JP2003510490A - コモンレールインゼクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は締寄せナット（５）によって保持体（６）に固定されたノズルボディ（１）を備えたコモンレールインゼクタに関する。保持体（６）は燃料供給路（９）を有しており、燃料供給路はインゼクタの外部の中央の燃料高圧蓄圧器とインゼクタの内部の圧力室とに連通している。圧力室から、高圧によって負荷された燃料が制御弁の位置に依存して噴射される。制御弁の働きによって、流入絞り（２０）を介して燃料供給路（９）に接続された制御室（１５）内の圧力よりも圧力室内の圧力が大きい場合に、インゼクタの縦孔内で軸方向に往復運動可能なノズルニードル（７）が、ノズルばね室（１０）内に受容されたノズルばね（１１）のプレロードに抗して座から持上げられるようになっている形式のものに関する。比較的高いノズルニードル速度を可能ならしめるために、制御室（１５）がノズルボディ（１）内に組み込まれている。さらに、ノズルニードル（７）の燃焼室から遠い方の端部に制御ピン（１４）が形成されており、この制御ピンが制御室（１５）内で案内されている。さらに、ノズルばね室（１０）が制御室（１５）の外部に配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は内燃機関のコモンレール式噴射システム内の燃料を噴射するためのコ
モンレールインゼクタであって、締寄せナットによって保持体に固定されたノズ
ルボディが設けられており、保持体が燃料供給路を有しており、この燃料供給路
がインゼクタの外部の中央の燃料高圧蓄圧器とインゼクタの内部の圧力室とに連
通しており、この圧力室から、高圧によって負荷された燃料が制御弁の位置に依
存して噴射されるようになっており、この制御弁の働きによって、流入絞りを介
して燃料供給路に接続された制御室内の圧力よりも圧力室内の圧力が大きい場合
に、インゼクタの縦孔内で軸方向に往復運動可能なノズルニードルが、ノズルば
ね室内に受容されたノズルばねのプレロードに抗して座から持上げられるように
なっている形式のものに関する。

【０００２】 コモンレール式噴射システム内では、コモンレールと呼ばれる中央の高圧蓄圧
器内へ高圧ポンプが燃料を供給する。高圧蓄圧器からはそれぞれの機関シリンダ
の対応する個々のインゼクタへ高圧導管が通じている。インゼクタは個々に機関
電子装置によって起動制御される。レール圧は圧力室内に生じて制御弁に作用す
る。制御弁が開放されると、高圧によって負荷された燃料が、ノズルばねのプレ
ロードに抗して持上げられたノズルニードルに沿って燃焼室内に達する。

【０００３】 例えばドイツ連邦共和国特許公開第１９７２４６３７号明細書から公知である
ような従来一般のインゼクタでは、いわゆる圧力棒を備えた比較的長いノズルニ
ードルが使用される。運転中、高い圧力と迅速な負荷交番とに起因してノズルニ
ードルに極めて大きな力が作用する。この力によってノズルニードルは縦方向に
伸長し、かつ据え込まれる。このことによってさらに、ノズルニードルに作用す
る力に依存してノズルニードルの行程が変動する。

【０００４】 公開されていないドイツ連邦共和国特許第１９９３６６６８号明細書には、圧
力棒なしで作動するインゼクタが記載されている。制御室の制限のためにスリー
ブが使用されており、このスリーブはノズルニードルの燃焼室から遠い方の端部
においてシール作用下で摺動可能であり、かつノズルばねによってインゼクタケ
ーシングとの当接を保たれる。制御室のシールはスリーブの当接面に形成された
セレイテッドエッジによって得られる。このセレイテッドエッジに漏れが生じる
と、当該インゼクタの作動停止を生ずることことがある。

【０００５】 本発明の課題は従来形式の噴射ノズルを使用して明らかに高いノズルニードル
速度を許容すると共に安定的に作動するコモンレールインゼクタを提供すること
にある。さらに、本発明によるインゼクタは簡単に構成されかつ安価に製作され
なければならない。

