JP2003510821A - 内部に周波数2倍手段を備えた、ダイオードでポンピングされるレーザー - Google Patents

内部に周波数2倍手段を備えた、ダイオードでポンピングされるレーザー

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ギュンター ホレマン
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イエーノプティーク レーザー、オプティーク、ジステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
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Abstract

(57)【要約】 本発明の課題は、内部に周波数2倍手段を備えた、ダイオードでポンピングされるレーザーにおいて、非線形光学結晶を用いてレーザー光線を発生させる場合に出力の設定開始時に生じる不具合な出力変動を、簡潔な構成で、よって低コストの構成で阻止し、しかも共振器内部の出力低下要素と熱的な作用とがレーザー挙動に影響しないようにすることである。レーザーは、レーザー活性媒体として、レーザー軸線に対し大部分平行に指向する温度勾配を持った固体を有している。レーザー基本波長のレーザー光線から他の波長のレーザー光線への変換は、変換されたレーザー光線の最大出力を達成させるために必要な効率よりも小さな効率を持った非線形光学結晶によって行う。本発明によるレーザーは、特に医学目的に適用可能であり、たとえば網膜の凝血眼科学の分野にも、また皮膚科学の分野にも適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、レーザー共振器の内部に、レーザー活性媒体として、レーザー軸線
に対し大部分平行に指向する温度勾配を持った固体と、光路内においてこの固体
の下流側に配置され、レーザー基本波長のレーザー光線を、他の波長のレーザー
光線に変換する非線形光学結晶とが設けられている、内部に周波数2倍手段を備
えた、ダイオードでポンピングされるレーザーに関するものである。
【0002】 この種のレーザーは、たとえばS. Erhardその他著、"Trends in Optics and P
hotonics" Advanced Solid-State Lasers、第26巻、Martin M. Fejer, Hagop
Injeyan, Ursula Keller 編 (Optical Society of America, Washington DC 199
9)、第38−44頁から知られている。
【0003】 レーザー基本波長のレーザー光線を他の波長のレーザー光線に変換すると、た
とえば非線形光学結晶を用いて第2高調波を生成させると、種々の原理的な理由
から非線形ダイナミックスの問題が伴い、その結果出力が不安定な挙動を示す。
このような不安定性の原因は種々ある。
【0004】 したがって、周波数2倍器結晶内での非線形光学プロセスにより個々のレーザ
ーモードが非線形的にカップリングすると、レーザーの出力が揺らぎ、いわゆる
「グリーン問題」が発生する( T. Baer, J. Opt. Soc. Am. B3, 1175, 1986)。
【0005】 レーザー結晶および周波数2倍器結晶(KTP結晶)内にサーマルレンズが構築
されると、通電時に、出力がダイオード電流の関数として複雑に応答する。これ
は、サーマルレンズが共振器内のレーザーモードに影響し、よって周波数2倍器
結晶内のレーザーフィールドの強度に依存している周波数2倍作用に影響するか
らである。このため、ダイオード電流を介して出力の調整ができなくなる。
【0006】 従来の技術によって提案された技術的解決法は問題の一部を解決するにすぎず
、個々の要件をその全体において充足するものではない。 安定なレーザー出力を生じさせるため、レーザー共振器を多モードで作動させ
るか(>100)、或いはシングルモードで作動させることが知られている。
【0007】 米国特許第5446749号公報によれば、特に長い共振器を備えたレーザー
