JP2003500053A - 血管内皮増殖因子ダイマー - Google Patents

血管内皮増殖因子ダイマー

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JP2003500053A JP2000620093A JP2000620093A JP2003500053A JP 2003500053 A JP2003500053 A JP 2003500053A JP 2000620093 A JP2000620093 A JP 2000620093A JP 2000620093 A JP2000620093 A JP 2000620093A JP 2003500053 A JP2003500053 A JP 2003500053A
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ピーター エイ. ステイディス,
ピーター イザドア アドリアンセンズ,
ジュディス エイ. エイブラハム,
パトリシア アン バルドウィン,
エヌ. ステファン ポリット,
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サイオス,インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規の血管内皮増殖因子(VEGF)ダイマー、このようなダイマーを含む組成物、このようなダイマーの製法、およびこのようなダイマーまたは組成物の投与によって種々の疾患を治療する方法に関するものである。本発明はさらに、Cys−116が他の外来性のシステインにジスルフィド結合しているVEGF121ダイマーが、高い安定性を有し、その一方で、VEGFの生物学的活性は保有される、という認識に基づいている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (発明の分野) 本発明は新規の血管内皮増殖因子(VEGF)ダイマー、このようなダイマー
を含む組成物、このようなダイマーの製法、およびこのようなダイマーおよび組
成物の投与による血管病の治療に関係する。
【0002】 (関連技術の説明) 血管内皮増殖因子(VEGF)(血管透過性因子(VPF)とも言われる)は
ホモダイマーとして一般に存在する、複数の生物学的機能を有する分泌タンパク
質である。ネイティブのヒトVEGFモノマーは、シグナルペプチドの除去後、
長さ121、145、148、165、183、189、および206アミノ酸
残基の長さからなるの7種類の公知のアイソフォームの一つとして存在する。こ
れらのアイソフォームは、モノマー型であれホモダイマー型であれ、一般的に文
献ではそれぞれhVEGF121、hVEGF145、hVEGF148、hVEGF165 、hVEGF183、hVEGF189、およびhVEGF206と呼ばれている。これ
らの公知のアイソフォームは、7つのイントロンによって分離された8つのエキ
ソンで組織化され、染色体6p21.3に指定される単一ヒトVEGF遺伝子に
よってコードされたRNAの、選択的スプライシングによって生成する(ビンセ
ンチ(Vincenti)ら、Circulation 93巻:1493−1
495ページ[1996])。このためこれらのアイソフォームはVEGFスプ
ライス変異体とも呼ばれる。VEGF mRNAのの選択的スプライシングによ
って生成するVEGFの各種の型の略図を図2に示す。ここではVEGF遺伝子
の8エキソンの各々によってコードされるタンパク配列は、番号をつけたボック
スによってあらわされている。hVEGF165にはエキソン6によってコードさ
れる残基はなく、一方hVEGF121にはエキソン6および7によってコードさ
れる残基がない。hVEGF121はヘパリンに結合できないことが知られている
唯一のVEGFアイソフォームである。hVEGF121にヘパリン結合領域がな
いことは、その生化学的特性および薬物動態的特性に顕著な影響を有する。さら
に、hVEGFをプラスミドでタンパク分解的に切断すると、110−アミノ酸
からなるタンパク分解性断片(hVEGF110)が生成する(ケイト(Keyt
)ら、J.Biol.Chem.271:7788−7795[1996])。
【0003】 上記7種類の公知のアイソフォームのなかではhVEGF121およびhVEG
165が最も豊富にある。hVEGF121およびhVEGF165ダイマーは両方と
もリセプターKDR/Flk−1およびFlt−1に結合するが、hVEGF16 5 ダイマーはその他に最近発見されたリセプター(VEGF165R)にも結合する
(ソカー(Soker)ら、J.Biol.Chem.271:5761−57
67[1996])。VEGF165Rは最近ソカーらによってクローン化され、
そしてニューロピリンとして知られる既に明らかにされているタンパク質に一致
することが示された(Cell 92:735−745[1998])。hVE
GF165ダイマーの後者リセプターへの結合は、hVEGF121には存在しないエ
キソン7−コーデッド(coded)−ドメインによって媒介される。
【0004】 ダイマーVEGFは、動脈、静脈、およびリンパ管に由来するミクロ−および
マクロ血管内皮細胞の強力なマイトジェンであるが、その他のほとんど全ての正
常細胞型に対しては顕著なマイトジェン作用は示さない。VEGFという名称は
この狭い標的細胞に対する特異性を反映するものである。新脈管形成(新しい血
管の生成)および血管リモデリング(既存の血管の拡大)におけるその重要な役
割の結果として、VEGFは心臓血管疾患および末梢血管疾患の治療の有望な候
補となる。種々の腫瘍型において腫瘍誘引性低酸素に反応して高レベルのVEG
Fがあらわれ(ドボラク(Dvorak)ら、J.Exp.Med.174:1
275−1278[1991];プレート(Plate)ら、Nature 3
59:845−848[1992])、腫瘍増殖が抗−VEGF抗体および溶解
性VEGFリセプターによって阻止される(キム(Kim)ら、Nature
362:841−844[1993];ケンダル(Kendall)およびトー
マス(Thomas)、PNAS USA 90:10705−10709[1
993])。
【0005】 生物学的活性を有するネイティブなhVEGF121は、モノマー鎖1本につき
1個のN−結合グリコシル化部位をアミノ酸位置−75(Asn−75)に含む
ホモダイマー(2本の鎖が反対平行(anti−parallel)方向にある
)である。このアミノ酸位置はhVEGF165の位置75にある同様なグリコシ
ル化部位に対応する。もしもN−結合グリコシル化構造が存在しなければ、生物
学的活性なhVEGF121ホモダイマーは約28kDaの分子量を有し、理論的
pIは6.5である。hVEGF121ホモダイマーの各モノマー鎖は全部で9個
のシステインを有し、そのうち6個はこのモノマー構造を安定化している3つの
鎖内ジスルフィドの形成に関係し、2個はダイマー構造を安定化している2つの
鎖間ジスルフィド結合に関係する;最近に至るまで、1個のシステイン(Cys
−116)は不対のままであると考えられている。ケック(Keck)ら(Ar
ch.Biochem.Biophy.344:103−113[1997])
も、Cys(116)−Cys(116)鎖間ジスルフィド結合を有する大腸菌
(E.Coli)由来−組換えVEGF121ダイマー種を確認したが、これらの
著者は、hVEGF121の位置116のこの不対システインが生物学的に重要で
あるらしい−−例えばVEGF121をフィブロネクチンのような、不対システイ
ンを含む細胞外基質関連タンパク質に共有結合させるのに役立つ等−と述べてい
る(ワグナー(Wagner)およびハイネス(Hynes)、J.Biol.
Chem.254:6746−6754[1979])。
【0006】 hVEGF121を大腸菌に発現させた(ケックら、同上;クリスチンガー(C
hristinger)ら、Prot.Struc.Func.Genet.2
6:353−357[1996];シーマイスター(Siemeister)ら
、Biophem.Biophys.Res.Comm.222:249−25
5[1996];シーマイスターら、J.Biol.Chem.273:111
15−11120[1998];およびケイトら、同上);哺乳動物細胞系に安
定的および一過性に発現させた(ホウク(Houck)ら、J.Biol.Ch
em.267:26031−26037[1992];ホウクら、Mol.En
do.5:1806−1814[1991]:およびシーマイスターら、J.B
iol.Chem.同上[1998]);S.cerevisiae(コンド(
Kondo)ら、Biophem.Biophys.Acta 1243:19
5−202[1995])およびP.pastoris(モハラジュ(Moha
nraj)ら、Biophem.Biophys.Res.Comm.215:
750−756[1995])等の酵母に発現させた;そしてバキュロウィルス
−ベースの発現系を感染させた昆虫細胞に発現させた(フィービヒ(Fiebi
ch)ら、Eur.J.Biochem.211:19−26[1993];コ
ーエン(Cohen)ら、J.Biol.Chem.270:11322−11
326[1995];およびGitay−Goren ら、J.Biol.Ch
em.2715519−5523[1996])。シーマイスターら(J.Bi
ol.Chem.同上(1998))はhVEGF121のアミノ酸配列のHis
−12とAsp−19の間のドメインが、組換えVEGF121モノマーのインビ
トロ二量体化のために、および哺乳動物細胞におけるこの分子の機能的発現の両
方のために必須であることを確認した。VEGF121のCys−116の状態が
この分子の生物学的活性、安定性およびその他の特性に与えるかも知れない効果
に関する研究は報告されていない。
【0007】 (発明の要旨) 本発明は、Cys−116がその他の外来システインにジスルフィド結合して
いるVEGF121ダイマーが高い安定性を有し、その一方でVEGFの生物学的
活性は保有する、という認識に基づいている。本発明はさらに、これが全長(1
21アミノ酸長さ)のヒトVEGF121、およびその他の動物、例えば哺乳動物
種等におけるその相同体(homolog)のみならず、VEGF121誘導体、
特にネイティブのVEGF121分子のアミノ/および/またはカルボキシ末端で
種々様々に切断された改変体にもあてはまる(それらのモノマーサブユニトの各
々において、これらの改変体が全長ヒトVEGF121分子のCys−116に対
応する位置にシステインを保持する限り)、という知見に基づいている。
【0008】 よって本発明は一面において、次のような第一および第二モノマーからなる血
管内皮増殖因子(VEGF)ダイマーに関するものである;すなわち各第一およ
び第二モノマーは配列番号1の少なくともアミノ酸11〜116を含み、または
配列番号1と、または配列番号1のアミノ酸11〜116と、少なくとも約90
%の配列同一性、好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約
98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1の位置116(C
ys−116)に対応する位置にシステインを保持し、その際各モノマーのCy
s−116はその他の外来システイン(Cys)にジスルフィド結合している。
上記その他のCysは2ないし5、好ましくは2ないし3のアミノ酸、例えばグ
ルタチオンを含むペプチドの一部であってもよい。各モノマーは独立的にグリコ
シル化されていても、グリコシル化されていなくともよい。
【0009】 別の局面において、本発明は次のような第一および第二モノマーからなるVE
GFダイマーを、薬物学的に容認される賦形薬と混合して含む組成物にも関係す
る;その際各第一および第二モノマーは少なくとも配列番号1のアミノ酸11〜
116、または配列番号1と、または配列番号1のアミノ酸11〜116と少な
くとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約
98%の配列同一性を有し、配列番号1の位置116(Cys−116)に対応
する位置にシステイン(Cys)を保持し、その際各モノマーのCys−116
はその他のCysにジスルフィド結合している。各モノマーは独立的にグリコシ
ル化されていても、グリコシル化されていなくともよい。好ましい実施形態にお
いて、上記組成物は、各モノマーの位置116のシステインが鎖間ジスルフィド
結合と連結しており、および/または各モノマーの位置116のシステインが不
対であるというVEGFダイマーを実質的に含まない。
【0010】 もう一つの面において、本発明は、第一および第二モノマーによって各々形成
され、下記からなる群から選択される少なくとも2種類の血管内皮増殖因子(V
EGF)ダイマーを含む、問題の組成物に関係する: (a)各モノマーが配列番号1のアミノ酸11〜116、または配列番号1と
または配列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%、好ましくは少
なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%の配列同一性を有し、配
列番号1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(Cys
)を保持するアミノ酸配列を含み、各モノマーの位置116のCys、またはそ
の位置に対応するCysがその他のCysにジスルフィド結合しているダイマー
;ならびに (b)各モノマーが配列番号1のアミノ酸11〜116、または配列番号1と
、または配列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%、好ましくは
少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%の配列同一性を有し、
配列番号1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(Cy
s)を保持するアミノ酸配列を含み、各モノマーの位置116のシステイン類ま
たはそれに対応するシステイン位置が鎖間ジスルフィド結合と連結しているダイ
マー (c)各モノマーが配列番号1のアミノ酸11〜116、またはまたは配列番
号1とまたは配列番号Nのアミノ酸11〜116と少なくとも約90%、好まし
くは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%の配列同一性を有
し、配列番号1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(
Cys)を保持するアミノ酸配列を含み、一つまたは両方のモノマーの位置11
6のCys、またはその位置に対応するCysが不対であるダイマー; ここで前記ダイマー(a)−(c)において、上記第一および第二モノマーは
独立的にグリコシル化されていてもグリコシル化されていなくともよい。好まし
い実施形態において、上記組成物は、その主要VEGFタンパク成分として、各
モノマーが、配列番号1のアミノ酸1ないし120、または配列番号1のアミノ
酸1ないし120と少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、より
好ましくは少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸を含み、配列番号
1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(Cys)を保
持するアミノ酸配列を含み、各モノマーのCys−116が付加的Cysにジス
ルフィド結合しているダイマーを含んでなる。好ましくはこの主要成分は記載の
VEGFダイマーの量の少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65
%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約7
5%、さらにより好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なく
とも約85%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましく
は少なくとも約95%を構成する。
【0011】 さらなる局面において、本発明はVEGFポリペプチドを含む問題の組成物を
提供する方法に関係する;その際上記VEGFポリペプチドは実質的に、下記の
群から選択される少なくとも2種類の血管内皮増殖因子(VEGF)ダイマー(
各ダイマーは第一および第二モノマーによって形成されている)から構成される
: (a)各モノマーが配列番号1のアミノ酸11〜116、または配列番号1と
または配列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%、好ましくは少
なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%の配列同一性を有し、配
列番号1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(Cys
)を保持するアミノ酸配列を含み、各モノマーの位置116の、またはそれに対
応するCysが付加的Cysにジスルフィド結合しているダイマー; (b)各モノマーが配列番号1のアミノ酸11〜116、または配列番号1ま
たは配列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%、好ましくは少な
くとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%の配列同一性を有し、配列
番号1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(Cys)
を保持するアミノ酸配列を含み、各モノマーの位置116のまたはそれに対応す
るシステイン類が鎖間ジスルフィド結合で結合しているダイマー (c)各モノマーが配列番号1のアミノ酸11〜116、または配列番号1ま
たは配列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%、好ましくは少な
くとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%の配列同一性を有し、配列
番号1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(Cys)
を保持するアミノ酸配列を含み、一つのまたは両方のモノマーの位置116のC
ys、またはそれに対応するCysが不対であるダイマー; ここでダイマー(a)−(c)の各々において、第一および第二モノマーは独立
的にグリコシル化されても、されていなくともよい。
【0012】 上記の方法は以下の工程を包含する: 配列番号1のポリペプチドをコードし、またはアミノ酸配列が配列番号1と少
なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも
約98%の配列同一性を有し、配列番号1の位置116(Cys−116)に対
応する位置にシステインを含むというポリペプチドをコードする、作動可能な発
現ベクターに存在する外因性付加DNA種を含む形質転換された宿主細胞を作製
する工程、 上記DNAの発現およびVEGFポリペプチドの合成のために適した条件下で
上記宿主細胞を培養する工程、 VEGFポリペプチドを回収する工程。
【0013】 上記方法(プロセス)は例えば精製および/またはリフォールディング(re
folding)工程等のさらなる工程を含んでもよい。形質転換された宿主細
胞が大腸菌細胞等の細菌である場合は、上記ポリペプチドは代表的にリフォール
ディング(再折り畳み)される。好ましい実施形態において、リフォールディン
グ緩衝液は、システインおよびシスチンを、VEGFダイマーの所望混合物を生
成するのに十分な量、および相互比で含む。
【0014】 上記宿主細胞が細菌細胞であるならば、アミノ末端(N−末端)でMet(A
A)n配列だけ延長した配列番号1のポリペプチドをコードするDNAを用いる
のが好都合である;この際Metはメチオニン残基を意味し、nは1−7、AA
は同一かまたは異なるアミノ酸をあらわし、その際AAアミノ酸の少なくとも1
つ、または2つ以上のAAアミノ酸の組み合わせは細菌細胞中のVEGFポリペ
プチドの成熟N−末端のタンパク分解性分解を遅らせることができる。好ましい
実施形態において、nは1−5、好ましくは1−3、より好ましくは1または2
、最も好ましくは1で、AAはリジン(Lys)またはアルギニン(Arg)残
基をあらわし、好ましくはLys残基をあらわす。
【0015】 本発明はさらに、2種類のVEGFモノマーからなる血管内皮増殖因子(VE
GF)ダイマーにおいて、各モノマーが配列番号1のアミノ酸11〜116、ま
たは配列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性を有
し、配列番号1の位置116(Cys−116)に対応する位置にシステイン(
Cys)を保持するアミノ酸配列を含み、その際各モノマーのCys−116は
付加的外因性Cysにジスルフィド結合している上記VEGFダイマーを生成す
る方法であって、以下の工程: (a)アミノ末端(N−末端)でMet(AA)n配列だけ延長した配列番号
1のポリペプチドをコードする外来DNA種を含む形質転換された細菌宿主細胞
を提供し、ここでMetはメチオニン残基を意味し、nは1−7、AAは同一か
または異なるアミノ酸をあらわし、その際AAアミノ酸の少なくとも1つ、また
は2つ以上のAAアミノ酸の組み合わせが細菌宿主細胞によって形成されたVE
GFポリペプチドの成熟N−末端のタンパク分解性分解を遅らせることができ、
このDNAが作動可能な発現ベクターに存在する工程、 (b)上記細菌宿主細胞を、前記DNAの発現および前記VEGFモノマー類
の合成に適した条件下で培養する工程、 (c)VEGFダイマーを回収する工程 を包含する方法に関する。
【0016】 再び好ましい実施形態において、nは1−5、好ましくは1−3、より好まし
くは1または2、最も好ましくは1であり、AAはリジン(Lys)またはアル
ギニン(Arg)残基、好ましくはリジン残基をあらわす。
【0017】 一般的観点において、本発明は、Met(AA)n配列だけN末端が延長した
ポリペプチドをコードするDNAによって細菌性宿主細胞を形質転換するという
やり方で、その細菌性宿主細胞中で産生中のポリペプチドの、成熟アミノ末端(
N−末端)配列からの1個以上のアミノ酸の分解(例えば除去等)を阻止する方
法に関係する。この際Metはメチオニンで、nは1−7であり、AAは同一ま
たは異なるアミノ酸であり、AAアミノ酸の少なくとも一つ、またはAAアミノ
酸の2つ以上の組み合わせは細菌宿主細胞によるポリペプチドの成熟N−末端の
タンパク分解性分解を遅らせることができる。上述のように、nは好ましくは1
ないし5、より好ましくは1ないし3、さらにより好ましくは1または2、最も
好ましくは1であり、そしてAAは好ましくはリジン(Lys)またはアルギニ
ン(Arg)残基、好ましくはLys残基を示す。ポリペプチドは好ましくは1
00より長いアミノ酸であり、好ましくは少なくとも約120のアミノ酸を有す
る。特に好ましい実施形態において、ポリペプチドはネイティブのまたは改変体
VEGFポリペプチドであり、より好ましくはネイティブのVEGFポリペプチ
ド、最も好ましくはhVEGF121またはhEGF165ポリペプチドである。
【0018】 なお別の局面において、本発明は新脈管形成または血管リモデリングを誘発す
