JP2003514788A - プロペンのアクリル酸への触媒的気相酸化方法 - Google Patents

プロペンのアクリル酸への触媒的気相酸化方法

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JP2003514788A JP2001538319A JP2001538319A JP2003514788A JP 2003514788 A JP2003514788 A JP 2003514788A JP 2001538319 A JP2001538319 A JP 2001538319A JP 2001538319 A JP2001538319 A JP 2001538319A JP 2003514788 A JP2003514788 A JP 2003514788A
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Abstract

(57)【要約】 本発明はプロペンの2段階の気相酸化を実施してアクリル酸を形成するための方法に関する。本発明の方法は多管束固定床反応器中で≧160Nlのプロペン/l・hのプロペン負荷量を有する反応ガス出発混合物をまず固定化触媒床1に導き、その際、これは2つの連続的な温度領域A、B中に配置されており、次いで固定化触媒床2に導き、その際、これを別の温度領域C又は2つの付加的な温度領域D、Eに入れる。温度領域Aを領域Bより低い温度に保持し、温度領域Dを領域Eの温度よりも低い温度に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明はプロペンをアクリル酸に触媒的気相酸化する方法であって、その際、
プロペン、分子酸素及び少なくとも1種の不活性ガスを含有し、その際、分子酸
素及びプロペンをモル比O:C≧1で含有する反応ガス出発混合物を、
第1の反応段階において≧160Nlのプロペン/lの固定化触媒床1・hのプ
ロペン負荷量を適用して、空間的に連続した反応領域A、B中に配置されている
固定化触媒床上に導き、その際、反応領域Aの温度が300〜370℃であり、
かつ反応領域Bの温度が305〜380℃であり、同時に反応温度Aの温度より
少なくとも5℃高く、その活性材料は少なくとも元素Mo、Fe及びBiを含有
する少なくとも1種の複合金属酸化物であり、反応領域Aが40〜80モル%の
プロペンの変換率にまで延在し、固定化触媒床1を1回通過した場合にプロペン
変換率が≧90モル%であって、更に関連するアクロレイン形成並びにアクリル
酸副生成物形成の選択性が全体で≧90モル%であり、かつ更に分子酸素及びア
クロレインをモル比O:CO≧0.5で含有するこの場合に得られる生
成物ガス混合物を、第2段階において単一の反応領域C又は2つの空間的に連続
した反応領域D,E中に配置されている固定化触媒床2上に導き、その際反応領
域Cの温度が230〜300℃であり、反応領域Dの温度が230〜280℃で
あり、反応領域Eの温度が250〜300℃であり、同時に反応領域Dの温度よ
り少なくとも5℃高く、その活性材料は少なくとも元素Mo及びVを含有する少
なくとも1種の複合金属酸化物であり、反応領域Cもしくは反応領域D及びEを
1回通過した場合にアクロレイン変換率が≧90モル%であり、全ての反応領域
で生じるアクリル酸形成の選択性が変換されたプロペンに対して≧80モル%で
あり、反応ガス出発混合物が反応領域を通過する時間的な順序が反応領域のアル
ファベットの順番に相当する方法に関する。
【0002】 アクリル酸はそれ自体又はそのアルキルエステルの形で、例えば接着剤として
適当な重合体の製造のために使用される重要なモノマーである。
【0003】 アクリル酸の製造は、例えばプロペンのアクリル酸への2段階の触媒的気相酸
化によって実施できる。
【0004】 プロペンのアクリル酸への2段階の触媒的気相酸化の方法は一般に公知である
(例えばDE−A3002829号を参照)。特に、両方の反応段階は自体公知
である(例えばEP−A714700号、EP−A700893号、EP−A1
5565号、DE−C2830765号、DE−C3338380号、JP−A
91/294239号、EP−A807465号、WO98/24746号、E
P−B279374号、DE−C2513405号、DE−A3300044号
、EP−A575897号及びDE−A19855913号を参照)。
【0005】 特に、両方の反応段階はかつて2つの温度領域を有する2つの多接触管束反応
器中で実現することは既に提案されており(例えばDE−A19948241号
、DE−A19948523号、DE−A19910506号、DE−A199
10508号及びDE−A19948248号を参照)、これは特に高い出発材
料負荷量の場合に有利であるとみなされる。
【0006】 更に全ての前記の場合には、反応段階ごとに1つの多接触管−管束反応器を使
用することが推奨される、すなわち該方法は全体で2つの空間的に互いに分離し
た、連続して配置された管束反応器中で実施することが推奨される。
【0007】 これを推奨する背景は、例えばより高い温度で作業される第1の反応段階の複
合金属酸化物触媒からMoOが揮発し、より低い作業温度を有する第2の反応
段階の固定化触媒床2中に他方で部分的に堆積することがUS−A402963
6号から知られていることである。
【0008】 結論として、前記の時間に亘って両方の固定化触媒床に流通する反応混合物の
圧力損失の増大がもたらされる(固定化触媒床2は次第に覆われる)。
【0009】 EP−A614872号によれば、前記の時間に亘って生じる圧力損失はなお
も、固定化触媒床2中に更に定期的に有機材料が、例えば固体炭素から堆積する
ことによって増大する。
【0010】 記載される問題の排除はUS−A4029639号によって、両方の反応段階
を2つの空間的に分離した、連続して配置される管束反応器中で実現し、かつ前
記の堆積の大部分が両方の管束反応器の間に取り付けられた不活性固体を備える
中間冷却器中で行われる場合に可能である。
【0011】 プロペンのアクリル酸への2段階の触媒的気相酸化の単一の管束反応器中での
実施は、例えばDE−A−2830765号及びEP−A911313号によっ
て推奨されている。しかしながら更に固定化触媒床1のプロペン負荷量は全ての
例示される実施形においては≦100Nlのプロペン/lの固定化触媒床1・h
の値である。しかしながら、より低いプロペン負荷量はより低いMoO揮発と
同じ意味を持つ。それというのも、例えばある特定の時間以内に形成する反応水
の量(匹敵する変換率を前提とする)がより低い負荷量の場合に高い負荷量の場
合よりも少ないからである。しかしながらUS−A4029636号から、特定
の水蒸気はMoO揮発を促進することが知られている。
【0012】 他方では、より高い1時間当たりのプロペン負荷量の場合により大量のMoO が揮発しうる。それというのも、勿論より大量のガス量はより高いMoO
和量に相当するからである。
【0013】 他方で、気相触媒的酸化によるプロペンの2段階の固定床酸化の実現は2つの
空間的に分離された多接触管−管束反応器中でのアクリル酸の製造のために関心
が強まっている。
【0014】 従って本発明の課題は、気相触媒的酸化による2段階のプロペンのアクリル酸
への固定床酸化を単一の多接触管−管束反応器中で提供し、より高い固定化触媒
床1のプロペン負荷量の場合に前記の時間に亘って迅速に増大する接触管に沿っ
た圧力損失の欠点を低減された形でのみ有することである。
【0015】 意想外にも、冒頭に記載したような第1の反応段階を2つの空間的に連続した
温度領域A、B中で実現する場合に可能であることが判明した。
【0016】 従って本発明の対象はプロペンをアクリル酸に気相酸化するにあたり、プロペ
ン、分子酸素及び少なくとも1種の不活性ガスを含有し、その際、分子酸素及び
プロペンをモル比O:C≧1で含有する反応ガス出発混合物を、第1の
反応段階において≧160Nlのプロペン/lの固定化触媒床1・hのプロペン
負荷量を使用して、空間的に連続した反応領域A、B中に配置されている固定化
触媒床1上に導き、その際、反応領域Aの温度が300〜370℃であり、かつ
反応領域Bの温度が305〜380℃であり、同時に反応温度Aの温度より少な
くとも5℃高く、その活性材料は少なくとも元素Mo、Fe及びBiを含有する
