JP2003515338A - 補体結合酵素、masp−3、及びその使用 - Google Patents

補体結合酵素、masp−3、及びその使用

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クリスチャン イェンセニウス,イェンス
ティール,ステフェン
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ティール,ステフェン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、MBレクチン補体結合経路で作用する新しいセリンプロテアーゼであるマンナン結合レクチン関連セリンプロテアーゼ−3(MASP−3)の発見と特性決定に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の属する技術分野 本発明は、一般に先天性免疫防御とマンナン結合レクチン(MBL)(マンナ
ン結合タンパク質又はマンノース結合タンパク質(MBP)とも呼ばれる)が関
与する補体結合経路の分野に属する。 発明の背景 補体系は、先天性免疫ならびに適応免疫防御の機能に重要な一連の複雑な酵素
及び非酵素タンパク質を含む1。最近までは、二つの活性化モードが知られてい
た、すなわち、抗原抗体複合体によって開始される古典的経路と微生物表面のあ
る構造によって開始される代替経路である。補体活性化の第三の、新しい、抗体
と無関係な経路が報告されている2。この経路は、マンナン結合レクチン(MB
L、最初はマンナン結合タンパク質、MBP、と記述されたもの3、Ezekowitz、
米国特許第5,270,199号参照)が糖質と結合することによって開始され
る。
【0002】 MBLは、補体の成分C1の副成分C1qと構造的に関連しており、MBLは
MASP4又はp1005と呼ばれる、古典的経路におけるC1r及びC1s副成
分に類似する関連セリンプロテアーゼを介して補体系を活性化する。新しい補体
活性化経路はMBレクチン経路と呼ばれる。この経路について想定されたメカニ
ズムによると、MBLは、バクテリア、酵母、寄生原生動物、及びウイルスなど
の一連の微生物の表面に見られる特異的な糖質構造に結合し6,その抗菌作用は
、末端の溶菌的補体経路成分の活性化7又は食菌作用の増進8から生ずる。
【0003】 報告によると、血漿中のMBLのレベルは遺伝的に決定されている可能性があ
9, 10,11。MBL欠乏は、小児12,13及び多分、成人13,14、におけるいろいろ
な微生物による感染の頻繁な発生と結びつけられている。最近の情報は、MBL
欠乏をHIV感染及びAIDS発病後の急速な死亡と結び付けている15,16。M
BLは、関節リューマチ患者に高濃度で見られるIgGのガラクトシル形態(G
O)と結合した後、補体を活性化する17。MBL欠乏は、また、再発性自然流産
の個体素因18、及び全身性エリテマトーデスの発病19と結び付けられている。
【0004】 最初の再形成試行では、再発する感染に苦しむ幼いMBL欠乏の少女は精製さ
れたMBLの注射によって治ったように見えた20。MBLについての最近の概説
としては、参照文献6を見よ。
【0005】 MBL欠乏に関連したMBL突然変異の頻度が比較的高いことが調査された全
ての集団で報告されている。この観測から、MBLはいくつかの場合に、MBL
を利用して標的組織にアクセスしようとするある種の細胞内感染因子に対する個
体の感受性を高めるという仮説に導かれる21。MBLは非常に強力な補体系の活
性因子であるから、微生物の糖質又はエンドトキシンによる不適切な活性化は有
害な炎症応答につながる可能性がある10。したがって、ある集団の全体としての
生存には、個体のMBL濃度の範囲が広いことが有利になるかもしれない。
【0006】 MASP−1(MBL関連セリンプロテアーゼ1)は、補体経路のC1rとC
1sに類似した構造のセリンプロテアーゼであるが、トリプシン及びトリプシン
様セリンプロテアーゼに見られるタイプのヒスチジン・ループ構造を有する。M
ASP−1は、MBLによる補体活性化に関与していることが見出されている。
MASP−1をコードするcDNAクローンであって、リーダーペプチドと推定
される19のアミノ酸の後に続く成熟ペプチドを形成すると予想される680の
アミノ酸をコードするものが報告されている。
【0007】 MASP−2(MBL関連セリンプロテアーゼ2)22は、補体経路のC1rと
C1sに類似した構造のセリンプロテアーゼである。これらと同様に、そしてM
ASP−1と異なり、MASP−2はトリプシン及びトリプシン様セリンプロテ
アーゼに見られるタイプのヒスチジン・ループ構造を含まない。MASP−2は
、MBLによる補体活性化に関与することが見出されている。 発明の要約 本発明は、レクチンに関連したセリンプロテアーゼ(MASP−3)の単離と
特性決定に関する。MASP−3は前述のMASPs(MASP−1とMASP
−2)及びC1qに関連した二つのセリンプロテアーゼ、C1rとC1s、とあ
る程度の相同性を有する。
【0008】 我々は、MASP−3を精製し、レクチンとの関連、分子サイズ、及び部分ア
ミノ酸配列に関して、その特性を明らかにした。我々は、cDNA断片をクロー
ニングしてその塩基配列を決定した。これは、配列が決定されているいくつかの
ペプチドを含むアミノ酸配列に翻訳される。MASP−1及びMASP−2と同
様に、MASP−3も部分的にMBLと同時精製され、MBL複合体の生物学的
効果を媒介することに関与していると思われる。
【0009】 したがって、本発明のある様態は、実質的に純粋なMASP−3ポリペプチド
及びそのようなポリペプチドをコードする核酸を特徴とする。好ましくは、この
MASP−3ポリペプチドは一つ以上のMASP−3機能を、例えばマンナン結
合レクチン(MBL)と結合できる、又は/及びセリンプロテアーゼ作用を有す
る、などの機能を保持し、実質的に純粋なマンナン結合レクチンに関連したセリ
ンプロテアーゼ−3(MASP−3)ポリペプチドであり、好ましくはマンナン
結合レクチン(MBL)と結合できるポリペプチドである。
【0010】 本発明の別の様態は、抗MASP−3抗体の産生とMASP−3の分析の構成
のためのその抗体の利用、及びこのタンパク質、例えば抗体を産生させる目的で
特許請求の範囲の請求項1に従って動物に、MASP−3ポリペプチド、又はM
ASP−3ポリペプチドの一部、又はそのようなポリペプチドをコードするDN
A、を投与することによって産生された抗体、などのタンパク質の過剰又は過小
発現に関連した臨床的な症候を決定するためのそのような分析の利用、である。
【0011】 本発明によるMASP−3ポリペプチドのいくつかは、例えば結合分析に用い
られるものは、ラベルと接合させて分析でその存在を検出及び/又は定量化する
ことができる。適当なラベルとしては、信号(例えば、可視の吸収)を発生する
酵素、蛍光体、放射性核種、などがある。他のMASP−3ポリペプチドには、
MASP−3作用の一つを競合的に阻害することができ、MASP−3の機能を
評価するのに利用できるものもある。他のMASP−3ポリペプチドには、以下
で述べるような抗体を産生するために利用できる抗原やハプテンもある。あるM
ASP−3作用を競合的に阻害する化合物も含まれる。好ましくは、そのような
化合物はMASP−3又はMASP−3の断片のセリンプロテアーゼ活性を阻害
することによって作用するものである。そのような化合物としては、MBL−M
ASP−3の複合体の機能にとって重要なMBL−MASP−3相互作用を競合
的に阻害するMBL又はMASP−3の断片も含まれる。
【0012】 本発明のこの様態に係わる具体的なポリペプチドとしては次のようなものがあ
げられる:a)分子量が48Kで配列番号3と同定される配列(IIGGRNA
EPGLFPWQALIVV)を含む又はそれから成るポリペプチド;b)分子
量が約110Kで配列番号3と同定される配列を含む又はそれから成るポリペプ
チド;c)配列番号4と同定される配列(WQALIVEDTSRVPNDKW
FGSGALLSASWILTAAHVLRSQRRDTTVIPVSKEHV
TVYL)を包含するポリペプチド;d)機能的に同等なものを含め配列番号2
から成るポリペプチド;e)機能的に同等なものを含め配列番号2の残基435
(Glu)から728(Arg)までに対応するMASP−3のB−鎖から成る
ポリペプチド。
【0013】 本発明の別の様態は、配列番号1;配列番号1のコーディング部分、すなわち
、ヌクレオチドno.91(a)から始まりヌクレオチドno.2277(a)
で終わる配列部分、及び配列番号5、のいずれかの配列と少なくとも85%同一
な、例えば少なくとも90%同一な、そして例えば少なくとも95%同一な配列
を包含するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列から成る単離された核酸
分子を含む。
【0014】 すなわち、本発明は、本発明に係わるポリペプチドをコードする単離された核
酸分子に関し、この分子は配列番号1,2,3,又は5の配列と少なくとも50
%同一な配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0015】 本発明はまた、上記MASP−3ポリペプチドをコードする単離された核酸配
列を特徴とする。このような核酸配列は核酸ベクター(例えば、発現システムに
おける組み換え核酸の発現を可能にする調節核酸エレメントをもつものを含む発
現ベクター)に含まれていてもよい。
【0016】 本発明はまた、110kDaのMASP−3タンパク質全体をコードする単離
された核酸配列を特徴とする。このような核酸配列は核酸ベクター(例えば、発
現システムにおける組み換え核酸の発現を可能にする調節核酸エレメントをもつ
ものを含む発現ベクター)に含まれていてもよい。
【0017】 本発明はまた、MASP−3と選択的に結合する抗体を特徴とする。このよう
な抗体はポリクローナル及びモノクローナル抗体法を含む周知の方法のいずれか
によって作ることができる。抗体は、例えばMASP−3を検出する分析に利用
できるように、検出可能なマーカーを含む化合物に結合させてもよい。
【0018】 このポリペプチド又は抗体は、製薬組成物に調合して以下で述べるような治療
薬として投与することができる。
【0019】 本発明はまた、MASP−3を検出する方法を特徴とする。この方法は、生物
学的サンプルを得るステップと、その生物学的サンプルにMASP−3ポリペプ
チド特異的結合パートナーを接触させるステップと、その生物学的サンプルにM
ASP−3が存在する証左として結合した複合体を、もしあれば、検出するステ
ップとを含む。分析で用いられる結合パートナーは抗体であってもよく、又はM
ASP−3の分析は補体結合活性をテストしてもよい。MASP−3に関するこ
れらの分析はまた、生物学的サンプルにおけるMASP−3又はMASP−3活
性の定量的分析に用いることができる。結合パートナーの一つは、MBLに特異
的であって、MBL/MASP−3複合体の検出を可能にするものであってもよ
い。
【0020】 MASP−3核酸発現を検出する方法も本発明に含まれる。これらの方法は、
ストリンジェントな条件の下でMASP−3の全部又は断片をコードする核酸配
列と特異的にハイブリダイズする核酸プローブとサンプルを混合させることによ
ってMASP−3ポリペプチドをコードする配列を有するRNAを検出すること
を含む。
【0021】 本発明はまた、MASP−3又はMASP−3活性が欠乏している患者を治療
する方法を特徴とする。これは、患者にMASP−3ポリペプチド又はMASP
−3をコードする核酸を投与することによって遂行される。MASP−3活性を
阻害することが望ましいこともあるので、本発明は、MASP−3の発現又は活
性を阻害する化合物を患者に投与することによってMASP−3の活性を阻害す
る方法を含む。MASP−3活性の阻害は、MASP−3アンチセンス核酸配列
を投与することによっても達成できる。
【0022】 本発明は、MASP−3をコードする核酸の多形性の分析を特徴とする。サン
プル中のMASP−3をコードする核酸の存在を検出する方法について特許が請
求されている。一例として、この方法は、サンプルをストリンジェントな条件の
下でMASP−3をコードする核酸と複合体を形成できる少なくとも一つの核酸
プローブと混合するステップと、プローブがサンプル核酸と結合したかどうかを
決定するステップを含む。したがって、本発明は、ストリンジェントな条件の下
でMASP−3をコードする核酸と複合体を形成できる核酸プローブを含む。
【0023】 本発明は、MASP−3又はその前駆物質を含むポリペプチド配列又はMAS
P−3調節配列の多形性の分析を特徴とする。
【0024】 MASP−3分析は、感染、炎症疾患、及び再発性自然流産、などいろいろな
疾病に苦しむ患者におけるMASP−3レベル及びMASP−3活性を決定する
のに役立つ。MASP−3は、MASP−3の機能が最適に達していない場合に
感染の治療に有効であり、MASP−3の阻害は、MASP−3の活性によって
生ずる炎症や有害な作用の調節に有効である。
【0025】 さらに、本発明は、製薬組成物の調製のための、ここで定められるポリペプチ
ドの利用に関する。
【0026】 “レクチン関連セリンプロテアーゼ110”又は“MASP−3”とは、“レ
クチン関連セリンプロテアーゼ110”と呼ばれるポリペプチド又は活性、又は
配列番号2と実質的に同一な配列を有する他の何らかのポリペプチド、を意味す
る。
【0027】 本明細書で用いられる用語“タンパク質”及び“ポリペプチド”は、アミノ酸
の何らかの鎖を表すのに、長さや翻訳後の修飾(例えば、グリコシル化、又はリ
ン酸化)に関わりなく、用いられる。したがって、“MASP−3ポリペプチド
”という用語は、全長の天然に見られるMASP−3タンパク質、ならびに全長
の天然に見られるMASP−3ポリペプチドに又は天然に見られるタンパク質の
特定の領域又は部分に対応する組み換え又は合成で製造されるポリペプチドを含
む。この用語はまた、アミノ末端メチオニン(これは原核細胞における発現に有
用である)が付加された成熟MASP−3を包含する。
【0028】 本明細書で用いられる“精製された”という用語は、組み換えDNA法で生成
される場合は細胞物質、ウイルス物質、又は培地を含まない、又は化学的に合成
される場合は前駆化学物質やその他の化学物質を含まない核酸又はポリペプチド
を意味する。
【0029】 “単離された核酸分子”とは、ある生物の天然に見られるゲノムの配列から何
らかの仕方で分離される核酸分子を意味する。すなわち、“単離された核酸分子
”という用語は天然に見られない核酸分子、例えば組み換えDNA法によって作
り出される核酸分子、を含む。
【0030】 “核酸分子”という用語は、RNAとDNAの両方を包含し、cDNA、ゲノ
ムDNA、及び合成(例えば、化学的に合成された)DNA、を含む。一本鎖の
場合、核酸はセンス鎖であるか又はアンチセンス鎖である。
【0031】 “MBL/MASP複合体”という用語は、MBL/MASP−1複合体、M
BL/MASP−2複合体、MBL/MASP−3複合体、を包含し、これらの
複合体はオプションとしてさらに別の物質を含む。例えば“MBL/MASP−
2複合体”はまた、他の物質を含むことがある。
【0032】 本発明はまた、MASP−3ポリペプチドをコードする核酸分子(例えば、配
列番号3をコードする配列を有する核酸分子、例えば図5に示されるcDNA配
列、配列番号5(tggcaggccc tgatagtggt ggagga
cact tcgagagtgc caaatgacaagtggtttggg
agtggggccc tgctctctgc gtcctggatc ct
cacagcag ctcatgtgctgcgctcccag cgtaga
gaca ccacggtgat accagtctcc aaggagcat
g tcaccgtctacctg))又は完全なMASP−3配列をコードす
る全cDNAの他の部分、に、好ましくはストリンジェントな条件の下で、ハイ
ブリダイズする核酸分子を包含する。さらに、本発明は、あるクローンに含まれ
るMASP−3をコードするcDNAの配列を有する核酸分子に、好ましくはス
トリンジェントな条件の下で、ハイブリダイズする核酸分子を包含する。好まし
くは、ハイブリダイズする核酸分子は400のヌクレオチド、さらに好ましくは
200のヌクレオチド、から成る。好ましいハイブリダイズする核酸分子は、M
ASP−3が有する活性をコードしている、例えば、MBL(又は別のMASP
−3リガンド)と結合する、又はセリンプロテアーゼとして作用することができ
る、などの活性をコードしている。
【0033】 本発明はまた、実質的に純粋な又は単離されたMASP−3ポリペプチドを、
好ましくはMASP−3のいろいろな機能領域又はその断片に対応するものを、
特徴とする。本発明のポリペプチドは、図5に示されているアミノ酸配列と実質
的に同一な、又はMASP−3タンパク質全体のアミノ酸配列と実質的に同一な
アミノ酸配列を包含する。
【0034】 本発明のポリペプチドはまた、化学的に合成したり、組み換えテクノロジーに
よって合成したり、あるいは天然に発現される組織から標準的な生化学的精製方
法によって精製することができる。
【0035】 本発明には、また、MASP−3の生物学的機能の一つ以上を有する“機能的
ポリペプチド”も含まれる。これらの機能又は活性は、明細書に詳しく記述され
る。機能的ポリペプチドは、また、MASP−3又はその断片(特に、決定因子
を含む断片)に特異的に結合する抗体の生成のための抗原として役立つ場合、本
発明の範囲内にあると考えられる。
【0036】 機能的ポリペプチドは、本明細書に開示されているものから変更された一次ア
ミノ酸配列を含んでもよい。これらの変更は本明細書において記述されるような
保存的な(conservative)アミノ酸置換から成るものであることが好ましい。ポ
リペプチドは、その異化を促進又は遅らせるように(その半減期を増加させるよ
うに)設計される任意の仕方で置換できる。
【0037】 本明細書で用いられる場合、保存的なアミノ酸置換とは(ある所定のアミノ酸
グループ内の)あるアミノ酸を、同様な又は実質的に同様な特性を示す(同じグ
ループ内の)別のアミノ酸の代わりに用いることを指す。
【0038】 本明細書で用いられる“保存的なアミノ酸置換”という用語が意味する範囲内
で、下記を有することで特徴付けられるグループの内部で一つのアミノ酸を別の
アミノ酸の代わりに用いることができる、すなわち、 i)極性側鎖(Asp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、
Ser、Thr、Tyr、及びCys、) ii)非極性側鎖(Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tr
p、Pro、及びMet) iii)脂肪族側鎖(Gly、Ala、Val、Leu、Ile) iv)環状側鎖(Phe、Tyr、Trp、His、Pro) v)芳香族側鎖(Phe、Tyr、Trp) vi)酸性側鎖(Asp、Glu) vii)塩基性側鎖(Lys、Arg、His) viii)アミド側鎖(Asn、Gln) ix)ヒドロキシ側鎖(Ser、Thr) x)イオウを含む側鎖(Cys、Met)、及び xi)アミノ酸がモノアミノ−ジカルボン酸、又はモノアミノ−モノカルボキ
シル−モノアミドカルボン酸であるもの(Asp、Glu、Asn、Gln)。
【0039】 アミノ酸配列が一つのアミノ酸を別のアミノ酸に代用する置換を含む場合、そ
の置換は上で定められたような保存的なアミノ酸置換であってよい。本発明によ
るMASP−3の断片はそのような置換を二つ以上含んでもよい、例えば二つの
保存的なアミノ酸置換、例えば三つ又は四つの保存的なアミノ酸置換、例えば五
つ又は六つの保存的なアミノ酸置換、例えば七つ又は八つの保存的なアミノ酸置
換、例えば10乃至15の保存的なアミノ酸置換、例えば15乃至25の保存的
なアミノ酸置換、を含むことができる。置換は、上に列挙したような所定のアミ
ノ酸の一つ以上のグループの内部で行うことができる。
【0040】 アミノ酸の付加又は削除は、2乃至好ましくは10個のアミノ酸の、例えば2
乃至8個のアミノ酸の、例えば2乃至6個のアミノ酸の、例えば2乃至4個のア
ミノ酸の付加又は削除である。しかし、10個を超えるアミノ酸の付加、例えば
10乃至200個のアミノ酸の付加、も本発明の範囲に含まれる。
【0041】 したがって、本発明はまた、MASP−3の少なくとも一つの断片を含む、そ
のような少なくとも一つの断片の変異体及び機能的等価物も含めた免疫原性組成
物に関するということは理解されよう。
【0042】 本発明に係わるMASP−3の断片は、その変異体及び機能的等価物も含めて
、ある実施の形態では100個未満のアミノ酸残基を、例えば95個未満のアミ
ノ酸残基を、例えば90個未満のアミノ酸残基を、例えば85個未満のアミノ酸
残基を、例えば80個未満のアミノ酸残基を、例えば70個未満のアミノ酸残基
を、例えば65個未満のアミノ酸残基を、例えば60個未満のアミノ酸残基を、
例えば55個未満のアミノ酸残基を、例えば50個未満のアミノ酸残基を、含む
【0043】 本発明において用いられる機能的等価性は、ある好ましい実施の形態によれば
、所定のMASP−3断片、例えばMASP−3のB鎖を含む又は本質的にB鎖
から成る断片、又は全長のMASP−3配列、の対応する機能を参照して確立さ
れる。
【0044】 所定のアミノ酸配列を含むMASP−3断片の機能的等価物は上で述べたよう
に定められる。既知のアミノ酸配列内の免疫原として活性なアミノ酸の配列を決
定する一つの方法は、Geysenによって米国特許第5,595,915号に記述さ
れており、これは参照によって本明細書に取り入れられる。
【0045】 ペプチド断片の構造及び機能関係を決定する別の、適当に順応できる方法が米
国特許第6,013,478号に記述されており、これは参照によって本明細書
に取り入れられる。
【0046】 MASP−3の機能的等価物は、挿入、削除、及び保存的な置換を含む置換、
の数と範囲が増大するにつれて、本質的にMASP−3のB鎖から成る配列を含
む好ましい所定の配列から漸次逸脱してゆくアミノ酸配列を示すことは理解され
るであろう。この逸脱は、好ましい所定の配列と変異体又は機能的等価物の間の
相同性の減少として測定される。
【0047】 補体を活性化する全てのMASP−3断片が、MASP−3のB鎖を含む好ま
しいMASP−3の所定の配列に対して示す相同性の度合いに関わりなく、本発
明の範囲内に含められる。その理由は、MASP−3のいくつかの領域は、はっ
きりした生物学的影響を伴わずにきわめて容易に突然変異することが、又は完全
に削除されることが可能であるということである。
【0048】 置換によって得られる機能的変異体は、何らかの形又は度合いで原生のMAS
P−3活性を示し、しかも、機能的に類似なアミノ酸側鎖を含む残基が置換され
た場合には相同性が小さいということが十分にあり得る。この点で、機能的に類
似というのは、側鎖の主要な特性、例えば疎水性、塩基性、中性又は産生、ある
いはかさばる立体因子の有無、などを指す。したがって、本発明のある実施の形
態では、i)補体刺激効果を誘発できるある与えられたMASP−3断片と、i
i)ある好ましい所定のMASP−3断片との間の同一度(degree of identity
)は、本発明による好ましい所定のMASP−3断片の変異体又は機能的等価物
としてのその断片の主要な尺度ではない。
【0049】 機能的に同等なMASP−3の断片の形成に導く非保存的な置換は、例えば、
i)疎水性が実質的に異なる、例えば、疎水性の残基(Val、Ile、Phe
、又はMet)がArg、Lys、Trp、又はAsnなどの親水性残基を置換
している、又はThr、Ser、His、Gln、Asn、Lys、Asp、G
lu、又はTrpなどの親水性残基が疎水性残基を置換している;及び/又はi
i)ポリペプチド背骨の方位への影響が実質的に異なる、例えばPro又はGl
yと別の残基の置換;及び/又はiii)電荷が実質的に異なる、例えば、Gl
uやAspなどの負電荷の残基によるLys、His、又はArgなどの正電荷
の残基の置換(又はその逆);及び/又はiv)かさばる立体因子が異なる、例
えば、His、Trp、Phe、又はTyrなどのかさばる残基による、例えば
、Ala、Gly、又はSerなどの小さな側鎖を有する残基の置換(又はその
逆)。
【0050】 別の実施の形態では、本発明は、MASP−3のB鎖を含む好ましい所定のM
ASP−3の断片の機能的等価物に関し、その機能的等価物が含む置換されたア
ミノ酸の親水性指標又はハイドロパシック(hydropathic)指標が、それが置換
したアミノ酸の値の、+/−2.5以内にある、例えば+/−2.3以内にある
、例えば+/−2.1以内にある、例えば+/−2.0以内にある、例えば+/
−1.8以内にある、例えば+/−1.6以内にある、例えば+/−1.5以内
にある、例えば+/−1.4以内にある、例えば+/−1.3以内にある、例え
ば+/−1.2以内にある、例えば+/−1.1以内にある、例えば+/−1.
