JP2003514519A - クリングルドメイン含有ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および抗体 - Google Patents

クリングルドメイン含有ポリヌクレオチド、ポリペプチド、および抗体

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JP2003514519A JP2001537333A JP2001537333A JP2003514519A JP 2003514519 A JP2003514519 A JP 2003514519A JP 2001537333 A JP2001537333 A JP 2001537333A JP 2001537333 A JP2001537333 A JP 2001537333A JP 2003514519 A JP2003514519 A JP 2003514519A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規なヒトクリングルドメイン含有(KDC)ポリペプチドおよびそのようなポリペプチドをコードする遺伝子のコード領域を含む単離された核酸に関する。また、ベクター、宿主細胞、抗体およびヒトクリングルドメイン含有(KDC)ポリペプチドを産生するための組換え方法が提供される。本発明はさらに、これらの新規なクリングルドメイン含有(KDC)ポリペプチドに関する障害を診断および処置するために有用な診断方法および治療方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、新規のクリングルドメイン含有(KDC)タンパク質に関する。よ
り詳細には、新規のKDCポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供
される。新規のKDCポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに結合する抗体
が提供される。ヒトKDCのポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを産
生するための、ベクター、宿主細胞、ならびに組換え法および合成法もまた提供
される。本発明はさらに、これらの新規のKDCポリペプチドに関連する障害を
診断、処置、予防および/または予後診断をするために有用な、診断方法および
治療方法に関する。本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプ
チドのアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に
関する。本発明はさらに、本発明のポリペプチドの産生および機能を阻害するた
めの方法および/または組成物に関する。
【0002】 (発明の背景) 新脈管形成、既存の血管系からの新たな血管の形成は、正常な成体において厳
密に調節されたプロセスである。新脈管形成は、組織の増殖、損傷の治癒および
雌性生殖機能に必須であり、そして血管腫の形成および眼の新生血管形成のよう
な病理的なプロセスの要素である(Lucasら、Blood、92:4730
−41(1998))。生理的条件下で、新たな毛細血管の増殖は、血管の増殖
を刺激するかまたは阻害するかのいずれかで作用する増殖調節タンパク質の相互
作用により厳密に制御されている。通常、これらの力の間のバランスは、阻害の
方に傾いており、結果として血管増殖は抑制されている。しかし特定の生理条件
の下では、局部的な阻害性制御は、新脈管形成の誘導因子の活性が増大するのを
抑制できない。
【0003】 新脈管形成は、癌の転移において重要な工程であり(Folkman、Nat
ure Med.1:27−31(1995))、かつ損傷の異常な治癒、炎症
、慢性関節リウマチ、乾癬および糖尿病性網膜症において重要な工程である。こ
の工程は、この病理にとって必須であり(Folkmanら、Science、
235:442−47(1987))、従ってこれらの病理の実体が、薬理学的
および/または遺伝的な血管増殖抑制により調節され得るという期待を生じさせ
る(Iruela−Arispeら、Thromb.Haem.、78:672
−77(1997))。
【0004】 新脈管形成を阻害する手段の1つは、抗新脈管形成タンパク質の適用に関する
。1つのこのような抗新脈管形成タンパク質は、アンジオスタチンである(O’
Reillyら、Cell、79:315−28(1994))。アンジオスタ
チンは、プラスミノゲンのタンパク分解性のフラグメントであり、そしてプラス
ミノゲンの第1の4つのジスルフィド結合構造から成り、クリングルドメインま
たはクリングル構造として知られている(Caoら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.U.S.A.、96:5728−33(1999))。
【0005】 ヒトのアンジオスタチンは、毒性を伴わずにヒトおよびマウスの両方の原発性
腫瘍増殖を強力に弱める(O’Reillyら、Nat.Med.、2:689
−692(1996))。アンジオスタチンは、インビトロで内皮細胞の増殖を
阻害し、そしてマウス角膜およびニワトリ漿尿膜アッセイにおいてインビボで新
生血管形成を抑制する(O’Reillyら、Nat.Med.、2:689−
692(1996);O’Reillyら、Cell、79:315−28(1
994);Caoら、J.Biol.Chem.、271:29461−67(
1996))。
【0006】 さらにCaoらは、特定の組換えクリングルドメインポリペプチドが、単独で
かまたは他の組換えクリングルドメインポリペプチドと組み合わせてかのいずれ
かで試験され、ヒトアンジオスタチンと比較して抗内皮細胞増殖活性の増大を示
すことを証明した(Caoら、J.Biol.Chem.、271:29461
−67(1996))。
【0007】 クリングルドメインはまた、プロトロンビンならびに他の凝固タンパク質およ
びフィブリン溶解性タンパク質(例えば、プラスミノゲン、組織型プラスミノゲ
ン活性化因子(t−PA)、およびウロキナーゼ)およびアポリポタンパク質な
らびに肝増殖因子においても同定された(Wuら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.U.S.A、94、13654−60(1997))。
【0008】 したがって、新規のKDCタンパク質を同定し、そして利用することについて
の明らかな必要性が存在する。このタンパク質は、種々の細胞および組織型にお
いて、関連はあるが、多様かつ多面的な機能を有し得る。レセプター型分子は、
低分子および他のこのような薬理学的に価値のある因子についての標的に基いた
スクリーニングにおいて有用であることを証明する。このようなレセプターに対
して惹起されたモノクローナル抗体は、抗腫瘍の治療、診断または他の能力につ
いて有用であることを証明し得る。本発明の精製されたKDCポリペプチドは、
さらなるKDCタンパク質、またはKDCタンパク質と相互作用し得るシグナル
伝達経路のタンパク質の同定、特徴付け、および精製のために有用な研究用ツー
ルである。さらにKDCタンパク質の発現をモニターするために設計されたアッ
セイは、他の状態の中でもとりわけ、癌、異常な新脈管形成、および損傷の治癒
のような特定の型の障害の存在または進行をモニターする診断用ツールとして有
用であり得る。
【0009】 (発明の要旨) 本発明は、配列表に開示され、そして/または表1に記載されかつAmeri
can Type Culture Collection(ATCC)に寄託
されたヒトcDNAプラスミドに含まれる、ポリヌクレオチド配列を含むか、ま
たは代替的に、その配列からなる単離された核酸分子を含む。これらの核酸分子
のフラグメント、改変体、および誘導体もまた、本発明に含まれる。本発明はま
た、KDCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むか、または代替的
にそれらのポリヌクレオチドからなる単離された核酸分子を含む。本発明は、こ
れらのポリヌクレオチドによってコードされるKDCポリペプチドをさらに含む
。配列表に開示され、そして/または表1に記載されかつATCCに寄託された
ヒトcDNAプラスミドによってコードされるようなKDCポリペプチドを含む
か、または代替的にそれらのポリペプチドからなるアミノ酸配列が、さらに提供
される。これらのポリペプチドに結合する抗体もまた、本発明に含まれる。これ
らのアミノ酸配列のポリペプチドのフラグメント、改変体、および誘導体もまた
、これらのポリペプチドおよびこれらのポリペプチドを結合する抗体をコードす
るポリヌクレオチドと同様に、本発明に含まれる。
【0010】 (詳細な説明) (表) 表1は、本願に関連してATCCで成された寄託物のATCC寄託物、寄託日
、およびATCC受託番号を要約する。表1はさらに、cDNAクローンID、
cDNAクローンIDに含まれるベクターの種類、ヌクレオチド配列ID番号、
開示される配列に含まれるヌクレオチド、開示された配列の開始コドンの5’ヌ
クレオチドの位置、アミノ酸配列ID番号、および開示された配列によってコー
ドされるORFの最後のアミノ酸を含む、以下の各「遺伝子番号」に関する情報
を要約する。
【0011】 表2は、公開されたESTを示し、それらの少なくとも1、2、3、4、5、
10、またはそれ以上の任意の1以上のこれらの公開されたEST配列は、必要
に応じて本発明の特定の実施形態から除外される。
【0012】 表3は、表1に開示されるクローンに対応するポリヌクレオチドの発現プロフ
ィールを要約する。第1列は、表1に開示される各コンティグ配列に関連するc
DNAクローンについて、特有のクローン識別子「クローンID番号Z」を提供
する。列2、「ライブラリーコード」は、本発明のポリヌクレオチドを発現する
組織および/または細胞株ライブラリーの発現プロフィールを示す。列2の各ラ
イブラリーコードは、表4において提供されるライブラリーコードおよびライブ
ラリーの説明に対応する組織/細胞供給源の識別子のコードを表す。これらのポ
リヌクレオチドの発現は、試験される他の組織および/または細胞ライブラリー
において観察されなかった。当業者は、本発明の対応するポリヌクレオチドの顕
著な発現パターンを示す組織を同定するためか、または顕著なおよび/もしくは
特異的な組織の発現を示すポリヌクレオチドを同定するためのこの情報を慣用的
に使用し得る。
【0013】 表4、列1は、表3、列2に開示されるライブラリーコードを提供する。列2
は、対応するライブラリーが由来する組織または細胞供給源の説明を提供する。
列3において疾患組織に対応するライブラリーコードは、「疾患」の用語を添え
て示される。
【0014】 (定義) 以下の定義は、本明細書全体を通して使用される特定の用語の理解を容易にす
るために提供される。
【0015】 本発明において、「単離された(単離した)」とは、その本来の環境(例えば
、それが天然に存在する場合は天然の環境)から取り出された物質をいい、した
がって、その天然の状態から「人間の手によって」変更されている。例えば、単
離されたポリヌクレオチドは、ベクターまたは物質の組成物の一部であり得るか
、あるいは細胞中に含まれ得、そしてなお「単離されている」状態であり得る。
なぜなら、そのベクター、物質の組成物、または特定の細胞は、そのポリヌクレ
オチドの本来の環境ではないからである。用語「単離された(単離した)」は、
ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー、細胞全体の総RNA調製物ま
たはmRNA調製物、ゲノムDNA調製物(電気泳動により分離され、そしてブ
ロットへトランスファーされたものを含む)、剪断された細胞全体のゲノムDN
A調製物をも、本発明のポリヌクレオチド/配列の識別する特徴がないことが当
該分野で示されている他の組成物をもいわない。
【0016】 本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」とは、(表1の第5列に
記載にされる)配列番号Xに含まれる核酸配列を有する分子、または(表1の第
3列に記載され、そしてATCCに寄託されたプラスミドのプール内に含まれる
)cDNAプラスミドZをいう。例えば、このポリヌクレオチドは、5’および
3’非翻訳配列、天然または人工のシグナル配列を伴うかまたは伴わないコード
領域、タンパク質コード領域、ならびにこの核酸配列のフラグメント、エピトー
プ、ドメイン、および改変体を含む、全長cDNA配列のヌクレオチド配列を含
み得る。さらに、本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」とは、広く定義
される本発明のポリヌクレオチド(cDNAに対応する配列のポリAテールの翻
訳から生じるポリフェニルアラニンペプチド配列もポリリジンペプチド配列も明
らかに除く)によってコードされるアミノ酸配列を有する分子をいう。
【0017】 本発明では、配列番号Xの配列を含む代表的プラスミドが、American
Type Culture Collection(「ATCC」)に寄託さ
れ、そして/または表1に記載されている。表1に示すように、各プラスミドは
、cDNAクローンID(識別番号)およびATCC受託番号(ATCC受託番
号Z)によって同定される。単一の寄託物としてプールし寄託したプラスミドは
、同じTACC受託番号を有する。ATCCは、10801 Universi
ty Boulevard,Manassas,Virginia 20110
−2209,USAに位置する。ATCC寄託は、特許手続上の微生物の寄託の
国際的承認に関するブダペスト条約の条項に拠って行われた。
【0018】 本発明の「ポリヌクレオチド」はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼー
ション条件下で、配列番号Xに含まれる配列、またはその相補体(例えば、本明
細書中に記載されるポリヌクレオチドフラグメントのうちのいずれか1つ、2つ
、3つ、4つ以上の相補体)、および/またはcDNAプラスミドZに含まれる
配列(例えば、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドフラグメントのうちの
いずれか1つ、2つ、3つ、4つ以上の相補体)にハイブリダイズし得るポリヌ
クレオチドを含む。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、
50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸三
ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液
、10%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含
む溶液中での42℃での一晩のインキュベーション、続いて0.1×SSC中で
約65℃にてフィルターを洗浄することをいう。
【0019】 本発明の「ポリヌクレオチド」には、より低いストリンジェンシーのハイブリ
ダイゼーション条件で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子
もまた含まれる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよびシグナル
検出の変更は、主として、ホルムアミド濃度(より低い百分率のホルムアミドが
、低下したストリンジェンシーを生じる);塩条件、または温度の操作を通じて
達成される。例えば、より低いストリンジェンシー条件は、6×SSPE(20
×SSPE=3M NaCl;0.2M NaH2PO4;0.02M EDTA
、pH7.4)、0.5% SDS、30%ホルムアミド、100μg/mlサ
ケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中、37℃で一晩のインキュベーション;
次いで1×SSPE、0.1% SDSを用いた50℃での洗浄を含む。さらに
、さらにより低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントなハ
イブリダイゼーション後に行われる洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5×SS
C)で行われ得る。
【0020】 上記の条件におけるバリエーションが、ハイブリダイゼーション実験において
バックグラウンドを抑制するために使用される代替的なブロッキング試薬の含有
および/または置換によって達成され得ることに留意のこと。代表的なブロッキ
ング試薬としては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子D
NA、および市販の特許処方物が挙げられる。特異的ブロッキング試薬の含有は
、適合性の問題に起因して、上記のハイブリダイゼーション条件の改変を必要と
し得る。
【0021】 もちろん、ポリA+配列(例えば、配列表に示されるcDNAの任意の3’末
端ポリA+領域(tract))に、またはT(もしくはU)残基の相補的スト
レッチにのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、「ポリヌクレオチド」の
定義に包含されない。なぜなら、このようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)ス
トレッチまたはその相補体を含む任意の核酸分子(例えば、プライマーとしてオ
リゴdTを用いて生成される、事実上任意の二本鎖cDNAクローン)にハイブ
リダイズするからである。
【0022】 本発明のポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキ
シリボヌクレオチドから構成され得、これは、非改変RNAもしくは非改変DN
Aまたは改変RNAもしくは改変DNAであり得る。例えば、ポリヌクレオチド
は、一本鎖および二本鎖のDNA、一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であるD
NA、一本鎖および二本鎖のRNA、ならびに一本鎖領域と二本鎖領域との混合
物であるRNA、一本鎖、またはより代表的には二本鎖もしくは一本鎖領域と二
本鎖領域との混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子から
構成され得る。さらに、このポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNAまたは
RNAおよびDNAの両方を含む、三本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオ
チドはまた、安定性のために、または他の理由のために改変された、1つ以上の
改変された塩基またはDNA骨格もしくはRNA骨格を含み得る。「改変された
」塩基としては、例えば、トリチル化された塩基およびイノシンのような普通で
ない塩基が挙げられる。種々の改変が、DNAおよびRNAに対して行われ得;
したがって、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に改変さ
れた形態を含む。
【0023】 特定の実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも15の
、少なくとも30の、少なくとも50の、少なくとも100の、少なくとも12
5の、少なくとも500の、または少なくとも1000の連続するヌクレオチド
であるが、300kb以下、200kb以下、100kb以下、50kb以下、
15kb以下、10kb以下、7.5kb以下、5kb以下、2.5kb以下、
2.0kb以下、または1kb以下の長さである。さらなる実施形態においては
、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されたコード配列の一部を含
むが、任意のイントロンの全てまたは一部を含むわけではない。別の実施形態に
おいては、コード配列を含むポリヌクレオチドは、ゲノムの隣接遺伝子のコード
配列(すなわち、ゲノムにおける目的の遺伝子に対する5’または3’)を含ま
ない。他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、1000、500
、250、100、50、25、20、15、10、5、4、3、2または1以
上のゲノム隣接遺伝子のコード配列を含まない。
【0024】 「配列番号X」とは、表1の列5に記載されるポリヌクレオチド配列をいうが
、「配列番号Y」とは、表1の列10に記載されるポリペプチド配列をいう。配
列番号Xは、表1の列6において特定される整数によって同定される。配列番号
Yのポリペプチド配列は、配列番号Xのポリヌクレオチドによってコードされる
翻訳されたオープンリーディングフレーム(ORF)である。ポリヌクレオチド
配列は、配列リストに示され、直ちに全てのポリペプチド配列が続く。従って、
配列番号2のポリヌクレオチド配列に対応するポリペプチド配列は、配列リスト
に示される第1のポリペプチド配列である。第2のポリペプチド配列は、配列番
号3などとして示されるポリヌクレオチド配列に対応する。
【0025】 本発明のポリペプチドは、ペプチド結合または改変されたペプチド結合、すな
わち、ペプチドアイソスター(isostere)によって互いに連結したアミ
ノ酸から構成され得、そして遺伝子がコードする20個のアミノ酸以外のアミノ
酸を含み得る。ポリペプチドは、翻訳後プロセシングのような天然のプロセスに
よって、または当該技術分野で周知の化学的改変技術のいずれかによって、改変
され得る。このような改変は、基本テキスト、およびより詳細な研究論文、なら
びに多くの研究文献に十分に記載される。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖
、およびアミノ末端またはカルボキシル末端、を含むポリペプチドのどこにでも
生じ得る。同じ型の改変が、所定のポリペプチド中のいくつかの部位で、同じま
たは種々の程度で存在し得ることが理解される。また、所定のポリペプチドは多
くの型の改変を含み得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果として
分枝状であり得、そしてそのポリペプチドは、分枝を含むかまたは含まない、環
状であり得る。環状、分枝状および分枝した環状のポリペプチドは、天然の翻訳
後プロセスから生じ得るか、または合成方法によって作製され得る。改変として
は、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結
合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、
脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosph
otidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形
成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の
形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、
水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(pegylat
ion)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セ
レノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランス
ファーRNA媒介付加、およびユビキチン化が挙げられる。(例えば、PROT
EINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERT
IES、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman an
d Company、New York(1993);POSTTRANSLA
TIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROT
EINS、B.C.Johnson編、Academic Press、New
York、1−12頁(1983);Seifterら、Meth Enzy
mol.182:626−646(1990);Rattanら、Ann.N.
Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)を参照のこと)。
【0026】 本発明のポリペプチドは、任意の適切な様式で調製され得る。そのようなポリ
ペプチドとしては、単離された天然に存在するポリペプチド、組換え的に生成さ
れたポリペプチド、合成的に生成されたポリペプチド、またはこれらの方法の組
み合わせによって生成されたポリペプチドが挙げられる。このようなポリペプチ
ドを調製するための手段は、当該分野において十分に理解されている。
【0027】 ポリペプチドは、分泌タンパク質の形態(成熟形態を含む)であり得るか、ま
たはより大きなタンパク質(例えば、融合タンパク質)の一部であり得る(下記
を参照のこと)。分泌配列またはリーダー配列、プロ配列、精製において補助す
る配列(例えば、多重のヒスチジン残基)、または組換え生成の間の安定性のた
めのさらなる配列を含むさらなるアミノ酸配列を含むことは、しばしば有利であ
る。
【0028】 本発明のポリペプチドは、好ましくは単離された形態で提供され、そして好ま
しくは実質的に精製される。ポリペプチドの組換え的に生成されたバージョン(
分泌ポリペプチドを含む)は、本明細書中で記載される技術か、または当該分野
で他の公知の技術を使用して(例えば、SmithおよびJohnson(Ge
ne 67:31−40(1988))により記載される1工程方法によって)
、実質的に精製され得る。本発明のポリペプチドはまた、本明細書中で記載され
る技術、または当該分野における他の公知の方法を使用して(例えば、当該分野
で周知の方法で本発明のポリペプチドに対して惹起された本発明の抗体を使用す
ることによって)、天然の供給源、合成的な供給源または組換え供給源から精製
され得る。
【0029】 「機能的活性」を示すポリペプチドとは、本発明の全長(完全)タンパク質と
関連した1つ以上の公知の機能的活性を示し得るポリペプチドを意味する。この
ような機能的活性としては、生物学的活性、抗原性[抗ポリペプチド抗体に結合
する(または結合することについて、ポリペプチドと競合する)能力]、免疫原
性(本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を生成する能力)、本発明の
ポリペプチドと多量体を形成する能力、およびポリペプチドについてのレセプタ
ーまたはリガンドに結合する能力が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】 「機能的活性を有するポリペプチド」とは、特定のアッセイ(例えば、生物学
的アッセイのような)で測定した場合、用量依存性を伴なっても伴なわなくても
、本発明のポリペプチド(成熟形態を含む)の活性と類似であるが、必ずしも同
一ではない活性を示すポリペプチドをいう。用量依存性が存在する場合、ポリペ
プチドの用量依存性と同一である必要はないが、むしろ本発明のポリペプチドと
比較した場合に、所定の活性における用量依存性に実質的に類似する(すなわち
、候補ポリペプチドは、本発明のポリペプチドと比較して、より大きな活性を示
すか、または約1/25以上、そして好ましくは約1/10以上の活性、そして
最も好ましくは約1/3以上の活性を示す)。
【0031】 ポリペプチド、ならびにそれらのフラグメント、改変体、誘導体、およびアナ
ログの機能的活性は、種々の方法によってアッセイされ得る。
【0032】 例えば、全長ポリペプチドの抗体への結合について本発明の全長ポリペプチド
に結合するか、またはそれと競合する能力についてアッセイする、1つの実施形
態では、当該分野で公知の種々の免疫アッセイが、用いられ得る。このようなア
ッセイとしては、放射免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫放射分析アッセイ、ゲル拡散沈降反応、
免疫拡散アッセイ、インサイチュ免疫アッセイ(例えば、コロイド金、酵素また
は放射性同位体標識を用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ
(例えば、ゲル凝集アッセイ、血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍
光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどのような
技術を用いる競合および非競合アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されな
い。1つの実施形態では、抗体結合が、一次抗体上の標識を検出することによっ
て検出される。別の実施形態では、この一次抗体は、この一次抗体に対する二次
抗体または試薬の結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態で
は、この二次抗体が標識される。多くの手段が、免疫アッセイにおける結合の検
出について当該分野で公知であり、そして本発明の範囲内である。
【0033】 別の実施形態では、同定されたリガンド、または本発明のポリペプチドフラグ
メント、改変体、または誘導体が多量体化する能力が評価される場合、結合が、
例えば、還元および非還元ゲルクロマトグラフィー、タンパク質アフィニティー
クロマトグラフィー、ならびにアフィニティーブロッティングのような当該分野
で周知の手段によって、アッセイされ得る。一般には、Phizicky、E.
ら、Microbiol.Rev.59:94−123(1995)を参照のこ
と。別の実施形態では、その基質への本発明のポリペプチドの結合の生理学的相
関(シグナル伝達)がアッセイされ得る。
【0034】 さらに、本明細書中に記載のアッセイ(実施例を参照のこと)および当該分野
で公知の他のアッセイは、本発明のポリペプチドならびにそれらのフラグメント
、改変体、誘導体、およびアナログが、ポリペプチドの関連する生物学的活性を
(インビトロまたはインビボのいずれかで)惹起する能力を測定するために、慣
用的に適用され得る。他の方法は、当業者に公知であり、そして本発明の範囲内
である。
【0035】 (本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド) (遺伝子番号1によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、哺乳動物組織プラスミノゲン活性化因子(Genb
ank登録CAA01482を参照のこと)と配列相同性を共有する。本発明の
特に好ましい実施形態は、この遺伝子に対応する翻訳産物のクリングルドメイン
であると考えられる、以下のアミノ酸配列のポリペプチドを含むか、あるいはこ
のポリペプチドからなる:GTSWTALQGGKPCLFWNETFQHPY
NTLKYPNGEGGLGEHNYCRNPDGDVSPWCYVAEHED
GVYWKYCEIPAC(配列番号6)。これらのポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチドもまた本発明によって包含され、これらのポリペプチドの1つ
以上に結合する抗体も同様に包含される。さらに、これらのポリペプチドのフラ
グメントおよび改変体(例えば、本明細書中に記載されるようなフラグメント、
これらのポリペプチドに対して、少なくとも80%,85%,90%,95%,
96%,97%,98%,もしくは99%同一なポリペプチド、およびストリン
ジェントな条件下で、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対
してハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、
またはそれらの相補体)が、本発明によって包含される。本発明のこれらのフラ
グメントおよび改変体を結合する抗体もまた、本発明によって包含される。これ
らのフラグメントおよび改変体をコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に
よって包含される。さらに好ましいのは、配列番号6のクリングルドメイン、お
よび配列番号4の少なくとも5、10、15、20、25、30、50、または
75個のさらなる連続的アミノ酸残基を含むポリペプチドである。このさらなる
連続的アミノ酸残基は、クリングルドメインに対してN末端であってもC末端で
あってもよい。あるいは、さらなる連続的アミノ酸残基は、クリングルドメイン
に対してN末端およびC末端の両方であり得、ここでは、N末端の連続的なアミ
ノ酸残基およびC末端の連続的なアミノ酸残基の合計が、特定された数に等しい
。上記の好ましいポリペプチドドメインは、クリングルドメインに対して特異的
な特性に特徴的である。
【0036】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号4において残基:Cys−7〜L
eu−17,Gly−55〜Gly−64,Pro−113〜Thr−121,
Phe−167〜Leu−175,Glu−209〜Val−217,Pro−
249〜Thr−255,Gly−294〜His−300,およびLys−3
24〜Asn−336として示される免疫原性エピトープの1つ、2つ、3つ、
4つ、5つ以上を含むか、またはそれらからなる。これらのポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドもまた本発明によって包含され、これらのポリペプチド
の1つ以上に結合する抗体も同様に包含される。さらに、これらのポリペプチド
のフラグメントおよび改変体(例えば、本明細書中に記載されるようなフラグメ
ント、これらのポリペプチドに対して、少なくとも80%,85%,90%,9
5%,96%,97%,98%,もしくは99%同一なポリペプチド、およびス
トリンジェントな条件下で、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドに対してハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプ
チド、またはそれらの相補体)が、本発明によって包含される。本発明のこれら
のフラグメントおよび改変体を結合する抗体もまた、本発明によって包含される
。これらのフラグメントおよび改変体をコードするポリヌクレオチドもまた、本
発明によって包含される。
【0037】 この遺伝子は、妊婦の子宮組織において発現され、この子宮組織は、活発に新
脈管形成に関与していると考えられる組織である。また、この遺伝子は、脈管お
よび内皮組織(例えば、筋組織、および治癒しつつある鼡径部創傷組織)におい
て発現される。
【0038】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(抗体を含む)は、生
物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以
下:異常な新脈管形成または制御不能の新脈管形成、筋骨格系の疾患および/も
しくは障害、ならびに癌を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断の
ための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチ
ドに対する抗体は、組織または細胞の示差的同定のための免疫学的プローブの提
供に有用である。上記組織または細胞、特に脈管系および筋骨格系の多くの障害
に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の
健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低
いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特
定の組織もしくは細胞型(例えば、脈管組織、筋骨格組織、癌性組織および創傷
組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、また
は別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
【0039】 妊婦の子宮組織、筋組織および治癒しつつある鼡径部創傷組織における組織分
布、ならびに組織プラスミノゲン活性化因子に対する相同性は、この遺伝子に対
応するポリヌクレオチド、翻訳産物、および抗体が、脈管および筋骨格系の疾患
および/または障害の診断、検出、および/または処置に有用であることを示す
。この遺伝子の翻訳産物、もしくはより詳細には、このフラグメント、またはさ
らにより詳細には、好ましいクリングルドメインポリペプチドは、特定の型の癌
で見られ得るような、異常な新脈管形成または制御不能の新脈管形成の診断およ
び/または処置に有用であり得る。また、この遺伝子に対応する翻訳産物、もし
くはより詳細には、このフラグメント、またはさらにより詳細には、好ましいク
リングルドメインポリペプチドは、子宮組織で見られる新脈管形成の適切な調節
に有用であり得、そして顕著な新脈管形成を起こしている組織における新脈管形
成の適切な調節を維持するにおいて有用であり得る。
【0040】 同様に、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物、および抗体は、
一般的に、新脈管形成のアゴニストおよび/またはアンタゴニストとして有用で
あり得、そして新脈管形成活性の増強あるいは新脈管形成の減少のいずれかを必
要とする疾患状態において新脈管形成を増強または阻害するために利用され得る
。平滑筋組織における組織分布は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻
訳産物、および抗体が、心臓血管系の状態および病理(例えば、心臓病、再狭窄
、アテローム性動脈硬化症、発作、アンギナ、血栓症、および創傷治癒)の診断
、検出、および/または処置に有用であることを示す。タンパク質およびこのタ
ンパク質に対する抗体は、上記に列挙された組織に対する腫瘍マーカーおよび/
または免疫治療の標的としての有用性を示し得る。
【0041】 (遺伝子番号2によってコードされるタンパク質の特徴) 本発明の特に好ましい実施形態は、この遺伝子に対応する翻訳産物のクリング
ルドメインであると考えられる、以下のアミノ酸配列のポリペプチドを含むか、
あるいはこのポリペプチドからなる:GTRCRKLELGPHNYCLNPR
SLRISDSSLGTYI(配列番号7)。これらのポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドもまた本発明によって包含され、これらのポリペプチドの1
つ以上に結合する抗体も同様に包含される。さらに、これらのポリペプチドのフ
ラグメントおよび改変体(例えば、本明細書中に記載されるようなフラグメント
、これらのポリペプチドに対して、少なくとも80%,85%,90%,95%
,96%,97%,98%,もしくは99%同一なポリペプチド、およびストリ
ンジェントな条件下で、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに
対してハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド
、またはそれらの相補体)が、本発明によって包含される。本発明のこれらのフ
ラグメントおよび改変体を結合する抗体もまた、本発明によって包含される。こ
れらのフラグメントおよび改変体をコードするポリヌクレオチドもまた、本発明
によって包含される。
【0042】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号5において残基:Gly−1〜L
ys−6およびGlu−8〜Leu−16として示される免疫原性エピトープの
1つまたは両方を含むか、またはそれらからなる。これらのポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドもまた本発明によって包含され、これらのポリペプチド
の1つ以上に結合する抗体も同様に包含される。さらに、これらのポリペプチド
のフラグメントおよび改変体(例えば、本明細書中に記載されるようなフラグメ
ント、これらのポリペプチドに対して、少なくとも80%,85%,90%,9
5%,96%,97%,98%,もしくは99%同一なポリペプチド、およびス
トリンジェントな条件下で、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドに対してハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプ
チド、またはそれらの相補体)が、本発明によって包含される。本発明のこれら
のフラグメントおよび改変体を結合する抗体もまた、本発明によって包含される
。これらのフラグメントおよび改変体をコードするポリヌクレオチドもまた、本
発明によって包含される。
【0043】 この遺伝子は、T細胞において発現される。
【0044】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(抗体を含む)は、生
物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以
下:脈管および免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない
疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドお
よびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のた
めの免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に脈管およ
び免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害
を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により
高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する
個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、脈管組織、免疫組織、
癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液
および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る
【0045】 T細胞における組織分布、および推定クリングルドメインの同一性は、この遺
伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物、および抗体が、免疫系および脈管
系の疾患および/または障害の診断、検出、および/または処置に有用であるこ
とを示す。
【0046】 T細胞におけるこの遺伝子産物の発現は、血液幹細胞を含む潜在的にすべての
造血細胞系統の増殖;生存;分化;および/または活性化の調節における役割を
示唆する。この遺伝子産物は、サイトカイン産生、抗原提示、または癌の処置(
例えば、免疫応答をブーストすることによる)における有用性もまた示唆し得る
他のプロセスの調節に関与し得る。この遺伝子は、リンパ起源の細胞において発
現するので、この遺伝子またはタンパク質、ならびにこのタンパク質に対する抗
体は、上記に列挙された組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫療法標的
としての有用性を示し得る。従って、これはまた、関節炎、喘息、免疫不全疾患
(例えば、AIDS)、白血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫
瘡、および乾癬を含む免疫学的障害のための薬剤として有用であり得る。さらに
、この遺伝子産物は、種々の血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆体の拡
大において、ならびに種々の細胞型の分化および/または増殖において商業的有
用性を有し得る。
【0047】 あるいは、推定クリングルドメインの同一性は、この遺伝子に対応するポリヌ
クレオチド、翻訳産物、および抗体が、特定の型の癌で見られ得るような異常な
新脈管形成または制御不能な新脈管形成の診断、検出、および/または処置に有
用であることを示す。タンパク質およびこのタンパク質に対する抗体は、上記に
列挙された組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的としての有
用性を示し得る。
【0048】
【表1】 表1は、上記の各「遺伝子番号」に対応する情報を要約する。「ヌクレオチド
配列番号X」として同定されるヌクレオチド配列は、表1において同定される「
cDNAクローンID」から、およびいくつかの場合において、さらなる関連の
DNAクローンから得られる、部分的に相同な(「重複する」)配列から構築さ
れた。重複する配列は、高い冗長性の単一の連続した配列に構築され(通常、各
ヌクレオチド位置で3〜5個の重複する配列)、配列番号Xとして同定される最
終的な配列を得た。
【0049】 cDNAクローンIDは、その日付に寄託され、そして「ATCC寄託番号Z
および日付」において列挙される対応する寄託番号が与えられた。寄託物のいく
つかは、同じ遺伝子に対応する複数の異なるクローンを含む。「ベクター」は、
cDNAクローンIDにおいて含まれるベクターの型をいう。
【0050】 「総ヌクレオチド配列」は、「遺伝子番号」によって同定されるコンティグに
おけるヌクレオチドの総数をいう。寄託されたプラスミドは、これらの配列の全
てを含み、この配列は、配列番号Xの「クローン配列の5’ヌクレオチド」およ
び「クローン配列の3’ヌクレオチド」として示されるヌクレオチドの位置によ
って反映される。推定メチオニン開始コドンの配列番号Xのヌクレオチドの位置
は(存在する場合)、「開始コドンの5’ヌクレオチド」として同定される。同
様に、推定シグナル配列の配列番号Xのヌクレオチドの位置は(存在する場合)
、「シグナルペプチドの第一のアミノ酸の5’ヌクレオチド」として同定される
【0051】 翻訳されたアミノ酸配列は、ポリヌクレオチド配列の第1翻訳コドンで始まり
、「アミノ酸配列番号Y」として同定されるが、他のリーディングフレームもま
た、公知の分子生物学技術を使用して容易に翻訳され得る。これらの代替的オー
プンリーディングフレームによって産生されるポリペプチドは、本発明によって
具体的に意図される。
【0052】 配列番号X(ここで、Xは、配列表に開示されたポリヌクレオチド配列のいず
れかであり得る)および翻訳される配列番号Y(ここで、Yは、配列表に開示さ
れたポリペプチド配列のいずれかであり得る)は、十分に正確であり、そしてそ
うでなければ、当該分野において周知でありかつ以下でさらに記載される種々の
使用に適切である。例えば、配列番号Xは、配列番号Xにおいて含まれる核酸配
列または寄託されたプラスミドに含まれるcDNAを検出する核酸ハイブリダイ
ゼーションプローブを設計することを含む使用を有するが、これらに限定されな
い。これらのプローブはまた、生物学的サンプル中の核酸分子にハイブリダイズ
し、それによって本発明の種々の法医学の方法、および診断の方法を可能にする
。同様に、配列番号Yから同定されるポリぺプチドは、表1において同定された
cDNAクローンによりコードされる分泌タンパク質に特異的に結合する抗体を
産生することを含むが、これらに限定されない使用を有する。
【0053】 それにもかかわらず、配列決定反応によって生じるDNA配列は、配列決定の
エラーを含み得る。エラーは、誤って同定されたヌクレオチドとして、または生
じたDNA配列におけるヌクレオチドの挿入または欠失として存在する。誤って
挿入されたか、または欠失されたヌクレオチドは、推定アミノ酸配列のリーディ
ングフレームにおいてフレームシフトを引き起こす。これらの場合において、生
じたDNA配列は、実際のDNA配列と99.9%(例えば、1000塩基を超
えるオープンリーディングフレームにおける1塩基の挿入または欠失)を超えて
同一であり得るにもかかわらず、推定アミノ酸配列は、実際のアミノ酸配列とは
異なる。
【0054】 従って、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における正確さを必要とするこ
れらの適用のために、本発明は、配列番号Xとして同定された作製されたヌクレ
オチド配列、および配列番号Yとして同定された推定の翻訳されたアミノ酸配列
のみではなく、表1において記載されるような、ATCCに寄託された本発明の
ヒトcDNAを含むプラスミドDNAのサンプルもまた提供する。各々の寄託さ
れたプラスミドのヌクレオチド配列は、公知の方法に従って寄託されたプラスミ
ドの配列決定により容易に決定され得る。 次いで、推定アミノ酸配列は、このような寄託物から証明され得る。さらに、特
定のプラスミドによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列はまた、ペプチド
配列決定により、または寄託されたヒトcDNAを含む適切な宿主細胞中でタン
パク質を発現し、このタンパク質を収集し、そしてその配列を決定することによ
り、直接的に決定され得る。
【0055】 また、cDNAプラスミドを含むベクターの名前を表1に提供する。各ベクタ
ーは、当該分野において、慣用的に使用される。以下のさらなる情報は、利便性
のために提供される。
【0056】 ベクターLambda Zap(米国特許第5,128,256号および同第
5,286,636号)、Uni−Zap XR(米国特許第5,128,25
6号および同第5,286,636号)、Zap Express(米国特許第
5,128,256号および同第5,286,636号)、pBluescri
pt(pBS)(Short,J.M.ら、Nucleic Acids Re
s. 16:7583−7600(1988);Alting−Mees,M.
A.およびShort,J.M.、Nucleic Acids Res. 1
7:9494(1989))ならびにpBK(Alting−Mees,M.A
.ら、Strategies 5:58−61(1992))は、Strata
gene Cloning Systems,Inc.、11011 N.To
rrey Pines Road、La Jolla,CA,92037から市
販されている。pBSは、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてpBKはネオ
マイシン耐性遺伝子を含む。ファージミドpBSは、λZapベクターおよびU
ni−Zap XRベクターから切り出され得、そしてファージミドpBKは、
Zap発現ベクターから切り出され得る。両方のファージミドは、E.coli
株XL−1 Blue(これもまた、Stratageneから入手可能である
)に形質転換され得る。
【0057】 ベクターpSport1、pCMVSport 1.0、pCMVSport
2.0およびpCMVSport3.0は、Life Technologi
es、Inc.、P.O.Box 6009、Gaithersburg,MD
20897から得られた。全てのSportベクターはアンピシリン耐性遺伝
子を含み、そしてE.coli株DH10B(これもまた、Life Tech
nologiesから入手可能である)に形質転換され得る。例えば、Grub
er,C.E.ら、Focus 15:59(1993)を参照のこと。ベクタ
ーlafmid BA(Bento Soares、Columbia Uni
versity、New York)は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そし
てE.coli株XL−1 Blueに形質転換され得る。ベクターpCR(登
録商標)2.1(これはInvitrogen、1600 Faraday A
venue、Carlsbad、CA 92008から入手可能である)は、ア
ンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株DH10B(Life T
echnologiesから入手可能である)に形質転換され得る。例えば、C
lark,J.M.、Nuc.Acids Res.16:9677−9686
(1988)およびMead,D.ら、Bio/Technology 9:(
1991)を参照のこと。
【0058】 本発明はまた、配列番号X、配列番号Y、および/または寄託されたプラスミ
ド(cDNAプラスミド:Z)に対応する遺伝子に関する。対応する遺伝子は、
本明細書中に開示される配列情報を使用して、公知の方法に従って単離され得る
。このような方法は、開示された配列からプローブまたはプライマーを調製する
工程、およびゲノム物質の適切な供給源から対応する遺伝子を同定または増幅す
る工程を包含するが、これらに限定されない。
【0059】 本発明においてまた提供されるものは、対立遺伝子改変体、オルトログ(or
tholog)、および/または種相同体である。当該分野において公知である
手順は、本明細書中で開示された配列またはATCCに寄託されたクローンから
の情報を用いて、配列番号X、配列番号Y、および/またはcDNAプラスミド
:Zに対応する遺伝子の全長遺伝子、対立遺伝子改変体、スプライス改変体、全
長コード部分、オルトログ、および/または種相同体を得るために使用され得る
。例えば、対立遺伝子改変体および/または種相同体は、本明細書中に提供され
る配列から適切なプローブまたはプライマーを作製し、そして対立遺伝子改変体
および/または所望の相同体について適切な核酸供給源をスクリーニングするこ
とにより単離および同定され得る。
【0060】 本発明は、配列番号Xの核酸配列および/またはcDNAプラスミド:Zの核
酸配列を含むか、あるいはこれらからなるポリヌクレオチドを提供する。本発明
はまた、配列番号Yのポリペプチド配列、配列番号Xによりコードされるポリペ
プチド、および/またはcDNAプラスミド:Z中のcDNAによりコードされ
るポリペプチドを含むか、あるいはこれらからなるポリペプチドを提供する。配
列番号Yのポリペプチド配列、配列番号Xによりコードされるポリペプチド、お
よび/またはcDNAプラスミド:Z中のcDNAによりコードされるポリペプ
チドを含むか、あるいはこれらからなるポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドはまた、本発明により包含される。本発明はさらに、配列番号Xの核酸配列
の相補体、および/またはcDNAプラスミド:Z中のcDNAのコード鎖の相
補体を含むか、あるいはこれらからなるポリヌクレオチドを包含する。 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり、
そして配列データベースを通してアクセス可能であり、そして本発明の着想の前
に公に利用可能であったかもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌ
クレオチドは、本発明の範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙するこ
とは、本出願の開示では非常に煩わしい。従って、好ましくは、配列番号Xから
、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号Xの
1と配列番号Xの最終ヌクレオチド−15との間の任意の整数であり、bは15
〜配列番号Xの最終ヌクレオチドの整数であり、ここでaおよびbの両方は配列
番号Xに示されるヌクレオチド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14
以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチドが除外される。
【0061】 (全長遺伝子の回収のためのRACEプロトコル) 部分的cDNAクローンは、Frohman,M.Aら、Proc.Nat’
l.Acad.Sci.USA,85:8998−9002(1988)に記載
されたcDNA末端の高速増幅(RACE)手順を利用することにより全長を作
製し得る。5’末端または3’末端のいずれかが欠失しているcDNAクローン
は、翻訳の開始コドンまたは終止コドンのそれぞれに伸長する欠失塩基対を含む
ように再構築され得る。いくつかの場合において、cDNAは、そのために翻訳
の開始を欠失している。以下に、この本来の5’RACE手順の改変を簡単に記
載する。ポリA+または全RNAを、Superscript II(Gibc
o/BRL)およびcDNA配列に特異的なアンチセンスプライマーまたは相補
的プライマーを用いて逆転写する。そのプライマーを、Microcon Co
ncentrator(Amicon)を用いて反応から除去する。次いで、第
1鎖cDNAに、dATPおよび末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ
(Gibco/BRL)を用いて、テイルを追加する。このように、アンカー配
列を産生し、これは、PCR増幅のために必要である。第2鎖をdA−テイル含
有PCR緩衝液、TaqDNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer Ce
tus)、5’末端で3つの隣接制限部位(XhoI、SalIおよびClaI
)を含むオリゴdTプライマーならびにこれらの制限部位を正しく含むプライマ
ーから合成する。この2本鎖cDNAを同じプライマーならびにネスティッドc
DNA特異的アンチセンスプライマーを用いて40サイクルでPCR増幅する。
このPCR産物を、エチジウムブロマイドアガロースゲル上でサイズ分離し、そ
して欠失しているタンパク質コードDNAの推定サイズのcDNA産物を含むゲ
ルの領域を取り出す。cDNAをMagic PCR Prep kit(Pr
omega)を用いてアガロースゲルから精製し、XhoIまたはSalIを用
いて制限消化し、そしてプラスミド(例えば、pBluescript SKI
I(Stratagene))にXhoI部位およびEcoRV部位で連結する
。このDNAを細菌に形質転換し、そしてこのプラスミドクローンを配列決定し
て、正確なタンパク質コード挿入物を同定する。正確な5’末端を、推定的に同
定された相同体を有するこの配列と部分的cDNAクローンを有する重複を比較
することにより確認する。当該分野において公知の同様の方法および/または市
販のキットを使用して、増幅し、そして3’末端を回収する。
【0062】 いくつかの、品質制御キットが購入のために市販されている。上記のそれらと
同様の試薬および方法は、全長遺伝子を回収をするための5’RACEおよび3
’RACEの両方について、Gibco/BRLからキットの形態で供給される
。第2のキットは、Clontechから入手可能である。このキットは、Du
masら、Nucleic Acids Res.,19:5227−32(1
991)により開発された、関連技術の改変(SLIC(一本鎖cDNAへの、
一本鎖の連結))である。手順における主な違いは、RNAを、逆転写後にアル
カリ加水分解し、そしてRNAリガーゼを使用して、第1鎖cDNAに、制限部
位を含むアンカープライマーを連結することである。これは、過去に配列決定を
するのが困難なポリTの伸長を生じるdAテーリング反応における必要性を除去
する。
【0063】 RNAからの5’cDNAまたは3’cDNAを産生する代替は、cDNAラ
イブラリー二本鎖DNAを使用することである。非対称性PCR増幅アンチセン
スcDNA鎖を、アンチセンスcDNA特異的プライマーおよびプラスミドアン
カープライマーを用いて合成する。これらのプライマーを除去し、そして対称P
CR反応を、ネストしたcDNA特異的アンチセンスプライマーおよびプラスミ
ドアンカープライマーを用いて実施する。
【0064】 (5’末端配列または3’末端配列を産生し、全長遺伝子を得るための、RN
Aリガーゼのプロトコル) 一旦、目的の遺伝子が同定されると、本来のcDNAプラスミド中には存在し
ないかもしれない遺伝子の5’部分または3’部分の同定のためのいくつかの方
法が利用可能になる。これらの方法は、以下を含むがこれらに限定されない:フ
ィルタープローブ探索、特異的プローブを使用するクローン富化、5’RACE
および3’RACEと類似および同一のプロトコル。全長遺伝子は、ライブラリ
ー中に存在し得、そして探索によって同定され得るが、一方、5’末端または3
’末端を生成するために有用な方法は、欠けている配列情報を生成するために、
本来のcDNAからの既存の配列情報を、使用することである。5’RACEに
類似する方法は、所望の全長遺伝子の欠けている5’末端を生成するために利用
可能である(この方法は、Fromont−Racineら、Nucleic
Acids Res.,21(7):1683−1684(1993)によって
発表された)。簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝子RN
A転写物をおそらく含むRNAの集団の5’末端に連結し、そして連結されたR
NAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知の配列
に特異的なプライマーを含むプライマーセットを使用して、所望の全長遺伝子の
5’部分をPCR増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、そして
これを使用して全長遺伝子を生成し得る。この方法は、所望の供給源から単離さ
れた総RNAを用いて開始し、この手順における必要条件ではないが、ポリA
RNAを使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスファターゼで処
理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解または損傷RNAの5’リン
酸基を排除し得る。次いで、使用された場合、ホスファターゼを不活化し、そし
てRNAをメッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造を除去する
ために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処理する。この反応は、次いで
T4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌクレオチドに連結され得る、キャ
ップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残す。次いで、この改変型RNA調
製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第一鎖cDNA合成のた
めのテンプレートとして使用し得る。次いで、第一鎖合成反応物を、連結された
RNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的のKDC遺伝子の公
知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のための
テンプレートとして使用し得る。次いで、得られた生成物を配列決定し、そして
分析して5’末端配列が関連するKDC遺伝子に属することを確認する。
【0065】 (ポリヌクレオチドフラグメントおよびポリペプチドフラグメント) 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド(核酸)の、ポリヌクレオチドフラ
グメントに関する。本発明において、「ポリヌクレオチドフラグメント」とは、
以下である核酸配列を有するポリヌクレオチドをいう:cDNAプラスミドZに
含まれるcDNAの一部か、もしくはcDNAプラスミドZに含まれるcDNA
によりコードされるポリペプチドをコードするcDNAの一部;配列番号Xもし
くはその相補鎖におけるポリヌクレオチド配列の一部;配列番号Yのポリペプチ
ドの一部をコードするポリヌクレオチド配列;あるいは配列番号Xによりコード
されるポリペプチドの一部をコードするポリヌクレオチド配列。本発明のヌクレ
オチドフラグメントは、好ましくは、少なくとも約15nt、そしてより好まし
くは少なくとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そし
てなおより好ましくは少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくと
も約75nt、少なくとも約100nt、少なくとも約125nt、または少な
くとも約150ntの長さである。例えば、「少なくとも約20ntの長さ」の
フラグメントは、cDNAプラスミドZのcDNAに含まれる配列または配列番
号Xもしくはその相補鎖に示されるヌクレオチド配列由来の20以上の連続する
塩基を含むことが意図される。この文脈において「約(おおよそ)」は、特に記
載された値、あるいはそれより数個(5、4、3、2、または1)のヌクレオチ
ドだけ大きいかまたは小さな値を含む。これらのヌクレオチドフラグメントは、
本明細書中で議論されるように、診断プローブおよびプライマーとしての使用を
含むが、それらに限定されない使用を有する。もちろん、より大きなフラグメン
ト(例えば、少なくとも150、175、200、250、500、600、1
000または2000のヌクレオチドの長さ)もまた、本発明に含まれる。
【0066】 さらに、本発明のポリヌクレオチドフラグメントの代表例としては、例えば、
配列番号X、またはその相補鎖の以下のおおよそのヌクレオチド数の配列を含む
か、あるいはそれらからなるフラグメントが挙げられる:1〜50、51〜10
0、101〜150、151〜200、201〜250、251〜300、30
1〜350、351〜400、401〜450、451〜500、501〜55
0、551〜600、601〜650、651〜700、701〜750、75
1〜800、800〜850、851〜900、901〜950、951〜10
00、1001〜1050、1051〜1100、1101〜1150、115
1〜1200、1201〜1250、1251〜1300、1301〜1350
、1351〜1400、1401〜1450、1451〜1500、1501〜
1550、1551〜1600、1601〜1650、1651〜1700、1
701〜1750、1751〜1800、1801〜1850、1851〜19
00、1901〜1950、1951〜2000、2001〜2050、205
1〜2100、2101〜2150、2151〜2200、2201〜2250
、2251〜2300、2301〜2350、2351〜2400、2401〜
2450、2451〜2500、2501〜2550、2551〜2600、2
601〜2650、2651〜2700、2701〜2750、2751〜28
00、2801〜2850および/または2851〜2893。この文脈におい
て、「おおよそ(約)」は、特に記載された範囲、またはいずれかの末端もしく
は両方の末端において、これより数個(5、4、3、2、または1)のヌクレオ
チドだけ大きいか、または小さな範囲を含む。好ましくは、これらのフラグメン
トは、その配列が一部であるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド
の、機能的活性(例えば、生物学的活性)を有するポリペプチドをコードする。
より好ましくは、これらのフラグメントは、本明細書中、上記で議論されるよう
にプローブまたはプライマーとして使用され得る。ストリンジェントなハイブリ
ダイゼーション条件下あるいはより低いストリンジェンシー条件下でこれらのフ
ラグメントの1つ以上にハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた本発明に含
まれ、これらのポリヌクレオチドまたはフラグメントによりコードされるポリペ
プチドも同様に含まれる。
【0067】 さらに、本発明のポリヌクレオチドフラグメントの代表例としては、例えば、
cDNAプラスミドZに含まれるcDNAヌクレオチド配列、またはその相補鎖
の以下のおおよそのヌクレオチド数の配列を含むか、あるいはそれらからなるフ
ラグメントが挙げられる:1〜50、51〜100、101〜150、151〜
200、201〜250、251〜300、301〜350、351〜400、
401〜450、451〜500、501〜550、551〜600、601〜
650、651〜700、701〜750、751〜800、800〜850、
851〜900、901〜950、951〜1000、1001〜1050、1
051〜1100、1101〜1150、1151〜1200、1201〜12
50、1251〜1300、1301〜1350、1351〜1400、140
1〜1450、1451〜1500、1501〜1550、1551〜1600
、1601〜1650、1651〜1700、1701〜1750、1751〜
1800、1801〜1850、1851〜1900、1901〜1950、1
951〜2000、2001〜2050、2051〜2100、2101〜21
50、2151〜2200、2201〜2250、2251〜2300、230
1〜2350、2351〜2400、2401〜2450、2451〜2500
、2501〜2550、2551〜2600、2601〜2650、2651〜
2700、2701〜2750、2751〜2800、2801〜2850およ
び/または2851〜2893。この文脈において、「おおよそ(約)」は、特
に記載された範囲、あるいはいずれかの末端もしくは両方の末端において、これ
より数個(5、4、3、2、または1)のヌクレオチドだけ大きいか、または小
さな範囲を含む。好ましくは、これらのフラグメントは、cDNAプラスミドZ
に含まれるcDNAヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの機能
的活性(例えば、生物学的活性)を有するポリペプチドをコードする。より好ま
しくは、これらのフラグメントは、本明細書中で議論されるように、プローブま
たはプライマーとして使用され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーショ
ン条件下あるいはより低いストリンジェンシー条件下で1つ以上のこれらのフラ
グメントにハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた本発明に含まれ、これら
のポリヌクレオチドまたはフラグメントによりコードされるポリペプチドもまた
、含まれる。
【0068】 本発明において、「ポリペプチドフラグメント」とは、配列番号Yに含まれる
アミノ酸配列の一部、配列番号Xのポリヌクレオチド配列によってコードされる
アミノ酸配列の一部、および/またはcDNAプラスミドZ中のcDNAによっ
てコードされるアミノ酸配列の一部であるアミノ酸配列をいう。タンパク質(ポ
リペプチド)フラグメントは、「自立構造(free−standing)」で
あり得るか、あるいはより大きなポリぺプチド(このフラグメントが、部分また
は領域(最も好ましくは単一の連続した領域として)を形成する)内に含まれ得
る。本発明のポリペプチドフラグメントの代表例としては、例えば、配列番号Y
のコード領域の、以下のおおよそのアミノ酸数のアミノ酸配列を含むか、あるい
はそれらからなるフラグメントが挙げられる:1〜20、21〜40、41〜6
0、61〜80、81〜100、101〜120、121〜140、141〜1
60、161〜180、181〜200、201〜220、221〜240、2
41〜260、261〜280、281〜300、301〜320および/また
は321〜341。さらに、本発明のポリペプチドフラグメントは、少なくとも
約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65
、70、75、80、85、90、100、110、120、130、140、
または150のアミノ酸の長さであり得る。この文脈において、「約(おおよそ
)」とは、特に記載された範囲または値、あるいはいずれかの末端もしくは両方
の末端において、これより数個(5、4、3、2、または1)のアミノ酸だけ大
きいかまたは小さな、範囲または値を含む。これらのポリペプチドフラグメント
をコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
【0069】 タンパク質のN末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、タンパク質の1つ以
上の生物学的機能の損失の改変を生じるとしても、他の機能的活性(例えば、生
物学的活性、多量体化する能力、リガンドに結合する能力)は、なお保持され得
る。例えば、ポリペプチドの完全な形態または成熟形態を認識する抗体を誘導す
るおよび/または抗体に結合する、短縮型ムテインの能力は、完全なポリペプチ
ド、または成熟ポリペプチドの大部分より少ない残基が、N末端から除去される
場合には、一般的に保持される。完全なポリペプチドのN末端残基を欠く特定の
ポリペプチドが、このような免疫原性活性を保持するかどうかは、本明細書中に
記載される慣用的な方法、およびそうでなければ当該分野において公知の別の方
法によって容易に決定され得る。多数の欠失したN末端アミノ酸残基を有するム
テインは、いくつかの生物学的活性または免疫原性活性を保持し得るようである
。実際に、6つと同じくらい少ないアミノ酸残基からなるペプチドは、しばしば
免疫応答を惹起し得る。
【0070】 従って、本発明のポリペプチドフラグメントとしては、分泌タンパク質および
成熟形態が挙げられる。さらに好ましいポリペプチドフラグメントとしては、ア
ミノ末端もしくはカルボキシ末端またはその両方から、連続した一連の欠失した
残基を有する分泌タンパク質、もしくは成熟形態が挙げられる。例えば、任意の
数のアミノ酸(1〜60の範囲)は、分泌ポリペプチドもしくは成熟形態のいず
れかのアミノ末端から欠失され得る。同様に、任意の数のアミノ酸(1〜30の
範囲)が、分泌タンパク質もしくは成熟形態のカルボキシ末端から欠失され得る
。さらに、上記のアミノ末端およびカルボキシ末端の欠失の任意の組み合わせは
好ましい。同様に、これらのポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレ
オチドもまた好ましい。
【0071】 本発明は、本明細書中で開示されるポリペプチド(例えば、配列番号Yのポリ
ペプチド、配列番号Xに含まれるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリ
ペプチド、および/またはcDNAプラスミドZに含まれるcDNAによりコー
ドされるポリペプチド)のアミノ酸配列のアミノ末端から、1つ以上の欠失した
残基を有するポリペプチドを、さらに提供する。特に、N末端の欠失は、一般式
m−qによって記載され得、ここでqは、本発明のポリペプチド(例えば、配列
番号Yに開示されるポリペプチド)におけるアミノ酸残基の総数を表す全整数で
あり、そしてmは、2〜q−6の範囲の任意の整数として定義される。これらの
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(フラグメントおよび/または改変
体を含む)もまた、本発明に含まれる。
【0072】 また、上記のように、タンパク質のC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が
、このタンパク質の1つ以上の生物学的機能の損失の改変を生じるとしても、他
の機能的活性(例えば、生物学的活性、多量体化する能力、リガンドに結合する
能力)は、なお保持され得る。例えば、ポリペプチドの完全な形態または成熟形
態を認識する抗体を誘導するおよび/またはこの抗体に結合する、短縮型ムテイ
ンの能力は、完全なポリペプチド、または成熟ポリペプチドの大部分より少ない
残基が、C末端から除去される場合には、一般的に保持される。完全なポリペプ
チドのC末端残基を欠く特定のポリペプチドが、このような免疫原性活性を保持
するか否かは、本明細書中に記載される慣用的な方法、およびそうでなければ当
該分野において公知の他の方法によって容易に決定され得る。多数の欠失したC
末端アミノ酸残基を有するムテインは、いくつかの生物学的活性または免疫原性
活性を保持し得るようである。実際に、6つと同じくらい少ないアミノ酸残基か
らなるペプチドは、しばしば免疫応答を惹起し得る。
【0073】 従って、本発明は、本明細書中で開示されるポリペプチド(例えば、配列番号
Yのポリペプチド、配列番号Xに含まれるポリヌクレオチド配列によりコードさ
れるポリペプチド、および/またはcDNAプラスミドZに含まれるcDNAに
よりコードされるポリペプチド)のアミノ酸配列のカルボキシ末端からの1つ以
上の残基を有するポリペプチドを、さらに提供する。特に、C末端の欠失は、一
般式1−nによって記載され得、ここでnは、6〜q−1の範囲の任意の全整数
であり、そしてここでnは、本発明のポリペプチドにおけるアミノ酸残基の位置
に対応する。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(フラグメン
トおよび/または改変体を含む)もまた、本発明により含まれる。
【0074】 さらに、上記のN末端またはC末端の欠失のいずれかを組み合わせて、N末端
およびC末端欠失型ポリペプチドを産生し得る。本発明はまた、アミノ末端およ
びカルボキシ末端の両方から1つ以上の欠失したアミノ酸を有するポリペプチド
を提供する。このポリペプチドは、一般的に、配列番号X(例えば、好ましくは
配列番号Yとして開示されるポリペプチドを含むが、これに限定されない)およ
び/またはcDNAプラスミドZ中のcDNA、ならびに/あるいはそれらの相
補鎖によってコードされるポリペプチドの、残基m−nを有する場合に記載され
得、ここでnおよびmは、上記のような整数である。これらのポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチド(フラグメントおよび/または改変体を含む)もまた
、本発明に含まれる。
【0075】 配列番号Yのポリペプチドに含まれる任意のポリペプチド配列、配列番号Xと
して記載されるポリヌクレオチド配列によってコードされる、任意のポリペプチ
ド配列、またはcDNAプラスミドZ中のcDNAによってコードされる任意の
ポリペプチド配列は、そのポリペプチドの特定の好ましい領域を決定するために
、分析され得る。例えば、配列番号XまたはcDNAプラスミドZ中のcDNA
のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、
DNASTARコンピュータアルゴリズム(DNASTAR,Inc.,122
8 S.Park St.,Madison,WI 53715 USA;ht
tp://www.dnastar.com/)のデフォルトパラメーターを使
用して、分析され得る。
【0076】 DNASTARコンピューターアルゴリズムを使用して慣用的に得られ得るポ
リペプチドの領域としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:Ga
rnier−Robsonのα−領域、β−領域、ターン領域、およびコイル領
域、Chou−Fasmanのα−領域、β−領域、およびターン領域、Kyt
e−Doolittleの親水性領域および疎水性領域、Eisenbergの
α−両親媒性領域およびβ−両親媒性領域、Karplus−Schulzの可
撓性領域、Eminiの表面形成領域ならびに高い抗原性指標のJameson
−Wolfの領域。この点で、本発明の非常に好ましいポリヌクレオチドの中に
、いくつかの構造的特徴(例えば、上記の特徴のいくつか(例えば、1、2、3
または4))と組み合わされる領域を含むポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドがある。
【0077】 さらに、Kyte−Doolittle親水性領域および疎水性領域、Emi
ni表面形成領域、ならびに高い抗原性指標のJameson−Wolf領域(
すなわち、Jameson−Wolfプログラムのデフォルトパラメターを使用
して同定されるような、1.5より大きいか、または1.5に等しい抗原性指標
を有する、4つ以上の連続するアミノ酸を含む)を慣用的に使用して、抗原性に
対する高い程度の潜在性を表すポリペプチドの領域を決定し得る。高い抗原性の
領域は、免疫応答の開始プロセスにおいて、抗原認識が生じ得る環境中のポリペ
プチドの表面上に曝されるようであるポリペプチドの領域を表す値を選択するこ
とによって、DNASTAR分析によるデータから決定される。
【0078】 本発明の好ましいポリペプチドフラグメントは、そのアミノ酸配列がフラグメ
ントであるポリペプチド配列の、機能的活性(例えば、生物学的活性)を示すア
ミノ酸配列を含むか、またはあるいは、これらからなるフラグメントである。「
機能的活性」を示すポリペプチドとは、全長タンパク質と関連した1つ以上の公
知の機能的活性(例えば、前述のような、生物学的活性、抗原性、免疫原性、お
よび/または多量体化など)を示し得るポリペプチドを意味する。
【0079】 他の好ましいポリペプチドフラグメントは、生物学的に活性なフラグメントで
ある。生物学的に活性なフラグメントとは、本発明のポリペプチドの活性に対し
て、同一である必要はないが、類似する活性を示すフラグメントである。このフ
ラグメントの生物学的活性は、改善された所望の活性、または低下した望ましく
ない活性を含み得る。
【0080】 好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号Yのポリペプ
チドの1、2、3、4、5以上の抗原性フラグメントか、またはその部分を含む
か、またはあるいはそれらからなる。これらのポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチド(フラグメントおよび/または改変体を含む)もまた、本発明に含ま
れる。
【0081】 本発明は、以下のポリペプチドを含むか、またはあるいは以下からなるポリペ
プチドを含む:配列番号Yに示されるポリペプチド配列のエピトープ、またはc
DNAプラスミドZ中のcDNAによりコードされるポリペプチド配列のエピト
ープ、あるいは前述で定義されるように、ストリンジェントなハイブリダイゼー
ション条件下あるいはより低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件
下で、配列番号Xのエピトープコード配列またはcDNAプラスミドZに含まれ
るエピトープコード配列の相補鎖にハイブリダイズするポリヌクレオチドによっ
てコードされるポリペプチド配列のエピトープ。本発明はさらに、本発明のポリ
ペプチド配列のエピトープをコードするポリヌクレオチド配列(例えば、配列番
号Xに開示される配列)、本発明のエピトープをコードするポリヌクレオチド配
列の相補鎖のポリヌクレオチド配列、および前記で定義されるように、ストリン
ジェントなハイブリダイゼーション条件下あるいはより低いストリンジェンシー
条ハイブリダイゼーション件下で、この相補鎖にハイブリダイズするポリヌクレ
オチド配列を含む。
【0082】 用語「エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、動物において、好ま
しくは哺乳動物において、そして最も好ましくはヒトにおいて抗原性活性または
免疫原性活性を有するポリペプチドの部分をいう。好ましい実施形態において、
本発明は、エピトープを含むポリペプチド、およびこのポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドを含む。「免疫原性エピトープ」とは、本明細書中で使用さ
れる場合、当該分野で公知の任意の方法によって決定されるような(例えば、下
記に記載される抗体を産生するための方法による)、動物における抗体応答を誘
発するタンパク質の一部として定義される(例えば、Geysenら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1983
)を参照のこと)。用語「抗原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場
合、当該分野で周知の任意の方法(例えば、本明細書中に記載される免疫アッセ
イによる)によって決定されるような、抗体がその抗原に免疫特異的に結合し得
るタンパク質の一部として定義される。免疫特異的結合は、非特異的結合は除外
するが、他の抗原との交差反応性を除外する必要はない。抗原性エピトープは、
免疫原性である必要はない。
【0083】 エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来の方法によって産生さ
れ得る。(例えば、Houghten,R.A.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 82:5131−5135(1985)を参照のこと。こ
れはさらに、米国特許第4,631,211号に記載される)。
【0084】 本発明においては、抗原性エピトープは、好ましくは、少なくとも4、少なく
とも5、少なくとも6、少なくとも7アミノ酸配列を含み、より好ましくは、少
なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12
、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なく
とも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50アミノ酸配列を含
み、そして最も好ましくは約15アミノ酸と約30アミノ酸との間の配列を含む
。免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含有する好ましいポリペプチド
は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55
、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ酸残基
の長さである。さらなる非排他的に好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で
開示される抗原性エピトープおよびその一部を含む。抗原性エピトープは、有用
である(例えば、エピトープに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含
む)を惹起するため)。好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される
抗原性エピトープ、および2、3、4、5以上のこれらの抗原性エピトープの任
意の組合わせを含む。抗原性エピトープは、イムノアッセイにおいて、標的分子
として使用され得る。(例えば、Wilsonら、Cell 37:767−7
78(1984);Sutcliffeら、Science 219:660−
666(1983)を参照のこと)。
【0085】 同様に、免疫原性エピトープを使用して、例えば、当該分野で周知の方法に従
う抗体を誘導し得る。(例えば、Sutcliffeら、前出;Wilsonら
,前出;Chowら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:
910−914;およびBittleら、J.Gen.Virol.66:23
47−2354(1985)を参照のこと)。好ましい免疫原性エピトープは、
本明細書で開示される免疫原性エピトープおよび2、3、4、5以上のこれらの
免疫原性エピトープの任意の組合せを含む。1つ以上の免疫原性エピトープを含
むポリペプチドは、キャリアタンパク質(例えば、アルブミン)とともに動物系
(例えば、ウサギまたはマウス)に対する抗体応答を誘発するために提示され得
るか、またはこのポリペプチドが十分に長い場合(少なくとも約25アミノ酸)
、そのポリペプチドはキャリアなしで提示され得る。しかし、8〜10個程度の
少なさのアミノ酸を含む免疫原性エピトープは、少なくとも変性ポリペプチド中
の直鎖状エピトープに結合し得る抗体を惹起するには十分であることが示されて
いる(例えば、ウェスタンブロッティングにおいて)。
【0086】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体
を誘導するために使用され得る。これらの周知の方法としては、インビボ免疫、
インビトロ免疫、およびファージディスプレイ法が挙げられるが、それらに限定
されない。例えば、Sutcliffeら、前出;Wilsonら、前出、およ
びBittleら、J.Gen.Virol.、66:2347−2354(1
985)を参照のこと。インビボ免疫を使用する場合、動物を遊離ペプチドを用
いて免疫し得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は、高分子キャリア(例えば、キ
ーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイド)にペプチ
ドを結合させることによりブーストされ得る。例えば、システイン残基を含むペ
プチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(M
BS)のようなリンカーを用いてキャリアに結合され得る。その一方、他のペプ
チドは、より一般的な結合剤(例えば、グルタルアルデヒド)を用いてキャリア
に結合され得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離のペプチ
ドまたはキャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、約100μgのペ
プチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントまたは免疫応答
を刺激することが公知である他のアジュバントを含むエマルジョンを腹腔内注射
および/または皮内注射することにより免疫される。いくつかのブースター注射
が、抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、例えば、約2週間の間隔で
、必要とされ得る。この力価は、例えば、固体表面に吸着した遊離のペプチドを
用いるELISAアッセイにより検出され得る。免疫した動物由来の血清中の抗
ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択(例えば、当該分野で周知の方法
に従う固体支持体上のペプチドへの吸着および選択された抗体の溶出による)に
より上昇し得る。
【0087】 当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、本発明のポリペ
プチドおよびその免疫原性エピトープフラグメントおよび/または抗原性エピト
ープフラグメントは、他のポリペプチド配列に融合され得る。例えば、本発明の
ポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ド
メインまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、またはそれらの任意の組
み合わせ、およびこれらの部分)と融合し得、これがキメラポリペプチドを生じ
る。このような融合タンパク質は、精製を容易にし得、そしてインビボにおける
半減期を増加し得る。このことは、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメ
インおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメ
インからなるキメラタンパク質について示された。例えば、EP 394,82
7;Trauneckerら、Nature,331:84−86(1988)
を参照のこと。上皮の関門を横切っての免疫系への抗原の増強された送達は、F
cRn結合パートナー(例えば、IgGフラグメントまたはFcフラグメント(
例えば、PCT公開 WO96/22024およびWO 99/04813を参
照のこと)に結合体化した抗原(例えば、インスリン)について実証されている
。ジスルフィド架橋二量体構造を有するIgG融合タンパク質はまた、そのIg
G部分ジスルフィド結合に起因して、単量体ポリペプチドまたはそれらのフラグ
メント単独よりも、他の分子の結合および中和において効果的であることが見出
された。例えば、Fountoulakisら、J.Biochem.、270
:3958−3964(1995)を参照のこと。
【0088】 同様に、EP−A−O 464 533(カナダ国対応出願2045869)
は、別のヒトタンパク質またはその一部とともに免疫グロブリン分子の定常領域
の種々の部分を含む、融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク質
中のFc部分は、治療および診断において有利であり、従って、例えば改善され
た薬物動態学的特性を生じ得る(EP−A 0232 262)。あるいは、融
合タンパク質が発現、検出、および精製された後に、Fc部分が欠失され得るこ
とが望ましい。例えば、融合タンパク質が、免疫の抗原として使用される場合、
そのFc部分は、治療および診断を妨げ得る。薬物探索において、例えばhIL
−5のようなヒトタンパク質が、hIL−5のアンタゴニストを同定するための
高処理能力スクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合されている。
(D.Bennettら、J.Molecular Recognition
8:52−58(1995);K.Johansonら、J.Biol.Che
m.270:9459−9471(1995)を参照のこと。) さらに、本発明のポリペプチドは、融合されたポリペプチドの精製を容易にす
るペプチドのような、マーカー配列と融合され得る。好ましい実施形態において
、このマーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(QIAGEN,I
nc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,9
1311)において提供されるタグのようなヘキサ−ヒスチジンペプチドであり
、それらの多くは市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)に記載される
ように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製
に有用な他のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集素
タンパク質由来のエピトープに対応する(Wilsonら、Cell 37:7
67(1984))。
【0089】 従って、これら上記の任意の融合物は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリ
ペプチドを用いて操作され得る。
【0090】 上記のエピトープをコードする核酸はまた、エピトープタグ(例えば、血球凝
集素(「HA」)タグまたはフラッグタグ(flag tag))として目的の
遺伝子と組換えられ、発現されたポリペプチドの検出および精製を補助し得る。
例えば、Janknechtらによって記載された系は、ヒト細胞株において発
現される非変性融合タンパク質の迅速な精製を可能にする(Janknecht
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8972−897
(1991))。この系において、目的の遺伝子は、遺伝子のオープンリーディ
ングフレームが、6つのヒスチジン残基からなるアミノ末端タグと翻訳で融合さ
れるように、ワクシニア組換えプラスミド中にサブクローンされる。このタグは
、融合タンパク質についての基質結合ドメインとしてはたらく。組換えワクシニ
アウイルスに感染した細胞由来の抽出物は、Ni2+ニトリロ酢酸アガロースカ
ラムに充填され、そしてヒスチジンタグ化したタンパク質が、イミダゾール含有
緩衝液を用いて選択的に溶出され得る。
【0091】 本発明のさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッ
フリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(総
称して「DNAシャッフリング」といわれる)の技術を通じて生成され得る。D
NAシャッフリングを使用して、本発明のポリペプチドの活性を調節し得、この
ような方法を用いて、変化した活性を有するポリペプチド、ならびにそのポリペ
プチドのアゴニストおよびアンタゴニストを生成し得る。一般には、米国特許第
5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号
;同第5,834,252号;および同第5,837,458号、ならびにPa
ttenら、Curr.Opinion Biotechnol.8:724−
33(1997);Harayama、Trends Biotechnol.