複合金属酸化物であり、反応領域Aが40〜80モル%のプロペンの変換率にま
で延在し、固定化触媒床1を1回通過した場合にプロペン変換率が≧90モル%
であって、更に関連するアクロレイン形成並びにアクリル酸副生成物形成の選択
性は全体で≧90モル%であり、かつ更に分子酸素及びアクロレインをモル比O :CO≧0.5で含有する得られる生成物ガス混合物を、第2段階にお
いて単一の反応領域C又は2つの空間的に連続した反応領域D,E中に配置され
ている固定化触媒床2上に導き、その際反応領域Cの温度が230〜300℃で
あり、反応領域Dの温度が230〜280℃であり、反応領域Eの温度が250
〜300℃であり、同時に反応領域Dの温度より少なくとも5℃高く、その活性
材料は少なくとも元素Mo及びVを含有する少なくとも1種の複合金属酸化物で
あり、反応領域Cもしくは反応領域D及びEを1回通過した場合にアクロレイン
変換率が90モル%であり、全ての反応領域で生じるアクリル酸形成の選択性が
変換されたプロペンに対して≧80モル%であり、反応ガス出発混合物が反応領
域を通過する時間的な順序が反応領域のアルファベットの順番に相当する方法に
おいて、両者の反応段階、すなわち固定化触媒床1及び2並びに反応領域A、B
及びCもしくはA、B、D及びEのいずれも単一の多接触管−管束反応器中に存
在することを特徴とするプロペンをアクリル酸に触媒的気相酸化する方法である
【0017】 反応領域の温度とは、本願では反応領域に存在する固定化触媒床部分の、本発
明による方法の実施における化学反応の不在下の温度を意味する。
【0018】 反応体での触媒床の負荷量とは、本願ではかなり包括的にノルムリッター(No
rmliter)(=Nl;標準状態、すなわち25℃及び1バールにおいて相当量の
反応体が占めるリットルでの容量)での反応体量を意味し、これらは反応出発混
合物の成分として1時間あたり1リットルの触媒床に導通される。
【0019】 本発明により有利には反応領域Aは50〜70モル%のプロペンの変換率にま
で延在しており、特に有利には65〜75モル%のプロペンの変換率にまで延在
している。
【0020】 反応領域Bの温度は本発明によれば有利には310〜370℃であり、特に有
利には320〜370℃である。
【0021】 更に、反応領域Bの温度は有利には反応領域Aの温度より少なくとも10℃高
い。
【0022】 本発明におる方法において固定化触媒床1のプロペン負荷量がより高く選択さ
れれば、反応領域Aの温度と反応領域Bとの差異をより大きく選択すべきである
。しかしながら通常は本発明による方法での前記の温度差は50℃以下である。
すなわち反応領域Aの温度と反応領域Bとの温度差は本発明によれば20℃以下
、25℃以下、30℃以下、40℃以下、45℃以下又は50℃以下であってよ
い。
【0023】 一般に、第1の反応段階の1回の通過に対する本発明による方法でのプロペン
変換率は≧92モル%又は≧94モル%である。この場合、有用な生成物の形成
の選択性は自体公知の方法で適当な触媒選択において一般に≧92モル%、又は
94モル%、屡々≧95モル%又は96モル%もしくは≧97モル%である。
【0024】 意想外にも、前記の値は本発明によれば固定化触媒床1のプロペン負荷量≧1
65Nl/l・h又は≧170Nl/l・hもしくは≧175Nl/l・h又は
≧180Nl/l・hの場合に当てはまるだけでなく、固定化触媒床1のプロペ
ン負荷量≧185Nl/l・h又は190Nl/l・hもしくは≧200Nl/
l・h又は210Nl/l・hの場合並びに負荷量値≧220Nl/l・h又は
230Nl/l・hもしくは≧240Nl/l・h又は≧250Nl/l・hの
場合にも当てはまる。
【0025】 更に、前記の値は本発明により使用される不活性ガスが≧30容量%、又は≧
40容量%、又は≧50容量%、又は≧60容量%、又は≧70容量%、又は≧
80容量%、又は≧90容量%、又は≧95容量%まで分子窒素からなる場合で
さえも達成できることは意想外である。250Nl/l・hより高いプロペン負
荷量の場合に、本発明による方法のために不活性の(不活性の希釈ガスは一般に
1回通過した場合に5%未満、有利には2%未満まで変換されるガスであるべき
である)希釈ガス、例えばプロパン、エタン、メタン、ペンタン、ブタン、CO 、CO、水蒸気及び/又は希ガスが推奨される。しかしながらこれらのガス及
びその混合物は既により低い負荷量の場合にも共用され、又は単一の希釈ガスと
して使用することもできる。更に、本発明による方法を、反応領域A、B上で考
慮して均一、すなわち化学的に均一な固定化触媒床1を使用して、大規模に変換
率及び/又は選択率に損害を受けずに実施できることは意想外である。
【0026】 通常は、本発明による方法において、固定化触媒床1のプロペン負荷量は60
0Nl/l・hの値を超過しない。典型的には固定化触媒床1のプロペン負荷量
は本発明による方法において、変換率及び選択率に大きな損失を伴わず≦300
Nl/l・h、しばしば≦250Nl/l・hである。
【0027】 作業圧力は本発明による方法において、常圧(例えば0.5バール以下)未満
でも常圧より高くてもよい。典型的には作業圧は1〜5バール、しばしば1.5
〜3.5バールである。通常、反応圧は100バールを超えない。
【0028】 反応ガス出発混合物中のO:Cのモル比は本発明によれば≧1でなけ
ればならない。通常は、この比は値≦3である。しばしば反応ガス出発混合物中
のモル比O:Cのモル比は本発明によれば≧1.5及び≦2.0である
【0029】 本発明による方法の範囲において必要な分子酸素源として、空気又は分子窒素
を減損させた空気(例えば≧90容量%のO、≦10容量%のN)が該当す
る。
【0030】 反応ガス出発混合物中のプロペン割合は本発明によれば、例えば4〜15容量
%、しばしば5〜12容量%もしくは5〜8容量%であってよい(それぞれ全体
容量に対する)。
【0031】 しばしば、本発明による方法は反応ガス出発混合物中のプロペン:酸素:中性
ガス(水蒸気を含む)容量比1:(1.0〜3.0):(5〜25)、有利には
1:(1.7〜2.3):(10〜15)で実施される。
【0032】 通常は反応ガス出発混合物は前記の成分の他に実質的に更なる成分を含有しな
い。
【0033】 固定床触媒1としては、本発明による方法のために、活性材料が少なくとも1
つのMo、Bi及びFeを含有する複合金属酸化物である全ての触媒が該当する
【0034】 すなわち原則的に文献DE−C3338380号、DE−A19902562
号、EP−A15565号、DE−C2830765号、EP−A807465
号、EP−A279374号、DE−A3300044号、EP−A57589
7号、US−A4438217号、DE−A19855913号、WO98/2
4746号、DE−A19746210号(一般式IIの触媒)、JP−A91
/294239号、EP−A293224号及びEP−A700714号に開示
される触媒を本発明により使用できる。これは、特にこれらの文献に例示される
実施形のために適用され、これらのうちEP−A15565号、EP−A575
897号、DE−A19746210号及びDE−A19855913号の触媒
が特に有利である。この点において、EP−A15565号からの例1cによる
触媒並びに相応の方法で製造された触媒が特に優れているが、これらの活性材料
はMo12Ni6.5ZnFeBi0.00650.06・10
SiOの組成を有する。更にDE−A19855913号からの連番3を有す
る例(化学量論:Mo12CoFeBi0.60.08Si1.6
は形態5mm×3mm×2mm(外径×高さ×内径)の中空筒形の非担持触媒と
して優れており、並びに複合金属酸化物II−非担持触媒はDE−A19746
210号の例1より優れている。更にUS−A4438217号の複合金属酸化
物触媒を挙げることができる。後者は特にその中空筒形態が5mm×2mm×2
mm、又は5mm×3mm×2mm、又は6mm×3mm×3mm、又は7mm
×3mm×4mm(それぞれ外径×高さ×内径)を有する場合に該当する。
【0035】 固定化触媒床1のために本発明により適当な多数の複合金属酸化物活性材料は
