JP2003516934A - ヒト骨髄前駆細胞阻害性因子−1(mpif−1)を用いる、細胞、組織および器官の損傷を処置または予防する方法 - Google Patents

ヒト骨髄前駆細胞阻害性因子−1(mpif−1)を用いる、細胞、組織および器官の損傷を処置または予防する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト骨髄前駆細胞阻害性因子−1(myeloid progenitor inhibitory factor−1)(MPIF−1)ポリペプチド(以前には、MIP−3およびケモカインβ8(CKβ8またはckb−8)と呼ばれていた)をコードする単離された核酸分子、ならびにMPIF−1ポリペプチド自体を用いる、治療用組成物を開示しており、そしてその方法を開示している。また、本明細書には、MPIF−1ポリペプチドを産生するためのベクター、宿主細胞および組換え方法も同様に記載している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (発明の分野) 本発明は、ヒト骨髄前駆細胞阻害因子−1(MPIF−1)ポリぺプチド(以
前は、MIP−3およびケモカインβ8(CKβ8またはckb−8)と呼ばれ
た)、ならびにMPIF−1をコードする単離されたポリヌクレオチドを使用す
る新規な方法に関する。MPIF−1を産生するためのベクター、宿主細胞、お
よび組換え法も提供される。
【0002】 (関連技術) ケモカイン(インタークリン(intercrine)サイトカインとも呼ば
れる)は、構造的および機能的に関連するサイトカインのサブファミリーである
。これらの分子は、サイズが8〜14kdである。一般に、ケモカインは、アミ
ノ酸レベルで20%〜75%の相同性を示し、そして2つのジスルフィド結合を
形成する4つの保存されたシステイン残基によって特徴づけられる。第一の2つ
のシステイン残基の配置に基づいて、ケモカインは、2つのサブファミリー(α
およびβ)に分類されている。αサブファミリーにおいて、最初の2つのシステ
インは、1つのアミノ酸によって分離され、従って「C−X−C」サブファミリ
ーといわれる。βサブファミリーにおいて、2つのシステインは、隣接する位置
にあり、そしてそれゆえ−C−C−サブファミリーといわれる。これまでのとこ
ろ、このファミリーの少なくとも8つの異なるメンバーは、ヒトにおいて同定さ
れている。
【0003】 インタークリンサイトカインは、広範な種々の機能を示す。証明的特徴は、異
なる細胞型(単球、好中球、Tリンパ球、好塩基球、および線維芽細胞を含む)
の走化性移動を誘発するその能力である。多くのケモカインは、炎症誘発性活性
を有し、そして炎症性反応の間の多数の段階に関与する。これらの活性には、ヒ
スタミン放出、リソソーム酵素およびロイコトリエン放出の刺激、標的免疫細胞
の内皮細胞への接着の増大、補体タンパク質の結合の増大、顆粒球接着分子およ
び補体レセプターの誘導された発現、ならびに呼吸バーストが含まれる。それら
の炎症への関与に加えて、特定のケモカインが他の活性を示すことが示されてい
る。例えば、マクロファージ炎症性タンパク質I(MIP−1)は、造血幹細胞
増殖を抑制し得、血小板因子−4(PF−4)は、内皮細胞増殖、ケラチノサイ
トのインターロイキン−8(IL−8)によって促進される増殖の強力なインヒ
ビターであり、そしてGROは、黒色腫細胞の自己分泌増殖因子である。
【0004】 多様な生物学的活性を考慮して、ケモカインが多くの生理学的状態および疾患
状態(リンパ球輸送、創傷治癒、造血調節、ならびにアレルギー、喘息、および
関節炎のような免疫学的疾患を含む)に関係していることは驚くことではない。
造血系統調節因子の一例は、MIP−1である。MIP−1は、元々、マクロフ
ァージから産生されるエンドトキシン誘導炎症誘発性サイトカインとして同定さ
れた。引き続く研究は、MIP−1が2つの異なるが、関連するタンパク質MI
P−1αおよびMIP−1βから構成されることを示した。MIP−1αおよび
MIP−1βの両方が、マクロファージ、単球、およびTリンパ球の化学誘引物
質である。興味深いことに、多分化能幹細胞インヒビター(SCI)の生化学的
精製および引き続く配列分析により、SCIがMIP−1βと同一であることが
明らかになった。さらに、MIP−1βは、造血幹細胞増殖を抑制するMIP−
1αの能力を相殺し得ることが示されている。この知見は、MIP−1の一次的
な生理学的役割が、骨髄における造血を調節することであり、そして提案された
炎症性機能が二次的なものであるという仮説を導く。MIP−1αの幹細胞イン
ヒビターとしての作用の態様は、細胞サイクルをG2S静止期でブロックするそ
の能力に関連する。さらに、MIP−1αの阻害効果は、未成熟の前駆細胞に限
定されるようであり、そして実際に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(
GM−CSF)の存在下で、後期前駆細胞に対して刺激性である。
【0005】 マウスMIP−1は、リポポリサッカライド刺激RAW 264.7(マウス
マクロファージ腫瘍細胞株)由来の主要な分泌タンパク質である。これは、精製
されており、そして2つの関連するタンパク質MIP−1αおよびMIP−1β
からなることが見出されている。
【0006】 いくつかのグループが、MIP−1αおよびMIP−1βのヒトホモログであ
るようであるものをクローニングしている。全ての場合において、cDNAは、
活性化されたT細胞RNAに対して調製されたライブラリーから単離された。
【0007】 MIP−1タンパク質は、初期の創傷炎症細胞において検出され得、そして創
傷線維芽細胞からIL−1およびIL−6の産生を誘導することが示されている
。さらに、精製された天然のMIP−1(MIP−1、MIP−1α、およびM
IP−1βポリぺプチドを含む)は、マウスの足蹠に皮下に、またはウサギの脳
脊髄液に大槽内にのいずれかで注入された場合に、急性の炎症を引き起こす(W
olpeおよびCerami, FASEB J. 3:2565−73 (1
989))。MIP−1のこれらの炎症誘発性特性(これらは、直接または間接
であり得る)に加えて、MIP−1は、滅菌創傷チャンバーを使用した実験マウ
スモデルにおける創傷治癒の初期の炎症段階の間に回収されている(Fahey
ら、Cytokine, 2:92 (1990))。例えば、Chiron
Corporationによって出願されたPCT出願U.S.92/0519
8は、酵母において哺乳動物マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)を産生
するテンプレートとして活性であるDNA分子を開示する。
【0008】 マウスMIP−1αおよびMIP−1βは、異なるが、密接に関連するサイト
カインである。2つのタンパク質の部分精製された混合物は、好中球機能に影響
を及ぼし、そして局所的な炎症および発熱を引き起こす。MIP−1αは、酵母
細胞において発現され、そして均質にまで精製されている。構造分析により、M
IP−1αが、血小板因子4(PF−4)およびインターロイキン8(IL−8
)(これらに対し、限定された配列相同性を有する)に非常に類似する二次およ
び三次構造を有することが確認された。MIP−1αは、インビボで活性であり
、マウス幹細胞を、トリチウム化チミジンによる引き続くインビトロ殺傷から保
護することが実証されている。MIP−1αはまた、顆粒球マクロファージコロ
ニー刺激因子に応答して、より拘束された前駆顆粒球マクロファージコロニー形
成細胞の増殖を増強することが示された(Clemens, J.M.ら、Cy
tokine 4:76−82 (1992))。
【0009】 本発明のポリぺプチド、MPIF−1(時折、MIP−3およびCkβ−8と
も呼ばれる)は、アミノ酸配列相同性に基づいて、βケモカインファミリーの新
たなメンバーである。
【0010】 (発明の要旨) 本発明の1つの局面に従って、全長または成熟MPIF−1ポリぺプチド、お
よび生物学的に活性な、診断的または治療的に有用なフラグメント、アナログ、
およびそれらの誘導体を使用する、細胞、組織および器官に対する損傷を予防ま
たは処置する新規方法が、提供される。
【0011】 別の局面において、本発明は、MPIF−1ポリペプチドをコードする単離さ
れたポリヌクレオチドを使用する処置または予防の方法を提供する。本発明のM
PIF−1は、好ましくは、動物起源であり、そしてより好ましくはヒト起源で
ある。
【0012】 本発明はまた、MPIF−1ポリぺプチドをコードするポリヌクレオチド(D
NAまたはRNA)およびこのようなポリぺプチドをコードする単離された核酸
分子(mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNAを含む)、ならびに生物学的
に活性で、そして診断的にまたは治療的に有用なフラグメント、アナログ、およ
びその誘導体を提供する。
【0013】 MPIF−1ポリヌクレオチド。本発明はまた、図1に示されるアミノ酸配列
(配列番号2)または細菌宿主中でATCC受託番号75676として1994
年2月9日に寄託されたcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を
有するMPIF−1ポリぺプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離され
た核酸分子を提供する。寄託されたMPIF−1クローンを配列決定することに
よって決定されたヌクレオチド配列(図1に示される(配列番号1))は、12
0アミノ酸残基のポリぺプチドをコードするオープンリーディングフレームおよ
び約21アミノ酸残基のリーダー配列を含み、そして成熟タンパク質の推定分子
量は、非グリコシル化形態において11kDa、そしてグリコシル化形態におい
て約11〜14kDa(グリコシル化の程度に依存する)である。成熟MPIF
−1タンパク質のアミノ酸配列を、図1に示す(配列番号2)。
【0014】 従って、本発明の1つの局面は、以下からなる群から選択されるヌクレオチド
配列を有するポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する:(1)(
a)図1の全アミノ酸配列(配列番号2)を有するMPIF−1ポリぺプチドを
コードするヌクレオチド配列;(b)図1の全アミノ酸配列(配列番号2)(し
かし、N末端メチオニン残基を除く)を有するMPIF−1ポリぺプチドをコー
ドするヌクレオチド配列;(c)図1(配列番号2)の22〜120位のアミノ
酸配列を有する成熟MPIF−1ポリぺプチドをコードするヌクレオチド配列;
(1)(d)ATCC受託番号75676に含まれるcDNAクローンによって
コードされる全アミノ酸配列を有するMPIF−1ポリぺプチドをコードするヌ
クレオチド配列;(1)(e)ATCC受託番号75676に含まれるcDNA
クローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟MPIF−1ポリぺプ
チドをコードするヌクレオチド配列;および上記(1)(f)(1)−(a)、
(b)、(c)、(d)、または(e)におけるヌクレオチド配列のいずれかに
相補的なヌクレオチド配列。
【0015】 MPIF−1ポリヌクレオチド改変体。本発明はさらに、図1(配列番号2)
の推定アミノ酸配列を有するポリぺプチドの、または寄託されたクローンのcD
NAによってコードされるポリぺプチドのフラグメント、アナログ、および誘導
体をコードする、本明細書中上記のポリヌクレオチドの改変体に関する。ポリヌ
クレオチドの改変体は、ポリぺプチドの天然に存在する対立遺伝子改変体か、ま
たはポリぺプチドの天然に存在しない改変体であり得る。
【0016】 相同なMPIF−1ポリぺプチド。本発明のさらなる実施態様には、上記の(
a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)のヌクレオチド配列のいず
れかに少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヌ
クレオチド配列を有するポリヌクレオチド、あるいはストリンジェントなハイブ
リダイゼーション条件下で、上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)ま
たは(f)のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単
離された核酸分子が含まれる。ハイブリダイズするこれらのポリヌクレオチドは
、A残基のみ、またはT残基のみからなるヌクレオチド配列を有するポリヌクレ
オチドには、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイ
ズしない。
【0017】 核酸プローブ。本発明のなお別の局面に従って、MPIF−1核酸配列に特異
的にハイブリダイズするに十分な長さの核酸分子を含むか、あるいはこれらの核
酸分子からなる、核酸プローブもまた提供される。
【0018】 組換えベクター、宿主細胞および発現。本発明はまた、本発明の単離された核
酸分子を含む組換えベクター、および組換えベクターを有する宿主細胞、ならび
にこのようなベクターおよび宿主細胞を作製する方法、および組換え技術による
MPIF−1ポリぺプチドまたはペプチドの産生のためにこれらを使用する方法
に関する。
【0019】 MPIF−1ポリぺプチド。本発明は、以下からなる群から選択されるアミノ
酸配列を有する単離されたMPIF−1ポリぺプチドをさらに提供する:(I)
(a)図1(配列番号2)に示されるリーダー配列を含む全120アミノ酸配列
を有するMPIF−1ポリぺプチドのアミノ酸配列;(b)図1(配列番号2)
に示されるリーダー配列を含む全120アミノ酸配列(しかし、N末端メチオニ
ン残基を除く)を有するMPIF−1ポリぺプチドのアミノ酸配列;(c)図1
(配列番号2)の22〜120位のアミノ酸配列を有する成熟MPIF−1ポリ
ぺプチド(リーダーを含まない)のアミノ酸配列;(d)ATCC受託番号75
676に含まれるcDNAクローンによってコードされる全アミノ酸配列(リー
ダーを含む)を有するMPIF−1ポリぺプチドのアミノ酸配列;および(e)
ATCC受託番号75676に含まれるcDNAクローンによってコードされる
アミノ酸配列を有する成熟MPIF−1ポリぺプチドのアミノ酸配列。
【0020】 相同なMPIF−1ポリぺプチド。本発明のポリぺプチドはまた、上記の(a
)、(b)、(c)、(d)または(e)に記載の少なくとも95%の同一性を
有するアミノ酸配列を有する相同なポリぺプチド、ならびに上記の配列に少なく
とも95%、96%、97%、98%、または99%の同一なアミノ酸配列を有
するポリぺプチドを含む。
【0021】 MPIF−1エピトープ保有ポリぺプチドおよびコードするポリヌクレオチド
。本発明のこの局面のさらなる実施態様は、上記の(a)、(b)、(c)、(
d)または(e)に記載のMPIF−1ポリぺプチドのエピトープ保有部分のア
ミノ酸配列を有するペプチドまたはポリぺプチドに関する。本発明のMPIF−
1ポリぺプチドのエピトープ保有部分のアミノ酸配列を有するペプチドまたはポ
リぺプチドは、少なくとも6または7、好ましくは少なくとも9、およびより好
ましくは少なくとも約30アミノ酸〜約50アミノ酸を有するこのようなポリぺ
プチドの部分を含むが、上記の本発明のポリぺプチドの全アミノ酸配列をまでお
よびそれを含むエピトープ保有ポリぺプチドは、本発明に包含される。
【0022】 本発明のさらなる核酸の実施態様は、上記の(a)、(b)、(c)、(d)
または(e)のアミノ酸配列をコードするMPIF−1ポリぺプチドのエピトー
プ保有部分のアミノ酸配列を有するポリヌクレオチドを含むか、あるいはこのポ
リヌクレオチドからなる、単離された核酸分子に関する。
【0023】 MPIF−1抗体。本発明のなおさらなる局面に従って、このようなポリぺプ
チドに対する抗体が提供される。別の実施態様において、本発明は、上記の(a
)、(b)、(c)、(d)、または(e)のアミノ酸配列を有するMPIF−
1ポリぺプチド特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0024】 本発明はさらに、本明細書中に記載されるアミノ酸配列を有するMPIF−1
ポリぺプチド特異的に結合する抗体を単離するための方法を提供する。このよう
な抗体は、以下に記載されるように診断的または治療的に有用である。
【0025】 MPIF−1アンタゴニストおよび方法。本発明のなお別の局面に従って、こ
のようなポリぺプチドのアンタゴニストまたはインヒビターが提供される。これ
らは、例えば、動脈硬化症、自己免疫疾患、ならびに慢性炎症性および感性性疾
患、ヒスタミン媒介性アレルギー性反応、過好酸性症候群、ケイ肺炎、肉芽種性
疾患、肺の炎症性疾患、IL−1およびTNFの阻害、再生不良性貧血、ならび
に脊髄形成異常症候群の処置におけるこのようなポリぺプチドの作用を阻害する
ために使用され得る。あるいは、このようなポリぺプチドは、IL−1およびT
NF−αの産生を阻害して、再生不良性貧血、脊髄形成異常症候群、喘息、およ
び関節炎を処置するために使用され得る。
【0026】 診断アッセイ。本発明のなお別の局面において、ポリぺプチドの過少発現およ
び過剰発現に関連する疾患を検出するため、およびこのようなポリぺプチドをコ
ードする核酸配列における変異を検出するための診断アッセイが提供される。
【0027】 本発明のなお別の局面に従って、このようなポリぺプチド、またはこのような
ポリぺプチドをコードするポリヌクレオチドを、科学的研究、DNAの合成、お
よびDNAベクターの製造に関するインビトロの目的で研究試薬として利用する
ためのプロセスが、ヒト疾患の処置のための治療薬および診断を開発する目的で
提供される。
【0028】 本発明はまた、MPIF−1ポリぺプチドによって誘導される細胞性応答を増
幅または阻害し得る化合物を同定するためのスクリーニング法であって、MPI
F−1ポリぺプチドを発現する細胞を候補化合物と接触させる工程、細胞応答を
アッセイする工程、および細胞応答を標準的な細胞応答と比較する工程を包含す
る方法を提供する。ここで、標準は候補化合物の非存在下で接触がなされた場合
にアッセイされる;これにより、標準に対して増大した細胞応答が、その化合物
がアゴニストであること、そして標準に対して減少した細胞応答が、その化合物
がアンタゴニストであることを示す。
【0029】 多くの疾患について、有意に高いかまたは低いレベルのMPIF−1遺伝子発
現が、このような障害を有する個体から採取した特定の組織または体液(例えば
、血清、血漿、尿、滑液、または髄液)において、「標準」MPIF−1遺伝子
発現レベル(すなわち、障害を有さない個体からの組織または体液におけるMP
IF−1発現レベル)に比較して、検出されると考えられる。従って、本発明は
、以下の工程を包含する疾患の診断の間に有用な診断方法を提供する:(a)個
体の細胞または体液中でのMPIF−1遺伝子発現レベルをアッセイする工程;
(b)MPIF−1遺伝子発現レベルを、標準のMPIF−1遺伝子発現レベル
と比較し、それにより、標準の発現レベルに比較したアッセイされたMPIF−
1遺伝子発現レベルの増大または減少が疾患の指標である、工程。このような障
害には、白血病、慢性炎症、自己免疫疾患、固形腫瘍が含まれる。
【0030】 薬学的組成物。本発明はまた、別の局面において、MPIF−1ポリヌクレオ
チド、プローブ、ベクター、宿主細胞、ポリぺプチド、フラグメント、改変体、
誘導体、エピトープ保有部分、抗体、アンタゴニストまたはアゴニストのうちの
少なくとも1つを含む薬学的組成物を提供する。
【0031】 治療方法。本発明のなおさらなる局面に従って、治療目的のために(例えば、
化学療法の間に化学治療剤から骨髄幹細胞を保護するため、白血病細胞を除去す
るため、免疫応答を刺激するため、造血およびリンパ球輸送を調節するため、乾
癬、固形腫瘍の処置、耐性および急性および慢性の感染に対する宿主防御を増強
するため、ならびに創傷治癒を刺激するために)このようなポリぺプチドまたは
このようなポリぺプチドをコードするポリヌクレオチドを利用するためのプロー
ブが提供される。
【0032】 本発明のさらなる局面は、体内における増大したレベルのMPIF−1活性を
必要とする個体を処置するための方法であって、このような個体に治療有効量の
本発明の単離されたMPIF−1ポリぺプチド、またはそのアゴニストをそれぞ
れ含む組成物を投与する工程を包含する、方法に関する。
【0033】 本発明のなおさらなる局面は、体内のMPIF−1活性のレベルの減少を必要
とする個体を処置するための方法に関する。この方法は、このような個体に、治
療有効量のMPIF−1アンタゴニストを含む組成物を投与する工程を包含する
。 本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中の教示から当業者には明らか
である。
【0034】 (好ましい実施形態の詳細な説明) 本発明は、ヒト骨髄前駆体阻害因子−1(MPIF−1)ポリペプチド(以前
にMIP−3およびケモカインβ8(CKβ8またはckb−8)と称した)よ
うな、ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド分子、またはポリ
ペプチド自身を利用する、診断的または治療的組成物および方法を提供し、そし
てこれらを産生するためのベクター、宿主、および組換えもしくは合成方法を提
供する。
【0035】 (MPIF−1ポリヌクレオチド) 本発明の局面に従って、図1(配列番号2)の推定アミノ酸配列を有する全長
または成熟MPIF−1ポリペプチドならびに1994年2月9日にATCC寄
託第75676号として寄託されたクローンのcDNAによりコードされる成熟
MPIF−1ポリペプチドをコードする単離された核酸配列(ポリヌクレオチド
)が提供される。アメリカンタイプカルチャーコレクションの住所は、Pate
nt Depository,10801 University Boule
vard,Manassas,Virginia 20110−2209である
。寄託クローンは、pBluescript SK(−)プラスミド(Stra
tagene, LaJolla, CA)に含まれる。
【0036】 本明細書中において言及される寄託(単数または複数)は、特許手順の目的の
ための微生物の寄託の国際認定に関するブタベスト条約の条件下に維持される。
これらの寄託は、当業者に対して単に簡便になるように提供され、そして寄託が
35 U.S.C. §112下で必要とされることを承認するものではない。
寄託された物質中に含まれるポリヌクレオチドの配列、ならびにそれによってコ
ードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書中において参考として援用
され、そして本明細書中の配列の説明との任意のコンフリクトの事象において制
限する。ライセンスが、寄託された物質を作製、使用、または販売するために必
要とされ得、そしてそのようなライセンスは本明細書によって容認されない。
【0037】 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、サイトカインまたは
ケモカインファミリー内に存在する炎症後スーパージーン「インタークライン」
に構造的に関連する。MPIF−1は、MIP−1ホモログであり、そしてMI
P−1βに対してよりもMIP−1αに対してより相同である。MIPF−1を
コードするポリヌクレオチドは、大動脈内皮cDNAライブラリーに由来し、そ
して120アミノ酸残基のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレ
ームを含み、それは多くのケモカインに対して顕著な相同性を示す。最大の適合
は、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質1αに対してであり、36%同一性お
よび66%類似性を示す(図2)。
【0038】 本発明のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNA(このDNAは、c
DNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含む)の形態であり得る。DNAは
二本鎖または一本鎖であり得、そして一本鎖の場合には、コード鎖または非コー
ド(アンチセンス)鎖であり得る。成熟ポリペプチドをコードするコード配列は
、図1または20Aに示すコード配列(それぞれ、配列番号1または6)または
寄託したクローンのコード配列と同一であり得るか、あるいはそのコード配列が
、遺伝コードの重複または縮重の結果として、図1または20A(配列番号1ま
たは6)のDNAまたは寄託したcDNAと同じ成熟ポリペプチドをコードする
異なるコード配列であり得る。
【0039】 図1の成熟ポリペプチド(配列番号2)または寄託したcDNAによりコード
される成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下を包含し得る:
成熟ポリペプチドのコード配列のみ;成熟ポリペプチドのコード配列、ならびに
リーダーまたは分泌配列、もしくはプロタンパク質配列のような付加的コード配
列;成熟ポリペプチドのコード配列(および必要に応じて付加的コード配列)お
よび非コード配列(例えば、イントロンあるいは成熟ポリペプチドのコード配列
の5’および/または3’非コード配列)。
【0040】 従って、用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチ
ドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびに付加的コード配列、およ
び/または非コード配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0041】 本発明はまた、配列番号1または6に開示されるポリヌクレオチド配列、その
相補鎖および/または寄託されたクローンに含まれるcDNA配列の改変体に関
する。
【0042】 「改変体」とは、MPIF−1ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと異なる
が、その必須の特性は保持する、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。
一般に、改変体は、全体で非常に類似し、そして多くの領域においては、このM
PIF−1ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと同一である。
【0043】 他に示されない限り、本明細書中のDNA分子を配列決定することによって決
定されるすべてのヌクレオチド配列は、自動化DNAシーケンサー(Appli
ed Biosystems,Inc.のModel 373など)を用いて決
定され、そして本明細書中において決定されるDNA分子によってコードされる
ポリペプチドのすべてのアミノ酸配列は、上記のように決定したDNA配列の翻
訳によって予測された。従って、この自動化アプローチによって決定される任意
のDNA配列について当該分野において公知のように、本明細書中において決定
された任意のヌクレオチド配列はいくつかの誤差を含み得る。自動化によって決
定されたヌクレオチド配列は、配列決定されたDNA分子の実際のヌクレオチド
配列に対して、代表的には少なくとも約90%同一、より代表的には少なくとも
約95%〜少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は、他のアプローチ
(当該分野において周知の手動DNA配列決定方法を含む)によってより正確に
決定され得る。当該分野においてまた公知のように、実際の配列と比較して、決
定されたヌクレオチド配列中の単一の挿入または欠失は、ヌクレオチド配列の翻
訳におけるフレームシフトを引き起こし、その結果、決定されたヌクレオチド配
列によってコードされる予測されるアミノ酸配列は、配列決定されたDNA分子
によって実際にコードされるアミノ酸配列とは完全に異なり、そのような挿入ま
たは欠失の点で始まる。
【0044】 他に示されない限り、本明細書中に示される各「ヌクレオチド配列」は、デオ
キシリボヌクレオチド(A、G、C、およびTと省略される)の配列として示さ
れる。しかし、核酸分子またはポリヌクレオチドの「ヌクレオチド配列」によっ
て、DNA分子またはポリヌクレオチドについてはデオキシリボヌクレオチドの
配列、そしてRNA分子またはポリヌクレオチドについては、リボヌクレオチド
(A、G、C、およびU)の対応する配列が意図され、ここで、特定されたデオ
キシリボヌクレオチド配列中の各チミジンデオキシリボヌクレオチド(T)は、
リボヌクレオチドウリジン(U)によって置換される。例えば、デオキシリボヌ
クレオチドの略語を用いて示されるように、配列番号1または6の配列を有する
RNA分子との言及は、配列番号1または6の各デオキシリボヌクレオチドA、
G、またはCが、対応するリボヌクレオチドA、G、またはCによって置換され
、そして各デオキシリボヌクレオチドTがリボヌクレオチドUによって置換され
た配列を有するRNA分子を示すことが意図される。
【0045】 本明細書中に提供される情報を用いて、図1のヌクレオチド配列などの、MP
IF−1ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、標準的なクローニング
およびスクリーニング手順(開始物質としてmRNAを用いてcDNAをクロー
ニングするための手順など)を用いて得られ得る。
【0046】 本発明はさらに、図1(配列番号2)の推定アミノ酸配列を有するポリペプチ
ドまたは寄託されたクローンのcDNAによりコードされるポリペプチドのフラ
グメント、アナログおよび誘導体をコードする本明細書中上記のポリヌクレオチ
ドの変異体に関する。ポリヌクレオチドの変異体は、ポリヌクレオチドの天然に
存在する対立遺伝子変異体またはポリヌクレオチドの天然に存在しない変異体で
あり得る。
【0047】 本発明はまた、図1(配列番号2)に示すものと同じ成熟ポリペプチド、また
は寄託されたクローンのcDNAによりコードされる同じ成熟ポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチドならびにこのようなポリヌクレオチドの変異体を包含
する。この変異体は、図1(配列番号2)のポリペプチドまたは寄託されたクロ
ーンのcDNAによりコードされるポリペプチドのフラグメント、誘導体または
アナログをコードする。このようなヌクレオチド変異体は、欠失変異体、置換変
異体および付加または挿入変異体を含む。
【0048】 本明細書中上記で示したように、ポリヌクレオチドは、図1(配列番号2)に
示すコード配列または寄託されたクローンのコード配列の天然に存在する対立遺
伝子変異体であるコード配列を有し得る。当該分野で公知なように、対立遺伝子
変異体は、1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失または付加を有し得るポリヌク
レオチド配列の代わりの形態であり、これはコードされるポリペプチドの機能を
実質的に変化させない。
【0049】 本発明はまた、ポリヌクレオチドを含み、ここで、成熟ポリペプチドについて
のコード配列は、同一のリーディングフレームにおいて、宿主細胞由来のポリペ
プチドの発現および分泌を補助するポリヌクレオチド配列(例えば、細胞からの
ポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)に
融合され得る。リーダー配列を有するポリペプチドは、プレタンパク質であり、
そして宿主細胞によって切断されるリーダー配列を有し、ポリペプチドの成熟形
態を形成し得る。これらのポリヌクレオチドはまた、付加的N末端アミノ酸残基
を加えた成熟タンパク質であるプロタンパク質をコードし得る。プロ配列を有す
る成熟タンパク質は、プロタンパク質であり、そしてタンパク質の不活性な形態
である。一旦プロ配列が切断されると、活性な成熟タンパク質が残る。
【0050】 従って、例えば、本発明のポリヌクレオチドは、成熟タンパク質、あるいはプ
ロ配列を有するタンパク質またはプロ配列およびプレ配列(リーダー配列)の両
方を有するタンパク質をコードし得る。
【0051】 本発明のポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドの精製を可能にする
マーカー配列にインフレームで融合されたコード配列を有し得る。マーカー配列
は、細菌宿主の場合には、マーカーに融合された成熟ポリペプチドの精製を提供
する、pQE−9ベクターにより供給されるヘキサヒスチジンタグであり得る。
あるいは、例えば、マーカー配列は、哺乳動物宿主(例えば、COS−7細胞)
が使用される場合は、血球凝集素(HA)タグであり得る。HAタグは、インフ
ルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープと一致する(Wilson
,I.ら、Cell、37:767(1984))。
【0052】 用語「遺伝子」は、ポリペプチド鎖を産生することに関するDNAのセグメン
トを意味し;それは、コード領域の前後の領域(リーダーおよびトレーラー)、
ならびに個々のコードセグメント(エクソン)間に介在性配列(イントロン)を
含む。
【0053】 示されるように、本発明の核酸分子は、RNAの形態(mRNAなど)、また
はDNAの形態(例えば、cDNAおよびクローニングによって得られるまたは
合成的に生成されるゲノムDNAを含む)であり得る。DNAは、二本鎖または
一本鎖であり得る。一般鎖DNAまたはRNAは、センス鎖としてもまた公知の
コード鎖であり得るか、またはそれはアンチセンス鎖としてもまた言及される非
コード鎖であり得る。
【0054】 用語「単離された」は、物質がその本来の環境(例えば、天然に存在する場合
は、天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動
物の中に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離
されていないが、天然の系において共存する物質のいくつかまたは全てから分離
されている同一のポリヌクレオチドまたはDNAまたはポリペプチドは、単離さ
れている。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であり得、そして/
またはこのようなポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部であ
り得、そしてそのようなベクターもしくは組成物が、その天然の環境の一部では
ないように、なお単離され得る。単離されたRNA分子は、本発明のDNA分子
のインビボまたはインビトロRNA転写物を含む。本発明による単離された核酸
分子は、さらに合成的に生成されたような分子を含む。しかし、ライブラリー(
例えば、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー)のメンバーであり、
そしてこのライブラリーの他のクローンから単離されていない(例えば、クロー
ンおよびライブラリーの他のメンバーを含む均質な溶液の形態で)クローンに含
まれるまたは染色体調製物(例えば、染色体スプレッド)上に含まれる核酸、あ
るいはゲノムDNAの調製物(例えば、1つ以上の制限酵素でインタクトな、剪
断された、および/または切断された)中の他の核酸から単離されていない調製
物に存在する核酸は、本発明の目的のためには、「単離され」ていない。
【0055】 本発明の単離した核酸分子は、MPIF−1 cDNAについてのオープンリ
ーディングフレーム(ORF)を含むか、あるいはそれからなるDNA分子;成
熟M−CIFタンパク質、成熟MPIF−1タンパク質についてのコード配列を
含むか、あるいはそれからなるDNA分子;および上記の配列とは実質的に異な
るが、遺伝子コードの縮重に起因してなおMPIF−1ポリペプチドをコードす
る配列を含むDNA分子を含む。当然のことながら、遺伝子コードは、当該分野
において周知である。従って、上記の縮重した変異体を生成することは、当業者
にとって日常的である。
【0056】 本発明はさらに、配列間に少なくとも95%の同一性が存在する場合、本明細
書中上記の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本発明は特に
、本明細書中上記のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズするポリヌクレオチドに関する。本明細書中で用いられる場合、用語「スト
リンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーションが、配列間に少なくとも95
%、そして好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合のみに生じるこ
とを意味する。好ましい実施形態において、本明細書中上記のポリヌクレオチド
にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、図1(配列番号1)のcDNA、も
しくは寄託されたcDNAによりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ
生物学的機能または活性を保持するポリペプチドをコードする。
【0057】 あるいは、ポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズ
する少なくとも20塩基、好ましくは30塩基、そしてより好ましくは少なくと
も50塩基を有し得、そして本発明のポリヌクレオチドは、それに対して上記の
ように同一性を有し、そして本明細書中上記のようにポリペプチドに対して同一
性を有し、そして活性を保持してもしなくてもよい。例えば、そのようなポリヌ
クレオチドは、配列番号1のポリヌクレオチドについてのプローブとして(例え
ば、ポリヌクレオチドの回収のため、または診断用プローブとして、またはPC
Rプライマーとして)使用され得る。
【0058】 別の局面において、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条
件下で上記の本発明の核酸分子中のポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズす
るポリヌクレオチドを含むか、あるいはそれからなる単離された核酸分子を提供
する(例えば、ATCC受託番号75676(MPIF−1)に含まれるcDN
Aクローン)。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、50
%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナ
トリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液
、10%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAから
なる溶液中で42℃にて一晩インキュベーションし、続いて約65℃において0
.1×SSCでそのフィルターを洗浄することが意図される。
【0059】 ポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチドとは、参
照ポリヌクレオチドの少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好ま
しくは少なくとも約20nt、なおさらに好ましくは少なくとも約30nt、そ
してさらにより好ましくは約30〜70ntにハイブリダイズするポリヌクレオ
チド(DNAまたはRNAのいずれか)が意図される。意図されるものはまた、
参照ポリヌクレオチドの少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好
ましくは少なくとも約20nt、そしてより好ましくは少なくとも約25nt、
なおさらに好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらにより好ましくは約3
0〜70(例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、および
/または70(当然ながら、本明細書中に列挙されるものに加えてフラグメント
長もまた有用である))ntにハイブリダイズするポリヌクレオチドである。こ
れらは、上で、そしてより詳細には以下で考察されるような診断用プローブおよ
びプライマーとして有用である。
【0060】 当然のことながら、参照ポリヌクレオチド(例えば、寄託されたcDNAクロ
ーン)のより大きな部分(例えば、50〜750nt長部分)、または参照ポリ
ヌクレオチドの全長にさえハイブリダイズするポリヌクレオチドはまた、本発明
によるプローブとして有用であり、寄託されたcDNAのヌクレオチド配列、ま
たは配列番号1もしくは6(MPIF−1)に示されるようなヌクレオチド配列
のすべてではないにしろほとんどに対応するポリヌクレオチドも同様である。例
えば、「少なくとも20nt長」のポリヌクレオチドの一部とは、参照ポリヌク
レオチドのヌクレオチド配列由来の20以上の連続したヌクレオチドが意図され
る。示されるように、そのような部分は、従来のDNAハイブリダイゼーション
技術によるプローブとして、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による標的
配列の増幅のためのプライマーとしてのいずれかで診断的に有用である(例えば
、Molecular Cloning,A Laboratory Manu
al,第2版,Sambrook,J.,Fritsch,E.F.およびMa
niatis,T.,編,Cold Spring Harbor Labor
atory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(
1989)に記載される、その全体の開示は、本明細書により本明細書中におい
て参考として援用される)。
【0061】 MPIF−1 cDNAクローンは寄託され、そして決定されたヌクレオチド
配列が提供されているため、MPIF−1 cDNA分子の一部にハイブリダイ
ズするポリヌクレオチドを生成することは、当業者にとって日常的である。例え
ば、MPIF−1 cDNAクローンの制限エンドヌクレアーゼ切断または超音
波処理による剪断は、MPIF−1 cDNA分子の一部にハイブリダイズする
ポリヌクレオチドである種々のサイズのDNA部分を生成するために容易に使用
され得る。
【0062】 あるいは、本発明のハイブリダイズするポリヌクレオチドは、公知の技術に従
って合成的に生成され得る。当然のことながら、ポリA配列(cDNAの3’末
端ポリ(A)トラクトなど)にのみ、またはT(またはU)残基の相補的な伸長
にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、本発明の核酸の一部にハイブリダイ
ズするために使用される本発明のポリヌクレオチドに含まれない。なぜなら、そ
のようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)伸長を含む任意の核酸分子またはその
相補体(例えば、実際に任意の二本鎖cDNAクローン)にハイブリダイズする
からである。
【0063】 示されるように、MPIF−1 ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子
は、以下を含むが、これらに限定されない:それ自体によって成熟ポリペプチド
のアミノ酸配列をコードする核酸分子;成熟ポリペプチドについてのコード配列
およびさらなる配列(リーダーをコードする配列など)または分泌配列(プレタ
ンパク質配列またはプロタンパク質配列またはプレプロタンパク質配列など);
成熟ポリペプチドのコード配列(先述のさらなるコード配列を有するまたは有さ
ない)であり、例えば転写、mRNAプロセシング(スプライシングおよびポリ
アデニル化シグナル(例えば、リボソーム結合およびmRNAの安定性)を含む
)において役割を担う転写非翻訳配列のようなイントロン、および非コード5’
および3’配列を含むが、これらに限定されない、さらなる非コード配列を共に
有するコード配列;さらなるアミノ酸(例えば、さらなる機能性を提供するアミ
ノ酸)をコードするさらなるコード配列。従って、ポリペプチドをコードする配
列は、マーカー配列(例えば、融合ポリペプチドの精製を容易にするペプチドを
コードする配列)に融合され得る。本発明のこの局面の特定の好ましい実施形態
において、マーカーアミノ酸配列は、とりわけヘキサ−ヒスチジンペプチド(例
えば、pQEベクター(Quiagen, Inc.)において提供されるタグ
)であり、その多くは市販されている。例えば、Gentzら、Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 86: 821−824 (198
9)において記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便
な精製を提供する。「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由
来のエピトープに対応する精製のために有用な別のペプチドであり、これはWi
lsonら、Cell 37: 767 (1984)によって記載されている
。以下に議論されるように、他のこのような融合タンパク質は、MPIF−1ポ
リペプチド、またはN末端もしくはC末端でFcに融合されるフラグメントを含
む。
【0064】 本発明はさらに、本発明の核酸分子の変異体に関し、これは、MPIF−1
ポリペプチドの一部、アナログ、または誘導体をコードする。変異体は、天然の
対立遺伝子変異のように天然に存在し得る。「対立遺伝子変異」によって、生物
の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの交換形態の1つが意図
される。Genes V, Lewin, B編、Oxford Univer
sity Press, New York (1994)。天然に存在しない
変異体は、当該分野で公知の変異誘発技術を用いて生成され得る。
【0065】 そのような変異体は、ヌクレオチド置換、欠失、または付加によって生成され
るものを含む。置換、欠失、または付加は、1つ以上のヌクレオチドを含み得る
。変異体は、コード領域、非コード領域、またはその両方において変換され得る
。コード領域における変換は、保存性もしくは非保存性のアミノ酸置換、欠失、
または付加を生じ得る。これらのうちで特に好ましいものは、サイレントな置換
、付加、および欠失であり、それらは、MPIF−1ポリペプチドまたはその一
部の特性および活性を変化しない。また、この点において特に好ましいものは、
保存性置換である。最も高度に好ましいものは、本明細書中に記載のような、成
熟タンパク質をコードする核酸分子、または寄託されたcDNAクローンによっ
てコードされる成熟アミノ酸配列である。
【0066】 (MPIF−1相同ポリヌクレオチド) 本発明はさらに、配列番号2のポリペプチドならびにそのフラグメント(この
フラグメントは、そのようなポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチ
ドに少なくとも30塩基、そして好ましくは少なくとも50塩基を有する)をコ
ードするポリヌクレオチドに少なくとも95%同一性を有するポリヌクレオチド
に関する。
【0067】 本発明のさらなる実施形態は、以下に少なくとも80%、85%、90%、9
2%、95%、96%、97%、98%または99%同一なヌクレオチド配列を
有するポリヌクレオチドを含むか、あるいはそれからなる単離された核酸分子を
含む:(a)予想されるリーダー配列を含む、配列番号2のアミノ酸配列を有す
るMPIF−1ポリペプチドまたはフラグメントをコードするヌクレオチド配列
;(b)予想されるリーダー配列を含むが、N末端メチオニン残基を含まない、
配列番号2のアミノ酸配列を有するMPIF−1ポリペプチドまたはフラグメン
トをコードするヌクレオチド配列;(c)成熟MPIF−1ポリペプチド(リー
ダーを除いた全長ポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列;(d)寄託さ
れたcDNAクローンによってコードされるリーダーを含む完全なアミノ酸配列
を有する全長ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(e)寄託されたc
DNAクローンによってコードされるアミノ酸配列を有する成熟ポリペプチドを
コードするヌクレオチド配列;または(f)(a)、(b)、(c)、(d)、
もしくは(e)中の任意のヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列。
【0068】 MPIF−1ポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列に少なくとも例
えば95%「同一な」ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、ポ
リヌクレオチド配列が、ポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各1
00ヌクレオチド当たり5までの点変異を含み得ることを除き、ポリヌクレオチ
ドのヌクレオチド配列が参照配列に同一であることが意図される。換言すれば、
参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一なヌクレオチド配列を有するポリ
ヌクレオチドを得るために、参照配列中の5%までのヌクレオチドが欠失され、
別のヌクレオチドと置換され得るか、または参照配列中の全ヌクレオチドの5%
までの数のヌクレオチドが参照配列中に挿入され得る。これらの参照配列の変異
は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置、またはこれらの末端位
置間のいずれかの場所に生じ得、参照配列中のヌクレオチド間で個々に、または
参照配列内の1つ以上の連続した群のいずれかに分散して生じる。
【0069】 実際の問題として、任意の特定の核酸分子が、例えば、図1に示されるヌクレ
オチド配列、または寄託されたcDNAクローンのヌクレオチド配列に、少なく
とも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、もし
くは99%同一であるか否かは、Bestfitプログラム(Wisconsi
n Sequence Analysis Pachage, Version
8 for Unix(登録商標), Genetics Computer
Group, University Research Park, 57
5 Science Drive, Madison, WI 53711)の
ような公知のコンピュータプログラムを用いて慣習的に決定され得る。Best
fitは、2つの配列間の相同性の最も良いセグメントを見出すためのSmit
hおよびWaterman, Advances in Applied Ma
thematics 2: 482−489 (1981)の局所的相同性アル
ゴリズムを使用する。Bestfitまたは任意の他の配列整列プログラムを用
いて、特定の配列が、例えば本発明による参照配列に95%同一であるか否かを
決定する場合、当然のことながら、同一性%が参照ヌクレオチド配列の全長にわ
たって計算され、そして参照配列中のヌクレオチドの総数の5%までの相同性で
のギャップが許容されるようにパラメータを設定する。
【0070】 実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリぺプチドが、本発明のヌク
レオチド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログ
ラムを使用して従来的に決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象
配列との間の最も良好な全体的な適合性(全体的な配列整列とも呼ばれる)を決
定するための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App. Bio
sci.6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTD
Bコンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い
合わせ配列および対象配列は、両方ともにDNA配列である。RNA配列は、U
からTに変換することによって比較され得る。この全体的な配列整列の結果は、
同一性パーセント(%)で示される。同一性パーセントを計算するためにDNA
配列のFASTDB整列において使用される好ましいパラメーターは:Matr
ix=Unitary、k−tuple=4、Mismatch Penalt
y=1、Joining Penalty=30、Randomization
Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap P
enalty=5、Gap Size Penalty 0.05、Windo
w Size=500または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらかより短い方
)である。
【0071】 対象配列が、5’または3’欠失のために(内部欠失のためではなく)問い合
わせ配列より短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならない。こ
れは、同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログラムが対象配列
の5’および3’の短縮を考慮しないからである。5’末端または3’末端で短
縮されている対象配列について、問い合わせ配列に対して、同一性パーセントは
、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして一致/整列されない対象配列の5
’および3’である問い合わせ配列の塩基の数を計算することによって補正され
る。ヌクレオチドが一致/整列されるか否かは、FASTDB配列整列の結果に
よって決定される。次いで、このパーセントは、特定のパラメーターを用いて上
記のFASTDBプログラムによって計算された同一性パーセントから差し引か
れ、最終的な同一性パーセントのスコアに到達する。この補正されたスコアが、
本発明の目的に使用されるものである。FASTDB整列によって示されるよう
に、問い合わせ配列と一致/整列されない、対象配列の5’および3’の塩基の
外側の塩基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的で計算され
る。
【0072】 例えば、90塩基の対象配列が、同一性パーセントを決定するために100塩
基の問い合わせ配列に整列される。欠失が、対象配列の5’末端で生じ、従って
、FASTDB整列は、5’末端の最初の10塩基で一致/整列を示さない。1
0個の不対合塩基は、配列の10%(一致していない5’および3’の末端の塩
基の数/問い合わせ配列の塩基の総数)を表し、そのため10%が、FASTD
Bプログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから差し引かれる。
残りの90塩基が完全に一致する場合は、最終的な同一性パーセントは90%で
ある。別の例では、90塩基の対象配列が、100塩基の問い合わせ配列と比較
される。この場合、欠失は、内部欠失であり、その結果、対象配列の5’または
3’に問い合わせと一致/整列しない塩基が存在しない。この場合、FASTD
Bによって計算される同一性パーセントは手動で補正されない。再び、問い合わ
せ配列と一致/整列しない対象配列の5’または3’の塩基のみが手動で補正さ
れる。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0073】 好ましくは、上記のプログラムが、使用され、本発明のポリヌクレオチド(参
照配列)および第2の配列を整列し、そして手動で計算される。同一性パーセン
トは、2つの配列間で同一な個々のヌクレオチドの数を参考配列におけるヌクレ
オチド残基の総数で割り、100%を掛ける。例えば、第2の配列に対する配列
番号1の1〜360ヌクレオチドの同一パーセントを決定するために、ヌクレオ
チドミスマッチの数(すなわち、点変異:挿入、欠失および置換)が計数され、
そして360(参考配列におけるヌクレオチドの数)から差し引かれて、同一性
ヌクレオチドの数を得る。生じた数は、360で割られ、次いで100%で掛け
られる。ミスマッチ(すなわち、点変異:個々のヌクレオチドの挿入、欠失およ
び置換)が配列番号1の1〜5、18、201〜210、300、302、31
8〜328、330、336、341および349〜352位にある場合、同一
性パーセントは、90%である(5+1+10+1+1+11+1+1+1+3
=36 360−36=324 324/360=0.9 0.9×100=9
0%)。ポリペプチドの同一性パーセントは、類似の様式で計算される。
【0074】 当業者が認識するように、上記の配列決定の誤差の可能性、ならびに異なる公
知のタンパク質におけるリーダーについての切断部位の可変性に起因して、寄託
されたcDNAによってコードされる成熟MPIF−1ポリペプチドは、約99
アミノ酸を含むが75〜120アミノ酸の範囲のいずれかの場所であり得;そし
てこのタンパク質の実際のリーダー配列は約21アミノ酸であるが、約15〜約
35アミノ酸の範囲のいずれかの場所であり得る。
【0075】 MPIF−1変異体は、コード領域、非コード領域、またはその両方における
変化を含み得る。特に好ましいものは、サイレントな置換、付加、または欠失を
生成するが、コードされるポリぺプチドの特性または活性を変化させない変化を
含むポリヌクレオチド変異体である。遺伝コードの縮重に起因するサイレントな
置換によって生成されるヌクレオチド変異体が、好ましい。さらに、任意の組合
せにおいて5〜10、1〜5、もしくは1〜2アミノ酸が置換、欠失、または付
加される変異体もまた、好ましい。MPIF−1ポリヌクレオチド変異体は、種
々の理由(例えば、特定の宿主についてのコドン発現を至適化する(ヒトmRN
Aにおけるコドンを、E.coliのような細菌宿主によって好ましいコドンに
変化させる))のために、生成され得る。
【0076】 天然に存在する改変体は、「対立遺伝子改変体」と呼ばれ、そして生物の染色
体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替の形態のうちの1つを
いう。(Genes II、Lewin,B.,編 John Wiley &
Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子改変体は、
ポリヌクレオチドレベルおよび/またはポリぺプチドレベルのいずれかで変化し
得、そして本発明に含まれる。あるいは、天然に存在しない改変体は、変異誘発
技術によってまたは直接的な合成によって生成され得る。
【0077】 (核酸プローブ) そのような単離された分子、特にDNA分子は、染色体とのインサイチュハイ
ブリダイゼーションによる遺伝子マッピングのため、そして例えば、ノーザンブ
ロット分析によってヒト組織におけるMPIF−1遺伝子の発現を検出するため
のプローブとして有用である。本発明はさらに、本明細書中に記載の単離された
核酸分子のフラグメントに関する。寄託されたMPIF−1 cDNAのヌクレ
オチド配列、または図1もしくは20A(配列番号1もしくは6)に示されるヌ
クレオチド配列を有する単離された核酸分子のフラグメントによって、少なくと
も約15nt長、そしてより好ましくは少なくとも約20nt長、さらにより好
ましくは少なくとも約30nt長、そしてさらにより好ましくは少なくとも約4
0nt長のフラグメントが意図され、これは本明細書中で議論されるように診断
用プローブおよびプライマーとして有用である。当然のことながら、寄託された
MPIF−1 cDNAのすべてではないにしろほとんどのヌクレオチド配列、
または図1または20A(配列番号1または6)において示されるようなヌクレ
オチド配列に対応するフラグメントと同様に、より長い50〜500nt長のフ
ラグメントもまた本発明によって有用である。例えば、少なくとも20nt長の
フラグメントによって、寄託されたcDNAのヌクレオチド配列、または図1も
しくは20A(配列番号1もしくは6)において示されるようなヌクレオチド配
列由来の20以上の連続した塩基を含むフラグメントが意図される。遺伝子は寄
託されており、そして図1もしくは20A(配列番号1もしくは6)において示
されるようなヌクレオチド配列が提供されるため、そのようなDNAフラグメン
トを生成することは当業者に日常的である。例えば、制限エンドヌクレアーゼ切
断、または超音波処理による剪断は、種々のサイズのフラグメントを生成するた
めに容易に使用され得る。あるいは、そのようなフラグメントは、合成的に生成
され得る。
【0078】 本願は、本明細書中に開示される核酸配列(例えば、配列番号2または7のm
〜nとして下に開示されるN末端欠失および/またはC末端欠失のアミノ酸配列
を有するポリペプチドをコードする)と少なくとも90%、95%、96%、9
7%、98%、または99%同一である、核酸分子に関し、これは、その核酸が
MPIF−1機能的活性を有するポリペプチドをコードするか否かに関わらない
。これは、特定の核酸分子がMPIF−1機能的活性を有するポリペプチドをコ
ードしない場合でさえ、例えば、ハイブリダイゼーションプローブまたはポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとしてその核酸を使用する方法を、当業者
はなお知っているからである。MPIF−1機能的活性を有するポリペプチドを
コードしない本発明の核酸分子の使用としては、とりわけ、(1)cDNAライ
ブラリーにおいてMPIF−1遺伝子またはその対立遺伝子改変体もしくはスプ
ライス改変体を単離すること;(2)Vermaら、Human Chromo
somes:A Manual of Basic Techniques、P
ergamon Press,New York(1988)に記載されるよう
な、MPIF−1遺伝子の正確な染色体位置を提供するための、中期染色体スプ
レッドに対するインサイチュハイブリダイゼーション(例えば、FISH);な
らびに特定の組織におけるMPIF−1mRNA発現を検出するためのノーザン
ブロット分析が、挙げられる。
【0079】 しかし、本明細書中に開示される核酸配列に対して、少なくとも90%、95
%、96%、97%、98%または99%同一な配列を有する核酸分子が好まし
い。これらは、事実、MPIF−1機能的活性を有するポリペプチドをコードす
る。「MPIF−1機能的活性を有するポリペプチド」によって、例えば特定の
免疫アッセイおよび/または生物学的アッセイにおいて測定されるように、本発
明のMPIF−1ポリペプチド(例えば、完全(全長)MPIF−1、成熟MP
IF−1および可溶性MPIF−1(例えば、MPIF−1の細胞外ドメインに
含まれる配列を有する))の機能的活性と類似する活性(しかし、同一である必
要はない)を示すポリペプチドが意図される。例えば、MPIF−1機能的活性
は、MPIF−1リガンドを結合するMPIF−1ポリペプチドの能力を決定す
ることによって日常的に測定され得る。MPIF−1機能的活性はまた、ポリペ
プチドを発現する細胞を誘導するポリペプチド(細胞表面上に存在しないまたは
発現されるコグネイトリガンドなど)の能力を決定することによって測定され得
る。
【0080】 本発明の全長遺伝子のフラグメントを、cDNAライブラリーについてのハイ
ブリダイゼーションプローブとして使用して、全長cDNAを単離し得、そして
その遺伝子に対する高い配列類似性または類似の生物学的活性を有する他のcD
NAを単離し得る。好ましくは、この型のプローブは、少なくとも30塩基を有
し、そして例えば50以上の塩基を含み得る。プローブをまた使用して、全長転
写物に対応するcDNAクローン、ならびに調節領域、プロモーター領域、エク
ソン、およびイントロンを含む完全な遺伝子を含むゲノムクローンを同定し得る
。スクリーニングの例は、オリゴヌクレオチドプローブを合成するための公知の
DNA配列を用いることによって遺伝子のコード領域を単離する工程を包含する
。本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識したオリゴヌクレオチドを
用いて、ヒトcDNA、ゲノムDNA、またはmRNAをスクリーニングし、プ
ローブがライブラリーのどのメンバーにハイブリダイズするかを決定する。
【0081】 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドのポリヌクレオチドフラグメントに
関する。本発明において、「ポリヌクレオチドフラグメント」とは、以下である
核酸配列を有する短いポリヌクレオチドをいう:寄託されたクローンに含まれる
か、もしくは寄託されたクローン中のcDNAによりコードされるポリペプチド
をコードする核酸配列の一部であるか;配列番号1または6もしくはそれらの相
補鎖に示される核酸配列の一部であるか、または配列番号2のポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチド配列の一部である。本発明のヌクレオチドフラグメン
トは、好ましくは、少なくとも約15nt長、そしてより好ましくは少なくとも
約20nt長、さらにより好ましくは少なくとも約30nt長、そしてなおより
好ましくは少なくとも約40nt長、少なくとも約50nt長、少なくとも約7
5nt長、または少なくとも約150nt長である。「少なくとも約20nt長
」のフラグメントは、例えば寄託されたクローンに含まれるcDNA配列または
配列番号1もしくは6に示されるヌクレオチド配列由来の20以上の連続する塩
基を含むことが意図される。この文脈において「約(おおよそ)」は、いずれか
の末端もしくは両方の末端において、特に記載された値(これより数個(5、4
、3、2、または1)のヌクレオチドだけ大きいかまたは小さな値)を含む。こ
れらのヌクレオチドフラグメントは、本明細書中で議論されるように、診断プロ
ーブおよびプライマーとして含むが、それらに限定されない使用を有する。当然
のことながら、より大きなフラグメント(例えば、50、150、500、60
0、2000ヌクレオチド)もまた、好ましい。
【0082】 さらに、本発明は、残基50〜599、100〜599、200〜599、3
00〜599、400〜599、500〜599、600〜1800、50〜5
00、100〜500、200〜500、300〜500、400〜500、5
0〜400、100〜400、200〜400、300〜400、50〜300
、100〜300、200〜300、50〜200、100〜200、および5
0〜100由来の配列番号1または6の少なくとも約25ヌクレオチド、少なく
とも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌ
クレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌク
レオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少
なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、または少なくと
も約100ヌクレオチドの任意の一部を含むか、あるいはそれからなるポリヌク
レオチドを含む。
【0083】 さらに、本発明のポリヌクレオチドフラグメントの代表例としては、例えば、
おおよそ以下のヌクレオチド数から配列番号1または6の末端の配列、またはそ
れらの相補鎖、または寄託されたクローンに含まれるcDNAを含むか、あるい
はそれからなるフラグメントが挙げられる:1〜50、51〜100、101〜
150、151〜200、201〜250、251〜300、301〜350、
351〜400、401〜450、451〜500、501〜550または55
1。この文脈において、「おおよそ(約)」は、特に記載された範囲、およびい
ずれかの末端もしくは両方の末端において、これより数個(5、4、3、2、ま
たは1)のヌクレオチドだけ大きいか、または小さい範囲を含む。好ましくは、
これらのフラグメントは、生物学的活性を有するポリペプチドをコードする。よ
り好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、本明細書中で議論されるようにプ
ローブまたはプライマーとして使用され得る。ストリンジェントなハイブリダイ
ゼーション条件またはより低いストリンジェンシー条件下でこれらの核酸分子に
ハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた本発明に含まれ、これらのポリヌク
レオチドによりコードされるポリペプチドも同様に含まれる。本発明において、
「ポリヌクレオチドフラグメント」は、配列番号2に含まれるか、または寄託さ
れたクローンに含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配列の一部であ
るアミノ酸をいう。
【0084】 (ベクター、宿主細胞、およびタンパク質発現) 本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクター
を含む遺伝学的に操作された宿主細胞、および組換え技術によるMPIF−1、
ポリペプチドまたはフラグメントの生成に関する。本発明はさらに、細菌系にお
けるタンパク質生成に有用な新規な発現ベクターに関する。これらの新規なベク
ターは、pHE4シリーズのベクター、そして特にpHE4−5ベクターによっ
て例示される(図31および36A〜E)。
【0085】 本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、宿主における増殖につ
いての選択可能マーカーを含むベクターに結合され得る。以下で詳細に議論され
るように、一般にプラスミドベクターは、沈殿物(リン酸カルシウム沈殿物など
)において、または荷電脂質との複合体において、宿主細胞中に導入される。ベ
クターがウイルスである場合、ベクターは、適切なパッケージング細胞株を用い
てインビトロでパッケージングされ、次いで宿主細胞中に形質導入され得る。
【0086】 目的のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたシス作用制御領域を含むベク
ターは、本発明の実施における使用について好ましい。シス作用制御領域は、オ
ペレーターおよびエンハンサー配列を含む。本明細書中で使用される場合、用語
「オペレーター」は、通常DNAから構成される、隣接ヌクレオチド配列の転写
を制御するヌクレオチド配列をいう。オペレーター配列は、一般に細菌染色体由
来である。
【0087】 本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の、高等真核生物による
転写は、ベクターにエンハンサー配列を挿入することにより増大され得る。エン
ハンサーはシス作用エレメントであり、通常は約10〜約300bpであり、こ
れは所定の宿主細胞型においてプロモーターの転写活性を増大させるように作用
する。エンハンサーの例として、複製起点のbp100〜270の後期側に位置
するSV40エンハンサー、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハン
サー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエン
ハンサーが挙げられる。
【0088】 適切なトランス作用因子は、宿主によって供給され得るか、相補ベクターによ
って供給され得るか、または宿主中への導入に際してベクター自体によって供給
され得る。
【0089】 この点における特定の好ましい実施形態において、ベクターは特異的な発現を
提供し、それは誘導性および/または細胞型特異的であリ得る。そのようなベク
ターの中で特に好ましいものは、操作が容易な環境要因(例えば、温度および栄
養添加物)によって誘導されるものである。また、実施例30において記載され
るpHE4−5ベクターは、MPIF−1の発現について好ましい。
【0090】 本発明において有用なさらなる発現ベクターは、染色体由来のベクター、エピ
ソーム由来のベクター、およびウイルス由来ベクター(例えば、細菌プラスミド
、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント、ウイルス(例
えば、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイル
ス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、およびレトロウイルス)、およびそれ
らの組み合わせ由来のベクター(例えば、コスミドおよびファージミド))を含
む。
【0091】 適切な核酸配列は、種々の手順によってベクター中に挿入され得る。一般に、
核酸配列は、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位中に、当該分野で公知の手順に
よって挿入される。そのような手順および他のものは、当業者の範囲内であると
考えられる。
【0092】 核酸挿入物は、適切なプロモーター(例えば、ファージλPLプロモーター、
E.coli lacプロモーター、trpプロモーターおよびtacプロモー
ター、SV40初期プロモーターおよび後期プロモーター、ならびにレトロウイ
ルスLTRのプロモーター、ならびに原核生物細胞もしくは真核細胞またはそれ
らのウイルス中の遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーター
)に作動可能に連結されるべきである。他の適切なプロモーターは、当業者に公
知である。本明細書中で使用される場合、用語「プロモーター」は、ヌクレオチ
ド配列、または最小でRNAポリメラーゼ作用についての結合部位もしくは開始
部位を提供するヌクレオチド配列の群をいう。発現構築物はさらに、転写開始、
終結のための部位、および転写される領域において翻訳のためのリボソーム結合
部位を含む。構築物によって発現される成熟転写物のコード部分は、好ましくは
始めの翻訳開始、および翻訳されるべきポリペプチドの末端に適切に配置された
終結コドン(UAA、UGA、またはUAG)を含む。ベクターはまた、発現を
増強するための適切な配列を含み得る。
【0093】 本明細書中で使用される場合、句「作動可能に連結された」は、ヌクレオチド
配列が、配列の機能を変換し得るように別のヌクレオチド配列に結合される連結
をいう。例えば、プロモーター/オペレーターに作動可能に連結されたタンパク
質コード配列は、これらの配列の影響または制御下でタンパク質コード配列の発
現を行う。2つのヌクレオチド配列(例えば、タンパク質コード配列およびコー
ド配列の5’末端に連結されたプロモーター領域配列)は、プロモーター機能の
誘導がタンパク質コード配列mRNAの転写を生じる場合、そして2つのヌクレ
オチド配列間の連結の性質が(1)フレームシフト変異の導入を生じることも、
(2)発現調節配列がmRNAまたはタンパク質の発現を指向するのを妨げるこ
ともしない場合、作動可能に連結されているといわれる。従って、プロモーター
領域は、プロモーターがヌクレオチド配列の転写をもたらし得る場合、ヌクレオ
チド配列に作動可能に連結される。
【0094】 本明細書中で使用される場合、句「クローニングベクター」は、プラスミドも
しくはファージ核酸、または宿主細胞において自律的に複製し得、そして1つも
しくは少数のエンドヌクレアーゼ認識部位によって特徴付けられる他の核酸配列
をいい、この部位で、そのような核酸配列はベクターの必須の生物学的機能の欠
失なしに決定可能な様式で切断され得、この部位中で核酸がその複製およびクロ
ーニングを生じるようにスプライシングされ得る。クローニングベクターはさら
に、クローニングベクターを用いて形質転換された細胞の同定における使用に適
切なマーカーを含み得る。例えば、マーカーは、エリスロマイシンおよびカナマ
イシン耐性である。用語「ビヒクル」は、時に「ベクター」のために使用される
【0095】 本明細書中で使用される場合、句「発現ベクター」は、宿主中での発現ベクタ
ーの形質転換後、発現ベクター中にクローン化される構造遺伝子を発現し得るク
ローニングベクターに類似のベクターをいう。発現ベクターにおいて、クローン
化された構造遺伝子(目的の任意のコード配列)は、そのような遺伝子が特定の
宿主において発現されるのを可能にする特定の配列の制御下に置かれる(すなわ
ち、それに作動可能に連結される)。例えば、pHE4−5において、構造遺伝
子は、T5ファージプロモーター配列および2つのlacオペレーター配列に作
動可能に連結される。発現制御配列は変化し、そしてさらに特定の転写エレメン
ト(例えば、転写配列)および/または翻訳エレメント(例えば、開始および終
結部位)を含み得る。
【0096】 先に示されるように、発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択可能
マーカーを含む。そのようなマーカーは、真核細胞培養については、ジヒドロ葉
酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、そしてE.coliおよび他の細菌に
おける培養については、テトラサイクリン、カナマイシン、またはアンピシリン
耐性遺伝子を含む。適切な宿主の代表的な例としては以下を含むが、これらに限
定されない:細菌細胞(例えば、E. coli、およびStreptomyc
es、Salmonella typhimurium細胞);真菌細胞(例え
ば酵母細胞(例えばSaccharomyces cervisiaeまたはP
hichiaPastoris(ATCC受託番号201178)));昆虫細
胞(例えば、DrosophilaS2およびSpodoptera Sf9細
胞);動物細胞(例えば、CHO、COS、293またはBowes黒色腫細胞
);ならびに植物細胞。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は、
当該分野において公知である。
【0097】 本発明の実施における発現ベクターの使用に加えて、本発明はさらに、目的の
タンパク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたオペレーター
およびプロモーターエレメントを含む新規な発現ベクターを含む。そのようなベ
クターの1つの例は、pHE4−5(配列番号37)であり、これは以下および
実施例14の両方において詳細に記載される。pHE4−5ベクターは、アメリ
カンタイプカルチャーコレクション、特許寄託(10801 Universi
ty Boulevard,Manassas,Virginia 20110
−2209)に1997年9月30日に寄託され、そしてATCC受託番号20
9311を与えられた。
【0098】 図31および36において要約されるように、pHE4−5ベクター(配列番
号37)の成分は以下を含む:(1)選択マーカーとしてのネオマイシンホスホ
トランスフェラーゼ遺伝子、(2)E.coli複製起点、(3)T5ファージ
プロモーター配列、(4)2つのlacオペレーター配列、)5)MPIF−1
Δ23をコードするヌクレオチド配列(配列番号27)、(6)Shine−D
elgarno配列、(7)ラクトースオペロン抑制遺伝子(lacIq)。複
製起点(oriC)は、pUC19(LTI, Gaithersburg,
MD)由来である。プロモーター配列およびオペレーター配列を合成的に作製し
た。核酸配列の合成生成は当該分野において周知である。CLONTECH 9
5/96 Catalog, 215−216頁、CLONTECH, 102
0 East Circle, Palo Alto, CA 94303。
【0099】 上述のように、pHE4−5ベクターは、lacIq遺伝子を含む。lacI
qは、lacI遺伝子の対立遺伝子であり、lacオペレーターの強固な調節を
付与する。Amann,E.ら、Gene 69:301〜315(1988)
;Stark,M.、Gene 51:255〜267(1987)。lacI
q遺伝子は、lacオペレーター配列に結合し、そして下流(すなわち、3’)
配列の転写を阻止する、リプレッサータンパク質をコードする。しかし、lac
Iq遺伝子産物は、ラクトースかまたは特定のラクトースアナログ(例えば、イ
ソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG))のいずれかの存在下
で、lacオペレーターから分離する。従って、MPIF−1Δ23は、pHE
4−5ベクターを含む非誘導宿主細胞において、感知可能な量で産生されない。
しかし、IPTGのような薬剤の添加によるこれらの宿主細胞の誘導は、MPI
F−1Δ23コード配列の発現を生じる。
【0100】 pHE4−5ベクターのプロモーター/オペレーター配列(配列番号38)は
、T5ファージプロモーターおよび2つのlacオペレーター配列を含む。1つ
のオペレーターは、転写開始部位の5’側に配置され、そしてもう他方は、同部
位の3’側に位置する。これらのオペレーターは、lacIq遺伝子産物と組合
せて存在する場合、lacオペロンインデューサー(例えば、IPTG)の非存
在下での、下流配列の強固な抑制を与える。このlacオペレーターから下流に
位置する作動可能に連結された配列の発現は、lacオペロンインデューサー(
例えば、IPTG)の添加により誘導され得る。lacIqタンパク質へのla
cインデューサーの結合は、lacオペレーター配列からのそれらの解放、およ
び作動可能に連結された配列の転写の開始を生じる。遺伝子発現のlacオペロ
ン調節は、Devlin,T.、TEXTBOOK OF BIOCHEMIS
TRY WITH CLINICAL CORRELATIONS、第4版(1
997)、802〜807頁に概説される。
【0101】 pHE4シリーズのベクターは、MPIF−1Δ23コード配列を除くpHE
4−5ベクターの全ての構成要素を含む。pHE4ベクターの特徴は、最適化さ
れた合成T5ファージプロモーター、lacオペレーター、およびシャイン−ダ
ルガーノ配列を含む。さらに、これらの配列はまた、最適に間隔を空けられ、そ
の結果、挿入された遺伝子の発現は強固に調節され得、そして高レベルの発現が
誘導に際して生じる。
【0102】 本発明のタンパク質の生成における使用に適切な公知の細菌性プロモーターの
中には、E.coliのlacIおよびlacZプロモーター、T3およびT7
プロモーター、gptプロモーター、λ PRおよびPLプロモーター、ならび
にtrpプロモーターを含む。適切な真核生物プロモーターは、CMV前初期プ
ロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プ
ロモーター、レトロウイルスLTRのプロモーター(例えば、ラウス肉腫ウイル
ス(RSV))、ならびにメタロチオネインプロモーター(例えば、マウスメタ
ロチオネイン−Iプロモーター)が挙げられる。
【0103】 pHE4−5ベクターはまた、AUG開始コドンの5’側にシャイン−ダルガ
ーノ配列を含む。シャイン−ダルガーノ配列は、一般に、AUG開始コドンから
約10ヌクレオチド上流(すなわち、5’)に位置する短い配列である。これら
の配列は、本質的には、原核生物リボソームを、AUG開始コドンに向ける。
【0104】 従って、本発明はまた、細菌における本発明のタンパク質の産生に有用な発現
ベクターに関する。本発明のこの局面は、pHE4−5ベクター(配列番号37
)(ATCC受託番号20931)およびその改変体によって例示される。
【0105】 細菌における、本発明のタンパク質の発現における使用に好ましいさらなるベ
クターには、pQE70、pQE60およびpQE−9(Qiagen)、pD
10、pBSベクター、pD10、Phagescriptベクター、pBlu
escriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH4
6A(Stratageneから入手可能);ならびにptrc99a、pKK
233−3、pDR540、pRIT5(Pharmaciaから入手可能)が
挙げられる。好ましい真核生物ベクターの中には、pWLNEO、pSV2CA
T、pOG44、pXT1およびpSG(Stratageneから入手可能)
;ならびにpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmaci
aから入手可能)がある。
【0106】 他の適切なベクターは、当業者に容易に明白であり、そしてpBR322(A
TCC 37017)、pKK223−3(Pharmacia Fine C
hemicals,Uppsala,Sweden)、およびGEM1(Pro
mega Biotec,Madison,WI,USA)を含む。これらのp
BR322「バックボーン」切片は、適切なプロモーターおよび発現されるべき
構造配列と組み合わせられる。適切な宿主株の形質転換および宿主株の適切な細
胞密度までの増殖後、選択されたプロモーターは適切な手段(例えば、温度変化
または化学的誘導)によって誘導され、そして細胞はさらなる期間培養される。
【0107】 さらなる実施形態では、本発明は上記の構築物を含有する宿主細胞に関する。
宿主細胞は、高等真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞)または下等真核生物細
胞(例えば、酵母細胞)であり得るか、あるいは宿主細胞は原核生物細胞(例え
ば、細菌細胞)であり得る。構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムト
ランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチ
オン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感
染、または他の方法により達成され得る。そのような方法は、多くの標準的な実
験マニュアルにおいて記載される(例えば、Davisら, BASIC ME
THODS IN MOLECULAR BIOLOGY,(1986))。
【0108】 組換え構築物は、周知の技術(例えば、感染、形質導入、トランスフェクショ
ン、トランスベクション(transvection)、エレクトロポレーショ
ン、および形質転換)を用いて宿主細胞中に導入され得る。ベクターは、例えば
、ファージ、プラスミド、ウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターで
あり得る。レトロウイルスベクターは、複製コンピテントまたは複製欠失であり
得る。後者の場合において、ウイルス増殖は、一般に宿主細胞を相補する際にの
み起こる。
【0109】 宿主細胞は、本発明のベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベ
クターであり得る)を用いて遺伝子操作(形質導入または形質転換またはトラン
スフェクト)される。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファー
ジなどの形態であり得る。操作された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質
転換体の選択、またはMPIF−1および遺伝子の増幅に適切なように改変され
た従来の栄養培地において培養され得る。培地条件(例えば、温度、pHなど)
は、発現のために選択された宿主細胞に関して以前に使用された条件であり、当
業者に明白である。
【0110】 本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によりポリペプチドを産生するため
に用いられ得る。従って、例えば、ポリヌクレオチド配列は、ポリペプチドを発
現するための種々の発現ビヒクル、特にベクターまたはプラスミドのいずれか1
つに含まれ得る。このようなベクターは、染色体核酸配列、非染色体核酸配列、
および合成核酸配列を含む(例えば、SV40の誘導体;細菌性プラスミド;フ
ァージ核酸;酵母プラスミド;プラスミドおよびファージ核酸の組み合わせに由
来するベクター、ウイルス核酸(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウ
イルス、αウイルス、および仮性狂犬病))。しかし、宿主において複製可能で
、かつ存続可能である限り、他の任意のベクターも使用され得る。
【0111】 上記のように、本明細書中上記のような適切な核酸配列ならびに適切なプロモ
ーター配列または制御配列を含有するベクターは、適切な宿主を形質転換して宿
主にタンパク質を発現させるために用いられ得る。
【0112】 適切な宿主の代表的な例としては、以下が挙げられ得る:細菌細胞(例えば、
E. coli、Streptomyces、Salmonella typh
imurium);真菌細胞(例えば酵母);昆虫細胞(例えば、Drosop
hilaおよびSf9);動物細胞(例えば、CHO、COSまたはBowes
黒色腫);植物細胞など。適切な宿主の選択は、本明細書中の教示から当業者の
範囲内であると考えられる。
【0113】 さらに詳細には、本発明はまた、上記で広範に記載した1つ以上の配列を含む
組換え構築物を包含する。構築物は、ベクター(例えば、プラスミドベクターま
たはウイルスベクター)を含み、このベクターの中に、本発明の配列が正方向ま
たは逆方向に挿入されている。この実施形態の好ましい局面において、構築物は
さらに、配列に作動可能に連結された調節配列(例えば、プロモーターを含む)
を含む。非常に多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者には公知であ
り、そして市販される。以下のベクターが例として提供される。細菌性:pQE
70、pQE60、pQE−9(Qiagen)、pBS、pD10、phag
escript、psiX174、pBluescript SK、pbsks
、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratage
ne);ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540
、pRIT5(Pharmacia)。真核性:pWLNEO、pSV2CAT
、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene),pSVK3、pB
PV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかし、他の任意のプラス
ミドまたはベクターも、それらが宿主において複製可能で、かつ存続可能である
限り、使用され得る。
【0114】 宿主細胞中の構築物は、組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生する
ために、従来の方法において使用され得る。あるいは、本発明のポリペプチドは
、従来のペプチド合成機により合成的に産生され得る。
【0115】 成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌、または他の細胞中で、適切な
プロモーターの制御下で発現され得る。無細胞翻訳系もまた、そのようなタンパ
ク質を産生するために、本発明の核酸構築物に由来するRNAを使用して用いら
れ得る。原核生物宿主および真核生物宿主で使用される適切なクローニングベク
ターおよび発現ベクターは、Sambrookら、Molecular Clo
ning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Sp
ring Harbor,N.Y.(1989)(この開示は、本明細書中に参
考として援用される)に記載される。
【0116】 一般に、組換え発現ベクターは、複製起点および宿主細胞の形質転換を可能と
する選択マーカー(例えば、E.coliのアンピシリン耐性遺伝子およびS.
cerevisiaeのTRP1遺伝子)および下流の構造配列の転写を指示す
る高発現遺伝子由来のプロモーターを含有する。このようなプロモーターは、特
に解糖酵素(例えば、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK))、α因子、
酸性ホスファターゼ、または熱ショックタンパク質などをコードするオペロンに
由来し得る。異種構造配列は、翻訳開始配列および翻訳終結配列、および好まし
くは翻訳されたタンパク質の細胞周辺腔または細胞外培地への分泌を指示し得る
リーダー配列と適切な相内で組立てられる。随意に、異種配列は、所望の特徴を
与えるN末端同定ペプチド(例えば、発現された組換え産物の安定化または簡略
化された精製)を含む融合タンパク質をコードし得る。
【0117】 細菌での使用に有用な発現ベクターは、所望のタンパク質をコードする構造核
酸配列を、適切な翻訳開始シグナルおよび翻訳終結シグナルと共に、機能的なプ
ロモーターで作動可能な読み取り相で挿入することにより構築される。ベクター
は、ベクターの維持を確実にし、そして所望により宿主内での増幅を提供するた
めに1つ以上の表現型選択マーカー、および複製起点を含有する。形質転換のた
めに適切な原核生物宿主は、E.coli、Bacillus subtili
s、Salmonella typhimurium、およびPseudomo
nas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus
属内の種々の種を包含するが、他の種もまた選択対象に用いられ得る。
【0118】 細胞は、代表的には遠心分離により回収され、物理的手段または化学的手段に
より破砕され、そして得られた粗抽出物はさらなる精製のために保持される。
【0119】 タンパク質の発現において用いられる微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音
波処理、機械的破砕、または細胞溶解剤の使用を包含する任意の便利な方法によ
り破砕され得、そのような方法は、当業者に周知である。
【0120】 種々の哺乳動物細胞の培養系もまた、組換えタンパク質を発現するために用い
られ得る。哺乳動物発現系の例は、Gluzman、Cell 23:175(
1981)に記載されたサル腎臓線維芽細胞のCOS−7株、および適合性のベ
クターを発現し得る他の細胞株(例えば、C127、3T3、CHO、HeLa
、およびBHK細胞株)を包含する。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適切
なプロモーターおよびエンハンサーを含み、そして任意の必要なリボソーム結合
部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプタ
ー部位、転写終結配列、および5’隣接非転写配列をも含む。SV40ウイルス
スプライスおよびポリアデニル化部位に由来する核酸配列は、必要な非転写遺伝
エレメントを提供するために使用され得る。
【0121】 MPIF−1ポリペプチドおよび好ましくは、その分泌された形態は、以下か
ら回収され得る:天然の精製産物(体液、組織および細胞を含み、直接単離され
るかまたは培養される);化学合成手順の産物;および原核生物宿主または真核
生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳
動物細胞を含む)から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順にお
いて用いられる宿主に依存して、MPIF−1ポリペプチドは、グリコシル化さ
れていてもよく、またはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、MPIF
−1ポリペプチドはまた、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、改
変された開始メチオニン残基を含み得る。従って、翻訳開始コドンによってコー
ドされているN末端メチオニンは、一般的に、すべての真核生物細胞において翻
訳後に任意のタンパク質から高い効率で除去されることが当該分野において周知
である。大部分の原核生物においても、大部分のタンパク質上のN末端メチオニ
ンはまた、効率的に除去されるが、いくつかのタンパク質では、この原核生物の
除去プロセスは、N末端メチオニンが共有結合しているアミノ酸の性質に依存し
て、非効率的である。
【0122】 本明細書中で議論されるベクター構築物を含む宿主細胞を包含することに加え
て、本発明はまた、内因性遺伝物質(例えば、MPIF−1コード配列)を欠失
もしくは置換するように、ならびに/または本発明のMPIF−1ポリヌクレオ
チドに作動可能に結合され、そして内因性MPIF−1ポリヌクレオチドを活性
化し、変更し、および/もしくは増幅する遺伝物質(例えば、異種ポリヌクレオ
チド配列)を含むように操作されている初代の、二代目の、および不死化された
、脊椎動物起源(特に、哺乳動物起源)の宿主細胞を含む。例えば、当該分野で
公知の技術を使用して、異種制御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエ
ンハンサー)ならびに内因性MPIF−1ポリヌクレオチド配列を相同組換えを
介して作動可能に結合し得る(例えば、1997年6月24日に発行された、米
国特許第5,641,670号;1996年9月26日に公開された、国際公開
番号WO96/29411;1994年8月4日に公開された、国際公開番号W
O94/12650;Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 86:8932〜8935(1989);およびZijlstraら
、Nature 342:435〜438(1989)を参照のこと(これらの
開示の各々は、これら全体が参考として援用される))。
【0123】 (MPIF−1ポリペプチド) 本発明はさらに、単離したMPIF−1ポリペプチドに関連し、それは、寄託
されたcDNAによってコードされるアミノ酸配列、または図1のアミノ酸配列
(配列番号2)、あるいは上記ポリペプチドの部分を含むかあるいはこれからな
るペプチドまたはポリペプチドを有する。用語「ペプチド」および「オリゴペプ
チド」は、(一般に認識されているように)同義とみなされ、そして各々の用語
は、文脈がペプチド結合により結合した少なくとも2つのアミノ酸の鎖を示すこ
とが必要である場合に、交換可能に使用され得る。用語「ポリペプチド」は、1
0個より多いアミノ酸残基を含む鎖について、本明細書中で使用される。本明細
書中の全てのオリゴペプチドおよびポリペプチドの式または配列は、アミノ末端
からカルボキシ末端の方向に左から右に書かれる。本発明はさらに、本発明のポ
リヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列を含むか、あるいはこれ
らから構成されるか、あるいはこれらからなるタンパク質を提供する。
【0124】 本発明はまた、配列番号2に開示され、そして/または寄託されたクローンに
よってコードされるポリペプチドの改変体を包含する。
【0125】 「改変体」とは、MPIF−1ポリヌクレオチドまたはMPIF−1ポリペプ
チドとは異なるが、その必須の特性は保持する、ポリヌクレオチドまたはポリペ
プチドを言及する。一般的に、改変体は全体的に酷似しており、そして多くの領
域においてMPIF−1ポリヌクレオチドまたはMPIF−1ポリペプチドと同
一である。
【0126】 好ましくは、本発明のポリヌクレオチドフラグメントは、MPIF−1機能的
活性を示すポリペプチドをコードする。MPIF−1「機能的活性」を示すポリ
ペプチドとは、全長(完全)MPIF−1タンパク質と関連した1つ以上の公知
の機能的活性を示し得るポリペプチドを意味する。これらの機能的活性としては
、以下が、挙げられるが、これらに限定されない:生物学的活性、抗原性、抗M
PIF−1抗体と結合する能力(または、結合のためにMPIF−1ポリペプチ
ドと競合する能力)、免疫原性(MPIF−1ポリペプチドと結合する抗体を産
生する能力)、本発明のMPIF−1ポリペプチドと多量体を形成する能力、な
らびにMPIF−1ポリペプチドがレセプターまたはリガンドと結合する能力。
【0127】 MPIF−1ポリペプチド、ならびにそれらのフラグメント、改変体、誘導体
、およびアナログの機能的活性は、種々の方法によってアッセイされ得る。
【0128】 例えば、抗MPIF−1抗体への結合についてMPIF−1の全長ポリペプチ
ドに結合するか、またはそれと競合する能力についてアッセイする、1つの実施
形態では、当該分野で公知の種々の免疫アッセイが、用いられ得る。このような
アッセイとしては、放射免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ
)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫放射分析アッセイ、ゲル拡散沈降反応
、免疫拡散アッセイ、インサイチュ免疫アッセイ(例えば、コロイド金、酵素ま
たは放射性同位体標識を用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセ
イ(例えば、ゲル凝集アッセイ、血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫
蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどのよう
な技術を用いる競合および非競合アッセイ系が挙げられるが、これらに限定され
ない。1つの実施形態では、抗体結合が、一次抗体上の標識を検出することによ
って検出される。別の実施形態では、この一次抗体は、この一次抗体に対する二
次抗体または試薬の結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態
では、この二次抗体が標識される。多くの手段が、免疫アッセイにおける結合の
検出について当該分野で公知であり、そして本発明の範囲内である。
【0129】 別の実施形態では、MPIF−1レセプターまたはリガンドが同定されるか、
あるいは本発明のポリペプチドフラグメント、改変体、または誘導体が多量体化
する能力が評価される場合、結合が、例えば、還元および非還元ゲルクロマトグ
ラフィー、タンパク質アフィニティークロマトグラフィー、ならびにアフィニテ
ィーブロッティングのような当該分野で周知の手段によって、アッセイされ得る
。一般には、Phizicky、E.ら、1995、Microbiol.Re
v.59:94−123を参照のこと。別の実施形態では、その基質へのMPI
F−1結合の生理学的相関(シグナル伝達)がアッセイされ得る。
【0130】 さらに、本明細書中に記載されるアッセイ(実施例を参照のこと)およびそう
でなければ当該分野において公知のアッセイは、MPIF−1ポリペプチドおよ
びそのフラグメント、改変誘導体およびアナログがMPIF−1関連生物活性を
(インビトロまたはインビボのいずれかで)誘発する能力を測定するために慣用
的に適用され得る。他の方法は、当業者に公知であり、本発明の範囲内である。
【0131】 本発明のMPIF−1ポリペプチドは、モノマーまたはマルチマー(すなわち
、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびより高度のマルチマー)であり得る。
従って、本発明は、モノマーおよびマルチマーの本発明のMPIF−1ポリペプ
チド、それらの調製およびそれらを含む組成物(好ましくは、薬学的組成物)に
関する。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、モノマー、ダイマ
ー、トリマーまたはテトラマーである。さらなる実施形態において、本発明のマ
ルチマーは、少なくともダイマー、少なくともトリマー、または少なくともテト
ラマーである。
【0132】 本発明によって包含されるマルチマーは、ホモマーまたはヘテロマーであり得
る。本明細書中で用いられる場合、用語ホモマーとは、本発明のMPIF−1ポ
リペプチド(本明細書中に記載されるMPIF−1のフラグメント、改変体およ
び融合タンパク質を含む)のみを含むマルチマーのことをいう。これらのホモマ
ーは、同一または異なるポリペプチド配列を有するMPIF−1ポリペプチドを
含み得る。特定の実施形態において、本発明のホモマーは、同一のポリペプチド
配列を有するMPIFタンパク質のみを含むマルチマーである。別の特定の実施
形態において、本発明のホモマーは、異なるポリペプチド配列を有するMPIF
タンパク質を含むマルチマーである。特定の実施形態において、本発明のマルチ
マーは、ホモダイマー(例えば、同一または異なるポリペプチド配列を有するM
PIFタンパク質を含む)またはホモトリマー(例えば、同一または異なるポリ
ペプチド配列を有するMPIFタンパク質を含む)である。さらなる実施形態に
おいて、本発明のホモマー性マルチマーは、少なくともホモダイマー、少なくと
もホモトリマー、または少なくともホモテトラマーである。
【0133】 本明細書中で用いられる場合、用語ヘテロマーとは、本発明のMPIFタンパ
ク質に加えて異種タンパク質(すなわち、MPIF遺伝子によってコードされる
ポリペプチド配列に対応しないポリペプチド配列のみを含むタンパク質)を含む
マルチマーをいう。特定の実施形態において、本発明のマルチマーは、ヘテロダ
イマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーである。さらなる実施形態にお
いて、本発明のホモマー性マルチマーは、少なくともホモダイマー、少なくとも
ホモトリマー、または少なくともホモテトラマーである。
【0134】 本発明のマルチマーは、疎水結合、親水結合、イオン結合および/もしくは共
有結合の結果であり得、ならびに/または例えば、リポソーム形成によって間接
連結され得る。従って、1つの実施形態において、本発明のマルチマー(例えば
、ホモダイマーまたはホモトリマー)は、本発明のタンパク質が溶液中で互いに
接触する場合に形成される。別の実施形態において、本発明のへテロマルチマー
(例えば、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーなど)は、本発明のタンパク
質が、溶液中で本発明のポリペプチドに対する抗体(本発明の融合タンパク質に
おける異種ポリペプチド配列に対する抗体を含む)と接触する場合に形成される
。他の実施形態において、本発明のマルチマーは、本発明のMPIFタンパク質
との、および/または本発明のMPIFタンパク質間での共有結合によって形成
される。このような共有結合は、ポリペプチド配列(配列番号2に記載されるポ
リペプチド配列およびATCC寄託番号75676に含まれるcDNAクローン
によってコードされるポリペプチド)中に含まれる1以上のアミノ酸残基を含み
得る。1つの例において、この共有結合は、ネイティブ(すなわち、天然に存在
する)ポリペプチドにおいて相互作用するタンパク質のポリペプチド配列内に位
置するシステイン残基間での架橋である。別の例において、この共有結合は、化
学的操作または組換え操作の結果である。あるいは、このような共有結合は、M
PIF融合タンパク質中の異種ポリペプチド配列において含まれる1以上のアミ
ノ酸残基を含み得る。1つの例において、共有結合は、本発明の融合タンパク質
に含まれる異種配列間にある(例えば、米国特許第5,478,925号を参照
のこと)。特定の例において、この共有結合は、(本明細書中に記載されるよう
な)本発明のMPIF−Fc融合タンパク質に含まれる異種配列間にある。
【0135】 別の実施形態において、本発明のMPIFポリペプチドおよびそのエピトープ
保有フラグメントは、異種抗原(例えば、ポリペプチド、炭水化物、リン脂質、
または核酸)と融合される。
【0136】 特定の実施形態において、異種抗原は、免疫原である。より特定の実施形態に
おいて、異種抗原は、HIVのgp120タンパク質またはそのフラグメントで
ある。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、本発明によ
って包含される。
【0137】 本発明のマルチマーは、当該分野で公知の化学技術を用いて生成され得る。例
えば、本発明のマルチマーに含まれることが所望されるタンパク質は、当該分野
で公知のリンカー分子およびリンカー分子長最適化技術を用いて化学的に架橋さ
れ得る(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許第5
,478,925号を参照のこと)。さらに、本発明のマルチマーは、当該分野
で公知の技術を用いて生成されて、マルチマーに含まれることが所望されるタン
パク質のポリペプチド配列内に位置するシステイン残基間の1つ以上の分子間架
橋を形成し得る(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国
特許第5,478,925号を参照のこと)。さらに、本発明のタンパク質は、
タンパク質のポリペプチド配列のC末端またはN末端へのシステインまたはビオ
チンの付加によって慣用的に改変され得、そして当該分野で公知の技術が、1つ
以上のこれらの改変されたポリペプチドを含むマルチマーを生成するために適用
され得る(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許第
5,478,925号を参照のこと)。さらに、当該分野で公知の技術は、本発
明のマルチマーに含まれることが所望されるタンパク質成分を含むリポソームを
生成するために適用され得る(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用
される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。
【0138】 あるいは、本発明のマルチマーは、当該分野で公知の遺伝子工学技術を用いて
生成され得る。1つの実施形態において、本発明のマルチマー中に含まれるタン
パク質は、本明細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の融合タ
ンパク質技術を用いて組換え的に産生される(例えば、米国特許第5,478,
925号を参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考として援用される
)。特定の実施形態において、本発明のホモダイマーをコードするポリヌクレオ
チドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、リンカー
ポリペプチドをコードする配列に連結し、次いで、もともとのC末端からN末端
(リーダー配列を欠く)へと逆方向でポリペプチドの翻訳産物をコードする合成
ポリヌクレオチドに、さらに連結することによって生成される(例えば、米国特
許第5,478,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考
として援用される)。別の実施形態において、本明細書中に記載されるかまたは
さもなくば当該分野で公知の組換え技術が適用されて、膜貫通ドメインを含む本
発明の組換えポリペプチドを生成し、そしてこれは、膜再構成技術によってリポ
ソームに取り込まれ得る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこ
と、これは、本明細書中でその全体が参考として援用される)。
【0139】 さらに、本発明のタンパク質は、当該分野で公知の技術(例えば、Creig
hton、1983、Proteins:Structures and Mo
lecular Principles、W.H.Freeman&Co.,N
.Y.およびHunkapillerら、Nature 310:105−11
1(1984))を用いて化学的に合成され得る。例えば,本発明のMPIFポ
リペプチドのフラグメントに対応するポリペプチドは、ペプチド合成装置の使用
によって合成され得る。さらに、所望であれば,非古典的アミノ酸または化学ア
ミノ酸アナログは、MPIFポリペプチド配列中への置換または付加として導入
され得る。非古典的アミノ酸は、以下を含むがこれらに限定されない:標準アミ
ノ酸のD−アイソマー、2,4−ジアミノ酪酸、a−アミノイソ酪酸、4−アミ
ノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、gAbu、eAhx、6−アミノヘキサン酸
、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルチニン、ノルロ
イシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシト
ルリン、システイック酸(cysteic acid)、t−ブチルグリシン、
t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、b−アラニ
ン、フルオロ−アミノ酸、設計されたアミノ酸(例えば、b−メチルアミノ酸、
Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルアミノ酸)、および一般なアミノ酸アナロ
グ。さらに、アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
【0140】 天然に存在しない改変体は、当該分野で公知の変異誘発技術を使用して産生さ
れ得、この技術としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:オリゴ
ヌクレオチド媒介変異誘発、アラニンスキャニング、PCR変異誘発、部位特異
的変異誘発(例えば、Carterら、Nucl.Acids Res.13:
4331(1986);およびZollerら、Nucl.Acids Res
.10:6487(1982)を参照のこと)、カセット変異誘発(例えば、W
ellsら、Gene 34:315(1985)を参照のこと)、制限選択変
異誘発(例えば、Wellsら、Philos.Trans.R.Soc.Lo
ndon Ser.A 317:415(1986)を参照のこと)。
【0141】 本発明は、翻訳の間または翻訳の後に差示的に改変される(例えば、グリコシ
ル化,アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘
導体化、タンパク質分解的切断、抗体分子または他の細胞性リガンドに対する連
結など)MPIFポリペプチドを含む。多くの任意の化学的改変が、以下を含む
がこれらに限定されない公知の技術によって行なわれ得る:臭化シアン、トリプ
シン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による特異的
化学切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシン存在下におけ
る代謝的合成;など。
【0142】 本発明によって含まれるさらなる翻訳後改変は、例えば、N結合型糖鎖または
O結合型糖鎖(N末端およびC末端のプロセシング)、アミノ酸骨格に対する化
学的部分の付着、N連結糖鎖またはO連結糖鎖の化学的改変、および原核宿主細
胞の発現の結果としてN末端メチオニン残基の付加または欠失を含む。ポリペプ
チドはまた、タンパク質の検出および単離を可能にする、酵素的、蛍光的、同位
体的または親和性標識のような検出可能な標識を用いて改変され得る。
【0143】 本発明によってまた与えられるのは、化学的に改変されたMPIFの誘導体で
あり、これは、ポリペプチドの可溶性、安定性および循環時間の増加または免疫
原性の減少のようなさらなる利点を与え得る(米国特許第4,179,337号
を参照のこと)。誘導体化のための化学的成分は、例えば、ポリエチレングリコ
ール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチ
ルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどのような、水溶性ポリ
マーから選択され得る。ポリペプチドは、分子中のランダムな部位、または分子
中の予め決定された部位を改変され得、そして1、2、3以上の付加した化学的
成分を含み得る。
【0144】 このポリマーは、任意の分子量のポリマーであり得、そして分枝状であっても
非分枝状であってもよい。ポリエチレングリコールに関しては、好ましい分子量
は、取り扱いおよび製造の容易さのために、約1kDaと約100kDaとの間
(用語「約」は、ポリエチレングリコールの調製において、いくつかの分子は示
した分子量よりも重く、いくつかは示した分子量よりも軽いことを示す)である
。所望の治療的プロフィール(例えば、所望される持続放出の持続時間、ある場
合には生物学的活性に対する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程度または抗原
性がないこと、および治療タンパク質またはアナログに対するポリエチレングリ
コールの他の公知の効果)に依存して、他のサイズが用いられ得る。例えば、ポ
リエチレングリコールは、約200、500、1000、1500、2000、
2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6
000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、95
00、10,000、10,500、11,000、11,500、12,00
0、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500
、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、
17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、2
0,000 、25,000、30,000、35,000、40,000、5
0,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75
,000、80,000、85,000、90,000、95,000、または
100,000kDaの平均分子量を有し得る。
【0145】 上記のように、ポリエチレングリコールは、分枝構造を有していてもよい。分
枝ポリエチレングリコールは、例えば、以下に記載される:米国特許第5,64
3,575号;Morpurgoら、Appl.Biochem.Biotec
hnol.56:59−72(1996);Vorobjevら、Nucleo
sides Nucleotides 18:2745−2750(1999)
;およびCalicetiら、Bioconjug.Chem.10:638−
646(1999)(これらの各々の開示は、本明細書中において参考として援
用される)。
【0146】 ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、このタンパク質の
機能的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮してタンパク質に結合
されるべきである。当業者に利用可能な多数の結合方法が存在する(例えば、本
明細書中に参考として援用される、EP 0 401 384(G−CSFにP
EGを結合する)、Malikら,Exp.Hematol.20:1028−
1035(1992)(塩化トレシルを用いたGM−CSFのペグ化(pegy
lation)を報告する)もまた参照のこと)。例えば、ポリエチレングリコ
ールは、反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基)によってア
ミノ酸残基を介して共有結合され得る。反応性基は、活性化ポリエチレングリコ
ール分子が結合し得る基である。遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基としては
、リジン残基およびN末端アミノ酸残基が挙げられ得る;遊離のカルボキシル基
を有するアミノ酸残基としては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基および
C末端アミノ酸残基が挙げられ得る。スルフヒドリル残基もまた、ポリエチレン
グリコール分子を結合するための反応性基として用いられ得る。治療目的のため
に好ましいのは、アミノ基での結合、例えば、N末端またはリジン基での結合で
ある。
【0147】 上記で示唆されるように、ポリエチレングリコールは、多くのアミノ酸残基の
いずれかへの結合を介してタンパク質に結合され得る。例えば、ポリエチレング
リコールは、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸
残基、またはシステイン残基への共有結合を介してタンパク質に連結され得る。
1つ以上の反応化学系を用いて、タンパク質の特定のアミノ酸残基(例えば、リ
ジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン)またはタ
ンパク質の1つより多くの型のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、ア
スパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびそれらの組み合わせ)にポリエ
チレングリコールを結合し得る。
【0148】 N末端で化学修飾されたタンパク質を具体的に所望し得る。ポリエチレングリ
コールを本発明の組成の例示として用いて、種々のポリエチレングリコール分子
から(分子量、分枝などによって)、反応混合物中でのポリエチレングリコール
分子のタンパク質(またはペプチド)分子に対する比、行われるべきペグ化反応
の型、および選択されたN末端ペグ化タンパク質の獲得方法を選択し得る。N末
端ペグ化調製物の獲得方法(すなわち、必要な場合、この部分を他のモノペグ化
部分から分離すること)は、ペグ化タンパク質分子の集団からの、N末端ペグ化
物質の精製により行われ得る。N末端修飾で化学修飾された選択的タンパク質は
、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なる型の第1級アミノ基(
リジン対N末端)の示差的反応性を利用する還元的アルキル化によって達成され
得る。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーを用いた、N末端での
タンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
【0149】 上記のように、本発明のタンパク質のペグ化(pegylation)は、か
なり多数の手段によって、達成され得る。例えば、ポリエチレングリコールは、
直接的または介在性リンカーによってのいずれかによってタンパク質に接続され
得る。タンパク質にポリエチレングリコールを接続させるためのリンカーレス(
linkerless)システムは、Delgadoら、Crit.Rev.T
hera.Drug Carrir Sys.9:249−304(1992)
;Francisら、Intern.J.of Hematol.68:1−1
8(1998);米国特許第4,002,531号;米国特許第5,349,0
52号;WO95/06058;およびWO98/32466に記載される。こ
れらの各々の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0150】 介在性リンカーを伴わずに、ポリエチレングリコールを直接、タンパク質のア
ミノ酸残基に接続させるための一つの系は、トレシル化(tresylated
)されたMPEGを利用する。トレシル化されたMPEGは、塩化トレシル(C
lSO2CH2CF3)を使用するモノメトキシ(monmethoxy)ポリエ
チレングリコール(MPEG)の改変によって生成される。トレシル化されたM
PEGを用いるタンパク質の反応の際に、ポリエチレングリコールが、直接タン
パク質のアミン基と接続される。従って、本発明は、2,2,2−トリフルオロ
エタン(trifluoreothane)スルホニル基を有するポリエチレン
グリコール分子と本発明のタンパク質を反応させることによって産生されるタン
パク質ポリエチレングリコール結合体を含む。
【0151】 ポリエチレングリコールはまた、多数の異なる介在性リンカーを使用して、タ
ンパク質と接続され得る。例えば、米国特許第5,612,460号(この全体
の開示は、本明細書中で参考として援用される)は、タンパク質とポリエチレン
グリコールを連結するためのウレタンリンカーを開示する。タンパク質−ポリエ
チレングリコール結合体(ここで、ポリエチレングリコールは、リンカーによっ
てタンパク質と接続される)はまた、化合物(例えば、MPEG−スクシンイミ
ジルスクシネート、1,1’−カルボニルジイミダゾールで活性化されたMPE
G、MPEG−2,4,5−トリクロロペニルカーボネート、MPEG−p−ニ
トロフェノールカーボネート、および種々のMPEGスクシネート誘導体)とタ
ンパク質との反応によって、産生され得る。多数のさらなるポリエチレングリコ
ール誘導体およびポリエチレングリコールをタンパク質に接続するための反応化
学は、WO98/32466に記載され、その全体の開示は、本明細書中に参考
として援用される。本明細書中で設定された反応化学を使用して産生されるペグ
化タンパク質産物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0152】 本発明の各タンパク質に接続されるポリエチレングリコール部分の数(すなわ
ち、置換の程度)はまた、変動し得る。例えば、本発明のペグ化タンパク質は、
平均して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、2
0、以上のポリエチレングリコール分子と連結され得る。同様に、タンパク質分
子当たりの置換の平均程度は、例えば、1−3、2−4、3−5、4−6、5−
7、6−8、7−9、8−10、9−11、10−12、11−13、12−1
4、13−15、14−16、15−17、16−18、17−19、または1
8−20のポリエチレングリコール部分の範囲内である。置換の程度を決定する
ための方法は、例えば、Delgadoら、Crit.Rev.Thera.D
rug Carrier Sys.9:249−304(1992)において議
論される。
【0153】 「MPIF−1活性を有するポリペプチド」とは、特定の生物学的アッセイに
おいて測定されるように、本発明のMPIF−1タンパク質(全長タンパク質ま
たは好ましくは成熟タンパク質)の活性に類似するが必ずしも同一ではない活性
を提示するポリペプチドを意図する。MPIF−1タンパク質活性は、実施例9
、10ならびに図5に記載されるアッセイによって測定され得る。例えば、MP
IF−1タンパク質活性は、以下の実施例9に開示されるインビトロ骨髄保護(
myeloprotection)アッセイを使用して測定された。
【0154】 手短には,細胞の系統枯渇集合(Lin-細胞)をマウスの骨髄から単離し、
MPIF−1を有するか、または有さない状態の複数のサイトカインの存在下で
インキュベートした。48時間後、5−Fuおよびインキュベーションを受けた
各培養の1組は、次いでさらに24時間継続され、その時点で当業者に公知の任
意の適切なクローン原生アッセイによって残存低増殖能力コロニー形成細胞(L
PP−CFC)の数が決定される。大部分の割合(例えば、30〜50%以上、
例えば、40%以上)のLPP−CFCが、MPIF−1の存在下で5−Fuに
誘発された細胞傷毒性から保護された。それに対して、無関係なタンパク質の存
在下、MPIF−1が存在しない状態では、LPP−CFCに対する保護がほと
んど(<5%)観察されなかった。このようなアッセイにおいて、高増殖性能力
コロニー形成細胞(HPP−CFC)は、MPIF−1の存在下において、5−
Fu誘発細胞毒性から保護したが、いくつかの場合においては、そうではなかっ
た。LPP−CFCが保護されない場合、HPP−CFCは、一般的に保護され
ない。
【0155】 MPIF−1タンパク質活性はまた、実施例16〜18に開示される致死量以
下および致死量モデルによって、そして実施例19に開示される細胞保護(cy
toprotection)方法によって測定され得る。
【0156】 従って「MPIF−1タンパク質活性を有するポリペプチド」は、上記アッセ
イにおいて、MPIF−1活性を示すポリペプチドを含む。活性の程度がMPI
F−1タンパク質と同一である必要はないが、好ましくは、「MPIF−1タン
パク質活性を有するポリペプチド」は、MPIF−1タンパク質と比較して実質
的に類似した活性を示す(すなわち、候補ポリペプチドは、参照MPIF−1タ
ンパク質と比較して、より大きな活性または約20分の1以上、好ましくは、約
10分の1以上の活性を示す)。
【0157】 本発明は、さらに、図1の推定アミノ酸配列(配列番号2)を有するか、また
は寄託されたcDNAによってコードされるアミノ酸配列、ならびにこのような
ポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体によってコードされるアミ
ノ酸配列を有するMPIF−1ポリペプチドに関する。
【0158】 用語「フラグメント」、「誘導体」、および「アナログ」は、図1のポリペプ
チド(配列番号2)または寄託されたcDNAによってコードされるポリペプチ
ドを参照する場合、そのようなポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を本
質的に保持するポリペプチドを意味する。従って、アナログは、プロタンパク質
部分の切断によって活性され、活性な成熟ポリペプチドを生成し得るプロタンパ
ク質を含む。
【0159】 本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然ポリペプチド、または合
成ポリペプチド、好ましくは組換えポリペプチドであり得る。
【0160】 図1(配列番号2)のまたは寄託されたcDNAによりコードされたポリペプ
チドのフラグメント、誘導体、またはアナログは、(i)1つ以上のアミノ酸残
基が保存されたまたは保存されていないアミノ酸残基(好ましくは、保存された
アミノ酸残基)と置換され、およびこのような置換されたアミノ酸残基が遺伝コ
ードによってコードされたものであるかまたはそうでないもの、または(ii)
1つ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または(iii)成熟ポリペプチ
ドが別の化合物(例えば、ポリペプチドの半減期を増大させる化合物(例えば、
ポリエチレングリコール)と融合されたもの、またはさらなるアミノ酸(例えば
、リーダーまたは分泌配列または成熟ポリペプチドの精製のために使用される配
列またはプロタンパク質配列)が成熟ポリペプチドと融合されたものであり得る
。このようなフラグメント、誘導体、およびアナログは、本明細書における教示
から当業者の範囲内であると判断される。
【0161】 任意のMPIF−1ポリペプチドは、融合タンパク質を産生するために使用さ
れ得る。例えば、MPIF−1ポリペプチドは、第2のタンパク質に融合される
場合、抗原性タグとして使用され得る。MPIF−1ポリペプチドに対して惹起
される抗体は、MPIF−1に結合することによって、この第2のタンパク質を
間接的に検出するために使用され得る。さらに、分泌タンパク質は、細胞の位置
を輸送シグナルに基づいて標的とするので、MPIF−1ポリペプチドは、他の
タンパク質に一旦融合されると標的化分子として使用され得る。
【0162】 MPIF−1ポリペプチドに融合され得るドメインの例は、異種シグナル配列
のみならず、また他の異種機能性領域をも含む。融合は、必ずしも直接的である
必要はないが、リンカー配列を介して起こり得る。
【0163】 本発明のポリペプチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、好ましく
は、均質に精製される。
【0164】 本発明のポリペプチドは、配列番号2のポリペプチド(特に、成熟ポリペプチ
ド)、ならびに配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも95%類似性(な
おより好ましくは、少なくとも95%同一)を有するポリペプチドを含み、また
、このようなポリペプチドの部分を含み、そして少なくとも25アミノ酸、少な
くとも30アミノ酸、少なくとも35アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少な
くとも45アミノ酸、より好ましくは少なくとも50アミノ酸、少なくとも55
アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも65アミノ酸、少なくとも70
アミノ酸、少なくとも75アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも85
アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも95アミノ酸、少なくとも10
0アミノ酸を有するこのようなポリペプチドの部分を含む。
【0165】 タンパク質(ポリペプチド)フラグメントは、「独立の(free−stan
ding)」であり得るか、またはフラグメントが形成する一部分もしくは領域
、最も好ましくは、1つの連続した領域のより大きなポリぺプチド内に含まれ得
る。本発明のポリぺプチドフラグメントの代表的な例は、例えば、おおよそのア
ミノ酸番号1〜20、21〜40、41〜60、61〜80、81〜100、1
02〜120、121〜140、141〜160、または161からコード領域
末端までのフラグメントを含むかあるいはこれらからなる。さらに、ポリぺプチ
ドフラグメントは、長さが約20、30、40、50、60、70、80、90
、100、110、120、130、140、または150アミノ酸であり得る
。この状況において、「約」は、いずれかの末端もしくは両方の末端で、具体的
に列挙される範囲または値、いくつか(5、4、3、2、もしくは1個)のアミ
ノ酸だけ、より大きなまたはより小さな範囲または値を含む。
【0166】 タンパク質のN末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、タンパク質の1つ以
上の生物学的機能の欠失の改変を生じたとしても、他の機能的活性(例えば、生
物学的活性、多量化する能力、MPIF−1リガンドに結合する能力)はなお保
持され得る。例えば、ポリペプチドの完全な形態または成熟形態を認識する抗体
を誘導および/または結合する、短縮されたMPIF−1ムテインの能力は、一
般に、完全また成熟したポリペプチドの大多数より少ない残基が、N末端から除
去される場合に保持される。完全なポリペプチドのN末端残基を欠損する特定の
ポリぺプチドが、このような免疫原性活性を保持するか否かは、本明細書中に記
載される慣用的な方法、およびそうでなければ当該分野において公知の慣用的な
方法によって容易に決定され得る。多数の欠失したN末端アミノ酸残基を有する
MPIF−1ムテインは、いくつかの生物学的活性または免疫原性活性を保持し
得るようである。実際に、6つと同じくらい少ないMPIF−1アミノ酸残基か
ら構成されるペプチドは、しばしば免疫応答を惹起し得る。
【0167】 従って、ポリペプチドフラグメントは、分泌MPIF−1タンパク質ならびに
成熟形態を含む。さらに好ましいポリペプチドフラグメントは、アミノ末端もし
くはカルボキシ末端、またはその両方から、連続した欠失残基を有する分泌MP
IF−1タンパク質または成熟形態を含む。例えば、任意の数のアミノ酸(1〜
60の範囲)は、分泌MPIF−1ポリペプチドまたは成熟形態のいずれかのア
ミノ末端から欠失され得る。同様に、任意の数のアミノ酸(1〜30の範囲)が
、分泌MPIF−1タンパク質または成熟形態のいずれかのカルボキシ末端から
欠失され得る。さらに、上記アミノ末端の欠失およびカルボキシ末端の欠失の任
意の組み合わせが好ましい。同様に、これらのポリペプチドフラグメントをコー
ドスルポリヌクレオチドもまた好ましい。
【0168】 当該分野で知られるように、2つのポリペプチド間の「類似性」は、1つのポ
リペプチドのアミノ酸配列およびその保存されたアミノ酸置換を第2のポリペプ
チドの配列と比較することにより決定される。
【0169】 もちろん、遺伝コードの縮重に起因して、当業者は、寄託されたcDNA(A
TCC 75676)の核酸配列または図1〜20Aに示された核酸配列(配列
番号1または6)に少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、また
は99%同一である配列を有する大量の核酸分子が、「MPIF−1タンパク質
活性を有する」ポリペプチドをコードすると即時に認識する。実際、これらのヌ
クレオチド配列の縮重改変体は全て同じポリペプチドをコードしているので、こ
れは、上記の比較アッセイを行わなくても当業者に明らかである。縮重改変体で
ないこのような核酸分子については、妥当な数もMPIF−1タンパク質活性を
有するポリペプチドをコードしていることがさらに当該分野で認識される。これ
は、以下にさらに記載されるように、当業者が、タンパク質機能に顕著に影響す
る可能性が低いかまたは影響しないようであるアミノ酸置換(例えば、ある脂肪
族アミノ酸と別の脂肪族アミノ酸との置換)を十分に理解しているからである。
【0170】 実際問題として、任意の特定のポリぺプチドが、例えば配列番号2に対して、
または寄託されたクローンに含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配
列に対して、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、9
7%、98%、または99%同一であるか否かは、従来的に、公知のコンピュー
タープログラムを使用して決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対
象配列との間での最良の全体的な一致(全体的配列整列としても参照される)を
決定するための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App.Bio
sci.6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTD
Bコンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い
合わせ配列および対象配列は、両方ともヌクレオチド配列であるかまたは両方と
もアミノ酸配列であるかのいずれかである。上記の全体的配列整列の結果は、同
一性パーセントで示される。FASTDBアミノ酸整列に用いられる好ましいパ
ラメーターは:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismat
ch Penalty=1、Joining Penalty=20、Rand
omization Group Length=0、Cutoff Scor
e=1、Window Size = 配列の長さ、Gap Penalty=
5、Gap Size Penalty = 0.05、Window Siz
e=500または対象アミノ酸配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0171】 対象配列が、−末端またはC末端欠失により(内部の欠失のためではなく)問
い合わせ配列よりも短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならな
い。これは、FASTDBプログラムが、全体的な同一性パーセントを算定する
場合に、対象配列の−末端切断およびC末端切断を考慮しないからである。−末
端およびC末端で短縮されている対象配列について、問い合わせ配列に対して、
同一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、対応する対
象残基と一致/整列しない、対象配列の−末端およびC末端である問い合わせ配
列の残基の数を計算することによって補正される。残基が一致/整列されている
か否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパー
セントは、同一性パーセントから差し引かれ、上記のFASTDBプログラムに
よって特定のパラメーターを使用して計算され、最終的な同一性パーセントのス
コアに到達する。この最終的な同一性パーセントのスコアは、本発明の目的で使
用されるものである。問い合わせ配列と一致/整列していない対象配列の−末端
およびC末端側の残基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的
のために考慮される。すなわち、問い合わせ残基のみが、対象配列の最も遠いN
末端およびC末端残基の外側に位置する。
【0172】 例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために
100残基の問い合わせ配列と整列される。欠失が対象配列の−末端で生じ、そ
してそれゆえFASTDB整列は、N末端での最初の10残基の一致/整列を示
さない。10個の不対合残基は、配列の10%(一致していないN末端およびC
末端での残基の数/問い合わせ配列中の残基の総数)を表し、その結果FAST
DBプログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから10%が差し
引かれる。残りの90残基が完全に一致した場合、最終的な同一性パーセントは
90%である。別の例において、90残基の対象配列が、100残基の問い合わ
せ配列と比較される。この場合、欠失は、内部欠失であり、そのため問い合わせ
配列と一致/整列しない対象配列のN末端またはC末端の残基は存在しない。こ
の場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは、手動で補正され
ない。再び、FASTDB整列において示される、問い合わせ配列と一致/整列
しない対象配列のN末端およびC末端の外の残基位置のみが手動で補正される。
他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0173】 好ましくは、上記のプログラムは、本発明のポリペプチドおよび第2の配列を
整列させるために使用され、そして%同一性は、手動で算出される。%同一性は
、参照配列中のアミノ酸の総数で除算され、100を乗算された、2つの配列間
で同一である個々のアミノ酸の数である。例えば、第2の配列に対する配列番号
2のアミノ酸1〜100の%同一性を決定するために、アミノ酸ミスマッチの数
(すなわち、点変異:挿入、欠失および置換)が計数され、そして100(参照
配列中のアミノ酸の数)から減算されて、同一なアミノ酸の数を得る。得られた
数を100で除算し、次いで100%を乗算する。配列番号2の1位、5位、2
1〜23位、41位および96〜100位においてミスマッチ(すなわち、この
アミノ酸の点変異:挿入、欠失および置換)が存在する場合、%同一性は、90
%である(1+1+3+1+4=10。100−10=90。90/100=0
.9。0.9×100=90%)。
【0174】 例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する指針は
、Bowie,J.U.ら,「Deciphering the Messag
e in Protein Sequences: Tolerance to
Amino Acid Substitutions,」Science 2
47.1306−1310(1990)において提供され、ここで、著者らは変
化に対するアミノ酸配列の寛容性を研究するための2つの主要なストラテジーが
あることを指摘する。
【0175】 第1のストラテジーは、進化の過程の間の自然の選択によるアミノ酸置換の寛
容を利用する。異なる種におけるアミノ酸配列を比較して、保存されるアミノ酸
が同定され得る。これらの保存されるアミノ酸は、タンパク質の機能について重
要であるようである。対照的に、置換が自然の選択によって寛容されたアミノ酸
の位置は、これらの位置がタンパク質の機能に重要ではないことを示す。従って
、アミノ酸置換を寛容する位置は改変され得るが、タンパク質の生物学的活性を
なおも維持する。
【0176】 第2のストラテジーは、タンパク質機能に重要な領域を同定するために、クロ
ーン化された遺伝子の特定の位置でアミノ酸変化を導入するための遺伝子工学を
使用する。例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発(
分子中の各残基で1つのアラニン変異の導入)が、使用され得る。(Cunni
nghamおよびWells,Science 244:1081−1085(
1989))。次いで、得られた変異分子は生物学的活性について試験され得る
【0177】 著者らが言及するように、これらの2つのストラテジーは、タンパク質がアミ
ノ酸置換に驚くほど寛容であることを明らかにした。著者らはさらに、どのアミ
ノ酸変化が、タンパク質中の特定のアミノ酸位置で許容されるようであるかを示
す。例えば、(タンパク質の三次構造内に)ほとんど埋もれているアミノ酸残基
は、非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は、一般にほとんど保存されな
い。さらに、寛容される保存的なアミノ酸置換は、脂肪族または疎水性アミノ酸
のAla、Val、Leu、およびIleの置換;ヒドロキシル残基のSerお
よびThrの置換;酸性残基のAspおよびGluの置換;アミド残基のAsn
およびGlnの置換、塩基性残基のLys、Arg、およびHisの置換;芳香
族残基のPhe、Tyr、およびTrpの置換、ならびに小さなサイズのアミノ
酸のAla、Ser、Thr、Met、およびGlyの置換を含む。
【0178】 本発明のポリペプチドのフラグメントまたは部分は、ペプチド合成により対応
する全長ポリペプチドを生成するために使用され得る;従って、このフラグメン
トは、全長ポリペプチドを生成ために中間体として使用され得る。本発明のポリ
ヌクレオチドのフラグメントまたは部分は、本発明の全長ポリヌクレオチドを合
成するために使用され得る。
【0179】 小胞体の管腔へ、細胞膜周辺腔へ、および細胞外環境への翻訳されたタンパク
質の分泌について、適切な分泌シグナルは、発現されたポリペプチドへ導入され
得る。このシグナルは、ポリペプチドに対して内因性であるか、またはこれらは
、異種シグナルであり得る。
【0180】 ポリペプチドは、融合タンパク質のような改変された形態で発現され得、そし
て分泌シグナルだけでなく、さらなる異種機能性領域もまた含み得る。例えば、
さらなるアミノ酸(特に荷電アミノ酸)の領域は、精製の間、または連続した操
作および保存の間に、宿主細胞における安定性および持続性を改善するために、
ポリペプチドのN末端に付加され得る。また、精製を容易にするためにペプチド
部分がポリペプチドに付加され得る。そのような領域は、ポリペプチドの最終調
製の前に除去され得る。とりわけ、分泌または排出を生じるため、安定性を改善
するため、および精製を容易にするためのペプチド部分のポリペプチドへの付加
は、当該分野で公知であり、そして慣用的な技術である。好ましい融合タンパク
質は、水溶性タンパク質に有用な免疫グロブリン由来の異種領域を含む。例えば
、EP−A−O 464 533(カナダ対応出願第2045869号)は、別
のヒトタンパク質、またはその一部とともに免疫グロブリン分子の定常領域の種
々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク質中のF
c部分は、治療および診断における使用に十分に有利であり、従って、例えば改
善された薬物動態学的特性を生じる(EP−A 0232 262)。一方、い
くつかの使用について、融合タンパク質が、記載される有利な様式で、発現され
、検出され、そして精製された後に、Fc部分を欠失し得ることが望ましい。こ
れは、Fc部分が、治療および診断における使用に対して障害となると判明する
場合(例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として使用されるべき場合)
である。薬物探索において、例えば、hIL5−レセプターのようなヒトタンパ
ク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高処理能力スクリーニン
グアッセイの目的で、Fc部分と融合されている。D.Bennett,ら、J
ournal of Molecular Recognition 8:52
−58(1995);およびK.Johanson,ら、The Journa
l of Biological Chemistry,第270巻,第16号
:9459−9471(1995)を参照のこと。
【0181】 本発明のMPIF−1タンパク質は、硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール
沈澱、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロ
ースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティー
クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチ
ンクロマトグラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収され
、そして精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HP
LC」)が精製のために用いられる。本発明のポリペプチドは以下を含む:天然
の精製産物、化学合成手順の産物、および原核生物宿主または真核生物宿主(例
えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含
む)から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順において用いられ
る宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されていてもよいし
、またはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドは
また、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、改変された開始メチオ
ニン残基を含み得る。
【0182】 (MPIF−1ポリペプチド改変体)MPIF−1ポリペプチドのいくつかの
アミノ酸配列が、タンパク質の構造または機能に有意な影響を及ぼさずに改変し
得ることが、当該分野において認識される。配列におけるそのような相違が考慮
される場合、活性を決定するタンパク質上の重要な領域が存在することを覚えて
おくべきである。一般的に、類似の機能を果す残基が使用される限り、三次構造
を形成する残基を置換することは可能である。他の例において、タンパク質の非
重要な領域で変化が生じる場合、残基の型は、完全に重要でないかもしれない。
【0183】 従って、本発明はさらに、実質的にMPIF−1欠失変異体活性を示す本発明
のMPIF−1ポリぺプチドのバリエーションまたは以下に議論さえるタンパク
質部分のようなMPIF−1タンパク質を含む。そのような変異体は、欠失、挿
入、反転、反復、および型置換(例えば、ある親水性残基の別のものへの置換(
しかし、概して、強い親水性から強い疎水性への置換でない))を含む。低荷電
アミノ酸または、そのような「中性」アミノ酸の置換は一般的に活性に対してほ
とんど影響を与えない。
【0184】 代表的に、以下のものが、保存的置換とみなされる;脂肪族アミノ酸Ala,
Val、LeuおよびIle間のあるものから別のものへの置換:ヒドロキシル
残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残
基AsnおよびGln間での置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、なら
びに芳香族残基Phe、Tyr間の置換。
【0185】 荷電アミノ酸の、別の荷電アミノ酸または中性アミノ酸での置換もまた、さら
に特に興味深い。これは、改善された特徴(例えば、より少ない凝集)を有する
タンパク質を生じ得る。凝集の防止は、非常に望ましい。タンパク質の凝集は、
凝集物が免疫原性であり得るため、活性を低下させるだけでなく、薬学的処方物
を調製する場合にもまた問題ともなり得る。(Pinckardら、Clin.
