JP2003510204A - ポリエチレンの改良された加工方法 - Google Patents

ポリエチレンの改良された加工方法

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Abstract

(57)【要約】 エチレンとα−オレフィンとを共重合させる触媒を用いて、エチレンおよび一連のα−オレフィンから製造したポリエチレンは、特に高いゼロせん断粘度および低い高せん断粘度が望ましい場合の使用に、通常すぐれた溶融加工特性を有する。これらのポリエチレンは好ましくは重合工程の間にその場でエチレンからα−オレフィンを生成することにより製造される。このポリエチレンは特にブロー成形、押出しまたは押出しブローフィルム法に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
エチレンとα−オレフィンとを共重合させる触媒を用いて、エチレンおよび一
連のα−オレフィンから製造したポリエチレンは、特に高いゼロせん断粘度およ
び低い高せん断粘度が望ましい場合の使用において、通常すぐれた溶融加工特性
を有する。本発明に記述されたこれらのポリエチレンはブロー成形、押出し成形
または押出しブローフィルム製造に特に適する。
【0002】
【技術背景】
ポリエチレンは重要な商業品目であり、他のいかなるポリマーよりも大量に製
造される。この型のポリマーの多くの異なった品種が製造され、これらの異なっ
た品種は、コストを含む多くの特性面で異なる。ポリエチレンの概観については
、B.Elvers,et al.,Ed.,Ullmann’sEncycl opedia of Industrial Chemistry ,5th E
d.,Vol.A21,VCH Verlagsgesellschaft,W
einheim,1992,p.488−518;およびH.Market a
l.,Ed.,Encyclopedia of Polymer Scien ce and Engineering ,Vol.6,John Wiley
& Sons,New York,1986,p.383−489参照。コスト
以外に、大部分のユーザー(ポリマー加工者)にとって関心が深い二つの主要特
性分野は、最終的なポリマー物性(すなわち、ポリマーが最終用途に適した物性
を有するか)、およびポリマーを最終の物品に成形するのがどの程度困難かであ
り、これはしばしば加工性と呼ばれる。しばしばポリマーユーザーは、よりよい
物性及びよりよい加工性の間で妥協しなければならない。
【0003】 たとえば、最高の引張強さおよび最高の使用温度(その相対的に高い融点のた
め)を有するポリエチレンは通常高密度ポリエチレン(HDPE)であり、これ
は最も単純な形においてはエチレンから誘導される実質的に直鎖状のポリマーで
ある。これは典型的にはエチレンの配位重合により穏やかな圧力(数MPa)お
よび温度(典型的には50〜150℃)で製造される。しかしながらその溶融加
工性は相対的に劣る。
【0004】 ポリエチレン品種序列の逆の極端にあるのが低密度ポリエチレン(LDPE)
であり、これは非常に高い圧力(100MPa以上)および高い温度(約200
℃)で製造され、重合のためにはエチレンを圧縮するために非常に高価な装置お
よび高い操業費を必要とする。LDPEは、高度に分岐しているため、相対的に
劣る物性を有し、これらの分岐は長鎖分岐(LCB、約100炭素原子以上)お
よび短鎖分岐(SCB、<<100炭素原子)を共に含むと信じられている。し
かしながら分岐、特にLCBであると信じられているが、の存在はLDPEを一
般的に最も加工性のよいポリエチレンの型であると考えられるものにしている。
【0005】 HDPEおよびLDPEの最良の特性を組み合わせようとする多くの試みがな
されてきた。これらの一つは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレ
ンと1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンのような、低級α−オレフ
ィンとのコポリマー、をもたらした。その加工性はHDPEよりよいがLDPE
ほどよくはなく、一方その物性はLDPEよりよいがHDPEほどよくはない。
やはり(単独ポリマーでは)加工性および物性の間で妥協がなされる。
【0006】 ポリエチレンのような低コスト、大量生産ポリマーについては、成形品を生成
させるための加工コストを最小化することは、加工コストが最終成形物のコスト
の相当大きな部分を占めるため、決定的である。これは高い処理速度を有する方
法が、コストを最小化するので、特に重要であることを意味する。このような方
法のうちには、いわゆる異形物を生成する押出し成形、ブローフィルム押出し成
形(ある意味では押出し成形の特別な形態)及びびんおよび他の容器のような中
空物を製造するために用いられるブロー成形がある。これらの工程をより速く運
転できればできるほど、製造される品は安価となる。これらの各工程における溶
融成形の最初の部分では、ポリマーは相対的に高せん断条件下ダイを通って押出
される。高せん断速度におけるポリマーの粘度が低ければ低いほど、ポリマーは
合理的なダイ圧力でメルトフラクチャーなしにより速やかに押出すことが可能で
ある。これらの各工程においてはダイを出た後、かつポリマーが硬化する前に、
ポリマーが変形せずに(ブローフィルムの場合や、またはブロー成形において中
空物をブローするような、変形が望まれる場合は除く)所望の形態を保つことが
重要である。工程のこの部分については、低せん断条件において高い溶融粘度を
有するポリマーが好ましい。LDPEは典型的にはまさにこれらの物性を有し、
それがLDPEがうまく加工できる理由であると信じられている。さらにこれら
の物性はこのポリマー中の分岐、特にLCBの結果であると当業者により信じら
れている。
【0007】 上述のようにLDPEは建設するにも操業するにも特に高価な装置内で製造さ
れ、そのためLDPEはPEの他の品種よりも高価である傾向を有する。LDP
Eが現在製造されるよりも低圧力で製造可能であり、LDPEの加工性を有する
PEは、それゆえ有利であろう。更にもしそのポリマーがLDPEよりよい物性
を有するならば、なおさら有利であろう。
【0008】 US第6103946号にはある種の鉄触媒を用いてα−オレフィンを生成す
るエチレンのオリゴマー化が記述されている。WO第99/50318号には、
選ばれた鉄触媒およびエチレンとα−オレフィンとを共重合する能力をもつ選ば
れた重合触媒を用いるエチレンの反応による分岐ポリエチレンの製造が記述され
ている。上記の参考資料は引用により完全に記載されているようにすべての目的
の為に本発明には包含される。
【0009】 分岐性ポリエチレンを(大部分の場合)生成させるための、エチレンの「同時
」オリゴマー化および重合に関する各種の報告が文献に現れている。たとえば、
WO第90/15085号、WO第99/50318号,US第5753785
号,US第5856610号、US第5686542号、US第5137994
号、およびUS第5071927号;C.Denger,et al.,Mak romol.Chem.Rapid Commun. ,vol.12,p.69
7−701(1991),およびE.A.Benham,et al.,Pol ymer Engineering and Science ,vol.28,
p.1469−1472(1988)参照。
【0010】 上記参照資料のいずれにも、製造されたポリマーが例外的なレオロジー的特性
を有するとは認識されていない。
【0011】
【発明の概要】
本発明は、ポリエチレンがエチレンと式H2C=CHR18(式中R18は偶数個
の炭素原子を含むアルキルである)の一連のオレフィンとの共重合により製造さ
れるポリマーであり、ただし 該一連のオレフィンは少くとも4種の異なるオレフィンを含み、そして 該一連のオレフィンの少くとも2種の異なるオレフィンにおいてはR18が10
個以上の炭素原子を含むことを特徴とする、本法を用いて溶融ポリエチレンを有
用な形に成形することによる、ポリエチレンのブロー成形、押出し成形または押
出しブローフィルム製造の方法に関する。
【0012】 本発明はまた、該ポリエチレンが、約1.4以上の構造指数ST(本書で定義
される)、および約40以上の加工性指数PR(本書で定義される)の一方また
は双方を有し、ただし、もしSTが約1.4未満であれば、該ポリマーは100
0のメチレン基あたり20未満のメチル分岐を有することを特徴とする、本法を
用いて溶融ポリエチレンを有用な形に成形することによる、ポリエチレンのブロ
ー成形、押出し成形または押出しブローフィルム製造の方法に関する。
【0013】 本発明においてはまた、ポリエチレンが1000のメチレン基あたり少くとも
