JP2003513022A - 天然に似たコンフォメーションを有する酸化還元の可逆的なhcvタンパク質 - Google Patents

天然に似たコンフォメーションを有する酸化還元の可逆的なhcvタンパク質

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、システイン残基が精製中に可逆的に保護されている、HCVタンパク質に関する。最終的に、この精製手順により、生物活性、並びに、対応するエピトープを提示する天然に似たタンパク質コンフォメーションを有するHCVタンパク質が得られる。本発明はまた、これらのHCVタンパク質を使用した医薬品スクリーニング法、並びに、ワクチンおよび医薬品などの診断および治療適用にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、システイン残基が精製中に可逆的に保護されている、HCVタンパ
ク質に関する。最終的に、この精製手順により、生物活性、並びに、対応するエ
ピトープを提示する天然に似たタンパク質コンフォメーションを有するHCVタ
ンパク質が得られる。本発明はまた、これらのHCVタンパク質を使用した医薬
品スクリーニング法、並びに、ワクチンおよび医薬品などの診断および治療適用
にも関する。
【0002】 (発明の背景) C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、先進国および発展途上国の両方において
主要な健康問題である。世界の人口の約1から5%が該ウイルスに罹患している
と推定されている。HCV感染は、輸血に関連した肝炎の最も重要な原因と思わ
れ、頻繁に慢性的な肝臓傷害に進行する。さらに、肝細胞癌の誘発にHCVが関
与する証拠もある。結果として、信頼性のある診断法および効果的な治療剤の需
要は高い。HCV混入血液製剤をスクリーニングする感度及び特異性の高い方法
および改良されたHCV培養法も必要である。
【0003】 HCVは、少なくとも3つの構造および6つの非構造タンパク質をコードする
、約9,600塩基のプラス鎖RNAウイルスである。配列相同性に基づき、構
造タンパク質は、1つの単一のコアタンパク質および2つのエンベロープタンパ
ク質:E1およびE2として機能的に割当てられた。E1タンパク質は192個
のアミノ酸からなり、HCV遺伝子型に応じて、5から6個のN−グリコシル化
部位を含む。E2タンパク質は、363から370個のアミノ酸を含み、HCV
遺伝子型に応じて、9〜11個のN−グリコシル化部位を含む(総説については
、Major および Feinstone, 1997; Maertens および Stuyver, 1997参照)。E
1タンパク質は、種々の可変ドメインを含むが(Maertens および Stuyver, 199
7)、E2タンパク質は3個の超可変ドメインを含み、その中の主要なドメイン
はタンパク質のN末端に位置する(Maertens および Stuyver, 1997)。これら
のエンベロープタンパク質は、エシェリヒア・コリ、昆虫細胞、酵母細胞および
哺乳動物細胞において組換え技術により産生されている。
【0004】 NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5Bは、非構造(
NS)タンパク質である。NS3は約70kDaであり、プロテアーゼおよびヘリ
カーゼ活性を有する。ヘリカーゼ活性に必須であるNS3中の配列は、RNA結
合特性、Mg++結合特性およびATP結合特性も有する。抗NS3抗体は、セロ
コンバーションシリーズにおいて最初に出現することが多い。NS3タンパク質
の免疫反応性は、今日利用可能な種々の市販のアッセイで異なるようである。
【0005】 現在までに、疾病に対するワクチン接種は、疾病を制御する最もコスト効率的
かつ能率的な方法であることが判明している。しかし、効果的なHCVワクチン
を開発する努力は、困難に遭遇している。ワクチンの必須条件は、患者の免疫応
答の誘導である。結果として、HCV抗原性決定基を同定し、患者に適切な設定
で投与すべきである。抗原性決定基は、少なくとも2つの形、すなわち線形およ
びコンフォメーションエピトープに分類し得る。コンフォメーションエピトープ
は、3次元空間における分子のフォールディングから生じる。一般に、コンフォ
メーションエピトープは、最も効果的なワクチンを実現すると考えられている。
なぜなら、それらは、天然に似たHCVエピトープに類似したエピトープを提示
するからである。しかし、ほんの僅かな量のビリオンしか生じないといった、H
CVの培養に関する克服できない問題があるようである。さらに、適切にフォー
ルディングされていないタンパク質を生じるといった、組換えタンパク質の発現
および精製に関連した非常に多くの問題がある。それ故、大半のHCVタンパク
質のインビボでの構造は不明確であり、従って、コンフォメーションエピトープ
に対する確固とした試験は実施されてきていない。
【0006】 さらに、適切なインビトロでの培養系および小動物モデルがないことにより、
C型肝炎感染ウイルス用の新規抗ウイルス医薬品の開発は重度に妨げられている
。チンパンジーは、HCV感染、予防および治療の試験のための唯一の利用可能
なモデルであるが、この系では、以前に選択した化合物の試験しか可能ではない
【0007】 E1エンベロープタンパク質は、E2エンベロープタンパク質が適切なフォー
ルディング状態に達することを必要とすることが示唆されている(Deleersnyder
ら、1997)。さらに、E1およびE2は、ウイルスエンベロープの基本単位を形
成し得るへテロダイマーを形成すると示唆されている(Yiら、1997)。しかし、
Houghton(1997)は、3匹の慢性的にHCVに感染したチンパンジーを組換えg
pE1E2(4×25μg)で反復免疫化することにより、有意な免疫応答は誘
導されないと報告した。C型肝炎患者における抗エンベロープ免疫応答の誘導は
、実際に患者に望ましく有益である。なぜなら、より高いレベルの前記抗体が、
インターフェロン療法に対する良好な応答に相関するようであり、それ故、患者
がウイルスを排除するのを助け得るからである(MaertensらのPCT/EP95
/03031号)。慢性HCV保因者におけるE1に対する抗体レベルは、全H
CV抗体の中で最も低く、それ故、それらの抗体レベル、および可能であれば細
胞応答を高め、宿主による感染の制御またはさらには排除を誘導することが有益
であり得る。また、E1に対するより高いレベルの細胞免疫が、インターフェロ
ン療法に対する良好な応答に相関するようである(Leroux-Roelsら、1996)。重
要なことに、上記の試験は、天然に似たE1ペプチドに依拠しなかった。
【0008】 HCV陽性血清の検出のためのNS3の最も重要なエピトープは、コンフォメ
ーションエピトープに関連している。NS3エピトープは、NS3タンパク質の
全体に散乱しているようである(Leroux-Roelsら 1996; Rehermannら、1996, 19
97; Diepolderら、1995, 1997も参照)。主要なアッセイでは、NS3タンパク
質をペプチドの代わりに使用した。
【0009】 分子生物学および遺伝子工学の進歩により、異種発現系を使用して大量のタン
パク質産物を産生することが可能となった。しかし、異種宿主の使用により、組
換え産物の生物学的および/または構造的特性に差異が生じ得る。細胞中での合
成およびその後の精製中またはその後に、タンパク質に起こり得る生化学的修飾
の中で、ジスルフィド結合の形成および維持が重要である。システイン酸化還元
状態は、ジスルフィド結合したタンパク質の正しいフォールディングまたは会合
に複雑に連関している。さらに、タンパク質の生物学的機能は、このスルフヒド
リル基の酸化状態により調節されるか、または少なくとも影響を受けることが非
常に多い。これは、スルフヒドリル基の酸化の可逆性および時期が生理的制御機
序として提唱されているいくつかの酵素活性に該当する(Thomasら、1995; Naka
muraら、1997; Aslund および Beckwith, 1999も参照)。
【0010】 システイニル酸化還元状態(チオール対ジスルフィド結合形成)を触媒する数
個のタンパク質因子が特徴づけられている(Mossnerら、1998; Prinzら、1997;
Loferer & Hennecke, 1994)。主に、これらのタンパク質因子は、「チオレドキ
シンタンパク質スーパーファミリー」に属し、その中のメンバーは、Cys−X
−X−Cys共通配列(X=任意のアミノ酸)に2つの酸化還元活性システイン
を含む。このスーパーファミリーは、活性部位の酸化還元能、基質特異性または
生物活性に基づいて異なるクラスに分類できる。別の分類は、酸化還元活性中心
の共通配列に依拠する、すなわち: (i)チオレドキシン(TRX)により共通して示される1つのクラスは、小さ
な遍在的タンパク質からなる。酸化還元活性中心は、細菌から植物および哺乳動
物まで多くの種に高度に保存されている、共通配列Cys−X−Pro−Cys
(X=任意のアミノ酸)を有する。酸化TRXoxは、TRX−レダクターゼ、F
ADおよびNADPHとの複合体中でその還元型に再生される。 (ii)グルタレドキシン(GRX)は、第二のクラスのチオレドキシンスーパー
ファミリーの共通の代表である。酸化還元活性中心は共通配列Cys−Pro−
X−Cysを有し、ここでのXは好ましくは芳香族アミノ酸、すなわちTyrま
たはPheである。GRXはTRXと同様、ジスルフィドを用いる還元剤として
作用するが、GRXは、例えばチオール化タンパク質の還元において、特異的グ
ルタチオン(GSH)混合ジスルフィドレダクターゼであろう。
【0011】 CXXCモチーフはまた、種々の細胞内および細胞外の生化学的および生物学
的機能に、例えばチオール/ジスルフィド交換反応、遷移金属の結合、脂質取込
み部位、および調節活性、例えば遺伝子転写制御、サイトカインとして機能する
こと等を含むシグナル伝達の調節、およびタンパク質の(脱)チオール化状態の
制御に関与し得ることが実証された。重要なことに、CXXCモチーフは、3次
並びに4次タンパク質構造で機能し得る(Thomasら、1995; Pinterら、1997; As
lundおよびBeckwith, 1999; Nakamuraら、1997も参照)。
【0012】 HCVタンパク質は、CXXCモチーフを含む。しかし、現在までに、従来技
術において、これらのCXXCモチーフの可逆的酸化還元状態はHCVにとって
重要であるという示唆または指摘は全くない。現在までに記載された精製プロト
コルは、CXXCモチーフにおける可逆的−S−S−橋を重視していない。結果
として、精製HCVタンパク質のコンフォメーション並びにその生物活性は損な
われる。
【0013】 天然HCVタンパク質を研究する多くの試みがなされてきた。遭遇する問題は
、正確なまたは天然に似たコンフォメーションをもつHCVタンパク質を精製で
きないことであった。結果的に、コンフォメーションエピトープ、並びに、天然
に似たコンフォメーションに依存的な他の生化学的および生物学的機能および活
性は、解明されないままである。さらに、肝疾患およびウイルス性肝炎の医薬品
標的には同じ欠点があり、医薬品スクリーニングプログラムは必ず失敗している
【0014】 (発明の要約/目的) 従って、発現および精製系がないことまたは十分でないことにより、タンパク
質の正確なフォールディングまたは会合が損なわれているようである。このよう
な精製タンパク質は、しばしば、生物学的に活性ではない、および/または不正
確なタンパク質構造を有する。結果として、天然抗HCV抗体は、例えばHought
on(1997)に参照されているようにこれらのタンパク質上の重要な抗原性決定基
のサブセットを認識できない。
【0015】 本発明は、これらの問題を克服する。なぜなら本発明は、システイニル残基の
可逆的酸化還元状態に因り、天然に似たコンフォメーションをもつHCVタンパ
ク質を初めて記載し、製造するからである。従って、HCVタンパク質の新規構
造が開示される。特に、本発明により、生物学的に活性および/または天然に似
たコンフォメーションを有するHCVタンパク質の精製が可能となる。天然に似
たHCVタンパク質により、新しいコンフォメーション的およびオリゴマー化依
存的エピトープが得られる。
【0016】 天然に似たHCVタンパク質の直接的または間接的な(媒介された)インビト
ロおよびインビボでの活性により、生化学的および生物学的経路およびカスケー
ド、例えば代謝、酵素、シグナル伝達、免疫反応性を研究する可能性が創造され
る。活性中心、結合部位および相互作用ドメイン(タンパク質−タンパク質、タ
ンパク質−糖、タンパク質−核酸およびタンパク質−小分子)の同定により、肝
炎に関与する細胞およびウイルスのプロセスを妨害する、医薬品の開発が可能と
なる。
【0017】 システイニル遮蔽基が除去され、次いでHCVタンパク質のシステイン残基の
リフォールディングおよび再酸化が生じる、本発明の精製およびフォールディン
グ法により、HCVタンパク質の天然に似たコンフォメーションの回復が可能と
なる。
【0018】 (目的) 本発明は、可逆的酸化還元状態を有する、Cys−アミノ酸を含む、HCVタ
ンパク質またはその機能的等価部分を目的とする。特に、本発明は、可逆的酸化
還元状態を有する少なくとも2つのCys−アミノ酸を含む、HCVタンパク質
に関する。後者のCys−アミノ酸は、他のアミノ酸によりスペースをあけるこ
とができる。好ましくは、前記Cysアミノ酸は、アミノ酸配列Cys−X1
2−Cysに含まれ、ここでのアミノ酸X1は任意のアミノ酸を示し、アミノ酸
2は任意のアミノ酸を示す。より好ましくは、アミノ酸X1はアミノ酸Val、
LeuまたはIleを示し、アミノ酸X2はアミノ酸Proを示す。
【0019】 さらに、本発明は、以下のプロセス: (a)システイン残基が、化学的および/または酵素的に可逆的に保護されてい
る、HCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分を精製すること、 (b)システイン残基の可逆的保護状態を除去すること、 (c)システイン残基が可逆的酸化還元状態を有する、HCVタンパク質または
その任意の機能的等価部分を得ること、 により得ることのできる、上記に記載の、可逆的酸化還元状態を有する、少なく
とも2つのCys−アミノ酸を含む、HCVタンパク質またはその機能的等価部
分を提供することを目的とする。
【0020】 さらに、本発明は、医薬として使用するための、上記に定義したような、HC
