JP2003521869A - ヒト骨髄由来血清タンパク質 - Google Patents

ヒト骨髄由来血清タンパク質

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JP2003521869A JP2000574683A JP2000574683A JP2003521869A JP 2003521869 A JP2003521869 A JP 2003521869A JP 2000574683 A JP2000574683 A JP 2000574683A JP 2000574683 A JP2000574683 A JP 2000574683A JP 2003521869 A JP2003521869 A JP 2003521869A
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コーレイ、ニール・シー
ゲグラー、カール・ジェイ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規のヒト骨髄由来血清タンパク質(BMDSP)と、BMDSPを同定しコードするポリヌクレオチドとを提供する。また、本発明は、発現ベクター及び宿主細胞、抗体、アゴニスト、アンタゴニストを提供する。更に、本発明は、BMDSPの発現に関連する疾患の診断または治療方法、予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、骨髄由来血清タンパク質の核酸及びアミノ酸配列、及び癌、免疫疾
患、感染症及び血管障害の診断、処置、及び予防におけるこれらの配列の利用に
関するものである。
【0002】 (発明の背景) 骨髄は、出生時から成人期全体を通して血球形成、即ち造血を担う部位である
。血球は、赤血球及び白血球等の様々な種類の細胞から構成され、これら全て共
通の前駆体の幹細胞に由来する。造血の際、この幹細胞が、コロニー刺激因子と
称する特定の成長因子による刺激を受けて増殖し分化する。次に血球の変異が様
々な段階を通して進行してゆく。各段階は、未成熟血液細胞の最終的に分化した
特定の状態への更なる拘束によって特性化される。造血細胞に加えて、骨髄は、
血管、神経、脂肪組織、及び間質の細胞も含む。間質細胞は、造血細胞の増殖及
び分化を促進するために重要なコラーゲン繊維や他の細胞外マトリックスの構成
要素の支持網目構造を作り出す。造血の調節が失われると白血病やリンパ腫のよ
うな新生物疾患が生ずることがあり、また、不充分な造血は貧血症や免疫不全の
原因となり得る。
【0003】 新規なタンパク質であるMSE55(造血/内皮細胞タンパク質、55キロダルトン
)が、ヒト間質細胞から同定された(Bahou, W.F. 他 (1992) J. Biol. Chem. 2
67:13986-13992)。MSE55は、血管を裏打ちする内皮細胞及び間質細胞において
特異的に発現される。更に、MSE55は、血清において比較的高い濃度で検出され
、このことは間質細胞若しくは内皮細胞、またはその両方がMSE55を血中に分泌
していることを示唆している。MSE55のcDNAは、その5'末端に約350個の塩基対か
らなる長い非翻訳領域と、それに続く、391個のアミノ酸ポリペプチドをコード
し得る1173個の塩基対からなるオープンリーディングフレームを有する。55キロ
ダルトンの見かけの分子量は、推定分子量に42キロダルトンを超えており、この
ことはMSE55がグリコシル化のような翻訳後修飾を受け得ることを示唆している
。MSE55は血清中に分泌されるが、推定上のアミノ酸配列はシグナルペプチドを
含まない。しかし、シグナルペプチドの欠損は、プラスミノーゲン活性化因子イ
ンヒビター2及びオボアルブミン等の他の血清タンパク質においても見られる。
推定上のMSE55配列の他の特徴としては、セリン及び多グリシンN末端領域、多プ
ロリン及び多アラニンタンデム型反復配列の内部領域、及び2つの推定上の金属
結合モチーフ等が挙げられる。MSE55は、他の間質細胞タンパク質である、白血
球の接着及び成熟において重要な役割を果たすヘモネクチンに対する抗体と交差
反応性である。同様に、MSE55も、白血球の造血において似たような役割を果た
し得る。
【0004】 Bリンパ球は、微生物感染に対する免疫応答において重要な役割を果たす幾つ
かの種類の分化した白血球の一種である。Bリンパ球は骨髄から血中に入り、脾
臓、リンパ節、及び他のリンパ組織に集積する。これらの器官では、B細胞は抗
体を発現し血中に分泌することによって外来の抗原に出会い、それと反応する。
抗体即ち免疫グロブリンは、血中に入った微生物の表面上にある抗原を認識し、
それに結合する。抗原が結合することによって、その微生物の破壊をもたらす免
疫応答が開始される。
【0005】 プロトタイプの抗体は、ジスルフィド結合によって相互に結合された2つの同
形の軽いポリペプチド鎖(L鎖)と2つの同形の重いポリペプチド鎖(H鎖)から
なる5量体である。この構成が、特徴的なY字形状を抗体分子に与えている。抗体
は、それらのH鎖の組成に基づいて分類される。5種の抗体のクラス、即ちIgA、I
gD、IgE、IgG及びIgMは、それぞれα、δ、ε、γ及びμのH鎖の種類によって決
定される。L鎖にはκとλの二種類があり、何れかがH鎖のペアと対をなして結合
し得る。血中に見いだされる最も一般的な抗体のクラスであるIgGは上述のよう
な5量体であり、他のクラスの抗体は、通常はこの基本的な構造の変異体又は多
量体である。
【0006】 H鎖及びL鎖はそれぞれN末端の可変領域とC末端の定常領域とを含む。L鎖にお
いては約110個のアミノ酸からなり、H鎖においては約330又は440個のアミノ酸か
らなるこの定常領域の配列は、特定のクラスのH鎖又はL鎖の間でほぼ同一である
。しかし、約110個のアミノ酸からなる可変領域の配列は、特定のクラスのH鎖又
はL鎖の間で異なっている。H鎖及びL鎖の可変領域のそれぞれの中には、広範な
配列多様性を有する3箇所の高頻度可変領域が存在し、それぞれ約5〜10個のアミ
ノ酸からなる。抗体分子においては、H鎖及びL鎖の高頻度可変領域が協働して抗
原結合部位を形成している(Alberts, B. 他 (1994) Molecular Biology of the Cell , Garland Publishing, New York NY, pp. 1206-1213, 1216-1217に概説さ
れている)。
【0007】 組換えDNA技術によって、治療薬や診断薬として使用するべく組換えられた抗
体の製造が可能となった。例えば、ヒトの疾病関連タンパク質に対して産生され
た齧歯類の抗体を、それらの定常領域をヒト抗体に由来するもに交換することに
よって「ヒト化」することができる(Junghans. R.P. 他 (1990) Cancer Res. 5
0:1495-1502)。これらのヒト化抗体の可変領域は、ヒトの疾病関連タンパク質
を認識し、その定常領域は下流のエフェクタを活性化して抗体自身がヒトのホス
トにおいて異物として認識されないようにする。ヒト化抗体は、霊長類モデルの
系における移植片拒絶反応の防止のための、また乳房腫瘍細胞系においてそれら
の抗増殖活性を利用できる有効な治療薬であることが分かった(Brown, P.S 他
(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:2663-2667)。
【0008】 新規な骨髄由来血清タンパク質及びそれらをコードするポリヌクレオチドの発
見は、癌、免疫疾患、感染症、及び血管障害の診断、予防、及び処置において有
用な新規な組成物を提供することにより当分野における必要性を満たすものであ
る。
【0009】 (発明の要約) 本発明は、総称して「BMDSP」、個別には「BMDSP-1」及び「BMDSP-2」と呼ば
れる実質的に精製されたポリペプチドであるヒト骨髄由来血清タンパク質を提供
する。本発明の一実施態様では、SEQ ID NO:1−2(配列番号:1−2)及びそれら
の断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含む実質的に精製されたポリ
ペプチドを提供する。
【0010】 更に本発明は、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列の少なくとも1つと90%以上のアミノ酸同一性を有する実質的に
精製された変異体を提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片
からなる一群から選択されたアミノ酸配を含むポリペプチドをコードする単離さ
れ実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:
1−2及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドと90%以上のポリヌクレオチド配列同一性
を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供する。
【0011】 更に、本発明は、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択され
たアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと厳密な条件
の下でハイブリダイズする単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。ま
た本発明は、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミ
ノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと相補的な配列を含
む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0012】 本発明はまた、核酸を含むサンプルにおいて、ポリヌクレオチドを検出する方
法であって、(a)ポリヌクレオチド配列の相補体を、少なくとも1つのサンプ
ルのポリヌクレオチドとハイブリダイズして、ハイブリダイゼーション複合体を
形成する過程と、(b)そのハイブリダイゼーション複合体を検出する過程とを
含み、そのハイブリダイゼーション複合体の存在とサンプルにおけるポリヌクレ
オチドの存在とが相関性を有する、検出方法を提供する。本発明の一実施態様で
は、ハイブリダイゼーションの前にポリヌクレオチドを増幅する過程を含む。
【0013】 本発明はまた、SEQ ID NO:3−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
ポリヌクレオチド配列を含む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
また、本発明は、SEQ ID NO:3−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
ポリヌクレオチド配列と90%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する単離
され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供する。更に本発明は、SEQ ID N
O:3−4及びそれらの断片からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含
むポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離され精製されたポリヌクレオチ
ドを提供する。
【0014】 本発明は更に、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも1
つの断片を含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、この発現ベクター
は宿主細胞内に含まれる。
【0015】 本発明はまた、ポリペプチドを製造する方法であって、(a)ポリペプチドの
発現に好適な条件の下、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの断片を有する発現
ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と、(b)その宿主細胞の培地からその
ポリペプチドを回収する過程とを含む製造方法を提供する。
【0016】 本発明はまた、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を好
適な医薬用担体と共に提供する。
【0017】 更に本発明は、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択された
ポリペプチドと結合する精製された抗体を提供する。また、本発明は、そのポリ
ペプチドの精製されたアゴニスト及びアンタゴニストを提供する。
【0018】 本発明はまた、BMDSPの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予
防方法であって、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を好
適な医薬用担体と共に患者に効果的な量投与することを含む、治療または予防方
法を提供する。
【0019】 本発明はまた、BMDSPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予
防方法であって、SEQ ID NO:1−2及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を有するポリペプチドのアンタゴニストを患者に効果的な量投与す
ることを含む、治療または予防方法を提供する。
【0020】 (本発明の記載について) 本発明のタンパク質及び核酸配列、方法について説明する前に、本発明は、こ
こに開示した特定の装置及び材料、方法に限定されず、その実施形態を変更でき
ることを理解されたい。また、ここで用いられる用語は、特定の実施例のみを説
明する目的で用いられたものであり、後述の請求の範囲によってのみ限定され、
本発明の範囲を限定することを意図したものではないということも理解されたい
【0021】 本明細書及び請求の範囲において単数形を表す「或る」、「その(この等)」
は、文脈で明確に示していない場合は複数形を含むことに注意されたい。従って
、例えば「或る宿主細胞」は複数の宿主細胞を含み、その「抗体」は複数の抗体
は含まれ、当業者には周知の等価物なども含まれる。
【0022】 本明細書で用いた全ての科学技術用語は、別の方法で定義されていない限り、
本発明の属する技術分野の一般的な技術者が普通に解釈する意味と同じである。
本明細書で記述したものと類似、或いは同等の全ての装置及び材料、方法は本発
明の実施及びテストに使用できるが、好適な装置及び材料、方法をここに記す。
本明細書に記載の全ての文献は、本発明に関連して使用する可能性のある文献に
記載された細胞系、プロトコル、試薬、ベクターを記述し開示するために引用し
た。従来の発明を引用したからと言って、本発明の新規性が損なわれると解釈さ
れるものではない。
【0023】 (定義) 「BMDSP」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての種(特にウシ、
ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及び好ましくは人類を含む哺乳動物)から得られる
実質的に精製されたBMDSPのアミノ酸配列を指す。
【0024】 用語「アゴニスト」は、BMDSPと結合したとき、BMDSPの効果を増大する、或い
はその持続時間を延長する分子を指す。このアゴニストには、BMDSPに結合して
その効果を変調するタンパク質、核酸、糖質、任意の他の分子を含み得る。
【0025】 「アレル変異配列」は、BMDSPをコードする遺伝子の別の形を指す。アレル変
異配列は、核酸配列における少なくとも1つの変異によって生じ、変異mRNA若し
くは変異ポリペプチドになり、これらの構造や機能は変わる場合もあれば変わら
ない場合もある。天然或いは組換え体のすべての遺伝子には、アレル形が存在し
ないもの、1つ或いは多数存在するものがある。一般にアレル変異配列を生じる
変異は、ヌクレオチドの自然な欠失、付加、或いは置換による。これらの各変異
は、単独或いは他の変異と同時に起こり、所定の配列内で一回或いはそれ以上生
じる。
【0026】 BMDSPをコードする「変異」核酸配列は、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、
或いは置換が起こっても、BMDSPと同じポヌクレオチド或いはBMDSPの機能特性の
少なくとも1つを備えるポリペプチドである。この定義には、BMDSPをコードす
るポリヌクレオチド配列の正常の染色体の遺伝子座ではない位置でアレル変異配
列と不適当或いは予期せずハイブリダイゼーション、及びBMDSPをコードするポ
リヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、容易に検出可能
な或いは検出困難な多形性を含む。コードされたタンパク質も変異され得り、サ
イレント変化を生じBMDSPと機能的に等価となるアミノ酸残基の欠失、挿入、或
いは置換を含み得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的にBMDS
Pの活性が保持される範囲で、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及
び/または両親媒性についての類似性に基づいて成され得る。たとえば、負の電
荷をもつアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含み得り、正の電荷を
もつアミノ酸は、リジン及びアルギニンを含み得り、そして近い親水性値をもち
非電荷極性頭基を有するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシ
ン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラ
ニン及びチロシンを含みうる。
【0027】 用語「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリ
ペプチド、タンパク質配列、それらの任意の断片、天然の分子または合成された
分子を指す。BMDSPの断片である「断片」及び「免疫原性断片」、「抗原性断片
」は、好ましくはアミノ酸約5〜約15個の長さであり、最も好ましくはアミノ
酸14個の長さであり、BMDSPのある生物学的活性または免疫学的活性を保持す
る。ここでは、「アミノ酸配列は自然発生タンパク質分子のアミノ酸配列である
が、アミノ酸配列及び類似の用語は、列記したタンパク質分子に関連する完全で
元のままのアミノ酸配列に限定されるわけではない。
【0028】 「増幅」は、核酸配列の追加的な複製を生成することに関連する。増幅は、一
般にはこの技術分野では周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行わ
れる。
【0029】 「アンタゴニスト」は、BMDSPと結合したとき、BMDSPの生物学的または免疫学
的活性の効果の程度を低下させたり、その持続時間を短縮する分子を指す。アン
タゴニストは、タンパク質、核酸、糖質、抗体またはBMDSPの効果を減少させる
の他の分子である。
【0030】 用語「抗体」は、抗原決定基と結合可能なFab及びF(ab')2及びそれらの断片
などの、無傷の分子及びFv断片を指す。BMDSPポリペプチドと結合する抗体は
、抗体を免疫する目的の小さなペプチドを含む無傷の分子またはその断片を用い
て調整可能である。動物(例えば、マウス、ラット、若しくはウサギ)を免疫化
するのに使用されるポリペプチド或いはオリゴペプチドは、RNAの翻訳から引き
出されたり、化学的に合成され得り、必要に応じて担体プロテインと結合するこ
とも可能である。ペプチドと化学的に結合した一般に用いられる担体は、ウシ血
清アルブミン、チログロビン、及びキーホールリンペットヘモニアン(KLH)を
含む。次ぎに、この結合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0031】 用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子のフラグメント(即ちエピ
トープ)を指す。タンパク質或いはタンパク質の断片が、宿主動物を免疫化する
のに用いられるとき、このタンパク質の種々の領域は、抗原決定基(タンパク質
上の所定の領域或いは三次元構造体)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得
