JP2003507131A - 非ヒト移植片の免疫原性の低下 - Google Patents

非ヒト移植片の免疫原性の低下

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JP2003507131A
JP2003507131A JP2001518083A JP2001518083A JP2003507131A JP 2003507131 A JP2003507131 A JP 2003507131A JP 2001518083 A JP2001518083 A JP 2001518083A JP 2001518083 A JP2001518083 A JP 2001518083A JP 2003507131 A JP2003507131 A JP 2003507131A
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ブレヴィグ、トーマス
クリステンセン、トム
ラスムッセン、イエンス ズィンメル
ホルゲルソン、ヤン
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アブソーバー アクチボラゲット
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ブタの組織の分離およびそこからのマクロファージおよび/または小グリア細胞の除去により作成される移植材料に関する。この組織は、胚または胎児神経組織でもよく、除去は、上記調製物を、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対する抗体と補体試薬に暴露することにより行われる。本発明はまた、神経組織を移植する時に有用な医薬調製物を調製するためのそのような移植材料の使用に関する。本発明はまた、組織分離のための1つ以上の酵素、抗体調製物、および補体試薬とを含むキットに関する。本発明はまた、ブタの胚または胎児神経組織からのマクロファージおよび/または小グリア細胞の除去方法に関する。最後に本発明は、そのような前処理したブタ神経移植片を用いる神経疾患の治療方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ブタの組織の分離およびそこからのマクロファージおよび/または
小グリア細胞の除去により作成される移植材料に関する。この組織は、胚または
胎児神経組織でもよく、除去は、上記調製物を、GAlα1−3Galβ1−R
エピトープに対する抗体と補体試薬に暴露することにより行われる。本発明はま
た、神経組織を移植する時に有用な医薬調製物を調製するためのそのような移植
材料の使用に関する。本発明はまた、組織分離のための1つ以上の酵素、抗体調
製物、および補体試薬とを含むキットに関する。本発明はまた、ブタの胚または
胎児神経組織からのマクロファージおよび/または小グリア細胞の除去方法に関
する。最後に本発明は、そのような前処理したブタ神経移植片を用いる神経疾患
の治療方法に関する。
【0002】 (発明の背景) 神経移植は、パーキンソン病やハンティントン病の治療法の候補である(ペチ
ャンスキー(Peschanski)ら、1995;オラノウ(Olanow)ら、1997;ボ
ーロンガン(Borlongan)ら、1999;ヅネット(Dunnett)とビヨルクルンド
(Bjorklund)、1999)。ヒトのドナーの材料の供給は不足しているため(
ヅネット(Dunnett)とビヨルクルンド(Bjorklund)、1999)、動物起源の
組織が、適切な代替物と考えられており(イサクソン(Isacson)とブレーケフ
ィールド(Breakefield)、1997;エッジ(Edge)ら、1998)、遺伝的
修飾が可能であるという利点を有する(コッツィ(Cozzi)とホワイト(White)
、1995;ザワダ(Zawada)ら、1998)。免疫抑制ラットの線条に移植す
ると、ブタの胚からの腹側中脳組織は、解剖学的に正しい連結を増殖させ(イサ
クソン(Isacson)ら、1995)、誘導された行動欠陥を回復する(フファカ
ー(Huffaker)ら、1989;ガルペルン(Galpern)ら、1996)。これま
で小規模の安全性試験で12人のパーキンソン病患者と12人のハンティントン
病患者に、ブタの神経組織が投与されてきた(エッジ(Edge)ら、1998)。
【0003】 しかしブタの神経移植片は、ヒトの脳で免疫関連の拒絶を受けやすい(ディー
コン(Deacon)ら、1997)。ネズミの神経移植片の拒絶は、ラット宿主を免
疫系のTリンパ球に対する抗体で処理することにより防止することができる(オ
ークラ(Okura)ら、1997)。ヒトのT細胞のレパートリーは、ブタ細胞上
のブタの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)抗原により活性化される細胞(直
接認識)と、ヒトの抗原提示細胞によるプロセシングと提示を受けたブタのタン
パク質から得られるペプチドにより活性化される細胞(間接認識)とを含む(サ
タケ(Satake)ら、1994;ドーリング(Dorling)ら、1996)。直接認
識が起きるためには、ブタのドナー細胞は、クラスIおよび/またはクラスIIM
HC抗原(それぞれ、CD8とCD4 Tリンパ球により認識される)を発現す
る必要がある。マウス脳中のヒト神経組織の生存は、CD8ではなく宿主CD4
T細胞を枯渇させることにより延長することができ(ウッド(Wood)ら、199
6)、これは、CD4 T細胞が神経異種移植片の拒絶に必須であることを証明
しており、これはまた、非神経異種移植片の拒絶の場合も同様である(ピエソン
(Pierson)ら、1989;カウフマン(Kaufman)ら、1995;コルスグレン
(Korsgren)、1997)。インビトロでブタのMHCクラスII抗原は、ブタの
MHCクラスI抗原より、ヒトT細胞中でより強い増殖応答を誘発し(カーク(
Kirk)ら、1993;クマガイ−ブリーシュ(Kumagai-Braesch)ら、1993
;ヤマダ(Yamada)ら、1995;ドーリング(Dorling)ら、1996)、M
HCクラスII抗原を発現する細胞またはこれらの分子を発現する能力を有する細
胞は、いったん移植されると、ドナー組織の免疫原性に大きく寄与することを示
唆している。MHCクラスII抗原は、ニューロン中に存在することはまだ報告さ
れていない(ランプソン(Lampson)、1995)。
【0004】 自己反応性を阻害する免疫抑制剤であるサイクロスポリンは、ラットで免疫攻
撃からブタの異種移植片を防御するのには不充分である(ウェンバーグ(Wennbe
rg)ら、1995)。ブタの神経移植片を有するラットをサイクロスポリンで連
続的に処理すると、移植後3〜4ヶ月の動物の74%である程度の移植片生存が
得られた(パクザバン(Pakzaban)ら、1995)。ブタの神経移植片を有する
連続的サイクロスポリン治療を受けたパーキンソン病患者は、1.2×107
の細胞が移植されたことを考慮すると、移植後7.5ヶ月に生存移植片はわずか
であり、剖検組織検査ではわずかに638個のドーパミン作用性の細胞しかなか
った(ディーコン(Deacon)ら、1997)。従って臨床の場では免疫抑制は、
より積極的でなければならず(これは、副作用の面でより重大な結果を招く(ボ
ーロンガン(Borlongan)ら、1996))、または移植前のドナーの組織免疫
原性の低下で補足する必要がある。
【0005】 WO9637602A1は、肝機能不全を特徴とする障害の患者を治療するた
めの肝細胞の使用に関する。特にいくつかの抗原(特にMHCクラスI抗原)を
マスクすることにより、これらの肝細胞の免疫原性を小さくするための方法が開
示されている。Gal(α1,3)Galエピトープをα−ガラクトシダーゼで
除去する可能性も検討されるが、マクロファージおよび/または小グリア細胞上
のこのエピトープの発現のカプリングはなく、Gal(α1,3)Galエピト
ープを使用してこれらの細胞を除去する。神経細胞については、なにも言及され
ていない。
【0006】 WO9636358A1は、異種移植片移植受容者による抗体介在異種移植片
拒絶を阻害するための試薬と方法に関する。その目的は、ドナー臓器の内皮細胞
(すなわち、受容者の血液と最初に接触するドナー細胞)上の抗原をブロックす
ることである。この文献は、抗体介在免疫と、抗ドナー抗体を使用するその阻害
に関するのみであり、一方本発明は、神経細胞混合物から特異的な細胞集団を除
去して、受容者のT細胞を刺激することを少なくすることである。神経細胞につ
いてはなにも言及されておらず、ブロックするための可能な抗原としてGalエ
ピトープのみが言及されている。WO9636358A1は、非常に広範囲であ
り、すべての可能な異種移植片抗原の阻害に関する。本発明の方法と比較して最
も大きな差は、本発明は、Galエピトープを介してマクロファージおよび/ま
たは小グリア細胞を枯渇させることに関し、そのエピトープをブロックすること
ではないことである。
【0007】 コウルマンダ(Koulmanda, M)ら、Xenotransplantation 2(4), p 295-305 (1
995)は、移植後に膵臓組織から免疫原性細胞を枯渇させる方法に関する。その要
件は、90%O2 中での培養である。このエピトープはヒトの抗ブタ抗体で認識
され拒絶に重要であるため、Galエピトープの発現が膵臓組織中で研究された
。神経組織またはマクロファージ上のGalエピトープの発現、およびこの細胞
集団を枯渇させるためのGalエピトープの使用の可能性についてはなにも言及
されていない。この研究では、受容者を免疫抑制するのに、受容者の抗CD4処
理が使用されている。
【0008】 (発明の要約) ブタの胚から分離した脳組織を初代培養で増殖させると、そのマクロファージ
および/または小グリア細胞が自己蛍光性となり、両方のクラスのMHC抗原を
発現し、ヒトTリンパ球の増殖を誘導し、一方星状細胞は非自己蛍光性のままで
あり、MHCクラスI抗原のみを発現し、ヒトT細胞中で弱い増殖応答のみを示
すことが、証明されている(ブレビグ(Brevig)ら、1999)。ブタの脳組織
からマクロファージおよび/または小グリア細胞を除去するために、本発明の標
的候補は、炭水化物エピトープのGalα1−3Galβ1−R(α−ガラクト
シルエピトープ)であり、これは、ブタの胚の脳中で、マクロファージおよび/
または小グリア細胞および内皮細胞上にあるが、ニューロンや星状細胞中には存
在しないことを本発明者らが証明した(スミトラン(Sumitran)ら、1999)
。ヒトの血清は、α−ガラクトシルエピトープに対する高力価の天然の補体活性
化IgGおよびIgM抗体(抗Gal)を含有する(ガリリ(Galili)、199
3;ロザー(Rother)とスキント(Squinto)、1996)が、ブタの胚の腹側
中脳中で発現される他のエピトープに対する抗体も含有する(スミトラン(Sumi
tran)ら、1999)。従って、精製した抗Galおよび補体は、神経疾患の治
療のために、移植の前にマクロファージおよび/または小グリア細胞および内皮
細胞を選択的に溶解し、分離したブタの神経組織からこれらの細胞を除去する能
力を有する。
【0009】 上記したように、神経異種移植片の生存は、宿主のTリンパ球により影響を受
ける。パーキンソン病、ハンティントン病、多発性硬化症、てんかん、卒中、疼
痛、および脊髄損傷のための治療的異種移植におけるドナー材料として興味のあ
る、ブタの胚脳組織の免疫原性を低下させるために、マクロファージおよび/ま
たは小グリア細胞の抗体性および補体性除去のための標的としてα−ガラクトシ
ルエピトープを使用する可能性が、本発明者らによりインビトロで研究された。
27日齢のブタの胚から単離した脳細胞を抗Galと補体に暴露させ、残存する
細胞を、(i)フローサイトメトリーで分析して、マクロファージおよび/また
は小グリア細胞の含量を測定し、および(ii)ヒト末梢血CD4 Tリンパ球と
同時培養して、増殖性T細胞応答を誘発する能力を測定(これは、トリチウムチ
ミジンの取り込みを測定して評価)した。ブタ胚の脳細胞を正常なヒト血清(こ
れは、高力価の抗Galを含有する)とともにインキュベートし、次にウサギの
補体とインキュベートすると、新たに単離した細胞と、短時間の初代培養で増殖
させた細胞の両方に適用した時、マクロファージおよび/または小グリア細胞の