16(2):76−82(1998);Hanssonら、J.Mol.Bio
l.287:265−76(1999);ならびにLorenzoおよびBla
sco,Biotechniques 24(2):308−13(1998)
(これらの特許および刊行物の各々は、本明細書によってその全体が参考として
援用される)を参照のこと。1つの実施形態において、配列番号Xに対応するポ
リヌクレオチドおよびこれらのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプ
チドの改変は、DNAシャッフリングにより達成され得る。DNAシャッフリン
グは、相同組換えまたは部位特異的組換えにより、2つ以上のDNAセグメント
をアセンブリして、ポリヌクレオチド配列における変化を産生することを含む。
別の実施形態において、本発明のポリヌクオチドまたはコードされるポリペプチ
ドは、組換え前に、エラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入または他
の方法による、ランダムな変異誘発に供されることによって改変され得る。別の
実施形態において、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの1つ
以上の成分、モチーフ、セクション(section)、部分、ドメイン、フラ
グメントなどは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、セクション
、部分、ドメイン、フラグメントなどと組み換えられ得る。
【0092】 (ポリヌクレオチド改変体およびポリペプチド改変体) 本発明はまた、KDC改変体を含む。本発明は、配列番号Xに開示されるポリ
ヌクレオチド配列の改変体またはそれらに対する相補鎖の改変体、および/また
はcDNAプラスミドZ中に含まれるcDNA配列の改変体に関する。
【0093】 本発明はまた、配列番号Yに開示されるポリペプチド配列の改変体、配列番号
Xのポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列の改変体およ
び/またはcDNAプラスミドZ中のcDNAによってコードされるポリペプチ
ド配列の改変体を含む。
【0094】 「改変体」とは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが
それらの特性は保持している、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。一
般的に、改変体は全体的に非常に類似しており、そして、多くの領域において、
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドと同一である。
【0095】 従って、本発明の1つの局面は、以下からなる群から選択されるヌクレオチド
配列を有するポリヌクレオチドを含むか、あるいはそれらからなる単離された核
酸分子を提供する:(a)配列番号Xに記載のヌクレオチド配列、またはクロー
ンID番号ZのcDNA配列に含まれるヌクレオチド配列;(b)配列番号Yの
完全なアミノ酸配列またはクローンID番号Z中のcDNAによってコードされ
る完全なアミノ酸配列をコードする、配列番号XまたはクローンID番号Zのc
DNAにおけるヌクレオチド配列;(c)成熟XXXポリペプチドをコードする
、配列番号XまたはクローンID番号ZのcDNAにおけるヌクレオチド配列;
(d)XXX関連ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントをコードする、
配列番号XまたはクローンID番号ZのcDNA配列におけるヌクレオチド配列
;(e)XXXポリペプチドの抗原性フラグメントをコードする、配列番号Xま
たはクローンID番号ZのcDNA配列におけるヌクレオチド配列;(f)配列
番号Yの完全なアミノ酸配列またはクローンID番号Z中のcDNAによってコ
ードされる完全なアミノ酸配列を含む、XXXポリペプチドをコードするヌクレ
オチド配列;(g)配列番号Yのアミノ酸配列またはクローンID番号Z中のc
DNAによってコードされるアミノ酸配列の成熟XXXポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列;(h)配列番号Yの完全なアミノ酸配列またはクローンI
D番号Z中のcDNAによってコードされる完全なアミノ酸配列を有するXXX
ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列番号Yの完全なアミノ酸配列またはクローンID番号Z中のcDNA
によってコードされる完全なアミノ酸配列を有するXXXポリペプチドの抗原性
フラグメントをコードするヌクレオチド配列;ならびに(j)上記の(a),(
b),(c),(d),(e),(f),(g),(h),または(i)のヌク
レオチド配列のいずれかに対して相補的なヌクレオチド配列。
【0096】 本発明はまた、例えば、上記の(a),(b),(c),(d),(e),(
f),(g),(h),(i)または(j)のヌクレオチド配列、配列番号Xの
ヌクレオチドコード配列またはそれに対する相補鎖、クローンID番号Z中に含
まれるcDNAのヌクレオチドコード配列またはそれに対する相補鎖、配列番号
Yのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、配列番号Xのヌクレオチド配
列によってコードされるポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列、配列
番号Xのポリヌクレオチド配列の相補体によってコードされるポリペプチド配列
をコードするヌクレオチド配列、クローンID番号Z中に含まれるcDNAによ
ってコードされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、表1の第10欄
に規定されるようなポリペプチド配列をコードする配列番号Xのヌクレオチド配
列またはそれに対する相補鎖、表1の第10欄に規定されるようなポリペプチド
をコードするヌクレオチド配列またはそれに対する相補鎖、および/またはこれ
らの核酸分子のいずれかのポリヌクレオチドフラグメント(例えば、本明細書中
に記載されるようなこれらのフラグメント)のいずれかに対して少なくとも80
%,85%,90%,95%,96%,97%,98%,99%または100%
同一なヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれらからなる核酸分子に関する。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、またはより低いストリンジ
ェンシーの条件下で、これらの核酸分子の相補体にハイブリダイズするポリヌク
レオチドもまた、本発明によって包含され、これらのポリヌクレオチドおよび核
酸によってコードされるポリペプチドも同様に包含される。
【0097】 好ましい実施形態では、本発明は、上記の(a),(b),(c),(d),
(e),(f),(g),(h),または(i)のポリヌクレオチドに対して、
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、またはより低いストリンジ
ェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むか、あるいはそ
れらからなる核酸分子を包含し、これらのポリヌクレオチドによってコードされ
るポリペプチドも同様に包含する。別の好ましい実施形態では、ストリンジェン
トなハイブリダイゼーション条件下、またはより低いストリンジェンシーの条件
下で、これらの核酸分子の相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた
、本発明によって包含され、これらのポリヌクレオチドによってコードされるポ
リペプチドも同様に包含される。
【0098】 別の実施形態では、本発明は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を
有するポリペプチドを含むか、あるいはそれらからなる精製されたタンパク質を
提供する:(a)配列番号Yの完全なアミノ酸配列、またはクローンID番号Z
中のcDNAによってコードされる完全なアミノ酸配列;(b)配列番号Yのア
ミノ酸配列、またはクローンID番号Z中のcDNAによってコードされるアミ
ノ酸配列を有するXXXポリペプチドの成熟形態のアミノ酸配列;(c)配列番
号Yの完全なアミノ酸配列、またはクローンID番号Z中のcDNAによってコ
ードされる完全なアミノ酸配列を有するXXXポリペプチドの生物学的に活性な
フラグメントのアミノ酸配列;ならびに(d)配列番号Yの完全なアミノ酸配列
、またはクローンID番号Z中のcDNAによってコードされる完全なアミノ酸
配列を有する、XXXポリペプチドの抗原性フラグメントのアミノ酸配列。
【0099】 本発明はまた、例えば、上記の(a),(b),(c),または(d)のアミ
ノ酸配列、配列番号Yに示されるアミノ酸配列、クローンID番号Z中に含まれ
るcDNAによってコードされるアミノ酸配列、表1の第10欄に規定されるよ
うなアミノ酸配列、配列番号Xのヌクレオチド配列によってコードされるアミノ
酸配列、および配列Xのポリヌクレオチド配列の相補体によってコードされるア
ミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%,85%,90%,95%,9
6%,97%,98%,99%または100%同一なアミノ酸配列を含むか、あ
るいはそれらからなるタンパク質に関する。これらのポリペプチドのフラグメン
トもまた提供される(例えば、本明細書中に記載のこれらのフラグメント)。さ
らに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、またはより低いスト
リンジェンシーの条件下で、これらのアミノ酸配列をコードする核酸分子の相補
体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質もま
た本発明によって包含され、これらのタンパク質をコードするポリヌクレオチド
も同様に包含される。
【0100】 本発明の参照ヌクレオチド配列に、例えば、少なくとも95%「同一」である
ヌクレオチド配列を有する核酸によって、その核酸のヌクレオチド配列が、その
ヌクレオチド配列がポリぺプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100
ヌクレオチドあたり5つまでの点変異を含み得ることを除いて、参照配列に対し
て同一であることを意図する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少な
くとも95%同一のヌクレオチド配列を有する核酸を得るために、参照配列のヌ
クレオチドの5%までが、欠失され得るか、または別のヌクレオチドで置換され
得るか、あるいは参照配列中の総ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドが
参照配列中に挿入され得る。問い合わせ(query)配列は、表1に示される
配列全体、ORF(オープンリーディングフレーム)、または本明細書中で記載
されるように特定される任意のフラグメントであり得る。
【0101】 実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリぺプチドが、本発明のヌク
レオチド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログ
ラムを使用して従来的に決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象
配列との間の最も良好な全体的な適合性(全体的な配列整列とも呼ばれる)を決
定するための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App. Bio
sci.6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTD
Bコンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い
合わせ配列および対象配列は、両方ともにDNA配列である。RNA配列は、U
からTに変換することによって比較され得る。この全体的な配列整列の結果は、
同一性パーセントで示される。同一性パーセントを算定するためにDNA配列の
FASTDB整列において使用される好ましいパラメーターは:Matrix=
Unitary、k−tuple=4、Mismatch Penalty=1
、Joining Penalty=30、Randomization Gr
oup Length=0、Cutoff Score=1、Gap Pena
lty=5、Gap Size Penalty 0.05、Window S
ize=500または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらかより短い方)であ
る。
【0102】 対象配列が、5’または3’欠失のために(内部欠失のためではなく)問い合
わせ配列より短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならない。こ
れは、同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログラムが対象配列
の5’および3’の短縮を考慮しないからである。5’末端または3’末端で短
縮されている対象配列について、問い合わせ配列に対して、同一性パーセントは
、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして一致/整列されない対象配列の5
’および3’である問い合わせ配列の塩基の数を計算することによって補正され
る。ヌクレオチドが一致/整列されるか否かは、FASTDB配列整列の結果に
よって決定される。次いで、このパーセントは、特定のパラメーターを用いて上
記のFASTDBプログラムによって算定された同一性パーセントから差し引か
れ、最終的な同一性パーセントのスコアに到達する。この補正されたスコアが、
本発明の目的に使用されるものである。FASTDB整列によって示されるよう
に、問い合わせ配列と一致/整列されない、対象配列の5’および3’の塩基の
外側の塩基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的で算定され
る。
【0103】 例えば、90塩基の対象配列が、同一性パーセントを決定するために100塩
基の問い合わせ配列に整列される。欠失が、対象配列の5’末端で生じ、従って
、FASTDB整列は、5’末端で最初の10塩基の一致/整列を示さない。1
0個の不対合塩基は、配列の10%(一致していない5’および3’の末端の塩
基の数/問い合わせ配列の塩基の総数)を表し、そのため10%が、FASTD
Bプログラムによって算定される同一性パーセントのスコアから差し引かれる。
残りの90塩基が完全に一致する場合は、最終的な同一性パーセントは90%で
ある。別の例では、90塩基の対象配列が、100塩基の問い合わせ配列と比較
される。この場合、欠失は、内部欠失であり、その結果、対象配列の5’または
3’に問い合わせと一致/整列しない塩基が存在しない。この場合、FASTD
Bによって算定される同一性パーセントは手動で補正されない。再び、問い合わ
せ配列と一致/整列しない対象配列の5’または3’の塩基のみが手動で補正さ
れる。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0104】 本発明の問い合わせアミノ酸配列に、例えば、少なくとも95%「同一」であ
るアミノ酸配列を有するポリぺプチドにより、対象ポリペプチドのアミノ酸配列
は、その対象ポリぺプチド配列が問い合わせアミノ酸配列の各100個のアミノ
酸あたり5つまでのアミノ酸の変更を含み得ることを除いて、問い合わせ配列に
同一であることが意図される。換言すれば、問い合わせアミノ酸配列に少なくと
も95%同一であるアミノ酸配列を有するポリぺプチドを得るために、対象配列
におけるアミノ酸残基の5%までが、挿入(insert)、欠失(delet
e)、(indels)、または別のアミノ酸で置換され得る。参照配列のこれ
らの改変は、参照アミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端位置で生じ
得るか、またはそれらの末端位置の間のどこにでも生じ得、参照配列中の残基間
で個々にかまたは参照配列内の1個以上連続する群の状態かのいずれかで、散在
する。
【0105】 実際問題として、任意の特定のポリぺプチドが、例えば、表1に示されるアミ
ノ酸配列またはそのフラグメント、配列番号Xにおけるヌクレオチド配列により
コードされるアミノ酸配列またはそのフラグメント、あるいはcDNAプラスミ
ドZにおけるcDNAによりコードされるアミノ酸配列またはそのフラグメント
に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98
%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログラムを使用
して従来のように決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象配列と
の間での最良の全体的な一致(全体的配列整列とも呼ばれる)を決定するための
好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App.Biosci.6:2
37−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータ
ープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合わせ配列およ
び対象配列は、両方ともヌクレオチド配列であるかまたは両方ともアミノ酸配列
であるかのいずれかである。上記の全体的配列整列の結果は、同一性パーセント
で示される。FASTDBアミノ酸整列に用いられる好ましいパラメーターは:
Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Pena
lty=1、Joining Penalty=20、Randomizati
on Group Length=0、Cutoff Score=1、Win
dow Size=配列の長さ、Gap Penalty=5、Gap Siz
e Penalty=0.05、Window Size=500または対象ア
ミノ酸配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0106】 対象配列が、N末端またはC末端欠失により(内部の欠失のためではなく)問
い合わせ配列よりも短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならな
い。これは、FASTDBプログラムが、全体的な同一性パーセントを算定する
場合に、対象配列のN末端短縮およびC末端短縮を考慮しないからである。N末
端およびC末端で短縮されている対象配列について、問い合わせ配列に対して、
同一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、対応する対
象残基と一致/整列しない、対象配列のN末端およびC末端である問い合わせ配
列の残基の数を計算することによって補正される。残基が一致/整列されている
か否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパー
セントは、上記のFASTDBプログラムによって特定のパラメーターを使用し
て計算された同一性パーセントから差し引かれ、最終的な同一性パーセントのス
コアに到達する。この最終的な同一性パーセントのスコアが、本発明の目的で使
用されるものである。問い合わせ配列と一致/整列していない対象配列のN末端
側およびC末端側の残基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目
的のために考慮される。すなわち、対象配列の最も遠いN末端およびC末端残基
の外側の問い合わせ残基位置のみである。
【0107】 例えば、90アミノ酸残基の対象配列が、同一性パーセントを決定するために
100残基の問い合わせ配列と整列される。欠失が対象配列のN末端で生じ、そ
してそれゆえFASTDB整列は、N末端での最初の10残基の一致/整列を示
さない。この10個の不対合残基は、配列の10%(一致していないN末端およ
びC末端の残基の数/問い合わせ配列中の残基の総数)を表し、その結果FAS
TDBプログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから10%が差
し引かれる。残りの90残基が完全に一致した場合、最終的な同一性パーセント
は90%である。別の例において、90残基の対象配列が、100残基の問い合
わせ配列と比較される。この場合、欠失は、内部欠失であり、そのため問い合わ
せと一致/整列しない対象配列のN末端またはC末端の残基は存在しない。この
場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは、手動で補正されな
い。再び、FASTDB整列において示されるように、問い合わせ配列と一致/
整列しない対象配列のN末端およびC末端の外側の残基位置のみが手動で補正さ
れる。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0108】 改変体は、コード領域、非コード領域、またはその両方における変化を含み得
る。特に好ましいものは、サイレントな置換、付加、または欠失を生成するがコ
ードされるポリぺプチドの特性または活性を変化させない変化を含む、ポリヌク
レオチド改変体である。遺伝コードの縮重に起因するサイレントな置換によって
生成されるヌクレオチド改変体が、好ましい。さらに、50アミノ酸未満、40
アミノ酸未満、30アミノ酸未満、20アミノ酸未満、10アミノ酸未満、ある
いは5〜50アミノ酸、5〜25アミノ酸、5〜10アミノ酸、1〜5アミノ酸
、または1〜2アミノ酸が、任意の組合せで置換、欠失、または付加されている
改変体もまた、好ましい。ポリヌクレオチド改変体は、種々の理由(例えば、特
定の宿主についてのコドン発現を至適化するため(ヒトmRNAにおけるコドン
を、E.coliのような細菌宿主によって好ましいコドンに変化させる))の
ために、生成され得る。
【0109】 天然に存在する改変体は、「対立遺伝子改変体」と呼ばれ、そして生物の染色
体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替の形態のうちの1つを
いう。(Genes II、Lewin,B.,編 John Wiley &
Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子改変体は、
ポリヌクレオチドレベルおよび/またはポリぺプチドレベルのいずれかで変化し
得、そして本発明に含まれる。あるいは、天然に存在しない改変体は、変異誘発
技術によってまたは直接的な合成によって生成され得る。
【0110】 タンパク質工学および組換えDNA技術の公知の方法を使用して、改変体は、
本発明のポリぺプチドの特性を改善または変化させるために作製され得る。例え
ば、本明細書中に考察されるように、1つ以上のアミノ酸が、生物学的機能の実
質的な欠損を伴わずに、本発明のポリペプチドのN末端またはC末端から欠失さ
れ得る。Ronら、J.Biol.Chem.268:2984−2988(1
993)の著者らは、3個、8個、または27個のアミノ末端アミノ酸残基を欠
失させた後でさえもヘパリン結合活性を有する改変体KGFタンパク質を報告し
た。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8〜
10個のアミノ酸残基を欠失させた後、10倍までのより高い活性を示した(D
obeliら、J.Biotechnology 7:199−216(198
8))。
【0111】 さらに、豊富な証拠は、改変体が、天然に存在するタンパク質の生物学的活性
に類似する生物学的活性をしばしば保持することを実証する。例えば、Gayl
eおよび共同研究者ら(J.Biol.Chem 268:22105−221
11(1993))は、ヒトサイトカインIL−1aの広範囲にわたる変異分析
を行った。彼らは、ランダムな変異誘発を使用して、分子の全長にわたって改変
体当たり平均2.5アミノ酸の変化になる、3,500個を超える個々のIL−
1a改変体を作製した。複数の変異が、全ての潜在的なアミノ酸の位置で試験さ
れた。この研究者らは、「分子の大部分は、[結合活性または生物学的活性]の
いずれに対してもほとんど影響を伴わないで変化され得る」ことを見出した。(
要約を参照のこと)。実際、試験された3,500個を超えるヌクレオチド配列
のうち、わずか23個の独特なアミノ酸配列が、野生型と活性が有意に異なるタ
ンパク質を生成した。
【0112】 さらに、本明細書中で考察されるように、ポリぺプチドのN末端またはC末端
からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、1つ以上の生物学的機能の改変または欠失
を生じたとしても、他の生物学的活性はなお保持され得る。例えば、分泌される
形態を認識する抗体を誘導および/または結合する、欠失改変体の能力は、分泌
される形態の大多数より少ない残基が、N末端またはC末端から除去される場合
に保持されるようである。タンパク質のN末端またはC末端残基を欠損する特定
のポリぺプチドが、このような免疫原性活性を保持するか否かは、本明細書中に
記載される慣用的な方法、およびそうでなければ当該分野において公知の慣用的
な方法によって容易に決定され得る。
【0113】 従って、本発明はさらに、本発明のポリペプチド(それらが改変体である)の
機能的な活性(例えば、生物学的活性)を示すポリぺプチド改変体を含む。この
ような改変体としては、活性に対する影響をほとんど有さないように、当該分野
において公知の一般的な法則に従って選択される、欠失、挿入、逆位、反復、お
よび置換が挙げられる。
【0114】 本出願は、本明細書中に開示される核酸配列に対して少なくとも80%、85
%、90%、95%、96%、97、98%、99%または100%同一の核酸
分子に関し(例えば、Nおよび/またはC末端欠失のアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードする)、それらが機能的活性を有するポリペプチドをコードす
るかどうかに関わらない。これは、特定の核酸分子が機能的活性を有するポリペ
プチドをコードしない場合でも、当業者はなお、例えば、ハイブリダイゼーショ
ンプローブまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして核酸分子を
使用する方法を知っているからである。機能的活性を有するポリペプチドをコー
ドしない本発明の核酸分子の使用は、特に、(1)cDNAライブラリー内で遺
伝子または対立遺伝子またはそれらのスプライス変異体を単離する工程;(2)
Vermaら、Human Chromosomes:A Manual of
Basic Techniques、Pergamon Press、New
York(1988)に記載されるような、遺伝子の正確な染色体位置を提供
するための、中期染色体拡散へのインサイチュハイブリダイゼーション(例えば
、「FISH」);および(3)特定の組織内でmRNA発現を検出するための
Northern Blot分析を含む。
【0115】 しかし、本明細書中に開示される核酸配列に対して少なくとも80%、85%
、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一の配列
を有する核酸分子が好ましく、これは、実際に本発明のポリペプチドの機能的活
性を有するポリペプチドをコードする。
【0116】 当然のことながら、遺伝子コードの縮重に起因して、例えば、cDNAプラス
ミドZのcDNAの核酸配列、表1(配列番号X)に示される核酸配列またはそ
のフラグメントに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、
97%、98%、99%、または100%同一の配列を有する多数の核酸分子が
、「機能活性を有する」ポリペプチドをコードするということを、当業者は、直
ちに理解する。実際に、これらのヌクレオチド配列のいずれかの縮重改変体すべ
てが、同じポリぺプチドをコードするので、多くの場合、このことは、上記の比
較アッセイを実行しなくても、当業者に明らかである。縮重改変体でないような
核酸分子について、合理的な数がまた、機能活性を有するポリペプチドをコード
することが、当該分野でさらに理解される。なぜならば、当業者が、さらに以下
に記載されるように、タンパク質の機能を有意に果たす可能性が低いか、または
有意に果たす可能性がないかのいずれかのアミノ酸置換(例えば、1つの脂肪族
アミノ酸を第2の脂肪族アミノ酸と置換すること)を完全に知っているからであ
る。
【0117】 例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換の作製方法に関する手引きは、
Bowieら、「Deciphering the Message in P
rotein Sequences:Tolerance to Amino
Acid Substitutions」,Science 247:1306
−1310(1990)に提供され、ここにおいてこの著者らは、アミノ酸配列
の変化に対する寛容性を研究するための2つの主な戦略を示す。
【0118】 第1のストラテジーは、進化の過程の間の自然の選択によるアミノ酸置換の寛
容を利用する。異なる種におけるアミノ酸配列を比較して、保存されるアミノ酸
が同定され得る。これらの保存されるアミノ酸は、タンパク質の機能について重
要であるようである。対照的に、置換が自然の選択によって寛容されたアミノ酸
の位置は、これらの位置がタンパク質の機能に重要ではないことを示す。従って
、アミノ酸置換を寛容する位置は改変され得るが、タンパク質の生物学的活性を
なおも維持する。
【0119】 第2のストラテジーは、タンパク質機能に重要な領域を同定するために、クロ
ーン化された遺伝子の特定の位置でアミノ酸変化を導入するための遺伝子工学を
使用する。例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発(
分子中の各残基で1つのアラニン変異の導入)が、使用され得る。(Cunni
nghamおよびWells,Science 244:1081−1085(
1989))。次いで、得られた変異分子は生物学的活性について試験され得る
【0120】 著者らが言及するように、これらの2つのストラテジーは、タンパク質がアミ
ノ酸置換に驚くほど寛容であることを明らかにした。著者らはさらに、どのアミ
ノ酸変化が、タンパク質中の特定のアミノ酸位置で許容されるようであるかを示
す。例えば、(タンパク質の三次構造内に)ほとんど埋もれているアミノ酸残基
は、非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は、一般にほとんど保存されな
い。さらに、寛容される保存的なアミノ酸置換は、脂肪族または疎水性アミノ酸
のAla、Val、Leu、およびIleの置換;ヒドロキシル残基のSerお
よびThrの置換;酸性残基のAspおよびGluの置換;アミド残基のAsn
およびGlnの置換、塩基性残基のLys、Arg、およびHisの置換;芳香
族残基のPhe、Tyr、およびTrpの置換、ならびに小さなサイズのアミノ
酸のAla、Ser、Thr、Met、およびGlyの置換を含む。保存的なア
ミノ酸置換に加えて、本発明の改変体は、(i)1つ以上の非保存的なアミノ酸
残基との置換、ここでは置換されるアミノ酸残基は、遺伝コードによってコード
されるアミノ酸残基であってもよく、もしくはそうでなくてもよい、または(i
i)置換基を有する1つ以上のアミノ酸残基での置換、または(iii)別の化
合物(例えば、ポリぺプチドの安定性および/もしくは可溶性を増加するための
化合物(例えば、ポリエチレングリコール))との成熟ポリぺプチドの融合、ま
たは(iv)さらなるアミノ酸(例えば、IgG Fc融合領域ペプチド、また
はリーダーもしくは分泌配列、または精製を容易にする配列のような)とのポリ
ペプチドの融合、または(v)別の化合物(例えばアルブミン(組換えアルブミ
ン(例えば、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号
、EP特許0 413 622、および1998年6月16日に発行された米国
特許第5,766,883号、(本明細書中でそれら全体において参考として援
用される)を参照のこと)を含むがこれに限定されない)のような)とのポリぺ
プチドの融合を含む。このような改変体ポリぺプチドは、本明細書中の教示から
、当業者の範囲内であると考えられる。
【0121】 例えば、他の荷電されたアミノ酸または中性のアミノ酸での荷電されたアミノ
酸のアミノ酸置換を含むポリぺプチド改変体は、改善された特性(例えば、より
少ない凝集性)を有するタンパク質を生成し得る。薬学的処方物の凝集は、凝集
体の免疫原活性に起因して、活性の減少およびクリアランスの増加の両方をもた
らす。(Pinckardら、Clin.Exp.Immunol.2:331
−340(1967);Robbinsら、Diabetes 36:838−
845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Therapeu
tic Drug Carrier Systems 10:307−377(
1993))。
【0122】 本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、50
アミノ酸置換を超えず、さらにより好ましくは、40アミノ酸置換を超えず、な
おより好ましくは、30アミノ酸置換を超えず、そしてなおさらにより好ましく
は、20アミノ酸置換を超えないアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸
配列を含むポリペプチドに関する。もちろん、ポリペプチドが、配列番号Yのポ
リペプチドのアミノ酸配列、配列番号Xによってコードされるアミノ酸配列、お
よび/またはcDNAプラスミド:ZのcDNAによってコードされるアミノ酸
配列を含むアミノ酸配列を有することが非常に好ましく、好ましさの増大する順
番に、これは、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、10、9、8、7、6
、5、4、3、2、または1アミノ酸置換を超えない。特定の実施形態において
、配列番号Yのアミノ酸配列またはそのフラグメント(例えば、本明細書に記載
の成熟形態および/または他のフラグメント)、配列番号Xによってコードされ
るアミノ酸配列またはそのフラグメント、ならびに/あるいはcDNAプラスミ
ド:Zまたはそのフラグメントによってコードされるアミノ酸配列における付加
、置換、および/または欠失の数は、1〜5、5〜10、5〜25、5〜50、
10〜50、または50〜150であり、保存的アミノ酸置換が好ましい。本明
細書中で議論されるように、本発明の任意のポリペプチドは、融合タンパク質を
産生するために使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、第2のタンパ
ク質と融合される場合、抗原性タグとして使用され得る。本発明のポリペプチド
に対して惹起される抗体は、ポリペプチドに結合することによって、第2のタン
パク質を間接的に検出するために使用され得る。さらに、分泌されるタンパク質
は、細胞位置を輸送シグナルに基づいて標的化するので、分泌されることが示さ
れる本発明のポリペプチドは、他のタンパク質に一旦融合されると標的化分子と
して使用され得る。
【0123】 本発明のポリペプチドと融合され得るドメインの例は、異種シグナル配列のみ
ならず、また他の異種機能性領域をも含む。融合は、必ずしも直接的である必要
はないが、リンカー配列を介して起こり得る。
【0124】 特定の好ましい実施形態において、本発明のタンパク質は、ポリペプチドがN
および/またはC末端欠失変異体である融合タンパク質を含む。好ましい実施形
態において、本出願は、特定のNおよびC末端欠失変異体のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードする核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90
%、95%、96%、97%、98%または99%同一の核酸分子に関する。こ
れらのポリペプチド(フラグメントおよび/または改変体を含む)をコードする
ポリヌクレオチドはまた、本発明によって包含される。
【0125】 さらに、融合タンパク質はまた、本発明のポリペプチドの特徴を改良するため
に操作され得る。例えば、さらなるアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域が、宿主
細胞からの精製または続く取り扱いおよび貯蔵の間の安定性および持続性を改良
するためにポリペプチドのN末端へ付加され得る。また、ペプチド部分は精製を
容易にするためにポリペプチドへ付加され得る。このような領域は、ポリペプチ
ドの最終調製の前に除去され得る。ポリペプチドの取り扱いを容易にするための
ペプチド部分の付加は、当該分野でよく知られる慣用の技術である。
【0126】 当業者に理解されるように、上記の本発明のポリペプチドおよびそのエピトー
プ保有フラグメントは、異種ポリペプチド配列と合わせられ得る。例えば、本発
明のポリペプチドは、異種ポリペプチド配列と融合され得、例えば、本発明のポ
リペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメ
インまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、およびそれらの任意の組み
合わせ(完全なドメインおよびそれらの部分の両方を含む))と融合され得、キ
メラポリペプチドを生じる。このような融合タンパク質は、精製を容易にし、そ
してインビボでの半減期を増大させる。1つの報告された例において、ヒトCD
4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重
鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示
されている。(EP A 394,827;Trauneckerら、Natu
re,331:84〜86(1988))。(IgGに起因する)ジスルフィド
結合二量体構造を有する融合タンパク質はまた、単量体タンパク質またはそれら
のフラグメント単独よりも、他の分子の結合および中和においてより効果的であ
り得る(Fountoulakisら,J.Biochem.,270:395
8−3964(1995))。
【0127】 (ベクター、宿主細胞、およびタンパク質産生) 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、宿主細胞、および
組換え技術によるポリペプチドの産生に関連する。例えば、ベクターは、ファー
ジベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、またはレトロウイルスベ
クターであり得る。レトロウイルスベクターは、複製コンピテント、または複製
欠損であり得る。後者の場合、一般的にウイルス増殖は、補完性(comple
menting)宿主細胞にのみ生じる。
【0128】 本発明のポリヌクレオチドは、宿主における増殖のために選択マーカーを含む
ベクターに連結され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈
澱物のような沈澱物、または荷電脂質との複合体において導入される。ベクター
がウイルスである場合、このベクターは、適切なパッケージング細胞株を使用し
てインビトロでパッケージングされ、次いで宿主細胞に形質導入され得る。
【0129】 ポリヌクレオチド挿入物は、適切なプロモーター(いくつか挙げれば、例えば
、ファージλPLプロモーター、E.coli lacプロモーター、trpプ
ロモーター、phoAプロモーターおよびtacプロモーター、SV40初期プ
ロモーターおよびSV40後期プロモーター、ならびにレトロウイルスLTRの
プロモーター)に作動可能に連結されるべきである。他の適切なプロモーターは
当業者に公知である。発現構築物はさらに、転写開始、転写終結のための部位、
および転写領域において、翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。この構築物
によって発現される転写物のコード部分は、好ましくは、始めに翻訳開始コドン
、および翻訳されるべきポリペプチドの末端に適切に位置される終結コドン(U
AA、UGAまたはUAG)を含む。
【0130】 示されるように、発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカー
を含む。このようなマーカーは、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクター
ゼ、G418、またはネオマイシン耐性遺伝子、ならびにE.coliおよび他
の細菌において培養するためのテトラサイクリン、カナマイシンまたはアンピシ
リン耐性遺伝子を含む。適切な宿主の代表的な例は、細菌細胞(例えば、E.c
oli、StreptomycesおよびSalmonella typhim
urium細胞);真菌細胞(例えば、酵母細胞(例えば、Saccharom
yces cerevisiaeまたはPichia pastoris(AT
CC受託番号201178)));昆虫細胞(例えばDrosophila S
2およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、CHO細胞
、COS細胞、293細胞、およびBowesメラノーマ細胞);ならびに植物
細胞を含むが、これらに限定されない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地
および条件は、当該分野で公知である。
【0131】 細菌における使用のために好ましいベクターの中には、pQE70、pQE6
0およびpQE−9(QIAGEN,Inc.から入手可能);pBluesc
riptベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16
a、pNH18A、pNH46A(Stratagene Cloning S
ystems,Inc.から入手可能);およびptrc99a、pKK223
−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia B
iotech,Inc.から入手可能)を含む。好ましい真核生物ベクターの中
には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG(S
tratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSG
およびpSVL(Pharmaciaから入手可能)がある。酵母系における使
用のために好ましい発現ベクターとしては、pYES2、pYD1、pTEF1
/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZalph、
pPIC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.
5K、pPIC9K、およびPAO815(全てが、Invitrogen,C
arlbad,CAから入手可能)が挙げられるがこれらに限定されない。他の
適切なベクターは、当業者に容易に明らかである。
【0132】 宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DE
AE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフ
ェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、または他の方法によっ
てもたらされ得る。このような方法は、Davisら、Basic Metho
ds In Molecular Biology (1986)のような多く
の標準的研究室マニュアルに記載される。本発明のポリペプチドは、実際、組換
えベクターを欠損する宿主細胞によって発現され得ることが特に意図される。
【0133】 本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、酸抽
出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマ
トグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグ
ラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマト
グラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収され得、そして
精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)
が精製のために使用される。
【0134】 本発明のポリペプチドはまた、以下から回収され得る:直接単離されるかまた
は培養されるかにかかわらず、体液、組織および細胞を含む天然の供給源から精
製された産物;化学的合成手順の産物;ならびに、例えば、細菌細胞、酵母細胞
、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む、原核生物宿主または真
核生物宿主から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順に使用され
る宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されてもまたはグリ
コシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた、宿主媒
介プロセスの結果として、いくつかの場合において、最初の改変されたメチオニ
ン残基を含み得る。従って、一般に、翻訳開始コドンによってコードされるN末
端メチオニンが、すべての真核生物細胞における翻訳後の任意のタンパク質から
高い効率で除去されることは当該分野において周知である。ほとんどのタンパク
質においてN末端メチオニンもまた、ほとんどの原核生物において効果的に除去
されるが、いくつかのタンパク質について、この原核生物除去プロセスは、N末
端メチオニンが共有結合するアミノ酸の性質に依存しており、非効率的である。
【0135】 1つの実施形態において、酵母Pichia pastorisは、真核細胞
系において、本発明のポリペプチドを発現させるために使用される。Pichi
a pastorisは、メタノールをその唯一の炭素供給源として代謝し得る
メチル栄養性(methylotrophic)酵母である。メタノール代謝経
路における主要な工程は、O2を使用してのホルムアルデヒドへのメタノールの
酸化である。この反応は、酵素アルコールオキシダーゼによって触媒される。そ
の唯一の炭素供給源としてメタノールを代謝するために、Pichia pas
torisは、O2に対するアルコールオキシダーゼの比較的低い親和性に部分
的に起因して、高レベルのアルコールオキシダーゼを生成しなければならない。
結果的に、主要な炭素供給源としてメタノールに依存する増殖培地において、2
つのアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOX1)のうちの1つのプロモーター領
域は、非常に活性である。メタノールの存在下で、AOX1遺伝子から産生され
るアルコールオキシダーゼは、Pichia pastorisにおける総可溶
性タンパク質のうちのおよそ30%までを含む。Ellis,S.B.ら、Mo
l.Cell.Biol.5:1111〜21(1985);Koutz,P.
J.ら、Yeast 5:167〜77(1989);Tschopp,J.F
.ら、Nucl.Acids Res.15:3859〜76(1987)を参
照のこと。従って、AOX1調節配列の全てまたは一部の転写調節下の異種コー
ド配列(例えば、本発明のポリヌクレオチドなど)は、メタノールの存在下で増
殖したPichia酵母において、非常に高レベルで発現される。
【0136】 1つの例において、プラスミドベクターpPIC9Kは、「Pichia P
rotocols:Methods in Molecular Biolog
y」,D.R.HigginsおよびJ.Cregg編(The Humana
Press,Totowa,NJ,1998)において本質的に記載されるよ
うに、Pichea酵母系において、本明細書中に示されるように本発明のポリ
ペプチドをコードするDNAを発現させるために使用される。この発現ベクター
は、マルチクローニング部位の上流に位置するPichia pastoris
アルカリホスファターゼ(PHO)分泌シグナルペプチド(すなわち、リーダー
)に連結された強力なAOX1プロモーターの効力によって、本発明のポリペプ
チドの発現および分泌を可能にする。
【0137】 多くの他の酵母ベクター(例えば、pYES2、pYD1、pTEF1/Ze
o、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZalpha、pP
IC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K
、およびPAO815)は、当業者が容易に理解するように、提案された発現構
築物が必要とされる場合インフレームのAUGを含む転写、翻訳、分泌(所望さ
れる場合)などの適切に配置されたシグナルを提供する限り、pPIC9Kの代
わりに使用され得る。
【0138】 別の実施形態において、異種コード配列(例えば、本発明のポリヌクレオチド
など)の高レベルの発現は、本発明の異種ポリヌクレオチドを発現ベクター(例
えば、pGAPZまたはpGAPZalphaなど)中にクローニングし、そし
てメタノールの非存在下で酵母培養物を増殖させることによって達成され得る。
【0139】 本明細書において議論されるベクター構築物を含む宿主細胞を含むことに加え
て、本発明はまた、脊椎動物起源(特に、哺乳動物起源)の一次(primar
y)宿主細胞、二次(secondary)宿主細胞、および不死化宿主細胞を
含む。これらの宿主細胞は、内因性の遺伝物質(例えば、コード配列)を欠失ま
たは置換するように操作されており、そして/または本発明のポリヌクレオチド
と作動可能に連結された遺伝物質(例えば、異種ポリヌクレオチド配列)を含む
ように操作され、そして内因性のポリヌクレオチドを活性化、変更、および/ま
たは増幅する。例えば、当該分野で公知の技術は、相同組換えを介して、異種制
御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)ならびに内因性ポ
リヌクレオチド配列を作動可能に連結するために使用され得る(例えば、199
7年6月24日に発行された米国特許第5,641,670号;1996年9月
26日に公開された国際公開第WO 96/29411号;1994年8月4日
に公開された国際公開第WO 94/12650号;Kollerら,Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989
);およびZijlstraら,Nature 342:435−438(19
89)を参照のこと。これらの開示の各々は、それら全体において参考として援
用される)。
【0140】 さらに、本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の技術を用いて化学合成さ
れ得る(例えば、Creighton,1983,Proteins:Stru
ctures and Molecular Principles,W.H.
Freeman & Co.,N.Y.およびHunkapillerら,Na
ture,310:105−111(1984)を参照のこと)。例えば、ポリ
ペプチドのフラグメントに対応するポリペプチドは、ペプチド合成機の使用によ
り合成され得る。さらに、所望の場合、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸
アナログが、置換または付加としてこのポリペプチド配列に導入され得る。非古
典的アミノ酸としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:通常のアミ
ノ酸のD異性体、2,4−ジアミノ酪酸、a−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸
、Abu、2−アミノ酪酸、g−Abu、e−Ahx、6−アミノヘキサン酸、
Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイ
シン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトル
リン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリ
シン、シクロヘキシルアラニン、b−アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナー
アミノ酸(例えば、b−メチルアミノ酸)、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチ
ルアミノ酸、および一般のアミノ酸アナログ。さらに、アミノ酸はD(右旋性)
またはL(左旋性)であり得る。
【0141】 本発明は、翻訳の間または翻訳後に、例えば、グリコシル化、アセチル化、リ
ン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質
分解切断、抗体分子または他の細胞性リガンドへの結合などによって示差的に改
変される本発明のポリペプチドを含む。任意の多数の化学的改変は、以下を含む
がこれらに限定されない公知の技術によって実施され得る:臭化シアン、トリプ
シン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による特異的
化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシンの存在下で
の代謝合成;など。
【0142】 本発明によって含まれるさらなる翻訳後修飾としては、例えば、以下などが挙
げられる:N結合型もしくはO結合型の炭水化物鎖(N末端またはC末端のプロ
セシング)、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N結合型もしくはO結合型の炭
水化物鎖の化学修飾、および原核生物宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオ
ニン残基の付加もしくは欠失。このポリペプチドはまた、検出可能な標識(例え
ば、酵素標識、蛍光標識、同位体標識または親和性標識)を用いて改変して、こ
のタンパク質の検出および単離が可能にされ得る。
【0143】 本発明によってまた、さらなる利点(例えば、このポリペプチドの溶解度、安
定性および循環時間の増加、または免疫原性の減少)を提供し得る、本発明のポ
リペプチドの化学修飾誘導体が提供される(米国特許第4,179,337号を
参照のこと)。誘導体化のための化学部分は、水溶性ポリマー(例えば、ポリエ
チレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カ
ルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなど)から選
択され得る。このポリペプチドは、この分子内のランダムな位置で、またはこの
分子内の予定の位置で改変され得、そして1、2、3以上の結合した化学部分を
含み得る。
【0144】 このポリマーは、任意の分子量のポリマーであり得、そして分枝状であっても
非分枝状であってもよい。ポリエチレングリコールに関しては、好ましい分子量
は、取り扱いおよび製造の容易さのために、約1kDaと約100kDaとの間
(用語「約」は、ポリエチレングリコールの調製において、いくつかの分子は示
した分子量よりも重く、いくつかは示した分子量よりも軽いことを示す)である
。所望の治療的プロフィール(例えば、所望される持続放出の持続時間、ある場
合には生物学的活性に対する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程度または抗原
性がないこと、および治療タンパク質またはアナログに対するポリエチレングリ
コールの他の公知の効果)に依存して、他のサイズが用いられ得る。
【0145】 ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、このタンパク質の
機能的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮してタンパク質に結合
されるべきである。当業者に利用可能な多数の結合方法が存在する(例えば、本
明細書中に参考として援用される、EP 0 401 384(G−CSFにP
EGを結合する)、Malikら,Exp.Hematol.20:1028−
1035(1992)(塩化トレシルを用いたGM−CSFのペグ化(pegy
lation)を報告する)もまた参照のこと)。例えば、ポリエチレングリコ
ールは、反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基)によってア
ミノ酸残基を介して共有結合され得る。反応性基は、活性化ポリエチレングリコ
ール分子が結合し得る基である。遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基としては
、リジン残基およびN末端アミノ酸残基が挙げられ得る;遊離のカルボキシル基
を有するアミノ酸残基としては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基および
C末端アミノ酸残基が挙げられ得る。スルフヒドリル残基もまた、ポリエチレン
グリコール分子を結合するための反応性基として用いられ得る。治療目的のため
に好ましいのは、アミノ基での結合、例えば、N末端またはリジン基での結合で
ある。
【0146】 N末端で化学修飾されたタンパク質を具体的に所望し得る。ポリエチレングリ
コールを本発明の組成の例示として用いて、種々のポリエチレングリコール分子
から(分子量、分枝などによって)、反応混合物中でのポリエチレングリコール
分子のタンパク質(ポリペプチド)分子に対する比、行われるべきペグ化反応の
型、および選択されたN末端ペグ化タンパク質の獲得方法を選択し得る。N末端
ペグ化調製物の獲得方法(すなわち、必要な場合、この部分を他のモノペグ化部
分から分離すること)は、ペグ化タンパク質分子の集団からの、N末端ペグ化物
質の精製により行われ得る。N末端修飾で化学修飾された選択的タンパク質は、
特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なる型の第1級アミノ基(リ
ジン対N末端)の示差的反応性を利用する還元的アルキル化によって達成され得
る。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーを用いた、N末端でのタ
ンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
【0147】 本発明のポリペプチドは、単量体または多量体(すなわち、二量体、三量体、
四量体およびより高度の多量体)であり得る。従って、本発明は、単量体および
多量体の本発明のポリペプチド、それらの調製ならびにそれらを含む組成物(好
ましくは治療薬)に関する。特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、単
量体、二量体、三量体または四量体である。さらなる実施形態では、本発明の多
量体は、少なくとも二量体、少なくとも三量体、または少なくとも四量体である
【0148】 本発明によって含まれる多量体は、ホモマーまたはヘテロマーであり得る。本
明細書中で用いられる場合、用語ホモマーは、配列番号Yのアミノ酸配列に対応
するかまたは配列番号Xによってコードされるアミノ酸配列または配列番号Xの
相補体、および/またはcDNAプラスミドZによってコードされるアミノ酸配
列に対応するポリペプチド(本明細書中に記載されるこれらに対応する、フラグ
メント、改変体、スプライス改変体および融合タンパク質を含む)のみを含む多
量体をいう。これらのホモマーは、同一または異なるアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドを含み得る。特定の実施形態では、本発明のホモマーは、同一のアミノ
酸配列を有するポリペプチドのみを含む多量体である。別の特定の実施形態では
、本発明のホモマーは、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む多量体
である。特定の実施形態では、本発明の多量体は、ホモ二量体(例えば、同一ま
たは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む)あるいはホモ三量体(例
えば、同一および/または異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む)で
ある。さらなる実施形態では、本発明のホモマー性多量体は、少なくともホモ二
量体、少なくともホモ三量体または少なくともホモ四量体である。
【0149】 本明細書中で用いられる場合、用語ヘテロマーとは、本発明のポリペプチドに
加えて、1つ以上の異種ポリペプチド(すなわち、異なるタンパク質のポリペプ
チド)を含む多量体をいう。特定の実施形態では、本発明の多量体は、ヘテロ二
量体、ヘテロ三量体またはヘテロ四量体である。さらなる実施形態では、本発明
のヘテロマー性多量体は、少なくともヘテロ二量体、少なくともヘテロ三量体ま
たは少なくともヘテロ四量体である。
【0150】 本発明の多量体は、疎水性、親水性、イオン性および/もしくは共有結合性の
結合の結果であり得、ならびに/または例えば、リポソーム形成によって間接的
に連結され得る。従って、1つの実施形態では、本発明の多量体(例えば、ホモ
二量体またはホモ三量体など)は、本発明のポリペプチドが溶液中で互いに接触
する場合に形成される。別の実施形態では、本発明のへテロ多量体(例えば、ヘ
テロ三量体またはヘテロ四量体など)は、本発明のポリペプチドが、溶液中で本
発明のポリペプチドに対する抗体(本発明の融合タンパク質中の異種ポリペプチ
ド配列に対する抗体を含む)と接触する場合に、形成される。他の実施形態では
、本発明の多量体は、本発明のポリペプチドとの、および/または本発明のポリ
ペプチド間での共有結合によって形成される。このような共有結合は、ポリペプ
チド配列(例えば、配列番号Yに列挙されるか、または配列番号Xおよび/もし
くはcDNAプラスミド:Zによってコードされるポリペプチド中に含まれる、
ポリペプチド配列)中に含まれる1以上のアミノ酸残基を含み得る。1例では、
この共有結合は、ネイティブ(すなわち、天然に存在する)ポリペプチドにおい
て相互作用するポリペプチド配列間に存在するシステイン残基間での架橋である
。別の例では、この共有結合は、化学的操作または組換え操作の結果である。あ
るいは、このような共有結合は、融合タンパク質中の異種ポリペプチド配列にお
いて含まれる、1以上のアミノ酸残基を含み得る。1例では、共有結合は、本発
明の融合タンパク質に含まれる異種配列間にある(例えば、米国特許第5,47
8,925号を参照のこと)。特定の例では、この共有結合は、(本明細書中に
記載されるような)本発明のFc融合タンパク質に含まれる異種配列間にある。
別の特定の例では、本発明の融合タンパク質の共有結合は、共有結合した多量体
を形成し得る別のタンパク質(例えば、オステオプロテゲリン(osteopr
otegerin)(例えば、国際公開第WO 98/49305号(この内容
はその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)など)由来の
異種ポリペプチド配列間にある。別の実施形態では、2以上の本発明のポリペプ
チドは、ペプチドリンカーを介して連結される。例としては、米国特許第5,0
73,627号(本明細書中に参考として援用される)に記載されるペプチドリ
ンカーが挙げられる。ペプチドリンカーによって隔てられた本発明の複数のポリ
ペプチドを含むタンパク質は、従来の組換えDNA技術を用いて生成され得る。
【0151】 本発明の多量体ポリペプチドを調製する別の方法は、ロイシンジッパーまたは
イソロイシンジッパーのポリペプチド配列に融合した本発明のポリペプチドの使
用を含む。ロイシンジッパードメインおよびイソロイシンジッパードメインは、
それらが発見されたタンパク質の多量体化を促進するポリペプチドである。ロイ
シンジッパーは、本来、いくつかのDNA結合タンパク質(Landschul
zら、Science 240:1759(1988))において同定され、そ
してそれ以来、種々の異なるタンパク質から見出されている。公知のロイシンジ
ッパーは、共通して、二量体化または三量体化する天然に存在するペプチド、お
よびそれらの誘導体である。本発明の可溶性多量体タンパク質を産生するために
適切なロイシンジッパードメインの例は、PCT出願WO94/10308(本
明細書中で参考として援用される)に記載されるロイシンジッパードメインであ
る。溶液中で二量体化または三量体化するポリペプチド配列と融合した、本発明
のポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞において発現さ
れ、そして得られる可溶性多量体融合タンパク質は、当該分野で公知の技術を使
用して、培養上清から回収される。
【0152】 本発明の三量体ポリペプチドは、増大した生物学的活性の利点を提供し得る。
好ましいロイシンジッパー部分およびイソロイシン部分は、優先的に三量体を形
成するものである。1つの例は、Hoppeら(FEBS Letters 3
44:191,(1994))および米国特許出願番号第08/446,922
号(本明細書中で参考として援用される)に記載されるような、肺サーファクタ
ントタンパク質D(SPD)から誘導されるロイシンジッパーである。天然に存
在する三量体タンパク質から誘導される他のペプチドは、本発明の三量体ポリペ
プチドの調製において使用され得る。
【0153】 別の例において、本発明のタンパク質は、Flag(登録商標)ポリペプチド
配列を含む本発明の融合タンパク質に含まれるFlag(登録商標)ポリペプチ
ド配列間の相互作用によって結合される。さらなる実施形態において、本発明の
結合タンパク質は、本発明のFlag(登録商標)融合タンパク質に含まれる異
種ポリペプチド配列と抗Flag(登録商標)抗体との間の相互作用によって結
合される。
【0154】 本発明の多量体は、当該分野で公知の化学技術を用いて生成され得る。例えば
、本発明の多量体中に含まれることが所望されるポリペプチドは、当該分野で公
知のリンカー分子およびリンカー分子長最適化技術を用いて化学的に架橋され得
る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこと、これは、本明細書
中でその全体が参考として援用される)。さらに、本発明の多量体は、多量体中
に含まれることが所望されるポリペプチドの配列中に位置するシステイン残基間
に1つ以上の分子間架橋を形成するために、当該分野で公知の技術を用いて生成
され得る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこと、これは、本
明細書中でその全体が参考として援用される)。さらに、本発明のポリペプチド
は、そのポリペプチドのC末端またはN末端へのシステインまたはビオチンの付
加によって慣用的に改変され得、そして当該分野で公知の技術が、1つ以上のこ
れらの改変したポリペプチドを含む多量体を生成するために適用され得る(例え
ば、米国特許第5,478,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその
全体が参考として援用される)。さらに、当該分野で公知の技術は、本発明の多
量体に含まれることが所望されるポリペプチド成分を含むリポソームを生成する
ために適用され得る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこと、
これは、本明細書中でその全体が参考として援用される)。
【0155】 あるいは、本発明の多量体は、当該分野で公知の遺伝子工学技術を用いて生成
され得る。1つの実施形態において、本発明の多量体中に含まれるポリペプチド
は、本明細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の融合タンパク
質技術を用いて組換え産生される(例えば、米国特許第5,478,925号を
参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考として援用される)。特定の
実施形態において、本発明のホモ二量体をコードするポリヌクレオチドは、本発
明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、リンカーポリペプチド
をコードする配列に連結し、次いで、もともとのC末端からN末端へ逆方向にポ
リペプチドの翻訳産物をコードする合成ポリヌクレオチド(リーダー配列を欠く
)に、さらに連結することによって生成される(例えば、米国特許第5,478
,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考として援用され
る)。別の実施形態において、本明細書中に記載されるかまたはさもなくば当該
分野で公知の組換え技術が適用されて、膜貫通ドメイン(あるいは疎水性ペプチ
ドまたはシグナルペプチド)を含む本発明の組換えポリペプチドを生成し、そし
てこれは、膜再構成技術によってリポソームに取り込まれ得る(例えば、米国特
許第5,478,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考
として援用される)。
【0156】 (抗体) 本発明のさらなるポリペプチドは、本発明の配列番号Yのポリペプチド、ポリ
ペプチドフラグメント、もしくは改変体、および/または本発明のエピトープに
免疫特異的に結合する(特異的抗体−抗原結合をアッセイするための当該分野で
周知のイムノアッセイにより決定されるような)抗体およびT−細胞抗原レセプ
ター(TCR)に関する。本発明の抗体としては、ポリクローナル抗体、モノク
ローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体、単
鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラ
リーによって産生されたフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例え
ば、本発明の抗体に対する抗Id抗体が挙げられる)、および任意の上記抗体の
エピトープ結合フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書
中で使用される場合、用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロブ
リン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原
結合部位を含む分子)をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン
分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびI
gY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1
およびIgA2)またはサブクラスの分子であり得る。
【0157】 最も好ましくは、抗体は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり、そ
してFab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(scFv)、
単鎖抗体、ジスルフィド連結Fvs(sdFv)およびVLドメインまたはVH
ドメインのいずれかを含むフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない
。単鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を、単独であるいは以
下:ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインの全体
または部分との組み合わせで含み得る。ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ド
メインおよびCH3ドメインと可変領域の任意の組み合わせをもまた含む抗原結
合フラグメントもまた、本発明に含まれる。本発明の抗体は、鳥類および哺乳動
物を含む任意の動物起源由来であり得る。好ましくは、この抗体は、ヒト、ネズ
ミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ウサギ(ship rabbit)
、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書中で使用
される場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体
を含み、そしてヒト免疫グロブリンライブラリーから、または1つ以上のヒト免
疫グロブリンについてトランスジェニックでかつ内因性免疫グロブリンを発現し
ない動物(以下および、例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第
5,939,598号に記載されるような)から単離された抗体を含む。
【0158】 本発明の抗体は、一重特異的、二重特異的、三重特異的またはより多価の多重
特異的であり得る。多重特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピト
ープに対して特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドおよび異種エピ
トープ(例えば、異種ポリペプチドまたは固体支持体物質)の両方に特異的であ
り得る。例えば、PCT公開WO 93/17715;WO92/08802;
WO 91/00360;WO 92/05793;Tuttら、J.Immu
nol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;
同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,92
0号;同第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.
