JP2003512849A - フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品 - Google Patents

フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品と、該ドウ製品を調製する方法提供する。具体的には、本発明のドウ製品は、化学的膨張剤として活性である温度範囲が異なる、複数の化学的に膨張させる酸からなる化学的膨張システムを含んでいる。該化学的膨張システムは、調理時本発明のドウ製品の段階的な膨張に供する。すなわち、この膨張は、広い温度範囲に亘り、したがって調理工程の実質的な部分の間に起こる。かかる膨張システムを有する冷凍ドウ製品を提供することにより、冷凍に先立ち前もってねかす工程、調理前の解凍工程あるいは中間のねかし工程の必要性が回避される。さらに、ドウ製品は、調理すると実質的な膨張が可能であるので、優れた外観と官能特性を有する調理されたドウ製品を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
本発明はドウ製品及びドウ製品の製造方法に関する。特に本発明は異なった温
度範囲で化学的膨張剤としての活性を持つ複数の化学的に膨張させる酸を含む化
学的膨張システムを含むドウ製品に関する。この化学的膨張システムを含む、ね
かせていない冷凍ドウ製品は加熱により段階的な膨らみを生じ、焼く前に欠かす
ことのできなかった解凍工程とねかし工程がなくとも、良好な外観と官能特性を
持つ調理されたドウ製品を製造することができる。
【0002】
【発明の背景】
パン、ペーストリー、デニッシュ、スイートロールなどの焼き立てのドウ製品
は消費者からの高い要望の対象となっている。これらの製品が強く望まれるのは
、それらを消費することにより達成される嗜好と食の満足だけではなく、これら
の製品を、特に家庭環境の中で調理することにより、有用及び/又は好ましい機
能を与えるからである。例えば、このようなドウ製品を調理することによって、
これらの品目を料理することを好む人々に楽しみを与え、これらの品目を調理す
ることに挑戦することを好む人々に満足感を与え、そしてさらに、これらの品目
が焼かれたときに生じる芳香によって居心地の良い「家庭的(homey)」雰囲気
を創り出すことができる。
【0003】 しかしながら、ある焼きドウ製品は調製することが難しく、家庭での調製であ
れ商業生産であれ、時々法外な時間を消費する。例えば、あるドウ製品は混合及
び/又は混練に長時間を要し、時間の消費だけではなく、幾人かの人々に対して
は成し遂げることが困難である。さらに、望ましい焼成後の比容積(baked spec
ific volume)又は幅と高さの比率(width to height ratio)を有する最終焼成
製品を提供するためにイースト又は化学的膨張システムを含む膨張したドウ製品
は、ドウを2倍又は3倍の大きさに膨張させる、長い「ねかし(proofing)」の工
程をしばしば必要とする。ドウ製品の望ましい最終焼成後の比容積に依存するも
のの、このねかし工程は一般に1時間から数時間を要する。
【0004】 これらの困難のいくつかは、消費者及び/又は商業会社により、予備調理した
ドウ製品を使用することによって克服することができる。すなわち、ドウを混合
したり、混練したりする必要の無い、前もって混合されたドウ製品が市販されて
いる。例えば、いろいろの種類の冷凍されたパンのドウやロールパンのドウや、
スイートロール、デニッシュやピザの冷蔵したドウが、多くのスーパーマーケッ
トで市販されている。これらの製品は、同一の品を全く最初から作ることに比べ
れば、実用的な時間の節約になる代替品ではあるけれども、ある状況のもとで使
用するには欠点があり、最善のものとは言えない。
【0005】 このようなドウ製品は、一般的にドウを混合したり、混練したりする必要がな
く、より便利ではあるけれども、依然として消費時間及び/又は調製の困難さの
点で好ましくない。例えば、冷凍されたドウ製品はそれらを焼くことができる前
に解凍(thawing)工程とねかし工程を一般的に必要とする。このように、これ
らの製品の調製は、容易ではあるけれども、焼成前にこれらの品を解凍する及び
/又はねかすために長い時間を必要とすることにより、依然として時間を消費す
る。冷蔵ドウ製品もまた多くは包装前に前もってねかせている(preproofing)
。その結果、これらの製品の製造は、ねかし時間を製造工程に入れるという不都
合をこうむっており、これはいくつかの応用例によっては望ましいことではない
。このような前もったねかし工程を行うためには、ねかしのための小室のような
付加製造設備もまた必要となり、追加の出費を必要とする事態を招くこととなる
。なおその上、前もってねかせた冷蔵ドウ製品の出荷及び貯蔵は問題が多く、こ
のような製品はねかせていない同種の製品に比べて、取扱いにより細心の注意を
必要とし、強固な包装及び/又は大きい貯蔵スペースを要する。
【0006】 より容易にまた便利に調製できるドウ製品を提供する目的の中で、フリーザー
からオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品、すなわち中間の解凍工程や
ねかし工程なしにフリーザーからオーブンへ直接進めることのできる製品を開発
するいくつかの試みがなされてきた。1つのアプローチとして、de Boerらの米
国特許第5,254,351号、Boode-Boissevainの欧州特許出願公開EP 0542353 A1号、
SeneauのEP 0305071号、KarinthiのEP 0796560 A1に号に記載されているように
、ドウ製品は、冷凍される前に「前もってねかされる(preproofed)」。次いで、
ドウ製品が焼かれるとき、ねかし工程は必要ではなく、ドウ製品は直接オーブン
又は他の調理器具中に置くことができる。
【0007】 これらの種類のドウ製品は、最終消費者にはより便利ではあるけれども、最終
製品の焼成物は組織的および官能的特性が望ましくないものとなり、この少なく
とも一部の原因は冷凍前のねかしの作用による。すなわち、膨張剤を入れたドウ
製品がねかされるか、又は膨らませられた時に、膨張剤はドウ中の他の材料と反
応してガスを発生する。発生したガスはドウ全体に亘ってポケットを形成し、こ
れらのポケットの生成が引き続いてドウの組織を膨張させる。この膨張は、一般
にドウのグルテン構造を弱くし、この弱さはドウ温度が大部分の水が凍結する温
度に達したときに、氷の結晶の生成により一層悪くなる。このような弱くなった
グルテン構造を有するドウ製品は焼成時につぶれる傾向を有している。
【0008】 予めねかせた製品の一般的にもろいグルテン組織の結果として、このような製
品はねかせていないドウ製品に比べて、取扱いや包装により多くの困難を伴う。
すなわち、ねかしにより形成されたグルテン組織を破壊したり乱したりすること
は好ましくないので、ドウ製品はねかしたグルテン組織を保つために注意深く取
り扱わなければならない。商業上又は製造への応用において、その組織を保持す
るのに必要な注意水準を達成するのは、不可能ではなくとも、例えば、時間の制
約、工員の技能水準、又は製造装置の機械的な制限により、困難である。さらに
、前もってねかした冷凍ドウはねかしていない同種製品に比べて、必然的により
大きくなり、これにより、このような製品の輸送や貯蔵にはより大きなスペース
を必要とし、この製品の運送業者にコストがかかり、またエンドユーザーにも不
便である。
【0009】 前述した成果に加え、エンドユーザーが調理するのにより簡便なドウ製品を提
供するために、別の試みとして、前もってねかす工程よりもむしろ、特定の種類
の膨張システムの含有物に焦点が当てられてきた。例えば、Larsenの米国特許第
5,589,207号はフリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品を
開示し、ここに開示されたドウはイーストと、イーストに発酵できる糖類を提供
する機能を持つ相当量のアミラーゼとを含んでいる。イーストを含有することか
らもたらされる特有の好ましい芳香(flavor)を得る目的で相当量のイーストが
多くのドウ製品に添加されているけれども、膨張システムとしてイーストだけを
用いているドウ製品を提供する他のものと同様に、このアプローチは、フリーザ
ーからオーブンにすぐに入れることのできる応用において最善の焼成ドウ製品を
製造できるものとは言えない。
【0010】 特に、イーストを唯一の膨張剤として含むフリーザーからオーブンにすぐに入
れることのできるドウ製品は、一般に好ましい焼成後の比容積及び/又は官能特
