JP2003347734A - ビアホール形成方法 - Google Patents

ビアホール形成方法

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JP2003347734A
JP2003347734A JP2002149081A JP2002149081A JP2003347734A JP 2003347734 A JP2003347734 A JP 2003347734A JP 2002149081 A JP2002149081 A JP 2002149081A JP 2002149081 A JP2002149081 A JP 2002149081A JP 2003347734 A JP2003347734 A JP 2003347734A
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metal film
via hole
plasma
atmospheric pressure
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JP2002149081A
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Toshiya Eguchi
俊哉 江口
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】複数の配線層を有するプリント基板等の高密度
回路基板のビアホール形成を、大気圧下もしくは大気圧
近傍下におけるプラズマ処理法により行う、工程のドラ
イ化、装置の小型化を可能とし、ビアホール内壁への金
属膜形成を容易とする高密度回路基板におけるビアホー
ル形成方法を提案する。 【解決手段】 層間絶縁層により隔てられた2層以上の
配線層を有する回路基板1の絶縁層2に、任意の配線層
間を接続して電気回路を形成するための、層間または貫
通ビアホール用の孔Vをあけ、孔の内壁に大気圧下での
プラズマ処理法により金属膜を形成して配線層間を電気
的に接続することを特徴とするビアホールVh形成方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層回路基板の任意
の配線層間を接続する層間または貫通ビアホールの形成
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2層以上の配線層をもつ、プリント基板
等の回路基板の製造工程において、任意の層間で電気的
な接続をする方法に、ドリルやレーザーによる孔加工を
行って、ビアホールを形成する方法がある。孔加工の
後、孔の内壁にデスミア処理を行い、無電解及び電解メ
ッキを施し、ビアホールを形成する。プリント基板の高
集積化にあわせてプリントパターンも微細化が進み、プ
リント基板を複数枚積層したビルドアップ基板なども採
用されようになってきた。
【0003】プリントパターンの微細化に伴う小径のビ
アホールの場合には、メッキ液を充分にホール内にゆき
わたらせ信頼性の高いメッキを形成することが難しかっ
たり、また、プリント基板に使用する樹脂は、浮遊容量
を小さくするために低誘電率のものを使用したり、また
表面の粗化も控えるようになってきたため、従来の無電
解メッキではメッキ膜の密着性の確保が難しくなってき
た。更に、メッキ工程は、メッキ液の管理が難しく、装
置も大がかりなものを必要とし、環境問題にも配慮しな
ければならないところから、廃液処理など複雑な工程を
必要とする等の問題もあり、改善が求められている。
【0004】プラズマ処理法をビアホール形成に用いた
例としては、例えば、特開平5−235520号に記載
されたように、ドリルやレーザー等によりあけられた回
路基板のスルーホール用貫通孔を大気圧近傍で生起した
プラズマによって処理して内壁のデスミアを行うものが
ある。スルーホール用貫通孔の孔あけの後、孔の壁面等
に生成したスミアとよばれる基板の分解物等が後のメッ
キの接着を妨げるため、これを除く工程がデスミア工程
であり、例えば、酸化性の液、酸、アルカリ或いは溶剤
等の浴に基板を浸漬し、貫通孔壁面等に付着したスミア