る方法、末梢血管疾患、冠動脈疾患、本態性高血圧、微小血管障害、および多発
性嚢胞腎の治療法、および本発明のVEGFダイマーまたは組成物の投与によっ
て血管内皮細胞層を修復する方法に関する。
【0019】 本発明の全ての面において、特に好ましい実施形態では、各VEGFモノマー
は実質的に配列番号1のアミノ酸1ないし121からなるアミノ酸配列を有し、
その際アミノ酸位置75−77におけるグリコシル化付加部位が任意に除去され
、またはグリコシル化が起きないように変えられる。
【0020】 (発明の詳細な説明) 本発明の実施は、他に明示されない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、
微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を用い、これらは当該分
野の技術の範囲内である。このような技術は次のような文献に十分説明されてい
る:「Molecular Cloning:A Laboratory Ma
nual」,第2版(Sambrookら,1989);「Oligonucl
eotide Synthesis」(Gait編,1984);「Anima
l Cell Culture」(Freshney編,1987);「Met
hods in Enzymology」(Academic Press,I
nc.);「Handbook of Experimental Immun
ology」(WeirおよびBlackwell編);「Gene Tran
sfer Vectors for Mammalian Cells」(Mi
llerおよびCalos編,1987);「Current Protoco
ls in Molecular Biology」(Ausubelら編,1
987);「PCR:The Polymerase Chain React
ion」(Mullisら編,1994);および「Current Prot
ocols in Immunology」(Coliganら編,1991)
【0021】 (定義) 本明細書に用いる用語「血管内皮増殖因子」または「VEGF」は、ヒトおよ
び哺乳動物種(例えば、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ま
たはネコなど)を含む任意の動物種に由来する、モノマーまたはダイマー形態の
VEGFポリペプチド(「血管透過因子」または「VPF」としても知られる)
の任意の天然に存在する(ネイティブな)形態、およびその機能的誘導体をいう
。「ネイティブなVEGF」は、2本のポリペプチド鎖からなり、一般的にホモ
ダイマーを示し、一般的には「ネイティブなヒトVEGFダイマー」といわれる
。各モノマーは、121、145、148、165、183、189、および2
06というアミノ酸残基長からなる7種類の公知のアイソフォームのうちの一つ
として生じる。本明細書では以後、これらのアイソフォームをそれぞれhVEG
121、hVEGF145、hVEGF148、hVEGF165、hVEGF183、hV
EGF189、およびhVEGF206(再度、モノマー形態およびホモダイマー形態
を含む)という。ヒトVEGFと同様、「ネイティブマウスVEGF」、「ネイ
ティブラットVEGF」および「ネイティブヒツジVEGF」も、通常ホモダイ
マーとして生じる、120、164および188というアミノ酸長の数種のアイ
ソフォームにおいて存在することが知られている。加えて、「ネイティブウシV
EGF」は少なくとも2種類のアイソフォーム(120アミノ酸長および164
アミノ酸長)において存在することが知られており、通常はホモダイマーとして
生じる。hVEGF121ダイマーを除いて、全てのネイティブなヒトVEGFダ
イマーは、塩基性の、ヘパリン結合分子であることが公知であるかまたは考えら
れている。hVEGF121ダイマーはヘパリンとは結合しない弱酸性タンパク質
である。これらのおよび類似のネイティブな形態は、既知であろうと本明細書中
で以後発見されたものであろうと全てが、天然から単離されたか、合成されたか
、組換えDNA技術の方法によって生産されたか、またはこれらのおよび他の技
術の任意の組合わせによって生産されたかどうかという、それらの調製形態によ
らず、「ネイティブなVEGF」または「ネイティブな配列のVEGF」の定義
に含まれる。用語「血管内皮増殖因子」すなわち「VEGF」は、モノマー、ホ
モダイマーおよびヘテロダイマーの形態のVEGFポリペプチドを含む。「VE
GF」の定義はまた、110アミノ酸長のヒトVEGFのタンパク分解によるフ
ラグメント種(hVEGF110)、およびマウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、
ヒツジ、イヌ、またはネコのような他の哺乳動物種におけるその相同体、ならび
にそれらの機能的誘導体を含む。さらに、用語「VEGF」は、一次アミノ酸構
造の一部が血小板由来増殖因子のA鎖サブユニットまたはB鎖サブユニットのど
ちらかの一部に対応し、そして一次アミノ酸構造の一部が天然または変異体の血
管内皮増殖因子の一部に対応するキメラのダイマータンパク質を包含する。特定
の実施形態において、VEGF121のようなネイティブまたは変異体のVEGF
分子の少なくとも一部を含む第二の鎖にジスルフィド結合した、血小板由来増殖
因子の少なくともA鎖サブユニットまたはB鎖サブユニットの少なくとも一部を
含む一つの鎖からなるキメラ分子が提供される。このようなダイマーのさらなる
詳細は、例えば米国特許第5,194,596号および同第5,219,739
号、ならびに欧州特許EP−B0484401号に提供されている。これらの開
示は本明細書中に参考として明らかに援用される。hVEGF121およびウシV
EGF120のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、例えば米国特許第5,194
,596号および同第5,219,739号、ならびにEP−B0484401
号に開示されている。hVEGF145は、米国特許第6,013,780号およ
びPCT公開番号WO98/10071に記載されている;hVEGF165は、
米国特許第5,332,671号に記載されている;hVEGF189は、米国特
許第5,240,848号に記載されている;そしてhVEGF206は、Hou
ckらのMol.Endo.、前出(1991)に記載されている。種々のヒト
VEGFアイソフォームのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の開示について
はまた、Leungら、Science 246:1306−1309(198
9);Keckら、Science 246:1309−1312(1989)
;Tischerら、J.Biol.Chem.266:11947−1195
4(1991);EP0 370 989;およびPCT公開WO98/100
71を参照のこと。VEGFの形態は、図2に模式的に示される。
【0022】 「ヒトVEGF121モノマー」、すなわち「hVEGF121モノマー」は、本明
細書では配列番号1のポリペプチド(ネイティブまたは野生型のhVEGF121
モノマー)またはその機能的誘導体と定義される。hVEGF121の非ヒト相同
体のモノマー(「VEGF121モノマー」または「VEGF120モノマー」)は類
似の様式で定義される。
【0023】 「ヒトVEGF121ダイマー」、すなわち「hVEGF121ダイマー」は本明細
書では、本明細書中上記で定義した2つの同一のhVEGF121モノマーのダイ
マー(「ホモダイマー」)、または本明細書中上記で定義されたhVEGF121
モノマーと、少なくとも1つの局面において異なる別のサブユニットとの間に形
成されるダイマー(「ヘテロダイマー」)と定義される。例えば、ヘテロダイマ
ーhVEGF121分子中にある2つのサブユニット(モノマー)はグリコシル化
があるかないかで異なってもよい。従って、ホモダイマーはそれらのサブユニッ
トが両方共グリコシル化されていなくてもよく、または両方共グリコシル化され
ていてもよく、他方、ヘテロダイマーでは一方のサブユニットがグリコシル化さ
れ得、他方のサブユニットがグリコシル化されていないかもしれない。同様に、
Cys−116残基の状態、またはヒトVEGF121の機能的誘導体もしくは非
ヒトVEGF121相同体における対応する残基の状態は、ヘテロダイマーの2本
のモノマー鎖において異なってもよい。従って、用語「hVEGF121ヘテロダ
イマー」は詳細には、アミノ酸配列が異なる2本のモノマーからなるダイマーだ
けでなく、それらのグリコシル化状態もしくはグリコシル化パターン、またはC
ys−116残基の状態が異なる2つのモノマーからなるダイマーをも含む。「
hVEGF121ダイマー」は詳細には、一次アミノ酸構造の一部が血小板由来増
殖因子のA鎖サブユニットまたはB鎖サブユニットのどちらかの一部に対応し、
そして一次アミノ酸構造の一部がVEGF121の一部に対応する、キメラのダイ
マータンパク質を包含する。特定の実施形態において、hVEGF121分子の少
なくとも一部を含む第2鎖にジスルフィド結合した血小板由来増殖因子のA鎖サ
ブユニットまたはB鎖サブユニットの一部を含む一本の鎖からなるキメラ分子が
提供される。このようなダイマーのさらなる詳細は、例えば米国特許第5,19
4,596号および同第5,219,739号、ならびに欧州特許EP−B0
484 401号に提供されている。hVEGF121の非ヒト相同体のダイマー
は類似の様式で定義される。
【0024】 用語「ヒトVEGF121」、「hVEGF121」、「ネイティブのヒトVEGF 121 」および「ネイティブのhVEGF121」は、他に言及がなければ、本明細書
中上記で定義されたような、hVEGF121モノマーおよびhVEGF121ダイマ
ー(ホモダイマーおよびヘテロダイマーを含む)の両方を含む。
【0025】 本明細書中で使用する「VEGF121」は、本明細書中上記に定義したネイテ
ィブのヒトVEGF121、他の非ヒト動物(例えば、非ヒト哺乳動物種)におけ
るその相同体、およびそれらの機能的誘導体をいう。ここでも、他に言及がなけ
れば、この用語は、VEGF121モノマー類およびVEGF121ダイマー類の両方
を含む。
【0026】 VEGFについて本明細書中で用いるアミノ酸配列番号付け系は、タンパク質
の成熟形態、すなわち翻訳後にプロセシングされた形態に基づく。従って、ヒト
タンパク質において1の番号がつけられる残基はアラニンである。アラニンは、
これらのタンパク質の単離された成熟形態の最初の残基である(Connoll
yら、J.Biol.Chem.264:20017−20024[1989]
)。
【0027】 タンパク質の「機能的誘導体」とは、基準の(例えば、ネイティブの)タンパ
ク質と共通の質的生物学的活性を有する化合物である。VEGF121の機能的誘
導体は、天然VEGF121の少なくとも一つの生物学的活性を保持し、ヘパリン
結合を欠き、少なくとも1つのVEGFモノマーにおいては天然ヒトVEGF12 1 分子のアミノ酸116位に対応する位置にシステインを有する、モノマーまた
はダイマーのVEGF分子である。さらに、VEGFモノマーの「機能的誘導体
」としては、ダイマー構造に組み込まれて、機能的ダイマー(すなわち、ネイテ
ィブのVEGF分子の少なくとも一つの生物学的活性を有するホモダイマーまた
はヘテロダイマー)を作製し得るモノマー誘導体が挙げられる。「機能的誘導体
」としては、任意の動物種(ヒトを含む)からのネイティブのポリペプチドのフ
ラグメント、およびネイティブの(ヒトおよび非ヒト)ポリペプチドの誘導体、
ならびにそれらのフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】 本発明のVEGF121ダイマーと関連した用語「生物学的活性」および「活性
」には、内皮細胞増殖の任意のインビトロアッセイにおいて決定されるようなマ
イトジェン活性が含まれる。この活性は好ましくは、例えば以下の刊行物のいず
れかに記載されているようなヒト臍静脈内皮(HUVE)細胞ベースのアッセイ
において決定される:Gospodarowiczら、PNAS USA 86
:7311−7315(1989);FerraraおよびHenzel、Bi
ochem.Biophys.Res.Commun. 161:851−85
8(1989);Connら、PNAS USA 87:1323−1327(
1990);Sokerら、Cell、前出(1998);Waltenber
gerら、J.Biol.Chem.269:26988−26995(199
4);Siemeisterら、Biochem.Biophys.Res.C
ommun.前出(1996);Fiebichら、前出;Cohenら、Gr
owth Factors 7:131−138(1993)。さらなる生物学
的活性は、血管形成および/または血管再造形に関する活性であり、この活性は
例えば、ラット角膜嚢血管形成アッセイ(Connollyら、J.Clin.
Invest.84:1470−1478(1989)に記載される);内皮細
胞管形成アッセイ(例えば、Pepperら、Biochem.Biophys
.Res.Commun.189:824−831(1992)、Gotoら、
Lab.Invest.69:508−517(1993)またはKoolwi
jkら、J.Cell Biol.132:1177−1188(1996)に
記載される);またはニワトリ絨毛尿膜(CAM)血管形成アッセイ(例えば、
Ploueutら、EMBO J.8:3801−3806(1989)に記載
される)で試験され得る。他の好ましい生物学的活性としては、Milesアッ
セイ(Connollyら、J.Biol Chem.前出[1989])で決
定したときの血管透過性の増強;およびYangら(J.Pharmacol.
Experimental Therapeutics 284:103−11
0(1998))に記載される降圧アッセイで決定したときの降圧活性が挙げら
れるがこれらに限定されない。
【0029】 「フラグメント」は、成熟したネイティブのヒトVEGF121または非ヒト動
物(例えば、非ヒト哺乳動物種)における相同体の配列内の領域を含む。
【0030】 用語「誘導体」は、ネイティブのポリペプチドのアミノ酸配列およびグリコシ
ル化改変体、フラグメントおよび共有結合の改変を定義するために用いられ、他
方、用語「改変体」は、この定義内のアミノ酸配列およびグリコシル化改変体を
いう。
【0031】 「アミノ酸配列改変体」は、N末端もしくはC末端で、または対応するネイテ
ィブの配列内のどこかで1個以上のアミノ酸が付加され、そして/または置換さ
れ、そして/または欠失され、そして/または挿入されており、しかも対応する
ネイティブのタンパク質の少なくとも一つの活性を保持するポリペプチド(ポリ
ペプチドのダイマーを含む)である。種々の実施形態において、「改変体」ポリ
ペプチドは通常、対応するネイティブな配列のポリペプチドのアミノ酸配列との
、少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも約80%のアミ
ノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、さらに
より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、そして最も好ましく
は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0032】 「配列同一性」とは、必要ならばギャップを導入して配列を整列させて、最大
パーセントの配列同一性を達成した後の、ネイティブのポリペプチド配列におけ
る対応する位置のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の百分
率(その際、保存的置換は配列同一性の一部とはみなさない)と定義される。配
列同一性の%値は、Altschulら,「Gapped BLAST and
PSI−BLAST:a new generation of prote
in database programs」、Nucleic Acids
Res.、25:3389−3402(1997)に定義される通りのNCBI
BLAST2.0ソフトウエアによって得られる。ミスマッチに対するペナル
ティーを−1に設定する場合を除いて、上記パラメーターは、デフォールト値に
設定される。
【0033】 本発明の状況における用語「外因性システイン」または「さらなるシステイン
」または「さらなる外因性システイン」は、配列番号1のhVEGF121、その
機能的誘導体、または他の動物(例えば、非ヒト哺乳動物種)におけるその相同
体をコードする核酸配列によっては直接コードされないシステインをいうために
用いられる。少なくとも1つのVEGFモノマーにおいて、ネイティブのヒトV
EGF121分子の116位に対応する位置のシステインが外因性システインにジ
スルフィド結合している構造はまた、「混合ジスルフィド」構造といわれる。い
くつかの例では、外因性システインは、グルタチオン分子のようなペプチドの一
部でもよい。
【0034】 天然ヒトVEGF121分子の116位に対応する位置のシステインに関連した
用語「不対(unpaired)」は。遊離スルフヒドリル基を含むシステイン
を示す。
【0035】 用語「ベクター」は、本明細書では最も広い意味で用いられ、そしてRNA、
DNA、アデノウイルスコートに封入されたDNA、他のウイルスまたはウイル
ス様形態(単純ヘルペス、およびアデノ随伴ウイルス(AAV))にパッケージ
ングされたDNA、リポソームに封入されたDNA、およびポリリジンと複合体
化したDNA、合成ポリカチオン分子と複合体化したDNA、トランスフェリン
と結合体化したDNA、ポリエチレングリコール(PEG)のような化合物と複
合体形成し、その分子を免疫学的に「マスキング」し、および/または半減期を
延長するDNA、または非ウイルス性タンパク質に結合体化したDNAを含むが
これらに限定されない。好ましくは、ベクターはDNAベクターである。
【0036】 本明細書中で用いられる場合、「DNA」は、塩基A、T、CおよびGだけで
なく、これらのアナログまたは改変形態(例えば、メチル化ヌクレオチド)、ヌ
クレオチド間改変(例えば、非荷電結合およびチオエート)、糖アナログの使用
、ならびに改変されたかおよび/または選択的な骨格構造(例えば、ポリアミド
)をも含む。
【0037】 「宿主細胞」は、本発明の任意のベクターのレシピエントとなり得るかまたは
レシピエントとなった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞としては、
単一宿主細胞の子孫が挙げられ、その子孫は、自然の、偶発的または意図的な変
異および/または変更に起因して、元々の親細胞に(形態がまたは総DNA相補
体が)必ずしも完全に同一というわけではないかもしれない。宿主細胞としては
、VEGFをコードするポリヌクレオチドを含むベクターをインビボでトランス
フェクトまたは感染させた細胞が挙げられる。
【0038】 「個体」とは、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。
哺乳動物としては、飼育動物、競技動物およびペットが挙げられるが、これらに
制限されない。
【0039】 「有効量」とは、有益なまたは所望の臨床的結果をもたらすのに十分な量であ
る。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。本発明の目的では、VEGFダ
イマーまたは組成物の有効量は、標的化された疾患状態の進行を軽減し、改善さ
せ、安定化し、逆転させ、緩徐にし、または遅延させるのに十分な量である。
【0040】 処置目的での「哺乳動物」とは、ヒト、家畜および飼育動物、ならびに動物園
の動物、競技動物またはペット動物(例えば、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ
、ネコ)を含めて、哺乳動物として分類される任意の動物をいう。好ましくは、
哺乳動物はヒトである。
【0041】 本明細書中で用いる場合、「キャリア」としては、使用される投薬量および濃
度で細胞または哺乳動物に曝露した際にそれらに対して非中毒性である、薬学的
に受容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤が挙げられる。しばしば、生理学
的に受容可能なキャリアは、pH緩衝化水溶液である。生理学的に受容可能なキ
ャリアの例としては、以下が挙げられる:緩衝剤(ホスフェート、シトレートお
よび他の有機酸);アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満
の)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免
疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸
(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン);
単糖、二糖、および他の炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、マンノー
ス、トレハロース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、エチレ
ンジアミン四酢酸(ethylenediaminotetraacetic
acid)(EDTA));糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビ
トール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);ならびに/または非イオン性
界面活性剤(例えば、TWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PE
G)およびPLURONICS(登録商標))が挙げられる。
【0042】 「血管形成」は、既存の血管系からの新しい毛細血管の増殖の促進と定義され
、一方、「治療的血管形成」は、例えば虚血領域への血液供給を増やすための、
新しい血管の増殖および/または既存の血管の再造形の促進と定義される。
【0043】 「末梢血管疾患」としても知られる「末梢動脈疾患」という用語は、四肢に供
給する血管の狭窄または閉塞と定義される。末梢動脈疾患は、アテローム性動脈
硬化症の一般的症状発現であり、下肢の血管を冒すことが最も多い。主要な二つ
の型の末梢動脈疾患は、間欠性跛行および重症下肢虚血である:間欠性跛行では
、痙攣性の痛みの急速な発達を伴わずに運動を持続できないほど1以上の四肢へ
の血液供給が減少しており、重症下肢虚血では、たとえ安静にしている四肢であ
っても代謝的必要性を完全に維持するには血液供給が最早十分でない。
【0044】 「冠状動脈疾患」は、心臓の筋肉組織に血液を供給する1本以上の動脈の狭窄
または閉塞と定義される。この疾患はまた、アテローム性動脈硬化症の一般的症
状発現である。
【0045】 用語「微小血管血管障害」は、より小さい血管に対する急性損傷およびこの損
傷血管が存在する組織にその後に起きる機能不全を記載するために用いられる。
微小血管血管障害は、種々の器官(例えば、腎臓、心臓および肺)の種々の疾患
の病理に共通の特徴である。損傷はしばしば、内皮細胞の損傷または死、および
凝固産物または血栓の存在と関連する。損傷要因は、例えばトキシン、免疫因子
、感染性因子、代謝的もしくは生理学的ストレス、または体液性もしくは細胞性
免疫系の構成要素であり得るか、またはまだ同定されていないかもしれない。こ
のような疾患の一つのサブグループは血栓性微小血管症(TMA)の存在によっ