エチルおよびn−ヘキシルまたはより長鎖の各2分岐および少くともn−ブチル
1分岐を有し、かつ1000のメチレン基あたり20未満のメチル分岐を有し、
かつ式 [η]<0.0007Mw0.66 式中「η」は1,2,4−トリクロロベンゼン中150℃における固有粘度であ
り、Mwは重量平均分子量である、 に従うポリエチレンであることを特徴とする、本法を用いて溶融ポリエチレンを
有用な形に成形することによる、ポリエチレンのブロー成形、押出し成形または
押出しブローフィルム製造の方法が開示される。
【0014】
【好ましい態様の詳細な記述】
本発明においては下記に定義する一定の用語が用いられる。
【0015】 「ヒドロカルビル」とは炭素および水素のみを含む1価の基を意味する。ヒド
ロカルビルの例としては、非置換のアルキル、シクロアルキル、およびアリール
があげられる。特記がない場合、本発明におけるヒドロカルビル基は好ましくは
1〜30の炭素原子、より好ましくは1〜20の炭素原子を含む。
【0016】 本発明における「置換ヒドロカルビル」とは、これらの基を含む化合物がおか
れる工程条件下で不活性である「不活性官能基」を1個以上含むヒドロカルビル
基を意味する。不活性官能基はまた実質的にオリゴマー化/重合工程を妨害しな
い。たとえば、不活性官能基が、式(I)(下記に示す)中のR4またはR5のよ
うに、またはR4,R5,R6,またはR7 上の置換基のように、錯体となった鉄
原子の近傍に存在しうる場合、その不活性官能基は、(I)に示された、望まれ
る配位基である3個のN基よりも強く鉄原子に配位すべきではない、すなわち、
その官能基は、望まれる配位したN基の一つ以上を置換すべきではない。ヒドロ
カルビルはトリフルオロメチルにおけるように、完全に置換されてもよい。特記
がない場合、本発明における置換されたヒドロカルビル基は、1〜約30炭素原
子を含むことが好ましい。「置換された」の意味には複素環が含まれる。
【0017】 不活性官能基の例としては、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード
)、エステル、ケト(オキソ)、アミノ、イミノ、カルボキシル、ホスファイト
、ホスホナイト、ホスフィン、ホスフィナイト、チオエーテル、アミド、ニトリ
ル、およびエーテルが含まれる。好ましい不活性官能基は、ハロ、エステル、ア
ミノ、イミノ、カルボキシル、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィン、ホス
フィナイト、チオエーテル、およびアミドである。下記の配位子(I)および(
II)に基く触媒に関して、どのオリゴマー化/重合においてどの不活性官能基
が有用であるかは、先に包含された、US第6103946号、に加えてUS第
5955555号、およびWO第98/30612号を参照することにより決定
することがある場合には可能であり、これらのすべては引用により完全に記載さ
れているとしてすべての目的のために本明細書に包含される。
【0018】 オリゴマー化または重合「触媒活性化剤」とは、遷移金属化合物と反応して、
活性化された触媒種を生成する化合物を意味する。好ましい触媒活性化剤は、ア
ルキルアルミニウム化合物、すなわち、アルミニウム原子と結合した少くとも1
個のアルキル基を有する化合物である。
【0019】 「相対的に非配位性」(または弱配位性)アニオンとは、当分野において一般
にこのように呼ばれるアニオンを意味し、このようなアニオンの配位能力は公知
であり文献中で議論されている。たとえば、W.Beck et al.,Ch em.Rev. ,vol.88,pp.1405−1421(1988),およ
びS.H.Strauss,Chem.Rev.,vol.93,pp.927
−942(1993)参照、この両者は引用により本書に含まれる。これらのア
ニオンのうちには、(R293AlX-、(R292AlClX-、R29AlCl2
-、およびR29AlOX-(ここでR29はアルキルである)を含む、(この直前
のパラグラフに記述されたような)アルミニウム化合物およびX-(下記により
詳細を議論するアニオン)から生成されるものがある。他の有用な非配位アニオ
ンとしては、BAF-{BAF=テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチ
ル)フェニル]ボレート}、SbF6 -、PF6 -、およびBF4 -、トリフルオロメ
タンスルホネート、p−トルエンスルホネート、(RfSO22-、および(C 664-が含まれる。
【0020】 本発明における「第一級炭素基」とは、式−CH2‐‐‐の基を意味し、式中
自由原子価‐‐‐は任意の他の原子に、そして実線で示される結合はその第一級
炭素基が結合しているアリールまたは置換アリールの環原子に対してである。す
なわち自由原子価‐‐‐は水素原子,ハロゲン原子、炭素原子,酸素原子、イオ
ウ原子、等と結合することができる。換言すれば、自由原子価‐‐‐は水素、ヒ
ドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または官能基に対してである。第一級炭素
基の例としては、−CH3、−CH2CH(CH32、−CH2Cl、−CH26
5、−OCH3、および−CH2OCH3が含まれる。
【0021】 第二級炭素基とは、基
【0022】
【化2】
【0023】 を意味し、式中実線で示される結合は、その第二級炭素基が結合しているアリー
ルまたは置換アリールの環原子に対してであり、点線で示される両自由結合は、
水素以外の原子または原子群に対してである。これらの原子群または基は同一で
も異なってもよい。換言すれば、点線で示された自由原子価は、ヒドロカルビル
、置換ヒドロカルビル、または不活性官能基であり得る。第二級炭素基の例とし
ては、−CH(CH32、−CHCl2、−CH(C652、シクロヘキシル、
−CH(CH3)OCH3、および−CH=CCH3が含まれる。
【0024】 「第三級炭素基」とは、式
【0025】
【化3】
【0026】 の基を意味し、式中実線で示される結合は、その第三級炭素原子が結合している
アリールまたは置換アリールの環原子に対してであり、点線で示される三つの自
由結合は、水素以外の原子または原子群に対してである。換言すれば、点線で示
された結合は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または不活性官能基に対
してである。第三級炭素基の例としては、−C(CH33、−C(C653
−CCl3、−CF3、−C(CH32OCH3、−C≡CH、−C(CH32
H=CH2、フェニルおよび1−アダマンティルのような、アリールおよび置換
アリールが含まれる。
【0027】 「アリール」とは、自由原子価が芳香環の炭素原子に対する一価の芳香族基を
意味する。アリールは単結合または他の基により結合した、縮合したものでもよ
い1個以上の芳香環を有することができる。 「置換アリール」とは、上記「置換ヒドロカルビル」の定義に記述されたように
置換された一価の芳香族基を意味する。アリールと同様、置換アリールは単結合
または他の基により結合した、縮合したものでもよい1個以上の芳香環を有する
ことができる。しかしながら、置換アリールが複素環式芳香環を有する時、置換
アリール基中の自由原子価は、炭素の代りに複素環式芳香環の(窒素のような)
ヘテロ原子に対することができる。
【0028】 本発明において用いられるポリエチレンは、エチレンを(a)エチレンを1種
以上の式H2C=CHR18(式中R18は偶数個の炭素原子を含むアルキルである
)のα−オレフィンにオリゴマー化する活性オリゴマー化触媒;および(b)エ
チレンとオリゴマー化において生成したα−オレフィンとを共重合する能力があ
る重合触媒、と接触させることにより得ることができ、好ましくは得られる。
【0029】 「ポリエチレン」とは、その繰返し単位の少くとも50モル%、好ましくは少
くとも70モル%、そしてより好ましくは少くとも80モル%が重合工程におい
てエチレンからもたらされるポリマーを意味する。本発明における「ホモポリエ
チレン」とは、実質的にすべての繰返し単位が重合工程においてエチレンからも
たらされるポリマーを意味する。「エチレンからもたらされる」とは、たとえば
、エチレンオリゴマー化触媒によって生成されるエチレンのオリゴマーのように
、その場で(実際の重合と同時にまたはそれとの連続過程で)エチレンから生成
する任意のコモノマーを含む。ホモポリエチレンが本発明においては好ましい。
【0030】 その場で生成されるか(好ましい)または重合に別途添加されるコモノマーは
,式H2C=CHR18(式中R18は偶数個の炭素原子を含むアルキルである)の
一連のα−オレフィンである。R18が奇数個の炭素を含むものであるような他の
