JP2002543770A - 脱共役タンパク質 - Google Patents

脱共役タンパク質

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JP2002543770A JP2000611556A JP2000611556A JP2002543770A JP 2002543770 A JP2002543770 A JP 2002543770A JP 2000611556 A JP2000611556 A JP 2000611556A JP 2000611556 A JP2000611556 A JP 2000611556A JP 2002543770 A JP2002543770 A JP 2002543770A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規な脱共役タンパク質に関する。より詳細には、新規な脱共役ポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。新規な脱共役ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに結合する抗体が提供される。ヒト脱共役ポリヌクレオチドおよび/またはヒト脱共役ポリペプチドを産生するためのベクター、宿主細胞、ならびに組換え方法および合成方法もまた、提供される。本発明はさらに、これらの新規な脱共役ポリペプチドに関連する障害の診断、処置、予防、および/または予後のために有用である診断方法および治療方法に関する。本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。本発明はさらに、本発明のポリペプチドの生成および機能を阻害するための方法および/または組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、新規な脱共役タンパク質に関する。より詳細には、新規な脱共役ポ
リペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。新規な脱共役ポリペ
プチドおよびこれらのポリペプチドに結合する抗体が提供される。ヒト脱共役ポ
リヌクレオチドおよび/またはヒト脱共役ポリペプチドを産生するためのベクタ
ー、宿主細胞、ならびに組換え方法および合成方法もまた、提供される。本発明
はさらに、これらの新規な脱共役ポリペプチドに関連する障害の診断、処置、予
防、および/または予後のために有用である診断方法および治療方法に関する。
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドのアゴニストお
よびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。本発明はさ
らに、本発明のポリペプチドの生成および機能を阻害するための方法および/ま
たは組成物に関する。
【0002】 (発明の背景) 脱共役タンパク質はまた、ミトコンドリアキャリアタンパク質とも呼ばれ、代
謝および熱発生に関与するミトコンドリア内膜輸送タンパク質のファミリーを含
む。詳細には、脱共役タンパク質は、電子伝達鎖によって燃料の酸化から生じた
プロトン勾配を分散させ、従って、貯蔵されていたエネルギーを熱として放出す
る。熱発生の機能不全は、肥満および悪液質のような障害を誘導し得る。肥満は
、ヒトにおける熱発生の減少から生じ得ると考えられている。もう一方の悪液質
は、例えば、神経性食欲不振において、エネルギーの消費が食物の摂取を超えて
いる代謝状態である。脱共役タンパク質は、異常な代謝経路および発熱経路に関
与する疾患および/または障害の処置および/または予防のために有用であり得
る。
【0003】 最初に同定された脱共役タンパク質である、脱共役タンパク質1(UCP1)
は、他のいかなるエネルギー消費プロセスとも共役することなく、褐色脂肪組織
中でミトコンドリア内膜を横切るプロトン電気化学勾配の分散を可能にする経路
を作り出すことによって、熱および燃焼熱量を発生する際に重要な役割を果たす
(Jacobsson,A.ら、J.Biol.Chem.260:16250
−16254(1985))。この遺伝子の組織分布は、褐色脂肪組織に特異的
であり、ヒトは限られた量のこの組織を有する。脱共役タンパク質2(UCP2
)は、第2の、関連する脱共役タンパク質であり、これは成体ヒト組織(マクロ
ファージに富む組織を含む)において広く発現され、そして脂肪摂取に応答して
脂肪組織においてアップレギュレートされる(Fleury,C.ら、Natu
re Genetics,15:269−272(1997))。UCP2は、
高インスリン血症および肥満と関連するヒト第11染色体およびマウス第7染色
体の領域にマッピングされる。
【0004】 より最近になって、脱共役タンパク質3(UCP3)が発見された。このタン
パク質は、脱共役タンパク質ファミリーのタンパク質の別の関連するメンバーで
ある(Boss,O.ら、FEBS Lett.408:39−42(1997
))。UCP3は、豊富にかつ特異的に骨格筋において発現される。同様に、脳
ミトコンドリアキャリアタンパク質1(BMCP1)は、脱共役キャリアタンパ
ク質ファミリーのタンパク質と関連することが見出された(Sanchis,D
.ら、J.Biol.Chem.,273:34611−34615(1998
))。BMCP1は、脳皮質、海馬、視床、扁桃、および視床下部のような神経
組織において発現される。
【0005】 従って、新規な脱共役タンパク質を同定および開発するための明確な必要が存
在する。構造的に関連するが、このようなタンパク質は、種々の細胞および組織
型において多様で多面的な機能を有し得る。本発明の精製した脱共役ポリペプチ
ドは、例えば、熱発生に関与するさらなるタンパク質の同定、特徴付け、および
精製のための有用な研究ツールである。さらに、新規な脱共役ポリペプチドの同
定は、核酸およびタンパク質レベルでの一定の範囲の誘導体、アゴニストおよび
アンタゴニストの開発を可能にし、これは、次には、多くの他の状態の間で、例
えば、肥満および悪液質のような一定の範囲の状態の処置および診断における適
用を有する。
【0006】 (発明の要旨) 本発明は、配列表において開示されるポリヌクレオチド配列および/または表
1に記載されそしてアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に寄
託されたヒトcDNAプラスミドに含まれる配列を含むか、または代替的に、そ
の配列からなる単離された核酸分子を含む。これらの核酸分子のフラグメント、
改変体、および誘導体もまた、本発明に含まれる。本発明はまた、脱共役ポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドを含むか、あるいは、そのポリヌクレオチ
ドからなる単離された核酸分子を含む。本発明はさらに、これらのポリヌクレオ
チドによってコードされる脱共役ポリペプチドを含む。さらに、配列表において
開示される脱共役ポリペプチドおよび/または表1に記載されそしてATCCに
寄託されたヒトcDNAプラスミドによってコードされる脱共役ポリペプチドを
含むか、あるいは、その配列からなるアミノ酸配列を提供する。これらのポリペ
プチドを結合する抗体もまた、本発明に含まれる。これらのアミノ酸配列のポリ
ペプチドフラグメント、改変体、および誘導体もまた、これらのポリペプチドを
コードするポリヌクレオチド、およびこれらのポリペプチドに結合する抗体と同
様に、本発明に含まれる。
【0007】 (詳細な説明) (表) 表1は、本出願に関してATCCになされた寄託物のATCC寄託証、寄託日
、およびATCC寄託番号を要約する。
【0008】 表2は、公のESTを示し、これらのEST配列の任意の1つ以上の少なくと
も1、2、3、4、5、10、またはそれ以上が、本発明の特定の実施形態から
必要に応じて除外される。
【0009】 (定義) 以下の定義は、本明細書を通して使用される特定の用語の理解を容易にするた
めに提供される。
【0010】 本発明において、「単離された(単離した)」とは、その本来の環境(例えば
、それが天然に存在する場合は天然の環境)から取り出された物質をいい、した
がって、その天然の状態から「人間の手によって」変更されている。例えば、単
離されたポリヌクレオチドは、ベクターまたは組成物の一部であり得るか、ある
いは細胞中に含まれ得、そしてなお「単離されている」。なぜなら、そのベクタ
ー、組成物、または特定の細胞は、ポリヌクレオチドの本来の環境ではないから
である。用語「単離された」は、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリ
ー、丸ごとの細胞全体またはmRNA調製物、ゲノムDNA調製物(電気泳動に
より分離されたものおよびブロットにトランスファーされたものを含む)、せん
断された全細胞ゲノムDNA調製物、あるいは、当該分野が本発明のポリヌクレ
オチド/配列の際立った特徴を示せない他の組成物をいわない。
【0011】 本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」とは、配列番号X(SE
Q ID NO:X)に含まれる核酸配列(表1の欄5に記載される)を有する
分子、またはcDNAプラスミド:Z(表1の欄3に記載され、かつATCCに
寄託されたプラスミドのプール内に含まれる)をいう。例えば、このポリヌクレ
オチドは、5’および3’非翻訳配列、天然もしくは人工のシグナル配列を含む
かもしくは含まないコード領域、タンパク質コード領域を含む全長cDNA配列
のヌクレオチド配列、ならびにこの核酸配列のフラグメント、エピトープ、ドメ
イン、および改変体を含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、「ポリペ
プチド」とは、広く定義されるように、本発明のポリヌクレオチドによりコード
されるアミノ酸配列を有する分子(cDNAに対応する配列のポリAテイルの翻
訳から生じるポリフェニルアラニンまたはポリリジンのペプチド配列は明らかに
除かれる)をいう。
【0012】 本発明において、配列番号Xの配列を含む代表的なプラスミドは、Ameri
can Type Culture Collection(「ATCC」)に
寄託され、そして/または表1に記載される。表1に示されるように、各々のプ
ラスミドは、cDNAクローンID(Identifier)およびATCC受
託番号(ATCC寄託番号Z)によって同定される。単一の寄託として、プール
され、そして受託されるプラスミドは、同じATCC受託番号を有する。ATC
Cは、アメリカ合衆国、バージニア20110−2209、マナサス、Univ
ersity Boulevard 10801に位置する。ATCC寄託は、
特許手続の目的のための微生物の寄託の国際承認に係るブダペスト条約の条項に
よって行われた。
【0013】 本発明の「ポリヌクレオチド」はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼー
ション条件下で、配列番号Xに含まれる配列、またはその相補体(例えば、本明
細書中に記載されるポリヌクレオチドフラグメントの任意の1、2、3、4、ま
たはそれ以上の相補体)、および/またはcDNA プラスミドZに含まれる配
列(例えば、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドフラグメントの1、2、
3、4、またはそれ以上の相補体)にハイブリダイズし得る、任意のポリヌクレ
オチドを含む。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、50
%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸三ナト
リウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、1
0%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶
液中での42℃での一晩インキュベーション、次いで0.1×SSC中で約65
℃にてフィルターを洗浄することをいう。
【0014】 より低い、ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件で、本発明のポ
リヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子もまた、本発明の「ポリヌクレオ
チド」に含まれる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよびシグナ
ル検出の変化は、主として、ホルムアミド濃度(より低い百分率のホルムアミド
が、低下したストリンジェンシーを生じる);塩条件、または温度の操作を通じ
て達成される。例えば、より低いストリンジェンシー条件は、6×SSPE(2
0×SSPE=3M NaCl;0.2M NaH2PO4;0.02M EDT
A、pH7.4)、0.5% SDS、30%ホルムアミド、100μg/ml
サケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中、37℃で一晩のインキュベーション
;次いで1×SSPE、0.1% SDSを用いた50℃での洗浄を含む。さら
に、なおより低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントなハ
イブリダイゼーション後に行われる洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5×SS
C)で行われ得る。
【0015】 上記の条件における変化が、ハイブリダイゼーション実験においてバックグラ
ウンドを抑制するために使用される代替的なブロッキング試薬の含有および/ま
たは置換によって達成され得ることに留意すること。代表的なブロッキング試薬
としては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、お
よび市販の専売処方物が挙げられる。特異的ブロッキング試薬の含有は、適合性
の問題に起因して、上記のハイブリダイゼーション条件の改変を必要とし得る。
【0016】 もちろん、ポリA+配列(例えば、配列表に示されるcDNAの任意の3’末
端ポリA+領域(tract))に、またはT(もしくはU)残基の相補的スト
レッチにのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、「ポリヌクレオチド」の
定義に包含されない。なぜなら、このようなポリヌクレオチドが、ポリ(A)ス
トレッチまたはその相補体を含む任意の核酸分子(例えば、プライマーとしてオ
リゴdTを使用して産生される、事実上任意の二本鎖cDNAクローン)にハイ
ブリダイズするからである。
【0017】 本発明のポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキ
シリボヌクレオチドから構成され得、これは、非改変RNAもしくは非改変DN
Aまたは改変RNAもしくは改変DNAであり得る。例えば、ポリヌクレオチド
は、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA
、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物である
RNA、ハイブリッド分子(一本鎖、もしくはより代表的には二本鎖、または一
本鎖領域および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含む)から
構成され得る。さらに、ポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNA、またはR
NAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオチド
はまた、安定性のために、または他の理由のために改変された1つ以上の改変さ
れた塩基またはDNAもしくはRNA骨格を含み得る。「改変された」塩基とし
ては、例えば、トリチル化された塩基、およびイノシンのような普通でない塩基
が挙げられる。種々の改変が、DNAおよびRNAに対して行われ得;したがっ
て、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に改変された形態
を含む。
【0018】 特定の実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも15の
、少なくとも30の、少なくとも50の、少なくとも100の、少なくとも12
5の、少なくとも500の、または少なくとも1000の連続するヌクレオチド
であるが、300kb未満、200kb未満、100kb未満、50kb未満、
15kb未満、10kb未満、7.5kb未満、5kb未満、2.5kb未満、
2.0kb未満、または1kb未満の長さである。さらなる実施形態においては
、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されたコード配列の一部を含
むが、任意のイントロンの全てまたは一部を含むわけではない。別の実施形態に
おいては、コード配列を含むポリヌクレオチドは、ゲノムの隣接遺伝子のコード
配列(すなわち、ゲノムにおける目的の遺伝子に対する5’または3’)を含ま
ない。他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、1000、500
、250、100、50、25、20、15、10、5、4、3、2または1よ
り多いゲノム隣接遺伝子のコード配列を含まない。
【0019】 「配列番号X」とは、表1のカラム5に記載されるポリヌクレオチド配列をい
うが、「配列番号Y」とは、表1のカラム10に記載されるポリペプチド配列を
いう。配列番号Xは、表1のカラム6において特定される整数によって同定され
る。配列番号Yのポリペプチド配列は、配列番号Xのポリヌクレオチドによって
コードされる翻訳されたオープンリーディングフレーム(ORF)である。ポリ
ヌクレオチド配列は、配列表に示され、直ちに全てのポリペプチド配列が続く。
従って、配列番号1のポリヌクレオチド配列に対応するポリペプチド配列は、配
列表に示される第1のポリペプチド配列である。第2のポリペプチド配列は、配
列番号2などとして示されるポリヌクレオチド配列に対応する。
【0020】 本発明のポリペプチドは、ペプチド結合または改変されたペプチド結合、すな
わち、ペプチドアイソスター(isostere)によって互いに連結したアミ
ノ酸から構成され得、そして遺伝子がコードする20個のアミノ酸以外のアミノ
酸を含み得る。ポリペプチドは、翻訳後プロセシングのような天然のプロセスに
よって、または当該技術分野で周知の化学的改変技術のいずれかによって、改変
され得る。このような改変は、基本テキスト、およびより詳細な研究論文、なら
びに多くの研究文献に十分に記載される。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖
、およびアミノ末端またはカルボキシル末端、を含むポリペプチドのどこにでも
生じ得る。同じ型の改変が、所定のポリペプチド中のいくつかの部位で、同じま
たは種々の程度で存在し得ることが理解される。また、所定のポリペプチドは多
くの型の改変を含み得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果として
分枝状であり得、そしてそのポリペプチドは、分枝を含むかまたは含まない、環
状であり得る。環状、分枝状および分枝した環状のポリペプチドは、天然の翻訳
後プロセスから生じ得るか、または合成方法によって作製され得る。改変として
は、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結
合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、
脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosph
otidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形
成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の
形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、
水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(pegylat
ion)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セ
レノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランス
ファーRNA媒介付加、およびユビキチン化が挙げられる。(例えば、PROT
EINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERT
IES、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman an
d Company、New York(1993);POSTTRANSLA
TIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROT
EINS、B.C.Johnson編、Academic Press、New
York、1−12頁(1983);Seifterら、Meth Enzy
mol.182:626−646(1990);Rattanら、Ann.N.
Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)を参照のこと)。
【0021】 本発明のポリペプチドは、任意の適切な様式で調製され得る。そのようなポリ
ペプチドとしては、単離された天然に存在するポリペプチド、組換え的に生成さ
れたポリペプチド、合成的に生成されたポリペプチド、またはこれらの方法の組
み合わせによって生成されたポリペプチドが挙げられる。このようなポリペプチ
ドを調製するための手段は、当該分野において十分に理解されている。
【0022】 ポリペプチドは、分泌タンパク質の形態(成熟形態を含む)であり得るか、ま
たはより大きなタンパク質(例えば、融合タンパク質)の一部であり得る(下記
を参照のこと)。分泌配列またはリーダー配列、プロ配列、精製において補助す
る配列(例えば、複数のヒスチジン残基)、または組換え生成の間の安定性のた
めのさらなる配列を含むさらなるアミノ酸配列を含むことは、しばしば有利であ
る。
【0023】 本発明のポリペプチドは、好ましくは単離された形態で提供され、そして好ま
しくは実質的に精製される。ポリペプチドの組換え的に生成されたバージョン(
分泌ポリペプチドを含む)は、本明細書中で記載される技術か、またはさもなく
ば当該分野で公知の技術を使用して(例えば、SmithおよびJohnson
(Gene 67:31−40(1988))において記載される1工程方法に
よって)、実質的に精製され得る。本発明のポリペプチドはまた、本明細書中で
記載される技術、または当該分野における他の周知の方法を使用して(例えば、
当該分野で周知の方法で本発明のポリペプチドに対して惹起された本発明の抗体
を使用して)、天然の供給源、合成的な供給源または組換え供給源から精製され
得る。
【0024】 「機能的活性」を示すポリペプチドとは、本発明の全長(完全)タンパク質と
関連した1つ以上の公知の機能的活性を示し得るポリペプチドを意味する。この
ような機能的活性としては、生物学的活性、抗原性[抗ポリペプチド抗体に結合
する(または結合することについて、ポリペプチドと競合する)能力]、免疫原
性(本発明の特異的なポリペプチドに結合する抗体を生成する能力)、本発明の
ポリペプチドとマルチマーを形成する能力、およびポリペプチドについてのレセ
プターまたはリガンドに結合する能力が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】 「機能的活性を有するポリペプチド」とは、特定のアッセイ(例えば、生物学
的アッセイ)で測定した場合、用量依存性を伴なっても伴なわなくても、本発明
のポリペプチド(成熟形態を含む)の活性と類似であるが、必ずしも同一ではな
い活性を示すポリペプチドをいう。用量依存性が存在する場合、本発明のポリペ
プチドの用量依存性と同一である必要はないが、むしろ本発明のポリペプチドと
比較した場合に、所定の活性における用量依存性に実質的に類似する(すなわち
、候補ポリペプチドは、本発明のポリペプチドと比較して、より大きな活性を示
すか、または約1/25以上、そして好ましくは約1/10以上の活性、そして
最も好ましくは約1/3以上の活性を示す)。
【0026】 ポリペプチド、ならびにそれらのフラグメント、改変体、誘導体、およびアナ
ログの機能的活性は、種々の方法によってアッセイされ得る。
【0027】 例えば、全長ポリペプチドの抗体への結合について本発明の全長ポリペプチド
に結合するか、またはそれと競合する能力についてアッセイする、1つの実施形
態では、当該分野で公知の種々の免疫アッセイが、用いられ得る。このようなア
ッセイとしては、放射免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫放射分析アッセイ、ゲル拡散沈降反応、
免疫拡散アッセイ、インサイチュ免疫アッセイ(例えば、コロイド金、酵素また
は放射性同位体標識を用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ
(例えば、ゲル凝集アッセイ、血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍
光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどのような
技術を用いる競合および非競合アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されな
い。1つの実施形態では、抗体結合が、一次抗体上の標識を検出することによっ
て検出される。別の実施形態では、この一次抗体は、この一次抗体に対する二次
抗体または試薬の結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態で
は、この二次抗体が標識される。多くの手段が、免疫アッセイにおける結合の検
出について当該分野で公知であり、そして本発明の範囲内である。
【0028】 別の実施形態では、リガンドが同定されるか、または本発明のポリペプチドフ
ラグメント、改変体、または誘導体がマルチマー化する能力が評価される場合、
結合が、例えば、還元および非還元ゲルクロマトグラフィー、タンパク質アフィ
ニティークロマトグラフィー、ならびにアフィニティーブロッティングのような
当該分野で周知の手段によって、アッセイされ得る。一般には、Phizick
y、E.ら、Microbiol.Rev.59:94−123(1995)を
参照のこと。別の実施形態では、その基質への本発明のポリペプチドの結合の生
理学的相関(シグナル伝達)がアッセイされ得る。
【0029】 さらに、本明細書中に記載のアッセイ(実施例を参照のこと)およびさもなく
ば当該分野で公知である他のアッセイは、本発明のポリペプチドならびにそれら
のフラグメント、改変体、誘導体、およびアナログが、ポリペプチドの生物学的
活性に関連した関連の生物学的活性を(インビトロまたはインビボのいずれかで
)惹起する能力を測定するために、慣用的に適用され得る。他の方法は、当業者
に公知であり、そして本発明の範囲内である。
【0030】 (本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド) (遺伝子番号1によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ミトコンドリアキャリアタンパク質であると考えら
れるヒトタンパク質と配列相同性を共有する(Genbank登録番号 gi|
2588623を参照のこと)。好ましいドメインとして本発明に含まれるもの
は、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質(METP)ドメインであり、M
ETPドメインはProSite分析ツールを用いて同定される。構造的に、ミ
トコンドリアエネルギー伝達タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残
基のドメインの3つのタンデムの繰り返しからなる。これらのドメインの各々は
、2つの膜貫通領域を含む。サインパターンとして、繰り返しドメインの最も保
存された領域の1つが選択され、第1の膜貫通領域の直下に配置される。この広
範なタンパク質のファミリーを検出するために、第1の膜貫通領域の直下に位置
した繰り返しドメイン中の最も保存された領域を含むコンセンサス配列が発達さ
れた。コンセンサスパターンは、以下の通りである:P−x[DE]−x−[L
IVAT]−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]
。本発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PLDVVK
VRLQ(配列番号38)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドもまた、本発明に含まれる。さらに好ましいのは、配列番号38のMETPド
メイン、および配列番号20の少なくとも5、10、15、20、25、30、
50または75の連続する付加的なアミノ酸残基を含むポリペプチドである。こ
の連続した付加的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端側または
C末端側である。あるいは、連続した付加的なアミノ酸残基は、METPドメイ
ンに対してN末端側およびC末端側の両方であり、ここで、N末端およびC末端
の連続したアミノ酸残基の合計は、特定した数と等しい。上記の好ましいポリペ
プチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質に対してサイン特
異的な特徴である。
【0031】 この遺伝子は、主に卵巣癌組織および乳癌組織において、そしてより少ない程
度には胎児の肝臓/脾臓組織および精巣組織において発現される。
【0032】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、および生殖系の癌、ならびに免疫系の疾患および/または障
害を含む疾患および状態の診断のための、試薬として有効である。同様に、ポリ
ペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差
的同定のための免疫学的プローブを提供する際に有効である。上記の組織または
細胞(特に、生殖系および免疫系)の多くの障害に関して、標準的な遺伝子発現
レベル(すなわち、障害を有しない個体由来の健常な組織中の発現レベル)に対
して、有意に高いかまたは低いレベルのこの遺伝子の発現は、このような障害を
有する個体から採取された特定の組織(例えば、生殖組織、免疫組織、癌性組織
および創傷組織)もしくは体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および
髄液)中で、検出される。
【0033】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号20に残基として示した:Met
−1〜Gly−8、Leu−39〜Ser−45、Phe−90〜Phe−96
、Glu−110〜Leu−115、Leu−239〜Thr−245、Arg
−342〜Arg−347の免疫原性エピトープを含むか、あるいはこれらから
なる。上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含ま
れる。
【0034】 生殖系ならびに免疫系の癌性組織の組織分布および推定ミトコンドリアタンパ
ク質に対する相同性は、このクローンのタンパク質産物が、生殖系および免疫系
の疾患、癌および/または障害の診断、検出および/または処置のために、なら
びにアンカップリングタンパク質の異常な活性(例えば、代謝活性における障害
、肥満、悪液質または奇形発生)に関連した疾患および/または障害の検出およ
び/または処置のために有効であることを示す。この遺伝子の翻訳産物に対する
抗体は、例えば、疾患に寄与するアンカップリングタンパク質の活性を阻害する
ことによって非限定的な仮説の目的に有効である。卵巣癌組織および乳癌組織に
おける組織分布は、この遺伝子がアンタゴニスト、特に低分子または抗体に対す
る、優れた標的であり得、その同族リガンドによってレセプターの結合をブロッ
クすることを示す。従って、好ましいのは、この遺伝子の翻訳産物の細胞外部分
に特異的に結合する抗体または低分子である。この細胞外領域は、上に記載され
たように膜貫通ドメインに関する情報から確認され得る。また、乳癌および/ま
たは卵巣癌を検出するためのキットを提供する。1つの実施形態において、この
ようなキットは、固体支持体に結合するこの遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を
含む。また、個体における乳癌および/または卵巣癌を検出する方法も提供され
、この方法は、この遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を、個体由来の体液(好ま
しくは、血清)に接触させ、そして抗体が、体液中に見出される抗原に結合する
か否かを確認する工程を包含する。好ましくは、この抗体は固体支持体と結合さ
れ、そして体液は血清である。上記の実施形態ならびに他の治療および診断試験
(キットおよび方法)は、本明細書中の他の場所でより詳細に記載する。さらに
、この組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、種々の免疫障害の診断お
よび処置に有効であることを示す。胎児肝臓/脾臓組織におけるこの遺伝子産物
の発現は、増殖の調節;生存;分化;および/または血液幹細胞を含む、潜在的
な全ての造血細胞系統の活性化における役割を示す。この遺伝子産物は、サイト
カインの産生の調節、抗原の提示の調節、または癌の処置において有効性を示し
得る他のプロセス(例えば、免疫応答をブーストすることによって)に関与し得
る。この遺伝子は、リンパ起源の細胞において発現されるので、この遺伝子、ま
たはタンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上に列挙した組織に対
する腫瘍マーカーおよび/または免疫療法の標的として有効性を示し得る。従っ
て、この遺伝子はまた、免疫学的障害(関節炎、喘息、AIDSのような免疫不
全障害、白血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫瘡および乾癬を
含む)のための薬剤として使用され得る。加えてこの遺伝子産物は、幹細胞およ
び種々の血液系統の関係づけられた前駆体の拡大、および種々の細胞型の分化お
よび/または増殖における商業的有効性を有し得る。タンパク質ならびにそのタ
ンパク質に対する抗体は、上に列挙された組織に対する腫瘍マーカーおよび/ま
たは免疫療法の標的としての有効性を示し得る。
【0035】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、配列データベースを
通して公に利用可能および入手可能である。これらの配列のいくつかは、配列番
号2に関連し、そして本発明の着想以前に公に利用可能であり得る。好ましくは
、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範囲から特に除外される。
全ての関連する配列を列挙するのは、煩わしい。従って、好ましくは、本発明か
ら、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号2
の1〜1546の任意の整数であり、bは15〜1560の整数であり、ここで
aおよびbの両方は配列番号2に示されるヌクレオチド残基の位置に対応し、そ
してここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチドが除外
される。
【0036】 (遺伝子番号2によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ヒト呼吸アンカップリングタンパク質−2(UCP
2)(GenSeq登録番号 W69166を参照のこと)ならびにナス塊(S
olanum tuberosum)由来のミトコンドリアエネルギー伝達タン
パク質(Genbank登録番号 gi|4138581を参照のこと)と配列
相同性を共有する。ヒト呼吸アンカップリングタンパク質は、サイトゾルからミ
トコンドリアマトリックスにプロトンを輸送することによって、酸化エネルギー
を熱に消散すると考えられる。好ましいドメインとして本発明み含まれるものは
、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質(METP)ドメインであり、ME
TPドメインは、ProSite分析ツール(Swiss Institute
of Bioinformatics)を用いて同定される。構造的に、ミト
コンドリアエネルギー伝達タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基
のドメインの3つのタンデムの繰り返しからなる。これらのドメインの各々は、
2つの膜貫通領域を含む。サインパターンとして、繰り返しドメインの最も保存
された領域の1つが選択され、第1の膜貫通領域の直下に配置される。この広範
なタンパク質のファミリーを検出するために、第1の膜貫通領域の直下に位置し
た繰り返しドメイン中の最も保存された領域を含むコンセンサス配列が発達され
た。コンセンサスパターンは、以下の通りである:P−x[DE]−x−[LI
VAT]−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]。
本発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PFDVIKI
RFQ(配列番号39)および/またはPVDVLRTRFA(配列番号40)
。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれ
る。さらに好ましいのは、配列番号39のMETPドメイン、および配列番号2
1の少なくとも5、10、15、20、25、30、50または75の連続する
付加的なアミノ酸残基を含むポリペプチドである。この連続した付加的なアミノ
酸残基は、METPドメインに対してN末端側またはC末端側であり得る。ある
いは、連続した付加的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端側お
よびC末端側の両方であり、ここで、N末端およびC末端の連続したアミノ酸残
基の合計は、特定した数と等しい。さらに好ましいのは、配列番号40のMET
Pドメイン、および配列番号21の少なくとも5、10、15、20、25、3
0、50または75の連続する付加的なアミノ酸残基を含むポリペプチドである
。この連続した付加的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端側ま
たはC末端側であり得る。あるいは、連続した付加的なアミノ酸残基は、MET
Pドメインに対してN末端側およびC末端側の両方であり得、ここで、N末端お
よびC末端の連続したアミノ酸残基の合計は、特定した数と等しい。上記の好ま
しいポリペプチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質に対し
てサイン特異的な特徴である。
【0037】 この遺伝子は、主に精巣組織、ヒト下垂体組織および胎児の脳組織において発
現されることが見い出されている。
【0038】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、および以下の疾患および状態の診断のための、試薬として有
効である:生殖系障害、神経障害、発達障害および/またはホルモン障害ならび
に癌。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織
または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブを提供する際に有効である
。上記の組織または細胞(特に、生殖系、神経系および/または内分泌系)の多
くの障害に関して、標準的な遺伝子発現レベル(すなわち、障害を有しない個体
由来の健常な組織の発現レベル)に対して、有意に高いかまたは低いレベルのこ
の遺伝子の発現は、このような障害を有する個体から採取された特定の組織(例
えば、生殖組織、神経組織、内分泌組織、癌性組織および創傷組織)もしくは体
液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)中で検出され得る。
【0039】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号21に残基として示した:Tyr
−4〜Lys−15、Glu−48〜Lys−58、Glu−210〜Leu−
217、Val−259〜Gly−264、Met−313〜Arg−320の
免疫原性エピトープを含むか、あるいはこれらからなる。上記のポリペプチドを
コードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
【0040】 精巣組織、ヒト下垂体組織および胎児の脳組織の組織分布ならびにUCP2お
よびいくつかのミトコンドリアキャリアタンパク質に対する相同性は、このクロ
ーンのタンパク質産物が、神経系、生殖系または内分泌系の障害の検出および/
または処置のために、ならびにアンカップリングタンパク質の異常な活性(例え
ば、代謝活性における障害、肥満、悪液質または熱発生)に関連した疾患および
/または障害の検出および/または処置のために有効であることを示す。この遺
伝子の翻訳産物に対する抗体は、例えば、悪液質の処置および/または予防に有
効であり、疾患に寄与するアンカップリングタンパク質の活性を阻害することに
よって非限定的な仮説の目的に有効である。組織分布は、このクローンのタンパ
ク質産物が、適切な精巣機能に関する状態(例えば、内分泌機能、精子成熟)な
らびに癌の処置および/または診断に有効であることを示す。従って、この遺伝
子産物は、雄不妊症および/または不能症の処置において有効である。この遺伝
子産物はまた、結合因子を同定するために設計されたアッセイにおいて有用であ
り、このような薬剤(アンタゴニスト)は雄性避妊薬剤として有効である。同様
に、このタンパク質は、精巣癌の処置および/または診断において有効であると
考えれる。精巣はまた、体の他の組織において発現され得る(特に低いレベルで
)転写物の活性な遺伝子の発現の部位である。従ってこの遺伝子産物は、他の特
異的組織または器官において発現され得、他の過程(可能な標的指標を少し挙げ
るなら、例えば造血、炎症、骨形成および腎臓機能)において関連した機能的な
役割を果たし得る。あるいは、下垂体組織における組織分布は、このクローンの
タンパク質産物が、種々の内分泌障害および癌(特にアディソン病、クッシング
症候群)、ならびに膵臓(例えば、糖尿病)、副腎皮質、卵巣、下垂体(例えば
、下垂体機能亢進症、下垂体機能低下症)、甲状(例えば、甲状腺機能亢進症、
甲状腺機能低下症)、上皮小体(例えば、上皮小体機能亢進症、上皮小体機能低
下症)、視床下部および精巣の障害および/または癌の検出、処置および/また
は予防に有効であることを示す。胎児の脳組織における組織分布は、このクロー
ンのタンパク質産物が、神経変性疾患状態および行動障害(例えば、アルツハイ
マー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、精神分裂病、躁病
、痴呆、偏執症、強迫性障害、恐慌性障害、学習障害、ALS、精神病、自閉、
および行動変化(栄養補給、睡眠パターン、平衡、および知覚の障害を含む)の
検出/処置のために有効であることを示す。加えて、この遺伝子または遺伝子産
物はまた、発達中の胚に関連した発達障害または伴性障害の処置および/または
検出において役割を果たし得る。タンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗
体は、上に列挙した組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫療法の標的と
して有効性を示し得る。特に好ましいのは、化合物(すなわち、抗体、低分子)
を、本発明の転移酵素タンパク質の発現または活性のためのアンタゴニストまた
はアゴニストとして作用するその能力についてスクリーニングするための方法で
ある。
【0041】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、配列データベースを
通して公に利用可能および入手可能である。これらの配列のいくつかは、配列番
号3に関連し、そして本発明の着想以前に公に利用可能であり得る。好ましくは
、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範囲から特に除外される。
全ての関連する配列を列挙するのは、煩わしい。従って、好ましくは、本発明か
ら、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号3
の1〜1552の任意の整数であり、bは15〜1566の整数であり、ここで
aおよびbの両方は配列番号3に示されるヌクレオチド残基の位置に対応し、そ
してここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチドが除外
される。
【0042】 (遺伝子番号3によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、種々の長さのアシルカルニチンのミトコンドリア膜
にわたるカルニチンでの交換を触媒すると考えられるヒトカルニチンキャリア(
Genbank登録番号 g2765075を参照のこと)と配列相同性を共有
する。次いで、アシルカルニチンを介したミトコンドリアマトリックスへの脂肪
酸の転位置における中心的な役割を果たし、このアシル基は脂肪酸の酸化に使用
されるために放出される。好ましいドメインとして本発明に含まれるものは、ミ
トコンドリアエネルギー伝達タンパク質(METP)ドメインであり、METP
ドメインはProSite分析ツールを用いて同定される。構造的に、ミトコン
ドリアエネルギー伝達タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基のド
メインの3つのタンデムの繰り返しからなる。これらのドメインの各々は、2つ
の膜貫通領域を含む。サインパターンとして、繰り返しドメインの最も保存され
た領域の1つが選択され、第1の膜貫通領域の直下に配置される。この広範なタ
ンパク質のファミリーを検出するために、第1の膜貫通領域の直下に位置した繰
り返しドメイン中の最も保存された領域を含むコンセンサス配列が発達された。
コンセンサスパターンは、以下の通りである:P−x[DE]−x−[LIVAT]
−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]。本発明の好ましい
ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PTELVKCRLQ(配列番号
41)および/またはPVDCIKSRIQ(配列番号42)。これらのポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。さらに好まし
いのは、配列番号41のMETPドメイン、および配列番号22の少なくとも5
、10、15、20、25、30、50または75の連続する付加的なアミノ酸
残基を含むポリペプチドである。この連続した付加的なアミノ酸残基は、MET
Pドメインに対してN末端側またはC末端側である。あるいは、連続した付加的
なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端側およびC末端側の両方で
あり得、ここで、N末端およびC末端の連続したアミノ酸残基の合計は、特定し
た数と等しい。さらに好ましいのは、配列番号42のMETPドメイン、および
配列番号22の少なくとも5、10、15、20、25、30、50または75
の連続する付加的なアミノ酸残基を含むポリペプチドである。この連続した付加
的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端側またはC末端側である
。あるいは、連続した付加的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末
端側およびC末端側の両方であり、ここで、N末端およびC末端の連続したアミ
ノ酸残基の合計は、特定した数と等しい。上記の好ましいポリペプチドドメイン
は、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質に対してサイン特異的な特徴であ
る。
【0043】 この遺伝子は、主に精巣組織において発現されることが見い出されている。
【0044】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、および以下:生殖系の障害の疾患および状態の診断のための
試薬として有効である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対
する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブを提供す
る際に有効である。上記の組織または細胞(特に、生殖系)の多くの障害に関し
て、標準的な遺伝子発現レベル(すなわち、障害を有しない個体由来の健常な組
織中の発現レベル)に対して、有意に高いかまたは低いレベルのこの遺伝子の発
現は、このような障害を有する個体から採取された特定の組織(例えば、生殖組
織、癌性組織および創傷組織)もしくは体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿
、滑液および髄液)で、検出される。
【0045】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号22に残基:Gly−62〜Th
r−67、Gly−201〜Glu−206として示した免疫原性エピトープを
含むか、あるいはこれらからなる。上記のポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドもまた、本発明に含まれる。
【0046】 精巣組織における組織分布およびヒトカルニチンキャリアタンパク質に対する
相同性は、このクローンのタンパク質産物が、適切な精巣機能(例えば、内分泌
機能、精子成熟)ならびに癌に関連した状態の処置および/または診断のために
有効であることを示唆する。従って、この遺伝子産物は、雄不妊症および/また
は不能症の処置において有効である。この遺伝子産物はまた、雄避妊薬として有
効である因子(アンタゴニスト)のような結合因子を同定するために設定される
アッセイにおいて有効である。同様に、タンパク質は、精巣癌の処置および/ま
たは診断において有効であると考えられている。精巣はまた、体の他の組織にお
いて発現され得る(特に、低レベルで)転写物の活性な遺伝子発現の部位である
。従って、この遺伝子産物は、他の特定の組織または器官において発現され得、
他のプロセス(可能な標的指標のいくつかを挙げるならば、例えば、造血、炎症
、骨形成および腎臓機能)において関連した機能的役割を果たし得る。タンパク
質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上に列挙された組織に対する腫瘍マ
ーカーおよび/または免疫療法の標的としての有効性を示し得る。特に好ましい
のは、化合物(すなわち、抗体、低分子)を、本発明の転移酵素タンパク質の発
現または活性のためのアンタゴニストまたはアゴニストとして作用するその能力
についてスクリーニングするための方法である。さらに、本発明の遺伝子または
その翻訳産物は、カップリングタンパク質の異常な活性に関連した疾患および/
または障害(例えば、代謝活性、肥満、悪液質または奇形発生における障害)の
検出および/または処置のために有効である。この遺伝子の翻訳産物に対する抗
体は、例えば、疾患に寄与するアンカップリングタンパク質の活性を阻害するこ
とによって非限定的な仮説の目的に有効である。
【0047】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、配列データベースを
通して公に利用可能および入手可能である。これらの配列のいくつかは、配列番
号4に関連し、そして本発明の着想以前に公に利用可能であり得る。好ましくは
、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範囲から特に除外される。
全ての関連する配列を列挙するのは、煩わしい。従って、好ましくは、本発明か
ら、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号4
の1〜1356の任意の整数であり、bは15〜1370の整数であり、ここで
aおよびbの両方は配列番号4に示されるヌクレオチド残基の位置に対応し、そ
してここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチドが除外
される。
【0048】 (遺伝子番号4によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、推定ミトコンドリアキャリアタンパク質(例えば、
Genbank登録番号gi|3876146を参照のこと)であると考えられ
る多くのタンパク質と配列相同性を共有する。ミトコンドリアエネルギー転移タ
ンパク質(METP)ドメインは、好ましいドメインとして本発明中に含まれる
。このドメインは、このドメインは、ProSite分析ツールを用いて同定さ
れた。構造的に、ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質のファミリーのメン
バーは、約100残基のドメインの3つのタンデムリピートからなる。これらの
3つのドメインの各々は、2つの膜貫通領域を含む。特徴あるパターンとして、
第一の膜貫通領域の直後に位置する繰り返しドメイン中の多くの保存領域のうち
1つが、選択された。タンパク質のこの広範なファミリーを検出するために、コ
ンセンサス(concensus)配列が、顕出された。この配列は、第一の膜
貫通領域の直後に位置される繰り返しドメイン中の多くの保存領域を含む。コン
センサスパターンは、以下の通りである:P−x−[DE]−x−[LIVAT
]−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]。本発明
の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PIDLAKTRLQ
(配列番号43)、および/またはPCDVVKTRLQ(配列番号44)。こ
れらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明により包含さ
れる。配列番号43のMETPドメイン、および配列番号23の少なくとも5、
10、15、20、25、30、50、または75のさらなる連続するアミノ酸
残基を含むポリペプチドは、さらに好ましい。このさらなる連続するアミノ酸残
基は、METPドメインに対してN末端またはC末端であり得る。あるいは、さ
らなる連続するアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端およびC末端
の両方であり得る。ここでN末端およびC末端の連続するアミノ酸残基の合計が
、特定される数字に等しい。さらに、配列番号44のMETPドメイン、および
配列番号23の少なくとも5、10、15、20、25、30、50、または7
5のさらなる連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドは、好ましい。このさら
なる連続するアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端またはC末端で
あり得る。あるいは、さらなる連続するアミノ酸残基は、METPドメインに対
してN末端およびC末端の両方であり得る。ここでN末端およびC末端の連続す
るアミノ酸残基の合計が、特定される数字に等しい。上記の好ましいポリペプチ
ドドメインは、ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質に特異的な特徴を示す
【0049】 この遺伝子は、主に脳組織、乳児脳組織、小脳組織、および精巣組織において
発現されることが、発見されている。
【0050】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、ならびに以下の疾患および状態の診断のための試薬として有
用である:神経系および生殖系の疾患および/または障害。同様に、ポリペプチ
ドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定
のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に神経
系および生殖系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、障
害を有さない個体由来の健常組織中の発現レベル)に対して有意に高いまたは低
いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特
定の組織(例えば、神経組織、生殖組織、癌性組織および創傷組織)または体液
(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液または髄液)中で検出され得る。
【0051】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号23中で残基:Arg−35〜V
al−45、Pro−217〜Pro−224、Gly−259〜Tyr−26
5として示される免疫原性エピトープを含むか、または代替的にこれらからなる
。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明により包
含される。
【0052】 神経組織および精巣組織における組織分布、ならびに多くの推定ミトコンドリ
アキャリアタンパク質との相同性は、このクローンのタンパク質産物が、神経系
および生殖系の障害の検出および/または処置のため、ならびに脱共役タンパク
質の異常な活性と関連する疾患および/または障害(例えば、代謝活性、肥満症
、悪液質、または熱発生における障害)の検出および/または処置のために有用
であることを示唆する。例えば、非限定的な仮説により、この遺伝子の翻訳産物
に対する抗体は、疾患に寄与する脱共役タンパク質の活性を阻害することによっ
て有用である。さらに、神経組織における組織分布は、このクローンのタンパク
質産物が、神経変性疾患状態および行動障害(例えば、アルツハイマー病、パー
キンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、精神分裂病、躁病、痴呆、パラ
ノイア、強迫性障害、恐慌性障害、学習障害、ALS、精神病、自閉症、ならび
に行動変化(栄養補給、睡眠のパターン、平衡、および知覚における障害を含む
)の検出/処置のために有用であることを示唆する。さらに、この遺伝子または
遺伝子産物はまた、胚発生、または性に結びつく障害に関連する発達障害の処置
および/または検出に役割を果たし得る。あるいは、精巣における組織分布は、
このクローンのタンパク質産物が、適切な精巣機能(例えば、内分泌機能、精子
成熟)および癌に関する状態の処置および診断のために有用であることを示す。
従って、この遺伝子産物は、男性不妊および/またはインポテンスの処置におい
て有用である。この遺伝子産物はまた、結合剤(男性避妊試薬剤として有用であ
る薬剤(アンタゴニスト))を同定するために設計されたアッセイにおいて、有
用である。同様に、このタンパク質は、精巣癌の処置および/または診断におい
て有用であると考えられている。精巣はまた、体の他の組織において、特に低レ
ベルで発現され得る転写産物の活性遺伝子発現の部位である。従って、この遺伝
子産物は、他の特定の組織または器官において発現され得、ここで他のプロセス
(例えば、可能な標的指標を少し挙げるなら、造血、炎症、骨形成、および腎臓
機能)において、関連する機能的な役割を果たし得る。タンパク質ならびにこの
タンパク質に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび
/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。化合物(すなわち、抗体、低
分子)を、その化合物が本発明のタンパク質の発現または活性のためのアンタゴ
ニストもしくはアゴニストとして作用する能力についてスクリーニングするため
の方法は、特に好ましい。
【0053】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号5に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であったか
もしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範
囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、好
ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号5の1〜2655の任意の整数であり、bは15〜2669
の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号5に示されるヌクレオチド残
基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポ
リヌクレオチドが除外される。
【0054】 (遺伝子番号5によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、多くのミトコンドリアキャリアタンパク質(例えば
、Genbank登録番号gi|3878117、またはgi|472900を
参照のこと)と配列相同性を共有する。ミトコンドリアエネルギー転移タンパク
質(METP)ドメインは、好ましいドメインとして本発明に含まれる。このド
メインは、ProSite分析ツールを用いて同定された。構造的に、ミトコン
ドリアエネルギー転移タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基のド
メインの3つのタンデムリピートからなる。これらのドメインの各々は、2つの
膜貫通領域を含む。特徴あるパターンとして、第一の膜貫通領域の直ぐ後に位置
する繰り返しドメイン中の多くの保存領域のうち1つが、選択された。タンパク
質のこの広範なファミリーを検出するために、コンセンサス配列が、顕出された
。この配列は、第一の膜貫通領域の直後に位置される繰り返しドメイン中の多く
の保存領域を含む。コンセンサスパターンは、以下の通りである:P−x−[D
E]−x−[LIVAT]−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[
QGAIVM]。本発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む
:PLEVVKTRLQ(配列番号45)。これらのポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチドもまた、本発明により包含される。配列番号45のMETPド
メイン、および配列番号24の少なくとも5、10、15、20、25、30、
50、または75のさらなる連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドは、さら
に好ましい。このさらなる連続するアミノ酸残基は、METPドメインに対して
N末端またはC末端であり得る。あるいは、さらなる連続するアミノ酸残基は、
METPドメインに対してN末端およびC末端の両方であり得る。ここでN末端
およびC末端の連続するアミノ酸残基の合計が、特定される数字に等しい。上記
の好ましいポリペプチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質
に特異的な特徴を示す。本発明のさらなる実施形態は、以下のアミノ酸配列を含
むか、または代替的にそれらからなる:
【0055】
【化1】 これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明により包含
される。開示されたcDNAをコードする遺伝子は、第3染色体上に存在すると
考えられる。従って、本発明に関するポリヌクレオチドは、第3染色体のための
連鎖分析におけるマーカーとして有用である。
【0056】 この遺伝子は、主に筋組織、内皮組織、および胚組織において発現されること
が、発見されている。
【0057】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、ならびに以下の疾患および状態の診断のための試薬として有
用である:脈管系および発達系の疾患および/または障害。同様に、ポリペプチ
ドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定
のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に脈管
系および発達系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、障
害を有さない個体由来の健常組織中の発現レベル)に対して有意に高いまたは低
いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特
定の組織(例えば、脈管組織、発達組織、癌性組織および創傷組織)または体液
(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液もしくは髄液)中で検出され得る。
【0058】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号24中で残基:Lys−74〜S
er−79、Ser−103〜Asp−111、Ala−150〜Met−15
8、Lys−208〜Glu−222、Arg−253〜Arg−262、Gl
u−274〜Ser−279として示される免疫原性エピトープを含むか、また
は代替的にこれらからなる。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドもまた、本発明により包含される。
【0059】 脈管組織および発達組織における組織分布、ならびにミトコンドリアキャリア
タンパク質との相同性は、このクローンのタンパク質産物が、脈管系および発達
系の疾患および/または障害の検出および/または処置のため、ならびに脱共役
タンパク質の異常な活性と関連する疾患および/または障害(例えば、代謝活性
、肥満症、悪液質、または熱発生における障害)の検出および/または処置のた
めに有用であることを示唆する。例えば、非限定的な仮説により、この遺伝子の
翻訳産物に対する抗体は、疾患に寄与する脱共役タンパク質の活性を阻害するこ
とによって有用である。脈管組織における組織分布は、この遺伝子のタンパク質
産物が、心臓血管系の状態および症状(例えば、心臓病、再狭窄、アテローム性
動脈硬化症、発作、アンギナ、血栓症、および創傷治癒)の診断および処置のた
めに有用であることを示す。あるいは、増殖している細胞により特徴付けられる
胚組織および他の細胞源での発現は、このタンパク質が細胞分裂の調節において
役割を果たし得ること、ならびに癌および他の増殖性障害の診断および処置に有
用性を示し得ることを示唆する。同様に、胚発生はまた、パターン形成における
細胞分化および/またはアポトーシスを含む決定を含む。従って、このタンパク
質はまた、アポトーシスまたは組織分化に関与し得、そしてさらに癌治療におい
て有用であり得る。タンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に
挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用
性を示し得る。化合物(すなわち、抗体、低分子)を、その化合物が、本発明の
トランスロカーゼタンパク質の活性または発現のためのアンタゴニストもしくは
アゴニストとして作用する能力についてスクリーニングするための方法は、特に
好ましい。
【0060】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号6に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であったか
もしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範
囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、好
ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号6の1〜1330の任意の整数であり、bは15〜1344
の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号6に示されるヌクレオチド残
基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポ
リヌクレオチドが除外される。
【0061】 (遺伝子番号6によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ネマトーダOnchocerca volvulu
s由来のミトコンドリア溶出キャリア(mitochondrial solu
te carrier)(Genbank登録番号g1518458)と配列相
同性を共有する。ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質(METP)ドメイ
ンは、好ましいドメインとして本発明中に含まれる。このドメインは、ProS
ite分析ツールを用いて同定された。構造的に、ミトコンドリアエネルギー転
移タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基のドメインの3つのタン
デムリピートからなる。これらのドメインの各々は、2つの膜貫通領域を含む。
特徴あるパターンとして、第一の膜貫通領域の直ぐ後に位置する繰り返しドメイ
ン中の多くの保存領域のうち1つが、選択された。タンパク質のこの広範なファ
ミリーを検出するために、コンセンサス配列が、顕出された。この配列は、第一
の膜貫通領域の直後に位置される繰り返しドメイン中の多くの保存領域を含む。
コンセンサスパターンは、以下の通りである:P−x−[DE]−x−[LIV
AT]−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]。本
発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PIDCVKTR
MQ(配列番号47)、および/またはPAEVVKQRMQ(配列番号48)
。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明により包
含される。配列番号47のMETPドメイン、および配列番号25の少なくとも
5、10、15、20、25、30、50、または75のさらなる連続するアミ
ノ酸残基を含むポリペプチドは、さらに好ましい。このさらなる連続するアミノ
酸残基は、METPドメインに対してN末端またはC末端であり得る。あるいは
、さらなる連続するアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端およびC
末端の両方であり得る。ここでN末端およびC末端の連続するアミノ酸残基の合
計が、特定される数字に等しい。さらに、配列番号48のMETPドメイン、お
よび配列番号25の少なくとも5、10、15、20、25、30、50、また
は75のさらなる連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドは、好ましい。この
さらなる連続するアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端またはC末
端であり得る。あるいは、さらなる連続するアミノ酸残基は、METPドメイン
に対してN末端およびC末端の両方であり得る。ここでN末端およびC末端の連
続するアミノ酸残基の合計が、特定される数字に等しい。上記の好ましいポリペ
プチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質に特異的な特徴を
示す。
【0062】 この遺伝子は、主に精巣組織、より少ない程度には、胎児肝臓組織/胎児脾臓
組織において発現することが、発見されている。
【0063】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、ならびに以下の疾患および状態の診断のための試薬として有
用である:生殖系および免疫系の疾患および/または障害。同様に、ポリペプチ
ドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定
のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に生殖
系および免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、障
害を有さない個体由来の健常組織中の発現レベル)に対して有意に高いまたは低
いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特
定の組織(例えば、生殖組織、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液
(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液または髄液)中で検出され得る。
【0064】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号25中で残基:Lys−22〜P
ro−32、Gln−124〜Arg−132、Tyr−150〜Thr−15
5、Asn−179〜Ser−188、Thr−279〜Glu−284として
示される免疫原性エピトープを含むか、または代替的にこれらからなる。これら
のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明により包含される
【0065】 精巣組織および胎児肝臓組織/胎児脾臓組織における組織分布は、このクロー
ンのタンパク質産物が、生殖系および免疫系の疾患および/または障害の検出お
よび/または処置のため、ならびに脱共役タンパク質の異常な活性と関連する疾
患および/または障害(例えば、代謝活性、肥満症、悪液質、または熱発生にお
ける障害)の検出および/または処置のために有用であることを示唆する。例え
ば、非限定的な仮説により、この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、疾患に寄与
する脱共役タンパク質の活性を阻害することによって有用である。精巣組織にお
ける組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、適切な精巣機能(例えば、
内分泌機能、精子成熟)ならびに癌に関する状態の処置および/または診断のた
めに有用であることを示す。従って、この遺伝子産物はまた、男性不妊および/
またはインポテンスの処置において、有用である。この遺伝子産物はまた、結合
剤(男性避妊薬剤として有用である薬剤(アンタゴニスト))を同定するために
設計されたアッセイにおいて、有用である。同様に、このタンパク質は、精巣癌
の処置および/または診断において有用であると考えられている。精巣はまた、
体の他の組織において、特に低レベルで発現され得る転写物の活性遺伝子発現の
部位である。従って、この遺伝子産物は、他の特定の組織または器官において発
現され得、ここで他のプロセス(例えば、可能な標的指標を少し挙げるなら、造
血、炎症、骨形成、および腎臓機能)において、関連する機能的な役割を果たし
得る。あるいは、組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、種々の免疫系
障害の診断および処置のために有用であることを示唆する。胎児肝臓組織/胎児
脾臓組織におけるこの遺伝子産物の発現は、潜在的に全ての造血細胞系列(血液
幹細胞を含む)の増殖;生存;分化;および/または活性化の調節における役割
を示唆する。この遺伝子産物は、サイトカイン産生、抗原提示、または癌の処置
(例えば、免疫応答をブーストすることによる)における有用性もまた示唆し得
る他のプロセスの調節に関与し得る。この遺伝子は、リンパ起源の細胞で発現さ
れるので、遺伝子またはタンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上
記に列挙された組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療標的として有
用性を示し得る。従って、この遺伝子はまた、免疫学的障害(関節炎、ぜん息、
免疫不全疾患(例えば、AIDS)、白血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患
、敗血症、挫瘡および乾癬を含む)のための薬剤として、使用され得る。さらに
、この遺伝子産物は、種々の血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆細胞の
増大において、ならびに種々の細胞型の分化および/または増殖において商業的
有用性を有し得る。タンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に
列挙された組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療標的として有用性
を示し得る。化合物(すなわち、抗体、低分子)を、その化合物が本発明のトラ
ンスロカーゼタンパク質の発現または活性のためのアンタゴニストもしくはアゴ
ニストとして作用する能力についてスクリーニングするための方法は、特に好ま
しい。
【0066】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号7に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であったか
もしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範
囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、好
ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号7の1〜1322の任意の整数であり、bは15〜1336
の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号7に示されるヌクレオチド残
基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポ
リヌクレオチドが除外される。
【0067】 (遺伝子番号7によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、多数のミトコンドリアキャリアタンパク質(例えば
、Genbank登録番号gi|1785635|を参照のこと)との配列相同
性を共有する。好ましいドメインとして本発明に含まれるものは、ミトコンドリ
アエネルギー伝達タンパク質(METP)ドメインであり、METPドメインは
ProSite分析ツールを用いて同定される。構造的に、ミトコンドリアエネ
ルギー伝達タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基のドメインの3
つのタンデムの繰り返しからなる。これらのドメインの各々は、2つの膜貫通領
域を含む。サインパターンとして、繰り返しドメインの最も保存された領域の1
つが選択され、第1の膜貫通領域の直下に配置される。この広範なタンパク質の
ファミリーを検出するために、第1の膜貫通領域の直下に位置した繰り返しドメ
イン中の最も保存された領域を含むコンセンサス配列が発達された。コンセンサ
スパターンは、以下の通りである:P−x[DE]−x−[LIVAT]−[R
K]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]。本発明の好まし
いポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PLDLLKTRLQ(配列番
号49)および/またはPADVIKTHMQ(配列番号50)。これらのポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。さらに好ま
しいのは、配列番号49のMETPドメイン、および配列番号26の少なくとも
5、10、15、20、25、30、50または75の連続する付加的なアミノ
酸残基を含むポリペプチドである。この連続した付加的なアミノ酸残基は、ME
TPドメインに対してN末端側またはC末端側である。あるいは、連続した付加
的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端側およびC末端側の両方
であり、ここで、N末端およびC末端の連続したアミノ酸残基の合計は、特定し
た数と等しい。配列番号50のMETPドメイン、および配列番号26の、少な
くとも5、10、15、20、25、30、50、または75のさらなる連続す
るアミノ酸残基を含むポリペプチドが、さらに好ましい。さらなる連続するアミ
ノ酸残基は、METPドメインに対してN末端またはC末端であり得る。あるい
は、さらなる連続するアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端および
C末端の両方であり得る。ここでN末端およびC末端の連続するアミノ酸残基の
合計が、特定される数字と一致する。上記の好ましいポリペプチドドメインは、
ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質に対して、サイン特異的な特徴である
。開示されたcDNAをコードする遺伝子は、第3染色体に存在すると考えられ
る。従って、本発明に関連するポリヌクレオチドは、第3染色体についての連鎖
解析におけるマーカーとして有用である。
【0068】 この遺伝子は、主に活性化されたT細胞、および胎児の肝臓組織/脾臓組織に
おいて発現され、そしてより低い程度に乳児の脳組織において発現されることが
、発見されている。
【0069】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、ならびに以下の疾患および/または障害:免疫系疾患ならび
に神経系の疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリ
ペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差
的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特
に免疫および神経系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち
、その障害を有さない個体由来の健常組織中の発現レベル)に対して有意により
高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する
個体から採取された特定の組織(例えば、免疫組織、神経組織、癌性組織および
創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液、および髄液)
中で、検出され得る。
【0070】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号26で以下の残基:Gln−3〜
Ser−8、Gln−59〜Arg−66、Thr−149〜Gly−157、
Ser−171〜Gly−176として示される免疫原性エピトープを含むか、
あるいはこれらからなる。前述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも
また、本発明に含まれる。
【0071】 免疫組織および神経組織における、この組織分布およびミトコンドリアキャリ
アタンパク質に対する相同性は、このクローンのタンパク質産物が、免疫系およ
び神経系の、疾患および/または障害の、検出ならびに/あるいは処置において
、ならびに脱共役タンパク質の異常な活性を伴う疾患および/または障害(例え
ば、代謝活性における障害、肥満症、悪液質または熱発生)の、検出ならびに/
あるいは処置において有用であることを示唆する。この遺伝子の翻訳産物に対す
る抗体は、例えば、疾患に寄与する脱共役タンパク質の活性を阻害することによ
って非限定的な仮説の目的に有効である。この組織分布は、このクローンのタン
パク質産物が、種々の免疫系障害の診断および処置に有用であることを示唆する
。活性化されたT細胞および胎児の肝臓組織/脾臓組織の両方における、この遺
伝子産物の発現は、血液幹細胞を含む潜在的な全ての造血細胞株の増殖;生存;
分化;および/または活性化の調節における役割を示唆する。この遺伝子産物は
、サイトカイン産生、抗原提示、または癌の処置(例えば、免疫応答をブースト
することによる)に有用性を示唆し得る他のプロセスの調節に関与し得る。この
遺伝子は、リンパ起源の細胞において発現されるので、遺伝子またはタンパク質
ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙される組織に対する腫瘍マ
ーカー、および/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。従って、抗体
はまた、関節炎、喘息、AIDSのような免疫不全疾患、白血病、慢性関節リウ
マチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫瘡および乾癬を含む免疫学的障害のための薬剤
として使用される。さらに、この遺伝子産物は、種々の血液系統の幹細胞および
方向付けられた前駆細胞の増大において、ならびに種々の細胞型の分化および/
または増殖において商業的有用性を有し得る。あるいは、乳児脳組織における組
織分布は、このクローンのタンパク質産物が、アルツハイマー病、パーキンソン
病、ハンチントン病、ツレット症候群、精神分裂病、躁病、痴呆、妄想症、強迫
性障害、恐慌性障害、学習障害、ALS、精神病、自閉、および行動変化(栄養
補給、睡眠パターン、平衡、および知覚の障害を含む)のような神経変性疾患状
態および行動障害の検出および/または処置に有用であることを示唆する。さら
に、この遺伝子または遺伝子産物はまた、発達中の胚と関連する発達障害、また
は性伴障害の処置および/または検出において役割を果たし得る。タンパク質な
らびにこのタンパク質に対する抗体は、上に列挙された組織に対する腫瘍マーカ
ーおよび/または免疫療法標的としての有用性を示し得る。特に好ましいのは、
化合物(すなわち、抗体、低分子)を、本発明の転移酵素タンパク質の発現また
は活性についてのアンタゴニストまたはアゴニストとして作用するその能力につ
いてスクリーニングするための方法である。
【0072】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号8に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であったか
もしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範
囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、好
ましくは、本発明から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここ
で、aは配列番号8の1〜2045の任意の整数であり、bは15〜2059の
整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号8に示されるヌクレオチド残基
の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポリ
ヌクレオチドが除外される。
【0073】 (遺伝子番号8によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、多くのミトコンドリアキャリアタンパク質と配列相
同性を共有する(例えばGenbank登録番号 gi|3878117および
gi|2257559を参照のこと)。好ましいドメインとして本発明に含まれ
るものは、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質(METP)ドメインであ
り、METPドメインはProSite分析ツールを用いて同定される。構造的
に、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質のファミリーのメンバーは、約1
00残基のドメインの3つのタンデムの繰り返しからなる。これらのドメインの
各々は、2つの膜貫通領域を含む。サインパターンとして、繰り返しドメインの
最も保存された領域の1つが選択され、第1の膜貫通領域の直下に配置される。
この広範なタンパク質のファミリーを検出するために、第1の膜貫通領域の直下
に位置した繰り返しドメイン中の最も保存された領域を含むコンセンサス配列が
発達された。コンセンサスパターンは、以下の通りである:P−x[DE]−x
−[LIVAT]−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAI
VM]。本発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PLD
LVKIRFA(配列番号51)。これらのポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドもまた、本発明に含まれる。さらに好ましいのは、配列番号51のME
TPドメイン、および配列番号27の少なくとも5、10、15、20、25、
30、50または75の連続する付加的なアミノ酸残基を含むポリペプチドであ
る。この連続した付加的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端側
またはC末端側であり得る。あるいは、連続した付加的なアミノ酸残基は、ME
TPドメインに対してN末端側およびC末端側の両方であり、ここで、N末端お
よびC末端の連続したアミノ酸残基の合計は、特定した数と等しい。上記の好ま
しいポリペプチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質に対し
てサイン特異的な特徴である。
【0074】 この遺伝子は、主に精巣癌組織において発現されることが見い出されてる。
【0075】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、および以下:精巣癌の疾患および状態の診断のための、試薬
として有効である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する
抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブを提供する際
に有効である。上記の組織または細胞(特に、生殖系)の多くの障害に関して、
標準的な遺伝子発現レベル(すなわち、障害を有しない個体由来の健常な組織中
の発現レベル)に対して、有意に高いかまたは低いレベルのこの遺伝子の発現は
、このような障害を有する個体から採取された特定の組織(例えば、生殖組織、
癌性組織および創傷組織)もしくは体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑
液および髄液)中で、検出され得る。
【0076】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号27に残基として示した:Ser
−26〜Met−34、Thr−137〜Gly−142の免疫原性エピトープ
を含むか、あるいはこれらからなる。上記のポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドもまた、本発明に含まれる。
【0077】 本発明のクローンの翻訳産物は、ミトコンドリアキャリアタンパク質と配列相
同性を共有する。その相同性は、このクローンのタンパク質産物が、脱共役タン
パク質の異常な活性に関連した疾患および/または障害(例えば、代謝活性にお
ける障害、肥満、悪液質または熱発生)の検出および/または処置のために有効
であることを示す。この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、例えば、疾患に寄与
する脱共役タンパク質の活性を阻害することによって非限定的な仮説の目的に有
効である。さらに精巣腫瘍組織における組織分布は、この遺伝子がアンタゴニス
ト、特に低分子または抗体に対する、優れた標的であり得、その同族リガンドに
よってレセプターの結合をブロックすることを示す。従って、好ましいのは、こ
の遺伝子の翻訳産物の細胞外部分に特異的に結合する抗体または低分子である。
この細胞外領域は、上に記載されたように膜貫通ドメインに関する情報から確認
され得る。また、精巣癌を検出するためのキットを提供する。1つの実施形態に
おいて、このようなキットは、固体支持体に結合するこの遺伝子の翻訳産物に特
異的な抗体を含む。また、個体における精巣癌を検出する方法も提供され、この
方法は、この遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を、個体由来の体液(好ましくは
、血清)に接触させ、そして抗体が、体液中に見出される抗原に結合するか否か
を確認する工程を包含する。好ましくは、この抗体は固体支持体と結合され、そ
して体液は血清である。上記の実施形態ならびに他の治療および診断試験(キッ
トおよび方法)は、本明細書中の他の場所でより詳細に記載する。タンパク質な
らびにこのタンパク質に対する抗体は、上に列挙した組織に対する腫瘍マーカー
および/または免疫療法の標的として有効性を示し得る。
【0078】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、配列データベースを
通して公に利用可能および入手可能である。これらの配列のいくつかは、配列番
号9に関連し、そして本発明の着想以前に公に利用可能であり得る。好ましくは
、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範囲から特に除外される。
全ての関連する配列を列挙するのは、煩わしい。従って、好ましくは、本発明か
ら、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号9
の1〜2662の任意の整数であり、bは15〜2676の整数であり、ここで
aおよびbの両方は配列番号9に示されるヌクレオチド残基の位置に対応し、そ
してここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチドが除外
される。
【0079】 (遺伝子番号9によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、多くのミトコンドリアキャリアタンパク質と配列相
同性を共有する(例えばGenbank登録番号 gi|2765075および
gi|1842211を参照のこと)。相同性に基づき、これらのタンパク質は
、少なくともいくらかの生物学的活性を共有し得ると考えられる。
【0080】 この遺伝子は、主に肝臓および胎児肝臓組織において発現されることが見い出
されている。
【0081】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、および以下の疾患および/または障害:腎臓および免疫系の
疾患および状態の診断のための、試薬として有効である。同様に、ポリペプチド
およびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定の
ための免疫学的プローブを提供する際に有効である。上記の組織または細胞(特
に、腎臓および免疫系)の多くの障害に関して、標準的な遺伝子発現レベル(す
なわち、障害を有しない個体由来の健常な組織中の発現レベル)に対して、有意
に高いかまたは低いレベルのこの遺伝子の発現は、このような障害を有する個体
から採取された特定の組織(例えば、腎臓組織、免疫組織、癌性組織および創傷
組織)もしくは体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)中で
、検出され得る。
【0082】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号28に残基として示した:Gly
−39〜Thr−47、Pro−63〜Thr−68、Gly−88〜Glu−
95、Thr−97〜Gln−102、Pro−125〜Gly−131、Hi
s−164〜Cys−175の免疫原性エピトープを含むか、あるいはこれらか
らなる。上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含
まれる。
【0083】 肝臓組織における組織分布およびミトコンドリアキャリアタンパク質に対する
相同性は、このクローンのタンパク質産物が、腎臓および免疫系の疾患および/
または障害の検出ならびに/あるいは処置において、ならびに脱共役タンパク質
の異常な活性に関連した疾患および/または障害(例えば、代謝活性における障
害、肥満症、悪液質または熱発生)の検出ならびに/あるいは処置において有用
であることを示す。この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、例えば、疾患に寄与
する脱共役タンパク質の活性を阻害することによって非限定的な仮説の目的に有
効である。さらに肝臓組織における組織分布は、このクローンのタンパク質産物
が、肝臓障害および癌(例えば、胚芽細胞腫、黄疸、肝炎、肝前駆体細胞の分化
に起因し得る肝臓代謝疾患および状態)の検出および処置に有用であることを示
唆する。加えて、胎児における発現は、発達異常、胎児欠失、出産前の障害およ
び種々の創傷治癒モデルおよび/または組織外傷におけるタンパク質産物につい
ての有用な役割を示唆する。同様に、胎児肝臓組織におけるこの遺伝子産物の発
現は、血液幹細胞を含む潜在的なすべての造血細胞系統の増殖;生存;分化;お
よび/または活性化の調節における役割を示唆する。この遺伝子産物は、サイト
カイン産生、抗原提示、または癌の処置(例えば、免疫応答をブーストすること
による)における有用性を示唆し得る他のプロセスの調節に関与し得る。この遺
伝子は、リンパ起源の細胞において発現されるので、遺伝子またはタンパク質、
ならびにこのタンパク質に対して指向される抗体は、上記の列挙される組織にお
ける腫瘍マーカー、および/または免疫療法の標的としての有用性を示し得る。
従って、この遺伝子はまた、関節炎、喘息、AIDSのような免疫不全疾患、白
血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫瘡および乾癬を含む免疫学
的障害のための薬剤として使用される。さらに、この遺伝子産物は、種々の血液
系統の幹細胞および方向付けられた前駆細胞の増大において、ならびに種々の細
胞型の分化および/または増殖において商業的有用性を有し得る。タンパク質な
らびにこのタンパク質に対する抗体は、上に列挙された組織に対する腫瘍マーカ
ーおよび/または免疫療法標的としての有用性を示し得る。特に好ましいのは、
化合物(すなわち、抗体、低分子)を、本発明の転移酵素タンパク質の発現また
は活性についてのアンタゴニストまたはアゴニストとして作用するその能力につ
いてスクリーニングするための方法である。
【0084】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、配列データベースを
通して公に利用可能および入手可能である。これらの配列のいくつかは、配列番
号10に関連し、そして本発明の着想以前に公に利用可能であり得る。好ましく
は、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範囲から特に除外される
。全ての関連する配列を列挙するのは、煩わしい。従って、好ましくは、本発明
から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号
10の1〜1249の任意の整数であり、bは15〜1263の整数であり、こ
こでaおよびbの両方は配列番号10に示されるヌクレオチド残基の位置に対応
し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチド
が除外される。
【0085】 (遺伝子番号10によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、多くの推定ミトコンドリアキャリアタンパク質と配
列相同性を共有する(例えば、Genbank登録番号 gi|1262422
およびgi|3875300を参照のこと)。好ましいドメインとして本発明に
含まれるものは、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質(METP)ドメイ
ンであり、METPドメインはProSite分析ツールを用いて同定される。
構造的に、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク質のファミリーのメンバーは
、約100残基のドメインの3つのタンデムの繰り返しからなる。これらのドメ
インの各々は、2つの膜貫通領域を含む。サインパターンとして、繰り返しドメ
インの最も保存された領域の1つが選択され、第1の膜貫通領域の直下に配置さ
れる。この広範なタンパク質のファミリーを検出するために、第1の膜貫通領域
の直下に位置した繰り返しドメイン中の最も保存された領域を含むコンセンサス
配列が発達された。コンセンサスパターンは、以下の通りである:P−x[DE
]−x−[LIVAT]−[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[Q
GAIVM]。本発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:
PLDTIKTRLQ(配列番号52)。これらのポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。さらに好ましいのは、配列番号52
のMETPドメイン、および配列番号29の少なくとも5、10、15、20、
25、30、50または75の連続する付加的なアミノ酸残基を含むポリペプチ
ドである。この連続した付加的なアミノ酸残基は、METPドメインに対してN
末端側またはC末端側であり得る。あるいは、連続した付加的なアミノ酸残基は
、METPドメインに対してN末端側およびC末端側の両方であり得、ここで、
N末端およびC末端の連続したアミノ酸残基の合計は、特定した数と等しい。上
記の好ましいポリペプチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー伝達タンパク
質に対してサイン特異的な特徴である。
【0086】 この遺伝子は、主に垂の上皮層に由来する口蓋癌組織、ならびに上皮組織にお
いて発現されることが見い出されている。
【0087】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、および以下の疾患および状態:上皮の疾患、障害および癌の
診断のための、試薬として有効である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポ
リペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プ
ローブを提供する際に有効である。上記の組織または細胞(特に、上皮)の多く
の障害に関して、標準的な遺伝子発現レベル(すなわち、障害を有しない個体由
来の健常な組織中の発現レベル)に対して、有意に高いかまたは低いレベルのこ
の遺伝子の発現は、このような障害を有する個体から採取された特定の組織(例
えば、上皮組織、癌性組織および創傷組織)もしくは体液(例えば、リンパ、血
清、血漿、尿、滑液および髄液)中で、検出され得る。
【0088】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号29に残基として示した:Ile
−30〜Phe−40の免疫原性エピトープを含むか、あるいはこれらからなる
。上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる
【0089】 上皮組織およびその癌性組織における組織分布および推定ミトコンドリアキャ
リアタンパク質に対する相同性は、このクローンのタンパク質産物が、上皮の疾
患および/または障害の検出および/または処置のために、ならびに脱共役タン
パク質の異常な活性に関連した疾患および/または障害(例えば、代謝活性にお
ける障害、肥満、悪液質または熱発生)の検出および/または処置のために有効
であることを示す。この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、例えば、疾患に寄与
する脱共役タンパク質の活性を阻害することによって非限定的な仮説の目的に有