0以内にある、例えば+/−0.9以内にある、例えば+/−0.8以内にある
、例えば+/−0.7以内にある、例えば+/−0.6以内にある、例えば+/
−0.5以内にある、例えば+/−0.4以内にある、例えば+/−0.3以内
にある、例えば+/−0.25以内にある、例えば+/−0.2以内にある、も
のである。
【0051】 あるタンパク質にインタラクティブな生物学的機能を付与するのにアミノ酸の
親水性指標及びハイドロパシック指標がもつ重要性は、当業者にはよく理解され
るであろう(Kyte & Doolittle, 1982, 及びHopp, 米国特許第4,554,10
1号、どちらも参照によって本明細書に取り入れられる)。
【0052】 本明細書で用いられる場合、アミノ酸のハイドロパシック指標の値は次のよう
になる:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8
);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システィン(+2.5);メ
チオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオ
ニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシ
ン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン
酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アス
パラギン(−3.5);リジン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)(Ky
te & Doolittle, 1982)。
【0053】 アミノ酸の親水性指標の値は次のようになる:アルギニン(+3.0);リジ
ン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0、+−.1);グルタミン酸(+3
.0、+−.1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミ
ン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.
5+−.1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(
−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.
8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(
−2.5);トリプトファン(−3.4)(米国特許第4,554,101号)
【0054】 したがって、ある実施の形態では、アミノ酸の置換は、それらの疎水性及び親
水性の指標値、及びアミノ酸側鎖置換基の電荷、サイズ、などを含めた類似性、
に基づいて行うことができる。前記のいろいろな特性を考慮に入れたアミノ酸置
換の例は当業者には周知であり次のようなものがあげられる:アルギニンとリジ
ン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンとトレオニン;そしてバリン、ロイ
シンとイソロイシン。
【0055】 ここで述べるペプチジル化合物の他に、立体的に類似の化合物をペプチド構造
の主要部分を模倣するように構成し、その化合物を本発明のペプチドと同じ仕方
で用いることができる。これは当業者には公知のモデル化と化学的設計の手法に
よって達成できる。例えば、エステル化やその他のアルキル化を用いて、例えば
、ジアルギニン・ペプチド背骨のアミノ末端を修飾してテトラ・ペプチド構造を
模倣することができる。このように立体的に類似した構築物は全て本発明の範囲
に入ることは理解されるであろう。
【0056】 N末端アルキル化とC末端エステル化を有するペプチドも本発明の範囲に包含
される。機能的等価物は、また、同じ又は他のMASP−3断片及び/又はMA
SP−3分子と共に形成される、無関係な化学成分(moieties)の二量体を含む
、グリコシル化された共有結合又は集合的な複合体を含む。このような機能的等
価物は、イン・ビボ(in vivo)合成によって、又は断片に見出されるグループ
にN−末端及びC−末端のいずれか一方又は両方に機能性を当業者に公知の手段
によって結合することによって調製される。
【0057】 本発明のMASP−3の断片のホモダイマー及びヘテロダイマーを含むMAS
P−3のオリゴマーも本発明の範囲内で提供される。MASP−3機能的等価物
及び変異体は、ホモダイマーとして又はヘテロダイマーとして他のアミノ酸配列
又は原生のMASP−3配列によって生成できる。
【0058】 本明細書で用いられる、機能的なMASP−3等価物、MASP−3変異体、
及びMASP−3誘導体、という用語は所定のアミノ酸配列を含むMASP−3
の断片の機能的等価物を指し、そのような等価物、誘導体及び変異体は次のよう
に定義される: i)所定のアミノ酸配列を認識できる抗体によって認識されることができるア
ミノ酸配列を含むMASP−3又はその断片、及び/又は ii)MBL経路の成分との連合、例えばMBL/MASP−2複合体など、
を形成することができるアミノ酸配列を含み、前記成分も所定のアミノ酸配列と
連合を形成することができるMASP−3又はその断片、及び/又は iii)前記所定のアミノ酸配列を含むMASP−3断片と少なくとも実質的
に同様な補体活性化効果を有する、例えばMBL/MASP−2複合体に結合し
たときにC4の開裂を阻害する、MASP−3の断片。
【0059】 問題としているポリペプチド及びその他の化合物は、天然に見られる組成物と
異なり、ここで提案された少なくとも一つの用途に適する場合、“実質的に純粋
”と呼ばれる。天然に見られる物質に対してほんの少しだけ変化した調製物も多
少は利用できるけれども、調製物は、典型的には、問題の化合物が少なくとも1
0重量%(乾燥重量)である。好ましくは、調製物は、問題の化合物が少なくと
も60重量%、さらに好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なく
とも90重量%、である。純度は、どんな適当な標準的方法によっても、例えば
、カラム・クロマトグラフィー、ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動、あるいは
HPLC分析によって、測定できる。
【0060】 あるポリペプチド又は核酸分子が基準のポリペプチド又は核酸分子と“実質的
に同一”であるというのは、その配列が、基準のポリペプチド又は核酸分子の配
列と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なく
とも95%、98%、又は99%、同一である場合をいう。
【0061】 ある特定ポリペプチドが定められた長さのある基準ポリペプチドに対してある
特定パーセント同一性を有すると言われる場合、そのパーセント同一性はその基
準ポリペプチドに対するものである。したがって、100アミノ酸の長さの基準
ポリペプチドに対して50%同一であるペプチドは、その基準ポリペプチドの5
0アミノ酸部分と完全に同一である50アミノ酸のポリペプチドであることがあ
り得る。それはまた、全長にわたって基準ポリペプチドと50%同一な100ア
ミノ酸の長さのポリペプチドであるかもしれない。もちろん、他の多くのポリペ
プチドが同じ規準に合致するだろう。
【0062】 ある規準配列に対して100%未満同一であるポリペプチド配列の場合、同一
でない位置は、必ずしもそうではないが、規準配列の保存的な置換であることが
好ましい。保存的な置換は、普通、次のグループ内の置換を含む:すなわち、グ
リシンとアラニン;バリン、イソロイシン及びロイシン;アスパラギン酸とグル
タミン酸;アスパラギンとグルタミン;セリンとトレオニン;リジンとアルギニ
ン;及びフェニルアラニンとチロシン。
【0063】 ポリペプチドの場合、規準ポリペプチド配列の長さは一般に少なくとも16ア
ミノ酸、好ましくは少なくとも20アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも25
アミノ酸、そして最も好ましくは35アミノ酸、50アミノ酸、又は100アミ
ノ酸、である。核酸の場合、規準核酸配列の長さは一般に少なくとも50ヌクレ
オチド、好ましくは少なくとも60ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも
75ヌクレオチド、そして最も好ましくは100ヌクレオチド又は300ヌクレ
オチド、である。
【0064】 配列の同一性は、配列分析ソフトウエアを用いて(例えば、Sequence Analysi
s Software Package、ウイスコンシン大学バイオテクノロジー・センター、遺伝
学コンピュータ・グループ、1710 University Avenue, Madison, WI 53705 )、
そこで定められているデフォルト・パラメータによって、測定することができる
【0065】 本発明の核酸分子を、以下で述べるように、挿入したものの発現を容易にする
ベクターに挿入することができる。核酸分子とそれがコードするポリペプチドを
、直接に診断又は治療剤として利用したり、あるいは抗体を生成するために(ポ
リペプチドの場合は直接に、核酸分子の場合は間接的に)利用することができ、
その抗体はさらに、診断又は治療剤として臨床的に利用できる。したがって、本
発明の核酸を含むベクター、そのベクターが導入された細胞、発現されたポリペ
プチド、及び生成された抗体、もポリペプチド全体あるいはその抗原的な断片の
他に、好ましい実施の形態の中にある。
【0066】 本発明はまた、MASP−3と特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル
、ポリクローナル、及び遺伝子工学による抗体、を特徴とする。“特異的に結合
する”とは、ある特定の抗原、例えば本発明のMASP−3ポリペプチド、を認
識し結合するが、MASP−3を含むサンプル、例えば生物学的サンプル、の中
の他の分子を実質的に認識も結合もしない抗体を意味する。検出可能なマーカー
を含む化合物と抗体(又はその断片)が結合した構築物(constructs)への言及
は化学的手段を含む何らかの方法によって、又は組み換え法によって、作られる
構築物を含む。
【0067】 本発明はまた、MASP−3の一つ以上の機能又は作用をそれぞれ阻害又は増
強するMASP−3の拮抗体(アンタゴニスト)及び作動体(アゴニスト)を特
徴とする。適当なアンタゴニストには、小さな分子(すなわち、分子量が約50
0未満の分子)、大きな分子(すなわち、分子量が約500を超える分子)、M
ASP−3に結合してそれを“中性化する”抗体(以下で述べる)、原生形態の
MASP−3と競合してあるタンパク質、例えばMBL、と結合するポリペプチ
ド、及びMASP−3の転写を妨害する核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分
子及びリボザイム)が含まれる。MASP−3のアゴニストにも、小さな分子、
大きな分子、及び“中性化する”抗体以外の抗体、が含まれる。
【0068】 本発明はまた、MASP−3の発現を(例えば、転写や翻訳に影響を及ぼすこ
とによって)増加又は減少させる分子を特徴とする。小さな分子(すなわち、分
子量が約500未満の分子)、大きな分子(すなわち、分子量が約500を超え
る分子)、及びMASP−3の発現を阻害するのに利用できる核酸分子(例えば
、アンチセンス核酸分子及びリボザイム分子)及びその発現を増強するのに利用
できる核酸分子(例えば、MASP−3をコードする核酸配列を強力なプロモー
ター・システムのコントロールの下に置く発現構築物(constructs))、及びM
ASP−3導入遺伝子を発現する遺伝子導入動物。
【0069】 本発明は、MASP−3の異常な発現又は作用に関連した症状を治療する方法
を包含する。すなわち、本発明はMASP−3の過剰な発現又は作用に関連した
症状を治療する方法を含む。この方法は、MASP−3の発現又は作用を減少さ
せる化合物を投与することを必要とする。本発明はまた、MASP−3の不十分
な発現に関連した症状を治療する方法を含む。この方法は、MASP−3の発現
又は作用を増加させる化合物を投与することを必要とする。
【0070】 セリンプロテアーゼの活動を“競合的に阻害する”とは、変化したMBL又は
その断片の作用であって、MASP−3ペプチドと、可逆的又は不可逆的に、結
合してセリンプロテアーゼの活動を活性化も中性化もしないものを意味する。逆
に、MASP−3の断片、例えば、MASP−3のN−末端部分を含むポリペプ
チドは、無傷のMASP−3の結合を競合的に阻害し、MASP−3の活性化を
阻害する効果がある。
【0071】 本発明はまた、MASP−3ポリペプチドを検出する方法を特徴とする。この
方法は:生物学的サンプルを得るステップ;そのサンプルに、MASP−3と特
異的に結合する抗体を特異的結合を可能にする条件の下で接触させるステップ;
及び、形成された抗体−MASP−3複合体を検出するステップ、を含む。
【0072】 さらに本発明は、MASP−3の不適切な発現又は活性に関連した症状の診断
的評価、型別、及び予後検査のための方法及び組成物を包含する。例えば、本発
明の核酸分子を診断ハイブリダイゼーション・プローブとして用いて、例えば、
MASP−3の不適切な発現、又はMASP−3遺伝子の突然変異を検出するこ
とができる。このような方法を用いて、細胞をMASP−3発現のレベルによっ
て分類することができる。
【0073】 あるいはまた、その核酸分子を診断用PCR分析のためのプライマーとして用
いて、MASP−3遺伝子における遺伝子突然変異、対立変異体、及び調節の欠
陥を同定することができる。本発明はさらに、このような方法を実行するための
診断キットを提供する。
【0074】 本発明は、ある選ばれた化合物の有無によるMASP−3の発現又は活性を評
価することによって、MASP−3の発現又は活性を変化させる化合物を同定す
る方法を特徴とする。その選ばれた化合物の有無によるMASP−3の発現又は
活性のレベルの差異は、その選ばれた化合物がMASP−3の発現又は活性を変
化させることができるということを示す。発現は、当業者には周知の方法によっ
て、遺伝子発現のレベルで(例えば、mRNAを測定することによって)又はタ
ンパク質発現のレベルで評価することができる。MASP−3の活性は機能的に
、すなわち、化合物の酵素活性を分析することによって評価することができる。
【0075】 好ましい方法及び物質は以下の実施例で記述されるが、これらの実施例は本発
明を説明するためのものであって、本発明を制限するものではない。当業者であ
れば、ここで述べるものと類似又は等価な方法及び物質であって本発明の実行又
はテストに用いることができるものを認められるであろう。
【0076】 別に定義する場合を除き、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語
は、本発明が属する分野の当業者が普通に理解すると同じ意味を有する。ここに
述べられるものと同様な又は等価の方法及び物質を本発明の実行又はテストで用
いることができるが、好ましい方法及び物質が本明細書で述べられている。本明
細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参照文献は、そ
の全体が参照によって本明細書に取り入れられる。矛盾がある場合、本明細書が
、定義も含めて優先される。さらに、物質、方法、及び実施例は説明するためだ
けのものであり、限定することを意図していない。
【0077】 本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な記述、及び特許請求の範囲か
ら明らかになる。 発明の詳細な説明 MASP−3核酸分子 本発明のMASP−3核酸分子は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、又
はRNAがあり得るし、二本鎖又は一本鎖(すなわち、センス鎖又はアンチセン
ス鎖)があり得る。これらの分子の断片も本発明の範囲内にあると考えられ、例
えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生産したり、又は一つ以上の制限
エンドヌクレアーゼによる処理で生成したりできる。リボ核酸(RNA)分子は
in vitro転写によって生成できる。核酸分子は、長さに関わりなく、正常な生理
的条件の下で可溶なポリペプチドをコードすることが好ましい。
【0078】 本発明の核酸分子は、天然に見られる配列を含むか、又は天然に見られるもの
と異なる配列を含むが、遺伝子コードの縮退のために同じポリペプチド(例えば
、配列番号5のポリペプチド)をコードすることがある。さらに、これらの核酸
分子はポリペプチドをコードする配列だけに限定されず、コードする配列の上流
又は下流にあるコードしない配列の一部又は全部を含むことがある。
【0079】 ある好ましい実施の形態では、本発明は、本明細書で定められるポリペプチド
をコードする単離された核酸分子に関し、この分子は配列番号1,2,3,又は
5の配列と少なくとも50%同一な配列を有するポリペプチドをコードするヌク
レオチド配列を含む。ポリペプチドは、配列番号5と少なくとも85%同一なポ
リペプチド配列を有するマンナン結合レクチンに関連したセリンプロテアーゼ−
3(MASP−3)であることが好ましい。したがって、単離された核酸配列は
、マンナン結合レクチンに関連したセリンプロテアーゼ−3(MASP−3)を
コードすることが好ましく、この核酸配列は配列番号4と少なくとも85%同一
である。
【0080】 本発明の核酸分子は、合成することも(例えば、ホスホルアミディトに基づく
合成によって)、あるいは生物細胞、例えば哺乳類の細胞、から得ることもでき
る。すなわち、核酸は、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウシ、ヒツジ、ウ
マ、ブタ、ウサギ、サル、イヌ、又はネコ、からのものであってよい。これらの
タイプの核酸内のヌクレオチドの組み合わせや変更も包含される。
【0081】 さらに、本発明の単離された核酸分子は自然の状態では見られないような断片
も包含する。すなわち、本発明は組み換え分子、例えば、核酸分子(例えば、M
ASP−3をコードする単離された核酸分子)がベクター(例えば、プラスミド
又はウイルス・ベクター)に、又は異種細胞のゲノムに(又は、同種細胞のゲノ
ムで、天然の染色体上の位置と異なる位置に)組み込まれているものなど、を包
含する。組み換え核酸分子とその利用については以下でさらに論ずる。
【0082】 本発明の核酸分子がアンチセンス分子をコード又はアンチセンス分子として作
用する場合、それらを用いて、例えば、MASP−3の翻訳を調節することがで
きる。核酸発現の検出又は調節に関連した方法は当業者には周知であり、それを
用いてMASP−3の活性に関連した症状を診断及び/又は治療することができ
る。これらの核酸分子については、以下で臨床的な有用性に関連してさらに論ず
る。
【0083】 本発明はまた、MASP−3ポリペプチドをコードする核酸分子に、ストリン
ジェントな条件の下でハイブリダイズする核酸分子を包含する。本明細書で記述
されるcDNA配列(配列番号3)を用いてこれらの核酸を同定することができ
るが、そのような核酸としては、例えば、他の種の相同なポリペプチドをコード
する核酸、及びヒトやその他の哺乳類におけるMASP−3遺伝子のスプライス
変異体、などが含まれる。したがって、本発明はこれらの核酸分子を検出し単離
する方法を特徴とする。
【0084】 これらの方法によって、サンプル(例えば、cDNA又はゲノム・ライブラリ
ーなどの核酸ライブラリー)が、MASP−3特異的プローブ(例えば、12ヌ
クレオチドの長さの配列番号5の断片)と接触させられる(又は、“スクリーニ
ングされる”)。プローブは、関連するポリペプチドをコードする核酸(又は、
その相補的配列)と選択的にハイブリダイズする。MASP−3がコードするポ
リペプチドは他のセリンプロテアーゼに関連しているので、“選択的にハイブリ
ダイズする”という用語は、プローブが他のセリンプロテアーゼをコードする核