Exp.Immunol.2:331−340(1967);Robbinsら
、Diabetes 36:838−845(1987);Clelandら、
Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Sy
stems 10:307−377(1993))。
【0186】 アミノ酸の置換はまた、細胞表面レセプターに対するリガンドの結合の選択性
を変化させ得る。例えば、Ostadeら、Nature 361:266−2
68(1993)は2つの公知のタイプのTNFレセプターの1つのみへのTN
F−αの選択的な結合を生じる特定の変異を記載する。
【0187】 上記で詳細に示したように、表現型的にサイレント(すなわち、機能的に有意
に有害な影響を有するようでない)であるようなアミノ酸変化に関連したさらな
るガイダンスは、Bowie,J.U.ら「Deciphering the
Message in Protein Sequence:Toleranc
e to Amino Acid Substitutions」Scienc
e 247:1306−1310(1990)(表1を参照のこと)に見出され
得る。
【0188】 示されるように、変化は、好ましくは、マイナーな性質のものであり、例えば
タンパク質のフォールディングまたは活性に有意に影響を与えない保存的アミノ
酸置換である(表1を参照のこと)。
【0189】
【表1】 当然、当業者が作製するアミノ酸置換の数は、上記に記載したものを含む多く
の因子に依存する。一般的に言うと、目的に応じて任意の所定のMPIF−1ポ
リペプチドに対する置換の数は、50、40、30、25、20、15、10、
5、または3より多くない。特定のMPIF−1アミノ酸置換が以下に記載され
る。
【0190】 本発明のさらなる局面は、アミノ酸の置換を含む。特に関心のあることは、タ
ンパク質のホールディングに有意に影響しない保存的アミノ酸置換である。当業
者に公知の保存的アミノ酸置換の例は、上記の表1に示される。
【0191】 さらに特に関心のあることはまた、荷電アミノ酸の別の荷電アミノ酸または中
性アミノ酸との置換である。これは改善された特性(例えば凝集が少ない)を有
するタンパク質を生じ得る。凝集の妨害は、非常に望ましい。タンパク質の凝集
は、活性の減少を生じ得るだけでなく、薬学的処方物を調製する際にそれらが免
疫原性であるため問題である(Pinckardら、Clin.Exp.Imm
unol.2:331−340(1967)、Robbinsら、Diabet
es 36:838−845(1987)、Clelandら、Crit.Re
v.Therapeutic Drug Carrier Systems 1
0:317−377(1993))。
【0192】 MPIF−1タンパク質は、天然の変異または人為的な1もしくはいくつかの
アミノ酸置換、欠失または付加を含み得る。図1(配列番号2)に示されるアミ
ノ酸配列のいくつかの好ましい変異体は、以下に記載される。(指定による(例
えば、Ala(21)Metは、図1(配列番号2)の21位におけるAlaが
Metにより置換されることが意図される。))
【0193】
【化1】 例えば、MPIF−1のアミノ酸レベルにおける部位指向性変化は、保存的ア
ミノ酸と有する特定のアミノ酸を置換することにより作製され得る。好ましい保
存的変異としては、以下が含まれる:Ml(A、G、I、L、S、T、またはV
で置換される);K2(H、またはRで置換される);V3(A、G、I、L、
S、T、またはMで置換される);S4(A、G、I、L、T、M、またはVで
置換される);V5(A、G、I、L、S、T、またはMで置換される);A6
(G、I、L、S、T、M、またはVで置換される);A7(G、I、L、S、
T、M、またはVで置換される);L8(A、G、I、S、T、M、またはVで
置換される);S9(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);L1
1(A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);M12(A、G、I、
L、S、T、またはVで置換される);L13(A、G、I、S、T、M、また
はVで置換される);V14(A、G、I、L、S、T、またはMで置換される
);T15(A、G、I、L、S、M、またはVで置換される);A16(G、
I、L、S、T、M、またはVで置換される);L17(A、G、I、S、T、
M、またはVで置換される);Gl8(A、I、L、S、T、M、またはVで置
換される);S19(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);Q2
0(Nで置換される);A21(G、I、L、S、T、M、またはVで置換され
る);R22(H、またはKで置換される);V23(A、G、I、L、S、T
、またはMで置換される);T24(A、G、I、L、S、M、またはVで置換
される);K25(H、またはRで置換される);D26(Eで置換される);
A27(G、I、L、S、T、M、またはVで置換される);E28(Dで置換
される);T29(A、G、I、L、S、M、またはVで置換される);E30
(Dで置換される);F31(W、またはYで置換される);M32(A、G、
I、L、S、T、またはVで置換される);M33(A、G、I、L、S、T、
またはVで置換される);S34(A、G、I、L、T、M、またはVで置換さ
れる);K35(H、またはRで置換される);L36(A、G、I、S、T、
M、またはVで置換される);L38(A、G、I、S、T、M、またはVで置
換される);E39(Dで置換される);N40(Qで置換される);V42(
A、G、I、L、S、T、またはMで置換される);L43(A、G、I、S、
T、M、またはVで置換される);L44(A、G、I、S、T、M、またはV
で置換される);D45(Eで置換される);R46(H、またはKで置換され
る);F47(W、またはYで置換される);H48(K、またはRで置換され
る);A49(G、I、L、S、T、M、またはVで置換される);T50(A
、G、I、L、S、M、またはVで置換される);S51(A、G、I、L、T
、M、またはVで置換される);A52(G、I、L、S、T、M、またはVで
置換される);D53(Eで置換される);156(A、G、L、S、T、M、
またはVで置換される);S57(A、G、I、L、T、M、またはVで置換さ
れる);Y58(F、またはWで置換される);T59(A、G、I、L、S、
M、またはVで置換される);R61(H、またはKで置換される);S62(
A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);I63(A、G、L、S、
T、M、またはVで置換される);S66(A、G、I、L、T、M、またはV
で置換される);L67(A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);
L68(A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);E69(Dで置換
される);S70(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);Y71
(F、またはWで置換される);F72(W、またはYで置換される);E73
(Dで置換される);T74(A、G、I、L、S、M、またはVで置換される
);N75(Qで置換される);S76(A、G、I、L、T、M、またはVで
置換される);E77(Dで置換される);S79(A、G、I、L、T、M、
またはVで置換される);K80(H、またはRで置換される);G82(A、
I、L、S、T、M、またはVで置換される);V83(A、G、I、L、S、
T、またはMで置換される);I84(A、G、L、S、T、M、またはVで置
換される);F85(W、またはYで置換される);L86(A、G、I、S、
T、M、またはVで置換される);T87(A、G、I、L、S、M、またはV
で置換される);K88(H、またはRで置換される);K89(H、またはR
で置換される);G90(A、I、L、S、T、M、またはVで置換される);
R91(H、またはKで置換される);R92(H、またはKで置換される);
F93(W、またはYで置換される);A95(G、I、L、S、T、M、また
はVで置換される);N96(Qで置換される);S98(A、G、I、L、T
、M、またはVで置換される);D99(Eで置換される);K100(H、ま
たはRで置換される);Q101(Nで置換される);V102(A、G、I、
L、S、T、またはMで置換される);Q103(Nで置換される);V104
(A、G、I、L、S、T、またはMで置換される);M106(A、G、I、
L、S、T、またはVで置換される);R107(H、またはKで置換される)
;M108(A、G、I、L、S、T、またはVで置換される);L109(A
、G、I、S、T、M、またはVで置換される);K110(H、またはRで置
換される);L111(A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);D
112(Eで置換される);T113(A、G、I、L、S、M、またはVで置
換される);R114(H、またはKで置換される);I115(A、G、L、
S、T、M、またはVで置換される);Kl16(H、またはRで置換される)
;T117(A、G、I、L、S、M、またはVで置換される);R118(H
、またはKで置換される);Kl19(H、またはRで置換される);N120
(Qで置換される)。
【0194】 得られる構築物は、本明細書の全体にわたって記載される活性または機能、お
よび当該分野で公知の活性または機能について慣用的にスクリーニングされ得る
。好ましくは、得られる構築物は、増加および/または減少したMPIF−1の
活性または機能を有するが、残存するMPIF−1の活性または機能は維持され
る。より好ましくは、得られる構築物は、1つより多く増加および/または減少
したMPIF−1の活性または機能を有するが、残存するMPIF−1の活性ま
たは機能は維持される。
【0195】 保存的なアミノ酸置換に加えて、MPIF−1の改変体は、(i)1つ以上の
非保存的なアミノ酸残基での置換(ここで、置換されるアミノ酸残基は、遺伝コ
ードによってコードされるアミノ酸残基であってもよく、もしくはそうでなくて
もよい)、または(ii)置換基を有する1つ以上のアミノ酸残基での置換、ま
たは(iii)別の化合物(例えば、ポリぺプチドの安定性および/もしくは可
溶性を増加するための化合物(例えば、ポリエチレングリコール))との成熟ポ
リぺプチドの融合、または(iv)さらなるアミノ酸(例えば、IgGFc融合
領域ペプチド、またはリーダーもしくは分泌配列、または精製を容易にする配列
)とのポリぺプチドの融合を含む。このような改変体ポリぺプチドは、本明細書
中の教示から、当業者の範囲内であると考えられる。
【0196】 例えば、他の荷電されたアミノ酸または中性のアミノ酸での荷電されたアミノ
酸のアミノ酸置換を含むMPIF−1ポリぺプチド改変体は、改善された特性(
例えば、より少ない凝集性)を有するポリペプチドを生成し得る。薬学的処方物
の凝集は、凝集体の免疫原活性に起因して、活性の減少およびクリアランスの増
加の両方をもたらす。(Pinckardら、Clin.Exp.Immuno
l.2:331−340(1967);Robbinsら、Diabetes
36:838−845(1987);Clelandら、Crit.Rev.T
herapeuticDrugCarrierSystems10:307−3
77(1993))。
【0197】 例えば、MPIF−1の好ましい非保存的な置換として、以下が挙げられる:
Ml(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;K2(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、
またはCで置換される);V3(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P
、またはCで置換される);S4(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、
P、またはCで置換される);V5(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y
、P、またはCで置換される);A6(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、
Y、P、またはCで置換される);A7(D、E、H、K、R、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);L8(D、E、H、K、R、N、Q、F、
W、Y、P、またはCで置換される);S9(D、E、H、K、R、N、Q、F
、W、Y、P、またはCで置換される);C10(D、E、H、K、R、A、G
、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはPで置換される);L
11(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;M12(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換され
る);L13(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換
される);V14(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで
置換される);T15(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、または
Cで置換される);A16(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、ま
たはCで置換される);L17(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P
、またはCで置換される);G18(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y
、P、またはCで置換される);S19(D、E、H、K、R、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);Q20(D、E、H、K、R、A、G、I
、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、またはCで置換される);A21(D
、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);R22
(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、または
Cで置換される);V23(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、ま
たはCで置換される);T24(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P
、またはCで置換される);K25(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V
、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);D26(H、K、R、A
、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換され
る);A27(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換
される);E28(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F
、W、Y、P、またはCで置換される);T29(D、E、H、K、R、N、Q
、F、W、Y、P、またはCで置換される);E30(H、K、R、A、G、I
、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);F
31(D、E、H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、ま
たはCで置換される);M32(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P
、またはCで置換される);M33(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y
、P、またはCで置換される);S34(D、E、H、K、R、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);K35(D、E、A、G、I、L、S、T
、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L36(D、E
、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);P37(D
、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、ま
たはCで置換される);L38(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P
、またはCで置換される);E39(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M
、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);N40(D、E、H
、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、またはCで置換
される);P41(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N
、Q、F、W、Y、またはCで置換される);V42(D、E、H、K、R、N
、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L43(D、E、H、K、R
、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L44(D、E、H、K
、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);D45(H、K、R
、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換
される);R46(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);F47(D、E、H、K、R、N、Q、A
、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置換される);H48(D、E
、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換
される);A49(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで
置換される);T50(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、または
Cで置換される);S51(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、ま
たはCで置換される);A52(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P
、またはCで置換される);D53(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M
、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);C54(D、E、H
、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはPで
置換される);C55(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V
、N、Q、F、W、Y、またはPで置換される);I56(D、E、H、K、R
、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);S57(D、E、H、K
、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);Y58(D、E、H
、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置換され
る);T59(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換
される);P60(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N
、Q、F、W、Y、またはCで置換される);R61(D、E、A、G、I、L
、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);S62
(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);1
63(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;P64(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F
、W、Y、またはCで置換される);C65(D、E、H、K、R、A、G、I
、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはPで置換される);S66
(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L
67(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;L68(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換され
る);E69(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);S70(D、E、H、K、R、N、Q、F
、W、Y、P、またはCで置換される);Y71(D、E、H、K、R、N、Q
、A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置換される);F72(D
、E、H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで
置換される);E73(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q
、F、W、Y、P、またはCで置換される);T74(D、E、H、K、R、N
、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);N75(D、E、H、K、R
、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;S76(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換され
る);E77(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);C78(D、E、H、K、R、A、G、I
、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはPで置換される);S79
(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K
80(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、ま
たはCで置換される);P81(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T
、M、V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換される);G82(D、E、H
、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);V83(D、E
、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);184(D
、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);F85
(D、E、H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、または
Cで置換される);L86(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、ま
たはCで置換される);T87(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P
、またはCで置換される);K88(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V
、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K89(D、E、A、G
、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;G90(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換され
る);R91(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y
、P、またはCで置換される);R92(D、E、A、G、I、L、S、T、M
、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);F93(D、E、H
、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置換され
る);C94(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q
、F、W、Y、またはPで置換される);A95(D、E、H、K、R、N、Q
、F、W、Y、P、またはCで置換される);N96(D、E、H、K、R、A
、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、またはCで置換される);P
97(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W
、Y、またはCで置換される);S98(D、E、H、K、R、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);D99(H、K、R、A、G、I、L、S
、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K100(
D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);Q101(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M
、V、F、W、Y、P、またはCで置換される);V102(D、E、H、K、
R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);Q103(D、E、H
、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、またはCで置換
される);V104(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);C105(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M
、V、N、Q、F、W、Y、またはPで置換される);M106(D、E、H、
K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);R107(D、E
、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換
される);M108(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);L109(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、ま
たはCで置換される);K110(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、
N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L11(D、E、H、K、
R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);D112(H、K、R
、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換
される);T113(D、B、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);R114(D、E、A、G、I、L、5、T、M、V、N、Q
、F、W、Y、P、またはCで置換される);I115(D、B、H、K、R、
N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K116(D、E、A、G
、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;T117(D、B、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換さ
れる);RI18(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);KI19(D、E、A、G、I、L、S、
T、M、V、N、Q、F、W、Y、P.またはCで置換される);N120(D
、E、H、K、R、A、G、I、Lで置換される)。
【0198】 得られる構築物は、本明細書の全体にわたって記載された、および当該分野に
おいて公知の活性または機能を慣用的にスクリーニングされ得る。好ましくは、
得られる構築物は、残存しているMPIF−1活性またはMPIF−1機能が維
持される一方、増加および/または減少されたMPIF−1活性またはMPIF
−1機能を有する。より好ましくは、得られる構築物は、1つより多く増加およ
び/または減少したMPIF−1の活性または機能を有するが、残存するMPI
F−1の活性または機能は維持される。
【0199】 さらに、1つより多くのアミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9
および10)を、上記されたような代わりのアミノ酸(保存されたアミノ酸か、
または保存されていないアミノ酸のどちらか)で置換し得る。置換されたアミノ
酸は、MPIF−1タンパク質の全長形態、成熟形態、またはプロタンパク質形
態ならびに以下に列挙された一般式m−nを有するN末端欠失変異体およびC末
端欠失変異体内に存在し得る。
【0200】 本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、50
個のアミノ酸置換を超えず、さらにより好ましくは、40個のアミノ酸置換を超
えず、なおより好ましくは、30個のアミノ酸置換を超えず、そしてなおさらに
より好ましくは、20個のアミノ酸置換を超えないアミノ酸配列を有するMPI
F−1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。当然、好まし
さの増大する順番に、ポリペプチドが、少なくとも1個のアミノ酸置換を含むが
、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸置換を超えな
いMPIF−1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有することは
非常に好ましい。特定の実施形態において、図1のアミノ酸配列またはそのフラ
グメント(例えば、本明細書に記載の成熟形態および/または他のフラグメント
)における付加、置換、および/または欠失の数は、1〜5、5〜10、5〜2
5、5〜50、10〜50、または50〜150であり、保存的アミノ酸置換が
好ましい。
【0201】 上記のように、MPIF−1ポリペプチドは、配列番号2、配列番号7のアミ
ノ酸配列または1以上のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を除く寄託されたcD
NAクローンによりコードされるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる
。また上記のように、MPIF−1ポリペプチドは、配列番号2、配列番号7ま
たは寄託されたcDNAクローンによりコードされるポリペプチドに対して、少
なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%ま
たは99%同一であり得る。1つの実施形態では、このようなポリペプチド改変
体はまた、MPIF−1またはそれらの少なくとも1つの領域と同じかまたは実
質的に同じ構造を有する。例えば、この構造は、NMRにより決定されるような
溶液構造であり得る(実施例37を参照のこと)。これらのポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドはまた、本発明により包含される。
【0202】 例えば、MPIF−1ポリペプチドは、1つまたはいくつかのアミノ酸変化(
置換、欠失または付加)を含み得るが、特定の残基または位置における変化は含
まない。置換、欠失または付加が除かれ得る位置は、以下のような4つのCys
残基保存残基を含む:配列番号2のCys−54(実施例37におけるCys−
11)、Cys−55(実施例37におけるCys−12)、Cys−78(実
施例37におけるCys−35)、およびCys−94(実施例37におけるC
ys−51)。保存された残基はまた、以下のにおける2つのCys残基を含む
:配列番号2のCys−65(実施例37におけるCys−22)およびCys
−105(実施例37におけるCys−62)。これらの位置のいずれか1つま
たは組み合わせは、置換、欠失または付加から除かれ得る。好ましくは、MPI
F−1改変体は、MPIF−1の6つの各Cys残基を除いて、置換、欠失また
は付加を含む。
【0203】 変更されることから除かれる得るさらなる残基としては、以下の保存的に置換
された残基が挙げられる:配列番号2のIle−56(実施例37におけるIl
e−13)、Tyr−58(実施例37におけるTyr15)、Arg−61(
実施例37におけるArg−18)およびIle−63(実施例37におけるI
le−20)。これらの位置のいずれか1つまたは組み合わせは、置換、欠失ま
たは付加されているものから除かれ得る。好ましくは、改変体は、これらの残基
を除く、置換、欠失または付加されることから除かれ得る。あるいは、このよう
な保存的に置換されたさらなる残基は、保存的置換により変更され得る。
【0204】 変更されることから除かれ得るさらなる残基としては、例えば、以下の保存的
に置換された残基が挙げられる:配列番号2のIle−56(実施例37におけ
るIle−13)、Tyr−58(実施例37におけるTyr15)、Arg−
61(実施例37におけるArg−18)、Thr−74(実施例37における
Thr−31)およびThr−87(実施例37におけるThr−44)。これ
らの位置のいずれか1つまたは組み合わせは、置換、欠失または付加されている
ことから除かれ得る。好ましくは、改変体は、これらの各残基を除く、置換、欠
失または付加されることから除かれ得る。あるいは、このような保存的に置換さ
れたさらなる残基は、保存的置換により変更され得る。
【0205】 変更されることから除かれ得るさらなる残基としては、例えば、以下の保存的
に置換された残基が挙げられる:配列番号2のIle−56(実施例37におけ
るIle−13)、Tyr−58(実施例37におけるTyr15)、Arg−
61(実施例37におけるArg−18)、Ile−63(実施例37における
Ile−20)、Thr−74(実施例37におけるThr31)およびThr
−87(実施例37におけるThr−44)。これらの位置のいずれか1つまた
は組み合わせは、置換、欠失または付加されているものから除かれ得る。好まし
くは、改変体は、これらの各残基を除いて、置換、欠失または付加を含む。ある
いは、このような保存的に置換されたさらなる残基は、保存的置換により変更さ
れ得る。
【0206】 保存的に置換された残基としてはまた、例えば、以下の保存的に置換された残
基が挙げられる:配列番号2のIle−63(実施例37におけるIle−20
),Leu−68(実施例37におけるLeu−25)、Tyr−71(実施例
37におけるTyr−28)、Phe−72(実施例37におけるPhe−29
)、Val−83(実施例37におけるVal−40)、Ile−84(実施例
37におけるIle−41)、Phe−85(実施例37におけるPhe−42
)、Phe−93(実施例37におけるPhe−50)、Ala−95(実施例
37におけるAla−52)、Val−102(実施例37におけるVal−5
9)、Met−106(実施例37におけるMet−63)およびLeu−10
9(実施例37におけるLeu−66)。これらの位置のいずれか1つまたは組
み合わせは、置換、欠失または付加されることから除かれ得る。好ましくは、M
PIF−1改変体は、これらの残基を除いて、置換、欠失または付加を含む。あ
るいは、このような保存的に置換されたさらなる残基は、保存的置換により変更
され得る。
【0207】 保存的に置換されたさらなる残基としては、例えば、以下が挙げられる:配列
番号2のIle−56(実施例37におけるIle−13)、Arg−61(実
施例37におけるArg−18)、Tyr−58(実施例37におけるTyr−
15)、Thr−74(実施例37におけるThr−31)およびGly−82
(実施例37におけるGly−39)。これらの位置のいずれか1つまたは組み
合わせは、置換、欠失または付加されることから除かれ得る。好ましくは、MP
IF−1改変体は、これらの残基を除いて、置換、欠失または付加を含む。ある
いは、このような保存的に置換されたさらなる残基は、保存的置換により変更さ
れ得る。
【0208】 なおさらなる保存的に置換された残基としてはまた、例えば、以下が挙げられ
る:配列番号2のPro−64(実施例37におけるPro21)およびPro
−97(実施例37におけるPro−54)。これらの位置のいずれか1つまた
は組み合わせは、置換、欠失または付加されることから除かれ得る。好ましくは
、MPIF−1改変体は、これらの残基を除いて、置換、欠失または付加を含む
。あるいは、このような保存的に置換されたさらなる残基は、保存的置換により
変更され得る。
【0209】 なおさらなる保存的に置換された残基としては、例えば、以下の保存的に置換
された残基が挙げられる:配列番号2のGln−101(実施例37におけるG
ln−58)。この残基は、置換、欠失または付加されていることから除かれ得
る。好ましくは、この残基は、保存的に置換される。より好ましくは、この残基
は、バルキーな側鎖を欠くアミノ酸で置換される。従って、この残基は、好まし
くは、例えば、Trp以外のアミノ酸で置換される。
【0210】 なおさらなる保存的に置換された残基としては、例えば、以下の保存的に置換
された残基が挙げられる:配列番号2のArg−61(実施例37におけるAr
g18)、Lys−88(実施例37におけるLys−45)およびArg−9
1(実施例37におけるArg−48)。これらの位置のいずれか1つまたは組
み合わせは、置換、欠失または付加されることから除かれ得る。好ましくは、M
PIF−1改変体は、これらの残基を除いて、置換、欠失または付加を含む。あ
るいは、このような保存的に置換されたさらなる残基は、保存的置換により変更
され得る。
【0211】 なおさらなる保存的に置換された残基としてはまた、例えば、以下の保存的に
置換された残基が挙げられる:配列番号2のLys−89(実施例37における
Lys46)、Lys−100(実施例37におけるLys−57)、Arg−
107(実施例37におけるArg−64)およびLys−110(実施例37
におけるLys−67)。これらの位置のいずれか1つまたは組み合わせは、置
換、欠失または付加されているものから除かれ得る。好ましくは、MPIF−1
改変体は、置換、欠失または付加されることから除かれ得る。好ましくは、改変
体は、これらの残基を除く、置換、欠失または付加されることから除かれ得る。
あるいは、このような保存的に置換されたさらなる残基は、保存的置換により変
更され得る。
【0212】 上記のさらに好ましい実施形態に加えて、保存された残基および保存的に置換
された残基の好ましい組み合わせとしては、配列番号2のThr−74(実施例
37におけるThr−31)、Gly−82(実施例37におけるGly−39
)、Tyr−58(実施例37におけるTyr−15)、Cys−54(実施例
37におけるCys−11)、Cys−55(実施例37におけるCys−12
)およびCys−94(実施例37におけるCys−51)が挙げられる。好ま
しくは、MPIF−1改変体は、置換、欠失または付加されることから除かれ得
る。好ましくは、改変体は、これらの残基を除く、置換、欠失または付加される
ことから除かれ得る。あるいは、このような保存的に置換されたさらなる残基は
、保存的置換により変更され得る。
【0213】 好ましくは、MPIF−1改変体は、上記保存的に置換された残基の少なくと
も1つまたは全てを除くアミノ酸変化を含む。あるいは、上記の保存的に置換さ
れた残基の少なくとも1つまたは全ては、保存的置換により変更され得る。
【0214】 好ましくは、MPIF−1改変体は、上記保存された残基の少なくとも1つま
たは全て(すなわち、1以上のCys残基)および保存的に置換された残基の少
なくとも1つまたは全て(すなわち、残りの上記残基の1以上)を除くアミノ酸
変更を含む。あるいは、保存的に置換された残基の少なくとも1つまたは全ては
、保存的置換により変更され得る、 (MPIF−1スプライス改変体)さらに、MPIF−1の改変体が、同定さ
れ、そして特徴付けられた。これらのアナログのいくつかは、アミノ末端短縮を
含む。さらに、明らかに選択的スプライス部位から生じるMPIF−1アナログ
が、同定され、そして特徴付けられてきた(図20(配列番号7))。実施例1
1は、これらのMPIF−1アナログの生物学的活性を開示する。これらのアナ
ログの配列は、図19(配列番号3、4および5、ならびに配列番号2中のアミ
ノ酸残基46〜120、45〜120、48〜120、49〜120、39〜1
20、および44〜120)に示される 別の局面において、本発明は、MPIF−1の137アミノ酸スプライス改変
体におけるアミノ酸置換を含む。例えば、配列番号7に示された保存的アミノ酸
置換としては、以下が挙げられる:M1(A、G、I、L、S、T、またはVで
置換される);K2(H、またはRで置換される);V3(A、G、I、L、S
、T、またはMで置換される);S4(A、G、I、L、T、M、またはVで置
換される);V5(A、G、I、L、S、T、またはMで置換される);A6(
G、I、L、S、T、M、またはVで置換される);A7(G、I、L、S、T
、M、またはVで置換される);L8(A、G、I、S、T、M、またはVで置
換される);S9(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);L11
(A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);M12(A、G、I、L
、S、T、またはVで置換される);L13(A、G、I、S、T、M、または
Vで置換される);V14(A、G、I、L、S、T、またはMで置換される)
;T15(A、G、I、L、S、M、またはVで置換される);A16(G、I
、L、S、T、M、またはVで置換される);L17(A、G、I、S、T、M
、またはVで置換される);G18(A、I、L、S、T、M、またはVで置換
される);S19(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);Q20
(Nで置換される);A21(G、I、L、S、T、M、またはVで置換される
);R22(H、またはKで置換される);V23(A、G、I、L、S、T、
またはMで置換される);T24(A、G、I、L、S、M、またはVで置換さ
れる);K25(H、またはRで置換される);D26(Eで置換される);A
27(G、I、L、S、T、M、またはVで置換される);E28(Dで置換さ
れる);T29(A、G、I、L、S、M、またはVで置換される);E30(
Dで置換される);F31(W、またはYで置換される);M32(A、G、I
、L、S、T、またはVで置換される);M33(A、G、I、L、S、T、ま
たはVで置換される);S34(A、G、I、L、T、M、またはVで置換され
る);K35(H、またはRで置換される);L36(A、G、I、S、T、M
、またはVで置換される);L38(A、G、I、S、T、M、またはVで置換
される);E39(Dで置換される);N40(Qで置換される);V42(A
、G、I、L、S、T、またはMで置換される);L43(A、G、I、S、T
、M、またはVで置換される);L44(A、G、I、S、T、M、またはVで
置換される);D45(Eで置換される);M46(A、G、I、L、S、T、
またはVで置換される);L47(A、G、I、S、T、M、またはVで置換さ
れる);W48(F、またはYで置換される);R49(H、またはKで置換さ
れる);R50(H、またはKで置換される);K51(H、またはRで置換さ
れる);I52(A、G、L、S、T、M、またはVで置換される);G53(
A、I、L、S、T、M、またはVで置換される);Q55(Nで置換される)
;M56(A、G、I、L、S、T、またはVで置換される);T57(A、G
、I、L、S、M、またはVで置換される);L58(A、G、I、S、T、M
、またはVで置換される);S59(A、G、I、L、T、M、またはVで置換
される);H60(K、またはRで置換される);A61(G、I、L、S、T
、M、またはVで置換される);A62(G、I、L、S、T、M、またはVで
置換される);G63(A、I、L、S、T、M、またはVで置換される);F
64(W、またはYで置換される);H65(K、またはRで置換される);A
66(G、I、L、S、T、M、またはVで置換される);T67(A、G、I
、L、S、M、またはVで置換される);S68(A、G、I、L、T、M、ま
たはVで置換される);A69(G、1、L、S、T、M、またはVで置換され
る);D70(Eで置換される);I73(A、G、L、S、T、M、またはV
で置換される);S74(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);
Y75(F、またはWで置換される);T76(A、G、I、L、S、M、また
はVで置換される);R78(H、またはKで置換される);S79(A、G、
I、L、T、M、またはVで置換される);I80(A、G、L、S、T、M、
またはVで置換される);S83(A、G、I、L、T、M、またはVで置換さ
れる);L84(A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);L85(
A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);E86(Dで置換される)
;S87(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);Y88(F、ま
たはWで置換される);F89(W、またはYで置換される);E90(Dで置
換される);T91(A、G、I、L、S、M、またはVで置換される);N9
2(Qで置換される);S93(A、G、I、L、T、M、またはVで置換され
る);E94(Dで置換される);S96(A、G、I、L、T、M、またはV
で置換される);K97(H、またはRで置換される);G99(A、I、L、
S、T、M、またはVで置換される);V100(A、G、I、L、S、T、ま
たはMで置換される);I101(A、G、L、S、T、M、またはVで置換さ
れる);F102(W、またはYで置換される);L103(A、G、I、S、
T、M、またはVで置換される);T104(A、G、I、L、S、M、または
Vで置換される);K105(H、またはRで置換される);K106(H、ま
たはRで置換される);G107(A、I、L、S、T、M、またはVで置換さ
れる);R108(H、またはKで置換される);R109(H、またはKで置
換される);F110(W、またはYで置換される);A112(G、I、L、
S、T、M、またはVで置換される);N113(Qで置換される);S115
(A、G、I、L、T、M、またはVで置換される);D116(Eで置換され
る);K117(H、またはRで置換される);Q118(Nで置換される);
V119(A、G、I、L、S、T、またはMで置換される);Q120(Nで
置換される);V121(A、G、I、L、S、T、またはMで置換される);
M123(A、G、I、L、S、T、またはVで置換される);R124(H、
またはKで置換される);M125(A、G、I、L、S、T、またはVで置換
される);L126(A、G、I、S、T、M、またはVで置換される);K1
27(H、またはRで置換される);L128(A、G、I、S、T、M、また
はVで置換される);D129(Eで置換される);T130(A、G、I、L
、S、M、またはVで置換される);R131(H、またはKで置換される);
I132(A、G、L、S、T、M、またはVで置換される);K133(H、
またはRで置換される);T134(A、G、I、L、S、M、またはVで置換
される);R135(H、またはKで置換される);K136(H、またはRで
置換される);および/またはN137(Qで置換される)。
【0215】 例えば、配列番号7に示された137アミノ酸スプライス改変体における非保
存的な置換としては、以下が挙げられる:Ml(D、E、H、K、R、N、Q、
F、W、Y、P、またはCで置換される);K2(D、E、A、G、I、L、S
、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);V3(D、
E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);S4(D
、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);V5(
D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);A6
(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);A
7(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);
L8(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;S9(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される
);C10(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、
F、W、Y、またはPで置換される);L11(D、E、H、K、R、N、Q、
F、W、Y、P、またはCで置換される);M12(D、E、H、K、R、N、
Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L13(D、E、H、K、R、
N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);V14(D、E、H、K、
R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);T15(D、E、H、
K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);A16(D、E、
H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L17(D、
E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);G18(
D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);S1
9(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);
Q20(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、
P、またはCで置換される);A21(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、
Y、P、またはCで置換される);R22(D、E、A、G、I、L、S、T、
M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);V23(D、E、
H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);T24(D、
E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K25(
D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);D26(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、
Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);A27(D、E、H、K、R、
N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);E28(H、K、R、A、
G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される
);T29(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換さ
れる);E30(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、
W、Y、P、またはCで置換される);F31(D、E、H、K、R、N、Q、
A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置換される);M32(D、
E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);M33(
D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);S3
4(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);
K35(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、
またはCで置換される);L36(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、
P、またはCで置換される);P37(D、E、H、K、R、A、G、I、L、
S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換される);L38(D、
E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);E39(
H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);N40(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、
M、V、F、W、Y、P、またはCで置換される);P41(D、E、H、K、
R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換さ
れる);V42(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置
換される);L43(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);L44(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);D45(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、
N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);M46(D、E、H、K、
R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);L47(D、E、H、
K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);W48(D、E、
H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置換さ
れる);R49(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、
Y、P、またはCで置換される);R50(D、E、A、G、I、L、S、T、
M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K51(D、E、
A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換さ
れる);152(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置
換される);G53(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);P54(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、
V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換される);Q55(D、E、H、K、
R、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、またはCで置換される
);M56(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換さ
れる);T57(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置
換される);L58(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);S59(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);H60(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、
Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);A61(D、E、H、K、R、
N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);A62(D、E、H、K、
R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);G63(D、E、H、
K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);F64(D、E、
H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置換さ
れる);H65(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、
Y、P、またはCで置換される);A66(D、E、H、K、R、N、Q、F、
W、Y、P、またはCで置換される);T67(D、E、H、K、R、N、Q、
F、W、Y、P、またはCで置換される);S68(D、E、H、K、R、N、
Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);A69(D、E、H、K、R、
N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);D70(H、K、R、A、
G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される
);C71(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、
F、W、Y、またはPで置換される);C72(D、E、H、K、R、A、G、
I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはPで置換される);17
3(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);
S74(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される
);Y75(D、E、H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、
P、またはCで置換される);T76(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、
Y、P、またはCで置換される);P77(D、E、H、K、R、A、G、I、
L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換される);R78(
D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);S79(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);180(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、
またはCで置換される);P81(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、
T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換される);C82(D、E、
H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはP
で置換される);S83(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);L84(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、
またはCで置換される);L85(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、
P、またはCで置換される);E86(H、K、R、A、G、I、L、S、T、
M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);S87(D、E、
H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);Y88(D、
E、H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、M、V、P、またはCで置
換される);F89(D、E、H、K、R、N、Q、A、G、I、L、S、T、
M、V、P、またはCで置換される);E90(H、K、R、A、G、I、L、
S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);T91(
D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);N9
2(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、
またはCで置換される);S93(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、
P、またはCで置換される);E94(H、K、R、A、G、I、L、S、T、
M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);C95(D、E、
H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはP
で置換される);S96(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);K97(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、
Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);P98(D、E、H、K、R、
A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換される
);G99(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換さ
れる);V100(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで
置換される);I101(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);F102(D、E、H、K、R、N、Q、A、G、I、L
、S、T、M、V、P、またはCで置換される);L103(D、E、H、K、
R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);T104(D、E、H
、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K105(D、
E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置
換される);K106(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F
、W、Y、P、またはCで置換される);G107(D、E、H、K、R、N、
Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);R108(D、E、A、G、I
、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);R
109(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、
またはCで置換される);F110(D、E、H、K、R、N、Q、A、G、I
、L、S、T、M、V、P、またはCで置換される);C111(D、E、H、
K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはPで置
換される);A112(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、または
Cで置換される);N113(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、
M、V、F、W、Y、P、またはCで置換される);P114(D、E、H、K
、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、またはCで置換
される);S115(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはC
で置換される);D116(H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N
、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);K117(D、E、A、G、
I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);
Q118(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y
、P、またはCで置換される);V119(D、E、H、K、R、N、Q、F、
W、Y、P、またはCで置換される);Q120(D、E、H、K、R、A、G
、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、またはCで置換される);V12
1(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);
C122(D、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F
、W、Y、またはPで置換される);M123(D、E、H、K、R、N、Q、
F、W、Y、P、またはCで置換される);R124(D、E、A、G、I、L
、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);M12
5(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);
L126(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換され
る);K127(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、
Y、P、またはCで置換される);L128(D、E、H、K、R、N、Q、F
、W、Y、P、またはCで置換される);D129(H、K、R、A、G、I、
L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);T1
30(D、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される)
;R131(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、
P、またはCで置換される);1132(D、E、H、K、R、N、Q、F、W
、Y、P、またはCで置換される);K133(D、E、A、G、I、L、S、
T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);T134(D
、E、H、K、R、N、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);R13
5(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N、Q、F、W、Y、P、また
はCで置換される);K136(D、E、A、G、I、L、S、T、M、V、N
、Q、F、W、Y、P、またはCで置換される);および/またはN137(D
、E、H、K、R、A、G、I、L、S、T、M、V、F、W、Y、P、または
Cで置換される)。
【0216】 MPIF−1ポリペプチドの特徴を改善するかまたは変更するために、タンパ
ク質操作が使用され得る。当業者に公知の組換えDNA技術が、新規のタンパク
質を作製するために使用され得る。ムテインおよび欠失または融合タンパク質は
、例えば、活性の増強または安定性の改善を示し得る。さらに、これらは高収率
で精製され得、そして、少なくとも特定の精製および貯蔵条件下で、優れた可溶
性を示し得る。以下に示されるのは、構築され得る変異のさらなる例である。
【0217】 MPIF−1アミノ末端およびカルボキシ末端欠失:インターフェロンγは、
このタンパク質のカルボキシ末端から8〜10個のアミノ酸残基を欠失させた後
、10倍までのより高い活性を示した(Dobeliら、J.Biotechn
ology 7:199−216(1988))。Ronら、J.Biol.C
hem 268(4):2984−2988(1993)は、3、8、または2
7アミノ末端アミノ酸残基が不足する場合でさえ、ヘアピン結合活性を有する改
変されたKGFタンパク質を報告する。多数の他の例が、当業者に公知である。
【0218】 特に、MPIF−1ポリペプチドのN末端欠失は、一般式m−120によって
記載され得、ここで、mは2〜115の整数であって、mは配列番号2に同定さ
れるアミノ酸残基の位置に対応する。さらに詳細には、本発明は、配列番号2に
示された以下の残基のアミノ酸配列を含むか、または代替的にはそれらからなる
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する:K−2〜N−120;
V−3〜N−120;S−4〜N−120;V−5〜N−120;A−6〜N−
120;A−7〜N−120;L−8〜N−120;S−9〜N−120;C−
10〜N−120;L−11〜N−120;M−12〜N−120;L−13〜
N−120;V−14〜N−120;T−15〜N−120;A−16〜N−1
20;L−17〜N−120;G−18〜N−120;S−19〜N−120;
Q−20〜N−120;A−21〜N−120;R−22〜N−120;V−2
3〜N−120;T−24〜N−120;K−25〜N−120;D−26〜N
−120;A−27〜N−120;E−28〜N−120;T−29〜N−12
0;E−30〜N−120;F−31〜N−120;M−32〜N−120;M
−33〜N−120;S−34〜N−120;K−35〜N−120;L−36
〜N−120;P−37〜N−120;L−38〜N−120;E−39〜N−
120;N−40〜N−120;P−41〜N−120;V−42〜N−120
;L−43〜N−120;L−44〜N−120;D−45〜N−120;R−
46〜N−120;F−47〜N−120;H−48〜N−120;A−49〜
N−120;T−50〜N−120;S−51〜N−120;A−52〜N−1
20;D−53〜N−120;C−54〜N−120;C−55〜N−120;
I−56〜N−120;S−57〜N−120;Y−58〜N−120;T−5
9〜N−120;P−60〜N−120;R−61〜N−120;S−62〜N
−120;I−63〜N−120;P−64〜N−120;C−65〜N−12
0;S−66〜N−120;L−67〜N−120;L−68〜N−120;E
−69〜N−120;S−70〜N−120;Y−71〜N−120;F−72
〜N−120;E−73〜N−120;T−74〜N−120;N−75〜N−
120;S−76〜N−120;E−77〜N−120;C−78〜N−120
;S−79〜N−120;K−80〜N−120;P−81〜N−120;G−
82〜N−120;V−83〜N−120;I−84〜N−120;F−85〜
N−120;L−86〜N−120;T−87〜N−120;K−88〜N−1
20;K−89〜N−120;G−90〜N−120;R−91〜N−120;
R−92〜N−120;F−93〜N−120;C−94〜N−120;A−9
5〜N−120;N−96〜N−120;P−97〜N−120;S−98〜N
−120;D−99〜N−120;K−100〜N−120;Q−101〜N−
120;V−102〜N−120;Q−103〜N−120;V−104〜N−
120;C−105〜N−120;M−106〜N−120;R−107〜N−
120;M−108〜N−120;L−109〜N−120;K−110〜N−
120;L−lll〜N−120;D−112〜N−120;T−113〜N−
120;R−114〜N−120;I−115〜N−120。これらのポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドもまた本発明によって含まれる。
【0219】 また上記のように、タンパク質のC末端由来の1つ以上のアミノ酸の欠失が、
タンパク質の1つ以上の生物学的機能を喪失の改変を生じる場合でさえ、他の生
物学的機能(例えば、生物学的活性、多量体化する能力、MPIF−1レセプタ
ーを結合する能力)が、なお保持され得る。例えば、ポリペプチドの完全形態ま
たは成熟形態を認識する抗体を誘導するそして/または結合する短縮されたMP
IF−1ムテインの能力は、完全または成熟ポリペプチドの大部分未満の残基が
C末端から除去される場合、一般的に保持される。完全ポリペプチドのC末端残
基を欠失する特定のポリペプチドが、このような免疫学的活性を保持するか否か
は、本明細書中に記載の慣例的な方法および他の当該分野で公知の方法によって
、容易に決定され得る。大多数のC末端アミノ酸残基が欠失したMPIF−1ム
テインは、いくらかの生物学的または免疫学的活性を保持し得る。実際、たった
6つのMPIFアミノ酸残基から構成されるペプチドが、しばしば、免疫応答を
誘起し得る。
【0220】 従って、本発明は、一般式1−n(ここで、nは6〜119の整数であり、配
列番号2に同定されるアミノ酸残基の位置に対応する)によって記載されるよう
に、図1(配列番号2)に示されるMPIF−1ポリペプチドのアミノ酸配列の
カルボキシ末端から1つ以上の残基が欠失したポリペプチドをさらに提供する。
より詳細には、本発明は、配列番号2に示される以下の残基のアミノ酸配列を含
むかまたは代替的にはそれらからなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドを提供する:A−27〜K−119;A−27〜R−118;A−27〜T−
117;A−27〜K−116;A−27〜I−115;A−27〜R−114
;A−27〜T−113;A−27〜D−112;A−27〜L−111;A−
27〜K−110;A−27〜L−109;A−27〜M−108;A−27〜
R−107;A−27〜M−106;A−27〜C−105;A−27〜V−1
04;A−27〜Q−103;A−27〜V−102;A−27〜Q−101;
A−27〜K−100;A−27〜D−99;A−27〜S−98;A−27〜
P−97;A−27〜N−96;A−27〜A−95;A−27〜C−94;A
−27〜F−93;A−27〜R−92;A−27〜R−91;A−27〜G−
90;A−27〜K−89;A−27〜K−88;A−27〜T−87;A−2
7〜L−86;A−27〜F−85;A−27〜I−84;A−27〜V−83
;A−27〜G−82;A−27〜P−81;A−27〜K−80;A−27〜
S−79;A−27〜C−78;A−27〜E−77;A−27〜S−76;A
−27〜N−75;A−27〜T−74;A−27〜E−73;A−27〜F−
72;A−27〜Y−71;A−27〜S−70;A−27〜E−69;A−2
7〜L−68;A−27〜L−67;A−27〜S−66;A−27〜C−65
;A−27〜P−64;A−27〜I−63;A−27〜S−62;A−27〜
R−61;A−27〜P−60;A−27〜T−59;A−27〜Y−58;A
−27〜S−57;A−27〜I−56;A−27〜C−55;A−27〜C−
54;A−27〜D−53;A−27〜A−52;A−27〜S−51;A−2
7〜T−50;A−27〜A−49;A−27〜H−48;A−27〜F−47
;A−27〜R−46;A−27〜D−45;A−27〜L−44;A−27〜
L−43;A−27〜V−42;A−27〜P−41;A−27〜N−40;A
−27〜E−39;A−27〜L−38;A−27〜P−37;A−27〜L−
36;A−27〜K−35;A−27〜S−34;A−27〜M−33;A−2
7〜M−32;A−27〜F−31;A−27〜E−30;A−27〜T−29
;A−27〜E−28;M−1〜D−26;M−1〜K−25;M−1〜T−2
4;M−1〜V−23;M−1〜R−22;M−1〜A−21;M−1〜Q−2
0;M−1〜S−19;M−1〜G−18;M−l〜L−17;M−1〜A−1
6;M−1〜T−15;M−1〜V−14;M−1〜L−13;M−1〜M−1
2;M−1〜L−ll;M−1〜C−10;M−1〜S−9;M−1〜L−8;
M−1〜A−7。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、
本発明によって含まれる。
【0221】 さらに、シグナル配列は、これらのC末端構築物に加えられ得る。例えば、配
列番号2のアミノ酸1〜26、配列番号2のアミノ酸2〜26、配列番号2のア
ミノ酸3〜26、配列番号2のアミノ酸4〜26、配列番号2のアミノ酸5〜2
6、配列番号2のアミノ酸6〜26、配列番号2のアミノ酸7〜26、配列番号
2のアミノ酸8〜26、配列番号2のアミノ酸9〜26、配列番号2のアミノ酸
10〜26、配列番号2のアミノ酸11〜26、配列番号2のアミノ酸12〜2
6、配列番号2のアミノ酸13〜26、配列番号2のアミノ酸14〜26、配列
番号2のアミノ酸15〜26、配列番号2のアミノ酸16〜26、配列番号2の
アミノ酸17〜26、配列番号2のアミノ酸18〜26、配列番号2のアミノ酸
19〜26、配列番号2のアミノ酸20〜26、配列番号2のアミノ酸21〜2
6、配列番号2のアミノ酸22〜26、配列番号2のアミノ酸23〜26、配列
番号2のアミノ酸24〜26、配列番号2のアミノ酸25〜26、配列番号2の
アミノ酸26は、上記に列挙された各C末端構築物のN末端に付加され得る。
【0222】 さらに、上記に列挙されたN末端またはC末端欠失のいずれかが、N末端およ
びC末端欠失MPIF−1ポリペプチドを産生するために組み合わせられ得る。
本発明はまた、アミノ末端およびカルボキシル末端の両方から1つ以上のアミノ
酸が欠失したポリペプチドを提供し、これは、配列番号2の残基m−nを有する
ように一般的に記載され得、ここで、nおよびmは上記のように整数である。こ
れらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、本発明によって含ま
れる。
【0223】 さらなる好ましいポリペプチドフラグメントは、以下の残基のアミノ酸配列を
含むか、または代替的にはそれらからなる:M−1〜T−15;K−2〜A−1
6;V−3〜L−17;S−4〜G−18;V−5〜S−19;A−6〜Q−2
0;A−7〜A−21;L−8〜R−22;S−9〜V−23;C−10〜T−
24;L−11〜K−25;M−12〜D−26;L−13〜A−27;V−1
4〜E−28;T−15〜T−29;A−16〜E−30;L−17〜F−31
;G−18〜M−32;S−19〜M−33;Q−20〜S−34;A−21〜
K−35;R−22〜L−36;V−23〜P−37;T−24〜L−38;K
−25〜E−39;D−26〜N−40;A−27〜P−41;E−28〜V−
42;T−29〜L−43;E−30〜L−44;F−31〜D−45;M−3
2〜R−46;M−33〜F−47;S−34〜H−48;K−35〜A−49
;L−36〜T−50;P−37〜S−51;L−38〜A−52;E−39〜
D−53;N−40〜C−54;P−41〜C−55;V−42〜I−56;L
−43〜S−57;L−44〜Y−58;D−45〜T−59;R−46〜P−
60;F−47〜R−61;H−48〜S−62;A−49〜I−63;T−5
0〜P−64;S−51〜C−65;A−52〜S−66;D−53〜L−67
;C−54〜L−68;C−55〜E−69;I−56〜S−70;S−57〜
Y−71;Y−58〜F−72;T−59〜E−73;P−60〜T−74;R
−61〜N−75;S−62〜S−76;I−63〜E−77;P−64〜C−
78;C−65〜S−79;S−66〜K−80;L−67〜P−81;L−6
8〜G−82;E−69〜V−83;S−70〜I−84;Y−71〜F−85
;F−72〜L−86;E−73〜T−87;T−74〜K−88;N−75〜
K−89;S−76〜G−90;E−77〜R−91;C−78〜R−92;S
−79〜F−93;K−80〜C−94;P−81〜A−95;G−82〜N−
96;V−83〜P−97;I−84〜S−98;F−85〜D−99;L−8
6〜K−100;T−87〜Q−101;K−88〜V−102;K−89〜Q
−103;G−90〜V−104;R−91〜C−105;R−92〜M−10
6;F−93〜R−107;C−94〜M−108;A−95〜L−109;N
−96〜K−110;P−97〜L−111;S−98〜D−112;D−99
〜T−113;K−100〜R−114;Q−101〜I−115;V−102
〜K−116;Q−103〜T−117;V−104〜R−118;C−105
〜K−119;M−106〜N−120。これらのポリペプチドフラグメントは
、本発明のMPIF−1ポリペプチドの生物学的活性を保持し得、そして、以下
にさらに記載されるように、抗体を産生するために有用であり得る。これらのポ
リペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明によって
含まれる。
【0224】 ATCC受託番号第75676号に含まれるcDNAクローンによってコード
される完全MPIF−1アミノ酸配列の一部からなるポリペプチドをコードする
ヌクレオチド配列もまた含まれる(ここで、この部分は、ATCC受託番号第7
5676号に含まれるcDNAクローンによってコードされる完全アミノ酸配列
のアミノ末端から1〜約110アミノ酸の任意の整数のアミノ酸残基、または、
ATCC受託番号第75676号に含まれるcDNAクローンによってコードさ
れる完全アミノ酸配列のカルボキシ末端から1〜約110アミノ酸から任意の整
数のアミノ酸残基、あるいは、上記アミノ末端およびカルボキシ末端欠失の任意
の組み合わせを除外する)。上記欠失変異体ポリペプチド形態の全てをコードす
るポリヌクレオチドもまた提供される。
【0225】 本出願はまた、本明細書中に開示されるMPIF−1ポリヌクレオチド配列m
−nに少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一で
あるポリペプチドを含むタンパク質に関する。好ましい実施形態において、この
出願は、本明細書中に示される特定のMPIF−1 N末端およびC末端欠失の
アミノ酸配列を有するポリペプチドに少なくとも90%、95%、96%、97
%、98%または99%同一であるポリペプチドを含むタンパク質に関する。こ
れらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた本発明によって含まれ
る。
【0226】 図1(配列番号2)に示されるアミノ酸配列の特に好ましいMPIF−1ポリ
ペプチドは、以下に示される:
【0227】
【化2】 従って、1つの局面において、MPIF−1のN末端欠失変異体が、本発明に
よって提供される。このような変異体は、図1(配列番号2)の少なくとも最初
の22N末端アミノ酸残基の欠失(すなわち、少なくともMet(1)−−Ar
g(22)の欠失)を有するが、最初の60N末端アミノ酸残基より多くはない
欠失を有する図1(配列番号2)に示すアミノ酸配列を含むかまたは代替的にそ
れらからなるものを含む。あるいは、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも
最初の22N末端アミノ酸残基を含むが、最初の53N末端アミノ酸残基より多
くはない。あるいは、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも最初の33N末
端アミノ酸残基を含むが、最初の53N末端アミノ酸残基より多くはない。ある
いは、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも最初の37N末端アミノ酸残基
(すなわち、少なくともMet(1)−−Pro(37)の欠失)を含むが、最
初の53N末端アミノ酸残基より多くはない。あるいは、欠失は、図1(配列番
号2)の少なくとも最初の48N末端アミノ酸残基を含むが、最初の53N末端
アミノ酸残基より多くはない。
【0228】 上記のMPIF−1のN末端欠失変異体の範囲に加えて、本発明はまた、上記
の範囲の全ての組み合わせに関する。例えば、図1(配列番号2)の少なくとも
最初の22N末端アミノ酸残基を含むが最初の48N末端アミノ酸残基より多く
ない欠失;図1(配列番号2)の少なくとも最初の37N末端アミノ酸残基を含
むが最初の48N末端アミノ酸残基より多くない欠失;図1(配列番号2)の少
なくとも最初の22N末端アミノ酸残基を含むが最初の37N末端アミノ酸残基
より多くない欠失;図1(配列番号2)の少なくとも最初の22N末端アミノ酸
残基を含むが最初の33N末端アミノ酸残基より多くない欠失;図1(配列番号
2)の少なくとも最初の33N末端アミノ酸残基を含むが最初の37N末端アミ
ノ酸残基より多くない欠失;および図1(配列番号2)の少なくとも最初の33
N末端アミノ酸残基を含むが最初の48N末端アミノ酸残基より多くない欠失。
【0229】 別の局面では、MPIF−1のC末端欠失変異体が本発明によって提供される
。好ましくは、このMPIF−1のC末端欠失変異体のN末端アミノ酸残基は、
図1(配列番号2)のアミノ酸残基1(Met)または22(Arg)である。
このような変異体は、少なくとも最後のC末端アミノ酸残基(Asn(120)
)であるが最後の52C末端アミノ酸残基(例えば、図1(配列番号2)のアミ
ノ酸残基Glu(69)−Asn(120)の欠失)より多くない欠失を有する
図1(配列番号2)に示すアミノ酸配列を含むかまたは代替的にそれらからなる
ものを含む。あるいは、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも最後の10ま
たは15C末端アミノ酸残基を含むが、最後の52C末端アミノ酸残基より多く
はない。あるいは、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも最後の20C末端
アミノ酸残基を含むが、最後の52C末端アミノ酸残基より多くはない。あるい
は、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも最後の30C末端アミノ酸残基を
含むが、最後の52C末端アミノ酸残基より多くはない。あるいは、欠失は、図
1(配列番号2)の少なくとも最後の36C末端アミノ酸残基を含むが、最後の
52C末端アミノ酸残基より多くはない。あるいは、欠失は、図1(配列番号2
)の少なくとも最後の41C末端アミノ酸残基を含むが、最後の52C末端アミ
ノ酸残基より多くはない。あるいは、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも
最後の45C末端アミノ酸残基を含むが、最後の52C末端アミノ酸残基より多
くはない。あるいは、欠失は、図1(配列番号2)の少なくとも最後の48C末
端アミノ酸残基を含むが、最後の52C末端アミノ酸残基より多くはない。
【0230】 上記のMPIF−1のC末端欠失変異体の範囲に加えて、本発明はまた、上記
の範囲の全ての組み合わせに関する。例えば、図1(配列番号2)の少なくとも
最後のC末端アミノ酸残基を含むが最後の48C末端アミノ酸残基より多くない
欠失;図1(配列番号2)の少なくとも最後のC末端アミノ酸残基を含むが最後
の45C末端アミノ酸残基より多くない欠失;図1(配列番号2)の少なくとも
最後のC末端アミノ酸残基を含むが最後の41C末端アミノ酸残基より多くない
欠失;図1(配列番号2)の少なくとも最後のC末端アミノ酸残基を含むが最後
の36C末端アミノ酸残基より多くない欠失;図1(配列番号2)の少なくとも
最後のC末端アミノ酸残基を含むが最後の10C末端アミノ酸残基より多くない
欠失;図1(配列番号2)の少なくとも最後の10C末端アミノ酸残基を含むが
最後の20C末端アミノ酸残基より多くない欠失;図1(配列番号2)の少なく
とも最後の10C末端アミノ酸残基を含むが最後の30C末端アミノ酸残基より
多くない欠失;図1(配列番号2)の少なくとも最後の10C末端アミノ酸残基
を含むが最後の36C末端アミノ酸残基より多くない欠失;図1(配列番号2)
の少なくとも最後の20C末端アミノ酸残基を含むが最後の30C末端アミノ酸
残基より多くない欠失;など、など、など... さらに別の局面では、本発明によって含まれるのは、N末端およびC末端残基
の両方からアミノ酸が欠失したMPIF−1欠失変異体である。このような変異
体は、上述したN末端欠失変異体およびC末端欠失変異体の全ての組み合わせを
含む。このような変異体は、図1(配列番号2)の少なくとも最初の22N末端
アミノ酸残基の欠失であるが、最初の52N末端アミノ酸残基より多くはない欠
失を有し、かつ少なくとも最後のC末端アミノ酸残基を含むが最後の52C末端
アミノ酸残基より多くない欠失を有する図1(配列番号2)に示すアミノ酸配列
を含むかまたは代替的にそれらからなるものを含む。あるいは、欠失は、図1(
配列番号2)の少なくとも最初の33、37、または48N末端アミノ酸である
が最初の52N末端アミノ酸より多くなく、そして図1(配列番号2)の少なく
とも最後の10、20、30、36、41、45、または48C末端アミノ酸残
基であって、最後の52C末端アミノ酸より多くない欠失を含み得る。上記範囲
の全ての組み合わせがさらに含まれる。
【0231】 本発明の特に好ましいフラグメントは、MPIF−1の構造的または機能的性
質によって特徴付けられるフラグメントである。このようなフラグメントとして
は、完全(すなわち、全長)MPIF−1(配列番号2)のα−へリックスおよ
びα−へリックス形成領域(「α領域」)、β−シートおよびβ−シート形成領
域(「β領域」)、ターンおよびターン形成領域(ターン領域)、コイルおよび
コイル形成領域(「コイル領域」)、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域
、β両親媒性領域、表面形成領域、および高抗原性指標領域を含むアミノ酸残基
を含む(すなわち、ジャメソン−ウルフプログラムのデフォルトパラメーターを
使用して同定されるように、1.5以上の抗原性指標を有する4つ以上の近接し
たアミノ酸を含む)。特定の好ましい領域は、図14に示されるような領域であ
り、そして、図1(配列番号2)に示されるアミノ酸配列の分析によって同定さ
れた上述の形態の領域を含むがこれに限定されない。これらのコンピュータープ
ログラムをのデフォルトパラメーターを使用して推定される、このような好まし
い領域としては、以下が挙げられる;ガルニエ−ロブソン(Garnier−R
obson)推定α領域、ガルニエ−ロブソン推定β領域、ガルニエ−ロブソン
推定ターン領域、およびガルニエ−ロブソン推定コイル領域;チョウ−ファスマ
ン(Chou−Fasman)推定α領域、チョウ−ファスマン推定β領域、チ
ョウ−ファスマン推定ターン領域およびチョウ−ファスマン推定コイル領域;ケ
イト−ドオリトル(Kyte−Doolittle)推定親水性領域およびケイ
ト−ドオリトル推定疎水性領域;アイセンバーグ(Eisenberg)α領域
両親媒性猟領域およびアイセンバーグβ両親媒性領域;エミニ(Emini)表
面形成領域;およびジャメソン−ウルフ(Jameson−Wolf)高抗原性
指標領域。保存されたドメイン内に含まれる配列番号2のポリペプチドフラグメ
ントは、本発明によって意図される(図1および図3参照のこと)。これらのド
メインをコードするポリヌクレオチドフラグメントもまた、本発明に含まれる。
【0232】 さらなる実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、MPIF−1の機
能的性質をコードする。この点に関する本発明の好ましい実施形態は、MPIF
−1のα−へリックスおよびα−へリックス形成領域(「α領域」)、β−シー
トおよびβ−シート形成領域(「β領域」)、ターンおよびターン形成領域(タ
ーン領域)、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水性領域、疎
水性領域、α両親媒性領域、β両親媒性領域、可撓性領域、表面形成領域、およ
び高抗原性指標領域を含むフラグメントを含む。
【0233】 さらなる好ましい領域は、実施例37に示される領域である。
【0234】 上記のように図14に開示されているMPIF−1の構造的または機能的性質
を示すデータは、デフォルトパラメーター上に設定されるDNA*STARの種
々のモジュールおよびアルゴリズムを使用して作成される。好ましい実施形態に
おいて、図14に示されるデータは、抗原性について高度の可能性を示すMPI
F−1の領域を決定するために使用される。高い抗原性の領域は、免疫応答の開
始のプロセスにおいて抗原認識が生じ得る環境におけるペプチドの表面上で曝露
されるようなペプチドの領域を示す値を選択することによって示されるデータか
ら決定される。
【0235】 図14に示される上述の好ましい領域は、図1に示されるアミノ酸配列の分析
によって同定される上述の形態の領域を含むがこれに限定されない。図14に示
されるように、このように好ましい領域としては、ガルニエ−ロブソン(Gar
nier−Robson)α領域、ガルニエ−ロブソンβ領域、ガルニエ−ロブ
ソンターン領域、およびガルニエ−ロブソンコイル領域、チョウ−ファスマン(
Chou−Fasman)α領域、チョウ−ファスマンβ領域およびチョウ−フ
ァスマンコイル領域、ケイト−ドオリトル(Kyte−Doolittle)親
水性領域およびケイト−ドオリトル疎水性領域、アイセンバーグ(Eisenb
erg)α領域両親媒性猟領域およびアイセンバーグβ両親媒性領域、カープラ
ス−シュルツ(Karplus−Schulz)可撓性領域、エミニ(Emin
i)表面形成領域、およびジャメソン−ウルフ(Jameson−Wolf)高
抗原性指標領域を含む。
【0236】 この点について、高度に好ましいフラグメントは、いくつかの構造的特徴(例
えば、上記または以下に示されるいくつかの特徴)を組み合わせるMPIF−1
の領域を含むフラグメントである。
【0237】 1つの実施形態において、MPIF−1改変体および/またはフラグメントは
、MPIF−1と同一の構造または実質上同一の構造を有し得るかまたは少なく
ともそのひとつの領域(例えば、核磁気共鳴分光法(NMR)によって決定され
る溶液構造(実施例37を参照のこと))または他の技術によって決定されるよ
うな構造)を有し得る。従って、MPIF−1改変体および/またはフラグメン
トは、配列番号2もしくは配列番号7の配列または寄託されたcDNAクローン
によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有
し得るが、MPIF−1と同一もしくは実質的に同一の構造またはその少なくと
も1つの領域を有する。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも
また、本発明によって含まれる。
【0238】 MPIF−1改変体および/またはフラグメントは、MPIF−1の少なくと
も1つの領域と同一または実質的に同一の構造を有し得る。MPIF−1の領域
は、N末端ループ、310ループ、第1のβ鎖、第1のIII型ターン、第2のβ
鎖、I型ターン、第3のβ鎖、第2のIII型ターン、および実施例37に記載
されるαへリックス(すなわち、配列番号2のアミノ酸56〜63(実施例37
において13〜20と番号付けされる)、64〜67(実施例37における21
〜24)、70〜74(実施例37における27〜31)、75〜81(実施例
36における32〜38)、82〜87(実施例37における39〜44)、8
8〜90(実施例36における45〜47)、91〜95(実施例37における
48〜52)、96〜98(実施例37における53〜55)、および99〜1
09(実施例37における56〜66))を含む。MPIF−1領域はまた、配
列番号2のアミノ酸44〜120(実施例37における1〜77)、44〜53
(実施例37における1〜10)、54〜109(実施例37における11〜6
6)、54〜105(実施例37における11〜62)、56〜109(実施例
37における13〜66)、106〜120(実施例37における63〜77)
、110〜120(実施例37における67〜77)、図14に示される領域、
本明細書中に記載されるかまたはアミノ酸配列分析によって推定される他の領域
を含む。MPIF−1ポリペプチド改変体および/またはフラグメントは、これ
らのMPIF−1領域と同一もしくは実質的に同一の構造またはその組み合わせ
を有し得る。
【0239】 1つ以上のMPIF−1領域の同一もしくは実質的に同一の構造を有するMP
IF−1改変体および/またはフラグメントについて、構造はお互いに近接し得
る。1つの実施形態において、この構造はお互いに近接していない(すなわち、
これらは1つ以上のアミノ酸残基で分離されている)。好ましくは、この構造は
、MPIF−1の構造と整列される。好ましくは、この構造は、MPIF−1の
構造上に重ね合わされる。好ましい実施形態において、この構造は、MPIF−
1における対応する構造とお互いに関連する同一構造(すなわち、同一の4次構
造)を有する。
【0240】 例えば、MPIF−1改変体および/またはフラグメントは、N末端ループ、
第1のβ鎖、第2のβ鎖、第3のβ鎖、およびMPIF−1のαへリックスと同
一または実質的に同一の構造を有し得る。従って、好ましい組み合わせにおいて
、MPIF−1改変体および/またはフラグメントは、配列番号2のアミノ酸5
6〜63(実施例37における13〜20)、70〜74(実施例37における
27〜31)、82〜87(実施例37における39〜44)、91〜95(実
施例37における48〜52)、および99〜109(実施例37における56
〜66))と同一または実質的に同一の構造を有する。
【0241】 別の例として、MPIF−1改変体および/またはフラグメントは、N末端ル
ープ、310ループ、第1のβ鎖、第1のIII型ターン、第2のβ鎖、I型ター
ン、第3のβ鎖、第2のIII型ターン、およびMPIF−1のαへリックスと
同一または実質的に同一の構造を有する。従って、MPIF−1改変体および/
またはフラグメントは、配列番号2のアミノ酸56〜63(実施例37において
13〜20と番号付けされる)、64〜67(実施例37における21〜24)
、70〜74(実施例37における27〜31)、75〜81(実施例36にお
ける32〜38)、82〜87(実施例37における39〜44)、88〜90
(実施例36における45〜47)、91〜95(実施例37における48〜5
2)、96〜98(実施例37における53〜55)、および99〜109(実
施例37における56〜66))と同一または実質的に同一の構造を含む。
【0242】 好ましい実施形態において、MPIF−1改変体および/またはフラグメント
は、配列番号2のアミノ酸56〜109(実施例37における13〜66)と同
一または実質的に同一の構造を有する。
【0243】 別の実施形態において、MPIF−1ポリヌクレオチドは、MPIF−1の1
つ以上の領域のアミノ酸配列を含むみ得るかまたはそれらからなり得る。2つ以
上の領域のアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなるポリペプチドについて、
この領域はお互いに近接し得る。1つの実施形態において、この領域は、お互い
に近接していない(すなわち、これらは1つ以上のアミノ酸残基によって分離さ
れている)。好ましくは、アミノ酸配列は、MPIF−1の対応する領域のアミ
ノ酸配列と整列され、その結果、MPIF−1においてそれらを分離する同数の
アミノ酸残基によって分離される。
【0244】 なお別の実施形態において、MPIF−1改変体および/またはフラグメント
は、上記の領域の1つ以上におけるアミノ酸変化(置換、欠失、および挿入)を
含み得るが、1つ以上の他の領域において全く変化を含まない。これらのポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明によって含まれる。
【0245】 他の好ましいポリペプチドフラグメントは、生物学的に活性なMPIF−1フ
ラグメントである。生物学的に活性なフラグメントは類似の活性を示すフラグメ
ントであるが、必ずしもMPIF−1ポリペプチドの活性と同一ではない。この
フラグメントの生物学的活性は、改善した所望の活性または減少した所望でない
活性を含み得る。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、
本発明によって含まれる。
【0246】 しかし、多数のポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に入手可
能であり、配列データベースを介してアクセス可能である。これらの配列のいく
つかは、配列番号1または6に関連し、そして、本発明の概念より先に公に入手
可能であったかもしれない。好ましくは、このような関連ポリヌクレオチドは、
特定には、本発明の範囲から除外される。全ての関連した配列を列挙することは
わずらわしい。従って、好ましくは、本発明から除外されるのは、a−bの一般
式によって記載されるヌクレオチド配列を含むか、または代替的にはこれらから
なる1つ以上のポリヌクレオチドであり、ここで、aは配列番号1の1〜349
の間の任意の整数であり、bは15〜363の任意の整数であり、aおよびbの
両方は配列番号1に示されるヌクレオチド残基の位置に対応し、そして、bは、
a+14より大きいかまたは同じである。
【0247】 MPIF−1の137アミノ酸スプライス改変体のアミノ末端およびカルボキ
シ末端欠失:上記に示されるように、本発明は、ヒトMPIF−1改変体をさら
に提供する。cDNA配列および137アミノ酸配列を図20Aに示す(それぞ
れ配列番号6および7)。真核生物発現系を使用して、本発明は、このMPIF
−1スプライス改変体の3つのN末端欠失変異体を発見した。これらは、His
(60)−Asn(137);Met(46)−Asn(137);およびPr
o(54)−Asn(137)を含む。従って、さらなる局面において、MPI
F−1スプライス改変体N末端欠失変異体は、本発明によって提供される。この
ような変異体は、図20A(配列番号7)に示される、少なくとも最初の45N
末端アミノ酸残基を欠失するが、図20A(配列番号7)の最初の59N末端ア
ミノ酸残基を超えない欠失を有するアミノ酸配列を含むか、または代替的にはそ
れらからなる配列を含む。あるいは、この欠失は、図20A(配列番号7)の少
なくとも最初の53N末端アミノ酸残基を含むが、最初の59N末端アミノ酸残
基を超えない。あるいは、この欠失は、図20A(配列番号7)の少なくとも最
初の45のN末端アミノ酸残基を含むが、最初の53のN末端アミノ酸残基を超
えない。
【0248】 配列番号7に示されるような本発明の137アミノ酸スプライシングバリアン
トのさらなるN末端欠失は、配列番号7の以下の残基のアミノ酸配列を含むか、
あるいはこのようなアミノ酸配列から構成されるポリペプチドを含む:
【0249】
【化3】 同様に、配列番号7に示されるような本発明の137アミノ酸のスプライシン
グバリアントポリペプチドのさらなるC末端欠失は、配列番号7の以下の残基の
アミノ酸配列を含むポリペプチドを含む:
【0250】
【化4】 本発明のポリペプチドは、好ましくは単離された形態で提供され、そして好ま
しくは実質的に精製される。MPIF−1ポリペプチドの組換え的に生成された
バージョンは、SmithおよびJohnson(Gene 67:31−40
(1988))により記載される1工程方法によって、実質的に精製され得る。
【0251】 本発明のポリペプチドは、リーダーを含む寄託されたcDNAによりコードさ
れるポリペプチド(すなわち全長タンパク質)、寄託されたcDNAによりコー
ドされるポリペプチドからリーダーを除くポリペプチド(すなわち、成熟タンパ
ク質)、リーダーを含む図1のポリペプチド(配列番号2)、リーダーを含むが
、N末端メチオニン残基を除く図1のポリペプチド(配列番号2)、リーダーを
除く図1のポリペプチド(配列番号2)、ならびに上記のポリペプチドに少なく
とも80%、85%、90%、92%または95%類似性であり、そしてなおよ
り好ましくは少なくとも96%、97%、98%、または99%類似性を有する
ポリペプチドを含む。本発明のさらなるポリペプチドは、図1のポリペプチド(
配列番号2)に対して、寄託されたcDNAによってコードされるポリペプチド
に対して、少なくとも80%、85%、90%または95%同一であり、なおよ
り好ましくは、少なくとも96%、97%、98%または99%同一であるポリ
ペプチドを含み、そしてまた少なくとも30アミノ酸、そしてより好ましくは少
なくとも50アミノ酸を有するこのようなポリペプチドの部分を含む。
【0252】 2つのポリペプチドについて「%類似性」とは、2つのポリペプチドをBes
tfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysi
s Package, Version 8 for Unix(登録商標),
Genetics Computer Group, University
Research Park, 575 Science Drive, M
adison, WI 53711)および類似性決定のためのデフォルト設定
を用いて2つのポリペプチドのアミノ酸配列を比較することによって生じた類似
性スコアを意図する。Bestfitは、SmithおよびWaterman(
Advances in Applied Mathematics 2:48
2−489, 1981)の局所相同性演算を用いて2つの配列間の最良の類似
性セグメントを見出す。
【0253】 MPIF−1ポリペプチドの参照アミノ酸配列に少なくとも、例えば、95%
「同一である」アミノ酸配列を有するポリペプチドとは、このポリペプチドのア
ミノ酸配列は、このポリペプチド配列が、MPIF−1ポリペプチドの参照アミ
ノ酸配列の各100アミノ酸当たり5アミノ酸までの変化を含み得ることを除い
て参照配列と同一であることを意図する。言い換えれば、参照アミノ酸配列に少
なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参
照配列中5%までのアミノ酸残基が別のアミノ酸と欠失もしくは置換され得るか
、または参照配列中の全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸が参照配列に挿
入され得る。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカル
ボキシ末端位置またはそれらの末端位置間の任意の位置で、参照配列中の残基間
で個別にまたは参照配列内で1つ以上の連続する群でのいずれかで分散して生じ
得る。
【0254】 実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、図1(配列番号2)
、に示すアミノ酸配列または寄託されたcDNAクローンによりコードされたア
ミノ酸配列に少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一であ
るか否かは、公知のコンピュータープログラム(例えば、Bestfitプログ
ラム(Wisconsin Sequence Analysis Packa
ge, Version 8 for Unix(登録商標), Geneti
cs Computer Group, University Resear
ch Park, 575 Science Drive, Madison,
WI 53711)を用いて従来的に決定され得る。Bestfitまたは任
意の他の配列整列プログラムを用いて、特定の配列が、例えば、本発明に従う参
照配列に95%同一であるか否かを決定する場合、パラメーターは、もちろん、
同一性パーセントが、参照アミノ酸配列の全長にわたって算定され、かつ参照配
列中のアミノ酸残基の総数の5%までの相同性のギャップを可能にするように設
定される。
【0255】 本発明のポリペプチドは、SDS−PAGEゲルまたは当業者に周知の方法を
用いる分子篩ゲル濾過カラムの分子量マーカーとして用いられ得る。
【0256】 以下に詳細に記載するように、本発明のポリペプチドは、ポリクローナル抗体
およびモノクローナル抗体を惹起させるために用いられ得る。これは、以下に記
載するようにMPIF−1タンパク質発現を検出するためのアッセイにおいて、
またはMPIF−1タンパク質機能を増強または阻害し得るアゴニストおよびア
ンタゴニストとして有用である。さらに、このようなポリペプチドは、酵母ツー
ハイブリッドシステムにおいて、MPIF−1タンパク質結合タンパク質を「捕
獲」するために用いられ得る。このタンパク質もまた、本発明に従う候補アゴニ
ストおよびアンタゴニストである。酵母ツーハイブリッドシステムは、Fiel
dsおよびSong, Nature 340:245−246(1989)に
記載される。
【0257】 (MPIF−1エピトープ保有ポリペプチド)別の局面では、本発明は、本発
明のポリペプチドのエピトープ保有部分を含む(かまたはそれからなる)ペプチ
ドまたはポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分のエピトープは、本発
明のポリペプチドの免疫原性または抗原性エピトープである。「免疫原性エピト
ープ」は、全タンパク質が免疫原である場合抗体応答を惹起するタンパク質の部
分として定義される。これらの免疫原性エピトープは、分子上で少数の遺伝子座
に制限されると考えられている。他方で、抗体が結合し得るタンパク質分子の領
域は、「抗原性エピトープ」として定義される。一般に、タンパク質の免疫原性
エピトープの数は、抗原性エピトープの数より少ない。例えば、Geysenら
、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998−
4002(1983)を参照のこと。
【0258】 エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来の方法によって産生さ
れ得る。(例えば、Houghten,R.A.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 82:5131−5135(1985)を参照のこと、こ
れは、米国特許第4,631,211号にさらに記載される)。
【0259】 抗原性エピトープを保有する(すなわち、抗体が結合し得るタンパク質分子の
領域を含む)ペプチドまたはポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一
部を模倣する比較的短い合成ペプチドが、部分的に模倣されたタンパク質と反応
する抗血清を慣用的に惹起し得ることが当該分野で周知である。例えば、Sut
cliffe,J.G.Shinnick,T.M.,Green,N.および
Learner,R.A.,Science 219:660−666(198
3)を参照のこと。
【0260】 タンパク質反応性血清を惹起し得るペプチドは、タンパク質の一次配列におい
て頻繁に示され、単純な化学法則のセットにより特徴づけられ得、そしてインタ
クトなタンパク質の免疫優性領域(すなわち、免疫原性エピトープ)にも、アミ
ノ酸もしくはカルボキシ末端のいずれにも限定されない。極度に疎水性のペプチ
ドおよび6残基以下のペプチドは、模倣されたタンパク質に結合する抗体の誘導
に一般に有効ではない;より長いペプチド(特に、プロリン残基を含むペプチド
)が通常有効である。Sutcliffeら、上述、661。例えば、これらの
指針に従って設計した20のペプチドのうち18(インフルエンザウイルス血液
凝集素HA1ポリペプチド鎖の配列の75%を網羅する8〜39残基を含む)は
、HA1タンパク質またはインタクトなウイルスと反応する抗体を誘導した;そ
してMuLVポリメラーゼ由来の12/12のペプチドおよび狂犬病糖タンパク
質由来の18/18のペプチドは、それぞれのタンパク質を沈降した抗体を誘導
した。
【0261】 従って、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、本発
明のポリペプチドに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹起
するために有用である。従って、抗原エピトープ保有ペプチドで免疫したドナー
由来の脾臓細胞の融合により得られた高い割合のハイブリドーマは、一般に、ネ
イティブタンパク質と反応性の抗体を分泌する。Sutcliffeら(上述)
663。抗原性エピトープ保有ペプチドまたはポリペプチドにより惹起された抗
体は、模倣されたタンパク質を検出するために有用であり、そして異なるペプチ
ドに対する抗体は、翻訳後プロセシングを受けるタンパク質前駆体の種々の領域
の運命を追跡するために用いられ得る。ペプチドおよび抗ペプチド抗体は、模倣
されたタンパク質についての種々の定性または定量アッセイで、例えば、競合ア
ッセイで用いられ得る。なぜなら、これは、短いペプチド(例えば、約9アミノ
酸)でさえ、免疫沈降アッセイにおいて結合し、そしてより大きなペプチドと置
換し得ることが示されてためである。例えば、Wilsonら、Cell 37
:767−778 (1984)、777を参照のこと。本発明の抗ペプチド抗
体はまた、例えば、当該分野で周知の方法を用いる吸着クロマトグラフィーによ
る、模倣されたタンパク質の精製のために有用である。
【0262】 上記の指針に従って設計された本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよび
ポリペプチドは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内に含まれる、好ましく
は、少なくとも7、より好ましくは、少なくとも9、そして最も好ましくは約1
5〜約30アミノ酸の配列を含む。しかし、本発明のポリペプチドのアミノ酸配
列のより大きな部分を含むか、あるいはそれからなるペプチドまたはポリペプチ
ド(約30〜約50アミノ酸、または本発明のポリペプチドの全アミノ酸配列ま
でのおよびこれを含む任意の長さを含む)もまた、本発明のエピトープ保有ペプ
チドまたはポリペプチドとみなし、そしてまた、模倣されたタンパク質と反応す
る抗体を誘導するために有用である。好ましくは、エピトープ保有ペプチドのア
ミノ酸配列は、水性溶媒において実質的な溶解度を提供するように選択される(
すなわち、配列は、比較的親水性の残基を含み、そして高度に疎水性の配列は、
好ましく避けられる);そしてプロリン残基を含む配列は、特に好ましい。
【0263】 本発明において、抗原性エピトープは、好ましくは、少なくとも4、少なくと
も5、少なくとも6、少なくとも7、より好ましくは少なくとも8、少なくとも
9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、およ
び最も好ましくは約15と30との間のアミノ酸配列を含む。少なくとも10、
15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、
75、80、85、90、95、または100アミノ酸残基長の免疫原性または
抗原性エピトープを含むか、あるいはこれらからなるポリペプチドが好ましい。
【0264】 MPIF−1特異的抗体を生成するために用いられ得る抗原性ポリペプチドま
たはペプチドの非限定的な例は、以下を含む:配列番号2における約21〜約3
0のアミノ酸残基を含むか、これからなるポリペプチド;配列番号2における約
31〜約44のアミノ酸残基を含むか、これからなるポリペプチド;配列番号2
における約49〜約55のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2におけ
る約59〜約67のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2における約7
2〜約83のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2における約86〜約
103のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2における約110〜約1
20のアミノ酸残基を含むポリペプチド。上記に示したように、本発明者らは、
上記ポリペプチドフラグメントがMPIF−1の抗原性領域であることを決定し
た。
【0265】 M−PIF特異的抗体を生成するために用いられ得るさらなる抗原性ポリペプ
チドまたはペプチドは、上記のN末端欠失およびC末端欠失を含む。
【0266】 本発明はまた、MPIF−1の137アミノ酸スプライシングバリアント(配
列番号7)のエピトープフラグメントを提供する。より詳細には、本発明は、配
列番号7の以下の残基のアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する:
【0267】
【化5】 本発明のエピトープ保有ペプチドまたはポリペプチドは、本発明の核酸分子を
用いて、ペプチドまたはポリペプチドを作製するための任意の従来の手段(組換
え手段を含む)によって産生され得る。例えば、短いエピトープ保有アミノ酸配
列は、組換え産生および精製の間、ならびに抗ペプチド抗体を生成するための免
疫化の間、キャリアとして作用するより大きなポリペプチドに融合され得る。エ
ピトープ保有ペプチドはまた、公知の化学合成方法を用いて合成され得る。例え
ば、Houghtenは、4週間未満で多数のペプチド(例えば、調製され特徴
づけられた(ELISAタイプ結合研究により)HA1ポリペプチドのセグメン
トの単一のアミノ酸改変体を表す10〜20mgの248の異なる13残基ペプ
チド)を合成する簡便な方法を記載している。Houghton,R.A.(1
985)General method for the rapid sol
id−phase synthesis of large numbers
of peptides:specificity of antigen−a
ntibody interaction at the level of
individual amino acids.Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 82:5131−5135。この「同時多重ペプチド合成
(Simultaneous Multiple Peptide Synth
esis (SMPS)」プロセスは、米国特許第4,631,211号(Ho
ghtonら(1986))にさらに記載されている。この手順において、種々
のペプチドの固相合成のための個々の樹脂は、別個の溶媒透過性パケットに含有
され、固相法に関与する多くの同一の反復工程の至適な使用を可能にする。競合
マニュアル手順は、500〜1000またはそれ以上の合成を同時に行うことを
可能にする。Houghtonら、上述、5134。
【0268】 本発明の好ましい核酸フラグメントは、MPIF−1タンパク質のエピトープ
保有部分をコードする核酸分子を含む。
【0269】 詳細には、本発明のMPIF−1のこのような核酸フラグメントは、以下をコ
ードする核酸分子を含む:配列番号2における約21〜約30のアミノ酸残基を
含むか、あるいはこれからなるポリペプチド;配列番号2における約31〜約4
4のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2における約49〜約55のア
ミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2における約59〜約67のアミノ酸
残基を含むポリペプチド;配列番号2における約72〜約83のアミノ酸残基を
含むポリペプチド;配列番号2における約86〜約103のアミノ酸残基を含む
ポリペプチド;配列番号2における約110〜約120のアミノ酸残基を含むポ
リペプチド、またはその中の任意の範囲または値(を含むポリペプチド)。
【0270】 本発明者らは、上記ポリペプチドフラグメントがMPIF−1タンパク質の抗
原性領域であることを決定した。MPIF−1タンパク質の他のこのようなエピ
トープ保有部分を決定するための方法は、以下に詳細に記載される。
【0271】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体
を誘導するために用いられる。これには、インビボ免疫、インビトロ免疫、およ
びファージディスプレイ法が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、Su
tcliffeら、上述;Wilsonら、上述;およびBittle,F.J
.ら、J.Gen.Virol.66:2347−2354(1985)を参照
のこと。インビボ免疫を用いる場合、動物は、遊離ペプチドで免疫され得る;し
かし、抗ペプチド抗体価は、ペプチドの巨大分子キャリア(例えば、キーホール
リンペットヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイド)への結合により追
加免疫投与され得る。例えば、システインを含有するペプチドは、リンカー(例
えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクインイミドエステル(M
BS))を用いてキャリアに結合され得る。一方、他のペプチドは、グルタルア
ルデヒドのようなより一般的な連結剤を用いてキャリアに連結され得る。動物(
例えば、ウサギ、ラット、およびマウス)は、遊離ペプチドまたはキャリア結合
ペプチドのいずれかで、例えば、約100gのペプチドまたはキャリアタンパク
質とフロイントアジュバントとを含む乳剤の腹腔内および/または皮内注射によ
って免疫される。いくつかの追加免疫注射が、例えば、固体表面に吸着された遊
離ペプチドを用いるELISAアッセイによって、検出され得る抗ペプチド抗体
の有用な力価を提供するために、例えば、約2週間の間隔で必要とされ得る。免
疫動物由来の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、例えば、当該分野で周知の方法
に従う固体支持体上のペプチドへの吸着および選択された抗体の溶出による、抗
ペプチド抗体の選択によって増大され得る。
【0272】 本発明の免疫原性エピトープ保有ペプチド(すなわち、全タンパク質が免疫原
である場合抗体応答を惹起するタンパク質のそれらの部分)は、当該分野で公知
の方法に従って同定される。例えば、Geysenら、上述は、酵素結合免疫吸
着アッセイにおいて反応するのに十分な純度の数百のペプチドの固体支持体上に
おける迅速な同時合成のための方法を開示している。合成されたペプチドと抗体
との相互作用は、次いで、支持体からそれらを除去することなく容易に検出され
る。このようにして、所望のタンパク質の免疫原性エピトープを保有するペプチ
ドは、当業者によって日常的に同定され得る。例えば、口蹄疫ウイルスの外被タ
ンパク質における免疫学的に重要なエピトープは、Geysenらによって位置
決めされ、タンパク質の全213アミノ酸配列を網羅する全ての208の可能な
ヘキサペプチドの重複セットの合成によって7アミノ酸が解明された。次いで、
全ての20アミノ酸が順にエピトープ内のすべての位置で置換されたペプチドの
完全な置換セットが合成され、そして抗体との反応について特異性を与える特定
のアミノ酸が決定された。従って、本発明のエピトープ保有ペプチドのペプチド
アナログが、本方法によって日常的に作製され得る。米国特許第4,708,7
81号(Geysen(1987))は、所望のタンパク質の免疫原性エピトー
プを保有するペプチドを同定する本方法をさらに記載する。
【0273】 なおさらに、米国特許第5,194,392号(Geysen(1990))
は、目的の抗体の特定のパラトープ(抗原結合部位)に相補的なエピトープの幾
何学的に等価なモノマー(すなわち、「ミモトープ」)(アミノ酸または他の化
合物)の配列を検出または決定する一般的方法を記載している。より一般には、
米国特許第4,433,092号(Geysen(1989))は、目的の特定
のレセプターのリガンド結合部位に相補的なリガンドの幾何学的に等価なモノマ
ーの配列を検出または決定する一般的方法を記載している。同様に、米国特許第
5,480,971号(Houghten,R.A.ら(1996)Peral
kylted Oligopeptide Mixtures)は、直鎖状C1
−C7アルキル過アルキル化オリゴペプチドならびにこのようなペプチドのセッ
トおよびライブラリー、そして目的のアクセプター分子に優先的に結合する過ア
ルキル化オリゴペプチドの配列を決定するためにこのようなオリゴペプチドセッ
トおよびライブラリーを用いる方法を開示している。従って、本発明のエピトー
プ保有ペプチドの非ペプチドアナログは、これらの方法によって日常的に作製さ
れ得る。
【0274】 「ポリペプチドおよびペプチド」について本節で引用した各文書の完全な開示
が、本明細書中に参考として援用されている。
【0275】 当業者は、本発明のMPIF−1ポリペプチドおよび上記のそれらのエピトー
プ保有フラグメントが、免疫グロブリン(IgG)の定常ドメインの一部と組み
合わされて、キメラポリペプチドを生じ得ることを理解する。これらの融合タン
パク質は、精製を容易にし、そしてインビボで増大された半減期を示す。これは
、例えば、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物免
疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタン
パク質(EPA 394,827;Trauneckerら、Nature 3
31:84−86 (1988))について示されている。IgG部のためにジ
スルフィド結合ダイマー構造を有する融合タンパク質はまた、モノマーMPIF
−1タンパク質またはタンパク質フラグメント単独よりも、他の分子を結合し、
中和するのにより効率的であり得る(Fountoulakisら、J Bio
chem 270:3958−3964 (1995))。
【0276】 当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、免疫原性エピト
ープまたは抗原性エピトープを含むかあるいはこれからなる本発明のポリペプチ
ドは、異種のポリペプチド配列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチド
は、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたは
それらの部分(CH1、CH2、CH3、またはそれらの任意の組み合わせおよび
それらの部分(ドメイン全体およびその部分を含む))と融合され得、キメラポ
リペプチドを生じる。このような融合タンパク質は、精製を容易にし得、そして
インビボでの半減期を増大させ得る。これは、例えば、ヒトCD4−ポリペプチ
ドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の
定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示されている。例
えば、EPA 0,394,827;Trauneckerら、Nature,
331:84〜86(1988)を参照のこと。IgG部分に起因するジスルフ
ィド結合二量体構造を有する融合タンパク質はまた、単量体ポリペプチドまたは
それらのフラグメント単独よりも、他の分子の結合および中和においてより効果
的であり得る。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,
270:3958−3964(1995)を参照のこと。上記のエピトープをコ
ードする核酸はまた、エピトープタグとして目的の遺伝子と組換えられ、発現さ
れたポリペプチドの検出および精製を補助し得る。
【0277】 本発明のさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッ
フリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(総
称して「DNAシャッフリング」といわれる)の技術を通じて生成され得る。D
NAシャッフリングを利用して、配列番号2に対応するポリペプチドの活性を調
節し得、このような方法を使用することにより、これらのポリペプチドのアゴニ
ストおよびアンタゴニストを効果的に生成し得る。一般には、米国特許第5,6
05,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号;同第
5,834,252号;および同第5,837,458号、ならびにPatte
nら、Curr.Opinion Biotechnol.8:724−33(
1997);Harayama S.,Trends Biotechnol.