効である。さらに、垂の癌性上皮組織における組織分布は、この遺伝子がアンタ
ゴニスト、特に低分子または抗体に対する、優れた標的であり得、その同族リガ
ンドによってレセプターの結合をブロックすることを示す。従って、好ましいの
は、この遺伝子の翻訳産物の細胞外部分に特異的に結合する抗体または低分子で
ある。この細胞外領域は、上に記載されたように膜貫通ドメインに関する情報か
ら確認され得る。また、上皮癌を検出するためのキットを提供する。1つの実施
形態において、このようなキットは、固体支持体に結合するこの遺伝子の翻訳産
物に特異的な抗体を含む。また、個体における上皮癌を検出する方法も提供され
、この方法は、この遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を、個体由来の体液(好ま
しくは、血清)に接触させ、そして抗体が、体液中に見出される抗原に結合する
か否かを確認する工程を包含する。好ましくは、この抗体は固体支持体と結合さ
れ、そして体液は血清である。上記の実施形態ならびに他の処置および診断試験
(キットおよび方法)は、本明細書中の他の場所でより詳細に記載する。
【0090】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、配列データベースを
通して公に利用可能および入手可能である。これらの配列のいくつかは、配列番
号11に関連し、そして本発明の着想以前に公に利用可能であり得る。好ましく
は、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範囲から特に除外される
。全ての関連する配列を列挙するのは、煩わしい。従って、好ましくは、本発明
から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号
11の1〜1147の任意の整数であり、bは15〜1161の整数であり、こ
こでaおよびbの両方は配列番号11に示されるヌクレオチド残基の位置に対応
し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチド
が除外される。
【0091】 (遺伝子番号11によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ヒトペルオキシソームCa依存性溶質キャリア(G
enbank登録番号g2352427を参照のこと)ならびに、ヒト脱共役タ
ンパク質3(human uncoupling protein)(UCP3
)(GenSeq登録番号W88279を参照のこと)と配列相同性を共有する
【0092】 この遺伝子は、主に腎臓組織および初代樹状細胞で発現される。
【0093】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル
中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、そして腎障害および免疫障
害、ならびに代謝障害および熱産生障害を含むがこれらに限定されない疾患およ
び状態の診断のための、試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこ
れらのポリペプチドに対する抗体は、この組織または細胞型の示差的同定のため
の免疫学的プローブを提供する際に有用である。上記組織または細胞、特に腎臓
系、代謝系、および免疫系の多くの障害について、標準的な遺伝子発現レベル、
すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベルに
対して有意に高いかまたは低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を
有する個体から採取された特定の組織または細胞型(例えば、腎臓組織、免疫組
織、代謝組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、
血漿、尿、滑液および髄液)または別の組織もしくは試料中で慣用的に検出され
得る。
【0094】 本発明の好ましいポリペプチドは、以下:配列番号30中に残基:Glu−4
4〜Lys−50、Arg−180〜Gly−187、Glu−197〜Tyr
−205、Gln−235〜Ala−242として支される免疫原性エピトープ
を含むか、またはこれらからなる。上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドもまた、本発明によって含まれる。
【0095】 腎臓組織および初代樹状細胞における組織分布ならびにUCP3のようなミト
コンドリアキャリアタンパク質に対する相同性は、この遺伝子に対応するポリヌ
クレオチドおよびポリペプチドが、腎臓系ならびに免疫系の疾患および/または
障害の検出および/または処置、ならびに脱共役タンパク質の異常な活性に関連
する疾患および/または障害(例えば、代謝活性における障害、肥満症、悪液質
または熱発生)の検出および/または処置に対して、有用であることを示す。こ
の遺伝子の翻訳産物に対する抗体は有用であり、例えば非制限的な仮説として、
これはこの疾患に寄与する脱共役タンパク質の活性を阻害することによる。さら
に、初代樹状細胞における組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、免疫
系障害の診断および/または処置に有用であることを示唆する。初代樹状細胞に
おけるこの遺伝子産物の発現はまた、これが感染に対する応答を媒介しかつ免疫
監視の間に生じるような免疫学的応答を制御する際に役割を果たし得ることを示
唆する。あるいは、腎臓における組織分布は、この遺伝子または遺伝子産物が、
腎不全、腎炎(nephritus)、尿細管性アシドーシス、蛋白尿、膿尿、
水腫、腎盂腎炎、水腎症(hydronephritis)、ネフローゼ症候群
、圧挫症候群、糸球体腎炎、血尿、腎仙痛、および腎臓結石(kidney s
tone)、さらにウィルムス腫瘍疾患および先天性腎臓異常(例えば、馬蹄腎
、多発性嚢胞腎およびファルコーニ(Falconi)症候群)を含む、腎臓疾
患の処置および/または検出において有用であることを示唆する。タンパク質な
らびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙される組織に対する腫瘍マー
カーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
【0096】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号12に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号12の1〜1232の間の任意の整数であり、bは15〜1
246の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号12に示されるヌクレ
オチド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ
以上のポリヌクレオチドが除外される。
【0097】 (遺伝子番号12によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ヒトペルオキシソームCa依存性溶質キャリア(G
enbank登録番号g2352427を参照のこと)ならびに、ヒト脱共役タ
ンパク質3(UCP3)(GenSeq登録番号W88279を参照のこと)と
配列相同性を共有する。開示されたcDNAをコードしている遺伝子は、第9染
色体上に存在していると考えられる。従って、本発明に関連しているポリヌクレ
オチドは、第9染色体についての連鎖解析におけるマーカーとして有用である。
【0098】 この遺伝子は、脳組織および乳児脳組織、ならびに好酸球において主に発現す
る。
【0099】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル
中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、そして神経系障害および免
疫系障害、ならびに熱産生障害および代謝障害を含むが、これらに限定されない
疾患および状態の診断のための、試薬として有用である。同様に、ポリペプチド
およびこれらのポリペプチドに対する抗体は、この組織または細胞型の示差的同
定のための免疫学的プローブを提供する際に有用である。上記組織または細胞、
特に神経系、免疫系および代謝系の多くの障害について、標準的な遺伝子発現レ
ベル、すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レ
ベルに対して有意に高いかまたは低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような
障害を有する個体から採取された特定の組織または細胞型(例えば、神経組織、
免疫組織、代謝組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、
血清、血漿、尿、滑液および髄液)または別の組織もしくは試料中で慣用的に検
出され得る。
【0100】 本発明の好ましいポリペプチドとしては、配列番号31中で残基:Arg−1
1〜Gly−18として示される免疫原性エピトープを含むか、またはそのかわ
りにこれからなる。上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた本発
明によって含まれる。
【0101】 好酸球および神経組織における組織分布ならびにUCP3のようなミトコンド
リアキャリアタンパク質に対する相同性は、この遺伝子に対応するポリヌクレオ
チドおよびポリペプチドが、神経系および免疫系の疾患および/または障害の診
断、検出および/または処置、ならびに脱共役タンパク質の異常な活性と関連す
る疾患および/または障害(例えば、代謝活性における障害、肥満症、悪液質ま
たは熱発生)の検出および/または処置に有用であることを示す。この遺伝子の
翻訳産物に対する抗体は有用であり、例えば非制限的な仮説として、これはこの
疾患に寄与する脱共役タンパク質の活性を阻害することによる。さらに、好酸球
における組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、免疫系障害の診断およ
び/または処置に有用であることを示唆する。好酸球におけるこの遺伝子産物の
発現はまた、これが感染に対する応答を媒介しかつ免疫監視の間に生じるような
免疫学的応答を制御する際に役割を果たし得ることを示唆する。あるいは、神経
組織における組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、アルツハイマー病
、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、精神分裂病、躁病、痴呆
、偏執症、強迫性障害、恐慌性障害、学習障害、ALS、精神病、自閉、および
行動変化(栄養補給、睡眠パターン、平衡、および知覚の障害を含む)のような
神経変性疾患状態ならびに行動障害の検出/処置に対して有用であることを示唆
する。さらに、この遺伝子または遺伝子産物はまた、発生中の胚と関連する発生
障害または伴性障害の処置および/または検出に役割を果たし得る。タンパク質
ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙された組織に対する腫瘍マ
ーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
【0102】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号13に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号13の1〜2503の間の任意の整数であり、bは15〜2
517の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号13に示されるヌクレ
オチド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ
以上のポリヌクレオチドが除外される。
【0103】 (遺伝子番号13によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、多くの推定ミトコンドリアキャリアタンパク質(例
えば、Genbank登録番号gi|3876146およびgi|132636
7を参照のこと)と配列相同性を共有する。本発明に好ましいドメインとして含
まれるのは、ProSite分析手段を用いて同定されたミトコンドリアエネル
ギー転移タンパク質(METP)ドメインである。構造的に、ミトコンドリアエ
ネルギー転移タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基のドメインの
3回直列反復からなる。これらのドメインの各々は、2つの膜貫通領域を含む。
特徴的なパターン(signature pattern)として、最初の膜貫
通領域の直後に位置する、これらの反復ドメイン中の最も保存された領域の1つ
が、選択された。タンパク質のこの広範なファミリーを検出するために、最初の
膜貫通領域の直後に位置する、これらの反復ドメイン中の最も保存された領域を
含むコンセンサス配列が開発された。このコンセンサスパターンは、以下:
【0104】
【化2】 の通りである。本発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:PLD
VLKTRIQ(配列番号53)を含む。これらのポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドもまた本発明によって含まれる。さらに好ましいのは、配列番号
53のMETPドメイン、および配列番号32の少なくとも5、10、15、2
0、25、30、50または75個のさらなる連続アミノ酸残基を含む、ポリペ
プチドである。このさらなる連続アミノ酸残基は、このMETPドメインのN末
端側またはC末端側であり得る。あるいは、このさらなる連続アミノ酸残基は、
このMETPドメインのN末端側とC末端側の両方であり得、ここで、N末端お
よびC末端の連続アミノ酸残基の総数は、明記された数と等しい。上記の好まし
いポリペプチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質に特異的
な特性(signature)を示している。本発明のさらなる実施形態は、以
下:
【0105】
【化3】 のアミノ酸配列を含むか、あるいはその代わりにこれからなる。これらのポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明によって含まれる。開示さ
れたcDNAをコードする遺伝子は、第22染色体上に位置すると考えられる。
従って、本発明に関連するポリヌクレオチドは、第22染色体の連鎖分析におけ
るマーカーとして有用である。
【0106】 この遺伝子が、脳組織全体、乳児脳組織および脳の視床下部組織に主に発現す
ることが発見された。
【0107】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、ならびに以下の疾患および状態:神経系疾患および/または
神経系障害の診断のための、試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよ
びこれらのポリペプチドに対する抗体は、この組織または細胞型の示差的同定の
ための免疫学的プローブを提供するために有用である。上記組織または細胞、特
に神経系の多くの障害について、標準的な遺伝子発現レベル、すなわち、その障
害を有さない個体由来の健常組織における発現レベルに対して有意に高いかまた
は低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取され
た特定の組織(例えば、神経組織、癌性組織ならびに創傷組織)または体液(例
えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)中で検出され得る。
【0108】 神経組織における組織分布ならびに推定ミトコンドリアキャリアタンパク質に
対する相同性は、このクローンのタンパク質産物が、神経系の疾患および/また
は障害の診断の検出ならびに/または処置、ならびに脱共役タンパク質の異常な
活性と関連する疾患および/または障害(例えば、代謝活性における障害、肥満
症、悪液質または熱発生)の検出ならびに/または処置に有用であることを示唆
する。この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は有用であり、例えば非制限的な仮説
として、これはこの疾患に寄与する脱共役タンパク質の活性を阻害することによ
る。さらに、神経組織における組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、
神経変性疾患状態および行動障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病
、ハンチントン病、ツレット症候群、精神分裂病、躁病、痴呆、偏執症、強迫性
障害、恐慌性障害、学習障害、ALS、精神病、自閉、および行動変化(栄養補
給、睡眠パターン、平衡、および知覚の障害を含む)の検出/処置に対して有用
であることを示唆する。さらに、この遺伝子または遺伝子産物はまた、発生中の
胚に関連する発生障害または伴性障害の処置および/または検出に役割を果たし
得る。タンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙される組
織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る
。特に好ましいのは、化合物(すなわち、抗体、低分子)を、本発明のトランス
ロカーゼタンパク質の発現もしくは活性に対してアンタゴニストまたはアゴニス
トとして作用するその能力について、スクリーニングする方法である。
【0109】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号14に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号14の1〜1010の間の任意の整数であり、bは15〜1
024の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号14に示されるヌクレ
オチド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ
以上のポリヌクレオチドが除外される。
【0110】 (遺伝子番号14によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ヒト肝臓ミトコンドリアカルニチン/アシルカルニ
チンキャリアタンパク質(Genbank登録番号gi|2765075を参照
のこと)と配列相同性を共有する。好ましいドメインとして本発明に含まれるの
は、ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質(METP)ドメインであり、こ
れは、ProSite分析手段を用いて同定された。構造的に、ミトコンドリア
エネルギー転移タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基のドメイン
の3回直列反復からなる。これらのドメインの各々は、2つの膜貫通領域を含む
。特徴的なパターンとして、最初の膜貫通領域の直後に位置する、これらの反復
ドメイン中の最も保存された領域の1つが、選択された。タンパク質のこの広範
なファミリーを検出するために、最初の膜貫通領域の直後に位置する、これらの
反復ドメイン中の最も保存された領域を含むコンセンサス配列が、開発された。
このコンセンサスパターンは、以下;
【0111】
【化4】 の通りである。本発明の好ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:PTE
LVKCRLQ(配列番号55)および/またはPVDCIKSRIQ(配列番
号56)を含む。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた本
発明によって含まれる。さらに好ましいのは、配列番号55および/または56
のMETPドメイン、および配列番号33のうちの少なくとも5、10、15、
20、25、30、50または75個のさらなる連続アミノ酸残基を含む、ポリ
ペプチドである。このさらなる連続アミノ酸残基は、このMETPドメインのN
末端側またはC末端側であり得る。あるいは、このさらなる連続アミノ酸残基は
、このMETPドメインのN末端側およびC末端側の両方であり得、ここで、N
末端およびC末端の連続アミノ酸残基の総数は、明記された数と等しい。上記の
好ましいポリペプチドドメインは、ミトコンドリアエネルギー転移タンパク質に
特異的な特性を示す。
【0112】 この遺伝子は、胎児心臓および平滑筋組織、精巣組織および乳房組織、ならび
に卵巣腫瘍組織において発現される。
【0113】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル
中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに心血管系および生
殖系の疾患および/または障害を含むがこれらに限定されない疾患および状態の
診断のための、試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポ
リペプチドに対する抗体は、この組織または細胞型の示差的同定のための免疫学
的プローブの提供する際に有用である。上記組織または細胞、特に心血管系およ
び生殖系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、この障害
を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意に高い
かまたは低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採
取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、心血管組織、生殖組織、癌性組織
および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄
液)または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
【0114】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号33中で残基:Gly−62〜T
hr−67、Gly−201〜Glu−206として示される免疫原性エピトー
プを含むか、またはこれらからなる。上記ポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドもまた、本発明によって含まれる。
【0115】 心血管系および生殖系における組織分布ならびに他のキャリアタンパク質に対
する相同性は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチドおよびポリペプチドが、
心血管系および生殖系の疾患および/または障害の診断、検出ならびに/または
処置、ならびに脱共役タンパク質の異常な活性に関連する疾患および/または障
害(例えば、代謝活性における障害、肥満症、悪液質または熱発生)の検出およ
び/または処置に対して、有用であることを示す。この遺伝子の翻訳産物に対す
る抗体は有用であり、例えば非制限的な仮説として、これはこの疾患に寄与する
脱共役タンパク質の活性を阻害することによる。精巣組織および乳房組織におけ
る組織分布は、この遺伝子の翻訳産物が、生殖系障害の診断、検出および/また
は処置に有用であることを示す。例えば、精巣組織におけるこのクローンの組織
分布は、この遺伝子の翻訳産物が、適切な精巣機能(例えば、内分泌機能、精子
成熟)ならびに癌に関連する状態の処置および診断に有用であることを示唆する
。従って、この遺伝子産物は、男性不妊症および/またはインポテンスの処置に
おいて有用である。この遺伝子産物はまた、結合剤を同定するために設計された
アッセイにおいて有用であり、同様にこのような薬剤(アンタゴニスト)は、男
性避妊剤として有用である。同様に、このタンパク質は、精巣癌の処置および/
または診断に有用であると考えられる。精巣はまた、身体の他の組織では特に低
いレベルで発現され得る転写物の活性な遺伝子発現部位である。従って、この遺
伝子産物は、他のプロセスにおいて関連する機能的役割(標的指標の可能ないく
つかを挙げると、例えば、造血機能、炎症機能、骨形成機能および腎機能)を果
たし得る、他の特定の組織または器官において発現され得る。同様に、卵巣癌組
織における組織分布は、この遺伝子が、その同族のリガンドによってレセプター
の結合を阻害するアンタゴニスト(特に低分子または抗体)に対する好ましい標
的であることを示す。従って、好ましいのは、この遺伝子の翻訳産物の部分に特
異的に結合する、抗体および低分子である。また提供されるのは、卵巣癌を検出
するためのキットである。そのようなキットは、1つの実施形態において、固体
支持体に結合したこの遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を含む。また提供される
のは、個体における卵巣癌を検出する方法であり、この方法は、この遺伝子の翻
訳産物に特異的な抗体をその個体由来の体液(好ましくは、血清)に接触させる
工程、および抗体が、その体液中に見出される抗原に結合するか否かを確認する
工程を包含する。好ましくは、この抗体は固体支持体と結合され、そしてこの体
液は血清である。上記の実施形態ならびに他の処置試験および診断試験(キット
および方法)は、本明細書中の他の場所でより詳細に記載される。あるいは、平
滑筋および胎児心臓組織における組織分布は、この遺伝子のタンパク質産物が、
心血管系の状態および病理(例えば、心臓病、再狭窄、アテローム性動脈硬化症
、発作(stoke)、アンギナ、血栓症および創傷治癒)の診断ならびに処置
に対して有用であることを示す。タンパク質ならびにそのタンパク質に対する抗
体は、上記で列挙した組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫療法の標的
としての有用性を示し得る。
【0116】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号15に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号15の1〜2815の間の任意の整数であり、bは15〜2
829の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号15に示されるヌクレ
オチド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ
以上のポリヌクレオチドが除外される。
【0117】 (遺伝子番号15によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、多くのミトコンドリアキャリアタンパク質と配列の
相同性を共有する(例えば、Genbank登録番号gi|254449および
gi|172205を参照のこと)。本発明の1つの実施形態は、以下のアミノ
酸配列を含むか、あるいはそれにより構成される: AREALTEIGQKHGLVGLWRGALGGLPRVIVGSSTQL
CTF SSTKDLLSQWEIFPPQSWKLALVAA(配列番号57)。これ
らのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。開
示されたcDNAをコードする遺伝子は、第17染色体に存在すると考えられる
。従って、本発明に関連するポリヌクレオチドは、第17染色体についての連鎖
解析におけるマーカーとして有用である。
【0118】 この遺伝子は、主に子宮内膜腫瘍組織において発現することが発見された。
【0119】 従って、本発明の核酸は、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の
示差的同定のため、ならびに以下の疾患および状態の診断のための試薬として有
用である:子宮内膜腫瘍。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに
対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供
に有用である。上記組織または細胞、特に生殖系の多くの障害に関して、標準的
な遺伝子発現レベル、すなわち、障害を有さない個体からの健常組織の発現レベ
ルに対して有意により高いまたはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このよ
うな障害を有する個体から採取された、特定の組織(例えば、生殖組織、癌性組
織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および
髄液)で検出され得る。
【0120】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号34において、残基:Leu−2
1〜Gly−30、Tyr−83〜Lys−88として示される免疫原性エピト
ープを含むか、あるいはこれらからなる。上記のポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
【0121】 このクローンの翻訳産物は、多くのミトコンドリアキャリアタンパク質と配列
の相同性を共有し、これは本発明の遺伝子またはその翻訳産物が、例えば代謝活
性、肥満、悪液質、もしくは熱発生における障害のようなアンカップリングタン
パク質の異常な活性に関連する疾患および/または障害の検出および/または処
置において有用であることを示唆する。この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、
例えば、疾患に寄与するアンカップリングタンパク質の活性を阻害することによ
る非制限的な仮説の目的で有用である。さらに、この子宮内膜腫瘍組織における
組織分布は、この遺伝子が、アンタゴニスト、特に、その同族のリガンドによっ
てレセプターの結合をブロックするアンタゴニスト、特に小分子または抗体に対
する良好な標的であることを示す。従って、この遺伝子の翻訳産物の細胞外部分
に特異的に結合する抗体および/または小分子が好ましい。この細胞外領域は、
上記のような膜貫通ドメインに関する情報から確認され得る。子宮内膜癌を検出
するためのキットもまた提供される。このようなキットは、1つの実施形態にお
いて、固体支持体に結合されたこの遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を含む。個
体における子宮内膜癌を検出する方法もまた提供され、この方法は、この遺伝子
の翻訳産物に特異的な抗体を個体由来の体液(好ましくは、血清)と接触させる
工程、および抗体が、この体液中に見出される抗原に結合するか否かを確認する
(acertaining)工程を包含する。好ましくは、抗体は固体支持体に
結合され、そして体液は血清である。上記の実施形態ならびに他の処置および診
断試験(キットおよび方法)は、本明細書中の他の箇所により詳細に記載される
【0122】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号16に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(
ここで、aは配列番号16の1〜907の任意の整数であり、bは15〜921
の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号16に示されるヌクレオチド
残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上の
ポリヌクレオチドが除外される。
【0123】 (遺伝子番号16によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ミトコンドリアキャリアのスーパーファミリーの新
しいメンバーであってカルシウムと結合し、そしてヒトの筋肉および脳に存在す
るAralarと配列の相同性を共有する(例えば、del ArcoおよびS
atrustegui、J.Biol.Chem.273:23327−233
34(1998)を参照のこと)。ミトコンドリアエネルギー輸送タンパク質(
METP)ドメインが好ましいドメインとして本発明に含まれ、これはProS
ite分析ツールを使用して同定される。構造的に、ミトコンドリアエネルギー
輸送タンパク質のファミリーのメンバーは、約100残基のドメインの3つの直
列の反復からなる。これらのドメインの各々は、2つの膜貫通領域を含む。サイ
ンパターンとして、第1の膜貫通領域のすぐ後に位置する、反復ドメインの最も
保存性の領域の1つが選択される。タンパク質のこの広範なファミリーを検出す
るために、第1の膜貫通領域のすぐ後に位置する反復ドメインにおける最も保存
性の領域を含むコンセンサス(concensus)配列が開発された。コンセ
ンサスパターンは以下のようである:P−x−[DE]−x−[LIVAT]−
[RK]−x−[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]。本発明の好
ましいポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:PLEIVKIRLQ(配
列番号59)およびPADVIKTRLQ(配列番号60)。これらのポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。配列番号59お
よび/または60のMETPドメイン、ならびに配列番号35の少なくとも5、
10、15、20、25、30、50または75個のさらなる連続したアミノ酸
残基を含むポリペプチドが、さらに好ましい。このさらなる連続したアミノ酸残
基は、METPドメインに対してN末端またはC末端であり得る。あるいは、こ
のさらなる連続したアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端およびC
末端の両方であり得、ここでN末端およびC末端の合計の連続したアミノ酸残基
は、特定数に等しい。上記の好ましいポリペプチドドメインは、ミトコンドリア
のエネルギー輸送タンパク質に特有のサインの特徴である。特定の実施形態にお
いて、本発明のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む:IDLVKTR(
配列番号58)。別の実施形態において、推定シグナルペプチドの上流にあるオ
ープンリーディングフレームのアミノ酸配列を含むポリペプチドが、本発明によ
って意図される。具体的には、本発明のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を
含む:
【0124】
【化5】 (配列番号61)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた
、本発明に含まれる。本発明のポリヌクレオチドは、Genbank登録番号g
b|J02908|HUMAPOJ、gb|M74816|HUMSGLY、g
b|X14723|HSCSP40、gb|M64722|HUMTRPM2A
、またはgb|A21577|A21577として示される核酸配列からはなら
ない(これらの登録を通して入手可能な全ての参考文献は、これによって本明細
書中に参考として援用される)。開示されたcDNAをコードする遺伝子は、第
8染色体に存在すると考えられる。従って、本発明に関連するポリヌクレオチド
は、第8染色体についての連鎖解析におけるマーカーとして有用である。
【0125】 この遺伝子は、主に胎児の肝臓/脾臓、乳児の脳および胎盤において発現する
【0126】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル
中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに造血系の障害、お
よび/または胎児の発達障害を含むが、これらに限定されない疾患および状態の
診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリ
ペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プロ
ーブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に造血系および/または生殖
系の多くの障害に関して、標準的な遺伝子発現レベル、すなわち、障害を有さな
い個体からの健常組織または体液中の発現レベルに対して有意により高いまたは
より低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取さ
れた、特定の組織もしくは細胞型(例えば、胎児の組織、造血組織、癌性組織お
よび創傷組織)または体液(例えば、リンパ、羊水、血清、血漿、尿、滑液およ
び髄液)または別の組織もしくはサンプル中で慣用的に検出され得る。
【0127】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号35において、残基:Met−1
〜Thr−7、Ala−199〜Tyr−204、Leu−215〜Lys−2
21、Arg−233〜Phe−238、Pro−266〜Arg−271、A
la−276〜Gly−284として示される免疫原性エピトープを含むか、あ
るいはこれらからなる。上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもま
た、本発明に含まれる。
【0128】 胎児の肝臓/脾臓を含む、発達している組織における組織分布およびカルシウ
ム依存ミトコンドリアキャリアタンパク質であるAralarに対する相同性は
、この遺伝子に対応するポリヌクレオチドおよびポリペプチドが、発達性障害ま
たは造血系の障害の検出、予防および/または処置において、ならびに、例えば
代謝活性、肥満、悪液質、もしくは熱発生における障害のようなアンカップリン
グタンパク質の異常な活性に関連する疾患および/または障害の検出および/ま
たは処置のために有用である。この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、例えば、
疾患に寄与するアンカップリングタンパク質の活性を阻害することによる非制限
的な仮説の目的で有用である。この遺伝子産物は、主に造血細胞および造血組織
において発現し、このことは、造血系統の生存、増殖、および/または分化にお
ける役割を果たすことを示唆する。これは、胎児肝臓におけるこの遺伝子産物の
発現によって特に支持され、最終的な造血の2つの主要な部位である。代表的な
用途は、以下の「免疫活性」および「感染性疾患」の節、実施例11、13、1
4、16、18、19、20および27、ならびに本明細書中の他の箇所に記載
される。簡潔には、この使用には、骨髄細胞のエキソビボ培養、骨髄移植、骨髄
再構成、新形成の放射線治療または化学療法が挙げられる。さらに、胎盤におけ
る組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、胎盤の障害の診断および/ま
たは処置に有用であることを示す。胎盤内での特異的発現は、この遺伝子産物が
、胎盤機能の適切な確立および維持における役割を果たし得ることを示唆する。
あるいは、この遺伝子産物は、胎盤によって産生され得、次いで胚に移送され、
そこで発達中の胚または胎児の発達および/または生存において重大な役割を果
たし得る。胎盤のような血管豊富な組織におけるこの遺伝子産物の発現はまた、
この遺伝子産物が、内皮細胞または循環内においてより一般的に産生され得るこ
とを示唆する。このような場合において、この遺伝子産物は、新脈管形成のよう
な血管機能において、より一般化された役割を果たし得る。この遺伝子産物はま
た、血管系において産生され、そして、例えば造血細胞のような循環内の他の細
胞に効果を有し得る。上記のように、この遺伝子産物は、造血細胞ならびに身体
全体の他の細胞の増殖、生存、活性化、および/または分化の促進に貢献し得る
。さらに、このタンパク質はまた、その栄養補給剤としての使用に加えて、生物
学的活性を決定するために、抗体を惹起するために、組織マーカーとして、同族
のリガンドまたはレセプターを単離するために、それらの相互作用を調節する薬
剤を同定するために使用され得る。タンパク質ならびにこのタンパク質に対して
指向される抗体は、上記に列挙された組織の腫瘍マーカーおよび/または免疫療
法の標的としての有用性を示し得る。本発明の転位酵素(translocas
e)タンパク質の発現または活性のためのアンタゴニストまたはアゴニストとし
て作用するその能力について、化合物(すなわち、抗体、小分子)をスクリーニ
ングするための方法が特に好ましい。
【0129】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号17に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(
ここで、aは配列番号17の1〜2862の任意の整数であり、bは15〜28
76の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号17に示されるヌクレオ
チド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以
上のポリヌクレオチドが除外される。
【0130】 (遺伝子番号17によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、カルニチン/アシルカルニチン転位酵素タンパク質
を含むが、これらに限定されないヒトミトコンドリアキャリアタンパク質ファミ
リー(例えば、Genbank登録番号gi|2765075|emb|CAA
71367.1|(これらの登録を通して入手可能な全ての参考文献は、本明細
書中に参考として援用される)を参照のこと)、およびヒトアデノシンヌクレオ
チドトランスロケーター4(例えば、GeneSeq登録番号W99654(こ
れらの登録を通して入手可能な全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用
される)を参照のこと)と配列の相同性を共有する。開示されたcDNAをコー
ドする遺伝子は、第14染色体に存在すると考えられる。従って、本発明に関連
するポリヌクレオチドは、第14染色体についての連鎖解析におけるマーカーと
して有用である。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、以下のア
ミノ酸配列を含むか、あるいはこれらからなる:
【0131】
【化6】 これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる
。ミトコンドリアエネルギー輸送タンパク質(METP)ドメインが、好ましい
ドメインとして本発明に含まれ、これはProSite分析ツールを使用して同
定された。構造的に、ミトコンドリアエネルギー輸送タンパク質のファミリーの
メンバーは、約100残基のドメインの3つの直列の反復からなる。これらのド
メインの各々は、2つの膜貫通領域を含む。サインパターンとして、本発明者ら
は、第1の膜貫通領域のすぐ後に位置する、反復ドメインの最も保存性の領域の
1つを選択した。タンパク質のこの広範なファミリーを検出するために、第1の
膜貫通領域のすぐ後に位置する反復ドメインにおける、最も保存性の領域を含む
コンセンサス(concensus)配列が開発された。コンセンサスパターン
は以下のようである:P−x−[DE]−x−[LIVAT]−[RK]−x−
[LRH]−[LIVMFY]−[QGAIVM]。本発明の好ましいポリペプ
チドは、以下のアミノ酸配列を含む:PMELAKTRLQ(配列番号65)お
よび/またはPVDVVKSRLQ(配列番号66)。これらのポリペプチドを
コードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。配列番号65および/
または66のMETPドメイン、ならびに配列番号36の少なくとも5、10、
15、20、25、30、50または75個のさらなる連続したアミノ酸残基を
含むポリペプチドが、さらに好ましい。このさらなる連続したアミノ酸残基は、
METPドメインに対してN末端またはC末端であり得る。あるいは、このさら
なる連続したアミノ酸残基は、METPドメインに対してN末端およびC末端の
両方であり得、ここでN末端およびC末端の合計の連続したアミノ酸残基は、特
定数に等しい。上記の好ましいポリペプチドドメインは、ミトコンドリアのエネ
ルギー輸送タンパク質に特有のサインの特徴である。
【0132】 この遺伝子は、主に卵巣腫瘍および嗅上皮において発現する。
【0133】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル
中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに嗅覚系または雌性
の生殖系の障害を含むが、これらに限定されない疾患および状態の診断のための
試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対
する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に
有用である。上記組織または細胞、特に嗅覚系または雌性の生殖系の多くの障害
に関して、標準的な遺伝子発現レベル、すなわち、障害を有さない個体からの健
常組織または体液中の発現レベルに対して有意により高いまたはより低いレベル
のこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された、特定の組
織もしくは細胞型(例えば、嗅覚組織、卵巣組織、癌性組織および創傷組織)ま
たは体液(例えば、痰、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)または別の
組織もしくはサンプル中で慣用的に検出され得る。
【0134】 本発明の好ましいポリペプチドは、配列番号36において、残基:Gly−6
0〜Ser−68、Gly−158〜Gly−164、Ser−172〜Gly
−177、Arg−211〜Glu−218として示される免疫原性エピトープ
を含むか、あるいはこれらからなる。上記のポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドもまた、本発明に含まれる。
【0135】 卵巣腫瘍における組織分布およびミトコンドリアキャリアタンパク質に対する
相同性は、このクローンのタンパク質産物が、卵巣癌のような雌性の生殖系の障
害の検出、処置および/または予防において、ならびに、例えば代謝活性、肥満
、悪液質、もしくは熱発生における障害のようなアンカップリングタンパク質の
異常な活性に関連する疾患および/または障害の検出および/または処置のため
に有用であることを示す。この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、例えば、疾患
に寄与するアンカップリングタンパク質の活性を阻害することによる非制限的な
仮説の目的で有用である。さらに、嗅上皮における組織分布は、この遺伝子の翻
訳産物が、種々の嗅覚障害および感覚障害の診断、処置および/または予防にお
ける有用性を示し得ることを示す。さらに、このタンパク質はまた、その栄養補
給剤としての使用に加えて、生物学的活性を決定するために、抗体を惹起するた
めに、組織マーカーとして、同族のリガンドまたはレセプターを単離するために
、それらの相互作用を調節する薬剤を同定するために使用され得る。タンパク質
ならびにこのタンパク質に対して指向される抗体は、上記に列挙された組織の腫
瘍マーカーおよび/または免疫療法の標的としての有用性を示し得る。本発明の
転位酵素タンパク質の発現または活性のためのアンタゴニストまたはアゴニスト
として作用するその能力について、化合物(すなわち、抗体、小分子)をスクリ
ーニングするための方法が特に好ましい。
【0136】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号18に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(
ここで、aは配列番号18の1〜2151の任意の整数であり、bは15〜21
65の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号18に示されるヌクレオ
チド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以
上のポリヌクレオチドが除外される。
【0137】 (遺伝子番号18によってコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、マウス脱共役タンパク質3と配列相同性を共有する
(Genbank登録番号gi|3702693を参照のこと。) この遺伝子は、精巣組織および乳癌組織において発現する。
【0138】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル
中に存在する組織または細胞型の差示的同定のため、ならびに生殖系の疾患およ
び/または障害、ならびに乳癌を含むがそれらに限定されない疾患および状態の
診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリ
ペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の差示的同定のための免疫学的プロ
ーブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に生殖系の多くの障害に関し
て、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、この障害を有さない個体由来の健常組
織または体液中の発現レベル)に対して有意に高いかまたは有意に低いレベルの
この遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織も
しくは細胞型(例えば、精巣組織、胸部組織、癌性組織および創傷組織)または
体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液、および髄液)、または別の組織
もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
【0139】 精巣組織および乳癌組織におけるその組織分布、およびマウスUCP−3タン
パク質に対する相同性は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチドおよびポリペ
プチドが、生殖系の疾患および/または障害の診断、検出および/または処置、
乳癌の診断、検出および/または処置、ならびに脱共役タンパク質の異常な活性
に関連する疾患および/または障害(例えば、代謝活性、肥満症、悪液質、また
は熱発生における障害)の検出および/または処置のために有用であることを示
す。例えば、非限定的な仮説により、この遺伝子の翻訳産物に対する抗体は、疾
患に寄与する脱共役タンパク質の活性を阻害することによって有用である。この
組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、適切な精巣機能(例えば、内分
泌機能、精巣成熟)に関する状態ならびに癌の処置および診断に有用であること
を示す。従って、この遺伝子産物は、男性不妊および/またはインポテンスの処
置に有用である。この遺伝子産物はまた、結合剤(例えば、男性避妊薬剤として
有用である薬剤(アンタゴニスト))を同定するために設計されたアッセイにお
いて、有用である。同様に、このタンパク質は、精巣癌の処置および/または診
断において有用であると考えられる。精巣はまた、体の他の組織において、特に
低レベルで発現され得る転写産物の活性な遺伝子発現の部位である。従って、こ
の遺伝子産物は、他の特定の組織または器官において発現され得、ここでこの遺
伝子産物は、他のプロセス(例えば、可能な標的指標を少し挙げるなら、造血、
炎症、骨形成、および腎臓機能)において、関連する機能的な役割を果たし得る
。あるいは、乳癌組織における組織分布は、この遺伝子が同種のリガンドによる
レセプターの結合をブロックするアンタゴニスト(特に、低分子または抗体)に
ついてのよい標的であることを示す。従って、この遺伝子の転写産物の一部に特
異的に結合する、抗体およびまたは低分子が好ましい。乳癌を検出するキットも
また提供される。このようなキットは、1つの実施形態において、固体支持体に
結合されたこの遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を含む。個体における乳癌を検
出する方法もまた提供され、この方法は、この遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体
を個体由来の体液(好ましくは、血清)と接触させる工程、および抗体がこの体
液に見出される抗原に結合するか否かを確認する工程を包含する。好ましくは、
抗体は固体支持体に結合され、そして体液は血清である。上記の実施形態ならび
に他の処置および診断試験(キットおよび方法)は、本明細書中の他の箇所に、
より詳細に記載される。
【0140】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号19に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であった
かもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の
範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、
好ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(
ここで、aは配列番号19の1〜1164の任意の整数であり、bは15〜11
78の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号19に示されるヌクレオ
チド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以
上のポリヌクレオチドが除外される。
【0141】
【表1】 表1は、上記の各「遺伝子番号」に対応する情報を要約する。「ヌクレオチド
配列番号X」として同定されるヌクレオチド配列は、表1において同定される「
cDNAクローンID」から、およびいくつかの場合において、さらなる関連の
DNAクローンから得られる、部分的に相同な(「重複する」)配列から構築さ
れた。重複する配列は、高い冗長性の単一の連続した配列に構築され(通常、各
ヌクレオチド位置で3〜5個の重複する配列)、配列番号Xとして同定される最
終的な配列を得た。
【0142】 cDNAクローンIDは、その日付に寄託され、そして「ATCC寄託番号Z
および日付」において列挙される対応する寄託番号が与えられた。寄託物のいく
つかは、同じ遺伝子に対応する複数の異なるクローンを含む。「ベクター」は、
cDNAクローンIDにおいて含まれるベクターの型をいう。
【0143】 「総ヌクレオチド配列」は、「遺伝子番号」によって同定されるコンティグに
おけるヌクレオチドの総数をいう。寄託されたプラスミドは、これらの配列の全
てを含み得、この配列は、配列番号Xの「クローン配列の5’ヌクレオチド」お
よび「クローン配列の3’ヌクレオチド」として示されるヌクレオチドの位置に
よって反映される。推定メチオニン開始コドンの配列番号Xのヌクレオチドの位
置は(存在する場合)、「開始コドンの5’ヌクレオチド」として同定される。
同様に、推定シグナル配列の配列番号Xのヌクレオチドの位置は(存在する場合
)、「シグナルペプチドの第一のアミノ酸の5’ヌクレオチド」として同定され
る。
【0144】 翻訳されたアミノ酸配列は、ポリヌクレオチド配列の第1翻訳コドンで始まり
、「アミノ酸配列番号Y」として同定されるが、他のリーディングフレームもま
た、公知の分子生物学技術を使用して容易に翻訳され得る。これらの代替的オー
プンリーディングフレームによって産生されるポリペプチドは、本発明によって
具体的に意図される。
【0145】 配列番号X(ここで、Xは、配列表に開示されたポリヌクレオチド配列のいず
れかであり得る)および翻訳される配列番号Y(ここで、Yは、配列表に開示さ
れたポリペプチド配列のいずれかであり得る)は、十分に正確であり、そしてそ
うでなければ、当該分野において周知でありかつ以下でさらに記載される種々の
使用に適切である。例えば、配列番号Xは、配列番号Xにおいて含まれる核酸配
列または寄託されたプラスミドに含まれるcDNAを検出する核酸ハイブリダイ
ゼーションプローブを設計することを含む使用を有するが、これらに限定されな
い。これらのプローブはまた、生物学的サンプル中の核酸分子にハイブリダイズ
し、それによって本発明の種々の法医学の方法、および診断の方法を可能にする
。同様に、配列番号Yから同定されるポリぺプチドは、表1において同定された
cDNAクローンによりコードされる分泌タンパク質に特異的に結合する抗体を
産生することを含むが、これらに限定されない使用を有する。
【0146】 それにもかかわらず、配列決定反応によって生じるDNA配列は、配列決定の
エラーを含み得る。エラーは、誤って同定されたヌクレオチドとして、または生
じたDNA配列におけるヌクレオチドの挿入または欠失として存在する。誤って
挿入されたか、または欠失されたヌクレオチドは、推定アミノ酸配列のリーディ
ングフレームにおいてフレームシフトを引き起こす。これらの場合において、生
じたDNA配列は、実際のDNA配列と99.9%(例えば、1000塩基を超
えるオープンリーディングフレームにおける1塩基の挿入または欠失)を超えて
同一であり得るにもかかわらず、推定アミノ酸配列は、実際のアミノ酸配列とは
異なる。
【0147】 従って、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における正確さを必要とするこ
れらの適用のために、本発明は、配列番号Xとして同定された作製されたヌクレ
オチド配列、および配列番号Yとして同定された推定の翻訳されたアミノ酸配列
のみではなく、表1において記載されるような、ATCCに寄託された本発明の
ヒトcDNAを含むプラスミドDNAのサンプルもまた提供する。各々の寄託さ
れたプラスミドのヌクレオチド配列は、公知の方法に従って寄託されたプラスミ
ドの配列決定により容易に決定され得る。
【0148】 次いで、推定アミノ酸配列は、このような寄託物から証明され得る。さらに、
特定のプラスミドによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列はまた、ペプチ
ド配列決定により、または寄託されたヒトcDNAを含む適切な宿主細胞中でタ
ンパク質を発現し、このタンパク質を収集し、そしてその配列を決定することに
より、直接的に決定され得る。
【0149】 また、cDNAプラスミドを含むベクターの名前を表1に提供する。各ベクタ
ーは、当該分野において、慣用的に使用される。以下のさらなる情報は、利便性
のために提供される。
【0150】 ベクターLambda Zap(米国特許第5,128,256号および同第
5,286,636号)、Uni−Zap XR(米国特許第5,128,25
6号および同第5,286,636号)、Zap Express(米国特許第
5,128,256号および同第5,286,636号)pBluescrip
t(pBS)(Short,J.M.ら、Nucleic Acids Res
. 16:7583−7600(1988);Alting−Mees,M.A
.およびShort,J.M.、Nucleic Acids Res. 17
:9494(1989))ならびにpBK(Alting−Mees,M.A.
ら、Strategies 5:58−61(1992))は、Stratag
ene Cloning Systems,Inc.、11011 N.Tor
rey Pines Road,La Jolla,CA,92037から市販
されている。pBSは、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてpBKはネオマ
イシン耐性遺伝子を含む。ファージミドpBSは、λZapベクターおよびUn
i−Zap XRベクターから切り出され得、そしてファージミドpBKは、Z
ap発現ベクターから切り出され得る。両方のファージイミドは、E.coli
株XL−1 Blue(これもまた、Stratageneから入手可能である
)に形質転換され得る。
【0151】 ベクターpSport1、pCMVSport 1.0、pCMVSport
2.0およびpCMVSport3.0は、Life Technologi
es,Inc.、P.O.Box 6009、Gaithersburg,MD
20897から得られた。全てのSportベクターはアンピシリン耐性遺伝
子を含み、そしてE.coli株DH10B(これもまた、Life Tech
nologiesから入手可能である)に形質転換され得る。例えば、Grub
er,C.E.ら、Focus 15:59(1993)を参照のこと。ベクタ
ーlafmid BA(Bento Soares、Columbia Uni
versity、New York,NY)は、アンピシリン耐性遺伝子を含み
、そしてE.coli株XL−1 Blueに形質転換され得る。ベクターpC
R(登録商標)2.1(これはInvitrogen、1600 Farada
y Avenue、Carlsbad、CA 92008から入手可能である)
は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株DH10B(Lif
e Technologiesから入手可能である)に形質転換され得る。例え
ば、Clark,J.M.、Nuc.Acids Res.16:9677−9
686(1988)およびMead,D.ら、Bio/Technology
9:(1991)を参照のこと。
【0152】 本発明はまた、配列番号X、配列番号Y、および/または寄託されたプラスミ
ド(cDNAプラスミド:Z)に対応する遺伝子に関する。この対応する遺伝子
は、本明細書中に開示される配列情報を使用して、公知の方法に従って単離され
得る。このような方法は、開示された配列からプローブまたはプライマーを調製
する工程、およびゲノム物質の適切な供給源から対応する遺伝子を同定または増
幅する工程を包含するが、これらに限定されない。
【0153】 本発明においてまた提供されるものは、対立遺伝子改変体、オルトログ(or
tholog)、および/または種相同体である。当該分野において公知である
手順は、本明細書中で開示された配列またはATCCに寄託されたクローンから
の情報を用いて、配列番号X、配列番号Y、および/またはcDNAプラスミド
:Zに対応する遺伝子の全長遺伝子、対立遺伝子改変体、スプライス改変体、全
長コード部分、オルトログ、および/または種相同体を得るために使用され得る
。例えば、対立遺伝子改変体および/または種相同体は、本明細書中に提供され
る配列から適切なプローブまたはプライマーを作製し、そして対立遺伝子改変体
および/または所望の相同体について適切な核酸供給源をスクリーニングするこ
とにより単離および同定され得る。
【0154】 本発明は、配列番号Xの核酸配列および/またはcDNAプラスミド:Zを含
むか、または代替的にこれらからなるポリヌクレオチドを提供する。本発明はま
た、配列番号Yのポリペプチド配列、配列番号Xによりコードされるポリペプチ
ド、および/またはcDNAプラスミド:Z中のcDNAによりコードされるポ
リペプチドを含むか、または代替的にこれらからなるポリペプチドを提供する。
配列番号Yのポリペプチド配列、配列番号Xによりコードされるポリペプチド、
および/またはcDNAプラスミド:Z中のcDNAによりコードされるポリペ
プチドを含むか、または代替的にこれらからなるポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチドはまた、本発明により包含される。本発明はさらに、配列番号Xの
核酸配列の相補体、および/またはcDNAプラスミド:Z中のcDNAのコー
ド鎖の相補体を含むか、または代替的にこれらからなるポリヌクレオチドを包含
する。
【0155】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能であり、そして本発明の着想の
前に公に利用可能であったかもしれない。好ましくは、このような関連するポリ
ヌクレオチドは、本発明の範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙する
ことは、本出願の開示では非常に煩わしい。従って、好ましくは、配列番号Xは
、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここで、aは配列番号Xの
1と配列番号Xの最終ヌクレオチド−15との間の任意の整数であり、bは15
〜配列番号Xの最終ヌクレオチドの整数であり、ここでaおよびbの両方は配列
番号Xに示されるヌクレオチド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14
以上である)を含む1つ以上のポリヌクレオチドが除外される。
【0156】 (全長遺伝子の回収のためのRACEプロトコル) 部分的cDNAクローンは、Frohman,M.Aら、Proc.Nat’
l.Acad.Sci.USA,85:8998−9002(1988)に記載
されたcDNA末端の高速増幅(RACE)手順を利用することにより全長を作
製し得る。5’末端または3’末端のいずれかが欠失しているcDNAクローン
は、翻訳の開始コドンまたは終止コドンのそれぞれに伸長する欠失塩基対を含む
ように再構築され得る。いくつかの場合において、cDNAは、そのために翻訳
の開始を欠失している。以下に、この本来の5’RACE手順の改変を簡単に記
載する。ポリA+または全RNAを、Superscript II(Gibc
o/BRL)およびcDNA配列に特異的なアンチセンスプライマーまたは相補
的プライマーを用いて逆転写する。そのプライマーを、Microcon Co
ncentrator(Amicon)を用いて反応から除去する。次いで、第
1鎖cDNAを、dATPおよび末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ
(Gibco/BRL)を用いて、添付する。このように、アンカー配列を産生
し、これは、PCR増幅のために必要である。第2鎖をdA−テイル含有PCR
緩衝液、TaqDNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer Cetus)
、5’末端で3つの隣接制限部位(XhoI、SalIおよびClaI)を含む
オリゴdTプライマーならびにこれらの制限部位を正しく含むプライマーから合
成する。この2本鎖cDNAを同じプライマーならびにネスティッドcDNA特
異的アンチセンスプライマーを用いて40サイクルでPCR増幅する。このPC
R産物を、エチジウムブロマイドアガロースゲル上でサイズ分離し、そして欠失
しているタンパク質コードDNAの推定サイズのcDNA産物を含むゲルの領域
を取り出す。cDNAをMagic PCR Prep kit(Promeg
a)を用いてアガロースゲルから精製し、XhoIまたはSalIを用いて制限
消化し、そしてプラスミド(例えば、pBluescript SKII(St
ratagene))にXhoI部位およびEcoRV部位で連結する。このD
NAを細菌に形質転換し、そしてこのプラスミドクローンを配列決定して、正確
なタンパク質コード挿入物を同定する。正確な5’末端を、推定的に同定された
相同体を有するこの配列と部分的cDNAクローンを有する重複を比較すること
により確認する。当該分野において公知の同様の方法および/または市販のキッ
トを使用して、増幅し、そして3’末端を回収する。
【0157】 いくつかの、品質制御キットが購入のために市販されている。上記のそれらと
同様の試薬および方法は、全長遺伝子を回収をするための5’ RACEおよび
3’RACEの両方について、Gibco/BRLからキットの形態で供給され
る。第2のキットは、Clontechから入手可能である。このキットは、D
umasら、Nucleic Acids Res.,19:5227−32(
1991)により開発された、関連技術の改変(SLIC(一本鎖cDNAへの
、一本鎖の連結))である。手順における主な違いは、RNAを、逆転写後にア
ルカリ加水分解し、そしてRNAリガーゼを使用して、第1鎖cDNAに、制限
部位を含むアンカープライマーを連結することである。これは、過去に配列決定
をするのが困難なポリTの伸長を生じるdAテーリング反応における必要性を除
去する。
【0158】 RNAからの5’cDNAまたは3’cDNAを産生する代替は、cDNAラ
イブラリー二本鎖DNAを使用することである。非対称性PCR増幅アンチセン
スcDNA鎖は、アンチセンスcDNA特異的プライマーおよびプラスミドアン
カープライマーを用いて合成する。これらのプライマーを除去し、そして対称P
CR反応を、ネストしたcDNA特異的アンチセンスプライマーおよびプラスミ
ドアンカープライマーを用いて実施する。
【0159】 (5’末端配列または3’末端配列を産生し、全長遺伝子を得るための、RN
Aリガーゼのプロトコル) 一旦、目的の遺伝子が同定されると、本来のcDNAプラスミド中には存在し
ないかもしれない遺伝子の5’部分または3’部分の同定のためのいくつかの方
法が利用可能になる。これらの方法は、以下を含むがこれらに限定されない:フ
ィルタープローブ探索、特異的プローブを使用するクローン富化、ならびに5’
RACEおよび3’RACEと類似および同一のプロトコル。全長遺伝子は、
ライブラリー中に存在し得、そして探索によって同定され得るが、一方、5’末
端または3’末端を生成するために有用な方法は、欠けている情報を生成するた
めに、本来のcDNAからの既存の配列情報を、使用することである。5’RA
CEに類似する方法は、所望の全長遺伝子の欠けている5’末端を生成するため
に利用可能である(この方法は、Fromont−Racineら、Nucle
ic Acids Res.,21(7):1683−1684(1993)に
よって発表された)。簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝
子RNA転写物をおそらく含むRNAの集団の5’末端に連結し、そして連結さ
れたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知
の配列に特異的なプライマーを含むプライマーセットを使用して、所望の全長遺
伝子の5’部分をPCR増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、
そしてこれを使用して全長遺伝子を生成し得る。この方法は、所望の供給源から
単離された総RNAを用いて開始し、この手順における必要条件ではないが、ポ
リA RNAを使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスファター
ゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解または損傷RNAの5
’リン酸基を排除し得る。次いで、使用された場合、ホスファターゼを不活化し
、そしてRNAをメッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造を除
去するために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処理する。この反応は、
次いでT4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌクレオチドに連結され得る
、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残す。次いで、この改変型R
NA調製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第一鎖cDNA合
成のためのテンプレートとして使用し得る。次いで、第一鎖合成反応物を、連結
されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の脱共役の公
知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のための
テンプレートとして使用し得る。次いで、得られた生成物を配列決定し、そして
分析して5’末端配列が関連する脱共役に属することを確認する。
【0160】 (ポリヌクレオチドフラグメントおよびポリペプチドフラグメント) 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド(核酸)の、ポリヌクレオチドフラ
グメントに関する。本発明において、「ポリヌクレオチドフラグメント」とは、
以下である核酸配列を有するポリヌクレオチドをいう:cDNAプラスミドZに
含まれるcDNAの一部か、もしくはcDNAプラスミドZに含まれるcDNA
によりコードされるポリペプチドをコードするcDNAの一部;配列番号Xもし
くはその相補鎖におけるポリヌクレオチド配列の一部;配列番号Yのポリペプチ
ドの一部をコードするポリヌクレオチド配列;あるいは配列番号Xによりコード
されるポリペプチドの一部をコードするポリヌクレオチド配列。本発明のヌクレ
オチドフラグメントは、好ましくは、少なくとも約15nt、そしてより好まし
くは少なくとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そし
てなおより好ましくは少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくと
も約75nt、少なくとも約100nt、少なくとも約125nt、または少な
くとも約150ntの長さである。例えば、「少なくとも約20ntの長さ」の
フラグメントは、例えばcDNAプラスミドZのcDNA配列に含まれる配列ま
たは配列番号Xに示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖由来の20以上
の連続する塩基を含むことが意図される。この文脈において「約(おおよそ)」
は、特に記載された値、あるいはそれより数個(5、4、3、2、または1)の
ヌクレオチドだけ大きいかまたは小さな値を含む。これらのヌクレオチドフラグ
メントは、本明細書中で議論されるように、診断プローブおよびプライマーとし
ての使用を含むが、それらに限定されない使用を有する。もちろん、より大きな
フラグメント(例えば、少なくとも150、175、200、250、500、
600、1000または2000のヌクレオチドの長さ)もまた、本発明に含ま
れる。
【0161】 さらに、本発明のポリヌクレオチドフラグメントの代表例としては、例えば、
以下の配列番号X、またはその相補鎖のおおよそのヌクレオチド数の配列を含む
か、あるいは以下からなるフラグメントが挙げられる:1〜50、51〜100
、101〜150、151〜200、201〜250、251〜300、301
〜350、351〜400、401〜450、451〜500、501〜550
、551〜600、651〜700、701〜750、751〜800、800
〜850、851〜900、901〜950、951〜1000、1001〜1
050、1051〜1100、1101〜1150、1151〜1200、12
01〜1250、1251〜1300、1301〜1350、1351〜140
0、1401〜1450、1451〜1500、1501〜1550、1551
〜1600、1601〜1650、1651〜1700、1701〜1750、
1751〜1800、1801〜1850、1851〜1900、1901〜1
950、1951〜2000、2001〜2050、2051〜2100、21
01〜2150、2151〜2200、2201〜2250、2251〜230
0、2301〜2350、2351〜2400、2401〜2450、2451
〜2500、2501〜2550、2551〜2600、2601〜2650、
2651〜2700、2701〜2750、2751〜2800、2801〜2
850および/または2851〜2876。この文脈において、「おおよそ(約
)」は、特に記載された範囲、またはいずれかの末端もしくは両方の末端におい
て、これより数個(5、4、3、2、または1)のヌクレオチドだけ大きいか、
または小さな範囲を含む。好ましくは、これらのフラグメントは、その配列が一
部であるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの、機能的活性(例
えば、生物学的活性)を有するポリペプチドをコードする。より好ましくは、こ
れらのフラグメントは、本明細書中、議論されるようにプローブまたはプライマ
ーとして使用され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下また
はより低いストリンジェンシー条件下でこれらのフラグメントの1つ以上にハイ
ブリダイズするポリヌクレオチドもまた本発明に含まれ、これらのポリヌクレオ
チドによりコードされるポリペプチドまたはフラグメントも同様に含まれる。
【0162】 さらに、本発明のポリヌクレオチドフラグメントの代表例としては、例えば、
cDNAプラスミドZに含まれるcDNAヌクレオチド配列、またはその相補鎖
の以下のおおよそのヌクレオチド数の配列を含むか、あるいは以下からなるフラ
グメントが挙げられる:1〜50、51〜100、101〜150、151〜2
00、201〜250、251〜300、301〜350、351〜400、4
01〜450、451〜500、501〜550、551〜600、651〜7
00、701〜750、751〜800、800〜850、851〜900、9
01〜950、951〜1000、1001〜1050、1051〜1100、
1101〜1150、1151〜1200、1201〜1250、1251〜1
300、1301〜1350、1351〜1400、1401〜1450、14
51〜1500、1501〜1550、1551〜1600、1601〜165
0、1651〜1700、1701〜1750、1751〜1800、1801
〜1850、1851〜1900、1901〜1950、1951〜2000、
2001〜2050、2051〜2100、2101〜2150、2151〜2
200、2201〜2250、2251〜2300、2301〜2350、23
51〜2400、2401〜2450、2451〜2500、2501〜255
0、2551〜2600、2601〜2650、2651〜2700、2701
〜2750、2751〜2800、2801〜2850および/または2851
〜2876。この文脈において、「おおよそ(約)」は、特に記載された範囲、
あるいはいずれかの末端もしくは両方の末端において、これより数個(5、4、
3、2、または1)のヌクレオチドだけ大きいか、または小さな範囲を含む。好
ましくは、これらのフラグメントは、cDNAプラスミドZに含まれるcDNA
ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの機能的活性(例えば、生
物学的活性)を有するポリペプチドをコードする。より好ましくは、これらのフ
ラグメントは、本明細書中で議論されるように、プローブまたはプライマーとし
て使用され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下またはより
低いストリンジェンシー条件下で1つ以上のこれらのフラグメントにハイブリダ
イズするポリヌクレオチドもまた本発明に含まれ、これらのポリヌクレオチドま
たはフラグメントによりコードされるポリペプチドもまた、含まれる。
【0163】 本発明において、「ポリペプチドフラグメント」とは、配列番号Yに含まれる
アミノ酸配列の一部、配列番号Xのポリヌクレオチド配列によってコードされる
アミノ酸配列の一部、および/またはcDNAプラスミドZ中のcDNAによっ
てコードされるアミノ酸配列の一部であるアミノ酸配列をいう。タンパク質(ポ
リペプチド)フラグメントは、「自立構造(free−standing)」で
あり得るか、あるいはより大きなポリぺプチド(このフラグメントが、部分また
は領域(最も好ましくは単一の連続した領域として)を形成する)内に含まれ得
る。本発明のポリペプチドフラグメントの代表例としては、例えば、以下の配列
番号Yのコード領域の、以下のおおよそのアミノ酸数のアミノ酸配列を含むか、
あるいは以下のおおよそのアミノ酸数のアミノ酸配列からなるフラグメントが挙
げられる:1〜20、21〜40、41〜60、61〜80、81〜100、1
02〜120、121〜140、141〜160、161〜180、181〜2
00、201〜220、221〜240、241〜260、261〜280、2
81〜300、301〜320、321〜340および/または341〜351
。さらに、本発明のポリペプチドフラグメントは、少なくとも約10、15、2
0、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、8
0、85、90、100、110、120、130、140、または150のア
ミノ酸の長さであり得る。この文脈において、「約(おおよそ)」とは、特に記
載された範囲または値、あるいはいずれかの末端もしくは両方の末端において、
これより数個(5、4、3、2、または1)のアミノ酸だけ大きいかまたは小さ
な、範囲または値を含む。これらのポリペプチドフラグメントをコードするポリ
ヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
【0164】 タンパク質のN末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、タンパク質の1つ以
上の生物学的機能の損失の改変を生じるとしても、他の機能的活性(例えば、生
物学的活性、多量体化する能力、リガンドに結合する能力)は、なお保持され得
る。例えば、ポリペプチドの完全な形態または成熟形態を認識する抗体を誘導す
るおよび/またはその抗体に結合する、短縮型ムテインの能力は、完全なポリペ
プチド、または成熟ポリペプチドの大部分より少ない残基が、N末端から除去さ
れる場合には、一般的に保持される。完全なポリペプチドのN末端残基を欠く特
定のポリペプチドが、このような免疫学的活性を保持するかどうかは、本明細書
中に記載される慣用的な方法、および当該分野において公知の別の方法によって
容易に決定され得る。多数の欠失したN末端アミノ酸残基を有するムテインは、
いくつかの生物学的活性または免疫原性活性を保持し得るようである。実際に、
6つ程度に少ないアミノ酸残基からなるペプチドは、しばしば免疫応答を惹起し
得る。
【0165】 従って、本発明のポリペプチドフラグメントとしては、分泌タンパク質ならび
に成熟形態が挙げられる。さらに好ましいポリペプチドフラグメントとしては、
アミノ末端もしくはカルボキシ末端またはその両方から、連続した一連の欠失し
た残基を有する分泌タンパク質、もしくは成熟形態が挙げられる。例えば、任意
の数のアミノ酸(1〜60の範囲)は、分泌ポリペプチドもしくは成熟形態のい
ずれかのアミノ末端から欠失され得る。同様に、任意の数のアミノ酸(1〜30
の範囲)が、分泌タンパク質もしくは成熟形態のカルボキシ末端から欠失され得
る。さらに、上記のアミノ末端およびカルボキシ末端の欠失の任意の組み合わせ
は好ましい。同様に、これらのポリペプチドフラグメントをコードするポリヌク
レオチドもまた好ましい。
【0166】 本発明は、本明細書中で開示されるポリペプチド(例えば、配列番号Yのポリ
ペプチド、配列番号Xに含まれるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリ
ペプチド、および/またはcDNAプラスミドZに含まれるcDNAによりコー
ドされるポリペプチド)のアミノ酸配列のアミノ末端から、欠失した1つ以上の
残基を有するポリペプチドを、さらに提供する。特に、N末端の欠失は、一般式
m−qによって記載され得、ここでqは、本発明のポリペプチド(例えば、配列
番号Yに開示されるポリペプチド)におけるアミノ酸残基の総数を表す全整数で
あり、そしてmは、2〜q−6の範囲の任意の整数として定義される。これらの
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
【0167】 また、上記のように、タンパク質のC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が
、このタンパク質の1つ以上の生物学的機能の損失の改変を生じる場合でさえ、
他の機能的活性(例えば、生物学的活性、多量体化する能力、リガンドに結合す
る能力)は、なお保持され得る。例えば、ポリペプチドの完全な形態または成熟
形態を認識する抗体を誘導するおよび/またはこの抗体に結合する、短縮型ムテ
インの能力は、完全なポリペプチド、または成熟ポリペプチドの大部分より少な
い残基が、C末端から除去される場合には、一般的に保持される。完全なポリペ
プチドのC末端残基を欠く特定のポリペプチドが、このような免疫学的活性を保
持するか否かは、本明細書中に記載される慣用的な方法、および当該分野におい
て公知の他の方法によって容易に決定され得る。多数の欠失したC末端アミノ酸
残基を有するムテインは、いくつかの生物学的活性または免疫原性活性を保持し
得るようである。実際に、6つ程度に少ないアミノ酸残基からなるペプチドは、
しばしば免疫応答を惹起し得る。
【0168】 従って、本発明は、本明細書中で開示されるポリペプチド(例えば、配列番号
Yのポリペプチド、配列番号Xに含まれるポリヌクレオチド配列によりコードさ
れるポリペプチド、および/またはcDNAプラスミドZに含まれるcDNAに
よりコードされるポリペプチド)のアミノ酸配列のカルボキシ末端由来の、1つ
以上の残基を有するポリペプチドを、さらに提供する。特に、C末端の欠失は、
一般式1−nによって記載され得、ここでnは、6〜q−1の範囲の任意の全整
数であり、そしてここでnは、本発明のポリペプチドにおけるアミノ酸残基の位
置に対応する。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本
発明により含まれる。
【0169】 さらに、上記のN末端またはC末端の欠失のいずれかを組み合わせて、N末端
およびC末端欠失型ポリペプチドを産生し得る。本発明はまた、アミノ末端およ
びカルボキシ末端の両方から欠失した1つ以上のアミノ酸を有するポリペプチド
を提供し、このポリペプチドは、一般的に、配列番号X(例えば、配列番号Yと
して開示される好ましいポリペプチドを含むが、これらに限定されない)および
/またはcDNAプラスミドZ中のcDNA、ならびに/あるいはそれらの相補
鎖によってコードされるポリペプチドの、残基m−nを有するとして記載され得
、ここでnおよびmは、上記のような整数である。これらのポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
【0170】 配列番号Yのポリペプチドに含まれる任意のポリペプチド配列、配列番号Xと
して記載されるポリヌクレオチド配列によってコードされる任意のポリペプチド
配列、またはcDNAプラスミドZ中のcDNAによってコードされる任意のポ
リペプチド配列は、そのポリペプチドの特定の好ましい領域を決定するために、
分析され得る。例えば、配列番号XまたはcDNAプラスミドZ中のcDNAの
ポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、D
NASTARコンピュータアルゴリズム(DNASTAR,Inc.,1228
S.Park St.,Madison,WI 53715 USA;htt
p://www.dnastar.com/)のデフォルトパラメーターを使用
して、分析され得る。
【0171】 DNASTARコンピューターアルゴリズムを使用して慣用的に得られ得るポ
リペプチドの領域としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:Ga
rnier−Robsonのα−領域、β−領域、ターン領域、およびコイル領
域、Chou−Fasmanのα−領域、β−領域、およびターン領域、Kyt
e−Doolittleの親水性領域および疎水性領域、Eisenbergの
α−両親媒性領域およびβ−両親媒性領域、Karplus−Schulzの可
撓性領域、Eminiの表面形成領域ならびに高い抗原性指標のJameson
−Wolfの領域。この点で、本発明の非常に好ましいポリヌクレオチドの中に
、いくつかの構造的特徴(例えば、上記の特徴のいくつか(例えば、1、2、3
または4))と組み合わされる領域を含むポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドがある。
【0172】 さらに、Kyte−Doolittle親水性領域および疎水性領域、Emi
ni表面形成領域、ならびに高い抗原性指標のJameson−Wolf領域(
すなわち、Jameson−Wolfプログラムのデフォルトパラメターを使用
して同定されるような、1.5以上の抗原性指標を有する、4つ以上の連続する
アミノ酸を含む)を慣用的に使用して、抗原性に対する高い程度の可能性を示す
ポリペプチドの領域を決定し得る。高い抗原性の領域は、免疫応答の開始プロセ
スにおいて、抗原認識が生じ得る環境中のポリペプチドの表面上に曝されるよう
であるポリペプチドの領域を表す値を選択することによって、DNASTAR分
析によるデータから決定される。
【0173】 本発明の好ましいポリペプチドフラグメントは、そのアミノ酸配列がフラグメ
ントであるポリペプチド配列の、機能的活性(例えば、生物学的活性)を示すア
ミノ酸配列を含むか、またはあるいは、これらからなるフラグメントである。「
機能的活性」を示すポリペプチドとは、全長タンパク質と関連した1つ以上の公
知の機能的活性(例えば、前述のような、生物学的活性、抗原性、免疫原性、お
よび/または多量体化のような)を示し得るポリペプチドを意味する。
【0174】 他の好ましいポリペプチドフラグメントは、生物学的に活性なフラグメントで
ある。生物学的に活性なフラグメントとは、本発明のポリペプチドの活性に対し
て、類似する活性を示すフラグメントであるが、同一である必要はない。このフ
ラグメントの生物学的活性は、改善された所望の活性、または低下した望ましく
ない活性を含み得る。
【0175】 好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号Yのポリペプ
チドの1、2、3、4、5またはそれ以上の抗原性フラグメントか、またはその
部分を含むか、またはあるいはそれらからなる。これらのポリペプチドをコード
するポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
【0176】 本発明は、配列番号Yに示されるポリペプチド配列のエピトープ、またはcD
NAプラスミドZ中のcDNAによりコードされるポリペプチド配列のエピトー
プ、あるいは前述で定義されるように、ストリンジェントなハイブリダイゼーシ
ョン条件下またはより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下
で、配列番号Xのエピトープコード配列またはcDNAプラスミドZに含まれる
エピトープコード配列の相補鎖にハイブリダイズする、ポリヌクレオチドによっ
てコードされるポリペプチド配列のエピトープを含むか、またはあるいは、それ
らからなる、ポリペプチドを含む。本発明はさらに、本発明のポリペプチド配列
のエピトープをコードするポリヌクレオチド配列(例えば、配列番号Xに開示さ
れる配列のような)、本発明のエピトープをコードするポリヌクレオチド配列の
相補鎖のポリヌクレオチド配列、および前記で定義されるように、ストリンジェ
ントなハイブリダイゼーション条件下またはより低いストリンジェンシーハイブ
リダイゼーション条件下で、この相補鎖にハイブリダイズするポリヌクレオチド
配列を含む。
【0177】 用語「エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、動物において、好ま
しくは哺乳動物において、そして最も好ましくはヒトにおいて抗原性活性または
免疫原性活性を有するポリペプチドの部分をいう。好ましい実施形態において、
本発明は、エピトープを含むポリペプチド、ならびにこのポリペプチドをコード
するポリヌクレオチドを含む。「免疫原性エピトープ」とは、本明細書中で使用
される場合、当該分野で公知の任意の方法によって決定されるような(例えば、
下記に記載される抗体を産生するための方法による)、動物における抗体応答を
誘発するタンパク質の一部として定義される(例えば、Geysenら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(198
3)を参照のこと)。用語「抗原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される
場合、当該分野で周知の任意の方法(例えば、本明細書中に記載される免疫アッ
セイによる)によって決定されるような、抗体がその抗原に免疫特異的に結合し
得るタンパク質の一部として定義される。免疫特異的結合は、非特異的結合は除
外するが、他の抗原との交差反応性を除外する必要はない。抗原性エピトープは
、免疫原性である必要はない。
【0178】 エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来の方法によって産生さ
れ得る。(例えば、Houghten,R.A.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 82:5131−5135(1985)を参照のこと。こ
れはさらに、米国特許第4,631,211号に記載される)。
【0179】 本発明においては、抗原性エピトープは、好ましくは、少なくとも4、少なく
とも5、少なくとも6、少なくとも7アミノ酸配列を含み、より好ましくは、少
なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12
、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なく
とも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50アミノ酸配列を含
み、そして最も好ましくは約15アミノ酸と約30アミノ酸との間の配列を含む
。免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含有する好ましいポリペプチド
は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55
、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ酸残基
の長さである。さらなる非排他的に好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で
開示される抗原性エピトープならびにその一部を含む。抗原性エピトープは、例
えばエピトープに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹起す
るため有用である。好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される抗原
性エピトープ、ならびに2、3、4、5またはそれ以上のこれらの抗原性エピト
ープの任意の組合わせを含む。抗原性エピトープは、イムノアッセイにおいて、
標的分子として使用され得る。(例えば、Wilsonら、Cell 37:7
67−778(1984);Sutcliffeら、Science 219:
660−666(1983)を参照のこと)。
【0180】 同様に、例えば、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導するために、免疫
原性エピトープを使用し得る。(例えば、Sutcliffeら、前出;Wil
sonら,前出;Chowら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
82:910−914;およびBittleら、J.Gen.Virol.6
6:2347−2354(1985)を参照のこと)。好ましい免疫原性エピト
ープは、本明細書で開示される免疫原性エピトープならびに2、3、4、5また
はそれ以上のこれらの免疫原性エピトープの任意の組合せを含む。1つ以上の免
疫原性エピトープを含むポリペプチドは、キャリアタンパク質(アルブミンのよ
うな)とともに動物系(ウサギまたはマウスのような)に対する抗体応答を誘発
するために提示され得、あるいはこのポリペプチドが十分に長い場合(少なくと
も約25アミノ酸)、そのポリペプチドはキャリアなしで提示され得る。しかし
、8〜10個程度の少なさのアミノ酸を含む免疫原性エピトープは、少なくとも
変性ポリペプチド中の直鎖状エピトープに結合し得る抗体を惹起するには十分で
あることが示されている(例えば、ウェスタンブロッティングにおいて)。
【0181】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体
を誘導するために使用され得、その方法としては、インビボ免疫、インビトロ免
疫、およびファージディスプレイ法が挙げられるが、それらに限定されない。例
えば、Sutcliffeら、前出;Wilsonら、前出、およびBittl
eら、J.Gen.Virol.、66:2347−2354(1985)を参
照のこと。インビボ免疫を使用する場合、遊離ペプチドを用いて動物を免疫化し
得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は、高分子キャリア(キーホールリンペット
ヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイドのような)にペプチドを結合さ
せることによりブーストされ得る。例えば、システイン残基を含むペプチドは、
マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)のよ
うなリンカーを用いてキャリアに結合され得、その一方で、他のペプチドは、よ
り一般的な結合剤(グルタルアルデヒドのような)を用いてキャリアに結合され
得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離のペプチドまたはキ
ャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、約100μgのペプチドまた
はキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントまたは免疫応答を刺激する
ことが公知である任意の他のアジュバントを含むエマルジョンを腹腔内注射およ
び/または皮内注射することにより免疫される。例えば、抗ペプチド抗体の有用
な力価を提供するために、約2週間の間隔で、数回のブースター注射が必要とさ
れ得、この抗体は、例えば、固体表面に吸着した遊離のペプチドを用いるELI
SAアッセイにより検出され得る。免疫した動物由来の血清中の抗ペプチド抗体
の力価は、抗ペプチド抗体の選択(例えば、当該分野で周知の方法に従う、固体
支持体上のペプチドへの吸着および選択された抗体の溶出による)により上昇し
得る。
【0182】 当業者が理解するように、そして上記で議論されるように、免疫原性エピトー
プおよび/またはそれらの抗原性エピトープフラグメントは、他のポリペプチド
配列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(Ig
A、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはそれらの部分(CH1、C
H2、CH3、またはそれらの任意の組み合わせおよびそれらの部分)と融合さ
れ得、これがキメラポリペプチドを生じる。このような融合タンパク質は、精製
を容易にし得、そしてインビボにおいて半減期を増加し得る。これは、例えば、
ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリ
ンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質につ
いて示された。例えば、EP394,827;Trauneckerら、Nat
ure,331:84〜86(1988)を参照のこと。免疫系に対して上皮障
害を横切る抗原の増強された送達は、IgGまたはFcフラグメントのようなF
cRc結合パートナーへ結合された抗原(例えば、インシュリン)について実証
された(例えば、PCT公開WO96/22024および同WO99/0481
3を参照のこと)。IgG部分のジスルフィド結合に起因するジスルフィド結合
二量体構造を有するIgG融合タンパク質はまた、単量体ポリペプチドまたはそ
れらのフラグメント単独よりも、他の分子の結合および中和においてより効果的
であることが見出された。例えば、Fountoulakisら,J.Bioc
hem.,270:3958−3964(1995)を参照のこと。
【0183】 同様に、EP−A−O 464 533(カナダ国対応特許第2045869
号)は、別のヒトタンパク質またはその部分とともに免疫グロブリン分子の定常
領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク
質のFc部分は、治療および診断において有益であり、従って、例えば、改良さ
れた薬物動態学的な特性を生じ得る(EP−A 0232 262)。あるいは
、融合タンパク質が発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を欠
失することが望ましい。例えば、融合タンパク質が免疫化のための抗原として使
用される場合、Fc部分は、治療および診断を妨害し得る。例えば、薬物の発見
において、hIL−5のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニスト
を同定するための高処理能力スクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と
融合されてきた(D.Bennettら、J.Molecular Recog
nition 8:52−58(1995);K.Johansonら、J.B
iol.Chem.270:9459−9471(1995)を参照のこと)。
【0184】 さらに、本発明のポリペプチドは、マーカー配列(例えば、融合されたポリペ
プチドの精製を容易にするペプチド)に融合され得る。好ましい実施形態におい
て、マーカーアミノ酸配列は、とりわけヘキサ−ヒスチジンペプチド(例えば、
pQEベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue
,Chatsworth,CA,91311)において提供されるタグ)であり
、これらの多くのマーカーアミノ酸配列が市販されている。例えば、Gentz
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(
1989)に記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の都合
の良い精製を提供する。精製のために有用な別のペプチドタグである「HA」タ
グは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する(W
ilsonら、Cell 37:767(1984))。
【0185】 従って、これら上記の融合物のいずれかは、本発明のポリヌクレオチドまたは
ポリペプチドを使用して操作され得る。
【0186】 上記のエピトープをコードする核酸はまた、エピトープタグ(例えば、赤血球
凝集素(「HA」)タグまたはフラッグ(flag)タグ)として目的の遺伝子と
組換えられ、発現されたポリペプチドの検出および精製を補助し得る。例えば、
Janknechtらによって記載される系は、ヒト細胞株中で発現される非変
性融合タンパク質の容易な精製を可能にする(Janknechtら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 88:8972−897(1991)
)。この系において、目的の遺伝子はワクシニア組換えプラスミドへサブクロー
ン化され、その結果、この遺伝子のオープンリーディングフレームが、6つのヒ
スチジン残基からなるアミノ末端タグへ翻訳時に融合される。このタグは、融合
タンパク質についての基質結合ドメインとしての機能を果たす。組換えワクシニ
アウイルスを用いて感染された細胞からの抽出物は、Ni2+ニトリロ酢酸−ア
ガロースカラム上へロードされ、そしてヒスチジンタグ化タンパク質は、イミダ
ゾール含有緩衝液を用いて選択的に溶出され得る。
【0187】 本発明のさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッ
フリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(総
称して「DNAシャッフリング」といわれる)の技術を通じて生成され得る。D
NAシャッフリングを利用して、本発明のポリペプチドの活性を調節し得、この
方法を使用することにより、改変された活性を有するポリペプチド、ならびにこ
れらのポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを生成し得る。一般には
、米国特許第5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,83
0,721号;同第5,834,252号;および同第5,837,458号、
ならびにPattenら、Curr.Opinion Biotechnol.