Vタンパク質またはその任意の機能的等価部分の提供を目的とする。 さらに、本発明は、HCVワクチン組成物、特に治療ワクチンまたは予防ワク
チンの製造のための、上記に定義したような、HCVタンパク質またはその任意
の機能的等価部分の使用を目的とする。 さらに、本発明は、特異的抗体を産生するための、上記に定義したような、H
CVタンパク質またはその任意の機能的等価部分の提供を目的とする。 さらに、本発明は、HCV抗体−HCVタンパク質複合体の形成を決定するこ
とにより、HCV抗体を検出するためのイムノアッセイを提供することを目的と
する。 最後に、本発明は、オキシドレダクターゼ活性の変化をモニタリングすること
により、上記に定義したようなHCVタンパク質の活性を調整する化合物を同定
するためのバイオアッセイを提供することを目的とする。
【0021】 本発明の全ての目的は、以下に示したような実施態様により満たされると考え
られる。
【0022】 (発明の詳細な説明) 本明細書に記載の本発明は、以前に発表された研究および係属中の特許出願を
参考にする。例えば、そのような研究は、科学論文、特許または係属中の特許出
願からなる。上記でまたは以下で引用した、これらの全刊行物および出願を、本
明細書に参考として取込む。
【0023】 本発明は、特定のコンフォメーションを有するHCVタンパク質に関する。初
めて、天然に似たコンフォメーションを有するHCVタンパク質、特にHCV
E1タンパク質が作製される。これらのHCVタンパク質のコンフォメーション
に関与する特定のシステイン結合が重要であることが判明した。例えば、天然に
似たコンフォメーションを有するHCVタンパク質の精製を可能とする、新規か
つ発明的精製プロトコルが開示される。これらの新規HCVタンパク質は、コン
フォメーションエピトープを提示できるだけでなく、生物活性も示すことができ
る。これらの新規HCVタンパク質は、例えば、医薬品スクリーニング、生物活
性、シグナル伝達経路、細胞内および細胞外プロセシング、HCVおよび/また
は非HCV分子の間の相互作用および結合、オリゴマー化、コンフォメーション
エピトープ、抗体スクリーニング、代謝および酵素活性、免疫反応性に関する研
究などの種々の研究に使用できる。これらの研究は、最終的に診断および/また
は治療適用の内容で設定できるようである。
【0024】 本発明は、HCVタンパク質が、システイニル残基の可逆的酸化還元状態に因
り、特定の天然に似たコンフォメーションおよび生物活性を有するという知見に
基づく。
【0025】 それ故、本発明は、可逆的酸化還元状態を有する、Cys−アミノ酸を含む、
HCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分に関する。特に、本発明は、
可逆的酸化還元状態を有する、少なくとも2つのCys−アミノ酸を含む、HC
Vタンパク質に関する。後者のCys−アミノ酸は、他のアミノ酸により空間を
あけることができる。好ましくは、前記Cysアミノ酸は、アミノ酸配列Cys
−X1−C2−Cysに含まれ、ここでのアミノ酸X1は任意のアミノ酸を示し、
アミノ酸X2は任意のアミノ酸を示す。より好ましくは、アミノ酸X1は、アミノ
酸Val、LeuまたはIleを示し、アミノ酸X2はアミノ酸Proを示す。
【0026】 HCV これに関して、本発明は、HCV、および、フラビウイルス科の他のメンバー
、例えば、G型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、黄熱ウイルスに関する。従っ
て、「HCV」なる語は、フラビウイルス科の全メンバーを考える。
【0027】 タンパク質 本明細書に使用したような「タンパク質」なる語は、その酸化還元状態が可変
性である、少なくとも1つのシステインをそのアミノ酸配列に含む、HCVタン
パク質またはその任意の機能的等価部分を意味する(下記参照)。また、そのア
ミノ酸配列に少なくとも1つのシステインを含むタンパク質「ドメイン」は、「
タンパク質」なる語に考えられる。本明細書に使用したような「その機能的等価
部分」なる語は、その酸化還元状態が可変性である、少なくとも1つのシステイ
ンをそのアミノ酸配列に含む、上記HCVタンパク質の部分または断片を意味す
る。特に、「タンパク質」および「その機能的等価部分」なる語は、酸化還元活
性中心を含む、例えばHCV E1タンパク質などの、HCVタンパク質または
その断片を意味する。より特定すると、本発明は、HCV E1sおよびHCV
E1pを意味する。これに関して、本明細書に使用したような「酸化還元活性
中心」なる語は、共通配列CXXCを含むタンパク質モチーフを意味する。 「ペプチド」なる語は、公知のHCVタンパク質から得られたアミノ酸(aa'
s)のポリマーを意味する(Linnenら、1996; Maertens および Stuyver, 1997
)。「HCV E1」なる語は、当業者による公知のタンパク質である(Wengle
r, 1991)。HCV E1は、以前には非構造タンパク質1(NS1)またはE
2/NS1と呼ばれた、HCV E2と共に、HCVのエンベロープ領域を構成
する。
【0028】
【表1】
【0029】 「ペプチド」なる語は、アミノ酸のポリマーを意味し、生成物の特定の長さを
意味しない。従って、「ペプチド」、「ポリペプチド」、「ポリタンパク質」お
よび「タンパク質」なる語は、「ペプチド」の定義内に含まれ、本明細書では同
義語として使用する。「ペプチド」なる語は、例えばグリコシル化、アセチル化
、リン酸化等のペプチドの発現後修飾を意味しないか、または除外する。ペプチ
ドの定義内に含まれるのは、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体を含むポリペ
プチド(例えば、非天然アミノ酸、PNA(Nielsenら、1991, 1993)等を含む
)、置換連鎖を有するペプチド、並びに、天然および非天然の両方の当分野内で
既知の他の修飾である。従って、ペプチドは、DまたはL−アミノ酸からなる、
直鎖、環式または制限的(本発明に記載以外の、「S−S」橋により環化または
安定化)であってもよく;ペプチドは、多量体、分岐、ファージ上に提示、また
は異なる性質のポリマー、例えば有機、脂質、炭水化物、タンパク質、核酸ポリ
マー上に共有結合または非共有結合で固定されてもよく;または、ペプチドは骨
格に存在してもよい。従って、ペプチド模倣体またはミモトープ(mimotope)は
、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」に固有であると理解さ
れる。
【0030】 ポリマー上での固定は、HCVペプチド自体の残基により、または例えばhi
s−標識(tag)(Dietrichら、1996)または脂質キレート剤(Dietrichら、199
5)を介したような、他の分子に縮合または結合したHCVペプチドにより実現
できる。
【0031】 「ミモトープ」なる語は、本明細書に定義したようなポリペプチドを免疫学的
に模倣するポリペプチドを意味する。配列の多様性がHCVで観察されたので、
異なる株のエピトープをより良好に模倣するために、1つ以上のアミノ酸を変化
することが望ましくてもよい。前記ミミオトープ(mimiotope)は、対象化合物
が、少なくとも1つのHCV株と免疫学的競合を提供できる限り、任意の特定の
HCV配列と同一である必要はないと理解すべきである。
【0032】 「ペプチド模倣体」なる語は、アミノ酸のみからなる必要はないが、本明細書
に定義したようなポリペプチドを免疫学的に模倣する分子を意味する。
【0033】 本発明は特に、古典的な化学合成により調製されるペプチドを意味する。合成
は、均一溶液または固相で実施できる。例えば、使用できる均一溶液中の合成技
術は、Houbenweyl(1974)に記載のものである。本発明のペプチドはまた、Athe
rton および Shepard(1989)に記載の方法に従って固相により調製できる。さ
らに、デンドリマー(Zhang & Tam, 1997)、ポリケチド(polyketide (Carrera
s & Santi, 1998)またはインテイン技術(Southworthら、1999)により合成さ
れたHCVペプチド、ペプチド模倣体およびミモトープも本発明に含まれる。
【0034】 本発明に記載のペプチドはまた、Sambrookら(1989)に記載のような組換えD
NA技術により、原核細胞または下等もしくは高等真核生物で調製できる。「下
等真核生物」なる語は、酵母、真菌等の宿主細胞を意味する。下等真核生物は、
一般に(必ずしもではないが)単細胞である。「原核細胞」なる語は、E. coli
、ラクトバチラス、ラクトコッカス、サルモネラ、ストレプトコッカス、バチラ
ス・スブチリスまたはストレプトミセスなどの宿主を意味する。またこれらの宿
主も本発明内に考えられる。好ましい下等真核生物は、酵母、特にスキロサッカ
ロミセス、サッカロミセス、クルイベロミセス(Kluiveromyces)、ピケア(例
えばピケア・パストリス)、ハンセヌラ(例えばハンセヌラ・ポリモルファ(Ha
nsenula polymorpha))、Schwaniomyces、スキゾサッカロミセス、Yarowia、Zy
gosaccharomyces等内の種である。サッカロミセス・セレビジアエ、S.カール
スバージェンシスおよびK.ラクチスは、最も一般的に使用される酵母宿主であ
り、簡便な真菌宿主である。「高等真核生物」なる語は、哺乳動物、ハ虫類、昆
虫等の高等動物から得られた宿主細胞を意味する。今回好ましい高等真核生物宿
主細胞は、チャイニーズハムスター(例えばCHO)、サル(例えばCOSおよ
びVero細胞)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、ブタ腎臓(PK15)、
ウサギ腎臓13細胞(RK13)、ヒト骨肉種細胞系143B、ヒト細胞系He
La、および、HepG2のようなヒト肝細胞癌細胞系、および昆虫細胞系(例
えばSpodoptera frugiperda)から得られる。宿主細胞は、懸濁液またはフラス
コ培養液、組織培養液、臓器培養液等で提供されてもよい。別に、宿主細胞は、
トランスジェニック動物でもよい。
【0035】 本発明に記載のタンパク質はまた、哺乳動物宿主、特にマウスまたは霊長類、
例えばヒト並びに非ヒトから単離できる。
【0036】 アミノ酸は、その完全な名称、3文字略称、および1文字記号により示すこと
ができることは公知である(例えばStryer, 1981参照)。
【0037】 さらに、本発明は、細胞内または細胞外宿主分子(宿主由来分子)、例えば、 (i)受容体タンパク質、例えばアネキシンV、アポリポタンパク質B、チュー
ブリン、24kDa形質膜タンパク質(Abrigani WO97/09349号)、マ
ンノース受容体、アシアロ糖タンパク質受容体; (ii)酸化還元調節、例えばグルタチオン、TRXおよびGRXに関与する分子
(タンパク質または非タンパク質化合物); (iii)シャペロンタンパク質、例えばカルネキシン; (iv)種々のグリコサミノグリカン(ペプチドおよび/または糖コア); (v)核酸または脂質、 に特異的に結合する、上記に定義したようなHCVタンパク質またはその部分に
関する。
【0038】 さらに、本発明は、ホモおよび/またはへテロ−オリゴマー複合体を生じる、
別のHCVタンパク質またはHCV核酸(HCV由来分子)またはその部分に特
異的に結合する、上記に定義したようなHCVタンパク質またはその部分に関す
る。 他のHCV由来分子または宿主由来分子に結合した、上記に定義したようなH
CVタンパク質またはその部分から得られた複合体は、「HCV由来複合体」と
口語的に示される。従って、「HCV由来複合体」は、別の分子に結合した上記
に定義したような少なくとも1つのHCVタンパク質、すなわち(HCV−タン
パク質)−X(ここでのXは宿主由来分子またはHCV由来分子である)からな
る。
【0039】 精製 本明細書に適用したような「精製した」なる語は、例えばHCVエンベロープ
タンパク質などの所望の成分が、組成物中に全成分の少なくとも35%含む組成
物を意味する。所望の成分は、好ましくは、組成物の全成分の割合の少なくとも
約40%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくと
も約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは
少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、さらにより好
ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約98%を含む。組成
物は、他の化合物、例えば炭水化物、塩、脂質、溶媒等を、本明細書に使用した
ような純度の決定に影響を及ぼすことなく含んでもよい。「単離」HCVタンパ
ク質は、少なくとも35%純粋である、HCVタンパク質組成物を意味する。こ
れに関して、本明細書に使用したような「精製HCVタンパク質」なる語は、実
質的に純粋な形の単離HCVタンパク質を意味することは明らかである。本明細
書に使用したような「実質的に精製されたHCVタンパク質」なる語は、インビ
トロでの診断法および治療薬に使用できるようなHCVタンパク質を意味する。
これらのHCVタンパク質は、細胞タンパク質、ベクター由来タンパク質、また
は他のHCVウイルス成分を実質的に含まない。通常、これらのタンパク質は、
均一に、少なくとも80%純粋、好ましくは85%、より好ましくは90%、よ
り好ましくは95%、より好ましくは97%、より好ましくは98%、より好ま
しくは99%、さらにより好ましくは99.5%まで精製され、最も好ましくは
混入タンパク質は、SDS−PAGEおよび銀染色などの慣用的な方法により検
出不可能であるべきである。
【0040】 抗体 本発明は、上記で記載したようなHCV−ペプチドを認識できるHCV−抗体
にも関する。
【0041】 さらに、本発明は、前記HCVタンパク質またはその機能的等価部分を特異的
に認識する、抗HCV抗体を産生するための、前記に定義したようなHCVタン
パク質またはその機能的等価部分に関する。
【0042】 「HCV−抗体」なる語は、本発明のHCV−タンパク質またはHCV由来複
合体に結合した任意のポリクローナルまたはモノクローナル抗体を意味する。 さらに、「HCV−抗体」なる語はまた、これらのHCVタンパク質中のS−
S−橋の存在に因り、HCVタンパク質のコンフォメーションから生じる、エピ
