JP2003506102A - 濃縮代用乳の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ホエイ製品から代用乳の製造方法。この方法ではホエイは場合によりラクトースにより部分置換され、ホエイは新鮮全乳に水性溶液形で添加され、カゼインミセルを不安定化できる溶液中の遊離カルシウムイオンの存在を回避し、または低減する利点を有する。ホエイから代用乳の製造法は水性媒体にホエイを溶解し、新鮮乳と混合し、実質的量でホエイタン白が存在するにも拘らず製品の熱安定性を確保し、次に混合物を蒸発により濃縮し、味が新鮮乳のものに類似する製品を生成することを含む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は乳コーヒーホワイトナー、すなわち全乳をベースとするホワイトナー
として使用でき、その場合乳はホエイおよび／またはラクトースにより部分置換
され、乳脂肪は植物脂肪により部分置換できる、濃縮乳の製造方法に関する。

【０００２】 再構成乳製品の製造にホエイを使用することは公知である。乳の一部分置換物
としてホエイを使用する利点は本質的にその低価格につながる。しかし、ホエイ
を乳の一部置換して使用する場合でも微妙な操作を必要とする。実際にホエイタ
ン白を使って、製品に熱安定性および良好な貯蔵寿命を与えることは困難である
。解決が困難な別の問題は、このような製品に新鮮乳の官能性を保持することで
あり、すなわち通常、蒸発による濃縮と関連する加熱フレーバの存在を低減し、
できるなら回避することである。

【０００３】 ヨーロッパ特許出願第０，６２７，１６９号明細書はこれらの固定目標を部分
達成できる乳の包装方法に関する。本発明において、包装製品は全乳、部分脱脂
乳、脱脂乳、またはホエイの形でよい。該方法は１工程から成る。しかし、この
方法は利点のみを有するものではない。特に、該包装方法は包装後、特に製品が
滅菌される場合、沈降を回避できない。さらに、加熱フレーバは顕著である。

【０００４】 ヨーロッパ特許出願第０，８３２，５６５号明細書は貯蔵性が満足できるかな
りの量のホエイタン白を含有する代用乳に関する。この製造方法はホエイタン白
、次に再組合せする蒸発工程のない乳の連続溶解に基づく。この場合、新鮮乳を
特徴づけるものに近い官能性を保持することはできない。

【０００５】 従って本発明はその官能性が新鮮乳のものに類似する濃縮乳代替物の製造方法
に関し、この方法では液体ホエイ製品は新鮮全乳と混合、次に混合物は殺菌し、
蒸発濃縮し、加熱し、次に濃縮物は熱処理し、熱処理濃縮物は均質化し、冷却し
、包装し、次いで包装製品を滅菌する。

【０００６】 特に、新鮮全乳に適用できる本方法の変法によれば、濃縮物の付加的均質化は
加熱および熱処理前に行なう。

【０００７】 得た製品は、代用乳の組成に乳の置換物としてホエイの実質的部分を含有する
。この代替により使用原料のコストを実質的に低減できる。代替原料が乳起源の
場合に利点がある。ホエイは部分置換、好ましくはラクトースにより約半分量ま
で置換できる。以下の明細書では、本発明では「ホエイ製品」とはホエイ自体お
よびラクトースを補足したホエイを含み、ホエイは幾分実際にミネラル除去でき
る。

【０００８】 ホエイは代用乳に、即ちホエイタン白に大量含まれるが、製品の熱安定性はそ
の結果減少せず、これは予期できないことである。したがって、高温で、代用乳
は色、味および稠度の見地から常法により包装した通常乳のように実質的に反応
する。

【０００９】 さらに、代用乳は沈澱により望ましくない沈積物を形成しうるカルシウムイオ
ンを全く、またはほとんど有しない。実際に、遊離カルシウムイオンは少なくと
も部分解離する金属イオン封鎖剤により緩衝され、または別の場合カゼインミセ
ルに結合する。代用乳に存在するカルシウムイオン含量を一層低減するために、
さらにその組成物に脱イオン水またはミネラル除去水を使用するのがよい。

