6、配列番号
8、セリンの代わりにアスパラギンを161位に有する配列番号8、配列番号1
0およびアスパラギンの代わりにセリンを165位に有する配列番号10を有す
る、単離されたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b
、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含む。
【0044】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質の突然変異形態は、本発明の範囲内であると意
図される。特に、αサブユニットと一緒になった場合に改変された電気生理学的
または薬理学的特性を有するカルシウム感受性カリウムチャンネルを与える配列
番号2、4、6、8および10の突然変異形態は、本発明の範囲内である。
【0045】 多数の受容体タンパク質の場合と同様、ヒトカルシウム感受性カリウムチャン
ネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質のアミ
ノ酸の多数を修飾し、それでもなお、元のタンパク質と実質的に同じ生物活性を
保有させることが可能である。したがって、本発明は、アミノ酸の欠失、付加ま
たは置換を有するが天然に存在するヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質と実質的に同
じ生物活性を依然として保有する修飾されたヒトカルシウム感受性カリウムチャ
ンネルβ2、β3a、β3b、β3cおよびβ3dサブユニットタンパク質を含
む。単一のアミノ酸の置換は通常はタンパク質の生物活性を改変しないことが、
一般に認められている(例えば、Molecular Biology of the Gene ,Watsonら,1987,第4版,The Benjam
in/Cummings Publishing Co., Inc.,p.2
26;およびCunningham & Wells,1989,Scienc
e 244:1081−1085を参照されたい)。したがって、本発明は、配
列番号2、4、6、8または10において1つのアミノ酸置換が施されているポ
リペプチドであって、天然に存在するヒトカルシウム感受性カリウムチャンネル
β2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質と実質的に
同じ生物活性を依然として保有するポリペプチドを含む。本発明はまた、配列番
号2、4、6、8または10において2以上のアミノ酸置換が施されているポリ
ペプチドであって、天然に存在するヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質と実質的に同
じ生物活性を依然として保有するポリペプチドを含む。特に、本発明は、前記置
換が同類置換である実施形態を含む。特に、本発明は、保存された位置には前記
置換が存在しない実施形態を含む。保存された位置は、ヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ1、β2および任意のβ3サブユニットのすべてが同一アミ
ノ酸を有する位置である(図6を参照されたい)。
【0046】 本発明のヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cまたはβ3dサブユニットタンパク質は、翻訳後修飾、例えば、共有結合し
た炭水化物、リン酸化、ミリストイル化、パルミルトイル化などを含有しうる。
【0047】 本発明はまた、キメラヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含む。キメラヒトカル
シウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
ブユニットタンパク質は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質からのものではないポ
リペプチド配列に融合したヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質の少なくとも一部の連
続的ポリペプチド配列よりなる。
【0048】 本発明はまた、単離されたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β
3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質、およびこれらの単
離されたサブユニットをコードするDNAを含む。「単離(された)」なる語の
使用は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質またはDNAが、その通常の細胞環境か
ら取り出されていることを示す。したがって、単離されたヒトカルシウム感受性
カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタ
ンパク質は無細胞溶液中に存在していたり、あるいはそれが天然に存在する場合
の環境とは異なる細胞環境中に存在しうる。単離(された)なる語は、単離され
たヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質が、存在する唯一のタンパク質であることを意
味するものではなく、単離されたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2
、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質が、ヒトカルシ
ウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブ
ユニットタンパク質に天然で付随する非アミノ酸物質(例えば、核酸、脂質、炭
水化物)から少なくとも95%フリーであることを意味する。例えば、ヒトカル
シウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
ブユニットタンパク質のうち、それを天然(すなわち、ヒトの介入の不存在下)
では発現しない細菌内または更には真核細胞内で組換え手段により発現されたも
のは、「単離されたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β
3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質」である。
【0049】 ある種のカリウムチャンネルサブユニットは相互作用してヘテロマー構造を形
成し、それにより機能的カリウムチャンネルを与えることが公知である。例えば
、KCNQ2とKCNQ3とが集合してヘテロマー機能的カリウムチャンネルを
形成しうる(Wangら,1998,Science 282:1890−18
93)。したがって、本発明のヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、
β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質も、機能的カリウ
ムチャンネルを構成するヘテロマー構造を他のタンパク質と共に形成しうる可能
性があると考えられる。したがって、本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウム
チャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質
を含むそのようなヘテロマーを含む。好ましいヘテロマーは、本発明のヒトカル
シウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
ブユニットタンパク質がカルシウム感受性カリウムチャンネルαサブユニットと
ヘテロマーを形成しているものである。
【0050】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質をコードするDNAは、当技術分野でよく知ら
れた方法により得ることができる。例えば、完全長ヒトカルシウム感受性カリウ
ムチャンネルβサブユニットタンパク質をコードするcDNA断片は、適当なプ
ライマー対を使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることによりヒト
の子宮、卵巣または膵臓から単離することができる。そのようなプライマー対は
、図1Aに配列番号1として示すヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2
サブユニットタンパク質のDNA配列に基づいて選択することができる。適当な
プライマー対としては、例えば以下のものが挙げられるであろう: 5’−AAG ATG TTT ATA TGG ACC AGT GGC−3
’(配列番号12) および 5’−ACT CAT AAC AGA CTG CAC GTT AC−3’
(配列番号13)。
【0051】 前記および後記のプライマーは例示的なものであるにすぎない。当業者は、配
列番号1に基づき、他の適当なプライマーを容易に設計することが可能であると
認識するであろう。そのようなプライマーは、当技術分野でよく知られたオリゴ
ヌクレオチド合成方法により製造されうるであろう。
【0052】 同様にして、本発明の他のカルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニット
タンパク質に関するPCRプライマーを選択し製造することができる。例えば、
ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3aに関しては、適当なプライマー
対としては、例えば以下のものが挙げられるであろう: 5’−GTC ATG CAG CCC TTC AGC ATC CC−3’
(配列番号14) および 5’−TTG CAG AAA TCA CAG ACA TCT GAA−3
’(配列番号15)。
【0053】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3aサブユニットが単離されうる
適当なcDNA鋳型は、ヒト心臓、骨格筋または脾臓cDNAである。
【0054】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3bサブユニットに関しては、適
当なプライマー対としては、例えば以下のものが挙げられるであろう: 5’−GCA ATG ACA GCC TTT CCT GCC TC−3’
(配列番号16) および 5’−TTG CAG AAA TCA CAG ACA TCT GAA−3
’(配列番号15)。
【0055】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3bサブユニットが単離されうる
適当なcDNA鋳型は、ヒト脾臓cDNAである。
【0056】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3cサブユニットに関しては、適
当なプライマー対としては、例えば以下のものが挙げられるであろう: 5’−GAA ATG TTC CCC CTT CTT TAT GAG−3
’(配列番号17) および 5’−TTG CAG AAA TCA CAG ACA TCT GAA−3
’(配列番号15)。
【0057】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3cサブユニットが単離されうる
適当なcDNA鋳型は、ヒト膵臓または脾臓cDNAである。
【0058】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3dサブユニットに関しては、適
当なプライマー対としては、例えば以下のものが挙げられるであろう: 5’−GAG ATG GAC TTT TCA CCA AGC TCT−3
’(配列番号18) および 5’−TTG CAG AAA TCA CAG ACA TCT GAA−3
’(配列番号15)。
【0059】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3dサブユニットが単離されうる
適当なcDNA鋳型は、ヒト膵臓または脾臓cDNAである。
【0060】 AmpliTaq、AmpliTaq GoldまたはVentポリメラーゼ
を含む(これらに限定されるものではない)種々の熱安定酵素でPCR反応を行
なうことができる。AmpliTaqの場合には、10mM Tris−Cl,
pH8.3、2.0mM MgCl、200μMの各dNTP、50mM K
Cl、0.2μMの各プライマー、10ngのDNA鋳型、0.05単位/μl
のAmpliTaq中で反応を行なうことができる。該反応を95℃で3分間加
熱し、ついで95℃で20秒間、62℃で20秒間、72℃で3分間のサイクリ
ングパラメーターを用いる25サイクルに付す。これらの条件に加えて、適当な
種々のPCRプロトコールがPCR Primer, A Laborator y Manual ,C.W.DieffenbachおよびG.S.Dveks
ler編,1995,Cold Spring Harbor Laborat
ory Press、またはPCR Protocols:A Guide t o Methods and Applications ,Michaelら編
,1990,Academic Pressに記載されている。
【0061】 本発明のカルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニットはお互いに及び他
のカリウムチャンネルサブユニットに対して高度に相同性であるため、所望のカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルβサブユニットが実際に得られたことを確認
するために、本明細書に記載の方法により得られたクローンを配列決定すること
が望ましい。
【0062】 これらの方法により、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするcDNAク
ローンを得ることができる。これらのcDNAクローンを、適当なクローニング
ベクターまたは発現ベクター、哺乳類発現ベクターpcDNA3.1(Invi
trogen,San Diego,CA)内にクローニングすることができる
。ついでヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質またはその一部をコードする発現ベクタ
ーを適当な宿主細胞内に導入し、該宿主細胞を適当な条件下で培養することによ
り、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cま
たはβ3dサブユニットタンパク質を製造することができる。ついで、当技術分
野でよく知られた方法により、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、
β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を単離することが
できる。
【0063】 前記PCR法に代わる方法としては、オリゴヌクレオチドプローブでcDNA
ライブラリーをスクリーニングするための当技術分野でよく知られた方法を用い
各ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質に特異的なオリゴヌクレオチドをプローブとし
て使用して、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、
β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするcDNAクローンをc
DNAライブラリーから単離することができる。そのような方法は、例えば、S
ambrookら,1989,Molecular Cloning:A La
boratory Manual;Cold Spring Harbor L
aboratory,Cold Spring Harbor,New Yor
k;Glover,D.M.(編),1985,DNA Cloning:A
Practical Approach,MRL Press,Ltd.,Ox
ford,U.K.,Vol.I,IIに記載されている。特定のヒトカルシウ
ム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユ
ニットに特異的でcDNAライブラリーのスクリーニングに使用されうるオリゴ
ヌクレオチドは、図1〜5に示すDNA配列に基づき容易に設計することができ
、当技術分野でよく知られた方法により合成することができる。
【0064】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニット遺伝子を含有するゲノムクローンは、Research
Genetics,Huntsville,ALから商業的に入手可能なヒトP
AC、YACまたはBACライブラリーから得ることができる。あるいは、本明
細書に開示するヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b
、β3cまたはβ3dサブユニットDNA配列に基づくプローブを使用して、ヒ
トカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ
3dサブユニット遺伝子を含有するゲノムクローンが単離されうるゲノムライブ
ラリー(例えば、P1人工染色体ベクター中のもの)を調製することができる。
そのようなライブラリーの調製方法は当技術分野で公知である(例えば、Ioa
nnouら,1994,Nature Genet.6:84−89を参照され
たい)。
【0065】 本発明の新規DNA配列は、種々の診断方法において使用することができる。