一般式I Mo12BiFe (I) [式中の置換基及び変数は以下の意味を有する: X=ニッケル及び/又はコバルト、 X=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、 X=亜鉛、リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び/又は
タングステン、 X=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、 a=0.5〜5、 b=0.01〜5、有利には2〜4、 c=0〜10、有利には3〜10、 d=0〜2、有利には0.02〜2、 e=0〜8、有利には0〜5、 f=0〜10、かつ n=I中の酸素と異なる元素の原子価及び存在量によって規定される数]に包括
することができる。
【0036】 これらは自体公知のように得られ(例えばDE−A4023239号を参照)
、かつ通常は材料で球、リング又は筒に成形するか、又は活性材料で被覆された
予備成形された不活性担体を有するシェル触媒の形態で使用される。しかしなが
ら勿論のこと、これらを粉末形で触媒として使用することもできる。また当然本
発明によりBi、Mo及びFeを含む複合金属酸化物触媒ACS−4(日本触媒
)を使用してもよい。
【0037】 原則的に本発明によれば、固定化触媒床1のために適当な活性材料、特に一般
式Iの活性材料を、適当な元素成分源からできるだけ均質な、有利には微細の、
それらの化学量論に相応して配合された乾燥混合物を製造し、これを350〜6
50℃の温度で焼成することによって製造できる。焼成は不活性ガス下でも、酸
化性雰囲気、例えば空気(不活性ガスと酸素から成る混合物)並びにまた還元性
雰囲気(例えば不活性ガス、NH、CO及び/又はHからなる混合物)下で
実施してもよい。焼成時間は、数分から数時間であってよく、通常は温度に関連
して減少する。複合金属酸化物活性材料Iの元素成分源として、既に酸化物であ
る化合物及び/又は加熱によって少なくとも酸素の存在下に酸化物に変換可能な
化合物が該当する。
【0038】 酸化物の他にかかる出発ガス化合物として、とりわけハロゲン化物、硝酸塩、
ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、アミン錯体、アンモニウム
塩及び/又は水酸化物が該当する(NHOH、(NHCO、NH
、NHCHO、CHCOOH、NHCHCO及び/又はシュウ
酸アンモニウムのような化合物(これらは遅くとも後続の焼成においてガス状で
出る化合物に分解及び/又は崩壊しうる)を均質な乾燥混合物に更に導入できる
)。
【0039】 複合金属酸化物材料Iの製造のための出発化合物の均質な混合は、乾燥形又は
湿潤形で実施してよい。乾燥形で実施するのであれば、出発化合物は適切に微粉
として使用され、混合及び場合により圧縮の後に焼成を実施する。しかしながら
有利には均質な混合は湿潤形で実施する。この場合、通常は出発化合物は水溶液
及び/又は懸濁液の形で一緒に混合する。特に均質な乾燥混合物は前記の混合法
によって、専ら溶解形で存在する元素成分源から出発する場合に得られる。溶剤
としては、有利には水が使用される。引き続き得られる水性材料を乾燥し、その
際、乾燥方法は有利には水性混合物の100℃〜150℃の出口温度での噴霧乾
燥によって実施する。
【0040】 本発明により活性材料として固定床触媒1のために適当な複合金属酸化物材料
、特に一般式Iの材料は、本発明による方法のために粉末形でも規定の触媒形態
に成形しても使用でき、その際、成形は最終的な焼成の前又は後に実施できる。
例えば活性材料又は未焼成及び/又は部分的に焼成された前駆体材料の粉末形か
ら、所望の触媒形態に圧縮することによって(例えば打錠、押し出しによって)
非担持触媒を製造でき、その際、場合により助剤、例えばグラファイト又はステ
アリン酸を滑沢剤及び/又は成形助剤として及び強化剤、例えばガラス、アスベ
スト、炭化ケイ素又はチタン酸カリウムからなる微細繊維を使用してもよい。適
当な非担持触媒形態は、例えば外径及び長さ2〜10mmを有する中実筒又は中
空筒である。中空筒の場合には、1〜3mmの壁厚が適切である。勿論、非担持
触媒は球の形態を有し、その際、球径は2〜10mmであってよい。
【0041】 当然、粉末形の活性材料又はその粉末形の、まだ未焼成及び/又は部分的に焼
成された前駆体材料の成形は予備成形された不活性触媒担体上に施与することに
よって行ってもよい。シェル触媒の製造のための担体の被覆は、一般に適当な回
転可能な容器中で、例えばDE−A2909671号、EP−A293859号
又はEP−A714700号から公知のように実施してよい。適切には、担体の
被覆のために施与されるべき粉末材料を湿らせ、かつ施与の後に、例えば熱気に
よって再び乾燥させる。担体上に施与される粉末材料の層厚は適切には10〜1
000μm、有利には50〜500μm、特に有利には150〜250μmの範
囲にあるように選択される。
【0042】 担体材料としては、この場合慣用の多孔質又は非孔質の酸化アルミニウム、二
酸化ケイ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素又はケイ酸塩、
例えばケイ酸マグネシウム又はケイ酸アルミニウムを使用してよい。これらの担
体は規則的又は不規則的に成形されていてよく、その際、明らかに形成される表
面粗さを有する規則的に成形された担体、例えば球又は中空筒が有利である。実
質的に非孔質の表面の粗い球形のステアタイトからなる直径1〜8mm、有利に
は4〜5mmである担体の使用が適当である。しかしながら、長さ2〜10mm
及び外径4〜10mmの筒を担体として使用することも適当である。担体として
本発明により適当なリングの場合においては、更に壁厚は通常1〜4mmである
。本発明により有利に使用されるべきリング状の担体は2〜6mmの長さ、4〜
8mmの外径及び1〜2mmの壁厚を有する。本発明によれば、とりわけ7mm
×3mm×4mm(外径×長さ×内径)の形態を有するリングが担体として適当
である。担体材料の表面上に施与されるべき触媒活性酸化物材料の微粉度は所望
のシェル厚に勿論のこと適合される(EP−A714700号を参照)。
【0043】 固定化触媒床1のために本発明により使用されるべき有利な複合金属酸化物活
性材料は更に一般式II [Y ' ' '[Y ' ' ' ' ' '
' (II)
[式中の置換基及び変数は以下の意味を有する: Y=ビスマス、テルル、アンチモン、スズ及び/又は銅、 Y=モリブデン及び/又はタングステン、 Y=アルカリ金属、タリウム及び/又はサマリウム、 Y=アルカリ土類金属、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、スズ、カ
ドミウム及び/又は水銀、 Y=鉄、クロム、セリウム及び/又はバナジウム、 Y=リン、ヒ素、ホウ素及び/又はアンチモン、 Y=希土類金属、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ルテ
ニウム、ロジウム、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲ
ルマニウム、鉛、トリウム及び/又はウラン、 a′=0.01〜8、 b′=0.1〜30、 c′=0〜4、 d′=0〜20、 e′=0〜20、 f′=0〜6、 g′=0〜15、 h′=8〜16、 x′、y′=II中の酸素以外の元素の原子価及び存在量によって規定される数
、及び p、q=比p/qが0.1〜10の数]を表し、3次元に展開される、その局所
的環境とは異なる組成に基づいて、その局所的環境から限定される化学組成Y a′ b′x′の領域を含み、最大径(該領域の表面(界面)に存在する2
点の、該領域の重心を通る最長の結合線分)1nm〜100μm、しばしば10
nmから500nm又は1μm〜50もしくは25μmの材料である。
【0044】 特に有利な本発明による複合金属酸化物材料IIはYがビスマスである材料
である。
【0045】 このうち、他方では一般式III [Bi " " " "[Z 12 " "Fe " " "
" " " (III)