て一本化され、臨床的に非免疫性溶血性貧血、血小板減少症、および/または腎
不全によって特徴づけられる。TMAの最も一般的な原因は、溶血性尿毒症症候
群(HUS)である。溶血性尿毒症症候群は、小児期に特に頻繁である疾患であ
り、ここでは、急性腎不全の最も一般的な原因である。これらの場合の大多数は
、ベロトキシン産生株であるE.coli O157による腸内感染と関係があ
る。何人かのHUS患者(特に、成人)では、腎臓の関与の相対的欠如を有し、
そして時々、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)として分類されることがある
。しかしTMAはまた、妊娠の合併症(子癇)として、腎臓への照射後の悪性高
血圧と共に、移植後に(しばしば、シクロスポリン処置またはFK506処置に
対して二次的に)、癌化学療法(特にマイトマイシンC)と共に、特定の感染(
例えば、ShigellaまたはHIV)と共に、全身性狼瘡もしくは抗リン脂
質症候群と関連して生じ得るか、または特発性もしくは家族性であり得る。実験
データは、内皮細胞損傷がHUS/TTPの病因の共通の特徴であることを示唆
している。
【0046】 「慢性」投与とは、薬剤を急性の形態とは対照的に連続形態で投与して、その
結果、最初の治療効果(活性)を長期間維持することをいう。
【0047】 「間欠的」投与は、中断せずに連続的に行なうことなく、むしろ周期的な性質
で行われる処置である。
【0048】 用語「本質的に含まない」は、所望しない成分(組成物中にはその成分が本質
的に含まれない)が組成物の約2%未満、好ましくは約1%未満、より好ましく
は約0.5%未満、さらにより好ましくは約0.1%未満、最も好ましくは約0
.05%未満に相当することを意味するために用いられる。
【0049】 用語「成熟N末端のタンパク分解的分解を遅延させ得る」および文法的にこれ
と等価な用語は、ポリペプチド(例えば、VEGFポリペプチド)についての一
次翻訳産物(前駆体)において、このポリペプチドの開始(N末端)メチオニン
(Met)と成熟N末端との間に付加したときに、組換え宿主細胞においてプロ
テアーゼによる所望の成熟ポリペプチドのアミノ末端短縮化を遅延させる、アミ
ノ酸の能力を記載するために用いる。この延長はポリペプチド産物のアミノ末端
の完全な成熟を遅らせまたはブロックし、その結果、上記ポリペプチドおよび/
またはその前駆体形態をその宿主細胞から取り出して、この延長がなければ成熟
ポリペプチドのN末端に相当する残基を時間が経つにつれて切断する、宿主細胞
に存在するプロテアーゼから精製し得る。この延長部は次のように選択される;
発酵中に開始Metが産物の一部から除去され、それによって延長部内の残りの
アミノ酸をタンパク分解的切断に曝露するとはいえ、前駆体の得られるN末端短
縮物は、このポリペプチドのインタクトな成熟N末端を残すように、選択される
。次いで、開始Metまたは延長部の残りを含む付加されたN末端延長部(Me
t−AAn)は、制御された精製酵素反応においてVEGFタンパク質の回収物
の一部として取り出し得る。
【0050】 (好ましい実施形態の詳細な説明) ネイティブのヒトVEGF121(hVEGF121)は、ネイティブのヒトVEG
Fタンパク質の他のアイソフォームとは多くの重要な点で異なるVEGFアイソ
フォームである。VEGFの全てのネイティブのヒトアイソフォームは、本明細
書中に定義されるように、エキソン2から5までによってコードされる残基1〜
114からなる共通のアミノ末端ドメインを有する。しかしhVEGF121は、
それに加えてリジン残基(エキソン5の末端にあるスプライスジャンクションに
またがるコドンによってコードされる)、次いでカルボキシ末端エキソン8によ
ってコードされるほんの6個までのアミノ酸[CDKPRR]を含み、従って、
エキソン6および7によってコードされるヘパリン結合ドメインが欠けている。
従って、hVEGF121はヘパリンに結合しないことが知られている唯一のヒト
VEGFアイソフォームである。さらに、hVEGF121ダイマーおよびhVE
GF165ダイマーが両方ともレセプターKDR/Flk−1およびFlt−1に
結合するとはいえ、hVEGF165ダイマーはさらに、より最近発見されたレセ
プター(VEGF165R)にも結合する(Sokerら、J.Biol.Che
m.前出[1996])。hVEGF165の後者レセプターへの結合は、hVE
GF121には存在しないエキソン7によってコードされるドメインによって媒介
されるので、hVEGF121ダイマーはVEGF165Rには結合しない。hVEG
121とそれより長いVEGFアイソフォームとの間のさらなる顕著な差は、こ
れらの分子のジスルフィド構造にある。全てのネイティブのVEGF分子の生物
学的に活性な形態はジスルフィド結合したダイマー、主としてホモダイマーであ
る。ネイティブのhVEGFの卓越して大きい形態であるhVEGF165は、各
モノマーに合計16個のシステインを有する;このアイソフォームのダイマーに
おいて、これらシステインの2個は2つの鎖間ジスルフィド結合に関係し、残り
のシステインは鎖内ジスルフィド結合に関係している。hVEGF121ホモダイ
マーの各モノマー鎖は合計9個のシステインを有し、そのうち6個はモノマー構
造を安定化する3個の鎖内ジスルフィドの形成に関係し、2個はダイマー構造を
安定化する2個の鎖間ジスルフィド結合に関係しており、一方、1個のシステイ
ン(Cys−116)は不対であると記載されている。
【0051】 本発明者らは、Cys−116の状態がhVEGF121分子の安定性に顕著な
影響を有することを見いだした。Cys−116は図3に示すように外因性「R
」部分にジスルフィド結合し(Rはシステインまたはシステイン含有ペプチドで
ある)「混合ジスルフィド」構造を形成し得、または鎖間ジスルフィド結合に関
与し得(図4)、「不対」のままとどまり得る(図5)。モノマーの少なくとも
一つ(好ましくは両方)のCys−116に「混合ジスルフィド」を含む形の、
hVEGF121ダイマーを産生することによって、hVEGF121ダイマーの安定
性は、116位置のシステインが「不対」である形のダイマーに比較して、その
生物学的活性を損なうことなく顕著に高めることが出来ることを本発明らは、確
認した。これは、116の位置の不対システインの存在が生物学的意味を有し得
るという以前の示唆を考えると非常に驚くべきことである(ケックら、Arch
.Biochem.Biophys.同上[1997])。よって本発明の目的
は、組換えDNA法によって、モノマーの116位置の少なくとも一つの、より
好ましくは両方のシステインが外因性システインにジスルフィド結合しているh
VEGF121ダイマーを産生することである。
【0052】 本発明者らは、さらに、組換えhVEGF121ダイマーの安定性および生物学
的活性がhVEGF121分子のアミノおよび/またはカルボキシ末端におけるア
ミノ酸欠失、置換または挿入によって損なわれないことを見いだした。
【0053】 特に、実施例に説明する手順に実質的にしたがう哺乳動物細胞におけるヒトV
EGF121の組換え生産によって、ネイティブのヒトVEGF121分子のカルボキ
シ−および/またはアミノ末端において1個以上のアミノ酸が欠失した改変体を
含むVEGF種の混合物が得られることを本発明らは、見いだした。例えば、チ
ャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に発現させると、正しいアミノ末端を
有するが野生型ヒトVEGF121の最後のアミノ酸が欠けている120アミノ酸
の主要種と、10までのN末端アミノ酸が欠けている種々の短縮変異体を含む若
干のマイナー種との混合物、および121アミノ酸種が得られるのが普通である
。一般的には、120アミノ酸長さのVEGF種は、最終産物の少なくとも約6
0%、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%、さ
らにより好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約8
0%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約
90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%を構成する。哺乳動物細胞に
おける発現は、各モノマーにおけるCys−116が主としてジスルフィド結合
によって外因性システインに結合したダイマーを産生するように行われる。生成
したダイマーのより小さいフラクションでは、2本のモノマーにおけるシステイ
ン−116が鎖間ジスルフィド結合によって結合する。特別の実施形態において
、この発現はグルタチオンの存在のもとで行われる。その結果、hVEGF121
ダイマーのモノマーサブユニットの位置116の一つまたは両方のシステインが
グルタチオン(γGlu−Cys−Glu)分子にジスルフィド結合することが
できる。グルタチオンの他にも、その他のメルカプト含有化合物がCys−11
6にジスルフィド結合し得る。このような化合物には、非制限的に、シスタミン
および補酵素Aがある。カルボキシおよびアミノ末端短縮は分子の生物学的活性
に何ら悪影響をもたないと考えられる。
【0054】 本発明者らは、さらに、実施例に説明したものと類似の手順による、酵母にお
けるhVEGF121の組換え生産も生成物の混合物を産生することを見いだした
。例えばPichia pastoris(P.pastoris)における発
現では、全長ネイティブ配列に比較して4アミノ末端および1カルボキシ末端残
基だけ短縮した種が主要コンポーネントとして得られる。よって、P.past
orisにおける主たる生成物はネイティブの全長hVEGF121分子のアミノ
酸5−120からなる。残基6、7、8、11、12および18で開始する種も
、少量(0.1−0.6%)が時々検出される。この生成物は、2本のVEGF
モノマーのアミノ酸位置116のシステインが外因性システイン(ペプチド(例
えば、グルタチオン)の一部として存在する)に結合するか、または第三の鎖間
ジスルフィド結合の形成に関与しているVEGF種の混合物でもある。その上、
実施例に記載のように、(1)位置116のシステイン類を選択的に還元するこ
とによって、そして(2)生成物を遊離システイン、シスチン、またはCys含
有ペプチドと反応させることによって、P.pastorisにおいて生成する
VEGF種の混合物を、圧倒的に主要な型が各モノマーサブユニットの位置11
6に混合ジスルフィドを含んでいるという遥かに単純な混合物に変換することが
できる。
【0055】 本発明者らは、本質的に実施例に記載されるE.coliにおけるhVEGF 121 の組換え生産が、主要コンポーネントとして全長型を含む生成物混合物を与
えることも見いだした。成熟全長型が最終産物の少なくとも約85%、好ましく
は少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、さらにより好まし
くは少なくとも約98%を構成するのが普通である。この生成物はN−末端に外
因性アミノ酸を有する若干の(一般的には約1−2%)比較的長いVEGF種、
および/または、4個までの、例えば1または4個の、N−末端アミノ酸を欠失
した若干の(一般的には約1−3%)比較的短い型も含むことができる。E.c
oli由来ダイマー生成物はアミノ酸位置116に「混合ジスルフィド」構造を
有するのが一般的だが、より小さいパーセントの生成物では、2つのシステイン
−116が結合して第三の鎖間ジスルフィド結合を形成する。その製法は、位置
116の遊離(不対)スルフヒドリルの存在を最小にし、少なくとも約90%の
混合ジスルフィドを生成するように好ましくは設計される。その際各モノマーの
Cys−116は外因性システイン(それはペプチド分子(例えば、グルタチオ
ン)の一部であってもよい)にジスルフィド結合する。
【0056】 代表的には、所望VEGF121ダイマーのモノマー鎖をコードするcDNAを
複製可能の発現ベクターにクローニングおよび発現のために挿入される。適切な
ベクター類は組換えDNA法の標準技術によって作製され、例えば上記の教科書
に列挙されている。単離されたプラスミドおよびDNAフラグメントを切断し、
仕立て(Tailored)、特定の順序で連結して所望ベクターを作製する。
連結後、発現すべき遺伝子を含むベクターを適切な宿主細胞に形質転換する。
【0057】 前記のように、本発明のVEGF121の生産のために使用する宿主細胞は異種
タンパク質の発現のために知られているいかなる真核−または原核生物宿主細胞
でもよい。例えば真核微生物(酵母)、または多細胞生物から分離した細胞(哺
乳動物細胞培養物、植物細胞、および昆虫細胞培養物)、原核宿主では細菌(例
えば、E.coli)等である。
【0058】 適切な酵母宿主にはSaccaromyces cerevisiae(一般
的パン焼き用の酵母)がある。これは下等真核宿主のなかでは最も一般的に用い
られる。しかしPichia pastorisを含む多くのその他の属、種お
よび株も本明細書中で利用でき、有用である。本発明のVEGF121ダイマーの
Pichia pastorisにおける発現は、以下の実施例に詳細に説明さ
れる。VEGF発現に適したその他の酵母類には、非制限的に、Kluyver
omyces宿主(米国特許第4,943,529号)、例えばKluyver
omyces lactis;Shizosaccharomyces pom
be(ビーチ(Beach)およびナース(Nurse)、Nature 29
0:140(1981);Asprugillus宿主、例えばA.niger
(ケリー(Kelly)およびハイネス(Hynes)、EMBO J.4;4
75−479(1985))およびA.nidulans(バランス(Ball
ance)ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.11
2:284−289(1983))、およびHansenula宿主、例えばH
ansenula polymorphaが挙げられる。
【0059】 本発明のVEGF121ダイマーを産生するためにメチロトローフィック酵母を
用いるのが好ましい。適切なメチロトローフィック酵母には、非制限的に、Pi
chia属およびHansenula属からなる群から選択される、メタノール
で増殖できる酵母がある。この酵母群の典型例である特殊な種のリストは、例え
ば、アンソニー(C.Anthony)の「メチロトローフの生化学」269ペ
ージ(1982)に見いだすことができる。目下のところ、栄養要求性Pich
ia pastoris GS115(NRRL Y−15851);米国特許
第4,818,700号に開示されているPichia pastoris G
S190(NRRL Y−18014);および米国特許第4,812,405
号に開示されているPichia pastoris PPF1(NRRL Y
−18017)のような、Pichia属のメチロトロフィック酵母が好ましい
。栄養要求性Pichia pastoris株も本発明の実施には好都合であ
り、VEGF121発現ベクターを含む形質転換した子孫の選択を容易にする。野
生型Pichia pastoris株(NRRL Y−11430およびNR
RL Y−11431等)は、適切な形質転換マーカー遺伝子を選択するならば
(例えばSUC2を使用してPichia pastorisをスクロースで増
殖し得る株に形質転換する等)、またはG418に対する耐性のような、抗生物
質耐性マーカーを使用するならば、等しく上首尾に用いられ得る。Pichia
pastorisの線状プラスミドは、例えば米国特許第5,665,600
号に開示されている。
【0060】 酵母ベクターに用いられる適切なプロモーターには、3−ホスホグリセレート
キナーゼのためのプロモーター類(ヒッツェマン(Hitzeman)ら、J.
Biol.Chem.255:2073(1980));およびその他の糖分解
酵素(ヘス(Hess)ら、J.Adv.Enzyme Res.7:149(
1968);ホランド(Holland)ら、Biochemystry 17
:4900(1978))、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン
酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルク
トキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセレートム
ターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコー
ス イソメラーゼおよびグルコキナーゼのプロモーター類がある。適切な発現プ
ラスミドの作製において、これらの遺伝子と関係する終止配列をまた、発現ベク
ターの発現が所望される配列の3’に連結し、mRNAのアデニル化および終結
がもたらされる。増殖条件によって調節される転写の付加的利点を有するその他
のプロモーターは、アルコールオキシダーゼ1(AOX1、Pichiaにおけ
る発現のために特に好ましい)、アルコール脱水素酵素2、イソチトクロームC
、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解性酵素、前記のグリセルアルデ
ヒド−3−リン酸脱水素酵素、およびマルトースおよびガラクトース利用に応答
する酵素類のためのプロモーター領域である。酵母適合性プロモーターおよび終
止配列を含むプラスミドベクターは複製開始点があってもなくても、適する。酵
母発現系は例えばクローンテック・ラボラトリーズ社(パロアルト、カリフォル
ニア、例:S.cerevisiaeのためのベクターのpYEXファミリー)
、インビトロゲン(カールスバート、カリフォルニア、例:pPICZシリーズ
Easy Select Pichia発現キット)およびストラタジーン(
La Jolla、カリフォルニア、例:S.PombeのためのESP(商標
)酵母タンパク質発現および精製システムおよびS.cerevisiae の
ためのpESCベクター)から商業的に入手できる。P.pastorisにお
けるhVEGF121N750の産生は下記の実施例に詳細に記載される。野生型
hVEGF121およびその他の改変体も同様にして発現することができる。
【0061】 多細胞生物に由来する細胞培養物も本発明を実施するための宿主として使用で
きる。無脊椎動物および脊椎動物細胞培養物両方とも使用できるが、脊椎動物細
胞培養物、特に哺乳動物細胞が好ましい。適切な細胞株の例はSV40(COS
−7、ATCC CRL 1651)によって形質転換されたサル腎臓細胞株C
V1;ヒト胚腎臓細胞株293S(グラハムら、J.Gen.Vitrol.3
6巻:59ページ[1977]);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATC
C CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(ウルラウプ
(Urlaub)およびチャシン(Chasin)、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 77:4216[1980]);サル腎臓細胞(CV1
−76、ATCC CCL 70);アフリカミドリザル(VERO−70、A
TCC CRL−1587);ヒト頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2
);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34);ヒト肺細胞(W138
、ATCC CCL75);およびヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065
)等である。本発明のVEGF121ダイマーのCHO細胞における発現が実施例
に詳細に説明されている。
【0062】 哺乳動物発現ベクターに用いる適切なプロモーター類はウィルス性のものが多
い。これらのウィルスプロモーター類は一般にサイトメガロウィルス(CMV)
、ポリオーマウィルス、アデノウィルス2、およびシミアンウィルス40(SV
40)から誘導される。SV40ウィルスは初期および後期プロモーターと呼ば
れる2つのプロモーターを含む。それらは両方ともウィルスから一つのDNAフ
ラグメント(これもウィルス複製開始点を含む)として容易に得られる(ファイ
アース(Fiers)ら、Nature、273:113[1978])。より
小さいまたはより大きいSV40 DNAフラグメントもまた、それらがHin
dIII部位からウィルス複製開始点に位置するBglI部位の方に向かって延
びる約250−bp配列を含む場合、使用できる。複製開始点はSV40または
その他のウィルス等の外因性供給源から得られ得、クローニングベクターに挿入
され得る。あるいは、宿主細胞染色体メカニズムが複製開始点を提供することも
可能である。外来遺伝子を含むベクターがこの宿主細胞染色体に統合されるなら
ば、後者で十分であることが多い。
【0063】 原核生物細胞も本発明のVEGF121ダイマーを産生する宿主細胞として使用
できる。適切なE.coli宿主株にはBL21;AD494(DE3);EB
105;およびCB(E.coliB、ATCC 23848)およびそれらの
誘導体類;K12株214(ATCC 31,446);W3110(ATCC
27,325);X1776(ATCC 31,537);HB101(AT
CC 33,694);JM101(ATCC 33,876);NM522(
ATCC 47,000);NM538(ATCC 35,638);NM53
9(ATCC 35,639)等がある。原核生物細胞のその他の多くの種およ
び属も使用できる。E.coliのような原核生物は非グリコシル化VEGFを
産生する。
【0064】 原核宿主細胞の形質転換に用いられるベクター類は、複製部位、形質転換され
た細胞において表現型選択を可能にするマーカー遺伝子、宿主細胞に適合する一
つ以上のプロモーター、および外来DNAの挿入のための幾つかの制限部位を含
むポリリンカー領域を有するのが普通である。E.coliの形質転換のために
一般的に用いるプラスミドには、pBR322、pUC18、pUC19、pU
C118、pUC119、およびBluescriptM13があり、これらは
全て商業的に供給されており、サムブルックら(同上)の1.12−1.20章
に記載されている。原核生物の形質転換のためのベクターに一般的に用いられる
プロモーターはT7プロモーター(例えば米国特許第4,952,496号およ
び第5,693,489号(スタディール(Studier)ら)を参照のこと
);トリプトファン(trp)プロモーター(ゲーデル(Goeddel)ら、
Nature 281:544[1979]);アルカリ性ホスファターゼプロ
モーター(phoA);β−ラクタマーゼおよびラクトース(lac)プロモー
ター;およびバクテリオファージλpLプロモーター系である。
【0065】 E.coliにおいて、VEGF121モノマーは一般的には封入体の形で蓄積
し、可溶化、リフォールド、二量体化および精製する必要がある。E.coli
からVEGFイソ型を回収しリフォールディングする方法は当業者には公知であ
る。例えば、E.coliで組換え発現後の、特定のVEGFイソ型のリフォー
ルディングはクリスチンガー(Christinger)ら、Proc.Str
uc.Func.Genet.同上(1996);カイトら、J.Biol.C
hem.271:3154−3162(1996);シーマイスター(Siem
eister)ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.