本発明は、ある患者がヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
β3b、β3cまたはβ3dサブユニット遺伝子の1以上における突然変異を保
持するか否かを判定するための診断方法を提供する。広い意味では、そのような
方法は、該患者からのヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
β3b、β3cまたはβ3dサブユニット遺伝子の1以上の中の又はその近傍の
領域のDNA配列を決定し、その配列を、非罹患者(すなわち、診断されている
状態を有さない者)からのヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット遺伝子の対応領域からの配列と比
較することを含み、該患者からの遺伝子のDNA配列と該非罹患者からの遺伝子
のDNA配列との配列における相違は、該患者がヒトカルシウム感受性カリウム
チャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット遺伝子の1
以上における突然変異を有することを示す。
【0066】 本発明はまた、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットを有する突然変異形態を有する患者を同定
するための診断方法において、またはヒトカルシウム感受性カリウムチャンネル
β2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットをコードするRNAの
発現レベルを測定するために、またはヒトカルシウム感受性カリウムチャンネル
β2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットに相同な遺伝子を単離
するために使用しうる、配列番号1、3、5、7、9または20の配列に基づく
オリゴヌクレオチドプローブを提供する。特に、本発明は、配列番号1、3、5
、7、9および20よりなる群から選ばれる配列の少なくとも約10、15また
は18個の連続的ヌクレオチドを含むDNAオリゴヌクレオチドを含み、該オリ
ゴヌクレオチドプローブは、前記の少なくとも約10、15または18個の連続
的ヌクレオチド以外は、配列番号1、3、5、7、9および20よりなる群から
選ばれる配列の5個を超える連続的ヌクレオチドの伸長を含まない。該オリゴヌ
クレオチドは、他の核酸を実質的に含有しないことが可能である。本発明はまた
、対応RNAオリゴヌクレオチドを提供する。該DNAまたはRNAオリゴヌク
レオチドは、プローブとしての使用のためにキット中にパッケージ化されうる。
【0067】 本発明は、種々の細胞型におけるヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質の組換え発現
を可能にする。
【0068】 該ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ2、β3a、β3b、β3c
またはβ3dサブユニットは、それら単独で、または大きなコンダクタンスのカ
ルシウム感受性カリウムチャンネル(maxi−Kチャンネル)のαサブユニッ
トと共に、ツメガエル(Xenopus)卵母細胞内で発現されている。該βサ
ブユニットは、単独では電流を発現しない。しかし、該β2、β3aおよびβ3
cサブユニットは、該αサブユニットと共発現された場合には、カルシウム感受
性カリウム電流の不活性化を誘導する(図7)。β2、β3aおよびβ3cサブ
ユニットにより生じる不活性化の速度は電位および内部カルシウム濃度に左右さ
れ、不活性化時間定数は、β2、β3aおよびβ3cサブユニットに関しては高
い脱分極および高いマイクロモル濃度のカルシウムにおいて最大に達し、30μ
M 細胞内Ca2+で80mVにおいてτinact〜30−40msである。
マイクロモル濃度の細胞内Ca2+の存在下で得られた電流−電位依存性の測定
は、β2サブユニットが活性化の電位依存性における大きなシフトを誘発するこ
とを示している(バス内の30μM Ca2+の存在下、負の電位に向けて〜8
0mV;図7B)。このモジュレーション効果は、不活性化を誘発しないβ1サ
ブユニットに関して既に記載されているものに類似している(McManusら
,1995,Neuron 14:645−650)。これとは対照的に、β2
、β3a、β3cおよびβ3dサブユニットは、αサブユニットだけを含有する
チャンネルと比較した場合に該電位依存性をシフトさせない(図7B)。
【0069】 本発明はまた、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カ
リウムチャンネルの生物活性を測定するアッセイの開発を可能にする。組換え的
に発現されたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、
β3cまたはβ3dサブユニットタンパクを使用するそのようなアッセイに、特
に関心が持たれる。ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β
3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性
カリウムチャンネルのアクチベーターまたはインヒビターである化合物を同定す
るために、化合物のライブラリーまたは他の化合物源をスクリーニングするため
に、そのようなアッセイを用いることができる。そのような同定された化合物は
、カルシウム感受性カリウムチャンネル活性を増強または抑制することが有益で
ある疾患を有する患者を治療するために使用しうる医薬の開発のための「リード
体」として使用することができる。
【0070】 前記アッセイの変法においては、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルを使用し、突然変異カルシウム感受性カリウ
ムチャンネルの活性のインヒビターまたはアクチベーターを同定する。
【0071】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質の組換え発現のための好ましい細胞系は、内因
性カリウムチャンネルを発現しない細胞系(例えば、CV−1、NIH−3T3
、CHO−K1、COS7)である。そのような細胞系に、カリウムチャンネル
を通過しうるイオンである86Rbをローディングすることができる。86Rb
がローディングされた細胞を物質の集合体(例えば、組合せライブラリー、天然
物、医化学的方法により製造されたリード化合物の類似体)にさらし、86Rb
流出を改変しうる物質を同定することができる。そのような物質は、ヒトカルシ
ウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブ
ユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルのアクチベ
ーターまたはインヒビターであると考えられる。
【0072】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネ
ルのアクチベーターおよびインヒビターは、カルシウム感受性カリウムチャンネ
ルに結合しうる物質であると考えられる。したがって、1つのタイプのアッセイ
は、集合体の物質の1以上がそのような結合能を有するか否かを判定するもので
ある。
【0073】 したがって、本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム
感受性カリウムチャンネルに結合する物質の同定方法であって、 (a)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルを発現する細胞を準備し、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有する細胞を、カルシウム感受性カ
リウムチャンネルに結合することが知られていない物質にさらし、 (c)該細胞への該物質の結合の量を測定し、 (d)工程(c)における結合の量を、対照細胞(該対照細胞は、該対照細胞
がヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質を発現しないこと以外は、工程(a)の細胞と
実質的に同一である)への該物質の結合の量と比較することを含んでなり、 工程(c)における結合の量が対照細胞への該物質の結合の量より多い場合、
該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウム
チャンネルに結合するものであることを特徴とする方法を提供する。
【0074】 このアッセイのもう1つの変法は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネル
β2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有する
カルシウム感受性カリウムチャンネルに結合することが知られている化合物を使
用する。それが該既知化合物の結合を増強、阻害または置換する能力により、新
規結合体を同定する。この能力を有する物質はそれ自体が、ヒトカルシウム感受
性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット
タンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルのインヒビターまた
はアクチベーターであると考えられる。
【0075】 したがって、本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム
感受性カリウムチャンネルに結合し従ってヒトカルシウム感受性カリウムチャン
ネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有
するカルシウム感受性カリウムチャンネルのインヒビターまたはアクチベーター
でありうる物質の同定方法であって、 (a)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルを発現する細胞を準備し、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルに結合することが知られている化合物に、該細胞をさらし、 (c)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および不存在下、該細胞
への該化合物の結合の量を測定することを含んでなり、 該物質の存在下の該化合物の結合の量が該物質の不存在下の場合と異なる場合
、該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、
β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウ
ムチャンネルに結合しヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受
性カリウムチャンネルのインヒビターまたはアクチベーターでありうることを特
徴とする方法を含む。
【0076】 一般には、該既知化合物を標識(例えば、放射能、酵素的、蛍光的標識)して
、カルシウム感受性カリウムチャンネルへのその結合の測定を容易にする。
【0077】 前記方法により物質を同定したら、それがインヒビターまたはアクチベーター
であるか否かを判定するために、それを機能的試験(例えば、本明細書に記載の
もの)においてアッセイすることができる。
【0078】 特定の実施形態においては、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、
β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシ
ウム感受性カリウムチャンネルに結合することが知られている化合物は、カリブ
ドトキシン、イベリオトキシン(iberiotoxin)およびデヒドロソヤ
サポニンよりなる群から選ばれる、
【0079】 本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、
β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウ
ムチャンネルのアクチベーターまたはインヒビターの同定方法であって、 (a)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質または突然変異ヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
パク質を宿主細胞内で組換え的に発現させ、それにより、その組換え的に発現し
たヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質に、他のカルシウム感受性カリウムチャンネル
サブユニットタンパク質とのヘテロマーを形成させることにより、カルシウム感
受性カリウムチャンネルを形成させ、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルのアクチベーターまたはインヒビターであると疑われる物質の存在下お
よび不存在下、工程(a)で形成したカルシウム感受性カリウムチャンネルの生
物活性を測定することを含んでなり、 該物質の不存在下と比較した場合の該物質の存在下の、工程(a)で形成した
カルシウム感受性カリウムチャンネルの生物活性の変化が、該物質が、ヒトカル
シウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
ブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルのアクチ
ベーターまたはインヒビターであることを示すことを特徴とする方法を含む。
【0080】 カルシウム感受性カリウムチャンネルの他のサブユニット(例えば、αサブユ
ニット)を組換え的に発現させることが有利かもしれない。あるいは、そのよう
な他のサブユニットを内因的に発現する宿主細胞を使用することが有利かもしれ
ない。
【0081】 特定の実施形態においては、該生物活性は、カルシウム感受性カリウム電流の
生成、FRETシグナルまたは86Rbの流出である。
【0082】 特定の実施形態においては、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、
β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするベク
ターをツメガエル(Xenopus)卵母細胞内に導入して、ヒトカルシウム感
受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニッ
トタンパク質を該卵母細胞内で発現させる。あるいは、ヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
パク質をコードするRNAをインビトロで調製し、該卵母細胞内に注入すること
によっても、該卵母細胞内でヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β
3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を発現させることが
できる。該卵母細胞内でのヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質の発現後、およびこれ
らのサブユニットと他のカルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニット(そ
の「他の」サブユニットも該卵母細胞内に導入されうる)とを含有するカルシウ
ム感受性カリウムチャンネルの形成後、膜電位および/または内部カルシウム濃
度を数工程で変化させた後、膜電流を測定する。該カルシウム感受性カリウムチ
ャンネルが開く又は閉じてカリウムイオンの流動がそれぞれ可能となった又は阻
止された場合に、膜電流の変化が認められる。KCNQ2およびKCNQ3カリ
ウムチャンネルに関する同様の卵母細胞研究が、Wangら,1998,Sci
ence 282:1890−1893に報告されており、この参考文献および
そこに引用されている参考文献は、そのような研究の実施方法の指針の参考とな
りうる。
【0083】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネ
ルのインヒビターまたはアクチベーターは、該卵母細胞を物質の集合体にさらし
、該物質の不存在下で認められる膜電流を該物質が遮断もしくは減弱または活性
化もしくは増強しうるか否かを判定することにより同定することができる。
【0084】 したがって、本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム
感受性カリウムチャンネルのインヒビターまたはアクチベーターの同定方法であ
って、 (a)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を異種系内で発現させて、ヒトカルシウ
ム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユ
ニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルを形成させ、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルのインヒビターまたはアクチベーターであると疑われる物質の存在下お
よび不存在下、該卵母細胞の膜電位または内部カルシウム濃度を変化させ、 (c)工程(b)の後に膜カリウム電流を測定することを含んでなり、 工程(c)において測定した膜カリウム電流が該物質の存在下より不存在下で
大きい場合、該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感