性を持つドウ製品とはならない。これは、少なくとも一部はこれらの種類のドウ
製品は焼く前にねかされていない事実のせいであり、それゆえ、ドウ製品の全て
の望ましい膨張や組織の成長は焼成中、それも特にドウが膨れ始める温度に達す
る前の調理サイクルの初期に起こらなければならない。また、イーストは約80°
Fから約90°Fの最適温度範囲を持ち、この範囲内で相当量のガスを生成し、さ
らに140°Fの温度で死滅して効果がなくなるので、イーストが実際に活性であ
りガスを発生しドウを膨張させることができるのは、調理サイクルのこの初期の
わずか数分間しかない。このような短い時間は、望ましいドウ組織が成長するに
は一般に不十分であり、その結果として、膨張剤としてイーストのみを含む、フ
リーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品から製造された焼成
ドウ製品は、一般に生焼きの密な組織を持ち、従来の方法で製造したものに見ら
れる望ましい焼成後の比容積を持っていない。
【0011】 最後に、単一の化学的膨張剤を単用するかあるいはイーストと併用した、フリ
ーザーからオーブンにすぐに入れることのできるまずまずのドウ製品を提供する
いくつかの試みが行われた。これらのドウ製品はねかし工程がなくても許容し得
る焼成品を提供するけれども、このようなドウ製品中の膨張剤はイーストの有無
にかかわらず解凍工程が省略されたときには最良に機能しない。したがって、こ
れらの製品が、最良に機能するために中間に解凍工程を必要とする限り、フリー
ザーからオーブンに直接進めることができるという望ましい便利さを提供しない
ので、これらの製品は一般的にフリーザーからオーブンにすぐに入れることので
きる用途には受け入れられない。
【0012】 従来技術で、優れた官能特性とドウ組織を持つ、フリーザーからオーブンにす
ぐに入れることのできるドウ製品を提供する1つの成功例がせいぜいバーガーキ
ング(登録商標)のフランチャイズで市販されているシニミニ(Cini-mini)・
シナモンロールである。シニミニ・シナモンロールは、この商業施設に冷凍品と
して供給され、続いて個々のフランチャイズ店で中間の解凍工程若しくはねかし
工程を経ないで焼くことができる。シニミニは膨張システムとしてただ1種の膨
張させる酸とイーストとを含んでおり、かかる膨張システムを含む上述の製品と
対照的であるけれども、シニミニは、フリーザーからオーブンにすぐに入れるこ
とのできる成功した製品であり、少なくとも相当な部分が、これが小さなサイズ
の製品として販売され、そして好まれた事実に起因している。
【0013】 ほとんどのドウ製品は、実質的にはねかしと焼成の間に好ましい膨張をし、標
準サイズのドウ製品、すなわち、約200%から約300%のボリュームが増加したド
ウ製品となる。このような膨張量を得るには、かかるドウ製品は、このような膨
張量は膨張剤の活性がありドウの組織構造が所定の状態にならない調理サイクル
の間の時間量では一般には起こらないため、一般に焼く前にねかさなければなら
ない。これと対照的に、焼いたシニミニ・ロールは小さな製品であるのが望まし
いので、満足の行くシニミニ・ロールを作るためにこのような多大な膨張は必要
ではなく、実際、最適のシニミニ・ロールを作るために要求される膨張の度合い
(一般に約50%から約100%)は、ドウ組織構造が膨らみ始める前の調理サイク
ルの初期の間に容易に達成される。しかしながら、シニミニ・ロールは満足され
る外観と官能上の品質を有していおり、商業的成功をもたらしたけれども、実質
的な膨張をすることできるフリーザーからオーブンにすぐに入れることのできる
ドウ製品を提供することが依然として求められている。すなわち、標準的な大き
さの焼成されたドウ製品であっても焼成サイクル中にボリュームが150%以上の
膨張するドウ製品が求められている。
【0014】 このように、調理のどの段階においてもねかし工程や解凍工程を必要とせず、
しかも優れた外観と官能特性を持った焼成ドウ製品を最終的に作ることができる
、フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品を提供すること
が強く求められている。調理サイクル中に実質的に膨張でき、例えば、高さより
幅の広い標準サイズのドウ製品を作ることができるドウ製品がさらに強く求めら
れている。
【0015】
【発明の要旨】
本発明により、上記の目的及び本開示を読むことにより当業者に明瞭な他の目
的は、フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品とそのドウ
製品の製造及び調理方法を記載した本発明により達成することができる。具体的
には、本発明のフリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品は
、調理されるときに該ドウ製品に段階的膨張を与える化学的膨張システムを含ん
でおり、この膨張は広い温度範囲に亘って起こり、それゆえ調理サイクルの相当
部分の間に起こる。このような膨張システムを含む冷凍ドウ製品を提供すること
により、冷凍前の前持ったねかし工程、調理前の解凍工程及び中間のねかし工程
が回避され、しかも、ドウ製品は調理において多大な膨張を可能とする。すなわ
ち、冷凍ドウ製品のボリュームに比べて少なくとも約150%増加する。さらに、
得られた調理済みのドウ製品は優れた外観と官能特性(visual and organolepti
c properties)を持っている。
【0016】 それゆえに、1つの見地として、本発明は、穀物粉、水、イースト、及び化学
的膨張剤として活性になる温度範囲が異なる複数の化学的に膨張させる酸を含む
化学的膨張システムとを含む、ねかせていない冷凍ドウ製品を提供する。好まし
くは、本ドウ製品は積層されたドウ(laminated dough)を含む。少なくとも化
学的膨張システムの能力の実質的な部分において、調理サイクルの相当部分の間
に膨張する能力を有するドウ製品を提供するため、優れた外観と官能特性を持つ
調理済みドウ製品は、本発明のねかせていない冷凍ドウ製品を、調理前の中間解
凍工程又はねかし工程を経ることなく調理サイクルにかけて処理することによっ
て得ることができる。1つの好ましい具体例として、本発明のドウ製品の外観特
性を、焼成中に起こるドウ製品外表面のひび割れの量を減少させるか又は排除す
る量の氷点降下剤を含めることによって、さらに高めることができる。
【0017】 本発明の他の見地では、本発明のねかしていない冷凍ドウ製品から調製した調
理済みドウ製品の優れた外観と官能特性により、本発明はさらに穀物粉、水、イ
ースト、及び化学的膨張剤として活性になる温度範囲が異なる、複数の化学的に
膨張させる酸を含む化学的膨張システムとを含むフリーザーからオーブンにすぐ
に入れることのできるドウ製品を提供する。本発明の他の見地は、穀物粉、水、
イースト、及び化学的膨張システムとを含む、フリーザーからオーブンにすぐに
入れることのできるドウ製品を提供することにある。ドウ製品は、ドウ製品がね
かされずに冷凍される第1の状態と、ドウ製品が調理されて第1の状態のドウ製品
のボリュームより少なくとも約150%多いボリュームとなる第2の状態とを含む。
化学的膨張システムは、調理サイクルの間にドウ製品の段階的な膨張をおこすの
で、ドウ製品の第2の状態は、第1の状態のドウ製品を、中間の解凍工程又はねか
し工程なしに調理サイクルに導入して処理することにより達成することができる
【0018】 本発明のねかせていない冷凍ドウ製品は、必要とされている冷凍前のねかし工
程、調理前の解凍工程又はねかし工程なしで、調理されたドウ製品を作ることに
好都合に用いられるので、エンドユーザーは本発明のねかせていない冷凍ドウ製
品を用いて、焼き立てのドウ製品を容易にまた簡便に作ることができる。それゆ
え、さらに本発明の他の見地は、膨張しない調理済みの焼成ドウ製品を製造する
方法を提供することである。具体的には、本発明の方法は、穀物粉、水、イース
ト、そして化学的膨張システムとを含む、ねかせていないドウ製品を調製するこ
とを含む。ねかせていないドウ製品は次いで冷凍され、このねかせていない冷凍
ドウ製品は続いて調理され、この調理の工程中に化学的膨張システムはドウ製品
を段階的に膨張させる。結果として得られた調理済みのドウ製品は優れた外観と
官能特性を持っている。
【0019】 最後に、本発明のさらなる他の見地は、穀物粉、水、イースト、及び化学的膨
張剤として活性になる温度範囲が異なる、複数の化学的に膨張させる酸を含む化
学的膨張システムとを含むねかせていないドウ製品を調製することを含む、ねか
せていない冷凍ドウ製品の調製方法を提供することにある。