【００１０】 金属イオン封鎖剤または安定化塩は好ましくはリン酸塩またはクエン酸塩、例
えばリン酸モノ−、ジ−、または３ナトリウム、またはクエン酸モノ−、ジ−ま
たは３ナトリウムまたはその混合物である。

【００１１】 代用乳を製造するために、次の重量の原料を使用することが好ましい。約１０
〜１２％の新鮮全乳固体、約５〜９％のホエイ粉末、約７〜１０％の乳脂肪また
は植物脂肪、これは任意の植物脂肪でよく、好ましくはパーム油、ココナツ油、
メイズ油または後者の組合せである。さらに、好ましくは約０．１〜０．３％の
レシチン、約０．０２〜０．０３％のカラギナン、溶解するために約０．１０〜
０．１５％の金属イオン封鎖剤および滅菌するために約０〜０．１５％の金属イ
オン封鎖剤、および約６８〜８０％の脱イオン水または好ましくはミネラル除去
水が必要である。

【００１２】 本方法の利点は、ホエイタン白が実質的に存在するにも拘らず、乳のものに匹
適できる温度安定性を最終製品に保証することができることである。

【００１３】 ホエイ粉末を溶解する前に、水性溶解媒体を調製することが必要である。これ
は重量で、約６８〜８０％の水、約０．０１〜０．０３％のカラギナンおよび約
０．１〜０．１５％の金属イオン封鎖剤を含む。金属イオン封鎖剤およびカラギ
ナンは第１容器で３０〜６５℃、好ましくは約６０〜６５℃の温度の水に２方法
で加えることができ、すなわち金属イオン封鎖剤とカラギナンを供給する粉末デ
ィスペンサーを通して水を再循環することにより、または別法ではカラギナンと
金属封鎖剤を少量の水に別々に予備溶解後、温和に攪拌しながら全量の水と混合
して水性溶解媒体を形成することにより、加えることができる。

【００１４】 ２方法は３０〜６５℃、好ましくは約６０〜６５℃で第１容器に存在する水性
溶液にホエイ粉末を添加することが考えられる。溶液はホエイ粉末と共に粉末デ
ィスペンサーを通して再循環され、または別法では粉末は直接溶液に添加され、
烈しく攪拌しながら溶解させる。

【００１５】 ホエイを水性媒体に溶解した後、得たホエイ溶液は約４０〜６５℃の温度で１
０分〜４時間、好ましくは１０〜４５分放置することが必要である。この放置時
間はホエイタン白の再水和に必要である。

【００１６】 タン白の再水和が起こったら、ホエイ溶液は新鮮全乳または部分脱脂乳と混合
できる。新鮮乳により出発すると、一般に蒸発濃縮と関連する加熱フレーバは回
避される。

【００１７】 残こりの操作を始める前に、脂肪、特にバター油および／または植物油をレシ
チこの存在下で添加できるように、乳溶液は好ましくは約６０℃に予備加熱すべ
きである。油およびレシチンは混合し、約６０〜約６５℃に予備加熱される。次
に脂肪相は乳溶液中に加え、好ましくは静置ミキサーまたはコロイドミルにより
混合する。溶液の平衡を確保するために放置する。放置時間は好ましくは操作を
容器で行なう場合約２５〜３５分または乳をオン−ライン混合する場合１５〜２
０分である。

【００１８】 これらの操作後、２つの形を取ることができる溶液の殺菌を行なう。約８０〜
８５℃で約１〜６０秒の間接殺菌は例えば管またはプレート交換器により行なう
ことができる。