受性カリウムチャンネルのインヒビターであり、 工程(c)において測定した膜カリウム電流が該物質の存在下より不存在下で
小さい場合、該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感
受性カリウムチャンネルのアクチベーターであることを特徴とする方法を提供す
る。 特定の実施形態においては、該異種系は、ツメガエル(Xenopus)卵母
細胞および哺乳類細胞系よりなる群から選ばれる。
【0085】 本発明はまた、第1蛍光色素と第2蛍光色素との間の蛍光共鳴エネルギー移動
(FRET)に基づく、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a
、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感
受性カリウムチャンネルのアクチベーターおよびインヒビターの同定のためのア
ッセイを含み、この場合、該第1色素は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャン
ネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有
するカルシウム感受性カリウムチャンネルを発現する細胞の形質膜の一方の側に
結合し、該第2色素は、膜電位の変化に応答して該膜の一方の面から他方の面へ
自由に往復できる。ある実施形態においては、該第1色素は該細胞の形質膜に不
透過性であり、主に形質膜の細胞外表面に結合する。該第2色素は形質膜内に捕
捉されるが、該膜内で自由に拡散できる。該膜の通常の(すなわち、負の)静止
電位においては、該第2色素は主に形質膜の細胞外面の内部表面に結合し、した
がって該第2色素は該第1色素に接近して位置する。この接近性は、それらの2
つの色素の間の大量のFRETの生成を可能にする。膜の脱分極の後、該第2色
素は該膜の細胞外面から細胞内面に移動し、それらの色素の間の距離が増加する
。この距離の増加は、FRETの減少およびそれに対応した、該第1色素由来の
蛍光発光の増加、およびそれに対応した、該第2色素からの蛍光発光の減少につ
ながる。このようにして、それらの2つの色素間のFRETの量を用いて、該膜
の分極状態を測定することができる。この技術の更に詳細な説明については、G
onzalezおよびTsien,1997,Chemistry & Bio
logy 4:269−277を参照されたい。また、Gonzalezおよび
Tsien,1995,Biophys.J.69:1272−1280および
米国特許第5,661,035号も参照されたい。
【0086】 ある実施形態においては、該第1色素は、蛍光供与体として作用する蛍光性レ
クチンまたは蛍光性リン脂質である。そのような第1色素の具体例としては、ク
マリン標識ホスファチジルエタノールアミン(例えば、N−(6−クロロ−7−
ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボキサミドアセチ
ル)−ジミリストイルホスファチジル−エタノールアミン)またはN−(7−ニ
トロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)−ジパルミトイルホ
スファチジルエタノールアミン);蛍光標識レクチン(例えば、フルオレセイン
標識コムギ胚芽凝集素)が挙げられる。ある実施形態においては、該第2色素は
、蛍光受容体として作用するオキソノールである。そのような第2色素の具体例
としては、ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)トリメチンオ
キソノール(例えば、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)ト
リメチンオキソノール)またはペンタメチンオキソノール類似体(例えば、ビス
(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール)
;またはビス(1,3−ジブチル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキ
ソノール)が挙げられる。本発明での使用に適した種々の色素の合成方法に関し
ては、GonzalezおよびTsien,1997,Chemistry &
Biology 4:269−277を参照されたい。ある実施形態において
は、該アッセイは、一重項酸素による光力学損傷を軽減するための天然カロテノ
イド(例えば、アスタキサンチン)を含みうる。
【0087】 前記アッセイは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β
3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性
カリウムチャンネルのアクチベーターおよびインヒビターを見出すために用いる
ことができる。そのようなアッセイでは、一般には、例えば、ヒトカルシウム感
受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニッ
トタンパク質と所望により他のカルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニッ
トとをコードする発現ベクターでのトランスフェクションによりヒトカルシウム
感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニ
ットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルを発現する細胞
を使用する。そのような細胞においては、該膜電位の脱分極および細胞内カルシ
ウム濃度の増加は、該カルシウム感受性カリウムチャンネルを開口させる傾向に
あるであろう。これはカリウム流出を引き起こし、該脱分極に抗する傾向にある
であろう。すなわち、該細胞は再分極する傾向にあるであろう。該カルシウム感
受性カリウムチャンネルのインヒビターの存在は、この再分極を妨害または減弱
させるであろう。したがって、インヒビターの存在下では、膜電位は、より正に
なる(すなわち、脱分極する)傾向にあるであろう。該カルシウム感受性カリウ
ムチャンネルのアクチベーターはこのチャンネルを開口して、該膜電位を過分極
させる傾向にあるであろう。カルシウム感受性カリウムチャンネルのインヒビタ
ーおよびアクチベーターにより引き起こされる膜電位(脱分極および過分極)の
変化は、前記のFRETを用いるアッセイによりモニターすることができる。
【0088】 したがって、本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム
感受性カリウムチャンネルのアクチベーターの同定方法であって、 (a)試験細胞を準備し(該試験細胞は、 (1)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウム
チャンネルを該細胞内で形成するように、該細胞内でのヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
パク質の発現を指令する発現ベクター、 (2)該細胞の形質膜の一方の側に結合している第1蛍光色素、および (3)膜電位の変化に応答して該細胞の形質膜の一方の面から他方の面へ自
由に往復できる第2蛍光色素を含む)、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルのアクチベーターであると疑われる物質に該試験細胞をさらし、 (c)該物質にさらされた試験細胞における蛍光共鳴エネルギー移動(FRE
T)の量を測定し、 (d)該物質にさらされた試験細胞により示されたFRETの量を、対照細胞
により示されたFRETの量と比較することを含んでなり、 該試験細胞により示されたFRETの量が、該対照細胞により示されたFRE
Tの量より多い場合、該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2
、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカル
シウム感受性カリウムチャンネルのアクチベーターであり、 該対照細胞が、(1)それが(a)(1)〜(3)に記載の事項の少なくとも
1つを含まないこと以外は該試験細胞と実質的に同じであるが、該物質にさらさ
れた細胞、または(2)該物質にさらされていない試験細胞であることを特徴と
する方法を提供する。
【0089】 本発明はまた、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カ
リウムチャンネルのインヒビターの同定方法であって、 (a)試験細胞を準備し(該試験細胞は、 (1)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウム
チャンネルを該細胞内で形成するように、該細胞内でのヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
パク質の発現を指令する発現ベクター、 (2)該細胞の形質膜の一方の側に結合している第1蛍光色素、および (3)膜電位の変化に応答して該細胞の形質膜の一方の面から他方の面へ自
由に往復できる第2蛍光色素を含む)、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルのインヒビターであると疑われる物質に該試験細胞をさらし、 (c)該物質にさらされた試験細胞における蛍光共鳴エネルギー移動(FRE
T)の量を測定し、 (d)該物質にさらされた試験細胞により示されたFRETの量を、対照細胞
により示されたFRETの量と比較することを含んでなり、 該試験細胞により示されたFRETの量が、該対照細胞により示されたFRE
Tの量より少ない場合、該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルのインヒビターであり、 該対照細胞が、(1)それが(a)(1)〜(3)に記載の事項の少なくとも
1つを含まないこと以外は該試験細胞と実質的に同じであるが、該物質にさらさ
れた細胞、または(2)該物質にさらされていない試験細胞であることを特徴と
する方法を提供する。
【0090】 前記アッセイの変法においては、該細胞の膜電位をそれ自身で定常状態に到達
させる代わりに、該膜電位を、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、
β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシ
ウム感受性カリウムチャンネルが開く電位に人工的に設定する。これは、例えば
、公知方法で外部K濃度を変化(例えば、外部K濃度を増加)させることに
より行なうことができる。ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム
感受性カリウムチャンネルが開いたそのような細胞をインヒビターにさらすと、
該カルシウム感受性カリウムチャンネルは遮断され、該細胞の膜電位は脱分極す
るであろう。この脱分極はFRETの減少として観察されうる。
【0091】 前記アッセイの変法においては、該細胞の膜電位をそれ自身で定常状態に到達
させる代わりに、別の脱分極電流の共発現により、該膜電位を、ヒトカルシウム
感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニ
ットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルが開く電位に人
工的に設定する。ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カ
リウムチャンネルが開いたそのような細胞をインヒビターにさらすと、該カルシ
ウム感受性カリウムチャンネルは遮断され、該細胞の膜電位は脱分極するであろ
う。この脱分極はFRETの減少として観察されうる。ヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
パク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルが開いたそのような細胞
をアクチベーターにさらすと、該カルシウム感受性カリウム電流と追加的な脱分
極電流とのバランスが変化し(すなわち、該カルシウム感受性カリウム電流は、
全電流に大きな寄与をするであろう)、該細胞の膜電位は過分極するであろう。
この分極はFRETの増加として観察されうる。
【0092】 したがって、本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム
感受性カリウムチャンネルのインヒビターまたはアクチベーターの同定方法であ
って、 (a)細胞を準備し(該細胞は、 (1)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウム
チャンネルを該細胞内で形成するように、該細胞内でのヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
パク質の発現を指令する発現ベクター、 (2)該細胞の形質膜の一方の側に結合している第1蛍光色素、および (3)膜電位の変化に応答して該細胞の形質膜の一方の面から他方の面へ自
由に往復できる第2蛍光色素を含む)、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルにより形成されたイオンチャンネルが開くように、該細胞の膜電位を調
節し、 (c)該試験細胞における蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の量を測定し
、 (d)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
ャンネルのインヒビターまたはアクチベーターであると疑われる物質に該細胞を
さらしながら、工程(b)および工程(c)を繰返すことを含んでなり、 該物質にされされた細胞により示されたFRETの量が、該物質にさらされて
ない細胞により示されたFRETの量と異なる場合、該物質が、ヒトカルシウム
感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニ
ットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルのインヒビター
またはアクチベーターであることを特徴とする方法を提供する。
【0093】 前記方法の特定の実施形態においては、該細胞は、ヒトカルシウム感受性カリ
ウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパ
ク質をコードする発現ベクターを含有する。前記方法の特定の実施形態において
は、該発現ベクターを該試験細胞内にトランスフェクトする。
【0094】 前記方法の特定の実施形態においては、ヒトカルシウム感受性カリウムチャン
ネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質は、配
列番号2、4、6、8および10よりなる群から選ばれるアミノ酸配列を有する
【0095】 前記方法の特定の実施形態においては、該第1蛍光色素は、蛍光性レクチン、
蛍光性リン脂質、クマリン標識ホスファチジルエタノールアミン、N−(6−ク
ロロ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボキサ
ミドアセチル)−ジミリストイルホスファチジル−エタノールアミン)、N−(
7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)−ジパルミト
イルホスファチジルエタノールアミン)およびフルオレセイン標識コムギ胚芽凝
集素よりなる群から選ばれる。
【0096】 前記方法の特定の実施形態においては、該第2蛍光色素は、蛍光受容体として
作用するオキソノール、ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)
トリメチンオキソノール、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート
)トリメチンオキソノール、ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラー
ト)クワトラ(quatra)メチンオキソノール、ビス(1,3−ジアルキル
−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール、ビス(1,3−ジヘキ
シル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール、ビス(1,3−ジ
ブチル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール、およびビス(1
,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)ヘキサメチンオキソノールよりな
る群から選ばれる。
【0097】 前記方法の特定の実施形態においては、該細胞は真核細胞である。もう1つの
実施形態においては、該細胞は哺乳類細胞である。他の実施形態においては、該
細胞は、L細胞L−M(TK)(ATCC CCL 1.3)、L細胞L−M
(ATCC CCL 1.2)、293(ATCC CRL 1573)、Ra
ji(ATCC CCL 86)、CV−1(ATCC CCL 70)、CO
S−1(ATCC CRL 1650)、COS−7(ATCC CRL 16
51)、CHO−K1(ATCC CCL 61)、3T3(ATCC CCL
92)、NIH/3T3(ATCC CRL 1658)、HeLa(ATC
C CCL 2)、C127I(ATCC CRL 1616)、BS−C−1
(ATCC CCL 26)、MRC−5(ATCC CCL 171)、ツメ