る。抗原決定基は、抗体と結合するために無傷の抗原(即ち、免疫応答を引き出
すために用いられる免疫原)と競合し得る。
【0032】 用語「アンチセンス」は、特定の核酸配列のセンス鎖と相補的な核酸配列を含
む全ての組成物を指す。アンチセンス分子は、合成や転写を含む任意の方法で作
り出すことができる。相補的ヌクレオチドは、一度細胞に導入されると、細胞に
よって作られた天然の配列と結合して二重鎖を形成し、転写や翻訳を阻害する。
「マイナス(−)」という表現はアンチセンス鎖、「プラス(+)」という表現
はセンス鎖を指す。
【0033】 用語「生物学的活性」は、自然発生分子の構造的、調節的、或いは生化学的機
能を有するタンパク質を指す。同様に、「免疫学的に活性」とは、天然或いは組
換え体のBMDSP、合成のBMDSPまたはそれらの任意のオリゴペプチドが、適当な動
物或いは細胞の特定の免疫応答を誘発して特定の抗体と結合する能力のことであ
る。
【0034】 用語「相補的」及び「相補性」は、許容の塩と許容の温度条件の下で、塩基対
の形成によってポリヌクレオチドが自然に結合することを指す。例えば、配列「
A−G−T」と相補的な配列「T−C−A」と結合する。2つの一本鎖分子間の
相補性は、幾つかの核酸が結合するのみの部分的な場合、或いは一本鎖間に完全
な相補性が存在して完全な相補性となる場合があり得る。核酸鎖間の相補性の程
度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に大きな影響を与える
。このことは、核酸鎖間の結合に左右される増幅反応、並びにペプチド核酸(PN
A)分子の設計若しくは使用において特に重要である。
【0035】 「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定のアミノ酸配列を
含む組成物」は広い意味で、所定のヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列を含む
任意の組成物を指す。この組成物は、乾燥した製剤或いは水溶液、無菌組成物を
含み得る。BMDSP若しくはBMDSPの断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む
組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。このプローブ
は、凍結乾燥状態で保存可能であり、糖質などの安定化剤と結合可能である。ハ
イブリダイゼーションにおいて、プローブは、塩(例えば、NaCl)及び界面活性
剤(例えば、SDS:ドデシル硫酸ナトリウム)、その他の物質(例えば、デンハ
ート液、乾燥ミルク、サケ精子DNAなど)を含む水溶液に展開され得る。
【0036】 本明細書において「コンセンサス配列」とは、不要な塩基を分離するために再
配列された核酸配列であって、XL−PCRTM(Perkinn Elmer, Norwalk, CT
)を用いて5'及び/または3'の方向に延長されて再配列された核酸配列、或い
はGELVIEW Fragment Assembly system(GCG, Madison, WI)などのフラグメント
の構築のためのコンピュータプログラムを用いて2つ以上のインサイトクローン
社の重複配列から構築された核酸配列のことである。延長及び構築の両方によっ
てコンセンサス配列に構築されるものもある。
【0037】 本明細書において「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」とは、ノーザ
ン分析によるBMDSPをコードする核酸配列と同じ或いは関連する核酸の検出が、
サンプル内のBMDSPをコードする核酸の存在を示すことから、BMDSPをコードする
ポリヌクレオチドからの転写物の発現と相関性を有することを意味する。
【0038】 本明細書において「欠失」とは、1個以上のアミノ酸残基若しくは核酸残基が
欠如するアミノ酸配列若しくは核酸配列の変化である。
【0039】 本明細書において「誘導体」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド
配列の化学修飾のことである。ポリヌクレオチド配列の化学修飾には、例えば、
アルキル基、アシル基、或いはアミノ基による水素の置換がある。誘導体ポリヌ
クレオチドは、自然分子(未修飾の分子)の生物学的或いは免疫学的機能を少な
くとも1つ保持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、もと
のポリペプチドの生物学的機能、或いは免疫学的機能を少なくとも1つ保持する
、グリコシル化、ポリエチレングリコール化、或いは任意の同様のプロセスによ
って修飾されたものである。
【0040】 本明細書において「類似性」とは、相補性の程度を表すものである。これには
、部分的類似性と完全な類似性とがあり得る。この「同一性」は「類似性」とも
言える。同一の配列が標的の核酸とハイブリダイゼーションするのを少なくとも
部分的に阻止する部分的に相補的な配列は、「実質的に同様」と呼ばれる。完全
に相補的な配列と標的の配列とのハイブリダイゼーションの抑制は、厳密性を低
下させた条件の下ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロッティング或い
はノーザンブロッティング法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検査さ
れる。実質的に同様の配列或いはハイブリダイゼーションプローブは、厳密性を
低下させた条件の下、完全に相補的な配列と標的の配列との結合に対して競合し
て抑制する。これは、厳密性を低下させた条件では、2つの配列の互いへの結合
が特異的(即ち、選択的)に相互作用しなけらばならず、厳密性を低下させた条
件の下では非特異的な結合が許容されるということではない。部分的な相補性と
もいえない(例えば、30%未満の類似性或いは同一性)第2の標的配列を用い
て、非特異的結合が存在しないことの検査が可能である。非特異的結合が存在し
ない場合は、実質的に類似配列或いはプローブが第2の非相補的標的配列とハイ
ブリダイゼーションしない。
【0041】 本明細書において「百分率同一性」又は「%同一性」とは、2つ以上のアミノ
酸配列或いは核酸配列の比較で見つかった配列類似性の百分率のことである。こ
の百分率同一性は、例えば、MEGALIGNプログラム(DNASTAR)など電子装置を用い
て決定可能である。このMEGALIGNプログラムは、様々な方法、例えば、クラスタ
ー方法 (例えば、Higgins, D.G.及びP.M. Sharp (1988) Gene73:237-244.を参照
)に従って、2つ以上の配列間のアライメントを作り出すことが可能である。ク
ラスターアルゴリズムが、全ての組の間の距離を測って、配列を各クラスターに
分類する。これらのクラスターは、組によって整列され、次ぎにグループに分け
られる。2つのアミノ酸の配列間の百分率類似性、例えば配列Aと配列Bの百分
率類似性は、配列Aと配列Bの一致する残基の合計数を、配列Aの長さから配列
Aのギャップ残基数と配列Bのギャップ残基数とを差し引いたもので除し、それ
に100を掛けることによって得られる。2つのアミノ酸配列間の低い類似性或
いは非類似性のギャップは、百分率類似性の決定には含まれない。核酸配列間の
百分率同一性はまた、クラスター法或いはJotun Hein法などの当分野で周知の別
の方法によってカウント或いは計算することも可能である(例えば、Hein. J. (1
990) Methods Enzymol. 183:626-645.を参照)。配列間の同一性はまた、例えば
、ハイブリダイゼーションの条件を変えるなどの当分野で周知の別の方法によっ
て決定することも可能である。
【0042】 ヒト人工染色体(HAC)は、6Kb〜10MbのサイズのDNA配列を含み得
り、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全ての要素を含む直鎖状の微小
染色体である(Harrington, J.J.等 (1997) Nat Genet. 15:345-355を参照)。
【0043】 本明細書において「ヒト化抗体」とは、もとの結合能力を保持しつつよりヒト
の抗体に似せるために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変異された抗体分子で
ある。
【0044】 本明細書において「ハイブリダイゼーション」とは、核酸の一本鎖が相補的な
一本鎖と塩基対を形成して結合する全てのプロセスである。
【0045】 本明細書において「ハイブリダイゼーション複合体」とは、相補的な塩基対間
の水素結合の形成によって、2つの核酸配列間に形成された複合体のことである
。ハイブリダイゼーション複合体は溶液中(例えば、CtまたはRt分析)
で形成されるか、或いは溶液中の1つの核酸配列と固体の支持物(例えば、紙、
膜、フィルター、チップ、ピン、或いはスライドガラス、または細胞及びその核
酸を固定する任意の適当な基板)に固定されたもう一つの核酸配列との間で形成
され得る。
【0046】 本明細書において「挿入」或いは「付加」とは、自然発生の分子の配列に対し
て、1個以上のアミノ酸残基或いはヌクレオチドがそれぞれ追加されるアミノ酸
配列或いは核酸配列の変化のことである。
【0047】 本明細書において「免疫応答」とは、炎症性疾患及び外傷、免疫異常、感染症
、遺伝病などと関係する症状である。これらの症状は、細胞系及び全身防衛系に
影響を及ぼすサイトカイン及びケモカイン、別の情報伝達分子などの様々な因子
の発現によって特徴づけられ得る。
【0048】 本明細書において「マイクロアレイ」とは、基板上に配列された様々なポリヌ
クレオチドのアレイのことである。
【0049】 本明細書のマイクロアレイの記述における「要素」或いは「アレイ要素」とは
、基板の表面に配列されたハイブリダイゼーション可能なポリヌクレオチドのこ
とである。
【0050】 本明細書において「変調」とは、BMDSPの活性の変化のことである。変調の例
として、BMDSPのタンパク質活性の特性、或いは結合特性、またはその他の生物
学的特性、機能的特性或いは免疫学的特性の変化がある。
【0051】 本明細書において「核酸」或いは「核酸配列」とは、ヌクレオチド、オリゴヌ
クレオチド、ポリヌクレオチド、或いはそれらの断片を指す。また、一本鎖若し
くは二本鎖のセンス鎖或いはアンチセンス鎖であるゲノム若しくは合成起源のDN
A或いはRNAと、またペプチド核酸(PNA)や任意のDNA様物質、RNA様物質も指す
。本明細書において「断片(またはフラグメント)」とは、(例えば、同じゲノ
ム内の任意の別の配列とは異なる)SEQ ID NO:3−4を特別に同定する独特のポリ
ヌクレオチド配列の領域を含む核酸配列のことである。例えば、SEQ ID NO:3−4
は、ハイブリダイゼーション及び増幅技術に有用であり、更に、関連ポリヌクレ
オチド配列からSEQ ID NO:3−4を区別する類似性の検査にも有用である。SEQ ID NO:3−4の断片は、少なくともヌクレオチド15〜20個の長さである。この断
片に対応するSEQ ID NO:3−4の正確な長さ及びSEQ ID NO:3−4の領域は、断片の
使用目的に基づいた当分野で一般的な技術の1つを用いて日常業務的に決定でき
る。また、断片は翻訳された場合、完全長のポリペプチドの抗原性などのいくつ
かの機能的特徴或いはATP結合部位などの構造的ドメイン特徴を維持したポリペ
プチドを形成し得る。
【0052】 本明細書において「機能的に関係した」或いは「機能的に結合した」とは、機
能的に関係する核酸配列のことである。コードされたポリペプチドの転写をプロ
モータが制御する場合、そのプロモーターはコードする配列と機能的に関係する
或いは機能的に結合する。機能的に関係した或いは機能的に結合した核酸配列は
近接して同じ読み枠内に存在し得るが、リプレッサー遺伝子などのある種の遺伝
子要素は、ポリペプチドをコードする配列とは近接して結合していないが、ポリ
ペプチドの発現を調節するオペレーター配列とは結合したままである。
【0053】 本明細書において「オリゴヌクレオチド」とは、PCR増幅、ハイブリダイゼー
ション、或いはマイクロアレイに使用可能な核酸配列のことであり、その長さは
少なくとも6ヌクレオチドから60ヌクレオチドである。好ましくは約15から
30ヌクレオチドであり、さらに好ましいくは約20から25のヌクレオチドで
ある。本明細書において、オリゴヌクレオチドは、当技術分野では同一と定義さ
れる「アンプリマー」及び「プライマー」、「オリゴマー」と実質的に同じであ
る。
【0054】 本明細書において「ペプチド核酸」(PNA)とは、末端がリジンで終わるアミ
ノ酸残基のペプチドバックボーンに結合した、約5ヌクレオチド以上の長さのオ
リゴヌクレオチドを含むアンチセンス分子又は抗遺伝子剤のことである。この末
端のリジンにより、この組成物が溶解性を有する。PNAは、相補的な一本鎖DNAや
RNAに優先的に結合して転写物の伸長を止め、ポリエチレングリコール化して細
胞において寿命を延ばし得る。(例えば、Nielsen, P.E.他(1993) Anticancer D
rug Des. 8:53-63を参照)。
【0055】 本明細書において「サンプル」とは、その最も広い意味で用いられている。BM
DSPをコードする核酸若しくはその断片、BMDSP自体を含むと推測される生物学的
サンプルには、体液と、細胞からの抽出物や細胞から単離された染色体や細胞内
小器官、膜と、細胞と、溶液中又は固体の支持物に固定されたゲノムDNA、RNA、
cDNAと、組織又は組織プリント等も含まれ得る。
【0056】 本明細書において「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、タンパク
質或いはペプチドとアゴニスト或いは抗体、アンタゴニストとの間の相互作用の
ことである。この相互作用は、結合する分子によって認識される、例えば、抗原
決定基つまりエピトープなどのタンパク質の特定の構造の存在によって左右され
る。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、結合していな
い標識した「A」及びその抗体を含む反応において、エピトープAを含むポリペ
プチドが存在するか或いは結合していない無標識の「A」が存在すると、抗体と
結合する標識Aの量が減少する。
【0057】 本明細書において「厳密な条件」とは、ポリヌクレオチドと請求項に記載され
たポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが可能な条件である。厳密な条
件は、塩濃度及び有機溶剤(例えば、ホルムアミド)の濃度、温度、及び当分野
で周知の別の条件によって決められる。詳細には、塩の濃度を下げたり、ホルム
アミドの濃度を上げたり、またハイブリダイゼーションの温度を上げることで厳
密性を高めることができる。
【0058】 本明細書において「実質的に精製された」とは、自然の環境から取り除かれて
から、単離或いは分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合
している構成要素が少なくとも約60%以上除去されたものであり、好ましくは
約75%以上の除去、最も好ましいのは約90%以上除去されたものである。
【0059】 本明細書において「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそ
れぞれ別のアミノ酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
【0060】 本明細書において「基板」とは、膜、フィルター、チップ、スライド、ウエハ
、ファイバー、磁気或いは非磁気のビード、ゲル、管、プレート、ポリマー、微
細粒子、毛管を含む好適な固体或いは半固体の支持物のことである。基板は、ポ
リヌクレオチドやポリペプチドが結合する壁及び溝、ピン、チャンネル、孔など
の様々な表面形態を有する。
【0061】 本明細書において「形質転換」とは、外来DNAが入り込み受容体細胞を変化さ
せるプロセスのことである。形質転換は、当分野で周知の種々の方法により、自
然或いは人工の条件の下で起こり得り、原核宿主細胞若しくは真核宿主細胞の中
に外来核酸配列を挿入する任意の周知の方法によって行うことができる。この形
質転換の方法は、形質転換される宿主細胞のタイプによって選択される。この方
法には、ウイルス感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、リポフェクシ
ョン、及び微粒子照射が含まれるが、限定されるものではない。「形質転換され
た」細胞には、導入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主
染色体の一部として複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。さ
らに、限られた時間に一時的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含まれ
る。
【0062】 本命鎖書において「変異体」とは、一つ以上のアミノ酸が変異したアミノ酸配
列である。この変異体には、例えばロイシンとイソロシンとの置換のような、置
換されたアミノ酸が類似の構造或いは類似の化学特性を有する「保存的」変異が
含まれる。稀ではあるが、変異体には、グリシンをトリプトファンで置換する「
非保存的」変異も含まれる。また、類似の小さな変異には、アミノ酸の欠失、挿
入、或いはその両方が含まれる。当分野で周知の例えばLASERGENETMソフトウエ
アを用いて、生物学的或いは免疫学的活性を損なうことなく、どのアミノ酸残基
を置換、挿入、或いは欠失させるかを決めることができるであろう。
【0063】 ポリヌクレオチド配列の文脈の中で用いられる「変異配列」とは、BMDSPに関
連したポリヌクレオチド配列を含み得る。この定義は、例えば、「アレル」、「
スプライス」、「種」、「多形性」変異配列についてもあてはまる。スプライ変
異配列は基準分子と極めて同一性が高い可能性があるが、mRNAプロセッシン
グ中のエキソンの交互のスプライシングによってポリヌクレオチドの数が多くな
ったり、少なくなったりする。対応するポリペプチドは、機能ドメインが加わっ
たり、ドメインが減ったりし得る。種変異配列は、種によって異なるポリヌクレ
オチド配列である。できたポリペプチドは、互いに高いアミノ酸同一性を有する
。多形性変異配列は、所定の種と種の間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列
における変異である。多形性変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1つの塩
基が異なる「1つのヌクレオチド多形性」(SNP)も含み得る。SNPの存在は、例
えば、或る集団、病態、病態の特徴を表し得る。
【0064】 (発明) 本発明は、新規のヒト骨髄由来血清タンパク質(BMDSP)及びBMDSPをコードす
るポリヌクレオチドの発見、並びに癌、免疫疾患、感染症及び血管障害の診断、
治療、及び予防におけるそれらの組成物の使用に関する。
【0065】 本発明のBMDSP-1をコードする核酸は、核酸及び/またはアミノ酸配列のアラ
インメント用のコンピュータ検索によって、骨髄cDNAライブラリ(BMARNOT02)
のインサイトクローン135698H1において同定された。コンセンサス配列であるSE
Q ID NO:3は、以下の核酸配列の重複及び/または伸長によって導き出された。
インサイトクローン 135698H1 (BMARNOT02)、1320039H1 (BLADNOT04)、792424T1
(PROSTUT03)、3430675T6 (SKINNOT04) 及び 2056224X14R1 (BEPINOT01)。
【0066】 一実施例では、本発明は、図1A−図1Cに示されているSEQ ID NO:1のアミ
ノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。BMDSP-1は、アミノ酸234個分の長
さであり、T18、S34、S87、S96、T122、S182、T184及びS202における8個の潜在
カゼインキナーゼIIリン酸化部位と、S42及びS72における19個の潜在プロテイ
ンキナーゼCリン酸化部位とを有する。PFAM解析によって、BMDSP-1がG36からQ11
0までとS147からV216までの2つの免疫グロブリンドメインを含むことが示され
た。BLOCKS解析、MOTIFS解析及びPROFILESCAN解析によって、後者のドメイン内
及びそのドメインに一部にかかる4つの免疫グロブリンサイン(signature)が
存在することが示された。これらのサインには、D190からE233までの残基と、S1