【0020】 ここで用いているように、「フリーザーからオーブンにすぐに入れることので
きる(freezer‐to‐oven)」という言葉は、本発明のドウ製品が、実質的な冷凍
状態から、ドウ製品を少なくとも部分的に解凍するか又はねかせるのに十分な中
間の工程を経ないで、調理するための加熱環境に有利に直接進めることができる
ことを意味している。「段階的な膨張(staged rising)」という言葉は、調理
サイクルの少なくとも40%の間に起こる膨張を、好ましくは調理サイクルの50%
の間に起こる膨張を、より好ましくは調理サイクルの60%の間に起こる膨張を意
味する。「調理サイクル(cooking cycle)」という言葉は、調理サイクルに導入
されたドウ製品を調理するのに十分な、すなわち、約170°Fから約210°Fのド
ウ内部の温度に到達するため、熱又はマイクロウェーブの放射における時間の長
さとエネルギーの量を示すことを意味する。
【0021】 また、ここで用いられている「ねかせていない(unproofed)」という言葉は、
ドウ製品を少なくとも部分的にねかせるのに効果的な状態に、すなわちドウ製品
をボリュームで10%以上増加させるような状態にされなかったドウ製品を表すこ
とを意味する。さらに、ここで用いられているように、ドウ製品に適用される「
冷凍又は冷凍された(frozen)」という言葉は、ドウ製品の内部温度が約10°F
未満であることを意味する。最後に、特に表示しない限り、全てのパーセントは
ドウ製品の総重量に基づく重量パーセントである。
【0022】 [発明の詳細な説明] 以下に示す本発明の実施態様は、全てを網羅するものではなく、また、次の詳
細な説明に開示されたままの形に発明を限定するものでもない。実施態様はむし
ろ当業者が本発明の原理と実例を認識し、理解できるように選択し、記載した。
【0023】 本発明は、冷凍状態から中間の解凍工程又はねかし工程を経ることなしに調理
し、優れた外観と官能特性を持つ調理済みのドウ製品を作ることができる、フリ
ーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品を提供するものである
。その結果、本発明のドウ製品は、家庭で作る人であれ、商業的製パン業者であ
れ、エンドユーザーが、容易にまた便利に利用して、このような調理されたドウ
製品を作ることができる。エンドユーザーにこのような簡便さを提供するのに加
えて、本発明のドウ製品は冷凍前に前もったねかし工程を必要としないので、ド
ウ製品の製造業者にも簡便さを与える。このように、ドウ製品がドウ製造中のね
かしに通常消費される時間総量が節約され、さらにその上、このような前もった
ねかし工程を実施するに必要とする付加設備、すなわち、ねかし室などの設備に
対する付加の出費を避けることができる。
【0024】 特に、本発明のドウ製品は、従来のドウ成分、すなわち、少なくとも、穀物粉
、水とイースト、そしてさらに、冷凍ドウ製品が調理されるときにドウ製品に段
階的膨張を与える化学的膨張システムとを含んでいる。化学的膨張システムを含
む結果として起こる段階的な膨張によって、ドウ製品は調理サイクルのかなりの
部分、例えば少なくとも40%、の間膨張することができ、そのため調理されたド
ウ製品は、ねかせた同等物と比肩しうる外観と官能特性を持ち、他のこれまでの
フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品よりしばしば優れ
ている。特に、本発明によって生産された調理されたドウ製品は、有利にもねか
せていない冷凍ドウ製品のボリュームの少なくとも150%、好ましくは200%、よ
り好ましくは250%、もっとも好ましくは300%の調理ずみボリュームを得る。
【0025】 調理されたドウ製品の製造に典型的に使用される調理サイクルでは、一般的に
は、これまでのねかせていない冷凍ドウ製品は、許容できる調理されたドウ製品
をつくるために、膨張がおこるのに十分長い時間を少なくとも2つの理由により
、備えていない。第1に、多くのドウ製品は、調理サイクルの比較的早い時期に
決まったドウ構造を作り上げてしまい、それによって後の焼成サイクルで起こる
付加的な膨張を実質的に妨害し、又は邪魔さえし得る物理的なバリアーが作られ
る。第2に、イースト及び大部分の化学的膨張剤を含む多くの膨張剤は、全く狭
い温度範囲でのみ活性であるか有効である。これらの理由によって、これまでの
冷凍ドウ製品、すなわち膨張システムとしてただイースト及び/又は単一の化学
的膨張剤を含むドウ製品は、典型的にはフリーザーからオーブンにすぐに入れる
ことのできる方法では、最高とはいえない調理されたドウ製品を製造している。
【0026】 どんな論理にもしばられないでいたいと願いながらも、本発明の冷凍ドウ製品
がフリーザーからオーブンにすぐに入れることのできる方法で許容できる調理さ
れたドウ製品を提供できるのは、少なくともかなりの部分、ドウ製品が前記の化
学的膨張システムを含む事実によるものと信じられている。特に、化学的膨張シ
ステムがある程度の量のイーストに加えて2つ又はそれ以上の化学的膨張剤の組
合せを含み、本発明のドウ製品に含まれているイーストはその含有からもたらさ
れる望ましい芳香を主に供する。望ましい及び有利な組合せに含まれる化学的膨
張剤は、異なる温度範囲で有効であるべきであり、そのため、組み合わされた化
学的膨張システムは、単一の膨張剤が単独で使用されることによって達成され得
る温度範囲より広い温度範囲に亘って有効である。ドウ製品の段階的膨張、すな
わちドウ製品の構造ができあがるより前に起こる調理サイクルのより多く部分を
実質的に利用する膨張が、本発明のドウ製品においてこのような化学的膨張シス
テムを含むことによって達成される。
【0027】 化学的膨張剤、すなわち化学的に膨張させる酸と塩基は、少なくとも1つの化
学的に膨張させる酸と少なくとももう1つの化学的に膨張させる塩基との間での
反応生成物として二酸化炭素のようなガスを生じる。そのように生じたガスはド
ウ製品を膨張するのに役立つ。したがって、本発明のドウ製品に含まれる化学的
膨張システムは好ましくは少なくとも1つの化学的に膨張させる塩基を含む。こ
のような反応をすることのできる化学的に膨張させる塩基であればどんなもので
も、好ましく、したがって本発明のドウ製品に使用するのに適している。1種の
塩基が化学的に膨張させる各々の酸と反応するように含まれること、すなわち、
1種以上の塩基を使用することも可能であるけれども、好ましい実施態様におい
ては、1種の化学的に膨張させる塩基が少なくとも2つの化学的に膨張させる酸
の両方と反応することであろう。このような化学的に膨張させる塩基は当業者に
は周知であり、結果として、単に模範的な化学的に膨張させる塩基として、炭酸
水素ナトリウム(ベーキングソーダ)、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カルシ
ウムをここに挙げておく。好ましい化学的に膨張させる塩基は、広く市販されて
いるベーキングソーダである。
【0028】 本発明のドウ製品に使用される化学的膨張システムは、好ましくは少なくとも
2つの化学的に膨張させる酸をさらに含む。2つの化学的に膨張させる酸は、化学
的に膨張させる塩基と組み合わせて使用すると、どちらかの酸を単独で使用する
ときより長い膨張期間をもたらし、及び/又は調理サイクルを行ったときドウ製
品の段階的な膨張を提供する2つの酸であればどのような酸であってもよい。こ
の目的を達成する1つの方法は、少なくとも1つのゆっくり作用して化学的に膨
張させる酸、すなわち比較的高い温度で活性になる化学的に膨張させる酸と、少
なくとも1つの速く作用して化学的に膨張させる酸、すなわち比較的低い温度で
活性になる化学的に膨張させる酸との組合せを使用することである。
【0029】 速く作用して化学的に膨張させる適当な酸は、水に対する溶解性が比較的高く
、かつ、化学的に膨張させる塩基と比較的低い温度で反応可能なものである。そ
の結果、速く作用して化学的に膨張させる酸は、ドウの混合過程及び/又は調理
サイクルの初期のように早い時期に、化学的に膨張させる塩基と反応してガスを
発生する。速く作用して化学的に膨張させる酸はそれぞれ典型的には、異なる温
度範囲で効果を有するが、速く作用して化学的に膨張させる酸は、ドウ内部温度
が少なくとも25℃になると活性になり、一般的に65℃より高くなると不活性にな
ると、一般的に云われている。本発明のドウ製品に用いるのに適した速く作用し
て化学的に膨張させる酸は、限定するものではないが、ピロリン酸水素ナトリウ
ム(SAPP、sodium acid pyrophosphates)、リン酸一カルシウム一水和物(
MCP)、硫酸アルミニウムナトリウム(SAS)、グルコノδ-ラクトン(G
