JP2003517532A - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁（１）は、電磁コイル（８）と、閉鎖方向で戻しばね（１０）によって負荷される可動子（１２）と、該可動子（１２）と摩擦接続的に結合している、弁閉鎖体（４）を作動させるための弁ニードル（３）とから構成されている。前記弁閉鎖体は弁座面（６）と一緒にシール座を形成している。可動子（１２）内又は可動子（１２）に接して、燃料の通流する少なくとも１つの第１の燃料通路（３７）が設けられており、しかも、第１の燃料通路（３７）の横断面が可動子（１２）の軸方向位置に関連している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の燃料噴射弁から出発する。

【０００２】 ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９５０３８２１号明細書に基づき既に公知
の電磁式で作動可能な燃料噴射弁では、電磁式の作動のために可動子が電気的に
励磁可能な電磁コイルと協働し、当該可動子の行程は弁ニードルを介して弁閉鎖
体に伝達される。この弁閉鎖体はシール座を形成するために弁座面と協働する。

【０００３】 前記のドイツ連邦共和国特許出願公開第１９５０３８２１号明細書に基づき公
知の燃料噴射弁の欠点は、特に比較的長い閉鎖時間である。燃料噴射弁の閉鎖時
の遅れは、可動子と内部磁極との間で作用する接着力及び励磁電流の遮断時の、
瞬時には行われない磁界の減少に基づき生ぜしめられる。このことは、燃料に関
して改善に値する調量時間及び調量の量を生ぜしめる。

【０００４】 発明の利点 これに対して請求項１の特徴部に記載の構成を有する本発明による燃料噴射弁
は、位置に関連した横断面を有する燃料通路を可動子に設けることにより、可動
子に燃料によって衝撃圧が形成され、この衝撃圧が閉鎖運動時に閉鎖方向で作用
して、可動子の内部磁極からの解離を加速させるという利点を有している。開放
運動に際しては、前記衝撃圧は著しく小さい。それというのも、前記燃料通路の
位置に関連した横断面が概ね開放されているからである。従って、開放時間は本
発明による手段に基づき概ね損なわれないままである。磁界の減少時の内部磁極
からの可動子のより迅速な解離は、燃料噴射弁のより短い閉鎖時間延いてはより
短くて正確な燃料調量時間及び量をもたらす。より短い閉鎖時間を達成するため
に電磁コイルの制御性能を高めずに済むという事実も有利である。

【０００５】 請求項２以下に記載の手段に基づき、請求項１記載の燃料噴射弁の有利な改良
が可能である。

【０００６】 有利には、横断面が可動子の位置とは無関係の第２の燃料通路が可動子に設け
られている。この第２の燃料通路は、燃料噴射弁の開放位置において燃料供給を
引き受ける。

【０００７】 特に相応の孔と調整通路とを備えた可動子の問題無い廉価な製作が有利である
。

【０００８】 実施例の説明 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

【０００９】 図１に示した燃料噴射弁１は、特に混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関の燃
焼室に燃料を直接に噴射するために役立つ。この燃料噴射弁１は、コイルケーシ
ング９に密閉された電磁コイル８と、管形の内部磁極１１と、ノズル体２に溶接
されたスリーブ形の外部磁極１５とを有している。戻しばね１０によって負荷さ
れている可動子１２は少なくとも１つの調整通路３１を有しており、この調整通
路３１を通って、中心に供給される燃料がノズル体２の切欠き１３を介してシー
ル座へ案内される。可動子１２は、噴射方向で見て弁閉鎖体４に向かって形成さ
れた弁ニードル３と作用結合している。前記弁閉鎖体４は、弁座体５に形成され
た弁座面６と一緒にシール座を形成している。この実施例は内側に向かって開く
燃料噴射弁１である。弁座体５には少なくとも１つの噴射開口７が形成されてい
る。

【００１０】 燃料噴射弁１の休止状態では、可動子１２は戻しばね１０によってリフト方向
とは逆方向で、弁閉鎖体４が弁座面６に密着して保持されるように負荷される。
電磁コイル８が励磁されると、この電磁コイル８は可動子１２を戻しばね１０の
ばね力に抗してリフト方向で運動させる磁界を形成する。可動子１２は、弁ニー
ドル３もやはりリフト方向で連行する。この実施例では弁ニードル３と一体に形
成された弁閉鎖体４が弁座面６から持ち上がり、燃料がシール座を通過して少な
くとも１つの噴射開口７へ導かれる。

【００１１】 コイル電流が遮断されると、可動子１２は磁界が十分に減少した後に戻しばね
１０の圧力によって内部磁極１１から降下するので、可動子１２と作用結合して
いる弁ニードル３はリフト方向とは逆方向で運動し、弁閉鎖体４が弁座面６に載
着して燃料噴射弁１が閉じられる。

【００１２】 図２には、開いた状態の本発明による燃料噴射弁１の、図１の範囲ＩＩの部分
が軸方向で断面されて概略的に示されている。この拡大図では、本発明に関して
重要な構成要素しか示していない。その他の構成要素の構成は、公知の燃料噴射
弁と同一であってよい。既に説明した構成部材には全ての図面において合致する
符号を付しているので、反復説明は不要である。

