JP2003518923A - デアセチラーゼ及びその阻害剤の結晶構造 - Google Patents

デアセチラーゼ及びその阻害剤の結晶構造

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JP2003518923A JP2001522267A JP2001522267A JP2003518923A JP 2003518923 A JP2003518923 A JP 2003518923A JP 2001522267 A JP2001522267 A JP 2001522267A JP 2001522267 A JP2001522267 A JP 2001522267A JP 2003518923 A JP2003518923 A JP 2003518923A
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crystal
inhibitor
potential
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フィニン,マイケル
ドニジャン,ジル
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リフカインド,リチャード,エイ.
マークス,ポール,エイ.
ブレスロー,ロナルド
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Columbia University of New York
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、超高温菌アキフェクス・エオリクス(Aquifex aeolicus)由来のヒストンデアセチラーゼ様タンパク質(HDLP)の三次元構造情報を提供する。HDLPはヒトヒストンデアセチラーゼ(HDAC1)と35.2%のアミノ酸配列同一性を共有する。本発明はさらに、阻害剤分子が結合したHDLPの三次元構造情報を提供する。本発明の三次元構造情報はHDLP、HDACファミリーメンバーおよびHDLP関連分子を阻害することができるデアシラーゼ阻害剤化合物のデザイン、単離およびスクリーニングに有用である。本発明はまた、亜鉛原子の存在下にHDLPの三次元構造の決定を容易化する突然変異体HDLPをコードする核酸に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、1999年9月8日出願の米国仮出願60/152,753号の優先
権を主張し、その内容は参照することによりここに組み込まれる。
【0002】 本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of
Health)認可No.RO1 CA−65698の下、政府の支援をもっ
てなされたものである。したがって、米国合衆国政府は本発明において特定の権
利を有し得る。
【0003】 本願を通して、様々な刊行物が著者、記事(date)及び引用によって参照され
る。これらの刊行物の開示全体は、ここに記載され、かつ権利が主張される発明
の時点で当該技術分野における熟練者に公知である技術の状況をより十分に説明
するため、参照することにより本願に組み込まれる。
【0004】 緒言 本発明は、ヒトヒストンデアセチラーゼ(HDAC1)と35.2%の配列同
一性を共有し、阻害性リガンドと共に共結晶化することができる、超高温菌アキ
フェクス・エオリクス(Aquifex aeolicus)に由来するヒスト
ンデアセチラーゼ相同体、HDLP(ヒストンデアセチラーゼ様タンパク質;別
名AcuC1)に関し、特には、ここに開示される、該共結晶化から得られる詳
細な結晶学的データに関する。また、本発明は、HDLP及びHDLP関連タン
パク質、例えば、HDAC1を含むHDACファミリーに属するそれらのタンパ
ク質に結合し、かつその活性部位を阻害する化合物のデザイン、単離及びスクリ
ーニングのためのアポ−HDLP及び阻害剤(inhibitor )結合HDLPの結晶
構造及びX線結晶座標を使用する方法に関する。
【0005】 背景技術 アセチル化によるヒストンの可逆修飾はヌクレオソーム立体配座及びクロマチ
ン構造の変化に関わりがあり、遺伝子発現の調節において重要な役割を果たす(
Davie and Chadee,1998,J.Cell Biochem
.Suppl.30−31:203−213において論評されている)。これら
の修飾を行うヒストンアセチラーゼ及びデアセチラーゼ酵素は多くの細胞プロセ
ス、例えば、細胞周期の進行及び分化に関与し、それらの崩壊は幾つかのタイプ
のヒト癌に関わる(Kouzarides,1999,Curr.Opin.G
enet.Dev.:40−48;Hassigら,1997,Chem.B
iol.;783−789;Fenrick and Heibert,19
98,J.Cell.Biochem.Suppl.30−31:194−20
2において論評されている)。
【0006】 近年、幾つかの実験的抗腫瘍化合物、例えば、トリコスタチンA(TSA)、
トラポキシン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、及びフェニル
ブチレートが、少なくとも部分的には、ヒストンデアセチラーゼを阻害すること
によって作用することが示されている。Richonら,1998,Proc.
Natl.Acad.Sci.,USA 95:3003−3007;Yosh
idaら,1990,J.Biol.Chem.265:17174−1717
9;Kijimaら,1993,J.Biol.Chem.268:22429
−22435。加えて、ジアリルスルフィド及び関連分子(Leaら,1999
,Int.J.Oncol.:347−352)、オキサムフラチン(Kim
ら,1999,Oncogene 15:2461−2470)、MS−27−
275、合成ベンズアミド誘導体(Saitoら,1999,Proc.Nat
l.Acad.Sci.96;4592−4597)、ブタレート誘導体(Le
a and Tulsyan,1995,Anticancer Res.15 :879−883)、FR901228(Nokajimaら,1998.Ex
p.Cell Res.241:126−133)、デプデシン(Kwonら,
1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:3356−
3361)及びm−カルボキシシンナム酸ビスヒドロキサミド(CBHA;Ri
chonら,Proc,Natl.Acad.Sci.USA 95:3003
−3007)がヒストンデアセチラーゼを阻害することが示されている。イン・
ビトロで、これらの化合物は線維芽細胞の成長を、G1及びG2期において細胞
周期の停止を引き起こすことにより阻害することができ(Richonら,19
96,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:5705−57
08;Kimら,1999,Oncogene 18:2461−2470;Y
oshidaら,1995.Bioessays 17;423−430;Yo
shida&Beppu,1988,Exp.Cell.Res.177:12
2−131)、末端分化及び様々な形質転換細胞株の形質転換能力の喪失につな
がり得る。Richonら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 93:5705−5708;Kimら,1999,Oncogene
18:2461−2470;Yoshidaら,1987,Cancer R
es.47:3688−3691。イン・ビボで、フェニルブチレートは、レチ
ノイン酸と共に、急性前骨髄性白血病の治療において有効である。Warrel
lら,1998,J.Natl.Cancer Inst.90:1621−1
625。SAHAは、ラットにおける乳腫瘍、及びマウスにおける肺腫瘍の形成
の防止において有効である。Desaiら,1999,Proc.AACR :abstract #2396;Cohenら,Cancer Res.,
提示済。
【0007】 ヒストンデアセチラーゼは、ヌクレオソームヒストンのN−末端近傍に集中す
るリジン残基のε−アミノ基からのアセチル基の除去を触媒し、このプロセスは
転写抑制に関わる(Struhl,1998,Genes Dev.12:59
9−606において論評されている)。酵母ヒストンデアセチラーゼ遺伝子、r
pd3の欠失又はトリコスタチンAでのその薬理学的不活性化は、プロモーター
のサブセット、例えば、Ume6−調節遺伝子のものにおいて転写抑制を低下さ
せる。Kadosh&Struhl,1998,Mol.Cell.Biol. 18 :5121−5127。これには抑制されたプロモーター及びその近傍にお
けるH4ヒストンのアセチル化の増加を伴うが、プロモーター末端領域のヒスト
ンに対する効果はない。Kadosh&Struhl,1998,Mol.Ce
ll.Biol.18:5121−5127;Rundlettら,1998,
Nature 392:831−835。
【0008】 ヒストンデアセチラーゼは、直接又はデアセチラーゼを転写リプレッサーに橋
渡しするコリプレッサー(co−repressor)を介してDNA結合転写
リプレッサーと会合することにより、特定のプロモーターに集められる。例えば
、Mad及びUme6リプレッサーはコリプレッサーSin3Aに結合し(La
hertyら,1997,Cell 89:349−356;Hassigら,
1997,Cell 89:341−347;Kadosh&Struhl,1
997,Cell 89:365−371)、核受容体はN−CoR及び関連S
MRTコリプレッサーを結合する。Nagyら,1997,Cell 89:3
73−380;Allandら,1997,Nature 387:49−55
;Heinzelら,1997,Nature 387:43−48。
【0009】 ヒストンデアセチラーゼの招集の崩壊は、これらの酵素が腫瘍形成に貢献する
機構の1つであるように思われる。急性前骨髄性白血病(APL)においては、
染色体の転位によりレチノイン酸受容体−α(RARα)がPLZF又はPML
のいずれかに融合する。これらの融合腫瘍性タンパク質は、部分的には、コリプ
レッサーの、次にはHDACの招集によって生じる異常転写抑制活性を有する。
Grignaniら,1998,Nature 391:815−818;Li
nら,1998,Nature 391:811−814。TSAでPLZF−
RARα APL細胞を処理することで、レチノイン酸誘導分化に対するそれら
の応答性が高まる。Grignaniら,1998,Nature 391:8
15−818;Linら,1998,Nature 391:811−814。
【0010】 ヒストンデアセチラーゼは酵母からヒトで保存されているタンパク質の巨大フ
ァミリーを含み、2つの関連クラスに分けられる。クラスIはヒトHDAC1、
2、3(Tauntonら,1996,Science 272:408−41
1;Yangら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93 :12845−12850;Emilianiら,1998,Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 95:2795−2800)、及び酵母R
PD3(Videl&Gaber,1991,Mol.Cell.Biol. :6317−6327)を特徴とし、クラスIIはヒトHDAC4、5、6(
Grozingerら,1999,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 96:4868−4873;Fischleら,1999,J.Biol
.Chem.274;11713−11720)、及び酵母HDA1(Rund
lettら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93 :14503−14508)を特徴とする。これら2つのクラスは、デアセチラ
ーゼ・コアを含む〜390のアミノ酸領域の配列類似性を共有するが、この領域
の外側では異なる。ヒストンデアセチラーゼ遺伝子はより大きなスーパーファミ
リーに属し(Leipe&Landsman,1997,Nucleic Ac
ids Res.25:3693−3697)、これは原核生物アセトイン利用
タンパク質(AcuC:HDAC1と28.1%配列同一)、及び原核生物アセ
チルポリアミンアミドヒドロラーゼ(APAH:HDAC1と15.0%配列同
一)を含む。AcuCの酵素活性は明らかではないが、その破損によりアセトイ
ンを分解してそれを炭素源として利用する枯草菌(B.subtilis)の能
力が低下する。Grundyら,1993,Mol.Microbiol.10 :259−271。APAHは、非ペプチドアミド結合を開裂することにより、
ポリアミンの脱アセチル化を触媒する(Leipe&Landsman,199
7,Nucleic Acids Res.25;3693−3697において
論評されている)。
【0011】 HDAC及びHDAC関連タンパク質がいかにしてヒストンの脱アセチル化を