51からA173までの残基と、Y212からF229までの残基とが含まれる。同様に、タン
パク質データベースのBLAST検索によって、BMDSP-1が免疫グロブリンk軽鎖と化
学的及び構造的類似性を有することが示された。SEQ ID NO:3のヌクレオチドの
約339から約407までの断片が、SEQ ID NO:3の同定、及びSEQ ID NO:3と関連配列
とを区別するハイブリダイゼーション及び増幅技術に有用である。ノーザン分析
により、この配列が種々のライブラリにおいて発現し、少なくともその63%が
癌或いは細胞増殖に関連し、少なくともその37%が炎症または外傷に関連する
することが示された。詳細には、BMDSP-1を発現するライブラリの内の26%が
胃腸組織に由来し、26%が生殖組織に由来する。
【0067】 本発明のBMDSP-2をコードする核酸は、核酸及び/またはアミノ酸配列のアラ
インメント用のコンピュータ検索によって、前立腺cDNAライブラリ(PROSNOT18
)のインサイトクローン1859631H1において同定された。コンセンサス配列であ
るSEQ ID NO:4は、以下の核酸配列の重複及び/または伸長によって導き出され
た。インサイトクローン 1859631H1 (PROSNOT18)、1426610F1 (SINTBST01)、151
1409F1 (LUNGNOT14)、1349506F1 (LATRTUT02)、1005112H1 (BRSTNOT03)、198094
1T6 (LUNGTUT03)、1213785R1 (BRSTTUT01)、1544433R1 (PROSTUT04) 及び 14408
96F1 (THYRNOT03)。
【0068】 一実施例では、本発明は、図2A−図2Fに示されているSEQ ID NO:2のアミ
ノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。BMDSP-2は、アミノ酸254個分の長
さであり、N88及びN162における2個の潜在Nグリコシル化部位と、S89、S130、S
158、S191、T209、T218、S223及びS241における8個の潜在カゼインキナーゼII
リン酸化部位とを有する。図3A及び図3Bに示されているように、BMDSP-2は
、MSE55 (GI 338033; SEQ ID NO:5)と化学的及び構造的類似性を有する。BMDSP-
2は、MSE55のアミノ酸1から218までのN末端領域とアミノ酸配列同一性を有
する。詳細には、BMDSP-2のL26からG68までは、MSE55の相同領域と60%の同一
性を有し、MSE55のN末端領域の高グリシンの特徴と一致する6個のグリシン残基
を有する。更に、MSE55における第2の推定上の金属結合モチーフを構成する1
1個の残基のうちの9個がBMDSP-2のQ235からE245までに保存されている。
【0069】 MSE55をコードするcDNAと同様に、BMDSP-2(SEQ ID NO:4)をコードするcDNA
は、約415塩基対の長い5'非翻訳領域を含む。SEQ ID NO:4のヌクレオチドの
約383から約442までの断片が、SEQ ID NO:4の同定、及びSEQ ID NO:4と関連配列
とを区別するハイブリダイゼーション及び増幅技術に有用である。ノーザン分析
により、この配列が種々のライブラリにおいて発現し、少なくともその67%が
癌或いは細胞増殖に関連し、少なくともその34%が炎症及び外傷に関連するす
ることが示された。詳細には、BMDSP-2を発現するライブラリの内の27%が生
殖組織に由来し、20%が心血管組織に由来する。
【0070】 また本発明は、BMDSPの変異体を含む。好適なBMDSPの変異体は、BMDSPアミノ
酸配列と少なくとも約80%、より好適には少なくとも約90%、もっとも好適
には少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有し、BMDSPの機能的若しくは
構造的特性の少なくとも一つを有する。
【0071】 本発明はまた、BMDSPをコードするポリヌクレオチドを含む。特定の実施例で
は、本発明は、BMDSPをコードするSEQ ID NO:3−4からなる一群から選択された
配列を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0072】 本発明はまた、BMDSPをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列を含む。
詳細には、そのようなポリヌクレオチド変異配列は、BMDSPをコードするポリヌ
クレオチド配列と少なくとも約80%、より好適には少なくとも約90%、もっ
とも好適には少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する。本発
明の特定の実施態様では、SEQ ID NO:3−4からなる一群から選択された核酸配列
と少なくとも約80%、より好適には少なくとも約90%、最も好適には約95
%のポリヌクレオチド配列同一性を有する、SEQ ID NO:3−4からなる一群から選
択された配列を有するポリヌクレオチド変異配列を含む。上記の任意のポリヌク
レオチドの変異配列は、BMDSPの機能的若しくは構造的特徴の少なくとも一つを
有するアミノ酸配列をコードし得る。
【0073】 遺伝暗号の縮重により作り出され得るBMDSPをコードする種々のポリヌクレオ
チド配列には、既知の自然発生する任意の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最小
の類似性しか有しないものも含まれることを、当業者は理解するであろう。した
がって本発明には、可能なコドン選択に基づいた組み合わせの選択によって作り
出され得る可能なポリヌクレオチド配列の変異の全てが含まれ得る。これらの組
み合わせは、自然発生のBMDSPのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なト
リプレット遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮す
る。
【0074】 BMDSPをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は、好適に選択された
厳密な条件の下で、自然発生のBMDSPのヌクレオチドとハイブリダイズ可能なこ
とが望ましいが、非自然発生のコドンを含めるなどの実質的に異なったコドンの
使用を有するBMDSP又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すこ
とは有益となり得る。特定のコドンが宿主によって利用される頻度に基づいてコ
ドンを選択して、ペプチドの発現が特定の真核細胞又は原核宿主に発生する割合
を高めることが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えないで、BMDSP及
びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に変更する別の理由は、自
然発生の配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ましい特性を備え
るRNA転写物を作ることにある。
【0075】 本発明はまた、BMDSP及びその誘導体をコードするDNA配列又はそれらの断片を
完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成配列を、当分野
で良く知られた試薬を用いて、種々の入手可能な発現ベクター及び細胞系の何れ
の中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、BMDSPまたはその任意の断
片をコードする配列の中に突然変異を導入することも可能である。
【0076】 更に本発明には、種々の厳密性条件の下で、請求項に記載されたポリヌクレオ
チド配列とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配列が含まれる。詳しくは、
記載のSEQ ID NO:2またはその断片とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配
列が含まれる。(例えば、Wahl, G.M.及びS.L. Berger (1987) Methods Enzymol.
152:399-407; 及び Kimmel. A.R. (1987) Methods Enzymol. 152:507-511.を参
照)。例えば、厳密な塩濃度は、通常は約750mM未満の塩化ナトリウムと約
75mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、好ましくは約500mM未満の塩
化ナトリウムと約50mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、最も好ましくは
約250mM未満の塩化ナトリウムと約25mM未満のクエン酸三ナトリウムで
ある。例えば、ホルムアミドなどの有機溶剤を使用しないと、厳密性の低いハイ
ブリダイゼーションになり、約35%以上のホルムアミド、更に好ましくは50
%以上のホルムアミドを使用すると、厳密性の高いハイブリダイゼーションにな
る。温度の厳密条件は、通常は約30℃以上であり、より好ましくは約37℃以
上であり、最も好ましくは約42℃以上である。その他の変更できるパラメータ
ーには、ハイブリダイゼーション時間、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの
薬品の濃度、キャリアDNAの含有の有無があり、当分野の技術者には周知である
。必要な様々な条件を組み合わせることで、厳密性の程度を変えることができる
。好適な実施例では、ハイブリダイゼーションは、温度が30℃で、750mM
の塩化ナトリウムと75mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDSで行う。より
好適な実施例では、温度が37℃で、500mMの塩化ナトリウムと50mMの
クエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、100μg/ml
の変性サケ精子DNA(ssDNA)で行う。最も好適な実施例では、温度が42℃で
、250mMの塩化ナトリウムと25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS
、50%のホルムアミド、200μg/mlのssDNAで行う。これらの条件の
有用な変更は、当分野の技術者には明らかである。
【0077】 ハイブリダイゼーションの後の洗浄過程にも、様々な厳密性の程度がある。洗
浄の厳密な条件は、塩濃度と温度によって決められる。上記したように、塩濃度
を下げること或いは温度を上げることで洗浄の厳密性を高めることができる。例
えば、洗浄過程での塩濃度の厳密な条件は、好ましくは約30mM未満の塩化ナ
トリウムと約3mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、更に好ましくは約15
mM未満の塩化ナトリウムと約1.5mM未満のクエン酸三ナトリウムである。
洗浄過程の温度の厳密な条件は、通常は約25℃以上であり、好ましくは約42
℃以上であり、更に好ましくは約68℃以上である。好適な実施例では、洗浄過
程は、温度が25℃で、30mMの塩化ナトリウムと3mMのクエン酸三ナトリ
ウム、0.1%SDSで行われる。より好適な実施例では、洗浄過程は、温度が4
2℃で、15mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0.
1%SDSで行われる。最も好適な実施例では、洗浄過程は、温度が68℃で、1
5mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0.1%SDSで
行われる。更なるこれらの条件の変更は、当分野の技術者には明らかである。
【0078】 当分野で周知のDNAのシークエンシング方法を用いて、本発明の何れの実施
例も実行可能である。この方法には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断
片、SEQUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin E
lmer)、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech Piscataway N
J)、或いはELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersburg MD)にみ
られるような校正エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとの組み合わせなどの酵素
が用いられる。好ましくは、MICROLAB2200(Hamilton, Reno, NV)及びPeltier
Thermal Cycler200(PTC200;MJ Research, Watertown MA)、ABI CATALYST 800
(Perkin-Elmer) などの装置を用いて自動化する。次に、ABI 373または377 DNA
シークエンシングシステム(Perkin-Elmer)、MEGABACE 1000 DNAシークエンシン
グシステム(Molecular Dynamics. Sunnyvale CA)、または当分野で周知の方法を
用いてシークエンシングを行う。得られた配列を当分野で周知の様々なアルゴリ
ズムを用いて分析する(例えば、Ausubel, F.M. (1997) Short Protocols in Mol ecular Biology , John Wiley & Sons, New York NY, unit 7.7; Meyers, R.A. (
1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley VCH, New York NY, pp. 8
56-853.を参照)。
【0079】 部分的なヌクレオチド配列を利用し、当分野で周知のPCR法をベースにした種
々の方法を用いてBMDSPをコードする核酸配列を伸長し、プロモーターや調節要
素などの上流にある配列を検出する。例えば制限部位PCR法を利用する1つの方
法では、一般的なプライマー及びネスト化プライマーを用いてクローニングベク
ター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する。(例えば、Sarkar, G. (1993) P
CR Methods Applic 2:318-322を参照)。逆PCR法を用いる別法では、広範な方向
に伸長して環状化した鋳型から未知の配列を増幅するプライマーを用いる。この
鋳型は、既知のゲノム遺伝子座及びその周辺の配列を含む制限断片に由来する。
(例えば、Triglia, T.等(1988)Nucleic Acids Res. 16:8186を参照)。キャ
プチャPCR法を用いる第3の方法は、ヒト及び酵母菌人工染色体DNAの既知の配列
に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む。(例えば、Lagerstrom, M.他(1991)PCR
Methods Applic 1:111-119を参照)。この方法では、多数の制限酵素による消化
及びライゲ−ションを用いて、PCRを行う前に未知の配列の領域の中に組換え二
本鎖配列を挿入することが可能である。また、当分野で周知の別の方法を用いて
未知の配列を得ることも可能である。(例えば、Parker, J.D. 他 (1991)Nucleic
Acids Res. 19:3055-3060を参照)。更に、PCR、ネスト化プライマー、PROMTERF
INDERライブラリを用いれば、ゲノムDNA内の歩行が可能である(Clontech, Palo
Alto CA)。この方法ではライブラリをスクリーニングする必要がなく、イント
ロン/エキソン接合部を探すのに有用である。全てのPCR法をベースにした方法
では、プライマーは、市販のOLIGO 4.06 Primer Analysis software(National
Biosciences社, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムなどを用いて、長さ
が22〜30ヌクレオチド、GC含有率が50%以上、約68℃〜72℃の温度
で鋳型に対してアニールするよう設計される。
【0080】 完全長cDNAのスクリーニングのときは、大きなcDNAを含むようにサイズが選択
されたライブラリを用いるのが好ましい。更に、オリゴd(T)ライブラリが完全
な長さのcDNAを産生できない場合は、遺伝子の5'領域を有する配列を含むもの
が多いランダムに初回抗原刺激を受けたライブラリが有用である。ゲノムライブ
ラリは、5'非転写調節領域への配列の伸長に有用であろう。
【0081】 市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングまたはPCR
産物のヌクレオチド配列のサイズの分析、または確認が可能である。詳しくは、
キャピラリーシークエンシングには、電気泳動による分離のための流動性ポリマ
ー、及び4つの異なったヌクレオチドに特異的なレーザーで活性化される蛍光色
素、放出された波長の検出に利用するCCDカメラを使用することが可能である。
出力/光強度は、適切なソフトウェア(例えば、GENOTYPER 及び SEQUENCE NAVI
GATOR, Perkin-Elmerを参照)を用いて電気信号に変換され、サンプルのローデ
ィングからコンピュータ分析までのプロセス及び電子データ表示がコンピュータ
制御可能である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在し
ない場合もあるDNAの小片のシークエンシングに特に適している。
【0082】 本発明の別の実施例では、BMDSPをコードするポリヌクレオチド配列またはそ
の断片を組換えDNA分子に用いて、適切な宿主細胞内にBMDSP、その断片または機
能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号固有の宿重により、実質的
に同じ或いは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列が作られ得
り、これらの配列をBMDSPのクローン化及び発現に利用可能である。
【0083】 種々の目的でBMDSPをコードする配列を変えるために、当分野で一般的に知ら
れている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組換えることができる。こ
の目的には、遺伝子産物のクローン化、プロセシング及び/または発現の調節が
含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムな断片によるDNAの混
合や遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドのPCR再組み立てを用いて、ヌクレオ
チド配列の組換えが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの仲介による定方
向突然変異誘発を利用して、新しい制限部位を生成する突然変異の導入、グリコ
シル化パターンの変更、コドン優先の変更、スプライスバリアントの生成等が可
能である。
【0084】 別の実施例によれば、BMDSPをコードする配列は、当分野で周知の化学的方法
を用いて、全体或いは一部が合成可能である(例えば、Caruthers. M.H.等(198
0)Nucleic. Acids Res. Symp. Ser 7:215-223; 及びHorn, T.他(1980)Nuclei
c. Acids Res. Symp. Ser.225-232を参照)。別法として、化学的方法を用いてB
MDSP自体またはその断片を合成することが可能である。例えば、ペプチド合成は
種々の固相技術を用いて実行可能である(例えば、Roberge, J.Y.等(1995) Scie
nce 269:202-204を参照)。また、合成の自動化は例えばABI 431Aペプチドシン
セサイザ(Perkin Elmer)を用いて達成し得る。更にBMDSPのアミノ酸配列また
は任意のその一部は、直接的な合成の際の変更、及び/または化学的方法を用い
た他のタンパク質または任意のその一部からの配列との組み合わせにより、変異
体ポリペプチドを作ることが可能である。
【0085】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Chiez, R.M.