DL)、酒石酸水素カリウム(酒石英)及びこれらの組合せなどを含む。好まし
い速く作用して化学的に膨張させる酸の一例はSAPPであり、このものはソリ
ューション社(セント・ルイス、ミズーリ州)から商品名RD−1で、及びロー
ディア社(クランブリ、ニュージャージー州)から商品名SAPP#4で市販さ
れている。
【0030】 ゆっくり作用して化学的に膨張させる適当な酸は、水に対する溶解度が比較的
低く、かつ、化学的に膨張させる塩基と反応させるためにより高い温度を必要と
するものを含む。したがって、ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸は、典型
的には調理サイクルの後の方で化学的に膨張させる塩基と反応する。さらにまた
、ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸はそれぞれ、典型的には、異なる温度
範囲で効果を有するが、一般的に、ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸は、
ドウ内部温度が少なくとも40℃になると活性になり、85℃より高くなると一般的
に不活性になると云われている。本発明のドウ製品に用いるのに適したゆっくり
作用して化学的に膨張させる酸は、限定するものではないが、リン酸アルミニウ
ムナトリウム(SALP、sodium aluminum phosphate)及びリン酸二カルシウ
ム(DCP)である。好ましいゆっくり作用して化学的に膨張させる酸の1つの
例はSALPであって、これはローディア社(クランブリ、ニュージャージー州
)から商品名Levairで市販されている。
【0031】 ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸と速く作用して化学的に膨張させる酸
の活性化範囲は重なり合うから、本発明のドウ製品に利用される化学的に膨張さ
せる化学薬品は、それらの活性化温度に基づいて、ゆっくり作用するか、又は速
く作用するものと思われ、速く作用して化学的に膨張させる酸は約25℃から約40
℃より低い温度で活性を有し、ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸は約40℃
以上の温度で活性を有するもののようである。
【0032】 本発明のドウ製品に利用する好ましい化学的膨張システムは、少なくとも1つ
の速く作用して膨張させる酸と少なくとも1つのゆっくり作用して膨張させる酸
との組合せよりなり、これらは化学的に膨張させる同じ塩基によって活性化され
るのが望ましい。このような化学的膨張システムは、冷凍ドウ製品を調理サイク
ルに供したとき、冷凍ドウの段階的な膨張をもたらすことができ有利である。例
えば、速く作用して化学的に膨張させる酸がSAPPであり、ゆっくり作用して
膨張させる酸がDCPであり、及び化学的に膨張させる塩基がベーキングソーダ
である態様において、化学的膨張システムは約28℃(82.4°F)から約80℃(17
6°F)の温度範囲に亘って活性である。このように、冷凍ドウ製品の内部温度
が10°Fであるときから始まり、ドウ内部温度が190°Fになるまで行う調理サ
イクルにおいて、膨張が調理サイクルの52%以上で起こるようにすることが可能
である。
【0033】 使用する特定の化学的に膨張させる酸と塩基と、それらの相対量とを、望まし
い段階的な膨張がおこるよう選択する。勿論、化学的に膨張させる酸及び塩基の
特定量は、特定のドウ製品に望ましい効果を達成するために利用する特定の組合
せによって決まる。これらを心に留め、かつ例証する目的から、化学的に膨張さ
せる塩基がベーキングソーダであり、速く作用して化学的に膨張させる酸がSA
PPであり、及びゆっくり作用して化学的に膨張させる酸がSALPである一つ
の好ましい態様において、ベーキングソーダは好ましくは約0.1〜約2重量%、よ
り好ましくは約0.5〜約1.0重量%で存在し、SALPは好ましくは約0.01〜約5.
0重量%、より好ましくは約0.1〜約1重量%で存在し、SAPPは好ましくは約0
.01〜約5.0重量%、より好ましくは約0.1〜約1重量%で存在し、塩基:SALP
:SAPPの重量比が2:1:1.15である。
【0034】 ある好ましい態様においては、本発明のドウ製品は、相当量の氷点降下剤をさ
らに含むことが望ましい。氷点降下剤を効果的な量含有させると、ドウが凍結す
る氷点を低下させる。氷点を降下させることによって、ドウ内部の水の実質的な
量が凍結する内部温度にドウ構造が達しないので、氷の結晶の形成が阻害される
。氷の生成量がより少ないため、調理時にドウ製品の構造上の問題はより少なく
なる。こうして、本発明のドウ製品に氷点降下剤を含めることにより、含めなけ
れば起こるかもしれない構造上の問題を減少もしくは消失させる操作が可能とな
り、それによってさらに、それから作られる調理されたドウ製品の外観的な特性
を高めることになる。
【0035】 氷点降下剤を本発明のドウ製品に含める場合は、ドウ製品に不利な影響を与え
ないものであれば、この能力に効果のあるどのような化学薬品であってもよい。
適当な氷点降下剤は、例えば、限定するものではないが、プロピレングリコール
、アルコール類、ポリオール類、単糖類、二糖類及びそれらの組合せのような湿
潤剤(humectants)を含む。本発明のドウ製品に使用する氷点降下剤の1つの好
ましい例はグリセロールである。
【0036】 氷点降下剤の含める量は、臨界的ではなく、特定の適用でそれぞれ経験的に決
められる。利用されるべき最も低い濃度は、少なくとも最小限所望の効果を生ず
る量である。最も高い濃度は、ある場合には、必要以上の多くの氷点降下剤の使
用でもたらされるコストの浪費によって、又はある場合には、余り多くの氷点降
下剤を含めると、例えば調理したドウ製品の官能特性に生じる悪影響によって制
限される。これらのことを心に留め、また氷点降下剤のグリセロールを本発明の
ドウ製品に含める本発明の一実施態様において、グリセロールは、ドウ製品重量
基準で、約0.01〜約15重量%、より好ましくは約0.1〜約5重量%含めることが望
ましい。
【0037】 上述の化学的膨張システム及び任意の氷点降下剤を除いて、本発明のドウ製品
は本質的にドウの通常のドウ・フォーミュレーション(dough formulation)を
含む。例えば、典型的なドウは、約1〜約20重量%の脂肪又はショートニング、
約0.01〜約25重量%の卵固形分(egg solids)、約0.1〜約12重量%のミルク代
替物(milk replacer)、ミルク固形分(milk solids)又はホエー、約1〜約25
重量%の砂糖、約1.0〜約7重量%のイースト、及び約40〜約80重量%の水を含む
。このようなドウ製品の水成分は、例えばミルクやジュースのような水性流体の
一部として供給される。芳香(flavor)、テクスチャー(texture)、形状など
を所望により強化するために、多くの他の成分もドウ製品に含めることができる
。勿論、特定の選択された成分及びその利用する量は、調製する特定の所望の調
理されるドウ製品によって変わる。
【0038】 本発明によるドウ製品は、当技術分野で知られているように、1種類の穀物粉
(flour)又は2種以上の穀物粉の混合物を用いてフォーミュレートする(formul
ate)ことができる。用いる穀物粉は加工されたもの又は未加工のものいずれで
もよく、また胚芽とふすまを取り去った穀物粉(white flour)又は全粒成分(w
hole grain constituent)として供給される。本発明のドウに使用するために適
した全粒成分には、小麦から調製された穀物粉、胚、ふすま、又は、燕麦、ライ
麦、モロコシ(sorghum)、大麦、米、粟(millet)、トウモロコシ、及びそれ
らの組合せ、その他のものから調製された穀物粉、胚、ふすまの単独又は組合せ
を含む。
【0039】 ドウの最終用途によって、本発明のドウ製品に1以上の脂肪成分があってもよ
い。ドウ製品が、スイート・ロール又はコーヒーケーキのような通常の甘いドウ
であることが望ましい本発明のこれらの態様においては、典型的には、ドウを調
製するときに他のドウ成分に1つの脂肪成分が添加され、結果として、脂肪は実
質的にドウ全体に亘って点在され及び分配される。このタイプのドウにおいては
、脂肪成分は、典型的には、約1〜約15重量%の量をドウに含ませる。
【0040】 ドウ製品が例えばデニッシュやクロワッサンのようなドウ積層体(dough lami
nate)である本発明の好ましい態様においては、2つの脂肪成分、すなわち、混
合ドウ成分とロールイン成分(roll-in component)が、ドウ製品中にあること