【０００６】 この課題は内燃機関のコモンレール式噴射システム内の燃料を噴射するための
コモンレールインゼクタであって、締寄せナットによって保持体に固定されたノ
ズルボディが設けられており、保持体が燃料供給路を有しており、この燃料供給
路がインゼクタの外部の中央の燃料高圧蓄圧器とインゼクタの内部の圧力室とに
連通しており、この圧力室から、高圧によって負荷された燃料が制御弁の位置に
依存して噴射されるようになっており、この制御弁の働きによって、流入絞りを
介して燃料供給路に接続された制御室内の圧力よりも圧力室内の圧力が大きい場
合に、インゼクタの縦孔内で軸方向に往復運動可能なノズルニードルが、ノズル
ばね室内に受容されたノズルばねのプレロードに抗して座から持上げられるよう
になっている形式のものにおいて、制御室がノズルボディ内に組み込まれており
、かつ、ノズルニードルの燃焼室から遠い方の端部に制御ピンが形成されており
、この制御ピンが制御室内で案内されており、かつ、ノズルばね室が制御室の外
部に配置されていることにより解決される。本発明は、制御室の容積がノズルば
ねの組込スペースに依存することなく、制御室およびノズルばね室がノズルニー
ドルの燃焼室から遠い方の端部に配置されることができるという利点を有してい
る。それゆえ、高いばね強度を有していてノズルニードルの良好な閉鎖を保証す
る大容積のノズルばねを組み込むことが可能である。このことにより、噴射時間
および噴射時点が正確に固定できる。

【０００７】 本発明の特別な１実施形は、燃料供給路がノズルばね室内に開口しており、か
つ、ノズルばね室と圧力室との間でノズルニードルに少なくとも１つの平面部が
形成されていることによって特徴づけられている。このことによって、ノズルば
ね室と圧力室との間の流れの連通が生じ、この流れの連通により、噴射されるべ
き燃料が燃料供給路から圧力室内へ達することができる。従来一般のインゼクタ
に設けられる、圧力室への孔が省かれる。

【０００８】 本発明の別の特別な１実施形は、ノズルボディが２つの部分から形成されてお
り、かつ制御室がノズルボディの燃焼室から遠い方の部分に形成されていること
により特徴づけられている。ノズルボディの製作時には長くされたノズルボディ
が必要である。燃焼室から遠い方の部分を切断する前に、有利には、ニードルの
ための１つの孔と固定用ピンの受容のための２つの固定用孔とが、組立状態でノ
ズルボディ内に設けられる。このことにより、ニードル用の孔および案内用の孔
が側方へずれず、これにより、冗長的なニードル案内が回避される。

【０００９】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、ノズルボディの燃焼室から遠い方の部
分内に弁部材が配置されており、この弁部材が流出絞りと弁座とを備えた中央の
排出孔を有していることにより特徴づけられている。中央の排出孔によって、制
御室とリリーフ室との間の連通が生じる。弁座は本発明によるインゼクタの噴射
特性を制御する制御弁部材と協働する。弁部材内への流出絞りの組込みによって
、流出絞りの容易な交換性が保証される。

【００１０】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、流入絞りが、制御室をノズルばね室に
接続させる、ノズルボディ内の孔内に設けられていることにより特徴づけられて
いる。製作上の理由およびまたは費用の理由から、流入絞りは別の構成部分、例
えばノズルニードルに設けられてもよい。

【００１１】 本発明のさらに別の特別な１実施形は、ノズルニードルに段部が形成されてお
り、この段部が、ノズルばねの対向支承部を成す中間板のためのストッパを形成
していることを特徴としている。中間板の厚さの適当な選択を介してプレロード
もしくはノズルニードルの行程を調節することができる。

