JP2003520025A - p193タンパク質、並びにその核酸及び使用 - Google Patents

p193タンパク質、並びにその核酸及び使用

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JP2003520025A JP2001518747A JP2001518747A JP2003520025A JP 2003520025 A JP2003520025 A JP 2003520025A JP 2001518747 A JP2001518747 A JP 2001518747A JP 2001518747 A JP2001518747 A JP 2001518747A JP 2003520025 A JP2003520025 A JP 2003520025A
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フィールド,ローレン・ジェイ
ツアイ,シン−チュォン
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アドヴァンスト リサーチ アンド テクノロジー インスティチュート、インコーポレイティッド
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Abstract

(57)【要約】 記載されるのは、p193と称される細胞周期制御タンパク質をコードする、及び該タンパク質の発現を制御するヌクレオチド配列、並びに該タンパク質配列をコードする及びその発現を制御するヌクレオチド配列を含む組換えベクター及び宿主細胞である。やはり記載されるのは、p193又はその経路を制御することにより、細胞の細胞周期を修飾するための方法である。細胞内のアポトーシスを誘導するための方法は、細胞内のプロアポトーシスp193タンパク質のレベルを増加させることにより、提供される。細胞内のアポトーシスを抑制するか、又は細胞の増殖性潜在力を増加させるための方法は、細胞内のプロアポトーシスp193タンパク質のレベルを減少させることにより、及び/又は天然p193シグナル伝達経路に干渉することにより、例えばドミナントネガティブ突然変異を有するp193タンパク質を利用することにより、提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願への参照 本出願は、そのまま参照により本明細書に参照されている、1999年8月2
3日出願の米国特許出願第60/150,266号の利益を請求する。
【0002】 発明の背景 本発明は、概して細胞生理学に、そしてより特定すると細胞周期の調節タンパ
ク質に関する。特に、本発明は、p193と呼称される新規なアポトーシス関連
タンパク質とその修飾された形態;p193タンパク質をコードするヌクレオチ
ド配列;及びp193をコードするヌクレオチド配列のクローニング、調製及び
発現に関わる産物及び方法に関する。
【0003】 正常な発達は細胞増殖とプログラムされた細胞死(アポトーシス)との微妙な
均衡に依存する。この均衡が変化すると重大な病態生理学的結果をもたらし得る
;細胞増殖が選好されるときに腫瘍発生が生じるのに対し、アポトーシスが選好
されるときには自己免疫及び/又は退行性の障害が生じるのである。
【0004】 哺乳動物の細胞では、アポトーシスは少なくとも2種の独立した調節経路によ
り誘導され得る。第一の経路は細胞死受容体(Ashkenazi, A. et al. (1998) Sc
ience 281, 1305-1308 に概説される、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー
のメンバー)の直接的な活性化による。例えば、TNFR1又はCD95受容体
の活性化は主にFADD(Fas関連デスドメイン)を介したシグナル伝達カス
ケードを始動させ、それが速やかにカスパーゼ8を活性化し、それによりアポト
ーシスが始動される。アポトーシスはまたBcl−2ファミリーメンバー(Adam
s, J. M. et al. (1998) Sciece 281, 1322-1326 に概説される)の活性を介し
ても調節され得る。原型的なファミリーメンバーであるBcl−2は、元来はあ
るヒトのリンパ腫における染色体転座により活性化される遺伝子として同定され
た(Tsujimoto, Y. et al. (1984) Science 226, 1097-1099;Bakhshi, A. et a
l. (1985) Cell 41, 899-906;Cleary, M. L. et al. (1986) Cell 47, 19-28)
。その後の分析により、1つ又はそれより多くのドメイン(Bcl−2相同性ド
メイン、BH1〜BH4として知られる)でBcl−2と相同性を共有する約2
0種のタンパク質のファミリーが同定された。機能分析は、Bcl−2と最大の
相同性をもったファミリーメンバーが細胞の生存を促進する傾向があるのに対し
、より遠く関連しているものはアポトーシスを促進する傾向があることを示した
。このプロアポトーシス群はさらにBaxサブファミリー(BH1、2及び3ド
メインを含有する;Oltvai, Z. N. et al. (1993) Cell 74, 609-619;Chittend
en, T. et al. (1995) Nature 374, 733-736;Kiefer, M. C. et al. (1995) Na
ture 374, 736-739;Farrow, S. N. et al. (1995) Nature 374, 731-733;Hsu,
Y. T. et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 3668-3672 を参照のこ
と)とBH3のみのサブファミリー(その名称が示唆するようにBH3ドメイン
だけを含有する;Boyd, J. M. et al. (1994) Cell 79, 341-351;Boyd, J. M.,
et al., (1995) Oncogene 11, 1921-1928;Yang, E. et al., (1995) Cell 80,
285-291;Wang, K. et al. (1996) Genes Dev. 10, 2859-2869;Inohara, N. e
t al. (1997) EMBO J. 16, 1686-1694;Conradt, B. et al. (1998) Cell 93, 5
19-529;O'Connor, L. et al. (1998) EMBO J. 17, 384-395;Hegde, R. et al.
(1998) Journal of Biological Chemistry 273, 7783-7786. 11-18 を参照のこ
と)へ細分されている。
【0005】 アポトーシスへの傾倒は、少なくとも部分的には、プロ生存(pro-survival)
及びプロアポトーシスのBcl−2ファミリーメンバーの相対レベルにより支配
され、それが次いで、Apaf−1(カスパーゼ8のアクチベーター)の活性を
調節する。このように、システインプロテアーゼのカスパーゼファミリーは、は
じめの調節経路にかかわらず、アポトーシスの下流エフェクターである。ひとた
び活性化されると、カスパーゼ群は、細胞のオルガネラを破壊するタンパク分解
カスケードを始動させることによって細胞死をもたらし、それによりアポトーシ
スの診断となる明瞭な形態学的変化を生じる(Thornberry, N. A. et al. (1998
) Science 281, 1312-1316 に概説される)。これには、核の凝縮、ヌクレオソ
ーム連結部でのDNAの分断、ミトコンドリアの崩壊、及び最終的には細胞の自
己溶解が含まれる。
【0006】 DNA腫瘍ウイルスの発癌タンパク質は、細胞の増殖及び死の分子調節を解明
するより有用なモデル系を提供してきた。(SV40のラージT抗原とアデノウ
イルスのE1Aにより代表されるような)これらのタンパク質の形質転換活性は
、内因性の細胞へ結合し、それにより細胞死調節タンパク質の活性を変化させる
その能力に概ね存する(Ludlow, J. W. et al. (1995) Virus Research 35, 113
-121;及び Moran, E. (1993) FASEB Journal 7, 880-885 に概説される)。T
抗原(T−Ag)の場合、網膜芽細胞腫ファミリーのメンバー(RBとその関連
タンパク質、p107及びp130;DeCaprio, J. A. et al. (1988) Cell 54,
275-283;Ewen, M. E. et al. (1991) Cell 66, 1155-1164;Li, Y. et al. (1
993) Genes Dev. 7, 2366-2377 及び Hannon, G. J. et al. (1993) Genes Dev.
Dec. 7, 2378-2391 を参照のこと)へ結合するにはアミノ酸の残基105ない
し115が必要とされる。T−Ab/RB結合は、E2Fファミリーメンバーの
(RBへの結合により不活性状態で維持される)封鎖を阻止する。これらの転写
因子は、ひとたび遊離されると、S期エントリーに必要とされる数多くの遺伝子
の発現を活性化する(Nevins, J. R. (1992) Science 258, 424-429;Hatakeyam
a, M. et al. (1995) Prog. Cell Cycle Res. 1, 9-19;及び La Thangue, N. B
. (1996) Bioch. Soc. Trans. 24, 54-59 に概説される)。p53への結合には
、T−Agのアミノ酸残基350ないし450と532ないし625の間に位置
する不連続な領域が必要とされる(Kierstead, T. D. et al. (1993) J. Virol.
67, 1817-1829)。他の活性があるなかで、p53はプロアポトーシス及び増殖
阻害遺伝子の両方の転写活性補助因子として機能する。T−Ag/p53結合は
これら遺伝子の転写活性化を妨げ、同時にそれらの活性を阻害する(Bates, S.
et al. (1999) Cell. & Mol. Life Sci. 55, 28-37;及び Ko, L. J. et al. (1
996) Genes Dev. 10, 1054-1072)。
【0007】 発明の概要 本発明の特徴は、p193と呼称されるアポトーシス関連タンパク質の同定及
び特徴づけである。p193はSV40 T−Ag結合性のタンパク質であり、
BH3のみのプロアポトーシスファミリーの新規メンバーであるらしい。このこ
とは、p193の発現がNIH−3T3細胞における速やかなアポトーシス反応
を促進したという観察から裏付けられる。免疫細胞学的な分析では、p193が
細胞質のタンパク質であること、及びT−Agの同時発現が両タンパク質の細胞
質の局在化をもたらすことを示した。p193誘導性のアポトーシスが起こるの
はG1においてであり、パルスチェイス実験は、T−Agも細胞周期の同一点で
(一過性にせよ)細胞質に局在化することを明らかにした。このデータは、細胞
質におけるT−Ag/p193結合により実現されるp53の封鎖とは独立に、
T−Agが抗アポトーシス活性を保有するという結論に一致する。
【0008】 従って、本発明の1つの側面は、p193タンパク質の細胞内レベルをモジュ
レートすること、及び/又は細胞におけるp193タンパク質のシグナル伝達経
路に干渉することを含む、細胞の細胞周期を修飾するための方法に関する。特に
、野生型プロアポトーシスp193活性を増加させることは、アポトーシスを誘
導するために使用され、プロアポトーシスp193の細胞における活性のレベル
を減少させること(p193シグナル伝達経路に干渉することを含む)は、アポ
トーシスを抑制する、及び/又は細胞増殖を促進するために使用され得る。プロ
アポトーシスp193活性の増加は、例えば、プロアポトーシスp193タンパ
ク質をコードする導入DNAの発現により実現され得る。プロアポトーシスp1
93活性の減少は、典型的には、(例えば、アンチセンス技術により)細胞のネ
ーティブp193の発現レベルを減少させること、及び/又は、例えば、ネーテ
ィブp193タンパク質の生物学的機能の少なくとも一部に拮抗するドミナント
ネガティブp193タンパク質の導入により、ネーティブp193が介して作用
する経路への干渉により、達成され得る。本発明のある側面では、細胞の細胞周
期を修飾する方法には、p53タンパク質の発現の細胞内レベルを減少させるこ
と、又はp53経路に干渉すること、及び/又は、E1Aタンパク質の細胞内に
おける発現のレベルを増加させることと併せて、細胞のネーティブp193タン
パク質の発現レベルを減少させること、及び/又はp193経路に干渉すること
、が含まれる。
【0009】 もう1つの側面では、本発明はp193ポリペプチドをコードする核酸を包含
する発現ベクターを提供する。そのようなベクターは、本発明の方法では宿主細
胞を遺伝的に形質導入すること、及びプロアポトーシスp193ポリペプチドの
場合は、アポトーシスを細胞に誘導することに使用され得る。ドミナントネガテ
ィブ特性をもったp193ポリペプチドの場合、そのような形質導入は、効果的
にアポトーシスを誘導するか又は増殖を誘導するために使用され得る。
【0010】 本発明のもう1つの好ましい態様は、単離されたp193タンパク質、好まし
くは、単離された組換えp193タンパク質を提供する。そのようなタンパク質
は適当な医薬的に許容される担体と組み合わせて、やはり本発明の一部を構成す
る、医薬組成物を産生し得る。そのようなタンパク質はまた、本発明のp193
に対する抗体の調製にも使用され得る。
【0011】 本発明はまた、p193タンパク質をコードする導入されたDNAを有する宿
主細胞を、前記導入されたDNAの発現に適した条件の下で培養することを含ん
でなる、p193タンパク質を産生する方法に関する。
【0012】 本発明は、p193と呼称される新たに特徴づけられたアポトーシス関連タン
パク質、及び、ドミナントネガティブ特性を示すものを含む、新規な修飾された
p193タンパク質;そのようなp193タンパク質をコードするヌクレオチド
配列;p193タンパク質をコードするヌクレオチド配列のクローニング、調製
及び発現に関わる産物及び方法;細胞における細胞周期を修飾する、例えば細胞
のアポトーシス及び/又は増殖を調節するための方法及び材料;及びp193や
その細胞内のシグナル伝達経路に対する影響を評価することを含む、細胞周期に
対する効果について薬剤又は他の化学作用剤をスクリーニングするための方法を
提供する。追加の態様、並びに本発明の特徴及び利点は、本明細書の記載から明
らかであろう。
【0013】 発明の詳細な説明 本発明の原理に関する理解を高めるために、本発明のある好ましい態様が以下
に参照され、特別なことばがそれを説明するために使用される。それでも、それ
により本発明の範囲が制限されないこと、本明細書に記載のような本発明の諸原
理の変更、さらなる修飾及び応用は、本発明が関わる当技術分野の技術者ならば
普通考慮されるものと考えられることを理解されたい。
【0014】 上記に開示されるように、本発明は、p193と呼称される新規なアポトーシ
ス関連タンパク質とその修飾された形態;p193タンパク質をコードするヌク
レオチド配列;及びp193をコードするヌクレオチド配列のクローニング、産
生及び発現に関わる産物及び方法に関する。
【0015】 配列番号1は、本明細書の実施例に利用されるようなマウスp193について
のヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列(配列番号2も参照のこと)を示す。
配列番号3はヒトp193についてのヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列(
配列番号4も参照のこと)を示す。このことに関して言えば、本明細書で使用さ
れる「ヌクレオチド配列」という用語は、天然又は合成のヌクレオチド及び/又
はヌクレオシド、及びその誘導体の連続アレイを意味するものとする。「アミノ
酸配列」という用語は、天然又は合成のアミノ酸及び/又はその誘導体の連続ア
レイを意味するものとする。「コードする」及び「コーディング」という用語は
、ヌクレオチド配列が、転写及び翻訳の機序を介して、細胞へ情報を提供し、そ
れから一連のアミノ酸が特定のアミノ酸配列へ組み立てられ、ポリペプチドが産
生される方法を意味する。
【0016】 本発明が、本明細書に開示される特定のp193配列とは異なるが、それへの
実質的な同一性を有し、本明細書で同定されるようなプロアポトーシス活性又は
増殖活性を示すヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の使用も含むことが理解され
よう。そのような配列は、本発明の様々な側面における使用のためにp193核
酸及びp193タンパク質を提供すると考えられる。例えば、変異アミノ酸配列
をコードする核酸配列は本発明の範囲内にある。生成するポリペプチド分子の機
能特性に実質的には影響を及ぼさない「サイレント」変化を産生する、配列にお
ける欠失、挿入又は置換のような配列への修飾は、明らかに本発明により考慮さ
れる。例えば、遺伝暗号の縮重性を反映する、又はある一定部位での化学的に同
等なアミノ酸の産生をもたらすヌクレオチド配列における変更が考慮されると理
解される。従って、疎水性アミノ酸であるアミノ酸アラニンのコドンは、グリシ
ンのようなもう1つのより疎水性でない残基、又はバリン、ロイシン、又はイソ
ロイシンのような、より疎水性の残基をコードするコドンにより置換され得る。
同様に、アスパラギン酸のグルタミン酸への置換のような、負電荷の残基の別の
残基への置換、又はリジンのアルギニンへの置換のような、陽電荷の残基の別の
残基への置換を生じる変化も生物学的に同等な産物を産生すると概して予測され
得る。
【0017】 また、生成するポリペプチドの機能特性に実質的に影響を及ぼすp193配列
への修飾をなし得ることも発見されているが、そのような変化も明らかに本発明
により考慮される。例えば、p193アミノ酸配列の修飾は、野生型p193活
性の少なくとも一部に拮抗し、細胞におけるアポトーシス活性の抑制及び/又は
細胞の亢進された増殖能力を導く、ドミナントネガティブp193タンパク質を
産生するために使用され得る。
【0018】 本発明を特定する1つのやり方では、配列番号1(ヌクレオチド62〜512
8)又は配列番号3(ヌクレオチド87〜5183)に記載のものとは異なるコ
ーディング配列を有する核酸(例えばDNA)が使用される場合があり、ここで
この核酸、又は少なくともそのコーディング部分は、配列番号1のヌクレオチド
62〜5128、又は配列番号3のヌクレオチド87〜5183、又は配列番号
1の少なくともほぼヌクレオチド62〜3517又は配列番号3のほぼヌクレオ
チド87〜3615を有する核酸へストリンジェント条件下で結合する。そのよ
うな核酸は、望ましくは、プロアポトーシスp193活性を有するポリペプチド
、又はドミナントネガティブなp193ポリペプチドをコードする。「ストリン
ジェント条件」は配列依存的であり、様々な状況において異なるものである。一
般に、ストリンジェント条件は、規定のイオン強度及びpHでの特定配列につい
ての熱溶解点(Tm)より約5℃低いように選択される。Tmは、(規定のイオ
ン強度及びpHにおいて)ターゲット配列の50%が完全適合プローブへハイブ
リダイズする温度である。典型的に、ストリンジェント条件は、pH7で塩濃度
が少なくとも約0.02モルであり、温度が少なくとも約60℃であるものとな
る。
【0019】 本発明を明確化するもう1つのやり方では、配列番号2若しくは配列番号4に
記載のアミノ酸配列、又はその少なくとも1つの有意な長さ(即ち、少なくとも
40個のアミノ酸残基)のセグメントと、少なくとも約70%の同一性、より好
ましくは少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同
一性を有し、そのポリペプチドがプロアポトーシスp193活性又はドミナント
ネガティブなp193特性を保有するポリペプチドをコードする核酸が使用され
得る。このポリペプチドは、例えば、配列番号2の少なくともほぼアミノ酸残基
1ないし1152若しくは配列番号4のほぼアミノ酸残基1ないし1173、又
は配列番号2のアミノ酸残基1ないし1689若しくは配列番号4のアミノ酸残
基1ないし1698と、少なくとも約70%、80%、又は90%の同一性を有
するアミノ酸配列を有する。そのようなポリペプチドは、特に機能的なプロアポ
トーシスタンパク質が所望される場合、好ましくは、配列番号2の残基1566
ないし1572にか、配列番号4の残基1575ないし1581に存在する、特
徴的なp193 BH3ドメイン: Leu Lys Ala His Gly Asp Glu を包含する。
【0020】 同一性比率は、本明細書で使用されるように、国立衛生研究所、米国から利用
可能な改訂BLASTコンピュータ・プログラム、バージョン2.0.8を使用
して配列情報を比較することによって決定されるような同一性比率を意味するも
のである。BLASTプログラムは、Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 87: 2264-68 (1990) の並置法に基づき、Altschul, et al., J. Mol.