16(2):76−82(1998);Hansson L.O.ら、J.Mo
l.Biol.287:265−76(1999);ならびにLorenzo
M.M.およびBlasco R.,Biotechniques 24(2)
:308−13(1998)(これらの特許および刊行物の各々が本明細書によ
ってその全体において参考として援用される)を参照のこと。1つの実施形態に
おいて、配列番号1または6に対応するポリヌクレオチドおよび対応するポリペ
プチドの改変は、DNAシャッフリングにより達成され得る。DNAシャッフリ
ングは、相同組換えまたは部位特異的組換えにより、本発明の配列番号1または
6のポリヌクレオチドに対応する所望の分子に2つ以上のDNAセグメントをア
センブルすることを含む。別の実施形態において、配列番号1または6に対応す
るポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドは、組換え前に、誤りがちの(
error−prone)PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法に
よる、ランダム変異誘発に供されることによって改変され得る。別の実施形態に
おいて、配列番号1または6に対応するポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドの1つ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメント
など、またはそれによりコードされるポリペプチドは、1つ以上の異種分子の、
1つ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメントなどと
組み換えられ得る。
【0278】 (ポリペプチド精製および単離)MPIF−1は、硫酸アンモニウムまたはエ
タノール沈澱、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホス
ホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性
クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレク
チンクロマトグラフィーを含む方法によって、組換え細胞培養物から回収および
精製される。タンパク質再折り畳み工程は、必要に応じて、成熟タンパク質の配
置を完全にすることにおいて用いられ得る。最後に、高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)は、最終精製工程のために用いられ得る。
【0279】 本発明のポリペプチドは、天然に精製された生成物または化学合成手順の産物
であり得るか、あるいは原核生物宿主もしくは真核生物宿主から(例えば、培養
物中の細菌、酵母、高等植物、昆虫、および哺乳動物細胞による)組換え技術に
よって産生され得る。組換え産生手順で使用される宿主に依存して、本発明のポ
リペプチドは哺乳動物もしくは他の真核生物の炭水化物でグリコシル化され得る
か、または非グリコシル化され得る。本発明のポリペプチドはまた、最初のメチ
オニンアミノ酸残基を含み得る。
【0280】 さらに、本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の技術(例えば、Crei
ghton、1983、Proteins:Structures and M
olecular Principles、W.H.Freeman&Co.,
N.Y.およびHunkapillerら、Nature 310:105−1
11(1984))を用いて化学的に合成され得る。例えば,MPIF−1ポリ
ペプチドのフラグメントに対応するポリペプチドは、ペプチド合成装置の使用に
よって合成され得る。さらに、所望であれば,非古典的アミノ酸または化学アミ
ノ酸アナログは、MPIF−1ポリペプチド配列中への置換または付加として導
入され得る。非古典的アミノ酸は、以下を含むがこれらに限定されない:標準ア
ミノ酸のD−アイソマー、2,4−ジアミノ酪酸、a−アミノイソ酪酸、4−ア
ミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、gAbu、eAhx、6−アミノヘキサン
酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルチニン、ノル
ロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシ
トルリン、システイック酸(cysteic acid)、t−ブチルグリシン
、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、b−アラ
ニン、フルオロ−アミノ酸、設計されたアミノ酸(例えば、b−メチルアミノ酸
、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルアミノ酸、)、および一般なアミノ酸ア
ナログ。さらに、アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
【0281】 本発明は、翻訳の間または翻訳の後に差示的に改変される(例えば、グリコシ
ル化,アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘
導体化、タンパク質分解的切断、抗体分子または他の細胞性リガンドに対する連
結などによって)MPIF−1ポリペプチドを含む。多くの任意の化学的改変が
、以下を含むがこれらに限定されない公知の技術によって行なわれ得る:臭化シ
アン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4
による特異的化学切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシン
存在下における代謝的合成;など。
【0282】 本発明によって含まれるさらなる翻訳後改変は、例えば、N結合型糖鎖または
O結合型糖鎖(N末端およびC末端のプロセシング)、アミノ酸バックボーンに
対する化学的部分の付着、N連結糖鎖またはO連結糖鎖の化学的改変、および原
核宿主細胞の発現の結果としてN末端メチオニン残基の付加または欠失を含む。
ポリペプチドはまた、タンパク質の検出および単離を可能にする、酵素的、蛍光
的、同位体的または親和性標識のような検出可能な標識を用いて改変され得る。
【0283】 本発明によってまた与えられるのは、化学的に改変された本発明のポリペプチ
ドの誘導体であり、これは、ポリペプチドの可溶性、安定性および循環時間の増
加または免疫原性の減少のようなさらなる利点を与え得る(米国特許第4,17
9,337号を参照のこと)。誘導体化のための化学的成分は、例えば、ポリエ
チレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カ
ルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどのような
、水溶性ポリマーから選択され得る。ポリペプチドは、分子中のランダムな部位
、または分子中の予め決定された部位を改変され得、そして1、2、3以上の付
加した化学的成分を含み得る。
【0284】 ポリマーは任意の分子量であり得、そして分岐されてもまたは分岐されなくて
もよい。ポリエチレングリコールについて、好ましい分子量は、取り扱いおよび
製造の容易さのために、約1kDaと約100kDa(用語「約」は、ポリエチ
レングリコールの調製において、いくつかの分子は規定された分子量よりもより
多く、いくつかは少ないことを示す)との間である。他のサイズも使用され得、
これは、望ましい治療的プロフィールに依存する(例えば、所望の徐放性の期間
、生物学的活性に対する効果(もしあれば)、取り扱いの容易さ、抗原性の程度
または抗原性の欠如、およびポリエチレングリコールの治療的タンパク質または
アナログに対する他の既知の効果)。
【0285】 ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、このタンパク質の
機能的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮してタンパク質に結合
されるべきである。当業者に利用可能な多数の結合方法が存在する(例えば、本
明細書中に参考として援用される、EP 0 401 384(GCSFにPE
Gを結合する)、Malikら,Exp.Hematol.20:102810
35(1992)(塩化トレシルを用いたGMCSFのペグ化(pegylat
ion)を報告する)もまた参照のこと)。例えば、ポリエチレングリコールは
、反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基)によってアミノ酸
残基を介して共有結合され得る。反応性基は、活性化ポリエチレングリコール分
子が結合し得る基である。遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基としては、リジ
ン残基およびN末端アミノ酸残基が挙げられ得る;遊離のカルボキシル基を有す
るアミノ酸残基としては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端
アミノ酸残基が挙げられ得る。スルフヒドリル残基もまた、ポリエチレングリコ
ール分子を結合するための反応性基として用いられ得る。治療目的のために好ま
しいのは、アミノ基での結合、例えば、N末端またはリジン基での結合である。
【0286】 N末端で化学改変されたタンパク質が特に所望され得る。ポリエチレングリコ
ールを本発明の組成物の例示として用いて、種々のポリエチレングリコール分子
から(分子量、分枝などによって)、反応混合物中でのポリエチレングリコール
分子のタンパク質(ポリペプチド)分子に対する割合、行われるべきペグ化反応
の型、および選択されたN末端ペグ化タンパク質の獲得方法を選択し得る。N末
端ペグ化調製物の獲得方法(すなわち、必要な場合、この部分を他のモノペグ化
部分から分離すること)は、ペグ化タンパク質分子の集団からの、N末端ペグ化
物質の精製によってであり得る。N末端改変で化学改変された選択的タンパク質
は、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なる型の第1級アミノ基
(リジン対N末端)の示差的反応性を利用する還元的アルキル化によって達成さ
れ得る。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーを用いた、N末端で
のタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
【0287】 (抗体)本発明での使用のためのMPIF−1タンパク質特異的抗体は、イン
タクトなMPIF−1タンパク質、またはその抗原性ポリペプチドフラグメント
に対して惹起され得、これはアルブミンのようなキャリアタンパク質とともに、
またはそれが十分に長い(少なくとも約25アミノ酸)場合はキャリアをともな
わずに、動物系(例えば、ウサギまたはマウス)に提示され得る。
【0288】 本明細書中で使用される用語「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」
(Mab)は、 MPIF−1タンパク質に特異的に結合し得るインタクトな分
子および抗体フラグメント(例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメント
)を含むことを意味する。FabおよびF(ab’)2フラグメントは、インタ
クトな抗体のFcフラグメントを欠いており、循環からより迅速に排除され、そ
してインタクトな抗体のより少ない非特異的組織結合を有し得る(Wahlら、
J.Nucl.Med. 24:316−325 (1983))。従って、こ
れらのフラグメントが好ましい。
【0289】 ポリペプチド、それらのフラグメントもしくは他の誘導体、またはそれらのア
ナログ、またはそれらを発現する細胞が、それらに対する抗体を産生するための
免疫原として使用され得る。これらの抗体は、例えば、ポリクローナル抗体また
はモノクローナル抗体であり得る。本発明はまた、キメラ抗体、単鎖抗体、およ
びヒト化抗体、ならびにFabフラグメント、またはFab発現ライブラリーの
産生を含む。当該分野で公知の種々の手順が、このような抗体およびフラグメン
トの産生に使用され得る。
【0290】 本発明はまた、配列番号2または7に示されるポリペプチド配列のエピトープ
を含むか、あるいはこれからなるポリペプチドフラグメント、あるいは寄託され
たクローンに含まれるcDNAによってコードされるポリペプチド配列に関する
。これらのエピトープをコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号1また
は6に記載の配列など)がまた、これらのエピトープをコードするポリヌクレオ
チドの相補鎖のヌクレオチド配列と同様に、本発明に包含される。ストリンジェ
ントな条件または低ストリンジェンシー条件下でこの相補鎖にハイブリダイズす
るポリヌクレオチドもまた包含される。
【0291】 本発明において、「エピトープ」は、動物、特にヒトの抗原性活性または免疫
原性活性を有するポリペプチドフラグメントをいう。本発明の好ましい実施形態
は、エピトープを含むかあるいはこれからなるポリペプチドフラグメント、なら
びにこのフラグメントをコードするポリヌクレオチドに関する。抗体が結合し得
るタンパク質分子の領域は、「抗原性エピトープ」として定義される。対照的に
、「免疫原性エピトープ」は、抗体応答を誘発するタンパク質の一部として定義
される。(例えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 81:3998−4002(1983)を参照のこと)。
【0292】 抗原性エピトープは、例えば、エピトープに特異的に結合する抗体(モノクロ
ーナル抗体を含む)の惹起に有用である(例えば、Wilsonら、Cell
37:767−778(1984);Sutchliffe,J.G.ら、Sc
ience 219:660−666(1983)を参照のこと)。
【0293】 同様に、免疫原性エピトープは、例えば、当該分野で周知の方法に従って抗体
を誘導するために使用され得る(例えば、Sutcliffeら、前出;Wil
sonら、前出;Chow,M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 82:910−914;およびBittleら、J,Gen.Viro
l.66:2347−2354(1985)を参照のこと)。好ましい免疫原性
エピトープとしては、分泌タンパク質が挙げられる。免疫原性エピトープは、キ
ャリアタンパク質(例えば、アルブミン)とともに動物系(例えば、ウサギまた
はマウス)に対して提示され得るか、または、その免疫原性エピトープが十分に
長い場合では(少なくとも約25アミノ酸)、キャリアなしで提示され得る。し
かし、8〜10個程度のわずかなアミノ酸を含む免疫原性エピトープが、変性さ
れたポリペプチドの直鎖エピトープに(少なくとも)結合し得る抗体を惹起する
のに十分であることが示された(例えば、ウエスタンブロッティングにおいて)
【0294】 さらに、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドに特異的に結合する
抗体およびT細胞抗原レセプター(TCR)に関する。本発明の抗体は、IgG
(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)、IgA(IgA1および
IgA2を含む)、IgD、IgE、IgMおよびIgYを含む。本明細書中で
使用される場合、用語「抗体」(Ab)とは、抗体全体、すなわち、単鎖抗体全体
、およびその抗原結合フラグメントを含む、ことを意図する。最も好ましくは、
この抗体は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり、これには、Fab
、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、
ジスルフィド結合Fvs(sdFv)ならびにVLまたはVHドメインのいずれ
かを含むフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の抗体は、
鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源であり得る。好ましくは、この抗体は
、ヒト、ネズミ(murine)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、
またはニワトリである。
【0295】 単鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を単独で、または以下
の全体もしくは部分と組み合わせて含み得る:ヒンジ領域、CH1ドメイン、C
2ドメインおよびCH3ドメイン。また、可変領域とヒンジ領域、CH1ドメイ
ン、CH2ドメインおよびCH3ドメインとの任意の組み合わせもまた本発明に含
まれる。本発明はさらに、本発明のポリペプチドに特異的に結合する、モノクロ
ーナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびヒトモノク
ローナル抗体およびヒトポリクローナル抗体をさらに含む。本発明はさらに、本
発明の抗体に抗イディオタイプである抗体を含む。
【0296】 本発明の抗体は、一重特異的、二重特異的、三重特異的またはより多くの多重
特異性の抗体であり得る。多重特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なる
エピトープに対して特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドおよび異
種の組成物(例えば、異種ポリペプチドもしくは固体支持体物質)、の両方に特
異的であり得る。例えば、WO 93/17715;WO 92/08802;
WO 91/00360;WO 92/05793;Tuttら、J.Immu
nol.147:60−69(1991);米国特許第5,573,920号、
同第4,474,893号、同第5,601,819号、同第4,714,68
1号、同第4,925,648号;Kostelnyら、J.Immunol.
148:1547−1553(1992)を参照のこと。
【0297】 本発明の抗体は、この抗体が認識または特異的に結合する、本発明のポリペプ
チドのエピトープまたは部分に関して記載または特定化され得る。このエピトー
プまたはポリペプチドの部分は、例えば、N末端およびC末端位置によって、連
続するアミノ酸残基におけるサイズによって本明細書中に記載されるように、ま
たは表および図に列挙されるように、特定化され得る。本発明の任意のエピトー
プまたはポリペプチドに特異的に結合する抗体はまた、排除され得る。従って、
本発明は、本発明のポリペプチドを特異的に結合し、そして本発明のポリペプチ
ドの排除を可能にする抗体を含む。
【0298】 本発明の抗体はまた、その交差反応性について記載または特定化され得る。本
発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オルソログまたはホモログを結合し
ない抗体が、含まれる。本発明のポリペプチドに対して少なくとも95%、少な
くとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少な
くとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%および
少なくとも50%の同一性(当該分野で公知の方法および本明細書中に記載され
る方法を用いて計算されるように)を有するポリペプチドを結合しない抗体もま
た、本発明に含まれる。さらに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条
件下(本明細書中で記載されるような)で本発明のポリヌクレオチドにハイブリ
ダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを結合するだけの
抗体が、本発明に含まれる。本発明の抗体はまた、それらの結合親和性について
記載または特定化され得る。好ましい結合親和性としては、5×10-6M未満、
10-6M未満、5×10-7M未満、10-7M未満、5×10-8M未満、10-8
未満、5×10-9M未満、10-9M未満、5×10-10M未満、10-10M未満、
5×10-11M未満、10-11M未満、5×10-12M未満、10-12M未満、5×
10-13M未満、10-13M未満、5×10-14M未満、10-14M未満、5×10 -15 M未満または10-15M未満の解離定数またはKdを有する親和性が挙げられ
る。
【0299】 本発明の抗体は、本発明のポリペプチドを精製し、検出し、そして標的化する
当該分野で公知の方法を含むがこれらに限定されない用途を有する。これらは、
インビトロおよびインビボの両方での診断方法および治療方法を含む。例えば、
この抗体は、生物学的サンプルにおける本発明のポリペプチドのレベルを定性的
におよび定量的に測定するためのイムノアッセイにおける用途を有する。例えば
、Harlowら,Antibodies:A Laboratory Man
ual,(Cold Spring Harbor Laboratory P
ress,第2版,1988)(本明細書中でその全体が参照として援用される
)を参照のこと。
【0300】 本発明の抗体は、単独または他の化合物との組み合わせのいずれかで使用され
得る。この抗体はさらに、N末端もしくはC末端で異種ポリペプチドに組換え的
に融合され得るか、またはポリペプチドまたは他の組成物に化学的に結合(共有
結合および非共有結合を含む)され得る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセ
イにおける標識として有用な分子および異種ポリペプチド、薬剤、または毒素の
ようなエフェクター分子へ組換え的に融合または結合され得る。例えば、PCT
公開WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米
国特許第5,314,995号;および欧州特許第396,387号を参照のこ
と。
【0301】 本発明の抗体は、当該分野において公知の任意の適切な方法により調製され得
る。例えば、本発明のポリペプチドまたはそれらの抗原性フラグメントは、ポリ
クロナール抗体を含む血清の産生を誘導するために、動物に投与され得る。用語
「モノクロナール抗体」は、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定
されない(nota limited to)。用語「モノクロナール抗体」は
、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一のクローンに
由来する抗体を言及し、そしてそれを産生する方法には言及されない。モノクロ
ナール抗体は、ハイブリドーマ技術、組換え技術、およびファージディスプレイ
技術の使用を含む当該分野において公知の広範な種々の技術を用いて調製され得
る。
【0302】 ハイブリドーマ技術は、当該分野において公知の技術およびHarlowら、
Antibodies:a Laboratory Manual.(Cold
Spring Harbor Laboratory Press.第2版、
1988);Hammerlingら、Monoclonal Antibod
ies and T cell Hybridomas 563681(Els
evier,N.Y.,1981)(これらの参照文献は、参考としてそれら全
体を援用する)において教示される技術を含む。FabおよびF(ab’)2フ
ラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを生成するため)またはペプシン
(F(ab’)2フラグメントを生成するため)などの酵素を用いて、タンパク
質分解性切断により生成され得る。
【0303】 あるいは、本発明の抗体は、組換えDNAおよびファージディスプレイ技術の
適用によって、または当該分野において公知の方法を用いる合成化学によって産
生され得る。例えば、本発明の抗体は、当該分野において公知の種々のファージ
ディスプレイ技術を用いて調製され得る。ファージディスプレイ方法においては
、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有する
ファージ粒子の表面にディスプレイされる。所望の結合特性を有するファージは
、抗原(典型的には固体表面またはビーズに結合または捕捉された抗原)を用い
て直接的に選択することにより、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライ
ブラリー(例えば、ヒトまたはマウスの)から選択される。これらの方法に使用
されるファージは代表的に、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパ
ク質のいずれかと組換え的に融合される、Fab、Fvまたはジスルフィド安定
化Fv抗体ドメインを有する、fdおよびM13を含む、繊維状ファージである
。本発明の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法の例と
しては、以下に開示されるものが挙げられる:Brinkmanら、J.Imm
unol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J
.Immunol.Methods 184:177−186(1995);K
ettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−9
58(1994);Persicら、Gene 187:9−18(1997)
;Burtonら、Advances in Immunology 57:1
91−280(1994);PCT/GB91/01134;WO90/028
09;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;
WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;ならび
に米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,40
3,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5
,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、
同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,22
5号、同第5,658,727号および同第5,733,743号(これらの参
考文献は、参考としてそれら全体が援用される)。
【0304】 上記参考文献に記載されるように、ファージ選択後、そのファージ由来の抗体
コード領域は、単離され得、そして全体の抗体(ヒト抗体、または任意の他の所
望の抗原結合フラグメントを含む)を産生するために用いられ得、そして任意の
所望の宿主(哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を含む)にお
いて発現された。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメント
を組換え的に(recombinantly)産生するための技術はまた、当該
分野において公知である方法(例えば、WO92/22324:Mullina
xら、BioTechniques 12(6):864−869(1992)
;およびSawaiら、AJRI 34:26−34(1995);およびBe
tterら、Science 240:1041−1043(1988)(上記
参考文献は、その全体が参考として援用される)において開示された方法)を用
いて利用され得る。
【0305】 一本鎖Fvsおよび抗体を産生するために使用され得る技術の例は、米国特許
第4,946,778号および同第5,258,498号、Hustonら、M
ethods in Enzumology 203:46−88(1991)
;Shu,Lら、PNAS 90:7995−7999(1993);およびS
kerraら、Science 240:1038−1040(1988)に記
載される技術を含む。ヒトにおける抗体のインビボの使用およびインビトロの検
出アッセイを含むいくつかの用途のために、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト
抗体を使用することは、好ましくあり得る。キメラ抗体を産生するための方法は
、当該分野において公知である。例えば、Morrison、Science
229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:2
14(1986);Gilliesら、J.Immunol.Methods
125:191−202(1989);および米国特許第5,807,715号
を参照のこと。抗体は、種々の技術(CDR移植片化(EP 0 239 40
0;WO 91/09967;米国特許第5,530,101号;および同第5
,585,089号)、化粧張り(veneering)または再表面形成(r
esurfacing)(EP 0 592 106;EP 0 519 59
6;Padlan E.A.、Molecular Immunology 2
8(4/5):489−498(1991);Studnickaら、Prot
ein Engineering 7(6):805−814(1994);R
oguska.ら、PNAS91:969−973(1994))、および鎖の
シャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,
332号)を含む)を使用してヒト化され得る。ヒト抗体は、当該分野において
公知である種々の方法(上に記載されるファージディスプレー方法を含む)によ
って作製され得る。米国特許第4,444,887号、同第4,716,111
号、同第5,545,806号および同第5,814,318号;ならびにWO
98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/
16654、WO96/34096、WO96/33735およびWO91/1
0741(上記参考文献は、その全体が参考として援用される)をもまた参照の
こと。
【0306】 さらに、本発明のポリペプチドに組換え的に融合または化学的に結合体化(共
有結合および非共有結合の両方を含む)された抗体が、本発明に含まれる。この
抗体は、本発明のポリペプチド以外の抗原に対して特異的であり得る。例えば、
その抗体は、インビトロまたはインビボのいずれかにおいて、特定の細胞表面レ
セプターに特異的な抗体に、本発明のポリペプチドを融合または結合体化するこ
とによって、特定の細胞型に本発明のポリペプチドに標的化するために用いられ
得る。本発明のポリペプチドに融合または結合した抗体は、当該分野において公
知である方法を用いたインビトロの免疫アッセイおよび精製方法において用いら
れ得る。例えば、Harborら、前出、およびWO 93/21232、EP
0 439 095、Naramuraら、Immunol.Lett.39
:91−99(1994);米国特許第5,474,981;Gilliesら
、PNAS 89:1428−1432(1992);Fellら、J.Imm
unol.146:2446−2452(1991)(上記の参考文献は、その
全体が参考として援用される)を参照のこと。
【0307】 本発明は、可変領域とは異なる抗体ドメインに融合または結合した本発明のポ
リペプチドを含む組成物をさらに含む。例えば、本発明のポリペプチドは、抗体
のFc領域またはそれらの部分に、融合または結合し得る。本発明のポリペプチ
ドに融合した抗体部分は、ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメインおよびC
3ドメイン、または全ドメインまたはそれらの部分の任意の組合せを含み得る
。本発明のこのポリペプチドは、インビボにおけるポリペプチドの半減期を増加
するため、または当該分野で公知の方法を用いたイムノアッセイにおける使用の
ために、上記抗体部分に融合または結合され得る。このポリペプチドはまた、多
量体を形成するために上記抗体部分に融合または結合され得る。例えば、本発明
のポリペプチドに融合したFc部分は、Fc部分間でジスルフィド結合を介して
二量体を形成し得る。さらに高い多量体形態はIgAおよびIgMの部分にポリ
ペプチドを融合することにより作成され得る。本発明のポリペプチドを抗体部分
に融合または結合するための方法は、当該分野において公知である。例えば、米
国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、同第5,359,
046号、同第5,349,053号、同第5,447,851号、同第5,1
12,946号:EP 0 307 434,EP 0 367 166;WO
96/04388,WO 91/06570,Ashkenaziら、PNA
S 88:10535−10539(1991);Zhengら、J.Immu
nol.154:5590−5600(1995);およびVilら、PNAS
89:11337−11341(1992)(上記参考文献は、その全体が参
考として援用される)を参照のこと。
【0308】 本発明は、さらに、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニスト
として作用する抗体に関連する。例えば、本発明は、レセプター/リガンド相互
作用を、部分的にまたは全体的にのどちらかで、本発明のポリペプチドで中断す
る抗体を含む。レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の両方が含まれ
る。リガンドの結合を妨げないが、レセプターの活性化を妨げるレセプター特異
的抗体が含まれる。レセプター活性化(すなわち、シグナリング)は、本明細書
中に記載されるか、そうでなければ当該分野において公知である技術により決定
され得る。リガンド結合およびレセプターの活性化の両方を妨げるレセプター特
異的抗体もまた、含まれる。同様に、リガンドに結合し、そしてレセプターに対
するリガンドの結合を妨げる中和抗体、ならびにリガンドに結合し、これにより
、レセプター活性化を妨げるが、リガンドがレセプターに結合するのを妨げない
抗体が含まれる。さらに、レセプターを活性化する抗体が含まれる。これらの抗
体は、リガンド調節レセプター活性化により影響される、全てのまたは全て以下
のどちらかの生物学的活性に対するアゴニストとして、作用し得る。この抗体は
、本明細書中に開示される特異的活性を含む生物学的活性に対するアゴニストま
たはアンタゴニストとして、特定され得る。この上記抗体アゴニストは当該分野
において公知である方法を用いて作成され得る。例えば、WO 96/4028
1;米国特許第5,811,097号;Dengら、Blood 92(6):
1981−1988(1998);Chenら、Cancer Res.58(
16):3668−3678(1998);Harropら、J.Immuno
l.161(4):1786−1794(1998);Zhuら、Cancer
Res.58(15):3209−3214(1998);Yoonら、J.
Immunol.160(7):3170−3179(1998);Pratら
、J.Cell.Sci.111(Pt2):237−247(1998);P
itardら、J.Immunol.Methods 205(2):177−
190(1997);Liautardら、Cytokine 9(4):23
3−241(1997);Carlsonら、J.Biol.Chem.272
(17):11295−11301(1997);Tarymanら、Neur
on 14(4):755−762(1995);Mullerら、Struc
ture 6(9):1153−1167(1998);Bartunekら、
Cytokine 8(1):14−20(1996)(上記参考文献は、その
全体が参考として援用される)を参照のこと。
【0309】 上に議論されるように、本発明のポリペプチドに対する抗体は、次いで、当業
者に周知である技術を用いて、本発明のポリペプチドを「模倣」する抗イディオ
タイプ抗体を生成するために、利用され得る(例えば、Greenspan &
Bona、FASEB J.7(5):437−444;(1989)および
Nissinoff.J.Immunol.147(8):2429−2438
(1991)を参照のこと)。例えば、リガンドに結合し、そしてポリペプチド
の多量体化および/またはリガンドに対する本発明のポリペプチドの結合を競合
的に阻害する抗体は、ポリペプチドの多量体化および/または結合ドメインを「
模倣」する抗イディオタイプを生成するために用いられ得、そして結果として、
ポリペプチドおよび/またはそのリガンドに結合し、それらを中和する。このよ
うな中和抗イディオタイプまたはこのような抗イディオタイプのFabフラグメ
ントは、ポリペプチドリガンドを中和するための治療療法において使用され得る
。例えば、このような抗イディオタイプ抗体は、本発明のポリペプチドに結合す
るため、および/またはそのリガンド/レセプターに結合し、そしてそれにより
、その生物学的活性をブロックするために使用され得る。
【0310】 本発明の配列に対応するポリペプチドに対して生成された抗体、またはそのイ
ンビボのレセプターが、動物へのポリペプチドの直接の注射によって、または動
物(好ましくは、ヒト以外)へのポリペプチドの投与によって得られ得る。次い
で、このように得られた抗体は、ポリペプチド自体に結合する。この様式では、
ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列でさえ、すべての天然のポリ
ペプチドに結合する抗体を生成するために使用され得る。次いで、このような抗
体は、このポリペプチドを発現する組織からポリペプチドを単離するために使用
され得る。
【0311】 モノクローナル抗体の調製のために、持続的な細胞株培養によって産生される
抗体を提供する任意の技術が使用され得る。例として、ハイブリドーマ技術(K
ohlerおよびMilstein、1975、Nature、256:495
−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら
、1983、Immunology Today 4:72)、およびヒトモノ
クローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleら、19
85、Monoclonal Antibodies and Cancer
Therapy、Alan R.Liss,Inc.,77−96頁)が挙げら
れる。
【0312】 単鎖抗体の産生について記載される技術(米国特許第4、946、778号)
が、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する単鎖抗体を産生するために適合
され得る。
【0313】 本発明の抗体は、任意の種々の方法によって調製され得る。例えば、MPIF
−1タンパク質、またはその抗原性フラグメントを発現する細胞が、ポリクロー
ナル抗体を含有する血清の産生を誘導するために動物に投与され得る。好ましい
方法において、MPIF−1タンパク質の調製物は、それが天然の混入物を実質
的に含まないように調製されそして精製される。次いで、このような調製物が、
より大きな特異的活性のポリクローナル抗血清を産生するために動物に導入され
る。
【0314】 最も好ましい方法において、本発明の抗体は、モノクローナル抗体(または、
そのMPIF−1タンパク質結合フラグメント)である。このようなモノクロー
ナル抗体は、ハイブリドーマ技術(Kohlerら、Nature 256:4
95(1975);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511
(1976); Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(
1976);Hammerlingら、Monoclonal Antibod
ies and T−Cell Hybridomas,Elsevier,N
.Y.(1981)563−681頁)を使用して調製され得る。一般に、この
ような手順は、MPIF−1タンパク質抗原で、またはより好ましくは、MPI
F−1タンパク質発現細胞で動物(好ましくは、マウス)を免疫することを含む
。適切な細胞は、抗MPIF−1タンパク質抗体に結合するそれらの能力によっ
て認識され得る。このような細胞は、任意の適切な組織培養培地中で培養され得
る;しかし、10%のウシ胎児血清(約56℃で不活化した)を補充し、そして
約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約
100g/mlのストレプトマイシンを補充したEarle改変Eagle培地
中で細胞を培養することが好ましい。このようなマウスの脾細胞が抽出され、そ
して適切な骨髄腫細胞株と融合される。任意の適切な骨髄腫細胞株が、本発明に
従って使用され得る;しかし、親骨髄腫細胞株(SP2O)(アメリカンタイプ
カルチャーコレクション、Rockville,Marylandより入手可能
)を使用することが好ましい。融合後、得られたハイブリドーマ細胞はHAT培
地中で選択的に維持され、次いで、Wandsら(Gastroenterol
ogy 80:225−232(1981))に記載されるような限界希釈によ
ってクローン化される。次いで、このような選択によって得られたハイブリドー
マ細胞は、MPIF−1タンパク質抗原に結合し得る抗体を分泌するクローンを
同定するためにアッセイされる。
【0315】 あるいは、MPIF−1タンパク質抗原に結合し得るさらなる抗体が、抗イデ
ィオタイプ抗体の使用によって二工程手順で産生され得る。このような方法は、
抗体がそれ自体抗原であるという事実、および従って二次抗体に結合する抗体を
得ることが可能であるという事実を利用する。この方法に従って、MPIF−1
タンパク質特異的抗体が、動物(好ましくは、マウス)を免疫するために使用さ
れる。次いで、このような動物の脾細胞がハイブリドーマ細胞を産生するために
使用され、そしてハイブリドーマ細胞が、MPIF−1タンパク質特異的抗体に
結合するそれらの能力がMPIF−1タンパク質抗原によってブロックされ得る
抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニングされる。このような抗
体は、MPIF−1タンパク質特異的抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含み
、そしてさらなるMPIF−1タンパク質特異的抗体の形成を誘導するように動
物を免疫するために使用され得る。
【0316】 FabおよびF(ab’)2、ならびに本発明の抗体の他のフラグメントが本
明細書中で開示される方法に従って使用され得ることが明らかである。このよう
なフラグメントは、代表的には、パパイン(Fabフラグメントを産生するため
)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを産生するため)のような酵素
を使用する、タンパク質分解的切断によって産生される。あるいは、MPIF−
1タンパク質結合フラグメントは、組換えDNA技術の適用によって、または合
成化学によって産生され得る。
【0317】 「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を使用することが好ましくあり得る。こ
のような抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由
来する遺伝的構築物を使用して産生され得る。キメラ抗体を産生するための方法
は、当該分野で公知である。概説については、Morrison、Scienc
e 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4
:214(1986);Cabillyら、米国特許第4、816、567号;
Taniguchiら、EP 171496;Morrisonら、EP 17
3494;Neubergerら、WO 8601533;Robinsonら
、WO 8702671;Boulianneら、Nature 312:64
3(1984);Neubergerら、Nature 314:268(19
85)を参照のこと。
【0318】 本発明のMPIF−1タンパク質特異的抗体のためのさらなる適切な標識が、
以下に示される。適切な酵素標識の例として、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブド
ウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデ
ヒドロゲナーゼ、α−グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、トリオース
ホスフェートイソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ア
スパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレ
アーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナ
ーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。
【0319】 適切な放射性同位元素標識の例として、3H、111In、125I、131I、32P、 35 S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67
u、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pdなどが挙げられる。111In
は、インビボの画像解析が使用される場合、それが肝臓による125Iまたは131
標識したモノクローナル抗体の脱ハロゲン化の問題を回避するので、好ましい同
位元素である。さらに、この放射性ヌクレオチドは、画像解析のためのより好ま
しいガンマ放出エネルギーを有する(Perkinsら、Eur.J.Nucl
.Med.10:296−301(1985);Carasquilloら、J
.Nucl.Med.28:281−287(1987))。
【0320】 適切な非放射性同位元素標識の例として、157Gd、55Mn、162Dy、52Tr
、および56Feが挙げられる。
【0321】 適切な蛍光標識の例として、152Eu標識、フルオレセイン標識、イソチオシ
アネート標識、ローダミン標識、フィコエリトリン標識、フィコシアニン標識、
アロフィコシアニン標識、o−フタアルデヒド標識、およびフルオレスアミン標
識が挙げられる。
【0322】 適切な毒素標識の例として、ジフテリア毒素、リシン、およびコレラ毒素が挙
げられる。
【0323】 化学発光標識の例として、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アク
リジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸
エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、およびエクオリン標識
が挙げられる。
【0324】 核磁気共鳴対比剤の例として、Gd、Mn、および鉄のような重金属核が挙げ
られる。
【0325】 抗体に対する上記の標識の結合のための代表的な技術は、Kennedyら、
Clin.Chim.Acta 70:1−31(1976)、およびSchu
rsら、Clin.Chim.Acta 81:1−40(1977)によって
提供される。後者に記載されるカップリング技術は、グルタルアルデヒド法、過
ヨウ素酸法、ジマレイミド法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−スク
シンイミドエステル法であり、これらの方法の全て本明細書中で参考として援用
される。
【0326】 染色体アッセイ。本発明の核酸分子はまた、染色体同定に有用である。この配
列は、個々のヒト染色体上の特定の位置に特異的に標的化され、そしてその位置
とハイブリダイズし得る。さらに、染色体における特定の部位を同定することへ
の必要性が現在存在する。実際の配列データ(反復多型性)に基づく染色体マー
キング試薬は現在、染色体位置をマークするのにはほとんど利用可能ではない。
本発明に従う染色体へのDNAのマッピングは、それらの配列を、疾患に関連し
た遺伝子と相関づけることにおいて重要な第一段階である。
【0327】 この点における特定の好ましい実施形態において、本明細書中で開示されるc
DNAは、MPIF−1タンパク質遺伝子のゲノムDNAをクローニングするた
めに用いられる。これは、一般的に市販されている、種々の周知の技術およびラ
イブラリーを用いて達成され得る。この目的のための周知の技術を用いて、イン
サイチュ染色体マッピングのためにゲノムDNAが用られる。典型的には、染色
体マッピングのための慣用的手順に従って、良好なインサイチュハイブリダイゼ
ーションシグナルを与えるゲノムプローブを同定するために、いくつかの試行錯
誤が必要とされ得る。
【0328】 手短には、配列は、cDNAからPCRプライマー(好ましくは、15〜25
bp)を調製することにより、染色体にマッピングされ得る。遺伝子の3’非翻
訳領域のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおいて1より多いエキソ
ンにまたがらず、従って、増幅プロセスを複雑化しないプライマーを迅速に選択
する。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイ
ブリッドのPCRスクリーニングのために用いられる。このプライマーに対応す
るヒト遺伝子を含有するこれらのハイブリッドのみが増幅フラグメントを産生す
る。
【0329】 体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは特定のDNAを特定の染色体に対応
させるための迅速な手順である。同様のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる
本発明を使用し、準局在化(sublocalization)は、特定の染色
体由来のフラグメントのパネルまたは同類の手法における大きいゲノムクローン
のプールで達成され得る。その染色体にマッピングするために同様に用いられ得
る他のマッピングストラテジーは、インサイチュハイブリダイゼーション、標識
フローソート(labeled flow−sorted)染色体でのプレスク
リーニング、および染色体特異的cDNAライブラリーを構築するためのハイブ
リダイゼーションによる前選択を含む。
【0330】 中期染色体スプレッド(spread)に対するcDNAクローンの蛍光イン
サイチュハイブリダイゼーション(FISH)を用いて、一工程で、正確な染色
体位置を提供し得る。この技術は、少なくとも50または60bpを有するcD
NAからのプローブと共に用いられ得る。(この技術の概説については、Ver
maら、Human Chromosomes:a Manual of Ba
sic Techniques,Pergamon Press,New Yo
rk(1988)を参照のこと)。
【0331】 一旦、配列が正確な染色体位置にマッピングされると、染色体上の配列の物理
的な位置は、遺伝子マップデータと相関づけられ得る。このようなデータは、例
えば、V.McKusick,Mendelian Inheritance
in Man(Johns Hopkins University,Welc
h Medical Libraryからオンラインで入手可能である)に見出
される。次いで、同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との間の関係
が、連鎖解析(物理的に隣接した遺伝子の同時遺伝)によって同定される。
【0332】 次に、罹患個体と非罹患個体との間でのcDNAまたはゲノム配列における差
異を決定することが必要である。変異がいくつかまたは全ての罹患個体において
認められるが、いずれの正常個体にも認められない場合、その変異は、疾患の原
因因子である可能性が高い。
【0333】 物理的マッピングおよび遺伝子マッピング技術の現在の解像度であれば、疾患
と関連する染色体領域に正確に位置決めされるcDNAは、50〜500の潜在
的な原因遺伝子の1つであり得る(これは、1メガベースマッピング解像度およ
び20kbあたり1遺伝子と仮定する)。
【0334】 罹患個体と非罹患個体との比較は、一般的に、まず染色体における構造的変化
(例えば、欠失または転座)を探すことを含み、これは、染色体スプレッドによ
り可視であるか、またはそのcDNA配列に基づくPCRを用いて検出可能であ
る。究極的には、いくつかの個体由来の遺伝子の完全な配列決定は、変異の存在
を確認し、そして変異を多型性と区別するために必要とされる。
【0335】 本発明はさらに、アンチセンス技術の使用によるインビボにおけるMPIF−
1の阻害に関する。アンチセンス技術は、三重鎖形成またはアンチセンスDNA
もしくはRNA(両方の方法は、ポリヌクレオチドのDNAまたはRNAへの結
合に基づいている)を介して遺伝子発現を制御するために使用され得る。例えば
、ポリヌクレオチド配列(これは、本発明のポリペプチドをコードする)の5’
コード部分は、長さ約10〜40塩基対のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチ
ドを設計するために使用される。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する
遺伝子の領域に相補的であるように設計され(三重鎖−Leeら、Nucl.A
cids Res.,6:3073(1979);Cooneyら、Scien
ce,241:456(1988);およびDervanら、Science,
251:1360(1991)を参照のこと)、それによってMPIF−1の転
写および産生を防止する。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボ
においてmRNAにハイブリダイズし、そしてmRNA分子のMPIF−1タン
パク質への翻訳をブロックする(アンチセンス−Okano,J.Neuroc
hem.,56:560(1991);Oligodeoxynucleoti
des as Antisense Inhibitors of Gene
Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1
988))。 あるいは、上記のオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNAまたはDNAが
インビボにおいて発現されて、MPIF−1の産生を上記の方法で阻害し得るよ
うに、当該分野における手順によって細胞に送達され得る。
【0336】 従って、MPIF−1に対するアンチセンス構築物は、MPIF−1誘導性ま
たは増強性のいずれかである障害(例えば、アテローム性動脈硬化症、自己免疫
疾患(例えば、多発性硬化症およびインスリン依存性糖尿病)ならびに慢性炎症
性および感染性疾患、ヒスタミン媒介性アレルギー反応、慢性関節リウマチ、珪
肺症、サルコイドーシス、特発性肺線維症およびその他の肺の慢性炎症性疾患、
特発性好酸球増多症候群、内毒素性ショック、ヒスタミン媒介性アレルギー反応
、プロスタグランジン非依存性発熱、ならびに再生不良性貧血およびその他の骨
髄不全の症例)を処置するために使用され得る。
【0337】 アンタゴニスト、アゴニスト、および方法.本発明はさらに、化合物をスクリ
ーニングして、本発明のケモカインポリペプチドに対するアゴニストおよびアン
タゴニストを同定するための方法を提供する。アゴニストは、ポリペプチドの類
似の生物学的機能を有するか、またはポリペプチドの機能を増強する化合物であ
り、一方アンタゴニストは、そのような機能をブロックする。走化性は、細胞(
これは、本発明のポリペプチドのいずれかによって化学誘引される)を、細胞が
入るために十分な直径(約5μm)の孔を有するフィルターの頂部に置くことに
よってアッセイされ得る。潜在的なアゴニストの溶液を上方区画中の適切なコン
トロール培地を含むチャンバーの底部に入れ、従って、アゴニストの濃度勾配は
、経時的に多孔性膜中にまたは多孔性膜を通って移動する細胞を計数することに
よって測定される。
【0338】 アンタゴニストについてアッセイする場合、本発明のケモカインポリペプチド
は、底部チャンバーに入れられ、そして細胞の走化性が防止されるかどうかを決
定するために、潜在的なアンタゴニストが添加される。
【0339】 あるいは、ポリペプチドのレセプターを発現している哺乳動物細胞または膜調
製物は、化合物の存在下で、標識されたケモカインポリペプチド(例えば、放射
能)とともにインキュベートされる。次いで、化合物がこの相互作用をブロック
する能力が測定され得る。この様式でアゴニストをアッセイする場合、ケモカイ
ンは存在せず、そしてアゴニスト自体がレセプターと相互作用する能力が測定さ
れ得る。
【0340】 潜在的なMPIF−1アンタゴニストの例としては、ポリペプチドに結合する
抗体、またはいくつかの場合において、オリゴヌクレオチドが挙げられる。潜在
的なアンタゴニストの別の例は、ポリペプチドのネガティブドミナント変異体(
negative dominant mutant)である。ネガティブドミ
ナント変異体は、野生型ポリペプチドのレセプターに結合するが、生物学的活性
を保持していないポリペプチドである。
【0341】 アンチセンス技術を使用して調製されたアンチセンス構築物はまた、潜在的な
アンタゴニストである。アンチセンス技術は、三重鎖形成またはアンチセンスD
NAもしくはRNA(両方の方法は、ポリヌクレオチドのDNAまたはRNAへ
の結合に基づいている)を介して遺伝子発現を制御するために使用され得る。例
えば、ポリヌクレオチド配列(これは、本発明の成熟ポリペプチドをコードする
)の5’コード部分は、長さ約10〜40塩基対のアンチセンスRNAオリゴヌ
クレオチドを設計するために使用される。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に
関与する遺伝子の領域に相補的であるように設計され(三重鎖−Leeら、Nu
cl. Acids Res.,6:3073(1979);Cooneyら、
Science,241:456(1988);およびDervanら、Sci
ence,251:1360(1991)を参照のこと)、それによってケモカ
インポリペプチドの転写および産生を防止する。アンチセンスRNAオリゴヌク
レオチドは、インビボにおいてmRNAにハイブリダイズし、そしてmRNA分
子のポリペプチドへの翻訳をブロックする(アンチセンス−Okano,J.N
eurochem.,56:560(1991);Oligodeoxynuc
leotide as Antisense Inhibitors of G
ene Expression,CRC Press,Boca Raton,
FL(1988))。上記のオリゴヌクレオチドはまた、アンチセンスRNAま
たはDNAがインビボにおいて発現されて、ケモカインポリペプチドの産生を阻
害し得るように細胞に送達され得る。 別の潜在的なケモカインアンタゴニストは、生物学的機能は喪失しているが、
なおポリペプチドのレセプターを認識しそしてそれに結合し、それによってレセ
プターを有効にブロックする、天然にまたは合成的に改変されたポリペプチドの
アナログであるポリペプチドのペプチド誘導体である。ペプチド誘導体の例とし
ては、小ペプチドまたはペプチド様分子が挙げられるが、それらに限定されない
【0342】 アンタゴニストは、MPIF−1誘導性または増強性のいずれかである障害(
例えば、自己免疫疾患ならびに慢性炎症性および感染性疾患)を処置するために
用いられ得る。自己免疫疾患の例としては、多発性硬化症およびインスリン依存
性糖尿病が挙げられる。
【0343】 アンタゴニストはまた、単核食細胞のリクルートメント(recruitme
nt)および活性化を防止することによって、珪肺症、サルコイドーシス、特発
性肺線維症を含む感染性疾患を処置するために用いられ得る。それらはまた、好
酸球の産生および移動を防止することによって、特発性好酸球増多症候群を処置
するために用いられ得る。内毒素性ショックはまた、マクロファージの移動およ
び本発明のケモカインポリペプチドのそれらの産生を防止することによって、ア
ンタゴニストによって処置され得る。
【0344】 アンタゴニストはまた、動脈壁における単球浸潤を妨げることによってアロテ
ーム性動脈硬化症を処置するために使用され得る。
【0345】 アンタゴニストはまた、ケモカイン誘導性肥満細胞および好塩基球脱顆粒なら
びにヒスタミンの放出を阻害することによって、ヒスタミン媒介性アレルギー反
応および免疫学的障害(遅延相アレルギー反応、慢性蕁麻疹、およびアトピー性
皮膚炎)を処置するために使用され得る。アレルギー性喘息、鼻炎、および湿疹
のようなIgE媒介性アレルギー反応もまた処置され得る。
【0346】 アンタゴニストはまた、創傷領域への単球の誘引を妨げることによって、慢性
および急性の炎症を処置するために使用され得る。それらはまた、正常な肺性マ
クロファージ集団を調節するために使用され得る。なぜなら、慢性および急性の
炎症肺性疾患は、肺における単核食細胞の隔絶と関係するからである。
【0347】 アンタゴニストはまた、患者の関節における骨膜体液への単球の誘引を妨げる
ことによって慢性関節リウマチを処置するために使用され得る。単球流入および
活性化は、退行性および炎症性関節症の両方の病原に有意な役割を果たす。
【0348】 アンタゴニストは、主としてIL−1およびTNFに起因する有害なカスケー
ドを妨害するのに使用され得、これは、他の炎症性サイトカインの生合成を妨げ
る。この方法において、アンタゴニストは、炎症を妨げるために使用され得る。
アンタゴニストはまた、ケモカインによって誘導されるプロスタグランジン非依
存性発熱を阻害するために使用され得る。
【0349】 アンタゴニストはまた、骨髄の不全(例えば、再生不良性貧血および脊髄形成
異常症候群)の症例を処置するために使用され得る。
【0350】 アンタゴニストはまた、肺における好酸球蓄積を妨げることによって、喘息お
よびアレルギーを処置するために使用され得る。アンタゴニストはまた、喘息肺
の顕著な特徴である上皮下基底膜線維症を処置するために使用され得る。
【0351】 アゴニスト。MPIF−1アゴニストは、本明細書中に記載されるような任意
の1つ以上のこれらのポリペプチドに類似した活性を有する任意の小分子を含む
。例えば、MPIF−1アゴニストは、MPIF−1活性を増強するために使用
され得る。例えば、化学療法または骨髄移植を受けた患者におけるMPIF−1
誘導性骨髄保護を増強するために。
【0352】 疾患診断および予後。下記に考察されるような、所定の疾患または障害は、対
応する「標準的」哺乳動物(すなわち、疾患または障害を有さない同じ種の哺乳
動物)と比較した場合、MPIF−1タンパク質およびMPIF−1タンパク質
をコードするmRNAの増大したレベルと関連し得る。さらに、増大したレベル
のMPIF−1タンパク質が、疾患または障害を有さない哺乳動物に由来する血
清と比較した場合に、疾患または障害を有する同じ種の哺乳動物由来所定の体液
(例えば、血清、血漿、尿、および髄液)において検出され得る。従って、本発
明は、診断方法を提供する。これは、哺乳動物の細胞または体液中のMPIF−
1タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルをアッセイすること、およびその
遺伝子発現レベルと標準MPIF−1遺伝子発現レベルとを比較することを含み
、それによって、標準を上回る遺伝子発現レベルにおける増大が、特定の疾患ま
たは障害の指示物となる。
【0353】 疾患または障害の診断が、通常の方法に従ってすでに行われた場合、本発明は
、予後指示物として有用であり、それによって増大したMPIF−1遺伝子発現
を示す患者は、より低いレベルで遺伝子を発現する患者と比較してより悪い臨床
結果を経験する。
【0354】 「MPIF−1タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルをアッセイする」
によって、直接的に(例えば、絶対的なタンパク質レベルまたはmRNAレベル
を決定するか、または見積もることによって)または相対的に(例えば、第2の
生物学的サンプル中のMPIF−1タンパク質レベルまたはmRNAレベルと比
較することによって)のいずれかで、第1の生物学的サンプル中のMPIF−1
タンパク質のレベルあるいはMPIF−1タンパク質をコードするmRNAのレ
ベルを定性的または定量的に測定するか、もしくは見積もることが意図される。
【0355】 好ましくは、第1の生物学的サンプル中のMPIF−1タンパク質レベルまた
はmRNAレベルが、測定されるか、または見積もられ、そして標準MPIF−
1タンパク質レベルまたはmRNAレベルと比較される。この標準は、疾患また
は障害を有さない個体から得られた第2の生物学的サンプルからとられる。当該
分野で理解されるように、一旦標準MPIF−1タンパク質レベルまたはmRN
Aレベルが知られると、比較のための標準として繰り返し使用され得る。
【0356】 「生物学的サンプル」によって、MPIF−1タンパク質またはmRNAを含
む個体、細胞株、組織培養物、または他の供給源から得られた任意の生物学的サ
ンプルが意図される。生物学的サンプルは、分泌された成熟MPIF−1タンパ
ク質を含む哺乳動物体液(例えば、血清、血漿、尿、滑液および骨髄液)、およ
び卵巣、前立腺、心臓、胎盤、膵臓、腹水、筋肉、皮膚、腺、腎臓、肝臓、脾臓
、肺、骨、骨髄、眼球、末梢神経、中枢神経、乳房および臍の組織を含む。哺乳
動物から組織バイオプシーおよび体液を得るための方法は、当該分野で周知であ
る。生物学的サンプルがmRNAを含む場合、組織バイオプシーが好ましい供給
源である。
【0357】 本発明は、哺乳動物における疾患を検出するために有用である。詳細には、本
発明は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)における種々の免疫系関連障害の診断ま
たは処置に有用である間、有用である。このような障害は、腫瘍、ガン、および
免疫細胞機能の任意の不調節(自己免疫、関節炎、白血病、リンパ腫、免疫抑制
、敗血症、創傷治癒、急性および慢性感染、細胞媒介免疫、体液免疫、炎症腸疾
患、骨髄抑制などが挙げられるがこれらに限定されない)を含む。好ましい哺乳
動物は、サル、尾なしザル、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギおよびヒト
を含む。特に好ましいのはヒトである。
【0358】 総細胞RNAは、任意の適切な技術(例えば、Chomczynskiおよび
Sacchi,Anal.Biochem.162:156−159(1987
)に記載される単一工程グアニジン−チオシアネート−フェノール−クロロホル
ム法)を用いて生物学的サンプルから単離され得る。次いで、MPIF−1タン
パク質をコードするmRNAのレベルは、任意の適切な方法を用いてアッセイさ
れる。これらは、ノーザンブロット分析、S1ヌクレアーゼマッピング、ポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT
−PCR)、およびリガーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT−LCR)を
含む。
【0359】 ノーザンブロット分析は、Haradaら、Cell 63:303−312
(1990)に記載されるように行われ得る。手短には、総RNAは、上記の
ように生物学的サンプルから調製される。ノーザンブロットのために、RNAは
、適切な緩衝液(例えば、グリオキサール/ジメチルスルホキシド/リン酸ナト
リウム緩衝液)において変性され、アガロースゲル電気泳動に供され、そしてニ
トロセルロースフィルター上に移される。RNAがUVリンカーによってフィル
ターに連結された後、フィルターは、ホルムアミド、SSC、デンハート溶液、
変性サケ精子、SDS、およびリン酸ナトリウム緩衝液を含む溶液中でプレハイ
ブリダイズされる。任意の適切な方法(例えば、32PマルチプライムDNA標識
システム(Amersham))に従って標識された、MPIF−1タンパク質
cDNAは、プローブとして使用される。一晩のハイブリダイゼーションの後、
フィルターは、洗浄され、そしてx線フィルムに曝される。本発明に従ってプロ
ーブとして使用するためのcDNAは、上記のセクションに記載され、そして好
ましくは少なくとも15bp長である。
【0360】 S1マッピングは、Fujitaら、Cell 49:357−367(19
87)に記載されるように行われ得る。S1マッピングにおいて使用するための
プローブDNAを調製するために、上記cDNAのセンス鎖は、標識アンチセン
スDNAを合成するためにテンプレートとして使用される。次いで、アンチセン
スDNAは、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化されて、所望の長さの
さらなるDNAプローブが作製される。このようなアンチセンスプローブは、標
的mRNA(すなわち、MPIF−1タンパク質をコードするmRNA)に対応
する保護されたバンドを可視化するために有用である。ノーザンブロット分析は
上記のように行われ得る。
【0361】 好ましくは、MPIF−1タンパク質をコードするmRNAのレベルは、Ma
kinoら、Technique 2:295−301(1990)に記載され
るRT−PCR法を用いてアッセイされる。この方法によって、ポリアクリルア
ミドゲルバンドにおける「アンプリコン」の放射能は、標識mRNAの初期濃度
に正比例する。手短には、この方法は、生物学的サンプルから単離された総RN
AをRTプライマーおよび適切な緩衝液を含有する反応混合物中に添加すること
を含む。プライマーアニーリングのためのインキュベーションの後、混合物は、
RT緩衝液、dNTP、DTT、RNaseインヒビターおよび逆転写酵素を補
充され得る。RNAの逆転写を達成するためのインキュベーションの後、次いで
、RT産物を、標識プライマーを用いるPCRに供する。あるいは、プライマー
を標識しないで、PCR反応混合物に標識dNTPが含まれ得る。PCR増幅は
、従来技術に従ってDNAサーマルサイクラーにおいて行われ得る。増幅を達成
するための適切な回数の後、PCR反応混合物は、ポリアクリルアミドゲル上に
電気泳動される。ゲルを乾燥させた後、適切なバンド(MPIF−1タンパク質
をコードするmRNAに対応する)の放射能が、イメージングアナライザーを用
いて定量される。RTおよびPCR反応成分ならびに条件、試薬およびゲル濃度
、ならびに標識方法は、当該分野で周知である。RT−PCR法における改変は
、当業者に明らかである。
【0362】 逆転写された標的mRNAを増幅するオリゴヌクレオチドプライマーの任意の
セットが使用され得、そして上記のセクションに記載されるように設計され得る
【0363】 生物学的サンプル中のMPIF−1タンパク質レベルをアッセイすることは、
任意の当該分野で公知の方法を用いて起こり得る。生物学的サンプル中のMPI
F−1タンパク質レベルをアッセイするために好ましいのは、抗体ベース技術で
ある。例えば、組織におけるMPIF−1タンパク質発現は、古典的な免疫組織
学的方法で研究され得る。これらにおいて、特異的認識は、一次抗体(ポリクロ
ーナルまたはモノクローナル)によって提供されるが、二次検出系は、蛍光、酵
素、または他の結合した二次抗体を利用し得る。結果として、病理学的調査のた
めの組織切片の免疫組織学的染色が得られる。組織は、例えば、ウエスタンブロ
ットまたはドット/スロットアッセイ用のMPIF−1タンパク質の遊離のため
に、例えば、尿素および中性界面活性剤を用いて抽出され得る(Jalkane
n,M.ら、J.Cell.biol.101:976−985(1985);
Jalkanen,M.ら、J.Cell.Biol.105:3087−30
96(1987))。この技術において、これは、カチオン性固相の使用に基づ
き、MPIF−1タンパク質の定量は、標準として単離されたMPIF−1タン
パク質を用いて達成され得る。この技術はまた、体液に適用され得る。これらの
サンプルを用いて、MPIF−1タンパク質のモル濃度は、異なる体液(例えば
、血清、血漿、尿、髄液など)についてのMPIF−1タンパク質含量の標準値
を設定することを補助する。次いで、MPIF−1タンパク質量の正常な出現は
、健常な個体からの値を用いて設定され得る。これは、試験被験体から得られる
ものと比較され得る。
【0364】 MPIF−1遺伝子発現を検出するための有用な他の抗体ベース法は、免疫ア
ッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノ
アッセイ(RIA))を含む。例えば、MPIF−1タンパク質特異的モノクロ
ーナル抗体は、MPIF−1タンパク質を検出および定量するための免疫吸着剤
および酵素標識プローブの両方として使用され得る。サンプル中に存在するMP
IF−1タンパク質の量は、直線回帰コンピューターアルゴリズムを用いて標準
調製物中に存在する量と比較して計算され得る。別のELISAアッセイにおい
て、2つの個々の特異的なモノクローナル抗体が、体液中のMPIF−1タンパ
ク質を検出するために使用され得る。このアッセイにおいて、一方の抗体は免疫
吸着剤として、そして他方の抗体は酵素標識プローブとして使用される。
【0365】 上記の技術は、本質的に「1工程」または「2工程」アッセイとして行われ得
る。「1工程」アッセイは、MPIF−1タンパク質と固定化抗体とを接触させ
る工程および、洗浄せずに、その混合物と標識抗体とを接触させる工程を含む。
「2工程」アッセイは、混合物と標識抗体とを接触させる前に洗浄する工程を含
む。他の従来の方法もまた、適切に使用され得る。通常、支持体上のアッセイ系
の1つの成分を固定化することが望ましく、それによって、系の他の成分が、そ
の成分との接触にもたらされ、そしてサンプルから容易に除去される。
【0366】 適切な酵素標識は、例えば、オキシダーゼ群由来のものを含み、これらは、基
質と反応することによって過酸化水素の産生を触媒する。グルコースオキシダー
ゼは、それが良好な安定を有し、そしてその基質(グルコース)が容易に入手可
能であるので特に好ましい。オキシダーゼ標識の活性は、酵素標識抗体/基質反
応によって形成される過酸化水素の濃度を測定することによってアッセイされ得
る。酵素の他に、他の適切な標識としては、放射性同位体(例えば、ヨウ素(12 5 I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム
112In)、およびテクネチウム(99mTc))、および蛍光標識(例えば、蛍
光およびローダミン、およびビオチン)を含む。
【0367】 本発明のポリペプチド、およびそのようなポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドは、科学研究、DNAの合成およびDNAベクターの製造に関するイン
ビトロ目的、ならびにヒト疾患の処置のための治療薬および診断薬を開発するた
めの目的のための研究試薬として使用され得る。例えば、MPIF−1は、それ
らの分化を一時的に妨げることによって、未成熟な造血前駆細胞(例えば、顆粒
球、マクロファージまたは単球)の拡大に使用され得る。これらの骨髄細胞は、
インビトロで培養され得る。
【0368】 全長MPIF−1遺伝子のフラグメントは、cDNAライブラリーのハイブリ
ダイゼーションプローブとして使用され得、全長の遺伝子が単離され、そしてそ
の遺伝子に対して高配列類似性または類似の生物学的活性を有する他の遺伝子が
単離される。しかし、好ましくは、プローブは少なくとも30塩基を有し、そし
て例えば、50以上の塩基を含み得る。プローブはまた、全長転写物およびゲノ
ムクローンまたは完全な遺伝子(レギュレーターおよびプロモーター領域、エキ
ソン、およびイントロンを含む)を含むクローンに対応するcDNAクローンを
同定するために使用され得る。スクリーニングの例は、オリゴヌクレオチドプロ
ーブを合成するための既知のDNA配列を用いることによって、遺伝子のコード
領域を単離する工程を含む。本発明の遺伝子に配列相補的な配列を有する標識オ
リゴヌクレオチドは、プローブがライブラリーのどのメンバーにハイブリダイズ
するかを決定するために、ヒトcDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブ
ラリーをスクリーニングするために使用される。
【0369】 本発明はまた、核酸配列中の変異の存在に関連する疾患または疾患への感受性
を検出するための診断アッセイの一部としてのMPIF−1遺伝子の使用に関連
する。このような疾患は、ケモカインポリペプチドの過小発現に関連する。
【0370】 MPIF−1遺伝子において変異を保有する個体は、種々の技術によってDN
Aレベルで検出され得る。診断のための核酸は、患者の細胞から(例えば、血液
、尿、唾液、組織生検および剖検物質由来)得られ得る。ゲノムDNAは、検出
のために直接的に使用され得るか、または分析の前にPCR(Saikiら、N
ature 324:163−166(1986))を用いることによって酵素
的に増幅され得る。RNAまたはcDNAはまた、同じ目的で使用され得る。例
として、MPIF−1をコードする核酸に相補的なPCRプライマーは、MPI
F−1および変異体を同定および分析するために使用され得る。例えば、欠損お
よび挿入は、正常な遺伝子型との比較において増幅産物のサイズにおける変化に
よって検出され得る。点変異は、放射標識MPIF−1 RNAあるいは、放射
標識MPIF−1アンチセンスDNA配列に増幅DNAをハイブリダイズさせる
工程によって同定され得る。完全に一致した配列は、RNaseA消化または融
点の差異によって、ミスマッチした二重鎖から区別され得る。
【0371】 DNA配列差異に基づく遺伝子試験は、変性剤を有するかまたは有さないゲル
におけるDNAフラグメントの電気泳動移動度における変化の検出によって達成
され得る。小さな配列欠損および挿入は、高解像度ゲル電気泳動によって可視化
され得る。異なる配列のDNAフラグメントは、異なるDNAフラグメントの移
動度がそれらの特異的な融点または部分的な融点に従って異なる位置でゲルにお
いて遅延する変性ホルムアミド勾配ゲル上で区別され得る(例えば、Myers
ら、Science 230:1242(1985)を参照のこと)。
【0372】 特定の位置での配列変化はまた、ヌクレアーゼ保護アッセイ(例えば、RNa
seおよびS1保護)または化学切断法によって示され得る(例えば、Cott
onら、PNAS,USA 85:4397−4401(1985))。
【0373】 従って、特定のDNA配列の検出は、ハイブリダイゼーション、RNase保
護、化学的切断、直接的DNA配列決定または制限酵素の使用(例えば、制限フ
ラグメント長多型(RFLP))およびゲノムDNAのサザンブロッティングの
ような方法によって達成され得る。
【0374】 より慣習的なゲル電気泳動およびDNA配列決定に加えて、変異はまた、イン
サイチュ分析によって検出され得る。
【0375】 本発明はまた、種々の組織におけるMPIF−1のタンパク質の変化したレベ
ルを検出するための診断アッセイに関する。なぜなら、正常コントロール組織サ
ンプルと比較したタンパク質の過剰発現が、疾患(例えば、腫瘍)の存在または
疾患(例えば、腫瘍)に対する感受性を検出し得る。宿主に由来するサンプル中
のMPIF−1タンパク質のレベルを検出するために使用されるアッセイは、当
業者に周知であり、そしてラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタ
ンブロット分析、ELISAアッセイおよび「サンドイッチ」アッセイを含む。
ELISAアッセイ(Coliganら、Current Protocols
in Immunology 1(2),6章(1991))は、最初に、M
PIF−1抗原に特異的な抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)を調製する
工程を含む。さらに、レセプター抗体はモノクローナル抗体に対して調製される
。レセプター抗体に、検出可能な試薬(例えば、放射能、蛍光または、この例で
は、西洋ワサビベルオキシダーゼ酵素)が付着される。サンプルは、宿主から取
り出され、そしてサンプル中のタンパク質に結合する固相支持体(例えば、ポリ
スチレンディッシュ)上でインキュベートされる。次いで、ディッシュ上の任意
の遊離タンパク質結合部位は、BSAのような非特異的タンパク質とインキュベ
ートすることによって覆われる。次に、モノクローナル抗体は、ポリスチレンデ
ィッシュに付着した任意のMPIF−1タンパク質にモノクローナル抗体が付着
する時間の間、ディッシュ中でインキュベートされる。全ての非結合モノクロー
ナル抗体を緩衝液で洗い落とす。ここで、西洋ワサビペルオキシダーゼに連結し
たレセプター抗体は、ディッシュ中に置かれ、MPIF−1に結合した任意のモ
ノクローナル抗体に対するレセプター抗体の結合を生じる。次いで、非付着レセ
プター抗体は洗い落とされる。次いで、ペルオキシダーゼ基質は、ディッシュに
添加され、そして所定の期間に発生した呈色の量は、標準曲線と比較した場合、
患者サンプルの所定の容量中に存在するMPIF−1タンパク質の量の尺度であ
る。
【0376】 競合アッセイは、MPIF−1に特異的である抗体が固相支持体および標識さ
れたMPIF−1に付着され、そして宿主由来のサンプルが固相支持体を通過さ
れ、そして(例えば、液体シンチレーションクロマトグラフィーによって)検出
された標識の量は、サンプル中のタンパク質の量に相関し得る。
【0377】 「サンドイッチ」アッセイは、ELISAアッセイに類似する。「サンドイッ
チ」アッセイにおいて、MPIF−1が、固相支持体を通過され、そして固相支
持体に付着された抗体に結合する。次いで、第2の抗体はMPIF−1に結合さ
れる。次いで、標識されかつ第2の抗体に対して特異的である、第3の抗体は、
固相支持体を通過され、そして第2の抗体に結合し、次いで量が定量され得る。
【0378】 本発明は、ケモカインポリペプチドのレセプターの同定のための方法を提供す
る。レセプターをコードする遺伝子は、当業者に公知の種々の方法(例えば、リ
ガンドパニングおよびFACS分取)によって同定され得る(Coliganら
、Current Protocols in Immun.1(2)、5章、
(1991))。好ましくは、発現クローニングが使用され、ここでポリアデニ
ル化RNAがポリペプチドに応答性である細胞から調製され、そしてこのRNA
から作製されたcDNAライブラリーは、プールに分けられ、そしてCOS細胞
、またはポリペプチドに対して応答性でない他の細胞をトランスフェクトするた
めに使用される。ガラススライド上で増殖するトランスフェクト細胞は、標識ポ
リペプチドに曝される。ポリペプチドは、種々の手段(ヨウ素化または部位特異
的タンパク質キナーゼの認識部位の封入を含む)によって標識され得る。固定化
およびインキュベーションの後、これらのスライドは、オートラジオグラフ分析
に供される。ポジティブプールが同定され、そしてサブプールが調製され、そし
て反復性サブプーリングおよび再スクリーニングプロセスを用いて再トランスフ
ェクトされ、最終的に推定レセプターをコードする単一クローンが産生される。
【0379】 レセプター同定のための代替的アプローチとして、標識ポリペプチドは、細胞
膜またはレセプター分子を発現する抽出調製物と光親和性結合され得る。架橋物
質は、PAGE分析によって分離され、そしてX線フィルムに曝される。ポリペ
プチドのレセプターを含有する標識複合体が、切り出され、ペプチドフラグメン
トに分解され、そしてタンパク質微量配列決定に供され得る。微量配列決定から
得られるアミノ酸配列は、推定レセプターをコードする遺伝子を同定するために
cDNAライブラリーをスクリーニングするための変性オリゴヌクレオチドプロ
ーブの組を設計するために使用される。
【0380】 (治療薬)本発明のポリペプチドは、種々の免疫調節機能および炎症機能にお
いて使用され得、そしてまた多数の疾患状態において使用され得る。MPIF−
1は、ケモカインファミリーであり、それゆえそれらは、白血球(例えば、単球
、好中球、Tリンパ球、好酸球、好塩基球など)についての化学誘引物質である
【0381】 ノーザンブロット分析により、MPIF−1が造血性起源の組織に優先的に発
現されることが示される。
【0382】 (MPIF−1治療/診断適用)MPIF−1は、免疫応答および炎症の調節
において重要な役割を果たすことが示される。図13において、リポポリサッカ
ライドが、ヒト単球からMPIF−1の発現を誘導することが示される。従って
、エンドトキシンの存在に応答して、MPIF−1は、単球から発現され、それ
ゆえ、MPIF−1の投与は、宿主の免疫応答を調節するために使用され得る。
MPIF−1は、抗炎症剤として使用され得る。
【0383】 図4に示されるように、THP−1細胞(A)およびPBMC(B)における
MPIF−1の化学誘引活性が有意である。MPIF−1はまた、THP−1細
胞において有意なカルシウム動員を誘導し(図5)、これは、MPIF−1が単
球に対して生物学的効果を有することを示す。さらに、MPIF−1は、用量依
存性化学向性を生じ、カルシウム動員はヒト単球において応答する。
【0384】 さらに、本発明のポリペプチドは、抗腫瘍治療において有用であり得る。なぜ
なら、腫瘍に注射されたケモカイン発現細胞が、例えば、カポジ肉腫の処置にお
いて、腫瘍の退行を引き起こしたからである。MPIF−1は、細胞がTNF−
αを分泌することを誘導し得る。TNF−αは、腫瘍退行のための公知の因子で
ある。この場合、このタンパク質は、腫瘍退行を誘導するために使用され得る。
MPIF−1はまた、ヒト単球が他の腫瘍およびガンを阻害する因子(例えば、
IL−6、IL−1およびG−CSF)を分泌することを誘導し得る。さらに、
MPIF−1は、それらの化学向性活性を介して宿主防御(殺腫瘍性)細胞(例
えば、細胞傷害性T細胞およびマクロファージ)の浸潤および活性化を刺激し、
そしてまた、この様式で固形腫瘍を処置するのに使用され得る。
【0385】 (骨髄防御) ポリペプチドはまた、造血細胞の増殖および分化を阻害するために使用され得
、それゆえ、化学療法の間に化学療法薬剤から骨髄幹細胞を保護するために使用
され得る。図6および7は、MPIF−1が、低増殖能力コロニー形成細胞(L
PP−CFC)によってコロニー形成を阻害することを示す。図8は、M−CI
FがM−CSF刺激性コロニー形成を特異的に阻害し、一方、MPIF−1が阻
害しないことを示す。MPIF−1が骨髄細胞の増殖および/または分化を有意
に阻害するので、この抗増殖性効果は、化学療法薬剤のより高用量の投与を可能
にし得、それゆえ、より効果的な化学療法処置を可能にし得る。
【0386】 方向付けられた前駆細胞(例えば、顆粒球、およびマクロファージ/単球細胞
)の亜集団に対するM−CIFおよびMPIF−1ポリペプチドの阻害効果は、
白血病細胞の増殖を阻害するために治療的に使用され得る。
【0387】 さらに、本発明者らは、MPIF−1およびその改変体(例えば、MPIF−
1Δ23)が、ヒト骨髄および顆粒球前駆体のインビトロ増殖および分化を阻害
することを見出した。同様に、動物研究は、MPIF−1Δ23が、例えば、イ
ンビトロおよびインビボの両方で低増殖能力コロニー形成細胞(LPP−CFC
)ならびに顆粒球/単球関連前駆体の発生を特異的に阻害することを示した。こ
れらの知見は、MPIF−1が化学保護薬剤としての治療適用を有する。これは
、初期骨髄前駆体を一般に使用される化学治療薬物の細胞傷害性効果から保護し
得る。
【0388】 MPIF−1およびその改変体が骨髄前駆体細胞を選択的に阻害する能力を有
するため、MPIF−1は、骨髄増殖性障害(例えば、本質的な血小板増多症(
ET)、赤血球増加症(PV)、または突発性骨髄異形成(AMM))を処置す
るために使用され得る。これは、臨床的に密接に関連する。各障害は、単一の造
血幹細胞の獲得された変異から生じる。これは、その幹細胞の子孫に増殖利点を
与える。これらの障害の病態生理学は、異なる細胞型の過剰生産が存在する点に
おいて異なる。PVにおいて、赤血球、顆粒球、および巨核球の過剰生産が存在
する。ETにおいて、定義によって、血小板ならびに白血球の過剰生産が存在す
る。AMMはまた、骨髄線維症に加えて血小板増多症または白血球増多症を示す
【0389】 PV患者の安定化は、瀉血による赤血球の除去によって取り組まれ得る。しか
し、ET患者における上昇した血小板レベルについての匹敵する治療は存在しな
い。いくつかの骨髄抑制性治療は、血小板増多症の危険性を低下するために研究
されている。放射性リン、ヒドロキシ尿素、アルキル化剤(ブスルファンおよび
クロランブシル)、インターフェロン、またはアナグレリド(anagreli
de)での処置は、全ての示された有意な副作用を有する。詳細には、アナグレ
リドを除く各骨髄抑制性治療での急性白血病の増大した危険性が存在する。アナ
グレリドは有望な治療と見なされる。しかし、アナグレリドに対する有害な反応
が心配され、そしてその慢性の毒性能力は確立されていない。インターフェロン
は、高価であり、副作用を有し、そして非経口投与の不便さから、現在、二次系
統(second−line)治療である。これらの知見は、これらの疾患にお
ける治療の実質的な必要性が依然として存在することを示す。
【0390】 MPIF−1Δ23で前処理し次いで5−FUで処理したマウスでのインビボ
研究において、血小板前駆細胞増殖の阻害が示される。
【0391】 本発明は、さらに他の骨髄抑制性治療および薬剤と組み合わせた、MPIF−
1、およびその改変体の使用を含む。
【0392】 図9、10および11において、利用された細胞系統の関連細胞を取り出し、
そして得られた細胞の集団をM−CIFまたはMPIF−1と接触させた。M−
CIFは、細胞のMac−1ポジティブ集団における、ほぼ50%の減少を生じ
た。これは、図8の結果と一致する。これは、M−CIFがM−CSF応答性コ
ロニー形成細胞の阻害を誘導することを示す。図11に示されるように、MPI
F−1は、IL−3、GM−CSFおよびM−CSFに応答してコロニーを形成
する関連前駆細胞の能力を阻害する。さらに、図12に示されるように、MPI
F−1の用量応答は、コロニー形成を阻害することが示される。この阻害は、こ
れらの因子によって媒介される分化シグナルの特異的ブロックまたは前駆細胞に
対する細胞傷害効果に起因し得る。さらに、実施例9および10は、MPIF−
1が、化学治療薬剤の細胞傷害性に対するインビトロおよびインビボの骨髄保護
活性を有することを示す。従って、MPIF−1は、化学療法を受ける患者につ
いての骨髄保護物として有用であり得る。
【0393】 上記のように、化学療法および放射線治療から生じる1つの主要な合併症は、
非病原性細胞型の破壊である。本発明は、個体における骨髄細胞増殖を抑制する
ことによる、放射線および化学治療薬剤からの骨髄保護のための方法を提供する
。これらの方法は、骨髄抑制量のMPIF−1を単独、またはマクロファージ炎
症タンパク質−1α(MIP−1α)、マクロファージ炎症タンパク質−2α(
MRP−2α)、血小板因子4(PF4)、インターロイキン−8(IL−8)
、マクロファージ化学向性および活性化因子(MCAF)、およびマクロファー
ジ炎症タンパク質関連タンパク質−2(MRP−2)からなる群から選択される
1以上のケモカインとともにのいずれかで、放射線処置または化学治療療法の一
部として個体に投与される工程を含む。従って、本発明の骨髄抑制性組成物は、
骨髄保護性効果を提供し、そして骨髄細胞に対して有害な効果を有する治療と組
み合わせて有用である。そういうわけで、本発明の骨髄抑制性組成物は、骨髄細
胞を低周期状態に置き、それによって、例えば、放射線治療または細胞周期活性
化薬剤(例えば、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、5−FuおよびAr
a−C)を用いる化学療法によって引き起こされる細胞損傷に対する保護を提供
する。一旦、化学治療薬物が個体の系を解消した場合、MPIF−1によって保
護される前駆体細胞の迅速な増幅および分化を、例えば、骨髄刺激剤(例えば、
インターロイキン−11(IL−11)、エリスロポエチン(EPO)、GM−
CSF、G−CSF、幹細胞因子(SCF)、およびトロンボポエチン(Tpo
))を用いて刺激することが望ましい。
【0394】 化学治療薬剤の存在下でインビボ骨髄保護を付与するMPIF−1の能力は、
実施例13に示される。実施例13は、化学治療薬剤の投与の前の個体へのMP
IF−1の投与が複数周期の5−Fu処置の後でさえ、血液中の血小板の回復を
加速することを示す。実施例13に示される実験はまた、複数同期の5−Fu処
置の間のMPIF−1処置が顆粒球のより早い回復を生じることを示す。さらに
、実施例13の結果はまた、MPIF−1およびG−CSFが、同時投与された
場合、相加的な効果を発揮することを示唆する。
【0395】 示されるように、本発明者らは、MPIF−1、およびその変異体が、骨髄由
来の低増殖能コロニー形成細胞(LPP−CFC)の強力なインビトロ抑制を示
すことを見出した。LPP−CFCは、顆粒球系統および単球系統になる二分化
性造血前駆細胞である。MPIF−1はまた、顆粒球および単球コロニー形成細
胞に由来するヒトCD34+幹細胞によるコロニー形成を可逆的に阻害する。本
発明者らのインビトロ化学的保護実験は、薬物である5−フルオロウラシル(5
−Fu)、シトシンアラビノシド、およびTaxol(登録商標)の細胞傷害性
効果から、MPIF−1Δ23によるこれらの造血前駆細胞の保護を示した。
【0396】 インビボ化学療法モデルにおけるMPIF−1変異体(Δ23)の使用は、そ
れが骨髄前駆細胞ならびに好中球および血小板の末梢細胞集団の両方のより迅速
な回復を生じることを示した。さらに、実施例10および15に示されるように
、MPIF−1の投与は、5−Fuで処置された実験動物において、好中球減少
症および血小板減少症からの促進された回復を生じる。従って、MPIF−1お
よびその変異体は、化学療法剤に関連した骨髄形成不全、顆粒球減少症、および
血小板減少症の期間を短縮し、それによってそのような薬剤の処置を受けた患者
における感染の可能性を減少する。
【0397】 従って、本発明は、骨髄前駆細胞の保護のための方法、および分裂する細胞を
優先的に殺傷する治療(例えば、放射線治療または細胞周期活性薬物での処置)
を受けている個体へのMPIF−1の投与を含む血小板および顆粒球の回復を加
速することに関する。MPIF−1は充分量で投与されて、分裂する細胞を優先
的に殺傷する処置および薬剤に対するインビボ骨髄保護を提供する。「MPIF
−1が投与される」は、MPIF−1、MPIF−1のアナログ、またはそれら
の組み合わせが、治療的有効量で投与されることを意味する。MPIF−1の投
与の態様は、以下に詳細に考察される。
【0398】 MPIF−1は、分裂する細胞を優先的に殺傷する治療の前、後、または最中
に投与され得る。好ましい実施態様において、MPIF−1は、放射線治療また
は細胞周期活性薬物投与の前に投与され、MPIF−1が骨髄細胞の増殖を抑制
することを可能にするに充分な時間がある。本発明によってさらに意図されるこ
とは、分裂中の細胞を優先的に殺傷する治療の複数ラウンドの間の骨髄細胞を保
護するためのMPIF−1の使用である。このような場合、MPIF−1は、治
療レジメンまたは処置レジメンにおいて異なる時間点で単一用量または複数用量
のいずれかで投与され得る。
【0399】 上記に示されるように、MPIF−1は、単独または1つ以上の骨髄刺激因子
と組合わせて使用され得る。骨髄刺激因子は、現在、放射線治療または細胞周期
活性薬物での処置を受ける個人において、それらの欠乏の後、骨髄細胞の増殖を
刺激するために当該分野で使用されている。例えば、Kannan,V.ら、I
nt.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.37:1005−
1010(1997);Engelhardt,M.ら、Bone Marro
w Transplant 19:529−537(1997);Vadhan
−Raj,S.ら、Ann Intern Med.126:673−681(
1997);Harker,L.ら、Blood 89:155−165(19
97);Basser,R,ら、Lancet 348:1279−1281(
1996);Grossman,A.ら、Blood 88:3363−337
0(1996);Gordon,M.ら、Blood 87:3615−362
4(1996)を参照のこと。MPIF−1は、例えば分裂する細胞を殺傷する
処置の前に投与され得、そして1つ以上の骨髄刺激因子はそのような治療過程の
後または最中に投与される。このような場合、MPIF−1は、治療および骨髄
刺激因子(単数または複数)の投与から骨髄細胞を保護し、次いで保護された骨
髄細胞集団の拡大をもたらす。
【0400】 骨髄刺激因子は、代表的には、治療的に有効量の化学療法薬剤での処置を受け
る患者に投与される。用量処方物および投与の態様は、処置される個体、刺激さ
れる細胞の状態、化学療法レジメンの処置の段階、および使用される骨髄刺激因
子(単数または複数)を含む多数の要因で変化し得る。例えば、GM−CSFお
よびG−CSFは、それぞれ約1μg/キログラム体重および5〜10μg/キ
ログラム体重の用量で治療的に有効であり、そして皮下注射により毎日の投与さ
れ得る。例えば、Kannan,V.ら、Int.J.Radiat.Onco
l.Biol.Phys.37:1005−1010(1997);Engel
hardt,M.ら、Bone Marrow Transplant 19:
529−537(1997);Sniecinski,I.ら、Blood 8
9:1521−1528(1997)を参照のこと。IL−11は、100μg
/キログラム体重までの用量範囲で毎日の皮下注射によって投与され得る。Go
rdon,M.ら,前出。しかし、10μg/キログラム体重未満のIL−11
の用量が、化学療法で誘導される血小板減少症を減少することに有効であると考
えられている。Tpoは、0.3〜2.5μg/キログラム体重の用量範囲で静
脈内注射によって投与され得る。例えば、Vadhan−Raj,S.ら.,A
nn.Intern.Med.126:673−681(1997);Hark
er,L.ら、Blood 89:155−165(1997)を参照のこと。
当業者が理解するように、最適な用量処方物および投与の態様は、上記の要因を
含む多数の要因によって変化する。さらなる骨髄刺激因子についての用量処方物
および投与の態様は、当該分野で公知である。
【0401】 分裂する細胞を優先的に殺傷する治療を含む処置プロトコールの一部としての
骨髄刺激因子の投与のタイミングはまた、用量処方物および投与の態様について
の上記の要因とともに変化し得る。放射線治療または細胞周期活性薬物を含む処
置プロトコールの一部として骨髄刺激因子の個体への投与を開示する多数の報告
が公開されている。例えば、Vadhan−Raj,S.ら、前出は、化学療法
剤投与の3週前に、Tpoの単一の静脈内投薬の使用を報告する。Papadi
mitrou,C.ら、Cancer 79:2391−2395(1997)
およびWhitehead,R.ら、J.Clin.Oncol.15:241
4−2419(1997)は、数週間の経過にわたって化学療法剤の投与を含む
化学療法処置法を報告する。これらの場合のそれぞれにおいて、G−CSFの用
量は、化学療法剤での処置の最初の日後および最終日の前の複数の時間点で投与
される。IL−11およびGM−CSFの両方の類似の使用法が、Gordon
,M.ら、前出、およびMichael,M.ら、Am.J.Clin.Onc
ol.20:259−262(1997)に報告されている。しかし、骨髄刺激
因子の投与の最適のタイミングが、使用される特定の骨髄刺激因子、およびそれ
らが投与される条件とともに変化することを、当業者は認識している。
【0402】 従って、分裂する細胞を優先的に殺傷する治療が骨髄細胞に対して有する細胞
傷害作用を軽減するという骨髄刺激因子の投与は、当該分野で公知である。骨髄
刺激因子は、静脈内注射および皮下注射を含むいくつかの経路によって投与され
得る。投与される骨髄刺激因子の濃度は、多数の要因と共に広範に変化するが、
一般的に、0.1〜100μg/キログラム体重の間の範囲であり、そして化学
療法処置レジメンもしくは放射線処置レジメンにおいて、種々の時間点で単回用
量または複数用量で投与され得る。しかし、骨髄刺激因子は、一般的に、化学療
法剤の投与もしくは放射線処置の前または後で投与される。当業者が理解するよ
うに、骨髄刺激因子が使用される条件は、特定の骨髄刺激因子および処置レジメ
ンの両方で変化する。
【0403】 当業者に明らかなように、MPIF−1は、一般的に造血性増殖因子の有効性
を増強するために、上記のように使用され得る。このような造血性増殖因子とし
ては、赤血球の産生を刺激するエリスロポエチン、およびより初期の幹細胞を刺
激し、それによって全ての血液細胞型の数を増加する多系列増殖因子であるIL
−3が挙げられる。他には、幹細胞因子;GM−CSF;ならびにG−CSFと
エリスロポエチンとのハイブリッド分子;IL−3とSCFとのハイブリッド分
子;ならびにGM−CSFとG−CSFとのハイブリッド分子が挙げられる。
【0404】 本発明の骨髄抑制性薬学的組成物もまた、骨髄細胞の過剰増殖状態を引き起こ
す白血病の処置に有用である。従って、本発明は、骨髄抑制量のMPIF−1を
単独か、またはMIP−1α、MIP−2α、PF4、IL−8、MCAF、お
よびMRP−2からなる群より選択される1つ以上のケモカインとともにかのい
ずれかで白血病患者に投与する工程を包含する、白血病を処置する方法をさらに
提供する。
【0405】 「骨髄細胞増殖を抑制すること」は、骨髄細胞の細胞増殖を減少すること、お
よび/または緩序な細胞周期(slow−cycling phase)にある
骨髄細胞の割合を増加することが意図される。上記のように、「個体」は、哺乳
動物、好ましくはヒトが意図される。本発明の骨髄抑制性組成物のアセトニトリ
ル(ACN)とのプレインキュベーションは、骨髄前駆細胞の抑制に対するこれ
らのケモカインの比活性を有意に増強する。従って、好ましくは、投与の前に、
本発明の骨髄抑制性組成物は、Broxmeyer H.E.,ら、Ann−H
ematol.71(5):235−46(1995)およびPCT公開WO9
4/13321(これらの全体の開示が本明細書中に参考として援用される)に
記載のように、ACNで前処理される。
【0406】 本発明の骨髄抑制性組成物は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、
メチルメラミン、アルキルスルホン酸塩、ニトロ尿素(nitrosuoure
a)、およびトリアジン(triazene)のようなアルキル化剤;葉酸アナ
ログ、ピリミジンアナログ(特に、フルオロウラシルおよびシトシンアラビノシ
ド)のような代謝拮抗剤、ならびにプリンアナログ;ビンカアルカロイド、エピ
ポドフィロトキシン、抗生物質、酵素および生物学的応答変更因子のような天然
産物;ならびにプラチナ配位複合体、アントラセンジオン、ヒドロキシ尿素のよ
うな置換された尿素、メチルヒドラジン誘導体、および副腎コルチコイド抑止剤
のような雑多な産物を含む種々の化学治療剤を組み合わせて使用され得る。
【0407】 化学療法剤は、公知の技術に従って、既知の濃度で投与され得る。本発明の骨
髄抑制性組成物は、化学療法剤と同時に投与され得るか、または化学療法剤が投
与される前または後のいずれかで別々に投与され得る。
【0408】 MIP−1β、MIP−2β、およびGRO−αのような特定のケモカインは
、本発明の骨髄抑制性組成物に影響する骨髄抑制を阻害(少なくとも部分的にブ
ロック)する。従って、さらなる実施態様において、本発明は、MIP−1β、
MIP−2β、およびGRO−αからなる群より選択される有効量の骨髄抑制阻
害性インヒビターを、以前に骨髄抑制剤MPIF−1を単独または1つ以上のM
IP−1α、MIP−2α、PF4、IL−8、MCAF、およびMRP−2と
ともにのいずれかに曝された哺乳動物へ投与する工程を包含する、骨髄抑制を阻
害するための方法を提供する。
【0409】 (細胞傷害性剤によって誘導される損傷からの防御) 本発明のポリペプチドはまた、細胞、組織および器官に対する細胞傷害性剤誘
導性損傷/傷害を減少または阻止するために使用され得る。
【0410】 正常組織に対する損傷は、細胞傷害性剤に対する暴露の結果として生じる。細
胞傷害性剤は、放射線および化学療法剤を含む。放射線は、不測の、環境の、職
業上の、診断的な、および治療的な放射線の暴露であり得る。正常組織損傷はま
た、放射線療法、化学療法、ならびに放射線療法と化学療法との組み合わせのよ
うな癌処置の一般的な副作用である。正常組織に対するこの損傷は、一般的に正
常組織「効果」、組織「毒性」、「病的状態」、「合併症」および組織「反応」
(急性、亜急性または遅い)としていわれる。
【0411】 従って、本発明は、放射線、放射線療法、化学療法、および他の細胞傷害性剤
によって引き起こされる正常組織損傷を処置および防止するための組成物および
方法を提供する。
【0412】 正常組織毒性、特に急性毒性(すなわち、処置の数日または数週間内に生じる
)は、痛みを生じ、そしてさらに、感染のような合併症を導く。さらに、急性毒
性は、癌治療剤の用量を制限し、従って、効果的癌処置を危うくする。さらに、
初期毒性効果が無症状である場合(すなわち、病的状態を起こさない、および用
量制限性ではない)でさえ、これらは、遅い(慢性としても公知)効果を導き得
る(すなわち、処置の数ヵ月後または数年後に生じる)。遅い効果は、例えば、
不妊症、壊死および繊維症の遅い開始、ならびにマイトジェン誘導性癌を含む。
【0413】 本発明は、急性、亜急性、および遅い正常組織毒性を処置および阻止する組成
物および方法を提供する。
【0414】 いくつかの経路は、正常細胞および組織に対する細胞傷害性誘導性(例えば、
放射線誘導性および化学療法誘導性)損傷に関する。損傷は、直接的または間接
的であり得る。直接的損傷は、細胞成分に対する細胞傷害性剤の作用から生じ、
そして染色体における一本鎖崩壊および二重鎖崩壊を含み、遊離ラジカルおよび
反応性酸素種から細胞膜および他の細胞成分を損傷する。間接的損傷は、細胞傷
害性剤の最初の作用より下流の事象から生じる。このような下流の事象は、壊死
細胞または組織、脈管傷害、正常免疫応答および炎症性応答によって遊離ラジカ
ルの放出を含む。
【0415】 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、少なくとも1つの上記の直
接的経路および間接的経路を調節することによって、細胞、組織および器官に対
する細胞傷害性剤誘導性損傷を処置および阻止する。
【0416】 損傷は、(幹細胞モデルとして公知の)潜在的な分裂細胞の除去;低酸素およ
び他の効果を生じる脈管傷害;JunおよびEGR1のような最初期遺伝子の誘
導、インターロイキンおよびTNFのようなプロ炎症性サイトカインの誘導、T
GFβ、PDGF、BDGFのような炎症性サイトカインの誘導、ならびに二次
的サイトカインカスケードの誘導を含む正常宿主修復応答;炎症性応答の効果;
炎症性細胞、間質性機能細胞および繊維芽細胞のような多様な細胞型の間の相互
作用によって引き起こされ得る 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、少なくとも1つの上記の損
傷の原因を調節する。
【0417】 線維症は、1つ以上の方法において誘導され得る:照射された組織に存在する
単球およびマクロファージは、プロ炎症性サイトカインを賛成するために誘導さ
れ、従って、炎症性応答におけるさらなるマクロファージを漸増する;上皮細胞
および間質細胞の最初の欠失は、炎症を誘導する;照射は、AP−1の誘導を通
じて繊維性サイトカインの発現を誘導する。
【0418】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、線維症を導く経路の少なく
とも1つ以上を調節する。
【0419】 細胞は、以下のいくつかの方法で放射線および他の細胞傷害性剤に応答する:
JNK経路を活性化して、アポトーシス性体の形成によって印付けられるアポト
ーシスを導く膜スフィンゴミエリンからのセラミド形成;他の経路によって誘導
されるアポトーシス;小核(MN)の形成によって印付けられる有糸分裂関連死
;および細胞は代謝的に活性だが分裂し得ない細胞毒誘導性の老化。
【0420】 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、放射線および他の細胞傷害
性剤に対する上記の細胞性応答の少なくとも1つを調節する。
【0421】 正常組織毒性を調節する、本発明のポリペプチドのような因子は、化学的改変
因子、毒性保護剤、保護因子、細胞保護因子および救出因子としていわれる。こ
れらの因子は、癌治療の副作用を減少または阻止するために、そして放射線暴露
からの組織損傷を阻止または処置するために有用である。
【0422】 本明細書中で記載される場合、用語細胞傷害性剤は、化学療法剤(抗腫瘍剤と
しても公知)および不測の放射線、職業上の放射線、環境的放射線、治療的放射
線のような放射線(例えば、分画された放射線療法、分画されていない放射線療
法および過分画された放射線療法、ならびに放射線および化学療法の組み合わせ
を含む)をいう。放射線の型はまた、電離(γ)放射線、粒子放射線、低エネル
ギー移動(LET)、高エネルギー移動(HET)、紫外放射線、赤外放射線、
可視光、および感光性放射線を含む。細胞傷害性剤は、好ましくは新生物細胞を
殺すかまたは迅速な増殖細胞の細胞周期を破壊する因子を含み、そして新生物細
胞の増殖を阻止または減少するために治療的に使用される因子を含む。化学療法
剤はまた、抗腫瘍薬物として公知であり、そして当該分野において周知である。
本明細書中で使用される場合、化学療法は、単一の化学療法剤または因子の組み
合わせでの処置を含む。処置の必要な被験体において、化学療法は、外科的処置
もしくは放射線療法、または他の抗新生物処置療法(modality)と組み
合わされ得る。
【0423】 放射線はまた、X線またはガンマ線のような高エネルギー放射線である電離放
射線を含み、高直線エネルギー移動照射、低直線エネルギー移動照射、α線、β
線、中性子線、加速電子線、および紫外線の様式でイオン対を産生するように相
互作用する。放射線はまた、光子および分裂周波中性子を含む。
【0424】 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、本明細書中に記載される放
射線および化学療法のような細胞傷害性剤の効果から正常細胞および組織を保護
する。
【0425】 例示的な化学療法剤は、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン(ep
ipodophyllotoxin)、アントアサイクリン、抗生物質、アクチ
ノマイシンD、プリカマイシン、プロマイシン、グラミシジンD、パクリタキセ
ル(Taxol(登録商標)、Bristol Myers Squibb)、
コルヒチン、サイトカラシンB、エメチン、マイタンシン(maytansin
e)、およびアムサクリン(amsacrine)(または「mAMSA」)で
ある。ビンカアルカロイド種は、Goodman and Gilman’s
The Pharmacological Basis of Therape
utics(第7版)(1985)1277−1280頁に記載される。ビンカ
アルカロイドの例は、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビンデシンである
。エピポドフィロトキシン種は、Goodman and Gilman’s
The Pharmacological Basis of Therape
utics(第7版)(1985)1280−1281頁に記載される。エピポ
ドフィロトキシンの例は、エトポシド、エトポシドオルソキノン、およびテニポ
シドである。アントラサイクリン抗生物質種は、Goodman and Gi
lman’s The Pharmacological Basis of
Therapeutics(第7版)(1985)1283−1285頁に記載
される。アントラサイクリン抗生物質の例は、ダウノルビシン、ドキソルビシン
、ミトキサントラオン(mitoxantraone)、およびビスアントレン
(bisanthrene)である。アクチノマイシンD(ダクチノマイシンと
も呼ばれる)は、Goodman and Gilman’s The Pha
rmacological Basis of Therapeutics(第
7版)(1985)1281−1283頁に記載される。プリカマイシン(pl
icamycin)(ミトラマイシンとも呼ばれる)は、Goodman an
d Gilman’s The Pharmacological Basis
of Therapeutics(第7版)(1985)1287−1288
頁に記載される。さらなる化学療法剤としては、以下が挙げられる:シスプラチ
ン(Platinol(登録商標)、Bristol Myers Squib
b)、カルボプラチン(Paraplating(登録商標)、Bristol
Myers Squibb)、ミトマイシン(Mutamycin(登録商標
)、Bristol Myers Squibb)、アルトレットアミン(al
tretamine)(Hexalen(登録商標)、U.S.Bioscie
nce,Inc.)、シクロホスファミド(cyclophosphamide
)(Cytoxang,Bristol Myers Squibb)、ロムス
チン(lomustine)(CCNU)(CeeNU(登録商標)、Bris
tol Myers Squibb)、カルムスチン(carmustine)
(BCNU)(BiCNU(登録商標)、Bristol Myers Squ
ibb)。
【0426】 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドと組合わせて投与され得るさら
なる治療剤はまた、アクラチノマイシン(aclacinomycin)A、ア
クラルビシン(aclarubicin)、アクロニン(acronine)、
アクロニシン(acronycine)、アドリアマイシン、アルデスロイキン
(aldesleukin)(インターロイキン2)、アルトレットアミン(a
ltretamine)(ヘキサミエチルメラミン)、アミノグルテチミド、ア
ミノグルテチミド(サイトアドレン(cytadren))、アミノイミダゾー
ル、カルボキサミド、アムサクリン(amsacrine)(m−AMSA;ア
ムシジン(amsidine))、アナストラゾール(anastrazole
)(アラミデックス(arimidez))、アンチタビン(ancitabi
ne)、アントラシリン(anthracyline)、アントラマイシン(a
nthramycin)、アザセリン、アスパラギナーゼ(エルスパー(els
par))、アザシチジン(azacitdine)、アザシチジン(ラダカマ
イシン(ladakamycin))、アザグアニン、アザセリン、アザウリジ
ン、1,1’,1’’−ホスフィノチオイリジネトリス(phosphinot
hioylidynetris)アジリジン、アジリノ(2’,3’:3,4)
ピロロ(1,2−a)インドール−4,7−ジオン、BCG(セラシス(the
racys))、BCNU、BCNUクロロエチルニトロ尿素、ベンザミド、4
−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)ベンゼン酪酸、ビカルタミド(bica
lutamide)、ビスクロロエチルニトロ尿素、ブレオマイシン、ブレオマ
イシン(ブレノザン(blenozane))、ブレオマイシン、ブロモデオキ
シウリジン、ブロクスウリジン(broxuridine)、ブサルファン(b
usulfan)(マイレラン(myleran))、カルバミン酸エチルエス
テル、カルボプラチン、カルボプラチン(パラプラチン(paraplatin
))、カルムスチン(carmustine)、カルムスチン(DCNU)、ク
ロロマイシンA3、cis−レチノイン酸、シスプラチン(cis−ddpl;
プラチノール(platinol))、クラドリビン(cladribine)
(2−クロロデオキシアデノシン;2cda;ロイスタチン)、コフォルマイシ
ン(coformycin)、シクロロイシン、シクロホスファミド、無水シク
ロホスファミド、クロラムブシル(chlorambucil)、シタラビン(
cytarabine)、シタラビン、シタラビン塩酸(cytosar−u)
、2−デオキシ−2−(((メチルニトロソアミノ(methylnitros
oamino))カルボニル)アミノ)−D−グルコース、ダカルボジン(da
carbazine)、ダクチノマイシン(コスメゲン(cosmegen))
、ダウノルビシン、ダウノルビシン塩酸(セルビジン(cerubidine)
)、デカルバジン(decarbazine)、デカルバジン(DTIC−do
me)、デメコルシン(demecolcine)、デキサメサゾン、ジアンヒ
ドロガラクチトール、ジアゾオキソノルロイシン、ジエチルスチルベストール(
diethylstilbestrol)、ドセタキセル(docetaxel
(タキソテーレ(taxotere)))、ドキソルビシン塩酸(アドリアマイ
シン)、ドキソルビシンデヒドロクロリド、エフロルニチン(eflornit
hine)、エストラムスチン(estramustine)、エストラムスチ
ンリン酸ナトリウム(emcyt)、エチオジズ油(ethiodized o
il)、エソグルシド(ethoglucid)、エチルカルバメート、エチル
メタンスルフォネート、エトポシド(etoposide)(VP 16−21
3)、フェンレチニド(fenretinide)、フロクスウリジン(flo
xuridine)、フロクスウリジン(fudr)、フロクスウリジン(fl
udara)、フロクスウリジン(5−FU)、フルオキシメステロン(flu
oxymesterone)(ハロテスチン(halotestin))、フル
タミド(flutamide)、フルタミド(eulexin)、フロクスウリ
ジン(fluxuridine)、ニトロガリウム(グラニト(granite
))、ゲムシタビン(gemcitabine(ゲムザー(gemzar))、
ゲニステイン(genistein)、(2−デオキシ−2−(3−メチル−3
−ニトロソウレイド(nitrosoureido))−D−グルコピラノース
)、ゴセレリン(goserelin(ゾラデックス(zoladex)))、
ヘキセストロール(hexestrol)、ヒドロキシウレア(ヒドラ(hyd
ra))、イダルビシン(idarubicin(イダマイシン(idamyc
in)))、イホスファゲムシタビン(ifosfagemcitabine)
、イホスファミド(ifosfamide(イフレックス(iflex)))、
イホスファミド(ifosfamide)ウィズメスナ(withmesna)
(MAID))、インターフェロン、インターフェロンα、インターフェロンα
−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−n3、インターロイ
キン−2、イオベングアン(iobenguane)、イオベングアン イオベ
ングアン、イリノテカン(irinotecan(カンプトサー(campto
sar)))、イソトレチノイン(isotretinoin(アクトン(ac
cutane)))、ケトコナゾール(ketoconazole)、4−(ビ
ス(2−クロロエチル)アミノ)−L−フェニルアラニン、L−セリンジアゾア
セテート、レンチノン(lentinan)、ロイコボリン、ロイプラリド(l
euprolide)acetate(LHRH−アナログ)、レバミゾール(
エルガミゾール(ergamisol))、ロムスチン(lomustine(
CCNU;cee−NU))、マンノムスチン(mannomustine)、
マイタンシン(maytansine)、メクロレサミン(mechloret
hamine)、メクロレサミン塩酸(ナイトロジェンマスタード)、メドロキ
シ(medroxy)プロゲルテロン酢酸(プロベラ(provera)、デプ
プロベラ(depo provera))、メゲストロール(megestro
l)酢酸(メナス(menace))、メゲステロール酢酸、メルファラン(m
elphalan)(アルケラン(alkeran))、メノラリル(meno
garil)、メルカプトプリン、メルカプトプリン(プリネトール(puri
nethol))、無水メルカプトプリン、MESNA、mesna(mesn
e))、メタンスルホン酸、エチルエステル、メトトレキサート(mtx;メト
トレキサート))、メチル−ccnu、ミノシン(mimosine)、ミソニ
ダゾール(misonidazole)、ミサラマイシン(mithramyc
in)、ミトアントロン(mitoantrone)、ミトブロニトール(mi
tobronitol)、ミトグアゾン(mitoguazone)、ミトラク
トール(mitolactol)、ミトマイシン(mitomycin(ムタマ
イシン(mutamycin)))、ミトマイシンC、ミトタン(mitota
ne(o,p’−DDD;リゾドレン(lysodren)))、ミトキサント
ロン(mitoxantrone)、ミトキサントロン塩酸(ノバントロン(n
ovantrone))、モピダモル(mopidamol)、N,N−ビス(
2−クロロエチル)テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキザホスホリン−2−
アミン−2−オキシド、(N−(1−メチルエチル)−4−((2−メチルヒド
ラジノ(hydrazino))メチル)ベンザミド、N−メチル−ビス(2−
クロロエチル)アミン、ニカルジピン、ニルタミド(nilutamide(ニ
ランドロン(nilandron))、ニムスチン(nimustine)、ニ
トラクリン(nitracrine)、ナイトロジェンマスタード、ノコダゾー
ル、ノガラマイシン(nogalamycin)、オクトレオチド(octre
otide(サンドスタチン(sandostatin))、パクリタキセル(
taxon)、パクリタキセル、パクタマイシン(pactamycin)、ペ
ガスパーガーゼ(pegaspargase(PEGx−1))、ペントスタチ
ン(pentostatin)(2’−デオキシコフォルマイシン(cofor
mycin))、ペプロマイシン(peplomycin)、ペプチセミオ(p
eptichemio)、フォトフォレシス(photophoresis)、
