JP2003507465A - Rar選択的レチノイドアゴニスト - Google Patents

Rar選択的レチノイドアゴニスト

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、式(I)(式中、記号は、明細書に定義したとおりである)の新規RAR選択的レチノイドアゴニスト、その薬学的に許容しうる塩、それぞれの異性体、又はラセミ若しくは非ラセミ混合物;それを含む医薬組成物;及び処置剤としてそれを使用する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、新規なRAR選択的レチノイドアゴニスト、及び肺気腫の処置のた
めの、このようなレチノイン酸受容体アゴニスト、特にレチノイン酸受容体γ選
択的アゴニスト(RARγ選択的)の使用に関する。
【0002】 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、EU及び北アメリカにおいてそれぞれ主要
な死因の3位及び4位を占める、罹患率及び死亡率の重大な原因である。COP
Dは、最大呼気流量の減少を特徴とし、この減少は数ヶ月にわたり変化がなく、
かつ連続2年以上持続する。最も重篤な型のCOPDの患者は、一般に有意な程
度の肺気腫を示す。肺気腫は、解剖学的には、終末細気管支に対して遠位の気腔
の永続的拡大と定義される。これは、肺の反跳(recoil)の漸進的消失、肺胞の
破壊、肺胞表面積とガス交換の低下を特徴とし、このためFEV1が減少する。
これら2つの特色、ガス交換の障害及び呼気流量の減少は、肺気腫の患者がこう
むる特徴的な生理的異常である。重篤な肺気腫の患者の主要な症候は、最小身体
活動中の息切れである。
【0003】 肺気腫の最も一般的な原因は、喫煙であるが、他の潜在的環境毒も寄与しうる
。これらの種々の傷害因子が、防御機構を超える活性プロテアーゼ及びフリーラ
ジカルオキシダントの放出を含む、肺における破壊過程を活性化する。プロテア
ーゼ/アンチ−プロテアーゼレベルの不均衡により、エラスチンマトリックスの
破壊、弾性反跳の消失、組織損傷及び肺機能の持続低下が起こる。傷害因子の除
去(即ち、禁煙)は、損傷の速度を落とすが、損傷した肺胞構造は修復せず、そ
して肺機能は回復しない。
【0004】 レチノイン酸は、細胞外マトリックス代謝及び正常な上皮の分化の両方を変性
させる能力を有する、細胞挙動の多機能性モジュレーターである。肺において、
レチノイン酸は、時間的及び空間的に選択的に発現される特定のレチノイン酸受
容体(RAR)と相互作用することによって、肺分化の種々の局面を調節するこ
とが証明されている。RARβとRARγの協調活性化は、肺分岐及び肺胞化/
中隔化に関連している。肺胞中隔化の間に、レチノイン酸貯蔵顆粒が、肺胞壁を
取り囲む線維芽細胞間葉において増大し、そして肺におけるRARγ発現が、ピ
ークに達する。これらのレチニル−エステル貯蔵の涸渇は、新しいエラスチンマ
トリックスの沈着及び中隔化と平行する。この概念を裏付けるため、Massaroら,
Am. J. Physiol., 1996, 270, L305-L310は、レチノイン酸の出生後投与が、ラ
ットにおける肺胞の数を増加させることを証明した。更には、成長中のラット肺
におけるCRBP及びRARβ mRNAの発現、及びこれに続く肺胞中隔化を
防止するデキサメタゾンの能力が、全transレチノイン酸により排除された
【0005】 最近の研究では、全transレチノイン酸が、肺気腫Dの動物モデルにおい
て、新しい肺胞の形成を誘導して、弾性反跳を正常近くまで復帰させられること
が証明された。Massaroら, Nature Medicine, 1997, 3, 675。しかし、こういっ
たことが起こる機構は不明なままである。
【0006】 レチノイドは、天然及び合成化合物を含む、構造的にビタミンAに関連した化
合物の分類である。いくつかのレチノイド系が、皮膚科学的及び腫瘍学的疾患の
治療において臨床的に有用であることが見い出されている。レチノイン酸及びそ
れの他の天然のレチノイド類似体(9−cisレチノイン酸、全trans3,
4−ジデヒドロレチノイン酸、4−オキソレチノイン酸及びレチノール)は、広
範な炎症性、免疫性及び構造性細胞の構造及び機能を調節する、多面発現性調節
化合物である。これらは、肺における上皮細胞増殖、分化及び形態形成の重要な
調節物質である。レチノイドは、ステロイド/甲状腺受容体スーパーファミリー
に属するリガンド誘導性転写因子である、一連のホルモン核内受容体を介して生
物学的作用を発揮する。レチノイド受容体は、レチノイン酸受容体(RAR)及
びレチノイドX受容体(RXR)の2つのファミリー(それぞれ3つの別個のサ
ブタイプ(α、β及びγ)よりなる)に分類される。RAR遺伝子ファミリーの
各サブタイプは、2つの主要なRNA転写配列の差次的スプライシングから生じ
る可変数のアイソフォームをコードする。全transレチノイン酸は、レチノ
イン酸受容体に対する生理学的ホルモンであり、そして3つ全てのRARサブタ
イプにはほぼ同等な親和性で結合するが、9−cisレチノイン酸が天然のリガ
ンドであるRXR受容体には結合しない。
【0007】 多くの非肺組織において、レチノイドは、抗炎症作用を持ち、上皮細胞分化の
進行を改変し、そしてストローマ細胞のマトリックス産生を阻害する。これらの
性質によって、乾癬、ざ瘡、及び肥厚性皮膚瘢痕のような皮膚科学的障害に対す
る局所性及び全身性レチノイド治療薬が開発されている。他の用途としては、急
性前骨髄球白血病、腺癌及び扁平上皮癌、並びに肝線維症の抑制を含む。癌以外
のレチノイドの治療用途における限界は、天然レチノイド、全transレチノ
イン酸及び9−cisレチノイン酸で観察される相対毒性に由来する。これらの
天然リガンドは、非選択的であり、よって体中で多面発現性作用を持つが、その
ような作用はしばしば毒性である。最近、RAR若しくはRXR受容体又は分類
内の特定のサブタイプ(α、β、γ)とで選択的又は特異的に相互作用する種々
のレチノイドが記載されている。
【0008】 よって本発明のレチノイドは更に、上皮病変、例えば、ざ瘡及び乾癬、光及び
加齢で損傷した皮膚を伴う皮膚科学的障害の治療及び予防のため;更には、例え
ば手術創のような切創、火傷により引き起こされる創傷及び皮膚外傷により引き
起こされる他の創傷の創傷治癒の促進のため;並びに悪性及び前悪性上皮病変、
口腔内粘膜、舌、喉頭、食道、膀胱、子宮頸及び結腸の腫瘍及び前癌性変化の治
療及び予防のために使用することができる。
【0009】 本発明は、式I:
【0010】
【化4】
【0011】 〔式中、 R1は、水素、低級アルキルであり; R2は、低級アルキルであり; R3は、低級アルキル又はHであり; Xは、酸素又は硫黄であり; nは、1又は2であり; 点線の結合は、場合により存在する〕で示される新規なRAR選択的レチノイ
ドアゴニスト、及び式Iのカルボン酸の薬学的に活性な塩を提供する。
【0012】 式Iの化合物は、ラセミ混合物、即ち、5−(RS)として、又は5−(S)
若しくは5−(R)異性体として純粋なエナンチオマー型で存在することができ
る。
【0013】 点線の結合が存在するとき、三重結合を意味し、点線の結合が存在しないとき
は二重結合を意味する。「点線の結合」が存在しない場合、この二重結合は、「
E」又は「Z」立体配置であってよい。「E」及び「Z」という用語は、Pure a
nd Applied Chem. 1976, 54, 12に定義されるように、本明細書において使用さ
れる。
【0014】 「低級アルキル」という用語は、本明細書において使用されるとき、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペ
ンチル、アミル及び3−ペンチルのような、1〜5個の炭素原子を含む直鎖又は
分岐のアルキル基を意味する。
【0015】 R1が水素である式Iの化合物は、アルカリ塩、例えば、Na及びK塩、並び
にトリメチルアンモニウム塩のようなアンモニウム又は置換アンモニウム塩のよ
うな、薬学的に許容しうる塩基との塩を形成するが、これらは、本発明の範囲に
含まれる。
【0016】 式Iの好ましい化合物は、式IA:
【0017】
【化5】
【0018】 〔式中、X、R1、R2、R3、n及び点線の結合は、上記と同義である〕で示さ
れる化合物、及び式IAのカルボン酸の薬学的に活性な塩である。
【0019】 式IAの特に好ましい化合物は、Xが酸素であり、nが2である化合物、特に
下記化合物である: A 4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ
−1−ベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル−エチニル)−安息香酸 B 4−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ
ベンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸 C 4−(5−メチル−5−プロポキシメチル−2,3,4,5−テトラヒド
ロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸 D (E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,
5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸 E (E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5
−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸 F (E)−4−〔2−(5−メチル−5−プロポキシメチル−2,3,4,
5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸。
【0020】 更に別の特に好ましいものは、Xが硫黄であり、nが2である式IAの化合物
、特に下記化合物である: G 4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ
ベンゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸 H 4−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ
ベンゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸 I (E)−4−〔2−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5
−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸 J (E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,
5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸。
【0021】 更に別の好ましい群の化合物は、式IB:
【0022】
【化6】
【0023】 〔式中、X、R1、R2、R3、n及び点線の結合は、上記と同義である〕で示さ
れる化合物、及び式IBのカルボン酸の薬学的に活性な塩である。
【0024】 特に好ましい式IBの化合物は、nが1であり、Xが酸素であるもの、例えば
、下記化合物である: K 4−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)
−安息香酸 L (E)−4−〔2−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−
イル)−ビニル〕−安息香酸。
【0025】 本発明の化合物は、当該分野において公知の方法で調製することができる。n
が2であり、点線の結合が存在する式IAの化合物は、スキーム1に示す方法に
より調製することができる。
【0026】
【化7】
【0027】 〔ここで、記号は、上記と同義であり、Halは、ヨウ素、臭素又は塩素のよう
なハロゲンである〕。
【0028】 反応工程1a: ジヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−又はジヒドロベンゾ〔b〕チエピン−オン
(1)を、塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムとでウィッティッ
ヒ反応に付して、酸加水分解後、アルデヒド(2)を生成させるが、この反応は
、好ましくは、例えばテトラヒドロフラン(THF)のような溶媒中で、約−7
8°〜0℃の温度で実施する。
【0029】 反応工程1b: 次にこのカルバルデヒドを、適切なアルキルハロゲン化物、好ましくはアルキ
ルヨウ化物により、例えば、カリウムtert−ブチラートのような塩基の存在
下で、極性溶媒、好ましくはtert−ブタノール中でアルキル化して(3)を
得る。O−アルキル化副産物は、所望であれば、分離及び再利用することができ
る。
【0030】 反応工程1c: アルキル化カルバルデヒド(3)の還元を、好ましくは水素化ホウ素ナトリウ
ムにより実施する。この還元により得られる第1級アルコール(4)を、工程1
dに付す。
【0031】 反応工程1d: このエーテル化は、好ましくは、例えば水素化ナトリウムのような強塩基によ
る、極性溶媒、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中での脱プ
ロトン化、及びこれに続くアルキルハロゲン化物、好ましくはアルキルヨウ化物
によるアルキル化によって実施する。
【0032】 反応工程1e、1f及び1g: ハロゲン化テトラヒドロ−オキセピン又は−チエピン(5)を、ピペリジン又
はトリエチルアミンのような塩基並びに触媒量のCuI、トリフェニルホスフィ
ン及び塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)又はテトラキス−
(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)の存在下で、トリメチルシリル
アセチレンと結合させて、エチニル化誘導体(6)を生成する(反応工程1e)
【0033】 メタノール中の触媒量のナトリウムメチラートにより脱シリル化して化合物(
7)を得た(反応工程1f)後、第二ソノガシラ(Sonogashira)カップリング
によって、トリエチルアミンのような塩基並びに触媒量のヨウ化銅、トリフェニ
ルホスフィン及び塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の存在
下で、アルキル−4−ヨード−ベンゾアートを結合させて、nが2である化合物
IAを得る。
【0034】 反応工程1h: 代替の便法では、ハロゲン化テトラヒドロ−オキセピン及び−チエピン(5)
を、それぞれ反応工程1eに記載されるように、CuI、トリフェニルホスフィ
ン及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)又は塩化ビ
ス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の存在下で、(4−エチニル
)安息香酸アルキルと直接反応させて、化合物IAを得ることができる。しかし
HalがBrであるならば、収量が十分なのは硫黄系列のみである。
【0035】 点線の結合が存在しない式IAの化合物は、スキーム2に示す方法により調製
することができる。
【0036】
【化8】
【0037】 〔ここで、記号は、上記と同義である〕。
【0038】 反応工程2a その後、ハロゲン化テトラヒドロ−オキセピン又は−チエピン(5)それぞれ
を、ブチルリチウム及びジメチルホルムアミドと−78℃で反応させて、塩化ア
ンモニウムでの処理後、所望のアルデヒド(8)を得る。
【0039】 反応工程2b 次に、アルデヒド(8)を、極性非プロトン性溶媒、好ましくはN,N−ジメ
チルホルムアミド又はジメチルスルホキシド中で、水素化ナトリウムのような強
塩基の存在下での、適切なベンジルホスホナートとのウィッティッヒ−ホルナー
(Wittig-Horner)反応を介して更に合成して、trans−オレフィン(9)
を得る。
【0040】 nが1又は2である式IBの化合物は、反応スキーム3及び4に示す方法によ
り調製することができる。
【0041】
【化9】
【0042】 〔ここで、記号は、上記と同義である〕。
【0043】
【化10】
【0044】 〔ここで、記号は、上記と同義である〕。
【0045】 式IAの化合物は、それぞれ市販のm−ブロモ−フェノール及びm−ブロモ−
チオフェノールから容易に入手可能なメタ−ハロゲン化化合物(1)から出発し
て調製することができるが;式IBの化合物は、ハロゲン化されていない化合物
(10)(それぞれフェノール及びチオフェノールから出発して調製)から出発
して調製するが、これを後の段階で従来のハロゲン化法により官能化する(反応
工程3dを参照のこと)。式IA及びIBの化合物中でR3=Hであるならば、
第1級ヒドロキシ基は、合成の間中、例えばアセタートとして適切に保護しなけ
ればならない。最後に、式IA及びIBの化合物のエステル基COOR1は、標
準条件により、例えば、THF/エタノール/アセトン中の水素化ナトリウムで
、遊離酸に加水分解することができる。
【0046】 別の態様において、本発明は、肺気腫及び関連肺疾患を処置するための、全身
性投与が好ましい送達様式である、RAR選択的アゴニストの使用に関する。よ
って本発明は、全身性投与が好ましい送達様式である、RAR選択的アゴニスト
での哺乳動物の処置による、肺気腫及び関連肺疾患の処置方法に関する。
【0047】 「治療上有効な量」とは、疾患の治療又は予防のために哺乳動物に投与すると
き、疾患のこのような治療又は予防を成し遂げるのに十分な化合物の量を意味す
る。「治療上有効な量」は、化合物、疾患及びその重篤度並びに処置すべき哺乳
動物の年齢、体重などに応じて変化する。
【0048】 化合物のRARγアゴニスト選択性は、C. Apfelら, Proc. Nat. Sci. Acad.
