JP2003500170A - フィブリンモノマー・シーラントを用いる術後癒着の予防 - Google Patents

フィブリンモノマー・シーラントを用いる術後癒着の予防

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、術後癒着形成の発生を予防または減少する方法および組成物を提供する。本発明の方法は、フィブリンモノマー組成物の手術創傷部位への重合条件下の塗布を必然的に伴う。本発明のフィブリンモノマー組成物は、外因性トロンビンを有さず、患者に対し異質のたんぱく質、酵素またはポリマーがなく、手術創傷部位で重合してフィブリンポリマーを形成し、該ポリマーは止血を付与し、かつバリヤー/シーラントとして機能しながら創傷治癒を促進する。また、かかるシーラント組成物に対し手術創傷部位への塗布の前または間に、患者の血液から誘導される、自己由来のプラスマたんぱく質を加えてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は術後癒着の予防、更に詳しくは、かかる癒着の予防を強化した、フィ
ブリンシーラントを用いる方法および組成物に関する。
【0002】 (背景技術) 隣接する組織間の組織癒着の形成は、多くの手術処置における逆効果の副作用
である。腹部手術後の腹膜癒着形成の発生率は、90%程度に高いと思われる。
これらの術後癒着は、苦痛、不快、固定(安静)、および婦人科手術の場合は女
性不妊に至ることが少なくない。また術後癒着は、場合によっては、生命をおび
やかす腸絞扼をもたらすことさえありうる。すなわち、定期手術後の癒着によっ
て起こる潜在的な不快と医療リスクおよびこれに伴ない該副作用を改善するため
の財政負担を仮定すれば、術後癒着を予防する方法を求め、満たされていない大
なる要求が存在する。
【0003】 術後癒着を減少または予防する多くの経路が、研究されている。1つの提案さ
れたメカニズムは、手術の後の創傷部位における炎症性反応の減少を必然的に伴
う。これに関して、コルチコステロイド、NSAIDS、ヒスタミン拮抗薬およ
びカルシウムチャネル遮断藥の使用が提案されている。他の予防法では、たとえ
ばヘパリンまたは経口抗凝固藥を用いる、創傷部位の凝固の抑制が推奨される。
【0004】 さらに他の方法では、たとえばフィブリノリジン、ストレプトキナーゼ、ウロ
キナーゼおよびt−PAの適当な投与によるフィブリン溶解の促進を必然的に伴
う。より最近では、術後癒着の予防用のバリヤー物質が提案されている。かかる
物質としては、これらに限定されるものでないが、羊膜の膜、ラバー、シルバー
ホイル、Teflon(登録商標)、デキストラン、ヒアルロン酸、Surgigel(登録
商標)(再生セルロース)、Interceed(登録商標)(TC7、酸化した再生セ
ルロース)、Polaxamer407(温度に依存するポリマー)、Gore−Tex(登
録商標)(発泡ポリテトラフルオロエチレン)およびSepraFilm(登録商標)
(ヒアルロン酸誘導体フィルム)が挙げられる。
【0005】 これらの物質および方法は、2つの基本的カテゴリー、すなわち、作用が有効
でないものと、幾らかの効果を付与しうるが、その使用または適用性のいずれか
が制限されるものに分けられる。従って、この分野では新たな試みが引き続きな
されている。
【0006】 手術処置でのフィブリンシーラントの役割が一般的に、何年もの間再検討され
ている。術後癒着を予防または減少するフィブリンシーラントの役割が、過去数
年にわたって既に研究されているが、現時点で完全には理解されていない。事実
、この分野の文献は多少、意見が分かれているように思われる。幾人かの研究者
達が、フィブリンシーラントを用いる術後癒着予防の改善を報告している。
【0007】 たとえば、子宮内膜腫のレーザー蒸気療法およびフィブリンシーラントに付し
た女性において、卵巣傍体癒着の発生がかなりに減少し[Donner J.らの「
J.Gynecol.Surg.」(7:163、1991年)];擦過したウサギの子
宮角において、切開した結腸癒着形成が減少し[Chmielewski G.らの「The
American Surgeon」(Vol.58、No.9、590、1992年)];
ラットにおいて腹腔内癒着形成が減少し[deVirgilioらの「Aarch Surg.
」(Vol.125、1378、1990年)];ラットにおける、椎弓切除後の
硬膜外瘢痕形成が減少し[Vaquero J.らの「Acta.Neurochir.(Wien)
」(120:159−163、1993年)];およびウサギにおける、屈筋腱
の部分裂傷後の屈筋腱癒着形成が減少した[Fryknra E.らの「Journal of
Hand Surgery」(Vol.18A、No.1、68、1993年)]。
【0008】 術後癒着を予防するフィブリンシーラントの使用に関する他の報告もあるが、
それほど肯定的でなかった。たとえば、フィブリンシーラントは、イヌの大腿お
よび頚動脈の動脈切開後の、脈管周囲癒着の予防に、統計的にかなりの効果を有
しないことが認められ[Dickinson C.らの「Vascular Surgery」(15
、1993年)];フィブリンシーラントは、ラットの結腸吻合において癒着形
成を予防せず[Van der Ham A.らの「J.Surgical Research」(5
5:256−260、1993年)];およびフィブリンシーラントは、ウサギ
の卵巣再形成後の術後癒着を減少しなかった[Bilgin T.らの「Gynecol.
Obstet.Invest.」(39:186−187、1995年)]。
【0009】 WadstromのWO92/22312に、伝えられるところによると術後癒着の
予防に有用な、フィブリンシーラントと生体適合性ポリマーの組合せが開示され
ている。WO92/22312の報告によれば、フィブリンシーラントは単独で
、創傷治癒効果を付与するが、強い瘢痕形成をもたらし、かつ癒着を予防しない
とある。粘度増大ポリマーは、含水シーラント成分の垂直面への塗布を可能なら
しめるのに有用で、かつ癒着も予防する。これらのポリマーは、高分子のポリグ
リカンまたはポリサッカリドである。
【0010】 WO96/22115に、特定範囲の孔径を有し、術後癒着を予防または減少
する、架橋フィブリンからなる自立シート物質が開示されている。これらのシー
トやその類似物を製造するのにスプレー塗布の使用が、WO98/02098に
報告されている。これらのシートは、一般に非密着性および非止血性であり;密
着性と止血能力を有する公知のフィブリンシーラントと共に用いるのが好ましい
と、記載されている。
【0011】 これらのシートは、高濃度のフィブリノーゲンと、孔径および孔分布に関して
所望構造(好ましくは<20μm、より好ましくは<5μm、最も好ましくは<
1μm)を得る高用量トロンビンを用いて製造される。また、該シートは人体の
外で予め形成され、かつ固体物質として塗布する必要があり、すなわち、スプレ
ーあるいは液体では塗布されない。
【0012】 フィブリンシーラントは、外科処置における止血や流体および空気漏れに対し
てますます使用されているため、癒着形成を促進しないシーラントの使用が重要
てある。また、フィブリンは自然治癒プロセスの一部でもあるので、術後癒着問
題の解決にも同様にフィブリン使用の試みが望ましいと思われる。
【0013】 このことは、ポリマー添加物を用いず、高濃度のフィブリノーゲンを用いず、
患者を高用量のトロンビンに付さずに、および好ましくは、標準シーラントとい
っしょに使用しなければならない予備成形シートの必要もなく、遂行できること
が好ましいだろう。当該分野において、より自然で単一工程の、好ましくはスプ
レーで適用でき、かつトロンビンの添加のない、シーラント/止血物質/密着性
/癒着バリヤーが、重要な進歩となるだろう。
【0014】 (発明の概要) 本発明によれば、自然なクロット物質に最もよく似ている物質の塗布によって
形成されるフィブリンポリマー皮膜が、手術癒着形成の発生を予防または減少す
る方法において有用であることがわかった。好ましい実施態様は、フィブリンモ
ノマーを手術創傷部位に重合条件下で塗布することを必然的に伴ない、フィブリ
ンは好ましくは患者−由来、すなわち、血液/クロット成分が患者に対し自己由
来のシーラントである。
【0015】 思いがけないことに、この改善した癒着予防に加えて、より化学的に自然なク
ロット、特にフィブリン−モノマーベースのフィブリンポリマーも、フィブリン
シーラントとして機能し、すなわち、密着性を有し、バリヤーとしても機能しな
がら、止血を付与しかつ創傷治癒を促進する。
【0016】 好ましい実施態様において、本発明の新しい方法は、自己由来となるように患
者自身の血液から誘導されるフィブリノーゲン/フィブリン以外に、1種以上の
プラスマたんぱく質を便宜的に使用する。さらに、シーラント物質は、フィブリ
ノーゲンからのフィブリノペプチドAおよび/またはBの開裂を触媒する、添加
または外因性酵素のいずれか、たとえばトロンビン等が実質的に存在しないこと
が好ましい。フィブリンモノマー溶液は好ましくは、傷ついた手術部位の上にス
プレーされる。
【0017】 (発明の詳細な説明) 本発明は、バリヤーとして作用することができ、しかも自然なクロット物質に