222:249−255(1996);およびPCT公開WO96/06641
に記載されている。本発明の特に好ましい実施形態において、リフォールディン
グはリフォールディング緩衝液中でシステインおよびシスチンの同時存在のもと
で行われる。システインおよびシスチンの量および相互割合を調節することによ
って、VEGFダイマーの所望ミックスを生成することができる。後者の実施形
態は下記の実施例に詳細に説明されている。好ましい実施形態において、リフォ
ールディング段階に用いられる遊離システインを、VEGFポリペプチドに存在
するシステインの約4倍から約40倍まで(モルで)過剰に加える。より好まし
くは遊離システインをVEGFポリペプチドに存在するシステインの約4倍ない
し約20倍、さらによく好ましくは約4倍ないし約10倍、最も好ましくは約1
0倍モル過剰に用いる。システイン対シスチンのモル比は概して約2:1と20
:1の間、好ましくは約2:1と10:1との間、より好ましくは約2:1と5
:1との間、最も好ましくは約4:1と5:1との間である。
【0066】 原核生物(E.coli)は、一次翻訳生成物からN−末端(開始)メチオニ
ン(Met)を除去することが知られている。その結果、E.coli宿主細胞
に存在するプロテアーゼ(類)(アミノペプチダーゼ)が成熟VEGFタンパク
質のN−末端から複数の残基を切り離すかも知れない。これを避けるために、好
ましい実施形態では、E.coliにおいて開始MetとVEGFポリペプチド
の成熟N末端との間のN−末端延長部をもったVEGFを発現させる。この延長
部は1−7の同一または異なるアミノ酸を含み、その少なくとも一つは成熟N末
端のタンパク分解的分解を遅らすことができる。特に好ましい実施形態において
、発酵中、この延長部は開始Metを完全無傷に保つ。その他の実施形態におい
て、Metおよび任意にN末端延長部の一部は発酵プロセス中に除去されるが、
延長部の少なくとも一部、したがって成熟N−末端は完全無傷のままである。E
.coli宿主細胞からVEGFを回収した後、例えばアミノペプチダーゼ処理
によってこの延長部は除去できる:アミノペプチダーゼはVEGF分子のN−末
端の切断を阻止する特異性を有する。E.coliにおける発現中にその他のタ
ンパク質の成熟N−末端の保存が問題である場合は、実質的にこれと同じアプロ
ーチを適用することができる。
【0067】 多くの真核タンパク質(VEGFを含む)は一次翻訳生成物の一部として内因
性シグナル配列を含む。この配列は、小胞体およびゴルジ体を経て細胞から運び
出されるタンパク質を標的とする。このシグナル配列は一般的にはこのタンパク
質のアミノ末端に位置し、約13から約36アミノ酸の範囲の長さである。実際
の配列はタンパク質の間で変動するが、全ての公知の真核シグナル配列は少なく
とも一つのプラスに帯電した残基と、シグナル配列の中心近くに高度に疎水性の
10−15アミノ酸の広がり(普通はアミノ酸:ロイシン、イソロイシン、バリ
ンおよびフェニルアラニンに富む)を含む。このシグナル配列はこのタンパク質
の分泌型には存在しないのが普通である、なぜならばそれはこのタンパク質が小
胞体に移動する最中に小胞体上にあるシグナルペプチドによって切断されるから
である。まだ付着しているシグナル配列を有するタンパク質は、シグナル配列が
すでに切り離されたタンパク質に対して、プレタンパク質、または未成熟型タン
パク質と呼ばれることが多い。これは通常、成熟タンパク質の形成に必要な段階
の一つである。タンパク質は、異種シグナル配列をこのタンパク質に結合するこ
とによって、分泌のために標的化されることもある。これはシグナル配列をコー
ドするDNAをこのタンパク質をコードするDNAの5’末端に連結し、融合タ
ンパク質を適切な宿主細胞において発現することによって容易に実現する。原核
生物および真核生物(酵母および哺乳動物)シグナル配列を宿主細胞の型に依存
して用いることができる。通常、シグナル配列をコードするDNAを、シグナル
配列を有するタンパク質をコードする遺伝子から切り取り、分泌すべきタンパク
質、例えばVEGFをコードするDNAに連結する。あるいは、このシグナル配
列をコードするDNAを化学的に合成することができる。このシグナルは機能的
でなければならない、すなわちこのシグナルは宿主細胞シグナルペプチダーゼお
よび分泌経路によって識別され、このシグナル配列が切り離され、このタンパク
質が分泌されるようになっていなければならない。真核生物および原核生物シグ
ナル配列の大きい変動は当業者には公知であり、本発明のプロセスの実施に用い
ることができる。例えば酵母シグナル配列は酸性ホスファターゼ、アルファ因子
、アルカリ性ホスファターゼ、エキソ−1,3−β−グルカナーゼおよびインベ
ルターゼシグナル配列を含む。原核シグナル配列は例えばLamB、OmpA、
OmpBおよびOmpF、MalE、PhoA、およびβラクタマーゼを含む。
【0068】 哺乳動物細胞は通常、カルシウムリン酸法の変法を用いて(グラハム(Gra
ham)ら、Virology 52:546[1978];サムブルックら、
同上、章16.32−16.37)、またはより最近にはリポフェクチンを用い
て、適切な発現ベクターで形質転換される。しかしその他の方法、例えばプロト
プラスト融合、エレクトロポレーション、直接マイクロインジェクション等も適
する。
【0069】 酵母宿主は概してポリエチレングリコール法によって形質転換される(ヒネン
(Hinnen)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:
1929−1933[1978])。Pichia pastoris等の酵母
はその他の方法、例えば実施例に記載されるエレクトロポレーションによっても
形質転換される。
【0070】 原核宿主細胞は例えば塩化カルシウム法(サムブルックら、同上、1.82章
)またはエレクトロポレーションを用いて形質転換することができる。
【0071】 宿主がPichia pastorisである場合、形質転換された細胞を次
のような適切な方法(これらに制限するものではない)を用いて選択することが
できる:すなわち、必要な生化学的生成物(細胞が栄養要求性であるため)の非
在下で形質転換した後の栄養要求性細胞の培養;新しい表現型の選択および検出
;またはトランスフォーマントに含まれる耐性遺伝子がない場合は酵母に対して
有毒である抗生物質の存在下で培養する。分離された形質転換されたPichi
a pastoris細胞を適切な発酵技術、例えば振盪フラスコ発酵、高密度
発酵、または Bio/Technology 5:479−485(1987
)のクレッグ(Cregg)ら著「メチロトロフィック酵母、Pichia p
astoris」中の「B型肝炎表面抗原の高レベル発現および効率的アセンブ
リー」に開示された技術等によって培養する。VEGF121産生のアッセイを行
うことによって分離物をスクリーニングし、最高産生レベルを有する分離物を確
認し得る。
【0072】 所望表現型および遺伝子型の形質転換された株を発酵槽中で増殖させる。メチ
ロトロフィック酵母における組換えDNAをベースとする生成物の大規模生産で
は、通常、三段階の高細胞密度供給回分発酵システムが、使用される好ましい発
酵プロトコルである。第一段階、または増殖段階では、発現宿主を、規定最小培
地中で過剰の非誘導性(non−inducing)炭素供給源(例:グリセロ
ール)と共に培養する。もしもその発現ベクターが、所望生成物の発現が適切な
炭素供給源の条件によってコントロールされる或るプロモーターによって駆動さ
れるように構成されている場合、この宿主が適切な抑制的炭素供給源で増殖する
場合に異種遺伝子発現は完全に抑制され、それは異種タンパク質発現を起こさず
に細胞集団を生成させる。この増殖段階中には、培地のpHは約4.5−5に維
持されるのが好ましい。次に、短期間の非誘導性炭素供給源−制限−増殖は細胞
集団をさらに増殖させ、この炭素供給源に応答するプロモーターを脱抑制して活
性化する。制限条件下の増殖期間に続いて、誘導性炭素供給源、例えばメタノー
ル単独(例:「制限メタノール供給回分法」)、または限定量の非誘導性炭素供
給源+誘導性炭素供給源(本明細書では「混合供給回分法」という)を発酵槽に
加え、メタノール応答性プロモーター等の炭素供給源応答性プロモーターによっ
て駆動される異種遺伝子の発現を誘導する。この第三段階はいわゆる生産段階で
ある。この生産期中の培地のpHは約pH5と約pH6の間、好ましくは約pH
5.0または約pH6.0に調節される。VEGFの発現は、振盪フラスコでも
行うことができる。例えばシステイン、シスチンおよび/またはグルタチオンを
培地に含める等、生産段階中の条件を変化させることによって、生成するVEG
121ダイマーの型を、生成物の大部分が各モノマーサブユニットのCys−1
16において混合ジスルフィドを含む形になるように調節することができる。
【0073】 本発明者が本発明のVEGF121ダイマーが完璧に活性であることを見いだし
たからには、本発明のダイマー類または生成物混合物を含む医薬組成物は本発明
の範囲内にある。適切な形は、例えば経口、経皮、吸入、移植、または注入また
は注射等、用途および摂取経路によって一部左右される。このような形は標的細
胞が多細胞宿主または培養物中に存在するか否かにかかわらず、薬剤または組成
物を標的細胞に到達せしめる。例えば血流に注射する医薬剤または組成物は可溶
性でなければならない。その他の要因は当業者には公知であり、毒性や、特定の
条件下で上記薬剤または組成物の効果の発現を阻止する型等の考察が含まれる。
【0074】 本発明のVEGF121ダイマーまたは生成物混合物を含んでなる組成物は薬物
学的に容認できる塩類(例えば酸付加塩)および/またはその複合体化合物とし
て処方することもできる。薬学的に受容可能な塩は、それらを投与する濃度では
無毒性である。薬学的に受容可能な塩類には硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、スルホン
酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスル
ホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン
酸塩、シクロヘキシルスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩およびキ
ナ酸塩を含むもののような酸付加塩がある。薬学的に受容可能な塩類は塩化水素
酸、硫酸、燐酸、スルホン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸
、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−
トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン
酸、およびキナ酸等の酸から得ることができる。このような塩類は、例えば遊離
の酸−または塩基型の生成物と、1等量以上の適した塩基または酸とを、その塩
が不溶性である溶媒または媒質中で、または水等の溶媒中で(その溶媒はその後
真空で、または凍結乾燥によって除去される)反応させることによって、または
存在する塩のイオンを適切なイオン交換樹脂で別のイオンに交換することによっ
て調製され得る。
【0075】 上記ダイマーまたは生成物混合物の投与を容易にするために、キャリアまたは
賦形薬も使用できる。キャリアおよび賦形薬の例としては、炭酸カルシウム、燐
酸カルシウム、ラクトース、グルコース、スクロースまたはトレハロース等の糖
類、または澱粉の種類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレング
リコール類および生理的に適合する溶媒類がある。組成物は静脈内、動脈内、腹
腔内、心膜内、冠動脈内、皮下、筋肉内、経口、局所、または経粘膜等(ただし
これらの制限されるものではない)の種々の経路によって投与できる。
【0076】 上記組成物の所望の等張性は塩化ナトリウムや、その他のデキストロース、硼
酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、ポリオール類(マンニトールお
よびソルビトール等)等の薬学的に受容可能な試薬、またはその他の無機または
有機溶質を用いて実現できる。
【0077】 本発明のVEGF121ダイマーまたは生成物混合物を含む医薬組成物は全身性
および局所性または局部的投与を含む種々の投与法のために処方され得る。技術
および処方は一般に「レミントンの医薬科学(Remington’s Pha
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グ社、イーストン、PA、1990に見いだされる。ワング(Wang)および
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abilizers)」、Journal of Parenteral Sc
ience and Technology、技術レポートNo.10、付録4
2−2S(1988)も参照されたい。適切な投与形態は、医者が各患者に個々
に決めることが最善である。
【0078】 タンパク質の全身投与のためには注射、例えば筋肉内、静脈内、動脈内、冠動
脈内、心膜内、腹腔内、皮下、クモ膜下出腔、または脳血管内等が最も一般的に
用いられる。注射では本発明の化合物は液体溶液に処方され、好ましくは生理的
に適合する緩衝液、例えばハンク溶液またはリンゲル溶液等に処方される。或い
は、本発明の化合物は米国薬局方基準によって安全として一般的に容認されてい
る1種類以上の賦形薬(例えばプロピレングリコール)に処方される。それらは
例えば不活性オイル、適切にはセサミ、ピーナツ、オリーブオイル等の植物性油
、またはその他の容認できるキャリアに懸濁できる。それらを水性キャリア、例
えばpH約5.0〜7.4の等張性緩衝溶液に懸濁するのが好ましい。これらの
組成物は従来の滅菌法によって滅菌することができ、または滅菌濾過することが
できる。上記組成物は生理的条件に近づけるために必要な薬学的に受容可能な補
助物質、例えばpH緩衝剤等を含むことができる。有用な緩衝剤には、例えば酢
酸ナトリウム/酢酸緩衝剤およびクエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝剤等がある
。代わりに、貯蔵または「デポ(depot)」徐放性の形の製剤を用いて、移
植後、注射後または経皮的デリバリー後に、長時間または何日にもわたってその
製剤の治療的有効量を血流に供給することができる。その他に、上記化合物類を
固体形に処方し、使用直前に再溶解または懸濁することができる。凍結乾燥形態
も含まれる。
【0079】 本発明のVEGF121ダイマーまたは生成物混合物は、例えば米国特許第5,
244,460号に記載されるように、冠動脈に直接挿入したカテーテルを用い
て、またはVEGF121ダイマーまたは生成物混合物を直接心臓壁に注入させる
ために心室に挿入したカテーテルを用いて、直接心臓に導入することもできる。
【0080】 或る条件のもとでは、本発明のダイマーおよび生成物混合物は経口投与のため
にも使用できる。経口投与では、ダイマーまたは生成物混合物はカプセル、錠剤
およびトニック等の従来の経口投与型に処方される。
【0081】 全身性投与は経粘膜または経皮的デリバリーによっても可能である。経粘膜的
または経皮的投与では、透過すべき障壁に適した浸透剤を製剤中に使用する。こ
のような浸透剤は当業者には一般的に公知であり、例えば経粘膜投与のためには
胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体等がある。加えて、界面活性剤を用いて浸透を
容易にすることができる。経膜的投与は例えば鼻スプレーにより、または坐薬を
用いて行うことができる。
【0082】 吸入による投与の場合は、通常、吸入可能の乾燥粉末組成物またはエアゾール
組成物が用いられる、その際粒子または小滴の大きさは、活性成分が呼吸気道の
所望部分、例えば喉、上気道または肺等に沈着するように選択される。吸入性組
成物およびそれらを投与するためのデバイスは当業者には周知である。例えば、
吸い込むためのエアゾール医薬品のデリバリーデバイスは公知である。このよう
なデバイスの一つは、そのデバイスの各操作ごとに患者に同量の薬物を供給する
定量吸入器である。定量吸入器は一般には医薬品の貯蔵器と加圧下の噴射剤とを
含むキャニスター、および一定容量の定量投与チェンバーとを含む。そのキャニ
スターを、患者に医薬品を供給するための口金またはノーズ−ピースを有するボ
ディーまたはベースの容器に挿入する。患者がそのデバイスを使用する際には、
キャニスターを手で容器のボディーに圧し込み、充填バルブを閉じ、一定量の薬
剤を投与量チェンバー内に取り込み、リリースバルブを開ける。すると定量チェ
ンバー内に取り込まれた一定量の薬剤が大気中にエアゾールミストとして放出さ
れる。同時に患者はマウスピースを通して息を吸い、そのミストを気道に取り込
む。患者はその後キャニスターを離し、リリーズバルブを閉め、充填バルブを開
けて次の投与のために投与量チェンバーを再充填する。例えば米国特許第4,8
96,832号、およびAerosol Sheathed Actuator
and Capとして知られる、3Mヘルスケアから市販される製品を参照さ
れたい。
【0083】 別のデバイスは、患者の吸入作用に応えて自動的に一定量を与えるように作動
する呼吸作動性(breath actuated)定量吸入器である。或る様
式の呼吸作動性デバイスは、呼吸作用力が機械的レバーを動かしてリリーズバル
ブをトリガーしたときに、或る投与量を放出する。もう一つの様式は、検出され
る流速が、ホットワイヤー流体速度計によって検出されるあらかじめ設定された
閾値を超えて上昇するとき、上記投与量を放出する。例えば米国特許第3,18
7,748号;同第3,565,070号;同第3,814,297号;同第3
,826,413号:同第4,592,348号;同第4,648,393号;
同第4,803,978号を参照のこと。
【0084】 乾燥粉末化薬剤を患者の気道に供給するデバイス(例:米国特許第4,527
,769号参照)および固体エアゾール前駆体物質を加熱することによってエア
ゾールを供給するデバイス(例:米国特許第4,922,901号)も存在する
。これらのデバイスは一般的に、薬剤を貯蔵器から気道に引き出す患者の吸気流
、または固体エアゾール前駆体を蒸発させるために加熱要素を作動させる患者の
吸気流によって、患者の吸気の初期段階に薬剤を供給するするように作動する。
【0085】 エアゾールの粒子サイズを調節するためのデバイスも公知であり、例えば米国
特許第4,790,305号;同第4,926,852号;同第4,677,9
75号;同第3,658,059号を参照のこと。
【0086】 局所的投与については、本発明の化合物は当業者には一般に公知のように、軟
膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、またはクリームに処方さ
れる。
【0087】 所望ならば、上記組成物の溶液はメチルセルロース等の濃化剤で濃化すること
ができる。それらは油中水か水中油かどちらかの乳化型に調製することができる
。下記のような非常の種々様々の薬学的に受容可能な乳化剤が用いられる:例え
ばアカシア粉末、非イオン性界面活性剤(例えばツイーン等)、またはイオン性
界面活性剤等(アルカリポリエーテルアルコールスルフェートまたはスルホルネ
ート、例えばトリトン等)。