(USA), 89:7129-7133 (1992);M. Tengら, J. Med. Chem., 40:2445-2451 (1997
);及びPCT公開WO 96/30009に記載されているような、当業者には公知の通常
的なリガンド結合アッセイによって測定することができる。
【0049】 本明細書に開示されるRARアゴニストの使用は、損傷肺胞の修復及び新しい
肺胞の中隔化の促進のため、特に肺気腫の処置のために使用することができる。
RARアゴニスト、特にRARγ選択的アゴニストによる処置は、肺胞マトリッ
クスの修復及び中隔化を促進するのに有用である。このため、本明細書に開示さ
れる方法は、肺気腫のような疾患の処置に有用である。
【0050】 典型的には、用量は、1日当たり約0.01〜1.0mg/kg体重の範囲、好ま
しくは1日当たり約0.05〜約0.5mg/kg体重の範囲であろう。
【0051】 特に、肺気腫を処置するのに要するRAR選択的アゴニストの用量は、症状の
重篤度に依存する。この用量は、通常の薬剤組成物として、最も有効な結果を達
成するために必要に応じて、単回投与により、多回投与により、又は制御放出を
介して送達することができる。投薬は、医学的に指示される限り続き、それは、
疾患の重篤度に応じて数週間から数ヶ月の範囲であろう。
【0052】 典型的には、薬学的に許容しうる担体又は希釈剤中の、式IのRARアゴニス
トの塩のような、薬学的に許容しうる組成物が投与される。本発明に関連して、
薬学的に許容しうる塩は、ヒト患者への投与に適用可能な、レチノイドアゴニス
トの分野において公知の任意の化学的に適切な塩を含む。当該分野において公知
の従来の塩の例は、ナトリウム及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシ
ウム及びマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、並びにアンモニウム及び
アルキルアンモニウム塩を含む。
【0053】 代表的な送達様式は、経口、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、直腸
内、バッカル(舌下を含む)、経皮、肺及び鼻内を含む。肺投与の1つの方法は
、RARアゴニストの水溶液のエーロゾル化を伴う。エーロゾル化組成物は、逆
ミセル又はリポソーム中にパッケージングされた化合物を含んでよい。典型的な
肺及び呼吸器送達システムが、米国特許第5,607,915号、5,238,683号、5,292,49
9号、及び5,364,615号に記載されている。
【0054】 本発明の処置方法はまた、更に別の活性成分との同時又は逐次に組合せたRA
Rアゴニストの全身性投与を含む。
【0055】 RARアゴニストは、典型的には、薬学的に許容しうる非毒性担体と混合した
医薬組成物として投与される。上述のように、このような組成物は、非経口(皮
下、筋肉内又は静脈内)投与のために、特に液剤又は懸濁剤の剤形で;経口又は
バッカル投与のために、特に錠剤又はカプセル剤の剤形で;鼻内投与のために、
特に粉剤、点鼻液又はエーロゾルの剤形で;そして直腸内又は経皮投与のために
調製することができる。任意の通常の担体物質を利用することができる。担体物
質は、水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウ
ム、タルク、ポリアルキレングリコール、石油ゼリーなどのような、任意の有機
又は無機担体物質であってよい。
【0056】 非経口投与用の液体処方物は、賦形剤として、滅菌水又は食塩水、プロピレン
グリコールのようなアルキレングリコール、ポリエチレングリコールのようなポ
リアルキレングリコール、植物由来の油、水素化ナフタレンなどを含んでよい。
これらは、約4〜約6のpH範囲にあるわずかに酸性の緩衝液を用いてよい。適
切な緩衝液は、約5mM〜約50mMの範囲の濃度で、酢酸塩、アスコルビン酸塩及
びクエン酸塩を含む。経口投与のため、本処方物は、胆汁酸塩又はアシルカルニ
チンの添加により強化することができる。
【0057】 鼻内投与用の処方物は、固体であって、かつ賦形剤、例えば、乳糖又はデキス
トランを含んでもよいか、あるいは点鼻液又は計量スプレーの剤形で使用するた
めに水性又は油状溶液であってもよい。特定の鼻用処方物は、通常のドライパウ
ダー吸入器(DPI)に適したドライパウダー、噴霧化に適した液剤又は懸濁剤
、及び計量吸入器(MDI)中での使用に適した噴射剤処方物を含む。バッカル
投与には、典型的な賦形剤は、糖類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム、ゲル化しておいたデンプンなどを含む。
【0058】 鼻内投与用に処方する場合、鼻粘膜を通過する吸収は、約0.2〜15重量パ
ーセントの範囲、好ましくは約0.5〜4重量パーセントの範囲、最も好ましく
は約2重量パーセントの量の、例えば、グリココール酸、コール酸、タウロコー
ル酸、エトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコー
ル酸、グリコデオキシコール酸、シクロデキストリンなどのような界面活性酸に
より強化することができる。
【0059】 経口投与用の固体剤型は、錠剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、丸剤、サシェ
剤、粉剤、顆粒剤などを含む。各錠剤、丸剤又はサシェ剤は、約1〜約50mg、
好ましくは5〜約10mgの式IのRARアゴニストを含んでよい。好ましい固体
経口投与剤型は、錠剤、2ピース式の硬質シェルのカプセル剤及び軟弾性ゼラチ
ン(SEG)カプセル剤を含む。SEGカプセル剤は、他の2つの剤型にまさる
際立つ利点を提供するため、特に重要である(Seager, H.,「Soft gelatin caps
ules: a solution to many tableting problems」; Pharmaceutical Technology
, 9, (1985)を参照のこと)。SEGカプセル剤を使用することの利点の幾つか
は、a)薬物が、カプセルに正確に分配できる液体に溶解又は分散されるため、
用量含量の均一性が、SEGカプセル剤中で最適化されること、b)薬物が、水
混和性又は油状の液体に溶解、可溶化又は分散されており、よって体内で放出さ
れると、溶液が溶解するか、又は乳化されることにより高表面積の薬物分散液が
生成するため、SEGカプセル剤として処方される薬物は、良好な生物学的利用
能を示すこと、及びc)長期貯蔵中の酸化に感受性の薬物の分解が、ドライシェ
ルのため防止されることである。
【0060】 長期にわたる、例えば、1週間〜1年の被験者への本発明の化合物の送達は、
所望の放出期間に十分な活性成分を含む制御放出システムの単回投与により達成
されよう。一体式又はリザーバー型マイクロカプセル、デポインプラント、浸透
圧ポンプ、小胞、ミセル、リポソーム、経皮パッチ、イオン導入装置及び代替注
射用投与剤形のような、種々の制御放出をこの目的のために利用することができ
る。活性成分の送達が望まれる部位への局在は、幾つかの制御放出装置の追加的
特色であり、そしてこのことは、ある種の障害の処置において有利であることが
わかる。
【0061】 以下は、エラスチン介在性マトリックス修復及び肺胞中隔化を促進するために
、本明細書に記載されるRAR選択的アゴニストを使用するための、代表的な医
薬処方物である。
【0062】 以下の製剤及び実施例は、当業者が、より明白に本発明を理解し、これを実施
できるように与えられる。これらは、本発明の範囲を限定するものではなく、単
に本発明を例示及び代表するものと考えるべきである。
【0063】 錠剤の処方 以下の成分を完全に混合して、打錠してシングルスコアの錠剤(single-score
d tablets)とした。
【0064】
【表1】
【0065】 カプセル剤の処方 以下の成分を完全に混合して、硬質シェルゼラチンカプセルに充填した。
【0066】
【表2】
【0067】 懸濁剤の処方 以下の成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を生成した。
【0068】
【表3】
【0069】 注射剤の処方 以下の成分を混合して、注射用処方物を生成した。
【0070】
【表4】
【0071】 鼻用処方 以下の成分を混合して、鼻内投与用の懸濁剤を生成した。
【0072】
【表5】
【0073】 以下の実施例において調製される化合物は、ラセミ混合物として調製されてい
る。しかしこのラセミ混合物は、十分に確立した方法により、例えば、それぞれ
2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピニル−メタノール又は2,
3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピニル−メタノールの段階で、容易
に各エナンチオマーに分割することができる。このような方法は、キラルなカラ
ム、例えばキラルなNUCLEOSILカラムでのHPLCによる分離;又はキラルな酸
、例えばモッシャー酸(Mosher's acid)による誘導体化、従来法による対応す
るジアステレオマーの分離、及びこれに続くエステルの還元的若しくは加水分解
的開裂による分離を含む。
【0074】 実施例1 1.1.4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒド
ロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸の調製
【0075】
【化11】
【0076】 a〕8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−5−
カルバルデヒド (メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド14.27g(1.6
当量)を無水THF 50mlに懸濁し、1.6M n−ブチルリチウム(1.5
5当量、ヘキサン中)25.2mlをシリンジにより−10℃及び−5℃の温度で
加えて脱プロトン化した。得られた赤色のイリド溶液を−75℃に冷却し、無水
THF 13mlに溶解した8−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ〔b〕
オキセピン−5−オン6.20g(26.0mmol)で処理した。次に混合物を−
78℃で0.2時間、室温で1時間保持し、クラッシュアイス上に注ぎ、ジエチ
ルエーテルで抽出した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、
ろ過し、溶媒を蒸発させて粗生成物を得て、それをフラッシュクロマトグラフィ
ー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル=95/5)により精製した。このように
して、8−ブロモ−5−メトキシメチレン−2,3,4,5−テトラヒドロベン
ゾ〔b〕オキセピン5.85gをE/Z混合体として得て、それを下記のように