8:724−33(1997);Harayama,Trends Biote
chnol.16(2):76−82(1998);Hanssonら、J.M
ol.Biol.287:265−76(1999);ならびにLorenzo
およびBlasco,Biotechniques 24(2):308−13
(1998)(これらの特許および刊行物の各々が本明細書によってその全体が
参考として援用される)を参照のこと。1つの実施形態において、配列番号Xに
対応するポリヌクレオチドおよびこれらのポリヌクレオチドによってコードされ
るポリペプチドの改変は、DNAシャッフリングにより達成され得る。DNAシ
ャッフリングは、相同組換えまたは部位特異的組換えにより、ポリヌクレオチド
配列において変化を生じるように2つ以上のDNAセグメントをアセンブルする
ことを含む。別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドまたはそのコー
ドされるポリペプチドは、組換え前に、誤りがちの(error−prone)
PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法による、ランダム変異誘発に
供されることによって改変され得る。別の実施形態において、本発明のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドの1つ以上の成分、モチーフ、セクション、
部分、ドメイン、フラグメントなどは、1つ以上の異種分子の、1つ以上の成分
、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメントなどと組み換えられ得
る。
【0188】 (ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの改変体) 本発明はまた、非カップリング改変体を含む。本発明は、配列番号Xもしくは
それらに対する相補鎖および/またはcDNAプラスミドZに含まれるcDNA
配列に開示されるポリヌクレオチド配列の改変体に関する。
【0189】 本発明はまた、配列番号Yにおいて開示されるポリペプチド配列、配列番号X
のポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド配列および/またはc
DNAプラスミドZにおけるcDNAによりコードされるポリペプチド配列の改
変体を含む。
【0190】 「改変体」は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるポリ
ヌクレオチドまたはポリペプチドをいうが、それらの性質は保持する。一般的に
、改変体は、全体にわたり密接に類似し、そして多くの領域において、本発明の
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに同一である。
【0191】 従って、本発明の1つの局面は、以下からなる群から選択されるヌクレオチド
配列を有するポリヌクレオチドを含むか、またはこれらのポリヌクレオチドから
なる、単離された核酸分子を提供する:(a)配列表に示され、かつ配列番号X
またはcDNAプラスミドZにおけるcDNAに記載されるようなアミノ酸配列
を有する、非カップリングポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(b)
配列表に示され、かつ配列番号XまたはcDNAプラスミドZにおけるcDNA
に記載されるようなアミノ酸配列を有する、成熟非カップリングポリペプチドを
コードするヌクレオチド配列;(c)配列表に示され、そして配列番号Xまたは
cDNAプラスミドZにおけるcDNAに記載されるアミノ酸配列を有する非カ
ップリングポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントをコードするヌクレオ
チド配列;(d)配列表に示され、そして配列番号XまたはcDNAプラスミド
ZにおけるcDNAに記載されるアミノ酸配列を有する非カップリングポリペプ
チドの抗原性フラグメントをコードするヌクレオチド配列;(e)配列番号Xま
たはcDNAプラスミドZにおけるcDNAに含まれるヒトcDNAプラスミド
によりコードされる完全アミノ酸配列を含む非カップリングポリペプチドをコー
ドするヌクレオチド配列;(f)配列番号XまたはcDNAプラスミドZにおけ
るcDNAに含まれるヒトcDNAプラスミドによりコードされるアミノ酸配列
を有する成熟非カップリングポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(g
)配列番号XまたはcDNAプラスミドZにおけるcDNAに含まれるヒトcD
NAプラスミドによりコードされるアミノ酸配列を有する非カップリングポリペ
プチドの生物学的に活性なフラグメントをコードするヌクレオチド配列;(h)
配列番号XまたはcDNAプラスミドZにおけるcDNAに含まれるヒトcDN
Aプラスミドによりコードされるアミノ酸配列を有する非カップリングポリペプ
チドの免疫原性フラグメントをコードするヌクレオチド配列;(i)上記の(a
)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)または(h)におけるヌ
クレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列。
【0192】 本発明はまた、例えば、上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(
f)、(g)、(h)または(i)のヌクレオチド配列のいずれかに、少なくと
も80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または1
00%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはこれらからなる核酸分子に
関する。これらの核酸分子によりコードされるポリペプチドはまた、本発明によ
り含まれる。別の実施形態では、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼ
ーション条件下で、あるいは低ストリンジェンシー条件下で、上記の(a)、(
b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)または(i)における
ポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、あるいはこれ
らからなる核酸分子を含む。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
、あるいは低ストリンジェンシー条件下で、これらの核酸分子の相補鎖にハイブ
リダイズするポリヌクレオチドもまた、これらのポリヌクレオチドによりコード
されるポリペプチドと同様に、本発明により含まれる。
【0193】 本発明の別の局面は、以下からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有す
るポリヌクレオチドを含むか、あるいはこれらからなる、単離された核酸分子を
提供する:(a)配列表において示され、かつ表1に記載されるようなアミノ酸
配列を有する非カップリングポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(b
)配列表において示され、かつ表1に記載されるようなアミノ酸配列を有する成
熟非カップリングポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(c)配列表に
おいて示され、かつ表1に記載されるアミノ酸配列を有する非カップリングポリ
ペプチドの生物学的に活性なフラグメントをコードするヌクレオチド配列;(d
)配列表において示され、かつ表1に記載されるアミノ酸配列を有する非カップ
リングポリペプチドの抗原性フラグメントをコードするヌクレオチド配列;(e
)ACTT寄託物に含まれ、かつ表1に記載されるcDNAプラスミドのヒトc
DNAによりコードされる完全アミノ酸配列を含む非カップリングポリペプチド
をコードするヌクレオチド配列;(f)ACTT寄託物に含まれ、かつ表1に記
載されるcDNAプラスミドのヒトcDNAによりコードされるアミノ酸配列を
含む成熟非カップリングポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(g)A
CTT寄託物に含まれ、かつ表1に記載されるcDNAプラスミドのヒトcDN
Aによりコードされるアミノ酸配列を有する非カップリングポリペプチドの生物
学的に活性なフラグメントをコードするヌクレオチド配列;(h)ACTT寄託
物に含まれ、かつ表1に記載されるcDNAプラスミドのヒトcDNAによりコ
ードされるアミノ酸配列を有する非カップリングポリペプチドの抗原性フラグメ
ントをコードするヌクレオチド配列;(i)上記の(a)、(b)、(c)、(
d)、(e)、(f)、(g)または(h)におけるヌクレオチド配列のいずれ
かに相補的なヌクレオチド配列。
【0194】 本発明はまた、例えば、上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(
f)、(g)、(h)または(i)のヌクレオチド配列のいずれかに、少なくと
も80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または1
00%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはこれらからなる核酸分子に
関する。これらの核酸分子によりコードされるポリペプチドはまた、本発明によ
り含まれる。別の実施形態では、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼ
ーション条件下で、あるいは低ストリンジェンシー条件下で、上記の(a)、(
b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)または(i)における
ポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むか、またはこれ
らからなる核酸分子を含む。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
、または低ストリンジェンシー条件下で、これらの核酸分子の相補鎖にハイブリ
ダイズするポリヌクレオチドもまた、これらのポリヌクレオチドによりコードさ
れるポリペプチドと同様に、本発明により包まれる。
【0195】 本発明はまた、例えば、配列番号Yに示されるポリペプチド配列、配列番号X
のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド配列、cDNAプラスミド
ZのcDNAによりコードされるポリペプチド配列、および/またはこれらのポ
リペプチドのいずれかのポリペプチドフラグメント(例えば、本明細書中に記載
される、フラグメント)に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%
、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、あ
るいはこれらからなるポリペプチドに関する。ストリンジェントなハイブリダイ
ゼーション条件下、あるいは低ストリンジェンシー条件下で、これらのポリペプ
チドをコードする核酸分子の相補鎖にハイブリダイズするポリヌクレオチドもま
た、これらのポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと同様に、本発
明により含まれる。
【0196】 本発明の参照ヌクレオチド配列に、例えば、少なくとも95%「同一」である
ヌクレオチド配列を有する核酸によって、核酸のヌクレオチド配列が、ヌクレオ
チド配列がポリぺプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオ
チドあたり5つまでの点変異を含み得ることを除いて、参照配列に対して同一で
あることを意図する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも9
5%同一のヌクレオチド配列を有する核酸を得るために、参照配列のヌクレオチ
ドの5%までが、欠失され得るか、または別のヌクレオチドで置換され得るか、
または参照配列中の総ヌクレオチドの5%までの多数のヌクレオチドが参照配列
中に挿入され得る。問い合わせ(query)配列は、表1に示される配列全体
、ORF(オープンリーディングフレーム)、または本明細書中で記載されるよ
うに特定される任意のフラグメントであり得る。
【0197】 実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリぺプチドが、本発明のヌク
レオチド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログ
ラムを使用して従来的に決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象
配列との間の最も良好な全体的な適合性(全体的な配列整列ともいわれる)を決
定するための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App.Bios
ci.6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDB
コンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合
わせ配列および対象配列は、両方ともにDNA配列である。RNA配列は、Uか
らTに変換することによって比較され得る。この全体的な配列整列の結果は、同
一性パーセント(%)で示される。同一性パーセントを算定するためにDNA配
列のFASTDB整列において使用される好ましいパラメーターは:Matri
x=Unitary、k−tuple=4、Mismatch Penalty
=1、Joining Penalty=30、Randomization
Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap Pe
nalty=5、Gap Size Penalty 0.05、Window
Size=500または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらかより短い方)
である。
【0198】 対象配列が、5’または3’欠失のために(内部欠失のためではなく)問い合
わせ配列より短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならない。こ
れは、同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログラムが対象配列
の5’および3’切断を考慮しないからである。5’末端または3’末端で切断
される対象配列について、問い合わせ配列に対して、同一性パーセントは、問い
合わせ配列の総塩基のパーセントとして一致/整列されない対象配列の5’およ
び3’である問い合わせ配列の塩基の数を計算することによって補正される。ヌ
クレオチドが一致/整列されるか否かは、FASTDB配列整列の結果によって
決定される。次いで、このパーセントは、同一性パーセントから差し引かれ、特
定のパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラムによって算定され、最
終的な同一性パーセントのスコアに到達する。この補正されたスコアが、本発明
の目的に使用されるものである。FASTDB整列によって示されるように、問
い合わせ配列と一致/整列されない、対象配列の5’および3’塩基の外側の塩
基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的で算定される。
【0199】 例えば、90塩基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために100塩
基の問い合わせ配列に整列される。欠失は、対象配列の5’末端で生じ、従って
、FASTDB整列は、5’末端の最初の10塩基で一致/整列を示さない。1
0個の不対合塩基は、配列の10%(一致していない5’および3’末端での塩
基の数/問い合わせ配列の塩基の総数)を表し、そのため10%は、FASTD
Bプログラムによって算定される同一性パーセントのスコアから差し引かれる。
残りの90塩基が完全に一致する場合は、最終的な同一性パーセントは90%で
ある。別の例では、90塩基の対象配列が、100塩基の問い合わせ配列と比較
される。この場合、欠失は、内部欠失であり、その結果、問い合わせと一致/整
列しない対象配列の5’または3’に塩基が存在しない。この場合、FASTD
Bによって算定される同一性パーセントは手動で補正されない。再び、問い合わ
せ配列と一致/整列しない対象配列の5’および3’の塩基のみが手動で補正さ
れる。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0200】 本発明の問い合わせアミノ酸配列に、例えば、少なくとも95%「同一」であ
るアミノ酸配列を有するポリぺプチドにより、対象ポリペプチドのアミノ酸配列
は、対象ポリぺプチド配列が、問い合わせアミノ酸配列の各100個のアミノ酸
あたり5つまでのアミノ酸の変更を含み得ることを除いて、問い合わせ配列に同
一であることが意図される。換言すれば、問い合わせアミノ酸配列に少なくとも
95%同一であるアミノ酸配列を有するポリぺプチドを得るために、対象配列に
おけるアミノ酸残基の5%までが、挿入、欠失、(消えない(indels))
または別のアミノ酸で置換され得る。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸
配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端位置で生じ得るか、またはそれらの末
端位置の間のどこにでも生じ得、参照配列中の残基間で個々に、または参照配列
内の1つ以上の連続する群においてのいずれかで、散在される。
【0201】 実際問題として、任意の特定のポリぺプチドが、例えば、表1に示されるアミ
ノ酸配列もしくはそれらのフラグメントに対して、または配列番号Xのヌクレオ
チド配列によりコードされるアミノ酸配列もしくはそれらのフラグメントに対し
て、またはcDNAプラスミドZのcDNAによりコードされるアミノ酸配列に
対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%
、または99%同一であるか否かは、従来的に、公知のコンピュータープログラ
ムを使用して決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象配列との間
での最良の全体的な一致(全体的配列整列としても参照される)を決定するため
の好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App.Biosci.6:
237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュー
タープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合わせ配列お
よび対象配列は、両方ともヌクレオチド配列であるかまたは両方ともアミノ酸配
列であるかのいずれかである。上記の全体的配列整列の結果は、同一性パーセン
トで示される。FASTDBアミノ酸整列に用いられる好ましいパラメーターは
:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Pen
alty=1、Joining Penalty=20、Randomizat
ion Group Length=0、Cutoff Score=1、Wi
ndow Size = 配列の長さ、Gap Penalty=5、Gap
Size Penalty = 0.05、Window Size=500ま
たは対象アミノ酸配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0202】 対象配列が、N末端またはC末端欠失により(内部の欠失のためではなく)問
い合わせ配列よりも短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならな
い。これは、FASTDBプログラムが、全体的な同一性パーセントを算定する
場合に、対象配列のN末端切断およびC末端切断を考慮しないからである。N末
端およびC末端で短縮されている対象配列について、問い合わせ配列に対して、
同一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、対応する対
象残基と一致/整列しない、対象配列のN末端およびC末端である問い合わせ配
列の残基の数を計算することによって補正される。残基が一致/整列されている
か否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパー
セントは、同一性パーセントから差し引かれ、上記のFASTDBプログラムに
よって特定のパラメーターを使用して計算され、最終的な同一性パーセントのス
コアに到達する。この最終的な同一性パーセントのスコアは、本発明の目的で使
用されるものである。問い合わせ配列と一致/整列していない対象配列のN末端
およびC末端側の残基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的
のために考慮される。すなわち、問い合わせ残基位置のみが、対象配列の最も遠
いN末端およびC末端残基の外側に位置する。
【0203】 例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために
100残基の問い合わせ配列に整列される。欠失は、対象配列のN末端で生じ、
従って、FASTDB整列は、N末端の最初の10残基で一致/整列を示さない
。10個の不対合残基は、配列の10%(一致していないNおよびC末端での残
基の数/問い合わせ配列の残基の総数)を表し、そのため10%は、FASTD
Bプログラムによって算定される同一性パーセントのスコアから差し引かれる。
残りの90残基が完全に一致する場合は、最終的な同一性パーセントは90%で
ある。別の例では、90残基の対象配列が、100残基の問い合わせ配列と比較
される。この場合、欠失は、内部欠失であり、その結果、問い合わせと一致/整
列しない対象配列のNまたはCに残基が存在しない。この場合、FASTDBに
よって算定される同一性パーセントは手動で補正されない。再び、問い合わせ配
列と一致/整列しない対象配列のNおよびC末端の外側の残基部分のみが手動で
補正される。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0204】 改変体は、コード領域、非コード領域、またはその両方における変化を含み得
る。特に好ましいものは、サイレントな置換、付加、または欠失を生成するが、
コードされるポリぺプチドの特性または活性を変化させない変化を含むポリヌク
レオチド改変体である。遺伝コードの縮重に起因するサイレントな置換によって
生成されるヌクレオチド改変体が、好ましい。さらに、任意の組合せにおいて、
50未満、40未満、30未満、20未満、10未満、または5〜50、5〜2
5、5〜10、1〜5、もしくは1〜2アミノ酸が置換、欠失、または付加され
る改変体もまた、好ましい。ポリヌクレオチド改変体は、種々の理由(例えば、
特定の宿主についてのコドン発現を至適化する(ヒトmRNAにおけるコドンを
、E.coliのような細菌宿主によって好ましいコドンに変化させる))のた
めに、生成され得る。
【0205】 天然に存在する改変体は、「対立遺伝子改変体」と呼ばれ、そして生物の染色
体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替の形態のうちの1つを
いう。(Genes II、Lewin,B.,編 John Wiley &
Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子改変体は、
ポリヌクレオチドレベルおよび/またはポリぺプチドレベルのいずれかで変化し
得、そして本発明に含まれる。あるいは、天然に存在しない改変体は、変異誘発
技術によってまたは直接的な合成によって生成され得る。
【0206】 タンパク質工学および組換えDNA技術の公知の方法を使用して、改変体は、
本発明のポリぺプチドの特性を改善または変化させるために作製され得る。例え
ば、本明細書中で議論されるように、1つ以上のアミノ酸は、生物学的機能の実
質的な欠損を伴わずに、本発明のポリペプチドのN末端またはC末端から欠失さ
れ得る。Ronら、J.Biol.Chem.268:2984−2988(1
993)の著者らは、3、8、または27個のアミノ末端のアミノ酸残基を欠失
させた後でさえもヘパリン結合活性を有する改変体KGFタンパク質を報告した
。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8〜1
0個のアミノ酸残基を欠失させた後、10倍までのより高い活性を示した(Do
beliら、J.Biotechnology 7:199−216(1988
))。
【0207】 さらに、豊富な証拠は、改変体が、天然に存在するタンパク質の生物学的活性
に類似する活性をしばしば保持することを実証する。例えば、Gayleおよび
共同研究者ら(J.Biol.Chem 268:22105−22111(1
993))は、ヒトサイトカインIL−1aの広範囲にわたる変異分析を行った
。彼らは、ランダムな変異誘発を使用して、分子の全長にわたって改変体当たり
平均2.5アミノ酸の変化になる、3,500個を超える個々のIL−1a変異
体を作製した。複数の変異が、全ての潜在的なアミノ酸の位置で試験された。こ
の研究者らは、「分子の大部分は、[結合活性または生物学的活性]のいずれに
対してもほとんど影響を伴わないで変化され得る」ことを見出した。(要約を参
照のこと)。実際、試験された3,500個を超えるヌクレオチド配列のうち、
わずか23個の独特なアミノ酸配列が、野生型と活性が有意に異なるタンパク質
を生成した。
【0208】 さらに、本明細書中で議論されるように、ポリぺプチドのN末端またはC末端
からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、1つ以上の生物学的機能の改変または欠失
を生じたとしても、他の生物学的活性はなお保持され得る。例えば、分泌される
形態を認識する抗体を誘導および/または結合する、欠失改変体の能力は、分泌
される形態の大多数より少ない残基が、N末端またはC末端から除去される場合
に保持されるようである。タンパク質のN末端またはC末端残基を欠損する特定
のポリぺプチドが、このような免疫原性活性を保持するか否かは、本明細書中に
記載される慣用的な方法、およびそうでなければ当該分野において公知の慣用的
な方法によって容易に決定され得る。
【0209】 従って、本発明はさらに、本発明のポリペプチドの機能的活性(例えば、生物
学的活性)を示すポリぺプチド改変体を含み、これらは、本発明のポリペプチド
の改変体である。このような改変体としては、活性に対する影響をほとんど有さ
ないように、当該分野において公知の一般的な法則に従って選択される、欠失、
挿入、逆位、反復、および置換が挙げられる。
【0210】 本出願は、本明細書中に開示される核酸配列(例えば、N末端および/または
C末端の欠失を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする)に対し
て、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%または100%同一な核酸分子に関し、これらが機能的活性を有するポリぺ
プチドをコードするか否かに拘らない。これはなぜなら、特定の核酸分子が機能
的活性を有するポリぺプチドをコードしない場合でさえ、当業者は、核酸分子を
、例えば、ハイブリダイゼーションプローブまたはポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)プライマーとしてどのように使用するかを理解するからである。機能的活性
を有するポリぺプチドをコードしない本発明の核酸分子の使用としては、とりわ
け、以下が挙げられる:(1)cDNAライブラリー中の遺伝子またはその対立
遺伝子改変体あるいはそのスプライス改変体の単離;(2)遺伝子の正確な染色
体位置を提供するための、分裂中期染色体スプレッドへのインサイチュハイブリ
ダイゼーション(例えば、「FISH」)(Vermaら,Human Chr
omosomes:A Manual of Basic Technique
s,Pergamon Press,New York(1988)に記載され
る);および(3)特定の組織におけるmRNA発現を検出するためのノーザン
ブロット分析。
【0211】 しかし、本明細書中で開示される核酸配列に対して、少なくとも80%、85
%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であ
る配列を有する核酸分子が好ましく、これらは事実、本発明のポリペプチドの機
能的活性を有するポリぺプチドをコードする。
【0212】 当然のことながら、遺伝コードの縮重に起因して、当業者は、例えば、cDN
Aプラスミド:Z中のcDNAの核酸配列、表1に示される核酸配列(配列番号
X)またはそれらのフラグメントに対して、少なくとも80%、85%、90%
、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一な配列を有する
多くの核酸分子が、「機能的活性を有する」ポリぺプチドをコードすることを即
座に認識する。事実、これらのヌクレオチド配列の任意の縮重改変体は全て、同
じポリぺプチドをコードするので、このことは、多くの場合、たとえ上記した比
較アッセイを行わなくても当業者にとって明らかである。縮重改変体ではない核
酸分子に関しては、その相当数がまた、機能的活性を有するポリぺプチドをコー
ドすることが、当該分野においてさらに認識される。これはなぜなら、以下にさ
らに記載されるように、当業者は、タンパク質機能にあまり有意に影響を及ぼし
そうにないか、または有意に影響を及ぼしそうにないかのいずれかのアミノ酸置
換(例えば、ある脂肪族アミノ酸を第二の脂肪族アミノ酸と置換する)を十分に
認識しているからである。
【0213】 例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換の作製方法に関するガイダンス
が、Bowieら,「Deciphering the Message in
Protein Sequence:Tolerance to Amino
Acid Substitutions」,Science 247:130
6−1310(1990)に提供され、ここで、著者らは変化に対するアミノ酸
配列の寛容性を研究するための2つの主要なストラテジーがあることを指摘する
【0214】 第1のストラテジーは、進化の過程の間の自然の選択によるアミノ酸置換の寛
容を利用する。異なる種におけるアミノ酸配列を比較することによって、保存さ
れるアミノ酸が同定され得る。これらの保存されるアミノ酸は、タンパク質の機
能について重要であるようである。対照的に、置換が自然の選択によって寛容さ
れたアミノ酸の位置は、これらの位置がタンパク質の機能に重要ではないことを
示す。従って、アミノ酸置換を寛容する位置は改変され得るが、タンパク質の生
物学的活性をなおも維持する。
【0215】 第2のストラテジーは、タンパク質機能に重要な領域を同定するために、クロ
ーン化された遺伝子の特定の位置でアミノ酸変化を導入するための遺伝子工学を
使用する。例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発(
分子中の全ての残基で1つのアラニン変異の導入)が、使用され得る。(Cun
ninghamおよびWells,Science 244:1081−108
5(1989))。次いで、得られた変異分子は生物学的活性について試験され
得る。
【0216】 著者らが言及するように、これらの2つのストラテジーは、タンパク質がアミ
ノ酸置換に驚くほど寛容であることを明らかにした。著者らはさらに、どのアミ
ノ酸変化が、タンパク質中の特定のアミノ酸位置で許容されるようであるかを示
す。例えば、(タンパク質の三次構造内に)ほとんど埋もれているアミノ酸残基
は、非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は、一般にほとんど保存されな
い。さらに、寛容される保存的なアミノ酸置換は、脂肪族または疎水性アミノ酸
のAla、Val、Leu、およびIleの置換;ヒドロキシル残基のSerお
よびThrの置換;酸性残基のAspおよびGluの置換;アミド残基のAsn
およびGlnの置換、塩基性残基のLys、Arg、およびHisの置換;芳香
族残基のPhe、Tyr、およびTrpの置換、ならびに小さなサイズのアミノ
酸のAla、Ser、Thr、Met、およびGlyの置換を含む。保存的なア
ミノ酸置換に加えて、本発明の改変体は、(i)1つ以上の非保存的なアミノ酸
残基との置換、ここでは置換されるアミノ酸残基は、遺伝コードによってコード
されるアミノ酸残基であってもよく、もしくはそうでなくてもよい、または(i
i)置換基を有する1つ以上のアミノ酸残基での置換、または(iii)別の化
合物(例えば、ポリぺプチドの安定性および/もしくは可溶性を増加するための
化合物(例えば、ポリエチレングリコール))との成熟ポリぺプチドの融合、ま
たは(iv)さらなるアミノ酸(例えば、IgG Fc融合領域ペプチド、また
はリーダーもしくは分泌配列、または精製を容易にする配列)とのポリぺプチド
の融合を含む。このような改変体ポリぺプチドは、本明細書中の教示から、当業
者の範囲内であると考えられる。
【0217】 例えば、他の荷電されたアミノ酸または中性のアミノ酸での荷電されたアミノ
酸のアミノ酸置換を含むポリぺプチド改変体は、改善された特性(例えば、より
少ない凝集性)を有するタンパク質を生成し得る。薬学的処方物の凝集は、凝集
体の免疫原活性に起因して、活性の減少およびクリアランスの増加の両方をもた
らす。(Pinckardら、Clin.Exp.Immunol.2:331
−340(1967);Robbinsら、Diabetes 36:838−
845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Therapeu
tic Drug Carrier Systems 10:307−377(
1993))。
【0218】 本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、50
アミノ酸置換を超えず、さらにより好ましくは、40アミノ酸置換を超えず、な
おより好ましくは、30アミノ酸置換を超えず、そしてなおさらにより好ましく
は、20アミノ酸置換を超えないアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸
配列を含むポリペプチドに関する。当然のことながら、ポリペプチドに関して、
配列番号Yのポリペプチドのアミノ酸配列、配列番号Xによってコードされるア
ミノ酸配列、および/または好ましさの増大する順番に、少なくとも1つのアミ
ノ酸置換を含むが、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1アミノ酸
置換を超えないcDNAプラスミド:ZにおけるcDNAによってコードされる
アミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有することが非常に好ましい。特定の実施形
態において、配列番号Yのアミノ酸配列またはそのフラグメント(例えば、本明
細書に記載の成熟形態および/または他のフラグメント)、配列番号Xによって
コードされるアミノ酸配列またはそのフラグメント、および/またはcDNAプ
ラスミド:Zによってコードされるアミノ酸配列またはそのフラグメントにおけ
る付加、置換、および/または欠失の数は、1〜5、5〜10、5〜25、5〜
50、10〜50、または50〜150であり、保存的アミノ酸置換が好ましい
。本明細書中で議論されるように、本発明の任意のポリペプチドが、融合タンパ
ク質を生成するために使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドが、第2の
タンパク質に融合する場合、抗原タグとして使用され得る。本発明のポリペプチ
ドに対して惹起される抗体が使用され、ポリペプチドと結合することにより、第
2のタンパク質を間接的に検出し得る。さらに、分泌タンパク質は、トラフィッ
キング(trafficking)シグナルに基づいて、細胞の位置を標的化す
るので、分泌されることが示される本発明のポリペプチドは、一旦他のタンパク
質と融合される標的分子として使用され得る。
【0219】 本発明のポリペプチドに融合され得るドメインの例は、異種シグナル配列だけ
ではなく、他の異種機能的領域を含む。この融合は、必ずしも直接的である必要
はないが、リンカー配列を介して起こり得る。
【0220】 特定の好ましい実施形態において、本発明のタンパク質は、ポリペプチドがN
および/またはC末端欠失変異体である融合タンパク質を含む。好ましい実施形
態において、この適用は、特定のN−およびC−末端欠失変異体のアミノ酸配列
を有するポリペプチドをコードする核酸配列に対して、少なくとも80%、85
%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核散分子
に関する。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明
に含まれる。
【0221】 さらに、融合タンパク質はまた、本発明のポリペプチドの特徴を改善するため
に操作され得る。例えば、さらなるアミノ酸(特に荷電アミノ酸)の領域は、宿
主細胞からの精製の間、または連続した操作および保存の間に、安定性および持
続性を改善するために、ポリペプチドのN末端に付加され得る。また、ペプチド
部分が、精製を容易にするためにポリペプチドに付加され得る。このような領域
は、ポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。ポリペプチドの操作を容易に
するためのペプチド部分の付加は、当該分野で精通し、そして慣用的な技術であ
る。
【0222】 当業者に理解されるように、本発明のポリペプチドおよび上記のこれらのエピ
トープ保有フラグメントは、異種ポリペプチド配列と組み合わされ得る。例えば
、本発明のポリペプチドは、異種ポリペプチド配列と融合され得、例えば、本発
明のポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定
常ドメインまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、およびそれらの任意
の組み合わせ(ドメイン全体およびそれらの部分の両方を含む))と融合され得
、キメラポリペプチドを生じる。これらの融合タンパク質は、精製を容易にし、
そしてインビボにおいて増加した半減期を示す。報告例は、ヒトCD4ポリペプ
チドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖
の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記載する。(EP A
394,827;Trauneckerら、Nature,331:84−8
6(1988)。)IgG部分に起因してジスルフィド連結二量体構造を有する
融合タンパク質はまた、単量体タンパク質またはタンパク質フラグメント単独よ
りも、他の分子の結合および中和においてより効果的であり得る。(Fount
oulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(19
95)。) (ベクター、宿主細胞、およびタンパク質生成) 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、宿主細胞、および
組換え技術によるポリペプチドの生成に関する。ベクターは、例えば、ファージ
ベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、またはレトロウイルスベク
ターであり得る。レトロウイルスベクターは、複製能があるかまたは複製欠損で
あり得る。後者の場合、ウイルス増殖は、一般に、相補的な宿主細胞においての
み起こる。
【0223】 本発明のポリヌクレオチドは、宿主における増殖のために、選択マーカーを含
むベクターに連結され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム
沈澱のような沈澱、または荷電した脂質との複合体において導入される。このベ
クターがウイルスである場合、適切なパッケージング細胞株を使用してインビト
ロでパッケージングされ得、次いで宿主細胞に形質導入され得る。
【0224】 そのポリヌクレオチドインサートは、例えば、いくつかの名前を挙げると、フ
ァージλPLプロモーター、E.coli lac、trp、phoA、および
tacプロモーター、SV40初期および後期プロモーター、ならびにレトロウ
イルスLTRのプロモーターなどのような、適切なプロモーターに作動可能に連
結されるべきである。他の適切なプロモーターは、当業者に公知である。発現構
築物は、転写開始のための部位、転写終結のための部位、および転写された領域
において翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含む。構築物によって発現さ
れる転写物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるポリペプチドの始めの翻訳
開始コドンおよび翻訳されるポリペプチドの最後に適切に位置する終結コドン(
UAA、UGAまたはUAG)を含む。
【0225】 示されたように、発現ベクターは、好ましくは、少なくとも1つの選択マーカ
ーを含む。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養についてはジヒドロ
葉酸レダクターゼ、G418、またはネオマイシン耐性、ならびにE.coli
および他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイ
シン耐性遺伝子、またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。適切な宿主の代
表的な例としては、細菌細胞(例えば、E.coli細胞、Streptomy
ces細胞、およびSalmonella typhimurium細胞);酵
母細胞のような真菌細胞(例えば、Saccharomyces cerevi
siaeまたはPichia pastoris(ATCC受託番号20117
8));昆虫細胞(例えば、Drosophila S2細胞およびSpodo
ptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、29
3細胞、およびBowesメラノーマ細胞);ならびに植物細胞が挙げられるが
、これらに限定されない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は
当該分野で公知である。
【0226】 細菌における使用に好ましいベクターには、pQE70、pQE60、および
pQE−9(QIAGEN,Inc.から入手可能);pBluescript
ベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pN
H18A、pNH46A(Stratagene Cloning Syste
ms,Inc.から入手可能);ならびにptrc99a、pKK223−3、
pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia Biot
ech,Inc.から入手可能)が含まれる。好ましい真核生物ベクターの中に
は、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG(S
tratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSG
およびpSVL(Pharmaciaから入手可能)が含まれる。酵母系での使
用のための、好ましい発現ベクターとしては、pYES2、pYD1、pTEF
1/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZα、pP
IC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K
、pPIC9K、およびPAO815(全てInvitrogen,Carlb
ad,CAから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な
ベクターは、当業者に容易に明らかである。
【0227】 宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DE
AE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフ
ェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によって
もたらされ得る。このような方法は、多くの標準的研究室マニュアルに記載され
ている(例えば、Davisら、Basic Methods In Mole
cular Biology(1986))。本発明のポリペプチドは、組換え
ベクターを欠如する宿主細胞により実際に発現され得ることが具体的に意図され
る。
【0228】 本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、酸抽
出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマ
トグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグ
ラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマ
トグラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収され、そして
精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)
が精製のために用いられる。
【0229】 本発明のポリペプチドはまた、以下から収集され得る:天然の供給源からの精
製産物(直接的に単離されたか、または培養されたかのいずれにせよ、体液、組
織、および細胞を含む);化学合成手順の産物;および原核生物宿主または真核
生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳
動物細胞を含む)から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順にお
いて用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されて
いてもよく、またはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリ
ペプチドはまた、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、改変された
開始メチオニン残基を含み得る。従って、翻訳開始コドンによってコードされて
いるN末端メチオニンは、一般的に、すべての真核生物細胞において翻訳後に任
意のタンパク質から高い効率で除去されることが当該分野において周知である。
大部分のタンパク質上のN末端メチオニンはまた、大部分の原核生物において効
率的に除去されるが、いくつかのタンパク質では、この原核生物の除去プロセス
は、N末端メチオニンが共有結合しているアミノ酸の性質に依存して、非効率的
である。
【0230】 1つの実施形態において、酵母Pichia pastorisを使用して、
真核生物系において本発明のポリぺプチドを、発現する。Pichia pas
torisは、メチロトローフ酵母であり、その唯一の炭素源としてメタノール
を代謝し得る。メタノール代謝経路における主な工程は、O2を使用するホルム
アルデヒドへのメタノールの酸化である。この反応は、酵素アルコールオキシダ
ーゼにより触媒される。それの唯一の炭素源としてメタノールを代謝するために
、Pichia pastorisは、O2に対するアルコールオキシダーゼの
比較的低い親和性に一部起因して、アルコールオキシダーゼを高レベルで産生し
なければならない。従って、主な炭素源としてメタノールに依存する増殖培地に
おいて、2つのアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOX1)のうちの1つのプロ
モーター領域は非常に活性型である。メタノールの存在下で、AOX1遺伝子か
ら産生されるアルコールオキシダーゼは、Pichia pastoris中の
全可溶性タンパク質の約30%までを構成する。Ellis,S.Bら、Mol
.Cell.Biol.5:1111−21(1985);Koutz,P.J
ら、Yeast 5:167−77(1989);Tschopp,J.F.ら
、Nucl.Acids Res.15:3859−76(1987)を参照の
こと。従って、例えば、全てまたは一部のAOX1調節配列の転写調節下で、本
発明のポリヌクレオチドのような異種コード配列は、メタノール存在下で生育さ
れたPichia酵母中に例外的に高レベルで発現される。
【0231】 1つの実施例において、本明細書中に記載されたように、プラスミドベクター
pPIC9Kを使用して、Pichia酵母系(「Pichia Protoc
ols:Methods in Molecular Biology」,D.
R.HigginsおよびJ.Cregg編、The Humana Pres
s,Totowa,NJ,1998に基本的に記載されたように)において本発
明のポリペプチドをコードするDNAを発現する。この発現ベクターは、マルチ
クローニング部位の上流に位置するPichia pastorisアルカリホ
スファターゼ(PHO)分泌シグナルペプチド(すなわち、リーダー)に連結さ
れた強力なAOX1プロモーターの効果により本発明のポリぺプチドの発現およ
び分泌を可能にする。
【0232】 多くの他の酵母ベクターが、当業者が容易に理解するように、提案された発現
構築物が転写、翻訳、分泌(所望の場合)などについての適切に配置されたシグ
ナル(必要な場合インフレームAUGを含む)を提供する限りは、pPIC9K
の代わりに使用され得、そのようなベクターは、例えば、pYES2、pYD1
、pTEF1/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAP
Zα、pPIC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−S1、pPI
C3.5K、およびPAO815である。
【0233】 別の実施形態において、例えば、本発明のポリヌクレオチドのような異種コー
ド配列の高レベル発現は、発現ベクター(例えば、pGAPZまたはpGAPZ
αのような)に本発明の異種ポリヌクレオチドをクローニングすることならびに
メタノール非存在下での酵母培養物を増殖することにより達成され得る。
【0234】 本明細書において議論されるベクター構築物を含む宿主細胞を含むことに加え
て、本発明はまた、脊椎動物起源(特に、哺乳動物起源)の一次宿主細胞、二次
宿主細胞、および不死化宿主細胞を含む。これらの宿主細胞は、内因性の遺伝物
質(例えば、コード配列)を欠失または置換するように操作されており、そして
/または本発明のポリヌクレオチドと作動可能に連結された遺伝物質(例えば、
異種ポリヌクレオチド配列)を含むように操作されており、そして内因性ポリヌ
クレオチドを活性化、改変、および/または増幅する。例えば、当該分野で公知
の技術が、相同組換えを介して、異種制御領域(例えば、プロモーターおよび/
またはエンハンサー)および内因性ポリヌクレオチド配列を作動可能に連結する
ために使用され得る(例えば、1997年6月24日に発行された米国特許第5
,641,670号;1996年9月26日に公開された国際公開第WO 96
/29411号;1994年8月4日に公開された国際公開第WO 94/12
650;Kollerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
6:8932−8935(1989);およびZijlstraら,Natur
e 342:435−438(1989)を参照のこと。これら各々の開示は、
それら全体が参考として援用される)。
【0235】 さらに、本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の技術を用いて化学合成さ
れ得る(例えば、Creighton,1983,Proteins:Stru
ctures and Molecular Principles,W.H.