Biol. 215: 403-10 (1990);Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 90: 5873-7 (1993);及び Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:
3389-3402 に論じられている。簡潔に言えば、BLASTプログラムは、同一
の並置された記号(即ち、ヌクレオチド又はアミノ酸)の数を2つの配列のより
短い方の記号の全数で割ったものとして同一性を定義する。このプログラムは、
比較されるタンパク質の全長に渡る同一性比率を決定するために使用され得る。
BLASTプログラムに好ましいデフォルト変数、blastpには、Henikoff
, S. and Henikoff, J. G. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919 (199
2);Pearson, W. R.. Prot. Sci. 4: 1145-1160 (1995);及び Henikoff, S. an
d Henikoff, J. G. Proteins 17: 49-61 (1993) に記載されるように:(1)5
00の記載;(2)10の期待値;(3)Karlin−Altschul変数
λ=0.270;(4)Karlin−Altschul変数K=0.0470
;(5)ギャップ・ペナルティ:エグジステンス11、エクステンション1;(
6)H値=4.94e-324;(6)BLOSUM62マトリックスに見出される
適合及び不適合アミノ酸についてのスコア、が含まれる。このプログラムはまた
、Wootton and Federhen, Computers and Chemistry 17: 149-163, (1993) のS
EGプログラムにより決定されるような検索配列のセグメントをマスク・オフす
るためにSEGフィルターを使用する。
【0021】 もう1つの形態では、配列番号1(ヌクレオチド62ないし5128)若しく
は配列番号3(ヌクレオチド87ないし5183)に記載のヌクレオチド配列の
コーディング部分、又はその少なくとも1つの有意な長さ(即ち、少なくとも1
00個のヌクレオチド)のセグメントと少なくとも約70%の同一性を有し、そ
の核酸が本明細書に同定されるようなプロアポトーシスp193活性又はドミナ
ントネガティブなp193特性を保有するポリペプチドをコードする、コーディ
ング配列を含む核酸が使用され得る。この核酸は、例えば、配列番号1のヌクレ
オチド62ないし5128若しくは配列番号3のヌクレオチド87ないし518
3、又は少なくとも配列番号1のほぼヌクレオチド62ないし3517若しくは
配列番号3のほぼヌクレオチド87ないし3615と、少なくとも約70%、少
なくとも80%、又は少なくとも約90%の同一性を有するコーディング配列を
有する場合がある。
【0022】 p193ヌクレオチド配列は、例えば、心筋細胞、肝細胞、平滑筋細胞、造血
幹細胞、腫瘍産生細胞等のような哺乳動物若しくは他の真核細胞へ核酸を機能的
に導入するベクターのようなビヒクルの提供における応用を含む、多種多様な応
用において有用な組換え核酸を提供することが当技術分野で知られているような
プロモーター配列へ機能可能的に連結され得る。本明細書で定義されるように、
ヌクレオチド配列は、それが他のヌクレオチド配列と機能的な関係へ配置される
とき、もう1つの核酸配列(例、プロモーターのような調節配列)へ「機能可能
的に連結」している。例えば、ヌクレオチド配列がプロモーター配列へ機能可能
的に連結していれば、このことは、このヌクレオチド配列がプロモーターと連続
していて、プロモーターがこの遺伝子の転写を促進する能力を示すことを一般に
意味する。細胞特異プロモーター、誘導プロモーター、及び構成プロモーターを
含む、多種多様なプロモーターが当技術分野で知られている。プロモーターは、
ヌクレオチド配列テンプレートから産生される所望の産物がターゲット細胞にお
いて構成的に産生されるように選択され得る。あるいは、所望される産物の産生
が所望のように調節され得るように、当技術分野で知られている諸要素を活性化
することを必要とする、誘導プロモーターのようなプロモーターが選択され得る
。なおさらに、1種又はそれより多くの選択された細胞型の遺伝子の転写を促進
するプロモーター、例えばいわゆる細胞特異プロモーターが選択され得る。
【0023】 本発明による発現ベクターは、細胞における野生型p193活性を有効に増加
させてアポトーシスを誘導するか、又は細胞における野生型p193活性に干渉
してアポトーシスを抑制する、及び/又は増殖を誘導するように設計され得る。
例えば、プロアポトーシスp193ポリペプチドをコードする核酸を取込む発現
ベクターは、細胞におけるアポトーシス活性を増加させるために利用され得る。
一方、修飾されたp193ポリペプチドをコードする核酸を取込むベクター、例
えばドミナントネガティブに一致した活性を示すp193のトランケーション突
然変異体(p193dn)は、野生型p193活性に干渉し、それにより細胞に
おけるアポトーシスを抑制する、及び/又は細胞の増殖を誘導するために使用さ
れ得る。アンチセンス(as)p193ヌクレオチド配列を取込むベクターを用
いた細胞の遺伝形質導入はまた、細胞におけるアポトーシス活性を有効に抑制す
る、及び/又は増殖を有効に誘導するために使用され得る。同様に、p193ア
ンチセンスRNAは、細胞において、p193及びアポトーシス活性を減少させ
る、及び/又は増殖を誘導するように細胞へ投与され得る。
【0024】 本発明の好ましい側面では、p193ヌクレオチド配列は細胞特異プロモータ
ーへ機能可能的に連結し、例えば選択された細胞型においてそのヌクレオチド配
列の構成的な発現をもたらす。そのようなプロモーターの例示的な候補物には、
α−ミオシン重鎖(α−MHC)プロモーター、β−ミオシン重鎖(β−MHC
)プロモーター、ミオシン軽鎖−2V(MLC−2V)プロモーター、心房性ナ
トリウム利尿因子(ANF)プロモーター等のような心筋細胞特異プロモーター
が含まれる。さらなる細胞特異プロモーターには、PePCK、アルブミン、ト
ランスチレチン、及び主要尿タンパク質(MUP)のような肝臓特異細胞が含ま
れる。内因性遺伝子を発現するあらゆる細胞型、及びその発現される遍在した、
肺、心臓、肝臓、目。そのような構築体は、選択された組織において、p193
核酸の発現を選択的に可能にする。
【0025】 本発明のもう1つの側面は、誘導プロモーターへ機能可能的に連結したp19
3ポリペプチドをコードするp193ヌクレオチド配列を含む組換え核酸を提供
する。p193ヌクレオチド配列は、例えば、細胞における発現がアポトーシス
を誘導するようなプロアポトーシスポリペプチド、又は発現がアポトーシスを抑
制する、及び/又は細胞増殖を促進するような、アポトーシス抑制性、及び/又
は増殖誘導性のポリペプチドをコードし得る。誘導プロモーターを使用すると、
この核酸を取込む細胞によりコードされるポリペプチドの発現は、誘導剤へ反応
してアップレギュレートされ得る。例示的な候補誘導プロモーター系には、例え
ば、メタロチオネイン(MT)プロモーター系(ここでは、MTプロモーターが
硫酸銅のような重金属により誘導される);テトラサイクリン調節系(これは、
発現がテトラサイクリンの存在又は不在に依存する二元(binary)系である);
グルココルチコイド応答プロモーター(これはグルココルチコイド応答配列から
誘導される合成配列を使用し、デキサメタゾン(適切な受容体を有する細胞)を
投与することによって in vivo で誘導される);ムリステロン応答プロモータ
ー(これは性腺刺激ホルモン刺激ホルモン放出ホルモン受容体を使用し、ムリス
テロン(適切な受容体を有する細胞)で誘導される);及びTNF応答プロモー
ターが含まれる。使用され得る、そしてより好ましい、さらなる誘導プロモータ
ーには、エクジソンプロモーター系(これは昆虫ホルモン(エクジソン)を使用
して誘導され、哺乳動物において完全なリガンド依存性の発現を提供する);β
−GAL系(これは、大腸菌lacオペロンオペレーターとI遺伝子産物をトラ
ンスで利用し、発現を調節するのに非代謝性(gratuitous)誘導物質(IPTG
)が使用される二元系である);及びRU486誘導系(これはCYP3A5プ
ロモーターを使用し、十分特定された医薬品であるRU4862より誘導される
)が含まれる。こういったプロモーター系と他の同様な誘導プロモーター系が知
られていて、本発明におけるそれらの使用は当業者の技術範囲内にある。
【0026】 本発明の1つの側面は、p193及びp53の活性を(ドミナントネガティブ
cDNA変異体の発現により)阻止することが増殖誘導性のアポトーシスシグナ
ルに対して防護するという発見に関する。このことは、プロ増殖シグナル、例え
ばE1Aによりコードされるようなシグナルに対して心筋細胞を反応性にする。
心臓組織の制御された再生、又は他のやり方で制御される移植された心筋細胞の
増殖を促進する治療アプローチが採用され得るが、これは増殖促進遺伝子に加え
てドミナントネガティブcDNAの発現を推進する調節可能なプロモーターの使
用に依存する。他のアプローチは、調節可能なプロモーターと組み合わせた増殖
促進遺伝子の発現とともに、p53及び/又はp193経路の医薬品による阻止
に依存し得る。例えば、Gudkov と共同研究者(Science (1999) 285; 1733-1737
)は、p53依存性の転写活性化及びアポトーシスを阻害する剤を開発した。p
193活性を阻止する同様の試薬は当業者により容易に産生される。このアプロ
ーチには、異常なプロモーター活性(例えば、誘導剤の不在下でのプロモーター
活性の誘導)が起きたときに内因性の細胞周期をチェックする利点がある。特に
、プロアポトーシス遺伝子の一方又は両方の活性が医薬的に阻止され、再生増殖
が完了した後でその医薬品(群)が使用されなくなると、増殖促進遺伝子の異常
な活性化により、抗アポトーシス活性が存在しないために、細胞のアポトーシス
死をもたらすことになる。このアプローチは、制御された心筋細胞の in vivo
増殖に作用する臨床的により安全なモダリティを提供するために使用され得る。
【0027】 さらなる、又は他の安全なアプローチには、発現カセットに、例えば有名な単
純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(HSV−TK)遺伝子のような、条件
致死遺伝子を内包することが含まれる。哺乳動物のチミジンキナーゼがガンシク
ロビルを細胞へ高率で取込まないのに対し、HSV−TK遺伝子は、正常ヌクレ
オチド、並びにヌクレオチド類似体のガンシクロビルを高率で取込むことができ
る。ガンシクロビルの取込みは細胞毒である。従って、この作動様式では、調節
可能プロモーターの異常な活性化が抗アポトーシス(例、p53dn及びp19
3dn)及びプロ増殖(例、E1A)遺伝子、並びにHSV−TK遺伝子の発現
をもたらす。不適切に増殖している細胞(例えば、異常なプロモーター活性が起
こっているもの)は、ガンシクロビルでの単純処置により消失され得る。
【0028】 本発明はまた、p193ヌクレオチド配列を取込み、細胞の in vitro 又は i
n vivo での遺伝形質導入に有用であるベクターに関する。これらの目的には種
々のベクター系が適切である。これには、例えば、Franz et al., Cardiovasc.