酸(又は、その相補的配列)に対してよりも、MASP−3をコードする核酸(
又は、その相補的配列)に対して検出可能なほどより強く結合するという事態を
指すように用いられる。少なくとも12の(例えば、15,25,50,100
,又は200の)ヌクレオチドを含むプローブはいくつかの標準的方法のいずれ
によって生成することもできる(例えば、Ausubel et al., “Current Protocol
s in Molecular Biology, Vol. 1”, Green Publishing Associates, Inc., and
John Wiley & Sons, Inc., NY, 1989 を見よ)。例えば、PCR増幅法によっ
て、オリゴヌクレオチド・プライマーを用いてMASP−3特異的な核酸配列(
例えば、成熟MASP−3のN−末端をコードする核酸)を増幅してプローブを
生成することができ、それをプローブとして用いて核酸をスクリーニングし、そ
のプローブにハイブリダイズする核酸分子を(ライブラリー内で)検出すること
ができる。
【0085】 ある一本鎖核酸は、別の一本鎖核酸との間で二重鎖を形成する場合、それとハ
イブリダイズすると言われる。これは、一方の核酸が他方の核酸の反対で相補的
になっている配列を含む場合に起こる(この同じ配置が、ゲノムにおけるDNA
のセンス鎖とアンチセンス鎖の間の自然な相互作用を生じ、“二重らせん”とい
う形態の根底になっている)。二重鎖が形成されるためには、ハイブリダイズす
る領域の間の完全な相補性は必要とされない;対になる塩基の数が、用いられる
ハイブリダイゼーション条件の下で二重鎖を維持するに十分であることだけが必
要とされる。
【0086】 ある様態で、本発明は、ストリンジェントな条件の下でMASP−3をコード
する核酸と複合体を形成できる核酸プローブ、例えば配列番号5と同一な核酸と
ハイブリダイズすることができる配列、に関する。
【0087】 このハイブリダイズ可能なプローブは、MASP−3をコードする核酸配列に
対してアンチセンスの核酸であってもよい。
【0088】 普通、ハイブリダイゼーション条件はストリンジェンシーが低乃至中程度のも
のである。このような条件では、完全に相補的な配列の間の特異的相互作用が有
利であるが、完全にマッチしているとは言えない配列間の非特異的な相互作用が
起こることもある程度許される。ハイブリダイゼーションの後、中程度又は高ス
トリンジェンシー条件の下で、核酸を“洗浄”して非特異的な相互作用で結合し
ている二重鎖(このような二重鎖を形成する核酸は完全には相補的でない)を解
離させることができる。
【0089】 当業者には公知のように、洗浄の最適条件は実験的に、多くの場合ストリンジ
ェンシーを徐々に高めることによって決定される。ストリンジェンシーに影響を
及ぼすように変化させることができるパラメータとしては、第一に、温度と塩濃
度があげられる。一般に、塩濃度が低く温度が高いほど、ストリンジェンシーが
高くなる。洗浄は、低温で(例えば、室温で)ハイブリダイゼーション溶液の濃
度と同等又はそれより低い濃度の塩を含む溶液を用いて開始することができる。
その後の洗浄は、同じ塩濃度で漸次温かくなる溶液を用いて行うことができる。
別のやり方としては、塩濃度を下げて洗浄ステップで温度を一定に維持すること
もできるし、又は塩濃度を下げて温度を上げることもできる。その他のパラメー
タを変えることもできる。例えば、ホルムアミドなどの不安定促進物質(destab
ilizing agent)の使用はストリンジェンシー条件を変化させる。
【0090】 核酸がハイブリダイズされる反応では、ある与えられたレベルのストリンジェ
ンシーを達成するために用いられる条件は様々である。例えば、一組の条件で、
互いに85%同一な全ての核酸の間で二重鎖が形成されることを許すようなもの
はない;ハイブリダイゼーションはまた、各核酸のユニークな特徴にも依存する
。配列の長さ、配列の組成(例えば、プリン様ヌクレオチドの含有量 vs. ピリ
ミジン様ヌクレオチドの含有量)、及び核酸のタイプ(例えば、DNAかRNA
か)がハイブリダイゼーションに影響する。別の考慮要因として、核酸の一方が
(例えば、フィルター上に)固定されているかどうか、ということがある。
【0091】 低いストリンジェンシー条件から高いストリンジェンシー条件への進行の一例
は次のようなものであるが、ここでは塩含有量はSSC(塩化ナトリウムとクエ
ン酸ナトリウムを含む塩溶液;2×SSCは0.2×SSCより10倍濃度が高
い)の相対量で与えられる。核酸は、2×SSC/0.1%SDS(ドデシル硫
酸ナトリウム;洗剤)中で42℃でハイブリダイズされ、次に室温の0.2×S
SC/0.1%SDS中で(低ストリンジェンシー条件の場合);42℃の0.
2×SSC/0.1%SDS中で(中程度のストリンジェンシー条件の場合);
及び68℃の0.1×SSC中で(高ストリンジェンシー条件の場合)洗浄され
る。洗浄は、上記の条件の一つだけを用いて行うことも、条件の各々を用いて行
うこともできる(例えば、上に列挙した順に各々10−15分間洗浄する)。洗
浄のいずれか又は全部を繰り返すこともできる。上述のように、最適条件は様々
であり、実験的に決定することができる。
【0092】 “ストリンジェントな条件”と考えられる第二の組の条件は、ハイブリダイゼ
ーションがChurch 緩衝液(7%SDS、0.5%NaHPO4、1M EDT
A、1%ウシ血清アルブミン)中で50℃で行われ、洗浄が50℃の2×SSC
で行われるというものである。
【0093】 いったん検出されたら、核酸分子はいくつかの標準的な方法のどれかによって
単離できる(例えば、Sambrook et al., “Molecular Cloning, A Laboratory M
anual,” 2nd Ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor
, NY, 1989)。
【0094】 本発明はまた、次のものを包含する:(a)前記MASP−3関連コーディン
グ配列及び/又はその相補配列(すなわち、“アンチセンス配列”)のいずれか
を含む発現ベクター;(b)前記MASP−3関連コーディング配列のいずれか
で、そのコーディング配列の発現を導く調節エレメント(その例は以下で示す)
と結びついたもの;(c)MASP−3をコードする配列の他に、MASP−3
をコードする核酸配列と無関係な核酸配列、例えばリポーターやマーカー、を含
む発現ベクター;及び(d)前記発現ベクターのいずれかを含む遺伝子組み換え
された宿主細胞であって、本発明の核酸分子を宿主細胞で発現させるもの。
【0095】 組み換え核酸分子は、可溶MASP−3、成熟MASP−3、信号配列を有す
るMASP−3、又はMASP−3の機能ドメイン、例えばセリンプロテアーゼ
・ドメイン、EGFドメイン、あるいはMBL結合ドメイン、をコードする配列
を含むことができる。全長MASP−3ポリペプチド、MASP−3のあるドメ
イン、又はその断片、を別のポリペプチドと以下で述べるように融合させること
ができる。同様に、本発明の核酸分子は、MASP−3の成熟形態コードするこ
とができる、又は分泌を容易にするポリペプチドをコードする形態でもよい。後
者の場合、そのポリペプチドは普通プロプロテイン(proprotein)と呼ばれ、例
えば、宿主細胞内で信号配列を除去してそれを活性の形態に変換することができ
る。プロプロテインは、不活性化する配列を除去することによって活性な形態の
タンパク質に変換することができる。
【0096】 上記の調節エレメントは、誘導(inducible)プロモーター及び非誘導プロモ
ーター、エンハンサー、オペレーター、及びその他のエレメントで遺伝子の形質
発現を推進又はその他の仕方で調節する当業者には公知のもの、を含むが、それ
だけに限定されない。そのような調節エレメントとしては、サイトメガロウイル
スhcMV前初期遺伝子、SV40アデノウイルスの初期又は後期プロモーター
lacシステム、trpシステム、TACシステム、TRCシステム、ファー
ジAのメジャーオペレーター及びプロモーター領域、fd外皮タンパク質の制御
領域、3−ホスホグリセレート キナーゼのプロモーター、アシッド・ホスファ
ターゼのプロモーター、及び酵母メーティング因子のプロモーター、などがある
が、それだけに限定されない。
【0097】 同様に、核酸は、付加的なポリペプチド配列、例えばマーカー又はリポーター
として機能する配列、をコードするハイブリッド遺伝子の一部を構成することが
ある。マーカー又はリポーター遺伝子の例は−ラクタマーゼ、クロラムフェニコ
ール アセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシン デアミナーゼ(A
DA)、アミノグリコシド ホスフォトランスフェラーゼ(neo', G418')、ジ
ヒドロフォレート レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン−B−ホスフ
ォトランスフェラーゼ(HPH)、チミジン キナーゼ(TK)、lacZ(−
ガラクトシダーゼをコードする)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、及びキサン
チン グアニン ホスフォリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)などであ
る。本発明の実施に関連した標準的な手順の多くについて言えるように、熟練し
た当業者であれば、利用できるその他の試薬、例えば、マーカー又はリポーター
の機能を果たす他の配列、に気づくであろう。一般に、ハイブリッド・ポリペプ
チドは第一の部分と第二の部分を含む:第一の部分はMASP−3ポリペプチド
であり、第二の部分は、例えば、上述したリポーターあるいは免疫グロブリン定
常領域、である。
【0098】 本発明の目的に利用できる発現システムとしては次のようなものがあるが、そ
れだけに限定されない、すなわち:微生物、例えば、本発明の核酸分子を含む組
み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、又はコスミドDNA発現
ベクターによって形質転換されるバクテリア(例えば、E.coli及びB.s
ubtilis);本発明の核酸分子を含む(好ましくは、MASP−3の核酸
配列(配列番号5)を含む)組み換え酵母発現ベクターによって形質転換される
酵母(例えば、Saccharomyces及びPichia);本発明の核酸
分子を含む組み換えウイルス発現ベクターに感染する昆虫細胞(例えば、バクロ
ウイルス);MASP−3ヌクレオチド配列を含む組み換えウイルス発現ベクタ
ー(例えば、カリフラワー・モザイク・ウイルス(CaMV)及びタバコ・モザ
イク・ウイルス(TMV)に感染する、又は組み換えプラスミド発現ベクター(
例えば、Tiプラスミド)によって形質転換される植物細胞システム;あるいは
、哺乳類細胞のゲノムから得られるプロモーター(例えば、メタロチオネイン・
プロモーター)、又は哺乳類ウイルスから得られるプロモーター(例えば、アデ
ノウイルス後期プロモーター及びワクシニア・ウイルス7.5Kプロモーター)
を含む組み換え発現構築物をもつ哺乳類細胞システム(例えば、COS、CHO
、BHK、293、VERO、HeLa、MDCK、W138,及びNIH 3
T3細胞)。
【0099】 バクテリア・システムでは、発現させようとする遺伝子産物に意図する用途に
応じていくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、MAS
P−3ポリペプチドを含む製薬組成物の生成のために、又はそれらのポリペプチ
ドに対する抗体を産生するために、そのようなタンパク質を大量に生成しようと
する場合、容易に精製できる融合タンパク質の高レベルの発現を導くことができ
るベクターが望ましいであろう。そのようなベクターとしては次のようなものが
あげられるが、それだけに限定されない:すなわち、E.coli発現ベクター
pUR278(Ruther et al., EMBO J. 2: 1791, 1983)、ここでは挿入
されるコーディング配列は個別的にlacZコーディング領域とフレームにして
ベクターに結紮されて融合タンパク質が生成される;pINベクター(Inouye a
nd Inouye, Nucleic Acids Res., 13: 3101-3109, 1985; Van Heeke and Schust
er, J. Biol. Chem. 264: 5503-5509, 1989 );など。pGEXベクターを用い
てグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)によって融合タンパク質とし
て外来ポリペプチドを発現することもできる。一般に、このような融合タンパク
質は可溶であり、溶かした細胞からグルタチオン・アガロース・ビーズに吸着さ
せた後に自由グルタチオンの存在下で溶出させて容易に精製できる。pGEXベ
クターは、トロンビン又はXa因子プロテアーゼ開裂部位を含むように設計して
、クローニングされた遺伝子産物がGST部分から離脱できるようにする。
【0100】 昆虫システムでは、Autographa california核多角体病
ウイルス(AcNPV)を異種遺伝子を発現させるベクターとして用いることが
できる。このウイルスはSpodotera frugiperda細胞で生育
する。挿入されるコーディング配列はウイルスの非本質的領域(例えば、polyhe
drin 遺伝子)に個別的にクローニングしてAcNPVプロモーター(例えば、p
olyhedrinプロモーター)の 制御の下に置くことができる。コーディング配列が
うまく挿入されるとpolyhedrin 遺伝子が活性化され、非閉塞ウイルス(すなわ
ち、polyhedrin 遺伝子がコードするタンパク質様の外皮が欠如したウイルス)
が産生される。次に、この組み換えウイルスを用いてSpodotera fr
ugiperda細胞を感染させてそこに挿入された遺伝子が発現される(例え
ば、Smith et al., J. Virol. 46: 584, 1983; Smith, 米国特許第4,215,
051号)。
【0101】 哺乳類宿主細胞では、ウイルスをベースとするいくつかの発現システムを利用
することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、本発明の
核酸分子はアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及
び三分節リーダー配列、に結紮される。次に、このキメラ遺伝子がin vitro 又
はin vivo 組み換えによってアデノウイルス・ゲノムに挿入される。ウイルス・
ゲノムの非本質的領域(例えば、領域E1又はE3)への挿入は、生存可能であ
り感染した宿主でMASP−3遺伝子産物を発現できる組み換えウイルスを生ず
る(例えば、Logan and Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 3655-3659, 1
984, を見よ)。挿入された核酸分子の効率的な翻訳のためには特異開始信号も
必要かもしれない。この信号はATG開始コドンと隣接する配列を含む。遺伝子
全体又はcDNAが、自身の開始コドンと隣接する配列を含めて適当な発現ベク
ターに挿入される場合、その他の翻訳制御信号は必要ないであろう。しかし、コ
ーディング配列の一部だけしか挿入されない場合、外来的な翻訳制御信号が、多
分ATG開始コドンを含めて、提供されなければならない。さらに、開始コドン
は、挿入した全体が翻訳されるようにするために、所望のコーディング配列の読
取枠と同位相でなければならない。これらの外来翻訳制御信号と開始コドンは、
天然及び合成のいろいろな起源のものがあり得る。発現の効率は、適当な転写エ
ンハンサー・エレメント、転写ターミネーター、等を含めることによって高めら
れる(Bittner et al., Methods in Enzymol. 153: 516-544, 1987)。
【0102】 さらに、宿主細胞の系統を、挿入された配列の発現を変更するように、又は遺
伝子産物を所望する特定の仕方で修飾し処理するように選ぶことができる。この
ようなタンパク質生成物の修飾(例えば、グリコシル化)及び処理(例えば、開
裂)がそのタンパク質の機能にとって重要であることがある。いろいろな宿主細
胞が、タンパク質と遺伝子産物の翻訳後の処理と修飾のための特徴的な特定のメ
カニズムを有する。適当な細胞系統又は宿主システムを選んで、発現された異種
タンパク質が正しく修飾され処理されるようにすることができる。このために、
遺伝子産物の一次転写、グリコシル化、及びリン酸化の適切な処理のための細胞
機構を有する宿主真核細胞を用いることができる。上でリストした哺乳類細胞タ
イプは、適当な宿主細胞として役立つと思われるものである。
【0103】 組み換えタンパク質の長期的な高収率の生産のためには、安定な発現が好まし
い。例えば、上述のMASP−3配列を安定に発現する細胞系統を遺伝子工学で
作り出すこともできる。ウイルス起源の複製を含む発現ベクターを用いるよりも
、宿主細胞を適当な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー
配列、転写ターミネーター、ポリアデニレーション部位、等)でコントロールさ
れるDNAと選択可能なマーカーで形質転換することができる。異種DNAを導
入した後、組み換えされた細胞を1−2日間富栄養培地で生育させ、その後選択
培地に切り替える。組み換えプラスミドの選択マーカーが選択に対する耐性を与
え、細胞がそのプラスミドを染色体に安定に組み込み、生育して増殖巣を形成す
ることを可能にし、それをさらにクローニングし拡大して細胞系統にする。この
方法を有利に用いてMASP−3を発現する細胞系統を遺伝子工学で作り出すこ
とができる。このような遺伝子工学で作り出された細胞系統は、遺伝子産物の内
生的な活性に影響する化合物のスクリーニングと評価、及び治療用途のMASP
−3の生産に特に有用である。また、この方法を用いて実験目的又は治療目的で
宿主生物に導入される細胞を変更することができる。導入される細胞は、宿主生
物内で一時的であることも、恒久的であることもある。
【0104】 いくつかの選択システムを用いることができる。例えば、ヘルペス・シンプレ
ックス・ウイルス・チミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11: 223, 1977)
、ヒポキサンチン−グアニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska
and Szybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48: 2026, 1962)、及びアデニン
ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell 22: 817, 1980)遺
伝子を、それぞれtk- 、hgprt-、又はaprt-細胞で用いることができ
る。また、代謝拮抗薬耐性を以下の遺伝子で選択の基礎として用いることができ
る:dhfr、これはメトトレキセートに対する耐性を与える(Wigler et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 3567, 1980; O'Hare et al., Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 78: 1527, 1981);gpt、これはマイコフェノール酸に対する
耐性を与える(Mulligan and Berg, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 2072, 19
81);neo、これはアミノグリコシドG−418に対する耐性を与える(Colb
erre-Garapin et al., J. Mol. Biol. 150: 1, 1981);及び、hygro、こ
れはハイグロマイシンに対する耐性を与える(Santerre et al., Gene 30: 147,
1984)。
【0105】 あるいはまた、融合タンパク質は、発現される融合タンパク質に特異的な抗体
を利用して容易に精製できる。例えば、Janknecht et al. によって記述された
システムは、ヒト細胞系統で発現される非変性融合タンパク質を容易に精製する