数が低下した。精製したヒト抗Galとウサギ補体で処理したブタ胚の培養脳細
胞は、0.8%のマクロファージおよび/または小グリア細胞を含有したが、ヒ
トCD4 T細胞の増殖を誘導せず、培地とウサギ補体で対照処理をした脳細胞
は、3.4%のマクロファージおよび/または小グリア細胞を含有し、ヒトCD
4 Tリンパ球で有意な増殖応答を誘導した。
【0010】 (発明の詳細な説明) 本発明の1つの目的は、移植材料であり、 (a)ブタの胚または胎児神経組織の分離、 (b)工程(a)の調製物を、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対す
る抗体と補体試薬とに暴露させることによる、マクロファージおよび/または小
グリア細胞の除去、により作成されることを特徴とする。
【0011】 組織の分離は、部分的でも完全でもよい。部分的分離は、細胞凝集物を含む懸
濁物への組織の分離を意味する。完全な分離は、単一細胞懸濁物への組織の分離
を意味する。部分的または完全な分離は、1つ以上の酵素(プロテアーゼおよび
/またはデオキシリボヌクレアーゼ)を使用して行うことが好ましい。そのよう
な酵素のいくつかの例は、バーカー(Barker)ら(1995)が記載しており、
例えばワーシントンバイオケミカルコーポレーション(Worthington Biochemica
l Corporation)からのウシトリプシンがある。別の適当な酵素は、シグマ(Sig
ma)のブタトリプシンIX型である。分離した組織を洗浄するための培地のいくつ
かの例は、ワッツ(Watts)ら(1998)が記載しており、例えばダルベッコ
ー改変イーグル培地(DMEM)がある。リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)も
使用することができる。補体試薬は、ウサギ血清またはウサギ血清から精製した
補体が好ましい。
【0012】 本発明の抗体の例は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。
抗体は、任意の種由来でよいが、好ましくはヒト由来である。モノクローナル抗
体という用語は、当該分野で認識されている用語である。本発明のモノクローナ
ル抗体は、コーラー(Kohler)ら、1975に記載されたような一般的方法によ
り調製することができる。ポリクローナル抗体は、例えば動物またはヒト血清か
ら精製される。また、コンピューターシミュレーションによりエピトープに結合
する新しい分子を作成できる可能性もある。コンピューターシミュレーション法
は、当業者に公知であり、例えばEP0660210A2に記載されている。
【0013】 本発明の抗体は、Galα1−3Galβ1−R末端エピトープに結合する。
そのようなエピトープの例は、Galα1−3Galβ1−4GlcNac−R
エピトープである。Galα1−3Galβ1−R抗原とその単離は、Subcellu
lar Biochemistry, Vol. 32: alpha-Gal and Anti-Gal、ガリリ(Galili)とア
ビラ(Avila)編、クルワーアカデミック/プレヌムパブリシャーズ(Kluwer Ac
ademic/Plenum Publishers)、ニューヨーク、1999;リウ(Liu)ら(19
97);およびホールバーグ(Hallberg)ら(1998)に記載されている。
【0014】 本発明の別の目的は、神経組織を移植する時に有用な、医薬調製物を調製する
ための上記移植材料の使用である。 本発明の別の目的は、その免疫原性を低下させるためのブタ組織の処理に使用
するためのキットであり、組織分離のために1つ以上の酵素、Galα1−3G
alβ1−Rエピトープに対する抗体の調製物、および補体試薬を含むことを特
徴とする。
【0015】 抗体は、ポリクローナル抗体であることが好ましい。抗体はヒト起源であるこ
とが特に好ましい。抗体はまた、マクロファージおよび/または小グリア細胞に
結合することが好ましい。酵素と補体試薬の例は上記した。
【0016】 本発明の別の目的は、ブタの胚または胎児神経組織からのマクロファージおよ
び/または小グリア細胞の除去方法であり、 (a)神経組織を分離し、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対する抗
体で処理する、 (b)工程(a)の調製物を、担体に結合した抗体に暴露するかまたはフロー選
別により、工程(a)の調製物からマクロファージおよび/または小グリア細胞
を枯渇させる、または (c)工程(a)の調製物を補体試薬で処理して、工程(a)の調製物からマク
ロファージおよび/または小グリア細胞を枯渇させる、ことを特徴とする。
【0017】 ブタの胚または胎児神経組織は、1つ以上の酵素(例えば、プロテアーゼおよ
び/またはデオキシリボヌクレアーゼ)を使用して分離することが好ましい、ま
た抗体は、ヒト起源の抗体のようなポリクローナル抗体であることが好ましい。
また補体は、ウサギ血清またはウサギ血清から精製した補体が好ましい。適当な
担体の例は、常磁性ビーズまたはプラスチック表面である。
【0018】 小細胞塊中のマクロファージおよび/または小グリア細胞でさえ、この機序に
より除去することができるため、ドナー材料を分離し、抗体性および補体性溶解
を使用することが好ましい。
【0019】 またドナー材料を単一細胞懸濁物に変換し、マクロファージおよび/または小
グリア細胞を物理的に除去(例えばパニング、常磁性ビーズ、またはフロー選別
、ただしこれは使用可能な神経細胞の量を減少させることがある)することも可
能である。Current Protocols in Immunology、コリガン(Coligan, J.E.)ら編
、1993、1〜3巻、ジョンワイリーアンドサンズインク(John Wiley and S
ons Inc.)を参照されたい。
【0020】 本発明の別の目的は、神経障害の治療方法であり、 (a)ブタの胚または胎児神経組織を分離し、 (b)分離した組織を、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対する抗体
と補体試薬で処理して、マクロファージおよび/または小グリア細胞を除去し、 (c)分離した抗体処理および補体処理組織を、ヒトの体に移植する、ことを特
徴とする。
【0021】 好ましくは、障害は、パーキンソン病、ハンティントン病、多発性硬化症、て
んかん、卒中、疼痛、および脊髄損傷よりなる群から選択される。
【0022】 ブタの脳組織から調製される懸濁物全体を移植する代わりに、本発明者らは、
分離した組織を抗Galと補体で前処理することを提唱し、その効果を図12に
示す。抗Galと補体による前処理がヒトにおいてブタの神経移植片の生存を増
強させるなら、臨床的神経異種移植前にドナー組織の免疫原性を低下させる簡便
で安価な方法となるかも知れない。
【0023】 神経異種移植後、移植片の直接的および間接的認識が起きるが、これらの2つ
の機序の相対的強度は、ブタ体ヒト異種移植片状況では不明である(ギル(Gill
)とウルフ(Wolf)、1995;アウチンクロス(Auchincloss)とサックス(S
achs)、1998)。本発明者らは、直接的認識に注目したが、抗Galと補体
による前処理はまた、間接的認識を低下させるかも知れない(ブレビグ(Brevig
)ら、印刷中)。間接的認識の効果は、細胞すなわちα−ガラクトシルエピトー
プを有するタンパク質の除去により説明され、これは、宿主の抗原提示細胞によ
るエンドサイトーシス、プロセシングおよび提示のために、宿主抗Galにより
オプソニン化することができる。ニューロンは、間接的経路を介してT細胞によ
り認識されるため、ブタ神経異種移植片は、完全に非免疫原性にすることができ
ない。
【0024】 いくつかの非限定例を参照して本発明を説明する。
【0025】 本明細書において以下の用語は記載の意味を有する: α−ガラクトシルエピトープは、Galα1−3Galβ1−R(ここで、R
は分子の残りの部分である)を意味し、抗Galは、Galα1−3Galβ1
−R(ここで、Rは分子の残りの部分である)に対する抗体を意味し、 BSAは、ウシ血清アルブミンを意味し、 DMEMは、ダルベッコー改変イーグル培地を意味し、 EDTAは、エチレンジアミン四酢酸を意味し、 FCSは、胎児牛血清を意味し、 FITCは、フルオレセインイソチオシアネートを意味し、 FBSは、胎児牛血清を意味し、 Galは、D−ガラクトースを意味し、 GlcNAcは、D−N−アセチルグルコサミンを意味し、 Igは、免疫グロブリンを意味し、 mAbは、モノクローナル抗体を意味し、 PBSは、リン酸緩衝化生理食塩水を意味し、 PMSFは、フェニルメタンスルホニルフルオリドを意味し、 PLMECは、ブタ肝臓微小血管内皮細胞を意味し、 RPEは、R−フィコエリトリンを意味し、 TBSは、トリス緩衝化食塩水を意味し、 THは、チロシンヒドロキシラーゼを意味し、 TNFは、腫瘍壊死因子を意味し、 VCAMは、血管細胞接着分子を意味し、 VMは、腹側中脳を意味する。
【0026】 本明細書のすべての技術的および科学的用語は、特に明記しない場合は、当業
者により理解されるものと同じ意味を有する。「含む」という表現は、含むが限
定されないことを意味する。本明細書で使用される技術は、特に明記しない場合
は当業者に公知のものである。本明細書に記載の刊行物は、参照することにより
本明細書に組み込まれる。
【0027】 材料と方法
【0028】例1と2について(例4〜7についても参照されたい) ブタの胎児脳細胞。28、35、42、および56日齢のブタ胎児の脳全体ま
たは腹側中脳から、脳細胞を単離した(表1)。6〜15の胎児の各12リット
ルから単離した脳を、ゲイの緩衝塩溶液(ライフテクノロジーズ(Life Technol
ogies)、スコットランド)にプールし、髄膜を注意深く除去した。脳を小片に
切り、20%熱不活性化(56℃、30分)ウマ血清(ライフテクノロジーズ(
Life Technologies))を有する脳細胞培地(L−グルタミン、アミノ酸、ビタ
ミン(すべて、ライフテクノロジーズ(Life Technologies))、ペニシリン、
ヘキサマイシン、および重炭酸ナトリウムを補足したアール塩(Earle's Salts
)を有するイーグル最小基本培地)に移し、炎で磨いたピペットで粉砕し、最後
に80μm孔を有するニテックス(Nitex)フィルターでろ過した。ろ液を、2
0%ウマ血清を有する脳細胞培地で希釈して、28、35、42、および56日
齢の脳についてそれぞれ10、20、30、または50mlの総量を得た。
【0029】 脳細胞を、単離直後または初代培養で12〜14日後、分析した。上記のよう
に調製した5.0mlの細胞懸濁物を、ポリ−D−リジン(シグマ(Sigma)、ア
メリカ合衆国)被覆培養フラスコ(50mlフラスコ;ヌンク(Nunc)、デンマー
ク)に加え、次に空気中5%CO2 の加湿雰囲気中で37℃でインキュベートし
た。2日間後、細胞が付着したら、培地を20%ウマ血清を有する脳細胞培地に
交換し、次に週に2回、10%ウマ血清を有する脳細胞培地に交換した。
【0030】 プラスチックピペットで培養フラスコの底を静かになでて、培養した脳細胞を
離し(すべての細胞が離れたことを確認するために顕微鏡で培養フラスコをチェ
ックした)、V底試験管に(1つのフラスコの内容物を1つの試験管に)移し、
遠心分離(100g、10分)した。上清を捨て、各試験管に500μlまたは
500μlのリンパ球培地を加え、内径0.5mmの針を有するシリンジを使用し
て細胞を再懸濁した。試験管を室温で15分間放置して、細胞塊を沈殿させ、懸
濁物中の単一の細胞を有する上清を採取し、以後の分析に使用した。
【0031】 染色試薬。脳細胞の免疫蛍光のために、以下の1次抗体と抗体−蛍光色素結合
体を使用した:マウス抗MHCI IgG2a(免疫原:ブタ胸腺;1:10、ク
ローンPT85A;獣医学研究開発(Veterinary Medical Research and Develo
pment)(VMRD)、アメリカ合衆国)、マウス抗MHCII IgG2a(免疫
原:ブタと他の種からの胸腺;1:10、クローンTH16B;VMRD)、マ
ウス抗ブタCD4 IgG2a(1:1;クローンPT90A;VMRD)、マウ
ス抗ブタCD44 IgG2a(1:1;クローンPORC24A;VMRD)、