【００１９】 殺菌後、溶液は約２８重量％の乾物含量まで落下フィルムおよび複合−効果蒸
発機で蒸発濃縮する。濃縮物は蒸発機で約３５〜４０℃まで冷却する。

【００２０】 次に濃縮物は約７５℃に予備加熱し、次に約８０〜８５℃で間接処理、例えば
管またはプレート交換器により１〜３０秒により、または蒸気の直接注入により
約１２０〜１３０℃で約３〜５秒の直接処理により熱処理する。この熱処理は好
ましくは次に約７０〜８０℃でフラッシュ減圧する。

【００２１】 ホエイ製品を全乳に直接溶解する場合、熱処理濃縮物は約７０〜７５℃の温度
で行なうことができる２段階均質化処理することが好ましい。第１段階は約１９
０〜２１０バール圧で、第２段階は約３０〜５０バール圧である。

【００２２】 ホエイを直接溶解する新鮮全乳を出発物質として使用する場合に好ましく適用
できる変法によれば、濃縮物の付加的均質化は予備加熱前または後に、および熱
処理前に行なう。

【００２３】 熱処理濃縮物の温度は有利には約４〜８℃に下げる。試料は滅菌試験を行なう
ために取り出し、この試験から溶液に添加する水量および安定化塩（金属イオン
封鎖剤）量を決定する。０〜約０．１５重量％量の安定化塩を水に溶解し、溶液
の標準化を確保するために乳溶液に添加する。

【００２４】 最後に、販売容器にこうして得た代用乳を充填し、使用前容器の内容を撹拌で
きるように液体量の上部に空間を確実に残こす。滅菌は好ましくは製品を約９５
〜９７℃に予備加熱後約１１５〜１２２℃で約１２〜１５分行なう。

【００２５】 下記例は発明を説明する。これらの例では％および部は特記しない場合重量に
よる。 例１ カラギナンおよび金属イオン封鎖剤として５０％のリン酸１水素２ナトリウム
を、これら２成分を含有する粉末ディスペンサーを通して水を再循環することに
より６５℃の脱イオン水を含有する第１容器に溶解する。チーズ製造由来のスイ
ートホエイ粉末は、この時ホエイ粉末を含有する同じ粉末ディスペンサーにより
、カラギナンおよび金属イオン封鎖剤を補充した同じ水を再循環して同じ方法で
溶解し、０．０２％のカラギナン、０．１％のリン酸１水素２ナトリウムおよび
２０％の固形を含有する溶液を得る。ホエイタン白を再水和するために、こうし
て得た溶液を６０℃で約３０分放置することが重要である。 ホエイ溶液は十分な混合を得るために撹拌しながら第２容器で２０℃で新鮮全
乳と混合する。割合は水中で７％のスイートホエイ粉末につき１０．５％の新鮮
脱脂乳固体である。 次の工程はレシチンおよびパーム油を乳溶液中に添加することにある。そのた
めに、溶液は６５℃に加熱する。別に、レシチンはパーム油と混合し、混合物は
６５℃に加熱する。混合物の使用量は全乳部分をスイートホエイで置換して除い
た乳脂肪量に相当する。０．２％のレシチンを含む７．５％を表わす脂肪相は静
置ミキサーによりオン−ラインで乳溶液と混合する。 次に間接殺菌は乾物含量２８％まで落下フィルムおよび３重効果蒸発機で乳溶
液を蒸発させる前に８５℃で３０秒行ない、蒸発機の出口における濃縮物の温度
は３５〜４０℃である。次に濃縮物は７５℃で予備加熱し、蒸気注入により１０
５℃で５秒直接熱処理し、次いでフラッシュ減圧および２段階均質化、第１段階
は７０℃、２００バール圧で、第２段階は同じ温度で３０バール圧で処理する。 滅菌を試験するために、乳溶液は６℃に冷却する。滅菌試験に基づいて、溶液
は必要量の金属イオン封鎖剤を溶解形で含有するミネラル除去水により２５％乾
物含量に標準化する。金属イオン封鎖剤の良好な分散を確保するために、溶液は
次の工程に移る前に十分に混合すべきである。 次にブリキ缶に連続的に、かつ標準的方法で液体とブリキ缶蓋との間に空間を
残して乳溶液を充填する。充相の後、製品は９５℃に予備加熱し、次に１１８℃
で１２分その包装で滅菌する。こうして得たブリキ缶の代用乳はすぐ販売できる
。