触媒し、かつ上で参照される化合物、特には抗腫瘍活性を有する化合物が如何に
してこの活性を阻害するのかという問題に取り組むことは、HDACの阻害の機
構をより理解し、かつこの活性を阻害し得るさらなる有用な化合物の発見を促進
するために有用である。この目的に向かって、本発明は、高温菌アキフェクス・
エオリクスに由来するHDAC1様タンパク質、以下HDLP、の三次元構造を
決定している。HDLPの核酸コーディング配列の決定はDeckertら,1
998,Nature 392:353−358に記載された。この核酸コーデ
ィング配列から配列が決定される、コードされた375残基のタンパク質は、H
DAC1と35.2%のアミノ酸配列同一性を共有し、イン・ビトロでヒストン
を脱アセチル化し、かつTSA、SAHA及び幾つかの他のHDAC阻害剤によ
って阻害される。HDLPの三次元構造の決定は、イン・ビボ及びイン・ビトロ
の両者での細胞成長の阻害に有用である新規HDACファミリー阻害性化合物の
デザイン、同定及びスクリーニングにおいて有用である。
【0012】 発明の要旨 一般には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)として知られるタンパク質フ
ァミリー、特には、ヒトヒストンデアセチラーゼ(HDAC1)と35.2%の
配列同一性を共有する超高温菌アキフェクス・エオリクスHDLPに由来する相
同体(ヒストンデアセチラーゼ様タンパク質)の詳細な三次元構造情報を提供す
ることが本発明の目的である。また、阻害性化合物に結合するHDLPの三次元
構造情報を提供することも本発明の目的である。
【0013】 本発明の一態様においては、三次元構造情報を野生型HDLP(配列番号:1
)(野生型HDLPをコードする核酸は配列番号:2)の結晶から得る。本発明
のさらなる態様においては、三次元情報を、2つの突然変異(1)システイン7
5からセリンへの及び(2)システイン77からセリンへの突然変異(Cys7
5Ser/Cys77Ser二重突然変異体;配列番号:3)(HDLP Cy
s75Ser/Cys77Ser二重突然変異体をコードする核酸は配列番号:
4)を含む突然変異体HDLPから得る。本発明のHDLP突然変異体は、亜鉛
原子にその亜鉛原子結合部位で結合するHDLPの三次元構造情報の決定を容易
にする。
【0014】 本発明の好ましい態様においては、三次元構造情報を、HDLP又はHDLP Cys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体及びトリコスタチンA(
TSA)を含むタンパク質−阻害剤化合物複合体の共結晶から得る。本発明の別
の好ましい態様においては、三次元構造情報を、HDLP又はHDLP Cys
75Ser/Cys77Ser二重突然変異体及びスベロイルアニリドヒドロキ
サム酸(SAHA)を含むタンパク質−阻害剤化合物複合体の共結晶から得る。
HDLPと共結晶化できるあらゆるHDLP又はHDLP関連タンパク質(例え
ば、HDAC)阻害剤化合物を本発明の共結晶の形成に用いることができる。
【0015】 本発明のタンパク質結晶及びタンパク質−阻害性複合体共結晶は、少なくとも
4オングストローム(Å)に等しいか、又はそれを上回る高最大分解能まで回折
する。好ましい態様においては、本発明のタンパク質結晶及びタンパク質−阻害
性複合体共結晶は、2.5Åを上回る高最大分解能まで回折する。
【0016】 本発明の結晶は様々な形態を取ることができ、それらの全てが本発明によって
意図される。好ましい態様においては、結晶は、非対称単位内に1つの分子を有
し、かつa=51.4Å、b=93.8Å、c=78.7Å及びβ=96.9°
の単位寸法を有するC2空間群を有する(例えば、下記実施例2を参照)。別の
好ましい態様においては、結晶は、非対称単位内に2つの分子を有し、かつa=
53.4Å、b=94.4Å、c=156.3Åの単位寸法を有するP21 1 1 の空間群を有する(例えば、下記実施例2を参照)。HDLP構造は、いず
れの面に対してもαヘリックスがパッキング(packing)されている平行βシー
トを含む。このβシートの一端では、HDLPは、幾つかの十分に秩序付けられ
たループによって形成される狭いチューブ様ポケットを有する。このポケットの
壁は疎水性残基で裏打ち(lined )されており、ポケットの底部には亜鉛結合部
位及び幾つかの極性側鎖が存在する。本発明の阻害性化合物はこのポケットにお
いて結合する。
【0017】 HDLP、HDLP Cys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体、
亜鉛原子を含むHDLP Cys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体
、TSA又はSAHAのような阻害性化合物を含むHDLP、及びTSA又はS
AHAのような阻害性化合物を含むHDLP Cys75Ser/Cys77S
er二重突然変異体の結晶から得られる三次元構造情報は、あらゆるHDLP関
連タンパク質(例えば、HDAC)結晶、又はあらゆる突然変異体HDLP関連
タンパク質、特には、基質もしくは阻害剤化合物を含むリガンドと複合体を形成
したHDLP関連タンパク質のあらゆる野生型もしくは突然変異体の構造を解析
するのに用いることができる。結晶が既知構造とは異なる空間群にある場合、そ
の構造を解析するのに分子置換を用いることができ、結晶が同じ空間群にある場
合には、精密化及び差フーリエ法を用いることができる。HDLP関連タンパク
質(例えば、HDAC1)の構造は、完全長HDLP構造の少なくとも50%以
上のアミノ酸についてCα原子の位置に2.0Åを上回る根二乗平均偏差(rm
sd)を含まない。
【0018】 本発明は、配列番号:3のアミノ酸配列を有するHDLP Cys75Ser
/Cys77Ser二重突然変異体をコードする核酸分子及び配列番号:4の核
酸配列も提供する。亜鉛原子に結合する該タンパク質の構造の決定を容易にする
ため、Cys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体と同様に、HDLP
関連タンパク質のシステイン残基に突然変異が誘発されることも本発明によって
意図される。加えて、本発明は、発現制御配列に作動可能に連結する、配列番号
:4によって表される配列によってコードされるHDLP Cys75Ser/
Cys77Ser二重突然変異体をコードする核酸分子を含む発現ベクターを提
供する。
【0019】 本発明の別の目的は、HDLP/HDACファミリーの潜在的な阻害剤化合物
のデザイン、同定及びスクリーニングのための方法を提供することにある。好ま
しい態様において、デアセチラーゼ活性を含むHDLP及びHDLP関連タンパ
ク質(例えば、HDAC)の潜在的阻害剤化合物の合理的デザイン、同定及びス
クリーニングのための方法は:(a)本発明の原子座標によって規定されるHD
LPの三次元構造を用いる工程;(b)該三次元構造を該潜在的阻害剤化合物の
デザイン又は選択に用いる工程;(c)該潜在的阻害剤を合成及び/又は選択す
る工程;(d)アセチル化基質の存在下において該潜在的阻害剤化合物を該酵素
と接触させる工程;及び(e)デアセチラーゼ活性の阻害パーセントを決定して
該潜在的阻害剤化合物の阻害活性を決定する工程を含む。さらなる好ましい態様
においては、該合理的にデザインされた阻害性化合物の結合特性を、(a)該阻
害性化合物及びHDLP又はHDLP関連タンパク質を含む複合体を形成する工
程、(b)該阻害性化合物−HDLP複合体を共結晶化する工程;(c)分子置
換又は精密化及び本発明によって規定されるHDLPの分子座標を用いる差フー
リエによって該共結晶の該三次元構造を決定する工程;並びに(d)三次元構造
を解析して該潜在的阻害剤化合物の結合特性を決定する工程を含む方法によって
決定することができる。
【0020】 本発明のさらなる目的は、定義されたクラスのHDLP/HDACファミリー
阻害剤化合物を同定することにある。本発明のHDLP/HDACファミリー阻
害剤化合物は式(I)によって表される: (式中、Xはプロリン及びロイシンからなる群より選択される少なくとも1つの
アミノ酸に結合するキャップ基を含み;Yはロイシン、フェニルアラニン及びグ
リシンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸に結合する脂肪族鎖
基を含み;並びに、Zはアスパラギン酸、チロシン及びヒスチジンからなる群よ
り選択される少なくとも1つのアミノ酸に結合し、かつ亜鉛原子にさらに結合す
ることができるアンド(and )活性部位結合基を含む。)
【0021】 発明の詳細な説明 本発明は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)相同体の結晶であって、該H
DAC相同体のヒストンデアセチラーゼ活性を阻害することが可能な化合物の存
在及び不在下において成長させた結晶を提供する。ここで参照されるとき、HD
AC相同体(HDLP関連タンパク質に加えて)は、(a)HDLPの375ア
ミノ酸残基にわたって15%を上回る配列同一性を有し;(b)合計で100以
下のアミノ酸について挿入又は欠失が20以下であり;並びに(c)デアセチラ
ーゼ活性を有するあらゆるタンパク質分子である。配列同一性は、同一性マトリ
ックス重み付けスキーム・クラスタル法(identity matrix w
eighing scheme clustal method)を用いるプロ
グラムDNAstarTM(DNAstarプログラム、Madison、WI)
によって算出する。
【0022】 HDLP/HDAC阻害剤化合物は、ここで用いられる場合、式(I): で表されるあらゆる化合物を指し、式中、Xはチロシン、プロリン及びロイシン
からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸に結合するキャップ基を含
み;Yはフェニルアラニン及びグリシンからなる群より選択される少なくとも1
つのアミノ酸に結合する、約5ないし約10Å、好ましくは7Åの脂肪族鎖基を
含み;並びに、Zはアスパラギン酸、チロシン及びヒスチジンからなる群より選
択される少なくとも1つのアミノ酸に結合し、かつ亜鉛原子にさらに結合するこ
とができる活性部位結合基を含む。本発明のHDAC阻害性化合物は、HDAC
相同体又はHDLP関連タンパク質のヒストンデアセチラーゼ活性を50%を上
回って阻害することができる。
【0023】 本発明の結晶を成長させるため、HDAC及びHDAC阻害性化合物複合体を
総タンパク質が80%を上回るまで精製し、より好ましくは総タンパク質が90
%を上回るまで精製する。発現及び精製の目的で、完全長HDLP(Genba
nk受付番号AE000719)をアキフェクス・エオリクス染色体DNA調製
品からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってサブクローン化し、発現ベクタ
ーに挿入することができる。
【0024】 当該技術分野において公知の多数のベクター・宿主系を用いることができる。
可能性のあるベクターには、限定されるものではないが、プラスミド又は改変ウ
イルスが含まれるが、そのベクター系は用いられる宿主細胞に適合しなければな
らない。ベクターの例には、大腸菌(E.coli)バクテリオファージ、例え
ばラムダ誘導体、又はプラスミド、例えば、pBR322誘導体もしくはpUC
プラスミド誘導体、例えば、pGEXベクター(Amersham−Pharm
acia、Piscataway、New Jersey)、pETベクター(
Novagen、Madison、WI)、pmal−cベクター(Amers
ham−Pharmacia、Piscataway、New Jersey)
、pFLAGベクター(Chiang and Roeder,1993,Pe
pt.Res.:62−64)、バキュロウイルスベクター(Invitro
gen、Carlsbad、CA;Pharmingen、San Diego
、CA)等が含まれる。クローニングベクターへの挿入は、例えば、相補的突出
末端を有するクローニングベクターにDNA断片をライゲートすることにより、
利用可能な相補的突出末端がない場合には平滑末端ライゲーションにより、又は
ヌクレオチドリンカーを介して当該技術分野において標準的な技術を用いること
により達成することができる。例えば、Ausubelら(eds.),Cur
rent Protocols in Molecular Biology,
(1992)。その後、目的の核酸を含む組換えベクターを、そのベクターに適
合する宿主細胞(例えば、大腸菌、昆虫細胞、哺乳動物細胞等)に、形質転換、
トランスフェクション、感染、エレクトロポレーション等によって導入すること
ができる。核酸を、クローン化してバクテリア内で多量に増殖させることができ
るシャトルベクター内に配置した後、発現用の真核細胞宿主に導入することもで
きる。本発明のベクター系は発現制御配列を提供することができ、イン・ビトロ
でのタンパク質の発現を可能にする。
【0025】 好ましい態様においては、完全長HDLP(配列番号:2)をアキフェクス・
エオリクス染色体DNA調製品からpGEX4T3(Amersham−Pha
rmacia、Piscataway、New Jersey)にサブクローン