ことを可能にする(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 8972-8976, 1991)。この
システムでは、問題の遺伝子がワクシニア組み換えプラスミドに、遺伝子のオー
プン・リーディング・フレームが6つのヒスチジン残基にトランスレーションで
融合されるような仕方で、サブクローニングされる。ワクシニア組み換えウイル
スに感染した細胞からの抽出液がNi2+ニトリロ酢酸−アガロース・カラムに
装填され、イミダゾールを含む緩衝液でヒスチジンのタグが付けられたタンパク
質が選択的に溶出される。 MASP−3ポリペプチド ここで記述されるMASP−3ポリペプチドは、上述の核酸分子のいずれかに
よってコードされるものであり、MASP−3の断片、突然変異体、トランケー
ト(truncated)形態、及び融合タンパク質を含む。これらのポリペプチドはい
ろいろな用途のために調製することができ、用途としては、抗体の生成、診断測
定の試薬、MBレクチン応答を変化させる他の細胞遺伝子産物又は化合物の同定
、及びMBレクチン経路の活性に関連した炎症及び症状(以下で述べる)の治療
に有用な試薬としての用途、などがあるが、それだけに限定されない。好ましい
ポリペプチドは、実質的に純粋なMASP−3ポリペプチドであり、完全な信号
配列をもつポリペプチドに対応するもの、ヒトMASP−3ポリペプチドの成熟
形態、ならびにMASP−3ポリペプチドの一部を表すポリペプチド、を含む。
特に好ましいものは、正常な生理的条件の下で可溶なポリペプチドである。
【0106】 特に、本発明は、配列番号5又は配列番号5の機能的等価物として同定される
アミノ酸配列、及び/又は配列番号2又は配列番号2の機能的等価物として同定
されるアミノ酸配列、及び/又は配列番号3又は配列番号3の機能的等価物とし
て同定されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
【0107】 ある実施の形態では、ポリペプチドはSDS−PAGEで非還元条件の下で約
110kDaの分子量のポリペプチド、例えば配列番号5で同定される配列を含
む前記ポリペプチド、と定義される。
【0108】 別の実施の形態では、ポリペプチドはSDS−PAGEで非還元条件の下で約
48kDaの分子量のポリペプチド、例えば配列番号5で同定される配列を含む
前記ポリペプチド、と定義される。
【0109】 本発明はまた、MASP−3と機能的に等価なポリペプチドを包含する。これ
らのポリペプチドは、生物学的システムにおいてMASP−3の機能の一つ以上
を遂行できるという点でMASP−3と等価である。好ましいMASP−3ポリ
ペプチドは、完全長のヒト成熟形態のMASP−3の20%、40%、50%、
75%、80%、又は90%もの活性を有する。この比較は、一般に等しい濃度
のポリペプチドを使用して比較する生物学的活性の分析に基づく。比較は、また
、得られる最大活性の50%に達するために必要なポリペプチドの量に基づいて
行うこともできる。
【0110】 機能的に等価なタンパク質としては、例えば、付加的な又は置換されたアミノ
酸残基を含むものがある。置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性
、親水性、及び/又は両親媒性の類似に基づいて行われる。互いに保存的な置換
を与えると普通考えられるアミノ酸は本発明の要約において特定されている。ポ
リペプチドの半減期を変えるためにD−アミノ酸を導入することもできる。
【0111】 MASP−3と機能的に等価なポリペプチド(例えば、配列番号5)は、当業
者には周知のランダム突然変異法を用いて作り出須子とができる(そして、得ら
れた突然変異体のMASP−3タンパク質の活性をテストすることができる)。
しかし、このようなポリペプチドは部位指向(site directed)突然変異によっ
て(やはり、当業者には周知の手法を用いて)生成されるということがもっとあ
りそうなことである。これらのポリペプチドは、機能がもっと増強されることが
、すなわち、MBレクチン経路を活性化する能力が大きくなることがある。その
ようなポリペプチドはMBレクチン経路の免疫機能の活性を高めるために用いる
ことができる。
【0112】 機能的に等価なポリペプチドを設計するためには、保存(conserved)位置と
可変(variable)位置を区別することが有益である。これは、いろいろな生物か
ら得られたMASP−3cDNAsの配列を整列させることによって行われる。
当業者ならば、保存されるアミノ酸残基が機能の保存のために必要であるらしい
ことを認めるであろう。したがって、保存される残基は変わらないことが好まし
い。このような保存される残基は、セリンプロテアーゼ・ドメインにおけるいわ
ゆる触媒三つ組を構成する三つのアミノ酸(配列番号5のHis−497,As
p−553,Ser−664)であるかもしれない。
【0113】 MASP−3コーディング配列内の突然変異によって選ばれた宿主細胞におけ
る発現にもっと適するMASP−3ペプチドを生成することができる。グリコシ
ル化配列の導入を用いて生物学的特性が変化したMASP−3ポリペプチドを生
成することもできる。
【0114】 本発明はまた、MASP−3やその前駆体を含むポリペプチド配列内の多形性
を分析する方法を特徴とする。これはいくつかのやり方で遂行される。例えば、
精製されたポリペプチドをトリプシンで消化させ、得られた断片を一次元又は二
次元電気泳動によって分析する。サンプル・ポリペプチドの分析からの結果を既
知の配列を用いて得られる結果と比較する。分析はまた、生物学的サンプル(例
えば、血清又はその他の体液)の一次元又は二次元電気泳動による分離と、それ
に続く分離されたタンパク質の膜への移行も包含する(ウエスタン・ブロット)
。次に、膜をMASP−3に対する抗体と反応させ、続いて第二の標識された抗
体と反応させる。染色パタンが既知の配列又は修飾を有するサンプルを用いて得
られるものと比較される。
【0115】 本発明のポリペプチドは別のポリペプチド、例えば、マーカー・ポリペプチド
や融合パートナー、と融合して発現させることができる。例えば、ポリペプチド
は、バクテリアで発現されるタンパク質の精製を容易にするためにヘキサ−ヒス
チジン・タグと、又は真核細胞で発現されるタンパク質の精製を容易にするため
にヘマグルチニン・タグと融合させることができる。本発明のMASP−3ポリ
ペプチド、又はその一部、はまた、免疫グロブリンFcドメインとの融合によっ
て循環半減期が長くなるように変更させ屡ことができる(Capon et al., Nature
337: 525-531, 1989)。同様に、in vivo での安定性がもっと高いMASP−
3ポリペプチドの二量体形態を生成することもできる。
【0116】 診断目的にこのポリペプチドを用いるために、ポリペプチドは標識又はトキシ
ンと結合させることができる。
【0117】 したがって、本発明はさらに、ペプチド、抗体、及びその断片の検出可能に標
識された、固定された及びトキシン結合された形態を提供する。抗体は、当業者
に公知の方法を用いて、放射性ラベル、蛍光ラベル、酵素ラベル、フリーラジカ
ル・ラベル、アビジン−ビオチン・ラベル、又はバクテリオファージ・ラベルに
よって標識することができる(Chard, Laboratory Technique in Biology, “An
Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques”, North Hollan
d Publishing Company (1978))。
【0118】 典型的な蛍光ラベルとしては、フルオレセイン・イソチオシアネート、ローダ
ミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、及びフルオレ
スカミン、などがある。
【0119】 典型的な化学ルミネッセント化合物としては、ルミノール、イソルミノール、
芳香族アクリジニウム・エステル、イミダゾール、及びオキサレート・エステル
、などがある。
【0120】 典型的なバイオルミネッセント化合物としては、ルシフェリン、及びルシフェ
ラーゼがある。典型的な酵素としては、アルカリ・ホスファターゼ、B−ガラク
トシダーゼ、グルコース−6−ホスフェート デヒドロゲナーゼ、マレイン酸デ
ヒドロゲナーゼ、グルコース オキシダーゼ、及びペロキシダーゼ、などがある
【0121】 本発明のポリペプチドは、化学的に合成できる(例えば、Creighton, “Prote
ins: Structure and Molecular Principles,” W. H. Freeman & Co., NY, 1983
、を見よ)、又はもっと有利に、ここで述べるように組み換えDNA法によって
生成することができる。さらに詳しい指針として、当業者は、Ausubel et al.
(前出)、Sambrook et al. (“Molecular Cloning, A Laboratory Manual,”C
old Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)、そして特に化学
的合成の例として、Gait, M. J.Ed. (“Oligonucleotide Synthesis,” IRL Pr
ess, Oxford, 1984)を参照することができる。
【0122】 本発明はまた、MASP−3(及びそれをコードする遺伝子)と相互作用し、
それによってMASP−3の機能を変化させるポリペプチドを特徴とする。MA
SP−3と相互作用するポリペプチドは、当業者には公知の方法によって同定で
きる。適当な方法の一つはin vivo でのタンパク質相互作用を検出する“ツー・
ハイブリッド・システム”である(Chien et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA
, 88: 9578, 1991)。この方法を実行するためのキットがClontech (Palo Alto,
CA)から市販されている。 抗MASP−3抗体 ヒトMASP−3ポリペプチド(又は免疫原断片又は類似物)を用いて本発明
で有用な抗体を生成できる:このポリペプチドは組み換え法で生成するか、合成
することができる(例えば、“Solid Phase Peptide Synthesis,”前出;Ausube
l et al., 前出、を見よ)。一般に、ペプチドは、Ausubel et al., 前出、に記
述されているように、KLHなどのキャリア・タンパク質と結合させ、アジュバ
ントと混合して宿主哺乳類に注射することができる。また、キャリアはPPDを
用いることができよう。抗体は、ペプチド抗原アフィニティー・クロマトグラフ
ィーによって精製することができる。
【0123】 特に、いろいろな宿主動物をMASP−3タンパク質又はポリペプチドの注射
によって免疫することができる。宿主動物としては、ウサギ、マウス、モルモッ
ト、ラット、及びニワトリなどがある。免疫応答を増強するために用いることが
できるいろいろなアジュバントは、宿主の種に依存し、Freund のアジュバント
(完全及び不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラル・ゲル、表面活性物質
、例えばリゾレシチン、プルロニック ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、
オイル・エマルジョン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、及びジニトロ
フェノール、などがある。ヒトのアジュバントとして役立ちそうなものとして、
BCG(カルメット・ゲラン・ウシ型結核菌)及びCorynebacterium parvum な
どがある。免疫化は、MASP−3又はその一部をコードするDNAの注射によ
っても実行できる。ポリクローナル抗体は、免疫された動物の血清に含まれる抗
体分子の不均質な集団である。
【0124】 本発明は好ましくは、MASP−3ポリペプチド、又はMASP−3ポリペプ
チドの一部、又はこのようなポリペプチドをコードするDNAを、特許請求の範
囲の請求項1に従って、抗体を生成する目的で動物に投与することにより生成さ
れる抗体に関する。前記抗体がMASP−3と選択的に結合することが好ましい
【0125】 したがって、本発明の範囲内の抗体はポリクローナル抗体を含み、さらに、モ
ノクローナル抗体、ヒト(humanized)抗体又はキメラ抗体、単一鎖抗体、Fa
bフラグメント、F(ab’)2 フラグメント、及びFab発現ライブラリーを
用いて生成される分子、及びファージ・ディスプレー法によって生成される抗体
又はフラグメント、を含む。
【0126】 モノクローナル抗体は、ある特定抗原に対する抗体の均一な集団であるが、こ
れは上述のMASP−3タンパク質と標準的なハイブリドーマ・テクノロジーを
用いて調製できる(例えば、Kohler et al., Nature 256: 495, 1975; Kohler e
t al., Eur. J. Immunol. 6: 511, 1976; Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6:
292, 1976; Hammerling et al., “Monoclonal Antibodies and T Cell Hybrid
omas,” Elsevier, NY, 1981; Ausubel et al., 前出)。
【0127】 特に、モノクローナル抗体は、Kohler et al. Nature 256: 495, 1975、及び
米国特許第4,376,110号;ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kosbor et al
., Immunology Today 4: 72, 1983; Cole et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA
80: 2026,1983)、及びEBVハイブリドーマ法(Cole et al., “Monoclonal
Antibodies and Cancer Therapy,” Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96, 1983)、
に記述されているような、培養された連続細胞ラインによる抗体分子の生産を可
能にするいずれかの方法によって得られる。このような抗体は、IgG、IgM
、IgE、IgA、IgD、の免疫グロブリンのどのクラス及びそのサブクラス
のものであってもよい。(ニワトリの場合、免疫グロブリンのクラスはIgYで
あってもよい。)本発明のmAbを生成するハイブリドーマはin vitro でもin
vivo でも培養できる。in vivo で 高い力価のmAbを生成できるために、今の
ところこれが好ましい生産方法になっているが、ガン細胞を生きた動物に導入す
ることを避けるために、場合によっては、例えば、acitis fluidからの正常な免
疫グロブリンの存在が望ましくない場合、あるいは倫理的な要因が関わっている
場合、in vitro生産の方が好ましくなるであろう。
【0128】 生成されると、ポリクローナル、又はモノクローナル、又はファージ由来抗体
は、ウエスタン・ブロッティング又は標準的な方法、例えば、Ausubel et al.,
前出、に記載されているようなもの、によるインムノプレシピテーション分析に
よって、特異的なMASP−3認識がテストされる。MASP−3を特異的に認
識して結合する抗体は本発明において有用である。例えば、そのような抗体は、
動物が産生するMASP−3のレベルをモニターするために(例えば、MASP
−3の量又は細胞内の場所を決定するために)免疫学的測定で利用できる。
【0129】 好ましくは、本発明の抗体は、MASP−3タンパク質の断片であって、高度
に保存される領域の外にあり、荷電残基などの規準によって抗原的であるように
思われる断片を用いて生成される。ある特定の例では、この断片はPCRの標準
的方法によって生成され、その後pGEX発現ベクターでクローニングされる(
Ausubel et al., 前出)。融合タンパク質は、E.coliで発現され、Ausube
l et al. 前出、に記述されているようなグルタチオン・アガロース・アフィニ
ティー・マトリックスを用いて精製される。
【0130】 場合によっては、抗血清のアフィニティー又は特異性が低いという問題が生じ
ないようにすることが望ましい。そのような状況では、核タンパク質に対して、
二つ又は三つの融合物(fusions)を生成して、各融合物を少なくとも二匹のウ
サギに注射する。抗血清は一連の注射、好ましくは少なくとも三回のブースター
注射を含む一連の注射によって、育成できる。
【0131】 抗血清はまた、組み換えMASP−3タンパク質又は対照タンパク質、例えば
、グルココルチコイド・レセプター、CAT、又はルシフェラーゼ、をインムノ
プレシピテートさせることができるかどうか、チェックされる。
【0132】 抗体は、例えば、診断測定の一部としてある生物学的サンプル中のMASP−
3の検出に用いることができる。抗体はまた、スクリーニング分析において、候
補化合物がMASP−3の発現又は局在化に及ぼす影響を測定するために用いる
ことができる。すなわち、抗体は、診断目的の検出可能なマーカーを含む化合物
と結合されることがある。このようなマーカー又hラベルは上述したようなもの
である。さらにこれらの抗体は、上述の遺伝子治療法と組み合わせて、例えば、
患者への導入に先立って正常及び/又は組み換えMASP−3発現細胞を評価す
るのに用いることができる。抗体はさらに、異常なMASP−3活性を抑制する
方法で利用できる。
【0133】 さらに、“キメラ抗体”の生成のために開発された方法(Morrison et al., P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851, 1984; Neuberger et al., Nature, 312
: 604, 1984; Takeda et al., Nature, 314: 452, 1984)、すなわち、適当な抗
原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子を適当な生物活性のヒト抗体分子からの
遺伝子とスプライスするという方法、を用いることができる。キメラ抗体は、い
ろいろな部分が異なる動物種から由来している分子、例えば、マウスのmAbか
ら由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有するもの、である。
【0134】 あるいはまた、単一鎖抗体の産生について記載された方法(米国特許第4,9
46,778号、4,946,778号、4,704,692号)を、MASP
−2タンパク質又はポリペプチドに対する抗体を生成するように適合させること
ができる。単一鎖抗体は、Fv領域の重鎖フラグメントと軽鎖フラグメントをア
ミノ酸ブリッジで連結して形成され、単一鎖ポリペプチドを生ずる。
【0135】 特定エピトープを認識して結合する抗体フラグメントは公知の方法で生成でき
る。例えば、このようなフラグメントは、抗体分子のペプシンによる消化で生成
されるF(ab’)2フラグメント及び F(ab’)2フラグメントのジスルフ
ァイド・ブリッジを還元して生成できるFabフラグメントを含むが、それだけ
に限定されない。あるいはまた、所望の特異性を有するモノクローナルFabフ
ラグメントヲ迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリーを構築
することもできる(Huse et al., Science, 246: 1275, 1989)。
【0136】 さらに、MASP−3に対する抗体を用いて、当業者には周知の方法によって
、MASP−3の一部と似ている抗イデオタイプ抗体を生成することができる(
例えば、Greenspan et al., FASEB J. 7:437, 1993; Nissinoff, J. Immunol. 1
47: 2429, 1991, を見よ)。例えば、MASP−3と結合しMASP−3のリガ
ンドの結合を競合的に阻害する抗体を用いて、MASP−3のリガンド結合ドメ
インに似た抗イデオタイプ抗体を生成し、MBLなどのMASP−3のリガンド