α−オレフィンも場合により存在してよい。一連のα−オレフィンは好ましくは
18が2,4,6,8,10,12,14,16個および場合によりさらに高級
な炭素原子を含む個々のα−オレフィンを包含する。一連のα−オレフィンが、
その一連のα−オレフィンの全モル数基準で、5モル%以上、より好ましくは1
0モル%以上、そして特に好ましくは15モル%以上の、R18が10個以上の炭
素原子を含むようなα−オレフィンを包含するのもまた好ましい。好ましくはオ
リゴマー化触媒は、30以下、より好ましくは15以下の平均オリゴマー化度(
すなわち分子1個あたりのエチレン単位の平均数)を有するα−オレフィン混合
物を生成する。
【0031】 もしその一連のオレフィンが重合に加えられるか(すなわちそれはホモポリエ
チレンではない)またはオレフィンが重合反応との連続過程においてまず製造さ
れるものであり、それゆえ試料採取が可能である場合は、用いられる一連のオレ
フィンに関する任意の上記の組成的制限が満たされているかどうかを知るために
ガスクロマトグラフィーのような手段により、分析することができる。もしその
一連のオレフィンがその場で重合反応と同時に製造されるならば、その一連のオ
レフィンの代表試料を採取することは可能でないかもしれない。一般に一連のオ
レフィンは、エチレンから必要なオレフィンを生成し、第一および第二重合触媒
(下記参照)の存在なしで活性があるエチレンのオリゴマー化触媒によってその
場で製造されるであろう。この例においてはオリゴマー化は、重合触媒(単数ま
たは複数)の存在なしに、オリゴマー化/重合を合せて合理的に模倣した条件下
、一連のオレフィンのみを製造するために実施することができる。こうして得た
一連のオレフィンは、妥当な制限条件を満たしているかどうか判定するために、
次いで分析(ガスクロマトグラフィーのような手段により)する。このような一
連のオレフィンの典型的な分析は、先に包含されたUS第6103946号中に
見出せる。本発明においては、分岐状ポリエチレン中へのα−オレフィンの包含
は、それらが重合工程中に存在する相対的な量に比例すると仮定する。これは、
たとえば、1−ブテンのような揮発性のオレフィンが部分的に重合反応から「失
われる」場合には、完全に正しくはないかもしれない。
【0032】 このような一連のオレフィンがエチレンから製造される時にはしばしば、得ら
れるオレフィンの分子量の尺度は、シュルツ−フローリー理論からのファクター
Kである(たとえばB.Elvers,et al.,Ed.Ullmann’ sEncyclopedia of Industrial Chemistr ,Vol.A13,VCH Verlagsgesellschaft mb
H,Weinheim,1989、p.243−247および275−276参
照。)これは K=n(Cn+2オレフィン)/n(Cnオレフィン) として定義され、式中n(Cnオレフィン)はn炭素原子を含むオレフィンのモ
ル数であり、n(Cn+2オレフィン)は、n+2炭素原子を含むオレフィン、すな
わち換言すればCnオレフィンの次に高級なオリゴマー、のモル数である。得ら
れたオリゴマー性反応生成混合物中の各種オレフィンの重量(質量)分率がこれ
から測定できる。Kファクターは好ましくは約0.55〜約0.90、より好ま
しくは0.65〜約0.80の範囲である。Kファクターはまた、オリゴマー化
条件および/またはオリゴマー化触媒を変えることによって変化させることがで
きる、たとえば先に包含されたUS第6103946号参照。誤差の可能性はあ
るが(下記参照)製造されたポリマーの分岐パターンを分析することによって、
α−オレフィンへのオリゴマー化についてのKファクターをおおよそ逆計算する
ことができる。
【0033】 一つの好ましい態様においては、製造されるポリマーはホモポリエチレンであ
り、そして/または一連のオレフィンが重合反応と同時に製造される。
【0034】 オレフィン製造のための好ましいオリゴマー化触媒が、先に包含されたUS第
6103946号に記述されている。より好ましくは、オリゴマー化触媒は一般
式(I)
【0035】
【化4】
【0036】 式中 R1,R2,R3,R4,およびR5は各々独立的に水素、ヒドロカルビル,置換ヒ
ドロカルビルまたは不活性官能基であり、ただし相互に隣接したR1,R2,およ
びR3の任意の二つは、一緒になって環を形成してもよく; そして R6およびR7はアリールまたは置換アリールである、 の配位子のFe錯体(Fe[II]またはFe[III])である。
【0037】 より好ましくは、オリゴマー化触媒は一般式(I)の配位子のFe錯体(Fe
[II]またはFe[III])であり、式中: R1,R2,およびR3は各々独立的に水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカル
ビルまたは不活性官能基であり、ただし相互に隣接したR1,R2,およびR3
任意の二つは、一緒になって環を形成してもよく; R4およびR5は各々独立的に水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまた
は不活性官能基であり; R6およびR7は各々独立的に、イミノ窒素と結合した第一環原子を有するアリ
ールまたは置換アリールであり、但し: R6において、該第一環原子と隣接した第二環原子はハロゲン、第一級炭素基
、第二級炭素基、または第三級炭素基と結合し;さらに但し R6において、該第二環原子がハロゲンまたは第一級炭素基と結合している時
、該第一環原子と隣接したR6およびR7中の他の環原子の、零個、1個、または
2個はハロゲンまたは第一級炭素基と結合し、該第一環原子と隣接した環原子の
残りは水素原子と結合するか;あるいは R6において、該第二環原子が第二級炭素基と結合している時、該第一環原子
と隣接したR6およびR7中の他の環原子の、零個、1個、または2個はハロゲン
、第一級炭素基、または第二級炭素基と結合し、該第一環原子と隣接した環原子
の残りは水素原子と結合するか;あるいは R6において、該第二環原子が第三級炭素基と結合している時、該第一環原子
と隣接したR6およびR7中の他の環原子の、零個または1個は第三級炭素基と結
合し、該第一環原子と隣接した環原子の残りは水素原子と結合する。
【0038】 「イミノ窒素原子と結合したR6およびR7中の第一環原子」とは、(I)中に
示されたイミノ窒素と結合したこれらの基中の環原子、たとえば
【0039】
【化5】
【0040】 を意味し、(III)および(IV)の環中の1位に示された原子が、イミノ窒
素原子と結合した第一環原子である(アリール基上に置換されて存在するかもし
れない他の基は示されていない)。第一環原子に隣接した環原子は、たとえば、
(V)および(VI)中に示され、式中これらの隣接原子への空き原子価は点線
で示されている((V)の2,6位および(VI)の2,5位)。
【0041】
【化6】
【0042】 なお一層好ましくは、オリゴマー化触媒は式(II):
【0043】
【化7】
【0044】 式中: 各R1,R2,R3,R4,R5,R9,R10,R11,R14,R15,およびR16は独
立的に水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび不活性官能基からなる
グループから選ばれ;そして R8はハロゲン、第一級炭素基、第二級炭素基、または第三級炭素基であり; ただし: R8がハロゲンまたは第一級炭素基であるとき、R12,R13,およびR17の零
個、1個、または2個は独立的に第一級炭素基、不活性官能基またはトリハロ第
三級炭素基であり、R12,R13,およびR17の残りは水素であり; R8が第二級炭素基であるとき、R12,R13,およびR17の零個または1個は
第一級炭素基、第二級炭素基、トリハロ第三級炭素基または不活性官能基であり
、R12,R13,およびR17の残りは水素であり; R8が第三級炭素基であるとき、R12,R13,およびR17はすべて水素であり
; 相互に隣接したR1,R2,およびR3の任意の二つは、一緒になって環を形成
してもよく; 相互に隣接したR8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,およ
びR17の任意の二つは一緒になって環を形成してもよい、 の配位子のFe錯体(Fe[II]またはFe[III])である。
【0045】 配位子(II)の一つの好ましい態様においては、R4およびR5はメチルまた
は水素であり;そして/またはR1,R2およびR3はすべて水素であり;そして
/またはR9,R10,R11,R14,R15およびR16,はすべて水素であり;そし
て/またはR17はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ハロおよびトリハ