Res. 35 (3): 560-566 (1997);Inesi et al., Am. J. Physiol. 274 (3 Pt. 1)
: C645-653 (1998);Kohout et al., Circ. Res. 78 (6): 971-977 (1996);Leo
r et al., J. Mol. Cell Cardiol. 28 (10): 2057-2067 (1996);March et al.,
Clin. Cardiol. 22 (1 Suppl. 1): I23-29 (1999) 及び Rothman et al., Gene
Ther. 3 (10): 919-926 (1996) に例えば開示されるような、アデノウイルスベ
クターのようなウイルスベクターが含まれる。アデノ関連ウイルス(AAV)ベ
クターもまた適していて、例えば、Kaptlitt et al., Ann. Thora. Surg. 62 (6
): 1669-1676 (1996);及び Svensson et al., Circulation 99 (2): 201-205 (
1999) に開示される。使用し得るさらなるウイルスベクターにはレトロウイルス
ベクター(例えば、Prentice et al., J. Mol. Cell Cardiol. 28 (1): 133-140
(1996);及び Petropoulos et al., J. Virol. 66 (6): 3391-3397 (1992) を
参照のこと)、及び Rebolledo et al., Circ. Res. 83 (7): 738-742 (1998)
に開示されるようなレンチ(HIV−1)ウイルスベクターが含まれる。好まし
い発現ベクターのクラスは、上記に特定したものの1つのような、心筋細胞特異
プロモーターに機能可能的に連結したp193核酸を取込む。なおさらに、AA
Vベクターは、心筋細胞や他の細胞及び組織のトランスフェクションにおける使
用にきわめて適合していて、上記に特定されるもののなかで好ましい。
【0029】 本発明によれば、リポソームをベースとする形質導入系を使用して、in vitro
又は in vivo で細胞をp193核酸で遺伝的に形質導入することができる。多
種多様なリポソーム形質導入系が知られていて、様々な細胞へ組換え発現ベクタ
ーを首尾よくデリバリーすることが報告されてきた。代表的な教示は、例えば、
R. W. Zajdel, et al., Developmental Dynamics. 213 (4): 412-20 (1998);Y.
Sawa, et al., Gene Therapy. 5 (11): 1472-80 (1998);Y. Kawahira, et al.
, Circulation 98 (19 Suppl): II262-7;考察 II267-8 (1998);G. Yamada, et
al., Cellular & Molecular Biology 43 (8): 1165-9 (1997);M. Aoki, et al
., Journal of Molecular & Cellular Cardiology 29 (3): 949-59 (1997);Y.
Sawa, et al., Journal of Thoracic & Cardiovascular Surgery 113 (3): 512-
8; 考察 518-9 (1997) 及び I. Aleksic, et al., Thoracic & Cardiovascular
Surgeon 44 (2): 81-5 (1996) に見出し得る。このように、p193 DNAを
包含するリポソームの組換え発現ベクターは、本発明に記載の目的のために in
vitro 及び in vivo で細胞を形質導入するためにも利用され得る。
【0030】 核酸構築体は、例えば、p193タンパク質をコードするヌクレオチド配列を
in vivo 又は in vitro で細胞へ導入し、細胞のネーティブなレベルに比べて増
加している細胞内p193活性のレベルを達成するために使用され得る。そのよ
うな増加された活性は細胞においてアポトーシスを誘導し得る。アポトーシス活
性の誘導は、例えば、細胞死や、細胞収縮や核の濃縮及び切断のような他の特徴
的な形態学的変化により裏付けることができる。あるいは、又はさらには、p1
93活性を増加させるために、精製された(例えば、精製された組換え)p19
3タンパク質が(例えば、融合産生リポソーム又は他の高分子デリバリー系によ
り)細胞へ導入され得るか、又は、増加したアポトーシス活性を細胞へ提供する
ために、p193活性を増加させる薬剤で細胞を処置し得る。
【0031】 核酸構築体はまた、修飾されたp193ヌクレオチド配列を in vivo 又は in
vitro で細胞へ導入するためにも使用し得て、ここでその配列はドミナントネ
ガティブ遺伝子の特徴を提供し、野生型p193活性に有効に拮抗し、例えばア
ポトーシスの抑制、及び/又は細胞の増殖能力における増加を生じる。同様のア
プローチでは、ドミナントネガティブp193タンパク質又は他の分子を、野生
型p193活性に干渉するか又は拮抗する細胞へ導入することが可能であり、そ
れにより細胞内でアポトーシスを抑制する、及び/又は増殖を誘導する。野生型
p193タンパク質の発現又は活性に有効に干渉するために、例えば、アンチセ
ンス(as)p193ヌクレオチド配列を取込むベクターを使用し得る、及び/
又は薬剤として役立つ合成有機低分子を使用し得る。
【0032】 本発明により、研究、治療、スクリーニング又は他の目的に in vitro 又は i
n vivo で応用し得る方法が利用可能になる。(センス又はアンチセンスの方向
で)導入されたp193 DNAを発現する細胞の in vitro 培養についての方
法は、例えば、細胞周期の研究及び理解、p193活性又は細胞周期の他の側面
をモジュレートする化学薬剤又は物理因子のスクリーニング、又はヒトを含む哺
乳動物への後続の生着のために抑制されたアポトーシス活性及び/又は増加され
た増殖潜在力を有する細胞の培養において使用し得る。
【0033】 本発明により培養される細胞は、多種多様な源から誘導され得る。例えば、そ
れらは、培養のためにある哺乳動物から採取された後にその哺乳動物(自己移植
)又は同種(同種移植)又は異なる種(異種移植)の他の哺乳動物へ生着される
。心筋細胞又は他の細胞はまた、胚性幹細胞、体幹細胞又は他の同様な全能細胞
のような幹細胞の分化から誘導され得る。そのような誘導についての一般的な方
法論はFieldらの米国特許第5,602,301号及び5,733,727
号に開示されている。この点、そのように誘導されると、p193核酸を取込む
遺伝的修飾は、例えば、1種又はそれ以上のベクターを利用して、組織特異プロ
モーターへ機能可能的に連結したp193核酸、及び幹細胞から分化している、
及び/又は分化したレベルにある(例えば、組織特異プロモーターへ機能可能的
に連結した選択遺伝子マーカーを含む)他の細胞からターゲット細胞型を選択す
ることを可能にする核酸を導入し、幹細胞のレベルで起こり得る。形質導入され
ない幹細胞から形質導入された幹細胞の選択を可能にする核酸も、そのような戦
略において使用され得る。幹細胞型及び/又は分化した細胞型のそのような選択
は、例えば、抗生物質(例えば、ネオマイシン又はハイグロマイシン)又は他の
化学薬剤への抵抗性を与える、適切なプロモーターへ機能可能的に連結した遺伝
子を利用して、達成され得る。
【0034】 幹細胞から誘導された細胞を使用し、p193と潜在的には他の核酸を取込む
遺伝的修飾は、幹細胞の分化後にも起こり得る。例えば、心筋細胞又は他のター
ゲット細胞系で富化された、例えば90%又はそれ以上のターゲット細胞型を含
有する分化細胞の集団を、上記のように、プロモーター(所望により組織特異的
である)へ機能可能的に連結した(特にアンチセンスであるか又はドミナントネ
ガティブ突然変異を含む)p193核酸を有するベクターを用いて形質転換し得
る。この細胞群へ他の機能性核酸を導入するために、同じであるか又は異なるベ
クターも使用し得て、例えばレポーター遺伝子及び/又は選択マーカーを提供す
る、あるいは、増殖因子及び/又は別の細胞周期調節タンパク質の発現がもたら
される。
【0035】 例えば、本発明のある態様では、p193タンパク質のレベルを減少させるこ
と、又はp193シグナル伝達経路に干渉することは、細胞周期に影響を及ぼす
他の手段とともに使用され得る。例えば、p193及び/又はその(例えば、導
入されたアンチセンスp193核酸又はドミナントネガティブ突然変異を有する
核酸により影響される)経路のそのような修飾は、p53核酸(特にアンチセン
ス又はドミナントネガティブ突然変異)、E1A核酸、又は両者の組み合わせと
ともに使用し得る。なおさらに言えば、p193及び/又はその経路のそのよう
な修飾は、例えば、RBファミリーメンバーを阻害する、D型サイクリン又はサ
イクリン依存性キナーゼ活性を過剰発現する、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤
を阻害する、下流ターゲットを過剰発現させる、等のような、細胞周期の制限点
にある主要な調節因子を操作することによって、G1/S移行を緩和するか又は
促進する他の方法とともに使用され得る。
【0036】 本発明を実行する1つの様式では、左心室、右心室、左心房、又は右心房の心
筋細胞、又はこれらのいくつか若しくはすべての混合物を、上記に開示されるよ
うな好適なベクターを使用して抗アポトーシス及び/又は増殖性のp193核酸
を取込むように in vitro で遺伝的に修飾され得る。例えば、そのようなプロト
コールで遺伝的に形質導入される細胞は、様々な発達段階、例えば、胎児、新生
児、及び成体の段階にある動物から入手し得る。好適な動物源には、ウシ、ブタ
、ウマ、ヒツジ及びマウス動物のような哺乳動物が含まれる。ヒト細胞は、ヒト
のドナー又は治療される患者から入手し得る。その後、修飾された心筋細胞は、
哺乳動物へ、例えば左若しくは右心房、又は左若しくは右心室へ移植され、哺乳
動物において細胞移植片を確立し得る。細胞の移植は、例えば注射又はカテーテ
ル挿入による手段を含む、任意の好適な手段により達成し得る。p193核酸に
加えて、細胞はまた、他のタンパク質、例えば1種又はそれより多くのさらなる
細胞周期調節タンパク質を提供するために発現され得る他の機能性核酸配列を含
有するように in vitro で修飾され得る。1つの好ましい態様では、細胞内でア
ポトーシスを抑制するために、p193をコードする核酸と少なくとも1つの他
の細胞周期調節タンパク質(例えばp193及びp53優性の強制された発現を
組み合わせる)(Mowat, M., Nature Vol. 314, p. 633-636 (1985); Munroe, D
. G. Mol. Cell. Biol., Vol. 10, 3307-3313 (1990))をコードする核酸で細胞
が修飾される。
【0037】 培養、及び潜在的な移植のための細胞はまた、導入されたp193核酸を発現
するトランスジェニック動物(特に哺乳動物)からも入手し得る。既知の技術を
使用して、導入されたp193核酸をほとんどすべてのその細胞内に保留するト
ランスジェニック動物を生育させ、培養可能な細胞(例、心筋細胞)、組織又は
臓器を採取するための供給源として使用し得るか、又は研究又はスクリーニング
の目的の動物モデルとして使用し得る。例えば、トランスジェニックのウシ、ブ
タ、ウマ、ヒツジ又はマウス動物は、細胞、組織又は臓器の供給源として、又は
研究用の動物モデルとして使用し得る。例えば、野生型p193タンパク質の低
下したレベルを有する、及び/又は導入されたドミナントネガティブp193タ
ンパク質を発現するトランスジェニック動物は、アポトーシス抑制性、及び/又
は増殖亢進性の細胞、組織又は臓器の供給源として使用し得るが、これは線維症
又は他の同様な障害に対して防護されるだろう。このように、そのような材料は
、ヒトのような他の動物への移植における使用のために重要な利点を保有するだ
ろう。
【0038】 本発明はまた、(形質導入経路に影響する)細胞において、in vivo で(プロ
アポトーシスタンパク質を使用して)p193活性を増加させる、又は(p19
3dnを使用して)p193活性を減少させるための細胞の遺伝的修飾について
提供する。p193核酸を含有する発現ベクター(例えば、上記に記載のような
もの)は、細胞の組織における形質導入を達成するために、レシピエント哺乳動
物の組織へデリバリーされ得る。好ましい様式では、そのようなベクター内のp
193核酸は組織特異プロモーター、例えば心筋細胞特異プロモーターへ機能可
能的に連結される。このベクターのデリバリーは、適切にも、例えば血流への注
射、カテーテル挿入、又は注入か、又は他の既知手段により達成され得る。形質
導入された細胞のレシピエント哺乳動物の内部での確立を可能にするデリバリー
の様式が本発明のなかで考慮されることが理解される。形質導入された細胞の実
質的な集団をレシピエント内部で確立するために、ベクターの単回デリバリーが
使用され得るか、又はほとんど同時か又は時間をかけた頻回デリバリーが使用さ
れ得る。次いで、形質導入された細胞は、例えば構成的、誘導、又は組織特異プ
ロモーターの制御下で、コード化されたp193ポリペプチドを発現し、それに
より抑制又は誘導されたレベルのアポトーシスを示す。
【0039】 in vitro 培養された細胞の移植、又は in vivo 遺伝形質導入用ベクターのデ
リバリーは、レシピエント内の選択された部位又は諸部位へ向けられる場合があ
る。例えば、アポトーシス抑制性及び/又は増殖亢進性の心筋細胞生着、又は対
応する in vivo 形質導入の場合、そのような部位又は諸部位は、レシピエント
の左若しくは右心房、又は左若しくは右心室においてであり得る。一般に、移植
又はデリバリーの部位又は諸部位はレシピエントの左若しくは右心室において生
じる。(諸)部位は、例えば、追加の生細胞についての必要性がある(諸)部位
、例えば心筋梗塞や心筋障害の場合のような心臓の障害又は疾患領域においてで
あり得る。(諸)部位はまた、移植されたか又は in vivo 形質導入された細胞
における発現を介して増殖因子、例えば神経増殖因子又は血管形成因子のような
他のタンパク質をデリバリーするためのターゲットであり得る。
【0040】 本発明による細胞生着及び/又は in vivo 遺伝的修飾は、例えば、ヒトを含
む哺乳動物への治療をデリバリーするために使用し得る。このように、多種多様
な ex vivo 細胞移植及び埋め込み技術と遺伝子治療技術が本発明の一部を形成
するものとして考慮される。例えば、上記の技術は、野生型p193タンパク質
の低下したレベルを有する、及び/又は破壊されたか部分的に破壊されたp19
3シグナル伝達経路を有し、それにより細胞が減少したアポトーシス活性及び/
又は亢進した増殖能力を示す哺乳動物に細胞を提供するために使用され得る。例
えば、そのようなアプローチは、例えば梗塞又は心筋障害による収縮欠損の治療
において患者の収縮機能の改善又は保護をターゲットにするために使用され得る
。それらはまた、患者の他の組織又は臓器、例えば患者の肝臓又は肺の機能の改
善及び/又は保護をターゲットにするために使用され得る。ドミナントネガティ
ブ突然変異を有するp193タンパク質の使用は、そのような目的に特に有利で
あろう。さらに、例えば適切なp193核酸を用いた in vivo 遺伝形質導入と
その結果のプロアポトーシスタンパク質の発現による、プロアポトーシスp19
3タンパク質の細胞へのデリバリーは、例えば不適切に増殖性の細胞の場合にア
ポトーシスが所望される細胞において、アポトーシスを促進するために使用し得
る。
【0041】 本発明はまた、p193ペプチド上に存在する1つ又はそれより多くのエピト
ープ、又はp193上のイディオタイプに対して特異性を有する抗体へのアクセ
スも提供する(例えば、図14と実施例における不随の考察を参照のこと)。そ
のような抗体はポリクローナル若しくはモノクローナルであり得て、p193ポ
リペプチド又はそのフラグメントを免疫原として用いて産生し得る。このことに
関し、「抗体」(Ab)又は「モノクローナル抗体」(MAb)という用語は、
本明細書で使用されるように、インタクト分子、並びに抗原に結合し得るそのフ
ラグメントを含むことを意味する。p193に対する抗体は、例えば、ヒト又は
他の哺乳動物組織サンプルにおけるp193タンパク質の存在を検出するために
使用され得る。このことは、検出し得る標識抗体とサンプルとを接触させ、そし
てその標識を検出し、それによりサンプル中にp193タンパク質の存在を確定
することをふくみうる。検出は in vivo で造影することによって実行し得る。
p193タンパク質はまた、本発明による適切な抗体を使用して、例えばRIA