化する。Cys75Ser及びCys77Ser突然変異を含む二重突然変異体
(配列番号:4)を構築し、かつHDLP活性部位突然変異体Tyr297ph
e(配列番号:5及び配列番号:6)を構築するため、PCR部位特異的突然変
異誘発を当該技術分野おける熟練者に公知の方法でのDNA配列決定法による検
証と共に用いることができる(例えば、下記実施例1を参照)。本発明の突然変
異体は、上述のように、適切な発現ベクターにサブクローン化し、タンパク質産
生用の宿主細胞に導入することができる。
【0026】 本発明のHDLP核酸を発現ベクターにサブクローン化し、産生されるHDL
P分子が融合タンパク質を含むように発現構築物を創製することができ、ここで
、該融合タンパク質は精製を容易にするためのタグを含む。ここで参照される場
合、「タグ」は、精製を容易にするため、産生を改善するため、又は本発明の目
的を容易にし得る他のあらゆる目的のため(例えば、より高レベルの産生及び/
又は精製を達成するため)、タンパク質のC末端、n末端又は内部のいずれかに
もたらされるあらゆる追加アミノ酸である。このようなタグには、精製において
有用であることが当該技術分野における熟練者に公知であるタグ、例えば、限定
されるものではないが、hisタグ、グルタチオン−s−トランスフェラーゼ・
タグ、フラッグ・タグ、mbp(マルトース結合性タンパク質)タグ等が含まれ
る。好ましい態様においては、本発明の野生型及び突然変異体HDLPをグルタ
チオン−s−トランスフェラーゼでタグ化する(下記実施例1を参照)。別の好
ましい態様においては、HDAC1をフラッグ・タグ化する(下記実施例1を参
照)。そのようなタグ化されたタンパク質を、精製の前、その間もしくはその後
のタグの除去を容易にするため、開裂部位、例えば、トロンビン、エンテロキナ
ーゼ又はX因子開裂部位を含むように加工することもできる。タグ及びタグを除
去するための開裂部位をもたらすベクター系は、本発明の発現構築物を作製する
のに特に有用である。
【0027】 本発明のタグ付けされたHDLP及びHDACは、免疫親和性又は以下のもの
を用いるクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されるものではない通常のク
ロマトグラフィーによって精製することができる:グルタチオン−sephar
oseTM(Amersham−Pharmacia、Piscataway、N
ew Jersey)もしくは等価樹脂、ニッケルもしくはコバルト精製樹脂、
アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、疎水性樹
脂、ゲル濾過、抗フラッグ・エピトープ樹脂、逆相クロマトグラフィー等。精製
後、結晶化の目的で、HDLP及びHDLP−阻害剤化合物複合体を1mg/m
lを上回るまで濃縮することができる。好ましい態様においては、結晶化のため
、HDLP及びHDLP−阻害剤複合体を10mg/mlを上回るまで濃縮し、
特に好ましい態様においては、HDLP及びHDLP−阻害剤複合体を20mg
/mlを上回るまで濃縮する。
【0028】 本発明の精製HDLPがヒストンデアセチラーゼ活性を示すかどうかを決定す
るため、精製HDLP及びあらゆるHDLP関連タンパク質をも、該活性の決定
について当該技術分野における熟練者に公知のあらゆる方法によってアッセイす
ることができる。好ましい態様においては、Henzelら(J.Biol.C
hem.266:21936−21942(1991);下記実施例3を参照)
によって記載されるように、本発明の精製HDLPを、[3 H]アセチル標識ヒ
ストン基質(Carmenら,1996,J.Biol.Chem.271:1
5837−15844)の存在下、ヒストンデアセチラーゼ活性の検出に適する
緩衝液中でインキュベートし(下記実施例3を参照);反応を停止させ;放出さ
れたアセテート(acetate )を抽出して該放出されたアセテートを測定する。好
ましい態様においては、本発明のHDLPを、それらからヒストンデアセチラー
ゼ活性を得るため、ZnCl2 の存在下でインキュベートする(下記実施例3)
【0029】 別の態様においては、本発明の結晶は精製野生型HDLP(配列番号:1)を
含み、室温でハンギング・ドロップ(hanging−drop)蒸気拡散法に
より、イソプロパノール、ポリエチレングリコール、及びtert−ブタノール
からなる群より選択される1種類以上の沈殿剤を含む結晶化溶液から成長させる
(下記実施例2を参照)。この結晶化溶液は、NaCl及びKClからなる群よ
り選択される塩を含む1種類以上の塩、並びにTris(トリス(ヒドロキシメ
チル)アミノメタン)及びビス−トリスプロパン−C1(1,3−ビス[トリス
(ヒドロキシメチル)メチル−アミノ]プロパン)からなる群より選択される緩
衝液を含む1種類以上の緩衝液をさらに含んでいてもよい(下記実施例2を参照
)。結晶化溶液のpHは、他のpH値も本発明によって意図されるものの、好ま
しくはpH5ないし9である(下記実施例2を参照)。
【0030】 本発明の結晶を得るのに当該技術分野における熟練者に公知のあらゆる結晶化
技術を用いることができ、これにはバッチ結晶化、(シッティング・ドロップ(
sitting drop)もしくはハンギング・ドロップのいずれかによる)
蒸気拡散及びミクロ透析が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾ら
かの場合、X線品質の結晶を得るのに結晶の接種が必要となることもある。した
がって、そのために結晶の標準的なミクロ及び/マクロ接種を用いることができ
る。
【0031】 本発明の結晶は、非対称単位内に1つの分子を有し、かつa=51.4Å、b
=93.8Å、c=78.7Å及びβ=96.9°の単位寸法を有する空間群C
2の形態をとることができる(下記実施例2を参照)。また、本発明の結晶は、
非対称単位内に2つの分子を有し、かつa=53.4Å、b=94.4Å、c=
156.3Åの単位寸法を有する空間群P21 1 1 の形態をとることもでき
る(下記実施例2を参照)。しかしながら、本発明は、C2、P21 、P21 1 1 、P31 21、P43 1 1 、及びC2221 を含むがこれらに限定さ
れるものではないあらゆる空間群の形態をとる結晶も意図されている。これらの
結晶を4Åを上回る分解能、好ましくは2.5Åを上回る分解能まで回折する。
【0032】 本発明の結晶からの回折データを修正するため、結晶を、それらの結晶の成長
に用いたものではあるが、好ましくはより高い沈殿剤濃度を有する結晶化緩衝液
中で瞬間凍結することができる(例えば、下記実施例2を参照)。例えば、限定
を目的とするものではないが、用いられる沈殿剤が28%PEG1500である
場合、結晶を、沈殿剤濃度を35%に増加したその結晶の成長に用いたものと同
じ結晶化溶液中で瞬間凍結することができる(下記実施例2を参照)。沈殿剤が
十分な凍結保護物質ではない(すなわち、瞬間凍結の際にガラスが形成されない
)場合、瞬間凍結の際のガラス形成を達成するため、凍結保護物質(例えば、グ
リセロール、低分子量PEG、アルコール等)を、その凍結保護物質が結晶の完
全性の保存に適合するという条件の下で溶液に添加することができる。この瞬間
凍結結晶は、X線回折による結晶学的データの収集の間、−110℃未満、好ま
しくは−150℃未満の温度で維持する。X線回折データはDENZO及びSC
ALEPACK(Otwinowski&Minor,1997,Method
Ensemble.276:307−326)で処理することができるが、当
該技術分野における熟練者に公知のあらゆる方法をX線回折データの処理に用い
ることができる。
【0033】 本発明に従ってHDLPの原子構造を決定するため、多重同形置換(mult
iple isomorphous replacement)(MIR)解析
、モデル構築及び精密化を行うことができる。MIR解析に対しては、結晶を重
原子に浸漬してMIR解析に必要な重原子誘導体を生成することができる。ここ
で用いられる場合、重原子誘導体又は誘導体化はタンパク質又はタンパク質複合
体結晶の化学的に修飾された形態を生成する方法であって、そのタンパク質が結
晶内の重原子に特異的に結合する方法を指す。実際には、結晶全体にわたって拡
散し、かつタンパク質に特異的に結合し得る重金属原子もしくは塩、又は有機金
属化合物、例えば、塩化鉛、シアン化金、チメロサール、酢酸鉛、酢酸ウラニル
、塩化水銀、塩化金等を含む溶液に結晶を浸漬する。結合重金属原子(1つもし
くは複数)又は塩の位置は浸漬した結晶のX線回折解析によって決定することが
できる。この情報をMIR相情報の生成に用い、それを本発明の結晶化HDLP
及びHDLP関連タンパク質の三次元構造の構築に用いる。好ましい態様におい
て、重原子にはチメロサール、KAu(CN)2 及びPb(Me)3 OAcが含
まれる(下記実施例2を参照)。MIR相は当該技術分野における熟練者に公知
のあらゆるプログラムにより、好ましくはプログラムMLPHARE(The
CCP4 suite:Programs for computationa
lcrystallography,1994,Acta Crystallo
gr.D.50:760−763)で算出することができ、チメロサール誘導体
からの異常回折シグナルを用いることもできる。好ましい態様においては、MI
R相を2.5Åで算出したところ、0.55の平均フィギュア オブ メリット
(figure of merit)を有する(図19及び下記実施例2を参照
)。これらの相は、必要であれば、プログラムDM(The CCP4 sui
te:Programs for computational crysta
llography,1994,Acta Crystallogr.D 50 :760−763)の使用によるものを含むがこれに限定されるものではない、
当該技術分野における熟練者に公知の方法による溶媒平滑化によって改善するこ
とができる。
【0034】 その後、プログラムO(Jonesら,1991,Acta Crystal
logr.A 47;110−119)を用いて三次元構造の初期モデルを構築
することができる。構造の解釈及び構築は、プログラムCNS(Brunger
ら,1998,Acta Crystallogr.D 54:905−921
)を用いることによってさらに容易にすることができる。
【0035】 HDLP−阻害剤化合物複合体の構造の決定について、そのHDLP−阻害剤
化合物複合体結晶の空間群が異なる場合、アポ−HDLP(ここで参照される場
合、アポ−HDLP又はアポ−HDACは阻害剤化合物と複合体を形成していな
い酵素である)の既知構造、又はその構造を上述の通り、及び下記実施例2と同
様に決定することができるあらゆる既知HDLP/阻害剤複合体の構造を用いて
、分子置換を使用することができる。HDLP−阻害剤化合物結晶の空間群が同
じ場合、アポ−HDLP(ここで参照される場合、アポ−HDLP又はアポ−H
DACは阻害剤化合物と複合体を形成していない酵素である)の既知構造又はあ
らゆる公知のHDLP/阻害剤複合体構造を用いて、剛性体精密化及び差フーリ
エを構造解析に使用することができる。
【0036】 「分子置換」という用語は、分子置換の使用前は構造座標が不明である、本発
明のHDLP結晶の三次元構造の予備モデルを生成することを含む方法を指す。
分子置換は、構造座標が既知である分子(この場合には予め決定されたアポ−H
DLP)を、構造が不明であるHDLP又はHDLP関連タンパク質結晶から得
られるX線回折パターンによって規定される単位格子内に、未知結晶の観察され
た回折パターンを最良に説明できるように配向及び位置付けすることによって達
成される。その後、このモデルから相を算出し、観察された振幅と組み合わせて
座標が不明である構造の最適フーリエ合成を得ることができる。次にこれを幾つ
かの精密化形態のいずれかに処し、最終的な正確な構造を得ることができる。
【0037】 熟練技術者に公知のあらゆる方法を分子置換による構造の決定に用いることが
できる。例えば、プログラムAMORE(The CCP4 suite:Pr
ograms for computational crystallogr
aphy,1994,Acta Crystallogr.D.50:760−
763)を、アポ−HDLP座標を用いる分子置換による未知ヒストンデアセチ
ラーゼ+/−阻害剤の構造決定に用いることができる(図16)。阻害性化合物
TSAの構造決定のため、ケンブリッジ・ストラクチャラル・データベース(C
ambridge Structural Database)から得たTSA
の構造(参照コードTRCHST、≪http://www.ccdc.cam
.ac.uk≫)を、プログラムCNS(Brungerら,1998,Act
a Crystallogr.D 54;905−921)での精密化において
用いられる立体化学的制限の定義に用いることができる。
【0038】 三次元構造情報及びこのHDLPの構造情報に伴う原子座標は、HDACファ
ミリーに属する結晶化したタンパク質の分子置換による構造の解明に有用である
。同様に、機能又はHDLPとの配列類似性もしくは同一性に基づいて構造が類
似すると考えられる結晶化タンパク質のあらゆる構造を、本発明のHDLP構造
情報を用いる分子置換によって解明することができる。上述の通り、及び下記実