及び F.Z. Regnier (1990)Methods Enzymol. 182:392-421を参照)を用いて実質
的に精製可能である。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸分析或いはシーク
エンシングにより確認することができる(例えば、Creighton. T. (1983) Protei ns, Structures and Molecular Properties , WH Freeman, New York, NYを参照)
【0086】 生物学的に活性なBMDSPを発現させるために、BMDSPをコードするヌクレオチド
配列またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入する。この発現ベクターは、
好適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要な要素を
含む。これらの要素には、ベクター及びBMDSPをコードするポリヌクレオチド配
列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型のプロモーター、5'及び3'の
非翻訳領域などの調節配列が含まれる。このような要素は、その長さ及び特異性
が様々である。特定の開始シグナルによって、BMDSPをコードする配列のより効
果的な翻訳を達成することが可能である。このようなシグナルには、ATG開始
コドン及びコザック配列などの近傍の配列が含まれる。BMDSPをコードする配列
及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入された場合は
、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくなるであろう。しかし
ながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された場合は、インフレー
ムのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発現ベクターに含まれ
なければならない。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、自然及び合成の様々な
ものから得ることが可能である。用いられる特定の宿主細胞系に好適なエンハン
サーを含めることで発現の効率を高めることが可能である。(例えば、Scharf, D
. 他 (1994) Results Probl. Cell Differ. 201−18-162.を参照)。
【0087】 当業者に周知の方法を用いて、BMDSPをコードする配列、好適な転写及び翻訳
調節要素を含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法には、 in vitro 組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術が含まれる。
(例えば、 Sambrook, J. 他. (1989) Molecular Cloning. A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainview NY, 4章及び8章, 及び16-17章; 及び
Ausubel, F.M. 他. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, John W
iley & Sons, New York NY, ch. 9章及び13章、16章を参照)。
【0088】 種々の発現ベクター/宿主系を利用して、BMDSPをコードする配列の保持及び
発現が可能である。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオフ
ァージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌な
どの微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母菌や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイル
ス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド
)で形質転換された植物細胞系や、動物細胞系などが含まれる。本発明は使用さ
れる宿主細胞によって限定されるものではない。
【0089】 細菌系では、多数のクローニングベクター及び発現ベクターが、BMDSPをコー
ドするポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて選択可能である。例えば、BMDS
Pをコードするポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニン
グ、増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミ
ド(GIBCO BRL)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクター
の多数のクローニング部位にBMDSPをコードする配列をライゲーションするとlac
Z遺伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌の同定のための比色
スクリーニング法が可能となる。更に、これらのベクターを用いて、クローニン
グされた配列のin vitroでの転写、ジデオキシンスクリーニング、ヘルパーファ
ージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失を作り出すことが可能である。(例
えば、Van Heeke, G.及びS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509
.を参照)。例えば、抗体の産生のためなどに多量のBMDSPが必要な場合は、BMDSP
の発現をハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力に発現を誘
発するT5またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使用できる
【0090】 BMDSPの発現に酵母の発現系の使用が可能である。α因子やアルコールオキシ
ダーゼやPGHなどの構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多種のベクターが
、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastorisに使用可能である
。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の分泌か細胞内への保持の
どちらかを誘導し、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来配列を組み込む
。(例えば、上記のAusubel.; 及びBitter, G.A. 他 (1987) Methods Enzymol.15
3:51-794: Scorer. C. A. 他 (1994) Bio/Technology 121−181-184.を参照) 植物系もBMDSPの発現に使用可能である。BMDSPをコードする配列の転写は、例
えば、CaMV由来の35S及び19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターが単独で
、或いはTMV(Takamatsu, N.等(1987)EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダ
ー配列と組み合わせて促進される。これらの作製物は、直接のDNA形質転換或い
は病原体を介したトランスフェクションによって、植物細胞の中に導入可能であ
る。(例えば、The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)
McGraw Hill NY, pp.191-196を参照)。
【0091】 哺乳動物細胞では、多種のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウ
イルスが発現ベクターとして用いられる場合、後発プロモーター及び3連リーダ
ー配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳複合体にBMDSPをコードする配列を
結合し得る。ウイルスのゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入により、
感染した宿主細胞にBMDSPを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan
, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659を参照)。さ
らに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用い
て、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させることが可能である。タンパク質
を高レベルで発現させるために、SV40またはEBVを基にしたベクターを用いるこ
とが可能である。
【0092】 ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドで発現しそれに含まれているも
のより大きなDNAの断片を供給可能である。治療のために約6kb〜10MbのHACs
を作製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、または
ベシクル)で供給する。(例えば、Harrington. J.J. 他 (1997) Nat Genet.15:3
45-355.を参照)。
【0093】 哺乳動物系の組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、株化細胞にお
けるBMDSPの安定した発現が望ましい。例えば、発現ベクターを用いて、BMDSPを
コードする配列を株化細胞に形質転換することが可能である。このような発現ベ
クターは、ウイルス起源の複製及び/または内在性の発現要素や、同じ或いは別
のベクターの上の選択マーカー遺伝子を含む。ベクターの導入の後、細胞を選択
培地に移す前に、強化培地で約1〜2日の間増殖させる。選択マーカーの目的は
選択的な媒介物に対する抵抗性を与えるとともに、その存在により導入された配
列をうまく発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された
細胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖可能であ
る。
【0094】 任意の数の選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収することが可能であ
る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ
、それぞれtk又はapr細胞において使用される。(例えば、Wigler, M. 他 (1
977) Cell 11:223-232; 及びLowy, I. 他(1980) Cell 22:817-823を参照)。また
代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択のベースとして用いること
ができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグ
リコシッドネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロル
スルフロン(cBMDSPsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラー
ゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wigl
er, M. 他. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570; Colbere-Garapin,
F. 他(1981) J. Mol. Biol. 150:1-14を参照)。さらに選択に利用できる遺伝子
、例えば、代謝のために細胞が必要なものを変えるtrpB及びhisDが文献に記載さ
れている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad
. Sci. 85:8047-51を参照)。アニトシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clon
tech)、βグルクロニダーゼ及びその基質GUS,ルシフェラーゼ及びその基質ル
シフェリンなどの可視マーカーが用いられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)(Clon
tech, Palo Alto, CA)も使用できる。これらのマーカーを用いて、トランスフォ
ーマントを特定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性或いは安定
したタンパク質発現を定量することが可能である(例えば、Rhodes, C.A.他(19
95)Methods Mol. Biol. 55:121−791を参照)。
【0095】 マーカー遺伝子の発現の存在/不在によって目的の遺伝子の存在が示されても
、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、BMDSPをコー
ドする配列がマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、BMDSPをコードする配
列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定可能であ
る。または、1つのプロモーターの制御下でマーカー遺伝子がBMDSPをコードす
る配列と一列に配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー
遺伝子の発現は、通常タンデム遺伝子の発現も示す。
【0096】 一般に、BMDSPをコードする核酸配列を含み、BMDSPを発現する宿主細胞は、当
業者に周知の種々の方法を用いて特定することが可能である。これらの方法には
、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、核酸或いはタン
パク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或いはチップベー
スの技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセイが含まれるが
、これらに限定されるものではない。
【0097】 特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるBM
DSPの発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。こ
のような技法には、酵素に結合したイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジ
オイムノアッセイ(RIA)、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などがある。BMDSP上
の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモ
ノクローナルベースイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay
)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる。これらのアッセイ
及びその他のアッセイは、当分野では十分に知られている。(例えば、 Hampton.
R. 他.(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual. APS Press. St Pa
ul. MN, Sect. IV; Coligan, J. E. 他Current Protocols in Immunology, Gree
ne Pub. Associates and Wiley-Interscience, New York. NY; 及びPound, J.D.
(1990) Immunochemical Protocols, Humans Press, Totowa NJ)。
【0098】 種々の標識方法及び結合方法が当業者には周知であり、様々な核酸アッセイお
よびアミノ酸アッセイに用いられ得る。BMDSPをコードするポリヌクレオチドに
関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或
いはPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーショ
ン、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。
別法として、BMDSPをコードする配列、またはその任意の断片をmRNAプローブを
生成するためのベクターにクローニングすることも可能である。当分野では周知
であり市販されているこのようなベクターを、T7,T3,またはSP6などの好適なR
NAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの追加によって、in vitroでのRNA
プローブの合成に用いることができる。これらの方法は、例えば、Amersham Pha
rmacia Biotech及びPromega(Madison WI)、U.S. Biochemical Corp(Clevelan
d OH)が市販する種々のキットを用いて行うことができる。容易な検出のために
用い得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、コファクター、インヒビ
ター、磁気粒子、及び放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色素産生剤など
が含まれる。
【0099】 BMDSPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地
でのこのタンパク質の発現及び回収に好適な条件の下で培養される。形質転換さ
れた細胞から産生されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用さ
れるその配列及び/またはそのベクターによる。BMDSPをコードするポリヌクレ
オチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過するBMDSPの分
泌を誘導するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解され
よう。
【0100】 更に、挿入した配列の発現調節能力または発現したタンパク質を所望の形にプ
ロセシングする能力によって宿主細胞株が選択される。このようなポリペプチド
の修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(
lipidation)、及びアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
タンパク質の「prepro」形を切断する翻訳後のプロセシングを利用して、標的タ
ンパク質、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能である。翻訳後の
活性のための特定の細胞装置及び特徴のある機構をもつ種種の宿主細胞(例えば
、CHO、HeLa、MDCK、MEK293、WI38)がAmerican Type Culture Collection(ATC
C; Bethesda, MD)より入手可能であり、外来のタンパク質の正しい修飾及びプ
ロセシングを確実にするために選択される。
【0101】 本発明の別の実施例では、BMDSPをコードする自然或いは変更された、または
組換えの核酸配列を上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配
列に結合させる。例えば、市販の抗体によって認識できる異種部分を含むキメラ
BMDSPタンパク質が、BMDSPの活性のインヒビターに対するペプチドライブラリの
スクリーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部分及び異種ペプチド部分
が、市販の親和性基質を用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。このような
部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパ
ク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6
−His、FLAG、c−mc、赤血球凝集素(HA)が含まれるが、これらに限定されるも
のではない。GST及びMBP、Trx、CBP、6−Hisによって、固定されたグルタチオン
、マルトース、フェニルアルシン酸化物(phenylarsine oxide)、カルモジュリ
ン、金属キレート樹脂のそれぞれで同族の融合タンパク質の精製が可能となる。
FLAG、c−mc、及び赤血球凝集素(HA)によって、これらのエピトープ標識を特
異的に認識する市販のモノクロナール抗体及びポリクロナール抗体を用いた融合
タンパク質の免疫親和性の精製ができる。また、BMDSPをコードする配列と異種
タンパク質配列との間にあるタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が含むよ
うに遺伝子操作すると、BMDSPが精製の後に異種部分から切断され得る。融合タ
ンパク質の発現と精製の方法は、Ausubel. (1995、前出 ch 10).に記載されてい
る。市販されている様々なキットを用いて、融合タンパク質の発現及び精製を促
進できる。
【0102】 本発明の別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽抽
出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したBMDSPの合成が可能である。こ
れらの系は、T7またはT3、SP6プロモーターと機能的に結合したタンパク質をコ
ードする配列の転写と翻訳をつなげる。翻訳は、好ましくは35Sメチオニンで
ある放射能標識されたアミノ酸前駆体の存在の下で起こる。
【0103】 BMDSPの断片は、組換え生成物だけでなく固相技術を用いて直接的なペプチド
合成によって作製され得る(例えば、前出のCreighton, pp. 55-60.を参照)。タ
ンパク質の合成は、手動或いは自動で行われ得る。自動合成は、例えば431Aペプ
チドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことが可能である。BMDSPの種
々の断片は別々に合成して、次ぎに結合させて完全長分子を生成する。
【0104】 (治療) BMDSP-1のある領域と免疫グロブリンk軽鎖のある領域との間に、例えば、配
列及びモチーフの文脈における化学的及び構造的類似性が存在する。BMDSP-1の
発現は、癌及び免疫疾患に密接に関連する。従って、BMDSP-1は、癌、免疫疾患
及び感染症においてある役割を果たすと考えられる。更に、BMDSP-2のある領域
とMSE55のある領域との間に、化学的及び構造的類似性が存在する。BMDSP-2は心
血管組織に発現し、癌及び免疫疾患に密接に関連する。従って、BMDSP-2は、癌
、免疫疾患及び血管障害においてある役割を果たすと思われる。BMDSPの発現ま
たは活性の増大に関連する癌、免疫疾患、感染症及び血管障害の治療においては
、BMDSPの発現または活性を低下させることが望ましい。また、BMDSPの発現また
は活性の低下に関連する癌、免疫疾患、感染症及び血管障害の治療においては、
BMDSPの発現または活性を増大させることが望ましい。
【0105】 従って、一実施例において、BMDSPの発現または活性の低下に関連した疾患の
治療または予防のために、患者にBMDSPまたはその断片や誘導体を投与すること
が可能である。このような疾患の例には、癌が含まれ、その中には、腺癌、黒色
腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌や、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、
神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、
前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、子宮の癌、特に白血病、リ
ンパ腫等の造血系の癌が含まれ、また、免疫疾患も含まれ、その中には日光性角
化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、
アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、動脈硬化、喘息、アテローム
性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、滑液包
炎、胆嚢炎、硬変、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖
尿病、肺気腫、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチ
ャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、発作性夜間血色素尿症、肝炎
、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、
混合型結合織病(MCTD)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨
髄線維症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、真性多血症、多発性筋炎、乾癬、ラ
イター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェ−グレン症候群、全身性アナフ
ィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、原発性血小板血症、血小
板減少症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、並びに癌、血液透析、及び体外循
環の合併症と、外傷が含まれ、また、感染症が含まれ、その中には、アデノウイ
ルス及びアレナウイルス、ブンヤウイルス、カリチウイルス、コロナウイルス、
フィロウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、フラビウイルス、オル
ソミクソウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、パラミキソウイルス、
ピコルナウイルス、ポックスウイルス、レオウイルス、レトロウイルス、ラブド
ウイルス、トガウイルスに分類されるウイルス病原体による感染と、肺炎球菌及
びブドウ球菌、連鎖球菌、桿菌、コリネバクテリウム、クロストリジウム属、髄
膜炎菌、淋菌、リステリア、モラクセラ属、キンゲラ、ヘモフィルス属、レジオ
ネラ、ボルデテラ、グラム陰性腸内細菌(赤痢菌属及びサルモネラ、カンピロバ
クターを含む)、シュードモナス、ビブリオ属、ブルセラ、フランシセラ、エル
シニア、バルトネラ、norcardium、アクチノミセス、ミコバクテリア、スピロヘ
ターレス、リケッチア、クラミジア、マイコプラズマに分類される細菌病原体に
よる感染症と、コウジカビ及びブラストマイセス、皮膚糸状菌、クリプトコッカ
ス、コクシジオイデス、malasezzia、ヒストプラスマ、及び様々な真菌症を引き
起こすその他の真菌病原体に分類される真菌病原体による感染症と、プラスモデ
ィウムまたはマラリアを引き起こす体内寄生性アメーバ及びレーシュマニア、ト
リパノソーマ属、トキソプラズマ、ニューモシスチス‐カリニ、ジアルジア属な
どの腸内原生動物、トリコモナス、旋毛虫などの組織線形動物、回虫属などの腸
内線形動物、リンパのフィラリア性線形動物、住血吸虫及び条虫(サナダムシ)
などの線形動物に分類される寄生虫による感染症が含まれ、また、血管疾患が含
まれ、その中には、アテローム硬化性冠動脈疾患、動脈硬化症、高血圧症、血管
炎、レイノー病、動脈瘤、動脈解離、静脈瘤、血栓性静脈炎、静脈血栓症、血管
の腫瘍、並びに血小板崩壊、バルーン式血管形成術、血管置換術、及び大動脈冠
動脈バイパス術の合併症、並びに心血管疾患、心不全、心疾患、狭心症、心筋梗
塞、石灰化大動脈弁狭窄症及び他の大動脈弁疾患、心内膜炎、カルチノイド心疾
患、及び心臓移植の合併症等のアテローム性動脈硬化症や、動静脈フィステルの
ような血管疾患が含まれるが、ここに列記したものに限定されるわけではない。
【0106】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むBMDSPの発
現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、BMDSPまたはそ
の断片や誘導体を発現し得るベクターを患者に投与することも可能である。
【0107】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むBMDSP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精
製されたBMDSPを含む医薬品組成物を好適な医薬用担体と共に患者に投与するこ
とも可能である。
【0108】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むBMDSP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、BMDSPの活
性を調節するアゴニストを患者に投与することも可能である。
【0109】 更なる実施例では、BMDSPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療また
は予防のために、患者にBMDSPのアンタゴニストを投与することが可能である。
このような疾患の例には、限定するものではないが上記した癌、免疫疾患、感染
症及び血管障害疾患が含まれる。一実施態様では、BMDSPと特異的に結合する抗
体が直接アンタゴニストとして、或いはBMDSPを発現する細胞または組織に薬剤
を運ぶターゲッティング或いは運搬機構として間接的に用いられ得る。
【0110】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むBMDSPの発
現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、BMDSPをコード
するポリヌクレオチドの相補体を発現するベクターを患者に投与することも可能
である。
【0111】 別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補的な配列、ベクターを別の好適な治療薬と組み合わせて投与すること
もできる。当業者は、従来の医薬原理にしたがって併用療法で用いる好適な治療
薬を選択可能である。治療薬との組み合わせにより、上に列記した種々の疾患の
治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いて少ない量の各薬剤
で医薬効果をあげることが可能であり、広範囲な副作用の可能性を低減し得る。
【0112】 BMDSPのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可
能である。詳しくは、精製されたBMDSPを用いて抗体を作ったり、治療薬のライ
ブラリをスクリーニングしてBMDSPと特異的に結合するものを同定が可能である
。BMDSPの抗体も、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。
このような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、
一本鎖、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリによって作られたフラグメン
トが含まれる。但し、これらに限定されるものではない。治療用には、中和抗体
(即ち、二量体の形成を阻害するもの)が特に好ましい。
【0113】 抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及びその他のも
のを含む種々の宿主が、BMDSPまたは任意の断片、または免疫原性の特性を備え
るそのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々
のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。このようなアジュバン
トにはフロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュ
バント、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性
乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、及びジニトロフェノールなどの界面
活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトに用いられるアジ
ュバントの中では、BCG(bacilli Calmette-Guerin)及びCorynebacterium parv um が特に好ましい。
【0114】 BMDSPに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド、
または断片は、約5以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列が望ましく、更に望ま
しいのは約10以上のアミノ酸からなるものである。これらのオリゴペプチド或
いはペプチド、またはそれらの断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部
と同一であることが望ましく、小さな自然発生の分子のアミノ酸配列全体も含む
。BMDSPアミノ酸の短い伸展部は、KLHなどの別のタンパク質の配列と融合し、キ
メラ分子に対する抗体が産生され得る。
【0115】 BMDSPに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗
体分子を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。これらの技術
には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV−ハイブ
リドーマ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Kohler
, G. 等. (1975) Nature 256:495-497; Kozbor, D. 等. (1985) .J. Immunol. M
ethods 81−8-42; Cote, R.J. 等. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-20
30; Cole, S.P. 等. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120を参照)。
【0116】 更に、「キメラ抗体」の作製のために発達したヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺
伝子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性及び生物学的活性を
備える分子を得るために用いられる(例えば、Morrison, S.L.他. (1984) Proc.
Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855; Neuberger, M.S.他. (1984) Nature 312:604
-608; Takeda, S.等. (1985) Nature 314:452,454を参照)。別法では、当分野
で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して、
BMDSP特異性一本鎖抗体を生成する。関連する特異性を備えるが別のイディオタ
イプの組成の抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリから鎖
混合によって生成することもできる(例えば、Burton D.R. (1991) Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 88:11120-3を参照)。
【0117】 抗体は、リンパ球集団の中のin vivo産生を誘発することによって、または免
疫グロブリンライブラリのスクリーニング又は文献に示されているような、高度
に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって、産生すること
もできる(例えば、Orlandi, R. 他. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 3833
-3837; Winter, G. 他. (1991) Nature 349:293-299を参照)。
【0118】 BMDSPに対する特異的な結合部位を含む抗体も産生することができる。例えば
、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab')に
断片と、F(ab')に断片のジスルフィド架橋を減じることによって生成されるFa
b断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。別法では、Fab発現ライ
ブラリを作製することによって、所望の特異性とモノクローナルFab断片の迅速
且つ容易な同定が可能となる(例えば、Huse, W.D. 等. (1989) Science 254:12
75-1281を参照)。
【0119】 種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体
を同定する。隔離された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナ
ル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫放射線活性のための数々のプ
ロトコルが、当分野では周知である。通常このようなイムノアッセイには、BMDS
Pとその特異性抗体との間の複合体調整の計測が含まれる。二つの非干渉性BMDSP
エピトープに対して反応性のモノクローナル抗体を用いる、2部位モノクローナ
ルベースのイムノアッセイが好ましいが、競合的結合アッセイも利用することが
できる(Pound、前出)。
【0120】 ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、B
MDSP抗体の親和性を評価する。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは、平衡状
態の下でBMDSP抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル濃度で割った
ものである。多数のBMDSPエピトープに対して親和性が不均一なポリクロナール
抗体試薬の測定値Kaは、BMDSP抗体の平均親和性または結合活性を表す。特定
のBMDSPエピトープに単一特異的なモノクロナール抗体試薬のKaは、親和性の
真の測定値を表す。Ka値が10〜1012L/molの高親和性抗体試薬は、
BMDSP抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノアッセイに用いる
のが好ましい。Ka値が10〜10L/molの低親和性抗体試薬は、BMDSP
が抗体から最終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製(immunopurifica
tion)及び類似の処理に用いるのが好ましい。(Catty, D. (1988) Antibodies, Volume I: A Practical Approach . IRL Press, Washington, DC; Liddell, J. E
. and Cryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal Antibodies, John
Wiley & Sons, New York NY)。
【0121】 ポリクロナール抗体試薬の抗体価及び結合活性を更に評価して、あるダウンス
トリーム適用に対するこのような試薬の品質及び適性を調べる。例えば、少なく
とも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的
な抗体を含むポリクロナール抗体試薬の使用は、BMDSP抗体複合体を沈殿させな
ければならない処理に適している。様々な適用例における抗体の特異性及び抗体
価、結合活性、抗体の品質や使用法の指針は一般に入手可能である。(例えば、C
atty, 前出, 及びColigan 他、前出を参照)。
【0122】 本発明の別の実施例では、BMDSPをコードするポリヌクレオチド、またはその
任意の断片または相補配列が、治療目的で使用することができる。ある実施形態
では、BMDSPをコードするポリヌクレオチドの相補配列がmRNAの転写を阻止する
のに好適である場合、これを使用することができる。特に細胞は、BMDSPをコー
ドするポリヌクレオチドと相補的な配列で形質転換することもできる。したがっ
て、相補的分子または断片は、BMDSPの活性の調節、または遺伝子機能の調節の
ために使用することができる。このような技術は当分野では周知であり、センス
またはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、BMDSPをコードす
る配列の制御領域から、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計可能
である。
【0123】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス又はワクシニア、又は様々な細菌
性プラスミド由来の発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的の器官、組
織又は細胞集団に運ぶこともできる。当業者に周知の方法を用いてBMDSPをコー
ドポリヌクレオチドと相補的な核酸配列を発現するベクターを作製することがで
きる(例えば、前出のSambrook 他、及び前出のAusubel 他によるものを参照)。
【0124】 BMDSPをコードする遺伝子は、BMDSPをコードするポリヌクレオチド又はその断
片を高いレベルで発現する発現ベクターで、細胞又は組織を形質転換することに
よって止めることができる。このような作製物を用いて翻訳できないセンス又は
アンチセンス配列を細胞の中に導入することができる。DNAの中に組み入れられ
ない場合でも、このようなベクターは内在性のヌクレアーゼによって機能が損な
われるまでmRNA分子を転写し続ける。非複製ベクターでも一過性の発現を一ヶ月
以上に亘って続け、好適な複製要素がベクター系の一部である場合はさらに長く
持続し得る。
【0125】 上記した通り、遺伝子の発現は、BMDSPをコードする遺伝子の制御5’または
調節領域に対する相補的な配列またはアンチセンス分子(DNA或いはRNA、PNA)
を設計することによって調節することができる。転写開始部位、即ち開始部位か
ら−10と+10との間の領域に由来するオリゴヌクレオチドが好適である場合
と同様に、「三重らせん」と塩基対合法を用いて阻止することができる。三重ら
せん構造は、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、または調節分子の結合のた
めに十分に広がるのを阻止するため有益である。三重式DNAを用いる最近の治療
の進歩は文献に記載されている(例えば、Gee, J.E. 等. (1994) In: Huber, B.
E. 及び B.I. Carr, Molecular and Immunologic Approaches, Futura Publishi
ng Co., Mt. Kisco, NYを参照)。相補的な配列またはアンチセンス分子もまた
、転写物がリボソームに結合するのを阻止することによってmRNAの翻訳を阻止す
るように設計できる。
【0126】 酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために用いる
ことができる。リボザイム作用の機構には、相補的な標的RNAへのリボザイム分
子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれ、ヌクレオチド鎖切断が続く。
例えば、BMDSPをコードする配列のヌクレオチド鎖切断を、特異的且つ効果的に
触媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。
【0127】 任意の潜在的RNA標的の中の特異的なリボザイム切断部位が、後続の配列GU
A、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位に対して、標的分子をスキャ
ニングすることによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含む
標的遺伝子の領域に対応する15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配
列を、オリゴヌクレオチドの機能を不全にする二次的な構造の特徴について評価
することが可能である。候補標的の適合性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを
用いて、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの容易性をテ
ストすることによって評価することが可能である。
【0128】 本発明の相補的なリボ核酸分子及びリボザイムは、当分野で周知の方法を用い
て、核酸分子の合成のために作製することができる。これらの方法には、固相ホ
スホラミダイト化合物などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法が含ま
れる。別法では、RNA分子がin vitro及びin vivoでBMDSPをコードするDNA配列の
転写によって生成され得る、このようなDNA配列はT7またはSP6等の好適なR
NAポリメラーゼプロモータを用いて、種々のベクターの中に組み入れることが可
能である。別法では、相補的なRNAを構成的または誘導的に合成するこれらのcDN
A作製物は、細胞株、細胞、または組織の中に導入することができる。
【0129】 RNA分子を修飾することによって、細胞内の安定性を高め、半減期を長くする
ことができる。可能な修飾には、分子の5’及び/または3’端部でのフランキ
ング配列の追加、または分子のバックボーン内でのホスホジエステラーゼ結合よ
りむしろホスホロチオネート又は2’Oメチルの使用が含まれる、がこれらに限
定されるものではない。PNAの生成に固有のこの概念は、内在性のエンドヌクレ
アーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、
及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び同様の修飾形態だけでなく
、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)など
の従来のものでない塩基を含めることによって、これらの分子の全体に拡大する
ことができる。
【0130】 ベクターを細胞又は組織に導入する多数の方法が利用でき、in vivoin vitr o 、及びex vivoでの使用に等しく適している。ex vivoでの治療の場合、患者か
ら採取された肝細胞の中にベクターを導入して、自家移植で同じ患者に戻すため
にクローニング増殖される。トランスフェクション、リボソーム注入またはポリ
カチオンアミノポリマーによる運搬は、当分野で周知の方法を用いて実行するこ
とができる(例えば、Goldman, C.K. 他. (1997) Nature Biotechnology 15:462
-66:を参照)。
【0131】 上記したいかなる治療方法も、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル
、及び最も好ましいヒトなどの哺乳動物を含む、治療が必要な全ての被験者に適
用できる。
【0132】 本発明の別の実施例は、上記した全ての治療効果のために、医学上認められる
担体と共に医薬品或いは無菌組成物の投与に関連する。このような医薬品組成物
は、BMDSP、BMDSPに対する抗体、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、又はBMDS
Pのインヒビターなどからなる。この組成物は、単体で、或いは安定剤などの1
種類以上の別の薬剤と共に、無菌の生体適合性医薬品担体に投与することができ
る。このような医薬品担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖、及び水な
どが含まれるがこれらに限定されるものではない。この組成物は、単独或いは薬
物又はホルモンなどの別の薬剤と共に投与することができる。
【0133】 本発明に用いられる医薬品組成物は、任意の数の経路を用いて投与することも
できる。この経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内
、心室内、経皮性、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、異所性、舌下、または直腸が
含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0134】 活性処方成分に加えて、これらの医薬品組成物には、活性化合物を医薬的に使
用可能な薬剤にするのを容易にする、医薬品添加物及び補助剤を含む好適な薬学
的に認められる担体が含まれ得る。製剤及び投与についての詳しい技術について
は、最新版のRemington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing, PA)に
記載されている。
【0135】 経口投与用の医薬品組成物が、経口投与に好適な投与量において当分野で周知
の薬学的に許容される担体を用いて、製剤することができる。このような担体に
より、医薬品組成物が患者が摂取するために、錠剤、丸薬、糖衣剤、カプセル、
液体、ゲル状、シロップ剤、泥状物、懸濁液として製剤される。
【0136】 経口用に用いられる医薬品は、活性化合物と固体の薬品添加物とを混合し、得
られた顆粒の混合物を処理して、(所望に応じてすりつぶした後)タブレット或
いは糖衣錠コア(dragee cores)にする。好適な医薬品添加物とは、ラクトース
、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類、トウモロコシ、小
麦、米、ジャガイモ、又はその他の植物からのでんぷん、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウ
ムなどのセルロース、アラビアゴム及びトラガカントゴムを含むゴム、ゼラチン
及びコラーゲンなどのタンパク質などの炭水化物又はタンパク質賦形剤である。
必要に応じて、例えば、架橋結合したポリビニルピロリドン、かんてん、アルギ
ン酸、またはその塩であるアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤が
加えられる。
【0137】 糖衣錠コアは、濃縮糖溶剤などの好適なコーティングと共に用いられる。この
ような濃縮糖溶剤には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボ
ポルゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタ
ン、ラッカー溶剤、及び好適な有機溶媒または混合溶剤などが含まれ得る。染料
または色素が、製品の識別又は活性化合物の量、即ち薬用量を示すため、錠剤ま
たは糖衣錠に加えられる。
【0138】 経口用に用いられる医薬品製剤には、ゼラチンから作られたプッシュ−フィッ
ト型のカプセル、グリセロールまたはソルビトールなどのコーティングとゼラチ
ンからなる封入されたカプセルが含まれる。プッシュ−フィット型のカプセルに
は、ラクトース又はスターチなどの賦形剤や結合材、タルク又はステアリン酸マ
グネシウムなどの潤滑剤、所望に応じて安定剤と混合された活性処方成分が含ま
れる。ソフトカプセルでは、活性化合物が、安定剤と共に或いは安定剤なしで、
脂肪油、溶液、またはポリエチレングリコール溶液などの好適な溶液に溶解或い
は懸濁され得る。
【0139】 非経口投与用に好適な医薬品剤が、水溶液で製剤されるが、ハンクス液、リン
ガー液、生理緩衝食塩水などの生理学的に適合性のある緩衝剤が好ましい。水性
懸濁注射液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデ
キストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。更に、活性化合物の懸
濁液は、好適な油性注入懸濁液として製剤され得る。好適な親水性溶液または媒
体には、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチル、トリグリセリド又はリボソー
ムなどの合成脂肪酸が含まれる。非脂質ポリカチオンアミノポリマーが、運搬目
的で使用される。随意選択により、懸濁液は高濃度の溶液が可能となるよう化合
物の溶解性を高める好適な安定剤または薬剤を含み得る。
【0140】 局部または鼻腔投与のために、特定の障壁に浸透する好適な浸透剤が製剤に用
いられる。このような浸透剤は当業者には周知である。
【0141】 本発明の医薬品組成物は、当分野で周知の方法、例えば従来の混合、溶解、顆
粒化、糖衣化、溶離(levigating)、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥
処理を用いて製造され得る。
【0142】 医薬品組成物は塩類として製剤され、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳
酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多くの酸と共に形成可能である。塩分は対
応する遊離塩基系よりも、水溶剤または他のプロトン溶剤に溶けやすい。別の場
合の好ましい薬剤の形態には、1から50mMヒスチジン、0.1%〜2%スク
ロース、及び2〜7%マンニトールの幾つか或いは全てを含み、pHの範囲が4
.5〜5.5であり、使用前に緩衝剤と結合する凍結乾燥粉末を用いることがで
きる。
【0143】 医薬品組成物が調合された後、それらは適当な箱に詰められ、指定した症状の
薬としてラベルが貼られる。BMDSPの投与のため、このようなラベルには、量、
頻度、及び投与の方法が含まれるであろう。
【0144】 本発明に用いる好適な医薬品組成物には、目的を達成するため、効果的な量の
活性処方成分を含む組成物が含まれる。当業者は、自分の能力で十分に効果的な
服用量を決めることができる。
【0145】 どのような組成物であっても、治療に効果的な薬用量は、初めは、例えば腫瘍
細胞の腫瘍細胞アッセイで、或いは動物モデルのどちらかで推定することができ
る。通常、動物モデルには、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタなどが用いられる
。動物モデルはまた、好適な濃縮範囲及び投与の経路を決めるのに用いることが
できる。このような治療をもとに、ヒトへの有益な薬用量及び投与経路を決定す
ることができる。
【0146】 医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させる、たとえばBMDSP又はそ
の断片、BMDSPの抗体、BMDSPのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビター
などの活性処方成分の量に関連する。薬用有効度及び毒性は、たとえば、ED50 (服用に対して集団の50%に医薬的効果がある)またはLD50(服用に対して
集団の50%に致命的である)統計を計算するなど、細胞培養または動物実験に
おける標準的な薬剤手法によって決定することができる。治療効果と毒性効果と
の薬用量比は治療指数であり、LD50/ED50と示すことができる。高い治療指
数を示す医薬品組成物が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られた
データが、ヒトへの適用のために、薬用量の範囲を調剤するのに用いられる。こ
のような組成物が含まれる薬用量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、ED50を含
む血中濃度の範囲であることが望ましい。薬用量は、用いられる投与形態及び患
者の感受性、投与の経路によって、この範囲内で様々である。
【0147】 正確な薬用量は、治療が必要な患者に関する要素を考慮して、実務者によって
決められるであろう。薬用量及び投与は、効果的なレベルの活性成分を与えるた
め或いは所望の効果を維持するために調節される。薬用量の要素として考慮され
るものには、疾患の重症度、患者の一般的な健康状態、年齢、体重、及び患者の
性別、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感受性、及び治療に対する応答
が含まれる。作用器官が長い医薬品組成物は、三日か四日に一度、一週間に一度
、二週間に一度、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって左右され、投
与され得る。
【0148】 通常の薬用量は投与の経路によって異なるが、約0.1〜100,000μg
までの最大約1グラムまでである。特定の薬用量及び運搬の方法に関するガイダ
ンスは文献に記載されており、一般に当分野の実務者はそれを利用することがで
きる。当業者は、タンパク質またはインヒビターとは異なったヌクレオチドの製
剤を利用するであろう。同様に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの運搬は、
特定の細胞、状態、位置などに対して特異的であろう。