ロメチルからなるグループから選ばれ;そして/またはR12は水素、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ハロおよびトリハロメチルからなるグループか
ら選ばれる。一定のより好ましい態様においては、R12およびR17は双方ともメ
チルまたはエチルである。すべてのこのような場合において、R8はハロゲンま
たは第一級炭素基であり、そしてR13は水素である。
【0046】 配位子(II)の特定の好ましい態様においては: R4およびR5はメチルであり;R9,R10,R11,R13,R14,R15,および
16はすべて水素であり;R12は水素またはメチルであり;R17はメチルであり
;R8は第一級炭素基であるか;または R4およびR5はメチルであり;R9,R10,R11,R13,R14,R15,および
16はすべて水素であり;R12は水素またはエチルであり;R17はエチルであり
;R8は第一級炭素基であるか;または R4およびR5はメチルであり;R9,R10,R11,R13,R14,R15,および
16はすべて水素であり;R12は水素またはイソプロピルであり;R17はイソプ
ロピルであり;R8は第一級炭素基であるか;または R4およびR5はメチルであり;R9,R10,R11,R13,R14,R15,および
16はすべて水素であり;R12は水素またはn−プロピルであり;R17はn−プ
ロピルであり;R8は第一級炭素基であるか;または R4およびR5はメチルであり;R9,R10,R11,R13,R14,R15,および
16はすべて水素であり;R12は水素またはクロロであり;R17はクロロであり
;R8は第一級炭素基であるか;または R4およびR5はメチルであり;R9,R10,R11,R13,R14,R15,および
16はすべて水素であり;R12は水素またはトリフルオロメチルであり;R17
トリフルオロメチルであり;R8は第一級炭素基である。
【0047】 配位子(II)の他の好ましい態様においては、R1,R2,R3,R4,R5
9,R10,R11,R14,R15,およびR16は今定義された通りであり、そして
もしR8が第一級炭素基であるならば、R12およびR17は水素であり、R13は第
一級炭素基であるか;またはもしR8が第二級炭素基であるならば、R12および
17は水素であり、R13は第一級炭素基もしくは第二級炭素基である。
【0048】 R8が第一級炭素基である時は、好ましくはメチル,エチル,プロピル類およ
びブチル類から選ばれるのもまた好ましい。
【0049】 活性オリゴマー化触媒を配位子(I)またはそのFe錯体から調製するには多
くの異なった方法があり、その多くは先に包含されたUS第6103946号、
ならびにWO第99/50273号(同様に引用によりすべての目的のため本明
細書に包含される)に記述されており、そのように記述されているものは本発明
に適用しうる。
【0050】 「純粋な」Fe錯体は、式(I)FeXnによって例示することができ、式中
各Xはアニオン、nは1,2、または3でありX基上の全負電荷数が、純Fe錯
体中のFeの酸化状態と等しくなるような数である。好ましくは、各Xは一価の
アニオン、より好ましくはハロゲン化物およびニトリルからなるグループから選
ばれ,特に塩化物または臭化物のようなハロゲン化物である。
【0051】 これらの純粋なFe錯体はそれら自身が活性なオリゴマー化触媒であってもよ
く、あるいはそれらは好ましくは触媒活性化剤と種々の方法で接触させてその場
で調製することにより活性化する(またはより活性にする)ことができる。一般
に、最も活性な触媒は触媒活性化剤と接触させたものであることが見出されてい
る。
【0052】 一般に、(時にはα−オレフィンと呼ばれる)オリゴマーを本発明のオリゴマ
ー化触媒を用いてエチレンから製造するための詳細は先に包含されたUS第60
13964号、ならびにB.L.Small,et al.,J.Am.Che m.Soc. ,vol.120,p.7143−7144(1998)(同様に
本書参照資料に包含されている)中に見出すことができる。
【0053】 エチレンは、X-を引き抜いてWX-を生成しうる中性のルイス酸である第一化
合物Wを、配位子(I)の鉄ハロゲン化物錯体[または他の(I)のX-錯体]
と接触させることによりオリゴマー化することができるが、ただし生成するアニ
オンは弱配位性アニオンであるか、またはその対イオンが弱配位性アニオンであ
るカチオン性ルイス酸またはブレンステッド酸である。
【0054】 (I)のFe錯体が、金属と既に結合しているエチレンによって置換されうる
アルキル、ヒドリド、または他の基を含まない(すなわち、Xがアルキルまたは
ヒドリドでない)例においては、中性のルイス酸またはカチオン性ルイス酸また
はブレンステッド酸もまた金属をアルキル化または金属にヒドリドを付加しうる
、すなわちアルキル基またはヒドリドを金属原子と結合させるか、あるいは別の
化合物を添加してアルキルまたはヒドリド基を付加させる。
【0055】 金属をアルキル化しうる好ましい中性ルイス酸は、R20 3Al,R20 3AlCl
,R20AlCl2,および“R20AlO”(アルキルアルミノキサン)のような
、選ばれたアルキルアルミニウム化合物であり、式中R20は1〜25炭素原子、
好ましくは1〜4炭素原子を含むアルキルである。適当なアルキルアルミニウム
化合物としては、(一般式[MeAlO]nを有するオリゴマーである)メチル
アルミノキサン、(C252AlCl、(C25)AlCl2、および[(CH 32CHCH23Alが含まれる。金属Mにヒドリド基を結合するためにNaB
4のような金属水素化物を用いてもよい。
【0056】 エチレンと一連のオレフィンとの共重合のための重合触媒は好ましくは、エチ
レンとα−オレフィンを共重合する能力があり、これらの二タイプのモノマーの
共重合の相対速度が近似した触媒であるべきである。このような触媒としてはチ
ーグラー−ナッタ型の触媒およびメタロセン触媒が含まれる。これらの型の触媒
はポリオレフィン分野では公知であり、例えばメタロセン型触媒に関する情報に
ついてはAngew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.34,
p.1143−1170(1955),EP−A−第0416815号およびU
S第5198401号;そしてチーグラー−ナッタ型触媒に関する情報について
はJ.Boor Jr.,Ziegler−Natta Catalysts and Polymerizations ,Academic Press,N
ew York,1979参照、これらのすべては引用により本書に含まれる。
【0057】 これらの型の触媒およびオリゴマー化触媒についての有用な重合条件の多くは
一致するので、重合のための条件は容易に利用できる。Wが時にはオリゴマー化
触媒のために必要であるのと同様に、しばしば「共触媒」または「活性化剤」が
共重合触媒のために必要である。多くの例において、アルキルアルミニウム化合
物のような、同一化合物をこれらの目的で両方の型の触媒として用いることがで
きる。
【0058】 共重合触媒に適する触媒はまた、US第5324800号およびEP−A第0
129368号に記述されたような、メタロセン型触媒を含む;特に有利である
のは、たとえばUS第5145819号およびEP−A第0485823号に記
述されたような、架橋ビス−インデニルメタロセンである。他の種類の適当な触
媒としては、EP−A第0416815号、EP−A第0420436号、EP
−A第0671404号、EP−A第0643066号、およびWO第91/0
4257号に記述されたような、公知の拘束幾何(constrained geometry)触媒が
包含される。たとえばWO第98/30609号、US第5880241号、U
S第6060569号、およびUS第5714556号に記述された種類の遷移
金属錯体もまた使用可能である。WO第00/12568号(米国特許出願第0
8/383900号、出願日1999年8月26日、に対応する)に記述された
ような、ビス(カルボキシミドアミダトネート){bis(carboximidamidatonate)}
の遷移金属錯体もまた有用である。上記刊行物のすべては引用により完全に記載
されているようにすべての目的のため本書に包含される。上記のうち、メタロセ
ン型触媒が好ましい。
【0059】 本発明における触媒は、(例えば重合触媒成分を生成するために)被覆するか
または他の方法でそれらを、シリカまたはアルミナのような、固形物担体に付着
させて「ヘテロ化」させてもよい。活性触媒種がアルキルアルミニウム化合物の
ような化合物との反応により生成する場合は、担体上にまずアルキルアルミニウ