装置が設けられている。多数の縦方向のモードを励起することにより、振幅が安
定な作動が得られる。レーザーの出力は、使用されるレーザー結晶棒の内部にダ
イオード電流を介して強いサーマルレンズが形成されるので、調整は不可能であ
る。というのは、出力の設定開始時に、第2高調波が発生したときに出力の変動
が生じるからである。共振器が特に長いので、このように構成されたレーザーは
サイズが大型になり、高コストの要因になる。
【0008】 シングルモード作動に対しては、いわゆるYb:YAGディスクレーザーの共
振器内部で周波数を2倍にすることにより第2高調波を発生させることが知られ
ている(S. Erhard 著、Trends in Optics and Photonics 第26巻、Advanced
Solid-State Lasers, Martin M. Fejer, Hagop Injeyan, Ursula Keller 編(Opt
ical Society of America, Washington DC 1999年、第38−44頁)。その
際使用されるレーザー活性固体媒体は薄いディスクの形状を有し、このディスク
の拡がりは、他の許容寸法に比べると、レーザー光線の拡がり方向(レーザー軸
線)においてかなり減縮されている。ドイツ連邦共和国特許公開第434422
7A号公報によれば、このようなレーザー結晶は、レーザー拡がり方向に対し垂
直に指向する面によって堅牢な冷却要素に固定されている。これにより、結晶内
に大部分がレーザー軸線に対し平行な温度勾配が生じ、これによって不具合なサ
ーマルレンズの形成が著しく抑制される。上記のレーザーは、非臨界的に温度位
相整合されたLBO結晶を備える長い共振器(約1mm)を非線形光学結晶とし
て使用している。シングルモード作動は、公知のように、縦方向のモード数を低
減するため、エタロンと二重屈折フィルタとを共振器内に設置することにより得
られる。これは高価なものであり、位置調整が非常に困難であり、共振器内部に
ロスを発生させるので、レーザーの効率は、記載されているように15.5%に
減少する。
【0009】 上記技術的解決法は、なるほどレーザー出力を安定にさせるものであるが、し
かしこのレーザー出力は、初期変位なくしては変化させることができない。この
ような解決法では、連続波以下のミリ秒範囲のパルス長を持った制御可能なパル
ス作動(医学の分野で使用され、たとえば人間の眼の凝血治療に適用される)は
実現できない。共振器の長さが長いこともこの種の適用の障害となっている。
【0010】 他の解決法は、共振器の長さが短く、共振器内部に非線形結晶を備えたいわゆ
るマイクロチップレーザーの形態のものであり、これは米国特許第551108
5号公報に開示されている。エンドポンピングはすでに横方向のモードを制限す
るものであるが、共振器内部のエタロン作用は、レーザー結晶または非線形結晶
上に付加的なコーティングがなされているので、縦方向のモードスペクトルをさ
らに減少させる。強い熱作用はかなりの程度光学要素にストレスを与え、レーザ
ー出力を制限し、それによってレーザーの適用範囲を制限する。これにより装置
の位置調整も困難である。
【0011】 本発明の課題は、非線形光学結晶を用いてレーザー光線を発生させる場合に出
力の設定開始時に生じる不具合な出力変動を、簡潔な構成で、よって低コストの
構成で阻止し、しかも共振器内部の出力低下要素と熱的な作用とがレーザー挙動
に影響しないようにすることである。
【0012】 この課題は、内部に周波数2倍手段を備えた、ダイオードでポンピングされる
レーザーにおいて、すなわちレーザー共振器の内部に、レーザー活性媒体として
、レーザー軸線に対し大部分平行に指向する温度勾配を持った固体と、光路内に
おいてこの固体の下流側に配置され、レーザー基本波長のレーザー光線を、他の
波長のレーザー光線に変換する非線形光学結晶とが設けられている、内部に周波
数2倍手段を備えた、ダイオードでポンピングされるレーザーにおいて、レーザ
ー基本波長のレーザー光線から他の波長のレーザー光線への変換を、変換された
レーザー光線の最大出力を達成させるために必要な効率よりも小さな効率で行う
ことによって解決される。