を除く工程であり、スルーホール形成には必須の工程と
なっている。液処理であるため貫通孔の内壁への液の回
り込みが充分でないために均一に処理が出来なかった
り、回路を構成する金属膜表面が酸化されたり、基板自
身も損傷を受けることがある。またオゾン等により酸化
処理を行う方法もあるが、金属膜表面の酸化や基板自身
の損傷等制約条件が多いが、プラズマ処理によれば乾式
で効率よくデスミア工程が行える。
【0005】また、特開2002−9453には、レー
ザーを用い配線層間に孔を形成した後の孔の内壁のデス
ミア工程によって、例えば回路を構成する金属材料表面
が酸化されて後の金属メッキの密着性が悪くなる問題を
回避するため、プラズマ化した還元性雰囲気下で金属表
面を還元処理し、メッキ密着性を改善する方法が用いら
れている。
【0006】前記のように、デスミアを大気圧下でのプ
ラズマ処理により行えることはこれらの余計な工程を省
き、金属メッキの密着性に優れた高性能な特性のバラツ
キのないビアホールを形成する上で有用である。
【0007】しかしながらこれらの方法においてはビア
ホールを構成する金属メッキの形成は、無電解メッキに
よるシード層の形成とその後の電解メッキといった2段
階で行っており、大気圧プラズマ処理は、金属メッキ工
程の前処理として表面の改質等に関与しているのみであ
り、導電性の金属膜そのものを形成しようというもので
はない。
【0008】プラズマ処理をこれらプリント基板のビア
ホール形成に直接適用した例としては、例えば、特開2
002−53950に記載されたような誘電体表面への
無電解メッキに代わって、金属材料を蒸発物質とし、真
空下で、プラズマビーム発生源をもちいて金属膜を形成
するイオンプレーティング装置による方法がある。しか
しながら、この方法においても、金属膜の形成速度が遅
い、真空等の大がかりな装置が必要となる、更に、試料
の交換の際には真空を解除して試料を取り出す必要があ
り、試料を交換した後、もう一度真空とする必要がある
等連続的に生産出来ない欠点があり、生産性が上がらな
い。また金属膜の形成速度が遅いためこの方法単独では
充分な電気的特性を有する膜の形成が難しく、更に、電
解メッキ等の追加工程が依然として必要である等の問題
点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、複数
の配線層を有するプリント基板等の高密度回路基板のビ
アホール形成を、大気圧下もしくは大気圧近傍下におけ
るプラズマ処理法により行う、工程のドライ化、装置の
小型化を可能とし、ビアホール内壁への金属膜形成を容
易とする高密度回路基板におけるビアホール形成方法を
提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の手段によって達成される。
【0011】1.層間絶縁層により隔てられた2層以上
の配線層を有する回路基板の絶縁層に、任意の配線層間
を接続して電気回路を形成するための、層間または貫通
ビアホール用の孔をあけ、該孔の内壁に大気圧下でのプ
ラズマ処理法により金属膜を形成して配線層間を電気的
に接続することを特徴とするビアホール形成方法。
【0012】2.孔加工後に、デスミア処理及び金属膜
形成を、同一もしくは連続した大気圧下でのプラズマ処
理法により行うことを特徴とする前記1に記載のビアホ
ール形成方法。
【0013】3.大気圧下でのプラズマジェット装置を
用いることを特徴とする前記1または2に記載のビアホ
ール形成方法。
【0014】4.2層以上の配線層を有する回路基板が
ビルドアップ基板であることを特徴とする前記1〜3の
いずれか1項に記載のビアホール形成方法。
【0015】高細精多層ビルドアップ基板等の絶縁層に
よって隔てられた微細配線電気回路を2層以上に亘って
有し、各絶縁層間を極小径のビアホールで接続し層間で
配線を形成した回路基板は、ICチップの高集積化、電
子機器の高性能化により更に高集積化しつつあり、層間
の接続における接合不良は信頼性の低下を引き起こし、
回路基板全体の不良発生や信頼性低下につながる。
【0016】本発明は、前記層間或いは貫通ビアホール
用の孔の内壁に、大気圧下でのプラズマ処理法(以下大