加水分解した。 このエノールエーテル(21.7mmol)をTHF 30mlに溶解し、次に35
%HClO4 31.5mlで処理した。16時間撹拌した後、得られた混合物を
氷冷水とジエチルエーテルとに分配した。有機層をNa2CO3(pH約10)及
び水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて、標
記化合物4.63gを無色の油状物として得た(GC(ガスクロマトグラフィー
)により純度96%)。
【0077】 b〕8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキ
セピン−5−カルバルデヒド 8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−5−カ
ルバルデヒド2.59g(10.2mmol)を無水tert−ブタノール25mlに溶解
した。カリウムtert−ブチラート2.28g(2当量)を0℃で加え、続いて0
.3時間後にヨウ化メチル1.58ml(2.5当量)を加えた。TLC(薄層ク
ロマトグラフィー)が出発材料の消滅を示すまで、撹拌を室温で続けた。次に反
応混合物をクラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出した。有機
相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発
させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル97
/3)により、標記化合物1.85gを無色の油状物として得た(GCにより純
度98%)。
【0078】 c〕(8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オ
キセピン−5−イル)−メタノール 8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセ
ピン−5−カルバルデヒド20.6g(76.5mmol)を無水エタノール100
mlに溶解し、0℃に冷却した。NaBH4 2.896g(1モル当量)を数回
に分けて加え、反応を0℃で0.5時間、室温で0.5時間進行させた。反応混
合物をクラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を水で
洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。このようにして、標
記化合物21.5gを、次の工程に十分な純度の無色の油状物として得た。
【0079】 d〕8−ブロモ−5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒ
ドロベンゾ〔b〕オキセピン 上記で得られた第1級アルコール(約76.5mmol)を無水DMF 100ml
に溶解し、NaH2.40g(鉱油中約50%、約1.3当量)により−10℃
で処理した。脱プロトン化を室温で進行させた。水素の発生が停止したら、混合
物を0℃に冷却し、ヨウ化メチル6.24ml(1.3当量)で処理し、次に0℃
で0.2時間、室温で0.75時間保持した(NaIの白色の沈殿物が形成され
た)。冷水で加水分解し、ジエチルエーテルで抽出し、有機相をNH4Cl溶液
で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて粗生成物を
得て、それをSiO2上でろ過して精製し(ヘキサン/酢酸エチル95/5)、
標記生成物22.5gを無色の油状物として得た(GCにより純度96.5%)
【0080】 e〕(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ
〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−トリメチルシラン ピペリジン50mlに溶解した8−ブロモ−5−メトキシメチル−5−メチル−
2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン22.5g(<76.5
mmol)に、CuI 291mg(0.02当量)、トリフェニルホスフィン(Ph 3 P)401mg(0.02当量)及び(Ph3P)4Pd 884mg(0.01当
量)を連続して加えた。80℃に加熱した後、ピペリジン25ml中のトリメチル
シリルアセチレン26.5ml(2.5当量)の溶液を、滴下漏斗を介して1時間
以内に加えた。GC分析が、6%の出発物質が依然として残留していることを示
したので、追加のトリメチルシリルアセチレン3mlを2回に分けて加えた。冷却
した後、反応混合物をクラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し、
有機相を希HClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固さ
せた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル95/
5)により、標記化合物26.3gを、次の工程に十分な純度の黄色を帯びた油
状物として得た(GCにより純度91%)。
【0081】 f〕8−エチニル−5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラ
ヒドロベンゾ〔b〕オキセピン ナトリウムの小片を無水メタノール100mlに溶解した。ナトリウムメチラー
ト溶液を、上記で調製した5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−
テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−トリメチルシラン
26.3g(<76mmol)に0℃で一度に加え、次に室温で0.75時間保持し
た。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出
し、有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を除去した。
フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル96/4)に
より、標記化合物15.50gを淡い黄色の油状物として得た(GCにより純度
96.5%)。
【0082】 g〕4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベ
ンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸メチルエステル 無水DMF 165mlに、メチル4−ヨード−ベンゾアート20.96g(1
.25当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド2
.29g(0.04当量)、CuI 1.86g(0.12当量)及びトリエチ
ルアミン27.9ml(2.5当量)を連続して溶解した。無水DMF 60mlに
溶解した上記で調製した8−エチニル−5−メトキシメチル−5−メチル−2,
3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン14.67g(63.7mmol
)を、滴下漏斗を介して0.75時間以内に加え、0.25時間後、反応混合物
をクラッシュアイス/HCl上に注いで反応を停止させ、ジエチルエーテルで抽
出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固さ
せた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル91/
9)により、同じ溶媒混合物から結晶化した後、標記化合物19.5gを融点1
11.5〜112.5℃の白色の結晶として得た。
【0083】 h〕4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベ
ンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸 4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベン
ゾ〔b〕−オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸メチルエステル20.0
6g(55.04mmol)をTHF/エタノール(1/1)100mlに溶解し、水
50mlに溶解したNaOH 8.81g(4当量)で処理した。反応フラスコを
暗所に保管し、撹拌を室温で42時間続けた。次に混合物をクラッシュアイス/
25%HCl 60ml上に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出し、有機相を少量の水で
洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。ヘキサン/酢
酸エチルから結晶化させて、標記生成物18.90gを融点205〜206℃の
淡い黄色の結晶として得た。
【0084】
【表6】
【0085】 1.2.4−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒド
ロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸の調製
【0086】
【化12】
【0087】 本化合物は、実施例1.1と同様にして調製したが、工程d〕でヨウ化メチル
の代わりにヨウ化エチルを使用した。融点170〜171℃の白色の結晶を得た
【0088】
【表7】
【0089】 l.3.4−(5−メチル−5−プロポキシメチル−2,3,4,5−テトラヒ
ドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸の調製
【0090】
【化13】
【0091】 本化合物は、実施例1.1と同様にして調製したが、工程d〕でヨウ化メチル
の代わりにヨウ化プロピルを使用した。融点148〜149℃の淡黄灰白色の結
晶を得た。
【0092】
【表8】
【0093】 実施例2 2.1.4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テ
トラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸の調製
【0094】
【化14】
【0095】 a〕5−アリル−8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキ
セピン−5−カルバルデヒド 8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−5−カ
ルバルデヒド(実施例1、工程a)参照)0.55g(2.18mmol)を無水T
HF 5ml及び無水tert−ブタノール1mlに溶解した。カリウムtert−ブチラー
ト0.490g(2当量)を0℃で加え、続いて0.1時間後に臭化アリル0.