ピカマイシン(picamycin(ミスラシン(mithracin)))、
ピチバニル(picibanil)、ピポブロマン(pipobroman)、
ピリカマイシン(plicamycin)、ポドフィロックス(podofil
ox)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ポルフィロ
マイシン(porfiromycin)、プレドニゾン、プロカルバジン、プロ
カルバジン塩酸(マツラン(matulane))、プロスピジウム(pros
pidium)、ピューロマイシン、ピューロマイシンアミノヌクレオシド、P
UVA(プソラレン(psoralen)+紫外a)、ピラン(pyran)コ
ポリマー、ラパマイシン、s−アザシチジン、2,4,6−トリス(1−アジリ
ジニル)−s−トリアジン、セムルスチン(semustine)、ショードマ
イシン(showdomycin)、シロリムス(sirolimus)、スト
レプトゾシン(ザノサー(zanosar))、スラミン(suramin)、
クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス(nolvadex))、タキサン(
taxon)、テガフール(tegafur)、テニポシド(teniposi
de)(VM−26;ブモン(vumon))、テヌアゾニック(tenuaz
onic)酸、TEPA、テストラクトン(testolactone)、チオ
−テーパ(thio−tepa)、チオグアニン、チオテーパ(thiotep
a(チオプレックス(thioplex))、チロロン(tilorone)、
トポテカン(topotecan)、トレチノイン(tretinoin(ベサ
ノイド(vesanoid))、トリアジクオン(triaziquone)、
トリコデルミン(trichodermin)、トリエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチ
レンチオホスホラミド、トリメトレキサート(ニュートレキシン(neutre
xin))、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、トリス(1−ア
ジリジニル)ホスフィンスルフィド、トリス(アジリジニル)−p−ベンゾキノ
ン、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンスルフィド、ウラシルマスタード、
ビダラビン(vidarabine)、ビダラビンホスフェート、ビンブラスチ
ン(vinblastine)、ビンブラスチンスルフェート(ベルバン(ve
lban))、ビンブラスチンスルフェート(オンコビン(oncovin))
、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine
)、ビノレルビン酒石酸塩(ナベルビン(navelbine))、(l)−ミ
ノシン(mimosine),1−(2−クロロエチル)−3−(4−メチルシ
クロヘキシル)−l−ニトロ尿素、(8S−cis)−10−((3−アミノ−
2,3,6−トリデオキシ−α−L−リゾ(lyxo)−ヘキソピラノシル)オ
キシ)7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−
(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン(nap
hthacenedione)、131−メタイオドベンジルグアニジン(I−
131 MIBG)、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼニル)−1H−イ
ミダゾール−4−カルボキサミド、(5−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)
−2,4(lH,3H)−ピリミジンジオン、2,4,6−トリス(1−アジリ
ジニル)−s−チアジン、2,3,5−トリス(1−アジリジニル)−2,5−
シクロヘキサジエン−1,4−ジオン、2−クロロ−N−(2−クロロエチル)
−N−メチルエタナミン、N,N−ビス(2−クロロエチル)テトラヒドロ−2
H−1,3,2−オキサザホスホリン(ホスフォリン(phosphorin)
)−2−アミン−2−オキシド)、3−デアザウリジン、3−イオドベンジルグ
アニジン、5,12−ナフタセネジオン、5−アザシチジン、5−フルオロウラ
シル、(1aS,8S,8aR,8bS)−6−アミノ−8−(((アミノカル
ボニル)オキシ)メチル)−1,la,2,8,8a,8b−ヘキサヒドロ−8
a−メトキシ−5−メチルアジリノ(2’,3’:3,4)ピロロ(pyrro
lo)(1,2−a)インドール−4,7−ジオン、6−アザウリジン、6−メ
ルカプトプリン、8−アザグアニン、およびこれらの組合わせ。
【0427】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドと組合わせて投与され得る好ま
しい治療剤および組み合わせは、ドキソルビシンおよびドキセタキセル(Doz
etazel)、トポテカン(Topotecan(登録商標))、パクリタキ
セル、カルボプラチンおよびタキソール、タキソール、シスプラチンと放射線、
5−フルオロウラシル(5−FU)、5−FUと放射線、トキソテーレ(Tox
otere(登録商標))、フルダラビン(Fludarabine)、Ara
C、エトポシド、ビンクリスチン、およびビンブラスチンを含む。
【0428】 例示的化学療法剤はまた、ドキセタキセル(Toxotere(登録商標))
およびトポテカン(登録商標)を含む。さらなる化学療法剤および他の細胞傷害
性剤は、以下の「薬学的組成物」に記載されるものを含む。
【0429】 さらなる化学療法剤および他の細胞傷害性剤は、以下の「エピトープおよび抗
体」ならびに本明細書中の他の部位に記載されるもの、ならびに当該分野におい
て周知である他のものを含む。
【0430】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、放射線損傷について予防的
におよび/または治療的に使用され得る。
【0431】 低い、中程度の、または高い用量の放射線に対する、細胞、組織および器官の
防護のために予防的または治療的に投与される本発明のポリヌクレオチドおよび
ポリペプチドは、放射線暴露に起因する損傷から、人または動物の個体および集
団を防護する。このような損傷としては、胃腸管系障害、体重減少、放射線病、
放射線熱傷、内分泌障害、甲状腺腫、目の疾患(例えば、ドライアイ症候群)、
炎症性疾患、心理学的障害、呼吸器系障害、尿生殖器系障害、循環系障害、なら
びに白血病および甲状腺がんのような癌、そして当該分野において周知の他の障
害が挙げられる。放射線暴露に起因する損傷は、細胞および組織に対する損傷を
含む。例えば、上記の損傷、細胞性DNAに対する損傷、細胞性画分における破
壊(DNA画分の破壊によるような)、細胞死、癌誘導(治療誘導性二次的腫瘍
誘導および他の癌誘導を含む)。
【0432】 核兵器の増加および核実験の範囲は、世界のいくつかの領域において増加して
いる。さらに、原子力発電(nuclear power generatio
n)の使用および工業の発達(例えば、核燃料処理および核兵器の除去)は、放
射線暴露の危険性を増加してきた。例えば、過去50年の間に、4つの主要な放
射能事故(Kistym(USSR)およびWind−Scale(Engla
nd)(1957年)、Three Mile Island(USA)(19
79年)ならびにChernobyl(USSR)(1986年))が報告され
た。これらの放射線の放出は。種々のレベルの放射能への広範な暴露を生じた。
Chernobylにおける原子力発電所(nuclear plant)での
事故に起因して、その領域内外の居住者および動物(例えば、家庭内動物)は、
深刻な影響を被った。
【0433】 1950年代初期において、システアミンおよび関連アミノアルキルチオール
が放射線に対して生物体を保護し得ることが見出された。特に、それらの物質が
マウスのX線への暴露の前に与えられた場合、これらの物質は、X線放射線の致
死的影響を減少した。この調査は、よりよい放射線保護剤を発見するために進行
中である。例えば、アミフォスチン(amifostine)および他のアミノ
アルキルジヒドロゲンホスホロチオエート(米国特許第3,892,824号)
は、特に、軍事的紛争の間に遭遇され得るX線または核放射線に対して使用され
る保護剤として本来発見された。最も保障される薬剤は、アミフォスチン(WR
2721(S−2(3−アミノプロピルアミノ)−エチル−ホスホロチオール酸
))であり、これは、体内でアミノアルキルチオールに分解して、この効果は、
システアミンの効果と同様である。しかし、WR2721の使用は、臨床的耐性
が乏しいことにより制限されてきた(Cairnie,Radiation R
es.94:221(1983);Turrisiら、Radioprotec
ters and Anticarcinogens,NygaardおよびS
imic編、Academic Press,New York,681−69
4頁(1983);Blumberg,Int.J.Radiation On
cology Biol.Phys.8:561(1982))。
【0434】 本発明は、放射線誘発性損傷を保護するための方法を提供し、この方法は、放
射線投与の前および/または同時および/または後で受け入れ可能であり、そし
て、ヒトのような哺乳動物における使用を可能にするように、比較的低い非毒素
濃度で有効であり、そして以下に記載されるように、複数の投与ならびに単回の
投与を可能にする。
【0435】 上記のように、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、放射線また
は他の細胞障害性薬剤に起因する損傷から、細胞、組織および器官を保護、回復
および処置し、そして放射線のような細胞障害性因子に暴露された個体の生存率
を増加する。暴露の前、間および/または後に投与された本発明のポリペプチド
およびポリヌクレオチドは、放射線によって引き起こされる損傷の重篤度を排除
または軽減する。
【0436】 結果として、放射線暴露は、例えば、偶発的暴露、意図的暴露、内部的暴露、
外部的暴露、職業的暴露、環境的暴露、ラドン、核汚染であり得、そして例えば
、核爆発、原発事故または太陽フレアによって放出される放射線を含む。このよ
うな暴露は、例えば、原子力産業の労働者において、軍人において、一般人にお
いて、救急隊員において、核爆発および原発事故の生存者において、医療分野の
労働者において、患者において、および宇宙飛行士において生じる。本発明のポ
リヌクレオチドおよびポリペプチドはまた、放射線の他の供給源(例えば、救急
隊員、一般人または軍人、あるいは宇宙飛行士が遭遇し得るような放射線)に対
する処置または保護を提供する際に有用であり得る。
【0437】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、放射線暴露に起因
する損傷を、予防的および/または治療的に、予防、軽減または処置するために
投与され得る。
【0438】 本発明は、放射線に起因する損傷から、個体を保護または処置するための方法
を提供し、この方法は、この個体に有効量の本発明のポリペプチドまたはポリヌ
クレオチドを投与する工程を包含する。本発明のポリペプチドおよびポリヌクレ
オチドは、放射線に起因する損傷に対する保護剤であり、そして放射線暴露の前
、間、および/または同時に投与され得る。上記または以下で記載されるように
、保護剤(例えば、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド)は、処置の
予防的方法および治療的方法において有用である。
【0439】 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、放射線に暴露されたようで
ある個体(例えば、原子力産業の労働者、軍人、宇宙飛行士、放射線を含む診断
方法および治療方法に従事している医療分野の労働者、または診断または処置の
目的のために放射線に曝されるべきである患者)の予防的処置および治療的処置
のために有用である。本明細書中の別の箇所に記載されるように、本発明のポリ
ペプチドおよびポリヌクレオチドはまた、癌の放射線治療における補助剤として
有用であり、ここで、このポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、癌組織を放
射線治療によって破壊しつつ、正常な組織を選択的に保護する。
【0440】 従って、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、放射線への暴露の
危険のある個体に、予防的または治療的に投与され得る。予防的使用は、可能性
のある放射線損傷を予防または軽減し、そして治療的使用は、現存の損傷を処置
または軽減し、そしてさらなる損傷を、遅らせるか、軽減するかまたは予防する
【0441】 有効量は、所望の効果を達成するのに十分な本発明のポリペプチドまたはポリ
ヌクレオチドの量として理解されるべきである。このような効果は、予防的効果
または治療的効果、あるいはその両方であり得る。有効量は、当該分野で周知で
あるかまたは以下で記載されるように、個体が暴露される放射線のタイプおよび
量を含む様々な因子、ならびに投与レジメンなどに依存する。例えば、投薬量は
、以下で本明細書全体にわたって記載されるような投薬量である。
【0442】 本発明のポリペプチドは、化学治療剤および放射線を用いる処置の間に胃腸管
を保護することが示された(実施例16〜18を参照のこと)。さらに、本発明
のポリペプチドは、照射の後に投与された場合、胃腸管の放射線誘導性損傷を軽
減することが示された(実施例16〜18を参照のこと)。
【0443】 従って、本発明のポリペプチドは、上皮を保護するために用いられ得る。「上
皮」とは、血管および他の小さな管腔の内層を含む、身体の内面および外面の皮
膜をいう。これは、少量の接着物質で連結された細胞からなる。上皮は、層の数
、表在細胞の深さおよび形状に基づいてタイプ分けされる。上皮細胞としては、
前角膜、バレット上皮、円柱上皮、線毛上皮、円柱上皮、角膜上皮、肘上皮、半
規管上皮、エナメル上皮、偽上皮、胚上皮、歯肉上皮、腺上皮、糸球上皮、重層
上皮、水晶体上皮、間葉上皮、嗅上皮、単層扁平上皮、色素性上皮、保護上皮、
多列上皮、錐体上皮、気道上皮、杆状体上皮、精上皮、精上皮、単層上皮、扁平
上皮、重層上皮、被膜上皮、歯肉溝上皮、豹紋状上皮、移行上皮、ならびに目、
下、腺、口腔粘膜、十二指腸、回腸、空腸、盲腸、鼻孔、食道、結腸、乳腺、お
よび男性生殖器系および女性生殖器系の上皮細胞が挙げられる。
【0444】 「腺」とは、通常の代謝の必要性と関係のない物質を分泌または排出すること
を専門にする細胞の凝集物をいう。上皮細胞を含み得る腺の例には以下が挙げら
れる:吸収腺、副腺、腺房腺、胃酸分泌腺、副耳下腺、副腎腺、パイアー斑、ア
ルバラン腺、肛門腺、胞状腺、尿道球腺、大動脈腺、前舌腺、アポクリン腺、乳
輪腺、動脈腺、尾骨小体腺、披裂腺、アセリ腺、アヴィセナ腺、アトリビリアリ
ー(atribiliary)腺、腋窩リンパ腺、バルトリン腺、ボアン腺、バ
ウムガルテン腺、胆管粘膜の腺、ブランダン腺、血管腺、ブールハーフェ腺、ボ
ネー腺、ボーマン腺、上腕リンパ節、気管支腺、ブルーフ腺、ブルンナー腺、頬
腺、球海綿体筋腺、噴門腺、頸動脈腺、腹腔リンパ腺、耳道腺、子宮頸腺、脈絡
膜腺、チャッチョ腺、結膜の睫毛腺、肛門周囲腺、クロケー腺、コベルリ腺、尾
骨小体腺、コイル状腺、複合腺、凝塊腺、結膜腺、カウパー腺、皮膚腺、細胞腺
、内分泌腺、十二指腸腺、デュヴェルネー腺、エブナー腺、エクリン汗腺、エグ
リ腺、内分泌腺、上皮内腺、食道腺、排出腺、外分泌腺、管の胞状腺、底腺、胃
腺、胃大網腺、ゲイ腺、生殖器腺、歯肉腺、グレー腺、球状腺、糸球体腺、口蓋
舌腺、ゲラン腺、喉頭腺、ハラー腺、ハルダー腺、ハヴァース腺、ヘドニック腺
、血リンパ腺、血液リンパ腺、造血腺、血リンパ腺、ヘンレ腺、肝腺、異質分泌
、冬眠腺、ホロクリン腺、および内分泌腺。
【0445】 腺のさらなる例としては以下が挙げられる:頸動脈間腺、中間腺、肩甲間腺、
間質腺、腸腺、上皮内腺、舌の筋肉内腺、頸腺、クラウゼ腺、口の口唇腺、涙腺
、副涙腺、乳腺、大腸の腺、大汗腺、喉頭腺、胃および舌のレンズ状腺、リーベ
ルキューン腺、舌腺、前舌腺、リトル腺、ルシュカ腺、リンパ腺、錐体外路リン
パ腺、臼歯腺、乳腺、副乳腺、下顎腺、マンツ腺、メーリス腺、マイボーム腺、
メロクリン腺、腸間膜リンパ腺、結腸間膜腺、混合腺、臼歯腺、モル腺、単形腺
、モントゴメリー腺、モルガニー腺、口の腺、滑膜腺、粘液分泌腺、粘液腺、舌
粘液腺、耳管の粘液腺、十二指腸の粘液腺、エウスターキオ管の粘液腺、多細胞
腺、子宮筋層腺、ナボット腺、ナーボト腺、鼻腺、頸の腺、包皮の臭腺、脂腺、
嗅腺、胃酸分泌腺、パッキオーニ腺、口蓋腺、膵脾リンパ節、小帯傍腺、上皮小
体、尿道腺、耳下腺、副耳下腺、胸部リンパ節、ペプシン分泌腺、汗腺、ペール
腺、咽頭腺、フィリップ腺、松果体、および下垂体。
【0446】 腺の他の例としては以下が挙げられる:ポワリエ腺、多層腺、尾腺、妊娠腺、
副甲状腺、包皮腺、前立腺、思春期腺(puberty gland)、幽門腺
、ブドウ房状腺、舌後腺、臼歯後腺、リビヌス腺、ローゼンミュラー腺、単胞状
腺、唾液腺、腹部唾液腺、耳下腺、内唾液腺、サンドストレーム腺、シュラー腺
、皮脂腺、結膜の皮脂腺、前哨リンパ腺、混合腺、漿液腺、セール腺、ジンモン
ツ腺、スキーン腺、単純腺、小腸の腺、大腸の孤立リンパ腺、脾臓腺、シュテー
ル腺、ブドウ房腺、耳介下腺、舌下腺、顎下腺、汗腺、副腎、副副腎、シュザー
ヌ腺、汗腺、滑液腺、瞼板腺、タイレ腺、胸腺、甲状腺、副耳下腺、舌の腺、気
管腺、トラコーマ腺、細葉性管状腺、胸部腺、タイソン腺、単細胞腺、尿道腺、
女性尿道の尿道腺、尾腺、子宮内膜腺、卵形嚢腺、腟腺、血リンパ腺、前庭腺(
大前庭腺および小前庭腺)、フィルヒョー腺、卵黄腺、大前庭腺、ヴァルダイア
ー腺、ヴェーバー腺、ヴォルフリング腺、ツァイス腺、およびツッカーカンドル
腺。
【0447】 腺のさらなる例としては以下が挙げられる:蛋白腺、パイアー腺、耳管腺、腋
窩汗腺、尿道球腺、食道の噴門腺、エウスターキオ管の腺、胞状腺、ガレアーテ
ィ腺、頬腺、ハルダー腺、鼠径腺、腎間体、クノル腺、ルシュカ腺、マルピーギ
腺、骨髄リンパ節、下垂体腺、顎下腺、メリー腺、ヌーン腺、瞼板腺、気管周腺
、松果体、精嚢腺、顎下腺、汗腺、副甲状腺、テルソン腺、ティーデマン腺、管
状胞状腺、トラコーマ腺、大前庭腺、ヴァスマン腺、ヴェプファー腺、およびウ
ルフ腺。
【0448】 従って、MPIF−1は、任意のこれらの細胞またはこれらの腺内の細胞を保
護するために用いられ得る。
【0449】 MPIF−1は、筋肉細胞(例えば、心筋細胞、骨格筋細胞および平滑筋細胞
);上皮細胞(例えば、内皮細胞を含む扁平上皮細胞、立方上皮上皮細胞および
円柱上皮細胞);神経組織細胞(例えば、ニューロンおよび神経膠)における細
胞障害性因子誘導性損傷を保護または軽減するために使用され得る。MPIF−
1はまた、筋肉組織、神経組織、上皮組織、内皮組織および結合組織の細胞障害
性因子誘導性損傷を保護または軽減するために使用され得る。
【0450】 さらに、MPIF−1は、分裂している細胞、分裂していない細胞、末端分化
細胞、多能性幹細胞、前駆細胞および非前駆幹細胞の細胞障害性因子誘導性損傷
を保護または軽減するために使用され得る。
【0451】 従って、MPIF−1は、神経系細胞(例えば、皮質ニューロン、内部ニュー
ロン、中心エフェクターニューロン、末梢エフェクターニューロンおよび双極ニ
ューロンを含むニューロン;ならびにシュヴァン細胞、稀突起神経膠細胞、星状
細胞、小グリアおよび上衣を含む神経膠)の損傷を処置するために使用され得る
【0452】 さらに、以下の内分泌および内分泌関連細胞はまた、MPIF−1を使用して
細胞障害性因子から処置または保護され得る:下垂体(上皮細胞、下垂体細胞、
神経膠、無顆粒性色素嫌性細胞、無顆粒性色素親和細胞(好酸性および好塩基性
細胞)を含む);副腎細胞(エピネフリン分泌細胞、非エピネフリン分泌細胞、
骨髄細胞、頸部細胞(球状帯、束状帯および網状帯の細胞)を含む);甲状腺細
胞(上皮細胞(主および傍濾胞細胞)を含む);上皮小体細胞(上皮細胞(主細
胞および好酸性細胞)を含む);膵臓細胞(ランゲルハンス細胞の細胞(α、β
、およびδ細胞)を含む);松果体細胞(実質細胞および神経膠細胞を含む);
胸腺細胞(傍濾胞細胞を含む);精巣の細胞(精細管細胞、間質細胞(ライディ
ヒ細胞)、精原細胞、精母細胞(一次および二次)、精子細胞、精子、セルトー
リ細胞および筋様細胞を含む);卵巣の細胞(卵子、卵原細胞、卵母細胞、顆粒
膜細胞、胃膜細胞(内部および外部)、胚上皮細胞および小胞細胞(始原細胞、
小嚢細胞、成熟細胞および退縮細胞)を含む)。
【0453】 MPIF−1は、筋肉細胞(例えば、筋原線維、錘内線維および錘外線維)の
細胞障害性因子誘導性損傷を処置するために使用され得る。MPIF−1は、骨
格系細胞(例えば、骨芽細胞、骨細胞、およびそれらの前駆細胞)の細胞障害性
薬物誘導性損傷を処置するために使用され得る。
【0454】 以下の循環器系細胞はまた、MPIF−1を使用して細胞障害性因子から処置
または保護され得る:心臓細胞(心筋細胞);血液およびリンパの細胞(エリト
ロポイエチン感受性幹細胞、赤血球、白血球(例えば、好酸球、好塩基および球
好中球(顆粒細胞)、およびリンパ球および単球(無顆粒細胞)を含む)、血小
板、組織マクロファージ(組織球)、器官特異的食細胞 (例えば、クップファ
ー細胞、肺胞マクロファージ、および小グリア細胞)、Bリンパ球、Tリンパ球
(例えば、細胞障害性T細胞、ヘルパーT細胞、およびサプレッサT細胞)、巨
大赤芽球、単芽球、骨髄芽球、リンパ芽球、前赤芽球、巨核芽球、前単球、前骨
髄球、前リンパ球、早期正赤芽球、巨核球、中間正赤芽球、後骨髄球(例えば、
幼若後骨髄球、分葉球後骨髄球、および多形核顆粒球)、後期正赤芽球、網状赤
血球、および骨髄細胞。
【0455】 呼吸器系細胞(例えば、毛細管内皮細胞および肺胞細胞)はまた、細胞障害性
因子誘導性損傷を軽減または予防するためにMPIF−1で処置され得る。泌尿
器系細胞(例えば、ネフロン、毛細管内皮細胞、顆粒細胞、細管内皮細胞、およ
び有足突起)もまた、処置または保護され得る。以下のような消化器系細胞もま
たMPIF−1を使用して処置または保護され得る:単純円柱上皮細胞、粘膜細
胞、腺房細胞、壁細胞、主細胞、酵素原細胞、消化細胞、腸クロム親和細胞、杯
細胞、銀親和細胞およびG細胞。感覚細胞(例えば、聴覚系細胞(毛細胞));
嗅覚系細胞(嗅覚受容器細胞、および円柱上皮細胞を含む);平衡/前庭器細胞
(毛細胞および支持細胞を含む);視覚系細胞(色素細胞、上皮細胞、光受容体
ニューロン(杆体および円錐体)、神経節細胞、アマクリン細胞、両極細胞およ
び水平細胞を含む)は、細胞障害性損傷を予防または軽減するためにMPIF−
1で処置され得る。
【0456】 さらに、間葉細胞、間質細胞、毛細胞/卵胞細胞、脂質(脂肪)細胞、単純上
皮組織の細胞(鱗状上皮、立方上皮、円柱上皮、線毛円柱上皮、および多列線毛
円柱上皮)、重層上皮組織の細胞(重層扁平上皮(角化および非角化)、重層立
方上皮、および移行上皮)、杯細胞、腸間膜の内皮細胞、小腸の内皮細胞、大腸
の内皮細胞、毛細血管の上皮細胞、微小血管の上皮細胞、動脈の上皮細胞、小動
脈の上皮細胞、静脈の上皮細胞、細静脈の上皮細胞など、および膀胱の上皮細胞
は、細胞障害性損傷を軽減または予防するためにMPIF−1で処置され得る。
【0457】 MPIF−1はまた、結合組織(例えば、真皮を含む緩い結合(輪紋状)組織
、密な線維状結合組織、弾性結合組織、細網状結合組織、および脂肪結合組織)
の細胞における細胞障害性損傷を保護および処置する。MPIF−1でまた保護
されそしてこれで処置可能な結合組織の細胞としては、軟骨細胞、脂肪細胞、骨
膜細胞、骨内膜細胞、ぞうげ芽細胞、骨芽細胞および骨細胞が挙げられる。
【0458】 MPIF−1はまた、上皮細胞、肝細胞、ケラチノサイトおよび基底ケラチノ
サイト、筋肉細胞、中枢神経系および末梢神経系の細胞、前立腺細胞、および肺
細胞を保護する。
【0459】 MPIF−1はまた、肺、乳房、膵臓、胃、小腸および大腸の上皮細胞を保護
する。MPIF−1は、皮膚、肺、肝臓および胃腸管内に含まれる、上皮細胞(
例えば、セボサイト(sebocyte)、毛包、肝細胞、II型肺胞細胞、ム
チン産生杯細胞、および他の上皮細胞、ならびにそれらの前駆体)を保護し得る
【0460】 MPIF−1は肝細胞を保護し、従って、MPIF−1は、急性または慢性の
肝炎、ならびに癌治療(例えば、化学治療および/または放射線治療)、および
環境的被爆または偶発的被爆によって引き起こされる劇症または亜劇症(sub
fulminant)肝不全を、予防的または治療的に予防または軽減するため
に使用され得る。
【0461】 MPIF−1はまた、放射線または化学治療のような細胞障害性因子での処置
から生じる腸毒性の副作用を軽減するために使用され得る。MPIF−1は、小
腸粘膜に対する細胞保護効果を有する。MPIF−1はまた、粘膜炎を予防的ま
たは治療的に予防または減弱し、そして化学治療および他の細胞障害性因子によ
ってから生じる粘膜炎(例えば、口腔、食道、腸、結腸、直腸および肛門の潰瘍
)を軽減するために使用され得る。
【0462】 炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)は、それぞれ、小腸
または大腸の粘膜表面の破壊を生じる疾患である。従って、MPIF−1は、粘
膜表面の再生を促進し、より迅速な治癒を助け、そして炎症性腸疾患の進行を防
ぐために使用され得る。MPIF−1処置は、胃腸管全体の粘液の産生に対して
有意な効果を有することが期待され、そして細胞障害性因子から腸粘膜を保護す
るために使用され得る。従って、本発明はまた、粘膜の疾患または病理学的現象
(潰瘍性大腸炎、クローン病、および粘膜が損傷される他の疾患を含む)を予防
または処置するための方法を提供し、この方法は、有効量のMPIF−1を投与
する工程を包含する。本発明は、同様に、口腔粘膜炎(咽頭および下咽頭におけ
る粘膜損傷に関連する嚥下痛を含む)、食道粘膜炎、胃粘膜炎、腸粘膜炎、結腸
粘膜炎、および直腸粘膜炎を予防または処置するための方法を提供する。
【0463】 さらに、MPIF−1は、様々な因子に起因する肺の損傷を予防および軽減す
るために使用され得る。MPIF−1は、肺胞および細気管支上皮の損傷を予防
おまたは処置し得る。例えば、吸入損傷(すなわち、煙の吸入から生じる)およ
び放射線損傷(これらは、細気管支上皮および肺胞の壊死を引き起こす)は、M
PIF−1で効果的に処置され得る。また、MPIF−1は、II型肺胞細胞を
保護するために使用され得る。
【0464】 MPIF−1は、放射線治療および抗悪性腫瘍薬を用いる全身処置または局所
処置に関連する、真皮および表皮、目組織、歯組織、口腔の損傷、および合併症
を処置または予防する際に臨床的に有用であり得る。MPIF−1はまた、皮膚
損失を処置するために使用され得る。
【0465】 MPIF−1はまた、放射線、化学治療または他の細胞障害性処置から生じる
腸毒性の副作用を軽減するために使用され得る。MPIF−1は、小腸粘膜に対
して細胞保護効果を有する。MPIF−1はまた、粘膜炎を予防的または治療的
に予防または快復させるため、および化学治療、放射線および他の細胞障害性因
子から生じる粘膜炎(例えば、口腔潰瘍、食道潰瘍、腸潰瘍、結腸潰瘍、直腸潰
瘍および肛門潰瘍)を処置するために使用され得る。従って、本発明はまた、粘
膜の疾患または病理学的現象(潰瘍性大腸炎、クローン病、および粘膜が損傷し
ている他の疾患を含む)を予防または処置するための方法を提供し、この方法は
有効量のMPIF−1を投与する工程を包含する。本発明は同様に、この損傷を
生じる因子または方法と無関係の口腔粘膜炎(咽頭および下咽頭における粘膜損
傷に関連する嚥下痛を含む)、食道粘膜炎、胃粘膜炎、腸粘膜炎、結腸粘膜炎、
および直腸粘膜炎を予防または処置するための方法、を提供する。
【0466】 さらに、MPIF−1は、化学物質に起因する疱疹およびやけど;化学治療薬
による処置に起因する卵巣の損傷、例えば、放射線または化学治療誘導性膀胱炎
、および高用量化学治療薬誘導性腸損傷を処置および/または予防するために使
用され得る。
【0467】 MPIF−1は、化学治療因子、放射線または他の細胞障害性因子によって引
き起こされる腎毒性を予防または軽減するために使用され得る。
【0468】 本発明はまた、個体を、放射線、化学治療または細胞毒性因子による処置の影
響から保護するための方法を提供し、この方法は、有効量のMPIF−1を投与
する工程を包含する。本発明はさらに、放射線、化学治療因子、または他の細胞
障害性因子への暴露から生じる組織損傷を軽減または予防するための方法を提供
し、この方法は、有効量のMPIF−1を投与する工程を包含する。個体は、治
療目的を含む多数の目的(例えば、過剰増殖障害の処置のため)のため、放射性
同位体の環境中への偶発的な放出の結果として、または侵襲性または非侵襲性の
医療診断手順(例えば、X線)の間に放射線に暴露され得る。さらに、かなりの
数の個体は、職場および自宅で放射性ラドンに暴露される。長期の連続した環境
的暴露は、平均寿命の減少の推定を算出するために使用されてきた。Johns
on,W.およびKearfott,K.,Health Phys.73:3
12〜319(1997)。実施例17〜18に記載されるように、本発明のタ
ンパク質は、放射線に暴露された動物の生存を増加する。従って、MPIF−1
は、放射線誘導性損傷に罹患した個体の生存率を増加し、致死量以下の用量の放
射線から個体を保護し、そして過剰増殖性障害のような苦痛の処置における放射
線の治療量を増加するために使用され得る。
【0469】 MPIF−1はまた、通常耐性ではない放射線、化学治療薬または他の細胞障
害性因子の投薬に対して個体を保護するために使用され得る。このように使用さ
れるか、そうでなければ本明細書中で記載されるように使用される場合、MPI
F−1は、放射線治療/暴露、化学治療、または他の細胞障害性因子を用いる処
置/暴露の前、後および/または間に投与され得る。高投薬量の放射線および化
学治療薬は、過剰増殖性障害のような進行段階の苦痛を有する個体を処置する場
合に特に有用である。
【0470】 別の局面において、本発明は、例えば、放射線誘導性口腔損傷および胃腸管損
傷、粘膜炎、腸線維症、直腸炎、放射線誘導性肺線維症、放射線誘導性肺炎、放
射線誘導性胸膜退縮症、放射線誘導性造血症候群、および放射線誘導性骨髄毒性
のような状態を予防または処置するための方法を提供し、この方法は、有効量の
MPIF−1を個体に投与する工程を包含する。
【0471】 従って、本発明のMPIFポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、放射線治
療、化学治療および標的放射線治療(例えば、悪性疾患、転移および関連の障害
(例えば、白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血
病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、お
よび赤白血病を含む))、および慢性白血病(例えば、慢性骨髄球(顆粒球)白
血病、および慢性リンパ性白血病)を含む)、真性赤血球増加症、リンパ腫症(
例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレー
ムマクログロブリン血症、H鎖病、および充実性腫瘍、例えば、限定されないが
、肉腫症および癌腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原
性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、骨膜腫
、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、胃癌、膵臓癌、乳
癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭
状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌
、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫、頸部癌、精巣癌、肺癌、小細
胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上
衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色
腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫)の放射免疫治療)の間、正常な細胞の
損傷(骨髄前駆体の損傷を含む)を阻害するために使用される。このような障害
はまた以下を含み得る:転移性骨髄甲状腺癌、未分化星状細胞腫、グリア芽種、
濾胞性リンパ腫、結腸癌、心臓腫瘍、肺癌、腸癌、精巣癌、胃癌、粘液腫、筋腫
、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、骨巨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳癌
、前立腺癌、カポージ肉腫、および卵巣癌。本発明のポリペプチド、ポリペプチ
ドフラグメントおよび改変体、アゴニスト、およびアンタゴニスト、ならびに他
の抗体を使用して処置され得るさらなる障害が当該分野で周知であり、そしてま
た本明細書中に開示される。
【0472】 MPIF−1は、単独でか、または放射線または他の因子に対して保護を与え
る1つ以上のさらなる薬剤と共に使用され得る。多数のサイトカイン(例えば、
IL−1、TNF、IL−6、IL−12)は、このような保護を与えることが
示されている。例えば、Neta,R.ら、J.Exp.Med.173:11
77(1991)を参照のこと。さらに、IL−11は、合わせた放射線および
化学治療の後、小腸粘膜細胞(Du,X.X.ら、Blood 83:33(1
994))および放射線誘導性胸部損傷(Redlich,C.A.ら、J.I
mmun.157:1705〜1710(1996))を保護することが示され
た。いくつかの成長因子(例えば、線維芽細胞成長因子および形質転換増殖因子
β−3)は、放射線暴露に対する保護を与えることが示されている。Ding,
I.ら、Acta Oncol.36:337〜340(1997);Pott
en,C.ら、Br.J.Cancer 75:1454〜1459(1997
)。
【0473】 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドと共に投与され得るさらなる放
射線保護薬としては以下が挙げられる:カルシウムアンタゴニスト(WO 93
/02670)、ポリエチレングリコール(米国特許第4、676、979号)
、ポリビニルピロリドン(米国特許第4、676、979号)、ポリエチレング
リコールモノメチルエーテル(米国特許第4、676、979号)、メトキシポ
リエチレングリコールのアミドおよびアミンおよび塩、ならびにキレート剤(例
えば、EDTA、DTPA、およびEGTA(WO 98/47858))、マ
ンガンおよび他のメタロチオネイン誘発物質(米国特許第 5、008、119
)、WR−2721(米国特許第5、424、471号)、WR−1065、他
のホスホロチオエート(米国特許第5、869、338号)、ポリアミドチオー
ル(米国特許第5、217、964号)、SCF/IL3/GM−CSFの組み
合わせ、または単一の治療レジメン(米国特許第5、620、685号)、βカ
ロチンおよびDunaliella藻類調製物(米国特許第5、948、823
号)、アルカロイドの亜リン酸誘導体(米国特許第5、981、512号)、チ
マリン(thymalin)およびL−Glu−L−Trp(米国特許第5、7
70、576号)、サイトカイン(例えば、IL−1、腫瘍壊死因子、幹細胞因
子およびIL12(Neta、Stem Cells 15 (Suppl 2
):207−10(1997))、銅キレート(Sorensonら、Proc
.Soc.Exp.Biol.Med.210:191−204(1995))
、D因子/成長ホルモン/IL−1/腫瘍壊死因子の組み合わせ、または単一の
治療レジメン(米国特許第5、843、422号)、Actihaemyl(C
AS RN No.37239−28−4)、Amifostine(WR 2
721)、2−アミノ−エタンチオールリン酸二水素一ナトリウム塩(エステル
)(シスタフォス(cystaphos)、ホスホシステアミン)、3−(ビス
(2−クロロエチル)カルバメート)エストラジオール(エストラムスチン)、
2−アミノ−エタンチオール(システアミン)、2、2’−ジチオビス(エチル
アミン)(シスタミン)、S−2−アミノエチルチオウロニウムブロミドヒドロ
ブロミド(AET)、銅キレート(例えば、Cu(II)2(3,5−ジイソプ
ロピルサリチレート)4(Cu(II)2(3,5,−DIPS)4)、Fe、
MnおよびZnの必須金属元素キレート(Sorensonら、Proc.So
c.Exp.Biol.Med.210:191−204(1995))、2−
(アルキルチオ)ピラジン、アルカロイドのリン酸誘導体(オーストリア特許第
377 988号および同第354 644号;米国特許第5、981、512
号)など、ならびにそれらの組み合わせ。
【0474】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドはまた、制吐薬(例えば、2−
(エチルチオ)−10−(3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル−1
0H−フェノチアジン(エチルチオペラジン)、1−(p−クロロ−α−フェニ
ルベンジル)−4−(m−メチルベンジル)−ピペラジン(メクロジン、メクリ
ジン)など、およびそれらの組み合わせ)と共に投与され得る。本発明のポリヌ
クレオチドおよびポリペプチドはまた、本明細書で開示されるか、または当該分
野で公知の他の治療薬およびそれらの組み合わせと共に投与され得る。
【0475】 出血性膀胱炎は、特定の疾患状態、ならびに薬物、ウイルスおよび毒素への暴
露に関連する症状である。これは膀胱の内皮管壁の拡散性出血として現れる。公
知の処置は、膀胱内、全身および非薬理学的治療を含む(West,N.J.,
Pharmacotherapy 17:696〜706(1997))。臨床
的に使用されるいくつかの細胞障害性因子は、膀胱の正常な上皮細胞の増殖の阻
害を生じ、致命的な潰瘍および上皮内層の破壊に至る副作用を有する。例えば、
シクロホスファミドは、肝臓において、混合機能ミクロソームオキシダーゼ系に
よって活性アルキル化代謝物に主に生体内変化される細胞障害性因子である。こ
れらの代謝物は、感受性の迅速に増殖している悪性細胞の増殖を妨げる。この作
用の機構は、腫瘍細胞DNAの架橋にかかわると考えられている(physic
ians’Desk Reference,1997)。
【0476】 シクロホスファミドは、いくらかの患者において出血性膀胱炎、ある場合、胎
児において重篤であり得る合併症を引き起こす、細胞障害性因子の1例である。
膀胱の線維症はまた、膀胱炎をともなってか、またはともなわずに発達し得る。
この損傷は、尿によって排出されるシクロホスファミド代謝産物によって引き起
こされると考えられる。シクロホスファミドによって引き起こされる血尿は、通
常、7日間存在するが、持続し得る。いくつかの場合において、医療的処置また
は外科的処置が必要とされる。重篤な出血性膀胱炎の場合、結果として、シクロ
ホスファミド治療の中断となる。さらに、膀胱悪性疾患は、一般に、シクロホス
ファミド処置の2年以内に発生し、そして先に出血性膀胱炎を患った患者におい
て発生する(Cytoxan package insertを参照のこと)。
シクロホスファミドは、前立腺および男性の生殖系で毒素効果を有する。シクロ
ホスファミド処置は、結果として、生殖不能の展開となり、そしてある程度の精
巣萎縮症となる。
【0477】 当業者は、MPIF−1活性の増加したレベルの必要な個体を処置するための
MPIF−1ポリペプチドの有効量(骨髄抑制性薬剤または骨髄抑制性インヒビ
ターを伴ってか、または伴わずに骨髄抑制に有効なMPIF−1ポリペプチドの
量を含む)が、MPIF−1の投与が必要とされる各状態のために経験的に決定
され得ることを理解する。MPIF−1活性を有するポリペプチドは、1以上の
薬学的に受容可能な賦形剤と組合せた薬学的組成物で投与され得る。
【0478】 MPIF−1をまた使用して、白血病および異常に増殖した細胞(例えば、腫
瘍細胞)を誘導アポトーシスによって処置し得る。MPIF−1は、造血前駆細
胞の集団においてアポトーシスを誘導する。
【0479】 MPIF−1は、未成熟造血前駆細胞(例えば、顆粒球、マクロファージまた
は単球)の肥大のために、それらの分化を一時的に防止することによって使用さ
れ得る。これらの骨髄細胞は、インビトロで培養され得る。従って、MPIF−
1はまた、骨髄移植および/または遺伝子治療の目的のためにインビトロで造血
幹細胞のモジュレーターとして有用であり得る。幹細胞は希少であり、そして遺
伝子を遺伝子治療のために導入するために最も有用であるので、MPIFを使用
して、幹細胞の富化集団を単離し得る。幹細胞は、細胞毒(例えば、5−Fu)
の存在下で細胞を培養することによって富化され得、これによって分化細胞を迅
速に殺し、幹細胞はMPIF−1によって保護される。これらの幹細胞は、骨髄
移植患者に戻され得るか、次いで、遺伝子治療のために所望される遺伝子の形質
移入のために使用され得る。さらに、MPIF−1は、個体に注射され得、この
結果、個体の骨髄から末梢の血液への幹細胞の放出に導く。これらの幹細胞は、
自己の骨髄移植の目的または遺伝子治療の操作のために単離され得る。患者が化
学療法または放射線治療を終えた後に、単離された幹細胞を患者に戻し得る。
【0480】 さらに、MPIF−1は、T−リンパ球およびマクロファージにおいて効果を
有するので、MPIF−1は、ウイルス、細菌または他の生体異物を取りこむた
めの細胞(APC)を提示する抗原の能力を増強し得、これらを処理し、そして
免疫応答に応答可能な白血球にこれらを提示する。MPIF−1はまた、T−白
血球およびB−白血球とAPCとの相互作用を調節し得る。MPIF−1は、生
存するため、増殖するため、分化するため、さらなるサイトカインを分泌するた
め、または媒介物を溶解するために応答細胞を配向するか、またはアポトーシス
または細胞死の他の機構を誘導することによって応答細胞を選択的に除去する、
抗原提示の間に同時刺激シグナルを提供し得る。APCはHIVのCD4+T−
白血球への移動を容易にすることが示されているので、MPIF−1はまた、こ
の能力に影響を与え得、そしてAPCを介して媒介された他のウイルスまたはH
IVによって、白血球の感染を予防し得る。これはまた、HIV、EBV、また
は他のこのようなウイルスによる、APC、T−白血球または他の細胞型の初期
感染のために適切である。
【0481】 さらに、MIP−1αレセプターは、ヒト単球およびT−白血球へのHIVの
侵入を容易にする補助因子として有用である最近の実証は、MPIF−1および
その改変体が細胞へのHIV侵入の工程と相互作用し得る目的の能力を上げる(
実施例11)。従って、MPIF−1は、MIP−1αレセプターによって侵入
と容易となる、ウイルスおよびレトロウイルスのための抗ウイルス性剤として有
用であり得る。
【0482】 MPIF−1は、細菌およびウイルス感染ならびに他の異物と戦うT−白血病
の内因性活性を刺激することによって免疫増強因子として作用し得る。このよう
な活性は、外来抗原(例えば、対立遺伝子の感染および新生物形成に対する免疫
応答)に有用であるか、または固形腫瘍と白血病の両方を含む増殖を開始する。
【0483】 これらの理由のために、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける種々の
免疫系関連障害の診断または処置のために有用である。このような障害としては
、腫瘍、癌、および以下を含むこれらに限定されない免疫細胞機能の任意の調節
不全が挙げられる:自己免疫、関節炎、白血病、リンパ腫、免疫抑制、敗血症、
創傷治癒、急性感染および慢性感染、細胞媒介免疫、体液性免疫、炎症性腸疾患
、骨髄抑制など。
【0484】 従って、MPIF−1を使用して、創傷領域への標的免疫細胞の浸潤を制御す
ることによって、創傷治癒を容易にし得る。類似の様式において、本発明のポリ
ペプチドは、慢性感染(例えば、殺菌性白血球の誘引および活性化を介する、ミ
コバクテリア感染)に対する宿主防御を増強し得る。
【0485】 本発明のポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドは、科学的研究に関連するインビトロ目的、DNAの合成およびDNA
ベクターの製造、ならびにヒト疾患の処置のための治療剤および診断剤の開発の
目的のための研究試薬として使用され得る。例えば、MPIF−1は、それらの
分化を一時的に阻害することによる、未成熟の造血前駆細胞(例えば、顆粒球、
マクロファージまたは単球)の拡張のために使用され得る。これらの骨髄細胞は
、インビトロで培養され得る。
【0486】 これらのポリペプチドの別の使用は、例えば、自己免疫疾患およびリンパ性白
血病におけるIL−2の生合成の阻害を介するT細胞増殖の阻害である。
【0487】 MPIF−1はまた、乾癬(ケラチノサイトの過剰増殖)における有用性を有
する表皮ケラチノサイト増殖を阻害するために有用であり得る。なぜなら、皮膚
のランゲルハンス細胞は、MIP−1αを産生することが見出されているからで
ある。
【0488】 MPIF−1を使用して、壊死組織片クリーニング炎症性細胞および結合性組
織促進炎症性細胞の漸増を介しそして過剰なTGFβ媒介線維症のその制御によ
っての両方で、創傷治癒の間の瘢痕を防止し得、さらに、このポリペプチドは、
発作、血小板増加症、肺動脈塞栓および骨髄増殖性障害を処置するために使用さ
れ得る。なぜなら、MPIF−1は、脈管透過性を増加するからである。
【0489】 (薬学的組成物) 本発明のMPIF−1ポリペプチド薬学的組成物は、このような個体における
MPIF−1活性を増加するために有効な、有効量の本発明の単離されたMPI
F−1ポリペプチド、特に成熟形態のMPIF−1を含有する。このような組成
物は処方され得、そして個々の患者の臨床状態(特に、MPIF−1ポリペプチ
ドの単独での処置における副作用)、MPIF−1ポリペプチド組成物の送達部
位、投与の方法、投与の計画、および他の開業医に公知の要因を考慮に入れて、
良好な医療の実施(good medical practice)と一致する
様式において投薬され得る。従って、本明細書の目的のための有効量のMPIF
−1ポリペプチドは、このような考慮によって決定される。
【0490】 本発明のポリペプチド、アンタゴニストまたはアゴニストは、適切な薬学的キ
ャリアとあわせて使用され得る。このような組成物は、治療的に有効量のタンパ
ク質、および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む。このようなキャ
リアには、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、
エタノール、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない
。この処方物は、投与の形態に適すべきである。「薬学的に受容可能なキャリア
」とは、非毒性固体、半固体、または液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料、ま
たは任意の型の処方補助剤を意味する。本明細書で使用される場合、用語「非経
口(的)」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内(intrasternal
)、皮下、および関節内の注射および注入を包含する、投与様式をいう。
【0491】 MPIF−1ポリペプチドもまた、徐放性システムによって適切に投与される
。徐放性組成物の適切な例は、成型製品(例えば、フィルムまたはマイクロカプ
セル)の形態における半透過性のポリマーマトリクスを含む。徐放性マトリクス
は、ポリラクチド(米国特許第3、773、919号、EP58、481号)、
L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタミン酸のコポリマー(Sidm
an、U.ら、Biopolymers 22:547−556(1983))
、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(R.Langerら、J.B
iomed.Mater.Res.15:167−277(1981)、および
R.Langer、Chem.Tech.12:98−105(1982))、
エチレン酢酸ビニル(R.Langerら、同書)またはポリ−D−(−)−3
−ヒドロキシ酪酸(EP133、988)を含む。徐放性MPIF−1ポリペプ
チド組成物はまた、リポソームに捕捉されたMPIF−1ポリペプチドを含む。
MPIF−1ポリペプチドを含むリポソームは、それ自体が公知の方法によって
調製される:DE3、218、121;Epsteinら、Proc.Natl
.Acad.Sci.(USA)82:3688−3692(1985);Hw
angら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4030
−4034(1980);EP52、322;EP36、676;EP88、0
46;EP143、949;EP142、641;日本国特許出願83−118
008;米国特許第4、485、045号、および同第4、544、545号;
およびEP102、324を参照のこと。通常、リポソームは、小さな(約20
0〜800Å)単層型であり、ここで脂質含量は、約30モル%コレステロール
より多く、選択された部分は、最適なMPIF−1ポリペプチド治療について調
整される。
【0492】 非経口投与について、1つの実施形態において、MPIF−1ポリペプチドは
、一般には、所望の程度の純度で、単位投薬量の注入可能な形態(溶液、懸濁液
または乳濁液)で、このポリペプチドを、薬学的に受容可能なキャリア(すなわ
ち、使用された投薬量および濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、
そして処方物の他の成分と適合性であるもの)と混合することによって処方され
る。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化剤およびポリペプチドに有害であ
ることが公知である他の化合物を含まない。
【0493】 一般に、処方物は、MPIF−1ポリペプチドを、液体キャリアまたは細かく
粉砕した固体キャリアまたは両方と、均一にかつしっかりと接触させることによ
って調製される。次いで、必要である場合、産物は、所望の処方物へと成型され
る。好ましくは、このキャリアは、非経口キャリアであり、より好ましくは、レ
シピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例は
、水、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液を含む。非水性ビヒ
クル(例えば、不揮発油およびオレイン酸エチル)ならびにリポソームもまた、
本明細書において有用である。
【0494】 キャリアは、等張性および化学的安定性を増強する物質のような微量の添加物
を適切に含む。このような材料は、使用された投薬量および濃度においてレシピ
エントに対して非毒性であり、そしてリン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、およ
び他の有機酸またはそれらの塩のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化
剤;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまた
はトリペプチド);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、またはイ
ムノグロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ
酸(例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニン);
単糖、二糖および他の炭水化物(セルロースまたはその誘導体、グルコース、マ
ンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖
アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);対イオン(例えば、
ナトリウム);および/あるいは非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベー
ト、ポロキサマー、またはPEG)を含む。
【0495】 MPIF−1ポリペプチドは、代表的に、このようなビヒクル中で約0.1m
g/ml〜100mg/mlの濃度で、好ましくは1〜10mg/mlの濃度で
、pH約3〜8で処方される。上記の特定の賦形剤、キャリア、または安定化剤
の使用は、MPIF−1ポリペプチド塩の形成をもたらすことが理解される。
【0496】 MPIF−1および/またはその改変体は、骨髄保護材として、ヒトにおける
過剰増殖障害の処置のための化学治療レジメンの一部として投与され、静脈内投
与のための適切な投与量は、0.01μg/kg体重〜10μg/kg体重であ
る。さらに、MPIF−1は、0.1、1.0、10および100μg/kg体
重の用量で静脈内投与され得る。動物研究のデータの推定により、ヒトにおける
骨髄保護のために適切なMPIF−1の投薬量は、0.016μg/kg体重で
あることが示された。
【0497】 MPIF−1および/またはその改変体は、それが、細胞、組織および器官に
対する細胞毒性(cytoxic)損傷のための処置として投与される場合、細
胞毒性薬剤への暴露後ヒトに投与され得る。細胞、組織および器官に対する細胞
毒性損傷に対する予防薬として使用される場合、MPIF−1および/またはそ
の改変体は、暴露前に投与され得るか、あるいは細胞毒性(cytoxic)薬
剤への暴露の前と後の両方に投与され得る。
【0498】 さらに、MPIF−1、および/またはその改変体は、特定の数の日の間(例
えば、3日)毎日1回投与され得る。さらに、化学療法措置において使用される
場合、MPIF−1は、化学療法剤の投与の前にヒトに投与され得る。例えば、
MPIF−1は、2日前(化学療法剤の投与の1日前、および投与される日)に
投与され得る。
【0499】 MPIF−1、および/またはその改変体が、骨髄増殖疾患の処置のためにヒ
トに投与される場合、投与される用量は、MPIF−1が骨髄保護剤として使用
される場合と同じであり得る。骨髄増殖疾患の処置のためにヒトに投与される場
合、MPIF−1は、皮下に投与され得る。
【0500】 治療的投与のために使用されるべきMPIF−1ポリペプチドは、無菌でなけ
ればならない。無菌性は、滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)を通して濾
過することによって容易に達成される。治療的MPIF−1ポリペプチド組成物
は、一般的に、滅菌アクセスポート(例えば、皮下注射針によって貫通可能なス
トッパーを有する静脈溶液バッグまたはバイアル)を有する容器に配置される。
【0501】 MPIF−1ポリペプチドは、通常、単位または多用量容器(例えば、密封ア
ンプルまたはバイアル)において水性溶液としてかまたは再構築のための凍結乾
燥処方物として保存される。凍結乾燥処方物の例として、10mlバイアルが、
5mlの滅菌濾過1%(w/v)水性MPIF−1ポリペプチド溶液で満たされ
、そして得られる混合物が凍結乾燥される。注入溶液は、静菌性注射用水を用い
て凍結乾燥MPIF−1ポリペプチドを再構築することによって調製される。
【0502】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分で満たされる1つ以上
の容器を含む薬学的パックまたはキットを提供する。このような容器と関連して
、薬品もしくは生物学的生成物の製造、使用、または販売を規制する政府機関に
よって定められた形態にある通知が存在し得、その通知は、ヒト投与のために製
造、使用または販売する当局による認可を反映する。さらに、本発明のポリペプ
チドは、他の治療的化合物とともに用いられ得る。
【0503】 本発明はまた、有効用の治療薬(Therapeutic)の被験体への投与
によって、疾患または傷害(例えば、本明細書中に開示される任意の1以上の疾
患または傷害)の処置および/または予防の方法を提供する。治療薬によるとは
、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合わせて、ポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド(フラグメントおよび改変体を含む)、その
アゴニストまたはアンタゴニスト、ならびに/もしくはそれらへの抗体を意味す
る。
【0504】 MPIF−1は、個々の患者の臨床状態(特にMPIF−1単独での処置の副
作用)送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入
れて、よい医療とあわせた形態で処方および投薬される。従って、本明細書の目
的のための「有効量」は、このような考慮によって決定される。
【0505】 一般的な提案として、非経口投与される用量あたりの全薬学的有効量のMPI
F−1は、患者の体重の約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲内であ
るが、上記のように、これは治療的判断の主題である。さらにより好ましくは、
この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日であり、ヒトに対して最も好ま
しくは、ホルモンについて約0.01と1mg/kg/日との間である。連続的
に与えられる場合、MPIF−1は、代表的に、約1μg/kg/時間〜約50
μg/kg/時間の用量速度で、1日あたり1〜4回の注射によるかまたは連続
的皮下注入(例えば、ミニポンプを用いて)によるかのいずれかで投与される。
静脈バッグ溶液もまた用いられ得る。生じる応答について変化および処置後の間
隔を観察するために必要な処置の長さは、所望の効果に依存して変化するようで
ある。
【0506】 MPIF−1は、経口的にか、直腸へか、非経口的にか、槽内(intrac
istemally)へか、膣内へか、腹腔内へか、局所的(粉末、軟膏、ゲル
、ドロップ、または経皮パッチによって)か、頬側へか、または経口もしくは鼻
スプレーとして投与され得る。
【0507】 「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非中毒性の固体、半固体または液状充
填剤、希釈剤、カプセル化材料または任意の型の処方補助物を意味する。用語「
非経口的」とは本明細書中において使用される場合、静脈内、筋肉内、腹腔内、
胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0508】 MPIF−1はまた、徐放系によって適切に投与される。徐放性MPIF−1
の適切な例は、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemal
ly)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、ドロップ、または経皮パッ
チによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与され得る。「
薬学的に受容可能なキャリア」とは、非中毒性の固体、半固体または液状充填剤
、希釈剤、カプセル化材料または任意の型の処方補助物を意味する。用語「非経
口的」とは本明細書中において使用される場合、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨
内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0509】 MPIF−1はまた、徐放系によって適切に投与される。徐放性MPIF−1
の適切な例は、適切なポリマー物質(例えば、造形品の形態である半浸透性ポリ
マーマトリックス(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル))、適切な疎水
性物質(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)、またはイオン交換樹
脂、および乏しい可溶性誘導体(例えば、難溶性塩)を含む。
【0510】 徐放性マトリックスは、ポリラクチド(米国特許番号第3,773,919号
、EP58,481号)、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタメートの
コポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547−556
(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langer
ら、J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981
)、およびR.Langer、Chem.Tech.12:98−105(19
82))、エチレンビニルアセテート(Langerら、同書)、またはポリ−
D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)を含む。
【0511】 徐放性MPIF−1はまた、リポソームに捕捉されたMPIF−1を含む(一
般には、Langer,Science 249:1527−1533(199
0);Treatら,Liposomes in the Therapy o
f Infectious Disease and Cancer,Lope
z−BeresteinおよびFidler(編),Liss,New Yor
k,317−327頁および353−365頁(1989)を参照のこと)。M
PIF−1含有リポソームは、それ自体既知の方法によって調製される:DE3
,218,121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci
.(USA)82:3688−3692(1985);Hwangら、Proc
.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4030−4034(198
0);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046:EP
143,949;EP 142,641;日本特許出願83−118008;米
国特許第4,485,045号および第4,544,545号;および、EP
102,324。一般的に、リポソームは、脂質含有量が約30モル%コレステ
ロールより多い、小さな(約200〜800オングストローム)単ラメラ型であ
り、選択される割合は、最適な治療について調整される。
【0512】 なおさらなる実施形態において、MPIF−1は、ポンプによって送達される
(Langer,前出;Sefton,CRC Crit.Ref.Biome
d.Eng.14:201(1987);Buchwaldら,Surgery
88:507(1980);Saudekら,N.Engl.J.Med.3
21:574(1989)を参照のこと)。
【0513】 他の制御放出(controlled release)系は、Langer
(Science 249:1527−1533(1990))による総説にお
いて議論される。
【0514】 非経口投与のために、1つの実施形態において、MPIF−1は、通常、所望
の純度で、単位用量の注射用の形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で、薬学的に
受容可能なキャリア(すなわち、利用される用量および濃度でレシピエントに非
中毒性であり、そして処方物のほかの成分と適合し得るキャリア)と共に、MP
IF−1を混合することによって処方される。例えば、処方物は、好ましくは、
酸化剤およびMPIF−1に対して有毒であると知られる他の化合物を含まない
【0515】 通常、処方物は、MPIF−1を液体のキャリアまたは細かく分けられた固体
のキャリアあるいはその両方と均一および密接に接触させることによって調整さ
れる。従って、必要ならば、この産物は、所望の剤形に形作られる。好ましくは
、キャリアは、非経口キャリアであり、より好ましくは、レシピエントの血液と
等張な溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水
、リンガー溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。非水溶液ビヒクル(例
えば、不揮発油およびオレイン酸エチル)はまた、リポソームと同様に、本明細
書中で有用である。
【0516】 キャリアは、少量の添加物(例えば、等張性および化学的安定性を増強する物
質)を適切に含む。このような物質は、利用される用量および濃度でレシピエン
トに非中毒性であり、緩衝液(例えば、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢
酸および他の有機またはそれらの塩);酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸)
;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたは
トリペプチド);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゲラチンまたは免疫グ
ロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例
えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニン);単糖類、
二糖類および他の炭水化物(例えば、セルロースまたはその誘導物、グルコース
、マントースまたはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);
糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);対イオン(例えば
、ナトリウム);ならびに/あるいは非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソル
ベート、ポロキシマー(poloxamer)またはPEG)を含む。
【0517】 MPIF−1は、典型的に、pH約3〜8において、約0.1mg/ml〜1
00mg/ml、好ましくは、1〜10mg/mlの濃度で、このようなビヒク
ル内で処方される。前述のレシピエント、キャリア、または安定剤の特定の使用
がポリペプチド塩の形態を生じることが理解される。
【0518】 治療的投与のために使用される任意の薬剤は、無菌でなければならない。無菌
性は、滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)を通じて濾過することによって
容易に達成される。MPIF−1は、一般的に、滅菌アクセスポート(例えば、
皮下注射によって貫通可能なストッパーを有する静脈溶液バッグまたはバイアル
)を有する容器に配置される。
【0519】 MPIF−1は、通常、単位または多用量容器(例えば、密封アンプルまたは
バイアル)において水溶性としてかまたは再構築のための凍結乾燥処方物として
保存される。凍結乾燥処方物の例として、10mlバイアルが、5mlの滅菌濾
過1%(w/v)MPIF−1溶液で満たされ、そして得られる混合物が凍結乾
燥される。注入溶液は、静菌性注射用水を用いて凍結乾燥MPIF−1を再構築
することによって調製される。
【0520】 本発明は、MPIF−1の1つ以上の成分で見たされる1つ以上の容器を含む
薬学的なパックまたはキットを提供する。このような容器と関連して、薬品もし
くは生物学的生成物の製造、使用または、販売を規制する政府機関によって定め
られた形態にある通知が存在し得、その通知は、ヒト投与のための製造、使用ま
たは販売する当局による認可を反映する、さらに、MPIF−1は、他の治療的
化合物と共に用いられ得る。
【0521】 MPIF−1を単独でまたは他の補助剤と組み合わせて投与し得る。MPIF
−1と共に投与され得る補助剤は、ミョウバン、ミョウバンおよびデオキシコー
ル酸(ImmunoAg)、MTP−PE(Biocine Corp.)、Q
S21(Genentech,Inc.)、BCG、およびMPLを含み得るが
、これに限定されない。特定の実施形態において、MPIF−1をミョウバンと
組み合わせて投与する。別の特定の実施形態において、MPIF−1をQS−2
1と組み合わせて投与する。MPIF−1と共に投与され得るさらなる補助剤は
、モノホスホリル液体免疫調節物質、AdjuVax 100a、QS−18、
CRL1005、アルミニウム塩、MF−59、およびビロゾームの(viro
somal)アジュバント技術を含むが、これらに限定されない。MPIF−1
と共に投与され得るワクチンは、MMR(はしか、おたふくかぜ、風疹)、ポリ
オ、水痘、破傷風/ジフテリア、A型肝炎、B型肝炎、B型インフルエンザ菌、
百日咳、肺炎、インフルエンザ、ライム病、ロタウイルス、コレラ、黄熱病、日
本脳炎、白色髄炎、狂犬病、腸チフス、発熱、および百日咳に対する防御へ指向
されるワクチンを含むがこれらに限定されない。同時に(例えば、混合剤として
)、別々であるが同時もしくは並行して;または経時的にのいずれかの配合物を
投与し得る。これは、組み合わせた薬剤を治療混合剤として共に投与する提示、
また組み合わせ剤を別々であるが、同時に(例えば、別々の静脈内ラインを個々
の同じ静脈ラインへ通すように)投与する手順を含む。さらに、「組み合わせて
の」投与は、化合物の1つの別々の投与または、所与の第1の、続いて第2の薬
剤の投与を含む。
【0522】 MPIF−1は、単独または他の治療剤と組合せて投与され得る。MPIF−
1と組み合わせて投与され得る治療剤としては、TNFファミリーの他のメンバ
ー、細胞障害剤、化学療法剤、放射線、放射線滅菌、標的放射線療法、抗生物質
、抗ウイルス薬剤、ステロイド系抗炎症剤および非ステロイド系抗炎症剤、従来
の免疫治療剤、放射免疫検出剤、サイトカイン、および/または増殖因子が挙げ
られるが、これらに限定されない。同時に(例えば、混合剤として)、別々であ
るが同時もしくは並行して、;または経時的にのいずれかで組み合わせ剤を投与
し得る。これは、組み合わせ剤を治療混合剤として共に投与する提示、およびま
た組み合わせ剤を別々であるが、同時に(例えば、別々の静脈内ラインを個々の
同じ静脈ラインへ通すように)投与する手順を含む。さらに、「組み合わせの」
投与は、化合物の1つの別々の投与または、所与の第1の、続いて第2の薬剤の
投与を含む。
【0523】 1つの実施形態において、MPIF−1は、TNFファミリーの他のメンバー
と組み合わせて投与される。MPIF−1とともに投与され得るTNF、TNF
関連分子またはTNF様分子としては、以下が挙げられるが、それらに限定され
ない:TNF−αの可溶性形態、リンホトキシン−α(LT−α、TNF−βと
してもまた公知)、LT−β(複合体ヘテロトリマーLT−α2−βにおいて見
出される)、OPGL、FasL、CD27L、CD30L、CD40L、4−
1BBL、DcR3、OX40L、TNF−γ(国際出願公開番号WO96/1
4328)、AIM−I(国際出願公開番号WO97/33899)、エンドカ
イン−α(国際出願公開番号WO98/07880)、TR6(国際出願公開番
号WO98/30694)、OPGおよびニュートロカイン−α(国際出願公開
番号WO98/18921、ならびにOX40、および神経増殖因子(NGF)
および可溶性形態のFas、CD30、CD27、CD40および4−IBB、
TR2(国際出願公開番号WO96/34095)、DR3(国際出願公開番号
WO97/33904)、DR4(国際出願公開番号WO98/32856)、
TR5(国際出願公開番号WO98/30693)、TR6(国際出願公開番号
WO98/30694)、TR7(国際出願公開番号WO98/41629)、
TRANK、TR9(国際出願公開番号WO98/56892)、TR10(国
際出願公開番号WO98/54202)、312C2(国際出願公開番号WO9
8/06842)およびTR12、ならびに可溶性形態のCD154、CD70
、およびCD153。
【0524】 特定の実施形態において、MPIF−1を、抗レトロウイルス剤、ヌクレオシ
ド逆転写阻害剤、非ヌクレオシド逆転写阻害剤、および/またはプロテアーゼ阻
害剤と組み合わせて投与する。MPIF−1と組み合わせて投与され得るヌクレ
オシド逆転写阻害剤は、RETROVIRTM(ジドブジン/AZT)、VIDE
TM(ジダノシン/ddI)、HIVIDTM(ザルシタビン(zalcitab
ine/ddC)/ddC)、ZERITTM(スタブジン(stavudine
)/d4T)、EPIVIRTM(ラミブジン(lamivudine)/3TC
)、およびCOMBIVIRTM(ジドブジン/ラミブジン)を含むが、限定され
ない。MPIF−1組み合わされて投与し得る非ヌクレオシド逆転写阻害剤は、
VIRAMUNETM(ネビラピン(nevirapin))、RESCRIPT
ORTM(デラビルジン(delavirdine))、およびSUSTIVATM (エファビレンツ(efavirenz))を含むが、これらに限定されない。
MPIF−1と組み合わせて投与され得るタンパク質阻害剤は、CRIXIVA
TM(インジナビル(indinavir))、NORVIRTM(リトナビル(
ritonavir))、INVIRASETM(サキナビル(saquinav
ir)、およびVIRACEPTTM(ネルフィナビル(nelfinavir)
)を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、抗レトロウイル
ス剤、ヌクレオシド逆転写阻害剤、非ヌクレオシド逆転写阻害剤、および/また
はプロテアーゼ阻害剤は、MPIF−1と任意に組み合わせて、使用され、AI
DSを処置し得、ならびに/またはHIV感染を処置、および/もしくは防止し
得る。
【0525】 他の実施形態において、MPIF−1を抗日和見性感染剤と組み合わせて投与
し得る。MPIF−1と組み合わせて投与され得る抗日和見性剤は、TRIME
THOPRIM−SULFAMETHOXAZOLETM、DAPSONETM、P
ENTAMIDINETM、ATOVAQUONETM、ISONIAZIDTM、R
IFAMPINTM、PYRAZINAMIDETM、ETHAMBUTOLTM、R
IFABUTINTM、CLARITHROMYCINTM、AZITHROMYC
INTM、GANCICLOVIRTM、FOSCARNETTM、CIDOFOVI
TM、FLUCONAZOLETM、ITRACONAZOLETM、KETOCO
NAZOLETM、ACYCLOVIRTM、FAMCICOLVIRTM、PYRI
METHAMINETM、LEUCOVORINTM、NEUPOGENTM(フィル
グラスティム/G−CSF)、およびLEUKINETM(サーグラモスティム(
sargramostim/GM−CSF)を含むが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、MPIF−1は、TRIMETHOPRIM−SUL
FAMETHOXAZOLETM、DAPSONETM、PENTAMIDINETM 、および/またはATOVAQUONETMと任意に組み合わせて使用され、Pn
eumocystis carinii肺炎感染を予防的に処置し、または予防
し得る。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、ISONIAZID TM 、RIFAMPINTM、PYRAZINAMIDETM、および/またはETH
AMBUTOLTMと任意に組み合わせて使用され、日和見性Mycobacte
rium avium菌複合感染を予防的に処置し、または予防し得る。別の特
定の実施形態において、MPIF−1は、RIFABUTINTM、CLARIT
HROMYCINTM、および/またはAZITHROMYCINTM、と任意に組
み合わせて使用され、日和見性Mycobacterium tubercul
osis感染を予防的に処置し、または予防し得る。別の特定の実施形態におい
て、MPIF−1は、GANCICLOVIRTM、FOSCARNETTM、およ
び/またはCIDOFOVIRTMと任意に組み合わせて使用され、日和見性サイ
トメガロウイルス感染を予防的に処置し、または予防し得る。別の特定の実施形
態において、MPIF−1は、FLUCONAZOLETM、ITRACONAZ
OLETM、および/またはKETOCONAZOLETMと任意に組み合わせて使
用され、日和見性真菌感染を予防的に処置し、または予防し得る。別の特定の実
施形態において、MPIF−1は、ACYCLOVIRTM、および/またはFA
MCICOLVIRTMと任意に組み合わせて使用され、日和見性単純ヘルペスウ
イルス型I感染および/または単純ヘルペスウイルス型II感染を予防的に処置
し、または予防し得る。別の特定の実施形態において、MPIF−1は、PYR
IMETHAMINETMおよび/またはLEUCOVORINTMと任意に組み合
わせて使用され、日和見性Toxoplasma gondii感染を予防的に
処置し、または予防し得る。別の特定の実施形態において、MPIF−1は、L
EUCOVORINTMおよび/またはNEUPOGENTMと任意に組み合わせて
使用され、日和見性細菌感染を予防的に処置し、または予防し得る。
【0526】 さらなる実施形態において、MPIF−1を抗ウイルス剤と組み合わせて投与
する。MPIF−1と共に投与され得る抗ウイルス剤は、アシクロビル、リバビ
リン、アマンタジン、およびレマンチジン(remantidine)を含むが
、これらに限定されない。
【0527】 さらなる実施形態において、MPIF−1を抗生物質剤と組み合わせて投与す
る。MPIF−1と共に投与され得る抗生物質剤は、アモキシリン、β−ラクタ
マーゼ、アミノ酸糖体、β−ラクタム(糖ペプチド)、クリンダマイシン、クロ
ラムフェニコール、セファロスポリン、シプロフロキサシン、エリトロマイシン
、フルオロキノロン類、マクロライド系抗生物質、メトロニダゾル、ペニシリン
類、キノロン類、リファンピン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラ
サイクリン、トリペトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、およ
びバンコマイシンを含むが、これらに限定されない。
【0528】 MPIF−1と組み合わせて投与され得る、従来の非特定の免疫抑制剤は、ス
テロイド、シクロスポリン、シクロスポリンアナログ、シクロホスファミド、メ
チルプレドニゾロン、プレドニゾロン、アザチオプリン、FK−506、15−
デオキシスパーグアリン(deoxyspergualin)、およびT細胞に
応答する機能を抑制することにより作用する他の免疫抑制剤を含むが、これらに
限定されない。
【0529】 特定の実施形態において、MPIF−1を免疫抑制薬製剤と組み合わせて投与
する。MPIF−1と共に投与され得るさらなる免疫抑制薬製剤は、ORTHO
CLONETM(OKT3)、SANDIMMUNETM/NEORALTM/SAN
GDYATM(シクロスポリン)、PROGRAFTM(タクロリムス)、CELL
CEPTTM(マイコフェノレート(mycophenolate)、アザチオプ
リン、グルコルチコステロイド(glucorticosteroids)、お
よびRAPAMUNETM(シロリマス(sirolimus))を含むが、これ
らに限定されない。特定の実施形態において、免疫抑制剤は、器官または骨髄移
植の拒絶を妨ぐために使用され得る。
【0530】 さらなる実施形態において、MPIF−1は、単独でかまたは1以上の静脈内
免疫グロブリン調製物と組み合わせて投与される。MPIF−1と組み合わせて
投与され得る静脈内免疫グロブリン調製物としては、GAMMARTM、IVEE
GAMTM、SANDOGLOBULINTM、GAMMAGARD S/DTMおよ
びGAMIMUNETMが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態
において、MPIF−1は、移植治療(例えば、骨髄移植)において静脈内免疫
グロブリン調製物と組み合わせて投与される。
【0531】 さらなる実施形態において、MPIF−1は、単独でかまたは抗炎症剤と組み
合わせて投与される。MPIF−1とともに投与され得る抗炎症剤としては、グ
ルココルチコイドおよび非ステロイド抗炎症剤、アミノアリールカルボン酸誘導
体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸、アリール
プロピオン酸誘導体、ピラゾール類、ピラゾロン類、サリチル酸誘導体、チアジ
ンカルボキサミド類、e−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン
、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(amixetrine)
、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、
エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オ
キサセプロール、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール、ピフ
オキシム、プロカゾン、プロキサゾール、およびテニダプが挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0532】 別の実施形態において、MPIF−1は、化学療法剤と組み合わせて投与され
る。MPIF−1とともに投与され得る化学療法剤としては、抗生物質誘導体(
例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、およびダクチノマ
イシン);抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);抗代謝物(例えば、フ
ルオロウラシル、5−FU、メトトレキセート、フロクスウリジン、インターフ
ェロンα−2b、グルタミン酸、プリカマイシン(plicamycin)、メ
ルカプトプリン、および6−チオグアニン);細胞傷害剤(例えば、カルムスチ
ン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファ
ミド、エストラムスチン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、マイトマイシン
、ブスルファン、シス−プラチン、および硫酸ビンクリスチン);ホルモン(例
えば、メドロキシプロゲステロン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニ
ルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテストス
テロン、ジエチルスチルベストロールジホスフェート、クロロトリアニセン、お
よびテストラクトン);ナイトロジェンマスタード誘導体(例えば、メファレン
(mephalen)、クロランブシル(chlorambucil)、メクロ
レタミン(ナイトロジェンマスタード)およびチオテパ);ステロイド類および
組み合わせ(例えば、ベタメタゾンリン酸ナトリウム);ならびにその他(例え
ば、ジカルバジン(dicarbazine)、アスパラギナーゼ、ミトタン、
硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、およびエトポシド)が挙げられるが
、これらに限定されない。
【0533】 特定の実施形態において、MPIF−1は、CHOP(シクロフォスファミド
、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)と組み合わせて投与
されるか、CHOPの成分の任意の組み合わせで投与される。別の実施形態にお
いて、MPIF−1は、Rituximabと組み合わせて投与される。さらな
る実施形態において、MPIF−1は、RituxmabおよびCHOPと共に
、またはRituxmabおよびCHOPの成分の任意の組み合わせと共に投与
される。
【0534】 さらなる実施形態において、MPIF−は、サイトカインと組み合わせて投与
される。MPIF−1とともに投与され得るサイトカインとしては、IL−2、
IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12
、IL−13、IL−15、抗CD40、CD40L、IFN−γおよびIFN
−αが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、インター
ロイキンとともに投与され得るMPIF−1としては、IL−1α、IL−1β
、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、
IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、I
L−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20およ
びIL−21が挙げられるが、これらに限定されない。
【0535】 さらなる実施形態において、MPIF−1は、脈管形成タンパク質と組み合わ
せて投与される。MPIF−1と共に投与され得る脈管形成タンパク質としては
、以下が挙げられるが、これらに限定されない:欧州特許番号EP−39981
6に開示されるような神経膠腫由来の増殖因子(GDGF);欧州特許番号EP
−682110に開示されるような血小板由来増殖因子A(PDGF−A);欧
州特許番号EP−282317に開示されるような血小板由来増殖因子B(PD
GF−B);国際特許出願番号WO92/06194に開示されるような血小板
増殖因子(PlGF);Hauserら、Gorwth Factors 4;
259−268(1993)に開示されるような血小板増殖因子−2(PlGF
−2);国際特許出願番号WO90/13649に開示されるような血管内皮増
殖因子(VEGF);欧州特許番号EP−506477に開示されるような血管
内皮増殖因子−A(VEGF−A);国際特許出願番号WO96/39515に
開示されるような血管内皮増殖因子−2(VEGF−2);血管内皮増殖因子−
B(VEGF−3);;国際特許出願番号WO96/26736に開示されるよ
うな血管内皮増殖因子B−186(VEGF−B186)B−186;国際特許
出願番号WO98/02543に開示されるような血管内皮増殖因子−D(VE
GF−D);国際特許出願番号WO98/07832に開示されるような血管内
皮増殖因子−D(VEGF−D);および独国特許番号DE19639601に
開示されるような血管内皮増殖因子−E(VEGF−E)。上記の参考文献は、
本明細書中で参考として援用される。
【0536】 さらなる好ましい実施形態において、MPIF−1は、造血増殖因子と組み合
わせて投与される。MPIF−1と共に投与され得る造血増殖因子は、LEUK
INETM(SARGRAMOSTIMTM)およびNEUPOGENTM(FILG
RASTIMTM)を含むが、これらに限定されない。
【0537】 さらなる実施形態において、MPIF−1は、線維芽細胞増殖因子と組み合わ
せて投与される。MPIF−1とともに投与され得る線維芽細胞増殖因子として
は、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−
6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−11、FG
F−12、FGF−13、FGF−14、およびFGF−15が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0538】 さらなる実施形態において、MPIF−1は、他の治療または予防レジメン(
例えば、照射治療)と組み合わせて投与される。
【0539】 さらなる実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴ
ニストおよび/またはアンタゴニストはまた、抗脈管形成因子と共に投与され得
る。抗脈管形成因子の代表例としては、以下が挙げられる:抗非侵襲性因子、レ
チノイン酸およびその誘導体、パクリタキセル、スラミン、メタロプロテイナー
ゼ−1の組織インヒビター、メタロプロテイナーゼ−2の組織インヒビター、プ
ラスミノゲン活性化因子インヒビター−1、プラスミノゲン活性化因子インヒビ
ター−2、ならびに種々の形態のより軽い「d族(d group)」の遷移金
属。
【0540】 より軽い「d族」の遷移金属としては、例えば、バナジウム、モリブデン、タ
ングステン、チタン、ニオブおよびタンタル種が挙げれられる。このような遷移
金属種は、遷移金属複合体を形成し得る。上記の遷移金属種の適切な複合体とし
ては、オキソ遷移金属複合体が挙げられる。
【0541】 バナジウム複合体の代表例としては、オキソバナジウム複合体(例えば、バナ
ジン酸塩およびバナジル複合体)が挙げられる。適切なバナジン酸複合体として
は、メタバナジン酸複合体およびオルトバナジン酸複合体(例えば、メタバナジ
ン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、およびオルトバナジン酸ナトリ
ウム)が挙げられる。適切なバナジル複合体としては、例えば、バナジルアセチ
ルアセトネートおよび硫酸バナジル水和物(例えば、硫酸バナジル一水和物また
は三水和物)を含む硫酸バナジルが挙げられる。
【0542】 タングステンおよびモリブデン複合体の代表例としてはまた、オキソ複合体が
挙げられる。適切なオキソタングステン複合体としては、タングステン酸塩およ
び酸化タングステン複合体が挙げられる。適切なタングステン酸塩複合体として
は、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸
ナトリウム二水和物およびタングステン酸が挙げられる。適切な酸化タングステ
ンとしては、酸化タングステン(IV)および酸化タングステン(VI)が挙げ
られる。適切なオキソモリブデン複合体としては、モリブデン酸塩、酸化モリブ
デンおよびモリブデニル複合体が挙げられる。適切なモリブデン酸複合体として
は、モリブデン酸アンモニウムおよびその水和物、モリブデン酸ナトリウムおよ
びその水和物、ならびにモリブデン酸カリウムおよびその水和物が挙げられる。
適切な酸化モリブデンとしては、酸化モリブデン(VI)、酸化モリブデン(V
I)、およびモリブデン酸が挙げられる。適切なモリブデニル複合体としては、
例えば、モリブデンアセチルアセトネートが挙げられる。他の適切はタングステ
ンおよびモリブデン複合体としては、例えば、グリセロール、酒石酸および糖か
ら誘導されたヒドロキソ誘導体が挙げられる。
【0543】 幅広い種々の他の抗脈管形成因子はまた、本発明の文脈内で使用され得る。代
表例としては、血小板因子4;硫酸プロタミン;硫酸化キチン誘導体(女王カニ
蓋(queen crab shells) から調製される)(Murata
ら、Cancer Res.51:22−26、1991);硫酸化多糖ペプチ
ドグリカン複合体(SP−PG)(この化合物の機能は、エストロゲンおよびク
エン酸タモキシフェンのようなステロイドの存在によって増強され得る);スタ
ウロスポリン;マトリクス代謝のモジュレーター(例えば、プロリンアナログ、
シスヒドロキシプロリン、d,L−3,4−ヒドロキシプロリン、チアプロリン
、α,α−ジピリジル、アミノプロピオニトリルフマラート;4−プロピル−5
−(4−ピリジニル)−2−(3−H)−オキサゾロン;メトトレキセート;ミ
トキサントロン;ヘパリン;インターフェロン;2−マクログロブリン血清;C
hIMP−3(Pavloffら、J.Bio.Chem.267:17321
−17326、1992);キモスタチン(Tomkinsonら、Bioch
em.J.286:475−480、1992);シクロデキストリンテトラデ
カスルフェート;エポネミシン(Eponemycin);カンプトセシン;フ
マギリン(Ingberら、Nature 348:555−557、1990
);金チオリンゴ酸ナトリウム(「GST」;MatsubaraおよびZif
f、J.Clin.Invest.79:1440−1446、1987);抗
コラゲナーゼ血清;α2−抗プラスミン(Holmesら、J.Biol.Ch
em.262(4):1659−1664、1987);ビサントリーネ(Bi
santrene)(National Cancer Institute)
;ロベンザリット二ナトリウム(N−(2)−カルボキシフェニル−4−クロロ
アントロン酸二ナトリウムすなわち「CCA];Takeuchiら、Agen
ts Actions 36:312−316,1992);サリドマイド;A
ngostaticステロイド;AGM−1470;カルボキシナミノルイミダ
ゾール(carboxynaminolmidazole);およびメタロプロ
テイナーゼインヒビター(例えば、BB94)が挙げられる。
【0544】 (投与の様態)個体におけるMPIF−1の活性の標準または正常レベルにお
ける減少によって生じる状態が、MPIF−1タンパク質の投与によって処置さ
れ得ることが理解される。従って、本発明はさらに、MPIF−1活性の増加し
たレベルを必要とする個体を処置する方法を提供し、この方法は、そのような個
体に、有効量の本発明の単離されたMPIF−1ポリペプチド(詳細には、その
ような個体においてMPIF−1活性レベルを増加するに有効なMPIF−1の
成熟形態)を含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0545】 被験体に投与されるMPIF−1の量および投薬措置は、投与の様態、処置さ
れる状態の性質、および処方する医者の判断のような多数の要因に依存する。薬
学的組成物は、特定の適応症の処置および/または予防に有効な量で投与される
。一般的に、ポリペプチドは、少なくとも約10μg/kg体重の量で投与され
、そしてほとんどの場合、それらは1日あたり約10mg/kg体重を超えない
量で投与され、そして好ましくは用量は、投与の経路、徴候、などを考慮して毎
日約10μg/kg体重からである。
【0546】 一般的な提案として、非経口投与される用量あたりの全薬学的有効量のMPI
F−1ポリペプチドは、より好ましくは患者の体重の約1μg/kg/日〜10
mg/kg/日の範囲内であるが、上記のように、これは治療的判断の主題であ
る。さらにより好ましくは、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日で
あり、ヒトに対して最も好ましくは、約0.01と1mg/kg/日との間であ
る。連続的に与えられる場合、MPIF−1、M−CIF、またはMIP−4ポ
リペプチドは、典型的に、約1μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間の用
量速度で、1日あたり1〜4回の注射によるかまたは連続的皮下注入(例えば、
ミニポンプを用いて)によるかのいずれかで投与される。静脈バッグ溶液もまた
用いられ得る。生じる応答について変化および処置後の間隔を観察するために必
要な処置の長さは、所望の効果に依存して変化するようである。
【0547】 本発明のMPIF−1を含む薬学的組成物は、経口的にか、直腸へか、非経口
的にか、嚢内へか、膣内へか、腹腔内へか、局所的(粉末、軟膏、ドロップ、ま
たは経皮パッチによって)か、頬側へか、または経口もしくは鼻スプレーとして
投与され得る。
【0548】 (遺伝子治療) ケモカインポリペプチド、およびポリペプチドであるアゴニストまたはアンタ
ゴニストは、本発明に従って、インビボでこのようなポリペプチドを発現するこ
とによって用いられ得る(これは、しばしば「遺伝子治療」といわれる)。
【0549】 従って、例えば、患者由来の細胞は、エキソビボでポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)で操作され得、次いで操作された細胞
と共に、ポリペプチドで処置されるべき患者へ提供される。このような方法は当
該分野で周知である。例えば、細胞は、本発明のポリペプチドをコードするRN
Aを含むレトロウイルス粒子の使用によって当該分野で公知の手順によって操作
され得る。
【0550】 同様に、細胞は、例えば当該分野で公知の手順によってインビボでポリペプチ
ドを発現するためにインビボで操作され得る。当該分野で公知のように、本発明
のポリペプチドをコードするRNAを含むレトロウイルス粒子を産生するための
産生細胞は、インビボでの細胞の操作、およびインビボでのポリペプチドの発現
のために患者に投与され得る。このような方法により本発明のポリペプチドを投
与するこれらおよび他の方法は、本発明の教示から当業者に明らかである。例え
ば、細胞を操作するための発現ビヒクルは、適切な送達ビヒクルと組み合わせた
後インビボで細胞を操作するために使用され得るレトロウイルス以外(例えば、
アデノウイルス)であり得る。
【0551】 レトロウイルスに由来し得るレトロウイルスプラスミドベクターは、モロニー
マウス肉腫ウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウ
ス肉腫ウイルス、およびハーベイ肉腫ウイルスを含むが、それらに限定されない
【0552】 好ましい実施態様において、レトロウイルス発現ベクターpMV−7は、モロ
ニーマウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)によって隣接され、単純ヘルペ
スウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(tk)プロモーターの調節下で選択可
能な薬物耐性遺伝子neoを含む。唯一のEcoRIおよびHindIII部位
は、コード配列の導入を容易にする(Kirschumeier, P.T.ら
, DNA 7:219−25(1998))。
【0553】 1つ以上の適切なプロモーターを含むベクターは、レトロウイルスLTR;S
V40プロモーター;およびMillerら, Biothechniques
, 第7巻, 第9号:980−990(1989)に記載のヒトサイトメガロ
ウイルス(CMV)プロモーター、または任意の他のプロモーター(例えば、ヒ
ストン、polIII、およびβアクチンプロモーターを含むが、それらに限定
されない真核生物細胞性プロモーターのような細胞性プロモーター)を含むが、
それらに限定されない。適切なプロモーターの選択は、本明細書中に含まれる教
示から当業者に明らかである。
【0554】 本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、ウイルスチミジンキナーゼプ
ロモーター(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター);レトロウ
イルスLTR、βアクチンプロモーター、およびポリペプチドをコードする遺伝
子を制御する天然のプロモーターを含むが、それらに限定されない適切なプロモ
ーターの制御下にある。
【0555】 レトロウイルスプラスミドベクターは、産生体細胞株を形成するために、パッ
ケージング細胞株の形質導入に使用される。トランスフェクトされ得るパッケー
ジング細胞の例としては、PE501、PA317、およびGP+alm2が挙
げられるが、これらに限定されない。ベクターは、当該分野で公知の任意の手段
によってパッケージング細胞へ形質導入され得る。このような手段としては、エ
レクトロポレーション、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられる
が、これらに限定されない。
【0556】 産生体細胞株は、このポリペプチドをコードする核酸配列を含む感染性レトロ
ウイルスベクター粒子を生成する。次いで、このようなレトロウイルスベクター
粒子は、真核生物細胞を形質導入するために、インビトロまたはインビボのいず
れかで使用され得る。形質導入された真核生物細胞は、ポリペプチドをコードす
る核酸配列を発現する。形質導入され得る真核生物細胞は、線維芽細胞および内
皮細胞を含むが、これらに限定されない。
【0557】 本発明の別の局面は、傷害、疾患および状態を処置するための遺伝子療法であ
る。遺伝子療法は、本発明のMPIF−1ポリペプチドの発現を達成するための
核酸(DNA、RNAおよびアンチセンスDNAまたはRNA)配列の動物への
導入に関する。この方法は、プロモーターに作動可能に連結したMPIF−1ポ
リペプチドおよび標的組織によってポリペプチドを発現するために必要な任意の
他の遺伝子要素をコードするポリヌクレオチドを必要とする。このような遺伝子
治療および送達技術は、当該分野において公知である(例えば、WO90/11
092(これは、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0558】 従って、例えば、患者由来の細胞は、エキソビボでMPIF−1ポリヌクレオ
チドに作動可能に連結するプロモーターを含むポリヌクレオチド(DNAまたは
RNA)によって操作され得、次いで、この操作された細胞は、このポリペプチ
ドによって処置されるべき患者に提供される。このような方法は、当該分野にお
いて周知である。例えば、Belldegrun,A.ら、J.Natl.Ca
ncer Inst.85:207−216(1993);Ferrantin
i,M.ら、Cancer Research 53:1107−1112(1
993);Ferrantini,M.ら、J.Immunology 153
:4604−4615(1994);Kaido,T.ら、Int.J.Can
cer 60:221−229(1995);Ogura,H.ら、Cance
r Research 50:5102−5106(1990);Santod
onato,L.ら、Human Gene Therapy 7:1−10(
1996);Santodonato,L.ら、Gene Therapy 4
:1246−1255(1997);およびZhang,J.−F.ら、Can
cer Gene Therapy 3:31−38(1996))を参照のこ
と(これらは、本明細書中で参考として援用される)。1つの実施形態において
、操作された細胞は、動脈細胞である。動脈細胞は、動脈、動脈の周りの組織へ
の直接注射によってか、またはカテーテル注入によって、患者へ再導入され得る
【0559】 以下により詳細に論じられるように、MPIF−1ポリヌクレオチド構築物は
、動物の細胞へ注射物を送達する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚
、肺、および肝臓など)の間隙空間への注射)によって送達され得る。MPIF
−1ポリヌクレオチド構築物は、薬学的に受容可能な脂質または水性キャリアで
送達され得る。
【0560】 1つの実施形態において、MPIF−1ポリヌクレオチドは、裸のポリヌクレ
オチドとして送達される。用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNA
とは、細胞への侵入を補助、促進または容易にするために働く任意の送達ビヒク
ルのない配列をいい、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフ
ェクチンまたは沈殿剤などを含む。しかし、MPIF−1ポリヌクレオチドはま
た、当業者に周知の方法によって調製され得るリポソーム処方物およびリポフェ
クチン処方物などで送達され得る。このような方法は、例えば、米国特許第5,
593,972号、同第5,589,466号および同第5,580,859号
(これらは、本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0561】 遺伝子療法において使用されるMPIF−1ポリヌクレオチドベクター構築物
は、好ましくは、宿主細胞に組み込まれず、また複製を可能とする配列を含まな
い構築物である。適切なベクターとしては、Stratageneから入手可能
なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびsSG;Pha
rmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL;
Invitrogenから入手可能なpEF1/V5、pcDNA3.1および
pRc/CMV2が挙げられる。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らか
である。
【0562】 当業者に公知の任意の強力なプロモーターは、MPIF−1ポリヌクレオチド
配列の発現を駆動するために使用され得る。適切なプロモーターとしては、アデ
ノウイルスプロモーター(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター);ま
たは異種プロモーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター
);気道レンチシウム(respiratory syncytial)ウイル
ス(RSV)プロモーター;誘発性プロモーター(例えば、MMTプロモーター
、メタロチオネインプロモーター);熱ショックプロモーター;アルブミンプロ
モーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイルスチミ
ジンキナーゼプロモーター(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモータ
ー);レトロウイルスLTR;b−アクチンプロモーター;およびヒト成長ホル
モンプロモーターが挙げられる。プロモーターはまた、MPIF−1のための天
然のプロモーターであり得る。
【0563】 遺伝子治療技術と異なって、標的細胞に裸の核酸配列を導入することの1つの
主要な利点は、細胞におけるポリヌクレオチド合成という一時的な性質である。
研究は、複製されないDNA配列は、6ヶ月までの間、所望のポリペプチドの産
生を提供するために、細胞へ導入され得ることを示した。
【0564】 MPIF−1ポリヌクレオチド構築物は、動物の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、
肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、
胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺および結合組織を含む)の間
隙空間へと送達され得る。組織の間隙空間は、器官組織の細網線維、血管または
室の壁の弾性繊維、繊維組織のコラーゲン繊維の間の、細胞間流動性ムコ多糖類
マンドレルトリクス、あるいは筋肉細胞をシースで覆う結合組織内または骨の空
隙にある同様なマトリクスを含む。これは、同様に、循環の血漿およびリンパ性
チャネルのリンパ流によって占められる空隙である。筋肉組織の間隙空間への送
達は、以下に記載される理由のために好ましい。これらは、好都合なことに、こ
れらの細胞を含む組織への注射によって送達され得る。これらは、好ましくは、
分化した非分裂性細胞に送達されそして持続的に発現するが、送達および発現は
、未分化のまたは完全には分化していない細胞(例えば、血液の幹細胞または皮
膚の繊維芽細胞)において達成され得る。インビボ筋肉細胞は、特に、ポリヌク
レオチドを取り込みそして発現するそれらの能力において適している。
【0565】 裸の核酸配列注入のために、DNAまたはRNAの有効投薬量は、約0.05
g/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは、この投薬量
は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり、そしてより好ましく
は、約0.05mg/kgから約5mg/kgである。もちろん、当業者が認識
するように、この投薬量は、注入の組織部位に従って変化する。核酸配列の適切
かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される状態
および投与経路に依存し得る。
【0566】 好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非経口注入経路によってである。し
かし、他の非経口経路(例えば、特に肺もしくは気管支組織、咽喉、または鼻の
粘膜への送達のためのエアロゾル処方物の吸入)もまた用いられ得る。さらに、
裸のMPIF−1DNA構築物が、血管形成術の間に、この手順において用いら
れるカテーテルによって動脈に送達され得る。
【0567】 裸のポリヌクレオチドは、当該分野において公知の任意の方法(送達部位に直
接針で注入、静脈内注射、局所的投与、カテーテル注入、およびいわゆる「遺伝
子ガン」が挙げられるがこれらに限定されない)によって、送達される。これら
の送達方法は、当該分野において公知である。
【0568】 この構築物もまた、送達ビヒクル(例えば、ウイルス配列、ウイルス粒子、リ
ポソーム処方物、リポフェクチン、沈降薬剤(precipitating a
gent)など)を用いて送達され得る。このような送達の方法が、当該分野に
おいて公知である。
【0569】 特定の実施形態において、MPIF−1ポリヌクレオチド構築物は、リポソー
ム調製物中に複合体化される。本発明における用途のためのリポソーム調製物と
しては、カチオン性(正に荷電した)、アニオン性(負に荷電した)、および中
性の調製物が挙げられる。しかし、カチオン性リポソームが特に好ましい。なぜ
なら、堅固な荷電複合体が、カチオン性リポソームとポリアニオン性核酸との間
に形成され得るからである。カチオン性リポソームは、機能的な形態で、以下の
細胞内送達を媒介することが示されている:プラスミドDNA(Felgner
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−741
6(1987);これは、本明細書中で参考として援用される);mRNA(M
aloneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:607
7−6081(1989);これは、本明細書中で参考として援用される);お
よび精製された転写因子(Debsら、J.Biol.Chem.265:10
189−10192(1990);これは、本明細書中で参考として援用される
)。
【0570】 カチオン性リポソームは容易に入手可能である。例えば、N[(2,3−ジオ
レイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTM
A)リポソームは特に有用であり、そしてGIBCO BRL、Grand I
sland、N.Y.から商標リポフェクチン(Lipofectin)のもと
で入手可能である(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 84:7413−7416(1987)もまた参照のこと;これは、
本明細書中で参考として援用される)。他の市販されているリポソームとしては
、トランスフェクテース(transfectace)(DDAB/DOPE)
およびDOTAP/DOPE(Boehringer)が挙げられる。
【0571】 他のカチオン性リポソームは、当該分野で周知の技術を使用して、容易に利用
可能な物質から調製され得る。例えば、DOTAP(1,2−ビス(オレオイル
オキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の説明に
ついては、PCT公開番号WO90/11092(これは、本明細書中で参考と
して援用される)を参照のこと。DOTMAリポソームの調製は、文献において
説明されている。例えば、P.Felgnerら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 84:7413−7417(これは、本明細書中で参考と
して援用される)を参照のこと。類似の方法が、他のカチオン性脂質物質からリ
ポソームを調製するために使用され得る。
【0572】 同様に、アニオン性リポソームおよび中性リポソームは、例えば、Avant
i Polar Lipids(Birmingham,Ala.)から容易に
入手可能であるか、または容易に入手可能な物質を使用して容易に調製され得る
。このような物質としては、とりわけ、ホスファチジルコリン、コレステロール
、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DO
PC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイル
ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの物質はま
た、適切な比率でDOTMAおよびDOTAP出発物質と混合され得る。これら
の物質を使用してリポソームを作製する方法は、当該分野で周知である。
【0573】 例えば、商業的に利用可能な、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC
)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジオレオイ
ルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)は、コレステロールの添加を伴
ってかまたは伴わずに、従来リポソームを作製するために種々の組み合わせで使
用され得る。従って、例えば、DOPG/DOPC小胞は、窒素ガス流の下で各
々50mgのDOPGおよびDOPCを乾燥させることによって超音波処理バイ
アル内へ調製され得る。サンプルを、減圧ポンプの下に一晩置き、そして翌日に
脱イオン水で水和する。次いで、サンプルを、インバート型カップ(inver
ted cup)(浴槽型)探針を備えたHeat Systems mode
l 350超音波処理器を、浴槽を15ECにて循環させながら最大設定で用い
て、蓋をしたバイアル中で2時間超音波処理する。あるいは、負に荷電した小胞
は、多重膜小胞を生成するために超音波処理なしで調製され得るか、または不連
続の大きさの単一膜小胞を生成するために核孔(nucleopore)膜を通
して押し出すことによって調製され得る。他の方法は当業者に公知であり、そし
て利用可能である。
【0574】 このリポソームは、多重膜の小胞(MLV)、小さな単一膜小胞(SUV)、
または大きな単一膜の小胞(LUV)を含み得る。SUVが好ましい。種々のリ
ポソーム−核酸複合体は、当該分野で周知の方法を使用して調製される。例えば
、Straubingerら、Methods of Immunology
101:512−527(1983)(これは、本明細書中で参考として援用さ
れる)を参照のこと。例えば、核酸を含有するMLVは、ガラス管壁上にリン脂
質の薄膜を沈着させ、引き続いてカプセル化されるべき物質の溶液と水和させる
ことによって調製され得る。SUVは、均質な単一膜リポソームの集団を生成す
るためにMLVの超音波処理を延長することによって調製される。捕捉されるべ
き物質を、予め形成されたMLVの懸濁液に添加し、次いで超音波処理する。カ
チオン性脂質を含有するリポソームを使用する場合、乾燥脂質膜を適切な溶液(
例えば、滅菌水または等張緩衝溶液(例えば、10mMのTris/NaCl)
)中に再懸濁し、超音波処理し、次いで予め形成されたリポソームをDNAと直
接混合する。リポソームおよびDNAは、正に荷電したリポソームのカチオン性
DNAへの結合に起因して、非常に安定な複合体を形成する。SUVは、小さな
核酸フラグメントを用いる用途が見出される。LUVは、当該分野において周知
の多くの方法によって調製される。一般に使用される方法としては、Ca2+−E
DTAキレート化(Papahadjopoulosら、Biochim.Bi
ophys.Acta 394:483(1975);Wilsonら、Cel
l 17:77(1979);エーテル注射(Deamer,D.およびBan
gham,A.、Biochim.Biophys.Acta 443:629
(1976);Ostroら、Biochem.Biophys.Res.Co
mmun.76:836(1977);Fraleyら、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 76:3348(1979));界面活性剤透析(
Enoch,H.およびStrittmatter,P.、Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 76:145(1979));および逆相エバポ
レーション(REV)(Fraleyら、J.Biol.Chem.255:1
0431(1980);Szoka,F.およびPapahadjopoulo
s,D.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:145(1
978);Schaefer−Ridderら、Science 215:16
6(1982))(これらは、本明細書中で参考として援用される)が挙げられ
る。
【0575】 一般的に、DNA対リポソームの比率は約10:1〜約1:10である。好ま
しくはこの比率は約5:1〜約1:5である。より好ましくは、この比率は約3
:1〜約1:3である。さらにより好ましくは、この比率は約1:1である。
【0576】 米国特許第5,676,954号(これは、本明細書中で参考として援用され
る)は、カチオン性リポソームキャリアと複合体化された遺伝物質のマウス中へ
の注射を報告する。米国特許第4,897,355号;同第4,946,787
号;同第5,049,386号;同第5,459,127号;同第5,589,
466号;同第5,693,622号;同第5,580,859号;同第5,7
03,055号、および国際公開番号WO94/9469(これらは、本明細書
中で参考として援用される)は、細胞および哺乳動物中にDNAをトランスフェ
クトする際の使用のためのカチオン性脂質を提供する。米国特許第5,589,
466号;同第5,693,622号;同第5,580,859号;同第5,7
03,055号および国際公開番号第WO94/9469(これらは、本明細書
中で参考として援用される)は、哺乳動物へDNA−カチオン性脂質複合体を送
達するための方法を提供する。
【0577】 特定の実施形態において、細胞は、エキソビボまたはインビボで、MPIF−
1をコードする配列を含むRNAを含有するレトロウイルス粒子を用いて操作さ
れる。レトロウイルスプラスミドベクターが由来し得るレトロウイルスとしては
、以下が挙げられるが、これらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス
;脾壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、ニワトリ白血
病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス、骨髄増殖性
肉腫ウイルス(Myeloproliferative Sarcoma Vi
rus)、および乳癌ウイルス。
【0578】 レトロウイルスプラスミドベクターが使用されて、プロデューサー細胞株を形
成するためにパッケージング細胞株を形質導入する。トランスフェクトされ得る
パッケージング細胞の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない;
Miller、Human Gene Therapy 1:5−14(199
0)(これは、その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されるよ
うな、PE501、PA317、R−2、R−AM、PA12、T19−14X
、VT−19−17−H2、RCRE、RCRIP、GP+E−86、GP+e
nvAm12、およびDAN細胞株。ベクターは、当該分野において公知の任意
の手段を通してパッケージング細胞を形質導入し得る。このような手段としては
以下が挙げられるが、これらに限定されない:エレクトロポレーション、リポソ
ームの使用、およびCaPO4沈降。1つの代替法において、レトロウイルスプ
ラスミドベクターは、リポソーム内にカプセル化され得るか、または脂質とカッ
プリングされ得、次いで宿主に投与され得る。
【0579】 プロデューサー細胞株は、MPIF−1をコードするポリヌクレオチドを含む
感染性レトロウイルスベクター粒子を産生する。次いで、このようなレトロウイ
ルスベクター粒子が使用されて、インビトロまたはインビボのいずれかで真核生
物細胞を形質導入し得る。形質導入された真核生物細胞は、MPIF−1を発現
する。
【0580】 特定の他の実施形態において、細胞は、アデノウイルスベクター中に含まれた
MPIF−1ポリヌクレオチドを用いて、エキソビボまたはインビボで操作され
る。アデノウイルスは、MPIF−1をコードし、そしてそれを発現するように
操作され得、同時に、正常な溶菌性ウイルス生活環において複製するその能力に
関して不活化される。アデノウイルスの発現は、ウイルスDNAを宿主細胞染色
体中に組みこむことなく達成され、それによって挿入性変異誘発に関する懸念を
軽減させる。さらに、アデノウイルスは、優れて安全なプロフィールを伴って長
い間、生腸ワクチンとして使用されてきた(Schwartz,A.R.ら、A
m.Rev.Respir.Dis.109:233−238(1974))。
最終的に、アデノウイルス媒介性遺伝子移入は、コトンラットの肺へのα1抗ト
リプシンおよびCFTRの移入を含む多くの例において実証されている(Ros
enfeld,M.A.ら、Science 252:431−434(199
1);Rosenfeldら、Cell 68:143−155(1992))
。さらに、ヒト癌における原因因子としてアデノウイルスを確立しようと試みる
広範な研究は、一様に否定的であった(Green,M.ら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 76:6606(1979))。
【0581】 本発明において有用な適切なアデノウイルスベクターは、例えば、Kozar
skyおよびWilson、Curr.Opin.Genet.Devel.3
:499−503(1993);Rosenfeldら、Cell 68:14
3−155(1992);Engelhardtら、Human Genet.