【0013】 変換の効率は、実質的に、共振器軸線に沿った非線形光学結晶の長さによって
調整され、変換されたレーザー光線の最大出力を達成させる効率の50%−90
%の範囲に設定されている。
【0014】 公知の解決法とは異なり、コンパクトな短い共振器が使用され、この短い共振
器ではいくつかの少ないモードが発生せしめられ、付加的なモード選択要素を設
ける必要はない。このような処置は、公知のように、共振器内部の周波数を2倍
にした状態で安定な出力を生じさせない。このような安定性は、特殊な態様で構
成された非線形結晶を用いた小さな変換効率によってはじめて達成される。
【0015】 レーザー活性媒体を、強度が小さく、共振器軸線の方向に温度勾配が大部分存
在しているディスク状の固体として構成することにより、モード分布に対するサ
ーマルレンズの不具合な作用がすでにかなり低減する。温度勾配が共振器軸線に
対し大部分平行に指向しているにもかかわらずレーザー活性媒体の中に形成され
るサーマルレンズの残存作用は、その焦点距離が共振器の長さよりも大きく設定
されていることにより低減される。
【0016】 本発明においては、ディスクレーザーの原理は、高出力レーザーのための最高
クオリティの光線を連続作動において獲得するために使用されない。本発明にお
いては、サーマルレンズの安定性という性質を、ポンピング出力を変更するとき
に利用する。ポンピング出力の変更は、大きな動的範囲に対しても、すなわちほ
ぼ20mWという非常に小さな出力で、或いはほぼ4Wという非常に大きな出力
で安定な作動を保証するためにも、また、切換え能(スイッチオン過程)のため
にも必要である。
【0017】 非線形光学結晶を用いて発生せしめられるレーザー光線の放射クオリティは、
1と2の間の回折値Mによって特徴づけられている。 非線形光学結晶として、種々の結晶を使用できる。有利には、臨界的な角度位
相整合で周波数を2倍にさせる、2mm−10mmの結晶長さのLBO結晶を使用する
のがよい。これは、補助的に、小さな変換効率の適用に対し有利に作用する。
【0018】 非線形光学結晶として、タイプIIの臨界的角度位相整合型で、結晶長さが1mm
−5mmのKTP結晶、或いは、タイプIの非線形温度位相整合型で、結晶長さが2mm
−10mmのLBO結晶も使用できる。
【0019】 結晶長さを短くしたことにより、形成されるサーマルレンズの作用が弱くなる
ので、KTP結晶の場合には、ディスク状レーザー結晶の場合と同様の効果が生じ
る。さらに、これには位置調整感度が小さいという利点が得られ、これにより、
低コストの組み立ても実現される。温度感度と吸収ロスの減少は、短い周波数2
倍化結晶の他の性質であり、コスト上有利である。
【0020】 レーザー共振器が、デカップリングミラーとして用いられる折畳みミラーによ
って折畳まれ、且つ非点収差を避けるため、10゜以下の入射角で折畳みミラー
に指向している共振器軸線を有しているのが有利である。
【0021】 ポンピングのためには、ポンピング装置が、ファイバー光学系とカップリング
されている少なくとも1列のレーザーダイオードを備えているのが好ましく、或
いはそのポンピング光線が自由放射光学系により伝送されるのが好ましい。
【0022】 非線形光学結晶の、共振器内部から離間する方向に指向している端面が、共振
器エンドミラーの形成のため、レーザー基本波と非線形光学結晶により生じせし
められる第2高調波とに対し高反射性を持つ誘電層を備えているのも有利である
【0023】 ロスを低減するため、共振器軸線は、レーザー活性媒体と非線形光学結晶との
互いに平行に作用する結晶面に対し垂直に指向している。 レーザー活性媒体に対しては、Ndを0.5%−2%でドーピングしたNd:YV
結晶、および、Ndを0.5%−1.5%でドーピングしたNd:YAGレーザ
ー結晶が適している。
【0024】 Nd:YALO、Nd:YLF結晶、またはNd:LSB結晶も使用することができる。 本発明によれば、コンパクトで低コストな構成が実現され、高々5%の変動を
持った振幅安定な出力を達成可能である。ダイオード電流を介して、10mWと4w
の間の範囲のレーザー出力を設定可能であり、且つ10msと連続波の間の矩形パ