148:1547−1553(1992)を参照のこと。
【0159】 本発明の抗体は、この抗体により認識されるかまたは特異的に結合される本発
明のポリペプチドのエピトープまたは部分によって、記載され得るかまたは特定
化され得る。このエピトープまたはポリペプチド部分は、本明細書中に記載され
るように、例えば、N末端およびC末端位置により、または連続するアミノ酸残
基のサイズにより、特定化され得る。本発明の任意のエピトープまたはポリペプ
チドを特異的に結合する抗体はまた排除され得る。従って、本発明は、本発明の
ポリペプチドを特異的に結合し、そしてこのポリペプチドの排除を可能にする抗
体を含む。
【0160】 本発明の抗体はまた、その交差反応性について記載または特定化され得る。本
発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オーソログまたはホモログを結合し
ない抗体が、含まれる。本発明のポリペプチドに対して少なくとも95%、少な
くとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少な
くとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%および
少なくとも50%の同一性(当該分野で公知の方法および本明細書中に記載され
る方法を用いて計算されるように)を有するポリペプチドを結合する抗体もまた
、本発明に含まれる。特定の実施形態において、本発明の抗体は、ヒトタンパク
質の、マウスホモログ、ラットホモログおよび/またはウサギホモログならびに
対応するそれらのエピトープと交差反応する。本発明のポリペプチドに対して9
5%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、6
5%未満、60%未満、55%未満および50%未満の同一性(当該分野で公知
の方法および本明細書中に記載される方法を用いて計算されるように)を有する
ポリペプチドを結合しない抗体もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態にお
いて、上記の交差反応性は、本明細書中に開示された、任意の単一特異的な抗原
性または免疫原性ポリペプチド、あるいは2、3、4、5もしくはそれ以上の特
異的抗原性および/または免疫原生ポリペプチドの組み合わせに関する。さらに
、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(本明細書中で記載される
ような)で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドに
よりコードされるポリペプチドを結合する抗体が、本発明に含まれる。本発明の
抗体はまた、本発明のポリペプチドに対するそれらの結合親和性について記載ま
たは特定化され得る。好ましい結合親和性としては、5×10-2M未満、10-2 M未満、5×10-3M未満、10-3M未満、5×10-4M未満、10-4M未満、
5×10-5M未満、10-5M未満、5×10-6M未満、10-6M未満、5×10 -7 M未満、10-7M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満
、10-9M未満、5×10-10M未満、10-10M未満、5×10-11M未満、1
-11M未満、5×10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-1 3 M未満、5×10-14M未満、10-14M未満、5×10-15M未満または10-1 5 M未満の解離定数すなわちKdを有する親和性が挙げられる。
【0161】 本発明はまた、競合性結合を決定するための当該分野で公知の任意の方法(例
えば、本明細書中で記載されるイムノアッセイ)によって決定されるような、本
発明のエピトープに対する抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。好ま
しい実施形態において、この抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少
なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少
なくとも60%、または少なくとも50%、エピトープへの結合を競合的に阻害
する。
【0162】 本発明の抗体は、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストと
して作用し得る。例えば、本発明は、本発明のポリペプチドとのレセプター/リ
ガンド相互作用を部分的または完全にのいずれかで破壊する抗体を含む。好まし
くは、本発明の抗体は、本明細書中で開示された抗原性エピトープ、またはその
部分を結合する。本発明は、レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の
両方の特徴を有する。本発明はまた、リガンド結合を妨害しないがレセプター活
性化を妨害するレセプター特異的抗体の特徴を有する。レセプター活性化(すな
わち、シグナル伝達)は、本明細書中に記載の技術、そうでなければ、当該分野
で公知の技術により決定され得る。例えば、レセプター活性化は、レセプターの
リン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/トレオニン)、または免疫沈降それ
に続いてウェスタンブロット分析(例えば、上記のような)によってその基質を
検出することにより、決定され得る。特定の実施形態において、この抗体の非存
在下で、リガンド活性またはレセプター活性を、その活性の少なくとも95%、
少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、
少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%阻害する抗体が
提供される。
【0163】 本発明はまた、リガンド結合およびレセプター活性化の両方を妨げるレセプタ
ー特異的抗体、ならびにレセプターリガンド複合体を認識し、そして好ましくは
、結合していないレセプターまたは結合していないリガンドを特異的に認識しな
いレセプター特異的抗体の特徴を有する。同様に、本発明は、リガンドと結合し
、そしてレセプターへのリガンドの結合を妨げる中和抗体、およびリガントと結
合し、それによりレセプター活性化を妨げるが、リガンドがレセプターを結合す
ることを妨げない抗体を含む。さらに、本発明は、レセプターを活性化する抗体
を含む。これらの抗体は、レセプターアゴニストとして作用し得、すなわち、例
えば、レセプターの二量化を誘発することによってリガンド媒介レセプター活性
化の生物学的活性化の全てまたはサブセットのいずれかを増強するかまたは活性
化し得る。この抗体は、本明細書中に開示される本発明のペプチドの特異的生物
学的活性を含む生物学的活性についてのアゴニスト、アンタゴニストまたは逆ア
ゴニストとして特定化され得る。上記抗体アゴニストは、当該分野で公知の方法
を用いて作製され得る。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第
5,811,097号;Dengら、Blood 92(6):1981−19
88(1998);Chenら、Cancer Res.58(16):366
8−3678(1998);Harropら、J.Immunol.161(4
):1786−1794(1998);Zhuら、Cancer Res:58
(15):3209−3214(1998);Yoonら、J.Immunol
.160(7):3170−3179(1998);Pratら、J.Cell
.Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitardら、
J.Immunol.Methods 205(2):177−190(199
7);Liautardら、Cytokine 9(4):233−241(1
997);Carlsonら、J.Biol.Chem.272(17):11
295−11301(1997);Tarymanら、Neuron 14(4
):755−762(1995);Mullerら、Structure 6(
9):1153−1167(1998);Bartunekら、Cytokin
e 8(1):14−20(1996)(上記の文献は、全て、その全体が参考
として本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0164】 本発明の抗体は、例えば、これらに限定されないが、本発明のポリペプチドを
精製し、検出し、そして標的化するために使用され得る。これらは、インビトロ
およびインビボの両方での診断方法および治療方法を含む。例えば、この抗体は
、生物学的サンプルにおける本発明のポリペプチドのレベルを定性的におよび定
量的に測定するためのイムノアッセイにおける使用を有する。例えば、Harl
owら,Antibodies:A Laboratory Manual,(
Cold Spring Harbor Laboratory Press,
第2版,1988)(本明細書中でその全体が参照として援用される)を参照の
こと。
【0165】 以下にさらに詳細に議論されるように、本発明の抗体は、単独または他の化合
物との組み合わせのいずれかで使用され得る。この抗体はさらに、N末端でもし
くはC末端で異種ポリペプチドに組換え的に融合され得るか、あるいはポリペプ
チドまたは他の組成物へ化学的に結合(共有結合および非共有結合を含む)され
得る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子お
よび異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種、または毒素のようなエフェクター分
子へ組換え的に融合または結合され得る。例えば、PCT公開WO92/084
95;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,
995号;および欧州特許第396,387号を参照のこと。
【0166】 本発明の抗体は、改変された(すなわち、共有結合性付着(covalent
attachment)が、抗体が抗イディオタイプ応答を産生するのを妨げ
ないような、抗体に対する任意の型の分子の共有結合性付着による)誘導体を含
む。例えば、制限されないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチ
ル化、ぺグ化(pegylation)、リン酸化(phosphylatio
n)、アミド化、既知の保護基/ブロック基(blocking group)
による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質
への連結などによって改変された抗体が挙げられる。多数の任意の化学的改変が
、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成など
を含むが、これらに制限されない公知の技術によって実行され得る。さらに、誘
導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0167】 本発明の抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって産生され得る。
目的の抗原に対するポリクローナル抗体は、当該分野で周知の種々の手順によっ
て産生され得る。例えば、本発明のポリペプチドが種々の宿主動物(ウサギ、マ
ウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない)に投与されて、抗原に対して
特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導し得る。種々のアジュバン
トが、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用され得、そして
フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル(
mineral gel)、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニック
(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホ
ールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメッ
ト−ゲラン杆菌)およびcorynebacterium parvumのよう
な潜在的に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。このよう
なアジュバントはまた、当該分野で周知である。
【0168】 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレ
イ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当該分野で公知の広範な種々
の技術を用いて調製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知
の以下に挙げられるハイブリドーマ技術を使用して産生され得、例えば、Har
lowら、Antibodies:A Laboratory Manual,
(Cold Spring Harbor Laboratory Press
,第2版、1988);Hammerlingら、Monoclonal An
tibodies and T−Cell Hybridomas 563−6
81(Elsevier,N.Y.1981)(上記の参考文献は、その全体が
参考として援用される)に教示される。本明細書中で使用される場合、用語「モ
ノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ技術を通して生成された抗体に限定さ
れない。用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核生物、原核生物、または
ファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体をいい、それが生成され
る方法のことではない。
【0169】 ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を産生およびスクリーニングする方法
は、当該分野で慣用的かつ周知であり、そして実施例に詳細に議論される。非限
定的な実施例において、マウスは、本発明のポリペプチドまたはそのようなペプ
チドを発現する細胞を用いて免疫され得る。一旦免疫応答が検出される(例えば
、抗原に特異的な抗体がマウスの血清中に検出される)と、マウスの脾臓を収集
しそして脾細胞を単離する。次に、その脾細胞を周知の技術によって任意の適切
な骨髄腫細胞(例えば、ATCCから入手可能な細胞株SP20由来の細胞)に
融合させる。ハイブリドーマを限界希釈によって選択およびクローン化する。次
に、ハイブリドーマクローンを、本発明のポリペプチドに結合し得る抗体を分泌
する細胞について、当該分野で公知の方法によってアッセイする。一般的に高い
レベルの抗体を含む腹水(ascites fluid)が、陽性ハイブリドー
マクローンを用いてマウスを免疫することによって、産生され得る。
【0170】 従って、本発明は、モノクローナル抗体および本発明の抗体を分泌するハイブ
リドーマ細胞を培養する工程を包含する方法によって産生される抗体を、生成す
る方法を提供し、ここで、好ましくは、このハイブリドーマは、骨髄腫細胞と本
発明の抗原で免疫したマウスから単離された脾細胞とを融合させ、次いで本発明
のポリペプチドと結合し得る抗体を分泌するハイブリドーマクローンについて、
融合物から生じるハイブリドーマをスクリーニングすることによって生成される
【0171】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって生成さ
れ得る。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2フラグメントは、(Fa
bフラグメントを生成するために)パパインまたは(F(ab’)2フラグメン
トを産生するために)ペプシンのような酵素を使用して、免疫グロブリン分子の
タンパク質分解切断によって産生され得る。F(ab’)2フラグメントは、可
変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。
【0172】 例えば、本発明の抗体はまた、当該分野で公知の種々のファージディスプレイ
方法を用いて産生され得る。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメ
インは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表
面に提示される。特定の実施形態において、そのようなファージは、レパートリ
ーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトもしくはマウス)か
ら発現される抗原結合ドメインを提示するために利用され得る。目的の抗原に結
合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて選択または同定さ
れ得る(例えば、標識した抗原あるいは固体表面またはビーズに結合または捕捉
された抗原を使用する)。これらの方法において用いられるファージは、代表的
には、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺伝子VIIIタンパク
質のいずれかに組換え的に融合されたFab、Fvまたはジスルフィド安定化さ
れたFvの抗体ドメインを有するファージから発現されたfdおよびM13結合
ドメインを含む糸状ファージ(filamentous phage)である。
本発明の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法の例とし
ては、以下に開示される方法が挙げられる:Brinkmanら、J.Immu
nol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J.
Immunol.Methods 184:177−186(1995);Ke
ttleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−95
8(1994);Persicら、Gene 187 9−18(1997);
Burtonら、Advances in Immunology 57:19
1−280(1994);PCT出願番号PCT/GB91/01134;PC
T公開WO 90/02809;WO 91/10737;WO 92/010
47;WO 92/18619;WO 93/11236;WO 95/159
82;WO 95/20401;ならびに米国特許第5,698,426号;同
第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717
号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,
047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,5
16,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第
5,733,743号および同第5,969,108号(これらの各々は、本明
細書中でその全体が参考として援用される)。
【0173】 上記参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体をコ
ードする領域は、ヒト抗体を含む抗体の全体または任意の他の所望の抗原結合フ
ラグメントを生成するために単離されかつ用いられ得、そして例えば、以下に詳
細が記載されるように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を
含む任意の所望の宿主において発現され得る。例えば、Fab、Fab’および
F(ab’)2フラグメントを組換え的に産生するための技術はまた、当該分野
で公知の方法を用いて使用され得、このような方法は、以下に開示される:PC
T公開WO 92/22324;Mullinaxら、BioTechniqu
es 12(6):864−869(1992);およびSawaiら、AJR
I 34:26−34(1995);およびBetterら、Science
240:1041−1043(1998)(これらの参考文献は、その全体が参
考として援用される)。
【0174】 単鎖のFvsおよび抗体を産生するために用いられ得る技術の例としては、米
国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Huston
ら、Methods in Enzymology 203:46−88(19
91);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);および
Skerraら、Science 240:1038−1040(1988)に
記載される技術が挙げられる。ヒトにおける抗体のインビボにおける使用および
インビトロ検出アッセイを含むいくつかの用途のために、キメラ抗体、ヒト化抗
体またはヒト抗体の使用が好ましくあり得る。キメラ抗体とは、抗体の異なる部
分が、異なる動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗体由来の
可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体)である。キメラ抗体
を産生するための方法は、当該分野において公知である。例えば、Morris
on,Science 229:1202(1985);Oiら、BioTec
hniques 4:214(1986);Gilliesら、(1989)J
.Immunol.Methods 125:191−202;米国特許第5,
807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816397号
を参照のこと(これらはそれらの全体が、参考として本明細書中に援用される)
。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒ
ト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望された抗原に結合
する非ヒト種抗体由来の抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領域内
のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させるため(好ましくは改善させるた
めに)CDRドナー抗体由来の対応残基と置換される。これらフレームワークの
置換は、当該分野で周知の方法によって同定され、例えば、抗原結合に重要なフ
レームワーク残基を同定するためのCDRおよびフレームワーク残基の相互作用
のモデリング、ならびに特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定す
るための配列比較による。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,0
89号;Riechmannら、Nature 332:323(1988)を
参照のこと(これらはそれらの全体が参考として本明細書中に援用される)。)
抗体は、以下を含む当該分野で公知の種々の技術を用いてヒト化され得る:例え
ば、CDR−移植(欧州特許第239,400号;PCT公開WO 91/09
967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号および同
第5,585,089号)、ベニヤリング(veneering)またはリサー
フェイシング(resurfacing)(欧州特許第592,106号;同第
519,596号;Padlan、Molecular Immunology
28(4/5):489−498(1991); Studnickaら、P
rotein Engineering 7(6):805−814(1994
);Roguskaら、PNAS 91:969−973(1994))、およ
びチェーンシャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5
,565,332号)。
【0175】 完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置に対して特に所望される。ヒト抗体
は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いた上記のファー
ジディスプレイ法を含む当該分野で公知の種々の方法により作製され得る。米国
特許第4,444,887号、同第4,716,111号;およびPCT公開W
O 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、W
O 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、お
よびWO 91/10741;(これらの各々はその全体が参考として本明細書
中に援用される)もまた参照のこと。
【0176】 ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンの発現は出来ないが、ヒト免疫
グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを用いて産生され得る
。例えば、ヒト重鎖免疫グロブリン遺伝子およびヒト軽鎖免疫グロブリン遺伝子
の複合体は、無作為にまたは相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入され得
る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域および多様性領域(diversity
region)は、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子に加えて、マウスの
胚性幹細胞に導入され得る。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子およびマウス軽鎖
免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン座の導入と別々
にまたは同時に非機能的にされ得る。特に、JH領域のホモ接合性の欠失は、内
因性抗体の産生を妨げる。改変された胚性幹細胞を増殖させ、そしてキメラマウ
スを産生するために胚盤胞中に微量注入する。次いで、キメラマウスを、ヒト抗
体を発現するホモ接合性の子孫を産生するために繁殖させる。トランスジェニッ
クマウスを、選択された抗原(例えば、本発明のポリペプチドの全体または部分
)を用いて通常の様式で免疫する。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来の
ハイブリドーマ技術を用いた免疫したトランスジェニックマウスから得られ得る
。トランスジェニックマウスに保持されたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B
細胞分化の間に再構成し、そしてその後、クラススイッチングおよび体細胞変異
を受ける。従って、そのような技術の使用によって、治療的に有用なIgG抗体
、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体の産生が可能である。ヒト抗体を産
生するためのこの技術の概要については、LonbergおよびHuszar、
Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照のこと
。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術のならびに
そのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な議論については、例えば
、PCT公開WO98/24893;WO92/01047;WO96/340
96;WO96/33735;欧州特許第0 598 877;米国特許第5,
413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同
第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806
号;同第5,814,318号;同第5,885,793号;同第5,916,
771号;および同第5,939,598号を参照のこと(これらはその全体が
本明細書中に参考として援用される)。さらに、Abgenix,Inc.(F
reemont,CA)およびGenpharm(San Jose,CA)の
ような企業は、上記の技術に類似した技術を用いて選択された抗原に対するヒト
抗体を提供することに従事し得る。
【0177】 選択されたエピトープを認識する完全ヒト化抗体を、「ガイドされた(gui
ded)選択」といわれる技術を用いて産生し得る。このアプローチにおいて、
選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同じエピトー
プを認識する完全ヒト抗体の選択を導くために使用される。(Jespersら
、Bio/technology 12:899−903(1988))。
【0178】 さらに、本発明のポリペプチドに対する抗体は、当業者に周知の技術を用いて
本発明のポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を産生するために順
々に利用され得る。(例えば、GreenspanおよびBona、FASEB
J.7(5):437−444;(1989)およびNissinoff,J
.Immunol.147(8):2429−2438(1991)を参照のこ
と。)例えば、結合し、そしてポリペプチドの多量体化(multimeriz
ation)および/またはリガンドに対する本発明のポリペプチドの結合を競
合的に阻害する抗体が、ポリペプチドの多量体化ドメインおよび/または結合ド
メインを「模倣する」抗イディオタイプを産生するために使用され得、そして結
果としてポリペプチドおよび/またはそのリガンドに結合し、そして中和する。
このような抗イディオタイプまたはそのような抗イディオタイプのFabフラグ
メントの中和は、ポリペプチドリガンドを中和するための治療的レジメンに使用
され得る。例えば、そのような抗イディオタイプ抗体は、本発明のポリペプチド
に結合するためおよび/またはそのリガンド/レセプターに結合するために使用
され得、そしてそれによってその生物学的活性がブロックされる。
【0179】 (抗体をコードするポリヌクレオチド) 本発明はさらに、本発明の抗体およびそのフラグメントをコードするヌクレオ
チド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、ストリンジェント
な、またはより低いストリジェンシーなハイブリダイゼーション条件下で(例え
ば、上記に定義されるような)抗体(好ましくは、本発明のポリペプチドと特異
的に結合する、好ましくは、配列番号Yのアミノ酸配列を有するポリペプチドに
結合する抗体)をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレ
オチドを含む。
【0180】 ポリヌクレオチドが、当該分野で公知の任意の方法によって得られ得、そして
そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定される。例えば、抗体のヌクレ
オチド配列が知られている場合、この抗体をコードするポリヌクレオチドは、化
学的に合成されたオリゴヌクレオチドから構築され得(例えば、Kutmeie
rら、BioTechniques 17:242(1994)に記載されるよ
うな)、これは、簡単にいうと、以下の工程を包含する:この抗体をコードする
配列の部分を含むオーバーラップするオリゴヌクレオチドの合成、これらのオリ
ゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結、次いでPCRによる連結されたオリ
ゴヌクレオチドの増幅。
【0181】 あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適切な供給源からの核酸か
ら生成され得る。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは入手不可能だが
、その抗体分子の配列が既知である場合、その免疫グロブリンをコードする核酸
は、化学的に合成され得るか、あるいは適切な供給源(例えば、抗体cDNAラ
イブラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞(例えば、本発明の
抗体の発現のために選択されたハイブリドーマ細胞)から生成されたcDNAラ
イブラリー、またはそれから単離された核酸(好ましくはポリA+RNA))か
ら、例えば、その抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクロー
ンを同定するために、配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合
成プライマーを使用するPCR増幅によって、または特定の遺伝子配列に特異的
なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって得られ得る。P
CRによって生成された増幅された核酸は、次いで、当該分野で周知の任意の方
法を用いて、複製可能なクローニングベクターにクローニングされ得る。
【0182】 一旦、抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されると、
抗体のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の操作について当該分野で周知の
方法(例えば、組換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなど(例えば、
Sambrookら、1990,Molecular Cloning,A L
aboratory Manual,第2版、Cold Spring Har
bor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY
およびAusubelら編、1998,Current Protocols
in Molecular Biology,John Wiley&Sons
,NYに記載の技術を参照のこと。これらは両方がその全体において本明細書に
参考として援用される。))を用いて操作され、例えば、アミノ酸の置換、欠失
、および/または挿入を作製するように異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成
し得る。
【0183】 特定の実施形態において、重鎖および/または軽鎖の可変ドメインのアミノ酸
配列は、相補性決定領域(CDR)の配列の同定のために、当該分野において周
知の方法によって(例えば、配列超可変性の領域を決定するために、他の重鎖、
および軽鎖の可変領域を既知のアミノ酸配列と比較することによって)調べられ
得る。慣用的な組換えDNA技術を用いて、1つ以上のCDRが、前述のように
フレームワーク領域内に(例えば、非ヒト抗体をヒト化するために、ヒトフレー
ムワーク領域中に)挿入され得る。このフレームワーク領域は天然に存在し得る
か、またはコンセンサスフレームワーク領域であり得、そして好ましくはヒトフ
レームワーク領域であり得る(例えば、列挙したヒトフレームワーク領域につい
ては、Chothiaら、J.Mol.Biol.278:457−479(1
998)を参照のこと)。好ましくは、フレームワーク領域およびCDRの組み
合わせによって生成されたポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドに特異的
に結合する抗体をコードする。好ましくは、上記に議論されるように、1つ以上
のアミノ酸置換は、フレームワーク領域内で作製され得、そして好ましくは、そ
のアミノ酸置換は、抗体のその抗原への結合を改善する。さらに、このような方
法は、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合が欠如した抗体分子を生成するように、
鎖内ジスルフィド結合に関与する1つ以上の可変領域のシステイン残基のアミノ
酸置換または欠失を作製するために使用され得る。ポリヌクレオチドへの他の変
更は、本発明によって、および当該分野の技術において包含される。
【0184】 さらに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的
活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングさせることによって、「
キメラ抗体」を産生するために開発された技術(Morrisonら、Proc
.Natl.Acad.Sci.81:851−855(1984);Neub
ergerら、Nature 312:604−608(1984);Take
daら、Nature 314:452−454(1985))が使用され得る
。上記のように、キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子であ
り、このような分子は、マウスmAb由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン
の定常領域を有する(例えば、ヒト化抗体)。
【0185】 あるいは、単鎖抗体の産生に関する記載された技術(米国特許第4,946,
778号;Bird、Science 242:423−42(1988);H
ustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:587
9−5883(1988);およびWardら、Nature 334:544
−54(1989))が、単鎖抗体の産生に適応され得る。単鎖抗体は、Fv領
域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントがアミノ酸架橋を介して連結され
れることによって形成され、単鎖ポリペプチドを生じる。E.coliにおける
機能性Fvフラグメントのアセンブリのための技術もまた、使用され得る(Sk
erraら、Science 242:1038−1041(1988))。
【0186】 (抗体を産生する方法) 本発明の抗体は、抗体を合成するための当該分野で公知の任意の方法によって
、特に、化学合成によって、または、好ましくは、組換え発現技術によって産生
され得る。
【0187】 本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログ(例えば、
本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖または本発明の単鎖抗体)の組換え発現は、そ
の抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とす
る。一旦、本発明の抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、あるいはそれらの
部分(好ましくは、重鎖または軽鎖の可変ドメインを含有する)をコードするポ
リヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターは、当該分野で
周知の技術を用いる組換えDNA技術によって生成され得る。従って、抗体をコ
ードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドの発現によってタンパク
質を調製するための方法は、本明細書に記載される。当業者に周知の方法は、抗
体をコードする配列ならびに適切な転写制御シグナルおよび翻訳制御シグナルを
含有する発現ベクターの構築のために使用され得る。これらの方法には、例えば
、インビトロの組換えDNA技術、合成技術、およびインビボの遺伝子組換えが
挙げられる。従って、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された、本発明
の抗体分子、あるいはその重鎖もしくは軽鎖、または重鎖もしくは軽鎖の可変ド
メインをコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能なベクターを提供する。
このようなベクターは、抗体分子の定常領域(例えば、PCT公開 WO86/
05807;PCT公開 WO89/01036;および米国特許第5,122
,464号を参照のこと)をコードするヌクレオチド配列を含み得、そしてこの
抗体の可変ドメインは、重鎖または軽鎖の全体の発現のためにこのようなベクタ
ーにクローニングされ得る。
【0188】 この発現ベクターは、従来技術によって宿主細胞へと移入され、そしてこのト
ランスフェクトされた細胞は、次いで、本発明の抗体を産生するために、従来技
術によって培養される。従って、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結
された、本発明の抗体、あるいはその重鎖もしくは軽鎖、または本発明の単鎖抗
体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二重鎖抗体の発現につ
いての好ましい実施形態において、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクター
は、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞
中に同時発現され得る。
【0189】 種々の宿主発現ベクター系は、本発明の抗体分子を発現させるために利用され
得る。このような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、かつ続いて精製
され得るビヒクルを表わすが、また、適切なヌクレオチドをコードする配列で形
質転換またはトランスフェクトされる場合に、インサイチュで本発明の抗体分子
を発現し得る細胞を表わす。これらには、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:抗体をコードする配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラス
ミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌(例
えば、E.coli、B.subtilis)のような微生物;抗体をコードす
る配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Sacc
haromyces、Pichia);抗体をコードする配列を含む組換えウイ
ルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;組換え
ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タ
バコモザイクウイルス、TMV)に感染した植物細胞系または抗体をコードする
配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転
換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(
例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物のウイルスに由来する
プロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス
7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例
えば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞)。好ましくは、Esch
erichia coliのような細菌細胞、そしてより好ましくは、特に、組
換え抗体分子全体の発現のために真核生物細胞が、組換え抗体分子の発現のため
に使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要前初期(majo
r intermediate early)遺伝子プロモーターエレメントの
ようなベクターと組み合わされた、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO
)のような哺乳動物細胞が、抗体のための効果的な発現系である(Foecki
ngら、Gene 45:101(1986);Cockettら、Bio/T
echnology 8:2(1990))。
【0190】 細菌系において、多くの発現ベクターが、抗体分子の発現を意図する使用に依
存して有利に選択され得る。例えば、多量のこのようなタンパク質が産生される
べき場合、抗体分子の薬学的組成物の生成のために、容易に精製される融合タン
パク質産物の高レベルの発現を指向するベクターが所望され得る。このようなベ
クターには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体をコードする配
列がlacZをコードする領域と共にベクターにインフレーム(in fram
e)で個別に連結され得、その結果、融合タンパク質が産生されるE.coli
発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(1
983));pINベクター(Inouye&Inouye、Nucleic
Acids Res.13:3101−3109(1985);Van Hee
ke&Schuster、J.Biol.Chem.24:5503−5509
(1989))など。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェ
ラーゼ(GST)との融合タンパク質として、外来性ポリペプチドを発現させる
ために使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、そし
て溶解した細胞から、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着お
よび結合、それに続く遊離グルタチオン存在下での溶出によって容易に精製され
得る。このpGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部
位を含むように設計され、その結果、このクローニングされた標的遺伝子産物は
、GST部分から放出され得る。
【0191】 昆虫系においては、Autographa californica核多角体
病ウィルス(AcNPV)は、異種遺伝子を発現するためのベクターとして使用
される。このウィルスは、Spodoptera frugiperda細胞に
おいて増殖する。抗体をコードする配列は、このウィルスの非必須の領域(例え
ばポリヘドリン遺伝子)に個々にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモ
ーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置され得る。
【0192】 哺乳動物宿主細胞においては、多数のウィルスに基づく発現系が利用され得る
。アデノウィルスが発現ベクターとして使用される場合においては、目的の抗体
をコードする配列は、アデノウィルスの転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロ
モーターおよび3つの部分に分かれるリーダー配列、に連結され得る。次いで、
このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボでの組換えによって、アデノウ
ィルスゲノムに挿入され得る。ウィルスのゲノムの非必須領域(例えば、E1ま
たはE3領域)における挿入は、生存可能で、感染した宿主において抗体分子を
発現する能力のある組換えウィルスを生じる(例えば、Logan&Shenk
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355−359(1
984)を参照のこと)。特異的開始シグナルはまた、挿入された抗体をコード
する配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG
開始コドンおよび隣接する配列を含む。さらに、この開始コドンは、挿入部分全
体の翻訳を確実にするために、所望されるコード配列のリーディングフレーム(
reading frame)と相が同じでなければならない。これらの外因性
翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、種々の起源、天然および合成の両方であ
り得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーター、な
どの含有によって高められ得る(Bittnerら、Methods in E
nzymol.153:51−544(1987)を参照のこと)。
【0193】 さらに、宿主細胞株は、選択され得、これは挿入配列の発現を調節し、または
、所望される特異的な様式で遺伝子産物を改変し、そしてプロセシングする。タ
ンパク質産物のこのような改変(例えばグリコシル化)およびプロセシング(例
えば切断)は、タンパク質の機能のために重要であり得る。異なる宿主細胞は、
タンパク質および遺伝子産物の、翻訳後プロセシングおよび改変のための、特徴
的で特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系は、発現された異種タン
パク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするように選択され得る。この
目的のために、遺伝子産物の、第一の転写、グリコシル化、およびリン酸化の正
確なプロセシングのための細胞機構を有する、真核生物宿主細胞が、使用され得
る。このような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、Hela、C
OS、MDCK、293、3T3、WI38、そして特に、例えば、BT483
、Hs578T、HTB2、BT20およびT47Dのような乳癌細胞株、なら
びに、例えば、CRL7030およびHs578Bstのような正常な乳腺細胞
株を含むが、これらに限定されない。
【0194】 組換えタンパク質の長期間の高収率産生、安定発現が好ましい。例えば、安定
に抗体分子を発現する細胞株が操作され得る。ウィルスの複製起点を含む発現ベ
クターを使用するよりも、宿主細胞は、適切な発現制御要素(例えば、プロモー
ター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、など)
、および選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換され得る。異種DN
Aの導入に続いて、操作された細胞は、1〜2日間富化培地で増殖させられ得、
次いで、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミドにおける選択マーカーは
、選択に対する耐性を与え、そして細胞が、プラスミドをその染色体内に安定に
組み込み、そして増殖して、細胞増殖巣を形成し、これを今度はクローニングし
得、増殖して細胞株になり得ることを可能にする。この方法は、抗体分子を発現
する細胞株を操作するために、有利に使用され得る。このような操作された細胞
株は、直接的または間接的に抗体分子と相互作用する化合物のスクリーニングお
よび評価において、特に有用であり得る。
【0195】 多数の選択系が使用され得、この選択系は、単純ヘルペスウィルスチミジンキ
ナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサン
チン−グアニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&S
zybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2
02(1992))、およびアデニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ(L
owyら、Cell 22:817(1980))の遺伝子を含むが限定されず
、これらの遺伝子は、tk−、hgprt−またはaprt−細胞においてそれ
ぞれ使用され得る。また、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子の選択の根拠とし
て使用され得る:dhfr、これはメトトレキサートに対する耐性を与える(W
iglerら、Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980
);O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:
1527(1981));gpt、これはミコフェノール酸に対する耐性を与え
る(Mulligan&Berg、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 78:2072(1981));neo、これはアミノグリコシドG−4
18に対する耐性を与える(Clinical Pharmacy 12:48
8−505;Wu and Wu、Biotherapy 3:87−95(1
991);Tolstoshev、Ann.Rev.Pharmacol.To
xicol.32:573−596(1993);Mulligan、Scie
nce 260:926−932(1993);およびMorgan and
Anderson、Ann.Rev.Biochem.62:191−217(
1993);1993年5月、TIB TECH 11(5):155−215
);ならびにhygro、これはハイグロマイシンに対する耐性を与える(Sa
nterreら、Gene 30:147(1984))。組換えDNA技術の
分野で周知の方法は、所望の組換えクローンを選択するために、慣用的に適用さ
れ得、そしてこのような方法は、以下に記載されている:例えば、Ausube
lら(編)、Current Protocols in Molecular
Biology、John Wiley&Sons、NY(1993);Kr
iegler、Gene Transfer and Expression、
A Laboratory Manual、Stockton Press、N
Y(1990);ならびに12章および13章、Dracopoliら(編)、
Current Protocols in Human Genetics、
John Wiley&Sons、NY(1994);Colberre−Ga
rapinら、J.Mol.Biol.150:1(1981)(これらはその
全体が本明細書中に参考として援用される)。
【0196】 抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大され得る(総説として、
BebbingtonおよびHentschel、The use of ve
ctors based on gene amplification fo
r the expression of cloned genes in
mammalian cells in DNA cloning、Vol.3
.(Academic Press、New York、1987)を参照のこ
と)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが、増幅可能であると、宿主
細胞の培養物に存在するインヒビターのレベルにおける増加は、マーカー遺伝子
のコピーの数を増加する。増幅領域は抗体遺伝子と結合しているので、抗体の産
生もまた増加する(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257
(1983))。
【0197】 宿主細胞は、本発明の二つの発現ベクター(重鎖由来のポリペプチドをコード
する第一のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第二のベクター
)で、同時トランスフェクトされ得る。この二つのベクターは、重鎖および軽鎖
のポリペプチドの等しい発現を可能にする、同一の選択マーカーを含み得る。あ
るいは、単一のベクターが使用され得、これは重鎖および軽鎖両方のポリペプチ
ドをコードし、そして発現することができる。このような状況において、過剰の
毒性の遊離重鎖を避けるために、重鎖の前に軽鎖が配置されるべきである(Pr
oudfoot、Nature 322:52(1986);Kohler、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))
。重鎖および軽鎖のためのコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含み得る
【0198】 一旦本発明の抗体分子が、動物によって産生されるか、化学的に合成されるか
、または組換えにより発現されると、当該分野で公知の、免疫グロブリン分子の
精製のための任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、
アフィニティー(特に、プロテインAの後に特異的抗原に対するアフィニティー
による)、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、ま
たはタンパク質精製のための任意の他の標準的な技術によって、精製され得る。
さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、本明細書中に記載されるかま
たはそうでなければ当該分野において公知の、異種ポリペプチド配列に融合され
得、精製を容易にする。
【0199】 本発明は、本発明のポリペプチド(もしくはその部分、好ましくはこのポリペ
プチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、
もしくは100個のアミノ酸)に、組換えにより融合されるかまたは化学的に結
合されて(共有結合および非共有結合の両方を含む)、融合タンパク質を生成す
る抗体、を含む。この融合は、直接的である必要はないが、リンカー配列を介し
て起こり得る。この抗体は、本発明のポリペプチド(またはその部分、好ましく
はこのポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、
80、90、もしくは100個のアミノ酸)以外の抗原に特異的であり得る。例
えば、インビトロまたはインビボのいずれにおいても、本発明のポリペプチドを
特定の細胞表面のレセプターに特異的な抗体に融合または結合させることによっ
て、特定の細胞のタイプに対して、本発明のポリペプチドを標的にするために、
抗体が使用され得る。本発明のポリぺプチドに融合または結合される抗体はまた
、インビトロ免疫アッセイおよび当該分野で公知の方法を使用する精製方法にお
いて使用され得る。例えば、Harborら、上記、およびPCT公開WO93
/21232;EP439,095;Naramuraら、Immunol.L
ett.39:91−99(1994);米国特許第5,474,981号;G
illiesら、PNAS 89:1428−1432(1992);Fell
ら、J.Immunol.146:2446−2452(1991)を参照のこ
と。これらは、その全体が参考として援用される。
【0200】 本発明はさらに、抗体の可変領域以外のドメインに融合または結合された、本
発明のポリぺプチドを含む組成物を含む。例えば、本発明のポリぺプチドは、抗
体のFc領域、またはその部分に融合または結合され得る。本発明のポリぺプチ
ドに融合されたこの抗体の部分は、定常領域、ヒンジ領域、CH1ドメイン、C
H2ドメイン、およびCH3ドメイン、またはそのドメイン全体もしくは部分の
任意の組合せを含み得る。これらのポリぺプチドはまた、上記の抗体の部分に融
合または結合され得、多量体を形成する。例えば、本発明のポリぺプチドに融合
されたFc部分は、このFc部分の間のジスルフィド結合を通してニ量体を形成
し得る。より高度の多量体形態は、ポリぺプチドをIgAおよびIgMの部分に
融合させることによって作製され得る。本発明のポリぺプチドを抗体部分に融合
または結合させるための方法は、当該分野において公知である。例えば、米国特
許第5,336,603号;同第5,622,929号;同第5,359,04
6号;同第5,349,053号;同第5,447,851号;同第5,112
,946号;EP 307,434;EP 367,166;PCT公開WO9
6/04388;WO91/06570;Ashkenaziら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991
);Zhengら、J.Immunol.154:5590−5600(199
5);およびVilら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89
:11337−11341(1992)(前記の参考文献はその全体が参考とし
て援用される)を参照のこと。
【0201】 上で考察されたように、ポリぺプチド、ポリぺプチドフラグメント、または配
列番号Yの改変体に対応するポリぺプチドは、このポリぺプチドのインビボ半減
期を増大させるため、または当該分野で公知の方法を使用する免疫学的アッセイ
において使用するために、上記の抗体部分に融合または結合され得る。さらに、
配列番号Yに対応するポリぺプチドを、上記の抗体部分に融合または結合して、
精製を容易にし得る。1つの報告された例は、ヒトCD4ポリペプチドの最初の
2つのドメイン、および哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域
の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記載している(EP 394,8
27;Trauneckerら、Nature 331:84−86(1988
))。ジスルフィド連結ニ量体構造(IgGに起因する)を有する抗体に融合ま
たは結合される、本発明のポリぺプチドもまた、単量体分泌タンパク質またはタ
ンパク質フラグメント単独よりも、他の分子に結合しそして中和するのにさらに
効率的であり得る(Fountoulakisら、J.Biochem.270
:3958−3964(1995))。多くの場合、融合タンパク質のFc部分
は、治療および診断において有益であり、従って、例えば、改良された薬物動態
学的な特性を生じ得る(EP A 232,262)。あるいは、融合タンパク
質が発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を欠失させることが
望ましい。例えば、融合タンパク質が免疫化のための抗原として使用される場合
、Fc部分は、治療および診断を妨害し得る。例えば、薬物の発見において、h
IL−5のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するた
めのハイスループットスクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合さ
れてきた(Bennettら、J.Molecular Recognitio
n 8:52−58(1995);Johansonら、J.Biol.Che
m.270:9459−9471(1995)を参照のこと)。
【0202】 さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、精製を容易にするペプチド
のような、マーカー配列に融合され得る。好ましい実施形態において、マーカー
アミノ酸配列は、とりわけヘキサ−ヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクタ
ー(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chats
worth,CA,91311)において提供されるタグ)であり、これらの多
くのマーカーアミノ酸配列が市販されている。例えば、Gentzら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)に
記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の都合の良い精製を
提供する。精製のために有用な別のペプチドタグは、インフルエンザ赤血球凝集
素タンパク質由来のエピトープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、Ce
ll37:767(1984))、および「flag」タグを含むが、これに限
定されない。
【0203】 本発明は、診断剤または治療剤に結合される、抗体またはそのフラグメントを
さらに含む。抗体は、例えば、臨床上の試験手順(例えば、所定の処置レジメン
(regimen)の効力を決定するため)の一部として、腫瘍の発生または進
行をモニターするために、診断的に使用され得る。検出は、抗体を検出可能な物
質と連結させることによって容易にされ得る。検出可能な物質の例としては、種
々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々
の陽電子放射断層撮影を使用する陽電子放射金属、および非放射性常磁性金属イ
オン、が挙げられる。この検出可能な物質は、抗体(またはそのフラグメント)
に対して、直接的または間接的のいずれかで、当該分野で公知の技術を使用する
媒介物(例えば、当該分野で公知のリンカーなど)を介して、連結または結合さ
れ得る。例えば、本発明に従う診断薬としての使用のための抗体に結合され得る
金属イオンに関しては、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適切な
酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β
−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補
欠分子団複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/
ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオ
レセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジ
ニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げら
れ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例としては
、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ;ならびに、適切
な放射性物質の例としては、125I、131I、111Inまたは99Tcが
挙げられる。
【0204】 さらに、抗体またはそのフラグメントは、治療用部分(例えば細胞毒(例えば
細胞増殖抑制性もしくは細胞殺傷性の薬剤))、治療剤または放射性金属イオン
(例えば、α−エミッタ−(例えば213Bi)など)に結合され得る。細胞毒
または細胞毒性薬剤は、細胞に対して有害な任意の薬剤を含む。例としては、パ
クリタキセル(paclitaxol)、サイトカラシンB、グラミシジンD、
臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(ten
oposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colch
icin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオ
ン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロ
ン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グル
ココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、
およびピューロマイシン、ならびにそのアナログまたはホモログ、が挙げられる
。治療剤は、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン
、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン(5−f
luorouracil decarbazine)、アルキル化剤(例えば、
メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、
カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド
(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール
、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにcis−ジクロロジアミン
白金(II)(DDP)シスプラチン)、アンスラサイクリン(例えば、ダウノ
ルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば
、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイ
シン、およびアンスラマイシン(anthramycin)(AMC))、なら
びに抗有糸分裂剤(例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン)、を含むが、
それらに限定されない。
【0205】 本発明の結合体は、所定の生物学的応答を改変するために使用され得、治療剤
または薬物部分は、古典的な化学的治療剤に限定されると解釈されない。例えば
、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリぺプチドであ
り得る。このようなタンパク質としては、例えば、毒素(例えばアブリン、リシ
ンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素);タンパク質(例えば、
腫瘍壊死因子、a−インターフェロン、β−インターフェロン、神経発育因子、
血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲンアクチベーター、アポトーシス薬(例
えば、TNF−α、TNF−β、AIM I(国際公開第WO97/33899
号を参照のこと)、AIM II(国際公開第WO97/34911号を参照の
こと)、Fasリガンド(Takahashiら、Int.Immunol.6
:1567−1574(1994))、VEGI(国際公開第WO99/231
05号を参照のこと))、血栓症薬もしくは抗脈管形成薬(例えば、アンジオス
タチンもしくはエンドスタチン);または生物学的応答改変剤(例えばリンホカ
イン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL
−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロ
ニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」
)、または他の増殖因子など)、が挙げられ得る。
【0206】 抗体はまた、固体支持体に付着させられ得、この固体支持体は、標的抗原の免
疫アッセイまたは精製に特に有用である。このような固体支持体としては、ガラ
ス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ルまたはポリプロピレン、が挙げられるがそれらに限定されない。
【0207】 このような治療部分を抗体に結合する技術は周知であり、例えば、Arnon
ら、「Monoclonal Antibodies For Immunot
argeting Of Drugs In Cancer Therapy」
Monoclonal Antibodies And Cancer The
rapy、Reisfeldら(編)、243−56頁(Alan R.Lis
s,Inc.1985);Hellstromら、「Antibodies F
or Drug Delivery」Controlled Drug Del
ivery(第2版)、Robinsonら(編)、623−53頁(Marc
el Dekker,Inc.1987);Thorpe、「Antibody
Carriers Of Cytotoxic Agents In Can
cer Therapy:A Review」Monoclonal Anti
bodies’84:Biological And Clinical Ap
plications、Pincheraら(編)、475−506頁(198
5);「Analysis,Results,And Future Pros
pective Of The Therapeutic Use Of Ra
diolabeled Antibody In Cancer Therap
y」Monoclonal Antibodies For Cancer D
etection And Therapy、Baldwinら(編)、303
−16頁(Academic Press 1985)、およびThorpeら
、「The Preparation And Cytotoxic Prop
erties Of Antibody−Toxin Conjugates」
、Immunol.Rev.62:119−58(1982)を参照のこと。
【0208】 あるいは、抗体は2次抗体に結合され、米国特許第4,676,980号(こ
れは、その全体が本明細書に参考として援用される)におけるSegalによる
記載のような抗体の異種結合体(heteroconjugate)を形成し得
る。
【0209】 単独、あるいは細胞毒性因子(単数または複数)および/またはサイトカイン
(単数または複数)と組み合わせて投与される、抗体に結合する治療部分を有す
るかまたは有さない抗体が、治療薬として使用され得る。
【0210】 (免疫表現型分類(immunophenotyping)) 本発明の抗体は、細胞株および生物学的サンプルの免疫表現型分類のために利
用され得る。本発明の遺伝子の翻訳生成物は、細胞特異的マーカーとして、ある
いはより詳細には、特定の細胞型の分化および/または成熟の種々の段階で示差
的に発現される細胞マーカーとして有用であり得る。特異的エピトープ、または
エピトープの組み合わせに対して指向されるモノクロナール抗体は、マーカーを
発現する細胞集団のスクリーニングを可能とする。種々の技術が、マーカー(単
数または複数)を発現する細胞集団をスクリーニングするために、モノクロナー
ル抗体を用いて利用され得、そしてその技術には、抗体でコーティングされた磁
気ビーズを用いる磁気分離、固体マトリクス(すなわち、プレート)に付着した
抗体を用いる「パンニング」、ならびにフローサイトメトリー(例えば、米国特
許第5,985,660号;およびMorrisonら、Cell,96:73
7−49(1999)を参照のこと)が挙げられる。
【0211】 これらの技術は、血液学的悪性腫瘍(すなわち、急性白血病患者における微小
残存病変(minimal residual disease)(MRD))
および移植片対宿主病(GVHD)を予防するための移植術における「非自己」
細胞と共に見出され得るような、細胞の特定集団のスクリーニングを可能にする
。あるいは、これらの技術は、ヒト臍帯血において見出され得るような増殖およ
び/または分化を受け得る、造血幹細胞および前駆細胞のスクリーニングを可能
にする。
【0212】 (抗体結合アッセイ) 本発明の抗体は、免疫特異的結合について、当該分野で公知の任意の方法によ
ってアッセイされ得る。使用され得る免疫アッセイは、競合的および非競合的ア
ッセイ系を含むがこれに限定されない。このアッセイ系は以下のような技術を使
用する、少し例を挙げると、ウェスタンブロット、放射性免疫アッセイ、ELI
SA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降
アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ
、補体結合アッセイ、免疫放射分析アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA
免疫アッセイ。このようなアッセイは、当該分野で、慣習的および周知である(
例えば、Ausubelら(編)、1994、Current Protoco
ls in Molecular Biology、第1巻、John Wil
ey&Sons Inc.,New Yorkを参照のこと。これはその全体が
本明細書中で参考として援用される)。典型的な免疫アッセイは、以下に簡単に
記載される(しかし限定として意図されない)。
【0213】 免疫沈降プロトコルは、一般に、RIPA緩衝液(1%NP−40またはTr
iton X−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0
.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1%Tra
sylol)のような、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼ
インヒビター(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジウム酸ナト
リウム)を補充した溶解緩衝液中で、細胞の集団を溶解する工程、目的の抗体を
細胞溶解物に添加する工程、4℃である時間(例えば1〜4時間)インキュベー
トする工程、プロテインAおよび/またはプロテインGのセファロースビーズを
細胞溶解物に添加する工程、約1時間以上、4℃でインキュベートする工程、ビ
ーズを溶解緩衝液で洗浄する工程およびビーズをSDS/サンプル緩衝液中に再
懸濁する工程、を包含する。目的の抗体が特定の抗原を免疫沈降する能力は、例
えば、ウェスタンブロット分析によって評価され得る。当業者は、抗原に対する
抗体の結合を増加し、そしてバックグラウンドを減少する(例えば、セファロー
スビーズとともに細胞溶解物を予め洗浄する)ように改変され得るパラメータに
関して、よく知っている。免役沈降プロトコルに関するさらなる考察については
、Ausubelら(編)、1994、Current Protocols
in Molecular Biology、Vol.1、John Wile
y&Sons,Inc.,New York(10.16.1)を参照のこと。
【0214】 ウェスタンブロット分析は一般的に、タンパク質サンプルを調製する工程、タ
ンパク質サンプルのポリアクリルアミドゲルでの電気泳動(例えば抗原の分子量
によって8%〜20%のSDS−PAGE)、タンパク質サンプルをポリアクリ
ルアミドゲルからメンブレン(例えばニトロセルロース、PVDFまたはナイロ
ン)へ移す工程、ブロッキング溶液(例えば、3%のBSAまたは無脂肪ミルク
を含むPBS)中でメンブレンをブロッキングする工程、メンブレンを洗浄緩衝
液(例えば、PBS−Tween20)中で洗浄する工程、ブロッキング緩衝液
で希釈された1次抗体(目的の抗体)を用いてメンブレンをブロッキングする工
程、洗浄緩衝液中でメンブレンを洗浄する工程、ブロッキング緩衝液で希釈され
た、酵素基質(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファタ
ーゼ)または放射性分子(例えば32Pまたは125I)に結合した2次抗体(
これは1次抗体(例えば抗ヒト抗体)を認識する)でメンブレンをブロッキング
する工程、洗浄緩衝液中でメンブレンを洗浄する工程、および抗原の存在を検出
する工程、を包含する。当業者は、検出されるシグナルを増加し、そしてバック
グランドノイズを減少するように改変され得るパラメータをよく知っている。ウ
ェスタンブロットプロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Aus
ubelら(編)、1994、Current Protocols in M
olecular Biology、Vol.1、John Wiley&So
ns,Inc.、New York(10.8.1)を参照のこと。
【0215】 ELISAは、抗原を調製する工程、96ウェルマイクロタイタープレートの
ウェルをその抗原でコーティングする工程、酵素基質(例えば、西洋ワサビペル
オキシダーゼまたはアルカリホスフォターゼ)のような検出可能な化合物に結合
した目的の抗体をそのウェルに添加し、そして一定時間インキュベートする工程
、および抗原の存在を検出する工程を含む。ELISAにおいて、目的の抗体は
、検出可能な化合物に結合している必要はない;その代わり、検出可能な化合物
に結合した第二の抗体(目的の抗体を認識する)がウェルに添加され得る。さら
に、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、抗体がウェルにコーティングさ
れ得る。この場合、検出可能な化合物に結合した第二の抗体が、コーティングさ
れたウェルへの目的の抗原の添加に続いて、添加され得る。当業者は、検出され
るシグナルを増加させるように改変され得るパラメータ、および当該分野におい
て公知のELISAの他のバリエーションに関して、認め得る。ELISAに関
するさらなる考察については、例えば、Ausubelら編,1994,Cur
rent Protocols in Molecular Biology,
第1巻、John Wiley & Sons,Inc.,New York,
11.2.1を参照のこと。
【0216】 抗体の抗原に対する結合親和性および抗体−抗原相互作用のオフレート(of
f−rate)が、競合結合アッセイにより決定され得る。競合結合アッセイの
一つの例は、ラジオイムノアッセイであり、ラジオイムノアッセイは、標識した
抗原(例えば、3Hまたは125I)と、漸増量の非標識抗原の存在下での目的
の抗体とのインキュベーション、および標識した抗原に結合した抗体の検出を含
む。目的の抗体の、特定の抗原に対する親和性、および結合オフレートは、スキ
ャッチャードプロット分析によるデータから決定され得る。第二の抗体との競合
はまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定され得る。この場合、抗原は、漸増
量の非標識第二抗体の存在下で、標識した化合物(例えば、3Hまたは125I
)に結合した目的の抗体とともにインキュベートされる。
【0217】 (治療用途) 本発明はさらに、抗体を基礎とした治療に関し、この治療は、本発明の抗体を
、1つ以上の開示された疾患、障害、または状態を処置するために、動物、好ま
しくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトの患者に投与する工程を含む。本発
明の治療化合物としては、本発明の抗体(本明細書中に記載するような、それら
のフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)ならびに本発明の抗体をコード
する核酸(本明細書中に記載するような、それらのフラグメント、アナログおよ
び誘導体ならびに抗イディオタイプ抗体を含む)が挙げられるがこれらに限定さ
れない。本発明の抗体は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活
性に関連した疾患、障害または状態(本明細書中に記載する任意の1つ以上の疾
患、障害、または状態を含むがこれらに限定されない)を処置、阻害または予防
するために使用され得る。本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活
性に関連した疾患、障害または状態の処置および/または予防は、それらの疾患
、障害または状態に関連した症状を緩和する工程を含むがこれに限定されない。
本発明の抗体は、当該分野で公知であるか、または本明細書中に記載されるよう
に、薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る。
【0218】 本発明の抗体が治療的に使用され得る方法の1つの要約は、身体内で局所的に
または全身的に、あるいは(例えば、補体(CDC)により、またはエフェクタ
ー細胞(ADCC)により媒介されるような)抗体の直接的細胞傷害性により、
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを結合させることを含む。これら
のアプローチのいくつかは、より詳細に以下に記載される。本明細書中で提供さ
れる教示を与えられれば、当業者は、過度の実験なしに、診断上の目的、モニタ
リングの目的あるいは治療上の目的のために、本発明の抗体を使用する方法がわ
かる。
【0219】 本発明の抗体は、例えば、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活
性を増加させるために役立つ、他のモノクローナル抗体またはキメラ抗体、ある
いはリンホカインまたは造血増殖因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL
−7など)と組み合わせて有利に利用され得る。
【0220】 本発明の抗体は、単独で、または他の型の処置(例えば、放射線療法、化学療
法、ホルモン治療、免疫治療および抗腫瘍剤)との組み合わせで投与され得る。
一般的に、(抗体の場合には)患者の種と同じ種である種起源または種反応性の
生成物の投与が好ましい。従って、好ましい実施形態においては、ヒトの抗体、
フラグメント誘導体、アナログ、または核酸が、治療または予防のために、ヒト
の患者に投与される。
【0221】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらのフラグメントを含む
)に関するイムノアッセイ、およびそれらに関連した障害の治療の両方のために
、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する、高親和性および/ま
たは強力な、インビボでの阻害抗体および/または中和抗体、それらのフラグメ
ント、またはその領域を使用することが好ましい。このような抗体、フラグメン
ト、または領域は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド
(それらのフラグメントを含む)に対して親和性を有する。好ましい結合親和性
としては、5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、
10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、
10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10
、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×1
-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10- 15 Mより小さい解離定数すなわちKdを有する結合親和性が挙げられる。
【0222】 (遺伝子治療) 特定の実施形態において、抗体またはその機能的誘導体をコードする配列を含
む核酸は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連した疾
患または障害を処置、阻害または予防するために、遺伝子治療の目的で投与され
る。遺伝子治療とは、発現したか、または発現可能な核酸の、被験体への投与に
より行われる治療をいう。本発明のこの実施形態において、核酸は、それらのコ
ードされたタンパク質を産生し、そのタンパク質は治療効果を媒介する。
【0223】 当該分野で利用可能な遺伝子治療のための任意の方法は、本発明に従って使用
され得る。例示的な方法が以下に記載される。
【0224】 遺伝子治療の方法の一般的な概説については、Goldspielら,Cli
nical Pharmacy 12:488−505(1993);Wuおよ
びWu,Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstos
hev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573
−596(1993);Mulligan,Science 260:926−
932(1993);ならびにMorganおよびAnderson,Ann.