トープに対して産生される、特異的HCV−抗体を意味する。顕著なことには、
前記S−S橋は、エピトープの内在部分であり得る。しかし、システインの酸化
−還元状態(還元または酸化;チオール化またはS−コンジュゲート形)は、新
しいエピトープを生じる、タンパク質コンフォメーション(これらのシステイン
残基の近接または近接でない)を変化または安定化できるが、このエピトープは
、これらのシステイン残基を含んでも含まなくてもよい。これらの新しいエピト
ープも本発明の一部である。さらに、「HCV抗体」なる語はまた、上記に定義
したような、ミミトープ(mimitope)に結合した任意のポリクローナルまたはモ
ノクローナル抗体を意味する。
【0043】 さらに、従って「HCV−抗体」なる語はまた、HCV由来複合体の特定のコ
ンフォメーションから生じる抗原性決定基に結合する抗体、すなわち、本発明の
HCV−ペプチド上、または前記HCV−ペプチドが結合する分子、例えば本発
明のHCVペプチドとグリコサミノグリカン(GAG)、ヘパリン、核酸、脂質
、金属−イオンなどの補因子等の非タンパク質化合物の間の相互作用からその起
源を見出すエピトープ上に存在しない抗原性決定基に結合する抗体に関する。さ
らに、抗原性決定基は、例えばタンパク質プロセシング、切断またはpH変化によ
り誘導されるコンフォメーション変化により形成されてもよい。
【0044】 「エピトープ」なる語は、抗体会合部位に特異的に結合する、抗原−抗体複合
体の部分を意味する。エピトープは、当分野で公知の任意の技術により決定して
も、当分野で公知の種々のコンピュータ予測モデルにより予測してもよい。
【0045】 本発明に使用したような表現、「認識」、「結合」または「抗体−タンパク質
複合体の形成」は、抗原と抗体の間の結合、すなわち相互作用が、抗体および抗
原の免疫学的特性に留意した全条件下で起こると解釈される。
【0046】 さらに、HCVペプチドを作成するための、本発明の手順とは異なる種々の他
の手順が公知である。これらの他の手順により、エピトープを提示できるHCV
ペプチドが生じ得る。これらの種々で異なる手順から得られた、HCVペプチド
は、本発明のエピトープに類似したエピトープを提示できると考えられる。従っ
て、類似エピトープは、本発明とは異なる産生または精製手順から得られるが、
1つの同じ抗体により認識可能なエピトープである。しかし、本発明のタンパク
質は、エピトープを極めて効率的に提示する。結果的に、タンパク質上のエピト
ープは、より免疫原性である。それ故、本発明はまた、タンパク質上のエピトー
プにも関していて、前記エピトープは、本発明によって産生されず、可逆的酸化
還元状態をもつシステイニル残基を有さない、HCV−ペプチド上のエピトープ
の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、好ましくは少なくとも50
倍、好ましくは少なくとも100倍、好ましくは少なくとも500倍、最も好ま
しくは少なくとも1000倍の免疫原性である。前記の免疫原性は、例えば、い
ずれかの方法により産生した、同等量のペプチドを投与することで哺乳動物を免
疫化することにより、検出およびそれ故比較できることは当業者により理解され
るだろう。
【0047】 より特定すると、「HCV−抗体」なる語は、天然、組換えまたは合成HCV
タンパク質に結合する、特に、HCVから得られた天然、組換えまたは合成E1
、E1s、E1pおよび/またはNS3タンパク質、またはその任意の機能的等
価変異体またはその部分に結合した抗体(それぞれ抗HCV−E1−、抗−HC
V−E1s−、抗−HCV−E1p−、またはHCV−NS3−抗体)を意味す
る。HCV−抗体は、体液の試料に存在してもよく、HCV−E1−抗体、HC
V−E1s−抗体、HCV−E1p−抗体またはHCV−NS3−抗体であって
もよい。
【0048】 本明細書に使用したような「モノクローナル抗体」なる語は、均一な抗体集団
群を有する抗体組成物を意味する。この語は、抗体の種または起源に関して限定
されず、またそれが作成される様式にも限定されるものではない。従って、「抗
体」なる語は、ラクダ(Arabian および Bactrian)またはラマ属から得られた
抗体も考える。 従って、「抗体」なる語はまた、ファージディスプレイ技術または医薬品スク
リーニングプログラムから得られた抗体も意味する。さらに、「抗体」なる語は
、免疫グロブリンの骨格領域の少なくとも一部が、米国特許第4,946,77
8号に記載のようなヒト免疫グロブリン配列および単鎖抗体から得られるヒト化
抗体、および、Fab、F'(ab)2、Fvなどの抗体断片および抗原結合機能および
親抗体の特異性を保持した他の断片を意味する。「抗体」なる語はまた、二量体
、三量体または多量体(一、二、三または多価/一、二、または多特異的)抗体
、並びに、酵素体、すなわち、酵素活性をもつ人工抗体を意味する。親和性また
は特異性を高める任意の他の分子をもつ抗体の組合せも、「抗体」なる語に含ま
れると考える。抗体はまた、修飾形(例えばmPEG化またはポリシアル化形(
Fernandes & Gregoriadis, 1997))、並びに、共有結合または非共有結合ポリ
マー結合形も含む。さらに、「抗体」なる語はまた、任意の性質を有する抗体を
模倣した化合物、例えば、脂質、炭水化物、核酸または類似体、例えばPNA、
アプタマー(Jayasena, 1999参照)から得られたものに関する。 HCV抗体は、ワクチン接種により誘導されてもよいし、または、抗体をHC
V感染血液のプールからまたはHCVワクチン接種個体から得られた血液から精
製した後に、注射により受動的に移行してもよい。
【0049】 本発明は、本明細書に定義したようなHCVペプチドを検出するためのHCV
抗体を含むキットにも関する。
【0050】 精製手順 本発明はさらに、少なくとも1つのシステイニル残基が可逆的酸化還元状態を
有するHCVタンパク質、並びに、前記精製手順により得ることのできるHCV
タンパク質をもたらす、本明細書に記載のような精製手順に関する。精製中、少
なくとも1つのシステイン残基は、化学的および/または酵素的手段により可逆
的に保護される(実施例の章も参照)。
【0051】 これに関して、本明細書に使用したような「可逆的酸化還元状態」なる語は、
還元状態から酸化状態におよびその逆方向に変化できる能力を有する、システイ
ンの硫黄を言及する。酸化還元状態のこの変化は電子の移動を含む。本明細書に
使用したような「オキシド−レダクターゼ活性」なる語は、酸化還元中心の酸化
還元能を意味し、従って、基質分子からおよび基質分子へ電子を移動させる能力
を意味する。この能力は、基質分子の酸化還元能および化学的環境に依存する。
【0052】 天然HCVタンパク質は、特定のコンフォメーションを有し、生物活性を示し
得る。本発明の精製手順により、HCVタンパク質の天然生物活性および/また
はコンフォメーションと同一またはほぼ同一(天然に似た)な、生物活性および
/またはコンフォメーションをもつ精製HCVタンパク質が得られる。本発明の
精製手順は、以下を特徴とする: −A− 本発明の精製手順の第一期は、システイン残基の反応性を可逆的に保護
するものである。本質において、第一期は、1つの基本的な差異、特にシステイ
ン残基が可逆的に保護されることを除いて、MaertensらのPCT EP95/0
3031号に十分に記載されたような手順からなる。 システイン残基の可逆的保護は、以下の条件の(i)修飾基、または(ii)チ
オールおよび/またはジスルフィド橋の安定化のうち1つにより行なうことがで
きる。結果において、この保護は、HCVタンパク質を安定化し、すなわち、チ
オールおよび/またはジスルフィド橋は全く反応する傾向を有さない。 従って、第一期により最終的に、可逆的に保護されたシステインをもつ純粋な
生成物が得られる。
【0053】 −B− 本発明の精製手順の第二期は、システイン残基の反応性を回復するも
のである。精製手順の第一期後の、システイン残基を可逆的に保護する条件を除
去する。この除去により、システイン残基の可逆的酸化還元状態の回復が可能と
なる。従って最後に、システイン残基が可逆的酸化還元状態を有する、HCVペ
プチドまたはその任意の機能的等価部分が得られる。可逆的酸化還元状態により
、生物活性および/または天然に似たコンフォメーションを有する反応性HCV
タンパク質が可能となる。
【0054】 それ故、本発明は、以下のプロセス: (a)システイン残基が、化学的および/または酵素的手段により可逆的に保護
されている、HCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分を精製すること
、 (b)システイン残基の可逆的保護状態を除去すること、 (c)システイン残基が可逆的酸化還元状態を有する、HCVタンパク質または
その任意の機能的等価部分を得ること、 により得ることのできる、上記に定義したような、可逆的酸化還元状態を有する
、少なくとも2つのCys−アミノ酸を含む、HCVタンパク質またはその任意
の機能的等価部分に関する。
【0055】 従って、本発明は後者のプロセスにも関する。
【0056】 場合により、補因子および抗酸化剤を加えて、タンパク質安定化を補助する。
【0057】 可逆的保護の目的は、HCVタンパク質の安定化であることを理解するべきで
ある。特に、可逆的保護後に、硫黄含有官能基(例えばチオールおよびジスルフ
ィド)が、非反応性状態で保持される。従って、硫黄含有官能基は、他の化合物
と反応できず、例えば、以下のように、ジスルフィド結合を形成または交換する
傾向は全くない。
【0058】
【表2】
【0059】 チオールおよび/またはジスルフィド残基の間の記載された反応は、分子間プ
ロセスに限定されないが、分子内でも生じ得る。
【0060】 本明細書に使用したような「可逆的に保護」なる語は、システイン残基への修
飾剤の共有的に結合すること、並びに、チオール基の酸化還元状態が、その後の
精製手順の段階を通じて影響を受けない(遮蔽)ようにHCVタンパク質の環境
を操作することを考慮したものである。
【0061】 システイン残基の可逆的保護は、化学的または酵素的に実施できる。
【0062】 本明細書に使用したような「酵素的手段による可逆的保護」なる語は、例えば
アシル−トランスフェラーゼ、例えばパルミトイルアシルトランスフェラーゼな
どの、チオ−エステル化の触媒に関与するアシル−トランスフェラーゼなどの酵
素により媒介される可逆的保護を考慮したものである(以下および Dasら、1997
参照)。
【0063】 本明細書に使用したような「化学的手段による可逆的保護」なる語は、 (1)例えばスルホン化およびチオ−エステル化によりシステイニルを可逆的に
修飾する修飾剤による; スルホン化は、ジスルフィド橋に関与するチオールまたはシステインがS−ス
ルホネートに修飾される反応:RSH→RS−SO3 -(André Darbre)
またはRS−SR→2RS−SO3 -(スルフィトリシス(sulfitolysis);Kuma
rら、1986)である。スルホン化の試薬は、例えばNa2SO3または四チオン酸
ナトリウムである。後者のスルホン化試薬は、10〜200mMの濃度で、より好
ましくは50〜200mMの濃度で使用される。場合によりスルホン化は、例えば
Cu2+(100μM〜1mM)またはシステイン(1〜10mM)などの触媒の存在
下で実施できる。該反応は、タンパク質変性並びに天然条件下で実施できる(Ku
marら、1985; Kumarら、1986)。 チオエステル結合形成、またはチオ−エステル化は、RSH+R′COX→R
S−COR′(ここで、化合物R′CO−XのXは優先的にはハロゲン化物であ
る)を特徴とする。 (2)例えば重金属、特にZn2+、Cd2+(Mattsら、1991)、モノ−、ジチオ
−およびジスルフィド−化合物(例えばアリール−およびアルキルメタンチオス
ルホネート、ジチオピリジン、ジチオモルホリン、ジヒドロリポアミド、エルマ
ン試薬、アルドロチオール(登録商標)(アルドリッチ)(Reinら、1996)、ジ
チオカルバメート)、またはチオール剤(例えばグルタチオン、N−アセチルシ
ステイン、システインアミン)などの、本発明のシステイニルを可逆的に修飾す
る修飾剤による; ジチオカルバメートは広範なクラスの分子を含むがその分子は、スルフヒドリ
ル基と反応する能力をその分子に与える、R12NC(S)SR3官能基を有す
る。チオール含有化合物は、好ましくは、0.1〜50mMの濃度で、より好まし
くは1〜50mMの濃度で、さらにより好ましくは10〜50mMの濃度で使用する
。 (3)10μM〜10mMの濃度範囲の、より好ましくは1〜10mMの濃度の、チ
オール状態を保存(安定化)する修飾剤、特に抗酸化剤、例えばDTT、ジヒド
ロアスコルベート、ビタミンおよび誘導体、マンニトール、アミノ酸、ペプチド
および誘導体(例えばヒスチジン、エルゴチオネイン、カルノシン、メチオニン
)、没食子酸塩、ヒドロキシアニソール、ヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、
ヒドロキシメチルフェノールおよびその誘導体の存在による; (4)(i)金属イオン(Zn2+、Mg2+)、ATPなどの補因子、(ii)pH制
御(例えば、タンパク質では大半の場合にはpH〜5であるか、またはpHは好まし
くはチオールpKa〜2であり;例えば逆相クロマトグラフィーにより精製したペ
プチドではpH〜2)などのチオール安定化条件による、 可逆的保護を考慮したものである。
【0064】 (1)、(2)、(3)および(4)に記載のような可逆的保護の組合せによ
り、同じように純粋でリフォールディングされたHCVタンパク質を得てもよい
。結果において、組合せ化合物、例えばZ103(Znカルノシン(carnosine
))を、好ましくは1〜10mMの濃度で使用できる。
【0065】 可逆的保護はまた、上記の修飾基または遮断の他に、ペプチド骨格を破壊する
ことなく、酵素的または化学的に逆転することのできる、任意のシステイニル保
護法を意味することは明らかである。これに関して、本発明は特に、例えばチオ
エステル結合が、塩基性緩衝条件でチオエステラーゼにより(Beekmanら、1997
)、またはヒドロキシルアミン処理(Vingerhoedsら、1996)により切断される
、古典的化学合成(上記参照)により調製されるペプチドに言及する。
【0066】 チオール含有HCVタンパク質は、例えば、(1)ジスルフィド結合を含む切
断可能な結合アーム(例えば固定化5,5′ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)