最もよく似ているフィブリンポリマーであれば、術後癒着形成の発生における減
少を強めるという知見に基づくものである。このような強化は、便利さの増加お
よび/または免疫原性もしくは炎症性応答の軽減および/または優れた術後癒着
予防として理解することができる。
【0018】 従って、本発明の方法は、従来技術に比しより改善を個別的に付与し、かつ最
適な結果を累積的に付与する幾つかのファクターに依存する。かかるファクター
としては(順序不同)、フィブリノーゲンに代わるフィブリンモノマーの塗布、
トロンビンまたは他のフィブリノペプチド−開裂酵素を実質的に有しないフィブ
リンの使用、自己由来フィブリンの使用、加工時に変性されていない、新たに製
造したフィブリンの使用、同時収穫の(co−harvested)プラスマたんぱく質と
共にフィブリンの使用、低濃度のフィブリンの使用およびポリマー添加物の必要
の削除が包含される。
【0019】 従って、これらの特徴点(ファクター)の1つ、幾つかまたは全てを採用する
方法は、本発明の一部を構成すると考えられる。上述の如く、本発明方法から生
成するフィブリンポリマーは、種々のフィブリン濃度にわたり術後癒着を減少ま
たは予防することができ、かつ従来技術と比較して、高濃度物質である必要もな
いことがわかった。
【0020】 さらに、手術創傷部位への適用(塗布)のため生体外でシート状物質を予め形
成する必要が全くなく、また追加のシーラント層を使用する必要もない。本発明
のフィブリンシーラントは、本明細書に記載の方法を用いて塗布すると、術後癒
着形成に抵抗する良好なバリヤー品質を有するばかりでなく、創傷部位において
止血、流体シール、組織密着性および細胞移動(cell migration)の強化をも
付与する。この細胞移動の強化は、脈管形成および組織再建の改善を付与すると
思われる。
【0021】 本発明の1つの実施態様において、術後癒着の発生を予防または減少する改善
法は、フィブリンモノマー組成物から形成されるフィブリンポリマーの使用を必
然的に伴う。これは、フィブリンモノマー組成物を手術創傷部位に重合条件下で
塗布(たとえばスプレー)して、フィブリンポリマーを形成することにより、便
宜的に遂行することができる。
【0022】 フィブリンモノマー組成物は、従来のフィブリノーゲン/トロンビン・システ
ムよりはるかに急速に重合することができ、それゆえに、垂直面でも固化させて
適切な位置にとどまらせるために、WadstromのWO92/22312開示の如
き添加ポリマー、あるいはWO98/02098に開示の如き“予備形成”時間
を全く要しないという利点を有する。このより急速な重合は、フィブリンモノマ
ーが、フィブリノーゲンからフィブリノペプチドの少なくとも1種を既に開裂し
ており、そして重合がほぼ即座に開始しうるためによる。
【0023】 EdwardsonらのU.S.特許No.5750657に、“非動的な(nondynam
ic)”、すなわち、非動的条件が逆転するまで重合が抑制されるように調製され
た、好ましいフィブリンモノマー組成物が記載されている。フィブリンモノマー
を非動的とする好ましい方法は、それを低pH組成物で調製することである。た
とえば、pH2〜5のフィブリンモノマー水溶液が適当である。これらは、pH
を上げ、フィブリンモノマー重合をひき起こすのに十分な高pH緩衝剤、たとえ
pH10緩衝剤といっしょに、同時塗布することができる。
【0024】 フィブリンモノマー法の利点としては、生成する単一ポリマーの多機能的側面
、すなわち、止血物質/流体シール/接着剤/バリヤー、および添加または外因
性トロンビンを全く要しないという利点が挙げられる。また、10〜30mg/
ml、好ましくは15〜25mg/ml程度の低フィブリン濃度が十分であるば
かりか、これが好ましい。
【0025】 しかしながら、10mg/ml以上のいずれのフィブリンモノマー濃度が、た
とえば10〜200mg/ml濃度が使用されうる。生体外の予備形成シートを
作ることが望まれる場合、フィブリンモノマー法は上述の理由から、なお有利で
ある。いずれの場合にも、フィブリンモノマーは、使用酵素に応じて、フィブリ
ンI、フィブリンII、des ββフィブリンまたはこれらのいずれかの混合
物であってよく、上記酵素は、フィブリノーゲンからフィブリノペプチドAおよ
び/またはBの開裂を触媒するトロンビンまたは他の酵素である。
【0026】 好ましくは、特にトロンビンの場合、フィブリンモノマー組成物から酵素を除
去する。フィブリンモノマー溶液を調製および塗布するための追加のパラメータ
ーは、EdwardsonらのU.S.特許No.5750657より公知であり、具体
的なコンビネーションは、15〜25mg/mlのフィブリンIモノマーのpH
4水溶液と、pH10酢酸塩緩衝剤をフィブリン/緩衝剤=7:1の割合で同時
塗布することである。
【0027】 上述の如く、フィブリンモノマー法は、患者に対しトロンビンまたはトロンビ
ン様酵素の塗布を回避しながら、本方法でフィブリンポリマーを塗布および使用
できるという選択肢を付与する。これは結果的に、方法自体の向上となる。すな
わち、フィブリンポリマー/フィブリンシーラント物質を用いる、術後癒着の発
生の予防または減少は、添加または外因性トロンビンまたはトロンビン様酵素を
全く使用しない場合に向上する。
【0028】 WO96/22115およびWO98/02098に記載の従来シーラント法
および従来の術後癒着減少法で使用される高用量トロンビンはそれ自体およびひ
とりでに、組織、器官および特に創傷部位において、炎症性応答を起こしうるこ
とがわかった。手術創傷部位において、添加トロンビンは、それ自体ネガティブ
かもしれないし、また従来のシーラントが十分に重合してバリヤーを形成する前
に、創傷治癒プロセスを不正に“キック−スタート(kick−start)”するかも
しれない炎症性応答を起こしうることが確認される。
【0029】 結果は実際には、かなり局所促進的な癒着形成となりうる。このように、従来
技術は所望のバリヤー層を生成するのにトロンビンを要するにも拘らず、バリヤ
ー層および同時塗布シーラント中のトロンビンの存在(WO98/02098の
二液癒着予防法の場合)は、逆の望ましくない影響(効果)を有するかもしれな
い。さらに、免疫学的観点から、たとえばトロンビンを取り入れるフィブリンシ
ーラントを用いる将来の手術において、将来のチャレンジ(challenge)におけ
るより明確な免疫応答の可能なリスクが存在する。
【0030】 最後に、最近の証拠によれば、血管(たとえば無傷の血管でも)にフィブリン
シーラントと共に保持されるトロンビンは、血管壁を透過し、血流中に測定でき
るほどになることが示されている。このことは、特に従来のシーラント/バリヤ
ー法で提案の高用量のトロンビンにおいて、不利なトロンボゲン形勢事態のリス
クを増大しうる。
【0031】 すなわち、術後癒着の発生を予防または減少する好ましい方法は、外因性トロ
ンビンの添加の必要が全くないフィブリンモノマー組成物から;またはフィブリ
ノーゲン対フィブリンポリマー変換の適当な触媒作用の後に、該トロンビンを分
離もしくは除去するか、あるいは他の方法として患者に塗布しないフィブリノー
ゲン/トロンビンシステムからの、フィブリンポリマー形成を必然的に伴う。
【0032】 この方法は、外因性または添加トロンビンを実質的に有しないことについて記
載されているが、フイブリノーゲンからフィブリノペプチドAおよび/またはB
の開裂を触媒しうる他の酵素にも同様に適用しうることを理解すべきである。し
かしながら、当該分野で公知の他の酵素、たとえばバトロキソビン(batroxobin
)、アンクロド等は、トロンビンのための上記排出物(issues)を沈澱させず、
かつそれにもかかわらず、異質のたんぱく質をいずれも実質的に有しないシーラ
ント/バリヤーが望まれる場合には、フィブリンポリマー−形成組成物から除去
することができる。
【0033】 ところで、患者に対し最も自然な物質が、より自然な生物学的応答を付与する
と思われるので、患者にとって異質のたんぱく質、酵素またはポリマーを実質的
に有しないフィブリンシーラント/フィブリンポリマーを用いる、術後癒着の発
生を予防または減少する方法は、本発明の一部である。
【0034】 正確なメカニズムは理解されていないが、異質の作用物質の最小化は、術後癒
着が予想される傷ついた組織の炎症性応答をできるだけ少なくすることが可能で
ある。従来技術での幾人かの研究者達は、術後癒着の発生を予防または減少する
ため抗炎症性作用物質の使用を試みたが、術後癒着法でフィブリンシーラントを
用いて研究する他の者達は、抗炎症性説を無視し、かつシーラントを本質的に物
理的バリヤーと見なした。
【0035】 本発明によれば、患者にとって外因性のたんぱく質、酵素またはポリマーを実
質的に有しないフィブリンシーラント/ポリマーは、他の面で炎症性応答に起因
しうる癒着形成を促進する可能性を減少しつつ、物理的バリヤーの特徴点(側面
)を付与する。
【0036】 本発明のこの自己由来側面によれば、語句“実質的に有しない”とは、術後癒
着の発生を予防または減少するのに塗布されるシーラント物質が、患者に対して
異質のまたは外因性であるたんぱく質、酵素またはポリマーを、10重量%以下
、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.