が望ましい。混合ドウ成分はドウを調製するときに通常他のドウ成分に添加され
、結果として、実質的にドウ全体に亘って点在及び分配される。混合ドウ成分に
よるドウ製品中の脂肪の量は、調製するドウ製品の種類によるが、典型的には、
約1〜約15重量%、好ましくは約1〜約10重量%、さらに好ましくは約1〜約5重量
%の範囲である。ロールイン成分は、ドウとロール・イン・ショートニング成分
を交互に積層することによって、調製したドウに加えられる。ロールイン成分に
よって加えられるショートニングの量は、約5〜約50重量%、好ましくは約5〜約
30重量%、さらに好ましくは約10〜約20重量%の範囲である。
【0041】 使用する脂肪又はショートニングの種類は特に限定されるものではなく、むし
ろ脂肪又はショートニングは、ただ1つの脂肪成分又は2つを有するドウ製品に
おいても、あるいは混合ドウ成分又はロールイン成分中に使用するものであって
も、動物源,植物源及び種子源に由来するいかなる脂肪又はショートニングであ
ってもよい。本発明によるドウ製品の調製に特に良く適していることが知られて
いるショートニングの1つの種類としては、デニッシュ・ドウ・マーガリンが例
示され、このタイプのショートニングの特性及び販売元は当業者に良く知られて
いる。
【0042】 本発明のドウ製品には、本発明の実施に欠くことのできないものではないが、
本発明のドウ製品の種々の特性を高めることができる種々の他の成分を任意に含
ませることができる。例えば、乳化剤は、ドウに取り込むことによりドウの安定
性を増し、食するときの性質を改良し、及び風味及び他の保持する品質を長持ち
させる。乳化剤はまた、ドウに空気を取り込み保持させる助けになり、また焼い
たドウ製品の最終テクスチャーに影響するように、空気の小室をさらに分割させ
る効果を有する。乳化剤の使用が望まれる場合、適当な乳化剤には、例えば、脂
肪酸のモノ−及びジ−グリセライド、脂肪酸のモノ−及びジ−エステル、脂肪酸
のグリセロール−ラクトエステル、エトキシ化モノ−及びジ−グリセライド、レ
シチン、これらの組合せなどが含まれる。
【0043】 その他の任意の成分には、例えば、ドウ緩和剤(dough relaxants)、かび阻
止剤(mold inhibitors)、及び種々の強化薬剤(enriching agents)が含まれ
る。L−システインのようなドウ緩和剤は、本発明のドウ製品に加えることによ
って、ドウをシート状にすることを容易にし、工業的規模の設備でシート状にす
るとき特に役立つ。かび阻止剤は、ドウの貯蔵寿命をのばすのに役立ち、例えば
、プロピオン酸ナトリウム塩、ソルビン酸ナトリウム塩、ナトリウム・ジアセテ
ート、乳酸、それらの混合物などが含まれる。強化薬剤を本発明のドウ製品に添
加してドウ製品の栄養価を強化することができる。ドウ製品に添加する典型的な
強化薬剤には、限定するものではないが、チアミン、リボフラビン、ニアシン、
鉄、葉酸、カルシウム、これらの混合物などが含まれる。
【0044】 本発明のドウ製品の調製にはストレート・ドウ・プロセス、すなわち、全ての
成分を単純に配合してドウを成形するか、又はブルー(brew)又はスポンジ・ド
ウ・プロセス、すなわち、穀物粉、水、イースト及び砂糖を含むブルー又はスポ
ンジを調製し、ドウの他の成分と混合する前に発酵させるプロセスを経て調製す
ることができる。ブルー及びスポンジのいずれも本発明によるドウ製品の調製に
利用することができ、それぞれの関連するフォーミュレーションは臨界的なもの
ではない。一般的に云えば、ブルーは、スポンジよりも多くの水を含み、スポン
ジが1つの容器から他の容器にどさっとあけるのに対し、ブルーは、より流動性
であり、所望の混合容器にポンプ輸送することができる。これらの全てのプロセ
ス、すなわち、ストレート・ドウ・プロセス、ブルー・ドウ・プロセス及びスポ
ンジ・ドウ・プロセスは、当業者に良く知られており、どの混合プロセスを使用
するかの選択は、本発明の実施に決定的なことではない。
【0045】 積層されたドウ製品を所望しない場合、混合した後、ドウ製品は簡単に所望の
形状に形成でき、冷凍することができる。また、積層されたドウ製品を所望する
好ましい態様においては、混合したドウを積層体のように成形する。この能力に
ついて使用に適している積層化方法はベイキング産業において公知で使用されて
いるどのような方法でもよく、利用する設備及び所望の最終製品によって変える
ことができる。一般的に、ドウの積層は、ローリングアウト(rolling out)に
よって、すなわち、ドウをシートにシート化し、そのドウの層に、ロールイン脂
肪成分の層を追加し、そしてそれから折り重ね、回転させ、交互のドウ層と脂肪
層が所望の数になるまで、数回ドウ積層体をローリングアウトすることによって
達成される。又は、ドウをロールイン脂肪と共押出し、得られたドウ/脂肪の組
合せをシート化し、折り畳み、回転させ、交互のドウ層と脂肪層が所望の数にな
るまで捲く。積層されたドウは、その後所望の厚さ、すなわち、ドウ・パッドに
シート状にする。それから所望のドウ製品に形成する。
【0046】 ドウ製品が積層されたドウ製品である本発明の態様において、ドウの他の物理
的パラメーターを適正化して、それから製造され調理されたドウ製品の外観及び
官能特性を高めることができる。例えば、ドウ積層体の脂肪層を適正化すること
によって、ドウ製品に追加の膨張を調理サイクル中に生じさせることができるこ
とが見出された。特に、少なくとも脂肪の約64層のドウ積層体を調製することは
、調理後のボリュームを大きくした調理ドウ製品となることが見出された。さら
に、ドウ・パッドの厚みを適正化することによって、さもなければベイキングし
たときにドウ製品の表面に生じるかもしれない裂け目(tearing)を減らし又は
なくすことができることが見出された。特に、ドウ製品を成形調理する前に、ド
ウ積層体を約3 mm〜約12 mm、好ましくは約5 mm〜約10 mm、さらに好ましくは約
6 mm〜約8 mmのドウ・パッドにシート状にすることによって、調理したドウ製品
の外表面に裂け目が殆どないか、全くない調理ドウ製品が得られることが見出さ
れた。
【0047】 成形した後、ドウ製品は凍結する、すなわち、ドウ内部温度を10°F以下に冷
却する。冷凍は急速(例えば、送風冷凍)又はゆっくりした(例えば、スタティ
ックフリージング)速度のいずれでも行うことができる。冷凍時間はドウ製品の
サイズに大きく依存する。冷凍ドウ製品は、その後、冷凍ドウ製品は所望するだ
け長く冷凍状態で貯蔵することができ、又はすぐに調理することができる。
【0048】 ドウ製品を調理するためには、簡単に冷凍ドウ製品を冷凍環境から取り出し、
直接所望の調理環境におくことができる。ドウ製品を調理するために選択される
調理環境は、特に厳格ではなく、むしろ、選ばれた環境は、ドウ製品を調理する
充分なエネルギーが与えることができる環境であれば如何なる環境でもよい。例
えば、本発明のドウ製品は普通のオーブン(conventional oven)、対流式オー
ブン(convection oven)、マイクロウェーブ・オーブン(microwave oven)、
これらの組合せなどからなる調理環境で焼くことができる。
【0049】 ドウ製品を調理するために必要な時間、温度/エネルギー量は、勿論、所望の
調理をするドウ製品の種類、サイズ及び選択された調理環境に依存する。ドウ製
品は一般的に、ドウ内部温度が約170°F〜約210°Fに到達したとき調理される
と考えられる。このドウ内部温度を達成できる調理環境、時間及び温度の組合せ
であればなんでも、本発明のドウ製品の調理に使用することができる。例えば、
ドウ製品が3.0 ozのシナモンロールであって、このシナモンロールを対流式オー
ブンで調理する本発明の一態様において、温度350°F、約17〜約19分がシナモ
ンロールを調理するのに充分であることが見出された。3.0 ozシナモンロールを
普通のオーブンで調理することが望まれるときは、温度350°F、約17分〜約19
分がシナモンロールを調理するのに充分であることが見出された。最後に、3.0
ozシナモンロールをマイクロウェーブ・オーブンで調理するときは、700ワット
マイクロウェーブ・オーブンで電力レベル(power level)10、1.5分がシナモン
ロールを調理するのに充分であることが見出された。普通のオーブン、又は対流
式オーブンを利用するとき、ドウ製品を置くオーブンの温度は重要ではなく、す
なわち、オーブンは予備加熱する必要はない。むしろ、オーブンにドウ製品を置
く前にオーブンを予備加熱するかどうかは、最終使用者の考えによって決められ
る。
【0050】 ここで述べたように、本発明は、解凍工程又はねかし工程を間に入れることな