、ELISA等を含む、既知の免疫アッセイ技術によっても検出され得る。
【0042】 本発明の抗体は多種多様な既知の方法により調製され得る。例えば、p193
タンパク質を発現する細胞を動物へ投与して、p193タンパク質に結合し得る
ポリクローナル抗体を含有する血清の産生を誘導することが可能である。例えば
、p193タンパク質又はそのフラグメントを化学的に合成し、HPLCにより
精製して、実質的に混在物がないようにする。次いで、そのような調製物を動物
へ導入し、非活性が高いポリクローナル抗体を産生する。
【0043】 ポリクローナル抗体は、例えば、マウス、ウサギ、又はヤギを含む任意の好適
な動物において産生し得る。p193の免疫原性ペプチド又はそのフラグメント
は、そのままか又は適切な免疫活性化の担体へ結合して注射し得る。
【0044】 モノクローナル抗体は、当業者により十分理解された技術を使用して様々な仕
方で調製し得る。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を使用し
て調製し得る(Kohler et al., Nature 256: 495 (1975);Kohler, et al., Eur
. J. Immunol. 6: 511 (1976);Kohler, et al., Eur. J. Immunol. 6: 292 (19
76);Hammerling, et al., 『モノクローナル抗体とT細胞ハイブリドーマ』(M
onoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas)エルセヴィエ、N.Y.,563-
681頁(1981);Roger H. Kennett, et al.編、『モノクローナル抗体−ハイブ
リドーマ:生物学的分析の新次元』(Monoclonal Antibodies-Hybridomas: A Ne
w Dimension in Biological Analysis)プレナムプレス(1980))。一般に、そ
のような方法は、本発明のp193タンパク質、又はそのフラグメントで動物を
免疫化することを含む。そのような動物から脾細胞を抽出し、好適な骨髄腫細胞
系と融合させる。本発明によれば、任意の好適な骨髄腫細胞系を利用し得る。融
合の後で、生成したハイブリドーマ細胞をHAT培地で選択的に維持し、Wands,
et al., Gastroenterol. 80: 225-232 (1981) に記載のように希釈を制限する
ことによってクローン化する。次いで、そのような選択を介して得られるハイブ
リドーマ細胞をアッセイし、p193タンパク質に結合し得る抗体を分泌するク
ローンを同定する。
【0045】 本発明のp193抗体を産生して使用するために、上記の技術や抗体の産生及
び使用に関連した他の技術は当業者に明らかであり、容易に利用し得るだろう。 本発明とその利点に関するさらなる理解を深めるために、以下の特定の実施例
が提供される。これらの実施例は本発明を例示するものであって、制限するもの
ではないことを理解されたい。
【0046】
【実施例】
実施例1〜3:方法 実施例1 p193タンパク質の単離及び配列分析 AT−2心筋細胞をNETの20mlにおいてホモジェナイズし、プロテイン
Aセファロースビーズで前洗浄し、抗T−Agモノクローナル抗体のPAb41
9と混合(90分、4℃)した。免疫複合体をプロテインAセファロースを用い
て回収し、ポリアクリルアミドゲル上で展開し、クマッシーブリリアントブルー
で染色することによって視覚化した。p193を含有するゲルの領域を切出し、
イソプロピルアセトアミドでアルキル化し、記載(Shevchenko, A., Wilm, M.,
Vorm, O., and Mann, M. (1996) Anal. Chem. 68, 850-858)のように、F−ト
リプシン(トリプシン0.2μg,37℃、17時間)で消化した。次いでこの
ペプチドを5%ギ酸/50%アセトニトリルで抽出し、C18 0.32x10
0mmキャピラリーカラム(LCパッキング社)で分離した。単離されたHPL
C分画のそれぞれのアリコートを、ターゲットプレート上のマトリックスの前作
成(pre-made)スポット(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸20mg+ニト
ロセルロース5mg/(50%アセトン/50% 2−プロパノール)1mlの
0.5ml)へ塗布した。窒素レーザー、337nmを用いたマトリックス介助
レーザーデソープションイオン化によりイオンを形成させた。線遅延(linear d
alayed)抽出モードで作動する、PerSeptive Biosystems
Voyager Elite飛行時間質量分析計を用いてスペクトルを得た。
引き続き、選択された前駆質量についてのフラグメントイオンを、線源崩壊後(
post-source decay;PSD)実験(Kaufman, R., Kirsch, D. and Spengler, B
. (1994) International J. Mass Spec. and Ion Proc. 131, 355-385)から得
た。記載(Henzel, W. J., Grimley, C., Bourell, J. H., Billeci, T. M., Wo
ng, S. C. and Stults, J. T. (1994) Metods: A companion to Methods in Enz
ymology 6, 239-247)のように、改良サイクルを使用するオンラインPTH分析
装置の付いたモデル470Aアプライド・バイオシステムズシークエンサーで自
動化されたタンパク質の配列決定を実施した。Nelson Analytic
760インターフェースを使用するJustice Innovationソ
フトウェアを用いてピーク群を統合した。DEC5900(Henzel, W. J., Rod
riguez, H., and Watanabe, C. (1987) J. Chromatogr. 404, 41-52)で配列の
解釈を実施した。
【0047】 実施例2 p193 cDNAの単離及び分子分析 C3HeB/FeJ近交系マウスから産生した成体心臓cDNAライブラリー
からp193 cDNAを単離した(Kim, K. K., Daud, A. I. Wong, S. C., P
ajak, L., Tsai, S. C., Wang, H. Henzel, W. J., and Field, L. J. (1996) J
. Biol. Chem. 271, 29255-29264)。プラークハイブリダイゼーション、ファー
ジDNA単離、及びサブクローニングを、標準法(Sambrook J., Fritsch, E. F
., and Maniatis, T. (1989)『分子クローニング』(Molecular cloning)コー
ルドスプリングハーバーラボラトリープレス、コールドスプリングハーバー、N
.Y.)を使用して実施した。チェインターミネーター法(シークエナーゼ、米
国バイオケミカルズ、クリーブランド、OH)を使用して、試験したcDNAク
ローンの両鎖につき配列を決定した。
【0048】 p193/T−Ag結合を証明するために、エピトープ・タグが分子のC末端
へ取込まれるように、完全長のp193 cDNAをpcDNA3.1/Myc
−His発現ベクター(インビトロゲン、カールスバッド、CA)へサブクロー
ン化した(この構築体をCMV−p193mycと命名した)。T−Ag cD
NAをpcDNA3.1発現ベクターへサブクローン化した(エピトープ・タグ
を欠く;この構築体をCMV−T−Agと命名した)。IP/ウェスタン分析の
ために、NIH−3T3細胞(ATCC,ロックヴィル、MD)を、リン酸カル
シウム法を使用して、CMV−5−Ag及びCMV−p193mycとともに同
時トランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞から調製したタンパク質
(1mg)を、抗T−Ag(PAb419)、抗myc(9E10,サンタクル
スバイオテク)、又はIgGサブタイプ適合非特異抗体(抗GST,ファルマシ
ア)と反応させ、生成した免疫複合体をウェスタンブロット分析にかけた。トラ
ンスフェクトしなかった細胞とトランスフェクトした細胞からの全タンパク質1
00μgを対照として含めた。抗myc(9E10)又は抗T−Ag(PAb4
16)抗体でブロットをプローブし、ECL法を使用してシグナルを顕色させた
。in vitro でのp193/T−Ag結合を証明するために、pBluescr
ipt IISK(ストラタジーン、ラジョア、CA)へサブクローン化された
完全長のp193 cDNAから得た、35S−メチオニン標識 in vitro 転写/
翻訳(TNTキット、プロメガ)産物を組換えSV40 T−Ag(モレキュラ
ーバイオロジーリソース)の1.2μgと混合し、抗T−Ag(PAb419)
又はIgGサブタイプ適合非特異対照抗体(抗MAPキナーゼ#D2,サンタク
ルスバイオテク)と反応させた。次いで、上記のように、免疫複合体をオートラ
ジオグラフィー(p193)又はウェスタンブロッティング(T−Ag)により
視覚化した。
【0049】 ノーザンブロットでは、記載(Sambrook J., Fritsch, E. F., and Maniatis,
T. (1989)『分子クローニング』(Molecular cloning)コールドスプリングハ
ーバーラボラトリープレス、コールドスプリングハーバー、N.Y.)のように
、全RNAの10μgをグリオキサールで変性し、アガロースゲル上で展開し、
Genescreen(NEN)へ移し、ニック翻訳した(nick-translated)
完全長のp193 cDNAと反応させた。T−Ag上のp193結合部位をマ
ッピングするために、完全長p193 cDNAクローンと様々なT−Ag欠失
構築体からの in vitro 翻訳産物を混合し、N末端特異的な抗T−Agモノクロ
ーナル抗体(PAb419)を用いて免疫複合体を産生した。次いで、免疫複合
体をオートラジオグラフィーにより視覚化した。文献に示されるように、終止コ
ドン又は塩基対置換を取込むオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、PCR
増幅により様々なT−Ag欠失構築体を産生した。各構築体の忠実度(fidelity
)を配列分析により確かめた。
【0050】 実施例3 p193の機能解析 FACS解析のため、CMV−β−GALmyc又はCMV−p193myc
をトランスフェクションしたNIH−3T3細胞を、Hoechstで標識し、
トリプシン処理し、そしてエタノール中の5%酢酸中で固定し、PBSで再水和
し、そして記載されるように、FITCコンジュゲート化抗myc抗体(9E1
0、Oncogene Sciences)と反応させた(Esser, C.
, Gottlinger, C., Kremer, J., Hundei
ker, C.及びRadbruch, A.(1995)Cytometry
21, 382−386; Brown, D.R., Thomas, C
.A.及びDeb, S.P.(1998)EMBO J., 17, 251
3−2525)。その後、FITC陽性細胞のDNA含量をBecton Di
ckinson FACS−PLUS装置上で解析した。免疫細胞診断的解析は
、記載されるとおり(44)であり、そして画像は、BioRadレーザー走査
共焦点顕微鏡を用いて捉えるか、あるいは慣用的な光学又は蛍光顕微鏡を用いて
直接写真撮影した。
【0051】 細胞死時間経過実験のため、血清枯渇(飢餓培地は、DMEM中に0.1%
FBSを含んだ)2周期により同調させたNIH−3T3細胞に、Lipofe
ctin(Gibco−Life Sciences、ニューヨーク州グランド
アイランド)を用いて、CMV−p193myc又はCMV−βGALいずれか
を、24時間、トランスフェクションした。その後、培養をPBSでリンスし、
そして飢餓培地中でさらに6時間、培養した。その後、DMEM中に3H−チミ
ジン(26 Ci/mmol、Amersham、英国・バッキンガムシャー)
及び10% FBSを含む培地を添加し、そして記載されるように、その後、多
様な時点で、オートラジオグラフィー及び免疫細胞診断のため、細胞をプロセシ
ングした(Klug, M.G., Soonpaa, M.H., Koh,
G.Y.及びField, L.J.(1996)J. Clin. Inv
est. 98, 216−224)。細胞周期中、T−Agを位置決定するた
め、10% FBSを含むDMEM中のAT−2細胞の集密以下の培養に、3
−チミジンの40分間パルスを与えた。その後、細胞をリンスし、そしてその後
、10% FBSを含むDMEMで培養した。その後、記載されるように、多様
な時点で、オートラジオグラフィー及び免疫細胞診断のため、細胞をプロセシン
グした(Klug, M.G., Soonpaa, M.H., Koh,
G.Y.及びField, L.J.(1996)J. Clin. Inve
st. 98, 216−224)。コロニー増殖アッセイのため、CMV−ヌ
ル、CMV−p193s又はCMV−p193asをトランスフェクションした
NIH−3T3細胞を、15日間、G418中で選択した(発現ベクターはまた
、CMV−neorカセットもコードした)。その後、プレートを固定し、そし
てゲンチアナバイオレットで染色した。
【0052】 実施例1−3:結果 p193のクローニング 心筋細胞においてT−Ag結合タンパク質を同定するため、トランスジェニッ
ク心臓腫瘍由来の細胞株、AT−2細胞(Daud, A.I., Lanso
n, N.A., Jr., Claycomb, W.C.及びField,
L.J.(1993)Am. J. Physiol. 264, H169
3−700)を35S−メチオニン標識したものから調製したタンパク質を用い、
免疫複合体を生成した。380、193及び120kdの見かけの分子量を持つ
タンパク質(図1aを参照されたい)が、抗T−Ag(PAb419、レーン3
)又は抗p53(PAb421及びPAb246、それぞれレーン2及び6)モ
ノクローナル抗体いずれかで生成した免疫複合体中に検出された。これらのタン
パク質は、IgGサブタイプが一致した非特異的対照抗体(DYS1、レーン1
;PAb240、レーン5)で生成した免疫複合体にも、一次抗体を欠く対照(
レーン4)にも存在しなかった。以前の研究は、120kd タンパク質がp1
07であり(45、46)、そして180kd タンパク質(PAb421抗p
53免疫複合体にのみ存在)が、酵母におけるdsDNA切断修復に関与するタ
ンパク質、RAD50(Kim, K.K., Daud, A.I., Wo
ng, S.C., Pajak, L., Tsai, S.C., Wan
g, H., Henzel, W.J.及びField, L.J.(199
6)J. Biol. Chem. 271, 29255−29264)のネ
ズミ相同体であることを示している。380 kdタンパク質は、いまだに性質
決定されていない。
【0053】 p193をクローニングするため、大規模抗T−Ag免疫複合体調製を、ポリ
アクリルアミドゲル上で分離し、そしてクーマシーブルー染色により、視覚化し
た。p193を含む領域を切除し、in situでトリプシンを用いて消化し
、HPLCにより分画し、そしてポストソース分解(PSD、図1b)を用いた
質量分析により、解析した。PSD実験から得られた情報を用いて、Frag−
Fitの修飾型を用い、タンパク質配列データベースを検索した。この検索によ
り、p193は、先に同定された、ヒト未成熟骨髄細胞株から単離された未知の
機能のオープンリーディングフレーム(Nomura, N., Nagase
, T., Miyajima, N., Sazuka, T., Tana
ka, A., Sato, S., Seki, N., Kawaraba
yasi, Y., Ishikawa, K.及びTabata, S.(1
994)DNA Res. 1, 251−262)に相同であることが示され
た。逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を用い、最大のp193ペプチドに相同な
領域に渡る短いcDNAクローンを生成した。その後、このクローンを用い、成
体マウス心臓cDNAライブラリーをスクリーニングした。
【0054】 最終的に6つの重複するcDNAクローンが得られた(図1c)。配列解析に
より、1689アミノ酸残基のタンパク質をコードし、そして192,346
dの推定分子量を持つ、長さ5067ヌクレオチドのオープンリーディングフレ
ームが明らかになった(図2a)。PSD実験で同定されるp193タンパク質