(Jayabaskaranら、1987)および活性化チオール−セファロース4B(ファルマ
シア)での共有結合的クロマトグラフィー)、または(2)固定リガンドとして
のアミノヘキサノイル−4−アミノフェニルアルシンを含む、アフィニティクロ
マトグラフィー樹脂で精製できる。後者のアフィニティマトリックスは、酸化還
元調節を受けるタンパク質の精製および酸化ストレスの標的であるジチオールタ
ンパク質の精製に使用されている(Kalefら、1993)。
【0067】 可逆的保護はまた、ペプチドの可溶化および抽出を増加するのに使用されても
よい(Pomroy & Deber, 1998)。
【0068】 可逆的保護およびチオール安定化化合物は、単量体、多量体またはリポソーム
形で存在してもよい。
【0069】 システイン残基の可逆的保護状態の除去は、例えば: −特に1〜200mMの濃度、より好ましくは50〜200mMの濃度の、還元剤、
特にDTT、DTE、2−メルカプトエタノール、亜ジチオン酸塩、SnCl2
、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドロキシルアミン、TCEP; −例えばpH上昇による、チオール安定化条件または安定化剤の除去; −特に0.01〜50μMの濃度、さらにより特に0.1〜5μMの濃度の、酵素
、特にチオエステラーゼ、グルタレドキシン、チオレドキシン; −上記の化学的および/または酵素的条件の組合せ、 により化学的または酵素的に行なうことができる。システイン残基の可逆的保護
状態の除去は、インビトロまたはインビボで、例えば細胞または個体中で実施で
きる。
【0070】 精製手順の第二期後、システイン残基は不可逆的に遮断されてもされなくても
よく、上記に列挙したような任意の修飾剤で置換されてもよいと理解される。
【0071】 本発明に記載の還元剤は、システイン残基の硫黄、例えばS−Sジスルフィド
橋の還元、システイン残基の脱スルホン化(RS−SO3 -→RSH)を行なう任
意の物質である。抗酸化剤は、チオール状態を保存するか、または、「S−S」
形成および/または交換を最小限にする任意の試薬である。「S−S」ジスルフ
ィド橋の還元は、ジスルフィドがチオール(−SH)に還元される化学反応であ
る。WO第96/04385号に開示したジスルフィド橋切断剤および方法は、
ここに本明細書に参考として取込む。「S−S」還元は、(1)酵素カスケード
経路により、または(2)還元性化合物により得ることができる。チオレドキシ
ン、グルタレドキシンなどの酵素は、インビボでのジスルフィドの還元に関与す
ることが知られ、インビトロでも「S−S」橋の還元に効果的であることが示さ
れた。ジスルフィド結合は、pH7.0の還元チオレドキシンにより迅速に切断さ
れ、見かけの二次速度は、DTTとの反応の対応する速度定数の約104倍であ
る。還元速度は、タンパク質溶液を1mM DTTまたはジヒドロリポアミドと共
にプレインキュベートすることにより劇的に増加し得る(Holmgren, 1979)。
【0072】 タンパク質ジスルフィド橋を還元できるチオール化合物は、例えばジチオトレ
イトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、∃−メルカプトエタノ
ール、チオカルバメート、ビス(2−メルカプトエチル)スルホンおよびN,N
′−ビス(メルカプトアセチル)ヒドラジン、および亜ジチオン酸ナトリウムで
ある。
【0073】 モノクローナル抗体のジスルフィド橋の還元に非常に有用であることが示され
た、アスコルベートまたは塩化スズ(SnCl2)のようなチオール基を含まな
い還元剤(Thakurら、1991)も、HCVタンパク質の還元に使用されてもよい。
さらに、pH値の変化は、HCVタンパク質の酸化還元状態に影響を及ぼし得る。
水素化ホウ素ナトリウムによる処理は、ペプチドのジスルフィド橋の還元に効果
的であることが示された(Gailit, 1993)。トリス(2−カルボキシエチル)ホ
スフィン(TCEP)は、低pHでジスルフィドを還元できる(Burnsら、1991)
。セレノールは、DTTまたは水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として使用する
場合に、ジスルフィドからチオールへの還元を触媒する。市販で入手できるジセ
レニドであるセレノシステアミンは、触媒の前駆体として使用された(Singh お
よび Kats, 1995)。
【0074】 上記で引用した文書の全ての定義を含む、全内容を、参考として本出願に取込
むことを再度強調する。従って、HCVタンパク質の酸化還元状態を修飾する上
記の方法および化合物の全部が本発明において考慮される。
【0075】 生物活性部位 本発明はさらに、生物学的に活性なCXXC−モチーフを含むHCVタンパク
質に関する。本明細書に使用したような「生物学的に活性」および「オキシド−
レダクターゼ活性」なる語は、例えばチオール/ジスルフィド交換反応、遷移金
属の結合、脂質取込み、および調節活性(例えば遺伝子転写制御、サイトカイン
として機能すること等を含むシグナル伝達調節、およびタンパク質の(脱)チオ
ール化の制御)などの、種々の細胞内および細胞外の生化学的および生物学的機
能を媒介する能力を有する、可逆的酸化還元状態を伴う、HCVペプチドのCX
XC−部位またはその機能的等価部分を考慮したものである。
【0076】 システイニル酸化還元状態により奏効される構造的またはコンフォメーション
的変化は、生物物理的方法、例えば分光測定法(吸光度、円二色性、赤外線、蛍
光、NMR)により、または、エピトープの出現または消失に基づいた免疫化学
的方法(例えばエライザ、EIA等)により追跡してもよい。エピトープに関与
する配列は、複合体の架橋およびアフィニティ精製後の質量分析(MS)および
シークエンシングにより同定できる。コンフォメーション的または新しい検出可
能な線形エピトープは、3次または4次構造レベルでのフォールディングプロセ
スから生じてもよい。活性部位での金属イオン取込みは、放射線崩壊測定または
原子吸光分光測定法により測定できる。
【0077】 本発明のHCVタンパク質の、例えば受容体、炭水化物、脂質、核酸(上記も
参照)などの他の分子への結合は、例えばFACS、Biacore、免疫アッセイ(
ウェスタンブロット、EIA、エライザ等)、架橋およびクロマトグラフィー法
(例えばアフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過)により研究できる。HC
Vタンパク質のチオレドキシン酵素活性は、Holmgrenら(1979)により記載され
たような方法に従ってジスルフィド橋還元能を研究することにより同定できる。
DTTまたはジヒドロリポアミドなどの補因子の効果も同様にこの方法で確認で
きる。非タンパク質性化合物(例えばエルマン試薬、アルドロチオール)並びに
タンパク質(例えば凝集インスリン)を基質として捉えることができる。
【0078】 混合ジスルフィドの形成(下記参照)は、タンパク質フォールディングおよび
活性部位の回復に関連した活性である。混合ジスルフィドの形成は、「精製手順
」に記載したような異なる物質(例えばDTT)での還元前後でチオール基を可
逆的に保護または不可逆的に遮断し、次いで質量分析により実証できる。
【0079】 −CXXC−含有タンパク質のチオール基のpKaは、pHの関数におけるアルキ
ル化剤での処理により定義される(滴定)。残基の異なる保護および/または遮
断並びにMSにより、CXXC−部位のシステイニル残基を開始する反応の情報
が得られる。末端アミノ酸シークエンシングにより、HCVタンパク質のプロセ
シング、切断生成物およびドメイン構造に関する情報を得ることができる。
【0080】 これらの切断生成物の組織および細胞内分布は、免疫組織化学的方法により位
置決定される。
【0081】 ワクチン 本発明は、上記に定義したようなタンパク質を含む組成物にも関する。より特
定には、本発明は、ワクチン組成物に関する。「ワクチン組成物」なる語は、部
分的であれ完全であれ、HCVに対して防御を誘発できる免疫原性組成物に関す
る。それ故、それは、上記に定義したような、HCVペプチド、タンパク質、ポ
リヌクレオチド、HCV由来分子またはHCV由来粒子を含む。HCVに対する
防御は、特に、ヒトに言及されるが、非ヒト霊長類、トリメラマウス(trimera
mouse(Zaubermanら、1999))または他の哺乳動物にも言及される。
【0082】 本発明のタンパク質は、従って、ビオチニル化形(WO第93/18054号
に説明したように)で使用でき、および/またはNeutralite Avidin(米国OR
州ユージーン所在モレキュラープローブズ社)と複合体を形成できる。「ワクチ
ン組成物」は、活性物質に加えて、適切な賦形剤、希釈剤、担体および/または
アジュバント(これは、それ自体では、その組成物を投与される個体に有害な抗
体の産生を誘導せず、また防御も誘発しない)を含むことを注記すべきである。
適切な担体は、典型的には、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、
多量体アミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび失活ウイルス粒子などの大きなゆっ
くりと代謝される巨大分子である。そのような担体は当業者に公知である。組成
物の効力を増強する好ましいアジュバントは、コロイド状水酸化鉄(Leiblら、1
999)、水酸化アルミニウム、WO第93/19780号に記載のような3−0
−デアシル化モノホスホリルリピドAと組合わせたアルミニウム、WO第93/
24148号に記載のようなリン酸アルミニウム、米国特許第4,606,91
8号に記載のようなN−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタ
ミン、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、N−
アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミル−L−アラニン2−(1
′2′ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシ−ホスホリルオキシ)
エチルアミンおよびモノホスホリルリピドAを含むRIBI(米国MT州ハミル
トン所在イムノケム・リサーチ社)、解毒した内毒素、トレハロース−6,6−
ジミコレート、および、2%スクアレン/Tween80エマルション中の細胞
壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含むがこれらに限定されない。3つの成分
MPL、TDMまたはCWSのいずれかを単独でまたは2つずつ組合せて使用も
できる。さらに、Stimulon(米国MA州ウスター所在ケンブリッジ・バイオサイ
エンス)またはSAF−1(シンテックス)などのアジュバント、並びに、QS
21と3−デ−O−アセチル化モノホスホリルリピドA(WO第94/0015
3号)の組合せなどのアジュバント、またはMF−59(Chiron)、またはポリ
〔ジ(カルボキシルアトフェノキシ)ホスファゼン〕をベースとしたアジュバン
ト(ウイルスリサーチ研究所)、または Optivax(Vaxcel, Cythx)などのブロ
ックコポリマーをベースとしたアジュバント、または Algammulin および Gamma
lnulin(Anutech)などのイヌリンをベースとしたアジュバント、不完全フロイ
ントアジュバント(IFA)または Gerbu 調製物(Gerbu Biotechnik)を使用
し得る。完全フロイントアジュバント(CFA)を、非ヒト適用および同様に研
究目的にも使用してもよいことを理解するべきである。「ワクチン組成物」はさ
らに、水、食塩水、グリセロール、エタノールなどの本質的に無毒性および非治
療物質である、賦形剤および希釈剤、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質、保存
剤等を含む。本発明のHCVペプチドのシステイニル残基の可逆的修飾により、
これらのHCVペプチドが、例えばポリマーまたはリポソームなどの化学的に活
性化された担体に共有結合できるか、または、HCVペプチドそれ自体が、他の
HCV関連またはHCV非関連免疫原性タンパク質(混合ワクチン)への結合の
担体として機能することが可能となる。チオエステルによりリポソームに連結し
たHCVペプチドは、結合が、インビボで宿主チオエステラーゼにより分解され
、よってゆっくりと抗原が放出され提示されるという利点を有する。ポリマーま
たはリポソームへのHCVペプチドの取込みまたは結合はまた、リガンド間の親
和性を活用し、非共有結合相互作用に基づくこともできる。
【0083】 典型的には、ワクチン組成物は、液体溶液または懸濁液としての注射液として
調製される。注射前の、液体ベヒクル中の溶液または懸濁液に適した固体形も調
製されていてもよい。調製物はまた、アジュバント効果を増強するために、乳化
またはリポソームに封入してもよい。ポリペプチドはまた、クイルA(ISCOMS)
などのサポニンと共に、免疫刺激複合体に取込まれてもよい。ワクチン組成物は
、免疫的に有効な量の本発明のポリペプチド、並びに、任意の他の上記の成分を
含む。「免疫的に有効な量」は、単回投与量または継続投与の一部として、個体
へのその量の投与が、予防または処置に効果的であることを意味する。この量は
、処置される個体の健康および身体状態、処置する個体の分類群(例えば、ヒト
、非ヒト霊長類、霊長類等)、効果的な免疫応答を開始する個体の免疫系の能力
、所望の防御度、ワクチン製剤、処置する医師の評価、感染HCV株および他の
関連因子に応じて変化する。その量は、慣用的な試験を通じて決定され得る比較
的広い範囲に該当すると期待される。通常、その量は0.01から1000μg
/投与量、より特に0.1から100μg/投与量まで変化する。ワクチン組成
物は、慣用的には非経口的に、典型的には注射により、例えば皮下または筋肉内
に投与される。他の投与法に適した追加の製剤は、経口製剤および坐剤を含む。
投与量処置は、単回投与計画または複数回投与量計画であってもよい。ワクチン
は、他の免疫調節剤と共に投与してもよい。
【0084】 DNAワクチン 宿主の細胞内環境は、本発明のHCVタンパク質の可逆的酸化還元状態の基礎
を提供できる。これに関して、HCV DNAワクチン組成物は、転写調節エレ