ム化合物を被覆するかまたは他の方法で付着させ、それを遷移金属化合物(また
はそれらの前駆体)と接触させて、固形担体に活性重合触媒が「付着]している
触媒系を生成させる。これらの担持触媒は有機液体中における重合に用いること
ができる。それらはまた、重合させるオレフィン(単数または複数)を気体とし
て重合系に加え、液体支持相が存在しないいわゆる気相重合においても使用可能
である。遷移金属化合物はまた、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等)担体のような担体の上に、場合により、1種以上のアルキルアルミニウム
化合物のような、他の必要な触媒成分と共に被覆することも可能である。
【0060】 本発明において製造されるポリマーは、式H2C=CHR18の一連のα−オレ
フィン中のオレフィンの分布におおよそ対応する分岐パターンを有するであろう
。しかしながらR18が6〜10を越える炭素原子(使用される13CNMR装置に
依存する)を含む分岐ポリエチレンにおいては、それらとより長い分岐の間の相
違を直接知ることはできず、それゆえ発明者にとって生成したポリマー中のより
長い分岐を直接測定する方法は存在しない。しかしながら好ましいポリマーは1
000のメチレン原子あたり1以上、好ましくは1〜100、より好ましくは1
〜30個の−R18分岐を有する。ポリマー中の(全メチル基により測定した)こ
れらの分岐の量はポリマー中の1000のメチレン基あたり、好ましくは約2〜
約200、特に好ましくは約5〜約175、より好ましくは約10〜約150,
特にに好ましくは約20〜約150分岐である(測定法および計算に関しては、
先に包含されたUS第5880241号参照)。これらの分岐についての他の好
ましい範囲は、1000のメチレン炭素原子あたり約50〜約200メチル基で
ある。これらの分岐ポリマー中には、1000のメチレン基あたりエチルおよび
n−ヘキシルまたはより長鎖の少くとも各2分岐、ならびに少くともn−ブチル
1分岐が存在するのが(単独でまたは上記の他の好ましい特徴との組合せで)ま
たより好ましくは1000のメチレン基あたりエチルおよびn−ヘキシルまたは
より長鎖の少くとも各4分岐ならびに少くともn−ブチル2分岐、そして特に好
ましくは、1000のメチレン基あたりエチルおよびn−ヘキシルまたはより長
鎖の少くとも各10分岐並びに少くともn−ブチル5分岐が存在する。またこの
ホモポリエチレン中にはブチル分岐よりエチル分岐が多いのが好ましい。他の好
ましいポリマーにおいては(単独でまたは任意の上記の好ましい特徴との組合せ
で)、1000のメチレン基あたり20未満のメチル分岐、より好ましくは2未
満のメチル分岐が、特に好ましくは2未満のメチル分岐が存在する。13CNMR
によって測定した上記すべての分岐度は、末端基について補正後の値である。
【0061】 奇数個の炭素原子を含む1種以上のα−オレフィンは場合により工程に存在し
てもよく、それにより製品ポリマー中に1種以上の奇数炭素原子を有する分岐を
生成する。(奇数炭素原子を持つ好ましいコモノマー、プロピレンからの)メチ
ル分岐を含む奇数炭素分岐を有することを除き、これらのポリマーの分岐パター
ンは、直前のパラグラフに記述したものと同様なものになるであろう、そしても
しプロピレンが共重合しないならば、やはりメチル分岐は存在しないであろう。
【0062】 もし各α−オレフィンの共重合速度が一連のα−オレフィン中のそのモル分率
に比例すると仮定すれば、生成するポリマー中の−R18分岐の比率は、一連のα
−オレフィン中のそのモル比に対応するものとなるであろう。しかしながらこれ
は、特に1−ブテンおよび1−ヘキセンのような揮発性のオレフィンについては
、重合に用いられるその特定の装置および工程によっては、蒸発のためその一部
が重合反応から失われるかもしれないため、完全に正しくはないかもしれない。
【0063】 先に言及したように、ブロー成形、押出し成形または押出しブローフィルム製
造のような一定の溶融加工用途においては、相対的に低い高せん断粘度および/
または(好ましくはおよび)相対的に高い低せん断粘度を有するポリマーを使用
することは有利である。本発明のポリマーの多くはこのような特性の一つまたは
双方を有し、このことは実施例に例示される。ブロー成形(特に押出しブロー成
形)、押出し成形および押出しブローフィルム製造は当業界においては公知であ
り、例えばB.Elvers,et al.,Ed.,Ullmann’s E ncyclopedia of Industrial Chemistry
5th Ed.,Vol.A20,VCH Verlagsgesellsch
aft,Weinheim,1992,p.677−688;H.Mark e
t al.,Ed.,Encyclopedia of Polymer Sc ience and Engineering ,Vol.2,John Wil
ey & Sons,New York,1985,p.447−478;ib
id,Vol.6,1986,p.571−645;およびibid,Vol.
7,1987,p.88−127参照、これらはすべて引用により本書に含まれ
る。
【0064】 本発明の重合により製造されるポリマーの一部は、それらを本発明に記述され
る使用に適するものにする特異なレオロジー的特性を有する。図1に示されるデ
ータを用いて、その改良された加工特性を反映する一定の指数を計算することが
可能である。一例は構造指数STであり、次式により定義される ST = η0/(8.33×10-14)(Mw)3.4 式中η0は140℃におけるゼロせん断粘度であり、Mwはポリマーの重量平均
分子量である。短鎖分岐と異なり長鎖分岐中の炭素原子の比率が大きな物質は、
相対的に高いSTを有するであろう。本発明において使用されるポリマーは好ま
しくは約1.4以上、より好ましくは約2.0以上のSTを有する。実施例中の
各種のポリマーのSTを実施例6末尾の表2に示す。
【0065】 ポリマーがよい加工性をもつ可能性の尺度として用いることができる、そのレ
オロジー的特性に基く他の指数はPR、加工性指数である。これはずり減粘指数
(shear thinning index)であり、次式により定義される PR=(0.00628rad/sにおけるη*)/(188rad/sにおけ
るη*) 式中η*は粘度計の示された速度における粘度である。これは他の異なったせん
断レベルにおける粘度の比と類似したものであるが、より広い範囲のせん断に対
応する。PRの値が高ければ高いほどポリマーのずり減粘は大きくなる。本発明
において用いられるポリマーのPRは好ましくは約40以上、より好ましくは約
50以上、そして特に好ましくは約100以上である。さらに、本発明において
言及されるSTおよびPR値の任意の組合せもまた好ましい。
【0066】 良好なレオロジー(およびおそらく長鎖分岐)を有し得るポリマーを見出す他
の方法は、Mw対固有粘度の測定である。良好な加工特性を有するポリマーは、
加工性がより劣る(おそらくより直鎖状の)ポリマーに比べて、与えられたMw
に対してより低い固有粘度を有するであろう。図2は各種のポリエチレンおよび
他の類似した、一部は分岐状の、ポリマーの間におけるこのような関係を示す。
本発明のポリマーが、類似した「直鎖状」ポリエチレンよりも、それらのMwの
割にはより低い固有粘度を有することは明らかである。右側の線は本発明に適合
するものであり、一方左側の線はExxonのExceed(商標)のような典
型的LLDPE直鎖状ポリエチレンまたは短鎖分岐のみを有するポリエチレンに
適合する。事実本発明により製造される「よりよい」ポリマーについては次の関
係 [η]<0.0007Mw0.66 が存在しうるであろう、そして好ましくは [η]<0.0007Mw0.63 である。
【0067】 図2に示される2本の線のうち、左側の線は式 [η]=0.00054Mw0.69 であり、一方右側の線は式 [η]=0.00094Mw0.60 である。
【0068】 これらの式のためには、Mwは光散乱法により測定し、固有粘度は1,2,4
−トリクロロベンゼン中150℃で測定した(下記参照)。本発明のポリマーは
、特にそれらがほとんどメチル基をもたない時、および場合により上述の1種以
上の他の分岐パターンを有する時は、このように新規である。
【0069】
【実施例】
実施例中すべての圧力はゲージ圧力である。下記の遷移金属化合物を触媒系に
用いた。Aはエチレンオリゴマー化触媒であり、一方Bはエチレンとα−オレフ
ィンとの共重合触媒である。
【0070】
【化8】
【0071】 Aは先に包含されたUS第6103964号に記述された方法により、BはE
wen、et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.110,p.