分解ペプチドはすべて、該cDNAクローンの推定されるアミノ酸配列に存在し
た。配列解析により、アミノ酸残基593−619にロイシンジッパー、アミノ
酸残基1052−1056にLXCXEモチーフ(網膜芽細胞腫ファミリータン
パク質に結合するコンセンサス配列、Gibson, T.J., Thomp
son, J.D., Blocker, A.及びKouzarides,
T.(1994)Nucleic. Acids. Res. 22, 946
−952を参照されたい)、及びアミノ酸残基1566−1572に2つのGタ
ンパク質受容体モチーフの存在を明らかにした:他のBHドメインは、p193
には存在しなかった。p193のBH3ドメイン及びBH3のみのファミリーメ
ンバーのものの配列並列を図2bに示す。
【0055】 クローニングされたp193はT−Agに結合する これらのクローンが193 kd T−Ag結合タンパク質をコードすること
を確認するため、全長p193 cDNAを、C末端に短いmycエピトープを
取り込んだCMV促進発現ベクターにサブクローニングした。CMV−p193
mycと称される、生じたクローンのみを、CMV−T−Ag(T−Agをコー
ドする発現構築物)と共に、NIH−3T3細胞にコトランスフェクションした
。トランスフェクション24時間後に細胞から調製したタンパク質を、抗T−A
g及び抗myc抗体を用いて、免疫沈降/ウェスタンブロット解析に供した(図
3a)。p193mycは、抗T−Ag免疫複合体中に検出され、そしてT−A
gは、抗myc免疫複合体中に検出された。どちらのタンパク質も、IgGサブ
タイプが一致した非特異的対照抗体で生成された免疫複合体中には存在しなかっ
た。in vitro翻訳p193及び組換えT−Agの混合物の免疫沈降解析
もまた行った(図3b)。放射標識p193は、抗T−Ag抗体で生成した免疫
複合体中に存在したが、IgGサブタイプが一致した非特異的対照抗体で生成し
た免疫複合体中には存在せず、193kd T−Ag結合タンパク質のクローニ
ングに成功したことが確認された。ノーザンブロットにより、成体マウス組織に
おける幾分限定されたパターンのp193発現が明らかになった(図3c)。該
タンパク質が元来、心臓腫瘍由来の細胞株で同定されたことを考慮すると予期さ
れる可能性があるように、比較的高レベルのp193 mRNAが心臓に検出さ
れた。
【0056】 p193はT−AgのN末端に結合する p193に結合するT−Agの領域を同定するため、一連のT−Ag欠失構築
物由来のin vitro翻訳産物を、全長in vitro翻訳p193と混
合し、そして抗T−Ag抗体で生成された免疫複合体を、ポリアクリルアミドゲ
ル上で分離し、そしてオートラジオグラフィーにより視覚化した(図4)。p1
93は、アミノ酸残基147から708と同程度のアミノ酸残基を含む欠失を持
つT−Ag突然変異体で生成された免疫複合体中に存在し、p193結合部位が
、T−Agアミノ酸残基1から147内に存在することが示された。対照的に、
アミノ酸残基92から708が欠失したT−Ag突然変異体で生成した免疫複合
体中に、p193は存在せず、結合部位のC末端境界が、T−Agアミノ酸残基
107及び108内にあり、これはRBファミリーメンバーの結合を乱すが、p
193結合に影響を与えなかったことが示された(図4、構築物1−147▲R
B)。したがって、p193は、RBファミリーメンバー結合部位と異なるT−
AgのN末端領域に結合する。
【0057】 p193の発現はアポトーシスを促進する 細胞増殖に対するp193発現の影響を決定するため、NIH−3T3細胞に
、CMV−βGALmyc(mycエピトープタグと共にβ−ガラクトシダーゼ
をコードする発現構築物)又はCMV−p193mycいずれかをトランスフェ
クションした。トランスフェクション48時間後のFITCコンジュゲート化抗
myc抗体を用いたFACS解析により、CMV−βGALmycを発現する大
部分の細胞は、正常2C DNA含量を有することが明らかになった(図5a;
差し込み図は、CMV−βGALmycトランスフェクション細胞を示す:左の
画像は、抗myc免疫蛍光を示し(矢印を参照されたい)、右の画像は、Hoe
chst蛍光を介した核形態を示す(矢印を参照されたい))。対照的に、CM
V−p193mycを発現する細胞の大部分は、二倍体以下(hypodipl
oid)のDNA含量を示し、アポトーシス細胞死を示した(図5b)。培養の
視覚的検査により、トランスフェクション細胞の大部分が死んでおり、そして顕
著に凝縮した染色質を有することが確認された(図5B差し込み図:左の画像は
、抗myc免疫蛍光を示し(矢印を参照されたい)、右の画像は、Hoechs
t蛍光を介した核形態を示す(矢印を参照されたい))。したがって、p193
発現は、アポトーシスを誘導することが可能である。
【0058】 細胞周期のどの時点で、p193が細胞死を誘導するか決定するため、血清飢
餓NIH−3T3細胞に、CMV−p193mycをトランスフェクションした
。その後、血清及び3H−チミジンを含む培地を添加し、そしてその後、多様な
時点で、抗myc免疫細胞診断及びオートラジオグラフィーのため、培養をプロ
セシングした。CMV−p193mycを発現する細胞のほとんどは、血清補充
20時間後までに死に(図5c、正方形記号のトレース)、そしてこれらの細胞
では、DNA合成は再開されなかった(図5c、ひし形記号のトレース)。これ
は、p193誘導アポトーシスがG1中に起こることを示唆する。対照的に、同
一チャンバースライド上の非トランスフェクション細胞の大部分は、血清補充1
4時間後までに、DNA合成を再開し(図5c、円記号のトレース)、したがっ
て、同調プロトコルの忠実性(fidelity)が確かめられた。対照実験に
おいて、CMV−βGALmycを発現する細胞は、非トランスフェクション細
胞のものに匹敵する速度でDNA合成を再開し(未提示)、導入遺伝子発現それ
自体は、細胞周期進行又は生存度に影響を与えないことが示された。同調培養に
おけるp193myc免疫反応性は、まず、細胞質中に均一に局在したが、細胞
死開始前に核周辺領域に限定されてきた(それぞれ図5d及びe)。よく性質決
定されているプロアポトーシスタンパク質、Baxは、アポトーシス中、細胞質
から核周辺への同様の再分布を経る(Hsu, Y.T., Wolter,
K.G.及びYoule, R.J.(1997)Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 94, 3668−3672)。最後に、細胞周
期進行が遮断されると、p193myc発現細胞が、生存可能であることに注目
することが興味深い;低血清条件下に維持すると、トランスフェクション40時
間後、p193発現細胞の>90%が生存可能であった。これは、アポトーシス
を始動させるのに、ある程度の細胞周期進行が必要であることを示唆する。
【0059】 BH3のみのファミリーメンバーによる細胞死誘導は、Bcl−2ファミリー
の生存促進(pro−survival)メンバーの同時発現により、アンタゴ
ナイズされる可能性がある。p193がこの形質を共有するか決定するため、N
IH−3T3細胞に、CMV−p193mycのみをトランスフェクションする
か、又はCMV−p193myc及びCMV−Blc−XL(ヒトBcl−XL
コードする構築物)をコトランスフェクションした。p193のみをトランスフ
ェクションした細胞の大部分は、トランスフェクション68時間後、死んだが、
Bcl−XLのコトランスフェクションは、p193誘導アポトーシスを顕著に
アンタゴナイズした(図5f)。対照実験において、CMV−p193myc及
びCMV−GFP(緑色蛍光タンパク質をコードする発現構築物)のコトランス
フェクション後、実質的に生存細胞はまったく見られず、2つのCMV駆動構築
物の同時発現が、p193誘導細胞死を寛解(abate)しないことが示され
た(図5f)。
【0060】 p193誘導アポトーシスにおけるBH3ドメインの重要性を確かめるため、
アミノ酸残基1563から1576(VRILKAHGDEGLHV)が欠失す
るように、CMV−p193myc発現構築物を修飾した。この修飾により、B
H3モチーフ(アミノ酸残基1566−1572)の欠失が生じ、そして生じた
構築物は、CMV−p193[デルタ記号]BHと名づけられた。CMV−p1
93[デルタ記号]BHをトランスフェクションしたNIH−3T3細胞は生存
可能であった(図5f)。実際、生存は、CMV−p193に加えCMV−Bc
l−XLをコトランスフェクションした細胞に関して得られるものと同様であっ
た。したがって、BH3ドメインは、p193仲介アポトーシスに必要である。
【0061】 T−AgはM及びG1中、一過的に細胞質に局在する p193が元来、T−Ag結合タンパク質として同定されたこと、及びT−A
gが核腫瘍性タンパク質であることを考慮すると、p193mycの細胞質/核
周辺局在は、幾分驚くべきことである。この逆説にさらに取り組むため、CMV
−193myc及びCMV−T−AgをコトランスフェクションしたNIH−3
T3細胞を調べた。p193及びT−Agを同時発現する細胞で、生存は非常に
増進し(図5f)、Bcl−XL同様、T−Agがp193誘導アポトーシスを
アンタゴナイズすることが可能であることが示された。さらに、免疫細胞診断解
析により、p193myc及びT−Agが、コトランスフェクション細胞の大部
分(およそ63%)で、細胞質に共に局在することが示された(それぞれ図6a
及びb)。対照的に、CMV−βGALmyc及びCMV−T−Agのコトラン
スフェクションは、顕著な細胞質T−Ag免疫反応性を生じなかった(未提示)
。これらの結果は、p193−T−Ag結合が、通常、細胞質で起こる可能性を
提起する。
【0062】 細胞質T−Ag免疫反応性は、先に、有糸分裂細胞で注目されてきている(S
tenman, S., Zeuthen, J.及びRingertz, N
.R.(1975)International. Journal. Of
Cancer 15, 547−554; Davis, D.及びWynfo
rd−Thomas, D.(1986) Experimental. Ce
ll Research. 166, 94−102)。パルス追跡実験を用い
、AT−2心筋細胞の細胞質に、どのくらい長くT−Agが存続するか決定した
。集密以下の培養に、3H−チミジンの40分間パルスを与え(S期の細胞に印
をつけるため)、その後、放射性同位体不含培地で追跡した。その後、多様な時
点で、抗T−Ag免疫細胞診断及びオートラジオグラフィーのため、培養をプロ
セシングした。チミジン陽性細胞のかなりの割合が、S期4時間後から10時間
後、細胞質T−Ag免疫反応性を示した(図6c)。対照的に、有糸形の3H−
チミジン陽性細胞は、S期4時間及び6時間後に観察されたのみであった。した
がって、細胞質T−Ag局在は、細胞質分裂から十分にG1まで持続した。この
点は、S期8−12時間後、細胞質T−Ag免疫反応性を持つ、3H−チミジン
陽性娘細胞の存在によってもさらに例示される(図6d及びe)。したがって、
T−Agは、p193誘導細胞死が起こる細胞周期の時点(G1)の同時点に、
細胞質に一過的に局在する。
【0063】 p193活性の減少が増殖を促進する 上に提示されるデータは、p193の強いられた発現が、S期開始前にアポト
ーシスを促進することを示す。p193アンチセンス構築物(CMV−p193
as)を使用するコロニー増殖アッセイを用い、減少したp193発現の結果を
決定した。NIH−3T3細胞にCMV−193asをトランスフェクションす
ると、CMV−ヌル(挿入物を欠く対照発現ベクター、図7Aを参照されたい)
のトランスフェクションに比較した際、顕著に増加したコロニーサイズを生じた
。平行培養のノーザンブロットにより、p193転写物が、アンチセンス構築物
をトランスフェクションした培養で、顕著に減少していることが示された(デー
タ未提示)。期待されたように、CMV−193s(センス方向にp193をコ
ードする発現ベクター)のトランスフェクションは、可視コロニーをまったく生
じず(図7A)、これは、上述のp193のプロアポトーシス活性と一致する。
【0064】 アンチセンス構築物の発現が、内因性p193転写物のレベルに影響を与えた
ことを確認するため、RT−PCR解析を行った(図7Bを参照されたい)。ベ
ータ−アクチン転写物の断片、及び内因性遺伝子に存在するが、発現ベクターに
存在しないp193転写物の断片の同時増幅を可能にする増幅プライマーを選択
した。ベータ−アクチン増幅産物及びp193増幅産物の相対比は、内因性p1
93転写物の定常状態レベルの定量的評価を提供する。CMV−ヌルベクターを
発現する細胞、CMV−p193asベクターを発現する細胞、又は非トランス
フェクションNIH−3T3細胞から、RNAを調製した。p193増幅産物の
相対レベルは、対照細胞に対し、CMV−p193asを発現する細胞由来のR
NAで減少し、アンチセンス干渉が、内因性転写物の定常状態レベルを減少させ
るのに成功したことを示した(図7B)。しかし、p193発現が完全には遮断
されなかったことに注目されたい。
【0065】 実施例1−3:考察 我々は、AT−2心筋細胞腫瘍細胞株に存在するT−Ag結合タンパク質、p
193が、BH3のみのプロアポトーシス遺伝子ファミリーの新規メンバーであ
ることを示した。他のBH3のみのタンパク質同様、p193誘導アポトーシス
は、生存促進Cl−2ファミリーメンバー(我々の場合、Bcl−Xlを試験し
た)の同時発現により、アンタゴナイズすることが可能である。p193は、他
のBH3のみのファミリーメンバーに比較した際、サイズが顕著に異なり;BH
3のみのファミリーメンバーの二番目に大きいファミリーメンバー、BIDはわ
ずか21.95 kdである(Wang, K., Yin, X.M., C
hao, D.T., Milliman, C.L.及びKorsmeyer
, S.J.(1996)Genes Dev. 10, 2859−2869
)。一過的トランスフェクション細胞において、T−Agの同時発現は、p19
3誘導アポトーシスをアンタゴナイズし、そして両タンパク質の細胞質隔離を生
じる。さらに、T−Agは、細胞周期でp193がアポトーシスを誘導するのと
同時点である、G1中、AT−2心筋細胞の細胞質に局在する。これらのデータ
は、細胞質におけるT−Ag/p193結合が、SV40形質転換細胞における
p193活性を修飾するか又は抑止することが可能であるという知見と一致する
【0066】 p193がT−Ag仲介形質転換に重要であるならば、p193結合部位での
及び/又はその近傍での突然変異が、T−Ag形質転換活性を減少させるであろ
うことが期待されるであろう。実際、先の突然変異解析は、T−AgのN末端に
形質転換活性を同定した。例えば、Kohrman及びImperiale(K
ohrman, D.C.及びImperiale, M.J.(1992)J
. Virol. 66, 1752−1760)は、アミノ酸残基1−108
が、B2−1細胞を効率的に形質転換するのに必要であり、そしておよそ185
kdのタンパク質が、T−Agのこの領域に結合することを立証した。さらに
、T−Ag及び185 kdタンパク質の間の結合は、RBファミリーメンバー
の結合を抑止する点突然変異により、乱されなかった。分子量及び結合特異性の
類似性を考慮すると、p193は、p185と同一タンパク質である可能性があ
る。
【0067】 他の研究は、T−Agアミノ酸残基1−82(Marsilio, E.,
Cheng, S.H., Schaffhausen, B., Pauch
a, E.及びLivingston, D.M.(199)J. Virol
. 65, 5647−5652)、3−35(Zhu, J., Rice,
P.W., Gorsch, L., Abate, M.及びCole,
C.N.(1992)J. Virol. 66, 2780−2791)、及
び17−27(Srinivasan, A., McClellan, A.
J., Vartikar, J., Marks, I., Cantalu
po, P., Li, Y., Whyte, P., Rundell,
K., Brodsky, J.L.及びPipas, J.M.(1997)
Mol. Cell. Biol. 17, 4761−4773)での突然変
異がすべて、選択された細胞種において形質転換活性に影響を与えることを立証
している。これらの突然変異体のいくつかは、DnaJ分子シャペロンとして機
能する配列モチーフ、N末端Jドメインを乱すと考えられる(Srinivas
an, A., McClellan, A.J., Vartikar, J
., Marks, I., Cantalupo, P., Li, Y.,
Whyte, P., Rundell, K., Brodsky, J.