気圧プラズマ法と呼ぶ)により金属膜を形成することに
より高密度回路を有する多層回路基板のビアホール形成
方法を提供するものである。
【0017】図1は多層ビルドアップ基板の構成の概略
を示す図である。図1(a)は、例えばガラスエポキシ
材からなる両面絶縁基板上に両面間(絶縁層間)で電気
的な3次元接続をとるべき部分に例えばドリル加工や短
波長レーザー(例えば、エキシマレーザー、炭酸ガスレ
ーザー等)によりビアホール(VH)用の孔をあけ、基
板両面及び該孔の内壁全面にワイヤリング用の金属導電
膜(例えば銅配線膜)を形成した後、各面上にレジスト
パターンを形成し、エッチングを行うことで金属膜をパ
ターニングし、電気回路配線をそれぞれの面に形成した
両面配線(コア回路)基板1の側方断面図を示す。
【0018】図1(b)は前記両面配線基板上に例えば
絶縁性と耐熱性を備えた絶縁フィルムを用いてラミネー
ト法にて絶縁層2を形成したものである。
【0019】次いで図1(c)の様に、ラミネート形成
された絶縁層上に、絶縁層上に形成されるべき配線層と
コア回路上に形成された配線層と電気的な3次元接続を
行う部分に、ドリル加工や短波長レーザー例えば、エキ
シマレーザー、炭酸ガスレーザー等を用いて選択的に層
間ビアホール用の孔(v)あけ加工を行う。
【0020】ラミネートされ、孔加工された両絶縁層2
の全面及び孔あけ部(ビアホール用の孔v)内壁に同時
に、銅の如き導電性の金属膜を形成する(図1
(d))。次いで、これをレジストを用いてエッチング
加工し、パターン化して配線層とすることで、1層目の
絶縁層上の配線層のパターニング及びビアホール(v
h)形成の工程を完了する(図1(e))。
【0021】この様にして1層目と基本的に同じ工程を
複数回繰り返し行うことにより、微細配線層間の3次元
接続を有する高細精な回路基板を作製することが出来
る。
【0022】上記のような層間ビアホールの他、前記回
路基板を貫通するビアホール用貫通孔を形成して貫通ビ
アホールを形成する場合も同様である。
【0023】最表面に形成された電気回路の金属パッド
部が露出するようにソルダーレジスト膜にて表面を保護
し、半導体素子との接続に最適な表面処理を金属パッド
部に施すことにより多層ビルドアップ基板を構成するこ
とが出来る。
【0024】本発明は、これら多層ビルドアップ基板の
ような多層回路基板の複数の配線層間の電気的な接続を
とるためのビアホールの金属材料膜の形成方法として、
大気圧或いは大気圧近傍でのプラズマ処理法を用いるも
のである。
【0025】前記のようにビアホール形成に金属メッキ
を用いることは、最近の高細精プリント基板において
は、微小なビアホール用の孔を、例えばレーザーにより
穿孔した場合には孔径が100μm以下、ドリルによる
形成においても数百μm以下となるため、孔内壁への均
一な液の回り込みが出来ず、欠陥を生じたりする場合が
あるが、プラズマ処理法によるものは、こういった欠点
がなく、微小なビアホール用の孔の内壁への均一な導電
性金属膜の形成が可能であり高細精な回路基板への適用
が可能である。
【0026】また、前記(特開2002−53950)
の様に、真空下で、プラズマビーム発生源をもちいて金
属膜を形成するイオンプレーティング装置による方法も
あるが、これらの方法においては、高真空が必要なこと
から装置が大がかりとなり、また、金属膜の形成に時間
を要すること、更に、処理毎に真空を解除して基板を取
り出し、別の基板を処理する際、再び真空にする必要が
あるなど、膜形成が連続的に出来ない、また、基板の大
きさが限られるなど生産性の面で充分とはいえない。
【0027】上記ドリル加工や短波長レーザーにより例
えばビアホール用の孔あけ加工を行った後には、孔内壁
への金属膜の接着性をあげるため、実際には、デスミア
工程が必要となり、本発明において、ビアホール用の孔
あけ加工を行った後、ビアホールを形成するまでは、以
下の3つの段階からなっている。
【0028】先ず、(1)孔あけ加工により、絶縁層の
材料であるエポキシ樹脂などの溶解物が孔内壁に付着す
る(スミア)ため、これを大気圧プラズマ処理法により
除去するデスミア工程がある。例えば、従来の酸化によ
りデスミアを行う工程は、形成した配線・回路を構成す