Ther.4:759−769(1993);Yangら、Nature Ge
net.7:362−369(1994);Wilsonら、Nature 3
65:691−692(1993);および米国特許第5,652,224号(
これらは、本明細書中で参考として援用される)に記載される。例えば、アデノ
ウイルスベクターAd2が有用であり、そしてヒト293細胞において増殖され
得る。これらの細胞は、アデノウイルスのE1領域を含み、そしてE1aおよび
E1b(これらは、このベクターから欠失された遺伝子の産物を提供することに
よって、欠損アデノウイルスを補完する)を構成的に発現する。Ad2に加えて
、他の種々のアデノウイルス(例えば、Ad3、Ad5、およびAd7)もまた
、本発明において有用である。
【0582】 好ましくは、本発明において使用されるアデノウイルスは、複製欠損である。
複製欠損アデノウイルスは、感染性粒子を形成するために、ヘルパーウイルスお
よび/またはパッケージング細胞株の補助を必要とする。得られるウイルスは細
胞に感染し得、そしてプロモーターに作動可能に連結されている目的のポリヌク
レオチドを発現し得るが、大部分の細胞で複製することができない。複製欠損ア
デノウイルスは、1つ以上の以下の遺伝子の全てまたは一部分を欠失し得る:E
1a、E1b、E3、E4、E2a、またはL1〜L5。
【0583】 特定の他の実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用してエキ
ソビボまたはインビボで細胞が操作される。AAVは、感染性粒子を生成するた
めにヘルパーウイルスを必要とする天然に存在する欠損ウイルスである(Muz
yczka,N.,Curr.Topics in Microbiol.Im
munol.158:97(1992))。これはまた、非分裂細胞にそのDN
Aを組み込み得る少数のウイルスのうちの1つである。AAVの300程度の少
ない塩基対を含むベクターが、パッケージングされて組み込まれ得るが、外因性
DNAのための空間は、約4.5kbに制限される。このようなAAVを生成し
、そして使用する方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,13
9,941号、同第5,173,414号、同第5,354,678号、同第5
,436,146号、同第5,474,935号、同第5,478,745号、
ならびに同第5,589,377号を参照のこと。
【0584】 例えば、本発明における使用のために適切なAAVベクターは、DNA複製、
キャプシド化、および宿主細胞組み込みに必要な配列の全てを含む。MPIF−
1ポリヌクレオチド構築物は、標準的なクローニング方法(例えば、Sambr
ookら、Molecular Cloning:A Laboratory
Manual、Cold Spring Harbor Press(1989
)に見出される方法)を使用してAAVベクターに挿入される。次いで、組換え
AAVベクターは、任意の標準的技術(リポフェクション、エレクトロポレーシ
ョン、リン酸カルシウム沈澱などを含む)を用いて、ヘルパーウイルスに感染さ
れるパッケージング細胞にトランスフェクトされる。適切なヘルパーウイルスと
しては、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイルス、または
ヘルペスウイルスが挙げられる。一旦パッケージング細胞がトランスフェクトさ
れ、そして感染されると、それらは、MPIF−1ポリヌクレオチド構築物を含
む感染性AAVウイルス粒子を生成する。次いで、これらのウイルス粒子を使用
して、エキソビボまたはインビボのいずれかで真核生物細胞を形質導入する。形
質導入された細胞は、そのゲノムに組み込まれたMPIF−1ポリヌクレオチド
構築物を含み、そしてMPIF−1を発現する。
【0585】 遺伝子治療の別の方法は、相同組換え(例えば、米国特許第5,641,67
0号(1997年6月24日発行);国際公開番号WO96/29411(19
96年9月26日公開);国際公開番号WO94/12650(1994年8月
4日公開);Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:8932−8935(1989);およびZijlstraら、Nat
ure 342:435−438(1989)を参照のこと)を介して異種制御
領域および内因性ポリヌクレオチド配列(例えば、MPIF−1をコードする)
を作動可能に連結することを含む。この方法は、標的細胞に存在するが、この細
胞において通常は発現されないか、または所望されるよりも低いレベルで発現さ
れる遺伝子の活性化を含む。
【0586】 プロモーターに隣接する標的化配列とともにプロモーターを含むポリヌクレオ
チド構築物は、当該分野で公知の標準的な技術を用いて作製される。適切なプロ
モーターは、本明細書中に記載される。標的化配列は、プロモーター−標的化配
列と内因性配列との相同組換えを可能にするために内因性配列に十分相同である
。標的化配列は、所望の内因性ポリヌクレオチド配列であるMPIF−1の5’
末端に十分近いので、このプロモーターは、相同組換えの際にこの内因性配列に
作動可能に連結する。
【0587】 プロモーターおよび標的化配列は、PCRを用いて増幅され得る。好ましくは
、増幅されたプロモーターは、5’末端および3’末端において異なる制限酵素
部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅されたプロモー
ターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末端
は、増幅されたプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。増幅されたプロ
モーターおよび標的化配列は、消化され、そしてともに連結される。
【0588】 プロモーター−標的化配列の構築物は、裸のポリヌクレオチドとして、または
上記により詳述されたトランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイ
ルス配列、ウイルス粒子、ウイルス全体、リポフェクション、沈殿剤など)とと
もにのいずれかで、細胞に送達される。Pプロモーター−標的化配列は、任意の
方法により送達され得、この方法としては、直接針注射、静脈内注射、局所的投
与、カテーテル注入、粒子加速器などが挙げられ得る。この方法は、以下にさら
に詳述される。
【0589】 プロモーター標的化配列構築物は、細胞により取り込まれる。構築物と内因性
配列との間の相同組換えが生じ、その結果、内因性MPIF−1配列は、プロモ
ーターの制御下に配置される。次いで、このプロモーターは、内因性MPIF−
1配列の発現を駆動する。
【0590】 MPIF−1をコードするポリヌクレオチドは、脈管形成タンパク質をコード
する他のポリヌクレオチドとともに投与され得る。脈管形成タンパク質の例とし
ては、酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子、VEGF−1、VEGF−2、
VEGF−3、上皮増殖因子αおよびβ、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板
由来増殖因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、コロ
ニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球/マクロファージコロ
ニー刺激因子、ならびに一酸化窒素シンターゼが挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0591】 好ましくは、MPIF−1をコードするポリヌクレオチドは、タンパク質の分
泌を容易にする分泌シグナル配列を含む。代表的には、このシグナル配列は、発
現されるべきポリヌクレオチドのコード領域に、このコード領域の5’末端の近
くに、またはその5’末端に配置される。このシグナル配列は、目的のポリヌク
レオチドに対して同種でも異種でもよく、そしてトランスフェクトされるべき細
胞に対して同種でも異種でもよい。さらにシグナル配列は、当該分野で公知の方
法を用いて化学的に合成され得る。
【0592】 上記の任意のポリヌクレオチド構築物の投与の任意の形態は、この形態が治療
的効果を提供するに十分な量で1つ以上の分子の発現を生じる限り、使用され得
る。これには、直接針注射、全身注射、カテーテル注入、微粒子注射器(bio
listic injector)、粒子加速器(すなわち、「遺伝子銃」)、
ゲルフォームスポンジデポー、他の市販のデポー物質、浸透圧ポンプ(例えば、
Alzaミニポンプ)、経口または坐剤固体(錠剤または丸剤)薬学的処方物、
および手術中の傾瀉適用または局所的適用が挙げられる。例えば、リン酸カルシ
ウム沈澱した裸のプラスミドをラット肝臓およびラット脾臓へ、またはタンパク
質コーティングしたプラスミドを門脈へ直接注射することにより、ラット肝臓で
の外来遺伝子の遺伝子発現が生じた(Kanedaら、Science 243
:375(1989))。
【0593】 局所的投与の好ましい方法は、直接注射によるものである。好ましくは、送達
ビヒクルと複合体化された本発明の組換え分子は、動脈の領域へ直接注射される
か、またはその領域内に局所的に投与される。動脈の領域内に組成物を局所的投
与することは、動脈内の数センチメートルおよび好ましくは数ミリメートルで組
成物を注射することをいう。
【0594】 局所的投与の別の方法は、外科的創傷にまたはその周辺に、本発明のポリヌク
レオチド構築物を接触させることである。例えば、患者は、手術を受け得、そし
てこのポリヌクレオチド構築物が、創傷内部の組織の表面にコーティングされ得
るか、またはこの構築物が創傷内部の組織の領域に注射され得る。
【0595】 全身投与において有用な治療的組成物は、本発明の標的化された送達ビヒクル
に複合体化された、本発明の組換え分子を含む。全身的投与での使用のために適
切な送達ビヒクルは、特定の部位にこのビヒクルを標的化するためのリガンドを
含むリポソームを含む。
【0596】 全身的投与の好ましい方法としては、静脈内注射、エアロゾル、経口送達およ
び経皮(局所的)送達が挙げられる。静脈内注射は、当該分野で標準的な方法を
用いて行われ得る。エアロゾル送達もまた、当該分野で標準的な方法を用いて行
われ得る(例えば、Striblingら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 189:11277−11281(1992)(これは、本明細
書中に参考として援用される)を参照のこと)。経口送達は、動物の腸中の消化
酵素による分解に抵抗し得るキャリアに、本発明のポリヌクレオチド構築物を複
合体化することにより行われ得る。このようなキャリアの例としては、プラスチ
ック性のカプセル剤または錠剤(例えば、当該分野で公知のもの)が挙げられる
。局所的送達は、皮膚内へ透過し得る親油性試薬(例えば、DMSO)と、本発
明のポリヌクレオチド構築物とを混合することにより行われ得る。
【0597】 送達されるべき物質の有効量を決定することは、多くの因子に依存し得、これ
らの因子としては、例えば、その物質の化学的構造および生物学的活性、動物の
年齢および体重、処置を必要とする正確な状態およびその重篤度、ならびに投与
経路が挙げられる。処置の頻度は、多くの因子(例えば、1用量あたりで投与さ
れるポリヌクレオチド構築物の量、ならびに被験体の健康状態および病歴)に依
存する。用量の正確な量、回数および投薬のタイミングは、主治医または獣医師
により決定される。
【0598】 本発明の治療組成物は、任意の動物、好ましくは、哺乳動物およびトリに投与
され得る。好ましい哺乳動物としては、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ウマおよびブタ(ヒトが特に好ましい)が挙げられる。
【0599】 (アンチセンスおよびリボザイム(アンタゴニスト)) 特定の実施態様において、本発明によるアンタゴニストは、SEQ ID N
O:Xに含まれる配列に対応する核酸またはその相補鎖および/あるいは寄託さ
れたクローンに含まれるヌクレオチド配列である。1つの実施態様において、ア
ンチセンス配列は、生物体により内部で生成され、別の実施態様において、アン
チセンス配列は別々に投与される(例えば、O’Connor,Neuroch
em.、56:560(1991)を参照のこと)。Oligodeoxynu
cleotides as Antisense Inhibitors of
Gene Expression,CRC Press,Boca Rato
n,FL(1988)。アンチセンス技術を使用して、アンチセンスDNAまた
はRNAを通してか、もしくは3重らせんの形成を通して遺伝子発現を制御し得
る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,Neurochem.、56:
560(1991);Oligodeoxynucleotides as A
ntisense Inhibitors of Gene Expressi
on,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)に記載さ
れる。3重らせん形成は、例えば、Leeら、Nucleic Acids R
esearch、6:3073(1979);Cooneyら、Science
、241:456(1988);およびDervanら、Science、25
1:1300(1991)において議論される。これらの方法は、相補的なDN
AまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基づく。
【0600】 例えば、非リンパ球性白血病細胞株であるHL−60および他の細胞株の増殖
を阻害するためのc−mycおよびc−mybアンチセンスRNA構築物の使用
は、以前に記載された(Wickstromら(1988);Anfossiら
(1989))。これらの実験は、このオリゴヌクレオチドとともに細胞をイン
キュベートすることによりインビトロで行われた。インビボでの使用のための同
様の手順は、WO91/15580に記載されている。簡潔には、所定のアンチ
センスRNAについての1対のポリヌクレオチドを以下のように生成する:オー
プンリーディングフレームの最初の15塩基に相補的な配列を、5末端部位上の
EcoR1部位および3末端のHindIII部位に隣接させる。次に、この対
のオリゴヌクレオチドを90℃で1分間加熱し、次いで、2×連結緩衝液(20
mM TRIS HCl pH7.5、10mM MgCl2、10mM ジチ
オスレイトール(DTT)および0.2mM ATP)中でアニールし、次いで
、レトロウイルスベクターPMV7(WO91/15580)のEcoR1/H
indIII部位に連結する。
【0601】 例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コー
ド部分を使用して、約10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオ
チドを設計し得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域
に相補的であるように設計され、それにより転写およびレセプターの産生を阻害
する。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブ
リダイズし、そしてmRNA分子のレセプターポリペプチドへの翻訳をブロック
する。
【0602】 1つの実施態様において、本発明のアンチセンス核酸は、外来の配列からの転
写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその一部は、転写され、
本発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。このようなベクターは、本発
明のアンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベクターは、それが
転写されて所望のアンチセンスRNAを産生し得る限り、エピソームを保持し得
るか、または染色体に組込まれ得る。このようなベクターは、当該分野において
標準的な組換えDNA技術方法により構築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞
において複製および発現のために使用される、プラスミド、ウイルスまたは当該
分野で公知の他のものであり得る。本発明のポリペプチドをコードする配列また
はそのフラグメントの発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用する
当該分野で公知の任意のプロモーターによってであり得る。そのようなプロモー
ターは、誘導性または構成性であり得る。このようなプロモーターは、SV40
初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、Nature
、29:304−310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復
に含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell、22:787−79
7(1980))、ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら、Proc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、78:1441−1445(1
981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nat
ure、296:39−42(1982))などが含まれるが、これらに限定さ
れない。
【0603】 本発明のアンチセンス核酸は、少なくとも目的の遺伝子のRNA転写の一部に
相補的な配列を含む。しかし、完全に相補的であることが好ましいが、必要では
ない。本明細書中でいわれる「少なくともRNAの一部に相補的な」配列は、R
NAとハイブリダイズし得るに十分相補性を有し、安定な二重鎖を形成する配列
を意味し;従って、本発明の二本鎖アンチセンス核酸の場合において、二重鎖D
NAの単一の鎖が試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイ
ブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依
存し、一般的に、ハイブリダイズする核酸が大きいほど、より多くの塩基ミスマ
ッチをともない、本発明のRNA配列は、安定な二重鎖(または三重鎖の場合も
あり得る)を含みかつなお形成し得る。当業者は、ハイブリダイズ複合体の融点
を決定するために標準的な手順を使用することによりミスマッチの寛容の程度を
確認し得る。
【0604】 メッセージの5’末端に相補的であるオリゴヌクレオチド(例えば、AUG開
始コドンまで、およびAUG開始コドンを含む5’非翻訳配列)は、翻訳の阻害
の際に最も効率的に働くべきである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補
的な配列は、なおmRNAの翻訳を阻害する際に効果を示さなかった。一般的に
、Wagner,R.、Nature、372:333−335(1994)を
参照のこと。従って、本発明のポリヌクレオチド配列の5’−または3’−の非
翻訳領域、非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドは、内因性m
RNAの翻訳を阻害するアンチセンスアプローチに使用され得る。mRNAの5
’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補物を含
むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド
は、翻訳のあまり効率的でないインヒビターであるが、本発明に従って使用され
得る。mRNAの5’領域、3’領域またはコード領域にハイブリダイズするよ
うに設計されるか否かにかかわらず、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレ
オチド長であるべきであり、そして好ましくは6〜約50ヌクレオチド長にわた
るオリゴヌクレオチドである。特定の局面において、このオリゴヌクレオチドは
、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25
ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである。
【0605】 本発明のポリヌクレオチドは、DNA、またはRNA、またはキメラ混合物、
あるいはその誘導体もしくは改変バージョン、一本鎖、または二本鎖であり得る
。このオリゴヌクレオチドは、例えば、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で
改変され、分子の安定性、ハイブリダーゼーションなどを改良し得る。このオリ
ゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボにおいて宿
主細胞レセプターを標的化するために)、または細胞膜を通した輸送を促進する
因子(例えば、Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci
.U.S.A.86:6553−6556(1989);Lemaitreら、
Proc.Natl.Acad.Sci.、84:648−652(1987)
;PCT公開番号WO88/09810(1988年12月15日公開)を参照
のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134(
1988年4月25日公開)を参照のこと)、ハイブリダイゼーション誘引切断
剤(hybridization−triggered cleavege a
gent)(例えば、Krolら、BioTechniques、6:958−
976(1988)を参照のこと)、またはインターカレート剤(例えば、Zo
n,Pharm.Res.、5:539−549(1988)を参照のこと)を
含み得る。このために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、
ハイブリダーゼーション誘引架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘引切断
剤など)に結合体化され得る。
【0606】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの改変された塩基部分を
含み得、この塩基部分は、以下を含むがそれらに限定されない群から選択される
:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨー
ドウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カル
ボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2
−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシ
ル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデ
ニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、
2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシ
トシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシ
ル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキュー
オシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2
−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v
)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キュ
ーオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシ
ル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチル
エステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、
3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)
w、および2,6−ジアミノプリン。
【0607】 この アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、以下を含むがそれらに限定さ
れない群から選択される少なくとも1つの改変糖部分を含み得る:アラビノース
、2−フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソース。
【0608】 さらに別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を含
むがそれらに限定されない群から選択される少なくとも1つの改変リン酸骨格を
含む:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート
、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキル
ホスホトリエステル、およびホルムアセタールまたはそのアナログ。
【0609】 さらに別の実施形態において、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、α−
アノマーオリゴヌクレオチドである。α−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補
的なRNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、通常のb−ユニットとは反
対に、その鎖は互いに平行である(Gautierら、Nucl.Acids
Res.、15:6625−6641(1987))。このオリゴヌクレオチド
は、2−0−メチルリボヌクレオチドであるか(Inoueら、Nucl.Ac
ids Res.、15:6131−6148(1987))、またはキメラR
NA−DNAアナログである(Inoueら、FEBS Lett.215:3
27−330(1987))。
【0610】 本発明のポリヌクレオチドは当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動D
NA合成機(このような装置はBiosearch、Applied Bios
ystemsなどから市販されている)の使用)により合成され得る。例として
、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Nucl.
Acids Res.、16:3209(1988))により合成され得、メチ
ルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御された孔隙のガラス(pore g
lass)ポリマー支持体(Sarinら、Proc.Natl.Acad.S
ci.U.S.A.、85:7448−7451(1988))などの使用によ
り調製され得る。
【0611】 MPIF−1コード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが、使用さ
れ得るが、転写される非翻訳領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好
ましい。
【0612】 本発明による潜在的なアンタゴニストはまた、触媒RNA、すなわちリボザイ
ムを含む(例えば、PCT国際公開WO90/11364、1990年10月4
日公開;Sarverら、Science、247:1222−1225(19
90)を参照のこと)。部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムを
使用して、本発明のポリヌクレオチドに対応するmRNAを破壊し得るが、ハン
マーヘッドリボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは、標的m
RNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域により決定される位置で、mRNA
を切断する。たった1つの必要条件は、標的mRNAが以下の2塩基の配列を有
することである:5’−UG−3’。ハンマーヘッドリボザイムの構築および生
成は当該分野で周知であり、そしてHaseloffおよびGerlach、N
ature、334:585−591(1988)において十分に記載される。
配列表に開示された各ヌクレオチド配列内に多くの潜在的なハンマーヘッドリボ
ザイム切断部位が存在する。好ましくは、このリボザイムは、切断認識部位が本
発明のポリヌクレオチドに対応するmRNAの5’末端付近に位置するように;
すなわち、効率を増大し、そして非機能的mRNA転写物の細胞内蓄積を最小に
するように、操作される。
【0613】 このアンチセンスアプローチにおける場合、本発明のリボザイムは、改変され
たオリゴヌクレオチド(例えば、安定性、標的化などについて改良された)から
構成され得、そしてインビボにおいて本発明のポリヌクレオチドを発現する細胞
に送達されるべきである。このリボザイムをコードするDNA構築物は、DNA
をコードするアンチセンスの導入のための上記と同じ様式において細胞中に導入
され得る。送達の好ましい方法は、強力な構成性プロモーター(例えば、pol
IIIプロモーターまたはpol IIプロモーター)の制御下で、リボザイ
ムを「コードする」DNA構築物を使用することを含み、その結果トランスフェ
クトした細胞が内因性メッセージを破壊し、そして翻訳を阻害するに十分な量の
リボザイムを生成する。リボザイムはアンチセンス分子と異なり触媒性であるの
で、より低い細胞内濃度が効率のために必要とされる。
【0614】 アンタゴニスト化合物/アゴニスト化合物を利用して、腫瘍性の細胞および組
織に対する本発明のポリペプチドの細胞増殖(growthおよびprolif
eration)効果を阻害し得る。すなわち、腫瘍の新脈管形成を刺激し、そ
れにより異常な細胞増殖および増殖を(例えば、腫瘍形成または増殖において)
遅延または予防し得る。
【0615】 このアンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、血管過多の疾患を予防し得
、そして嚢外白内障(extracapsular cataract)手術後
の上皮レンズ細胞の増殖を予防し得る。本発明のポリペプチドのマイトジェン活
性の予防はまた、バルーン血管形成術後の再狭窄のような場合に要求され得る。
【0616】 このアンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、本明細書中に記載される疾
患を処置し得る。
【0617】 従って、本発明は、以下を含むがこれらに限定されない、障害または疾患を処
置する方法を提供する:患者に(a)本発明のポリヌクレオチドに対するアンチ
センス分子および/または(b)本発明のポリヌクレオチドに対するリボザイム
を投与することによって本発明のポリヌクレオチドの過剰発現に関連する、本願
中に列挙された障害または疾患。
【0618】 (エピトープおよび抗体) 本発明は、配列番号Yのアミノ酸配列を有するポリペプチドのエピトープ、ま
たはATCC寄託番号Zに含まれるポリヌクレオチド配列によって、もしくは配
列番号Xの配列の相補物にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコード
されるポリペプチド配列のエピトープ、または上記で規定されたようなストリン
ジェントなハイブリダイゼーション条件下もしくはより低いストリンジェンシー
のハイブリダイゼーション条件下でATCC寄託番号Zに含まれるポリヌクレオ
チド配列によってコードされるポリペプチド配列のエピトープを含むか、あるい
はそれらからなるポリペプチドを含む。本発明はさらに、本発明のポリペプチド
配列(例えば、配列番号Xで開示された配列)のエピトープをコードするポリヌ
クレオチド配列、本発明のエピトープをコードするポリヌクレオチド配列の相補
鎖のポリヌクレオチド配列、および上記で定義されたストリンジェントなハイブ
リダイゼーション条件下またはより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼー
ション条件下で相補鎖にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。
【0619】 用語「エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、動物において、好ま
しくは哺乳動物において、そして最も好ましくはヒトにおいて抗原性活性または
免疫原性活性を有するポリペプチドの部分をいう。好ましい実施形態において、
本発明は、エピトープを含むポリペプチド、およびこのポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドを含む。「免疫原性エピトープ」とは、本明細書中で使用さ
れる場合、当該分野で公知の任意の方法によって決定されるような(例えば、下
記に記載される抗体を産生するための方法による)、動物における抗体応答を誘
発するタンパク質の一部として定義される(例えば、Geysenら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1983
)を参照のこと)。用語「抗原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場
合、当該分野で周知の任意の方法(例えば、本明細書中に記載される免疫アッセ
イによる)によって決定されるような、抗体がその抗原に免疫特異的に結合し得
るタンパク質の一部として定義される。免疫特異的結合は、非特異的結合は除外
するが、他の抗原との交差反応を除外する必要はない。抗原性エピトープは、免
疫原性である必要はない。
【0620】 エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来の方法によって産生さ
れ得る。(例えば、Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 82:5131−5135(1985)を参照のこと。これはさらに
、米国特許第4,631,211号に記載される)。
【0621】 本発明においては、抗原性エピトープは、好ましくは、少なくとも4、少なく
とも5、少なくとも6、少なくとも7アミノ酸配列を含み、より好ましくは、少
なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12
、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なく
とも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50アミノ酸配列を含
み、そして最も好ましくは約15アミノ酸と約30アミノ酸との間の配列を含む
。免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含有する好ましいポリペプチド
は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55
、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ酸残基
の長さである。さらなる非排他的に好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で
開示される抗原性エピトープおよびその一部を含む。抗原性エピトープは、有用
である(例えば、エピトープに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含
む)を惹起するため)。好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される
抗原性エピトープ、および2、3、4、5以上のこれらの抗原性エピトープの任
意の組合わせを含む。抗原性エピトープは、イムノアッセイにおいて、標的分子
として使用され得る。(例えば、Wilsonら、Cell 37:767−7
78(1984);Sutcliffeら、Science 219:660−
666(1983)を参照のこと)。
【0622】 同様に、免疫原性エピトープを使用して、例えば、当該分野で周知の方法に従
う抗体を誘導し得る。(例えば、Sutcliffeら、前出;Wilsonら
,前出;Chowら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:
910−914;およびBittleら、J.Gen.Virol.66:23
47−2354(1985)を参照のこと)。好ましい免疫原性エピトープは、
本明細書で開示される免疫原性エピトープおよび2、3、4、5以上のこれらの
免疫原性エピトープの任意の組合せを含む。1つ以上の免疫原性エピトープを含
むポリペプチドは、キャリアタンパク質(例えば、アルブミン)とともに動物系
(例えば、ウサギまたはマウス)に対する抗体応答を誘発するために提示され得
るし、またはこのポリペプチドが十分に長い場合(少なくとも約25アミノ酸)
、そのポリペプチドはキャリアなしで提示され得る。しかし、8〜10個程度の
少なさのアミノ酸を含む免疫原性エピトープは、少なくとも変性ポリペプチド中
の直鎖状エピトープに結合し得る抗体を惹起するには十分であることが示されて
いる(例えば、ウェスタンブロッティングにおいて)。
【0623】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体
を誘導するために使用され得る。これらの周知の方法としては、インビボ免疫、
インビトロ免疫、およびファージディスプレイ法が挙げられるが、それらに限定
されない。例えば、Sutcliffeら、前出;Wilsonら、前出、およ
びBittleら、J.Gen.Virol.、66:2347−2354(1
985)を参照のこと。インビボ免疫を使用する場合、動物を遊離ペプチドを用
いて免疫し得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は、高分子キャリア(例えば、キ
ーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイド)にペプチ
ドを結合させることによりブーストされ得る。例えば、システイン残基を含むペ
プチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(M
BS)のようなリンカーを用いてキャリアに結合され得る。その一方、他のペプ
チドは、より一般的な結合剤(例えば、グルタルアルデヒド)を用いてキャリア
に結合され得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離のペプチ
ドまたはキャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、約100μgのペ
プチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントまたは免疫応答
を刺激することが公知である他のアジュバントを含むエマルジョンを腹腔内注射
および/または皮内注射することにより免疫される。いくつかのブースター注射
が、抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、例えば、約2週間の間隔で
、必要とされ得る。この力価は、例えば、固体表面に吸着した遊離のペプチドを
用いるELISAアッセイにより検出され得る。免疫した動物由来の血清中の抗
ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択(例えば、当該分野で周知の方法
に従う固体支持体上のペプチドへの吸着および選択された抗体の溶出による)に
より上昇し得る。
【0624】 当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、免疫原性エピト
ープフラグメントまたは抗原性エピトープフラグメントを含む本発明のポリペプ
チドは、他のポリペプチド配列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチド
は、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたは
それらの部分(CH1、CH2、CH3、またはそれらの任意の組み合わせ、お
よびこれらの部分)と融合し得、これがキメラポリペプチドを生じる。このよう
な融合タンパク質は、精製を容易にし得、そしてインビボにおける半減期を増加
し得る。このことは、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺
乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなる
キメラタンパク質について示された。例えば、EP 394,827;Trau
neckerら、Nature,331:84−86(1988)を参照のこと
。上皮の関門を横切っての免疫系への抗原の増強された送達は、FcRn結合パ
ートナー(例えば、IgGフラグメントまたはFcフラグメント(例えば、PC
T公開 WO96/22024およびWO 99/04813を参照のこと)に
結合体化した抗原(例えば、インスリン)について実証されている。ジスルフィ
ド架橋二量体構造を有するIgG融合タンパク質はまた、そのIgG部分ジスル
フィド結合に起因して、単量体ポリペプチドまたはそれらのフラグメント単独よ
りも、他の分子の結合および中和において効果的であることが見出された。例え
ば、Fountoulakisら、J.Biochem.、270:3958−
3964(1995)を参照のこと。上記のエピトープをコードする核酸はまた
、エピトープタグ(例えば、血球凝集素(「HA」)タグまたはフラッグタグ(
flag tag))として目的の遺伝子と組換えられ、発現されたポリペプチ
ドの検出および精製を補助し得る。例えば、Janknechtらによって記載
された系は、ヒト細胞株において発現される非変性融合タンパク質の迅速な精製
を可能にする(Janknechtら、1991、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 88:8972−897)。この系において、目的の遺伝
子は、遺伝子のオープンリーディングフレームが、6つのヒスチジン残基からな
るアミノ末端タグと翻訳で融合されるように、ワクシニア組換えプラスミド中に
サブクローンされる。このタグは、融合タンパク質についてのマトリックス結合
ドメインとして働く。組換えワクシニアウイルスに感染した細胞由来の抽出物は
、Ni2+ニトリロ三酢酸アガロースカラムに充填され、そしてヒスチジンタグ
化したタンパク質が、イミダゾール含有緩衝液を用いて選択的に溶出され得る。
【0625】 本発明のさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッ
フリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(総
称して「DNAシャッフリング」といわれる)の技術を通じて生成され得る。D
NAシャッフリングを使用して、本発明のポリペプチドの活性を調節し得、この
ような方法を用いて、変化した活性を有するポリペプチド、ならびにそのポリペ
プチドのアゴニストおよびアンタゴニストを生成し得る。一般には、米国特許第
5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号
;同第5,834,252号;および同第5,837,458号、ならびにPa
ttenら、Curr.Opinion Biotechnol.8:724−
33(1997);Harayama、Trends Biotechnol.
16(2):76−82(1998);Hanssonら、J.Mol.Bio
l.287:265−76(1999);ならびにLorenzoおよびBla
sco,Biotechniques 24(2):308−13(1998)
(これらの特許および刊行物の各々は、本明細書によってその全体が参考として
援用される)を参照のこと。1つの実施形態において、配列番号Xに対応するポ
リヌクレオチドおよびこれらのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプ
チドの改変は、DNAシャッフリングにより達成され得る。DNAシャッフリン
グは、相同組換えまたは部位特異的組換えにより、2つ以上のDNAセグメント
をアセンブリして、ポリヌクレオチド配列における変化を産生することを含む。
別の実施形態において、本発明のポリヌクオチドまたはコードされるポリペプチ
ドは、組換え前に、エラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入または他
の方法による、ランダムな変異誘発に供されることによって改変され得る。別の
実施形態において、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの1つ
以上の成分、モチーフ、セクション(section)、部分、ドメイン、フラ
グメントなどは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、セクション
、部分、ドメイン、フラグメントなどと組み換えられ得る。
【0626】 (抗体) さらに、本発明のポリペプチドは、(特異的な抗体抗原結合をアッセイするた
めの当該分野で周知のイムノアッセイによって決定されるような)本発明の配列
番号2の、ポリペプチド、ポリペプチドフラグメント、もしくは改変体、および
/またはエピトープに免疫特異的に結合する抗体およびT細胞抗原レセプター(
TCR)に関する。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体
、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab
フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産
生されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗
体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグ
メントを含むが、これらに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「
抗体」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロリン分子の免疫学的に活性な部
分、すなわち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本
発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG
、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、任意のクラス(例えば、
IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)または任意のサ
ブクラスであり得る。
【0627】 最も好ましくは、この抗体は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり
、これには、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(sc
Fv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)ならびにVLまたはV
Hドメインのいずれかを含むフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない
。単鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を単独で、または以下
の全体もしくは部分と組み合わせて含み得る:ヒンジ領域、CH1ドメイン、C
2ドメインおよびCH3ドメイン。また、可変領域とヒンジ領域、CH1ドメイ
ン、CH2ドメインおよびCH3ドメインとの任意の組み合わせもまた含む抗原結
合フラグメントがまた本発明に含まれる。本発明の抗体は、鳥類および哺乳動物
を含む任意の動物起源由来であり得る。好ましくは、この抗体は、ヒト、マウス
(murine)(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、シップウサギ(sh
ip rabbit)、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリであ
る。本明細書中で使用される場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミ
ノ酸配列を有する抗体を含み、そしてヒト免疫グロブリンライブラリーまたは1
つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックであり、そして内因性
免疫グロブリンを発現しない動物から単離さた抗体(下に記載のように、そして
例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に
おいて記載のような)を含む。
【0628】 本発明の抗体は、一重特異的、二重特異的、三重特異的またはより多くの多重
特異性であり得る。多重特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピト
ープに対して特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドおよび異種のエ
ピトープ(例えば、異種ポリペプチドもしくは固体支持体物質)、の両方に特異
的であり得る。例えば、PCT公開WO 93/17715;同WO 92/0
8802;同WO 91/00360;同WO 92/05793;Tuttら
、J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,47
4,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5
,573,920号、同第5,601,819号;Kostelnyら、J.I
mmunol.148:1547−1553(1992)を参照のこと。
【0629】 本発明の抗体は、これらが認識または特異的に結合する、本発明のポリペプチ
ドのエピトープまたは部分に関して記載または特定化され得る。このエピトープ
またはポリペプチドの部分は、例えば、N末端およびC末端位置によって、連続
するアミノ酸残基におけるサイズによって本明細書中に記載されるように、また
は表および図に列挙されるように特定化され得る。本発明の任意のエピトープま
たはポリペプチドに特異的に結合する抗体はまた、排除され得る。従って、本発
明は、本発明のポリペプチドを特異的に結合し、そして本発明のポリペプチドの
排除を可能にする抗体を含む。
【0630】 本発明の抗体はまた、その交差反応性について記載または特定化され得る。本
発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オルソログまたはホモログを結合し
ない抗体が、含まれる。本発明のポリペプチドに対して少なくとも95%、少な
くとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少な
くとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%および
少なくとも50%の同一性(当該分野で公知の方法および本明細書中に記載され
る方法を用いて計算される場合)を有するポリペプチドを結合する抗体もまた、
本発明に含まれる。特定の実施形態において、本発明の抗体は、ヒトタンパク質
の、マウスホモログ、ラットホモログおよび/またはウサギホモログならびに対
応するそれらのエピトープと交差反応する。本発明のポリペプチドに対して95
%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65
%未満、60%未満、55%未満および50%未満の同一性(当該分野で公知の
方法および本明細書中に記載される方法を用いて計算される場合)を有するポリ
ペプチドを結合しない抗体もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態において
、上記の交差反応性は、本明細書中に開示された、任意の単一特異的な抗原性ま
たは免疫原性ポリペプチド、あるいは2、3、4、5以上の特異的抗原性および
/または免疫原生ポリペプチドの組み合わせに関する。さらに、ストリンジェン
トなハイブリダイゼーション条件下(本明細書中で記載されるような)で本発明
のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる
ポリペプチドを結合する抗体が、本発明に含まれる。本発明の抗体はまた、本発
明のポリペプチドに対するそれらの結合親和性について記載または特定化され得
る。好ましい結合親和性としては、5×10-2M未満、10-2M未満、5×10 -3 M未満、10-3M未満、5×10-4M未満、10-4M未満、5×10-5M未満
、10-5M未満、5×10-6M未満、10-6M未満、5×10-7M未満、10-7 M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満、10-9M未満、
5×10-10M未満、10-10M未満、5×10-11M未満、10-11M未満、5×
10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-13M未満、5×10 -14 M未満、10-14M未満、5×10-15M未満または10-15M未満の解離定数
すなわちKdを有する親和性が挙げられる。
【0631】 本発明はまた、競合性結合を決定するための当該分野で公知の任意の方法(例
えば、本明細書中で記載されるイムノアッセイ)によって決定されるような、本
発明のエピトープに対する抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。好ま
しい実施形態において、この抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少
なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少
なくとも60%、または少なくとも50%、エピトープへの結合を競合的に阻害
する。
【0632】 本発明はまた、モノクローナル抗体の、本発明のポリペプチド(好ましくは配
列番号2のポリペプチド)に対する結合を競合的に阻害する抗体を提供する。競
合的阻害は、例えば、本明細書中に記載される競合的結合アッセイを使用して当
該分野で公知の任意の方法により決定され得る。好ましい実施形態において、こ
の抗体は、本発明のモノクローナル抗体の、配列番号2ポリペプチドへの結合を
、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%
、または少なくとも50%競合的に阻害する。
【0633】 本発明の抗体は、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストと
して作用し得る。例えば、本発明は、本発明のポリペプチドとのレセプター/リ
ガンド相互作用を部分的または完全にのいずれかで破壊する抗体を含む。好まし
くは、本発明の抗体は、本明細書中で開示された抗原性エピトープ、またはその
部分を結合する。本発明は、レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の
両方の特徴を有する。本発明はまた、リガンド結合を妨害しないがレセプター活
性化を妨害するレセプター特異的抗体の特徴を有する。レセプター活性化(すな
わち、シグナル伝達)は、本明細書中に記載の技術、そうでなければ、当該分野
で公知の技術により決定され得る。例えば、レセプター活性化は、レセプターの
リン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/トレオニン)、または免疫沈降それ
に続くウェスタンブロット分析(例えば、上記のような)によってその基質を検
出することにより、決定され得る。特定の実施形態において、この抗体の非存在
下で、リガンド活性またはレセプター活性を、その活性の少なくとも95%、少
なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少
なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%阻害する抗体が提
供される。
【0634】 本発明はまた、リガンド結合およびレセプター活性化の両方を妨げるレセプタ
ー特異的抗体、ならびにレセプターリガンド複合体を認識し、そして好ましくは
、結合していないレセプターまたは結合していないリガンドを特異的に認識しな
い抗体の特徴を有する。同様に、本発明は、リガンドと結合し、そしてレセプタ
ーへのリガンドの結合を妨げる中和抗体、およびリガントと結合し、それにより
レセプター活性化を妨げるが、リガンドがレセプターに結合することを妨げない
抗体を含む。さらに、本発明は、レセプターを活性化する抗体を含む。これらの
抗体は、レセプターアゴニストとして作用し得、すなわち、例えば、レセプター
の二量化を誘発することによってリガンド媒介レセプター活性化の生物学的活性
の全てまたはサブセットのいずれかを増強するかまたは活性化し得る。この抗体
は、本明細書中に開示される本発明のペプチドの特異的生物学的活性を含む生物
学的活性についてのアゴニスト、アンタゴニストまたは逆アゴニストとして特定
化され得る。上記抗体アゴニストは、当該分野で公知の方法を用いて作製され得
る。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097
号;Dengら、Blood 92(6):1981−1988(1998);
Chenら、Cancer Res.58(16):3668−3678(19
98);Harropら、J.Immunol.161(4):1786−17
94(1998);Zhuら、Cancer Res:58(15):3209
−3214(1998);Yoonら、J.Immunol.160(7):3
170−3179(1998);Pratら、J.Cell.Sci.111(
Pt2):237−247(1998);Pitardら、J.Immunol
.Methods 205(2):177−190(1997);Liauta
rdら、Cytokine 9(4):233−241(1997);Carl
sonら、J.Biol.Chem.272(17):11295−11301
(1997);Tarymanら、Neuron 14(4):755−762
(1995);Mullerら、Structure 6(9):1153−1
167(1998);Bartunekら、Cytokine 8(1):14
−20(1996)(これらは全て、その全体が参考として本明細書中に援用さ
れる)を参照のこと。
【0635】 本発明の抗体は、例えば、これらに限定されないが、本発明のポリペプチドを
精製し、検出し、そして標的化するために使用され得る。これらは、インビトロ
およびインビボの両方での診断方法および治療方法を含む。例えば、この抗体は
、生物学的サンプルにおける本発明のポリペプチドのレベルを定性的におよび定
量的に測定するためのイムノアッセイにおける用途を有する。例えば、Harl
owら,Antibodies:A Laboratory Manual,(
Cold Spring Harbor Laboratory Press,
第2版,1988)(本明細書中でその全体が参照として援用される)を参照の
こと。
【0636】 以下にさらに詳細に議論されるように、本発明の抗体は、単独または他の組成
物との組み合わせのいずれかで使用され得る。この抗体はさらに、ポリペプチド
または他の化合物へN末端でもしくはC末端で異種ポリペプチドに組換え的に融
合され得るか、または化学的に結合(共有結合および非共有結合を含む)され得
る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子およ
び異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種、または毒素のようなエフェクター分子
へ組換え的に融合または結合され得る。例えば、PCT公開WO92/0849
5;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,9
95号;および欧州特許第396,387号を参照のこと。
【0637】 本発明の抗体は、改変された(すなわち、共有結合性付着(covalent
attachment)が、抗体が抗イディオタイプ応答を生じるのを妨げな
いような、抗体に対する任意の型の分子の共有結合性付着による)誘導体を含む
。例えば、制限されないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル
化、ぺグ化(pegylation)、リン酸化(phosphylation
)、アミド化、既知の保護基/ブロック基(blocking group)に
よる誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質へ
の連結などによって改変された抗体が挙げられる。多数の任意の化学的改変が、
特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などを
含むが、これらに制限されない公知の技術によって実行され得る。さらに、誘導
体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0638】 本発明の抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって産生され得る。
目的の抗原に対するポリクローナル抗体は、当該分野で周知の種々の手順によっ
て産生され得る。例えば、本発明のポリペプチドが種々の宿主動物(ウサギ、マ
ウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない)に投与され得、抗原に対して
特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導する。種々のアジュバント
が、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用され得、そしてフ
ロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル(m
ineral gel)、リゾレシチンのような表面活性物質、プルロニック(
pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホー
ルリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット
−ゲラン杆菌)およびcorynebacterium parvumのような
強力に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。このようなア
ジュバントはまた、当該分野で周知である。
【0639】 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレ
イ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当該分野で公知の広範な種々
の技術を用いて調製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知
の以下に挙げられるハイブリドーマ技術を使用して産生され得、例えば、Har
lowら、Antibodies:A Laboratory Manual,
(Cold Spring Harbor Laboratory Press
,第2版、1988);Hammerlingら、Monoclonal An
tibodies and T−Cell Hybridomas 563−6
81(Elsevier,N.Y.,1981)(上記の参考文献は、その全体
が参考として援用される)に教示される。本明細書中で使用される場合、用語「
モノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ技術により生成された抗体に限定さ
れない。用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核生物、原核生物、または
ファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体をいい、そしてモノクロ
ーナル抗体が生成される方法ではない。
【0640】 ハイブリドーマ技術を用いて特定の抗体に対して産生およびスクリーニングす
る方法は、慣用的であり、そして当該分野において周知であり、実施例において
詳細に議論される(実施例22および30)。非限定な例において、マウスを、
本発明のポリペプチドまたはこのようなペプチドを発現する細胞を用いて免疫化
し得る。一旦、免疫応答が検出される(例えば、抗原に対して特異的な抗体がマ
ウス血清中に検出される)と、マウスの脾臓を回収し、そして脾細胞を単離する
。次いで、脾細胞は、周知の技術によって、任意の適切なミエローマ細胞(例え
ば、ATCCから入手可能な細胞株SP20由来の細胞)へ融合される。ハイブ
リドーマを、限定希釈により選択およびクローン化する。次いで、ハイブリドー
マクローンを本発明のポリペプチドを結合し得る抗体を分泌する細胞について、
当該分野に公知の方法によってアッセイする。一般的に高レベルの抗体を含む腹
水を、ポジティブなハイブリドーマクローンを用いてマウスを免疫化することに
より、産生し得る。
【0641】 従って、本発明は、モノクローナル抗体、および本発明の抗体を分泌するハイ
ブリドーマ細胞を培養する工程を含む方法によって産生される抗体を、産生する
方法を提供し、ここで、好ましくは、このハイブリドーマは、ミエローマ細胞を
有する本発明の抗原を用いて免疫化されたマウスから単離された脾細胞を融合す
ることにより、次いで、本発明のポリペプチドを結合し得る抗体を分泌するハイ
ブリドーマクローンについて、その融合から生じるハイブリドーマをスクリーニ
ングすることにより、産生される。
【0642】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術により産生し得
る。例えば、本発明のFabフラグメントおよびF(ab’)2フラグメントは
、パパイン(Fabフラグメントを産生するため)またはペプシン(F(ab’
)2フラグメントを産生するため)のような酵素を使用して、免疫グロブリン分
子のタンパク質分解性切断によって産生され得る。F(ab’)2フラグメント
は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。
【0643】 例えば、本発明の抗体はまた、当該分野に公知の種々のファージディスプレイ
方法を用いて産生され得る。ファージディスプレイ方法において、機能的な抗体
ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子
の表面上に提示される。特定の実施形態において、このようなファージを、レパ
ートリー抗体ライブラリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、
ヒトまたはマウス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために利用し得
る。目的の抗原と結合する抗原結合ドメインを発現するファージを、抗原を用い
て、(例えば、標識化抗原、あるいは固体表面または固体ビーズへ結合または捕
捉された抗原を使用して)選択または同定し得る。これらの方法において使用さ
れるファージは、代表的に、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺
伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換え的に融合されたFab、Fvまたは
ジスルフィド安定化されたFvの抗体ドメインを有するファージから発現された
fdおよびM13結合ドメインを含む糸状(filamentous)ファージ
である。本発明の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法
の例としては、以下に開示される方法が挙げられる:Brinkmanら、J.
Immunol.Methods 182:41〜50(1995);Ames
ら、J.Immunol.Methods 184:177〜186(1995
);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:95
2〜958(1994);Persicら、Gene 187 9〜18(19
97);Burtonら、Advances in Immunology 5
7:191〜280(1994);PCT公開 PCT/GB91/01134
;PCT公開 WO90/02809;WO91/10737;WO92/01
047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982
;WO95/20401;ならびに米国特許第5,698,426号;同第5,
223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同
第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047
号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,
637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,7
33,743号および同第5,969,108号(これらのそれぞれは、その全
体が参考として援用される)。
【0644】 上記参考文献に記載されているように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体
をコードする領域は、ヒト抗体を含む抗体の全体、または任意の他の所望の抗原
結合フラグメントを作製するために単離および使用され得、そして例えば、以下
に詳細に記載されるように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細
菌を含む任意の所望の宿主において発現され得る。例えば、Fab、Fab’お
よびF(ab’)2フラグメントを組換え的に産生するための技術はまた、当該
分野で公知の方法を用いて使用され得る。この方法は、例えば、以下に開示され
る方法である:PCT公開WO92/22324;Mullinaxら、Bio
Techniques 12(6):864−869(1992);およびSa
waiら、AJRI 34:26−34(1995);およびBetterら、
Science 240:1041−1043(1998)(上記の参考文献は
、その全体が参考として援用される)。
【0645】 単鎖のFvsおよび抗体を産生するために用いられ得る技術の例としては、米
国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Huston
ら、Methods in Enzymology 203:46−88(19
91);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);および
Skerraら、Science 240:1038−1040(1988)に
記載される技術が挙げられる。ヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビト
ロ検出アッセイを含むいくつかの用途のために、キメラ抗体、ヒト化抗体または
ヒト抗体の使用が好ましくあり得る。キメラ抗体は、この抗体の異なる部分が異
なる動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域
およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体)である。キメラ抗体を産生す
るための方法は、当該分野において公知である。例えば、Morrison,S
cience 229:1202(1985);Oiら、BioTechniq
ues 4:214(1986);Gilliesら、(1989)J.Imm
unol.Methods 125:191−202;および米国特許第5,8
07,715号;同第4,816,567号;および同第4,816,397号
を参照のこと(これらは、本明細書中でその全体が参照として援用される)。ヒ
ト化抗体は、非ヒト種由来の1以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫
グロブリン分子由来の1つ以上のフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合
する、非ヒト種抗体由来の抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領域
におけるフレームワーク残基は、CDRドナー抗体由来の対応する残基と置換さ
れ、抗原結合を改変(好ましくは、改善)する。これらのフレームワーク置換は
、当該分野で周知の方法により同定され、例えば、抗原結合に重要なフレームワ
ーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリン
グ、ならびに特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配
列比較による。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;R
iechmannら、Nature 332:323(1988)(これらは本
明細書中でその全体が参考として援用される)を参照のこと)。抗体は、例えば
、以下を含む当該分野で公知の種々の技術を用いてヒト化され得る:CDR−グ
ラフティング(grafting)(欧州特許第239,400号;PCT公開
WO91/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,
101号および同第5,585,089号)、ベニヤリング(veneerin
g)またはリサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許第592
,106号;欧州特許第519,596号;Padlan、Molecular
Immunology 28(4/5):489−498(1991);St
udnickaら、Protein Engineering 7(6):80
5−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−973
(1994))、およびチェーンシャッフリング(chain shuffli
ng)(米国特許第5,565,332号)。
【0646】 完全なヒト抗体が、ヒト患者の治療的処置に対して特に望ましい。ヒト抗体は
、当該分野で公知の種々の方法によって作製され得、これらの方法としては、ヒ
ト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いる上記のファージディスプ
レイ方法が挙げられる。米国特許第4,444,887号および同第4,716
,111号;ならびにPCT公開WO98/46645、WO98/50433
、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO
96/33735、およびWO91/10741(これらの各々は、その全体が
参考として本明細書中に援用される)もまた参照のこと。
【0647】 ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンの発現は出来ないが、ヒト免疫
グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを用いて産生され得る
。例えば、ヒト重鎖免疫グロブリン遺伝子およびヒト軽鎖免疫グロブリン遺伝子
の複合体は、無作為にまたは相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入され得
る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域および多様性領域(diversity
region)は、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子に加えて、マウスの
胚性幹細胞に導入され得る。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子およびマウス軽鎖
免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン座の導入と別々
にまたは同時に非機能的にされ得る。特に、JH領域のホモ接合性の欠失は、内
因性抗体の産生を妨げる。この改変された胚性幹細胞を増殖させ、そして胚盤胞
に微量注入して、キメラマウスを産生する。次に、このキメラマウスを、ヒト抗
体を発現するホモ接合性の子孫を産生するために繁殖させる。トランスジェニッ
クマウスを、選択された抗原(例えば、本発明のポリペプチドの全体または一部
)を用いて通常の様式で免疫する。その抗原に対するモノクローナル抗体は、従
来のハイブリドーマ技術を用いた免疫したトランスジェニックマウスから得られ
得る。ヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間のトランスジェニック
マウスの再編成によってかくまわれ(harbored)、そしてその後、クラ
ススイッチングおよび体細胞変異を受ける。従って、そのような技術の使用によ
って、治療的に有用なIgG抗体、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体の
産生が可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要については、Lo
nbergおよびHuszar、Int.Rev.Immunol.13:65
−93(1995)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産
生するためのこの技術のならびにそのような抗体を産生するためのプロトコール
の詳細な議論については、例えば、PCT公開WO98/24893;WO92
/01047;WO96/34096;WO96/33735;欧州特許第0
598 877;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号
;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,0
16号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;同第5,88
5,793号;同第5,916,771号;および同第5,939,598号を
参照のこと(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)。さら
に、Abgenix,Inc.(Freemont,CA)およびGenpha
rm(San Jose,CA)のような企業は、上記の技術に類似した技術を
用いて選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事し得る。
【0648】 選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体を、「ガイドされた(guid
ed)選択」といわれる技術を用いて産生し得る。このアプローチにおいて、選
択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同じエピトープ
を認識する完全ヒト抗体の選択を導くために使用される(Jespersら、B
io/technology 12:899−903(1988))。
【0649】 さらに、本発明のポリペプチドに対する抗体は、当業者に周知の技術を用いて
、本発明のポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成するために
順々に利用され得る。(例えば、GreenspanおよびBona、FASE
B J.7(5):437−444(1989);ならびにNissinoff
、J.Immunol.147(8):2429−2438(1991)を参照
のこと)。例えば、結合し、そしてポリペプチドのマルチマー化(multim
erization)および/または本発明のポリペプチドのリガンドに対する
結合を競合的に阻害する抗体を用いて、このポリペプチドのマルチマー化および
/または結合ドメインを「模倣し」、そして結果として、ポリペプチドおよび/
またはそのリガンドに結合し、そして中和する抗イディオタイプを生成し得る。
このような中和抗イディオタイプまたはこのような抗イディオタイプのFabフ
ラグメントは、治療レジメンにおいて使用されて、ポリペプチドリガンドを中和
し得る。例えば、このような抗イディオタイプ抗体を使用して、本発明のポリペ
プチドを結合し得るか、そして/またはそのリガンド/レセプターを結合し得、
それによって、その生物学的活性をブロックし得る。
【0650】 用語「本発明のポリペプチドのリガンドに対する結合」としては、本発明のリ
ガンドポリペプチドのレセプターへの結合;本発明のレセプターポリペプチドの
リガンドへの結合;本発明の抗体の抗原またはエピトープへの結合;本発明の抗
原またはエピトープの抗体への結合;本発明の抗体の抗イディオタイプ抗体への
結合;本発明の抗イディオタイプ抗体のリガンドへの結合;本発明の抗イディオ
タイプ抗体のレセプターへの結合;本発明の抗イディオタイプ抗体のリガンド、
レセプターもしくは抗体への結合などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0651】 別の例として、本発明のポリペプチドまたはそのリガンドに結合して競合的に
活性化する抗体を使用して、ポリペプチド結合ドメインおよび/または活性化ド
メインを模倣して、結果としてこのポリペプチドおよび/またはそのリガンドを
活性化する抗イディオタイプ抗体を作製し得る。このような抗イディオタイプこ
のような抗イディオタイプのFabフラグメントの活性化を治療レジメンにおい
て使用して、ポリペプチドリガンドを活性化し得る。例えば、このような抗イデ
ィオタイプ抗体を使用して、本発明のポリペプチドに結合し、それによりその生
物学的活性を活性化するか、ならびに/または本発明のポリペプチドのリガンド
および/もしくはレセプターに結合しそれによりその生物学的活性を活性化する
【0652】 (抗体をコードするポリヌクレオチド) 本発明はさらに、本発明の抗体およびそのフラグメントをコードするヌクレオ
チド配列を含むかあるいはこれらからなるポリヌクレオチドを提供する。本発明
はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下またはより低いスト
リンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で(例えば、上記のような)、抗
体(好ましくは、本発明のポリペプチドへ特異的に結合する抗体)をコードする
ポリヌクレオチド、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドに結合する抗体をコードするポリヌクレオチド、に対してハイブリダイズする
ポリヌクレオチドを含む。
【0653】 当該分野で公知の任意の方法によって、これらのポリヌクレオチドが得られ得
、そしてこれらポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、決定され得る。例えば
、抗体のヌクレオチド配列が公知である場合、この抗体をコードするポリヌクレ
オチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドからアセンブルされ得(例え
ば、Kutmeierら、BioTechniques 17:242(199
4)に記載されるように)、これは、手短に言えば、抗体をコードする配列の部
分を含むオーバーラップするヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチド
のアニーリングおよび連結、ならびに次いでPCRによるこの連結されたオリゴ
ヌクレオチドの増幅を含む。
【0654】 あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適切な供給源からの核酸か
ら作製され得る。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは入手不可能だが
、その抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、
化学的に合成され得るか、あるいは適切な供給源(例えば、抗体cDNAライブ
ラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞(例えば、本発明の抗体
の発現のために選択されたハイブリドーマ細胞)から生成されたcDNAライブ
ラリー、またはそれから単離された核酸(好ましくはポリA+RNA))を、例
えば、抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定す
るために、その配列をコードする抗体のの3’末端および5’末端にハイブリダ
イズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によって、またはその特定の遺
伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによっ
て得られ得る。PCRによって作製された増幅された核酸は、次いで、当該分野
で周知の任意の方法を用いて、複製可能なクローニングベクターにクローニング
され得る。
【0655】 一旦、抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されると、
抗体のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の操作について当該分野で周知の
方法(例えば、組換えDNA技術、部位指向性変異誘発、PCRなど(例えば、
Sambrookら、1990,Molecular Cloning,A L
aboratory Manual,第2版、Cold Spring Har
bor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY
およびAusubelら編、1998,Current Protocols
in Molecular Biology,John Wiley&Sons
,NYに記載の技術を参照のこと。これらは両方がその全体において本明細書に
参考として援用される。))を用いて操作され、例えば、アミノ酸の置換、欠失
、および/または挿入を生成するように異なるアミノ酸配列を有する抗体を作製
し得る。
【0656】 特定の実施形態では、重鎖および/または軽鎖の可変ドメインのアミノ酸配列
は、相補性決定領域(CDR)の配列を同定するために、当該分野で周知の方法
、例えば、他の重鎖および軽鎖の可変領域の既知のアミノ酸配列を比較して、配
列超可変性領域を決定する方法、によって、調べられ得る。慣用的組換えDNA
技術を使用して、一つ以上のCDRが、フレームワーク領域内、例えば、上記の
ように、非ヒト抗体をヒト化させるためにヒトフレームワーク領域内に挿入され
得る。このフレームワーク領域は、天然に存在するか、または共通するフレーム
ワーク領域であり得、そして好ましくはヒトフレームワーク領域であり得る(ヒ
トフレームワーク領域の一覧については、例えばChothiaら、J.Mol
.Biol. 278:457−479(1998)を参照のこと)。好ましく
は、フレームワーク領域およびCDRの組合せによって生成するポリヌクレオチ
ドは、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは
、上で考察したように、一つ以上のアミノ酸の置換は、フレームワーク領域内で
起こり、そして好ましくは、このアミノ酸置換は、その抗原への抗体の結合を改
善する。さらに、このような方法は、アミノ酸置換させるため、または鎖内ジス
ルフィド結合に参加している一つ以上の可変領域システイン残基を欠失させて、
一つ以上の鎖内ジスルフィド結合が欠けた抗体分子を生成させるために、使用さ
れ得る。ポリヌクレオチドに対する他の改変は、本発明によって企図されそして
当該分野の技術範囲内である。
【0657】 さらに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子を、適切な生物学的
活性のヒト抗体分子からの遺伝子とともに、スプライシングすることによる、「
キメラ抗体」(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.
81:851−855(1984);Neubergerら、Nature 3
12:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:
452−454(1985))の産生のために開発された技術が、使用され得る
。上記のように、キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物の種に由来する分子(
例えばマウスmAbに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有
する分子)であり、例えばヒト化抗体である。
【0658】 あるいは、一本鎖抗体の産生について記載された技術(米国特許第4,946
,778号;Bird,Science 242:423−42(1998);
Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:58
79−5883(1998);およびWardら、Nature 334:54
4−54(1989))は、一本鎖抗体を産生するために適合され得る。一本鎖
抗体は、アミノ酸架橋を介して、Fv領域の重鎖および軽鎖フラグメントを連結
し、一本鎖ポリペプチドを生じることによって形成される。E.coliにおけ
る機能的Fvフラグメントのアセンブリのための技術もまた使用され得る(Sk
erraら、Science 242:1038−1041(1998))。
【0659】 (抗体産生の方法) 本発明の抗体は、抗体の合成について当該技術分野で公知の方法によって、特
に化学合成によって、または好ましくは組換え発現技術によって、産生され得る
【0660】 本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログ(例えば、
本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖、または本発明の一本鎖抗体)の組換え発現は
、抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。
本発明の、抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはそれらの部分(好ま
しくは重鎖もしくは軽鎖の可変ドメインを含む)をコードするポリヌクレオチド
が一旦得られれば、抗体分子の産生のためのベクターは、当該分野で周知の技術
を使用する組換えDNA技術によって産生され得る。従って、ヌクレオチド配列
をコードする抗体を含むポリヌクレオチドの発現によってタンパク質を調製する
ための方法は、本明細書中に記載される。当業者に周知の方法は、抗体コード配
列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築するた
めに使用され得る。これらの方法は、例えば,インビトロ組換えDNA技術、合
成技術、およびインビボ遺伝子組換えを含む。従って、本発明は、本発明の抗体
分子をコードするヌクレオチド配列、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはプロ
モーターに作動可能に連結された、重鎖もしくは軽鎖の可変ドメイン、を含む複
製可能ベクターを提供する。このようなベクターは、抗体分子の定常領域をコー
ドするヌクレオチド配列を含み(例えば、PCT国際公開第WO 86/058
07号;PCT国際公開第WO 89/01036;および米国特許第5,12
2,464号を参照のこと。)、そして、この抗体の可変領域は、重鎖または軽
鎖の全体の発現のためにこのようなベクター内にクローニングされ得る。
【0661】 発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移入され、次いでトランスフ
ェクト細胞は、従来の技術によって本発明の抗体を産生するために培養される。
従って、本発明は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチド、またはその重
鎖もしくは軽鎖、または異種のプロモーターに作動可能に連結された、本発明の
一本鎖抗体を含む宿主細胞を含む。二本鎖抗体の発現のための好ましい実施形態
では、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、下記の詳細のように、免
疫グロブリン分子全体の発現のための宿主細胞において共発現され得る。
【0662】 種々の宿主発現ベクター系は、本発明の抗体分子を発現させるために利用され
得る。このような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、かつ続いて精製
され得るビヒクルを表わすが、また、適切なヌクレオチドをコードする配列で形
質転換またはトランスフェクトされる場合に、インサイチュで本発明の抗体分子
を発現し得る細胞を表わす。これらには、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:抗体をコードする配列を含む組換えバクテリオファージDNA発現ベク
ター、プラスミドDNA発現ベクターまたはコスミドDNA発現ベクターを用い
て形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)のよう
な微生物;抗体をコードする配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換され
た酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体をコード
する配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感
染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイ
クウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した植物細胞
系または抗体をコードする配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、
Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノム
に由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳
動物のウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモー
ター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保
有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞
)。好ましくは、Escherichia coliのような細菌細胞、そして
より好ましくは、特に、組換え抗体分子全体の発現のために真核生物細胞が、組
換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由
来の主要最初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと組み合わされ
た、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)のような哺乳動物細胞が、抗
体のための効果的な発現系である(Foeckingら、Gene 45:10
1(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(
1990))。
【0663】 細菌系において、多くの発現ベクターが、抗体分子の発現を意図する使用に依
存して有利に選択され得る。例えば、多量のこのようなタンパク質が産生される
場合、抗体分子の薬学的組成物の生成のために、容易に精製される融合タンパク
質産物の高レベルの発現を指向するベクターが所望され得る。このようなベクタ
ーには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体をコードする配列が
lacZをコードする領域と共にベクターにインフレーム(in frame)
で個別に連結され得、その結果、融合タンパク質が産生されるE.coli発現
ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(198
3));pINベクター(Inouye&Inouye、Nucleic Ac
ids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke
&Schuster、J.Biol.Chem.24:5503−5509(1
989))など。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェラー
ゼ(GST)との融合タンパク質として、外来性ポリペプチドを発現させるため
に使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、そして溶
解した細胞から、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および
結合、それに続く遊離グルタチオン存在化での溶出によって容易に精製され得る
。このpGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を
含むように設計され、その結果、このクローニングされた標的遺伝子産物は、G
ST部分から放出され得る。
【0664】 昆虫系においては、Autographa californica核多角体
病ウィルス(AcNPV)は、異種遺伝子を発現するためのベクターとして使用
される。このウィルスは、Spodoptera frugiperda細胞に
おいて増殖する。抗体をコードする配列は、このウィルスの非必須の領域(例え
ばポリヘドリン遺伝子)に個々にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモ
ーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置され得る。
【0665】 哺乳動物宿主細胞においては、多数のウィルスに基づく発現系が利用され得る
。アデノウィルスが発現ベクターとして使用される場合においては、目的の抗体
をコードする配列は、アデノウィルスの転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロ
モーターおよび3つの部分に分かれるリーダー配列、に連結され得る。次いで、
このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボでの組換えによって、アデノウ
ィルスゲノムに挿入され得る。ウィルスのゲノムの非必須領域(例えば、E1ま
たはE3領域)における挿入は、生存可能で、感染した宿主において抗体分子を
発現する能力のある組換えウィルスを生じる(例えば、Logan&Shenk
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355−359(1
984)を参照のこと)。特異的開始シグナルはまた、挿入された抗体をコード
する配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG
開始コドンおよび隣接する配列を含む。さらに、この開始コドンは、挿入部分全
体の翻訳を確実にするために、所望されるコード配列のリーディングフレーム(
reading frame)と相が同じでなければならない。これらの外因性
翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、種々の起源、天然および合成の両方であ
り得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネータ
ー、などの含有によって高められ得る(Bittnerら、Methods i
n Enzymol.153:51−544(1987)を参照のこと)。
【0666】 さらに、宿主細胞系統は、選択され得、これは挿入配列の発現を調節し、また
は、所望される特異的な様式で遺伝子産物を改変し、そしてプロセシングする。
タンパク質産物のこのような改変(例えばグリコシル化)およびプロセシング(
例えば切断)は、タンパク質の機能のために重要であり得る。異なる宿主細胞は
、タンパク質および遺伝子産物の、翻訳後プロセシングおよび改変のための、特
徴的で特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系は、発現された外来タ
ンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするように選択され得る。こ
の目的のために、遺伝子産物の、第一の転写、グリコシル化、およびリン酸化の
正確なプロセシングのための細胞機構を有する、真核生物宿主細胞が、使用され
得る。このような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、Hela、
COS、MDCK、293、3T3、WI38、そして特に、例えば、BT48
3、Hs578T、HTB2、BT20およびT47Dのような乳癌細胞株、な
らびに、例えば、CRL7030およびHs578Bstのような正常な乳腺細
胞株を含むが、これらに限定されない。
【0667】 組換えタンパク質の長期間の高収率産生、安定発現が好ましい。例えば、安定
に抗体分子を発現する細胞株が操作され得る。ウィルスの複製起点を含む発現ベ
クターを使用するよりも、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えば、プ
ロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、
など)、および選択マーカーであるが機能的でないかまたはインタクトなウイル
ス起源のマーカーによって制御されるDNAで形質転換され得る。外来DNAの
導入に続いて、操作された細胞は、1〜2日間富化培地で増殖させられ得、次い
で、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミドにおける選択マーカーは、選
択に対する耐性を与え、そして細胞が、プラスミドをその染色体内に安定に組み
込み、そして増殖して、細胞増殖巣を形成し、これを今度はクローニングし得、
細胞株に拡大され得ることを可能にする。この方法は、抗体分子を発現する細胞
株を操作するために、有利に使用され得る。このような操作された細胞株は、直
接的または間接的に抗体分子と相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価
において、特に有用であり得る。
【0668】 多数の選択系が使用され得、この選択系は、単純ヘルペスウィルスチミジンキ
ナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサン
チン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&Sz
ybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:20
2(1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Low
yら、Cell 22:817(1980))の遺伝子を含むが限定されず、こ
れらの遺伝子は、tk−、hgprt−またはaprt−細胞においてそれぞれ
使用され得る。また、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子の選択の根拠として使
用され得る:dhfr、これはメトトレキサートに対する耐性を与える(Wig
lerら、Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980);
O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:15
27(1981));gpt、これはミコフェノール酸に対する耐性を与える(
Mulligan&Berg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
78:2072(1981));neo、これはアミノグリコシドG−418
に対する耐性を与える(Clinical Pharmacy 12:488−
505;Wu and Wu、Biotherapy 3:87−95(199
1);Tolstoshev、Ann.Rev.Pharmacol.Toxi
col. 32:573−596(1993);Mulligan、Scien
ce 260:926−932(1993);およびMorgan and A
nderson、Ann.Rev.Biochem.62:191−217(1
993);May、1993年、TIB TECH 11(5):155−21
5);ならびにhygro、これはハイグロマイシンに対する耐性を与える(S
anterreら、Gene 30:147(1984))。組換えDNA技術
の分野で周知の方法は、所望の組換えクローンを選択するために、慣用的に適用
され得、そしてこのような方法は、以下に記載されている:例えば、Ausub
elら(編)、Current Protocols in Molecula
r Biology、John Wiley&Sons、NY(1993);K
riegler、Gene Transfer and Expression
、A Laboratory Manual、Stockton Press、
NY(1990);ならびに12章および13章、Dracopoliら(編)
、Current Protocols in Human Genetics
、John Wiley&Sons、NY(1994);Colberre−G
arapinら、J.Mol.Biol. 150:1(1981)(これらは
その全体が本明細書中に参考として援用される)。
【0669】 抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大され得る(総説として、
BebbingtonおよびHentschel、The use of ve
ctors based on gene amplification fo
r the expression of cloned genes in
mammalian cells in DNA cloning、Vol.3
.(Academic Press、New York、1987)を参照のこ
と)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが、増幅可能であると、宿主
細胞の培養物に存在するインヒビターのレベルにおける増加は、マーカー遺伝子
のコピーの数を増加する。増幅領域は抗体遺伝子と結合しているので、抗体の産
生もまた増加する(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257
(1983))。
【0670】 宿主細胞は、本発明の二つの発現ベクター(重鎖由来のポリペプチドをコード
する第一のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第二のベクター
)で、同時トランスフェクトされ得る。この二つのベクターは、重鎖および軽鎖
のポリペプチドの等しい発現を可能にする、同一の選択可能なマーカーを含み得
る。あるいは、単一のベクターが使用され得、これは重鎖および軽鎖両方のポリ
ペプチドをコードし、そして発現可能である。このような状況において、過剰の
毒性の遊離重鎖を避けるために、重鎖の前に軽鎖が配置されるべきである(Pr
oudfoot、Nature 322:52(1986);Kohler、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))
。重鎖および軽鎖についてのコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含み得
る。
【0671】 一旦本発明の抗体分子が、動物によって産生されるか、化学的に合成されるか
、または組換えにより発現されると、当該分野で公知の、免疫グロブリン分子の
精製のための任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、
アフィニティー(特に、プロテインAの後に特異的抗原に対するアフィニティー
による)、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、ま
たはタンパク質精製のための任意の他の標準的な技術によって、精製され得る。
さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、本明細書中に記載されるかま
たはそうでなければ当該分野において公知の、異種ポリペプチド配列に融合され
て、精製を容易にし得る。
【0672】 本発明は、本発明のポリペプチド(もしくはその部分、好ましくはこのポリペ
プチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、
もしくは100個のアミノ酸)に組換えにより融合されるか、または化学的に結
合されて(共有結合および非共有結合の両方を含む)、融合タンパク質を生成す
る抗体、を含む。この融合は、直接的である必要はないが、リンカー配列を介し
て起こり得る。この抗体は、本発明のポリペプチド(またはその部分、好ましく
はこのポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、
80、90、もしくは100個のアミノ酸)以外の抗原に特異的であり得る。例
えば、インビトロまたはインビボのいずれかにおいて、本発明のポリペプチドを
特定の細胞表面のレセプターに特異的な抗体に融合または結合させることによっ
て、特定の細胞型に対して、本発明のポリペプチドを標的にするために、抗体が
使用され得る。本発明のポリぺプチドに融合または結合される抗体はまた、イン
ビトロイムノアッセイおよび当該分野で公知の方法を使用する精製方法において
使用され得る。例えば、Horborら、上記、およびPCT国際公開第WO
93/21232号;EP439,095;Naramuraら、Immuno
l.Lett.39:91−99(1994);米国特許第5,474,981
号;Gilliesら、PNAS 89:1428−1432(1992);F
ellら、J.Immunol.146:2446−2452(1991)を参
照のこと(これらは、その全体が参考として援用される)。
【0673】 (結合体およびキレート) 本発明はさらに、抗体の可変領域以外のドメイン
に融合または結合された、本発明のポリぺプチドを含む組成物を含む。例えば、
本発明のポリぺプチドは、抗体のFc領域、またはその部分に融合または結合さ
れ得る。この抗体の本発明のポリぺプチドに融合された部分は、定常領域、ヒン
ジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、またはそのド
メイン全体もしくは部分の任意の組合せを含み得る。このポリぺプチドはまた、
上記の抗体の部分に融合または結合されて、多量体を形成し得る。例えば、本発
明のポリぺプチドに融合されたFc部分は、このFc部分の間のジスルフィド結
合を通して二量体を形成し得る。より高次の多量体形態は、ポリぺプチドをIg
AおよびIgMの部分に融合させることによって作製され得る。本発明のポリぺ
プチドを抗体部分に融合または結合させるための方法は、当該分野において公知
である。例えば、米国特許第5,336,603号;同第5,622,929号
;同第5,359,046号;同第5,349,053号;同第5,447,8
51号;同第5,112,946号;EP 307,434;EP 367,1
66;PCT国際公開第WO 96/04388号;同第WO91/06570
号;Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
88:10535−10539(1991);Zhengら、J.Immuno
l.154:5590−5600(1995);およびVilら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 89:11337−11341(1992
)(前記の参考文献はその全体が参考として援用される)を参照のこと。
【0674】 上で考察されたように、ポリぺプチド、ポリぺプチドフラグメント、または配
列番号2の改変体、に対応するポリぺプチドは、このポリぺプチドのインビボ半
減期を増大させるため、または当該分野で公知の方法を使用するイムノアッセイ
において使用するために、上記の抗体部分に融合または結合され得る。さらに、
配列番号2に対応するポリぺプチドを、上記の抗体部分に融合または結合体化し
て、精製を容易にし得る。1つの報告された例は、ヒトCD4ポリペプチドの最
初の2つのドメイン、および哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常
領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記載している(EP 394
,827;Trauneckerら、Nature 331:84−86(19
88))。ジスルフィド結合二量体構造(IgGに起因する)を有する抗体に融
合または結合体化される、本発明のポリぺプチドもまた、単量体分泌タンパク質
またはタンパク質フラグメント単独よりも、他の分子に結合してそして中和する
において、さらに効率的であり得る(Fountoulakisら、J.Bio
chem.270:3958−3964(1995))。多くの場合、融合タン
パク質のFc部分は、治療および診断において有益であり、従って、例えば、改
良された薬物動態学的な特性を生じ得る(EP A 232 262)。あるい
は、融合タンパク質が発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を
欠失させることが望ましい。例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として
使用される場合、Fc部分は、治療および診断を妨害し得る。例えば、薬物の発
見において、hIL−5のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニス
トを同定するための高スループットスクリーニングアッセイの目的のためにFc
部分と融合された(Bennettら、J.Molecular Recogn
ition 8:52−58(1995);Johansonら、J.Biol
.Chem.270:9459−9471(1995)を参照のこと)。
【0675】 さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、精製を容易にするペプチド
のような、マーカー配列に融合され得る。好ましい実施形態において、マーカー
アミノ酸配列は、とりわけヘキサ−ヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクタ
ー(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chats
worth,CA,91311)において提供されるタグ)であり、これらの多
くのマーカーアミノ酸配列が市販されている。例えば、Gentzら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)に
記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供
する。精製のために有用な別のペプチドタグは、インフルエンザ赤血球凝集素タ
ンパク質由来のエピトープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、Cell
37:767(1984))、および「フラッグ(flag)」タグを含むが
、これに限定されない。
【0676】 上記に示したように、少なくとも1つのMPIF−1エピトープに特異的に結
合する抗体が含まれ、そして本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドに特
異的に結合する抗体はまた除外され得る。従って、抗体は、MPIF−1に特異
的であっても、またはMPIF−1以外のポリペプチドおよびエピトープに特異
的であってもよい。
【0677】 本発明は、診断剤または治療剤に結合される、抗体またはそのフラグメントを
さらに含む。抗体は、例えば、臨床上の試験手順(例えば、所与の処置レジメン
(regimen)の効力を決定するため)の一部として、腫瘍の発生または進
行をモニターするために、診断的に使用され得る。検出は、抗体を検出可能な物
質と連結させることによって容易にされ得る。検出可能な物質の例としては、種
々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々
の陽電子放射断層撮影を使用する陽電子放射金属、および非放射性常磁性金属イ
オン、が挙げられる。この検出可能な物質は、抗体(またはそのフラグメント)
に対して、直接的または間接的のいずれかで、当該分野で公知の技術を使用する
媒介物(例えば、当該分野で公知のリンカー)を介して、連結または結合体化さ
れ得る。例えば、本発明に従う診断薬としての使用のために抗体に結合体化され
得る金属イオンに関しては、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適
切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ
、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切
な補欠分子団複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジ
ン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フ
ルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリ
アジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙
げられ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例とし
ては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ;ならびに、
適切な放射性物質の例としては、125I、131I、111Inまたは99Tcが挙げら
れる。
【0678】 さらに、抗体またはそのフラグメントは、治療用部分(例えば細胞毒(例えば
、細胞傷害性、細胞増殖抑制性もしくは細胞殺傷性の薬剤))、治療剤または放
射性金属イオン(例えば、α−エミッタ−(例えば213Bi))に結合体化され
得る。細胞毒または細胞傷害性薬剤は、細胞に対して有害な任意の薬剤を含む。
例としては、パクリタキソール(paclitaxol)、サイトカラシンB、
グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テ
ニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒ
チン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(d
ihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミ
トラマイシン、アクチノマイシンD,1−デヒドロテストステロン、グルココル
チコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、および
ピューロマイシン、ならびにそのアナログまたはホモログ、が挙げられる。治療
剤は、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−
チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化
剤(例えば、メクロレタミン(mechlorethamine)、チオテパ(
thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)
およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosph
amide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マ
イトマイシンC、ならびにcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シ
スプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマ
イシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前
はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイ
シン(anthramycin)(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば
ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、を含むが、それらに限定されない。
【0679】 本発明の結合体は、所定の生物学的応答を改変するために使用され得、治療剤
または薬物部分は、古典的な化学的治療剤に限定されると解釈されない。例えば
、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリぺプチドであ
り得る。このようなタンパク質としては、例えば、毒素(例えばアブリン、リシ
ンA、シュードモナス体外毒素、またはジフテリアトキシン);タンパク質(例
えば、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長
因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲン活性化因子、アポトーシス薬(
例えば、TNF−α、TNF−β、AIM I(国際公開第WO 97/338
99号を参照のこと)、AIM II(国際公開第WO 97/34911号を
参照のこと)、Fasリガンド(Takahashiら、Int.Immuno
l.6:1567−1574(1994))、VEGI(国際公開第WO 99
/23105号を参照のこと)、血栓症薬もしくは抗脈管形成薬(例えば、アン
ジオスタチンもしくはエンドスタチン);または生物学的応答改変剤(例えばリ
ンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(
「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファー
ジコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−C
SF」)、または他の増殖因子)、が挙げられ得る。
【0680】 抗体はまた、固体支持体に付着させられ得、この固体支持体は、標的抗原のイ
ムノアッセイまたは精製に特に有用である。このような固体支持体としては、ガ
ラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニルまたはポリプロピレン、が挙げられるがそれらに限定されない。
【0681】 さらに、MPIFポリペプチド、その改変体、フラグメント、アゴニスト、お
よびアンタゴニストは、診断剤または治療剤(例えば、上記および本明細書中の
もの、または当該分野において周知の他のもの)に結合体化され得る。MPIF
結合体は、本明細書中に記載され、そして当該分野において周知の診断目的また
は治療目的のために使用され得る。
【0682】 例えば、MPIFは、ラジオアイソトープに結合体化され得、そして診断また
は治療のために使用され得る。
【0683】 このような治療部分を抗体に結合体化する技術は、周知である、例えば、Ar
nonら、「Monoclonal Antibodies For Immu
notargeting Of Drugs In Cancer Thera
py」、Monoclonal Antibodies And Cancer
Therapy、Reisfeldら(編)、pp.243−56(Alan
R.Liss,Inc.1985);Hellstromら、「Antibo
dies For Drug Delivery」、Controlled D
rug Delivery(第二版)、Robinsonら(編)、pp.62
3−53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe、
「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agen
ts In Cancer Therapy:A Review」、Monoc
lonal Antibodies ’84:Biological And
Clinical Applications、Pincheraら(編)、p
p.475−506(1985);「Analysis,Results,An
d Future Prospective Of The Therapeu
tic Use Of Radiolabeled Antibody In
Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodie
s For Cancer Detection And Therapy、B
aldwinら(編)、pp.303−16(Academic Press
1985)、およびThorpeら、Immunol.Rev.62:119−
58(1982)を参照のこと。
【0684】 本発明の抗体、タンパク質(ポリペプチドを含む)および低分子は、標的化分
子および前標的化(pretargeting)分子として使用され得る。本発
明のこのような分子は、当業者に周知の方法(標的化放射性免疫療法のための抗
体および抗体のファージライブラリーの放射性標識キレート化が挙げられるが、
これに限定されない)によって、放射性標識され得る。例えば、DeNardo
ら,Clin.Cancer Res.5(10S):3213s−3218s
(1999);Quadriら,Q.J Nucl.Med.42:250−2
61(1998)(これらの各々の内容が、それらの全体において参考として援
用される)を参照のこと。
【0685】 キレート化のために、異なる化学結合が、抗体と放射性標識キレートとの間に
挿入され得る。標的抗原と反応性の放射性標識モノクローナル抗体は、インビボ
において、細胞傷害性または診断用の同位体を悪性細胞に選択的に送達し得る。
前標的化分子の構築は、抗体遺伝子の多様性および柔軟性(malleabil
ity)を使用して、提供され得る。標的抗原と反応性である単鎖抗体フラグメ
ント(すなわち、scFv)の多様なアレイは、ヒト未処理ファージ抗体ライブ
ラリーからの選択によって獲得され得る。scFvはまた、その後の操作(例え
ば、アフィニティー成熟、および特異性の改変)を容易にするファージライブラ
リーの構築のために、ハイブリドーマから直接的にクローン化され得る。特定の
抗原標的に対してこれらの供給源から選択されたscFv親和性は、広範なスペ
クトルの結合特性を示した。選択されたscFvからの抗体重鎖(V(H))お
よび軽鎖(V(L))遺伝子は、カセットとして、ダイアボディ(diabod
y)分子中にクローン化され得る。本願はさらに、以下において、毒素または細
胞傷害性プロドラッグに会合した本発明のポリペプチドの投与による、細胞の特
異的破壊のための方法を考察する。
【0686】 あるいは、抗体は、Segal、米国特許第4,676,980号(これは、
その全体において、本明細書中で参考として援用される)に記載のように、二次
抗体に結合体化されて、抗体ヘテロ結合体を形成し得る。
【0687】 単独、あるいは細胞傷害性因子(単数または複数)および/またはサイトカイ
ン(単数または複数)と組み合わせて投与される抗体(これは、それに結合体化
された治療的部分を伴っても伴わなくともよい)が、治療剤として使用され得る
【0688】 放射性標識された抗体、タンパク質および低分子は、細胞傷害性因子であり、
そして放射性免疫療法のような標的化放射線療法、または放射性免疫診断および
放射性画像化のような放射性免疫検出において、使用され得る。正常な組織、細
胞および器官を防御または処置するために、MPIF−1は、放射性標識された
抗体、タンパク質または低分子の投与の前、投与の間、または投与後に投与され
得る。
【0689】 上記に示したように、MPIF−1の少なくとも1つのエピトープを特異的に
結合する抗体が含まれ、そして本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドに
特異的に結合する抗体はまた、除外され得る。従って、抗体は、MPIF−1に
対して特異的であり得るか、またはMPIF−1以外のポリペプチドおよびエピ
トープに対して特異的であり得る。1つの実施形態では、放射性標識抗体、タン
パク質または低分子が、癌または別の疾患に対する放射性免疫療法の間に、MP
IFポリペプチドと組み合わせて投与される。MPIFポリペプチドは、放射性
免疫療法剤の投与投与の前、投与の間、または投与後に投与される場合に、損傷
から正常な細胞(例えば、骨髄前駆体)および他の正常な細胞、組織、および器
官を防御および/または処置する。
【0690】 別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、以下と組み合わせて投与され
る:Rituximab(抗CD20モノクローナル抗体;RituxanTM
,Ibritumomab tiuxetan(90Yと結合体化された、抗CD
20モノクローナル抗体;ZevalinTM),Tositumomab(131
Iと結合体化;BexxarTM),Rituximab(RituxanTM),
Trastuzumab(HerceptinTM),OvaRex MoAb(
卵巣癌におけるCA125に対するモノクローナル抗体),Denileuki
n difitox(ジフテリア毒素結合体;Ontak(登録商標)),AA
98(正常な組織ではなく微小血管系に結合するモノクローナルAb(Xiyu
nら,Clin Cancer Res.5(補遺):要旨82(1999))
,Adrecolomab(抗汎腺癌抗原(anti−panadenocar
cinoma antigen)),抗CEA抗体(131Iと結合体化(Beh
rら,Amer.Soc.of Clin.Oncol.35th Annua
l Meeting,Atlanta;要旨1025(1999)),抗TAG
72糖タンパク質抗体,抗PMSA抗体,抗HLA−DR10β抗体,抗VEG
F抗体,抗CXCR4抗体,CH225(キメラ化抗EGFr抗体(Mende
lsohnら,Amer.Soc.of Clin.Oncol.35th A
nn.Meeting,Atlanta;要旨1502(1999)),CP−
358,774(Karpら,Amer.Soc.Clin.Onc.35th
Ann.Meeting,Atlanta,GA;要旨1499(1999)
)およびZD 1839(Karpら,Amer.Soc.Clin.Onc.