マウス抗ヒトCD18 IgG1 FITC(1:1;クローンMHM23;ダコ
(DAKO)、デンマーク)、マウス抗ヒトCD56 IgG1 RPE(1:1;ク
ローンMY31;BD)、またはポリクローナルウサギ抗ウシGFAP(1:1
0;ダコ(DAKO))。ヤギ抗マウス免疫グロブリンF(ab')2 RPE(1:10
;ダコ(DAKO))を、MHC抗体とCD4およびCD44に対する抗体の2次試
薬として使用した。ブタ抗ウサギ免疫グロブリンFITC(1:10;ダコ(DA
KO))を、GFAP抗体の2次抗体として使用した。種の一致したおよびイソタ
イプの一致した無関係の抗体(マウスIgG2a陰性対照(1:1;ダコ(DAKO)
)またはマウスIgG1 陰性対照FITC/RPE/Cy5(1:1;ダコ(DA
KO))または2次抗体のみに暴露した試料を陰性対照として使用した。製造業者
によると、ブタ以外の他の種からの抗原に対する1次抗体は、対応するブタ抗原
と強く交差反応した。記載したものより高濃度の抗体が、より強い染色を与える
ことはなかった。食作用を証明するための染色試薬を以下に示す。
【0032】 染色法。染色前に、同じ脳から得られた培養物からの脳細胞をプールして、培
養物間の変動の可能性を排除した。1.0×106 の新たに単離したまたは培養
した脳細胞を含有する100μl容量の細胞懸濁物を、ファルコン試験管(BD
)に移し、10μlの抗体を入れた。暗所で室温で30分後、細胞をPBSで2
回洗浄(250g、5分)し、間接的免疫染色のために100μlのPBSに再
懸濁したか、または直接免疫染色のために500μlのPBSに再懸濁した。間
接的染色のための試料には、10μlの2次抗体を加え、インキュベートし、前
述のように洗浄し、500μlのPBSに再懸濁した。GFAPで染色する前に
、細胞を2.0mlのFACS溶解溶液(BD)中で10分間インキュベートし、
次に0.5mlのFACS透過性化溶液(BD)中で10分間インキュベートして
、細胞を固定し透過性にした。
【0033】 食作用の測定のために、脳細胞培養物の培地に、0.5mgのフルオレセイン標
識大腸菌バイオパーティクル(BioParticles)(モレキュラープローブズ(Mole
cular Probes)、アメリカ合衆国)を加えた。37℃で30分間インキュベート
後、細胞をPBSで2回洗浄し、はがし、分離させ、フローサイトメトリー、蛍
光顕微鏡、または共焦点レーザー顕微鏡により分析した。大腸菌バイオパーティ
クルを与える前に、共焦点レーザー顕微鏡で分析すべき培養物に、20μlの過
塩素酸1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカ
ルボシアニン(DiI:モレキュラープローブズ(Molecular Probes))ストッ
ク溶液(1.0mg DiI/ml 99%エタノール)を加え、37℃で2時間イ
ンキュベートし、10%ウマ血清を有する脳細胞培地で2回洗浄した。
【0034】 フローサイトメトリー。上記したように脳細胞を染色し、FACScanフロ
ーサイトメーター(BD)上の各試料から1.0×104 のアンゲーテッドイベ
ントを得た。亜細胞破片を排除するために、前進スキャター閾値を設定した。装
置の設定は、すべての捕捉(acquisition)で同じであるが、固定細胞では前進
スキャター閾値を下げた。
【0035】 共焦点レーザー走査顕微鏡。懸濁した脳細胞の液的を、顕微鏡スライド上にの
せ、通常の蛍光顕微鏡用のカバーガラスをかぶせた。次に試料の適当な部分を、
ライカ(Leica)TCS4DDMR共焦点レーザー走査顕微鏡(ライカ(Leica)
、ドイツ)で2チャネルモードで励起波長488と568nmを使用して、フルオ
レセインとローダミン光学フィルターセットの付いた検出器と、線形AD変換を
使用して、走査した。
【0036】 フロー選別。星状細胞とマクロファージ/小グリア細胞を分離するために、上
記のように調製した培養脳細胞の単一細胞懸濁物を、ヘリウム−ネオンレーザー
(488nm)、FL1/FL2ビームスプリッター(560nm)、およびFL1
(530±15nm)とFL2(575±13nm)フィルターの付いたFACSV
antageセルソーター(BD)で、2〜3×103 細胞/sで選別した。2
%FCSを有する5.0mlのPBS中の6×107 脳細胞に、200μlのマウ
ス抗CD56 IgG1 RPEを加え、4℃で30分間インキュベートし、2%
FCS含有セルウォッシュ(CellWash)で2回洗浄(250g、5分間)し、グ
リーン−蛍光/オレンジ−蛍光プロットで長方形ゲートを設定して選別し、CD
56陽性細胞(星状細胞)を1つの試験管に入れ、自己蛍光性CD56陰性細胞
(マクロファージ/小グリア細胞)を別の試験管に選別した。試料液は、2%F
CSを有するPBSである。シート液としてFACSFlow(BD)を使用し
た。前進スキャター閾値を設定して、亜細胞破片を除去した。
【0037】 細胞選別集団の純度を、さらに細胞の染色をすることなくフローサイトメトリ
ーにより測定した。マクロファージ/小グリア細胞の生存活性を、ヨウ化プロピ
ジウムで染色後にフローサイトメトリーで測定した。星状細胞の生存活性は、0
.4%トリパンブルー(シグマ(Sigma))と細胞懸濁物のアリコートを混合し
た10分後に、青い細胞と細胞の総数を計測して決定した。
【0038】 混合リンパ球−脳細胞培養。3名の健常血液ドナー(H−3970、H−39
77、およびH−8053)からの単核血液細胞(リンパ球と単球)を、浮上法
によりバッフィーコートから単離し、既に記載されている(ブレビグ(Brevig)
ら、1997)ように低温保存した。使用前に、水浴(37℃)中で細胞を融解
し、RPMI(ライフテクノロジーズ(Life Technologies))で3回洗浄(5
00g、10分)し、リンパ球培地(ヘペスを有する90%RPMI1640、
10%熱不活性化FCS、100IU/ml ペニシリン、100μg/mlストレプトマ
イシン、および2.0mM L−グルタミン;すべてライフテクノロジーズ(Life
Technologies))に、37℃で空気中5%CO2 の加湿雰囲気中で24時間放
置した。2.0×105 のヒト単核血液細胞(応答物質)を含有する100μl
容量のリンパ球培地を、U底マイクロタイタープレート(ヌンク(Nunc))のウ
ェルに入れた。未分離の脳細胞、選別した脳細胞、および同種の単核血液細胞(
刺激物質)にγ線照射(50Gy)を行い、100μlのリンパ球培地中の2.
0×104 細胞を、応答物質を有するウェルに加えた(組合せあたり3〜5個の
ウェル)。応答物質とリンパ球培地を入れたが刺激物質の無いウェルを、陰性対
照として使用した(組合せあたり5〜12ウェル)。各ウェルに、細胞採取の2
4時間前に、1.0μCi[ 3H]−チミジン(アマシャム(Amersham)、英国
)を加えた。37℃で空気中5%CO2 の加湿雰囲気中で4日間インキュベート
後、細胞採取システム(スカトロン(Skatron)、ノルウェー)で細胞を採取し
、βカウンターで計測した(2000CA トリ−カーボ(Tri-Carb);パッカ
ード(Packard)、アメリカ合衆国)。
【0039】 統計解析。増殖データを、一元配置分散分析(ANOVA)と片側の対になっ
ていないt検定により分析した。
【0040】例3について(例4〜7も参照されたい) 細胞培養。不死化ヒト臍帯静脈内皮細胞株ECV304(ATCC;CRL−
1998)をDMEM/FBSで培養した。ブタ肝臓微小血管内皮細胞(PLM
ECs)を、地方の屠殺場から得られた新鮮なブタの肝臓から単離した。試料を
、0.05%(w/v)コラゲナーゼ(カタログ番号1088793;ベーリンガ
ーマンハイム(Boehringer Mannheim)、ドイツ)とウシの膵臓からの0.00
2%(w/v)DNaseIタイプII(カタログ番号D−4527;シグマ(Sigma
)、アメリカ合衆国)を含有する培地中で小片に砕き、次に37℃で30〜45
分消化した。細胞懸濁物をろ過して非分離組織を除去し、PBSで3回洗浄し、
下記の培地を使用して0.2%ゼラチン被覆25cm2 フラスコ(ファルコン(Fa
lcon)、アメリカ合衆国)中で1週間培養した。拡張した細胞を、100U/mlの
ヒト組換えTNF−α(ジェンザイム(Genzyme)、アメリカ合衆国)で18時
間活性化し、ロックンローラー上で室温で1時間、50μg(1 mg/ml)抗ブタ
VCAM抗体(クローン5D11;アレキシオンファーマシューチカルズ(Alex
ion Pharmaceuticals)、アメリカ合衆国)でインキュベートし、PBSで1回
洗浄し、100μlの常磁性ヤギ抗マウスダイナビーズ(ダイナル(Dynal)、
ノルウェー)で4℃で45分間インキュベートし、次に磁石上で免疫磁性選択を
行った。陽性に選択された細胞を、PBSで3回洗浄し、ゼラチン被覆6ウェル
組織培養プレート(ファルコン(Falcon))で、10%FBS(ギブコ(Gibco
)、アメリカ合衆国)、ペニシリン(100IU/ml ;シグマ(Sigma))および
ストレプトマイシン(100μg/ml ;シグマ(Sigma))および1ml/100ml
培地の内皮細胞増殖因子(カタログ番号E−9640;シグマ(Sigma))を含
有するDMEM中で培養した。培養の2日目に、PBSでビーズを洗い流した。
継代する前に細胞をコンフルエンスまで増殖させた。内皮細胞を、形態、および
抗Eセレクチン(クローンBBIG−E4;カタログ番号BBA16;R&Dシ
ステム(R & D systems)、英国)と抗ブタVCAM抗体を使用してフローサイ
トメトリー表現型測定により解析した。95%を越える細胞が内皮細胞であった
【0041】 ブタ胚の腹側中脳細胞の単離。ピガム(Pigham)株(スイーデッシュランドレ
ース(Swedish Landrace)とヨークシャーソウ(Yorkshire sows)およびハンプ
シャーボア(Hampshire boars)の交配により得られた;ニホルムス飼育農場(N
yholms Breeding Farm)、スエーデン)のE26〜27のブタの胚から、腹側中
脳(VM)領域を得た。地方および国の動物倫理規則に従って、ブタを飼育し安
楽死させた。得られたVM細胞は、約10〜15%のドパミン作用性細胞を含有
し、残りは他のニューロン、グリア、および内皮細胞であった。組織を、0.3
μMのラザロイド(lazaroid)U−83836E(アプジョンインク(Upjohn I
nc.)、アメリカ合衆国)を有するハンクス塩溶液中で検出した(ナカオ(Nakao
)ら、1994)。VM組織試料(約2×2×1mm)を4〜6個の小片に切断し
、これらを低温保存培地(グラスボン−フロダル(Grasbon-Frodl)ら、199
6)中に移し、同日または翌日の分析のためにフジンゲ(Huddinge)病院に輸送
した。次にピペットに数回通過させて細胞懸濁物中に組織を粉砕した。出荷の前
にかつインビトロ分析の前に、臭化エチジウムを使用して生存活性をチェックし
た。
【0042】 フローサイトメトリックアッセイ。50μlのPBS中の5×105 VM細胞
を、50μlのヒトAB血清、抗GalAB枯渇AB血清、またはRPMI16
40培地と、22℃で1時間インキュベートした。細胞を、0.1%アジ化ナト
リウム含有PBSで3回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgGまたはIgM抗体の10μ
lの1:4希釈FITC結合F(ab')2断片(それぞれ109−096−098お
よび109−096−129;ジャクソンイムノリサーチラボズ(Jackson Immu
noResearch Labs)、アメリカ合衆国)を加え、試料を氷上で暗所で25分間イ
ンキュベートした。細胞を洗浄し、次にフローサイトメトリーで分析した。VM
細胞またはPLMECをビオチン化バンデレイア・シンプリシフォリア(Bander
eia Simplicifolia)イソレクチンB4(4μg/ml;カタログ番号L−2140
;シグマ(Sigma))とともにインキュベートし、次に1%BSA/PBSで1
:2000希釈したFITC結合アビジン(カタログ番号55880;オルガノ
ンテクニカ(Organon Teknika)、アメリカ合衆国)で検出して、α−ガラクト
シルエピトープ発現を推定した。あるいは50μlのPBS、50μlのヒトA