ルス期間を設定可能であり、すなわち前もって選定した出力がほぼ1msで安定に
達成される。ロスを生じさせる共振器内部要素の数量が少ないことにより、高い
全効率が達成される。本発明の解決法は、強い熱作用を回避するので、レーザー
の高出力にも適しており、たとえば皮膚科学において必要なほどの高出力に対し
ても適している。
【0025】 次に、本発明を図面を用いて詳細に説明する。 図1に図示したレーザー構成は、作動手段としての共振器内に、レーザー結晶
ディスクとして構成されたNd:YVO4レーザー結晶1を有し、そのサイズ(0.4
mm×4mm×4mm)のうち、最小の0.4mmのサイズは共振器軸線X
の方向に拡がっている。図示していないが、冷却要素が設けられており、冷
却要素上には、レーザー結晶ディスクの、共振器内部から離間する方向に指向し
ている大きな面積の側面が固定されている。冷却要素は、固体媒体のなかに共振
器軸線X−Xに対しほぼ平行に指向するような温度勾配を生じさせるために
用いる。周波数逓倍器として、共振器内には、共振器の唯一の内部要素である非
線形光学結晶2が配置されている。非線形光学結晶2はタイプIIの臨界角度位
相整合型KTP結晶の形態で実施され、そのサイズは2mm×3mm×3mmで
ある。ロスを低減させるため、レーザー光線があたるそれぞれの結晶1と2の面
は互いに平行に作用し、共振器軸線X−Xに対し垂直に指向している。
【0026】 非線形光学結晶の場合も、最も短い拡がり部は共振器軸線X−Xの方向に
延在しており、これにより非線形デカップリングによる基本波長のレーザー光線
から第2高調波への変換の率が非常に小さくなる。変換の率を調整する他の可能
性は、共振器の設計と、非線形光学係数を持った非線形光学結晶とによって決定
されている。図2は、この変換効率ηSHGと、得ることのできる第2高調波P
SHGの出力との関係を示したものである。ここで明らかなことは、出力は変換
効率ηSHG(非線形デカップリング率)が増大するにつれて、最適な変換効率
ηOPTであれば、まず出力最大値PMAXに達するまで上昇する。変換効率η
SHGがさらに増大すると、出力は減少する。本発明によれば、レーザーを構成
するために、最適な変換効率ηOPTよりもかなり小さな変換効率ηSHGが選
択され、これにより変換はより低い有効範囲に設定され、この有効範囲において
は、発生した第2高調波の放射強度とレーザー基本波の回転している放射強度と
の比は比較的小さい。有利には、最適な変換効率ηOPTの50%−90%の範囲
が選定される。この有利な範囲をさらに下回ると、非線形ダイナミックスはます
ます良好になるが、第2高調波の出力はかなり小さくなる。
【0027】 変換効率ηSHGに対しこのように選定された範囲は、最適な変換効率ηOP で行なう通常の方法とは異なっており、したがって基本波出力をできるだけ小
さくして第2高調波に対し高出力PSHGが得られるようにした通常の方法とは
異なっている。しかし、低変換効率を選定するという処置により、特に非線形光
学結晶に対し短い結晶長さを使用することにより、出力が比較的高い場合でも安
定なレーザー挙動を得ることができる。それにもかかわらず、光ポンピングパワ
ーPpumpを25%以上のレーザーの光出力PSHGへ変換する際に高い全効
率が得られる理由は(図3)、本発明により、ロスを生じさせる構成要素を共振
器から削減したことによる。図3は、時間的に安定で、見本に従って再現可能で
あり、極めて単調に上昇する連続的なレーザー特性曲線を示している。
【0028】 1064nmの基本波長を半分にすることにより非線形光学結晶2によって生
じる、緑のスペクトル範囲にある第2高調波をデカップリングするため、凹状の
デカップリングミラー3を用いる。その曲率半径は、所望の放射部分が両結晶1
と2で設定されるように選定されている。デカップリングミラー3は1064n
mに対して高反射性があり、532nmに対して高透過性があるように設計され
ている。Nd:YVO4レーザー結晶1によって生じた基本波は偏光方向4を有し、この
偏光方向4は、水平面内に延在している第2高調波の偏光方向5と45゜の角度