L.及びPipas, J.M.(1997)Mol. Cell. Biol
. 17, 4761−4773; Campbell, K.S., Mul
lane, K.P., Aksoy, I.A., Stubdal, H.
, Zalvide, J., Pipas, J.M., Silver,
P.A., Roberts, T.M., Schaffhausen, B
.S.及びDeCaprio, J.A.(1997)Genes Dev.
11, 1098−1110)。DnaJは、70 kd熱ショックタンパク質
ファミリーのメンバーに結合し、そしてこの複合体は、正しいタンパク質フォー
ルディング、多タンパク質複合体の形成、及び細胞内膜を横断するタンパク質輸
送を促進する。(Gething, M.J.及びSambrook, J.(
1992)Nature 355,33−45)。我々のデータは、p193の
結合部位のC末端境界が、T−Agアミノ酸残基92から147に存在すること
を示すが、結合部位のN末端境界はまだマッピングされていない。アミノ酸92
の上流の残基を含む突然変異は、結合ドメインの直接の中断により、又はT−A
gの三次構造を改変することにより、p193/T−Ag結合を改変することが
可能であった。T−Ag形質転換活性に関するp193結合の重要性を確認する
には、結合部位を正確にマッピングした後、適切に突然変異させたT−Ag発現
構築物で形質転換活性を評価する必要がある。最後に、p193及びRBファミ
リーメンバー結合部位の相対近接度が得られたら、RB、p107及び/又はp
193がT−Ag結合に関し、立体的に競合するかどうか決定することが興味深
いだろう。こうした機構は、心筋細胞から調製された総タンパク質中に、過少リ
ン酸化RBが存在するにも関わらず、心筋細胞株由来の抗T−Ag免疫沈降物に
RBが存在しないことを説明する可能性がある(図1、Kim, K.K.,
Soonpa, M.H., Daud, A.I., Koh, G.Y.,
Kim, J.S.及びField, L.J.(1994)J. Biol
. Chem. 269, 22607−22613もまた参照されたい)。
【0068】 p193はまた、T−Agに結合する能力に関し、BH3のみのファミリーメ
ンバー中で、独特であるようである。しかし、BH3のみのタンパク質Bik及
びBNIP−3(と共に、BH1、BH2及びBH3ドメインを含むプロアポト
ーシスタンパク質、Bax及びBak)は、アデノウイルスE1B 19Kタン
パク質に結合することが可能である(Farrow, S.N., White
, J.H., Martinou, I., Raven, T., Pun
, K.T., Grinham, C.J., Martinou, J.C
.及びBrown, R.(1995)Nature 374, 731−73
3; Boyd, J.M., Malstrom, S., Subrama
nian, T., Venkatesh, L.K., Schaeper,
U., Elangovan, B., D’Sa−Eipper, C.及
びChinnadurai, G.(1994)Cell 79, 341−3
51; Boyd, J.M., Gallo, G.J., Elangov
an, B., Houghton, A.B., Malstrom, S.
, Avery, B.J., Ebb, R.G., Subramania
n, T., Chittenden, T., Lutz, R.J.ら(1
995)Oncogene 11, 1921−1928; Han, J.,
Sabbatini, P., Perez, D. Rao, L., M
odha, D.及びWhite, E.(1996)Genes Dev.
10, 461−477)。E1B 19Kタンパク質の抗アポトーシス活性は
、少なくとも部分的に、プロアポトーシスBcl−2ファミリーメンバーとの結
合によるものであると考えられる(White, E.(1995)Curre
nt Topics in Micro. & Immuno. 34−58)
。以前の研究は、アミノ酸残基525から541にT−Ag抗アポトーシス活性
を同定しており、これはp53隔離と独立に作用するようである(Conzen
, S.D., Snay, C.A.及びCole, C.N.(1997)
J. Virol. 71, 4536−4543)。これらの著者らは、T−
Agのこの領域及びE1B 19Kのアミノ酸残基77から93と共にBcl−
2アミノ酸残基133から151の間の有意な度合いの配列相同性に注目してい
る。これらの観察は、T−Agアミノ酸残基525−542での結合活性が、プ
ロアポトーシスタンパク質のE1B 19Kタンパク質隔離と機能的に同様であ
る可能性があることを示唆するが、BakへのT−Agの直接結合を確立するこ
とを目指す実験は成功しなかった(Conzen, S.D., Snay,
C.A.及びCole, C.N.(1997)J. Virol. 71,
4536−4543)。
【0069】 アンチセンストランスフェクション実験の結果は、p193活性の減少は、N
IH−3T3細胞における顕著な増殖増進と関連することを示した。増殖速度の
増加は、使用した増殖条件下では幾分不定期に起こる、NIH−3T3細胞にお
けるアポトーシスの単純な阻害から期待されるであろうものより多い。これを証
拠立てて、予備実験は、CMV−p193as構築物を発現する細胞が、対照構
築物(Tsai、未公表データ)を発現する細胞に比較した際、より高いDNA
合成標識指標を示すことを示した。この観察は、p193が細胞周期チェックポ
イントとして機能する可能性があり、そしてこのチェックポイントの通過が、p
193活性の非存在下で加速されるという知見と一致する。この仮説は、p19
3仲介細胞死プログラムの始動には、少なくとも限定された度合いの細胞周期進
行が必要であることを示した、上述の血清飢餓実験により、部分的に支持される
。したがって、p193は、G1の特定の時点(すなわち推定される細胞周期チ
ェックポイント)の通過後の細胞死を誘発することのみ可能であり、そして該タ
ンパク質の集積それ自体は、細胞に有害でない。細胞質T−Ag局在が細胞周期
の同一時点の間に起こるという観察が、この知見をさらに信頼できるものにする
。p193の分子経路へのさらなる洞察は、さらなる機能損失モデルの生成を待
たなければならない。
【0070】 p193を性質決定する我々の努力は、部分的に、疾患心臓における再生増殖
を生じさせる、潜在的に療法的な標的を同定する希望が動機となっている。これ
に関し、初代心筋細胞培養への、E1A又はE2F−1のトランスフェクション
は、E1B、Bcl−2の同時発現又はp53活性の抑止により、部分的にしか
弱められない、迅速なアポトーシス反応を生じることに注目することが興味深い
(Kirshenbaum, L.A.及びSchneider, M.D.(
1995)J. Biol. Chem. 270, 7791−7794;
Kirshenbaum, L.A., Abdellatif, M., C
hakraborty, S.及びSchneider, M.D.(1996
)Dev. Biol. 179, 402−411; Liu, Y.及びK
itsis, R.N.(1996)J. Cell Biol. 133,
325−334; Agah, R., Kirshenbaum, L.A.
, Abdellatif, M., Truong, L.D., Chak
raborty, S., Michael, L.H.及びSchneide
r M.D.(1997)J. Clin. Invest. 100, 27
22−2728; Bishopric, N.H., Zeng, G.Q.
, Sato, B.及びWebster, K.A.(1997)J. Bi
ol. Chem. 272, 20584−20594)。対照的に、T−A
gでの形質転換は、持続する心筋細胞増殖を生じる。この観察は、心筋細胞にお
いて、T−AgがE1A及びE2F−1には欠けている抗アポトーシス活性を持
つことを示唆する。p193がプロアポトーシスT−Ag結合タンパク質であり
、そしてT−Ag発現が、心筋細胞において、アポトーシス反応を引き出さない
ことを考慮すると、p193活性の抑止が、E1A及び/又はE2F−1誘導心
筋細胞アポトーシスをアンタゴナイズすることが可能であるかどうか決定するこ
とが興味深いだろう。
【0071】 p193活性の抑止はまた、心筋細胞アポトーシスを促進する病態生理学的条
件下で、心臓保護効果を有する可能性もある。多くの記述的研究が、拡張型心筋
症、虚血性心筋症、不整脈惹起性右心室形成異常、急性心筋梗塞、心筋炎、同種
移植片拒絶、及び異常早期興奮症候群を含む、多様な心臓血管疾患において、ア
ポトーシス心筋細胞の存在を確かめてきている(Haunstetter, A
.及びIzumo, S.(1998)Circulation Resear
ch 82, 1111−1129に概説される)。特に、アポトーシス及び生
じた心臓リモデリングは、拡張型心筋症及び心不全の開始に貢献する可能性があ
る(Anversa, P., Leri, A., Beltrami, C
.A., Guerra, S.及びKajstura, J.(1998)L
ab. Invest. 78, 767−786に概説される)。トランスジ
ェニックマウスにおける研究は、IL−6サイトカインファミリー/gp130
/LIF受容体(Hirota, H., Chen, J., Betz,
U.A., Rajewsky, K., Gu, Y., Ross, J.
, Jr., Muller, W.及びChien, K.R.(1999)
Cell 97, 189−98)、TNFα/TNFRl(Kubota,
T., McTiernan, C.F., Frye, C.S., Sla
wson, S.E., Lemster, B.H., Koretsky,
A.P., Demetris, A.J.及びFeldman, A.M.
(1997)Circulation Research 81, 627−6
35; Bryant, D., Becker, L., Richards
on, J., Shelton, J., Franco, F., Pes
hock, R., Thompson, M.及びGiroir, B.(1
998)Circulation 97, 1375−1381)、カテコール
アミン/Gsalpha(Geng, Y.J., Ishikawa, Y.
, Vatner, D.E., Wagner, T.E., Bishop
, S.P., Vatner, S.F.及びHomcy, C.J.(19
99)Circulation Research 84, 34−42)、及
びcAMP/CREB(Fentzke, R.C., Korcarz, C
.E., Lang, R.M., Lin, H.及びLeiden, J.
M.(1998)J. Clin. Invest. 101, 2415−2
426)カスケードを含む、いくつかのシグナル伝達経路を関連付けてきている
。p193がこれらの過程に関与する可能性がある役割は、確かめられないまま
である。
【0072】 要約すると、本明細書に提示されるデータは、p193がBH3のみのプロア
ポトーシス遺伝子ファミリーの新規メンバーであることを示す。p193は、G 1 中、DNA合成の開始前に、細胞死を促進する。T−Agは、細胞周期の同時
期中、細胞質に局在し、そしてT−Agの同時発現は、p193誘導細胞死をア
ンタゴナイズし、そして両タンパク質の細胞質局在を生じる。p193は、いく
つかの細胞種で形質転換活性に貢献する領域で、T−AgのN末端に結合する。
総合すると、これらの結果は、T−Agが、p53隔離と独立の抗アポトーシス
活性を持ち、これは、細胞質におけるT−Ag/p193結合により始動される
ことを示唆する。
【0073】 実施例4 ドミナントネガティブp193突然変異の性質決定 NIH−3T3細胞におけるコロニー増殖アッセイは、アンチセンス発現の結
果として減少したp193活性が、細胞増殖の増加した速度を生じることを示す
(図7)。演繹的に、p193のドミナントネガティブ変異体の発現もまた、細
胞増殖の増加した速度を生じるはずである。我々は、累進的により大きいC末端
一部切除体を宿する、入れ子型シリーズp193 cDNAを生成した。該cD
NAを、CMV発現ベクターにサブクローニングした。p193変異体の構造は
、図8Aに示す。発現ベクターはまた、ネオマイシン耐性カセットも有した。N
IH−3T3細胞に、多様な発現ベクターをトランスフェクションし、そしてG
418の存在下で細胞を培養した。選択15日後、培養を固定し、そしてゲンチ
アナバイオレットで染色した。多様な構築物をトランスフェクションした細胞の
代表的な培養を図8Bに示す。CMV−ヌルベクターをトランスフェクションし
た細胞は、陰性対照に相当する(これは、いかなる陽性又は陰性細胞周期制御因
子も非存在下での増殖速度を反映する。培養プレートAを参照されたい)。p1
93のプロアポトーシス活性と一致し、全長p193をトランスフェクションし
た培養では、いかなるコロニーも観察されなかった(アミノ酸残基1−1689
;培養プレートB)。p193アミノ酸残基1から1342を発現するベクター
をトランスフェクションした細胞で、細胞増殖のわずかな増進が検出された(培
養プレートC)。p193アミノ酸残基1から1152を発現するベクターをト
ランスフェクションした細胞で、顕著な増殖増進が観察された(培養プレートD
)。p193分子1−912、1−309、及び1−243を発現するベクター
(それぞれ培養プレートE−G)、又はBH3ドメインのみが欠失したp193
分子を発現するベクター(培養プレートF)をトランスフェクションした細胞で
は、増殖増進は、わずかにしか、又はまったく観察されなかった。これらのデー
タは、p193アミノ酸残基1−1152の発現が、NIH−3T3細胞におけ
る増殖を促進することを示し、これはp193アンチセンス構築物の発現でも観
察される傾向である(図7を参照されたい)。これに基づき、p193アミノ酸
残基1−1152にコードされる配列は、p193ドミナントネガティブを示す
、「p193dn」と名づけられた。p193アンチセンス構築物に比較した際
の細胞増殖に対するp193dnのより大きい影響は、アンチセンス構築物の発
現が、内因性p193転写物を完全には除去しないという事実を反映する(図7
)。
【0074】 上述の実験は、(NIH−3T3細胞において、増進された増殖及び抗アポト
ーシス活性を授与し、そして心筋細胞において、アポトーシスを遮断する特性に
より立証されるような)p193にドミナントネガティブ表現型を授与する配列
修飾の予備的性質決定を提供する。これらの特性に責任があるp193アミノ酸
残基のさらなる描写(delineation)は、当業者により、容易に達成
される。例えば、上述の実験に定義される領域を含む細かい規模の欠失は、ドミ
ナントネガティブ表現型を授与するのに必要なアミノ酸をさらに描写するであろ
う。全体のタンパク質構造を保持するが、特定のアミノ酸相互作用を阻害するア
ミノ酸置換の使用は、一般的な分子生物学技術により、容易に行われる。本特許
出願の他の項で記載されるような、NIH−3T3、ES由来心筋細胞増殖アッ
セイ及びトランスジェニックマウスにおける標的化心臓発現は、修飾p193構
築物を性質決定する必須の実験終点を提供する。
【0075】 p193dnがドミナントネガティブ活性をコードすることをさらに確認する
ため、我々は、これが、メタンスルホン酸メチル(MMS)での処理に反応した
アポトーシスを遮断する能力を試験した。NIH−3T3細胞に、CMV−ヌル
発現構築物、又はCMV−p193dn発現構築物をトランスフェクションし、
そして安定細胞株を生成した。その後、細胞を、MMS(0mM、0.1mM、
0.5mM又は1mM)を補った増殖培地中で、37℃で3時間、インキュベー
ションした。その後、細胞を採取し、そしてDNA断片化の度合いを決定するこ
とにより、アポトーシスを測定した(DNAのヌクレオソーム切断はアポトーシ
スの診断法である)。1mM MMSの存在下で培養したCMV−ヌル対照細胞
から調製したDNAに、はなはだしい断片化が明らかであり;対照的に、1mM
MMS処理後のCMV−p193dn細胞から調製したDNAには、DNA断
片化はまったく見られなかった(図8Cを参照されたい)。これらのデータは、
p193dn構築物が、NIH−3T3細胞において、MMS誘導アポトーシス
を遮断することを示し、そしてこの変異体がドミナントネガティブ活性をコード
するという知見を支持する。
【0076】 実施例5 心臓において、p193dnを発現するトランスジェニックマウスの生成 心臓に対するp193dnの潜在的な心臓保護効果を調べるため、トランスジ
ェニックマウスを生成した。心臓発現は、α−心臓ミオシン重鎖(MHC)プロ
モーターを用いて標的化した。MHCプロモーターは、5’隣接配列4.5 k
b及びエクソン1から3までを含むが、開始コドンを含まない遺伝子1 kbか
らなった(Gulick, J., A. Subramaniam, J.