【0149】 診断 別の実施例では、BMDSPに特異的に結合する抗体が、BMDSPの発現によって特徴
付けられる疾患の診断、またはBMDSPやBMDSPのアゴニストまたはアンタゴニスト
、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用いら
れる。診断に有用な抗体は、治療のところで記載した方法と同じ方法で製剤され
る。BMDSPの診断アッセイには、抗体及び標識を用いてヒトの体液或いは細胞や
組織から採取されたものからBMDSPを検出する方法が含まれる。これらの抗体は
、修飾をして或いはしないで使用され、レポーター分子の共有結合性或いは非共
有結合性の接着によって標識化され得る。当分野で周知の種々のレポーター分子
が用いられるが、その内の幾つかは上記した。
【0150】 BMDSPを測定するためのELISA,RIA,及びFACSを含む種々のプロトコルは、当
分野では周知であり、変わった或いは異常なレベルのBMDSPの発現を診断する元
となるものを提供する。正常或いは標準的なBMDSPの発現の値は、複合体の形成
に適した条件の下、正常な哺乳動物、好ましくはヒトである被験者から採取した
体液または細胞とBMDSPに対する抗体とを結合させることによって決定する。標
準的な複合体形成の量は種々の方法で定量され得るが、測光法(photometric)
が好ましい。被験者のBMDSPの発現の量、制御及び疾患、生検組織からのサンプ
ルが標準値と比較される。標準値と被験者との間の偏差が、疾患を診断するパラ
メーターとなる。
【0151】 別の実施例によれば、BMDSPをコードするポリヌクレオチドを診断のために用
いることもできる。用いられるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列
、相補的なRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。ポリヌクレオチドを用いて、
疾患と相関し得るBMDSPを発現する生検組織における遺伝子の発現を検出及び定
量する。この診断アッセイを用いて、BMDSPの不在、存在、及び過度の発現を調
べ、治療中のBMDSPレベルの制御を監視する。
【0152】 ある実施形態では、BMDSPまたは近縁の分子をコードする遺伝子配列を含むポ
リヌクレオチド配列を検出可能なPCRプローブを用いたハイブリダイゼーション
によって、BMDSPをコードする核酸配列を同定することが可能である。例えば5'
調節領域である高度に特異的な領域か、例えば保存されたモチーフであるやや特
異性の低い領域から作られているかのプローブの特異性と、ハイブリダイゼーシ
ョン或いは増幅の厳密性(最大、高い、中間、または低い)は、プローブがBMDS
Pをコードする自然界の配列のみを同定するかどうか、或いはアレルや関連配列
コードする自然界の配列のみを同定するかどうかによって決まるであろう。
【0153】 プローブはまた、関連する配列の検出に利用され、BMDSPをコードする任意の
配列からのヌクレオチドを50%以上含むのが望ましい。目的の本発明のハイブ
リダイゼーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID NO:3−4
の配列、或いはBMDSP遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含む
ゲノム配列に由来し得る。
【0154】 BMDSPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブの作
製方法には、BMDSP及びBMDSP誘導体をコードするポリヌクレオチド配列をmRNAプ
ローブの作製のためのベクターにクローニングする方法がある。このようなベク
ターは市販されており、当業者には周知であり、好適なRNAポリメラーゼ及び好
適な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを
合成するために用いられる。ハイブリダイゼーションプローブは、例えば32
或いは35Sなどの放射性核種、或いはアビジン/ビオチン(biotin)結合系に
よってプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標識等の種々の
レポーターの集団によって標識され得る。
【0155】 BMDSPをコードするポリヌクレオチド配列を用いて、BMDSPの発現に関連する疾
患を診断することが可能である。このような疾患の例には、癌が含まれ、その中
には、腺癌、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌や、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳
房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、
副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、子宮の癌
、特に白血病、リンパ腫等の造血系の癌が含まれ、また、免疫疾患も含まれ、そ
の中には日光性角化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び副腎機能不全、成人
呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、動脈硬化、
喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、
気管支炎、滑液包炎、胆嚢炎、硬変、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚
炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎
炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、発作性夜間
血色素尿症、肝炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、リンパ球毒素性一時性
リンパ球減少症、混合型結合織病(MCTD)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋
又は心膜炎症、骨髄線維症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、真性多血症、多発
性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェ−グレン症候
群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、原発性
血小板血症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、並びに癌、血液
透析、及び体外循環の合併症と、外傷が含まれ、また、感染症が含まれ、その中
には、アデノウイルス及びアレナウイルス、ブンヤウイルス、カリチウイルス、
コロナウイルス、フィロウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、フラ
ビウイルス、オルソミクソウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、パラ
ミキソウイルス、ピコルナウイルス、ポックスウイルス、レオウイルス、レトロ
ウイルス、ラブドウイルス、トガウイルスに分類されるウイルス病原体による感
染と、肺炎球菌及びブドウ球菌、連鎖球菌、桿菌、コリネバクテリウム、クロス
トリジウム属、髄膜炎菌、淋菌、リステリア、モラクセラ属、キンゲラ、ヘモフ
ィルス属、レジオネラ、ボルデテラ、グラム陰性腸内細菌(赤痢菌属及びサルモ
ネラ、カンピロバクターを含む)、シュードモナス、ビブリオ属、ブルセラ、フ
ランシセラ、エルシニア、バルトネラ、norcardium、アクチノミセス、ミコバク
テリア、スピロヘターレス、リケッチア、クラミジア、マイコプラズマに分類さ
れる細菌病原体による感染症と、コウジカビ及びブラストマイセス、皮膚糸状菌
、クリプトコッカス、コクシジオイデス、malasezzia、ヒストプラスマ、及び様
々な真菌症を引き起こすその他の真菌病原体に分類される真菌病原体による感染
症と、プラスモディウムまたはマラリアを引き起こす体内寄生性アメーバ及びレ
ーシュマニア、トリパノソーマ属、トキソプラズマ、ニューモシスチス‐カリニ
、ジアルジア属などの腸内原生動物、トリコモナス、旋毛虫などの組織線形動物
、回虫属などの腸内線形動物、リンパのフィラリア性線形動物、住血吸虫及び条
虫(サナダムシ)などの線形動物に分類される寄生虫による感染症が含まれ、ま
た、血管疾患が含まれ、その中には、アテローム硬化性冠動脈疾患、動脈硬化症
、高血圧症、血管炎、レイノー病、動脈瘤、動脈解離、静脈瘤、血栓性静脈炎、
静脈血栓症、血管の腫瘍、並びに血小板崩壊、バルーン式血管形成術、血管置換
術、及び大動脈冠動脈バイパス術の合併症、並びに心血管疾患、心不全、心疾患
、狭心症、心筋梗塞、石灰化大動脈弁狭窄症及び他の大動脈弁疾患、心内膜炎、
カルチノイド心疾患、及び心臓移植の合併症等のアテローム性動脈硬化症や、動
静脈フィステルのような血管疾患が含まれるが、ここに列記したものに限定され
るわけではない。BMDSPをコードするポリヌクレオチド配列は、サザーン法やノ
ーザン法、ドットブロット法、或いはその他の膜系の技術、PCR法、ディップス
ティック(dipstick)、ピン(pin)、ELISA式アッセイ、及び変異BMDSPの発現
を検出するために患者から採取した体液或いは組織を利用するマイクロアレイに
使用することが可能である。このような質的或いは量的方法は、当分野では周知
である。
【0156】 特定の形態において、BMDSPをコードするヌクレオチド配列は、関連する疾患
、特に上記した疾患を検出するアッセイにおいて有用であろう。BMDSPをコード
するヌクレオチド配列は、標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション
複合体の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに
加えることができるであろう。好適な培養期間の後、サンプルを洗浄し、シグナ
ルを定量して標準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が、制御サンプ
ルと較べて著しく変わっている場合は、サンプル内のBMDSPをコードするヌクレ
オチド配列の変異レベルにより、関連する疾患の存在が明らかになる。このよう
なアッセイを用いて、動物実験、臨床試験、或いは個人の患者の治療を監視にお
ける、特定の治療効果を推定することが可能である。
【0157】 BMDSPの発現に関連する疾患の診断の基準となるものを提供するために、正常
あるいは標準的な発現の概要が確立される。これは、ハイブリダイゼーション或
いは増幅に好適な条件の下、動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から抽出さ
れた体液或いは細胞と、BMDSPをコードする配列或いはその断片とを結合させる
ことにより達成され得る。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験者か
ら得た値と周知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが用いられる実験か
らの値とを比較することによって定量可能である。正常なサンプルから得た標準
的な値を、疾患の症状を示す被験者から得た値と比較可能である。標準値と被験
者の値との偏差を用いて疾患の存在を確定する。
【0158】 疾患の存在が確定され治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを通常ベースで繰り返して、被験者における発現のレベルが正常な患
者に示される値に近づき始めたかどうかを推定することが可能である。繰り返し
行ったアッセイの結果を、数日から数ヶ月の期間の治療の効果を見るのに用いる
ことができる。
【0159】 癌では、個体からの生体組織における異常な量の転写物が、疾患の発生の素因
を示し、また実際に臨床的症状が出る前に疾患を検出する方法を提供することが
可能である。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防方法或いは積
極的な治療法を早くから利用して、癌の発生または進行を防ぐことが可能となる
【0160】 BMDSPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断へ
の利用には、PCRの利用が含まれ得る。このようなオリゴマーは、化学的な合成
、酵素を用いた生成、或いはin vitroで生成され得る。オリゴマーは、好ましく
はBMDSPをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはBMDSPをコードするポリヌ
クレオチドと相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件の下、特定の
遺伝子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや低い厳密
性条件の下、近縁のDNA或いはRNA配列の検出及び/または定量のため用いること
が可能である。
【0161】 BMDSPの発現を定量するために用いられ得る方法には、ヌクレオチドの放射標
識或いはビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)、及び標準的
な曲線に結果が加えられたものが含まれる(例えば、Melby, P.C.等(1993) J. I
mmunol. Methods, 159:235-44;Duplaa, C.等(1993) Anal. Biochem. 229-236を
参照)。多数のサンプルの定量速度が、目的のオリゴマーが種々の希釈液に含ま
れ、分光光度法或いは非色応答により迅速に定量するELISA型のアッセイを用い
ることによって加速された。
【0162】 別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列由来のオリ
ゴヌクレオチドまたはそれより長い断片を、マイクロアレイにおける標的として
用いる。マイクロアレイを用いて、同時に極めて多くの遺伝子の発現レベルを監
視し、遺伝子の変異、突然変異及び多形性を識別する。この情報は、遺伝子機能
の決定、疾患の遺伝的根拠の解釈、疾患の診断、及び治療薬剤の活性の監視及び
開発に有用である。
【0163】 当分野で周知の方法でマイクロアレイを準備して使用し、分析する。(例えば
、Brennan, T.M. 他 (1995) 米国特許第5,474,796号;Schena, M. 他 (1996) Pro
c. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619; Baldeschweiler 他(1995) PCT出願番号W
O95/251116; Shalon, D.他 (1995) PCT出願番号WO95/35505; Heller, R.A. 他(1
997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150-2155; 及び Heller, M.J. 他 (1997
) 米国特許第5,605,662号を参照) 本発明の別の実施例ではまた、BMDSPをコードする核酸配列を用いて、自然発
生のゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを
生成することが可能である。この配列は、以下のものに対してマッピングされる
。特定の染色体、染色体の特定領域または人工生成の染色体、例えば、ヒト人工
染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1生
成物或いは単一染色体cDNAライブラリである。(例えば、Harrington, 1.3. 他
(1997) Nat Genet. 15:345-355; Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134,
及びTrask, B.J. (1991) Trends Genet. 7:149-154を参照) in sit蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッピング
技術及び遺伝マップデータと相関するであろう(例えば、Heinz-Ulrich, 他によ
る(1995) in Meyers, 前出, pp. 965-968.を参照)。遺伝子マップデータの例は
、種々の科学誌あるいはOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のサイ
トで見付けることができる。物理的な染色体マップ上のBMDSPをコードする遺伝
子の位置と特定の疾患との相関性、或いは特定の疾患に対する素因が、このよう
な疾患と関係するDNAの領域を決定するのに役立つ。本発明のヌクレオチド配列
を用いて、正常者と、保有者、及び感染した者との遺伝子配列における違いを検
出することもある。
【0164】 染色体標本のin sitハイブリダイゼーション、及び確定した染色体マーカーを
用いた結合分析などの物理的マッピング技術を用いて、遺伝子マップを拡張する
こともできる。マウスなどの別の哺乳動物の染色体上での遺伝子の配置により、
たとえ特定のヒト染色体の数或いはアームが分かっていなくても、関連するマー
カーが明らかになることが多い。新規の配列を、物理的なマッピングによって、
染色体アームに割り付けることもできる。このことは、位置クローニング或いは
別の遺伝子発見技術を用いて遺伝的疾患の研究をしている研究者にとって、価値
ある情報である。疾患或いは症候群の位置が、例えば血管拡張性失調症の11q22-
23などの特定の遺伝子領域に遺伝子結合によって大まかに決定されると、その領
域に対するどの配列マッピングも、さらなる調査のための関連する遺伝子或いは
調節遺伝子を表す(例えば、Gatti, R.A.他による(1988)Nature 336:577-580
を参照)。また、目的の本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、保有者、
即ち感染者の間の、転位置、反転などによる染色体位置の違いを検出することも
ある。
【0165】 本発明の別の実施例では、BMDSP、その触媒作用断片或いは免疫原断片または
そのオリゴペプチドを、種々の任意の薬剤スクリーニング技術における化合物の
ライブラリのスクリーニングに用いることができる。このようなスクリーニング
に用いる断片は、溶液に遊離、固体支持物に固定、細胞の表面上に保持、或いは
細胞内に存在する。BMDSPとテストされる薬剤との複合体を結合することによる
形成は計測されることもある。
【0166】 薬剤スクリーニングに用いる別の方法は、目的のタンパク質に対して、好適な
結合親和性を有する化合物のスクリーニング処理能力を高めるために用いられる
(例えば、Geysen,他による(1984) PCT出願番号 WO84/03564を参照)。この方法
では、相当な数の異なる小さな試験用化合物が、プラスチックピン或いは他の基
板の上に合成される。試験用化合物は、BMDSP、或いはその断片と反応してから
洗浄される。次ぎに、結合されたBMDSPが、当分野で周知の方法で検出される。
精製されたBMDSPはまた、前記した薬剤をスクリーニングする技術に用いられる
プレート上で直接被覆することもできる。別法では、非中和抗体を用いて、ペプ
チドを捕らえ、固体支持物に固定することもできる。
【0167】 別の実施例では、BMDSPと結合可能な中和抗体がBMDSPと結合するため試験用化
合物と特に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる
。この方法では、抗体が、BMDSPと1つ以上の抗原決定因子を共有するどのペプ
チドの存在も検出する。
【0168】 別の実施例では、発展途上の分子生物学技術にBMDSPをコードするヌクレオチ
ド配列を用いて、限定はされないが、現在知られているトリプレット暗号及び特
異的な塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する新しい技術を提
供することができる。
【0169】 当分野の技術者であれば、更なる説明がなくても前述の説明だけで最大限に本
発明を利用できるであろう。したがって、以下に記載する特定の実施例は、例示
目的であって本発明を限定するものではない。
【0170】 前出及び以下に記載した全ての特許出願、特許、刊行物、特に米国出願(1998
年10月2日に提出した、代理人整理番号PF-0609P)を引用することをもって本明
細書の一部とする。
【0171】
【実施例】
1 cDNAライブラリの作製 BMARNOT02 BMARNOT02ライブラリは、Clontechから購入したRNAを用いて作製した。RNAは
年齢16歳乃至70歳の24名の男性及び女性の白人ドナーの骨髄から単離されたもの
であった。cDNAライブラリは、このRNAを用いてStratagene社によりカスタム品
として作製された。cDNAの合成ではオリゴd(T)及びランダム6量体を用いてプラ
イミングを行い、cDNAライブラリはUNIZAPベクターシステム(Stratagene)を用
いてクローン化された。
【0172】 PROSNOT18 PROSNOT18ライブラリは、年齢58歳の白人男性から、根治的膀胱切除、根治的
前立腺切除、及び胃フィステル形成の際に採取された前立腺患部組織から単離さ
れたRNAを用いて作製した。病変は、腺線維筋腫性過形成を示していた。関連腫
瘍組織の病変は、グレード3転移性細胞癌を示していた。患者の既往症としては
アンギナ及び肺気腫があった。家族歴には、急性心筋梗塞、アテローム硬化性冠
動脈疾患、及びII型糖尿病があった。
【0173】 冷凍組織をグアニジンイソシオチアネート溶液中でPolytron PT-3000ホモジナ
イザ(Brinkmann Instruments,Westbury NY)を用いてホモジナイズし、溶解し
た。ライセートをCsClクッションの上で遠心分離し、RNAを単離した。このRNAを
酸性フェノールで抽出し、酢酸ナトリウム及びエタノールを用いて沈殿させ、RN
アーゼのない水に再懸濁し、DNアーゼで処理した。そのRNAを酸性フェノールで
再抽出し、上述のように再沈殿させた。ポリ(A+)RNAをOLIGOTEX mRNA purific
ation kit(QIAGEN, Chatsworth CA)を用いて単離した。
【0174】 SUPERSCRIPT plasmid system(Life Technologies)の推奨プロトコルに従っ
て、ポリ(A+)RNAを用いてcDNAを合成し、cDNAライブラリを作製した。そのcDN
AはSEPHAROSE CL4Bカラム(Amersham Pharmacia Biotech)の上で分画化し、400