に結合してそれを中和することができる。このような中和する抗イデオタイプ抗
体又はそのような抗イデオタイプ抗体のFabフラグメントを治療養生で用いる
ことができる。
【0137】 抗体は当業者に公知の方法でヒト型化できる。例えば、所望の結合特異性を有
するモノクローナル抗体は商業的にヒト型化できる(Scotgene, Scotland; Oxfo
rd Molecular, Palo Alto, CA)。完全にヒト型の抗体、例えば、遺伝子導入動
物で発現されるもの、も本発明の特徴である(Green et al., Nature Genetics
7: 13-21, 1994; また米国特許第5,545,806号及び5,569,825
号を見よ、これらは両方とも参照によって本明細書に取り入れられる)。
【0138】 ここで述べられる抗MASP−3抗体を用いる方法は、例えば、ここで述べた
ような少なくとも一つの特異的MASP−3ヌクレオチド配列又は抗体試薬を含
む、予めパッケージされた診断キットを用いて実行することができ、それを例え
ば臨床的な状況で使用して、下で述べるような病気の症候を示す患者を診断する
ことができる。 MASP−3の定量的測定 一例としてだけであるが、体液や器官(生検)抽出物のMASP−3濃度を測
定するための定量的測定法を考案できる。このような測定は、流体相又は固体相
で行われる。例としては競合的及び非競合的ELISAsがある。後者の例とし
て、マイクロタイタ・ウエルを抗MASP−3抗体でコーティングし、サンプル
と共にインキュベートして、MASP−3の存在を酵素標識された抗体とそれに
続く着色化合物に結合する基質で目に見えるようにする。あるいはまた、ユーロ
ピウムなどのラベルを用い、検出は時間分解蛍光測定で行ってもよい。 MASP−3抗原の分析 MASP−3タンパク質は、標準的な免疫学の手順の一つを用いて抗原として
好適に推定される。すなわち、本発明は、生物学的サンプルにおけるマンナン結
合レクチン関連セリンプロテアーゼ−3(MASP−3)を検出する方法に関し
、上記方法は: (a)生物学的サンプルを得るステップ; (b)上記サンプルにMASP−3と特異的に結合するMASP−3ポリペプ
チド特異的結合パートナーを接触させるステップ;及び (c)上記複合体を、もしあれば、上記サンプル中のマンナン結合レクチン関
連セリンプロテアーゼ−3の存在の証左として検出するステップ; を含む。
【0139】 結合パートナーは、MASP−3に選択的に結合することができ、かつ検出可
能なラベルによる標識などによって検出できるどんな分子であってもよい。特異
的結合パートナーは、したがって、ここで述べるような抗体であっても、又はマ
ンナン結合レクチン(MBL)、特にMBL/MASP−2複合体、であっても
よい。
【0140】 ほんの一例として、MASP−3に関する定量的TRIFMA(時間分解免疫
蛍光測定法)が次のように組み立てられた、1)マイクロタイタ・ウエルを1g
の抗MASP−3抗体でコーティングする;2)Tween−20(商標)でブ
ロックする;3)テスト・サンプルを、例えば、希釈された血漿又は血清サンプ
ルを加える;4)Eu標識された抗MASP−3抗体を加える;5)エンハンサ
ー溶液を加える(Wallac Ltd);6)時間分解蛍光光度計でEuを読み取る。(
ELISAによる推定は、同様に、例えば、ステップ4ではビオチン標識された
抗MASP−3を用い;ステップ5ではアルカリ ホスファターゼ標識されたア
ビジンを用い;6)基質を加え;7)色の強度を読み取る、ことによって行うこ
とができる。)ステップ6と7の間を除き、各ステップの間でプレートは室温で
インキュベートされ洗浄された。校正カーブは、mlあたり1単位のMASP−
3を含むと恣意的に称するプールされた正常な血漿の希釈物を用いて構築するこ
とができる。
【0141】 分析は、天然又は組み換えのMASP−3、及びその部分、と反応する抗体、
ポリクローナル又はモノクローナル又は組み換え抗体、を用いて同様に組み立て
ることができる。
【0142】 無傷のMASP−3又は活性化産物と選択的に反応する抗体を用いて、又は分
子のいろいろな部分に対する抗体の組み合わせによって、MBレクチン経路のin
vivoでの活性化を推定するための分析を組み立てることができる。これらの分
析は、この経路の活性化によって生ずる炎症の判定に有用であろう。
【0143】 MASP−3の、単独での又はMBL/MASP複合体の一部としての機能的
活性の分析はいくつかの方法によって行うことができる。MBL/MASP−2
複合体のC4開裂(cleaving)作用を抑制するMASP−3の活性は、MASP
−3を検出する次の方法によって分析できる。この方法はMASP−3活性を分
析するものであって: − 所定の量のMBL/MASP−2複合体を含むサンプルを固体相に加えて結
合した複合体を得るステップ、 − 結合した複合体に所定の量のMASP−3を加えるステップ、 − 複合体に少なくとも一つの補体因子を加えるステップ、 − 開裂した補体因子の量を検出するステップ、 − 開裂した補体因子の量とMASP−3の量を関連づけるステップ、及び − MASP−3の活性を決定するステップ。
【0144】 この分析をいろいろな濃度のMASP−3で行って校正カーブを得ることがで
きる。
【0145】 この分析をサンプル、例えば血清サンプル、におけるMASP−3の機能分析
として利用するために、方法は: − 所定の量のMBL/MASP−2複合体を含むサンプルを固体相に加えて結
合した複合体を得るステップ、 − サンプルを結合した複合体に加えるステップ、 − 複合体に少なくとも一つの補体因子を加えるステップ、 − 開裂した補体因子の量を検出するステップ、 − 開裂した補体因子の量とサンプル中のMASP−3の活性に関連づけるステ
ップ、 を含む。
【0146】 この際、関連づけは上述のような標準校正カーブに関連して行われる。
【0147】 固体相は、MBLと結合できるどんなコーティング、例えばマンナン・コーテ
ィング、でもよい。
【0148】 本発明の方法で好適に用いられる補体因子はMBL/MASP−2複合体で開
裂可能な補体因子、例えばC4、である。しかし、補体因子はC3及びC5から
選択することもできる。
【0149】 開裂された補体因子はいろいろな手段で検出できる、例えば開裂された補体因
子に向けられた抗体によって検出できる。
【0150】 以下では、MASP−3の活性のテストの一例が示されるが、そこではテスト
・サンプルがマンナン・コーティングされたマイクロウエルに加えられ、C4を
加えてC4開裂活性を推定するか、又はC3を加えて生成されたC3コンベルタ
ーゼのC3開裂活性を推定する。MBL/MASP複合体の部分として現れない
MASP−3の分析も同様にして行われるが、MBLはマイクロウエルに加えら
れるか、又はサンプルに加えられた後それがマンナン・コーティングされたウエ
ルに加えられる。MBL/MASP−2複合体を加える前に、サンプルは、固相
マンナンによる、例えばビーズに付着させた固相マンナンによる処理、又は固相
抗MBL抗体による処理、又は複合体を沈澱させるがMASP−3を上澄みに残
す適当な濃度の沈澱剤、例えばPEG、による処理によって、MBL、及びMB
L/MASP−1、MBL/MASP−2、MBL/MASP−3複合体を除去
される。分析は古典的補体活性化経路及び代替補体活性化経路からの妨害を最小
にする又は排除する条件で行われる。
【0151】 古典的補体経路の活性化は分析のアーチファクトを減らすために阻害すること
が好ましい。この阻害は、分析を高いイオン強度で実行することによって、例え
ば塩濃度が、0.3M〜10Mという範囲、例えば0.5M〜5Mという範囲、
例えば0.7M〜2Mという範囲、例えば0.9M〜2Mという範囲、例えば約
1.0M、であるイオン強度で実行することによって行うのが好ましい。用いる
塩は、分析に適したどんな一つ以上の塩であってもよく、例えばNaCl、KC
l、MgCl2、CaCl2、NaI、KCl、MgI2、CaI2、NaBr、K
Br、MgBr2、CaBr2、Na223、(NH42SO4、及びNH4HC
3、から選択される塩であってよい。
【0152】 代替経路の阻害は、サンプルを少なくとも5倍、例えば少なくとも10倍、例
えば少なくとも20倍以上、希釈した後に分析を実行することによって行うこと
ができる。 MBL/MASP複合体のMASP−3活性の分析 MASP−3は補体系を活性化又は不活性化する能力によって推定できる。C
4がMBL/MASPによって開裂される場合、活性チオール・エステルが露出
してC4は近くの求核グループに共有結合で付着するようになる。こうしてC4
bの相当な部分がコーティングされたプラスチック・ウエルに付着するようにな
って、抗C4抗体によって検出される。MASP−3の活性に関する定量的TR
IFMAは次のように構築された、1)100lの緩衝液中1gのマンナンによ
ってマイクロタイタ・ウエルをコーティングする;2)Tween−20(商標
)によってブロックする;3)MBL/MASP−2複合体を所定の量で加える
;テスト・サンプル、例えば希釈された血漿又は血清サンプル、を加える;5)
精製された補体因子C4を5g/mlで加える;6)1時間37℃でインキュベ
ートする;7)Eu−ラベルされた抗C4抗体を加える;8)エンハンサー溶液
を加える;9)時間分解蛍光高度測定によってEuを読み取る。(ELISAに
よる推定も同様に実行できる、例えば、ステップ7でビオチン・ラベルされた抗
C4を加え;8)アルカリホスファターゼ・ラベルされたアビジンを加える;9
)基質を加える;10)色強度を読み取る、ことによって実行できる)。ステッ
プ8と9の間を除き、各ステップの間でプレートは室温でインキュベートされて
洗浄される。校正カーブは、選ばれたある正常な血漿を恣意的に1mlあたり1
単位のMASP−3活性を含むものとして、それを希釈したものを用いて構築す
ることができる。分析は、古典的又は代替補体活性化経路によるC4の活性化を
排除するような条件で実行することが好ましい。C4の活性化は、セリンプロテ
アーゼ阻害物質であるベンザミジンによって完全に阻害された。古典的経路の活
性化は、十分に高いイオン強度(0.7〜2.0MのNaCl;好ましくは約1
.0MのNaCl)の存在下でステップ3)を実行することによって効果的に排
除される、これはMBL/MASP複合体を妨害しないが、C1qrs複合体を
完全に破壊する;代替経路の活性化は上述のように希釈して分析することによっ
て効果的に排除される。
【0153】 分析をMASP−3の存在下で行ったときには、MASP−3の不在下で行っ
たときに比べてC4bの量が少なくなり、MASP−3がMBL/MASP−2
複合体の補体活性化の阻害物質であることが示される。 自由なMASP−3の活性を推定する分析 MBL欠乏の人からのサンプルにおけるMASP−3活性の推定は、MBL/
MASP−2複合体でコーティングされたウエルで行われる。MBLを有する人
からのサンプルにおける自由なMASP−3の推定は、最初にSepharos
e結合マンナンと共にインキュベートすることによって(10倍に希釈された血
漿又は血清300lが10lのビーズと共にインキュベートされる)MBL/M
ASP−1及びMBL/MASP−2及びMBL/MASP−3複合体を除去し
、その後で上澄みを分析することによって行われる。
【0154】 分析は、上述したように行っても、又は以下の分析のように行ってもよい。
【0155】 TRIFMAフォーマトで行われる分析は次のように進行する:1)100l
緩衝液中1gのマンナンでマイクロタイタ・ウエルをコーティングする;2)T
ween−20でブロックする;3)100ngのMASPを含まないMBL/
mlの緩衝液で1000倍に希釈されたサンプルをインキュベートし、ウエルあ
たり100lの混合物を加える;4)洗浄して、精製された補体因子C4を5g
/mlで加える;5)37℃で1時間インキュベートする;6)Eu−ラベルさ
れた抗C4抗体を加える;7)エンハンサー溶液を加える;及び8)時間分解蛍
光光度測定によってEuを読み取る。(ELISAによる推定も同様に行うこと
ができる、例えば、ステップ6ではビオチン−ラベルされた抗C4を加え;7)
アルカリホスファターゼ−ラベルされたアビジンを加える;8)基質を加える;
そして9)色強度を読み取る;というように行うことができる。)ステップ7と
8の間を除き、各ステップの間でプレートは洗浄された。校正カーブは、選ばれ
たあるMBL欠乏血漿を恣意的に1mlあたり1単位のMASP−3活性を含む
ものとして、それを希釈したものを用いて構築することができる。分析は、古典
的又は代替補体活性化経路によるC4の活性化を排除するような条件で実行され
る(上を見よ)。
【0156】 MASP−3の活性又はMASP−3の量を推定する分析は、人々からのサン
プル、とりわけ感染又は炎症疾患で苦しんでいる人からのサンプル、における診
断及び治療の目的に使用できる。 MASP−3の機能 MASP−1及びMASP−2に関して示されているように18,19、これらの
プロテアーゼのうちほんの小さな割合だけしか血清中のMBLと関わっていない
ということをはっきり認識することが重要である。血清からMBL複合体を除去
して残りのMASP−3を分析することによって、同じことがこのタンパク質に
ついても当てはまると言うことが見出された。
【0157】 MASP−3は、特にMBL/MASP−2複合体に結合すると、補体活性化
に対して抑制的な効果を及ぼすと考えられる。
【0158】 さらに、血清中でMASP−3のうちほんの小さな割合だけしかMBLに結合
していないので、MASP−3はまた、例えば、直接又は他のタンパク質と結合
して、例えばMBL/MASP−3複合体を形成することによって、補体活性化
に刺激的な効果も及ぼすと考えられる。 治療のためのMASP−3 特許請求の範囲に示されている成分の治療的利用は、人が体質的又は一時的な
MASP−3の欠乏によって一つ以上の感染にかかりやすくなっている状況、又
は人が感染してしまった後それを中和できない状況、に適用できる。そのような
人の免疫防御を改善するために、MASP−3又はMBL/MASP−3複合体
を、好ましくは静脈注入によって、投与することができる。
【0159】 理論によっては拘束されないが、MASP−3はMBL/MASP複合体の強
力な抗菌作用のために必要であり、したがって、MASP−3の欠乏は、遺伝的
に決定されたものであれ後天的なものであれ、感染に対する個人の抵抗力及び生
じた感染と闘う能力を弱めるであろう。このような状況で、天然又は組み換えM
ASP−3による再形成は有効な治療形態である。組み換えMASP−3は、分
子全体、又は分子の部分、又は活性を変更するためにその全体又は一部を何らか
の手段によって別の構造に付着させたもの、という形態をとることができる。組
み換え産物は天然の分子と構造が同一であることも、又は希望に応じて活性を増
強又は減少させるように少し修飾されることもある。 刺激 ある実施の形態では、MASP−3は補体活性化に、例えば補体系の直接活性
化によって又はMBLに結合することによって、刺激的な効果を有する。
【0160】 天然又は組み換えのMBLによる再形成治療は、受け手がMBL/MASP活
性の発現に十分なMASP−3を有することを必要とする。したがって、患者の
MASP−3活性が不十分である場合、MASP−3を治療調製物に含めなけれ
ばならない。
【0161】 人の免疫防御を改善するための機能的なMASP−3又はMBL/MASP−
3複合体又はその機能的な誘導体又は変異体の投与、例えば、静脈内注入による
投与は、本発明に係わるテラピーによる治療の好ましい一方法である。しかし、
他の治療方法として、例えば、ヒト及び動物の免疫系及び生殖系の治療処置及び
/又は予防法もある。
【0162】 治療される症状は、現在知られている治療の必要がある状態に限定されない。
症状は、一般に、現在の及び/又は予期されるニーズに関連する又は正常な状態
の改善に関連するどんな状態も含む。特に、治療とは、MBLの欠損の症状の治
療である。本発明の別の様態では、例えば、ヒトの免疫系及び生殖系及びヒトに
おけるものと同様に作用する上記機能ユニットを有する動物の免疫系及び生殖系
の、疾病及び障害の状態の治癒及び/又は予防を含む治療を意図した機能的なM
ASP−3又はMBL/MASP−3複合体又はその機能的変異体を含む製薬組
成物から成る薬剤の製造方法が提供される。
【0163】 本発明の化合物による治療を必要とする上記疾病、障害、及び/又は状態は、
例えば、MBL欠損の状態の治療、癌及び免疫抑制的化学療法に関連した感染、
特に癌治療の際の症状又は器官の埋込及び/又は移植に関連して見られる感染、
の治療を含む。本発明はまた、再発する流産に関連した状態の治療も含む。
【0164】 したがって、特にMASP−3又はその機能的な変異体を含む製薬組成物は、
以下のものから選択される臨床的状態の治療及び/又は予防に用いられる、すな
わち、感染、MBL欠損、癌、化学療法に関連した障害例えば感染など、ヒト免
疫不全ウイルス(HIV)に関連した疾病、先天性又は後天性免疫不全に関連し
た疾病、などである。さらに具体的には、慢性炎症脱髄多発神経障害(CIDP
)、多病巣性運動神経障害、多発硬化症、重症筋無力症、イートン・ランバート
症候群、視神経炎、てんかん;原発性抗ホスフォリピッド症候群;リウマチ様関
節炎、全身性エリテマトーデス、全身性硬皮症、脈管炎、ウエグナー肉芽腫症、
シェーグレン症候群、若年性リウマチ様関節炎、自己免疫好中球減少症自己免疫
性溶血性貧血、好中球減少症、クローン病、潰瘍性大腸炎、小児脂肪便症、喘息
、敗血症ショック症候群、慢性疲労症候群、乾せん、中毒性ショック症候群、糖
尿病、静脈洞炎、拡張心筋症、心内膜炎、アテローム性動脈硬化症、原発性低/
ガンマグロブリン欠乏症、例えば、分類不能型免疫不全症、サーブ・コンバイン
ド免疫不全症(SCID)、慢性リンパ性白血病(CLL)及び多発性骨髄腫の
患者における二次低/ガンマグロブリン欠乏症、急性及び慢性特発性血小板減少
性紫斑病(ITP)、同種異系骨髄移植(BTM)、川崎病、及びギラン・バレ
ー症候群、である。
【0165】 特に、先天性又は後天性MBL欠損に関連した臨床的症状を有する又はそのよ
うな症状を発現する危険がある患者の乾線を予防及び/又は治療するために投与
できる。非常にいろいろな状況が、例えば、化学療法又はその他の治療目的の細
胞毒性処置、癌、AIDS、遺伝的体質、慢性的感染、及び好中球減少症、など
が、MBL欠損の人の感染し易さを増大させる。
【0166】 感染は、バクテリアやウイルスを含む何らかの病原体又は寄生体によって引き
起こされる。治療は、局所的な感染、例えば髄膜の感染、に向けられることもあ
り、治療しない場合は生命の危険にもなる可能性がある急性の全身性感染と闘う
ことに向けられることもある。炎症状態が自己免疫性の症状から生ずることもあ
る。
【0167】 別の実施の形態では、MASP−3は補体の活性化に、特にC4の活性化に対
して、抑制効果を及ぼす。哺乳類の発現システムで生成された組み換えタンパク
質を用いて行われたMASP−3の生物学的活性の検討から、天然のMBL複合
体によるC4活性化に対するrMASP−3の顕著な抑制的活性が明らかにされ
た(図9a)。rMBL−rMASP−2複合体の活性もrMASP−3によっ
て抑制された(図9b)。
【0168】 したがって、MBL経路を阻害することによって補体活性化を抑制する方法が
提供され、この方法は、効果的な量のMASP−3又はその機能的な変異体を、
補体のダウン・レギュレーション及び/又は補体の阻害を必要とする人に投与す
るステップを含む。
【0169】 本発明のある好ましい実施の形態では、MBL経路を阻害することによってC
4補体の活性化を抑制する方法が提供され、この方法は、C4のダウン・レギュ
レーション及び/又はC4の阻害を必要とする人に効果的な量のMASP−3又
はその機能的な変異体を投与するステップを含む。
【0170】 また、MASP−2の活性を抑制する方法も提供され、この方法は、MASP
−2のダウン・レギュレーション及び/又はMASP−2の阻害を必要とする人
に効果的な量のMASP−3又はその機能的な変異体を投与するステップを含む
。現在のところ好ましいある実施の形態では、MASP−3はMBLとのMAS
P−2複合体を阻害することができる。
【0171】 このように、人の炎症状態、特にMBL/MASP複合体による補体活性化に
関連した状態、を抑制又は治療する方法が提供され、この方法は炎症の治療を必