く調理したとき、実質的に大きくなったボリューム、すなわち、冷凍、ねかせて
いないドウ製品のボリュームの少なくとも約150%を有する調理ドウ製品を作る
ことができる、ねかせて膨らませてない、冷凍したドウ製品を提供する。しかし
ながら、ここに述べたドウ製品の製造、及び特に、積層されたドウ製品の製造は
、典型的には、長くなった加工時間に亘って起こり得る多くの処理操作を含むこ
とが考えられる。これらの操作及び時間に亘って、一定量のドウの膨張が起こり
える。このようなドウの膨張は重要であるとは思われない、すなわち、10%以上
ドウボリュームの増加を提供しようとは思わないし、またドウの膨張は“中間の
解凍工程又はねかし工程(an intervening thawing or proofing step)”を表
すとは考えない、通常のドウ加工時間及び温度におけるこのような膨張を経るド
ウ製品は本発明の範囲内であると考える。
【0051】 本発明を、下記の代表的実施例を参照しながら、以下に説明する。ここで、特
に断らない限り、%は全て、ドウ製品、ドウ、充填物(filling)、又はブルー
の総量を基準とする重量%である。また、全ての成分は実質的に環境温度にあり
、全ての混合はホバートミキサーで行った。さらに、各実施例は、同じシナモン
・フィリング・フォーミュレーション、2つのイースト・フォーミュレーション
の1つを使用した(もしあれば)。これらの品のフォーミュレーション及び調製
は下記の材料及び方法の項に基づいて記載する。最後に、以下の実施例は本発明
をシナモンロールの製造の記述によって説明するが、他のドウ製品もまた本発明
の範囲内であり、特に、デニッシュ・ペーストリー、デニッシュ・ツイスト、デ
ニッシュ・リング、ブリオッシュ(brioches)、スイート・ロール、などの他の
積層されたドウ製品、及び充填物及び/又はコーチング(coatings)の有るもの
又は無いもののいずれも本発明の範囲内である。
【0052】材料及び方法 I.充填物(Filling) 同じ充填物を各実施例で用い、また次の配合によって調製し、以下のプロセス
を用いた。 シナモン・フィリング・フォーミュレーション 成 分 重 量 % 砂糖 44.68 ショートニング 14.70 水 13.02 シナモン 8.27 コーンシロップ 7.50 糖蜜(Molasses) 4.80 穀物粉 2.00 スターチ 1.95 ホエー 1.76 アルブミン 0.73 塩 0.59 合計 100.00
【0053】 充填物は、甘味料、すなわち砂糖、コーンシロップ及び糖蜜(molasses)と、
脂肪とを最初に混合して調製した。次に水を混合し、続いて乾燥成分を混合した
。充填物は実質的に均一混合物になるまで混合した。
【0054】II.イースト・ブルー(Yeast Brew) イースト・ブルー・フォーミュレーション1 成 分 重 量 % イースト・ブルー 水 61.98 穀物粉 36.59 砂糖 0.92 塩 0.01 イースト 0.50 合計 100.00
【0055】 イースト・ブルー・フォーミュレーション2 成 分 重 量 % イースト・ブルー 穀物粉 28.04 水 70.34 砂糖 1.04 塩 0.01 イースト 0.57 合計 100.00
【0056】 イースト・ブルー・フォーミュレーション1及び2はまず秤量し、90°F±5
°Fで混合ボウルに水を加えて調製した。次いで、イースト・ブルーの乾燥成分
を秤量し混合ボウルに加え、得られたブルーを3分間高速で、もしくは全ての成
分が実質的にブルーに取り込まれるまで混合した。イースト・ブルーを環境温度
で30分間発酵させた。30分後、イースト・ブルーを再混合した。
【0057】III.ドウ積層プロセス 各実施例のドウ・フォーミュレーションは以下のプロセスに従って積層体に形
成した。各実施例に示した量のショートニングをドウに重ね、その組み合わせた
ものをModel SS063 Seewer Rondo Sheeter(Seewer AG、ベルグドルフ、スイス
)を用いてシート状にした。最初のシート化作業で、4つに折り畳み、さらに2回
目の作業で4つに折り畳んだ。3回目のシート化作業で、32層の積層体を所望する
場合には、2つに折り畳み、64層の積層体を所望する場合には、4つに折り畳んだ
。最後の作業で、ドウ積層体を折り畳まずに、Rodo sheeterで、最終厚み約3 mm
〜約12 mm、好ましくは約5 mm〜約10 mm、さらに好ましくは約6 mm〜約8 mmにシ
ート化した。
【0058】実施例1 この実験は、ブルー(brew)を含むシステムと含まないシステムから調製した
1.5 ozと3.0 ozのシナモンロールの品質を評価するために行った。特に、本発明
のフリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるシナモンロールを以下の
フォーミュレーションに従って及び以下のプロセスを用いて調製した。
【0059】I.ドウ
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】 ブルー・ドウ・フォーミュレーションの1Aを、イースト・ブルーをまず上記
の材料及び方法の項に記したように製造することによって、製造した。次いで、
ドウの成分を秤量し、イースト・ブルーの入った混合ボウルに加え、得られたド
ウ・フォーミュレーションを低速で1分間、又はドウの球が形成されるまで混合
し、引き続き高速で8分間混合した。
【0062】 ノンブルー・フォーミュレーションの1Bは、全成分を秤量して混合ボウルに
加えて調製した。次いで、ドウを低速で1分間、又はドウの球が形成されるまで
混合し、引き続き中速で8分間混合した。
【0063】II.ドウ積層体 ドウ・フォーミュレーション1A及び1Bはそれぞれ、上記の材料と方法の項
に記したように84.5%のドウと15.5%のロール・イン・ショートニング(デニッ
シュ・ドウ・マーガリン、最大水分16%、SFI 50°Fで26.5 ± 1.5%、70°
Fで20.0 ± 1.5%、92°Fで15.0 ± 1.0%)とで積層体に形成した。
【0064】III.シナモンロールの形成 1.5 ozと3.0 ozの2つのサイズのシナモンロールを調製して、焼成したドウ最
終製品の特質についてブルーシステム又はノンブルーシステムを使用する効果と
同様に、ドウ製品の当初のサイズの効果を評価した。具体的には、2つのサイズ
のシナモンロールを、II項で形成した82wt%のドウ積層体と18wt%のシナモンフ
ィリング(cinnamon filling)とを含むフォーミュレーションを用いて、及び以
下のプロセスを利用して、調製し、冷凍し、焼成した。
【0065】 ドウの積層体を異なるサイズの2つの細片(strips)、1.5 ozロール用の8.2イ
ンチ細片と3.0 ozロール用の11.25インチ細片にカットした。次いで、ドウの細
片の端に、ローリング端、すなわちローリングが始まるドウの端から1/4に折り
目を付けた。次いで、シール端、すなわちローリング端の反対のドウ端部を、ド
ウ自身で接着させるに効果的な量の水で湿らせた。次に、シナモンフィリングを
、ドウ細片の上に置き、ドウの1つの端で1/4インチのスペースを残してドウ細
片の長さ方向に直角に均一にのばした。それから、ローリング端を捲きあげ、ド
ウ・トルペード(dough torpedo)をシール端につくまで捲いて、シールしドウ
ロールを形成した。ドウロールを1インチピースにカットして1.5 ozロールを形
成し、1.37インチピースにカットして3.0 ozロールを形成した。調製されたシナ
モンロールは、それから、シートパン(sheet pan)上に置き、冷凍、すなわち0
°F以下の温度に冷却した。凍結後、シナモンロールをフリーザーから取り出し
てパーチメントラインドパン(parchment lined pan)に2インチずつ離して置き
、普通の350°オーブン(350°conventional oven)で1.5 ozロールは12分、3.0
ozロールは17分、又はロールが金茶色になるまで焼いた。
【0066】IV.結果 得られた1.5 ozの焼成シナモンロールは、比容積2.2〜2.7に焼きあがった。さ
らに、1.5 ozロールは全て、外観的にも官能的にも素晴らしく、ブルー・フォー
ミュレーションとノンブルー・フォーミュレーションとの間に相違は全くなかっ
た。
【0067】 得られた3.0 ozの焼成シナモンロールは、比容積2.3(ノンブルー・フォーミ
ュレーション)〜2.4(ブルー・フォーミュレーション)に焼きあがった。さら
に、いくつかのロールにおいて側壁の極めて僅かな裂け目を除いて、3.0 ozロー
ルは、非常に外観的にも官能的にも優れており、ブルー・フォーミュレーション