Freeman & Co.,N.Y.,およびHunkapillerら,N
ature,310:105−111(1984)を参照のこと)。例えば、ポ
リペプチドのフラグメントに対応するポリペプチドは、ペプチド合成機の使用に
より合成され得る。さらに、所望の場合、非古典的アミノ酸または化学的アミノ
酸アナログが、置換または付加としてこのポリペプチド配列に導入され得る。非
古典的アミノ酸としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:通常のア
ミノ酸のD異性体、2,4−ジアミノ酪酸、a−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪
酸、Abu、2−アミノ酪酸、g−Abu、e−Ahx、6−アミノヘキサン酸
、Aib,2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロ
イシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシト
ルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグ
リシン、シクロヘキシルアラニン、b−アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナ
ーアミノ酸(例えば、β−メチルアミノ酸、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチ
ルアミノ酸)、および一般のアミノ酸アナログ。さらにアミノ酸はD(右旋性)
であってもまたはL(左旋性)であってよい。
【0236】 本発明は、翻訳の間または翻訳後に、例えば、グリコシル化、アセチル化、リ
ン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解
切断、抗体分子または他の細胞性リガンドへの結合などによって示差的に改変さ
れる本発明のポリペプチドを含む。多数の化学的改変のうちのいずれをも、以下
を含むがこれらに限定されない公知の技術によって実施され得る:臭化シアン、
トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による
特異的化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシンの存
在下での代謝合成;など。
【0237】 本発明によって含まれるさらなる翻訳後修飾としては、例えば、以下などが挙
げられる:N結合型もしくはO結合型の糖鎖(N末端またはC末端のプロセシン
グ)、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N結合型もしくはO結合型の糖鎖の化
学修飾、および原核生物宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付
加もしくは欠失。このポリペプチドはまた、検出可能な標識(例えば、酵素標識
、蛍光標識、同位体標識または親和性標識)を用いて改変され、このタンパク質
の検出および単離を可能にし得る。さらに、本発明のポリペプチドは、ヨウ素化
により改変され得る。
【0238】 本発明によってまた、さらなる利点(例えば、このポリペプチドの溶解度、安
定性および循環時間の増加、または免疫原性の減少)を提供し得る、本発明のポ
リぺプチドの化学修飾誘導体が提供される(米国特許第4,179,337号を
参照のこと)。誘導体化のための化学部分は、水溶性ポリマー(例えば、ポリエ
チレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カ
ルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなど)から選
択され得る。このポリペプチドは、この分子内のランダムな位置でか、またはこ
の分子内の所定の位置で改変され得、そして1、2、3以上の結合した化学部分
を含み得る。
【0239】 このポリマーは、任意の分子量のポリマーであり得、そして分枝状であっても
非分枝状であってもよい。ポリエチレングリコールに関しては、好ましい分子量
は、取り扱いおよび製造の容易さのために、約1kDaと約100kDaとの間
(用語「約(およそ)」は、ポリエチレングリコールの調製において、いくつか
の分子は示した分子量よりも重く、いくつかは示した分子量よりも軽いことを示
す)である。所望の治療プロフィール(例えば、所望される持続放出の持続時間
、存在する場合には生物学的活性に対する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程
度または抗原性がないこと、および治療タンパク質またはアナログに対するポリ
エチレングリコールの他の公知の効果)に依存して、他のサイズが用いられ得る
【0240】 ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、このタンパク質の
機能的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮してこのタンパク質に
結合されるべきである。当業者に利用可能な多数の結合方法が存在する(例えば
、本明細書中に参考として援用される、EP 0 401 384(G−CSF
にPEGを結合する)、Malikら,Exp.Hematol.20:102
8−1035(1992)(塩化トレシル(tresyl chloride)
を用いたGM−CSFのペグ化を報告する)もまた参照のこと)。例えば、ポリ
エチレングリコールは、反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル
基)を介してアミノ酸残基により共有結合性に結合され得る。反応性基は、活性
化ポリエチレングリコール分子が結合し得る基である。遊離のアミノ基を有する
アミノ酸残基としては、リジン残基およびN末端アミノ酸残基が挙げられ得る;
遊離のカルボキシル基を有するアミノ酸残基としては、アスパラギン酸残基、グ
ルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基が挙げられ得る。スルフヒドリル残基
もまた、ポリエチレングリコール分子を結合するための反応性基として用いられ
得る。治療目的のために好ましいのは、アミノ基での結合、例えば、N末端また
はリジン基での結合である。
【0241】 N末端で化学修飾されたタンパク質が特に所望され得る。ポリエチレングリコ
ールを本発明の組成物の例示として用いて、種々のポリエチレングリコール分子
から(分子量、分枝などによって)、反応混合物中でのポリエチレングリコール
分子のタンパク質(またはポリペプチド)分子に対する比、行われるべきペグ化
反応の型、および選択されたN末端ペグ化タンパク質の獲得方法を選択し得る。
N末端ペグ化調製物の獲得方法(すなわち、必要な場合、この部分を他のモノペ
グ化部分から分離すること)は、ペグ化タンパク質分子の集団からの、N末端ペ
グ化物質の精製により行われ得る。N末端修飾で化学修飾された選択的タンパク
質は、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なる型の第1級アミノ
基(リジン対N末端)の示差的反応性を利用する還元的アルキル化によって達成
され得る。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーを用いた、N末端
でのタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
【0242】 本発明のポリペプチドは、モノマーまたはマルチマー(すなわち、ダイマー、
トリマー、テトラマーおよびより高度のマルチマー)であり得る。従って、本発
明は、モノマーおよびマルチマーの本発明のポリペプチド、それらの調製物およ
びそれらを含む組成物(好ましくは治療物)に関する。特定の実施形態では、本
発明のポリペプチドは、モノマー、ダイマー、トリマーまたはテトラマーである
。さらなる実施形態では、本発明のマルチマーは、少なくともダイマー、少なく
ともトリマー、または少なくともテトラマーである。
【0243】 本発明によって含まれるマルチマーは、ホモマーまたはヘテロマーであり得る
。本明細書中で用いられる場合、用語ホモマーは、配列番号Yのアミノ酸配列ま
たは配列番号Xもしくは配列番号Xの相補体によってコードされるアミノ酸配列
、および/またはcDNAプラスミドZによりコードされるアミノ酸配列(フラ
グメント、改変体、スプライス改変体、および融合タンパク質を含み、本明細書
中に記載されるように、フラグメント、改変体、スプライス改変体、および融合
タンパク質に対応する)に対応するポリぺプチドのみを含むマルチマーをいう。
これらのホモマーは、同一または異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含
み得る。特定の実施形態では、本発明のホモマーは、同一のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドのみを含むマルチマーである。別の特定の実施形態では、本発明
のホモマーは、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むマルチマーであ
る。特定の実施形態では、本発明のマルチマーは、ホモダイマー(例えば、同一
または異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む)またはホモトリマー(
例えば、同一および/または異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む)
である。さらなる実施形態では、本発明のホモマー性マルチマーは、少なくとも
ホモダイマー、少なくともホモトリマーまたは少なくともホモテトラマーである
【0244】 本明細書中で用いられる場合、用語ヘテロマーとは、本発明のポリペプチドに
加えて、1つ以上の異種ポリペプチド(すなわち、異なるタンパク質のポリペプ
チド)を含むマルチマーをいう。特定の実施形態では、本発明のマルチマーは、
ヘテロダイマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーである。さらなる実施
形態では、本発明のヘテロマー性マルチマーは、少なくともヘテロダイマー、少
なくともヘテロトリマーまたは少なくともヘテロテトラマーである。
【0245】 本発明のマルチマーは、疎水性、親水性、イオン性および/もしくは共有結合
性の結合の結果であり得、ならびに/または例えば、リポソーム形成によって間
接的に連結され得る。従って、1つの実施形態では、本発明のマルチマー(例え
ば、ホモダイマーまたはホモトリマーなど)は、本発明のポリペプチドが溶液中
で互いに接触する場合に形成される。別の実施形態では、本発明のへテロマルチ
マー(例えば、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーなど)は、本発明のポリ
ペプチドが、溶液中で本発明のポリペプチドに対する抗体(本発明の融合タンパ
ク質における異種ポリペプチド配列に対する抗体を含む)と接触する場合に、形
成される。他の実施形態では、本発明のマルチマーは、本発明のポリペプチドと
の、および/または本発明のポリペプチド間での共有結合によって形成される。
このような共有結合は、ポリペプチド配列(例えば、配列番号Yに記載されるか
、または配列番号X、および/またはcDNAプラスミドZによってコードされ
るポリぺプチドに含まれる)中に含まれる1以上のアミノ酸残基を含み得る。1
例では、この共有結合は、ネイティブ(すなわち、天然に存在する)ポリペプチ
ドにおいて相互作用するポリペプチド配列内に存在するシステイン残基間での架
橋である。別の例では、この共有結合は、化学的操作または組換え操作の結果で
ある。あるいは、このような共有結合は、融合タンパク質中の異種ポリペプチド
配列中に含まれる、1以上のアミノ酸残基を含み得る。1例では、共有結合は、
本発明の融合タンパク質に含まれる異種配列間にある(例えば、米国特許第5,
478,925号を参照のこと)。特定の例では、この共有結合は、(本明細書
中に記載されるような)本発明のFc融合タンパク質に含まれる異種配列間にあ
る。別の特定の例では、本発明の融合タンパク質の共有結合は、共有結合したマ
ルチマーを形成し得る別のタンパク質(例えば、オステオプロテゲリン(ose
teoprotegerin)(例えば、国際公開第WO 98/49305号
(この内容はその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)な
ど)由来の異種ポリペプチド配列間にある。別の実施形態では、2以上の本発明
のポリペプチドは、ペプチドリンカーを介して連結される。例としては、米国特
許第5,073,627号(本明細書中に参考として援用される)に記載される
ペプチドリンカーが挙げられる。ペプチドリンカーによって隔てられた複数の本
発明のポリペプチドを含むタンパク質は、従来の組換えDNA技術を用いて生成
され得る。
【0246】 本発明のマルチマーポリペプチドを調製するための別の方法は、ロイシンジッ
パーポリペプチド配列またはイソロイシンジッパーポリぺプチド配列に融合され
た本発明のポリペプチドの使用を含む。ロイシンジッパードメインおよびイソロ
イシンジッパードメインは、そのドメインが見出されるタンパク質のマルチマー
形成を促進するポリペプチドである。ロイシンジッパーは元々、いくつかのDN
A結合タンパク質において同定され(Landschulzら,Science
240:1759、(1988))、そしてそれ以来、種々の異なるタンパク
質において見出されている。公知のロイシンジッパーの中には、ダイマー形成ま
たはトリマー形成をする、天然に存在するペプチドおよびその誘導体がある。本
発明の可溶性マルチマータンパク質の生成に適切なロイシンジッパードメインの
例は、本明細書中に参考として援用されるPCT出願WO 94/10308に
記載されるロイシンジッパードメインである。溶液中でダイマー形成またはトリ
マー形成をするポリペプチド配列に融合された、本発明のポリペプチドを含む組
換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞中で発現され、そして得られる可溶性マ
ルチマー融合タンパク質は、当該分野で公知の技術を用いて、培養上清から回収
される。
【0247】 本発明のトリマーポリぺプチドは、増強された生物学的活性という利点を提供
し得る。好ましいロイシンジッパー部分およびイソロイシン部分は、トリマーを
優先的に形成する部分である。1例は、本明細書中に参考として援用されるHo
ppeら(FEBS Letters 344:191,(1994))および
米国特許出願第08/446,922号に記載されるような、肺サーファクタン
トプロテインD(SPD)に由来するロイシンジッパーである。天然に存在する
トリマータンパク質由来の他のペプチドは、本発明のトリマーポリぺプチドの調
製において用いられ得る。
【0248】 別の例では、本発明のタンパク質は、Flag(登録商標)ポリぺプチド配列
を含む本発明の融合タンパク質に含まれるFlag(登録商標)ポリペプチド配
列間の相互作用によって結合される。さらなる実施形態では、本発明のタンパク
質は、本発明のFlag(登録商標)融合タンパク質に含まれる異種ポリペプチ
ド配列と抗Flag(登録商標)抗体との間の相互作用によって結合する。
【0249】 本発明のマルチマーは、当該分野で公知の化学技術を用いて生成され得る。例
えば、本発明のマルチマーに含まれることが所望されるポリペプチドは、当該分
野で公知のリンカー分子およびリンカー分子長最適化技術を用いて、化学的に架
橋され得る(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許
第5,478,925号を参照のこと)。さらに、本発明のマルチマーは、当該
分野で公知の技術を用いて生成されて、マルチマーに含まれることが所望される
、ポリペプチドの配列内に存在するシステイン残基間の、1以上の分子間架橋を
形成し得る(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許
第5,478,925号を参照のこと)。さらに、本発明のポリペプチドは、ポ
リペプチドのC末端またはN末端へのシステインまたはビオチンの付加によって
慣用的に改変され得、そして当該分野で公知の技術が、1以上のこれらの改変さ
れたポリペプチドを含むマルチマーを生成するために、適用され得る(例えば、
本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許第5,478,925
号を参照のこと)。さらに、当該分野で公知の技術は、本発明のマルチマーに含
まれることが所望される、ポリペプチド成分を含むリポソームを生成するために
、適用され得る(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国
特許第5,478,925号を参照のこと)。
【0250】 あるいは、本発明のマルチマーは、当該分野で公知の遺伝子操作技術を用いて
生成され得る。1つの実施形態では、本発明のマルチマーに含まれるポリペプチ
ドは、本明細書中に記載されるか、さもなくば当該分野で公知の融合タンパク質
技術を用いて組換え生成される(例えば、本明細書中にその全体が参考として援
用される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。特定の実施形態で
は、本発明のホモダイマーをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチド配列を、リンカーポリペプチドをコードする
配列に連結し、次いでさらに元々のC末端からN末端の方向とは逆方向でポリペ
プチドの翻訳産物をコードする合成ポリヌクレオチド(リーダー配列を欠く)に
連結することによって生成される(例えば、本明細書中にその全体が参考として
援用される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。別の実施形態で
は、本明細書中に記載されるか、さもなくば当該分野で公知の組換え技術を適用
して、膜貫通ドメイン(または疎水性ペプチドもしくはシグナルペプチド)を含
み、そして膜再構成技術によってリポソームに取り込まれ得る、本発明の組換え
ポリペプチドを生成する(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用され
る、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。
【0251】 (抗体) 本発明のさらなるポリぺプチドは、本発明のポリペプチド、ポリぺプチドフラ
グメント、もしくは配列番号Yの改変体、および/またはエピトープに免疫特異
的に結合する(特異的な抗原−抗体結合のアッセイのための、当該分野で周知の
イムノアッセイによって決定される)、抗体およびT細胞抗原レセプター(TC
R)に関する。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多
重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラ
グメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産生さ
れるフラグメント、抗イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、本発明の抗体
に対する抗−Id抗体を含む)、および上記の任意のエピトープ結合フラグメン
トを含むが、これらに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「抗体
」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、
すなわち、抗原を免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本発明
の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、I
gE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、I
gG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであ
り得る。
【0252】 最も好ましくは、この抗体は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり
、そしてこれには、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fv(
scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)ならびにVLドメイ
ンまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントが挙げられるが、これらに
限定されない。単鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を単独で
、または以下の全体もしくは部分と組み合わせて含み得る:ヒンジ領域、CH1
ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン。可変領域とヒンジ領域、CH
1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインとの任意の組み合わせもまた
含む抗原結合フラグメントもまた、本発明に含まれる。本発明の抗体は、鳥類お
よび哺乳動物を含む任意の動物起源由来であり得る。好ましくは、これらの抗体
は、ヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、船ウサギ(ship
rabbit)、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。
本明細書で使用される場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配
列を有する抗体を含み、そしてこれは、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、
または1つ以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニックな動物から単
離され、そして以下および例えば、Kucherlapatiらによる米国特許
第5,939,598号に記載されるように、内因性免疫グロブリンを発現しな
い抗体を含む。
【0253】 本発明の抗体は、一重特異的、二重特異的、三重特異的またはより多くの多重
特異的であり得る。多重特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピト
ープに対して特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドおよび異種エピ
トープ(例えば、異種ポリペプチドまたは固体支持体物質)の両方に特異的であ
り得る。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;W
O91/00360;WO92/05793;Tuttら、J.Immunol
.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;同第4
,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;
同第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.148
:1547−1553(1992)を参照のこと。
【0254】 本発明の抗体は、それらが認識するかまたは特異的に結合する本発明のポリペ
プチドのエピトープまたは部分によって、記載されるかまたは特定化され得る。
このエピトープまたはポリペプチドの部分は、本明細書中に記載されるように、
例えば、N末端およびC末端位置により、または連続するアミノ酸残基における
サイズにより、特定化され得る。本発明の任意のエピトープまたはポリペプチド
を特異的に結合する抗体はまた排除され得る。従って、本発明は、本発明のポリ
ペプチドを特異的に結合し、そしてこのポリペプチドの排除を可能にする抗体を
含む。
【0255】 本発明の抗体はまた、その交差反応性によって記載されるか、または特定化さ
れ得る。本発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オルソログ(ortho
log)またはホモログを結合しない抗体が、含まれる。本発明のポリペプチド
に対して少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも
80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも
60%、少なくとも55%および少なくとも50%の同一性(当該分野で公知の
方法および本明細書において記載された方法を用いて計算される場合)を有する
ポリペプチドを結合する抗体もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態におい
て、本発明の抗体は、ヒトタンパク質のマウスホモログ、ラットホモログおよび
/またはウサギホモログならびにそれらの対応するエピトープと交差反応する。
本発明のポリペプチドに対して95%未満、90%未満、85%未満、80%未
満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満および50
%未満の同一性(当該分野で公知の方法および本明細書において記載された方法
を用いて計算される場合)を有するポリペプチドに結合しない抗体もまた、本発
明に含まれる。特定の実施形態において、上記の交差反応性は、本明細書中に開
示される任意の単一特異的抗原もしくは免疫原性ポリペプチド、または2、3、
4、5もしくはそれ以上の特異的抗原性ポリペプチドおよび/または免疫原性ポ
リペプチドの組み合わせに関する。さらに本発明には、(本明細書中に記載され
るような)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で本発明のポリヌ
クレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプ
チドを結合する抗体が含まれる。本発明の抗体はまた、本発明のポリペプチドに
対するその結合親和性によって記載または特定され得る。好ましい結合親和性と
しては、5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、1
-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、1
-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、
10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10- 13 M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15
M未満の解離定数すなわちKdを有する結合親和性が挙げられる。
【0256】 本発明はまた、競合的な結合を決定するための当該分野で公知の任意の方法(
例えば、本明細書中に記載されるイムノアッセイ)によって決定される際の、本
発明のエピトープに対する抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。好ま
しい実施形態において、抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なく
とも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なく
とも60%、または少なくとも50%、エピトープに対する結合を競合的に阻害
する。
【0257】 本発明の抗体は、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストと
して作用し得る。例えば、本発明は、レセプター/リガンドと本発明のポリペプ
チド部分または全体のいずれかとの相互作用を途絶させる抗体を含む。好ましく
は、本発明の抗体は、本明細書中に開示される抗原性のエピトープまたはその部
分に結合する。本発明は、レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の両
方を特徴とする。本発明はまた、リガンド結合を妨げないがレセプターの活性化
を妨げるレセプター特異的抗体の特徴を有する。レセプターの活性化(すなわち
、シグナル伝達)は、本明細書中に記載される技術、またはさもなくば当該分野
で公知の技術によって決定され得る。例えば、レセプターの活性化は、レセプタ
ーまたはその基質のリン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/スレオニン)を
、(例えば上記に記載されたような)免疫沈降、それに続くウエスタンブロット
により検出することによって決定され得る。特定の実施形態において、抗体の非
存在下での活性の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少
なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、ま
たは少なくとも50%、リガンド活性またはレセプター活性を阻害する抗体が提
供される。
【0258】 本発明はまた、リガンド結合およびレセプター活性化の両方を妨げるレセプタ
ー特異的抗体、ならびにレセプター−リガンド複合体を認識し、そして、好まし
くは、結合していないレセプターまたは結合していないリガンドを特異的に認識
しない抗体の特徴とする。同様に、本発明には、リガンドに結合し、そしてリガ
ンドのレセプターへの結合を妨げる中和抗体、ならびにリガンドに結合し、それ
によってレセプター活性化を妨げるが、リガンドがレセプターに結合することは
妨げない抗体が含まれる。さらに本発明に含まれるのは、レセプターを活性化す
る抗体である。これらの抗体は、レセプターアゴニストとして作用し得、すなわ
ち、リガンド媒介のレセプター活性化(例えば、レセプターの二量体化を誘導す
ることによる)の生物学的活性の全体またはサブセット(subset)のいず
れかを増強または活性化する。この抗体は、本明細書中に開示される本発明のペ
プチドの特異的な生物学的活性を含む生物学的活性に対するアゴニスト、アンタ
ゴニストまたはインバース(inverse)アゴニストとして特定化され得る
。上記の抗体アゴニストは、当該分野で公知の方法を用いて作製され得る。例え
ば、PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097号;De
ngら、Blood 92(6):1981−1988(1998);Chen
ら、Cancer Res.58(16):3668−3678(1998);
Harropら、J.Immunol.161(4):1786−1794(1
998);Zhuら、Cancer Res:58(15):3209−321
4(1998);Yoonら、J.Immunol.160(7):3170−
3179(1998);Pratら、J.Cell.Sci.111(Pt2)
:237−247(1998);Pitardら、J.Immunol.Met
hods 205(2):177−190(1997);Liautardら、
Cytokine 9(4):233−241(1997);Carlsonら
、J.Biol.Chem.272(17):11295−11301(199
7);Tarymanら、Neuron 14(4):755−762(199
5);Mullerら、Structure 6(9):1153−1167(
1998);Bartunekら、Cytokine 8(1):14−20(
1996)(上記の文献は、その全体が本明細書中で参考として援用される)を
参照のこと。
【0259】 本発明の抗体は、例えば、インビトロおよびインビボの両方における診断方法
ならびに治療方法を含む、本発明のポリペプチドを精製、検出および標的化する
のために使用され得るが、これらに限定されない。例えば、この抗体は、生物学
的サンプルにおいて本発明のポリペプチドのレベルを定性的および定量的に測定
するためのイムノアッセイにおける用途を有する。例えば、Harlowら,A
ntibodies:A Laboratory Manual,(Cold
Spring Harbor Laboratory Press,第2版,1
988)(その全体が参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0260】 以下でより詳細に議論されるように、本発明の抗体は、単独で、または他の組
成物との組み合わせのいずれかで用いられ得る。この抗体は、さらに、N末端も
しくはC末端で異種ポリペプチドに組換え的に融合され得るか、またはポリペプ
チドもしくは他の組成物に化学的に結合(共有結合および非共有結合を含む)さ
れ得る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子
およびエフェクター分子(例えば、異種ポリペプチド、薬物、放射性核種または
毒素)に組換え的に融合または結合され得る。例えば、PCT公開WO92/0
8495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,31
4,995号;および欧州特許第396,387号を参照のこと。
【0261】 本発明の抗体は、改変された(すなわち、共有結合性付着(covalent
attachment)が、抗体が抗イディオタイプ応答を産生するのを妨が
ないような抗体に対する任意の型の分子の共有結合性付着による)誘導体を含む
。例えば、制限の目的ではないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、ア
セチル化、ぺグ化(pegylation)、リン酸化(phosphylat
ion)、アミド化、公知の保護基/ブロック基(blocking grou
p)による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパ
ク質への連結などによって改変された抗体が挙げられる。多数の任意の化学的改
変が、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成
などを含むが、これらに制限されない公知の技術によって実行され得る。さらに
、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0262】 本発明の抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって産生され得る。
目的の抗原に対するポリクローナル抗体は、当該分野で周知の種々の手順によっ
て産生され得る。例えば、本発明のポリペプチドが種々の宿主動物(ウサギ、マ
ウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない)に投与され得、抗原に対して
特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導する。種々のアジュバント
が、免疫学的応答を増加させるために使用され得、宿主種に依存し、そしてフロ
イント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル(mi
neral gel)、リゾレシチンのような表面活性物質、プルロニック(p
luronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホール
リンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット−
ゲラン杆菌)および挫瘡コリネバクテリウムのような強力に有用なヒトアジュバ
ントを含むが、これらに限定されない。このようなアジュバントはまた、当該分
野において周知である。
【0263】 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレ
イ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当該分野で公知の広範な種々
の技術を用いて調製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知
であり、そして例えば以下に教示される技術を含むハイブリドーマ技術を使用し
て産生され得る:Harlowら、Antibodies:A Laborat
ory Manual,(Cold Spring Harbor Labor
atory Press,第2版、1988);Hammerlingら、Mo
noclonal Antibodies and T−Cell Hybri
domas 563−681(Elsevier,N.Y.1981)(上記の
参考文献は、その全体が参考として援用される)。本明細書中で使用される場合
、用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を通して産生された抗体
に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は、任意の真核生物、原核生物、
またはファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体をいい、そしてモ
ノクローナル抗体が産生される方法ではない。
【0264】 ハイブリドーマ技術を用いて特定の抗体を産生およびスクリーニングする方法
は、慣用的であり、そして当該分野に周知であり、そして実施例(例えば、実施
例16)に詳細に議論される。非限定的な実施例において、マウスは、本発明の
ポリペプチドまたはそのようなペプチドを発現する細胞を用いて免疫され得る。
一旦免疫応用が検出される(例えば、抗原に特異的な抗体がマウスの血清中に検
出される)と、マウスの脾臓を収集しそして脾細胞を単離する。次に、脾細胞を
周知の技術によって任意の適切なメラノーマ細胞(例えば、ATCCから入手可
能な細胞株SP20由来の細胞)に融合させる。ハイブリドーマを限定希釈によ
って選択し、そしておよびクローン化する。次に、ハイブリドーマクローンを、
本発明のポリペプチドに結合し得る抗体を分泌する細胞について当該分野で公知
の方法によってアッセイする。一般的に高いレベルの抗体を含む腹水(asci
tes fluid)が、陽性ハイブリドーマクローンを用いてマウスを免疫さ
せることによって、産生され得る。
【0265】 従って、本発明は、モノクローナル抗体および本発明の抗体を分泌するハイブ
リドーマ細胞を培養する工程を包含する方法によって産生される抗体を、産生す
る方法を提供し、ここで、好ましくは、このハイブリドーマは、骨髄腫細胞を用
いた本発明の抗原と免疫させたマウスから単離された脾細胞とを融合させること
によって、次いで本発明のポリペプチドと結合し得る抗体を分泌するハイブリド
ーマクローンについての融合物から生じるハイブリドーマをスクリーニングする
ことによって産生される。
【0266】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって産生さ
れ得る。例えば、本発明のFabおよびF(ab)’2フラグメントは、(Fa
bフラグメントを産生するための)パパインまたは(F(ab’)2フラグメン
トを産生するための)ペプシンのような酵素を使用して、免疫グロブリン分子の
タンパク質分解切断によって産生され得る。F(ab’)2フラグメントは、可
変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。
【0267】 例えば、本発明の抗体はまた、当該分野で公知の種々のファージディスプレイ
方法を用いて産生され得る。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメ
インは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表
面上に提示される。特定の実施形態において、このようなファージは、レパート
リーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)か
ら発現される抗原結合ドメインを提示するために利用され得る。目的の抗原に結
合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて選択または同定さ
れ得る(例えば、標識した抗原、あるいは固体表面またはビーズに結合または補
足された抗原を使用する)。これらの方法において用いられるファージは、代表
的には、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺伝子VIIIタンパ
ク質のいずれかに組換え的に融合されたFab、Fvまたはジスルフィド安定化
されたFvの抗体ドメインを有するファージから発現されたfdおよびM13結
合ドメインを含む糸状ファージ(filamentous phage)である
。本発明の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法の例と
しては、以下に開示される方法が挙げられる:Brinkmanら、J.Imm
unol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J
.Immunol.Methods 184:177−186(1995);K
ettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−9
58(1994);Persicら、Gene 187 9−18(1997)
;Burtonら、Advances in Immunology 57:1
91−280(1994);PCT出願番号PCT/GB91/01134;P
CT公開WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047
;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO
95/20401;ならびに米国特許第5,698,426号;同第5,223
,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,
427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同
第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637
号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,
743号および同第5,969,108号(これらの各々は、本明細書中でその
全体が参考として援用される)。
【0268】 上記参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体をコ
ードする領域は、抗体(ヒト抗体を含む)全体、または任意の他の所望の抗原結
合フラグメントを作製するために単離されそして用いられ得、そして(例えば、
以下で詳細に記載されるように)哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母およ
び細菌を含む任意の所望の宿主において発現され得る。例えば、Fab、Fab
’およびF(ab’)2フラグメントを組換え的に作製するための技術はまた、
当該分野で公知の方法を用いて使用され得る。このような方法は、例えば、以下
に開示される:PCT公開WO92/22324;Mullinaxら、Bio
Techniques 12(6):864−869(1992);およびSa
waiら、AJRI 34:26−34(1995);およびBetterら、
Science 240:1041−1043(1998)(上記の参考文献は
、その全体が参考として援用される)。
【0269】 単鎖のFvsおよび抗体を作製するために用いられ得る技術の例としては、米
国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Huston
ら、Methods in Enzymology 203:46−88(19
91);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);および
Skerraら、Science 240:1038−1040(1988)に
記載される技術が挙げられる。ヒトにおける抗体のインビボにおける使用および
インビトロ検出アッセイを含むいくつかの用途のために、キメラ抗体、ヒト化抗
体またはヒト抗体を使用することが好ましくあり得る。キメラ抗体とは、抗体の
異なる部分が、異なる動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗
体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体)である。キ
メラ抗体を作製するための方法は、当該分野において公知である。例えば、Mo
rrison,Science 229:1202(1985);Oiら、Bi
oTechniques 4:214(1986);Gilliesら、(19
89)J.Immunol.Methods 125:191−202;米国特
許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816
,397号を参照のこと(これらはそれらの全体が参考として本明細書中に援用
される)。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補生決定領域(CDR)
およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗体に
結合する非ヒト種抗体由来の抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領
域内のフレームワーク残基(framework residue)は、抗原結
合を変化させるため(好ましくは改善させるために)CDRドナー抗体由来の対
応残基と置換される。これらフレームワークの置換は、当該分野で周知の方法に
よって同定され、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するため
のCDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリング、ならびに特定の位
置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較による。(例え
ば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmann.ら
、Nature 332:323(1988)を参照のこと。これらはそれらの
全体が参考として本明細書中に援用される)。抗体は、以下に挙げる当該分野で
公知の種々の技術を用いてヒト化され得る:例えば、CDR−移植(欧州特許第
239,400号;PCT公開WO91/09967;米国特許第5,225,
539号;同第5,530,101号および同第5,585,089号)、ベニ
ヤリング(veneering)またはリサーフェイシング(resurfac
ing)(欧州特許第592,106号;同第519,596号;Padlan
、Molecular Immunology 28(4/5):489−49
8(1991); Studnickaら、Protein Engineer
ing 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS
91:969−973(1994))、およびチェーンシャッフリング(ch
ain shuffling)(米国特許第5,565,332号)。
【0270】 完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置に対して特に所望される。ヒト抗体
は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いた上記のファー
ジディスプレイ法を含む当該分野で公知の種々の方法により作製され得る。米国
特許第4,444,887号および同第4,716,111号;ならびにPCT
公開WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、W
O98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびW
O91/10741;(これらの各々はその全体が参考として本明細書中に援用
される)もまた参照のこと。
【0271】 ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンの発現は出来ないが、ヒト免疫
グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを用いて産生され得る
。例えば、ヒト重鎖免疫グロブリン遺伝子およびヒト軽鎖免疫グロブリン遺伝子
の複合体は、無作為にまたは相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入され得
る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域および多様性領域(diversity
region)は、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子に加えて、マウスの
胚性幹細胞に導入され得る。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子およびマウス軽鎖
免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン座の導入と別々
にまたは同時に非機能的にされ得る。特に、JH領域のホモ接合性の欠失は、内
因性抗体の産生を妨げる。改変された胚性幹細胞を発展させ、そしてキメラマウ
スを産生するために未分化胚芽細胞中に微量注入する。次いで、キメラマウスを
、ヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫を産生するために繁殖させる。トランス
ジェニックマウスを、選択された抗原(例えば、本発明のポリペプチドの全体ま
たは部分)を用いて通常の様式で免疫する。抗原に指向するモノクローナル抗体
は、従来のハイブリドーマ技術を用いた免疫したトランスジェニックマウスから
得られる。ヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、トランスジェニックマウスの再編
成によってB細胞分化の間かくまわれ、そしてクラススイッチングおよび体細胞
変異が引き続いて起こる。従って、このような技術を使用して、治療的に有用な
IgG抗体、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体の産生が可能である。ヒ
ト抗体を産生するためのこの技術の概要については、LonbergおよびHu
szar、Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を
参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術
、ならびにこのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な議論については
、例えば、PCT公開WO98/24893;WO92/01047;WO96
/34096;WO96/33735;欧州特許第0 598 877;米国特
許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,42
5号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545
,806号;同第5,814,318号;同第5,885,793号;同第5,
916,771号;および同第5,939,598号を参照のこと(これらはそ
の全体が本明細書中に参考として援用される)。さらに、Abgenix,In
c.(Freemont,CA)およびGenpharm(San Jose,
CA)のような企業は、上記の技術に類似した技術を用いて、選択した抗原に対
するヒト抗体を提供することに従事し得る。
【0272】 選択されたエピトープを完全に認識するヒト抗体を、「ガイドされた(gui
ded)選択」といわれる技術を用いて産生し得る。このアプローチにおいて、
選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同じエピトー
プを完全に認識するヒト抗体の選択を導くために使用される。(Jespers
ら、Bio/technology 12:899−903(1988)) さらに、本発明のポリペプチドに対する抗体は、当業者に周知の技術を用いて
本発明のポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を産生するために順
々に利用され得る。(例えば、GreenspanおよびBona、FASEB
J.7(5):437−444;(1989)およびNissinoff,J
.Immunol.147(8):2429−2438(1991)を参照のこ
と)。例えば、結合して、そしてポリペプチドのマルチマー化(multime
rization)および/またはリガンドに対する本発明のポリペプチドの結
合を競合的に阻害する抗体が、そのポリペプチドのマルチマー化ドメインおよび
/または結合ドメインを「模倣する」抗イディオタイプを産生するために使用さ
れ得、そして結果としてポリペプチドおよび/またはそのリガンドに結合し、そ
して中和する。このような中和抗イディオタイプ、またはこのような抗イディオ
タイプのFabフラグメントは、ポリペプチドリガンドを中和するための治療的
レジメンにおいて使用され得る。例えば、このような抗イディオタイプ抗体は、
本発明のポリペプチドに結合するためおよび/またはそのリガンド/レセプター
に結合するために使用され得、そしてそれによってその生物学的活性がブロック
する。
【0273】 (抗体をコードするポリヌクレオチド) 本発明はさらに、本発明の抗体およびそのフラグメントをコードするヌクレオ
チド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、ストリンジェント
な、またはより低いストリジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で(例え
ば、上記に定義されるような)抗体(好ましくは、本発明のポリペプチドと特異
的に結合する、好ましくは、配列番号Yのアミノ酸配列を有するポリペプチドに
結合する抗体)をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレ
オチドを含む。
【0274】 ポリヌクレオチドが、当該分野で公知の任意の方法によって得られ得、そして
そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定される。例えば、抗体のヌクレ
オチド配列が知られている場合、この抗体をコードするポリヌクレオチドは、化
学的に合成されたオリゴヌクレオチドから構築され得(例えば、Kutmeie
rら、BioTechniques 17:242(1994)に記載されるよ
うな)、これは、簡単にいうと、以下の工程を包含する:この抗体をコードする
配列の部分を含むオーバーラップするオリゴヌクレオチドの合成、これらのオリ
ゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結、次いでPCRによる連結されたオリ
ゴヌクレオチドの増幅。
【0275】 あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適切な供給源からの核酸か
ら生成され得る。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは入手不可能だが
、その抗体分子の配列が既知である場合、その免疫グロブリンをコードする核酸
は、化学的に合成され得るか、あるいは適切な供給源(例えば、抗体cDNAラ
イブラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞(例えば、本発明の
抗体の発現のために選択されたハイブリドーマ細胞)から生成されたcDNAラ
イブラリー、またはそれから単離された核酸(好ましくはポリA+RNA))か
ら、例えば、その抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクロー
ンを同定するために、配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合
成プライマーを使用するPCR増幅によって、または特定の遺伝子配列に特異的
なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって得られ得る。P
CRによって生成された増幅された核酸は、次いで、当該分野で周知の任意の方
法を用いて、複製可能なクローニングベクターにクローニングされ得る。
【0276】 一旦、抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されると、
抗体のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の操作について当該分野で周知の
方法(例えば、組換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなど(例えば、
Sambrookら、1990,Molecular Cloning,A L
aboratory Manual,第2版、Cold Spring Har
bor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY
およびAusubelら編、1998,Current Protocols
in Molecular Biology,John Wiley&Sons
,NYに記載の技術を参照のこと。これらは両方がその全体において本明細書に
参考として援用される。))を用いて操作され、例えば、アミノ酸の置換、欠失
、および/または挿入を作製するように異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成
し得る。
【0277】 特定の実施形態において、重鎖および/または軽鎖の可変ドメインのアミノ酸
配列は、相補性決定領域(CDR)の配列の同定のために、当該分野において周
知の方法によって(例えば、配列超可変性の領域を決定するために、他の重鎖、
および軽鎖の可変領域を既知のアミノ酸配列と比較することによって)調べられ
得る。慣用的な組換えDNA技術を用いて、1つ以上のCDRが、前述のように
フレームワーク領域内に(例えば、非ヒト抗体をヒト化するために、ヒトフレー
ムワーク領域中に)挿入され得る。このフレームワーク領域は天然に存在し得る
か、またはコンセンサスフレームワーク領域であり得、そして好ましくはヒトフ
レームワーク領域であり得る(例えば、列挙したヒトフレームワーク領域につい
ては、Chothiaら、J.Mol.Biol.278:457−479(1
998)を参照のこと)。好ましくは、フレームワーク領域およびCDRの組み
合わせによって生成されたポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドに特異的
に結合する抗体をコードする。好ましくは、上記に議論されるように、1つ以上
のアミノ酸置換は、フレームワーク領域内で作製され得、そして好ましくは、そ
のアミノ酸置換は、抗体のその抗原への結合を改善する。さらに、このような方
法は、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合が欠如した抗体分子を生成するように、
鎖内ジスルフィド結合に関与する1つ以上の可変領域のシステイン残基のアミノ
酸置換または欠失を作製するために使用され得る。ポリヌクレオチドへの他の変
更は、本発明によって、および当該分野の技術において包含される。
【0278】 さらに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的
活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングさせることによって、「
キメラ抗体」を産生するために開発された技術(Morrisonら、Proc
.Natl.Acad.Sci.81:851−855(1984);Neub
ergerら、Nature 312:604−608(1984);Take
daら、Nature 314:452−454(1985))が使用され得る
。上記のように、キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子であ
り、このような分子は、マウスmAbおよびヒト免疫グロブリンの定常領域由来
の可変領域を有する(例えば、ヒト化抗体)。
【0279】 あるいは、単鎖抗体の産生に関する記載された技術(米国特許第4,946,
778号;Bird、Science 242:423−42(1988);H
ustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:587
9−5883(1988);およびWardら、Nature 334:544
−54(1989))が、単鎖抗体の産生に適応され得る。単鎖抗体は、Fv領
域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントがアミノ酸架橋を介して連結され
れることによって形成され、単鎖ポリペプチドを生じる。E.coliにおける
機能性Fvフラグメントのアセンブリのための技術もまた、使用され得る(Sk
erraら、Science 242:1038−1041(1988))。
【0280】 (抗体を産生する方法) 本発明の抗体は、抗体を合成するための当該分野で公知の任意の方法によって
、特に、化学合成によって、または、好ましくは、組換え発現技術によって産生
され得る。
【0281】 本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログ(例えば、
本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖または本発明の単鎖抗体)の組換え発現は、そ
の抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とす
る。一旦、本発明の抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、あるいはそれらの
部分(好ましくは、重鎖または軽鎖の可変ドメインを含有する)をコードするポ
リヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターは、当該分野で
周知の技術を用いる組換えDNA技術によって生成され得る。従って、抗体をコ
ードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドの発現によってタンパク
質を調製するための方法は、本明細書に記載される。当業者に周知の方法は、抗
体をコードする配列ならびに適切な転写制御シグナルおよび翻訳制御シグナルを
含有する発現ベクターの構築のために使用され得る。これらの方法には、例えば
、インビトロの組換えDNA技術、合成技術、およびインビボの遺伝子組換えが
挙げられる。従って、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された、本発明
の抗体分子、あるいはその重鎖もしくは軽鎖、または重鎖もしくは軽鎖の可変ド
メインをコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能なベクターを提供する。
このようなベクターは、抗体分子の定常領域(例えば、PCT公開 WO86/
05807;PCT公開 WO89/01036;および米国特許第5,122
,464号を参照のこと)をコードするヌクレオチド配列を含み得、そしてこの
抗体の可変ドメインは、重鎖または軽鎖の全体の発現のためにこのようなベクタ
ーにクローニングされ得る。
【0282】 この発現ベクターは、従来技術によって宿主細胞へと移入され、そしてこのト
ランスフェクトされた細胞は、次いで、本発明の抗体を産生するために、従来技
術によって培養される。従って、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結
された、本発明の抗体、あるいはその重鎖もしくは軽鎖、または本発明の単鎖抗
体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二重鎖抗体の発現につ
いての好ましい実施形態において、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクター
は、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞
中に同時発現され得る。
【0283】 種々の宿主発現ベクター系は、本発明の抗体分子を発現させるために利用され
得る。このような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、かつ続いて精製
され得るビヒクルを表わすが、また、適切なヌクレオチドをコードする配列で形
質転換またはトランスフェクトされる場合に、インサイチュで本発明の抗体分子
を発現し得る細胞を表わす。これらには、抗体をコードする配列を含む組換えバ
クテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクター
を用いて形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)
のような微生物;抗体をコードする配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転
換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体を
コードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス
)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワー
モザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した植
物細胞系または抗体をコードする配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例
えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞の
ゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)また
は哺乳動物のウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プ
ロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築
物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T
3細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、Escheri
chia coliのような細菌細胞、そしてより好ましくは、特に、組換え抗
体分子全体の発現のために真核生物細胞が、組換え抗体分子の発現のために使用
される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要最初期遺伝子プロモータ
ーエレメントのようなベクターと組み合わされた、チャイニーズハムスターの卵
巣細胞(CHO)のような哺乳動物細胞が、抗体のための効果的な発現系である
(Foeckingら、Gene 45:101(1986);Cockett
ら、Bio/Technology 8:2(1990))。
【0284】 細菌系において、多くの発現ベクターが、抗体分子の発現を意図する使用に依
存して有利に選択され得る。例えば、多量のこのようなタンパク質が産生される
べき場合、抗体分子の薬学的組成物の生成のために、容易に精製される融合タン
パク質産物の高レベルの発現を指向するベクターが所望され得る。このようなベ
クターには、抗体をコードする配列がlacZをコードする領域と共にベクター
にインフレーム(in frame)で個別に連結され得、その結果、融合タン
パク質が産生されるE.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、
EMBO J.2:1791(1983));pINベクター(Inouyeお
よびInouye、Nucleic Acids Res.13:3101−3
109(1985);Van HeekeおよびSchuster、J.Bio
l.Chem.24:5503−5509(1989))などが挙げられるが、
これらに限定されない。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフ
ェラーゼ(GST)との融合タンパク質として、外来性ポリペプチドを発現させ
るために使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、そ
して溶解した細胞から、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着
および結合、それに続く遊離グルタチオン存在化での溶出によって容易に精製さ
れ得る。このpGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断
部位を含むように設計され、その結果、このクローニングされた標的遺伝子産物
は、GST部分から放出され得る。
【0285】 昆虫系において、オートグラファカリフォルニカ核多核体病ウイルス(Aut
ographa californica nuclear polyhedr
osis virus)(AcNPV)は、外来性遺伝子を発現させるためのベ
クターとして使用される。このウイルスは、Spodoptera frugi
perda細胞中で増殖する。この抗体をコードする配列は、ウイルスの非必須
領域(例えば、ポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子)に個々にクロー
ニングされ得、そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモー
ター)の制御下に配置され得る。
【0286】 哺乳動物の宿主細胞において、多くのウイルスに基づいた発現系が利用され得
る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、抗体をコードする目
的の配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プロモーター
および3部からなるリーダー配列)に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子
は、インビトロまたはインビボの組換えによって、アデノウイルスゲノム中に挿
入され得る。ウイルスのゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)へ
の挿入は、感染した宿主において生存し、かつ抗体分子を発現し得る組換えウイ
ルスを生じる(例えば、LoganおよびShenk、Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 81:355−359(1984)を参照のこと)。
特定の開始シグナルもまた、挿入された抗体をコードする配列の効率的な翻訳の
ために必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接する
配列を含む。さらに、この開始コドンは、挿入物全体の翻訳を保証するように、
所望のコード配列のリーディングフレームと同調(in phase)でなけれ
ばならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および
合成の両方の種々の起源であり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエ
レメント、転写ターミネーターなどを含めることによって増大され得る(Bit
tnerら、Methods in Enzymol.153:51−544(
1987)を参照のこと)。
【0287】 さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または遺伝子産物を所望の特定
の様式に改変およびプロセスする宿主細胞株が、選択され得る。タンパク質産物
のこのような改変(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断
)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク
質産物および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび改変について特徴的かつ特
有の機構を有する。適切な細胞株または宿主系は、発現した外来性タンパク質の
正確な改変およびプロセシングを保証するように選択され得る。この目的のため
に、一次転写物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化、およびリン
酸化のための細胞の機構を有する真核生物の宿主細胞が使用され得る。このよう
な哺乳動物の宿主細胞には、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、M
DCK、293、3T3、WI38、および、特に、乳癌細胞株(例えば、BT
483、Hs578T、HTB2、BT20およびT47Dなど)、ならびに正
常な乳腺細胞株(例えば、CRL7030およびHs578Bstなど)が挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0288】 組換えタンパク質の長期の高収率の産生のために、安定した発現が好ましい。
例えば、抗体分子を安定して発現する細胞株が操作され得る。ウイルスの複製起
点を含む発現ベクターの使用よりも、むしろ宿主細胞は、適切な発現制御エレメ
ント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリ
アデニル化部位など)によって制御されるDNA、および選択可能なマーカーで
形質転換され得る。外来性DNAの導入に続いて、操作された細胞は、濃縮され
た培地中で1〜2日間増殖され得、次いで選択培地に切り換えられる。組換えプ
ラスミド中の選択マーカーは、選択への耐性を与え、そして細胞がプラスミドを
それらの染色体に安定に組み込み、そして増殖し、次いで細胞株にクローニング
および増殖され得る、増殖巣(foci)を形成することを可能にする。この方
法は、抗体分子を発現する細胞株を操作するために有利に使用され得る。このよ
うな操作された細胞株は、抗体分子と直接的または間接的に相互作用する化合物
のスクリーニングおよび評価において特に有用であり得る。
【0289】 多くの選択系が使用され得、それらには、それぞれtk−、hgprt−、ま
たはaprt−細胞において使用され得る、単純ヘルペスウイルスチミジンキナ
ーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチ
ン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびS
zybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2
02(1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lo
wyら、Cell 22:817(1980))遺伝子が挙げられるが、これら
に限定されない。また、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子に関する選択の基礎
として使用され得る:メトトレキサートへの耐性を与えるdhfr(Wigle
rら、Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980));O
’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:152
7(1981);ミコフェノール酸への耐性を与えるgpt(Mulligan
およびBerg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:20
72(1981));アミノグリコシドG−418への耐性を与えるneo(C
linical Pharmacy 12:488−505;WuおよびWu、
Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstoshev、
Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596
(1993);Mulligan、Science 260:926−932(
1993);ならびにMorganおよびAnderson、Ann.Rev.
Biochem.62:191−217(1993);1993年5月,TIB
TECH 11(5):155−215);ならびにハイグロマイシンへの耐
性を与えるhygro(Santerreら、Gene 30:147(198
4))。当該分野で一般に公知である組換えDNA技術の方法は、所望の組換え
クローンの選択に慣用的に適用され得、そしてこのような方法は、例えば、Au
subelら(編)、Current Protocols in Molec
ular Biology,John Wiley&Sons,NY(1993
);Kriegler、Gene Transfer and Express
ion,A Laboratory Manual,Stockton Pre
ss,NY(1990);ならびにDracopoliら(編)、Curren
t Protocols in Human Genetics,John W
iley&Sons,NY(1994)の12および13章;Colberre
−Garapinら、J.Mol.Biol.150:1(1981)に記載さ
れ、これらはその全体が本明細書において参考として援用される。
【0290】 抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加され得る(総説について
は、BebbingtonおよびHentschel、The use of
vectors based on gene amplification
for the expression of cloned genes i
n mammalian cells in DNA cloning,第3巻
(Academic Press,New York,1987)を参照のこと
)。抗体を発現するベクター系においてマーカーが増幅できる場合、宿主細胞の
培養液に存在するインヒビターのレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピーの数
を増加する。この増幅された領域が抗体遺伝子と結合しているために、この抗体
の産生もまた、増加する(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:
257(1983))。
【0291】 その宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター(重鎖に由来するポリペプチド
をコードする第1のベクターおよび軽鎖に由来するポリペプチドをコードする第
2のベクター)で同時トランスフェクトされ得る。この2つのベクターは、重鎖
および軽鎖のポリペプチドの等しい発現を可能とする同一の選択マーカーを含み
得る。あるいは、重鎖および軽鎖のポリペプチドの両方をコードし、かつその発
現を可能とする単一のベクターが使用され得る。このような状況において、この
軽鎖は、過剰の有毒な遊離重鎖を避けるために、重鎖の前に配置されるべきであ
る(Proudfoot、Nature 322:52(1986);Kohl
er、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(19
80))。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み
得る。
【0292】 一旦、本発明の抗体分子が、動物、化学合成、または組換え発現によって産生
されると、この抗体分子は、免疫グロブリン分子の精製に関する当該分野で公知
の任意の方法によって(例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロ
マトグラフィー、アフィニティー(特に、Protein Aの後の特異的抗原
へのアフィニティーによる)クロマトグラフィー、およびサイジング(sizi
ng)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差示的溶解度によって、または
タンパク質の精製に関する他の任意の標準的な技術によって)精製され得る。さ
らに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、精製を容易にするために、本明
細書に記載されるか、またはそうでなければ当該分野で公知の異種ポリペプチド
配列と融合され得る。
【0293】 本発明は、融合タンパク質を生成するために、本発明のポリペプチド(または
それらの一部、好ましくは、ポリペプチドの少なくとも10、20、30、40
、50、60、70、80、90もしくは100個のアミノ酸)に組換え的に融
合されたか、あるいは化学的に結合(共有結合および非共有結合の両方を含む)
された抗体を含む。この融合は、必ずしも直接的である必要はないが、リンカー
配列を通して起こり得る。この抗体は、本発明のポリペプチド(またはそれらの
一部、好ましくは、ポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、
60、70、80、90もしくは100個のアミノ酸)以外の抗原に特異的であ
り得る。例えば、本発明のポリペプチドを、特定の細胞表面レセプターに特異的
な抗体に融合させるかまたは結合させることによって、抗体は、インビトロまた
はインビボのいずれかで本発明のポリペプチドを特定の細胞型に標的化するため
に使用され得る。本発明のポリペプチドに融合されたかまたは結合された抗体は
また、当該分野で公知の方法を使用してインビトロイムノアッセイおよび精製方
法にて使用され得る。例えば、Harborら、前出およびPCT公開WO 9
3/21232;EP 439,095;Naramuraら、Immunol
.Lett.39:91−99(1994);米国特許第5,474,981号
;Gilliesら、PNAS 89:1428−1432(1992);Fe
llら、J.Immunol.146:2446−2452(1991)(これ
らは、それらの全体において参考として援用される)を参照のこと。
【0294】 本発明はさらに、可変領域以外の抗体のドメインに融合されたかまたは結合さ
れた本発明のポリペプチドを含む組成物を含む。例えば、本発明のポリペプチド
を、抗体のFc領域、あるいはその一部に融合または結合され得る。本発明のポ
リペプチドに融合された抗体部分は、定常領域、ヒンジ領域、CH1ドメイン、
CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、あるいはそれらのドメイン全体または
部分の任意の組合せを含み得る。このポリペプチドはまた、上記の抗体部分に融
合または結合され、マルチマーを形成し得る。例えば、本発明のポリペプチドに
融合されたFc部分は、Fc部分間のジスルフィド結合を介して二量体を形成し
得る。より高次なマルチマー形態は、このポリペプチドをIgAおよびIgMの
部分に融合することにより作製され得る。本発明のポリペプチドを抗体部分に融
合または結合するための方法は、当該分野において公知である。例えば、米国特
許第5,336,603号;同第5,622,929号;同第5,359,04
6号;同第5,349,053号;同第5,447,851号;同第5,112
,946号;EP 307,434;EP 367,166;PCT公開WO
96/04388;WO 91/06570;Ashkenaziら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(19
91);Zhengら、J.Immunol.154:5590−5600(1
995);およびVilら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
89:11337−11341(1992)(上記の参考文献は、それらの全体
が参考として援用される)を参照のこと。
【0295】 上記で議論されたように、配列番号Yのポリペプチド、ポリペプチドフラグメ
ント、または改変体に対応するポリペプチドは、上記の抗体部分に融合または結
合され得、このポリペプチドのインビボの半減期を増加するか、または当該分野
で公知の方法を使用するイムノアッセイにおいて使用される。さらに、配列番号
Yに対応するポリペプチドは、精製を容易にするために、上記の抗体部分に融合
または結合され得る。1つの報告された例は、ヒトCD4ポリペプチドの最初の
2つのドメインおよび哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種
々のドメインからなるキメラタンパク質を記載する。(EP 394,827;
Trauneckerら、Nature 331:84−86(1988))。
ジスルフィド連結した二量体構造(IgGに起因する)を有する抗体に融合また
は結合された本発明のポリペプチドはまた、単量体分泌タンパク質またはタンパ
ク質フラグメント単独よりも、他の分子との結合および中和においてより効率的
であり得る。(Fountoulakisら、J.Biochem.270:3
958−3964(1995))。多くの場合において、融合タンパク質のFc
部分は、治療および診断において有利であり、従って、例えば、改良された薬物
動態学的な特性を生じ得る。(EP A 232,262)。あるいは、融合タ
ンパク質が発現、検出、および精製された後のFc部分の欠損は、好ましい。例
えば、この融合タンパク質が免疫化のための抗原として使用される場合、このF
cタンパク質は、治療および診断を妨げ得る。薬物の発見において、例えば、ヒ
トタンパク質(例えばhIL−5)は、hIL−5のアンタゴニストを同定する
ための高スループットスクリーニングアッセイの目的のために、Fcタンパク質
と融合された。(Bennettら、J.Molecular Recogni
tion 8:52−58(1995);Johansonら、J.Biol.
Chem.270:9459−9471(1995)を参照のこと。) さらに、本発明の抗体またはそれらのフラグメントは、精製を容易にするペプ
チドのような、マーカー配列と融合され得る。好ましい実施形態において、この
マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(QIAGEN、Inc.
,9259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,9131
1)において提供されるタグのようなヘキサ−ヒスチジンペプチドであり、それ
らの多くは市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 86:821−824(1989)に記載されるように
、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用
な他のペプチドタグには、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピト
ープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、Cell 37:767(19
84))および「flag」タグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0296】 本発明はさらに、診断剤または治療剤に結合される抗体またはそのフラグメン
トを含む。この抗体は、例えば、臨床試験の手順の一部(例えば、所定の治療レ
ジメンの有効性を決定するための)として、腫瘍の発生または進行をモニターす
るために診断的に使用され得る。検出は、抗体を検出可能な物質にカップリング
することによって容易にされ得る。検出可能な物質の例には、種々の酵素、補欠
分子群、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々の陽子射出断層
撮影法を使用する陽電子放射金属、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられ
る。この検出可能な物質は、当該分野で公知の技術を用いて、抗体(または、そ
れらのフラグメント)に直接的にか、または中間体(例えば、当該分野で公知の
リンカーなど)を介して間接的にかのいずれかで、カップリングまたは結合され
得る。本発明に従う診断剤として使用するための抗体に結合され得る金属イオン
については、例えば、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適切な酵
素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラ
クトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子
群複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが
挙げられ;適切な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フル
オレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフル
オレセイン、ダンシルクロライドまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質
の例には、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ル
シフェリン、およびエクオリンが挙げられ;そして適切な放射性物質の例には、
125I、131I、111Inまたは99Tcが挙げられる。
【0297】 さらに、抗体またはそのフラグメントは、細胞毒(例えば、細胞増殖抑制剤ま
たは細胞破壊剤)、治療剤または放射性金属イオン(例えば、α線放射体(al
pha−emitter)(例えば、213Biなど))のような治療的な部分
と結合され得る。細胞毒または細胞毒性の薬剤は、細胞に有害な任意の薬剤を含
む。例には、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウム
ブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenop
oside)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン
、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトザントロン、ミトラ
マイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコ
イド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびプロ
マイシンならびにそれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療剤として
は、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チ
オグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤
(例えば、メクロレタミン(mechlorethamine)、チオエパ(t
ioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)および
ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphami
de)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン(stre
ptozotocin)、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白
金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(anthracy
cline)(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、およびドキ
ソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前は、アクチノマイシ
ン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(anthr
amycin)(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン
およびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0298】 本発明の結合体は、所定の生物学的応答の改変のために使用され得、この治療
剤または薬物部分は、古典的な化学治療剤に制限されると解釈されるべきではな
い。例えば、この薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質または
ポリペプチドであり得る。このようなタンパク質には、例えば、アブリン、リシ
ンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素のような毒素;腫瘍壊死因
子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来
成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス剤(例えば、TNF
−α、TNF−β、AIM I(国際公開番号WO 97/33899を参照の
こと)、AIM II(国際公開番号WO 97/34911を参照のこと)、
Fasリガンド(Takahashiら、Int.Immunol.、6:15
67−1574(1994))、VEGI(国際公開番号WO 99/2310
5を参照のこと)、血栓剤または抗脈管形成剤(例えば、アンジオスタチン(a
ngiostatin)またはエンドスタチン(endostatin))のよ
うなタンパク質;あるいは、生物学的応答改変剤(例えば、リンホカイン、イン
ターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、
インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または
他の増殖因子など)が挙げられ得る。
【0299】 抗体はまた、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用な固体支持体に
付着され得る。このような固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリル
アミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0300】 このような治療部分を抗体に結合する技術は周知であり、例えば、Arnon
ら、「Monoclonal Antibodies For Immunot
argeting Of Drugs In Cancer Therapy」
Monoclonal Antibodies And Cancer The
rapy、Reisfeldら(編)、243−56頁(Alan R.Lis
s,Inc.1985);Hellstromら、「Antibodies F
or Drug Delivery」、Controlled Drug De
livery(第2版)、Robinsonら(編)、623−53頁(Mar
cel Dekker,Inc.1987);Thorpe、「Antibod
y Carriers Of Cytotoxic Agents In Ca
ncer Therapy:A Review」、Monoclonal An
tibodies‘84:Biological And Clinical
Applications、Pincheraら(編)、475−506頁(1
985);「Analysis,Results,And Future Pr
ospective Of The Therapeutic Use Of
Radiolabeled Antibody In Cnacer Ther
apy」、Monoclonal Antibodies For Cance
r Detection And Therapy、Baldwinら(編)、
303−16頁(Academic Press 1985)、およびThor
peら、「The Preparation And Cytotoxic P
roperties Of Antibody−Toxin Conjugat
es」、Immunol.Rev.62:119−58(1982)を参照のこ
と。
【0301】 あるいは、抗体は2次抗体に結合され、米国特許第4,676,980号(こ
れは、その全体が本明細書に参考として援用される)におけるSegalによる
記載のような抗体異種結合体(heteroconjugate)を形成し得る
【0302】 単独、あるいは細胞毒性因子および/またはサイトカインと組み合わせて投与
される、抗体に結合される治療部分を有するかまたは有さない抗体が、治療薬と
して使用され得る。
【0303】 (免疫表現型分類(immunophenotyping)) 本発明の抗体は、細胞株および生物学的サンプルの免疫表現型分類のために利
用され得る。本発明の遺伝子の翻訳生成物は、細胞特異的マーカーとして、ある
いはより詳細には、特定の細胞型の分化および/または成熟の種々の段階で差示
的に発現される細胞マーカーとして有用であり得る。特異的エピトープ、または
エピトープの組み合わせに対して指向されるモノクロナール抗体は、マーカーを
発現する細胞集団のスクリーニングを可能とする。種々の技術が、マーカーを発
現する細胞集団をスクリーニングするために、モノクロナール抗体を用いて利用
され得、そしてその技術には、抗体でコーティングされた磁気ビーズを用いる磁
気分離、固体マトリクス(すなわち、プレート)に付着した抗体を用いる「パン
ニング(panning)」、ならびにフローサイトメトリーが挙げられる(例
えば、米国特許第5,985,660号;およびMorrisonら、Cell
,96:737−49(1999)を参照のこと)。
【0304】 これらの技術は、血液学的悪性腫瘍(すなわち、急性白血病患者における最少
残留疾患(minimal residual disease)(MRD))
および対宿主性移植片病(GVHD)を予防するための移植術における「非自己
」細胞と共に見出され得るような、細胞の特定集団のスクリーニングを可能にす
る。あるいは、これらの技術は、ヒト臍帯血において見出され得るような増殖お
よび/または分化を起こし得る、造血幹細胞および先祖細胞のスクリーニングを
可能にする。
【0305】 (抗体結合についてのアッセイ) 本発明の抗体は、当該分野において公知の任意の方法により、免疫特異的結合
についてアッセイされ得る。用いられ得る免疫アッセイとしては、(いくつかの
ものについてだけ名称を挙げると、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ
、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ
、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集ア
ッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロ
テインAイムノアッセイのような技術を用いる競合アッセイ系および非競合アッ
セイ系が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは慣用的で
あり、そして当該分野において周知である(例えば、その全体が本明細書中に参
考として援用される、Ausubelら編,1994,Current Pro
tocols in Molecular Biology,第1巻、John
Wiley & Sons,Inc.,New Yorkを参照のこと)。例
示的なイムノアッセイが、以下に簡潔に記載される(しかし、これらは限定を目
的とすることが意図されない)。
【0306】 免疫沈降プロトコルは一般に、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロ
テアーゼインヒビター(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン
酸ナトリウム)を補充したRIPA緩衝液(1% NP−40またはTrito
n X−100、1% デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、0.
15M NaCl、pH7.2での0.01M リン酸ナトリウム、1% Tr
asylol)のような溶解緩衝液中で細胞の集団を溶解する工程、目的の抗体
を細胞溶解物に添加する工程、一定時間(例えば、1〜4時間)4℃でインキュ
ベートする工程、プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズ
を細胞溶解物に添加する工程、約1時間以上4℃でインキュベートする工程、溶
解緩衝液中でビーズを洗浄する工程、ならびにSDS/サンプル緩衝液中でビー
ズを再懸濁する工程を含む。目的の抗体の、特定の抗原を免疫沈降する能力は、
例えば、ウエスタンブロット分析により、アッセイされ得る。当業者は、抗体の
抗原への結合を増加させ、そしてバックグラウンドを減少させるように改変され
得るパラメータ(例えば、セファロースビーズを用いて細胞溶解物を事前にきれ
いにすること)に関して、精通している。免疫沈降プロトコルに関するさらなる
考察については、例えば、Ausubelら編,1994、Current P
rotocols in Molecular Biology,第1巻、Jo
hn Wiley & Sons、Inc.,New York,10.16.
1を参照のこと。
【0307】 ウエスタンブロット分析は、一般に、タンパク質サンプルを調製する工程、タ
ンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量に応じた8
%〜20%SDS−PAGE)中で電気泳動する工程、タンパク質サンプルをそ
のポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFまたはナイロンのよ
うな膜に移す工程、ブロッキング溶液(例えば、3% BSAまたは脱脂粉乳を
有するPBS)中でその膜をブロッキングする工程、その膜を洗浄緩衝液(例え
ば、PBS−Tween 20)中で洗浄する工程、ブロッキング緩衝液中で希
釈された一次抗体(目的の抗体)を有するその膜をブロッキングする工程、その
膜を洗浄緩衝液中で洗浄する工程、ブロッキング緩衝液中で希釈された酵素基質
(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)あるい
は放射性分子(例えば、32Pまたは125I)に結合した二次抗体(一次抗体
を認識する、例えば、抗ヒト抗体)を用いてその膜をブロッキングする工程、洗
浄緩衝液中でその膜を洗浄する工程、ならびにその抗原の存在を検出する工程を
含む。当業者は、検出されるシグナルを増加させ、そしてバックグラウンドノイ
ズを減少させるように改変され得るパラメータに関して、精通している。ウエス
タンブロットプロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Ausub
elら編,1994,Current Protocols in Molec
ular Biology,第1巻、John Wiley & Sons,I
nc.,New York,10.8.1を参照のこと。
【0308】 ELISAは、抗原を調製する工程、96ウェルマイクロタイタープレートの
ウェルをその抗原でコーティングする工程、酵素基質(例えば、西洋ワサビペル
オキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)のような検出可能な化合物に結合
した目的の抗体をそのウェルに添加し、そして一定時間インキュベートする工程
、および抗原の存在を検出する工程を含む。ELISAにおいて、目的の抗体は
、検出可能な化合物に結合されている必要はない;その代わり、検出可能な化合
物に結合した二次抗体(目的の抗体を認識する)がウェルに添加され得る。さら
に、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、抗体がウェルにコーティングさ
れ得る。この場合、検出可能な化合物に結合した二次抗体が、コーティングされ
たウェルへの目的の抗原の添加に続いて、添加され得る。当業者は、検出される
シグナルを増加させるように改変され得るパラメータ、および当該分野において
公知のELISAの他のバリエーションに関して、精通している。ELISAに
関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら編,1994,Cu
rrent Protocols in Molecular Biology
,第1巻、John Wiley & Sons,Inc.,New York
,11.2.1を参照のこと。
【0309】 抗体の抗原に対する抗体の結合親和性および抗体−抗原相互作用のオフレート
(off−rate)が、競合結合アッセイにより決定され得る。競合結合アッ
セイの一つの例は、ラジオイムノアッセイであり、ラジオイムノアッセイは、漸
増量の非標識抗原の存在下での標識した抗原(例えば、3Hまたは125I)と
目的の抗体とのインキュベーション、および標識した抗原に結合した抗体の検出
を含む。目的の抗体の、特定の抗原に対する親和性、および結合オフレートは、
スキャッチャードプロット分析によるデータから決定され得る。二次抗体との競
合はまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定され得る。この場合、抗原は、漸
増量の非標識二次抗体の存在下で、標識した化合物(例えば、3Hまたは125
I)に結合した目的の抗体とともにインキュベートされる。
【0310】 (治療用途) 本発明はさらに、抗体を基礎とした治療に関し、この治療は、本発明の抗体を
、1つ以上の開示された疾患、障害、または状態を処置するために、動物、好ま
しくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトの患者に投与する工程を含む。本発
明の治療化合物としては、本発明の抗体(本明細書中に記載するような、それら
のフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)ならびに本発明の抗体をコード
する核酸(本明細書中に記載するような、それらのフラグメント、アナログおよ
び誘導体ならびに抗イディオタイプ抗体を含む)が挙げられるがこれらに限定さ
れない。本発明の抗体は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活
性に関連した疾患、障害または状態(本明細書中に記載する任意の1つ以上の疾
患、障害、または状態を含むがこれらに限定されない)を処置、阻害または予防
するために使用され得る。本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活
性に関連した疾患、障害または状態の処置および/または予防は、それらの疾患
、障害または状態に関連した症状の緩和を含むがこれに限定されない。本発明の
抗体は、当該分野で公知であるように、または本明細書中に記載されるように、
薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る。
【0311】 本発明の抗体が治療的に使用され得る方法の1つの要約は、身体内で局所的に
または全身的に、あるいは(例えば、補体(CDC)により、またはエフェクタ
ー細胞(ADCC)により媒介されるような)抗体の直接的細胞傷害性により、
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを結合させることを含む。これら
のアプローチのいくつかは、より詳細に以下に記載される。本明細書中で提供さ
れる教示を与えられれば、当業者は、過度の実験なしに、診断上の目的、モニタ
リングの目的あるいは治療上の目的のために、本発明の抗体を使用する方法を理
解する。
【0312】 本発明の抗体は、例えば、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活
性を増加させるために役立つ、他のモノクローナル抗体またはキメラ抗体、ある
いはリンホカインまたは造血増殖因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL
−7など)と組み合わせて有利に利用され得る。
【0313】 本発明の抗体は、単独で、または他の型の処置(例えば、放射線療法、化学療
法、ホルモン治療、免疫治療および抗腫瘍剤)との組み合わせで投与され得る。
一般的に、(抗体の場合には)患者の種と同じ種である種起源または種反応性の
生成物の投与が好ましい。従って、好ましい実施形態においては、ヒトの抗体、
フラグメント誘導体、アナログ、または核酸が、治療または予防のために、ヒト
の患者に投与される。
【0314】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらのフラグメントを含む
)に対するイムノアッセイ、およびそれらに関連した障害の治療の両方のために
、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する、高親和性および/ま
たは強力な、インビボでの阻害抗体および/または中和抗体、それらのフラグメ
ント、またはその領域を使用することが好ましい。このような抗体、フラグメン
ト、または領域は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド
(それらのフラグメントを含む)に対して親和性を有する。好ましい結合親和性
としては、5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、
10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、
10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10
、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×1
-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10- 15 Mよりも小さい解離定数すなわちKdを有する結合親和性が挙げられる。
【0315】 (遺伝子治療) 特定の実施形態において、抗体またはその機能的誘導体をコードする配列を含
む核酸は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連した疾
患または障害を処置、阻害または予防するために、遺伝子治療の目的で投与され
る。遺伝子治療とは、発現したか、または発現可能な核酸の、被験体への投与に
より行われる治療をいう。本発明のこの実施形態において、核酸は、それらのコ
ードされたタンパク質を産生し、そのタンパク質は治療効果を媒介する。
【0316】 当該分野で利用可能な遺伝子治療のための任意の方法は、本発明に従って使用
され得る。例示的な方法が以下に記載される。
【0317】 遺伝子治療の方法の一般的な概説については、Goldspielら,Cli
nical Pharmacy 12:488−505(1993);Wuおよ
びWu,Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstos
hev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573
−596(1993);Mulligan,Science 260:926−
932(1993);ならびにMorganおよびAnderson,Ann.
Rev.Biochem.62:191−217(1993);May,TIB
TECH 11(5):155−215(1993)を参照のこと。使用され得
る、組換えDNA技術分野において一般的に公知である方法は、Ausubel
ら(編),Current Protocols in Molecular
Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);お
よびKriegler,Gene Transfer and Express
ion,A Laboratory Manual,Stockton Pre
ss,NY(1990)に記載される。
【0318】 好ましい局面において、化合物は抗体をコードする核酸配列を含有し、上記核
酸配列は、適切な宿主において、抗体、あるいはそのフラグメントもしくはキメ
ラタンパク質、またはその重鎖もしくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部であ
る。特に、このような核酸配列は、抗体コード領域に作動可能に連結したプロモ
ーターを有し、上記プロモーターは誘導性であるかまたは構成性であり、そして
必要に応じて組織特異的である。別の特定の実施形態においては、抗体をコード
する配列および任意の他の所望の配列がゲノム中の所望の部位での相同組換えを
促進する領域に隣接した核酸分子が使用され、それにより抗体をコードする核酸
の染色体内の発現を提供する(KollerおよびSmithies,Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989
);Zijlstraら,Nature 342:435−438(1989)
)。特定の実施形態において、発現した抗体分子は単鎖抗体であるか;あるいは
この核酸配列は、この抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする配列またはその
フラグメントを含む。
【0319】 核酸の患者への送達は、直接的(この場合、患者は核酸または核酸保有ベクタ
ーに直接的に曝される)か、または間接的(この場合、細胞は最初にインビトロ
で核酸で形質転換され、次いで患者に移植される)のいずれかであり得る。これ
らの2つのアプローチは、インビボ遺伝子治療として、またはエキソビボ遺伝子
治療としてそれぞれ公知である。
【0320】 特定の実施形態において、核酸配列はインビボで直接的に投与され、そこで核
酸配列は発現されて、コードされた生成物を産生する。これは、当該分野で公知
の多数の方法(例えば、それらを適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、
そしてそれを細胞内になるように投与することにより(例えば、欠損性または弱
毒化したレトロウイルスまたは他のウイルスベクター(米国特許第4,980,
286号を参照のこと)を用いた感染により)、あるいは、裸のDNAの直接注
射により、あるいは、微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Bioli
stic、Dupont)の使用により、あるいは脂質または細胞表面レセプタ
ーでコーティングするか、あるいは薬剤をトランスフェクトすること、リポソー
ム、微粒子、またはマイクロカプセル中へのカプセル化により、あるいは、それ
らを核に入ることが公知であるペプチドと結合させて投与することにより、レセ
プター媒介のエンドサイトーシスを受けるリガンドと結合させて投与することに
より(例えば、WuおよびWu,J.Biol.Chem.262:4429−
4432(1987)を参照のこと)(レセプターを特異的に発現する細胞の型
を標的にするために用いられ得る)などのいずれかにより達成され得る。別の実
施形態において、核酸−リガンド複合体が形成され得、ここで、リガンドはエン
ドソームを破壊するフソジェニック(fusogenic)ウイルス性ペプチド
を含み、核酸がリソソーム分解を回避することを可能にする。さらに別の実施形
態において、核酸は、特異的なレセプターを標的化することにより、細胞特異的
な取り込みおよび発現についてインビボで標的化され得る(例えば、PCT公開
第WO92/06180号;同第WO92/22635号;同第WO92/20
316号;同第WO93/14188号、同第WO93/20221号を参照の
こと)。あるいは、核酸は、細胞内部に導入され得、そして相同組換えにより、
発現のために宿主細胞DNA中に組み込まれ得る(KollerおよびSmit
hies,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−
8935(1989);Zijlstraら,Nature 342:435−
438(1989))。
【0321】 特定の実施形態において、本発明の抗体をコードする核酸配列を含むウイルス
ベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが用いられ得る(Mi
llerら,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)
を参照のこと)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルス性ゲノムの正確
なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組込みのために必要な構成要素を含
む。遺伝子治療において使用される抗体をコードする核酸配列は、一つ以上のベ
クター中にクローン化され、これは、患者内への遺伝子の送達を容易にする。レ
トロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、Boesenら,Biothe
rapy 6:291−302(1994)(これは、幹細胞を化学療法に対し
てより耐性にするために、mdrI遺伝子を造血性幹細胞に送達するための、レ
トロウイルスベクターの使用を記載する)に見出され得る。遺伝子治療における
レトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は、以下である:Clo
wesら,J.Clin.Invest.93:644−651(1994);
Kiemら,Blood 83:1467−1473(1994);Salmo
nsおよびGunzberg,Human Gene Therapy 4:1
29−141(1993);ならびにGrossmanおよびWilson,C
urr.Opin.Genetics and Devel.3:110−11
4(1993)。
【0322】 アデノウイルスは、遺伝子治療において使用され得る他のウイルスベクターで
ある。アデノウイルスは、特に、気道上皮へ遺伝子を送達するための魅力的なビ
ヒクルである。アデノウイルスは、自然に気道上皮に感染し、そこで軽い疾患を
起こす。アデノウイルスに基づく送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系
、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染すること
ができるという利点を有する。KozarskyおよびWilson,Curr
ent Opinion in Genetics and Developm
ent 3:499−503(1993)は、アデノウイルスに基づく遺伝子治
療の概説を示す。Boutら,Human Gene Therapy 5:3
−10(1994)は、アカゲザルの気道上皮に遺伝子を移入するためのアデノ
ウイルスベクターの使用を証明した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用
の他の例は、Rosenfeldら,Science 252:431−434
(1991);Rosenfeldら,Cell 68:143−155(19
92);Mastrangeliら,J.Clin.Invest.91:22
5−234(1993);PCT公開第WO94/12649号;およびWan
gら,Gene Therapy 2:775−783(1995)に見出され
得る。好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターが使用される。
【0323】 アデノ随伴ウイルス(AAV)はまた、遺伝子治療における使用について提唱
されている(Walshら、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.2
04:289〜300(1993);米国特許第5,436,146号)。
【0324】 遺伝子治療の別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクチン、
リン酸カルシウム媒介トランスフェクションまたはウイルス感染のような方法に
より組織培養中の細胞に遺伝子を移入する工程を包含する。通常、移入の方法は
、細胞への選択マーカーの移入を含む。次いで、この細胞は、取り上げられそし
て移入された遺伝子を発現しているそれらの細胞を単離する選択下に配置される
。次いで、これらの細胞は、患者に送達される。
【0325】 この実施形態において、核酸は、細胞に導入され、その後、得られた組換え細
胞がインビボ投与される。このような導入は、当該分野で公知の任意の方法によ
り実行され得る。この方法としては、トランスフェクション、エレクトロポレー
ション、マイクロインジェクション、この核酸配列を含むウイルスまたはバクテ
リオファージベクターを用いた感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子移入、微小核
体(microcell)媒介遺伝子移入、スフェロプラスト融合などが挙げら
れるがこれらに限定されない。多くの技術が細胞への外来遺伝子の導入のために
当該分野で公知であり(例えば、LoefflerおよびBehr、Meth.
Enzymol.217:599〜618(1993);Cohenら、Met
h.Enzymol.217:618〜644(1993);Cline,Ph
armac.Ther.29:69〜92m(1985)を参照のこと)、そし
て、レシピエント細胞の必要な発生機能および生理学的機能が破壊されない条件
下であれば、本発明に従って用いられ得る。この技術は、核酸が細胞で発現可能
であり、そして好ましくはその細胞の子孫に遺伝および発現可能であるようにそ
の細胞への核酸の安定な移入を提供するべきである。
【0326】 得られた組換え細胞は、当該分野で公知の種々の方法により患者に送達され得
る。組換え血球(例えば、造血幹細胞または前駆細胞)は、好ましくは静脈内投
与される。使用のために想定される細胞の量は、所望の効果、患者状態などに依
存し、そして当業者により決定され得る。
【0327】 遺伝子治療のために核酸が導入され得る細胞は、任意の所望の利用可能な細胞
型を包含し、そして以下が挙げられるがこれらに限定されない:上皮細胞、内皮
細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞;血球(例えば、Tリンパ
球、Bリンパ球、単核球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球)
;種々の幹細胞または前駆細胞、特に造血幹細胞または造血前駆細胞(例えば、
骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓などから得られるような)。
【0328】 好ましい実施形態においては、遺伝子治療に用いられる細胞は、患者にとって
自系である。
【0329】 組換え細胞が遺伝子治療に用いられる実施形態において、抗体をコードする核
酸配列は、それらが細胞またはその子孫により発現可能であるように細胞に導入
され、次いでこの組換え細胞は、治療効果のためにインビボ投与される。特定の
実施形態において、幹細胞または前駆細胞が用いられる。インビトロで単離され
、そして維持され得る任意の幹細胞および/または前駆細胞が、本発明のこの実
施形態に従って可能性としては用いられ得る(例えば、PCT公開 WO94/
08598;StempleおよびAnderson、Cell 71:973
〜985(1992);Rheinwald,Meth.Cell Bio.2
1A:229(1980);ならびにPittelkowおよびScott、M
ayo Clinic Proc.61:771(1986)を参照のこと)。
【0330】 特定の実施形態において、遺伝子治療のために導入されるべき核酸は、コード
領域に作動可能に連結している誘導性プロモーターを含み、この結果、転写の適
切なインデューサーの存在または非存在を制御することにより核酸の発現が制御
可能である。治療活性または予防活性の実証 本発明の化合物または薬学的組成物は、好ましくは、ヒトでの使用の前に、イ
ンビトロで、次いで所望の治療活性または予防活性についてインビボで、試験さ
れる。例えば、化合物または薬学的組成物の治療的有用性または予防的有用性を
実証するためのインビトロアッセイは、細胞株または患者組織サンプルへの化合
物の影響を含む。細胞株および/または組織サンプルへの化合物または組成物の
の影響は、当業者に公知の技術を利用して決定され得る。この技術には、ロゼッ
ト形成アッセイおよび細胞溶解アッセイが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明に従って、特定の化合物の投与が指示されるか否かを決定するために用い
られ得るインビトロアッセイとしては、インビトロ細胞培養アッセイ(患者組織
サンプルが培養中で増殖され、化合物に曝露されるか、さもなければ化合物が投
与され、そして組織サンプルへのこのような化合物の効果が観察される)が挙げ
られる。
【0331】 (治療用/予防用の投与および組成物) 本発明は、本発明の有効量の化合物または薬学的組成物(好ましくは本発明の
ポリペプチドまたは抗体)の被験体への投与による処置、阻害および予防の方法
を提供する。好ましい局面において、この化合物は、実質的に純粋(例えば、そ
の効果を限定するかまたは所望されない副作用を生成する物質を実質的に含まな
い)である。この被験体は、好ましくは動物(ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネ
コ、イヌなどが挙げられるがこれに限定されない)であり、そして好ましくは哺
乳動物、そして最も好ましくはヒトである。
【0332】 化合物が核酸または免疫グロブリンを含む場合、使用され得る投与の処方物お
よび方法は上記されている;さらなる適切な処方物および投与の経路は、本明細
書中以下に記載されるもののなかから選択され得る。
【0333】 種々の送達系(例えば、リポソームへのカプセル化、微粒子、マイクロカプセ
ル、化合物を発現し得る組換え細胞、レセプター媒介エンドサイトーシス(例え
ば、WuおよびWu、J.Biol.Chem.262:4429〜4432(
1987)を参照のこと)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部として核
酸の核酸の構築、など)が公知であり、そして本発明の化合物を投与するために
用いられ得る。導入の方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経
鼻、硬膜外および経口経路が挙げられるがこれらに限定されない。この化合物ま
たは組成物は、任意の都合の良い経路、例えば、注入またはボーラス注射、上皮
または皮膚粘膜裏打ち層(例えば、口内粘膜、直腸粘膜および腸管粘膜など)を
通じた吸収により投与され得、そして他の生物学的に活性な因子と一緒に投与さ
れ得る。投与は、全身的または局所的であり得る。さらに、本発明の薬学的化合
物または組成物を、任意の適切な経路(脳室内(intraventricul
ar)注射およびクモ膜下注射)により中枢神経系に導入することが所望され得
る;脳室内注射は、例えば、リザバー(例えば、オマヤレザバー)に接続された
脳室内カテーテルにより促進され得る。肺投与はまた、例えば、吸入器またはネ
ブライザーの使用、およびエアゾール剤を有する処方物により、使用され得る。
【0334】 特定の実施形態において、本発明の薬学的化合物または組成物を、処置の必要
な領域に局所的に投与することが所望され得る;これは、例えば、限定はしない
が、手術中の局所注入、局所適用(例えば、手術後の創傷包帯との組み合わせで
)、注射により、カテーテルにより、座剤により、またはインプラント(このイ
ンプラントは、シアラスティックメンブレンのようなメンブレンまたはファイバ
ーを含む、多孔性、非多孔性またはゼラチン状物質である)により達成され得る
。好ましくは、本発明のタンパク質(抗体を含む)を投与する場合、タンパク質
を吸収しない材料を用いる気遣いが必要である。
【0335】 別の実施形態において、この化合物または組成物は、小胞、特にリポソームで
送達され得る(Langer、Science 249:1527〜1533(
1990);Treatら、Liposomes in the Therap
y of Infectious Disease and Cancer、L
opez−BeresteinおよびFidler(編)Liss,New Y
ork 353〜365頁(1989);Lopez−Berestein、同
書、第317〜327頁を参照のこと;一般的には同書を参照のこと)。
【0336】 なお別の実施形態では、化合物または組成物が制御された放出システムで送達
され得る。1つの実施形態では、ポンプが用いられ得る(Langer、前出;
Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:20
1(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(198
0);Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989
)を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料が、用いられ得る(Med
ical Applications of Controlled Rele
ase,LangerおよびWise(編)、CRC Pres.,Boca
Raton,Florida(1974);Controlled Drug
Bioavailability,Drug Product Design
and Performance,SmolenおよびBall(編)、Wil
ey、New York(1984);RangerおよびPappas,J.
Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61
(1983)を参照のこと;また、Levyら、Science 228:19
0(1985);Duringら、Ann.Neurol.25:351(19
89);Howardら、J.Neurosurg.71:105(1989)
を参照のこと)。別の実施形態において、制御放出システムは、治療標的(すな
わち、脳)の近位に配置され得、従って、全身用量のある画分のみを必要とする
(例えば、Goodson、Medical Applications of
Controlled Release、前出、第2巻、第115〜138頁
(1984)を参照のこと)。
【0337】 他の制御された放出システムがLangerによる概説に考察されている(S
cience 249:1527〜1533(1990))。
【0338】 本発明の化合物がタンパク質をコードする核酸である特定の実施形態では、こ
の核酸は、インビボで投与され、そのコードされたタンパク質の発現を促進し得
る。これは、この核酸を適切な核酸発現ベクターの一部として構築することおよ
びそれを投与することによる。その結果、この核酸は、例えば、以下によって細
胞内にはいる:レトロウイルスベクターの使用(米国特許第4,980,286
号を参照のこと)、または直接注射または微小粒子ボンバードメントの使用(例
えば、遺伝子銃;Biolistic,Dupont)、または脂質もしくは細
胞表面レセプターもしくはトランスフェクト剤でのコーティング、またはホメオ
ボックス様ペプチド(核に進入することが知られている)との連結でのこの核酸
の投与(例えば、Joliotら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 88:1864〜1868(1991))など。あるいは、核酸は、相同
組換えによって細胞内に導入され、そして宿主細胞DNAに組み込まれて発現し
得る。
【0339】 本発明はまた、薬学的組成物を提供する。このような組成物は、治療上有効な
量の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む。特定の実施形態では、用
語「薬学的に受容可能な」とは、連邦政府の監督官庁もしくは合衆国政府により
承認されるか、または米国薬局方もしくは動物、そしてより詳細にはヒトでの使
用のための他の一般に認識された薬局方に列挙されたことを意味する。用語「キ
ャリア」は、この治療剤が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビ
ヒクルをいう。このような薬学的キャリアは、水またはオイル(ピーナツ油、大
豆油、鉱油、ゴマ油などのような石油、動物、植物または合成起源のオイルを含
む)のような滅菌液であり得る。水は、薬学的組成物が静脈内投与される場合、
好ましいキャリアである。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリ
セロール溶液はまた、液体キャリアとして、特に注射用溶液に、使用され得る。
適切な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース
、ゼラチン、モルト、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナト
リウム、グリセロールモノステアレート、滑石、塩化ナトリウム、粉末スキムミ
ルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる
。この組成物は、所望の場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝化
剤を含み得る。これらの組成物は、溶液の形態、懸濁液の形態、エマルジョンの
形態、錠剤の形態、丸剤の形態、カプセルの形態、粉末の形態、除放化処方物の
形態などをとり得る。この組成物は、従来の結合剤およびキャリア(例えば、グ
リセリド)とともに座剤として処方され得る。経口処方物は、標準的キャリア(
例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネ
シウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウムなど)を含み得
る。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinの「Remingto
n’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている
。このような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するように、治
療上有効な量の化合物を、好ましくは精製形態で、適切な量のキャリアと一緒に
含む。この処方物は、投与の様式に適切であるべきである。
【0340】 好ましい実施形態において、この組成物は、ヒトへの静脈内投与のために適合
した薬学的組成物として慣用的手順に従って処方される。代表的には、静脈投与
のための組成物は、滅菌の等張性水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、組成
物はまた、可溶化剤および局所麻酔剤(注射部位で疼痛を緩和するためのリグノ
カインのような)を含み得る。一般に、成分は、単位用量形態で別々にまたは一
緒に混合してのいずれかで(例えば、活性因子の量を示す、密封容器(例えば、
アンプルまたはサック(sachette))中の、凍結乾燥粉末または水なし
の濃縮物として)供給される。組成物が注入により投与されるべき場合、製剤等
級の滅菌水または生理食塩水を含有する注入ボトルで調剤され得る。組成物が注
射により投与される場合、投与前に成分が混合され得るように、注射用滅菌水ま
たは生理食塩水のアンプルが、提供され得る。
【0341】 本発明の化合物は、中性または塩の形態で処方され得る。薬学的に受容可能な
塩としては、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸などに由来するア
ニオンのようなアニオンで形成された塩、ならびにナトリウム、カリウム、アン
モニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イスプロピルアミン、トリエチルアミン
、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するカチオ
ンのようなカチオンで形成された塩が挙げられる。
【0342】 本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連する疾患または
障害の処置、阻害および予防において有効である本発明の化合物の量は、標準的
な臨床的技術により決定され得る。さらに、至適投与量範囲を同定することを補
助するために必要に応じてインビトロアッセイが使用され得る。この処方物中で
使用されるべき正確な用量はまた、投与の経路、および疾患または障害の重篤度
に依存し、そして医師の判断およびそれぞれの患者の状況に従って決定されるべ
きである。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験系に由来する用量応
答曲線から推定され得る。
【0343】 抗体については、患者に投与される投薬量は、代表的には、患者の体重の0.