ガエル(Xenopus)黒色素胞、またはツメガエル(Xenopus)卵母
細胞である。
【0098】 前記方法の特定の実施形態においては、該対照細胞は(a)(1)項を含むが
、(a)(2)および(a)(3)項を含まない。
【0099】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネ
ルのアクチベーターまたはインヒビターを同定するためのアッセイにおいては、
ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたは
β3dサブユニットタンパク質に加えて、もう1つのカルシウム感受性カリウム
チャンネルサブユニットを共発現させることが有利かもしれない。特に、カルシ
ウム感受性カリウムチャンネルαサブユニットを共発現させることが有利かもし
れない。好ましくは、これは、そのもう1つのサブユニットをコードする発現ベ
クターを該細胞内にコトランスフェクトすることにより行う。適当な他のサブユ
ニットとしては、例えば、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルαサブユニ
ットh−slo(GenBankアクセッション番号U11058)、マウスカ
ルシウム感受性カリウムチャンネルαサブユニットm−slo(GenBank
アクセッション番号U09383)、小コンダクタンスカルシウム感受性カリウ
ムαサブユニット(GenBankアクセッション番号U69883、U698
82、AF031815)、または中間コンダクタンスカルシウム感受性カリウ
ムチャンネルαサブユニット(GenBankアクセッション番号AF0227
97)が挙げられる。
【0100】 遺伝子近傍のゲノム配列の小さな領域は、しばしば、その遺伝子の転写を調節
する。これらの配列は、シス作用要素(エレメント)と称される。これらのDN
A配列に結合する、該転写装置が該遺伝子に結合し又はそれを転写する能力に直
接的に影響を及ぼすタンパク質は、トランス作用要素と称される。該シス作用転
写調節要素は、ほとんどの場合は転写開始部位の5’側に位置するが、遺伝子の
転写部分内またはその3’側にも位置している。転写速度に対するそれらの効果
に応じて、これらの配列は、プロモーター、エンハンサーおよびリプレッサーの
3つの範疇に分類することができる。プロモーターは独立して、該遺伝子の転写
を可能にし、一方、エンハンサーは転写速度を増加させるが、プロモーターの転
写独立性を誘導し得ない。リプレッサー要素は、プロモーター要素により指令さ
れる転写を阻害する。これらの要素の同定方法は当技術分野でよく知られており
、Ausubelら編,1989,Current Protocols in Molecular Biology ,第9.6−9.8節および第12.0
−12.11節,John Wiley & Sons,New York,N
Yに記載されている。
【0101】 したがって、本発明の新規ゲノム配列(配列番号20、図8)および単離され
たBACクローンは、1)遺伝子発現の転写制御に必要なDNA配列、2)転写
調節に関与するタンパク質、および3)該β3遺伝子の転写速度をモジュレーシ
ョンする化合物の同定方法を可能にする。そのようなアッセイでは、レポーター
タンパク質のオープンリーディングフレームの上流にてベクター内に挿入された
配列番号20の1−17,436位の部分を含む単離された及び/又は組換えD
NAを使用する。
【0102】 有用なレポータータンパク質は、アッセイされる細胞内では発現されず(ある
いは、内因性タンパク質から容易に識別され)、転写産物の存在量と該レポータ
ータンパク質の存在量との間に直線関係を有し、検出系の飽和と最小検出レベル
との間に大きなウィンドウを有するものである。理想的には、該レポータータン
パク質の存在量は、酵素反応、蛍光検出、イムノアッセイまたは他の手段により
迅速に測定される。典型的なレポータータンパク質には、クロラムフェニコール
アセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ホタルルシフェラーゼ、β−ラクタマ
ーゼ、β−ガラクトシダーゼ、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、ヒト
成長ホルモン(hGH)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)およびGFP誘導
体が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらのタンパク質を含む
レポーターベクターは、構成的プロモーター、エンハンサーまたはそれらの両方
を含有する類似したレポーターベクター(Clontech)と同様、商業的に
入手可能である。
【0103】 本発明は、β3遺伝子の発現の転写調節に関与するヌクレオチド配列の同定方
法を提供する。配列番号20の1−17,436位からのDNAの少なくとも6
個の連続的ヌクレオチドの断片をプロモーター−レポーターベクター内のレポー
ターcDNAの上流に挿入したら、ついで該ベクターを、ヒトカルシウム感受性
カリウムチャンネルサブユニットβ3a、β3b、β3cまたはβ3dの1以上
を内因的に発現する又は発現しない細胞内にトランスフェクトする。プロモータ
ー−レポーターベクターは、プロモーター、エンハンサー、それらの両方を含有
することが可能であり、あるいはそれらのいずれをも含有しないことが可能であ
る。ついでトランスフェクト化細胞を、存在するレポータータンパク質の量に関
してアッセイする。トランスフェクション効率および転写速度は共に、レポータ
ータンパク質レベルに直接的に影響を及ぼすため、構成的プロモーターの背後に
異なるレポーターを含有する第2ベクター(モル比1:1)をコトランスフェク
トしトランスフェクト化細胞の割合を求めることにより該トランスフェクション
効率を測定することが、これらのアッセイにおいて有用である。
【0104】 前記アッセイの変法においては、他のエンハンサーまたはプロモーター要素を
有さない、レポーターcDNAの上流に挿入された配列番号20の断片を有する
ベクターを構築する。これらのベクター(配列番号20の断片を有する及び有さ
ないもの)を、β3サブユニットを内因的に発現する細胞内にトランスフェクト
する。カルシウム感受性カリウムチャンネルβ3サブユニットプロモーター要素
を、親ベクターで認められるより高いレベルでこれらの5’遺伝子断片がレポー
ターの発現を刺激する能力により同定する。ついで、同定されたプロモーター断
片の領域を順次欠失させ該アッセイを繰返すことにより、最低限要求されるプロ
モーター配列を同定する。
【0105】 該アッセイのもう1つの変法は、エンハンサー要素を含有するプロモーター−
レポーターベクター内のレポーターcDNAの上流に挿入された配列番号20の
断片を含む。これらのベクター(配列番号20の断片を有する及び有さないもの
)を、β3サブユニットを内因的に発現する細胞内にトランスフェクトする。弱
いカルシウム感受性カリウムチャンネルβ3サブユニットプロモーター要素を、
親ベクターで認められるより高いレベルでこれらの5’遺伝子断片がレポーター
の発現を刺激する能力により同定する。ついで、同定された弱いプロモーター断
片の領域を順次欠失させ該アッセイを繰返すことにより、最低限要求される弱い
プロモーター配列を同定することができる。
【0106】 該アッセイのもう1つの変法は、上流に構成的プロモーターを有するプロモー
ター−レポーターベクター内のレポーターcDNAの上流に挿入された配列番号
20の断片を含む。これらのベクター(配列番号20の断片を有する及び有さな
いもの)を、β3サブユニットを内因的に発現しない細胞内にトランスフェクト
する。カルシウム感受性カリウムチャンネルβ3サブユニットリプレッサー要素
を、親ベクターで認められるより低いレベルでこれらの5’遺伝子断片がレポー
ターの発現を刺激する能力により同定する。ついで、同定されたリプレッサー断
片の領域を順次欠失させ該アッセイを繰返すことにより、最低限要求されるリプ
レッサー配列を同定する。
【0107】 前記に鑑み、本発明は、遺伝子の転写を促進、増強または抑制するβ3遺伝子
内のDNA配列の同定方法であって、 (a)レポータータンパク質をコードするレポーター遺伝子のコード化cDN
A配列に該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)が先行するように、プロモーター−レポーターベクターを構築し、 (b)該ベクターを細胞内にトランスフェクトし、該ベクターにコードされる
レポータータンパク質の存在量を測定し、 (c)工程(b)の細胞内のレポータータンパク質の存在量を、該β3遺伝子
のプロモーター領域の断片を有さないベクターでトランスフェクトされた細胞内
のレポータータンパク質の存在量と比較することを含んでなり、 β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットを内因的に発現する細胞内
でのみ、他のプロモーター要素の不存在下、該レポータータンパク質の存在量を
増加させるβ3遺伝子のプロモーター領域の断片が、プロモーター要素であり;
β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットを内因的に発現しない細胞内
で、無関係な構成的プロモーター要素の存在下、レポータータンパク質の存在量
を減少させる配列が、リプレッサー要素であり;β3a、β3b、β3cまたは
β3dサブユニットを内因的に発現させる細胞内で、無関係な構成的プロモータ
ー要素の存在下、該レポータータンパク質の存在量を増加させる配列が、エンハ
ンサー配列であることを特徴とする方法を提供する。
【0108】 特定の実施形態においては、該ベクターは、該β3遺伝子のプロモーター領域
の断片から独立して機能するプロモーターまたはエンハンサー配列要素を含有す
る。
【0109】 特定の実施形態においては、該レポータータンパク質の存在量を、トランスフ
ェクト化細胞の割合に関して正規化する。
【0110】 これらの配列への核タンパク質の結合は、ゲルシフトアッセイにより確認する
ことができる。転写に影響を及ぼすのに必要な最小の配列に対応する放射能標識
DNA断片を、該調節DNA要素を同定するのに使用した細胞またはβ3サブユ
ニットを内因的に発現する組織からの核タンパク質抽出物と共にインキュベート
する。タンパク質因子がその配列に結合すると、ゲル内の移動度が変化して、該
放射能標識断片のサイズにおける見掛け上のシフトが生じるであろう。
【0111】 転写因子は、しばしば、2以上の特異的ヌクレオチド配列を認識しうる。その
ような場合、前記アッセイにおいて検出された転写に影響を及ぼす能力を保持す
る配列番号20の1−17,436位におけるβ3遺伝子の転写調節に必要な最
小プロモーター、エンハンサーまたはリプレッサーとして同定された配列の変異
は、本発明に含まれると意図される。
【0112】 ついで、このようにして同定された最小プロモーター、エンハンサーまたはリ
プレッサーDNA断片を使用して、該β3遺伝子の転写に影響を及ぼすタンパク
質を同定し及び/又は単離することができる。いくつかの方法が当技術分野でよ
く知られており、それらのいくつかはAusubelら編,1989,Curr ent Protocols in Molecular Biology ,第
12.0−12.11節,John Wiley & Sons,New Yo
rk,NYに記載されている。
【0113】 1つの方法においては、前記のゲルシフトアッセイを、クローニングまたは精
製された公知転写因子を使用して行って、転写調節に関与する配列にそれらが結
合しうるか否かを判定することができる。あるいは、特定の転写因子を認識する
抗体を該転写因子−DNA複合体に加えるスーパーシフトアッセイを行うことが
できる。該抗体が該転写因子に結合し、そしてそれが該放射能標識DNA断片に
結合すると、ゲル内の該複合体の移動度が更に変化して、該DNA単独と比較し
てスーパーシフトが生じる。特異的転写因子または1つのクラスの転写因子を認
識する抗体の使用は、β3遺伝子の調節に関与する因子の同定を可能にする。前
記アッセイにおいて記載のとおりのゲルシフトまたはスーパーシフトを受ける能
力を保持する配列番号20の1−17,436位におけるβ3遺伝子の転写調節
に必要な最小プロモーター、エンハンサーまたはリプレッサーとして同定された
配列の変異は、本発明に含まれると意図される。
【0114】 前記に鑑み、本発明は、遺伝子の転写を促進、増強または抑制するβ3遺伝子
内のDNA配列の同定方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片を、
細胞からの核抽出物と共にインキュベートし、該インキュベーション物をゲル上
で分離することを含んでなり、 細胞からの核抽出物と共にインキュベートした後にゲル内で異なって移動する
(「シフトを受ける」)β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
応する二本鎖DNAの断片が、β3遺伝子の発現を促進、増強または抑制する核
因子に結合するDNA配列であることを特徴とする方法を提供する。
【0115】 特定の実施形態においては、該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される
配列に対応する二本鎖DNAの断片を、請求項18記載の方法により同定する。
【0116】 特定の実施形態においては、該細胞はβ3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
ブユニットを発現する。
【0117】 特定の実施形態においては、該細胞はβ3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
ブユニットを発現しない。
【0118】 本発明は、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子の同定方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片を、
クローニングまたは精製された転写因子と共にインキュベートし、該インキュベ
ーション物をゲル上で分離することを含んでなり、 β3遺伝子のプロモーター配列要素に結合する因子が、該放射能標識DNA断
片の移動におけるシフトを誘導し、該β3遺伝子の転写調節に関与することを特
徴とする方法を提供する。
【0119】 特定の実施形態においては、該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される
配列に対応する二本鎖DNAの断片を、請求項18または21記載の方法により
同定する。
【0120】 本発明は、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子の同定方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片を、
細胞からの核抽出物と共にインキュベートし、該インキュベーション物をゲル上
で分離すること、 (b)単一の転写因子または転写因子のファミリーを特異的に認識する抗体を
工程(a)のインキュベーション物に加え、ついで該インキュベーション物をゲ
ル上で分離することを含んでなり、 工程(a)と比較した場合の工程(b)の二本鎖DNAの移動度におけるスー
パーシフトが、該抗体により認識される転写因子が該二本鎖DNAに結合するこ
とを示すことを特徴とする方法を提供する。
【0121】 もう1つの方法においては、配列番号20の1−17,436位に結合し転写
を調節する転写因子を精製することができる。転写に影響を及ぼすのに必要な最
小配列に対応するDNA断片を、マトリックス(典型的にはアガロースビーズ)
に共有結合させる。ついでこのマトリックスを、該最小要素に結合する因子を含
有する細胞の核抽出物と共にインキュベートする。ついで該マトリックスを、非
特異的タンパク質を除去するように洗浄し、該因子を過剰の該DNA要素で又は
変性により溶出する。ついで、精製されたタンパク質をイムノアッセイ、タンパ
ク質配列決定または他の手段により同定することができる。
【0122】 したがって、本発明は、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子の同定方法で
あって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの断片を安定なマトリ
ックスに結合させ、 (b)細胞からの核抽出物を該マトリックスと共にインキュベートし、 (c)該核抽出物からの非結合タンパク質を該マトリックスから洗浄し、 (d)該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対応する過剰の
二本鎖DNAで、結合タンパク質を該マトリックスから溶出することを含んでな
り、 工程(d)からの溶出されたタンパク質が、β3遺伝子の転写調節に関与する
核因子であることを特徴とする方法を提供する。
【0123】 特定の実施形態においては、該方法は更に、工程(d)からの溶出されたタン
パク質をゲル上で分離し、該ゲルを染色して、該溶出タンパク質の純度を試験す
ることを含む。
【0124】 特定の実施形態においては、該方法は更に、該ゲル上で分離されたタンパク質
を配列決定することを含む。
【0125】 特定の実施形態においては、該方法は更に、ウエスタンブロットまたは免疫沈
降により、該溶出タンパク質を同定するために、該ゲル上で分離されたタンパク
質を公知転写因子に対する抗体で免疫学的に分析することを含む。
【0126】 特定の実施形態においては、該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される
配列に対応する二本鎖DNAの断片を、請求項18または21記載の方法により
同定する。
【0127】 もう1つのアプローチにおいては、配列番号20の1−17,436位に結合