5〜0重量%しか含有しないという事実を意味する。
【0037】 この自己由来法に従って、フィブリンシーラント/フィブリンポリマーを自己
由来フィブリノーゲンおよび自己由来トロンビンとして適用することができる。
また、このフィブリノーゲン/トロンビンシーラントは、たとえばU.S.特許
出願No.60/069652(1997年12月9日出願)に記載されるよう
な自己由来の安定剤または抗線維素溶解藥を含有してもよい。
【0038】 自己由来トロンビン以外のたんぱく分解酵素を用いてフィブリノーゲンを処理
する場合、塗布されるフィブリノーゲンは上記の如く、少なくとも90%の該酵
素を有しないことが必要である。同様に、フィブリンモノマー組成物を塗布する
場合、自己由来フィブリノーゲンから自己由来フィブリンモノマーの調製に用い
る酵素を少なくとも90%有するべきでない。
【0039】 これら自己由来法にさらにまた、本発明によれば、追加の自己由来プラスマた
んぱく質の1種以上は、より化学的に自然なクロット物質を付与し、これによっ
て、術後癒着の発生の予防または減少の成果を高める。
【0040】 好ましくは、自然なクロットプロセスで存在しうるものから選ばれる自己由来
プラスマたんぱく質は、本発明方法に係る手術創傷部位への適用前またはその間
に、シーラント成分に加えることができる。別法として、これらのたんぱく質は
、フィブリンシーラントを形成する自己由来血液成分の1種以上を生成するプロ
セスで、同時収穫することができる。
【0041】 たとえば、自己由来フィブリノーゲンを製造するプロセスは、自然なカクテル
(natural cocktail)をもたらすことができ、かつモノマーといっしょに同時
塗布されてよい。GB97/11927.5に、止血およびシール用のフィブリ
ンシーラントとして有用な組成物が記載されている。これらの組成物はさらに、
多重のシートもしくは層を使用し、あるいはポリマーを添加して、生体外でシー
トを予備形成する必要もなく、癒着形成に対する自然バリヤーとして機能するこ
とがわかった。
【0042】 従って、自己由来の血液成分、たとえばフィブリンモノマーは、添加または同
時収穫され、かつプロトロンビン、第XIII因子(賦活可能)、プラスミノゲ
ン、フイブロネクチン、抗トロンビンIIIおよび第X因子からなる群から選ば
れる自己由来たんぱく質の1種以上を含有してもよい。
【0043】 本発明で使用する組成物は好ましくは、約10〜30mg/mlの自己由来フ
ィブリンモノマー、約10〜40μg/mlの自己由来プロトロンビンおよび約
100〜200μg/mlのプラスミノゲンを含有する。かかる組成物はさらに
、5〜100μg/mlの賦活可能な第XIII因子および/または45〜15
0μg/mlのフイブロネクチンおよび/または2.0〜7.0μg/mlの第
X因子および/または50〜200μg/mlの抗トロンビンIIIを含有して
もよく、これら成分の全ては、抗癒着処置を受ける患者に対して自己由来である
【0044】 また、フィブリンポリマーを用いる、術後癒着予防の効能に対して、特定のプ
ロセス工程が影響を有しうることが理解される。たとえば、幾つかのフィブリン
シーラントは、ウイルス感染のリスクを縮小するプロセス設計が必要である。“
溶剤(solvent)/洗剤(detergent)”プロセスは、伝えられるところによると
、特定ウイルスの場合のウイルス性リスクの縮小に役立つ。
【0045】 また、幾つかのフィブリンシーラント前駆体は、再生可能な粉末形状で商業上
入手できるように凍結乾燥される。これらの比較的苛酷な条件下で加工されるシ
ーラントの多くは、重要なプラスマたんぱく質、たとえばフィブリノーゲンやト
ロンビンを“変性する”傾向にある。このことは、従来の重合を容易にするシー
ラント法において、かかるたんぱく質の比較的高い濃度を弁明する。
【0046】 これらの高い濃度でも、その重合は、溶剤/洗剤プロセスを必要としない成分
の場合と比較して遅い。術後癒着の発生を予防または減少するため、溶剤/洗剤
プロセスおよび/または凍結乾燥に付されなかった、血液たんぱく質から形成さ
れるフィブリンポリマーは、良好な結果を付与することが明らかである。クロッ
ト−形成血液たんぱく質を化学的および/または生物学的に変性すると思われる
プロセス工程としては、厳しい化学物質や極端な温度の使用が挙げられる。
【0047】 本発明は、自然クロットと化学的により類似するフィブリンシーラント/フィ
ブリンポリマーを教示するが、ここで、それらはほんのわずかな外因性物質しか
有さずおよび/または極度のプロセスに付されることが少ない。また物理的構造
も自然クロットによく似ているか、あるいは本発明と同日出願のU.S.同時係
属出願No.60/136,902に記載の、異なった構造をとってもよい。
【0048】 実施例1 本発明方法に係るフィブリンシーラントは、EdwardsonらのU.S.特許No
.5750657の記載に準じ、およびHolmの、就中、U.S.特許Nos.
5741428、5603845、5824230および5958253に開示
の方法および装置を用いて調製した。 新たに抜き取った抗凝固全血(120mlプラス17mlの4%クエン酸三ナ
トリウム、USP)を遠心分離し、得られるプラスマ(60ml)をビオチン−
バトロキソビンと37℃で10分間反応させる。生成した酸可溶性のフィブリン
Iポリマーを遠心分離で単離し、カルシウムイオン含有の3.5〜5.2mlの
0.2M酢酸ナトリウム緩衝剤(pH4)に溶解する。
【0049】 約6mlの濃縮フィブリンI(20±2mg/ml)が生成し、−20℃で7
日間安定である。フィブリンIを水和する、アガロースに共有結合でカップリン
グした凍結乾燥アビジンを加えて、痕跡量のビオチン−バトロキソビンを除去す
る。5分以内に、濾過してビオチン−バトロキソビン:アビジン−アガロースを
除去し、濃縮フィブリンIモノマーを所定の塗布装置に移し、以下に示す実験に
使用する。 得られるF1モノマー溶液を炭酸塩/重炭酸塩緩衝剤(pH10)と共に、F
1:pH10=7:1の割合で同時塗布する。
【0050】 実施例2 本例(実験)は、ウサギ実験モデルの術後屈筋腱癒着形成に対する、実施例1
のフィブリンモノマー・シーラント(以下、“F1モノマーシーラント”と称す
)の効果を評価するものである。さらに可動および固定術後群に細分することに
よりF1モノマーシーラントと癒着形成を減らすことが十分証明されている方法、
すなわち早期の積極的な可動化(mobilization)とのあらゆる相乗効果を評価す
ることができた。
【0051】 材料と方法 動物モデルおよび外科手術方法 Murex Lopウサギ20羽を本試験に用いた。ウサギの性別分布は同じであり体重
は2500〜4500gであった。最終評価前に1羽が死亡し、ウサギの総数は19羽(雄9
羽、雌10羽)となった。少なくとも手術の7日前に動物をMurex BioTech Ltd (Da
rtfort, Kent)から得、環境に馴化させた。試験期間を通して動物を個別ケージ
に入れ、自由に餌と水を与えた。動物の一般状態および外科手術創の定期評価は
U.K.Home Office、「Guide for the Care and the Use of Laboratory Animals
」1996に従って行った。 外科手術手順は、「Good Laboratory Practice」に準拠した完全に整った手術
室で行った。麻酔導入はHypnorm(登録商標)(Janseen Copenhagen, Denmark, 0
.2ml/kg, im)、次いでジアゼパム(Phoenix, 0.5ml/kg, iv)で行った。維持は
麻酔マスクを介して2%ハロタン(Zeneca)および酸素を流速2l/minで供給した
。麻酔した動物の状態は脈拍および酸素飽和プローブを用いて連続的にモニター
した。フェイスマスクを介して純酸素を供給して麻酔からの回復を促した。
【0052】 外科手術を始める前に、左前足(paw)の屈筋側面を髪切りばさみで短く刈っ
た。麻酔導入後、手術部位をアルコール中クロルヘキシジンおよびアルコール中
ヨードでよく洗って準備した。術野を無菌ドレープで隔離した。手術用顕微鏡の
助けを借りて、左前足の第二および第四指の近位指節骨の底部を縦に切開した。
正中線を鈍性に切開すると指の鞘(腱鞘)とその中の腱が露出した。次いで腱鞘を
滑車A2およびA3の間(近位指節骨の中間に相当する点)で開いた。深指屈筋(fl
exor digitorum profundus)が露出した(図1)。次に、第2および4指の長屈
筋腱の足裏面に15ブレードで標準的外科損傷を負わせた。損傷を長さ5mmとし、
該腱の芯物質を露出させた。創傷を閉じる前に、第2および4指の深指屈筋の創
傷をF1モノマーシーラント(図3)で処置するか、または無処置とした。F1モノマ
ーシーラント(0.1-0.4 ml)の適用は、WO97/20585およびWO98/20931に開示された
可変微細ジェットアプリケーターを介して行った。得られたコーティングは空気
中で3分間重合させ、次いで損傷した腱を創傷の底面に戻した。手術した未処置
指も3分間空気に曝露した。さらに近位腱を外科的にトランスアクションしてす
べての第2指を固定した。これは手根管の直遠位の皮膚を横切開して行った。第
2指に向かう深指屈筋および浅指屈筋(flexor digitorum superficialis)を掌
内できつくトランスアクトして、指を固定した。全ての皮膚切開部は、皮内断続
水平マットレス縫合(4/0 Vicryl (Ethicon))で閉じた。次いで、創傷をCicatrin