メントに作動可能に連結した、上記のようなHCVタンパク質をコードするポリ
ヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターを含むことは明らかである。本明細
書に使用したような、「プラスミドベクター」は、連結した別の核酸を輸送でき
る核酸分子を意味する。好ましいベクターは、連結した核酸の自律的複製および
/または発現の可能なものである。一般に、以下に限定されないが、プラスミド
ベクターは、そのベクター形では、染色体に結合していない、環状二本鎖DNA
ループである。本明細書に使用したような、「ポリヌクレオチド配列」は、デオ
キシリボ核酸(DNA)などのポリヌクレオチド、および適宜、リボ核酸(RN
A)を意味する。その語はまた、等価物として、ヌクレオチド類似体から作製さ
れるRNAまたはDNAの類似体、ならびに一本鎖(センスまたはアンチセンス
)および二本鎖ポリヌクレオチドを含むと理解されるべきである。本明細書に使
用したような、「転写調節エレメント」なる語は、生存している脊椎動物細胞に
導入すると、細胞の機構に、ポリヌクレオチドによりコードされる翻訳産物を産
生するように指令できるような、必須調節エレメントを含む、ヌクレオチド配列
を意味する。「作動可能に連結」なる語は、成分がその通常の機能を実施するよ
うな並置を意味する。従って、ヌクレオチド配列に作動可能に連結した、転写調
節エレメントは、上記ヌクレオチド配列の発現を奏効できる。当業者は、異なる
転写プロモーター、終結因子、担体ベクターまたは特定の遺伝子配列を首尾よく
使用してもよいことを認識できる。
【0085】 従って、本発明はまた、HCVに対する免疫を予防的に誘導するための、本明
細書に定義したようなHCVタンパク質の使用に関する(予防ワクチン)。ワク
チンはまた、上記で指摘したような個体の処置に有用であり得、この場合、それ
は「治療ワクチン」と呼ばれることを注意するべきである。
【0086】 上記から、本発明はまた、HCVワクチン組成物の製造のための、上記に定義
したようなタンパク質、または上記に定義したような組成物の使用に関すること
は明らかである。特に、本発明は、慢性HCV保因者においてHCVに対する免
疫を誘導するための、本明細書に定義したようなタンパク質の使用に関する。よ
り特に、本発明は、例えば公知のインターフェロン療法などの任意の他の療法前
、それと同時または後に、例えばリバビリンなどのHCVを処置する少数の医薬
品の投与を併用してまたは併用せずに、慢性HCH保因者においてHCVに対す
る免疫を誘導するための、本明細書に定義したようなタンパク質の使用に関する
。そのような組成物はまた、肝移植前または移植後に、または注射針による損傷
などの感染推定後に使用してもよい。さらに、本発明は、生体試料に存在するH
CV抗体を検出するための、本発明のHCVタンパク質を含むキットに関する。
【0087】 本明細書に使用したような「生体試料」なる語は、例えば、血清、血漿、リン
パ液、皮膚の外分泌物、呼吸器、腸、および泌尿生殖器管、卵母細胞、涙液、唾
液、乳汁、血球、腫瘍、臓器、胃液分泌液、粘液、脊髄液、外分泌物、例えば排
泄物、尿、精子等を含むがこれに限定されない、個体から単離した組織または液
体の試料を意味する。
【0088】 本発明のHCVタンパク質は高度に免疫原性であり、体液性および細胞性免疫
応答の両方を刺激するので、本発明はまた、本発明のHCVタンパク質を含む、
HCV関連T細胞応答を検出するためのキットにも関する。HCV T細胞応答
は、例えば、Leroux-RoelsらのPCT/EP第94/03555号に記載のよう
に測定できる。本文書の全ての定義を含む、全内容を、参考として本出願に取込
まれていることを強調する。
【0089】 本発明は、HCVコア、E1、E2、P7、NS2、NS3、NS4A、NS
4B、NS5Aおよび/またはNS5Bタンパク質あるいはその一部も含む、上
記に定義したような組成物にも関する。E1、E2、および/またはE1E2粒
子は、例えば、T細胞刺激抗原、例えばコア、P7、NS3、NS4A、NS4
B、NS5Aおよび/またはNS5Bと組み合わせてもよい。
【0090】 さらに、本発明はまた、HCVタンパク質に対する抗体を検出するための、上
記に記載したようなタンパク質または上記に記載したような組成物の使用を特徴
とする。本明細書に使用したような、「検出するための」なる語は、検出に適し
た、当分野での既知の任意のアッセイを意味する。特に、その語は、WO第96
/13590号に記載のような任意のイムノアッセイを意味する。
【0091】 医薬品スクリーニング 本発明は、HCV感染により特徴づけられる(または関連した)疾患の処置に
使用できる、化合物または物質の同定法を提供する。これらの方法はまた、本明
細書では「医薬品スクリーニングアッセイ」または「バイオアッセイ」として言
及され、典型的には、HCVタンパク質と相互作用(例えば結合)して、HCV
タンパク質および標的分子の相互作用を調節する、ならびに/またはHCV核酸
発現および/もしくはHCVタンパク質活性を調節する能力について、候補/試
験化合物または物質をスクリーニングする段階を含む。1つ以上のこれらの能力
を有する、候補/試験化合物または物質を医薬品として使用して、HCV感染、
HCV核酸発現および/またはHCVタンパク質活性により特徴付けられる疾患
を処置できる。小分子、例えば小有機分子などの候補/試験化合物および他の医
薬品候補は、例えば、コンビナトリアルおよび天然物ライブラリーから得ること
ができる。
【0092】 1つの態様において、本発明は、HCVタンパク質またはその任意の機能的等
価部分と相互作用(例えば結合)する候補/試験化合物をスクリーニングするア
ッセイを提供する。典型的には、アッセイは、本発明のHCVタンパク質、その
触媒活性、すなわちオキシド−レダクターゼ活性の、またはその免疫原性の断片
を、候補/試験化合物と、例えば、候補/試験化合物とHCVタンパク質または
その一部が相互作用(例えば結合)し複合体を形成できる条件下で組み合わせ、
そして、複合体の形成を検出する段階を含む、細胞非含有アッセイであり、候補
化合物がHCVタンパク質またはその一部と相互作用(例えば結合)する能力は
、複合体中の候補化合物の存在により示される。HCVタンパク質と候補化合物
の間の複合体の形成は、例えば、標準的なイムノアッセイを使用して定量できる
【0093】 前記試験に使用されるHCVタンパク質、その触媒もしくは免疫原性断片また
はそのオリゴペプチドは、溶液中に遊離していても、固体支持体に固定されてい
ても、細胞表面由来であっても、または細胞内に局在していてもよい。
【0094】 別の態様において、本発明は、HCVタンパク質と、HCVタンパク質が通常
相互作用する分子(標的分子)またはHCVタンパク質を特異的に認識する抗体
の間の相互作用(および同様に最も可能性の高いのはHCVタンパク質活性)を
調節(例えば刺激または阻害)する、候補/試験化合物を同定するスクリーニン
グアッセイを提供する。前記標的分子の例は、HCVタンパク質と同じシグナル
伝達経路のタンパク質、例えば、HCVタンパク質シグナル伝達経路の上流(活
性の刺激剤および阻害剤の両方を含む)または下流で機能し得るタンパク質を含
む〔Zn−フィンガー、プロテアーゼ活性、システイン酸化還元状態の調節因子
〕。
【0095】 典型的には、アッセイは、本発明のHCVタンパク質、その触媒もしくは免疫
原性断片、HCVタンパク質標的分子(例えばHCVタンパク質リガンド)また
は特異的抗体と、候補/試験化合物を、例えば候補化合物の非存在下では、HC
Vタンパク質またはその生物学的に活性な部分が標的分子または抗体と相互作用
(例えば結合)する条件下で組み合わせ、そして、HCVタンパク質と標的分子
または抗体を含む複合体の形成を検出するか、または、HCVタンパク質と標的
分子または抗体の相互作用/反応を検出する段階を含む、細胞非含有アッセイで
ある。
【0096】 複合体形成の検出は、例えば、HCVタンパク質の誘導効果を測定することに
よる、複合体の直接的定量を含むことができる。候補化合物の存在下での、HC
Vタンパク質と標的分子の相互作用(例えば、HCVタンパク質と標的分子の間
の複合体の形成)の減少などの統計的に有意な変化(候補化合物の非存在下で検
出されるものと比較して)は、HCVタンパク質と標的分子の間の相互作用の変
調(例えば刺激または阻害)を示す。HCVタンパク質と標的分子の間の複合体
形成の変調は、例えばイムノアッセイを使用して定量できる。
【0097】 それ故、本発明は、複合体の結合対間の相互作用を変調する化合物を同定する
方法に関し、ここで、前記結合対の少なくとも1つは、上記に定義したようなH
CVタンパク質であり、前記方法は、 (a)試験化合物を、複合体の相互作用を変調するに十分な時間、複合体と接触
させ;そしてその後、 (b)前記複合体を、相互作用の変化についてモニタリングし、相互作用の変化
が検出されれば、相互作用を変調する化合物を同定する ことを含む。
【0098】 特に、本発明は、結合対の少なくとも1つが、 (i)HCV由来分子、例えば核酸(プロモーターまたはエンハンサー)(HC
V粒子に包まれたHCV RNA)またはタンパク質(構造または非構造タンパ
ク質)、 (ii)細胞内の宿主由来分子(HCVペプチドの酸化還元状態の修飾因子、(T
RX、GRX、チオエステラーゼ等))、 (iii)細胞外宿主由来分子(受容体、グルコサミン、ヘパリン) からなる群から選択される、後者の方法に関する。
【0099】 複合体の結合対間の相互作用の変調因子は、本明細書に記載の方法のいずれか
により同定した場合に、本発明において考慮されることは明らかである。
【0100】 上記の医薬品スクリーニングアッセイを実施するために、複合体を形成してい
ない形態の一方または両方のタンパク質から複合体の分離を容易にするためHC
Vタンパク質またはその標的分子を固定すること、並びに、アッセイの自動化を
実施することが可能である。候補化合物の存在下および非存在下での、HCVタ
ンパク質の標的分子との相互作用(例えば結合)は、反応物を含むに適した任意
の容器で行うことができる。そのような容器の例は、マイクロタイタープレート
、試験管、および微量遠心管を含む。1つの態様において、タンパク質がマトリ
ックスに結合することを可能とするドメインを付加した、融合タンパク質が提供
され得る。例えば、HCVタンパク質−His標識を、Ni−NTAマイクロタ
イタープレートに吸着できる(Paborskyら、1996)か、またはHCVタンパク質
−ProtA融合物をIgGに吸着でき、これを次いで細胞溶解液(例えば(3
5)S標識化)および候補化合物と合わせ、混合物を複合体の形成が行われる条
件下でインキュベートする(例えば塩およびpHについて生理的条件で)。インキ
ュベート後、プレートを洗浄して全ての非結合標識を除去し、マトリックスを固
定し、放射標識を直接測定するか、または複合体を解離した後に上清中で測定す
る。別の方法として、複合体をマトリックスから解離し、SDS−PAGEによ
り分離し、ビーズ画分に見られるHCVタンパク質結合タンパク質のレベルを、
標準的な電気泳動技術を使用してゲルから定量する。
【0101】 マトリックスにタンパク質を固定する他の技術は、本発明の医薬品スクリーニ
ングアッセイにも使用できる。例えば、HCVタンパク質またはその標的分子は
、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲートを使用して固定できる。
ビオチニル化HCVタンパク質分子は、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−ス
クシンイミド)から、該分野で公知の技術を使用して調製でき(例えば、イリノ
イ州ロックフォード所在ピアスケミカルズのビオチニル化キット)、ストレプト
アビジン覆膜96ウェルプレート(ピアスケミカル)のウェルに固定できる。別
の方法として、HCVタンパク質と反応するが、タンパク質のその標的分子への
結合には干渉しない抗体を、プレートのウェルに誘導体化でき、HCVタンパク
質を、抗体コンジュゲートによりウェルに捕獲できる。上に記したような、HC
Vタンパク質結合タンパク質および候補化合物の調製物は、プレートのHCVタ
ンパク質存在ウェル中でインキュベートし、ウェル中に捕獲された複合体の量を
定量できる。GST固定複合体について上に記したものに加えて、前記複合体の
検出法は、HCVタンパク質標的分子と反応するか、または、HCVタンパク質
と反応し標的分子と競合する抗体を使用した、複合体の免疫検出;並びに、標的
分子に関連した酵素活性の検出に依拠した酵素結合アッセイを含む。
【0102】 HCVタンパク質に対する適切な結合親和性を有する化合物のハイスループッ
トスクリーニングを提供する医薬品スクリーニングの別の技術は、84年9月1
3日に公開されたWO出願第84/03564号の、Geysen HNによる「アミ
ノ酸配列抗原性の決定」に詳述され、本明細書に参考として取込まれている。要
約すると、大量の異なる小ペプチド試験化合物を、プラスチックピンまたはいく
つかの他の表面などの固体基質上で合成する。タンパク質試験化合物を、HCV
タンパク質の断片と反応させ、洗浄する。次いで、結合したHCVタンパク質を
該分野で公知の方法により検出する。精製HCVタンパク質はまた、前記の医薬
品スクリーニング技術に使用するためのプレートに直接コーティングできる。別
の方法として、非中和抗体を使用して、ペプチドを捕獲し、それを固体支持体上
に固定できる。
【0103】 本発明はまた、HCVタンパク質に結合できる中和抗体が、特異的に、試験化
合物とHCVタンパク質との結合について競合する競合的医薬品スクリーニング
アッセイの使用も考慮する。このように、抗体を使用して、HCVタンパク質と
1つ以上の抗原性決定基を共有する、任意のタンパク質の存在を検出できる。
【0104】 さらに別の態様において、本発明は、HCV感染、HCV核酸発現またはHC
Vタンパク質活性により特徴づけられる(または関連した)疾患の処置に使用で
きる化合物を同定する方法(例えばスクリーニングアッセイ)を提供する。この
方法は、典型的には、化合物または物質が、HCV核酸の発現またはHCVタン
パク質の活性を調節する能力をアッセイし、これによりHCV感染、HCV核酸
発現またはHCVタンパク質活性により特徴づけられる疾患を処置するための化
合物を同定する段階を含む。
【0105】 これらの医薬品スクリーニングアッセイにより同定したHCV感染、HCVタ