[式中の置換基及び変数は以下の意味を有する: Z=モリブデン及び/又はタングステン、 Z=ニッケル及び/又はコバルト、 Z=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、 Z=リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム及び/又は鉛、 Z=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、 Z=銅、銀及び/又は金、 a”=0.1〜1、 b”=0.2〜2、 c”=3〜10、 d”=0.02〜2、 e”=0.01〜5、有利には0.1〜3、 f”=0〜5、 g”=0〜10、 h”=0〜1、 x”、y”=III中の酸素と異なる元素の原子価及び存在量によって規定され
る数、 p”、q”=比p”/q”が0.1〜5、有利には0.5〜2である数]に相当
する材料が有利であり、その際、Z "=(タングステン) "及びZ 12
(モリブデン)12である材料IIIがより特に有利である。
【0046】 更に、本発明により適当な複合金属酸化物材料II(複合金属酸化物材料II
I)の全体部分[Y ' ' '([Bi " " " ")の
少なくとも25モル%(有利には少なくとも50モル%、特に有利には少なくと
も100モル%)が、本発明により適当な複合金属酸化物材料II(複合金属酸
化物材料III)において、その局所的環境とは異なる化学組成に基づいて、そ
の局所的環境から限定される3次元的に、最大径が1nmから100μmの範囲
にある化学組成Y ' ' '[Bi " " "]の領域の形で存在
する場合に有利である。
【0047】 成形に関しては、複合金属酸化物材料II触媒に関連して複合金属酸化物材料
I触媒の場合に挙げられるものが使用される。
【0048】 固定化触媒床1と異なって、本発明により固定化触媒床2は均一な温度を有す
る反応領域(反応領域C)においても2つの互いに異なる温度を有する空間的に
連続した反応領域D,Eにおいても存在してよい。
【0049】 本発明により適切には反応領域Cの温度は230〜285℃である。更に反応
領域Dの温度は本発明により適切には245〜275℃であり、かつ反応温度E
の温度は本発明により有利には反応領域Dの温度より少なくとも20℃高く、有
利には265〜295℃である。
【0050】 固定化触媒床1のプロペン負荷量が高く選択され、従って固定化触媒床2のア
クロレイン負荷量が本発明による方法の場合に自動的に選択されれば、温度領域
Cの代わりに2つの温度領域D,Eを使用するのが一層有利になる。更に反応領
域Dの温度及び反応領域Eの温度の差異は、反応体負荷量がより高く選択されれ
ば、それだけ大きく選択されるべきである。
【0051】 しかしながら本発明による方法における前記の温度差は通常40℃以下である
。すなわち反応領域Dの温度と反応領域Eの温度との差異は本発明によれば、1
5℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下又は40℃以下であってよい。
【0052】 本発明によれば、第2の反応段階に必要な酸素は既に第1の反応段階のための
反応ガス出発混合物に含まれていることが重要である。
【0053】 この文献に挙げられる成分以外は反応ガス出発混合物は通常実質的に他の成分
を含有しない。
【0054】 固定化触媒床2のアクロレイン負荷量は本発明による方法の場合に第1の反応
段階で選択される固定化触媒床1のプロペン負荷量並びに第1の反応段階で選択
される、反応ガス出発混合物の選択された組成を含む反応条件の自動的な結果で
ある。
【0055】 一般に、本発明による方法において、固定化触媒床2のアクロレイン負荷量は
固定化触媒床1のプロペン負荷量よりも約10Nl/l・h、しばしば約20も
しくは25Nl/l・h低い。これは根本的に、第1の反応段階において変換率
もアクロレインへの選択性も一般に100%を達成しないことに起因する。
【0056】 自体公知の方法において適当な固定化触媒床2の選択において、本発明による
方法の場合には両方の反応段階で生じるアクリル酸形成の変換されたプロペンに
対する選択性は非常に高い固定化触媒床1のプロペン負荷量の場合にでさえも、
≧83モル%、しばしば≧85モル%、又は≧88モル%、≧90モル%、又は
≧93モル%の値であってよい。
【0057】 本発明により使用されるべき固定床触媒2としては、気相触媒的な第2の反応
段階でのアクロレイン酸化に関しては活性材料が少なくとも1つのMo及びVを
含有する複合金属酸化物である全ての触媒が該当する。
【0058】 このように適当な複合金属酸化物活性材料は、例えばUS−A3775474
号、US−A3954855号、US−A3893951号及びUS−A433
9355号から引用できる。更に特定の方法においては、EP−A427508
号、DE−A2909671号、DE−C3151805号、DE−AS262
6887号、DE−A4302991号、EP−A700893号、EP−A7
14700号及びDE−A19736105号の複合金属酸化物活性材料が適当
である。この点において、EP−A714700号並びにDE−A197361
05号に例示される実施形が特に有利である。
【0059】 固定床触媒2のために適当な多数の複合金属酸化物活性材料は一般式IV Mo12 (IV
) [式中の置換基及び変数は以下の意味を有する: X=W、Nb、Ta、Cr及び/又はCe、 X=Cu、Ni、Co、Fe、Mn及び/又はZn、 X=Sb及び/又はBi、 X=1つ以上のアルカリ金属、 X=1つ以上のアルカリ土類金属、 X=Si、Al、Ti及び/又はZr、 a=1〜6、 b=0.2〜4、 c=0.5〜18、 d=0〜40、 e=0〜2、 f=0〜4、 g=0〜40、かつ n=IV中の酸素と異なる元素の原子価及び存在量によって規定される数]に包
括される。
【0060】 活性の複合金属酸化物IVの中での有利な実施形は、一般式IVの以下の置換
基及び変数の意味によって理解されるものである: X=W、Nb、Ta及び/又はCr、 X=Cu、Ni、Co及び/又はFe、 X=Sb、 X=Na及び/又はK、、 X=Ca、Sr及び/又はBa、 X=Si、Al及び/又はTi、 a=1.5〜5、 b=0.5〜2、 c=0.5〜3、 d=0〜2、 e=0〜0.2、 f=0〜1、かつ n=IV中の酸素と異なる元素の原子価及び存在量によって規定される数。
【0061】 しかしながら、より特に有利な複合金属酸化物は一般式V Mo12 ' ' ' ' ' ' (V) [式中、 Y=W及び/又はNb Y=Cu及び/又はNi Y=Ca及び/又はSr Y=Si及び/又はAl a’=2〜4 b’=1〜1.5 c’=1〜3 f’=0〜0.5 g’=0〜8 n’=V中の酸素とは異なる元素の原子価及び存在量によって規定される数]の
酸化物である。
【0062】 本発明により適当な複合金属酸化物活性材料(IV)は、例えばDE−A43
35973号又はEP−A714700号に開示される自体公知の方法で得られ
る。
【0063】 原則的に本発明によれば、固定床触媒2のために適当な複合金属酸化物活性材
料特に一般式IVの材料を容易に、その適当な元素成分源からできるだけ均質な
、有利には微細の、化学量論に相応して配合された乾燥混合物を作成し、かつこ
れを350℃〜600℃の温度で焼成することによって製造できる。焼成は不活
性ガス下でも酸化性雰囲気、例えば空気(不活性ガス及び酸素からなる混合物)
並びに還元性雰囲気(例えば不活性ガス及び還元性ガス、例えばH、NH
CO、メタン及び/又はアクロレイン又は前記の還元作用を有するガス自体から
なる混合物)下に実施してよい。焼成時間は数分から数時間であり、かつ通常は
温度に関連して減少する。複合金属酸化物活性材料IVの元素成分源としては既
に酸化物である化合物及び/又は加熱によって少なくとも酸素の存在下に酸化物
に変換される化合物が該当する。
【0064】 複合金属酸化物材料IVの製造のための出発化合物の均質な混合は乾燥形又は
湿潤形で実施してよい。乾燥形で実施する場合に、出発化合物は適切には微細な
粉末として使用され、混合及び場合により圧縮の後に焼成を行う。しかしながら
有利には均質な混合は湿潤形で実施する。
【0065】 通常は、更に出発化合物は水溶液及び/又は懸濁液の形で一緒に混合される。
特に均質な乾燥混合物は記載される混合法によって、専ら溶解された形で存在す
る元素成分源から出発する場合に得られる。溶剤として有利には水が使用される