する転写因子をコードするcDNAを、いくつかの方法によりクローニングする
ことができる。1つの変法においては、該最小DNA配列を放射能標識し、それ
を使用して、該β3遺伝子を内因的に発現する組織または細胞系から作製された
発現ライブラリーをスクリーニングする。該転写因子をコードするcDNAライ
ブラリーを含有するファージを、該転写因子をその表面に標的化する融合タンパ
ク質を発現するように誘導する。そのようなファージプラークを、該最小DNA
配列を含有する放射能標識DNA配列へのその結合能により同定する。
【0128】 したがって、本発明は、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子をコードする
クローンをクローニングにより同定する方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片で、
発現ライブラリーをスクリーニングし、 (b)該ライブラリーのいずれのクローンが二本鎖DNAの放射能標識断片に
結合するのかを判定し、 (c)工程(b)のクローンを増幅し、配列決定することを含んでなる方法を
提供する。
【0129】 特定の実施形態においては、該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される
配列に対応する二本鎖DNA断片を、請求項18または21記載の方法により同
定する。
【0130】 もう1つのクローニングアプローチでは、転写因子融合タンパク質を表面に発
現するファージを使用する。このアプローチでは、該最小DNA配列をマトリッ
クスに結合させる。ついでファージ発現ライブラリーを該マトリックスに通過さ
せ、洗浄する。該転写因子を含有するファージだけが該マトリックスに結合する
。結合したファージを過剰の最小DNA配列で溶出し、精製する。ついで、該転
写因子をコードするcDNAを該ファージから単離し、配列決定する。
【0131】 したがって、本発明は、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子をクローニン
グにより同定する方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの断片を安定なマトリ
ックスに結合させ、 (b)cDNAにコードされる融合タンパク質を表面に発現するファージを該
マトリックスと共にインキュベートし、 (c)該マトリックスに結合しないファージを洗浄により除去し、 (d)該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対応する二本鎖
DNAの過剰の断片で、該マトリックスに結合したファージを溶出することを含
んでなり、 工程(d)で溶出されたファージが、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子
をコードすることを特徴とする方法を提供する。
【0132】 特定の実施形態においては、該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される
配列に対応するDNAを、請求項18または21記載の方法により同定する。
【0133】 特定の実施形態においては、工程(d)で溶出されたファージを増幅し、配列
決定する。
【0134】 もう1つの転写因子クローニングアプローチは、酵母「ワン(one)ーハイ
ブリッド)」法(Clontechからキットとして入手可能)である。この方
法においては、レポーターの上流に該最小要素のいくつかの(3個が推奨される
)コピーを含有する酵母株を作製する。cDNAライブラリーは、酵母プロモー
ターの転写活性化ドメインとの融合タンパク質として発現されるcDNAを各ベ
クターが含有するように作製する。したがって、関心のあるDNAに特異的に結
合する任意の融合タンパク質が該レポータータンパク質の発現を誘導するであろ
う。ついで、該cDNAを含有するベクターを該酵母から分離し、配列決定する
【0135】 したがって、本発明は、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子をクローニン
グにより同定する方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの断片の少数ないしは
幾つかのコピーをレポータータンパク質コード化cDNAに先行して含有する酵
母株を構築し、 (b)該挿入cDNAおよび転写活性化ドメインによりコードされる融合タン
パク質の形成を可能にするベクター中の細胞からのcDNAライブラリーを構築
し、 (c)(b)のライブラリーを(a)の酵母株内に形質転換し、該レポーター
タンパク質の発現を示す酵母のコロニーを単離することを含んでなる方法を提供
する。
【0136】 特定の実施形態においては、該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される
配列に対応する二本鎖DNAの断片を、請求項18または21記載の方法により
同定する。
【0137】 特定の実施形態においては、該方法は更に、単離されたコロニーからベクター
を精製し、該ベクター内のcDNAを配列決定することを含む。
【0138】 転写因子は、しばしば、2以上の特異的ヌクレオチド配列を認識しうるため、
そのような場合、前記アッセイにおいて検出された転写因子が結合しうる最小プ
ロモーター、エンハンサーまたはリプレッサーとして同定された配列の変異は、
本発明に含まれると意図される。
【0139】 前記方法によるβ3遺伝子発現の転写調節に関与するヌクレオチド配列の同定
は、該β3遺伝子の転写を増強または抑制する物質を同定するための物質の集合
体のスクリーニングに使用しうるアッセイの開発を可能にする。転写調節に関与
することが示されている該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌク
レオチド1−17,436)の断片を、適当なベクター内のレポーター遺伝子の
コード配列に結合させ、ついで適当な細胞に導入する。該細胞内の該レポーター
タンパク質の存在量を測定する。ついで、該β3遺伝子の転写速度を増強または
抑制しうると疑われる化合物に、該細胞をさらす。該化合物が実際に該β3遺伝
子の転写速度を増強しうる場合には、該細胞が該化合物にさらされた場合の該レ
ポータータンパク質の存在量が増加するであろう。逆に、該化合物が実際に該β
3遺伝子の転写速度を抑制しうる場合には、該細胞が該化合物にさらされた場合
の該レポータータンパク質の存在量が減少するであろう。
【0140】 したがって、本発明は、該β3遺伝子の転写の速度を増強または抑制する物質
の同定方法であって、 (a)レポータータンパク質をコードするレポーター遺伝子のコード化cDN
A配列に該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
7,436)の断片が先行するように、プロモーター−レポーターベクターを構
築し、 (b)該ベクターを細胞内にトランスフェクトし、化合物の存在下および不存
在下、該ベクターにコードされるレポータータンパク質の存在量を測定すること
を含んでなり、 (1)該化合物の存在が該レポータータンパク質の存在量を減少させる場合に
は、該化合物が、該β3遺伝子の転写速度を抑制する物質であり、(2)該化合
物の存在が該レポータータンパク質の存在量を増加させる場合には、該化合物が
、該β3遺伝子の転写速度を増強する物質であることを特徴とする方法を提供す
る。
【0141】 特定の実施形態においては、該方法は更に、対照細胞内の該レポータータンパ
ク質の存在量に対する該化合物の効果が測定される対照を含み、該対照細胞は、
該β3遺伝子のプロモーター領域の断片を欠くベクターで該対照細胞がトランス
フェクトされている以外は工程(b)の細胞と実質的に同じ細胞である。
【0142】 前記方法は、明示的には、「ある1つの」物質が、該β3遺伝子の転写のアク
チベーターまたはインヒビターであるか否か、あるいはヒトカルシウム感受性カ
リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
パク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルの機能のアクチベーター
またはインヒビターであるか否かの試験に関するものであるが、そのような方法
は、物質の集合体、例えば組合せ(combinatorial)ライブラリー
を試験してそのような集合体のいずれかのメンバーがヒトカルシウム感受性カリ
ウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパ
ク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルのアクチベーターまたはイ
ンヒビターであるか否かを判定するのに応用されうることが当業者に明らかであ
ろう。したがって、前記方法における物質として物質の集合体またはそのような
集合体の個々のメンバーを使用することが、本発明の範囲内に含まれる。特に、
カリウムイオンチャンネルのモジュレーションに関連していることが知られてい
る化学構造体を含むように設計されたライブラリー、例えば、カリウムチャンネ
ルアクチベーターに関するジヒドロベンゾピランライブラリー(国際特許公開W
O95/30642)またはカリウムチャンネルインヒビターに関するビフェニ
ル−誘導体ライブラリー(国際特許公開WO95/04277)が特に適してい
ると予想される。
【0143】 本発明は、前記方法により同定されたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネ
ルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質のアクチ
ベーターまたはインヒビターを、およびβ3遺伝子の転写のアクチベーターまた
はインヒビターを含んでなる医薬組成物を含む。一般には、該アクチベーターお
よびインヒビターを医薬上許容される担体と一緒にして医薬組成物を得る。アク
チベーターまたはインヒビターと担体とを含有する医薬組成物の製剤化のそのよ
うな担体および方法の具体例は、Remington’s Pharmaceu
tical Sciencesに記載されている。有効な投与に適した医薬上許
容される組成物を形成させるためには、そのような組成物は、該アクチベーター
またはインヒビターの治療的に有効な量を含有するであろう。
【0144】 治療用または予防用組成物は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2
、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質の活性が異常で
ある状態を治療または予防するのに十分な量で個体に投与する。該有効量は、個
体の状態、体重、性別、年齢などの種々の要因によって様々となりうる。他の要
因には投与様式が含まれる。適当な量は、熟練した医師により決定されうる。一
般には、有効量は、約0.01〜約1,000、好ましくは約0.1〜約250
、より一層好ましくは約1〜約50mg/ヒト成人/日である。
【0145】 組成物は、適当な投与量で単独で使用することができる。あるいは、他の物質
の同時投与または連続的投与が望ましいことがある。
【0146】 該組成物は、通常の投与用ビヒクル中の多種多様な治療用剤形として投与する
ことができる。例えば、該組成物は、錠剤、カプセル剤(それぞれは時限放出(
timed release)および徐放製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、
エリキシル剤、チンキ剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤などの経口剤形とし
て又は注射により投与することができる。同様に、それらを、静脈内(ボーラス
および注入の両方)、腹腔内、皮下、局所(閉塞(occlusion)の存在
下または不存在下)または筋肉内形態として投与することも可能であり、それら
はすべて、薬学分野の当業者によく知られた形態を用いることが可能である。
【0147】 組成物を単回1日量で投与したり、あるいは合計1日量を毎日2、3または4
回の分割量で投与するのが有利かもしれない。さらに、組成物は、適当な鼻腔内
ビヒクルの局所的使用により鼻腔内形態で、または当業者によく知られた経皮皮
膚パッチの形態を使用して経皮経路により投与することができる。もちろん、経
皮デリバリーシステムの形態で投与されるためには、該投与量の投与は、該投与
計画の全体にわたり、断続的なものではなく連続的なものとなるであろう。
【0148】 該組成物を使用する投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および
医学的状態;治療すべき状態の重症度;投与経路;患者の腎、肝および心臓血管
機能;および使用するその個々の組成物を含む種々の要因に応じて選択される。
通常の技量を有する医師は、該状態の進行の予防、阻止または停止に必要な組成
物の有効量を容易に決定し、処方することができる。毒性を伴うことなく効力を
与える範囲内の組成物濃度を最適に正確に得るためには、標的部位に対する該組
成物のアベイラビリティーの速度論に基づく計画が必要である。これは、組成物
の分布、平衡および消失に関する考慮を含む。
【0149】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネ
ルのインヒビターおよびアクチベーター、あるいはβ3サブユニットの転写のイ
ンヒビターおよびアクチベーターは、過度または不十分なカルシウム感受性カリ
ウムチャンネル活性が関与する種々の疾患の治療に有用であろう。したがって、
本発明は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウム
チャンネルのインヒビターおよびアクチベーターあるいはβ3サブユニットの転
写のインヒビターおよびアクチベーターである物質の治療的に有効な量を患者に
投与することによる、喘息、糖尿病、緑内障、妊娠ヒト子宮筋層、脳虚血、およ
び神経伝達物質放出の刺激が望まれる状態(例えば、アルツハイマー病)および
損傷神経の刺激が望まれる状態の治療方法を含む。
【0150】 また、本発明のチャンネル機能または転写活性のモジュレーターは、現在販売
されているカリウムチャンネルインヒビター、例えばグリブリド、グリピジド、
トルブタミドが有用である状態において、例えば抗糖尿病剤として有用であると
予想される。カルシウム感受性カリウムチャンネルは、ニューロンの再分極およ
び従って脱興奮に寄与する。したがって、カルシウム感受性カリウムチャンネル
のインヒビターは、脱分極した興奮状態にニューロンを維持する傾向にある物質
として作用すると予想される。多数の疾患、例えばうつ病および記憶障害は、神
経伝達物質の放出の障害から生じると考えられている。本発明のインヒビターは
、ニューロン興奮性に寄与する物質として、そのような疾患の治療に有用である
と予想される。なぜなら、それはニューロンの興奮性に寄与して、神経伝達物質
の放出を刺激するからである。
【0151】 本発明のアクチベーターは、ニューロン活性を減少させるのが望ましい状態に
おいて有用であるはずである。そのような状態には、例えば、過度な平滑筋緊張
、狭心症、喘息、高血圧、失禁、早期陣痛、片頭痛、脳虚血および過敏性腸管症
候群が含まれる。
【0152】 本発明のカルシウム感受性カリウムチャンネルサブユニットは、他のイオンチ
ャンネルのアクチベーターおよびインヒビターを同定するように設計されたスク
リーニングに関して有用である。標的イオンチャンネルと特異的に相互作用する
潜在的医薬を同定するために化合物をスクリーニングする場合には、同定される
化合物が該標的イオンチャンネルに対して可能な限り特異的であることを保証す
る必要がある。これを行なうためには、該標的イオンチャンネルに類似した可能
な限り多種多様なイオンチャンネルに対して該化合物をスクリーニングする必要
がある。例えば、イオンチャンネルAと相互作用する潜在的医薬である化合物を
見出すためには、該化合物がイオンチャンネルA(「プラス標的」)と相互作用
しイオンチャンネルAを介して所望の薬理学的効果を与えることを保証するだけ
では十分ではない。該化合物がイオンチャンネルB、C、Dなど(「マイナス標
的」)とは相互作用しないことを確認する必要もある。一般に、スクリーニング
計画の一部として、可能な限り多数のマイナス標的を有することが重要である(
Hodgson,1992,Bio/Technology 10:973−9
80、980頁を参照されたい)。ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ
2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質、ヒトカルシ
ウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブ
ユニットタンパク質をコードするDNA、およびヒトカルシウム感受性カリウム
チャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質
を発現するように操作された組換え細胞は、他のイオンチャンネルと特異的に相
互作用する化合物を同定するように設計されたスクリーニングにおいて「マイナ
ス標的」として使用されうる点で有用である。例えば、Wangら,1998,
Science 282:1890−1893は、KCNQ2およびKCNQ3
が、「M−チャンネル」として公知のヘテロマーカリウムイオンチャンネルを形
成することを示している。KCNQ2およびKCNQ3における突然変異は、て
んかんの原因となるため(Biervertら,1998,Science 2
79:403−406;Singhら,1998,Nature Genet.