552ml(3当量)を加えた。TLC(薄層クロマトグラフィー)が出発材料の
消滅を示すまで、撹拌を同じ温度で続けた。次に反応混合物をクラッシュアイス
/NH4Cl溶液上に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出し、有機相を水で洗浄
し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を除去した。フラッシュクロマ
トグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル95/5)により、標記化合物
0.244gを無色の油状物として得た(GCにより純度98%)。
【0096】 b〕(5−アリル−8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オ
キセピン−5−イル)−メタノール 5−アリル−8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセ
ピン−5−カルバルデヒド0.216g(0.732mmol)を無水エタノール7
mlに溶解し、0℃に冷却した。NaBH4 0.028g(1モル当量)を一度
に加え、反応を0℃で0.5時間進行させた。クラッシュアイス上に注ぎ、ジエ
チルエーテルで2重に抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥さ
せ、ろ過し、溶媒を除去して、標記化合物0.230gを、次の工程に十分な純
度の無色の油状物として得た(GCにより純度96%)。
【0097】 c〕(8−ブロモ−5−プロピル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕
オキセピン−5−イル)−メタノール 上記で調製した(5−アリル−8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベ
ンゾ〔b〕オキセピン−5−イル)−メタノール0.230gを酢酸エチル10
mlに溶解し、5%Pd/C 0.20g上、室温及び1.01×105 Paの
2で0.5時間水素化した。反応の進行を、臭素の還元的な除去を避けるため
、注意深く見守った。セライトパッド上でろ過した後、溶媒を除去した。フラッ
シュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル8/2)により、標
記化合物0.191gを無色の油状物として得た(GC純度91%)。
【0098】 原則として本中間体は、アルキル化のためにヨウ化プロピルを使用し、実施例
1、工程b〕に記載されたようして調製することもできる。しかし、収率は、目
立って低い。
【0099】 d〕8−ブロモ−5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テトラ
ヒドロベンゾ〔b〕オキセピン (8−ブロモ−5−プロピル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オ
キセピン−5−イル)−メタノール0.191g(0.638mmol)を無水DM
F 3mlに溶解し、NaH0.061g(鉱油中約50%、約2当量)により0
℃で処理した。脱プロトン化を室温で0.2時間進行させた。混合物を0℃に冷
却し、ヨウ化メチル0.079ml(2当量)で処理し、次に室温で1時間保持し
た。冷水で加水分解し、NH4Cl溶液で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出し
、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて粗生成物を
得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル
96/4)で精製し、標記化合物0.179gを無色の油状物として得た(GC
により純度93%)。
【0100】 e〕5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ
〔b〕オキセピン−8−カルバルデヒド 8−ブロモ−5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テトラヒ
ドロベンゾ〔b〕オキセピン0.179g(0.571mmol)を無水THF5
mlに溶解し、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.5M、ヘキサン)
0.447mlをゆっくりと加え、温度を0.2時間維持した。無水DMF 0.
141ml(3.2当量)をシリンジを介して導入し、撹拌を0.25時間続けた
。室温に暖め、クラッシュアイス/NH4Cl溶液上に注ぎ、ジエチルエーテル
で2重に抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発さ
せて粗生成物0.18gを得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO 2 、ヘキサン/酢酸エチル9/1)で精製し、標記化合物0.125gを無色の
油状物として得た(GCにより純度98%)。
【0101】 f〕(E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5
−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸エチ
ルエステル NaH(鉱油中50%)0.048gを無水DMF 3mlに懸濁した。4−(
ジエトキシホスホリルメチル)−安息香酸エチルエステル0.27gを0℃で加
えた。H2生成が停止するまで混合物を室温で撹拌した。−10℃に冷却した後
、DMF 2mlに溶解した5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5
−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−カルバルデヒド0.119g(0
.454mmol)を加え、−10℃で0.2時間、室温で1時間反応させた。次に
混合物をクラッシュアイス/NH4Cl溶液上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出
し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させ
た。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチ
ル9/1)で精製して、純粋な無色の標記化合物0.088gを最終的に得ると
、それは自然に凝固した。
【0102】 g〕4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テトラ
ヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸 (E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−
テトラヒドロベンゾ〔b〕−オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸エチ
ルエステル0.081g(0.198mmol)をTHF/エタノール(1/1)1
mlに溶解し、3N NaOH0.33ml(5当量)で処理した。反応フラスコを
暗所に保管し、撹拌を室温で20時間続けた。次に混合物をクラッシュアイス/
希釈HCl上に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナト
リウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。ヘキサン/酢酸エチルから結晶
化させて、標記生成物0.46gを融点157〜159℃の白色の結晶として得
た。
【0103】
【表9】
【0104】 2.2.(E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,
5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸の
調製
【0105】
【化15】
【0106】 本化合物は、実施例2.1と同様にして調製したが、工程e〕でプロピル類似
体の代わりに8−ブロモ−5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−
テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピンを使用した。融点194〜96℃の無色の
結晶を得た。
【0107】
【表10】
【0108】 2.3.(E)−4−〔2−(5−メチル−5−プロポキシメチル−2,3,4
,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸
の調製
【0109】
【化16】
【0110】 本化合物は、実施例2.1と同様にして調製したが、工程e〕で8−ブロモ−
5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b
〕オキセピンの代わりに8−ブロモ−5−メチル−5−プロポキシメチル−2,
3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピンを使用した。融点164〜6
5℃の無色の結晶を得た。
【0111】
【表11】
【0112】 2.4.(E)−4−〔2−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6
−イル)−ビニル〕−安息香酸の調製
【0113】
【化17】
【0114】 本化合物は、実施例2.1と同様にして調製したが、工程e〕で8−ブロモ−
5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b
〕オキセピンの代わりに6−ブロモ−4−メトキシメチル−4−メチル−クロマ
ンを使用した。合成は実施例5、d〕に記載されている。融点209〜210℃
の黄色を帯びた結晶を得た。
【0115】
【表12】
【0116】 実施例3 3.1.4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒド
ロベンゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸の調製
【0117】
【化18】
【0118】 a〕8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−5−カ
ルバルデヒド (メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド16.68g(1.6
当量)を無水THF 75mlに懸濁し、1.6M n−ブチルリチウム(ヘキサ
ン、1.55当量)29.5mlをシリンジにより−15℃〜−5℃で加えて脱プ
ロトン化した。得られた赤色のイリド溶液を−75℃に冷却し、無水THF 1
5mlに溶解した8−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ〔b〕チエピン−
5−オン7.82g(30.4mmol)で処理した。次に混合物を−78℃で0.