。引き続き、得られる水性材料を乾燥させ、その際、乾燥プロセスは有利には1
00℃〜150℃の出口温度での水性混合物の噴霧乾燥によって実施する。
【0066】 本発明により固定床触媒2の活性材料として第2の反応段階に適当な複合金属
酸化物材料、特に一般式IVの材料は本発明による方法に関して、粉末形でも規
定の触媒形態に成形しても使用でき、その際、最終的な焼成の前又は後に成形を
実施してもよい。例えば活性材料又はその未焼成の前駆体材料の粉末形から所望
の触媒形態への圧縮によって(例えば打錠、押し出しによって)非担持触媒を製
造でき、その際、場合により助剤、例えばグラファイト又はステアリン酸を滑沢
剤及び/又は成形助剤として、かつ強化剤、例えばガラス、アスベスト、炭化ケ
イ素又はチタン酸カリウムからなる微細繊維を添加してよい。適当な非担持触媒
形態は、例えば外径及び長さ2〜10mmを有する中実筒又は中空筒である。中
空筒の場合には、壁厚は1〜3mmが適切である。当然のように非担持触媒は球
形態を有していてよく、その際、球径は2〜10mmであってよい。
【0067】 当然、粉末形の活性材料又はその粉末形のまだ焼成されていない前駆体材料の
成形は、予備成形された不活性触媒担体上への施与によっても実施できる。シェ
ル触媒の製造のための担体の被覆は、一般に適当な回転可能な容器中でDE−A
2909671号、EP−A293859号又はEP−A714700号から公
知のように実施される。
【0068】 適切には、担体の被覆のために、施与されるべき粉末材料を湿らせ、施与した
後に、例えば熱気によって再び乾燥させる。担体上に被覆された粉末材料の層厚
を適宜に10〜1000μm、有利には50〜500μm、特に有利には150
〜250μmの範囲にあるように選択する。
【0069】 担体材料として、更に慣用の多孔質又は非孔質の酸化アルミニウム、二酸化ケ
イ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素又はケイ酸塩、例えば
ケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸アルミニウムを使用してよい。担体は規則的
又は不規則的に成形されていてよく、その際、規則的に成形された明らかに形成
された表面粗さを有する担体、例えば球又は中空筒が有利である。実質的に非孔
質の表面の粗い球形の、ステアタイトからなる1〜8mm、有利には4〜5mm
の直径を有する担体が適当である。しかしながら、担体として、長さ2〜10m
m及び外径4〜10mmである筒を使用することも適当である。本発明により担
体として適当なリングの場合には壁厚は通常は1〜4mmである。本発明により
有利に使用されるべきリング状の担体は長さ2〜6mm、外径4〜8mm、及び
層厚1〜2mmである。本発明によれば、とりわけ形態7mm×3mm×4mm
(外径×長さ×内径)のリングは担体として適当である。担体の表面上に施与さ
れるべき触媒活性酸化物材料の微細度は当然のように所望のシェル厚に適合され
る(EP−A714700号を参照)。
【0070】 本発明により固定床触媒2として第2の反応段階のために本発明により使用さ
れるべき有利な複合金属酸化物活性材料は一般式VI [D][E] (VI) [式中の置換基及び変数は以下の意味を有する: D=Mo12 " " " " " " " "、 E=Z 12Cu " " "、 Z=W、Nb、Ta、Cr及び/又はCe、 Z=Cu、Ni、Co、Fe、Mn及び/又はZn、 Z=Sb及び/又はBi、 Z=Li、Na、K、Rb、Cs及び/又はH、 Z=Mg、Ca、Sr及び/又はBa、 Z=Si、Al、Ti及び/又はZr、 Z=Mo、W、V、Nb及び/又はTa、 a”=1〜8、 b”=0.2〜5、 c”=0〜23、 d”=0〜50、 e”=0〜2、 f”=0〜5、 g”=0〜50、 h”=4〜30、 i”=0〜20、かつ x”、y”=VI中の酸素と異なる元素の原子価及び存在量によって規定される
数、 p、q=比p/qが160:1〜1:1である0と異なる数 ]の材料であり、これらは複合金属酸化物E Z 12Cu " " " (E) を微細形で別々に予め形成させ(出発材料1)、引き続き予め形成された固体の
出発材料1を水溶液、水性懸濁液中又は元素Mo、V、Z、Z、Z、Z 、Z、Zの源からなり、該元素を化学量論D Mo12 " " " " " " "
D) で含有する微細な乾燥混合物(出発材料2)中に、所望の量比p:qで導入し、
これを更に場合により得られる水性混合物を乾燥させ、こうして得られた乾燥前
駆体材料をその乾燥の前又は後に250℃〜600℃の温度で焼成して所望の触
媒形態にする。
【0071】 予備形成された固体の出発材料1の出発材料2への導入は≦70℃の温度で実
施することが有利である。複合金属酸化物VI触媒の製造に関する詳細な記載は
、例えばEP−A668104号、DE−A19736105号及びDE−A1
9528646号に含まれている。
【0072】 成形に関しては、複合金属酸化物材料VI触媒ついては複合金属酸化物材料I
V触媒において述べられるものが有用である。
【0073】 当然、本発明による方法において、固定化触媒床1も固定化触媒床2も使用で
き、その反応ガス出発混合物の流動方向における容量特異的な活性は連続的に、
突然に又は段階的に増大する(このことは、例えばWO98/24746号、E
P−A450596号、EP−A792866号又はJP−A91/29423
9号に記載され、又は不活性材料での希釈によっても起こりうる)。同様に本発
明によれば窒素、水蒸気及び/又は一酸化炭素の他にEP−A293224号及
びEP−B257565号で推奨される不活性希釈ガス(例えばプロパンのみ又
はメタンのみ)を使用してよい。後者は必要であれば反応ガス混合物の流動方向
に増大する容量特異的な固定化触媒床の活性と組み合わせる。
【0074】 本発明によれば、反応領域Bは反応領域CもしくはDと空間的に直接連結して
よい。すなわち固定化触媒床1及び2は本発明によれば直接相互に接続してよい
。しかしながら当然、これらは不活性材料床及び空気によっても互いに分離され
ていてよい。
【0075】 分離する不活性材料として、例えばDE−C2830765号並びにEP−A
911313号に反応領域として互いに分離する不活性材料が該当する。本発明
によれば、かかる固定化触媒床2は不活性材料床に属し、すなわち反応領域Cも
しくはDと同じ温度に保持される。
【0076】 本発明により、両方の反応段階、すなわち固定化触媒床1及び2も反応領域A
、B及びCもしくはA、B、D及びEも多接触管−管束反応器中に存在すること
が重要である。
【0077】 すなわち本発明による方法の実現はいわゆる多温度領域−管束反応器中で、文
献DE−C2830765号、DE−C2513405号、US−A31470
84号、DE−A2201528号、EP−A383224号及びDE−A29
03218号の2つの反応領域の例で開示されるように実施せねばならない。
【0078】 すなわち、本発明により使用されるべき固定化触媒床1及び2並びに場合によ
り互いに分離された不活性材料床は管束反応器の金属管中で空間的に連続して存
在し(反応管の鉛直配置の場合には適宜に両者の固定化触媒床の管は上方にあり
、その滞留時間はより短い)、金属管の周りに互いに実質的に空間的に分離され
た加熱媒体、一般に塩溶融物が導かれる。それぞれの塩浴の及ぶ管断片は本発明
によれば温度領域を表す。すなわち、本発明による通常のケースにおいて塩浴A
は管のその断面(反応領域A)を包囲して流動し、そこでプロペンの酸化反応が
(一回の通過で)生じ、40〜80モル%の範囲の変換率が達成され、塩浴Bは
管の断面を包囲して流動し(反応領域B)、そこで引き続きプロペンの酸化によ
る変換(一回の通過で)が生じて、少なくとも90モル%の変換値が達成される
。前記の両者の管断面には固定化触媒床1が存在する。更なる塩浴C又は2つの
更なる塩浴D,Eは管の断面を包囲して流動し、その内部に固定化触媒床2並び
に場合により両者の固定化触媒床を互いに分離する不活性材料床が存在し、そこ
でアクロレイン変換が行われる。
【0079】 通常は、反応領域Bの開始は反応領域Aの最大ホットスポットの背後にある。
相応のように、反応領域Eの開始は通常、反応領域Dの最大ホットスポットの背