【００１２】 本発明のその他の利点、特徴および詳細が、図面を参照して本発明の１実施例
を詳細に説明した以下の記載から明らかとなる。その場合、請求項および以下の
記載で言及した特徴はそれぞれ単独でまたは任意の組合せで発明の高度性を有し
ている。

【００１３】 実施例の説明 図示のインゼクタはノズルボディ１を有している。ノズルボディ１はその自由
端（図示せず）で、供給されるべき内燃機関の燃焼室内に突入している。ノズル
ボディ１は燃焼室に近い方の部分２と燃焼室から遠い方の部分３とから形成され
ている。燃焼室に近い方の部分２および燃焼室から遠い方の部分３は互いに当接
していて、組立状態では固定用ピン４によって互いに位置を保たれている。

【００１４】 ノズルボディ１は締寄せナット５によって保持体６に締付けられている。ノズ
ルボディ１内にはノズルニードル７が軸方向で摺動可能に受容されている。ノズ
ルニードル７の外周面には複数の平面部８が形成されており、図面にはその１つ
だけが見られる。この平面部８は、保持体６とノズルボディ１の燃焼室から遠い
方の部分３とを通ってノズルばね室１０内へ延びている燃料供給路９と、図示さ
れていない圧力室とを連通せしめている。

【００１５】 ノズルばね室１０内にはノズルばね１１が受容されており、ノズルばねはノズ
ルニードル７の先端を対応する（図示されていない）座に当接せしめている。ノ
ズルばね１１は、ノズルボディ１の燃焼室から遠い方の部分３の、燃焼室に面し
た端面と、中間板１２との間で予め緊縮されている。中間板１２はノズルニード
ル７に形成された段部１３に当接している。

【００１６】 段部１３に続いて、ノズルニードル７の燃焼室から遠い方の端部にはノズルニ
ードル７に比して小さな直径を有する制御ピン１４が形成されている。制御ピン
１４は制御室１５内で案内されており、制御室はノズルボディ１の燃焼室から遠
い方の部分３内の中央の孔によって形成されている。ノズルばね１１は制御室１
５の外部で制御ピン１４に対して同心的に配置されている。

【００１７】 ノズルボディ１の燃焼室から遠い方の部分３内の中央の孔は種々異なる直径を
有する３つの区分を有している。制御室１５は最も小さな直径を有する区分内に
配置されている。

【００１８】 制御室１５は燃焼室とは逆の側で弁部材１６によって制限されている。弁部材
１６に形成されたつばと、ノズルボディ１の燃焼室から遠い方の部分３に設けた
環状の段部との間には銅または鋼から成るシールリング１７が配置されている。
このシールリング１７は燃焼室とは逆の側での制御室１５のシールを保証してい
る。

【００１９】 ノズルボディ１の燃焼室から遠い方の部分３内に形成されている流入絞り２０
を介して、高圧によって負荷された燃料が燃料供給路９から制御室１５内へ達す
る。制御室１５は弁部材１６内の中央に形成された流出絞り２１を介してリリー
フ室２２に連通している。

【００２０】 流出絞り２１に続いて弁部材１６にはホッパ状の弁座２４が形成されている。
弁座２４は、弁体１９内で往復運動可能に受容された制御弁部材１８と協働して
いる。制御弁部材１８の燃焼室に面した端部に形成された球が弁座２４に当接し
ているかどうかに応じて制御室１５とリリーフ室２２との連通が開放される。リ
リーフ室２２は燃料流出路２３を介して（図示されていない）燃料タンクに連通
している。

【００２１】 噴射が行われない場合には、ノズルニードル７はレール圧によってその座に圧
着される。制御室の圧力とノズルばね閉鎖力との和はニードル座においてノズル
ニードルに作用する開放力を上回っている。噴射は制御室１５の圧力軽減によっ
て導入される。ノズルニードル７はその座から持上げられ、かつ高圧によって負
荷された燃料が（図示されていない）噴口を通して内燃機関の燃焼室内へ噴射さ
れる。開放速度および閉鎖速度は流出／流入比が固定されている場合には制御ピ
ン１４の横断面によって規定される。