施例2と同様に分子置換によって決定されるHDLP関連タンパク質の構造は、
完全長HDLPの375残基にわたるその構造のアミノ酸の少なくとも50%以
上について、Cα原子の位置で2.0Å以下の根平均二乗偏差(rmsd)を含
む。このようなrmsdはアミノ酸配列同一性に基づくものと期待することがで
きる。Chothia&Lesk,1986,Embo J.:823−82
6。
【0039】 本発明の精密化三次元HDLP構造、特には、アポ−HDLP、活性部位に亜
鉛原子を含むCys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体HDLP、活
性部位に亜鉛原子を含むHDLP/TSA複合体、及び活性部位に亜鉛原子を含
むHDLP/SAHA複合体は、それぞれ図16ないし19に示される原子座標
によって表される。アミノ酸1−375を含むアポ−HDLPの精密化モデルは
、モデル化されておらず、かつ無秩序であると推定される残基1、374及び3
75を伴う野生型HDLP残基2ないし373からなり、1.8Åの分解能まで
決定された。同様に、活性部位に亜鉛原子を含むCys75Ser/Cys77
Ser二重突然変異体HDLPの精密化モデルも、モデル化されておらず、かつ
無秩序であると推定される残基1、374及び375を伴う残基2ないし373
からなり、2.0Åの分解能まで決定された。活性部位に亜鉛原子を含むHDL
P/TSA複合体の精密化モデルは、モデル化されておらず、かつ無秩序である
と推定される残基1、374及び375を伴うCys75Ser/Cys77S
er二重突然変異体HDLP残基2ないし373からなり、結合ポケットにTS
Aを有し、かつ2.1Åの分解能まで決定された。HDLP/SAHA複合体は
HDLP/TSA複合体に類似するが、結合ポケットにSAHAを有し、2.5
Åの分解能まで決定された。
【0040】 HDACを含むがこれに限定されるものではないHDLP及びHDLP関連タ
ンパク質の構造を、本発明のHDLP結晶から得られたデータからさらに説明す
る目的で、以下の用語の定義を提示する。
【0041】 「βシート」という用語は、互いに平行して延び、かつ主鎖C=O及びN−H
基の間で水素結合によって通常の方法で連結する2つ以上のポリペプチド鎖(す
なわちβストランド)を指す。したがって、ベータシート内の全ての水素結合は
ポリペプチドの異なるセグメント間に存在する。タンパク質内のほとんどのβシ
ートは全平行(タンパク質内部)であるか、又は全逆平行(一端が溶媒に面し、
他方が疎水性コアに面する)である。逆平行シート内の水素結合は鎖の方向に対
して垂直であり、鎖間の対として均等に間隔をとる。平行シート内の水素結合は
鎖の方向に対して傾斜し、鎖間で均等に間隔をとる。
【0042】 「αへリックス」という用語は、球状タンパク質において見いだされる最も異
常なへリックス配座を指す。αへリックスの平均長は10残基である。αへリッ
クスにおいては、全てのアミドプロトンがN末端を指し、全てのカルボニル酸素
がC末端を指す。phi、psi対の反復性がこの配向を確実なものとする。α
へリックス内の水素結合も、残基X(ここで、Xはあらゆるアミノ酸を指す)の
骨格C=Oが残基X+4の骨格HNに水素結合する反復パターンを示す。αへリ
ックスは、ターン当たり3.6残基及びアミノ酸当たりその軸に沿って1.5Å
移動することを特徴とするコイル構造である。したがって、そのピッチは3.6
×1.5、すなわち、5.4Åである。αへリックスのスクリューセンス(sc
rew sense)は常に右回りである。
【0043】 「ループ」という用語は、アミノ酸の他のあらゆる配座(すなわち、へリック
ス、ストランド又はシートではない)を指す。加えて、ループは、反復性の通常
の様式ではないが、アミノ酸側鎖間に結合相互作用を含み得る。
【0044】 ペプチド内のアミノ酸残基は、以後、以下のように略す:フェニルアラニンは
Phe又はF;ロイシンはLeu又はL;イソロイシンはIle又はI;メチオ
ニンはMet又はM;バリンはVal又はV;セリンはSer又はS;プロリン
はPro又はP;トレオニンはThr又はT;アラニンはAla又はA;チロシ
ンはTyr又はY;ヒスチジンはHis又はH;グルタミンはGln又はQ;ア
スパラギンはAsn又はN;リジンはLys又はK;アスパラギン酸はAsp又
はD;グルタミン酸はGlu又はE;システインはCys又はC;トリプトファ
ンはTrp又はW;アルギニンはArg又はR;及びグリシンはGly又はG。
アミノ酸のさらなる説明については、Proteins;Structure
and Molecular Properties by Creighto
n,T.E.,W.H.Freeman&Co.,New York 1983
を参照されたい。
【0045】 「正に荷電したアミノ酸」という用語は、通常の生理学的条件下で正に荷電し
た側鎖を有するあらゆるアミノ酸を指す。正に荷電したアミノ酸の例は、Arg
、Lys及びHisである。「負に荷電したアミノ酸」という用語は、通常の生
理学的条件下で負に荷電した側鎖を有するあらゆるアミノ酸を指す。負に荷電し
たアミノ酸の例は、Asp及びGluである。「疎水性アミノ酸」という用語は
、比較的水に不溶性である非荷電、非極性側鎖を有するあらゆるアミノ酸を指す
。疎水性アミノ酸の例は、Ala、Leu、Ile、Gly、Val、Pro、
Phe、Trp及びMetである。「親水性アミノ酸」という用語は、比較的水
溶性である非荷電、極性側鎖を有するあらゆるアミノ酸を指す。親水性アミノ酸
の例は、Ser、Thr、Tyr、Asp、Gln、及びCysである。「芳香
族アミノ酸」という用語は、環構造を含むあらゆるアミノ酸を指す。芳香族アミ
ノ酸の例は、His、Phe、Trp及びTyrである。
【0046】 「電荷リレー系(charge relay system )」という用語は、Fersht&S
perling,1973,J.Mol.Biol.74:137−149;B
lowら,1969,Nature 221:337−340に記載されるHi
s−Asp配置を指す。
【0047】 本発明の三次元構造から得られる情報は、HDLPがオープンα/βクラスの
折り畳みに属する単一ドメイン構造を有することを明らかにする(例えば、Br
anden,1980,Q.Rev.Biophys.13:317−38を参
照)。HDLPの三次元構造全体の直交系図が図4A及び4Bに示されている。
このHDLP構造は、中央8鎖平行βシート(β2−β1−β3−β8−β7−
β4−β5−β6と配置された鎖)、及び16のαへリックス(それぞれ、α1
ないしα16と表示されている)を有する。図4Cを参照。へリックスのうちの
4つはβシートのいずれの面上にもパッキング(pack)され(α7、α8、α9
、α10及びα11、α12、α13、α14)、このクラスの折り畳みのコア
α/β構造の特徴を形成する。残りの8つのへリックスのほとんどはβシートの
一方の側(one side)近傍、鎖β2−β1−β3−β8近傍に位置する。巨大な
充分に規定されたループ(ループL1−L7;図4C)はβ鎖のC末端から始ま
る。余分のへリックス及び巨大L1−L7ループは、コアα/βモチーフを越え
てその構造の顕著な伸展部と会合する。この構造の伸展部は2つの顕著な構造的
特徴を生じる:深く狭いポケット及びそのポケットに隣接する内部キャビティ。
これらの2つの構造的な特徴は活性部位を含む(図5A参照)。HDLP−関連
タンパク質(例えば、HDAC)の構造は保存されたα/β構造特徴も含むこと
ができる。
【0048】 用語「活性部位」はHDLP中の以下の部位のいずれかまたは全てを含む:基
質結合部位、基質からのアセチル基の切断が起こる部位またはHDACファミリ
ー、または、より詳細には、HDLPの阻害剤が結合する部位。本明細書中でい
う活性部位はAsp166、Asp258、His170、Tyr297、Hi
s131、His132、Asp168、Asp173、Phe141、Phe
198、Leu265、Pro22およびGly140、ならびにrmsdが2
.0Åである図16ないし19にリストされた座標によって規定されるAsp1
73、Asp168およびHisによるポケットの底部に結合した金属を含む。
該ポケットの底部に結合する金属は、亜鉛、コバルトまたはマンガンよりなる群
から選択される二価カチオンであろう。
【0049】 深く狭いポケットは11Åまでの深さを有するチューブ様形状である。該ポケ
ットの開口は4.5×5.5Åまでに半分縮まり、底部においてより広くなる(
図5A参照)。該ポケットおよびその直近の周囲はループL1ないしL7よりな
る。
【0050】 該ポケットの壁は疎水性および芳香族残基(入口近くのPro22、Tyr9
1;およびさらに下ったGly140、Phe141、Phe198、Leu2
65およびTyr297;図5B)の側鎖で被覆される。アミノ酸のナンバリン
グについては、配列番号:1を参照されたし。特に興味深いのはPhe141お
よびPhe198であり、そのフェニル基は7.5Åの距離にて平行に相互に向
かい合い、該ポケットの最も細い部分を形成する(図5B参照)。特に興味深い
のは、配列を整列させると(アラインメントはDNAstar(商標)TM Me
gAlign(商標)TMプログラム、マディソン、ワイオミング州を用いて達成
することができる)、1つのポケット残基のみがHDAC1で異なり、この残基
がHDLPにおけるTyr91であるHDAC1のGlu98であることである
。該構造により、HDLP中のこの残基が大部分は溶媒に曝露されることが示さ
れる。
【0051】 その最も狭い点における活性部位のポケットの底部近くには、亜鉛イオンが位
置する(図6A参照)。該構造において亜鉛を得るために、結晶を亜鉛(例えば
、ZnCl2 )中に浸漬させるか、亜鉛の存在下で共結晶化させてもよい。亜鉛
イオンにはAsp168(Oδ1、2.1Å)、His170(Nδ1、2.1
Å)、Asp258(Oδ1、1.9Å)および水分子(2.5Å)が配位する
。図5Bおよび6B参照。亜鉛に配位するアミノ酸残基は四面体幾何学的配列に
配列するが、His131にまた水素結合する水分子の位置はこの幾何学的配列
から−25゜だけそれる。
【0052】 亜鉛リガンドに加え、該ポケットの底部は2つのヒスチジン(His131お
よびHis132)、2つのアスパラギン酸(Asp166およびAsp173
)およびチロシン(Tyr297)を含む。図5Bおよび10B参照。ヒスチジ
ンの各々はそのNδ1を介してアスパラギン酸のカルボキシレート酸素に対して
水素結合を形成し、該酸素はイミジゾール(imidizole )環の面に位置する(図
5B)。このHis−Asp配置はセリンプロテアーゼの活性部位に存在する電
荷リレー系の特徴であり、イミジゾールNεを分極させ、その塩基性を増加させ
るように働く。Fersht&Sperling、1973、J.Mol.Bi
ol.74:137−149;Blowら,1969,Nature 221
337−340。
【0053】 Asp166−His131電荷ペアリレー(以後、「埋没型電荷リレー」と
いう)は、部分的に溶媒に曝露されているAsp173−His132電荷リレ
ー(以後、「露出型電荷リレー」という)と比較して、ポケットにより深く、か
つより埋め込まれて位置する。該埋没型電荷リレーは上述した亜鉛−結合水分子
に対して水素結合(2.6Å)を形成し、この水素結合は理想的な幾何学的配列
からの水−亜鉛配位の偏差に寄与しうるであろう(図5B)。露出型電荷リレー
は、水分子から2.5Åまで離れた、表面に近い点に向けられる。
【0054】 Tyr297は、亜鉛の隣に、2つの電荷リレー系が位置するところと向かい
合って位置する。Tyrヒドロキシル基は亜鉛原子から4.4Å離れて存在し、
タンパク質の残りとの相互作用は有しない(図5B)。Tyr297の隣には、
ポケット壁中に開口があり、これは隣接する内部キャビティに至る。
【0055】 内部キャビティのフロアーは、それらがβストランドから出現するにつれ、L
3およびL7ループの一部を形成し、ルーフ(roof)はα1−L1−α2セグメ
ントよりなる。L1ループは構造中の他のループよりも柔軟に見える。これは、
キャビティの内容物とバルク溶媒との一時的な交換を可能とし得る。
【0056】 該キャビティは主として疎水性残基で裏打ちされ、特にグリシン残基が豊富で
ある(L3のAla127、Gly128、Gly129、Met130および
Phe141;L7のGly293、Gly294、Gly295およびGly
296;およびL1のTyr17、Pro22およびLeu23)。キャビティ
には2つの荷電残基(Arg27およびHis21)のみがあり、これらはL1
ループによって寄与される。
【0057】 キャビティは、基質が結合すると、溶媒からの脱アセチル化の間に、さもなく
ば混雑し、保護されるであろう触媒中心から離れるアセテート産物の拡散のため
のスペースを提供することができる。キャビティについてのそのような役割は、
キャビティが1.8Åアポ−タンパク質構造に(結晶化緩衝液からの)3つの水
分子および2つのイソプロパノール分子を含んでいるという観察によって支持さ
れる。キャビティは、HDLPの酵素活性を促進するために、亜鉛に加えてもう
1つの補因子にも結合することができる。脱アセチル化について提案された触媒
メカニズムを図8に示す。