Rev.Biochem.62:191−217(1993);May,TIB
TECH 11(5):155−215(1993)を参照のこと。使用され得
る、組換えDNA技術分野において一般的に公知である方法は、Ausubel
ら(編),Current Protocols in Molecular
Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);お
よびKriegler,Gene Transfer and Express
ion,A Laboratory Manual,Stockton Pre
ss,NY(1990)に記載される。
【0225】 好ましい局面において、化合物は抗体をコードする核酸配列を含有し、上記核
酸配列は、適切な宿主において、抗体、またはそのフラグメントもしくはキメラ
タンパク質、あるいはその重鎖もしくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部であ
る。特に、このような核酸配列は、抗体コード領域に作動可能に連結したプロモ
ーターを有し、上記プロモーターは誘導性であるかまたは構成性であり、そして
必要に応じて組織特異的である。別の特定の実施形態においては、抗体をコード
する配列および任意の他の所望の配列がゲノム中の所望の部位での相同組換えを
促進する領域に隣接した核酸分子が使用され、それにより抗体をコードする核酸
の染色体内の発現を提供する(KollerおよびSmithies,Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989
);Zijlstraら,Nature 342:435−438(1989)
)。特定の実施形態において、発現した抗体分子は単鎖抗体であるか;あるいは
この核酸配列は、この抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする配列またはその
フラグメントを含む。
【0226】 核酸の患者への送達は、直接的(この場合、患者は核酸または核酸保有ベクタ
ーに直接的に曝される)か、または間接的(この場合、細胞は最初にインビトロ
で核酸で形質転換され、次いで患者に移植される)のいずれかであり得る。これ
らの2つのアプローチは、インビボ遺伝子治療として、またはエキソビボ遺伝子
治療としてそれぞれ公知である。
【0227】 特定の実施形態において、核酸配列はインビボで直接的に投与され、そこで核
酸配列は発現されて、コードされた産物を産生する。これは、当該分野で公知の
多数の方法などのいずれかにより(例えば、それらを適切な核酸発現ベクターの
一部として構築し、そしてそれを細胞内になるように投与することにより(例え
ば、欠損性または弱毒化したレトロウイルスまたは他のウイルスベクター(米国
特許第4,980,286号を参照のこと)を用いた感染により)、あるいは、
裸のDNAの直接注射により、あるいは、微粒子ボンバードメント(例えば、遺
伝子銃;Biolistic、Dupont)の使用により、あるいは脂質もし
くは細胞表面のレセプターでコーティングするか、または薬剤をトランスフェク
トすることにより、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル中へのカプ
セル化により、あるいは、それらを核に進入することが公知であるペプチドと結
合させて投与することにより、レセプター媒介のエンドサイトーシスを受けるリ
ガンドとそれを結合させて投与すること(例えば、WuおよびWu,J.Bio
l.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこと)(レセ
プターを特異的に発現する細胞型を標的にするために用いられ得る)などにより
達成され得る。別の実施形態において、核酸−リガンド複合体が形成され得、こ
こで、このリガンドはエンドソームを破壊するフソジェニック(fusogen
ic)ウイルス性ペプチドを含み、核酸がリソソーム分解を回避するようにする
。さらに別の実施形態において、核酸は、特異的なレセプターを標的とすること
により、細胞特異的な取り込みおよび発現についてインビボで標的とされ得る(
例えば、PCT公開第WO92/06180号;同第WO92/22635号;
同第WO92/20316号;同第WO93/14188号、同第WO93/2
0221号を参照のこと)。あるいは、核酸は、細胞内に導入され得、そして相
同組換えにより、発現のために宿主細胞DNA中に組み込まれ得る(Kolle
rおよびSmithies,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:8932−8935(1989);Zijlstraら,Nature
342:435−438(1989))。
【0228】 特定の実施形態において、本発明の抗体をコードする核酸配列を含むウイルス
ベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが用いられ得る(Mi
llerら,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)
を参照のこと)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルス性ゲノムの正確
なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組込みのために必要な構成要素を含
む。遺伝子治療において使用される抗体をコードする核酸配列は、一つ以上のベ
クター中にクローン化され、これは、患者内への遺伝子の送達を容易にする。レ
トロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、Boesenら,Biothe
rapy 6:291−302(1994)(これは、幹細胞を化学療法に対し
てより耐性にするために、mdrI遺伝子を造血性幹細胞に送達するための、レ
トロウイルスベクターの使用を記載する)に見出され得る。遺伝子治療における
レトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は、以下である。:Cl
owesら,J.Clin.Invest.93:644−651(1994)
;Kiemら,Blood 83:1467−1473(1994);Salm
onsおよびGunzberg,Human Gene Therapy 4:
129−141(1993);ならびにGrossmanおよびWilson,
Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:11
0−114(1993)。
【0229】 アデノウイルスは、遺伝子治療において使用され得る他のウイルスベクターで
ある。アデノウイルスは、特に、気道上皮へ遺伝子を送達するための魅力的なビ
ヒクルである。アデノウイルスは、自然に気道上皮に感染し、そこで軽い疾患を
起こす。アデノウイルスに基づく送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮
細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染し得るという利
点を有する。KozarskyおよびWilson,Current Opin
ion in Genetics and Development 3:49
9−503(1993)は、アデノウイルスに基づく遺伝子治療の概説を示す。
Boutら,Human Gene Therapy 5:3−10(1994
)は、アカゲザルの気道上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクター
の使用を実証した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Ro
senfeldら,Science 252:431−434(1991);R
osenfeldら,Cell 68:143−155(1992);Mast
rangeliら,J.Clin.Invest.91:225−234(19
93);PCT公開第WO94/12649号;およびWangら,Gene
Therapy 2:775−783(1995)に見出され得る。好ましい実
施形態において、アデノウイルスベクターが使用される。
【0230】 アデノ随伴ウイルス(AAV)はまた、遺伝子治療における使用について提案
されてきた(Walshら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.2
04:289−300(1993);米国特許第5,436,146号)。
【0231】 遺伝子治療への別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクショ
ン、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染のような
方法により、組織培養中の細胞へ遺伝子を移入する工程を含む。通常、移入の方
法は、選択マーカーの細胞への移入を含む。次いで、細胞は、移入された遺伝子
を取り込みそして発現している細胞を単離するために選沢下に置かれる。それら
の細胞は次いで、患者に送達される。
【0232】 この実施形態においては、得られた組換え細胞のインビボ投与の前に、核酸が
細胞に導入される。このような導入は、当該分野において公知の任意の方法によ
り実施され得、それらの方法としては以下が挙げられるがこれらに限定されない
:トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション
、核酸配列を含むウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターでの感染
、細胞融合、染色体媒介の遺伝子移入、マイクロセル(microcell)媒
介の遺伝子移入、スフェロプラスト融合など。外来遺伝子の細胞への導入につい
ては、当該分野において多数の技術が公知であり(例えば、Loefflerお
よびBehr,Meth.Enzymol.217:599−618(1993
);Cohenら,Meth.Enzymol.217:618−644(19
93);Cline,Pharmac.Ther.29:69−92m(198
5)を参照のこと)、そしてレシピエント細胞の必要な発生的および生理学的機
能が破壊されない場合、本発明に従って使用され得る。この技術は、核酸の細胞
への安定した移入を提供するはずであり、その結果、核酸は、細胞により発現可
能であり、そして好ましくは、遺伝性であり、そしてその細胞の子孫により発現
可能である。
【0233】 得られた組換え細胞は、当該分野において公知の様々な方法により、患者へ送
達され得る。組換え血球(例えば、造血幹細胞または造血前駆細胞)は、好まし
くは、静脈内に投与される。使用が考えられる細胞の量は、所望の効果、患者の
状態などに依存し、そして当業者により決定され得る。
【0234】 遺伝子治療の目的のために核酸が導入され得る細胞は、任意の所望の入手可能
な細胞型を包含し、そして以下を含むがそれらに限定されない:上皮細胞、内皮
細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ
球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球のような血球;種
々の幹細胞または前駆細胞、特に、造血幹細胞または造血前駆細胞(例えば、骨
髄、臍帯血、末梢血、胎児の肝臓などから得られるような細胞)。
【0235】 好ましい実施形態において、遺伝子治療に使用される細胞は、患者に対して自
己である。
【0236】 遺伝子治療において組換え細胞が使用される実施形態において、抗体をコード
する核酸配列は、細胞またはそれらの子孫により核酸配列が発現可能であるよう
に細胞に導入され、次いで組換え細胞は、治療的効果のためにインビボで投与さ
れる。特定の実施形態において、幹細胞または前駆細胞が用いられる。インビト
ロで単離され、かつインビトロで維持され得る任意の幹細胞および/または前駆
細胞は、本発明のこの実施形態に従って潜在的に使用され得る(例えば、PCT
公開第WO94/08598号:StempleおよびAnderson,Ce
ll 71:973−985(1992);Rheinwald,Meth.C
ell Bio.21A:229(1980);ならびにPittelkowお
よびScott,Mayo Clinic Proc.61:771(1986
)を参照のこと)。
【0237】 特定の実施形態において、遺伝子治療の目的で導入されるべき核酸は、コード
領域に作動可能に連結された誘導性プロモーターを含有し、その結果、核酸の発
現は、適切な転写誘導因子の存在または非存在を制御することにより制御可能で
ある。治療活性または予防活性の証明 本発明の化合物または薬学的組成物は、好ましくは、ヒトでの使用の前にイン
ビトロで、次いでインビボで、所望の治療活性または予防活性について試験され
る。例えば、化合物または薬学的組成物の、治療有用性または予防有用性を証明
するためのインビトロアッセイとしては、細胞株または患者組織サンプルに対す
る化合物の効果が挙げられる。細胞株および/または組織サンプルに対する化合
物または組成物の効果は、当業者に公知である技術(ロゼット形成アッセイおよ
び細胞溶解アッセイが挙げられるがこれらに限定されない)を利用して決定され
得る。本発明に従って、特定の化合物の投与が示されるかどうかを決定するため
に用いられ得るインビトロアッセイとしては、インビトロ細胞培養アッセイが挙
げられ、このアッセイでは、患者組織サンプルが培養において増殖され、そして
化合物に曝されるか、そうでなければ化合物が投与され、そして、組織サンプル
に対するそのような化合物の効果が観察される。
【0238】 (治療的/予防的な投与および組成物) 本発明は、被験体への有効量の本発明の化合物または薬学的組成物、好ましく
は本発明のポリペプチドまたは抗体の投与による処置、阻害および予防の方法を
提供する。好ましい局面において、化合物は実質的に精製される(例えば、その
効果を制限するかまたは望ましくない副作用を生じる物質を実質的に含まない)
。被験体は好ましくは、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどのような
動物が挙げられるがそれらに限定されない動物であり、そして好ましくは哺乳動
物であり、そして最も好ましくはヒトである。
【0239】 化合物が核酸または免疫グロブリンを含む場合に使用され得る処方および投与
方法は、上記に記載され;さらなる適切な処方および投与経路は、本明細書中で
以下に記載されたものの中から選択され得る。
【0240】 種々の送達システムが公知であり、そして本発明の化合物を投与するために用
いられ得る(例えば、リポソーム中でのカプセル化、微粒子、マイクロカプセル
、この化合物の発現が可能な組換え細胞、レセプター媒介エンドサイトーシス(
例えば、WuおよびWu,J.Biol.Chem.262:4429−443
2(1987)を参照のこと)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部とし
ての核酸の構築など)。導入方法としては、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下
、鼻腔内、硬膜外、および経口の経路が挙げられるがそれらに限定されない。化
合物または組成物は、任意の好都合な経路により(例えば、注入またはボーラス
注射により、上皮または粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜な
ど)を通しての吸収により)投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と一
緒に投与され得る。投与は、全身的または局所的であり得る。さらに、本発明の
薬学的化合物または組成物を、任意の適切な経路(脳室内注射および髄腔内注射
を包含し;脳室内注射は、例えば、Ommayaリザーバのようなリザーバに取
り付けられた脳室内カテーテルにより容易にされ得る)により中枢神経系に導入
することが望まれ得る。例えば、吸入器または噴霧器の使用、およびエアゾール
化剤を用いた処方により、肺投与もまた使用され得る。
【0241】 特定の実施形態において、本発明の薬学的化合物または組成物を、処置の必要
な領域に局所的に投与することが望まれ得る;これは、制限する目的ではないが
、例えば、手術中の局部注入、局所適用(例えば、手術後の創傷包帯との組み合
わせて)により、注射により、カテーテルにより、坐剤により、またはインプラ
ント(このインプラントは、シアラスティック(sialastic)膜のよう
な膜または繊維を含む、多孔性、非多孔性、または膠様材料である)により達成
され得る。好ましくは、抗体を含む本発明のタンパク質を投与する場合、タンパ
ク質が吸収されない材料を使用するために注意が払われなければならない。
【0242】 別の実施形態において、化合物または組成物は、小胞、特に、リポソーム中へ
送達され得る(Langer,Science 249:1527−1533(
1990);Treatら,Liposomes in the Therap
y of Infectious Disease and Cancer,L
opez−BeresteinおよびFidler(編),Liss,New
York,353〜365頁(1989);Lopez−Berestein,
同書317〜327頁を参照のこと;広く同書を参照のこと)。
【0243】 さらに別の実施形態において、化合物または組成物は制御された放出システム
中で送達され得る。1つの実施形態において、ポンプが用いられ得る(Lang
er(前出);Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.En
g.14:201(1987);Buchwaldら,Surgery 88:
507(1980);Saudekら,N.Engl.J.Med.321:5
74(1989)を参照のこと)。別の実施形態において、ポリマー材料が用い
られ得る(Medical Applications of Control
led Release,LangerおよびWise(編),CRC Pre
s.,Boca Raton,Florida(1974);Controll
ed Drug Bioavailability,Drug Product
Design and Performance,SmolenおよびBal
l(編),Wiley,New York(1984);RangerおよびP
eppas,J.、Macromol.Sci.Rev.Macromol.C
hem.23:61(1983)を参照のこと;Levyら,Science
228:190(1985);Duringら,Ann.Neurol.25:
351(1989);Howardら,J.Neurosurg.71:105
(1989)もまた参照のこと)。さらに別の実施形態において、制御された放
出システムは、治療標的、即ち、脳の近くに置かれ得、従って、全身用量の一部
のみを必要とする(例えば、Goodson,Medical Applica
tions of Controlled Release(前出),第2巻,
115〜138頁(1984)を参照のこと)。
【0244】 他の制御された放出システムは、Langerにより総説において議論される
(Science 249:1527−1533(1990))。
【0245】 本発明の化合物がタンパク質をコードする核酸である、具体的な実施形態にお
いて、その核酸は、それを適切な核酸発現ベクターの一部として構成し、そして
それが細胞内になるように投与することにより(例えば、レトロウイルスベクタ
ーの使用により(米国特許第4,980,286号を参照のこと)、または直接
注射により、または微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biolis
tic,Dupont)の使用により、または脂質もしくは細胞表面レセプター
もしくはトランスフェクト剤でコーティングすることにより、または核に入るこ
とが公知であるホメオボックス様ペプチドと結合させて投与すること(例えば、
Joliotら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:18
64−1868(1991)を参照のこと)などにより、そのコードされたタン
パク質の発現を促進するようにインビボで投与され得る。あるいは、核酸は、細
胞内に導入され得、そして、発現のために相同組換えにより宿主細胞DNA内に
組み込まれ得る。
【0246】 本発明はまた、薬学的組成物を提供する。このような組成物は、治療有効量の
化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。具体的な実施形態において
、用語「薬学的に受容可能な」とは、動物における、そしてさらに特にヒトにお
ける使用のために、連邦規制当局もしくは米国政府により認められたか、または
米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に列挙されたことを意味する。
用語「キャリア」とは、治療剤とともに投与される、希釈剤、アジュバンド、賦
形剤、またはビヒクルをいう。このような薬学的なキャリアは、水および油(石
油起源、動物起源、植物起源、または合成起源の油(例えば、ピーナッツ油、大
豆油、鉱油、ゴマ油など)を含む)のような滅菌した液体であり得る。水は、薬
学的組成物が静脈内に投与される場合に、好ましいキャリアである。生理食塩水
溶液、ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液はまた、特に注射可
能な溶液のために、液体キャリアとして使用され得る。適切な薬学的賦形剤とし
ては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ
、フラワー、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン
酸グリセロール、滑石、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン
、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物はまた、所望されるな
らば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含み得る。これらの組
成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出処方物
などの形態を取り得る。この組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリドのよ
うなキャリアとともに、坐剤として処方され得る。経口処方物は、薬学的等級の
マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン
ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような標準キャリアを含み得
る。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによる「Reming
ton’s Pharmaceutical Sciences」に記載される
。このような組成物は、治療有効量の化合物を、好ましくは精製された形態で、
適切な量のキャリアとともに含んで、患者への適切な投与のための形態を提供す
る。処方物は、投与形態に適するべきである。
【0247】 好ましい実施形態において、組成物は、慣用手順に従って、ヒトへの静脈内投
与のために採用された薬学的組成物として、処方される。代表的には、静脈内投
与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液の溶液である。必要な場合、組成物は
また、可溶化剤および注射の部位での痛みを緩和するリグノカインのような局部
麻酔を含み得る。一般的には、成分は、別々にかまたは単一投薬形態で一緒に混
合してのどちらかで、例えば、一定量の活性薬剤を示すアンプルまたは小袋(s
achette)のような密封された容器中の凍結乾燥粉末または水を含まない
濃縮物として供給される。組成物が注入により投与されるべき場合には、組成物
は、滅菌した薬学的等級の水または生理食塩水を含む注入ボトルに分配され得る
。組成物が注射により投与される場合、成分が投与の前に混合され得るように、
注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
【0248】 本発明の化合物は、中性のまたは塩の形態として処方され得る。薬学的に受容
可能な塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもの
のようなアニオンとともに形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモ
ニウム、カルシウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、
2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するもののよ
うなカチオンとともに形成される塩が挙げられる。
【0249】 この処置(本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性と関連する
疾患または障害の抑制および予防)において効果的である本発明の化合物の量は
、標準的な臨床技術により決定され得る。さらに、インビトロアッセイは、必要
に応じて、使用して最適な投薬量の範囲を同定するのを助け得る。処方において
使用されるべき正確な用量はまた、投与の経路、および疾患または障害の重篤さ
に依存し、そして開業医の判断および各患者の状況に従って決定されるべきであ
る。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線
から外插され得る。
【0250】 抗体に関して、患者に投与される投薬量は、代表的に、患者の体重1kgあた
り0.1mg〜100mgである。好ましくは、患者に投与される投薬量は、患
者の体重1kgあたり0.1mgと20mgとの間であり、より好ましくは、患
者の体重1kgあたり1mg〜10mgである。一般に、ヒト抗体は、外来ポリ
ペプチドへの免疫応答に起因して、他種由来の抗体よりもヒト体内で長い半減期
を有する。従って、ヒト抗体の低い投薬量および頻度の低い投与は、しばしば可
能である。さらに、本発明の抗体の投与の投薬量および頻度は、改変(例えば、
脂溶化(lipidation)のような)による抗体の取り込みおよび組織浸
透(例えば、脳への)を増強することにより減少され得る。
【0251】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の一つ以上の成分で満たされている一つ
以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。薬学的製品または生
物学的製品の製造、使用または販売を規制している政府機関により規定される形
式における通告は、このような容器に、必要に応じて伴ない得る。この通告は、
ヒトの投与のための製造、使用または販売のこの機関による認可を反映する。
【0252】 (診断および画像化) 目的のポリペプチドに特異的に結合する標識化抗体、ならびにその誘導体およ
びそのアナログは、診断目的のために使用されて、本発明のポリペプチドの異常
な発現および/または活性に関連する疾患、障害および/または状態を検出、診
断またはモニターし得る。本発明は、目的のポリペプチドの異常な発現の検出に
ついて提供し、これは、(a)目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を
使用して、個体の細胞または体液中の目的のポリペプチドの発現をアッセイする
工程、および(b)この遺伝子発現レベルと標準的な遺伝子発現のレベルを比較
する工程、を包含し、これによって、その標準的な発現レベルと比較されるアッ
セイされたポリペプチド遺伝子発現レベルの増加または減少が、異常な発現を示
す。
【0253】 本発明は、障害を診断するための診断アッセイを提供し、このアッセイは、(
a)目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を使用して、個体の細胞また
は体液中の目的のポリペプチドの発現をアッセイする工程、および(b)この遺
伝子発現レベルと標準的な遺伝子発現のレベルを比較する工程、を包含し、これ
によって、その標準的な発現レベルと比較されるアッセイされたポリペプチド遺
伝子発現レベルの増加または減少が、特定の障害を示す。癌に関して、個体由来
の生検組織における比較的高い量の転写物の存在は、疾患の発生のための素因を
示し得るか、または実際の臨床症状の出現前に疾患を検出するための手段を提供
し得る。この型のより決定的な診断は、保健専門家に予防手段を使用させること
、または早期の積極的な処置を可能にし得、これにより、癌の発生またはさらな
る進行を予防する。
【0254】 本発明の抗体を使用して、当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法を使用し
て生物学的サンプル中のタンパク質レベルをアッセイし得る(例えば、Jalk
anenら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);
Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(
1987)を参照のこと)。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な、抗
体に基づく他の方法としては、イムノアッセイ(例えば、酵素結合イムノソルベ
ント検定法(ELISA)および放射免疫測定法(RIA))が挙げられる。適
切な抗体アッセイ標識は、当該分野において公知であり、そして酵素標識(例え
ば、グルコースオキシダーゼ);放射性同位体(例えば、ヨウ素(125I、1
21I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム
(112In)、およびテクネチウム(99Tc));発光標識(例えば、ルミ
ノール);ならびに蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、な
らびにビオチンが挙げられる。
【0255】 本発明の1つの局面は、動物、好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒ
トにおける、目的のポリペプチドの異常な発現と関連する疾患または障害の検出
および診断である。1つの実施形態において、診断は、a)目的のポリペプチド
に特異的に結合する有効量の標識化分子を被験体に(例えば、非経口的に、皮下
に、または腹腔内に)投与する工程;b)このポリペプチドが発現する被験体内
の部位でこの標識化分子が優先的に濃縮することを可能にするために(および結
合していない標識化分子がバックグラウンドレベルまで除去されるために)投与
後、時間間隔を待つ工程;c)バックグラウンドレベルを決定する工程;および
d)この被験体中の標識化分子を検出する工程、を包含し、その結果、このバッ
クグラウンドレベルを越える標識化分子の検出は、この被験体が目的のポリペプ
チドの異常な発現と関連する特定の疾患または障害を有することを示す。バック
グラウンドレベルは、特定の系について以前に決定された標準的な値と、検出さ
れた標識化分子の量を比較する工程を包含する種々の方法により決定され得る。
【0256】 被験体の大きさおよび使用される画像化システムが、診断の画像を産生するた
めに必要である画像化部分の量を決定するということは、当該分野において理解
される。放射性同位体部分の場合、ヒト被験体について、注入される放射能の量
は、通常、約5〜20mキュリーの範囲の99mTcである。次いで、標識化抗
体または標識化抗体フラグメントは、特定のタンパク質を含む細胞の位置で優先
的に蓄積する。インビボでの腫瘍の画像化は、S.W.Burchielら、「
Immunopharmacokinetics of Radiolabel
ed Antibodies and Their Fragments」(T
umor Imaging、第13章:The Radiochemical
Detection of Cancer,S.W.BurchielおよびB
.A.Rhodes編、Masson Publishing Inc.(19
82)において、記載される。
【0257】 使用する標識の型および投与の様式を含む、いくつかの変動に依存して、標識
化分子が被験体中の部位に優先的に濃縮することを可能にするため、および結合
していない標識化分子がバックグラウンドレベルまで除去されるための投与後の
時間間隔は、6〜48時間もしくは6〜24時間または6〜12時間である。別
の実施形態において、投与後の時間間隔は、5〜20日間または5〜10日間で
ある。
【0258】 1つの実施形態において、疾患および障害をモニターすることは、疾患または
障害(disease)を診断するための方法を繰り返すことによって実施され
る(例えば、最初の診断から1ヶ月後、最初の診断から6ヶ月後、最初の診断か
ら1年後、など)。
【0259】 標識化分子の存在は、インビボスキャニングについての当該分野で公知の方法
を使用して患者中で検出され得る。これらの方法は、使用される標識の型に依存
する。当業者は、特定の標識を決定するための適切な方法を決定することができ
る。本発明の診断方法において使用され得る方法およびデバイスは、コンピュー
タ連動断層撮影法(CT)、体全体のスキャン(例えば、陽子(positio
n)放射断層撮影法(PET))、磁気共鳴画像法(MRI)、および超音波診
断法を含むが、これらに限定されない。
【0260】 特定の実施形態において、分子を放射性同位体で標識し、そして放射応答外科
的機器(radiation responsive surgical in
strument)(Thurstonら、米国特許第5,441,050号)
を使用して患者中で検出する。別の実施形態において、分子を蛍光化合物で標識
し、そして蛍光応答スキャニング機器を使用して患者中で検出する。別の実施形
態において、分子を陽電子射出金属で標識し、そして陽電子射出断層撮影法を使
用して患者中で検出する。さらに別の実施形態において、分子を常磁性標識で標
識し、そして磁気共鳴画像法(MRI)を使用して患者中で検出する。 (キット) 本発明は、上記の方法において使用され得るキットを提供する。1つの実施形
態において、キットは、1つ以上の容器において、本発明の抗体、好ましくは精
製した抗体を備える。特定の実施形態において、本発明のキットは、エピトープ
を含む実質的に単離されたポリペプチドを備える。このエピトープは、キット中
に含まれる抗体と特異的に免疫反応する。好ましくは、本発明のキットは、目的
のポリペプチドと反応しないコントロール抗体をさらに備える。別の特定の実施
形態において、本発明のキットは、目的のポリペプチドへの抗体の結合を検出す
るための手段を備える(例えば、この抗体は、検出可能な基質(例えば、蛍光化
合物、酵素基質、放射性化合物もしくは発光化合物)に結合体化され得るか、ま
たは一次抗体を認識する二次抗体が、検出可能な基質と結合体化され得る)。
【0261】 本発明の別の特定の実施形態において、キットは、増殖性および/または癌性
のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに対して特異的な抗体を含む血清のスク
リーニングに使用するための診断キットである。このようなキットは、目的のポ
リペプチドと反応しないコントロール抗体を備え得る。このようなキットは、エ
ピトープを含む実質的に単離されたポリペプチド抗原を備え得る。このエピトー
プは、少なくとも1つの抗ポリペプチド抗原抗体と特異的に免疫反応する。さら
に、このようなキットは、抗原に対する上記の抗体の結合を検出するための手段
を備える(例えば、抗体は、蛍光化合物(例えば、フローサイトメトリーにより
検出され得るフルオレセインまはたローダミン)と結合体化され得る)。特定の
実施形態において、キットは、組換え的に産生されたポリペプチド抗原または化
学的に合成されたポリペプチド抗原を備え得る。キットのポリペプチド抗原はま
た、固体支持体に付着され得る。
【0262】 より特定の実施形態において、上記のキットの検出手段は、上記のポリペプチ
ド抗原が付着する固体支持体を備える。このようなキットはまた、非付着レポー
ター標識化抗ヒト抗体を備え得る。この実施形態において、ポリペプチド抗原へ
の抗体の結合は、上記のレポーター標識化抗体の結合によって検出され得る。
【0263】 さらなる実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチドの抗原を含む血
清のスクリーニングにおいて使用するための、診断キットを含む。この診断キッ
トは、ポリペプチド抗原またはポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫反応する実
質的に単離された抗体、およびこの抗体へのこのポリヌクレオチド抗原またはポ
リペプチド抗原の結合を検出するための手段を備える。1つの実施形態において
、抗体は、固体支持体に付着される。特定の実施形態において、抗体は、モノク
ロナール抗体であり得る。キットのこの検出手段は、二次標識化モノクロナール
抗体を含み得る。あるいは、またはさらに、この検出手段は、標識化競合抗原を
含み得る。
【0264】 1つの診断構成において、試験血清を、本発明の方法により得られる表面結合
抗原を有する固相試薬と反応させる。特定の抗原抗体とこの試薬との結合、およ
び洗浄することによる結合していない血清成分の除去の後、この試薬をレポータ
ー標識化抗ヒト抗体と反応させて、固体支持体上に、結合した抗抗原抗体の量に
比例して、この試薬にレポーターを結合させる。この試薬を再び洗浄して、結合
していない標識化抗体を除去し、そしてこの試薬と会合するレポーターの量を決
定する。代表的に、レポーターは、酵素であり、この酵素は、適切な蛍光性基質
、発光性基質または比色用基質(Sigma,St.Louis,MO)の存在
下で固相をインキュベートすることにより検出される。
【0265】 上記のアッセイにおける固体表面試薬は、タンパク質材料を固体支持体材料(
例えば、高分子ビーズ、計深棒、96ウェルプレートまたは濾過材料)に付着さ
せるための公知の技術により調製される。これらの付着方法としては、一般的に
、支持体へのタンパク質の非特異的な吸着または固体支持体上の化学的に活性な
基(例えば、活性化カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはアルデヒド基)と
のタンパク質の共有結合(covalent attachment)(代表的
には、遊離アミン基を介する)が挙げられる。あるいは、ストレプトアビジンで
コートされたプレートが、ビオチン化された抗原と共に使用され得る。
【0266】 従って、本発明は、この診断方法を行うためのアッセイ系またはキットを提供
する。このキットは、一般的に、表面結合された組換え抗原を有する支持体、お
よび表面結合された抗抗原抗体を検出するための、レポーター標識された抗ヒト
抗体を備える。
【0267】 (ポリヌクレオチドの使用) 本明細書中で同定された各々のポリヌクレオチドは、試薬として多数の方法に
おいて使用され得る。以下の説明は例示的であるとみなされるべきであり、そし
て公知の技術を利用する。
【0268】 本発明のポリヌクレオチドは、染色体同定のために有用である。実際の配列デ
ータ(反復多型性)に基づく染色体マーキング試薬は現在ほとんど利用可能では
ないため、新しい染色体マーカーを同定する必要性が存在するままである。各々
の配列は、個々のヒト染色体上の特定の位置に特に標的化され、そしてこの位置
にハイブリダイズされ得る。従って、本発明の各々のポリヌクレオチドは、当該
分野で公知の技術を用いて染色体マーカーとして慣用的に使用され得る。
【0269】 簡単に言うと、配列は、配列番号Xで示される配列からPCRプライマー(好
ましくは、少なくとも15bp(例えば、15〜25bp))を調製することに
よって染色体にマッピングされ得る。プライマーが、ゲノムDNA中の1つより
多くの予測されたエキソンにまたがらないように、プライマーは、コンピュータ
ー分析を使用して必要に応じて選択され得る。次いで、これらのプライマーは、
個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使
用される。配列番号Xに対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが、増幅さ
れたフラグメントを産生する。
【0270】 同様に、体細胞ハイブリッドは、特定の染色体に対してポリヌクレオチドをP
CRマッピングする迅速な方法を提供する。単一のサーマルサイクラーを使用し
て1日あたり3つ以上のクローンが割り当てられ得る。さらに、ポリヌクレオチ
ドの下位位置決定(sublocalization)は、特定の染色体フラグ
メントのパネルを用いて達成され得る。使用され得る他の遺伝子マッピング戦略
は、インサイチュハイブリダイゼーション、標識フローソート(labeled
flow−sorted)染色体でのプレスクリーニング、染色体特異的cD
NAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによる前選択、およ
びコンピューターマッピング技術(例えば、その全体が本明細書中に参考として
援用される、Shuler,Trends Biotechnol 16:45
6−459(1998)など)を含む。
【0271】 ポリヌクレオチドの正確な染色体位置はまた、中期染色体スプレッド(spr
ead)の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用して獲
得され得る。この技術は500または600塩基ほどの短さのポリヌクレオチド
を使用する;しかし2,000〜4,000bpのポリヌクレオチドが好ましい
。この技術の総説に関しては、Vermaら、「Human Chromoso
mes:a Manual of Basic Techniques」,Pe
rgamon Press,New York (1988)を参照のこと。
【0272】 染色体マッピングについては、ポリヌクレオチドは、個々に(単一染色体また
はその染色体上の単一部位をマークするために)またはパネルで(複数部位およ
び/または複数染色体をマークするために)使用され得る。
【0273】 従って、本発明はまた、染色体の位置決定のための方法も提供し、この方法は
、(a)表1におけるポリヌクレオチド配列および配列番号XからPCRプライ
マーを調製する工程、ならびに(b)個々の染色体を含む体細胞ハイブリッドを
スクリーニングする工程を包含する。
【0274】 本発明のポリヌクレオチドは、同様に、放射線ハイブリッドマッピング、HA
PPYマッピング、および長範囲制限マッピングに有用である。これらの技術お
よび当該分野で公知の他の技術の概説について、例えば、Dear「Genom
e Mapping:A Practical Approach」IRL P
ress at Oxford University Press、Lond
on(1997);Aydin、J.Mol.Med.77:691〜694(
1999);Haciaら、Mol.Psychiatry 3:483〜49
2(1998);Herrickら、Chromosome Res.7:40
9〜423(1999);Hamiltonら、Methods Cell B
iol.62:265〜280(2000);および/またはOtt、J.He
red.90:68〜70(1999)(これらの各々は、その全体が参考とし
て本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0275】 一旦、ポリヌクレオチドが正確な染色体位置にマップされると、ポリヌクレオ
チドの物理的位置は、連鎖分析において使用され得る。連鎖分析は、染色体位置
と特定の疾患の提示との間の同時遺伝(coinheritance)を確立す
る。(疾患マッピングデータは、例えば、V.McKusick,Mendel
ian Inheritance in Man(Johns Hopkins
University Welch Medical Libraryを通し
てオンラインで利用可能である)において見い出される)。1メガベースマッピ
ング解像度および20kbあたり1遺伝子と仮定すると、疾患と関連する染色体
領域に正確に位置決定されるcDNAは、50〜500の潜在的な原因遺伝子の
うちの1つであり得る。
【0276】 従って、一旦、同時遺伝が確立されると、罹患個体と非罹患個体との間での本
発明のポリヌクレオチドおよび対応する遺伝子における差異が試験され得る。ま
ず、染色体中の可視的構造変化(例えば、欠失または転座)は染色体スプレッド
において、またはPCRによって試験される。構造的変化が存在しない場合、点
変異の存在が確認される。何人かのまたは全ての罹患個体で観察されたが、正常
な個体では観察されなかった変異は、この変異がこの疾患を引き起こし得ること
を示す。しかし、いくつかの正常な個体由来のポリペプチドおよび対応する遺伝
子の完全な配列決定は、変異を多型性と区別するために要求される。新しい多型
性が同定される場合、この多型ポリペプチドはさらなる連鎖分析のために使用さ
れ得る。
【0277】 さらに、非罹患個体と比較した、罹患個体の遺伝子の増加または減少した発現
が、本発明のポリヌクレオチドを使用して評価され得る。任意のこれらの変化(
変化した発現、染色体再配置、または変異)は、診断マーカーまたは予後マーカ
ーとして使用され得る。
【0278】 従って、本発明はまた、障害の診断の間に有用な診断方法を提供し、この方法
は、個体由来の細胞または体液中の本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測
定する工程、および測定された遺伝子発現レベルを標準のポリヌクレオチド発現
レベルと比較する工程を包含し、これによって、標準と比較して、遺伝子発現レ
ベルの増加または減少が、障害の指標になる。
【0279】 なお別の実施形態では、本発明は、サンプルを、試験被験体に由来する増殖性
および/またはガン性のポリヌクレオチドの存在について分析するためのキット
を含む。一般的実施形態において、このキットは、本発明のポリヌクレオチドと
特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのポリヌク
レオチドプローブ、および適切な容器を備える。この特定の実施形態では、この
キットは、本発明のポリヌクレオチドの内部領域を規定する2つのポリヌクレオ
チドプローブを含み、ここで各プローブは、この領域に対して内部に31’マー
末端を含む1つの鎖を有する。さらなる実施形態では、このプローブは、ポリメ
ラーゼ連鎖反応増幅のためのプライマーとして有用であり得る。
【0280】 例えば、腫瘍の診断を含む、関連障害の診断が既に従来方法によって行われて
いる場合、本発明は、予後インジケーターとして有用であり、それによって増強
または抑制された本発明のポリヌクレオチドの発現を示す患者が、標準レベルに
より近いレベルでこの遺伝子を発現する患者と比較して悪い臨床結果を経験する
【0281】 「本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測定する(こと)」によって、本
発明のポリペプチドのレベルまたは本発明のポリペプチドをコードするmRNA
のレベルを、第1の生物学的サンプルにおいて直接的(例えば、絶対のタンパク
質レベルまたはmRNAレベルを決定または評価することによって)または相対
的(例えば、第2の生物学的サンプル中のポリペプチドレベルまたはmRNAレ
ベルに対して比較することによって)のいずれかで定性的または定量的に測定ま
たは評価することが意図される。好ましくは、第1の生物学的サンプル中のポリ
ペプチドレベルまたはmRNAレベルが測定または評価され、そして標準のポリ
ペプチドレベルまたはmRNAレベルに対して比較され、この標準は、関連障害
を有さない個体から得られる第2の生物学的サンプルから得られるかまたは関連
障害を有さない個体の集団由来のレベルを平均することによって決定される。当
該分野で認識されるように、一旦標準的なポリペプチドレベルまたはmRNAレ
ベルが公知になれば、これを、比較のための標準として反復して用い得る。
【0282】 「生物学的サンプル」によって、本発明のポリペプチドまたは対応するmRN
Aを含む、個体、体液、細胞株、組織培養物または他の供給源から得られる任意
の生物学的サンプルが意図される。示されるように、生物学的サンプルは、本発
明のポリペプチドを含む体液(例えば、精液、リンパ、血清、血漿、尿、滑液お
よび髄液)、ならびに本発明のポリペプチドを発現することが見出された組織供
給源を含む。哺乳動物から組織生検および体液を得るための方法は、当該分野で
周知である。生物学的サンプルがmRNAを含む場合、組織生検が好ましい供給
源である。
【0283】 上記で提供された方法は好ましくは、本発明のポリヌクレオチドおよび/また
はポリペプチドが固体支持体に結合される、診断方法および/またはキットに適
用され得る。1つの例示的な方法では、この支持体は、米国特許第5,837,
832号、同第5,874,219号および同第5,856,174号に記載さ
れる、「遺伝子チップ」または「生物学的チップ」であり得る。さらに、本発明
のポリヌクレオチドが結合されたこのような遺伝子チップを用いて、本発明の単
離されたポリヌクレオチド配列と、試験被験体から単離されたポリヌクレオチド
との間の多型性を同定し得る。このような多型の知識(すなわち、その多型の位
置、およびその多型の存在)は、多くの障害(例えば、神経障害、免疫系障害、
筋肉障害、生殖障害、胃腸障害、肺障害、心血管障害、腎障害、増殖性障害、な
らびに/または癌性疾患および癌性状態)について、疾患遺伝子座を同定する際
に有益である。このような方法は、米国特許第5,858,659号および同第
5,856,104号に記載される。上記に参照した米国特許は、その全体が本
明細書中に参考として援用される。
【0284】 本発明は、化学的に合成された、または、ペプチド核酸(PNA)として再現
された、または当該分野で公知の他の方法に従って、本発明のポリヌクレオチド
を包含する。PNAの使用は、本発明のポリヌクレオチドが固体支持体、または
、遺伝子チップに取り込まれる場合、好ましい形態として役立つ。本発明の目的
のために、ペプチド核酸(PNA)は、ポリアミド型のDNAアナログであり、
そしてアデニン、グアニン、チミンおよびシトシンについてのモノマー単位が市
販されている(Perceptive Biosystems)。DNAの特定
の成分(例えば、リン、酸化リンまたはデオキシリボース誘導体)は、PNA中
に存在しない。P.E.Nielsen,M.Egholm,R.H.Berg
およびO.Buchardt,Science 254,1497(1997)
;ならびにM.Egholm,O.Buchardt,L.Christens
en,C.Behrens,S.M.Freier,D.A.Driver,R
.H.Berg、S.K.Kim,B.NordenおよびP.E.Niels
en,Nature 365,666(1993)によって開示されるように、
PNAは、相補的なDNA鎖に対して特異的かつ緊密に結合し、そしてヌクレア
ーゼによって分解されない。実際、PNAは、DNA自体が結合するよりも強力
にDNAに結合する。これはおそらく、2つの鎖の間に静電斥力が存在せず、そ
してまたポリアミド骨格がより可撓性が高いことによる。これによって、PNA
/DNA二重鎖は、DNA/DNA二重鎖よりも広範囲のストリンジェンシー条
件下で結合し、多重鎖ハイブリダイゼーションを行うのをより容易にする。強力
な結合に起因して、DNAを用いてよりも小さいプローブが用いられ得る。さら
に、おそらく、単一の塩基ミスマッチが、PNA/DNAハイブリダイゼーショ
ンを用いて決定され得る。なぜなら、PNA/DNAの15マーにおける単一の
ミスマッチは、DNA/DNAの15マー二重鎖については4℃〜16℃である
のに対して、融点(T.sub.m)を8〜20℃低下させるからである。また
、PNA中に電荷基が存在しないことは、ハイブリダイゼーションが、低いイオ
ン強度で行われ得、そして分析の間の塩によって可能な妨害を減少させることを
意味する。
【0285】 本発明は、哺乳動物におけるガンの検出を含むがこれらに限定されない用途を
有する。特に、本発明は、以下を含むがこれらに限定されない、病理学的細胞増
殖新形成の診断の間に有用である:急性骨髄性白血病(急性単球性白血病、急性
骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性赤白血
病、急性巨核球性白血病、および急性未分化白血病などを含む);および慢性骨
髄性白血病(慢性骨髄単球性白血病、慢性顆粒球性白血病などを含む)。好まし
い哺乳動物としては、有尾猿(monkey)、無尾猿(ape)、ネコ、イヌ
、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギおよびヒトが挙げられる。特に好ましいのは、ヒト
である。
【0286】 病理学的細胞増殖障害はしばしば、原癌遺伝子の不適切な活性化に関連する(
Gelmann,E.P.ら,「The Etiology of Acute
Leukemia:Molecular Genetics and Vir
al Oncology」,Neoplastic Diseases of
the Blood,第1巻,Wiernik、P.H.ら編,161−182
(1985))。新形成は現在、ウイルス配列の染色体への挿入、より活性に転
写される領域への遺伝子の染色体転座、または何らかの他の機構による、正常な
細胞遺伝子産物の定性的変化から、または遺伝子発現の定量的改変から生じると
考えられている(Gelmannら、前出)。特定の遺伝子の変異または変更さ
れた発現が、他の組織および他の細胞型の中でも、いくつかの白血病の病因と関
与するようである(Gelmannら、前出)。実際、いくつかの動物新形成に
関与する癌遺伝子のヒト対応物は、ヒトの白血病および癌のいくつかの症例にお
いて増幅または転座されている(Gelmannら、前出)。
【0287】 例えば、c−myc発現は、非リンパ球性白血病細胞株HL−60において高
度に増幅される。HL−60細胞が増幅を止めるように化学的に誘導される場合
、c−mycのレベルは、ダウンレギュレートされることが見出される(国際公
開番号WO91/15580)。しかし、c−mycまたはc−mybの5’末
端に相補的であるDNA構築物へのHL−60細胞の暴露が、c−mycタンパ
ク質またはc−mybタンパク質の発現をダウンレギュレートする対応するmR
NAの翻訳をブロックし、処理した細胞の細胞増殖および分化の停止を引き起こ
すことが示されている(国際公開番号WO91/15580;Wickstro
mら、Proc.Natl.Acad.Sci.85:1028(1988);
Anfossiら、Proc.Natl.Acad.Sci.86:3379(
1989))。しかし、当業者は、増殖表現型を示すことが公知である種々の起
源の多数の細胞および細胞型を考慮すれば、本発明の有用性が造血性の細胞およ
び組織の増殖性障害の処置に限定されないことを認識する。
【0288】 前記に加えて、本発明のポリヌクレオチドは、三重らせん形成を通して、また
はアンチセンスDNAもしくはRNAを通して遺伝子発現を制御するために使用
され得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.Neurochem
.56:560(1991),「Oligodeoxynucleotides
as Antisense Inhibitors of Gene Exp
ression」,CRC Press,Boca Raton,FL(198
8)において考察される。三重らせん形成は例えば、Leeら、Nucleic
Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら
、Science 241:456(1988);およびDervanら、Sc
ience 251:1360(1991)において考察される。両方の方法は
、相補的DNAまたは相補的RNAへのポリヌクレオチドの結合に依存する。こ
れらの技術に関して、好ましいポリヌクレオチドは通常、20〜40塩基長のオ
リゴヌクレオチドであり、そして転写に関与する遺伝子領域(三重らせん−Le
eら,Nucl.Acids Res.6:3073(1979);Coone
yら、Science 241:456(1988);およびDervanら、
Science 251:1360(1991)を参照のこと)またはmRNA
自体(アンチセンス−Okano,J.Neurochem.56:560(1
991);Oligodeoxy−nucleotides as Antis
ense Inhibitors of Gene Expression,C
RC Press,Boca Raton,FL(1988))のいずれかに相
補的である。三重らせん形成は、最適にはDNAからのRNA転写の遮断を生じ
るが、アンチセンスRNAハイブリダイゼーションは、ポリペプチドへのmRN
A分子の翻訳を阻止する。上記に記載のオリゴヌクレオチドはまた、アンチセン
スRNAまたはDNAが、インビボで発現されて本発明の抗原のポリペプチド産
生を阻害し得るように細胞に送達され得る。両方の技術は、モデル系において効
果的であり、そして本明細書に開示される情報は、疾患を処置するための試みに
おいて、特に、増殖性疾患および/または状態の処置のために、アンチセンスま
たは三重らせんポリヌクレオチドを設計するために使用され得る。
【0289】 本発明のポリヌクレオチドはまた、遺伝子治療において有用である。遺伝子治
療の1つの目標は、遺伝欠損を修正する試みにおいて、欠損遺伝子を有する生物
へ正常遺伝子を挿入することである。本発明に開示されるポリヌクレオチドは、
高度に正確な様式でこのような遺伝欠損を標的とする手段を提供する。別の目標
は、宿主ゲノム中には存在しなかった新しい遺伝子を挿入し、それによって宿主
細胞中に新しい形質を生成することである。
【0290】 ポリヌクレオチドはまた、微小な生物学的サンプルから個体を同定するために
有用である。例えば、米国軍は、その職員を同定するために制限フラグメント長
の多型性(RFLP)の使用を考慮している。この技術において、個体のゲノム
DNAは1つ以上の制限酵素で消化され、そして職員を同定するため固有なバン
ドを生じるためのサザンブロットについてプローブされる。この方法は、「認識
票(Dog tag)」(これは、失われたり、交換されたり、または盗まれた
りすることにより、ポジティブな同定を困難にし得る)の現在の限界を受けない
。本発明のポリヌクレオチドは、RFLPのためのさらなるDNAマーカーとし
て使用され得る。
【0291】 本発明のポリヌクレオチドはまた、個体のゲノムの選択された部分の実際の塩
基ごとのDNA配列を決定することによって、RFLPに対する代替物として使
用され得る。これらの配列は、このような選択されたDNAを増幅しそして単離
するためにPCRプライマーを調製するために使用され得、次いで、この選択さ
れたDNAは、配列決定され得る。各個体が固有のセットのDNA配列を有する
ので、この技術を使用して、個体が同定され得る。一旦、固有のIDデータベー
スが個体について確立されると、その個体が生存していようとまたは死亡してい
ようと、その個体のポジティブ同定が、極めて小さな組織サンプルからなされ得
る。
【0292】 法医学生物学もまた、本明細書に開示されるようなDNAに基づく同定技術を
使用して利益を得る。組織(例えば、髪または皮膚)、または体液(例えば、血
液、唾液、精液、滑液、羊水、乳汁、リンパ、肺痰(pulmonary sp
utum)またはサーファクタント、尿、糞便物質など)のような非常に小さな
生物学的サンプルから得られたDNA配列は、PCRを使用して増幅され得る。
ある先行技術において、DQaクラスII HLA遺伝子のような多型性遺伝子
座から増幅された遺伝子配列は、個体を同定するための法医学生物学において使
用される。(Erlich,H.,PCR Technology,Freem
an and Co.(1992))。一旦、これらの特異的多型性遺伝子座が
増幅されると、これらは1つ以上の制限酵素で消化される。これは、DQaクラ
スII HLA遺伝子に対応するDNAでプローブされたサザンブロットについ
てのバンドの同定セットを生じる。同様に、本発明のポリヌクレオチドは、法医
学的目的のための多型性マーカーとして使用され得る。
【0293】 また、特定の組織の供給源を同定し得る試薬についての必要性が存在する。例
えば、未知の起源の組織が提供される場合、法医学においてこのような必要性が
生じる。適切な試薬は、例えば、本発明の配列から調製される、DNAプローブ
またはプライマーを含み得る。このような試薬のパネルは、種および/または器
官型によって組織を同定し得る。同様の様式で、これらの試薬は、夾雑物につい
て組織培養物をスクリーニングするために使用され得る。
【0294】 本発明のポリヌクレオチドはまた、生物学的サンプル中に存在する組織または
細胞型の示差的同定のためのハイブリダイゼーションプローブとして有用である
。同様に、本発明のポリペプチドに関するポリペプチドおよび抗体は、組織(例
えば、免疫組織化学アッセイ)または細胞型(例えば、免疫細胞化学アッセイ)
の示差的同定のための免疫学的プローブを提供するのに有用である。さらに、「
標準」遺伝子発現レベル(すなわち、障害を有しない個体由来の健康組織の発現
レベル)と比較して、上記の組織または細胞の多くの障害に対して、本発明のポ
リヌクレオチド/ポリペプチドの有意に高いかまたは低いレベルの遺伝子発現が
、このような障害を有する個体から採取された特定の組織(例えば、本発明のポ
リペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを発現する組織、および/または癌
性組織および/または創傷組織)または体液(例えば、漿液、血漿、尿、滑液ま
たは髄液)において検出され得る。
【0295】 従って、本発明は、以下の工程を含む障害の診断方法を提供する:(a)個体
の細胞または体液中の遺伝子発現レベルをアッセイする工程;(b)標準的な遺
伝子発現レベルと、この遺伝子発現レベルを比較し、それにより、標準の発現レ
ベルと比較して、アッセイされた遺伝子発現レベルの増加または減少が障害を示
す、工程。
【0296】 少なくとも、本発明のポリヌクレオドは、サザンのゲル上の分子量マーカーと
して、特定の細胞型における特異的mRNAの存在についての診断プローブとし
て、新規のポリヌクレオドを発見するプロセスにおける「減算した(subtr
act−out)」公知の配列に対するプローブとして、「遺伝子チップ」また
は他の支持体に付着するためのオリゴマーを選択および作製するために、DNA
免疫技術を用いて抗DNA抗体を惹起するために、および免疫応答を惹起する抗
原として使用され得る。
【0297】 (ポリペプチドの使用) 本明細書中で同定される各々のポリペプチドは、多くの方法において使用され
得る。以下の記述は、例示として考慮されるべきであり、そして公知の技術を利
用する。
【0298】 本発明のポリペプチドに対して指向されるポリペプチドおよび抗体は、組織(
例えば、ABC免疫ペルオキシダーゼのような免疫組織化学アッセイ(Hsuら
、J.Histochem.Cytochem.29:577−580(198
1))または細胞型(例えば、免疫細胞化学アッセイ)の差次的同定のための免
疫学的プローブを提供するために有用である。
【0299】 抗体を使用して、当業者に公知の古典的な免疫組織学的な方法を用いて、生物
学的サンプル中の本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの
レベルをアッセイし得る。(例えば、Jalkanenら、J.Cell.Bi
ol.101:976−985(1985);Jalkanenら、J.Cel
l.Biol.105:3087−3096(1987)を参照のこと)。タン
パク質の遺伝子発現を検出するのに有用な、他の抗体に基づく方法には、免疫学
的検定(例えば、酵素結合イムノソルベント検定(ELISA)およびラジオイ
ムノアッセイ(RIA))が含まれる。適切な抗体アッセイの標識は、当該分野
で公知であり、そして酵素標識(例えば、グルコースオキシダーゼ);放射性同
位体(例えば、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄( 35 S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113mIn、112In、111
In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリ
ウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キ
セノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、1 40 La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105
h、97Ru;発光標識(例えば、ルミノール);ならびに蛍光標識(例えば、フ
ルオレセインおよびローダミン)ならびにビオチンが挙げられる。
【0300】 生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドのレベルをアッセイすることに加
えて、タンパク質はまた、画像化によりインビボで検出され得る。タンパク質の
インビボ画像化のための抗体の標識またはマーカーは、X線撮影法、NMR、ま
たはESRにより検出可能なものを含む。X線撮影法のために適切な標識は、放
射性同位体(例えば、バリウムまたはセシウム)を含み、これは検出可能な放射
線を放射するが、被験体に対して明らかに有害ではない。NMRおよびESRの
ための適切なマーカーは、検出可能な特徴的なスピンを有するマーカー(例えば
、重水素)を含み、これは、関連するハイブリドーマのための栄養分を標識する
ことにより抗体中に取り込まれ得る。
【0301】 放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc、(131I、125I、123I、 121 I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115m In、113mIn、112In、111In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc
)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd
)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、 177 Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186
Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru)、放射線不透過性物質、または核
磁気共鳴により検出可能な材料のような適切な検出可能な画像化部分で標識され
た、タンパク質特異的抗体または抗体フラグメントは、免疫系の障害について検
査されるべき哺乳動物に(例えば、非経口的、皮下、または腹腔内に)導入され
る。被験体のサイズおよび用いられる画像化システムは、診断画像を生成するた
めに必要な画像化部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位
体部分の場合には、ヒト被験体について、注射される放射能の量は、通常、99m
Tcの約5〜20ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗
体フラグメントは、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド
を発現する細胞の位置に優先的に蓄積される。インビボ腫瘍画像化は、S.W.
Burchielら、「Immunopharmacokinetics of
Radiolabeled Antibodies and Their F
ragments」(Tumor Imagingの第13章:The Rad
iochemical Detection of Cancer、S.W.B
urchielおよびB.A.Rhodes編、Masson Publish
ing Inc.(1982))に記載される。
【0302】 1つの実施形態において、本発明は、異種ポリペプチドまたは核酸と会合する
本発明のポリペプチド(例えば、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる
ポリペプチドおよび/または抗体)を投与することによる、本発明の組成物の細
胞への特異的な送達のための方法を提供する。1つの例において、本発明は、治
療タンパク質を標的化細胞中へ送達するための方法を提供する。別の例において
、本発明は、一本鎖核酸(例えば、アンチセンスまたはリボザイム)または二本
鎖核酸(例えば、細胞のゲノムに組み込み得るか、またはエピソームにて複製し
得、そして転写され得るDNA)を、標的化細胞に送達するための方法を提供す
る。
【0303】 別の実施形態において、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグに関連
する本発明のポリペプチドを投与することによる細胞の特異的な破壊(例えば、
腫瘍細胞の破壊)のための方法を提供する。
【0304】 「毒素」とは、内因性の細胞傷害性エフェクタ系、放射性同位体、ホロ毒素(
holotoxin)、改変型毒素、毒素の触媒サブユニット、または規定の条
件下で細胞死を引き起こす細胞中もしくは細胞表面には通常存在しない任意の分
子もしくは酵素を結合および活性化する1つ以上の化合物を意味する。本発明の
方法に従って使用され得る毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:当該分野で公知の放射性同位体、固有のまたは誘導された内因性の細胞
傷害性エフェクタ系に結合する化合物(例えば、抗体(またはその補体固定含有
部分))、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、α毒素、リシ
ン、アブリン、Pseudomonas外毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、
モモルジン(momordin)、ゲロニン(gelonin)、ヤマゴボウ抗
ウイルスタンパク質、αサルシン(sarcin)およびコレラ毒素。「毒素」
はまた、細胞分裂停止剤もしくは細胞破壊剤、治療薬または放射活性金属イオン
(例えば、α−放射体(例えば、213Bi))もしくは他の放射性同位体(例え
ば、103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35
90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90
ットリウム、117スズ、186レニウム、166ホルミウム、および188レニウム);発
光標識(例えば、ルミノール);および蛍光標識(例えば、フルオレセインおよ
びローダミン)、ならびにビオチンを含む。
【0305】 当該分野において公知の技術は、本発明のポリペプチド(抗体を含む)を標識
化するために適用され得る。このような技術としては、二官能性結合剤の使用(
例えば、米国特許第5,756,065号;同第5,714,631号;同第5
,696,239号;同第5,652,361号;同第5,505,931号;
同第5,489,425号;同第5,435,990号;同第5,428,13
9号;同第5,342,604号;同第5,274,119号;同第4,994
,560号;および同第5,808,003号を参照のこと;これら各々の内容
は、本明細書中に参考としてその全体を援用する)が挙げられるが、これに限定
されない。
【0306】 従って、本発明は、障害の診断方法を提供し、これは以下を含む:(a)個体
の細胞または体液における本発明のポリペプチドの発現レベルをアッセイする工
程;および(b)アッセイされたポリペプチドの発現レベルを標準のポリペプチ
ドの発現レベルと比較し、それによって標準の発現レベルと比較してアッセイさ
れたポリペプチドの発現レベルにおける増加または減少が障害を示す工程。癌に
関しては、個体由来の生検された組織中の相対的に高い量の転写物の存在は、疾
患の発症の素因を示し得るか、または実際の臨床的な症状が明らかとなる前に疾
患を検出するための手段を提供し得る。より決定的なこのタイプの診断は、保健
専門家がより早く予防策または積極的な処置を使用し、それによって癌の発症ま
たはさらなる進行を防ぐことを可能にし得る。
【0307】 さらに、本発明のポリペプチドを用いて疾患または状態(例えば、神経障害、
免疫系障害、筋肉障害、生殖障害、胃腸障害、肺障害、心血管障害、腎臓障害、
増殖障害ならびに/または癌性疾患および状態など)を処置または予防し得る。
例えば、患者は、ポリペプチドの非存在またはレベルの減少を元に戻すこと(例
えば、インスリン)、異なるポリペプチドの非存在またはレベルの減少を補充す
ること(例えば、ヘモグロビンBに対するヘモグロビンS、SOD、カタラーゼ
、DNA修復タンパク質)、ポリペプチドの活性を阻害すること(例えば、癌遺
伝子または腫瘍抑制因子)、ポリペプチドの活性を活性化すること(例えば、レ
セプターに結合することによって)、遊離リガンドについて膜結合レセプターと
競合させることによって膜結合レセプターの活性を減少させること(例えば、炎
症を低減させる際に用いられる可溶性TNFレセプター)、または所望の応答を
もたらすこと(例えば、血管の成長の阻害、増殖細胞または組織に対する免疫応
答の増強)の試みにおいて、本発明のポリペプチドが投与され得る。
【0308】 同様に、本発明のポリペプチドに対して指向される抗体もまた用いられ、疾患
(上記、および本明細書中のどこかに記載されるような)を処置し得る。例えば
、本発明のポリペプチドに対して指向される抗体の投与には、ポリペプチドを結
合して、そして/またはポリペプチドを中和し、そして/またはポリペプチドの
過剰産生を低減し得る。同様に、抗体の投与は、例えば、膜に結合したポリペプ
チド(レセプター)へ結合することにより、ポリペプチドを活性化し得る。
【0309】 少なくとも、本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSDS−
PAGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラムの分子量マーカーとして使用され
得る。宿主細胞の形質転換を評価する方法として、ポリペプチドがまた用いられ
、抗体を惹起し得、次いで、この抗体が使用され、組換え細胞からのタンパク質
発現を測定する。さらに、本発明のポリペプチドが使用され、以下の生物学的活
性を試験し得る。
【0310】 (遺伝子治療方法) 本発明の別の局面は、障害、疾患および状態を処置または予防するための遺伝
子治療方法である。この遺伝子治療方法は、本発明のポリペプチドの発現を達成
するための、核酸(DNA、RNAおよびアンチセンスDNAまたはRNA)配
列の動物への導入に関する。この方法は、標的組織によるこのポリペプチドの発
現のために必要なプロモータおよび他の任意の遺伝因子と、作動可能に連結した
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを必要とする。このような
遺伝子治療および送達技術は当該分野において公知である(例えば、本明細書中
に参考として援用される、WO90/11092を参照のこと)。
【0311】 従って、例えば、患者由来の細胞は、エキソビボで本発明のポリヌクレオチド
と作動可能に連結したプロモーターを含むポリヌクレオチド(DNAまたはRN
A)を用いて操作され得、次いで、操作された細胞は、本発明のポリペプチドを
用いて処置される患者に提供される。このような方法は、当該分野において周知
である。例えば、Belldegrun,A.ら、J.Natl.Cancer
Inst.85:207−216(1993);Ferrantini,M.
ら、Cancer Research 53:1107−1112(1993)
;Ferrantini,M.ら、J.Immunology 153:460
4−4615(1994);Kaido,T.ら、Int.J.Cancer
60:221−229(1995);Ogura,H.ら、Cancer Re
search 50:5102−5106(1990);Santodonat
o,L.ら、Human Gene Therapy 7:1−10(1996
);Santodonato,L.ら、Gene Therapy 4:124
6−1255(1997);およびZhang,J.−F.ら、Cancer
Gene Therapy 3:31−38(1996)を参照のこと。これら
は、本明細書中に参考として援用される。1つの実施形態においては、操作され
る細胞は、動脈細胞である。この動脈細胞は、動脈、動脈の周囲の組織への直接
的な注射を介して、またはカテーテル注入を介して患者に再導入され得る。
【0312】 以下により詳細に考察されるように、このポリヌクレオチド構築物は、注射可
能な物質を動物の細胞に送達する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚
、肺、肝臓など)の間質空間への注射)により送達され得る。このポリヌクレオ
チド構築物は、薬学的に受容可能な液体または水性のキャリア中で送達され得る
【0313】 1つの実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、裸のポリヌクレオ
チドとして送達される。用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAと
は、細胞への侵入を補助し、促進し、または容易にするために作用するいかなる
送達ビヒクル(ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチ
ンまたは沈殿剤などを含む)も含まない配列をいう。しかし、本発明のポリヌク
レオチドはまた、当業者に周知の方法により調製され得るリポソーム処方物中お
よびリポフェクチン処方物中などで送達され得る。このような方法は、例えば、
米国特許第5,593,972号、同第5,589,466号および同第5,5
80,859号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記載される
【0314】 遺伝子治療方法において使用されるポリヌクレオチドベクター構築物は、好ま
しくは、宿主ゲノム中に組み込まれないかまたは複製を可能にする配列を含まな
い構築物である。適切なベクターとしては、Stratageneから入手可能
なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;Pha
rmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL;
ならびにInvitrogenから入手可能なpEF1/V5、pcDNA3.