【0088】 本発明に有用な組成物は、諸成分を一般に容認される方法にしたがって混合す
ることによって調製される。例えば選択されたコンポーネントを単にブレンダー
またはその他の標準デバイス中で混合し、濃縮混合物を作り、その後水または濃
化剤、および可能であればpHを調節する緩衝剤、または張力を調節する追加的
溶質をそれに加えることによって最終濃度および粘度を調節することができる。
【0089】 本発明によって使用するための種々のダイマーまたは生成物混合物の量は標準
的方法によって決めることができる。一般に治療的有効量は、患者の年齢および
身長、および患者と関連する疾病または障害に依って、約100mg/kgから
10-12mg/kgまでの間である。一般に治療的有効量は、治療すべき患者の
体重1kgあたり、約0.01〜50mg、好ましくは0.05〜20mg、最
も好ましくは0.05〜2mgの間の量である。
【0090】 医者が使用する場合、上記組成物はここに記したVEGF121ダイマーまたは
混合物の量を含む単位投与型として提供される。
【0091】 本発明のVEGF121ダイマーおよび混合物はその他の型のVEGFと同じ適
応症に対して有望な候補である。よって、本発明のVEGF121ダイマーおよび
生成物混合物を使用して血管形成および/または血管リモデリングを誘発するこ
とができ、したがって冠動脈疾患および/または末梢動脈疾患の治療に用途を見
出し得る。本発明のVEGF121ダイマーおよび生成物混合物を使用して例えば
心筋血管の成長を促進し、心臓へ行く血流を改善することができる(例:米国特
許第5,244,460号を参照のこと)。末梢動脈疾患および冠動脈疾患は両
方とも、しばしば血管形成術/動脈内膜切除術アプローチ(アテローム硬化性プ
ラーク増大によって生じた閉鎖を開通させるため)または外科的バイパス(上記
閉鎖周囲に導管を作る)のいずれかで首尾良く処置され得る。しかし多数の症例
において、患者はこれらのどちらのタイプの方法によっても救われないリスクが
あるようにみえる(例:マクハージー(Mukherjee)ら、Am.J.C
ardiol.84:598−600[1991]を参照のこと)。本発明によ
って得られる治療の第一の利益を期待されるのがこのいわゆる「no opti
on」患者群である。本発明のVEGF121ダイマーまたは生成物混合物による
治療に応答して形成された新しい血管または新たに増長した血管は重大な副作用
なしに閉鎖血管周囲に自然のバイパスを作り出すと考えられる。その結果、この
治療は、長い目で見て冠動脈疾患および末梢動脈疾患患者群に全般的に、または
少なくともその一部において、血管形成術/血管内膜切除術/外科的バイパスに
代わって用いられるという希望が生まれる。
【0092】 本発明はさらに、内皮細胞損傷が、溶血性尿毒症症候群(HUS)、中毒性シ
ョック症候群、毒液被曝、または化学的または薬物毒素被曝において発生するよ
うな既知または未知毒素によって仲介される状態、並びに内皮細胞損傷が高血圧
によって仲介される状態において、血管損傷の治療(予防も含める)およびこの
ような血管を含む組織の損傷の治療(予防も含める)に関する。
【0093】 本発明はさらに、糸球体および間質の血管系の損傷または前記血管系の萎縮と
関連する腎臓疾患の治療(予防も含める)にも関係する。
【0094】 本発明は、凝固性亢進状態、血小板の活性化または凝集、血栓症、または凝固
カスケードにおけるタンパク質類の活性化、子癇前症、血栓性血小板減少性紫斑
病(TTP)、播種性血管内凝固、敗血症および膵炎に関連する疾患において、
血管の内皮損傷の治療(予防も含める)およびこのような損傷血管を含む組織の
損傷の治療(予防も含める)にも関係する。
【0095】 本発明は血圧低下による血流減少の結果として発生する血管損傷または損傷血
管に隣接する周囲組織の損傷、または動脈硬化症、血栓症、機械的外傷、血管壁
剥離、外科的切開またはその他のあらゆる正常血流もしくは正常血圧の妨害に起
因する完全または部分的血管閉鎖の治療(予防も含める)方法も提供する。特に
本発明は急性腎不全、血栓溶解治療を伴うまたは伴わない心筋梗塞、虚血性腸疾
患、一過性虚血性発作および脳卒中の治療(予防も含める)方法を提供する。
【0096】 本発明は、損傷性免疫刺激、毒素被曝、感染症、または虚血(非制限的に急性
呼吸窮迫症候群、喫煙中に起きるような中毒性肺胞損傷を含む)、肺炎(ウィル
ス性および細菌性感染症等を含む)、および肺塞栓によって引き起こされる肺の
内皮損傷に起因する低酸素症または高炭酸症または高血圧の治療(予防も含める
)方法も提供する。
【0097】 本発明はさらに、早産、および肺高血圧症の一次および二次原因に起因する障
害等の、肺内皮損傷から起きる肺機能異常の治療(予防も含める)の方法および
手段も提供する。
【0098】 ここに開示される方法は血管損傷と関連した皮膚障害に起因する傷の治療にも
用いることができる。
【0099】 本発明は内皮および血管の損傷の治療(予防も含める)方法、および免疫サイ
トカイン、免疫コンプレックス、および補体カスケードのタンパク質類等の損傷
性免疫刺激による損傷血管を含む組織の損傷(非制限的にあらゆるタイプの血管
炎、アレルギー反応、即時型および遅延型過敏症、並びに自己免疫病等の疾患を
含む)の治療(予防も含める)方法も提供する。
【0100】 本発明の方法を使用して治療できる特異な腎臓病にはHUS、巣状糸球体腎炎
、アミロイドーシス、糸球体腎炎、糖尿病、SLE、および慢性低酸素症/萎縮
がある。
【0101】 本発明のVEGF121ダイマーおよび生成物混合物は高血圧の治療または予防
にも使用できる。この治療の有効性は、特に塩負荷に反応した血圧の低下によっ
て確認される。
【0102】 本発明のVEGF121ダイマーおよび生成物混合物は内皮細胞を通過する溶質
の異常輸送に関する疾患の治療にも有用である。このような疾患には(1)溶質
の濾過または排出障害と関連する腎臓病;(2)脳脊髄液の合成、組成または循
環の変化と関係する中枢神経系の疾患、例えば脳卒中、髄膜炎、腫瘍、感染症、
および脊椎骨成長異常等;(3)低酸素症または高炭酸症あるいは、液分泌物の
肺への蓄積またはそれらの除去障害に起因する線維症、例えば非制限的に、急性
呼吸窮迫症候群、喫煙によって起きるような中毒性肺胞損傷、ウィルス性および
細菌性感染症等の肺炎、外科的インターベンション、嚢胞性線維症、およびその
他の、肺の空気スペースへの液貯留と関連する先天性および後天性肺疾患等;(
4)早産、および肺性高血圧の一次および二次的原因に起因する疾患を含む、肺
内皮損傷に起因する肺機能異常;(5)間質性内皮を通過する液および溶質の運
搬障害に起因する疾患、例えば非制限的に、炎症性腸疾患、感染症性下痢、およ
び外科的インターベンション等;並びに(6)心不全、肝不全または腎不全、あ
るいは感染状態または腫瘍状態に起きるような腹膜内腹水貯留。その他の用途と
しては(1)腎不全の治療における腹膜透析のために、または治療剤または栄養
の腹膜への供給のために必要なような、溶質フラックスの効率上昇;(2)腎臓
、心臓、肝臓、肺、膵臓、皮膚、骨、腸等(これらに制限するものではない)の
同種移植器官、および異種移植片の機能の保存または向上;および(3)心臓弁
異常の治療等がある。
【0103】 本発明のこれ以上の詳細は下記の非制限的実施例から明らかになる。実施例を
含むこの明細書全体に記載される全ての参考文献は参考として本明細書に明白に
組み込まれるものとする。
【0104】 (実施例) (実施例1) (哺乳動物宿主細胞におけるhVEGF121の産生) (A.hVEGF121を産生する細胞系の生成) ベクター:hVEGF121前駆体(分泌シグナル+成熟121残基モノマー鎖
)をコードするcDNAが、サイトメガロウィルス(CMV)middle l
aterプロモーターから誘導された高活性プロモーターに操作可能に結合して
いるプラスミド発現ベクター(図7)を作製した。ウシ成長ホルモン遺伝子から
の転写終止/ポリアデニル化領域をVEGF cDNAの下流に置いた。上記発
現プラスミドは、ひとたび哺乳動物細胞に導入されると、プラスミドの選択並び
に増幅のために使用できるタンパク質もコードする。適切な選択マーカーには、
ジヒドロフォレート還元酵素(DHFR)およびグルタミン合成酵素があるが、
その他の一般的選択マーカーも同様に適する。選択可能マーカーの発現はSV4
0初期プロモーターによって促進され、SV40転写終止/ポリアデニル化シグ
ナルはこのマーカーの下流に位置する。細菌細胞内で増殖させるために、上記ベ
クターは細菌性(ColEI)複製開始点も含み、アンピシリン耐性を与えるβ
−ラクタマーゼをコードする。
【0105】 VEGF121を発現するCHO細胞系の選択:LipofectAMINE(
GIBCO−BRL)を用いてVEGF発現ベクターを70%融合チャイニーズ
ハムスター卵巣(CHO)細胞(CHO−K1、ATCCから入手;またはDH
FRが選択可能マーカーである場合は、Laurence Chasin(コロ
ンビア大学、ニューヨーク、NY)から得たCHO DG44(dhfr)細胞
)に導入した。DMEM(高グルコース)とクーンのF12培地との50:50
(v/v)ミックス中で回収した24時間後に、これら細胞をトリプシナイズし
、遠心分離し、その後選択培地に再懸濁し、培養基で培養した。DHFR選択の
場合、選択培地は2%透析化ウシ胎児血清(JRH Biosciences)
および1×SITE(セレナイト、インスリン、トランスフェリン、およびエタ
ノールアミン;シグマ社)を補充したIMDMであった。グルタミン合成酵素を
選択マーカーとした場合、選択培地は、1×GSサプリメント(JRF Bio
sciences、レネックス、KS)、10%透析化ウシ胎児血清、および2
5μMメチオニンスルフォキシミンを含むグルタミン−フリーDMEM(高グル
コース)であった。選択培地で生き残った細胞集団をトリプシナイゼーションに
よって集め、重複96ウェルプレートに再培養した。次いで、細胞の個々のプレ
ートを(時間にわたって)増加する濃度のメトトレキセート(DHFRが選択マ
ーカーであった場合)か、種々濃度のメチオニンスルフォキシミン選択剤(20
0μM、400μM、または600μM)(グルタミン合成酵素がマーカーであ
った場合)かどちらかを含む選択培地で処理した。11日間の選択/増幅後、ウ
ェルから採取した条件培地のサンプルを集め、VEGF発現レベルを、VEGF
ペプチドに対するウサギポリクローナル抗体、またはサンドウィッチELISA
キット(R&D Sistems、ミネアポリス、MI)を用いて、ウェスタン
・ブロット法で試験した。与えられた選択マーカーで最高レベルの発現を示す一
つのクローンを選び、組換えhVEGF121産生に用いた。
【0106】 (B.組換えhVEGF121の産生) VEGF121を発現するCHO細胞系から条件培地の生成:CHO細胞クロー
ンを2種類の培地の一つで増殖させた。単層培養の細胞の場合、10%透析化ウ
シ胎児血清と、80nMメトトレキセートと4mMグルタミン(DHFR選択可
能マーカーを含むクローンの場合)か、または100μMメチオニンスルフォキ
シミン(グルタミン合成酵素がマーカーである場合)のどちらかとを補充したD
MEM−21とクーンのF12(両方ともグルタミン−フリー)の50:50ミ
ックスを用いた。或いは、細胞が懸濁培養液中にある場合、培地は、4mMグル
タミンと80nMメトトレキセート(DHFR系クローンの場合)または100
μMヒポキサンチンと、16μMチミジンと、100μMメチオニン スルフォ
キシミン(グルタミン合成系クローンの場合)とを補充した Bio hiti
kar社(ウォルカーズヴィル、MD)のProCHO4 CD4であった。単
層培養の場合、融合T225フラスコ培養物をトリプシナイズし、遠心分離によ
って集め、1700cm2ローラーボトルに入れた。各ローラーボトルに1また
は2T225フラスコ量に匹敵する細胞を入れた。ローラーボトル中の細胞を融
合するまで増殖させた。この段階における増殖培地には15−20mM HEP
ES(pH7.2−7.5)を補充した。細胞が融合に達した際、培地を除去し
、付着した細胞を燐酸生理緩衝食塩液で洗った。それから無血清培地(15−2
0mM HEPESを補充したJRF Biosciences社のEx−Ce
ll PF−325培地、pH7.2−7.5)を各ローラーボトルに加えた。
培地をローラーボトルから2−3日ごとに集め、新鮮培地に置き換えた。集めた
培地は0.22mフィルターを通して濾過し、0.1mMフッ化フェニルメチル
スルホニルを補充し、凍結した。
【0107】 (C.ローラーボトル馴化培地からhVEGF121の精製) いくつかの場合、融解した馴化培地を分画化の前に濃縮し;別の場合において
、融解した培地を濃縮せずに用いた。いずれか場合、10mM Tris、pH
7.5、で平衡化したDEAEセファロースカラムにその培地を適用した。結合
タンパク質を10mM Tris、pH7.5中のNaCl勾配(0〜300m
M)で溶出した。hVEGF121を含む画分をプールし、10mM Tris、
pH7.5、0.5M NaCl、0.5mMイミダゾールで平衡化したZn−
セファロースカラムに適用した。カラムを平衡緩衝液、または合計20mMイミ
ダゾールを含むように補充した平衡緩衝液で洗浄した。次いで、結合タンパク質
を10mM Tris、pH7.5、0.5M NaCl中のイミダゾール勾配
(0〜60mM、または20〜60mMのいずれか)で溶出した。一般的に、V
EGFを含む物質のピークが2つ得られた。これらの各ピークを限外濾過によっ
て濃縮し、25%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸中で平衡化した逆
相HPLCカラム(C4またはC18のいずれか)を用いてさらに分画化した。
各タンパク質サンプルをそのカラムに担持させた後、カラムを平衡緩衝液で洗浄
し、そして結合タンパク質を0.1%トリフルオロ酢酸中のアセトニトリル勾配
(25〜45%)で溶出した。C4カラムを用いてhVEGF121を精製すると
、カラムに担持させた各Zn−セファロースピークからVEGFの一つのピーク
が得られた。C18カラムを用いる場合、一般に2つのVEGFピークが各Zn
−セファロースサンプルから得られた。
【0108】 (D.組換えhVEGF121の特徴づけ) Applied Biosystems 494 Procise タンパク
質シーケンサーを用いるアミノ末端配列決定。N末端配列決定は、CHO細胞に
よって産生されるVEGF121の90〜95%が、ネイティブなヒトVEGF121 の正しい配列(Ala−Pro−Met−Ala−Glu...)で始まること
を示した。残基3(Met)、4(Ala)または11(His)で開始する分
子もまた検出された。代表的な場合において、N末端は約90%が残基1、約8
%が残基4、そして約2%が残基11であった。一般的には、CHO細胞で産生
される産物は、代表的に残基1で開始する(ネイティブな分子の正しいN末端)
産物約90〜95%、残基4で開始する産物約3〜10%、そしてネイティブな
分子の残基11で始まる産物約0.2%を含む混合物である。
【0109】 LC2質量分析計(Finnegan)を用いる質量分析と液体クロマトグラ
フィーとの組み合わせ(LC−MS)。LC−MSはRP−HPLC画分に含ま
れる分子の質量に関する情報を提供する。この情報から、(1)分子のC末端が
インタクトであるか否か、および(2)VEGF分子が共有結合によって、すな
わちグリコシル化、または他の分子(例えばシステイン)とのジスルフィド結合
によって改変されているか否か、を結論づけ得る。グリコシル化の構造に関する
情報もまた入手し得る。LC−MS結果によると、CHO細胞で産生される本質
的に全てのhVEGF121が残基120で終わり、ネイティブなヒト配列の最後
のArg残基が欠けているが、この欠失は条件によって若干変化することが見出
された。特定の調製物において、hVEGF121分子の約65〜70%までがネ
イティブなタンパク質の残基121を保有していた。LC−MSデータはまた、
VEGF121ダイマー内のVEGFモノマーがときどきグリコシル化され、そし
てときどきグリコシル化されていないことも示した。モノマーがグリコシル化さ
れる場合、N結合糖は1または2個のいずれかのシアル酸部分を有することが見
出された。最後に、LC−MSデータは、いくつかの場合には、2つの外来(外
因性)システイン分子がVEGFダイマーに結合するようになることを示唆した
(すなわち分子量が、2個のシステインの付加と一致する、240原子量単位[
amu]だけ増加した)。
【0110】 (E.Glu−Cを用いるC末端およびCys−116の状態の確認) (消化) Glu−Cはタンパク質をグルタミン酸(Glu)残基の後で切断する。hV
EGF121ダイマーの場合、分子の真中が結合して「システイン結節」になって
おり、これがプロテアーゼにアクセスできないようにするため、Glu−Cがで
きる切断は残基5、残基13、および残基114後のみである。CHO由来hV
EGF121の残基114における切断は、残基115〜120(または、分子が
完全な長さである場合は115〜121)を表すC末端フラグメントを遊離する
。このフラグメントはN末端配列決定によって完全に配列が決定され、実質上全
ての分子が残基120で終わるか、または残基121を含む分子があるか否かを
確認し得る。さらに、残基116におけるCysが別のシステインにジスルフィ
ド結合している場合、N末端配列決定は、サイクル2にシスチン(Cys−S−
S−Cys)残基を示す。Glu−C消化のLC−MS分析は、C末端ペプチド
の質量を与える。この質量は残基121の決失を確認する。さらに、この質量は
Cys−116に関して多数の異なる状態の間を明白に区別する。Cys−11
6がさらなる外因性システイン分子にジスルフィド結合する場合、C末端Glu
−Cペプチドの質量は115〜120残基および120amuをあらわす(総質
量865amu)。他方、Cys−116がVEGFダイマー分子における他の
Cys−116とジスルフィド結合する場合、C末端Glu−Cフラグメントは
VEGFダイマーの両方の鎖からの残基115〜120を含み、これら鎖はCy
s116〜Cys116ジスルフィド結合を介して連結される(総質量1490
)。121位にあるアルギニン残基が保持される場合、可能性のあるC末端フラ
グメントの質量はそれぞれ1021および1802である。
【0111】 タンパク分解的断片化では、リン酸緩衝生理食塩水(クエン酸でpH5.5に
調節)中のVEGF(0.2〜1.5mg/ml)を、Glu−C(Boehr
inger Mannheim)で、酵素対基質の比が1:25で、37℃で2
4時間消化した。次いで、Glu−Cの別のアリコートを酵素対基質の比1:2
5の割合で添加し、そして37℃でさらに24時間反応させた。次いで、消化産
物をタンパク質シーケンサーに適用するかまたはLC/MSに供すかのいずれか
を行った。この結果は、上記B節に記載したように生成したhVEGF121ダイ
マーにおいて、位置121のArgが失われ、そしてCys−116がときどき
外因性システインとジスルフィド結合し、そしてときどきダイマー内の他のCy
s−116に結合していることが確認された。
【0112】 (実施例2) (E.coli宿主細胞におけるhVEGF121の産生) (A. E.coli発現プラスミド) E.coli宿主細胞におけるhVEGF121の発現を発現ベクターpAN1
79を用いて行った(図8)。このプラスミドを作製するために、最初にhVE
GF121のための合成コード配列を作製した。この配列は高度に発現されたE.