Neumann及びJ. Robbins(1991)Isolation a
nd characterization of the mouse car
diac myosin heavy chain genes. Journ
al of Biological Chemistry 266:9180−
9185)。p193dnをコードするcDNAを、該プロモーターの下流に挿
入し、これにSV40初期領域転写ターミネーターが続いた(SV40ヌクレオ
チド残基#2586−2452、Reddy, V.B., B. Thimm
appaya, R. Dhar, K.N. Subramanian, B
.S. Zain, J. Pan, P.K. Ghosh, M.L. C
elma及びS.M. Weissman(1978)The genome
of simian virus 40. Science 200:494−
502を参照されたい)。生じた導入遺伝子はMHC−p193dnと名づけた
。導入遺伝子の概略図は、図9に示される。トランスジェニックマウスを生成す
るため、導入遺伝子DNAを、制限酵素で消化し、MHC−p193配列をベク
ターから分離し、そしてGenecleanガラスビーズ(Bio 101、カ
リフォルニア州ビスタ)を用いてアガロースゲルから挿入物を精製した。精製挿
入物を、標準的方法論[3]を用いて、近交系C3HeB/FeJ(Jacks
on Laboratories、マサチューセッツ州バーハーバー)接合体に
マイクロインジェクションした。マイクロインジェクションした胚は、in v
itroで二細胞期まで培養し、そしてその後、偽妊娠SW/Taconic(
Taconic Farms、ニューヨーク州ジャーマンタウン)メスマウスに
移植した。すべての手術のため、マウスは、2.5% アバーチン(0.015
ml/g体重IP、Fluka Biochemicals、ニューヨーク州
ロンコムコーマ)で麻酔した。すべての操作は、NIH及び施設動物保護及び使
用指針(Institutional Animal Care and Us
e Guidelines)にしたがって行った。
【0077】 マイクロインジェクションした胚から得られた子を、記載されるような診断P
CR増幅を用いて、導入遺伝子の存在に関してスクリーニングした(Stein
helper, M.E., K.L. Cochrane及びL.J. Fi
eld(1990)Hypotension in transgenic m
ice expressing atrial natriuretic fa
ctor fusion genes. Hypertension 16:3
01−307)。MHC−p193dn構築物でマイクロインジェクションした
胚から、13の導入遺伝子初代(founder)動物を得た。初代動物のうち
7匹を無作為に選択し、トランスジェニック系列を確立した。F1トランスジェ
ニック動物から調製した成体心臓RNAを用い、異なる系統間で、p193dn
発現レベルを階層化した。系統のすべて(MHC−p193dn系統4、5、6
、7、9、10及び13と称される。図10を参照されたい)で、高レベルのp
193dn転写物が観察された:これらの解析に基づき、さらなる実験のため、
系列13を選択した。
【0078】 実施例6 p193dnの発現がin vivoで心臓保護性であることの立証 慢性イソプロテレノール注入に反応した心筋損傷を、対照及びMHC−p19
3dnトランスジェニックマウスで監視し、導入遺伝子発現が心臓保護性である
かどうか決定した。非トランスジェニック対照及びMHC−p193dnトラン
スジェニックマウスを同定し、そして11週齢になるまで隔離した。0.028
g/ml イソプロテレノールを充填した移植浸透圧ミニポンプ(モデル20
01、Alzet、カリフォルニア州パロアルト、流速1μl/時間)を用い、
連続イソプロテレノール注入を投与した。処置7日後、マウスを屠殺し、心臓を
採取し、凍結保護し、そして標準的組織学的技術(Bullock, G.R.
及びP. Petrusz(1982)Techniques in immu
nocytochemistry, Academic Press, ロンド
ン; ニューヨーク)を用い、切片作成した。その後、心臓切片を、シリウスレ
ッド(コラーゲンと反応し、提示される画像中に暗いシグナルを産生する)で染
色し、そしてファーストグリーン(筋細胞と反応し、提示される画像中に明るい
シグナルを産生する)で対比染色した。結果を図11に示す。パネルA及びBは
、イソプロテレノール注入7日後の非トランスジェニック心臓の切片を示す。心
室心筋中に豊富なシリウスレッド染色が明らかである(パネルAは、心臓の尖部
近傍の左心室心筋を示し、パネルBは心臓の基部近傍の心室心筋を示す)。暗い
染色は、イソプロテレノール誘導心筋細胞死から生じるはなはだしい線維症を示
す。パネルC及びDは、イソプロテレノール注入7日後のMHC−193dnト
ランスジェニック心臓の同様の解析を示す。本質的に、いかなる暗い染色も検出
されず、イソプロテレノール処置トランスジェニック心臓に、線維症が存在しな
いことが示される。この結果は、p193dn導入遺伝子の発現が、イソプロテ
レノール誘導線維症から心筋を保護することを示す。他の研究(Communa
l C; Singh K; Pimentel DR; Colucci W
S(1998)Norepinephrine stimulates apo
ptosis in adult rat ventricular myoc
ytes by activation of the beta−adren
ergic pathway, Circulation 29:98(13)
:1329−34)は、イソプロテレノール処置が、心筋細胞アポトーシスを誘
導することを示している:したがって、p193dn発現は、心筋細胞アポトー
シス及びそれに続く線維症を遮断する。
【0079】 実施例7 p193dn及びp53dnの同時発現が、ES由来心筋細胞において、E1A 誘導アポトーシスを遮断し、そして増殖を促進することの立証 以前の研究は、アデノウイルスE1A腫瘍性タンパク質の発現が、心筋細胞に
おいて、細胞周期を再活性化するが、この再活性化の直後には、アポトーシス心
筋細胞死が続くことを示している(Kirshenbaum, L.A.及びM
.D. Schneider. Adenovirus E1A repres
ses cardiac gene transcription and r
eactivates DNA synthesis in ventricu
lar myocytes, via alternative pocket
protein−and p300−binding domains, J
. Biol. Chem.(1995)270:7791−7794)。さら
に、p53に制御されるアポトーシス経路の遮断は、心筋細胞を部分的にしか救
出しない。したがって、p193dn及びp53dnの同時発現が、E1A誘導
心筋細胞アポトーシスを遮断することが可能であるかどうか決定する研究を使用
した。該実験は、先に記載された技術を利用し、分化しているES細胞から濃縮
された心筋細胞培養を生成した(Fieldらに対する米国特許第5,602,
301号及び第5,733,727号;及びKlug, M.G., M.H.
Soonpaa, G.Y. Koh及びL.J. Field(1996)
Genetically selected cardiomyocytes
from differentiating embronic stem c
ells form stable intracardiac grafts
, J. Clin. Invest, 98:216−224)。未分化ES
細胞に、MHC−neor/pGK−hygror導入遺伝子を単独で、又はM
HC−E1A、MHC−p193dn及び/又はMHC−p53dn導入遺伝子
と組み合わせて、トランスフェクションした。その後、トランスフェクションさ
れた未分化ES細胞を、ハイグロマイシン耐性に基づき、選択した。
【0080】 ハイグロマイシン耐性クローンが十分に増幅されたら、培養を誘導し、分化さ
せた。心筋細胞が培養中に明らかになったら(通常、誘導後8日で起こる、拍動
細胞の存在により立証されるように)、培養をG418選択に供した。neor
カセットは、心臓MHCプロモーターの制御下にあるため、心筋細胞のみがこの
選択法で生き残る。G418選択60日後、培養を固定し、そしてPASで染色
し、心筋細胞の視覚化を可能にした。
【0081】 対照プレート(MHC−neor/pGK−hygror導入遺伝子のみをト
ランスフェクションしたもの)は、拍動筋細胞の多数のコロニーを生じた(対照
プレート、図12を参照されたい)。これは、陽性又は陰性因子の非存在下での
ES由来心筋細胞増殖の正常速度を示す。p193dn及びp53dnのみをト
ランスフェクションした対照プレートもまた示す:これらの遺伝子の発現は、心
筋細胞収量のわずかな増加を生じ、その抗アポトーシス活性と一致する。対照的
に、MHC−E1A導入遺伝子をトランスフェクションしたプレートでは、非常
にわずかの心筋細胞しか観察されず、これは先の研究と一致する(Kirshe
nbaum, L.A.及びM.D. Schneider. Adenovi
rus ElA represses cardiac gene trans
cription and reactivates DNA synthes
is in ventricular myocytes, via alte
rnative pocket protein−and p300−bind
ing domains. J. Biol. Chem. 270:7791
−7794, 1995)。E1A及びp53dn又はE1A及びp193dn
のコトランスフェクションは、心筋細胞生存度の顕著な増加を生じなかった。
【0082】 これらの結果と非常に対照的に、MHC−E1A、MHC−p53dn及びM
HC−p193dnのトランスフェクションは、心筋細胞の多くのそして実質的
により大きいコロニーを生じた。心筋細胞コロニーサイズは、対照プレートで観
察されるものより、はるかに大きかった。この結果は、p53dn及びp193
dnの組み合わせ効果が、効率的にそして完全にE1A誘導アポトーシスを遮断
することを示す。さらに、コロニーサイズの増加は、3つの導入遺伝子すべてを
発現するES由来心筋細胞の増進した増殖を示す。したがって、p193dn及
びp53dnの同時発現は、E1A誘導アポトーシスを遮断し、そしてそうする
ことにより、ES由来心筋細胞において、E1A誘導細胞周期活性化を可能にす
る。
【0083】 心筋細胞をさらに性質決定するため、図12に示されるトランスフェクション
各々由来の代表的なプレートからタンパク質を調製した。その後、標準的プロト
コルを用い、タンパク質を、抗E1A又は抗T−Ag抗体でのウェスタンブロッ
ト解析に供した(図13A)。重要なことに、E1A単独、又はE1A+p53
dn、又はE1A+p193を発現する細胞において、E1Aタンパク質はまっ
たく検出されなかった。対照的に、E1A+p53dn+p193dnを発現す
る細胞において、豊富なレベルのE1Aが検出された。これは、p53及びp1
93経路が両方遮断されていない限り、心筋細胞において、E1Aが致死的であ
ることを示唆する。さらに、これらのデータは、E1A単独、又はE1A+p5
3dn、又はE1A+p193培養プレート上の心筋細胞が、おそらく、E1A
構築物を取り込まない(又は別に、発現しない)子孫から生じるのであろうこと
を示す。該実験は、60日齢培養に対して行った。
【0084】 p53dn及びp193dn両方の同時発現の非存在下でのE1A発現が、ア
ポトーシスを誘導することを確かめるため、13日齢培養から調製したDNAを
、DNA断片化の度合いに関して解析した(DNAのヌクレオソーム切断は、ア
ポトーシスの診断法である)(図13B)。E1A単独、又はE1A+p53d
n、又はE1A+p193を発現する細胞から調製したDNAにおいて、はなは
だしい断片化が明らかである。対照的に、E1A+p53dn+p193dnを
発現する細胞では、断片化はまったく観察されなかった。これらのデータは、p
53dn及びp193dnの同時発現が、心筋細胞におけるE1A誘導アポトー
シスを遮断することを確認する。
【0085】 実施例8 p193が細胞周期依存様式で発現されることの立証 多くの細胞周期制御タンパク質は、細胞周期の別個の相中に、発現され、そし
て/又は活性である。p193の場合もそうであるかどうか決定するため、抗p
193モノクローナル抗体を産生した。p193アミノ酸残基1153−168
9をコードする組換えタンパク質を免疫原として用い、そして標準的アプローチ
を用いて、モノクローナル抗体を作成し、スクリーニングし、そして確認した。
細胞周期中のp193発現を監視するため、NIH−3T3細胞を、血清枯渇(
飢餓培地は、DMEM中に0.1% FBSを含んだ)2周期により、同調させ
た。細胞同調を監視するため、いくらかの細胞を、DMEM中に3H−チミジン
(26 Ci/mmol、Amersham、英国バッキンガムシャー)及び1
0% FBSを含む培地中でインキュベーションし;その後、多様な時点で、細
胞をオートラジオグラフィーのためプロセシングし、DNA合成を監視した。同
一チャンバースライド上の非トランスフェクション細胞の大部分は、血清補充1
4時間後までにDNA合成を再開し(図14A)、したがって、同調プロトコル
の忠実性が確かめられた。平行プレートから同様の時点で調製されたタンパク質
を、ウェスタンブロット解析に用いた(図14B)。血清添加2、4、又は6時
間後には、p193発現はまったく検出されなかった。血清添加8、10及び1
2時間後に顕著なp193発現が検出され、これは、おおよそDNA合成の開始
と同時に生じていた。p193のレベルは、続く時点で顕著に減少した。これら
のデータは、p193発現が細胞周期進行中、緊密に制御されており、そしてピ
ークレベルは、G1/S境界で発生することを示す。興味深いことに、これは、
p193の強いられた発現がアポトーシスを誘導する細胞周期の時点と正確に同
時点であり、そしてこれはまた、T−Agが細胞質に局在する細胞周期の時点で
もある。
【0086】 実施例9 p193及びp53活性の遮断が、肥大性刺激への増殖反応を生じる可能性があ ることを示唆するデータ 心臓損傷の多くの型は、機能する筋細胞の損失を代償する、肥大性増殖の最初
の局面を生じる。時間に渡り、肥大心臓は、代償不全になる可能性があり、この
過程は、心臓拡張及び最終的には心不全につながる。心筋細胞アポトーシスは、
しばしば、この過程中に観察される。通常、細胞増殖と関連する多数の遺伝子産
物が心臓肥大中に誘導されることもまた、よく確かめられている(例えばIzu
mo, S.ら Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
5, 339−343; Mulvagh, S.L.ら, Biochem.