る金属材料の酸化を引き起こし好ましくない。
【0029】また、液を用いないデスミアの方法とし
て、プラズマ処理法以外にも紫外線照射法があり、紫外
線照射法は紫外線エネルギーにより酸素を活性度の高い
オゾンとし、これにより表面を洗浄乃至エッチングする
方法である。しかしながらガラスエポキシ基板の処理や
金属膜のある回路用基板には基板の損傷のため適用する
のが難しい。
【0030】大気圧プラズマ処理法によれば、マイルド
な、酸化的雰囲気によりこれを行うことが出来、液の回
り込みの不均一によるデスミアの不均一等を引き起こす
こともなく、均一に基板を損傷せずデスミアを行うこと
が出来る。
【0031】デスミアには、なかでも大気圧プラズマ処
理法が適しており、特開平5−235520号にはこの
方法が開示されているが、本発明においても好ましく用
いられる。これらの方法におけるプラズマ生起用ガス
(反応ガス)としては、後述する酸素ガスなどエッチン
グ性のあるものが適しており用いられ、励起ガスとして
はヘリウムガス等の不活性ガスが用いられている。
【0032】次いで、(2)従来は無電解メッキ等で行
っていた、或いはプラズマ処理法をもちいる場合でも高
真空下で行っていた層間の接続を行うビアホール形成に
おける金属膜の沈積を金属化合物を含有する反応ガスを
もちいた大気圧プラズマ処理法によって行う。大気圧プ
ラズマ処理法によれば、膜形成速度が真空下に比べて大
きく、また、連続的に製膜が行える為、短時間に基板材
料と密着性のよい均一な金属膜が形成される。
【0033】金属膜の形成の後、これをシード層とし
て、(3)この上に電解メッキでの均一な金属膜形成を
行うことができビアホールが形成される。
【0034】従来、真空下のプラズマ発生により行って
いた金属膜形成や無電解メッキによる金属膜形成はこれ
をシード層として用い、更にこの上に電解メッキを施す
必要があったが、大気圧プラズマ処理法においては膜形
成速度が真空下に比べて大きいため、これら電解メッキ
で行っていた工程が、本発明によると必ずしも必要でな
いため、大気圧プラズマ処理法により電解メッキを用い
ることなく導電性の高い均一な金属膜を形成することも
できる。勿論、孔の内壁面へのプラズマ処理による薄い
金属膜形成の後、これをシード層として電解メッキで、
その後、金属膜形成を行ってもよい。また、本発明にお
いては少なくとも(2)の金属膜の形成を大気圧プラズ
マ処理法により行うことに特徴があり、(1)のデスミ
ア工程はいかなる方法で行ってもよいが、大気圧プラズ
マ処理法をもちいるのが好ましく、デスミア工程、金属
膜形成工程を同じ、或いは、別の大気圧プラズマ処理装
置にて連続して行うのが好ましい。
【0035】先ず、ビアホール用の孔の内壁に金属膜を
形成してビアホールを形成するための大気圧プラズマ処
理法について説明する。
【0036】大気圧または大気圧近傍の圧力の下で、対
向する電極間に電圧を印加し放電させることにより、反
応ガスをプラズマ状態とし、前記プラズマ状態の反応ガ
スにより基材の表面に金属膜を製膜するためには、前記
反応ガスを金属原子を含む化合物から選択すると共に、
プラズマ雰囲気中に還元性を有する還元ガスを供給す
る。これにより金属膜が前記基材の表面に形成される。
ここで、大気圧または大気圧近傍の圧力とは、20kP
a〜110kPaの圧力であり、さらに好ましくは93
kPa〜104kPaである。
【0037】具体的には、本発明の製膜方法において
は、前記金属膜の材料となる反応ガスとプラズマ源とな
る不活性ガスを含有する反応性混合ガスを導入し、か
つ、還元性を有する還元ガスと不活性ガスとを含有する
還元性混合ガスを導入することで、最終的に金属膜を形
成する。
【0038】工程としては、反応性混合ガスと還元性混
合ガスをほぼ同時に供給してもよい。この場合には、基
材上に直接金属膜が形成されると思われる。微視的に
は、一時的に金属酸化膜が形成され、その後還元される
工程も含まれると考えられる。
【0039】ところで、大気圧プラズマ処理法では、ア
ルゴン等の不活性ガスを導入することでプラズマを生じ
させるが、還元性のガスを導入するとその分不活性ガス
成分の割合が減少し、プラズマが発生しにくくなり膜の