1mg/kg〜100mg/kgである。好ましくは、患者に投与されるべき用
量は、患者の体重の0.1mg/kg〜20mg/kg、より好ましくは、患者
の体重の1mg/kg〜10mg/kgである。一般には、ヒト抗体は、外来ポ
リペプチドへの免疫応答に起因して、他の種由来の抗体よりもヒトの身体内でよ
り長い半減期を有する。従って、ヒト抗体では、より少ない投薬量およびより低
い頻度の投与がしばしば可能である。さらに、本発明の抗体の投与の投薬量およ
び頻度は、例えば、脂質化(lipidation)のような改変により、抗体
の取りこみおよび組織進入(例えば、脳への)を増強することによって低下させ
られ得る。
【0344】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分で充填した1つ以上の
容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。必要に応じて、このような
容器を伴うことは、製剤または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する
政府機関の所定の形式で通知され得る。この通知は、ヒト投与のための製造、使
用または販売の機関による承認を反映する。
【0345】 (診断および画像化) 標識した抗体、ならびにその誘導体およびアナログ(目的のポリペプチドに特
異的に結合する)は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に
関連した疾患、障害および/または状態を検出、診断またはモニターするための
診断目的に用いられ得る。本発明は、目的のポリペプチドの異常な発現の検出を
提供する。これは、(a)目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を用い
て個体の細胞または体液中の目的のポリペプチドの発現をアッセイする工程、お
よび(b)標準的な遺伝子発現レベルと遺伝子発現レベルを比較する工程であっ
て、これにより、標準的な発現レベルに比較してアッセイされたポリペプチド遺
伝子発現レベルの増加または低下が異常な発現の指標である工程、を包含する。
【0346】 本発明は、障害を診断するための診断アッセイを提供する。これには、(a)
目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を用いて個体の細胞または体液中
の目的のポリペプチドの発現をアッセイする工程、および(b)標準的な遺伝子
発現レベルと遺伝子発現レベルを比較する工程であって、これにより、標準的な
発現レベルに比較してアッセイされたポリペプチド遺伝子発現レベルの増加また
は低下が特定の障害の指標である工程、を包含する。ガンに関しては、個体由来
の生検された組織中の比較的高い量の転写物の存在は、疾患の発生の素因を示し
得るか、または実際の臨床徴候の発現前に疾患を検出するための手段を提供し得
る。この型の決定的な診断により、保健の専門家が予防的測定または積極的な処
置を早期に使用することが可能になり、これによりガンの発生またはさらなる進
行を予防する。
【0347】 本発明の抗体は、当業者に公知の伝統的な免疫組織学的方法を用いて生物学的
サンプル中のタンパク質レベルをアッセイするために用いられ得る(例えば、J
alkanenら、J.Cell.Biol.101:976〜985(198
5);Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3087〜30
96(1987)を参照のこと)。タンパク質遺伝子発現の検出に有用な他の抗
体ベースの方法としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジ
オイムノアッセイ(RIA)のようなイムノアッセイが挙げられる。適切な抗体
アッセイ標識は、当該分野で公知であり、そして例えば、グルコースオキシダー
ゼのような酵素標識;ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(
35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウ
ム(99mTc)のような放射性同位体;ルミノールのような発光性標識;なら
びにフルオレセインおよびローダミンのような蛍光標識;ならびにビオチンが挙
げられる。
【0348】 本発明の1つの局面は、動物(好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒ
ト)における目的のポリペプチドの異常な発現と関連した疾患または障害の検出
および診断である。1つの実施形態において、診断は、以下の工程を包含する:
a)目的のポリペプチドに特異的に結合する有効量の標識分子を被験体に投与(
例えば、非経口的に、皮下的に、または腹腔内に)する工程;b)標識した分子
を被験体の部位に優先的に濃縮することを可能にするために(そしてバックグラ
ウンドレベルに対して除去されるべき未結合の標識分子のために)投与後、時間
間隔を空ける工程であって、ここでこのポリペプチドが発現される工程;c)バ
ックグラウンドレベルを検出する工程;ならびにd)被験体中の標識分子を検出
して、これによりバックグラウンドレベルをこえる標識分子の検出が、この患者
は、目的のポリペプチドの異常な発言と関連した特定の疾患または障害を有する
ことを示す、工程。バックグラウンドレベルは、種々の方法により決定され得る
。この方法は、特定の系について事前に決定された標準値に対して、標識分子の
検出された量を比較する工程を含む。
【0349】 被験体のサイズおよび用いられる画像化システムは、診断画像を作成するのに
必要な画像部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体部分
の場合は、ヒト被験体について、注射した放射線活性の量は、通常、99mTc
の約5〜20ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗体フ
ラグメントは、特定のタンパク質を含む細胞の位置に優先的に蓄積される。イン
ビボ腫瘍画像化は、S.W.Burchielら、「Immunopharma
cokinetics of Radiolabeled Antibodie
s and Their Fragments.」(Tumor Imagin
g:The Radiochemical Detection of Can
cerの第13章、S.W.BurchielおよびB.A.Rhodes編、
Masson Publishing Inc.(1982))に記載される。
【0350】 用いられる標識の型および投与の様式を含む、いくつかの変数に依存して、標
識した分子を被験体の部位に優先的に濃縮することを可能にするための、そして
バックグラウンドレベルに対して除去されるべき未結合の標識分子のための、投
与後の時間間隔は、6〜48時間または6〜24時間または6〜12時間である
。別の実施形態において、投与後の時間間隔は、5〜20日または5〜10日で
ある。
【0351】 1つの実施形態において、疾患または障害のモニタリングは、疾患または障害
を診断する方法を繰り返す(例えば、初回診断後1ヶ月、初回診断後6ヶ月、初
回診断後1年など)ことにより実行される。
【0352】 標識化分子の存在は、インビボスキャニングについての当該分野で公知の方法
を使用して患者中で検出され得る。これらの方法は、使用される標識の型に依存
する。当業者は、特定の標識を検出するための適切な方法を決定し得る。本発明
の診断方法において使用され得る方法およびデバイスは、コンピュータ断層撮影
法(CT)、体全体のスキャン(例えば、陽電子(position)射出断層
撮影法(PET))、磁気共鳴画像法(MRI)、および超音波診断法を含むが
、これらに限定されない。
【0353】 特定の実施形態において、分子を放射性同位体で標識し、そして放射応答外科
的機器(radiation responsive surgical in
strument)(Thurstonら、米国特許第5,441,050号)
を使用して患者中で検出する。別の実施形態において、分子を蛍光化合物で標識
し、そして蛍光応答スキャニング機器を使用して患者中で検出する。別の実施形
態において、分子を陽電子射出金属で標識し、そして陽電子射出断層撮影法を使
用して患者中で検出する。さらに別の実施形態において、分子を常磁性標識で標
識し、そして磁気共鳴画像法(MRI)を使用して患者中で検出する。 (キット) 本発明は、上記の方法において使用され得るキットを提供する。1つの実施形
態において、キットは、1つ以上の容器において、本発明の抗体、好ましくは精
製した抗体を備える。特定の実施形態において、本発明のキットは、エピトープ
を含む実質的に単離されたポリペプチドを備える。このエピトープは、キット中
に含まれる抗体と特異的に免疫反応する。好ましくは、本発明のキットは、目的
のポリペプチドと反応しないコントロール抗体をさらに備える。別の特定の実施
形態において、本発明のキットは、目的のポリペプチドへの抗体の結合を検出す
るための手段を備える(例えば、この抗体は、検出可能な基質(例えば、蛍光化
合物、酵素基質、放射性化合物もしくは発光化合物)に結合体化され得るか、ま
たは1次抗体を認識する2次抗体が、検出可能な基質と結合体化され得る)。
【0354】 本発明の別の特定の実施形態において、キットは、増殖性および/または癌性
のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに対して特異的な抗体を含む血清のスク
リーニングに使用するための診断キットである。このようなキットは、目的のポ
リペプチドと反応しないコントロール抗体を備え得る。このようなキットは、エ
ピトープを含む実質的に単離されたポリペプチド抗原を備え得る。このエピトー
プは、少なくとも1つの抗ポリペプチド抗原抗体と特異的に免疫反応する。さら
に、このようなキットは、抗原に対する上記の抗体の結合を検出するための手段
を備える(例えば、この抗体は、蛍光化合物(例えば、フローサイトメトリーに
より検出され得るフルオレセインまはたローダミン)と結合体化され得る)。特
定の実施形態において、キットは、組換え的に産生されたポリペプチド抗原また
は化学的に合成されたポリペプチド抗原を備え得る。キットのポリペプチド抗原
はまた、固体支持体に付着され得る。
【0355】 より特定の実施形態において、上記のキットの検出手段は、上記のポリペプチ
ド抗原が付着する固体支持体を備える。このようなキットはまた、非付着レポー
ター標識化抗ヒト抗体を備え得る。この実施形態において、ポリペプチド抗原へ
の抗体の結合は、上記のレポーター標識抗体の結合によって検出され得る。
【0356】 さらなる実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチドの抗原を含む血
清のスクリーニングにおいて使用するための、診断キットを含む。この診断キッ
トは、ポリペプチド抗原またはポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫反応する実
質的に単離された抗体、およびこの抗体へのこのポリヌクレオチド抗原またはポ
リペプチド抗原の結合を検出するための手段を備える。1つの実施形態において
、この抗体は、固体支持体に付着される。特定の実施形態において、この抗体は
、モノクロナール抗体であり得る。キットのこの検出手段は、2次の標識化モノ
クロナール抗体を含み得る。あるいは、またはさらに、この検出手段は、標識化
競合抗原を含み得る。
【0357】 1つの診断の構成においては、試験血清は、本発明の方法により得られる表面
結合抗原を有する固相試薬と反応する。特異的な抗原抗体をこの試薬と結合させ
、そして結合されない血清成分を洗浄により除去した後、固体支持体上に結合す
る抗抗原抗体の量に応じて、レポーターをこの試薬と結合させるために、この試
薬をレポーター標識抗ヒト抗体と反応させる。この試薬は、結合されない標識抗
体を除去するため、再度洗浄され、そしてこの試薬と会合したレポーターの量が
決定される。代表的には、レポーターは、適切な蛍光定量的基質、発光基質また
は比色基質(Sigma,St.Louis,MO)の存在下で、この固相をイ
ンキュベートすることにより検出される酵素である。
【0358】 上記のアッセイにおける固体表面試薬は、タンパク質材料を固体支持体材料(
例えば、高分子ビーズ、ディップスティック、96ウェルプレートまたはフィル
ター材料)に付着させるための公知の技術により調製される。これらの付着方法
としては、一般的に、支持体へのタンパク質の非特異的な吸着または固体支持体
上の化学的に反応性の基(例えば、活性化されたカルボキシル基、ヒドロキシル
基、またはアルデヒド基)とのタンパク質の共有結合(covalent at
tachment)(代表的には、遊離アミン基を介する)が挙げられる。ある
いは、ストレプトアビジンでコートされたプレートが、ビオチン化された抗原と
共に使用され得る。
【0359】 従って、本発明は、この診断方法を行うためのアッセイ系またはキットを提供
する。このキットは、一般的に、表面結合された組み換え抗原を有する支持体、
および表面結合された抗抗原抗体を検出するための、レポーター標識された抗ヒ
ト抗体を含む。
【0360】 (ポリヌクレオチドの使用) 本明細書中で同定された各々のポリヌクレオチドは、試薬として多数の方法に
おいて使用され得る。以下の説明は例示的であるとみなされるべきであり、そし
て公知の技術を利用する。
【0361】 本発明のポリヌクレオチドは、染色体同定のために有用である。実際の配列デ
ータ(反復多型性)に基づく染色体マーキング試薬は現在ほとんど利用可能では
ないため、新しい染色体マーカーを同定する必要性が存在するままである。各々
の配列は、個々のヒト染色体上の特定の位置に特異的に標的化され得、そしてこ
の特定の位置とハイブリダイズし得る。従って、本発明の各々のポリヌクレオチ
ドは、当該分野で公知の技術を使用して、染色体マーカーとして慣用的に使用さ
れ得る。
【0362】 簡単に言うと、配列は、配列番号Xで示される配列からPCRプライマー(好
ましくは、少なくとも15bp(例えば、15〜25bp))を調製することに
よって染色体にマッピングされ得る。プライマーが、ゲノムDNA中の1つより
多くの予測されたエキソンにまたがらないように、プライマーは、必要に応じて
、コンピューター分析を使用して選択され得る。次いで、これらのプライマーは
、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために
使用される。配列番号Xに対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが、増幅
されたフラグメントを産生する。
【0363】 同様に、体細胞ハイブリッドは、特定の染色体に対してポリヌクレオチドをP
CRマッピングする迅速な方法を提供する。単一のサーマルサイクラーを使用し
て1日あたり3つ以上のクローンが割り当てられ得る。さらに、ポリヌクレオチ
ドの準位置決定(sublocalization)は、特定の染色体フラグメ
ントのパネルを用いて達成され得る。使用され得る他の遺伝子マッピング戦略と
しては、インサイチュハイブリダイゼーション、標識フローソート(label
ed flow sorted)染色体でのプレスクリーニング、染色体特異的
cDNAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによる前選択、
およびコンピューターマッピング技術(例えば、本明細書によりその全体が参考
として援用される、Shuler,Trends Biotechnol 16
:456−459(1998)を参照のこと)が挙げられる。
【0364】 ポリヌクレオチドの正確な染色体位置はまた、中期染色体スプレッド(spr
ead)の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用して獲
得され得る。この技術は500または600塩基ほどの短さのポリヌクレオチド
を使用する;しかし2,000〜4,000bpのポリヌクレオチドが好ましい
。この技術の総説に関しては、Vermaら、「Human Chromoso
mes: a Manual of Basic Techniques」,
Pergamon Press, New York (1988)を参照のこ
と。
【0365】 染色体マッピングについては、ポリヌクレオチドは、個々に(単一染色体また
はその染色体上の単一部位をマークするために)またはパネルで(複数部位およ
び/または複数染色体をマークするために)使用され得る。
【0366】 従って、本発明はまた、表1および配列番号Xにおけるポリヌクレオチド配列
からPCRプライマーを調製する工程、ならびに(b)個々の染色体を含む体細
胞ハイブリッドをスクリーニングする工程を包含する、染色体位置決定のための
方法を提供する。
【0367】 本発明のポリヌクレオチドは、同様に、照射ハイブリッドマッピング(rad
iation hybrid mapping)、HAPPYマッピング、およ
び長距離制限マッピング(long range restriction m
apping)のために有用である。これらの技術および当該分野で公知の他の
技術についての総説に関しては、例えば、Dear「Genome Mappi
ng:A Practical Approach」IRL Press at
Oxford University Press,London(1997
);Aydin,J.Mol.Med.77:691−694(1999);H
aciaら、Mol.Psychiatry 3:483−492(1998)
;Herrickら、Chromosome Res.7:409−423(1
999);Hamiltonら、Methods Cell Biol.62:
265−280(2000);および/またはOtt,J.Hered.90:
68−70(1999)を参照のこと(これらの各々は、その全体が本明細書に
より参考として援用される)。
【0368】 一旦、ポリヌクレオチドが正確な染色体位置にマップされると、ポリヌクレオ
チドの物理的位置は、連鎖分析において使用され得る。連鎖分析は、染色体位置
と特定の疾患の提示との間の同時遺伝(coinheritance)を確立す
る。(疾患マッピングデータは、例えば、V.McKusick,Mendel
ian Inheritance in Man(Johns Hopkins
University Welch Medical Libraryを通し
てオンラインで利用可能である)において見い出される)。1メガベースマッピ
ング解像度および20kbあたり1遺伝子と仮定すると、疾患と関連する染色体
領域に正確に位置決定されるcDNAは、50〜500の潜在的な原因遺伝子の
うちの1つであり得る。
【0369】 従って、一旦、同時遺伝が確立されると、罹患個体と非罹患個体との間での本
発明のポリヌクレオチドおよび対応する遺伝子における差異が試験され得る。ま
ず、染色体中の可視的構造変化(例えば、欠失または転座)は染色体スプレッド
において、またはPCRによって試験される。構造的変化が存在しない場合、点
変異の存在が確認される。何人かのまたは全ての罹患された個体で観察されたが
、正常な個体では観察されなかった変異は、この変異がこの疾患を引き起こし得
ることを示す。しかし、いくつかの正常な個体由来のポリペプチドおよび対応す
る遺伝子の完全な配列決定は、変異を多型性と区別するために要求される。新し
い多型性が同定される場合、この多型ポリペプチドはさらなる連鎖分析のために
使用され得る。
【0370】 さらに、非罹患個体と比較した、罹患個体の遺伝子の増加または減少した発現
が、本発明のポリヌクレオチドを使用して評価され得る。任意のこれらの変化(
変化した発現、染色体再配置、または変異)は、診断マーカーまたは予後マーカ
ーとして使用され得る。
【0371】 従って、本発明はまた、障害の診断の間に有用な診断方法を提供し、この方法
は、個体由来の細胞または体液中の本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測
定する工程、および測定された遺伝子発現レベルをポリヌクレオチド発現レベル
の標準レベルと比較する工程を包含し、これによって、標準と比較して、遺伝子
発現レベルの増加または減少が、障害の指標になる。
【0372】 なお別の実施形態では、本発明は、サンプルを、試験被験体に由来する増殖性
および/またはガン性のポリヌクレオチドの存在について分析するためのキット
を含む。一般的実施形態において、このキットは、本発明のポリヌクレオチドと
特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのポリヌク
レオチドプローブ、および適切な容器を備える。この特定の実施形態では、この
キットは、本発明のポリヌクレオチドの内部領域を規定する2つのポリヌクレオ
チドプローブを含み、ここで各プローブは、この領域に対して内部に31’マー
末端を含む1つの鎖を有する。さらなる実施形態では、このプローブは、ポリメ
ラーゼ連鎖反応増幅のためのプライマーとして有用であり得る。
【0373】 関連する障害の診断(例えば、腫瘍の診断を含む)が既に従来方法によって行
われている場合、本発明は、予後インジケーターとして有用であり、それによっ
て増強または抑制された本発明のポリヌクレオチド発現を示す患者が、標準レベ
ルにより近いレベルでこの遺伝子を発現する患者と比較して悪い臨床結果を経験
する。
【0374】 「本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測定する(こと)」によって、本
発明のポリペプチドのレベルまたは本発明のポリペプチドをコードするmRNA
のレベルを、第1の生物学的サンプルにおいて直接的(例えば、絶対のタンパク
質レベルまたはmRNAレベルを決定または評価することによって)または相対
的(例えば、第2の生物学的サンプル中のポリペプチドレベルまたはmRNAレ
ベルに対して比較することによって)のいずれかで定性的または定量的に測定ま
たは評価することが意図される。好ましくは、第1の生物学的サンプル中のポリ
ペプチドレベルまたはmRNAレベルが測定または評価され、そして標準のポリ
ペプチドレベルまたはmRNAレベルに対して比較され、この標準は、関連する
障害を有さない個体から得られる第2の生物学的サンプルから得られるかまたは
関連する障害を有さない個体の集団由来のレベルを平均することによって決定さ
れる。当該分野で認識されるように、一旦標準的なポリペプチドレベルまたはm
RNAレベルが公知になれば、これを、比較のための標準として反復して用い得
る。
【0375】 「生物学的サンプル」によって、本発明のポリペプチドまたは対応するmRN
Aを含む、個体、体液、細胞株、組織培養物または他の供給源から得られる任意
の生物学的サンプルが意図される。示されるように、生物学的サンプルは、本発
明のポリペプチドを含む体液(例えば、精液、リンパ、血清、血漿、尿、滑液お
よび髄液)、および本発明のポリペプチドを発現することが見出された組織供給
源を含む。哺乳動物から組織生検および体液を得るための方法は、当該分野で周
知である。生物学的サンプルがmRNAを含む場合、組織生検が好ましい供給源
である。
【0376】 上記で提供された方法は好ましくは、本発明のポリヌクレオチドおよび/また
はポリペプチドが固体支持体に結合される、診断方法および/またはキットに適
用され得る。1つの例示的な方法では、この支持体は、米国特許第5,837,
832号、同第5,874,219号および同第5,856,174号に記載さ
れる、「遺伝子チップ」または「生物学的チップ」であり得る。さらに、本発明
のポリヌクレオチドが結合されたこのような遺伝子チップを用いて、本発明のポ
リヌクレオチド配列と、試験被験体から単離されたポリヌクレオチドとの間の多
型性を同定し得る。このような多型性の知見(すなわち、それらの位置ならびに
それらの存在)は、例えば、神経障害、免疫系障害、筋肉障害、生殖障害、胃腸
障害、肺障害、心臓血管障害、腎臓障害、増殖性障害、ならびに/またはガン性
の疾患および状態のような多くの障害についての疾患の遺伝子座を同定する際に
有益である。このような方法は、米国特許第5,858,659号および同第5
,856,104号に記載される。上記に参照した米国特許は、その全体が本明
細書中に参考として援用される。
【0377】 本発明は、化学的に合成された(すなわち、ペプチド核酸(PNA)として再
現された)または当該分野で公知の他の方法に従って合成された、本発明のポリ
ヌクレオチドを包含する。PNAの使用は、本発明のポリヌクレオチドが固体支
持体、すなわち、遺伝子チップに取り込まれる場合、好ましい形態として役立つ
。本発明の目的のために、ペプチド核酸(PNA)は、ポリアミド型のDNAア
ナログであり、そしてアデニン、グアニン、チミンおよびシトシンについてのモ
ノマー単位が市販される(Perceptive Biosystems)。D
NAの特定の成分(例えば、リン、酸化リンまたはデオキシリボース誘導体)は
、PNA中に存在しない。P.E.Nielsen,M.Egholm,R.H
.BergおよびO.Buchardt,Science 254,1497(
1997);ならびにM.Egholm,O.Buchardt,L.Chri
stensen,C.Behrens,S.M.Freier,D.A.Dri
ver,R.H.Berg、S.K.Kim,B.NordenおよびP.E.
Nielsen,Nature 365,666(1993)によって開示され
るように、PNAは、相補的なDNA鎖に対して特異的かつ緊密に結合し、そし
てヌクレアーゼによって分解されない。実際、PNAは、DNA自体が結合する
よりも強力にDNAに結合する。これはおそらく、2つの鎖の間に静電斥力が存
在せず、そしてまたポリアミド骨格がより可撓性が高いことによる。これによっ
て、PNA/DNA二重鎖は、DNA/DNA二重鎖よりも広範囲のストリンジ
ェンシー条件下で結合し、多重鎖ハイブリダイゼーションを行うのをより容易に
する。強力な結合に起因して、DNAを用いてよりも小さいプローブが用いられ
得る。さらに、おそらく、単一の塩基ミスマッチが、PNA/DNAハイブリダ
イゼーションを用いて決定され得る。なぜなら、PNA/DNAの15マーにお
ける単一のミスマッチは、DNA/DNAの15マー二重鎖については4℃〜1
6℃であるのに対して、融点(T.sub.m)を8〜20℃低下させるからで
ある。また、PNA中に電荷基が存在しないことは、ハイブリダイゼーションが
、低いイオン強度で行われ得、そして分析の間の塩によって可能な妨害を減少さ
せることを意味する。
【0378】 本発明は、哺乳動物におけるガンの検出を含む用途を有するが、これらに限定
されない。特に、本発明は、以下を含むがこれらに限定されない、病理学的細胞
増殖新形成の診断の間に有用である:急性骨髄性白血病(急性単球性白血病、急
性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性赤白
血病、急性巨核球性白血病、および急性未分化白血病などを含む);および慢性
骨髄性白血病(慢性骨髄単球性白血病、慢性顆粒球性白血病などを含む)。好ま
しい哺乳動物としては、有尾猿(monkey)、無尾猿(ape)、ネコ、イ
ヌ、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギおよびヒトが挙げられる。特に好ましいのは、ヒ
トである。
【0379】 病理学的細胞増殖障害はしばしば、原癌遺伝子の非適切な活性化に関連する(
Gelmann,E.P.ら,「The Etiology of Acute
Leukemia:Molevular Genetics and Vir
al Oncology」,Neoplastic Diseases of
the Blood,第1巻,Wiernik、P.H.ら編,161−182
(1985))。新形成は現在、ウイルス配列の染色体への挿入、より活性に転
写される領域への遺伝子の染色体転座、または何らかの他の機構による、正常な
細胞遺伝子産物の定性的変化から、または遺伝子発現の定量的改変から生じると
考えられている(Gelmannら、前出)。特定の遺伝子の変異または変更さ
れた発現が、他の組織および他の細胞型の中でも、いくつかの白血病の病因と関
与するようである(Gelmannら、前出)。実際、いくつかの動物新形成に
関与する癌遺伝子のヒト対応物は、ヒトの白血病および癌のいくつかの症例にお
いて増幅または転座されている(Gelmannら、前出)。
【0380】 例えば、c−myc発現は、非リンパ球性白血病細胞株HL−60において高
度に増幅される。HL−60細胞が増幅を止めるように化学的に誘導される場合
、c−mycのレベルは、ダウンレギュレートされることが見出される(国際公
開第WO91/15580号)。しかし、c−mycまたはc−mybの5’末
端に相補的であるDNA構築物へのHL−60細胞の曝露が、c−mycタンパ
ク質またはc−mybタンパク質の発現をダウンレギュレートする対応するmR
NAの翻訳をブロックし、処理した細胞の細胞増殖および分化の停止を引き起こ
すことが示されている(国際公開第WO91/15580号;Wickstro
mら、Proc.Natl.Acad.Sci.85:1028(1988);
Anfossiら、Proc.Natl.Acad.Sci.86:3379(
1989))。しかし、当業者は、増殖表現型を示すことが公知である種々の起
源の多数の細胞および細胞型を考慮すれば、本発明の有用性が造血性の細胞およ
び組織の増殖性障害の処置に限定されないことを認識する。
【0381】 前記に加えて、本発明のポリヌクレオチドは、三重らせん形成またはアンチセ
ンスDNAもしくはRNAによって遺伝子発現を制御するために使用され得る。
アンチセンス技術は例えば、Okano,J.Neurochem.56:56
0(1991),「Oligodeoxynucleotides as An
tisense Inhibitors of Gene Expressio
n」,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)に考察さ
れる。三重らせん形成は例えば、Leeら、Nucleic Acids Re
search 6:3073(1979);Cooneyら、Science
241:456(1988);およびDervanら、Science 251
:1360(1991)に考察される。両方の方法は、相補的DNAまたはRN
Aへのポリヌクレオチドの結合に依存する。これらの技術に関して、好ましいポ
リヌクレオチドは通常、20〜40塩基長のオリゴヌクレオチドであり、そして
転写に関与する遺伝子領域(三重らせん−Leeら,Nucl.Acids R
es.6:3073(1979);Cooneyら、Science 241:
456(1988);およびDervanら、Science 251:136
0(1991)を参照のこと)またはmRNA自体(アンチセンス−Okano
,J.Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxy
−nucleotides as Antisense Inhibitors
of Gene Expression,CRC Press,Boca R
aton,FL(1988))のいずれかに相補的である。三重らせん形成は、
最適にはDNAからのRNA転写の遮断を生じるが、アンチセンスRNAハイブ
リダイゼーションは、ポリペプチドへのmRNA分子の翻訳を阻止する。上記の
オリゴヌクレオチドはまた、アンチセンスRNAまたはDNAが、本発明の抗原
のポリペプチドの生成を阻害するためにインビボで発現され得るように、細胞に
送達され得る。両方の技術は、モデル系において効果的であり、そして本明細書
に開示される情報は、疾患を処置するための試みにおいて、特に、増殖性の疾患
および/または状態の処置のために、アンチセンスまたは三重らせんポリヌクレ
オチドを設計するために使用され得る。
【0382】 本発明のポリヌクレオチドはまた、遺伝子治療において有用である。遺伝子治
療の1つの目標は、遺伝欠損を修正する試みにおいて、欠損遺伝子を有する生物
へ正常遺伝子を挿入することである。本発明に開示されるポリヌクレオチドは、
高度に正確な様式でこのような遺伝欠損を標的とする手段を提供する。別の目標
は、宿主ゲノム中には存在しなかった新しい遺伝子を挿入し、それによって宿主
細胞中に新しい形質を生成することである。
【0383】 ポリヌクレオチドはまた、微小な生物学的サンプルから個体を同定するために
有用である。例えば、米国軍は、その職員を同定するために制限フラグメント長
の多型性(RFLP)の使用を考慮している。この技術において、個体のゲノム
DNAは1つ以上の制限酵素で消化され、そして職員を同定するため固有なバン
ドを生じるためのサザンブロットについてプローブされる。この方法は、「認識
票(Dog tag)」(これは、失われたり、交換されたり、または盗まれた
りすることにより、ポジティブな同定を困難にし得る)の現在の限界を受けない
。本発明のポリヌクレオチドは、RFLPのためのさらなるDNAマーカーとし
て使用され得る。
【0384】 本発明のポリヌクレオチドはまた、個体のゲノムの選択された部分の実際の塩
基ごとのDNA配列を決定することによって、RFLPに対する代替物として使
用され得る。これらの配列は、このような選択されたDNAを増幅しそして単離
するためのPCRプライマーを調製するために使用され得、次いで、この選択さ
れたDNAは、配列決定され得る。各個体が固有のセットのDNA配列を有する
ので、この技術を使用して、個体が同定され得る。一旦、固有のIDデータベー
スが個体について確立されると、その個体が生存していようとまたは死亡してい
ようと、その個体のポジティブ同定が、極めて小さな組織サンプルからなされ得
る。
【0385】 法医学生物学もまた、本明細書に開示されるようなDNAに基づく同定技術を
使用して利益を得る。組織(例えば、髪または皮膚)、または体液(例えば、血
液、唾液、精液、滑液、羊水、乳汁、リンパ、肺痰(pulmonary sp
utum)またはサーファクタント、尿、糞便物質など)のような非常に小さな
生物学的サンプルから得られたDNA配列は、PCRを使用して増幅され得る。
ある先行技術において、DQaクラスII HLA遺伝子のような多型性遺伝子
座から増幅された遺伝子配列は、個体を同定するための法医学生物学において使
用される。(Erlich,H.,PCR Technology,Freem
an and Co.(1992))。一旦、これらの特異的多型性遺伝子座が
増幅されると、これらは1つ以上の制限酵素で消化される。これは、DQaクラ
スII HLA遺伝子に対応するDNAでプローブされたサザンブロットについ
てのバンドの同定セットを生じる。同様に、本発明のポリヌクレオチドは、法医
学的目的のための多型性マーカーとして使用され得る。
【0386】 また、特定の組織の供給源を同定し得る試薬についての必要性が存在する。例
えば、未知の起源の組織が提供される場合、法医学においてこのような必要性が
生じる。適切な試薬は、例えば、本発明の配列から調製される、特定の組織に特
異的なDNAプローブまたはプライマーを含み得る。このような試薬のパネルは
、種および/または器官型によって組織を同定し得る。同様の様式で、これらの
試薬は、夾雑物について組織培養物をスクリーニングするために使用され得る。
【0387】 本発明のポリヌクレオチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞
型の示差的同定のためのハイブリダイゼーションプローブとして有用である。同
様に、本発明のポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織
(例えば、免疫組織化学的アッセイ)または細胞型(例えば、免疫細胞化学的ア
ッセイ)の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。さらに、
上記組織または細胞の多くの障害に関して、「標準」の遺伝子発現レベル(すな
わち、この障害を有さない個体由来の健常組織中の発現レベル)に対して有意に
より高いまたはより低いレベルの、本発明のポリヌクレオチド/ポリペプチドの
遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織(例え
ば、本発明のポリペプチドおよび/もしくはポリヌクレオチドを発現する組織な
らびに/または癌性組織ならびに/または創傷組織)または体液(例えば、血清
、血漿、尿、滑液または髄液)の中で検出される。
【0388】 従って、本発明は、障害の診断方法を提供し、この方法は、以下の工程:(a
)細胞または個体の体液における遺伝子発現レベルをアッセイする工程;(b)
その遺伝子発現レベルを標準遺伝子発現レベルと比較する工程、を包含し、これ
によって、標準発現レベルと比較して、アッセイされた遺伝子発現レベルの増加
または減少が、障害の指標になる。
【0389】 少なくとも、本発明のポリヌクレオチドは、サザンゲルでの分子量マーカーと
して、特定の細胞型における特定のmRNAの存在に関する診断プローブとして
、新規なポリヌクレオチドを発見するプロセスでの公知の配列を「差し引き」す
るためのプローブとして、「遺伝子チップ」または他の支持体に付着させるため
のオリゴマーを選択および作製するため、DNA免疫技術を用いて抗DNA抗体
を惹起させるため、および免疫応答を誘発する抗原として、使用され得る。
【0390】 (ポリペプチドの使用) 本明細書中に同定される各ポリペプチドは、多くの方法に使用され得る。以下
の説明は、例示としてみなされるべきであり、そして公知の技術を利用する。
【0391】 本発明のポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織(例
えば、ABCイムノペルオキシダーゼ(Hsuら、J.Histochem.C
ytochem.29:577−580(1981)のような免疫組織化学的ア
ッセイ)または細胞型(免疫細胞化学的アッセイ)の示差的同定のための免疫学
的プローブの提供に有用である。
【0392】 抗体は、当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法を用いて、生物学的サンプ
ル中の本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのレベルを
アッセイするために使用され得る(例えば、Jalkanen,M.ら、J.C
ell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanen,
M.ら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987)を
参照のこと)。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用である、抗体に基づい
た他の方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノ
アッセイ(RIA)のような免疫アッセイが含まれる。適切な抗体アッセイの標
識は、当該技術分野で公知であり、そして例えば、グルコースオキシダーゼのよ
うな酵素標識、ならびにヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)
、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113mIn、112
n、111In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti
)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99
o)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、14 9 Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142
r、105Rh、97Ruのような放射性同位体;ルミノールのような発光標識;な
らびにフルオレセインおよびローダミンのような蛍光標識、ならびにビオチンが
挙げられる。
【0393】 生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドのレベルをアッセイすることに加
えて、タンパク質はまた、画像化によりインビボで検出され得る。タンパク質を
インビボで画像化するための抗体の標識またはマーカーとしては、X線ラジオグ
ラフィー、NMRまたはESRにより検出可能なものが挙げられる。X線ラジオ
グラフィーについては、適切な標識は、検出可能な放射線を発するが、被験体に
対して明白には有害ではないバリウムまたはセシウムのような放射性同位体を含
む。NMRおよびESRに適切なマーカーには、例えば重水素のような検出可能
な特徴的なスピンを有するものが含まれ、これは、関連したハイブリドーマのた
めの栄養素を標識することにより抗体に取り込まれ得る。
【0394】 放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc、(131I、125I、123I、 121 I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115m In、113mIn、112In、111In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc
)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd
)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、 177 Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186
Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru)、放射線不透過性物質、または核
磁気共鳴により検出可能な材料のような適切な検出可能な画像化部分で標識され
た、タンパク質特異的抗体または抗体フラグメントは、免疫系障害について試験
される哺乳動物に(例えば、非経口的、皮下、または腹腔内に)導入される。被
験体のサイズおよび用いられる画像化システムは、診断画像を生成するために必
要な画像化部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体部分
の場合には、ヒト被験体について、注射される放射能の量は、通常、99mTc
の約5〜20ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗体フ
ラグメントは、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを発
現する細胞の位置に優先的に蓄積される。インビボ腫瘍画像化は、S.W.Bu
rchielら、「Immunopharmacokinetics of R
adiolabeled Antibodies and Their Fra
gments.」(Tumor Imaging:The Radiochem
ical Detection of Cancerの第13章、S.W.Bu
rchielおよびB.A.Rhodes編、Masson Publishi
ng Inc.(1982))に記載される。
【0395】 1つの実施形態において、本発明は、異種ポリペプチドまたは核酸と会合する
本発明のポリペプチド(例えば、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる
ポリペプチド、および/または抗体を含む)を投与することによる、本発明の組
成物の細胞への特定の送達のための方法を提供する。1つの例において、本発明
は、治療タンパク質を標的化細胞に送達するための方法を提供する。別の例にお
いて、本発明は、一本鎖核酸(例えば、アンチセンスまたはリボザイム)または
二本鎖核酸(例えば、細胞のゲノムに組み込まれるか、またはエピソームにて複
製し得、そして転写され得るDNA)を、標的化細胞に送達するための方法を提
供する。
【0396】 別の実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチドをトキシンまたは細
胞傷害性プロドラッグと組み合わせて投与することによる細胞の特定の破壊(例
えば、腫瘍細胞の破壊)のための方法が提供される。
【0397】 「トキシン」とは、内因性の細胞傷害性エフェクタ系、ラジオアイソトープ、
ホロトキシン(holotoxin)、改変型トキシン、トキシンの触媒サブユ
ニット、または細胞中もしくは細胞表面には通常存在しない規定の条件下で細胞
死を引き起こす任意の分子もしくは酵素を結合および活性化する1つ以上の化合
物を意味する。本発明の方法に従って使用され得るトキシンとしては、当該分野
で公知のラジオアイソトープ、固有のまたは誘導された内因性の細胞傷害性エフ
ェクタ系に結合する化合物(例えば、抗体(またはその一部を含む補体固定)、
チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、αトキシン、リシン、ア
ブリン、Pseudomonas外毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、モモル
ジン(momordin)、ゲロニン(gelonin)、ヤマゴボウ抗ウイル
スタンパク質、αサルシン(sarcin)およびコレラ毒素が挙げられるが、
これらに限定されない。「トキシン」はまた、細胞増殖抑制性薬剤(cytos
tatic agent)または細胞殺傷薬剤(cytocidal agen
t)、治療剤または放射活性金属イオン(例えば、213Biのようなアルファエ
ミッター)、または他の放射放射性同位体(例えば、103Pd、133Xe、131
68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、16 9 Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イットリウム、117Tin、186
ニウム、166ホルミウムおよび188レニウム);ルミノールのような発光標識;な
らびにフルオロセインおよびローダミンのような蛍光標識、ならびにビオチンが
挙げられる。
【0398】 当該分野で公知の技術は、本発明のポリペプチド(抗体を含む)を標識するた
めに適用され得る。このような技術としては、二官能性結合剤の使用が挙げられ
るが、これらに限定されない(例えば、米国特許第5,756,065号、同第
5,714,631号;同第5,696,239号;同第5,652,361号
;同第5,505,931号;同第5,489,425号;同第5,435,9
90号;同第5,428,139号;同第5,342,604号;同第5,27
4,119号;同第4,994,560号;および同第5,808,003号を
参照のこと;これらの各々の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用さ
れる)。
【0399】 従って、本発明は、障害の診断方法を提供し、この方法は以下を含む:(a)
個体の細胞または体液における本発明のポリペプチドの発現レベルをアッセイす
る工程;および(b)アッセイされたポリペプチドの発現レベルを標準のポリペ
プチドの発現レベルと比較し、それによって標準の発現レベルと比較したアッセ
イされたポリペプチドの発現レベルにおける増加または減少が障害を示す工程。
癌に関しては、個体由来の生検を実施された組織中の相対的に高い量の転写物の
存在が、その疾患の発症の素因を示し得るか、または実際の臨床的な症状が出現
する前に疾患を検出するための手段を提供し得る。より決定的なこのタイプの診
断は、保健専門家が早く予防策または積極的な処置を使用し、それによって癌の
発症またはさらなる進行を防ぐことを可能にし得る。
【0400】 さらに、本発明のポリペプチドを用いて疾患または状態(例えば、神経障害、
免疫系障害、筋肉障害、生殖障害、胃腸障害、肺障害、心血管障害、腎臓障害、
増殖障害ならびに/または癌性疾患および状態など)を処置または予防し得る。
例えば、患者は、そのポリペプチドの非存在またはレベルの減少を元に戻すこと
(例えば、インスリン)、異なるポリペプチドの不在またはレベルの減少を補充
すること(例えば、ヘモグロビンB、SOD、カタラーゼ、DNA修復タンパク
質に対するヘモグロビンS)、ポリペプチドの活性を阻害すること(例えば、癌
遺伝子または腫瘍抑制因子)、ポリペプチドの活性を活性化すること(例えば、
レセプターに結合することによって)、遊離リガンドについて膜結合レセプター
と競合させることによって膜結合レセプターの活性を減少させること(例えば、
炎症を低減させる際に用いられる可溶性TNFレセプター)、または所望の応答
をもたらすこと(例えば、血管の成長の阻害、増殖細胞または組織に対する免疫
応答の増強)の試みにおいて、本発明のポリペプチドが投与され得る。
【0401】 同様に、本発明のポリペプチドに対する抗体もまた用いられ、疾患(上記、お
よび本明細書中のどこかに記載されるような)を処置し得る。例えば、本発明の
ポリペプチドに対する抗体の投与は、そのポリペプチドを結合し、そして/また
はそのポリペプチドを中和し、そして/またはそのポリペプチドの過剰産生を低
減し得る。同様に、抗体の投与は、例えば、膜に結合したポリペプチド(レセプ
ター)へ結合することにより、そのポリペプチドを活性化し得る。
【0402】 少なくとも、本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSDS−
PAGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラムの分子量マーカーとして使用され
得る。宿主細胞の形質転換を評価する方法として、ポリペプチドがまた用いられ
、抗体を惹起し得、次いで、この抗体が使用され、組換え細胞からのタンパク質
発現が測定される。さらに、本発明のポリペプチドが使用され、以下の生物学的
活性を試験し得る。
【0403】 (遺伝子治療方法) 本発明の別の局面は、障害、疾患および状態を処置または予防するための遺伝
子治療方法である。この遺伝子治療方法は、本発明のポリペプチドの発現を達成
するための、動物への核酸(DNA、RNAおよびアンチセンスDNAまたはア
ンチセンスRNA)配列の導入に関する。この方法は、標的組織によるこのポリ
ペプチドの発現のために必要なプロモーターおよび他の任意の遺伝因子と、作動
可能に連結した本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを必要とす
る。このような遺伝子治療および送達技術は当該分野において公知である(例え
ば、本明細書中に参考として援用される、WO90/11092を参照のこと)
【0404】 従って、例えば、患者由来の細胞が、エキソビボで本発明のポリヌクレオチド
と作動可能に連結したプロモーターを含むポリヌクレオチド(DNAまたはRN
A)を用いて操作され得、次いで、操作された細胞は、本発明のポリペプチドを
用いて処置される患者に提供される。このような方法は、当該分野において周知
である。例えば、Belldegrun,A.ら、J.Natl.Cancer
Inst.85:207−216(1993);Ferrantini,M.
ら、Cancer Research 53:1107−1112(1993)
;Ferrantini,M.ら、J.Immunology 153:460
4−4615(1994);Kaido,T.ら、Int.J.Cancer
60:221−229(1995);Ogura,H.ら、Cancer Re
search 50:5102−5106(1990);Santodonat
o,L.ら、Human Gene Therapy 7:1−10(1996
);Santodonato,L.ら、Gene Therapy 4:124
6−1255(1997);およびZhang,J.−F.ら、Cancer
Gene Therapy 3:31−38(1996)を参照のこと。これら
は、本明細書中に参考として援用される。1つの実施形態においては、操作され
る細胞は、動脈細胞である。この動脈細胞は、動脈、動脈の周囲の組織への直接
的な注射を介してか、またはカテーテル注入を介して、患者に再導入され得る。
【0405】 以下により詳細に考察されるように、このポリヌクレオチド構築物は、注射可
能な物質を動物の細胞に送達する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚
、肺、肝臓など)の間隙空間への注射)により送達され得る。このポリヌクレオ
チド構築物は、薬学的に受容可能な液体または水性のキャリア中で送達され得る
【0406】 1つの実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、裸のポリヌクレオ
チドとして送達される。用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAと
は、細胞への侵入を補助し、促進し、または容易にするように作用するいかなる
送達ビヒクル(ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチ
ンまたは沈殿剤などを含む)も含まない配列をいう。しかし、本発明のポリヌク
レオチドはまた、当業者に周知の方法により調製され得るリポソーム処方物中お
よびリポフェクチン処方物中などで送達され得る。このような方法は、例えば、
米国特許第5,593,972号、同第5,589,466号および同第5,5
80,859号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記載される
【0407】 遺伝子治療方法において使用されるポリヌクレオチドベクター構築物は、好ま
しくは、宿主ゲノム中に組み込まれない構築物であり、そしてこれらはまた複製
を可能にする配列を含まない。適切なベクターとしては、Stratagene
から入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびp
SG;Pharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよ
びpSVL;ならびにInvitrogenから入手可能なpEF1/V5、p
cDNA3.1、およびpRc/CMV2が挙げられる。他の適切なベクターは
、当業者に容易に明らかである。
【0408】 当業者に公知の任意の強力なプロモーターは、本発明のポリヌクレオチド配列
の発現を駆動するために用いられ得る。適切なプロモーターとしては、アデノウ
イルスプロモーター(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター);または
異種プロモーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター);
RSウイルス(RSV)プロモーター;誘導性プロモーター(例えば、MMTプ
ロモーター、メタロチオネインプロモーター);熱ショックプロモーター;アル
ブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウ
イルスチミジンキナーゼプロモーター(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼ
プロモーター);レトロウイルスLTR;b−アクチンプロモーター;およびヒ
ト成長ホルモンプロモーターが挙げられる。このプロモーターはまた、本発明の
ポリヌクレオチドについてネイティブなプロモーターであり得る。
【0409】 他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を標的細胞に導入する1つの主
要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合成の一過性の性質である。研
究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて、6ヶ月までの期間の間、所
望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示された。
【0410】 本発明のポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝
臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃
、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包含する)
の間隙空間に送達され得る。この組織の間隙空間は、器官組織の細網線維間の、
細胞間の液体ムコ多糖類基質、血管または室の壁における弾性線維、線維性組織
のコラーゲン線維、あるいは結合組織鞘性筋肉細胞(connective t
issue ensheathing muscle cell)内または骨の
裂孔中の同じ基質を包含する。これは、同様に、循環の血漿およびリンパチャン
ネルのリンパ液により占められた空間である。筋肉組織の間隙空間への送達が、
以下で議論される理由のために好ましい。本発明のポリヌクレオチド構築物は、
これらの細胞を含む組織への注射によって、好都合に送達され得る。本発明のポ
リヌクレオチド構築物は、好ましくは、分化した持続性の非分裂細胞に送達され
、そしてその細胞において発現されるが、送達および発現は、非分化細胞または
完全には分化していない細胞(例えば、血液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)に
おいて達成され得る。インビボでの筋肉細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、
そして発現する能力において、特に適格である。
【0411】 裸の核酸配列注射のために、DNAまたはRNAの有効投薬量は、約0.05
mg/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは、この投薬
量は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり、そしてより好まし
くは約0.05mg/kgから約5mg/kgである。もちろん、当業者が認識
するように、この投薬量は、注射の組織部位に応じて変化する。核酸配列の適切
かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される状態
および投与経路に依存し得る。
【0412】 好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非経口注射経路による。しかし、他
の非経口経路もまた用いられ得、これには、例えば、特に、肺または気管支の組
織、咽喉または鼻の粘膜への送達のための、エアロゾル処方物の吸入が挙げられ
る。さらに、裸のDNA構築物は、血管形成術の間にこの手順において用いられ
るカテーテルによって動脈に送達され得る。
【0413】 裸のポリヌクレオチドは、送達部位での直接の針注射、静脈内注射、局所投与
、カテーテル注入、およびいわゆる「遺伝子銃」を含むがこれらに限定されない
、当該分野で公知の任意の方法によって送達される。これらの送達方法は、当該
分野で公知である。
【0414】 この構築物はまた、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフ
ェクチン、沈殿剤などのような送達ビヒクルを用いて送達され得る。このような
送達方法は、当該分野で公知である。
【0415】 特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、リポソーム調
製物中で複合体化している。本発明にて使用するためのリポソーム調製物として
は、カチオン性(正に荷電した)調製物、アニオン性(負に荷電した)調製物お
よび中性の調製物が挙げられる。しかしながら、カチオン性リポソームとポリア
ニオン性核酸との間で強固な荷電複合体を形成し得るので、カチオン性リポソー
ムが特に好ましい。カチオン性リポソームは、機能的形態にて、プラスミドDN
A(本明細書中で参考として援用される、Felgnerら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA(1987)84:7413〜7416);mR
NA(本明細書中で参考として援用される、Maloneら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA(1989)86:6077〜6081);およ
び精製された転写因子(本明細書中で参考として援用される、Debsら、J.