【0058】 HDAC1配列相同性と組み合わせて、本発明によって規定されるHDLPの
構造は、375−アミノ酸HDLPタンパク質が、HDACファミリーにわたっ
て保存されたヒストンデアセチラーゼ触媒コアに対応することを示す(図2参照
)。35.2%HDLP−HDAC1配列同一性は、1.5ÅまでのCα位置に
おけるrmsdとの構造類似性を予測する。ChothiaおよびLeskは、
配列の発散(divergence)とタンパク質の構造との間の関係をEmbo J. :823−826(1986)に記載する。この領域におけるα16ヘリックス
は保存された開口α/βコア折り畳みの一部であって、HDAC1は同様のヘリ
ックスよりなるようであるが、この領域はHDAC1に対してより低い相同性を
有するので、HDLPの40−残基C−末端は多様な構造を有する傾向にある。
しかし、多様なこのC−末端領域が存在することができ、この領域は活性部位の
外側にあり、活性部位の構造に影響しないようである。ヒストンデアセチラーゼ
触媒コアのC−末端を超えて、HDACファミリーのメンバーは長さおよび配列
が多様である。HDACファミリ−において、この領域(390−482までの
アミノ酸残基)は高度に極性であり、酸性残基があり、柔軟性であるかまたは緩
く折り畳まれている傾向にある。
【0059】 HDLP−HDAC相同性は、主に疎水性コアおよびL1−L7ループにマッ
プされ、最高レベルのアミノ酸残基配列保存を有するポケットおよび近接キャビ
ティを形成するループの一部を有している(図9Aおよび9B)。具体的には、
活性部位における極性残基の全て(亜鉛リガンド、2つの電荷リレー系およびT
yr297)およびポケットの壁を形成する疎水性残基(Gly140、Phe
141、Phe198およびLeu265)は同一である。内部キャビティを形
成する残基の中で、活性部位に最も近いものは同一であるかまたは保存的に置換
されている(例えば、Leu23→MetおよびMet130→Leu)。ポケ
ットの周りの表面残基はあまり保存されてないが、依然として35%の平均配列
同一性を超える。
【0060】 本発明の阻害剤−結合HDLP複合体結晶構造から得られた情報により、HD
LP/HDACファミリーのメンバーを阻害することができる潜在的阻害剤化合
物のデザイン、単離、スクリーニングおよび測定で有用である詳細な情報が明ら
かにされる。前記したように、HDLP構造は、両方の面に対するαヘリックス
パッキングを持つ平行βシートよりなる(図4A、4Bおよび4C)。βシート
の1つの端部において、7つのループ(L1−L7)は、疎水性残基によって裏
打ちされ、2つのAsp−His電荷リレー系を含んだ亜鉛結合部位、いくつか
の極性側鎖からなる狭いチューブ様ポケットを形成する。ポケット底部における
亜鉛リガンドおよび他の極性残基の突然変異は触媒活性を低下させるか、あるい
は失わせる。
【0061】 本発明者らは、Tyr297Phe部位における突然変異が活性を低下させる
ことを見い出した。Hassigら、1989,Proc.Natl.Acad
.Sci.USA 95:3519−3524;Kadosh&Struhl,
1998,Genes Dev.12:797−805も参照。これらの残基の
突然変異による活性の排除は、この領域が酵素活性部位であることを示している
。活性部位に隣接して、アセテート反応産物の拡散のためのスペースを提供する
ことができる内部キャビティがある。上述したHDLPおよびHDAC1の間の
活性部位における相同性は、それらが構造的および機能的相同性を共有すること
を示す。
【0062】 阻害剤化合物であるトリコスタチンA(TSA)(Tsujiら,1976,
J.Antibiotics 29:1−6)は、一端にヒドロキサム酸基を有
する長い脂肪族鎖をポケットに挿入することによってHDLPに結合する(図6
A、6Bおよび6C)。脂肪族鎖はポケットのウェル状疎水性部分において多数
の接触をなす。ヒドロキサム酸はポケットの極性底部に到達し、そこで、二座(
bidentate )方式で亜鉛に配位し、また、2つの電荷リレー系ヒスチジンを含ん
だ活性部位中の極性残基と水素結合を形成する。TSA鎖の他端における芳香族
ジメチルアミノ−フェニル基はポケット入口で接触し、それに蓋をするように働
く。TSAに接触するHDLPのアミノ酸残基はHDACにおいて保存されてお
り、これは、TSAがHDLPに対するのと同様にHDACに結合し、それを阻
害することを示す。
【0063】 該複合体において、ヒドロキサム酸、脂肪族鎖の大部分およびTSAのジメチ
ルアミノ−フェニル基の部分は埋め込まれている(TSAの表面積の60%;図
6A)。ヒドロキサム酸基は二座方式で亜鉛に結合し、カルボニル基(2.4Å
)およびヒドロキシル基(2.2Å)を介して結合を形成し、その結果、五−配
位Zn2+が得られる(図6Bおよび図6C)。ヒドロキサム酸のヒドロキシル基
は、前記したアポ−HDLP構造中の亜鉛に結合する水分子を置き換える。また
、ヒドロキサム酸は両方の電荷リレー系ヒスチジン(His131 Nε2に対
するヒドロキシル酸素、2.8Å;およびHis132、Nε2に対する窒素、
2.8Å)、およびTyr297ヒドロキシル基(2.4Å;図6Bおよび6C
)とで水素結合する。
【0064】 TSAの5−炭素長分岐アルケン鎖は、ポケットの狭い部分でぴったりと適合
し、ポケットを裏打ちする疎水性基の全てとの多数のファン・デル・ワールス接
触をなす(図6Bおよび6C)。その中心近くで、該鎖は、ポケットの最も密な
点においてPhe141およびPhe98のフェニル基の間にはさまれたメチル
置換炭素−炭素二重結合を含む(図6Aおよび6B)。アルケン鎖の長さは、ポ
ケットの長さにわたり、ポケットの底部および入口双方で接触をなすのに最適な
ように見えるが、式(I)のキャップ基はポケットにわたるための長さを提供し
て、より短いアルケン鎖(脂肪族鎖)を可能とする。
【0065】 ポケットの入口において、ジメチルアミノ−フェニルおよびTSAの隣接カル
ボニル基によって形成された平面構造の1つの面はポケットのリムにおいて接触
する(Pro22、Tyr91、Phe141;図6Bおよび6C)。このパッ
キングは、(sp3 混成C8炭素において起こる)脂肪族鎖およびジメチルアミ
ノ−フェニル基の接合におけるTSAの全体構造中のほぼ110゜角度によって
促進される。TSA結合に際して、最も溶媒に暴露されるTyr91の側鎖は立
体配座を変化させて、ジメチルアミノ−フェニル基のためのスペースを形成する
。これは、TSA結合に際して観察される活性部位近くの変化に過ぎない。
【0066】 ヒドロキサム酸基は亜鉛メタロプロテアーゼ阻害剤において共通のモチーフで
ある。米国特許第5,919,940号および第5,917,090号参照;ま
た、Gramsら、1995,Biochemistry 34;14012−
14020;Lovejoyら,1999,Nat.Struct.Biol. :217−221;およびHolmes&Matthews,1981,Bi
ochemistry 20:6912−6920参照。TSAと同様に、これ
らの阻害剤も、それらのヒドロキサメートヒドロキシルおよびカルボニル酸素を
用いて二座方式で活性部位亜鉛に配位し、求核水分子をそれらのヒドロキサメー
トヒドロキシル基で置き換え、一般的な塩基に対する水素結合を形成する(Gr
amsら,1995,Biochemistry 34:14012−1402
0;Lovejoyら,1999,Nat.Struct.Biol.:21
7−221:およびHolmes&Matthews,1981,Bioche
mistry 20:6912−6920)。
【0067】 TSAよりも30倍までの弱い阻害活性を有するSAHA(Richonら、
1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:3003−
3007)は、TSAに対するのと同様にHDLPに結合する(例えば、図4D
参照)。SAHAヒドロキサム酸基は亜鉛および活性部位残基に対して同一の接
触をなし、これらの相互作用の重要性はヒドロキサム基を欠くSAHA誘導体の
活性の喪失によって強調される(Richonら,1998、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 95:3003−3007)。SAHAの6−
炭素長脂肪族鎖はポケットのチューブ様疎水性部分にパッキングされる。しかし
ながら、TSAと比較して、SAHAの脂肪族鎖はより緩くパッキングされ、フ
ァン・デル・ワールス接触をあまり形成しない。これは、いくらかは、SAHA
がTSAのC15メチル基分岐を欠くからである。また、SAHAはこの領域に
おいてTSAの二重結合を欠き、これは脂肪族鎖の柔軟性の増加をもたらす。S
AHAのキャップ基はフェニル−アミノケトン基よりなる。結晶構造において、
フェニル基は弱い電子密度を有し、TSAのキャップ基と同様にパッキングされ
ないことを示す。これは、TSAと比較してSAHAのヒドロキサム基およびキ
ャップ基の間のより大きな分離によるものであろう(以下のTSA、式(II)
およびSAHA、式(III)を比較されたし)。
【0068】 HDLPおよび阻害性化合物に結合したHDLPの構造の決定は、初めて、H
DLPおよび関連HDLPタンパク質、たとえば、HDACファミリーに属する
タンパク質の活性部位の同定を可能とした。
【0069】 三次元構造情報および阻害性化合物に結合したHDLPの該構造情報に関連し
た原子座標は、HDLP、HDACファミリータンパク質およびHDLPに関連
する他のヒストンデアセチラーゼ様タンパク質に結合し、その酵素活性を阻害す
る阻害性化合物を同定する方法を提供する合理的な薬物デザインにおいて有用で
ある。デアセチラーゼ活性を含む酵素のための該潜在的阻害剤を同定する該方法
は、(a)図16ないし19にあげたその原子座標によって規定されるHDLP
の三次元構造を用い;(b)該三次元構造を使用して、該潜在的阻害剤をデザイ
ンまたは選択し;(c)該潜在的阻害剤を合成し;(d)アセチル化基質の存在
下で該潜在的阻害剤を該酵素と接触させ;次いで、(e)該デアセチラーゼ活性
を阻害する該阻害剤の能力を測定する工程を含む。
【0070】 本発明の方法によって同定された潜在的HDLPおよびHDLP関連(例えば
、HDAC)阻害剤は式(I): (式中、Xはプロリンおよびロイシンよりなる群から選択される少なくとも1つ
のアミノ酸に結合するキャップ基を含み;Yはロイシン、フェニルアラニンおよ
びグリシンよりなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸に結合する脂肪
族鎖基を含み;およびZはアスパラギン酸、チロシンおよびヒスチジンよりなる
群から選択される少なくとも1つのアミノ酸に結合する活性部位結合基を含み、
ここに、Zはさらに亜鉛原子に結合することができ、但し、式(I)の化合物は
米国特許第5,608,108号;第5,700,811号;第5,773,4
74号;第5,840,960号および第5,668,179号に記載されたT
SA、トラポキシン、SAHA、SAHA誘導体ではない) によって表される。
【0071】 本発明は、HDLPおよびHDLP関連タンパク質の活性部位に結合すること
ができる、阻害性化合物を含めた、化学的存在および化合物をデザインし、同定
し、合成するための分子デザイン技術の使用を可能とする。アポ−HDLPおよ
び阻害剤結合HDLPの原子座標は、HDLPおよびHDLP関連タンパク質(
例えば、HDAC1)の潜在的阻害剤を同定するためにGRAM、DOCK、H
OOKまたはAUTODOCK(Dunbrackら,1997,Foldin
g&Design :27−42)のようなドッキングプログラムを用いるコ
ンピューターモデリングと組み合わせて用いることができる。この手法は、潜在
的阻害剤の形状および化学構造がどれくらい活性部位を補うかを確認し、または
潜在的阻害剤を活性部位におけるTSAまたはSAHAの結合と比較するための
、潜在的阻害剤のHDLPの活性部位へのコンピューターフィッティングを含む
ことができる。Buggら,1998、Scientific America
n December:92−98;Westら,1995,TIPS 16
67−74参照。ドッキングプログラムでのモデリングによってデザインされた
潜在的阻害剤は、上述した一般式(I)と適合する。また、コンピュータープロ
グラムを用いて、HDLPおよび潜在的阻害剤化合物の引力、反発および立体的
障害を見積もることもできる。一般に、フィットが密になれば、立体的障害はよ
り低く、引力はより大きく、タンパク質の他のクラスよりはむしろHDLPおよ
びHDLP関連タンパク質とより相互作用するであろう特異的阻害性化合物につ
いての重要な特徴である特異性はより大きくなる。これらの特徴は、阻害性化合
物が潜在的抗腫瘍薬物である場合に特に望まれる。
【0072】 本発明の化合物は、三次元構造を視覚により視覚的に洞察して、より効果的な
デアセチラーゼ阻害剤を決定することによってデザインすることもできる。この
タイプのモデリングを「マニュアル」薬物デザインということができる。マニュ
アル薬物デザインは、「O」のようなグラフィックスビジュアル化プログラムを
用いる視覚での洞察および分析を使用することができる(Jones,T.A.