(登録商標)(Wellcome)抗菌パウダーで被い、Opsite(登録商標)(Smith and n
ephew)をスプレーした。外部の包帯剤は適用しなかった。すべての動物には術後
の鎮痛のためブプレノルフィン(0.01-0.05mg/kg)を投与した。回復後、動物をケ
ージ内で通常通り動き回らせた。術後14日目に動物にバルビツール酸塩の致死量
を静脈内注射して安楽死させた。
【0053】 癒着発生の生物力学的評価 全ての手術群において張力計を用いて癒着の発生を評価した。さらに、右前足
(第2および4指)を手術していない動物を同様に評価して比較分析用の非手術
コントロール群とした。したがって、5群で二重盲検生物力学的評価を行った。
第1群 非手術コントロール。 第2群 固定(第2指)、手術、およびF1モノマーシーラント試験群。 第3群 可動(化)(第4指)、手術、およびF1モノマーシーラント試験群。 第4群 固定(第2指)、手術群(さらなる処置なし)。 第5群 可動(第4指)、手術群(さらなる処置なし)。 張力計 (NE Holm A/S, Denmark)により、深指屈筋をその鞘から引き離すのに
必要な力をグラムで測定した。新たに選んだ動物の前左および右第2および第4
指をそれぞれ切開し、浅指屈筋および深指屈筋を手術損傷部位の近位および遠位
でトランスアクト(transact)した。指鞘の出入口の約15mm近位で2本の腱をト
ランスアクトして近位切開を完結させた。A3およびA4滑車間をトランスアクトし
ている深指屈筋腱において指切開を完結し、確実にこれがひも管(vincular ves
sels)の挿入部の近位にあるようにした。次いで、深指屈筋腱の近位基部(stum
p)を絹2/0-ステイ縫合糸で突き刺した(transfix)。次に、クランプで堅くつ
かんだ関連する指の爪と一体になった絹のひもを張力計に繋いだ。鞘がない腱を
ひくのに必要な力をグラムで記録し、これにより癒着形成を表示した。
【0054】 観察データの統計学的評価は、Stata Release 6 統計ソフトウエアパッケージ
を用いローバスト(robust)回帰法を用いて行った。この分析は、動物あたり数
回の測定からなるデータの構造を説明した。この方法は、動物間(必ずしも動物
内ではない)の観察結果に独立性があることを明確に示した。回帰係数の標準誤
差のローバスト推定値は、Huber/White/サンドイッチエスティメーターを用いて
計算した。これは同一試料からの独立性を欠く可能性を考慮している。残る分散
は、最初の測定尺度について群間で一定ではなかった。したがって、それらは正
常に分布していなかった。したがって、log10変換を適用した後に統計分析を行
った。回帰分析では群あたりの幾何平均張力の推定値および95%信頼区間を得た
。これらの値を得るために、対数尺度についての係数および信頼区間を最初の測
定尺度に変換し戻した(表1および2)。生データをボックスおよびウィスカー
プロット(Sigma Plot バージョン4.0)でグラフに示した。該ボックスは、中央値
に印をつけるために内部に線を含む四分位範囲 (データの中央50%)に対応する。
平均値は破線で示す。ウィスカーの長さは四分位範囲の1.5倍である。ウィスカ
ーの外側の値は個々にプロットしている。
【0055】 結果 この試験ではウサギ20羽を用いた。生体力学的評価を行う前に1羽が死亡した
。動物を無作為に4処置群の1つかまたは非手術コントロール群に割り当てた。
ウサギ19羽の最大観察可能回数は76回(ウサギあたり4回)であった。しかしな
がら、例えば、可動群で腱が切れるか、または張力計で引く前の指のtransactio
nが不完全であったため、これらのうち67回のみが統計分析に適していた(88%)。
したがって、群あたり以下の数の腱について統計評価を行った。第1群 (n=36)
、第2群 (n=7)、第3群 (n=6)、第4群 (n=10)、および最後の第5群 (n=8)。 各群あたりの張力計による張力の生平均値をグラフ1に示す。全処置Flモノマ
ーシーラント群を比較すると、生データの解釈から、腱をその鞘からはずすのに
要する張力の全体の低下が75.6%であることがわかった。可動および固定で分け
ると非処置群から処置群への低下はそれぞれ79.7%および76.8%であった。
【0056】 先に示したように、群のデータは正常に分布していなかった。生データを有意
義に解釈するには対数尺度の適用が必要であった。表1は群あたりの幾何平均張
力値と該平均の95%信頼区間を示す。ローバスト回帰分析を用いて手術群と非手
術群を比較した。Flモノマーシーラント処置群 (固定 p=0.42、および可動 p=0.
47)と正常非手術コントロール張力を比較すると、この分析では統計学的な差は
みられなかった。このことは、F1モノマーシーラント処置損傷と非手術コントロ
ールの癒着形成に有意差がないことを意味する。しかしながら、手術非処置群と
非手術コントロール(固定 p<0.001、および可動 p<0.001)を比較すると高い有意
差がみられた。このことは、F1モノマーシーラントで処置しなければ外科手術の
損傷は、非手術コントロールと比較して張力計の張力で評価される有意な癒着形
成の増加をもたらすことを示した。さらなるデータの分析は、術後の可動性が同
じタイプの手術群間では、F1モノマーシーラントを加えると有意差が生じること
を示す(F1モノマーシーラント固定および非処置固定間の差p=0.03、F1モノマー
シーラント可動および非処置固定間の差 p=0.03)。生データのlog10について回
帰分析を行った後の非手術コントロール側の平均張力の変化率は以下のごとくで
あった: 第2群 固定、手術、およびF1モノマーシーラント処置(72%増加)。 第3群 可動(化)、手術、およびF1モノマーシーラント処置(39%増加)。 第4群 固定、手術、およびさらなる処置なし(980%増加)。 第5群 可動化、手術、およびさらなる処置なし(490%増加)。
【0057】 これらデータから可動および固定F1モノマーシーラント処置群いずれも非手術
コントロール群との有意差はなかったと結論することができる(それぞれ、P=0.4
7およびP=0.42、表2)。生データのグラフ(グラフ1)は、F1モノマーシーラント
が活発な可動化と共に腱を鞘から引き離すのに要する力を減少させるように作用
することを示し、処置例で癒着の発生がかなり減少することを示す。これは、非
手術コントロール群と手術非処置群との比較結果と対照的である。可動および固
定非処置群はいずれも非手術コントロールより有意に多くの癒着を形成する(そ
れぞれP<0.001(表2))。さらに生データグラフは、癒着形成を減少させるための
可動化の有効性を示す(グラフ1)。
【0058】 グラフI 生データのボックスおよびウィスカープロット。ボックスは四分位範囲に対応
する(データの中央50%)。内部の実線は中央値を示す。水平の点線は平均値であ
る。ウィスカーの長さを個々にプロットしている。これらの外側の点を個々にグ
ラフに示す。
【0059】 表1 群あたりの幾何平均張力および平均の95%信頼区間
【0060】 表2 群平均のペアごとに比較するローバスト回帰分析から得られるP値
【0061】 実施例3 フィブリンシーラントの臨床的性能は、弾性、伸張強度、およびヒト組織への
付着(接着)能といった物理特性の影響を受ける。これら特性は、重合により形
成されるフィブリンシーラントの内部構造に関連する。機能的フィブリン(凝)塊
が完成するまでの最小重合時間の分析は臨床的に重要である。フィブリンシーラ
ントが接触時に作用し、血液で洗い流されるかまたは標的組織(例えば心臓また
は肺)の動きにより剥がれることなく適用部位に確実に留まるようにするには、
瞬間的な組織-フィブリンシーラントの接着が望ましい。フィブリンシーラント
の物理的特徴はフィブリンの架橋の程度に関連する。重合速度を測定することに
より、機能的凝塊を生成するのに必要な最小時間を計算することができる。Vivo
stat(登録商標)フィブリン1モノマーベースのシーラントを適用して20〜300秒
後の生体ヒト組織に対する接着特性および重合動態を分析し、2種類の従来のフ
ィブリンシーラント、Tissucol(登録商標)およびBeriplast(登録商標)につ
いて得られるものと比較した。実験データの解析により、Vivostat(登録商標)
シーラントの重合は一次速度論に従ったが、Beriplast(登録商標)およびTissu
col(登録商標)の重合は二次速度論に従った。この試験は、Vivostat(登録商
標)シーラントが従来のフィブリンシーラントより速く重合することを示してい
る。
【0062】 1.材料と方法 実施例1に記載のごとく提供された新鮮血液から溶液を調製し1時間以内に使
用した。シーラントをSpraypen(登録商標)アプリケーターとHolmら、WO97/205
85およびWO98/20931中に開示の自動化Vivostat適用装置を一緒に用いてシーラン
トを供給した。従来のフィブリンシーラントであるTissucol(登録商標)(Baxte
r)(1mlおよび2mlキット)およびBeriplast(登録商標)(Aventis)(1mlおよび3ml
キット)を、製造業者の指示書に従って調製し、適用した。Tissucol(登録商標
)およびBeriplast(登録商標)を、それぞれニードルまたはスプレーヘッドを
取り付けたDuploject(登録商標)およびPantaject(登録商標)アプリケーター
を用いて適用した。
【0063】 調圧レオメーター、Carri-Med CSL 100オートギャップを用いてトーションレ