を成している。結晶C軸(偏光軸でもある)は共振器水平面に対し45゜の角度
で傾斜しているので、位相整合角は、非線形結晶の結晶z軸を共振器面に対し垂
直に配置してタイプIIの位相整合結晶2を共振器面に対し垂直な軸線Y―Yの
まわりに回転させることにより設定することができる。
【0029】 Nd:YVO4結晶1をポンピングするためポンピング装置が設けられている。ポン
ピング装置の場合、レーザーダイオードポンピング放射はファイバー光学系6を
介して凹状のミラー7により結晶1に対し指向している。ミラー7と他のミラー
8とは、ポンピング光線が円板状の結晶1を全部で4回通過することが可能であ
るように配置されている。ポンピング出力密度は、温度勾配が共振器軸線X
に対しほぼ平行に指向しているにもかかわらず形成されるサーマルレンズの
焦点距離がすべてのポンピング出力に対し共振器の長さよりも著しく長いように
選定されねばならない。これにより、共振器モードおよび出力もわずかに影響を
受けるにすぎない。適切なポンピング出力密度はたとえば1.5kw/cm以下で
あり、形成されるサーマルレンズは、共振器の長さが100mmである場合、たと
えば1―4mmの焦点距離を持っていなければならない。共振器の長さは50mmな
いし250mmが可能であるが、本例では200mmの長さを選定した。共振器の長
さは、レーザー結晶ディスクの、冷却要素と結合される大きな面積の側面と、凹
状のデカップリングミラー3とにより制限される。本発明によるレーザーの出力
PSHGは図4に図示したように変化する。これから明らかであるように、不具
合な出力変動は、出力設定を開始するときに、ポンピングのために使用されるレ
ーザーダイオードのダイオード電流を用いて低減される。
【0030】 図5に図示した本発明の第2実施形態では、V字状に折畳まれたレーザー共振
器が使用され、レーザー共振器は、デカップリングミラーとして用いられる折畳
みミラー9と、エンドミラー10とを備えている。エンドミラー10は、共振器
内部の唯一の構成要素として、非線形光学結晶11(ここではLBO結晶)を有し
ている。共振器軸線X−Xも、ロスを低減するため、互いに平行に作用する
、結晶11と12の結晶面に対し垂直に指向している。レーザー活性媒体12は
、その種類と構成の点で図1の実施形態に同じで、本実施形態においても、本発
明はNd:YVO4レーザー結晶に限定されるものではない。0.5%―2%のNdドー
ピングを施したNd:YVO4以外に、たとえばNd:YAG(ドーピング0.5%―1.5
%)、Nd:YALO、Nd:YLFまたはNd:LSBを使用することができる。図中13と1
4はそれぞれ、レーザー基本波の偏光方向と、第2高調波の偏光方向である。こ
のレーザー構成におけるポンピング装置は、少なくとも1列のレーザーダイオー
ド15を有しており、そのレーザー光線は、通常使用される光学的結像要素、た
とえばp―n接合部の面に対し垂直に作用する筒状のコリメーションレンズ16
と非球面レンズ17とにより、結晶11に対し指向されている。結晶11は2つ
の側面で研削されて、結晶11に対し10゜−30゜の光線入射角を実現できる
ようにするのが有利である。ポンピング光線が結晶11を3回目と4回目に通過
するに際して、ポンピング光線が結晶11から射出後反射して再び自動的に戻っ
てくるように、球面ミラー18は適宜配置される。楕円形のポンピング焦点は、
共振器の長さが50mm−250mmで短い場合に、回折値MがM<5を特徴と
するようなクォリティの光線を設定するために必要であるような大きさの半径で
設定される。しかしながら、回折値Mが1ないし10の範囲にあっても使用目
的に対しては十分である。本発明によるレーザーを医学の分野に適用するために
は、特に網膜の凝血に適用するためには、治療スポットがその均質性によって十
分優れた凝結効果を生じさせることができるようなクオリティの光線が必要であ
る。同様に、発生した周波数2倍のレーザー光線の少なくとも90%がレーザー
出力部下流側の反射防止膜のないガラスファイバーに効果的にカップリングおよ
びデカップリングするよう保証されていなければならない。
【0031】 臨界的に位相整合されたLBO結晶は、2mmないし10mmの長さを有していなけ