B血清、抗Gal抗体枯渇AB血清、またはRPMI1640培地中5×105
VM細胞を含有する試験管に、200μlのウサギ血清(カタログ番号4396
65,バイオテストエージー(Biotest AG)、ドイツ)を加え、再度インキュベ
ートした(今度は1時間)。5μlのヨウ化プロピオジウム(PI;PBS中3
.2mM)を加えた直後に、488nmで励起するアルゴンレーザー(ヤコブズ(Ja
cobs)ら、1983)を備えたフローサイトメーター(FACScan;ベクト
ンディッキンソン(Becton Dickinson)、アメリカ合衆国)で試料を分析して、
死滅細胞を検出した。対数増幅でデータを集め、蛍光強度を任意の線形単位で示
した。10,000細胞からの蛍光シグナルを取った。
【0043】 抗チロシンヒドロキシラーゼ、抗単球/マクロファージ抗体、またはイソレク
チンバンデレイア・シンプリシフォリア(Bandereia Simplicifolia)IB4に
よる、ブタの胚VM組織の染色。E26/E27胚からの頭部全体を切断して、
冷0.1Mリン酸緩衝化4%パラホルムアルデヒド(pH7.4)中に一晩浸漬
固定し、次に20%ショ糖−PBS溶液中で少なくとも24時間インキュベート
した。試料を凍結し、スライド式ミクロトームで4シリーズの40μm厚の冠状
切片を切った。浮動性の切片を染色した。
【0044】 チロシンヒドロキシラーゼと小グリア細胞免疫染色のために、標準的免疫組織
学的方法を使用した(デュアン(Duan)ら、1995)。3%過酸化水素/10
%メタノール溶液で、次に5%ブタ血清中で1hインキュベートして、内因性ペ
ルオキシダーゼ活性を除去した。ウサギ抗TH(1:500;ペルフリーズ(Pe
l-Freez)、アメリカ合衆国)中、または0.3%トリトンX−100を有する
PBS(pH7.2〜7.4)(PBS−X)で希釈したマウス抗ヒト単球/マ
クロファージ(1:500;クローンMAC387;IgG1 ;セロテック(Se
rotec)、英国)モノクローナル抗体で、切片を室温で一晩インキュベートした
。後者の抗体は小グリア細胞に結合し、ブタ抗原(セロテック(Serotec))と
交差反応する。翌日、切片をPBS−Xで3回洗浄し、それぞれビオチン化ブタ
抗ウサギ抗体(1:200;ダコ(DAKO)、デンマーク)と、またはポリクロー
ナルビオチン化抗マウスIgG抗体(1:200;クローンBA−2001;ベ
クターラボズ(Vector Labs)、アメリカ合衆国)と1時間インキュベートした
。PBS−Xで洗浄後、ベクタスタチン(Vectastatin)(登録商標)標準ペル
オキシダーゼABCキットを使用した(ベクターラボズ(Vector Labs))。1
時間後、切片をPBS−Xで3回洗浄し、DAB(3,3’−ジアミノベンジジ
ン)キット(ベクターラボズ(Vector Labs))を使用して視覚化した。切片を
ゼラチンスライド上にのせ、標準的アルコール/キシレン試薬を使用して脱水し
、DePeX(ビーディーエィチラボズ(BDH Labs)、英国)でカバーガラスを
のせた。
【0045】 イソレクチンバンデレイア・シンプリシフォリア(Bandereia Simplicifolia
)IB4で染色するために、切片を3%過酸化水素/10%メタノール溶液で処
理して、内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックし、次に1%BSAブロッキン
グ溶液で1時間インキュベートした。0.2mM CaCl2 を含有するPBS(
pH=6.8)(PBS−Ca)で希釈したビオチン化BS−IB4(L−21
40;シグマ(Sigma))の4μg/ml溶液を用いて、切片を一晩(4℃)インキ
ュベートした。翌日、切片をPBS−Caで3回洗浄し、次にベクタスタチン(
Vectastatin)(登録商標)標準的ペルオキシダーゼABCキットに含有される
AB溶液で室温でインキュベートした。PBS−Caで洗浄後、切片をベクター
(Vector)(登録商標)Dabキット(ベクターラボズ(Vector Labs))を使
用して調製したDAB溶液と反応させた。切片をゼラチンスライド上にのせ、標
準的アルコール/キシレン試薬を使用して脱水し、DePeX(ビーディーエィ
チラボズ(BDH Labs)、英国)でカバーガラスをのせた。
【0046】 内皮細胞およびVM細胞膜の単離。細胞を、1mM PMSF含有PBSで1回
洗浄し、使用するまで−70℃で凍結して維持した。凍結−融解を6回繰り返し
た後、細胞を氷上でPBS/1mM PMSF中でダウンス(Dounce)ホモジナイ
ザーを使用してホモジナイズした(約10ストローク)。3,000gで15分
間遠心分離して核をペレットにし、上清を集め、ペレットを同じ緩衝液に再懸濁
し、再度遠心分離した。これを繰り返し、プールした上清を、100,000g
で1時間10分Ti75ロータ中で超遠心分離し、ペレットをPBS/1mM P
MSFに再懸濁し、等量のPBS溶液中の35%(w/v)ショ糖の上に重層した
。SW40ロータでブレーキを使用せず100,000gで1時間遠心分離した
後、濁った界面として膜を採取し、再度40,000gで1時間遠心分離してペ
レットにした。VMと内皮細胞膜タンパク質を、100mM NaCl、10mM
EDTA、および1%イゲパル(Igepal)CA−630(I−3021;シグマ
(Sigma))(1mM PMSF(P−7626;シグマ(Sigma))、1μg/mlペ
プスタチンA(P−4265;シグマ(Sigma))および1μg/mlロイペプチン
(L−2023;シグマ(Sigma))を含有する)を有する10mMトリス−塩酸
(pH7.5)で可溶化した。等量の可溶化細胞膜タンパク質と2×濃縮(redu
cing)試料緩衝液とを混合し、ゲルに適用した。
【0047】 SDS−PAGEとウェスタンブロッティング。5%スタッキングゲルと8%
分解ゲルを用いるリームリ(Laemmli)の方法(リームリ(Laemmli)ら、197
0)により、垂直ミニ−プロテアンII(Mini-PROTEAN II)電気泳動システム(
バイオラッド(Bio-Rad)、アメリカ合衆国)を使用して、SDS−PAGEを
行った。分離したタンパク質を、ミニトランス−ブロット(Mini Trans-Blot)
電気泳動移動セル(バイオラッド(Bio-Rad))を使用して、電気泳動でハイボ
ンド(Hybond)(登録商標)−Cエキストラ膜(アマシャム(Amersham)、英国
)にブロットした。製造業者(バイオラッド(Bio-Rad))の説明書に従って銀
染色キットを使用して、タンパク質ゲルを染色した。PBS中3%BSAで少な
くとも2時間ブロッキングした後、0.2mM CaCl2 を含有するPBSで1
μg/mlに希釈したペルオキシダーゼ結合バンデレイア・シンプリシフォリア(Ba
ndereia Simplicifolia)イソレクチンIB4(L−5391;シグマ(Sigma)
)で、室温で2時間プローブ結合させた。膜をPBS(pH6.8)で5回洗浄
し、結合したイソレクチンを、ECL(登録商標)キット(アマシャム(Amersh
am))を使用して、化学発光により視覚化した。膜をヒト血清とプローブ結合さ
せると、これらは、0.05%ツイーン20を有するトリス緩衝化食塩水(TT
BS)中3%のBSAで一晩ブロッキングされ、非希釈AB血清または抗Cal
抗体枯渇AB血清と室温で1時間インキュベートし、TTBSで5回洗浄し、ヤ
ギ抗ヒトIgGorIgM抗体(それぞれカタログ番号109−036−098お
よび109−036−129;ジャクソンイムノリサーチラボズ(Jackson Immu
noResearch Labs))のペルオキシダーゼ結合F(ab')2断片で、室温で1時間イ
ンキュベートした。TTBSで洗浄後、抗体結合成分をECL(登録商標)キッ
ト(アマシャム(Amersham))を使用して、検出した。
【0048】例4〜7について。特に明記しない場合は、例1〜3についても参照されたい ブタ胚の脳細胞の単離と初代培養。0.3μMのラザロイド(lazaroid)U−
83836E(アプジョンインク(Upjohn Inc.)、アメリカ合衆国)を有する
ハンクス塩溶液中でピガム(Pigham)株の27日齢のブタ胚から、脳を切り出し
た。既に記載されている(ブレビグ(Brevig)ら、1997)ように脳切片を単
離し、初代培養で増殖させた。簡単に説明すると、髄膜を除去し、各同腹子から
の脳をプールし小片に切り、これを、脳細胞培地(熱不活性化(56℃、30分
)FCS(胎児牛血清)、L−グルタミン、アミノ酸、ビタミン、ペニシリン、
ストレプトマイシン、および重炭酸ナトリウム(すべてライフテクノロジーズイ
ンク(Life Technologies Inc.)、アメリカ合衆国)を補足したアール塩(Earl
e's Salts)を有するイーグル最小基本培地)に移した。組織片を、炎で磨いた
ピペットで粉砕し、得られた細胞懸濁物を、80μm孔ナイロンメッシュ(スト
レノ(Streno)、デンマーク)でろ過した後、20%FCS(脳あたり10ml)
を有する脳細胞培地で希釈した。5.0mlの細胞懸濁物のアリコートを、ポリ−
D−リジン(シグマ(Sigma)、アメリカ合衆国)被覆培養50ml培養フラスコ
(ヌンク(Nunc)、デンマーク)に加え、次に空気中5%CO2 の加湿雰囲気中
で37℃でインキュベートした。3日後および再度6日後と9日後に、10%F
CSを有する脳細胞培地に培地を交換した。10〜12日後、プラスチックピペ
ットで培養フラスコの底を静かになでて、培養した脳細胞を離し、10mlの試験
管に(1つのフラスコの内容物を1つの試験管に)移し、遠心分離(100g、
10分)した。上清を捨て、内径0.5mmの針を有するシリンジを使用して、2
%FCSを有する500μlのPBSにペレット中の細胞を再懸濁した。試験管
を室温で15分間放置して、細胞塊を沈殿させ、懸濁物中の単一の細胞を有する
上清をプールし、以後の分析に使用した。
【0049】 ブタ胚の脳細胞のバンデレイア・シンプリシフォリア(Bandereia Simplicifo
lia)イソレクチン染色。懸濁し接着し培養したブタ胚の脳細胞を、バンデレイ
ア・シンプリシフォリア(Bandereia Simplicifolia)イソレクチンB4(BS
−IB4)で染色して、それぞれフローサイトメトリーと光学顕微鏡でα−ガラ
クトシルエピトープの発現を測定した。100μlのPBS中5.0×105
脳細胞の懸濁液を、3.0μgのFITC結合BS−IB4(シグマ(Sigma)
)有りまたは無しで、4℃で30分間インキュベートし、PBS(250g、5
分)で2回洗浄し、後述するようにフローサイトメトリーで分析した。培養皿に
接着した脳細胞を、PBS中4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、トリ
ス緩衝化食塩水(TBS)中1%のトリトンX−100(シグマ(Sigma))で
透過性にし、ビオチン化BS−IB4(100μg/mlTBS;シグマ(Sigma)
)で60分間インキュベートし、ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(T
BS中1:200;ダコ(DAKO)、デンマーク)で60分間インキュベートし、
最後にTBS中0.05%の3,3’−ジアミノベンジジン(DAB;シグマ(
Sigma))で15分間インキュベートして染色した。インキュベート(これはす
べて20℃)とインキュベートの間、細胞をTBSで完全に洗浄した。DABで
インキュベート後、細胞をTBSと蒸留水で洗浄し、アクアマウント(Aquamoun
t)(BDHラボラトリーサプライズ(BDH Laboratory Supplies)、英国)で被
覆し、倒立光学顕微鏡で観察した。
【0050】 ヒト血清とウサギ補体によるブタ胚の脳細胞の処理。新たに単離したブタ胚の
脳細胞を、3つのアリコート懸濁物(2.0mlのPBS中3.0×106 細胞)
に分け、その中の1つをヒト血清とウサギ補体で処理した。細胞に、8.0mlの
熱不活性化ヒト血清(血液型ABのドナーからプールした)を加え、4℃で60
分間インキュベートし、PBSで洗浄し(400g、5分)、5.0mlのLow
−Tox−Mウサギ補体(1つのバイアルの凍結乾燥した内容物を10mlのPB
Sで復元した;セダーレーンラボラトリーズ社(Cedarlane Laboratories Ltd.