形成が少し遅くなる。そこで、なるべく製膜速度を上げ
たい場合には、上記のような反応性混合ガスと還元性混
合ガスをほぼ同時に供給する方法ではなく、前記基材の
表面に、反応ガス由来の金属酸化膜を形成した後に、還
元性混合ガスを供給することで、金属酸化膜を還元して
金属膜を形成する。
【0040】さらに、金属酸化膜の形成(堆積)→還元
処理(金属膜の形成)→金属酸化膜の堆積→還元処理と
いうように金属酸化膜の堆積と還元処理を複数回繰り返
してもよい。金属酸化膜を一回の工程で厚く堆積してし
まった後、還元処理をしても表面だけしか還元されない
可能性がある。しかし、複数回工程を繰り返すことで、
膜全体を十分に還元処理し金属膜を得ることができる上
に、繰り返し膜を堆積することで緻密な膜を得ることが
できる。具体的には、0.1nm〜500nm堆積後、
還元処理することが好ましい。更に言えば、0.1nm
〜50nm堆積後、還元処理することが好ましい。
【0041】本発明で用いられる還元ガスとしては、還
元剤であってガス状あるいはミスト状でプラズマ装置内
に供給できるものであればよいが、例えば水素
(H2)、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)、エ
タン(C26)、ヨウ化水素(HI)、硫化水素(H2
S)、一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO2)、過
酸化水素(H22)、水(H2O)が挙げられ、これら
の中から1つ又は複数を用いることができる。特に、H
2、NH3、CH4が好ましい。
【0042】上記の還元ガスは、不活性ガスとともに還
元性混合ガスとして装置内に供給され、還元性混合ガス
のうち、1〜10体積%含有させることが好ましい。
【0043】また、還元性混合ガスに含まれる不活性ガ
スとしては、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴ
ン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、
プラズマの発生しやすさから、ヘリウム、アルゴン、中
でもアルゴンが好ましく用いられる。
【0044】これら還元ガスを供給することで、雰囲気
中の酸素が除去されたり、あるいは金属酸化膜が還元さ
れることで、純粋な金属膜を形成することができる。さ
らに、還元ガスによって酸素だけでなく、フッ素、塩素
などのハロゲン系の元素や硫黄、炭素や窒素等の不純物
も除去できる。例えば、還元ガスとして水素を用いれ
ば、酸素はH2Oとして、炭素は主にメタンとして、窒
素であればアンモニアとして除去することができる。こ
の点でも、不純物の少ない金属膜を形成することができ
る。
【0045】本発明で用いられる反応ガスとしては、金
属を含むことが必須であり、有機金属化合物が好適に用
いられ、特にプラズマ空間内にガス状またはミスト状で
供給可能な化合物が好ましい。「ガス状またはミスト状
で供給可能」とは、常温・常圧でそのまま供給可能でも
よいし、常温・常圧で液体又は固定である場合には、加
熱、減圧、超音波照射等の方法で気化したり、適切な溶
剤に溶解してもよい。希釈時の溶剤はプラズマ中で分子
レベル、原子レベルで分解されるため、金属膜の形成へ
の影響はほとんど無視できる。
【0046】有機金属化合物の一例としては、有機珪素
化合物、有機チタン化合物、有機スズ化合物、有機亜鉛
化合物、有機インジウム化合物、有機アルミニウム化合
物、有機銅化合物及び有機銀化合物などが挙げられる。
【0047】また、有機金属化合物としては、金属の種
類に関わらず金属アルコキシドや有機金属錯体が好まし
く、例えば一般式(1)で表せる化合物が好ましい。こ
こで、Mは金属原子、X1、X2は炭素を含む官能基、n
は金属に対する結合数を示すもので1以上の整数を示
す。
【0048】
【化1】
【0049】上記金属アルコキシドや有機金属錯体の例
としては、チタン化合物としてはチタニウムエトキシド
(TEOT)、チタニウムイソプロポキシド(TTI
P)、銅化合物としてはhfa・Cu・tmvs(下記
式(2))、インジウム化合物としてはトリス(2,