ればならない。これにより、レーザー基本波からの、周波数2倍にされた光線の
非線形デカップリングが少なくなり、結果的にレーザー出力の非線形揺らぎが少
なくなる。非線形光学結晶を、ディスクレーザー技術にしたがって薄いディスク
として構成してもよい。
【0032】 本発明によれば、臨界的な角度位相整合により、付加的に非線形変換効率を所
望どおりに減少させることができるが、通常の非臨界的温度位相整合型のLBO結
晶を使用してもよい。
【0033】 エンドミラー10を使用する代わりに、非線形光学結晶11の端面に誘電層を
使用することにより、非線形結晶11をレーザー基本波および第2高調波に対し
高反射性を持つように構成してもよい。
【0034】 当業者にとっては、内部レンズを備えた共振器を使用するか、或いは、レーザ
ー結晶と非線形光学結晶とに同時に最適な光線スロート(Strahltaille)が発生し
、その際レーザー結晶を折畳みミラーとしても用いることができるようにサイズ
を選定された簡単な線形2ミラー共振器を使用するかは周知である。共振器の光
学的に活性な要素の端面を結像面として実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーザーの構成の第1実施形態を示す図である。
【図2】 非線形結晶を用いて周波数を変化させる際の変換効率と、変換されたレーザー
光線の得られる出力との関係を示す図である。
【図3】 本発明によるレーザーに典型のレーザー特性曲線を示すグラフである。
【図4】 出力制御に用いられるダイオード電流とレーザー出力設定とをパルス波形に関
し比較したグラフである。
【図5】 レーザーの構成の第2実施形態を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 バイルシュミット レネ ドイツ連邦共和国 デー・07747 イェー ナ ドラッケンドルファー シュトラーセ 10 Fターム(参考) 2K002 AB12 CA02 DA01 EA03 HA20 5F072 AB02 AB15 AB20 JJ05 KK06 KK12 PP07 QQ02 TT22 TT30 YY01 YY20

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザー共振器の内部に、レーザー活性媒体として、レーザー
    軸線に対し大部分平行に指向する温度勾配を持った固体と、光路内においてこの
    固体の下流側に配置され、レーザー基本波長のレーザー光線を、他の波長のレー
    ザー光線に変換する非線形光学結晶とが設けられている、内部に周波数2倍手段
    を備えた、ダイオードでポンピングされるレーザーにおいて、 レーザー基本波長のレーザー光線から他の波長のレーザー光線への変換を、変
    換されたレーザー光線の最大出力(PMAX)を達成させるために必要な効率よ
    りも小さな効率(ηSHG)で行うことを特徴とする、前記ダイオードでポンピ
    ングされるレーザー。
  2. 【請求項2】変換の効率(ηSHG)が、変換されたレーザー光線の最大出
    力(PMAX)を達成させる効率の50%−90%の範囲に設定されていること
    を特徴とする、請求項1に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  3. 【請求項3】変換効率(ηSHG)が、実質的に、共振器軸線(X−X
    ,X−X)に沿った非線形光学結晶(2,11)の長さによって設定されて
    いることを特徴とする、請求項2に記載のダイオードでポンピングされるレーザ
    ー。
  4. 【請求項4】温度勾配が共振器軸線(X−X,X−X)に対し大部
    分平行に指向しているにもかかわらずレーザー活性媒体の中に形成されるサーマ
    ルレンズが、共振器の長さよりも大きい焦点距離を有していることを特徴とする
    、請求項3に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  5. 【請求項5】非線形光学結晶(2,11)を用いて発生せしめられるレーザ