)、カナダ)に再懸濁し、37℃で60分間インキュベートし、最後にPBSで
洗浄した(400g、5分)。3つの細胞懸濁物を、上記したように別々の培養
フラスコで10日間培養し、培養前に処理しなかった1つの培養フラスコの細胞
に、ヒト血清とウサギ補体で同じ処理を行った。すべての3つの培養物からの細
胞を、あらかじめ染色することなくフローサイトメトリーで分析して、自己蛍光
性マクロファージ/小グリア細胞の含量を測定した。
【0051】 ヒトCD4リンパ球の単離。2人の健常血液ドナーからの単核細胞(リンパ球
と単球)を、既に記載されている(ブレビグ(Brevig)ら、1997)ようにバ
ッファイーコートから単離し、氷上で数分間冷却し、洗浄した常磁性ダイナビ−
ズM−450 CD4(ダイナル(Dynal)、ノルウェー)と、ビーズ対細胞比0
.6で混合した。試験管を、転倒させながら4℃で40分間インキュベートし、
磁性粒子濃縮器(MPC;ダイナル(Dynal))中に3分間放置した。上清を捨
て、ビーズ上の陽性に単離した細胞を、2%FCS含有PBS中で5回洗浄し、
デタチャビーズ(Detachabead)CD4/CD8試薬(1.0μl/2.8×1
5 ビーズ;ダイナル(Dynal))に再懸濁した。試験管を、転倒させながら2
0℃で50分間インキュベートし、2%FCSを含有する5mlのPBSを加え、
MPC中に3分間放置した。上清中の陽性に単離した細胞を新しい試験管に移し
、2%FCSを有するPBS、MPCを有するPBSで1回、および遠心分離5
00g、10分)して1回洗浄した。
【0052】 10μlのマウス抗ヒトCD3/4 FITC/RPE(ベクトンディッキン
ソン(Becton Dickinson)、アメリカ合衆国)を有する100μlのPBS中の
5.0×105 細胞を、4℃で30分間インキュベートして、PBSで2回洗浄
(250g、5分)した後、単離したCD4 Tリンパ球の純度を、フローサイ
トメトリーで分析した。個体AとBから単離した細胞は、それぞれ99.1%と
99.7%の2重陽性細胞を含有した。
【0053】 混合リンパ球−脳細胞培養。上記したように調製したブタ胚の脳細胞懸濁物を
、2%FCSを有する190μlのPBS中の3.0×106 細胞を含有するア
リコートに分け、各アリコートに、1.0mlの以下の試薬を加えた:ヒトIgG
(10mg/ml)、ヒトIgM(2.0mg/ml)、ヒト抗Gal(100μg/ml)、
熱不活性化ヒト血清(血液型ABのドナーからプールした)、またはリンパ球培
地(ヘペス、10%熱不活性化FCS、100IU/ml ペニシリン、100μg/ml
ストレプトマイシン、および2.0mML−グルタミンを有する90%RPMI1
640;すべてライフテクノロジーズ(Life Technologies))。ヒトIgG、
IgM、および抗Galは、使用前にリンパ球培地で希釈した。4℃で60分後
、細胞を冷リンパ球培地で洗浄(400g、5分)し、1.0mlのLow−To
x−Mウサギ補体(1つのバイアルの凍結乾燥した内容物を、10mlのPBSで
復元した)に再懸濁した。37℃で60分間後、細胞を洗浄(400g、5分)
し、リンパ球培地に再懸濁し、計測した。インキュベーションと遠心分離工程中
に約15%の脳細胞が失われた。細胞にγ線照射し(40Gy)、100μlの
リンパ球培地中2.0×104 脳細胞を、丸底96ウェルプレート(ヌンク(Nu
nc))のウェルに入れた。2.0×105 ヒトCD4 Tリンパ球を含有する1
00μl容量のリンパ球培地を、脳細胞を有するウェルに三重で加えた。CD4
T細胞とリンパ球培地を含有するが脳細胞を含有しないウェルを使用して、C
D4 T細胞のバックグランド増殖活性を測定した。各ウェルに、1.0μCi
3H]チミジン(アマシャム(Amersham))を、細胞を集める前に加えた。空
気中5%CO2 の加湿雰囲気中で37℃で3〜7日間インキュベート後、ガラス
繊維フィルター上に細胞を採取し、1450ミクロベータトリルックス(1450 M
icroBeta Trilux)β−カウンター(ワラック(Wallac)、フィンランド)中で
15分間計測した。
【0054】 脳細胞懸濁物を、あらかじめ染色することなくおよびヨウ化プロピオジウム(
1.0μg/mlPBS;シグマ(Sigma))で染色後、フローサイトメトリーで分
析して、マクロファージ/小グリア細胞および生存細胞の相対数を測定した。暗
所で室温で10分間後、ヨウ化プロピオジウムを加えた試料を分析した。
【0055】 フローサイトメトリー。各試料について、FACSortフローサイトメトメー
ター(ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson))で1.0×104 非ゲー
ティッドイベントを取った。前進スキャター閾値は、亜細胞破片を排除するよう
に設定した。
【0056】例8について(例4〜7および例4自身も参照されたい) ブタ胚の脳細胞の単離と初代培養。27日齢のブタの胚から前脳全体を解剖し
、分離し、別に詳述されている(ブレビグ(Brevig)ら、1999)ように、ポ
リ−D−リジン(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、アメリカ合衆国)
被覆培養フラスコ中の、熱不活性化(56℃、30分)胎児牛血清(FCS)、
L−グルタミン、アミノ酸、ビタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン、およ
び重炭酸ナトリウム(すべてライフテクノロジーズ(Life Technologies))を
補足したアール塩(Earle's Salts)を有するイーグル最小基本培地で増殖させ
た。10〜12日間培養(3日ごとに培地を交換)後、脳細胞を切り離し、分離
し、洗浄(100g、10分)し、2%FCSを有するリン酸緩衝化生理食塩水
(PBS、pH7.4)に再懸濁した。
【0057】 ヒト血清からの抗Galの精製。例4のように、しかしブタサイログロブリン
(シグマ(Sigma))を有するビーズ化アガロースを使用して、20人を越える
健常な血液型ABのドナーからプールした血清からのヒト抗Galの精製のみ。
【0058】 ヒトCD4 Tリンパ球の単離。ダイナビ−ズM−450 CD4(ダイナル
(Dynal)、ノルウェー)と対応するデタチャビーズ(Detachabead)試薬(ダイ
ナル(Dynal))を使用して、既に記載されている(ブレビグ(Brevig)ら、1
997)ように、2人の健常血液ドナーのバッファイーコートからヒトCD4
Tリンパ球を単離した。マウス抗ヒトCD3/4 FITC/RPE(ベクトン
ディッキンソン(Becton Dickinson))で染色後、フローサイトメトリーで純度
を分析した。個体AとBから単離した細胞は、それぞれ99.1%と99.7%
の2重陽性細胞を含有した。2.0×105 ヒトCD4 T細胞を含有する10
0μl容量の培地を、脳細胞または培地のみを有するウェルに三重で加えた。各
ウェルに、1.0μCi[ 3H]チミジン(アマシャム(Amersham)、英国)を
、細胞を集める24時間前に加えた。空気中5%CO2 の加湿雰囲気中で37℃
で3〜7日間インキュベート後、ガラス繊維フィルター上に細胞を採取し、14
50ミクロベータトリルックス(1450 MicroBeta Trilux)β−カウンター(ワ
ラック(Wallac)、フィンランド)中で15分間計測した。
【0059】 ドナー組織の単離と前処理。腹側中脳(VM)を、頭殿長19〜21mmの27
日齢のブタの胚から解剖した。16個の胚からの組織片を、0.1%のブタトリ
プシンIX型(カタログ番号T−0134;シグマ(Sigma))と0.05%のウ
シデオキシリボヌクレアーゼI、IV型(カタログ番号D−5024;シグマ(Si
gma))を含有する5.0mlのダルベッコー改変イーグル培地(DMEM、カタ
ログ番号41966−011;ライフテクノロジーズ(Life Technologies)、
スコットランド)にプールし、37℃で20分インキュベートし、DMEMで5
回洗浄し、0.05%デオキシリボヌクレアーゼを含有する1.0mlのDMEM
中で、徐々に口径が小さくなる炎で磨いたガラスピペットで粉砕した。生じた細
胞懸濁物を、2つのアリコートに分け、600μlのDMEM中の300μgの
ヒト抗Gal(500μg/ml)または600μlのDMEMのみ(対照)を加え
た。4℃で60分後、細胞懸濁物を、DMEM(200g、5分)で洗浄し、L
ow−Tox−Mウサギ補体(1つのバイアルの凍結乾燥した内容物を、10ml
で復元した、カタログ番号CL3051;セダーレーン(Cedarlane)、カナダ
)に再懸濁し、37℃で60分間インキュベートした。次に細胞をDMEM(2
00g、5分)で洗浄し、DMEMに再懸濁して1.4×105 細胞/μlの濃
度にした。抗Gal前処理および対照前処理した細胞懸濁物は、それぞれ90%
と92%の生存活性のある細胞(トリパンブルー陰性)を含有した。
【0060】 ここで、上記段落は、本発明のキットの好適な実施態様であることに注意され
たい。
【0061】 移植受容体と片側パーキンソン症の誘導。体重230〜340gの22匹の雄
のルイス(Lewis)ラットを、ヒプノルム(Hypnorm)(クエン酸フェンタニル0
.20mg/kgとフルアニソン6.3mg/kg、腹腔内投与;ヤンセン(Janssen)、
ベルギー)およびドルミクム(Dormicum)(ミダゾラム4.2mg/kg、腹腔内投
与;ホフマン−ラロシュ(Hoffmann-La Roche)、スイス)で麻酔し、両耳線の
下3.9mmに歯棒をセットしたコプフ(Kopf)定位枠に入れた。32mMの6−水
酸化ドパミン塩酸(シグマ(Sigma))と1.0%アスコルビン酸を1.0μl
/分で、前頂と脳硬膜に対して以下の座標で注入して、ドパミン作用性黒質線条
体経路の片側の病変を作成した:後ろへ2.8mm、右へ2.0mm、および腹部へ
8.4mm。手術の完了時に、術後の疼痛を緩和するために、テムゲシック(Temg
esic)(ブプレノルフィヌム(buprenorphinum)0.10mg/kg、筋肉内;レキ
ットアンドコールマン(Reckitt & Colman)、英国)を与えた。6週間後、D−
アンフェタミン硫酸(2.5mg/kg、腹腔内投与;シグマ(Sigma))に応答した
動物の旋回行動を、既に記載されている(ウンゲルステット(Ungerstedt)ら、
1970)ように自動ロータメーターシリンダー中で90分試験し、16匹のラ
ット(すべて病変と同側性のネットで8回/分の回転を有する)を、等回転速度
の2群(n=8)に割り当てた。
【0062】 線条体移植。6−ヒドロキシドパミンの注入7週間後、抗Gal前処理または
対照前処理VM細胞を有する3.0μlDMEMを1.0μg/分で、前頂と脳硬
膜に対して以下の座標で投与した:前へ0.7mm、右へ2.6mm、および腹部へ
4.7mm(両耳線の下2.5mmに歯棒)。上記したように動物を麻酔し、疼痛を
和らげた。移植後3、7および10週間目に、上記したようにD−アンフェタミ
ン硫酸に対する旋回を評価し、各時点についてマンホイットニー(Mann-Whitney
)統計的検定(p=0.03)を行った(両側p値は、z統計量を使用して推定
した)。
【0063】 組織処理と免疫組織化学。移植の10週間後に、ペントバルビタールを過剰投
与し、0.15Mリン酸緩衝液(pH7.4)中4%パラホルムアルデヒドを心
臓に潅流してすべてのラットを屠殺した。潅流後、脳を同じ固定液に60分浸漬
し、0.15Mリン酸緩衝液(pH7.4)中の20%ショ糖で一晩低温保護し
、二酸化炭素ガス中で凍結した。4つの並行シリーズの30μ厚の凍結切片を切
断し、ゼラチン被覆ガラススライドにのせた。全シリーズの切片を、トリス緩衝
化食塩水(TBS、pH7.4)中10%FCSで30分インキュベートし、次
に1%トリトンX−100(シグマ(Sigma))を有するTBS中の以下の1つ
の1次抗体とインキュベートした:マウス抗ウシ神経繊維−70IgG1 (1:
1000;クローンDP.5.112;エル・ソリアーノ(L. Soriano)博士か
ら購入、フランス(soriag@aol.com))、ポリクローナルウサギ抗ラットチロシ
ンヒドロキシラーゼ(1:250;ペルフリーズバオロジカルズ(Pel-Freez Bi
ologicals)、アメリカ合衆国)、またはマウス抗ラットCD45 IgG1
1:100;クローンMRC OX−1;セロテック(Serotec)、英国)。神
経繊維とチロシンヒドロキシラーゼ抗体は、互いのブタ抗原と交差反応すること
が知られているが、神経繊維抗体は、齧歯類神経繊維と反応しない。1%トリト
ン−X100を有するTBS中で3×15分洗浄後、切片を、ビオチン化ヒツジ
抗マウスIg(1%トリトン−X100を有するTBS中1:200;アマシャ
ム(Amersham))またはビオチン化ロバ抗ウサギIg(1%トリトン−X100
を有するTBS中1:200;アマシャム(Amersham))で、20℃で60分イ
ンキュベートし、1%トリトン−X100を有するTBSで3×15分洗浄し、
メタノール中0.06%過酸化水素で30分処理して、内因性ペルオキシダーゼ
をブロックし、1%トリトン−X100を有するTBSで3×15分洗浄し、ペ
ルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(10%FCSを有するTBS中1:2
00;ダコ(DAKO))で60分インキュベートした。洗浄を繰り返した後、褐色
の沈殿物が出現するまで、0.009%過酸化水素を有するTBS中0.05%