bpを超える大きさのcDNAをpINCY(Incyte Pharmaceuticals, Palo Alto CA)に
リゲートした。組換えプラスミドは、DH5αコンピテント細胞(Life Technologi
es)に形質転換した。
【0175】 2 cDNAクローンの単離 BMARNOT02 cDNAクローンを、in vivo切採によって一本鎖のPBLUSCRIPTファージミド(Str
atagene)として回収した。これらのファージミドを用いて、SOLRホスト細胞(S
tratagene)に再感染させ、QIAWELL-8 plasmid purification system(QIAGEN)
又はMINIPREP plasmid purification kit(Advanced Genetic Technologies Cor
p., Gaithersburg, MD)の何れかを用いてそこからに二本鎖の組換えファージミ
ドを精製した。
【0176】 PROSNTO18 REAL Prep 96 プラスミド精製キット (QIAGEN)を用いて、プラスミドDNAを細
胞から遊離して精製した。このとき、以下の変更点を除いて推奨プロトコルに従
った。その変更点とは、1)細菌を、0.4%のグリセリン及び25mg/Lの
カルベニシリンを含む1mlの無菌Terrific Broth (Life Technologies) で培
養する。2)培養物を19時間インキュベートした後、細胞を0.3mlの溶解
バッファーで溶解する。4)イソプロパノールによる沈殿の後、プラスミドDNA
ペレットをそれぞれ、0.1mlの蒸留水に再懸濁した。この後、DNAサンプル
を4℃で保管した。
【0177】 3 シークエンシング及び分析 シークエンシングのためのcDNAの準備に、ABI CATALYST 800 (Perkin-Elmer)
またはHYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific)、MICROLAB 2200 シ
ステム(Hamilton)をPTC-200 thermal cyclers (MJ Research)と共に用いた。cDN
Aのシークエンシングには、ABI PRISM 373または377シークエンシングシステム(
Perkin-Elmer)及び標準ABIプロトコル、塩基対呼び出しソフトウェア、キットを
用いた。別法では、cDNAのシークエンシングには、MEGABACE 1000 DNAシークエ
ンシングシステム(Molecular Dynamics)を用いた。更なる別法では、cDNAの増幅
及びシークエンシングにABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready
reactionキット(Perkin-Elmer)を用いた。また、更なる別法では、cDNAのシー
クエンシングにAmersham Pharmacia Biotech社の溶液と色素を用いた。ESTの読
み枠は、標準的な方法( Ausubel, 1997, 前出, unit 7.7を参照)を用いて決定し
た。cDNA配列の幾つかを選択して、本実施例の5の部分に記載した方法で延長し
た。
【0178】 cDNA及び延長、ショットガンシークエンシングから得たポリヌクレオチド配列
の構築及び分析は、当分野の技術者に既知のアルゴリズムを利用したソフトウェ
アを組合せて行った。表1は、利用したツール、ソフトウェア、アルゴリズム、
それらの説明、引用文献、閾値パラメーターの概要を示す。表1の列1は用いた
ツール及びプログラム、アルゴリズム、列2はそれらの簡単な説明、列3は引用
することで本明細書の一部とした引用文献、列4の記載部分は2つの配列の一致
度の評価に用いたスコア及び確率値、他のパラメータを示す(確率値が高ければ
高いほど配列間の相同性が高くなる)。配列の解析には、MACDNASIS PROソフト
ウェア(Hitachi Software Engineering)及びLASERGENEソフトウェア (DNASTAR)
を用いた。
【0179】 ポリヌクレオチド配列の確証は、BLAST及び動的計画法、ジヌクレオチド最近
接分析に基づいたプログラム及びアルゴリズムを用いて、ベクター及びリンカー
、ポリA配列を取り除き、あいまいな塩基対をマスクすることで行った。次に、
BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムを用いて、公共のデータベースで
あるGenBankの霊長類及びげっ歯類、哺乳類、脊椎動物、真核生物のデータベー
スやBLOCKSデータベースなどから選択した配列に対してこれらの配列を問合わせ
て注釈を得た。Phred及びPBMDSP、Consedに基づいたプログラムを用いて完全長
のポリヌクレオチド配列の中にこれらの配列を構築して、BLAST及びFASTA、BLIM
PSに基づいたプログラムでオープンリーディングフレームのためにスクリーンし
た。完全長のポリヌクレオチド配列を翻訳して対応する完全長のアミノ酸配列を
引き出し、GenBankデータベース(上記)及びSwissProt、BLOCKS、PRINTS、PFAM、
Prositeなどのデータベースに対して問い合わせてこれらの完全長の配列を分析
した。HMMは、確率を利用して遺伝子ファミリーのコンセンサス一次構造を解析
する。
【0180】 完全長のポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の構築及び分析に用いる上記
のプログラムは、SEQ ID NO:3−4からのポリヌクレオチド配列の断片の同定にも
使用できる。約20から4000までのヌクレオチドの断片はハイブリダイゼー
ション及び増幅に有用であり、上記の(発明)の部分で既に説明した。
【0181】 4 ノーザン分析 ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技
術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識さ
れたヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(例えば、Sambrook,前出
, 7章; 及び Ausubel. (1995)、前出, 4章及び16章を参照)。
【0182】 BLASTに用いる類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank或いはLIFESEQ(Inc
yte Pharmaceuticals)のようなヌクレオチドデータベース内の同一或いは関連
する分子を検索する。この分析は多くの膜系ハイブリダイゼーションより非常に
速度が速い。さらにコンピュータ検索の感度を変更して、任意の特定の一致が、
厳密な一致或いは相同的一致の何れかとして分類されるかを確定することができ
る。検索の基準は、 (%配列同一性×%最大BLASTスコア)/100 として定義される積スコアである。積スコアは、2つの配列間の類似度及び配列
一致の長さの両方を考慮する。例えば、積スコア40の場合、その一致は1〜2
%誤差の範囲内で正確であり、70ではその一致は正確であろう。類似分子は通
常、15〜40の範囲の積スコアを示す分子を選択することにより同定されるが
、それより低いスコアでも関連した分子が同定される場合もある。
【0183】 ノーザン分析の結果は、BMDSPをコードする転写物が発生したライブラリの分
布割合として報告される。分析には、器官/組織及び疾患によるcDNAライブラリ
の分類も含まれる。器官/組織のカテゴリーには、心血管、皮膚、発生、内分泌
、胃腸、造血/免疫、筋骨格、神経、生殖、泌尿が含まれる。疾患のカテゴリー
には、癌、炎症/外傷、胎児、神経、貯留(pooled)が含まれる。それぞれのカテ
ゴリーについて、目的の配列を発現するライブラリの数を数えて、それを全ての
範囲のライブラリの数で割った。各組織に特異的に発現する割合(パーセント)
と各疾患で発現する割合を表3に示した。
【0184】 5 BMDSPをコードするポリヌクレオチドの延長 SEQ ID NO:3−4の完全長の核酸配列は、完全長分子の好適な断片から設計した
オリゴヌクレオチドプライマーを用いてその完全長分子の好適な断片を延長して
作製した。一方のプライマーは既知の断片の5'の延長を開始するために合成し
、他方のプライマーは既知の断片の3'の延長を開始するために合成した。開始
プライマーは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは他
の適切なプログラムを用いて、約22個から約30個のヌクレオチドの長さで約
50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニール
するように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体が生じな
いようにヌクレオチドを延長した。選択されたヒトcDNAライブラリを用いてこの
配列を延長した。2段階以上の延長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、追
加或いはネスト化プライマーの組を設計する。
【0185】 当分野で既知の方法を利用したPCR法で高い忠実度で増幅した。PCRはPTC-200
thermal cycler (MJ Research, Inc.)用いて96ウェルブロックプレートで行っ
た。反応混合液は、鋳型DNA及び200nmolの各プライマー、Mg2+と(NH4)2 SO4とβ−メルカプトエタノールを含むバッファー、Taq DNAポリメラーゼ(Amers
ham Pharmacia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラ
ーゼ(Stratagene)を含む。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメ
ーターで増幅を行った。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2及び3、4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 別法では、プライマーの組、T7とSK+に対して以下のパラメータで増幅を行った
。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 57℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2及び3、4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。
【0186】 各ウェルのDNA濃度は、1X TE及び0.5μlの希釈していないPCR産物に溶
解した100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25% (v/v) PICOGREEN;Molecular Pro
bes, Eugene OR)を不透明な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各
ウェルに分配してDNAが試薬と結合できるようにして測定する。このプレートをF
luoroskan II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンして、サンプル
の蛍光を計測してDNAの濃度を定量化する。反応混合物の5〜10μlのアリコ
ットを1%のアガロースミニゲル上での電気泳動によって解析し、何れの反応物
が配列を延長することに成功したかを決定する。
【0187】 延長したヌクレオチドを脱塩及び濃縮してから384ウェルのプレートに移し
、CviJIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madi
son WI)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する
前に音波処理またはせん断を行った。ショットガンシークエンシングのために、
消化したヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上に分離
して断片を切断し、寒天をAgar ACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New Eng
land Biolabs, Beverly MA)を用いて延長したクローンをpUC 18ベクター(Amersh
am Pharmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部
位の延び出しを処理してコンピテント大腸菌細胞に形質移入した。形質移入した
細胞を選択して抗生物質を含む培地に移し、それぞれのコロニーを切りとってLB
/2Xカルベニシリン培養液の384ウェルプレートに37℃で一晩培養した。
【0188】 細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 72℃で2分間 ステップ5 ステップ2及び3、4を29回繰り返す ステップ6 72℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。 上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収
率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチ
ルサルホサイド(dimethysulphoxide)( 1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC DIRECT
キット(Amersham Pharmacia Biotech)またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycl
e sequencing ready reactionキット(Perkin-Elmer)を用いてシークエンシング
した。
【0189】 同様に上述の手順で、SEQ ID NO:3−4のヌクレオチド配列を利用し、この延長
のために設計したオリゴヌクレオチドと好適な遺伝子ライブラリを用いて5′調
節配列を得た。
【0190】 6 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 SEQ ID NO:3−4から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用いて、
cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20塩基対からなるオ
リゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの場
合でも基本的に同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06ソフトウ
ェア(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザイン
し、50pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三
リン酸(Amersham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont
NEN、Boston MA)とを組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリ
ゴヌクレオチドを、SEPHADEX G-25超精細排除デキストランビードカラム(Amers
ham Pharmacia Biotech)を用いて実質的に精製する。毎分10カウントの標
識されたプローブを含むアリコットを、次のエンドヌクレアーゼ、Ase I、Bgl I
I、Eco RI、Pst I、Xba1或いはPvu II(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒ
トゲノムDNAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用い
る。
【0191】 各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製メ
ンブラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に転写する。ハイ
ブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除
くため、ブロットを、段階的に厳密性が増す条件で最大0.1xクエン酸ナトリ
ウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸ナトリウムまで順次室温にて洗浄する。ハ
イブリダイゼーションパターンをオートラジオグラフィーで視覚的して比較する
【0192】 7 マイクロアレイ 化学結合方法及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上でアレイ要素を
合成することが可能である(例えば、上記したBaldeschweilerを参照)。ドット
ブロット法またはスロットブロット法に類似したアレイを利用し、要素を熱、U
V、機械的または化学的結合方法を用いて基板の表面に配置し結合させる。典型
的なアレイは、手作業または利用可能な方法や機械を用いて作製することができ
、任意の適正な数の要素を含み得る。ハイブリダイゼーションの後、ハイブリダ
イズしていないプローブを取り除き、スキャナーを用いて蛍光のレベル及びパタ
ーンを決定する。スキャンした画像を分析して、マイクロアレイ上で要素にハイ
ブリダイズする各プローブの相補性の程度及び相対的な量/発現レベルを調べる
ことが可能である。
【0193】 完全長のcDNA、発現遺伝子配列断片(EST)、或いはそれらの断片が、マイク
ロアレイの要素を含み得る。ハイブリダイゼーションに好適な断片を、LASERGEN
Eソフトウェア(DNASTAR)などの当分野で公知のソフトウェアを用いて選択する
ことが可能である。本発明の核酸配列の1つに対応する完全長のcDNA、EST、或
いはそれらの断片、或いは本発明に関連するcDNAライブラリから任意に選択され
たcDNAを、ガラススライドなどの好適な基質に整列する。cDNAは、例えばUV交差
結合(UV cross-linking)を利用してスライドに固定してから、熱処理及び化学
処理を施し、最後に乾燥させる(例えば、 Schena, M. 他. (1995) Science 270:
467-470; 及び Shalon, D. 他. (1996) Genome Res. 6:639-645を参照)。蛍光プ
ローブを準備して、基質上の要素にハイブリダイゼーションするために用いる。
上記した方法でこの基質を分析する。
【0194】 8 相補的ポリヌクレオチド BMDSPをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列は、自然
発生のBMDSPの発現の低下即ち阻害するために用いられる。約15〜約30個の
塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、より小さな或いはより
大きな配列の断片の場合でも本質的に同じ方法を用いることができる。Oligo4.0
6ソフトウェア(National Biosciences)及びBMDSPのコーディング配列を用いて
、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特な
5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモーター
がコーディング配列に結合するのを阻害する。翻訳を阻害するためには、相補的
なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソームがBMDSPをコードする転写物に結
合するのを阻害する。
【0195】 9 BMDSPの発現 BMDSPの発現及び精製は、細菌またはウイルスを基にした発現系を用いて行う
ことができる。細菌でBMDSPが発現するために、抗生物質耐性及びcDNAの転写レ
ベルを高める誘導性のプロモーターを含む好適なベクターにcDNAをサブクローニ
ングする。このようなプロモーターには、lacオペレーター調節要素に関連する
T5またはT7バクテリオファージプロモーター及びtrp-lac(tac)ハイブリッド
プロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。組換えベクター
を、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性をもつ細菌
が、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発されるとBMDSPを
発現する。真核細胞でのBMDSPの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に一
般にバキュロウイスルスとして知られているAutographica californica核多面性
ウイルス(AcMNPV)を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン遺
伝子を、相同組換え或いは転移プラスミドの媒介を伴う細菌の媒介による遺伝子
転移のどちらかによって、BMDSPをコードするcDNAと置換する。ウイルスの感染
力は維持され、強いポリヘドリンプロモータによって高いレベルのcDNAの転写が
行われる。組換えバキュロウイルスは、多くの場合はSpodoptera frugiperda (S
f9)昆虫細胞に感染に用いられるが、ヒト肝細胞の感染にも用いられることもあ
る。後者の感染の場合は、バキュロウイルスの更なる遺伝的変更が必要になる。
(例えば、Engelhard. E. K.他 (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-32
27; Sandig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945.を参照)。
【0196】 殆どの発現系では、BMDSPが、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)
、またはFLAGや6-Hisなどのペプチドエピトープ標識で合成された融合タンパク
質となるため、未精製の細胞溶解物からの組換え融合タンパク質の親和性ベース
の精製が素早く1回で行うことができる。Schistosoma japonicumからの26キ
ロダルトンの酵素GSTによって、タンパク質の活性及び抗原性を維持した状態で
固定されたグルタチオンで融合タンパク質の精製が可能となる(Amersham Pharma
cia Biotech)。精製の後、GST部分を特定の操作部位でBMDSPからタンパク分解的
に切断できる。アミノ酸8個のペプチドであるFLAGで、市販のモノクロナール及
びポリクロナール抗FLAG抗体(Eastman Kodak)を用いた免疫親和性の精製が可能