オメトリー実験を行った。フィブリンシーラント約0.5mlをレオメーターの底部
上に適用した。上端は直径2cmの細かい平行線を引いたプレートであり、試料プ
ラットホームはPeltierベースプレート上の直径2cmの細かい平行線を引いたプレ
ートからなった。レオメーターの温度は37℃にセットした。11分間、周波数0.1H
zの15μNmの一定振動トルクを用いて振動実験を行った。 接着実験は、生ヒト組織の使用を含む最近記載のモデル(Kjaergaardetal, Eu
r. Surg. Res. 1999)を用いて行った。ヒト組織試料は、冠状動脈バイパス移植
で残った大伏在静脈移植片であった。組織の活力を保証するため、全ての試料を
生理食塩水溶液中で維持し、採取して24時間以内に使用した。静脈移植片を縦方
向に開いて試料を1cm2にカットし、これを、Gore-Tex V5リテーニング縫合糸を
用いて試料ホルダーに固定した。2つの試料をほぼ45度の角度になるようにし、
フィブリンシーラント0.1mlを外膜が露出した組織表面にスプレーした。2つの
組織試料を外圧を加えずに接触させ、接着試験が始まるまで重合させた。Neneユ
ニバーサル試験モデルM5を10mm/分の速度で用いて試験を行った。試料の横断面
積で割った力で定義した接着強度、接着エネルギー(すなわち、図3に示す実験曲
線下面積)、および伸び(すなわち、試料が達成する伸張度)を各実験について計
算した。各重合時間で平均値を計算した。信頼間隔(すなわち、95% CI)も各パ
ラメータで95% CI=1.95 CV/√nとして計算した(ここで、nは分析した試料の数
であり、接着強度、伸張度、および接着エネルギーはそれぞれCV=6.60、8.35、
および9.81%であった)。
【0064】 2.結果 異なるドナーから提供された新鮮血液から調製した各16溶液をレオメーターの
ステージ上にスプレーし、形成されたフィブリン凝塊のレオロジーを11分間にわ
たり試験した。平均フィブリンI濃度は22.20mg/ml±12.7%(CV)であった。Tissuc
ol(登録商標)およびBeriplast(登録商標)の4試料もレオメーターで分析し
た。 時間に対するdG'/dtの曲線適合分析では、シーラントの重合は方程式(1)に示
す一次速度論に従うことを示した(ここで、tは時間であり、(dGt'/dt)0 はt=0
における微分係数(derivative)値であり、kは反応速度定数である)。
【数1】
【0065】 dG'/dt対時間を示す単一曲線を各時点の16試料の値を平均して作製した。kお
よび(dG'/dt)0について得られた値は、それぞれ1.17-10-2±0.05・10-2 s-1、お
よび3.17±0.15pa s-1 (r=0.9926; X2=0.0683)であった。 同様の解析をTissucol(登録商標)およびBeriplast(登録商標)フィブリン
シーラントの試料に適用した。実験データを方程式(1)に当てはめる試みでは相
関が非常に低かった(r=0.8300-0.9400)。この場合、dG'/dtは方程式(2)に示すご
とく二次速度論に従った(ここでtは時間であり、(dG'/dt)0はt=0における微分
係数値であり、kは反応速度定数(パスカル-1)である)。
【数2】
【0066】 Tissucol(登録商標)およびBeriplast(登録商標)の速度論パラメーターは
、方程式(2)に平均dG'/dt曲線を当てはめて計算した。表3はこの方法に従って
得られた結果を示す。従来のフィブリンシーラントについては、フィブリンシー
ラントの2成分の混合効率は凝塊の形成速度に大きな影響を与えた。スプレー供
給システムは反応速度定数を、Tissucol(登録商標)でほぼ43%、Tissucol(登
録商標)で18%増加させた。 Tissucol(登録商標)およびBeriplast(登録商標)の重合速度論を重合の最
初の200秒間にわたり比較した。この時間にわたり、比較のために、方程式(2)で
示される二次速度論モデルを用いて実験曲線に当てはめるとよい相関を得ること
ができる(r=0.9974)。この場合は、反応速度定数は方程式(1)を用いて得られる
ものと同様の絶対値(すなわち、k=1.06.10-2±0.06・10-2pa-1)を示した。結果
を図4に示す。示すように、二次反応速度定数は他のフィブリンシーラントより
6〜20倍大きかった。
【0067】 接着実験は、同様の適用システムを比較するため、スプレーしたフィブリンシ
ーラントの試料を用いて行った。 ほとんどの試料は、最大力に達する前に最初の限界点を示した(すなわち、Aお
よびB点の交差点、図3参照)。この点は接着力の突然の低下により検出され(
図3)、試料の部分的破損として視覚的に観察された。これは、該シーラントの
弾力性の限界と該システムの最初の破壊を示しており、このことは臨床的見地か
ら明確な暗示を与える。最初の限界点における伸び(すなわち、Bにおける伸び
)と最初の限界点における接着強度(すなわち、A点における力÷横断面積)を
全ての試料について測定した。2つの同じ接着実験を各時点で準備し、各シーラ
ント試料について平均値を記録した。結果を表4-6に示す。 Tissucol(登録商標)およびBeriplast(登録商標)のいずれよりもはるかに
速く高度の弾力性に達した。これは重合速度が競合製品よりはるかに速かったこ
とを示す反応速度分析と一致する。結果として、組織に対する優れた瞬間接着(
図5)とよりよい弾性特性(図6)が得られた。
【0068】 表3.Tissucol(登録商標)またはBeriplast(登録商標)フィブリンシーラ
ントに対する速度論的パラメーターと回帰分析の相関
【0069】 表4. Vivostat(登録商標)フィブリンシーラントの接着特性±95%CI
【0070】 表5.Tissucol(登録商標)フィブリンシーラントの接着特性±95%CI 単回試験
【0071】 表6. Beriplast(登録商標)フィブリンシーラントの接着特性±95%CI
【0072】 実施例4 本実施例4の目的は、子宮角および向かい合う同側腹(膜)壁に対する外科的損
傷後のウサギの腹腔における術後の癒着(PSA)を予防するための3種類のフィ
ブリンシーラントの能力を評価することである。この実施例では下記のシリンジ
で適用されるシーラントを評価する。 a) 先の実施例で用いたVivostat(登録商標)フィブリンIモノマーベースのフィ
ブリンシーラント; b) Tissucol(登録商標)、ヨーロッパでImmuno AG(Austria)が市販している
フィブリンシーラントで、プールヒトフィブリノーゲン(アプロチニム含有溶液
中)と塩化カルシウム溶液中のウシトロンビン成分を同時に適用することを含む
2成分シーラントシステム、および c) Cyroprecipitate (CYRO)、単一ドナー由来のフィブリノーゲンを含む血液成
分を濃縮した寒冷沈降物で、ウシトロンビンを同時に適用する。 Tissucol(登録商標)およびCRYOはすべてウシトロンビン4単位および500単位
を用いて評価した。
【0073】 モデル 簡単には、自然に並列の状態にある子宮角および同側腹腔壁にそれぞれ標準的
擦傷を負わせた。 次いで、損傷領域を、実験部位の外側に置いたポジショナル縫合糸を用いて並
べ、処置部位をフィブリンシーラントの層で分けた。次に、実験部位を、試験プ
ロトコールに示した長さの回復時間の間in vivoに放置した。誘導された損傷の
レベルと損傷表面が並んでいることから、このウサギ子宮角擦傷モデルは「より
悪い場合」の筋書きを引き起こす重症の実験的PSAモデルである。 一貫した標準面積の損傷が確実に生じるように、子宮角または腹腔壁に適合す
るように設計したテンプレート(25mm x 3mm)を特別に構築した。テンプレート
の正確な面積に適合した標準的深さ(1.5mm)を持つスクレイパーを用いて擦傷を
生じさせた。各損傷部位について決めた回数引っ掻くさらなるパラメーターを用
いて、損傷を最大限、生物学的変動の限度内に標準化した。大きさ、構造、およ
び腹腔内の位置により腹腔壁と一緒に子宮角を実験部位に選んだ。組織のひどい
取り扱いによりPSAが形成されることが示されているので (Boys, 1942; Connoll
y & Smith, 1960)、過剰な組織の取り扱いは避ける必要がある。さらに、サイズ
が大きいことが適切な処置を助けることから、経産(ex-breeding)ウサギも観
察用に選んだ。
【0074】 処置 右大殿筋にヒプノルム(hypnorm)(クエン酸フェンタニル(Fentanyl)0.315m
g/mlおよびフルアニゾン10mg/ml、Janssen Saunderton, High Wycombe, Bucking
hamshireより供給)(0.2ml/kg体重、筋肉内)を前投薬した。 外科手術用麻酔をヒプノルム(0.3ml/kg体重、筋肉内)、およびジアゼパム(5mg
/mlジアゼパム、Phoenix Pharmaceuticals Limited, Gloucesterより供給)(2.5m
g/kg体重、静脈内)で誘導した。完全無菌手術処置を遵守した。手術部位に運ば
れると肉芽腫や癒着形成を引き起こすかも知れないあらゆる微量の粒状物質(デ
ンプン、粉末)を除去するため外科手術用手袋を無菌水で洗浄するのに特に注意
を払った。 外科手術野の柔毛を剃り、アルコールクロルヘキシジン、次いでヨードで消毒
した。開腹は高周波切開により、肝臓下縁から腸骨窩の水平線まで、皮膚と筋肉
を通して腹腔壁まで正中線を一回で切開することにより行い、ハサミで分離した
。レトラクションを開腹創端に適用し、子宮角に手を伸ばせるようにした。