ンパク質活性および/またはHCV核酸発現の調節因子を使用して、例えば、H
CV感染またはHCV感染に関連した疾患を処置できる。
【0106】 これらの処置法は、例えば上に記したような医薬組成物中の、HCVタンパク
質活性および/またはHCV核酸発現の調節因子を、かかる処置の必要な対象、
例えばHCV感染に罹患した対象に投与する段階を含む。医薬品の組織または細
胞特異性は、医薬品標的化法(Davis、1997参照)または細胞内免疫化の使用に
より増強してもよい。肝臓的化ツールは、例えば、ビリルビン結合医薬品(Kram
erら、1992)、アシアロ糖タンパク質受容体またはリポタンパク質の媒介する医
薬品の移行(Vingerhoedsら、1996)である。医薬品は、細胞小器官の特異的標
的化標識を介して、DNA発現分子の細胞小器官標的化を用いて細胞内でさえも
標的化し得る(Persicら、1997)。
【0107】 化合物または物質が、HCVの感染、HCV核酸の発現またはHCVタンパク
質の活性を調節する能力をアッセイする方法は、典型的には、細胞をベースとし
たアッセイである。しかし、HCV感染動物も本明細書で考慮される。例えば、
還元剤または酸化剤に感受性であるか、または、HCVタンパク質の関与する経
路を介してシグナルを伝達する、HCVに感染またはトランスフェクトされた細
胞を導入して、候補化合物の存在下および非存在下でHCVタンパク質を過剰発
現できる。
【0108】 HCVタンパク質依存的応答の統計的に有意な変化(刺激または阻害)をもた
らす候補化合物を同定できる。
【0109】 1つの態様において、HCVによる標的細胞の感染、HCV核酸の発現または
HCVタンパク質のオキシド−レダクターゼ活性は細胞中で調節され、候補化合
物の所定の読み出しに対する効果(例えば、感染速度、細胞増殖または分化、ま
たはオキシド−レダクターゼ活性)が測定される。例えば、チオール化形態から
S−コンジュゲート、すなわちS−S橋形態への遷移速度をアッセイできる。例
えば、HCVタンパク質依存的シグナルカスケードに応答してアップまたはダウ
ンレギュレートされる遺伝子の発現をアッセイできる。好ましい態様において、
前記遺伝子の調節領域、例えば5′フランキングプロモーターおよびエンハンサ
ー領域は、容易に検出できる遺伝子産物をコードする検出マーカー(例えばルシ
フェラーゼ)に作動可能に連結している。HCVタンパク質またはHCVタンパ
ク質標的分子のリン酸化も、例えばイムノブロットにより測定できる。
【0110】 それ故、本発明は、上記に定義したようなHCVタンパク質のオキシド−レダ
クターゼ活性を調節する化合物を同定するバイオアッセイに関するが、このバイ
オアッセイは、 (a)上記に定義したようなHCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分
を発現する細胞を、前記タンパク質のオキシド−レダクターゼ活性を調節する能
力を決定しようとする少なくとも1つの化合物に曝露し;そしてその後 (b)前記タンパク質を、オキシド−レダクターゼ活性の変化についてモニタリ
ングすることを含む。
【0111】 可逆的に保護されたHCVペプチドは、例えば、(1)化学的ポリ抗原調製物
として(E1s結合抗原は、必ずしもHCV関連付ける必要はなく、従って、複
数の疾病のスクリーニングに使用してもよい);(2)固定および免疫検出の標
的(例えばビオチニル化、蛍光)、または(3)次に超分子抗体(例えばウイル
スに似た粒子上の抗体)を生じ得る、抗体コンジュゲートとしてオリゴマー化状
態で、診断に関係する目的に使用してもよい。標識および抗体コンジュゲートに
より、タンパク質のオリゴマー化による増幅段階に起因して感受性が増加する。
ペプチド上の任意の反応性基(糖、アミノ、カルボキシル、チオール、ヒスチジ
ン等)は、結合またはコンジュゲートに活用してもよいことに注目しなければな
らない。可逆的保護基を使用して、反応の特異性を増強でき、チオール反応性は
、脱保護後の後の段階/期で活用できる。
【0112】 最後に、本発明は、HCV抗体を検出するためのイムノアッセイに関するが、
このイムノアッセイは、(1)本明細書に定義したような精製HCVタンパク質
またはその機能的等価部分を提供し、(2)生体試料を、抗体−抗原複合体の形
成の可能な条件下で前記HCVタンパク質と共にインキュベートし、(3)前記
HCVタンパク質を含む前記の抗体−抗原複合体が形成されるかどうかを測定す
ることを含む。
【0113】 本明細書はここで、特に有利な態様を示した以下の実施例を参照することによ
り説明する。しかし、これらの態様は単に説明であり、いずれにしても本発明を
限定するものではないことを注意すべきである。
【0114】 実施例 実施例1:ワクシニア発現E1sにおけるチオール−ジスルフィド状態の測定 HCV E1sタンパク質(アミノ酸192〜326)は、チオール基の遮断
を、溶解中およびDTTでの還元後に、それぞれヨードアセトアミドおよびN−
エチルマレイミド(NEM)を用いてチオール群の遮断を実施する以外は、Maer
tensらが(PCT/EP第95/03031号)に記載したようなプロトコルに
従って、組換えワクシニアウイルスpv−HCV11Aを使用して、Vero細
胞から発現および精製した。従って、溶解緩衝液中、遊離チオールをIAA(ヨ
ードアセトアミド)で遮断し、DTTでの還元段階後にNEMでアルキル化した
【0115】 精製E1sは、超ろ過(セントリコン10、ミリポア)により濃縮し、製造業
者によって記載されたようにN−グリコシダーゼF(PGNアーゼF;ベーリン
ガーマンハイム)で脱グリコシル化し、その後、E1sを、15%ポリアクリル
アミドミニゲルに負荷した。SDS−PAGEをLaemmliにより記載されたよう
に実施した。タンパク質バンドを、サイズ分離および染色後に約18kDaの領域
で切断した。
【0116】 タンパク質は、インサイチューでトリプシン溶解により切断し、得られたペプ
チド消化物を質量分析(MS;MALDI−TOFF)により解析して、異なる
システイン残基の誘導体化状態を測定した。
【0117】 MS結果により、CXXC−モチーフのシステインについて、 (1)CXXC−モチーフの約10%に、両方のシステインがIAA誘導体化産
物として存在し; (2)CXXC−モチーフの約30%において、一方のシステインがIAAで遮
断され、他方のシステインはNEM誘導体化産物として存在し; (3)CXXC−モチーフの約60%において、両方のシステインが、NEM誘
導体化産物として回収されることが示された。
【0118】 これらのデータにより、驚くべきことに (1)2つのシステインが、完全に還元した(「チオール」)状態で存在し;そ
して (2)システインのいずれかの一方が、混合ジスルフィド橋に関与し、第二のシ
ステインが遊離チオール(中間体形)として存在し;そして (3)両方のシステインが酸化型(ジスルフィド橋)で存在すること が示された。
【0119】 実験は、HCVペプチド、すなわち感染性病原体から得られたHCVペプチド
を用いて実施されたが、これらの3つの形態は、TRXスーパーファミリーの−
CXXC−モチーフについて記載されていた異なる酸化状態とよく相関し、チオ
ールオキシドレダクターゼ、すなわち細胞の酸化−還元環境の調節に関与する分
子について記載した活性パターンに対応した(Rietsch & Beckwith, 1998; Lofe
rer & Hennecke, 1994; Aslund & Beckwith, 1999; Huppa & Ploegh, 1999)。
【0120】 チオレドキシンの活性部位のシステインは酸化され、基質のジスルフィド橋は
還元されるので、過剰の酸化型(60%)がチオレドキシン活性に一致した。驚
くべきことに、これらの結果は、活性部位が還元型に再生するための細胞内酸化
状態に依存した、(自己)フォールディング機序にE1sが関与することを示す
傾向があった。それ故、E1s、ワクシニアおよび宿主タンパク質からなる−S
−S−タンパク質をベースとした凝集物は、タンパク質フォールディングレベル
で干渉することにより、または、システインの細胞内酸化還元状態に干渉/影響
を及ぼす化合物の培養培地への添加により消失させることができる。
【0121】 実施例2:可逆的なシステイン修飾後の酵母E1s−Hisの精製 hisタグHCV E1sを産生しているサッカロミセス・セレビジアエ(酵
母)細胞を、微量ろ過および遠心分離により収集した。細胞ペレットを、5容量
の溶解緩衝液(50mMホスフェート、6Mグアニジウム−HCl、pH7.4(=
緩衝液A))に再懸濁し、固体Na2SO3、Na246を、最終濃度がそれぞ
れ160mMおよび65mMとなるまで溶液に加えた。Cu2+(NH3中100mM ス
トック溶液)を、濃度が100μMとなるまで触媒として加え、溶液を室温で一
晩インキュベートした。溶解液を−70℃で保存し、凍結解凍サイクル後の遠心
分離(JA20ローター、27kgで4℃)により透明化した。 イミダゾールおよびEmpigen(登録商標)(英国のAlbright & Wilson)をそれ
ぞれ、最終濃度が20mMおよび1%(w/v)となるまで加え、該試料を、平衡緩
衝液(緩衝液A、20mM イミダゾール、1% Empigen)で希釈した後に、Ni
−IDAセファロースFFカラム(ファルマシア)に適用した。
【0122】 樹脂を、280nmでの吸光度が基線レベルに達するまで平衡緩衝液で洗浄し、
結合したタンパク質を、イミダゾール段階勾配の適用により溶出させた。SDS
−PAGEおよびウェスタンブロット解析により、変性条件下での亜硫酸分解お
よびIMAC後に、>90%純粋なE1s−Hisタンパク質が、200mMイミ
ダゾール溶出プールに回収されることが示された(図6B)。
【0123】 スルホン化HCV E1sは、DTTの添加により脱スルホン化され、チオー
ル状態を回復し、細胞内および細胞間ジスルフィド橋の形成が可能となる。
【0124】 実施例3:E. coli NS3融合タンパク質の精製および免疫学的反応性 mTNF(His)6NS3 B9融合タンパク質を産生しているE. coli細
胞を収集し、細胞を、緩衝液Aに再懸濁した(実施例2参照)。スルホン化、試
料調製、および、Ni−IDAセファロースFF(ファルマシア)上で実施する
金属クロマトグラフィーを、酵母について記載した通りに実施した(実施例2)
。mTNF(His)6NS3 b9融合タンパク質を、200mMイミダゾール
溶出プールに回収した。SDS−PAGEゲルのクーマシー染色およびウェスタ
ンブロットにより、HCV融合タンパク質は、亜硫酸分解およびIMAC後に>
90%純粋であることが示された(図6A参照)。
【0125】 融合タンパク質の免疫反応性は、HCV陽性ヒト血清を用いてエライザにより
調べた。精製融合タンパク質は、200mM DTTで還元し、タンパク質を35m
M アセテート、6Mウレウム(ureum)、pH4となるまでセファデックスG25カ
ラム(ファルマシア)で脱塩した。抗酸化剤および可逆的保護剤(ジチオカルバ
メート、GSH、システイン)の、NS3融合タンパク質の反応性に対する効果
は、これらの物質を、−70℃で凍結する前に添加することにより、または、こ
れらの化合物を、エライザコーティング緩衝液で希釈している間に添加すること
により確認した。
【0126】 10mMまたは200mM DTTの存在下でコーティングしたNS3融合タンパ
ク質を、それぞれ陽性および陰性対照として含めた。血清(17790、178
32)は、困難な検出可能の血清(HCV NS3転換血清)であり、血清(1
7826、17838)は、容易に検出可能なHCV陽性血清である。検出の困
難なHCV血清は、(1)他のHCV抗原(NS3オンライン)と全く反応しな
いかもしくは最小限に反応する血清、または(2)200mM DTTによるスル
ホン化NS3 b9の処理後にのみ抗体により、提示および認識されるNS3−
エピトープと反応する血清である。これに対し、容易に検出可能な血清では、1
0mM DTTによるスルホン化NS3b9の処理は、免疫反応性の回復に十分で
ある。エライザ結果を図5Aおよび5Bに示す。
【0127】 結果により、エピトープの非応答性(disponbility)は、チオール酸化還元状
態に強く依存し、すなわち、困難なHCV血清は、(1)コーティング緩衝液中
200mM DTTでのNS3の還元後、または(2)10mMまたは3mM DTT
の存在下での試料希釈液のインキュベートによってのみ検出された。ただし、N
S3試料は、チオール含有抗酸化剤および/または可逆的保護剤で希釈した。免
疫反応性の回復は、グルタチオン、システインまたはチオフェンカルボン酸(T
PCB)またはチオジエチレングリコール(TEG)よりジチオカルバメートで
顕著であった。グルタチオンは、システインまたは他の試験したモノ−SH(T
EG、TPCB)生成物よりも優れていた。最善のエライザシグナルは、NS3
B9融合タンパク質について得られたが、このタンパク質は、−70℃でインキ
ュベートされ、チオール安定化剤および可逆的保護剤の存在下で希釈された。
【0128】 チオール含有化合物の添加後の免疫反応性を回復するDTT還元段階の必要性
により、チオール剤と、NS3 b9融合タンパク質のシステイン残基の間に混
合ジスルフィド橋の形成が示された。チオール化合物の添加により、200mM
DTTを用いてしか還元できない、非常に安定な分子内ジスルフィド結合の再形
成が阻害された。この混合ジスルフィド橋状態は、インビボでのタンパク質のチ
オール化に類似するが、このチオール化は調節因子生物活性であることが知られ
、還元状態に移行(酵素的または「S−S」還元体による)される最小のエネル
ギーインプットを有する。
【0129】 実施例4:CXXC部位由来のシステイン残基と重複しているE1エピトープ
に対するモノクローナル抗体のマッピング E1のN末端領域を認識する、E1に対して指向される、10個のモノクロー
ナル抗体を同定した。これらのモノクローナル体は、その最小エピトープに関し
て特徴づけられた。それを実施するために、2つのペプチドを合成し、各モノク
ローナルのこれらのペプチドに対する反応性を、競合を評価することにより解析
した。組換えE1をマイクロタイタープレートに吸着させ、モノクローナル抗体
を、過剰のペプチドの存在下で反応させた。これらの結果に基づいて、10個の
モノクローナル抗体を2つのグループに分類できる(表1)。グループ1では、
最小エピトープが、aa209〜227であり、特にアミノ酸225〜227を
含まないペプチドとの反応性の欠如により、これらのモノクローナル体は、チオ