18:25−29;Schroederら,Nature 1998,396:
687−690)、Mチャンネルは薬物発見のための重要な標的である。Mチャ
ンネルのアクチベーターまたはインヒビターを同定するように設計されたスクリ
ーニング計画は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含むカルシウム感受性カリウ
ムチャンネルの、マイナス標的としての使用により、著しい利益を得るであろう
【0153】 本発明はまた、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3
b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質に対する抗体を含む。そのよう
な抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体でありうる。本発明の抗
体は、当技術分野でよく知られた方法により、全ヒトカルシウム感受性カリウム
チャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質
に対して、または血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニンなどの適
当な担体と共役した該サブユニットタンパク質の適当な抗原断片に対して産生さ
せることができる。タンパク質の適当な抗原断片を同定する方法は、当技術分野
で公知である。例えば、Hopp & Woods,1981,Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 78:3824−3828およびJames
on & Wolf,1988,CABIOS(Computer Appli
cations in the Biosciences)4:181−186
を参照されたい。
【0154】 ポリクローナル抗体の産生のためには、ヒトカルシウム感受性カリウムチャン
ネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質または
抗原断片(適当な担体に共役させたもの)を、適当な非ヒト宿主動物(例えば、
ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウスまたはニワトリ)に定期的に注射する。
該動物から定期的に採血し(または卵を集め)、得られた血清を、注射されたサ
ブユニットまたは抗原に対する抗体の存在に関して試験する。該注射は、筋肉内
、腹腔内、皮下などに行なうことができ、アジュバントと共に行なうことができ
る。
【0155】 モノクローナル抗体の産生のためには、ヒトカルシウム感受性カリウムチャン
ネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質または
抗原断片(適当な担体に共役させたもの)を、ポリクローナル抗体の産生に関し
て前記したのと同様に適当な非ヒト宿主動物に注射する。モノクローナル抗体の
場合には、該動物は一般にはマウスである。ついで該動物の脾臓細胞を不死化さ
せる。これは、しばしば、Kohler & Milstein,1975,N
ature 256:495−497に記載のとおり、骨髄腫細胞との融合によ
り行なう。モノクローナル抗体の産生の更に詳しい説明については、Antib odies:A Laboratory Manual ,Harlow & L
ane編,Cold Spring Harbor Laboratory P
ress,1988を参照されたい。
【0156】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
はβ3dサブユニットタンパク質を標的器官の細胞内に導入するために、遺伝子
治療を用いることができる。ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β
3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするヌクレ
オチドは、受容細胞への感染により該ヌクレオチドの導入を媒介するウイルスベ
クターに連結させることができる。適当なウイルスベクターには、レトロウイル
ス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイ
ルス、レンチウイルスおよびポリオウイルスに基づくベクターが含まれる。ある
いは、リガンド−ヌクレオチドコンジュゲートを使用する受容体媒介標的化導入
(receptor−mediated targeted transfer
)、リポフェクション、膜融合または直接マイクロインジェクションを含む非ウ
イルス技術により、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β
3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするヌクレオチドを
遺伝子治療のために細胞内に導入することができる。これらの方法およびそれら
の変法は、エクスビボ(ex vivo)およびインビボ遺伝子治療に適してい
る。ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cま
たはβ3dサブユニットタンパク質での遺伝子治療は、カルシウム感受性カリウ
ムチャンネルの活性を上昇させることが有益である疾患の治療に特に有用であろ
う。ドミナントネガティブ表現型を示す突然変異カルシウム感受性カリウムチャ
ンネルサブユニットをコードするcDNAは、カルシウム感受性カリウムチャン
ネルの活性を減少させることが有益である疾患の遺伝子治療に特に有用でありう
る。
【0157】 本発明は、非ヒト種からヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3
a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質のオーソログ(ort
hologue)をクローニングするための方法を含む。一般には、そのような
方法は、配列番号1、3、5、7、9または20に基づきPCRプライマーまた
はハイブリダイゼーションプローブを調製することを含み、これは、非ヒトカル
シウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
ブユニットを含有する断片を適当なDNA調製物から増幅するために(PCRの
場合)または非ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b
、β3cまたはβ3dサブユニットを含有するcDNAもしくはゲノムクローン
を適当なライブラリーから選択するために使用されうる。この方法の好ましい実
施形態は、該カルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
cまたはβ3dサブユニットをマウスからクローニングするための方法である。
【0158】 本発明は、マウスカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b
、β3cまたはβ3dサブユニットをコードするDNAを提供することにより、
カルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3
dサブユニットの活性が異常であるヒト疾患のモデル動物の作製を可能にする。
そのようなモデル動物は、改変されたカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2
、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット遺伝子を含有するトランス
ジェニック「ノックアウト」または「ノックイン」マウスを作ることにより作製
することができる。マウスカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
β3b、β3cまたはβ3dサブユニット遺伝子の部分が欠失したノックアウト
マウスを作製することができる。ヒト疾患を招くことが示されている突然変異が
該マウス遺伝子内に導入されたノックインマウスを作製することができる。その
ようなノックアウトおよびノックインマウスは、カルシウム感受性カリウムチャ
ンネルと疾患との関係の研究における貴重な手段であり、カルシウム感受性カリ
ウムチャンネルが関与するヒト疾患の潜在的医薬または治療方法を試験するため
の重要なモデル系を提供するであろう。
【0159】 したがって、本発明は、 (a)マウスカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
3cまたはβ3dサブユニット遺伝子またはcDNAをクローニングするのに使
用するPCRプライマーまたはオリゴヌクレオチドプローブを配列番号1、3、
5、7、9または20に基づき設計し、 (b)該PCRプライマーまたは該オリゴヌクレオチドプローブを使用して、
該マウスカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cま
たはβ3dサブユニット遺伝子またはcDNAの少なくとも一部(該部分は、ト
ランスジェニックマウスの作製に使用するのに十分な程度に大きい)をクローニ
ングし、 (c)天然状態から改変された該マウスカルシウム感受性カリウムチャンネル
β2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニット遺伝子の少なくとも1
つのコピーを有するトランスジェニックマウスを製造することを含んでなる、ト
ランスジェニックマウスの製造方法を含む。
【0160】 ノックアウトおよびノックインマウスの製造方法は当技術分野でよく知られて
いる。1つの方法は、標的遺伝子組換えトランスジェニックノックアウトマウス
の作製における標的遺伝子組換えES細胞の使用を含み、例えばThomasら
,1987,Cell 51:503−512に記載されており、種々の文献に
概説されている(Frohmanら,1989,Cell 56:145−14
7;Capecchi,1989,Trends in Genet.5:70
−76;Baribaultら,1989,Mol.Biol.Med.6:4
81−492)。
【0161】 特定の変化を染色体遺伝子内に挿入するために標的化相同組換えを用いること
により任意の遺伝的領域を不活性化したり所望の実質的に任意の突然変異に改変
するための技術が利用可能である。一般には、「ターゲッティングベクター」、
すなわち、突然変異させたい遺伝的領域の一部を含有するプラスミドを使用する
。該プラスミド上の遺伝的領域のこの部分と該染色体上の対応遺伝的領域との相
同性に基づき、相同組換えを利用して該遺伝的領域内に該プラスミドを挿入して
、該遺伝的領域を破壊することができる。通常、該ターゲッティングベクターは
選択マーカー遺伝子も含有する。
【0162】 100%に近い頻度で生じる相同染色体外組換えと比較して、相同プラスミド
−染色体組換えは、10−6〜10−3の頻度でしか検出されないと当初は報告
された(Linら,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
82:1391−1395;Smithiesら,1985,Nature
317:230−234;Thomasら,1986,Cell 44:419
−428)。非相同プラスミド−染色体相互作用は、比較しうる相同的挿入より
頻繁であり、10倍(Linら,1985,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 82:1391−1395)〜10倍(Thomasら,1
986,Cell 44:419−428)大きなレベルで生じる。
【0163】 マウスES細胞におけるこの低い標的化組換え率を克服するために、稀有(r
are)相同組換え体を検出または選択するための種々の方法が開発されている
。相同改変事象を検出するための1つのアプローチでは、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)を用いて相同的挿入に関して形質転換体細胞のプールをスクリーニン
グし、ついで個々のクローンをスクリーニングする(Kimら,1988,Nu
cleic Acids Res.16:8887−8903;Kimら,19
91,Gene 103:227−233)。あるいは、相同的挿入が生じた場
合にのみ活性となるマーカー遺伝子を構築してこれらの組換え体が直接的に選択
されるのを可能にするポジティブ遺伝的選択アプローチが開発されている(Se
divyら,1989,Proc,Natl.Acad.Sci.USA 86
:227−231)。相同組換え体を選択するために開発された最も効果的なア
プローチの1つは、該改変の直接的選択が存在しない遺伝子用に開発されたポジ
ティブ−ネガティブ選択(PNS)法である(Mansourら,1988,N
ature 336:348−352;Capecchi,1989,Scie
nce 244:1288−1292;Capecchi,1989,Tren
ds in Genet.5:70−76)。PNS法は、高レベルで発現され
ない遺伝子をターゲッティングするのに、より効率的である。なぜなら、該マー
カー遺伝子はそれ自体のプロモーターを有するからである。単純ヘルペスウイル
スチミジンキナーゼ(HSV−TK)遺伝子を使用しガンシクロビル(GANC
)、FIAU(1−(2−デオキシ2−フルオロ−B−D−アラビノフラノシル
)−5−ヨードウラシル)などのヘルペス薬でその非相同的挿入に対して選択す
ることにより、非相同組換え体を選択する。この対抗選択により、生存している
形質転換体のうちの相同組換え体の割合を増加させることができる。
【0164】 トランスジェニックマウスを製造するための他の方法は、受精卵の雄性前核の
マイクロインジェクションを含む。そのような方法は当技術分野でよく知られて
いる。
【0165】 本発明は、トランスジェニック非ヒト動物であって、該動物のゲノムが、ヒト
カルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3
dサブユニットの少なくとも一部をコードするDNAを含有することを特徴とす
る動物を含む。
【0166】 本発明を更に例示するために、以下に非限定的な実施例を記載する。 実施例1 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた はβ3dサブユニットタンパク質の同定およびcDNAクローニング 該β1サブユニットをコードするDNA配列を使用して、新規サブユニットを
コードする相同配列に関してGenBankデータベースを検索する。この検索
は、β1に対する類似性を有するEST(AA904191)を与えた。該ES
TをコードするcDNAを購入し(Genome Systems)、両方向で
配列決定した。合成オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号12および13)
を使用して、この遺伝子(β2)の3’非翻訳領域(UTR)の小さな部分およ
びコード領域を増幅した。ついで該コード領域を、5’および3’翻訳エンハン
サー配列間の拡大したポリリンカー(MVpl(+))を含有する修飾ベクター
(pSP64T)内にサブクローニングした。
【0167】 ついでβ2の配列を使用して、追加的な新規βサブユニットに関してGenB
ankデータベースを検索した。ついで、同定されたESTからの配列を使用し
て、再び該データベースを検索した。この反復アプローチで、以下のいくつかの
ESTを得た:AA195381、AA236930、AA236968、AA
279911、AA761761、AA934876、AA195511、AA
917510。これらの配列のアライメントは、それらが新規βサブユニット(
ここではβ3と称される)のC末端部分をコードしていることを示唆している。
これらのESTをコードする入手可能なcDNAを購入し(Genome Sy
stems)、両方向で配列決定した。5’インフレーム終結コドンが欠けてい
ること、およびβ1およびβ2の最初の膜貫通セグメントの中央部だけにしかア
ミノ酸アライメントしなかったことに基づけば、これらのクローンはいずれも、
完全長タンパク質をコードしていなかった。
【0168】 それらの個々のサブユニットの特有(unique)の及び保存された部分を
別々に使用して、これらの転写産物をコードするゲノム配列に関して該データベ
ースを検索した。β3a、β3bおよびβ3c特異的断片(GenBankアク
セッション番号AC007823,version2)を使用して、未同定ゲノ
ム配列の単一の180キロベースの断片が同定された。このエントリーの後続の
バージョンは、β3a、β3bおよびβ3cの順序の全3個の特異的断片を含有
する40.4キロベースの連続的断片を含有していた。β3cは、該コア配列の
5’末端に隣接している。図8を参照されたい。
【0169】 ClontechのMarathon Ready Spleen cDNA
キット(カタログ#7412−1)に記載のとおりに、5’RACE反応におい
て、β3終結コドンの3’側にアニーリングする合成オリゴ5’−TTT AC
A TTG TTA GTT TGC AGA CAG G−3’(配列番号1
9)を使用した。この反応は種々のサイズの複数の産物を与えた。電気泳動によ
り分離されたいくつかの断片をゲル薄片から抽出し、クローニングした。このよ
うにして、3つの異なるサブユニット(β3a、β3bおよびβ3c)を同定し
た。
【0170】 新規サブユニットが見落とされていないことを保証するために、特異的断片の
単離を試みることなく該PCR増幅反応の未分画産物をTAクローニングベクタ
ー(pCR2.1,Invitrogen)内に直接的にクローニングした。つ
いで、Current Protocols in Molecular Bi