【００２２】 本発明による機能原理によれば、図示のインゼクタ内に内部の漏れは生じない
。要するに、非作動状態では、漏れ油量が排出されず、このことがわずかな比消
費量につながる。さらに、制御室１５の規定されたシールによって、本発明によ
るインゼクタの高められた機能確実性が保証される。インゼクタ誤差は従来一般
のインゼクタに対比してわずかである。さらに、本発明による手段は従来一般の
インゼクタに比して小さな寸法を有するインゼクタの製作を可能にする。流出絞
りは流入絞りから分離されている。

【００２３】 制御弁１６，１７，１８，１９はシングルまたはダブル切換弁として形成され
ることができる。アクチュエータとしてはマグネットまたは圧電を使用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるコモンレールインゼクタの一部分を縦断面で示す図である。

───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】 配置されている。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のコモンレール式噴射システム内の燃料を噴射する
   ためのコモンレールインゼクタであって、締寄せナット（５）によって保持体（
   ６）に固定されたノズルボディ（１）が設けられており、保持体が燃料供給路（
   ９）を有しており、この燃料供給路がインゼクタの外部の中央の燃料高圧蓄圧器
   とインゼクタの内部の圧力室とに連通しており、この圧力室から、高圧によって
   負荷された燃料が制御弁の位置に依存して噴射されるようになっており、この制
   御弁の働きによって、流入絞り（２０）を介して燃料供給路（９）に接続された
   制御室（１５）内の圧力よりも圧力室内の圧力が大きい場合に、インゼクタの縦
   孔内で軸方向に往復運動可能なノズルニードル（７）が、ノズルばね室（１０）
   内に受容されたノズルばね（１１）のプレロードに抗して座から持上げられるよ
   うになっている形式のものにおいて、制御室（１５）がノズルボディ（１）内に
   組み込まれており、かつ、ノズルニードル（７）の燃焼室から遠い方の端部に制
   御ピン（１４）が形成されており、この制御ピンが制御室（１５）内で案内され
   ており、かつ、ノズルばね室（１０）が制御室（１５）の外部に配置されている
   ことを特徴とするコモンレールインゼクタ。
2. 【請求項２】 燃料供給路（９）がノズルばね室（１０）内に開口しており
   、かつ、ノズルばね室（１０）と圧力室との間でノズルニードル（７）に少なく
   とも１つの平面部（８）が形成されていることを特徴とするコモンレールインゼ
   クタ。
3. 【請求項３】 ノズルボディ（１）が２つの部分（２，３）から構成されて
   おり、かつ、制御室（１５）がノズルボディ（１）の燃焼室から遠い方の部分（
   ３）内に形成されていることを特徴とする請求項１または２記載のコモンレール
   インゼクタ。
4. 【請求項４】 ノズルボディ（１）の燃焼室から遠い方の部分（３）内に弁
   部材（１６）が配置されており、この弁部材が流出絞り（２１）を備えた中央の
   流出孔と弁座（２４）とを有していることを特徴とする請求項３記載のコモンレ
   ールインゼクタ。
5. 【請求項５】 流入絞り（２０）が、制御室（１５）をノズルばね室（１０
   ）に接続させる、ノズルボディ（１）内の孔内に設けられていることを特徴とす
   る請求項１から４までのいずれか１項記載のコモンレールインゼクタ。
6. 【請求項６】 流入絞りがノズルニードルに組み込まれていることを特徴と
   する請求項１から４までのいずれか１項記載のコモンレールインゼクタ。
7. 【請求項７】 ノズルニードル（７）に段部（１３）が形成されており、こ
   の段部が、ノズルばね（１１）のための対向支承部を成す中間板（１２）のため
   のストッパを形成していることを特徴とする請求項１から６までのいずれか１項
   記載のコモンレールインゼクタ。