,Zhou,J.Y.,Cowan,S.W.,およびKjeldgaard,
M.,Improved method for building prot
ein models in electron density mapsお
よびthe location of errors in these mo
dels,Acta Crystallog.,A47,110−119)。
【0073】 最初に、潜在的阻害剤化合物を、マニュアル薬物デザインによって、式(I)
のX、YおよびZ構成要素に対するそれらの構造類似性につき選択することがで
きる。このようにデザインされた構造アナログを、次いで、最も効果的であるら
しい候補を良好に規定するコンピューターモデリングプログラムによって修飾す
ることができる。既知の阻害分子に対していくらか類似性を有し得る数えること
ができないほど多くの数の変形化合物を合成し、それをスクリーニングするのは
不可能なので、潜在的候補の数の減少は有用である。そのような分析は、HIV
プロテアーゼ阻害剤の開発において効果的であることが示されている。(Lam
ら,1994,Science 263:380−384;Wlodawerら
,1993 Ann.Rev.Biochem.62:543−585;App
elt,1993,Perspectives in Drug Discov
ery and Design :23−48;Erickson,1993
,Perspectives in Drug Discovery and
Design :109−128)。あるいは、小さな分子ライブラリーのラ
ンダムスクリーニングは、阻害剤としてのそれらの有効性をよりよく決定するた
めに、上述のコンピューターモデリングによってその阻害活性を分析することが
できる潜在的阻害剤をもたらす。
【0074】 本発明の情報を用いてデザインした化合物は競合的または非競合的阻害剤であ
ってよい。これらのデザインされた阻害剤はHDLPの活性部位の全てまたは一
部に結合することができ、HDLPおよびHDLP関連タンパク質、特にHDA
Cに対する既知の阻害剤よりも優れており、特異的であり、毒性が低く、かつ効
果的でありうる。また、デザインされた阻害剤は効力が低いが、イン・ビボおよ
び/またはイン・ビトロでより長い半減期を有することができ、従って、延長さ
れた時間の間、イン・ビボおよび/またはイン・ビトロでヒストンデアセチラー
ゼ活性を阻害するのにより効果的であり得る。該デザインされた阻害剤は、HD
LPおよびHDLP関連タンパク質(例えば、HDAC1)のヒストンデアセチ
ラーゼ活性を阻害し、イン・ビトロおよびイン・ビボで細胞増殖を阻害するのに
有用であり、抗腫瘍剤として特に有用であり得る。
【0075】 また、本発明は、本発明の構造によって規定されるTSAおよびSAHAと同
様の様式で、HDLPに対して結合することができる化学的存在または化合物に
つき、小さな分子のデーターベースをコンピューターでスクリーニングするため
の分子デザイン技術の使用を可能とする。そのようなコンピュータースクリーニ
ングは、前記式(I)の「X」、「Y」または「Z」として定義することができ
、式(I)を含む本発明の潜在的阻害剤を合成するのに使用することができる種
々の基を同定することができる。そのような潜在的阻害剤は、ヒストンデアセチ
ラーゼ活性アッセイにおいてヒストンデアセチラーゼ阻害活性についてアッセイ
することができ(後記実施例3参照)、HDLPと共結晶化して、前記定義のX
−線結晶学技術を通じて結合特徴を決定することができ(例えば、該共結晶構造
は、該潜在的阻害剤の結合特徴を評価するための分子置換によって決定すること
ができる)、あるいは該潜在的阻害剤を該HDLPと共にインキュベートし、ゲ
ル濾過を行ってHDLP−結合阻害剤に対するいずれの遊離潜在的阻害剤も分離
し、阻害剤−結合HDLPのヒストンデアセチラーゼ活性の量を測定することに
よって結合活性に基づいて評価することができる。結合定数(例えば、Kd)を
測定するために、BiacoreTM分析、等温滴定比色法、競合結合を示すプレ
ート上の既知の薬物を用いるElisa、あるいはデアセチラーゼ活性アッセイ
等の当該分野で知られた方法を使用することができる。
【0076】 本発明の潜在的阻害剤のデザインは、表面のグルーブを示す表面表示図である
図9を参照することによってさらに容易にされる。そのようなグルーブの分析は
、式(I)のキャップ基の構成要素に対する洞察を与える。表面グルーブは、そ
れにさらなるキャップ基を結合させることができる標識されたグルーブA、グル
ーブA’、グルーブBおよびグルーブCである。TSAまたはSAHAいずれか
に結合したHDLPの構造は、TSAおよびSAHAのキャップ基がグルーブA
に結合することを示す。HDLPおよびHDACのアミノ酸配列の同一性を分析
することによって、グルーブAはHDACにおいてよく保存されており、かなり
の疎水性成分を有し、かなりの相互作用を可能とするのに十分に深いようであり
、また、4つのグルーブのなかで最大である。TSAのジメチルアミノフェニル
基に加えて、Aグルーブは約200ダルトンに値する基にフィットすることがで
きる(例えば、グルーブAは適当なスペーサの後にナフタレン様の基を収容でき
る)。本明細書中に言及したグルーブAは、HDLPの以下の保存された残基:
His21、Pro22、Lys24、Phe141、Leu265およびPh
e335によって特徴付けられる。グルーブAの周囲は保存されていない残基を
含む。加えて、本明細書中に言及したグルーブA’は主として保存されていない
残基を含む。
【0077】 グルーブBはポケットに直近に隣接している。重要なことは、グルーブBの底
部が、そのN−デルタ窒素を介して亜鉛に配位するHis170のN−イプシロ
ン窒素を含むことである。His170のNεプロトンをカルボン酸またはサル
フェート基と接触させることによって、かなりの結合エネルギーを達成すること
ができる。加えて、グルーブBは、その面がHis170のN−イプシロンプロ
トン上にパッキングできる部分的に負の電荷を含んでよいフェニル基にフィット
するのに十分な大きさでありうる。本明細書中に言及したグルーブBの保存され
た残基はHis170、Tyr196およびLeu265である。
【0078】 グルーブCは他の2つのグルーブほどはよく保存されておらず、グルーブCを
含むアミノ酸残基は最も極性であって、溶媒に暴露されている。本明細書中に言
及したグルーブCは以下の保存された残基を含む:Asn87、Gly140お
よびPhe198。
【0079】 本発明の化合物は式(I): によって表される。
【0080】 Xがキャップ基を含む適当なX構成要素についての例は、グルーブA、A’、
Bおよび/またはCのいずれの表面にそれらが標的化されるかに応じて、3つの
カテゴリーで記載することができる。キャップ基は同一化合物において全ての3
つのカテゴリーを含むことができる。特別の利点は、TSAまたはSAHAのキ
ャップ基を大きな剛直な構造に置き換えることができることである。グルーブA
に結合することができる式(I)の適当なキャップ基(X)についての非限定的
な例は: (1)1−3メチルリンカーに続いて、式(IV): によって表されるSAHAのフェニル基のパラまたはメタ位からフェニルまたは
ナフタレン基を結合させること、 (2)2−3メチルリンカーに続いて、TSAのフェニルキャップ基のメタ位
から、または式(V): によって表されるTSAのジメチルアミノ基からフェニルまたはナフタレン基を
結合させることであり、グルーブBに結合することができるのは1−3メチル基
スペーサーに続いての、式(VI): によって表されるカルボキシレート、サルフェートまたはフェニル基である。
【0081】 脂肪族(Y)基に関しては、ポケットの直径は、さらにもう1つのメチル「側
鎖」が、C10炭素上のC15メチル基に加えてフィットすることができること
を示唆する。Yが脂肪族鎖基を含むY構成要素についての非限定的で適当な例は
: (1)(C10炭素上のメチル基と共にまたはそれなくして、および二重結合
と共にまたはそれなくして、および式(VII): によって表される式(I)のXおよび/またはZ構成要素を置換してまたは置換
することなく)C12炭素上でTSAにメチル基を付加すること、 (2)(C10炭素上のメチル基と共にまたはそれなくして;二重結合の双方
またはいずれかと共にまたはそれなくして、および式(VIII): によって表される式(I)のXおよび/またはZ構成要素を置換してまたは置換
することなく)C9炭素上でTSAにメチル基を付加すること、 (3)C11およびC12トーション(torsion )を解除して良好なフィット
を可能とすることができるC10およびC11の間の唯1つでTSAの2つのア
ルカレン(alkalene)二重結合を置き換えること、ここに、Xおよび/またはZ
基もまた式(IX): によって表されるように置換することができ、 (4)硫黄原子(または窒素原子)を介してTSAのC15およびC12炭素
を環化させること、ここに、Xおよび/またはZ基もまた式(X): によって表されるように置換することができ、 (5)当該延長がグルーブBに近づきおよび/または侵入するようにTSAの
C9炭素から延長させ(図9参照);それがいくらかの自由度を有することがで
きるようにC9をsp3とし;C9に、二重結合を含むことができる1−3メチ
ル基スペーサーを結合させ、それらはそれにサルフェート、カルボキシレート、
サルフェート、ヒドロキシル、またはフェニル基を結合させ、これは式(XI)
によって表されるように亜鉛原子に配位することができるHis170のN−イ
プシロンプロトンと相互作用をすることができ、 (6)当該延長がグルーブBに近づくかまたはそれに侵入するようにTSAの
(C14を置き換える)C8炭素を外に延長し;(二重結合を含むことができる
)1−3メチル基スペーサーを結合させ、次いで、亜鉛原子に配位するHis1
70のN−イプシロンプロトンと相互作用をなすようにそれに対してカルボキシ
レート、サルフェート、ヒドロキシルまたはフェニル基を連結させ;Xおよび/
またはZ構成要素もまた式(XII): によって表されるように置換することができ、 (7)当該置換がそのような例においてグルーブA、A’、Bおよび または
Cに接触することができるように脂肪族鎖の端部においてC8炭素を置換し、キ
ャップ基(X)は必要であるか、または要求されず、XおよびZ構成要素が式(
XIII): によって表されるように同様に置換することができ、 (8)脂肪族鎖が、さらに、活性部位結合基(Z)およびC8炭素の間、およ
び好ましくはC8炭素の直前にメチル基を含み、XおよびZの間の距離を増加さ
せる前記式VIIないしXIII、(9)(例えば、酸素を含んでも含まなくて
もよい6−員環を閉じることによって)脂肪族鎖およびキャップ基の間の結合を
より剛直にすることであり、XおよびZ基もまた式(XIV): によって表されるように置換することができ、(10)これは式(VII−XI
V)によって示される変化のうちの2以上を組み合せる。
【0082】 加えて、Zが活性部位結合基を含む適当なZ基についての非限定的例は以下の
ものである:(1)ヒドロキサム酸、(2)カルボン酸、(3)スルホンアミド
、(4)アセトアミド、(5)エポキシケトン、(6)キャビティに導き、式(
XV): によって表されるように保存されたアルギニン(Arg27)と相互作用させる
ためのメチルリンカーおよびアセテートエステルのヒドロキシル基を持つエステ
ル、および(7)式(XVI): によって表されるアルファケトン。
【0083】 加えて、本発明の三次元情報が与えられれば、他の適当なX、YおよびZ構成
要素は当業者が考えることができる。
【0084】 潜在的で適当なX、YおよびZ構成要素を決定した後、コンビナトリアル化学
技術を用い、構成要素を組み合わせて式(I)の化合物を形成させる。これは、
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,608,108号;第5,7
00,811号;第5,773,474号;第5,840,960号および第5
,668,179号に従って達成することができる。当業者に知られたいずれの
方法を用いて、前記した方法によって決定されたX、YおよびZ構成要素を含む
式(I)の化合物を合成することもできる。
【0085】 上述したように、式(I)の化合物は、HDLPおよびHDAC−関連タンパ
ク質のヒストンデアセチラーゼ活性を阻害するのに有用である。そのような阻害
は、イン・ビトロおよびイン・ビボにて細胞増殖の減少または停止を可能とする
ことができる。
【0086】 イン・ビトロでの使用には、細胞増殖のそのような減少または停止は、細胞周
期の間のヒストン脱アセチル化および分化の役割を研究するのに、また、細胞周
期停止に関連する他のメカニズム、特に、Kadosh&Struhl,199
8,Mol.Cell.Biol.18:5121−5127によって記載され
ているもののような酵母モデル系で調べることができる細胞周期の進行に転写の
抑制がどのように関与しているかを研究するのに有用である。細胞周期の進行お
よび腫瘍増殖に対する潜在的阻害剤の効果を研究するのに使用することができる