1、およびpRc/CMV2が挙げられる。他の適切なベクターは、当業者に容
易に明らかである。
【0315】 当業者に公知の任意の強力なプロモーターは、ポリヌクレオチド配列の発現を
駆動するために用いられ得る。適切なプロモーターとしては、アデノウイルスプ
ロモーター(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター);または異種プロ
モーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター);RSウイ
ルス(RSV)プロモーター;誘導性プロモーター(例えば、MMTプロモータ
ー、メタロチオネインプロモーター);熱ショックプロモーター;アルブミンプ
ロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイルスチ
ミジンキナーゼプロモーター(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモー
ター);レトロウイルスLTR;b−アクチンプロモーター;およびヒト成長ホ
ルモンプロモーターが挙げられる。このプロモーターはまた、本発明のポリヌク
レオチドについてネイティブなプロモーターであり得る。
【0316】 他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を標的細胞に導入する1つの主
要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合成の一過性の性質である。研
究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて、6ヶ月までの期間の間、所
望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示された。
【0317】 ポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓
、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸、精
巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包含する)の間隙空
間に送達され得る。この組織の間隙空間は、器官組織の細網線維間の、細胞間の
液体ムコ多糖類基質、血管または室の壁における弾性線維、線維性組織のコラー
ゲン線維、あるいは結合組織鞘性筋肉細胞(connective tissu
e ensheathing muscle cell)内または骨の裂孔中の
同じ基質を包含する。これは、同様に、循環の血漿およびリンパチャンネルのリ
ンパ液により占められた空間である。筋肉組織の間隙空間への送達は、以下で議
論される理由のために好ましい。本発明のポリヌクレオチド構築物は、これらの
細胞を含む組織への注射によって、好都合に送達され得る。本発明のポリヌクレ
オチド構築物は、好ましくは、分化した持続性の非分裂細胞に送達され、そして
その細胞において発現されるが、送達および発現は、非分化細胞または完全には
分化していない細胞(例えば、血液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)において達
成され得る。インビボでの筋肉細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そして発
現する能力において、特に適格である。
【0318】 裸の核酸配列注射のために、DNAまたはRNAの有効投薬量は、約0.05
mg/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは、この投薬
量は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり、そしてより好まし
くは約0.05mg/kgから約5mg/kgである。もちろん、当業者が認識
するように、この投薬量は、注射の組織部位に応じて変化する。核酸配列の適切
かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される状態
および投与経路に依存し得る。
【0319】 好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非経口注射経路による。しかし、他
の非経口経路もまた用いられ得、これには、例えば、特に、肺または気管支の組
織、咽喉または鼻の粘膜への送達のためのエアロゾル処方物の吸入が挙げられる
。さらに、裸のDNA構築物が、血管形成術の間にこの手順において用いられる
カテーテルによって動脈に送達され得る。
【0320】 裸のポリヌクレオチドは、送達部位での直接の針注射、静脈内注射、局所投与
、カテーテル注入、およびいわゆる「遺伝子銃」を含むがこれらに限定されない
、当該分野で公知の任意の方法によって送達される。これらの送達方法は、当該
分野で公知である。
【0321】 この構築物はまた、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフ
ェクチン、沈殿剤などのような送達ビヒクルを用いて送達され得る。このような
送達方法は、当該分野で公知である。
【0322】 特定の実施形態において、ポリヌクレオチド構築物は、リポソーム調製物中で
複合体化している。本発明にて使用するためのリポソーム調製物は、カチオン性
(正に荷電した)、アニオン性(負に荷電した)および中性の調製物を包含する
。しかしながら、カチオン性リポソームとポリアニオン性核酸との間で強固な荷
電複合体を形成し得るので、カチオン性リポソームが特に好ましい。カチオン性
リポソームは、機能的形態において、プラスミドDNA(本明細書中で参考とし
て援用される、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA(1987)84:7413〜7416);mRNA(本明細書中で参考と
して援用される、Maloneら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA(1989)86:6077〜6081);および精製された転写因子(本
明細書中で参考として援用される、Debsら、J.Biol.Chem.(1
990)265:10189〜10192)の細胞内送達を媒介することが示さ
れている。
【0323】 カチオン性リポソームは容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジ
オレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTM
A)リポソームは特に有用であり、そして商標LipofectinのもとにG
IBCO BRL,Grand Island,N.Y.(本明細書中で参考と
して援用される、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA(1987)84:7413〜7416をもまた参照のこと、)より入手
可能である。他の市販のリポソームとしては、トランスフェクテース(tran
sfectace)(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Bo
ehringer)が挙げられる。
【0324】 当該分野で周知の技術を使用して、他のカチオン性リポソームを、容易に入手
可能な物質より調製し得る。DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−
3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記述に関して、例
えばPCT公開番号WO90/11092(本明細書中で参考として援用される
)を参照のこと。DOTMAリポソームの調製は文献にて説明されており、例え
ば、本明細書中で参考として援用される、P.Felgnerら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA、84:7413〜7417を参照のこと。
類似した方法を使用して、他のカチオン性脂質物質よりリポソームを調製し得る
【0325】 同様に、アニオン性リポソームおよび中性リポソームは、例えば、Avant
i Polar Lipids(Birmingham,Ala.)から容易に
入手可能であり、または容易に入手可能な物質を使用して簡単に調製され得る。
そのような物質としてはとりわけ、ホスファチジル、コリン、コレステロール、
ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOP
C)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイルホ
スファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの物質はまた
、DOTMA出発物資およびDOTAP出発物質と適切な割合において混合され
得る。これらの物質を使用してリポソームを生成する方法は、当該分野で周知で
ある。
【0326】 例えば、商業的に、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレ
オイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジオレオイルホスファ
チジルエタノールアミン(DOPE)を種々の組み合わせにおいて使用し、コレ
ステロールを添加してもしなくても、従来のリポソームを生成し得る。従って、
例えば、超音波処理バイアル中への窒素ガス流下で、各50mgのDOPGおよ
びDOPCを乾燥することにより、DOPG/DOPC小胞を調製し得る。この
サンプルを一晩真空ポンプ下に置き、そして次の日、脱イオン水で水和する。次
いで、浴を、15ECで循環させながら、最大設定にて、逆位カップ(浴タイプ
)プローブを装備したHeat Systems モデル350超音波処理器を
使用して、このサンプルを栓をしたバイアル中にて2時間超音波処理する。ある
いは、負に荷電した小胞を、超音波処理なしで調製して多重膜小胞を生成し得る
か、または核孔膜(nucleopore membrane)を通して押し出
すことにより別々の大きさの単膜小胞を生成し得る。他の方法は、当業者に公知
でありそして利用可能である。
【0327】 このリポソームとしては、多重膜小胞(MLV)、小さな単膜小胞(SUV)
または大きな単膜小胞(LUV)が挙げられ得、SUVが好ましい。当該分野で
周知の方法を使用して、種々のリポソーム−核酸複合体が調製される。例えば、
本明細書中で参考として援用される、Straubingerら、Method
s of Immunology(1983)、101:512〜527を参照
のこと。例えば、核酸を含有するMLVは、ガラスチューブの壁面にリン脂質の
薄膜を堆積させ、そしてその後、カプセル化されるべき物質の溶液で水和するこ
とによって調製され得る。SUVはMLVの長期超音波処理により調製され、単
膜リポソームの均質集団を生成する。封入されるべき物質を、予め形成されたM
LVの懸濁液に添加し、次いで、超音波処理する。カチオン性脂質を含むリポソ
ームを使用する場合、乾燥した脂質膜を、滅菌水または10mM Tris/N
aClのような等張性緩衝溶液のような適切な溶液中に再懸濁し、超音波処理し
、次いで、予め形成されたリポソームをDNAと直接混合する。正に荷電したリ
ポソームのカチオン性DNAへの結合に起因して、リポソームおよびDNAは非
常に安定な複合体を形成する。SUVは、小核酸フラグメントを用いての用途を
見出す。LUVは、当該分野で周知の多くの方法により調製される。一般に使用
される方法としては、Ca2+−EDTAキレート化(Papahadjopou
losら、Biochim.Biophys.Acta(1975)394:4
83;Wilsonら、Cell(1979))17:77;エーテル注入(D
eamer,D.およびBangham,A.、Biochim.Biophy
s.Acta(1976)443:629;Ostroら、Biochem.B
iophys.Res.Commum.(1977)76:836;Frale
yら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:33
48);界面活性剤透析(Enoch,H.およびStrittmatter,
P.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:14
5);および逆相エバポレーション(REV)(Fraleyら、J.Biol
.Chem.(1980)255:10431;Szoka、F.およびPap
ahadjopuolos,D.、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA(1978)75:145;Schaefer−Ridderら、Scie
nce(1982)215:166)が挙げられ、これらの文献は本明細書中で
参考として援用される。
【0328】 一般に、DNAのリポソームに対する割合は約10:1から約1:10までで
ある。好ましくは、その割合(ration)は約5:1から約1:5までであ
る。より好ましくは、その割合は約3:1から約1:3までである。さらにより
好ましくは、その割合は約1:1である。
【0329】 米国特許第5,676,954号(本明細書中で参考として援用される)はカ
チオン性リポソームキャリアと複合体化された遺伝物質のマウスへの注入につい
て報告する。米国特許第4,897,355号、同第4,946,787号、同
第5,049,386号、同第5,459,127号、同第5,589,466
号、同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,
055号および国際公開第WO94/9469号(これらは本明細書中で参考と
して援用される)は、DNAを細胞および哺乳動物にトランスフェクトする際に
使用するためのカチオン性脂質を提供する。米国特許第5,589,466号、
同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,05
5号および国際公開第WO94/9469号(これらは本明細書中で参考として
援用される)は、DNA−カチオン性脂質複合体を哺乳動物に送達する方法を提
供する。
【0330】 特定の実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする配列を含むRN
Aを含むレトロウイルス粒子を使用して、エキソビボまたはインビボで細胞を操
作する。レトロウイルスプラスミドベクターが由来し得るレトロウイルスとして
は、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、
ハーベイ肉腫ウイルス、ニワトリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、
ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0331】 このレトロウイルスプラスミドベクターを使用して、パッケージング細胞株を
形質導入し、プロデューサー細胞株を形成する。トランスフェクトされ得るパッ
ケージング細胞株の例としては、その全体が本明細書中で参考として援用される
、Miller、Human Gene Theapy、1:5〜14(199
0)にて記載されるようなPE501、PA317、R−2、R−AM、PA1
2、T19−14X、VT−19−17−H2、RCRE、RCRIP、GP+
E−86、GP+envAm12およびDAN細胞株が挙げられるが、これらに
限定されない。このベクターは、当該分野で公知の任意の手段により、パッケー
ジング細胞を形質導入し得る。そのような手段としては、エレクトロポレーショ
ン、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられるが、それらに限定さ
れない。1つの代替法において、このレトロウイルスプラスミドベクターをリポ
ソームにカプセル化し得るか、または脂質に結合し得て、次いで宿主に投与し得
る。
【0332】 このプロデューサー細胞株は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドを含む感染性レトロウイルスベクター粒子を産生する。次いで、そのよう
なレトロウイルスベクター粒子を使用して、インビトロまたはインビボのどちら
かで、真核生物細胞を形質導入し得る。この形質導入された真核生物細胞は、本
発明のポリペプチドを発現する。
【0333】 特定の他の実施形態において、アデノウイルスベクター中に含まれるポリヌク
レオチドを用いて、エキソビボまたはインビボで細胞を操作する。アデノウイル
スは、それが本発明のポリペプチドをコードし、そして発現し、それと同時に通
常の溶菌性ウイルス生活環にて複製するその能力に関して不活性化されるように
操作され得る。アデノウイルス発現は、そのウイルスDNAの宿主細胞染色体へ
の組み込み無しに達成され、その結果、挿入性変異誘発についての心配が軽減さ
れる。さらに、アデノウイルスは、何年もの間、腸の生ワクチンとして優れた安
全側面を伴って使用されている(Schwartzet,A.R.ら(1974
)、Am.Rev.Respir.Dis.、109:233−238)。最終
的に、アデノウイルス媒介性遺伝子移入が、コトンラットの肺へのα−1−アン
チトリプシンおよびCFTRの移入を含む多くの例において実証されている(R
osenfeld,M.A.ら(1991)、Science、252:431
〜434;Rosenfeldら(1992)、Cell、68:143〜15
5)。さらに、ヒト癌における原因物質としてアデノウイルスを確立しようとす
る広範な研究は、一様に否定的であった(Green,M.ら(1979) P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,76:6606)。
【0334】 本発明において有用である適切なアデノウイルスベクターが、例えば、Koz
arskyおよびWilson,Curr.Opin.Genet.Devel
. 3:499〜503(1993);Rosenfeldら、Cell 68
:143〜155(1992);Engelhardtら、Human Gen
et.Ther. 4:759〜769(1993);Yangら、Natur
e Genet. 7:362〜369(1994);Wilsonら、Nat
ure 365:691〜692(1993);および米国特許第5,652,
224号に記載されており、これらの文献および特許は本明細書中で参考として
援用される。例えば、アデノウイルスベクターAd2が有用であり、そしてヒト
293細胞にて増殖され得る。これらの細胞は、アデノウイルスのE1領域を含
み、そして構成的にElaおよびElbを発現し、このことは、このベクターか
ら欠失している遺伝子の産物を提供することによって欠損アデノウイルスを補完
する。Ad2に加えて、他の多様なアデノウイルス(例えば、Ad3、Ad5、
およびAd7)もまた、本発明において有用である。
【0335】 好ましくは、本発明において使用されるアデノウイルスは、複製欠損性である
。複製欠損アデノウイルスは、感染性粒子を形成するために、ヘルパーウイルス
および/またはパッケージング細胞株の助けを必要とする。得られたウイルスは
、細胞に感染する能力があり、そしてプロモーターに作動可能に連結された目的
のポリヌクレオチドを発現し得るが、ほとんどの細胞にて複製し得ない。複製欠
損アデノウイルスは、次の遺伝子のすべてまたは一部のうちの1つ以上にて欠失
され得る:E1a、E1b、E3、E4、E2aまたはL1〜L5。
【0336】 特定の他の実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用して、エ
キソビボまたはインビボでこの細胞を操作する。AAVは、感染性粒子を生成す
るためにヘルパーウイルスを必要とする、天然に存在する欠損ウイルスである(
Muzyczka,N.,Curr.Topics in Microbiol
.Immunol. 158:97(1992))。AAVはまた、非分裂細胞
の中にそのDNAを組み込み得る数少ないウイルスの中の1つである。300塩
基対程度の小さいAAVを含むベクターがパッケージされ得、そして組み込み得
るが、外来性DNAのためのスペースは約4.5kbに限られる。そのようなA
AVの生成および使用の方法は当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,
139,941号、同第5,173,414号、同第5,354,678号、同
第5,436,146号、同第5,474,935号、同第5,478,745
号および同第5,589,377号を参照のこと。
【0337】 例えば、本発明において使用するために適切なAAVベクターは、DNA複製
、キャプシド形成、および宿主細胞組み込みに必要な配列すべてを含む。Sam
brookら、Molecular Cloning:A Laborator
y Manual、Cold Spring Harbor Press(19
89)において見い出される方法のような、標準的クローニング方法を使用して
、ポリヌクレオチド構築物を、このAAVベクターに挿入する。次いで、リポフ
ェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿などを含む、任意
の標準的技術を使用して、この組換えAAVベクターを、ヘルパーウイルスに感
染しているパッケージング細胞にトランスフェクトする。適切なヘルパーウイル
スとしては、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイルス、ま
たはヘルペスウイルスが挙げられる。一旦パッケージング細胞がトランスフェク
トおよび感染されると、それらはそのポリヌクレオチド構築物を含む感染性AA
Vウイルス粒子を生成する。次いで、エキソビボまたはインビボのいずれかで、
これらのウイルス粒子を使用して真核生物細胞を形質導入する。この形質導入細
胞は、そのゲノムに組み込まれたポリヌクレオチド構築物を含み、そして本発明
のポリペプチドを発現する。
【0338】 遺伝子治療の別の方法は、相同組換え(例えば、米国特許第5,641,67
0号、1997年6月24日発行;国際公開第WO96/29411号、199
6年9月26日公開;国際公開第WO94/12650号、1994年8月4日
公開;Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86
:8932〜8935(1989);およびZijlstraら、Nature
342:435〜438(1989)を参照のこと)を介して、異種制御領域
および内在性ポリヌクレオチド配列(例えば、本発明のポリペプチドをコードし
ている配列)を作動可能に連結する工程を含む。この方法は、標的細胞中に存在
しているが、通常はその細胞中で発現しないかまたは所望するよりも低いレベル
で発現する、遺伝子の活性化を含む。
【0339】 当該分野で既知の標準的技術を使用して、ポリヌクレオチド構築物を作製する
。この構築物は、プロモーターを、そのプロモーターに隣接した標的化配列とと
もに含む。適切なプロモーターが、本明細書中に記載されている。標的化配列は
、プロモーター−標的化配列と内在性配列との相同組換えを可能にするに十分に
その内在性配列に対して相補的である。標的化配列は、所望される内在性ポリヌ
クレオチド配列の5’末端の十分近くに存在し、それゆえ、相同組換えに際して
、そのプロモーターは、その内在性配列に作動可能に連結される。
【0340】 このプロモーターおよび標的化配列は、PCRを使用して増幅され得る。好ま
しくは、この増幅されたプロモーターは、5’末端および3’末端に別の制限酵
素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅されたプロモ
ーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末
端は、増幅されたプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。増幅されたプ
ロモーターおよび標的化配列を消化し、そしてともに連結する。
【0341】 裸のポリヌクレオチドとしてか、もしくは上記により詳細に記載されるような
リポソーム、ウイルス配列、ウイルス粒子、ウイルス全体、リポフェクション、
沈殿剤などのようなトランスフェクション促進剤と一緒にかのいずれかで、この
プロモーター−標的化配列構築物を細胞に送達する。直接針注射、静脈内注射、
局所投与、カテーテル注入、粒子加速器などを含む任意の方法により、Pプロモ
ーター−標的化配列を送達し得る。この方法を、下記により詳細に記載する。
【0342】 プロモーター−標的化配列構築物は、細胞により取り込まれる。この構築物と
内在性配列との間に相同組換えが起こり、その結果、内在性配列は、このプロモ
ーターの制御下に配置される。次いで、このプロモーターは、内在性配列の発現
を駆動する。
【0343】 好ましくは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、そのタ
ンパク質の分泌を促進する分泌シグナル配列を含む。代表的に、このシグナル配
列は、コード領域の5’末端に向かってかまたは5’末端で発現される、そのポ
リヌクレオチドのコード領域に位置する。このシグナル配列は、目的のポリヌク
レオチドに対して同種であってもよいしまたは異種であってもよく、そしてトラ
ンスフェクトされる細胞に対して同種であってもよいしまたは異種であってもよ
い。さらに、当該分野で公知の方法を使用して、このシグナル配列は化学合成さ
れ得る。
【0344】 その投与形態によって、治療効果を提供するのに十分な量にて1つ以上の分子
が発現される限り、上記のポリヌクレオチド構築物のうちのいずれかの任意の投
与形態が使用され得る。これは、直接針注射、全身性注射、カテーテル注入、バ
イオリスティック(biolistic)注射器、粒子加速器(すなわち、「遺
伝子銃」)、ゲルフォームスポンジデポー(depot)、他の市販デポー(d
epot)物質、浸透圧ポンプ(例えば、Alzaミニポンプ)、経口用または
坐剤用の固形(錠剤または丸剤)薬学的処方物、および手術中のデカンティング
(decanting)または局所適用を含む。例えば、ラット肝臓およびラッ
ト脾臓へのリン酸カルシウム沈澱した裸のプラスミドの直接注射、または門脈へ
のタンパク質被覆プラスミドの直接注射は、ラット肝臓における外来遺伝子の遺
伝子発現をもたらした(Kanedaら、Science、243:375(1
989))。
【0345】 局所投与の好ましい方法は、直接注射によるものである。好ましくは、送達ビ
ヒクルと複合体を形成した本発明の組換え分子は、動脈領域内部に直接注射によ
り投与されるか、または動脈領域内部に局所投与される。動脈領域内部での組成
物の局所投与とは、その組成物を動脈内に数センチメートル、好ましくは数ミリ
メートルで注射することを言う。
【0346】 局所投与の別の方法は、本発明のポリヌクレオチド構築物を外科的創傷中また
は外科的創傷の周囲に接触させることである。例えば、患者は手術を経験し得、
そしてこのポリヌクレオチド構築物がその創傷の内側の組織の表面上にコーティ
ングされ得るか、またはこの構築物が、その創傷の内側の組織の領域に注入され
得る。
【0347】 全身投与に有用な治療組成物は、本発明の標的化された送達ビヒクルと複合体
を形成した本発明の組換え分子を含む。全身投与で使用するために適切な送達ビ
ヒクルは、特定部位に対してそのビヒクルを標的化するリガンドを含むリポソー
ムを含む。
【0348】 全身投与の好ましい方法としては、静脈内注射、エアロゾル、経口および経皮
(局所的)送達が挙げられる。当該分野で標準的な方法を使用して、静脈内注射
が実行され得る。当該分野で標準的な方法を使用して、エアロゾル送達もまた実
行され得る(例えば、本明細書中で参考として援用される、Stribling
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 189:11277〜1
1281(1992)を参照のこと)。動物の腸内の消化酵素による分解に耐え
る能力をもつキャリアに対して本発明のポリヌクレオチド構築物を複合体形成す
ることにより、経口送達は実行され得る。そのようなキャリアの例としては、当
該分野で公知であるもののような、プラスチックカプセルまたは錠剤が挙げられ
る。皮膚内へ通過可能な親油性試薬(例えば、DMSO)と本発明のポリヌクレ
オチド構築物を混合することによって、局所的送達は実行され得る。
【0349】 送達される物質の有効量を決定することは、例えば、その物質の化学構造およ
び生物学的活性、動物の年齢および体重、処置を必要とする正確な状態およびそ
の重症度、ならびに投与経路を含む、多数の因子に依存し得る。処置の頻度は、
1用量あたりの投与されるポリヌクレオチド構築物の量ならびに被験体の健康お
よび病歴のような、多くの因子に依存する。正確な量、投薬回数および投薬のタ
イミングは、主治医または主治獣医により決定される。
【0350】 本発明の治療的組成物は、任意の動物に、好ましくは哺乳動物および鳥類に投
与され得る。好ましい哺乳動物としては、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、
ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマおよびブタが挙げられ、特にヒトが好ましい。
【0351】 (生物学的活性) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストをアッセイに使用し、1つ以上の生物学的活性について試験し得
る。本発明のこれらのポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニスト
もしくはアンタゴニストが特定のアッセイにおいて活性を示す場合、これらの分
子はその生物学的活性に関連した疾患に関与し得るようである。従って、このポ
リヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびにアゴニストもしくはアンタゴニス
トを使用し、その関連した疾患を処置し得る。
【0352】 KDCファミリータンパク質のメンバーは、脈管形成に関連する、生物学的活
性に関与すると考えられる。従って、本発明の組成物(本発明のポリヌクレオチ
ド、ポリペプチドおよび抗体、ならびにそれらのフラグメントおよび改変体を含
む)は、異常なKDCポリペプチド活性、または変異したKDC活性を必要とす
る関連する疾患および/または障害の診断、検出および/または処置において使
用され得る。好ましい実施形態において、本発明の組成物(本発明のポリヌクレ
オチド、ポリペプチドおよび抗体、ならびにそれらのフラグメントおよび改変体
を含む)は、血液障害に関連する疾患および/または障害(例えば、異常な脈管
形成、および/または下記「免疫活性」および「心臓血管障害」のもとに記載さ
れるような疾患および/または障害)、癌に関連する疾患および/または障害(
例えば、血管新生、および/または下記「抗脈管形成活性」のもとに記載される
ような疾患および障害)、および適切な創傷の治癒(例えば、下記「創傷の治癒
および内皮細胞の増殖」のもとに記載されるような疾患および/または障害)の
診断、検出、および/または処置において使用され得る。従って、本発明のポリ
ヌクレオチド、翻訳産物および抗体は、異常な脈管形成、癌および創傷の治癒を
含むがこれらに限定されない、活性に関連する疾患および/または障害の診断、
検出および/または処置において有用である。
【0353】 より一般的には、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物および抗
体は、以下の系に関連する疾患および/または障害の診断、検出および/または
処置に有用であり得る。
【0354】 (免疫活性) 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストも
しくはアンタゴニストは、例えば、免疫細胞の増殖、分化、もしくは動員(走化
性)を活性化または阻害することにより、免疫系の疾患、障害および/または状
態の処置、予防および/または診断において有用であり得る。免疫細胞は、造血
と呼ばれるプロセスを介して発達し、多能性幹細胞から骨髄性細胞(血小板、赤
血球、好中球およびマクロファージ)およびリンパ系細胞(Bリンパ球およびT
リンパ球)を生成する。これら免疫の疾患、障害および/または状態の病因は、
遺伝的、体細胞的(somatic)(例えば、癌およびいくつかの自己免疫性
の疾患)、後天的(例えば、化学療法もしくは毒素による)または感染的であり
得る。さらに、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/または
アゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の免疫系の疾患または障害のマーカ
ーまたは検出物質(detector)として使用され得る。
【0355】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストも
しくはアンタゴニストは、造血細胞の疾患、障害および/または状態の処置、予
防、および/または診断において有用であり得る。本発明のポリヌクレオチド、
ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定
の(または多くの)型の造血細胞の減少に関連した疾患、障害、および/または
状態を処置または予防する試みにおいて、多能性幹細胞を含む造血細胞の分化お
よび増殖を増加させるために用いられ得る。免疫不全症候群の例としては、血液
タンパク質の疾患、障害、および/または状態(例えば、無ガンマグロブリン血
症、低ガンマグロブリン血症)、毛細血管拡張性運動失調、分類不能型免疫不全
、ディ・ジョージ症候群、HIV感染、HTLV−BLV感染、白血球接着不全
症候群、リンパ球減少、食細胞殺細菌機能不全、重症複合型免疫不全(SCID
)、ヴィスコット−オールドリッチ障害、貧血、血小板減少、またはヘモグロビ
ン尿症が挙げられるが、それらに限定されない。
【0356】 さらに、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴ
ニストもしくはアンタゴニストをまた使用して、止血性活性(出血を止めること
)または血栓崩壊活性(血餅形成)を調節し得る。例えば、止血活性または血栓
崩壊活性を増大させることにより、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用し、血液凝固の疾
患、障害、および/または状態(例えば、無線維素原血症、因子欠損症)、血液
血小板の疾患、障害および/または状態(例えば、血小板減少症)、あるいは外
傷、手術または他の原因から生じる創傷を処置または予防し得る。あるいは、止
血活性または血栓崩壊活性を減少させ得る本発明のポリヌクレオチド、ポリペプ
チド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用し、凝血を
阻害または溶解し得る。心臓発作(梗塞)、発作(stroke)または瘢痕の
処置または予防において、これらの分子は重要であり得る。
【0357】 自己免疫性の障害の処置、予防および/または診断において、本発明のポリヌ
クレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニ
ストはまた、有用であり得る。多くの自己免疫性の障害は、免疫細胞によって外
来性物質として不適切に自己を認識することから生じる。この不適切な認識は、
宿主組織の破壊をもたらす免疫応答を引き起こす。従って、免疫応答、特にT細
胞の増殖、分化または走化性を阻害し得る本発明のポリヌクレオチドおよびポリ
ペプチドの投与は、自己免疫性の障害の予防において効果的な治療であり得る。
【0358】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストも
しくはアンタゴニストにより処置、予防および/または診断され得る自己免疫疾
患または自己免疫障害としては、以下のうちの1つ以上が挙げられるが、これら
に限定されない:自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性新生児血小板減少、続発性
血小板減少性紫斑病、自己免疫性血球減少症、溶血性貧血、抗リン脂質症候群、
皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、心筋炎、再発性多発性軟骨炎、リウマチ性心疾
患、糸球体腎炎(例えば、IgA腎症)、多発性硬化症、神経炎、ブドウ膜炎眼
炎(Uveitis Ophthalmia)、多発性内分泌腺症、紫斑病(例
えば、ヘーノホ−シェーンライン紫斑病)、ライター病、スティッフマン症候群
、自己免疫性肺炎症、自閉、ギヤン−バレー症候群、インスリン依存性真性糖尿
病、および自己免疫性炎症性眼(autoimmune inflammato
ry eye)、自己免疫性甲状腺炎、甲状腺機能低下症(すなわち、橋本甲状
腺炎)、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、レセプタ
ー自己免疫(例えば、(a)グレーブス病、(b)重症筋無力症、および(c)
インスリン抵抗性)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、
慢性関節リウマチ、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症、混合結合組織病、多発性筋
炎/皮膚筋炎、悪性貧血、続発性アディソン病、不妊症、糸球体腎炎(例えば、
原発性糸球体腎炎およびIgA腎症)、水泡性類天疱瘡、シェーグレン症候群、
真性糖尿病、ならびにアドレナリン作用薬耐性(喘息または襄胞性線維症を伴う
アドレナリン作用薬耐性を含む)、活動性慢性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、他の
内分泌線不全、白斑、脈管炎、心筋梗塞後症候群(post−MI)、心臓切新
開症候群、じんま疹、アトピー性皮膚炎、喘息、炎症性ミオパシーならびに他の
炎症障害、肉芽腫性障害、変性障害および萎縮性障害。
【0359】 (おそらく)本発明の組成物により処置、予防および/または診断され得るさ
らなる自己免疫障害としては、慢性関節リウマチ(例えば、関節における免疫複
合体により、しばしば特徴付けられる)、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症(例え
ば、核小体抗体および他の核抗体により、しばしば特徴付けられる)、混合結合
組織病(例えば、抽出可能な核抗原(例えば、リボ核タンパク)に対する抗体に
より、しばしば特徴付けられる)、多発性筋炎(例えば、非ヒストンANAによ
り、しばしば特徴付けられる)、悪性貧血(例えば、抗壁細胞抗体、抗ミクロソ
ーム抗体、および抗内因子抗体により、しばしば特徴付けられる)、続発性アデ
ィソン病(例えば、体液媒介性副腎細胞傷害性および細胞媒介性副腎細胞傷害性
により、しばしば特徴づけらる)、不妊症(例えば、抗精子抗体により、しばし
ば特徴付けられる)、糸球体腎炎(例えば、糸球体基底膜抗体もしくは免疫複合
体により、しばしば特徴付けられる)、水泡性類天疱瘡(例えば、基底膜におけ
るIgGおよび補体により、しばしば特徴付けられる)、シェーグレン症候群(
例えば、複数の組織抗体および/または特定の非ヒストンANA(SS−B)に
より、しばしば特徴付けられる)、真性糖尿病(例えば、細胞媒介性島細胞抗体
および体液性島細胞抗体により、しばしば特徴付けられる)、ならびにアドレナ
リン作用薬耐性(喘息または襄胞性線維症を伴うアドレナリン作用薬耐性を含む
)(例えば、β−アドレナリン作用性レセプター抗体により、しばしば特徴付け
られる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0360】 (おそらく)本発明の組成物により処置、予防および/または診断され得るさ
らなる自己免疫障害としては、活動性慢性肝炎(例えば、平滑筋抗体により、し
ばしば特徴付けられる)、原発性胆汁性肝硬変(例えば、ミトコンドリア抗体に
より、しばしば特徴付けられる)、他の内分泌線不全(例えば、いくつかの場合
において特定の組織抗体によって、しばしば特徴付けられる)、白斑(例えば、
メラノサイト抗体により、しばしば特徴付けられる)、脈管炎(例えば、血管壁
におけるIgGおよび補体、ならびに/または低血清補体により、しばしば特徴
付けられる)、心筋梗塞後症候群(post−MI)(例えば、心筋抗体により
、しばしば特徴付けられる)、心臓切開症候群(例えば、心筋抗体により、しば
しば特徴付けられる)、じんま疹(例えば、IgEに対するIgG抗体およびI
gM抗体により、しばしば特徴付けられる)、アトピー性皮膚炎(IgEに対す
るIgG抗体およびIgM抗体により、しばしば特徴付けられる)、喘息(例え
ば、IgEに対するIgG抗体およびIgM抗体により、しばしば特徴付けられ
る)、ならびに他の多くの炎症障害、肉芽腫性障害、変性障害および萎縮性障害
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0361】 好ましい実施形態において、上記の疾患および障害に関連する、自己免疫疾患
および自己免疫障害および/または自己免疫状態は、例えば、本発明のアンタゴ
ニストもしくはアゴニスト、ポリペプチドもしくはポリペプチド、または抗体を
使用して、処置、予防および/または診断される。
【0362】 好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体
ならびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストは、B細胞および/または
T細胞の免疫不全個体間の免疫応答性をブーストするための薬剤として使用され
得る。
【0363】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、ならびに/あるいはそのアゴ
ニストを投与することによって、回復または処置され得るB細胞免疫欠損として
は、以下が挙げられるが、これらに限定されない:重度の複合型免疫欠損(SC
ID)−X連鎖、SCID常染色体の、アデノシンデアミナーゼ欠損(ADA欠
損)、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、ブルートン病(Bruton
’s disease)、先天性無ガンマグロブリン血症、X連鎖乳児無ガンマ
グロブリン血症、後天性無ガンマグロブリン血症、成体開始無ガンマグロブリン
血症、遅発性無ガンマグロブリン血症、異常ガンマグロブリン血症、低ガンマグ
ロブリン血症、新生児期の一過性の低ガンマグロブリン血症、不特定の低ガンマ
グロブリン血症、無ガンマグロブリン血症、分類不能型免疫不全(CVI)(後
天性)、ヴィスコット−オールドリッチ症候群(WAS)、IgM上昇を伴うX
連鎖免疫不全(X-linked immunodeficiency wit
h hyper IgM)、IgM上昇を伴う非X連鎖免疫不全、選択的IgA
欠損、IgGサブクラス欠損(IgA欠損を伴うか、または伴わない)、正常ま
たは上昇したIgsを伴う抗体欠損、胸腺腫を伴う免疫欠損、Ig重鎖欠失、κ
鎖欠損、B細胞リンパ増殖性障害(BLPD)、選択性IgM免疫欠損、劣性無
ガンマグロブリン血症(スイス型)、網状発育不全、新生児好中球減少症、重度
の先天性白血球減少症、免疫欠損を伴う胸腺リンパ形成不全症−発育不全または
形成異常、毛細血管拡張性運動失調、短四肢化小人症、X連鎖リンパ増殖性症候
群(XLP)、Igsを伴うネゼロフ症候群−複合型免疫欠損、プリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ欠損(PNP)、MHCクラスII欠損(不全リンパ球症候
群)および重度の複合型免疫欠損。
【0364】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、ならびに/あるいはそのアゴ
ニストを投与することによって、回復または処置され得るT細胞欠損としては、
以下が挙げられるが、これらに限定されない:例えば、ディ・ジョージ奇形、胸
腺発育不全、第3および第4咽頭嚢症候群、22q11.2欠損、慢性皮膚粘膜
カンジダ症、ナチュラルキラー細胞の欠損(NK)、特発性CD4+ Tリンパ
球減少、優性T細胞欠損(非特異的)を伴う免疫欠損、および細胞媒介免疫の非
特異的免疫欠失。特定の実施形態において、ディ・ジョージ奇形またはディ・ジ
ョージ奇形関連状態を、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド
、あるいはそのアゴニストまたはアンタゴニストを投与することによって回復ま
たは処置される。
【0365】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、ならびに/あるいはそのアゴ
ニストを投与することによって、回復または処置され得る他の免疫不全としては
、以下が挙げられるが、これらに限定されない:重症複合型免疫不全(SCID
;例えば、X連鎖SCID、常染色体SCID、およびアデノシンデアミナーゼ
不全症)、毛細血管拡張性運動失調、ヴィスコット−オールドリッチ症候群、短
肢性(short−limber)小人症、X連鎖リンパ球増多症症候群(XL
P)、ネゼロフ症候群(例えば、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ不全症)、
MHCクラスII不全症。特定の実施形態において、毛細血管拡張性運動失調ま
たは毛細血管拡張性運動失調関連状態を、例えば、本発明のポリペプチドまたは
ポリヌクレオチド、および/またはそのアゴニストを投与することによって回復
または処置される。
【0366】 特定の好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド
、抗体ならびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストを使用して、慢性関
節リウマチが処置、予防および/または診断される。別の特定の好ましい実施形
態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体ならびに/あるい
はアゴニストまたはアンタゴニストを使用して、全身性エリテマトーデスが処置
、予防および/または診断される。別の特定の好ましい実施形態において、本発
明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体ならびに/あるいはアゴニストまた
はアンタゴニストを使用して、特発性血小板減少性紫斑病が処置、予防および/
または診断される。別の特定の好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレ
オチド、ポリペプチド、抗体ならびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニス
トを使用して、IgAネフロパシーが処置、予防、および/または診断される。
好ましい実施形態において、自己免疫疾患および障害、ならびに/または上記に
列挙される疾患および障害に関連する状態は、本発明のタンパク質に対する抗体
を使用して処置、予防、および/または診断される。
【0367】 同様に、アレルギー性の反応および状態(例えば、喘息(特に、アレルギー性
喘息))または他の呼吸性の問題はまた、本発明のポリペプチド、抗体、または
ポリヌクレオチド、および/あるいはそのアゴニストまたはアンタゴニストを使
用して処置、予防、および/または診断され得る。さらに、これらの分子は、ア
ナフィラキシー、抗原性分子に対する過敏症、または血液型不適合を処置、予防
、および/または診断するために使用され得る。
【0368】 さらに、炎症性状態もまた、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体
ならびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストを用いて、処置、診断およ
び/または予防され得る。このような炎症性状態としては、例えば以下が挙げら
れるがこれらに限定されない:呼吸障害(例えば、喘息およびアレルギー);胃
腸の障害(例えば、炎症性腸疾患);癌(例えば、胃癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌
、肝臓癌および乳癌);CNS障害(例えば、多発性硬化症、血液脳関門透過性
、虚血性脳傷害および/または発作、外傷性脳傷害、神経変性傷害(例えば、パ
ーキンソン病およびアルツハイマー病)、AIDS関連痴呆、およびプリオン疾
患);心臓血管障害(例えば、アテローム硬化症、心筋炎、心臓血管疾患、およ
び心肺バイパス合併症);ならびに、炎症(例えば、慢性肝炎(BおよびC)、
慢性関節リウマチ、痛風、外傷、敗血症性ショック、膵炎、サルコイドーシス、
皮膚炎、腎臓虚血再灌流障害、グレーヴス病、全身性エリテマトーデス、真性糖
尿病(すなわち、1型糖尿病)、および同種異系の移植拒絶)によって特徴付け
られる多くのさらなる疾患、状態、および障害。
【0369】 特定の実施形態において、本発明のポリペプチド、抗体またはポリヌクレオチ
ド、および/あるいはそれらのアゴニストまたはアンタゴニストは、移植拒絶、
対宿主性移植片病、自己免疫および炎症性疾患(例えば、免疫複合体に誘導され
る脈管炎、糸球体腎炎、溶血性貧血、重症筋無力症、II型コラーゲン誘導関節
炎、実験的アレルギー性および超急性異種移植片拒絶、慢性関節リウマチ、なら
びに全身性エリテマトーデス(SLE)を、処置、診断および/または予防する
のに有用である。器官の拒絶は、免疫応答を介して移植組織の宿主免疫細胞の破
壊によって生じる。同様に、免疫応答はまた、GVHDに関与するが、しかしこ
の場合は、外来移植された免疫細胞は、宿主組織を破壊する。免疫応答(特に、
T細胞の活性化、増殖、分化、または走化性)を阻害する本発明のポリペプチド
、抗体、またはポリヌクレオチド、および/あるいはそのアゴニストまたはアン
タゴニストは、器官拒絶またはGVHDの予防における有効な治療であり得る。
【0370】 同様に、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/あるいは
本発明のアゴニストまたはアンタゴニストはまた、炎症を調節および/または診
断するために使用され得る。例えば、本発明のポリペプチド、抗体またはポリヌ
クレオチド、および/あるいは本発明のアゴニストまたはアンタゴニストが、炎
症性応答に関与する細胞の活性化、増殖および/または分化を阻害し得るので、
これらの分子は、慢性状態および急性状態の両方の炎症性状態(感染に関連する
炎症(例えば、敗血症性ショック、敗血症、または全身性炎症性応答症候群(S
IRS))、虚血再灌流障害、内毒素死亡率、関節炎、補体媒介超急性拒絶、腎
炎、サイトカインまたはケモカインに誘導される肺傷害、炎症性腸疾患、クロー
ン病、およびサイトカイン(例えば、TNFまたはIL−1)の過剰産生によっ
て生じる状態が挙げられるがこれらに限定されない)を処置、診断または予後判
定するために使用され得る。
【0371】 本発明のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/あるいはアゴニスト
またはアンタゴニストは、感染因子を処置、検出、および/または予防するため
に使用され得る。例えば、免疫応答を増加すること(特に、B細胞および/また
はT細胞の増殖、活性化および/または分化を増加すること)によって、感染性
疾患は、処置、検出、および/または予防され得る。免疫応答は、既存の免疫応
答の増大によってか、または新しい免疫応答の開始によってかのいずれかで増加
され得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体ならびに
/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストはまた、必ずしも免疫応答を誘発す
ることなく、感染因子(感染因子を列挙する適用の節などを参照のこと)を直接
阻害し得る。
【0372】 本発明のさらなる好ましい実施形態には、以下の適用におけるポリペプチド、
抗体、ポリヌクレオチドおよび/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストの使
用が挙げられるが、これらには限定されない: 免疫系をブーストするため、1以上の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM
およびIgE)の増加した量を産生するため、より高い親和性の抗体産物(例え
ば、IgG、IgA、IgMおよびIgE)を誘導するため、および/または免
疫応答を増大するための、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター
、モルモット、ブタ、ミニブタ(micro pig)、ニワトリ、ラクダ、ヤ
ギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類およびヒト、最も好ましく
はヒト)への投与。
【0373】 機能的な内因性抗体分子を産生することが不可能であるか、または別の易感染
性の内因性免疫系を有するが、別の動物からの再構築または部分的に再構築され
る免疫系の手段により、ヒト免疫グロブリン分子を産生することが可能である動
物(上に列挙される動物を含むが、これらに限定されず、トランスジェニック動
物もまた含む)への投与。(例えば、公開されたPCT出願WO 98/248
93、WO/9634096、WO/9633735、およびWO/91107
41を参照のこと)。
【0374】 特定の抗原に対する免疫応答性を増大するワクチンアジュバント。
【0375】 腫瘍特異的免疫応答を増大するためのアジュバント。
【0376】 抗ウイルス免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュバントとして本発
明の組成物を使用して増大され得る抗ウイルス免疫応答は、ウイルスおよび本明
細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の疾患または症状に関連
するウイルスを含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、ウイルス、
疾患、または症状(これは、AIDS、髄膜炎、デング熱、EBV、および肝炎
(例えば、B型肝炎)からなる群から選択される)に対する免疫応答を増大する
ためのアジュバントとして使用される。別の特定の実施形態において、本発明の
組成物は、ウイルス、疾患、または症状(これは、HIV/AIDS、RSウイ
ルス、デング熱、ロタウイルス、日本脳炎、インフルエンザAおよびB、パライ
ンフルエンザ、麻疹、サイトメガロウイルス、狂犬病、ジュニン(Junin)
、チクングニヤ、リフトバレー熱、単純疱疹、および黄熱病からなる群から選択
される)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
【0377】 抗細菌免疫応答または抗真菌免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュ
バントとして本発明の組成物を使用して増大され得る抗細菌免疫応答または抗真
菌免疫応答としては、細菌または真菌、および本明細書中に記載されるか、また
はさもなくば当該分野で公知の疾患または症状に関連する細菌または真菌が挙げ
られる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、細菌または真菌、疾患、
または症状(これは、破傷風、ジフテリア、ボツリスム、およびB型髄膜炎から
なる群から選択される)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして
使用される。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、細菌または真菌
、疾患、または症状(これは、Vibrio cholerae、Mycoba
cterium leprae、Salmonella typhi、Salm
onella paratyphi、Meisseria meningiti
dis、Streptococcus pneumoniae、Group B
streptococcus、Shigella spp.、Enterot
oxigenic Escherichia coli、Enterohemo
rrhagic E.coli、Borrelia burgdorferi、
およびPlasmodium(マラリア)からなる群から選択される)に対する
免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
【0378】 抗寄生生物免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュバントとして本発
明の組成物を使用して増大され得る抗寄生生物免疫応答としては、寄生生物、お
よび本明細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の疾患または症
状に関連する寄生生物が挙げられる。特定の実施形態において、本発明の組成物
は、寄生生物に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される
。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、Plasmodium(マ
ラリア)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
【0379】 病原に対するB細胞応答性の刺激物質として。
【0380】 T細胞のアクチベーターとして。
【0381】 免疫抑制性治療を受ける前の、個体の免疫状態を増大させる薬剤として。
【0382】 より高い親和性抗体を誘導するための薬剤として。
【0383】 血清免疫グロブリン濃度を増加するための薬剤として。
【0384】 免疫無防備状態の個体の回復を促進するための薬剤として。
【0385】 高齢の集団の間の免疫応答性をブーストするための薬剤として。
【0386】 骨髄移植および/または他の移植(例えば、同種異系または外因性の器官移植
)の前、間、または後の免疫系エンハンサーとして。移植に関して、本発明の組
成物は、移植の前、同時、および/または後に投与され得る。特定の実施形態に
おいて、本発明の組成物は、移植の後、T細胞集団の回復の開始前に投与される
。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、移植の後、T細胞集団の回
復の開始後であるが、B細胞集団の完全な回復の前に最初に投与される。
【0387】 B細胞機能の後天的欠損を有する個体間で免疫応答性をブーストするための薬
剤として。ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはそれらのアゴ
ニストもしくはアンタゴニストを投与することによって回復または処置され得る
、B細胞機能の後天的欠損を生じる状態としては、HIV感染、AIDS、骨髄
移植、およびB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)が挙げられるが、これらに
限定されない。
【0388】 一時的な免疫不全を有する個体間で免疫応答性をブーストするための薬剤とし
て。ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはそれらのアゴニスト
もしくはアンタゴニストを投与することによって回復または処置され得る、一時
的な免疫不全を生じる状態としては、ウイルス感染(例えば、インフルエンザ)
からの回復、栄養失調に関連する状態、感染性単核細胞症からの回復、またはス
トレスに関連する状態、麻疹からの回復、輸血からの回復、手術からの回復が挙
げられるが、これらに限定されない。
【0389】 単球、樹状細胞および/またはB細胞による抗原提示のレギュレーターとして
。1つの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体な
らびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストは、インビトロまたはインビ
ボで抗原提示を増強するかまたは抗原提示をアンタゴナイズする。さらに、関連
する実施形態において、この抗原提示の増強またはアンタゴナイズは、抗腫瘍処
置としてかまたは免疫系を調節するために有用であり得る。
【0390】 個体の免疫系を、TH1細胞性応答とは反対に、体液性応答(すなわち、TH
2)の発生に指向するための薬剤として。
【0391】 腫瘍増殖を誘導し、従って、腫瘍を抗腫瘍性薬剤に対してより感受性にするた
めの手段として。例えば、多発性骨髄腫は、緩慢な細胞分裂(dividing
)の疾患であり、従って、実質的に全ての抗腫瘍性レジメンに対して不応性であ
る。これらの細胞は、より迅速に増殖させた場合、これらの感受性プロフィール
は、おそらく変化するであろう。
【0392】 AIDS、慢性リンパ球障害および/または分類不能性免疫不全症(Comm
on Variable Immunodificiency)のような病理に
おけるB細胞の産生の刺激因子として。
【0393】 手術、外傷または遺伝的欠陥後のリンパ組織の生成および/または再生のため
の治療として。
【0394】 SCID患者の間で観察されるような免疫不全を生じる遺伝性の障害のための
遺伝子ベースの治療として。
【0395】 本発明のポリペプチドに対して免疫媒介応答を阻害または増強するための抗体
を生成するための抗原として。
【0396】 T細胞を活性化する手段として。
【0397】 単球に影響を及ぼす寄生生物疾患(リーシュマニア属(Leshmania)
)に対して防御するために単球/マクロファージを活性化する手段として。
【0398】 移植前の骨髄サンプルの前処理として。このような処理は、B細胞提示を増加
し、従って回復を加速する。
【0399】 本発明のポリペプチドによって誘発される分泌サイトカインを調節する手段と
して。
【0400】 さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、ならびに/あるいは
それらのアゴニストは、IgE媒介アレルギー応答を処置または予防するために
使用され得る。このようなアレルギー反応としては、ぜん息、鼻炎および湿疹が
挙げられるが、これらに限定されない。
【0401】 上記の適用の全ては、獣医学的医療に適用され得る。
【0402】 本発明のアンタゴニストとしては、例えば結合および/または阻害性の抗体、
アンチセンス核酸、リボザイムまたは可溶型KDC様レセプター(例えば、KD
C様−Fc融合タンパク質)(例えば、実施例9を参照のこと)が挙げられる。
これらは、上記のリガンドの活性の多くを無効にし、そして以下のような臨床的
または実用的な適用を見い出すことが予測される。
【0403】 外来因子または自己に対する種々の局面の免疫応答をブロックする手段として
。例としては、狼瘡および関節炎のような自己免疫障害、ならびに皮膚アレルギ
ー、炎症、腸疾患、損傷および病原体に対する免疫応答が挙げられる。
【0404】 自己免疫疾患(例えば、特発性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデス
およびMS)に関連するB細胞増殖およびIg分泌を妨げるための治療として。
【0405】 内皮細胞におけるB細胞および/またはT細胞の遊走のインヒビターとして。
この活性は、組織構造または同属の応答を破壊し、そして例えば、免疫応答の破
壊および敗血症のブロックにおいて有用である。
【0406】 対宿主性移植片病または移植片拒絶のインヒビターとして。
【0407】 ALL、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、プラスマ
細胞腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫およびEBV変換性(EBV−tr
ansformed)疾患のようなB細胞および/またはT細胞の悪性疾患のた
めの治療。
【0408】 未定量有意性の単一クローン性高ガンマグロブリン血症(monoclona
lgammopathy of undetermined signific
ance)(MGUS)、ヴァルデンストレーム疾患、関連する特発性単一クロ
ーン性高ガンマグロブリン血症、およびプラスマ細胞腫のような疾患における、
慢性の高ガンマグロブリン血症事象のための治療。
【0409】 ラージB細胞リンパ腫の細胞増殖を減少するための治療。
【0410】 慢性骨髄性白血病に関連するB細胞およびIgの関与を減少する手段。
【0411】 免疫抑制剤。
【0412】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体ならびに/あるいはアゴニス
トまたはアンタゴニストは、インビトロまたはインビボでのIgE濃度を調節す
るために使用され得る。
【0413】 別の実施形態において、本発明のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドなら
びに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストの投与は、ぜん息、鼻炎および
湿疹を含むがこれらに限定されない、IgE媒介アレルギー反応を処置または予
防するために使用され得る。
【0414】 アゴニストおよびアンタゴニストは、例えば本明細書中に記載されるような、
薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物において使用され得る。
【0415】 アゴニストまたはアンタゴニストは、例えば、特定の自己免疫疾患および慢性
炎症疾患および感染性疾患における、マクロファージおよびその前駆体、ならび
に好中球、好塩基球、Bリンパ球およびいくつかのT細胞サブセット(例えば、
活性化T細胞およびCD8細胞傷害性T細胞ならびにナチュラルキラー細胞)の
、ポリペプチド走化性および活性化を阻害するために使用され得る。自己免疫疾
患の例は、本明細書中に記載され、これらには、多発性硬化症およびインスリン
依存性糖尿病が挙げられる。アンタゴニストまたはアゴニストはまた、例えば、
単核食細胞の漸増および活性化を妨げることによって、珪肺症、サルコイドーシ
ス、特発性肺線維症を含む、感染性疾患を処置するために使用され得る。これら
はまた、例えば、好酸球の産生および遊走を妨げることによって、特発性好酸球
増多症候群を処置するために使用され得る。アンタゴニストまたはアゴニストは
また、例えば、動脈壁における単球浸潤を妨げることによって、アテローム性動
脈硬化症を処置するために使用され得る。
【0416】 本発明のポリペプチドに対する抗体は、ARDSを処置するために使用され得
る。
【0417】 本発明のアゴニストおよび/またはアンタゴニストはまた、創傷および組織の
修復の刺激、新脈管形成の刺激、血管またはリンパの疾患または障害の修復の刺
激における用途を有する。さらに、本発明のアゴニストおよびアンタゴニストは
、粘膜表面の再生を刺激するために使用され得る。
【0418】 特定の実施形態において、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびに/
あるいはそれらのアゴニストは、原発性または後天性の免疫不全症、欠損性の血
清免疫グロブリン産生、再発性の感染および/または免疫機能不全によって特徴
付けられる障害を処置または予防するために使用される。さらに、ポリヌクレオ
チドまたはポリペプチド、ならびに/あるいはそれらのアゴニストは、関節、骨
、皮膚および/または耳下腺の感染、血液由来の感染(例えば、敗血症、髄膜炎
、敗血症性関節炎および/または骨髄炎)、自己免疫疾患(例えば、本明細書中
に開示されるような自己免疫疾患)、炎症性障害、および悪性疾患、ならびに/
あるいは、これらの感染、疾患および/または悪性疾患に関連する任意の疾患ま
たは障害または状態(CVID、他の原発性免疫不全、HIV疾患、CLL、再
発性気管支炎、静脈洞炎、中耳炎、結膜炎、肺炎、肝炎、髄膜炎、帯状ヘルペス
(例えば、重篤な帯状ヘルペス)および/またはニューモシスティスを含むが、
これらに限定されない)を処置または予防するために使用され得る。
【0419】 別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体なら
びに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストは、分類不能性免疫不全症(C
ommon Variable Immunodificiency)(「CV
ID」;「後天性無ガンマグロブリン血症」および「後天性低ガンマグロブリン
血症」としても公知である)またはこの疾患のサブセットを有する個体を、処置
および/または診断するために使用される。
【0420】 特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体な
らびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストは、(1)癌または新形成お
よび(2)自己免疫細胞または組織関連の癌または新形成を、処置、診断および
/または予防するために使用され得る。好ましい実施形態において、本明細書中
に記載されるような、毒素または放射性同位体に結合体化された本発明のポリヌ
クレオチド、ポリペプチド、抗体ならびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴ
ニストは、急性骨髄性白血病を処置、診断、および/または予防するために使用
され得る。さらに好ましい実施形態において、本明細書中に記載されるような、
毒素または放射性同位体に結合体化された本発明のポリヌクレオチド、ポリペプ
チド、抗体ならびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストは、慢性骨髄性
白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、および/またはホジキン病を処置
、診断、および/または予防するために使用され得る。
【0421】 別の特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチ
ド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用して、選択的Ig
A欠損、ミエロペルオキシダーゼ欠損、C2欠損、毛細管拡張性運動失調、ディ
・ジョージ奇形、分類不能型免疫不全(CVI)、X連鎖無ガンマグロブリン血
、重症複合免疫不全(SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、およびヴィスコッ
ト−オールドリッチ症候群を処置、診断、予後診断、および/または予防し得る
【0422】 処置または検出され得る自己免疫障害の例は、上記に記載され、またこれらと
しては、アディソン病、溶血性貧血、抗リン脂質症候群、慢性関節リウマチ、皮
膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴ
ズ病、多発性硬化症、重症筋無力症、神経炎、眼炎痛、水疱性類天疱瘡、天疱瘡
、多発性内分泌腺症、紫斑病、ライター病、スティッフマン症候群、自己免疫性
甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、自己免疫性の肺の炎症、ギヤン−バレー症
候群、インスリン依存性糖尿病、および自己免疫炎症性眼疾患が挙げられるが、
それらに限定されない。
【0423】 好ましい実施形態において、上記に列挙した疾患および障害に関連する自己免
疫性の疾患および障害ならびに/あるいは状態は、KDC様抗体および/または
抗KDC様抗体および/または本発明の可溶性KDC様ポリペプチドを使用して
、処置、予防および/または診断される。
【0424】 特定の実施形態において、本発明の成分は、B細胞免疫欠損の個体(例えば、
部分的または完全な脾摘出を受けた個体)間の免疫応答性をブーストするための
薬剤として使用される。
【0425】 さらに、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニ
ストは、アポトーシスに影響し得、従って、細胞生存の増大あるいはアポトーシ
スの阻害に関連する多くの疾患の処置において有用である。例えば、本発明のポ
リヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストによって処置また
は検出され得る、細胞生存の増大あるいはアポトーシスの阻害に関連する疾患と
しては、癌(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異を有する癌腫、およびホルモ
ン依存性腫瘍、これらは以下:結腸癌、心臓腫瘍、膵臓癌、黒色腫、網膜芽細胞
腫、神経膠芽細胞腫、肺癌、腸の癌、精巣癌、胃癌、神経芽細胞腫、粘液腫、筋
腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、骨巨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳
癌、前立腺癌、カポージ肉腫および卵巣癌を含むが、これらに限定されない);
自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆
汁性肝硬変、ベーチェット病(Behcet’s disease)、クローン
病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢
性関節リウマチ)およびウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウ
イルスおよびアデノウイルス)、炎症、対宿主性移植片病、急性移植片拒絶、な
らびに慢性移植片拒絶、が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明のポ
リヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストは、特に上記に列
挙される癌の増殖、進行、および/または転移を阻害するために使用される。
【0426】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストによ
って処置または検出され得る、細胞生存の増大に関連するさらなる疾患または状
態としては、悪性疾患ならびに以下のような関連する障害の進行および/または
転移が挙げられるが、これらに限定されない:白血病(急性白血病(例えば、急
性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、
単球性および赤白血病を含む)を含む)ならびに慢性白血病(例えば、慢性骨髄
性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病))、真性赤血球増加症、リ
ンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデン
ストレームマクログロブリン血症、H鎖病、ならびに固形腫瘍(肉腫および癌腫
(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血
管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リ
ンパ管内皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結
腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌腫、基底細胞癌腫、腺癌
、汗腺癌腫、皮脂腺癌腫、乳頭状癌腫、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌腫、気管
支原生癌腫、腎細胞癌腫、肝細胞癌、胆管癌腫、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌
腫、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌腫、小細胞肺癌腫、膀胱癌腫、上
皮癌腫、神経膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞
腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menan
gioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫)を含むが、これら
に限定されない)。
【0427】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストによ
って処置または検出され得る、アポトーシスの増大に関連する疾患としては、以
下が挙げられる:AIDS;神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキ
ンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性および脳腫瘍または以
前に関連した疾患);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候
群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病(Behcet’s dis
ease)、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連
糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)、脊髄形成異常症候群(例えば、再生不
良性貧血)、対宿主性移植片病、虚血性傷害(心筋梗塞、発作および再灌流傷害
によって生じるようなもの)、肝臓傷害(例えば、肝炎関連肝臓傷害、虚血/再
灌流傷害、胆汁うっ滞(cholestosis)(胆管傷害)および肝臓癌)
;毒物誘導性肝臓疾患(アルコールによって引き起こされるようなもの)、敗血
症性ショック、悪液質ならびに食欲不振。
【0428】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびに/あるいはアンタ
ゴニストによって検出および/または処置され得る過剰増殖の疾患および/また
は障害の例としては、肝臓、腹部、骨、乳房、消化器系、膵臓、腹膜、内分泌腺
(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭部および頸部
、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、なら
びに泌尿生殖器に位置する新生物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0429】 同様に、他の過剰増殖障害もまた、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペ
プチド、ならびに/あるいはアンタゴニストにより処置または検出され得る。こ
のような過剰増殖性障害の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されな
い:高ガンマグロブリン血症、リンパ球増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑
、サルコイドーシス、セザリー症候群、ヴァルデンストレームマクログロブリン
血症、ゴシェ病、組織球増殖症、および任意の他の過剰増殖性疾患、加えて上記
に列挙した器官系に見出される新生物。
【0430】 (過剰増殖障害) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストを使用し、新生物を含む過剰増殖障害を処置または検出し得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはア
ンタゴニストは、直接的または間接的な相互作用を介してこの障害の増殖を阻害
し得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはア
ゴニストもしくはアンタゴニストは、過剰増殖障害を阻害し得る他の細胞を増殖
し得る。
【0431】 例えば、免疫応答を増大させること、特に過剰増殖障害の抗原性の質を増大さ
せることによって、またはT細胞を増殖、分化、もしくは動員することによって
、過剰増殖障害を処置し得る。既存の免疫応答を増強するか、または新たな免疫
応答を開始するかのいずれかによって、この免疫応答を増大させ得る。あるいは
、免疫応答を減少させることもまた、化学療法剤のような、過剰増殖障害を処置
する方法であり得る。
【0432】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストによって処置または検出され得る過剰増殖障害の例としては、結
腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体
、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭部および頸部、神経(中枢およ
び末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、ならびに泌尿生殖器に
位置する新生物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0433】 同様に、他の過剰増殖障害もまた、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペ
プチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストにより処置または検出され得
る。このような過剰増殖性障害の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定
されない:高ガンマグロブリン血症、リンパ球増殖性障害、パラプロテイン血症
、紫斑、サルコイドーシス、セザリー症候群、ヴァルデンストレームマクログロ
ブリン血症、ゴシェ病、組織球増殖症、および任意の他の過剰増殖性疾患、加え
て上記に列挙した器官系に見出される新生物。
【0434】 本発明のポリヌクレオチドを利用する1つの好ましい実施形態は、本発明およ
び/または融合タンパク質もしくはそのフラグメントを用いる遺伝子治療によっ
て、異常な細胞分裂を阻害することである。
【0435】 従って、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを異常に増殖している細胞に挿
入することによって、細胞増殖性障害を処置するための方法を提供し、ここでこ
のポリヌクレオチドはこの発現を示す。
【0436】 本発明の別の実施形態は、個体における細胞増殖性障害を処置する方法を提供
し、この方法は、本発明の1以上の活性遺伝子コピーを異常に増殖している1つ
の細胞または複数の細胞に投与することを包含する。好ましい実施形態において
は、本発明のポリヌクレオチドは、このポリヌクレオチドをコードするDNA配
列の発現において有効な組換え発現ベクターを含むDNA構築物である。本発明
の別の好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドをコードするD
NA構築物は、レトロウイルスベクター、またはより好ましくは、アデノウイル
スベクターを用いて、処理されるべき細胞に挿入される(G J.Nabelら
、PNAS 1999 96:324−326(これは、本明細書中に参考とし
て援用される)を参照のこと)。最も好ましい実施形態においては、ウイルスベ
クターは不完全であり、非増殖性細胞ではなく増殖性細胞のみを形質転換する。
さらに、好ましい実施形態においては、単独、または他のポリヌクレオチドと組
み合わされたかもしくは融合されたかのいずれかで増殖性細胞に挿入される本発
明のポリヌクレオチドは、次いで外部刺激(すなわち、磁気、特異的小分子、化
学的、または薬物投与など)を介して調節され得、これはこのポリヌクレオチド
の上流のプロモーターに作用し、コードされたタンパク質産物の発現を誘導する
。このように、本発明の有益な治療効果は、この外部刺激に基づいて明確に調節
され得る(すなわち、本発明の発現を増加、減少、または阻害する)。
【0437】 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、他の脈管形成タンパ
ク質をコードする他のポリヌクレオチドと一緒に投与され得る。脈管形成タンパ
ク質の例としては、酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子、VEGF−1、V
EGF−2、VEGF−3、上皮増殖因子αおよびβ、血小板由来の内皮細胞増
殖因子、血小板由来増殖因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞増殖因子、インスリン様
増殖因子、コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球/マク
ロファージコロニー刺激因子、および一酸化窒素シンターゼが挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0438】 本発明のポリヌクレオチドは、発癌遺伝子または抗原の発現の抑制において有
用であり得る。「発癌遺伝子の発現の抑制」によって、遺伝子の転写の抑制、遺
伝子転写物の分解(プレメッセージ(pre−message)RNA)、スプ
ライシングの阻害、メッセンジャーRNAの破壊、タンパク質の翻訳後改変の予
防、タンパク質の破壊、またはタンパク質の正常な機能の阻害が意図される。
【0439】 異常に増殖している細胞への局所的投与のために、本発明のポリヌクレオチド
は当業者に公知の任意の方法によって投与され得、この方法としては、トランス
フェクション、エレクトロポレーション、細胞の微量注入、またはビヒクル(例
えば、リポソーム、リポフェクチン)中で、または裸のポリヌクレオチドとして
、または本明細書を通して記載される任意の他の方法が挙げられるが、これらに
限定されない。本発明のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子送達系(例えば、レ
トロウイルスベクター(Gilboa,J.Virology 44:845(
1982);Hocke,Nature 320:275(1986);Wil
sonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:301
4)、ワクシニアウイルス系(Chakrabartyら、Mol.Cell
Biol.5:3403(1985))または当業者に公知の他の有効なDNA
送達系(Yatesら、Nature 313:812(1985))があるが
、これらに限定されない)によって送達され得る。これらの参考文献は、例示の
みであり、本明細書中に参考として援用される。異常に増殖している細胞を特異
的に送達またはトランスフェクトし、そして非分裂細胞を使わないために、当業
者に公知のレトロウイルス、またはアデノウイルス(当該分野および本明細書中
のいずれかに記載のような)送達系を使用することが好ましい。レトロウイルス
はそのライフサイクルに必要なレトロウイルス遺伝子を欠くために自己複製でき
ないため、宿主DNA複製は、組み込みのためにレトロウイルスDNAを必要と
する。このようなレトロウイルス送達系を本発明のポリヌクレオチドのために用
いることによって、この遺伝子および構築物は異常に増殖している細胞を標的と
し、そして非分裂正常細胞を使用しない。
【0440】 本発明のポリヌクレオチドは、注射針を疾患部位に直接導くために使用される
画像化デバイスの使用によって、内部器管、体腔などにおける細胞増殖性障害/
疾患部位へ直接送達され得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、外科的処置の
ときに疾患部位へ投与され得る。
【0441】 「細胞増殖性疾患」によって、器管、腔、または身体の部分の任意の1つまた
は任意の組み合わせに影響を与える、任意のヒトまたは動物の疾患もしくは障害
が意味され、これは良性であるか悪性であるかに関わらず、細胞、細胞の群、ま
たは組織の単一または複数の局所的異常増殖によって特徴付けられる。
【0442】 本発明のポリヌクレオチドが処置される細胞の増殖に対して生物学的に阻害す
る効果を有する限り、本発明のポリヌクレオチドの任意の量が投与され得る。さ
らに、本発明のポリヌクレオチドの1つより多くを、同じ部位へ同時に投与する
ことが可能である。「生物学的に阻害する」によって、細胞の部分的または全体
的な増殖阻害および細胞の増殖または成長の速度における減少が意味される。生
物学的阻害用量は、組織培養物における標的悪性細胞増殖もしくは異常増殖細胞
増殖、動物および細胞培養物における腫瘍増殖に対する本発明のポリヌクレオチ
ドの効果を評価することによって、または当業者に公知の任意の他の方法によっ
て決定され得る。
【0443】 本発明はさらに、抗体に基づく治療に関し、この治療は、1以上の記載された
障害を処置するために、抗ポリペプチド抗体および抗ポリヌクレオチド抗体を哺
乳動物(好ましくは、ヒト)患者に投与する工程を包含する。抗ポリペプチド抗
体および抗ポリヌクレオチド抗体のポリクロナール抗体およびモノクロナール抗
体を生成するための方法は、本明細書中のいずれかに詳細に記載される。このよ
うな抗体は、当該分野において公知であるかまたは本明細書中に記載されるよう
な薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る。
【0444】 本発明の抗体が治療的に使用され得る方法の要旨は、本発明のポリヌクレオチ
ドまたはポリペプチドを、身体中で局所的もしくは全体的に、または抗体の直接
的な細胞傷害性によって(例えば、相補細胞(CDC)またはエフェクター細胞
(ADCC)によって媒介されるように)結合させる工程を包含する。これらの
アプローチのいくつかは、以下により詳細に記載される。本明細書中に提供され
る教示によって、当業者は過度の実験なしで、本発明の抗体を診断目的、モニタ
リング目的または治療目的のために使用する方法を理解する。
【0445】 特に、本発明の抗体、フラグメントおよび誘導体は、本明細書中に記載される
ような細胞増殖性障害および/または細胞分化障害を有しているかまたは発症し
ている被験体を処置するために有用である。このような処置は、抗体もしくはフ
ラグメント、誘導体またはそれらの結合体の単一または複数の用量を投与する工
程を包含する。
【0446】 本発明の抗体は、例えば、他のモノクロナール抗体もしくはキメラ抗体と組み
合わせて、またはリンホカインもしくは造血成長因子と組み合わせて有利に使用
され得、これは抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活性を増加させ
るために役立つ。
【0447】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して高親和性および/また
は強力なインビボ阻害および/または中和抗体、それらのフラグメントもしくは
領域を、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらのフラグメント
を含む)に関するイムノアッセイおよびそれらに関連する障害の治療の両方のた
めに使用することが好ましい。このような抗体、フラグメントまたは領域は、好
ましくは、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらのフラグメントを含む
)に対する親和性を有する。好ましい結合親和性としては、5×10-6M、10 -6 M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10 -9 M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12
、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×1
-15Mおよび10-15M未満の解離定数すなわちKdを伴う結合親和性が挙げら
れる。
【0448】 さらに、本明細書中のいずれかに記載されるように、本発明のポリペプチドは
、単独で、融合タンパク質として、または他のポリペプチドと組み合わせて、直
接的または間接的のいずれかで、増殖性細胞または組織の新脈管形成の阻害にお
いて有用である。最も好ましい実施形態においては、この抗新脈管形成効果は、
例えば造血性細胞、腫瘍特異的細胞(例えば、腫瘍関連マクロファージ)の阻害
を通して、間接的に達成され得る(Joseph IBら、J Natl Ca
ncer Inst,90(21):1648−53(1998)(これは本明
細書中に参考として援用される)を参照のこと)。本発明のポリペプチドまたは
ポリヌクレオチドを指向する抗体はまた、直接的または間接的に新脈管形成の阻
害を生じ得る(Witte Lら、Cancer Metastasis Re
v.17(2):155−61(1998)(これは本明細書中に参考として援
用される)を参照のこと)。
【0449】 本発明のポリペプチド(融合タンパク質を含む)またはそのフラグメントは、
アポトーシスの誘導を通した増殖性細胞または組織の阻害において有用であり得
る。このポリペプチドは、例えばデスドメインレセプター(例えば、腫瘍壊死因
子(TNF)レセプター1、CD95(Fas/APO−1)、TNFレセプタ