Biol.Chem.(1990)265:10189〜10192)の細胞内
送達を媒介することが示されている。
【0416】 カチオン性リポソームは容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジ
オレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTM
A)リポソームは特に有用であり、そして商標LipofectinのもとにG
IBCO BRL,Grand Island,N.Y.より入手可能である(
本明細書中で参考として援用される、P.Felgnerら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA(1987)84:7413〜7416もまた参
照のこと、)。他の市販のリポソームとしては、トランスフェクテース(tra
nsfectace)(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(B
oehringer)が挙げられる。
【0417】 当該分野で周知の技術を使用して、他のカチオン性リポソームを、容易に入手
可能な物質から調製し得る。DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−
3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記述に関して、例
えばPCT公開番号WO 90/11092(本明細書中で参考として援用され
る)を参照のこと。DOTMAリポソームの調製は文献にて説明されており、例
えば、本明細書中で参考として援用される、P.Felgnerら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA、84:7413〜7417を参照のこと
。類似した方法を使用して、他のカチオン性脂質物質よりリポソームを調製し得
る。
【0418】 同様に、アニオン性リポソームおよび中性リポソームは、例えば、Avant
i Polar Lipids(Birmingham,Ala.)から容易に
入手可能であるし、または容易に入手可能な物質を使用して簡単に調製され得る
。そのような物質としてはとりわけ、ホスファチジルコリン、コレステロール、
ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOP
C)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイルホ
スファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの物質はまた
、DOTMA出発物資およびDOTAP出発物質と適切な割合にて混合され得る
。これらの物質を使用してリポソームを生成する方法は、当該分野で周知である
【0419】 例えば、商業的に、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレ
オイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジオレオイルホスファ
チジルエタノールアミン(DOPE)を種々の組み合わせにて使用し、コレステ
ロールを添加してもしなくても、従来のリポソームを生成し得る。従って、例え
ば、超音波処理バイアル中への窒素ガス流下で、DOPGおよびDOPCの各5
0mgを乾燥することにより、DOPG/DOPC小胞を調製し得る。このサン
プルを一晩真空ポンプ下に置き、そして次の日、脱イオン水で水和する。次いで
、水槽を、15ECで循環させながら、最大設定にて、倒立カップ(浴タイプ)
プローブを装備したHeat Systemsモデル350超音波処理器を使用
して、このサンプルを栓をしたバイアル中にて2時間超音波処理する。あるいは
、負に荷電した小胞を、超音波処理なしで調製して多重膜小胞を生成し得るか、
または核孔膜(nucleopore membrane)を通して押し出すこ
とにより別々の大きさの単膜小胞を生成し得る。他の方法は、当業者に公知であ
りそして利用可能である。
【0420】 このリポソームとしては、多重膜リポソーム(MLV)、小さな単膜リポソー
ム(SUV)または大きな単膜リポソーム(LUV)が挙げられ得、SUVが好
ましい。当該分野で周知の方法を使用して、種々のリポソーム−核酸複合体が調
製される。例えば、本明細書中で参考として援用される、Straubinge
rら、Methods of Immunology(1983)101:51
2〜527を参照のこと。例えば、核酸を含有するMLVは、ガラスチューブの
壁面にリン脂質の薄膜を堆積させ、そしてその後、カプセル化されるべき物質の
溶液で水和することによって調製され得る。SUVはMLVの長期超音波処理に
より調製され、単膜リポソームの均質集団を生成する。封入されるべき物質を、
予め形成されたMLVの懸濁液に添加し、次いで、超音波処理する。カチオン性
脂質を含むリポソームを使用する場合、乾燥した脂質フィルムを、滅菌水または
10mM Tris/NaClのような等張性緩衝溶液のような適切な溶液中に
再懸濁し、超音波処理し、次いで、予め形成されたリポソームをDNAと直接混
合する。カチオン性DNAへの正に荷電したリポソームの結合に起因して、リポ
ソームおよびDNAは非常に安定な複合体を形成する。SUVは、小核酸フラグ
メントを用いての用途が見出される。LUVは、当該分野で周知の多くの方法に
より調製される。一般に使用される方法としては、Ca2+−EDTAキレート化
(Papahadjopoulosら、Biochim.Biophys.Ac
ta(1975)394:483;Wilsonら、Cell(1979)17
:77);エーテル注入(Deamer,D.およびBangham,A.、B
iochim.Biophys.Acta(1976)443:629;Ost
roら、Biochem.Biophys.Res.Commum.(1977
)76:836;Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA(1979)76:3348);界面活性剤透析(Enoch,H.および
Strittmatter,P.、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA(1979)76:145);および逆相エバポレーション(REV)(F
raleyら、J.Biol.Chem.(1980)255:10431;S
zoka,F.およびPapahadjopoulos,D.、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA(1978)75:145;Schaefer
−Ridderら、Science(1982)215:166)が挙げられ、
これらの文献は本明細書中で参考として援用される。
【0421】 一般に、DNAのリポソームに対する割合は約10:1から約1:10までで
ある。好ましくは、その割合(ration)は約5:1から約1:5までであ
る。より好ましくは、その割合は約3:1から約1:3までである。さらにより
好ましくは、その割合は約1:1である。
【0422】 米国特許第5,676,954号(本明細書中で参考として援用される)はカ
チオン性リポソームキャリアと複合体化された遺伝物質のマウスへの注入につい
て報告する。米国特許第4,897,355号、同第4,946,787号、同
第5,049,386号、同第5,459,127号、同第5,589,466
号、同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,
055号および国際公開番号WO94/9469(これらは本明細書中で参考と
して援用される)は、DNAを細胞および哺乳動物にトランスフェクトする際に
使用するためのカチオン性脂質を提供する。米国特許第5,589,466号、
同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,05
5号および国際公開番号WO94/9469(これらは本明細書中で参考として
援用される)は、DNA−カチオン性脂質複合体を哺乳動物に送達する方法を提
供する。
【0423】 特定の実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする配列を含むRN
Aを含むレトロウイルス粒子を使用して、エキソビボまたはインビボで細胞を操
作する。レトロウイルスプラスミドベクターを誘導し得るレトロウイルスとして
は、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、
ハーベイ肉腫ウイルス、ニワトリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、
ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0424】 このレトロウイルスプラスミドベクターを使用して、パッケージング細胞株を
形質導入し、プロデューサー細胞株を形成する。トランスフェクトされ得るパッ
ケージング細胞株の例としては、その全体が本明細書中で参考として援用される
、Miller、Human Gene Theapy 1:5〜14(199
0)にて記載されるようなPE501、PA317、R−2、R−AM、PA1
2、T19−14X、VT−19−17−H2、RCRE、RCRIP、GP+
E−86、GP+envAm12およびDAN細胞株が挙げられるが、これらに
限定されない。このベクターは、当該分野で公知の任意の手段により、これらの
パッケージング細胞を形質導入し得る。そのような手段としては、エレクトロポ
レーション、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられるが、それら
に限定されない。1つの代替法において、このレトロウイルスプラスミドベクタ
ーをリポソームにカプセル化するか、または脂質に結合して、次いで宿主に投与
し得る。
【0425】 このプロデューサー細胞株は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドを含む感染性レトロウイルスベクター粒子を産生する。次いで、そのよう
なレトロウイルスベクター粒子を使用して、インビトロまたはインビボのどちら
かにおいて、真核生物細胞を形質導入し得る。この形質導入された真核生物細胞
は、本発明のポリペプチドを発現する。
【0426】 特定の他の実施形態において、アデノウイルスベクター中に含まれるポリヌク
レオチドを用いて、エキソビボまたはインビボで細胞を操作する。アデノウイル
スは、それが本発明のポリペプチドをコードし、そして発現し、それと同時に通
常の溶解性ウイルス生活環にて複製するその能力に関して不活性化されるように
操作され得る。アデノウイルス発現は、宿主細胞染色体へのそのウイルスDNA
の組み込み無しに達成され、その結果、挿入性変異誘発についての心配が軽減さ
れる。さらに、アデノウイルスは、何年もの間、腸の生ワクチンとして優れた安
全側面を伴って使用されている(Schwartz,A.R.ら、(1974)
Am.Rev.Respir.Dis.109:233−238)。最終的に、
アデノウイルス媒介性遺伝子移入が、コトンラットの肺へのα−1−アンチトリ
プシンおよびCFTRの移入を含む多くの例において実証されている(Rose
nfeld,M.A.ら、Science(1991)252:431〜434
;Rosenfeldら、Cell(1992)68:143〜155)。さら
に、ヒト癌における原因物質としてアデノウイルスを確立しようとする広範な研
究は、一様に否定的であった(Green,M.ら(1979)Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 76:6606)。
【0427】 本発明において有用である適切なアデノウイルスベクターが、例えば、Koz
arskyおよびWilson、Curr.Opin.Genet.Devel
.3:499〜503(1993);Rosenfeldら、Cell 68:
143〜155(1992);Engelhardtら、Human Gene
t.Ther.4:759〜769(1993);Yangら、Nature
Genet.7:362〜369(1994);Wilsonら、Nature
365:691〜692(1993);および米国特許第5,652,224
号に記載されており、これらは本明細書中で参考として援用される。例えば、ア
デノウイルスベクターAd2が有用であり、そしてヒト293細胞にて増殖され
得る。これらの細胞は、アデノウイルスのE1領域を含み、そして構成的にEl
aおよびElbを発現し、このことは、このベクターから欠失している遺伝子の
産物を提供することによって欠損アデノウイルスを補完する。Ad2に加えて、
他の多様なアデノウイルス(例えば、Ad3、Ad5、およびAd7)もまた、
本発明において有用である。
【0428】 好ましくは、本発明において使用されるアデノウイルスは、複製欠損性である
。複製欠損アデノウイルスは、感染性粒子を形成するために、ヘルパーウイルス
および/またはパッケージング細胞株の助けを必要とする。得られたウイルスは
、細胞に感染する能力があり、そしてプロモーターに作動可能に連結された目的
のポリヌクレオチドを発現し得るが、ほとんどの細胞にて複製し得ない。複製欠
損アデノウイルスは、次の遺伝子:E1a、E1b、E3、E4、E2aまたは
L1からL5までのすべてまたは一部のうちの1つ以上にて欠失され得る。
【0429】 特定の他の実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用して、エ
キソビボまたはインビボで細胞を操作する。AAVは、感染性粒子を生成するた
めにヘルパーウイルスを必要とする、天然に存在する欠損ウイルスである(Mu
zyczka,N.、Curr.Topics in Microbiol.I
mmunol.,158:97(1992))。AAVはまた、分裂中ではない
細胞の中にそのDNAを組み込み得る少数のウイルスの中の1つである。300
個程度の少ない塩基対のAAVを含むベクターがパッケージされ得、そして組み
込み得るが、外来性DNAのためのスペースは約4.5kbに限られる。そのよ
うなAAVの生成および使用の方法は当該分野で公知である。例えば、米国特許
第5,139,941号、同第5,173,414号、同第5,354,678
号、同第5,436,146号、同第5,474,935号、同第5,478,
745号および同第5,589,377号を参照のこと。
【0430】 例えば、本発明において使用するために適切なAAVベクターは、DNA複製
、キャプシド形成、および宿主細胞組み込みに必要な配列すべてを含む。Sam
brookら、Molecular Cloning:A Laborator
y Manual、Cold Spring Harbor Press(19
89)において見い出される方法のような、標準的クローニング方法を使用して
、このポリヌクレオチド構築物を、このAAVベクターに挿入する。次いで、リ
ポフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿などを含む、
任意の標準的技術を使用して、この組み換えAAVベクターを、ヘルパーウイル
スに感染しているパッケージング細胞にトランスフェクトする。適切なヘルパー
ウイルスとしては、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイル
ス、またはヘルペスウイルスが挙げられる。一旦パッケージング細胞がトランス
フェクトおよび感染されると、それらは、このポリヌクレオチド構築物を含む感
染性AAVウイルス粒子を生成する。次いで、エキソビボまたはインビボのいず
れかで、これらのウイルス粒子を使用して真核生物細胞を形質導入する。この形
質導入細胞は、そのゲノムに組み込まれたポリヌクレオチド構築物を含み、そし
て本発明のポリペプチドを発現する。
【0431】 遺伝子治療の別の方法は、相同組み換え(例えば、米国特許第5,641,6
70号、1997年6月24日発行;国際公開番号WO96/29411、19
96年9月26日公開;国際公開番号WO94/12650、1994年8月4
日公開;Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
6:8932〜8935(1989);およびZijlstraら、Natur
e 342:435〜438(1989)を参照のこと)を介して、異種制御領
域および内在性ポリヌクレオチド配列(例えば、目的のポリペプチド配列をコー
ドしている配列)を作動可能に連結する工程を含む。この方法は、標的細胞中に
存在しているが、通常はその細胞中で発現しないかまたは所望されるよりも低い
レベルで発現する、遺伝子の活性化を含む。
【0432】 当該分野で公知の標準的技術を使用して、ポリヌクレオチド構築物を作製する
。この構築物は、プロモーターを、そのプロモーターに隣接した標的化配列とと
もに含む。適切なプロモーターは、本明細書中に記載されている。標的化配列は
、内在性配列に対して十分に相補的であり、内在性配列とのプロモーター−標的
化配列の相同組換えを可能にする。標的化配列は、所望される内在性ポリヌクレ
オチド配列の5’末端の十分近くに存在し、それゆえ、相同組換えに際して、プ
ロモーターは、その内在性配列に作動可能に連結される。
【0433】 このプロモーターおよび標的化配列は、PCRを使用して増幅され得る。好ま
しくは、この増幅されたプロモーターは、5’末端および3’末端に別の制限酵
素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅されたプロモ
ーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末
端は、増幅されたプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。増幅されたプ
ロモーターおよび標的化配列を消化し、そしてともに連結する。
【0434】 裸のポリヌクレオチドとしてか、もしくは上記により詳細に記載されるような
リポソーム、ウイルス配列、ウイルス粒子、ウイルス全体、リポフェクション、
沈殿剤などのようなトランスフェクション促進剤と一緒にかのいずれかで、この
プロモーター−標的化配列構築物を細胞に送達する。直接針注射、静脈内注射、
局所投与、カテーテル注入、粒子加速器などを含む任意の方法により、このプロ
モーター−標的化配列を送達し得る。この方法を、下記により詳細に記載する。
【0435】 このプロモーター−標的化配列構築物は、細胞により取り込まれる。この構築
物と内在性配列との間に相同組換えが起こり、その結果、内在性配列は、このプ
ロモーターの制御下に配置される。次いで、このプロモーターは、その内在性配
列の発現を駆動する。
【0436】 好ましくは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、そのタ
ンパク質の分泌を促進する分泌シグナル配列を含む。代表的に、このシグナル配
列は、そのコード領域の5’末端に向かってかまたは5’末端で発現される、そ
のポリヌクレオチドのコード領域に位置する。このシグナル配列は、目的のポリ
ヌクレオチドに対して同種であってもまたは異種であってもよく、そしてトラン
スフェクトされる細胞に対して同種あってもまたは異種であってもよい。さらに
、当該分野で公知の方法を使用して、このシグナル配列は化学合成され得る。
【0437】 その投与形態によって、治療効果を提供するのに十分な量にて1つ以上の分子
が発現される限り、上記のポリヌクレオチド構築物のうちのいずれかの任意の投
与形態が使用され得る。これは、直接針注射、全身注射、カテーテル注入、バイ
オリスティック(biolistic)注射器、粒子加速器(すなわち、「遺伝
子銃」)、ゲルフォームスポンジデポー(depot)、他の市販デポー(de
pot)物質、浸透圧ポンプ(例えば、Alzaミニポンプ)、経口用または坐
剤用の固形(錠剤または丸剤)薬学的処方物、および手術中のデカンティングま
たは局所適用を含む。例えば、ラット肝臓およびラット脾臓へのリン酸カルシウ
ム沈澱した裸のプラスミドの直接注射、または門脈へのタンパク質被覆プラスミ
ド直接注射は、ラット肝臓における外来遺伝子の遺伝子発現をもたらした(Ka
nedaら、Science、243:375(1989))。
【0438】 局所投与の好ましい方法は、直接注射によるものである。好ましくは、送達ビ
ヒクルと複合体を形成した本発明の組換え分子は、動脈領域内部に直接注射によ
り投与されるか、または動脈領域内部に局所投与される。動脈領域内部での組成
物の局所投与とは、その組成物を動脈内に数センチメートル、好ましくは数ミリ
メートルで注射することを言う。
【0439】 局所投与の別の方法は、外科的創傷内またはその周辺に本発明のポリヌクレオ
チド構築物を接触させることである。例えば、患者は手術を経験し得、そしてこ
のポリヌクレオチド構築物を創傷内部の組織表面上に被覆され得るか、またはそ
の構築物を創傷内部の組織領域に注射され得る。
【0440】 全身投与に有用な治療組成物は、本発明の標的化された送達ビヒクルと複合体
を形成した本発明の組換え分子を含む。全身投与で使用するために適切な送達ビ
ヒクルは、特定部位に対してそのビヒクルを標的化するリガンドを含むリポソー
ムを含む。
【0441】 全身投与の好ましい方法としては、静脈内注射、エアロゾル、経口および経皮
(局所的)送達が挙げられる。当該分野で標準的な方法を使用して、静脈内注射
が実行され得る。当該分野で標準的な方法を使用して、エアロゾル送達もまた実
行され得る(例えば、本明細書中で参考として援用される、Stribling
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、189:11277〜1
1281(1992)を参照のこと)。動物の腸内の消化酵素による分解に耐え
る能力をもつキャリアに対して本発明のポリヌクレオチド構築物が複合体を形成
することにより、経口送達は実行され得る。そのようなキャリアの例としては、
当該分野で公知であるもののような、プラスチックカプセルまたは錠剤が挙げら
れる。皮膚内へ通過可能な親油性試薬(例えば、DMSO)と本発明のポリヌク
レオチド構築物を混合することによって、局所的送達は実行され得る。
【0442】 送達される物質の有効量を決定することは、例えば、その物質の化学構造およ
び生物学的活性、動物の年齢および体重、処置を必要とする正確な状態およびそ
の重症度、ならびに投与経路を含む、多数の因子に依存し得る。処置の頻度は、
1用量あたりの投与されるポリヌクレオチド構築物の量ならびに被験体の健康お
よび病歴のような多くの因子に依存する。正確な量、投薬回数および投薬のタイ
ミングは、主治医または主治獣医により決定される。本発明の治療的組成物は、
任意の動物に、好ましくは哺乳動物および鳥類に投与され得る。好ましい哺乳動
物としては、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ
およびブタが挙げられ、特にヒトである。
【0443】 (生物学的活性) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストをアッセイに使用し、1つ以上の生物学的活性について試験し得
る。これらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドが特定のアッセイにおいて活
性を示す場合、これらの分子はその生物学的活性に関連した疾患に関与し得るよ
うである。従って、このポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニ
ストもしくはアンタゴニストを使用し、関連した疾患を処置し得る。
【0444】 (免疫活性) 本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストは、免疫細胞の増殖、分化、もしくは動員(走化性)を活性化ま
たは阻害することにより、免疫系の疾患、障害および/または状態の処置、予防
および/または診断において有用であり得る。免疫細胞は、造血と呼ばれるプロ
セスを介して発達し、多能性幹細胞から骨髄性細胞(血小板、赤血球、好中球お
よびマクロファージ)およびリンパ系細胞(Bリンパ球およびTリンパ球)を生
成する。これら免疫の疾患、障害および/または状態の病因は、遺伝的、身体的
(somatic)(例えば、癌またはいくつかの自己免疫性の疾患、障害およ
び/または状態)、後天的(例えば、化学療法もしくは毒素による)または感染
的であり得る。さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、また
はアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の免疫系の疾患または障害のマー
カーまたは検出物質(detector)として使用され得る。
【0445】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストは、造血細胞の疾患、障害および/または状態の処置、予防およ
び/または診断において有用であり得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポ
リペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の(または多く
の)型の造血細胞の減少に関連した疾患、障害および/または状態を処置または
予防する試みにおいて、多能性幹細胞を含む造血細胞の分化および増殖を増加さ
せるために用いられ得る。免疫不全症候群の例としては、血液タンパク質の疾患
、障害および/または状態(例えば、無ガンマグロブリン血症、低ガンマグロブ
リン血症)、毛細血管拡張性運動失調、分類不能型免疫不全、ディ・ジョージ症
候群、HIV感染、HTLV−BLV感染、白血球接着不全症候群、リンパ球減
少、食細胞殺細菌機能不全、重症複合型免疫不全(SCID)、ヴィスコット−
オールドリッチ障害、貧血、血小板減少、またはヘモグロビン尿症が挙げられる
が、それらに限定されない。
【0446】 さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニスト
もしくはアンタゴニストをまた使用して、止血性活性(出血を止めること)また
は血栓崩壊活性(血餅形成)を調節し得る。例えば、止血活性または血栓崩壊活
性を増大させることにより、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、
またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用し、血液凝固の疾患、障害およ
び/または状態(例えば、無線維素原血症、因子欠損症)、血液血小板の疾患、
障害および/または状態(例えば、血小板減少症)、あるいは外傷、手術または
他の原因から生じる創傷を処置または予防し得る。あるいは、止血活性または血
栓崩壊活性を減少させ得る本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ま
たはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用し、凝血を阻害または溶解し得る
。心臓発作(梗塞)、発作(stroke)または瘢痕の治療または予防におい
て、これらの分子は重要であり得る。
【0447】 自己免疫の疾患、障害および/または状態の処置、予防および/または診断に
おいて、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストも
しくはアンタゴニストはまた、有用であり得る。多くの自己免疫の疾患、障害お
よび/または状態は、免疫細胞によって外来性物質として不適切に自己認識する
ことから生じる。この不適切な認識は、宿主組織の破壊をもたらす免疫応答を引
き起こす。従って、免疫応答、特にT細胞の増殖、分化または走化性を阻害する
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはア
ンタゴニストの投与は、自己免疫の疾患、障害および/または状態の防止におい
て効果的な治療であり得る。
【0448】 本発明により処置、予防および/もしくは診断され得るかまたは検出され得る
自己免疫の疾患、障害および/または状態の例としては、アディソン病、溶血性
貧血、抗リン脂質症候群、慢性関節リウマチ、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、
糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴズ病、多発性硬化症、重症筋無
力症、神経炎、眼炎、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、多発性内分泌腺症、紫斑病、ラ
イター病、スティッフマン症候群、自己免疫性甲状腺炎、全身性エリテマトーデ
ス、自己免疫性の肺の炎症、ギヤン−バレー症候群、インスリン依存性糖尿病、
および自己免疫炎症性眼疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
【0449】 同様に、ぜん息(特にアレルギー性ぜん息)または他の呼吸の問題のような、
アレルギー反応およびアレルギー状態もまた、本発明のポリヌクレオチドもしく
はポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストにより処置、予防お
よび/または診断され得る。さらに、これらの分子を使用し、抗原性分子に対す
るアナフィラキシー、過敏症または血液型不適合性を処置し得る。
【0450】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストをまた使用し、器官拒絶または対宿主性移植片病(GVHD)を
処置、予防および/または診断し得る。器官拒絶は、免疫応答を介して宿主免疫
細胞による移植組織の破壊によって起こる。同様に、免疫応答はGVHDにもま
た関与しているが、この場合、外来性の移植免疫細胞が宿主組織を破壊する。免
疫応答、特にT細胞の増殖、分化または走化性を阻害する、本発明のポリヌクレ
オチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストの投与
は、器官拒絶またはGVHDの防止において効果的な治療であり得る。
【0451】 同様に、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニスト
もしくはアンタゴニストをもまた使用し、炎症を調節し得る。例えば、このポリ
ペプチドもしくはポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニスト
は、炎症応答に関与する細胞の増殖および分化を阻害し得る。これらの分子を使
用して、慢性前立腺炎、肉芽腫性前立腺炎、マラコプラキア、感染に関連する炎
症(例えば、敗血症性ショック、敗血症、または全身炎症応答症候群(SIRS
))、虚血再灌流傷害に関連する炎症、内毒素致死に関連する炎症、関節炎に関
連する炎症、補体媒介性超急性拒絶に関連する炎症、腎炎に関連する炎症、サイ
トカインまたはケモカインが誘導する肺傷害に関連する炎症、炎症性腸疾患に関
連する炎症、クローン病に関連する炎症またはサイトカイン(例えば、TNFま
たはIL−1)の過剰生成から生じる炎症を含む、慢性および急性の両方の状態
の炎症状態を処置、予防および/または診断し得る。
【0452】 (過増殖障害) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストを使用し、新生物を含む過増殖性の疾患、障害および/または状
態を処置、予防および/または診断し得る。本発明のポリヌクレオチドもしくは
ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、直接的または間接
的な相互作用を介してこの障害の増殖を阻害し得る。あるいは、本発明のポリヌ
クレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは
、過増殖障害を阻害し得る他の細胞を増殖させ得る。
【0453】 例えば、免疫応答を増大させること、特に過増殖障害の抗原性の質を増大させ
ることによって、またはT細胞を増殖、分化、もしくは動員することによって、
過増殖性の疾患、障害および/または状態を処置、予防および/または診断し得
る。既存の免疫応答を増強するか、または新たな免疫応答を開始するかのいずれ
かによって、この免疫応答を増大させ得る。あるいは、免疫応答を減少させるこ
ともまた、化学療法剤のような、過増殖性の疾患、障害および/または状態を処
置、予防および/または診断する方法であり得る。
【0454】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストによって処置、予防および/または診断され得る過増殖性の疾患
、障害および/または状態の例としては、結腸、腹部、骨、胸、消化系、肝臓、
膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)
、眼、頭および首、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、
脾臓、胸郭、ならびに尿生殖器に位置する新生物が挙げられるが、それらに限定
されない。
【0455】 同様に、他の過増殖疾患、障害および/または状態もまた、本発明のポリヌク
レオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストによ
り処置、予防および/または診断され得る。そのような過増殖疾患、障害および
/または状態の例としては、高ガンマグロブリン血症、リンパ増殖疾患、障害お
よび/または状態、パラプロテイン血症、紫斑病、類肉腫症、セザリー症候群、
ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ゴシェ病、組織球増殖症、および
任意の他の過増殖疾患、さらに上記に収載されている器官系に位置している新生
物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0456】 1つの好ましい実施形態は、本発明のポリヌクレオチドを利用して、本発明、
および/またはタンパク質融合物もしくはそのフラグメントを用いる遺伝子治療
により、異常な細胞分裂を阻害する。
【0457】 従って、本発明は、異常に増殖している細胞に、本発明のポリヌクレオチドを
挿入することにより細胞増殖障害を処置するための方法を提供する。ここで、上
記のポリヌクレオチドは、上記の発現を抑制する。
【0458】 本発明の別の実施形態は、個体における細胞増殖疾患、障害および/または状
態を処置または予防する方法を提供し、この方法は、異常に増殖している細胞(
単数または複数)に本発明の1つ以上の活性な遺伝子コピーを投与する工程を包
含する。好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、上記のポリ
ヌクレオチドをコードするDNA配列を発現する際に有効な組換え発現ベクター
を含むDNA構築物である。本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の
ポリヌクレオチドをコードするDNA構築物を細胞に挿入して、レトロウイルス
(または、より好ましくは、アデノウイルスベクター)を利用して処置する(参
考として本明細書中に援用される、G J.Nabelら、PNAS 1999
96:324−326を参照のこと)。最も好ましい実施形態において、この
ウイルスベクターは欠損性であり、そして非増殖細胞を形質転換せず、増殖細胞
のみを形質転換する。さらに、好ましい実施形態において、増殖している細胞に
、単独で、または他のポリヌクレオチドとともに、もしくは他のポリヌクレオチ
ドと融合して挿入される本発明のポリヌクレオチドは、次いで、外部刺激(すな
わち、磁性、特定の低分子、化学物質、または薬物投与など)により調節され得
る。この刺激は、上記のポリヌクレオチドの上流にあるプロモーターに作用して
、コードされたタンパク質産物の発現を誘導する。このようにして、本発明の有
益な治療効果は、上記の外部刺激に基づいて、明らかに調節され得る(すなわち
、本発明のポリヌクレオチドの発現を増加、減少、または阻害するために)。
【0459】 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、他の脈管形成タンパ
ク質をコードする他のポリヌクレオチドと一緒に投与され得る。脈管形成タンパ
ク質としては、酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子、VEGF−1、VEG
F−2(VEGF−C)、VEGF−3(VEGF−B)、上皮増殖因子αおよ
びβ、血小板由来の内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、腫瘍壊死因子α、
肝細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、コロニー刺激因子、マクロファージコ
ロニー刺激因子、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子、および一酸化窒素
シンターゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0460】 本発明のポリヌクレオチドは、発癌性遺伝子または抗原の発現を抑制する際に
有用であり得る。「発癌性遺伝子の発現を抑制する」により、遺伝子の転写の抑
制、遺伝子転写物の分解(前メッセンジャー(pre−massage)RNA
)、スプライシングの阻害、メッセンジャーRNAの破壊、タンパク質の翻訳後
修飾の妨げ、タンパク質の破壊、またはタンパク質の正常機能の阻害を意図する
【0461】 異常に増殖する細胞に対する局所的な投与に関しては、本発明のポリヌクレオ
チドは、当業者に公知の任意の方法により投与され得、この方法としては、トラ
ンスフェクション、エレクトロポレーション、細胞のマイクロインジェクション
、例えば、リポソームのようなビヒクルにおいて、リポフェクチン、または裸の
ポリヌクレオチド、または本明細書中全体を通して記載される任意の他の方法が
挙げられるが、これらに限定されない。本発明のポリヌクレオチドは、公知の遺
伝子送達系(例えば、当業者に公知のレトロウイルスベクター(Gilboa,
J.Virology 44:845(1982);Hocke,Nature
320:275(1986);Wilsonら,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA.85:3014);ワクシニアウイルス系(Chakra
bartyら,Mol.Cell Biol.5:3403(1985))また
は他の効率的なDNA送達系(Yatesら,Nature 313:812(
1985))に限定されない)により送達され得る。これらの参考文献は、例示
にすぎず、そして本明細書中に参考として援用される。異常に増殖している細胞
に特異的に送達するか、またはそれをトランスフェクトし、そして非分裂細胞を
残す(spare)ために、当業者に公知のレトロウイルスまたはアデノウイル
ス(例えば、当該分野または本明細書中で記載される)送達系を利用することが
好ましい。宿主DNA複製は組み込むためにレトロウイルスDNAが必要である
ので、このレトロウイルスは、その生活環についての必要とされるレトロウイル
ス遺伝子の欠如に起因して自己複製できない。本発明のポリヌクレオチドのため
に、このようなレトロウイルス送達系を利用して、上記の遺伝子および構築物を
、異常に増殖している細胞に標的化し、そして非分裂性の正常細胞を残す。
【0462】 本発明のポリヌクレオチドは、疾患部位に直接注射針を導くために使用される
画像化デバイスの使用によって、内部器官、体腔などにおける細胞増殖性障害/
疾患部位に直接送達され得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、手術介入時に
疾患部位に投与され得る。
【0463】 「細胞増殖性障害」により、任意のヒトもしくは動物の疾患または障害が、器
官、腔、または身体部分のいずれか1つもしくはいずれかの組み合わせを冒して
いることを意味される。この疾患は、良性または悪性に拘わらず、細胞、細胞群
、もしくは組織の単一または複数の局所的な異常な増殖により特徴づけられる。
【0464】 本発明のポリヌクレオチドの任意の量は、この量が、処置細胞の増殖に対して
生物学的に阻害性の効果を有する限り、投与され得る。さらに、本発明の1つよ
り多くのポリヌクレオチドを、同時に同じ部位に投与することが可能である。「
生物学的に阻害性の」により、部分的または全体的な成長阻害ならびに細胞の増
殖または成長の速度における減少を意味する。生物学的に阻害性の用量は、標的
の悪性または組織培養において異常に増殖している細胞の成長、動物および細胞
培養物における腫瘍成長に対する本発明のポリヌクレオチドの効果を評価するこ
と、あるいは当業者に公知の任意の他の方法により決定され得る。
【0465】 本発明はさらに、抗体に基づく治療に関し、この方法は、上記の疾患、障害お
よび/または状態の1つ以上を処置、予防および/または診断するために、哺乳
動物患者(特にヒト患者)に抗ポリペプチド抗体および抗ポリヌクレオチド抗体
を投与する工程を包含する。抗ポリペプチド抗体および抗ポリヌクレオチド抗体
(ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体)を生成するための方法は、本
明細書中の他の箇所に詳細に記載される。このような抗体は、当該分野で公知の
ように、または本明細書中に記載されるように薬学的に受容可能な組成物中に提
供され得る。
【0466】 本発明の抗体が治療的に使用され得る方法の概要は、例えば、補体(CDC)
もしくはエフェクター細胞(ADCC)により媒介されるように、本発明のポリ
ヌクレオチドまたはポリペプチドを、身体において局所的もしくは全身的に、ま
たは抗体の直接的な細胞傷害性により結合させる工程を包含する。これらのアプ
ローチのいくつかは、以下により詳細に記載される。本明細書中に提供される教
示があれば、当業者は、本発明の抗体を、過度の実験なくして、診断、モニタリ
ングまたは治療の目的のために使用する方法を知る。
【0467】 詳細には、本発明の抗体、フラグメントおよび誘導体は、本明細書中に記載さ
れるように、細胞増殖性疾患、障害および/または状態および/もしくは分化疾
患、障害および/または状態を有するか、または発症している被験体を処置、予
防および/または診断するために有用である。このような処置は、単一用量また
は複数用量の抗体、あるいはそのフラグメント、誘導体、または結合体を投与す
る工程を包含する。
【0468】 本発明の抗体は、他のモノクローナル抗体もしくはキメラ抗体と組み合わせて
、またはリンホカインもしくは造血増殖因子(例えば、これは、抗体と相互作用
するエフェクター細胞の数または活性が増加するように作用する)と組み合わせ
て、有利に利用され得る。
【0469】 本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、そのフラグメントもしくは
領域に対して、高親和性および/または強力なインビボ阻害抗体および/または
中和抗体を使用することは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド(
そのフラグメントを含む)に関する疾患、障害および/または状態に関するイム
ノアッセイおよびその治療の両方のために好ましい。このような抗体、フラグメ
ント、または領域は、好ましくは、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド(そ
のフラグメントを含む)に対する親和性を有する。好ましい結合親和性は、5×
10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×
10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、
5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10- 14 M、5×10-15M、および10-15M未満の解離定数すなわちKdを有する親
和性を含む。
【0470】 さらに、本発明のポリペプチドは、本明細書中の他の箇所に記載されるように
、単独で、融合タンパク質として、または直接的にもしくは間接的に他のポリペ
プチドとの組み合わせでかのいずれかで、増殖性細胞もしくは組織の脈管形成を
阻害する際に有用である。最も好ましい実施形態において、上記の抗脈管形成効
果は、間接的に、例えば、造血性の腫瘍特異的細胞(例えば、腫瘍関連マクロフ
ァージ)の阻害を通じて、達成され得る(本明細書中に参考として援用される、
Joseph IBら、J Natl Cancer Inst,90(21)
:1648−53(1998)を参照のこと)。本発明のポリペプチドまたはポ
リヌクレオチドに対する抗体はまた、脈管形成の直接的または間接的な阻害を生
じ得る(本明細書中に参考として援用される、Witte L.ら、Cance
r Metastasis Rev.17(2):155−61(1998)を
参照のこと)。
【0471】 本発明のポリペプチド(タンパク質融合物を含む)、またはそのフラグメント
は、アポトーシスの誘導を通じて増殖性細胞または組織を阻害する際に有用であ
り得る。上記のポリペプチドは、直接的または間接的のいずれかで、増殖性の細
胞および組織のアポトーシスを誘導するように、例えば、死ドメインレセプター
(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)レセプター1、CD95(Fas/APO−
1)、TNFレセプター関連アポトーシス媒介タンパク質(TRAMP)ならび
にTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)レセプター1および2(
本明細書中に参考として援用されるSchulze−Osthoff K,ら、
Eur J Biochem 254(3):439−59(1998)を参照
のこと))の活性化において作用し得る。さらに、本発明の別の好ましい実施形
態において、上記のポリペプチドは、他の機構を通じて(例えば、アポトーシス
を活性化する他のタンパク質の活性化において)あるいは上記タンパク質の発現
を単独でまたは低分子薬物もしくはアジュバント(例えば、アポプトニン、ガレ
クチン、チオレドキシン、抗炎症性タンパク質)と組み合わせてかのいずれかで
刺激することを通じて、アポトーシスを誘導し得る(例えば、本明細書中に参考
として援用される、Mutat Res 400(1−2):447−55(1
998),Med Hypotheses.50(5):423−33(199
8),Chem Biol Interact.Apr 24;111−112
;23−34(1998))、J Mol Med.76(6):402−12
(1998),Int J Tissue React;20(1):3−15
(1998)を参照のこと)。
【0472】 本発明のポリペプチド(それに対するタンパク質融合物を含む)、またはその
フラグメントは、増殖性細胞または組織の転移を阻害する際に有用である。阻害
は、本明細書中他の箇所に記載されるように、ポリペプチドまたは上記ポリペプ
チドに対する抗体を投与する工程の直接的結果として、または間接的に(例えば
、転移を阻害することが公知のタンパク質(例えば、α4インテグリン)の発現
を活性化する)生じ得る(例えば、本明細書中に参考として援用される、Cur
r Top Microbiol Immunol 1998;231:125
−41を参照のこと)。本発明のこのような治療的影響は、単独で、または低分
子薬物もしくはアジュバントと組み合わせてかのいずれかで達成され得る。
【0473】 別の実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチド(例えば、ポリペプ
チドまたは異種ポリペプチドに関連するポリペプチド抗体、異種核酸、毒素、ま
たはプロドラッグを含む組成物)を含む組成物を、本発明のポリペプチドを発現
する標的とされた細胞に送達する方法を提供する。本発明のポリペプチドまたは
ポリペプチド抗体は、異種ポリペプチド、異種核酸、毒素、またはプロドラッグ
と、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合的な相互作用を通じて関
連し得る。
【0474】 本発明のポリペプチド、それに対するタンパク質融合物、またはそのフラグメ
ントは、上記の抗原および免疫原に対して、直接的(例えば、本発明のポリペプ
チドが「ワクチン接種」された場合、増殖性抗原および免疫原に対して応答する
ように免疫応答を生じる)または間接的(例えば、免疫応答を増強することが公
知のタンパク質(例えば、ケモカイン)の発現を活性化することにおいて)のい
ずれかで、増殖している細胞または組織の免疫原性および/または抗原性を増強
する際に有用である。
【0475】 (心臓血管障害) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストを使用して、四肢虚血のような末梢動脈疾患を含む、心臓血管障
害を処置し得る。
【0476】 心臓血管障害としては、動動脈瘻(arterio−arterial fi
stula)、動静脈瘻、大脳動静脈先天異常、先天性心欠損症(congen
ital heart defect)、肺動脈弁閉鎖症、およびシミター症候
群のような心臓血管異常が挙げられる。先天性心欠損症としては、大動脈縮窄、
三房心、冠状脈管奇形(coronary vessel anomalies
)、交差心、右胸心、開存性動脈管(patent ductus arter
iosus)、エブスタイン奇形、アイゼンメンガー複合体、左心室発育不全症
候群、左胸心、ファロー四徴症、大血管転位症、両大血管右室起始症、三尖弁閉
鎖症、動脈管遺残、および心中隔欠損症(heart septal defe
cts)(例えば、大動脈肺動脈中隔欠損症(aortopulmonary
septal defect)、心内膜床欠損症、リュタンバッシェ症候群、フ
ァロー三徴症、心室心中隔欠損症(ventricular heart se
ptal defects))が挙げられる。
【0477】 心臓血管障害としてはまた、不整脈、カルチノイド心臓病、高心拍出量(hi
gh cardiac output)、低心拍出量(low cardiac
output)、心タンポナーデ(cardiac tamponade)、
心内膜炎(細菌性を含む)、心臓動脈瘤、心停止、うっ血性心不全、うっ血性心
筋症、発作性呼吸困難、心臓水腫、心肥大、うっ血性心筋症、左心室肥大、右心
室肥大、梗塞後心破裂、心室中隔破裂、心臓弁疾患、心筋疾患、心筋虚血、心内
膜液浸出、心外膜炎(梗塞性および結核性を含む)、気心膜症、心膜切開後症候
群、右心疾患、リウマチ性心疾患、心室機能不全、充血、心臓血管妊娠合併症(
cardiovascular pregnancy complicatio
ns)、シミター症候群、心血管梅毒、および心血管結核(cardiovas
cular tuberculosis)のような心臓病が挙げられる。
【0478】 不整脈としては、洞性不整脈、心房性細動、心房粗動、徐脈、期外収縮、アダ
ムズ−ストークス症候群、脚ブロック、洞房ブロック、長QT症候群、副収縮、
ローン−ギャノング−レヴァイン症候群、マヘーム型早期興奮症候群、ウルフ−
パーキンソン−ホワイト症候群、洞不全症候群、頻拍、および心室性細動が挙げ
られる。頻拍としては、発作性頻拍、上室性頻拍、心室固有調律促進、房室結節
性再入頻拍、異所心房性頻拍、異所接合部頻拍、洞房結節再入頻拍、洞性頻拍、
トルサード・ド・ポワント、および心室性頻拍が挙げられる。
【0479】 心臓弁疾患としては、大動脈弁機能不全症、大動脈弁狭窄症、心雑音(hea
r murmurs)、大動脈弁逸脱症、僧帽弁逸脱症、三尖弁逸脱症、僧帽弁
機能不全、僧帽弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖症、肺動脈弁機能不全、肺動脈弁狭窄症
、三尖閉鎖症、三尖弁機能不全、および三尖弁狭窄症が挙げられる。
【0480】 心筋疾患としては、アルコール性心筋症、うっ血性心筋症、肥大型心筋症、弁
下部性大動脈狭搾症、弁下部性肺動脈狭搾症、拘束型心筋症、シャーガス心筋症
、心内膜線維弾性症、心内膜心筋線維症、キーンズ症候群、心筋再灌流障害、お
よび心筋炎が挙げられる。
【0481】 心筋性虚血としては、狭心症、冠動脈瘤、冠動脈硬化、冠動脈血栓症、冠動脈
血管痙攣、心筋梗塞、および心筋気絶(myocardial stunnin
g)のような冠動脈疾患が挙げられる。
【0482】 心臓血管疾患としてはまた、動脈瘤、血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫
症、ヒッペル−リンダウ疾患、クリペル−トルノネー−ウェーバー症候群、スタ
ージ−ウェーバー症候群、血管運動神経性水腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動
脈炎、ルリーシュ症候群、動脈閉塞疾患、動脈炎、動脈内膜炎(enarter
itis)、結節性多発性動脈炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性網
膜症、塞栓症、血栓症、先端紅痛症、痔、肝静脈閉塞疾患、高血圧、低血圧、虚
血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞疾患、レーノー病、CREST症候群、
網膜静脈閉塞、シミター症候群、上大静脈症候群、毛細血管拡張症、毛細血管拡
張性運動失調、遺伝性出血性毛細血管拡張症、精索静脈瘤、拡張蛇行静脈、静脈
瘤性潰瘍、脈管炎、および静脈機能不全のような血管疾患が挙げられる。
【0483】 動脈瘤としては、解離性動脈瘤、偽動脈瘤、感染した動脈瘤、破裂した動脈瘤
、大動脈性動脈瘤、大脳性動脈瘤、冠動脈瘤、心動脈瘤、および腸骨性動脈瘤が
挙げられる。
【0484】 動脈閉塞疾患としては、動脈硬化症、間欠性跛行、頸動脈狭窄症、線維筋性形
成異常、腸間膜性血管閉塞、モヤモヤ病、腎動脈閉塞、網膜動脈閉塞、および閉
塞性血栓性血管炎が挙げられる。
【0485】 脳血管障害としては、頸動脈疾患、脳のアミロイド血管症、大脳動脈瘤、大脳
無酸素症、大脳動脈硬化、大脳動静脈先天異常、大脳動脈疾患、大脳の閉塞症お
よび血栓症、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、大脳出血、硬膜
上血腫、硬膜下血腫、クモ膜下出血(subaraxhnoid hemorr
hage)、大脳梗塞、大脳虚血(一過性を含む)、鎖骨下動脈盗血症候群、室
周白軟化症(periventricular leukomalacia)、
血管性頭痛、群発性頭痛、片頭痛、および椎骨基部(vertebrobasi
lar)機能不全が挙げられる。
【0486】 塞栓症としては、空気塞栓症、羊水塞栓症、コレステロール塞栓症、爪先チア
ノーゼ症候群、脂肪塞栓症、肺動脈塞栓症、および血栓塞栓症が挙げられる。血
栓症としては、冠状動脈血栓症、肝静脈血栓症、網膜静脈閉塞、頸動脈血栓症、
洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、および血栓性静脈炎が挙げられる。
【0487】 虚血としては、大脳虚血、虚血性大腸炎、区画症候群、前区画症候群、心筋虚
血、再灌流傷害、および末梢四肢虚血が挙げられる。脈管炎としては、大動脈炎
、動脈炎、ベーチェット(Behcet)症候群、チャーグ−ストラウス症候群
、皮膚粘膜リンパ節症候群、閉塞性血栓性血管炎、過敏性血管炎、シェーンライ
ン−ヘーノホ紫斑病(Schoenlein−Henoch purpura)
、アレルギー性皮膚血管炎およびヴェーゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0488】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくは
アンタゴニストは、危険な四肢虚血および冠状動脈疾患の処置に対して特に有効
である。
【0489】 ポリペプチドは、当該分野で公知である任意の方法を使用して投与され得、こ
れらの方法としては、送達部位における直接的針注射、静脈内注射、局所投与、
カテーテル注入、バイオリスティック(biolistic)注射、粒子加速器
、ゲルフォームスポンジデポー、他の市販デポー物質、浸透圧ポンプ、経口また
は坐剤の固形薬学的処方物、手術中のデカンティングまたは局所適用、エアロゾ
ル送達が挙げられるが、これらに限定されない。そのような方法は当該分野で公
知である。ポリペプチドは、下記により詳細に記載される、治療剤の一部として
投与され得る。ポリヌクレオチドの送達方法は本明細書中にてより詳細に記載さ
れる。
【0490】 (抗新脈管形成活性) 新脈管形成の内因性の、刺激因子とインヒビターとの間の天然に存在する平衡
は、阻害の影響が優勢である平衡である。Rastinejadら、Cell
56:345〜355(1989)。新生血管形成が正常な生理学的条件下にお
いて生じるまれな場合(例えば、創傷治癒、器官再生、胚発生、および雌性生殖
プロセス)において、新脈管形成は、厳密に調節され、そして空間的および時間
的に範囲が定められる。病的な新脈管形成(例えば、固形腫瘍増殖を特徴付ける
病的な新脈管形成)の条件下において、これらの調節の制御ができない。調節さ
れていない新脈管形成は病的になり、そして多くの新生物性疾患および非新生物
性疾患の進行を支持する。固形腫瘍の増殖および転移、関節炎、いくつかの型の
眼の障害および乾癬を含む、多くの重篤な疾患は、異常な新生血管形成により支
配される。例えば、Mosesら、Biotech.9:630〜634(19
91);Folkmanら、N.Engl.J.Med.、333:1757〜
1763(1995);Auerbachら、J.Microvasc.Res
.29:401〜411(1985);Folkman、Advances i
n Cancer Research、KleinおよびWeinhouse編
、Academic Press、New York、175〜203頁(19
85);Patz、Am.J.Opthalmol.94:715〜743(1
982);およびFolkmanら、Science 221:719〜725
(1983)による概説を参照のこと。多くの病的状態において、新脈管形成の
プロセスは、その疾患状態に寄与する。例えば、固形腫瘍の増殖が新脈管形成に
依存することを示唆する有意なデータが蓄積されている。Folkmanおよび
Klagsbrun、Science 235:442〜447(1987)。
【0491】 本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、ならびに
本発明のアゴニストまたはアンタゴニストの投与による新生血管形成に関連する
疾患または障害の処置を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチ
ド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて処置し得る悪性状態およ
び転移性状態には、本明細書に記載されるかさもなければ当該分野で公知の悪性
疾患、固形腫瘍、および癌(このような障害の総説については、Fishman
ら、Medicine、第2版、J.B.Lippincott Co.,Ph
iladelphia(1985)を参照のこと)が挙げられるが、これらに限
定されない。従って、本発明は、治療有効量の、本発明のポリヌクレオチド、ポ
リペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストをそれの必要な個体に投
与する工程を包含する、新脈管形成に関連する疾患および/または障害の処置の
方法を提供する。例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストお
よび/またはアゴニストは、癌または腫瘍を治療的に処置するために、種々のさ
らなる方法で利用され得る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニスト
および/またはアゴニストで処置され得る癌としては、前立腺癌、肺癌、乳癌、
卵巣癌、胃癌、膵臓癌、喉頭癌、食道癌、精巣癌、肝臓癌、耳下腺癌、胆管癌、
結腸癌、直腸癌、頸部癌、子宮癌、子宮内膜癌、腎臓癌、膀胱癌、甲状腺癌を含
む固形腫瘍;原発性腫瘍および転移;黒色腫;神経膠芽細胞腫;カポージ肉腫;
平滑筋肉腫;非小細胞肺癌;結腸直腸癌;進行性(advanced)悪性疾患
;および血液から生じる腫瘍(例えば、白血病)が挙げられるが、これらに限定
されない。例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/
またはアゴニストは、皮膚癌、頭頸部腫瘍、乳房腫瘍およびカポージ肉腫のよう
な癌を処置するために、局所送達され得る。
【0492】 なお他の局面において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストお
よび/またはアゴニストは、例えば、膀胱内投与によって膀胱癌の表面形態を処
置するために利用され得る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニスト
および/またはアゴニストは、注射またはカテーテルを介して腫瘍に直接的にま
たは腫瘍部位付近に送達され得る。当然のことながら、当業者が理解するように
、適切な投与様式は、処置されるべき癌によって変化する。他の送達様式は本明
細書において議論される。
【0493】 ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニスト
は、癌に加えて、他の障害(新脈管形成を含む)を処置する際に有用であり得る
。これらの障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:良性腫
瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫
);アテローム性動脈硬化(artheroscleric)プラーク;眼の脈
管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植片拒
絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖、ルベオーシス、網膜芽細胞腫、ブドウ
膜炎(uvietis)および眼の翼状片(Pterygia)(異常な血管増
殖));慢性関節リウマチ;乾癬;遅延型創傷治癒;子宮内膜症;脈管形成;顆
粒化;過形成性瘢痕(ケロイド);偽関節骨折;強皮症;トラコーマ;血管接着
;心筋の新脈管形成;冠状側副枝(coronary collaterals
);大脳側副枝;動静脈奇形;虚血性四肢新脈管形成;オースラー−ウェーバー
(Osler−Webber)症候群;プラーク新生血管形成;毛細血管拡張症
;血友病性関節;血管線維腫;線維筋性形成異常;創傷顆粒化;クローン病;お
よびアテローム性動脈硬化症。
【0494】 例えば、本発明の1つの局面において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプ
チド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを過形成性瘢痕またはケロイド
に投与する工程を包含する、過形成性瘢痕およびケロイドを処置するための方法
が提供される。
【0495】 本発明の1つの実施形態において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタ
ゴニストおよび/またはアゴニストは、過形成性瘢痕またはケロイドに、これら
の病変の進行を妨げるために直接注射される。この治療は、過形成性瘢痕および
ケロイド(例えば、熱傷)の発生を生じることが知られている状態の予防処置に
おいて特に価値があり、そして好ましくは、増殖期が進行する時間(最初の傷害
の約14日後)を有した後であるが、過形成性瘢痕またはケロイドの発生の前に
開始される。上述のように、本発明はまた、眼の新生血管形成疾患(例えば、角
膜新生血管形成、血管新生緑内障、増殖性糖尿病網膜症、水晶体後線維増殖およ
び黄斑変性を含む)を処置するための方法を提供する。
【0496】 さらに、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(アゴニストおよび/
またはアンタゴニストを含む)を用いて処置され得る新生血管形成に関連する眼
の障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:血管新生緑内障
、糖尿病網膜症、網膜芽細胞腫、水晶体後線維増殖症、ブドウ膜炎、未熟児網膜
症、黄斑変性、角膜移植新生血管形成、ならびに他の眼の炎症性疾患、眼の腫瘍
、および脈絡膜または虹彩の新生血管形成に関連する疾患。例えば、Waltm
anら、Am.J.Ophthal.85:704〜710(1978)および
Gartnerら、Surv.Ophthal.22:291〜312(197
8)による総説を参照のこと。
【0497】 従って、本発明の1つの局面において、治療有効量の化合物(上記)を患者に
対して、血管の形成が阻害されるように角膜に投与する工程を包含する、角膜新
生血管形成(角膜移植片新生血管形成を含む)のような眼の新生血管形成疾患を
処置するための方法が提供される。簡潔には、角膜は、通常には血管を欠く組織
である。しかし、特定の病的状態において、毛細血管は、縁の角膜周囲脈管叢か
ら角膜に伸長し得る。角膜が血管化されるようになる場合、角膜はまた混濁され
るようになり、患者の視力の衰えを生じる。角膜が完全に不透明になる(opa
citate)場合に、視力喪失が完全になり得る。広範な種々の障害は、例え
ば、以下を含む角膜新生血管形成を生じ得る:角膜感染(例えば、トラコーマ、
単純ヘルペス角膜炎、リーシュマニア症およびオンコセルカ症)、免疫学的プロ
セス(例えば、移植片拒絶およびスティーヴンズ−ジョンソン症候群)、アルカ
リ熱傷、外傷、炎症(任意の原因による)、毒性および栄養欠乏状態、ならびに
コンタクトレンズを装着することの合併症として。
【0498】 特に好ましい実施形態において、本発明は、生理食塩水(眼に用いる調製物に
おいて一般に使用される任意の保存剤および抗菌剤と組合せて)中で局所投与の
ために調製され、そして点眼剤形態で投与され得る。溶液または懸濁液は、純粋
な形態で調製され、そして1日に数回投与され得る。あるいは、上記のように調
製される抗脈管形成組成物はまた、角膜に直接投与され得る。好ましい実施形態
において、抗脈管形成組成物は、角膜に結合する粘膜接着性ポリマーとともに調
製される。さらなる実施形態において、抗脈管形成因子または抗脈管形成組成物
は、従来のステロイド治療に対する補助剤として利用され得る。局所治療はまた
、脈管形成応答(例えば、化学的熱傷)を誘導する高い可能性を有することが公
知の角膜病巣において予防的に有用であり得る。これらの場合において、処置(
おそらくステロイドと組み合わされる)は、その後の合併症を予防するのを補助
するために直ちに開始され得る。
【0499】 他の実施形態において、上記の化合物は、角膜支質に直接、顕微鏡の案内の下
で眼科医によって注入され得る。好ましい注射部位は、個々の病巣の形態に伴っ
て変化し得るが、投与の目標は、脈管構造の前進している面に組成物を置くこと
(すなわち、血管と正常な角膜との間に分散される)である。ほとんどの場合に
おいて、これは、前進している血管から角膜を「防御」するための縁周囲(pe
rilimbic)角膜注射を含む。この方法はまた、角膜新生血管形成を予防
的に防ぐために、角膜傷害の直後に利用され得る。この状況において、この物質
は、角膜病巣とその所望されない潜在的な血液供給の縁部との間に分散して縁周
囲角膜に注射され得る。このような方法はまた、類似の様式で、移植された角膜
の毛細血管侵入を予防するために利用され得る。持続放出形態において、注入は
、1年に2〜3回のみ必要とされ得る。ステロイドもまた、注入溶液に添加され
て、その注射自体から生じる炎症を低減し得る。
【0500】 本発明の別の局面において、患者に、血管の形成を阻害するように、治療有効
量のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニス
トを眼に投与する工程を包含する、血管新生緑内障を処置するための方法が提供
される。1つの実施形態において、化合物は、血管新生緑内障の早期形態を処置
するために、眼に局所投与され得る。他の実施形態において、化合物は、前房角
(anterior chamber angle)の領域に注入によって移植
され得る。他の実施形態において、化合物はまた、化合物が眼房水に連続的に放
出されるように、任意の位置に置かれ得る。本発明の別の局面において、患者に
、血管の形成が阻害されるように、治療有効量のポリヌクレオチド、ポリペプチ
ド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを眼に投与する工程を包含する、
増殖性糖尿病性網膜症を処置するための方法が提供される。
【0501】 本発明の特に好ましい実施形態において、増殖性糖尿病性網膜症は、網膜にお
けるポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニス
トの局所濃度を増加させるために、眼房水または硝子体への注入によって処置さ
れ得る。好ましくは、この処置は、光凝固を必要とする重篤な疾患の獲得の前に
開始されるべきである。
【0502】 本発明の別の局面において、血管の形成が阻害されるように、治療有効量のポ
リヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを患
者に、眼に投与する工程を包含する、水晶体後線維増殖症を処置するための方法
が提供される。化合物は、硝子体内注射を介して、および/または眼内移植を介
して局所投与され得る。
【0503】 さらに、このポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはア
ゴニストで処置され得る障害としては、以下が挙げられるが、それらに限定され
ない:血管腫、関節炎、乾癬、血管線維腫、アテローム性動脈硬化プラーク、遅
延型創傷治癒、顆粒化、血友病性関節、過形成性瘢痕、偽関節骨折、オースラー
−ウェーバー(Osler−Weber)症候群、化膿性肉芽腫、強皮症、トラ
コーマ、および血管接着。
【0504】 さらに、このポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはア
ゴニストで処置され得る障害および/または状態としては、以下が挙げられるが
、それらに限定されない:固形腫瘍、血液由来の(blood born)腫瘍
(例えば、白血病)、腫瘍転移、カポージ肉腫、良性腫瘍(例えば、血管腫、聴
神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫)、慢性関節リウマチ、
乾癬、眼の脈管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、
角膜移植片拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、ルベオーシス、網膜芽
細胞腫、およびブドウ膜炎(uvietis))、遅延型創傷治癒、子宮内膜症
、脈管形成、顆粒化、過形成性瘢痕(ケロイド)、偽関節骨折、強皮症、トラコ
ーマ、血管接着、心筋の新脈管形成、冠状側副枝(coronary coll
aterals)、大脳側副枝、動静脈奇形、虚血性四肢新脈管形成、オースラ
ー−ウェーバー症候群、プラーク新生血管形成、毛細血管拡張症、血友病性関節
、血管線維腫、線維筋性形成異常、創傷顆粒化、クローン病、アテローム性動脈
硬化症、産児制限薬剤(月経を制御する、胎芽着床のために必要な血管新生を予
防することによる)、病原性の結果(例えば、ネコ引っかき病(Rochele
minalia quintosa)、潰瘍(Helicobacter p
ylori)、バルトネラ症および細菌性血管腫症状)のような新脈管形成を有
する疾患。
【0505】 出産制限方法の1つの局面において、胎芽着床をブロックするに十分な化合物
の量は、性交および受精が起こる前またはその後に投与され、従って産児制限の
有効な方法、おそらく「事後用(morning after)」方法を提供す
る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストは
また、月経を制御することにおいて使用され得るか、または子宮内膜症の処置に
おける腹膜洗浄液として、もしくは腹膜移植のためのいずれかで投与され得る。
【0506】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニ
ストは、縫合(stitch)肉芽腫を予防するために、外科縫合糸に取り込ま
れ得る。
【0507】 ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストは、
広範な種々の外科手順において利用され得る。例えば、本発明の1つの局面にお
いて、組成物(例えば、スプレーまたはフィルムの形態において)は、悪性組織
から正常な周囲の組織を分離するため、そして/または周囲の組織への疾患の広
がりを予防するために、腫瘍の除去の前に、領域をコートまたはスプレーするた
めに利用され得る。本発明の他の局面において、組成物(例えば、スプレーの形
態において)は、腫瘍をコートするため、または所望の場所において新脈管形成
を阻害するために、内視鏡手順を介して送達され得る。本発明のなお他の局面に
おいて、本発明の抗脈管形成組成物でコートされている外科用メッシュが、外科
用メッシュが利用され得る任意の手順において利用され得る。例えば、本発明の
1つの実施形態において、抗脈管形成組成物を有した外科用メッシュレーデン(
laden)は、構造に対する支持を提供するため、そして一定の量の抗脈管形
成因子を放出するために、腹部癌切除手術の間(例えば、結腸切除の後)に利用
され得る。
【0508】 本発明のさらなる局面において、癌の局所的再発およびその部位での新しい血
管の形成が阻害されるように、切除後にポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴ
ニストおよび/またはアゴニストを腫瘍の切除縁に投与する工程を包含する、腫
瘍切除部位を処置するための方法が提供される。本発明の1つの実施形態におい
て、抗脈管形成化合物は、腫瘍切除部位に直接投与される(例えば、抗脈管形成
化合物を腫瘍の切除縁に綿球で塗るか、ブラッシング(brushing)する
か、さもなければコーティングすることによって適用される)。あるいは、抗脈
管形成化合物は、投与前に公知の外科用ペーストに組み込まれ得る。本発明の特
に好ましい実施形態において、抗脈管形成化合物は、悪性疾患についての肝切除
後および神経外科手術後に適用される。
【0509】 本発明の1つの局面において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニスト
および/またはアゴニストは、広範な種々の腫瘍(例えば、乳房腫瘍、結腸腫瘍
、脳腫瘍および肝腫瘍を含む)の切除縁に投与され得る。例えば、本発明の1つ
の実施形態において、抗脈管形成化合物は、切除後に、神経学的腫瘍の部位に、
その部位での新しい血管の形成が阻害されるように投与され得る。
【0510】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニ
ストはまた、他の抗脈管形成因子とともに投与され得る。他の抗脈管形成因子の
代表的な例としては以下が挙げられる:抗侵襲性因子、レチノイン酸およびその
誘導体、パクリタキセル、スラミン、メタロプロテイナーゼ−1の組織インヒビ
ター、メタロプロテイナーゼ−2の組織インヒビター、プラスミノーゲンアクチ
ベーターインヒビター−1、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−2
および種々の形態のより軽い「d族」遷移金属。
【0511】 より軽い「d族」遷移金属としては、例えば、バナジウム、モリブデン、タン
グステン、チタン、ニオブおよびタンタル種が挙げられる。そのような遷移金属
種は、遷移金属錯体を形成し得る。上記の遷移金属種の適切な錯体としては、オ
キソ遷移金属錯体が挙げられる。
【0512】 バナジウム錯体の代表的な例としては、バナデート錯体およびバナジル錯体の
ようなオキソバナジウム錯体が挙げられる。適切なバナデート錯体としては、例
えばメタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウムおよびオルトバナ
ジン酸ナトリウムのようなメタバナデート錯体およびオルトバナデート錯体が挙
げられる。適切なバナジル錯体としては、例えば、バナジルアセチルアセトネー
トおよび硫酸バナジル(硫酸バナジル一水和物および硫酸バナジル三水和物のよ
うな硫酸バナジル水和物を含む)が挙げられる。
【0513】 タングステン錯体およびモリブデン錯体の代表的な例としてはまた、オキソ錯
体が挙げられる。適切なオキソタングステン錯体としては、タングステート錯体
およびタングステンオキシド錯体が挙げられる。適切なタングステート錯体とし
ては、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カルシウム、タングステン
酸ナトリウム二水和物およびタングステン酸が挙げられる。適切なタングステン
オキシドとしては、タングステン(IV)オキシドおよびタングステン(VI)
オキシドが挙げられる。適切なオキソモリブデン錯体としては、モリブデート、
モリブデンオキシドおよびモリブデニル錯体が挙げられる。適切なモリブデート
錯体としては、モリブデン酸アンモニウムおよびその水和物、モリブデン酸ナト
リウムおよびその水和物、ならびにモリブデン酸カリウムおよびその水和物が挙
げられる。適切なモリブデンオキシドとしては、モリブデン(VI)オキシド、
モリブデン(VI)オキシドおよびモリブデン酸が挙げられる。適切なモリブデ
ニル錯体としては、例えばモリブデニルアセチルアセトネートが挙げられる。他
の適切なタングステン錯体およびモリブデン錯体としては、例えばグリセロール
、酒石酸および糖由来のヒドロキソ誘導体が挙げられる。
【0514】 広範な種類の他の抗脈管形成因子もまた、本発明の状況において利用され得る
。代表的例は、以下を含む:血小板因子4;硫酸プロタミン;硫酸化キチン誘導
体(クイーンクラブ(queen crab)の殻から調製される)(Mura
taら、Cancer Res.51:22〜26、1991);硫酸化多糖ペ
プチドグリカン複合体(SP−PG)(この化合物の機能は、ステロイド(例え
ば、エストロゲン)およびクエン酸タモキシフェンの存在によって、増強され得
る);スタウロスポリン;基質代謝の調節因子(例えば、プロリンアナログ、シ
スヒドロキシプロリン、d,L−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、α
,α−ジピリジル,アミノプロピオニトリルフマレートを含む);4−プロピル
−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン;メトトレキサート;ミ
トザントロン;ヘパリン;インターフェロン;2マクログロブリン−血清;Ch
IMP−3(Pavloffら、J.Bio.Chem.267:17321〜
17326、1992);キモスタチン(Tomkinsonら、Bioche
m J.286:475〜480、1992);シクロデキストリンテトラデカ
サルフェート;エポネマイシン;カンプトテシン;フマギリン(Ingberら
、Nature 348:555〜557、1990);チオリンゴ酸金ナトリ
ウム(「GST」;MatsubaraおよびZiff、J.Clin.Inv
est.79:1440〜1446、1987);アンチコラゲナーゼ−血清;
α2−抗プラスミン(Holmesら、J.Biol.Chem.262(4)
:1659〜1664、1987);ビサントレン(National Can
cer Institute);ロベンザリット二ナトリウム(N−(2)−カ
ルボキシフェニル−4−クロロアントロニル酸(chloroanthroni
lic acid)二ナトリウム、すなわち「CCA」;Takeuchiら、
Agents Actions 36:312〜316、1992);サリドマ
イド;Angostaticステロイド;AGM−1470;カルボキシアミノ
イミダゾール(carboxynaminolmidazole);およびメタ
ロプロテイナーゼインヒビター(例えば、BB94)。
【0515】 (細胞レベルでの疾患) 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドならびにアンタゴニストまたは
アゴニストによって、処置または検出され得る、細胞生存の増大またはアポトー
シスの阻害に関連する疾患には、以下が挙げられる:癌(例えば、濾胞性リンパ
腫、p53変異を伴う癌腫、およびホルモン依存性腫瘍(以下を含むが、これら
に限定されない:結腸癌、心臓腫瘍、膵臓癌、黒色腫、網膜芽細胞腫、神経膠芽
細胞腫、肺癌、腸管癌、精巣癌、胃癌、神経芽細胞腫、粘液腫、筋腫、リンパ腫
、内皮腫、骨芽細胞腫、破骨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳癌、前立腺癌
、カポージ肉腫および卵巣癌);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェー
グレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、多
発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関節
リウマチ)、ならびにウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイ
ルスおよびアデノウイルス)、炎症、対宿主性移植片病、急性移植片拒絶、なら
びに慢性移植片拒絶)。好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド
、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストは、特に上記に列挙されたものに
おいて、癌の増殖、進行、および/または転移(metasis)を阻害するた
めに使用される。
【0516】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドあるいはアゴニストまたはアン
タゴニストによって処置または検出され得る、細胞生存の増大に関連するさらな
る疾患または状態には、悪性疾患の進行および/または転移ならびに以下のよう
な関連障害が挙げられるが、これらに限定されない:白血病(急性白血病(例え
ば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白
血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病および赤白血病を含む)を含む)ならび
に慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血
病))、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病
)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、なら
びに固形腫瘍(以下を含むが、これらに限定されない:肉腫および癌腫(例えば
、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、
内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内
皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、
膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮
脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、
肝細胞癌腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌
、精巣の腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠星状細胞
腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神
経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞
腫、および網膜芽細胞腫))。
【0517】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストによって処置または検出され得る、アポトーシスの増大に関連する
疾患には、以下が挙げられる:AIDS;神経変性障害(例えば、アルツハイマ
ー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性および脳
腫瘍または前記に関連した疾患);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェ
ーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、
多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関
節リウマチ)、脊髄形成異常症候群(例えば、再生不良性貧血)、対宿主性移植
片病、虚血性損傷(心筋梗塞、発作および再灌流損傷によって引き起こされるよ
うなもの)、肝臓損傷(例えば、肝炎関連肝臓損傷、虚血/再灌流障害、胆汁う
っ滞(cholestosis)(胆管損傷)および肝臓癌);毒物誘導性肝臓
疾患(アルコールによって引き起こされるようなもの)、敗血症性ショック、悪
液質ならびに食欲不振。
【0518】 (創傷治癒および上皮細胞増殖) 本発明のなおさらなる局面に従って、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペ
プチド、ならびにアンタゴニストまたはアゴニストを、治療目的のため、例えば
、創傷治癒の目的のために上皮細胞増殖および基底ケラチノサイトを刺激するた
め、ならびに毛包生成および皮膚創傷の治癒を刺激するために、利用するプロセ
スが提供される。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴ
ニストまたはアンタゴニストは、以下を含む創傷治癒を刺激する際に臨床的に有
用であり得る:外科的創傷、切除の創傷、深い創傷(真皮および表皮の損傷を含
む)、眼組織の創傷、歯組織の創傷、口腔創傷、糖尿病性潰瘍、皮膚の潰瘍、肘
の潰瘍、動脈の潰瘍、静脈うっ滞潰瘍、熱への曝露または化学物質から生ずる熱
傷、および他の異常な創傷治癒状態(例えば、尿毒症、栄養失調、ビタミン欠乏
、ならびにステロイド、放射線療法および抗腫瘍性薬物および代謝拮抗物質を用
いる全身性処置に関連する合併症。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、皮膚損失後の皮膚の回復を促
進するために使用され得る。
【0519】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストは、創傷床(wound bed)への皮膚移植片の接着を増大す
るため、および創傷床からの再上皮形成を刺激するために使用され得る。以下は
、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニ
ストが創傷床への接着を増大するために使用され得る、移植片の型である:自家
移植片、人工皮膚、同種移植片(allograft)、自己植皮片、自己表皮
移植片(autoepdermic graft)、無血管性(avacula
r)移植片、ブレア−ブラウン移植片、骨移植片、胚胎組織移植片、真皮移植片
、遅延移植片、皮膚移植片、表皮移植片、筋膜移植片、全層皮膚移植片、異種移
植片(heterologous graft)、異種移植片(xenogra
ft)、同種移植片(homologous graft)、増殖性移植片、層
板状移植片、網状移植片、粘膜移植片、オリエ−ティールシュ移植片、大網移植
片、パッチの移植片(patch graft)、茎状移植片、全層移植片(p
enetrating graft)、分層植皮片(split skin g
raft)、分層植皮片(thick split graft)。本発明のポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニスト
は、皮膚の強度を助長するため、および加齢した皮膚の外見を改善するために使
用され得る。
【0520】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストはまた、肝細胞増殖、および肺、乳房、膵臓、胃、小腸(smal
l intesting)、および大腸における上皮細胞増殖における変化を生
じると考えられる。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにア
ゴニストもしくはアンタゴニストは、上皮細胞(例えば、皮脂細胞(seboc
yte)、毛包、肝細胞、II型肺胞上皮細胞(type II pneumo
cyte)、ムチン産生杯細胞、および他の上皮細胞、ならびに皮膚、肺、肝臓
、および胃腸管内に含まれるそれらの前駆体)の増殖を促進し得る。本発明のポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニスト
は、内皮細胞、ケラチノサイト、および基底ケラチノサイトの増殖を促進し得る
【0521】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストはまた、照射、化学療法処置またはウイルス感染から生じる腸の毒
性の副作用を低減するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポ
リペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、小腸粘膜に対して細
胞保護的な(cytoprotective)効果を有し得る。本発明のポリヌ
クレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストはま
た、化学療法およびウイルス感染から生じる粘膜炎(mucositis)(口
潰瘍)の治癒を刺激し得る。
【0522】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストは、熱傷を含む、完全な厚さおよび部分的な厚さの皮膚欠損におけ
る皮膚の完全な再生(すなわち、毛包、汗腺、および皮脂腺の再増殖)、乾癬の
ような他の皮膚欠損の処置においてさらに使用され得る。本発明のポリヌクレオ
チドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、表皮水
疱症(これらの損傷の再上皮形成を促進することによる頻繁な開放性かつ疼痛性
の水疱を生じる、下層の真皮への表皮の接着の欠損)を処置するために使用され
得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまた
はアンタゴニストはまた、胃潰瘍および十二指腸(doudenal)潰瘍を処
置し、そして粘膜の内層の瘢痕形成ならびに腺の粘膜および十二指腸の粘膜の内
層の再生による治癒を、より迅速に補助するために使用され得る。炎症性腸疾患
、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎は、それぞれ、小腸または大腸の粘膜
表面の破壊を生じる疾患である。従って、本発明のポリヌクレオチドまたはポリ
ペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、粘膜表面の再表面形成
(resurfacing)を促進して、より迅速な炎症性腸疾患の治癒を補助
し、そして炎症性腸疾患の進行を予防するために、使用され得る。本発明のポリ
ヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストを
用いる処置は、胃腸管全体の粘液の産生に対して有意な効果を有すると予期され
、そして摂取された有害な物質からかまたは外科手術後に、腸粘膜を有害な物質
から保護するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ド、ならびにアゴニストまたアンタゴニストは、その発現不足に関連する疾患を
処置するために使用され得る。
【0523】 さらに、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニスト
またはアンタゴニストは、種々の病的状態に起因する肺への損傷を予防および治
癒するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、な
らびにアゴニストまたはアンタゴニストは、急性または慢性の肺損傷を予防また
は処置するために、肺胞および細気管支(brochiolar)上皮の増殖お
よび分化を刺激し得、そしてその修復を促進し得る。例えば、肺胞(aveol
i)の進行性の損失を生じる気腫、および細気管支上皮および肺胞の壊死を生じ
る吸入傷害(inhalation injury)(すなわち、煙の吸入およ
び熱傷から生じる)は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、アゴニ
ストまたはアンタゴニストを使用して、効果的に処置され得る。また、本発明の
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニス
トは、II型肺胞上皮細胞の増殖および分化を刺激するために使用され得、これ
は、未熟な乳児における肺硝子膜症(例えば、乳児呼吸窮迫症候群および気管支
肺異形成症)のような疾患を処置または予防するのを助け得る。
【0524】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストは、肝細胞の増殖および分化を刺激し得、従って、肝臓の疾患およ
び病状(例えば、肝硬変により生じる劇症肝不全、ウイルス性肝炎および毒性物
質(すなわち、アセトアミノフェン、四塩化炭素(carbon tetrah
oloride)、および当該分野で公知の他の肝臓毒素)により生じる肝臓損
傷)を緩和または処置するために用いられ得る。
【0525】 さらに、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニスト
またはアンタゴニストは、真性糖尿病の発症を処置または予防するために使用さ
れ得る。新たにI型糖尿病およびII型糖尿病と診断された患者において、いく
らかの島細胞機能が残っている場合、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、その疾患の永続的な発現を
、緩和、遅延または予防するように、その島機能を維持するために使用され得る
。また、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストま
たはアンタゴニストは、島細胞機能を改善または促進するための島細胞移植にお
ける補助として使用され得る。
【0526】 (神経学的疾患) 本発明のなおさらなる局面に従って、治療目的のため、例えば、神経学的細胞
の増殖および/または分化を刺激するために、本発明のポリヌクレオチドまたは
ポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストを利用するためのプロ
セスが提供される。従って、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニ
ストおよび/またはアンタゴニストは、神経学的疾患を処置および/または検出
するために使用され得る。さらに、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ド、あるいはアゴニストまたはアンタゴニストは、特定の神経系疾患または障害
のマーカーまたはディテクター(detector)として使用され得る。
【0527】 本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタ
ゴニストを用いて処置または検出され得る神経学的疾患の例としては、以下が挙
げられる:脳疾患(例えば、母系フェニルケトン尿症のようなフェニルケトン尿
症を含む代謝性脳疾患)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠乏症、ピルビン酸デヒ
ドロゲナーゼ複合体欠乏症、ヴェルニッケ脳障害、脳水腫、テント下(infr
atentorial)新生物を含む小脳性新生物のような脳新生物、脈絡叢新
生物のような脳室新生物、視床下部性新生物、テント上新生物、キャナヴァン病
、毛細血管拡張性運動失調のような脊髄小脳性退化を含む小脳性運動失調のよう
な小脳疾患、小脳性共同運動障害、フリードライヒ失調症、マチャド−ジョセフ
病、オリーブ橋小脳萎縮、テント下新生物のような小脳性新生物、軸周囲性脳炎
、球様細胞白質萎縮症、異染性白質萎縮症および亜急性硬化性汎脳炎のようなび
まん性脳硬化、脳血管障害(例えば、頸動脈血栓症、頸動脈狭窄およびモヤモヤ
病を含む頸動脈疾患)、脳のアミロイド血管症、大脳動脈瘤、大脳無酸素症、大
脳動脈硬化症、大脳動静脈奇形、大脳動脈疾患、頸動脈血栓症、洞血栓症および
ヴァレンベルク症候群のような脳塞栓症および血栓症、硬膜上血腫、硬膜下血腫
およびクモ膜下出血のような脳出血、脳梗塞形成、一過性脳虚血、鎖骨下動脈盗
血症候群および椎骨脳底不全(vertebrobasilar insuff
iciency)のような脳虚血、多発脳梗塞性痴呆のような血管性痴呆、室周
白斑症(periventricular leukomalacia)、群発
性頭痛のような血管性頭痛、偏頭痛、エイズ痴呆複合症のような痴呆症、アルツ
ハイマー病およびクロイツフェルト−ヤーコプ病のような初老期痴呆、アルツハ
イマー病および進行性核上性麻痺のような老年痴呆、多発脳梗塞性痴呆のような
血管性痴呆、軸周囲性脳炎を含む脳炎、流行性脳炎、日本脳炎、セントルイス脳
炎、ダニ媒介脳炎および西ナイル熱のようなウイルス性脳炎、急性播種性脳脊髄
炎、ブドウ膜髄膜脳炎症候群、脳炎後パーキンソン病および亜球性硬化性汎脳炎
のような髄膜脳炎、室周白斑症のような脳軟化症、点頭痙攣を含む全身てんかん
のようなてんかん、アプサンスてんかん(absence epilepsy)
、MERRF症候群を含むミオクローヌスてんかん、強直・間代てんかん、複雑
部分てんかん、前頭葉てんかんおよび側頭葉てんかんのような部分てんかん、外
傷後てんかん、持続性部分てんかんのようなてんかん重積持続状態、ハレルフォ
ルデン−シュパッツ症候群、ダンディ−ウォーカー症候群および正常圧水頭症の
ような水頭症、視床下部性新生物のような視床下部性疾患、大脳マラリア、脱力
発作を含むナルコレプシー、延髄ポリオ(bulbar poiomyelit
is)、大脳偽腫瘍、レット症候群、ライ症候群、視床疾患、大脳トキソプラス
マ症、頭蓋内結核腫およびツェルヴェーガー症候群、エイズ痴呆複合症のような
中枢神経系感染、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、ウマの脳脊髄炎のような脳脊髄炎、ベ
ネズエラウマ脳脊髄炎、壊死性出血性脳脊髄炎、ビスナ、大脳マラリア、クモ膜
炎のような髄膜炎、リンパ球性脈絡髄膜炎を含むウイルス性髄膜炎のような無菌
性髄膜炎、ヘモフィルス髄膜炎を含む細菌性髄膜炎、リステリア髄膜炎、ウォー
ターハウス−フリーデリックセン症候群のような髄膜炎菌性脳脊髄膜炎、肺炎球
菌髄膜炎および髄膜結核症、クリプトコックス髄膜炎のような真菌性髄膜炎、硬
膜下滲出、ブドウ膜髄膜脳炎症候群のような髄膜脳炎、横行脊髄炎のような脊髄
炎、脊髄ろうのような神経梅毒、延髄ポリオおよびポリオ後症候群を含むポリオ
、プリオン病(例えば、クロイツフェルト−ヤーコプ病、ウシの海綿状脳症、ゲ
ルストマン−シュトロイスラー症候群、クールー、スクラピー)、大脳トキソプ
ラスマ症、テント下新生物のような小脳性新生物を含む脳新生物のような中枢神
経系新生物、脈絡叢新生物、視床下部性新生物およびテント上新生物のような脳
室新生物、髄膜新生物、硬膜外新生物を含む脊髄新生物、キャナヴァン病のよう
な脱髄疾患、副腎脳白質ジストロフィーを含むびまん性大脳硬化症(diffu
se cerebral sceloris)、軸周囲性脳炎、球様細胞白質萎
縮症、異染性白質萎縮症のようなびまん性大脳硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、
壊死性出血性脳脊髄炎、進行性多病巣性白質脳症、多発性硬化症、橋中央ミエリ
ン溶解、横行脊髄炎、視神経脊髄炎、スクラピー、脊柱前弯症、慢性疲労症候群
、ビスナ、高圧神経質症候群(High Pressure Nervous
Syndrome)、髄膜症、先天性筋無緊張症のような脊髄疾患、筋萎縮性側
索硬化症、ヴェルドニッヒ−ホフマン病のような棘筋萎縮、脊髄圧搾、硬膜外新
生物のような脊髄新生物、脊髄空洞症、脊髄ろう、スティッフマン症候群、アン
ゲルマン症候群のような精神遅滞、ネコ鳴き症候群、ド・ランゲ症候群、ダウン
症候群、ガングリオシドーシスG(M1)のようなガングリオシドーシス、ザン
トホフ病、テイ−サックス病、ハートナップ病、ホモシスチン尿症、ローレンス
−ムーン−ビードル症候群、レッシュ−ナイハン症候群、カエデシロップ病、フ
コース蓄積症のようなムコリピドーシス、ニューロンセロイド脂褐素沈着症、眼
脳腎症候群、母系フェニルケトン尿症のようなフェニルケトン尿症、プラーダー
−ヴィリ症候群、レット症候群、ルービンスタイン−テービ症候群、結節硬化症
、WAGR症候群、全前脳症のような神経系異常、水無脳症(hydrange
ncephaly)を含む無脳症のような神経管不全、アルノルト−キアーリ奇
形、脳ヘルニア、髄膜瘤、髄膜脊髄瘤、嚢胞性二分脊椎および潜在性二分脊椎の
ような脊髄癒合不全、シャルコー−マリー病を含む遺伝性の運動および感覚ニュ
ーローパシー、遺伝性視覚萎縮症、レフサム病、遺伝性痙性対麻痺、ヴェルドニ
ッヒ−ホフマン病、先天性痛覚脱失症および家族性自律神経障害のような遺伝性
感覚および自律神経性ニューロパシー、神経学的症状発現(例えば、ゲルストマ
ン症候群を含む失認)、逆向性健忘症のような健忘症、失行症、神経因性膀胱、
脱力発作、難聴、部分聴覚欠失および大声(ludness)レクルートメント
および耳鳴を含む聴覚障害のような情報伝達障害、失書症、名称失語症、ブロカ
失語症およびヴェルニッケ失語症を含む失語症のような言語障害、後天性失読症
のような失読症、言語発達障害、名称失語症、ブロカ失語症およびヴェルニッケ
失語症を含む失語症のような発語障害、発音障害、構語障害、反響言語、無言症
およびどもりを含む発語障害のような情報伝達障害、失声症および嗄声のような
発声障害、除脳硬直状態、せん妄、線維束性攣縮、幻覚、髄膜症、アンゲルマン
症候群、運動失調、アテトーシス、舞踏病、失調症、運動低下症、筋肉緊張低下
、ミオクローヌス、チック、斜頸および振せんのような運動障害、スティッフマ
ン症候群のような筋肉硬直のような筋肉緊張亢進、筋肉痙性、耳帯状疱疹を含む
顔面神経麻痺のような麻痺、胃不全麻痺、片麻痺、複視のような眼筋麻痺、デュ
エーン症候群、ホルナー症候群、キーンズ症候群のような慢性進行性外眼筋麻痺
症、球麻痺、熱帯性痙攣対麻痺、ブラウン−セカール症候群、四肢麻痺、呼吸麻
痺および声帯麻痺のような対麻痺、不全麻痺、幻肢、無味覚症および味覚不全の
ような味覚障害、弱視、失明、色覚異常、複視、半盲、視野暗点および準正常視
覚(subnormal vision)のような視覚障害、クライネ−レヴィ
ン症候群、不眠症および夢遊症を含む過眠症のような睡眠障害、開口障害のよう
な痙縮、昏睡、持続性植物状態および失神およびめまいのような意識消失、先天
性筋無緊張症のような神経筋疾患、筋萎縮性側索硬化症、ランバート−イートン
筋無力症症候群、運動ニューロン疾患、棘筋萎縮、シャルコー−マリー疾患およ
びヴェルドニッヒ−ホフマン病のような筋萎縮、ポリオ後症候群、筋ジストロフ
ィー、重症筋無力症、萎縮性筋緊張症、先天性筋緊張症(myotonia c
onfenita)、ネマリンミオパシー、家族性周期性四肢麻痺、多発性パラ
ミロクローヌス(Multiplex Paramyloclonus)、熱帯
性痙攣対麻痺およびスティッフマン症候群、先端肢端疼痛症のような末梢神経系
疾患、アミロイドニューロパシー、アーディー症候群、バレー・ニュー症候群、
家族性自律神経障害、ホルナー症候群、反射性交感神経性ジストロフィーおよび
シャイ−ドレーガー症候群のような自律神経系疾患、神経線維腫症2を含む聴神
経腫のような内耳神経疾患のような脳神経疾患、顔面神経痛のような顔面神経疾
患、メルカーソン−ローゼンタール症候群、弱視を含む眼球運動性障害、眼振、
動眼神経麻痺、デュエーン症候群のような眼筋麻痺、ホルナー症候群、キーンズ
症候群を含む慢性進行性外眼筋麻痺症、内斜視および外斜視のような斜視、動眼
神経麻痺、遺伝性眼萎縮症を含む眼萎縮症のような眼神経疾患、視神経円板結晶
腔、視神経脊髄炎のような視神経炎、乳頭水腫、三叉神経痛、声帯麻痺、視神経
脊髄炎および脊柱前弯症のような脱髄疾患、糖尿病性足のような糖尿病性ニュー
ロパシー、手根管症候群のような神経圧搾症候群、足根管症候群、頸肋症候群の
ような胸郭出口症候群、尺骨神経圧搾症候群、カウザルギー、頸腕神経痛、顔面
神経痛および三叉神経痛のような神経痛、実験的アレルギー性神経炎、視神経炎
、多発性神経炎、多発性神経根神経炎および神経根炎(例えば、多発性神経根炎
、遺伝性運動および感覚ニューロパシー(例えば、シャルコー−マリー病、遺伝
性眼萎縮症、レフサム病、遺伝性痙性対麻痺およびヴェルドニッヒ‐ホフマン病
、遺伝性感覚および自律神経ニューロパシー(先天性痛覚脱失および家族性自律
神経障害を含む)、POEMS症候群、坐骨神経痛、味覚性発汗症およびテタニ
ー)のような神経炎)。
【0528】 (感染性疾患) 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはア
ンタゴニストは、感染因子を処置または検出するために用いられ得る。例えば、
免疫応答を増加させることによって、特にB細胞および/またはT細胞の増殖お
よび分化を増加させることによって、感染性疾患が処置され得る。免疫応答は、
既存の免疫応答を増加させるか、または新たな免疫応答を開始させるかのいずれ
かにより上昇され得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストはまた、必ずしも免疫応答を誘発
することなく、感染因子を直接阻害し得る。
【0529】 ウイルスは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびに/ある
いはアゴニストまたはアンタゴニストにより処置または検出され得る疾患または
症状を引き起こし得る感染因子の一例である。ウイルスの例としては、以下のD
NAおよびRNAのウイルスおよびウイルス科が挙げられるがこれらに限定され
ない:アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテリウイル
ス、ビルナウイルス科、ブンヤウイルス科、カルシウイルス科、サルコウイルス
科(Circoviridae)、コロナウイルス科、デング熱、EBV、HI
V、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科(肝炎)、ヘルペスウイルス科(例
えば、サイトメガロウイルス、単純ヘルペス、帯状疱疹)、モノネガウイルス(
Mononegavirus)(例えば、パラミクソウイルス科、麻疹ウイルス
、ラブドウイルス科)、オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザA、
インフルエンザB、およびパラインフルエンザ)、パピローマウイルス、パポバ
ウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科(例
えば、痘瘡またはワクシニア)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、レ
トロウイルス科(HTLV−I、HTLV−II、レンチウイルス)、およびト
ガウイルス科(例えば、ルビウイルス属)。これらの科内に入るウイルスは、以
下を含むがこれらに限定されない種々の疾患または症状を引き起こし得る:関節
炎、細気管支炎(bronchiollitis)、RSウイルス、脳炎、眼感
染症(例えば、結膜炎、角膜炎)、慢性疲労症候群、肝炎(A型、B型、C型、
E型、慢性活動性、デルタ)、日本脳炎、フニン、チングニア、リフトバレー熱
、黄熱病、髄膜炎、日和見感染症(例えば、AIDS)、肺炎、バーキットリン
パ腫、水痘、出血熱、麻疹、流行性耳下腺炎、パラインフルエンザ、狂犬病、感
冒、ポリオ、白血病、風疹、性感染症、皮膚病(例えば、カポージ、いぼ)、お
よびウイルス血症。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはア
ゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、任意のこれらの症状または疾患が処
置または検出され得る。特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、
ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、以下の処置に使用
される:髄膜炎、デング熱、EBV、および/または肝炎(例えば、B型肝炎)
。さらなる特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド
、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、1以上の他の市販の肝炎ワクチ
ンに非応答性の患者を処置するために使用される。さらに特定の実施形態におい
て、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアン
タゴニストは、AIDSを処置するために使用される。
【0530】 同様に、疾患または症状を引き起こし得、かつ本発明のポリヌクレオチドまた
はポリペプチド、ならびに/またはアゴニストまたはアンタゴニストによって処
置または検出され得る細菌性因子あるいは真菌性因子は、以下のグラム陰性およ
びグラム陽性の細菌および細菌科ならびに真菌を含むがこれらに限定されない:
Actinomycetales(例えば、Corynebacterium、
Mycobacterium、Norcardia)、Cryptococcu
s neoformans、Aspergillosis、Bacillace
ae(例えば、Anthrax、Clostridium)、Bacteroi
daceae、Blastomycosis、Bordetella、Borr
elia(例えば、Borrelia burgdorferi)、Bruce
llosis、Candidiasis、Campylobacter、Coc
cidioidomycosis、Cryptococcosis、Derma
tocycoses、E.coli(例えば、Enterotoxigenic
E.coliおよびEnterohemorrhagic E.coli)、
Enterobacteriaceae(Klebsiella、Salmon
ella(例えば、Salmonella typhi、およびSalmone
lla paratyphi)、Serratia、Yersinia)、Er
ysipelothrix、Helicobacter、Legionello
sis、Leptospirosis、Listeria、Mycoplasm
atales、Mycobacterium leprae、Vibrio c
holerae、Neisseriaceae(例えば、Acinetobac
ter、Gonorrhea、Menigococcal)、Meisseri
a meningitidis、Pasteurellaceaの感染症(例え
ば、Actinobacillus、Heamophilus(例えば、Hea
mophilus influenza B型)、Pasteurella)、
Pseudomonas、Rickettsiaceae、Chlamydia
ceae、Syphilis、Shigella spp.、Staphylo
coccal、Meningiococcal、Pneumococcalおよ
びStreptococcal(例えば、Streptococcus pne
umoniaeおよびB群Streptococcus)。これらの細菌または
真菌の科は、以下を含むがこれらに限定されない疾患または症状を引き起こし得
る:菌血症、心内膜炎、眼感染症(結膜炎、結核、ブドウ膜炎)、歯肉炎、日和
見感染症(例えば、AIDSに関連した感染症)、爪周囲炎、プロテーゼ関連感
染症(prosthesis−related infection)、ライタ
ー病、気道感染症(例えば、百日咳または蓄膿症)、敗血症、ライム病、ネコ引
っ掻き病、赤痢、パラチフス熱、食中毒、腸チフス、肺炎、淋病、髄膜炎(例え
ば、髄膜炎A型およびB型)、クラミジア、梅毒、ジフテリア、らい病、パラ結
核、結核、狼瘡、ボツリヌス中毒、壊疽、破傷風、膿痂疹、リウマチ熱、猩紅熱
、性感染病、皮膚病(例えば、蜂巣炎、皮膚真菌症(dermatocycos
es))、毒血症、尿路感染症、創傷感染症。本発明のポリヌクレオチドもしく
はポリペプチド、アゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、任意のこれらの
症状もしくは疾患を処置または検出し得る。特定の実施形態において、本発明の
ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニストは、以下を
処置するために使用される:破傷風、ジフテリア、ボツリスム、および/または
B型髄膜炎。
【0531】 さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはア
ゴニストもしくはアンタゴニストにより処置または検出され得る、寄生生物性因
子が引き起こす疾患または症状としては以下の科またはクラスが挙げられるがこ
れらに限定されない:アメーバ症、バベシア症、コクシジウム症、クリプトスポ
リジウム症、二核アメーバ症(Dientamoebiasis)、交疫、外部
寄生生物性(Ectoparasitic)、ジアルジア鞭毛虫症、蠕虫症、リ
ーシュマニア症、タイレリア症、トキソプラスマ症、トリパノソーマ症、および
トリコモナス(Trichomonas)症、ならびに胞子虫症(Sporoz
oan)(例えば、Plasmodium virax、Plasmodium
falciparium、Plasmodium malariaeおよびP
lasmodium ovale)。これらの寄生生物は、以下を含むがこれら
に限定されない種々の疾患または症状を引き起こし得る:疥癬、ツツガムシ病、
眼感染症、腸疾患(例えば、赤痢、ジアルジア鞭毛虫症)、肝臓疾患、肺疾患、
日和見感染症(例えば、AIDS関連)、マラリア、妊娠合併症、およびトキソ
プラスマ症。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニス
トもしくはアンタゴニストを用いて、任意のこれらの症状または疾患を処置また
は検出し得る。
【0532】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストは、患者に有効量のポリペプチドを投与するか、または患者か
ら細胞を取り出して、本発明のポリヌクレオチドをこの細胞に供給し、そして操
作した細胞を患者に戻す(エキソビボ治療)かのいずれかによるものであり得る
。さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはワクチン中の抗原と
して用いられて、感染性疾患に対する免疫応答を惹起し得る。
【0533】 (再生) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストを用いて、細胞を分化させ、増殖させ、そして誘引して、組織
の再生を導き得る(Science 276:59−87(1997)を参照の
こと)。組織の再生を用いて、先天性欠損、外傷(創傷、熱傷、切開、または潰
瘍)、加齢、疾患(例えば、骨粗鬆症、変形性関節炎(osteocarthr
itis)、歯周病、肝不全)、美容形成手術を含む手術、線維症、再灌流傷害
、もしくは全身性サイトカイン損傷により損傷を受けた組織を修復、置換、また
は保護し得る。
【0534】 本発明を用いて再生し得る組織としては、以下が挙げられる:器官(例えば、
膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮)、筋肉(平滑筋、骨格筋、または心筋)、
血管系(血管およびリンパ管を含む)、神経、造血、および骨格(骨、軟骨、腱
、および靭帯)の組織。好ましくは、再生は、瘢痕なく、または瘢痕が低減され
て生じる。再生はまた、新脈管形成を含み得る。
【0535】 さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニス
トもしくはアンタゴニストは、治癒するのが困難な組織の再生を増加させ得る。
例えば、腱/靭帯の再生を増大させることによって、損傷後の回復時間が早まる
。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストはまた、損傷を回避する試みにおいて予防的に使用され得る。
処置され得る特定の疾患は、腱炎、手根管症候群、および他の腱欠損または靭帯
欠損を含む。非治癒創傷の組織再生のさらなる例としては、褥瘡性潰瘍、脈管不
全、外科的創傷、および外傷性創傷に関連する潰瘍が挙げられる。
【0536】 同様に、神経および脳組織はまた、神経細胞を増殖および分化させるために本
発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしくはア
ンタゴニストを使用することによって再生され得る。本方法を用いて処置され得
る疾患としては、中枢神経系疾患および末梢神経系疾患、神経障害、または機械
的および外傷性障害(例えば、脊髄障害、頭部外傷、脳血管疾患、および発作(
stoke))が挙げられる。詳細には、末梢神経傷害と関連する疾患、末梢神
経障害(例えば、化学療法または他の医学的療法から生じる)、局在神経障害、
および中枢神経系疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチン
トン病、筋萎縮性側索硬化症、およびシャイ−ドレーガー症候群)はすべて、本
発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしくはア
ンタゴニストを用いて処置され得る。
【0537】 (走化性) 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストは、走化性活性を有し得る。走化性分子は、細胞(例えば、単
球、線維芽細胞、好中球、T細胞、肥満細胞、好酸球、上皮細胞および/または
内皮細胞)を、身体内の特定の部位(例えば、炎症、感染、または過剰増殖の部
位)に誘引または動員する。次いで、動員された細胞は、特定の外傷または異常
性を撃退および/または治癒し得る。
【0538】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストは、特定の細胞の走化性活性を増大し得る。次いで、これらの
走化性分子を使用して、身体内の特定の位置に標的化した細胞の数を増加させる
ことによって、炎症、感染、過増殖障害、または任意の免疫系障害を処置し得る
。例えば、走化性分子を使用して、傷害を受けた位置に免疫細胞を誘引すること
によって、組織に対する創傷および他の外傷を処置し得る。本発明の走化性分子
はまた、線維芽細胞を誘引し得、これは創傷を処置するために使用され得る。
【0539】 本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしく
はアンタゴニストが走化性活性を阻害し得ることもまた意図される。これらの分
子はまた、障害を処置するために使用され得る。従って、本発明のポリヌクレオ
チドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしくはアンタゴニストは、走
化性のインヒビターとして使用され得る。
【0540】 (結合活性) 本発明のポリペプチドは、このポリペプチドに結合する分子、またはこのポリ
ペプチドが結合する分子についてスクリーニングするために使用され得る。この
ポリペプチドとこの分子との結合は、結合したポリペプチドまたは分子の活性を
活性化(アゴニスト)、増大、阻害(アンタゴニスト)、または減少させ得る。
そのような分子の例としては、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば
、レセプター)、または低分子が挙げられる。
【0541】 好ましくは、この分子は、このポリペプチドの天然のリガンド(例えば、リガ
ンドのフラグメント)、または天然の基質、リガンド、構造的模倣物、もしくは
機能的模倣物に密接に関連する(Coliganら、Current Prot
ocols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参
照のこと)。同様に、この分子は、このポリペプチドが結合する天然のレセプタ
ー、または少なくとも、このポリペプチドによって結合され得るレセプターのフ
ラグメント(例えば、活性部位)に密接に関連し得る。いずれの場合においても
、この分子は、公知の技術を用いて合理的に設計され得る。
【0542】 好ましくは、これらの分子についてのスクリーニングは、このポリペプチドを
発現する適切な細胞を産生する工程を包含する。好ましい細胞としては、哺乳動
物、酵母、Drosophila、またはE.coli由来の細胞が挙げられる
。次いで、このポリペプチドを発現する細胞(または、発現されたポリペプチド
を含む細胞膜)を、好ましくは、このポリペプチドまたはこの分子のいずれかの
結合、活性の刺激、または活性の阻害を観察するための分子を潜在的に含む試験
化合物と接触させる。
【0543】 アッセイは、このポリペプチドへの候補化合物の結合を単純に試験し得、ここ
で結合は、標識によって、または標識された競合物との競合に関するアッセイに
おいて検出される。さらに、アッセイは、候補化合物がこのポリペプチドへの結
合によって生成されるシグナルを生じるか否かを試験し得る。
【0544】 あるいは、アッセイは、無細胞調製物、固体支持体に接着されたポリペプチド
/分子、化学ライブラリー、または天然産物の混合物を用いて実施され得る。ア
ッセイはまた、候補化合物を、ポリペプチドを含む溶液と混合する工程、ポリペ
プチド/分子の活性または結合を測定する工程、およびポリペプチド/分子の活
性または結合を、標準と比較する工程を単純に包含し得る。
【0545】 好ましくは、ELISAアッセイは、モノクローナル抗体またはポリクローナ
ル抗体を用いて、サンプル(例えば、生物学的サンプル)におけるポリペプチド
のレベルまたは活性を測定し得る。抗体は、ポリペプチドへの直接的もしくは間
接的のいずれかの結合、または基質についてのポリペプチドとの競合によって、
ポリペプチドのレベルまたは活性を測定し得る。
【0546】 さらに、本発明のポリペプチドが結合するレセプターは、当業者に公知の多く
の方法(例えば、リガンドパニングおよびFACSソーティング(Coliga
nら、Current Protocols in Immun.,1(2)、
第5章(1991))によって同定され得る。例えば、発現クローニングは、ポ
リアデニル化RNAがこのポリペプチドに応答する細胞から調製される場合に用
いらされ、例えば、NIH3T3細胞(これは、FGFファミリータンパク質に
対する複数のレセプターを含むことが公知である)、およびSC−3細胞、およ
びこのRNAから作製されたcDNAライブラリーは、プールに分けられ、そし
てこのポリペプチドに応答性でないCOS細胞または他の細胞をトランスフェク
トするために使用される。ガラススライド上で増殖しているトランスフェクトさ
れた細胞は、それらを標識化した後に、本発明のポリペプチドに曝露される。こ
のポリペプチドは、種々の手段(部位特異的プロテインキナーゼに対する認識部
位のヨウ素化または封入を含む)によって標識化され得る。
【0547】 固定化およびインキュベーション後、スライドは、オートラジオグラフィー分
析に供される。陽性プールを同定し、そしてサブプールを、反復性のサププール
化および再スクリーニングプロセスを使用して調製および再びトランスフェクト
して、最終的に推定レセプターをコードする単一のクローンを生じる。
【0548】 レセプター同定のための代替のアプローチとして、標識ポリペプチドは、レセ
プター分子を発現する調製物を、細胞膜と光親和性に連結し得るか、または抽出
し得る。架橋された材料は、PAGE分析によって分離され、そしてX線フィル
ムに曝露される。ポリペプチドのレセプターを含む標識複合体が切り出され得、
ペプチドフラグメントへと分離され得、そしてタンパク質微小配列決定に供され
得る。微小配列決定から得られるアミノ酸配列を使用して、1組の縮重オリゴヌ
クレオチドプローブを設計してcDNAライブラリーをスクリーニングし、推定
レセプターをコードする遺伝子を同定する。
【0549】 さらに、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフ
リング、および/またはコドンシャッフリングの技術(集合的に「DNAシャッ
フリング」という)を利用して、本発明のポリペプチドの活性を調節し得、それ
によって本発明のポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを効果的に生
成する。一般に、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号
、同第5,830,721号、同第5,834,252号、および同第5,83
7,458号、ならびにPatten,P.A.ら、Curr.Opinion
Biotechnol.8:724〜33(1997);Harayama,
S.Trends Biotechnol.16(2):76〜82(1998
);Hansson,L.O.ら、J.Mol.Biol.287:265〜7
6(1999);ならびにLorenzo,M.M.およびBlasco,R.