イン・ビトロモデル系は、Richonら,1998,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 95:3003−3007;Yoshidaら.,1
995,Bioessays 17:423−430;Kimら,1999,O
ncogene 18:2461−2470;Richonら,1996,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 93:5705−5708;およ
びYoshidaら,1987,Cancer Res.47:3688−36
91によって記載されているものを含む。
【0087】 イン・ビボでの使用は、細胞増殖のそのような減少または停止は、癌の非−ヒ
ト動物モデル系において該阻害剤化合物の効果を調べるのに有用であり、また、
癌の治療を必要とするレシピエントにおいてそのような治療で有用である。非−
ヒト動物モデル系として供することができる動物の非限定的例はマウス、ラット
、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタおよび非−ヒト霊長類を含む。
例えば、Desaiら,1999,Proc.AACR 40:abstrac
t #2396,Cohenら,1999,Cancer Res.,提示済参
照。本発明の化合物はトランスジェニック非−ヒト動物に投与することができ、
ここに、当該動物が癌を発症する傾向を有する動物モデルのように発症した癌を
該動物が有する(例えば、米国特許第5,777,193号,第5,811,6
34号,第5,709,844号,第5,698,764号および第5,550
,316号に記載された動物モデル系)。そのような動物モデル系は、本発明の
化合物の毒性および腫瘍減少効果の測定を可能とすることができる。
【0088】 本発明の好ましい化合物は、HDLPおよびHDAC関連タンパク質に対する
高い特異的活性、経口投与した場合の良好な生物利用性、腫瘍細胞株における細
胞増殖の減少または停止における活性、および種々の癌の動物モデルにおける腫
瘍増殖の減少または停止における活性を有することができる。
【0089】 従って、本発明のもう1つの態様は、動物であってよく、好ましくはヒトであ
るレシピエントにおいて癌を根絶しまたは管理する方法である。該方法は、腫瘍
を減少させる量の前記式(I)によって定義される化合物、またはその生理学的
に許容される塩を該レシピエントに投与することを含む。
【0090】 本発明のさらなる態様において、式(I)の化合物および賦形剤または担体を
含む組成物が提供される。前記剤の投与は局所的または全身的であってよい。そ
のような担体はいずれの適当な生理学的溶液または分散剤等も含む。生理学的溶
液は生理食塩水または緩衝化生理食塩水のようにいずれの許容される溶液または
分散物媒体も含む。また、担体は抗細菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延
剤等を含むこともできる。あらゆる通常の媒体の範囲を除き、担体または剤は有
効成分に適合せず、組成物におけるその使用が考えられる。
【0091】 本発明の送達ビヒクル構築物を含有する組成物のための投与経路は、例えば、
経口、肺、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)または皮下注射)、(微細
な粉末処方または微細なミストを介する)吸入、経皮、鼻孔、膣、直腸、または
舌下の投与経路のようにいずれの慣用的かつ生理学的に許容される経路も含み、
各投与経路につき適切な投与形態に処方することができる。
【0092】 以下の実施例は本発明の態様をより明瞭に説明するために掲げ、本発明の範囲
を限定する意図のものではない。
【0093】 実施例実施例1:タンパク質の生産および精製 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い、全長野生型HDLP(Genban
k受付番号AE000719)を、(Robert Huber of Uni
versitaet of Regensburg,ドイツ国によって提供され
た)Aquifex aeolicus染色体DNA調製物からpGEX4T3
(Amersham−Pharmacia Piscataway,NJ)ベク
ターにサブクローニングした。PCR部位特異的突然変異誘発によってシステイ
ンないしセリンおよび活性部位突然変異体を構築し、配列決定した。HDLP−
グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質を大腸菌(Es
cherichia coli)で生産させ、グルタチオン−セファロース樹脂
(Amersham−Pharmacia,Piscataway,NJ)のカ
ラムを用いるアフィニティークロマトグラフィによって、およびアニオン交換ク
ロマトグラフィー(Q−sepharoseTM;Amersham−Pharm
acia,Piscataway,NJ)によって精製した。HDLPは4℃に
てトロンビンで融合タンパク質から切断し、アニオン−交換(Q−sephar
oseTM;Amersham−Pharmacia,Piscataway,N
J)およびゲル濾過クロマトグラフィ(SuperdexTM200;Amers
ham−Pharmacia,Piscataway,NJ)によって精製し、
典型的には、25mMビス−トリスプロパン(BTP)、500mM NaCl
、5mMジチオスレイトール(DTT)、2%イソプロパノール、pH7.0の
緩衝液中で25mg/mlまで濃縮した。
【0094】 いずれの金属補因子をHDLPがイン・ビボで含有するかは知られていないが
、リガンドの配列および亜鉛プロテアーゼに対する活性部位における類似性のた
め亜鉛であると推定される。精製されたHDLPにおける金属の欠如は、部分的
には、精製の間のDTTの使用によるものと推定される。10mg/mlのCy
s75Ser/Cys77Ser二重突然変異体を25mMビス−トリスプロパ
ン、200mM NaCl、1%イソプロパノール、pH7.0の緩衝液中の5
倍モル過剰のZnCl2 と混合することによって、HDLPをZn2+で復元した
。G25脱塩カラム(Amersham−Pharmacia,Piscata
way,NJ)を通してHDLPを分画することによって、未結合ZnCl2
除去した。Zn2+復元HDLP突然変異体を1mM TSAと共に45分間イン
キュベートし、続いてゲル濾過クロマトグラフィー(SuperdexTM200
;Amersham−Pharmacia,Piscataway,NJ)を行
って過剰のTSAを除去し、典型的には、25mMビス−トリスプロパン,50
0mM NaCl、1%イソプロパノール、pH7.0の緩衝液中で25mg/
mlまで濃縮することによって、HDLP−Zn2+−TSA複合体を調製した。
無血清媒体(Sf900,Gibco,Gland Island,NY)中の
懸濁状態で増殖させたHi5昆虫細胞(Invitrogen,Carlsba
d,CA)にてバキュロウイルス発現系を用い、FLAGエピトープタグ化ヒト
HDAC1を過剰発現させた。抗FLAG M2アフィニティー樹脂(Sigm
a,St.Louis,MO)およびFLAGペプチド(Sigma,St.L
ouis,MO)を用い、アニオン交換およびアフィニティークロマトグラフィ
ーによって融合タンパク質を精製した。
【0095】実施例2:結晶化およびデータの収集 ハンギング−ドロップ蒸気−拡散方法によって、アポ−HDLPの結晶を、7
.5%イソプロパノール、28%PEG1500、425mM NaCl、10
0mMトリス−Cl、pH7.0から室温にて成長させた。それらは、a=51
.4Å、b=93.8Å、c=78.7Å、β=96.9Åを持つ空間群C2に
て形成され、非対称単位中に1つのHDLP分子を含む。−170℃で7.5%
イソプロパノール、35% PEG 1500、75mM NaCl、100m
Mトリス−Cl、pH8.0の緩衝液中で瞬間凍結させた結晶で回折データを収
集した。
【0096】 23%tert−ブタノール、27%PEG1500、400mM KCl、
100mMビス−トリスプロパン−Cl、pH6.8から成長させたHDLP
Cys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体結晶から、HDLP−Zn 2+ 複合体の構造を決定した。空間群および格子寸法はアポ結晶と同一であった。
HDLP−Zn2+結晶を採取し、−170℃で27%tert−ブタノール、2
2%PEG 1500、50mM KCl、20mM NaCl、0.2mM
ZnCl2 、100mMビスートリスプロパン、pH6.8中で凍結させた。
【0097】 HDLP−Zn2+−TSA複合体の結晶はHDLP Cys75Ser/Cy
s77Ser二重突然変異体を含み、マイクロ接種によって、23%tert−
ブタノール、27%PEG 1500、600mM KCl、100mMビス−
トリスプロパン−Cl、pH6.8から成長させた。結晶を亜鉛の存在下で成長
させた。a=53.4Å、b=94.4Å、c=156.3Åを持つ空間群P2 1 1 1 にてそれらは形成され、非対称単位中に2つのHDLP−Zn2+−T
SA複合体を含有する。HDLP−Zn2+−TSA結晶を採取し、0.5mM
TSAを添加した以外はHDLP−Zn2+結晶と同一の低温緩衝液中で凍結させ
た。DENZOおよびSCALEPACK(Otwinowski&Minor
,1997,Method.Ensemble.276:307−326)でデ
ータを処理した。MIR解析、モデル構築および精密化。
【0098】 該HDLP−Zn2+−SAHA複合体結晶を成長させ、HDLP−Zn2+−T
SA結晶と同様に評価した。しかしながら、SAHA構造についての拘束はTS
Aからの立体化学パラメータに基づいて設けた。アポ−HDLP結晶と同様に、
SAHA/HDLP共結晶を空間群C2で成長させた。
【0099】 7.5%イソプロパノール、30%PEG 1500、75mM NaCl、
100mMトリス−Cl、pH8.0の緩衝液中、重原子浸漬をアポ−HDLP
結晶で行い、1.0mMチメロサールを2時間、5mM KAu(CN)2 を1
時間、および1mM Pb(Me)3 OAcを2時間補足した。チメロサール誘
導体からの異常回折シグナルを用い、2.5Åにて、MIR相をプログラムML
PHARE(The CCP4 suite:Programs for co
mputational crystallography,1994,Act
a Crystallogr.D 50:760−763)で計算し、それは0
.55の平均フィギュア オブ メリットを有した。プログラムDM(The
CCP4 suite:Programs for comuputation
al crystallography,1994,Acta Crystal
logr.D 50:760−763)で溶媒平滑化することによって相を改良
し、それを用いてプログラムO(Jonesら,1991,Acta Crys
tallogr.A 47:110−109)で初期モデルを構築した。プログ
ラムCNS(Brungerら,1998,Acta Crystallogr
.D 54:905−921)を用いる連続ラウンドの再構築およびシミュレー
トされたアニーリング精密化は、残基2ないし373のHDLPの解釈を可能と
した。残基1、374および375はモデル化されず、規則的でないと推定され
た。
【0100】 サーチモデルとしてアポ−HDLP構造を用い、プログラムAMORE(Th
e CCP4 suite:Programs for computatio
nal crystallography,1994,Acta Crysta
llogr.D 50:760−763)での分子置換によって、HDLP−Z
2+−TSAおよびHDLP−Zn2+−SAHA複合体の構造を決定した。初期
電子密度マップは全TSA分子につき強力で連続的な差密度を有した。しかしな
がら、SAHA分子はキャップ基領域で同様に秩序立ってはいなかった。TSA
の構造はCambridge Structural Database (R
efcode TRCHST)から得られ、これを用いて、プログラムCNSで
の精密化で用いる立体化学制限を定義した。SAHAの制限はTSAおよび周囲
のアミノ酸残基からの立体化学パラメータに基づいて設定した。HDLP−Zn 2+ −TSAおよびHDLP−Zn2+−SAHA結晶におけるダイマーの界面は、
主として、タンパク質表面にPhe200を含む。Phe200側鎖は、その側
鎖立体配置がTSA結合に際して変化するTyr91、および第2のプロトマー
からのTSAのジメチルアミノフェニル基の一部に接触する。HDACファミリ
ーは同等位置にフェニルアラニン残基を含有しない。
【0101】実施例3:ヒストンデアセチラーゼアッセイ 10μgの[3 H]アセチル−標識ネズミ赤白血病ヒストン基質およびHDA
Cアッセイ緩衝液(20mMトリス−HCl、pH8.0、150mM NaC
l、10%グリセロール)を30μlの全容量中にて37℃で30ないし60分
間インキュベートすることによって、精製されたタンパク質をアッセイした。H
DLPおよびHDAC1−FLAGの最終濃度は、各々、3.6μMおよび0.