要とする人に効果的な量のMASP−3又はその機能的な変異体を投与するステ
ップを含む。炎症状態は、例えば、リウマチ様関節炎又は全身性エリテマトーデ
スなど、慢性的であることもあり、又は炎症状態は急性炎症状態であることもあ
る。本発明による治療は、これらの実施の形態の一つでは、炎症状態が急性の心
筋梗塞又は脳虚血の後の自己免疫状態から生ずるような再酸素化された虚血組織
の治療に向けられる。
【0172】 さらに別の実施の形態では、アンバランスなサイトカイン・ネットワークから
生ずる障害、例えば、バクテリアのリポ多糖に対する望ましくないTNF応答に
関わる又はそれから生ずる障害、で苦しむ人を治療する方法が提供され、この方
法はそれを必要とする人に効果的な量のMASP−3又はその機能的な変異体を
投与するステップを含む。
【0173】 投与のルートは、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、あるいは皮内投与など
、適当などんなルートであってもよい。また、本発明では肺への投与又は局所投
与も考えられる。 臨床目的でのMASP−3の利用 本発明によるポリペプチドは、いろいろな臨床目的に、例えば製薬組成物とし
ての投与などに用いられる。すなわち、ある様態で本発明は、本発明によるポリ
ペプチドの利用、又はここで定義された化合物の製薬組成物の調製のための利用
に関する。
【0174】 製薬組成物は非経口的に、例えば筋肉内に、静脈内に、又は皮下的に投与でき
るか、又は経口的に投与できることが好ましい。
【0175】 MASP−3によるテラピー(治療)に関して上述したように、製薬組成物は
非常に多様な疾病や状態に、例えば、MASP−3欠損の治療、又はMBL/M
ASP複合体の抑制に、使用できる。 MASP−3の分析 MASP−3(又はMASP−3阻害因子)によるテラピーに先だって、通常
、患者からの血清又は血漿中のMASP−3の推定が行われなければならない。
そのような分析の例は以下で記述される。 MASP−3活性の阻害 MASP−3の生物学的活性の阻害物質を用いて、MASP−3の補体活性化
作用及び炎症活性をコントロールしたり、MASP−3の阻害効果を中和してM
BL/MASP複合体の活性を全体として高めることができる。そのような阻害
物質は、MASP−3の酵素活性の標的構造を表す基質類似体であってもよい。
阻害物質は、MASP−3の活性を競合的又は非競合的に阻害するペプチドの性
質をもつもの、修飾されたペプチド、又は何らかの有機分子、であってもよい。
阻害物質は、循環中に短時間又は長時間とどまるように修飾し、注射または経口
的に与えることができるように構成することができる。阻害物質は、天然又は組
み換えMASP−3から化学的な又は酵素的な手段によって生成されるMASP
−3の断片であってもよい。阻害物質は、天然に見られるMASP−3の短縮さ
れた形態であってもよい。阻害物質は、MASP−3の突然変異形態であっても
よい。阻害物質は、可溶な形であっても、固相に結合していてもよい。固相は、
体外血液又は血漿流動装置で用いられているような共用可能な表面であってもよ
い。
【0176】 MASP−3の活性は、MBLとMASP−3の複合体形成を阻害することが
できる化合物によって阻害できる。この化合物は、MASP−3の効果を示すこ
となくMBL/MASP−2複合体と結合できるどんな化合物であってもよい。
したがって、この化合物はここに定義されたようなポリペプチド又はMBLと結
合できるその断片を含むことができる。
【0177】 別の実施の形態では、この化合物は、ここに定義されたようなMASP−3と
結合してMASP−3の活性を阻害することができる抗体である、又はそのよう
な抗体を含む。
【0178】 また、この化合物は、MBLとMASP−3の複合体形成を妨げ、それによっ
てMASP−3の活性を阻害することができるものであってもよい。
【0179】 微生物の糖質又は内生的なオリゴ糖が、MBL/MASP複合体の望ましくな
い活性化を誘発して損傷的な炎症応答を生ずることがある。この病理生理的な活
性は、PefablocなどのMASP−3活性の阻害物質を投与することによって抑え
ることができる。また、他の酵素阻害物質も(C1阻害物質、2−マクログロブ
リン、トラジロール(アプロチニン)、PMSF、ベンザミジン、等)、MAS
P−3活性をTRIFMAで分析したとき、効果的であると分かった。明らかに
、in vivo で用いる阻害物質を設計するときには毒性が重要な考慮事項になり、
高度に特異的な阻害物質は広く反応する阻害物質よりも毒性が弱いと考えること
ができる。特異的な阻害物質は、標的構造を表すペプチド、ペプチド類似体、又
はペプチド誘導体、を用いて生成することができる。別のタイプの阻害物質とし
て、MASP−3の活性部位又はMASP−3上の他の構造に対する抗体(又は
抗体の断片)に基づいて、MASP−3の活性を阻害するものがある。別のタイ
プの阻害物質として、MASP−3のMBLとの結合を妨げてMASP−3の活
性化を阻害するものがある。MASP−3のドレイン(drain)断片がこのタイ
プの適当な阻害物質である。もっと具体的に、MASP−3とMBLの結合を媒
介するポリペプチド鎖の正確な部分を見つけて、合成ペプチド又は類似構造を阻
害物質として用いることができる。阻害物質は、L−アミノ酸をD−アミノ酸で
置換したものであってもよい。
【0180】 また、阻害物質は、MASP−3又はその断片をMASP−3と結合できる選
択分子として用いてSELEX(指数的濃縮によるリガンドのシステミック展開
)によって単離されたRNA又は一本鎖DNAであってもよい。MASP−3の
活性を阻害する別の方法は、MASP−3アンチセンス核酸配列など、MASP
−3の発現を阻害する化合物を被験者に投与することによるものである。
【0181】 MASP−3の活性は、また、MASP−3の酵素前駆体形態から活性化され
たMASP−3への転換をコントロールすることによって制御することができる
。 製薬組成物 本発明による製薬組成物は、この発明による一つ以上のポリペプチド又は化合
物を含み、オプションとしてさらに製薬的に許容されるキャリア(担体)を含む
【0182】 本発明の方法に従って、この組成物は、時間的にゆっくりした注入による注射
、又は他の医学的に許容される仕方で投与することができる。投与は、例えば、
静脈内、腹腔内、筋肉内、イントラキャビティー(intracavity)、皮下又は皮
内、である。非経口投与のための調製物としては、無菌水性又は非水性溶液、懸
濁物及びエマルジョン、などがある。非水性溶媒の例としては、プロピレン・グ
リコール、ポリエチレン・グリコール、オリーブ油などの植物油、エチルオリエ
ートなどの注射できる有機エステル、がある。水性のキャリアとしては、水、ア
ルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液、食塩水及び緩衝液、などがある。
【0183】 非経口投与のための溶剤としては、塩化ナトリウム溶液、リンガー・ブドウ糖
溶液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、又は固定油、があげら
れる。静脈内投与の溶剤としては、体液及び栄養補液、電解質補液、(リンガー
・ブドウ糖溶液に基づくものなど)等がある。保存剤や添加剤、例えば、抗菌剤
,抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス、など、も含まれることがある。当業
者であればこれらのいろいろな代替製薬組成物を調製するためのパラメータをあ
まり実験してみることなく決定できるであろう。本発明の組成物を肺の障害の治
療のために投与する場合、組成物は例えばエアロゾルによって送達することもで
きる。
【0184】 本発明の組成物は、治療に効果的な量で投与される。本明細書で用いる場合、
本発明のポリペプチドや化合物の“効果的な量”とは、所望の関連した補体活性
化又は中和を行うのに十分な用量である。効果的な量は、MBLに関連した症状
が改善又は減少するまで関連した細胞の傷害を抑制する所望の効果を生ずるに十
分なものである。好ましくは、効果的な量のポリペプチドとは、細胞の傷害を防
止するのに効果的な量である。
【0185】 一般に、治療に効果的な量は、被験者の年齢、状態、及び性別、ならびに被験
者の疾病の程度によって異なり、当業者ならそれを判定できる。合併症が生じた
場合、用量は個々の医師又は獣医師が調整することができる。治療に効果的な量
は、普通、約0.01mg/kgから約500mg/kgまで、例えば典型的に
は約0.1mg/kgから約200mg/kgまで、しばしば約0.2mg/k
gから約20mg/kgまで、であり、毎日一回以上の投与で、一日又は数日間
にわたる(もちろん投与の仕方及び上述の因子によるが)。
【0186】 当業者であれば、in vitro 分析でMASP−3濃度と関連した補体の活性化
をスクリーニングすることによって、ある化合物の効果的な量がどれほどである
か決定することができる。
【0187】 このポリペプチド及び化合物は生理的に許容されるキャリアによって投与する
ことができる。“生理的に許容される”という用語は、組織や生物などの生物シ
ステムと両立する無毒の物質を指す。生理的に許容されるキャリアは、in vivo
投与のためには無菌でなければならない。キャリアの特性は投与ルートによる。
キャリアの特性は投与ルートによる。 参照文献 1)Law, S. K. A. & Reid, K. B. M. Complement (補体)第2版 (Male,
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複合体(すなわち、レクチン及びレクチン関連タンパク質)が、マンナン−又は
マンノース−又はN−アセチルグルコサミン−誘導体化Sepharose又は
TSKビーズでアフィニティー・クロマトグラフィーによって精製された。プー
ルされたCPD血漿(2.5l)を、EDTA及び酵素阻害物質を含む緩衝液で
希釈して、Sepharose2BCL及びマンナンSepharoseを通過
させた。トロンビン阻害物質、PPACK(D−フェニルアラニル−プロリル−
アルギニル−クロロメチル ケトン)とCaCl2が加えられた。プールをSe
pharose2B−CL及びマンナンSepharoseを通過させて、カル
シウム依存的にマンナンSepharoseに結合するタンパク質をEDTA含
有緩衝液に溶出させた。溶出物は再カルシウム化し、GlcNAcSephar
oseカラムを通して、上記のように溶出させて20mlの“レクチン試料”を
得た。
【0189】 このタンパク質試料は、SDS−PAGE及びPVDF膜へのブロッティング
によって分析された。ウシのレクチン調製物に対して作り出された31ニワトリ抗
体によるブロットの現像で、52kDaのMASP−2のA鎖、ならびに32k
DaのMBLが明らかになった。さらに48kDaのバンドがCoomassie Brilli
ant Blue による非特異的タンパク質染色で明らかになった。この48kDaの
バンドについてNH2−末端アミノ酸配列分析が行われた。得られた配列(図4
)は、すでに記述されたMASPsのセリンプロテアーゼ領域(B鎖)の配列に
対する類似性を示した。19のNH2−末端アミノ酸配列を表す合成ペプチドに
対して作り出された抗体(抗−pMASP−3抗血清)はこの48kDaの分子
を認識した(図1、レーン1)。この抗−pMASP−3抗血清を用いて、非還
元条件の下で110kDaのポリペプチドが検出され(図1、レーン2)、鎖内
部のジスルファイド結合の存在が示唆された。 実施例2: MASP−3に対する抗体の調製 BCG(Bacillus Calmette Guerin ワクチン)で初回免疫された動物を、P
PD(ツベルクリン精製タンパク質誘導体)に結合された合成ペプチドで免疫し
た。抗−pMASP−3と名づけられた抗体は、48kDaのMASP−3バン
ドのさいしょの20のアミノ酸(IIGGRNAEPGLFPWQALIVV)
に対応するペプチドで免疫されたウサギからのものであった。全てのペプチドは
結合のためにさらにC−末端のシステインを有していた。モノクローナル抗MB
Lm抗体、IgG1−カッパ(クローン131−1)、及び対照IgG1−カッパ
(クローンMOPC21)がプロテインAアフィニティー・クロマトグラフィー
によって精製された。ウエスタン・ブロッティングの染色のために、抗体が1g
/mlで用いられた。結合したウサギ抗体はペルオキシダーゼ標識されたヤギ抗
ウサギIgGとそれに続く増強化学ルミネッセンス法によって視覚化された。 実施例3: MBL/MASP複合体 2マイクログラムのMASP除去されたMBLが、1mlのMBL欠乏血清に
加えられ、その後100マイクロリットルのマンノース−TSKビーズが加えら
れた。また、1mlのMBL欠乏血清が100マイクロリットルのマンノース−
TSKビーズと共にインキュベートされた。一晩4℃でインキュベートされた後
、ビーズはカルシウムを含む緩衝液で洗浄され、その後10mMのEDTAを含
むTBS(20mMのTris、145mMのNaClを含むtris緩衝食塩
水)で2倍に希釈されたSDS−PAGE緩衝液から成る溶出緩衝液がビーズに
加えられた。溶出されたタンパク質は、還元条件と非還元条件の両方でSDS−
PAGEウエスタン・ブロッティングが行われた。ウエスタン・ブロットは、ラ
ット抗pMASP−3抗体とそれに続くHRP標識抗ラットIgG抗体によって
現像された。MASP−3は、MASPを含まないMBLが加えられたMBL欠
乏血清と共にインキュベートされたビーズからの溶出物にだけ存在し、MBL欠
乏血清だけと共にインキュベートされたビーズからの溶出物には存在しないこと
が見出された(図2)。
【0190】 レクチン試料(上の実施例1で記述したもの)が、モノクローナル抗MBL抗
体、モノクローナル抗MASP−1抗体、でコーティングされたマイクロタイタ
・ウエル、又はネガティブ対照として、同じサブクラスの不特定モノクローナル
免疫グロブリンでコーティングされたウエルでインキュベートされた。レクチン
試料は、カルシウムを含む緩衝液とEDTAを含む緩衝液の両方で希釈された。
抗体によって捕獲されたタンパク質は、溶出されて非還元条件の下でSDS−P
AGE/ウエスタン・ブロッティングで分析された。ブロットは抗pMASP−
3抗体で現像された。結果(図3)は、抗MBL抗体がMBLと結合するほかに
MASP−3を捕獲するが、モノクローナル抗MASP−1はそうならないこと
を示している。レーン1は分画されないレクチン試料を表す。レーン2と3は、
ナンセンスIgGでコーティングされレクチン試料と共にインキュベートされた
ウエルからの溶出物を表し(レーン2はカルシウムの存在下で、レーン3はED
TAの存在下で)、レーン4と5は、モノクローナル抗MASP−1抗体でコー
ティングされレクチン試料と共にインキュベートされたウエルからの溶出物を表
し(レーン4はカルシウムの存在下で、レーン5はEDTAの存在下で)、レー
ン6と7は、モノクローナル抗MBL抗体でコーティングされレクチン試料と共
にインキュベートされたウエルからの溶出物を表す(レーン6はカルシウムの存
在下で、レーン7はEDTAの存在下で)。110kDaのMASP−3バンド
の位置が図に示されている。
【0191】 この実験はMASP−3が抗MBL抗体でコーティングされたウエルからの溶
出物にのみ見出され,抗MASP−1又はナンセンスIgGでコーティングされ
たウエルからの溶出物には見出されないことを示している。したがって、MAS
P−3はMBLと関連し、MASP−1とははるかに少なくしか、又は全く関連
していないことを明らかにしている。さらに、MBLとMASP−3の関連はカ
ルシウム依存的であることが見出される。 実施例4: 48kDaポリペプチドのN−末端の、及びペプチドのアミノ酸配
列 レクチン試料は濃縮され、SDS−PAGEで処理され、PVDF膜に移され
た。ブロットはCoomassie Brilliant Blueで染色された。Coomasie-染色された
48kDaバンドに対応するバンドが切り取られ、Applied Biosystems のタン
パク質配列決定装置で調べられた。抗pMASP−3抗体を生成した後、この抗
pMASP−3抗体を用いて同様なウエスタン・ブロッティングが行われた。こ
の抗体で視覚化された48kDaバンドのタンパク質のNH2末端の配列が決定
され、これは上記のcoomasie染色された48kDaバンドで得られたものと同一
であった。Coomasie染色されたSDS−PAGEゲルからの48kDaバンドの
タンパク質をトリプシンで消化してペプチドが調製された。このペプチドを逆相
(reverse phase)クロマトグラフィーによって分画し、主なピークのペプチド
の配列決定を行った。得られた配列が図4に示されている。 実施例5: MASP−3のクローニングと配列決定 肝臓は、C1r、C1s、MASP−1、及びMASP−2の合成の主たる部
位である。したがって、肝臓RNAから調製されたcDNAが、得られたペプチ
ド配列から導出されたプライマーによるPCRでテンプレートとして用いられた
。PCRは、アミノ酸配列WQALIVVE及びEHVTVYLから得られた退
化プライマーを用いてこのcDNAで行われた。得られたPCR産物は、E.c
oli プラスミドpCRIIにTA−クローニング・キット(InVitrogen)を
用いてクローニングし、挿入したもののヌクレオチド配列が決定された。
【0192】 得られたPCR産物のヌクレオチド配列は、導出されたアミノ酸配列を有する
オープン・リーディング・フレーム(ORF)を含み、プライマーが得られたペ
プチドの配列が確認されると共に配列決定された別のペプチドの配列が確認され
た。cDNAのヌクレオチド配列が翻訳されたアミノ酸配列と共に図5に示され
ている。 実施例6: MASP−3と、MASP−1、MASP−2、C1r及びC1s
との比較 図5のアミノ酸配列から導出されるアミノ酸配列は、MASP−1、MASP
−2、C1r及びC1sのアミノ酸配列と相同である(図6)。MASP−1、
MASP−2、C1r及びC1sは、すべて第二CCDドメインとセリンプロテ
アーゼ・ドメインの間にある残基ArgとIleの間のペプチド結合の開裂によ
って活性化される。得られるポリペプチド鎖(最大のものはA鎖と呼ばれ、最小
のものはB鎖と呼ばれる)は、ジスルファイド結合によって結びつけられている
。類推によって、我々の結果は、還元条件の下でSDS−PAGEの後抗pMA
SP−3抗体によって認識された48kDaのポリペプチドはMASP−3のB
鎖であると示唆している。四つのタンパク質の間の同一性と類似性が、図6の整
列に基づいて調べられた。四つの分子種で同一な残基は星印で示されている。A
鎖とB鎖を生ずる残基ArgとIleの間の可能な開裂部位は、MASP−3の
セリンプロテアーゼ・ドメインがスタートする部位と同一である。48kDaバ
ンドのペプチドのアミノ酸配列決定で得られた配列は下線が付けられている。M
ASP−1配列だけが、トリプシン様セリンプロテアーゼに特徴的なヒスチジン
・ループを含んでいる23,24。 実施例7: MASP−3とMBL補体活性化経路の開始複合体 補体系は、臨床的に重要な抗菌防御メカニズムであり32、適応免疫応答におい
て十分確立された役割を有する33,34。驚くべき展開は、最近の補体活性化のマ
ンナン結合レクチン(MBL)経路の発見である2,4,5,22。蓄積しつつある臨床
的証拠は、侵入する微生物に対する非適応防御におけるヒトのMBLの重要性を
はっきりと示しているが12,35,36、分子的な特性及び開始複合体のメカニズムは
はっきりしないままである。二つのセリンプロテアーゼ、MASP−1とMAS
P−24,5,22、及び一つのペプチド、MAp1937又はsMAP38、がMBL、
微生物の糖質を認識するユニット、と関連していることが報告されている。これ
らの成分は、古典的経路の対応する成分、C1qに関連したプロテアーゼ、C1
rとC1s4,22、及びC1q39、抗体を認識するユニット、と構造的な類似性を
示す。ここに我々は、新しい、系統発生的にきわめて保存的なMBL複合体のメ
ンバー、MASP−3、を提出する。我々は、二つの異なるMBL/MASP複
合体、MBL−cIとMBL−cII、が補体活性化を開始できるということを示
す。MBL−cIは、最小のMBLオリゴマーであるMBL−Iに関連するMA
SP−1とMAp19を含み、C3を直接活性化するが、MBL−cIIはMBL