coli遺伝子にみられるコドンバイアスを反映する。このコード配列はまた、
その5’末端に2つのさらなるインフレームコドン(メチオニンコドンおよびリ
ジンコドン)を組み込み、その結果コードされた産物は123アミノ酸長である
(「MK+VEGF121」)。E.coliで機能する翻訳開始コドンを作るた
めにメチオニンコドンが付加された。この第二のコドンによってコードされるリ
ジンは、宿主細胞内で合成中のhVEGF121産物のプロテアーゼ消化を遅らせ
るために、そして宿主細胞からの回収のために役立った。MK+VEGF121
ためのコード配列をphoAプロモーター/オペレーター(PO)領域に作動可
能に連結し、増殖培地のホスフェートの枯渇によって上記コード配列の転写が開
始し得るようにした。E.coli rrnB座のT1T2領域をこのコード配
列の下流に置き、転写終止を提供した。pAN179のための複製開始点(OR
I)をpBR322から取り、rop遺伝子を保有した。テトラサイクリン耐性
遺伝子もこのベクターに挿入し、プラスミドの存在および安定性を選択可能にし
た。完全なpAN179プラスミドをE.coli B細胞(ATCC 238
48)に形質転換し、そしてこのプラスミドを含む単細胞クローンを寒天プレー
ト上でテトラサイクリン選択によって単離した。
【0113】 (B.Fed−batch 発酵によるE.coliにおける組換えMK+V
EGF121の産生) pAN179を含むE.coli Bクローンを用い、1%(w/v)グリセ
ロールおよび1%(w/v)カサミノ酸を補充したE.coliタンク培地(表
1)25mlに接種した。30℃で一晩振とうしながらインキュベーションした
後、得られた培養物5mlを用いて、Fernbachフラスコ中の補充された
E.coliタンク培地500mlに接種した。そのフラスコを30℃で振とう
下、一晩インキュベートし、次いで全培養物をE.coliタンク培地(表1)
8Lを含む10−L発酵槽に加えた。発酵温度を30℃に調節した。インペラー
回転速度1000rpmを用いて培養物を撹拌し、10.0L/minで通気し
た。培養物のpHは2N塩酸および14.8M水酸化アンモニウムの添加によっ
て6.7に維持した。必要に応じて消泡剤を加えた。約3.5〜5.5時間のバ
ッチ増殖後、培地中のグリセロールが使い尽くされた。これは発酵培養物中の溶
解酸素(DO)濃度の急激な上昇によって明らかになる。溶解酸素レベルの上昇
はグリセロール供給の開始をトリガーし、グリセロールは制御された速度で加え
られ、DOレベルを飽和の25%に維持する(供給速度は120mL/hrを超
えないように制限される)。グリセロール供給物は1021g/Lグリセロール
、20g/L硫酸マグネシウム六水加物、および10mL/LのKorz Fe
ed微量ミネラル(Korzツら、J.Bacteriol.39:59−65
[1995])からなる。約9〜11時間後、リン酸二水素カリウム(32.5
g/L溶液)を約6g/hrの速度で培養物に供給し、リン酸枯渇の悪影響を阻
止した。このリン酸塩の供給を発酵が終わるまで続けた。約72時間後、細胞を
遠心分離および凍結によって回収した。
【0114】
【表1】 (C. E.coli由来hVEGF121ダイマーの精製) (1.MK+VEGF121モノマーの単離) 発酵中、MK+VEGF121産物は細胞によって不溶性封入体に貯蔵された。
これらの封入体を回収するために、発酵槽からの細胞ペーストを最初に解凍し、
脱イオン水に再懸濁した。この懸濁液を遠心分離し、上清を棄て、ペレットをリ
ジン緩衝液(50mMエチレンジアミン、150mM NaCl、5mM ED
TA、pH6.5)に密度15〜20%(湿重量/容量)で懸濁した。次いで細
胞を10.000psiに設定したAPVガウリン(Gaulin)30CD高
圧ホモジナイザーを通過させて溶解した。5回連続容量通過を行い、細胞をほぼ
完全に溶解して封入体を遊離させた。溶解物の温度は、その溶解物を冷却コイル
を通過させ、そして細胞および溶解物の入った容器を氷上に保存することによっ
て15℃未満に維持した。封入体を細胞細片および溶解性から遠心分離(400
0×g、30分間)によって分離した。封入体ペレットを溶解緩衝液に再懸濁し
、その後2〜8℃で16時間撹拌することによって洗浄した。封入体を再び遠心
分離によって集め、次いで溶解緩衝液に30%固体(湿重量/容積)となるよう
に再懸濁した。封入体懸濁液を、アリコートで−70℃で冷凍保存した。
【0115】 溶解するために、この冷凍封入体を最初に解凍し、溶解緩衝液で1:5に希釈
し、次いで遠心分離によって集めた。封入体ペレットを7M尿素、20mMTr
is、100mMジチオトレイトール(DTT)、pH7.8に溶解した。この
混合物を窒素下で室温(周囲温度)(18−22℃)で3時間撹拌した。次いで
、溶解した材料を25mM酢酸(最終濃度)に調節し、そして溶液のpHが4に
なるまでHClを加えた。次いで、調節した混合物をその後デプスフィルター(
depth filter)(Sartorius,Gottingen,Ge
rmany)を通して濾過し、1.2μmにした。
【0116】 濾過した溶液をSP−1平衡緩衝液(6M尿素、25mM酢酸ナトリウム、5
mM DTT、pH4)で1:5に希釈し、次いでSPセファロース速流(Fa
st Flow)(Amersham−Pharmacia Biotech,
Upsala,Sweden)クロマトグラフィーカラムにロードした。カラム
溶出物のUV吸光度を280nmでモニターした。ロードしたカラムを6M尿素
、25mM酢酸ナトリウム、5mMシステイン、100mM NaClを含む緩
衝液、pH4、で洗浄した。還元MK+VEGF121モノマーを、550mM
NaClを含むように補充した洗浄緩衝液でカラムから溶出した。MK+VEG
121モノマーを含む画分をプールした。
【0117】 (2.hVEGF121ダイマーの形成および精製) SPセファロース速流カラムからの画分のプール(SP−1プール)を、0.
5mg/mL還元MK+VEGF121に希釈し、そして2M尿素、25mMジエ
タノールアミン、400mM NaCl、2.5mMシステイン、0.55mM
シスチン、pH8.8、に調節した。得られた混合物をステンレス鋼タンクに移
し、そして周囲条件下で41時間撹拌して、タンパク質中のシステイン残基をジ
スルフィド結合形成によって酸化させた。リフォールディング反応中の種々の時
点に採取したサンプルを逆相HPLC分画化に供し、その後質量分析を行った。
これらの分析は、MK+VEGF121リフォールディングおよび二量体化の経過
が、ある工程に従うことを示した:早期時点ではこの2種類の優性なダイマー型
の分子質量は(1)ジスルフィド結合がダイマーの2つのCys−116残基の
間に存在するダイマー、および(2)Cys−116の位置に遊離メルカプト基
を有するダイマーに一致した。後期の時点では(例えば41時間の撹拌の終わり
)、第1のダイマー型は主な早期時点のダイマーより約240amuだけ大きい
分子質量を有し、これは2つのCys−116位置の各々にジスルフィド結合し
たさらなるシステイン部分が存在することと一致した。中間時点では、付加的シ
ステインを一つだけ含む型(すなわち120amuだけ増加した質量)の実質的
な量が検出された。それ故に、反応が進行する時間を操作することによってリフ
ォールディング反応中に存在するダイマー型の割合を操作することができた。パ
イロット実験は、特定のダイマー型の混合物もまた、最初のリフォールディング
混合物に存在する還元対酸化システインの比を変えることによって操作し得るこ
とを示した。
【0118】 鋼性タンク中で41時間撹拌後、リフォールディング混合物を20mMリン酸
ナトリウムおよびpH7.7に調節し、次いで濾過して0.2μmにした(Mi
llex GP−50フィルター,Milipore,Bedford,MA)
。リフォールディングされたMK+VEGF121ダイマーを亜鉛担持キレート化
セファロース速流(Amersham−Pharmacia)カラムで捕獲した
。このカラムからの溶出液のUV吸光度を280nmでモニターした。担持カラ
ムを20mMリン酸ナトリウム、200mM NaCl、pH7.7緩衝液で洗
浄し、未結合タンパク質を除去した。結合MK+VEGF121ダイマーをカラム
から50mM酢酸ナトリウム、200mM NaCl、pH4で溶出した。MK
+VEGF121ダイマーを含む単一画分をプ集めた。この画分を1mM EDT
AおよびpH5.0に調節し、ジアミノペプチダーゼ−1(活性化HT−DAP
−1酵素、Unizyme,Denmark)を1:2000の重量比(HT−
DAP−1:総タンパク質)で添加した。この混合物を窒素下で周囲温度で5時
間撹拌した。MK+VEGF121ダイマーがhVEGF121ダイマーに変換する過
程をイオン交換HPLCで辿った。この変換効率およびN末端配列を自動エドマ
ン分解ペプチド配列決定によって確認した。
【0119】 HT−DAP−1切断反応から生成する反応混合物を1mg/mLタンパク質
になるように希釈し、そして0.9M硫酸アンモニウム、25mM酢酸ナトリウ
ム、pH4に調節した。0.2μmに濾過した後(Millex GP−50フ
ィルター、Milipore)、混合物をToyopearlブチル−650M
(TosoHaas,Montgomeryvile,PA)のカラムに適用し
た。カラムに結合したタンパク質を25mM酢酸ナトリウム、1.0M硫酸アン
モニウム、pH4で洗浄し、次いで0.7M、0.3Mおよび0.15M硫酸ア
ンモニウムを含む25mM酢酸ナトリウム、pH4の緩衝液で段階的に溶出した
。カラム溶出液のUV吸光度を280nmでモニターした。各段階から画分を集
め、逆相HPLCによって、2つのさらなるシステイン部分を含む所望のhVE
GF121ダイマー型の存在についてアッセイした。高比率のこの所望のhVEG
121ダイマーを含む画分をプールした。Pellicon XL Bioma
x−5メンブレンカセット(Milipore)を用いて限外濾過を行い、プー
ルした画分を濃縮した。得られた溶液を酢酸ナトリウム緩衝液(50mM、pH
4)で希釈して、その溶液の導電率を最後のカラムの精製段階(SP−5PWイ
オン交換クロマトグラフィー)に結合するhVEGF121ダイマータンパク質に
適合性のレベルまで低下させた。
【0120】 Toyopearlブチルカラムクロマトグラフィーからの希釈プールを、3
0mM酢酸ナトリウム、100mM NaCl、pH5.0中で平衡化したSP
−5PW30μm樹脂(TosoHaas)カラムに適用した。カラム溶出液の
UV吸光度を280nmでモニターした。担持後、カラムを平衡緩衝液で洗浄し
、次いで結合タンパク質を50mM 酢酸ナトリウム、pH5.0中の、100
〜300mM NaClの直線勾配で溶出した。画分を、hVEGF121ダイマ
ーの含有量および純度について、イオン交換HPLCでアッセイした。所望の純
度でhVEGF121ダイマー(2つのさらなるシステインが付加した形態)を含
む画分をプールし、そしてこの緩衝液を、Pellicon XL Bioma
x−5限外濾過デバイスおよびLabscale TFFシステム(Milip
ore)を使用する限外濾過/透析濾過によって、20mMクエン酸ナトリウム
、1mM EDTA、9%(w/v)スクロース、pH5.0に交換した。この
溶液を0.2μmに濾過し(Sterivex−GP−フィルター,Milip
ore)、次いで−70℃で凍結した。
【0121】 (D. E.coli由来hVEGF121ダイマー産物の分析) 最終産物の質量をLC−MS分析によって決定した。この分析ではさらに、他
の形態のhVEGF121ダイマーが最終混合物に存在するか否かも検査した。L
C−MSデータは、以下の二つの型の分子がこの産物中に存在することを示した
:質量28,365amuを有する主要型(アミノ酸1〜121および2個の付
加的システイン部分を含むhVEGF121ダイマーの予想質量);ならびに28
,134amuの質量を有するマイナー型(アミノ酸1〜121を含み、付加的
システインは含まないhVEGF121ダイマーの予想質量と一致する)。逆相H
PLC分析もまた、産物中のこれら二つの型の存在を示し、そしてそれらの型が
約93%の高質量型および7%の低質量型の相対的濃度で存在することを示した
。SDS−PAGEは、産物が主にダイマーの形態で存在することを確認した。
アミノ末端アミノ酸配列決定は、産物の96〜97%が予想配列(Ala−Pr
o−...)で開始することを実証した。この産物の残りは残基−2(Met−
Lys−Ala−Pro−...;0.8〜1%)、残基−1(Lys−Ala
−Pro−...;0.4〜0.7%)、または残基5(Glu−Gly−Gl
y−Gly...;1.6〜1.7%)で開始した。サーモリシン消化とそれに
続くLC−MSは、大部分のhVEGF121産物において、位置116のシステ
イン残基に結合した付加的システイン部分の存在を確認した。
【0122】 (実施例3) (Pichia pastorisにおけるhVEGF121の産生) (A.hVEGF121N75Qを産生するP.pastoris細胞株の生成
) ベクター:hVEGF121をP.pastorisに直接発現するために作ら
れたプラスミド発現ベクター(pAN103)を図9に示す。成熟hVEGF12 1 モノマー一次構造の121アミノ酸をコードするcDNAを、コドン75にお
いて、この位置でコードされるアミノ酸がアスパラギンからグルタミンに変化す
るように改変した。従って、得られたcDNAは、VEGF121のN750改変
体形態をコードした。この変化を行い、野生型VEGFモノマー配列の残基75
に見いだされるN−結合グリコシル化部位を除去した。変化したcDNA配列を
、次いでSaccharomyces cerevisiae exo−1,3
−β−グルカナーゼタンパク質の分泌シグナル配列をコードするDNA配列(「
EXG1 ss」)の5’末端にインフレームで融合した。パイロット実験にお
いて、このシグナル配列はP.pastoris宿主細胞から組換えhVEGF 121 産物の分泌を起こすことに関して、ネイティブなヒトVEGFシグナル配列
より効率的であることが見出された。これらのパイロット実験はさらに、S.c
erevisiaeα因子遺伝子によってコードされるシグナル配列を用いて、
P.pastorisからのhVEGF121の分泌も促進し得ることを示した。
pAN103において、ハイブリッドcDNA(VEGF121モノマー配列にE
XG1シグナル配列を結合する融合タンパク質をコードする)を、P.past
orisアルコールオキシダーゼ1(AOX1)遺伝子のためのプロモーター(
「5’AOX1p」)に作動可能に連結した。AOX1プロモーターから開始す
る転写は、P.pastorisがグルコースまたはグリセロール上に増殖する
場合には検出できない程低いが、それらの細胞にメタノールを炭素源として与え
た場合には、劇的に上方制御される。AOX1遺伝子の3’末端(「3’AOX
Term」)を、転写終止シグナルを提供するために上記ハイブリッドcDN
Aの下流に置いた。このベクターはまた、ヒスチジノール脱水素酵素(HIS4
)をコードする野生型P.pastoris遺伝子を保持し、his4宿主細胞
中のプラスミドの選択を可能にした。さらに、このベクターはアンピシリン耐性
をコードし、そしてColE1複製開始点を保持し、P.pastoris宿主
細胞に導入する前のE.coliにおける操作を可能にした。
【0123】 hVEGF121N75Qを発現するP.pastoris細胞株の選択:プラ
スミドpAN103をSalIで消化し、これはこのプラスミドをHIS4配列
内で1回切断した。得られた線状DNAを、P.pastoris mut+(
メタノール利用が効率的)株GS115へのエレクトロポレーションによって形
質転換した。ヒスチジン欠乏固体寒天培地(RDBプレート[18.6%(w/
v)ソルビトール、2%(w/v)グルコース、1.34%(w/v)酵母窒素
塩基、0.4g/mlビオチン、2%(w/v)寒天])上にプレーティングし
、そして30℃でインキュベートすることによってヒスチジン原栄養性(pro
totrophy)の獲得に関して細胞を選択した。AOX1のゲノムコピーが
崩壊しないことを確認するために、それらのコロニーを、30℃での最小メタノ
ールプレート上で増殖する能力も検査した。分泌hVEGF121の発現を検査す
るために、RDBプレートから得られた単一コロニーを最初に2ml緩衝最小グ
リセロールYE/ペプトン(BMGY)培地に接種し、30℃で振盪しながら一
晩増殖させた。各培養物中の細胞を遠心分離によって集め、緩衝最小メタノール
YE/ペプトン(BMMY)培地に再懸濁し、次いで30℃のシェーカー中で4
8時間インキュベートしてhVEGF121を発現させた。産生したhVEGF121 レベルを測定するために、細胞培養物の上清のアリコートをドット−ブロット、
酵素結合イムノアッセイ法(ELISA)、ならびに/またはドデシル硫酸ナト
リウムポリアクリルゲル電気泳動法(SDS−PAGE)およびそれに続くタン
パク質染色またはウェスタン・ブロット法で分析した。抗ヒトVEGF抗体(R
&D Systems,Minneapolis,MN)を製造者の使用説明書
にしたがって用い、ドット−ブロットおよびウェスタン分析によって産物を検出
した。使用したELISAキットもまた、R&D Systemsから入手した
。これらの分析に基づき、一つのクローン(ABL189)がhVEGF121
大規模生産に使用するために選択された。
【0124】 (B.Fed−batch発酵法による組換えhVEGF121N75Qの産生
) hVEGF121N75Qの酵素バッチの製造プロセスを、P.pastori
s菌株ABL189の画線(streak)プレートから得た単一コロニーか、
またはABL189細胞の解凍された保存バイアルからの25μLかのいずれか
を、YYGリン酸培地の25〜50mL培地に接種することによって開始した。
このYYGリン酸培地は、1%(w/v)酵母抽出物、1.34%(w/v)酵
母窒素塩基、0.4μg/mLビオチン、2%(v/v)グリセロール、および
0.125Mリン酸緩衝液、pH6.0からなる。この培地をバッフル付き25
0または500mL振動フラスコ中で30℃で振動しながら一晩インキュベート
した。次いで培養物のアリコートを用いて、3.8Lバッフル付きFernba
chフラスコ中のYYGリン酸培地250mLに接種した。消泡剤約5滴を加え
て起泡を抑制した。Fernbachフラスコを30℃で一晩振とうし、約40
〜60の光学密度(OD590nm)にした。この培養物を用いて、Pichia発
酵タンク培地8.0Lを含む10−L発酵槽に接種した(表2を参照のこと)。
発酵タンクの最初のOD590nmが約0.25になるように十分な量の接種物を接
種した。発酵温度を30℃に制御した。インペラー回転速度1000rpmを用
いて培養物を撹拌し、16.7L/minの通気を行った。発酵培養物のpHを
、2M燐酸および14.8M水酸化アンモニウムの添加によって維持した。発酵
の最初のバッチ期の間に、培養物のpHを4.5に維持した。必要に応じて消泡
剤を加えた。
【0125】 約15〜19時間のバッチ増殖後、培地のグリセロールは枯渇した。これは発
酵培養物中の溶解酸素(DO)レベルの急激な上昇によって明らかになった。溶
解酸素レベルの上昇は、培養の前誘導期の開始をトリガーし、その際グリセロー
ル供給物が制御された速度で加えられ(供給速度が120mL/hrを超えない
ように制限されて)、飽和の25%のDOレベルを維持した。50%グリセロー
ルならびに1.2%PTM1微量ミネラルおよびビオチンからなるグリセロール
供給(表3)は3〜6時間続けられた。
【0126】 発酵の誘導期の開始には、グリセロール供給の停止、メタノール供給の開始、
および培養物のpH6.0への調節が必要であった。14.8M水酸化アンモニ
ウムを1〜2時間にわたって添加することによって、pHの変化を達成した。メ
タノール供給は、ビオチンを含む1.2%PTM1微量ミネラルを補充したメタ
ノールからなる。最大メタノール供給速度は最初は20ml/hrであった。3
時間後にはそれは60ml/hrに増加し、さらに1時間後には100ml/h
rに増加した。最大メタノール供給速度は回収するまで100ml/hrのまま
であった。DOレベルが25%より低くなった場合には、最大速度未満で供給す
るように供給調節をプログラムした。
【0127】 発酵槽から定期的にサンプルを取り、分析した。誘導期中のサンプリングの一
部として、メタノール供給を短期間止め、DOが10%増加する時間を測定した
。このDO応答時間を用いて、メタノールが発酵槽に蓄積しつつあるか否かを判
断した。1分より長い時間は、細胞に対して有毒となり得る程度にまでメタノー
ルが供給過剰になっていることを示した。このような場合はメタノール供給速度
を減らした。
【0128】 接種後約90時間目で発酵槽から回収した。回収する際には発酵槽含有物を冷
却し、2M燐酸を添加して培養物のpHを4.0に調節した。発酵ブロスを遠心
分離によって澄明にし、上清を濾過し、そしてhVEGF121ダイマー産物の精
製を開始するまで冷凍保存した。
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】 (C. P.pastoris由来hVEGF121N75Qダイマーの精製) 発酵槽からの濾過上清を最初に、pH3またはpH4のいずれかで50mMリ
ン酸ナトリウム中で平衡化したSP−セファロース(SP−Streamlin
e,Pharmacia,Piscataway,NJ)上でpH4.0でクロ
マトグラフィーにかけた。上記上澄液をカラムに担持させた後、そのカラムを0
.2M NaClを含む平衡緩衝液で洗浄した。カラムに結合したVEGF121
N75Q産物を、1.0M NaClを含む平衡緩衝液で溶出した。あるいは、
VEGF121溶出のために平衡緩衝液中0.4M〜1M NaClの勾配を用い
た。溶出液を1.2M硫酸アンモニウム、50mMリン酸ナトリウム、pH7.