ー関連アポトーシス媒介タンパク質(TRAMP)およびTNF関連アポトーシ
ス誘導リガンド(TRAIL)レセプター1およびレセプター2)の活性化にお
いて、直接的または間接的のいずれかで、増殖性細胞および組織のアポトーシス
を誘導するために作用し得る(Schulze−Osthoff Kら、Eur
J Biochem 254(3):439−59(1998)(これは本明
細書中に参考として援用される)を参照のこと)。さらに、本発明の別の好まし
い実施形態においては、このポリペプチドは、他の機構を通して(例えば、アポ
トーシスを活性化する他のタンパク質の活性化において)、あるいは単独または
小分子薬物もしくはアジュバント(例えば、アポプトニン(apoptonin
)、ガレクチン、チオレドキシン、抗炎症タンパク質)との組み合わせのいずれ
かで、このタンパク質の発現の刺激を通して、アポトーシスを誘導し得る(例え
ば、Mutat Res 400(1−2):447−55(1998)、Me
d Hypotheses.50(5):423−33(1998)、Chem
Biol Interact.Apr 24;111−112:23−34(
1998)、J Mol Med.76(6):402−12(1998)、I
nt J Tissue React;20(1):3−15(1998)(こ
れらはすべて本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。
【0450】 本発明のポリペプチド(それとの融合タンパク質もしくはそのフラグメントを
含む)は、増殖性細胞または組織の転移の阻害において有用である。阻害は、ポ
リペプチド、または本明細書中のいずれかに記載されるようなこのポリペプチド
を指向する抗体の投与の直接的な結果として、あるいは間接的に(例えば、転移
を阻害することが知られているタンパク質(例えば、α4インテグリン)の発現
の活性化)生じ得る(例えば、Curr Top Microbiol Imm
unol 1998;231:125−41(これは本明細書中に参考として援
用される)を参照のこと)。本発明のこのような治療的効果は、単独、または小
分子薬物もしくはアジュバントとの組み合わせのいずれかで達成され得る。
【0451】 別の実施形態においては、本発明は、本発明のポリペプチドを含有する組成物
(例えば、異種ポリペプチド、異種核酸、毒素、またはプロドラッグに会合する
ポリペプチドまたはポリペプチド抗体を含有する組成物)を、本発明のポリペプ
チドを発現する標的細胞に送達する方法を提供する。本発明のポリペプチドまた
はポリペプチド抗体は、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合性相
互作用を介して、異種ポリペプチド、異種核酸、毒素、またはプロドラッグに会
合し得る。
【0452】 本発明のポリペプチド、それらとの融合タンパク質またはそれらのフラグメン
トは、直接的(例えば、本発明のポリペプチドが増殖性抗原および免疫原に応答
するために、免疫応答を「ワクチン接種した」場合に起こるように)、または間
接的(例えば、この抗原および免疫原に対する免疫応答を増強することが知られ
ているタンパク質(例えば、ケモカイン)の発現の活性化におけるように)のい
ずれかで、増殖細胞または組織の免疫原性および/または抗原性の増強において
有用である。
【0453】 (心臓血管障害) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストを使用して、四肢虚血のような末梢動脈疾患を含む、心臓血管障
害を処置し得る。
【0454】 心臓血管障害としては、動動脈瘻(arterio−arterial fi
stula)、動静脈瘻、大脳動静脈先天異常、先天性心欠陥(congeni
tal heart defects)、肺動脈弁閉鎖症、およびシミター症候
群のような心臓血管異常が挙げられる。先天性心欠陥としては、大動脈縮窄、三
房心、冠状脈管奇形(coronary vessel anomalies)
、交差心、右胸心、開存性動脈管(patent ductus arteri
osus)、エブスタイン奇形、アイゼンメンガー複合体、左心室発育不全症候
群、左胸心、ファロー四徴症、大血管転位症、両大血管右室起始症、三尖弁閉鎖
症、動脈管遺残、および心中隔欠損症(heart septal defec
ts)(例えば、大動脈肺動脈中隔欠損症(aortopulmonary s
eptal defect)、心内膜床欠損症、リュタンバッシェ症候群、ファ
ロー三徴症、心室心中隔欠損症(ventricular heart sep
tal defects))が挙げられる。
【0455】 心臓血管障害としてはまた、不整脈、カルチノイド心臓病、高心拍出量(hi
gh cardiac output)、低心拍出量(low cardiac
output)、心タンポナーデ、心内膜炎(細菌性を含む)、心臓動脈瘤、
心停止、うっ血性心不全、うっ血性心筋症、発作性呼吸困難、心臓水腫、心肥大
、うっ血性心筋症、左心室肥大、右心室肥大、梗塞後心破裂(post−inf
arction heart rupture)、心室中隔破裂、心臓弁疾患、
心筋疾患、心筋虚血、心内膜液浸出、心外膜炎(梗塞性および結核性を含む)、
気心膜症、心膜切開後症候群、右心疾患、リウマチ性心疾患、心室機能不全、充
血、心臓血管妊娠合併症(cardiovascular pregnancy
complications)、シミター症候群、心血管梅毒、および心血管
結核(cardiovascular tuberculosis)のような心
臓病が挙げられる。
【0456】 不整脈としては、洞性不整脈、心房性細動、心房粗動、徐脈、期外収縮、アダ
ムズ−ストークス症候群、脚ブロック、洞房ブロック、長QT症候群(long
QT syndrome)、副収縮、ローン−ギャノング−レヴァイン症候群
、マヘーム型早期興奮症候群(Mahaim−type pre−excita
tion syndrome)、ウルフ−パーキンソン−ホワイト症候群、洞不
全症候群、頻拍、および心室性細動が挙げられる。頻拍としては、発作性頻拍、
上室性頻拍、心室固有調律促進、房室結節性再入頻拍(atrioventri
cular nodal reentry tachycardia)、異所心
房性頻拍、異所接合部頻拍、洞房結節性再入頻拍(sinoatrial no
dal reentry tachycardia)、洞性頻拍、トルサード・
ド・ポワント、および心室性頻拍が挙げられる。
【0457】 心臓弁疾患としては、大動脈弁機能不全症、大動脈弁狭窄症、心雑音(hea
r murmurs)、大動脈弁逸脱症、僧帽弁逸脱症、三尖弁逸脱症、僧帽弁
機能不全、僧帽弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖症、肺動脈弁機能不全、肺動脈弁狭窄症
、三尖閉鎖症、三尖弁機能不全、および三尖弁狭窄症が挙げられる。
【0458】 心筋疾患としては、アルコール性心筋症、うっ血性心筋症、肥大型心筋症、弁
下部性大動脈狭搾症、弁下部性肺動脈狭搾症、拘束型心筋症、シャーガス心筋症
、心内膜線維弾性症、心内膜心筋線維症、キーンズ症候群、心筋再灌流障害、お
よび心筋炎が挙げられる。
【0459】 心筋性虚血としては、狭心症、冠動脈瘤、冠動脈硬化、冠動脈血栓症、冠動脈
血管痙攣、心筋梗塞、および心筋気絶(myocardial stunnin
g)のような冠動脈疾患が挙げられる。
【0460】 心臓血管疾患としてはまた、動脈瘤、血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫
症状、ヒッペル−リンダラ疾患(Hippel−Lindau Disease
)、クリペル−トルノネー−ウェーバー症候群、スタージ−ウェーバー症候群、
血管運動神経性水腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動脈炎、ルリーシュ症候群、
動脈閉塞疾患、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性多発性
動脈炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、塞栓症、血栓症、先
端紅痛症、痔、肝静脈閉塞障害、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管障害、静脈炎
、肺静脈閉塞疾患、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞
疾患、レーノー病、CREST症候群、網膜静脈閉塞、シミター症候群、上大静
脈症候群、毛細血管拡張症、毛細血管拡張性運動失調(atacia tela
ngiectasia)、遺伝性出血性毛細管拡張症、精索静脈瘤、拡張蛇行静
脈、静脈瘤性潰瘍、脈管炎、および静脈機能不全のような血管疾患が挙げられる
【0461】 動脈瘤としては、解離性動脈瘤、偽動脈瘤、感染した動脈瘤、破裂した動脈瘤
、大動脈性動脈瘤、大脳性動脈瘤、冠動脈瘤、心動脈瘤、および腸骨性動脈瘤が
挙げられる。
【0462】 動脈閉塞疾患としては、動脈硬化症、間欠性跛行、頸動脈狭窄症、線維筋性形
成異常、腸間膜性血管閉塞、モヤモヤ病、腎動脈閉塞、網膜動脈閉塞、および閉
塞性血栓性血管炎が挙げられる。
【0463】 脳血管障害としては、頸動脈疾患、脳のアミロイドアンギオパチー、大脳動脈
瘤、大脳無酸素症、大脳動脈硬化、大脳動静脈先天異常、大脳動脈疾患、大脳の
塞栓症および血栓症、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、大脳出
血、硬膜上血腫、硬膜下血腫、クモ膜下出血(subaraxhnoid he
morrhage)、大脳梗塞、大脳虚血(一過性を含む)、鎖骨下動脈盗血症
候群、室周白軟化症(periventricular leukomalac
ia)、血管性頭痛、群発性頭痛、片頭痛、および椎骨基部(vertebro
basilar)機能不全が挙げられる。
【0464】 塞栓症としては、空気塞栓症、羊水塞栓症、コレステロール塞栓症、爪先チア
ノーゼ症候群、脂肪塞栓症、肺動脈塞栓症、および血栓塞栓症が挙げられる。血
栓症としては、冠状動脈血栓症、肝静脈血栓症、網膜静脈閉塞、頸動脈血栓症、
洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、および血栓性静脈炎が挙げられる。
【0465】 虚血としては、大脳虚血、虚血性大腸炎、仕切り症候群(compartme
nt syndrome)、前仕切り症候群(anterior compar
tment syndrome)、心筋虚血、再灌流傷害、および末梢四肢虚血
が挙げられる。脈管炎としては、大動脈炎、動脈炎、ベーチェット(Behce
t)症候群、チャーグ−ストラウス症候群、粘膜皮膚リンパ節症候群、閉塞性血
栓性血管炎、過敏性血管炎、シェーンライン−ヘーノホ紫斑病(Schoenl
ein−Henoch purpura)、アレルギー性皮膚血管炎およびヴェ
ーゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0466】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストは、危険な四肢虚血および冠状動脈疾患の処置に対して特に有効
である。
【0467】 ポリペプチドは、当該分野で公知である任意の方法を使用して投与され得、こ
れらの方法としては、送達部位における直接的針注射、静脈内注射、局所投与、
カテーテル注入、微粒子銃(biolistic)注射、粒子加速器、ゲルフォ
ームスポンジデポー、他の市販デポー物質、浸透圧ポンプ、経口または坐剤の固
形薬学的処方物、手術中のデカンティングまたは局所適用、エアロゾル送達が挙
げられるが、これらに限定されない。そのような方法は当該分野で公知である。
ポリペプチドは、下記でより詳細に記載される、治療剤(Therapeuti
c)の一部として投与され得る。ポリヌクレオチドを送達する方法は本明細書中
でより詳細に記載される。
【0468】 (抗新脈管形成活性) 新脈管形成の内因性の、刺激因子とインヒビターとの間の天然に存在する平衡
は、阻害影響が優勢である平衡である。Rastinejadら、Cell 5
6:345〜355(1989)。新生血管形成が正常な生理学的条件下におい
て生じるまれな場合(例えば、創傷治癒、器官再生、胚発生、および雌性生殖プ
ロセス)において、新脈管形成は、厳密に調節され、そして空間的および時間的
に定められる。病的な新脈管形成の条件(例えば、固形腫瘍増殖を特徴付ける)
の下において、これらの調節の制御はできない。調節されていない新脈管形成は
病的になり、そして多くの新生物性疾患および非新生物性疾患の進行を維持する
。多くの重篤な疾患は、固形腫瘍の増殖および転移、関節炎、いくつかの型の眼
の障害および乾癬を含む、異常な新生血管形成により支配される。例えば、Mo
sesら、Biotech.9:630〜634(1991);Folkman
ら、N.Engl.J.Med.、333:1757〜1763(1995);
Auerbachら、J.Microvasc.Res.29:401〜411
(1985);Folkman、Advances in Cancer Re
search、KleinおよびWeinhouse編、Academic P
ress、New York、175〜203頁(1985);Patz、Am
.J.Opthalmol.94:715〜743(1982);およびFol
kmanら、Science 221:719〜725(1983)による概説
を参照のこと。多くの病的状態において、新脈管形成のプロセスは、その疾患状
態に寄与する。例えば、固形腫瘍の増殖が新脈管形成に依存することを示唆する
有意なデータが蓄積されている。FolkmanおよびKlagsbrun、S
cience 235:442〜447(1987)。
【0469】 本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、ならびに
本発明のアゴニストまたはアンタゴニストの投与による新生血管形成に関連する
疾患または障害の処置を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチ
ド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて処置し得る悪性状態およ
び転移性状態には、本明細書に記載の悪性疾患、固形腫瘍、および癌、ならびに
当該分野で公知の他のもの(このような障害の総説については、Fishman
ら、Medicine、第2版、J.B.Lippincott Co.,Ph
iladelphia(1985)を参照のこと)が挙げられるが、これらに限
定されない。従って、本発明は、新脈管形成関連疾患および/または障害の処置
の方法を提供し、この方法は、治療有効量の、本発明のポリヌクレオチド、ポリ
ペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを、その処置の必要な個体
に投与する工程を包含する。例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタ
ゴニストおよび/またはアゴニストは、癌または腫瘍を治療的に処置するために
、種々のさらなる方法で利用され得る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アン
タゴニストおよび/またはアゴニストで処置され得る癌としては、前立腺癌、肺
癌、乳癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、喉頭癌、食道癌、精巣癌、肝臓癌、耳下腺癌
、胆管癌、結腸癌、直腸癌、頸部癌、子宮癌、子宮内膜癌、腎臓癌、膀胱癌、甲
状腺癌を含む固形腫瘍;原発性腫瘍および転移;黒色腫;膠芽腫;カポージ肉腫
;平滑筋肉腫;非小細胞肺癌;結腸直腸癌;進行性(advanced)悪性疾
患;および血液から生じる腫瘍(例えば、白血病)が挙げられるが、これらに限
定されない。例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび
/またはアゴニストは、皮膚癌、頭頸部腫瘍、乳房腫瘍およびカポージ肉腫のよ
うな癌を処置するために、局所送達され得る。
【0470】 なお他の局面において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストお
よび/またはアゴニストは、例えば膀胱内投与によって膀胱癌の表面形態を処置
するために利用され得る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストお
よび/またはアゴニストは、注射またはカテーテルを介して、腫瘍に直接的に、
または腫瘍部位付近に送達され得る。当然のことながら、当業者が理解するよう
に、適切な投与様式は、処置されるべき癌によって変化する。他の送達様式は本
明細書中において議論される。
【0471】 ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニスト
は、癌に加えて、他の障害(新脈管形成を含む)を処置する際に有用であり得る
。これらの障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:良性腫
瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫
);動脈硬化プラーク;眼の脈管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟網膜
症、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖、ルベオーシ
ス、網膜芽細胞腫、ブドウ膜炎(uvietis)および眼の翼状片(Pter
ygia)(異常な血管増殖));慢性関節リウマチ;乾癬;遅延型創傷治癒;
子宮内膜症;脈管形成;顆粒化;過形成性瘢痕(ケロイド);偽関節骨折;強皮
症;トラコーマ;血管接着;心筋の新脈管形成;冠状側副枝(coronary
collaterals);大脳側副枝;動静脈奇形;虚血性四肢新脈管形成
;オースラー−ウェーバー(Osler−Webber)症候群;プラーク新生
血管形成;毛細血管拡張症;血友病性関節;血管線維腫;線維筋性形成異常;創
傷顆粒化;クローン病;およびアテローム性動脈硬化症。
【0472】 例えば、本発明の1つの局面において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプ
チド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを過形成性瘢痕またはケロイド
に投与する工程を包含する、過形成性瘢痕およびケロイドを処置するための方法
が提供される。
【0473】 本発明の1つの実施形態において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタ
ゴニストおよび/またはアゴニストは、過形成性瘢痕またはケロイドに、これら
の病変の進行を妨げるために直接注射される。この治療は、過形成性瘢痕および
ケロイド(例えば、やけど)の発生を生じることが知られている状態の予防処置
において特に価値があり、そして好ましくは、増殖期が進行する時間(最初の傷
害の約14日後)を有した後であるが、過形成性瘢痕またはケロイドの発生の前
に開始される。上述のように、本発明はまた、眼の新生血管形成疾患(例えば、
角膜新生血管形成、血管新生緑内障、増殖性糖尿病網膜症、水晶体後線維増殖お
よび黄斑変性を含む)を処置するための方法を提供する。
【0474】 さらに、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(アゴニストおよび/
またはアンタゴニストを含む)を用いて処置され得る新生血管形成に関連する眼
の障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:血管新生緑内障
、糖尿病網膜症、網膜芽細胞腫、水晶体後線維増殖症、ブドウ膜炎、未熟網膜症
、黄斑変性、角膜移植新生血管形成、ならびに他の眼の炎症性疾患、眼の腫瘍、
および脈絡膜または虹彩の新生血管形成に関連する疾患。例えば、Waltma
nら、Am.J.Ophthal.85:704〜710(1978)およびG
artnerら、Surv.Ophthal.22:291〜312(1978
)による総説を参照のこと。
【0475】 従って、本発明の1つの局面において、治療有効量の化合物(上記)を患者に
対して、血管の形成が阻害されるように角膜に投与する工程を包含する、角膜新
生血管形成(角膜移植新生血管形成を含む)のような眼の新生血管形成疾患を処
置するための方法が、提供される。簡潔には、角膜は、通常には血管を欠く組織
である。しかし、特定の病的状態において、毛細血管は、縁の角膜周囲脈管叢か
ら角膜に伸長し得る。角膜が血管化されるようになる場合、角膜はまた混濁され
るようになり、患者の視力の衰えを生じる。角膜が完全に不透明になる(opa
citate)場合に、視力喪失が完全になり得る。広範な種々の障害は、例え
ば、以下を含む角膜新生血管形成を生じ得る:角膜感染(例えば、トラコーマ、
単純ヘルペス角膜炎、リーシュマニア症およびオンコセルカ症)、免疫学的プロ
セス(例えば、移植片拒絶およびスティーヴンズ−ジョンソン症候群)、アルカ
リやけど、外傷、炎症(任意の原因による)、毒性および栄養欠乏状態、ならび
にコンタクトレンズを装着することの合併症として。
【0476】 特に好ましい実施形態において、本発明は、生理食塩水(眼に用いる調製物に
おいて一般に使用される任意の保存剤および抗菌剤と組合せて)中で局所投与の
ために調製され得、そして点眼剤形態で投与され得る。溶液または懸濁液は、そ
の純粋な形態で調製され得、そして1日に数回投与され得る。あるいは、上記の
ように調製される抗脈管形成組成物はまた、角膜に直接投与され得る。好ましい
実施形態において、抗脈管形成組成物は、角膜に結合する粘膜接着性ポリマーと
ともに調製される。さらなる実施形態において、抗脈管形成因子または抗脈管形
成組成物は、従来のステロイド治療に対する補助剤として利用され得る。局所治
療はまた、脈管形成応答(例えば、化学的やけど)を誘導する高い可能性を有す
ることが公知である角膜病変において予防的に有用であり得る。これらの場合に
おいて、処置(おそらくステロイドと組み合わせられる)は、その後の合併症を
予防するのを補助するために直ちに開始され得る。
【0477】 他の実施形態において、上記の化合物は、角膜支質に直接、顕微鏡の案内の下
で眼科医によって注入され得る。好ましい注射部位は、個々の病巣の形態で変化
し得るが、投与の目標は、脈管構造の前進している面に組成物を置くこと(すな
わち、血管と正常な角膜との間に分散される)である。ほとんどの場合において
、これは、前進している血管から角膜を「防御」するための縁周囲(peril
imbic)角膜注射を含む。この方法はまた、角膜新生血管形成を予防的に防
ぐために、角膜傷害の直後に利用され得る。この状況において、この物質は、角
膜病巣とその所望されない潜在的な血液供給の縁との間に分散して縁周囲角膜に
注射され得る。このような方法はまた、類似の様式で、移植された角膜の毛細血
管浸潤を予防するために利用され得る。徐放形態において、注入は、1年に2〜
3回のみ必要とされ得る。ステロイドもまた、注入溶液に添加され、その注射自
体から生じる炎症を低減し得る。
【0478】 本発明の別の局面において、患者に、血管の形成を阻害するように、治療有効
量のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニス
トを眼に投与する工程を包含する、血管新生緑内障を処置するための方法が提供
される。1つの実施形態において、化合物は、血管新生緑内障の早期形態を処置
するために、眼に局所投与され得る。他の実施形態において、化合物は、前方角
(anterior chamber angle)の領域に注入によって移植
され得る。他の実施形態において、化合物はまた、化合物が眼房水に連続的に放
出されるように、任意の位置に置かれ得る。本発明の別の局面において、患者に
、血管の形成が阻害されるように、治療有効量のポリヌクレオチド、ポリペプチ
ド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを眼に投与する工程を包含する、
増殖性糖尿病性網膜症を処置するための方法が提供される。
【0479】 本発明の特に好ましい実施形態において、増殖性糖尿病性網膜症は、網膜にお
けるポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニス
トの局所濃度を増加させるために、眼房水または硝子体への注入によって処置さ
れ得る。好ましくは、この処置は、光凝固を必要とする重篤な疾患の獲得の前に
開始されるべきである。
【0480】 本発明の別の局面において、血管の形成が阻害されるように、患者に、治療有
効量のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニ
ストを眼に投与する工程を包含する、水晶体後線維増殖症を処置するための方法
が、提供される。化合物は、硝子体内注射を介して、および/または眼内移植を
介して局所投与され得る。
【0481】 さらに、このポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはア
ゴニストで処置され得る障害としては、以下が挙げられるが、それらに限定され
ない:血管腫、関節炎、乾癬、血管線維腫、アテローム性プラーク、遅延型創傷
治癒、顆粒化、血友病性関節、過形成性瘢痕、偽関節骨折、オースラー−ウェー
バー(Osler−Weber)症候群、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、
および血管接着。
【0482】 さらに、このポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはア
ゴニストで処置され得る障害および/または状態としては、以下が挙げられるが
、それらに限定されない:固形腫瘍、血液由来の(blood born)腫瘍
(例えば、白血病)、腫瘍転移、カポージ肉腫、良性腫瘍(例えば、血管腫、聴
神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫)、慢性関節リウマチ、
乾癬、眼の脈管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟網膜症、黄斑変性、角
膜移植拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、ルベオーシス、網膜芽細胞
腫、およびブドウ膜炎)、遅延型創傷治癒、子宮内膜症、脈管形成、顆粒化、過
形成性瘢痕(ケロイド)、偽関節骨折、強皮症、トラコーマ、血管接着、心筋の
新脈管形成、冠状側副枝(coronary collaterals)、大脳
側副枝、動静脈奇形、虚血性四肢新脈管形成、オースラー−ウェーバー症候群、
プラーク新生血管形成、毛細血管拡張症、血友病性関節、血管線維腫、線維筋性
形成異常、創傷顆粒化、クローン病、アテローム性動脈硬化症、産児制限薬剤(
月経を制御する、胎芽着床のために必要な血管新生を予防することによる)、病
原性の結果(例えば、ネコ引っかき病(Rochele minalia qu
intosa)、潰瘍(Helicobacter pylori)、バルトネ
ラ症および細菌性血管腫症状)のような新脈管形成を有する疾患。
【0483】 産児制限方法の1つの局面において、胎芽着床をブロックするに十分な化合物
の量は、性交および受精が起こる前またはその後に投与され、従って産児制限の
有効な方法、おそらく「事後用(morning after)」方法を提供す
る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストは
また、月経を制御することにおいて使用され得るか、または子宮内膜症の処置に
おける腹膜洗浄液として、もしくは腹膜移植のためのいずれかで投与され得る。
【0484】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニ
ストは、縫合(stitch)肉芽腫を予防するために、外科縫合に組み込まれ
得る。
【0485】 ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストは、
広範な種々の外科手順において利用され得る。例えば、本発明の1つの局面にお
いて、組成物(例えば、スプレーまたはフィルムの形態において)は、悪性組織
から正常な周囲の組織を分離するため、そして/または周囲の組織への疾患の広
がりを予防するために、腫瘍の除去の前に、領域をコートまたはスプレーするた
めに利用され得る。本発明の他の局面において、組成物(例えば、スプレーの形
態において)は、腫瘍をコートするため、または所望の場所において新脈管形成
を阻害するために、内視鏡手順を介して送達され得る。本発明のなお他の局面に
おいて、本発明の抗脈管形成組成物でコートされている外科メッシュが、外科メ
ッシュが利用され得る任意の手順において利用され得る。例えば、本発明の1つ
の実施形態において、抗脈管形成組成物を有した外科メッシュレーデン(lad
en)は、構造に対する支持を提供するため、そして一定の量の抗脈管形成因子
を放出するために、腹部癌切除手術の間(例えば、結腸切除の後)に利用され得
る。
【0486】 本発明のさらなる局面において、癌の局所的再発およびその部位での新しい血
管の形成が阻害されるように、切除後にポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴ
ニストおよび/またはアゴニストを腫瘍の切除縁に投与する工程を包含する、腫
瘍切除部位を処置するための方法が提供される。本発明の1つの実施形態におい
て、抗脈管形成化合物は、腫瘍切除部位に直接投与される(例えば、塗布、ブラ
ッシング(brushing)、または他の方法で抗脈管形成化合物で腫瘍の切
除縁をコートすることによって適用される)。あるいは、抗脈管形成化合物は、
投与前に公知の外科ペーストに組み込まれ得る。本発明の特に好ましい実施形態
において、抗脈管形成化合物は、悪性疾患についての肝切除後および神経外科手
術後に適用される。
【0487】 本発明の1つの局面において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニスト
および/またはアゴニストは、広範な種々の腫瘍(例えば、乳房腫瘍、結腸腫瘍
、脳腫瘍および肝腫瘍を含む)の切除縁に投与され得る。例えば、本発明の1つ
の実施形態において、抗脈管形成化合物は、切除後に、神経学的腫瘍の部位に、
その部位での新しい血管の形成が阻害されるように投与され得る。
【0488】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニ
ストはまた、他の抗脈管形成因子とともに投与され得る。他の抗脈管形成因子の
代表的な例としては以下が挙げられる:抗侵襲性因子、レチノイン酸およびその
誘導体、パクリタキセル、スラミン、メタロプロテイナーゼ−1の組織インヒビ
ター、メタロプロテイナーゼ−2の組織インヒビター、プラスミノゲン活性化イ
ンヒビター−1、プラスミノゲン活性化インヒビター−2および種々の形態のよ
り軽い「d群」遷移金属。
【0489】 より軽い「d群」遷移金属には、例えばバナジウム、モリブデン、タングステ
ン、チタン、ニオブおよびタンタル種が挙げられる。そのような遷移金属種は、
遷移金属錯体を形成し得る。上記の遷移金属種の適切な錯体としては、オキソ遷
移金属錯体が挙げられる。
【0490】 バナジウム錯体の代表的な例としては、バナデート錯体およびバナジル錯体の
ようなオキソバナジウム錯体が挙げられる。適切なバナデート錯体としては、例
えばメタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウムおよびオルトバナ
ジン酸ナトリウムのようなメタバナデート錯体およびオルトバナデート錯体が挙
げられる。適切なバナジル錯体としては、例えばバナジルアセチルアセトネート
および硫酸バナジル(硫酸バナジル一水和物および硫酸バナジル三水和物のよう
な硫酸バナジル水和物を含む)が挙げられる。
【0491】 タングステン錯体およびモリブデン錯体の代表的な例としてはまた、オキソ錯
体が挙げられる。適切なオキソタングステン錯体としては、タングステート錯体
およびタングステンオキシド錯体が挙げられる。適切なタングステート錯体とし
ては、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カルシウム、タングステン
酸ナトリウム二水和物およびタングステン酸が挙げられる。適切なタングステン
オキシドとしては、タングステン(IV)オキシドおよびタングステン(VI)
オキシドが挙げられる。適切なオキソモリブデン錯体としては、モリブデート、
モリブデンオキシドおよびモリブデニル錯体が挙げられる。適切なモリブデート
錯体としては、モリブデン酸アンモニウムおよびその水和物、モリブデン酸ナト
リウムおよびその水和物、ならびにモリブデン酸カリウムおよびその水和物が挙
げられる。適切なモリブデンオキシドとしては、モリブデン(VI)オキシド、
モリブデン(VI)オキシドおよびモリブデン酸が挙げられる。適切なモリブデ
ニル錯体としては、例えばモリブデニルアセチルアセトネートが挙げられる。他
の適切なタングステン錯体およびモリブデン錯体としては、例えばグリセロール
、酒石酸および糖由来のヒドロキソ誘導体が挙げられる。
【0492】 広範な種々の他の抗脈管形成因子もまた、本発明の状況において利用され得る
。代表的な例としては、以下が挙げられる:血小板因子4;硫酸プロタミン;硫
酸化キチン誘導体(クイーンクラブ(queen crab)の殻から調製され
る)(Murataら、Cancer Res.51:22〜26、1991)
;硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体(SP−PG)(この化合物の機能は、ス
テロイド(例えば、エストロゲン)およびクエン酸タモキシフェンの存在によっ
て、増強され得る);スタウロスポリン;基質代謝の調節因子(例えば、プロリ
ンアナログ、シスヒドロキシプロリン、d,L−3,4−デヒドロプロリン、チ
アプロリン、α,α−ジピリジル,アミノプロピオニトリルフマレートを含む)
;4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン;メトト
レキサート;ミトザントロン;ヘパリン;インターフェロン;2マクログロブリ
ン−血清;ChIMP−3(Pavloffら、J.Bio.Chem.267
:17321〜17326、1992);キモスタチン(Tomkinsonら
、Biochem J.286:475〜480、1992);シクロデキスト
リンテトラデカサルフェート;エポネマイシン;カンプトテシン;フマギリン(
Ingberら、Nature 348:555〜557、1990);チオリ
ンゴ酸金ナトリウム(「GST」;MatsubaraおよびZiff、J.C
lin.Invest.79:1440〜1446、1987);アンチコラゲ
ナーゼ−血清;α2−抗プラスミン(Holmesら、J.Biol.Chem
.262(4):1659〜1664、1987);ビサントレン(Natio
nal Cancer Institute);ロベンザリット二ナトリウム(
N−(2)−カルボキシフェニル−4−クロロアントロニル酸(chloroa
nthronilic acid)二ナトリウム、すなわち「CCA」;Tak
euchiら、Agents Actions 36:312〜316、199
2);サリドマイド;Angostaticステロイド;AGM−1470;カ
ルボキシアミノイミダゾール(carboxynaminolmidazole
);およびメタロプロテイナーゼインヒビター(例えば、BB94)。
【0493】 (細胞レベルでの疾患) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアンタゴニストも
しくはアゴニストによって処置または検出され得る細胞生存の増大あるいはアポ
トーシスの阻害に関連する疾患には、癌(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異
を有する癌腫、およびホルモン依存性腫瘍、これらは以下:結腸癌、心臓腫瘍、
膵臓癌、黒色腫、網膜芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、肺癌、腸癌、精巣癌、胃癌、
神経芽細胞腫、粘液腫、筋腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、骨巨細胞腫、骨
肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳癌、前立腺癌、カポージ肉腫および卵巣癌を含むが、
これらに限定されない);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン
症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病(Behcet’s d
isease)、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫
関連糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)およびウイルス感染(例えば、ヘル
ペスウイルス、ポックスウイルスおよびアデノウイルス)、炎症、対宿主性移植
片病、急性移植片拒絶、ならびに慢性移植片拒絶、が挙げられる。好ましい実施
形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および/またはアン
タゴニストは、特に上記に列挙される、癌の増殖、進行、および/または転移(
metasis)を阻害するために使用される。
【0494】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストによって処置あるいは検出され得る細胞生存の増大に関連するさ
らなる疾患または状態には、悪性疾患の進行および/または転移ならびに以下の
ような関連する障害が挙げられるが、これらに限定されない:白血病(急性白血
病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性
、骨髄単球性、単球性および赤白血病を含む)を含む)ならびに慢性白血病(例
えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病))、真性赤
血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄
腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、ならびに固形腫瘍(
肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉
腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リ
ンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、
横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細
胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気
管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、
ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経
膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫
、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)
、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫)を含むが、これらに限定されな
い)。
【0495】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストによって処置あるいは検出され得るアポトーシスの増大に関連
する疾患には、以下が挙げられる:AIDS;神経変性障害(例えば、アルツハ
イマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性およ
び脳腫瘍または以前に関連した疾患);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、
シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病(Behc
et’s disease)、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデ
スおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)、脊髄形成異常症候群
(例えば、再生不良性貧血)、対宿主性移植片病、虚血性傷害(心筋梗塞、発作
および再灌流傷害によって生じるようなもの)、肝臓傷害(例えば、肝炎関連肝
臓傷害、虚血/再灌流傷害、胆汁うっ滞(cholestosis)(胆管傷害
)および肝臓癌);毒物誘導性肝臓疾患(アルコールによって引き起こされるよ
うなもの)、敗血症性ショック、悪液質ならびに食欲不振。
【0496】 (創傷治癒および上皮細胞増殖) 本発明のなおさらなる局面に従って、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペ
プチド、ならびにアンタゴニストまたはアゴニストを、治療目的のため、例えば
、創傷治癒の目的のために上皮細胞増殖および基底ケラチノサイトを刺激するた
め、ならびに毛包生成および皮膚創傷の治癒を刺激するために、利用するプロセ
スが提供される。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴ
ニストまたはアンタゴニストは、以下を含む創傷治癒を刺激する際に臨床的に有
用であり得る:外科的創傷、切除の創傷、深い創傷(真皮および表皮の損傷を含
む)、眼組織の創傷、歯組織の創傷、口腔創傷、糖尿病性潰瘍、皮膚の潰瘍、肘
の潰瘍、動脈の潰瘍、静脈うっ滞潰瘍、熱への曝露または化学物質から生ずる熱
傷、および他の異常な創傷治癒状態(例えば、尿毒症、栄養失調、ビタミン欠乏
、ならびにステロイド、放射線療法および抗腫瘍性薬物および代謝拮抗物質を用
いる全身性処置に関連する合併症。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、皮膚損失後の皮膚の回復を促
進するために使用され得る。
【0497】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストは、創傷床(wound bed)への皮膚移植片の接着を増大す
るため、および創傷床からの再上皮形成を刺激するために使用され得る。以下は
、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニ
ストが創傷床への接着を増大するために使用され得る、移植片の型である:自家
移植片、人工皮膚、同種移植片(allograft)、自己植皮片、自己表皮
移植片(autoepdermic graft)、無血管性(avacula
r)移植片、ブレア−ブラウン移植片、骨移植片、胚胎組織移植片、真皮移植片
、遅延移植片、皮膚移植片、表皮移植片、筋膜移植片、全層皮膚移植片、異種移
植片(heterologous graft)、異種移植片(xenogra
ft)、同種移植片(homologous graft)、増殖性移植片、層
板状移植片、網状移植片、粘膜移植片、オリエ−ティールシュ移植片、大網移植
片、パッチの移植片(patch graft)、茎状移植片、全層移植片(p
enetrating graft)、分層植皮片(split skin g
raft)、分層植皮片(thick split graft)。本発明のポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニスト
は、皮膚の強度を助長するため、および加齢した皮膚の外見を改善するために使
用され得る。
【0498】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストはまた、肝細胞増殖、および肺、乳房、膵臓、胃、小腸(smal
l intesting)、および大腸における上皮細胞増殖における変化を生
じると考えられる。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにア
ゴニストもしくはアンタゴニストは、上皮細胞(例えば、皮脂細胞(seboc
yte)、毛包、肝細胞、II型肺胞上皮細胞(type II pneumo
cyte)、ムチン産生杯細胞、および他の上皮細胞、ならびに皮膚、肺、肝臓
、および胃腸管内に含まれるそれらの前駆体)の増殖を促進し得る。本発明のポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニスト
は、内皮細胞、ケラチノサイト、および基底ケラチノサイトの増殖を促進し得る
【0499】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストはまた、放射線、化学療法処置またはウイルス感染から生じる腸の
毒性の副作用を低減するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドまたは
ポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、小腸粘膜に対して
細胞保護的な(cytoprotective)効果を有し得る。本発明のポリ
ヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは
また、化学療法およびウイルス感染から生じる粘膜炎(mucositis)(
口潰瘍)の治癒を刺激し得る。
【0500】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストは、やけどを含む、完全な厚さおよび部分的な厚さの皮膚欠損にお
ける皮膚の完全な再生(すなわち、毛包、汗腺、および皮脂腺の再増殖)、乾癬
のような他の皮膚欠損の処置においてさらに使用され得る。本発明のポリヌクレ
オチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、表皮
水疱症(これらの損傷の再上皮形成を促進することによる頻繁な開放性かつ疼痛
性の水疱を生じる、下層の真皮への表皮の接着の欠損)を処置するために使用さ
れ得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストま
たはアンタゴニストはまた、胃潰瘍および十二指腸(doudenal)潰瘍を
処置し、そして粘膜の内層の瘢痕形成ならびに腺の粘膜および十二指腸の粘膜の
内層の再生による治癒を、より迅速に補助するために使用され得る。炎症性腸疾
患、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎は、それぞれ、小腸または大腸の粘
膜表面の破壊を生じる疾患である。従って、本発明のポリヌクレオチドまたはポ
リペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、粘膜表面の再表面形
成(resurfacing)を促進して、より迅速な炎症性腸疾患の治癒を補
助し、そして炎症性腸疾患の進行を予防するために、使用され得る。本発明のポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニスト
を用いる処置は、胃腸管全体の粘液の産生に対して有意な効果を有すると予期さ
れ、そして摂取された有害な物質からかまたは外科手術後に、腸粘膜を有害な物
質から保護するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チド、ならびにアゴニストまたアンタゴニストは、その発現不足に関連する疾患
を処置するために使用され得る。
【0501】 さらに、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニスト
またはアンタゴニストは、種々の病的状態に起因する肺への損傷を予防および治
癒するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、な
らびにアゴニストまたはアンタゴニストは、急性または慢性の肺損傷を予防また
は処置するために、肺胞および細気管支(brochiolar)上皮の増殖お
よび分化を刺激し得、そしてその修復を促進し得る。例えば、肺胞(aveol
i)の進行性の損失を生じる気腫、および細気管支上皮および肺胞の壊死を生じ
る吸入傷害(inhalation injury)(すなわち、煙の吸入およ
びやけどから生じる)は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、アゴ
ニストまたはアンタゴニストを使用して、効果的に処置され得る。また、本発明
のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニ
ストは、II型肺胞上皮細胞の増殖および分化を刺激するために使用され得、こ
れは、未熟な乳児における肺硝子膜症(例えば、乳児呼吸窮迫症候群および気管
支肺異形成症)のような疾患を処置または予防するのを助け得る。
【0502】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストは、肝細胞の増殖および分化を刺激し得、従って、肝臓の疾患およ
び病状(例えば、肝硬変により生じる劇症肝不全、ウイルス性肝炎および毒性物
質(すなわち、アセトアミノフェン、四塩化炭素(carbon tetrah
oloride)、および当該分野で公知の他の肝臓毒素)により生じる肝臓損
傷)を緩和または処置するために用いられ得る。
【0503】 さらに、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニスト
またはアンタゴニストは、真性糖尿病の発症を処置または予防するために使用さ
れ得る。新たにI型糖尿病およびII型糖尿病と診断された患者において、いく
らかの島細胞機能が残っている場合、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、その疾患の永続的な発現を
、緩和、遅延または予防するように、その島機能を維持するために使用され得る
。また、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストま
たはアンタゴニストは、島細胞機能を改善または促進するための島細胞移植にお
ける補助として使用され得る。
【0504】 (ニューロンの活性および神経学的疾患) 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびアゴニストもしくはアンタゴ
ニストは、脳および/または神経系の疾患、障害、損傷、または傷害の診断およ
び/または処置のために使用され得る。本発明の組成物(例えばKDCポリペプ
チド、ポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニスト)を
用いて処置され得る神経系の疾患には、軸索の切断、ニューロンの減少もしくは
変性、または脱髄のいずれかを引き起こす、神経系損傷および疾患、障害および
/または状態が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法に従って、
患者(ヒト患者および非ヒト哺乳動物患者を含む)において処置され得る神経系
病変には、以下の中枢神経系(脊髄、脳を含む)または末梢神経系のいずれかの
病変が挙げられるが、これらに限定されない:(1)虚血病変(ここで、神経系
の一部における酸素不足により、ニューロンの損傷または死が生じ、これには大
脳梗塞もしくは虚血、または脊髄梗塞もしくは虚血が挙げられる);(2)外傷
病変(身体的損傷により生じるかまたは手術に関連する病変、例えば、神経系の
一部分を切断する病変、または圧縮損傷を含む);(3)悪性病変(ここで、神
経系の一部分は、神経系関連悪性疾患もしくは非神経系組織由来の悪性疾患のい
ずれかである悪性組織により破壊または損傷される);(4)感染性病変(ここ
で、神経系の一部分は、例えば、膿瘍による感染の結果として、破壊または損傷
されるか、あるいはヒト免疫不全ウイルス、帯状ヘルペスもしくは単純ヘルペス
ウイルスによる感染と関連するか、ライム病、結核、梅毒に関連する);(5)
変性病変(ここで、神経系の一部分は、変性プロセスの結果として破壊または損
傷され、これには、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンティングトン病ま
たは筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関連する変性が挙げられるが、これらに限
定されない);(6)栄養性の疾患、障害および/または状態に関連する病変(
ここで、神経系の一部分は、栄養障害または代謝障害によって破壊または損傷さ
れ、これには、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、ヴェルニッケ病、タバコ−
アルコール弱視、マルキアファーヴァ−ビニャーミ病(脳梁の一次変性)および
アルコール小脳変性が挙げられるが、これらに限定されない);(7)全身性疾
患に関連する神経性病変(糖尿病(糖尿病性ニューロパシー、ベル麻痺)、全身
性エリテマトーデス、癌または類肉腫症が挙げられるが、これらに限定されない
);(8)毒性物質(アルコール、鉛または特定の神経毒を含む)により生じる
病変;ならびに(9)脱髄性病変(ここで、神経系の一部分は、脱髄性執権によ
って破壊または損傷され、これには、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス関連
脊髄障害、横断脊髄障害または種々の病因、進行性多病巣性白質脳障害、および
橋中央ミエリン溶解が挙げられるが、これらに限定されない)。
【0505】 1つの実施形態において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、または
アゴニストもしくはアンタゴニストは、低酸素症の損傷効果から神経細胞を保護
するために用いられる。さらに好ましい実施形態において、本発明のポリペプチ
ド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、大脳低酸
素症の損傷作用から神経細胞を保護するために用いられる。この実施形態による
と、本発明の組成物は、大脳低酸素症に関連する神経細胞損傷を処置または予防
するために用いられる。この実施形態の1つの非限定局面において、本発明のポ
リペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、
大脳虚血と関連する神経細胞損傷を処置または予防するために用いられる。この
実施形態の別の非限定局面において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド
、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、大脳梗塞に関連する神経細胞損
傷を処置または予防するために用いられる。
【0506】 別の好ましいこの実施形態において本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド
、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、脳卒中に関連する神経細胞損傷
を処置または予防するために用いられる。特定の実施形態において、本発明のポ
リペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、
脳卒中に関連する大脳神経細胞損傷を処置または予防するために用いられる。
【0507】 別の好ましいこの実施形態において本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド
、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、心臓発作に関連する神経細胞損
傷を処置または予防するために用いられる。特定の実施形態において、本発明の
ポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは
、心臓発作に関連する大脳神経細胞損傷を処置または予防するために用いられる
【0508】 神経系障害を処置または予防するのに有用な本発明の組成物は、ニューロンの
生存または分化の促進における生物学的活性について試験することによって、選
択され得る。例えば、制限する目的ではないが、以下の効果のいずれかを誘発す
る本発明の組成物は、本発明によると有用であり得る:(1)低酸素または低酸
素状態の存在または非存在下のいずれかの培養におけるニューロンの増加した生
存時間;(2)培地またはインビボにおけるニューロンの増加した出芽;(3)
培地またはインビボにおけるニューロン関連分子(例えば、運動ニューロンに関
して、コリンアセチルトランスフェラーゼまたはアセチルコリンステラーゼ)の
増加した産生;あるいは(4)インビボにおけるニューロン機能障害の軽減した
症状。このような効果は、当該分野で公知の任意の方法によって測定され得る。
好ましくは、非制限的な実施形態において、ニューロンの増加した生存時間は、
本明細書中に記載される方法、またはそうでなければ当該分野で公知の方法(例
えば、Zhangら,Proc Natl Acad Sci USA 97:
3637−42(2000)、または、Arakawaら,J.Neurosc
i.10:3507〜3515(1990)など)を使用して慣用的に測定され
得;ニューロンの増加した出芽は、当該分野で公知の方法(例えば、Pestr
onkら(Exp.Neurol.70:65〜82(1980))またはBr
ownら(Ann.Rev.Neurosci.4:17〜42(1981))
に記載される方法)によって検出され得;ニューロン関連分子の増加した産生は
、当該分野で公知の技術を使用し、測定されるべき分子に基づいて、バイオアッ
セイ、酵素アッセイ、抗体結合、ノーザンブロットアッセイなどによって、測定
され得;そして運動ニューロンの機能障害は、運動ニューロン障害の物理的発現
(例えば、弱さ、運動ニューロンの伝導速度、または機能障害)を評価すること
によって、測定され得る。
【0509】 特定の実施形態において、本発明に従って処置され得る運動ニューロンの障害
には、運動ニューロンおよび神経系の他の成分に影響を与え得る障害(例えば、
梗塞、感染、毒素への暴露、外傷、外科的損傷、変性疾患、または悪性疾患)、
ならびにニューロンに選択的に影響する障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症)が
挙げられるが、これらに限定されず、そしてこれには、進行性脊髄性筋萎縮症、
進行性球延髄麻痺、原発性側索硬化症、小児筋萎縮および若年性筋萎縮、小児期
の進行性球麻痺(ファチオ−ロンデ病)、ポリオおよびポリオ後症状、ならびに
遺伝性運動感覚性神経障害(シャルコー−マリー−トゥース病)が挙げられるが
、これらに限定されない。
【0510】 さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、ニューロン生存、
シナプス形成;伝達;神経分化などにおいて役割を果たし得る。従って、本発明
の組成物(KDCポリヌクレオチド、ポリペプチド、およびアゴニストまたはア
ンタゴニストを含む)は、学習および/または認識の障害を含むがこれに限定さ
れない、これらの役割に関連する疾患または障害を、診断、および/または処置
または予防するのに用いられ得る。本発明の組成物は、神経変性性疾患状態およ
び/または行動障害の処置または予防において有用であり得る。このような神経
変性性疾患状態および/または行動障害としては以下が挙げられるがこれらに限
定されない:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症
候群、精神分裂病、躁病、痴呆、偏執症、強迫性障害、鬱病、恐慌性障害、学習
障害、ALS、精神病、自閉、および行動変化(栄養補給、睡眠パターン、平衡
、および知覚の障害を含む)。さらに、本発明の組成物は、発生中の胚、または
伴性障害に関連する発生の障害の処置、予防および/または検出において役割を
果たし得る。
【0511】 さらに、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/またはアゴニス
トまたはアンタゴニストは、以下を含むが挙げられるがこれらに限定されない脳
血管障害に関連する、疾患、傷害、障害または、損傷から、神経細胞を防御する
のに有用であり得る:脳血管障害(例えば、頸動脈血栓症、頸動脈狭窄またはモ
ヤモヤ病)、脳のアミロイドアンギオパチー、大脳動脈瘤、脳低酸素症、大脳動
脈硬化症、大脳動静脈奇形、大脳動脈疾患、脳塞栓症および血栓(例えば、頸動
脈血栓症、洞血栓症およびヴァレンベルク症候群)、硬膜上血腫(例えば、硬膜
外血腫または硬膜下血腫およびクモ膜下出血)、脳亀裂骨折、脳虚血(例えば、
一過性脳虚血、鎖骨下動脈盗血症候群、または椎骨脳底不全(vertebro
basilar insufficiency))、血管性痴呆(たとえば、多
発脳梗塞性痴呆)、脳室周囲白質軟化症、ならびに血管性頭痛(例えば、群発性
頭痛)。
【0512】 本発明のなおさらなる局面によれば、治療目的で、例えば神経学的細胞増殖お
よび/または分化を刺激するために、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストを利用するためのプロセスが提
供される。従って、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよ
び/またはアンタゴニストは、神経学的疾患を処置、および/または検出するた
めに用いられ得る。さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、
またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の神経系疾患または障害のマ
ーカーまたは検出因子として用いられ得る。
【0513】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得る神経学的疾患の例としては、以下が挙
げられる:脳疾患(例えば、母系フェニルケトン尿症のようなフェニルケトン尿
症を含む代謝性脳疾患)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠乏症、ピルビン酸デヒ
ドロゲナーゼ複合体欠乏症、ヴェルニッケ脳障害、脳水腫、テント下(infr
atentorial)新生物を含む小脳性新生物のような脳新生物、脈絡叢新
生物のような脳室新生物、視床下部性新生物、テント上新生物、キャナヴァン病
、毛細血管拡張性運動失調のような脊髄小脳性退化を含む小脳性運動失調のよう
な小脳疾患、小脳性共同運動障害、フリードライヒ失調症、マチャド−ジョセフ
病、オリーブ橋小脳萎縮、テント下新生物のような小脳性新生物、びまん性軸周
囲性脳炎、球様細胞白質萎縮症、異染性白質萎縮症および亜急性硬化性汎脳炎の
ようなびまん性脳硬化。
【0514】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストは、を用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、
以下が挙げられる:脳血管障害(例えば、頸動脈血栓症、頸動脈狭窄およびモヤ
モヤ病を含む頸動脈疾患)、脳のアミロイドアンギオパチー、大脳動脈瘤、大脳
動脈硬化症、大脳動静脈奇形、大脳動脈疾患、頸動脈血栓症、洞血栓症およびヴ
ァレンベルク症候群のような脳塞栓症および血栓症、硬膜上血腫、硬膜下血腫お
よびクモ膜下出血のような脳出血、脳亀裂骨折、一過性脳虚血、鎖骨下動脈盗血
症候群および椎骨脳底不全(vertebrobasilar insuffi
ciency)のような脳虚血、多発脳梗塞性痴呆のような血管性痴呆、脳室周
囲白質軟化症、群発性頭痛のような血管性頭痛。
【0515】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては以下が
挙げられる:エイズ痴呆複合症のような痴呆症、アルツハイマー病およびクロイ
ツフェルト−ヤーコプ病のような初老期痴呆、アルツハイマー病および進行性核
上性麻痺のような老年痴呆、多発脳梗塞性痴呆のような血管性痴呆、びまん性軸
周囲性脳炎のような脳炎、流行性脳炎、日本脳炎、セントルイス脳炎、マダニ媒
介性脳炎および西ナイル熱のようなウイルス性脳炎、急性播種性脳脊髄炎、ブド
ウ膜髄膜炎症候群、脳炎後パーキンソン病および亜球性硬化性汎脳炎のような髄
膜脳脊髄炎、室周白斑症のような脳軟化症、点頭痙攣を含む全身てんかんのよう
なてんかん、アプサンスてんかん(absence epilepsy)、ME
RRF症候群を含むミオクローヌスてんかん、強直・間代てんかん、複雑部分て
んかん、前頭葉てんかんおよび側頭葉てんかんのような部分てんかん、外傷後て
んかん、持続性部分てんかんのようなてんかん重積持続状態、ハレルフォルデン
−シュパッツ症候群。
【0516】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下
が挙げられる:ダンディ−ウォーカー症候群および正常圧水頭症のような水頭症
、視床下部性新生物のような視床下部性疾患、大脳マラリア、脱力発作を含むナ
ルコレプシー、延髄ポリオ(bulbar poiomyelitis)、大脳
偽腫瘍、レット症候群、ライ症候群、視床疾患、大脳トキソプラスマ症、頭蓋内
結核腫およびツェルヴェーガー症候群、エイズ痴呆複合症のような中枢神経系感
染、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、ウマの脳脊髄炎のような脳脊髄炎、ベネズエラウマ
脳脊髄炎、壊死性出血性脳脊髄炎、ビスナ、ならびに大脳マラリア。
【0517】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下
が挙げられる:クモ膜炎のような髄膜炎、リンパ球性脈絡髄膜炎を含むウイルス
性髄膜炎のような無菌性髄膜炎、ヘモフィルス髄膜炎を含む細菌性髄膜炎、リス
テリア髄膜炎、ウォーターハウス−フリーデリックセン症候群のような髄膜炎菌
性脳脊髄膜炎、肺炎球菌髄膜炎および髄膜結核症、クリプトコックス髄膜炎のよ
うな真菌性髄膜炎、硬膜下滲出、ブドウ膜髄膜脳炎症候群のような髄膜脳炎、横
行脊髄炎(transverse myelitis)のような脊髄炎、脊髄ろ
うのような神経梅毒、延髄ポリオおよびポリオ後症候群を含むポリオ、プリオン
病(例えば、クロイツフェルト−ヤーコプ病、ウシの海綿状脳症、ゲルストコン
−シュトロイスラー症候群、クールー、スクラピー)、ならびに大脳トキソプラ
スマ症。
【0518】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下
が挙げられる:テント下新生物のような小脳性新生物を含む脳新生物のような中
枢神経系新生物、脈絡叢新生物、視床下部性新生物およびテント上新生物のよう
な脳室新生物、髄膜新生物、硬膜外新生物を含む脊髄新生物、キャナヴァン病の
ような脱髄疾患、副腎脳白質ジストロフィーを含むびまん性大脳硬化症(dif
fuse cerebral sceloris)、びまん性軸周囲性脳炎、球
様細胞白質萎縮症、異染性白質萎縮症のようびまん性大脳硬化症、アレルギー性
脳脊髄炎、壊死性出血性脳脊髄炎、進行性多病巣性白質脳障害、多発性硬化症、
橋中央ミエリン溶解、横行脊髄炎、視神経脊髄炎、スクラピー、脊柱前弯症、慢
性疲労症候群、ビスナ、高圧神経質症候群(High Pressure Ne
rvous Syndrome)、髄膜症、先天性筋無緊張症のような脊髄疾患
、筋萎縮性側索硬化症、ヴェルドニッヒ−ホフマン病のような棘筋萎縮、脊髄圧
搾、硬膜外新生物のような脊髄新生物、脊髄空洞症、脊髄ろう、スティッフマン
症候群、母親由来15 q‐13微少欠損のような精神遅滞、ネコ鳴き症候群、
ド・ランゲ症候群、ダウン症候群、ガングリオシドーシスG(M1)のようなガ
ングリオシドーシス、ザントホフ病、テイ−サックス病、ハートナップ病、ホモ
シスチン尿症、ローレンス−ムーン−ビードル症候群、レッシュ−ナイハン症候
群、カエデシロップ病、フコース蓄積症のようなムコリピドーシス、ニューロン
セロイド脂褐素沈着症、眼脳腎症候群、母系フェニルケトン尿のようなフェニル
ケトン尿症、プラーダー−ヴィリ症候群、レット症候群、ルービンスタイン−テ
ービ症候群、結節硬化症、WAGR症候群、全前脳症のような神経系異常、水無
能症(hydrangencephaly)を含む無能症のような神経管不全、
アルノルト−キアーリ奇形、脳ヘルニア、髄膜瘤、髄膜脊髄瘤、嚢胞性二分脊椎
および潜在性二分脊椎のような脊髄癒合不全。
【0519】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下
が挙げられる:シャルコー−マリー疾患を含む遺伝性の運動および感覚ニューロ
ン障害、視覚萎縮症、レフスム病、遺伝性痙性対麻痺、ヴェルドニッヒ−ホフマ
ン病、先天性痛覚脱失症および家族性自律神経障害のような遺伝性感覚および自
律性ニューロパシー、神経学的症状発現(例えば、ゲルストマン症候群を含む失
認)、逆向性健忘症のような健忘症、失行症、神経因性膀胱、脱力発作、難聴、
部分聴覚欠失、大声(ludness)レクルートメントおよび耳鳴を含む聴覚
障害のような情報伝達障害、失書症、名称失語症、ブロカ失語症およびヴェルニ
ッケ失語症を含む失語症のような言語障害、急性失読症のような失読症、言語発
達障害、名称失語症、ブロカ失語症およびヴェルニッケ失語症を含む失語症のよ
うな発語障害、蓄積障害、構語障害、反響言語、無言症およびどもりを含む発語
障害のような情報伝達障害、失声症および嗄声のような発声障害、除脳硬直状態
、せん妄、線維束性攣縮、幻覚、髄膜症、母親由来15 q‐13微少欠損、運
動失調、アテトーシス、舞踏病、失調症、運動低下症、筋肉緊張低下、ミオクロ
ーヌス、チック、斜頸および振せんのような運動障害、スティッフマン症候群の
ような筋肉硬直のような筋肉緊張亢進、筋肉痙性、耳帯状疱疹を含む顔面神経麻
痺のような神経麻痺、胃不全麻痺、片麻痺、複視のような眼筋麻痺、デュエーン
症候群、ホルナー症候群、キーンズ症候群のような慢性進行性外眼筋麻痺症、球
麻痺、熱帯性痙攣不全対麻痺、ブラウン−セカール症候群、四肢麻痺、呼吸麻痺
および声帯麻痺のような対麻痺、不全麻痺、幻肢、無味覚症および味覚不全のよ
うな味覚障害、弱視、失明、色覚異常、複視、半盲、視野暗点および準正常視覚
(subnormal vision)のような視覚障害、クライネ−レヴィン
症候群、不眠症および夢遊症を含む過眠症のような睡眠障害、開口障害のような
痙縮、昏睡、持続性植物状態および失神およびめまいのような意識消失、先天性
筋無緊張症のような神経筋疾患、筋萎縮性側索硬化症、ランバート−イートン筋
無力症症候群、運動神経疾患、棘筋萎縮、シャルコー−マリー疾患およびヴェル
ドニッヒ−ホフマン病のような筋萎縮、後ポリオ症候群、筋ジストロフィー、重
症筋無力症、萎縮性筋緊張症、先天性筋緊張症、ネマリンミオパシー、家族性期
性四肢麻痺、多発性パラミロクローヌス(Multiplex Paramyl
oclonus)、熱帯性痙攣不全対麻痺およびスティッフマン症候群、先端肢
端疼痛症のような末梢神経系疾患、腎アミロイドーシス、アーディー症候群、B
arre−Lieou症候群、家族性自律神経障害、ホルナー症候群、反射性交
感神経性ジストロフィーおよびシャイ−ドレーガー症候群のような自律神経系疾
患、神経線維腫症2を含む聴神経腫のような内耳神経疾患のような脳神経疾患、
顔面神経痛のような顔面神経疾患、メルカーソン−ローゼンタール症候群、弱視
を含む眼球運動性障害、眼振、眼球運動麻痺、デュエーン症候群のような眼筋麻
痺、ホルナー症候群、キーンズ症候群を含む慢性進行性外眼筋麻痺症、内斜視お
よび外斜視のような斜視、動眼神経麻痺、遺伝性眼萎縮症を含む眼萎縮症のよう
な眼神経疾患、視神経円板結晶腔、視神経脊髄炎のような視神経炎、乳頭水腫、
三叉神経痛、声帯麻痺、視神経脊髄炎および脊柱前弯症のような脱髄疾患、糖尿
病性足のような糖尿病性ニューロパシー。
【0520】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下
が挙げられる:手根管症候群のような神経圧搾症候群、足根管症候群、頸肋症候
群のような胸郭出口症候群、尺骨神経圧搾症候群、カウザルギー、頸腕神経痛、
顔面神経痛および三叉神経痛のような神経痛、実験的アレルギー性神経炎、眼神
経炎、多発性神経炎、多発性神経根神経炎および神経根炎(例えば、多発性神経
根炎、遺伝性運動および感覚ニューロパシー(例えば、シャルコー−マリエ疾患
、遺伝性眼萎縮症、レフサム病、遺伝性痙性対麻痺およびヴェルドニッヒ‐ホフ
マン病、遺伝性感覚および自律神経ニューロパシー(先天性痛覚脱失および.家
族性自律神経障害を含む)、POEMS症候群、坐骨神経痛、味覚性発汗症候群
およびテタニー))のような神経炎。
【0521】 (感染性疾患) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニスト
もしくはアンタゴニストは、感染因子を処置、予防および/または診断するため
に用いられ得る。例えば、免疫応答を上昇させることによって、特にB細胞およ
び/またはT細胞の増殖および分化を増加させることによって、感染性疾患が処
置され得る。免疫応答は、既存の免疫応答を上昇させるか、または新たな免疫応
答を開始させるかのいずれかにより上昇され得る。あるいは、本発明のポリヌク
レオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニ
ストはまた、必ずしも免疫応答を誘発することなく、感染因子を直接阻害し得る
【0522】 ウイルスは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/また
はアゴニストもしくはアンタゴニストにより処置または検出され得る疾患または
症状を引き起こし得る感染因子の一例である。ウイルスの例としては、以下のD
NAおよびRNAのウイルスおよびウイルス科が挙げられるがこれらに限定され
ない:アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテリウイル
ス、ビルナウイルス科、ブンヤウイルス科、カルシウイルス科、サルコウイルス
科(Circoviridae)、コロナウイルス科、デング熱、EBV、HI
V、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科(肝炎)、ヘルペスウイルス科(例
えば、サイトメガロウイルス、単純ヘルペス、ヘルペス帯状疱疹)、モノネガウ
イルス(Mononegavirus)(例えば、パラミクソウイルス科、麻疹
ウイルス、ラブドウイルス科)、オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエ
ンザA、インフルエンザB、およびパラインフルエンザ)、パピローマウイルス
、パポバウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイル
ス科(例えば、痘瘡またはワクシニア)、レオウイルス科(例えば、ロタウイル
ス)、レトロウイルス科(HTLV−I、HTLV−II、レンチウイルス)、
およびトガウイルス科(例えば、ルビウイルス属)。これらの科内に入るウイル
スは、以下を含むがこれらに限定されない種々の疾患または症状を引き起こし得
る:関節炎、細気管支炎(bronchiollitis)、呼吸性シンシチウ
ムウイルス、脳炎、眼性感染症(例えば、結膜炎、角膜炎)、慢性疲労症候群、
肝炎(A型、B型、C型、E型、慢性活動性、デルタ)、日本脳炎B型、アルゼ
ンチン出血熱、チングニア、リフトバレー熱、黄熱病、髄膜炎、日和見感染症(
例えば、AIDS)、肺炎、バーキットリンパ腫、水痘、出血熱、麻疹、流行性
耳下腺炎、パラインフルエンザ、狂犬病、感冒、ポリオ、白血病、風疹、性感染
症、皮膚病(例えば、カポージ、いぼ)、およびウイルス血症。本発明のポリペ
プチドもしくはポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを
用いて、任意のこれらの症状または疾患が処置または検出され得る。特定の実施
形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストも
しくはアンタゴニストは、以下の処置または検出に使用される:髄膜炎、デング
熱、EBV、および/または肝炎(例えば、B型肝炎)。さらなる具体的な実施
形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストも
しくはアンタゴニストは、1つ以上の他の市販の肝炎ワクチンに非応答性の患者
を処置するために使用される。さらに特定の実施形態において、本発明のポリヌ
クレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、AI
DSを処置、予防および/または診断するために使用される。
【0523】 同様に、疾患または症状を引き起こし得、かつ本発明のポリヌクレオチドもし
くはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって
処置または検出され得る細菌性因子あるいは真菌性因子は、以下のグラム陰性お
よびグラム陽性細菌および細菌科ならびに真菌を含むがこれらに限定されない:
Actinomycetales(例えば、Corynebacterium、
Mycobacterium、Norcardia)、Cryptococcu
s neoformans、Aspergillosis、Bacillace
ae(例えば、Anthrax、Clostridium)、Bacteroi
daceae、Blastomycosis、Bordetella、Borr
elia(例えば、Borrelia burgdorferi、Brucel
losis、Candidiasis、Campylobacter、Cocc
idioidomycosis、Cryptococcosis、Dermat
ocycoses、E.coli(例えば、Enterotoxigenic
E.coliおよびEnterohemorrhagic E.coli)、E
nterobacteriaceae(Klebsiella、Salmone
lla(例えば、Salmonella typhi、およびSalmonel
la paratyphi)、Serratia、Yersinia)、Ery
sipelothrix、Helicobacter、Legionellos
is、Leptospirosis、Listeria、Mycoplasma
tales、Mycobacterium leprae、Vibrio ch
olerae、Neisseriaceae(例えば、Acinetobact
er、Gonorrhea、Menigococcal)、Meisseria
meningitidis、Pasteurellaceaの感染症(例えば
、Actinobacillus、Heamophilus(例えば、Heam
ophilusインフルエンザB型)、Pasteurella)、Pseud
omonas、Rickettsiaceae、Chlamydiaceae、
Syphilis、Shigella spp.、Staphylococca
l、Meningiococcal、PneumococcalならびにStr
eptococcal(例えば、Streptococcus pneumon
iaeおよびB群Streptococcus)。これらの細菌または真菌の科
は、以下を含むがこれらに限定されない疾患または症状を引き起こし得る:菌血
症、心内膜炎、眼感染症(結膜炎、結核、ブドウ膜炎)、歯肉炎、日和見感染症
(例えば、AIDSに関連した感染症)、爪周囲炎、プロテーゼ関連感染症、ラ
イター病、気道感染症(例えば、百日咳または蓄膿症)、敗血症、ライム病、ネ
コ引っ掻き病、赤痢、パラチフス熱、食中毒、腸チフス、肺炎、淋病、髄膜炎(
例えば、髄膜炎A型およびB型)、クラミジア、梅毒、ジフテリア、ライ病、パ
ラ結核、結核、狼瘡、ボツリヌス中毒、壊疽、破傷風、膿痂疹、リウマチ熱、猩
紅熱、性感染病、皮膚病(例えば、蜂巣炎、皮膚真菌症(dermatocyc
oses))、毒血症、尿路感染症、創傷感染症。本発明のポリペプチドもしく
はポリヌクレオチド、アゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、任意のこれ
らの症状もしくは疾患を処置、予防および/または診断し得る。特定の実施形態
において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストまたはアンタ
ゴニストは、以下を処置、予防および/または診断するために使用される:破傷
風、ジフテリア、ボツリヅム、および/またはB型髄膜炎。
【0524】 さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはア
ゴニストもしくはアンタゴニストにより処置または検出され得る、寄生生物性因
子が引き起こす疾患または症状としては以下のファミリーまたはクラスが挙げら
れるがこれらに限定されない:アメーバ症、バベシア症、コクシジウム症、クリ
プトスポリジウム症、二核アメーバ症(Dientamoebiasis)、交
疫、外部寄生生物性、ジアルジア鞭毛虫症、蠕虫症、リーシュマニア症、タイレ
リア症、トキソプラスマ症、トリパノソーマ症、およびトリコモナス(Tric
homonas)症、ならびに胞子虫症(Sporozoan)(例えば、Pl
asmodium virax、Plasmodium falcipariu
m、Plasmodium malariaeおよびPlasmodium o
vale)。これらの寄生生物は、以下を含むがこれらに限定されない種々の疾
患または症状を引き起こし得る:疥癬、ツツガムシ病、眼性感染症、腸疾患(例
えば、赤痢、ジアルジア鞭毛虫症)、肝臓疾患、肺疾患、日和見感染症(例えば
、AIDS関連)、マラリア、妊娠合併症、およびトキソプラスマ症。本発明の
ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニ
ストを用いて、任意のこれらの症状または疾患を処置または検出し得る。
【0525】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニスト
もしくはアンタゴニストは、患者に有効量のポリペプチドを投与するか、または
患者から細胞を取り出して、本発明のポリヌクレオチドをこの細胞に供給し、そ
して操作した細胞を患者に戻す(エキソビボ治療)かのいずれかによるものであ
り得る。さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはワクチン中の
抗原として用いられて、感染性疾患に対する免疫応答を惹起し得る。
【0526】 (再生) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストを用いて、細胞を分化させ、増殖させ、そして誘引して、組織
の再生を導き得る(Science 276:59−87(1997)を参照の
こと)。組織の再生を用いて、先天性欠損、外傷(創傷、熱傷、切開、または潰
瘍)、加齢、疾患(例えば、骨粗鬆症、変形性関節症(osteocarthr
itis)、歯周病、肝不全)、美容形成手術を含む手術、線維症、再灌流傷害
、もしくは全身性サイトカイン損傷により損傷を受けた組織を修復、置換、また
は保護し得る。
【0527】 本発明を用いて再生し得る組織としては、以下が挙げられる:器官(例えば、
膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮)、筋肉(平滑筋、骨格筋、または心筋)、
血管系(血管およびリンパ管を含む)、神経、造血、および骨格(骨、軟骨、腱
、および靭帯)の組織。好ましくは、再生は、瘢痕なく、または瘢痕が低減され
て生じる。再生はまた、新脈管形成を含み得る。
【0528】 さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニス
トもしくはアンタゴニストは、治癒するのが困難な組織の再生を増加させ得る。
例えば、腱/靭帯の再生を増大させることによって、損傷後の回復時間が早まる
。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストはまた、損傷を回避する試みにおいて予防的に使用され得る。
処置され得る特定の疾患は、腱炎、手根管症候群、および他の腱欠損または靭帯
欠損を含む。非治癒創傷の組織再生のさらなる例としては、褥瘡性潰瘍(pre
ssure ulcer)、脈管不全、外科的創傷、および外傷性創傷に関連す
る潰瘍が挙げられる。
【0529】 同様に、神経および脳組織はまた、神経細胞を増殖および分化させるために本
発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしくはア
ンタゴニストを使用することによって再生され得る。本方法を用いて処置され得
る疾患としては、中枢神経系疾患および末梢神経系疾患、神経障害、または機械
的および外傷性障害(例えば、脊髄障害、頭部外傷、脳血管疾患、および発作(
stoke))が挙げられる。詳細には、末梢神経傷害と関連する疾患、末梢神
経障害(例えば、化学療法または他の医学的療法から生じる)、局在神経障害、
および中枢神経系疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティ
ングトン病、筋萎縮性側索硬化症、およびシャイ−ドレーガー症候群)はすべて
、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストを用いて処置され得る。
【0530】 (走化性) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストは、走化性活性を有し得る。走化性分子は、細胞(例えば、単
球、線維芽細胞、好中球、T細胞、肥満細胞、好酸球、上皮細胞および/または
内皮細胞)を、身体内の特定の部位(例えば、炎症、感染、または過剰増殖の部
位)に誘引または動員する。次いで、動員された細胞は、特定の外傷または異常
性を撃退および/または治癒し得る。
【0531】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストは、特定の細胞の走化性活性を増大し得る。次いで、これらの
走化性分子を使用して、身体内の特定の位置に標的化した細胞の数を増加させる
ことによって、炎症、感染、過増殖障害、または任意の免疫系障害を処置し得る
。例えば、走化性分子を使用して、傷害を受けた位置に免疫細胞を誘引すること
によって、組織に対する創傷および他の外傷を処置し得る。本発明の走化性分子
はまた、線維芽細胞を誘引し得、これは創傷を処置するために使用され得る。
【0532】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストが走化性活性を阻害し得ることもまた意図される。これらの分
子はまた、障害を処置するために使用され得る。従って、本発明のポリヌクレオ
チドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしくはアンタゴニストは、走
化性のインヒビターとして使用され得る。
【0533】 (結合活性) 本発明のポリペプチドは、このポリペプチドに結合する分子、またはこのポリ
ペプチドが結合する分子についてスクリーニングするために使用され得る。この
ポリペプチドとこの分子との結合は、結合したポリペプチドまたは分子の活性を
活性化(アゴニスト)、増大、阻害(アンタゴニスト)、または減少させ得る。
そのような分子の例としては、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば
、レセプター)、または低分子が挙げられる。
【0534】 好ましくは、この分子は、このポリペプチドの天然のリガンド(例えば、リガ
ンドのフラグメント)、または天然の基質、リガンド、構造的模倣物、もしくは
機能的模倣物に密接に関連する(Coliganら、Current Prot
ocols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参
照のこと)。同様に、この分子は、このポリペプチドが結合する天然のレセプタ
ー、または少なくとも、このポリペプチドによって結合され得るレセプターのフ
ラグメント(例えば、活性部位)に密接に関連し得る。いずれの場合においても
、この分子は、公知の技術を用いて合理的に設計され得る。
【0535】 好ましくは、これらの分子についてのスクリーニングは、このポリペプチドを
発現する適切な細胞を産生する工程を包含する。好ましい細胞としては、哺乳動
物、酵母、Drosophila、またはE.coli由来の細胞が挙げられる
。次いで、このポリペプチドを発現する細胞(または、発現されたポリペプチド
を含む細胞膜)を、好ましくは、このポリペプチドまたはこの分子のいずれかの
結合、活性の刺激、または活性の阻害を観察するための分子を潜在的に含む試験
化合物と接触させる。
【0536】 アッセイは、このポリペプチドへの候補化合物の結合を単純に試験し得、ここ
で結合は、標識によって、または標識された競合物との競合に関するアッセイに
おいて検出される。さらに、アッセイは、候補化合物がこのポリペプチドへの結
合によって生成されるシグナルを生じるか否かを試験し得る。
【0537】 あるいは、アッセイは、無細胞調製物、固体支持体に接着されたポリペプチド
/分子、化学ライブラリー、または天然産物の混合物を用いて実施され得る。ア
ッセイはまた、候補化合物を、ポリペプチドを含む溶液と混合する工程、ポリペ
プチド/分子の活性または結合を測定する工程、およびポリペプチド/分子の活
性または結合を、標準と比較する工程を単純に包含し得る。
【0538】 好ましくは、ELISAアッセイは、モノクローナル抗体またはポリクローナ
ル抗体を用いて、サンプル(例えば、生物学的サンプル)におけるポリペプチド
のレベルまたは活性を測定し得る。抗体は、ポリペプチドへの直接的もしくは間
接的のいずれかの結合、または基質についてのポリペプチドとの競合によって、
ポリペプチドのレベルまたは活性を測定し得る。
【0539】 さらに、本発明のポリペプチドが結合するレセプターは、当業者に公知の多く
の方法(例えば、リガンドパニングおよびFACSソーティング(Coliga
nら、Current Protocols in Immun.,1(2)、
第5章(1991)))によって同定され得る。例えば、ポリアデニル化RNA
がこのポリペプチドに応答する細胞から調製される発現クローニングが用いられ
、例えば、NIH3T3細胞(これは、FGFファミリータンパク質に対する複
数のレセプターを含むことが公知である)、およびSC−3細胞、およびこのR
NAから作製されたcDNAライブラリーは、プールに分けられ、そしてこのポ
リペプチドに応答性でないCOS細胞または他の細胞をトランスフェクトするた
めに使用される。ガラススライド上で増殖しているトランスフェクトされた細胞
は、それらを標識化した後に、本発明のポリペプチドに曝露される。このポリペ
プチドは、種々の手段(部位特異的プロテインキナーゼに対する認識部位のヨウ
素化または封入を含む)によって標識化され得る。
【0540】 固定化およびインキュベーション後、スライドは、オートラジオグラフィー分
析に供される。陽性プールを同定し、そしてサブプールを、反復性のサププール
化および再スクリーニングプロセスを使用して調製および再びトランスフェクト
して、最終的に推定レセプターをコードする単一のクローンを生じる。
【0541】 レセプター同定のための代替のアプローチとして、標識ポリペプチドは、細胞
膜と光親和性に連結し得るか、またはレセプター分子を発現する調製物を抽出し
得る。架橋された材料は、PAGE分析によって分離され、そしてX線フィルム
に曝露される。ポリペプチドのレセプターを含む標識複合体が切り出され得、ペ
プチドフラグメントへと分離され得、そしてタンパク質微量配列決定に供され得
る。微量配列決定から得られるアミノ酸配列を使用して、1組の縮重オリゴヌク
レオチドプローブを設計してcDNAライブラリーをスクリーニングし、推定レ
セプターをコードする遺伝子を同定する。
【0542】 さらに、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフ
リング、および/またはコドンシャッフリングの技術(集合的に「DNAシャッ
フリング」という)を利用して、本発明のポリペプチドの活性を調節し得、それ
によって本発明のポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを効果的に生
成する。一般に、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号
、同第5,830,721号、同第5,834,252号、および同第5,83
7,458号、ならびにPatten,P.A.ら、Curr.Opinion
Biotechnol.8:724〜33(1997);Harayama,
S.Trends Biotechnol.16(2):76〜82(1998
);Hansson,L.O.ら、J.Mol.Biol.287:265〜7
6(1999);ならびにLorenzo,M.M.およびBlasco,R.