35th Ann.Meeting,Atlanta,GA;要旨1500(1
999))(両方とも、EGFrの低分子インヒビター),IDEC−Y2B8
90Yに結合する分子と結合体化された、抗CD20抗体(Witzigら,「
Phase I/II trial of IDEC−Y2B8 radioi
mmunotherapy for treatment of relaps
ed or refractory CD20−positive B−cel
l non−Hodgkin’s lymphoma」,J Clin Onc
ol.1999(印刷中);Bastionら,Blood.1995 ;86
:3257−3262.),131I−MN−14 F(ab)2抗癌胎児抗原モノ
クローナル抗体(Juweidら,J Nucl Med 2000年1月;4
1(1):93−103;J Nucl Med 2000年1月;41(1)
:104−6における論評),67Cu−2IT−BAT−Lym−1(Lym−
1は、悪性リンパ球を優先的に標的化するマウスモノクローナル抗体である;キ
レート剤は、1,4,7,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N’,N
’’,N’’’−テトラ酢酸(これは、67Cuを結合する)(O’Donnel
lら,J Nucl Med 1999年12月;40(12):2014−2
0)),レニウム−188−標識化抗NCA抗原抗体BW 250/183(抗
顆粒球;トリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)(Seit
zら,Eur J Nucl Med 1999年10月;26(10):12
65−73)),IDEC−Y2B8(90Y ibritumomab tiu
xetan;MX−DTPA(tiuxetan)を共有結合するマウスIgG 1 κ抗CD20モノクローナル抗体,これは、放射性同位元素イットリウム−9
0をキレートする(Witzig J Clin Oncol 1999年12
月;17(12):3793−803)),213Bi−HuM195(抗CD3
3(Sgourosら,J Nucl Med 1999年11月;40(11
):1935−46)),67銅−2−イミノチオラン(iminothiola
ne)−6−[p−(ブロモアセトアミド)ベンジル]−TETA−Lym−1
(O’Donnellら,Clin Cancer Res 1999年10月
;5(10補遺):3330s−3336s)),90Y−BC−4(テネイシン
を認識するマウスMAb;安定な90Y標識化MAb結合体は、ジエチレントリア
ミンペンタ酢酸(ITC−Bz−DTPA)のキレーターp−イソチオシアナー
トベンジル誘導体を用いて調製され得る(Rivaら,Clin Cancer
Res 1999年10月;5(10補遺):3275s−3280s)), 131 I−標識化cG250キメラモノクローナル抗体G250(cG250)(
Steffensら,Clin Cancer Res 1999年10月;5
(10補遺):3268s−3274s)),二重特異性抗癌胎児抗原/抗ジエ
チレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)抗体、および131I Di−DTPA
ハプテン(Vuillezら,Clin Cancer Res 1999年1
0月;5(10補遺):3259s−3267s))。そして、放射性免疫療法
についてのさらなる標的としては、HLA−DR,CD 19,およびCD22
が挙げられる。
【0691】 放射性免疫療法の間の本発明の組成物による正常組織の防御を分析するための
方法は、当該分野において周知である。これには、89−ストロンチウムの注入
を使用する骨髄損傷を研究するためのインビボモデル(これは、骨を探索し、そ
のようにして、骨髄構成成分を照射する)が挙げられる。以下の概説文献もまた
、抗体、放射線療法、および免疫放射線療法の使用に関する指針を提供する:「
Physical and biological targeting of
radiotherapy」、Acta Oncol.1999;38補遺1
3:75−83;「Radioimmunodiagnosis and th
erapy」Cancer Treat Rev.2000年2月;26(1)
:3−10;「Antibodies in the therapy of
colon cancer」Semin Oncol 1999年12月;26
(6):683−90;「Overview of the clinical
development of rituximab:first mono
clonal antibody approved for the tre
atment of lymphoma」Semin Oncol 1999年
10月;26(5補遺14):66−73;「Radiolabeled an
tibody therapy of B−cell lymphomas」S
emin Oncol.1999年10月;26(5補遺14):58−65;
「Strategies for developing effective
radioimmunotherapy for solid tumors
」Clin Cancer Res.1999年10月;5(10補遺):32
19s−3223s;”Technical advances in rad
iotherapy of head and neck tumors」He
matol Oncol Clin North Am.1999年8月;13
(4):811−23;および、「Use of monoclonal an
tibodies for the diagnosis and treat
ment of bladder cancer」Hybridoma.199
9年1月;18(3):219−24。 別の実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドを含む組成物(例えば、
異種ポリペプチド、異種核酸、毒素またはプロドラッグに会合した、MPIFポ
リペプチドまたは抗MPIF抗体を含む組成物)を、標的細胞(例えば、MPI
Fを発現する、B細胞もしくはT細胞、単球、マクロファージ、および好中球の
ような)に送達する方法を提供する。本発明のMPIFポリペプチドまたは抗M
PIF抗体は、疎水性相互作用、親水性相互作用、イオン性相互作用、および/
または共有結合的相互作用を介して、異種ポリペプチド、異種核酸、毒素、また
はプロドラッグと会合され得る。
【0692】 1つの実施形態において、本発明は、異種ポリペプチドまたは核酸と会合する
本発明のポリペプチド(例えば、MPIFポリペプチドまたは抗MPIF抗体)
を投与することによる、本発明の組成物の細胞への特異的な送達のための方法を
提供する。1つの例において、本発明は、治療タンパク質を標的化細胞中へ送達
するための方法を提供する。別の例において、本発明は、一本鎖核酸(例えば、
アンチセンスまたはリボザイム)または二本鎖核酸(例えば、細胞のゲノムに組
み込み得るか、またはエピソームにて複製し得、そして転写され得るDNA)を
、標的化細胞に送達するための方法を提供する。
【0693】 別の実施形態において、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグに会合
した本発明のポリペプチド(例えば、MPIFポリペプチドまたは抗MPIF抗
体)を投与することによる細胞の特異的な破壊(例えば、腫瘍細胞の破壊)のた
めの方法を提供する。
【0694】 例えば、放射性同位元素に結合体化されたMPIFが投与されて、白血病細胞
を破壊し得、従って、白血病を処置する。
【0695】 特定の実施形態では、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグと会合し
たMPIFポリペプチドを投与することによって、T細胞系列またはB細胞系列
の細胞(例えば、T細胞またはB細胞に関連した白血病またはリンパ腫)を特異
的に破壊するための方法を提供する。
【0696】 別の特定の実施形態では、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグと会
合した抗MPIF抗体を投与することによって、単球系列の細胞(例えば、単球
性白血病またはリンパ腫)を特異的に破壊するための方法を提供する。
【0697】 別の実施形態では、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグと会合した
本発明のポリペプチド(例えば、MPIFポリペプチドまたは抗MPIF抗体)
を投与することによって、細胞を特異的に破壊する(例えば、炎症の細胞性メデ
ィエイタの破壊)ための方法を提供する。炎症の細胞性メディエイタとしては、
例えば、T細胞、単球、樹状細胞、星状細胞、腎臓の血管間膜細胞、マクロファ
ージ、好中球および移植片拒絶(急性または慢性)に関与する細胞が挙げられる
【0698】 別の実施形態では、毒素または細胞傷害性プロドラッグと会合した非MPIF
分子を、MPIF−1と組み合わせて投与する。その結果、MPIF−1は、正
常な細胞、組織または器官の損傷を予防もしくは処置するか、または、骨髄前駆
細胞を保護する。
【0699】 「毒素」とは、内因性の細胞傷害性エフェクタ系、放射性同位体、ホロ毒素(
holotoxin)、改変型毒素、毒素の触媒サブユニット、他の細胞傷害性
(cytoxic)因子または規定の条件下で細胞死を引き起こす細胞中もしく
は細胞表面には通常存在しない任意の分子もしくは酵素を結合および活性化する
化合物を意味する。本発明の方法に従って使用され得る毒素としては、以下が挙
げられるが、これらに限定されない:当該分野で公知の放射性同位体、固有のま
たは誘導された内因性の細胞傷害性エフェクタ系に結合する化合物(例えば、抗
体(またはその補体固定含有部分))、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ
、RNAse、α毒素、リシン、アブリン、Pseudomonas体外毒素A
、ジフテリア毒素、サポリン、モモルジン(momordin)、ゲロニン(g
elonin)、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、αサルシン(sarcin
)およびコレラ毒素。「毒素」はまた、細胞傷害性因子、細胞増殖抑制因子もし
くは細胞殺傷性因子、治療薬または放射性金属イオン(例えば、α−エミッター
(例えば、213Biなど))もしくは他の放射性同位体(例えば、103Pd、133
Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、 153 Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イットリウム、117
ズ、186レニウム、166ホルミウム、および188レニウム);発光標識(例えば、
ルミノール);および蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、
ならびにビオチンを含む。
【0700】 当該分野において公知の技術が、本発明の抗体を標識化するために適用され得
る。このような技術としては、二官能性結合剤の使用(例えば、米国特許第5,
756,065号;同第5,714,631号;同第5,696,239号;同
第5,652,361号;同第5,505,931号;同第5,489,425
号;同第5,435,990号;同第5,428,139号;同第5,342,
604号;同第5,274,119号;同第4,994,560号;および同第
5,808,003号を参照のこと;これら各々の内容は、本明細書中に参考と
してその全体を援用する)が挙げられるが、これに限定されない。細胞毒または
細胞傷害性薬剤は、細胞に対して有害な任意の薬剤を含む。例としては、パクリ
タキソール(paclitaxol)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭
化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(teno
poside)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシ
ン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy
anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アク
チノマイシンD,1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイ
ン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、
ならびにそのアナログまたはホモログ、が挙げられる。治療剤は、代謝拮抗物質
(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタ
ラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロ
レタミン(mechlorethamine)、チオテパ(thioepa)、
クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(
CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブス
ルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、な
らびにcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アン
トラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキ
ソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン
)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(anthra
mycin)(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えばビンクリスチンおよ
びビンブラスチン)、を含むが、それらに限定されない。
【0701】 「細胞傷害性プロドラッグ」とは、通常細胞内に存在する酵素によって、細胞
傷害性化合物へと変換される非毒性の化合物を意味する。本発明の方法に従って
使用され得る細胞傷害性プロドラッグとしては、安息香酸マスタードアルキル化
剤のグルタミル誘導体、エトポシドまたはマイトマイシンCのリン酸誘導体、シ
トシンアラビノシド、ダウノルビシン、およびドキソルビシンのフェノキシアセ
トアミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0702】 本発明のさらに好ましい実施形態としては、以下に続く適用におけるMPIF
ポリペプチド、MPIFポリヌクレオチド、およびそれらの機能的アゴニストの
使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0703】 特定の実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)もし
くはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単数ま
たは複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)(例えば、抗MPIF抗
体)を投与して、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、白血病、組織球性白血
病(hystiocytic leukemia)、単球性白血病(例えば、急
性単球性白血病)、白血病性細網症、シリング型単球性白血病(Shillin
g Type monocytic leukemia)、および/または単球
および/または単球性の細胞および/または組織由来の他の白血病を、処置、予
防、検出、および/または診断する。
【0704】 従って、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)もしくはポリヌク
レオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単数または複数)も
しくはアンタゴニスト(単数または複数)(例えば、抗MPIF抗体)を投与し
て、以下のような白血病を処置、予防、検出および/または診断する:急性リン
パ芽球性(リンパ球性)白血病(ALL)(これは、未分化B細胞形態、一般的
なB細胞形態、前B細胞形態(pre−B cell form)、およびB細
胞形態を含み得る);急性骨髄性(骨髄性または骨髄球性)白血病(AML)(
これは、未分化骨髄芽球性形態、分化した骨髄芽球性形態、前骨髄球形態(AP
L)、骨髄単芽球性(myelomonoblastic)形態、単芽球性形態
、赤白血病性形態、および巨核芽球性形態を含み得る);慢性リンパ性(リンパ
)白血病(CLL)(これは、B細胞形態、T細胞形態、前リンパ性形態、セザ
リー症候群(皮膚T細胞リンパ腫の白血病相(phase)、ヘアリーセル形態
、およびリンパ腫白血病(すなわち、悪性リンパ腫の進行した段階で見られる白
血病変化)を含み得る);および慢性骨髄球性(骨髄性(myeloid)、骨
髄性(myelogenous)または顆粒球性)白血病(CML)など。ここ
で、新生物性クローンは、赤血球、巨核球、単球、T細胞、またはB細胞である
【0705】 別の特定の実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)
もしくはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単
数または複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)を投与して、例えば
、結核で見られるような、単球性類白血病反応を処置、予防、診断、および/ま
たは改善する。
【0706】 別の特定の実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)
もしくはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単
数または複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)を投与して単球増加
症(monocytic leukocytosis)、単球減少症(mono
cytic leukopenia)、単球減少症(monocytopeni
a)、および/または単球増加症(monocytosis)を処置、予防、診
断、および/または改善する。
【0707】 別の特定の実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)
もしくはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単
数または複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)を投与して対宿主性
移植片病または移植拒絶を処置、予防、診断、および/または改善する。
【0708】 別の特定の実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)
もしくはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単
数または複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)を投与して貧血を処
置、予防、診断、および/または改善する。
【0709】 別の特定の実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)
もしくはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単
数または複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)を投与して、B細胞
悪性疾患(例えば、ALL)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ急
性白血病、プラスマ細胞腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、およびEBV
−癌化疾患(transformed disease)を処置、予防、診断、
および/または改善する。
【0710】 別の特定の実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複数)
もしくはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト(単
数または複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)を使用して、線維組
織形成および線維組織形成に関連した状態(例えば、肺線維症、嚢胞性線維症(
膵嚢胞性線維症、クラーク−ハッドフィールド症候群、膵線維嚢胞症、ムコビシ
ドーシス、および粘液過剰症のような線維組織形成を含む)、心内膜心筋線維症
、特発性腹膜後線維症、軟膜線維症、縦隔線維症、結節性表皮下線維組織増殖症
、中心静脈周囲線維化、筋周囲線維化、パイプ軸線維症、置換性線維形成、外膜
下線維症、およびシンマーズ陶製パイプ柄状線維症など。しかし、これらに限定
されない)を処置、予防、および/または診断する。
【0711】 非常に好ましい実施形態では、本発明のMPIFポリペプチド(単数または複
数)もしくはポリヌクレオチド(単数または複数)、またはそれらのアゴニスト
(単数または複数)もしくはアンタゴニスト(単数または複数)を使用して、特
に化学療法または放射線療法に付随するような、粘膜炎(mucositis)
を処置、予防、および/または診断する。
【0712】 本発明のMPIFポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および/またはそれ
らのアゴニストおよび/またはアンタゴニストをまた使用して、器官拒絶もしく
は対宿主性移植片病(GVHD)および/またはそれに付随する状態を処置、予
防、および/または診断し得る。器官拒絶は、免疫応答を通した、移植組織の宿
主免疫細胞破壊によって生じる。同様に、免疫応答はまた、GVHDにも関与す
るが、この場合には、外来の移植された免疫細胞が、宿主組織を破壊する。免疫
応答、特にT細胞、単球または他の炎症のメディエイタの増殖、分化、または走
化性を阻害する、本発明のMPIFポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、お
よび/またはそれらのアゴニストおよび/またはアンタゴニストの投与は、器官
拒絶またはGVHDを予防するにおいて有効な治療であり得る。さらに、マウス
において、MPIF−1を結合するCCR1レセプターの欠失は、同種移植片の
生存延長を生じさせることが示された(Gaoら,「Targeting of
the chemokine receptor CCR1 suppres
ses development of acute and chronic
cardiac allograft rejection」,J Clin
.Invest.2000年1月;105(1):35−44)。従って、例え
ば、MPIF−1アンタゴニストを介して、そのCCR1レセプターとのMPI
F−1または他のCCR1リガンドの相互作用をブロックすることは、急性およ
び慢性の移植片拒絶を予防するために有用である。
【0713】 同様に、本発明のMPIFポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/
またはそれらのアゴニストおよび/またはアンタゴニストをまた使用して、炎症
を調節し得る。例えば、本発明のMPIFポリヌクレオチドもしくはポリペプチ
ド、および/またはそれらのアゴニストおよび/またはアンタゴニストは、炎症
応答に関与する細胞の増殖および分化を阻害し得る。これらの分子を使用して、
炎症状態、慢性および急性の状態(慢性前立腺症、肉芽腫性前立腺症、およびマ
ラコプラキア、感染に付随する炎症(例えば、敗血症性ショック、敗血症、また
は全身性炎症反応症候群(SIRS))、虚血−再灌流障害、エンドトキシン致
死性(endotoxin lethality)、関節炎、補体媒介性超急性
拒絶(complement−mediated hyperacute re
jection)、腎炎、サイトカインもしくはケモカイン誘導性肺損傷、炎症
性腸疾患、クローン病、またはサイトカイン(例えば、TNFまたはIL−1)
の過剰産生の結果)を含む)の両方を処置、予防、および/または診断する。
【0714】 特定の実施形態では、本発明の抗MPIF抗体を使用して、炎症を処置、予防
、調節、検出、および/または診断する。
【0715】 特定の実施形態では、本発明の抗MPIF抗体を使用して、炎症性障害を処置
、予防、調節、検出、および/または診断する。
【0716】 好ましい実施形態では、本発明の組成物は、CD40リガンド(CD40L)
,CD40Lの可溶性形態(例えば、AVRENDTM),CD40Lの生物学的
に活性なフラグメント、改変体または誘導体,抗CD40L抗体(例えば、アゴ
ニスト性またはアンタゴニスト性の抗体),および/または抗CD40抗体(例
えば、アゴニスト性またはアンタゴニスト性の抗体)と組み合わせて投与される
【0717】 当該分野で認識されるように、抗体を参照して上記および本明細書中に記載さ
れた結合体およびキレートは等しく、MPIFポリペプチドの結合体およびキレ
ートに当てはまる。
【0718】 (免疫表現型分類(immunophenotyping)) 本発明の抗体
は、細胞株および生物学的サンプルの免疫表現型分類のために利用され得る。本
発明の遺伝子の翻訳産物は、細胞特異的マーカーとして、あるいはより詳細には
、特定の細胞型の分化および/または成熟の種々の段階で差示的に発現される細
胞マーカーとして有用であり得る。特定のエピトープ、またはエピトープの組み
合わせに対して指向されるモノクロナール抗体は、マーカーを発現する細胞集団
のスクリーニングを可能とする。種々の技術が、マーカーを発現する細胞集団を
スクリーニングするために、モノクロナール抗体を用いて利用され得、そしてそ
の技術には、抗体でコーティングされた磁気ビーズを用いる磁気分離、固体マト
リクス(すなわち、プレート)に付着した抗体を用いる「パンニング」、ならび
にフローサイトメトリー(例えば、米国特許第5,985,660号;およびM
orrisonら、Cell,96:737−49(1999)を参照のこと)
が挙げられる。
【0719】 これらの技術は、血液学的悪性腫瘍(すなわち、急性白血病患者における最少
残留疾患(minimal residual disease)(MRD))
および対宿主性移植片病(GVHD)を予防するための移植術における「非自己
」細胞と共に見出され得るような、細胞の特定集団のスクリーニングを可能にす
る。あるいは、これらの技術は、ヒト臍帯血において見出され得るような増殖お
よび/または分化を受け得る、造血幹細胞および前駆細胞のスクリーニングを可
能にする。
【0720】 (抗体結合についてのアッセイ) 本発明の抗体は、当該分野において公知の
任意の方法により、免疫特異的結合についてアッセイされ得る。用いられ得るイ
ムノアッセイとしては、いくつかのものについてだけ名称を挙げると、ウエスタ
ンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈
降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量ア
ッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイのような技術を用い
る競合アッセイ系および非競合アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されな
い。このようなアッセイは慣用的であり、そして当該分野において周知である(
例えば、その全体が本明細書中に参考として援用される、Ausubelら編,
1994,Current Protocols in Molecular
Biology,第1巻、John Wiley&Sons,Inc.,New
Yorkを参照のこと)。例示的なイムノアッセイが、以下に簡潔に記載され
る(が、これらは限定を目的とすることが意図されない)。
【0721】 免疫沈降プロトコルは、一般に、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプ
ロテアーゼのインヒビター(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナ
ジン酸ナトリウム)を補充したRIPA緩衝液(1% NP−40またはTri
ton X−100、1% デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、
0.15M NaCl、0.01M リン酸ナトリウム(pH7.2)、1%
Trasylol)のような溶解緩衝液中で、細胞の集団を溶解する工程、目的
の抗体を細胞溶解物に添加する工程、一定時間(例えば、1〜4時間)4℃でイ
ンキュベートする工程、プロテインAセファロースビーズおよび/またはプロテ
インGセファロースビーズを細胞溶解物に添加する工程、約1時間以上4℃でイ
ンキュベートする工程、溶解緩衝液中でビーズを洗浄する工程、およびSDS/
サンプル緩衝液中でビーズを再懸濁する工程を包含する。目的の抗体の、特定の
抗原を免疫沈降する能力は、例えば、ウエスタンブロット分析により、アッセイ
され得る。当業者は、抗体の抗原への結合を増加するように、そしてバックグラ
ウンドを減少させるように改変され得るパラメータ(例えば、セファロースビー
ズを用いて細胞溶解物を予め清澄化する工程)に関して、精通している。免疫沈
降プロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら編,
1994、Current Protocols in Molecular
Biology,第1巻、John Wiley&Sons、Inc.,New
York,10.16.1を参照のこと。
【0722】 ウエスタンブロット分析は、一般に、タンパク質サンプルを調製する工程、ポ
リアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量に応じて8%〜20% SDS−
PAGE)中でのそのタンパク質サンプルの電気泳動、そのタンパク質サンプル
をそのポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFまたはナイロン
のような膜に転写する工程、ブロッキング溶液(例えば、3% BSAまたは脱
脂粉乳を有するPBS)中でその膜をブロックする工程、洗浄緩衝液(例えば、
PBS−Tween 20)中でその膜を洗浄する工程、ブロッキング緩衝液中
で希釈された一次抗体(目的の抗体)と、その膜を接触させ/プロービングし/
インキュベートする工程、洗浄緩衝液中でその膜を洗浄する工程、ブロッキング
緩衝液中で希釈された酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはア
ルカリホスファターゼ)あるいは放射性分子(例えば、32Pまたは125I)
に結合した二次抗体(一次抗体を認識する、例えば、抗ヒト抗体)と、その膜を
接触させ/プロービングし/インキュベートする工程、洗浄緩衝液中でその膜を
洗浄する工程、ならびにその抗原の存在を検出する工程を包含する。当業者は、
検出されるシグナルを増加させるように、そしてバックグラウンドノイズを減少
させるように改変され得るパラメータに関して、精通している。ウエスタンブロ
ットプロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら編
,1994,Current Protocols in Molecular
Biology,第1巻、John Wiley&Sons,Inc.,Ne
w York,10.8.1を参照のこと。
【0723】 ELISAは、抗原を調製する工程、96ウェルマイクロタイタープレートの
ウェルをその抗原でコーティングする工程、酵素基質(例えば、西洋ワサビペル
オキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)のような検出可能な化合物に結合
した目的の抗体をそのウェルに添加し、そして一定時間インキュベートする工程
、およびその抗原の存在を検出する工程を包含する。ELISAにおいて、目的
の抗体は、検出可能な化合物に結合している必要はない;その代わり、検出可能
な化合物に結合した二次抗体(目的の抗体を認識する)が、ウェルに添加され得
る。さらに、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、抗体がウェルにコーテ
ィングされ得る。この場合、検出可能な化合物に結合した第二の抗体が、コーテ
ィングされたウェルへの目的の抗原の添加に続いて、添加され得る(すなわち、
サンドイッチELISA)。当業者は、検出されるシグナルを増加させるように
改変され得るパラメータ、および当該分野において公知のELISAの他のバリ
エーションに関して精通している。ELISAに関するさらなる考察については
、例えば、Ausubelら編,1994,Current Protocol
s in Molecular Biology,第1巻、John Wile
y&Sons,Inc.,New York,11.2.1を参照のこと。
【0724】 抗原に対する抗体の結合親和性および抗体−抗原相互作用のオフレート(of
f−rate)が、競合結合アッセイにより決定され得る。競合結合アッセイの
一つの例は、ラジオイムノアッセイであり、ラジオイムノアッセイは、漸増量の
非標識抗原の存在下での、標識抗原(例えば、3Hまたは125I)と目的の抗体と
のインキュベーション、および標識抗原に結合した抗体の検出を含む。特定の抗
原に対する目的の抗体の親和性、および結合オフレートは、スキャッチャードプ
ロット分析によるデータから決定され得る。第二の抗体との競合はまた、ラジオ
イムノアッセイを用いて決定され得る。この場合、抗原は、漸増量の非標識の第
二の抗体の存在下で、標識化合物(例えば、3Hまたは125I)に結合した目的の
抗体とともにインキュベートされる。
【0725】 (治療剤−抗体) 本発明はさらに、抗体ベースの治療に関し、この治療は、
1つ以上の開示された疾患、障害、または状態を処置するために、動物、好まし
くは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトの患者に、本発明の抗体を投与する工
程を包含する。本発明の治療化合物としては、本発明の抗体(本明細書中に記載
されるような、それらのフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)ならびに
本発明の抗体(本明細書中に記載されるような、それらのフラグメント、アナロ
グおよび誘導体ならびに抗イディオタイプ抗体を含む)をコードする核酸が挙げ
られるが、これらに限定されない。本発明の抗体は、本発明のポリペプチドの異
常な発現および/または活性に関連した疾患、障害または状態(本明細書中に記
載される任意の1つ以上の疾患、障害、または状態を含むがこれらに限定されな
い)を処置、阻害または予防するために使用され得る。本発明のポリペプチドの
異常な発現および/または活性に関連した疾患、障害または状態の処置および/
または予防は、それらの疾患、障害または状態に関連した症状を緩和する工程を
含むが、これに限定されない。本発明の抗体は、当該分野で公知であるか、また
は本明細書中に記載されるように、薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る
【0726】 本発明の抗体が治療的に使用され得る方法をまとめると、身体内で局所的にま
たは全身的に、あるいは抗体の直接的細胞傷害性(例えば、補体による媒介(C
DC)、またはエフェクター細胞による媒介(ADCC))により、本発明のポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドを結合させることを含む。これらのアプロー
チのいくつかは、より詳細に以下に記載される。本明細書中で提供される教示を
与えられれば、当業者は、過度の実験なしに、診断上の目的、モニタリングの目
的あるいは治療上の目的のために、本発明の抗体を使用する方法を理解する。
【0727】 本発明の抗体は、例えば、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活
性を増加させるために役立つ、他のモノクローナル抗体またはキメラ抗体、ある
いはリンホカインまたは造血増殖因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL
−7など)と組み合わせて有利に利用され得る。
【0728】 本発明の抗体は、単独で、または他の型の処置(例えば、放射線療法、化学療
法、ホルモン治療、免疫治療および抗腫瘍剤)との組み合わせで投与され得る。
一般的に、(抗体の場合には)患者の種と同じ種である種起源または種反応性の
生成物の投与が好ましい。従って、好ましい実施形態においては、ヒトの抗体、
フラグメント誘導体、アナログ、または核酸が、治療または予防のために、ヒト
の患者に投与される。
【0729】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらのフラグメントを含む
)に関するイムノアッセイ、およびそれらに関連した障害の治療の両方のために
、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する、高親和性および/ま
たは強力な、インビボでの阻害抗体および/または中和抗体、それらのフラグメ
ント、またはその領域を使用することが好ましい。このような抗体、フラグメン
ト、または領域は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド
(それらのフラグメントを含む)に対して親和性を有する。好ましい結合親和性
としては、5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、
10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、
10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10
、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×1
-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10- 15 Mより小さい解離定数すなわちKdを有する結合親和性が挙げられる。
【0730】 (抗体遺伝子治療) 特定の実施形態において、抗体またはその機能的誘導体をコードする配列を含
む核酸は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連した疾
患または障害を処置、阻害または予防するために、遺伝子治療の目的で投与され
る。遺伝子治療とは、発現したか、または発現可能な核酸の、被験体への投与に
より行われる治療をいう。本発明のこの実施形態において、核酸は、それらのコ
ードされたタンパク質を産生し、そのタンパク質は治療効果を媒介する。
【0731】 当該分野で利用可能な遺伝子治療のための任意の方法は、本発明に従って使用
され得る。例示的な方法が以下に記載される。
【0732】 遺伝子治療の方法の一般的な概説については、Goldspielら,Cli
nical Pharmacy 12:488−505(1993);Wuおよ
びWu,Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstos
hev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573
−596(1993);Mulligan,Science 260:926−
932(1993);ならびにMorganおよびAnderson,Ann.
Rev.Biochem.62:191−217(1993);May,TIB
TECH 11(5):155−215(1993)を参照のこと。使用され得
る、組換えDNA技術分野において一般的に公知である方法は、Ausubel
ら(編),Current Protocols in Molecular
Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);お
よびKriegler,Gene Transfer and Express
ion,A Laboratory Manual,Stockton Pre
ss,NY(1990)に記載される。
【0733】 好ましい局面において、化合物は抗体をコードする核酸配列を含有し、上記核
酸配列は、適切な宿主において、抗体、またはそのフラグメントもしくはキメラ
タンパク質、あるいはその重鎖もしくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部であ
る。特に、このような核酸配列は、抗体コード領域に作動可能に連結したプロモ
ーターを有し、上記プロモーターは誘導性であるかまたは構成性であり、そして
必要に応じて組織特異的である。別の特定の実施形態においては、抗体をコード
する配列および任意の他の所望の配列がゲノム中の所望の部位での相同組換えを
促進する領域に隣接した核酸分子が使用され、それにより抗体をコードする核酸
の染色体内の発現を提供する(KollerおよびSmithies,Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989
);Zijlstraら,Nature 342:435−438(1989)
)。特定の実施形態において、発現した抗体分子は単鎖抗体であるか;あるいは
この核酸配列は、この抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする配列またはその
フラグメントを含む。
【0734】 核酸の患者への送達は、直接的(この場合、患者は核酸または核酸保有ベクタ
ーに直接的に曝される)か、または間接的(この場合、細胞は最初にインビトロ
で核酸で形質転換され、次いで患者に移植される)のいずれかであり得る。これ
らの2つのアプローチは、インビボ遺伝子治療として、またはエキソビボ遺伝子
治療としてそれぞれ公知である。
【0735】 特定の実施形態において、核酸配列はインビボで直接的に投与され、そこで核
酸配列は発現されて、コードされた産物を産生する。これは、当該分野で公知の
多数の方法などのいずれかにより(例えば、それらを適切な核酸発現ベクターの
一部として構築し、そしてそれを細胞内になるように投与することにより(例え
ば、欠損性または弱毒化したレトロウイルスまたは他のウイルスベクター(米国
特許第4,980,286号を参照のこと)を用いた感染により)、あるいは、
裸のDNAの直接注射により、あるいは、微粒子ボンバードメント(例えば、遺
伝子銃;Biolistic、Dupont)の使用により、あるいは脂質もし
くは細胞表面のレセプターでコーティングするか、または薬剤をトランスフェク
トすることにより、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル中へのカプ
セル化により、あるいは、それらを核に進入することが公知であるペプチドと結
合させて投与することにより、レセプター媒介のエンドサイトーシスを受けるリ
ガンドとそれを結合させて投与することなどにより(例えば、WuおよびWu,
J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこ
と)(レセプターを特異的に発現する細胞型を標的にするために用いられ得る)
達成され得る。別の実施形態において、核酸−リガンド複合体が形成され得、こ
こで、このリガンドはエンドソームを破壊するフソジェニック(fusogen
ic)ウイルス性ペプチドを含み、核酸がリソソーム分解を回避するようにする
。さらに別の実施形態において、核酸は、特異的なレセプターを標的とすること
により、細胞特異的な取り込みおよび発現についてインビボで標的とされ得る(
例えば、PCT公開第WO92/06180号;同第WO92/22635号;
同第WO92/20316号;同第WO93/14188号、同第WO93/2
0221号を参照のこと)。あるいは、核酸は、細胞内に導入され得、そして相
同組換えにより、発現のために宿主細胞DNA中に組み込まれ得る(Kolle
rおよびSmithies,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:8932−8935(1989);Zijlstraら,Nature
342:435−438(1989))。
【0736】 特定の実施形態において、本発明の抗体をコードする核酸配列を含むウイルス
ベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが用いられ得る(Mi
llerら,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)
を参照のこと)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルス性ゲノムの正確
なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの正確な組込みのために必要な構成要
素を含む。遺伝子治療において使用される抗体をコードする核酸配列は、一つ以
上のベクター中にクローン化され、これは、患者内への遺伝子の送達を容易にす
る。レトロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、Boesenら,Bio
therapy 6:291−302(1994)(これは、造血性幹細胞を化
学療法に対してより耐性にするために、mdr1遺伝子を幹細胞に送達するため
の、レトロウイルスベクターの使用を記載する)に見出され得る。遺伝子治療に
おけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は、以下である。
:Clowesら,J.Clin.Invest.93:644−651(19
94);Kiemら,Blood 83:1467−1473(1994);S
almonsおよびGunzberg,Human Gene Therapy
4:129−141(1993);ならびにGrossmanおよびWils
on,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3
:110−114(1993)。
【0737】 アデノウイルスは、遺伝子治療において使用され得る他のウイルスベクターで
ある。アデノウイルスは、特に、気道上皮へ遺伝子を送達するための魅力的なビ
ヒクルである。アデノウイルスは、自然に気道上皮に感染し、そこで軽い疾患を
起こす。アデノウイルスに基づく送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮
細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染し得るという利
点を有する。KozarskyおよびWilson,Current Opin
ion in Genetics and Development 3:49
9−503(1993)は、アデノウイルスに基づく遺伝子治療の概説を示す。
Boutら,Human Gene Therapy 5:3−10(1994
)は、アカゲザルの気道上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクター
の使用を実証した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Ro
senfeldら,Science 252:431−434(1991);R
osenfeldら,Cell 68:143−155(1992);Mast
rangeliら,J.Clin.Invest.91:225−234(19
93);PCT公開第WO94/12649号;およびWangら,Gene
Therapy 2:775−783(1995)に見出され得る。好ましい実
施形態において、アデノウイルスベクターが使用される。
【0738】 アデノ随伴ウイルス(AAV)はまた、遺伝子治療における使用について提案
されてきた(Walshら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.2
04:289−300(1993);米国特許第5,436,146号)。
【0739】 遺伝子治療への別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクショ
ン、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染のような
方法により、組織培養中の細胞へ遺伝子を移入する工程を含む。通常、移入の方
法は、選択マーカーの細胞への移入を含む。次いで、細胞は、移入された遺伝子
を取り込みそして発現している細胞を単離するために選沢下に置かれる。それら
の細胞は次いで、患者に送達される。
【0740】 この実施形態においては、得られた組換え細胞のインビボ投与の前に、核酸が
細胞に導入される。このような導入は、当該分野において公知の任意の方法によ
り実施され得、それらの方法としては以下が挙げられるがこれらに限定されない
:トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション
、核酸配列を含むウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターでの感染
、細胞融合、染色体媒介の遺伝子移入、マイクロセル(microcell)媒
介の遺伝子移入、スフェロプラスト融合など。外来遺伝子の細胞への導入につい
ては、当該分野において多数の技術が公知であり(例えば、Loefflerお
よびBehr、Meth.Enzymol.217:599−618(1993
);Cohenら,Meth.Enzymol.217:618−644(19
93);Cline,Pharmac.Ther.29:69−92m(198
5)を参照のこと)、そしてレシピエント細胞の必要な発生的および生理学的機
能が破壊されない場合、本発明に従って使用され得る。この技術は、核酸の細胞
への安定した移入を提供するはずであり、その結果、核酸は、細胞により発現可
能であり、そして好ましくは、遺伝性であり、そしてその細胞の子孫により発現
可能である。
【0741】 得られた組換え細胞は、当該分野において公知の様々な方法により、患者へ送
達され得る。組換え血球(例えば、造血幹細胞または造血前駆細胞)は、好まし
くは、静脈内に投与される。使用が考えられる細胞の量は、所望の効果、患者の
状態などに依存し、そして当業者により決定され得る。
【0742】 遺伝子治療の目的のために核酸が導入され得る細胞は、任意の所望の入手可能
な細胞型を包含し、そして以下を含むがそれらに限定されない:上皮細胞、内皮
細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ
球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球のような血球;種
々の幹細胞または前駆細胞、特に、造血幹細胞または造血前駆細胞(例えば、骨
髄、臍帯血、末梢血、胎児の肝臓などから得られるような細胞)。
【0743】 好ましい実施形態において、遺伝子治療に使用される細胞は、患者に対して自
己である。
【0744】 遺伝子治療において組換え細胞が使用される実施形態において、抗体をコード
する核酸配列は、細胞またはそれらの子孫により核酸配列が発現可能であるよう
に細胞に導入され、次いで組換え細胞は、治療的効果のためにインビボで投与さ
れる。特定の実施形態において、幹細胞または前駆細胞が用いられる。インビト
ロで単離され得、そしてインビトロで保存され得る任意の幹細胞および/または
前駆細胞は、本発明のこの実施形態に従って潜在的に使用され得る(例えば、P
CT公開第WO94/08598号:StempleおよびAnderson,
Cell 71:973−985(1992);Rheinwald,Meth
.Cell Bio.21A:229(1980);ならびにPittelko
wおよびScott,Mayo Clinic Proc.61:771(19
86)を参照のこと)。
【0745】 特定の実施形態において、遺伝子治療の目的で導入される核酸は、コード領域
に作動可能に連結された誘導性プロモーターを含有し、その結果、核酸の発現は
、適切な転写誘導因子の存在または非存在を制御することにより制御可能である
【0746】 (治療活性または予防活性の実証) 本発明の化合物または薬学的組成物は、好ましくは、ヒトでの使用の前にイン
ビトロで、次いでインビボで、所望の治療活性または予防活性について試験され
る。例えば、化合物または薬学的組成物の治療有用性または予防有用性を実証す
るためのインビトロアッセイとしては、細胞株または患者組織サンプルに対する
化合物の効果が挙げられる。細胞株および/または組織サンプルに対する化合物
または組成物の効果は、当業者に公知である技術(ロゼット形成アッセイおよび
細胞溶解アッセイが挙げられるがこれらに限定されない)を利用して決定され得
る。本発明に従って、特定の化合物の投与が示されるかどうかを決定するために
用いられ得るインビトロアッセイとしては、インビトロ細胞培養アッセイが挙げ
られ、このアッセイでは、患者組織サンプルが培養において増殖され、そして化
合物に曝されるか、そうでなければ化合物が投与され、そして、組織サンプルに
対するそのような化合物の効果が観察される。
【0747】 (治療的/予防的な投与および組成物−抗体) 本発明は、被験体への有効量の本発明の化合物または薬学的組成物、好ましく
は本発明の抗体の投与による処置、阻害および予防の方法を提供する。好ましい
局面において、化合物は実質的に精製される(例えば、その効果を制限するかま
たは望ましくない副作用を生じる物質は実質的にない)。被験体は好ましくは、
ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物が挙げられるがそれらに限
定されない動物であり、そして好ましくは哺乳動物であり、そして最も好ましく
はヒトである。
【0748】 化合物が核酸または免疫グロブリンを含む場合に使用され得る処方物および投
与方法は、上記に記載され;さらなる適切な処方物および投与経路は、本明細書
中で以下に記載されたものの中から選択され得る。
【0749】 種々の送達系が公知であり、そして本発明の化合物を投与するために用いられ
得る(例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル中でのカプセル化、この
化合物の発現が可能な組み換え細胞、レセプター媒介エンドサイトーシス(例え
ば、WuおよびWu,J.Biol.Chem.262:4429−4432(
1987)を参照のこと)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての
核酸の構築など)。導入方法としては、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻
腔内、硬膜外、および経口経路が挙げられるがそれらに限定されない。化合物ま
たは組成物は、任意の好都合な経路により(例えば、注入またはボーラス注射に
より、上皮または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など
)を通しての吸収により)投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と一緒
に投与され得る。投与は、全身的または局所的であり得る。さらに、本発明の薬
学的化合物または組成物を、任意の適切な経路(脳室内注射および鞘内注射を包
含する;脳室内注射は、例えば、Ommayaリザーバのようなリザーバに取り
付けられた脳室内カテーテルにより容易にされ得る)により中枢神経系に導入す
ることが望まれ得る。例えば、吸入器または噴霧器の使用、およびエアゾール化
剤を用いた処方により、肺投与もまた使用され得る。
【0750】 特定の実施形態において、本発明の薬学的化合物または組成物を、処置の必要
な領域に局所的に投与することが望まれ得る;これは、制限する目的ではないが
、例えば、手術中の局部注入、局所適用(例えば、手術後の創傷包帯との組み合
わせて)により、注射により、カテーテルにより、坐剤により、またはインプラ
ント(このインプラントは、シアラスティック(sialastic)膜のよう
な膜または繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン様材料である)によ
り達成され得る。好ましくは、抗体を含む本発明のタンパク質を投与する場合、
タンパク質が吸収されない材料を使用するために注意が払われなければならない
【0751】 別の実施形態において、化合物または組成物は、小胞、特に、リポソーム中へ
送達され得る(Langer,Science 249:1527−1533(
1990);Treatら,Liposomes in the Therap
y of Infectious Disease and Cancer,L
opez−BeresteinおよびFidler(編),Liss,New
York,353〜365頁(1989);Lopez−Berestein,
同書317〜327頁を参照のこと;広く同書を参照のこと)。
【0752】 さらに別の実施形態において、化合物または組成物は、制御された放出系にお
いて送達され得る。1つの実施形態において、ポンプが用いられ得る(Lang
er(前出);Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.En
g.14:201(1987);Buchwaldら,Surgery 88:
507(1980);Saudekら,N.Engl.J.Med.321:5
74(1989)を参照のこと)。別の実施形態において、ポリマー材料が用い
られ得る(Medical Applications of Control
led Release,LangerおよびWise(編),CRC Pre
s.,Boca Raton,Florida(1974);Controll
ed Drug Bioavailability,Drug Product
Design and Performance,SmolenおよびBal
l(編),Wiley,New York(1984);RangerおよびP
eppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Ch
em.23:61(1983)を参照のこと;Levyら,Science 2
28:190(1985);Duringら,Ann.Neurol.25:3
51(1989);Howardら,J.Neurosurg.71:105(
1989)もまた参照のこと)。さらに別の実施形態において、制御された放出
系は、治療標的、即ち、脳に近接して配置され得、それにより、全身用量の一部
のみを必要とする(例えば、Goodson,Medical Applica
tions of Controlled Release(前出),第2巻,
115〜138頁(1984)を参照のこと)。
【0753】 他の制御された放出系は、Langerにより総説において議論される(Sc
ience 249:1527−1533(1990))。
【0754】 本発明の化合物がタンパク質をコードする核酸である、特定の実施形態におい
て、その核酸は、それを適切な核酸発現ベクターの一部として構成し、そしてこ
のベクターが細胞内になるようにこのベクターを投与することにより(例えば、
レトロウイルスベクターの使用により(米国特許第4,980,286号を参照
のこと)、または直接注射により、または微粒子ボンバードメント(例えば、遺
伝子銃;Biolistic,Dupont)の使用により、または脂質もしく
は細胞表面レセプターもしくはトランスフェクト剤でコーティングすることによ
り、または核に進入することが公知であるホメオボックス様ペプチドと結合させ
てこのベクターを投与すること(例えば、Joliotら,Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 88:1864−1868(1991)を参照の
こと)などにより、そのコードされたタンパク質の発現を促進するようにインビ
ボで投与され得る。あるいは、核酸は、細胞内に導入され得、そして、発現のた
めに相同組換えにより宿主細胞DNA内に組み込まれ得る。
【0755】 本発明はまた、薬学的組成物を提供する。このような組成物は、治療有効量の
化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。特定の実施形態において、
用語「薬学的に受容可能な」とは、動物における、そしてさらに特にヒトにおけ
る使用のために、連邦規制当局もしくは州政府により承認されたか、または米国
薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に列挙されたことを意味する。用語
「キャリア」とは、治療剤とともに投与される、希釈剤、アジュバンド、賦形剤
、またはビヒクルをいう。このような薬学的キャリアは、水および油(石油起源
、動物起源、植物起源、または合成起源の油(例えば、ピーナッツ油、大豆油、
鉱油、ごま油など)を含む)のような滅菌した液体であり得る。水は、薬学的組
成物が静脈内に投与される場合に、好ましいキャリアである。生理食塩水溶液、
ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液はまた、特に注射可能な溶
液に対して、液体キャリアとして使用され得る。適切な薬学的賦形剤としては、
デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、小麦
粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセ
ロール、滑石、塩化ナトリウム、乾燥した脱脂乳、グリセロール、プロピレン、
グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物はまた、所望される場合
、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含み得る。これらの組成物
は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出処方物など
の形態を取り得る。この組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリドのような
キャリアとともに、坐剤として処方され得る。経口処方物は、薬学的等級のマン
ニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナト
リウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような標準的なキャリアを含み得
る。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによる「Reming
ton’s Pharmaceutical Sciences」に記載される
。このような組成物は、治療有効量の化合物を、好ましくは精製された形態で、
適切な量のキャリアとともに含んで、患者への適切な投与のための形態を提供す
る。処方物は、投与の様式に適するべきである。
【0756】 好ましい実施形態において、組成物は、慣用手順に従って、ヒトへの静脈内投
与のために採用された薬学的組成物として、処方される。代表的には、静脈内投
与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液の溶液である。必要な場合、組成物は
また、可溶化剤および注射の部位での痛みを緩和するリグノカインのような局部
麻酔を含み得る。一般的には、成分は、別々にかまたは単位投薬形態と一緒に混
合されてのどちらかで、例えば、一定量の活性薬剤を示すアンプルまたは小袋(
sachette)のような気密容器中の乾燥した凍結粉末または水を含まない
濃縮物として供給される。組成物が注入により投与されるべき場合には、組成物
は、滅菌した薬学的等級の水または生理食塩水を含む注入ボトルに分配され得る
。組成物が注射により投与される場合、成分が投与の前に混合され得るように、
注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
【0757】 本発明の化合物は、中性のまたは塩の形態として処方され得る。薬学的に受容
可能な塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来する塩の
ようなアニオンとともに形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニ
ウム、カルシウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2
−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する塩のような
カチオンとともに形成される塩が挙げられる。
【0758】 本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性と関連する疾患または
障害の処置、抑制および予防において効果的である本発明の化合物の量は、標準
的な臨床技術により決定され得る。さらに、インビトロアッセイを使用して、必
要に応じて、最適な投薬量の範囲を同定するのを補助し得る。処方物において使
用されるべき正確な用量はまた、投与の経路、および疾患または障害の重篤さに
依存し、そして開業医の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである
。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線か
ら外挿され得る。
【0759】 抗体に関して、患者に投与される投薬量は、代表的に、患者の体重1kgあた
り0.1mg〜100mgである。好ましくは、患者に投与される投薬量は、患
者の体重1kgあたり0.1mgと20mgとの間であり、より好ましくは、患
者の体重1kgあたり1mg〜10mgである。一般に、ヒト抗体は、外来ポリ
ペプチドへの免疫応答に起因して、他種由来の抗体よりもヒト体内で長い半減期
を有する。従って、ヒト抗体のより低い投薬量および頻度のより少ない投与は、
しばしば可能である。さらに、本発明の抗体の投与の投薬量および頻度は、改変
(例えば、脂溶化(lipidation)など)による抗体の取り込みおよび
組織浸透(例えば、脳への)を増強することにより減少され得る。
【0760】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の一つ以上の成分で満たされている一つ
以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。薬学的製品または生
物学的製品の製造、使用または販売を規制している政府機関により規定される形
式における通告は、このような容器に、必要に応じて伴ない得る。この通告は、
ヒトの投与のための製造、使用または販売のこの機関による認可を反映する。
【0761】 (診断および画像化) 目的のポリペプチドに特異的に結合する標識化抗体、ならびにその誘導体およ
びそのアナログは、診断目的のために使用されて、本発明のポリペプチドの異常
な発現および/または活性に関連する疾患、障害および/または状態を検出、診
断またはモニターし得る。本発明は、目的のポリペプチドの異常な発現の検出に
ついて提供し、これは、(a)目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を
使用して、個体の細胞または体液中の目的のポリペプチドの発現をアッセイする
工程、および(b)この遺伝子発現レベルと標準的な遺伝子発現のレベルを比較
する工程であって、これによってその標準的な発現レベルと比較されるアッセイ
されたポリペプチド遺伝子発現レベルの増加または減少が、異常な発現を示す、
工程を包含する。
【0762】 本発明は、障害を診断するための診断アッセイを提供し、このアッセイは、(
a)目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を使用して、個体の細胞また
は体液中の目的のポリペプチドの発現をアッセイする工程、および(b)この遺
伝子発現レベルと標準的な遺伝子発現のレベルを比較する工程であって、これに
よって、その標準的な発現レベルと比較されるアッセイされたポリペプチド遺伝
子発現レベルの増加または減少が、特定の障害を示す、工程を包含する。癌に関
して、個体由来の生検組織における比較的高い量の転写物の存在は、疾患の発生
についての素因を示し得るか、または実際の臨床症状の出現前に疾患を検出する
ための手段を提供し得る。この型のより決定的な診断は、保健専門家が予防手段
を使用すること、または早期の積極的な処置を可能にし得、これにより、癌の発
生またはさらなる進行を予防する。
【0763】 本発明の抗体を使用して、当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法を使用し
て生物学的サンプル中のタンパク質レベルをアッセイし得る(例えば、Jalk
anenら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);
Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(
1987)を参照のこと)。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な、抗
体に基づく他の方法としては、イムノアッセイ(例えば、酵素結合イムノソルベ
ント検定法(ELISA)および放射免疫測定法(RIA))が挙げられる。適
切な抗体アッセイ標識は、当該分野において公知であり、そして酵素標識(例え
ば、グルコースオキシダーゼ);放射性同位体(例えば、ヨウ素(125I、121
)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)
、およびテクネチウム(99Tc));発光標識(例えば、ルミノール);ならび
に蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、ならびにビオチンが
挙げられる。
【0764】 本発明の1つの局面は、動物、好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒ
トにおける、目的のポリペプチドの異常な発現と関連する疾患または障害の検出
および診断である。1つの実施形態において、診断は、a)目的のポリペプチド
に特異的に結合する有効量の標識化分子を被験体に(例えば、非経口的に、皮下
に、または腹腔内に)投与する工程;b)このポリペプチドが発現される被験体
内の部位でこの標識化分子が優先的に濃縮することを可能にするために(および
結合していない標識化分子がバックグラウンドレベルまで除去されるために)投
与後、時間間隔を待つ工程;c)バックグラウンドレベルを決定する工程;なら
びにd)この被験体中の標識化分子を検出する工程であって、その結果、このバ
ックグラウンドレベルを超える標識化分子の検出は、この被験体が目的のポリペ
プチドの異常な発現と関連する特定の疾患または障害を有することを示す、工程
を包含する。バックグラウンドレベルは、特定の系について以前に決定された標
準的な値と、検出された標識化分子の量とを比較する工程を包含する種々の方法
により決定され得る。
【0765】 被験体のサイズおよび用いられる画像化システムは、診断画像を生成するため
に必要な画像化部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体
部分の場合には、ヒト被験体について、注射される放射能の量は、通常、99m
Tcの約5〜20ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗
体フラグメントは、特定のタンパク質を含む細胞の位置に優先的に蓄積される。
インビボ腫瘍画像化は、S.W.Burchielら、「Immunophar
macokinetics of Radiolabeled Antibod
ies and Their Fragments」(Tumor Imagi
ng:The Radiochemical Detection of Ca
ncer、S.W.BurchielおよびB.A.Rhodes編、Mass
on Publishing Inc.(1982)に記載される。
【0766】 用いられる標識の型および投与の様式を含む、いくつかの可変要素に依存して
、標識分子が被験体の部位に優先的に濃縮し、そして非結合性の標識分子がバッ
クグラウンドレベルまで一掃されることを可能にする、投与後の時間間隔は、6
〜48時間または6〜24時間または6〜12時間である。別の実施形態におい
ては、投与後の時間間隔は、5〜20日間または5〜10日間である。
【0767】 1つの実施形態においては、疾患または障害のモニタリングは、疾患または障
害を診断するための方法を繰り返すこと(例えば、最初の診断後1ヶ月、最初の
診断後6ヶ月、最初の診断後1年など)により行われる。
【0768】 標識分子の存在は、当該分野において公知のインビボ走査の方法を用いて、患
者から検出され得る。これらの方法は、用いられる標識の型に依存する。当業者
は、特定の標識を検出するための適切な方法を決定し得る。本発明の診断方法に
おいて用いられ得る方法およびデバイスとしては、限定はされないが、コンピュ
ーター断層撮影(CT)、陽子(position)射出断層撮影法(PET)
のような全身走査、磁気共鳴像(MRI)、および超音波診断法が挙げられる。
【0769】 特定の実施形態においては、この分子は放射性同位体で標識され、そして放射
線反応性の外科用機器を用いて患者から検出される(Thurstonら、米国
特許第5,441,050号)。別の実施形態においては、この分子は蛍光化合
物で標識され、そして蛍光反応性の走査機器を用いて患者において検出される。
別の実施形態においては、この分子は陽電子放出金属で標識され、そして陽子射
出断層撮影法を用いて患者(patent)において検出される。さらに別の実
施形態においては、この分子は常磁性標識で標識され、そして磁気共鳴映像(M
RI)を用いて患者から検出される。
【0770】 (抗体および他のキット) 本発明は、上記の方法において用いられ得るキットを提供する。1つの実施形
態においては、キットは、1以上の容器に入った本発明の抗体(好ましくは精製
された抗体)を含む。特定の実施形態においては、本発明のキットは、このキッ
トに含まれる抗体に対して特異的に免疫反応性のエピトープを含む、実質的に単
離されたポリペプチドを含む。好ましくは、本発明のキットは、目的のポリペプ
チドと反応しないコントロール抗体を、さらに含む。別の特定の実施形態におい
ては、本発明のキットは、抗体の目的のポリペプチドとの結合を検出するための
手段(例えば、検出可能な基質(例えば、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物
または発光化合物)と結合し得る抗体、または検出可能な基質と結合し得る第一
の抗体を認識する第二の抗体)を含む。
【0771】 別の特定の本発明の実施形態においては、このキットは、増殖性および/また
は癌性のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに対して特異的な抗体を含む血清
をスクリーニングする際に用いる診断用キットである。このようなキットは、目
的のポリペプチドと反応しないコントロール抗体を含み得る。このようなキット
は、少なくとも1つの抗ポリペプチド抗原抗体に対して特異的に免疫反応性のエ
ピトープを含む、実質的に単離されたポリペプチド抗原を含み得る。さらに、こ
のようなキットは、この抗体の抗原への結合を検出するための手段(例えば、フ
ローサイトメトリーにより検出され得る、フルオレセインまたはローダミンのよ
うな蛍光化合物と結合し得る抗体)を含む。特定の実施形態においては、このキ
ットは、組み換え的に産生されたポリペプチド抗原または化学的に合成されたポ
リペプチド抗原を含み得る。このキットのポリペプチド抗原はまた、固体支持体
に付着され得る。
【0772】 より特定の実施形態においては、上記のキットの検出手段は、このポリペプチ
ド抗原が付着される固体支持体を含む。このようなキットはまた、非付着レポー
ター標識抗ヒト抗体を含み得る。この実施形態においては、抗体のポリペプチド
抗原との結合はこのレポーター標識抗体の結合により検出され得る。
【0773】 さらなる実施形態においては、本発明は、本発明のポリペプチドの抗原を含む
血清をスクリーニングする際に用いる診断用キットを含む。この診断用キットは
、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫活性な、実質的に単
離された抗体、およびポリヌクレオチドまたはポリペプチド抗原の抗体との結合
を検出する手段を含む。1つの実施形態においては、抗体は、固体支持体に付着
される。特定の実施形態においては、その抗体は、モノクロナール抗体であり得
る。このキットの検出手段は、第二の標識モノクロナール抗体を含み得る。ある
いは、またはさらに、この検出手段は、標識された、競合抗原を含み得る。
【0774】 1つの診断の構成においては、試験血清は、本発明の方法により得られる表面
結合抗原を有する固相試薬と反応する。特異的な抗原抗体をこの試薬と結合させ
、そして結合されない血清成分を洗浄により除去した後、固体支持体上に結合す
る抗抗原抗体の量に応じて、レポーターをこの試薬と結合させるために、この試
薬をレポーター標識抗ヒト抗体と反応させる。この試薬は、結合されない標識抗
体を除去するため、再び洗浄され、そしてこの試薬と会合したレポーターの量が
決定される。代表的には、レポーターは、適切な蛍光測定基質、発光基質または
比色基質(Sigma,St.Louis,MO)の存在下で、この固相をイン
キュベートすることにより検出される酵素である。
【0775】 上記のアッセイにおける固体表面試薬は、タンパク質材料を固体支持体材料(
例えば、高分子ビーズ、計深棒、96ウェルプレートまたは濾過材料)に付着さ
せるための公知の技術により調製される。これらの付着方法としては、一般的に
、支持体へのタンパク質の非特異的な吸着または固体支持体上の化学的に活性な
基(例えば、活性なカルボキシル基、ヒドロキシル基、またはアルデヒド基)と
のタンパク質の共有結合(covalent attachment)(代表的
には、遊離アミノ基を介する)が挙げられる。あるいは、ストレプトアビジンで
コートされたプレートが、ビオチン化された抗原と共に使用され得る。
【0776】 従って、本発明は、この診断方法を行うためのアッセイ系またはキットを提供
する。このキットは、一般的に、表面結合された組み換え抗原を有する支持体、
および表面結合された抗抗原抗体を検出するための、レポーター標識された抗ヒ
ト抗体を含む。
【0777】 以下の実施例の理解を容易にするために、特定の頻繁に存在する方法および/
または用語が記載される。
【0778】 「プラスミド」は、先行する小文字のp、ならびに/または続く大文字および
/もしくは数字によって示される。本明細書中の出発プラスミドは、市販される
か非限定的な基準に基づいて公に入手可能か、または公開された手順に従って入
手可能なプラスミドから構築され得るかのいずれかである。さらに、これらに記
載されるプラスミドと等価なプラスミドが、当該分野で公知であり、そして当業
者に明らかである。
【0779】 DNAの「消化」は、DNA内の特定の配列でのみ作用する制限酵素でのDN
Aの触媒的切断をいう。本明細書中で使用される種々の制限酵素が市販され、そ
してそれらの反応条件、補因子、および他の必要物は、当業者に公知のように使
用された。分析目的には、代表的に、1μgのプラスミドまたはDNAフラグメ
ントが、約20μgの緩衝液溶液中の約2単位の酵素とともに使用される。プラ
スミド構築物からDNAフラグメントを単離する目的には、代表的には、5〜5
0μgのDNAが、より大きな容量中で20〜250単位の酵素で消化される。
特定の制限酵素についての適切な緩衝液および基質量は、製造者によって特定さ
れている。37℃で約1時間のインキュベーション時間が通常使用されるが、供
給者の使用説明書に従って変化し得る。消化後、反応物を直接ポリアクリルアミ
ドゲルで電気泳動し、所望のフラグメントを単離する。
【0780】 切断フラグメントのサイズ分離は、Goeddel,D.ら、Nucleic
Acids Res.、8:4057(1980)に記載の8%ポリアクリル
アミドゲルを用いて実施される。
【0781】 「オリゴヌクレオチド」は、化学的に合成され得る一本鎖ポリデオキシヌクレ
オチドまたは2つの相補的ポリデオキシヌクレオチドのいずれかをいう。このよ
うな合成オリゴヌクレオチドは、5’リン酸を有さず、従ってキナーゼの存在下
でATPとともにリン酸を付加することなくして別のオリゴヌクレオチドに連結
されない。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸化されていないフラグメントと
連結する。
【0782】 「連結」は、2本鎖核酸フラグメント間にホスホジエステル結合を形成する過
程をいう(Maniatis,T.ら、前出、146頁)。他に提供されない限
り、連結は、既知の緩衝液および連結されるべきDNAフラグメントのほぼ等モ
ル量の0.5μgあたり10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を有
する条件を用いて達成され得る。
【0783】 他に記述されない限り、形質転換は、Graham,FおよびVan der
Eb,Aら、Virology、52:456−457(1973)の方法に
記載のように実施された。
【0784】 ここで本発明を一般的に記載したが、本発明の例示のために提供され、そして
本発明を限定することを意図しない以下の実施例を参照することによって同じこ
とがより容易に理解される。
【0785】 (実施例1) (MPIF−1の細菌発現および精製) MPIF−1、ATCC#75676をコードするDNA配列をまず、5’に
対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマー、およびプロセス後のMPIF−
1タンパク質(これからシグナルペプチド配列を除去したもの)、ならびにMP
IF−1遺伝子の3’側のベクター配列を用いて増幅する。Bam HIおよび
Xba Iに対応する追加的なヌクレオチドを5’側配列および3’側配列にそ
れぞれ追加した。5’オリゴヌクレオチドプライマーは、配列5’−TCAGG
ATCCGTCACAAAAGATGCAGA−3’(配列番号8)を有してお
り、この配列は、Bam HI制限酵素部位の後に、プロセスされたタンパク質
コドンの推定末端アミノ酸から始まるMPIF−1コード配列の18個のヌクレ
オチドを含む。3’側配列5’−CGCTCTAGAGTAAAACGACGG
CCAGT−3’(配列番号9)は、Xba I部位に対する相補配列を含んで
いる。
【0786】 制限酵素部位は細菌発現ベクターpQE−9(Qiagen、Inc.Cha
tsworth、CA)上の制限酵素部位に対応する。pQE−9は、抗生物質
耐性(Ampr)、細菌の複製起点(ori)、IPTG−調節可能プロモータ
ーオペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6−Hisタグお
よび制限酵素部位をコードする。次いでpQE−9をBam HIおよびXba
Iで消化する。増幅した配列をpQE−9に連結し、ヒスチジンタグおよびR
BSをコードする配列をインフレームで挿入する。次いで連結混合物を用いて、
Qiagenから入手可能であるE.coli株M15/rep4を形質転換す
る。M15/rep4は、lacIリプレッサーを発現し且つカナマイシン耐性
(Kanr)を付与する、プラスミドpREP4の複数のコピーを含んでいる。
形質転換体をLBプレート上で増殖できる能力によって同定し、アンピシリン/
カナマイシン耐性のコロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、Amp(
100μg/ml)およびKan(25μg/ml)の両方を補ったLB培地中
における液体培養中で、一晩(O/N)の制限分析によって確認する。(O/N
)培養物を用いて、大培養物を1:100から1:250の比で接種する。細胞
を、0.4から0.6の間の吸光度600(O.D.600)まで増殖させる。次
いで、最終濃度が1mMになるようにIPTG(「イソプロピル−B−D−チオ
ガラクトピラノシド」)を添加する。IPTGは、lacIリプレッサーを不活
性化することによって誘導し、P/Oを鮮明にする(clear)ことにより遺
伝子発現を増大する。細胞をさらに3〜4時間増殖させる。次いで細胞を遠心分
離で収穫する。細胞ペレットを、カオトロピズム(chaotropic)剤で
ある6MグアニジンHClに可溶化する。清澄の後、6−Hisタグを含有する
タンパク質の緊密な結合を可能にする条件下におけるニッケル−キレートカラム
のクロマトグラフィーにより、この溶液から、可溶化されたMPIF−1を精製
する。Hochuli,E.ら、J.Chromatography 411:
177−184(1984)。MPIF−1(95%純度)を6MグアニジンH
Cl pH5.0中においてカラムから溶出させ、再生のために、3Mグアニジ
ンHCl、100mMリン酸ナトリウム、10mMグルタチオン(還元)および
2mMグルタチオン(酸化)に調節する。この溶液中での12時間のインキュベ
ーション後、タンパク質を10mMリン酸ナトリウムに対して透析する。
【0787】 あるいは、以下の非タグ化プライマーを用いて、遺伝子をプラスミドpQE7
0にクローニングした。
【0788】
【化6】 (E.coliに対して最適化されたMPIF−1の構築) E.coli発現系におけるMPIF−1の発現レベルを増大するため、よく
用いられるE.coliコドンに対して遺伝子のコドンを最適化した。MPIF
−1の最適化領域の合成のため、4個の一連のオリゴヌクレオチド、mpif−
lオリゴ番号1〜4(後述)を作成した。これらの重複するオリゴを、以下の条
件での7回のPCR反応において用いた:
【0789】
【化7】 7回の合成の後、この領域に対する5’プライマー(ACA TGC ATG GU GUU ACC AAA GAC GCU GAA ACC GAA
UUC AUG AUG UCC(配列番号12)(GC ATG C:は下
線表示))およびこの領域全体に対する3’プライマー(GCC CAA GC
T TTC AGT TTT TAC GGG TTT TGA TAC GG
G(配列番号13))を、6個のオリゴヌクレオチドの最初の反応からの1マイ
クロリットルを含むPCR反応物に加えた。この生成物を以下の条件を用いて3
0回増幅した:
【0790】
【化8】 この最後の反応で生成された生成物を、SphIおよびHindIIIによっ
て制限し、同様にSphIおよびHindIIIによって切断されたpQE70
にクローニングした。これらのクローンを発現させ、上述の変異がない、より優
れた発現レベルを有することを見いだした。
【0791】 mpifオリゴ番号1:
【0792】
【化9】 (配列番号14)。
【0793】 mpif−1オリゴ番号2:
【0794】
【化10】 (配列番号15)。
【0795】 mpif−1オリゴ番号3:
【0796】
【化11】 (配列番号16)。
【0797】 mpif−1オリゴ番号4:
【0798】
【化12】 (配列番号17)。
【0799】 (MPIF−1欠失変異体の構築) 上述のE.coli最適化MPIF−1構築物を用いて、MPIF−1遺伝子
の5’末端から欠失変異体を構築した。5’欠失物を構築するために用いたプラ
イマーは後述する。E.coli最適化MPIF−1構築物について上述したの
と同様にPCR増幅を行った。Delta17−A qe6、Delta23、
Delta28についての生成物を、5’部位に対してはNcoIで制限し、3
’部位に対してはHindIIIで制限し、NcoIおよびHindIIIによ
って消化されたプラスミドpQE60にクローニングした。その他の全ての生成
物は、5’部位に対してはSphIで制限し、3’部位に対してはHindII
Iで制限し、SphIおよびHindIIIによって消化されたプラスミドpQ
E70にクローニングした。
【0800】 用いた5’プライマーは以下の通りである: Delta 17−A qe6 (pQE60)
【0801】
【化13】 (配列番号18)。
【0802】 この欠失変異体の得られたアミノ酸配列:
【0803】
【化14】 (配列番号19)。
【0804】 Delta 16−A qe7 (pQE70)
【0805】
【化15】 (配列番号20)。
【0806】 この欠失変異体の得られたアミノ酸配列:
【0807】
【化16】 (配列番号21)。
【0808】 Delta 23 (pQE60)
【0809】
【化17】 (配列番号22) この欠失変異体の得られたアミノ酸配列:
【0810】
【化18】 (配列番号23)。
【0811】 Delta 24 (pQE70)
【0812】
【化19】 (配列番号24)。
【0813】 この欠失変異体の得られたアミノ酸配列:
【0814】
【化20】 (配列番号4)。
【0815】 Delta 28 (pQE60)
【0816】
【化21】 (配列番号25)。
【0817】 この欠失変異体の得られたアミノ酸配列:
【0818】
【化22】 (配列番号26)。
【0819】 S70 から A変異体(70位のSerをAlaに変異した)(pQE70
) アンチセンス ttc gaa gta ggc ttc cag cag(配
列番号27) センス ctg ctg gaa gcc tac ttc gaa(配列番号
28)。
【0820】 5’SphIフル
【0821】
【化23】 (配列番号29)。
【0822】 この欠失変異体の得られたアミノ酸配列:
【0823】
【化24】 (配列番号30)。
【0824】 全ての構築物に用いた3’プライマー: 3’Hind III
【0825】
【化25】 (配列番号31)。
【0826】 E.coli発現のための「成熟」MPIF−1(図19における変異体−1
【0827】
【化26】 (配列番号3)。
【0828】 (実施例2) 哺乳類細胞中のMPIF−1遺伝子配列の一過性発現に用いられるベクターの
ほとんどは、SV40複製起点を有するべきである。これにより、ウイルスDN
A合成の開始に必要なT抗原を発現する細胞(例えば、COS細胞)中で複写数
の多いベクターの複製が可能となる。この目的のためには他のいかなる哺乳類細
胞株でも利用し得る。
【0829】 典型的な哺乳類発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモータ
要素、タンパク質コード配列、および転写物の転写の終了およびポリアデニル化
に必要なシグナルを含む。さらに含まれる要素としては、エンハンサー、Koz
ak配列、およびRNAスライシングのためにドナー部位とアクセプター部位と
に挟まれた介在配列がある。SV40からの初期および後期プロモーター、レト
ロウイルス、例えばRSV、HTLVI、HIVIからの長末端反復(LTR)
、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターにより、効率性の
高い転写が実現され得る。しかし、細胞性シグナルもまた用いられ得る(例えば
、ヒトアクチンプロモーター)。本発明を実行する場合に使用される適切な発現
ベクターは、例えば、sPVLおよびpMSG(Pharmacia、Upps
ala、Sweden)、pRSV cat(ATCC 37152)、pSV
2dhfr(ATCC 37146)、およびpBC12MI(ATCC 67
109)のようなベクターが含まれる。使用され得る哺乳類宿主細胞としては、
ヒトHeLa、283、H9およびJurkart細胞、マウスNIH3T3お
よびC127細胞、Cos 1、Cos 7およびCV1、アフリカミドリザル
細胞、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、ならびにチャイニーズハムスター
卵巣細胞が挙げられる。
【0830】 あるいは、遺伝子は、染色体に組込まれたその遺伝子を含む安定細胞株中で発
現され得る。dhft、gpt、ネオマイシン、ハイグロマイシンのような選択
可能マーカーとの同時トランスフェクションにより、トランスフェクトされた細
胞の同定および単離が可能となる。
【0831】 トランスフェクトされた遺伝子はまた、多量のコード化タンパク質を発現する
ように増幅され得る。目的の遺伝子の数百個または数千個もの複写を有する細胞
株を発現するためには、DHFR(ジヒドロフォレート還元酵素)が有用なマー
カーである。別の有用な選択マーカーとしては、酵素グルタミンシンターゼ(G
S)がある(Murphyら、Biochem J.227:277−279(
1991):Bebbingtonら、Bio/Technology 10:
169−175(1992))。このようなマーカーを用いて、選択培地内で哺
乳類細胞を成長させ、最も高い耐性を有する細胞が選択される。これらの細胞株
は、染色体に組込まれた増幅遺伝子を含む。タンパク質の産生にはチャイニーズ
ハムスター卵巣(CHO)細胞が用いられることが多い。
【0832】 発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力プロモーター
(LTR)(Cullenら、Molecular and Cellular
Biology、438−447(March、1985))、およびCMV
エンハンサーのフラグメント(Boshartら、Cell 41:521−5
30(1985))を含む。マルチクローニング部位は、例えば、制限酵素切断
部位BamHI、XbaIおよびAsp718と共に、目的の遺伝子のクローニ
ングを容易にする。ベクターはさらに、3’イントロン、ラットプレプロインス
リン遺伝子のポリアデニル化および末端シグナルを含む。
【0833】 (A.COS細胞中の組換えMPIF−1の発現) プラスミドCMV−MPIF−1 HAの発現は、1)SV40複製起点、2
)アンピシリン耐性遺伝子、3)E.coli複製起点、4)CMVプロモータ
ー、続いてポリリンカー領域、SV40イントロン、およびポリアデニル化部位
を含むベクターpcDNAI/Amp(インビトロゲン)に由来する。MPIF
−1前駆体全体およびその3’末端にインフレームで融合されるHAタグをコー
ドするDNAフラグメントが、ベクターのポリリンカー領域にクローン化される
。従って、組換えタンパク質発現は、CMVプロモーターの下で行われる。HA
タグは、上述のようにインフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来のエピトー
プに対応する(Wilson,H.ら、Cell 37:767(1991))
。HAタグのターゲットタンパク質への侵入により、HAエピトープを認識する
抗体による組換えタンパク質の検出が容易となる。
【0834】 プラスミドの構築ストラテジーについて以下に述べる。
【0835】 MPIF−1をコードするDNA配列、ATCC#75676は、以下の2つ
のプライマーを用いてクローンされるオリジナルEST上のPCRによって構築
される。すなわち、5’プライマー、5’−GGAAAGCTTATGAAGG
TCTCCGTGGCT−3’(配列番号32)、HindIII部位およびこ
れに続く開始コドンから始まる18個のヌクレオチドのMPIF−1コード配列
を含む。および3’配列、5’−CGCTCTAGATCAAGCGTAGTC
TGGGACGTCGTATGGGTAATTCTTCCTGGTCTTGAT
CC−3’(配列番号33)、XbaI部位、翻訳停止コドン、HAタグ、およ
びMPIF−1コード配列の最後の20個のヌクレオチド(停止コドンは含まな
い)の相補配列を含む。従って、PCR産物は、HindIII部位、MPIF
−1コード配列、これに続くインフレームで融合されるHAタグ、HAタグの次
の翻訳終了停止コドン、およびXbaI部位を含む。PCR増幅DNAフラグメ
ントおよびベクターpcDNAI/Ampは、HindIIIおよびXbaI制
限酵素により消化され連結される。連結混合物を、E.coli株SURE(S
tratagene Cloning Systems、11099 Nort
h Torrey Pines Road、La Jolla、CA 9203
7から入手可能)に形質転換し、形質転換された培養物をアンピシリン培地プレ
ートで培養して、耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを形質転換体から
単離し、制限分析によって正しいフラグメントが存在するかどうかを調べる。組
換えMPIF−1の発現では、COS細胞がDEAE−DEXTRAN法(J.
Sambrook,E.Fritsch,T.Maniatis、Molecu
lar Cloning:A Laboratory Manual、Cold
Spring Laboratory Press(1989))によって発
現ベクターによりトランスフェクトされる。MPIF−1−HAタンパク質の発
現は、放射標識および免疫沈降法(E.Harlow,D.Lane、Anti
bodies:A Laboratory Manual、Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press(1988))によっ
て検出される。細胞を、トランスフェクションの2日後35S−システインにより
8時間標識化する。次に培養培地を回収して、細胞を界面活性剤(RIPA緩衝
液(150mMのNaCl、1%のNP−40、0.1%のSDS、1%のNP
−40、0.5%のDOC、50mMのTris、pH7.5)(Wilson
,Iら、上記、37:767(1984))により溶解させる。細胞溶解物およ
び培養培地の両方が、HAに特異的なモノクローナル抗体により沈降する。沈降
したタンパク質を15%のSDS−PAGEゲルで分析する。
【0836】 (B.CHO細胞中のクローニングおよび発現) MPIF−1タンパク質の発現にはベクターpC1が用いられる。プラスミド
pC1は、プラスミドpSV2−dhfr(ATCC登録番号37146)の誘
導体である。両方のプラスミドが、SV40初期プロモーターの制御下でマウス
DHFR遺伝子を含む。これらのプラスミドによりトランスフェクトされる、ジ
ヒドロフォレート活性の無いチャイニーズハムスター卵巣細胞または他の細胞が
、化学療法剤メトトレキサートが補充された選択培地(アルファマイナスMEM
、Life Technologies)中で細胞を成長させることによって選
択され得る。メトトレキサート(MTX)に耐性である細胞中のDHFR遺伝子
の増幅については十分に記述されている(例えば、Alt,F.W.、Kell
ems,R.M.、Bertino,J.R.およびSchimke,R.T.
、1978、J.Biol.Chem.253:1357−1370:Haml
in,J.L.およびMa,C.、1990、Biochem.et Biop
hys.Acta、1097:107−143:Page,M.J.およびSy
denham,M.A.、1991、Biotechnology 第9巻:6
4−68参照)。高濃度のMTX中で成長させた細胞は、DHFR遺伝子の増幅
の結果としてターゲット酵素DHFRを過剰産生することによって薬剤への耐性
を生じさせる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子にリンクされる場合は、第2の遺
伝子は通常は共増幅されて過剰発現する。最先端技術では、1,000個を超え
る数の遺伝子複写を有する細胞株が生成される。続いて、メトトレキサートを除
去すると、細胞株は染色体に組込まれた増幅遺伝子を含む。
【0837】 プラスミドpC1は、目的の遺伝子の発現のために、ラウス肉腫ウイルスの長
末端反復(LTR)の強力プロモーター(Cullenら、Molecular
and Cellular Biology、March 1985:438
−4470)、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)の直接初期遺伝子の
エンハンサーから単離されたフラグメント(Boshartら、Cell 41
:521−530、1985)を含む。プロモーターの下流側は、続いて、遺伝
子の統合を可能にする単一制限酵素開裂部位BamHIであり、この後、3’イ
ントロンおよびラットプレプロインスリン遺伝子のポリアデニル化部位が続く。
発現には他の効率性の高いプロモーター、例えば、ヒトβアクチンプロモーター
、SV40初期または後期プロモーター、または他のレトロウイルス、例えばH
IVおよびHTLVIからの長末端反復が用いられ得る。mRNAのポリアデニ
ル化には、例えばヒト成長ホルモンまたはグロビン遺伝子からの他のシグナルも
同様に用いられ得る。
【0838】 染色体に組込まれた目的の遺伝子を有する安定細胞株はまた、gpt、G41
8またはハイグロマイシンのような選択マーカーと同時トランスフェクトされる
と選択され得る。最初に1つより多い選択マーカーを、例えばG418にメトト
レキサートをプラスして用いると有利である。
【0839】 プラスミドpC1は、制限酵素BamHIにより消化され、次に当該分野では
既知の手順によって、子牛腸ホスフェートを用いて脱ホスホリル化する。次にベ
クターを1%アガロースゲルから単離する。
【0840】 MPIF−1、ATCC番号75676をコードするDNA配列は、遺伝子の
5’および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増
幅される。
【0841】 5’プライマーは、配列:
【0842】
【化27】 (配列番号34)を有し、これは、下線のBamHI制限酵素部位および図1の
MPIF−1タンパク質をコードする配列(配列番号1)の一部を含む。後述す
るように、発現ベクターに挿入されると、ヒトMPIF−1をコードする増幅フ
ラグメントの5’末端は効率的なシグナルペプチドを提供する。Kozak,
M.、J.Mol.Biol.196:947−950(1987)に記載され
ているように、真核生物細胞内での翻訳開始のための効率的なシグナルは、構築
物のベクター部内に適切に位置している。
【0843】 3’プライマーは配列:
【0844】
【化28】 (配列番号35)を有し、これは、Asp718制限部位、および、停止コドン
を含む、図1に示されているMPIF−1コード配列(配列番号1)に相補的な
ヌクレオチド部分を含む。
【0845】 増幅フラグメントは、上述のように1%アガロースゲルから単離され、次にエ
ンドヌクレアーゼBamHIおよびAsp718により消化され、そして1%ア
ガロースゲル上で再び精製される。
【0846】 次に、単離されたフラグメントおよび脱リン酸化されたベクターはT4 DN
Aリガーゼにより連結される。次にE.coli HB101細胞は形質転換さ
れ、制限酵素BamHIを用いて正しい方位で挿入されたプラスミドpC1を含
むバクテリアが同定される。挿入された遺伝子の配列は、DNA配列化によって
確認される。
【0847】 (CHO−DHFR細胞のトランスフェクション) トランスフェクションのために活性DHFR酵素の無いチャイニーズハムスタ
ー卵巣細胞が用いられる。5μgの発現プラスミドClをリポフェクト法(Fe
lgnerら、上記)を用いて0.5μgのプラスミドpSVneoにより同時
トランスフェクトする。プラスミドpSV2−neoは支配的な選択マーカー、
G418を含む抗生物質群への耐性を与える酵素をコードするTn5からの遺伝
子neoを含む。細胞を、1mg/mlのG418により補充されるアルファマ
イナスMEM内に播種する。2日後、細胞をハイブリドーマクローニングプレー
ト(Greiner、Germany)でトリプシン処理および播種し、10〜
14日間培養する。この期間後、単一クローンをトリプシン処理し、次に様々な
濃度のメトトレキサート(25nM、50nM、100nM、200nM、40
0nM)を用いて6ウェルのペトリ皿内に播種する。次に最も高い濃度のメトト
レキサートで成長するクローンを、もっと高い濃度のメトトレキサート(500
nM、1μM、2μM、5μM)を含む新しい6ウェルプレートに移す。クロー
ンが100μMの濃度で成長するまで、同じ手順を繰り返す。
【0848】 所望の遺伝子産物が発現したかどうかを、ウェスタンブロット分析およびSD
S−PAGEによって分析する。
【0849】 (実施例3) (ヒト組織中のMPIF−1の発現パターン) ヒト組織中のMPIF−1の発現レベルを調べるためにノーザンブロット分析
を実行した。全細胞RNAサンプルをRNAzolTMBシステム(Biotex
Laboratories、Inc.、6023 South Loop E
ast、Houston、TX 77033)により単離した。特定された各ヒ
ト組織から単離された全RNAの約10μgを、1%アガロースゲルで分離して
、ナイロンフィルター(Sambrook、FritschおよびManiat
is、Molecular Cloning、Cold Spring Har
bor Press,(1989))上にブロットした。50ngのDNAフラ
グメントを用いてStratagene Prime−Itキットに従って標識
反応を行った。標識されたDNAをSelect−G−50カラム(5 Pri
me−3 Prime、Inc.、5603 Arapahoe Road、B
oulder、CO 80303)で精製した。次にフィルターを、0.5Mの
NaPO4、pH7.4および7%のSDS中に1,000,000cpm/m
lの放射性同位元素標識された全長MPIF−1遺伝子により、65℃で一夜ハ
イブリダイズする。0.5×SSC、0.1%のSDSで室温で2度および60
℃で二度洗浄した後、フィルターを増感スクリーンを用いて−70℃で一夜曝露
した。
【0850】 (実施例4) (バキュロウィルス発現系を用いたケモカインMPIF−1の発現および精製
) SF9細胞を、MPIF−1 cDNAを発現するように設計された組換えバ
キュロウィルスによって感染させた。細胞をMOI2で感染させ、28℃にて7
2〜96時間培養した。感染培養物由来の細胞残滓を、低速遠心分離により除去
した。最終濃度が20μg/ml Pefabloc SC、1μg/ml ロ
イペプチン、1μg/ml E−64および1mM EDTAになるように、上
清にプロテアーゼインヒビターカクテルを加えた。15%SDS−PAGEゲル
に上清のみ20〜30μlをロードすることにより、上清中におけるMPIF−
1のレベルをモニターした。MPIF−1は、数mg/リットルの発現レベルに
対応して9Kd可視バンドとして検出された。3段階精製手順によりMPIF−
1をさらに精製した:ヘパリン結合性アフィニティクロマトグラフィー。バキュ
ロウィルス培養物の上清を、100mM HEPES/MES/NaOAc p
H6を含有する緩衝液の1/3容量と混合し、0.22μm膜を介して濾過した
。次に、サンプルをヘパリン結合カラム(HEl poros 20、Bi−P
erceptive System Inc.)にかけた。pH6の50mM
HEPES/MES/NaOAc中50〜500mM NaClの直線勾配で、
MPIF−1を約300mM NaClにて溶出した;カチオン交換クロマトグ
ラフィー。ヘパリンクロマトグラフィーから得られたMPIF−1に富む画分を
、50mM HEPES/MES/NaOAc pH6を含有する緩衝液を用い
て5倍に希釈した。次に、得られた混合物をカチオン交換カラム(S/M po
ros 20、Bio−Perceptive Systems Inc.)に
かけた。pH6の50mM HEPES/MES/NaOAc中25〜300m
M NaClの直線勾配で、MPIF−1を250mM NaClにて溶出した
;サイズ排除クロマトグラフィー。カチオン交換クロマトグラフィーに続いて、
MPIF−1をサイズ排除カラム(HW50、TOSO HAAS、1.4×4
5cm)にかけることによりさらに精製した。MPIF−1は、タンパク質のダ
イマー形態に対応し、13.7Kd標準分子量(RNaseA)に近い位置で分
画した。
【0851】 上述の3段階精製の後、得られたMPIF−1は、SDA−PAGEゲル(図
3)のクマシーブルー(commassie blue)染色から、90%より
純粋であることが判定された。
【0852】 また、精製されたMPIF−1をエンドトキシン/LPS汚染について試験し
た。LPS含量は、LALアッセイ(Bio Whittaker)に基づき0
.1ng/ml未満であった。
【0853】 (実施例5) (新しく単離された骨髄細胞のM−CSFおよびSCF−刺激性コロニー形成
に対する、バキュロウィルス発現M−CIFおよびMPIF−1の効果) マウス骨髄細胞の低密度集合を、処置された組織培養皿中で、37℃にて1時
間インキュベートすることにより、単球、マクロファージおよびその他のプラス
チック表面に付着する細胞を除去した。次に、細胞の非付着集団を、図8に示す
因子の存在下あるいは不在下で、増殖培地を含む寒天にプレートした(10,0
00細胞/皿)。培養物を37℃にて10日間インキュベートし(88%N2
5%CO2、および7%O2)、反転顕微鏡下においてコロニーのスコアを付けた
。データは、コロニーの平均数として表しており、3連で行われたアッセイから
得られたものである。
【0854】 (実施例6) (骨髄細胞のlin-集団のIL−3およびSCF刺激増殖および分化に対す
るMPIF−1およびM−CIFの効果) 初期の造血前駆体を富化したマウスの骨髄細胞の集団を、陰性選択手順を用い
て得た。ここで、系統の大多数の方向付けられた細胞は、モノクローナルの抗体
(抗cdllb、CD4、CD8、CD45RおよびGr−1抗原)のパネルお
よび磁気ビーズを用いて除去された。得られた細胞(系統枯渇細胞)の集合は、
IL−3(5ng/ml)および幹細胞因子(SCF)(100ng/ml)を
補充した増殖培地において、指定されたケモカイン(50ng/ml)が存在す
る、または存在しない状態でプレートした(5×104細胞/ml)。加湿イン
キュベータ(5%のCO2、7%のO2、および88%のN2の環境)において、
37℃で7日間インキュベートした後、細胞は収集されHPP−CFCについて
、そして未成熟の前駆体についてアッセイされた。さらに、細胞を、特定の分化
抗原の発現に対してFACScanによって分析した。コロニーデータは、コロ
ニーの平均数(+/−SD)として表現され、細胞の各集団に対して6つのシャ
ーレにおいて実施したアッセイから得た(図9)。
【0855】 (実施例7) (MPIF−1はIL−3,M−CSFおよびGM−CSFに応答してコロニ
ー形成を阻害する) マウスの骨髄細胞を、大腿骨および脛骨の両方から流し、フィコール密度勾配
およびプラスチック接着によって除去された単球上で分離された。得られた細胞
の集合は、IL−3(5ng/ml)、GM−CSF(5ng/ml)、M−C
SF(10ng/ml)、およびG−CSF(10ng/ml)を補充したME
Mベースの培地で一晩インキュベートされた。これらの細胞は、IL−3(5n
g/ml)、GM−CSF(5ng/ml)、M−CSF(5ng/ml)の存
在下で、50ng/mlで用いるか、または用いない状態で、寒天ベースのコロ
ニー形成アッセイにおいて1つのシャーレにつき1000細胞ずつプレートした
。データは、特定の因子のみで形成されるコロニーの数の割合として、コロニー
形成の際に与えられる。2つの実験が、各実験に対する標準偏差を示すエラーバ
ーと共に複数シャーレの平均として示されたデータとして示される(図11)。
【0856】 (実施例8) (遺伝子治療を介する発現) 線維芽細胞を皮膚生検によって被検体から得る。得られた組織を組織培養培地
に置き、そして小片に分離される。組織の小片を、組織培養フラスコの湿った表
面上に置く。各フラスコには約10片を置く。フラスコと、逆さまにし、密閉そ
して室温で一晩放置する。室温での24時間後、フラスコを逆さにし、そして組
織の塊がフラスコの底に固定されている状態で新鮮な培地(例えば、10%のF
BS、ペニシリン、およびストレプトマイシンを有するHamのF12培地)を
加える。次いで、これを、約1週間37℃でインキュベートする。この時、新鮮
な培地を加え、数日おきに取り替える。さらに2週間の培養後、線維芽細胞の単
層が出現する。単層を、トリプシン処理し、大きなフラスコにスケールアップす
る。
【0857】 モロニーマウス肉腫ウイルスの長末端反復に隣接するpMV−7(Kirsh
meier,P.T.ら、DNA 7:219−25(1988))を、Eco
RIおよびHindIIIで消化し、続いて、仔ウシの腸管ホスファターゼによ
って処置される。線状ベクターをアガロースゲル上で分画し、そしてガラスビー
ズを用いて精製する。
【0858】 本発明のポリペプチドをコードするcDNAは、5’および3’末端配列にそ
れぞれ対応するPCRプライマーを用いて増幅される。5’プライマーはEco
RI部位を含み、3’プライマーは、HindIII部位を含む。同量のモロニ
ーマウス肉腫ウイルスの線状骨格およびEcoRIならびにHindIIIフラ
グメントがT4DNAリガーゼの存在下で加えられる。得られた混合物は、2つ
の断片の連結に対して適切な条件下で維持される。連結混合物は細菌HB101
の形質転換に用いられる。次いで、これらは、ベクターが対象の遺伝子を適切に
挿入されたことを確認する目的で寒天を含むカナマイシンのプレートにする。
【0859】 両種向性なpA317またはGP+aml2のパッケージング細胞を組織培養
中で、10%の仔ウシ血清(CS)、ペニシリン、およびストレプトマイシンを
有するDulbeccolのModified Eagles Medium(
DMEM)中でコンフルエントな密度まで増殖させる。次いで、遺伝子を有する
MSVベクターを培地に加え、パッケージング細胞をベクターによって形質転換
する。パッケージング細胞は、遺伝子を含む感染性のウイルス粒子を生成する(
よって、パッケージング細胞はプロデューサー細胞と呼ばれる)。
【0860】 新鮮な培地を形成転換プロデューサー細胞に加え、続いて、培地をコンフルエ
ントなプロデューサー細胞の10cmのプレートから採集する。感染性ウイルス
粒子を含む使用済み培地を、ミリポアフィルターを通して剥離し、剥離したプロ
デューサー細胞を除去し、次いでこの培地を使用して線維芽細胞を感染させる。
培地を、線維芽細胞のサブコンフルエントプレートから除去し、プロデューサー
細胞からの培地で迅速に置換する。この培地を除去し、新鮮な培地で置換する。
ウイルスのカ価が高い場合、実質的に全ての線維芽線維が感染され、選択の必要
はない。カ価が非常に低い場合、neoまたはhisなどの選択可能なマーカー
を有するレトロウイルスのベクターを用いる必要がある。
【0861】 次いで、操作された加工線維芽細胞を、単独、またはcytodex3のマイ
クロキャリアビーズ上でコンフルーエンスまで増殖した後、のいずれかで宿主に
注入する。よって、線維芽細胞はタンパク質産物を産生する。
【0862】 (実施例9) (インビトロ骨髄保護) 上記に示したように、MPIF−1は、低増殖性能力コロニー形成細胞(Lo
w Proliferative Potential Colony−For
ming Cell(LPP−CFC))の強力なインヒビターである。低増殖
性能力コロニー形成細胞は、顆粒球および単球系統を生じる骨髄前駆体である。
MPIF−1が細胞周期作用性化学療法薬物の細胞傷毒性からLPP−CFCの
保護を提供することを実証するために、細胞の系統枯渇集合(Lin−細胞)を
マウスの骨髄から単離し、MPIF−1を有するか、または有さない状態の複数
のサイトカインの存在下でインキュベートした。48時間後、5−Fuおよびイ
ンキュベーションを受けた各培養の1組は、次いでさらに24時間継続され、そ
の時点でクローン原生アッセイによって残存LPP−CFCの数が決定された。
図21Aに示すように、LPP−CFCの約40%までがMPIF−1の存在下
で5−Fuに誘発された細胞傷毒性から保護された。それに対して、MPIF−
1が存在しない状態、または無関係なタンパク質が存在するでは、LPP−CF
Cに対する保護がほとんど(<5%)観察されなかった。高増殖性能力コロニー
形成細胞(HPP−CFC)は、同一の培養条件下ではMPIF−1によって保
護されず、MPIF−1の保護効果の特異性を実証した。
【0863】 5−Fuの代わりに、化学治療薬剤Ara−Cを用いて同様の実験を実施した
。図15Bに示すように、野生型MPIF−1および変異体MPIF−1(すな
わち、変異体−1、この変異体の説明は以下の実施例11を参照)の両方からL
PP−CFCの劇的な保護が得られた。よって、MPIF−1は、5−Fuおよ
びAra−Cの両方の化学治療薬物によって誘発された細胞傷毒性からLPP−
CFCを保護することができる。
【0864】 (実施例10) (インビボ骨髄保護) インビボ骨髄保護の結果は、化学治療薬剤の作用の期間中にMPIF−1によ
って骨髄中の臨界細胞種が保護され得る場合に、化学療法を受ける癌患者に観察
される重篤な副作用である細胞傷毒性薬物によって惹起された骨髄毒性が改善さ
れ得ることを示唆する。インビボ骨髄保護を実証するために、2種類の実験をマ
ウスで実施した。1つの実験では、1群のマウス(グループ4)を1.0mg/
KgのMPIF−1によって24時間周期で3日間毎日注射(I.P.)し、3
日目にこれらのマウスに150mg/Kgの5−Fuを注射(I.P.)した。
生理食塩水のみ(グループ1)、MPIF−1のみ(グループ2)または5−F
uのみ(グループ3)を注射した動物がコントロールの役割を果たした。次いで
、各グループからの4つの動物が、5−Fu投与の後に3、6、および10日目
に屠殺され、末梢血における白血球(WBC)の計数を決定した。図16に示す
ように、MPIF−1のみの注射ではWBC計数に影響がほとんどない。予測さ
れたように、5−Fu処置は、5−Fu後の6日目における循環するWBC計数
に劇的な減少を得られた。顕著に、5−Fu投与前にMPIF−1で処置された
動物は、5−Fuのみで処置された動物に比べて血液中において約2倍高いWB
Cカウントを示した。よって、5−Fuの前のMPIF−1でマウスを処置する
ことによって、好中球減少から促進的な回復が得られる。
【0865】 骨髄中の造血幹細胞および多能性前駆体細胞は化学治療に続いて全ての造血性
系統を回復するよう機能する。正常な個人において、これらの細胞は低い頻度で
分裂し、よって、化学治療薬剤の一回の投与量が節約される。しかし、これらの
細胞は、第1の投与量後3日以内に薬剤の第2の投与量が投与された場合には殺
傷される。なぜなら、脊髄中の重要な前駆体細胞種はこの期間中に迅速に分裂す
るからである。
【0866】 MPIF−1が骨髄においてこのような細胞種を保護できることを実証するた
めに、以下の実験を行った。この実験は、以下のように処置された3グループの
マウス(各グループにつき6匹)を用いて行われた。グループ1には、1、2お
よび3日目に生理食塩水を注射し、グループ2には、0および3日目に5−Fu
で注射し、グループ3には、0および3日目に5−Fuを、および1、2および
3日目にMPIF−1を注射する(図17を参照のこと)。骨髄が6および9日
目に採集され、当業者に周知のクローン原性のアッセイを用いてHPP−CFC
およびLPP−CFCの頻度を決定した。結果は、5−Fuの第2の投与量の前
にMPIF−1を投与する事は、5−Fuのみで処置された動物と比較して9日
目までにHPP−CFCおよびLPP−CFCの頻度の回復が迅速に得られるこ
とを実証した(図18を参照のこと)。
【0867】 (実施例11) (MPIF−1変異体での研究) N末端から切断される多くのMPIF−1改変体が同定され、そして特徴づけ
られている。Edman分解によって決定されるようなこれらの改変体のアミノ
末端配列を図19に示す。例えば、変異体−2,−3,−7および−8は、MP
IF−1の成熟形態の精製中に自然に生じた。そして、この調製物は調製物K0
871と呼ぶ。同様に、変異体−2,−3,−4および−5は、精製されたMP
IF−1の調製物の別のバッチに発見された(調製物HG00300−B7)。
これらの改変体を互いから精製することは不可能であるので、調製物K0871
およびHG00300−B7は以下の実験においてそのままの状態で用いられた
。N末端メチオニン以外はアミノ末端配列に関して変異体3と同一の変異体6は
、インビトロ変異原性によって発生された。N末端メチオニン以外は野生型と同
一の変異体1も変異誘発によって発生された。さらに、MPIF−1のオルタナ
ティブスプライシングされた形態(変異体−9)が発見された(図19を参照の
こと)。この変異体−9のcDNAクローンは、137アミノ酸のタンパク質を
コードする(図20A)。変異体−9のアミノ酸配列をMPIF−1の配列と比
較すると、MPIF−1配列における残留物45および46の間の18アミノ酸
の挿入、ならびにMPIF−1のアルギニン46の減少が明らかになる(図20
B)。以下は、これらのMPIF−1変異体タンパク質の生物学的活性を要約す
る。
【0868】 (細胞内のカルシウム動員) 前述の実施例において、MPIF−1タンパク質は単球においてカルシウムを
動員することを示す。野生型および変異体MPIF−1タンパク質は、ヒトのM
IP−1αをポジティブコントロールとして用いるヒトの単球内における細胞内
カルシウムの動員の能力について検査された。以下のように実験が行われた。ヒ
トの単球は、洗浄によって隔離され,1mMのCaCl2、2mMのMgSO4
5mMのグルコース、および10mMのHEPES、pH7.4を含む1mlの
HBSSおよび2.5mMのIndo−1/アセトキシメチルエステル中で30
分間37℃で1×106の細胞をインキュベートすることによってIndo−1
/アセトキシメチルエステルを負荷する。次いで、細胞はHBSSによって洗浄
され、5×105cell/mlで同一の緩衝液において再懸濁され、指示され
たタンパク質の様々な濃度で37℃で刺激される。細胞内カルシウム((Ca++ )i)の変化に応答して誘導された蛍光シグナルは、300nmにおけるInd
o−1の励起および405nmおよび485nmにおける放出をモニターするこ
とによってHatchiF−2000の蛍光分光光度計上で測定される。結果を
図21に示す。
【0869】 結果は、調製物K0871、HG00300−B7、および変異体−9が、野
生型よりも10倍多い活性である一方、変異体−6は野生型から識別不能であり
、変異体−1は野生型よりも2倍多い活性であることを実証する(図21参照)
。MIP−αおよびMPIF−1が一次アミノ酸配列に対して45%同一である
ので、これらが同一のレセプターで相互作用するかどうかを決定することが興味
の対象となった。この可能性を探索するために、MIP−1αに誘発されたカル
シウム動員を脱感作させるMPIF−1の能力について研究した。図22Aおよ
び図22BはMIP−1αおよびMPIF−1の野生型タンパク質が単球におい
てカルシウムを動員する能力を互いに脱感作し得るが、MCP−4(別のβケモ
カイン)はし得ないことを示す。
【0870】 同様の実験において、調製物K0871およびHG00300−B7および変
異体−1,−6および−9は、MIP−1αに誘発されるカルシウム動員をブロ
ックすることができた。この実験は、以下のように行われた。100ng/ml
の指定されたタンパク質に対するヒトの単球のカルシウム動員の応答が、図21
に開示された実験に対して指定されたように測定された。脱感作の研究に対して
、単球はまず1つの因子に曝され、第1の処置への応答がベースラインに戻った
時、同一の細胞に第2の因子が加えられた。第2の因子に対しては(−)サイン
によって何の応答も示されず、(+)サインによって第1の因子に対して刺激性
の応答が示された(図23を参照のこと)。
【0871】 このように、MPIF−1およびその変異改変体は、MIP−1αの細胞表面
レセプターの成分と相互作用するかまたはこの成分を共有するようである。MI
P−1αレセプターが、HIVがヒトの単球およびTリンパ球へ入ることを容易
にする際に補助因子として役立つことという最近の実証は、MPIF−1または
その改変体が、HIVが細胞への侵入するプロセスを妨害し得るという興味ある
可能性を提示する。
【0872】 (走化性) ヒト末梢血単核性細胞(PBMC)画分(主に、リンパ球および単球から構成
される)の走化性を、96ウェル神経プローブ走化性チャンバ中のMPIF−1
およびその改変体の種々の濃度に対する応答において、測定した。実験は、以下
のように行った:細胞を、0.1%BSAを伴うHBSS(HBSS/BSA)
中で3回洗浄し、そして標識するために2×106/mlで再懸濁した。カルセ
インAM(Molecular Probes)を、最終濃度1mMに加え、そ
して細胞は、37℃で30分間インキュベートした。このインキュベートに続い
て、細胞を、HBSS/BSA中で3回洗浄した。次に標識細胞は、8×106
/mlとなるよう再懸濁し、そしてこの懸濁液25ml(2×105 細胞)が9
6ウェル走化性プレートのそれぞれの上部チャンバへ分け入れられた。走化性試
薬を、それぞれのウェルの底部チャンバに、種々の濃度で分配した。上部および
底部チャンバは、ポリカーボネートフィルター(孔の大きさ 3〜5mm;PV
Pなし;NeuroProbe、Inc.)によって分けられている。細胞は、
45〜90分間移動させ、そして次に、移動した細胞(フィルターの底面表面に
付着した細胞および底部チャンバ中の細胞の両方)の数が、Cytofluor
11 蛍光プレート読み取り機(PerSeptive Biosystem
s)を使用して定量された。数値は、ピーク活性が、括弧内に示されたバックグ
ラウンドより上の相対誘導倍数(relative fold inducti
on)で観察された濃度を表す。
【0873】 図24で示される結果は、調製物K0871およびHG00300−B7が野
生型よりさらに強力な走化性の誘導物質であり、一方、変異体−1および−6が
野生型と区別がつかないことを実証する。
【0874】 (LPP−CFCによるコロニー形成への影響。)LPP−CFCによるコロ
ニー形成へのMPIF−1改変体の影響を決定するために、制限された数のマウ
ス骨髄細胞を、種々の濃度のMPIF−1改変体を有するまたは有さない、複数
種のサイトカインを補充した軟らかい寒天含有培地にプレートした。実験を、以
下のように行った:低密度集団のマウス骨髄細胞を、示されたMPIF−1改変
体を種々の濃度で有するまたは有さない寒天含有培地に、以下のマウス組換えサ
イトカイン、IL−3(5ng/ml)、SCF(100ng/ml)、IL−
1α(10ng/ml)およびM−CSF(5ng/ml)の存在下でプレート
(1,500細胞/直径3.5cmの皿)した。次に、皿は、組織培養インキュ
ベーターで14日間インキュベートし、14日目の時点で、LPP−CFCコロ
ニーは、倒立顕微鏡下で数えた。図25に表されたデータは、それぞれの条件で
2連でアッセイした数個の異なる実験からプールする。
【0875】 その結果は、調製物K0871およびHG00300−B7の場合、最大阻害
の50%に必要な有効濃度は、野生型の有効濃度より20から100倍低く、そ
して変異体−6の場合は、2から10倍低いことを実証する。(図25を参照の
こと)。このように、MPIF−1タンパク質のN末端アミノ酸が欠失するとそ
の分子の効力が増加するという結果になる。
【0876】 (実施例12) (MPIF−1により誘導されるインビボでの幹細胞の動員) MPIF−1がインビボで幹細胞の可動化を刺激することを証明するために、
以下の実験を行なった。各処置グループに、6匹のマウスを使用した(C57B
lack 6/J、メス、生後約6週間)。これらのマウスに、生理食塩水(ビ
ヒクルコントロール)またはMPIF−1のいずれかをマウス1匹につき5mg
注射(腹腔内)した。30分後、マウスから採血し、Coulterカウンター
によりWBCについて分析した。次いで、各グループの6匹すべてからの血液を
プールし、FACScanにより、Gr.1+細胞およびCD34.Sca−l
+二重陽性細胞について分析した。WBCの数は、平均±S.D.として表され
、そして、FACScanデータは、細胞総数の%として表される。CD34.