後にある。一般に反応領域Dは第1の反応段階からのアクロレインの55〜85
モル%、有利には65〜80モル%の変換率までに及ぶ。
【0080】 加熱浴(塩浴)A、B、CもしくはA、B、D、Eのそれぞれは本発明によれ
ば、反応管を流通する反応ガス混合物の流動方向に対して順流又は向流で反応管
を取り囲む空間に導かれる。
【0081】 適切には、全ての反応領域において順流又は向流のどちらかが使用される。ま
た反応領域Aは順流が使用され、反応領域Bでは向流(又は逆)が使用される。
反応領域D、Eに関しても同様のことがいえる。
【0082】 当然、前記の全ての場合においてそれぞれの反応領域内で、反応管に対しての
連続する加熱媒体の平行流は横断流と、個々の反応領域がEP−A700714
号又はEP−A700893号に記載のような管束反応器に相当し、縦断面にお
いて全体的に接触管束を通して熱交換媒体の蛇行した流動経路が得られるように
重なってよい。
【0083】 勿論、反応ガス出発混合物は固定化触媒床1に反応温度に予熱して供給される
【0084】 通常は、前記の管束反応器ではフェライト鋼からなる接触管を製造し、該接触
管は典型的に1〜3mmの壁厚を有する。その内径は一般に20〜30mm、屡
々21〜26mmである。応用技術的に適切に管束容器中にある接触管の数は少
なくとも5000、有利には少なくとも10000に達する。しばしば反応容器
中にある接触管の数は15000〜30000である。40000より多い接触
管の数を有する管束反応器は例外である。容器の内部に接触管は通常均一に分配
されて配置されており、その際、分配は適切に互いに隣接した中央の内側軸の距
離(いわゆる接触管間隔)は35〜45mmであるように選択される(例えばE
P−B468290号を参照)。
【0085】 熱交換媒体として、特に液体調温媒体が適当である。特に、硝酸カリウム、亜
硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム及び/又は硝酸ナトリウムのような塩の溶融物
又は低温で溶融する金属、例えばナトリウム、水銀並びに種々の金属の合金の使
用が有利である。
【0086】 一般に全ての前記に挙げた多領域管束反応器中での流動の状態において、必要
な熱交換媒体循環内の流動速度は、熱交換媒体の温度が反応領域への入口部位か
ら反応領域からの出口部位まで(反応の発熱によって生じる)で0〜15℃上昇
するように選択される。すなわち前記のΔTは本発明によれば1〜10℃、又は
2〜8℃又は3〜6℃であってよい。
【0087】 反応領域Aへの熱交換媒体の入口温度は本発明によれば300〜370℃であ
る。反応領域Bへの熱交換媒体の入口温度は本発明よれば通常一方では305〜
380℃であり、かつ他方では同時に反応領域Aに入る熱交換媒体の入口温度よ
り少なくとも5℃高い。
【0088】 有利には反応領域Bへの熱交換媒体の入口温度は反応領域Aに入る熱交換媒体
の入口温度より少なくとも10℃高い。反応領域AもしくはBへの入口温度の差
異は従って本発明によれば10℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、
40℃以下、45℃以下又は50℃以下であってよい。通常は前記の温度差は5
0℃以下である。固定化触媒床1の本発明による方法でのプロペン負荷量が高く
なれば、反応領域Aへの熱交換媒体の入口温度及び反応領域Bへの熱交換媒体の
入口温度間の差異を大きくすべきである。
【0089】 有利には反応領域Bへの熱交換媒体の入口温度は本発明によれば305〜37
5℃、特に有利には305〜370℃である。
【0090】 相応の方法においては、反応領域Cへの熱交換媒体の入口温度は通常は230
〜300℃、有利には230〜285℃である。
【0091】 反応領域Dへの熱交換媒体の入口温度は通常は230〜280℃(適切には2
45〜275℃)であり、反応領域Eへの熱交換媒体の入口温度は通常の場合に
は250〜300℃(適切には265〜295℃)である。
【0092】 有利には反応領域Eへの熱交換媒体の入口温度は反応領域Dへの熱交換媒体の
入口温度よりも少なくとも10℃もしくは少なくとも20℃高い。反応領域E及
び反応領域Dへの熱交換体の入口温度の間の差異は本発明によれば、固定化触媒
床1のプロペン負荷量がより高く選択されるほど大きく選択される。通常はこの
差異は50℃以下である。しかしながら差異は15℃以下、25℃以下、30℃
以下、35℃以下又は40℃以下であってよい。
【0093】 固定化触媒床1及び2を本発明により不活性材料床によって互いに分離する場
合には、不活性材料床の長さは通常は固定化触媒床2の長さの≦30%、しばし
ば≦20%であるが、一般に≧10%である。
【0094】 かかる不活性材料が、例えば特殊鋼からなるコイル、ステアタイトからなるリ
ング又はステアタイトからなる球であってよい。不活性材料はしかしながら反応
管中に導入する幾つかの50cm以下の長さのコイルであってよい(EP−B3
51167号を参照)。
【0095】 その代わりに、本発明による多領域プロセスの実現のために特にDE−AS2
201528号に記載される原理を使用でき、これは反応領域の高温の方の熱交
換媒体を別の反応領域の低温の方の熱交換媒体の部分量に移して、場合により低
温の反応ガス出発混合物又は低温の循環ガスの加熱をもたらす可能性を含んでい
る。
【0096】 更に個々の反応領域内の管束特性はEP−A382098号に記載のように有
する。
【0097】 顕著には、本発明による方法様式は前記のプロペン負荷量並びに前記の変換率
及び選択率の場合に反応領域Cもしくは反応領域D、Eにおいて明らかに圧力低
下の進行の遅延が起こる。これは、とりわけ本発明による第1の反応段階の構成
が明らかにMoOの揮発を回避することに起因し、これは結局、第1に本発明
による方法様式の実施を単一の管束反応器中で可能にする。
【0098】 本発明によれば、本発明による方法は不活性材料からなる中間層の共用の必要
な方法で必要としないことが重要である。
【0099】 本発明による方法は、連続的な実施のために特に適当である。
【0100】 本発明による方法においては、純粋なアクリル酸が得られないが、副成分のア
クリル酸を自体公知の方法で(例えば精留及び/又は結晶化により)分離できる
混合物が得られる。未反応のアクロレイン、プロペン並びに使用される及び/又
は反応の経過において形成される不活性の希釈ガスを気相酸化へと戻すことがで
きる。本発明による2段階のプロペンから出発する気相酸化においては、適宜に
反応領域Aへのリサイクルが行われる。
【0101】 その他の点では、この段階で変換率、選択性及び滞留時間は特に記載がない限
り以下のように定義されている。
【0102】
【数1】
【0103】 実施例及び比較例 1)固定床触媒1の製造 60℃で213kgの七モリブデン酸アンモニウムを600lの水中に溶解さ
せ、撹拌下に0.97kgの20℃の46.8質量%の水酸化カリウム溶液を添
加した。333.7kgの硝酸コバルト溶液(12.4質量%のコバルト)に1
16.25kgの硝酸鉄溶液(14.2質量%の鉄)を添加し、その際温度を3
0℃に保持し、添加が完了した後に更に30分間攪拌することによって第2の溶
液を製造した。60℃で112.3kgの硝酸ビスマス(11.2質量%のビス
マス)を鉄−コバルト溶液に供給した。第2の溶液を30分以内で60℃におい
てモリブデン酸塩溶液に添加した。添加の完了の15分後に19.16kgのシ
リカゾル(46.80質量%のSiO)を得られたスラリーに添加した。次い
で15分間攪拌した。得られたスラリーを引き続き噴霧乾燥し(ガス入口温度=
310℃、ガス出口温度=140℃)、粉末は約30質量%の強熱減量(600
℃で3時間)で得られた。
【0104】 活性材料の組成は Mo12CoFe2.94Bi0.6Si1.590.08 である。
【0105】 この出発材料を噴霧乾燥の後に1.5質量%のグラファイトと混合し、圧縮し
、かつ筒状の5mmの外径、3mmの高さ及び2mmの孔径を有するリングに成
形した。成形されたリングを8つのチャンバを有するベルト焼成装置(Bandcalz
iniervorrichtung)中で空気中で焼成した。これらのチャンバは160℃、20
0℃、230℃、270℃、380℃、430℃、500℃並びに500℃に調