の3,3’−ジアミノベンジジン(シグマ(Sigma))を切片に適用した。最後
に切片を蒸留水で洗浄し、アルコールで脱水し、キシレンで清澄化し、デペック
ス(Depex)封入剤(BDHラボラトリー(BDH Laboratory)、英国)でカバー
ガラスをのせた。
【0064】例1−マクロファージ/小グリア細胞は培養で自己蛍光性となるが、星状細胞は ならない 28日齢のブタ胎児の非染色脳細胞を、単離直後(Fresh)または初代培養で
14日後(Cultured)フローサイトメトリーで分析した(図1)。プロットAと
Bは、細胞の緑とオレンジの蛍光を示す。ヒストグラムCとDは、緑の蛍光の関
数としての細胞の頻度を示し、同一のマーカー(M1)とマーカー内に存在する
総細胞数のパーセントを示す。プロットBは、自己蛍光性(R1)と非自己蛍光
性(R2)の細胞集団を規定するために設定した領域であり、プロットEとFは
、自己蛍光性(R1)と非自己蛍光性(R2)細胞のサイズ(前進スキャッター
)と粒度(側面スキャッター)を示す。
【0065】 非染色細胞のフローサイトメトリー分析では、新たに単離したブタの胎児脳細
胞は、自己蛍光の無い細胞の単一の集団として現れ、一方これらの細胞の初代培
養物(星状細胞およびマクロファージ/小グリア細胞の増殖を促進するために調
製した)は、2つの細胞集団からなった:非自己蛍光性細胞のより大きい集団と
、自己蛍光性細胞のより小さい集団。自己蛍光性細胞は、非自己蛍光性細胞より
粒状であった(図1)。
【0066】 28日齢の胎児ブタ脳から単離した脳細胞を、初代培養で14日間増殖させた
。細胞を、FITC結合(緑の蛍光)またはRPE結合(オレンジの蛍光)抗体
を使用して免疫染色した(図2)。イソタイプ対照(IC)IgG1 は、CD1
8とCD56染色の陰性対照であり、イソタイプ対照IgG2aは、CD44とC
D4染色の陰性対照である。細胞を固定し、透過性にしてから、GFAPについ
て染色した。GFAP対照は、2次抗体のみを与えた試料である。プロットGと
Hに領域を設定して、自己蛍光性細胞と非自己蛍光性細胞のGFAP染色を比較
した。任意の単位の平均の緑の蛍光:GR1=151、GR2=199、HR1=24
、およびHR2=131。35日齢の胎児ブタからの培養脳細胞で、同様の結果が
得られた。
【0067】 自己蛍光性細胞のみがCD18陽性であり、非自己蛍光性細胞のみがCD56
陽性であったが、両方の集団はCD44陽性であった。CD4に対する抗体は、
自己蛍光性細胞の一部を染色したが、非常に弱かった。非自己蛍光性細胞は、自
己蛍光性細胞より、星状細胞マーカーグリア線維酸性タンパク質(グリア線維酸
性タンパク質GFAP)に対する抗体により、より強く染色された(図2)。
【0068】 28日齢のブタ胎児から単離した培養脳細胞を、フルオレセイン標識大腸菌(
E. coli)とインキュベートした(図3)。図は、大腸菌(E. coli)の食作用を
示す。プロットAは、フローサイトメトリーの30分前にフルオレセイン標識大
腸菌(E. coli)(緑の蛍光)を与えた培養物からの細胞を示し、プロットBは
、未処理培養物からの細胞を示す。共焦点レーザー顕微鏡画像は、親油性および
蛍光性DiIで染色後、フルオレセイン標識大腸菌(E. coli)と2重チャネル
走査した細胞の断面を示す。赤の疑似カラーは、DiI(ローダミン光学フィル
ターセット)で染色した膜と他の脂質、および黄色の疑似カラーは、フルオレセ
イン標識大腸菌(E. coli)(フルオレセイン光学フィルターセット)を示す。
スケール棒:10μm。フルオレセイン標識大腸菌(E. coli)とインキュベー
トした脳細胞培養物のフローサイトメトリー分析は、自己蛍光性細胞集団が、ド
ットプロットの緑蛍光軸に沿って2つに分かれ、非自己蛍光性細胞集団は1つの
まま維持されたことを示す(図3)。蛍光顕微鏡で観察すると、細菌の緑の蛍光
は、原形質膜と結合していなかった(示していない)。親油性で蛍光性のDiI
で染色し、次にフルオレセイン標識大腸菌(E. coli)とインキュベートした培
養物では、共焦点レーザー顕微鏡は、大部分の細胞がDiIによりわずかに染色
されたことを示す。しかし一部の細胞は、細胞の境界内に蛍光性大腸菌(E. col
i)を持っていた(図3)。
【0069】 星状細胞とマクロファージ/小グリア細胞の増殖を促進する条件下で培養(カ
ルテラノ(Castellan)ら、1991)したブタの胎児脳細胞は、フローサイト
メトリーで分析すると、自己蛍光性細胞と非自己蛍光性細胞の両方からなってい
た。自己蛍光は、マクロファージの公知の性質(ハベニス(Havenith)ら、19
93;ニコド(Nicod)ら、1989)であり、内因性フラボタンパク質(アウ
ビン(Aubin)ら、1979;ベンソン(Benson)ら、1979)が原因かも知
れない(これは、本研究で使用した488nmレーザーにより励起され、スペクト
ルの緑とオレンジの範囲で発光する)。自己蛍光性細胞は、再度マクロファージ
に典型的な高い粒状性を有していた。自己蛍光性細胞がマクロファージであるか
どうかを決定するために、我々は、星状細胞またはマクロファージに反応するこ
とが知られている抗体で培養細胞を染色し、細胞を食作用について試験した。自
己蛍光性細胞は、CD18+ CD44+ CD56- GFAP- であり、これらの
細胞が確かに、マクロファージまたは小グリア細胞であることを強く示唆してい
る。マクロファージと小グリア細胞を区別するマーカーが無いため、我々は、こ
れらの細胞をマクロファージと呼ぶが、これは脳の発生の初期段階では一般的に
行われる(ペリー(Perry)ら、1988)。非自己蛍光性細胞は、CD18-
CD44+ CD56+ GFAP+ であり、これらの細胞が確かに、星状細胞であ
ることを強く示唆している。培養脳細胞をフルオレセイン標識大腸菌とインキュ
ベートした後、自己蛍光性細胞集団は、ドットプロットの緑蛍光軸に沿って2つ
に分かれ、かつ蛍光顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡は、細胞内に蛍光性細菌がい
ることを明らかにし、自己蛍光性細胞による食作用活性の強い証拠を示した。そ
の表現型特性と食作用活性に基づき、我々は、自己蛍光性細胞がマクロファージ
/小グリア細胞であり、非自己蛍光性細胞が星状細胞であると結論する。
【0070】例2−マクロファージ/小グリア細胞はヒトTリンパ球の増殖を誘導するが、星 状細胞は誘導しない 28日齢の胎児ブタ脳から単離した脳細胞を、初代培養で14日間増殖させ、
RPE結合抗CD56(オレンジの蛍光)で染色後フロー選別した(図4)。A
.純度と生存活性。さらに染色することなく細胞をフローサイトメトリーにより
分析して純度を決定(CD56陰性マクロファージを含めるために領域R1を設
定した)し、ヨウ化プロピオジウム(オレンジの蛍光)で染色して生存活性を決
定した。記載した番号は、領域R1内の細胞のパーセントである。星状細胞集団
の生存活性は、91%であった(トリパンブルー排除により測定した)。B.ヒ
トT細胞増殖を誘導する能力。同種の単核血液細胞(MBC;H−8053)、
選別した星状細胞、および選別したマクロファージにγ線照射(50Gy)をし
て、その増殖を止め、2人のヒト(H−3970とH−3977)のいずれかか
らのリンパ球と混合した(1つの組合せについて3ウェル)。陰性対照として、
リンパ球を刺激物質無しでインキュベートした(1つの組合せについて12ウェ
ル)。増殖活性は、4日間の同時培養後の[ 3H]チミジン取り込みにより測定
した。棒は、平均と平均の標準誤差を示す。
【0071】 リンパ球の増殖活性は、同種の単核血液細胞と同時培養した時より、選別した
マクロファージと同時培養した時により高かった。2人のヒトのいずれかからの
選別した星状細胞とリンパ球の同時培養では、リンパ球のみを有するウェル中よ
り、リンパ球と星状細胞を有するウェル中でわずかに高かったが、その差は、1
人についてのみ統計的に有意であった。各個人についてANOVAを行った:F H-3970 (df3,17)=139、p=3.8×10-12 およびFH-3977(df
3,17)=216、p=1.0×10-13 。刺激物質細胞を、片側の対応の無
いt検定で比較すると、個人H−3977からのリンパ球については星状細胞と
培地の刺激活性を比較した時(p=0.08)以外は、対応の無いt検定とすべ
てのp値は0.001未満であった。
【0072】 フロー選別により、高度に濃縮されたマクロファージ集団(マクロファージは
7.6%から91%に増加)と高度に精製された星状細胞集団(99%を越える
星状細胞)が得られ、選別した細胞の数パーセントのみが死滅していた。選別し
たマクロファージは、ヒトT細胞増殖の強いインデューサーであり、同種の単核
血液細胞より強かった。選別した星状細胞は、非常に弱い刺激物質であり、2人
のヒトの1人では、T細胞増殖は、バックグランド増殖活性より有意に高かった
【0073】例3−α−ガラクトシルエピトープはマクロファージ/小グリア細胞上に発現さ れ、ニューロン上には発現されない ブタの胚VM細胞(ニューロン、グリア、および内皮細胞を含む)を、ビオチ
ン化バンデレイア・シンプリシフォリア(Bandereia Simplicifolia)イソレク
チンB4(BS−IB4)を使用して、α−ガラクトシルエピトープの発現につ
いてフローサイトメトリーにより分析した(図5A)。対照と比較すると脳細胞
のバルク集団について、1対数未満の蛍光のわずかなシフトが見られた(FIT
C結合アビジンのみ)。これは、少なくとも2つの10対数ステップの対数スケ
ールで右へのシフトが見られるPLMECのBS−IB4染色に匹敵する(図5
B)。
【0074】 フローサイトメトリーデータを証明するために、8%SDS−PAGEで分離
後に、VM、PLMECおよびECV細胞の細胞膜から単離されたBS−IB4
反応性の可溶化糖タンパク質についてウェスタンブロット分析を行って、α−ガ
ラクトシルエピトープを有する可能なタンパク質を検出した。PLMECは、高
レベルのα−ガラクトシルエピトープを発現することが証明された(図6)(高
分子量(>220kDa)から低分子量(≦30kDa)の範囲の分子量を有する成分
の染色により示されるように、いくつかの異なるタンパク質骨格について行った
エピトープ)。検出は、化学発光により行い、2つのブロットは、それぞれ5秒
および10秒の露出を示す。より長時間露出(>10秒)すると、約150kDa
サイズの成分のVMレーンに弱い染色が見られた。これらの条件下で、同様のサ
イズと染色強度の成分が、ECV膜タンパク質の中に見られた(図6)。
【0075】 個体のVM細胞集団上のα−ガラクトシルエピトープの分布を、BS−IB4
免疫組織化学を使用して調べた。図7は、チロシンヒドロキシラーゼについて免
疫組織化学的に染色した27日齢のブタの胚のVMの矢状方向断面を示し、これ
は、ドパミン作用性ニューロン中のドパミン産生の律速酵素である。細胞体と一
部の軸索繊維が見られる(図7A)。27日齢のブタの胚の冠状切片の低倍率拡
大は、ペルオキシダーゼ結合BS−IB4イソレクチンを使用して、免疫組織化
学的に染色された(図7B)。
【0076】 高倍率では、胚脳の微小血管内皮細胞の強い染色(図7B)と、小グリア細胞
/組織に存在するマクロファージのやや弱い染色(図7C)がある。ニューロン
またはグリア細胞では顕著な染色は見られない。パネルCでBS−IB4染色細
胞と形態の似た細胞の染色が、単球/組織マクロファージに特異的なマウスモノ
クローナル抗体で見られ、これはまたブタ小グリア細胞に結合する(図7D)。
【0077】 VM膜タンパク質の染色(これは、ECVタンパク質の染色とほぼ同じ強度で
あった)は、α−Galに関連した決定基の認識が原因かも知れない。しかしイ
ソレクチン組織化学は、ほとんどのα−Gal発現が、胎児ブタ脳組織では内皮
細胞と小グリア細胞/マクロファージに限定されており、ニューロンや星状細胞
には無いことを示した(図7)。成体マウスの脳中のBS−IB4反応性はまた
、毛細管に限定されていることが証明されている(ピーターズ(Peters)ら、1
979)。従ってウェスタンブロッティング実験で低レベルの発現のより可能性
のある説明は、α−Gal発現細胞は、VM中の細胞の総数のほんの一部である
ということである。
【0078】例4−ヒト血清からの抗体の精製 20人を越える血液型ABドナーからプールした血清から、それぞれヤギ抗ヒ
トIgG(Fc特異的;シグマ(Sigma)、アメリカ合衆国)、ヤギ抗ヒトIg
M(μ−鎖特異的;シグマ(Sigma))、またはブタサイログロブリン(α−ガ
ラクトシルエピトープの供給源;シグマ(Sigma))を有するビーズアガロース
を使用して、ヒトIgG、IgM、および抗Galを精製した。5mlのスラリ
ー(2.5mlの充填したビーズ)を、直径10mmのカラムに注ぎ、PBSで洗浄
した。熱不活性化ヒト血清(40ml)を、ペリスタポンプを使用して0.5ml/
分で適用し、アガロースを、数カラム容量のPBSで洗浄し、結合したタンパク
質を、0.1Mグリシン/HCl(pH=2.5)で1.0ml/分で溶出した。
0.1mlの中和緩衝液(1.5Mトリス/塩酸、pH=8.8)を含有する試験
管中に、1ml画分を集めた。280nmの吸光度を分光学的に読み、タンパク質を
含有する試験管の内容物をプールし、1%PBSに対して透析し、凍結乾燥し、
蒸留水(溶出容量の1/100)に再懸濁した。タンパク質濃度は、BCAプロ
テインアッセイ試薬キット(ピアス(Pierce)、アメリカ合衆国)を使用して、
製造業者の説明書に従って測定した。
【0079】 IgGとIgM調製物の純度をSDS−PAGEにより分析した:各試料4.