Biotechniques 24(2):308〜13(1998)(これら
の特許および刊行物の各々は、本明細書において参考として援用される)を参照
のこと。1つの実施形態において、ポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチ
ドの変更は、DNAシャッフリングによって達成され得る。DNAシャッフリン
グは、相同組換えまたは部位特異的な組換えによる、2つ以上のDNAセグメン
トの、本発明の分子の所望の分子への構築を含む。別の実施形態において、本発
明のポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドは、組換えの前に、誤りがち
な(error−prone)PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方
法によるランダム変異誘発に供することによって、変更され得る。別の実施形態
において、本発明のポリペプチドの1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ド
メイン、フラグメントなどは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ
、切片、部分、ドメイン、フラグメントなどと組換えられ得る。好ましい実施形
態において、この異種分子は、ファミリーのメンバーである。さらに好ましい実
施形態において、この異種分子は、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、
インスリン様増殖因子(IGF−I)、トランスホーミング増殖因子(TGF)
−α、表皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、TGF−β、
骨形成タンパク質(BMP)−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BM
P−7、アクチビンAおよびアクチビンB、デカペンタプレジック(decap
entaplegic)(dpp)、60A、OP−2、ドーサリン(dors
alin)、増殖分化因子(GDF)、結節(nodal)、MIS、インヒビ
ン−α、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β5、および神
経膠由来神経栄養因子(GDNF)のような増殖因子である。
【0543】 他の好ましいフラグメントは、本発明のポリペプチドの生物学的に活性なフラ
グメントである。生物学的に活性なフラグメントは、本発明のポリぺプチドの活
性に類似の活性を示すが、必ずしも同一ではないフラグメントである。このフラ
グメントの生物学的活性は、改善された所望の活性、または減少した所望されな
い活性を含み得る。
【0544】 さらに、本発明は、本発明のポリペプチドの作用を調節する化合物を同定する
ために化合物をスクリーニングする方法を提供する。このようなアッセイの例は
、哺乳動物線維芽細胞、本発明のポリペプチド、スクリーニングされるべき化合
物および3[H]チミジンを、線維芽細胞が通常増殖する細胞培養条件下で合わ
せる工程を包含する。コントロールアッセイは、スクリーニングされるべき化合
物の非存在下で実施され得、そしてこの化合物の存在下での線維芽細胞の増殖の
量と比較して、各々の場合における3[H]チミジンの取り込みの決定によって
、この化合物が増殖を刺激するか否かを決定し得る。線維芽細胞の増殖の量は、 3 [H]チミジンの取り込みを測定する液体シンチレーションクロマトグラフィ
ーによって測定される。アゴニスト化合物およびアンタゴニスト化合物の両方が
、この手順により同定され得る。
【0545】 別の方法において、本発明のポリペプチドに対するレセプターを発現する哺乳
動物細胞または膜調製物は、この化合物の存在下において標識化した本発明のポ
リペプチドとともにインキュベートされる。次いで、この化合物がこの相互作用
を増強またはブロックする能力が、測定され得る。あるいは、スクリーニングさ
れるべき化合物とレセプターとの相互作用に続く既知のセカンドメッセンジャー
系の応答が測定され、そしてこの化合物がこのレセプターに結合し、そしてセカ
ンドメッセンジャー応答を誘発する能力を測定して、この化合物が潜在的なアゴ
ニストまたはアンタゴニストであるか否かを決定する。このようなセカンドメッ
センジャー系には、cAMPグアニル酸シクラーゼ、イオンチャネルまたはホス
ホイノシチド加水分解が挙げられるが、これらに限定されない。
【0546】 これらの上記のアッセイの全ては、診断マーカーまたは予後マーカーとして使
用され得る。これらのアッセイを用いて発見される分子は、ポリペプチド/分子
を活性化または阻害することによって、疾患を処置するか、あるいは患者に特定
の結果(例えば、血管増殖)をもたらすために使用され得る。さらに、アッセイ
は、適切に操作された細胞または組織からの本発明のポリペプチドの産生を阻害
または増強し得る因子を発見し得る。
【0547】 従って、本発明は、以下の工程を含む本発明のポリペプチドに結合する化合物
を同定する方法を包含する:(a)候補結合化合物を本発明のポリペプチドとと
もにインキュベートする工程;および(b)結合が生じたか否かを決定する工程
。さらに、本発明は、以下の工程を含むアゴニスト/アンタゴニストを同定する
方法を包含する:(a)候補化合物を本発明のポリペプチドとともにインキュベ
ートする工程、(b)生物学的活性をアッセイする工程、および(b)ポリペプ
チドの生物学的活性が改変されているか否かを決定する工程。
【0548】 (標的化された送達) 別の実施形態において、本発明は、組成物を、本発明のポリペプチドについて
のレセプターを発現する標的化細胞、または本発明のポリペプチドの細胞結合形
態を発現する細胞に送達する方法を提供する。
【0549】 本明細書中で議論される場合、本発明のポリペプチドまたは抗体は、異種ポリ
ペプチド、異種核酸、毒素またはプロドラッグと、疎水性、親水性、イオン性お
よび/または共有結合性の相互作用を介して会合し得る。1つの実施形態におい
て、本発明は、異種ポリペプチドまたは核酸と会合した本発明のポリペプチド(
抗体を含む)を投与することによる、本発明の組成物の細胞への特異的な送達の
ための方法を提供する。1つの例において、本発明は、治療タンパク質を標的化
細胞中へ送達するための方法を提供する。別の例において、本発明は、一本鎖核
酸(例えば、アンチセンスまたはリボザイム)あるいは二本鎖核酸(例えば、細
胞のゲノムに組み込まれ得るか、またはエピソームにて複製し得、そして転写さ
れ得る、DNA)を、標的化細胞に送達するための方法を提供する。
【0550】 別の実施形態において、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグと会合
した本発明のポリペプチド(例えば、本発明のポリペプチドまたは本発明の抗体
)を投与することによる細胞の特異的破壊(例えば、腫瘍細胞の破壊)のための
方法を提供する。
【0551】 「毒素」とは、内因性の細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロ毒素
(holotoxin)、改変型毒素、毒素の触媒サブユニット、または規定の
条件下で細胞死を引き起こす細胞中もしくは細胞表面には通常存在しない任意の
分子もしくは酵素を、結合および活性化する化合物を意味する。本発明の方法に
従って使用され得る毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない
:当該分野で公知の放射性同位体、固有のまたは誘導された内因性の細胞傷害性
エフェクター系を結合する化合物(例えば、抗体(またはその補体固定を含む部
分))、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、α毒素、リシン
、アブリン、Pseudomonas外毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、モ
モルジン(momordin)、ゲロニン(gelonin)、ヨウシュヤマゴ
ボウ抗ウイルスタンパク質、α−サルシン(sarcin)およびコレラ毒素。
「細胞傷害性プロドラッグ」とは、通常細胞内に存在する酵素によって、細胞傷
害性化合物へと変換される非毒性の化合物を意味する。本発明の方法に従って使
用され得る細胞傷害性プロドラッグとしては、安息香酸マスタードアルキル化剤
のグルタミル誘導体、エトポシドまたはマイトマイシンCのリン酸誘導体、シト
シンアラビノシド、ダウノルビシン、およびドキソルビシンのフェノキシアセト
アミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0552】 (薬物スクリーニング) 本発明のポリペプチドの活性を改変する分子についてスクリーニングするため
の、本発明のポリペプチド、またはこれらのポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドの使用が、さらに意図される。このような方法は、本発明のポリペプチ
ドを、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性を有することが疑われる選択さ
れた化合物と接触させる工程、および結合に続いてこれらのポリペプチドの活性
をアッセイする工程を包含する。
【0553】 本発明は、種々の薬物スクリーニング技術のいずれかにおいて、本発明のポリ
ペプチド、またはそれらの結合フラグメントを使用することによって治療用化合
物をスクリーニングするために特に有用である。このような試験に用いられるポ
リペプチドまたはフラグメントは、固体支持体に固定化され得、細胞表面上に発
現され得、溶液中で遊離であり得、または細胞内に局在化され得る。薬物スクリ
ーニングの1つの方法は、ポリペプチドまたはフラグメントを発現する組換え核
酸を用いて安定に形質転換される真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞を利
用する。薬物は、競合結合アッセイにおいて、このような形質転換細胞に対して
スクリーニングされる。例えば、試験されている薬剤と本発明のポリペプチドと
の間の複合体の形成(formulation)を測定し得る。
【0554】 従って、本発明は、本発明のポリペプチドによって媒介される活性に影響を及
ぼす薬物または任意の他の薬剤についてのスクリーニング方法を提供する。これ
らの方法は、当該分野で周知の方法によって、このような薬剤を本発明のポリペ
プチドもしくはそのフラグメントと接触させる工程、およびこの薬剤とこのポリ
ペプチドもしくはそのフラグメントとの間の複合体の存在についてアッセイする
工程を包含する。このような競合結合アッセイにおいて、スクリーニングされる
薬剤は、代表的に、標識化される。インキュベーション後に、遊離の薬剤は、結
合形態で存在する薬剤から分離され、そして遊離または複合体化されていない標
識の量は、特定の薬剤が本発明のポリペプチドに結合する能力の尺度である。
【0555】 薬物スクリーニングについての別の技術は、本発明のポリペプチドに対する適
切な結合親和性を有する化合物に対するハイスループットスクリーニングを提供
し、そして欧州特許出願84/03564(1984年9月13日公開)(これ
は、本明細書中で参考として援用される)に非常に詳細に記載される。簡潔にい
うと、大量の異なる小さなペプチド試験化合物は、固体基材(例えば、プラスチ
ックピンまたは何らかの他の表面)上で合成される。ペプチド試験化合物を、本
発明のポリペプチドと反応させ、そして洗浄する。次いで、結合したポリペプチ
ドは、当該分野で周知の方法によって検出される。精製されたポリペプチドは、
前述の薬物スクリーニング技術での使用のためにプレート上に直接コーディング
される。さらに、非中和抗体を使用して、このペプチドを捕捉し得、そして固体
支持体上にそれを固定し得る。
【0556】 本発明はまた、競合薬物スクリーニングアッセイの使用を意図し、ここで、本
発明のポリペプチドを結合し得る中和抗体は、ポリペプチドまたはそのフラグメ
ントに対する結合について試験化合物と特異的に競合する。この様式において、
抗体を使用して、本発明のポリペプチドと1つ以上の抗原性エピトープを共有す
る任意のペプチドの存在を検出する。
【0557】 (アンチセンスおよびリボザイム(アンタゴニスト)) 特定の実施形態において、本発明に従うアンタゴニストは、配列番号Xに含ま
れる配列またはその相補鎖に対応する核酸、および/あるいは表1で同定するc
DNAプラスミドZに含まれるヌクレオチド配列に対応する核酸である。1つの
実施形態において、アンチセンス配列は、生物体により内部で生成され、別の実
施形態において、アンチセンス配列は別々に投与される(例えば、O’Conn
or,J.,Neurochem.56:560(1991)、Oligode
oxynucleotides as Antisense Inhibito
rs of Gene Expression,CRC Press,Boca
Raton,FL(1988)を参照のこと)。アンチセンス技術を使用して
、アンチセンスDNAもしくはRNAを通してか、または3重らせんの形成を通
して遺伝子発現を制御し得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.
,Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynu
cleotides as Antisense Inhibitors of
Gene Expression,CRC Press,Boca Rato
n,FL(1988)に考察される。3重らせん形成は、例えば、Leeら、N
ucleic Acids Research 6:3073(1979);C
ooneyら、Science、241:456(1988);およびDerv
anら、Science、251:1300(1991)において考察される。
これらの方法は、相補的なDNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基
づく。
【0558】 例えば、非リンパ性白血病細胞株HL−60および他の細胞株の増殖を阻害す
るためのc−mycおよびc−mybアンチセンスRNA構築物の使用は、以前
に記載された(Wickstromら(1988);Anfossiら(198
9))。これらの実験は、細胞をオリゴリボヌクレオチドとインキュベーション
することによってインビトロで行われた。インビボ用途のための類似の手順は、
WO91/15580に記載される。簡単には、所定のアンチセンスRNAにつ
いてのオリゴヌクレオチドの対は、以下のように生成される:オープンリーディ
ングフレームの最初の15塩基に相補的な配列を、5末端のEcoRI部位およ
び3末端のHindIII部位に隣接させる。次に、オリゴヌクレオチドの対は
、90℃で1分間加熱され、次いで2×連結緩衝液(20mM TRIS HC
l pH7.5、10mM MgCl2、10mM ジチオスレイトール(DT
T)および0.2mM ATP)中でアニーリングされ、次いで、レトロウイル
スベクターPMV7のEcoR1/HindIII部位に連結される(WO91
/15580)。
【0559】 例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部
分を使用して、約10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチド
を設計し得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相
補的であるように設計され、それにより転写およびレセプターの産生を阻害する
。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダ
イズし、そしてmRNA分子のレセプターポリペプチドへの翻訳をブロックする
【0560】 1つの実施形態において、本発明のアンチセンス核酸は、外来の配列からの転
写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその一部が転写され、本
発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。このようなベクターは、本発明
のアンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベクターは、それが転
写されて所望のアンチセンスRNAを産生し得る限り、エピソームを保持し得る
か、または染色体に組込まれ得る。このようなベクターは、当該分野において標
準的な組換えDNA技術方法により構築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞に
おいて複製および発現のために使用される、当該分野で公知のプラスミド、ウイ
ルスなどであり得る。本発明のポリペプチドをコードする配列またはそのフラグ
メントの発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用することが当該分
野で公知の任意のプロモーターにより得る。そのようなプロモーターは、誘導性
または構成性であり得る。このようなプロモーターとしては、SV40初期プロ
モーター領域(BernoistおよびChambon、Nature、29:
304−310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれ
るプロモーター(Yamamotoら、Cell、22:787−797(19
80))、ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445(1981))
、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nature、2
96:39−42(1982))などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0561】 本発明のアンチセンス核酸は、少なくとも本発明の遺伝子のRNA転写物の一
部に相補的な配列を含む。しかし、完全に相補的であることは好ましいが、必要
ではない。本明細書中で言及される「少なくともRNAの一部に相補的な」配列
は、RNAとハイブリダイズし得るに十分な相補性を有し、安定な二重鎖を形成
する配列を意味し;従って、本発明の二本鎖アンチセンス核酸の場合において、
二重鎖DNAの一本鎖が試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る
。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両
方に依存する。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、RNAとのより
多くの塩基ミスマッチを含み得、これは、安定な二重鎖(または三重鎖の場合も
あり得る)を含み得、そしてなお形成し得る。当業者は、ハイブリダイズ複合体
の融点を決定するために標準的な手順を使用することによりミスマッチの許容の
程度を確認し得る。
【0562】 メッセージの5’末端に相補的であるオリゴヌクレオチド(例えば、AUG開
始コドンまででかつAUG開始コドンを含む5’非翻訳配列)は、翻訳の阻害の
際に最も効率的に働くべきである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補的
な配列は、同様にmRNAの翻訳を阻害する際に有効であることが示された。一
般的に、Wagner,R.、Nature 372:333−335(199
4)を参照のこと。従って、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列の5
’−または3’−の非翻訳非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチ
ドは、内因性mRNAの翻訳を阻害するアンチセンスアプローチに使用され得る
。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コド
ンの相補物を含むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドは、翻訳のあまり効率的でないインヒビターであるが、本発明に
従って使用され得る。本発明のmRNAの5’領域、3’領域またはコード領域
にハイブリダイズするように設計されるか否かにかかわらず、アンチセンス核酸
は、少なくとも6ヌクレオチド長であるべきであり、そして好ましくは6〜約5
0ヌクレオチド長にわたるオリゴヌクレオチドである。特定の局面において、こ
のオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレ
オチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである
【0563】 本発明のポリヌクレオチドは、DNA、もしくはRNA、またはキメラ混合物
、あるいはそれらの誘導体もしくは改変バージョン、一本鎖、または二本鎖であ
り得る。このオリゴヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で改
変されて、例えば、分子の安定性、ハイブリダーゼーションなどを改善し得る。
このオリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボに
おいて宿主細胞レセプターを標的化するために)、または細胞膜を通した輸送を
促進する因子(例えば、Letsingerら、Proc.Natl.Acad
.Sci.U.S.A.86:6553−6556(1989);Lemait
reら、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652(19
87);PCT公開番号WO88/09810(1988年12月15日公開)
を参照のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/101
34(1988年4月25日公開)を参照のこと)、ハイブリダイゼーション誘
引切断剤(hybridization−triggered cleavag
e agent)(例えば、Krolら、BioTechniques、6:9
58−976(1988)を参照のこと)、またはインターカレート剤(例えば
、Zon,Pharm.Res.5:539−549(1988)を参照のこと
)を含み得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、
ペプチド、ハイブリダーゼーション誘引架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーショ
ン誘引切断剤など)に結合体化され得る。
【0564】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの改変された塩基部分を
含み得、この塩基部分は、以下を含むがそれらに限定されない群から選択される
:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨー
ドウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カル
ボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2
−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシ
ル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデ
ニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、
2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシ
トシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシ
ル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキュー
オシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2
−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v
)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キュ
ーオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシ
ル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチル
エステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、
3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)
w、および2,6−ジアミノプリン。
【0565】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、以下を含むがそれらに限定されない
群から選択される少なくとも1つの改変された糖部分を含み得る:アラビノース
、2−フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソース。
【0566】 さらなる別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を
含むがそれらに限定されない群から選択される少なくとも1つの改変されたリン
酸骨格を含む:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチ
オエート、ホスホロアミデート(phosphoramidate)、ホスホロ
ジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホル
ムアセタール(formacetal)またはそれらのアナログ。
【0567】 さらに別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、a−アノ
マーオリゴヌクレオチドである。a−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的な
RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、通常のb−ユニットとは反対に
、その鎖は互いに平行にする(Gautierら、Nucl.Acids Re
s.、15:6625−6641(1987))。このオリゴヌクレオチドは、
2’−0−メチルリボヌクレオチドであるか(Inoueら、Nucl.Aci
ds Res.、15:6131−6148(1987))、またはキメラRN
A−DNAアナログである(Inoueら、FEBS Lett.215:32
7−330(1987))。
【0568】 本発明のポリヌクレオチドは当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動D
NA合成機(このような装置はBiosearch,Applied Bios
ystemsなどから市販されている))の使用により合成され得る。例えば、
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Nucl.A
cids Res.、16:3209(1988))により合成され得、メチル
ホスホネートオリゴヌクレオチドは、コントロールドポアガラス(contro
lled pore glass)ポリマー支持体(Sarinら、Proc.
Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:7448−7451(19
88))などの使用により調製され得る。
【0569】 コード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが使用され得るが、転写
された非翻訳領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好ましい。
【0570】 本発明による潜在的なアンタゴニストはまた、触媒RNA、すなわちリボザイ
ムを含む(例えば、PCT国際公開WO90/11364、1990年10月4
日公開;Sarverら、Science、247:1222−1225(19
90)を参照のこと)。一方、部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザ
イムを使用して、mRNAを破壊し得るが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用
が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を
形成する隣接領域により決定される位置で、mRNAを切断する。たった1つの
必要条件は、標的mRNAが以下の2つの塩基配列を有することである:5’−
UG−3’。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および生成は当該分野で周知で
あり、そしてHaseloffおよびGerlach、Nature、334:
585−591(1988)により十分に記載される。配列番号Xのヌクレオチ
ド配列内に多くの潜在的なハンマーヘッド型リボザイム切断部位が存在する。好
ましくは、このリボザイムは、切断認識部位がmRNAの5’末端付近に位置す
るように;すなわち、効率を増大し、そして非機能的mRNA転写物の細胞内蓄
積を最小化するように、操作される。
【0571】 アンチセンスアプローチの場合、本発明のリボザイムは、改変されたオリゴヌ
クレオチド(例えば、安定性、標的化などを改良するために)から構成され得、
そしてインビボにおいて本発明のポリペプチドを発現する細胞に送達されるべき
である。リボザイムをコードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチセ
ンスの導入のための上記と同じ様式において細胞中に導入され得る。送達の好ま
しい方法は、強力な構成性プロモーター(例えば、pol IIIまたはpl
IIプロモーターのような)の制御下で、リボザイムを「コードする」DNA構
築物を使用することを含み、その結果トランスフェクトした細胞が、内因性メッ
セージを破壊し、そして翻訳を阻害するに十分な量のリボザイムを生成する。リ
ボザイムはアンチセンス分子と異なり触媒性であるので、より低い細胞内濃度が
効率のために必要とされる。
【0572】 アンタゴニスト/アゴニスト化合物を利用して、腫瘍性の細胞および組織に対
する本発明のポリペプチドの細胞増殖(growth)および増殖(proli
feration)効果を阻害し得る。すなわち、腫瘍の脈管形成を刺激し、そ
れにより異常な細胞成長および増殖を(例えば、腫瘍形成または増殖において)
遅延または防止する。
【0573】 アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、血管過多の疾患を予防し得、そ
して水晶体嚢外白内障(extracapsular cataract)手術
後の上皮レンズ細胞の増殖を防止し得る。本発明のポリペプチドのマイトジェン
活性の防止はまた、例えば、バルーン血管形成術後の再狭窄のような場合に要求
され得る。
【0574】 アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、創傷治癒の間の瘢痕組織の増殖
防止し得る。
【0575】 アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、本明細書中に記載される疾患を
処置し得る。
【0576】 従って、本発明は、障害または疾患(本発明のポリヌクレオチドの過剰発現に
関連する、本願の全体に渡って列挙される障害または疾患が含まれるが、これら
に限定されない)を処置する方法であって、(a)本発明のポリヌクレオチドに
関するアンチセンス分子、および/または(b)本発明のポリヌクレオチドに関
するリボザイムを、患者に投与することによって処置する方法を提供する。
【0577】 (結合ペプチドおよび他の分子) 本発明はまた、KDCポリペプチドに結合するポリペプチドおよび非ポリペプ
チドを同定するためのスクリーニング方法、ならびにそれによって同定されたK
DC結合分子を含む。これらの結合分子は、例えば、KDCポリペプチドのアゴ
ニストおよびアンタゴニストとして有用である。そのようなアゴニストおよびア
ンタゴニストは、本発明に従って、以下に詳細に記載される治療実施形態におい
て使用され得る。
【0578】 この方法は、以下の工程を包含する: a.KDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドを多数の分子と接触させ
る工程;および b.KDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドに結合する分子を同定す
る工程。
【0579】 KDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドを多数の分子と接触させる工
程は、多数の方法によってもたらされ得る。例えば、当業者は、KDCポリペプ
チドまたはKDC様ポリペプチドを固体支持体上に固定化させ、そして多数の分
子の溶液を固定したKDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドと接触させ
ることを考え得る。このような手順は、固定したKDCポリペプチドまたはKD
C様ポリペプチドから構成される親和性マトリックスを用いるアフィニティーク
ロマトグラフィープロセスに類似している。次いで、KDCポリペプチドまたは
KDC様ポリペプチドに対して選択的な親和性を有する分子が、親和性選択によ
って精製され得る。固体支持体の性質、KDCポリペプチドまたはKDC様ポリ
ペプチドのこの固体支持体への付着に関するプロセス、溶媒、および親和性単離
または親和性選択の条件は、大部分が慣用的であり、そして当業者に周知である
【0580】 あるいは、多数のポリペプチドはまた、ポリペプチドのサブセットまたは個々
のポリペプチドを含む実質的に別々の画分へ分離され得る。例えば、多数のポリ
ペプチドは、ゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィーなどポリペプチドの分離
に関して当業者に公知の方法によって、分離され得る。個々のポリペプチドはま
た、宿主細胞の外部表面上またはほぼ外部表面に発現されるような様式で、形質
転換された宿主細胞(例えば、組換えファージ)によって産生され得る。次いで
、個々の単離物は、KDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドによって「
プローブ化」され得、必要に応じて発現に必要とされるであろうインデューサー
の存在下で、KDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドと個々のクローン
との間で任意の選択的親和性相互作用が起こったか否かが決定される。KDCポ
リペプチドまたはKDC様ポリペプチドを個々のポリペプチドを含む各画分と接
触させる前に、これらのポリペプチドはまず、さらなる簡便性のために固体支持
体に移され得る。そのような固体支持体は、単に、例えばニトロセルロースまた
はナイロンでできたフィルター膜の断片であり得る。この様式において、陽性ク
ローンは、形質転換宿主細胞の発現ライブラリーの集団(これらは、KDCポリ
ペプチドまたはKDC様ポリペプチドに対して選択的親和性を有するポリペプチ
ドをコードするDNA構築物を持つ)から同定され得る。さらに、KDCポリペ
プチドまたはKDC様ポリペプチドに対して選択的親和性を有するポリペプチド
のアミノ酸配列が、従来の手段によって直接決定され得るか、またはこのポリペ
プチドをコードするDNAのコード配列が、頻繁により簡便に決定され得る。次
いで、一次配列が、対応するDNA配列から推定され得る。アミノ酸配列がポリ
ペプチド自身から決定されるものである場合、微小配列決定技術を使用し得る。
この配列決定技術は、質量分析法を含み得る。
【0581】 特定の状況において、選択的親和性相互作用の存在を決定または検出しようと
試みる前に、未結合のKDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドあるいは
未結合ポリペプチドのいずれかを、KDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプ
チドおよび多数のポリペプチドの混合物から洗浄除去することが望ましくあり得
る。このような洗浄工程は、KDCポリペプチドまたはKDC様ポリペプチドま
たは多数のポリペプチドが固体支持体に結合している場合に、特に望ましくあり
得る。
【0582】 本方法に従って提供される多数の分子は、多様性ライブラリー(例えば、KD
Cポリペプチドへ特異的に結合する分子をスクリーニングし得る無作為またはコ
ンビナトリアルの、ペプチドライブラリーまたは非ペプチドライブラリー)とし
て提供され得る。使用され得る多くのライブラリー(例えば、化学合成ライブラ
リー、組換えライブラリー(例えば、ファージディスプレイライブラリー)、お
よびインビトロ翻訳ベースのライブラリー)が、当該分野で公知である。化学合
成ライブラリーの例は、以下に記載される:Fodorら、1991、Scie
nce 251:767−773;Houghtenら、1991、Natur
e 354:84−86;Lamら、1991、Nature 354:82−
84;Medynski、1994、Bio/Technology 12:7
09−710;Gallopら、1994、J.Medicinal Chem
istry 37(9):1233−1251;Ohlmeyerら、1993
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922−109
26;Erbら、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
91:11422−11426;Houghtenら、1992,Biotec
hniques 13:412;Jayawickremeら、1994、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1614−1618;Sa
lmonら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90
:11708−11712;PCT公開番号WO93/20242;ならびにB
rennerおよびLerner、1992、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 89:5381−5383。
【0583】 ファージディスプレイライブラリーの例は、以下に記載される:Scottお
よびSmith、1990、Science 249:386−390;Dev
linら、1990、Science、249:404−406;Christ
ian,R.B.ら、1992、J.Mol.Biol.227:711−71
8);Lenstra、1992、J.Immunol.Meth.152:1
49−157;Kayら、1993、Gene 128:59−65;ならびに
PCT公開番号WO94/18318(1994年8月18日)。
【0584】 インビトロ翻訳ベースのライブラリーとしては、以下:PCT公開番号WO9
1/05058(1991年4月18日);およびMattheakisら、1
994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:9022−9
026に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0585】 非ペプチドライブラリーの例として、ベンゾジアゼピンライブラリー(例えば
、Buninら、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
91:4708−4712を参照のこと)が、使用のために適応され得る。ペプ
トイドライブラリー(Simonら、1992,Proc.Natl.Acad
.Sci.USA 89:9367−9371)がまた使用され得る。使用され
得るライブラリーの別の例は、Ostreshら(1994,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 91:11138−11142)によって記載
され、ここでは、ペプチド中のアミド官能基が、過剰にメチル化(permet
hylate)されて、化学的に形質転換されたコンビナトリアルライブラリー
を生成する。
【0586】 本発明において有用である種々の非ペプチドライブラリーは、大きい。例えば
、EckerおよびCrooke(1995,Bio/Technology
13:351−360)は、種々のライブラリーの基礎を形成する化学種の間と
して、ベンゾジアゼピン、ヒダントイン、ピペラジンジオン、ビフェニル、糖ア
ナログ、β−メルカプトケトン、アリール酢酸、アシルピペラジン、ベンゾピラ
ン、キューバン(cubane)、キサンチン、アミンイミドおよびオキサゾロ
ンを列挙している。
【0587】 非ペプチドライブラリーは、2つの型に大きく分類され得る:修飾されたモノ
マーおよびオリゴマー。修飾モノマーライブラリーは、比較的単純な骨格構造を
使用し、この上に種々の官能基が付加される。しばしば、骨格は、既知の有用な
薬理学的活性を有する分子である。例えば、骨格は、ベンゾジアゼピン構造であ
り得る。
【0588】 非ペプチドオリゴマーライブラリーは、モノマーの順序に依存して新規な形状
を作製する様式で共にアセンブルされる、多数のモノマーを使用する。使用され
るモノマー単位の間には、カルバメート、ピロリノン(pyrrolinone
)およびモルホリノがある。ペプトイド(側鎖がα炭素よりもαアミノ基に結合
するペプチド様オリゴマー)は、非ペプチドオリゴマーライブラリーの別のバー
ジョンの基礎を形成する。最初の非ペプチドオリゴマーライブラリーは、単一型
のモノマーを使用し、従って、反復骨格を含む。近年のライブラリーは、1つよ
り多くのモノマーを使用し、自由度が添加されたライブラリーを与える。
【0589】 ライブラリーをスクリーニングすることは、多様な一般的に公知の方法のいず
れかによって達成され得る。例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニングを
開示する以下の参考文献:ParmleyおよびSmith、1989、Adv
.Exp.Med.Biol.251:215−218;ScottおよびSm
ith、1990、Science 249:386−390;Fowlkes
ら、1992;BioTechniques 13:422−427;Olde
nburgら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
9:5393−5397;Yuら、1994、Cell 76:933−945
;Staudtら、1988、Science 241:577−580;Bo
ckら、1992、Nature 355:564−566;Tuerkら、1
992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6988−6
992;Ellingtonら、1992、Nature 355:850−8
52;米国特許第5,096,815号、米国特許第5,223,409号、お
よび米国特許第5,198,346号(全てLadnerらに対して);Reb
arおよびPabo、1993、Science 263:671−673;な
らびにPCT公開番号WO94/18318を参照のこと。
【0590】 特定の実施形態において、KDCポリペプチドを結合する分子を同定するため
のスクリーニングは、ライブラリーのメンバーを固相に固定化されたKDCポリ
ペプチドまたはKDC様ポリペプチドと接触させ、そしてKDCポリペプチドま
たはKDC様ポリペプチドに結合するこれらのライブラリーを収集することによ
って実行され得る。そのようなスクリーニング方法の例の、「パニング」と呼ば
れる技術は、例として、ParmleyおよびSmith,1988,Gene
73:305−318;Fowlkesら、1992,BioTechniq
ues 13:422−427;PCT公開番号WO94/18318;ならび
にその中に引用される参考文献に記載される。
【0591】 別の実施形態において、酵母中の相互作用タンパク質を選択するためのツーハ
イブリッドシステム(FieldsおよびSong,1989,Nature
340:245−246;Chienら、1991,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 88:9578−9582)が、KDCポリペプチドま
たはKDC様ポリペプチドに特異的に結合する分子を同定するために使用され得
る。
【0592】 KDC結合分子がポリペプチドである場合、このポリペプチドは、任意のペプ
チドライブラリー(ランダムペプチドライブラリー、コンビナトリアルペプチド
ライブラリー、またはバイアスペプチドライブラリーを含む)から簡便に選択さ
れ得る。用語「バイアス(biased)」は、この場合のペプチドにおいて、
ライブラリーを作製する方法が、生じる分子収集の多様性を支配する1つ以上の
パラメーターを制限するように操作されることを意味するために本明細書中に使
用される。
【0593】 従って、本当にランダムなペプチドライブラリーは、ペプチドの所定の位置に
特定のアミノ酸を見出す可能性が全て20のアミノ酸に関して同じである、ペプ
チドの収集物を作製する。しかし、例えば、リジンが5番目のアミノ酸毎に生じ
ることを特定するかまたはデカペプチドライブラリーの4位、8位および9位が
アルギニンのみを含むように固定して特定することによって、バイアスがライブ
ラリーに導入され得る。ライブラリー中へ導入され得る。明らかに、バイアスの
多くの型は、意図され得、そして本発明は、任意の特定のバイアスに制限されな
い。さらに、本発明は、特定の型のペプチドライブラリー(例えば、ファージデ
ィスプレイペプチドライブラリーおよびDNA挿入物と共にλファージベクター
を含むDNA構築物を使用するライブラリー)を意図する。
【0594】 上記のように、KDC結合分子(ポリペプチドである)の場合、このポリペプ
チドは、約6から約60より少ないアミノ酸残基を有し、好ましくは約6〜約1
0アミノ酸残基、そしてより好ましくは約6〜約22アミノ酸であり得る。別の
実施形態において、KDC結合ポリペプチドは、15〜100の範囲のアミノ酸
、または20〜50の範囲のアミノ酸を有する。
【0595】 選択されたKDC結合ポリペプチドは、化学合成または組換え発現によって得
られ得る。
【0596】 (他の活性) 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニスト、またはアンタゴニス
トは、血管内皮細胞増殖を刺激する能力の結果として、種々の疾患状態(例えば
、血栓症、動脈硬化、および他の心臓血管の状態)に起因する虚血組織の血管再
生を刺激するための処置において利用され得る。本発明のポリペプチド、ポリヌ
クレオチド、アゴニスト、またはアンタゴニストをまた利用して、上記で議論さ
れるように新脈管形成および肢の再形成を刺激し得る。
【0597】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニスト、またはアンタゴニス
トを、傷害、火傷、手術後組織修復、および瘢痕に起因する創傷の処置にもまた
利用し得る。なぜなら、それらは異なる起源の種々の細胞(例えば、線維芽細胞
および骨格筋細胞)に対してマイトジェン性であり、それゆえダメージを受けた
組織または疾患組織の修復または置換を促進するからである。
【0598】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、ニューロンの成長を刺激し、そして特定のニューロンの障害または神経
変性状態(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびAIDS関連複
合体)において生じるニューロンの損傷を処置および予防するために用いられ得
る。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニス
トは、軟骨細胞増殖を刺激する能力を有し得、それゆえ、骨および歯周の再形成
を増強し、そして組織移植片または骨の移植片における補助のために利用され得
る。
【0599】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
をまた利用して、ケラチノサイト増殖を刺激することにより、日焼けに起因する
皮膚の老化を予防し得る。
【0600】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
をまた、抜け毛を予防するために利用し得る。なぜなら、FGFファミリーのメ
ンバーは、髪形成細胞を活性化し、そしてメラノサイト増殖を促進するからであ
る。同じ方針で、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたは
アンタゴニストを利用して、他のサイトカインと組み合わせて使用した場合、造
血細胞および骨髄細胞の増殖および分化を刺激し得る。
【0601】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
をまた、移植前の器官を維持するためか、または初代組織の細胞培養を支持する
ために使用し得る。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまた
はアンタゴニストはまた、初期胚において分化するように中胚葉起源の組織を誘
導するために利用され得る。
【0602】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストもしくはアンタゴニス
トはまた、先に議論されるような造血系統に加えて、胚性幹細胞の分化もしくは
増殖を増加または減少し得る。
【0603】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストもしくはアンタゴニス
トはまた、哺乳動物の特徴(例えば、身長、体重、毛の色、眼の色、皮膚、脂肪
組織の割合、色素沈着、大きさ、および形(例えば、美容外科))を調節するた
めに使用され得る。同様に、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニ
ストもしくはアンタゴニストは、異化作用、同化作用、プロセシング、利用、お
よびエネルギーの貯蔵に影響を及ぼす哺乳動物の代謝を調節するために使用され
得る。
【0604】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストもしくはアンタゴニス
トは、バイオリズム、心臓(caricadic)リズム、うつ病(抑うつ性の
障害を含む)、暴力の傾向、痛みへの耐性、生殖能力(好ましくは、アクチビン
またはインヒビン様活性によって)、ホルモンレベルもしくは内分泌レベル、食
欲、性欲、記憶、ストレス、または他の認知の質に影響を及ぼすことによって、
哺乳動物の精神状態または身体状態を変更するために使用され得る。
【0605】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストもしくはアンタゴニス
トはまた、例えば、貯蔵能力、脂肪含有量、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタ
ミン、ミネラル、補因子、または他の栄養成分を増加または減少させるような食
品添加物または保存剤として使用され得る。
【0606】 上記の適用は、広範な種類の宿主における用途を有する。このような宿主とし
ては、ヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、マウス、ラッ
ト、ハムスター、ブタ、ミニブタ(micro−pig)、ニワトリ、ヤギ、ウ
シ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、およびヒトが挙げられるが、これらに
限定されない。特定の実施形態において、この宿主は、マウス、ウサギ、ヤギ、
モルモット、ニワトリ、ラット、ハムスター、ブタ、ヒツジ、イヌまたはネコで
ある。好ましい実施形態において、この宿主は哺乳動物である。最も好ましい実
施形態において、この宿主はヒトである。
【0607】 (他の好ましい実施形態) 本願発明の他の好ましい実施形態は、配列番号Xのヌクレオチド配列またはそ
の相補鎖および/もしくはcDNAプラスミドZのヌクレオチド配列中の少なく
とも約50個連続したヌクレオチドの配列と少なくとも95%同一であるヌクレ
オチド配列を含む、単離された核酸分子を含む。
【0608】 上記連続したヌクレオチドの配列が、表1中の配列番号Xについて同定された
位置の範囲で、配列番号Xのヌクレオチド配列に含まれる、核酸分子もまた好ま
しい。
【0609】 配列番号Xのヌクレオチド配列またはその相補鎖および/もしくはcDNAプ
ラスミドZのヌクレオチド配列中の少なくとも約150個連続したヌクレオチド
の配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸
分子もまた好ましい。
【0610】 配列番号Xのヌクレオチド配列またはその相補鎖および/もしくはcDNAプ
ラスミドZのヌクレオチド配列中の少なくとも約500個連続したヌクレオチド
の配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸
分子はさらに好ましい。
【0611】 さらに好ましい実施形態は、表1中の配列番号Xについて同定された位置の範
囲で配列番号Xのヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド
配列を含む核酸分子である。
【0612】 さらに好ましい実施形態は、配列番号Xの完全なヌクレオチド配列またはその
相補鎖および/もしくはcDNAプラスミドZのヌクレオチド配列と少なくとも
95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0613】 ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号Xのヌクレオチ
ド配列またはその相補鎖および/もしくはcDNAプラスミドZのヌクレオチド
配列を含む核酸分子にハイブリダイズする単離された核酸分子もまた好ましく、
ここで上記のハイブリダイズする核酸分子は、ストリンジェントなハイブリダイ
ゼーション条件下で、A残基のみまたはT残基のみからなるヌクレオチド配列を
有する核酸分子にハイブリダイズしない。
【0614】 cDNAプラスミドZを含むDNA分子を含む組成物もまた好ましい。
【0615】 cDNAプラスミドZのヌクレオチド配列中の少なくとも50個連続したヌク
レオチドの配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む単離され
た核酸分子もまた好ましい。
【0616】 上記の少なくとも50個連続したヌクレオチドの配列が、cDNAプラスミド
Zによってコードされるオープンリーディングフレームの配列のヌクレオチド配
列中に含まれる、単離された核酸分子もまた好ましい。
【0617】 cDNAプラスミドZによってコードされるヌクレオチド配列中の少なくとも
150個連続したヌクレオチドの配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチ
ド配列を含む、単離された核酸分子もまた好ましい。
【0618】 さらに好ましい実施形態は、cDNAプラスミドZによってコードされるヌク
レオチド配列中の少なくとも500個連続したヌクレオチドの配列と少なくとも
95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0619】 さらに好ましい実施形態は、cDNAプラスミドZによってコードされる完全
なヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単
離された核酸分子である。
【0620】 さらに好ましい実施形態は、以下:配列番号Xのヌクレオチド配列またはその
相補鎖およびcDNAプラスミドZによりコードされるヌクレオチド配列からな
る群から選択される配列中の少なくとも50個連続したヌクレオチドの配列と少
なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子を、生物学的サンプ
ルにおいて検出するための方法であって、上記の方法は、上記の群から選択され
る配列と、上記のサンプル中の少なくとも1つの核酸分子のヌクレオチド配列と
を比較する工程、および上記サンプル中の上記核酸分子の配列が、上記の選択さ
れた配列に対して少なくとも95%同一であるか否かを決定する工程を包含する
【0621】 上記の配列を比較する工程が、上記サンプル中の核酸分子と、上記の群から選
択される上記の配列を含む核酸分子との間の核酸ハイブリダイゼーションの程度
を決定する工程を包含する、上記方法もまた好ましい。同様に、上記の配列を比
較する工程が、上記サンプル中の核酸分子から決定されるヌクレオチド配列と、
上記の群から選択される配列とを比較する工程によって実施される、上記方法も
また好ましい。核酸分子は、DNA分子またはRNA分子を含み得る。
【0622】 さらに好ましい実施形態は、生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同
定するための方法であって、この方法は、以下からなる群から選択される配列中
の少なくとも50個連続したヌクレオチドの配列と少なくとも95%同一である
ヌクレオチド配列を含む上記サンプル中の核酸分子を(もしあれば)検出する工
程を包含する:配列番号Xのヌクレオチド配列またはその相補鎖およびcDNA
プラスミドZによりコードされるヌクレオチド配列。
【0623】 生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同定するための方法は、少なく
とも2つのヌクレオチド配列のパネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検
出する工程を包含し得、ここで上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記の
群から選択される配列中の少なくとも50個連続したヌクレオチドの配列と少な
くとも95%同一である。
【0624】 タンパク質をコードする、配列番号Xのヌクレオチド配列もしくはその相補鎖
またはcDNAプラスミドZのヌクレオチド配列の、異常な構造または発現と関
連する病理学的状態を、被験体において診断するための方法もまた好ましく、こ
の方法は、以下からなる群から選択される配列中の少なくとも50個連続したヌ
クレオチドの配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、核酸
分子を、(もしあれば)上記被験体から得られる生物学的サンプルにおいて検出
する工程を包含する:配列番号Xのヌクレオチド配列またはその相補鎖およびc
DNAプラスミドZのヌクレオチド配列。
【0625】 病理学的状態を診断するための方法は、少なくとも2つのヌクレオチド配列の
パネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検出する工程を包含し得、ここで
、上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記群から選択される配列中の少な
くとも50個連続したヌクレオチドの配列と少なくとも95%同一である。
【0626】 上記の核酸分子のヌクレオチド配列が、少なくとも2つのヌクレオチド配列の
パネルを含む、単離された核酸分子を含む組成物もまた好ましく、ここで上記の
パネル中の少なくとも1つの配列は、以下からなる群から選択される配列中の少
なくとも50個連続したヌクレオチドの配列と少なくとも95%同一である:配
列番号Xのヌクレオチド配列またはその相補鎖およびcDNAプラスミドZによ
りコードされるヌクレオチド配列。この核酸分子は、DNA分子またはRNA分
子を含み得る。
【0627】 配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコード
されるポリペプチドおよび/またはcDNAプラスミドZによりコードされるポ
リペプチド中の少なくとも約10個連続したアミノ酸の配列と少なくとも90%
同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好ましい。
【0628】 配列番号Yのアミノ酸配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコードされ
るポリペプチドのアミノ酸配列および/またはcDNAプラスミドZによりコー
ドされるポリペプチドのアミノ酸配列中の少なくとも約30個連続したアミノ酸
の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド
もまた好ましい。
【0629】 配列番号Yのアミノ酸配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコードされ
るポリペプチドのアミノ酸配列および/またはcDNAプラスミドZによりコー
ドされるポリペプチドのアミノ酸配列中の少なくとも約100個連続したアミノ
酸の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチ
ドはさらに好ましい。
【0630】 配列番号Yの完全アミノ酸配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコード
されるポリペプチドの完全アミノ酸配列および/またはcDNAプラスミドZに
よりコードされるポリペプチドの完全アミノ酸配列と少なくとも95%同一のア
ミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドはさらに好ましい。
【0631】 cDNAプラスミドZによりコードされるポリペプチドの完全アミノ酸配列中
の少なくとも約10個連続したアミノ酸の配列と少なくとも90%同一のアミノ
酸配列を含む、単離されたポリペプチドはさらに好ましい。
【0632】 上記の連続したアミノ酸の配列が、cDNAプラスミドZによってコードされ
るポリペプチド;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコードされるポリペプチ
ドおよび/または配列番号Yのポリペプチド配列の一部のアミノ酸配列に含まれ
る、ポリペプチドもまた好ましい。
【0633】 cDNAプラスミドZによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列中の
少なくとも約30個連続したアミノ酸の配列と少なくとも95%同一であるアミ
ノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
【0634】 cDNAプラスミドZによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列中の
少なくとも約100個連続したアミノ酸の配列と少なくとも95%同一であるア
ミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
【0635】 cDNAプラスミドZによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列と少
なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた
、好ましい。
【0636】 以下からなる群から選択される配列中の、少なくとも10個連続したアミノ酸
の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して
特異的に結合する単離された抗体は、さらに好ましい:配列番号Yのポリペプチ
ド;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコードされるポリペプチド配列および
cDNAプラスミドZによりコードされるポリペプチド。
【0637】 以下:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xもしくはその相補鎖により
コードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミドZによりコードされるポリ
ペプチドからなる群から選択された配列中の、少なくとも10個連続したアミノ
酸の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを、生
物学的サンプルにおいて検出する方法はさらに好ましく;この方法は、このサン
プル中における少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列をこの群から
選択された配列と比較する工程およびこのサンプル中におけるこのポリペプチド
分子の配列が、少なくとも10個連続したアミノ酸のこの配列と少なくとも90
%同一であるかどうかを決定する工程を含む。
【0638】 このサンプル中における少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列を
、この群から選択された配列と比較するこの工程が、このサンプル中のポリペプ
チドの、以下:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xもしくはその相補鎖
によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミドZによりコードされ
るポリペプチドからなる群から選択された配列中の少なくとも10個連続したア
ミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペ
プチドと特異的に結合する抗体に対する特異的な結合の程度を決定することを含
む、上記の方法もまた、好ましい。
【0639】 配列を比較する工程が、このサンプル中のポリペプチド分子から決定されたア
ミノ酸配列を、この群から選択されたこの配列と比較することによって行われる
、上記の方法もまた好ましい。
【0640】 生物学的サンプルの種、組織または細胞型を同定する方法もまた好ましく、こ
こでこの方法は、もし存在するならば、以下からなる群から選択される配列にお
ける少なくとも10個連続したアミノ酸の配列と少なくとも90%同一であるア
ミノ酸配列を含むポリペプチド分子をこのサンプル中で検出する工程を含む:配
列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコードされ
るポリペプチドおよびcDNAプラスミドZによりコードされるポリペプチド。
【0641】 生物学的サンプルの種、組織または細胞型を同定する上記の方法もまた好まし
く、ここでこの方法は、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミノ
酸配列を含むポリペプチド分子を検出する工程を含み、ここでこのパネル中の少
なくとも1つの配列は、上記の群から選択された配列における少なくとも10個
連続したアミノ酸の配列と少なくとも90%同一である。
【0642】 被験体において、表1において同定された、ポリペプチドをコードする核酸配
列の異常な構造または発現に関連する病的状態を診断する方法もまた、好ましく
、ここで、この方法は、この被験体から得られた生物学的サンプルにおいて、少
なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミノ酸配列を含むポリペプチド
分子を検出する工程を含み、ここでこのパネル中の少なくとも1つの配列は、以
下からなる群から選択される配列における少なくとも10個連続したアミノ酸の
配列と少なくとも90%同一である:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号
Xもしくはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミ
ドZによりコードされるポリペプチド。
【0643】 これらの方法のいずれかにおいて、上記ポリペプチド分子を検出する工程は、
抗体を使用することを包含する。
【0644】 以下からなる群から選択された配列中の、少なくとも10個連続したアミノ酸
の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコード
するヌクレオチド配列と、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む
、単離された核酸分子もまた、好ましい:配列番号Yのポリペプチド配列;配列
番号Xもしくはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラ
スミドZによりコードされるポリペプチド。
【0645】 上記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、原核生物宿主でのこのポ
リペプチドの発現について最適化されている、単離された核酸分子もまた、好ま
しい。
【0646】 上記ポリペプチドが以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離
された核酸分子もまた、好ましい:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号X
もしくはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミド
Zによりコードされるポリペプチド。
【0647】 上記の単離された核酸分子のいずれかをベクター中に挿入する工程を含む、組
換えベクターの作製方法はさらに好ましい。この方法によって生成された組換え
ベクターも、好ましい。宿主細胞中にベクターを導入する工程を含む、組換え宿
主細胞を作製する方法、ならびにこの方法によって生成された組換え宿主細胞も
また、好ましい。
【0648】 単離されたポリペプチドを作製する方法であって、このポリペプチドが発現さ
れるような条件下でこの組換え宿主細胞を培養する工程、およびこのポリペプチ
ドを回収する工程を包含する、方法もまた好ましい。この組換え宿主細胞が真核
生物細胞であり、そしてこのポリペプチドが以下からなる群から選択されたアミ
ノ酸配列を含むヒトタンパク質である、単離されたポリペプチドを作製するこの
方法もまた好ましい:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xもしくはその
相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミドZによりコー
ドされるポリペプチド。この方法によって生成された単離されたポリペプチドも
また、好ましい。
【0649】 増加したレベルのタンパク質活性を必要とする個体を処置する方法もまた、好
ましく、ここで、この方法は、このような個体に、この個体においてこのタンパ
ク質の活性のレベルを増加させるのに有効な量の、本願発明の単離されたポリペ
プチド、ポリヌクレオチド、その免疫原性フラグメントもしくはアナログ、結合
因子、抗体、あるいは抗原フラグメントを含む治療剤を投与する工程を包含する
【0650】 減少したレベルのタンパク質活性を必要とする個体を処置する方法もまた、好
ましく、ここで、この方法は、このような個体に、この個体においてこのタンパ
ク質の活性のレベルを減少させるのに有効な量の、本願発明の単離されたポリペ
プチド、ポリヌクレオチド、その免疫原性フラグメントもしくはアナログ、結合
因子、抗体、あるいは抗原フラグメントを含む治療剤を投与する工程を包含する
【0651】 本発明の特定の実施形態では、表2の4番目の列に列挙される各「コンティグ
ID」について、好ましくは、表2の5番目の列で参照されるヌクレオチド配列
、および一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここでaおよびbは
、表2の列3で参照される対応する配列番号Xについて独自に決定される)を含
むか、またはそのようなヌクレオチド配列からなる、1つ以上のポリヌクレオチ
ドが除外される。さらに特定の実施形態は、表2の5番目の列において参照され
る特定のポリヌクレオチド配列の1、2、3、4個、またはそれ以上を除外する
ポリヌクレオチド配列に関する。
【0652】 好ましくは、一般式c−dで記述されるヌクレオチド(ここで、cおよびdは
、配列番号Xでしめしたヌクレオチド残基の位置であり、dはc+14以上であ
る)を含むポリヌクレオチドは本発明から除外される。
【0653】 この表は、この一般式により除外され得る配列の全てを含むことを決して意味
せず、この表は、単に例示的な例である。これらの登録を通じて利用可能な全て
の文献は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0654】
【表2】
【0655】
【表3】
【0656】
【表4】 概して、本発明を記載してきたが、例示の目的のために提供されかつ限定する
ことを意図しない、以下の実施例を参照することによって、本発明はより容易に
理解される。
【0657】 (実施例) (実施例1:選択されたcDNAクローンの寄託されたサンプルからの単離) 引用されるATCC寄託物中の各cDNAクローンは、プラスミドベクター中
に含まれる。表1は、各クローンが単離されたcDNAライブラリーを構築する
ために用いられたベクターを示す。多くの場合において、ライブラリーを構築す
るために使用されたベクターは、プラスミドが切り出されたファージベクターで
ある。直下の表は、cDNAライブラリーを構築する際に使用される各ファージ
ベクターについて関連するプラスミドを相関づける。例えば、特定のクローンが
ベクター「Lambda Zap」中に単離されていると表1に示される場合、
対応する寄託クローンは、「pBluescript」である。
【0658】
【表5】 ベクターLambda Zap(米国特許第5,128,256号および同第
5,286,636号)、Uni−Zap XR(米国特許第5,128,25
6号および同第5,286,636号)、Zap Express(米国特許第
5,128,256号および同第5,286,636号)、pBluescri
pt(pBS)(Shortら、Nucleic Acids Res. 16
:7583−7600(1988);Alting−Meesら、Nuclei
c Acids Res. 17:9494(1989))ならびにpBK(A
lting−Meesら、Strategies 5:58−61(1992)
)は、Stratagene Cloning Systems,Inc.、1
1011 N.Torrey Pines Road、La Jolla,CA
,92037から市販されている。pBSは、アンピシリン耐性遺伝子を含み、
そしてpBKはネオマイシン耐性遺伝子を含む。両方とも、E.coli株XL
−1 Blue(これもまた、Stratageneから入手可能である)に形
質転換され得る。pBSは、SK+、SK−、KS+およびKSの4形態で入荷
する。SおよびKとは、ポリリンカー領域(「S」とはSacIであり、そして
「K」とは、KpnIのことであり、これらは、それぞれのリンカーの各末端で
の最初の部位である)に隣接するT7およびT3プライマー配列に対するポリリ
ンカーの配向をいう。「+」または「−」とは、ある方向においてf1 ori
から開始される一本鎖レスキューがセンス鎖DNAを生成し、そして他方におい
てアンチセンスであるようなf1複製起点(「ori」)の配向をいう。
【0659】 ベクターpSport1、pCMVSport 2.0およびpCMVSpo
rt3.0をLife Technologies、Inc.、P.O.Box
6009、Gaithersburg,MD 20897から入手した。全ての
Sportベクターはアンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株D
H10B(これもまた、Life Technologiesから入手可能であ
る)に形質転換され得る。(例えば、Gruber,C.E.ら、Focus
15:59(1993)を参照のこと)。ベクターlafmid BA(Ben
to Soares、Columbia University、NY)は、ア
ンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株XL−1 Blueに形質
転換され得る。ベクターpCR(登録商標)2.1(これはInvitroge
n、1600 Faraday Avenue、Carlsbad、CA 92
008から入手可能である)は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.c
oli株DH10B(Life Technologiesから入手可能である
)に形質転換され得る(例えば、Clark、Nuc.Acids Res.1
6:9677−9686(1988)およびMeadら、Bio/Techno
logy 9(1991)を参照のこと)。好ましくは、本発明のポリヌクレオ
チドは、表1における特定のクローンについて同定されたファージベクター配列
、ならびに上記に示された対応するプラスミドベクター配列を含まない。
【0660】 表1に引用される、任意の所定のcDNAクローンについてATCC受託番号
を与えられたサンプルにおける寄託された物質はまた、1つ以上のさらなるプラ
スミド(これは各々、その所定のクローンとは異なるcDNAクローンを含む)
を含み得る。従って、同じATCC受託番号を共有する寄託物は、表1に示され
る各cDNAクローンのためのプラスミドを少なくとも含む。代表的には、表1
に引用される各ATCC寄託物のサンプルは、ほぼ等量(重量で)の約50個の
プラスミドDNA(これは各々、異なるcDNAクローンを含む)の混合物を含
む;しかし、このような寄託サンプルは、50個よりも多いかまたは少ないcD
NAクローン(約500個までのcDNAクローン)のためのプラスミドを含み
得る。
【0661】 表1における特定のクローンについて引用されるプラスミドDNAの寄託サン
プルからそのクローンを単離するために2つのアプローチが使用され得る。第一
に、プラスミドを、配列番号Xに対応するポリヌクレオチドプローブを使用して
、クローンをスクリーニングすることによって直接単離する。
【0662】 特に、30〜40ヌクレオチドを有する特定のポリヌクレオチドを、報告され
ている配列に従って、Applied BiosystemsのDNA合成装置
を使用して合成する。オリゴヌクレオチドを、例えば、32P−γ−ATPで、T
4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて標識し、そして慣用の方法に従って精製す
る。(例えば、Maniatisら、Molecular Cloning:A
Laboratory Manual、Cold Spring Harbo
r Press、Cold Spring、NY(1982))。プラスミド混
合物を、当業者に公知の技術(例えば、ベクター供給者によって提供される技術
または上記で引用された関連の刊行物もしくは特許において提供される技術)を
用いて、上記のような適切な宿主(例えば、XL−1 Blue(Strata
gene))に形質転換する。形質転換体を1.5%寒天プレート(適切な選択
薬剤、例えば、アンピシリンを含む)に、1プレートあたり約150の形質転換
体(コロニー)の密度でプレーティングする。これらのプレートを、細菌コロニ
ースクリーニングについての慣用の方法(例えば、Sambrookら、Mol
ecular Cloning:A Laboratory Manual、第
2版、(1989)、Cold Spring Harbor Laborat
ory Press、1.93〜1.104頁)または当業者に公知の他の技術
に従って、ナイロンメンブレンを使用してスクリーニングする。
【0663】 あるいは、配列番号Xの両端(すなわち、表1に規定されるクローンの5’N
Tおよび3’NTによって囲まれる配列番号Xの領域内)に由来する、17〜2
0ヌクレオチドの2つのプライマーを合成し、そしてこれらを使用して、寄託さ
れたcDNAプラスミドをテンプレートとして使用して、所望のcDNAを増幅
する。ポリメラーゼ連鎖反応を、慣用の条件下で、例えば、0.5μgの上記c
DNAテンプレートとの反応混合物の25μl中で実施する。便利な反応混合物
は、1.5〜5mM MgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、それぞれ2
0μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、25pmolの各プライマ
ーおよび0.25ユニットのTaqポリメラーゼである。35サイクルのPCR
(94℃での変性を1分間;55℃でのアニールを1分間;72℃での伸長を1
分間)を、Perkin−Elmer Cetus自動化サーマルサイクラーを
用いて実施する。増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分析し、そして予想
される分子量のDNAバンドを切り出し、そして精製する。PCR産物を、DN
A産物をサブクローニングおよび配列決定することによって選択された配列であ
ることを確認する。
【0664】 寄託されたクローンに存在しないかもしれない遺伝子の5’非コード部分また
は3’非コード部分の同定のために、いくつかの方法が利用可能である。これら
の方法は、以下を含むがこれらに限定されない:フィルタープローブ探索、特異
的プローブを使用するクローン富化、および当該分野で周知である5’および3
’「RACE」プロトコルと類似するかまたは同一のプロトコル。例えば、5’
RACEに類似する方法は、所望の全長転写物の失われた5’末端を生成するた
めに利用可能である(Fromont−Racineら、Nucleic Ac
ids Res.21(7):1683−1684(1993))。
【0665】 簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝子RNA転写物をお
そらく含むRNAの集団の5’末端に連結する。連結されたRNAオリゴヌクレ
オチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知の配列に特異的なプライ
マーを含むプライマーセットを使用して、所望の全長遺伝子の5’部分をPCR
増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、そしてこれを使用して全
長遺伝子を生成し得る。
【0666】 この上記の方法は、所望の供給源から単離された総RNAを用いて開始するが
、ポリA+RNAをも使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスフ
ァターゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解または損傷RN
Aの5’リン酸基を排除し得る。次いで、ホスファターゼを不活化するべきであ
り、そしてRNAをメッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造を
除去するために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処理するべきである。
この反応は、次いでT4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌクレオチドに
連結され得る、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残す。
【0667】 この改変型RNA調製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第
一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして使用する。第一鎖合成反応物を連
結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の
公知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のため
のテンプレートとして使用する。次いで、得られた生成物を配列決定し、そして
分析して5’末端配列が所望の遺伝子に属することを確認する。
【0668】 (実施例2:ポリヌクレオチドに対応するゲノムクローンの単離) ヒトゲノムP1ライブラリー(Genomic Systems、Inc.)
を、実施例1に記載される方法に従って、配列番号Xに対応するcDNA配列に
ついて選択されたプライマーを用いるPCRによってスクリーニングする(Sa
mbrookもまた参照のこと)。
【0669】 (実施例3:ポリペプチドの組織分布) 本発明のポリヌクレオチドのmRNA発現の組織分布を、とりわけ、Samb
rookらによって記載されるノーザンブロット分析についてのプロトコルを用
いて決定する。例えば、実施例1に記載される方法によって生成されるcDNA
プローブを、rediprimeTM DNA labeling system
(Amersham Life Science)を用いて、製造者の指示に従
って、P32で標識する。標識後、プローブを、CHROMA SPIN−100 TM カラム(Clontech Laboratories、Inc.)を使用し
て、製造者のプロトコル番号PT1200−1に従って精製する。次いで、精製
した標識プローブを使用して、種々のヒト組織をmRNA発現について試験する
【0670】 種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含む多重組織ノーザン
(MTN)ブロット(Clontech)を、ExpressHybTMハイブリ
ダイゼーション溶液(Clontech)を用いて、製造者のプロトコル番号P
T1190−1に従って、標識プローブで試験する。ハイブリダイゼーションお
よび洗浄後、ブロットをマウントして、そして−70℃で一晩フィルムに露出し
、そしてフィルムを標準的な手順に従って現像する。
【0671】 (実施例4:ポリヌクレオチドの染色体マッピング) オリゴヌクレオチドプライマーのセットを、配列番号Xの5’末端の配列に従
って設計する。このプライマーは、好ましくは約100ヌクレオチドにわたる。
次いで、このプライマーセットを、以下のセットの条件下でポリメラーゼ連鎖反
応に使用する:95℃で30秒;56℃で1分;70℃で1分。このサイクルを
32回反復し、次いで1回、70℃で5分間のサイクルを行う。個々の染色体ま
たは染色体フラグメントを含む体細胞ハイブリッドパネル(Bios,Inc)
に加えて、ヒト、マウス、およびハムスターのDNAを鋳型として使用する。反
応物を、8%ポリアクリルアミドゲルまたは3.5%アガロースゲルのいずれか
で分析する。染色体マッピングを、特定の体細胞ハイブリッドにおける約100
bpのPCRフラグメントの存在によって決定する。
【0672】 (実施例5:ポリペプチドの細菌性発現) 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、実施例1に概説する
ように、DNA配列の5’および3’末端に対応するPCRオリゴヌクレオチド
プライマーを使用して増幅し、挿入フラグメントを合成する。cDNA挿入物を
増幅するために使用されるプライマーは、発現ベクターに増幅産物をクローニン
グするために、必要であれば、プライマーの5’末端にBamHIおよびXba
Iならびに開始コドン/停止コドンのような制限部位を好ましくは含むべきであ
る。例えば、BamHIおよびXbaIは、細菌性発現ベクターpQE−9(Q
iagen,Inc.,Chatsworth,CA)の制限酵素部位に対応す
る。このプラスミドベクターは、抗生物質耐性(Ampr)、細菌の複製起点(
ori)、IPTGで調節可能なプロモーター/オペレーター(P/O)、リボ
ソーム結合部位(RBS)、6−ヒスチジンタグ(6−His)、および制限酵
素クローニング部位をコードする。
【0673】 pQE−9ベクターをBamHIおよびXbaIで消化し、そして、増幅され
たフラグメントを細菌性RBSにおいて開始されるリーディングフレームを維持
しながらpQE−9ベクターに連結する。次いで連結混合物を、lacIリプレ
ッサーを発現し、またカナマイシン耐性(Kanr)を与えるプラスミドpRE
P4の多重コピーを含む、E.coli株M15/rep4(Qiagen,I
nc.)を形質転換するために使用する。形質転換体を、それらのLBプレート
上で生育する能力によって同定し、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性コロ
ニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、そして制限分析によって確認する
【0674】 所望の構築物を含むクローンを、Amp(100μg/ml)およびKan(
25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養で一晩(O/N)
増殖させる。O/N培養物を、1:100〜1:250の比で大量培養物に接種
するために使用する。細胞を、0.4と0.6との間の光学密度600(O.D
600)まで増殖させる。次いで、IPTG(イソプロピル−B−D−チオガラ
クトピラノシド)を最終濃度1mMになるように加える。IPTGは、lacI
リプレッサーの不活化により誘導し、P/Oの障害物を除去し、遺伝子発現の増
加を導く。
【0675】 細胞を、さらに3〜4時間増殖させる。次いで、細胞を遠心分離(6000×
gで20分間)によって収集する。細胞ペレットを、カオトロピック剤である6
MグアニジンHCl中に、4℃で3〜4時間攪拌することによって可溶化させる
。細胞細片を遠心分離によって取り除き、そしてポリペプチドを含む上清を、ニ
ッケル−ニトリロ三酢酸(「Ni−NTA」)アフィニティー樹脂カラム(QI
AGEN,Inc.前出より入手可能)にロードする。6×Hisタグを有する
タンパク質は、Ni−NTA樹脂に高い親和性で結合し、そして単純な1工程手
順で精製され得る(詳細には、The QIAexpressionist(1
995)QIAGEN,Inc.,前出を参照のこと)。
【0676】 手短に言えば、上清を、6Mグアニジン−HCl、pH8のカラムにロードし
、カラムを、最初に10容量の6Mグアニジン−HCl、pH8で洗浄し、次い
で10容量の6Mグアニジン−HCl、pH6で洗浄し、最後にポリペプチドを
、6Mグアニジン−HCl、pH5で溶出する。
【0677】 次いで、精製したタンパク質を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)または5
0mM 酢酸ナトリウム、200mM NaClを含むpH6の緩衝液に対して
透析することにより再生させる。あるいは、タンパク質はNi−NTAカラムに
固定化している間に、首尾よく再折畳みされ得る。推奨条件は以下の通りである
:プロテアーゼインヒビターを含む、500mM NaCl、20%グリセロー
ル、20mM Tris/HCl pH7.4中の6M〜1M尿素の直線勾配を
使用する再生。再生は1.5時間以上の時間をかけて行うべきである。再生後、
タンパク質を250mMイミダゾールの添加によって溶出させる。イミダゾール
を、PBSまたは50mM酢酸ナトリウム、200mM NaClを含むpH6
の緩衝液に対する最終の透析工程によって除去する。精製したタンパク質を、4
℃で保存するか、または−80℃で冷凍する。
【0678】 上記の発現ベクターに加えて、本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドに
作動可能に連結されたファージオペレーターおよびプロモーターエレメントを含
み、pHE4aと呼ばれる発現ベクターを含む(ATCC受託番号209645
、1998年2月25日に寄託)。このベクターは以下を含む:1)選択マーカ
ーとしてのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、2)E.coli複
製起点、3)T5ファージプロモーター配列、4)2つのlacオペレーター配
列、5)シャイン−ダルガーノ配列、および6)ラクトースオペロンリプレッサ
ー遺伝子(laqIq)。複製起点(oriC)は、pUC19(LTI,Ga
ithersburg,MD)に由来する。プロモーター配列およびオペレータ
ー配列を合成的に作製する。
【0679】 NdeIおよびXbaI、BamHI、XhoI、またはAsp718によっ
てベクターを制限処理し、制限生成物をゲルで泳動し、そしてより大きな方のフ
ラグメント(スタッファー(stuffer)フラグメントは約310塩基対で
あるべきである)を単離することによって、DNAをpHEaに挿入し得る。D
NA挿入物を、NdeI(5’プライマー)およびXbaI、BamHI、Xh
oI、またはAsp718(3’プライマー)に対する制限部位を有するPCR
プライマーを使用して、実施例1に記載のPCRプロトコルに従って生成する。
PCR挿入物を、ゲル精製し、そして適合する酵素で制限処理する。挿入物およ
びベクターを標準的なプロトコルに従って連結する。
【0680】 操作されたベクターは、上記のプロトコルにおいて、細菌系でタンパク質を発
現させるために容易に置換され得る。
【0681】 (実施例6:封入体からのポリペプチドの精製) 以下の別の方法は、ポリペプチドが封入体の形態で存在する場合に、E.co
li中で発現されたポリペプチドを精製するために使用され得る。他に指定され
ない場合には、以下の全ての工程は4〜10℃で行われる。
【0682】 E.coli発酵の生産期の完了後、細胞培養物を4〜10℃に冷却し、そし
て15,000rpmの連続遠心分離(Heraeus Sepatech)に
よって細胞を採集する。細胞ペーストの単位重量あたりのタンパク質の予想され
る収量および必要とされる精製タンパク質の量に基づいて、細胞ペーストの適切
な量(重量による)を、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.
4を含む緩衝溶液に懸濁させる。細胞を、高剪断ミキサーを使用して均質な懸濁
液に分散させる。
【0683】 次いで、細胞をマイクロフルイダイザー(microfluidizer)(
Microfluidics,Corp.またはAPV Gaulin,Inc
.)に2回、4000〜6000psiで溶液を通すことによって溶解させる。
次いでホモジネートを、最終濃度0.5M NaClになるようにNaCl溶液
と混合し、続いて7000×gで15分間遠心分離を行う。得られたペレットを
、0.5M NaCl、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.