レドキシンに似た部位と、より特にこの部位の第一システインと重複しているエ
ピトープを網羅することが判明する。グループ2のモノクローナル体の最小エピ
トープは、チオレドキシンに似た部位に届かない。これらの結果を表1に要約す
る。
【0130】 表1:E1に対して指向されるモノクローナル抗体の最小エピトープの図 E1モノクローナル抗体グループ1:IGH198、199および200
【0131】
【表3】
【0132】 E1モノクローナル抗体グループ2:IGH201、202、203、204
、205、206および208
【0133】
【表4】
【0134】 各グループの最小エピトープに下線を付す。 *IGPはペプチドコード番号を意味する。 注記1 E1のC末端部分のエピトープを認識する、モノクローナル体も入手できる(
IGH207、209および210、aa307〜326;PCT/EP99/
02154号参照)。これらのモノクローナル体を対照として使用してもよい。
なぜなら、それらは、チオレドキシンに似た部位の近隣に全く存在しない領域を
認識するからである。
【0135】
【表5】
【0136】 従って、本発明のペプチドの生物活性および/またはコンフォメーションの変
化を測定するためのツールとして使用できる、モノクローナル体を入手できる。
【0137】 実施例5:Cys残基の可逆的な修飾後のHCV E1s精製 ワクシニアRK13細胞を、Maertensら(PCT/EP第95/03031号
)の記載のように溶解したが、不可逆的チオール遮断剤のN−エチルマレイミド
(NEM)の代わりに、固体四チオン酸ナトリウムを、65mMとなるまで溶解液
に加えた。溶解液を一晩4℃でインキュベートし、精製段階(レンチルレクチン
(LCA)クロマトグラフィー、LCA溶出液の濃縮、およびDTTでの還元)
を、Maertensら(PCT EP第95/03031号)による記載のように実施
した。濃縮液を2分し、一晩4℃でNa246によりスルホン化するか、また
は、参照物質としてN−エチル−マレイミド(NEM)で不可逆的に遮断した。
スルホン化並びにNEM処理E1sを、スーパーデックスG200(ファルマシ
ア)に、Empigen(図1参照)の存在下で適用し、E1sピークを、SDS−P
AGEおよびウェスタンブロットにより解析した。 クロマトグラム重層並びにエライザプロファイルにより、不可逆的に保護およ
びスルホン化したE1s生成物は、Empigenの存在下でSECに対して同じよう
に挙動することが示された。SDS−PAGEおよび銀染色により、2つの生成
物の類似の純度が示された。
【0138】 実施例6:チオール安定化剤の存在下における溶解後の、非変性条件下でのH
CV E1s精製 ワクシニア感染RK13細胞を、Maertensら(PCT EP第95/0303
1号)による記載のように溶解させたが、NEMの代わりに、チオール安定化剤
としてアスコルベート(1mM)を溶解液に加えた。試料をLCAレジンに適用し
、LCA溶出液をpH5.5となるまで1M酢酸で酸性とした。酸性とした溶出液
を濃縮し、その後、pHを7.2に調整し、Maertensら(PCT EP第95/0
3031号)による記載のようにDTTで処理した。
【0139】 還元タンパク質溶液を分けて、以下のように処理した:(1)pH6まで酸性と
する(チオール安定化条件)、または(2)四チオン酸ナトリウムでスルホン化
する(可逆的に保護)、または(3)NEM.bioで処理する(不可逆的に遮
断)。酸性とした(pH6)試料のSECもpH6.0で実施した。他の2つの試料
を、スーパーデックスG200で、Empigenの存在下で、Maertenら(PCT E
P第95/03031号)による記載のように分離した。溶出画分を、エライザ
により、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットにより解析した。 Martensら(PCT EP第95/03031号)による記載のように調製し
た物質をSECの参照物質として含めた。
【0140】 画分解析により、純粋なE1sは異なる条件で回収されることが示された(図
3A−1および図3A−2)。NEM.bio E1s物質のより高い見かけの
分子量は、おそらく、E1sでの大量の遮断基の挿入により引き起こされた。
【0141】 図3Bは、実施例5および6に記載したような異なる手順により得られる、E
1sプールのウェスタンブロットを示す。
【0142】 実施例5および6は、純粋なE1sは、非変性条件下で(1)可逆的修飾剤の
使用、または(2)チオール安定化条件下(抗酸化剤、低pH)でクロマトグラフ
ィーを実施することにより得られることを示す。
【0143】 実施例7:Vero E1sのプロセシングおよびチオレドキシンなどの成長
因子による切断類似性 ワクシニア感染Vero細胞を、Maertensら(PCT EP第95/030
31号)による記載のように溶解させたが、ヨードアセトアミド(IAA)を、
不可逆的遮断剤として加え、アプロチニンを、4℃で一晩インキュベートした後
に加えた。 LCA樹脂(ファルマシア)でのクロマトグラフィー、DTTでの還元および
ゲルろ過を、IAAをNEMの代わりに不可逆的遮断剤として使用した以外は、
上で記載の通りに実施した。E1sプールを、銀染色およびウェスタンブロット
により解析した。 ウェスタンブロットによる半精製生成物の解析により、27〜32kDaの領域
の4重バンド以外に、分子量が約18kDaのE1sバンドが示された。 バンドは、NH2末端アミノ酸シークエンスにより特徴づけられた。 4重の異なるバンドの主なシグナル配列: YEVR?VSG (正確にプロセシングされたE1sのアミノ末端) E1s分解産物の配列: ??VALTPTLAA この分解産物は、CVPC−部位の上流に局在する、Arg237後のカルボ
キシ末端の特異的切断から生じる。第一および第二残基は同定されなかった。な
ぜなら、システインおよびトリプトファンアミノ酸は、エドマンシークエンス法
により破壊されるからである。 驚くべきことに、他の塩基性残基およびさらには二塩基性配列がE1sに存在
するが、他の分解産物は全く回収されなかった。この特異的切断パターンは、チ
オレドキシンなどの成長因子のプロセシングに関して記載されていて、この切断
によりECFFが生じる(Balcewicz-Sablinskaら、1991; Newmanら、1994)、
E1sドメイン構造に対応する。
【0144】 実施例8:E1s CVPC部位におけるシステインのpKaの滴定 反応段階順序(すなわち、C1VPC2部位のシステインが最初に反応する)を
確立するために、これらのシステインのpKaを滴定した。E1sのC1VPC2
位のシステインのpKaは、E1sまたは合成ペプチドのシステインの修飾によりp
Hの関数で求められる。 修飾は、予め設定したpHにおけるIAAでの処理により実施され、その後、試
料を、トリフルオロ酢酸(TFA)でpHを2まで下降した後にRPCに負荷した
。 最も反応性の高いシステインを決定するために、過剰のIAA試薬をRPCに
より除去した。非反応チオール基を、エチレンイミン(EI)またはブロモ−エ
タノールアミン(BEA)の添加後にpHを上昇することにより修飾した。 EIまたはBEAでの処理により、リジンを模倣したシステイン付加物が導入
され、これは補助的なトリプシン溶解部位を創造する。この補助的部位により、
ペプチドフィンガープリントおよびMSを介したC1VPC2部位の最も反応性の
高いシステインの同定が可能となる(実施例1も参照)。
【0145】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 L−アスコルベートの存在下で溶解した後の可逆的に保護及び不可逆的に遮断
されたVero試料のサイズ排除。 Vero細胞を、1mM L−アスコルベートの存在下、TritonX−10
0で溶解した。溶解液をレンズマメレクチンに負荷し、Maertensらの第PCT
EP第95/03031号に記載されたように、pH7.2の7.5mM DTTで
還元した。還元したE1を、(1)四チオン酸ナトリウムでスルホン化させるか
、(2)N−エチルマレイミドで不可逆的に遮断させるか、または(3)未処理
のままであるが、溶液のpHを6に降下させるかの、いずれかを行なった。 MaertensらのPCT EP第95/03031号によるプロトコルに従ったS
ECプロファイルを、参照とした。 Superdex G200 10/30(ファルマシア)でのゲルろ過を、条件(3)を除き、
PBS(pH7.2)中、3% Empigenで実施した。このゲルろ過は、10mM ホ
スフェート、150mM NaCl、pH6.0で実施した。 SECプロファイル: A:アスコルベートの存在下で溶解およびDTTで還元後にスルホン化 棒は、銀染色およびウェスタンブロットによる解析のためのプールを示す。 ヒストグラムによりサンドイッチエライザ結果が得られる:Mab 14H1
1B2(IGH207)をコーティングに使用し、検出をHRP標識25C3(
IGH200)を用いて実施した。
【図1B】 L−アスコルベートの存在下で溶解した後の可逆的に保護及び不可逆的に遮断
されたVero試料のサイズ排除。 Vero細胞を、1mM L−アスコルベートの存在下、TritonX−10
0で溶解した。溶解液をレンズマメレクチンに負荷し、Maertensらの第PCT
EP第95/03031号に記載されたように、pH7.2の7.5mM DTTで
還元した。還元したE1を、(1)四チオン酸ナトリウムでスルホン化させるか
、(2)N−エチルマレイミドで不可逆的に遮断させるか、または(3)未処理
のままであるが、溶液のpHを6に降下させるかの、いずれかを行なった。 MaertensらのPCT EP第95/03031号によるプロトコルに従ったS
ECプロファイルを、参照とした。 Superdex G200 10/30(ファルマシア)でのゲルろ過を、条件(3)を除き、
PBS(pH7.2)中、3% Empigenで実施した。このゲルろ過は、10mM ホ
スフェート、150mM NaCl、pH6.0で実施した。 SECプロファイル: B:アスコルベートの存在下で溶解およびDTTで還元後に不可逆的に遮断 棒は、銀染色およびウェスタンブロットによる解析のためのプールを示す。 ヒストグラムによりサンドイッチエライザ結果が得られる:Mab 14H1
1B2(IGH207)をコーティングに使用し、検出をHRP標識25C3(
IGH200)を用いて実施した。
【図1C】 L−アスコルベートの存在下で溶解した後の可逆的に保護及び不可逆的に遮断
されたVero試料のサイズ排除。 Vero細胞を、1mM L−アスコルベートの存在下、TritonX−10
0で溶解した。溶解液をレンズマメレクチンに負荷し、Maertensらの第PCT
EP第95/03031号に記載されたように、pH7.2の7.5mM DTTで
還元した。還元したE1を、(1)四チオン酸ナトリウムでスルホン化させるか
、(2)N−エチルマレイミドで不可逆的に遮断させるか、または(3)未処理
のままであるが、溶液のpHを6に降下させるかの、いずれかを行なった。 MaertensらのPCT EP第95/03031号によるプロトコルに従ったS
ECプロファイルを、参照とした。 Superdex G200 10/30(ファルマシア)でのゲルろ過を、条件(3)を除き、
PBS(pH7.2)中、3% Empigenで実施した。このゲルろ過は、10mM ホ
スフェート、150mM NaCl、pH6.0で実施した。 SECプロファイル: C:アスコルベートの存在下で溶解およびさらなる処理をしないが、SECは
pH6.0で実施した 棒は、銀染色およびウェスタンブロットによる解析のためのプールを示す。 ヒストグラムによりサンドイッチエライザ結果が得られる:Mab 14H1
1B2(IGH207)をコーティングに使用し、検出をHRP標識25C3(
IGH200)を用いて実施した。
【図1D】 L−アスコルベートの存在下で溶解した後の可逆的に保護及び不可逆的に遮断
されたVero試料のサイズ排除。 Vero細胞を、1mM L−アスコルベートの存在下、TritonX−10
0で溶解した。溶解液をレンズマメレクチンに負荷し、Maertensらの第PCT
EP第95/03031号に記載されたように、pH7.2の7.5mM DTTで
還元した。還元したE1を、(1)四チオン酸ナトリウムでスルホン化させるか
、(2)N−エチルマレイミドで不可逆的に遮断させるか、または(3)未処理
のままであるが、溶液のpHを6に降下させるかの、いずれかを行なった。 MaertensらのPCT EP第95/03031号によるプロトコルに従ったS
ECプロファイルを、参照とした。 Superdex G200 10/30(ファルマシア)でのゲルろ過を、条件(3)を除き、
PBS(pH7.2)中、3% Empigenで実施した。このゲルろ過は、10mM ホ
スフェート、150mM NaCl、pH6.0で実施した。 SECプロファイル: D:参照:溶解液中およびDTT還元後NEM/NEM.bioで遮断(Maer
tensらのPCT EP95/03031号)。 棒は、銀染色およびウェスタンブロットによる解析のためのプールを示す。 ヒストグラムによりサンドイッチエライザ結果が得られる:Mab 14H1
1B2(IGH207)をコーティングに使用し、検出をHRP標識25C3(
IGH200)を用いて実施した。
【図2A】 スルホン化剤の存在下、溶解後の、可逆的に保護および不可逆的に遮断された
VeroE1sのサイズ排除クロマトグラフィー。 Vero細胞を、MaertensらのPCT EP第95/03031号に記載のよ
うに溶解したが、四チオン酸ナトリウムをNEM/NEM.bioの代わりに加
えた。 レンズマメ精製および還元は、MaertensらのPCT EP第95/03031
号に記載のように実施した。還元した物質を(1)四チオン酸ナトリウムでスル
ホン化するか、(2)IAAで処理(=不可逆的に遮断)した。 MaertensらのPCT EP95/03031号に記載のような方法により得ら
れた物質を参照とした。3つの異なるE1s試料を、PBS、3% Empigen、pH
7.2で平衡化しておいたSuperdexG200 10/30カラムで分離した。 A:Vero細胞溶解液のスルホン化およびDTTで還元後のスルホン化 サンドイッチエライザの結果をヒストグラムに提示する。 E1画分を、棒で示したようにプールし、銀染色およびウェスタンブロットに
より解析した。
【図2B】 スルホン化剤の存在下、溶解後の、可逆的に保護および不可逆的に遮断された