    ー光線の放射クオリティが、1と2の間の回折値Mによって特徴づけられてい
    ることを特徴とする、請求項4に記載のダイオードでポンピングされるレーザー
  6. 【請求項6】非線形光学結晶(11)として、臨界的な角度位相整合で周波
    数を2倍にさせる、2mm−10mmの結晶長さのLBO結晶を使用することを特徴と
    する、請求項5に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  7. 【請求項7】非線形光学結晶(2)として、タイプIIの臨界的角度位相整合
    型で、結晶長さが1mm−5mmのKTP結晶を使用することを特徴とする、請求項5
    に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  8. 【請求項8】非線形光学結晶が、タイプIの非線形温度位相整合型で、結晶
    長さが2mm−10mmのLBO結晶として構成されていることを特徴とする、請求項
    5に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  9. 【請求項9】レーザー共振器が、デカップリングミラーとして用いられる折
    畳みミラー(9)によって折畳まれ、且つ10゜以下の入射角で折畳みミラー(
    9)に指向している共振器軸線(X−X)を有していることを特徴とする、
    請求項6から8までのいずれか一つに記載のダイオードでポンピングされるレー
    ザー。
  10. 【請求項10】ポンピング装置として、ファイバー光学系(6)とカップリ
    ングされている少なくとも1列のレーザーダイオードを使用することを特徴とす
    る、請求項9に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  11. 【請求項11】ポンピング装置として、ポンピング光線を伝送するための自
    由放射光学系(16,17)を備えた少なくとも1列のレーザーダイオードを使
    用することを特徴とする、請求項9に記載のダイオードでポンピングされるレー
    ザー。
  12. 【請求項12】非線形光学結晶(2,11)の、共振器内部から離間する方
    向に指向している端面が、共振器エンドミラーの形成のため、レーザー基本波と
    非線形光学結晶により生じせしめられる第2高調波とに対し高反射性を持つ誘電
    層を備えていることを特徴とする、請求項11に記載のダイオードでポンピング
    されるレーザー。
  13. 【請求項13】共振器軸線(X−X,X−X)が、レーザー活性媒
    体と非線形光学結晶(2,11)との互いに平行に作用する結晶面に対し垂直に
    指向していることを特徴とする、請求項12に記載のダイオードでポンピングさ
    れるレーザー。
  14. 【請求項14】レーザー活性媒体として、Ndを0.5%−2%でドーピング
    したNd:YVO結晶を用いることを特徴とする、請求項13に記載のダイオー
    ドでポンピングされるレーザー。
  15. 【請求項15】レーザー活性媒体として、Ndを0.5%−1.5%でドーピ
    ングしたNd:YAGレーザー結晶を用いることを特徴とする、請求項13に記載
    のダイオードでポンピングされるレーザー。
  16. 【請求項16】レーザー活性媒体としてNd:YALO結晶を用いることを特徴と
    する、請求項13に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  17. 【請求項17】レーザー活性媒体としてNd:YLF結晶を用いることを特徴
    とする、請求項13に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
  18. 【請求項18】レーザー活性媒体としてNd:LSB結晶を用いることを特徴
    とする、請求項13に記載のダイオードでポンピングされるレーザー。
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