となる。6個のヒスチジン残基が連続して伸展した6-Hisによって、金属キレー
ト樹脂(QIAGEN)で精製が可能となる。タンパク質の発現及び精製の方法は、Ausu
bel (1995,前出, ch 10, 16)に記載されている。これらの方法で精製したBMDSP
を直接用いて以下のアッセイを行うことができる。
【0197】 10 BMDSPの活性の実証 BMDSP-1の活性のアッセイでは、定量的沈降反応を利用して血清からの抗原の
沈降を測定する(Golub, ES. 他 (1987) Immunology: A Synthesis, Sinauer As
sociates, Sunderland MA, pp. 113-115)。BMDSP-1は、公知の方法を用いてア
イソトープで標識する。一定量の標識したBMDSP-1に様々な濃度の血清を加える
。そしてBMDSP-1/抗原複合体が溶液から沈降し、遠心分離によって回収する。
沈降可能なBMDSP-1/抗原複合体の量は、この沈降物中で検出される放射性同位
体の量に比例する。沈降可能なBMDSP-1/抗原複合体の量を血清濃度に対してプ
ロットする。様々な血清濃度について、特徴的な沈降曲線が得られ、この曲線で
は、沈降可能なBMDSP-1/抗原複合体の量が初めは血清濃度の上昇に伴って比例
的に増加し、等量点でピークをうち、更に血清濃度が増加するに従って低下する
。従って、沈降可能なBMDSP-1/抗原複合体の量はBMDSP-1活性の測定値であり、
少ない量及び過剰量の両方の抗原に対する感受性によって特性化される。
【0198】 BMDSP-2の活性のアッセイでは、BMDSP-2が骨髄間質細胞からのタンパク質と複
合体形成する能力を測定する。BMDSP-2、又はその生物学的に活性な断片を125I
ボルトンハンター試薬で標識する(例えばBolton, A.E.及びW.M. Hunter (1973)
Biochem. J. 133:529-539参照)。前もってマイクロタイタープレートのウェル
に配列しておいた間質細胞特異的タンパク質を、標識したBMDSP-2と共にインキ
ュベートして洗浄する。各ウェルにおける標識されたBMDSP-2の量を定量するが
、その量はBMDSP-2/間質細胞タンパク質複合体の量に比例する。異なる濃度の
標識BMDSP-2を用いて得られたデータを用いて、BMDSP-2の間質細胞に対する親和
性を計算する。
【0199】 11 機能的アッセイ BMDSPの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理学的に高められたレベルで
のBMDSPをコードする配列の発現によって評価する。cDNAを、cDNAを高いレベル
で発現する強いプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターにサブクローニングす
る。このようなベクターには、pCMV SPORTTM (Life Technologies.)及びpCR 3.1
(Invitrogen, Carlsbad, CA)が含まれ、どちらもサイトメガロウイルスプロモ
ーターを含んでいる。5〜10μgの組換えベクターを、好ましくは内皮由来か
造血由来のヒト細胞株にリポソーム製剤或いは電気穿孔法によって一過性に形質
移入する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミ
ドを同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入された細胞と
形質移入されていない細胞とを区別できる。また、標識タンパク質の発現によっ
て、cDNAの組換えベクターからの発現を正確に予想できる。このような標識タン
パク質には、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、及びCD64またはCD64-GFP融
合タンパク質が含まれる。レーザー光学に基づいた技術を利用した自動流動細胞
計測法(FCM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定
し、それらの細胞のアポトーシス状態などの細胞特性を評価する。また、FCMで
、先行した或いは同時の細胞死の現象を診断する蛍光分子の取り込みを検出して
計量する。これらの現象には、プロピジウムヨウ化物でのDNAの染色によって計
測される核DNA内容物の変化と、ブロモデオキシウリジンの取り込み量の低下に
よって計測されるDNA合成の下方調節と、特異的な抗体との反応性によって計測
される細胞表面及び細胞内のタンパンク質の発現の変化と、蛍光複合アネキシン
Vタンパク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変化とが含
まれる。流動細胞計測法は、Ormerod, M. G.による (1994) Flow Cytometry Oxf
ord, New York, NY.に記載されている。
【0200】 遺伝子発現におけるBMDSPの影響は、BMDSPをコードする配列とCD64またはCD64
-GFPのどちらかが形質移入された高度に精製された細胞集団を用いて評価するこ
とができる。CD64またはCD64-GFPは形質転換された細胞表面で発現し、ヒト免疫
グロブリンG(IgG)の保存された領域と結合する。形質転換された細胞と形質転換
されない細胞とは、ヒトIgGかCD64に対する抗体のどちらかで被覆された磁気ビ
ードを用いて分離することができる(DYNAL. Lake Success. NY)。mRNAは、当分
野で公知の方法で細胞から精製することができる。BMDSP及び目的の他の遺伝子
をコードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術で分析すること
ができる。
【0201】 12 BMDSPに特異的な抗体の産生 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G. (1990)
Methods Enzymol. 182:488-495を参照)または他の精製技術で実質的に精製され
たBMDSPを用いて、標準的なプロトコルでウサギを免疫化して抗体を作り出す。
【0202】 別法では、BMDSPアミノ酸配列をLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて
解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成してこれ
を用いて当業者に周知の方法で抗体を産生させる。C末端付近の、或いは隣接す
る親水性領域内のエピトープなどの適切なエピトープの選択については、当分野
で周知である(例えば、前出のAusubel, 1995,11章を参照)。
【0203】 通常、約15残基の長さのオリゴペプチドを、Applied Biosystemsのペプチド
シンセサイザABI 431Aペプチドシンセサイザー(Perkin-Elmer)を用いてfmoc法
のケミストリにより合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステル(MBS)を用いた反応によりKLH(Sigma-Aldrich, St. Louis M
O)に結合させて、免疫原性を高める(例えば、前出のAusubel, 1995を参照)。フ
ロイントの完全アジュバントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサ
ギを免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性を検査するには、例えばペプ
チドをプラスチックに結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清と反
応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させる
【0204】 13 特異的抗体を用いる自然発生BMDSPの精製 自然発生BMDSP或いは組換えBMDSPを、BMDSPに特異的な抗体を用いるイムノア
フィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィニティー
カラムは、CNBr-活性化SEPHAROSE(Amersham Pharmacia Biotech)のような活性
化クロマトグラフィー用レジンとBMDSP抗体とを共有結合させることにより構築
する。結合の後、そのレジンを製造者の使用説明書に従って、ブロックし洗浄す
る。
【0205】 BMDSPを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、BMDSPを優先的に吸
着できる条件で(例えば、界面活性剤の存在下において高イオン強度のバッファ
ーで)そのカラムを洗浄する。そのカラムを、抗体とBMDSPとの結合を切るよう
な条件で(例えば、pH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシ
アン酸塩イオンのようなカオトロピックイオンで)溶出させ、BMDSPを回収する
【0206】 14 BMDSPと相互作用する分子の同定 BMDSP又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(Bol
ton、前出)で標識する。マルチウェルプレートに予め配列しておいた候補の分
子を、標識したBMDSPと共にインキュベートし、洗浄して、標識したBMDSP複合体
を有する全てのウェルをアッセイする。様々なBMDSP濃度で得られたデータを用
いて、候補の分子とBMDSPとの結合、親和性、数について数値を計算する。
【0207】 当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法
及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適実施例に基
づいて本発明を説明したが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例に不当に
制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは関連す
る分野の専門家には明らかな本明細書に記載の本発明の実施方法の様々な改変は
、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0208】 表の簡単な説明 表1は、BMDSPの解析に用いたツール、プログラム及びアルゴリズム、並びに
その説明、引用文献、閾値パラメーターを示す。
【表1】
【表2】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 BMDSP-1のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:3)を示す。
このアラインメントは、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Software Engine
ering. S. San Francisco CA)を用いて作成した。
【図1B】 BMDSP-1のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:3)を示す。
このアラインメントは、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Software Engine
ering. S. San Francisco CA)を用いて作成した。
【図1C】 BMDSP-1のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:3)を示す。
このアラインメントは、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Software Engine
ering. S. San Francisco CA)を用いて作成した。
【図2A】 BMDSP-2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)及び核酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図2B】 BMDSP-2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)及び核酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図2C】 BMDSP-2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)及び核酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図2D】 BMDSP-2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)及び核酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図2E】 BMDSP-2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)及び核酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図2F】 BMDSP-2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)及び核酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図3A】 LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライン
メントプログラムを用いて作成したBMDSP-2 (1859631; SEQ ID NO:2)とMSE55 (G
I 338033; SEQ ID NO:5)のアミノ酸残基1から218までとのアミノ酸配列アラ
インメントを示す。
【図3A】 LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライン
メントプログラムを用いて作成したBMDSP-2 (1859631; SEQ ID NO:2)とMSE55 (G
I 338033; SEQ ID NO:5)のアミノ酸残基1から218までとのアミノ酸配列アラ
インメントを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61P 7/00 4C084 48/00 7/02 4C085 A61P 7/00 9/00 4C086 7/02 9/08 4H045 9/00 9/10 9/08 101 9/10 9/12 101 11/00 9/12 11/06 11/00 13/00 11/06 17/00 13/00 19/00 17/00 21/00 19/00 31/00 21/00 35/00 31/00 35/02 35/00 37/02 35/02 37/08 37/02 C07K 14/47 37/08 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/68 33/53 D G01N 33/15 33/566 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 A 33/566 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,C Z,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE ,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS, JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,L R,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN ,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU, SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,T R,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 コーレイ、ニール・シー アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ マウンテンビュー・#30・デールアベニュ ー 1240 (72)発明者 ゲグラー、カール・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025・ メンロパーク・オークランドアベニュー 1048 (72)発明者 リュ、デュング・アイナ・エム アメリカ合衆国カリフォルニア州95136・ サンノゼ・パークベルモントプレイス 55 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA36 FB03 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 CA09 CA11 DA01 DA02 DA05 DA11 EA02 EA03 EA04 GA11 HA01 HA03 HA12 HA15 4B063 QA01 QA19 QQ01 QQ52 QR08 QR32 QR42 QR56 QR62 QS25 QS34 QS36 QX02 4B064 AG01 CA01 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 AA17 BA01 BA08 BA22 BA23 CA53 MA01 NA14 ZA392 ZA402 ZA422 ZA452 ZA512 ZA532 ZA552 ZA592 ZA752 ZA812 ZA892 ZA942 ZA962 ZA972 ZB072 ZB132 ZB152 ZB262 ZB272 ZB322 ZB352 ZB372 ZC062 ZC352 ZC552 4C085 AA13 AA14 AA16 CC32 EE01 GG01 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA04 NA14 ZA39 ZA40 ZA42 ZA45 ZA51 ZA53 ZA55 ZA59 ZA75 ZA81 ZA89 ZA94 ZA96 ZA97 ZB07 ZB13 ZB15 ZB26 ZB27 ZB32 ZB35 ZB37 ZC06 ZC35 ZC55 4H045 AA10 AA11 AA20 BA10 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2(配列番号:1−2)、及びそ
    れらの断片からなる一群より選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製され
    たポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸配
    列同一性を有する実質的に精製された変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離され精製された
    ポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  5. 【請求項5】 厳密な条件の下で請求項3のポリヌクレオチドとハイブリ
    ダイズする単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離
    され精製されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 ポリヌクレオチドの検出法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドをサンプル内の少なくとも一つの核酸とハ
    イブリダイズさせて、それによりハイブリダイゼーション複合体を形成する過程
    と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記サンプル内の前記ポリヌクレオチドの
    存在と相関性を有する、該過程とを含むことを特徴とする検出法。
  8. 【請求項8】 前記ハイブリダイゼーションの前に前記ポリヌクレオチド
    の増幅過程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の検出法。
  9. 【請求項9】 SEQ ID NO:3−4及びそれらの断片からなる一群より選択さ
    れたポリヌクレオチド配列を有する単離され精製されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 請求項9のポリヌクレオチドと少なくと90%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  11. 【請求項11】 請求項9のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも一つの断片を
    含む発現ベクター。
  13. 【請求項13】 請求項12の発現ベクターを含む宿主細胞。
  14. 【請求項14】 ポリペプチドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件の下で、請求項13の宿主細胞を
    培養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと
    を特徴とする製造方法。
  15. 【請求項15】 好適な医療用担体と共に請求項1のポリペプチドを含む
    医薬品組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドと特異的に結合する精製された
    抗体。
  17. 【請求項17】 請求項1のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  18. 【請求項18】 請求項1のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  19. 【請求項19】 BMDSPの発現または活性の低下に関連する疾患の治療ま
    たは予防が必要な患者に、請求項15の医薬品組成物を効果的な量投与する過程
    を含む、BMDSPの発現または活性の低下に関連する疾患を治療または予防する方
    法。
  20. 【請求項20】 BMDSPの発現または活性の増大に関連する疾患の治療ま
    たは予防が必要な患者に、請求項18のアンタゴニストを効果的な量投与する過
    程を含む、BMDSPの発現または活性の増加に関連する疾患を治療または予防する
    方法。
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