【００１３】 可動子１２は、図２では内部磁極１１に接触しており、燃料噴射弁１は開いて
いる。内部磁極１１及び／又は可動子１２に接して、例えば磁気的な残留空気ギ
ャップの機能を有する細い耐摩耗性のクロム層３５が位置している。内部磁極１
１と可動子１２との間の作業ギャップ３３及びこの作業ギャップ３３に軸方向で
接続する調整通路３１は、第１の燃料通路３７を形成する。燃料噴射弁１の開い
た状態では、作業ギャップ３３と調整通路３１とを介した燃料の流れは妨げられ
ている。それというのも、作業ギャップ３３が閉じられているからである。従っ
て、燃料は専ら、第２の燃料通路３８を形成する可動子１２の孔３０を通って、
可動子１２の中心の切欠き３４へ流れ、引き続き弁ニードル３の周りに環状に形
成された切欠き１３を介してシール座に向かって流れる。前記孔３０を適当に寸
法決めすることにより、燃料噴射弁１の開いた状態で可動子１２の手前に、閉鎖
方向で作用する衝撃圧が形成される。これにより、励磁電流の遮断後に、内部磁
極１１からの可動子１２の解離が加速される。可動子ストッパ面３６は比較的大
きいので、数バールの衝撃圧（流入圧力の数％）で既に十分である。これにより
、燃料噴射弁１の最大通流量はほぼ不変のままである。

【００１４】 図３には、閉鎖された状態の本発明による燃料噴射弁１の、図１の範囲ＩＩに
おける軸方向部分断面図が示されている。

【００１５】 電磁コイル８を励磁する電流が遮断されると、磁界が十分に減少した後に戻し
ばね１０と、付加的に燃料により加えられる衝撃圧とによって負荷される可動子
１２が閉鎖方向で内部磁極１１から降下する。作業ギャップ３３が開き始めると
直ちに、より良い燃料配分のために可動子１２に有利にはフライス切削加工され
た可動子環状室３２へ燃料が流入し、調整通路３１を介して切欠き１３へ流入す
る。

【００１６】 燃料噴射弁１の閉鎖状態並びに開放過程の開始時においては、調整通路３１に
基づき著しい衝撃圧は形成されないか、又は場合によっては開放状態に比べて小
さな衝撃圧が形成される。電磁コイル８が励磁電流によって励磁されると、可動
子１２は矢印３９で示した閉鎖方向とは逆方向で、内部磁極１１に向かって運動
する。弁閉鎖体４は弁座面６から持ち上がり、燃料噴射弁１による体積流が始ま
る。この場合、燃料は孔３０と調整通路３１とを通って流れる。開放過程はほと
んど影響されないままで、内部磁極１１に可動子１２が衝突する直前の終了間際
にようやく衝撃圧に基づく液圧力が形成される。従って、開放運動は衝撃圧によ
って著しくは影響されないので、短い開放時間が維持され続ける。

【００１７】 本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、多数の別の構成の燃料噴射
弁においても実現可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による燃料噴射弁の１実施例を軸方向で断面して部分的に示した図であ
る。

【図２】 燃料噴射弁が開いた状態の、図１の範囲ＩＩの拡大図である。

【図３】 燃料噴射弁が閉じた状態の、図１の範囲ＩＩの拡大図である。

【符号の説明】

１ 燃料噴射弁、 ２ ノズル体、 ３ 弁ニードル、 ４ 弁閉鎖体、 ５
弁座体、 ６ 弁座面、 ７ 噴射開口、 ８ 電磁コイル、 ９ コイルケ
ーシング、 １０ 戻しばね、 １１ 内部磁極、 １２ 可動子、 １３ 切
欠き、 １５ 外部磁極、 ３１ 調整通路、 ３２ 可動子環状室、 ３３
作業ギャップ、 ３４ 切欠き、 ３６ 可動子ストッパ面、 ３７ 第１の燃
料通路、 ３８ 第２の燃料通路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ノルベルト カイム ドイツ連邦共和国 レヒガウ トラミナー ヴェーク 10 Ｆターム(参考） 3G066 AA01 AB02 BA19 CC66 CE22

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁（１）であって
   、電磁コイル（８）と、閉鎖方向で戻しばね（１０）によって負荷される可動子
   （１２）と、該可動子（１２）と摩擦接続的に結合している、弁閉鎖体（４）を
   作動させるための弁ニードル（３）とを有しており、前記弁閉鎖体が弁座面（６
   ）と一緒にシール座を形成しており、可動子（１２）内又は可動子（１２）に接
   して、燃料の通流する少なくとも１つの第１の燃料通路（３７）が設けられてい
   る形式のものにおいて、 第１の燃料通路（３７）の横断面が可動子（１２）の軸方向位置に関連してい
   ることを特徴とする燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 第１の燃料通路（３７）が、可動子（１２）と外部磁極（１
   ５）との間に配置された少なくとも１つの軸方向の調整通路（３１）と、可動子
   （１２）と内部磁極（１１）との間の半径方向の作業ギャップ（３３）とを有し
   ている、請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 【請求項３】 可動子（１２）と外部磁極（１５）との間に、少なくとも１
   つの調整通路（３１）と接続している可動子環状室（３２）が位置している、請
   求項２記載の燃料噴射弁。
4. 【請求項４】 可動子（１２）内又は可動子（１２）に接して、横断面が前
   記可動子（１２）の軸方向位置とは無関係の第２の燃料通路（３８）が設けられ
   ている、請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
5. 【請求項５】 シール座の閉鎖位置では、第１の燃料通路（３７）も第２の
   燃料通路（３８）も開かれており、シール座の開放位置では第２の燃料通路（３
   ８）だけが開かれており第１の燃料通路（３７）は開かれていない、請求項４記
   載の燃料噴射弁。
6. 【請求項６】 第２の燃料通路（３８）が、可動子（１２）の孔（３０）に
   よって形成されている、請求項４又は５記載の燃料噴射弁。
7. 【請求項７】 燃料噴射弁（１）の開放状態において、第２の燃料通路（３
   ８）に可動子（１２）を閉鎖方向で負荷する衝撃圧が形成される、請求項４から
   ６までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。