Sca−1+二重陽性細胞は、造血幹細胞に期待される特性を示すと考えられる
ため、図26に示される結果は、MPIF−1が、幹細胞可動化剤として使用さ
れ得ることを示す。
【0877】 (実施例13) (5−Fu処置の間のMPIF−1処置は、血小板および顆粒球のより速い回
復を生じる。) 化学的治療法から得られる2つの主要な合併症は、好中球減少症(減少した血
中好中球カウント)および血小板減少症(減少した血小板カウント)である。顆
粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)は、現在、好中球減少症を緩和するため
に臨床で用いられている。G−CSFは、インビトロでコロニー形成性単位−顆
粒球(CFU−G)によるコロニー形成を刺激し、そして動物モデルにおいて顆
粒球産生を刺激することが知られている。トロンボポエチン(Tpo)は、血小
板減少症を軽減する目的のために臨床試行にある。Tpoは、インビトロでコロ
ニー形成性単位−巨核球(CFU−Meg)によるコロニー形成を刺激し、そし
て動物中で実験的に誘導された血小板減少症において血小板産生を刺激すること
が知られている。臨床におけるG−CSFの主要な制限の1つは、それは、化学
的治療法の複数サイクルを受けている患者における好中球減少症を軽減するには
有効ではことである。これは、G−CSFが作用する、骨髄、標的細胞中のG−
CSFの枯渇に起因するらしい。Tpoもまた、初期の臨床試行結果により示さ
れるのと同じ運命を受け得る。化学的治療法の間に、G−CSFおよびTpo標
的細胞の枯渇を防ぎ得る任意の薬剤は、大きな臨床的価値を有し得る。以下に示
すデータは、MPIF−1がこの臨床必要性を満たし得ることを示唆する。
【0878】 先の実施例において、MPIF−1が、インビトロで、両能性の、顆粒球/単
球骨髄前駆体により、コロニー形成を阻害することが示されている。特に、実施
例9および10は、MPIF−1が、初期の、多能骨髄前駆体を、5−Fu誘導
イントロおよびインビボ細胞障害性から保護することを示すデータを提供する。
これらの多能前駆体は、CFU−GおよびCFU−Megを含むすべての骨髄系
統のより関係する前駆体になると期待される。以下の実験は、5−Fu処置の2
または3サイクルの間のMPIF−1処置が、血小板および顆粒球のより速い回
復を生じることを示すために実施された。
【0879】 (材料および方法:)平均体重19.4g(±1.1 S.D.、n=150
)のC57BL6雌マウス(7−10週齢)を用いた。すべてのマウスを、実験
の経過を通じて、標準的な食餌ならびに暗/光サイクルおよび温度の飼育条件下
で飼育した。MPIF−1調製物(HG00304−E6)をE.coli中で
作成し、そして成熟タンパク質の23のN末端アミノ酸を欠くMPIF−1の短
縮型(すなわち、図19中のMPIF−1 Mutant−3であって、それに
N末端 Metが付加されている)を代表する。臨床グレードのG−CSF(N
eupogen(登録商標))を、Shady Grove Pharmacy
,Rockville,MD 20850から購入した(Neupogen(登
録商標)は、Amgen Inc.,Amgen Center,Thousa
nd Oaks,CA 91320により製造されている)。5−フルオロウラ
シル(5−Fu)は、Sigma Chemicalから購入し、そしてそれは
使用直前に温水中に溶解することにより新たに調製した。MPIF−1溶液は、
通常の生理食塩水中に希釈することにより新たに調製した。同様に、G−CSF
は、10 mM酢酸ナトリウム、5%(wt/v)マンニトール、0.004%
(v/v)Tween80、pH4.0からなる緩衝液中に希釈した。マウスC
D41a、Gra.1、およびMac.1抗原に対する、適切な蛍光色素を結合
したラットモノクローナル抗体を、Pharmingenから購入した。
【0880】 5つの群のマウス(1群あたり30匹のマウス)を以下のように処理した: グループ1は、通常のコントロールとして供するために−2、−1、0、6、
7、および8日に通常の生理食塩水0.1 mlをI.P.注射した。
【0881】 グループ2は、0および8日に、5−Fu溶液の0.2 mlを(100 m
g/kg体重で)I.P.注射した。
【0882】 グループ3は、グループ2におけるように5−Fuを注射し、そしてさらに−
2、−1、0、6、7、および8日にMPIF−1溶液の0.1 mlを(1.
0 mg/kg体重で)I.P.注射した。
【0883】 グループ4は、グループ2におけるように5−Fuを注射し、そしてさらに1
、2、3、9、10、および11日にG−CSF溶液の0.1 mlを(0.5
mg/kg体重で)I.P.注射した。
【0884】 グループ5は、グループ2におけるように5−Fuを、グループ3におけるよ
うにMPIF−1を、そしてグループ4におけるようにG−CSFを注射した。
【0885】 次いで、各群から6匹の動物を、示された日に、末梢血および骨髄のレベルで
血小板および顆粒球回復をモニターするために分析した。最初の5−Fu後6お
よび8日目に分析されたマウスは、MPIF−1または5−Fuを用いた第2番
目の処置を受けていなかったことに注目すべきである。
【0886】 末梢血は、後方眼窩洞からEDTAでコートされたチューブに採集され、そし
て直ちにFACS Vantageにより分析し、血小板(CD41a陽性事象
)および顆粒球(Gra.1およびMac.1二重陽性細胞)カウントを測定し
た。ここで採用された分析方法および動物種は、絶対的なカウントを得ることを
可能にしないことに注意すべきである。その代わりに、顆粒球は、総白血球細胞
のパーセンテージとして表され、そして血小板は、ソーター上15秒あたりのC
D41a陽性事象として評価された。次いでマウスを屠殺し、標準的な方法を用
いて骨髄細胞を得た。骨髄細胞はまた、FACSにより分析し、骨髄中のGra
.1およびMac.1二重陽性細胞集団のパーセンテージをモニターした。顆粒
球系統中で、これらの抗原が発現され始めるステージは正確には知られていない
ので、骨髄中のGra.1およびMac.1二重陽性細胞は、それらの発達およ
び成熟能力のステージに関して不均質であると期待される。
【0887】 骨髄はまた、インビトロクローン原性アッセイを用いてクローン原性前駆体の
頻度を測定するために分析された。簡単に述べれば、高増殖能コロニー形成性細
胞(HPP−CFC)および低増殖能コロニー形成性細胞(LPP−CFC)ア
ッセイを、2層寒天培養系中で実施した。下層を、20% FBS、0.5%
Difco寒天、7.5ng/ml mIL−3、75ng/ml mSCF、
7.5ng/ml hM−CSFおよび15 ng/mlのmIL−1αを補填
した1mlのMEM培地で、3.5cm直径の組織培養皿中に調製した。次いで
この層を、20%FBSおよび0.3%の寒天を含むMEM中の2,000細胞
/皿を有するマウス骨髄細胞懸濁液の0.5mlで重層した。上層寒天は、室温
で約15分間固化させた。次いで、この皿を、14日間、組織培養インキュベー
ター中でインキュベートし(37℃、88%N2、5%CO2、および7%O2
、そしてコロニーを倒立顕微鏡下で計数した。この実験では、総コロニーカウン
トを報告する。
【0888】 FACSデータを、時点あたり各群の3匹の動物から得た材料を分析すること
により生成し、その一方、クローン原性アッセイを、時点あたり各群から6匹の
動物から得た細胞を用いて実施した。最後に、1日目の群の実験に対するデータ
点は、生理食塩水を注射した通常マウス(グループ1)から得た値を表す。
【0889】 (結果:)末梢血における血小板の回復をモニターするために、CD41a陽
性細胞の定常状態レベルを、FACS Vantageにより測定した。図27
に示されるように、5−Fuの前のMPIF−1処置(グループ3)は、5−F
u+生理食塩水で処理されたマウス(グループ2)において観察されたそれより
も、かなり速くかつ強い血小板の回復を生じた。予期されるように、G−CSF
で処理されたマウス(グループ4)における血小板回復の動力学は、5−F+生
理食塩水処理マウスで観察されたそれと区別し得なかった。また、5−Fu処置
マウスにG−CSFプラスMPIF−1を投与することは(グループ5)、MP
IF−1単独で処理されたマウス(グループ3)中で観察されたそれと比較した
とき、血小板の全体の定常状態レベルに対してほとんど影響を有さなかった。従
って、5−Fu処置の前のマウスのMPIF前処理は、末梢血における血小板の
急速な回復を生じた。
【0890】 末梢血における顆粒球の回復を、血液中のGra.1およびMac.1二重陽
性細胞の定常状態レベルを定量することによりモニターした。図28に例示され
るように、マウスの5−Fu処置は、第1のおよび第2の5−Fu処置後6日目
に血中のGra.1およびMac.1二重陽性細胞の定常状態において鋭い減少
を生じた。MPIF−1前処理は、2つの有益な効果を有していた;5−Fu+
生理食塩水で処理したマウス(グループ2)において観察されたそれに比較して
、好中球減少症の程度(Gra.1およびMac.1二重陽性細胞の枯渇の程度
)がかなり小さく、かつ回復速度がかなり速かった。予期されるように、5−F
u処理後のG−CSFの投与(グループ4)は、血液中のGra.1およびMa
c.1二重陽性細胞の迅速な回復を生じた。しかし、G−CSF処理されたマウ
スにおける好中球減少症からの回復の程度は、8日目にMPIF−1処理された
マウス(グループ3)において観察されたそれより著しく小さかった。顆粒球枯
渇および回復に対するMPIF−1プラスG−CSFを投与する(グループ5)
ことの効果は、これらのマウスが、MPIF−1またはG−CSFいずれか単独
で処理されたマウス中で観察されたそれより血液中のGra.1およびMac.
1二重陽性細胞のかなり高い定常状態レベルを示したという点で極めて劇的であ
った。従って、図28に示されるように、MPIF−1およびG−CSFは、そ
れらが同時投与されるとき、付加的な効果を奏し得るようである。
【0891】 上記で示されたように、骨髄レベルでの回復が、FACS Vantage法
およびクローン原性アッセイによりモニターされた。FACSで得た結果を図2
9に示す。予期されるように、5−Fu処理骨髄(グループ2)中のGra.1
およびMac.1二重陽性細胞集団のレベルは、6日から14日を通じて顕著に
低下したままで、次いで16日までに通常レベルに回復した。このGra.1お
よびMac.1二重陽性細胞の5−Fu介在枯渇の影響は、マウスが、5−Fu
前にMPIF−1処理されたとき(グループ3)、完全に廃止された。驚くべき
ことに、G−CSF(グループ4)は、最初の5−Fu用量に応答して、Gra
.1およびMac.1二重陽性細胞の枯渇を防ぎ得たが、第2のそれに対しては
防ぎ得なかった。これは、G−CSF標的細胞の利用可能性およびG−CSF投
与のタイミングに起因し得るようである。同様の応答が、最初の5−Fu後8日
目に回復の程度はMPIF−1またはG−CSFいずれか単独で処理したマウス
中で観察されたそれよりかなり高かったが、MPIF−1プラスG−CSFで処
理されたマウス(グループ5)で明らかであった。
【0892】 クローン原性アッセイからのデータを図30に示す。骨髄における前駆体の頻
度は、16日目の回復の暗示をともなって実験期間の14日を通じて5−Fuに
応答して低下したままであった。前駆体の頻度におけるこの減少は、5−Fuの
前にMPIF−1で処理されたマウス中で廃止された。対照的に、マウスのG−
CSF処理は、通常またはMPIF−1処置骨髄のいずれかにおいて見出される
前駆体の頻度を持続することにおいて有効ではなかった。骨髄中の前駆体頻度に
対するG−CSFプラスMPIF−1を投与することの影響は複雑なようである
【0893】 (前臨床的薬理学の表の要約) 以下の表(表2、3、および4)は、インビトロおよびインビボでの一次およ
び二次薬理学的研究を要約する。
【0894】 (表2、3、および4に参照される一群のための重要な表。)MPIF−1の
一群を、タンパク質が発現された生物体および発現産物の形態(例えば、成熟、
全長、または改変体)を示す複数成分コードにより称する。名称の後ろのハイフ
ン後の文字は、タンパク質が発現された生物体または発現に用いたベクター(す
なわち、B=バキュロウイルス、C=CHO細胞、E=E.coli)のいずれ
かを示す。ハイフンの前の最後の3文字のアラビア数字は、発現されたタンパク
質の形態または改変体を示す(すなわち、300=全長MPIF−1、301=
MPIF−1Δ17改変体、302=成熟アミノ酸配列のアミノ末端に付加され
たメチオニン残基を有する成熟MPIF−1、304=MPIF−1Δ23改変
体、311=全長MPIF−1)。従って、一群の名称は、発現MPIF−1タ
ンパク質の形態タンパク質が宿主細胞から分泌されるか否か、および分泌タンパ
ク質の形態(分泌する場合)を示す。例えば、HG00300−B5は、バキュ
ロウイルスベクターを用いて全長MPIF−1タンパク質が発現されたことを示
す。さらに、この系を用いて発現されるMPIF−1は、昆虫宿主細胞によりプ
ロセスされるので、このタンパク質の分泌型は、成熟MPIF−1である。
【0895】 上記の命名法は、一群のHG00300−B7については除外する。この一群
は、4つの異なるMPIF−1ポリペプチドの混合物を含む。本発明者らは、こ
れらのポリペプチドが、精製プロセスの間に生じるMPIF−1のタンパク質分
解切断の結果として産生されたことを考える。一群のHG00300−B7に存
在するMPIF−1改変体は、実施例11において議論する。
【0896】
【表2】
【0897】
【表3】
【0898】
【表4】 (実施例14) (pHE4−5発現ベクターを用いるMPIF−1Δ23の産生、回収、およ
び精製) MPIF−1は、新規なヒトβ−ケモカインである。MPIF−1の成熟型は
、11.2kDaの分子量を有する99アミノ酸ペプチドとして分泌される。7
6アミノ酸長の短縮型(MPIF−1Δ23)はまた、MPIF−1の初期発現
研究の間に同定された。バキュロウイルス発現系において、MPIF−1Δ23
を、次いで単離およびサブクローン化した。生物学的アッセイは、短縮型が、全
長対応物よりも活性であることを示す。
【0899】 (クローニングおよび発現) 本来、大動脈内皮相補的デオキシリボ核酸ライブラリーから単離されたMPI
F−1Δ23遺伝子を、NdeIおよびAsp718の単一の制限酵素切断部位
で、発現ベクターpHE4にサブクローニングし(図31)、そしてK12誘導
E.coli SG13009株(Susan Gottesman,Nati
onal Institutes of Health,Bethesda,M
Dから入手可能)に形質転換した。pHE4を用いるタンパク質発現に適切な宿
主として作用し得るE.coliのさらなる株には、DH5αおよびW3110
(ATCC受託番号27325)が含まれる。pHE4ベクターは、2つのla
cオペレーターを有する強力な合成プロモーターを含む。このプロモーターから
の発現は、lacリプレッサーの存在により調節され、そしてイソプロピルβ−
D−チオガラクトピラノシド(IPTG)またはラクトースを用いて誘導される
。プラスミドはまた、効果的なリボソーム結合部位およびMPIF−1Δ23遺
伝子の下流の合成転写ターミネーターを含有する。ベクターはまた、pUCプラ
スミドの複製領域および形質転換細菌中でカナマイシン耐性を生じるネオマイシ
ンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を含有する。
【0900】 (製造方法) (発酵プロセスの概要)MPIF−1Δ23の発酵プロセスを、以下の段階に
概要し、そして図32に示す。
【0901】 (マスター播種バンク)プラスミド発現MPIF−1Δ23を用いて形質転換
したE.coliのマスター細胞バンク(MCB)を、現在の優良医薬品製造基
準(Good Manufacturing Practices)の下で、調
製した。このバンクを、凍結保存物としてグリセロールを含む培地中で調製し、
そして−80℃で凍結した。調製後、MCBを、ファージまたは他の微生物によ
る夾雑物の非存在を確認するために試験した。
【0902】 (第1の播種段階)第1のシード段階培養物を、種菌調製培地を含有するバッ
フル付き震盪フラスコ中で調製する。震盪フラスコを、凍結シードストックで1
:2000希釈で播種し、そして225rpm、37℃に維持した震盪機に12
時間配置する。
【0903】 (生成相)生成相培養物を、DO2、pH、温度、および栄養食餌コントロー
ルを備えた100リットルのFed−Batch発酵槽中で調製する。生成培地
(37℃)を、第1の播種培養物で播種し、600nmで0.20ユニット/m
lの吸光度(OD)を提供する。培養物が、600nmで10±2ユニット/m
lのODに達したとき、IPTGの添加によりタンパク質発現を誘導する(最終
濃度20mM)。誘導4時間後、細胞を回収する。
【0904】 (細胞回収相)継続的なフロー遠心機を用いて、18,000gでの遠心分離
により細菌を回収する。得られた細胞ペーストを、−80℃で貯蔵する。
【0905】 (MPIF−1Δ23の回収) MPIF−1Δ23の回収を、図33に概要する。
【0906】 (細胞溶解物)E.coli細胞ペーストを解凍し、そして10容量の再懸濁
緩衝液に再懸濁する。次いで、細胞を、ホモジナイザーによる7000psiで
の通過(2回)に続いて破壊する。
【0907】 (封入体洗浄)細胞溶解物に、0.5Mの終濃度までNaClを添加し、次い
で0.45−μm膜を用いて接線流動濾過により2倍濃縮する。残留物(rem
aining retentate)を、3容量の洗浄−2緩衝液(100mM
Tris−HCl、500mM NaCl、および25mM EDTA−Na 2 )、続いて1容量の洗浄−1(100mM Tris−HCl、25mM E
DTA−Na2)に対してダイアフィルトレートする。残留物を洗浄−1緩衝液
で2倍希釈し、そして不溶性画分を継続的な遠心分離により回収する。あるいは
、封入体を遠心分離により洗浄し得る。
【0908】 (封入体可溶化)遠心分離後に得られたペレットを、等価量の9パックの封入
体容量の可溶化緩衝液(100mM Tris−HCl、1.75Mグアニジン
−HCl、および25mM EDTA−Na2)中に再懸濁する。懸濁液を、最
初室温で2〜4時間、次いで2℃〜10℃で12〜18時間撹拌する。
【0909】 (再折り畳み)懸濁液を遠心分離し、そして上清液を回収し、そして9容量の
再折り畳み緩衝液(100mM酢酸ナトリウム、125 mM NaCl、およ
び2mM EDTA−Na2)と混合する。希釈された物質を約2時間の間保持
し(2〜10℃)、沈殿物を沈降させる。この物質を濾過し、次いで直ちに処理
するか、または72時間まで貯蔵し次いで処理する。
【0910】 (精製) (HS−50カチオン交換クロマトグラフィー)MPIF−1Δ23の精製の
概略を図34に示す。濾過液を、50mM NaOAc、150mM NaCl
、pH5.8〜6.2で平衡化したPOROS HS−50カラム上にロードす
る。タンパク質を、NaCl(300〜1500mM)を用いてステップワイズ
様式で溶出する。500mM NaClで溶出する画分をプールし、そして注入
のために水で2倍希釈する。
【0911】 (HQ−50/CM−20アニオン/カチオンイオン交換クロマトグラフィー
)HS−50クロマトグラフィー後に得たプールされた画分を、CM−1緩衝液
で平衡化されたタンデムセットのカラム(HQ−50カラムの次にCM−20カ
ラム)上にロードする。MPIF−1Δ23を、CM−20カラムから、NaC
l(100〜900mM)で溶出する。溶出した画分を、ドデシル硫酸ナトリウ
ム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)および逆相高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、MPIF−1Δ23を含む画分
をプールし、そして限外濾過またはさらなるHS−50を通す通過により濃縮す
る。
【0912】 (サイズ排除クロマトグラフィー)CM−20溶出液を、S−100緩衝液で
平衡化したSephacryl−100 HR上にロードする。画分を回収し、
そしてSDS−PAGEおよび逆相HPLCにより分析する。MPIF−1Δ2
3を含む画分をプールし、0.2μmフィルターを用いて濾過滅菌し、そして2
゜〜10℃で保存する。
【0913】 (バルク物質のための仕様) 表5に列挙する以下の使用が、バルクMPIF−1Δ23について確立された
【0914】
【表5】 (薬物産物のための仕様) 完成した薬物産物は、表5中のバルク物質について記載されたような仕様のす
べてに合致し、そしてまた滅菌度について試験される(21CRF610.12
)。
【0915】 (実施例15) (MPIF−1Δ23が仲介するコロニー形成の阻害は、単球中の細胞内Ca 2+ を可動化するMPIF−1の能力と相関する) MPIF−1Δ23は、インビトロ軟寒天アッセイにおけるLPP−CFCコ
ロニー形成を阻害し、そしてTHP−1細胞(ヒト骨髄単球細胞株)を含む単球
内の細胞内カルシウムの可動化を誘導する。両方のアッセイを用いて、精製およ
び安定性研究におけるMPIF−1Δ23の生物学的活性を評価した。LPP−
CFCアッセイでは、新たに単離されたマウス骨髄細胞を、複数のサイトカイン
の存在下(5ng/mL IL−3、50ng/mL SCF、5ng/mL
M−CSF、および10ng/mL IL−1α)、軟寒天中のプレートとする
。培養を14日間インキュベートし、その後、コロニーを倒立顕微鏡を用いて計
数する。
【0916】 カルシウム可動化アッセイは、Fura−2ととも(100万あたり0.2n
M)にロードされた新たに単離されたヒト単球またはTHP−1細胞を用いる。
細胞がMPIF−1Δ23で刺激される場合、Ca2+可動化は蛍光計により評価
される。このCa2+可動化アッセイは、MPIF−1Δ23調製物の活性に関す
る迅速な指標を提供する(表6)。
【0917】
【表6】 (処方および貯蔵) バルクMPIF−1Δ23を無菌的に製造し、そして液体処方物は、滅菌、単
回用途の産物である。タンパク質を、5mLのWheaton Type1ガラ
スバイアル中に満たした50mM酢酸ナトリウム、125mM NaCl、pH
5.8中に緩衝化し、そして2゜〜8℃で貯蔵する。
【0918】 (安定性) 安定性研究を、pH5、6、および7で酢酸ナトリウムを用いて緩衝化した1
.0¸mg/mLのタンパク質濃度を用いて、−80℃、2゜〜8℃、2
0゜〜25℃、および2゜〜8℃の温度で実施した。MPIF−1Δ23は、p
H5〜7で、10mMの酢酸ナトリウム、125mMのNaClの溶液中、2゜
〜8℃でまたはそれ以下で貯蔵されたとき、少なくとも6ケ月間安定であること
が見出された。現在進行中の研究では、サンプルは、先に概観された仕様に合致
するために、外観、タンパク質濃度、純度(SDS−PAGE(還元または非還
元);逆相およびサイズ排除HPLC)、および活性(Ca2+可動化バイオアッ
セイ)についてアッセイされ得る。
【0919】 臨床前毒物学研究で用いられるMPIF−1Δ23バッチ(HG00304−
E10)に対する安定性研究が開始された。これらの研究で用いられるMPIF
−1Δ23バッチは、50mM NaOAc、125mM NaCl、pH5.
9中、4.0mg/mLのタンパク質濃度で処方された。貯蔵条件は、60%の
相対湿度で、−80℃、2゜〜8℃、25℃、および37℃、ならびに75%の
相対湿度で、45℃である。安定性研究の継続期間は、25℃までの温度につい
ては12ケ月、37℃で6ケ月、そして45℃で1ケ月である。安定性は、外観
、pH、タンパク質濃度、純度(SDS−PAGE(還元または非還元);逆相
およびサイズ排除HPLC)、および活性(Ca2+可動化バイオアッセイ)につ
いてアッセイされ得る。エンドトキシンアッセイおよび生体負荷試験が選択され
た時点で実施され得る。
【0920】 (実施例16) (MPIF−1は、タキソール誘導細胞傷害性から胃腸管を保護する) 0.3mg/kgのMPIF−1Δ23(皮下)および10.5mg/kgの
タキソール(腹腔内)の、0、1および2日目の同時投与は、ラットを、消化管
の毒性に関連する体重の損失から保護する。0.3mg/kgのMPIF−1Δ
23で処置したラットは、0、5日目で体重を維持し、そして事実上9日目まで
体重が増えた。
【0921】 0.1mg/kgのMPIF−1Δ23を受けたラットまたはMPIF−1Δ
23を受けなかったマウスは、0日目と5日目との間で約45グラム体重が減っ
た。
【0922】 パクリタキソール(Taxol(登録商標))およびMPIF−1Δ23の両
方を、上記のように0、1および2日目に投与した。−2日目(すなわち、パク
リタキソールおよびMPIF−1の最初の投与の2日前)での各グループのラッ
トの個々の体重は、約185gであった。5日目までに、2つの試験グループ(
パクリタキソールおよびMPIFΔ23なしまたは0.1mg/kgのMPIF
Δ23のいずれかを受けたグループ)における個体は、約155gの重さであっ
た。対照的に、0.3mg/kgのMPIFΔ23を受けた個体は、約175g
の重さであった。コントロールグループ(パクリタキソールもMPIFΔ23も
受けていないラット)における個体は、5日目までに約195gの重さに達した
。パクリタキソールの急性毒性効果から動物を保護するMPIF−1の能力は、
この能力が、造血幹細胞に加えて、胃腸管細胞のような多くの細胞型を、毒性因
子から保護することを実証する。
【0923】 (実施例17) (胃腸保護の亜致死性モデル) C57B1/6メスマウス(12週齢)を、0日目に、4時間離して4.5G
yの等しい2用量で送達した合計9Gy137セシウム亜致死性照射(用量速度:
25.54cGy/分)に曝露した。「MPIF−1(前)」と指定されたマウ
スのグループに、MPIF−1(1mg/kg/BIDi.p.)を連続した4
日にわたって与えた(−2日目〜+1日目)。「MPIF−1(後)」と指定さ
れたグループに、MPIF−1(1mg/kg/BIDi.p)を、照射の1日
後(1日目)で始まる連続した7日にわたって与えた。コントロール群は、希釈
剤(HBSS+0.1%正常マウス血清)のみを受けさせた。全てのマウスを、
照射の7日前に酸性の水に置いた。照射の3日前に、アモキシシリンをこの酸性
の水に加え(0.5mg/ml)、そして照射後7日目まで毎日続けた。マウス
を、生存、状態、および体重の変化についてモニターした。データは、実験の開
始の体重のパーセンテージとして示される日の各個々のマウスの体重に基づいて
、各グループの体重の変化のパーセントとして示す。(図37〜38を参照のこ
と)。動物を、照射の急性毒性効果から保護するMPIF−1の能力は、この能
力が、造血幹細胞に加えて、胃腸管細胞のような多くの細胞型を、細胞傷害性(
cytoxic)因子から保護することを実証する。
【0924】 (実施例18) (胃腸保護の致死モデル) C57B1/6メスマウス(12週齢)を、0日目に、4時間離して5.5G
yの等しい2用量で送達した合計11Gy137セシウム致死性照射(用量速度:
25.54cGy/分)に曝露した。「MPIF−1(前)」と指定されたマウ
スのグループに、MPIF−1(1mg/kg/BIDi.p.)を連続した4
日にわたって与えた(−2日目〜+1日目)。「MPIF−1(後)」と指定さ
れたグループに、MPIF−1(1mg/kg/BIDi.p)を、照射の1日
後(1日目)で始まる連続した7日にわたって与えた。コントロール群は、希釈
剤(HBSS+0.1%正常マウス血清)のみを受けさせた。全てのマウスを、
照射の7日前に酸性の水に置いた。照射の3日前に、アモキシシリンをこの酸性
の水に加え(0.5mg/ml)、そして照射後7日目まで毎日続けた。マウス
を、生存、状態、および体重の変化についてモニターした。データは、実験の開
始の体重のパーセンテージとして示される日の各個々のマウスの体重に基づいて
、各グループの体重の変化のパーセントとして示す。(図39〜40を参照のこ
と)。
【0925】 コントロールグループ(MPIF−1を受けない)の全ては、照射の20日後
に死んだ。対照的に、MPIF−1(後)グループの25%、およびMPIF−
1(前)グループの57%は、照射の38日後で生存した。動物を、致死照射か
ら保護するMPIF−1の能力は、この能力が、胃腸管細胞のような多くの細胞
型を、細胞傷害性因子から保護することを実証する。
【0926】 (実施例19:細胞保護を決定する方法) 特定の細胞傷害性薬剤を用いてMPIF−1の相対的保護能力を決定するため
の1つの方法は、用量減少因子(Dose−Reduction Factor
)または用量改変因子(Dose−Modifying Factor)(DM
F)を評価することである(Weiss,Environ.Health Pe
rspectives 105:1473−1478(1997).; Bro
wnら、Pharmacol.Ther.39:157−168(1988);
Yuhasら、Int.J Radiat.BioL 15:233−237(
1973); Weissら、Radiation and the Inte
stinal Tract,Duboisら編、Boca Raton,FL,
CRC Press,183−199頁(1995))。
【0927】 例えば、マウスを、MPIF−1と伴ってかまたは伴わないで、ある用量の範
囲で照射する。MPIF−1による胃腸管の保護は、比較的高用量の全身照射の
後の6〜7日間の生存についてDMFによって測定する。30日間の生存につい
てのDMFは、造血系のMPIF−1による保護を測定する。
【0928】 (実施例20:N末端および/またはC末端欠失変異体の構築) 以下の一般的なアプローチを使用して、N末端またはC末端欠失MPIF−1
欠失変異体をクローニングし得る。一般には、約15〜25ヌクレオチドの2つ
のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1または6のポリヌクレオチドの
所望の5’位および3’位に由来する。プライマーの5’位および3’位は、所
望のMPIF−1ポリヌクレオチドフラグメントに基づいて決定される。必要な
場合は、開始コドンおよび終止コドンを5’プライマーおよび3’プライマーに
それぞれ付加し、ポリヌクレオチドフラグメントによってコードされるMPIF
−1ポリペプチドフラグメントを発現する。好ましいMPIF−1ポリヌクレオ
チドフラグメントは、明細書の「MPIF-1ポリペプチド」の節において上記にで開
示されるN末端およびC末端欠失変異体をコードするフラグメントである。
【0929】 所望のベクターにおけるMPIF−1ポリヌクレオチドフラグメントのクロー
ニングを促進するための制限部位を含むさらなるヌクレオチドもまた、5’およ
び3’プライマー配列に付加され得る。MPIF−1ポリヌクレオチドフラグメ
ントは、本明細書中で議論されるかまたは当該分野において公知の適切なPCR
オリゴヌクレオチドプライマーおよび条件を用いて、ゲノムDNAから、または
寄託されたcDNAクローンから増幅される。本発明のMPIF−1ポリヌクレ
オチドフラグメントによってコードされるMPIF−1ポリペプチドフラグメン
トは、全長ポリペプチドと同じ一般的な様式で発現および精製され得るが、慣用
的な改変が、特定のフラグメントと全長ポリペプチドとの間の化学的特性および
物理的特性における差異に起因して必要であり得る。
【0930】 本発明の限定ではなく例示の手段として、MPIF−1ポリペプチドフラグメ
ントR−46〜N−120をコードするポリヌクレオチドは、以下のように増幅
およびクローニングされる:R−46で開始するポリペプチドフラグメントのN
末端部分をコードするポリヌクレオチド配列をインフレームに、制限酵素部位、
続いて開始コドンを含む5’プライマーを生成する。N−120で終結するMP
IF−1ポリペプチドフラグメントのC末端部分をコードするポリヌクレオチド
配列をインフレームに、制限酵素部位、続いて終止コドンを含む相補的3’プラ
イマーを生成する。
【0931】 増幅したポリヌクレオチドフラグメントおよび発現ベクターを、プライマー中
の部位を認識する制限酵素で消化する。次いで、消化したポリヌクレオチドをと
もに連結する。MPIF−1ポリヌクレオチドフラグメントを、制限発現ベクタ
ーに、好ましくはMPIF−1ポリペプチドフラグメントコード領域をプロモー
ターから下流に配置する様式で挿入する。連結混合物を、標準的な手順を用いて
、本明細書中の実施例に記載されるように、コンピテントE.coli細胞に形
質転換する。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そしてクローニング
されたDNAのアイデンティティを制限分析、PCRおよびDNA配列決定によ
って確認する。
【0932】 (実施例21:MPIF−1のタンパク質融合物) MPIF−1ポリぺプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。こ
れらの融合タンパク質は、種々の適用について使用され得る。例えば、MPIF
−1ポリぺプチドの、Hisタグ、HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、
およびマルトース結合タンパク質への融合は、精製を容易にする(実施例5を参
照のこと;EP A 394,827;Trauneckerら、Nature
331:84−86(1988)もまた参照のこと)。同様に、IgG−1、
IgG−3、およびアルブミンへの融合は、インビボでの半減期を増大させる。
MPIF−1ポリぺプチドに融合した核局在化シグナルは、タンパク質を特定の
細胞内局在に標的化し得る。一方、共有結合ヘテロダイマーまたはホモダイマー
は、融合タンパク質の活性を増大または減少させ得る。融合タンパク質はまた、
1つより多い機能を有するキメラ分子を作製し得る。最後に、融合タンパク質は
、非融合タンパク質と比較して、融合タンパク質の可溶性および/または安定性
を増大させ得る。上記の融合タンパク質の全ての型は、ポリぺプチドのIgG分
子への融合を概説する以下のプロトコル、または実施例2に記載されるプロトコ
ルを改変することによって作製され得る。
【0933】 簡単には、IgG分子のヒトFc部分は、以下に記載の配列の5’および3’
末端にわたるプライマーを使用してPCR増幅され得る。これらのプライマーは
また、発現ベクター(好ましくは、哺乳動物発現ベクター)へのクローニングを
容易にする都合の良い制限酵素部位を有するべきである。
【0934】 例えば、pC4(受託番号第209646号)が使用される場合、ヒトFc部
分は、BamHIクローニング部位に連結され得る。3’BamHI部位が破壊
されるべきであることに注意のこと。次に、ヒトFc部分を含有するベクターが
、BamHIによって再び制限され、ベクターを線状化し、そして実施例1に記
載するPCRプロトコルによって単離されたMPIF−1ポリヌクレオチドが、
このBamHI部位に連結される。このポリヌクレオチドは、終止コドンなしに
クローン化され、そうでなければ、融合タンパク質は産生されないことに注意す
ること。
【0935】 天然に存在するシグナル配列が分泌タンパク質を産生するために使用される場
合、pC4は、第二のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天然に存在
するシグナル配列が使用されない場合、このベクターは、異種シグナル配列を含
むように改変され得る(例えば、WO 96/34891を参照のこと)。
【0936】
【化29】 さらに、MPIF−1の1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、
フラグメントなどは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、切片、
部分、ドメイン、フラグメントなどと組換えられ得る。好ましい実施態様におい
て、この異種分子は、ケモカインファミリーのメンバーである。さらに好ましい
実施態様において、この異種分子は、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)
、インスリン様増殖因子(IGF−I)、トランスホーミング増殖因子(TGF
)−α、表皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、TGF−β
、骨形成タンパク質(BMP)−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、B
MP−7、アクチビンAおよびアクチビンB、デカペンタプレジック(deca
pentaplegic)(dpp)、60A、OP−2、ドーサリン(dor
salin)、増殖分化因子(GDF)、結節(nodal)、MIS、インヒ
ビン−α、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β5、および
神経膠由来神経栄養因子(GDNF)のような増殖因子である。
【0937】 (実施例22:抗体の産生) ハイブリドーマ技術 本発明の抗体は、種々の方法によって調製され得る。(Current Pr
otocols,第2章を参照のこと)。このような方法の1つの例は、MPI
F−1を発現する細胞は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するため
に動物に投与される。好ましい方法において、MPIF−1タンパク質の調製物
が調製され、そして精製されて、天然の夾雑物を実質的に含まないようにされる
。次いで、より大きな比活性のポリクローナル抗血清を生成するために、このよ
うな調製物は、動物に導入される。
【0938】 最も好ましい方法において、本発明の抗体は、モノクローナル抗体(または、
そのタンパク質結合フラグメント)である。このようなモノクローナル抗体は、
ハイブリドーマ技術を使用して調製され得る(Koehlerら、Nature
256:495(1975);Koehlerら、Eur.J.Immuno
l.6:511(1976);Koehlerら、Eur.J.Immunol
.6:292(1976);Hammerlingら:Monoclonal
Antibodies and T−Cell Hybridomas,Els
evier,N.Y.、563−681頁(1981))。一般に、このような
手順は、動物(好ましくは、マウス)をMPIF−1ポリぺプチドで免疫するこ
と、またはより好ましくは、分泌MPIF−1ポリぺプチド発現細胞で免疫する
ことを含む。このような細胞は、任意の適切な組織培養培地において培養され得
る;しかし、10%ウシ胎仔血清(約56℃で非働化した)を補充し、そして約
10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約1
00μg/mlのストレプトマイシンを補充したEarle改変イーグル培地に
おいて細胞を培養することが好ましい。
【0939】 このようなマウスの脾細胞は抽出され、そして適切なミエローマ細胞株と融合
される。任意の適切なミエローマ細胞株は、本発明に従って用いられ得る;しか
し、ATCCから入手可能な親ミエローマ細胞株(SP2O)を用いることが好
ましい。融合後、得られるハイブリドーマ細胞を、HAT培地において選択的に
維持し、次いでWandsら(Gastroenterology 80:22
5−232(1981))に記載されるように限界希釈によってクローニングす
る。このような選択によって得られるハイブリドーマ細胞は、次いでMPIF−
1ポリぺプチドに結合し得る抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイ
される。
【0940】 あるいは、MPIF−1ポリぺプチドに結合し得るさらなる抗体を、抗イディ
オタイプ抗体を使用して2段階工程の手順において生成し得る。このような方法
は、抗体それ自体が抗原であり、それゆえ第二の抗体に結合する抗体を得ること
が可能であるという事実を利用する。この方法に従って、タンパク質特異的抗体
を使用して、動物(好ましくは、マウス)を免疫する。次いで、このような動物
の脾細胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を産生する。そして、このハイブリド
ーマ細胞は、MPIF−1タンパク質特異的抗体に結合する能力がMPIF−1
によってブロックされ得る抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニ
ングされる。このような抗体は、MPIF−1タンパク質特異的抗体に対する抗
イディオタイプ抗体を含み、そして動物を免疫してさらなるMPIF−1タンパ
ク質特異的抗体の形成を誘導するために使用され得る。
【0941】 本発明の抗体のFabおよびF(ab’)2ならびに他のフラグメントは、本
明細書中で開示される方法に従って使用され得ることが理解される。このような
フラグメントは、代表的には、パパイン(Fabフラグメントを産生するため)
またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを産生するため)のような酵素を
使用して、タンパク質分解性切断によって産生される。あるいは、分泌型MPI
F−1タンパク質結合フラグメントは、組換えDNA技術の適用により、または
合成化学により産生され得る。
【0942】 ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、「ヒト化」キメラモノクローナル
抗体を使用することが好ましくあり得る。このような抗体は、上記のモノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来する遺伝的構築物を使用すること
によって産生され得る。キメラ抗体を産生するための方法は当該分野で公知であ
る(総説については、Morrison,Science 229:1202(
1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);
Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchiら、
EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Neuber
gerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 8702671
;Boulianneら、Nature 312:643(1984);Neu
bergerら、Nature 314:268(1985)を参照のこと)。
【0943】 (scFvsのライブラリーからのMPIF−1に対する抗体フラグメントの
単離) ヒトPBLから単離した天然に存在するV遺伝子を、ドナーが曝露されていて
もよいし、曝露されていなくてもよいMPIF−1に対する反応性を含む抗体フ
ラグメントの大きいライブラリーに構築する(例えば、米国特許第5,885,
793号(その全体が参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。
【0944】 (ライブラリーのレスキュー) WO 92/01047に記載のように、ヒトPBLのRNAからscFvs
のライブラリーを構築する。抗体フラグメントを提示するファージをレスキュー
するため、ファージミドを保有する約109個のE.coliを用いて、50m
lの2×TY(1%グルコースおよび100μg/mlのアンピシリンを含有す
る)(2×TY−AMP−GLU)を接種し、そして振盪しながら0.8のO.
D.まで増殖させる。この培養物の5mlを用いて50mlの2×TY−AMP
−GLUを接種(innoculate)し、2×108TUのΔ遺伝子3ヘル
パー(M13Δ遺伝子III、WO92/01047を参照のこと)を添加し、
そして培養物を振盪なしで37℃で45分間インキュベートし、次いで振盪しな
がら37℃で45分間インキュベートする。この培養物を10分間4000r.
p.m.で遠心分離し、そしてペレットを2リットルの2×TY(100μg/
mlアンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含有する)中に再懸濁し
、そして一晩増殖させる。ファージをWO92/01047に記載のように調製
する。
【0945】 M13Δ遺伝子IIIを以下のように調製する:M13Δ遺伝子IIIヘルパ
ーファージは、遺伝子IIIタンパク質をコードしない。それゆえ、抗体フラグ
メントを提示するファージ(ファージミド)は、抗原に対するより大きい結合ア
ビディティーを有する。ファージ形態形成の間、野生型遺伝子IIIタンパク質
を供給するpUC19誘導体を保有する細胞においてヘルパーファージを増殖さ
せることにより、感染性M13Δ遺伝子III粒子を作製する。培養物を振盪な
しで37℃で1時間インキュベートし、次いで振盪しながら37℃でさらに1時
間インキュベートする。細胞を遠心沈殿(IEC−Centra 8,4000
revs/分で10分間)し、100μg/mlのアンピシリンおよび25μ
g/mlのカナマイシンを含有する2×TYブロス(2×TY−AMP−KAN
)300ml中で再懸濁し、そして37℃で振盪しながら一晩増殖させた。ファ
ージ粒子を、2回のPEG沈殿(Sambrookら、1990)により培養培
地から精製および濃縮し、2ml PBSに再懸濁し、そして0.45μmのフ
ィルター(Minisart NML;Sartorius)を通過させ、約1
13形質導入単位/ml(アンピシリン耐性クローン)の最終濃度を得る。
【0946】 (ライブラリーパニング) Immunotubes(Nunc)を、本発明のポリペプチドの100μg
/mlまたは10μg/mlのいずれかの4mlを用いてPBS中で一晩被膜す
る。チューブを2%Marvel−PBSを用いて37℃で2時間ブロックし、
次いでPBS中で3回洗浄する。約1013TUのファージをチューブに適用し、
そして、回転盤で上下に傾けながら室温で30分間インキュベートし、次いでさ
らに1.5時間静置しておく。チューブをPBS 0.1%Tween−20で
10回、そしてPBSで10回洗浄する。1mlの100mMトリエチルアミン
を添加し、そして回転盤上で15分間上下に回転させることによりファージを溶
出し、その後この溶液を0.5mlの1.0M Tris−HCl,pH7.4
で直ちに中和する。次いで、溶出したファージを細菌とともに37℃で30分間
インキュベートすることにより、ファージを用いて、10mlの対数増殖中期の
E.coli TG1に感染させる。次いで、E.coliを1%グルコースお
よび100μg/mlアンピシリンを含有するTYEプレート上にプレートする
。次いで、得られる細菌ライブラリーを、上記のようにΔ遺伝子3ヘルパーファ
ージでレスキューし、次の回の選択のためのファージを調製する。次いで、この
プロセスを、アフィニティー精製の全4回について反復し、3回目および4回目
にはチューブ洗浄をPBS、0.1%Tween−20で20回、そしてPBS
で20回に増加する。
【0947】 (結合剤の特徴付け) 第3回目および4回目の選択から溶出したファージを用いて、E.coli
HB 2151を感染させ、そして可溶性scFvをアッセイのために単一コロ
ニーから生成する(Marksら、1991)。50mM炭酸水素塩、pH9.
6中の本発明のポリペプチドの10ピコグラム/mlのいずれかで被膜したマイ
クロタイタープレートを用いてELISAを実行する。ELISA中の陽性クロ
ーンをPCRフィンガープリンティング(例えば、WO92/01047を参照
のこと)、次に配列決定することによりさらに特徴付ける。
【0948】 (実施例23:MPIF−1のレベルの低下を処置する方法) 本発明は、本発明のアゴニスト(本発明のポリペプチドを含む)の治療的有効
量を含む組成物を、体内において増加したレベルの本発明のポリペプチドを必要
とする個体に投与する工程を包含する、このような個体を処置する方法に関する
。さらに、個体におけるMPIF−1の標準的な発現レベルまたは正常な発現レ
ベルの低下により引き起こされる状態は、好ましくは、分泌形態で、MPIF−
1を投与することによって処置され得ることが理解される。従って、本発明はま
た、MPIF−1ポリペプチドのレベルの増加の必要な個体の処置方法を提供し
、これは、このような個体におけるMPIF−1の活性レベルを増加させるため
のMPIF−1の量を含む治療薬をこのような個体に投与する工程を包含する。
【0949】 例えば、MPIF−1ポリペプチドのレベルの低下を有する患者は、連続6日
間、0.1〜100 μg/kg用量のこのポリペプチドを毎日受ける。好まし
くは、このポリペプチドは、分泌形態で存在する。投与および処方に基づいた、
投与スキームの正確な詳細を、本明細書中の節「薬学的組成物」に提供する。
【0950】 (実施例24:MPIF−1のレベルの上昇を処置するための方法) 本発明は、本発明のアンタゴニスト(本発明のポリペプチドを含む)の治療的
有効量を含む組成物を、体内において増加したレベルの本発明のポリペプチドを
必要とする個体に投与する工程を包含する、このような個体を処置する方法に関
する。
【0951】 1つの例では、アンチセンス技術をMPIF−1の産生を阻害するために使用
する。この技術は、種々の病因に起因する、MPIF−1ポリペプチド(好まし
くは分泌形態)のレベルの低下させる方法の1つの例である。
【0952】 例えば、MPIF−1の異常なレベル上昇を有すると診断された患者にアンチ
センスポリヌクレオチドを0.5、1.0、1.5、2.0および3.0mg/
kg 日で21日間、静脈投与する。この処置が十分に寛容な場合、この処置を
残り7日間の休薬期間の後、繰り返す。アンチセンスポリヌクレオチドの処方を
、本明細書中の節「薬学的組成物」に提供する。。
【0953】 (実施例25:遺伝子治療を使用した処置方法−エキソビボ) 本発明は、本発明のアゴニスト(本発明のポリペプチドを含む)の治療的有効
量を含む組成物を、体内において増加したレベルの本発明のポリペプチドを必要
とする個体に投与する工程を包含する、このような個体を処置する方法に関する
【0954】 遺伝子治療の1つの方法は、線維芽細胞を患者に移植し、これは、MPIF−
1ポリペプチドを発現し得る。一般に、線維芽細胞を皮膚生検によって被験体か
ら得る。得た組織を組織培養培地に置床し、そして小片に分離する。この組織の
小塊を組織培養フラスコの湿潤表面上に置き、約10個の小片を各フラスコに置
床する。このフラスコを倒置し、きつく栓をし、そして室温で一晩放置する。室
温で24時間後、このフラスコを反転し、そして組織塊をこのフラスコの底に固
着したままにし、そして新鮮な培地(例えば、10% FBS、ペニシリンおよ
びストレプトマイシンを含むHam’s F12 培地)を加える。次いでフラ
スコを37℃で約1週間、インキュベートする。この時点で、新鮮培地を添加し
、引き続いて数日毎に交換する。さらなる2週間の培養の後、線維芽細胞の単層
が出現する。この単層をトリプシン処理し、そしてより大きいフラスコに拡大す
る。
【0955】 モロニーマウス肉腫ウイルスの長末端反復に隣接する、pMV−7(Kirs
chmeier、P.T.ら、DNA 7:219−25(1988))をEc
oRIおよびHindIIIで消化し、引き続いて仔ウシ腸ホスファターゼで処
理する。この直鎖状ベクターをアガロースゲル上で分画し、そしてガラスビーズ
を用いて精製する。
【0956】 MPIF−1をコードするcDNAをPCRプライマーを用いて増幅し得、こ
のプライマーは、実施例1に示されるように、5’および3’末端配列にそれぞ
れ対応する。好ましくは、5’プライマーは、EcoRI部位を含み、そして3
’プライマーは、HindIII部位を含む。等量のモロニーマウス肉腫ウイル
スの直鎖状骨格ならびに増幅されたEcoRIおよびHindIIIフラグメン
トをT4DNAリガーゼの存在下で共に加える。生じた混合物を2つのフラグメ
ントの連結に適切な条件下で維持する。次いで、この連結物混合物を細菌HB1
01を形質転換するために使用し、次いでこの細菌をベクターが適切に挿入され
たMPIF−1を含むことを確認する目的で、カナマイシンを含有する寒天上に
プレーティングする。
【0957】 両栄養性pA317またはGP+am12パッケージング細胞を10% 仔ウ
シ血清(CS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを有するダルベッコ改変
イーグル培地(DMEM)においてコンフルエントな密度まで組織培養物中で増
殖させる。次いで、MPIF−1遺伝子を含むMSVベクターを培地に添加し、
そしてパッケージング細胞をこのベクターで形質導入する。このパッケージング
細胞は、現在、MPIF−1遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する(この
パッケージング細胞を現在プロデューサー細胞という)。
【0958】 新鮮な培地を形質導入したプロデューサー細胞に添加し、引き続いて培地をコ
ンフルエントなプロデューサー細胞の10cmプレートから収穫する。感染性ウ
イルス粒子含む使用済み培地をミリポアーフィルターを通してろ過し、付着した
プロデューサー細胞を除去する。次いで、この培地を使用し、線維芽細胞を感染
させる。培地をサブコンフルエントな線維芽細胞プレートから除去し、そしてプ
ロデューサー細胞からの培地に迅速に置換する。この培地を除去し、そして新鮮
な培地に置換する。ウイルスの力価が高い場合、次いで実質的に、全ての線維芽
細胞は感染され、選択は全く必要ない。力価が大変低い場合、次いで選択マーカ
ー(例えば、neoまたはhis)を有するレトロウイルスベクターを使用する
必要がある。一旦、線維芽細胞を効率的に感染させると、この線維芽細胞を分析
し、MPIF−1タンパク質を産生しているかどうか決定する。
【0959】 次いで、操作された線維芽細胞を単独またはサイトデックス3ミクロキャリア
ビーズ上でコンフルエントまで増殖させた後のいずれかで、宿主に移植する。
【0960】 (実施例26:内因性MPIF−1遺伝子を使用する遺伝子治療) 本発明に従う遺伝子治療の別の方法は、内因性MPIF−1配列を、例えば、
米国特許第5,641,670号(1997年6月24日発行);国際公開第W
O 96/29411号(1996年9月26日公開);国際公開第WO 94
/12650号(1994年8月4日公開);Kollerら、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,86:8932〜8935(1989);お
よびZijlstraら、Nature,342:435〜438(1989)
に記載されるように、相同組換えを介してプロモーターに作動可能に結合する工
程を包含する。この方法は、その標的細胞中に存在するが、その細胞中で発現さ
れないかまたは所望されるよりも低いレベルで発現される、遺伝子の活性化を包
含する。
【0961】 プロモーターおよび標的化配列を含むポリヌクレオチド構築物を作製する。こ
の標的配列は、プロモーターに隣接する、内因性MPIF−1の5’非コード配
列と相同である。この標的化配列は、MPIF−1の5’末端に十分に近く、そ
の結果、このプロモーターは、相同組換えの際にこの内因性配列に作動可能に連
結される。このプロモーターおよび標的化配列を、PCRを使用して増幅し得る
。好ましくは、この増幅したプロモーターは、5’末端および3’末端上に異な
る制限酵素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅した
プロモーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の
5’末端は、増幅したプロモーターの3’末端と同じ制限酵素部位を含む。
【0962】 この増幅したプロモーターおよび増幅した標的化配列を、適切な制限酵素で消
化し、続いてウシ腸ホスファターゼで処理する。消化したプロモーターおよび消
化した標的化配列を、T4 DNAリガーゼの存在下でともに加える。生じた混
合物を、これら2つのフラグメントの連結に適切な条件下で維持する。この構築
物をアガロースゲル上でサイズ分画し、次いでフェノール抽出およびエタノール
沈殿により精製する。
【0963】 この実施例において、このポリヌクレオチド構築物を、エレクトロポレーショ
ンを介して裸のポリヌクレオチドとして投与する。しかし、このポリヌクレオチ
ド構築物はまた、トランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイルス
配列、ウイルス粒子、沈殿剤など)とともにも投与し得る。送達のためのこのよ
うな方法は、当該分野で公知である。
【0964】 一旦、細胞をトランスフェクトすると、相同組換えが、このプロモーターで生
じて、この内因性MPIF−1配列に作動可能に連結される。これは、この細胞
中におけるMPIF−1の発現を生じる。発現は、免疫学的染色または当該分野
で公知の他の任意の方法により、検出され得る。
【0965】 線維芽細胞を、皮膚生検により被験者から得る。得られた組織を、DMEM+
10%胎仔ウシ血清中に配置する。対数増殖期または定常期初期の線維芽細胞を
、トリプシン処理し、そしてプラスチックの表面から栄養培地でリンスする。細
胞懸濁液のアリコートを、計数のために取り出し、そして残りの細胞を遠心分離
に供する。上清を吸引し、そしてペレットを5mlのエレクトロポレーション緩
衝液(20mM HEPES pH7.3、137mM NaCl、5mM K
Cl、0.7mM Na2HPO4、6mMデキストロース)に再懸濁する。この
細胞を再遠心分離し、上清を吸引し、そして細胞をアセチル化ウシ血清アルブミ
ン1mg/mlを含むエレクトロポレーション緩衝液に再懸濁する。この最終細
胞懸濁物は、約3×106細胞/mlを含む。エレクトロポレーションを、再懸
濁直後に実施すべきである。
【0966】 プラスミドDNAを、標準的技術に従って調製する。例えば、MPIF−1遺
伝子座に標的化するためのプラスミドを構築するために、プラスミドpUC18
(MBI Fermentas、Amherst、NY)をHindIIIで消
化する。5’末端にXbaI部位および3’末端にBamHI部位を有するCM
Vプロモーターを、PCRにより増幅する。2つのMPIF−1非コード配列を
PCRを介して増幅する:5’末端にHindIII部位および3’末端にXb
aI部位を有する一方のMPIF−1非コード配列(MPIF−1フラグメント
1)を、増幅する;5’末端にBamHI部位および3’末端にHindIII
部位を有する他方のMPIF−1非コード配列(MPIF−1フラグメント2)
を、増幅する。このCMVプロモーターおよびMPIF−1フラグメント(1お
よび2)を、適切な酵素(CMVプロモーター−XbaIおよびBamHI;M
PIF−1フラグメント1−XbaI;MPIF−1フラグメント2−BamH
I)で消化し、そしてともに連結する。生じた連結生成物をHindIIIで消
化し、そしてHindIIIで消化したpUC18プラスミドと連結する。
【0967】 プラスミドDNAを、0.4cmの電極ギャップを備える滅菌キュベット(B
io−Rad)に添加する。最終DNA濃度は、一般的に、少なくとも120μ
g/mlである。次いで、この細胞懸濁液の0.5ml(約1.5×106細胞
を含む)をこのキュベットに添加し、そしてこの細胞懸濁液およびDNA溶液を
、穏やかに混合する。エレクトロポレーションを、Gene−Pulser装置
(Bio−Rad)を用いて実施する。キャパシタンスおよび電圧を、それぞれ
、960μFおよび250〜300Vに設定する。電圧が増加すると、細胞の生
存が減少するが、導入されたDNAをそのゲノム中に安定に組込む生存細胞の割
合は劇的に増加する。これらのパラメーターを考慮すると、パルス時間約14〜
20mSecが観察されるはずである。
【0968】 エレクトロポレーションした細胞を、室温で約5分間維持し、次いで、このキ
ュベットの中身を、滅菌した移動ピペットを用いて穏やかに取り出す。この細胞
を、10cmのディッシュ中の、予め温めた栄養培地(15%ウシ血清を含むD
MEM)10mlに直接加え、そして37℃でインキュベートする。翌日、この
培地を吸引し、そして10mlの新鮮な培地で置換し、そしてさらに16〜24
時間インキュベートする。
【0969】 次いで、操作された線維芽細胞を、宿主中に、単独か、またはサイトデックス
(cytodex)3マイクロキャリア(microcarrier)ビーズ上
でコンフルエントになるまで増殖させた後かのいずれかで、注入する。ここで、
この線維芽細胞は、タンパク質産物を生成する。次いで、この線維芽細胞を、上
記のような患者に導入し得る。
【0970】 (実施例27:遺伝子治療を使用した処置の方法−インビボ) 本発明の別の局面は、障害、疾患および状態を処置するためにインビボで遺伝
子治療方法を使用する工程である。遺伝子治療方法は、MPIF−1ポリペプチ
ドの発現を増加または減少させるための、裸の核酸(DNA、RNAおよびアン
チセンスDNAまたはアンチセンスRNA)MPIF−1配列の動物への導入に
関する。MPIF−1ポリヌクレオチドを標的組織によるMPIF−1ポリペプ
チドの発現に必要なプロモーターまたは他の任意の遺伝的エレメントと作動可能
に連結し得る。このような遺伝子治療および送達技術ならびに方法は、当該分野
で公知である(例えば、WO90/11092、WO98/11779;米国特
許第5,693,622号、同第5,705,151号、同第5,580,85
9号;Tabata Hら、(1997)Cardiovasc.Res.35
(3):470−479、Chao、Jら、(1997)Pharmacol.
Res.35(6):517−522、Wolff J.A.(1997)Ne
uromuscul.Disord.7(5):314−318、Schwar
tz、B.ら、(1996)Gene Ther.3(5):405−411、
Tsurumi Y.ら、(1996)Circulation 94(12)
:3281−3290を参照のこと(本明細書中に参考として援用される))。
【0971】 MPIF−1ポリヌクレオチド構築物は、動物の細胞に注入物質を送達する任
意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚、肺、肝臓、腸など)の間隙空間へ
の注入)によって送達され得る。MPIF−1ポリヌクレオチド構築物を薬学的
に受容可能な液体または水性キャリアにおいて送達し得る。
【0972】 用語「裸の」ポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)とは、ウイルス性の配
列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチンまたは沈降剤などを含む
、細胞中への侵入を補助、促進または容易にするために作用する任意の送達ビヒ
クルから遊離した配列のことをいう。しかし、MPIF−1ポリヌクレオチドも
また、リポソーム処方物(例えば、Felgner P.L.ら(1995)A
nn.NY Acad.Sci.772:126−139およびAbdalla
h B.ら、(1995)Biol.Cell 85(1):1−7において教
示される処方物)で送達し得、これは、当業者に周知の方法によって調製され得
る。
【0973】 遺伝子治療方法において使用されるMPIF−1ポリヌクレオチドベクター構
築物は、好ましくは、宿主ゲノム内に組み込まれもしないし、それらが複製を可
能とする配列を含まない構築物である。当業者に公知の任意の強力なプロモータ
ーをDNAの発現を駆動するために使用し得る。他の遺伝子治療技術とは異なり
、標的細胞に裸の核酸配列を導入する1つの大きな利点は、細胞におけるポリヌ
クレオチド合成の一過性の性質である。研究によって、非複製DNA配列が細胞
内に導入され、6ヶ月までの期間、所望のポリペプチドの産生を提供し得ること
が示されている。 MPIF−1ポリヌクレオチド構築物を動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝
臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃
、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺および結合組織を含む)の間隙
空間に送達し得る。組織の間隙空間は、細胞間液、器官組織の細網線維間のムコ
多糖類マトリックス、管または室の壁における弾性線維、線維組織のコラーゲン
線維あるいは結合組織鞘性筋肉細胞内または骨の裂孔におけるその同じマトリッ
クスを含む。組織の間隙空間は同様に、循環中の血漿およびリンパチャネルのリ
ンパ液で占められた空間である。筋肉組織の間隙空間への送達は、以下に議論さ
れる理由のため好ましい。ポリヌクレオチド構築物は、これらの細胞を含む組織
中への注入によって都合よく送達され得る。ポリヌクレオチド構築物は、好まし
くは分化した非分割細胞に送達され、そして持続して発現されるが、送達および
発現は、例えば血液幹細胞または皮膚線維芽細胞のような非分化細胞または完全
には分化していない細胞中で達成され得る。インビボで、筋肉細胞は、ポリヌク
レオチドを吸収し、そして発現するそれらの能力において特に適している。 裸のMPIF−1ポリヌクレオチド注入のために、有効なDNAまたはRNAの
投与量は、約0.05g/kg体重〜約50mg/kg体重の範囲に存在する。好
ましくは、この投与量は、約0.005mg/kg〜約20mg/kgであり、そ
してより好ましくは約0.05mg/kg〜約5mg/kgである。もちろん、当
業者が理解するように、この投与量は、注入する組織部位によって異なる。適切
かつ有効な核酸配列の投与量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置
されている条件および投与経路に依存し得る。好ましい投与経路は、組織の間隙
空間中への非経口の注入経路によってである。しかし、他の非経口経路(例えば
、特に肺組織または気管支組織、咽喉または鼻の粘膜への送達のためのエアロゾ
ル処方物の吸入)もまた使用され得る。さらに裸のMPIF−1ポリヌクレオチ
ド構築物をその手順で使用されるカテーテルによる血管形成中の動脈に送達し得
る。 インビボで筋肉中に注入したMPIF−1ポリヌクレオチドの用量応答効果を以
下のように決定する。MPIF−1ポリペプチドをコードするmRNAの生成の
ための適切なMPIF−1鋳型DNAを、標準的な組換えDNA方法論に従って
調製する。この鋳型DNA(これは、環状かもしくは直鎖状のいずれかであり得
る)を、裸のDNAまたはリポソームで複合体化したDNAのいずれかとして使
用する。次いで、マウスの四頭筋に種々の量の鋳型DNAを注射する。 5〜6週令の雌および雄Balb/Cマウスを0.3mlの2.5%アベルチン
(Averin)で腹腔内注射によって麻酔する。1.5cmの切開を前大腿(
anterior thigh)上に作製し、そして四頭筋を直接可視化する。
MPIF−1鋳型DNAを0.1mlのキャリア中で、膝中の筋肉の遠位(末端
)の挿入部位から約0.5cmおよび深さ約0.2cmにおいて、1分間にわた
って27番径の針を通して1ccのシリンジで注入する。縫合を将来の局在化の
ための注入部位にわたって配置し、そしてその皮膚をステンレススティールクリ
ップでふさぐ。 適切なインキュベーション時間(例えば、7日間)後、筋肉抽出物を完全な四頭
筋を切除することによって調製する。個々の四頭筋の15μmの断面を、5断面
ごとにMPIF−1タンパク質発現のために組織学的に染色する。MPIF−1
タンパク質発現の時間経過を、異なったマウス由来の四頭筋を異なった時間に収
穫することを除いて、同様の様式で行い得る。注入後の筋肉中でのMPIF−1
DNAの持続性を、全細胞DNAならびに注入されたマウスおよびコントロー
ルマウス由来のHIRT上清を調製後、サザンブロット分析によって決定し得る
。マウスにおける上記の実験の結果を使用し、MPIF−1の裸のDNAを使用
する、ヒトおよび他の動物における適切な投与量ならびに他の処置パラメーター
を推定し得る。
【0974】 (実施例28:MPIF−1トランスジェニック動物) MPIF−1ポリペプチドはまた、トランスジェニック動物において発現され
得る。マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、ミニブタ(m
icro−pig)、ヤギ、ヒツジ、ウシおよびヒト以外の霊長類(例えば、ヒ
ヒ、サルおよびチンパンジー)を含むがこれらに限定されない任意の種の動物は
、トランスジェニック動物を作製するために用いられ得る。特定の実施形態にお
いて、本明細書に記載されるかまたはさもなければ当該分野で公知の技術が、遺
伝子治療プロトコルの一部として、ヒトにおける本発明のポリペプチドの発現の
ために用いられる。当該分野で公知の任意の技術を、導入遺伝子(すなわち、本
発明のポリヌクレオチド)の動物への導入に用いて、トランスジェニック動物の
創始系統(founder line)を生成し得る。このような技術は、前核
マイクロインジェクション(Patersonら、Appl.Microbio
l.Biotechnol.40:691−698(1994);Carver
ら、Biotechnology(NY)11:1263−1270(1993
);Wrightら、Biotechnology(NY)9:830−834
(1991);およびHoppeら、米国特許第4,873,191号(198
9));生殖系列へのレトロウイルス媒介遺伝子移入(Van der Put
tenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:6148−
6152(1985))、胚盤胞または胚;胚性幹細胞における遺伝子標的化(
Thompsonら、Cell 56:313−321(1989));細胞ま
たは胚のエレクトロポレーション(Lo、1983、Mol Cell.Bio
l.3:1803−1814(1983));遺伝子銃を用いた本発明のポリヌ
クレオチドの導入(例えば、Ulmerら、Science 259:1745
(1993)を参照のこと);胚性多能性(pleuripotent)幹細胞
への核酸構築物の導入および胚盤胞へのこの幹細胞の再移入;ならびに精子媒介
遺伝子移入(Lavitranoら、Cell 57:717−723(198
9));などを含むがこれらに限定されない。このような技術の総説については
、本明細書中にその全体が参考として援用される、Gordon、「Trans
genic Animals」、Intl.Rev.Cytol.115:17
1−229(1989)を参照のこと。
【0975】 当該分野で公知の任意の技術を用いて、本発明のポリヌクレオチドを含むトラ
ンスジェニッククローンを生成し得る(例えば、培養された、静止状態に誘導さ
れた胚細胞、胎児細胞または成体の細胞由来の除核した卵母細胞の核への核移入
(Campellら、Nature 380:64−66(1996);Wil
mutら、Nature 385:810−813(1997)))。
【0976】 本発明は、その全ての細胞に導入遺伝子を有するトランスジェニック動物、な
らびにいくつかの細胞(しかしその全ての細胞ではない)に導入遺伝子を有する
動物(すなわち、モザイク動物またはキメラ)を提供する。導入遺伝子は、1つ
の導入遺伝子としてまたはコンカテマー(例えば、頭−頭タンデム型または頭−
尾タンデム型)のような複数のコピーとして組み込まれ得る。この導入遺伝子は
また、例えば、Laskoらの教示(Laskoら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 89:6232−6236(1992))に従って特定
の細胞型に選択的に導入され得、そして活性化され得る。このような細胞型特異
的活性化に必要とされる調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、そしてそれ
らは当業者に明らかである。ポリヌクレオチド導入遺伝子が、内在性遺伝子の染
色体部位に組み込まれることが所望される場合、遺伝子の標的化が好ましい。
【0977】 手短に言えば、このような技術が利用される場合、内在性遺伝子に対して相同
ないくつかのヌクレオチド配列を含むベクターが、染色体配列との相同な組換え
を介して内在性遺伝子のヌクレオチド配列に組み込まれ、そのヌクレオチド配列
の機能を破壊することを目的として設計される。導入遺伝子はまた、特定の細胞
型に選択的に導入され得、従って、例えば、Guら(Guら、Science
265:103−106(1994))の教示に従って、導入された細胞型にお
いてのみ内在性遺伝子が不活化される。そのような細胞型特異的不活化に必要と
される調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、そしてそれらは当業者に明ら
かである。この節に列挙されている文献の各々の内容は、本明細書中でその全体
が参考として援用される。
【0978】 同様に、全長MPIF−1タンパク質をコードするDNAはまた、以下のプラ
イマーを用いて組織特異的発現のためのベクターに挿入され得る。
【0979】 トランスジェニック動物において遍在的な様式または組織特異的様式での本発
明のペプチドを発現することに加えて、このポリペプチドの発現を種々の他の方
法によって調節する(例えば、発生的に調節された発現または化学的に調節され
た発現)構築物を産生することもまた、当業者にとって慣用的である。
【0980】 一旦トランスジェニック動物が作製されると、その組換え遺伝子の発現は、標
準的な技術を利用してアッセイされ得る。最初のスクリーニングは、サザンブロ
ット分析またはPCR技術によって達成されて、導入遺伝子の組み込みが起きた
ことを動物組織の分析により確認し得る。トランスジェニック動物の組織におけ
る導入遺伝子のmRNA発現レベルはまた、動物から得た組織サンプルのノーザ
ンブロット分析、インサイチュハイブリダイゼーション分析および逆転写酵素P
CR(rt−PCR)を含むがこれらに限定されない技術を用いて評価され得る
。トランスジェニック遺伝子発現組織のサンプルはまた、導入遺伝子産物に特異
的な抗体を用いて免疫細胞化学的または免疫組織化学的に評価され得る。
【0981】 一旦、創始動物が生成されると、それらは、交配され、同系交配され、異系交
配されるかまたは交雑されて、特定の動物のコロニーを生成し得る。そのような
交配戦略の例は、以下を含むがそれらに限定されない:別の系統を樹立するため
の1つより多くの組み込み部位を有する創始動物の異系交配;各導入遺伝子の相
加的発現効果によって、より高いレベルで導入遺伝子を発現する複合トランスジ
ェニックを生成するための別々の系統の同系交配;発現の増強およびDNA分析
による動物のスクリーニングの必要性の排除の両方のための、所定の組み込み部
位に対してホモ接合性の動物を生成するヘテロ接合性トランスジェニック動物の
交雑;複合ヘテロ接合性またはホモ接合性系統を生成するための別々のホモ接合
系統の交雑;ならびに目的の実験モデルに適切な異なるバックグラウンド上に導
入遺伝子を配置するための交配。
【0982】 本発明のトランスジェニック動物は、MPIF−1ポリペプチドの生物学的機
能の詳述、異常なMPIF−1発現に関連する状態および/または障害の研究、
ならびにこのような状態および/または障害の改善に有効な化合物についてのス
クリーニングに有用な動物モデル系を含むがこれらに限定されない用途を有する
【0983】 (実施例29:MPIF−1 ノックアウト動物) 内因性MPIF−1遺伝子発現もまた、標的化された相同組換えを使用してM
PIF−1遺伝子および/またはそのプロモーターを不活性化あるいは「ノック
アウトする」ことによって減少し得る(例えば、Smithiesら、Natu
re 317:230−234(1985);ThomasおよびCapecc
hi、Cell 51:503−512(1987);Thompsonら、C
ell 5:313−321(1989)を参照のこと;これらの各々は、本明
細書中でその全体が参考として援用される)。例えば、内因性ポリヌクレオチド
配列(この遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)と相同性のDNAに
隣接される、本発明の変異体、非機能的なポリヌクレオチド(または完全に関連
のないDNA配列)を、選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーを
用いてまたは用いずに使用し、インビボで本発明のポリペプチドを発現する細胞
をトランスフェクトし得る。別の実施態様において、当該分野で公知の技術を、
目的の遺伝子を含むが、発現しない細胞中でノックアウトを生じるために使用す
る。標的化された相同組換えを介した、このDNA構築物の挿入は、標的化され
た遺伝子の不活性化を生じる。このようなアプローチは、胚性幹細胞に対する改
変が不活性な標的化された遺伝子を有する動物の子孫を作製するために使用され
得る研究および農業分野に特に適する(例えば、ThomasおよびCapec
chi 1987およびThompson 1989、前出を参照のこと)。し
かし、このアプローチは、当業者に明白な、適切なウイルスベクターを使用して
、組換えDNA構築物がインビボで要求された部位に直接投与され、または標的
化される場合、ヒトにおける使用に慣用的に適合され得る。
【0984】 本発明のさらなる実施形態において、本発明のポリペプチドを発現するために
遺伝子操作される細胞、あるいは本発明のポリペプチドを発現しないように遺伝
子操作される細胞(例えば、ノックアウト)を、インビボで患者に投与する。こ
のような細胞は、患者(すなわち、ヒトを含む動物)またはMHC適合性ドナー
から入手され得、そして線維芽細胞、骨髄細胞、血球(例えば、リンパ球)、脂
肪細胞、筋細胞、内皮細胞などを含み得るが、それらに限定されない。この細胞
を、例えば、形質導入(ウイルスベクターおよび好ましくは細胞ゲノム中に導入
遺伝子を組み込むベクターを使用する)、またはトランスフェクション手順(プ
ラスミド、コスミド、YAC、裸のDNA、エレクトロポレーション、リポソー
ムなどの使用を含むが、これらに限定されない)によって、細胞中に本発明のポ
リペプチドのコード配列を導入するために、あるいはこのコード配列および/ま
たは本発明のポリペプチドに結合している内因性の調節配列を破壊するために、
組換えDNA技術を使用してインビトロで遺伝子操作する。本発明のポリペプチ
ドのコード配列を強力な構成的プロモーターもしくは誘導性プロモーターまたは
プロモーター/エンハンサーの制御下に配置し、MPIF−1ポリペプチドの発
現および好ましくは分泌を達成し得る。本発明のポリペプチドを発現および好ま
しくは分泌する操作した細胞を、例えば、循環中において、または腹腔内で患者
中へ全身的に導入し得る。
【0985】 あるいは、この細胞をマトリックスに組み込み得、そして身体に移植し得る(
例えば、遺伝子操作した線維芽細胞を皮膚移植片の一部として移植し得る;遺伝
子操作した内皮細胞をリンパ移植片または脈管移植片の一部として移植し得る(
例えば、Andersonら、米国特許第5,399,349号ならびにMul
liganおよびWilson、米国特許第5,460,959号を参照のこと
。これらの各々は、本明細書中でその全体が参考として援用される))。
【0986】 投与される細胞が非自己または非MHC適合性細胞である場合、それらを、こ
の導入細胞に対する宿主免疫応答の発生を妨害する周知の技術を使用して投与し
得る。例えば、この細胞を被包性の形態で導入し得、構成成分と隣接した細胞外
環境との交換が可能である間は、導入細胞が宿主免疫系によって認識され得ない
【0987】 本発明のノックアウト動物は、MPIF−1ポリペプチドの生物学的機能の詳
述、異常なMPIF−1発現に関連する状態および/または障害の研究、ならび
にこのような状態および/または障害を寛解させる場合に有効な化合物のスクリ
ーニングにおいて有用な動物モデル系を含むが、それらに限定されない用途を有
する。
【0988】 (実施例30) (抗体の産生) (ハイブリドーマ技術) 本発明の抗体は、種々の方法によって調製され得る。(Current Pr
otocols,第2章を参照のこと)。このような方法の1つの例として、本
発明のポリぺプチドを発現する細胞は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を
誘導するために動物に投与される。好ましい方法において、本発明のポリぺプチ
ドの調製物が調製され、そして精製されて、天然の夾雑物を実質的に含まないよ
うにされる。次いで、より大きな比活性のポリクローナル抗血清を生成するため
に、このような調製物は、動物に導入される。
【0989】 本発明のポリぺプチドに対して特異的なモノクローナル抗体は、ハイブリドー
マ技術を使用して調製され得る(Kohlerら、Nature 256:49
5(1975);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(
1976);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(19
76);Hammerlingら:Monoclonal Antibodie
s and T−Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y
.、563−681頁(1981))。一般に、動物(好ましくはマウス)は、
本発明のポリペプチドで、またはより好ましくは分泌ポリペプチド発現細胞で免
疫される。このようなポリペプチド発現細胞は、任意の適切な組織培養培地にお
いて、好ましくは10%ウシ胎仔血清(約56℃で非働化した)を補充し、そし
て約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および
約100μg/mlのストレプトマイシンを補充したEarle改変イーグル培
地において培養される。
【0990】 このようなマウスの脾細胞は抽出され、そして適切な骨髄腫細胞株と融合され
る。任意の適切な骨髄腫細胞株は、本発明に従って用いられ得る;しかし、AT
CCから入手可能な親骨髄腫細胞株(SP2O)を用いることが好ましい。融合
後、得られるハイブリドーマ細胞を、HAT培地において選択的に維持し、次い
でWandsら(Gastroenterology 80:225−232(
1981))により記載されるように限界希釈によってクローニングする。次い
で、このような選択によって得られるハイブリドーマ細胞は、本発明のポリぺプ
チドを結合し得る抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイされる。
【0991】 あるいは、本発明のポリぺプチドに結合し得るさらなる抗体を、抗イディオタ
イプ抗体を使用して2段階工程の手順において生成し得る。このような方法は、
抗体それ自体が抗原であり、それゆえ第二の抗体に結合する抗体を得ることが可
能であるという事実を利用する。この方法に従って、タンパク質特異的抗体を使
用して、動物(好ましくは、マウス)を免疫する。次いで、このような動物の脾
細胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を産生する。そして、このハイブリドーマ
細胞は、抗体のタンパク質特異的抗体に結合する能力が本発明のポリぺプチドに
よってブロックされ得る抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニン
グされる。このような抗体は、タンパク質特異的抗体に対する抗イディオタイプ
抗体を含み、そして動物を免疫してさらなるタンパク質特異的抗体の形成を誘導
するために使用される。
【0992】 ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、抗体は、「ヒト化」される。この
ような抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来
する遺伝的構築物を使用することによって産生され得る。キメラ抗体およびヒト
化抗体を産生するための方法は当該分野で公知であり、そして本明細書中に議論
される(総説については、Morrison,Science 229:120
2(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986
);Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchi
ら、EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Neub
ergerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 87026
71;Boulianneら、Nature 312:643(1984);N
eubergerら、Nature 314:268(1985)を参照のこと
)。
【0993】 (scFvsのライブラリーからのポリぺプチドに対して指向される抗体フラ
グメントの単離) ヒトPBLから単離した天然に存在するV遺伝子を、ドナーが曝され得たかま
たは曝され得なかった本発明のポリぺプチドに対する反応性を含む抗体フラグメ
ントのライブラリーに構築する(例えば、米国特許第5,885,793号(そ
の全体が参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。
【0994】 (ライブラリーのレスキュー) PCT公開WO 92/01047に記載のように、ヒトPBLのRNAから
scFvsのライブラリーを構築する。抗体フラグメントを提示するファージを
レスキューするため、ファージミドを保有する約109個のE.coliを用い
て、50mlの2×TY(1%グルコースおよび100μg/mlのアンピシリ
ンを含有する)(2×TY−AMP−GLU)に接種し、そして振盪しながら0
.8のO.D.まで増殖させる。この培養物の5mlを用いて50mlの2×T
Y−AMP−GLUに接種(innoculate)し、2×108TUのΔ遺
伝子3ヘルパー(M13Δ遺伝子III、PCT公開WO92/01047を参
照のこと)を添加し、そして培養物を振盪なしで37℃で45分間インキュベー
トし、次いで振盪しながら37℃で45分間インキュベートする。この培養物を
10分間4000r.p.m.で遠心分離し、そしてペレットを2リットルの2
×TY(100μg/mlアンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含
有する)中に再懸濁し、そして一晩増殖させる。ファージをPCT公開WO92
/01047に記載のように調製する。
【0995】 M13Δ遺伝子IIIを以下のように調製する:M13Δ遺伝子IIIヘルパ
ーファージは、遺伝子IIIタンパク質をコードしない。それゆえ、抗体フラグ
メントを提示するファージ(ファージミド)は、抗原に対するより大きい結合ア
ビディティーを有する。ファージ形態形成の間、野生型遺伝子IIIタンパク質
を供給するpUC19誘導体を保有する細胞においてヘルパーファージを増殖さ
せることにより、感染性M13Δ遺伝子III粒子を作製する。培養物を振盪な
しで37℃で1時間インキュベートし、次いで振盪しながら37℃でさらに1時
間インキュベートする。細胞を遠心沈殿(IEC−Centra 8,400r
.p.m.で10分間)し、100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/
mlのカナマイシンを含有する2×TYブロス(2×TY−AMP−KAN)3
00ml中で再懸濁し、そして37℃で振盪しながら一晩増殖させた。ファージ
粒子を、2回のPEG沈殿(Sambrookら、1990)により培養培地か
ら精製および濃縮し、2ml PBSに再懸濁し、そして0.45μmのフィル
ター(Minisart NML;Sartorius)を通過させ、約1013 形質導入単位/ml(アンピシリン耐性クローン)の最終濃度を得る。
【0996】 (ライブラリーのパニング) Immunotubes(Nunc)を、本発明のポリペプチドの100μg
/mlまたは10μg/mlのいずれかの4mlを用いてPBS中で一晩被膜す
る。チューブを2%Marvel−PBSを用いて37℃で2時間ブロックし、
次いでPBS中で3回洗浄する。約1013TUのファージをチューブに適用し、
そして、回転盤上で上下にタンブリングしながら室温で30分間インキュベート
し、次いでさらに1.5時間静置しておく。チューブをPBS0.1%Twee
n−20で10回、そしてPBSで10回洗浄する。1mlの100mMトリエ
チルアミンを添加し、そして回転盤上で15分間上下に回転させることによりフ
ァージを溶出し、その後この溶液を0.5mlの1.0M Tris−HCl,
pH7.4で直ちに中和する。次いで、溶出したファージを細菌とともに37℃
で30分間インキュベートすることにより、ファージを用いて、10mlの対数
増殖中期のE.coli TG1に感染させる。次いで、E.coliを1%グ
ルコースおよび100μg/mlアンピシリンを含有するTYEプレート上にプ
レートする。次いで、得られる細菌ライブラリーを、上記のようにΔ遺伝子3ヘ
ルパーファージでレスキューし、次の回の選択のためのファージを調製する。次
いで、このプロセスを、アフィニティー精製の全4回について反復し、3回目お
よび4回目にはチューブ洗浄をPBS、0.1%Tween−20で20回、そ
してPBSで20回に増加させた。
【0997】 (結合剤の特徴付け) 第3回目および4回目の選択から溶出したファージを用いて、E.coli
HB 2151を感染させ、そして可溶性scFvをアッセイのために単一コロ
ニーから生成する(Marksら、1991)。50mM炭酸水素塩、pH9.
6中の本発明のポリペプチドの10pg/mlのいずれかで被膜したマイクロタ
イタープレートを用いてELISAを実行する。ELISA中の陽性クローンを
PCRフィンガープリンティング(例えば、PCT公報WO92/01047を
参照のこと)、次に配列決定することによりさらに特徴付ける。これらのELI
SA陽性クローンはまた、当該分野において公知の技術(例えば、エピトープマ
ッピング、結合親和性、レセプターシグナル伝達、抗体/抗原結合をブロックす
るかまたは拮抗的に阻害する能力、および競合的アゴニスト活性または拮抗的ア
ンタゴニスト活性など)によりさらに特徴付けられ得る。
【0998】 (実施例31) (致死照射モデル) 実施例18における実験プロトコールの略図を、図41に示す。図42に示さ
れるように、MPIF−1(Δ23)は、致死的に照射されたマウスの生存を増
強する。生存を増強するMPIFの能力は、実験条件によって変化する。
【0999】 本実施例で示される研究は、MPIF−1(Δ23)の活性を試験した。しか
し、当業者は、全長MPIF−1、またはそのフラグメント、ならびにMPIF
−1のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療を介して)、アゴニスト、および
/またはアンタゴニストの活性を試験するために例示された研究を容易に改変し
得る。
【1000】 (実施例32) (照射からのインビボ骨髄保護) MPIF−1が致死的照射後にマウスの生存を増加することを示す実験(実施
例18を参照のこと)は、このケモカインが照射保護因子として作用することを
示唆する。この活性をさらに調査するために、骨髄前駆体レベルにおける変化を
、ほとんど致死的に照射されたマウスにおいて試験し、MPIF−1が照射後に
これらの前駆体の回復を改善するか否かを決定した。
【1001】 実験プロトコールの模式図を、図43に示す。これは、実施例17のプロトコ
ールの改変である。使用したMPIF−1は、MPIF−1(Δ23)バッチH
G00304−E11であった。ネガティブコントロール群(IRR)は、マウ
スが照射の前後に24時間睡眠をとった以外は、−3日〜+3日にビヒクルのみ
(HBSS+0.1%正常マウス血清、腹腔内)をうけた。骨髄分析における比
較のために、コントロール群(正常)マウスは、照射を受けなかった。
【1002】 (骨髄細胞の分析) 各群からのマウスを、4、14、21、および38日目に屠殺し、そして骨髄
(BM)サンプルを採った。軟寒天におけるコロニー形成アッセイを使用して、
骨髄前駆体の数(骨髄からのコロニー形成単位(CFU)−cおよびCFU−顆
粒球赤芽球巨核球マクロファージ(CFU−GEMM))を決定した。例えば、
Grzegorzewskiら、Blood 183:377(1994);お
よびMetcalf、The Hematopoietic Colony S
timulating Factors、Amsterdam、The Net
herlands、Elsevier(1984)27頁を参照のこと。細胞を
、組換えヒトエリスロポイエチン(rhEpo)(8U/ml)および組換えマ
ウスインターロイキン−3(rmIL−3)(100U/ml)と共に単層寒天
ベースのアッセイ系を用いて培養した。顆粒球系統、赤芽球系統、巨核球系統、
およびマクロファージ系統を含む多能性コロニーを、CFU−GEMMとしてス
コア付けし、一方、単球(CFU−M)前駆細胞、顆粒球(CFU−G)前駆細
胞、赤血球(CFU−Eおよびバースト形成単位(BFU)−Eの両方)前駆細
胞または顆粒球/単球(CFU−GM)前駆細胞を含む単一系統コロニーを、C
FU−cと呼ぶ。CFU−GEMMアッセイによって、骨髄中の多能性前駆細胞
の回復に関する情報が提供され、一方、CFU−cアッセイによって、各骨髄系
統のより運命付けられた前駆体の回復に関する情報を提供する。図44〜45に
示されるように、MPIF−1投与は、成熟および未成熟な骨髄前駆体のレベル
に有意な増加を引き起こした。
【1003】 本実施例で記載される研究は、MPIF−1(Δ23)の活性を試験した。し
かし、当業者は、全長MPIF−1、またはそのフラグメント、ならびにMPI
F−1のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療を介して)、アゴニスト、およ
び/またはアンタゴニストの活性を試験するために例示された研究を容易に改変
し得る。
【1004】 (実施例33) (MPIFの物理的特徴、化学特徴、および薬学的特徴) (投薬量形態、薬理学的クラス、および投与) 骨髄前駆体阻害因子は、短縮型(8.85kDa)組換えヒトタンパク質β−
ケモカインである。MPIFを、E.coli中で発現させ、そして均質に精製
した。
【1005】 MPIFを、注射が意図される滅菌の無色溶液として提供する。MPIFを、
酢酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを用いてpH6.0±0.2に緩衝化され
た変動する濃度(2〜8mg/mL)のMPIFを含む滅菌溶液として処方する
。この溶液を、1型の単一使用のガラスバイアルに満たす。生物活性の保持は、
2°〜8℃で少なくとも1年間示されている。MPIFは、静脈内投与される。
【1006】 MPIFタンパク質は、77アミノ酸からなる(Δ23およびN末端メチオニ
ン残基)そして、8.85kDaの分子量を有する。
【1007】 (製造仕様の一般的な説明) MPIFを、Escherichia coli中で発現させ、そこから精製
する。このMPIFタンパク質は、封入体と通常呼ばれるタンパク質構造内に存
在する。これらの封入体の天然の不溶性は、タンパク質の可溶化の前に、夾雑す
るE.coli成分を除去する精製プロセスを可能にする。
【1008】 クロマトグラフィー方法およおび濾過方法を使用して、MPIFタンパク質を
単離、精製する。この単離工程および精製工程を以下のようにモニターする: −クロマトグラフィーカラムから溶出された中間体産物の分解プロファイルを、
280nmの紫外線吸収によって連続的にモニターする。 −異なる段階の精製においてMPIFタンパク質の純度および内容を、分析RP
−HPLCによって決定する。
【1009】 分析方法を使用して、MPIFの濃度、純度、および同一性を決定し、そして
潜在的な夾雑物(例えば、DNA、エンドトキシン、および微生物的生物荷重(
bioburden))を検出する。
【1010】 (品質管理(クオリティコントロール) MPIF薬品は、清澄な無色の溶液である。単一バンドを、還元状態および非
還元状態の両方の下でのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(SDS−PAGE)、続く、クマシーブルー染色において観察する。単一
ピークを、サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)におい
て溶出する。2つのマイナーなピークを伴う主要なピーク(≧90%)を、逆相
高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって観察する。マイナー
なピークの両方は、同じ分子量を有し、そしてMPIFの主要なピークに対して
同じN末端配列(エドマン分解)を有する。種々のロットのMIPFからのトリ
プシン消化によるペプチドマッピングによって、さらに特徴付けられるプロセス
中のペプチドが同じ数であることを一貫して示す。質量分析計によって決定され
たMPIFの分子量は、8.85kDaである。
【1011】 2つのバイオアッセイを使用して、MPIFの活性を決定する。THP−1ヒ
ト骨髄腫瘍細胞におけるカルシウム流動アッセイは、MPIFのその公知のレセ
プター(CCR1)のみへの結合のすぐの結果を測定する。化学保護アッセイは
、5−FUの細胞傷害性効果からマウス骨髄前駆体を保護するための化合物の能
力を評価するための手段を提供する。
【1012】 本実施例で記載される研究は、MPIF−1(Δ23)の活性を試験した。し
かし、当業者は、全長MPIF−1、またはそのフラグメント、ならびにMPI
F−1のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療を介して)、アゴニスト、およ
び/またはアンタゴニストの活性を試験するために例示された研究を容易に改変
し得る。
【1013】 (実施例34) (非臨床研究) (序文および要旨) 骨髄抑制は、細胞傷害性化学療法の最も一般的な用量制限毒性のうちの1つで
ある。この抑制は、骨髄中の骨髄前駆体の損失から生じ、そして重篤な場合、出
血性合併症および感染性合併症の危険性を増加する。骨髄前駆体阻害因子(MP
IF)は、化学保護剤として開発されている。MPIFは、ヒトβケモカインと
して特徴付けられている。ケモカイン(走化性サイトカイン)は、損傷、感染、
または免疫系の活性化に応答して種々の細胞型によって分泌される可溶性タンパ
ク質である。これらのタンパク質は、配列相同性によって構造的に関連し、そし
て白血球集団の間で走化性応答を誘導するその能力によって機能的に関連付けら
れる。
【1014】 骨髄前駆細胞に対するMPIFの生物学的効果によって、このケモカインを全
ての公知のケモカインおよびサイトカインと区別する(Premack,B.A
.およびSchall,U.、Nature Med 2(11):1174−
1178(1996);Rollins,B.J.、Blood 90(3):
909−928(1997))。非臨床研究によって、この新規ケモカインが前
駆細胞の増殖および/または分化を制限し、それによって、これらの細胞を化学
治療剤の細胞傷害性効果から保護することが示される(Patelら、J.Ex
p Med 185:1163(1997))。MPIFは、骨髄からの低い増
殖ポテンシャルのコロニー形成細胞(LPP−CFC)の強力なインビトロ阻害
を示す。LPP−CFCは、多能性(bipotential)造血前駆体であ
り、これは、顆粒球系統および単球系統を生じる。MPIFはまた、マウス幹細
胞に誘導される顆粒球コロニー形成細胞および単球コロニー形成細胞によるコロ
ニー形成を可逆性に阻害する。化学保護実験によって、MPIFが、代謝拮抗物
質(5−FU、ARA−C)、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼIインヒビタ
ー、およびタキサン(taxane)の細胞傷害性効果からこれらの造血前駆体
を保護することがインビトロで示されている。
【1015】 MPIFは、化学療法の各サイクルの直前に投与される場合、インビボで骨髄
前駆細胞を保護する。MPIFを用いた処理はまた、インビボ化学治療モデルに
おいて、コントロールよりも、骨髄前駆細胞ならびに好中球および血小板の末梢
細胞集団の両方のより速い回復を引き起こす。インビトロ研究からの結果と組み
合わせて、これらの結果は、化学療法に誘導される骨髄抑制からの造血前駆細胞
の保護物質としての、MPIFの潜在的な臨床適用を示す。
【1016】 前駆体プールが最も大きい場合、化学療法の最初にMPIFを用いた治療の開
始は、化学療法の後のサイクルの間に前駆体プールの保存を引き起こし得る。臨
床で一旦確認されると、この結果は、化学療法の繰り返した単位後の前駆細胞貯
蔵の進行性損失を回避し得ない増殖因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G
−CSF)または顆粒球および単球コロニー刺激因子(GM−CSF))を用い
て達成され得ることに対する進歩を示す。さらに、複数サイクルの化学療法後の
MPIFを用いた介入は、減少した前駆細胞貯蔵の徴候を有する患者でさえ、好
中球減少症および血小板減少症からの回復を補助する際に有用である。
【1017】 フェーズIプラシーボ制御された、用量エスカレーション研究を、反復した用
量をうける(n=6)健康なボランティア(n=25)に実行した。投薬は、マ
ウスにおいて最適な保護用量よりも2log下であると算出されたレベルで開始
し、100μg/kgの用量に上昇させ、これは、末梢毒性研究における検出可
能な有害効果を産生しない最も高い用量の1より大きいlog下である。健康な
ボランティアを、6日間、毎日0.1、1、10、30、および100μg/k
gで処置した。6人の患者のコホート(5人は、MPIFをうけ、そして1人は
プラシーボをうける)を、各用量レベルに入れた。MPIF投与に関すると考え
られる重篤な有害事象は観察されなかった。一般的に、報告された有害事象は、
温和かつ一過性であり、そして最初に温和な頭痛、筋肉痛、および疲労からなっ
た。この研究因子に対する関係が未知の、唯一の重篤な有害事象(可能性のある
TIA)は、71歳の女性、最終注入後52時間で記載される。患者の徴候は、
投与のすぐ後に消滅した。抗体発生のような免疫応答は、観察されなかった。フ
ローサイトメトリーデータの分析によって、MPIF投与の日の間にCD14陽
性単球に一過性の用量依存的減少が示された。しかし、明白な単球数または好中
球数における減少は、観察されなかった。正常な造血を有するこれらの健康なボ
ランティアにおいて、血球数における主要な変化または造血阻害の証拠は、観察
されなかった。薬物動態学研究によって、ピーク濃度(CMAX)および濃度時間
曲線下の領域(AUC)イニシャルが、処置の6日後に薬物蓄積の証拠を伴わず
に、用量関連であることが明らかになった。(実施例34)。
【1018】 (薬理学クラスおよび原理) MPIF(組換えヒトタンパク質)は、短縮形態のヒトβケモカインの、骨髄
前駆体阻害タンパク質−1(MPIF−1)である。MPIFに関する1つの推
定された指標は、骨髄抑制化学療法をうける患者中の骨髄前駆細胞の保護である
【1019】 細胞傷害性薬剤を用いた全身治療は、播種性癌の最も効果的な治療に関する基
礎である。さらに、アジュバント化学療法が、手術または放射線治療を用いた局
在した疾患の処置の後に、しばしば使用される。
【1020】 骨髄抑制は、化学療法と関連した最も一般的な重篤な毒性のうちの1つである
ので、骨髄抑制治療を受けている患者の支持治療の進歩に対する重要な臨床の必
要性がある。非臨床研究によって、MPIFが化学療法剤の細胞傷害性効果から
の造血前駆細胞の保護に関して重大な可能性を有することが示される。
【1021】 造血幹細胞および多能性前駆細胞は、全ての造血系統の回復を担う。正常な固
体において、これらの細胞は、あまり頻繁には分裂せず、従って、単一単位の化
学療法剤に対して比較的耐性である。しかし、複数サイクルの化学療法後、骨髄
前駆細胞は、増加した増殖と応答し、そして引続く用量および単位の化学療法剤
からの毒性効果に対して、よりさらに感受性になる。複数単位の細胞傷害性化学
療法は、骨髄前駆細胞の進行性損失を導き、これは、好中球および血小板に対す
る遅延した回復および悪化した最下点を引き起こす。
【1022】 このような保護の臨床的価値は、発病率の低下および/または化学療法誘導の
血球減少症の持続期間に対して可能性があり、これらによって、高い用量または
連続したサイクルの化学療法後の、感染および出血の徴候を減少する。さらに、
MPIFは、用量強度、タイミングの良い集中的な化学療法の適用に関する支持
的測定を提供する。
【1023】 (現在利用可能な治療) コロニー刺激因子(CSF)は、ほぼ10年間、化学療法の標準的な用量およ
び強化された用量を支持するために使用されている。上昇した化学療法の用量は
腫瘍細胞破壊を実質的に増加し、そして選択された悪性腫瘍における生存を改善
し得ることを示唆する非臨床的な証拠が利用可能であるが、し得るが、この概念
の臨床的な確認は、欠けている。CSF(これは、顆粒球、マクロファージ、お
よび血小板の産生を刺激する)は、好中球減少症または血小板減少症の持続期間
を短くするために化学療法後に使用される。対照的に、MPIFは、化学療法へ
の曝露の前またはその間に、骨髄前駆細胞の増殖を一過的に制限することによっ
て、この骨髄前駆細胞を保護する。この異なる作用様式は、CSF投与と共にで
さえ、反復用量の化学療法の後に生じる前駆細胞の保存の進行性損失を回避する
。従って、MPIFの使用は、化学療法の用量強度における増加を可能にする。
【1024】 (非臨床研究) MPIFは、運命付けられた骨髄前駆細胞に対する化学保護剤として機能する
。インビトロおよび/または動物モデルにおいて効果が示されている他の化学保
護剤と比較して、MPIFは、CD34+前駆細胞増殖を阻害するその能力なら
びにコロニー形成単位−顆粒球および単球(CFU−GM)およびコロニー形成
単位−混合(CFU−mix)細胞の両方によるコロニー形成に基づいて、特有
の生物学的プロフィールを示す。ヒト前駆体MPIFの間では、CFU−GMコ
ロニー形成およびCFU−GEMMコロニー形成に対して類似した阻害活性を示
す。従って、MPIFは、CD34+多能性(multipotential)
前駆体、多能性(bipotential)前駆体、および運命付けられた前駆
体を阻害する。
【1025】 MPIFはまた、マウスの低い増殖ポテンシャルのコロニー形成細胞(LPP
−CFC)の強力な可逆的インヒビターとして機能し、この細胞としては、末梢
単球および顆粒球を最終的に生じる多くの運命付けられた骨髄前駆体が挙げられ
る。MPIFはまた、より初期の高い増殖ポテンシャルのコロニー形成細胞(H
PP−CFC)を阻害することが見出され、この細胞は、多能性(plurip
otential)造血幹細胞の多くの特性を示す。
【1026】 (MPIFの組織発現) MPIFのmRNA発現パターンは、複雑であり、本来は、肺、肝臓、骨髄、
活性化単球および骨髄単球性細胞株HL−60およびTHP−1でメッセージが
検出される。より最近では、異なる転写物が、膵臓、心臓、骨格筋で同定され、
そしてより少ない程度で骨髄で同定されている。
【1027】 (非臨床薬理学) 270個にわたるのインビトロ実験からの結果は、MPIFが抗癌剤のスクリ
ーニングに使用されるNational Cancer Instituteの
腫瘍パネルにおける腫瘍細胞株に対して検出可能な効果を有さず、52個のさら
なる腫瘍細胞株のいずれに対してもこの効果を有さないことを示す。さらに、7
5個より多くの細胞ベースのアッセイが、MPIF活性を研究するために開発さ
れている。正常な細胞型の間では、MPIFの生物学的活性は、末梢免疫系内お
よび造血前駆細胞コンパートメントの特定の細胞に制限される(表7)。特に、
MPIFは、以下で達成されることが見出されている: −休止T細胞および単球において走化性応答を誘導する −単球、単球由来の樹状細胞、および好酸球においてCa2+流動を誘導する −0.1〜100ng/mLの範囲の濃度においてマウスの多能性かつ運命
付けられた前駆体のコロニー形成を阻害する −0.1〜100ng/mLの範囲の濃度においてヒトCD34+細胞の増
殖を阻害する。
【1028】
【表7】 (MPIFの走化性活性) MPIFは、休止Tリンパ球に対する強力な走化性因子であり、顕著な最大の
応答は10ng/mLにおいてである。MPIFは、広い範囲(0.1〜100
0ng/mL)で抗CD3活性化T細胞における走化性を刺激しなかった。新鮮
に単離された単球は、MPIFに対して走化性応答を示した。最大の移動を、1
00ng/mL(休止T細胞間で比較可能な応答を誘発するために必要な濃度よ
りも10倍高い濃度)において観察した。弱い走化性応答は、好中球で生じた。
MPIFは、Bリンパ球、好酸球、好塩基球、NK細胞、または血小板で走化性
を誘導しなかった。
【1029】 (ヒト血球に対するMPIFの効果) MPIFは、ヒト血球に対して以下のインビトロ効果を有する。
【1030】 (単球および単球由来マクロファージ) リソソーム酵素放出に対するMPIFの効果を、新鮮に単離さた単球中で決定
した。低いが可変性のN−アセチル−β−D−グルコシダーゼの放出を、0.5
〜500ng/mLの範囲にわたって観察した。検出可能であるが、この放出は
、MIP−lβ、MIP−lα、RANTES、またはMCP−1によって誘導
される放出よりも非常に低かった。別の研究において、MPIF(1〜1000
ng/mL)は、リソソーム酵素のエラスターゼ、グルコウロキナーゼ(glu
couronidase)およびミエロペルオキシダーゼの放出に効果を有さな
かった。MPIF(0.1〜100ng/mL)は、IL−1β、腫瘍壊死因子
α(TNF−α)、IL−10、またはIL−2を分泌するために単球を誘導し
なかった。さらに、酸化的バーストまたは活性化マクロファージの細胞傷害性活
性に対する効果は、検出されなかった。
【1031】 (好塩基球) 末梢血から精製された好塩基球を、10分間、MPIF(1〜1000ng/
mL)を用いてインキュベートし、そして生じる上清を、ヒスタミン放出に関し
てアッセイした。MPIFは、ヒスタミン放出を誘導しなかった。
【1032】 (NK細胞) 精製PBMCを、NK媒介細胞のK562細胞の殺傷に対するMPIFの効果
を決定するための供給元として使用した。MPIF(1〜100ng/mL)は
、IL−2刺激の、NK媒介のK562細胞殺傷に対して効果を有さなかった。
【1033】 (血小板) 0.1〜100ng/mLの濃度におけるMPIFは、血小板活性化または血
小板蓄積を誘導または調節しなかった。
【1034】 (MPIFは、ヒトCD34+前駆体の増殖を阻害する) ヒト造血前駆細胞増殖に対するMPIFの効果を評価するために、CD34+
細胞を、臍帯血から単離し、5×104細胞/mLで再懸濁し、そしてIL−3
およびSCFの存在下で4日間培養した。次いで、生じる骨髄前駆体の集団を洗
浄し、4つの条件下で培養した:培地単独;培地およびMPIF;培地ならびに
IL−3、GM−CSF、およびエリスロポイエチン(EPO)のサイトカイン
カクテル;そして培地およびサイトカインカクテルおよびMPIF。さらに6日
後、各培養物中の可視細胞の数を決定した。図46に示されるように、骨髄前駆
体は、培地単独または培地およびMPIF中で増殖した場合、生存しなかった。
対照的に、サイトカインカクテルは。前駆体生存を劇的に改善した。MPIFの
添加(1〜1000ng/mL)は、細胞増殖の有意な阻害(20〜40%)を
引き起こした。(これらの結果は、3つの独立した実験に典型的である。値は、
3連のウェルの平均吸光度±SDとして報告する。)(図46)。
【1035】 (ヒトCFU−GMおよびCFU−MixのMPIFによる阻害) MPIFの阻害効果が特定の前駆体を標的化するか否かを決定するために、C
D34+由来前駆細胞を、培地中(IL−3、GM−CSF、SCF、EPOお
よびTPOを含むMethocult TM 半固体培地)で培養し、この培地
は、BFU−E、CFU−G、CFU−M、CFU−GM、CFU−Megおよ
びCFU−Mixコロニーの発達を支持する。14日後の培養物において、MP
IFの存在下で生じるコロニーの数および表現型を、培地単独またはコントロー
ルサイトカインのMIP−1αもしくは単球化学誘引物質タンパク質−4(MC
P−4)で生じるものと比較した。
【1036】 2つの典型的な実験の結果は、MPIFが、CFU−GMおよびCFU−Mi
x両方の形成を阻害(50〜64%)することを示す。MIP−lαおよびMC
P−4は、いずれの前駆体集団のコロニー形成に対しても効果を有さなかった。
これらの結果は、MPIFの骨髄前駆体発達に対する阻害効果を確認し、そして
MPIFをヒト顆粒球および単球前駆細胞のインヒビターとして規定する。(表
8)。
【1037】
【表8】 (インビトロ化学的保護) MPIFの保護的ポテンシャルをさらに評価するために、系統劣化(line
age−depleted)細胞(Lin−cell)をマウス骨髄から単離し
、そして標準的なサイトカインカクテル(IL−3(5ng/mL)、SCF(
50ng/mL)、M−CSF(5ng/mL)、およびIL−1α(10ng
/mL)からなる)の存在下で、MPIFありまたはなしでインキュベートした
。60〜70時間後、培養物を化学療法薬物で処理し、そしてインキュベーショ
ンをさらに3〜24時間続け、この時点で、生存LPP−CFCの数を、標準的
なクローン原性アッセイによって決定した。図47に示すように、細胞周期特異
的因子5−FU、Ara−C、パクリタキセルおよびダウノルビシンの細胞傷害
性効果は、MPIFによって有意に低下された。対照的に、MPIFは、アルキ
ル化剤メルファランおよびチオテパから前駆細胞を保護し得なかった。これらの
結果は、MPIFの、多能性骨髄性前駆細胞の増殖のインヒビターとしての役割
を支持し、そしてケモカインが効果的であり得る化学療法剤のスペクトルに関す
る洞察を提供する。
【1038】 別の実験において、MPIFの5−FU誘導毒性に対する保護的効果を、0.