−IIに関連するMASP−2を含み、C3コンベルターゼ、C4bC2bを生成
する。MASP−3もMBL−IIと関連し、MASP−2の活性を修飾する。
【0193】 MBL経路に関する我々の研究は新しいレクチン関連タンパク質の同定に導い
た。これは血漿から逐次的な糖アフィニティー・クロマトグラフィーとSDS−
PAGEによって精製された。この42Kタンパク質のN−末端配列決定は、そ
れがセリンプロテアーゼ・ドメインであることを示唆した。
【0194】 この42Kタンパク質のN−末端配列空の合成ペプチドに対する抗体が作り出
された。この抗体を用いた二次元SDS−PAGEとウエスタン・ブロッティン
グから、想定されたセリンプロテアーゼ・ドメインはMr=105Kのタンパク
質から得られることが明らかになった。活性化の前は、この105Kタンパク質
がジスルファイド結合された二量体を形成している(図7a)。活性化によって
、この105Kタンパク質は42Kと58Kの鎖に分割される。長い方の鎖は用
いた抗体では検出されないのでウエスタン・ブロッティングでは見られない。こ
の構造は、他のセリンプロテアーゼのA及びB鎖構造に似ている。
【0195】 分析アフィニティー手法によって、このタンパク質は血漿中でMBLとの複合
体で現れるということが示された(図7b)。このタンパク質は、MBLが十分
な血清が加えられると固相の抗MBL抗体に結合するが、MBL欠乏血清が加え
られたときはそうならない。MBL欠乏血清にMBLを加えると、タンパク質は
再び固相に結合する。したがって、このタンパク質はMBL関連セリンプロテア
ーゼ−3,すなわち、MASP−3と名づけられた。
【0196】 MBL複合体は、イオン交換クロマトグラフィー及びショ糖勾配遠心分離によ
っていろいろな構造的及び機能的形態に分離することができた。非還元SDS−
PAGEによって四つのはっきりしたMBLバンド、MBL−I、II、III 、及
びIV、が約275K、345K、580K、及び900KというMrに対応する
移動度で明らかにされた(図8b)。イオン交換クロマトグラフィーでは、これ
らのバンドは塩濃度を高めることによってその順に溶出サレ、ショ糖勾配遠心で
は同じ順序の沈降速度を示した(図8)。はっきり異なるMBL形態の存在は以
前の所見39,40とも合致する。どちらの分画方法も、わずかなかけ違いはあるが
、MASP−1とMAp19が主にMBL−Iと関連しており、MASP−2と
MASP−3は主にMBL−IIと関連していることを示した。C4を活性化する
ことはC3コンベルターゼ、C4bC2b、を生成する最初のステップであるが
、その能力はMBL−II複合体、MBL−cII、と一致する(図8a)。MBL
−I複合体(MBL−cI)はC3を直接活性化することができた(図8h)。
これは、単離されたMASP−14,41、及びMASP−222についての以前の所
見と合致する。また、rMASP−2とMBLで構成される複合体はC4を活性
化できることも示されている30。MBLと複合体を形成したMASP−3の正確
な機能はまだ分かっていないが、我々は、哺乳類発現システムで生成された組み
換えタンパク質を用いてMASP−3の生物学的活性を調べた。その結果、天然
のMBL複合体によるC4の活性化に対してrMASP−3が及ぼす顕著な阻害
作用が明らかになった(図9a)。rMBL−rMASP−2複合体の活性もr
MASP−3によって阻害された(図9b)。MASPsの生物学を理解するた
めには、MASP−1及びMASP−2で実証されているように、これらのプロ
テアーゼのうちほんの小さな割合だけが血清中のMBLと結びついているという
ことを認識することが重要である29,42。血清からMBL複合体を除去して残り
のMASP−3を測定することによって、我々はこのタンパク質についても同じ
ことがあてはまるということを見出した(図示せず)。
【0197】 さらにMASP−3から得られたペプチドの配列を決定して、退化オリゴヌク
レオチドを設計し合成するのに用いられるアミノ酸配列が得られた。これらをP
CR増幅に用いて肝臓cDNAからの174塩基のヌクレオチド断片が得られた
。導出されたアミノ酸配列(図10a)によって、このタンパク質は、MASP
−1、MASP−2、C1r及びC1sのB鎖と相同なプロテアーゼと分類され
た。この段階で、ヒト・ゲノム・プロジェクトからのDNA配列がデータベース
に提出された(AC007920)。230kbのランダム断片の配列はMAS
P−1、MASP−2、C1r及びC1sのB鎖との比較によってMASP−3
のB鎖の全配列と判断されるものを含んでいた。さらに、MASP−1のA鎖を
コードする10のエクソンとMASP−1のB鎖をコードする6つのエクソンも
含んでいた。公開されたMASP−1のゲノム配列43に基づいて該当する断片が
選別され、図10bに概略で示されているようなゲノム構造が得られた。MAS
P−3のB鎖のエクソンはMASP−1のA鎖をコードするエクソンとMASP
−1のB鎖をコードするエクソンの間にあった。この構成を裏付けるその後のD
NA配列(AC068299,AC069069,AC034190,及びAC
046154)はのちにデータベースに入った。MASP−3のB鎖の5’及び
3’末端に対応するプライマーが合成され、ゲノムDNA及び肝臓cDNAから
のPCR増幅に用いられた。どちらの反応からもDNA断片が得られ、それをク
ローニングし、配列決定してデータベースのB鎖の配列と100%一致すること
が見出された。すなわち、MASP−1のB鎖と異なり、しかしMASP−2、
C1r及びC1sのB鎖と同様に、MASP−3のB鎖も一つのエクソンでコー
ドされている。MASP−3は、MASP−2、C1r及びC1sと同様、MA
SP−1及びその他のトリプシン様プロテアーゼに特徴的なヒスチジン・ループ
を欠いている(図10a)。
【0198】 ヒト肝臓ライブラリーからのMASP−3cDNAのクローニングによって、
共通なMASP−1/3A鎖とユニークなMASP−3B鎖から成る転写産物が
明らかにされた。この構造は、MASP−1A鎖のエクソン9からの配列とMA
SP−3B鎖からの配列に対応するプライマー対を用いたヒト肝臓cDNAでの
PCRによって確認された(図10b)。A鎖の最後のドメインはエクソン9と
10によってコードされている。エクソン10の後には、イントロン及びMAS
P−3B鎖ヲコードするエクソンが続いている。MASP−3の全長をコードす
る(pMASP−3;4.1)最大のクローンは、90bpの5’非翻訳領域か
らスタートする3595bpと、それに続く2184bpのオープン・リーディ
ング・フレーム(ORF)と1321bpの3’非翻訳領域、及び終わりのポリ
A尾部から成る。pMASP−3;4.1のヌクレオチド配列はGenBank
にデポジットされた(アクセッション・ナンバーAF284421)。配列が決
定されたペプチドのアミノ酸配列はこのクローンから導出される配列で同定され
た(図10a)。ORFは19の残基から成る信号ペプチドを含む728のアミ
ノ酸から成るポリペプチド鎖をコードしている。三つのNグリコシル化部位がB
鎖に見られ、四つがA鎖に見られる。信号ペプチドを除くと、計算されたMrは
81,873であり、これに対してSDS−PAGEで観測された値は105K
である。計算された等電点は5.02であり、280nmでのモル吸光率は12
1,610である(1g/lの吸光度=1.49)。代替スプライシング部位は
エクソン10のすぐ後に位置していることが示された。B鎖のオープン・リーデ
ィング・フレームは42bpの非翻訳配列からスタートしその後に14残基のリ
ンク領域のコドンが続く。このリンク領域は、A及びB鎖の間の分割が起こる活
性化部位の前にある(図10c)。MASP−1A鎖のN末端20残基を表すペ
プチドに対して作り出された抗体はウエスタン・ブロッティングでMASP−3
を認識したが、これは抗MASP−3B鎖抗体とMASP−3のリンク領域(図
示せず)を表すペプチドに対して作り出された抗体によって平行して同定され、
MASP−3タンパク質が代替スプライシングで生ずる産物として同定された。
【0199】 データベースの探索から、MASP−3のB鎖とサメとコイのMASP243
として記載された配列との相同性が明らかにされた(図10a)。配列の同一度
は60%を超えており、これに対しヒトのMASP−3B鎖とヒトMASP−1
及びMASP−2B鎖の間の同一度は、それぞれ、37%及び38%である。ヤ
ツメウナギMASPはいくつかの構造的特徴をサメ及びコイMASP20と共有
している。ヤツメウナギMASPとヒトMASP−3B鎖の配列同一度はわずか
38%であるが、我々はサメ、コイ、及びヤツメウナギのタンパク質はMASP
−3と相同であると提唱する。
【0200】 ブタDNAに関して記載された配列はヒトMASP−3B鎖と93%の同一度
を示す(図10a)。これは、ヒストンなどの保存的なタンパク質と比べて触媒
中心の外側で個々のアミノ酸残基に対する制約がはるかに少ないプロテアーゼと
しては異常な保存度である。
【0201】 以上の結果は、MBL複合体とMBL経路に関してより明瞭な像を生み出す。
次のように異なるタイプの複合体がある:MBL−cI、これはMASP−1と
MAp19を含み直接C3を活性化することができる、及びMBL−cII、これ
はMASP−2を含み、C3コンベルターゼC4bC2bを形成することによっ
てC3を活性化する。MASP−3も、MBL−cIIと関連している。rMAS
P−3は補体活性化に対する修飾作用を示した。MASP−3はMASP−1と
MASP−3の両方をコードする単一遺伝子から転写された代替スプライスされ
たRNAの翻訳産物を表しておりそれ自体興味ある特性を示している。系統発生
的には、MASP−3B鎖は異常なほど強く保存されている。 方法MBL複合体 MBL複合体は、酵素阻害物質の存在下で、マンナン−Sepharoseで
のアフィニティー・クロマトグラフィーによって精製され、マンノースを含む緩
衝液で溶出された44
【0202】 ショ糖勾配遠心分離は、5mMCaCl2と50μg/mlのヒト血清アルブ
ミンを含むTris緩衝食塩水(TBS)中の11−mlショ糖勾配(10−3
0%)に70μlのTBSで希釈した100μlMBL複合体又は30μl血清
サンプルを加え、4℃で24時間、SorvalTST41.14ロータを備え
たBeckmanL8−M遠心分離装置で35,000rpmで遠心分離するこ
とによって行われた。0.3mlの分画を集めて、時間分解免疫蛍光測定分析(
TRIFMA)29によってIgG、IgM、及びMBLの沈降ピークが決定され
た。
【0203】 イオン交換クロマトグラフィーでは、MBL複合体は、50mMのNaClと
10mMのCaCl2 を含む20mMのTris/HCl、pH7.8、で透析
され、1mlMonoQカラム(Amersham-Pharmacia)で0.5MまでのNaC
l勾配で分画された。0.5mlの分画が集められ、TRIFMAによってMB
Lが分析された。
【0204】 分画は、また、SDS−PAGEウエスタン・ブロッティングによって、抗M
BL(Statens Serum Institut, コペンハーゲン、デンマーク)、抗MASP−
22、抗MASP−229、又は抗MASP−3−抗体に対して分析された。抗M
ASP−3−抗体は、記述された方法22により42K鎖の最初の19残基を表す
ペプチドに対して作り出された。ブロットはホースラディッシュ・ペルオキシダ
ーゼ標識された二次抗体(Dako, Glostrup, デンマーク)とそれに続く強化ケミ
ルミネッセンス試薬及びX線フィルムへの曝露によって処理された。Mrsを計
算するためのマーカーは、BioRad(“精密標準”)、α2M及びIgM(Sigma
)からのものであった。アミノ酸配列決定 血漿から精製されたレクチンは22、SDS−PAGEにかけられ、PVDF膜
に移され、Coomassie Brilliant Blueで染色された。42Kのバンドが切り取ら
れて、Applied Biosystems のタンパク質配列決定装置で配列が決定された。
【0205】 ペプチドは、Coomassie Blue 染色されたSDS−PAGEゲルからの42K
バンドのトリプシン消化によって調製され、逆相クロマトグラフィーで分画され
、主なピークのペプチドの配列が決定された。C3活性化 いろいろな分画のMBL複合体がC341を活性化する能力は、イオン交換クロ
マトグラフィーの分画の50μlサンプルを20μlTBS中の50ngの精製
されたC322と共に37℃で2時間インキュベートした後、ビオチンを加えた
抗C3抗体とアビジン−ペルオキシダーゼを現像に用いたSDS−PAGEウエ
スタン・ブロッティングによって分析することによって評価された。C4活性化 C4の活性化は、サンプルをマンナンでコーティングしたマイクロタイタ・ウ
エル中で4℃でインキュベートし、続けて精製されたC445と共に37℃でイン
キュベートし、Eu標識されたモノクローナル抗C4抗体によって現像すること
によって評価された29MASP−3cDNAとrMASP−3 ヒト肝臓cDNA(Clontech)で、それぞれ、アミノ酸配列WQALIVVE
及びEHVTVYLから得られた退化したセンス及びアンチセンス・プライマー
を用いてPCRが行われた。PCRは、Boehringer Mannheim からのロング拡張
PCRシステムを用いて48℃で30サイクルのアニーリングで実行された。得
られたPCR産物はE.coliプラスミド(2.1−TOPO、InVitrogen)
でクローニングされ、インサートのヌクレオチド配列が決定された。BLAST
によって、この配列からランダム断片から成る230kbのゲノム断片が同定さ
れた(AC007917)。特定プライマーを用いて二つのcDNAクローン(
pMASP−3;4.1とpMASP−3;3.0)がpEAK8ベクター(Pa
ngene, California)で得られた。インサートは全長のMASP−3をコードす
る2163bpのオープン・リーディング・フレームを含んでいた。
【0206】 rMASP−3の合成は以前に報告した手順30で遂行された。簡単に言うと、
Epstein-Barr 核抗原を発現するヒト胚腎臓細胞が(HEK293BNA、InVit
rogen)pEAK8/pMASP−3;4.1構築物と共に、インシュリン、ト
ランスフェリン、及びセレンを補充されたRPMI−1640に移入され培養さ
れた(GibcoBRL)。6日後に培養上澄みが採取された。対照は、HEK293B
NA細胞を構築物なしでリン酸カルシウム沈殿物と共にインキュベートして調製
された。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、砂糖アフィニティー・クロマトグラフィーによって精製され抗pMA
SP−3抗体によって現像(develop)されたヒト血漿タンパク質のウエスタン
・ブロットを示す。レーン1は、電気泳動の前に還元(reduce)されたサンプル
を表し、レーン2は非還元条件で行われたものである。矢印は48kDa(還元
された)及び110kDa(還元されない)MASP−3バンドを示す。
【図2】 図2は、MBLとMASP−3の間で形成された分子複合体を示す結果である
。レクチン試料は、モノクローナル抗MBL抗体、モノクローナル抗MASP−
1抗体、でコーティングされたウエル、又はネガティブ対照として同じサブクラ
スの非特異的モノクローナル免疫グロブリンでコーティングされたウエル、でイ
ンキュベートされた。レクチン試料は、カルシウムを含む緩衝液とEDTAを含
む緩衝液の両方で希釈された。抗体で捕らえられたタンパク質は溶出されて非還
元条件の下でSDS−PAGE/ウエスタン・ブロッティングによって分析され
た。ブロットは抗pMASP−3抗体で現像された。レーン2と3は、ノン−セ
ンスIgGでコーティングされたウエルでレクチン試料と共にインキュベートさ
れたものからの溶出物であり(レーン2はカルシウムの存在下、レーン3はED
TAの存在下で)、レーン4と5は、モノクローナル抗MASP−1抗体でコー
ティングされたウエルでレクチン試料と共にインキュベートされたものからの溶
出物であり(レーン4はカルシウムの存在下、レーン5はEDTAの存在下で)
、レーン6と7は、モノクローナル抗MBL抗体でコーティングされたウエルで
レクチン試料と共にインキュベートされたものからの溶出物である(レーン6は
カルシウムの存在下、レーン7はEDTAの存在下で)。110kDaMASP
−3バンドの位置が図に示されている。
【図3】 図3は、MBL欠乏血清からの(レーン1は還元された、レーン2は還元され
ないもの)、又はMASPを含まないMBLが加えられたMBL欠乏血清からの
(レーン3は還元された、レーン4は還元されないもの)マンノース−TSKビ
ーズで精製されたヒト血漿タンパク質のウエスタン・ブロットを示す。ウエスタ
ン・ブロットは、ラット抗pMASP−3抗体とそれに続くHRP標識抗ラット
IgG抗体で現像された。
【図4】 図4は、48kDaMASP−3バンドのN−末端部分及び48kDaバンド
MASP−3から得られたアミノ酸配列を示す。
【図5】 図5は、肝臓cDNAから得られたPCR生成物のMASP−3をコードする
DNA配列及び導出される部分アミノ酸配列を示す。
【図6】 図6は、MASP−3について知られたアミノ酸配列をMASP−222,MA
SP−123,24、C1r25,26、及びC1s27,28の配列と整列させたものである
。4つの分子全部で同一な残基は星印で示されている。
【図7】 図7.a、マンナン−セファロースでアフィニティー・クロマトグラフィーに
よって精製されたMBL複合体の二次元SDS−PAGEウエスタン・ブロット
。第一の次元(水平)は、非還元条件でランされた。レーンが還元され、第二の
次元でランされた。ゲルは、42Kタンパク質のN−末端ペプチドに対する抗体
でブロットされ現像された。第二の次元のゲルは、MBL複合体の還元されたサ
ンプルに対する別のウエルで調製され(レーンR)、したがって標準的な一次元
電気泳動の後のパタンを示す。Mマーカーの位置が示されている。b、MASP
−3とMBLの連関。血清のサンプルが等量のTBSで希釈され、モノクローナ
ル抗MBL抗体でコーティングされたマイクロタイタ・ウエルでインキュベート
され、10の同一のウエルで100μlのSDSサンプル緩衝液によって溶出さ
19、42Kタンパク質のN−末端ペプチドに対する抗体を用いたSDS−PA
GEウエスタン・ブロッティングで調べられた。サンプルは:A、MBL2μg
/mlを含む正常な血清;B、精製されたMBL29(1μg);DとF、二つの
MBL欠乏血清(MBL濃度、20ng/ml);CとE、同じ二つのMBL欠
乏血清にMBLを2μg/mlまで加えたもの。
【図8】 図8.MBL複合体の分画。a、分画のC4活性化能力とMBL含有量を示す
ショ糖勾配遠心。7SIgGと19SIgMの位置が示されている。b、抗MB
L抗体で現像された分画のSDS−PAGEウエスタン・ブロッティング、c、
抗MASP−1抗体で現像されたもの22,d、抗MASP−2抗体で現像された
もの29,e、抗MASP−3抗体で現像されたもの、f、MAp19と反応する
抗MASP−2抗体で現像されたもの、g、イオン交換クロマトグラフィーから
の分画のMBL、及びh、同じ分画のC3活性化能力(レーン4と5のC3α’
鎖に注意)。
【図9】 図9.MBL複合体によるC4活性化に対するMASP−3の抑制作用。a、
rMASP−3(開いた円)又は対照(塞がれた円)の希釈物が天然のMBL複
合体と共に2時間インキュベートされた後にマンナン・コーティングされたマイ
クロウエルに加えられた。さらに一晩、4℃でインキュベートされ、ウエルを洗
浄した後、C4が加えられ、37℃で2時間インキュベートされた。活性化され
、結合したC4はEu標識された抗C4抗体で定量された。活性(%)はMBL
複合体の希釈物に基づいて標準カーブから読み取られた。b、rMASP−230 がrMBL(発表予定)及びrMASP−3(開いた円)又は対照(塞がれた円
)と混合され、インキュベートされ、マンナン・コーティィングされたウエルに
加えられ、aにおけるように処理された。示された実験(aとb)で、rMAS
P−3は形質移入された細胞の培養上澄みという形で用いられ、シャム移入され
た細胞の上澄みが対照として用いられた。同じ結果が、イオン交換クロマトグラ
フィーで精製されたrMASP−3で得られた。
【図10】 図10.a、導出されたMASP−3のB−鎖のアミノ酸配列。その配列(3
行目と4行目)が、ヒトMASP−1(NM001879)及びMASP−2(