4を使用して再度洗浄する。
【0684】 得られた洗浄した封入体を、1.5M 塩酸グアニジン(GuHCl)で2〜
4時間可溶化する。7000×gで15分間の遠心分離の後、ペレットを廃棄し
、そしてポリペプチドを含む上清を4℃で一晩インキュベートしてさらなるGu
HCl抽出を可能にする。
【0685】 不溶性粒子を除去するための高速遠心分離(30,000×g)に続き、Gu
HCl可溶化タンパク質を、GuHCl抽出物と、50mM ナトリウム、pH
4.5、150mM NaCl、2mM EDTAを含む20容量の緩衝液とを
、激しい攪拌で迅速に混合することによって、再折畳みさせる。再折畳みした希
釈タンパク質溶液を、さらなる精製工程の前の12時間、混合しないで4℃で保
つ。
【0686】 再折畳みされたポリペプチド溶液を清澄にするために、40mM酢酸ナトリウ
ム、pH6.0で平衡化した、適切な表面積を有する0.16μmメンブレンフ
ィルターを備える予め準備した接線濾過ユニット(例えば、Filtron)を
使用する。濾過したサンプルを、カチオン交換樹脂(例えば、Poros HS
−50,Perseptive Biosystems)上にロードする。カラ
ムを40mM 酢酸ナトリウム、pH6.0で洗浄し、そして同じ緩衝液中の2
50mM、500mM、1000mM、および1500mM NaClで、段階
的な様式で溶出する。溶出液の280nmにおける吸光度を連続的にモニターす
る。画分を収集し、そしてSDS−PAGEによってさらに分析する。
【0687】 次いでポリペプチドを含む画分をプールし、そして4容量の水と混合する。次
いで希釈されたサンプルを、予め準備した強アニオン(Poros HQ−50
,Perseptive Biosystems)交換樹脂および弱アニオン(
Poros CM−20,Perseptive Biosystems)交換
樹脂の直列カラムのセットにロードする。カラムを40mM 酢酸ナトリウム、
pH6.0で平衡化する。両方のカラムを、40mM 酢酸ナトリウム、pH6
.0、200mM NaClで洗浄する。次いでCM−20カラムを10カラム
容量の直線勾配(0.2M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH6.0
から1.0M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH6.5の範囲)を用
いて溶出させる。画分を、溶出液の定常A280モニタリング下で収集する。次い
で、(例えば、16% SDS−PAGEによって判明した)ポリペプチドを含
む画分をプールする。
【0688】 得られたポリペプチドは、上記の再折畳みおよび精製工程の後で95%より高
い純度を示すはずである。5μgの精製タンパク質がロードされる場合、いかな
る主たる混在バンドも、クマシーブルー染色した16% SDS−PAGEゲル
から観察されないはずである。精製タンパク質はまた、エンドトキシン/LPS
混在について試験され得、そして代表的には、LPS含量はLALアッセイに従
って、0.1ng/ml未満である。
【0689】 (実施例7:バキュロウイルス発現系におけるポリペプチドのクローニングお
よび発現) この実施例では、ポリペプチドを発現するために、プラスミドシャトルベクタ
ーpA2を使用してポリヌクレオチドをバキュロウイルスに挿入する。この発現
ベクターは、Autographa californica核多核体ウイルス
(AcMNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、続いてBamHI、Xb
aI、およびAsp718のような便利な制限部位を含む。シミアンウイルス4
0(「SV40」)のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデニル化のために
使用する。組換えウイルスの容易な選択のために、プラスミドは、同方向にある
弱いDrosophilaプロモーターの制御下でE.coli由来のβ−ガラ
クトシダーゼ遺伝子、続いてポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含
む。挿入された遺伝子は両方の側で、クローン化したポリヌクレオチドを発現す
る生存可能なウイルスを生成する、野生型ウイルスDNAとの細胞媒介性の相同
組換えのためのウイルス配列と隣接する。
【0690】 他の多くのバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、pVL941
、およびpAcIM1)は、当業者が容易に理解するように、必要とされる場合
、構築物が転写、翻訳、分泌などのために適切に配置されたシグナル(シグナル
ペプチドおよびインフレームなAUGを含む)を提供する限りにおいて、上記の
ベクターの代わりに使用され得る。このようなベクターは、例えば、Lucko
wら、Virology 170:31−39(1989)に記載される。
【0691】 具体的には、寄託されたクローンに含まれるcDNA配列を、適した制限部位
および開始/停止コドンをもつプライマーを使用し、実施例1に記載されるPC
Rプロトコルを使用して増幅させる。天然に存在するシグナル配列を使用して分
泌タンパク質を産生する場合、pA2ベクターは第2のシグナルペプチドを必要
としない。あるいは、ベクターは、Summersら(「A Manual o
f Methods for Baculovirus Vectors an
d Insect Cell Culture Procedures」、Te
xas Agricultural Experimental Statio
n Bulletin No.1555(1987))に記載される標準的な方
法を用いて改変して、バキュロウイルスリーダー配列を含ませ得る(pA2 G
P)。
【0692】 増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」,BIO 101 Inc.,La Jolla,Ca)を使用して、1%アガロースゲ
ルから単離する。次いでフラグメントを適切な制限酵素で消化し、そして再び1
%アガロースゲルで精製する。
【0693】 プラスミドを対応する制限酵素で消化し、そして必要に応じて、当該分野で公
知の慣用の手順を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化し得る。
次いでDNAを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 In
c.,La Jolla,Ca)を使用して、1%アガロースゲルから単離する
【0694】 フラグメントおよび脱リン酸化したプラスミドを、T4 DNAリガーゼを用
いて互いに連結する。E.coli HB101またはXL−1 Blue(S
tratagene Cloning Systems,La Jolla,C
a)細胞のような他の適切なE.coli宿主を、連結混合液で形質転換し、そ
して培養プレート上に拡げる。プラスミドを含む細菌を、個々のコロニー由来の
DNAを消化し、そして消化産物をゲル電気泳動によって分析することにより同
定する。クローニングしたフラグメントの配列をDNA配列決定によって確認す
る。
【0695】 このポリヌクレオチドを含む5μgのプラスミドを、Felgnerら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417(19
87)によって記載されたリポフェクション法を使用して、1.0μgの市販の
線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovi
rus DNA」,Pharmingen,San Diego,CA)と共に
同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldTMウイルスDNAお
よび5μgのプラスミドを、50μlの無血清グレース培地(Life Tec
hnologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含む、マ
イクロタイタープレートの滅菌したウェル中で混合する。その後、10μlのリ
ポフェクチンおよび90μlグレース培地を加え、混合し、そして室温で15分
間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合液を、無血清グレー
ス培地1mlを加えた35mm組織培養プレートに播種したSf9昆虫細胞(A
TCC CRL 1711)に滴下して加える。次いでプレートを27℃で5時
間インキュベートする。次いで、トランスフェクション溶液をプレートから除去
し、そして10%ウシ胎仔血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加する
。次いで培養を27℃で4日間継続する。
【0696】 4日後上清を収集し、SummersおよびSmith、前出によって記載さ
れたようにプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life Tec
hnologies Inc.,Gaithersburg)を含むアガロース
ゲルを、galが発現しているクローン(青色に着色したプラークを生ずる)の
容易な同定および単離を可能にするために使用する。(この型の「プラークアッ
セイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies Inc.,
Gaithersburgによって配布される、昆虫細胞培養およびバキュロ
ウイルス学のための使用者ガイドの中の9−10頁に見出され得る)。適切なイ
ンキュベーションの後、青色に着色したプラークをマイクロピペッター(例えば
、Eppendorf)のチップで拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を
、200μlのグレース培地を含む微小遠心分離チューブ中で再懸濁させ、そし
て組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を、35mmディッシュに播種したSf
9細胞に感染させるために使用する。4日後、これらの培養ディッシュの上清を
採集し、次いで4℃に貯蔵する。
【0697】 ポリペプチドの発現を確認するために、10%熱非働化FBSを補充したグレ
ース培地中でSf9細胞を増殖させる。細胞を、約2の感染多重度(「MOI」
)でポリヌクレオチドを含む組換えバキュロウイルスで感染させる。放射性標識
したタンパク質を所望する場合には、6時間後に培地を除去し、そしてメチオニ
ンおよびシステインを含まないSF900 II培地(Life Techno
logies Inc.,Rockville,MDから入手可能)に置き換え
る。42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの35S−システイ
ン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間インキ
ュベートし、次いで遠心分離によって採集する。上清中のタンパク質および細胞
内タンパク質を、SDS−PAGE、次いで(放射性標識した場合)オートラジ
オグラフィーによって分析する。
【0698】 精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微量配列決定法を使用して、産
生されたタンパク質のアミノ末端配列を決定し得る。
【0699】 (実施例8:哺乳動物細胞におけるポリペプチドの発現) 本発明のポリペプチドを、哺乳動物細胞中で発現させ得る。代表的な哺乳動物
発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメント、タ
ンパク質コード配列、ならびに転写の終結および転写物のポリアデニル化に必要
なシグナルを含む。さらなるエレメントは、エンハンサー、コザック配列、およ
び、RNAスプライシングのドナー部位およびアクセプター部位に隣接する介在
配列を含む。非常に効率的な転写は、SV40由来の初期および後期プロモータ
ー、レトロウイルス(例えばRSV、HTLVI、HIVI)由来の長末端反復
(LTR)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターを用い
て達成される。しかし、細胞エレメント(例えば、ヒトアクチンプロモーター)
もまた、使用され得る。
【0700】 本発明を実施する際の使用に適切な発現ベクターは、例えば、pSVLおよび
pMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pRSVc
at(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、
pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport2.0、ならび
にpCMVSport3.0のようなベクターを含む。使用され得る哺乳動物宿
主細胞は、ヒトHela細胞、293細胞、H9細胞およびJurkat細胞、
マウスNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos 1細胞、Cos 7細胞
およびCV1細胞、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、ならびにチャイニー
ズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。
【0701】 あるいは、ポリペプチドは、染色体に組み込まれたポリヌクレオチドを含む、
安定な細胞株中で発現され得る。dhfr、gpt、ネオマイシン、ハイグロマ
イシンのような選択可能なマーカーを用いる同時トランスフェクションは、トラ
ンスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
【0702】 トランスフェクトされた遺伝子はまた、大量のコードされたタンパク質を発現
するために増幅され得る。DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)マーカーは、目的
の遺伝子の数百または数千さえものコピーを有する細胞株の開発に有用である。
(例えば、Altら、J.Biol.Chem.253:1357−1370(
1978);Hamlinら、Biochem.et Biophys.Act
a、1097:107−143(1990):Pageら、Biotechno
logy 9:64−68(1991)を参照のこと)。別の有用な選択マーカ
ーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Bioch
em J.227:277−279(1991);Bebbingtonら、B
io/Technology 10:169−175(1992))。これらの
マーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地中で増殖させ、そして最も高い耐
性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた、増幅さ
れた遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は
、タンパク質の産生のためにしばしば使用される。
【0703】 プラスミドpSV2−dhfr(ATCC受託番号37146)の誘導体であ
る、発現ベクターpC4(ATCC受託番号209646)およびpC6(AT
CC受託番号209647)は、ラウス肉腫ウイルス(Cullenら、Mol
ecular and Cellular Biology,438−447(
1985年3月))の強力なプロモーター(LTR)、およびCMVエンハンサ
ー(Boshartら、Cell 41:521−530(1985))のフラ
グメントを含む。例えば、BamHI、XbaI、およびAsp718の制限酵
素切断部位を有するマルチプルクローニングサイトは、目的の遺伝子のクローニ
ングを容易にする。ベクターはまた、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イ
ントロン、ポリアデニル化および終結シグナル、ならびに、SV40初期プロモ
ーターの制御下にあるマウスDHFR遺伝子を含む。
【0704】 具体的には、例えば、プラスミドpC6を、適切な制限酵素によって消化し、
次いで当該分野で公知の手順によって、仔ウシ腸ホスファターゼ(phosph
ate)を使用して脱リン酸化する。次いで、このベクターを1%アガロースゲ
ルから単離する。
【0705】 本発明のポリヌクレオチドは、必要な場合、適切な制限部位および開始/停止
コドンを有するプライマーを用いて実施例1に概説するプロトコルに従って増幅
される。このベクターは分泌のために必要な場合、異種シグナル配列を含むよう
に改変され得る(例えば、WO96/34891を参照のこと)。
【0706】 増幅フラグメントを、市販のキット(「Geneclean」、BIO 10
1 Inc.、La Jolla,Ca.)を使用して、1%アガロースゲルか
ら単離する。次いで、このフラグメントを、適切な制限酵素で消化し、そして再
び1%アガロースゲルで精製する。
【0707】 次いで、増幅フラグメントを同じ制限酵素で消化し、そして1%アガロースゲ
ルで精製する。次いで、単離されたフラグメントおよび脱リン酸化したベクター
を、T4 DNAリガーゼで連結する。次いで、E.coli HB101細胞
またはXL−1 Blue細胞を形質転換し、そしてプラスミドpC6に挿入さ
れたフラグメントを含む細菌を、例えば、制限酵素分析を用いて同定する。
【0708】 活性なDHFR遺伝子を欠損するチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トラン
スフェクションに使用する。5μgの発現プラスミドpC6を、リポフェクチン
(Felgnerら、前出)を用いて、0.5μgのプラスミドpSVneoと
同時トランスフェクトする。プラスミドpSV2−neoは、優性で選択可能な
マーカーであるところの、G418を含む抗生物質の群に対する耐性を付与する
酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子を含む。この細胞を、1mg/ml
のG418を補充したαマイナスMEMに播種する。2日後、この細胞をトリプ
シン処理し、そして10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよ
び1mg/mlのG418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクロ
ーニングプレート(Greiner,Germany)中に播種する。約10〜
14日後、単一のクローンをトリプシン処理し、次いで異なる濃度のメトトレキ
サート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を使用
して、6ウェルのペトリ皿または10mlのフラスコに播種する。次いで、最高
濃度のメトトレキサートで増殖するクローンを、さらに高い濃度のメトトレキサ
ート(1μM、2μM、5μM、10mM、20mM)を含む新たな6ウェルプ
レートに移す。同じ手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得
られるまで繰り返す。所望の遺伝子産物の発現を、例えば、SDS−PAGEお
よびウエスタンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析する。
【0709】 (実施例9:タンパク質融合物) 本発明のポリペプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。これら
の融合タンパク質は、種々の適用に使用され得る。例えば、本発明のポリペプチ
ドの、Hisタグ、HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、およびマルトー
ス結合タンパク質への融合は、精製を容易にする(実施例5を参照のこと;EP
A 394,827もまた参照のこと;Trauneckerら、Natur
e、331:84−86(1988))。このポリペプチドはまた、異種ポリペ
プチド配列(例えば、KDEL)に融合して分泌および細胞内輸送を促進し得る
。さらに、IgG−1、IgG−3、およびアルブミンへの融合は、インビボで
の半減期を増大させる。本発明のポリペプチドに融合した核局在化シグナルは、
タンパク質を特定の細胞内局在に標的化し得る。一方、共有結合ヘテロ二量体ま
たはホモ二量体は、融合タンパク質の活性を増大または減少させ得る。融合タン
パク質はまた、1つより多い機能を有するキメラ分子を作製し得る。最後に、融
合タンパク質は、非融合タンパク質と比較して、融合タンパク質の可溶性および
/または安定性を増大させ得る。上記の融合タンパク質の全ての型は、IgG分
子へのポリペプチドの融合を概説する以下のプロトコル、または実施例5に記載
されるプロトコルを改変することによって作製され得る。
【0710】 簡単には、IgG分子のヒトFc部分は、以下に記載の配列の5’末端および
3’末端にわたるプライマーを使用してPCR増幅され得る。これらのプライマ
ーはまた、発現ベクター(好ましくは、哺乳動物発現ベクター)へのクローニン
グを容易にする都合の良い制限酵素部位、および必要な場合、開始/停止コドン
を有するべきである。
【0711】 例えば、pC4(受託番号209646)が使用される場合、ヒトFc部分は
、BamHIクローニング部位に連結され得る。3’BamHI部位が破壊され
るべきであることに注意のこと。次に、ヒトFc部分を含有するベクターが、B
amHIを用いて再び制限され、ベクターを線状化し、そして実施例1に記載さ
れるPCRプロトコルによって単離された本発明のポリヌクレオチドが、このB
amHI部位に連結される。ポリヌクレオチドは、終止コドンなしにクローニン
グされ、そうでなければ、融合タンパク質は産生されないことに注意すること。
【0712】 天然に存在するシグナル配列が分泌タンパク質を産生するために使用される場
合、pC4は、第2のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天然に存在
するシグナル配列が使用されない場合、ベクターは、異種シグナル配列を含むよ
うに改変され得る(例えば、WO 96/34891を参照のこと)。
【0713】
【化1】 (実施例10:ポリペプチドの処方) ポリペプチド組成物は、それぞれ、個々の患者の臨床状態(特に、分泌ポリペ
プチド単独を用いた処置の副作用)、送達部位、投与の方法、投与の計画、なら
びに開業医に公知の他の因子を考慮に入れて、良好な医療行為と一致した様式に
おいて、処方および投薬される。従って、本明細書中での目的のための「有効量
」は、このような考慮によって、決定される。
【0714】 一般的な提案として、1用量あたりに非経口的に投与されるポリペプチドの薬
学的に有効な総量は、患者の体重の約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の
範囲であるが、上記で注意したように、これは治療上の裁量を受ける。より好ま
しくは、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日であり、そしてヒトに
関して最も好ましくは、ホルモンについて、約0.01mg/kg/日と1mg
/kg/日との間である。連続して投与される場合、ポリペプチドは、代表的に
、1日あたり1〜4回の注射によるか、または、例えば、ミニポンプを使用する
連続皮下注入のいずれかにより、約1μg/kg/時間〜約50μg/kg/時
間の投薬速度で投与される。静脈内バッグ溶液もまた、使用され得る。変化を観
察するために必要である処置の長さ、および応答が生じるための処置後の間隔は
、所望の効果に依存して変動するようである。
【0715】 本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物は、経口的に、直腸に、非経口的に
、槽内に(intracistemally)、膣内に、腹腔内に、局所的に(
粉末、軟膏、ゲル、ドロップまたは経皮性パッチによるように)、頬側に(bu
cally)、または経口スプレーもしくは鼻内スプレーとして投与され得る。
「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液状充填剤
、希釈剤、カプセル化材料または任意の型の処方補助物を意味する。本明細書中
で使用される場合、用語「非経口的(な)」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸
骨内(intrasternal)、皮下および関節内の注射および注入を含む
投与の様式をいう。
【0716】 ポリペプチドはまた、持続放出系によって適切に投与される。持続放出性の組
成物の適切な例としては、成形品の形態(例えば、フィルム、またはマイクロカ
プセル)の半透性のポリマーマトリクスが挙げられる。持続放出マトリクスとし
ては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)
、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタメートとの共重合体(Sidma
nら、Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(
2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.
Mater.Res.15:167−277(1981)およびLanger,
Chem.Tech.12:98−105(1982))、エチレンビニルアセ
テート(R.Langerら)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(
EP 133,988)が挙げられる。持続放出性組成物はまた、リポソームに
封入された(liposomally entrapped)ポリペプチドが挙
げられる。分泌ポリペプチドを含むリポソームは、それ自体、公知の方法により
調製される:DE3,218,121;Epsteinら、Proc.Natl
.Acad.Sci.USA,82:3688−3692(1985);Hwa
ngら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030−4
034(1980);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,
046;EP 143,949;EP 142,641;日本国特許出願83−
118008;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545
号;およびEP 102,324。通常、リポソームは、脂質含有量が約30m
olパーセントコレステロールより多い小さな(約200〜800Å)単層型で
あり、選択された割合は、最適な分泌ポリペプチド療法について調整される。
【0717】 非経口的な投与に関して、1つの実施形態において、ポリペプチドは、一般に
、薬学的に受容可能なキャリア(すなわち、使用される投薬量および濃度でレシ
ピエントに非毒性であり、そしてこの処方の他の成分と適合性であるもの)と共
に単位投薬量注入可能形態(溶液、懸濁液または乳濁液)において、所望の程度
の純度でそれらをそれぞれ混合することによって処方される。例えば、処方物は
、好ましくは、酸化剤およびポリペプチドに対して有害であることが公知である
他の化合物を含まない。
【0718】 一般に、処方物は、ポリペプチドを、液体キャリアもしくは細かく粉砕した固
体キャリアまたは両方と、均一およびじかに接触させることにより調製される。
次いで、必要である場合、産物は、所望の処方物へと成形される。好ましくは、
このキャリアは、非経口的なキャリアであり、より好ましくは、レシピエントの
血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、
生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液が挙げられる。非水溶性
ビヒクル(例えば、不揮発性油およびオレイン酸エチル)はまた、リポソームと
同様に、本明細書中で有用である。
【0719】 キャリアは、微量の添加物(例えば、等張性および化学的安定性を増強する物
質)を適宜含む。このような物質は、使用される投薬量および濃度において、レ
シピエントに非毒性であり、そして緩衝液(例えば、リン酸塩、クエン酸塩、コ
ハク酸塩、酢酸、および他の有機酸またはそれらの塩類);抗酸化剤(例えば、
アスコルビン酸);低分子量(約10残基よりも小さい)のポリペプチド(例え
ば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);タンパク質(例えば、血清アルブミ
ン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニル
ピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、
またはアルギニン);単糖、二糖、および他の糖質(セルロースもしくはその誘
導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例
えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)
;対イオン(例えば、ナトリウム);ならびに/あるいは非イオン性界面活性剤
(例えば、ポリソルベート、ポロキサマー(poloxamers)、またはP
EG)を含む。
【0720】 ポリペプチドは、このようなビヒクル中で、代表的に、約3〜8のpHで、約
0.1mg/ml〜100mg/mlの濃度、好ましくは1〜10mg/mlの
濃度で処方される。上記の賦形剤、キャリア、または安定化剤の特定のものの使
用は、ポリペプチド塩の形成をもたらすことが理解される。
【0721】 治療的な投与のために使用される任意のポリペプチドは、無菌であり得る。無
菌性は、滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)による濾過により容易に達成
される。治療ポリペプチド組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器
(例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する点滴溶液バッグま
たはバイアル)に配置される。
【0722】 ポリペプチドは、通常、単位用量容器または多用量容器(例えば、密封アンプ
ルまたは密封バイアル)中に水溶液としてか、または再構成のための凍結乾燥し
た処方物として保存される。凍結乾燥した処方物の例として、10mlバイアル
を、5mlの滅菌濾過した1%(w/v)水性ポリペプチド溶液で満たし、そし
て得られる混合物を凍結乾燥する。その注入溶液は、静菌注射用水を使用して、
凍結乾燥したポリペプチドを再構成することにより調製される。
【0723】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分で満たされた1つ以上
の容器を含む薬学的パックまたはキットを提供する。薬品または生物学的製品の
製造、使用または販売を規制している政府機関により規定される形式における通
告は、このような容器に伴い得る。この通告は、ヒトの投与のための製造、使用
または販売の、この機関による認可を反映する。さらに、本発明のポリペプチド
は、他の治療的化合物とともに使用され得る。
【0724】 (実施例11:ポリペプチドのレベル低下を処置する方法) 個体におけるポリペプチドの標準の発現レベルまたは正常発現レベルの低下に
より引き起こされる状態は、本発明のポリペプチドを好ましくは分泌形態および
/または可溶性形態で投与することにより処置し得ることが理解される。従って
、本発明はまた、このポリペプチドのレベルの増加が必要な個体の処置方法を提
供する。この方法は、このような個体に、このような個体でこのポリペプチドの
活性レベルを増加させる量のポリペプチドを含む治療的組成物を投与する工程を
包含する。
【0725】 例えば、ポリペプチドのレベルが低下した患者は、そのポリペプチドを、1日
用量0.1〜100μg/kgで6日間続けて服用する。好ましくは、ポリペプ
チドは分泌形態である。投与および処方物に基づく投薬計画の正確な詳細は、実
施例10に提供されている。
【0726】 (実施例12:ポリペプチドのレベル上昇を処置する方法) アンチセンス技術を使用して本発明のポリペプチドの産生を阻害する。この技
術は、ガンのような様々な病因に起因する、好ましくは分泌形態のポリペプチド
のレベルを低下させる方法の1つの例である。
【0727】 例えば、ポリペプチドのレベルが異常に上昇したと診断された患者に、アンチ
センスポリヌクレオチドを、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0mg
/kg/日で21日間、静脈内投与する。この処置に対して十分に寛容化された
場合は、7日間の休薬期間後に、この処置を繰り返す。このアンチセンスポリヌ
クレオチドの処方は、実施例10に提供されている。
【0728】 (実施例13:遺伝子治療を使用する処置方法−エキソビボ) 遺伝子治療の1つの方法は、ポリペプチドを発現し得る線維芽細胞を患者に移
植する。一般に、線維芽細胞は、皮膚生検により被験者から得られる。得られた
組織を組織培養培地中に配置し、小片に分割する。組織の小塊を組織培養フラス
コの湿潤表面に置き、約10片を各フラスコに置く。このフラスコを倒置し、し
っかりと閉めた後、室温で一晩放置する。室温で24時間後、フラスコを反転さ
せ、組織塊をフラスコの底に固定させたままにし、そして新鮮な培地(例えば、
10%FBS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するHamのF12
培地)を添加する。次に、フラスコを37℃で約1週間インキュベートする。
【0729】 この時点で、新鮮な培地を添加し、次いで数日毎に取り換える。さらに二週間
培養した後に、単層の線維芽細胞が出現する。この単層をトリプシン処理し、さ
らに大きなフラスコにスケールアップする。
【0730】 モロニーマウス肉腫ウイルスの長末端反復が隣接するpMV−7(Kirsc
hmeier,P.T.ら、DNA,7:219−25(1988))をEco
RIおよびHindIIIで消化した後、仔ウシ腸ホスファターゼで処理する。
線状ベクターをアガロースゲル上で分画し、そしてガラスビーズを使用して精製
する。
【0731】 本発明のポリペプチドをコードするcDNAを、プライマーを用い、そして必
要な場合、適切な制限部位および開始/終止コドンを有する、実施例1に記載の
それぞれ5’末端配列および3’末端配列に対応するPCRプライマーを使用し
て増幅し得る。好ましくは、この5’プライマーはEcoRI部位を含み、そし
てこの3’プライマーはHindIII部位を含む。等量の、モロニーマウス肉
腫ウイルスの線状骨格および増幅したEcoRIおよびHindIIIフラグメ
ントを、T4 DNAリガーゼの存在下で一緒に加える。得られた混合物を、こ
の2つのフラグメントを連結するのに適した条件下で維持する。次に、連結混合
物を使用し、細菌HB101を形質転換する。次に、それを、カナマイシンを含
む寒天上にプレーティングし、ベクターが正確に挿入された目的の遺伝子を有す
ることを確認する。
【0732】 両種指向性pA317またはGP+am12パッケージング細胞を、10%仔
ウシ血清(CS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むダルベッコ改変
イーグル培地(DMEM)中、組織培養でコンフルエントな密度まで増殖させる
。次に、その遺伝子を含むMSVベクターを培地に加え、そしてパッケージング
細胞をこのベクターで形質導入する。このとき、このパッケージング細胞は、そ
の遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する(ここで、このパッケージング細
胞をプロデューサー細胞という)。
【0733】 形質導入されたプロデューサー細胞に新鮮な培地を添加し、次いでこの培地を
10cmプレートのコンフルエントなプロデューサー細胞から採取する。感染性
ウイルス粒子を含む使用済み培地を、ミリポアフィルターを通して濾過し、はが
れたプロデューサー細胞を除去した後、次いで、この培地を使用して、線維芽細
胞を感染させる。線維芽細胞のサブコンフルエントなプレートから培地を除去し
、そしてプロデューサー細胞からの培地で速やかに置き換える。この培地を除去
し、そして新鮮な培地と置き換える。ウイルスの力価が高ければ、実質的に全て
の線維芽細胞が感染され、選択は必要ではない。力価が非常に低ければ、neo
またはhisのような選択マーカーを有するレトロウイルスベクターを使用する
ことが必要である。一旦、線維芽細胞が効率的に感染したなら、その線維芽細胞
を分析し、タンパク質が産生されているか否かを決定する。
【0734】 次に、操作された線維芽細胞を、単独で、またはサイトデックス3マイクロキ
ャリアビーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれかで、宿主に移植する
【0735】 (実施例14:内因性KDC遺伝子を使用する遺伝子治療) 本発明に従う遺伝子治療の別の方法は、本発明の内因性KDC遺伝子配列を、
例えば、米国特許番号5,641,670(1997年6月24日発行);国際
公開番号WO 96/29411(1996年9月26日公開);国際公開番号
WO 94/12650(1994年8月4日公開);Kollerら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,86:8932−8935(198
9);およびZijlstraら、Nature,342:435−438(1
989)に記載されるように、相同組換えを介してプロモーターに作動可能に結
合する工程を包含する。この方法は、その標的細胞中に存在するが、その細胞中
では発現されないかまたは所望されるよりも低いレベルで発現される、遺伝子の
活性化を包含する。
【0736】 プロモーターおよび標的化配列を含むポリヌクレオチド構築物を作製する。こ
の標的化配列は、プロモーターに隣接する、内因性KDC遺伝子の5’非コード
配列に相同である。この標的化配列は、このKDC遺伝子の5’末端に十分に近
く、その結果、このプロモーターは、相同組換えの際にこの内因性配列に作動可
能に連結される。このプロモーターおよび標的化配列を、PCRを使用して増幅
し得る。好ましくは、この増幅したプロモーターは、5’末端および3’末端上
に異なる制限酵素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増
幅したプロモーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化
配列の5’末端は、増幅したプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。
【0737】 この増幅したプロモーターおよび増幅した標的化配列を、適切な制限酵素で消
化し、続いて仔ウシ腸ホスファターゼで処理する。消化したプロモーターおよび
消化した標的化配列を、T4 DNAリガーゼの存在下で共に加える。生じた混
合物を、これら2つのフラグメントの連結に適切な条件下で維持する。この構築
物をアガロースゲルでサイズ分画し、次いでフェノール抽出およびエタノール沈
殿により精製する。
【0738】 この実施例において、このポリヌクレオチド構築物を、エレクトロポレーショ
ンを介して裸のポリヌクレオチドとして投与する。しかし、このポリヌクレオチ
ド構築物はまた、トランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイルス
配列、ウイルス粒子、沈殿剤など)と共に投与され得る。送達のこのような方法
は、当該分野で公知である。
【0739】 一旦、細胞をトランスフェクトすると、相同組換えが生じて、このプロモータ
ーがこの内因性KDC遺伝子配列に作動可能に連結される。これは、この細胞中
におけるこのKDCの発現を生じる。発現は、免疫学的染色または当該分野で公
知の他の任意の方法により、検出され得る。
【0740】 線維芽細胞を、皮膚生検により被験者から得る。得られた組織を、DMEM+
10%ウシ胎仔血清中に配置する。対数増殖期または定常期初期の線維芽細胞を
、トリプシン処理し、そしてプラスチックの表面から栄養培地でリンスする。細
胞懸濁液のアリコートを、計数のために取り出し、そして残りの細胞を遠心分離
に供する。上清を吸引し、そしてペレットを5mlのエレクトロポレーション緩
衝液(20mM HEPES pH7.3、137mM NaCl、5mM K
Cl、0.7mM Na2HPO4、6mMデキストロース)に再懸濁する。この
細胞を再遠心分離し、上清を吸引し、そして細胞をアセチル化ウシ血清アルブミ
ン1mg/mlを含むエレクトロポレーション緩衝液に再懸濁する。この最終細
胞懸濁物は、約3×106細胞/mlを含む。エレクトロポレーションを、再懸
濁直後に実施すべきである。
【0741】 プラスミドDNAを、標準的技術に従って調製する。例えば、KDC遺伝子座
に標的化するためのプラスミドを構築するために、プラスミドpUC18(MB
I Fermentas、Amherst、NY)をHindIIIで消化する
。CMVプロモーターを、5’末端にXbaI部位および3’末端にBamHI
部位を備えてPCRにより増幅する。2つのKDC非コード遺伝子配列を、PC
Rを介して増幅する:一方のKDC非コード配列(KDCフラグメント1)を、
5’末端にHindIII部位および3’末端にXbaI部位を備えて増幅する
;他方のKDC非コード配列(KDCフラグメント2)を、5’末端にBamH
I部位および3’末端にHindIII部位を備えて増幅する。このCMVプロ
モーターおよびKDCフラグメントを、適切な酵素(CMVプロモーター−Xb
aIおよびBamHI;KDCフラグメント1−XbaI;KDCフラグメント
2−BamHI)で消化し、そして共に連結する。生じた連結生成物をHind
IIIで消化し、そしてHindIIIで消化したpUC18プラスミドと連結
する。
【0742】 プラスミドDNAを、0.4cmの電極ギャップを備える滅菌キュベット(B
io−Rad)に添加する。最終DNA濃度は、一般的に、少なくとも120μ
g/mlである。次いで、この細胞懸濁液の0.5ml(約1.5×106細胞
を含む)をこのキュベットに添加し、そしてこの細胞懸濁液およびDNA溶液を
、穏やかに混合する。エレクトロポレーションを、Gene−Pulser装置
(Bio−Rad)を用いて実施する。キャパシタンスおよび電圧を、それぞれ
、960μFおよび250〜300Vに設定する。電圧が増加すると、細胞の生
存が減少するが、導入されたDNAをそのゲノム中に安定に組み込む生存細胞の
割合が劇的に増加する。これらのパラメーターを考慮すると、パルス時間約14
〜20mSecが観察されるはずである。
【0743】 エレクトロポレーションした細胞を、室温で約5分間維持し、次いで、このキ
ュベットの中身を、滅菌した移動ピペットを用いて穏やかに取り出す。この細胞
を、10cmのディッシュ中の、予め温めた栄養培地(15%仔ウシ血清を含む
DMEM)10mlに直接加え、そして37℃でインキュベートする。翌日、こ
の培地を吸引し、そして10mlの新鮮な培地で置換し、そしてさらに16〜2
4時間インキュベートする。
【0744】 次いで、操作された線維芽細胞を、宿主中に、単独か、またはサイトデックス
(cytodex)3マイクロキャリア(microcarrier)ビーズ上
でコンフルエントになるまで増殖させた後かのいずれかで、注入する。ここで、
この線維芽細胞は、タンパク質産物を生成する。次いで、この線維芽細胞を、上
記のような患者に導入し得る。
【0745】 (実施例15:遺伝子治療を使用する処置方法−インビボ) 本発明の別の局面は、障害、疾患、および状態を処置するためにインビボ遺伝
子治療方法を使用することである。この遺伝子治療法は、KDCポリペプチドの
発現を増大または減少させるための、動物への裸の核酸(DNA、RNA、およ
びアンチセンスDNAまたはRNA)KDC配列の導入に関する。KDCポリヌ
クレオチドは、プロモーター、または標的組織によるKDCポリペプチドの発現
に必要な任意の他の遺伝子エレメントに、作動可能に連結され得る。このような
遺伝子治療および送達の技術および方法は、当該分野で公知であり、例えば、W
O90/11092、WO98/11779;米国特許第5693622号、同
第5705151号、同第5580859号;Tabataら、Cardiov
asc.Res.35(3):470−479(1997);Chao Jら、
Pharmacol.Res.35(6):517−522(1997);Wo
lff、Neuromuscul.Disord.7(5):314−318(
1997)、Schwartzら、Gene Ther.,3(5):405−
411(1996);Tsurumi Y.ら、Circulation 94
(12):3281−3290(1996)(本明細書中に参考として援用され
る)を参照のこと。
【0746】 KDCポリヌクレオチド構築物は、注入可能な物質を動物の細胞に送達する任
意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚、肺、肝臓、腸など)の間隙空間へ
の注入)によって送達され得る。KDCポリヌクレオチド構築物は、薬学的に受
容可能な液体または水性キャリア中で送達され得る。
【0747】 用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAは、細胞への侵入を補助
、促進、または容易にするように作用するいかなる送達ビヒクル(ウイルス配列
、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、または沈澱剤などを含む
)も含まない配列をいう。しかし、KDCポリヌクレオチドはまた、当業者に周
知の方法によって調製され得るリポソーム処方物(例えば、Felgnerら
Ann.NY Acad.Sci.,772:126−139(1995)およ
びAbdallahら Biol.Cell 85(1):1−7(1995)
で教示されたもの)中で送達され得る。
【0748】 この遺伝子治療方法において使用されるKDCポリヌクレオチドベクター構築
物は、好ましくは、宿主ゲノムに組み込まれず、複製を可能にする配列も含まな
い構築物である。当業者に公知の任意の強力なプロモーターが、DNAの発現を
駆動するために用いられ得る。他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を
標的細胞に導入する1つの主要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合
成の一過性の性質である。研究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて
、6ヶ月までの間の期間、所望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示され
た。
【0749】 ポリヌクレオチド構築物を、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓
、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸、精
巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を含む)の間隙空間に
送達され得る。組織の間隙空間は、細胞間液、器官組織の細網線維間のムコ多糖
マトリクス、血管または室の壁における弾性線維、線維性組織のコラーゲン線維
、あるいは筋肉細胞を囲む結合組織内の同じマトリクス(that same
matrix)または骨の裂孔中の結合組織内の同じマトリクス(that s
ame matrix)を含む。これは、同様に、循環の血漿およびリンパチャ
ンネルのリンパ液により占められた空間である。筋肉組織の間隙空間への送達は
、以下に記載の理由のために好ましい。このポリヌクレオチド構築物を、これら
の細胞を含む組織への注射によって、好都合に送達し得る。このポリヌクレオチ
ド構築物は、好ましくは、持続性の分化した非分裂細胞に送達され、その細胞に
おいて発現されるが、送達および発現は、非分化細胞または完全には分化してい
ない細胞(例えば、血液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)において達成され得る
。インビボ筋肉細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そしてこのポリヌクレオ
チドを発現する能力において、特に適格である。
【0750】 裸のKDCポリヌクレオチド注射のために、DNAまたはRNAの有効投薬量
は、約0.05g/kg体重〜約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは
、投薬量は、約0.005mg/kg〜約20mg/kgであり、そしてより好
ましくは、約0.05mg/kg〜約5mg/kgである。もちろん、当業者が
認識するように、この投薬量は、注射の組織部位に従って変動する。核酸配列の
適切かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される
状態および投与経路に依存し得る。好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非
経口注射経路によってである。しかし、他の非経口経路もまた用いられ得、これ
には、例えば、特に肺または気管支組織、咽喉または鼻の粘膜への送達のための
エアロゾル処方物の吸入が挙げられる。さらに、裸のKDCポリヌクレオチド構
築物を、血管形成術の間にこの手順において用いられるカテーテルによって動脈
に送達し得る。
【0751】 インビボでの筋肉における注射されたKDCポリヌクレオチドの用量応答効果
を、以下のようにして決定する。KDCポリペプチドをコードするmRNAの生
成のために適切なKDC鋳型DNAを、標準的な組換えDNA方法論に従って調
製する。鋳型DNA(これは環状または直鎖状のいずれかであり得る)を裸のD
NAとして使用するか、またはリポソームと複合体化するかのいずれかを行う。
次いで、マウスの四頭筋に、多様な量のこの鋳型DNAを注射する。
【0752】 5〜6週齢の雌性および雄性のBalb/Cマウスに、0.3mlの2.5%
Avertinを腹腔内注射することにより麻酔する。1.5cmの切開を大腿
前部で行い、そして四頭筋を直接可視化する。KDC鋳型DNAを、0.1ml
のキャリアに入れて、1cc注射器で27ゲージ針を通して1分間にわたって、
この筋肉の遠位挿入部位から約0.5cmの位置で膝に、約0.2cmの深さで
注射する。縫合を、将来の位置確認のために注射部位の上で行い、そして皮膚を
ステンレス鋼クリップで閉じる。
【0753】 適切なインキュベーション時間(例えば、7日)後、筋肉抽出物を、四頭全体
を切り出すことによって調製する。個々の四頭筋の5枚目毎の15μm切片を、
KDCタンパク質発現について組織化学的に染色する。KDCタンパク質発現に
ついての時間経過は、異なるマウスから四頭筋を異なる時間に採取すること以外
は、同様な様式で行い得る。注射後の筋肉中のKDCのDNAの持続性を、注射
したマウスおよびコントロールマウスから総細胞性DNAおよびHIRT上清を
調製した後、サザンブロット分析によって決定し得る。マウスにおける上記実験
の結果は、裸のKDCDNAを用いて、ヒトおよび他の動物において適切な投薬
量および他の処置パラメーターを推定するために使用し得る。
【0754】 (実施例16:抗体の産生) a)ハイブリドーマ技術 本発明の抗体を、種々の方法によって調製し得る。(Current Pro
tocols、第2章を参照のこと)。このような方法の1つの例として、KD
Cポリペプチドを発現する細胞を、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導
するために、動物に投与する。好ましい方法において、KDCポリペプチドの調
製物を調製し、そしてその調製物が、天然の夾雑物を実質的に含まないようにす
るために精製する。次いで、このような調製物を、より大きな比活性のポリクロ
ーナル抗血清を産生するために、動物に導入する。
【0755】 KDCポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ技術を
使用して調製する(Kohlerら、Nature 256:495(1975
);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(1976);
Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(1976);Ha
mmerlingら:Monoclonal Antibodies and
T−Cell Hybridomas、Elsevier、N.Y.、563〜
681頁(1981))。一般的に、動物(好ましくは、マウス)を、KDCポ
リペプチドまたはより好ましくは分泌KDCポリペプチド発現細胞で、免疫する
。このようなポリペプチド発現細胞を、適切な任意の組織培養培地(好ましくは
、10%ウシ胎仔血清(約56℃にて不活化)を補充し、そして約10g/lの
非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約100μg/m
lのストレプトマイシンを補充した、Earle’s改変Eagle’s培地)
にて培養する。
【0756】 このようなマウスの脾細胞を抽出し、そして適切な骨髄腫細胞株と融合させる
。適切な任意の骨髄腫細胞株を、本発明に従って使用し得るが、しかし、親骨髄
腫細胞株(SP2O)(ATCCから入手可能)を使用することが好ましい。融
合後、生じたハイブリドーマ細胞を、HAT培地にて選択的に維持し、次いで、
Wandsら(Gastroenterology 80:225〜232(1
981))により記載されるように、限界希釈によってクローン化する。次いで
、このような選択を介して得たハイブリドーマ細胞をアッセイして、KDCポリ
ペプチドを結合し得る抗体を分泌するクローンを同定する。
【0757】 あるいは、KDCポリペプチドに結合し得るさらなる抗体を、抗イディオタイ
プ抗体を使用して2段階工程の手順において生成し得る。このような方法は、抗
体それ自体が抗原であり、それゆえ第二の抗体に結合する抗体を得ることが可能
であるという事実を利用する。この方法に従って、タンパク質特異的抗体を使用
して、動物(好ましくは、マウス)を免疫する。次いで、このような動物の脾細
胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を産生する。そして、このハイブリドーマ細
胞は、KDCタンパク質特異的抗体に結合する能力がKDCポリペプチドによっ
てブロックされ得る抗体を産生する、クローンを同定するためにスクリーニング
される。このような抗体は、KDCタンパク質特異的抗体に対する抗イディオタ
イプ抗体を含み、そして動物を免疫してさらなるKDCタンパク質特異的抗体の
形成を誘導するために使用される。
【0758】 ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、抗体は、「ヒト化」される。この
ような抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来
する遺伝的構築物を使用することによって産生され得る。キメラ抗体およびヒト
化抗体を産生するための方法は当該分野で公知であり、そして本明細書に議論さ
れる(総説については、Morrison,Science 229:1202
(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986)
;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchiら
、EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Neube
rgerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 870267
1;Boulianneら、Nature 312:643(1984);Ne
ubergerら、Nature 314:268(1985)を参照のこと)
【0759】 (b)scFvのライブラリーからのKDCポリペプチドに対して指向される
抗体フラグメントの単離) ヒトPBLから単離した天然に存在するV遺伝子を、KDCポリペプチド(ド
ナーは、これらに対して曝露されていても曝露されていなくともよい)に対する
反応性を含む抗体フラグメントのライブラリーに構築する(例えば、米国特許第
5,885,793号(その全体が参考として本明細書に援用される)を参照の
こと)。
【0760】 (ライブラリーのレスキュー(rescue)) PCT公開WO 92/01047に記載のように、ヒトPBLのRNAから
scFvのライブラリーを構築する。抗体フラグメントを提示するファージをレ
スキューするため、ファージミドを保有する約109個のE.coliを用いて
、50mlの2×TY(1%グルコースおよび100μg/mlのアンピシリン
を含有する)(2×TY−AMP−GLU)を接種し、そして振盪しながら0.
8のO.D.まで増殖させる。この培養物の5mlを用いて50mlの2×TY
−AMP−GLUに接種し、2×108TUのΔ遺伝子3ヘルパー(M13Δ遺
伝子III、PCT公開WO92/01047を参照のこと)を添加し、そして
培養物を振盪せずに37℃で45分間インキュベートし、次いで振盪しながら3
7℃で45分間インキュベートする。この培養物を10分間4000r.p.m
.で遠心分離し、そしてペレットを2リットルの2×TY(100μg/mlア
ンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含有する)中に再懸濁し、そし
て一晩増殖させる。ファージをPCT公開WO92/01047に記載のように
調製する。
【0761】 M13Δ遺伝子IIIを以下のように調製する:M13Δ遺伝子IIIヘルパ
ーファージは、遺伝子IIIタンパク質をコードしない。それゆえ、抗体フラグ
メントを提示するファージ(ファージミド)は、抗原に対するより大きい結合ア
ビディティーを有する。ファージ形態形成の間、野生型遺伝子IIIタンパク質
を供給するpUC19誘導体を保有する細胞においてヘルパーファージを増殖さ
せることにより、感染性M13Δ遺伝子III粒子を作製する。培養物を振盪せ
ずに37℃で1時間インキュベートし、次いで振盪しながら37℃でさらに1時
間インキュベートする。細胞を遠心沈殿(IEC−Centra 8,400r
.p.m.で10分間)し、100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/
mlのカナマイシンを含有する2×TYブロス(2×TY−AMP−KAN)3
00ml中で再懸濁し、そして37℃で振盪しながら一晩増殖させた。ファージ
粒子を、2回のPEG沈殿(Sambrookら、1990)により培養培地か
ら精製および濃縮し、2ml PBSに再懸濁し、そして0.45μmのフィル
ター(Minisart NML;Sartorius)を通過させ、約1013 形質導入単位/ml(アンピシリン耐性クローン)の最終濃度を得る。
【0762】 (ライブラリーのパニング) Immunotubes(Nunc)を、本発明のポリペプチドの100μg
/mlまたは10μg/mlのいずれかの4mlを用いてPBS中で一晩コーテ
ィングする。チューブを2%Marvel−PBSを用いて37℃で2時間ブロ
ックし、次いでPBS中で3回洗浄する。約1013TUのファージをチューブに
適用し、そして、回転盤上で上下にタンブリングしながら室温で30分間インキ
ュベートし、次いでさらに1.5時間静置しておく。チューブをPBS 0.1
%Tween−20で10回、そしてPBSで10回洗浄する。1mlの100
mMトリエチルアミンを添加し、そして回転盤上で15分間上下に回転させるこ
とによりファージを溶出し、その後この溶液を0.5mlの1.0M Tris
−HCl,pH7.4で直ちに中和する。次いで、溶出したファージを細菌とと
もに37℃で30分間インキュベートすることにより、ファージを用いて、10
mlの対数増殖中期のE.coli TG1に感染させる。次いで、E.col
iを1%グルコースおよび100μg/mlアンピシリンを含有するTYEプレ
ート上にプレーティングする。次いで、得られる細菌ライブラリーを、上記のよ
うにΔ遺伝子3ヘルパーファージでレスキューし、次の回の選択のためのファー
ジを調製する。次いで、このプロセスを、アフィニティー精製の全4回について
反復し、3回目および4回目にはチューブ洗浄をPBS、0.1%Tween−
20で20回、そしてPBSで20回に増加する。
【0763】 (バインダーの特徴付け) 第3回目および4回目の選択から溶出したファージを用いて、E.coli
HB 2151を感染させ、そして可溶性scFvをアッセイのために単一コロ
ニーから生成する(Marksら、1991)。50mM炭酸水素塩、pH9.
6中の本発明のポリペプチドの10pg/mlのいずれかでコーティングしたマ
イクロタイタープレートを用いてELISAを実施する。ELISAにおける陽
性クローンをPCRフィンガープリンティング(例えば、PCT公開WO92/
01047を参照のこと)、次に配列決定することによりさらに特徴付ける。こ
れらのELISA陽性クローンはまた、当業者に公知の技術によって特徴付けさ
れ得る(例えば、エピトープマッピング、結合アフィニティー、レセプターシグ
ナル変換、抗体/抗原結合をブロックするか、または競合的に阻害する能力、お
よび競合的なアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性)。
【0764】 (実施例17:脈管内皮細胞の増殖に対するクリングルドメインポリペプチド
の効果) 1日目に、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、4%ウシ胎仔血清(FBS
)、16ユニット/ml ヘパリン、および50ユニット/ml 内皮細胞増殖
補充物(ECGS、Biotechnique,Inc.)を含有するM199
培地中で、35mmシャーレあたり2〜5×104細胞の密度で播種する。2日
目、この培地を、10%FBS、8ユニット/mlヘパリンを含有するM199
で置換する。配列番号Yのクリングルドメインポリペプチドおよび陽性コントロ
ール(例えば、VEGFおよび塩基性FGF(bFGF))を種々の濃度で添加
する。4日目および6日目に、培地を交換する。8日目、Coulter Co
unterを用いて細胞数を決定する。
【0765】 コントロールと比較したHUVEC細胞数の減少は、クリングルドメインポリ
ペプチドが血管内皮細胞の増殖を阻害し得ることを示す。
【0766】 本実施例において記載される研究は、クリングルドメインポリペプチドの活性
を試験した。しかし、当業者は、クリングルドメインポリヌクレオチドの活性(
例えば、遺伝子治療)、クリングルドメインポリペプチドのアゴニストおよび/
またはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得
る。
【0767】 (実施例18:PDGF誘導性血管平滑筋細胞増殖刺激効果の阻害) HAoSMC増殖を、例えば、BrdUrd組み込みにより測定し得る。手短
には、4チャンバスライド上で増殖するコンフルエント未満の静止期細胞を、C
RPまたはFITC標識化AT2−3LPでトランスフェクトする。次いで、こ
の細胞に10%ウシ血清および6mg/mlのBrdUrdを適用(pulse
)する。24時間後、BrdUrd染色キット(Zymed Laborato
ries)を用いることにより免疫細胞化学を実施する。簡略には、この細胞を
、変性溶液への曝露後、ビオチン化マウス抗−BrdUrd抗体と4℃で2時間
インキュベートし、次いでストレプトアビジン−ペルオキシダーゼおよびジアミ
ノベンジジンとともにインキュベートする。ヘマトキシリンでの対比染色後、こ
の細胞を顕微鏡試験のためにマウントにし、そしてBrd Urd−陽性細胞を
計数する。BrdUrd係数は、総細胞数に対するBrdUrd−陽性細胞の百
分率として計算される。さらに、個々の細胞について、明野照明および暗野UV
蛍光照明の同時使用により、BrdUrd染色(核)およびFITC取り込み(
細胞質)の同時検出を実行する。(Hayashidaら、J.Biol.Ch
em.6:271(36):21985〜21992(1996)を参照のこと
)。
【0768】 本実施例において記載した研究は、クリングルドメインポリペプチドの活性を
試験した。しかし、当業者は、クリングルドメインポリヌクレオチドの活性(例
えば、遺伝子治療)、クリングルドメインポリペプチドのアゴニストおよび/ま
たはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得る
【0769】 (実施例19:新脈管形成における索形成に対するクリングルドメインポリペ
プチドの効果) 新脈管形成における別の工程は、内皮細胞の分化により特徴付けられる索(c
ord)形成である。このバイオアッセイは、インビトロで培養した場合の微小
血管内皮細胞の毛細管様構造(中空構造)を形成する能力を測定する。CADM
EC(微小血管内皮細胞)を、増殖細胞(2継代)としてCell Appli
cations Inc.から購入し、Cell Applications’
CADMEC Growth Medium中で培養し、そして5継代で使用す
る。インビトロ新脈管形成アッセイのために、48ウェル細胞培養プレートのウ
ェルをCell Applications’Attachment Fact
or Medium(200ml/ウェル)を用いて、37℃にて30分間コー
トする。CADMECを、7,500細胞/ウェルでコートしたウェルに播種し
、Growth Medium中で一晩培養する。次いで、このGrowth
Mediumを、コントロール緩衝液またはクリングルドメインポリペプチド(
0.1〜100ng/ml)を含む300mgのCell Applicati
ons’Chord Formation Mediumと交換し、そしてこの
細胞をさらに48時間培養する。毛細管様索の数および長さを、Boeckel
er VIA−170ビデオ画像分析装置の使用を通じて定量する。全てのアッ
セイを三連で行う。
【0770】 市販の(R&D)VEGF(50ng/ml)を、陽性コントロールとして用
いる。b−エストラジオール(1ng/ml)を、陰性コントロールとして用い
る。適切な緩衝液(タンパク質なし)もまた、コントロールとして利用する。
【0771】 本実施例において記載される研究は、クリングルドメインポリペプチドの活性
を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、クリングルド
メインポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、クリングルドメインポ
リペプチドのアゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
【0772】 (実施例20:線維芽細胞および内皮細胞アッセイ) クリングルドメインポリペプチドの生物学的活性を、以下のアッセイを使用し
て決定する。ヒト肺線維芽細胞をClonetics(San Diego,C
A)から入手し、そしてCloneticsからの増殖培地で維持する。真皮性
微小血管内皮細胞をCell Applications(San Diego
,CA)から得る。増殖アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞および真皮性微
小血管内皮細胞を、96ウェルプレートの増殖培地中で1日間、5,000細胞
/ウェルで培養し得る。次いでこの細胞を0.1%BSA基本培地中で1日間イ
ンキュベートする。新鮮な0.1%BSA培地で培地を置換した後、細胞を試験
タンパク質と3日間インキュベートする。Alamar Blue(Almar
Biosciences,Sacramento,CA)を10%の最終濃度
になるように各ウェルに添加する。この細胞を4時間インキュベートする。細胞
生存度をCytoFluor蛍光リーダーでの読取りにより測定する。PGE2
アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞を、96ウェルプレート中で1日間、5
,000細胞/ウェルで培養する。0.1%BSA基本培地に培地を変換した後
、細胞をIL−1αとともに、またはそれをともなわずに、FGF−2またはク
リングルドメインポリペプチドと24時間インキュベートする。上清を収集し、
そしてEIAキット(Cayman,Ann Arbor,MI)によりPGE 2 についてアッセイする。IL−6アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞を、
96ウェルプレート中で1日間、5,000細胞/ウェルで培養する。0.1%
BSA基本培地に培地を変換した後、細胞をIL−1αとともに、またはそれを
ともなわずに、FGF−2またはクリングルドメインポリペプチドと共に24時
間インキュベートする。上清を収集し、そしてELISAキット(Endoge
n,Cambridge,MA)によりIL−6についてアッセイする。ヒト肺
線維芽細胞をFGF−2またはクリングルドメインポリペプチドとともに基本培
地中で3日間培養し、その後、線維芽細胞の増殖への効果を評価するためAla
mar Blueを添加する。FGF−2は、クリングルドメインポリペプチド
での刺激を比較するために用いられ得る10〜2500ng/mlの刺激を示す
【0773】 (実施例21:内皮細胞移動アッセイ) 内皮細胞移動に対するクリングルドメインポリペプチドの効果を評価するため
に、内皮細胞移動アッセイを、本質的に、Polverini,P.J.ら,M
ethods Enzymol,198: 440−450(1991)に記載
され、そして米国特許第5,972,896号において開示されるように実施す
る(これらは、本明細書中で参考として援用される)。簡潔には、ウシ毛細管(
副腎)内皮細胞(BCE,Judah Folkman,Harvard Un
iversity Medical Schoolより供給)を、0.1%ウシ
血清アルブミン(BSA)を含有するDMEM中において一晩飢餓させる。次い
で、細胞をトリプシンで収集し、そして0.1%BSAを有するDMEM中に、
1.5×106細胞/mLの濃度で再懸濁する。細胞を、48ウェルの改変Bo
ydenチャンバ(Nucleopore Corporation,Cabi
n John,Md.)の底に添加する。このチャンバを組み立て、そして反転
させて、細胞を、ポリカーボネート走化性メンブレン(5μm孔サイズ)に37
℃で2時間付着させる。このポリカーボネート走化性メンブレンは、0.1%ゼ
ラチン中に一晩浸漬され、そして乾燥されている。次いで、このチャンバを、再
反転させ、そして試験物質を、上部チャンバのウェルに添加し(クリングルドメ
インポリペプチド、および適切なコントロール)(50μLの総容量まで);次
いで、この装置を、37℃で4時間インキュベートする。膜を回収し、固定し、
そして染色する(DiffQuick,Fisher Scientific,
Pittsburgh,Pa.)。そして10の強力な視野につき上部チャンバ
に移動した細胞の数を計数する。DMEM+0.1%BSAへのバックグラウン
ド移動を差し引き、そして10の強力な視野(400倍)あたり移動した細胞数
としてか、または複数の実験からの結果を組み合わせる場合には、移動の阻害の
パーセントとして報告されたデータを、陽性コントロールに対して比較する。
【0774】 (実施例22:血管拡張に対するクリングルドメインポリペプチドの効果) 血管内皮の拡張は、血圧の低下に重要であるので、自然発症高血圧ラット(S
HR)において、クリングルドメインポリヌクレオチドが血圧に影響する能力を
、試験する。漸増用量(0、10、30、100、300、および900mg/
kg)のクリングルドメインポリペプチドを、13〜14週齢の自然発症高血圧
ラット(SHR)に投与する。データを、平均+/−SEMで表す。統計学的分
析を、両側t検定を用いて行い、そして統計的な有意性を、緩衝液単独への応答
に対するp<0.05として定義する。
【0775】 本実施例において記載される研究は、クリングルドメインポリペプチド活性を
試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、クリングルドメ
インポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、クリングルドメインポリ
ペプチドのアゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
【0776】 本発明の特定のKDCポリヌクレオチドおよびポリペプチド(抗体を含む)が
、米国仮出願番号60/164,853号(これは、その全体において、本明細
書中で参考として援用される)に開示された。さらに、米国仮出願番号60/1
64,853号の配列表のハードコピーおよびコンピューター読み取り可能な形
態もまた、それらの全体において本明細書中で参考として援用される。
【0777】 本発明を、前述の説明および実施例に詳細に記載された以外の方法で実施し得
ることは、明らかである。本発明の多数の改変およびバリエーションが、上記の
教示を考慮して可能であり、従って、それらは、添付の特許請求の範囲の範囲内
である。
【0778】 発明の背景、詳細な説明および実施例において引用された各文書の全開示(特
許、特許出願、学術文献、要約、実験マニュアル、書籍または他の開示を含む)
は、本明細書中に参考として援用される。さらに、本明細書にとともに提出され
た配列表のハードコピーおよび対応するコンピュ−ター読み取り可能な形態は、
両方とも本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0779】
【表6】 ATCC受託番号PTA−922 第2頁 (カナダ) 出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶
または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁
長官(Commissioner of Patents)が、長官により指名
された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料の
サンプルの供与を許可する旨を請求し、出願人は、国際出願の公表のための規則
上の準備が完了する前に、書面によりその旨を国際事務局に告知しなければなら
ない。
【0780】 (ノルウェー) 出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0781】 (オーストラリア) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、
あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発
明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addre
ssee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国
特許法第3.25(3)号規定)。
【0782】 (フィンランド) 出願人はここにおいて、出願が(特許および統制委員会(National
Board of Patents and Regulations)により
)公開に付されるかあるいは公開を経ずに国立特許および法規委員会による決定
を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を
、請求する。
【0783】 (英国) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は専門家に対してのみ利用可
能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための規則上の
準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない
【0784】 ATCC受託番号PTA−922 第3頁 (デンマーク) 出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0785】 (スウェーデン) 出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付される
かあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁による決定を受けるまでは、サンプ
ルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請
求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対
してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s Gui
deのVolume Iのannex Zに記載された書式PCT/RO/13
4による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサン
プルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする
。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(lis
t of recognized experts)に記載された任意の者か、
あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0786】 (オランダ) 出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取
り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規
定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求す
る。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき
出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人
によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/10 A61P 35/00 4C084 17/02 35/04 4C085 35/00 37/00 4H045 35/04 C07K 14/47 37/00 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/68 33/53 D G01N 33/15 33/566 33/50 33/68 33/53 A61K 39/395 D 33/566 N 33/68 48/00 // A61K 39/395 C12N 15/00 ZNAA A61K 37/02 48/00 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ニ, ジアン アメリカ合衆国 メリーランド 20874, ジャーマンタウン, フェア レディー ウェイ 17815 (72)発明者 ムーア, ポール エイ. アメリカ合衆国 メリーランド 20874, ジャーマンタウン, レザーバーク ド ライブ 19005 (72)発明者 ルーベン, スティーブン エム. アメリカ合衆国 メリーランド 20832, オルネイ, ヘリテイジ ヒルズ ドラ イブ 18528 Fターム(参考) 2G045 AA29 AA35 BB10 BB20 BB24 BB46 BB50 BB51 CB01 CB17 DA13 FB02 FB05 FB06 FB08 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 GA11 HA12 HA15 4B063 QA01 QA18 QQ20 QQ42 QR55 QS34 4B064 AG01 CA02 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA01 AA02 AA07 AA13 BA01 BA08 DC50 MA13 MA52 MA55 MA63 MA65 MA66 ZA36 ZA51 ZA53 ZA54 ZA89 ZB07 ZB26 4C085 AA14 AA16 BB50 EE01 GG01 GG02 GG08 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA41 CA40 DA76 DA86 EA20 EA50 FA74

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離された核酸分子であって、以下: (a)配列番号Xとして示されるポリヌクレオチド、またはATCC受託番号Z
    に含まれるcDNAによりコードされる該ポリヌクレオチド; (b)配列番号Yの生物学的活性を有するポリペプチドフラグメントをコードす
    るポリヌクレオチド、またはATCC受託番号Zに含まれるcDNA配列により
    コードされる生物学的活性を有する該ポリペプチドフラグメントをコードするポ
    リヌクレオチド; (c)配列番号Yのポリペプチドエピトープをコードするポリヌクレオチド、ま
    たはATCC受託番号Zに含まれるcDNA配列によりコードされるポリペプチ
    ドエピトープをコードするポリヌクレオチド; (d)ストリンジェントな条件下において、(a)〜(c)で特定されるいずれ
    か1つのポリヌクレオチドとハイブリダイズし得るポリヌクレオチドであって、
    該ポリヌクレオチドが、ストリンジェントな条件下において、A残基のみまたは
    T残基のみのヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズしない、ポリ
    ヌクレオチド、 からなる群より選択されるポリヌクレオチドを含む、核酸分子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の単離された核酸分子であって、前記ポリヌ
    クレオチドが、可溶性のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核
    酸分子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の単離された核酸分子であって、前記ポリヌ
    クレオチドが、配列番号Yとして同定される配列をコードするヌクレオチド配列
    、またはATCC受託番号Zに含まれるcDNA配列によりコードされるポリペ
    プチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の単離された核酸分子であって、前記ポリヌ
    クレオチドが、配列番号Xのヌクレオチド配列全体またはATCC受託番号Zに
    含まれるcDNAのヌクレオチド配列全体を含む、核酸分子。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の単離された核酸分子であって、前記ポリヌ
    クレオチドがDNAである、核酸分子。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の単離された核酸分子であって、前記ポリヌ
    クレオチドがRNAである、核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  9. 【請求項9】 遺伝子の発現を制御する異種調節エレメントに作動可能に連
    結されている請求項1に記載の核酸分子を含む、組換え宿主細胞。
  10. 【請求項10】 ポリペプチドを生成する方法であって、請求項9に記載の
    宿主細胞からコードされるポリペプチドを発現させる工程、および該ポリペプチ
    ドを回収する工程を包含する、方法。
  11. 【請求項11】 単離されたポリペプチドであって、以下: (a)配列番号Yとして示されるポリペプチド、またはcDNAよりコードされ
    る該ポリペプチド; (b)配列番号Yのポリペプチドフラグメント、またはcDNAよりコードされ
    る該ポリペプチド; (c)配列番号Yのポリペプチドエピトープ、またはcDNAよりコードされる
    該ポリペプチド;および (d)配列番号Yの改変体、 からなる群より選択される配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、
    ポリペプチド。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドであって、配
    列番号Yを有するポリペプチドを含む、ポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドと特異的に結
    合する、単離された抗体。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドを発現する、
    組換え宿主細胞。
  15. 【請求項15】 単離されたポリペプチドを作製する方法であって、以下:
    (a)該ポリペプチドが発現されるような条件下において請求項14に記載の組
    換え宿主細胞を培養する工程;および (b)該ポリペプチドを回収する工程、 を包含する、方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法により産生されるポリペプチド。
  17. 【請求項17】 医学的状態を予防、処置または改善するための方法であっ
    て、請求項1に記載のポリヌクレオチドの治療有効量を哺乳動物被験体に投与す
    る工程を包含する、方法。
  18. 【請求項18】 被験体における病理学的状態または病理学的状態に対する
    感受性を診断する方法であって、以下: (a)請求項1に記載のポリヌクレオチドにおける変異の存在または非存在を決
    定する工程;および (b)該変異の存在または非存在に基いて、病理学的状態または病理学的状態に
    対する感受性を診断する工程、 を包含する、方法。
  19. 【請求項19】 被験体における病理学的状態または病理学的状態に対する
    感受性を診断する方法であって、以下: (a)生物学的サンプルにおける請求項11に記載のポリペプチドの発現の存在
    、または発現量を決定する工程;および (b)該ポリペプチドの発現の存在または発現量に基いて、病理学的状態または
    病理学的状態に対する感受性を診断する工程、 を包含する、方法。
  20. 【請求項20】 請求項11に記載のポリペプチドに対する結合パートナー
    を同定するための方法であって、以下: (a)請求抗11に記載のポリペプチドと結合パートナーとを接触させる工程;
    および (b)該結合パートナーが、該ポリペプチドの活性に影響を及ぼすか否かを決定
    する工程、 を包含する、方法。
  21. 【請求項21】 請求項11に記載のポリペプチドの活性を改変する分子に
    ついてスクリーニングする方法であって、以下: (a)該ポリペプチドと、アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を有すると
    推測される化合物とを接触させる工程;および (b)該ポリペプチドの活性についてアッセイする工程、 を包含する、方法。
  22. 【請求項22】 医学的状態を予防、処置または改善するための方法であっ
    て、請求項11に記載のポリペプチドの治療有効量を哺乳動物被験体に投与する
    工程を包含する、方法。
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