2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネー
ト)インジウムIII(下記式(3))、亜鉛化合物とし
てはDPM2Zn(Bisdipivaloylmet
hanatozinc)、すず化合物としてはジブチル
スズジアセトナト(n−C492Sn(OCOCH3
2が挙げられる。
【0050】
【化2】
【0051】上記の反応ガスは、反応性混合ガスのう
ち、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。
【0052】また、反応性混合ガスに含まれる不活性ガ
スとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリ
ウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラド
ン等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るために
は、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。緻密
で、高精度の薄膜を形成するためには、不活性ガスとし
てアルゴンを用いることが最も好ましい。アルゴンを用
いると、高密度プラズマが発生しやすいと推定してい
る。不活性ガスの割合は、反応性混合ガス中、90体積
%、好ましくは95体積%以上である。
【0053】また、前述の金属酸化膜の堆積後、還元処
理する場合(繰り返し処理も含む)には、反応性混合ガ
ス中に水素(H2)、酸素(O2)、オゾン(O3)、C
x 4-x(0≦x≦4)、CHxCl4-x(0≦x≦
4)、アンモニア(NH3)、ヨウ化水素(HI)、硫
化水素(H2S)、一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄
(SO2)、過酸化水素(H22)、水(H2O)等から
選択される添加成分を0.01〜1体積%含有させるこ
とにより、反応が促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を
形成することができる。
【0054】なお、これら添加成分は、前記還元ガスと
共通の成分も含まれるが、ここでは反応ガスとともに供
給されるもので、金属酸化膜を堆積する場合に添加する
ものである。これらガスを添加することで緻密で純粋な
より良質の金属酸化膜を形成することができる。これに
より、この後の還元処理後に得られる金属膜も良質なも
のとなる。
【0055】また、本発明の方法は純粋な金属膜を確実
に得ることができるものであるが、所望する物性によっ
ては意識的に所定濃度の不純物を含有する膜を形成する
こともできる。例えば、金属膜に、H、C、N、O、
F、S、Cl、Br、Iのうち、一種類又は複数種類の
元素を所定割合含有させることで、膜の導電率を純粋な
金属膜よりも下げることができる。これらの元素は、上
述の全てのガス成分を由来とするもので、すなわち、反
応ガスや還元性ガス、これらとともに供給される不活性
ガス内の微量成分、さらには反応ガスとともに添加され
る添加成分を由来とする。
【0056】不純物の含有量は、プラズマ状態をコント
ロールすることで制御することができる。具体的には、
プラズマ還元処理時の印加する電圧のパワーや、還元ガ
ス濃度で調節することができる。さらには、後述するよ
うに高周波電源にパルス電圧を印加する場合、パルスの
デューティ比を変えることで制御することができる。不
純物量は、膜形成後に、例えばESCA(Electr
on Spectroscopy for Chemi
cal Analysis)で調べることができ、C元
素やO元素であれば0〜10%の範囲で含有するよう調
節する。
【0057】本発明の1態様を、例えば、図2に示す様
な対向する2つの平板電極を有するプラズマ処理装置を
用い、ビルドアップ基板における両面配線(コア回路)
基板に形成されるビアホールを例にとって説明する。図
2は、両面配線(コア回路)基板に用いられる、両面に
銅箔6を有する基板Fにビアホール形成用の孔加工を行
い、これを電極(3,4)間、一方の電極上に載置して
これにプラズマ処理を行うことで一方の基板面及び孔の