とノンブルー・フォーミュレーションの間に実質的な相違は全く見られなかった
【0068】 本実施例は、本発明のドウ製品がブルーシステムを用いて、又は用いないで調
製される、フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるシナモンロール
を提供するために用いることができることを説明し、焼いたとき、格別な外観と
官能特性を持ち、冷凍ドウ製品のボリュームを超え、焼成後の比容積が少なくと
も200%に及び270%まで増大することを説明している。
【0069】実施例2 この実験は、1種のみの化学的膨張剤を用いて調製されたシナモンロールに対
して複数の化学的膨張剤を組み合わせて含むシナモンロールの品質を評価するた
めに実施した。特に、本発明によるフリーザーからオーブンにすぐに入れること
のできるシナモンロールは、次のフォーミュレーションに従い、及び次のプロセ
ス用いて調製した。
【0070】I.ドウ
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】 ブルー・ドウ・フォーミュレーション2A及び2Bは、上記の材料と方法の項
に記したように、まずイースト・ブルーを調製することによって、調製した。イ
ーストを除いたドウ成分を秤量し、別々の混合用ボウルに加え、そして低速で1
分間混合した。次いで、イースト・ブルー及びイーストを、前記混合用ボウルに
加え、得られたドウを、低速で1分間、又はドウの球が形成されるまで混合した
。それから、ミキサーのスピードをわずか、すなわち1から2に、増大し、ドウを
さらに7分間混合した。
【0074】 ノンブルー・ドウ・フォーミュレーション2Cは、成分全部を秤量し、混合用
ボウルに加え、ドウを低速で1分間、又はドウの球が形成されるまで混合するこ
とにより、調製した。それから、ミキサーのスピードをわずかに、すなわち1か
ら2まで増大し、ドウをさらに7分間混合した。
【0075】II.ドウ積層体 ドウ・フォーミュレーション2A、2B及び2Cはそれぞれ、上記材料と方法
の項に記したように84.5%のドウと15.5%のロール・イン・ショートニング(デ
ニッシュ・ドウ・マーガリン、最大水分16%、SFI 50°Fで26.5 ± 1.5%、
70°Fで20.0 ± 1.5%、92°Fで15.0 ± 1.0%)とで積層体に形成した。
【0076】III.シナモンロールの形成 II項で形成したドウ積層体82wt%と、上記材料と方法の項に記したようにして
調製したシナモンフィリング18wt%とを含んで、次のプロセスを利用して、シナ
モンロールを調製した。
【0077】 具体的には、ドウ積層体を8.5インチ幅の細片にカットした。次いで、ドウの
細片の端を、ローリング端から1/4インチに折り目を付け、それからシール端を
水で湿らした。次に、シナモンフィリングを、ドウ細片の上に置き、ドウの1端
に1/2インチのスペースを残してドウ細片の長さ方向に直角に均一にのばした。
それから、ローリング端をまきあげ、そしてドウ・トルペードをシール端につく
までロールし、それによりシールしてドウロールを形成した。ドウロールを11/8
インチのピースにカットして3.0 ozのロールを形成した。するためカットされる
。調製されたシナモンロールを次いでシートパンに置き、冷凍した。冷凍後、シ
ナモンロールをフリーザーから取り出し、パーチメントラインドパンに2インチ
ずつ離して置き、普通の350oオーブンで18分間、又はロールが金茶色となるまで
焼いた。
【0078】IV.結果 この実験の結果を、次の表6に要約する。
【表6】
【0079】 示されるように、化学的膨張剤の組合せを含む、得られた焼成シナモンロール
(「テストロール」)は、焼成後の比容積1.90〜2.3に焼かれた。すなわち対照
(control)のシナモンロールよりよい。最後に、テストロールは、外観や官能
の特性について、1種の化学的膨張剤のみを含む対照のシナモンロールと同等ま
たそれよりも良い特性値を持っていた。
【0080】 したがって、化学的膨張剤の組合せは、本発明に従って調製したシナモンロー
ルに利用すると、1種の化学的膨張剤のみで調製されたシナモンロールと比較し
て、強化された特性を生み出すことができることをこの実施例は説明している。
特に、フォーミュレーション2B及び2Cに用いられた化学的膨張剤の組合せ、
SALP/SAPPは、対照のシナモンロールと同等又はより優れたしっとりさ
(moistness)、軟らかさ(tenderness)及び外面剥離性(exterior flakiness
)を有するシナモンロールをもたらし、さらに、普通のオーブン又は対流式オー
ブンのいずれで焼いたときも、より大きな焼成後の比容積を有する焼成シナモン
ロールを製造した。
【0081】実施例3 この実施例は、グリセロールがシナモンロールのドウ・フォーミュレーション
に含まれるときの効果を評価するために行った。具体的には、本発明によるフリ
ーザーからオーブンにすぐに入れることのできるシナモンロールを次のフォーミ
ュレーションに従い,次のプロセスを利用して製造した。
【0082】I.ドウ
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】 ドウ・フォーミュレーション3Aと3Bを、まず前記材料と方法の項に記載し
たようにイースト・ブルーを製造することによって製造した。水以外のドウの成
分を計量し、別々の混合用ボウルに入れ、低速で1分間混合した。それから水と
製造されたブルーを混合ボウルに入れ、得られたドウを中速で8分間混合した。
【0085】II.ドウ積層体 ドウ・フォーミュレーション3Aと3Bはそれぞれ、82.0重量%のドウと18.0
重量%のロール・イン・ショートニング(デニッシュ・ドウ・マーガリン、最大
水分16%、SFI が50°Fで26.5±1.5%、70°Fで20.0±1.5%、92°Fで15
.0±1.0%)とで、前記材料と方法の項に記載したように積層体に形成した。
【0086】III.シナモンロールの形成 以下のプロセスを利用してII項で形成した82重量%のドウ積層体と前
記材料と方法の項に記載したように製造した18重量%のシナモンフィリングとを
含めてシナモンロールを製造した。
【0087】 ドウ積層体を11.3インチのシートにカットした。ドウシートの端にローリング
端から1/4インチのところで折り目を付け、シール端を水で湿らした。次にシナ
モンフィリングをドウシートの上に置き、ドウの1端に1/4インチのスペースを
残してドウの長さ方向に直角に均一にのばした。それから、ローリング端をまき
あげ、ドウ・トルペードをシール端につくまでまいてシールし、ドウのロールを
形成した。ドウロールを1インチ厚のピースにカットし、1.75 ozのロールを形成
した。製造されたシナモンロールをシートパンに置いて冷凍した。冷凍後、シナ
モンロールをフリーザーから取り出し、パーチメントラインドパンに2インチず
つ離して置き、310°Fの対流式オーブンで17〜19分、内部温度が190°Fに、ロ
ールが金茶色になるまで焼成した。
【0088】IV.結果 グリセロールなしの対照シナモンロールでは焼いた後、10個のうち8個までが
外表面に割れ目がはいったのに対して、グリセロールを含むテストシナモンロー
ルでは外表面に割れ目がはいったの10個のうち1個だけだった。
【0089】 この実施例は1つの化学的膨張剤のみを含むドウ・フォーミュレーションを利
用して行ったが、グリセロールは、本願発明のドウ製品に含ませたときにもこれ
らの好ましい結果を発揮することが予測される。
【0090】 本発明の他の実施態様は、ここに開示された本発明の明細書を熟慮するか、本
発明の実施から、当業者には明白である。ここに記載された原理と実施態様の種
々の省略、修正及び変更は、以下の特許請求の範囲で示される本発明の真のスコ
ープ及び精神から離れることなく、当業者であればなし得るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ローレンス, マシュー ダブリュ アメリカ合衆国 55446 ミネソタ州, プリマス, フォーティサード アベニュ ー ノース 14835 (72)発明者 レインク, ジェフリー ディ アメリカ合衆国 55387 ミネソタ州, ウェイコニア, ハンター スクエア 1362 Fターム(参考) 4B032 DB36 DB38 DE05 DK02 DK05 DP37 DP44

Claims (43)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)穀物粉、水とイースト、及び (b)化学的膨張剤として活性になる温度範囲が異なる、複数の化学的に膨張さ