1〜100ng/mlの濃度のMPIFを使用して測定し、2つの製造ロットの
MPIF(Lot #11およびLot #19)の使用を示す。データは、M
PIFの投与によるコロニー保護の割合に換算した用量応答曲線を示す。これら
のデータは、0.1ng/mlのMPIFが約30%の化学的保護を与え、そし
て1,000ng/mlのMPIFが80%を超える化学的保護を与えることを
示す(データは示さない)。
【1039】 (インビボ研究の要約) 図48に示すように、MPIFのインビボ分析を、主としてマウスにおいて、
ウサギおよびラットにおける化合物の安全性の支持的研究を伴って、実施した。
これらの研究からの結果は、以下のことを示す: ・ MPIFは、造血前駆細胞に対する強力な骨髄保護物質である。このような
保護の結果は、骨髄前駆細胞および末梢細胞集団の、コントロールと比較した治
療後のより迅速な回復である。 ・ MPIFは、有意な毒性なしに、14日間までの期間にわたって毎日(静脈
内に)投与され得る。 ・ MPIFは、心臓血管系に対して効果を有さない。 ・ MPIFは、発熱性ではない。 ・ MPIFは、循環から迅速に除去される。
【1040】 (骨髄前駆細胞のインビボ保護) MIPFが骨髄前駆細胞をインビボにおいて化学療法剤の効果に対して保護す
るか否かを決定するために、実験を行った。マウスに、MPIF(1.0mg/
kg、腹腔内)を3日間、24時間の間隔で毎日注射し、次いで3日目に、5−
FU(150mg/kg、腹腔内)を一回注射した。マウスを、5−FU処置の
後の種々の時点において屠殺し、そして骨髄コロニーの数を、標準的なHPP−
CFCアッセイまたはLPP−CFCアッセイにおいてスコア付けした。コント
ロール群は、生理食塩水のみおよび5−FUのみを受容したマウスを含んだ。図
49Aに示すように、MPIFで処理したマウスにおいてにおいて検出される骨
髄コロニーの数は、5−FUの投与の7日以内に正常レベルに戻った。対照的に
、5−FU単独で処置したマウスからの骨髄コロニー形成は、この時点において
回復を示さなかった。これらの結果は、化学療法の前のMPIFでの予備処置は
、恐らくMPIFが骨髄前駆細胞を保護する能力によって、コロニー形成細胞の
より迅速な回復を可能にすることを示す。
【1041】 MPIFにより媒介される前駆細胞の保護の結果を、末梢において明らかにし
た。ここで、全白血球(WBC)計数は、コロニー回復が骨髄において観察され
た後に、ゆっくりと増加した。図49Bに示すデータは、8つの独立した実験を
要約する。示される値は、平均WBC計数±平均の標準誤差で表される。6日目
と8日目とにおいて観察された差異は、それぞれ0.001および0.0001
未満の関連p値を有する。
【1042】 (複数サイクルの治療に対するMPIFの化学的保護効果) 示される結果は、ここまでは、MPIFの骨髄前駆細胞の保護物質としての役
割を支持するが、複数サイクルの治療による保護は、MPIFに関して臨床的に
関連する用途である。MPIFの化学的保護効果が3サイクルの治療の間に決定
された実験の結果を、図50に示す。正常マウス、5−FU単独(100mg/
kg、腹腔内)で処置したマウス、または5−FUおよびMPIF(1.0mg
/kg、腹腔内)で処置したマウスから得られた骨髄を使用しての、骨髄コロニ
ー形成分析は、MPIFが、5−FU処置の全3サイクルを通して、前駆細胞を
保護したことを示す(Grzegorzewski,K.J.ら,Blood(
要旨:補遺)(刊行が受諾された))。
【1043】 (MPIFの用量範囲および用量スケジュール) MPIFの非臨床的用量応答は広範であり、0.01〜10mg/kgの範囲
であった。この広範な応答は、臨床試験のために3logの範囲の用量を選択す
ることに対して合理的であった。
【1044】 試験した異なる非臨床的投薬スケジュールを、図51に示す。化学療法投与に
対して−2日目、−1日目および0日目のヒト投薬スケジュールを選択すること
に関する合理性は、この処置レジメンが、マウスにおいて試験した多くのスケジ
ュールの最も一貫した再現性のある保護を提供したという観察に基づいた。さら
に、MPIFのインビボでの比較的短い血清半減期および幹細胞前駆細胞の長い
細胞周期の時間を考慮すると(McNieceら、Int.J.Cell Cl
oning 8:146−160(1990);Bertoncelloら、E
xp.Hematol.19:174−178(1991))、前駆細胞の曝露
および従って保護の尤度を最大にするために、複数用量のMPIFを患者に投与
することは、理論的に有利である。
【1045】 一緒になって、インビボおよびインビトロでの結果は、MPIFがその生物学
的プロフィールにおいて独自であることを示す。このタンパク質が強力な骨髄保
護試薬として機能する能力は、このタンパク質が化学的保護薬剤としての応用を
見出し、そして初期の骨髄前駆細胞を通常使用される化学療法薬剤の効果から救
うことを示唆する。このような薬剤の臨床的価値は、それが化学療法によって誘
導される血球減少症の発生数および重篤度を低下させ、これによって感染および
出血の尤度を低下させる可能性において、明らかである。
【1046】 (非臨床的毒物学) 3つの非臨床的毒物学研究を、Good Laboratory Pract
iceガイドラインのもとで実施した(7日目の用量範囲の研究、14日目の亜
慢性(subchronic)研究、および25日目の亜慢性研究)。20mg
/kgまでの用量は、有意な毒性を生じなかった。複数用量研究の一般的な要約
(図52)および非臨床的研究に関する臨床的観察の要約(図53)を示す。さ
らに、10mg/kgまでの用量では、自律神経の効果も心臓血管の効果も観察
されなかった。
【1047】 (非臨床的な吸収、分布、代謝、および排泄) MPIFの薬物速度論的研究を、単一の静脈内または皮下のMPIFのボーラ
スを20mg/kgの用量で与えたBALB/c雌性マウスにおいて実施した。
各処置群からの3匹のマウスを屠殺し、そして各時点で採血し、そしてMPIF
の濃度を、酵素結合免疫吸着アッセイによって決定した。図54に示すように、
MPIFの静脈内投与は、注射後24時間にまで続く、低いが検出可能なレベル
での急速なクリアランスを生じる。皮下投与は、類似のプロフィールを与え、こ
こで主要な相違点は、ピーク血清レベルの出現が30分遅いことである。この時
点の後は、クリアランスは、静脈内で処置されたマウスの間で観察されたものと
は識別不可能である。MPIFのクリアランスは、小タンパク質に関して予測さ
れるクリアランスと一致する。
【1048】 MPIFの第二の薬物速度論的研究を、20mg/kgの単一の静脈内ボーラ
スを与えたマウスにおいて実施した。MPIFは、血清から迅速に除供された。
MPIFは、投与される用量の0.1%のレベルで投与された8時間後に、検出
され得る。
【1049】 この実施例に記載される研究は、化学療法の間の使用に関するMPIF−1(
Δ23)の活性を試験する。これらのプロトコルの多くは、放射線治療の間のM
PIF−1の使用の研究に対して等しく適用可能である。さらに、当業者は、例
示的な研究を容易に改変して、全長MPIF−1またはそのフラグメント、なら
びにMPIF−1のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療を介する)、アゴニ
スト、および/またはアナログの活性を研究し得る。
【1050】 (実施例35) (前臨床研究および臨床研究) (以前のヒトの経験) (00304−CRX−HV−01の臨床研究。)第I相試験を実施して、健
常なボランティアにおける安全性、薬物速度論的(PK)効果および薬力学的効
果を評価した(Louieら、Blood 90:1569A(要旨;補遺)(
1997))。30の被験体(14M、16F、中央年齢46、範囲:21〜7
3歳)を無作為化して、6用量のMPIFまたはプラシーボを、連続した6日間
の約1分間にわたって、盲検のプラシーボコントロールの連続的な用量増加(0
.1、1、10、30、100μg/kg)の試験において、投与した。6の被
験体からなる各用量コホートを、5:1の活性対プラシーボの比に無作為化した
。有害事象(AE)を、4週間にわたって評価した。2週間後、予備的な安全性
データを再検討し、そして次のコホートを開始することを決定した。血液サンプ
ルを、血液学、化学、PK、抗原性およびフローサイトメトリーのために得て、
末梢血液細胞集団を評価した。
【1051】 これは、健常なボランティアにおける第I相の安全性試験であり、そしてそれ
自体は、効力を確立することは主要な目的ではなかった。しかし、以下の実験室
パラメータの発展を評価した: ・ 白血球(WBC)計数 ・ 絶対的な好中球計数(ANC) ・ 赤血球(RBC)計数 ・ 血小板計数 ・ フローサイトメトリーによる末梢血液細胞の組成。
【1052】 絶対的計数または割合変化によって測定した場合に、絶対的な好中球計数の観
点から、活性処理した群とプラシーボで処理した群との間に、差異は観察されな
かった。これらの結果は、正常動物における前臨床研究の結果と一致する。同様
に、ベースラインからの有意な変化は、白血球、赤血球、または血小板に関して
、観察されなかった。
【1053】 系列的なフローサイトメトリーによる観察を得て、末梢白血球亜集団に対する
MPIFの効果をさらに描写した。末梢血液単核細胞(顆粒球、単球、Tリンパ
球およびBリンパ球)の割合を、用量および研究日の関数として、グラフによっ
て図55に示す。
【1054】 ベースラインからの有意な変化は、顆粒球、Tリンパ球、またはBリンパ球に
おいて、試験中のいかなる時点においても観察されなかった。健常なボランティ
アにおける顆粒球計数に対する効果の欠如は、前臨床試験における健常な動物に
おいて観察された効果の欠如と一致した。
【1055】 CD14保有末梢単球の割合における、一過性の用量依存性の減少が、10〜
100μg/kg/日を受容したコホートにおいて、MPIF投与の6日間の間
に観察された。
【1056】 ベースラインからの相対的変化の分析を行って、処置期間の間の単球CD14
阻害の有意性を評価した。ゲートされたCD14+事象に対するベースラインか
らの変化の相対的割合を計算した。ベースライン値を、各患者に対するコントロ
ールとみなした。ベースラインレベルは、処置アーム間で比較可能であり、最も
低い対の比較に関して、p値=0.18であった(処置とプラシーボとの間の比
較)。
【1057】 分散モデルの全体的な分析は、全ての時点において有意であった。ベースライ
ンからの変化は、より高い容量の群である10、30、および100μg/Kg
に対しては、0とは有意に異なった(p=0.0001)。プラシーボとこれら
3つの処置アームとの間にもまた、有意な差異が存在した。100μg/Kgと
30μg/Kgと10μg/Kgとの間には、有意な差異が存在し、このことは
、用量応答を示す。
【1058】 単球の提示に対する治験薬物の効果をさらに試験するために、絶対的な単球計
数(AMC)を計算した。これを、以下の式を使用して、絶対的な好中球を計算
すると同じ様式で、行った: AMC=WBC計数×(差示的計数からの)単球(%)×1000。
【1059】 これらの結果を、図56に示す。AMCの予測された減少は、単球が多型手段
によって定量される場合には、MPIF処置の間に観察されなかった。実際に、
処置の期間中に、わずかな増加が見られ、これは、1μg/kg以上のMPIF
用量において起こり、そして最後の用量の2〜3日後以内に、ベースライン計数
に戻る。
【1060】 単球のデータの最も単純な解釈は、MPIFが単球の走化性において用量依存
性の変化を引き起こし、非CD14保有単球の流入を生じるということである。
このことは、フローサイトメトリーによって観察される、適度な絶対的な単球計
数の増加、およびCD14保有単球の減少を考慮する。いずれかの方法によって
、一時的かまたは可逆的な生物学的活性の明白な証拠が存在した。
【1061】 (安全性。)MIPFに関して意図された1つの指標は、骨髄抑制性化学療法
を受容する患者における、骨髄前駆体細胞の保護である。用量の範囲が変化する
、プラシーボコントロールのこの薬剤の臨床試験において、最も頻繁に報告され
るAEは、骨髄抑制、ならびに随伴する化学療法投与に関連するその感染性およ
び出血性の合併症であると予測される。前臨床研究および臨床研究において、M
PIFの効果は一時的であり、可逆的であり、そして、骨髄系列の細胞に制限さ
れていた。MPIFは、化学療法により誘導される血球減少症の頻度、重篤度、
および持続時間を減少させると予測されたが、予測に反して、延長した作用は、
潜在的に、血球減少症を悪化させ得る。
【1062】 第I相の健常なボランティア試験00304−CRX−HV−01において、
18の被験体(14が活性、4がプラシーボ)が、全部で32の有害事象を被っ
た(25が活性、7がプラシーボ)。
【1063】 有害事象を、「治験薬物の投与に関連する」、「治験薬物の投与に関連しない
」、または「治験薬物の投与との関連が未知」のいずれかとして、治験担当医 によってコードした。因果関係の観点で報告する有害事象を標準化する目的で、
治験担当医によって「治験薬物の投与との関連が未知」とコードされる有害事象
は、後援者によって可能な因果関係を有するとみなされ、従って、「関連するA
E」と報告された。
【1064】 これらの基準に基づいて、25のMPIF処置した被験体のうちの11が、M
IPF投与に関連すると考えられる少なくとも1つの有害事象を経験した。プラ
シーボを受けた5の被験体のうちの3が、薬物投与に関連すると考えられる少な
くとも1つの有害事象を経験した。活性処置された被験体およびプラシーボ処置
された被験体の間での有害事象の発生数(それぞれ44%対60%)は、匹敵す
る。
【1065】 32の報告された有害事象のうちの29は、NCI CTC等級で1または2
の重篤度のものであった。2つは、未知の重篤度であった。最も頻繁に報告され
た有害事象は、頭痛(5の被験体、4の活性/1のプラシーボ)、頃眠(3の被
験体、2の活性/1のプラシーボ)、および白血球減少症(3の被験体、2の活
性/1のプラシーボ)であった。第I相試験に関して報告された全てのAEの要
約を、表9に示す。
【1066】 1つの有害事象が、重大かつ重篤であると報告された。72歳の白人女性は、
眩暈感、悪心および嘔吐、ならびにMPIF(30μg/kg)の最後の投与の
約56時間後の歩行不安定性によって顕在される眩暈を経験した。この被験体を
、観察および評価のために、一晩入院させた。実験室、頭部CTおよび頚動脈の
超音波試験では、明らかにならなかった。この被験体は、遠い過去に、類似のエ
ピソードを有した。症状をすばやく解析し、そして被験体を翌朝に病院から出し
、このときこの治験の後遺症および合併症の証拠はなかった。この有害事象と治
験投薬法との関係は、治験担当医によって「未知」として報告された。
【1067】
【表9】 (薬物速度論的パラメータ。)薬物速度論的パラメータを、治験00304−
CRX−HV−01において評価した。血漿サンプルを、ベースラインにおいて
、ならびに5分、10分、15分、および30分の最初の投薬の1時間後、2時
間後、4時間後および24時間後に、得た。さらなるサンプルを得、その後、最
後の投薬の後に、薬物の蓄積を評価した。
【1068】 これらのデータを図57に要約する。循環している血液のレベルは、0.1μ
g/kgおよび1.0μg/kgのコホートにおいて、それぞれ30分および1
時間までにわたって、容易に検出された。より高い用量は、注入後24時間まで
にわたって、検出可能なレベルを生じた。AUCおよびCMAXは、投与された用
量に対して比例した。最も高い用量レベル(30μg/kgおよび100μg/
kg)を受けた被験体の間で、T1/2は、約0.8時間であった。6日目の治験
薬物の最後の投与の前の血漿レベルは、薬物蓄積の証拠を示さなかった。
【1069】 これらの研究は、MPIF−1が、G−CSFに関連する副作用(例えば、骨
格の疼痛、脱毛症、下痢、好中球減少性熱、粘膜炎、熱、疲労、食欲不振など)
を引き起こすことを示す。
【1070】 この実施例に記載する研究は、MPIF−1(Δ23)の活性を試験する。し
かし、当業者は、例示された治験を容易に改変して、全長MPIF−1、または
そのフラグメント、ならびにMPIF−1のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子
治療を介して)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得
る。
【1071】 (実施例36) (データの要約および治験担当医のための指針) (前臨床データの要約。)インビボ研究は、MPIFが造血前駆細胞の強力な
保護物質であることを示す。マウスの多機能かつ方向付けられた前駆細胞コロニ
ーの阻害を、0.1〜100ng/mlの濃度範囲で観察した。インビトロでの
実験は、MPIFが、代謝拮抗物質、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼインヒ
ビター、およびタキサンの効果からの細胞保護を与えることを示した。インビボ
の試験においては、このような保護の結果は、細胞傷害性化学療法に続く、骨髄
前駆細胞および末梢細胞集団のより迅速な回復である。
【1072】 MPIFは、毎日(静脈内に)、14日間の期間にわたって、有意な毒性なし
に、投与され得る。ヒトと当量の用量である1.67mg/kgまで、動物にお
いて有害な効果が観察されなかった。20mg/kgの用量まで、28日間の反
復用量毒物学研究において、動物において有害な効果が観察されなかった。
【1073】 MPIFは、270を超えるインビトロの実験において、腫瘍細胞株において
検出可能な増殖促進効果を有さなかった。
【1074】 (臨床データの要約。)MPIFは、安全に投与され、そして第I相プラシー
ボコントロールの用量増加試験(用量範囲:0.1〜100μg/kg)におい
て反復用量を受容する健全なボランティア(n=25)において、十分に許容さ
れた: MPIFの投与に関連すると考えられる重大な有害事象は、健全なボランティ
アにおいて観察されなかった。
【1075】 CD14発現の一時的な用量依存性の減少が、フローサイトメトリー分析によ
って、末梢血液単球において観察された。絶対的な単球および好中球の計数は、
差示的係数によって決定される場合に、影響を受けなかった。
【1076】 MPIFは、処置後24時間まで検出可能であった。
【1077】 MPIFは、健全なボランティアに投与される場合に、免疫原性ではなかった
【1078】 (潜在的な危険および副作用。)MPIFの効果は、前臨床試験および臨床試
験において、一過性であり、可逆的であり、そして骨髄系の細胞に限定されてい
た。MPIFは、化学療法によって誘導される血球減少症の頻度、重篤度および
持続時間を減少させると予測されるが、予測に反して、延長した作用は、潜在的
に血球減少症を悪化させ得る。
【1079】 プラシーボに匹敵する頻度および重篤度を有する、一時的な有害事象は、10
0μg/kgまでの用量のMPIFを複数回静脈内に受容する健全なボランティ
アの最初の臨床的研究において、観察された。MPIFの投与に関連すると考え
られる急性の反応は、観察されなかった。MPIFは、健全なボランティアにお
いては、非免疫原性であった。
【1080】 いくつかの有害事象が、MPIFの投与に関連したが、外因性タンパク質の導
入は、潜在的に、免疫原性により媒介される局所性かまたは全身性の反応を生じ
得る。被験体は、急性のアレルギー性反応(例えば、熱、じんま疹、高血圧症ま
たは低血圧症、および気管支痙攣)、または他の反応(例えば、脈管炎、または
血清病)を経験し得る。腎臓の機能不全、肝臓の機能不全、免疫抑制、凝固障害
およびニューロパシーの可能性は、間接的であるが、排除され得ない。
【1081】 被験体は、急性の有害な反応の任意の兆候に関して、投与中および投与後に綿
密にモニタリングされるべきである。突発的な供給(エピネフリン、コルチコス
テロイド、昇圧剤、および心臓除細動装備を含む)は、急性の反応が起こる場合
に、使用のために容易に利用可能であるべきである。
【1082】 (禁忌。)妊娠中または授乳中の母親においての使用のための、この製品の安
全性は、臨床試験において実証されていない。
【1083】 (予防措置) (患者のための情報。)MPIFは、全ての治験製品と同様に、この製品を熟
知している臨床試験外科医または治験担当医の支持のもとでのみ、使用されるべ
きである。
【1084】 妊娠中または授乳中の母親においての使用のための、この製品の安全性は、臨
床試験によっては実証されていない。胚または胎児の発生、妊娠の経過、ならび
に周産期および出生後の発達に関する安全性を評価するための、例示的な動物研
究は、行われていない。月経周期を失ったいずれの女性も、そうではないと示さ
れるまで、妊娠と仮定されるべきである。従って、あり得る利点が母体および胎
児が被る危険を上回る場合に、強制的な調査のみが、妊娠中には実施されるべき
である。
【1085】 MPIFが乳中に分布しているか否かは、未知である。治験薬物の投与が必要
であることがわかった場合には、母乳で育てることは、中断されるべきである。
【1086】 (実験室試験。)末梢血液計数は、MPIFで処置された患者において綿密に
モニターされるべきである。実験室試験は、付随する臨床プロトコルに従って実
施されるべきである。
【1087】 (製品の相互作用。)MPIFは、他の薬物といかなる重篤な相互作用をも引
き起こさないと予測される。
【1088】 (発癌、変異誘発、受胎能の欠陥。)発癌性および変異誘発性の可能性を試験
するための動物研究は、MPIFを用いては行われていない。インビトロでの試
験は、MPIFが、腫瘍細胞株に対して検出可能な効果を有さないことを示す。
【1089】 (製品の乱用および依存性。)MPIFの製品の乱用および依存性の可能性は
、非臨床研究においても臨床研究においても試験されていないが、無視できると
予測される。
【1090】 (過剰の投薬量。)MPIFの過剰投薬量に関する臨床的な経験は存在しない
。20mg/kgまでの用量が連続14日間にわたって与えられた場合に、動物
において毒性が観察されなかった。これは、ヒトにおける1.67mg/kgの
用量と等価である。
【1091】 (投薬量および投与。)MPIFに関する最適な用量および投与レジメンは、
決定されていない。最初の研究は、6日間までにわたって、0.1〜100μg
/kgのMPIFの毎日の静脈内投与の安全性を評価した。生物学的活性および
優先的な効力を決定するための第2A相試験は、1〜100μg/kgの範囲の
用量を評価する。引き続く用量および投与レジメンは、これらの初期の効力の研
究の結果から、決定される。
【1092】 (供給および貯蔵。)MPIFは、滅菌液体処方物として供給される。この製
品は、2℃と8℃との間で、認証された人物にのみアクセス可能な領域に貯蔵さ
れなければならない。患者への投与のための希釈された薬物は、製品の分解なし
で、室温で12時間まで安定であることが示された。
【1093】 この実施例に記載される研究は、MPIF−1(Δ23)の活性を試験する
。しかし、当業者は、例示的な研究を容易に改変して、全長MPIF−1または
そのフラグメント、ならびにMPIF−1のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子
治療を介する)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を研究し得
る。
【1094】 (実施例37) (MPIF−1の溶液構造および力学) (要約) 骨髄前駆細胞インヒビター因子−1(MPIF−1)は、前駆細胞のインヒビ
ターであり、そして単球のアクチベーターである。MPIF−1の溶液構造は、
核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定されている。多くのCCケモカインと
は異なり、MPIF−1の構造は、これがモノマーであることを示す。この構造
は、末端残基以外には十分に規定されており、そして3つのβ鎖および重なって
いるαヘリックスの特徴的なケモカイン折り畳みを呈する。大部分のケモカイン
を特徴付ける4つのシステインに加えて、MPIF−1は、さらなる2つのシス
テインを含み、これらはジスルフィド結合を形成する。骨格の力学は、機能的に
重要なN末端残基、N末端ループの残基、およびジスルフィド結合に隣接する残
基が、タンパク質のコアと比較して、有意な力学を示すことを示す。MPIF−
1は、99アミノ酸タンパク質からN末端においてプロセスされ、そして後者も
また機能的であるが、活性が減少しており、そして種々の溶液条件下でモノマー
である。従って、MPIF−1は、関連する他の全てのケモカインのより長いプ
レタンパク質として、独自である。これらの研究は、白血球上の7−TMレセプ
ターを活性化するために十分なモノマーであるという概念と一致する。
【1095】 (導入) ケモカイン(走化性サイトカイン)は、様々な生物学的プロセス(白血球のや
り取り(trafficking)、造血、および新脈管形成が挙げられる)を
媒介し、そして感染に対する宿主の防御において、基礎的な役割を果たす(Ba
ggiolini,M.ら、Annu.Rev.Immunol 15:675
−705(1997);Rollins,B.J.,Blood 90:909
−928(1997);Luster,A.D.,N.Engl.J.Med.
338:436−445(1998))。約40のケモカインが、現在までに同
定されている;全てが、70〜100アミノ酸長であり、そして4つの保存的シ
ステインによって特徴付けられる。ケモカインは、最初の2つのシステインが隣
接している(CC)か、またはアミノ酸によって分離されている(CXC)かに
基づいて、CCおよびCXCのファミリーに大まかに分類される。CXCケモカ
インは、さらに2つのサブグループに分割され得る(「ELR」および「非EL
R」)。全てのELR CXCケモカインは、好塩基球を活性化させ、一方で非
ELR CXCケモカインは、リンパ球の異なるサブセットを活性化する。CC
ケモカインは、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、T細胞を活性化させ
るが、好中球を活性化させない。さらに、Cファミリーの単一のメンバー(これ
は、2つのみのシステインを含む)、およびCX3Cファミリーの単一のメンバ
ーもまた、同定された。
【1096】 骨髄前駆細胞阻害因子−1(MPIF−1)(CKβ8としても公知)(CC
ファミリーのメンバー)は、大規模連続試行において最初に同定され、そして肝
臓、肺、膵臓、および骨髄において、構成的に発現される(Patel,V.P
.ら、J.Exp.Med.185:1163−1172(1997))。顆粒
球および単球の系列を生じさせる骨髄細胞のコロニー形成の阻害に加えて、MP
IF−1は、単球および好酸球に対してもまた走化性である(Patel,V.
P.ら、J.Exp.Med.185:1163−1172(1997);Yo
un,B.−S.ら、Blood 91:3118−3126(1998))。
選択的スプライシングは、2つの形態のタンパク質(CKβ8およびCKβ8−
1と命名される)を生じ、これらはそれぞれ99および116アミノ酸長である
(Youn,B.−S.ら、Blood 91:3118−3126(1998
))。興味深いことに、99アミノ酸タンパク質の短縮型形態(Δ24−99)
(本明細書中以下においてMPIF−1と称する)は、実質的により活性である
ことが観察された(Nardelli,B.ら、J.Immunol.162:
435−444(1999);Berkhout,T.A.ら、Biochem
.Pharmacol.59:591−596(2000))。単球および好酸
球における交差脱感作の実験は、MPIF−1が優先的にCCR1レセプターに
結合することを示すが、両方の場合において脱感作が不完全であることは、さら
なるレセプターが関与し得ることを示唆する(Nardelli,B.ら、J.
Immunol.162:435−444(1999))。MPIF−1は、単
球からの[3H]アラキドン酸の迅速な用量依存性の放出を誘導し、これは、細
胞外カルシウムに依存し、そしてホスホリパーゼA2(PLA2)インヒビターに
よってブロックされる。さらに、PLA2の活性化は、単球における糸状のアク
チン形成のために必要であることが示される。
【1097】 いくつかのCXCおよびCCケモカインの構造は、NMR分光法およびX線結
晶構造学によって、解析されている(Clore,G.M.ら、Biochem
istry 29:1689−1696(1990);Fairbrother
,W.J.ら、J.Mol.Biol.242:252−270(1994);
Kim,K.S.ら、J.Biol.Chem.269:32909−3291
5(1994);Malkowski,M G.ら、J.Biol.Chem.
270:7077(1995);Zhang,X.ら、Biochemistr
y,33:8361−8366(1994);Lodi,P.J.ら、Scie
nce 263:1762−1767(1994);Skelton,N.J.
ら、Biochemistry 34:5329−5342(1995);Ha
ndel,T.M.、およびDomaille,P.J.,Biochemis
try 35:6569−6584(1996);Kim,K.S.ら、FEB
S Lett.395:277−282(1996);Crump,M.P.ら
、J.Biol.Chem.273:22471−22479(1998);S
ticht,H.ら、Biochemistry 38:5995−6002(
1999))。最初に特徴付けられたケモカインの大部分は、ダイマーであり、
そしてCXCおよびCCケモカインが、タンパク質の異なる領域を使用して二量
化することが、さらに観察された。CXCケモカインにおいては、最初のβ鎖が
ダイマーの界面を構成し、一方でCCケモカインにおいては、N末端残基がダイ
マーの界面を構成する。これらの観察およびCXCケモカインが好中球のみを活
性化し、そしてCCケモカインが他の白血球を活性化するという観察は、簡単に
述べれば、ダイマー形成が白血球7−TMレセプター結合のために必須であると
いうことである。
【1098】 サイトカインの引き続く発見および特徴付け(例えば、SDF−1(CXCケ
モカイン)、MCP−3、エオタキシン(eotaxin)、HCC−2、およ
びI−309(CCケモカイン))は、これらのケモカインが優先的にモノマー
であるとして、差異を取り除いた(Kim,K.S.ら、FEBS Lett.
395:277−282(1996);Crump,M.P.ら、J.Biol
Chem.273:22471−22479(1998);Sticht,H
.ら、Biochemistry 38:5995−6002(1999);C
rump,M.P.ら、EMBO J 16:6996−7007(1997)
)。溶液研究はまた、会合がイオン強度、緩衝液条件およびpHに対して感受性
であることを示した(Mayo,K.H.、およびChen,M.−J.,Bi
ochemistry 28:9469−9478(1989);Yang,Y
.ら、J.Biol.Chem.269:20110−20118(1994)
;Lowman,H.B.ら、Protein Sci.6:598−608(
1997))。変異研究(Czaplewski,L G.ら、J.Biol.
Chem.274:16077−16084(1999);Laurence,
J.S.ら、Biochemistry 39:3401−3409(2000
);Paavola,C.D.ら、J.Biol.Chem.273:3315
7−33165(1998))およびケモカインをモノマー状態でトラップする
こと(Rajarathnam,K.ら、Science 264:90−92
(1994);Rajarathnam,K.ら、J.Biol.Chem.2
72:1725−1729(1997)は、モノマーが白血球上の7−TMレセ
プターの結合および活性化に十分であることを示した。最近の研究は、ダイマー
形成が、プロテオグリカンへの結合および濃度勾配の形成(指向された白血球の
やり取りのために必須のプロセス)において役割を果たし得ることを示唆する(
Hoogewerf,A.J.ら、Biochemistry 36:1357
0−13578(1997);Koopmann,W.、およびKrangel
,M.S.,J.Biol.Chem.272:10103−10109(19
97))。
【1099】 本研究において、MPIF−1の溶液構造および骨格の力学を、NMR分光法
によって特徴付けた。さらに、MPIF−1および全長MPIF−1タンパク質
の会合特性を、種々の溶媒条件下で、沈降超遠心分離測定によって研究した。構
造および力学、ならびに会合特性の意味合いを、その機能の観点から議論する。
この研究からのデータは、変異研究、および免疫関連疾患のための構造により補
助される治療剤のための、構造の基礎を形成する。
【1100】 (実験手順) (タンパク質の発現および精製。)MPIF−1遺伝子配列を、E.coli
における発現のために最適化したコドンを用いて、化学的に合成した。次いで、
この遺伝子を、2つのlacオペレーターを有する強力な合成プロモーター、効
果的なリボソーム結合部位および挿入遺伝子の下流の合成転写ターミネーターを
含む、発現ベクターpHE4にサブクローニングした。発現プラスミドをE.c
oli K12由来の株SG13009に形質転換した。IPTGの導入の後に
、MPIF−1を不溶性タンパク質として生成し、そしてこれを抽出し、そして
5mMのシステインの存在下で1.75MのグアニジンHCL中でリフォールデ
ィングした。発現されたタンパク質は、外部Met(開始コドン)をN末端に有
し、そして単純化のために、MPIF−1の第一の残基とみなされる。このタン
パク質を、強力なカチオン交換カラム(多孔質HS−50)、アニオン交換カラ
ム(多孔質HQ−50)およびカチオン交換カラム(多孔質CM−20)に連続
的に通すことによって均一に精製し、そして最後に、サイズ排除(Sephac
ryl S−100)カラムに通した。全長の99アミノ酸の成熟MPIF−1
を、MPIF−1タンパク質に関して概説したように、クローニングし、発現さ
せ、そして精製した。
【1101】 (沈降平衡。)分析用超遠心分離実験を、BeckmanモデルXL−A超遠
心機において、20℃、回転速度23,000rpm、28,000rpmおよ
び40,000rpmで実施した。実験を、異なる緩衝液中およびイオン強度の
2つの異なる出発濃度において実施して、これらの二量化に対する効果を研究し
た(表10)。吸光度を280nmで測定し、そしてデータを、0.003cm
のステップサイズを用いる5つの連続した放射状走査の平均として収集した。デ
ータを以下の式に当てはめた: Cr=C0exp(MHδ)+C0 2aexp(2MHδ)+E ここで、δは、(r2−r0 2)であり、H=(1−νρ)(ω2/2RT)であり
、CrおよびC0は、それぞれ半径rおよびr0における濃度であり、Mは、モノ
マーの分子量であり、νは、部分比容積であり、ρは、溶媒の密度であり、ωは
、ローターの角速度であり、Kaは、モノマー−ダイマー平衡における会合計数
であり、そしてEは、ベースラインオフセットである。部分比容量を、個々のア
ミノ酸の部分比容量の重量平均から計算した。データを、XL−Aに関してBe
ckmanにより提供されるMicrocal Origin 4.1ソフトウ
ェアを使用して、非線形最小二乗法によって、式に当てはめた。当てはめの質は
、χ2(残差の自乗の合計)、および系統的偏差に関する残差の試験によって特
徴付けられる。これらのデータを、単一の種またはモノマー−ダイマーのモデル
に対して当てはめた。MPIF−1およびMPIF−1(1〜99)の理論的分
子量は、それぞれ8854.6および11367.6であり、そしてこれらのデ
ータを、全ての溶液条件下の両方のタンパク質に対して、モノマーに当てはめ得
る(表10)。
【1102】
【表10】 13つのロータ速度;23,000rpm、28,000rpmおよび40,0
00rpmにおけるデータの当てはめから計算した分子量。
【1103】 (NMR分光法。)全てのスペクトルを、35℃で、Varian Unit
y Plus 600またはINOVA 500−MHz分光計(両方が場勾配
アクセサリーを備える)で、収集した。タンパク質濃度は、90%H2O/10
22O(v/v)または99.99%22O中20mM酢酸ナトリウム、1m
Mアジ化ナトリウム(pH5.2)の中で、2mMであった。化学シフトは、W
ishartらの方法(Wishart,D.S.ら、J.Biomol.NM
R 6:135−140(1995))を使用して、DSSを参照した。主鎖の
NH、N、Cα、およびCβの共鳴の帰属を、HNCACBおよびCBCA(C
O)NH実験に基づいて、行った(Muhandiram,D.R.およびKa
y,L.E.,J.Magn.Reson.103:203−216(1994
))。側鎖の原子の化学シフトを、15N編集した全関連分光学(15N−edit
ed total correlation spectroscopy)(T
OCSY)(Zhang,O.ら、J.Biomol NMR 4:845−8
58(1994))およびHCCH−TOCSY(Kay,L.E.ら、J.M
agn.Reson.B 101:333(1993))の実験から帰属した。
高分解能二次元1H−1H核オーバーハウザー増強分光法(NOESY)、TOC
SYおよびDQF−COSYの実験を使用して、芳香族部分を帰属した。プロト
ン間距離を、15N編集したNOESY(混合時間50msおよび150ms)お
よび15N/13C編集したNOESY(混合時間750ms)の実験(Pasca
l,S.M.ら、J.Magn.Reson.B 103:197−201(1
994))から誘導した。NOEクロスピーク強度を、それぞれ2.8Å、3.
5Å、4.0Å、および5.0Åの上側距離拘束に対応して、強、中程度、弱、
または非常に弱に分類した。立体非特異的に帰属されたメチルプロトンおよびメ
チレンプロトンの上限を、中央平均によって適切に補正した。さらに、0.5Å
をこの上境界に加算して、メチルプロトンを含む距離に関するより高い強度に対
して補正した。φ拘束を、HNHA実験(Kuboniwa,H.ら、Nat.
Struct.Biol.2:768(1995))から得、そしてβプロトン
の立体特異的帰属を、HACAHB実験から誘導される3Jカップリング定数(
Grzesiek,S.ら、J.Am.Chem.Soc.117:5312−
5315(1995))ならびにNOESYスペクトルにおけるNHおよびCα
HからCβHプロトンへのNOEの相対強度から得た。Leu25および66の
メチルプロトンの立体特異的な帰属を、χ1の角度を確立した後に、CαH対C
3プロトンの相対NOE強度に基づいて、行った。
【1104】 (水素結合拘束) 水素結合するための可能な候補は、最初、22O中にタン
パク質を溶解することの24時間以内に記録される一連の2D1H−15NHSQ
Cスペクトルからのゆっくりと交換するアミドプロトンを観察することを基礎に
同定された。各水素結合について、2つの距離の拘束を用いた(rNH-O、1.8
−2.3ÅおよびrN-O、2.4−3.3Å)。水素結合することの拘束は、最
初のセットの構造が算出された後にのみ用いられた。水素結合アクセプターとの
距離および角度の拘束を満足したアミドプロトンのみを構造算出に用いた。
【1105】 (データプロセッシングおよび構造算出) すべてのNMRスペクトルは、n
mrPipeプログラムパッケージソフト(Delaglio、Fら、J.Bi
omol.NMR 6:277−293(1995))を用いてプロセッシング
した。構造は、プログラムXPLORを用いるハイブリッド距離幾何学的動力学
的シミュレーションアニーリング方法により算出した(Bruenger、A.
T.、XPLOR 第3.1版、マニュアル、Yale University
、New Haven、CT(1993))。合計713の非冗長NOE距離拘
束(320内部残基、178連続、84中程度範囲および132長範囲NOE)
を用いた。さらに、82二面角(53φおよび29χ1)および36水素拘束(
18水素結合から)を最終構造算出に用いた。最初の構造は,NOE拘束のみで
生成し、そして次の構造算出には、二面角および水素結合拘束を含めた。このシ
ミュレーションアニーリング算出は、XPLOR第3.1版中の標準の力場パラ
メーターセットおよびトポロジーファイルを用いて実施した。合計50構造を生
成し、そして最良の30構造を最低エネルギーおよび良好な立体化学性質を基に
選択した。
【1106】 (動力学) 15N−T1、T2および[1H]−15N NOE実験は、パルスシ
ークエンスのグラジエントバージョンを用いて均一に標識された15N MPIF
−1に対して35℃で記録した。すべてのスペクトルは、544(t2)および
128(t1)リアルポイントで獲得し、そして3秒のサイクル遅延をT2につい
て、および1.2秒をT1実験に用いた。[1H]−15N NOEを、プロトン飽
和ありまたなしでHSQCスペクトルを記録することにより測定した。NOEな
しのスペクトルを、5秒の遅延でそしてNOEありのスペクトルを2秒の遅延お
よび3秒のプロトン飽和で記録し、遷移間で5秒の同じ遅延を与えた。スペクト
ルは、NMRPipeおよび最初の二次元15NT1を用いてプロセッシングし、
そしてT2スペクトルをプログラムPIPPを用いて手動で割り当てた。次のス
ペクトルは、プログラムCAPPを用いて自動的に釣った。T1およびT2値を、
2パラメーター指数遅延に対する交差ピークの非線形最小自乗適合により得た。
1およびT2値における不確実さは、適合の標準的偏差として捕らえた。NOE
値は、プロトン飽和ありおよびなしで記録されたピーク強度の比から得た。NO
E値における不確実さは、Farrowら、1994(Farrow、N.A.
、Biochemistry 33:5984−6003(1994))により
規定されるスペクトルのベースラインから推定された。
【1107】 (結果) (沈降平衡) 会合するケモカインの能力は、pHおよびイオン強度のような
溶液条件に依存している。MPIF−1の会合性質および完全長MPIF−1は
、異なるpHおよびイオン強度で超遠心分離法を用いて調べた。結果の要約は表
10に示される。このデータは、両方のタンパク質が実験条件下ではモノマーで
あり、そして会合する傾向がないことを示す。MPIF−1のモノマー状態は、
NMR構造と一致し、そしてまた15N動力学からの相関時間の算出からである。
【1108】 (MPIF−1の構造的統計学) 30の最終シミュレーションアニーリング(SA)構造の統計学を表11に示
し、そして平均構造の個々の構造の重ね合わせを図58Aに示す。このタンパク
質の構造は、末端残基1−10および67−77を除き良く規定されている。
【1109】 一般化された構造の性質は、立体化学、水素結合、Ramachandran
プロット中の占領の領域、van der Waalsコンタクト、包埋荷電残
基、包埋残基の数およびパッキング欠陥のような種々の基準について、プログラ
ムPROCHECK(Laskowski、R.A.ら、J.Appl.Cry
stallogr.26:283−291(1993)およびVADAR(VA
DAR−タンパク質構造の構造分析。http://www.pence.ua
lberta.caから入手可能)を用いて試験した。すべての30の構造は、
高改造構造であると予期される上記の規準に合致した。
【1110】
【表11】 a NOEおよびねじれ角度に対する値は、それぞれ50kcal.モル-12
および200kcalモル-1rad-2の力定数を用いて井戸型ポテンシャルから
算出した。 b 結合、角度および不規則(improper)の値は、完全立体化学を基に
理想値からの偏差を示す。 c 平均構造上に重ね合わせた30の最終構造のr.m.s.相違 すべての構造およびエネルギー最小化平均構造は、良好な共有結合幾何学(表
11)および最小NMR拘束妨害を示した。30のSA構造のいずれも0.2Å
より大きいNOE妨害および2゜より大きい二面角を有さなかった。すべての3
0構造と平均構造との間の残基11〜66についてのr.m.s.分布は、骨格
原子について0.57Å、そして重原子について1.09Åである(図59A、
B)。ねじれ角度の正確さは、順序パラメータSに関して評価される。構造化さ
れた残基11〜66についてのΦおよびΨねじれ角に対する順序パラメータは>
0.95であり、構造の骨格が良く規定されていることを示す(図59C、D)
。χ1についての順序パラメータは図59Eに示す。図60Fは、溶媒接近可能
な領域を示し、そして低い値は、側鎖が包埋され、そしてバルク溶媒に接近不能
であることを示す。これらの残基は、疎水性である傾向にあり、そして一般に高
順序パラメータχ1が>0.9であることによって証明されるように高度に構造
化されている。低いSを示す大きな疎水性物質の1つの例外はIle−13であ
る。それは、溶媒に晒され、そしていくつかのCXCおよびCCケモカインで保
存され、そして構造−機能研究は、レセプター結合におけるこの残基の本質的役
割を示した。すべての30構造におけるすべてのねじれ角度がRamachan
dranプロットの好ましい領域に入ることが観察される。残基の72%がコア
(最も好ましい)領域に、23%が許可領域に入り、そして1%が寛大領域に入
る。
【1111】 (MPIF−1の溶液構造) MPIF−1の構造は、代表的なケモカイン折
り畳みを採用し、そしてN末端における伸長されたループからなり、3つのβス
トランドおよびC末端αヘリックスが続く(図58B)。CCモチーフに先行す
る最初の10残基は、NOFがないかまたは連続的NOEのみを示し、Φおよび
Ψの低順序パラメータを有し、そしてそれ故規定された構造を欠いている。これ
には、310ヘリックス(残基21〜24)中に至る一連のターン(残基13〜2
0)を含むN末端ループが続く。最初のβストランド(残基27〜31)は、I
II型ターンにより、第3のβストランド(残基48〜52)にI型ターンによ
り連結される第2のβストランド(残基39〜44)に連結される。第3のスト
ランドは、III型ターンを経由してヘリックス(残基56〜66)中に至る。
残基67〜77は、長い範囲のNOE、2〜3の中程度NOE、および低順序パ
ラメータの欠如と一致して大部分は構造化されていない。それぞれ第1のストラ
ンドおよび第2のストランドの末端に位置するThr−31とThr−44のヒ
ドロキシルプロトンは、ストランドを横切って骨格カルボニルにH結合し、そし
てそれ故構造的役割を演じる。6つのシステインのうち、4つのシステインがす
べてのCCケモカインの特徴である:Cys−11はCys−35とジスルフィ
ドを形成し、第1および第2のストランドを連結するターンの一部であり、そし
てCys−12は、第3のβストランド中のCys−51とジスルフィド結合を
形成する。MPIF−1は、310ヘリックス中のCys−22およびαヘリック
ス中のCys−62である、2つの付加的なシステインを有していた。システイ
ンの化学的シフトのデータベースを作成し、そしてCβシフトが、フリーおよび
ジスルフィド結合した形態で特有に異なることが観察された(未公開データ)。
Cys−22およびCys−62のシフトは、それらがジスルフィド結合形成に
関与することを示す。構造は、これらのシステインが近接してジスルフィド結合
を形成することを示し、そしてこれはまた、らせん残基の特徴である、Cys−
62についての小カップリング定数、遅延交換アミドプロトンおよびNOEパタ
ーンのようなNMR性質からもまた明白である。Cys−12−Cys−51ジ
スルフィド結合は、構造の大体において左利きよじれ(twist)を採用し、
その一方その他の2つのジスルフィド結合は構造化されていない。この構造のコ
アは、αヘリックスの残基とβストランドの残基との間の多くの長い範囲の疎水
性接触(Ile−20、Leu−25、Tyr−28、Phe−29、Val−
40、Phe−42、Phe−50、Ala−52、Val−59、Met−6
3、およびLeu−66)によって良好に規定されている。ジスルフィド結合の
他に、コア構造に関してN末端ループに適応するThr−31、Gly−39、
Tyr−15、Cys−11、Cys−12およびCys−51とN末端との間
の長い範囲のNOEが、それらの機能に必須であり得た。
【1112】 (動力学) 15NT1、T2およびNOE緩和データは、73の予期された共鳴
のうち60について得ることができた(図60A〜C)。データは、4つのプロ
リンについて利用可能ではなく、そして残りの残基Met−1、Asp−2、H
is−5、Ala−6、Ser−8、Ile−13、Ser−19、Ser−3
3、Glu−34、Ser−36、Lys−46、Leu−66およびLys−
67については、化学的シフト重複か、または信号が信頼し得る強度の適格には
弱すぎるためのいずれかに起因して得られなかった。この15NT1、T2およびN
OE緩和データは分析され、Lipari−Szabo(Lipari、G.、
およびSzabo、A.、J.Am.Chem.Soc.104:4546−4
559(1982a);Lipari、G.、およびSzabo、A.、J.A
m.Soc.104:4559−4570(1982b))の形式論とは独立の
モデルを用いて、MPIF−1の内部動力学を記載する。各残基についての緩和
データは、2つの別個の時間スケールで生じる内部の動きを可能にするS2−τc (モデル1)、S2−τc−τe(モデル2)、S2−τc−τex(モデル3)、S2 −τc−−τex(モデル4)および2−時間スケールモデル(モデル5)を含む
異なるモデルに適合させた(Clore、G.、ら、J.Am.Chem.So
c.112:4989−4991(1990))。適切なモデルを、各残基につ
いて適合の質を評価することによって選択した。最適τcを、最初、残基あたり
を基礎に、等方的スペクトル密度関数を用いて実験的および算出されたT1、T2 、およびNOE値を最小にすることによって算出した。内部の動きが100ps
より遅く、そしてT2が立体配座交換に起因して有意に短縮されない条件下で、
1/T2比(図60D)は、順序バラメータまたは内部動きとは独立していると
考えられ、そして全体相関時間τcの推定を提供する。これらの残基は、15N[1 H]NOE値<0.65を有するものとして同定され、そしてそれに対するT1
/T2比は平均から1SD外であった。この基礎を基に、26残基が排除され、
そして残りの34残基を基礎にτcが4.6±0.2nsであると算出された。
一般化された秩序パラメータ(generalized order para
meter:S2)、化学交換(chemical exchange:Rex
、およびアミノ酸配列の関数としての局所相関時間(local correl
ation time:τe)を図60E〜Gに示す。一般化秩序パラメータは
、内部運動の大きさの尺度を提供する。ここで、S2=1は所定のN−H結合ベ
クターが剛直であることを意味し、S2=0はその運動が制限されていないこと
を示す。C末端中の残基67〜77およびN末端中の最初のシステインの前の残
基1〜10は、低い秩序パラメータ(S2<0.7)を示す。両末端はNMR構造
において十分に定義されておらず、そしてこれらの動力学データは、これらの残
基は元来移動可能であること、および構造の欠如が実験的拘束(experim
ental restraint)の欠如に起因しないことを確証する。末端を
除き、残基11〜66の平均S2値は0.84±0.06である。低い秩序パラメ
ータを示す他の残基は、N末端ループの部分である、Arg−18およびIle
−20(0.7)である。残基Tyr−15、Cys−22、Thr−44、C
ys−51、Ala−52、Asn−77の緩和データ(relaxation
data)は、交換項(exchange)を必要とし(モデル3および4)
(図60G)、末端残基69〜73の緩和データは2時間スケールモデル(tw
o time scale model)を必要とした。残基Arg−3、Ph
e−4およびThr−74はいかなるモデルにも適合し得なかった。他のすべて
の残基は単純モデルに適合し得た。
【1113】 (考察) MPIF−1は溶液中でモノマーである。NMR構造決定および15N動力学か
らの回転相関時間の計算は、MPIF−1が実験条件(50mMアセテート、p
H5.2)下でモノマーとして存在することを示す。種々の溶液条件下での超遠
心研究もまた、MPIF−1がモノマーとして存在することを示す(表10)。
【1114】 構造研究および溶液研究は、ケモカインにおける会合特性にいくつかの洞察を
提供したが、相互作用の特異性に寄与する分子的特徴は捉えどころのないままで
ある。CCケモカインは会合能力において最も大きな差異を示し、非常に高次元
のポリマーからモノマーまで存在し得る。RANTES(Skelton,J.
J.ら、Biochemistry 34:5329−5342(1995))
、MIP−1α(Czaplewski,L.G.ら、J.Biol.Chem
.274:16077−16084(1999))、MIP−1β(Lodi,
P.J.ら、Science 263:1762−1767(1994))は、
天然のpHで高度に会合している(>100kDa)が、より低いpHではダイ
マーに可逆的に解離するが、I−309、HCC−2およびMCP−3はモノマ
ーである(Paolini,J.F.ら、J.Immunol.153:270
4−2717(1994);Sticht,H.ら、Biochemistry
38:5995−6002(1999);Kim,K.S.ら、FEBS L
ett.395:277−282(1996))。
【1115】 他方、CXCケモカインは、その会合挙動がより剛直であり、ダイマーおよび
テトラマーのみを形成する(Clark−Lewis,I.ら、J.Leuko
cyte Bio.57:703−711(1995))。その構造に基づく二
量体化に重要であると考えられた残基のいくつかは、ほとんどもしくは全く効果
を有さず、逆にダイマー界面から離れた残基の変異は、モノマーを生じた(Cz
aplewski,L.G.ら、J.Biol.Chem.274:16077
−16084(1999);Laurence,J.S.ら、Biochemi
stry 39:3401−3409(2000);Paavola,C.D.
ら、J.Biol.Chem.273:33157−33165(1998))
。明らかに、一次配列で遠く離れた残基による種々の安定化力が、ダイマーおよ
びテトラマー会合の促進に役割を果たす。
【1116】 しかし、CXCおよびCCケモカインの両方について、モノマーが、白血球上
の7−TMレセプターに結合しそしてこれを活性化するに十分であるという説得
力あるデータが存在する。3つの好中球活性化ケモカイン(IL−8、NAP−
2、およびMGSA)をモノマー状態に捕捉してそれらが二量体化し得ないよう
することにより、モノマーが、インビトロ機能アッセイにおいて、ネイティブの
タンパク質と同程度に活性であることが以前に示された(Rajarathna
m,K.ら、Science 264:90−92(1994);Rajara
thnam,K.ら、J.Biol.Chem.272:1725−1729(
1997))。同様に、RANTES、MCP−1、MIP−1α、およびMI
P−1βにおける変異研究もまた、モノマーがレセプター結合性種であることを
示した(Czaplewski,L.G.ら、J.Biol.Chem.274
:16077−16084(1999);Laurence,J.S.ら、Bi
ochemistry 39:3401−3409(2000);Paavol
a,C.D.ら、J.Biol.Chem.273:33157−33165(
1998))。
【1117】 ダイマーおよびより高次のオリゴマーの役割(もしあれば)は正確には何かと
いう疑問が生じる。最近の研究は、この役割はプロテオグリカンへの結合および
濃度勾配の確立(白血球を輸送するために必須であるプロセス)におけるもので
あり得ることを示唆する(Hoogewerf,A.J.ら、Biochemi
stry 36:13570−13578(1997);Koopmann,W
.およびKrangel,M.S.,J.Biol.Chem.272:101
03−10109(1997))。プロテオグリカン結合に重要な残基は、CX
CおよびCCケモカインの両方において塩基性残基(例えば、アルギニン、リジ
ン、およびヒスチジン)であり、クラスター化しそして7−TMレセプターへの
結合に重要な領域から離れて局在する傾向にある。この研究において、MPIF
−1は、溶液中でダイマーを形成するいかなる性向も示さなかった。MPIF−
1および他のモノマーケモカインI−309およびHCC−2が、細胞表面プロ
テオグリカンの存在下で二量体化するかどうかは、研究中である。
【1118】 ケモカインの興味をそそる特性は、NまたはC末端のいずれかで異なってプロ
セシングされた複数種の存在である。いくつかのケモカインは、MPIF−1と
同様に、NまたはC末端のいずれかでタンパク質分解的にプロセシングされて機
能的なタンパク質を生じる大きな前駆体として分泌される。NAP−2、β−ト
ロンボグロブリン(βTG)および結合組織活性化タンパク質III(CTAP
−III)は、血小板塩基性タンパク質(PBP)のN末端産物であり、NAP
−2のみが好中球の強力なアクチベータであるがその他は不活化前駆体と考えら
れる。4つすべてがダイマーおよびテトラマーを形成し(Yang,Y.ら、J
.Biol.Chem.269:20110−20118(1994))、さら
にNAP−2およびCTAP−III(C末端で異なってプロセシングされる)
もまた細胞培養物から単離された(Ehlert,J.E.ら、J.Immun
ol.161:4975−4982(1998))。
【1119】 機能的ケモカインのN末端領域は、最初の保存されたシステインの前の10ア
ミノ酸程度からなり、そして変異研究により、レセプター結合および活性化につ
いてのこれら残基の本質的役割が示された。短縮化CCケモカインは、高度に異
なり通常でない特性を示す(Clark−Lewis,I.ら、J.Leuko
cyte Biol.57:703−711(1995))。例えば、MCP−
1において、最初の4残基の欠失は活性の損失を生じるが、最初の5残基の欠失
は活性の実質的な回復を生じる。さらなる欠失は機能の損失を生じるが、レセプ
ターへ結合する能力およびアンタゴニストとして機能する能力は保持される(G
ong,J.−H.およびClark−Lewis,I.、J.Exp.Med
.181:631−640(1995))。IL−8(CXCケモカイン)のN
末端における連続欠失は、活性増大、活性喪失、次いでアンタゴニストへの転換
を生じる(Moser,B.ら、J.Biol.Chem.268:7125−
7128(1993))。CCケモカインにおける最初のシステインの前のN末
端残基の短縮化はモノマー形成に好都合であることもまた観察されており、そし
てN末端残基の長さが二量体化において役割を果たすことが示唆されている。
【1120】 MPIF−1遺伝子のオールタナティブスプライシングは、それぞれ99アミ
ノ酸および116アミノ酸である2つの形態のタンパク質を生じる(それぞれC
Kβ8およびCKβ8−1と呼ぶ)(Youn,B.−S.ら、Blood 9
1:3118−3126(1998))。この観察はCCケモカインの間で例外
である。なぜなら、この長さの差異はN末端領域に存在するからである(それぞ
れ、最初のシステインの前の32および49アミノ酸)。両方の形態のタンパク
質が、骨髄始原細胞阻害および単球化学走性において同様の活性を有することが
示された。バキュロウイルスにおける99アミノ酸タンパク質の発現は、3つの
形態のタンパク質(全長および2つの短縮化形態)を生じた。短縮化形態は、単
球化学走性および骨髄始原細胞阻害アッセイの両方において、より強力であるこ
とが見出された。種々の溶液条件下でのMPIF−1および完全長MPIF−1
のデータ(表1)は、それらがモノマーであり、N末端残基の長さとダイマーを
形成する能力との間に相関がないことを示す。MPIF−1の改変体の効力の差
異は、他のケモカインと同様に、インビボで役割を果たす。なぜなら、白血球の
動員および活性化は空間的にも時間的にも調節されるからである。白血球活性化
の1つの局面は、ケモカインに作用ししたがってその活性および機能を調整する
ペプチダーゼおよびプロテアーゼの放出である。
【1121】 構造の説明および他のケモカインとの比較。MPIF−1は、3つのβ鎖およ
びその上に横たわるαヘリックスからなる代表的なケモカイン折り畳みをとる。
構造のコアは十分に規定されており、骨格および重い原子についての最低のrm
sd、Φ、Ψおよびχ1の高秩序パラメータ、緩慢変換アミドのほとんどが、鎖
間にH結合を形成するもの、およびαヘリックス中のものであることを示す。い
くつかのCCケモカイン構造(MIP−1β、RANTES,MCP−1、MC
P−3、エオタキシン(eotaxin)、およびHCC−1の構造を含む)が
解明された(Lodi,P.J.ら、Science 263:1762−17
67(1994);Skelton,N.J.ら、Biochemistry
34:5329−5342(1995);Handel,T.M.およびDom
aille,P.J.、Biochemistry 35:6569−6584
(1996);Kim,K.S.ら、FEBS Lett.395:277−2
82(1996);Crump,M.P.ら、J.Biol.Chem.273
:22471−22479(1998);Sticht,H.ら、Bioche
mistry 38:5995−6002(1999))。MPIF−1の二次
および三次の構造的要素は、他のCCケモカインにおいて観察されたものと類似
する(図61)が、MPIF−1と他のCCケモカインとの間の配列同一性は約
25から60%まで変化する(図62)。MPIF−1および他のCCケモカイ
ンの構造化領域(残基11〜66)の骨格の重ね合わせは、1.5から2.0Åま
でのrmsdを示す。最低のrmsdは構造化領域(鎖およびヘリックス)につ
いて観察され、より高いrmsdはN末端残基、N末端ループ、および30sタ
ーンについて観察される。最も大きな配列の差異は、タンパク質のこれらの領域
について観察され、そしてこれらはまた、比較的十分に規定されていない領域で
あり、移動可能であり、そして機能的に重要である。
【1122】 4つのシステイン(Cys−11、Cys−12、Cys−35、Cys−5
1)の他に、残基Ile−13、Tyr−15、Ile−20(N末端ループ)
、Leu−25、Tyr−28、Phe−29、Thr−31(第1β鎖)、V
al−40、Ile−41、Phe−42、Thr−44(第2β鎖)、Phe
−50、Ala−52(第3β鎖)、Val−59、Met−63およびLeu
−66(αヘリックス)(MPIF−1配列に従う番号付け)が保存されている
か、または保存的に置換されている(図62)。ほとんどが、鎖またはヘリック
スのいずれかに位置する嵩高い疎水基であり、そして異なる構造において同じ側
鎖コンホメーションをとり、そして構造足場を構成する。Thr−31およびT
hr−44は完全に埋没した極性残基であり、その構造は、ヒドロキシルの陽子
が、鎖を横切る骨格カルボニルにH結合しており、したがって構造的役割を果た
すことを明らかにする。
【1123】 構造は、Cys12−Cys51ジスルフィド結合が優勢に左巻き螺旋コンホ
メーションをとることを明らかにする。15N動力学データは、システインおよび
3つすべてのジスルフィド結合の近傍の残基のいくつかが、コンホメーション変
化を示すことを示す。これは、タンパク質のこれらの領域が移動可能であり、コ
ンホメーション変化を受けることを示す。Cys11−Cys35ジスルフィド
結合は、最も大きな分節動(segmental motion)を示し、そし
て例えばIL−8において、ジスルフィド結合に対するかすかな摂動は、構造変
化を伴わずに、機能の有意な損失を生じることが示された(Rajarathn
am,K.ら、Biochemistry 38:7653−7658(199
9))。N末端領域、ジスルフィド結合および30sターンの動力学は、特異結
合および活性化において欠くことのできない役割を果たす(Clark−Lew
is,I.ら、J.Leukocyte Biol.57:703−711(1
995))。MPIF−1は、HCCに対して最も高い配列相同性を示し、HC
Cはまた6つのシステインを有し、CCR1に結合し、そして幹細胞増殖のイン
ヒビターである。MPIF−1、HCC−2および他のCCケモカインの間の1
つの差異は、MPIF−1(Glnを有する)およびHCC−2(Glyを有す
る)の他に、すべてのCCケモカインにおける58位のTrp残基である。MP
IF−1およびHCC−2構造は、インドール側鎖の立体的な嵩が、ジスルフィ
ド結合に有利であることを明らかにする。
【1124】 保存された疎水性物質に加えて、荷電した残基のいくつかもまた、保存されて
いる;N末端ループのArg−18および40sターンのLys−45およびA
rg48は、溶媒に露出しており、そして負に荷電したプロテオグリカンに結合
することに関係している(Chakravarty.L.ら、J.Biol.C
hem.273:29641−29647(1998);Koopmann,W
.ら、J.Immunol.163:2120−2127(1999)。しかし
、プロテオグリカン結合ドメインの位置および結合に関与する荷電残基の相対的
重要性は、ケモカインごとに様々である。IL−8(Kuscher,G.S.
V.ら、Biochemistry 37:11193(1998))、PF−
4(Mayo,K.H.ら、Biochem.J.312:357−365(1
995))およびMCP−1(Chakravarty,L.ら、J.Biol
.Chem.273:29641−29647(1998))のC末端へリック
スにおける荷電残基、SDF−1における第一鎖β鎖の残基(Amara,A.
ら、J.Biol.Chem.274:23916−25(1999))、なら
びにMIP−1α(Koopman,W.およびKvangel.M.S.,J
.Boil.Chem.272:10103−10109(1997))および
MIP−1β(Koopmann、W.ら、J.Immunol.163:21
20−2127(1999))における40sターンおよびN末端ループの残基
は、プロテオグリカン結合に関係している。MPIF−1は、高度に塩基性のタ
ンパク質であり、そして40sループに(Lys−46)およびαへリックスに
(Lys−57、Arg−64、およびLys−67)さらなる塩基性の残基を
有し、これは、それがプロテオグリカンにより強固に結合することを示す(図6
3)。
【1125】 (構造−機能) 単球の活性化:MPIF−1は、CCR1に高い親和性で結合し、そして単球
の強力なアクチベーターであることが示されている(Nardelli,B.ら
、J.Immunol.162:435−444(1999);Berkhou
t,T.A.ら、Biochem.Pharmacol.59:591−596
(2000))。MCP−3、RANTES、MIP−1α、およびHCC−2
はまた、CCR1に結合して活性化する。変異誘発研究は、第一のシステインに
先行するN末端残基とN末端ループの残基(第二のシステインと先行する310
リックスとの間)が、CXCおよびCCケモカインの両方に対するレセプター結
合において重要な役割を果たすことを示している(Clark−Lewis,I
.ら、J.Leukocyte Biol.57:703−711(1995)
;Gong,J.−H.およびClark−Lewis,I.、J.Exp.M
ed.181:631−640(1995);Moser,B.ら、J.Bio
l.Chem.268:7125−7128(1993);Pakianath
an,D.R.ら、Biochemistry 36;9642−9648(1
997))。ケモカインリガンドのN末端ループ残基は、最初の結合部位を構成
するレセプターのN末端残基と相互作用することが示唆されている;この相互作
用は、必要に応じて、リガンドN末端残基をレセプター残基との相互作用に対し
て指向させ、コンホメーションの変化および機能的応答を誘発する(Crump
,M.P.ら、EMBO J.16:6996−7007(1997);Cla
rk−Lewis,I.ら、J.Leukocyte Biol.57:703
−711(1995))。
【1126】 MIPIF−1構造において、N末端ループ残基は、十分に規定されており(
φ、ψについてS>0.95)、そして独特のコンホメーションに適合する。一
方、15N動力学データは、そのタンパク質のこの領域が、相対的に可動性であり
、そしてナノ秒以下での変動およびより遅いミリ秒スケールでコンホメーション
交換を示すことを示す。同様の観察を、エオタキシン(Crump,M.P.ら
、Proten Sci.8:2041−2054(1999);Ye,J.ら
、J.Biomol.NMR 15:115−124(1999)、vMIPI
I(複数のCXCおよびCCケモカインレセプターに結合するウイルスモノマー
CCケモカイン)(LiWang、A.C.ら、Biochemistry 3
8:442−453(1999))において、およびフラクタルカイン(fra
ctalkine)(モノマーCX3Cケモカイン)(Mizoue,L.S.
ら、Biochemistry 38:1402−1414(1999))にお
いてなされている。N末端ループドメインは、3つ全てのジスルフィド結合に隣
接しており近位である。配列分析はまた、Ile−13、Tyr−15、Arg
−18、およびIle−20(MPIF−1に従う番号付け)に対応する残基が
、他のCCケモカインにおいて保存されているかまたは同様に置換されており、
そしてこれらの残基の変異誘発が、それらのそれぞれのレセプターへの結合を減
少させることを明らかにする。Ile−13は、二番目のシステインの後の最初
の残基であるが、すべてのCXCおよびCCケモカインにおいて溶媒に露出して
おり、レセプターの活性化において直接的な役割を果たす可能性が非常に高い。
RANTESにおいて、N末端ループ残基の重要性は、レセプター特異的である
ことが観察された:Arg−17は、CCR1に対する結合にとって、Phe−
12は、CCR3に対する結合にとって、Phe−12およびIle−15は、
CCR5に対する結合にとって必須であった(Pakianathan,D.R
.ら、Biochemistry 36:9642−9648(1997))。
ほとんどの構造において、Tyr−15およびIle−20は、包埋されており
、そして類似のコンホメーションに適合し、そして他の疎水性残基に対してパッ
ケージングされ、構造的役割を示す。これらの観察は、MPIF−1において、
Ile−13およびArg−18が機能的役割を果たし、そしてレセプター結合
に直接関与しており、そしてTyr−15およびIle−20が構造的足場の一
部として機能していることを示す。
【1127】 NMR構造およびMPIF−1の動力学データは、最初のシステインに先行す
るN末端残基が(明確な)構造を有していないことを示す。同様の観察が、モノ
マーNMR構造およびダイマーCXC構造の全てにおいてなされており、これは
、これらの残基の可動性が、レセプターとの最適な相互作用にとって必須である
ことを示す。好中球を活性化する全てのCXCケモカインは、結合および活性化
にとって必須である最初のシステインに先行する特徴的な「ELR」配列を有す
る(Clark−Lewis,I.ら、J.Leukocyte Biol.5
7:703−711(1995))。このようなサイン配列(signatur
e sequence)は、CCケモカインには存在せず、そして配列分析によ
ってはレセプター特異性についてのいかなる洞察も提供されない。さらに、CC
ケモカインは、複雑なリガンド−レセプタープロフィールを示す。単球、マクロ
ファージ、好酸球、およびT細胞を活性化するほとんどのCCケモカインは、複
数のレセプターに結合し、そしてほとんどのレセプターは、複数のケモカインに
結合する。一方、1つのみのレセプターへのリガンド結合の例が公知である(L
ARCおよびCCR6)。MPIF−1のN末端残基は、非常に少ないか、また
はCCR1に結合する他のCCケモカイン(HCC−2、MCP−3、RANT
ESおよびMIP−1α)との類似性は全くない。HCC−2は、MPIF−1
に対する最も高い全体的配列相同性(約60%)を示すが、しかし、N末端にお
いては全く相同性がない。CCR1に加えて複数のレセプターに結合するRAN
TESにおける最近の構造−機能研究は、特定のN末端残基を変異させることに
対するレセプター特異的応答を示した:Pro−2、Asp−6、およびThr
−7は、CCR1に対する結合にとって;Pro−2およびTyr−3は、CC
R3に対する結合にとって;およびTyr−3およびAsp−6は、CCR5に
対する結合にとって、必須であった。いずれのN末端残基も、MPIF−1とR
ANTESとの間において同一ではなく、そして1つの残基のみが保存的に置換
されているにすぎない(RANTESにおいてTyr−3そしてMPIF−1に
おいてPhe−4)。Tyr−3は、RANTESにおいてCCR3に対する結
合について必須の役割を果たすことが示されており、そしてMPIF−1がCC
R3に結合し得るか否かは、依然として試験されるべきままである。興味深いこ
とに、N末端残基の長さ(側鎖の性質ではない)が、CCR2に対するMCP−
1の結合にとって重要であることが最近示されている(Jarnaginら、B
iochemistry 38:16167−16177(1999))。
【1128】 (前駆細胞増殖の抑制) MPIF−1のすべての型(version)が、前駆細胞の増殖を抑制する
ことが示されており、そして短縮型が、プロタンパク質よりもそれらの阻害にお
いてより強力であることが観察された。顕著なことに、CCおよびCXCケモカ
イン(例えば、MIP−1α、IL−8、GRO−β、PF−4、IP−10お
よびMCP−1)は、前駆細胞の増殖を抑制することが示されているが、一方で
、関連するケモカイン(例えば、GRO−α、NAP−2、MIP−1β、およ
びRANTES)は、抑制性ではない。ケモカインのプロフィールは、前駆細胞
増殖を調整する能力は、それらの同族のケモカインレセプターの活性に関連して
いないことを示す。さらに、モノマー形態のMIP−1αは、天然のタンパク質
の凝集型よりも有意により強力であり(Czaplewski,L.G.ら、J
.Biol.Chem.274:16077−16084(1999)、そして
MPIF−1は、モノマー形態で作用し得る。MPIF−1機能の分子的基礎の
これらの研究は、種々の疾患を有する患者(例えば、化学療法を受けている患者
)にとって、臨床に重要な意味を有する。
【1129】 本発明は、前述の説明および実施例に具体的に記載されるものとは異なるよう
に実施され得ることが明らかである。
【1130】 本発明の多数の改変および変更が、上記の教示に照らして可能であり、そして
それゆえ添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【1131】 本明細書において引用された全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、
本明細書において参考として援用される。米国特許出願第08/941,020
号(1997年9月30日出願)の開示は、その全体が本明細書において参考と
して援用される。
【1132】
【表12】
【1133】
【表13】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、MPIF−1(配列番号1)をコードするcDNA配列および対応す
る推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。最初の21アミノ酸は、推定リーダ
ー配列を表す。すべてのシグナル配列は、バキュロウイルス発現タンパク質のN
末端ペプチド配列決定により決定された。
【図2】 図2は、MPIF−1(上部)(配列番号2)とヒトMIP−1α(下部)(
配列番号36)との間のアミノ酸相同性を示す。すべてのケモカインの4つのシ
ステイン特性を示す。
【図3】 図3は、バキュロウイルス発現系におけるMPIF−1の発現および3工程の
精製後のSDS−PAGEゲルの写真である。
【図4】 図4A〜4B。MPIF−1の化学誘引剤活性は、48ウェルのマイクロチャ
ンバーデバイス(Neuro Probe, Inc.)を用いて走化性アッセ
イで決定した。実験手順は、製造者の手引きに記載される通りであった。試験し
たMPIF−1の各濃度について、5つの高電力場における移動度を試験した。
示される結果は、2つの独立の実験から得られた平均値を表す。THP−I(A
)細胞およびヒトPBMC(B)における化学誘因剤の活性を示す。
【図5】 図5。MPIF−1に応答する細胞内カルシウム濃度の変化を、Hitach
i F−2000蛍光分光測定器を使用して決定した。細菌発現したMPIF−
1を、Indo−1負荷THP−1細胞へ、最終濃度50nMで添加し、そして
カルシウム濃度の細胞内レベルをモニターした。
【図6】 図6。低密度集団のマウス骨髄細胞を、指示されたケモカイン(100ng/
ml)を含むかまたは含まない寒天含有培地に、IL−3(5ng/ml)、S
CF(100ng/ml)、IL−1α(10ng/ml)、およびM−CSF
(5ng/ml)の存在下で、プレートした(1,500細胞/ディッシュ)。
示されるデータは、2つの独立の実験(各二連で実施した)から得られた平均を
表す。プレーティングの14日後にコロニーを計数した。ケモカインの存在下で
生成されたコロニー数を、いずれの添加されたケモカインの非存在下で生成され
る数の平均の割合として表す。
【図7】 図7A〜7Bは、HPP−CFC(A)およびLPP−CFC(B)によるマ
ウス骨髄コロニー形成におけるMPIF−1およびM−CIFの影響を示す。
【図8】 図8は、新鮮に単離された骨髄細胞のM−CFSおよびSCF刺激コロニー
形成に対するバキュロウイルス発現MPIF−1およびM−CIFの影響を示す
【図9】 図9は、骨髄細胞のlin-集団のIL3およびSCF刺激の増殖および分化
に対するMPIF−1およびM−CIFの影響を示す。
【図10】 図10A〜Bは、骨髄細胞の系統枯渇集団由来のGr.1およびMac−1(
表面マーカー)ポジティブ集団の生成に対するMPIF−1およびM−CIFの
影響を示す。lin-細胞を、IL−3(5ng/ml)およびSCF(100
ng/ml)のみ(a)、MIPF−1(50ng/ml)を補充(b)、また
はM−CIF(50ng/ml)を補充(c)した、増殖培地中でインキュベー
トした。次いで、細胞を骨髄腫分化Gr.1、Mac−1、Sca−1、および
CD45R表面抗原に対するモノクローナル抗体で染色し、そしてFACSca
nにより分析した。データを、大きな(図10A)および小さな(図10B)細
胞集団の両方におけるポジティブ細胞の百分率として示される。
【図11】 図11は、MPIF−1タンパク質の存在が、IL3、M−SCF、およびG
M−CSFに応答して骨髄細胞コロニー形成を阻害することを示す。
【図12】 図12。MPIF−1の用量応答は、骨髄細胞コロニー形成を阻害する。細胞
を単離し、そして図13におけるように処置した。処置された細胞を、IL−3
、GM−CSF、またはM−CSF(5ng/ml)の存在下で、MPIF−1
を1、10、50または100ng/mlを伴うか伴わないで、寒天ベースのコ
ロニー形成アッセイにおいて1,000細胞/ディッシュの密度でプレートした
。データを、特異的な因子のみで形成されるコロニー数の百分率としてのコロニ
ー形成として示す。データを、標準偏差を示すエラーバーとともに二連のディッ
シュの平均として示す。
【図13】 図13。ヒト単球におけるMPIF−1をコードするRNAの発現。新鮮な洗
浄単球由来の総RNAを単離し、そして100U/mlのhu rIFN−g、
100ng/ml LPSまたは両方で処理した。各処理からのRNA(8μg
)を1.2%アガロースゲル上で電気泳動により分離し、そしてナイロンメンブ
レンに移した。MPIF−1 mRNAを32P−標識cDNAでプローブするこ
とにより定量し、そして得られたオートラジオグラフのバンドを濃度測定的に定
量した。
【図14】 図14。図14は、MPIF−1アミノ酸配列(配列番号2)の分析を示す。
α、β、ターン、およびコイル領域;親水性および疎水性;両親媒性領域;可撓
性領域;抗原性指標および表面確率を示す。「抗原性指標−Jameson−W
olf」グラフにおいて、図1(配列番号2)におけるアミノ酸残基21〜30
、31〜44、49〜55、59〜67、72〜83、86〜103、および1
10〜120、または、図1(配列番号2)においてそこにおける任意の範囲も
しくは数値は、MPIF−1タンパク質の示された高度に抗原性の領域に対応す
る。
【図15A】 図15A〜B。図15Aは、MPIF−1の5−Fu誘発性のLPP−CFC
細胞の殺傷への骨髄保護性効果を示す。図15Bは、MPIF−1のAra−C
誘発性のLPP−CFC細胞の殺傷への骨髄保護性効果を示す。
【図15B】 図15A〜B。図15Aは、MPIF−1の5−Fu誘発性のLPP−CFC
細胞の殺傷への骨髄保護性効果を示す。図15Bは、MPIF−1のAra−C
誘発性のLPP−CFC細胞の殺傷への骨髄保護性効果を示す。
【図16】 図16は、5−Fu−誘発性の循環WBC数の減少のマウスのMPIF−1前
処理の影響を示す。
【図17】 図17は、3群のマウス(1群あたり6匹)を含む実験設計を示す。これらの
マウスは、以下のように処置した。群1(1、2、および3日目に生理食塩水を
注射した);群2(0日目および3日目に5−Fuを注射した);および群3(
0日目および3日目に5−Fuを注射し、そしてMPIF−1を1、2、および
3日目に注射した)。骨髄を、6日目および9日目に採集してクローン原性アッ
セイを用いてHPP−CFCおよびLPP−CFC頻度を決定した。
【図18】 図18は、第2の用量の5−Fuの前のMPIF−1の投与の、骨髄における
HPP−CFCおよびLPP−CFC頻度における効果を示す。
【図19】 図19は、MPIF−1改変体を示す。MPIF−1の120アミノ酸配列の
最初の80アミノ酸配列(図1(配列番号2))を、一文字アミノ酸コードで示
す。ここで最初の21残基は、切断されて成熟型野生型タンパク質を生じるシグ
ナル配列の特徴を示す。変異体−1および変異体−6は、野生型には存在しない
N末端のメチオニンを含む。あるいは、変異体−9の最初の4アミノ酸(HAA
G)は、野生型MPIF−1タンパク質には存在しない。変異体−1、−6、お
よび−9は、それぞれ配列番号3、4、および5に対応する。変異体−2は、配
列番号2におけるアミノ酸残基46〜120に対応する。変異体−3は、配列番
号2におけるアミノ酸残基45〜120に対応する。変異体−4は、配列番号2
におけるアミノ酸配列48〜120に対応する。変異体−5は、配列番号2のア
ミノ酸残基49〜120に対応する。変異体−7は、配列番号2のアミノ酸残基
39〜120に対応する。変異体−8は、配列番号2のアミノ酸残基44〜12
0に対応する。
【図20】 図20A〜B。図20Aは、ヒトMPIF−1スプライシング改変体cDNA
のヌクレオチド配列を示す(配列番号6)。このcDNA配列を、一文字アミノ
酸コードを用いて137アミノ酸のタンパク質(配列番号7)をコードするオー
プンリーディングフレームとともに示す。下線を示したN末端21アミノ酸は、
推定リーダー配列を示す。MPIF−1配列には表されないがスプライス改変体
に独特な18アミノ酸配列の挿入は、イタリック体で強調される。図20Bは、
MPIF−1改変体(配列番号7)と野生型MPIF−1分子(配列番号2)と
のアミノ酸配列の比較を示す。
【図21】 図21は、ヒト単球におけるMPI−1αによって誘導される最大のカルシウ
ム動員応答の50%に要求されるMPIF−1変異体タンパク質の濃度を示す。
【図22】 図22A〜22B。細胞内遊離カルシウム濃度における変化を、図21の凡例
に記載されるように、100ng/mlでの示されたタンパク質に対して応答す
るヒト単球において測定した。
【図23】 図23は、ヒト単球におけるMIP−1α刺激カルシウム動員を脱感作するM
PIF−1変異体の能力を示す(要約)。
【図24】 図24は、MPIF−1変異体に対するヒト末梢血単核細胞(PBMC)の走
化性応答を示す。括弧内の数字は、示された濃度範囲で観察されたバックグラウ
ンドを超える走化性の刺激の倍数を反映する。
【図25】 図25は、インビトロでの低増殖能力コロニー形成細胞(LPP−CFC)の
増殖および分化におけるMPIF−1改変体の影響を示す。
【図26】 図26は、MPIF−1の投与に対する応答での正常マウスの幹細胞動員を示
す。
【図27】 図27は、FACS Vantage方法によって決定されるとおり、2サイ
クルの5−Fu処置の後の血小板の回復に対するMPIF−1とG−CSFとの
効果の比較を示す。
【図28】 図28は、2サイクルの5−Fu処置の後の血液中のGra.1およびMac
I二重陽性細胞の回復に対するMPIF−1とG−CSFとの効果の比較を示す
【図29】 図29は、FACS Vantage方法によって決定されるとおり、2サイ
クルの5−Fu処置の後の骨髄中のGra.1およびMacI二重陽性細胞の回
復に対するMPIF−1とG−CSFとの効果の比較を示す。
【図30】 図30は、2サイクルの5−Fu処置の後の骨髄中の造血前駆体の回復に対す
るMPIF−1とG−CSFとの効果の比較を示す。
【図31】 図31は、pHE4−5発現ベクター(配列番号37)およびサブクローン化
したMPIF−1Δ23 cDNAコード配列の模式図を示す。カナマイシン耐
性マーカー遺伝子、MPIF−1Δ23コード配列、oriC配列、およびla
cIqコード配列の位置を示す。
【図32】 図32は、MPIF−1Δ23の産生のための発酵プロセスの概観を示す。
【図33】 図33は、図32似示されるプロセスによって産生されるMPIF−1Δ23
を回収するために使用される方法の流れ図を示す。
【図34】 図34は、図32および33に示されるプロセスによって産生されそして回収
されるMPIF−1Δ23の精製のためのプロセスを示す。
【図35】 図35は、pHEプロモーター(配列番号38)の調節エレメントのヌクレオ
チド配列を示す。2つのlacオペレーター配列、Shine−Delgarn
o配列(S/D)、および末端のHindIIIおよびNdeI制限部位(イタ
リック体)を示す。
【図36A】 図36A〜36Eは、pHEベクター(配列番号37)の完全ヌクレオチド配
列を示す。
【図36B】 図36A〜36Eは、pHEベクター(配列番号37)の完全ヌクレオチド配
列を示す。
【図36C】 図36A〜36Eは、pHEベクター(配列番号37)の完全ヌクレオチド配
列を示す。
【図36D】 図36A〜36Eは、pHEベクター(配列番号37)の完全ヌクレオチド配
列を示す。
【図36E】 図36A〜36Eは、pHEベクター(配列番号37)の完全ヌクレオチド配
列を示す。
【図37】 図37は、短期間のモニタリングの間の、照射誘導性損傷からの胃腸管のMP
IF−1保護を示す。C57B1/6雌性マウスを、致死量以下の照射(137
s源から2×4.5gy(4時間間隔))を与える前後で処置した。マウスを、
示された日に、生存、状態および体重についてモニターした。データは、実験の
開始時の体重のパーセンテージとして、示された日の各々個々のマウスの体重に
基づく各グループについての体重の変化(%)を示す。
【図38】 図38は、長期間のモニタリングの間の、照射誘導性損傷からの胃腸管のMP
IF−1保護を示す。C57B1/6雌性マウスを、致死量以下の照射(137
s源から2×4.5gy(4時間間隔))を与える前後で処置した。マウスを、
示された日に、生存、状態および体重についてモニターした。データは、実験の
開始時の体重のパーセンテージとして、示された日の各々個々のマウスの体重に
基づく各グループについての体重の変化(%)を示す。曲線は、2つのセグメン
トで表される。左のセグメントは、最初の18日間の変化を表し、そして右のセ
グメントは、終了日での全てのグループにおける体重を表す。
【図39】 図39は、短期間のモニタリングの間の、照射誘導性損傷からの胃腸管のMP
IF−1保護を示す。C57B1/6雌性マウスを、致死量以下の照射(137
s源から2×5.5gy(4時間間隔))を与える前後で処置した。マウスを、
示された日に、生存、状態および体重についてモニターした。データは、実験の
開始時の体重のパーセンテージとして、示された日の各々個々のマウスの体重に
基づく各グループについての体重の変化(%)を示す。
【図40】 図40は、長期間のモニタリングの間の、照射誘導性損傷からの胃腸管のMP
IF−1保護を示す。C57B1/6雌性マウスを、致死量以下の照射(137
s源から2×5.5gy(4時間間隔))を与える前後で処置した。マウスを、
示された日に、生存、状態および体重についてモニターした。データは、実験の
開始時の体重のパーセンテージとして、示された日の各々個々のマウスの体重に
基づく各グループについての体重の変化(%)を示す。
【図41】 図41は、マウスにおける致死照射に対する保護のインビボモデルについての
、処置スケジュールの模式図を示す。
【図42】 図42は、MPIF−1が、致死量照射したマウスにおける生存を増強するこ
とを示す。統計学的分析を、logランクノンパラメトリック(log−ran
k nonparametric)を使用して行い、そしてデータを、Kapl
an−Meier生存曲線として表す。この実験は、照射後54日目に終了した
【図43】 図43は、マウスにおける致死量以下の照射に対する保護のインビボモデルに
ついての、処置スケジュールの模式図を示す。
【図44】 図44は、MPIFが、致死量以下で照射したマウスにおいて、系統が決定付
けられた骨髄前駆細胞の回復を増強することを示す。
【図45】 図45は、MPIFが、致死量以下で照射したマウスにおいて、多能性骨髄前
駆細胞の回復を増強することを示す。
【図46】 図46は、インビトロにおけるヒトCD34+前駆細胞の増殖に対する、MP
IFの効果を示す。
【図47】 図47は、インビトロでの細胞傷害性薬剤誘導性の殺傷に対する、MPIFの
効果を示す。
【図48】 図48は、MPIFに対するインビボ研究の概要を示す。
【図49】 図49A〜Bは、インビボでの、骨髄前駆細胞における5−FU誘導性毒性に
対する、MPIFでの前処置の効果を示す。(A)総コロニー形成に対するMP
IFの効果。(B)WBCの回復に対するMPIFの効果。これらの結果は、8
回の実験の平均である。
【図50】 図50は、複数回サイクルの治療に対する、MPIFの化学保護効果を示す。
【図51】 図51は、5−FUでの処置後の骨髄回復の動態に対する、このMPIF投薬
スケジュールの効果を示す。
【図52】 図52は、複数回用量の毒性研究の概要を示す。
【図53】 図53は、非臨床的毒性学的研究についての観察の概要を示す。
【図54】 図54A〜54Bは、静脈内投薬後または皮下投薬後のMPIFの薬物動態学
の比較(pf)を示す。(A)0〜24時間の薬物動態学プロフィール。(B)
〜4時間のプロフィール。MPIF用量は、20mg/kgであった。
【図55】 図55は、ヒト被験体における末梢血細胞組成の評価を示す。
【図56】 図56は、処置グループによる、健常なヒトボランティアにおける平均絶対単
球数の評価を示す。
【図57】 図57は、健常なボランティアにおけるMPIF濃度(ng/ml)を示す。
【図58】 図58A〜58Eは、MPIF−1の構造を示す。(A)および(B)MPI
F−1、残基1〜77の平均構造についての、30個のシミュレートしたアニー
リング(SA)構造の重ね合わせ。(C)AおよびBと同じであるが、ただし、
N末端(1〜10)およびC末端(67〜77)残基は、明確化のために排除し
た。(D)および(E)プログラムMOLNOL(Koradi,R.,ら、J
.Mol.Graph.14:29−42(1996))を使用して作成した、
パネルCにおいて示されるのと同じ向きにあるMPIF−1の略図。
【図59】 図59A〜59Fは、骨格原子(A)および全ての重原子(B)についての、
残基11〜66に対して最適に適合した、平均構造についてのそれらの30個の
シミュレートしたアニーリング構造の原子rms分布を示す。φ(C)、ψ(D
)およびχ1(E)についての平均秩序パラメーター、ならびに機能的溶媒接触
可能領域(F)もまた示す。
【図60】 図60A〜図60Gは、残基の関数としてのMPIF−1の15N動力学データ
を示す。15NのT1、T2、T1/T2比、およびNOEを、それぞれ、パネルA、
B、CおよびDに示す。15NのT1、T2、NOEデータの適合から計算した動力
学パラメーターを、残りのパネルにおいて示す:秩序パラメーター、S2(E)
;内部相関時間、Te(F);およびコンフォメーション変換速度(G)。
【図61】 図61A〜図61Dは、MPIF−1と他のCCケモカイン構造(MIP−1
β、HCC−2、RANTESおよびMCP−1)の比較を示す。MPIF−1
の残基11〜66を、MIP−1βの残基11〜66、HCC2の残基6〜61
、RANTESの残基10〜65およびMCP−3の残基11〜67に対して重
ね合わせる。明確化のために、N末端残基およびC末端残基を提示しない。
【図62】 図62は、MPIF−1および他の関連するCCケモカインのアミノ酸配列の
アライメントを示す。保存されたシステインを、太字で示す。保存された疎水性
残基および保存された荷電残基は、実施例36で説明される。
【図63】 図63A〜63Dは、プログラムMOLMOL(Koradi,R.ら、J.
Mol.Graph.14:29−42(1996))を使用する、MPIF−
1の表面電荷分布を示す。正および負に荷電した領域を、それぞれ、青および赤
で示す。明確化のために、残基1〜10および69〜77は、示さない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/02 A61P 39/00 39/00 43/00 105 43/00 105 121 121 A61K 37/02 // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (31)優先権主張番号 60/172,063 (32)優先日 平成11年12月23日(1999.12.23) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/189,048 (32)優先日 平成12年3月14日(2000.3.14) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/199,142 (32)優先日 平成12年4月24日(2000.4.24) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/211,458 (32)優先日 平成12年6月13日(2000.6.13) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/212,658 (32)優先日 平成12年6月19日(2000.6.19) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 グルゼゴルゼフスキー, クルジストフ ジェイ. アメリカ合衆国 メリーランド 20879, モンゴメリー ビレッジ, ホブ ヒル ウェイ 20040 (72)発明者 ローゼン, クレイグ エイ. アメリカ合衆国 メリーランド 20882, レイトンズビル, ローリング ヒル ロード 22400 (72)発明者 パテル, ヴィクラム アメリカ合衆国 メリーランド 20876, ジャーマンタウン, セプター リッジ テラス 11117 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 CA04 DA02 DA06 EA04 FA02 GA11 HA01 4C084 AA01 AA12 AA14 AA16 DA01 DC50 NA06 NA14 ZA51 ZB07 ZB11 ZB21 ZB26 ZB27 ZC37 ZC75

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞に対する細胞傷害性薬剤誘導性損傷を処置または予防す
    る方法であって、配列番号2のポリペプチド、またはその活性な改変体もしくは
    フラグメントの有効量を個体に投与する工程、 を包含し、ここで該細胞は以下: (a)骨髄幹細胞、造血細胞、および多能性前駆細胞以外の、結合組織の細胞
    ; (b)上皮細胞; (c)筋細胞;および (d)神経系の細胞、 からなる群より選択される、方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、ここで結合組織の前記細胞
    が、以下:骨格系細胞、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、骨
    膜細胞、骨内膜細胞、象牙芽細胞、血球、赤血球、白血球、好酸球、好塩基球、
    好中球、リンパ球、単球、血小板、組織マクロファージ、器官特異的食細胞、B
    リンパ球、Tリンパ球、巨大赤芽球、単芽球、骨髄芽球、リンパ芽球、前赤芽球
    、巨核芽球、前単球、前骨髄球、前リンパ球、初期正赤芽球、巨核球、中期正赤
    芽球、後骨髄球、および後期後骨髄球、からなる群より選択される、方法。
  3. 【請求項3】 前記個体が、分裂している細胞を殺傷する治療を受けている
    、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記治療が、化学療法、放射線療法、または標的化学療法か
    ら選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記個体が、細胞傷害性薬剤に対する職業的または偶発的な
    曝露を受けている、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記ポリペプチドが、前記治療の前に投与される、請求項4
    に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記ポリペプチドが、前記治療の間に投与される、請求項4
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記ポリペプチドが、前記治療の後に投与される、請求項4
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記ポリペプチドが、前記曝露の前に投与される、請求項5
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記ポリペプチドが、前記曝露の間に投与される、請求項
    5に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記ポリペプチドが、前記曝露の後に投与される、請求項
    5に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記治療が、標的化学療法である、請求項4に記載の方法
  13. 【請求項13】 前記標的化学療法が、放射免疫療法である、請求項12に
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記個体が、細胞傷害性薬剤に対する意図的な曝露を受け
    ている、請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記細胞傷害性薬剤が、放射線である、請求項14に記載
    の方法。
  16. 【請求項16】前記ポリペプチドが、前記曝露の前に投与される、請求項1
    5に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記ポリペプチドが、前記曝露の間に投与される、請求項
    15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記ポリペプチドが、前記曝露の後に投与される、請求項
    15に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記放射線が、核爆発に起因する、請求項15に記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 前記個体が、放射線傷害もしくは放射線熱傷から防御する
    必要を有するか、または放射線傷害もしくは放射線熱傷を処置する必要を有する
    、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 白血病細胞の増殖を阻害する方法であって、配列番号2の
    ポリペプチド、またはその活性な改変体もしくはフラグメントの有効量を投与す
    る工程、を包含し、ここで該ポリペプチド、改変体またはフラグメントは、治療
    用部分に結合体化されている、方法。
  22. 【請求項22】 前記治療用部分が放射性同位体である、請求項21に記載
    の方法。
JP2001529738A 1999-10-14 2000-10-13 ヒト骨髄前駆細胞阻害性因子−1(mpif−1)を用いる、細胞、組織および器官の損傷を処置または予防する方法 Withdrawn JP2003516934A (ja)

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