0に調節し、そして50mMリン酸ナトリウム、pH7.0、1.2M硫酸アン
モニウムで平衡化したオクチル−セファロース速流カラム(Pharmacia
)に担持させた。カラム平衡緩衝液で洗浄後、そのカラムに結合したタンパク質
を、50mMリン酸ナトリウム、pH7.0、中の1.2M〜0M硫酸アンモニ
ウムの勾配で溶出した。カラム溶出液からの画分をSDS−PAGEによって、
その後クーマシー染色によって分析し、VEGF121産物を含む画分を同定した
。所望の画分をプールし、そして20mMTris、pH7.4、0.3M N
aClに調節し、次いで20mMTris、pH7.4、0.3M NaClで
平衡化した[Zn2+]−キレート化セファロース速流カラム(Pharmaci
a)にロードした。カラムをカラム平衡緩衝液で洗浄し、結合タンパク質を20
mMTris、pH7.4、0.3M NaCl中のイミダゾール勾配(0〜6
0mM)で溶出した。SDS−PAGEによってVEGF121を含むことが判明
した画分をプールし、YM5膜を用いて撹拌セル中で濃縮し、次いで23.5%
アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸中で平衡化したVydac C4分
取スケール逆相HPLCカラム(The Separations Group
,Hesperia,CA)上にロードした。結合タンパク質を0.1%トリフ
ルオロ酢酸中のアセトニトリル勾配(23.5〜33.4%)で溶出した。溶出
プロフィールにおいて主要なタンパク質ピークを手動で集め、凍結乾燥し、リン
酸緩衝生理食塩水(pH7.4)に再懸濁し、0.22μmフィルターを通して
濾過することによって滅菌し、そして冷凍保存した。溶出液の他のタンパク質ピ
ークもまた、いくつかの場合、集めて分析した。
【0131】 (D.hVEGF121N75Q産物の分析) アミノ末端配列決定は、産物の93〜97%がネイティブなVEGF121配列
の位置5のグルタミン酸残基で始まることを示した;すなわち産物の大部分は予
想産物の最初の4アミノ酸が欠けていた。少量(0.3〜2.1%)の産物は残
基6(グリシン)、残基7(グリシン)、残基8(グリシン)、残基11(ヒス
チジン)、残基12(ヒスチジン)または残基18(メチオニン)で始まった。
質量分析の結果、産物はダイマーであるが、残基121(アルギニン)も欠けて
いることが判明した。こうしてP.pastoria由来の最終産物の大部分は
、116残基の長さのモノマーからなるダイマーからなる。
【0132】 質量分析データは、精製第一段階から集めたマイナーなピークのいくつかは2
つの付加的システイン部分か、または一つの付加的システイン部分およびグルタ
チオン部分(多分VEGF121モノマーサブユニットの位置116のシステイン
にジスルフィド結合している)のいずれかを含んでいることも示した。しかしそ
のような付加的システインまたはシステイン含有ペプチドは、P.pastor
iaから得られた主要なVEGF121産物には見られなかった。これらの結論は
、種々の産物のGlu−C消化、およびその後の質量分析および/または産物の
配列決定によって確認された。これらの分析は、主要産物のピークにおいて、各
モノマーサブユニットにおける位置116システインが、VEGFダイマーの他
のCys−116と対になって、第三の鎖内ジスルフィド結合を形成しているこ
とを確認した。
【0133】 (実施例4) (P.pastoria由来のhVEGF121N75QダイマーのCys−1
16の選択的還元および得られる産物の不安定性の実証) (A.残基位置116のシステインのジチオトレイトール(DTT)による還
元) 約880μgのhVEGF121N75Q(実施例3に記載のように調製された
主要産物ピーク物質)を0.4mLリン酸緩衝生理食塩水中で1.6mM DT
Tと共に室温で60分間インキュベートした。従って、この混合物中のDTT:
VEGFモノマーのモル比は10対1であった。0.1%トリフルオロ酢酸を最
終濃度0.05%(v/v)になるまで加えることによって還元反応を停止した
。この反応物を、40℃に加熱し、0.1%トリフルオロ酢酸中30%アセトニ
トリルで平衡化した5μ C4 250nm×4.6mm逆相HPLCカラム(
YMC Co,Kyoto,Japan)にこの反応物をロードした。次いで、
結合した物質を0.1%トリフルオロ酢酸中アセトニトリル勾配(30%〜35
%)で、1mL/分の流速で溶出した。これらの条件下で、出発(非還元)P.
pastoria由来hVEGF121N75Q物質は約24分で溶出した。DT
Tとのインキュベーションは、数種の生成物を生成し、そのなかにはこの勾配で
約10分間で溶出する生成物(カラムから溶出した全物質の約40%に相当する
)が含まれていた。このピークを集め、凍結乾燥した。
【0134】 この10分ピーク物質が、Cys−116の位置が選択的に還元されたVEG
Fダイマー生成物を表すことを確認するために、3度の分析を行った。第一に、
物質のアリコートを液体クロマトグラフィーと質量分析との組み合わせ分析(L
C−MS)に供した。これは27,111の質量を示した−これは部分的に還元
された5−120hVEGF121N75Qダイマーの予想質量と一致する。第二
に、新たに再懸濁した10分ピーク物質を5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ
安息香酸)(DTNB)で滴定すると、2つの遊離メルカプトル基が各ダイマー
分子に存在することを示した。第三に、凍結乾燥した物質のさらなるサンプルを
0.15mLの脱気した50mM Tris、150mM NaCl、5mM
EDTA、10mMヨード酢酸、pH8.5に再懸濁した。混合物を遮光して室
温で2時間インキュベートした。これらの条件下でヨード酢酸は遊離メルカプト
基と反応するが、タンパク質に既に存在するジスルフィド結合は破壊しない。平
衡化し、リン酸緩衝生理食塩水で溶出したNAP−5ゲル濾過カラム(Phar
macia)にこの混合物を適用することによって、カルボキシメチル化反応を
停止した。得られたタンパク質のアリコートのLC−MS分析は27,228.
8の質量を示した。これはダイマー1つあたり2つのカルボキシメチル化が存在
することと一致する。次いで、残りのヨードアセトアミド処理物質をエンドペプ
チダーゼGlu−Cで消化し、そして消化産物をアミノ末端配列決定に供した。
P.pastoria由来5−120VEGF121ダイマー産物において、Gl
u−Cは、VEGF121の残基位置113および114のグルタミン酸残基の後
で切断した。そこで切断産物が3つ生成した。その一つは残基115〜120で
あった。こうして位置116のシステインの状態が配列決定の第二サイクルで明
らかにされた。このサイクルにおいて、カルボキシメチル化システインの定量的
回復があり、システインまたは未改変システインは認められなかった。従って、
この結果は、カルボキシメチル化反応の前には、部分的還元VEGFの本質的に
全てが、2つの遊離メルカプト基を各モノマー位置116に一つづつ含むことを
確認した。
【0135】 (B.部分的に還元されたVEGF121ダイマーの安定性試験) 部分的に還元されたVEGF(YMC C4カラムから単離された凍結乾燥1
0分ピーク物質)を脱気したリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁し、このアリコート
を直ちにYMC C4カラムに再注入した。再懸濁したタンパク質の本質的に1
00%が10分時点のピークとして溶出した(図10A)。次いで、再懸濁した
物質を37℃でインキュベートし、そしてさらなるアリコートを種々の時点に取
り、C4 HPLC分析を行った。クロマトグラフィーは、部分的に還元された
VEGFが急速に変化を受けることを示した。例えば、図10Cに示したように
、37℃で6.5時間インキュベーション後には、溶出勾配において10分の位
置に溶出したのは反応中のタンパク質の約45%に過ぎなかった。タンパク質の
さらなる45%は約24分に溶出し、ある程度の物質がまた約17分に溶出した
。37℃、6.5時間のインキュベーションの終わりには、反応は2日間室温に
セットされた。その時点に採取されたサンプルのC4逆相HPLC分析は、混合
物中には出発材料(10分に溶出するもの)は本質的に残っておらず、実質的に
全てのタンパク質が約24分に溶出することを示した(図10D)。
【0136】 同様な安定性実験をhVEGF121ダイマータンパク質を用いて行う。このタ
ンパク質では2つのさらなるシステインが分子中に存在し、それらはダイマーの
2つのCys−116残基にジスルフィド結合している。以前の段落に記載した
実験で使用したのと同じC4逆相HPLC条件下で、この物質は溶出勾配で約1
1.5分で溶出した(図11A)。図11B〜11Dに示すように、この物質を
リン酸緩衝生理食塩水中で37℃で6.5時間インキュベーションし、その後室
温で2日間インキュベーションを行うと、少なくとも逆相HPLC分析によって
判断した場合、分子には顕著な変化はほとんどなかった(あったとしてもごくわ
ずかであった)。
【0137】 (実施例5) (HUVE細胞増殖アッセイ−BrdU ELISA) (アッセイ) 96−ウェルプレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のヒトフィブロネ
クチン(Sigma,1μg/100μl/ウェル)でコーティングした。プレ
ートを室温で45分間インキュベートし、フィブロネクチン溶液を吸引し、この
プレートを空気中で20〜30分間乾燥した。細胞(HUVEC,Clonet
ics)をヒト内皮細胞無血清培地(Gibco)および2%ウシ胎仔血清(F
BS)中1000細胞/100μl/ウェルでプレートし、各96−ウェルプレ
ートの最初のカラムを無細胞とし、ブランクとして用いた。細胞は5%CO2
で37℃で一晩(18〜24時間)インキュベートした。培地を100μl/ウ
ェルの無血清培地および1%FBSに変え、そしてこのプレートを5%CO2
37℃で24時間インキュベートして細胞の増殖を停止した。
【0138】 VEGF121標準物および試験されるサンプルを無血清培地および0.1%ヒ
ト血清アルブミン(HSA,Sigma)で1:3に逓減希釈した。希釈物10
μlをウェルに加えた。それを37℃、5%CO2で24時間インキュベートし
た。細胞増殖ELISAキット(Boehringer Mannheim)か
らのブロモデオキシウリジン(BrdU)溶液をGibco無血清培地で1:1
00に希釈し、この溶液12μlを各ウェルに加えた。次いでこのプレートを3
7℃、5%CO2で4〜5時間インキュベートした。バックグラウンドコントロ
ールとして使用するウェルではBrdUを除外した。
【0139】 4〜5時間のインキュベーション後、培地を吸引し、ELISAからの200
μlFixDeNat溶液を各ウェルに加え、そしてこのプレートを室温で30
分間インキュベートした。FixDeNatを徹底的に吸引し、キットからの1
00μl抗−BrdU−POD(抗−BrdU−ペルオキシダーゼ)抗体溶液を
そのキットから各ウェルに加え(抗−Brd−PODをPBSで1:100に希
釈したものおよび0.05%ツイーン20および0.5%HSA)、そしてこの
プレートを室温で90分間インキュベートした。ウェルを300μl/ウェルの
PBSおよび0.05%Tween20で4回洗浄し、そして100μlTMB
基質を加えた。この後に20〜30分間インキュベートし、比色測定の読み取り
に十分なだけ発色させた。さらに50μl硫酸(5N)を加え、吸光度450n
mで比色測定値を読んだ。
【0140】 (結果) これらの結果を図12に示す。グラフはPichia由来N75Q VEGF 121 (VEGF121標準物;主に3個の鎖間ジスルフィド結合を含む分子からなる
)対E.coli由来VEGF121(主に2個のみの鎖間ジスルフィド結合を有
する分子からなり、Cys−116残基にジスルフィド結合した付加的外因性シ
ステインを有する)の、逓減希釈に応答して刺激されたDNA合成量を示す。グ
ラフのX軸はアッセイウェルに加えた増殖因子の最終濃度をng/mlで示す。
Y軸はアッセイの終わりに組み込まれたブロモデオキシウリジンを検出するため
のBrdUキット(Boehringer Mannheim)の使用後、各ウ
ェルで記録された光学密度を表す。
【0141】 VEGF121標準物のED50(最大増殖応答の1/2に到達するのに必要な増
殖因子の有効用量)は6.27ng/mlであり、一方E.coli由来のVE
GF121は5.48ng/mlのED50を示した。従って、このアッセイではE
.coli由来VEGF121がVEGF121標準と比べて(VEGF121標準より
かなり強力とは言わないまでも)同様に強力にDNA合成を促進した。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、シグナルペプチドを含むネイティブのhEGF121のアミノ酸配列お
よびコードするヌクレオチド配列を示す。シグナルペプチドおよび、上記シグナ
ルペプチドをコードするヌクレオチド配列には下線が引かれている。Cys−1
16は二重アンダーラインでマークした。配列番号1は成熟hVEGF121ポリ
ペプチド(図1のアミノ酸1〜121)を示し;配列番号NO:2はシグナルペ
プチド(図1のアミノ酸−26〜アミノ酸−1)を含むhVEGF121ポリペプ
チドを示し;そして配列番号NO:3はシグナルペプチドを含むhVEGF121
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を示す。
【図2】 図2はVEGF mRNAの選択的スプライシングによって生成する種々の形
態のVEGFの略図である。ここでVEGF遺伝子の8つのエキソンの各々によ
ってコードされるタンパク配列が番号付きボックスによってあらわされる。エキ
ソン1によっておよびエキソン2の最初の部分によって(細いボックスとして示
される)コードされるタンパク質配列はVEGFの分泌シグナル配列をあらわす
【図3】 図3は、Cys−116が「R」残基にジスルフィド結合しているVEGF12 1 ダイマーの構造を図式的に示す。ここでRはシステイン、またはシステイン含
有ペプチドである。
【図4】 図4は、各モノマーのCys−116が鎖間ジスルフィド結合に関与している
VEGF121ダイマーの構造を図式的に説明するものである。
【図5】 図5は、各モノマーのCys−116が不対であるVEGF121ダイマーの構
造を図式的に説明するものである。
【図6】 図6は、VEGF(8−109)ダイマーの結晶構造を説明する(ムラー(M
uller)ら、PNAS USA 94:7192−7197[1997])
。鎖内ジスルフィド結合がVEGFモノマーの104−61、102−57およ
び26−68残基間に示され、一方、鎖間ジスルフィド結合はVEGFダイマー
を形成する2本の鎖のアミノ酸残基51−60と60−51との間に示される。
【図7】 図7は、実施例1に記載されるように、チャイニーズハムスター卵巣(CHO
)細胞におけるhVEGF121の発現に用いられる発現プラスミドの構造を示す
【図8】 図8は、大腸菌発現プラスミドpAN179の略図である。
【図9】 図9は、P.pastoris発現プラスミドpAN103の略図である。
【図10】 図10および図11は、逆相HPLCクロマトグラフィーを用いて行われた、
部分的に還元されたVEGF121ダイマー(図10)および、各モノマーのCy
s−116が付加的システインにジスルフィド結合しているVEGF121ダイマ
ー(図11)の比較安定性試験の結果を示す。
【図11】 図10および図11は、逆相HPLCクロマトグラフィーを用いて行われた、
部分的に還元されたVEGF121ダイマー(図10)および、各モノマーのCy
s−116が付加的システインにジスルフィド結合しているVEGF121ダイマ
ー(図11)の比較安定性試験の結果を示す。
【図12】 図12は、HUVE細胞増殖アッセイ(BrdU ELISA)の結果を示す
。このグラフはPichia由来N750 VEGF121(VEGF標準;主と
して3つの鎖間ジスルフィド結合を含む分子からなる)対大腸菌由来VEGF12 1 (主として、鎖間ジスルフィド結合を2つだけ含み、Cys−116残基にジ
スルフィド結合した付加的外因性システインを含む分子からなる)の階段希釈に
応答して刺激されたDNA合成の量を示す。グラフのX軸はアッセイ・ウェル中
に加えられた増殖因子の最終濃度をng/mlであらわし、Y軸はアッセイの終
わりにBrdUキット(ベーリンガー・マンハイム)を使用して、挿入されたブ
ロモデオキシウリジン(BrdU)を検出した後に各ウェルで記録された光学密
度をあらわす。
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月11日(2001.12.11)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 13/12 C12P 21/02 C C07K 14/485 C12R 1:19 C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA //(C12P 21/02 A61K 37/24 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA, ZW (72)発明者 ステイディス, ピーター エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94025, メンロ パーク, アパートメント エ フ, フローレンス レーン 975 (72)発明者 アドリアンセンズ, ピーター イザドア アメリカ合衆国 カリフォルニア 94040, モンテイン ビュー, エル モンテ アベニュー 1109 (72)発明者 エイブラハム, ジュディス エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 95129, サン ノゼ, カントリー レーン 4901 (72)発明者 バルドウィン, パトリシア アン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94022, ロス アルトス, トーウッド レーン 531 (72)発明者 ポリット, エヌ. ステファン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94024, ロス アルトス, キャンベル アベニ ュー 1037 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 CA05 DA06 EA04 GA11 HA01 HA03 4B064 AG02 CA02 CA19 DA01 4C084 AA02 AA06 AA07 BA01 BA08 BA22 BA23 BA26 CA25 CA53 CA56 CA59 DB52 DB57 NA05 NA14 ZA362 ZA422 ZA442 ZA812 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA20 EA24 FA32 FA73 FA74 GA10 GA23 GA25 HA05

Claims (74)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2のモノマーからなる血管内皮増殖因子(VE
    GF)ダイマーであって、該モノマーの各々は、配列番号1の少なくとも11〜
    116のアミノ酸を含むか、または配列番号1のアミノ酸11〜116と少なく
    とも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、そして配列番号1の1
    16位またはそれに対応する位置(Cys−116)にシステイン(Cys)を
    保持し、ここで、各モノマーのCys−116は、さらなる外来性Cysにジス