【0075】 自然に互いに並列に位置する、子宮角および対応する腹腔の内部同側表面の各
漿膜表面上に実験領域を選択した。子宮角または腹腔壁のいずれかに特に構築さ
れた標準テンプレートを選択した領域上に置き、各領域をスクレーパーの鋭利な
端で擦傷した。明らかな連続的な出血を起こさない限り、標準回数の10回引っ
掻くことにより均質な点状出血を起こさせた。したがって、各例において、標準
的で再現性のある損傷が生じた。 Stanniusポジショナル縫合糸(Ethibond 6/0または同様のもの)を一針ずつ(s
ingle throws)擦傷領域(腹腔壁および子宮角)の各末端部の5mm外側に通した
。これら縫合糸は腹膜および対応子宮角の漿膜のみを通した。コントロール群に
ついては、2つの並列した擦傷領域を一致させて締め付け、2領域間の接触を維
持した。この時点から計時を始めた。処置群については、ポジショナル縫合糸を
2つの擦傷領域をぴったり一致させて(ただし、接触させずに)固定し、次いで
、フィブリンシーラントを擦傷領域に適用した。次に、縫合糸を一緒に引き、密
接な縫合を避け、適度に接触するのに必要な張力で2領域を接触させた。この時
点で計時を開始した。
【0076】 損傷後30分までサンプリングした群では、ウサギを仰臥位で麻酔し続け、組織
クランプで開腹部を閉じて保持した。損傷1時間後からサンプリングした群では
、開腹部を閉じ、適切な時間後に再度開いた。 開腹創の閉鎖は2層にし、最初に、腹膜および筋層用の無外傷性半丸針と2/0
プレーンカットグットを用い、移植用ロングフロー、オーバーアンダー、非断続
(non-interrupted)交差縫合を、また第二に、半丸角針と2/0 Proleneまたは同
等物を用い、皮膚用の断続マットレス縫合を用いた。傷口を閉じた直後に、創傷
包帯(剤)を傷口とその周りに適用した。 術後14日で動物を麻酔した(外科手術の場合)。最初の切開部に沿って開腹部
を再び開け実験領域を確認し、巨視的観察結果を記録し、写真撮影した。5mm以
上の非擦傷組織を含む腹膜の擦傷領域と付随する子宮角を切除した。 実験群の要約を下記表7に示す。
【0077】
【0078】 結果 巨視的結果 コントロール群はすべて(13/13)、腹腔壁および子宮角の擦傷部位と結びつくP
SAを示した。処置群において実験的に誘導されるPSAの巨視的発生率は、下記グ
ラフ2に示すように、Vivostat(登録商標)シーラントで8.3%、CRYO-4単位 ト
ロンビンで16.7%、CRYO-500単位 トロンビンで66.7%、Tissucol(登録商標)-4単
位 トロンビンで100%、Tissucol(登録商標)-500単位 トロンビンで50%であった
【0079】 グラフ2.巨視的PSA発生率。
【0080】 顕微鏡的定量結果 PSAの平均容積は、コントロール群で73.93mm3、Vivostat(登録商標)シーラ
ント処置群で1130mm3、CRYO-4および500単位トロンビン処置群ではそれぞれ21.0
6および179.98mm3、Tissucol(登録商標)-4および500単位トロンビン処置群で
はそれぞれ106.12および69.42mm3であった(グラフ3)。平均PSA容積のコントロ
ールに比べて有意な低下がVivostat(登録商標)シーラント(P<0.001)およびCRY
O (P=0.0152)-4単位 トロンビン処置群でみられた。 コントロール群のPSA形成を100%とすると、各処置におけるPSAの容積パーセン
テージは、Vivostat(登録商標)シーラントで15.28%、CRYO (4単位 トロンビン
)で28.49%、CRYO (500単位 トロンビン)で243.46%、Tissucol(登録商標)(4単
位 トロンビン)で143.55%、およびTissucol(登録商標)(500単位 トロンビン)
で93.90%であった(グラフ4)。
【0081】 グラフ3.平均PSA容積とSEM、および統計的差。
【0082】 グラフ4. 平均PSA容積パーセンテージ。 このように、VivostatフィブリンIモノマーベースのシーラントは、PSAをコン
トロールよりほぼ85%減少させ、試験した他のシーラントより有意な改善をもた
らすことによりこのモデルにおいてPSAの優れた予防法であることを示した。
【0083】 表8 術後発生率/減少
【0084】 実施例5 この実施例の目的は、ヒト血液から製造したVivostat(登録商標)フィブリン
モノマーベースのフィブリンシーラント(実施例1で製造)の、ラットの盲腸癒着
モデルにおける術後癒着を低下もしくは予防する能力を評価することである。
【0085】 実験手順 雌のSprague Dawleyラット16匹を無作為に2群に分けた。各群に、盲腸および
向かい合った腹膜に標準化した擦傷を負わせ、これを非処置で放置するか、また
はVivostat(登録商標)フィブリンシーラントをスプレーした。次に、擦傷を縫
合糸を用いて並列させた。次に、動物を回復させ、動物ユニットで14日間維持し
た。 第14日に、コントロールおよびVivostat(登録商標)フィブリンシーラント処置
動物を安楽死させ、実験部位を取り出した。創傷を肉眼的、組織病理学的、およ
び立体解析学的に試験した。
【0086】 結果 擦傷法の際に動物2匹で盲腸に不注意に穿孔を生じた(これは4/0バイクリル(
Ethicon UK)による巾着縫合で修復した)。該部位はまだ評価に使用した。すべ
ての他の外科手術法は無事に完結した。 異常な臨床徴候や死亡はみられなかった。 処置した創傷に使用したフィブリンI溶液の濃度は13.46〜16.02 mg/mlの範囲
であった。平均容量0.79mlのVivostat(登録商標)フィブリンシーラントを、ス
プレー適用法にて実験部位に適用した。 第14日の創傷の巨視的検査では、コントロールの創傷の8/8およびVivostat(
登録商標)フィブリンシーラント処置創傷の0/8に癒着がみられた。すべての癒
着は緻密で頑強であり繊維質であった。 立体解析学的に測定した術後癒着の平均容積はコントロール例が89.91mm3、Vi
vostat(登録商標)フィブリンシーラント処置例が17.82mm3であった。繊維素性
様の結合があり、これはVivostat(登録商標)フィブリンシーラント処置例では
癒着と判断されなかったが、分析のために癒着容積として記録した。
【0087】 結論 癒着の平均容積はVivostat(登録商標)フィブリンシーラント処置群でコント
ロール群より有意に少なかった(P<0.1)。このラット盲腸癒着モデルにおいて、V
ivostat(登録商標)フィブリンシーラントは、コントロールに比べて術後癒着
を減少させる有効な物質である。
【0088】 実施例6 本実施例は、ブタの胃、結腸、および盲腸において、上記モデルのウサギ子宮
と同様の部位に外科的損傷を導入することによりPSAの形成/予防を評価するた
めに計画するものである。PSAを観察するために先に用いたブタモデルはブタが
ヒトと同じ病因により損傷または外傷に対するPSAを生じることを示す。この実
施例において、コントロール(非処置/損傷)動物を実施例1で作製したVivost
at(登録商標)フィブリンモノマーベースのフィブリンシーラントで処理した動
物と比較した(ここで、供給源は、(a)ヒトおよび(b)処置されたブタ由来、すな
わち、自己シーラントであった)。
【0089】 前投薬として、ケタミン(ケタラール50mg/ml、塩酸ケタミン)(Parke-Davis
, Pontypool, Gwent.から供給)(5mg/Kg)、およびキシラジン(Rompun 2%-塩酸キ
シラジン23.32mg/ml(20mg/mlキシラジンと同等)、および1mg/mlメチル4-ヒドロ
キシ-ベンゾエート(保存料)(Bayer Plc., Animal Health Business Group, Bur
y St. Edmunds, Suffolk.から供給)(1mg/kg))を大殿筋に筋肉内投与した。手術
室で、ブタに酸素中の4%ハロタンおよび酸化窒素それぞれ1.5L/分および0.5L/分
をマスクを介して鼻に供給して全麻酔導入し、維持した。 一旦、麻酔したブタを手術台上で仰臥位とし、各足をソフトテープで固定した
。試験用に固有のブタ確認番号を付したプラスチック耳標を動物の片耳に固定し
た。各ブタの手術部位を剃毛し、アルコール中のクロルヘキシジンで消毒し、次
いでアルコール中のヨードで2回拭いた。この時点から無菌手術法を遵守した。 動物にドレープをかけた。高周波メスとハサミを用い、胸骨の遠位剣状突起の
水平線から遠位方向に10-12cm延長する正中開腹術により螺旋状結腸と胃を露出
させた。
【0090】 螺旋状結腸の側方表面または盲腸の閉塞(blunt)末端、および胃の側方(medi
o-lateral)漿膜面上の1領域を選び、これら各領域が同側腹腔壁に自然に重ね
合わさるようにした。次に、領域を同側腹腔壁上に領域を選んだ。ウサギ子宮角
擦傷モデルを用いる場合と同様に、各選択領域に、テンプレートとスクレーパー
を用いて擦傷をつけ、明らかな連続的な出血を起こさない限り、標準回数の12
回引っ掻くことにより均質な点状出血を起こさせた。 縫合糸 (Ethibond 0.6または同等のもの)を、実験部位の各末端部の擦傷領域
の外側に一針いれた。これら縫合糸を、腹膜の内漿膜面のみに通し、次いで胃ま
たは結腸の並べた擦傷領域の各末端の漿膜に通した。縫合糸を締め付けて2つの
並べた擦傷領域が接触しない程度に互いに接近するようにした。処置例について
は、ヒトまたはブタフィブリンシーラントを擦傷領域に適用したが(平均容量1.