Biophys. Res. Commun. 147, 627−636;
Simpson, P.C. Annual Review of Phys
iology, 51, 189−202を参照されたい)。肥大刺激が実際、
分裂促進刺激であり、そして成熟心筋細胞において、こうした刺激に対する反応
が、まず、細胞サイズを増加させ、そしてその後、G1/Sを通過することであ
る可能性がある。我々のデータは、明らかに、2つのプロアポトーシス経路(p
53及びp193経路)が、実験的に増殖するよう誘導されている心筋細胞で活
性化されていることを示す。代償不全過程中に観察されるアポトーシス反応は、
活性p53及びp193経路の存在下での細胞周期活動の開始から生じる可能性
がある。
【0087】 それならば、p193及びp53経路が遮断されていれば、肥大刺激が直接細
胞周期活動を生じる可能性があるということになる。これを試験するため、未分
化ES細胞に、MHC−neor/pGK−hygror導入遺伝子を、MHC
−p193dn及びMHC−p53dn両方と組み合わせて、トランスフェクシ
ョンした。トランスフェクション細胞は、ハイグロマイシンへの耐性により濃縮
され、そしてその後、分化するよう誘導された。その後、ES由来心筋細胞は、
G418への耐性により濃縮された。その後、これらの培養において、心筋細胞
増殖を、58日間の外因性イソプロテレノール(1μM mg/ml)存在下対
非存在下で比較した。顕著に増進された心筋細胞コロニーサイズは、イソプロテ
レノール処理培養において、明らかであり、これは、増加した細胞数の存在と一
致した(図16を参照されたい)。これは、細胞周期アポトーシスチェックポイ
ントの弛緩が、そうでなければ肥大性刺激であろう刺激に対し、心筋細胞を増殖
性にすることを示唆する。
【0088】 本発明は、図及び先行する説明に詳細に例示され、そして記載されたが、これ
は例示とみなすべきであり、そして性質上、制限するものとみなすべきでなく、
好ましい態様のみが示され、そして記載されており、そして本発明の精神の範囲
内にある改変及び修飾はすべて、保護されることが望ましいことが理解されるべ
きである。
【0089】 本明細書に引用されるすべての刊行物は、当該技術分野の技術レベルを示し、
そして各々が個々に援用され、そして完全に示されているかのように、本明細書
に援用される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1。(a)抗T−AG又は抗P53モノクローナル抗体を用いて産生した、
代謝標識AT−2心筋細胞由来の免疫複合体。p193は、35S−メチオニン標
識したAT−2心筋細胞由来の抗T−AG(レーン3)及び抗p53(レーン2
及び6)に存在するが、IgGサブタイプに適合した非特異的な対照抗体で調製
した免疫複合体(レーン1及び5)や、一次抗体を欠く対照(レーン4)には存
在しない。分子量標品を左端に示す。(b)p193トリプシン分解ペプチドの
PSD MALDI質量スペクトルと配列。検出されたb及びyイオンとアンモ
ニウムイオンが示される。(c)p193タンパク質及びcDNAの概略図。い
くつかの構造モチーフの位置が示される。水平の実線はcDNAクローンの相対
位置を示す。
【図2】 図2。(a)p193の推定アミノ酸配列。下線を施した配列はPSD質量分
析法により同定されたペプチドに対応する。太字の配列はBH3ドメイン相同性
に対応する。(b)p193のBH3ドメインといくつかの他のアポトーシス調
節タンパク質との比較。
【図3】 図3。(a)p193はNIH−3T3細胞においてT−Agへ結合する。(
c−末端mycエピトープ・タグを保留するp193タンパク質をコードする)
CMV−p193myc及び(SV40 T−Agをコードする)CMV−T−
Agで同時トランスフェクトされた細胞から調製されるタンパク質を指定の抗体
と反応させ、生成した免疫複合体を、抗myc及び抗T−Ag抗体を使用するウ
ェスタンブロッティングにより分析した。Tfx トランスフェクション;To
t.Pro. 全タンパク質;IP 免疫沈降。(b)in vitro 翻訳されたp
193は組換えT−Agへ結合する。放射標識した in vitro 翻訳p193を組
換えT−Agと混合し、次いで指定の抗体と反応させた。生成した免疫複合体を
ポリアクリルアミドゲル上で展開し、ナイロン膜へ移した。オートラジオグラフ
ィーによりp193を視覚化し、T−Agをウェスタンブロットにより視覚化し
た。(c)成体マウスにおけるp193発現のノーザンブロット分析。指定の組
織から調製した全RNA(10マイクログラム)を完全長のp193 cDNA
でプローブした。ノーザンブロット物をメチレンブルーで染色することによって
RNAサンプルの完全性を確認した(下のパネル)。
【図4】 図4。p193はT−AgのN末端へ結合する。この概略図はマッピング実験
において使用されるT−Ag構築体を示す。これらの産物を in vitro で翻訳し
、in vitro 翻訳された完全長のp193と混合した。抗T−Ag抗体のPAb
419で産生した免疫複合体をポリアクリルアミドゲル上で分割し、オートラジ
オグラフィーにより視覚化した。構築体1−92mycは、C末端でmycエピ
トープ・タグをコードした。
【図5】 図5。p193はアポトーシスを促進する。(a)トランスフェクション後4
0時間でのNIH−3T3細胞発現CMV−βGALmycについてのDNA含
量分布。(b)トランスフェクション後40時間でのCMV−p193mycを
発現するNIH−3T3細胞についてのDNA含量分布。(c)CMV−p19
3mycでトランスフェクトしたNIH−3T3細胞の同調培養物における細胞
死及びDNA合成の経時変化。CMV−p193myc発現細胞の生存率(%)
(□)、CMV−p193mycでトランスフェクトされた細胞のチミジン標識
インデックス(○)、及び同一チャンバースライドにある、トランスフェクトし
なかったNIH−3T3細胞についてのチミジン標識インデックス(◇)を示す
。(d及びe)血清補充後、それぞれ8及び14時間でのNIH−3T3細胞に
おけるp193myc免疫の局在性(シグナルは抗mycエピトープ・タグの免
疫反応性に対応する)(f)Bcl−XL又はT−Agの同時発現はp193誘
導アポトーシスに拮抗する。NIH−3T3細胞を指定の通りにトランスフェク
トした;トランスフェクション後68時間でのp193陽性細胞の全数を示す。
(p193 BH3ドメインを網羅する欠損部分を保留する)p193デルタB
Hでトランスフェクトした細胞が生きていることも注目すること。
【図6】 図6。(a及びb)p193myc(パネルa、シグナルは抗p193myc
の免疫反応性に対応する)及びT−Ag(パネルb、シグナルは抗T−Agの免
疫反応性に対応する)は、CMV−p193mycとCMV−T−Agを同時発
現する細胞の細胞質において封鎖される。(c)細胞質のT−Ag免疫反応性を
有するチミジン陽性細胞の比率を(パルスチェイス実験により決定されるような
)S期後の時間数に対してプロットする。(d及びe)それぞれ、(パネルcに
おける10時間のパルスチェイス時点からの)細胞質分裂後の2種の3H−チミ
ジン陽性娘細胞に関するオートラジオグラフィー分析と抗T−Ag免疫細胞学的
分析。
【図7】 図7。(A)センス(CMV−p193s)とアンチセンス(CMV−p19
3as)の方向においてp193をコードする発現構築体を用いたNIH−3T
3コロニー増殖アッセイ。インサートを欠く発現ベクター(CMV−null)
を対照として使用した。(B)CMV−nullベクターを発現する細胞、CM
V−p193asベクターを発現する細胞、又はトランスフェクトしなかったN
IH−3T3細胞からのRT−PCR分析。
【図8】 図8。(A)実施例4に記載のような、ネスティドp193C末端トランケー
ションを有するCMV発現ベクターの構造。(B)実施例4に記載のような、図
8Aの発現構築体を使用するコロニー増殖アッセイ。(C)実施例4に記載のよ
うに、p193dnがMMS誘導アポトーシスを阻止するドミナントネガティブ
活性をコードすることを確かめるDNA切断試験。
【図9】 図9。実施例5にさらに記載のように、トランスジェニックマウスを産生する
ために使用されるMHC−p193dnトランス遺伝子の概略図。
【図10】 図10。実施例5にさらに記載のように、4、5、6、7、9、10及び13
と呼称したMHC−p193dnトランスジェニックマウス系統におけるトラン
ス遺伝子発現のノーザンブロット。
【図11】 図11。実施例6に記載のようにして得られる、対照とMHC−p193dn
トランスジェニックマウスにおける、イソプロテレノール注入に反応した心筋障
害を示す心臓の切断面。(コラーゲンと反応して暗シグナルを産生する)シリウ
スレッドで切断面を染色し、(心筋細胞と反応して明シグナルを産生する)ファ
ストグリーンで対比染色した。
【図12】 図12。実施例7にさらに記載のように、p53dn、p193dn、及びE
1A遺伝子発現の単独、又は組み合わせた効果を示す、ES細胞誘導心筋細胞の
コロニー増殖アッセイ。
【図13】 図13。(A)図12に示したES細胞誘導心筋細胞のコロニー増殖アッセイ
から調製したタンパク質の、抗EIA又は抗T−Ag抗体を用いたウェスタンブ
ロットアッセイ;(B)p13dnとp193dnの両方の同時発現がないE1
A発現がアポトーシスを誘導したことを示すDNA切断実験(実施例7を参照の
こと)。
【図14】 図14。p193は細胞周期のG1/Sにおいて発現される(実施例8参照)
。(A)NIH−3T3培養試験が十分同調していたことを示す、トリチウム化
チミジン陽性細胞の比率(%)の経時的プロット。(B)実施例8に記載のよう
に、同じ時期におけるp193発現のウェスタンブロット。ウェスタン分析は、
p193がG1/Sの間に発現されることを示す。
【図15】 図15。実施例9に記載のように、193dn及びp53dnを同時発現する
心筋細胞の増殖をイソプロテレノールが誘導することを示すコロニー増殖アッセ
イ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 107 C12P 21/02 C 4H045 C07K 14/47 A61P 1/16 C12N 5/10 9/00 C12P 21/02 11/00 // A61P 1/16 25/00 9/00 C12N 15/00 ZNAA 11/00 5/00 B 25/00 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ツアイ,シン−チュォン アメリカ合衆国インディアナ州46202,イ ンディアナポリス,ブラク・ストリート 838,アパートメント エル Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA03 DA02 EA04 GA12 HA01 4B064 AG01 AG27 CA01 CA19 CC24 DA01 4B065 AA90Y AA91X AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 4C084 AA13 BA44 ZA36 ZA51 ZA59 ZA75 ZB21 ZB22 4C086 AA01 AA02 EA16 NA14 ZA51 ZA59 ZA75 ZB21 ZB22 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA41 EA20 FA74

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞の細胞周期を修飾する方法であって、細胞内のp193タンパク質のレベ
    ルを修飾する、及び/又は、細胞内のp193シグナル伝達経路と干渉する、こ
    とを含む前記方法。
  2. 【請求項2】 細胞内のアポトーシスを抑制する、及び/又は、細胞の増殖性潜在力を増加さ
    せるために、細胞内のプロアポトーシスp193タンパク質のレベルを減少させ
    ることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 細胞内にアポトーシスを誘導するために、細胞内のプロアポトーシスp193
    タンパク質のレベルを増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 細胞が哺乳動物細胞である、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 細胞がヒト細胞である、請求項4の方法。
  6. 【請求項6】 細胞内のp193タンパク質活性のレベルを減少させるために、p193タン
    パク質の部分又は全体をコードする核酸を、細胞内にアンチセンスの方向で導入
    することを含む、請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 細胞のアポトーシスを抑制する、及び/又は、細胞の増殖性潜在力を増加させ
    るために、ドミナントネガティブなp193タンパク質をコードする核酸を細胞
    に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 プロアポトーシスp193タンパク質を発現させ、細胞内にアポトーシスを誘
    導するために、プロアポトーシスp193タンパク質をコードする核酸を細胞内
    に導入することを含む、請求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】 細胞内のp53タンパク質のレベルを修飾する、及び/又は、細胞内のp53
    シグナル伝達経路と干渉することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 細胞内のE1Aタンパク質のレベルを修飾することをさらに含む、請求項1又
    は9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 p193タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクター。
  12. 【請求項12】 前記核酸がアンチセンス方向である、請求項11に記載の発現ベクター。
  13. 【請求項13】 前記p193タンパク質がプロアポトーシスp193タンパク質である、請求
    項11に記載の発現ベクター。
  14. 【請求項14】 前記p193タンパク質がドミナントネガティブな突然変異を含む、請求項1
    1に記載の発現ベクター。
  15. 【請求項15】 p193タンパク質をコードする、導入された核酸を含む宿主細胞。
  16. 【請求項16】 前記核酸が、プロアポトーシスp193タンパク質をコードする、請求項15
    に記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 前記核酸が、ドミナントネガティブな突然変異を含むp193タンパク質をコ
    ードする、請求項15に記載の宿主細胞。
  18. 【請求項18】 単離されたp193タンパク質。
  19. 【請求項19】 配列番号2又は配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する、請求項18に記載
    の単離されたp193タンパク質。
  20. 【請求項20】 請求項18若しくは請求項19に記載の単離されたp193タンパク質、及び
    担体を含む組成物。
  21. 【請求項21】 細胞内にアポトーシスを誘導する方法であって、前記細胞内においてアポトー
    シスを誘導するのに有効な量のプロアポトーシスp193タンパク質を、前記細
    胞内に発現させることを含む、前記方法。
  22. 【請求項22】 前記細胞が、不適切に増殖性の細胞である、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 配列番号2若しくは配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号2若しくは配
    列番号4のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一性を有するアミノ酸配列、を
    コードする核酸配列を含む、発現ベクター。
  24. 【請求項24】 配列番号2の残基1ないし1152若しくは配列番号4の残基1ないし117
    3のアミノ酸配列、または配列番号2の残基1ないし1152若しくは配列番号
    4の残基1ないし1173のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一性を有する
    アミノ酸配列、を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む、発現ベクタ
    ー。
  25. 【請求項25】 前記ポリペプチドが、それが発現している細胞内のアポトーシスを抑制する、
    及び/又は、増殖を誘導する、請求項24に記載の発現ベクター。
  26. 【請求項26】 配列番号1のヌクレオチド62ないし5128、または配列番号3のヌクレオ
    チド87ないし5183と少なくとも70%同一性を有する核酸配列を含む、発
    現ベクター。
  27. 【請求項27】 配列番号1のヌクレオチド62ないし3517、または配列番号4のヌクレオ
    チド87ないし3615と少なくとも約70%同一性を有する核酸配列を含む、
    発現ベクター。
  28. 【請求項28】 組換えタンパク質である、請求項18に記載のタンパク質。
  29. 【請求項29】 配列番号2若しくは配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号2若しくは配
    列番号4のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一性を有するアミノ酸配列を有
    する、請求項28の組換えタンパク質。
  30. 【請求項30】 配列番号2の残基1ないし1152若しくは配列番号4の残基1ないし117
    3のアミノ酸配列、または配列番号2の残基1ないし1152若しくは配列番号
    4の残基1ないし1173のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一性を有する
    アミノ酸配列を有する、請求項28の組換えタンパク質。
  31. 【請求項31】 p193タンパク質に対する抗体を含む、組成物。
  32. 【請求項32】 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項31の組成物。
  33. 【請求項33】 前記抗体がポリクローナル抗体である、請求項31の組成物。
  34. 【請求項34】 p193タンパク質をコードする導入されたDNAを有する宿主細胞を、前記
    導入されたDNAの発現に適当な条件下で培養する、ことを含む、p193タン
    パク質を産生するための方法。
  35. 【請求項35】 アミノ酸配列: Leu Lys Ala His Gly Asp Glu を含むBH3ドメインを含む、単離されたアポトーシス関連タンパク質。
  36. 【請求項36】 アミノ酸配列: Leu Lys Ala His Gly Asp Glu を含むBH3ドメインを含む、単離されたアポトーシス関連タンパク質をコード
    する、単離された核酸分子。
  37. 【請求項37】 細胞の細胞周期への効果について剤をスクリーニングするための方法であって
    、p193タンパク質をコードする導入された核酸を有する細胞を剤と接触させ
    、そして、細胞への剤の効果を評価する、ことを含む前記方法。
  38. 【請求項38】 導入された核酸が、プロアポトーシスp193タンパク質をコードする導入さ
    れたDNAである、請求項37の方法。
  39. 【請求項39】 導入されたDNAが、配列番号2若しくは配列番号4のアミノ酸配列、または
    配列番号2若しくは配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一性を有
    するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項38の方法。
  40. 【請求項40】 導入されたDNAが、配列番号2若しくは配列番号4のアミノ酸配列をコード
    する核酸配列を含む、請求項39の方法。
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