24μMであった。アッセイは二連で行った。反応を停止させ、放出されたアセ
テートを記載されているように抽出し、アッセイした(Hendzelら,19
91,J.Biol.Chem.266:21936−21942)。[3H]
アセチル−標識ネズミ赤白血病ヒストンは実質的に記載されているように調製し
た(Carmenら,1996,J.Biol.Chem.271:15837
−15844)。阻害剤を基質の不存在下で添加し、氷上で20分間インキュベ
ートし、基質を添加し、前記したようにアッセイを行った。HDLPを、HDA
C緩衝液中で20μM ZnCl2 および20μM MnCl2 (H2O)4
共にインキュベートし、活性について試験した。
【0102】 ZnCl2 に対して透析したHDLPのみが活性を有した。活性に対して影響
を有しないHDAC緩衝液中の20μM ZnCl2 に対してHDAC1−FL
AGを透析した。従って、HDAC1−FLAGは精製された金属を含有する。
【0103】 HDLPのイン・ビボ基質は知られていない。HDLPはB.subtili
s AcuC 遺伝子産物と同様にアセトイン資化において役割を有することが
でき、それはゲノム配列においてそれ自体解明されているが、AcuCによって
触媒される反応もまた知られていない。さらに、A.aeolicusのゲノム
はB.subtilisのacuABCオペロンの一部であるacuAおよびa
cuB遺伝子を欠くようであり(Deckertら,1998 Nature 392 :353−358)、HDLPはそれがB.subtilis AcuC
に対するように(34.7%同一性)、ヒトHDAC1に対して同様である(3
5.2%同一性)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、HDLP結晶、HDLP−TSA共結晶、及びHDLP−SAHA共
結晶のX線結晶解析からの統計値を列挙する表である。
【図2】 図2は、様々なHDAC相同体のアラインメントを配列同一性パーセントと共
に示す。
【図3】 図3は、HDLP及びHDAC1のヒストンデアセチラーゼ活性並びに阻害剤
TSA及びHC−毒素によるHDLP及びHDAC1の阻害を示すグラフを示す
【図4】 図4は、(A&B)2つのほぼ直交する視点からのHDLP−Zn2+−TSA
複合体の模式図、(C)HDAC1との相同領域を表すHDLPのトポロジーダ
イアグラム、及び(D)HDLP−Zn2+−SAHA複合体の拡大模式図を示す
【図5】 図5は、(A)ポケット内部キャビティ及び指示されるβシートの位置を有す
るHDLPの表面図を通したスライスの模式図、(B)図4Bと同様の方向にポ
ケット内を見下ろす活性部位の拡大図の模式図を示す。
【図6】 図6は、(A)活性部位ポケットにおけるTSAの空間充填図、(B)図4B
と同様の方向でのHDLP−ZN2+−TSA複合体の構造の拡大立体図、及び(
c)HDLP−TSA相互作用の模式図を示す。
【図7】 図7は、(A)図4Aと同様の方向での、HDLP及びHDAC1の間で共有
される相同領域の模式図、並びに(B)図4Bと同様の方向での、HDLP及び
HDAC1の間でポケット及び内部キャビティにおいて共有される相同性の詳細
な模式図を示す。
【図8】 図8は、アセチル化リジンの脱アセチル化について提示される触媒機構の模式
図を示す。
【図9】 図9は、活性部位及び隣接グルーブにおける保存アミノ酸を示す空間充填図の
模式図を示す。
【図10】 図10は、アキフェクス・エオリクスに由来するHDLPの核酸配列である(
配列番号:2)。
【図11】 図11は、アキフェクス・エオリクスに由来する完全長HDLPのアミノ酸配
列である(配列番号:1)。
【図12】 図12は、HDLP活性部位突然変異体Tyr297Pheの核酸配列である
(配列番号:6)。
【図13】 図13は、HDLP活性部位突然変異体Tyr297Pheのアミノ酸配列で
ある(配列番号:5)。
【図14】 図14は、Cys75Ser及びCys77Ser突然変異を含む、アキフェ
クス・エオリクスに由来するHDLPの二重突然変異体の核酸配列である(配列
番号:4)。
【図15】 図15は、Cys75Ser及びCys77Ser突然変異を含む、アキフェ
クス・エオリクスに由来するHDLPの二重突然変異体のアミノ酸配列である(
配列番号:3)。
【図16】 図16−1ないし16−49は、HDLPの結晶からのX線回折によって誘導
されるHDLPの原子構造座標を列挙する。
【図17】 図17−1ないし17−49は、HDLP Cys75Ser/Cys77S
er二重突然変異体の結晶からのX線回折によって誘導される、活性部位に亜鉛
原子を含むHDLP Cys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体の原
子構造座標を列挙する。
【図18】 図18−1ないし18−99は、TSAと複合体を形成するHDLPの共結晶
からのX線回折によって誘導されるHDLP Cys75Ser/Cys77S
er二重突然変異体の原子構造座標を列挙する。
【図19】 図19−1ないし19−48は、SAHAと複合体を形成するHDLPの共結
晶からのX線回折によって誘導されるHDLP Cys75Ser/Cys77
Ser二重突然変異体の原子構造座標を列挙する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/68 33/68 C12N 15/00 ZNAA (71)出願人 ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オ ブ・ニューヨーク THE TRUSTEES OF COL UMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YO RK アメリカ合衆国10027ニューヨーク州ニュ ーヨーク、ウエスト・ワンハンドレッドシ ックスティーンス・ストリート・アンド・ ブロードウェイ(番地の表示なし) (72)発明者 パブレティッチ,ニコラ アメリカ合衆国 ニューヨーク 10021 ニューヨーク,イースト 75ティーエイチ ストリート 330,アパートメント 38 エイ (72)発明者 フィニン,マイケル アメリカ合衆国 ニューヨーク 10021 ニューヨーク,アパートメント 19エス, イースト 63アールディー ストリート 504 (72)発明者 ドニジャン,ジル アメリカ合衆国 ニュージャージー 07031 ノース アーリントン,ユニオン プレース 13 (72)発明者 リション,ビクトリア アメリカ合衆国 ニューヨーク 10021 ニューヨーク,アパートメント 28エム, イースト 63アールディー ストリート 504 (72)発明者 リフカインド,リチャード,エイ. アメリカ合衆国 ニューヨーク 10022 ニューヨーク,イースト 58ティーエイチ ストリート 425,アパートメント ナ ンバー48エイ (72)発明者 マークス,ポール,エイ. アメリカ合衆国 コネティカット 06793 ワシントン,ロシター ロード 7 (72)発明者 ブレスロー,ロナルド アメリカ合衆国 ニュジャージー 07631 イングルウッド,ブロード アベニュー 275 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 DA36 FB01 4B024 AA01 AA11 BA11 CA02 DA06 HA11 HA17 4B050 CC03 DD11 FF11 FF12 FF14 FF17 LL01 4B063 QA18 QQ30 QR10 QR67

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デアセチラーゼ活性を含んでなる酵素の結晶であって、前記
    結晶は前記酵素の原子座標の決定に関して4Åを超える分解能までX線を有効に
    回折するものであり、前記酵素の構造は保存されたコアであるα/β構造に特徴
    的な折り畳みを含んでなり、前記保存されたα/β折り畳みは8鎖平行βシート
    および8つのαヘリックスを含んでなり、該ヘリックスの4つは前記平行βシー
    トのいずれの面上にもパッキングされており、前記酵素の前記構造はHDLPの
    原子座標により規定されるHDLPのアミノ酸の少なくとも2/3以上のCα原
    子の位置において1.5Å以下のrmsdを含んでなるものである、結晶。
  2. 【請求項2】 前記タンパク質構造が、以下: (a)βシートの一方の側近傍に位置する8つのαヘリックス;ならびに (b)前記8鎖平行βシートのβストランドのC末端から始まる少なくとも7つ
    の巨大な充分に規定されたループ、ここで、余分の8つのヘリックスおよび7つ
    の巨大なループはコアα/βモチーフを越えて、その構造の顕著な伸展部と会合
    し、かつ該構造の前記伸展部は深く狭いポケットおよび該ポケットに隣接する内
    部キャビティを生じさせるものである、 をさらに含んでなるものである、請求項1記載の結晶。
  3. 【請求項3】 デアセチラーゼ活性を含んでなる前記酵素が、HDLP、H
    DLP関連タンパク質、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、H
    DAC5、HDAC6、HDAC関連タンパク質、APAH、AcuC、および
    それらの機能的誘導体からなる群より選ばれるものである、請求項1記載の結晶
  4. 【請求項4】 前記酵素の活性部位に特異的に結合した亜鉛原子をさらに含
    んでなるものである請求項2記載の結晶。
  5. 【請求項5】 前記酵素の活性部位に特異的に結合したデアセチラーゼ阻害
    剤化合物をさらに含んでなるものである請求項2記載の結晶。
  6. 【請求項6】 図16の原子座標により規定される請求項2記載の結晶。
  7. 【請求項7】 a.図16の原子座標によって規定されるHDLPの三次元
    構造を用いる工程; b.前記三次元構造を使用して、前記潜在的阻害剤をデザインまたは選択する工
    程; c.前記潜在的阻害剤を合成する工程; d.アセチル化基質の存在下で前記潜在的阻害剤を前記酵素と接触させる工程;
    ならびに、 e.前記潜在的阻害剤のデアセチラーゼ阻害活性を測定する工程、 を含む、デアセチラーゼ活性を含んでなる酵素の潜在的デアセチラーゼ阻害剤化
    合物の同定方法。
  8. 【請求項8】 三次元構造がコンピューターモデリングを用いてデザインま
    たは選択されるものである請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 潜在的デアセチラーゼ阻害剤がデ・ノボでデザインされるも
    のである請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 潜在的デアセチラーゼ阻害剤が公知の阻害剤に基づいてデ
    ザインされるものである請求項7記載の方法。
  11. 【請求項11】 デアセチラーゼ活性を含んでなる前記酵素が、HDLP、
    HDLP関連タンパク質、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、
    HDAC5、HDAC6、HDAC関連タンパク質、APAH、およびAcuC
    からなる群より選ばれるものである、請求項7記載の方法。
  12. 【請求項12】 潜在的デアセチラーゼ阻害剤化合物の結合特性の評価方法
    であって、 a.前記化合物をHDLPと共に共結晶化させる工程; b.図16の原子座標により規定されるHDLPの三次元構造を用いて分子置換
    により前記HDLP−潜在的阻害剤複合体共結晶の三次元構造を決定する工程;
    ならびに c.前記潜在的阻害剤化合物に結合した前記HDLPの前記三次元構造を解析し
    て前記潜在的阻害剤化合物の結合特性を評価する工程、 を含む、評価方法。
  13. 【請求項13】 HDACファミリーメンバーの結晶構造の解析方法であっ
    て、 a.4Åを越える高最大分解能まで回折する、前記結晶のX線回折データを収集
    する工程; b.図16のHDLPの原子座標を用いて、前記HDACファミリーメンバーの
    構造を決定するために、前記HDACファミリーメンバーの結晶の前記X線回折
    データを用いて分子置換または精密化および差フーリエを行う工程;ならびに c.前記HDACファミリーメンバーの前記構造を精密化する工程、 を含む、解析方法。
  14. 【請求項14】 前記HDACファミリーメンバーがHDAC1である請求
    項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 配列番号:4の核酸配列によりコードされるものである、
    HDLPのCys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体。
  16. 【請求項16】 配列番号:3のアミノ酸配列を有するものである、HDL
    PのCys75Ser/Cys77Ser二重突然変異体。
  17. 【請求項17】 配列番号:4の核酸配列。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のヌクレオチド配列を含んでなる発現ベ
    クター。
  19. 【請求項19】 新規薬物のスクリーニングのための請求項1に記載の結晶
    の使用方法であって、 a.該結晶について決定した三次元構造を用いて合理的薬物デザインを行うこと
    により、潜在的リガンドを選択する工程; b.潜在的リガンドを該結晶のリガンド結合ドメインと接触させる工程;ならび
    に c.リガンド結合ドメインへの潜在的リガンドの結合能を検出する工程、ここで
    、新規薬物が公知の薬物よりもリガンド結合ドメインに対して強い親和性を有す
    ることに基づいて選択されるものである、 を含む、使用方法。
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