【００２６】 例２ 本例は全乳から製造した代用乳に関する。リン酸１水素２ナトリウムを乳に溶
解し、クリームおよびレシチンを添加して７．５％脂肪に標準化し、次にそこに
カラギナンを添加して完全に溶解させる。次にスイートホエイ粉末を混合し、混
合物は１０時間撹拌を続けホエイタン白を完全水和させる。 該方法のすべての工程は例１のものと類似するが、蒸発後直接、すなわち予備
加熱および熱処理前に、濃縮物は２００バールで第１均質化（例１では熱処理後
に行なうことに加えて）、次に３０バールで均質化処理し、熱処理は次に１３５
℃で５秒行なうことが異る。

【００２７】 例３ 手順は例２におけるように行なうが、均質化は予備加熱と熱処理間に行なうこ
と、および熱処理は１０５℃で５秒行なうことが異る。

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 官能性が新鮮乳のものに類似する濃縮代用乳の製造方法にお
   いて、液体ホエイ製品を新鮮全乳と混合し、次に乳溶液を殺菌し、蒸発により濃
   縮し、加熱し、次に濃縮物を熱処理し、熱処理濃縮物を均質化し、冷却し、包装
   し、次いで包装製品を滅菌することからなる、上記濃縮代用乳の製造方法。
2. 【請求項２】 ホエイ製品を製造するために、ホエイ固体は水性媒体に溶解
   し、そこで遊離Ｃａ²⁺イオンはカルシウム−金属イオン封鎖剤により緩衝する、
   請求項１記載の方法。
3. 【請求項３】 ホエイはラクトースにより半重量まで置換する、請求項１記
   載の方法。
4. 【請求項４】 第１段階で、ホエイ固体はカラギナンおよびカルシウム−金
   属イオン封鎖剤を含む水性媒体に約３０〜６５℃の温度で溶解し、次に乳および
   ホエイ溶液は第２段階で同じ温度で液体相で混合し、ホエイ固体は１０分〜４時
   間加湿し、この加湿操作は乳と混合前に行なう、請求項１記載の方法。
5. 【請求項５】 カラギナンおよび金属イオン封鎖剤の溶解はバッチ式で行な
   い、カラギナンは最初に冷水に溶解し、金属イオン封鎖剤は別に溶解し、その後
   すべての水を含有し、ミキサーを有する容器に入れて約６０〜６５℃でゆるやか
   に撹拌する、請求項４記載の方法。
6. 【請求項６】 水性溶液にホエイ固体の溶解はホエイ粉末を受渡す粉末ディ
   スペンサーを通して溶液の再循環によりバッチ式で容器で行なう、請求項４記載
   の方法。
7. 【請求項７】 脂肪、特にバター油および／または植物油は６０〜６５℃の
   温度でレシチンの存在下乳溶液に添加する、請求項１記載の方法。
8. 【請求項８】 熱処理濃縮物は７０〜７５℃の温度で、２段階均質化に供し
   、第１段階は１９０〜２１０バール圧で、第２段階は約３０〜５０バール圧で行
   なう、請求項１記載の方法。
9. 【請求項９】 ホエイは直接全乳に溶解し、濃縮物の付加的均質化は予備加
   熱前または後、および加熱処理前に行なう、出発物質として新鮮全乳を使用する
   場合に適用できる、請求項１記載の方法。
10. 【請求項１０】 ０．１５重量％までの金属イオン封鎖剤を熱処理した均質
    化濃縮物に添加し、次に容器に代用乳を充填し、充填容器は気密密封し、これら
    は９５〜９７℃に予備加熱し、容器は１１５〜１２２℃で１２〜１５分滅菌する
    、請求項１記載の方法。