    ルフィド結合する、血管内皮増殖因子(VEGF)ダイマー。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2のモノマーの少なくとも1つにおいて、
    前記さらなるCysが、2〜5アミノ酸のペプチドの一部である、請求項1に記
    載のVEGFダイマー。
  3. 【請求項3】 前記ペプチドがグルタチオンである、請求項2に記載のVE
    GFダイマー。
  4. 【請求項4】 各モノマーが、Cys残基を介してグルタチオン部分にジス
    ルフィド結合される、請求項3に記載のVEGFダイマー。
  5. 【請求項5】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸4
    〜116を含む、請求項1に記載のVEGFダイマー。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸1
    〜120を含む、請求項1に記載のVEGFダイマー。
  7. 【請求項7】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸1
    〜121を含む、請求項1に記載のVEGFダイマー。
  8. 【請求項8】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸5
    〜120を含む、請求項1に記載のVEGFダイマー。
  9. 【請求項9】 前記第1および第2のモノマーの少なくとも一方のモノマー
    の長さが121アミノ酸を超えない、請求項1に記載のVEGFダイマー。
  10. 【請求項10】 前記第1および第2のモノマーの各々の長さが121アミ
    ノ酸を超えない、請求項9に記載のVEGFダイマー。
  11. 【請求項11】 前記第1および第2のモノマーの各々の長さが、110ア
    ミノ酸と121アミノ酸との間である、請求項10に記載のVEGFダイマー。
  12. 【請求項12】 前記第1および第2のモノマーの両方がグリコシル化され
    ている、請求項1に記載のVEGFダイマー。
  13. 【請求項13】 前記第1および第2のモノマーの少なくとも一方がグリコ
    シル化されていない、請求項1に記載のVEGFダイマー。
  14. 【請求項14】 第1および第2のモノマーからなる血管内皮増殖因子(V
    EGF)ダイマーを、薬学的に受容可能なビヒクルとの混合物において含む組成
    物であって、該モノマーの各々は、配列番号1の少なくともアミノ酸11〜11
    6を含むか、または配列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の
    配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、そして配列番号1の116位またはそ
    れに対応する位置(Cys−116)にシステイン(Cys)を保持し、ここで
    各モノマーのCys−116は、さらなる外来性Cysにジスルフィド結合する
    、組成物。
  15. 【請求項15】 前記第1および第2のモノマーの少なくとも一方において
    、前記さらなるCysが2〜5アミノ酸のペプチドの一部である、請求項14に
    記載の組成物。
  16. 【請求項16】 前記ペプチドがグルタチオンである、請求項15に記載の
    組成物。
  17. 【請求項17】 各モノマーが、Cys残基を介してグルタチオン部分とジ
    スルフィド結合される、請求項16に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸
    4〜116を含む、請求項14に記載の組成物。
  19. 【請求項19】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸
    1〜120を含む、請求項14に記載の組成物。
  20. 【請求項20】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸
    1〜121を含む、請求項14に記載の組成物。
  21. 【請求項21】 前記第1および第2のモノマーが、配列番号1のアミノ酸
    5〜120を含む、請求項14に記載の組成物。
  22. 【請求項22】 前記第1および第2のモノマーの両方がグリコシル化され
    ている、請求項14に記載の組成物。
  23. 【請求項23】 前記第1および第2のモノマーの少なくとも一方がグリコ
    シル化されていない、請求項14に記載の組成物。
  24. 【請求項24】 前記第1および第2のモノマーの各々がグリコシル化され
    ていない、請求項14に記載の組成物。
  25. 【請求項25】 前記第1および第2のモノマーが、さらにN末端メチオニ
    ン基を含む、請求項24に記載の組成物。
  26. 【請求項26】 VEGFダイマーを本質的に含まない請求項24に記載の
    組成物であって、各モノマーの116位またはそれに対応する位置のシステイン
    が鎖間ジスルフィド結合で結合している、組成物。
  27. 【請求項27】 VEGFダイマーを本質的に含まない請求項24に記載の
    組成物であって、各モノマーの116位またはそれに対応する位置のシステイン
    が不対である、組成物。
  28. 【請求項28】 少なくとも2つの血管内皮増殖因子(VEGF)ダイマー
    を含有する組成物であって、該ダイマーの各々は、以下: (a)各モノマーが、配列番号1のアミノ酸11〜116を含むか、または配
    列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性を有するア
    ミノ酸配列を含み、そして配列番号1の116位、またはそれに対応する位置(
    Cys−116)にシステイン(Cys)を保持し、そして各モノマーのCys
    −116が、さらなる外来性Cysにジスルフィド結合されるダイマー; (b)各モノマーが、配列番号1のアミノ酸11〜116を含むか、または配
    列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性を有するア
    ミノ酸配列を含み、そして配列番号1の116位にまたはそれに対応する位置(
    Cys−116)にシステイン(Cys)を保持し、そして該2つのモノマーの
    該Cys−116が、鎖間ジスルフィド結合で結合されるダイマー;および (c)各モノマーが、配列番号1のアミノ酸11〜116を含むか、または配
    列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性を有するア
    ミノ酸配列を含み、そして配列番号1の116位、またはそれに対応する位置(
    Cys−116)にシステイン(Cys)を保持し、そしてモノマーの1つまた
    は両方のCys−116が不対であるダイマー; からなる群から選択される第1および第2のモノマーによって形成され、ここで
    、該ダイマー(a)〜(c)の各々において、該第1および第2のモノマーが独
    立してグリコシル化されているか、またはグリコシル化されていない、組成物。
  29. 【請求項29】 ダイマー(a)〜(c)の少なくとも1つにおいて、各モ
    ノマーが配列番号1のアミノ酸1〜120を含む、請求項28に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 ダイマー(a)〜(c)の少なくとも1つにおいて、各モ
    ノマーが配列番号1のアミノ酸1〜121を含む、請求項28に記載の組成物。
  31. 【請求項31】 各モノマーが配列番号1のアミノ酸1〜120を含み、そ
    して各モノマーのCys−116がさらなるCysにジスルフィド結合している
    ダイマーを、主要成分として含む、請求項28に記載の組成物。
  32. 【請求項32】 前記主要成分が、存在するVEGFダイマーの量の少なく
    とも約75%を構成する、請求項31に記載の組成物。
  33. 【請求項33】 前記主要成分が、存在するVEGFダイマーの量の少なく
    とも約85%を構成する、請求項32に記載の組成物。
  34. 【請求項34】 前記主要成分が、存在するVEGFダイマーの量の少なく
    とも約95%を構成する、請求項33に記載の組成物。
  35. 【請求項35】 VEGFポリペプチドを含有する組成物を提供するプロセ
    スであって、ここで該VEGFポリペプチドは少なくとも2つの血管内皮増殖因
    子(VEGF)ダイマーを含み、該ダイマーの各々は、以下: (a)各モノマーが、配列番号1のアミノ酸11〜116を含むか、または配
    列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性を有するア
    ミノ酸配列を含み、そして配列番号1の116位に対応する位置(Cys−11
    6)にシステイン(Cys)を保持し、そして各モノマーのCys−116が、
    さらなる外来性Cysにジスルフィド結合されるダイマー; (b)各モノマーが、配列番号1のアミノ酸11〜116を含むか、または配
    列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性を有するア
    ミノ酸配列を含み、そして配列番号1の116位に対応する位置(Cys−11
    6)にシステイン(Cys)を保持し、そして該2つのモノマーの該Cys−1
    16が、鎖間ジスルフィド結合で結合されるダイマー;および (c)各モノマーが、配列番号1のアミノ酸11〜116を含むか、または配
    列番号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性を有するア
    ミノ酸配列を含み、そして配列番号1の116位に対応する位置(Cys−11
    6)にシステインを保持し、そしてモノマーの1つまたは両方のCys−116
    が不対であるダイマー; からなる群から選択される第1および第2のモノマーから形成され、 ここで該ダイマー(a)〜(c)の各々において、該第1および第2のモノマ
    ーは独立してグリコシル化されても、またはグリコシル化されていなくてもよく
    、該プロセスは、以下: 配列番号1のポリペプチドをコードするか、またはそのアミノ酸配列が配列番
    号1のアミノ酸11〜116と少なくとも約90%の配列同一性をを有するポリ
    ペプチドをコードし、操作可能な発現ベクター中に存在する外因性に付加したD
    NA種を含む形質転換された宿主細胞を提供する工程、 該宿主細胞を、該DNAの発現および該VEGFポリペプチドの合成に適切な
    条件下で培養する工程、ならびに 該VEGFポリペプチドを回収する工程 を包含する、プロセス。
  36. 【請求項36】 前記ダイマー(a)〜(c)の少なくとも1つにおいて、
    各モノマーが配列番号1のアミノ酸1〜120を含む、請求項35に記載のプロ
    セス。
  37. 【請求項37】 前記ダイマー(a)〜(c)の少なくとも1つにおいて、
    各モノマーが配列番号1のアミノ酸1〜121を含む、請求項35に記載のプロ
    セス。
  38. 【請求項38】 前記VEGFポリペプチドの少なくとも約95%がグリコ
    シル化されていない、請求項35に記載のプロセス。
  39. 【請求項39】 前記VEGFポリペプチドの少なくとも約95%がN末端
    メチオニン残基を欠く、請求項35に記載のプロセス。
  40. 【請求項40】 前記ダイマー(a)が、配列番号1のアミノ酸1〜121
    を含む、請求項35に記載のプロセス。
  41. 【請求項41】 前記ダイマー(a)が、前記VEGFポリペプチドの少な
    くとも約85%を構成する、請求項40に記載のプロセス。
  42. 【請求項42】 前記ポリペプチドを精製する段階をさらに包含する、請求
    項35に記載のプロセス。
  43. 【請求項43】 前記形質転換した宿主細胞が細菌細胞である、請求項35
    に記載のプロセス。
  44. 【請求項44】 前記細菌細胞がE.coli細胞である、請求項43に記
    載のプロセス。
  45. 【請求項45】 請求項43に記載のプロセスであって、ここで前記外因的
    に付加されたDNAが、アミノ末端(N末端)でMet−(AA)n−配列だけ
    伸長された配列番号1のポリペプチドをコードし、ここでMetはメチオニンを
    意味し、nは1〜7であり、そしてAAは同一または異なるアミノ酸を表し、こ
    こで該AAアミノ酸の少なくとも1つ、または該AAアミノ酸の2つ以上の組み
    合わせが、前記細菌宿主細胞によるVEGFポリペプチドの成熟N末端のタンパ
    ク分解性の分解を遅延し得る、プロセス。
  46. 【請求項46】 nが1である、請求項45に記載のプロセス。
  47. 【請求項47】 AAが、リジン(Lys)残基およびアルギニン(Arg
    )残基からなる群から選択されるアミノ酸を表す、請求項46に記載のプロセス
  48. 【請求項48】 AAがリジン(Lys)残基を表す、請求項47に記載の
    プロセス。
  49. 【請求項49】 前記VEGFポリペプチドを精製する工程をさらに包含す
    る、請求項45に記載のプロセス。
  50. 【請求項50】 少なくとも部分的な精製の後に、N末端Met(AA)n
    −配列を除去する工程をさらに含む、請求項49に記載のプロセス。
  51. 【請求項51】 除去が酵素消化によって行われる、請求項50に記載のプ
    ロセス。
  52. 【請求項52】 前記VEGFポリペプチドをリフォールディングする工程
    をさらに包含する、請求項43に記載のプロセス。
  53. 【請求項53】 システインおよびシスチンを、VEGFダイマーの所望の
    混合物を生成するのに十分な量および十分な相互比率で含むリフォールディング
    緩衝液中でリフォールディングを行う、請求項52に記載のプロセス。
  54. 【請求項54】 2つのVEGFモノマーからなる血管内皮増殖因子(VE
    GF)ダイマーを産生するプロセスであって、各モノマーは、配列番号1のアミ
    ノ酸11〜116を含むか、または配列番号1のアミノ酸11〜116と少なく
    とも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、そして配列番号1の1
    16位に対応する位置(Cys−116)にシステイン(Cys)を保持し、こ
    こで各モノマーのCys−116は、さらなる外来性Cysにジスルフィド結合
    され、該プロセスは、以下の工程: (a)アミノ末端(N末端)でMet−(AA)n−配列だけ伸長している配
    列番号1のポリペプチドをコードし、操作可能な発現ベクターに存在する、外因
    的に付加したDNA種を含む形質転換された細菌宿主細胞を提供する工程であっ
    て、ここでMetはメチオニンを表し、nは1〜7であり、そしてAAは同一ま
    たは異なるアミノ酸を表し、そして該AAアミノ酸の少なくとも1つ、または該
    AAアミノ酸の2つ以上の組み合わせが、該細菌宿主細胞による該VEGFポリ
    ペプチドの成熟N末端のタンパク分解性の分解の遅延をブロックし得る、工程、 (b)該細菌宿主細胞を、該DNAの発現および該N末端伸長VEGFモノマ
    ーの合成に適切な条件下で培養する工程、ならびに (c)前記VEGFダイマーを回収する工程、 を包含する、プロセス。
  55. 【請求項55】 nが1である、請求項54に記載のプロセス。
  56. 【請求項56】 AAが、リジン(Lys)残基およびアルギニン(Arg
    )残基からなる群から選択されるアミノ酸を表す、請求項55に記載のプロセス
  57. 【請求項57】 AAがリジン(Lys)残基を表す、請求項56に記載の
    プロセス。
  58. 【請求項58】 前記VEGFダイマーを精製する工程をさらに包含する、
    請求項54に記載のプロセス。
  59. 【請求項59】 少なくとも部分的な精製の後に、N末端Met−(AA) n −配列を除去することをさらに含む、請求項58に記載のプロセス。
  60. 【請求項60】 除去が酵素消化によって行われる、請求項59に記載のプ
    ロセス。
  61. 【請求項61】 前記VEGFダイマーをリフォールディングする工程をさ
    らに包含する、請求項54に記載のプロセス。
  62. 【請求項62】 前記VEGFダイマーをリフォールディングする工程をさ
    らに包含する、請求項56に記載のプロセス。
  63. 【請求項63】 前記VEGFダイマーをリフォールディングする工程をさ
    らに包含する、請求項59に記載のプロセス。
  64. 【請求項64】 リフォールディングが、システインおよびシスチンを含む
    リフォールディング緩衝液中で行われる、請求項63に記載のプロセス。
  65. 【請求項65】 細菌性宿主細胞中での産生の間に、ポリペプチドの成熟ア
    ミノ末端(N末端)からの1つ以上のアミノ酸の除去をブロックするプロセスで
    あって、該細菌性宿主細胞を、N末端でMet−(AA)n配列だけ伸長した該
    ポリペプチドをコードするDNAで形質転換する工程を包含し、ここでMetは
    メチオニンをあらわし、nは1〜7であり、そしてAAは同一または異なるアミ
    ノ酸を表し、ここで該AAアミノ酸の少なくとも1つ、または該AAアミノ酸の
    2つ以上の組み合わせが、該細菌宿主細胞による該ポリペプチドの成熟N末端の
    タンパク分解性の分解を遅延し得る、プロセス。
  66. 【請求項66】 前記ポリペプチドが100アミノ酸より長い、請求項65
    に記載のプロセス。
  67. 【請求項67】 前記ポリペプチドがVEGF分子である、請求項66に記
    載のプロセス。
  68. 【請求項68】 新脈管形成または管脈リモデリングを誘導する方法であっ
    て、請求項35に記載の組成物の有効量を、必要とする患者に投与する工程を包
    含する、方法。
  69. 【請求項69】 末梢動脈疾患を処置する方法であって、請求項35に記載
    の組成物の有効量を、必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
  70. 【請求項70】 冠状動脈疾患を処置する方法であって、請求項35に記載
    の組成物の有効量を、必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
  71. 【請求項71】 本態性高血圧を処置する方法であって、請求項35に記載
    の組成物の有効量を、必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
  72. 【請求項72】 微小血管障害を処置する方法であって、請求項35に記載
    の組成物の有効量を、必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
  73. 【請求項73】 多発性嚢胞腎疾患を処置する方法であって、請求項35に
    記載の組成物の有効量を、必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
  74. 【請求項74】 血管内皮細胞層を修復する方法であって、請求項35に記
    載の組成物の有効量を、必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
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