ology,第6.1.1および6.3.1節に記載の「コロニーフィルターハ
イブリダイゼーション法」により、EST AA761761由来のプローブを
使用して、コロニーをスクリーニングした。ハイブリダイズするコロニーからD
NAを調製した。元のクローンとは異なる制限消化パターンを有するcDNAを
両方向で配列決定した。該オープンリーディングフレームを決定し、合成オリゴ
ヌクレオチドプライマー(配列番号14〜18)を使用して増幅し、MVpl(
+)中にサブクローニングした。1つの追加的な特有のサブユニットβ3dが同
定された。
【0171】 実施例2 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた はβ3dサブユニットの発現の分析 ノーザンブロット分析: ヒト心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、
精巣、卵巣、小腸、結腸および末梢血白血球由来のポリ(A+)−RNAを含有
するノーザンブロットをClontech,Palo Alto,CAから購入
した。β2(配列番号1のヌクレオチド268−1080)、β3a(配列番号
3のヌクレオチド70−384)、β3b(配列番号5のヌクレオチド463−
797)およびβ3c/d(配列番号7のヌクレオチド311−912)由来の 32 P標識ランダムプライムドcDNAプローブで、該ブロットをプローブした
。該ハイブリダイゼーションは、5×SSPE、10×デンハルト液、50%
ホルムアミド、2% SDS、100μg/ml サケ精子DNA中、42℃で
一晩行った。該洗浄は、2×SSC、0.05% SDS中で42℃で40分間
、ついで1×SSC、0.05% SDS中で50℃で40分間、段階的に行っ
た。高いストリンジェンシーの洗浄を0.1SSC、0.05% SDSで65
℃で40分間行った。X線フィルムにさらすことにより、またはホスホルイメー
ジャーを用いるハイブリダイゼーションにより、その洗浄されたブロットを検出
した。
【0172】 電気生理学的分析: cRNAを、ヒトSlowpoke αまたはβ2、β3a、β3b、β3c
またはβ3dサブユニットをコードするプラスミドからインビトロで合成し、ツ
メガエル(Xenopus)卵母細胞内に注入した(1、5または10×モル過
剰のαサブユニットRNA+/−βサブユニットRNAの1.5ng/卵母細胞
)。カルシウム感受性カリウム電流をインサイドアウトパッチで記録した。記録
は、対称カリウムのイオン条件下で行った。標準ピペットおよびバス溶液は11
6mM グルコン酸カリウム、4mM 塩化カリウム、10mM HEPES,
pH7.2を含有していた。グルコン酸カルシウムの安定度定数(15.9M )を考慮して、3〜30μMの遊離イオン化カルシウム最終濃度が得られるよ
うにCaClを該バス溶液に加えた。EPC−7増幅器(HEKA)を使用し
て、電流を記録した。pClamp6.0プログラム(Axon Instru
ments)を使用して、データ収集のための及び分析のための電位固定コマン
ドを作製した。(1)試験電位(−80〜80mV)におけるピークまたは定常
状態の電流からの巨視的コンダクタンスの計算、または(2)試験電位における
末端(tail)電流ピーク(−80mV)の測定または算出の2つの方法を用
いて、NP−電圧関係を3、10および30μM バスカルシウムで測定した
。ボルツマン関数を該データにあてはめ、それを用いて半最大活性化パラメータ
ー(V1/2)を導き出した。電流の軌跡または平均電流の軌跡から、最大不活
性化パラメーター(30μM Ca2+および80mV)を求めた。単一指数あ
てはめから、不活性化速度を求めた。部分非不活性化電流を定常状態/ピーク電
流として求め、部分不活性化電流を、ピーク電流から定常状態電流を差し引いて
ピーク電流で割ったものとして推定した。
【0173】 本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではない
。実際のところ、前記の記載から、本明細書に記載のものに加えて本発明の種々
の修飾が当業者に明らかとなるであろう。そのような修飾は、特許請求の範囲の
範囲内に含まれると意図される。
【0174】 本明細書には種々の刊行物が引用されているが、それらの開示の全体を参照に
より本明細書に組み入れることとする。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、該ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ2サブユニットを
コードするDNA配列(配列番号1)を示す。該開始ATGコドンは271−2
73位であり、該終結コドンは976−978位である。
【図1B】 図1Bは、該β2サブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図2A】 図2Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3aサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号3)を示す。該開始ATGコドンは341−3
43位であり、該終結コドンは1172−1174位である。図2Bは、該β3
aサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図2B】 図2Bは、該β3aサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図3A】 図3Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3bサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号5)を示す。該開始ATGコドンは796−7
98位であり、該終結コドンは1567−1569位である。
【図3B】 図3Bは、該β3bサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【図4A】 図4Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3cサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号7)を示す。該開始ATGコドンは869−8
71位であり、該終結コドンは1694−1696位である。図4Bは、該β3
cサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【図4B】 図4Bは、該β3cサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【図5A】 図5Aは、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのβ3dサブユニットを
コードするDNA配列(配列番号9)を示す。該開始ATGコドンは457−4
59位であり、該終結コドンは1294−1296位である。
【図5B】 図5Bは、該β3dサブユニットの推定アミノ酸配列(配列番号10)を示す
【図6】 図6は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ1(配列番号11)、β
2(配列番号2)、β3a(配列番号4)、β3b(配列番号6)、β3c(配
列番号8)およびβ3d(配列番号10)サブユニットの推定アミノ酸配列のア
ライメントを示す。
【図7】 図7は、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルのαサブユニットにより形
成されるイオンチャンネルの電気生理学的特性に対する本発明の新規βサブユニ
ットの共発現の効果を示す。図7Aは、カルシウム感受性カリウムチャンネルα
またはαおよびβサブユニットを発現するインサイドアウトパッチにおいて記録
した電流−電位関係を示す。最大効果を検出するために、αおよびβサブユニッ
トcRNAを1:10のモル比(βが過剰)で共注入した。該電位固定法は、−
160mVまでの予備パルス(200ms)、ついで−80〜+80mVの20
mV脱分極工程(500ms)よりなるものであり、保持電圧は−80mVであ
り、内部Ca2+は30μMであった。サブユニットβ3bおよびβ3dは、電
流密度を減少させうるものの、αサブユニットにより形成されるチャンネルの電
位依存性および速度論における認められうる変化を誘発しなかった。図7B:ピ
ーク電流から算出され試験電位の関数としてプロットされた図7Aに示す記録に
関する正規化コンダクタンスに、ボルツマン方程式をあてはめた。V1/2値は
20mV(αサブユニット単独)、−55mV(α+β2サブユニット)、45
.36mV(α+β3aサブユニット)、20mV(α+β3cサブユニット)
である。図7Cは、αサブユニットRNAよりモル過剰(10×まで)のβ3サ
ブユニットRNAの共発現が、カルシウム感受性カリウムチャンネル電流の非不
活性化成分を減少させたが排除しなかったことを示す。不活性化速度および部分
(fractional)不活性化電流は、実施例2に記載のとおりに計算した
【図8A】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8B】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8C】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8D】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8E】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8F】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8G】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8H】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8I】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8J】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8K】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8L】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8M】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
【図8N】 図8A〜Nは、GenBankアクセッション番号AC007823.4(配
列番号20)のゲノム配列を示す。該β3サブユニットの異なるスプライス変異
体がヌクレオチド1−40,467に含有されている。該β3a特異的配列は1
7,404−17,806位に、該β3b特異的配列は24,710−25,5
07位に、該β3c/d配列は32,590−33,514位に、該β3コア配
列の開始部位は33,515−33,705位に存在する。組織特異的発現に関
与する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー)はヌクレオ
チド1−17,404に位置しているらしい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 A C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 33/559 33/53 33/561 33/559 33/58 A 33/561 C12N 15/00 ZNAA 33/58 5/00 A (72)発明者 スワンソン,リチヤード アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07065−0907、ローウエイ、イースト・リ ンカーン・アベニユー・126 (72)発明者 リユウ,ユアン アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07065−0907、ローウエイ、イースト・リ ンカーン・アベニユー・126 (72)発明者 ラグルツタ,アマンド アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07065−0907、ローウエイ、イースト・リ ンカーン・アベニユー・126 Fターム(参考) 2G045 AA35 AA40 BA13 BB03 BB20 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 FB03 FB05 FB06 FB07 FB08 4B024 AA01 BA21 BA31 CA04 CA06 CA09 DA02 EA04 FA02 GA11 HA01 4B063 QA18 QQ09 QQ43 QQ49 QR32 QR55 QS02 QS34 4B065 AA90X AA93Y AA99Y AB01 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA01 EA28 FA74

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β
    3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質をコードするヌクレオチドを
    含んでなる単離されたDNA。
  2. 【請求項2】 配列番号2、配列番号4、セリンの代わりにアスパラギンを
    163位に有する配列番号4、配列番号6、アスパラギンの代わりにセリンを1
    43位に有する配列番号6、配列番号8、セリンの代わりにアスパラギンを16
    1位に有する配列番号8、配列番号10、アスパラギンの代わりにセリンを16
    5位に有する配列番号10および配列番号6の2−246位よりなる群から選ば
    れるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドを含む、請求
    項1記載のDNA。
  3. 【請求項3】 配列番号1、3、5、7、9および20よりなる群から選ば
    れるヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のDNA。
  4. 【請求項4】 配列番号1の271−975位、配列番号3の341−11
    71位、配列番号5の796−1566位、配列番号7の869−1693位お
    よび配列番号9の457−1293位よりなる群から選ばれるヌクレオチド配列
    を含む、請求項1記載のDNA。
  5. 【請求項5】 ストリンジェントな条件下で請求項2記載のDNAにハイブ
    リダイズする単離されたDNA。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のDNAを含んでなる発現ベクター。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のDNAを含んでなる組換え宿主細胞。
  8. 【請求項8】 単離されたヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、
    β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質。
  9. 【請求項9】 配列番号2、配列番号4、セリンの代わりにアスパラギンを
    163位に有する配列番号4、配列番号6、アスパラギンの代わりにセリンを1
    43位に有する配列番号6、配列番号8、セリンの代わりにアスパラギンを16
    1位に有する配列番号8、配列番号10、アスパラギンの代わりにセリンを16
    5位に有する配列番号10および配列番号6の2−246位よりなる群から選ば
    れるアミノ酸配列を有する、請求項8記載のタンパク質。
  10. 【請求項10】 単一のアミノ酸置換を含有する、請求項8記載のタンパク
    質。
  11. 【請求項11】 保存された位置には存在しない2以上のアミノ酸置換を含
    有する、請求項8記載のタンパク質。
  12. 【請求項12】 BLASTまたはFASTAにより測定した場合に請求項
    9記載のタンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチ
    ド。
  13. 【請求項13】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
    β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質に特異的に結合する、また
    は保存されたコアへの結合によりβ3サブユニットファミリーのタンパク質に特
    異的に結合する抗体。
  14. 【請求項14】 配列番号1、3、5、7、9および20よりなる群から選
    ばれる配列の少なくとも1つの少なくとも15個の連続的ヌクレオチドを含むD
    NAまたはRNAオリゴヌクレオチドプローブ。
  15. 【請求項15】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
    β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受
    性カリウムチャンネルに結合する物質の同定方法であって、 (a)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
    cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