Biotechniques 24(2):308〜13(1998)(これら
の特許および刊行物の各々は、本明細書において参考として援用される)を参照
のこと。1つの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドおよび対応するポ
リペプチドの変更は、DNAシャッフリングによって達成され得る。DNAシャ
ッフリングは、相同組換えまたは部位特異的な組換えによる、2つ以上のDNA
セグメントの、所望の分子への構築を含む。別の実施形態において、ポリヌクレ
オチドおよび対応するポリペプチドは、組換えの前に、誤りがちな(error
−prone)PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法によるランダ
ム変異誘発に供することによって、変更され得る。別の実施形態において、本発
明のポリペプチドの1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、フラグ
メントなどは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、
ドメイン、フラグメントなどと組換えられ得る。好ましい実施形態において、こ
の異種分子は、ファミリーのメンバーである。さらに好ましい実施形態において
、この異種分子は、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増
殖因子(IGF−I)、トランスホーミング増殖因子(TGF)−α、表皮増殖
因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、TGF−β、骨形成タンパク
質(BMP)−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、アクチ
ビンAおよびB、デカペンタプレジック(dpp)、60A、OP−2、ドーサ
リン、増殖分化因子(GDF)、結節(nodal)、MIS、インヒビン−α
、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β5、および神経膠由
来神経栄養因子(GDNF)のような増殖因子である。
【0550】 他の好ましいフラグメントは、本発明のポリペプチドの生物学的に活性なフラ
グメントである。生物学的に活性なフラグメントは、本発明のポリぺプチドの活
性に類似の活性を示すが、必ずしも同一ではないフラグメントである。このフラ
グメントの生物学的活性は、改善された所望の活性、または減少した所望されな
い活性を含み得る。
【0551】 さらに、本発明は、本発明のポリペプチドの作用を調節する化合物を同定する
ために化合物をスクリーニングする方法を提供する。このようなアッセイの例は
、哺乳動物線維芽細胞、本発明のポリペプチド、スクリーニングされるべき化合
物および3[H]チミジンを、線維芽細胞が通常増殖する細胞培養条件下で合わせ
る工程を包含する。コントロールアッセイは、スクリーニングされるべき化合物
の非存在下で実施され得、そしてこの化合物の存在下での線維芽細胞の増殖の量
と比較して、各々の場合における3[H]チミジンの取り込みの決定によって、こ
の化合物が増殖を刺激するか否かを決定し得る。線維芽細胞の増殖の量は、3[H
]チミジンの取り込みを測定する液体シンチレーションクロマトグラフィーによ
って測定される。アゴニスト化合物およびアンタゴニスト化合物の両方が、この
手順により同定され得る。
【0552】 別の方法において、本発明のポリペプチドに対するレセプターを発現する哺乳
動物細胞または膜調製物は、この化合物の存在下において標識化した本発明のポ
リペプチドとともにインキュベートされる。次いで、この化合物がこの相互作用
を増強またはブロックする能力が、測定され得る。あるいは、スクリーニングさ
れるべき化合物の相互作用に従う既知のセカンドメッセンジャー系の応答および
レセプターが測定され、そしてこの化合物がこのレセプターを結合し、そしてセ
カンドメッセンジャー応答を誘発する能力を測定して、この化合物が潜在的なア
ゴニストまたはアンタゴニストであるか否かを決定する。このようなセカンドメ
ッセンジャー系には、cAMPグアニル酸シクラーゼ、イオンチャネルまたはホ
スホイノシチド加水分解が挙げられるが、これらに限定されない。
【0553】 これらの上記のアッセイの全ては、診断マーカーまたは予後マーカーとして使
用され得る。これらのアッセイを用いて発見される分子は、ポリペプチド/分子
を活性化または阻害することによって、疾患を処置するか、または患者における
特定の結果(例えば、血管増殖)をもたらすために使用され得る。さらに、アッ
セイは、適切に操作された細胞または組織からの本発明のポリペプチドの産生を
阻害または増強し得る因子を発見し得る。
【0554】 従って、本発明は、以下の工程を包含する本発明のポリペプチドに結合する化
合物を同定する方法を包含する:(a)候補結合化合物を本発明のポリペプチド
とともにインキュベートする工程;および(b)結合が生じたか否かを決定する
工程。さらに、本発明は、以下の工程を包含するアゴニスト/アンタゴニストを
同定する方法を包含する:(a)候補化合物を本発明のポリペプチドとともにイ
ンキュベートする工程、(b)生物学的活性をアッセイする工程、および(b)
ポリペプチドの生物学的活性が改変されているか否かを決定する工程。
【0555】 (標的化された送達) 別の実施形態において、本発明は、組成物を、例えば、本発明のポリペプチド
についてのレセプターを発現する標的化細胞、または本発明のポリペプチドの細
胞結合形態を発現する細胞に送達する方法を提供する。
【0556】 本明細書中で議論される場合、本発明のポリペプチドまたは抗体は、異種ポリ
ペプチド、異種核酸、毒素またはプロドラッグと、疎水性、親水性、イオン性お
よび/または共有結合的な相互作用を介して会合し得る。1つの実施形態におい
て、本発明は、異種ポリペプチドまたは核酸と会合した本発明のポリペプチド(
抗体を含む)を投与することによる、本発明の組成物の細胞への特異的な送達の
ための方法を提供する。1つの例において、本発明は、治療タンパク質を標的化
細胞中へ送達するための方法を提供する。別の例において、本発明は、一本鎖核
酸(例えば、アンチセンスまたはリボザイム)または二本鎖核酸(例えば、細胞
のゲノムに組み込まれ得るか、またはエピソームにて複製し得、そして転写され
得る、DNA)を、標的化細胞に送達するための方法を提供する。
【0557】 別の実施形態において、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグと会合
した本発明のポリペプチド(例えば、本発明のポリペプチドまたは本発明の抗体
)を投与することによる細胞の特異的破壊(例えば、腫瘍細胞の破壊)のための
方法を提供する。
【0558】 「毒素」とは、内因性の細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロ毒素
(holotoxin)、改変型毒素、毒素の触媒サブユニット、または規定の
条件下で細胞死を引き起こす細胞中もしくは細胞表面には通常存在しない任意の
分子もしくは酵素を結合および活性化する化合物を意味する。本発明の方法に従
って使用され得る毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
当該分野で公知の放射性同位体、固有のまたは誘導された内因性の細胞傷害性エ
フェクター系に結合する化合物(例えば、抗体(またはその一部を含む補体固定
)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、α毒素、リシン、ア
ブリン、Pseudomonas内毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、モモル
ジン(momordin)、ゲロニン(gelonin)、ヨウシュヤマゴボウ
抗ウイルスタンパク質、α−サルシン(sarcin)およびコレラ毒素。「細
胞傷害性プロドラッグ」とは、通常細胞内に存在する酵素によって、細胞傷害性
化合物へと変換される非毒性の化合物を意味する。本発明の方法に従って使用さ
れ得る細胞傷害性プロドラッグとしては、安息香酸マスタードアルキル化剤のグ
ルタミル誘導体、エトポシドまたはマイトマイシンCのリン酸誘導体、シトシン
アラビノシド、ダウノルビシン、およびドキソルビシンのフェノキシアセトアミ
ド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0559】 (薬物スクリーニング) 本発明のポリペプチドの活性を改変する分子についてスクリーニングするため
の、本発明のポリペプチド、またはこれらのポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドの使用が、さらに意図される。このような方法は、本発明のポリペプチ
ドを、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性を有することが疑われる選択さ
れた化合物と接触させる工程、および結合に続いてこれらのポリペプチドの活性
をアッセイする工程を含む。
【0560】 本発明は、種々の薬物スクリーニング技術のいずれかにおいて、本発明のポリ
ペプチド、またはそれらの結合フラグメントを使用することによって治療用化合
物をスクリーニングするために特に有用である。このような試験に用いられるポ
リペプチドまたはフラグメントは、固体支持体に固定化され得、細胞表面上に発
現され得、溶液中で遊離であり得、または細胞内に局在化され得る。薬物スクリ
ーニングの1つの方法は、ポリペプチドまたはフラグメントを発現する組換え核
酸を用いて安定に形質転換される真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞を利
用する。薬物は、競合結合アッセイにおいて、このような形質転換細胞に対して
スクリーニングされる。例えば、試験されている薬物と本発明のポリペプチドと
の間の複合体の形成を測定し得る。
【0561】 従って、本発明は、本発明のポリペプチドによって媒介される活性に影響を及
ぼす薬物または任意の他の薬剤についてのスクリーニング方法を提供する。これ
らの方法は、当該分野で周知の方法によって、このような薬剤を本発明のポリペ
プチドもしくはそのフラグメントと接触させる工程、およびこの薬剤とこのポリ
ペプチドもしくはそのフラグメントとの間の複合体の存在についてアッセイする
工程を包含する。このような競合結合アッセイにおいて、スクリーニングされる
薬剤は、代表的に、標識化される。インキュベーション後に、遊離の薬剤は、結
合形態中に存在する薬物から分離され、そして遊離または複合体化されていない
標識の量は、特定の薬剤が本発明のポリペプチドに結合する能力の尺度である。
【0562】 薬物スクリーニングについての別の技術は、本発明のポリペプチドに対する適
切な結合親和性を有する化合物に対する高処理能力スクリーニングを提供し、そ
して欧州特許出願84/03564(1984年9月13日公開)(これは、本
明細書中で参考として援用される)に非常に詳細に記載される。簡潔にいうと、
大量の異なる小さなペプチド試験化合物は、固体基材(例えば、プラスチックピ
ンまたはいくつかの他の表面)上で合成される。ペプチド試験化合物を、本発明
のポリペプチドと反応させ、そして洗浄する。次いで、結合したポリペプチドは
、当該分野で周知の方法によって検出される。精製されたポリペプチドは、前述
の薬物スクリーニング技術での使用のためにプレート上に直接コーディングされ
る。さらに、非中和抗体を使用して、このペプチドを捕捉し得、そして固体支持
体上にそれを固定し得る。
【0563】 本発明はまた、競合薬物スクリーニングアッセイの使用を意図し、ここで、本
発明のポリペプチドを結合し得る中和抗体は、ポリペプチドまたはそのフラグメ
ントに対する結合について試験化合物と特異的に競合する。この様式において、
抗体を使用して、本発明のポリペプチドと1つ以上の抗原性エピトープを共有す
る任意のペプチドの存在を検出する。
【0564】 (アンチセンスおよびリボザイム(アンタゴニスト)) 特定の実施形態において、本発明に従うアンタゴニストは、配列番号Xに含ま
れる配列またはその相補鎖に対応する核酸および/あるいは表1において同定さ
れるcDNAプラスミドZに含まれるヌクレオチド配列に対応する核酸である。
1つの実施形態において、アンチセンス配列は、生物体により内部で生成され、
別の実施形態において、アンチセンス配列は別々に投与される(例えば、O’C
onnor,J.Neurochem.56:560(1991)を参照のこと
)。Oligodeoxynucleotides as Antisense
Inhibitors of Gene Expression,CRC P
ress,Boca Raton,FL(1988)。アンチセンス技術を使用
して、アンチセンスDNAもしくはRNAを通してか、または3重らせんの形成
を通して遺伝子発現を制御し得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,
J.、Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxy
nucleotides as Antisense Inhibitors
of Gene Expression,CRC Press,Boca Ra
ton,FL(1988)に考察される。3重らせん形成は、例えば、Leeら
、Nucleic Acids Research 6:3073(1979)
;Cooneyら、Science、241:456(1988);およびDe
rvanら、Science、251:1300(1991)において考察され
る。これらの方法は、相補的なDNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合
に基づく。
【0565】 例えば、非リンパ性白血病細胞株HL−60および他の細胞株の増殖を阻害す
るためのc−mycおよびc−mybアンチセンスRNA構築物の使用は、以前
に記載された(Wickstromら(1988);Anfossiら(198
9))。これらの実験は、細胞をオリゴリボヌクレオチドとインキュベーション
することによってインビトロで行われた。インビボ用途のための類似の手順は、
WO91/15580に記載される。簡単には、所定のアンチセンスRNAにつ
いてのオリゴヌクレオチドの対は、以下のように生成される:オープンリーディ
ングフレームの最初の15塩基に相補的な配列を、5末端のEcoRI部位およ
び3末端のHindIII部位に隣接させる。次に、オリゴヌクレオチドの対は
、90℃で1分間加熱され、次いで2×ライゲーション緩衝液(20mM TR
IS HCl pH7.5、10mM MgCl2、10mM ジチオスレイト
ール(DTT)および0.2mM ATP)中でアニーリングされ、次いで、レ
トロウイルスベクターPMV7のEcoR1/HindIII部位に連結される
(WO91/15580)。
【0566】 例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部
分を使用して、約10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチド
を設計し得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相
補的であるように設計され、それにより転写およびレセプターの産生を阻害する
。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダ
イズし、そしてmRNA分子のレセプターポリペプチドへの翻訳をブロックする
【0567】 1つの実施形態において、本発明のアンチセンス核酸は、外来の配列からの転
写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその一部が転写され、本
発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。このようなベクターは、アンチ
センス核酸をコードする配列を含む。このようなベクターは、それが転写されて
所望のアンチセンスRNAを産生し得る限り、エピソームを保持し得るか、また
は染色体に組込まれ得る。このようなベクターは、当該分野において標準的な組
換えDNA技術方法により構築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞において複
製および発現のために使用される、当該分野で公知のプラスミド、ウイルスなど
であり得る。本発明のポリペプチドをコードする配列またはそのフラグメントの
発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用する、当該分野で公知の任
意のプロモーターにより得る。そのようなプロモーターは、誘導性または構成性
であり得る。このようなプロモーターは、SV40初期プロモーター領域(Be
rnoistおよびChambon、Nature、29:304−310(1
981))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター(Y
amamotoら、Cell、22:787−797(1980))、ヘルペス
チミジンプロモーター(Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.U.S.A.78:1441−1445(1981))、メタロチオネイン
遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nature、296:39−42(
1982))などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0568】 本発明のアンチセンス核酸は、少なくとも本発明の遺伝子のRNA転写物の一
部に相補的な配列を含む。しかし、完全に相補的であることは好ましいが、必要
ではない。本明細書中で言及される「少なくともRNAの一部に相補的な」配列
は、RNAとハイブリダイズし得るに十分な相補性を有し、安定な二重鎖を形成
する配列を意味し;従って、二本鎖アンチセンス核酸の場合において、二重鎖D
NAの一本鎖が試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブ
リダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存
する。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、RNAとのより多くの塩
基ミスマッチを含み得、そしてなお安定な二重鎖(または三重鎖の場合もあり得
る)を形成し得る。当業者は、ハイブリダイズ複合体の融点を決定するために標
準的な手順を使用することによりミスマッチの許容の程度を確認し得る。
【0569】 メッセージの5’末端に相補的であるオリゴヌクレオチド(例えば、AUG開
始コドンまででかつAUG開始コドンを含む5’非翻訳配列)は、翻訳の阻害の
際に最も効率的に働く。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列は、
同様にmRNAの翻訳を阻害する際に有効であることが示された。一般的に、W
agner,R.、1994、Nature 372:333−335を参照の
こと。従って、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列の5’−または3
’−の非翻訳非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドは、内因性
mRNAの翻訳を阻害するアンチセンスアプローチに使用され得る。mRNAの
5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補物を
含む。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳
のあまり効率的でないインヒビターであるが、本発明に従って使用され得る。本
発明のmRNAの5’領域、3’領域またはコード領域にハイブリダイズするよ
うに設計されるか否かにかかわらず、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレ
オチド長であるべきであり、そして好ましくは6〜約50ヌクレオチド長にわた
るオリゴヌクレオチドである。特定の局面において、このオリゴヌクレオチドは
、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25
ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである。
【0570】 本発明のポリヌクレオチドは、DNA、もしくはRNA、またはキメラ混合物
、あるいはそれらの誘導体もしくは改変バージョン、一本鎖、または二本鎖であ
り得る。このオリゴヌクレオチドは、例えば、塩基部分、糖部分、またはリン酸
骨格で改変され、分子の安定性、ハイブリダーゼーションなどを改善し得る。こ
のオリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボにお
いて宿主細胞レセプターを標的化するために)、または細胞膜を通した輸送を促
進する因子(例えば、Letsingerら、1989、Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A.86:6553−6556;Lemaitre
ら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652
;PCT公開番号WO88/09810(1988年12月15日公開)を参照
のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134(
1988年4月25日公開)を参照のこと)、ハイブリダイゼーション誘引切断
剤(hybridization−triggered cleavage a
gent)(例えば、Krolら、1988、BioTechniques、6
:958−976を参照のこと)、またはインターカレート剤(例えば、Zon
,1988、Pharm.Res.5:539−549を参照のこと)を含み得
る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、
ハイブリダーゼーション誘引架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘引切断
剤など)に結合体化され得る。
【0571】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの改変された塩基部分を
含み得、この塩基部分は、以下を含むがそれらに限定されない群から選択される
:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨー
ドウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カル
ボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2
−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシ
ル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデ
ニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、
2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシ
トシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシ
ル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキュー
オシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2
−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v
)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キュ
ーオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシ
ル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチル
エステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、
3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)
w、および2,6−ジアミノプリン。
【0572】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、以下を含むがそれらに限定されない
群から選択される少なくとも1つの改変された糖部分を含み得る:アラビノース
、2−フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソース。
【0573】 さらに別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を含
むがそれらに限定されない群から選択される少なくとも1つの改変リン酸骨格を
含む:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミドチオエート、
ホスホラミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホス
ホトリエステル、およびホルムアセタールまたはそのアナログ。
【0574】 さらに別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、a−アノ
マーオリゴヌクレオチドである。a−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的な
RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、通常のb−ユニットとは反対に
、その鎖は互いに平行にする(Gautierら、Nucl.Acids Re
s.15:6625−6641(1987))。このオリゴヌクレオチドは、2
’−0−メチルリボヌクレオチドであるか(Inoueら、Nucl.Acid
s Res.15:6131−6148(1987))、またはキメラRNA−
DNAアナログである(Inoueら、FEBS Lett.215:327−
330(1987))。
【0575】 本発明のポリヌクレオチドは当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動D
NA合成機により(このような装置はBiosearch,Applied B
iosystemsなどから市販されている)の使用により合成され得る。例え
ば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Nucl
.Acids Res.16:3209(1988))により合成され得、メチ
ルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御化細孔ガラス(pore glas
s)ポリマー支持体(Sarinら、Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.85:7448−7451(1988))などの使用により調製さ
れ得る。
【0576】 コード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが、使用され得るが一方
で、転写された非翻訳領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好ましい
【0577】 本発明による潜在的なアンタゴニストはまた、触媒RNA、すなわちリボザイ
ムを含む(例えば、PCT国際公開WO90/11364、1990年10月4
日公開;Sarverら、Science、247:1222−1225(19
90)を参照のこと)。一方、部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザ
イムを使用して、mRNAを破壊し得るが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用
が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を
形成する隣接領域により決定される位置で、mRNAを切断する。たった1つの
必要条件は、標的mRNAが以下の2つの塩基の配列を有することである:5’
−UG−3’。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および生成は当該分野で周知
であり、そしてHaseloffおよびGerlach、Nature、334
:585−591(1988)により十分に記載される。配列番号Xのヌクレオ
チド配列内に多くの潜在的なハンマーヘッド型リボザイム切断部位が存在する。
好ましくは、このリボザイムは、切断認識部位がmRNAの5’末端付近に位置
するように;すなわち、効率を増大し、そして非機能的mRNA転写物の細胞内
蓄積を最小化するように、操作される。
【0578】 アンチセンスアプローチの場合、本発明のリボザイムは、改変されたオリゴヌ
クレオチド(例えば、安定性、標的化などについて改良された)から構成され得
、そしてインビボにおいて本発明のポリペプチドを発現する細胞に送達されるべ
きである。リボザイムをコードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチ
センスの導入のための上記と同じ様式において細胞中に導入され得る。送達の好
ましい方法は、強力な構成性プロモーター(例えば、pol IIIまたはpo
l IIプロモーターのような)の制御下で、リボザイムを「コードする」DN
A構築物を使用することを含み、その結果トランスフェクトした細胞が内因性メ
ッセージを破壊し、そして翻訳を阻害するに十分な量のリボザイムを生成する。
リボザイムはアンチセンス分子と異なり触媒性であるので、より低い細胞内濃度
が効率のために必要とされる。
【0579】 アンタゴニスト/アゴニスト化合物を利用して、腫瘍性の細胞および組織に対
する本発明のポリペプチドの細胞増殖(growth)および増殖(proli
feration)効果を阻害し得る。すなわち、腫瘍の脈管形成を刺激し、そ
れにより異常な細胞増殖および増殖を(例えば、腫瘍形成または増殖において)
遅延または防止する。
【0580】 アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、血管過多の疾患を予防し得、そ
して水晶体嚢外白内障(extracapsular cataract)手術
後の上皮レンズ細胞の増殖を予防する。本発明のポリペプチドのマイトジェン活
性の防止はまた、例えば、バルーン血管形成術後の再狭窄のような場合に要求さ
れ得る。
【0581】 アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、創傷治癒の間の瘢痕組織の増殖
防止し得る。
【0582】 アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、本明細書中に記載される疾患を
処置し得る。
【0583】 従って、本発明は、障害または疾患(本発明のポリヌクレオチドの過剰発現に
関連する、本願の全体に渡って列挙される障害または疾患が含まれるが、これら
に限定されない)を、(a)本発明のポリヌクレオチドに指向されたアンチセン
ス分子、および/または(b)本発明のポリヌクレオチドに指向されたリボザイ
ムを、患者に投与することによって処置する方法を提供する。
【0584】 (他の活性) 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
は、血管内皮細胞増殖を刺激する能力の結果として、種々の疾患状態(例えば、
血栓症、動脈硬化、および他の心臓血管の状態)に起因する虚血組織の血管再生
を刺激するための処置において利用され得る。本発明のポリペプチド、ポリヌク
レオチド、アゴニストまたはアンタゴニストをまた利用して、上記で議論される
ように脈管形成および肢の再形成を刺激し得る。
【0585】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、傷害、火傷、手術後組織修復、および瘢痕に起因する創傷の処置にもま
た利用し得る。なぜなら、それらは異なる起源の種々の細胞(例えば、線維芽細
胞および骨格筋細胞)に対してマイトジェン性であり、それゆえダメージを受け
た組織または疾患組織の修復または置換を促進するからである。
【0586】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、ニューロンの成長を刺激し、そして特定のニューロンの障害または神経
変性状態(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびエイズ関連複合
体)において生じるニューロンのダメージを処置および予防するために利用し得
る。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニス
トは、軟骨細胞増殖を刺激する能力を有し得、それゆえ、骨および歯周の再形成
を増強し、そして組織移植片または骨の移植片における補助のために利用され得
る。
【0587】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
をまた利用して、ケラチノサイト増殖を刺激することにより、日焼けに起因する
皮膚の老化を予防し得る。
【0588】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
をまた、抜け毛を予防するために利用し得る。なぜなら、FGFファミリーのメ
ンバーは、髪形成細胞を活性化し、そしてメラノサイト増殖を促進するからであ
る。同じ系列にそって、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニスト
またはアンタゴニストを利用して、他のサイトカインと組み合わせて使用した場
合、造血細胞および骨髄細胞の増殖および分化を刺激し得る。
【0589】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
をまた利用して、移植前の器官を維持し得るか、または始原組織の細胞培養を支
持するために使用し得る。
【0590】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、初期胚における分化のための中胚葉起源の組織を誘導するために利用さ
れ得る。
【0591】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、先に議論されるように造血系統に加えて、胚性幹細胞の分化もしくは増
殖を増加または減少し得る。
【0592】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、哺乳動物の特徴(例えば、身長、体重、毛の色、眼の色、皮膚、脂肪組
織の割合、色素沈着、大きさ、および形状(例えば、美容外科))を調節するた
めに使用され得る。同様に、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニ
ストまたはアンタゴニストは、異化作用、同化作用、プロセシング、利用、およ
びエネルギーの貯蔵に影響を及ぼす哺乳動物の代謝を調節するために使用され得
る。
【0593】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
は、バイオリズム、カリカディック(caricadic)リズム、うつ病(抑
うつ性障害を含む)、暴力の傾向、痛みへの耐性、生殖能力(好ましくは、アク
チビンまたはインヒビン様活性によって)、ホルモンレベルもしくは内分泌レベ
ル、食欲、性欲、記憶、ストレス、または他の認知の質に影響を及ぼすことによ
って、哺乳動物の精神状態または身体状態を変更するために使用され得る。
【0594】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、例えば、貯蔵能力、脂肪含有量、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミ
ン、ミネラル、補因子、または他の栄養成分を増加または減少させるような食品
添加物または保存剤として使用され得る。
【0595】 上記の適用は、広範に種々の宿主において使用されている。そのような宿主と
しては、ヒト、ネズミ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、マウス、ラ
ット、ハムスター、ブタ、ミクロピッグ(micro pig)、ニワトリ、ヤ
ギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、およびヒトが挙げられるが、こ
れらに限定されない。特定の実施形態において、宿主は、マウス、ウサギ、ヤギ
、モルモット、ニワトリ、ラット、ハムスター、ブタ、ヒツジ、イヌまたはネコ
である。好ましい実施形態において、宿主は、哺乳動物である。最も好ましい実
施形態において、宿主は、ヒトである。
【0596】 (他の好ましい実施形態) 本願発明の他の好ましい実施形態は、配列番号Xのヌクレオチド配列もしくは
その相補鎖、および/またはcDNAプラスミド:Z中の少なくとも約50の連
続したヌクレオチドの配列に、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を
含む、単離された核酸分子を含む。
【0597】 上記連続したヌクレオチドの配列が、表1中の配列番号Xについて同定される
位置の範囲で、配列番号Xのヌクレオチド配列に含まれる、核酸分子もまた好ま
しい。
【0598】 配列番号Xのヌクレオチド配列もしくはその相補鎖および/またはcDNAプ
ラスミド:Z中の少なくとも約150の連続したヌクレオチドの配列に、少なく
とも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子もまた好ま
しい。
【0599】 配列番号Xのヌクレオチド配列もしくはその相補鎖、および/またはcDNA
プラスミド:Z中の少なくとも約500の連続したヌクレオチドの配列に、少な
くとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子もまた好
ましい。
【0600】 さらに好ましい実施形態は、表1の配列番号Xについて同定される位置の範囲
で、配列番号Xのヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド
配列を含む核酸分子である。
【0601】 さらに好ましい実施形態は、配列番号Xの完全ヌクレオチド配列もしくはその
相補鎖、および/またはcDNAプラスミド:Zと少なくとも95%同一である
ヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0602】 ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号Xのヌクレオ
チド配列もしくはその相補鎖、および/またはcDNAプラスミド:Zを含む核
酸分子にハイブリダイズする単離された核酸分子もまた好ましく、ここで上記の
ハイブリダイズする核酸分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条
件下で、A残基のみまたはT残基のみからなるヌクレオチド配列を有する核酸分
子にハイブリダイズしない。
【0603】 cDNAプラスミド:Zを含むDNA分子を含む物質の組成物もまた、好まし
い。
【0604】 cDNAプラスミド:Zのヌクレオチド配列内の少なくとも50の連続したヌ
クレオチドの配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む単離さ
れた核酸分子もまた、好ましい。
【0605】 単離された核酸分子もまた好ましく、ここで、上記配列の少なくとも50の連
続したヌクレオチドが、cDNAプラスミド:Zによってコードされるオープン
リーディングフレーム配列のヌクレオチド配列内に含まれる。
【0606】 cDNAプラスミド:Zによりコードされるヌクレオチド配列内の少なくとも
150の連続したヌクレオチドの配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチ
ド配列を含む単離された核酸分子もまた、好ましい。
【0607】 さらに好ましい実施形態は、cDNAプラスミド:Zによりコードされるヌク
レオチド配列内の少なくとも500の連続したヌクレオチドの配列と少なくとも
95%同一であるヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子である。
【0608】 さらに好ましい実施形態は、cDNAプラスミド:Zによりコードされる完全
ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む単離さ
れた核酸分子である。
【0609】 さらに好ましい実施形態は、以下からなる群から選択される配列中の少なくと
も50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチ
ド配列を含む核酸分子を、生物学的サンプルにおいて検出するための方法である
:配列番号Xのヌクレオチド配列もしくはその相補鎖およびcDNAプラスミド
:Zによりコードされるヌクレオチド配列;上記の方法は、上記の群から選択さ
れる配列と、上記のサンプル中の少なくとも1つの核酸分子のヌクレオチド配列
とを比較する工程、および上記サンプル中の上記核酸分子の配列が、上記の選択
された配列に対して少なくとも95%同一であるか否かを決定する工程を包含す
る。
【0610】 配列を比較する上記の工程が、上記サンプル中の核酸分子と、上記の群から選
択される上記の配列を含む核酸分子との間の核酸ハイブリダイゼーションの程度
を決定する工程を包含する、上記方法もまた好ましい。同様に、配列を比較する
上記の工程が、上記サンプル中の核酸分子から決定されるヌクレオチド配列と、
上記の群から選択される上記の配列とを比較する工程によって実施される、上記
方法もまた好ましい。核酸分子は、DNA分子またはRNA分子を含み得る。
【0611】 さらに好ましい実施形態は、生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同
定するための方法であって、この方法は、以下からなる群から選択される配列中
の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である
ヌクレオチド配列を含む上記サンプル中の核酸分子を(もしあれば)検出する工
程を包含する:配列番号Xのヌクレオチド配列またはその相補鎖およびcDNA
プラスミド:Zによってコードされるヌクレオチド配列。
【0612】 生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同定するための方法は、少なく
とも2つのヌクレオチド配列のパネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検
出する工程を包含し得、ここで上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記の
群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少な
くとも95%同一である。
【0613】 タンパク質をコードする、配列番号Xのヌクレオチドもしくはその相補鎖また
はcDNAプラスミド:Zの異常な構造または発現と関連する病理学的状態を、
被験体において診断するための方法もまた好ましく、この方法は、以下からなる
群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少な
くとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、核酸分子を、(もしあれば)
上記被験体から得られる生物学的サンプルにおいて検出する工程を包含する:配
列番号Xのヌクレオチド配列またはその相補鎖およびcDNAプラスミドZのヌ
クレオチド配列。
【0614】 病理学的状態を診断するための方法は、少なくとも2つのヌクレオチド配列の
パネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検出する工程を包含し得、ここで
、上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記群から選択される配列中の少な
くとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である。
【0615】 上記の核酸分子のヌクレオチド配列が、少なくとも2つのヌクレオチド配列の
パネルを含む、単離された核酸分子を含む物質の組成物もまた好ましく、ここで
上記のパネル中の少なくとも1つの配列は、以下からなる群から選択される配列
中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であ
る:配列番号Xのヌクレオチド配列もしくはその相補鎖およびcDNAプラスミ
ド:Zによりコードされるヌクレオチド配列。核酸分子は、DNA分子またはR
NA分子を含み得る。
【0616】 配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によってコー
ドされるポリペプチドおよび/またはcDNAプラスミド:Zによりコードされ
るポリペプチド中の少なくとも約10の連続したアミノ酸の配列に、少なくとも
90%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好ましい。
【0617】 配列番号Yのアミノ酸配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によってコードさ
れるポリペプチドおよび/またはcDNAプラスミド:Zによりコードされるポ
リペプチド中の少なくとも約30の連続したアミノ酸の配列に、少なくとも95
%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好ましい。
【0618】 配列番号Yのアミノ酸配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によってコードさ
れるポリペプチドおよび/またはcDNAプラスミド:Zによりコードされるポ
リペプチド中の少なくとも約100の連続したアミノ酸の配列に、少なくとも9
5%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまたさらに好ましい
【0619】 配列番号Yの完全アミノ酸配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によってコー
ドされるポリペプチドおよび/またはcDNAプラスミド:Zによりコードされ
るポリペプチドに、少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポ
リペプチドもまたさらに好ましい。
【0620】 cDNAプラスミド:Zによりコードされるポリペプチドの完全アミノ酸配列
中の少なくとも約10の連続したアミノ酸の配列と少なくとも90%同一のアミ
ノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドがさらに好ましい。
【0621】 cDNAプラスミド:Zによってコードされる上記ポリペプチド;配列番号X
またはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよび/または配列番号Yの
ポリペプチド配列の一部のアミノ酸配列中に、上記の連続するアミノ酸配列が含
まれる、ポリペプチドもまた好ましい。
【0622】 cDNAプラスミド:Zによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列中の
少なくとも約30の連続したアミノ酸の配列に、少なくとも95%同一のアミノ
酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好ましい。
【0623】 cDNAプラスミド:Zによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列中の
少なくとも約100の連続したアミノ酸の配列に、少なくとも95%同一のアミ
ノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好ましい。
【0624】 cDNAプラスミド:Zによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列に対
して、少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドも
また好ましい。
【0625】 ポリペプチドに特異的に結合する単離された抗体がさらに好ましく、そのポリ
ペプチドは、以下からなる群より選択される配中の少なくとも10の連続するア
ミノ酸の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む:配列番号Yの
ポリペプチド配列;配列番号Xもしくはその相補鎖によりコードされるポリペプ
チドおよびcDNAプラスミド:Zによってコードされるポリペプチド。
【0626】 以下からなる群から選択される配列中の少なくとも10の連続したアミノの配
列に少なくとも90%同一であるアミノ配列を含むポリペプチドを、生物学的サ
ンプルにおいて検出するための方法がさらに好ましい:配列番号Yのポリペプチ
ド配列;配列番号Xまたはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびc
DNAプラスミド:Zによりコードされるポリペプチド;上記の方法は、上記の
群から選択される配列と、上記のサンプル中の少なくとも1つのポリペプチド分
子のアミノ酸配列とを比較する工程、および上記サンプル中の上記ポリペプチド
分子の配列が、上記の少なくとも10の連続したアミノ酸の配列に対して少なく
とも90%同一であるか否かを決定する工程を包含する。
【0627】 上記の方法もまた好ましく、ここで上記群から選択される配列と上記サンプル
内の少なくとも一つのポリペプチド分子のアミノ酸配列を比較する工程は、以下
からなる群から選択される配列内の少なくとも10の連続するアミノ酸の配列と
少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異的に結合す
る抗体に対する上記サンプル中のポリペプチドの特異的結合の程度を決定する工
程を包含する:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xまたはその相補鎖に
よりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミド:Zによりコードされ
れるポリペプチド。
【0628】 上記群から選択される上記配列を有する上記サンプル内のポリペプチド分子か
ら決定されるアミノ酸配列を比較することによって、配列を比較する上記工程が
実施される、上記の方法もまた好ましい。
【0629】 生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同定するための方法もまた好ま
しく、この方法は、上記サンプル中のポリペプチド分子(もしあれば)を検出す
る工程を包含し、このサンプルは、以下からなる群から選択される配列内の少な
くとも10の連続するアミノ酸の配列と少なくとも90%同一アミノ酸配列を含
む;配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xまたはその相補鎖によりコード
されるポリペプチドおよびcDNAプラスミド:Zによりコードされるポリペプ
チド。
【0630】 生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同定するための上記の方法もま
た好ましく、この方法は、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミ
ノ酸配列を含むポリペプチド分子を検出する工程を包含し、ここで、上記パネル
における少なくとも一つの配列が、上記群から選択される配列内の少なくとも1
0の連続するアミノ酸の配列と少なくとも90%同一である。
【0631】 ポリペプチドをコードする、表1において同定される核酸配列の異常な構造ま
たは発現と関連する病理学的状態を被験体において診断するための方法もまた好
ましく、この方法は、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミノ酸
配列を含む上記被験体のポリペプチド分子から得られた生物学的サンプルにおい
て検出する工程を包含し、ここで、上記パネル内の少なくとも一つの配列が、以
下からなる群より選択される配列において少なくとも10の連続したアミノ酸の
配列と少なくとも90%同一である:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号
Xまたはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミド
:Zによってコードされるポリペプチド。
【0632】 これらの方法のいずれかにおいて、上記ポリペプチド分子を検出する工程は、
抗体を使用する工程を包含する。
【0633】 ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌ
クレオチド配列を含む単離された核酸分子もまた好ましく、ここで上記ポリペプ
チドは、以下からなる群から選択される配列内の少なくとも10の連続するアミ
ノ酸の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む:配列番号Yのポ
リペプチド配列;配列番号Xまたはその相補鎖によりコードされるポリペプチド
およびcDNAプラスミド:Zによりコードされるポリペプチド。
【0634】 ポリペプチドをコードする上記ヌクレオチド配列が、原核生物宿主において上
記ポリペプチドの発現のために最適化された、単離された核酸分子もまた好まし
い。
【0635】 単離された核酸分子もまた好ましく、ここで上記ポリペプチドは、以下からな
る群から選択されるアミノ酸配列を含む:配列番号Yのポリペプチド配列;配列
番号Xまたはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラス
ミド:Zによりコードされるポリペプチド。
【0636】 上記の単離された核酸分子のいずれかをベクター中に挿入する工程を含む、組
換えベクターの作製方法はさらに好ましい。この方法によって生成された組換え
ベクターも、好ましい。宿主細胞中にベクターを導入する工程を含む、組換え宿
主細胞を作製する方法、ならびにこの方法によって生成された組換え宿主細胞も
また、好ましい。
【0637】 単離されたポリペプチドを作製する方法であって、このポリペプチドが発現さ
れるような条件下でこの組換え宿主細胞を培養する工程、およびこのポリペプチ
ドを回収する工程を包含する、方法もまた、好ましい。単離されたポリペプチド
を作製するこの方法もまた好ましく、ここでこの組換え宿主細胞は真核生物細胞
であり、そしてこのポリペプチドは、以下からなる群から選択されたアミノ酸配
列を含むヒトタンパク質である:配列番号Yのポリペプチド配列;配列番号Xま
たはその相補鎖によりコードされるポリペプチドおよびcDNAプラスミドZに
よりコードされるポリペプチド。この方法によって産生された、単離されたポリ
ペプチドもまた、好ましい。
【0638】 増加したレベルのタンパク質活性を必要とする個体を処置する方法もまた、好
ましい。ここで、この方法は、このような個体に、この個体においてこのタンパ
ク質の活性のレベルを増加させるのに有効な、ある量の本願発明の単離されたポ
リペプチド、ポリヌクレオチド、免疫原性フラグメントまたはそのアナログ、結
合剤、抗体あるいは抗原結合フラグメントを含む治療的組成物を投与する工程を
包含する。
【0639】 減少したレベルのタンパク質活性を必要とする個体を処置する方法もまた、好
ましい。ここで、この方法は、このような個体に、この個体においてこのタンパ
ク質の活性のレベルを減少させるのに有効な、ある量の本願発明の単離されたポ
リペプチド、ポリヌクレオチド、免疫原性フラグメントまたはそのアナログ、結
合剤、抗体あるいは抗原結合フラグメントを含む治療的組成物を投与する工程を
包含する。
【0640】 本発明の特定の実施形態において、表2の第4列に列挙される各「コンティグ
ID」について、表2の第4列に参照されかつa−bの一般式(aおよびbは、
表2の列3に言及される、対応する配列番号Xについて独自に決定されるが)に
よって記載されるヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれらからなる一つ以上
のポリヌクレオチドが好ましくは、除外される。さらなる特定の実施形態は、表
2の第4列に言及される1つ、2つ、3つ、4つ以上の特定のポリヌクレオチド
配列を除くポリヌクレオチド配列に方向付けられる。この一覧表は、決して、一
般式により除外され得る全ての配列を含むことを意味するわけでなく、それはた
だの代表的な例である。これらの到達によって利用可能な全ての参考文献は、そ
の全体において、参考として本明細書中に援用される。
【0641】
【表2】 概して、本発明を記載してきたが、本発明は、例示の目的のために提供され、
そして限定を意図しない、以下の実施例を参照することによってより容易に理解
される。
【0642】 (実施例) (実施例1:選択されたcDNAクローンの寄託されたサンプルからの単離) 引用されるATCC寄託物中の各cDNAクローンは、プラスミドベクター中
に含まれる。表1は、各クローンが単離されたcDNAライブラリーを構築する
ために用いられたベクターを同定する。多くの場合において、ライブラリーを構
築するために使用されたベクターは、プラスミドが切り出されたファージベクタ
ーである。すぐ下の表は、cDNAライブラリーを構築する際に使用される各フ
ァージベクターについて関連するプラスミドを相関づける。例えば、特定のクロ
ーンがベクター「Lambda Zap」中に単離されていると表1に同定され
る場合、対応する寄託クローンは、「pBluescript」である。
【0643】
【表3】 ベクターLambda Zap(米国特許第5,128,256号および同第
5,286,636号)、Uni−Zap XR(米国特許第5,128,25
6号および同第5,286,636号)、Zap Express(米国特許第
5,128,256号および同第5,286,636号)、pBluescri
pt(pBS)(Shortら、Nucleic Acids Res.16:
7583−7600(1988);Alting−Meesら、Nucleic
Acids Res. 17:9494(1989))ならびにpBK(Al
ting−Meesら、Strategies 5:58−61(1992))
は、Stratagene Cloning Systems,Inc.、11
011 N.Torrey Pines Road、La Jolla,CA,
92037から市販されている。pBSは、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そ
してpBKはネオマイシン耐性遺伝子を含む。両方とも、E.coli株XL−
1 Blue(これもまた、Stratageneから入手可能である)に形質
転換され得る。pBSは、SK+、SK−、KS+およびKSの4形態で入荷す
る。SおよびKとは、ポリリンカー領域(「S」とはSacIであり、そして「
K」とは、KpnIのことであり、これらは、リンカーのそれぞれの各末端での
最初の部位である)に隣接するT7プライマー配列およびT3プライマー配列に
対するポリリンカーの配向をいう。「+」または「−」とは 、ある方向におい
てf1 oriから開始される一本鎖レスキューがセンス鎖DNAを生成し、そ
して他方においてアンチセンスであるようなf1複製起点(「ori」)の配向
をいう。
【0644】 ベクターpSport1、pCMVSport 2.0およびpCMVSpo
rt3.0をLife Technologies、Inc.、P.O.Box
6009、Gaithersburg,MD 20897から入手した。全ての
Sportベクターはアンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株D
H10B(これもまた、Life Technologiesから入手可能であ
る)に形質転換され得る。(例えば、Gruber,C.E.ら、Focus
15:59(1993)を参照のこと)。ベクターlafmid BA(Ben
to Soares、Columbia University、NY)は、ア
ンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株XL−1 Blueに形質
転換され得る。ベクターpCR(登録商標)2.1(これはInvitroge
n、1600 Faraday Avenue、Carlsbad、CA 92
008から入手可能である)は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.c
oli株DH10B(Life Technologiesから入手可能である
)に形質転換され得る(例えば、Clark、Nuc.Acids Res.1
6:9677−9686(1988)およびMeadら、Bio/Techno
logy 9:(1991)を参照のこと)。好ましくは、本発明のポリヌクレ
オチドは、表1における特定のクローンについて同定されたファージベクター配
列、ならびに上記に示された対応するプラスミドベクター配列を含まない。
【0645】 表1に引用される、任意の所定のcDNAクローンについてATCC受託番号
を与えられたサンプルにおける寄託された物質はまた、1つ以上のさらなるプラ
スミド(これは各々、その所定のクローンとは異なるcDNAクローンを含む)
を含み得る。従って、同じATCC受託番号を共有する寄託物は、表1に同定さ
れる各cDNAクローンのためのプラスミドを少なくとも含む。代表的には、表
1に引用される各ATCC寄託物のサンプルは、ほぼ等量(重量で)の約50個
のプラスミドDNA(これは各々、異なるcDNAクローンを含む)の混合物を
含む;しかし、このような寄託サンプルは、50個よりも多いかまたは少ないc
DNAクローン(約500個までのcDNAクローン)のためのプラスミドを含
み得る。
【0646】 表1における特定のクローンについて引用されるプラスミドDNAの寄託サン
プルからそのクローンを単離するために2つのアプローチが使用され得る。第一
に、プラスミドを、配列番号Xに対応するポリヌクレオチドプローブを使用して
、クローンをスクリーニングすることによって直接単離する。
【0647】 特に、30〜40ヌクレオチドを有する特定のポリヌクレオチドを、報告され
ている配列に従って、Applied BiosystemsのDNA合成装置
を使用して合成する。オリゴヌクレオチドを、例えば、32P−γ−ATPで、T
4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて標識し、そして慣用的な方法に従って精製
する。(例えば、Maniatisら、Molecular Cloning:
A Laboratory Manual、Cold Spring Harb
or Press、Cold Spring、NY(1982))。プラスミド
混合物を、当業者に公知の技術(例えば、ベクター供給者によって提供される技
術または上記で引用された関連の刊行物もしくは特許において提供される技術)
を用いて、上記のような適切な宿主(例えば、XL−1 Blue(Strat
agene))に形質転換する。形質転換体を1.5%寒天プレート(適切な選
択薬剤、例えば、アンピシリンを含む)に、1プレートあたり約150の形質転
換体(コロニー)の密度でプレーティングする。これらのプレートを、細菌コロ
ニースクリーニングについての慣用的な方法(例えば、Sambrookら、M
olecular Cloning:A Laboratory Manual
、第2版、(1989)、Cold Spring Harbor Labor
atory Press、1.93〜1.104頁)または当業者に公知の他の
技術に従って、ナイロンメンブレンを使用してスクリーニングする。
【0648】 あるいは、配列番号Xの両端(すなわち、表1に規定されるクローンの5’N
Tおよび3’NTによって囲まれる配列番号Xの領域内)に由来する、17〜2
0ヌクレオチドの2つのプライマーを合成し、そしてこれらを使用して、寄託さ
れたcDNAプラスミドをテンプレートとして使用して、所望のcDNAを増幅
する。ポリメラーゼ連鎖反応を、慣用的な条件下で、例えば、0.5μgの上記
cDNAテンプレートとの反応混合物の25μl中で実施する。便利な反応混合
物は、1.5〜5mM MgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、それぞれ
20μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、25pmolの各プライ
マーおよび0.25ユニットのTaqポリメラーゼである。35サイクルのPC
R(94℃での変性を1分間;55℃でのアニールを1分間;72℃での伸長を
1分間)を、Perkin−Elmer Cetus自動化サーマルサイクラー
を用いて実施する。増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分析し、そして予
想される分子量を有するDNAバンドを切り出し、そして精製する。PCR産物
を、DNA産物をサブクローニングおよび配列決定することによって、選択され
た配列であることを確認する。
【0649】 寄託されたクローンに存在しないかもしれない遺伝子の5’非コード部分また
は3’非コード部分の同定のために、いくつかの方法が利用可能である。これら
の方法は、以下を含むが、これらに限定されない:フィルタープローブ探索、特
異的プローブを使用するクローン富化、および当該分野で周知である5’ 「R
ACE」プロトコルおよび3’「RACE」プロトコルと類似するかまたは同一
のプロトコル。例えば、5’RACEに類似する方法は、所望の全長転写物の欠
けている5’末端を生成するために利用可能である(Fromont−Raci
neら、Nucleic Acids Res.21(7):1683−168
4(1993))。
【0650】 簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝子RNA転写物をお
そらく含むRNAの集団の5’末端に連結する。連結されたRNAオリゴヌクレ
オチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知の配列に特異的なプライ
マーを含むプライマーセットを使用して、所望の全長遺伝子の5’部分をPCR
増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、そしてこれを使用して全
長遺伝子を生成し得る。
【0651】 この上記の方法は、所望の供給源から単離された総RNAを用いて開始するが
、ポリA+RNAをも使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスフ
ァターゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解RNAまたは損
傷RNAの5’リン酸基を排除し得る。次いで、このホスファターゼを不活化す
るべきであり、そしてRNAをメッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャ
ップ構造を除去するために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処理するべ
きである。次いで、この反応は、T4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌ
クレオチドに連結され得る、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残
す。
【0652】 この改変型RNA調製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第
一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして使用する。第一鎖合成反応物を、
連結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子
の公知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のた
めのテンプレートとして使用する。次いで、得られた生成物を配列決定し、そし
て分析して、5’末端配列が所望の遺伝子に属することを確認する。
【0653】 (実施例2:ポリヌクレオチドに対応するゲノムクローンの単離) ヒトゲノムP1ライブラリー(Genomic Systems、Inc.)
を、実施例1に記載される方法に従って、配列番号Xに対応するcDNA配列に
ついて選択されたプライマーを用いるPCRによってスクリーニングする(Sa
mbrookもまた参照のこと)。
【0654】 (実施例3:ポリペプチドの組織分布) 本発明のポリヌクレオチドのmRNA発現の組織分布を、とりわけ、Samb
rookらによって記載されるノーザンブロット分析についてのプロトコルを用
いて決定する。例えば、実施例1に記載される方法によって生成されるcDNA
プローブを、rediprimeTM DNA labeling system
(Amersham Life Science)を用いて、製造者の指示に従
って、P32で標識する。標識後、プローブを、CHROMA SPIN−100 TM カラム(Clontech Laboratories、Inc.)を使用し
て、製造者のプロトコル番号PT1200−1に従って精製する。次いで、精製
した標識プローブを使用して、種々のヒト組織をmRNA発現について試験する
【0655】 種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含む多重組織ノーザン
(MTN)ブロット(Clontech)を、ExpressHybTMハイブリ
ダイゼーション溶液(Clontech)を用いて、製造者のプロトコル番号P
T1190−1に従って、標識プローブで試験する。ハイブリダイゼーションお
よび洗浄後、ブロットをマウントして、そして−70℃で一晩フィルムに露出し
、そしてフィルムを標準的な手順に従って現像する。
【0656】 (実施例4:ポリヌクレオチドの染色体マッピング) オリゴヌクレオチドプライマーのセットを、配列番号Xの5’末端の配列に従
って設計する。このプライマーは、好ましくは約100ヌクレオチドにわたる。
次いで、このプライマーセットを、以下のセットの条件下でポリメラーゼ連鎖反
応に使用する:95℃で30秒;56℃で1分;70℃で1分。このサイクルを
32回反復し、次いで1回、70℃で5分間のサイクルを行う。個々の染色体ま
たは染色体フラグメントを含む体細胞ハイブリッドパネル(Bios,Inc)
に加えて、ヒト、マウス、およびハムスターのDNAを鋳型として使用する。反
応物を、8%ポリアクリルアミドゲルまたは3.5%アガロースゲルのいずれか
で分析する。染色体マッピングを、特定の体細胞ハイブリッドにおける約100
bpのPCRフラグメントの存在によって決定する。
【0657】 (実施例5:ポリペプチドの細菌性発現) 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、実施例1に概説する
ように、DNA配列の5’および3’末端に対応するPCRオリゴヌクレオチド
プライマーを使用して増幅して、挿入フラグメントを合成する。cDNA挿入物
を増幅するために使用されるプライマーは、発現ベクターに増幅産物をクローニ
ングするために、必要ならば、制限部位(例えば、BamHIおよびXbaI)
ならびに開始コドン/終止コドンを好ましくは含むべきである。例えば、Bam
HIおよびXbaIは、細菌性発現ベクターpQE−9(Qiagen,Inc
.,Chatsworth,CA)の制限酵素部位に対応する。このプラスミド
ベクターは、抗生物質耐性(Ampr)、細菌の複製起点(ori)、IPTG
で調節可能なプロモーター/オペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(R
BS)、6−ヒスチジンタグ(6−His)、および制限酵素クローニング部位
をコードする。
【0658】 pQE−9ベクターをBamHIおよびXbaIで消化し、そして、増幅され
たフラグメントを細菌性RBSにおいて開始されるリーディングフレームを維持
しながらpQE−9ベクターに連結する。次いで、連結混合物を、lacIリプ
レッサーを発現し、またカナマイシン耐性(Kanr)を与えるプラスミドpR
EP4の多重コピーを含む、E.coli株M15/rep4(Qiagen,
Inc.)を形質転換するために使用する。形質転換体を、LBプレート上で生
育するそれらの能力によって同定し、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性コ
ロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、そして制限分析によって確認す
る。
【0659】 所望の構築物を含むクローンを、Amp(100ug(μg)/ml)および
Kan(25ug/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養で一晩(
O/N)増殖させる。O/N培養物を、1:100〜1:250の比で大量培養
物に接種するために使用する。細胞を、0.4と0.6との間の吸光度600(
O.D.600)まで増殖させる。次いで、IPTG(イソプロピル−B−D−チ
オガラクトピラノシド)を最終濃度1mMになるように加える。IPTGは、l
acIリプレッサーの不活化により誘導され、P/Oの障害物を除去し、遺伝子
発現の増加を導く。
【0660】 細胞を、さらに3〜4時間増殖させる。次いで、細胞を遠心分離(6000×
gで20分間)によって収集する。細胞ペレットを、カオトロピック剤である6
M グアニジンHCl中に、4℃で3〜4時間攪拌することによって可溶化させ
る。細胞細片を遠心分離によって取り除き、そしてポリペプチドを含む上清を、
ニッケル−ニトリロ三酢酸(「Ni−NTA」)アフィニティー樹脂カラム(Q
IAGEN,Inc.前出より入手可能)にロードする。6×Hisタグを有す
るタンパク質は、Ni−NTA樹脂に高い親和性で結合し、そして単純な1工程
手順で精製され得る(詳細には、The QIAexpressionist(
1995)QIAGEN,Inc.,前出を参照のこと)。
【0661】 手短に言えば、上清を、6Mグアニジン−HCl、pH8のカラムにロードし
、そのカラムを、最初に10容量の6M グアニジン−HCl、pH8で洗浄し
、次いで10容量の6Mグアニジン−HCl、pH6で洗浄し、最後にポリペプ
チドを、6Mグアニジン−HCl、pH5で溶出する。
【0662】 次いで、精製したタンパク質を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)または5
0mM 酢酸ナトリウム、pH6の緩衝液および200mM NaClに対して
透析することにより再生させる。あるいは、タンパク質はNi−NTAカラムに
固定化している間に、首尾よく再折畳みされ得る。推奨条件は以下の通りである
:プロテアーゼインヒビターを含む、500mM NaCl、20%グリセロー
ル、20mM Tris/HCl pH7.4中の6M〜1M尿素の直線勾配を
使用する再生。再生は1.5時間以上の時間をかけて行うべきである。再生後、
タンパク質を250mMイミダゾールの添加によって溶出させる。イミダゾール
を、PBSまたは50mM酢酸ナトリウム pH6の緩衝液および200mM
NaClに対する最終の透析工程によって除去する。精製したタンパク質を、4
℃で保存するか、または−80℃で冷凍する。
【0663】 上記の発現ベクターに加えて、本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドに
作動可能に連結されたファージのオペレーターエレメントおよびプロモーターエ
レメントを含み、pHE4aと呼ばれる発現ベクターを含む(ATCC受託番号
209645、1998年2月25日に寄託)。このベクターは以下を含む:1
)選択マーカーとしてのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、2)E
.coli複製起点、3)T5ファージプロモーター配列、4)2つのlacオ
ペレーター配列、5)シャイン−ダルガーノ配列、および6)ラクトースオペロ
ンリプレッサー遺伝子(laqIq)。複製起点(oriC)は、pUC19(
LTI,Gaithersburg,MD)に由来する。プロモーター配列およ
びオペレーター配列を合成的に作製する。
【0664】 NdeIおよびXbaI、BamHI、XhoI、またはAsp718によっ
てベクターを制限処理し、制限生成物をゲルで泳動し、そしてより大きな方のフ
ラグメント(スタッファー(stuffer)フラグメントは約310塩基対で
あるべきである)を単離することによって、DNAをpHEaに挿入し得る。D
NA挿入物を、NdeI(5’プライマー)およびXbaI、BamHI、Xh
oI、またはAsp718(3’プライマー)に対する制限部位を有するPCR
プライマーを使用して、実施例1に記載のPCRプロトコルに従って生成する。
PCR挿入物を、ゲル精製し、そして適合する酵素で制限処理する。挿入物およ
びベクターを標準的なプロトコルに従って連結する。
【0665】 操作されたベクターは、上記のプロトコルにおいて、細菌系でタンパク質を発
現させるために容易に置換され得る。
【0666】 (実施例6:封入体からのポリペプチドの精製) 以下の別の方法は、ポリペプチドが封入体の形態で存在する場合に、E.co
li中で発現されたポリペプチドを精製するために使用され得る。他に指定され
ない場合には、以下のすべての工程は4〜10℃で行われる。
【0667】 E.coli発酵の生産期の完了後、細胞培養物を4〜10℃に冷却し、そし
て15,000rpmの連続遠心分離(Heraeus Sepatech)に
よって細胞を採集する。細胞ペーストの単位重量あたりのタンパク質の予想され
る収量および必要とされる精製タンパク質の量に基づいて、細胞ペーストの適切
な量(重量による)を、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.