3時間、室温で1.25時間保持した。クラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエ
ーテルで2重に抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、
ろ過し、溶媒を蒸発させて粗生成物を得て、それをフラッシュクロマトグラフィ
ー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル95/5)で精製し、それにより、8−ブ
ロモ−5−メトキシメチレン−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエ
ピン7.39gをE/Z混合体として得て、それを下記のように加水分解した。
【0119】 このエノールエーテル(25.8mmol)をTHF 37mlに溶解し、次に35
%HClO4 37mlで処理した。室温で16時間撹拌した後、得られた混合物
を氷冷水とジエチルエーテルとに分配し、有機層をNa2CO2(pH約10)及
び水で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。
残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル9
5/5)で精製して、標記化合物6.33gを無色の油状物として最終的に得た
(GCによる純度98%)。
【0120】
【表13】
【0121】 b〕8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエ
ピン−5−カルバルデヒド 8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−5−カル
バルデヒド1.00g(3.69mmol)を無水THF/無水tert−ブタノール(
10/1)8mlに溶解した。カリウムtert−ブチラート0.828g(2当量)
を0℃で加え、続いて0.25時間後にヨウ化メチル0.575ml(2.5当量
)を加えた。撹拌を室温で5時間続けた。次に反応混合物をクラッシュアイス上
に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出し、有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグ
ネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を除去した。フラッシュクロマトグラフィ
ー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル96/4)により、標記化合物0.636
gを無色の油状物として得た。
【0122】 c〕(8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チ
エピン−5−イル)−メタノール 8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピ
ン−5−カルバルデヒド636mg(2.23mmol)を無水エタノール15mlに溶
解し、0℃に冷却した。NaBH4 84.4mg(1モル当量)を加え、反応を
室温で2時間進行させた。クラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出
し、有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発
させ、標記化合物628mgを白色の固体として得て、これを更に精製しないで次
の工程に使用した(GCによる純度93.5%)。
【0123】 d〕8−ブロモ−5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒ
ドロベンゾ〔b〕チエピン (8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエ
ピン−5−イル)−メタノール628mg(2.19mmol)を無水DMF 12ml
に溶解し、NaH210mg(鉱油中約50%、約2当量)により0℃で処理した
。脱プロトン化を0℃で1時間進行させた。次に得られた対応するナトリウムア
ルコキシドの溶液をヨウ化メチル0.204ml(1.5当量)で処理し、室温で
2時間保持した。冷水で加水分解し、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を水で
洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて粗生成物を
得て、それをSiO2(ヘキサン/酢酸エチル96/4)上でろ過して精製し、
標記化合物576mgを無色の油状物として得た(GCにより純度95%)。
【0124】
【表14】
【0125】 e〕4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベ
ンゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸メチルエステル ピペリジン2.9mlに溶解した8−ブロモ−5−メトキシメチル−5−メチル
−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン478mg(1.59mmol
)に、CuI 4.8mg(0.02当量)、Ph3P 7.0mg(0.02当量
)及び(Ph3P)4Pd 24.1mg(0.01当量)を連続して加えた。80
℃で加熱した後、ピペリジン2.8ml中の4−エチニル−安息香酸メチルエステ
ル508mg(2当量)の溶液を滴下漏斗により2時間以内に加え、次にこの温度
で更に3時間保持した。冷却した後、反応混合物をクラッシュアイス/希釈HC
l上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。フラッシュクロマトグラフィー(S
iO2、ヘキサン/酢酸エチル95/5)により、標記化合物270mgを無色の
油状物として得た。
【0126】
【表15】
【0127】 f〕4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベ
ンゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸 4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベン
ゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸メチルエステル316mg(0
.83mmol)をTHF/EtOH(1/1)8mlに溶解し、3N NaOH1.
38ml(5当量)で処理した。反応フラスコを暗所に保管し、撹拌を室温で18
時間続けた。次に混合物をクラッシュアイス/HCl上に注ぎ、ジエチルエーテ
ルで2回抽出し、有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、
ろ過し、蒸発乾固させた。ヘキサン/酢酸エチルから残留物を結晶化させて、標
記生成物282mgを融点182〜183℃の白色の結晶として得た。
【0128】
【表16】
【0129】 3.2.4−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒド
ロベンゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸の調製
【0130】
【化19】
【0131】 本化合物は、実施例3.1と同様にして調製したが、工程e〕で5−メトキシ
メチル誘導体の代わりに8−ブロモ−5−エトキシメチル−5−メチル−2,3
,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピンを使用した。融点154〜155
℃の白色の結晶を得た。
【0132】
【表17】
【0133】 実施例4 4.1.(E)−4−〔2−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,
5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸の調
【0134】
【化20】
【0135】 a〕8−ブロモ−5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒ
ドロベンゾ〔b〕チエピン (8−ブロモ−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエ
ピン−5−イル)−メタノール(実施例3.1.c〕)917mg(3.19mmol
)を無水DMF 17mlに溶解し、NaH309mg(鉱油中約50%、約2当量
)により0℃で処理した。脱プロトン化を0℃で0.25時間進行させた。次に
得られた対応するナトリウムアルコキシドの溶液をヨウ化エチル0.389ml(
1.5当量)で処理し、室温で1時間保持した。冷水で加水分解し、ジエチルエ
ーテルで抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し
、溶媒を蒸発させて粗生成物を得て、それをSiO2(ヘキサン/酢酸エチル9
5/5)上でろ過して精製し、標記化合物966mgを無色の油状物として得た(
GCにより純度98%)。
【0136】 b〕5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔
b〕チエピン−8−カルバルデヒド 8−ブロモ−5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒド
ロベンゾ〔b〕チエピン431mg(1.37mmol)を無水THF 3.5mlに溶
解し、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.55M、ヘキサン)0.