6255−6256(1988)に記述されたようにして製造した。
【0072】 実施例においては、下記の略号を用いた: DSC − 示差走査熱量計 GPC − ゲル浸透クロマトグラフィー MAO − メチルアルミノキサン MAO−IP − トルエン溶解性を改良したMAO MI − メルトインデックス Mn − 数平均分子量 Mw − 重量平均分子量 PE − ポリエチレン PD − Mw/Mn RT − 室温 TCE − テトラクロロエタン DSCは昇温速度10℃/分で測定し、第二加熱時の融解吸熱のピークを融点
とした。13CNMRスペクトルは先に包含されたUS第5880241号に記述
された方法に一般的に従って測定し解釈した。Varian Unity(商標
)400MHZまたはBruker500 125MHZ分光計を用い、典型的
には10〜15重量%ポリマー溶液に10mmプローブを用いた。MIはAST
MMethod1238に従って、190℃の温度で2.16kgの荷重を用い
て測定した。IRによる密度は、プレス中で0.2〜0.3mm(8〜12ミル
)厚のフィルムを180℃で溶融プレスし、約15℃/分で冷却することによっ
て測定した。各フィルムのIRスペクトルを測定し、約1894cm-1の既知の
結晶帯のピーク吸収を、2100および1850-1近傍の最小値を用いた2点ベ
ースラインを用い測定した。この吸収対フィルムの厚さ(ミル単位)の比を、赤
外結晶度数(IRCN)と名づけ、線形較正により密度と関係付けた。この方法
は0.88〜0.96の密度範囲にわたる24種の市販フィルムを溶融プレスし
たフィルムについてIRCNおよびグラジエントチューブ密度を測定することに
よって較正した。データに適合させた直線(適合化r2=0.993)は次の式
を与えた: 密度 = 6.9707×IRCN + 0.8643。
【0073】 実施例1 600mLのParr(商標)反応機を清浄にし、真空下加熱し、
そして窒素雰囲気中で放冷した。ドライボックス中で、Hoke(商標)シリン
ダーに5mLのトルエンおよび4.2mLのMAO(13.5重量%トルエン溶
液)を加えた。300mLのRBフラスコ中でA(0.12mgを2mLトルエ
ンに溶解)およびB(3.5mg)を150mLの2,2,4−トリメチルペン
タンと混合した。フラスコにゴムのセプタムのふたを施した。Hoke(商標)
シリンダーおよびフラスコの両方をドライボックスからとり出した。窒素シール
下触媒溶液を反応機にカニューレ装入した。反応機を窒素で加圧し、次いで窒素
圧を脱圧した。次ぎに反応機をエチレンで加圧しそしてエチレン圧を脱圧した。
反応機を65℃に加熱し、965kPaエチレンで加圧した。それより僅かに高
い圧力でMAO溶液をHoke(商標)シリンダーから加えた。反応機のエチレ
ン圧力を次いで1.31MPaに調節した。反応混合物をそのまま25分間攪拌
した。反応器の温度は87〜96℃に調節した。加熱源を除いた。エチレンを約
210kPaまで排出した。反応機に1.38MPa窒素を再充填し、210k
Paまで排出した。これをさらに一回行った。反応混合物を室温まで冷却した。
次いで反応混合物を徐々に400mLメタノール中へ注いだ。室温で25分間攪
拌した後、ポリマーを濾過し、混合して小片とし、メタノールで6回洗浄し、真
空乾燥した。白色ポリマー(24.0g)が得られた。1HNMR(TCE−d2 ,120℃):17Me/1000CH2。GPC(PE標準、135℃):M
w=72,800; Mn=32,400; PD=2.2。DSCに基けば、
ポリマーは116℃(14.8J/g)および103℃(108.6J/g)に
二つの融点を有した。MI=0.40。
【0074】 実施例2 B(1.0mgを1mLトルエンに溶解)、Aの0.1重量%ビフ
ェニル溶液54.6mg、0.35gのシリカ担持MAO(18重量%Al)、
および15mLトルエンの混合物を攪拌して担持触媒を製造した。30分間振っ
た後、固形物を濾過し、3×5mLトルエンで洗浄し、1時間真空乾燥した。こ
れを次いで冷凍庫に貯蔵し、当日中に使用した。
【0075】 600mLのParr(商標)反応機を清浄にし、150gのよく焼いたNa
Clを装入した。これをフル真空下120℃で2時間乾燥した。まだ熱い間にこ
れに690kPaの窒素を装入した。水浴を85℃に加熱した。ドライボックス
中で、0.66mLの13.5重量%MAO−IPトルエン溶液を4mLのトル
エンと混合した。これを5mLの気密の注射器へ移した。これをドライボックス
からとり出し、溶液を窒素のプラス圧力下オートクレーブ中に注入した。混合物
を690kPaの窒素下20分間攪拌(600RPM)した。攪拌を止めた。次
ぎに反応機に690kPaの窒素を装入した。ドライボックス中で、110mg
の新たに製造したシリカ担持触媒を4.5mLのシクロヘキサンと混合した。こ
れを5mLの気密の注射器へ移した。これをドライボックスからとり出した。混
合物を次いで窒素のプラス圧力下オートクレーブ中に注入した。次に反応混合物
を690kPaの窒素下15分間そのまま攪拌(600RPM)した。攪拌を止
めた。窒素を14kPaまで排出した。オートクレーブをフル真空下15分間排
気し、最後の5分間は攪拌しながら行った。1.17MPaの窒素を再充填し、
ついで14kPaまで排出し、これを繰返した。混合物は500RPMで攪拌を
続けた。エチレンで加圧(2.41MPa)した。反応機を85℃水浴中に置い
た。混合物を90〜97℃で2時間攪拌した。室温の混合物を800mLの水と
混合した。ポリマーを濾過し、水で洗浄し、400mLの水と混合して細片とし
た。次いでこれを濾過し、水で3回洗浄した。ポリマーをさらに数回混合し、次
いで水洗した。これを次に真空乾燥した。白色ポリマー(26.6g)が得られ
た。残存する少量のα−オレフィンをソックスレー抽出器を用いヘキサンで抽出
した。次いでポリマーを一夜真空乾燥した。元素分析によりポリマー中に塩(N
aCl)は残存していないことが示された。1HNMR(TCE−d2,120℃
):20Me/1000CH2。GPC(PE標準、135℃):Mw=92,
001; Mn=10,518; PD=8.8。DSCに基けば、ポリマーは
126℃(74J/g)の融点を有した。MI=0.66。IRに基く密度は0
.919であった。
【0076】 実施例3 B(1.0mgを1mLトルエンに溶解)、Aの0.1重量%ビフ
ェニル溶液109.2mg、0.35gのシリカ担持MAO(18重量%Al)
、および15mLトルエンの混合物を攪拌して担持触媒を製造した。30分間振
った後、固形物を濾過し、3×5mLトルエンで洗浄し、1時間真空乾燥した。
これを次いで冷凍庫に貯蔵し、当日中に使用した。
【0077】 600mLのParr(商標)反応機を清浄にし、150gのよく焼いたNa
Clを装入した。これをフル真空下120℃で2時間乾燥した。まだ熱い間にこ
れに690kPaの窒素を装入した。水浴を90℃に加熱した。ドライボックス
中で、0.50mLの13.5重量%MAO−IPトルエン溶液を4mLのトル
エンと混合した。これを5mLの気密の注射器へ移した。これをドライボックス
からとり出し、溶液を窒素のプラス圧力下オートクレーブ中に注入した。混合物
を690kPaの窒素下20分間攪拌(600RPM)した。攪拌を止めた。ド
ライボックス中で、150mgの新たに製造したシリカ担持触媒を4.5mLの
シクロヘキサンと混合した。これを5mLの気密の注射器へ移した。これをドラ
イボックスからとり出した。混合物を次いで窒素のプラス圧力下オートクレーブ
中に注入した。そして混合物を690kPaの窒素下15分間攪拌(600RP
M)した。攪拌を止めた。窒素を14kPaまで排出した。オートクレーブをフ
ル真空下15分間排気し、最後の5分間は攪拌しながら行った。1.17MPa
の窒素を再装入し、ついで14kPaまで排出し、これを繰返した。混合物は5
00RPMで攪拌を続けた。エチレンで加圧(2.41MPa)した。反応機を
90℃水浴中に置いた。混合物を92〜95℃で1時間56分攪拌した。次にエ
チレンを排気した。ポリマー/塩の混合物を600mLの水と20分間攪拌した
。ポリマーを濾過し、水で3回洗浄した。ポリマーを400mLの水と混合し、
濾過し、水で3回洗浄し、そして500mLの水と1時間攪拌した。これを3回
繰返した。この時点でAgNO3試験(Cl検出のため)は陰性であった。ポリ
マーを濾過し、水洗し、そしてフル真空下90℃油浴中で一夜乾燥した。白色ポ
リマー(58.1g)が得られた。残存する少量のα−オレフィンをソックスレ
ー抽出器を用いヘキサンで抽出した。次いでポリマーを一夜真空乾燥した。元素
分析によってポリマー中に塩(NaCl)は残存していないことが示された。1
HNMR(TCE−d2,120℃):19Me/1000CH2。GPC(PE
標準、135℃):Mw=104,531; Mn=13,746; PD=7
.6。DSCに基けば、ポリマーは125℃(85.8J/g)および101℃
(25J/g)に二つの融点を有した。MI=0.96。IRに基く密度は0.