4を含む緩衝溶液に懸濁させる。細胞を、高剪断ミキサーを使用して均質な懸濁
液に分散させる。
【0668】 次いで、細胞をマイクロフルイダイザー(microfluidizer)(
Microfluidics,Corp.またはAPV Gaulin,Inc
.)に2回、4000〜6000psiで溶液を通すことによって溶解させる。
次いでホモジネートを、最終濃度0.5M NaClになるようにNaCl溶液
と混合し、続いて7000×gで15分間遠心分離を行う。得られたペレットを
、0.5M NaCl、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.
4を使用して再度洗浄する。
【0669】 得られた洗浄した封入体を、1.5M 塩酸グアニジン(GuHCl)で2〜
4時間可溶化する。7000×gで15分間の遠心分離の後、ペレットを廃棄し
、そしてポリペプチドを含む上清を4℃で一晩インキュベートしてさらなるGu
HCl抽出を可能にする。
【0670】 不溶性粒子を除去するための高速遠心分離(30,000×g)に続き、Gu
HCl可溶化タンパク質を、GuHCl抽出物と、50mM ナトリウム、pH
4.5、150mM NaCl、2mM EDTAを含む20容量の緩衝液とを
、激しい攪拌で迅速に混合することによって、再折畳みさせる。再折畳みした希
釈タンパク質溶液を、さらなる精製工程の前の12時間、混合しないで4℃で保
つ。
【0671】 再折畳みされたポリペプチド溶液を清澄にするために、40mM酢酸ナトリウ
ム、pH6.0で平衡化した、適切な表面積を有する0.16μmメンブレンフ
ィルターを備えるあらかじめ準備した接線濾過ユニット(例えば、Filtro
n)を使用する。濾過したサンプルを、カチオン交換樹脂(例えば、Poros
HS−50,Perseptive Biosystems)上にロードする
。このカラムを40mM 酢酸ナトリウム、pH6.0で洗浄し、そして同じ緩
衝液中の250mM、500mM、1000mM、および1500mM NaC
lで、段階的な様式で溶出する。溶出液の280nmにおける吸収を連続的にモ
ニターする。画分を収集し、そしてSDS−PAGEによってさらに分析する。
【0672】 次いでポリペプチドを含む画分をプールし、そして4容量の水と混合する。次
いで希釈されたサンプルを、あらかじめ準備した強アニオン(Poros HQ
−50,Perseptive Biosystems)交換樹脂および弱アニ
オン(Poros CM−20,Perseptive Biosystems
)交換樹脂の直列カラムのセットにロードする。カラムを40mM 酢酸ナトリ
ウム、pH6.0で平衡化する。両方のカラムを、40mM 酢酸ナトリウム、
pH6.0、200mM NaClで洗浄する。次いでCM−20カラムを10
カラム容量の直線勾配(0.2M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH
6.0から1.0M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH6.5の範囲
)を用いて溶出させる。画分を、溶出液の定常A280モニタリング下で収集する
。次いで、(例えば、16% SDS−PAGEによって判明した)ポリペプチ
ドを含む画分をプールする。
【0673】 得られたポリペプチドは、上記の再折畳みおよび精製工程の後で95%より高
い純度を示すはずである。5μgの精製タンパク質がロードされる場合、いかな
る主たる混在バンドも、クマシーブルー染色した16% SDS−PAGEゲル
から観察されないはずである。精製タンパク質はまた、エンドトキシン/LPS
混在について試験され得、そして代表的には、LPS含量はLALアッセイに従
って、0.1ng/ml未満である。
【0674】 (実施例7:バキュロウイルス発現系におけるポリペプチドのクローニングお
よび発現) この実施例では、ポリペプチドを発現するために、プラスミドシャトルベクタ
ーpA2を使用してポリヌクレオチドをバキュロウイルスに挿入する。この発現
ベクターは、Autographa californica核多角体病ウイル
ス(AcMNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、続いてBamHI、X
baI、およびAsp718のような便利な制限部位を含む。シミアンウイルス
40(「SV40」)のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデニル化のため
に使用する。組換えウイルスの容易な選択のために、プラスミドは、同方向にあ
る弱いDrosophilaプロモーターの制御下でE.coli由来のβ−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子、続いてポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを
含む。挿入された遺伝子は、両方の側で、クローン化したポリヌクレオチドを発
現する生存可能なウイルスを生成するために、野生型ウイルスDNAとの細胞媒
介性の相同組換えのためのウイルス配列と隣接する。
【0675】 他の多くのバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、pVL941
、およびpAcIM1)は、当業者が容易に理解するように、その構築物が転写
、翻訳、分泌などのために適切に配置されたシグナル(必要とされる場合、シグ
ナルペプチドおよびインフレームなAUGを含む)を提供する限りにおいて、上
記のベクターの代わりに使用され得る。このようなベクターは、例えば、Luc
kowら、Virology 170:31−39(1989)に記載される。
【0676】 具体的には、寄託されたクローンに含まれるcDNA配列を、適切な制限部位
および開始コドン/終止コドンを有するプライマーを使用して、実施例1に記載
されるPCRプロトコルを使用して増幅させる。天然に存在するシグナル配列を
使用して分泌タンパク質を産生する場合、pA2ベクターは第2のシグナルペプ
チドを必要としない。あるいは、ベクターは、Summersら(「A Man
ual of Methods for Baculovirus Vecto
rs and Insect Cell Culture Procedure
s」、Texas Agricultural Experimental S
tation Bulletin No:1555(1987))に記載される
標準的な方法を用いて改変され、バキュロウイルスリーダー配列を含むように改
変され得る(pA2 GP)。
【0677】 増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」,BIO
101 Inc.,La Jolla,Ca)を使用して、1%アガロースゲ
ルから単離する。次いでフラグメントを適切な制限酵素で消化し、そして再び1
%アガロースゲルで精製する。
【0678】 プラスミドを対応する制限酵素で消化し、そして必要に応じて、当該分野で公
知の慣用的な手順を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化し得る
。次いでDNAを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 I
nc.,La Jolla,Ca)を使用して、1%アガロースゲルから単離す
る。
【0679】 フラグメントおよび脱リン酸化したプラスミドを、T4 DNAリガーゼを用
いて互いに連結する。E.coli HB101またはXL−1 Blue(S
tratagene Cloning Systems,La Jolla,C
a)細胞のような他の適切なE.coli宿主を、連結混合液で形質転換し、そ
して培養プレート上に拡げる。プラスミドを含む細菌を、個々のコロニー由来の
DNAを消化し、そして消化産物をゲル電気泳動によって分析することにより同
定する。クローニングしたフラグメントの配列をDNA配列決定によって確認す
る。
【0680】 このポリヌクレオチドを含む5μgのプラスミドを、Felgnerら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417(19
87)によって記載されたリポフェクション法を使用して、1.0μgの市販の
線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovi
rus DNA」,Pharmingen,San Diego,CA)ととも
に同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldTMウイルスDNA
および5μgのプラスミドを、50μlの無血清グレース培地(Life Te
chnologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含む、
マイクロタイタープレートの滅菌したウェル中で混合する。その後、10μlの
リポフェクチンおよび90μlグレース培地を加え、混合し、そして室温で15
分間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合液を、無血清グレ
ース培地1mlを加えた35mm組織培養プレートに播種したSf9昆虫細胞(
ATCC CRL 1711)に滴下して加える。次いでプレートを27℃で5
時間インキュベートする。次いで、トランスフェクション溶液をプレートから除
去し、そして10%ウシ胎仔血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加す
る。次いで培養を27℃で4日間継続する。
【0681】 4日後上清を収集し、そしてSummersおよびSmith、前出によって
記載されたようにプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life
Technologies Inc.,Gaithersburg)を含むアガ
ロースゲルを、galが発現しているクローン(青色に着色したプラークを生ず
る)の容易な同定および単離を可能にするために使用する。(この型の「プラー
クアッセイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies In
c., Gaithersburgによって配布される、昆虫細胞培養およびバ
キュロウイルス学のための使用者ガイドの中の9−10頁に見出され得る)。適
切なインキュベーションの後、青色に着色したプラークをマイクロピペッター(
例えば、Eppendorf)のチップで拾う。次いで、組換えウイルスを含む
寒天を、200μlのグレース培地を含む微小遠心分離チューブ中で再懸濁させ
、そして組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を、35mmディッシュに播種し
たSf9細胞に感染させるために使用する。4日後、これらの培養ディッシュの
上清を採集し、次いで4℃に貯蔵する。
【0682】 ポリペプチドの発現を確認するために、10%熱非働化FBSを補充したグレ
ース培地中でSf9細胞を増殖させる。細胞を、約2の感染多重度(「MOI」
)で、ポリヌクレオチドを含む組換えバキュロウイルスで感染させる。放射性標
識したタンパク質を所望する場合には、6時間後に培地を除去し、そしてメチオ
ニンおよびシステインを含まないSF900 II培地(Life Techn
ologies Inc.,Rockville,MDから入手可能)に置き換
える。42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの35S−システ
イン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間イン
キュベートし、次いで遠心分離によって採集する。上清中のタンパク質および細
胞内タンパク質を、SDS−PAGE、次いで(放射性標識した場合)オートラ
ジオグラフィーによって分析する。
【0683】 精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微量配列決定法を使用して、産
生されたタンパク質のアミノ末端配列を決定し得る。
【0684】 (実施例8:哺乳動物細胞におけるポリペプチドの発現) 本発明のポリペプチドを、哺乳動物細胞中で発現させ得る。代表的な哺乳動物
発現ベクターとしては、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメン
ト、タンパク質コード配列、および転写の終結および転写物のポリアデニル化に
必要なシグナルが挙げられる。さらなるエレメントとしては、エンハンサー、コ
ザック配列、ならびにRNAスプライシングのドナー部位およびアクセプター部
位に隣接する介在配列が挙げられる。非常に効率的な転写は、SV40由来の初
期プロモーターおよび後期プロモーター、レトロウイルス(例えばRSV、HT
LVI、HIVI)由来の長末端反復(LTR)、およびサイトメガロウイルス
(CMV)の初期プロモーターを用いて達成される。しかし、細胞エレメント(
例えば、ヒトアクチンプロモーター)もまた、使用され得る。
【0685】 本発明を実施する際の使用に適切な発現ベクターとしては、例えば、pSVL
およびpMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pR
SVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 3714
6)、pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport2.0、
ならびにpCMVSport3.0のようなベクターが挙げられる。使用され得
る哺乳動物宿主細胞としては、ヒトHela細胞、293細胞、H9細胞および
Jurkat細胞、マウスNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos1細胞
、Cos7細胞およびCV1細胞、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、なら
びにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
【0686】 あるいは、ポリペプチドは、染色体に組み込まれたポリヌクレオチドを含む、
安定な細胞株中で発現され得る。dhfr、gpt、ネオマイシン、ハイグロマ
イシンのような選択可能なマーカーを用いる同時トランスフェクションは、トラ
ンスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
【0687】 トランスフェクトされた遺伝子はまた、大量のコードされたタンパク質を発現
するために増幅され得る。DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)マーカーは、目的
の遺伝子の数百または数千さえものコピーを有する細胞株の開発に有用である。
(例えば、Altら、J.Biol.Chem.253:1357−1370(
1978);Hamlinら、Biochem.et Biophys.Act
a、1097:107−143(1990):Pageら、Biotechno
logy 9:64−68(1991)を参照のこと)。別の有用な選択マーカ
ーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Bioch
em J.227:277−279(1991);Bebbingtonら、B
io/Technology 10:169−175(1992))。これらの
マーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地中で増殖させ、そして最も高い耐
性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた、増幅さ
れた遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびNSO細
胞は、タンパク質の産生のためにしばしば使用される。
【0688】 プラスミドpSV2−dhfr(ATCC受託番号37146)の誘導体であ
る、発現ベクターpC4(ATCC受託番号209646)およびpC6(AT
CC受託番号209647)は、ラウス肉腫ウイルス(Cullenら、Mol
ecular and Cellular Biology,438−447(
1985年3月))の強力なプロモーター(LTR)、およびCMVエンハンサ
ー(Boshartら、Cell 41:521−530(1985))のフラ
グメントを含む。例えば、BamHI、XbaI、およびAsp718の制限酵
素切断部位を有する多重クローニング部位は、目的の遺伝子のクローニングを容
易にする。ベクターはまた、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イントロン
、ポリアデニル化および終結シグナル、ならびに、SV40初期プロモーターの
制御下にあるマウスDHFR遺伝子を含む。
【0689】 具体的には、例えば、プラスミドpC6を、適切な制限酵素によって消化し、
次いで当該分野で公知の手順によって、仔ウシ腸ホスファターゼ(phosph
ate)を使用して脱リン酸化する。次いで、このベクターを1%アガロースゲ
ルから単離する。
【0690】 本発明のポリヌクレオチドを、実施例1に概説するプロトコルに従い、必要な
らば、適切な制限部位および開始コドン/終止コドンを有するプライマーを使用
して増幅する。分泌のために必要な場合には、このベクターは異種シグナル配列
を含むように改変され得る(例えば、WO96/34891を参照のこと)。
【0691】 増幅フラグメントを、市販のキット(「Geneclean」、BIO 10
1 Inc.,La Jolla,Ca.)を使用して1%アガロースゲルから
単離する。次いで、フラグメントを、適切な制限酵素で消化し、そして再び1%
アガロースゲル上で精製する。
【0692】 次いで、増幅フラグメントを同じ制限酵素で消化し、そして1%アガロースゲ
ルで精製する。次いで、単離されたフラグメントおよび脱リン酸化したベクター
を、T4 DNAリガーゼで連結する。次いで、E.coli HB101また
はXL−1 Blue細胞を形質転換し、そしてプラスミドpC6に挿入された
フラグメントを含む細菌を、例えば、制限酵素分析を用いて同定する。
【0693】 活性なDHFR遺伝子を欠損するチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トラン
スフェクションに使用する。5μgの発現プラスミドpC6を、リポフェクチン
(Felgnerら、前出)を用いて、0.5μgのプラスミドpSVneoと
ともに同時トランスフェクトする。プラスミドpSV2−neoは、優性選択マ
ーカーである、G418を含む抗生物質の群に対する耐性を付与する酵素をコー
ドするTn5由来のneo遺伝子を含む。細胞を、1mg/mlのG418を補
充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞をトリプシン処理し、そして
10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよび1mg/mlのG
418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプレート(
Greiner,Germany)中に播種する。約10〜14日後、単一のク
ローンをトリプシン処理し、次いでメトトレキサートの異なる濃度(50nM、
100nM、200nM、400nM、800nM)を使用して、6ウェルのペ
トリ皿または10mlのフラスコに播種する。次いで、最高濃度のメトトレキサ
ートで増殖するクローンを、さらに高い濃度(1μM、2μM、5μM、10m
M、20mM)のメトトレキサートを含む新たな6ウェルプレートに移す。同じ
手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで繰り返す
。所望の遺伝子産物の発現を、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロ
ットによって、または逆相HPLC分析によって分析する。
【0694】 (実施例9:タンパク質融合物) 本発明のポリぺプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。これら
の融合タンパク質は、種々の適用について使用され得る。例えば、Hisタグ、
HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、およびマルトース結合タンパク質へ
の本発明のポリぺプチドの融合は、精製を容易にする(実施例5を参照のこと;
EP A 394,827;Trauneckerら、Nature 331:
84−86(1988)もまた参照のこと)。ポリペプチドはまた、分泌および
細胞内輸送を容易にするための異種ポリペプチド配列(例えば、KDEL)に融
合され得る。さらに、IgG−1、IgG−3、およびアルブミンへの融合は、
インビボでの半減期を増大させる。本発明のポリぺプチドに融合した核局在化シ
グナルは、タンパク質を特定の細胞内局在に標的化し得る。一方、共有結合ヘテ
ロダイマーまたはホモダイマーは、融合タンパク質の活性を増大または減少させ
得る。融合タンパク質はまた、1つより多い機能を有するキメラ分子を作製し得
る。最後に、融合タンパク質は、非融合タンパク質と比較して、融合タンパク質
の可溶性および/または安定性を増大させ得る。上記の融合タンパク質の全ての
型は、ポリぺプチドのIgG分子への融合を概説する以下のプロトコル、または
実施例5に記載されるプロトコルを改変することによって作製され得る。
【0695】 簡単には、IgG分子のヒトFc部分は、以下に記載の配列の5’および3’
末端にわたるプライマーを使用してPCR増幅され得る。これらのプライマーは
また、発現ベクター(好ましくは、哺乳動物発現ベクター)へのクローニングを
容易にする、都合の良い制限酵素部位、および必要に応じて、開始/終止コドン
を有するべきである。
【0696】 例えば、pC4(受託番号第209646号)が使用される場合、ヒトFc部
分は、BamHIクローニング部位に連結され得る。3’BamHI部位が破壊
されるべきであることに留意のこと。次に、ヒトFc部分を含有するベクターが
、BamHIによって再び制限処理され、ベクターを直鎖化し、そして実施例1
に記載するPCRプロトコルによって単離された本発明のポリヌクレオチドが、
このBamHI部位に連結される。このポリヌクレオチドは、終止コドンなしに
クローン化され、そうでなければ、融合タンパク質は産生されないことに留意の
こと。
【0697】 天然に存在するシグナル配列が分泌タンパク質を産生するために使用される場
合、pC4は、第二のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天然に存在
するシグナル配列が使用されない場合、このベクターは、異種シグナル配列を含
むように改変され得る(例えば、WO 96/34891を参照のこと)。
【0698】 ヒトIgG Fc領域。
【0699】
【化7】 (実施例10:ポリペプチド処方) ポリペプチド組成物を、個々の患者の臨床状態(特に、分泌ポリペプチド単独
処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子
を考慮に入れ、医療実施基準(good medical practice)
を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「
有効量」は、このような考慮を行って決定される。
【0700】 一般的提案として、用量当り、非経口的に投与されるポリペプチドの合計薬学
的有効量は、患者体重の、約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にあ
るが、上記のようにこれは治療的裁量に委ねられる。さらに好ましくは、このホ
ルモンについて、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日、そして最も
好ましくはヒトに対して約0.01mg/kg/日と約1mg/kg/日との間
である。連続投与する場合、代表的には、ポリペプチドを約1μg/kg/時間
〜約50μg/kg/時間の投薬速度で1日に1〜4回の注射かまたは連続皮下
注入(例えばミニポンプを用いる)のいずれかにより投与する。静脈内用バッグ
溶液もまた使用し得る。変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じ
る処置後の間隔は、所望の効果に応じて変化するようである。
【0701】 本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物は、経口的、直腸内、非経口的、槽
内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(散剤、軟膏、
ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔ス
プレーとして投与し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体
、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の製剤補助剤をい
う。本明細書で用いる場合、用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、
胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0702】 ポリペプチドはまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性組成物
の適切な例は、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの成形品の形態の半透
過性ポリマーマトリックスを包含する。徐放性マトリックスとしては、ポリラク
チド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン
酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、Bio
polymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.
Res.15:167−277(1981)、およびLanger,Chem.
Tech.12:98−105(1982))、エチレンビニルアセテート(R
.Langerら)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133
,988)が挙げられる。徐放性組成物はまた、リポソームに封入された本発明
のポリペプチドを包含する。分泌ポリペプチドを含有するリポソームは、それ自
体が公知である方法により調製される:DE3,218,121;Epstei
nら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−36
92(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,
676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本国
特許出願第83−118008号;米国特許第4,485,045号および同第
4,544,545号;ならびにEP102,324。通常、リポソームは、小
さな(約200〜800Å)ユニラメラ型であり、そこでは、脂質含有量は、約
30モル%コレステロールよりも多く、選択された割合が、最適な分泌ポリペプ
チド治療のために調整される。
【0703】 非経口投与のために、1つの実施形態において、一般に、ポリペプチドは、そ
れを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量
および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合す
るキャリアと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混
合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化剤、お
よびポリペプチドに対して有害であることが知られている他の化合物を含まない
【0704】 一般に、ポリペプチドを液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはそ
の両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次いで、必要であれば
、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリ
ア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキ
ャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロ
ース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒ
クルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
【0705】 キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適
切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対
して毒性がなく、そしてこのような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハ
ク酸塩、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸
のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、
ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グ
ロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;
グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;
セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む
、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニ
トールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン
;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオ
ン性界面活性剤が挙げられる。
【0706】 ポリペプチドは、代表的には約0.1mg/ml〜100mg/ml、好まし
くは1〜10mg/mlの濃度で、約3〜8のpHで、このようなビヒクル中に
処方される。前記の特定の賦形剤、キャリアまたは安定化剤を使用することによ
り、ポリペプチド塩が形成されることが理解される。
【0707】 治療的投与に用いられる任意のポリペプチドは無菌状態であり得る。滅菌濾過
膜(例えば0.2ミクロンメンブレン)で濾過することにより無菌状態は容易に
達成される。一般に、治療ポリペプチド組成物は、滅菌アクセスポートを有する
容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグま
たはバイアルに配置される。
【0708】 ポリペプチドは、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプル
またはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯蔵さ
れる。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した1%(
w/v)ポリペプチド水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結乾燥
する。凍結乾燥したポリペプチドを、注射用静菌水を用いて再構成して注入溶液
を調製する。
【0709】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分を充填した一つ以上の
容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品
の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような
容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関
する政府機関による承認を表す。さらに、本発明のポリペプチドを他の治療用化
合物と組み合わせて使用し得る。
【0710】 (実施例11:ポリペプチドのレベル低下を処置する方法) 個体におけるポリペプチドの標準または正常発現レベルの低下により引き起こ
される状態は、本発明のポリペプチドを、好ましくは分泌形態および/または可
溶性形態で投与することにより処置し得ることが理解される。従って、本発明は
また、ポリペプチドのレベルの増加が必要な個体の処置方法を提供する。この方
法は、このような個体に、このような個体でポリペプチドの活性レベルを増加さ
せる量のポリペプチドを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0711】 例えば、ポリペプチドのレベルが低下した患者は、ポリペプチドを、1日用量
0.1〜100μg/kgで6日続けて服用する。好ましくは、ポリペプチドは
分泌形態である。投与および処方物に基づく投薬計画の正確な詳細は、実施例1
0に提供されている。
【0712】 (実施例12:ポリペプチドのレベル上昇を処置する方法) アンチセンス技術を使用して本発明のポリペプチドの産生を阻害する。この技
術は、ガンのような様々な病因に起因するポリペプチド、好ましくは分泌形態の
ポリペプチドのレベルを低下させる方法の1つの例である。
【0713】 例えば、ポリペプチドのレベルが異常に上昇したと診断された患者に、アンチ
センスポリヌクレオチドを、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0mg
/kg/日で静脈内に21日間投与する。この処置に対して十分な耐性があれば
、7日間の休薬期間後に、この処置を繰り返す。アンチセンスポリヌクレオチド
の処方は、実施例10に提供されている。
【0714】 (実施例13:遺伝子治療を使用する処置方法−エキソビボ) 遺伝子治療の1つの方法は、ポリペプチドを発現し得る線維芽細胞を患者に移
植する方法である。一般に、線維芽細胞は、皮膚生検により被験者から得られる
。得られた組織を組織培養培地中に配置し、小片に分割する。組織の小塊を組織
培養フラスコの湿潤表面に置き、約10片を各フラスコに置く。このフラスコを
倒置し、しっかりと閉めた後、室温で一晩放置する。室温で24時間後、フラス
コを反転させ、組織塊をフラスコの底に固定させたままにし、そして新鮮培地(
例えば、10%FBS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するHam
のF12培地)を添加する。次いで、フラスコを37℃で約1週間インキュベー
トする。
【0715】 この時点で、新鮮培地を添加し、次いで数日ごとに取り換える。さらに二週間
培養した後に単層の線維芽細胞が出現する。単層をトリプシン処理し、さらに大
きなフラスコにスケールアップする。
【0716】 Moloneyマウス肉腫ウイルスの長末端反復が隣接するpMV−7(Ki
rschmeier,P.T.ら、DNA,7:219−25(1988))を
EcoRIおよびHindIIIで消化した後、仔ウシ腸ホスファターゼで処理
する。線状ベクターをアガロースゲルで分画し、そしてガラスビーズを使用して
精製する。
【0717】 本発明のポリペプチドをコードするcDNAを、必要な場合、プライマーを用
いそして適切な制限部位および開始/終止コドンを有する、実施例1に記載のそ
れぞれ5’および3’末端配列に対応するPCRプライマーを使用して増幅し得
る。好ましくは、5’プライマーはEcoRI部位を含み、そして3’プライマ
ーはHindIII部位を含む。等量の、Moloneyマウス肉腫ウイルス線
状骨格および増幅したEcoRIおよびHindIIIフラグメントを、T4
DNAリガーゼの存在下で一緒に加える。得られた混合物を二つのフラグメント
を連結するのに適した条件下で維持する。次いで、連結混合物を使用し、細菌H
B101を形質転換する。次いで、それを、カナマイシンを含む寒天上にプレー
ティングし、ベクターが正確に挿入された目的の遺伝子を有することを確認する
【0718】 アンフォトロピックpA317またはGP+am12パッケージング細胞を、
10%仔ウシ血清(CS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むDul
becco改変Eagles培地(DMEM)中、組織培養でコンフルエントな
密度まで増殖させる。次いで、遺伝子を含むMSVベクターを培地に加え、そし
てパッケージング細胞にベクターを形質導入する。このとき、パッケージング細
胞は遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する(ここで、パッケージング細胞
をプロデューサー細胞という)。
【0719】 形質導入されたプロデューサー細胞に新鮮培地を添加し、次いで培地を10c
mプレートのコンフルエントなプロデューサー細胞から採取する。感染性ウイル
ス粒子を含む使用済み培地を、ミリポアーフィルターを通して濾過し、はがれた
プロデューサー細胞を除去した後、この培地を使用して、線維芽細胞を感染させ
る。線維芽細胞のサブコンフルエントなプレートから培地を除去し、そしてプロ
デューサー細胞からの培地で速やかに置き換える。この培地を除去し、そして新
鮮培地と置き換える。ウイルスの力価が高ければ、実質的にすべての線維芽細胞
が感染され、選択は必要ではない。力価が非常に低ければ、neoまたはhis
のような選択マーカーを有するレトロウイルスベクターを使用することが必要で
ある。一旦、線維芽細胞が効率的に感染したなら、線維芽細胞を分析し、タンパ
ク質が産生されているか否かを決定する。
【0720】 次いで、操作された線維芽細胞を、単独で、またはサイトデックス3マイクロ
キャリアビーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれかで宿主に移植する
【0721】 (実施例14:内因性非結合遺伝子を使用する遺伝子治療) 本発明に従う遺伝子治療の別の方法は、内因性非結合遺伝子配列を、例えば、
米国特許第5,641,670号(1997年6月24日出願);国際公開第W
O 96/29411号(1996年9月26日公開);国際公開第WO 94
/12650号(1994年8月4日公開);Kollerら、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,86:8932〜8935(1989);お
よびZijlstraら、Nature,342:435〜438(1989)
に記載されるように、相同組換えを介してプロモーターに作動可能に結合する工
程を包含する。この方法は、その標的細胞中に存在するが、その細胞中で発現さ
れないかまたは所望されるよりも低いレベルで発現される、遺伝子の活性化を包
含する。
【0722】 プロモーターおよび標的化配列を含むポリヌクレオチド構築物を作製する。こ
の標的配列は、プロモーターに隣接する、内因性非結合遺伝子の5’非コード配
列に相同である。この標的化配列は、この非結合遺伝子の5’末端に十分に近く
、その結果、このプロモーターは、相同組換えの際にこの内因性配列に作動可能
に連結される。このプロモーターおよび標的化配列を、PCRを使用して増幅し
得る。好ましくは、この増幅したプロモーターは、5’末端および3’末端上に
異なる制限酵素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅
したプロモーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配
列の5’末端は、増幅したプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。
【0723】 この増幅したプロモーターおよび増幅した標的化配列を、適切な制限酵素で消
化し、続いて仔ウシ腸ホスファターゼで処理する。消化したプロモーターおよび
消化した標的化配列を、T4 DNAリガーゼの存在下でともに加える。生じた
混合物を、これら2つのフラグメントの連結に適切な条件下で維持する。この構
築物をアガロースゲル上でサイズ分画し、次いでフェノール抽出およびエタノー
ル沈殿により精製する。
【0724】 この実施例において、このポリヌクレオチド構築物を、エレクトロポレーショ
ンを介して裸のポリヌクレオチドとして投与する。しかし、このポリヌクレオチ
ド構築物はまた、トランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイルス
配列、ウイルス粒子、沈殿剤など)とともに投与され得る。送達のこのような方
法は、当該分野で公知である。
【0725】 一旦、細胞をトランスフェクトすると、相同組換えが、このプロモーターで生
じて、内因性非結合遺伝子配列に作動可能に連結される。これは、この細胞中に
おける非結合の発現を生じる。発現は、免疫学的染色または当該分野で公知の他
の任意の方法により、検出され得る。
【0726】 線維芽細胞を、皮膚生検により被験者から得る。得られた組織を、DMEM+
10%胎仔ウシ血清中に配置する。対数増殖期または定常期初期の線維芽細胞を
、トリプシン処理し、そしてプラスチックの表面から栄養培地でリンスする。細
胞懸濁液のアリコートを、計数のために取り出し、そして残りの細胞を遠心分離
に供する。上清を吸引し、そしてペレットを5mlのエレクトロポレーション緩
衝液(20mM HEPES pH7.3、137mM NaCl、5mM K
Cl、0.7mM Na2HPO4、6mMデキストロース)に再懸濁する。この
細胞を再遠心分離し、上清を吸引し、そして細胞をアセチル化ウシ血清アルブミ
ン1mg/mlを含むエレクトロポレーション緩衝液に再懸濁する。この最終細
胞懸濁物は、約3×106細胞/mlを含む。エレクトロポレーションを、再懸
濁直後に実施すべきである。
【0727】 プラスミドDNAを、標準的技術に従って調製する。例えば、非結合遺伝子座
に標的化するためのプラスミドを構築するために、プラスミドpUC18(MB
I Fermentas、Amherst、NY)をHindIIIで消化する
。CMVプロモーターを、5’末端にXbaI部位および3’末端にBamHI
部位を備えてPCRにより増幅する。2つの非結合の非コード配列をPCRを介
して増幅する:一方の非結合の非コード配列(非結合フラグメント1)を、5’
末端にHindIII部位および3’末端にXbaI部位を備えて増幅する;他
方の非結合の非コード配列(非結合フラグメント2)を、5’末端にBamHI
部位および3’末端にHindIII部位を備えて増幅する。このCMVプロモ
ーターおよび非結合フラグメントを、適切な酵素(CMVプロモーター−Xba
IおよびBamHI;非結合フラグメント1−XbaI;非結合フラグメント2
−BamHI)で消化し、そしてともに連結する。生じた連結生成物をHind
IIIで消化し、そしてHindIIIで消化したpUC18プラスミドと連結
する。
【0728】 プラスミドDNAを、0.4cmの電極ギャップを備える滅菌キュベット(B
io−Rad)に添加する。最終DNA濃度は、一般的に、少なくとも120μ
g/mlである。次いで、この細胞懸濁液の0.5ml(約1.5×106細胞
を含む)をこのキュベットに添加し、そしてこの細胞懸濁液およびDNA溶液を
、穏やかに混合する。エレクトロポレーションを、Gene−Pulser装置
(Bio−Rad)を用いて実施する。容量および電圧を、それぞれ、960μ
Fおよび250〜300Vに設定する。電圧が増加すると、細胞の生存が減少す
るが、導入されたDNAをそのゲノム中に安定に組込む生存細胞の割合が劇的に
増加する。これらのパラメーターを与えると、パルス時間約14〜20mSec
が観察されるはずである。
【0729】 エレクトロポレーションした細胞を、室温で約5分間維持し、次いで、このキ
ュベットの中身を、滅菌した移動ピペットを用いて穏やかに取り出す。この細胞
を、10cmのディッシュ中の、予め温めた栄養培地(15%仔ウシ血清を含む
DMEM)10mlに直接加え、そして37℃でインキュベートする。翌日、こ
の培地を吸引し、そして10mlの新鮮な培地で置換し、そしてさらに16〜2
4時間インキュベートする。
【0730】 次いで、操作された線維芽細胞を、宿主中に、単独か、またはサイトデックス
3マイクロキャリアビーズ上でコンフルエントになるまで増殖させた後かのいず
れかで、注入する。ここで、この線維芽細胞は、タンパク質産物を生成する。次
いで、この線維芽細胞を、上記のような患者に導入し得る。
【0731】 (実施例15:遺伝子治療を使用する処置方法−インビボ) 本発明の別の局面は、障害、疾患、および状態を処置するためにインビボ遺伝
子治療方法を使用することである。この遺伝子治療法は、非共役ポリペプチドの
発現を増大または減少させるための、動物への裸の核酸(DNA、RNA、およ
びアンチセンスDNAまたはRNA)非共役配列の導入に関する。非共役ポリヌ
クレオチドは、プロモーター、または標的組織による非共役ポリペプチドの発現
に必要な任意の他の遺伝子エレメントに、作動可能に連結され得る。このような
遺伝子治療および送達の技術および方法は、当該分野で公知であり、例えば、W
O90/11092、WO98/11779;米国特許第5693622号、同
第5705151号、同第5580859号;Tabataら、Cardiov
asc.Res.35(3):470−479(1997);Chao J.ら
、Pharmacol.Res.35(6):517−522(1997)、W
olff、Neuromuscul.Disord.7(5):314−318
(1997)、Schwartzら、Gene Ther.、3(5):405
−411(1996);Tsurumi Y.ら、Circulation 9
4(12):3281−3290(1996)(本明細書中に参考として援用さ
れる)を参照のこと。
【0732】 非共役ポリヌクレオチド構築物は、注入可能な物質を動物の細胞に送達する任
意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚、肺、肝臓、腸など)の間隙空間へ
の注入)によって送達され得る。この非共役ポリヌクレオチド構築物は、薬学的
に受容可能な液体または水性キャリア中で送達され得る。
【0733】 用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAは、細胞への進入を補助
、促進、または容易にするように作用するいかなる送達ビヒクル(ウイルス配列
、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、または沈澱剤などを含む
)も含まない配列をいう。しかし、非共役ポリヌクレオチドはまた、当業者に周
知の方法によって調製され得るリポソーム処方物(例えば、Felgner P
.L.ら、Ann.NY Acad.Sci.772:126−139(199
5)およびAbdallah B.ら、Biol.Cell 85(1):1−
7(1995)で教示されたもの)中で送達され得る。
【0734】 この遺伝子治療方法において使用される非共役ポリヌクレオチドベクター構築
物は、好ましくは、宿主ゲノムに組み込まれず、複製を可能にする配列も含まな
い構築物である。当業者に公知の任意の強力なプロモーターが、DNAの発現を
駆動するために用いられ得る。他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を
標的細胞に導入する1つの主要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合
成の一過性の性質である。研究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて
、6ヶ月までの間の期間、所望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示され
た。
【0735】 このポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、
脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸
、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包含する)の間
隙空間に送達され得る。この組織の間隙空間は、細胞間液、ムコ多糖基質(器官
組織の細網線維、血管または腔(chamber)の壁における弾性線維、線維
性組織におけるコラーゲン線維に間にある)、あるいは結合組織鞘性筋肉細胞内
または骨の裂孔中の同じ基質を包含する。これは、同様に、循環の血漿およびリ
ンパチャンネルのリンパ液により占められた空間である。筋肉組織の間隙空間へ
の送達は、以下に考察する理由のために好ましい。それらは、これらの細胞を含
む組織への注入によって、好都合に送達され得る。それらは、好ましくは、分化
した持続性の非分裂細胞に送達され、そしてその細胞において発現されるが、送
達および発現は、非分化細胞または完全には分化していない細胞(例えば、血液
の幹細胞または皮膚線維芽細胞など)において達成され得る。インビボで、筋肉
細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そして発現するそれらの能力において、
特に適格である。
【0736】 裸の非共役ポリヌクレオチド注入のために、DNAまたはRNAの有効投薬量
は、約0.05g/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好ましく
は、この投薬量は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり、そし
てより好ましくは、約0.05mg/kgから約5mg/kgである。もちろん
、当業者が認識するように、この投薬量は、注入の組織部位に従って変化する。
核酸配列の適切かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして
処置される状態および投与経路に依存し得る。好ましい投与経路は、組織の間隙
空間への非経口注入経路によってである。しかし、他の非経口経路もまた用いら
れ得、これには、例えば、特に肺または気管支組織、咽喉、または鼻の粘膜への
送達のためのエアロゾル処方物の吸入が挙げられる。さらに、裸の非共役ポリヌ
クレオチド構築物が、血管形成術の間にこの手順において用いられるカテーテル
によって動脈に送達され得る。
【0737】 インビボでの筋肉における注入非共役ポリヌクレオチドの用量応答効果を、以
下のようにして決定する。非共役ポリペプチドをコードするmRNAの生成のた
めの適切な非共役鋳型DNAを、標準的な組換えDNA方法論に従って調製する
。この鋳型DNA(これは環状または線状のいずれかであり得る)を裸のDNA
として使用するか、またはリポソームと複合体化するかのいずれかであり得る。
次いで、マウスの四頭筋に、種々の量の鋳型DNAを注入する。
【0738】 5〜6週齢の雌性および雄性のBalb/Cマウスに、0.3mlの2.5%
Avertinを腹腔内注射することにより麻酔する。1.5cmの切開を大腿
前部で行い、そして四頭筋を直接可視化する。非共役鋳型DNAを、0.1ml
のキャリアに入れて、1cc注射器で27ゲージ針を通して1分間にわたって、
筋肉の遠位挿入部位から約0.5cmのところで膝に、そして約0.2cmの深
さで注入する。縫合を、将来の位置決定のために注入部位の上で行い、そしてそ
の皮膚をステンレス鋼クリップで閉じる。
【0739】 適切なインキュベーション時間(例えば、7日)後、筋肉抽出物を、四頭全体
を切り出すことによって調製する。個々の四頭筋の5枚毎の15μm切片を、非
共役タンパク質発現について組織化学的に染色する。非共役タンパク質発現につ
いてのタイムコースは、異なるマウスからの四頭を異なる時間で採取すること以
外は、同様な様式で行い得る。注入後の筋肉中の非共役DNAの持続性を、注入
したマウスおよびコントロールマウスからの全細胞性DNAおよびHIRT上清
を調製した後、サザンブロット分析によって決定し得る。マウスにおける上記実
験の結果を、裸の非共役DNAを用いて、ヒトおよび他の動物において適切な投
薬量および他の処置パラメーターを外挿するために使用し得る。
【0740】 (実施例16:抗体の産生) (a)ハイブリドーマ技術 本発明の抗体は、種々の方法によって調製され得る。(Current Pr
otocols,第2章を参照のこと)。そのような方法の1つの例として、非
共役ポリペプチドを発現する細胞を、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘
導するために動物に投与する。好ましい方法において、本発明のポリペプチドの
調製物を調製し、そして精製して、天然の夾雑物を実質的に含まないようにする
。次いで、より大きな比活性のポリクローナル抗血清を生成するために、このよ
うな調製物を、動物に導入する。
【0741】 非共役ポリペプチドに対して特異的なモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ
技術を使用して調製する(Kohlerら、Nature 256:495(1
975);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(197
6);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(1976)
;Hammerlingら:Monoclonal Antibodies a
nd T−Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y.、5
63−681頁(1981))。一般に、動物(好ましくは、マウス)を、非共
役ポリぺプチド、またはより好ましくは、分泌性非共役ポリぺプチド発現細胞で
免疫する。このようなポリペプチド発現細胞は、任意の適切な組織培養培地にお
いて培養され、好ましくは、10%ウシ胎仔血清(約56℃で非働化した)を補
充し、そして約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリ
ン、および約100μg/mlのストレプトマイシンを補充したEarle改変
イーグル培地において培養される。
【0742】 このようなマウスの脾細胞を抽出し、そして適切な骨髄腫細胞株と融合する。
任意の適切な骨髄腫細胞株を、本発明に従って用い得る;しかし、ATCCから
入手可能な親骨髄腫細胞株(SP2O)を用いることが好ましい。融合後、得ら
れるハイブリドーマ細胞を、HAT培地において選択的に維持し、次いでWan
dsら(Gastroenterology 80:225−232(1981
))に記載されるように限界希釈によってクローニングする。次いで、このよう
な選択によって得られるハイブリドーマ細胞を、非共役ポリぺプチドを結合し得
る抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイする。
【0743】 あるいは、非共役ポリぺプチドに結合し得るさらなる抗体を、抗イディオタイ
プ抗体を使用して2工程の手順において生成し得る。このような方法は、抗体が
それ自体抗原であり、それゆえ第二の抗体に結合する抗体を得ることが可能であ
るという事実を利用する。この方法に従って、タンパク質特異的抗体を使用して
、動物(好ましくは、マウス)を免疫する。次いで、このような動物の脾細胞を
使用して、ハイブリドーマ細胞を産生し、そしてこのハイブリドーマ細胞を、非
共役タンパク質特異的抗体に結合する能力が非共役ポリペプチドによってブロッ
クされ得る抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニングする。この
ような抗体は、非共役タンパク質特異的抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含
み、そして動物を免疫してさらなる非共役タンパク質特異的抗体の形成を誘導す
るために使用する。
【0744】 ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、抗体は、「ヒト化」される。この
ような抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来
する遺伝的構築物を使用することによって産生され得る。キメラ抗体およびヒト
化抗体を産生するための方法は、当該分野で公知であり、そして本明細書中で考
察される。(総説については、Morrison,Science 229:1
202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(19
86);Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguc
hiら、EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Ne
ubergerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 870
2671;Boulianneら、Nature 312:643(1984)
;Neubergerら、Nature 314:268(1985)を参照の
こと) (b)scFvのライブラリー由来の非共役ポリペプチドに対する抗体フラグ
メントの単離) ヒトPBLから単離した天然に存在するV−遺伝子を、ドナーが曝露されても
、曝露されなくてもよい非共役ポリペプチドに対する反応性を含む抗体フラグメ
ントをライブラリーへと構築する(例えば、米国特許第5,885,793号(
その全体が参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。
【0745】 (ライブラリーのレスキュー) PCT公開WO 92/01047に記載のように、ヒトPBLのRNAから
scFvのライブラリーを構築する。抗体フラグメントを提示するファージをレ
スキューするため、ファージミドを保有する約109個のE.coliを用いて
、50mlの2×TY(1%グルコースおよび100μg/mlのアンピシリン
を含有する)(2×TY−AMP−GLU)に接種し、そして振盪しながら0.
8のO.D.まで増殖させる。この培養物の5mlを用いて50mlの2×TY
−AMP−GLUに接種し、2×108TUのΔ遺伝子3ヘルパー(M13Δ遺
伝子III、PCT公開WO92/01047を参照のこと)を添加し、そして
培養物を振盪なしで37℃で45分間インキュベートし、次いで振盪しながら3
7℃で45分間インキュベートする。この培養物を10分間4000r.p.m
.で遠心分離し、そしてペレットを2リットルの2×TY(100μg/mlア
ンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含有する)中に再懸濁し、そし
て一晩増殖させる。ファージをPCT公開WO92/01047に記載のように
調製する。
【0746】 M13Δ遺伝子IIIを以下のように調製する:M13Δ遺伝子IIIヘルパ
ーファージは、遺伝子IIIタンパク質をコードしない。それゆえ、抗体フラグ
メントを提示するファージ(ファージミド)は、抗原に対してより大きい結合ア
ビディティーを有する。ファージ形態形成の間、野生型遺伝子IIIタンパク質
を供給するpUC19誘導体を保有する細胞においてヘルパーファージを増殖さ
せることにより、感染性M13Δ遺伝子III粒子を作製する。培養物を振盪な
しで37℃で1時間インキュベートし、次いで振盪しながら37℃でさらに1時
間インキュベートする。細胞をスピンダウン(IEC−Centra 8,40
0 r.p.mで10分間)し、100μg/mlのアンピシリンおよび25μ
g/mlのカナマイシンを含有する、300mlの2×TYブロス(2×TY−
AMP−KAN)中に再懸濁し、そして37℃で振盪しながら一晩増殖させた。
ファージ粒子を、2回のPEG沈殿(Sambrookら、1990)により培
養培地から精製および濃縮し、2ml PBSに再懸濁し、そして0.45μm
のフィルター(Minisart NML;Sartorius)を通過させ、
約1013形質導入単位/ml(アンピシリン耐性クローン)の最終濃度を得た。
【0747】 (ライブラリーのパニング) Immunotubes(Nunc)を、100μg/mlまたは10μg/
mlのいずれかの本発明のポリペプチド4mlを用いてPBS中で一晩被膜する
。チューブを2%Marvel−PBSを用いて37℃で2時間ブロックし、次
いでPBS中で3回洗浄する。約1013TUのファージをこのチューブに適用し
、そして、回転盤で上下に傾けながら室温で30分間インキュベートし、次いで
さらに1.5時間静置しておく。チューブをPBS 0.1%Tween−20
で10回、そしてPBSで10回洗浄する。1mlの100mMトリエチルアミ
ンを添加し、そして回転盤で15分間上下に回転させることによりファージを溶
出し、その後、この溶液を0.5mlの1.0M Tris−HCl、pH7.
4で直ちに中和する。次いで、溶出したファージを細菌とともに37℃で30分
間インキュベートすることにより、ファージを用いて、10mlの対数増殖中期
のE.coli TG1に感染させる。次いで、E.coliを、1%グルコー
スおよび100μg/mlアンピシリンを含有するTYEプレート上にプレーテ
ィングする。次いで、生じた細菌ライブラリーを、上記のようにΔ遺伝子3ヘル
パーファージでレスキューし、次の回の選択のためのファージを調製する。次い
で、このプロセスを、アフィニティー精製の全4回について反復し、3回目およ
び4回目にはチューブ洗浄をPBS、0.1%Tween−20で20回、そし
てPBSで20回に増加する。
【0748】 (結合剤の特徴付け) 3回目および4回目の選択から溶出したファージを用いて、E.coli H
B 2151に感染させ、そして可溶性scFvをアッセイのために1個のコロ
ニーから生成する(Marksら、1991)。50mM炭酸水素塩(pH9.
6)中の10pg/mlの本発明のポリペプチドの10pg/mlのいずれかで
被膜したマイクロタイタープレートを用いてELISAを実行する。ELISA
での陽性クローンを、PCRフィンガープリントにより(例えば、PCT公開W
O92/01047を参照のこと)、次いで配列決定することによりさらに特徴
付ける。例えば、エピトープマッピング、結合親和性、レセプターシグナル伝達
、抗体/抗原結合をブロックまたは競合阻害する能力、および競合アゴニスト活
性またはアンタゴニスト活性のような、当該分野で公知の技術により、これらの
ELISA陽性クローンをまた、さらに特徴付け得る。
【0749】 (実施例17:非共役タンパク質活性を決定する方法) (A)以下の方法は、本発明のポリペプチド(全長タンパク質のフラグメント
および改変体を含む)の呼吸非共役活性の決定を提供する。簡潔には、酵母に、
Bouillaudら(EMBO J.13:1990(1994))(その全
体において、本明細書中に参考として援用される)により以前に記載されたよう
に、発現ベクター中の非共役タンパク質ポリペプチドをトランスフェクトする。
形質転換された酵母の液体培地での増殖速度を、国際公開番号WO98/313
96(その全体において本明細書中に参考として援用される)に記載されるよう
に、発現を誘導するガラクトースの存在下で測定する。瞬間(instante
ous)の生成時間を、非共役タンパク質ポリペプチドと適切なコントロールと
の間で比較する。
【0750】 呼吸の非共役と関連する膜電位のインビボでの減少を、潜在的感受性プローブ
DiOC6(3)(3,3’−ジヘキシルオキサカルボシアニンヨウ素、Mol
ecular Probes,Eugene,OR)で標識した酵母のフローサ
イトメトリーにより分析する。従って、非共役タンパク質ポリペプチドがミトコ
ンドリア活性に影響する能力および非共役呼吸を、決定する。
【0751】 (B)組換えヒト非共役タンパク質ポリペプチドを発現している線維芽細胞様
細胞株、およびJC−1蛍光色素を利用するさらなるアッセイは、国際公開番号
WO98/45438(その全体において参考として本明細書中に援用される)
に記載されるように、生存細胞におけるミトコンドリア膜電位を迅速に評価する
ことを可能にする。非共役タンパク質ポリペプチドを発現している細胞株におけ
る蛍光に対する試験化合物の効果と、非共役タンパク質ポリペプチドを発現して
いないコントロールにおける蛍光に対する試験化合物の効果とを比較することに
よって、非共役タンパク質ポリペプチドの特異的アクチベーターおよび/または
インヒビターを同定することが可能である。簡潔には、非共役タンパク質ポリペ
プチドを発現している組換え細胞、およびこのポリペプチドを発現していないコ
ントロール細胞を、96ウェルプレートにおいて増殖させる。プレートをリンス
し、そしてJC−1色素を、全てのウェルに添加する。後に、プレートを洗浄し
、そして蛍光を蛍光測定器において決定する。
【0752】 蛍光の増大は、試験化合物が細胞の膜電位を増大させることを示す。蛍光の増
大が非共役タンパク質ポリペプチド発現細胞において観察されるが、コントロー
ル細胞では観察されない場合、この試験化合物は、非共役タンパク質ポリペプチ
ドのアンタゴニストであることが推測され得る。あるいは、蛍光の減少は、試験
化合物が細胞の膜電位を減少させることを示す。蛍光の減少が非共役タンパク質
ポリペプチド発現細胞において観察されるが、コントロール細胞では観察されな
い場合、この試験化合物は、非共役タンパク質ポリペプチドのアゴニストである
ことが推測され得る。
【0753】 (実施例18:ノックアウトマウス) 内因性非共役タンパク質遺伝子発現もまた、標的化された相同組換えを使用し
て非共役タンパク質遺伝子および/またはそのプロモーターを不活性化あるいは
「ノックアウトする」ことによって減少し得る(例えば、Smithiesら、
Nature 317:230−234(1985);ThomasおよびCa
pecchi、Cell 51:503−512(1987);Thompso
nら、Cell 5:313−321(1989)を参照のこと;これらの各々
は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。例えば、内因性ポリヌク
レオチド配列(この遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)と相同性の
DNAに隣接される、本発明の非機能的な変異ポリヌクレオチド(または完全に
関連のないDNA配列)を、選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカ
ーを用いてまたは用いずに使用し、インビボで本発明のポリペプチドを発現する
細胞をトランスフェクトし得る。別の実施形態において、当該分野で公知の技術
を、目的の遺伝子を含むが、発現しない細胞中でノックアウトを作製するために
使用する。標的化された相同組換えを介した、このDNA構築物の挿入は、標的
化された遺伝子の不活性化を生じる。このようなアプローチは、胚性幹細胞に対
する改変が不活性な標的化された遺伝子を有する動物の子孫を作製するために使
用され得る研究および農業分野に特に適する(例えば、ThomasおよびCa
pecchi 1987およびThompson 1989、前出を参照のこと
)。しかし、このアプローチは、当業者に明白な適切なウイルスベクターを使用
して、組換えDNA構築物がインビボで要求された部位に直接投与され、または
標的化される場合、ヒトにおける使用に慣用的に適合され得る。
【0754】 本発明のさらなる実施形態において、本発明のポリペプチドを発現するように
遺伝子操作される細胞、あるいは本発明のポリペプチドを発現しないように遺伝
子操作される細胞(例えば、ノックアウト)を、インビボで患者に投与する。こ
のような細胞は、患者(すなわち、ヒトを含む動物)またはMHC適合性ドナー
から入手され得、そして線維芽細胞、骨髄細胞、血球(例えば、リンパ球)、脂
肪細胞、筋細胞、内皮細胞などを含み得るが、それらに限定されない。この細胞
を、例えば、形質導入(ウイルスベクターおよび好ましくは細胞ゲノム中に導入
遺伝子を組み込むベクターを使用する)、またはトランスフェクション手順(プ
ラスミド、コスミド、YAC、裸のDNA、エレクトロポレーション、リポソー
ムなどの使用を含むが、これらに限定されない)によって、細胞中に本発明のポ
リペプチドのコード配列を導入するために、あるいはこのコード配列および/ま
たは本発明のポリペプチドに結合している内因性の調節配列を破壊するために、
組換えDNA技術を、使用してインビトロで遺伝子操作する。本発明のポリペプ
チドのコード配列を強力な構成的プロモーターもしくは誘導性プロモーターまた
はプロモーター/エンハンサーの制御下に配置し、非共役タンパク質ポリペプチ
ドの発現および好ましくは分泌を達成し得る。本発明のポリペプチドを発現およ
び好ましくは分泌する操作した細胞を、例えば、循環中において、または腹腔内
で患者中へ全身的に導入し得る。
【0755】 あるいは、この細胞をマトリックスに組み込み得、そして身体に移植し得る(
例えば、遺伝子操作した線維芽細胞を皮膚移植片の一部として移植し得る);遺
伝子操作した内皮細胞をリンパ移植片または脈管移植片の一部として移植し得る
(例えば、Andersonら、米国特許第5,399,349号ならびにMu
lliganおよびWilson、米国特許第5,460,959号を参照のこ
と。これらの各々は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。
【0756】 投与される細胞が非自己または非MHC適合性細胞である場合、それらを、こ
の導入細胞に対する宿主免疫応答の発生を妨害する周知の技術を使用して投与し
得る。例えば、この細胞をカプセル化形態で導入し得、これは、成分と細胞のす
ぐ外の環境との交換が可能である間は、導入細胞が宿主免疫系によって認識され
ることを可能にしない。
【0757】 本発明のノックアウト動物は、非共役タンパク質ポリペプチドの生物学的機能
の詳述、異常な非共役タンパク質発現に関連する状態および/または障害の研究
、ならびにこのような状態および/または障害を寛解させる場合に有効な化合物
のスクリーニングにおいて、有用な動物モデル系を含むが、それらに限定されな
い用途を有する。
【0758】 非共役タンパク質の活性における変化は、標的化される相同組換えを使用して
、非共役タンパク質遺伝子および/またはそのプロモーターを「ノックアウト」
することによって観察され得る(例えば、Smithiesら、Nature
317:230〜234(1985);ThomasおよびCapecchi、
Cell 51:503〜512(1987);Thompsonら、Cell
5:313〜321(1989);これらの各々は、その全体において本明細
書中で参考として援用される)。これは、疾患(例えば、肥満)と関連する遺伝
子座に位置する非共役タンパク質について特に有用であり得る。このようなノッ
クアウトは、国際公開番号WO98/31396に議論されるように、自然の肥
満のモデルを生じ得る。
【0759】 (実施例19:自然の肥満のマウスモデルにおける非共役タンパク質の役割) 体脂肪百分率および平均体温は、実施例18のノックアウトマウスおよび内因
性非共役タンパク質を発現している正常マウスの両方における非共役タンパク質
の発現と相関する。非共役タンパク質をコードするmRNAを、実施例3(前出
)において決定されるように、非共役タンパク質を発現している組織から単離す
る。相関を、国際公開番号WO98/31396に記載されるように、マウスの
mRNAレベルと体脂肪の百分率との間で決定する。負の相関(すなわち、非共
役タンパク質の発現の増加および体脂肪百分率の減少)は、非共役タンパク質が
マウスにおける体脂肪百分率に影響することを示唆する。さらに、体脂肪百分率
における増加が、自然の肥満モデルのノックアウトマウスにおいて観察される場
合、これはまた、非共役タンパク質がマウスにおける体脂肪百分率に影響するこ
とを示唆する。
【0760】 さらに、中心の体温を、固形試料の食餌(chow)において維持された45
匹のBSBマウスの離乳後、毎週決定する。体温の増加と非共役タンパク質の発
現の増加との間の正の相関は、非共役タンパク質がマウスにおける体温に影響す
ることを示唆する。さらに、体温における減少が、自然の肥満モデルのノックア
ウトマウスにおいて観察される場合、これはまた、非共役タンパク質がマウスに
おける体温に影響することを示唆する。
【0761】 本発明は、前述の記載および実施例において特に記載される以外にも実施され
得ることが明らかである。本発明の多くの改変およびバリエーションが、上記の
教示を鑑みて可能であり、従って、添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【0762】 発明の背景、詳細な説明、および実施例において引用される各文書の全開示(
特許、特許出願、学術文献、要約、実験室マニュアル、書物、または他の開示を
含む)は、本明細書によって、本明細書中に参考として援用される。さらに、本
明細書とともに提出される配列表のハードコピーおよび対応するコンピュータ読
み出し形式は、それらの全体において本明細書中に参考として両方が援用される
【0763】
【表4】 (ATCC受託番号 PTA−321) (カナダ) 出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶
または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁
長官(Commissioner of Patents)が、長官により指名
された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料の
サンプルの供与を許可する旨を請求し、出願人は、国際出願の公表のための規則
上の準備が完了する前に、書面によりその旨を国際事務局に告知しなければなら
ない。
【0764】 (ノルウェー) 出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0765】 (オーストラリア) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、
あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発
明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addre
ssee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国
特許法第3.25(3)号規定)。
【0766】 (フィンランド) 出願人はここにおいて、出願が(特許および統制委員会(National
Board of Patents and Regulations)により
)公開に付されるかあるいは公開を経ずに国立特許および法規委員会による決定
を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を
、請求する。
【0767】 (英国) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は専門家に対してのみ利用可
能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための規則上の
準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない
【0768】 (デンマーク) 出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0769】 (スウェーデン) 出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付される
かあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁による決定を受けるまでは、サンプ
ルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請
求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対
してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s Gui
deのVolume Iのannex Zに記載された書式PCT/RO/13
4による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサン
プルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする
。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(lis
t of recognized experts)に記載された任意の者か、
あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0770】 (オランダ) 出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取
り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規
定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求す
る。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき
出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人
によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【0771】
【表5】 (ATCC受託番号 PTA−197) (カナダ) 出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶
または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁
長官(Commissioner of Patents)が、長官により指名
された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料の
サンプルの供与を許可する旨を請求し、出願人は、国際出願の公表のための規則
上の準備が完了する前に、書面によりその旨を国際事務局に告知しなければなら
ない。
【0772】 (ノルウェー) 出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0773】 (オーストラリア) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、
あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発
明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addre
ssee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国
特許法第3.25(3)号規定)。
【0774】 (フィンランド) 出願人はここにおいて、出願が(特許および統制委員会(National
Board of Patents and Regulations)により
)公開に付されるかあるいは公開を経ずに国立特許および法規委員会による決定
を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を
、請求する。
【0775】 (英国) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は専門家に対してのみ利用可
能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための規則上の
準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない
【0776】 (デンマーク) 出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0777】 (スウェーデン) 出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付される
かあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁による決定を受けるまでは、サンプ
ルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請
求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対
してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s Gui
deのVolume Iのannex Zに記載された書式PCT/RO/13
4による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサン
プルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする
。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(lis
t of recognized experts)に記載された任意の者か、
あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0778】 (オランダ) 出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取
り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規
定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求す
る。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき
出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人
によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【0779】
【表6】 (ATCC受託番号 PTA−928) (カナダ) 出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶
または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁
長官(Commissioner of Patents)が、長官により指名
された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料の
サンプルの供与を許可する旨を請求し、出願人は、国際出願の公表のための規則
上の準備が完了する前に、書面によりその旨を国際事務局に告知しなければなら
ない。
【0780】 (ノルウェー) 出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0781】 (オーストラリア) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、
あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発
明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addre
ssee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国
特許法第3.25(3)号規定)。
【0782】 (フィンランド) 出願人はここにおいて、出願が(特許および統制委員会(National
Board of Patents and Regulations)により
)公開に付されるかあるいは公開を経ずに国立特許および法規委員会による決定
を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を
、請求する。
【0783】 (英国) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は専門家に対してのみ利用可
能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための規則上の
準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない
【0784】 (デンマーク) 出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0785】 (スウェーデン) 出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付される
かあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁による決定を受けるまでは、サンプ
ルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請
求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対
してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s Gui
deのVolume Iのannex Zに記載された書式PCT/RO/13
4による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサン
プルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする
。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(lis
t of recognized experts)に記載された任意の者か、
あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0786】 (オランダ) 出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取
り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規
定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求す
る。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき
出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人
によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/18 C12N 1/19 4C084 C12N 1/15 1/21 4H045 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 5/00 A 33/50 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 60/149,448 (32)優先日 平成11年8月18日(1999.8.18) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/164,751 (32)優先日 平成11年11月12日(1999.11.12) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ルーベン, スティーブン エム. アメリカ合衆国 メリーランド 20832, オルニー, ヘリテイジ ヒルズ ドラ イブ 18528 (72)発明者 ニ, ジアン アメリカ合衆国 メリーランド 20853, ロックビル, マナーフィールド ロー ド 5502 (72)発明者 コマットソウリス, ジョージ アメリカ合衆国 メリーランド 20901, シルバー スプリング, ギャーウッド ストリート 9518 (72)発明者 ローゼン, クレイグ エイ. アメリカ合衆国 メリーランド 20882, レイトンズビル, ローリング ヒル ロード 22400 (72)発明者 ソペット, ダニエル アール. アメリカ合衆国 バージニア 22020, センタービル, スティルフィールド プ レイス 15050 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA36 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 DA02 DA06 EA02 EA04 GA11 HA01 HA12 HA15 HA17 4B063 QA01 QA07 QA12 QA17 QA19 QQ43 QR56 QS25 QS34 4B064 AG01 CA02 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA90X AA93Y AB01 AC14 BA01 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 BA01 BA08 BA16 BA17 BA18 BA19 BA20 BA21 BA22 BA23 CA53 NA14 ZA512 ZA592 ZA682 ZA702 ZA812 ZA892 ZA962 ZB012 ZB152 ZB262 ZB272 ZB352 ZC552 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 EA21 EA22 EA27 EA28 EA29 EA50 FA74

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離された核酸分子であって、以下: (a)配列番号Xに示されるポリヌクレオチド、またはATCC受託番号Zに
    含まれるcDNAによってコードされるポリヌクレオチド; (b)配列番号Yの生物学的に活性なポリペプチドフラグメント、またはAT
    CC受託番号Zに含まれるcDNA配列によってコードされる生物学的に活性な
    ポリペプチドフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド; (c)配列番号Yのポリペプチドエピトープ、またはATCC受託番号Zに含
    まれるcDNA配列によってコードされるポリペプチドエピトープをコードする
    、ポリヌクレオチド; (d)(a)〜(c)において特定されるポリヌクレオチドのいずれか1つに
    ストリンジェント条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチドであって、こ
    こで、該ポリヌクレオチドは、A残基のみまたはT残基のみのヌクレオチド配列
    を有する核酸分子に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズしない、ポリヌ
    クレオチド、 からなる群より選択されるポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記ポリヌクレオチドが、可溶性ポリペプチドをコードする
    ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号Yとして同定される配列
    をコードするヌクレオチド配列、またはATCC受託番号Zに含まれるcDNA
    配列によってコードされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、
    請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号Xの全体のヌクレオチド
    配列、またはATCC受託番号Zに含まれるcDNAを含む、請求項1に記載の
    単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項2に記載の単
    離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 前記ポリヌクレオチドがRNAである、請求項3に記載の単
    離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  9. 【請求項9】 遺伝子発現を制御する異種調節エレメントに作動可能に連結
    されている請求項1に記載の核酸分子を含む、組換え宿主細胞。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の宿主細胞からコードされたポリペプチド
    を発現する工程、および該ポリペプチドを回収する工程を包含する、ポリペプチ
    ドの産生方法。
  11. 【請求項11】 単離されたポリペプチドであって、以下: (a)配列番号Yに示されるポリペプチド、またはcDNAによってコードさ
    れるポリペプチド; (b)配列番号Yのポリペプチドフラグメント、またはcDNAによってコー
    ドされるポリペプチド; (c)配列番号Yのポリペプチドエピトープ、またはcDNAによってコード
    されるポリペプチド;および (d)配列番号Yの改変体、 からなる群より選択される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、
    単離されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 配列番号Yを有するポリペプチドを含む、請求項11に記
    載の単離されたポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドに特異的に結
    合する、単離された抗体。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドを発現する、
    組換え宿主細胞。
  15. 【請求項15】 単離されたポリペプチドを作製する方法であって、以下: (a)該ポリペプチドが発現されるような条件下で、請求項14に記載の組換
    え宿主細胞を培養する工程;および (b)該ポリペプチドを回収する工程、 を包含する、方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法によって産生される、ポリペプチ
    ド。
  17. 【請求項17】 医学的状態を予防、処置、または緩和する方法であって、
    請求項11に記載のポリペプチドまたは請求項1に記載のポリヌクレオチドの治
    療有効量を、哺乳動物被験体に投与する工程を包含する、方法。
  18. 【請求項18】 被験体における病理学的状態、または病理学的状態に対す
    る感受性を診断する方法であって、以下: (a)請求項1に記載のポリヌクレオチドにおける変異の存在または非存在を
    決定する工程;および (b)該変異の存在または非存在に基づいて病理学的状態、または病理学的状
    態に対する感受性を診断する工程、 を包含する、方法。
  19. 【請求項19】 被験体において病理学的状態、または病理学的状態に対す
    る感受性を診断する方法であって、以下: (a)生物学的サンプルにおける請求項11に記載のポリペプチドの発現の存
    在または量を決定する工程;および (b)該ポリペプチドの発現の存在または量に基づいて病理学的状態、または
    病理学的状態に対する感受性を診断する工程、 を包含する、方法。
  20. 【請求項20】 請求項11に記載のポリペプチドに対する結合パートナー
    を同定する方法であって、以下: (a)請求項11に記載のポリペプチドを結合パートナーと接触させる工程;
    および (b)該結合パートナーが該ポリペプチドの活性をもたらすか否かを決定する
    工程、 を包含する、方法。
  21. 【請求項21】 請求項11に記載のポリペプチドの活性を改変する分子を
    スクリーニングする方法であって、以下: (a)該ポリペプチドを、アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を有する
    と疑われる化合物と接触させる工程;および (b)該ポリペプチドの活性をアッセイする工程; を包含する、方法。
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