Y09926)B鎖(上の2行)、ならびにフカ(AB009074)及びコイ
(AB009073)MASP−3B鎖、及び部分ブタMASP−3配列(AW
414970)(下の行)と整列されている。*)同一の残基 :)保存的な置
換 .)半保存的置換。整列はBLOSUM G2によって行われた(ギャップ
存在コスト11,残基ギャップ・コスト1,ラムダ比0.85)。整列したシス
テインはボックスで囲まれている。MASP−1のヒスチジン・ループのシステ
インは影を付けてある。三つのN−グリコシル化部位は太字になっている。b、
MASP−1とMASP−3をコードするエクソンのゲノム構成。c、MASP
−1とMASP−3のmRNAのタンパク質をコードする領域の比較。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61P 9/10 101 4C084 48/00 15/00 4C085 A61P 9/10 101 31/00 4C086 15/00 37/00 4C087 31/00 43/00 111 4H045 37/00 C07K 16/40 43/00 111 C12N 1/19 C07K 16/40 1/21 C12N 1/19 9/64 Z 1/21 9/99 9/64 C12Q 1/37 9/99 1/68 A C12Q 1/37 G01N 33/573 A 1/68 C12P 21/08 G01N 33/573 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA14 BA19 CA04 DA06 DA12 EA04 FA02 GA11 HA01 4B050 CC03 CC05 DD11 LL01 4B063 QA01 QQ36 QR32 QR55 QR67 QS02 QS31 QS34 4B064 AG27 AG28 CA10 CA20 CC24 DA13 4B065 AA26X AA72X AA99Y AB01 AC14 BA02 CA33 CA44 4C084 AA02 AA03 AA06 AA07 AA13 AA17 BA01 BA02 BA22 CA53 DC03 MA52 MA55 MA66 NA14 ZA362 ZA402 ZA812 ZB012 ZB072 ZB262 ZB312 ZC412 4C085 AA14 DD62 4C086 AA01 AA02 EA16 MA01 MA04 MA52 MA55 MA66 NA14 ZA36 ZA40 ZA81 ZB01 ZB07 ZB26 ZB31 ZC41 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 MA52 MA55 MA66 NA14 ZA36 ZA40 ZA81 ZB01 ZB07 ZB26 ZB31 ZC41 4H045 AA11 CA40 DA75 DA80 EA28 EA55 FA74

Claims (76)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に純粋なマンナン結合レクチン関連セリンプロテアー
    ゼ−3(MASP−3)ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 前記ポリペプチドはマンナン結合レクチン(MBL)に関連
    することができることを特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 該ポリペプチドは、配列番号5として又は配列番号5の機能
    的な等価物として同定されることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に
    記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 該ポリペプチドは、配列番号1として又は配列番号1の機能
    的な等価物として同定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】 該ポリペプチドは、配列番号2として又は配列番号2の機能
    的な等価物として同定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
    載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 該ポリペプチドは、配列番号3として又は配列番号3の機能
    的な等価物として同定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記
    載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】 該ポリペプチドがラベル又は毒素と接合している(conjugat
    ed)ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  8. 【請求項8】 該ポリペプチドがSDS−PAGEで非還元条件の下で約1
    10kDaの分子量を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記
    載のポリペプチド。
  9. 【請求項9】 前記ポリペプチドが配列番号5として同定される配列を含む
    ことを特徴とする請求項8に記載のポリペプチド。
  10. 【請求項10】 該ポリペプチドがSDS−PAGEで還元条件の下で約4
    8kDaの分子量を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載
    のポリペプチド。
  11. 【請求項11】 前記ポリペプチドが配列番号5として同定される配列を含
    むことを特徴とする請求項10に記載のポリペプチド。
  12. 【請求項12】 前記ポリペプチドがセリンプロテアーゼ活性を有すること
    を特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。
  13. 【請求項13】 前記ポリペプチドが補体機能のMBL経路に関するインビ
    トロ(in vitro)分析でMASP−3活性を示すことができることを特徴とする
    請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  14. 【請求項14】 前記ポリペプチドがMASP−3セリンプロテアーゼ活性
    を競合的に阻害できることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載
    のポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載のポリペプチド又は配列番号1,配列番号
    2,配列番号3,又は配列番号5のポリペプチドの断片を含むポリペプチドであ
    って、前記ポリペプチドがMBL/MASP−3の複合体形成の競合的阻害物質
    であることを特徴とするポリペプチド。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載のポリペプチドをコ
    ードする単離された核酸分子であって、該分子は配列番号1,2,3,又は5の
    配列と少なくとも50%同一な配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオ
    チド配列を含むことを特徴とする単離された核酸分子。
  17. 【請求項17】 配列番号5と少なくとも85%同一であるポリペプチド配
    列を有するマンナン結合レクチン関連セリンプロテアーゼ−3(MASP−3)
    をコードすることを特徴とする請求項16に記載の単離された核酸配列。
  18. 【請求項18】 マンナン結合レクチン関連セリンプロテアーゼ−3(MA
    SP−3)をコードする核酸配列であって、前記核酸配列が配列番号4と少なく
    とも85%同一であることを特徴とする請求項16に記載の単離された核酸配列
  19. 【請求項19】 請求項16,17,又は18のいずれか1項に記載の核酸
    分子を含む核酸ベクター。
  20. 【請求項20】 前記ベクターが発現ベクターであることを特徴とする請求
    項19に記載の核酸ベクター。
  21. 【請求項21】 さらに調節エレメントを含むことを特徴とする請求項20
    に記載のベクター。
  22. 【請求項22】 請求項19〜21のいずれか1項に定義されるベクターを
    含む細胞。
  23. 【請求項23】 請求項16〜18のいずれか1項に定義される核酸配列を
    含む細胞。
  24. 【請求項24】 酵母細胞又はバクテリア細胞から選択されることを特徴と
    する請求項22又は23のいずれか1項に記載の細胞。
  25. 【請求項25】 請求項1〜15のいずれか1項に定義されているようなM
    ASP−3ポリペプチド、又はMASP−3ポリペプチドの部分、又はそのよう
    なポリペプチドのいずれかをコードするDNA、を抗体を生成する目的で動物に
    投与することによって生成される抗体。
  26. 【請求項26】 MASP−3に選択的に結合する抗体。
  27. 【請求項27】 前記抗体がモノクローナル抗体又は遺伝子組み換えによる
    抗体又は抗体断片であることを特徴とする請求項19又は20のいずれか1項に
    記載の抗体。
  28. 【請求項28】 前記抗体が検出可能なマーカーを含む化合物と結合してい
    ることを特徴とする請求項19,20,又は21のいずれか1項に記載の抗体。
  29. 【請求項29】 MBLとMASP−3の複合体形成を阻害することができ
    る化合物。
  30. 【請求項30】 前記化合物が請求項1〜15のいずれか1項に定義される
    ようなポリペプチドを含むことを特徴とする請求項29に記載の化合物。
  31. 【請求項31】 前記化合物が請求項25〜28のいずれか1項に定義され
    るような抗体を含むことを特徴とする請求項29に記載の化合物。
  32. 【請求項32】 MBLとMASP−3の複合体形成を乱す(disrupt)こ
    とができる化合物。
  33. 【請求項33】 前記化合物が請求項1〜15のいずれか1項に定義される
    ようなポリペプチドを含むことを特徴とする請求項32に記載の化合物。
  34. 【請求項34】 前記化合物が請求項25〜28のいずれか1項に定義され
    るような抗体を含むことを特徴とする請求項32に記載の化合物。
  35. 【請求項35】 MASP−3又はその断片のセリンプロテアーゼ活性を競
    合的に阻害することができる化合物。
  36. 【請求項36】 前記化合物が請求項1〜15のいずれか1項に定義される
    ようなポリペプチドを含むことを特徴とする請求項35に記載の化合物。
  37. 【請求項37】 前記化合物が請求項25〜28のいずれか1項に定義され
    るような抗体を含むことを特徴とする請求項35に記載の化合物。
  38. 【請求項38】 請求項1〜15のいずれか1項に定義されるようなポリペ
    プチド、又は請求項25〜28のいずれか1項に定義されるような抗体、又は請
    求項29−37のいずれか1項に定義されるような化合物、を含む製薬組成物。
  39. 【請求項39】 生物学的サンプルにおけるマンナン結合レクチン関連セリ
    ンプロテアーゼ−3(MASP−3)を検出する方法であって、前記方法は: (a)生物学的サンプルを得るステップ; (b)前記生物学的サンプルにMASP−3に特異的に結合するMASP−3
    ポリペプチド特異的結合パートナーを接触させるステップ;及び (c)前記複合体を、もしあれば、前記サンプル中にマンナン結合レクチン関
    連セリンプロテアーゼ−3が存在する証左として検出するステップ; を含む方法。
  40. 【請求項40】 該特異的結合パートナーが請求項25〜28のいずれか1
    項に記載の抗体であることを特徴とする請求項39記載の方法。
  41. 【請求項41】 該特異的結合パートナーがマンナン結合レクチン(MBL
    )であることを特徴とする請求項39記載の方法。
  42. 【請求項42】 MASP−3の活性を決定する方法であって: −MBL/MASP−2複合体を含むサンプルを固相に加えて、結合した複合
    体を得るステップ; −所定量のMASP−3を該結合した複合体に加えるステップ; −少なくとも一つの補体因子を該複合体に加えるステップ; −開裂した補体因子の量を検出するステップ; −開裂した補体因子の量をMASP−3の量と関連づけるステップ;及び −MASP−3の活性を決定するステップ; から成るMASP−3活性の分析を含む方法。
  43. 【請求項43】 該固相はマンナン・コーティングであることを特徴とする
    請求項42に記載の方法。
  44. 【請求項44】 該少なくとも一つの補体因子がMBL/MASP−2複合
    体によって開裂可能な補体因子であることを特徴とする請求項42〜43のいず
    れか1項に記載の方法。
  45. 【請求項45】 該少なくとも一つの補体因子が、C3,C4,及びC5,
    から選択され、好ましくはC4であることを特徴とする請求項42〜44のいず
    れか1項に記載の方法。
  46. 【請求項46】 該開裂した補体因子が該補体因子に向けられた抗体によっ
    て検出されることを特徴とする請求項42〜45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 【請求項47】 古典的補体経路の活性化が阻害されることを特徴とする請
    求項42−46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 【請求項48】 高いイオン強度で分析を行うことによって該活性化が阻害
    されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  49. 【請求項49】 塩濃度が、0.3M乃至10Mという範囲、例えば0.5
    M乃至5Mという範囲、例えば0.7M乃至2Mという範囲、例えば0.9M乃
    至2Mという範囲、例えば約1.0M、であることを特徴とする請求項48に記
    載の方法。
  50. 【請求項50】 塩が、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、NaI
    、KCl、MgI2、CaI2、NaBr、KBr、MgBr2、CaBr2、Na 223、(NH42SO4、及びNH4HCO3、から選択されることを特徴とす
    る請求項49に記載の方法。
  51. 【請求項51】 生物学的サンプルにおけるMASP−3又はMASP−3
    活性の定量的分析のための請求項42〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 【請求項52】 MASP−3核酸発現を検出する方法であって、請求項1
    6〜18のいずれか1項に定義されるような核酸にストリンジェントな条件の下
    で特異的にハイブリダイズする核酸プローブとサンプルを混合することによって
    、MASP−3ポリペプチドをコードする配列を有するRNAを検出することか
    ら成る方法。
  53. 【請求項53】 MASP−3が欠乏している患者を、請求項115のいず
    れか1項に定義されるようなポリペプチドを該患者に投与することによって治療
    する方法。
  54. 【請求項54】 MASP−3が欠乏している患者を、請求項16〜18の
    いずれか1項に定義されるような核酸を該患者に投与することによって治療する
    方法。
  55. 【請求項55】 MASP−3の発現又は活性を阻害する化合物を被験者に
    投与することによってMASP−3の活性を阻害する方法。
  56. 【請求項56】 該化合物がMASP−3アンチセンス核酸配列であること
    を特徴とする請求項55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 MBLとMASP−3の複合体形成を阻害する化合物を投
    与することを含む請求項55に記載の方法。
  58. 【請求項58】 該化合物が請求項29〜37のいずれか1項に定義される
    ようなものであることを特徴とする請求項57に記載の方法。
  59. 【請求項59】 MASP−3をコードする核酸配列における多形性の分析
  60. 【請求項60】 サンプル中のMASP−3をコードする核酸の存在を検出
    する方法であって、ストリンジェントな条件の下でMASP−3をコードする核
    酸と複合体を形成できる少なくとも一つの核酸プローブと該サンプルを混合する
    ステップと、該プローブがサンプル核酸と結合しているかどうかを判定するステ
    ップを含む方法。
  61. 【請求項61】 ストリンジェントな条件の下でMASP−3をコードする
    核酸と複合体を形成できる核酸プローブ。
  62. 【請求項62】 配列番号5と同一な核酸配列にハイブリダイズすることが
    できる核酸配列であることを特徴とする請求項61に記載の核酸プローブ。
  63. 【請求項63】 MASP−3をコードする核酸配列に対するアンチセンス
    核酸であることを特徴とする請求項61又は62のいずれか1項に記載の核酸プ
    ローブ。
  64. 【請求項64】 MASP−3又はその前駆物質を含むポリペプチド配列に
    おける多形性の分析。
  65. 【請求項65】 MASP−3の異常な発現に関連した障害を診断する方法
    であって、患者から生物学的サンプルを得るステップと前記生物学的サンプルに
    おけるMASP−3発現を測定するステップを含み、対照と比較したときの前記
    生物学的サンプルにおけるMASP−3発現の増加又は減少が、前記患者がMA
    SP−3の異常な発現に関連した障害に苦しんでいることを示すことを特徴とす
    る方法。
  66. 【請求項66】 MASP−3の異常な活性に関連した障害を診断する方法
    であって、患者から生物学的サンプルを得るステップと前記生物学的サンプルに
    おけるMASP−3活性を測定するステップを含み、対照と比較したときの前記
    生物学的サンプルにおけるMASP−3活性の増加又は減少が、前記患者がMA
    SP−3の異常な活性に関連した障害に苦しんでいることを示すことを特徴とす
    る方法。
  67. 【請求項67】 製薬組成物の調製のための請求項1〜15のいずれか1項
    に定義されているようなポリペプチドの使用。
  68. 【請求項68】 該製薬組成物は非経口的に、例えば筋肉内に、静脈内に、
    又は皮下に、投与することができることを特徴とする請求項67に記載の使用。
  69. 【請求項69】 該製薬組成物は経口的に投与することができることを特徴
    とする請求項67に記載の使用。
  70. 【請求項70】 該製薬組成物はMASP−3欠乏の治療に適していること
    を特徴とする請求項67〜69のいずれか1項に記載の使用。
  71. 【請求項71】 該製薬組成物は、免疫系疾患の治療又はrecoxygenated虚
    血性組織の治療に適していることを特徴とする請求項67〜69のいずれか1項
    に記載の使用。
  72. 【請求項72】 製薬組成物の調製のための請求項29〜37のいずれか1
    項に定義されているような化合物の使用。
  73. 【請求項73】 該製薬組成物は非経口的に、例えば筋肉内に、静脈内に、
    又は皮下に、投与することができることを特徴とする請求項72に記載の使用。
  74. 【請求項74】 該製薬組成物は経口的に投与することができることを特徴
    とする請求項72に記載の使用。
  75. 【請求項75】 該製薬組成物は異常なMASP−3活性の治療に適してい
    ることを特徴とする請求項72〜74のいずれか1項に記載の使用。
  76. 【請求項76】 該製薬組成物は感染、癌、MBL欠乏、免疫系及び生殖系
    の障害の治療に適していることを特徴とする請求項72〜74のいずれか1項に
    記載の使用。
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