    ャンネルを発現する細胞を準備し、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
    cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
    ャンネルに結合することが知られていない物質に、該細胞をさらし、 (c)該細胞への該物質の結合の量を測定し、 (d)工程(c)における結合の量を、対照細胞(該対照細胞は、該対照細胞
    がヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
    はβ3dサブユニットタンパク質を発現しないこと以外は、工程(a)の細胞と
    実質的に同一である)への該物質の結合の量と比較することを含んでなり、 工程(c)における結合の量が対照細胞への該物質の結合の量より多い場合、
    該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β
    3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウム
    チャンネルに結合するものであることを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
    β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受
    性カリウムチャンネルに結合し従ってヒトカルシウム感受性カリウムチャンネル
    β2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有する
    カルシウム感受性カリウムチャンネルのインヒビターまたはアクチベーターであ
    りうる物質の同定方法であって、 (a)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
    cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
    ャンネルを発現する細胞を準備し、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
    cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
    ャンネルに結合することが知られている化合物に、該細胞をさらし、 (c)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
    cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
    ャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および不存在下、該細胞
    への該物質の結合の量を測定することを含んでなり、 該物質の存在下の該化合物の結合の量が該物質の不存在下の場合と異なる場合
    、該物質が、ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、
    β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウ
    ムチャンネルに結合しヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
    β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受
    性カリウムチャンネルのインヒビターまたはアクチベーターでありうることを特
    徴とする方法。
  17. 【請求項17】 ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、
    β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受
    性カリウムチャンネルのアクチベーターまたはインヒビターの同定方法であって
    、 (a)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
    cまたはβ3dサブユニットタンパク質または突然変異ヒトカルシウム感受性カ
    リウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットタン
    パク質を宿主細胞内で組換え的に発現させ、それにより、その組換え的に発現し
    たヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまた
    はβ3dサブユニットタンパク質に、他のカルシウム感受性カリウムチャンネル
    サブユニットタンパク質とのヘテロマーを形成させることにより、カルシウム感
    受性カリウムチャンネルを形成させ、 (b)ヒトカルシウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3
    cまたはβ3dサブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチ
    ャンネルのアクチベーターまたはインヒビターであると疑われる物質の存在下お
    よび不存在下、工程(a)で形成したカルシウム感受性カリウムチャンネルの生
    物活性を測定することを含んでなり、 該物質の不存在下と比較した場合の該物質の存在下の、工程(a)で形成した
    カルシウム感受性カリウムチャンネルの生物活性の変化が、該物質が、ヒトカル
    シウム感受性カリウムチャンネルβ2、β3a、β3b、β3cまたはβ3dサ
    ブユニットタンパク質を含有するカルシウム感受性カリウムチャンネルのアクチ
    ベーターまたはインヒビターであることを示すことを特徴とする方法。
  18. 【請求項18】 遺伝子の転写を促進、増強または抑制するβ3遺伝子内の
    DNA配列の同定方法であって、 (a)レポータータンパク質をコードするレポーター遺伝子のコード化cDN
    A配列に該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)が先行するように、プロモーター−レポーターベクターを構築し、 (b)該ベクターを細胞内にトランスフェクトし、該ベクターにコードされる
    レポータータンパク質の存在量を測定し、 (c)工程(b)の細胞内のレポータータンパク質の存在量を、該β3遺伝子
    のプロモーター領域の断片を有さないベクターでトランスフェクトされた細胞内
    のレポータータンパク質の存在量と比較することを含んでなり、 β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットを内因的に発現する細胞内
    でのみ、他のプロモーター要素の不存在下、該レポータータンパク質の存在量を
    増加させるβ3遺伝子のプロモーター領域の断片が、プロモーター要素であり;
    β3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニットを内因的に発現しない細胞内
    で、無関係な構成的プロモーター要素の存在下、レポータータンパク質の存在量
    を減少させる配列が、リプレッサー要素であり;β3a、β3b、β3cまたは
    β3dサブユニットを内因的に発現させる細胞内で、無関係な構成的プロモータ
    ー要素の存在下、該レポータータンパク質の存在量を増加させる配列が、エンハ
    ンサー配列であることを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 該ベクターが、該β3遺伝子のプロモーター領域の断片か
    ら独立して機能するプロモーターまたはエンハンサー配列要素を含有する、請求
    項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 該レポータータンパク質の存在量をトランスフェクト化細
    胞の割合に関して正規化する、請求項18記載の方法。
  21. 【請求項21】 遺伝子の転写を促進、増強または抑制するβ3遺伝子内の
    DNA配列の同定方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片を、
    細胞からの核抽出物と共にインキュベートし、 (b)該インキュベーション物をゲル上で分離することを含んでなり、 細胞からの核抽出物と共にインキュベートした後にゲル内で異なって移動する
    (「シフトを受ける」)β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
    応する二本鎖DNAの断片が、β3遺伝子の発現を促進、増強または抑制する核
    因子に結合するDNA配列であることを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】 該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
    応する二本鎖DNAの断片を、請求項18記載の方法により同定する、請求項2
    1記載の方法。
  23. 【請求項23】 該細胞がβ3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニッ
    トを発現する、請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 該細胞がβ3a、β3b、β3cまたはβ3dサブユニッ
    トを発現しない、請求項21記載の方法。
  25. 【請求項25】 β3遺伝子の転写調節に関与する核因子の同定方法であっ
    て、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片を、
    クローニングまたは精製された転写因子と共にインキュベートし、該インキュベ
    ーション物をゲル上で分離することを含んでなり、 β3遺伝子のプロモーター配列要素に結合する因子が、該放射能標識DNA断
    片の移動におけるシフトを誘導し、該β3遺伝子の転写調節に関与することを特
    徴とする方法。
  26. 【請求項26】 該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
    応する二本鎖DNAの断片を、請求項18または21記載の方法により同定する
    、請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 β3遺伝子の転写調節に関与する核因子の同定方法であっ
    て、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片を、
    細胞からの核抽出物と共にインキュベートし、該インキュベーション物をゲル上
    で分離すること、 (b)単一の転写因子または転写因子のファミリーを特異的に認識する抗体を
    工程(a)のインキュベーション物に加え、ついで該インキュベーション物をゲ
    ル上で分離することを含んでなり、 工程(a)と比較した場合の工程(b)の二本鎖DNAの移動度におけるスー
    パーシフトが、該抗体により認識される転写因子が該二本鎖DNAに結合するこ
    とを示すことを特徴とする方法。
  28. 【請求項28】 β3遺伝子の転写調節に関与する核因子をコードするクロ
    ーンをクローニングにより同定する方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの放射能標識断片で、
    発現ライブラリーをスクリーニングし、 (b)該ライブラリーのいずれのクローンが二本鎖DNAの放射能標識断片に
    結合するのかを判定し、 (c)工程(b)のクローンを増幅し、配列決定することを含んでなる方法。
  29. 【請求項29】 該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
    応する二本鎖DNAの断片を、請求項18または21記載の方法により同定する
    、請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 β3遺伝子の転写調節に関与する核因子をクローニングに
    より同定する方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの断片を安定なマトリ
    ックスに結合させ、 (b)cDNAにコードされる融合タンパク質を表面に発現するファージを該
    マトリックスと共にインキュベートし、 (c)該マトリックスに結合しないファージを洗浄により除去し、 (d)該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対応する二本鎖
    DNAの過剰の断片で、該マトリックスに結合したファージを溶出することを含
    んでなり、 工程(d)で溶出されたファージが、β3遺伝子の転写調節に関与する核因子
    をコードすることを特徴とする方法。
  31. 【請求項31】 該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
    応するDNAを、請求項18または21記載の方法により同定する、請求項30
    記載の方法。
  32. 【請求項32】 工程(d)で溶出されたファージを増幅し、配列決定する
    、請求項30記載の方法。
  33. 【請求項33】 β3遺伝子の転写調節に関与する核因子の同定方法であっ
    て、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの断片を安定なマトリ
    ックスに結合させ、 (b)細胞からの核抽出物を該マトリックスと共にインキュベートし、 (c)該核抽出物からの非結合タンパク質を該マトリックスから洗浄し、 (d)該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対応する過剰の
    二本鎖DNAで、結合タンパク質を該マトリックスから溶出することを含んでな
    り、 工程(d)からの溶出されたタンパク質が、β3遺伝子の転写調節に関与する
    核因子であることを特徴とする方法。
  34. 【請求項34】 工程(d)からの溶出されたタンパク質をゲル上で分離し
    、該ゲルを染色して、該溶出タンパク質の純度を試験することを更に含む、請求
    項33記載の方法。
  35. 【請求項35】 該ゲル上で分離されたタンパク質を配列決定することを更
    に含む、請求項34記載の方法。
  36. 【請求項36】 ウエスタンブロットまたは免疫沈降により、該溶出タンパ
    ク質を同定するために、該ゲル上で分離されたタンパク質を公知転写因子に対す
    る抗体で免疫学的に分析することを更に含む、請求項34記載の方法。
  37. 【請求項37】 該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
    応する二本鎖DNAの断片を、請求項18または21記載の方法により同定する
    、請求項33記載の方法。
  38. 【請求項38】 β3遺伝子の転写調節に関与する核因子をクローニングに
    より同定する方法であって、 (a)該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)内に見出される配列に対応する二本鎖DNAの断片の少数ないしは
    幾つかのコピーをレポータータンパク質コード化cDNAに先行して含有する酵
    母株を構築し、 (b)該挿入cDNAおよび転写活性化ドメインにコードされる融合タンパク
    質の形成を可能にするベクター中、細胞からのcDNAライブラリーを構築し、 (c)(b)のライブラリーを(a)の酵母株内に形質転換し、該レポーター
    タンパク質の発現を示す酵母のコロニーを単離することを含んでなる方法。
  39. 【請求項39】 該β3遺伝子のプロモーター領域内に見出される配列に対
    応する二本鎖DNAの断片を、請求項18または21記載の方法により同定する
    、請求項38記載の方法。
  40. 【請求項40】 単離されたコロニーからベクターを精製し、該ベクター内
    のcDNAを配列決定することを更に含む、請求項38記載の方法。
  41. 【請求項41】 該β3遺伝子の転写速度を増強または抑制する物質の同定
    方法であって、 (a)レポータータンパク質をコードするレポーター遺伝子のコード化cDN
    A配列に該β3遺伝子のプロモーター領域(配列番号20のヌクレオチド1−1
    7,436)の断片が先行するように、プロモーター−レポーターベクターを構
    築し、 (b)該ベクターを細胞内にトランスフェクトし、化合物の存在下および不存
    在下、該ベクターにコードされるレポータータンパク質の存在量を測定すること
    を含んでなり、 (1)該化合物の存在が該レポータータンパク質の存在量を減少させる場合に
    は、該化合物が、該β3遺伝子の転写速度を抑制する物質であり、(2)該化合
    物の存在が該レポータータンパク質の存在量を増加させる場合には、該化合物が
    、該β3遺伝子の転写速度を増強する物質であることを特徴とする方法。
  42. 【請求項42】 該方法が、対照細胞内の該レポータータンパク質の存在量
    に対する該化合物の効果が測定される対照を含み、該対照細胞が、該β3遺伝子
    のプロモーター領域の断片を欠くベクターで該対照細胞がトランスフェクトされ
    ている以外は工程(b)の細胞と実質的に同じ細胞である、請求項41記載の方
    法。
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