912であった。
【0078】 実施例4 B(1.0mgを1mLトルエンに溶解)、Aの0.1重量%ビフ
ェニル溶液54.6mg、0.35gのシリカ担持MAO(18重量%Al)、
および15mLトルエンの混合物を攪拌して担持触媒を製造した。30分間振っ
た後、固形物を濾過し、3×5mLトルエンで洗浄し、1時間真空乾燥した。こ
れを次いで冷凍庫に貯蔵し、当日中に使用した。
【0079】 600mLのParr(商標)反応機を清浄にし、150gのよく焼いたNa
Clを装入した。これをフル真空下120℃で2時間乾燥した。まだ熱い間にこ
れに690kPaの窒素を装入した。油浴を85℃に加熱した。ドライボックス
中で、0.66mLの13.5重量%MAO−IPトルエン溶液を4mLのトル
エンと混合した。これを5mLの注射器へ移した。これをドライボックスからと
り出し、溶液を窒素のプラス圧力下オートクレーブ中に注入した。混合物を69
0kPaの窒素下20分間攪拌(600RPM)した。攪拌を止めた。ドライボ
ックス中で、60mgの新たに製造したシリカ担持触媒を4.5mLのシクロヘ
キサンと混合した。これを5mLの気密の注射器へ移した。これをドライボック
スからとり出した。混合物を次いで窒素のプラス圧力下オートクレーブ中に注入
した。そして混合物を690kPaの窒素下15分間攪拌(600RPM)した
。攪拌を止めた。窒素を14kPaまで排出した。オートクレーブをフル真空下
15分間排気し、最後の5分間は攪拌しながら行った。1.17MPaの窒素を
再装入し、ついで14kPaまで排出し、これを一度繰返した。混合物は500
RPMで攪拌を続けた。エチレンで加圧(2.41MPa)した。反応機を85
℃油浴中に置いた。混合物を75〜85℃で1時間、次いで110℃〜115℃
で2時間攪拌した。エチレンを排気した。ポリマー/塩の混合物を600mLの
水と20分間攪拌した。ポリマーを濾過し、水で3回洗浄した。ポリマーを40
0mLの水と混合し、濾過し、水で3回洗浄した。再度ポリマーを混合し、洗浄
した。これを次に一夜真空乾燥した。白色ポリマー(22.7g)が得られた。 1 HNMR(TCE−d2,120℃):23Me/1000CH2。GPC(P
E標準、135℃):Mw=107,173; Mn=25,054; PD=
4.3。DSCに基けば、ポリマーは126℃(32.9J/g)および114
℃(50.7J/g)に二つの融点を有した。MI=2.0。IRに基く密度は
0.919であった。
【0080】 実施例5 B(0.25mgを1mLトルエンに溶解)、Aの0.1重量%ビ
フェニル溶液27.2mg、0.35gのシリカ担持MAO(18重量%Al)
、および15mLトルエンの混合物を攪拌して担持触媒を製造した。30分間振
った後、固形物を濾過し、3×5mLトルエンで洗浄し、1時間真空乾燥した。
これを次いで冷凍庫に貯蔵し、当日中に使用した。
【0081】 600mLのParr(商標)反応機を清浄にし、150gのよく焼いたNa
Clを装入した。これをフル真空下120℃で2時間乾燥した。まだ熱い間にこ
れに690kPaの窒素を装入した。水浴を85℃に加熱した。ドライボックス
中で、0.66mLの13.5重量%MAO−IPトルエン溶液を4mLのトル
エンと混合した。これを5mLの注射器へ移した。これをドライボックスからと
り出し、溶液を窒素のプラス圧力下オートクレーブ中に注入した。混合物を69
0kPaの窒素下30分間攪拌(600RPM)した。攪拌を止めた。ドライボ
ックス中で、200mgの新たに製造したシリカ担持触媒を4.5mLのシクロ
ヘキサンと混合した。これを5mLの気密の注射器へ移した。これをドライボッ
クスからとり出した。混合物を次いで窒素のプラス圧力下オートクレーブ中に注
入した。そして混合物を690kPaの窒素下15分間攪拌(600RPM)し
た。攪拌を止めた。窒素を14kPaまで排出した。オートクレーブをフル真空
下15分間排気し、最後の5分間は攪拌しながら行った。1.17MPaの窒素
を再装入し、ついで14kPaまで排出し、これを一度繰返した。混合物は50
0RPMで攪拌を続けた。エチレンで加圧(2.41MPa)した。反応機を8
5℃水浴中に置いた。混合物を85〜93℃で2時間攪拌した。次いでエチレン
を排気した。ポリマー/塩の混合物を600mLの水と20分間攪拌した。ポリ
マーを濾過し、水で3回洗浄した。ポリマーを400mLの水と混合し、濾過し
、水で3回洗浄した。再度ポリマーを混合し、濾過し、洗浄した。これを一夜真
空乾燥した。白色ポリマー(12.7g)が得られた。1HNMR(TCE−d2 ,120℃):25Me/1000CH2。GPC(PE標準、135℃):M
w=116,721; Mn=43,094; PD=2.7。DSCに基けば
、ポリマーは122℃(73.2J/g)および91℃(73.1J/g)に二
つの融点を有した。MI=0.42。IRに基く密度は0.921であった。
【0082】 GPCおよび13CNMR分析からのデータを用いて、エチレンからα−オレフ
ィンへのオリゴマー化についてのおおまかなKファクターを計算することができ
る。Mnに基けばポリマーは各1000CH2基あたり0.6個の鎖末端をもつ
べきであり、そしてこのポリマー中のHex+分岐の実レベルは、鎖末端を除き
、12.6となる。4.4ブチル分岐/1000CH2基および11.5Hex
+分岐/に基き、K定数は約0.64であったと計算できる。上述のようにこの
計算はいくつかの誤差要素を有し、概数に過ぎないと考えるべきである。
【0083】 表1に13CNMRにより測定した上記で製造した各ポリマーの分岐分布をあげ
る。奇数個の炭素原子を含む分岐は検知されなかった。Hex+についての分岐
レベルは鎖末端を含む。
【0084】
【表1】
【0085】 *、**、***は、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよびより長鎖のオレ
フィンにそれぞれ対応する。奇数炭素数の分岐は13CNMRからは検知されなか
った。
【0086】 実施例6 上記ポリマーの数種に加えて二つの比較用ポリマーについてレオロ
ジー的測定を実施した。これらの一つはE.I.DuPont de Nemo
urs & Co.,Wilmington,DE19898U.S.A.から
市販されている低密度ポリエチレン、DuPont2020ポリエチレンであっ
た。他の比較用ポリマーはExxon Chemical.,Inc.,Hou
ston,TX,U.S.A.から市販されているLLDPE,Exceed(
商標)350D60であり、エチレンと1−ヘキセンとのコポリマーであると報
告されており、0.917g/cm3の密度を有した。この試料は光散乱法によ
り測定して112,000のMwを有した。
【0087】 Bohlin CSMレオメーター(Bohlin Instruments
,Inc.,Cranbury,NJ08512U.S.A.)を径25mmの
プレートおよび1mmのギャップを用いる平行板モードで用いてレオロジー的測
定を実施した。成形した各試料を窒素雰囲気中に置き、測定は結晶性の痕跡を除
くために短時間190℃に加熱した後、140℃で実施した。測定は0.001
〜30Hz間において振動モードで実施した。加えた最大応力は2000Paで
あり、得られたデータは常に線形粘弾性領域においてであった。同一試料に関し
て、非常に低応力(10Pa)におけるクリープ/反跳試験もまた振動流の直後
に実施した。測定は19時間にわたって実施し、粘度および弾性変化を経由する
溶融物の安定性を測定した。
【0088】 特別の安定剤の組合せ、試料着装および成形手順を用いた。10mLの安定剤
溶液(Irganox(商標)1010、Irganox(商標)1076、お
よびIrganox(商標)168各0.2gを100mLヘキサンに溶解)を
1.2gのペレット上に振りかけた。風乾後、試料を50℃で窒素ブリードしな
がら真空オーブン内に一夜おいた。次いでポリマーを冷たい真空金型中に入れた
。ガスケットを用いて空気汚染からシールし、金型を真空(絶対圧1.3kPa
を上回らない圧力)にした。減圧した金型を140℃に加熱し、加圧し続いて室
温まで急冷した。この時点で圧力を除き、試料を金型から外し、直ちに室温のレ
オメーターに入れた。試料を急速に190℃に加熱し(約5分を要した)次いで
急速に測定温度まで冷却し(さらに10分間を要した)トリムし、測定温度で約
15分間安定させ、そして測定を行った。振動流試験をまず実施した;これには
約1.5時間を要した。次いで直ちにクリープ/反跳試験に移りこれにはさらに
約16時間を要した。二つの同じクリープ/反跳試験を、それぞれ8ksおよび
20,000ksのクリープ/反跳試験回数で実施した。レオメーター全体を窒
素雰囲気内に置き、レオメーターの空気軸受にも窒素を使用した。発明者の経験
によれば、炭化水素ポリマーについては少量の空気汚染でも試料の劣化という結
果を生ずることが示されている。一試料につき2回の成形および測定を実施した
、そして平均した結果を図1に示した。粘度は、たとえばH.A.Barnes
et al.,Rheology Series3:An Introduc tion to Rheology ,Elsevier,Amsterdam(
1989)に記述されたような通常の方法により計算した。図1にポリマーの複
素溶融粘性率対(せん断速度の尺度である)レオメーターの操作周波数の関係を
示した。これらのポリマーに関しては、より高いせん断速度はより高い周波数と
等価的である。上記実施例のポリマーの多くは、すぐれた加工性をもつポリマー
、DuPont 2020 LDPEに類似した粘度のパターンを有する。
【0089】 これらのポリマーの一部はまた、SEC(GPCと同一)およびMALS、多
角度光散乱、および同時に、固有粘度、Mw,および回転半径を得るための、粘
度測定により分析した。重量平均分子量(Mw)および固有粘度([η])は、
Wyatt Technology社(Santa Barbara,CA93
117 U.S.A.)のDawn(商標)DSP光散乱光度計およびVisc
otek社(Houston,TX,77060U.S.A.)210R粘度計
をそれぞれ使用して測定した。これらは双方とも液体クロマトグラフ(Poly
mer Laboratories社(Amherst,MA01002,U.