97mlをゆっくりと加え、温度を0.3時間維持した。無水DMF 0.316
ml(3当量)を、シリンジを介して導入し、撹拌を−78℃で0.1時間続けた
。反応混合物を室温に暖め、クラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽
出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過及び溶媒を蒸発
させた後、粗生成物を得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO2
ヘキサン/酢酸エチル95/5)で精製し、標記化合物0.339gを無色の油
状物として得た(GCにより純度99%)。
【0137】 c〕(E)−4−〔2−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−
テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸メチルエ
ステル NaH85mg(約1.4当量、鉱油中50%)を無水DMF 1.9ml中の4
−(ジエトキシホスホリルメチル)−安息香酸エチルエステル534mg(1.4
当量)の溶液に0℃で加えた。混合物を0℃で0.5時間、室温で1.5時間撹
拌した。0℃に冷却した後、DMF 1mlに溶解した5−エトキシメチル−5−
メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−カルバルデ
ヒド336mg(1.27mmol)を加え、室温で2時間反応させた。次に混合物を
クラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出し、有機相を水で洗浄
し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。残留物をフラッ
シュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル95/5)で精製
して、純粋な無色の標記化合物409mgを得た。
【0138】 d〕(E)−4−〔2−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−
テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸 (E)−4−〔2−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テ
トラヒドロベンゾ〔b〕−チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸メチルエ
ステル406mg(0.99mmol)をTHF/エタノール=1/1 4mlに溶解し
、3N NaOH1.32ml(4当量)で処理した。反応フラスコを暗所に保管
し、撹拌を室温で18時間続けた。次に混合物をクラッシュアイス/希釈HCl
上に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出し、有機相を少量の水で洗浄し、硫酸マグネシ
ウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。ヘキサン/酢酸エチル(8/2
)から残留物を結晶化させて、標記化合物337mgを融点186〜187℃の白
色の結晶として得た。
【0139】
【表18】
【0140】 4.2.(E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4
,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸の
調製
【0141】
【化21】
【0142】 本化合物は実施例4.1と同様にして調製し、融点169〜170℃の白色の
結晶を得たが、工程c〕において、5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,
4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−カルバルデヒドの代わりに5
−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ〔b〕
チエピン−8−カルバルデヒドを使用した。前者は実施例2.1.、a〕〜d〕
と同様にして調製したが、オキサ類似体の代わりに8−ブロモ−3,4−ジヒド
ロ−2H−ベンゾ〔b〕チエピン−5−オンにより全ての反応シーケンスを開始
した。融点169〜170℃の白色の結晶を得た。
【0143】
【表19】
【0144】 実施例5 5.1.4−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル
)−安息香酸の調製
【0145】
【化22】
【0146】 a〕4−メチル−クロマン−4−カルバルデヒド クロマン−4−カルバルデヒド5.28g(32.55mmol)を無水THF/
無水tert−ブタノール(5/1)100mlに溶解した。カリウムtert−ブチラー
ト7.31g(2当量)を−10℃で加え、続いて0.25時間後にヨウ化メチ
ル4.05ml(2.0当量)を加えた。撹拌を室温で一晩続けた。次に反応混合
物をクラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出し、有機相をブラ
インで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を除去した。フラ
ッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル9/1)により、
標記化合物4.29gを無色の油状物として得た(GCにより純度96.5%)
【0147】
【表20】
【0148】 b〕(4−メチル−クロマン−4−イル)−メタノール 4−メチル−クロマン−4−カルバルデヒド4.29g(24.3mmol)を無
水エタノール160mlに溶解し、0℃に冷却した。NaBH4 0.921g(
1モル当量)を数回に分けて加え、反応を室温で16時間続けた。クラッシュア
イス上に注ぎ、ジエチルエーテルで2重に抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸マ
グネシウム上で乾燥させ、ろ過及び溶媒を除去した後、標記化合物4.41gを
、次の工程に十分な純度の淡い黄色の油状物として得た(GC>97%)。
【0149】 c〕4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン (4−メチル−クロマン−4−イル)−メタノール2.00g(11.2mmol
)を無水DMF 60mlに溶解し、NaH1.08g(鉱油中約50%、約2当
量)により0℃で処理した。脱プロトン化を0℃で0.75時間進行させた。水
素の発生が停止したら、混合物をヨウ化メチル1.05ml(1.5当量)で処理
し、次に0℃で0.2時間、室温で0.5時間保持した。冷水で注意深く加水分
解し、ジエチルエーテルで2重に抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた後、粗生成物を得て、それをSiO 2 (ヘキサン/酢酸エチル9/1)上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し
、標記化合物2.01gを無色の油状物として得た(GCにより純度97%)。
【0150】
【表21】
【0151】 d〕6−ブロモ−4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン 4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン2.00g(10.4mmol)を無
水CH2Cl2 25mlに溶解し、Fe粉末及びNa2CO3の触媒量で処理した。
0℃に冷却した後、臭素1.21m(1.1当量)を加え、混合物をこの温度で
0.6時間保持した。クラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し、
有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させ
、その後SiO2(ヘキサン/酢酸エチル95/5)上でのフラッシュクロマト
グラフィーにより、純粋な標記化合物1.676gを無色の油状物として得た(
GC>95%)。
【0152】
【表22】
【0153】 e〕(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)−トリ
メチルシラン ピペリジン11.5mlに溶解した6−ブロモ−4−メトキシメチル−4−メチ
ル−クロマン1.67g(6.16mmol)に、CuI 19mg(0.02当量)
、トリフェニルホスフィン(Ph3P)27.5mg(0.02当量)及び(Ph3 P)4Pd 93mg(0.01当量)を連続して加えた。80℃に加熱した後、
ピペリジン19ml中のトリメチルシリルアセチレン4.27ml(5当量)の溶液
を、滴下漏斗を介して2.5時間以内に加えた。冷却した後、反応混合物をクラ
ッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸
マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。残留物のフラッシュク
ロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル95/5)により、標記化
合物1.44gを、次の工程に十分な純度の無色の油状物として得た。
【0154】 f〕6−エチニル−4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン ナトリウムの触媒量を無水メタノール22mlに溶解した。次に得られたナトリ
ウムメチラートの溶液に、少量のメタノールに溶解した上記で調製した(4−メ
トキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)−トリメチルシラン
(1.44g、4.99mmol)を0℃で一度に加え、次に室温で1時間保持した
。反応混合物をクラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出し、有
機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を除去した。フラッシュク
ロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチル96/4)により、標記化
合物0.704gを、GCにより純度>94%の淡い黄色の油状物として得た。
【0155】
【表23】
【0156】 g〕4−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)−
安息香酸メチルエステル 無水DMF 11mlに、メチル4−ヨード−ベンゾアート1.061g(1.
25当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド11
4mg(0.05当量)、CuI 74.1mg(0.12当量)及びトリエチルア
ミン1.13ml(2.5当量)を連続して溶解した。無水DMF 2.7mlに溶
解した上記で調製した6−エチニル−4−メトキシメチル−4−メチル−クロマ
ン701mg(3.24mmol)を、滴下漏斗を介して1時間以内に加えた。0.2
5時間後、反応混合物をクラッシュアイス/HCl上に注いで反応を停止させた
。ジエチルエーテルで抽出し、有機相を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で
乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2
、ヘキサン/酢酸エチル92/8)の後、標記化合物630mgを、黄色を帯びた
油状物として得た。
【0157】 h〕4−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)−
安息香酸 4−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)−安
息香酸メチルエステル625mg(1.78mmol)をTHF/エタノール(1/1
)9mlに溶解し、3N NaOH2.34ml(4当量)で処理した。反応フラス
コを暗所に保管し、撹拌を室温で18時間続けた。次に混合物をクラッシュアイ