VeroE1sのサイズ排除クロマトグラフィー。 Vero細胞を、MaertensらのPCT EP第95/03031号に記載のよ
うに溶解したが、四チオン酸ナトリウムをNEM/NEM.bioの代わりに加
えた。 レンズマメ精製および還元は、MaertensらのPCT EP第95/03031
号に記載のように実施した。還元した物質を(1)四チオン酸ナトリウムでスル
ホン化するか、(2)IAAで処理(=不可逆的に遮断)した。 MaertensらのPCT EP95/03031号に記載のような方法により得ら
れた物質を参照とした。3つの異なるE1s試料を、PBS、3% Empigen、pH
7.2で平衡化しておいたSuperdexG200 10/30カラムで分離した。 B:Vero細胞溶解液のスルホン化およびヨードアセトアミドでの不可逆的
な遮断 サンドイッチエライザの結果をヒストグラムに提示する。 E1画分を、棒で示したようにプールし、銀染色およびウェスタンブロットに
より解析した。
【図2C】 スルホン化剤の存在下、溶解後の、可逆的に保護および不可逆的に遮断された
VeroE1sのサイズ排除クロマトグラフィー。 Vero細胞を、MaertensらのPCT EP第95/03031号に記載のよ
うに溶解したが、四チオン酸ナトリウムをNEM/NEM.bioの代わりに加
えた。 レンズマメ精製および還元は、MaertensらのPCT EP第95/03031
号に記載のように実施した。還元した物質を(1)四チオン酸ナトリウムでスル
ホン化するか、(2)IAAで処理(=不可逆的に遮断)した。 MaertensらのPCT EP95/03031号に記載のような方法により得ら
れた物質を参照とした。3つの異なるE1s試料を、PBS、3% Empigen、pH
7.2で平衡化しておいたSuperdexG200 10/30カラムで分離した。 C:MaertensらのPCT EP95/03031号に記載のようなNEM/N
EM.bioで不可逆的に遮断後に得られたVero E1s。 サンドイッチエライザの結果をヒストグラムに提示する。 E1画分を、棒で示したようにプールし、銀染色およびウェスタンブロットに
より解析した。
【図2D】 スルホン化剤の存在下、溶解後の、可逆的に保護および不可逆的に遮断された
VeroE1sのサイズ排除クロマトグラフィー。 Vero細胞を、MaertensらのPCT EP第95/03031号に記載のよ
うに溶解したが、四チオン酸ナトリウムをNEM/NEM.bioの代わりに加
えた。 レンズマメ精製および還元は、MaertensらのPCT EP第95/03031
号に記載のように実施した。還元した物質を(1)四チオン酸ナトリウムでスル
ホン化するか、(2)IAAで処理(=不可逆的に遮断)した。 MaertensらのPCT EP95/03031号に記載のような方法により得ら
れた物質を参照とした。3つの異なるE1s試料を、PBS、3% Empigen、pH
7.2で平衡化しておいたSuperdexG200 10/30カラムで分離した。 D:SECプロファイルの重層。 サンドイッチエライザの結果をヒストグラムに提示する。 E1画分を、棒で示したようにプールし、銀染色およびウェスタンブロットに
より解析した。
【図3A−1】 SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによる3% Empigen中SECの画
分解析 (A)異なる条件の可逆的保護および不可逆的遮断後に得られたSEC画分を、
SDS−PAGEおよび銀染色により解析した。 アスコルベート中での溶解およびpH6でのゲルろ過(図1C参照)またはアス
コルベート中での溶解およびスルホン化(図1A参照)後に得られた分画のSD
S−PAGEによる画分解析を、例として示す。
【図3A−2】 SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによる3% Empigen中SECの画
分解析 (A)異なる条件の可逆的保護および不可逆的遮断後に得られたSEC画分を、
SDS−PAGEおよび銀染色により解析した。 図1Cに記載のような条件(アスコルベート中での溶解およびDTT還元後の
pH6のSEC)での11B7D8を用いたウェスタンブロットによる画分スクリ
ーニングを示す。
【図3B】 SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによる3% Empigen中SECの画
分解析 (B)SEC−プールのウェスタンブロットを、アミノおよびカルボキシ末端エ
ピトープをそれぞれ認識する、抗E1s MAb 5E1A10を用いて実施し
た。 プールは、図1および図2に示したように作製した。 レーン1および6:分子量マーカー。 レーン2および7:MaertensらのPCT EP95/03031号により調製さ
れるような参照物質。 レーン3および8:不可逆的に遮断したシステインを用いて調製した参照物質(
ヨードアセトアミドでの処理)。 レーン4および9:溶解液のスルホン化および還元後のスルホン化後に得られた
物質。 レーン5および10:アスコルベート存在下での溶解および還元後のスルホン化
後に得られた物質。
【図4】 E. coli発現(his)6標識NS3融合タンパク質 可逆的保護後の金属親和性による精製、並びに、エライザ用の試料調製を図に
示す。 +/−AO:可逆的保護剤(AO)の存在下または非存在下。
【図5A】 異なるコーティング条件下後のmTNF(His)6NS3融合タンパク質の
エライザ反応性。 90%純粋なmTNF(His)6NS3B9融合タンパク質を、200mM
DTTでの還元後に、25mM シトレート、1mM EDTA、pH4へと脱塩した
。融合タンパク質を、脱塩緩衝液中500μg/mLとなるまで希釈し、チオール保
護剤(抗酸化剤グループ1、グループ2)の存在下または非存在下で−70℃で
保存した。 試料を、チオール保護剤(抗酸化剤)を含むまたは含まないエライザコーティ
ング緩衝液(50mM 重炭酸塩緩衝液、pH9.6)中0.5μg/mLまで希釈した
。ウェルを、保護剤の存在下または非存在下でPBSで遮断した。 血清試料インキュベートを、10mM DTTの存在下または非存在下で実施し
、エライザを、洗浄後に、HRPコンジュゲートウサギ抗ヒト抗体(Dako、
デンマーク)で展開した。反応は、2N H2SO4の添加により停止させた。 血清(17790、17826、17832、17838)を試験した。血清
17790および17832を、困難な血清と考える。なぜなら、それらは、2
00mM DTT(陽性対照)での処理後にのみHCV陽性血清と検出されるから
である。10mM DTTによる処理は、これらの血清の陰性対照として含める。
血清17826および17838は、10mM DTT処理後にNS3B9タンパ
ク質と反応する、血清である(そして、容易に検出可能なHCV血清と考えられ
る)。 抗酸化剤グループ1:1mM EDTA、1mM L−アスコルビン酸、1mM 還
元グルタチオン。 遮断を保護剤の存在下で実施する場合、1mM トコフェロールを、エライザプ
ロセス中にこれらのチオール保護剤に補充的に加える。 抗酸化剤グループ2:1mM チオジエチレングリコール(TEG)、1mM Mチ
オフェンカルボン酸(TPCB)、1mM ピロリドンジチオカルバメート(PD
TC)、1mM ジエチルジチオカルバメート(DETC)。
【図5B】 異なるコーティング条件下後のmTNF(His)6NS3融合タンパク質の
エライザ反応性。 チオール化合物およびNS3B9反応性。 エライザは、可逆的保護基としてのモノおよびジチオ化合物の効果(型および
濃度)をより詳細に調べる以外は、図5Aに記載のように実施した。 このエライザでは、試料希釈液を、常に3mM DTTの存在下でインキュベー
トした。 抗酸化剤1=1mM EDTA、1mM L−アスコルベート。 抗酸化剤2=1mM チオフェンカルボン(TPBC)酸、1mM チオエチレン
グリコール(TEG)、1mM ジエチルジチオカルバメート(DETC)、1mM
ピロリドンジチオカルバメート(PDTC)。 4mM DTC=2mM DETC、2mM PDTC 4mM モノ−SH=2mM TPBC、2mM TEG GSHおよびCysはそれぞれ、還元グルタチオンおよびシステインである。
【図6A】 金属アフィニティクロマトグラフィー後の精製され可逆的に保護された(hi
s)6標識HCVタンパク質のSDS−PAGE解析 E. coli発現mTNF(His)6NS3B9(バッチNS3B9 B9609
2511)。抗mTNFを用いたウェスタンブロットおよび非還元条件下での銀
染色SDS−PAGE(1μgタンパク質/レーン)。 タンパク質は、(a)銀染色;(b)抗E1sを用いたウェスタンブロットま
たは(c)GNAブロットにより可視化した。 Maertensら(PCT EP95/03031号)による記載のように精製した
ワクシニア発現E1sを、参照とした。
【図6B】 金属アフィニティクロマトグラフィー後の精製され可逆的に保護された(hi
s)6標識HCVタンパク質のSDS−PAGE解析 サッカロミセス・セレビジアエ(酵母)発現(his)6標識E1 タンパク質は、(a)銀染色;(b)抗E1sを用いたウェスタンブロットま
たは(c)GNAブロットにより可視化した。 Maertensら(PCT EP95/03031号)による記載のように精製した
ワクシニア発現E1sを、参照とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/50 33/50 Z 33/576 33/576 Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 マエルテンス,ゲールト ベルギー国、ベー−8310 ブリュッヘ、ジ ルベルスパーレンストラート 64 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA28 AA40 BA11 BA13 BB03 BB20 BB53 CA26 CB01 CB03 CB07 CB08 CB11 CB14 CB15 CB21 CB26 DA20 DA36 DA77 FB01 FB03 4B063 QA18 QQ08 QQ22 QQ95 QR02 QR67 QR77 4C085 AA03 BB11 4H045 AA10 CA02 DA86 EA29 FA74

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可逆性の酸化還元状態を有する、少なくとも2つのCys−
    アミノ酸を含む、HCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分であって、
    上記Cysアミノ酸は、アミノ酸配列Cys−X1−X2−Cysに含まれ、ここ
    でのアミノ酸X1は任意のアミノ酸を示し、アミノ酸X2は任意のアミノ酸を示す
    、前記HCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分。
  2. 【請求項2】 アミノ酸X1はアミノ酸Val、LeuまたはIleを示し
    、アミノ酸X2は任意のアミノ酸を示す、請求項1記載のHCVタンパク質また
    はその任意の機能的等価部分。
  3. 【請求項3】 アミノ酸X1は任意のアミノ酸を示し、アミノ酸X2はアミノ
    酸Proを示す、請求項1記載のHCVタンパク質またはその任意の機能的等価
    部分。
  4. 【請求項4】 アミノ酸X1は、アミノ酸Val、LeuまたはIleを示
    し、アミノ酸X2はアミノ酸Proを示す、請求項1記載のHCVタンパク質ま
    たはその任意の機能的等価部分。
  5. 【請求項5】 HCVタンパク質は、E1sまたはE1p群から選択される
    、請求項1記載のHCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分。
  6. 【請求項6】 以下のプロセス: (a)システイン残基が、化学的および/または酵素的手段により可逆的に保護
    されている、HCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分を精製すること
    、 (b)システイン残基の可逆的保護状態を除去すること、 (c)システイン残基が可逆的酸化還元状態を有する、HCVタンパク質または
    その任意の機能的等価部分を得ること、 により得ることのできる、請求項1〜5のいずれか1項記載の、可逆的酸化還
    元状態を有する、少なくとも2つのCys−アミノ酸を含む、HCVタンパク質
    またはその任意の機能的等価部分。
  7. 【請求項7】 医薬として使用するための請求項1〜6のいずれか1項記載
    のHCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分。
  8. 【請求項8】 HCVワクチン組成物、特に治療ワクチン組成物または予防
    ワクチン組成物の製造のための、請求項1〜6のいずれか1項記載のHCVタン
    パク質またはその任意の機能的等価部分の使用。
  9. 【請求項9】 HCVタンパク質またはその任意の機能的等価部分を特異的
    に認識する、抗体を産生するための、請求項1〜7のいずれか1項記載の、HC
    Vタンパク質またはその任意の機能的等価部分。
  10. 【請求項10】 (1)請求項1〜7のいずれか1項記載のHCVタンパク
    質またはその任意の機能的等価部分を提供すること; (2)HCV抗体−HCVタンパク質複合体の形成の可能な条件下で、生体試料
    を前記HCVタンパク質と共にインキュベートすること; (3)前記HCV抗体−HCVタンパク質複合体が形成されたかどうかを決定す
    ること、 を含む、HCV抗体を検出するためのイムノアッセイ。
  11. 【請求項11】 (a)請求項1〜7のいずれか1項記載のHCVタンパク
    質またはその任意の機能的等価部分を発現している細胞を、前記タンパク質のオ
    キシド−レダクターゼ活性を調整する能力を測定しようとする少なくとも1つの
    化合物に曝露し;そしてその後 (b)前記タンパク質を、オキシド−レダクターゼ活性の変化についてモニタリ
    ングする、 ことを含む、請求項1〜7のいずれか1項記載のHCVタンパク質のオキシド
    −レダクターゼ活性を調整する化合物を同定するためのバイオアッセイ。
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