    せる酸を含む化学的膨張システム を含む、ねかせていない冷凍ドウ製品。
  2. 【請求項2】 ドウ製品が積層されたドウを含む請求項1のドウ製品。
  3. 【請求項3】 化学的膨張システムが少なくとも2つの化学的に膨張させる酸
    を含む請求項1のドウ製品。
  4. 【請求項4】 化学的膨張システムが少なくとも1つの速く作用して化学的に
    膨張させる酸と少なくとも1つのゆっくり作用して化学的に膨張させる酸を含む
    請求項3のドウ製品。
  5. 【請求項5】 速く作用して化学的に膨張させる酸がピロリン酸水素ナトリウ
    ムを含み、ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸がリン酸アルミニウムナトリ
    ウムを含む請求項4のドウ製品。
  6. 【請求項6】 少なくとも1つの速く作用して化学的に膨張させる酸がドウ製
    品の重量に基づいて約0.01〜約5.0重量%の量で存在し、少なくとも1つのゆっ
    くり作用して化学的に膨張させる酸がドウ製品の重量に基づいて約0.01〜約5.0
    重量%の量で存在する、請求項5のドウ製品。
  7. 【請求項7】 少なくとも1つの速く作用して化学的に膨張させる酸がドウ製
    品の重量に基づいて約0.1〜約1.0重量%の量で存在し、少なくとも1つのゆっく
    り作用して化学的に膨張させる酸がドウ製品の重量に基づいて約0.1〜約1.0重量
    %の量で存在する、請求項6のドウ製品。
  8. 【請求項8】 さらに氷点降下剤を含む請求項1のドウ製品。
  9. 【請求項9】 氷点降下剤がグリセロールを含む請求項8のドウ製品。
  10. 【請求項10】 ドウ製品中のグリセロール量がドウ製品の総重量に基づいて
    約0.01〜約15重量%の範囲である、請求項9のドウ製品。
  11. 【請求項11】 ドウ製品中のグリセロール量がドウ製品の総重量に基づいて
    約0.1〜約5重量%の範囲である、請求項10のドウ製品。
  12. 【請求項12】 (a)穀物粉、水とイースト、及び (b)化学的膨張剤として活性になる温度範囲が異なる、複数の化学的に膨張さ
    せる酸を含む化学的膨張システム を含む、フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品。
  13. 【請求項13】 ドウ製品がドウ積層体である請求項12のドウ製品。
  14. 【請求項14】 化学的膨張システムが少なくとも2つの化学的に膨張させる
    酸を含む、請求項12のドウ製品。
  15. 【請求項15】 化学的膨張システムが少なくとも1つの速く作用して化学的
    に膨張させる酸と少なくとも1つのゆっくり作用して化学的に膨張させる酸を含
    む、請求項14のドウ製品。
  16. 【請求項16】 速く作用して化学的に膨張させる酸がピロリン酸水素ナトリ
    ウムを含み、ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸がリン酸アルミニウムナト
    リウムを含む請求項15のドウ製品。
  17. 【請求項17】 少なくとも1つの速く作用して化学的に膨張させる酸がドウ
    製品の重量に基づいて約0.1〜約1.0重量%の量で存在し、少なくとも1つのゆっ
    くり作用して化学的に膨張させる酸がドウ製品の重量に基づいて約0.1〜約1.0重
    量%の量で存在する、請求項16のドウ製品。
  18. 【請求項18】 さらに氷点降下剤を含む請求項12のドウ製品。
  19. 【請求項19】 氷点降下剤がグリセロールである請求項18のドウ製品。
  20. 【請求項20】 ドウ製品中のグリセロール量がドウ製品の総重量に基づいて
    約0.1〜約5重量%の範囲である、請求項19のドウ製品。
  21. 【請求項21】 穀物粉、水、イースト、及び化学的膨張剤として活性になる
    温度範囲が異なる複数の化学的に膨張させる酸を含む化学的膨張システムとを含
    む、フリーザーからオーブンにすぐに入れることのできるドウ製品であって、第
    1の状態でドウ製品はねかせておらず冷凍されており、第2の状態でドウ製品は
    調理され、第1の状態のときの少なくとも約150%のボリュームをもち、かつ化
    学的膨張システムは調理サイクル中にドウ製品を段階的に膨張させ、そうしてド
    ウ製品の第2の状態は中間の解凍工程や又はねかし工程なしに第1の状態のドウ
    製品を調理サイクルに付してもたらされる、ドウ製品。
  22. 【請求項22】 ドウ製品がドウ積層体である請求項21のドウ製品。
  23. 【請求項23】 化学的膨張システムが少なくとも2つの化学的に膨張させる
    酸を含む、請求項21のドウ製品。
  24. 【請求項24】 化学的膨張システムが少なくとも1つの速く作用して化学的
    に膨張させる酸と少なくとも1つのゆっくり作用して化学的に膨張させる酸とを
    含む、請求項23のドウ製品。
  25. 【請求項25】 速く作用して化学的に膨張させる酸がピロリン酸水素ナトリ
    ウムを含み、ゆっくり作用して化学的に膨張させる酸がリン酸アルミニウムナト
    リウムを含む請求項24のドウ製品。
  26. 【請求項26】 少なくとも1つの速く作用して化学的に膨張させる酸がドウ
    製品の重量に基づいて約0.1〜約1.0重量%の量で存在し、少なくとも1つのゆっ
    くり作用して化学的に膨張させる酸がドウ製品の重量に基づいて約0.1〜約1.0重
    量%の量で存在する、請求項25のドウ製品。
  27. 【請求項27】 さらに氷点降下剤を含む請求項21のドウ製品。
  28. 【請求項28】 氷点降下剤がグリセロールである請求項27のドウ製品。
  29. 【請求項29】 ドウ製品中のグリセロール量がドウ製品の総重量に基づいて
    約0.1〜約5重量%の範囲である、請求項28のドウ製品。
  30. 【請求項30】 (a)穀物粉、水、イースト、及び化学的膨張剤として活性
    になる温度範囲が異なる複数の化学的に膨張させる酸を含む化学的膨張システム
    とを含む、ねかせていないドウ製品を製造すること、 (b)ねかせていないドウ製品を冷凍すること、及び (c)化学的膨張システムが調理サイクル中にドウ製品の段階的な膨張をひきお
    こすように、ねかせていないドウ製品を調理すること を含む、ねかせていない調理されたドウ製品の製造方法。
  31. 【請求項31】 さらに、ドウ製品を冷凍する前に、工程(a)で製造したド
    ウ製品からドウ積層体を形成する工程を含む、請求項30の製造方法。
  32. 【請求項32】 ドウ積層体が冷凍前にドウ・パッドの形にシート化される請
    求項31の製造方法。
  33. 【請求項33】 ドウ・パッドが約5 mmから約10 mmの厚さである請求項32
    の製造方法。
  34. 【請求項34】 調理工程が普通のオーブンでドウ製品を焼くことを含む請求
    項30の製造方法。
  35. 【請求項35】 調理工程が対流式オーブンでドウ製品を焼くことを含む請求
    項30の製造方法。
  36. 【請求項36】 調理工程がマイクロウェーブ・オーブンでドウ製品を焼くこ
    とを含む請求項30の製造方法。
  37. 【請求項37】 調理されたドウ製品がねかせていないドウ製品の少なくとも
    約150%のボリュームをもつ請求項30の製造方法。
  38. 【請求項38】 調理されたドウ製品がねかせていないドウ製品の少なくとも
    約200%のボリュームをもつ請求項40の製造方法。
  39. 【請求項39】 調理されたドウ製品がねかせていないドウ製品の少なくとも
    約250%のボリュームをもつ請求項33の製造方法。
  40. 【請求項40】 (a)穀物粉、水、イースト、及び化学的膨張剤として活性
    になる温度範囲が異なる複数の化学的に膨張させる酸を含む化学的膨張システム
    とを含む、ねかせていないドウ製品を製造すること、 (b)ねかせていないドウ製品を冷凍すること を含む、ねかせていない冷凍されたドウ製品の製造方法。
  41. 【請求項41】 さらに、ドウ製品を冷凍する前に、工程(a)で製造したド
    ウ製品からドウ積層体を形成する工程を含む、請求項40の製造方法。
  42. 【請求項42】 ドウ積層体が冷凍前にドウ・パッドの形にシート化される請
    求項41の製造方法。
  43. 【請求項43】 ドウ・パッドが約5 mmから約10 mmの厚さである請求項32
    の製造方法。
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