S.A.)PL210、SECまたはGPCとも呼ばれる)と連結した。SEC
からの溶離液は加熱した移液管(同様に150℃に調節された)を通って光散乱
測定機に送られ、次いでPL210に送り返された。PL210内のオーブンに
は、示差屈折率計および210R粘度計の両方に加えてSECカラムを納めた。
光散乱測定器はArイオンレーザーを488nmで用いるものである。−0.1
00(mL/g)の単一dn/dc値(多くの追加的分析により求めた)をすべ
ての計算のために用いた。カラムから溶出される実際の濃度は−0.100(m
L/g)のdn/dc値を用いて較正した示差屈折率計により測定した。すべて
の場合において,積分濃度は注入したポリマーの秤量した質量の2〜5%以内で
あった。用いた溶媒は、0.05%BHTで安定化した1,2,4−トリクロロ
ベンゼンであった。150℃の温度を溶液の溶解および分析のために用いた。溶
液は小さなバイアル(2mL)中で、0.1〜0.15%の既知濃度に調製し、
加熱箱中の密封バイアル中に8〜12時間放置して溶解し、次いで分析した。ポ
リマー溶液は分析前にはろ過しなかった。注入容積は200マイクロリットルで
あり、各分析において1〜1.5mgの注入という結果となった。Wyatt
Technologyから入手できるソフトウエアを用いて結果を得た。dL/
gの単位で報告される平均固有粘度、[η]は粘度計ピークの積分値および示差
屈折率計のピークの積分値の比をとって得られた。各種ポリマーの固有粘度の結
果およびMwを表2に示す。
【0090】 Mwおよび固有粘度分析の結果はまた、他のポリエチレンおよび、ポリエチレ
ンと同じ(水素化後)直鎖ポリマー、水素化ポリ(1,3−ブタジエン)(PB
)からの結果と共に図2にプロットした。与えられたMwにおいて、本発明にお
いて用いたポリマーの多くは、直鎖状ポリエチレンまたは短鎖の分岐のみを含む
ポリエチレン(LLDPE)より低い固有粘度を有することは明らかである。
【0091】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例6に記述された、ポリエチレンの複素溶融粘度対レオメーター操作周波
数の関係を示す。
【図2】 本発明の一連のポリマーに加えて各種の他のポリマー(名称を付した)につい
ての、固有粘度「η」対重量平均分子量Mwの関係を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年12月21日(2001.12.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CES C08J 5/00 CES // B29K 23:00 B29K 23:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 23:08 C08L 23:08 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZW (72)発明者 ワング,リン アメリカ合衆国デラウエア州19707ホツケ シン・ブルツクラン112 (72)発明者 シトロン,ジヨエル・デイビツド アメリカ合衆国デラウエア州19810ウイル ミントン・フアーンデイルドライブ2003 Fターム(参考) 4F071 AA15 AA81 AA84 AA88 BB06 BB13 BC02 4F207 AA04 AG01 KA01 KA17 KA19 4F208 AA04C AA04E AG07 LA01 LG22 4J100 AA02P AA04Q AA04R AA15Q AA15R AA15S AA15T AA16Q AA16R AA19Q AA19R AA21Q AA21R AA21S AA21T CA03 DA01 DA04 DA09 DA11 DA24

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンがエチレンと式H2C=CHR18(式中R18
    偶数個の炭素原子を含むn−アルキルである)の一連のオレフィンとの共重合に
    より製造されるポリマーであり、ただし 該一連のオレフィンは少くとも4種の異なるオレフィンを含み、そして 該一連のオレフィンの少くとも2種の異なるオレフィンにおいてはR18が10
    個以上の炭素原子を含むことを特徴とする、本法を用いて溶融ポリエチレンを有
    用な形に成形することによる、ポリエチレンのブロー成形、押出し成形または押
    出しブローフィルム製造の方法。
  2. 【請求項2】 該一連のオレフィンに関するKファクターが約0.55〜約
    0.90の範囲であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンが、約1.4以上の構造指数(ST)、および
    約40以上の加工性指数(PR)の一方または双方を有するものであり、ただし
    、もしSTが約1.4未満であれば、該ポリマーは1000のメチレン基あたり
    20未満のメチル分岐を有することを特徴とする、本法を用いて溶融ポリエチレ
    ンを有用な形に成形することによる、ポリエチレンのブロー成形、押出し成形ま
    たは押出しブローフィルム製造の方法。
  4. 【請求項4】 STが約2.0以上、およびPRが約50以上であることを特
    徴とする、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 PRが約100以上であることを特徴とする、請求項4記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 ポリエチレンが1000のメチレン基あたりエチルおよびn
    −ヘキシルまたはより長鎖の少くとも各2分岐および少くともn−ブチル1分岐
    を有し、かつ1000のメチレン基あたり20未満のメチル分岐を有し、かつ式 [η]<0.0007Mw0.66 式中「η」は1,2,4−トリクロロベンゼン中150℃における該ポリエチレ
    ンの固有粘度であり、Mwは重量平均分子量である、 に従うポリエチレンであることを特徴とする、本法を用いて溶融ポリエチレンを
    有用な形に成形することによる、ポリエチレンのブロー成形、押出し成形または
    押出しブローフィルム製造の方法。
  7. 【請求項7】 該ポリエチレンが式 [η]<0.0007Mw0.63 に従うことを特徴とする、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 エチレンを(a)エチレンを1種以上の式H2C=CHR18
    (式中R18は偶数個の炭素原子を含むアルキルである)のα−オレフィンにオリ
    ゴマー化する活性オリゴマー化触媒;および(b)エチレンとオリゴマー化にお
    いて生成したα−オレフィンとを共重合する能力がある重合触媒、と接触させる
    ことにより該ポリエチレンを得ることができることを特徴とする、請求項1〜7
    の任意の1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 該ポリエチレンがホモポリエチレンであることを特徴とする
    、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 該活性オリゴマー化触媒が一般式(I) 【化1】 式中 R1,R2,R3,R4,およびR5は各々独立的に水素、ヒドロカルビル,置換ヒ
    ドロカルビル、または不活性官能基であり、ただし相互に隣接したR1,R2,お
    よびR3の任意の二つは、一緒になって環を形成してもよく;かつ R6およびR7はアリールまたは置換アリールである、 の配位子のFe錯体であることを特徴とする、請求項8記載の方法。
  11. 【請求項11】 R1,R2,およびR3は各々独立的に水素、ヒドロカルビ
    ル、置換ヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、ただし相互に隣接したR1
    ,R2,およびR3の任意の二つは、一緒になって環を形成してもよく; R4およびR5は各々独立的に水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ま
    たは不活性官能基であり; R6およびR7は各々独立的に、イミノ窒素と結合した第一環原子を有するアリ
    ールまたは置換アリールであり、ただし: R6において、該第一環原子と隣接した第二環原子はハロゲン、第一級炭素基
    、第二級炭素基、または第三級炭素基と結合し;さらに但し R6において、該第二環原子がハロゲンまたは第一級炭素基と結合している時
    、該第一環原子と隣接したR6およびR7中の他の環原子の、零個、1個、または
    2個はハロゲンまたは第一級炭素基と結合し、該第一環原子と隣接した環原子の
    残りは水素原子と結合するか;あるいは R6において、該第二環原子が第二級炭素基と結合している時、該第一環原子
    と隣接したR6およびR7中の他の環原子の、零個、1個、または2個はハロゲン
    、第一級炭素基、または第二級炭素基と結合し、該第一環原子と隣接した環原子
    の残りは水素原子と結合するか;あるいは R6において、該第二環原子が第三級炭素基と結合している時、該第一環原子
    と隣接したR6およびR7中の他の環原子の、零個または1個は第三級炭素基と結
    合し、該第一環原子と隣接した環原子の残りは水素原子と結合する、 ことを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 該重合触媒がメタロセン触媒であることを特徴とする、請
    求項8記載の方法。
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