3ml/実験部位)、コントロール例には処置を行わなかった。次に、ポジショナル
縫合糸を締めて2つの擦傷領域が密接に接触するようにした。
【0091】 開腹創の閉鎖は2層にし、最初に、腹膜および筋層用の無外傷性半丸針と2/0
Dexon Plusを、第二に、半丸角針と2/0 Proleneまたは同等物を用いた。最初の
縫合層には「移植用」ロングフロー、オーバーアンダー、非断続交差縫合を、第
二層には皮膚用の断続マットレス縫合を用いた。 術後7日目に動物を屠殺し、以下のごとく評価した。動物を外科手術時と同様
に麻酔した。最初の切開部に沿って再度開腹術を行い、実験領域を確認し、巨視
的観察結果を記録し、写真撮影した。 ポジショナル縫合糸により各末端で腹膜と結合した結腸、盲腸、および胃の実
験部位を切除した。高用量の静注用ペントバルビトン(Expiral-Pentobarbitone
ナトリウムBP 200mg/ml、Sanofi Animal Health Ltd., Watford, Hertfordshire
より供給)(150mg/kg体重))により安楽死させた。 切除した組織の過剰の脂肪組織を取り除き、堅いカードに平らにピンで留めて
生きているときのような組織の標準的な位置関係を保ち、10%中性緩衝ホルマリ
ン生理食塩水に室温で少なくとも24時間浸漬して固定した。
【0092】 下記表に実験結果を要約する。
【0093】 結果 全ての動物は腹膜縫合線と下にある組織、最も頻繁にはそれぞれ網(omentum
)、回腸、盲腸、脾臓、および肝臓との間に全体的なPSAを示した。すべてのこ
れらPSAを鈍性切開により分離したが、実験部位とは干渉しなかった。 すべてのコントロール実験部位は癒着し、その多くは非常に激しかった。ヒト
フィブリンシーラントで処置した8部位の内5部位は癒着がなく、残る部位はPSA
またはフィブリンシーラントにより結合していた。4つのブタフィブリンシーラ
ント処置部位のうち2つは癒着なしと確認され、他の部位はPSAまたはフィブリ
ンシーラントにより結合していた。
【0094】 コントロール群のPSAの平均容積は、結腸が207.25mm3、盲腸が31.33mm3、胃が
248.11mm3で全体の平均は181.78mm3であった。ヒトフィブリンシーラント処置群
の平均容積は、結腸、盲腸、および胃でそれぞれ42.78mm3、8.96mm3、および204
.47mm3であり、平均容積は74.77mm3であった。結腸および盲腸にはPSAはみられ
なかったが(図8.5)、ブタフィブリンシーラント処置した実験部位では胃が6.25
mm3、群平均1.27mm3であった(グラフ5)。 コントロール群のPSA容積を100%とすると、ヒトフィブリンシーラントによる
減少は、結腸、盲腸、および胃でそれぞれ79、71、および18%であり、全体の減
少率は59%であった。ブタフィブリンシーラントによる減少は、コントロールに
比べ、結腸および盲腸でいずれも100%、胃で97%であり、PSAの減少は全体で99%
であった(グラフ6)。
【0095】 グラフ5 平均PSA容積およびSEM
【0096】 グラフ6 平均PSAパーセント
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2の実験におけるウサギの足の屈筋腱を示す。
【図2】 実施例2における時間によるdG’/dtの変化を示すグラフで
ある。
【図3】 実施例3の癒着実験を示すグラフである。
【図4】 初期200秒の重合中の秒水準反応に基づく、Vivostat(登録
商標)、Tissucol(登録商標)およびBeriplast(登録商標)の運動速度定数
の比較を示すグラフである。
【図5】 Vivostat、TissucolおよびBeriplastの各種重合時間における
第1破断点での癒着力を示すグラフである。
【図6】 Vivostat、TissucolおよびBeriplastの各種重合時間における
第1破断点での伸びを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ポール・シボンズ イギリス、エイチエイ1・3ユージェイ、 ハーロー、ミドルセックス、ワットフォー ド・ロード、ノースウィック・パーク・ア ンド・セント・マークス・ホスピタル (72)発明者 スチュアート・バーネット イギリス、シーエイチ5・2エヌユー、ク ルウィド、ディーサイド・インダストリア ル・パーク、1アベニュー (72)発明者 サリー−アン・リケッツ イギリス、アメルシャム、ホワイト・ライ オン・ロード、ニーコメド・アメルシャム (72)発明者 ピーター・エイ・ディ・エドワードソン イギリス、エルエス17・8イービー、リー ズ、アルウッドリー、サンドヒル・オーバ ル1番 (72)発明者 ジョナサン・ヒューズ イギリス、エイチピー6・5キューゼッ ト、バッキンガムシャー、アメルシャム、 ウィンドミル・ロード34番 (72)発明者 デレク・エイ・ホリングズビー イギリス、シーエイチ64・6ティキュー、 ネストン、パークゲイト、パドック・ドラ イブ21番 (72)発明者 スチュアート・エイ・シーダーホーム−ウ ィリアムズ イギリス、オーエックス4・4ティエヌ、 オックスフォード、リトルモア、セント・ ジョージーズ・マナー8 (72)発明者 ホーレス・アール・トランブル アメリカ合衆国08558−2224ニュージャー ジー州スキルマン、イニスブルック・ロー ド4番 (72)発明者 エイチ・ユージーン・グリフィン アメリカ合衆国02879ロードアイランド州 ウェイクフィールド、ケトルポンド・ドラ イブ255番 Fターム(参考) 4C081 AA04 AA14 AC03 AC04 BA11 BB04 CC04 CC05 CD111 CD172 CD18 CD23 CE03 DA14 DA15 DC12 EA05 EA06

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 手術創傷部位における術後癒着形成の予防法であって、 a)フィブリンモノマーからなる組成物を調製し;次いで b)該組成物を手術創傷部位に重合条件下で塗布して、該部位の術後癒着を予
    防するフィブリンポリマーが形成するようにする 工程から成ることを特徴とする予防法。
  2. 【請求項2】 術後癒着を予防するフィブリンポリマーが、手術創傷部位に
    密着する請求項1に記載の予防法。
  3. 【請求項3】 術後癒着を予防するフィブリンポリマーが、手術創傷部位の
    止血を付与する請求項1に記載の予防法。
  4. 【請求項4】 術後癒着を予防するフィブリンポリマーが、手術創傷部位の
    流体または空気漏れのシールを付与する請求項1に記載の予防法。
  5. 【請求項5】 術後癒着を予防するフィブリンポリマーが、手術創傷部位に
    おける脈管形成および創傷治癒を強化する請求項1に記載の予防法。
  6. 【請求項6】 組成物が、重合が抑制されているフィブリンモノマーからな
    り、ポリマー抑制品質が塗布時に逆転する請求項1に記載の予防法。
  7. 【請求項7】 組成物が低pH溶液のフィブリンモノマーからなる請求項6
    に記載の予防法。
  8. 【請求項8】 pHが2〜5である請求項7に記載の予防法。
  9. 【請求項9】 低pHフィブリンモノマー溶液を、pHを上昇しかつ重合を
    開始する緩衝剤溶液といっしょに同時塗布する請求項7に記載の予防法。
  10. 【請求項10】 フィブリンモノマー溶液を、pH10緩衝剤といっしょに
    同時塗布する請求項6または9に記載の予防法。
  11. 【請求項11】 フィブリンモノマーと緩衝剤を約7:1の割合で同時塗布
    する請求項10に記載の予防法。
  12. 【請求項12】 フィブリンモノマーからなる組成物が、フィブリン濃度1
    0〜20mg/mlのフィブリンモノマー溶液である請求項1に記載の予防法。
  13. 【請求項13】 フィブリン濃度が10〜50mg/mlである請求項12
    に記載の予防法。
  14. 【請求項14】 フィブリン濃度が10〜30mg/mlである請求項12
    に記載の予防法。
  15. 【請求項15】 フィブリン濃度が15〜25mg/mlである請求項12
    に記載の予防法。
  16. 【請求項16】 フィブリンモノマーからなる組成物が、フィブリノペプチ