温されている。滞留時間は2時間ごとに第1から第4のチャンバまで、かつ第5
から第8のチャンバで5時間であった。得られた触媒は固定床触媒1である。
【0106】 2)固定床触媒2の製造 a)化学量論Cu1.0Mo0.50.5の相Bの前製造 第1の撹拌槽において、約25℃で撹拌下に620lの水を装入した。引き続
きそこに27.4kgの(NHMo24*4HOを添加した。加熱
後に40.4kgの(NH101241*7HOを更に添加し、該混
合物を更に攪拌して90℃に加熱した。澄明な橙黄色の溶液が得られた(溶液1
)。
【0107】 溶液1の製造と並行して、第2の撹拌槽中で約25℃において攪拌しながら3
73lの水を装入した。引き続き61lの25質量%のNH水溶液を攪拌導入
した。アンモニア水溶液に61.9kgの酢酸銅(II)を添加し、得られた混
合物を攪拌して、澄明な暗褐色の溶液が沈殿物を含まず得られた(溶液2)。
【0108】 溶液2を第2の撹拌槽から溶液1に移した。引き続き得られたターコイズ色の
スラリーを噴霧乾燥し、その際、噴霧塔でのガス入口温度は250℃であり、ガ
ス出口温度は140℃であった。噴霧乾燥は順流で実施した。
【0109】 生じた噴霧粉末75kgを混練機中に計量供給し、15lの水を添加して混練
した。次いで混練物を押出機に移し、押出機によって押出物に成形した(長さ1
〜2cm;直径6mm)。
【0110】 乾燥コンベヤ(Bandtrockner)上で該押出物を120℃の温度で乾燥させた。
【0111】 触媒前駆体を回転管中で連続的に340℃の温度でかつ少なくとも1時間の滞
留時間で気流中で焼成した。引き続き前駆体をもう一度790℃で焼成した。
【0112】 引き続き該押出物をミル(バイプレックスミルBQ500)中で3〜5μmの
平均粒径に粉砕した。
【0113】 得られた粉末は≦1m/gを有する。X線回折によって以下の相が確認され
た: 1.鉄マンガン重石構造を有するCuMoO−III 2.HT−モリブデン酸銅。
【0114】 b)化学量論Mo10.41.2の相Aのための前駆体材料の前製造 撹拌槽中で約25℃において攪拌(70rpm)で900lの水を装入した。
引き続き122.4kgの(NHMo24*4HOをそこに添加し
、該混合物を撹拌下に90℃に加熱した。引き続き22.2kgのNHVO (メタバナジウム酸アンモニウム)を添加した。次いで20.9kgの(NH101241*7HOを添加し、60分間の90℃での攪拌によって澄
明な橙色の溶液が得られた。そのpH値は6.2±0.3であった。酢酸の添加
によってpH値をまず5.0±0.3に低下させ、引き続き25質量%のNH 水溶液の攪拌導入によって再度6.2±0.3に高めた。結局、澄明な橙色の溶
液が沈殿物を含まずに得られた。これを引き続き噴霧乾燥し、その際、噴霧塔で
のガス入口温度は240℃であり、ガス出口温度は100℃であった。得られた
噴霧粉末は淡黄色であった。
【0115】 c)複合金属酸化物活性材料の製造 75kgのb)で得られる噴霧粉末をZ形状の水平に横たわった2つの混練ア
ームを有するトラフ混練機中に装入した。次いで8.6lの酢酸を添加し、引き
続き必要量の水の添加によって混練可能な成分を調整した。引き続き12.9k
gの予め製造された相Bを添加し、均質化するまで混練した。次いで混練物を押
出機に移し、押出機によって押出物に成形した(長さ1〜2cm;直径6mm)
。乾燥コンベヤ上で該押出物を120℃の温度で乾燥させた。
【0116】 こうして得られた成形体300kgを、それぞれ1mの深さ及び50cmの幅
の10個の薄板を備えたトレイカート(Hordenwagen)にのせた。これらの薄板
を2列に並べてかつ等距離で重ねて配置した。これらの薄板は3mmの孔径を有
する多孔薄板からなる。前記のトレイカートをトレイオーブン(Hordenofen)(
内側サイズ:高さ×幅×深さ:1.30m×1.18m×1.10m)に押入れ
、これを約2500m/時間の空気量で作業した。該プロセスガスを電気的に
加熱し、温度制御はガス流中の温度素子によって行った。生成物温度は20個の
温度素子によって確認し、これは生成物床の中心の薄板のほぼ中心に取り付けた
。該成形体を1.5容量%のO、7容量%のNH、残分はN中で以下のよ
うに焼成した: 1分間あたり5℃の速度で、トレイオーブンに流れるガス混合物の温度を相応
のトレイオーブンの加熱領域において室温から325℃に加熱し、この温度で1
1時間保持した。引き続き、ガス雰囲気のNH含有率は0%に低下した。次い
で相応のように2.5℃/分の速度で400℃に加熱し、この温度を80分間厳
密に保った。引き続き室温に冷却した。
【0117】 こうして得られた焼成された押出物をミル(バイプレックスミルBQ500)
中で3〜5μmの平均粒径の2相の複合金属酸化物活性材料粉末に粉砕した。
【0118】 d)触媒製造 コーティングドラム(Beschichtungstrommel)において、70kgのステアタ
イトリング(外径×高さ×内径=7mm×3mm×4mm)を触媒担体として装
入し、以下のように複合金属酸化物活性材料粉末で被覆した: 供給路を用いて全体で18.1kgの複合金属酸化物活性材料粉末を被覆ドラ
ムに添加した。それと並行して、グリセリン/水−混合物(質量比 グリセリン
:水=1:3)を3.5lの全量で付着促進液として計量供給した。
【0119】 引き続き被覆ドラム中で乾燥した。こうして得られたシェル触媒(固定床触媒
2)の活性材料割合はその質量の約20%であった。
【0120】 3)プロペンのアクリル酸への気相触媒的酸化 a)第1の反応段階 第1の反応管(V2A鋼;30mmの外径;2mmの壁厚;26mmの内径、
長さ:400cm、並びに反応管中の温度を測定できる温度素子の収容のための
反応管中心に配置された温度管(4mmの外径))を下方から上方へと接触棚(
Kontaktstuhl)(0.2cmの長さ)にまず90cmの長さまで粗い表面祖有す
るステアタイトリング(3mmの長さ、5mmの外径、1.5mmの壁厚)で不
活性材料として反応ガス出発混合物の加熱のために装填し、引き続き100cm
の長さまで30質量%の前記のステアタイトリング及び70質量%の固定床触媒
1からなる混合物で装填し、かつそれに引き続き200cmまで固定床触媒1だ
けで装填して、前記のステアタイトリングの10cmの長さまでの装填で終えた
【0121】 反応ガス混合物の流動方向(反応ガス混合物は接触棚の場合に存在する管末端
で入る)第1の反応管をまず190cmの長さまで塩浴Aで調温し、引き続き2
10cmの長さまで塩浴Bで調温した(両方の塩浴のそれぞれは別々のポンプに
よって循環される)。塩浴Aは反応領域Aを定義し、塩浴Bは反応領域Bを定義
する。
【0122】 b)第2の反応段階 第2の反応管(V2A鋼;30mmの外径;2mmの壁厚;26mmの内径、
長さ:400cm並びに反応管の中心に配置された、反応管中の温度を測定でき
る温度素子の収容のための温度管(4mmの外径))は5cmの長さにわたって
有する、第1の反応管と接触棚と反対側の端部で連結している管アダプター(V
2A鋼、115mmの外径、26mmの内径)が存在する。
【0123】 管アダプター(これは試料採取の目的に役立つ)及びそこに引き続く第2の反
応管はまず95cmの全長にまで粗い表面を有するステアタイトからなる中空筒
(3mmの長さ、7mmの外径、1.5mmの壁厚)で、第1の反応管を出たア
クロレインを含有する反応ガス混合物の熱処理のために装填し、かつ引き続き1
00cmの長さにまで20質量%の前記のステアタイトリング並びに固定床触媒
2からなる混合物で装填し、それに引き続いて200cmの長さにまで固定床触
媒2で装填して、下流の床としての前記のステアタイトリングでの10cmの長
さにまでの装填で終える。
【0124】 反応混合物の流動方向において、第2の反応管をまず190cmの長さにまで
塩浴Dで調温し、引き続き210cmの長さにまで塩浴Eでサーモスタットした
(両者の塩浴のそれぞれは別々のポンプによって循環される)。塩浴Dは反応領
域Dを定義し、塩浴Eは反応領域Eを定義する。5cmの長さの管アダプターの
周りを塩浴が流動しておらず、該部分は層厚5cmの鋼質綿によってのみ隔離さ
れている。
【0125】 c)気相酸化 前記の第1の反応管に以下の組成の反応ガス出発混合物を連続的に装入する:
6.5〜7.0容量%のプロペン、 2.0〜2.5容量%のHO、 13.0〜13.5容量%のO 27〜28容量%のプロパン及び 残量として100%までの分子窒素。
【0126】 第1の反応段階の生成物混合物に、管アダプターを介してガスクロマトグラフ
ィー分析のために少量の試料を採取する。その他の点では、生成物ガス混合物を
直接、後続のアクロレイン酸化段階(アクリル酸へ)中に導く(反応段階2)。
アクロレイン酸化段階の生成物混合物から、同様にガスクロマトグラフィー分析
のために少量の試料を採取する。
【0127】 更に第2の反応管中への入口と第2の反応管からの出口との間の圧力差Δpを
時間の関数として測定する。
【0128】 第1の反応管の装填物のプロペン負荷量は175Nlのプロペン/l・hに選
択される。
【0129】 反応領域A、B、D及びEでの温度は、第1の反応管からのガス混合物の出口
でのプロペンの変換率(1回の反応通過)が95モル%であり、第1の反応管で
形成される第2の反応管からのガス混合物の出口でのアクロレインの変換率が9
9モル%であるように選択される。
【0130】 反応領域Aの温度は本発明によれば、反応領域Aからのガス混合物の出口での
プロペン変換率が40〜80モル%であるように規定される。
【0131】 結果として、以下のことが得られる: 前記の条件を比較例として境界条件“反応領域Aの温度=反応領域Bの温度”
及び“反応領域Dの温度=反応領域Eの温度”において実現した場合に関しては
、圧力差Δpは時間にわたって、前記の条件を本発明により境界条件“反応領域
Aの温度<反応領域Bの温度”及び“反応領域Dの温度=反応領域Eの温度”に
おいて実現した場合よりも迅速に低下する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 オットー マッハハンマー ドイツ連邦共和国 マンハイム シュヴァ ルツヴァルトシュトラーセ 25 (72)発明者 クラウス ヘッヒラー ドイツ連邦共和国 ルートヴィッヒスハー フェン タウベンシュトラーセ 21 (72)発明者 クラウス ヨアヒム ミュラー−エンゲル ドイツ連邦共和国 シュトゥテンゼー バ ーンホーフシュトラーセ 82 (72)発明者 ジグネ ウンフェアリヒト ドイツ連邦共和国 マンハイム ガルテン フェルトシュトラーセ 23 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC12 AC46 BA02 BA06 BA07 BA08 BA10 BA11 BA12 BA13 BA14 BA18 BA19 BA30 BA31 BA35 BB61 BC10 BC11 BC31 BC34 BC38 BE30 4H039 CA65 CC40

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロペンをアクリル酸に触媒的気相酸化する方法であって、
    その際、プロペン、分子酸素及び少なくとも1種の不活性ガスを含有し、その際
    、分子酸素及びプロペンをモル比O:C≧1で含有する反応ガス出発混
    合物を、第1の反応段階において≧160Nlのプロペン/lの固定化触媒床1
    ・hのプロペン負荷量を適用して、空間的に連続した2つの反応領域A、B中に
    配置されている固定化触媒床1上に導き、その際、反応領域Aの温度が300〜
    370℃であり、かつ反応領域Bの温度が305〜380℃であり、かつ同時に
    反応温度Aの温度より少なくとも5℃高く、その活性材料は少なくとも元素Mo
    、Fe及びBiを含有する少なくとも1種の複合金属酸化物であり、反応領域A
    が40〜80モル%のプロペンの変換率にまで延在し、かつ固定化触媒床1を1
    回通過した場合にプロペン変換率が≧90モル%であって、更に関連するアクロ
    レイン形成並びにアクリル酸副生成物形成の選択性が全体で≧90モル%であり
    、かつ更に分子酸素及びアクロレインをモル比O:CO≧0.5で含有
    する得られる生成物ガス混合物を、第2段階において単一の反応領域C又は2つ
    の空間的に連続した反応領域D,E中に配置されている固定化触媒床2上に導き
    、その際反応領域Cの温度が230〜300℃であり、反応領域Dの温度が23
    0〜280℃であり、反応領域Eの温度が250〜300℃であり、同時に反応
    領域Dの温度より少なくとも5℃高く、その活性材料は少なくとも元素Mo及び
    Vを含有する少なくとも1種の複合金属酸化物であり、反応領域Cもしくは反応
    領域D及びEを1回通過した場合にアクロレイン変換率が≧90モル%であり、
    全ての反応領域で生じるアクリル酸形成の選択性が変換されたプロペンに対して
    ≧80モル%であり、反応ガス出発混合物が反応領域を通過する時間的な順序が
    反応領域のアルファベットの順番に相当する方法において、両者の反応段階、す
    なわち固定化触媒床1及び2並びに反応領域A、B及びCもしくはA、B、D及
    びEのいずれも単一の多接触管−管束反応器中に存在することを特徴とするプロ
    ペンをアクリル酸に触媒的気相酸化する方法。
  2. 【請求項2】 反応領域Aが50〜70モル%のプロペンの変換率にまで延
    在する、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応領域Aが65〜75モル%のプロペンの変換率にまで延
    在する、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応領域Bの温度が反応領域Aの温度より少なくとも10℃
    高い、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 固定化触媒床1のプロペン負荷量が≧180Nl/l・hで
    ある、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 固定化触媒床1の活性材料が一般式I Mo12BiFe (I) [式中、置換基及び変数は以下の意味を有する: X=ニッケル及び/又はコバルト、 X=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、 X=亜鉛、リン、ヒ素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び/又は
    タングステン、 X=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、 a=0.5〜5、 b=0.01〜5、 c=0〜10、 d=0〜2、 e=0〜8、 f=0〜10、かつ n=I中の酸素とは異なる元素の原子価及び存在量によって規定される数]の少
    なくとも1種の複合金属酸化物である、請求項1から5までのいずれか1項記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 反応領域Eの温度が反応領域Dの温度より少なくとも20℃
    高い、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 【請求項8】 両方の反応段階で生じるアクリル酸形成の選択性が変換され
    たプロペンに対して≧90モル%である、請求項1から7までのいずれか1項記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 固定化触媒床2の活性材料が一般式IV Mo12 (IV
    ) [式中の置換基及び変数は以下の意味を有する: X=W、Nb、Ta、Cr及び/又はCe、 X=Cu、Ni、Co、Fe、Mn及び/又はZn、 X=Sb及び/又はBi X=1種以上のアルカリ金属、 X=1種以上のアルカリ土類金属、 X=Si、Al、Ti及び/又はZr、 a=1〜6、 b=0.2〜4、 c=0.5〜18、 d=0〜40、 e=0〜2、 f=0〜4、 g=0〜40、かつ n=IV中の酸素以外の元素の原子価及び存在量によって規定される数]の少な
    くとも1種の複合金属酸化物である、請求項1から8までのいずれか1項記載の
    方法。
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