0μgを、SDS還元または非還元緩衝液中で5分間沸騰させ、既製の4−15
%連続ゲル(バイオラッド(Bio-Rad)、アメリカ合衆国)に入れた。電気泳動
後、製造業者の説明書に従ってゲルを銀染色キット(バイオラッド(Bio-Rad)
)を使用して染色した。IgGレーンにはIgMバンドは現れなかったが、Ig
Mレーンには弱いIgGバンドが存在した。
【0080】 ブタサイログロブリン(thyroglobulin)を使用してヒト血清から精製した抗
体のα−ガラクトシルエピトープ反応性を、5.0×105 のラージ(Raji)細
胞(ヒトバーキットリンパ腫細胞株)またはブタα1,3−ガラクトシルトラン
スフェラーゼ遺伝子(ラージ−GT細胞)を安定に発現するようにトランスフェ
クションし選択されたラージ細胞を、10μgの精製抗体を含むまたは含まない
100μlのPBS中でインキュベートすることにより、評価した。4℃で60
分後、細胞をPBSで1回洗浄(250g、5分)し、ウサギ抗ヒトIgGF(a
b')2FITC(1:10;ダコ(DAKO)、デンマーク)またはウサギ抗ヒトIg
MF(ab')2FITC(1:10;ダコ(DAKO))と、4℃で60分インキュベー
トし、PBSで2回洗浄(250g、5分)し、フローサイトメトリーで分析し
た。ラージ−GT細胞上のα−ガラクトシルエピトープの発現は、ラージ−GT
細胞とラージ細胞を3.0μgのFITC結合BS−IB4で染色して証明した
。ラージ−GT細胞株のトランスフェクションと選択は、クマガイ−ブリーチ(
Kumagai-Braesch)ら(1998)により記載されている。
【0081】例5−α−ガラクトシルエピトープを発現する胚ブタ脳組織から培養したマクロ ファージ/小グリア細胞 ブタ胚の脳細胞を、培地中の高血清含量(例1に示すように、自己蛍光性マク
ロファージ/小グリア細胞および非自己蛍光性星状細胞を産生する条件)の初代
培養中で増殖させた。
【0082】 培養細胞を、染色せずに、およびFITC結合バンデレイア・シンプリシフォ
リア(Bandereia Simplicifolia)イソレクチンB4(BS−IB4 FITC
)で染色した後に、フローサイトメトリーで分析した。ドットプロットは、緑の
蛍光(FL1)とオレンジの蛍光(FL2)の強度を示し(図8)、自己蛍光性
マクロファージ/小グリア細胞(m)を非自己蛍光性星状細胞(a)から分離す
る線を有する。染色により、マクロファージ/小グリア細胞について1167単
位、および星状細胞について16単位、緑の蛍光の幾何平均が増加した。従って
マクロファージ/小グリア細胞は、α−ガラクトシルエピトープを発現するが、
星状細胞の弱い染色が低α−ガラクトシルエピトープ発現を反映するのかまたは
BS−IB4 FITCの非特異結合を反映するのかは不明である。軸は対数ス
ケールであることに注意されたい。顕微鏡写真(300×)は、培養した脳細胞
が、固定され、透過性になり、ビオチン化BS−IB4とペルオキシダーゼ結合
ストレプトアビジンに染色されたことを示す。BS−IB4陽性細胞は丸く、D
AB染色産物は細胞膜上に濃縮されている。
【0083】 マケンジー(McKenzie)ら、1995により示されるように、ブタの組織を培
養するとα−ガラクトシルエピトープ発現は変化するが、胚ブタ脳からのマクロ
ファージ/小グリア細胞は、培養物中でそのα−ガラクトシルエピトープ発現を
維持した(図8)。
【0084】例6−ヒト血清とウサギ補体は、培養した新たに単離されたブタ胚の脳細胞から マクロファージ/小グリア細胞を除去する 分離した脳組織をアリコートに分け、その1つは、ヒト血清とウサギ補体で処
理した後10日間培養し、別の1つは、培養後に同じ処理を行った。これらの細
胞および未処理の培養細胞を、あらかじめ染色せずにフローサイトメトリーで分
析して、マクロファージ/小グリア細胞の含量を比較した。図9では、ヒストグ
ラムは、緑の蛍光強度(FL1)の関数としての細胞の頻度を示し、自己蛍光性
マクロファージ/小グリア細胞と、マーカー内の細胞のパーセントを規定するた
めの同一のマーカー(M1)を含有する。新たに単離された細胞および初代培養
で増殖させた細胞に適用する時の両方とも、ヒト血清とウサギ補体による処理で
、マクロファージ/小グリア細胞の相対数が減少した。
【0085】例7−抗Galと補体によるブタの脳細胞の処理は、マクロファージ/小グリア 細胞の含量と、ヒトCD4 Tリンパ球増殖を誘導する能力とを低下させる ラージ細胞(Raji)とブタのα1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼを発
現するようにトランスフェクションしたラージ細胞(従って、α−ガラクトシル
エピトープ;Raji−GT)を、α−ガラクトシルエピトープに対する抗体(
例4で記載したように正常血清から精製した;図10ではaGalとした)とと
もに、または抗体無しでインキュベートし、FITC結合抗ヒトIgG(aIg
G)またはFITC結合抗ヒトIgM(aIgM)で染色した。Raji−GT
細胞上のα−ガラクトシルエピトープの発現は、これらとラージ細胞をFITC
結合BS−IB4で染色して証明した。精製した抗体は、Raji−GT細胞と
反応するがラージ細胞とは反応しないIgGとIgMの両方を含有した。aIg
GとaIgMによるRaji−GT細胞の非特異的染色は、最小であったが、こ
うして精製した抗体は、α−ガラクトシルエピトープと反応性のIgGおよびI
gMの両方を含有した(図10)。
【0086】 ブタ胚の脳細胞を、初代培養で12日間増殖させ、分離し、ヒトIgG(図1
1中の丸)、ヒトIgM(図11中の四角)、ヒト抗Gal(図11中の三角)
、ヒト血清(図11中の菱形)、または培地(図11中の黒丸)でインキュベー
トした。ヒトIgG、IgMおよび抗Galは、例4に記載したように調製した
。4℃で60分後、細胞を洗浄し、ウサギ補体を有する培地に再懸濁し、37℃
で60分インキュベートし、再度洗浄し、γ線照射してその増殖を止め、高度に
精製したヒト末梢血CD4 T細胞と混合した。CD4 T細胞はまた、脳細胞
の非存在下でも増殖させて、バックグランド増殖活性を測定した(図11中のバ
ツ印)。増殖は、トリチウム化チミジンの取り込みとして測定し、三重測定の平
均をカウント/分(cpm)として図11に示す。棒は、1SEMを示す。α−ガ
ラクトシルエピトープと反応性とIgGおよびIgMは、抗Gal調製物中に存
在した(図10)。マクロファージ/小グリア細胞の含量と細胞生存活性に及ぼ
す異なる脳細胞調製物の影響を、以下の表1に示す。
【0087】
【0088】 ヒトIgG、ヒトIgM、ヒト抗Gal、またはヒト血清およびウサギ補体で
処理した培養したブタ胚の脳細胞は、ヒトCD4 T細胞の増殖を誘導せず、一
方、培地とウサギ補体で対照処理を行った脳細胞は、ヒトCD4 T細胞で有意
な増殖応答を誘導した(図11)。
【0089】 ヒトIgG、ヒトIgM、ヒト抗Gal、およびヒト血清は、マクロファージ
/小グリア細胞の除去について同等に有効ではなかった(表1)が、残りの脳細
胞に対するCD4 T細胞の増殖応答は、バックグランド活性より高かった(図
11)。これは、閾値が存在することを示し、これより低いと、マクロファージ
/小グリア細胞が少なくなりすぎて、インビトロでおよびおそらくインビボでも
T細胞応答を誘発できないことを示唆する。
【0090】 ブタ胚の脳細胞へのヒトCD4 T細胞応答を研究するために、インビトロモ
デルを使用した(図12)。培養細胞のみ(新たに単離した細胞は含まない)が
ヒトT細胞の増殖を誘導する(ブレビグ(Brevig)ら、1997)ため、脳細胞
を初代培養で増殖させてからヒトCD4 T細胞と同時培養した。本明細書に記
載の条件で培養すると、脳内移植(メーソン(Mason)ら、1986;デュアン
(Duan)ら、1995)のように、MHC抗原の発現をアップレギュレートする
(ブレビグ(Brevig)ら、1999)。
【0091】 図12は、臨床状況と本発明者らが使用したインビトロモデルでの、分離した
ブタの脳組織に及ぼす抗Galと補体(C)の影響のまとめを示す。ブタの胚か
らの分離した脳組織は、ニューロン(N)、星状細胞(A)、マクロファージ/
小グリア細胞(M)、および内皮細胞(E)を含有する。後者の2つの細胞型は
、α−ガラクトシルエピトープ(α−Gal)を発現し、移植前に除去すると、
ドナー組織が、いったん移植されたMHC抗原(特にクラスII)をアップレギュ
レートする可能性を大幅に低下させる。高血清含量の培地での初代培養は、星状
細胞とマクロファージの増殖を促進し、MHC抗原の発現をアップレギュレート
する。従って、これらの条件下で培養した分離したブタの脳組織は、インビトロ
でのブタの神経異種移植片に対するヒトT細胞応答を研究するのに使用すること
ができる。
【0092】 本発明者らのアプローチ(図12に示す)は、(i)α−ガラクトシルエピト
ープを標的とすることである、なぜならこれは、新鮮なブタの脳組織中でマクロ
ファージ/小グリア細胞(しかしニューロンではない)上で発現されるからであ
る(スミトラン(Sumitran)ら、1999)、および(ii)抗体および補体性溶
解を使用することである、なぜなら、小細胞塊内のマクロファージ/小グリア細
胞さえ、この機序により除去することができるからである。
【0093】 α−ガラクトシルエピトープは、胚のブタ脳中で内皮細胞上に豊富に発現され
ている(スミトラン(Sumitran)ら、1999)ため、およびブタ大動脈内皮細
胞は、抗Galと補体による溶解に感受性である(ボーガン(Vaughan)ら、1
994)ため、分離したブタの脳組織を抗Galと補体で前処理すると、おそら
く内皮細胞が除去される。培養物中では、ブタの大動脈内皮細胞は、クラスI(
しかし、クラスIIではない)MHC抗原を構成的に発現し、ヒトCD8(しかし
、CD4ではない)T細胞の増殖を誘導する(ムレイ(Murray)ら、1994)
。ヒト腫瘍壊死因子−α(これは、手術で誘導した炎症のために神経移植片中に
存在するかも知れない)で培養した後に、ブタ大動脈内皮細胞はまた、MHCク
ラスII抗原を発現し、ヒトCD4 T細胞の増殖を誘導する(バッテン(Batten
)ら、1996)。従って内皮細胞の除去は、神経異種移植片の生存に有効であ
るが、ドナー由来の内皮細胞が、ヒトの異種移植片の新血管新生に必要であるか
どうかは不明である。しかし同種のラットモデルでは、全懸濁移植片および小グ
リア細胞と内皮細胞を枯渇させた移植片は、宿主の小グリア細胞による新血管新
生とコロニー形成という点で、同等に成長した(ペネル(Pennell)とストレイ
ト(Streit)、1997)。
【0094】例8−ラット中のブタの神経異種移植片の生存と機能に及ぼす前処理の影響 6−ヒドロキシドパミン誘導片側パーキンソン症の免疫適格ラットに、抗Ga
lと補体または培地と補体(対照)で処理した分離したVM組織を移植し、移植
片の機能的影響を、移植後10週目に動物を屠殺するまで経時的に追跡した(図