    ドAおよび/またはBの開裂を触媒する外因性または添加の酵素を実質的に有し
    ない請求項1に記載の予防法。
  17. 【請求項17】 形成したフィブリンポリマーが、フィブリノペプチドAお
    よび/またはBの開裂を触媒する外因性または添加の酵素を実質的に有しない請
    求項1に記載の予防法。
  18. 【請求項18】 フィブリンモノマーが、フィブリンI、フィブリンII、
    des ββフィブリンまたはこれらの混合物から選ばれる請求項1に記載の予
    防法。
  19. 【請求項19】 フィブリノーゲンからのフィブリノペプチドAの開裂を触
    媒する酵素にフィブリノーゲンを付すことにより、フィブリンモノマーを調製し
    、該フィブリンモノマーがフィブリンIである請求項1に記載の予防法。
  20. 【請求項20】 酵素がバトロキソビン(batroxobin)である請求項19に
    記載の予防法。
  21. 【請求項21】 手術創傷部位における術後癒着形成の予防法であって、 a)フィブリンポリマーを形成しうる組成物を調製し;次いで b)生成するフィブリンポリマーが、フィブリノーゲンからのフィブリノペプ
    チドAおよび/またはBの開裂を触媒する酵素を実質的に有しなくする条件下で
    、上記組成物を手術創傷部位に塗布する 工程から成ることを特徴とする予防法。
  22. 【請求項22】 フィブリンポリマーが、トロンビンを実質的に有しない請
    求項21に記載の予防法。
  23. 【請求項23】 フィブリンポリマーを形成しうる組成物が、フィブリンモ
    ノマーである請求項21に記載の予防法。
  24. 【請求項24】 フィブリンポリマーを形成しうる組成物が、組換えフィブ
    リンモノマーである請求項23に記載の予防法。
  25. 【請求項25】 フィブリンポリマーを形成しうる組成物が、受容者に対し
    自己由来のフィブリンモノマーである請求項23に記載の予防法。
  26. 【請求項26】 フィブリノーゲンからのフィブリノペプチドAおよび/ま
    たはBの開裂を触媒する酵素にフィブリノーゲンを付した後、そのように処理さ
    れたフィブリノーゲンから酵素を分離することにより、フィブリンモノマー組成
    物を調製する請求項23に記載の予防法。
  27. 【請求項27】 フィブリンポリマーを形成しうる組成物が、フィブリノー
    ゲンである請求項21に記載の予防法。
  28. 【請求項28】 フィブリノペプチドAおよび/またはBの開裂を触媒しう
    る酵素による処理の後に、フィブリノーゲンを塗布し、酵素は手術創傷部位に塗
    布しない請求項27に記載の予防法。
  29. 【請求項29】 フィブリンポリマーが、フィブリンI、フィブリンII、
    des ββフィブリンまたはこれらの混合物から選ばれる請求項21に記載の
    予防法。
  30. 【請求項30】 ポリマーがフィブリンIである請求項29に記載の予防法
  31. 【請求項31】 患者の手術創傷部位における術後癒着形成の予防法であっ
    て、 a)患者に対し自己由来のフィブリンポリマーを形成しうる組成物を調製し;
    次いで b)該組成物を手術創傷部位に塗布して上記ポリマーを形成することにより、
    手術創傷部位に塗布される全ての物質が、患者に対し外因性のたんぱく質および
    /またはポリマーを実質的に有しないようにする 工程から成ることを特徴とする予防法。
  32. 【請求項32】 組成物がフィブリノーゲンで、該組成物をトロンビンの存
    在下で手術創傷部位に塗布し、フィブリノーゲンとトロンビンが患者に対し自己
    由来である請求項31に記載の予防法。
  33. 【請求項33】 フィブリンポリマーを形成しうる組成物の調製に、外因性
    のたんぱく質または酵素を用いるが、塗布の前に組成物から該たんぱく質または
    酵素を除去する請求項31に記載の予防法。
  34. 【請求項34】 工程(a)のフィブリンモノマー組成物の調製に、自己由
    来のフィブリノーゲンとフィブリノペプチドAおよび/またはBの開裂を触媒す
    る酵素の1種以上とを用いる請求項33に記載の予防法。
  35. 【請求項35】 バトロキソビンを用いて、開裂を触媒する請求項34に記
    載の予防法。
  36. 【請求項36】 組成物が自己由来のフィブリノーゲンで、該組成物を、フ
    ィブリノーゲンからのフィブリノペプチドAおよび/またはBの開裂を触媒する
    酵素の1種以上の存在下で、または該酵素の1種以上に付した後に塗布するが、
    酵素の1種以上は手術創傷部位に塗布しない請求項31に記載の予防法。
  37. 【請求項37】 フィブリンポリマーが、フィブリンI、フィブリンII、
    des ββフィブリンまたはこれらの混合物から選ばれる請求項31に記載の
    予防法。
  38. 【請求項38】 ポリマーが架橋している請求項37に記載の予防法。
  39. 【請求項39】 フィブリンモノマーといっしょに同時収穫されかつ患者に
    対し自己由来のプラスマたんぱく質を別途、手術創傷部位に塗布する請求項34
    に記載の予防法。
  40. 【請求項40】 プラスマたんぱく質が、プロトロンビン、第XIII因子
    、プラスミノゲン、フィブロネクチン、抗トロンビンIIIおよび第X因子の1
    種以上から選ばれる請求項39に記載の予防法。
  41. 【請求項41】 患者の手術創傷部位における術後癒着形成の予防法であっ
    て、 a)フィブリンモノマーと、プロトロンビン、第XIII因子、プラスミノゲ
    ン、フィブロネクチン、抗トロンビンIIIおよび第X因子から選ばれる追加プ
    ラスマたんぱく質の1種以上からなる、フィブリンポリマーを形成しうる組成物
    を調製し;次いで b)該組成物を手術創傷部位に、フィブリンモノマーを重合させる条件下で塗
    布する 工程から成ることを特徴とする予防法。
  42. 【請求項42】 組成物が、約10〜30mg/mlのフィブリンモノマー
    を含有する請求項41に記載の予防法。
  43. 【請求項43】 組成物がさらに、約10〜40μg/mlのプロトロンビ
    ンを含有する請求項42に記載の予防法。
  44. 【請求項44】 組成物がさらに、少なくとも約9μg/mlの第XIII
    因子を含有する請求項42に記載の予防法。
  45. 【請求項45】 組成物がさらに、約100〜200μg/mlのプラスミ
    ノゲンを含有する請求項42に記載の予防法。
  46. 【請求項46】 組成物がさらに、約60〜210μg/mlのフイブロネ
    クチンを含有する請求項42に記載の予防法。
  47. 【請求項47】 組成物がさらに、少なくとも約50μg/mlの抗トロン
    ビンIIIを含有する請求項42に記載の予防法。
  48. 【請求項48】 組成物がさらに、約2〜7μg/mlの第X因子を含有す
    る請求項42に記載の予防法。
  49. 【請求項49】 組成物がフィブリンIモノマーである請求項41に記載の
    予防法。
  50. 【請求項50】 ポリマーが、架橋しているフィブリンIIポリマーである
    請求項41に記載の予防法。
  51. 【請求項51】 患者の手術創傷部位における術後癒着形成の予防法であっ
    て、 a)変性プロセスに付されない物質から、およびそれ自体変性でないプロセス
    によって、フィブリンポリマーを形成しうる組成物を調製し;次いで b)該組成物を手術創傷部位に塗布して、フィブリンポリマーを形成する 工程から成ることを特徴とする予防法。
  52. 【請求項52】 組成物を、溶剤/洗剤のウイルス相互作用プロセス中に処
    理されない物質から調製する請求項51に記載の予防法。
  53. 【請求項53】 組成物または該組成物の前駆体を冷凍しない請求項51に
    記載の予防法。
  54. 【請求項54】 組成物または該組成物の前駆体を凍結乾燥しない請求項5
    1に記載の予防法。
  55. 【請求項55】 組成物または該組成物の前駆体を、調製の72時間以内に
    塗布する請求項51に記載の予防法。
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