ス/HCl上に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出し、有機相を水で洗浄し、硫
酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。酢酸エチルから結晶
化させて、標記生成物545mgを融点202〜203℃の白色の結晶として得た
【0158】
【表24】
【0159】 実施例6 6.1.(E)−4−(4−ヒドロキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イ
ルエチニル)−安息香酸の調製 a〕酢酸4−メチル−クロマン−4−イルメチルエステル (4−メチル−クロマン−4−イル)−メタノール1.00g(5.61mmol
)を無水CH2Cl2 6mlに溶解し、トリエチルアミン1.17ml(1.5当量
)及び塩化アセチル0.518ml(1.3当量)により0℃で処理し、室温で0
.5時間保持した。反応混合物をクラッシュアイス上に注ぎ、ジエチルエーテル
で2回抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶
媒を除去した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/酢酸エチ
ル9/1)により、純粋な標記化合物1.082gを無色の油状物として得た。
【0160】
【表25】
【0161】 b〕酢酸6−ブロモ−4−メチル−クロマン−4−イルメチルエステル 本化合物は、上記で調製した酢酸4−メチル−クロマン−4−イルメチルエス
テルを臭素化することにより、実施例5、d〕と同様にして調製した。
【0162】
【表26】
【0163】 c〕酢酸4−メチル−6−トリメチルシラニルエチニル−クロマン−4−イルメ
チルエステル 本化合物は、酢酸6−ブロモ−4−メチル−クロマン−4−イルメチルエステ
ルから、実施例5、e〕と同様にして調製した。
【0164】
【表27】
【0165】 d〕酢酸6−エチニル−4−メチル−クロマン−4−イルメチルエステル 本化合物は、酢酸4−メチル−6−トリメチルシラニルエチニル−クロマン−
4−イルメチルエステルから、実施例5、f〕と同様にして調製した。
【0166】
【表28】
【0167】 e〕4−(4−アセトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)
−安息香酸メチルエステル 本化合物は、酢酸6−エチニル−4−メチル−クロマン−4−イルメチルエス
テルから、実施例5、g〕と同様にして調製した。
【0168】
【表29】
【0169】 f〕4−(4−ヒドロキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)
−安息香酸 4−(4−アセトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イルエチニル)−
安息香酸メチルエステル498mg(1.32mmol)をTHF/エタノール(1/
1)7mlに溶解し、3N NaOH(4当量)1.75mlで処理した。反応フラ
スコを暗所に保管し、撹拌を室温で4時間続けた。次に混合物をクラッシュアイ
ス/HCl上に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出し、有機相をブラインで洗浄
し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。酢酸エチルか
ら−30℃で結晶化させて、標記化合物334mgを融点234〜235℃の淡黄
灰白色の結晶として得た。
【0170】
【表30】
【0171】 実施例7 エラスターゼ誘発肺気腫における肺胞の修復に及ぼすRAR選択的レチノイドの
作用 RAR選択的アゴニストを、ラットにおけるエラスターゼ誘発肺気腫のラット
モデルでの肺胞の修復に及ぼすその作用に関して評価した(Massaroら, Nature
(Medicine, 1997, 3, 675))。ラットは、約8匹の処置群に分けた。膵エラス
ターゼ(ブタ由来、カルビオケム(Calbiochem))2U/g体重の単回点滴注入に
より、オスのスプラークドーリー(Sprague Dawley)ラットに、肺の炎症及び肺
胞損傷を誘発させた。傷害の3週間後、全transレチノイン酸又はRARア
ゴニストをジメチルスルホキシドに溶解(20mg/ml)して、−20℃で貯蔵し
た。2mg/mlの最終濃度へのPBS中の希釈によって、新鮮な処置用ストックを
毎日新たに調製した。全transレチノイン酸で処置(0.5mg/kg、腹腔内
)するラットには、傷害の21日後に開始して1日1回腹腔内注射により投薬し
た。対照群にはエラスターゼで攻撃して、21日後にビヒクル(DMSO/PB
S)で14日間処置した。最後の投薬の24時間後に深麻酔下で放血により、ラ
ットを屠殺した。
【0172】 一定速度(1ml/g体重/分)の気管内点滴注入により、肺を10%中性緩衝化
ホルマリンで膨張させた。肺を切除して、加工前に24時間定着液に浸漬した。
標準法を使用して、5umパラフィン切片を調製した。切片をヘマトキシリン及び
エオシン(H%E)で染色した。コンピュータ形態計測分析を実施して、平均肺
胞サイズ及び肺胞数を測定した(表1)。
【0173】
【表31】
【0174】 明快さ及び理解のため、説明及び実施例により前記発明を詳細に記載した。請
求の範囲内で変更と修飾を行いうることは、当業者には明らかであろう。したが
って上記の記述は、説明を意図するものであり、限定を意図するものではないと
理解すべきである。よって本発明の範囲は、請求の範囲を、このような請求の範
囲が包含する権利を有する同等物の全範囲と共に参照することによって決定され
るべきである。
【0175】 本出願に引用されている特許、特許出願及び刊行物は、個々の特許、特許出願
又は刊行物が個別に示されている場合と同程度に、全ての目的に関して全体を引
用例として本明細書に含める。
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 〔式中、 R1は、水素、低級アルキルであり; R2は、低級アルキルであり; R3は、低級アルキル又はHであり; Xは、酸素又は硫黄であり; nは、1又は2であり; 点線の結合は、場合により存在する〕で示される化合物、及び式Iのカルボン
酸の薬学的に活性な塩。
【化2】 〔式中、X、R1、R2、R3及びnは、請求項1と同義である〕で示される、請
求項1記載の化合物、及び式Iのカルボン酸の薬学的に活性な塩。
【化3】 〔式中、X、R1、R2、R3及びnは、請求項1と同義である〕で示される、請
求項1記載の化合物;及び式IBのカルボン酸の薬学的に活性な塩。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 11/00 A61P 11/00 43/00 111 43/00 111 C07D 313/08 C07D 313/08 335/06 335/06 337/08 337/08 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN ,YU,ZA,ZW (72)発明者 モール,ペーター スイス国、ツェーハー−4054 バーゼル、 ベンケンシュトラーセ 26 Fターム(参考) 4C023 KA01 4C062 FF63 JJ13 4C086 AA01 AA02 AA03 BA08 BA10 BB01 MA01 MA04 NA14 ZA59

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I: 【化1】 〔式中、 R1は、水素、低級アルキルであり; R2は、低級アルキルであり; R3は、低級アルキル又はHであり; Xは、酸素又は硫黄であり; nは、1又は2であり; 点線の結合は、場合により存在する〕で示される化合物、及び式Iのカルボン
    酸の薬学的に活性な塩。
  2. 【請求項2】 式: 【化2】 〔式中、X、R1、R2、R3及びnは、請求項1と同義である〕で示される、請
    求項1記載の化合物、及び式Iのカルボン酸の薬学的に活性な塩。
  3. 【請求項3】 Xが酸素であり、nが2である、請求項1又は2記載の化合
    物。
  4. 【請求項4】 4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−
    テトラヒドロ−1−ベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル−エチニル)−安息香酸
    、 4−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベン
    ゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸、 4−(5−メチル−5−プロポキシメチル−2,3,4,5−テトラヒドロベ
    ンゾ〔b〕オキセピン−8−イルエチニル)−安息香酸、 (E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−
    テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸、 (E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テ
    トラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸、 (E)−4−〔2−(5−メチル−5−プロポキシメチル−2,3,4,5−
    テトラヒドロベンゾ〔b〕オキセピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸、 である、請求項3記載の化合物。
  5. 【請求項5】 Xが硫黄であり、nが2である、請求項1又は2記載の化合
    物。
  6. 【請求項6】 4−(5−メトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−
    テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸、 4−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロベン
    ゾ〔b〕チエピン−8−イルエチニル)−安息香酸、 (E)−4−〔2−(5−エトキシメチル−5−メチル−2,3,4,5−テ
    トラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸、 (E)−4−〔2−(5−メトキシメチル−5−プロピル−2,3,4,5−
    テトラヒドロベンゾ〔b〕チエピン−8−イル)−ビニル〕−安息香酸、 である、請求項5記載の化合物。
  7. 【請求項7】 式: 【化3】 〔式中、X、R1、R2、R3及びnは、請求項1と同義である〕で示される、請
    求項1記載の化合物;及び式IBのカルボン酸の薬学的に活性な塩。
  8. 【請求項8】 Xが酸素であり、nが1である、請求項1又は7記載の化合
    物。
  9. 【請求項9】 4−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イ
    ルエチニル)−安息香酸、 (E)−4−〔2−(4−メトキシメチル−4−メチル−クロマン−6−イル
    )−ビニル〕−安息香酸、 である、請求項8記載の化合物。
  10. 【請求項10】 R1が水素である式Iの化合物の薬学的に許容しうる塩が
    、アルカリ又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム塩のような薬学的に許容
    しうる塩基から形成される塩である、請求項1、2又は7のいずれか1項記載の
    化合物。
  11. 【請求項11】 肺気腫及び関連肺疾患の処置用の薬学的に活性な成分とし
    て使用するための、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項記載の1つ以上の化合物及
    び薬学的に許容しうる賦形剤を含む医薬。
  13. 【請求項13】 肺気腫及び関連肺疾患の処置用の請求項11記載の医薬。
  14. 【請求項14】 肺気腫及び関連肺疾患の処置用の、又はこのような疾患の
    処置に有用な医薬の製造のための、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物
    の使用。
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