13)。抗Galと補体で前処理したVM細胞を移植した8匹のラットのうち5
匹では、10週間の追跡中に、アンフェタミン誘導性の旋回行動の50%を越え
る低下が起きた。*移植の時間を越えて進行したこの受容体の病変。†ドパミン
作用性ニューロンのいくつかの塊を有する大きな移植片(図14に写真を示す)
。‡少ないドパミン作用性ニューロンの小さい移植片。対照前処理したVM細胞
を与えられた8匹のラットのいずれも、この程度の改善を示さなかった。組織学
的分析は、対照群の1匹の動物(示していない)で、マクロファージが密に浸潤
したわずかのドパミン作用性ニューロンを含有する小さい移植片を明らかにし、
抗Galと補体で前処理したVM細胞を与えられた1匹の動物で、ドパミン作用
性ニューロンのいくつかの塊を含有する大きな移植片(図14)を明らかにした
。残りの動物は、移植片を完全に拒絶した。(A)は、移植片中のブタの神経繊
維の均一な分布を示す。(B)染色された細胞体が塊を形成し、移植片−宿主界
面に存在するチロシンヒドロキシラーゼ(ドパミン作用性ニューロンのマーカー
)が染色された切片(これは、分離したVM組織の線条体内移植片に共通である
)。(C)高倍率のドパミン作用性細胞体(矢印)。(D)は、移植片−宿主界
面の血管の周りの宿主白血球(CD45について染色)による浸潤を示す(矢印
)。Gr、移植片。Str、宿主線条体。スケール棒:250μm(AとB)、
および25μm(CとD)。
【0095】 従来の研究は、前処理していないブタの胚VM移植片が、片側パーキンソン症
の免疫適格ラットで行動的影響を誘導するかどうかについて一致しておらず(バ
ーカー(Barker)ら、2000;ラーソン(Larsson)ら、2000;ガルペル
ン(Galpern)ら、1996)、ドナー−組織前処理を試験するためにドナー材
料の同一のアリコートを使用することの重要性を強調している。抗Galと補体
で前処理した移植片からの機能的利点は、移植後7週間に観察され、これは他の
研究と一致し(バーカー(Barker)ら、2000;ラーソン(Larsson)ら、2
000;ガルペルン(Galpern)ら、1996;フファカー(Huffaker)ら、1
989)、非前処理ブタの胚VM移植片からの機能的利点は、免疫抑制ラットで
7〜9週間後に起きた。
【0096】 従来2つの研究が、脳組織の免疫原性を低下させることを試みた。バートレッ
ト(Bartlett)ら、は、インターフェロンγで培養してネズミの胚神経細胞上の
MHC抗原をアップレギュレートし、フロー選別によりMHCクラスI陽性細胞
を枯渇させるが、同種マウスの脳中の移植片の生存を改善することを示した(バ
ートレット(Bartlett)ら、1990)。分離したブタの胚脳組織の前処理とし
て、パクザバン(Pakzaban)らは、抗体の2価抗原結合断片によりMHCクラス
I抗原をマスクし、ラット脳での移植片生存の改善を見いだした(パクザバン(
Pakzaban)ら、1995)。ブタ胚の脳細胞上のMHCクラスI抗原をマスクす
ることは、ヒトCD8 T細胞の増殖応答を、インビトロで約50%低下させる
(ダーシモニアン(DarSimonian)ら、1999)。しかしMHC抗原は、新鮮
な脳組織中では非常に低レベルにしか存在せず(ランプソン(Lampson)、19
95)、移植後アップレギュレートされる(ウィドナー(Widner)ら、1988
;ヂュアン(Duan)ら、1995;メーソン(Mason)ら、1986)(図12
)ため、ドナー組織前処理の最適の標的ではない。
【0097】 我々は、抗Galと補体による前処理は、ブタ神経組織の免疫原性を低下させ
ると結論する。臨床状況においてこの前処理から予測されることを推定するため
には、前処理したブタ神経組織を旧世界ザルの脳に移植することが必要であろう
。それは、これらの霊長類は、ヒトの免疫応答に匹敵する細胞性および体液性免
疫応答(特に、ブタの移植片への直接および間接T細胞応答の寄与)を有すると
考えられる(ブレビグ(Brevig)ら、2000)ためである。抗Galと補体に
よる前処理は、免疫抑制に対する有効な代替法または補足となり得、現在の免疫
抑制剤と異なり、副作用は無いと予想される。さらに免疫抑制と同様に、細胞性
免疫拒絶を低下させる他の方策(例えばMHCクラスIマスキング(パクザバン
(Pakzaban)ら、1995))およびセルトリ細胞同時移植(サンバーグ(Sanb
erg)ら、1996)および補体応答を低下させる方策(コッジ(Cozzi)ら、1
995)と組合せることができる。
【0098】 文献 Aubin J E (1979) 生存活性のある哺乳動物細胞の自己蛍光性. J. Histochem. C
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【図面の簡単な説明】
【図1】 28日齢のブタの胚からの非染色脳細胞のフローサイトメトリー分析を示す。
【図2】 28日齢の胚のブタ脳から単離し、初代培養で14日間増殖させた細胞による
、CD18、CD56、CD44、CD4、およびGFAPの発現を示す。
【図3】 28日齢の胚のブタ脳からの培養細胞による大腸菌(Escherichia coli)の食
作用を示す。
【図4】 CD56発現に基づき分離した、フロー選別した星状細胞とマクロファージ小
グリア細胞集団を示す。
【図5】 懸濁された腹側中脳細胞と、ブタ肝臓から単離した微小血管内皮細胞上のα−
ガラクトシルエピトープの発現を示す。
【図6】 細胞膜から単離したBS−IB4反応性の可溶化した糖タンパク質のウェスタ
ンブロット分析を示す。
【図7】 チロシンヒドロキシラーゼについて免疫組織染色した27日齢のブタの胚の腹
側中脳の矢状断面を示す。
【図8】 培養したブタ胚の脳細胞上のα−ガラクトシルエピトープの発現を示す。
【図9】 培養し新たに単離したブタ胚の脳細胞に及ぼすヒト血清とウサギ補体の作用を
示す。
【図10】 ブタサイログロブリンを使用して正常ヒト血清から精製した抗体の、α−ガラ
クトシルエピトープに対する反応性を示す。
【図11】 前処理したブタ胚の脳細胞と同時培養した、二人からのCD4 Tリンパ球の
増殖応答を示す。
【図12】 臨床状況とインビトロモデルでの、分離したブタの脳組織に及ぼす抗Galと
補体の作用のまとめを示す。
【図13】 パーキンソン病のラットモデルでのブタの神経移植片機能に及ぼす前処理の作
用を示す。
【図14】 抗Galと補体で前処理したブタの胚のVM組織から得られる移植片の組織学
的分析を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年10月26日(2001.10.26)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ホルゲルソン、ヤン スウェーデン国 フッディンゲ、ヴェヌス ヴェーゲン 6エイ Fターム(参考) 4C081 AB18 CD34 DA16 EA11 EA13 4C097 AA20 BB01 DD15 MM04 MM05

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移植材料であって、 (a)ブタの胚または胎児神経組織の分離、 (b)工程(a)の調製物を、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対す
    る抗体と補体試薬に暴露させることによる、マクロファージおよび/または小グ
    リア細胞の除去 により作成されることを特徴とする上記材料。
  2. 【請求項2】 分離は、1つ以上の酵素を使用して行われる、請求項1の移
    植材料。
  3. 【請求項3】 酵素は、プロテアーゼおよび/またはデオキシリボヌクレア
    ーゼである、請求項2の移植材料。
  4. 【請求項4】 補体試薬は、ウサギ血清またはウサギ血清から精製される補
    体である、請求項1〜3のいずれか一項の移植。
  5. 【請求項5】 神経組織を移植する時有用な医薬調製物を調製するための、
    請求項1〜4のいずれか一項の移植材料の使用。
  6. 【請求項6】 その免疫原性を低下させるためにブタ組織を処理するのに使
    用されるキットであって、組織分離のための1つ以上の酵素、Galα1−3G
    alβ1−Rエピトープに対する抗体の調製物、および補体試薬を含むことを特
    徴とする、上記キット。
  7. 【請求項7】 抗体は、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対する
    、好ましくはヒト起源の、ポリクローナル抗体である、請求項6のキット。
  8. 【請求項8】 抗体は、マクロファージおよび/または小グリア細胞に対す
    る抗体である、請求項6または7のキット。
  9. 【請求項9】 補体試薬は、ウサギ血清またはウサギ血清から精製される補
    体である、請求項6〜8のいずれか一項のキット。
  10. 【請求項10】 酵素はプロテアーゼおよび/またはデオキシリボヌクレア
    ーゼである、請求項6〜9のいずれか一項のキット。
  11. 【請求項11】 ブタの胚または胎児神経組織からのマクロファージおよび
    /または小グリア細胞の除去方法であって、 (a)神経組織を分離し、Galα1−3−Galβ1−Rエピトープに対する
    抗体で処理する、 (b)工程(a)の調製物を、担体に結合した抗体に暴露するかまたはフロー選
    別により、工程(a)の調製物からマクロファージおよび/または小グリア細胞
    を枯渇させる、または (c)工程(a)の調製物を補体試薬で処理して、工程(a)の調製物からマク
    ロファージおよび/または小グリア細胞を枯渇させる ことを特徴とする上記方法。
  12. 【請求項12】 (a)ブタの胚または胎児神経組織は、1つ以上の酵素を
    使用して分離され、 (b)抗体は、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対する、好ましくは
    ヒト起源の、ポリクローナル抗体であり、 (c)補体試薬は、ウサギ血清またはウサギ血清から精製される補体である、請
    求項11の方法。
  13. 【請求項13】 酵素はプロテアーゼおよび/またはデオキシリボヌクレア
    ーゼである、請求項12の方法。
  14. 【請求項14】 パーキンソン病、ハンティントン病、多発性硬化症、てん
    かん、卒中、疼痛、および脊髄損傷のような神経障害の治療方法であって、 (a)ブタの胚または胎児神経組織を分離し、 (b)分離した組織を、Galα1−3Galβ1−Rエピトープに対する抗体
    と補体試薬で処理して、マクロファージおよび/または小グリア細胞を除去し、 (c)分離した抗体性および補体処理組織を、ヒトの体に移植する ことを特徴とする上記方法。
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