内壁に金属膜7を形成しビアホールVHを形成したとこ
ろを示している。
【0058】図2に示す所定間隔をあけて対向する平板
な電極3、4の一方の電極3には、高周波電源5が接続
され、一方、電極4はグランド電位に接続されている。
【0059】前記電極間には、高いプラズマ密度を得て
製膜速度を大きくするため、高周波電圧で、ある程度大
きな電力を供給することが好ましい。具体的には、電極
3に対して、100kHz以上800MHz以下の高周
波数の電圧を印加することが好ましく、200kHz以
上であればより一層好ましい。また、電極間に供給する
電力の下限値は、1W/cm2以上50W/cm2以下で
あることが好ましく、2W/cm2以上であればより一
層好ましい。なお、電極における電圧の印加面積(/c
2)は放電が起こる範囲の面積のことである。
【0060】電極間に印加する高周波電圧は、断続的な
パルス波であっても、連続したサイン波であってもよ
い。製膜速度を大きくしたい場合にはサイン波が好まし
い。
【0061】また、前述のように金属膜に不純物を含有
したい場合には、パルス波でもよい。断続的なパルス波
は、連続的なサイン波よりも、オフタイムにおいてプラ
ズマ密度が下がり系内の反応性が弱まり、還元ガスによ
る不純物濃度を除去する反応が抑制されるからである。
よって、パルス波のデューティ比を制御することで、膜
中の不純物濃度を制御できるようになる。不純物濃度の
制御のための場合、デューティ比は0.1〜10の範囲
内で制御する。パルス波の生成方法としては、例えば、
電極3に100kHz〜800MHzの高周波電圧を印
加する場合、10〜100kHzのパルス電圧を重畳す
ることで生成する。
【0062】電極3、4としては、金属母材上に誘電体
を被覆したものであることが好ましい。ここで母材とし
て使用される金属としては、銀、白金、ステンレス、ア
ルミニウム、鉄等の金属が使えるが、ステンレスが加工
の容易さの点で好ましい。
【0063】少なくとも電極3、4のいずれか一方に誘
電体を被覆すること、好ましくは、両方に誘電体を被覆
することである。誘電体としては、比誘電率が6〜45
の無機物であることが好ましい。
【0064】誘電体としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ
酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラ
ス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジ
ン酸塩ガラス等をライニング処理して設けることが出来
る。この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易い。また、
気密性の高い高耐熱性のセラミックを焼結した焼結性セ
ラミックスを用いることも好ましい。焼結性セラミック
スの材質としては例えばアルミナ系、ジルコニア系、窒
化珪素系、炭化珪素系のセラミックスである。
【0065】電極3、4の一方に誘電体を設置した場合
の誘電体と対向する電極の最短距離、上記電極の双方に
誘電体を設置した場合の両誘電体同士の距離としては、
いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜
20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5m
mである。この電極間の距離は、電極周囲の誘電体の厚
さ、印加電圧の大きさ等を考慮して決定される。
【0066】また、図2のように基板Fを電極間に載置
あるいは電極間を搬送してプラズマに晒す場合には、更
に誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax
(JIS B 0601)を10μm以下にすること
で、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つこ
とができ、放電状態を安定化できる。
【0067】また、金属母材に対する誘電体被覆による
電極製作において、前記のように、誘電体を研磨仕上げ
することや、電極の金属母材と誘電体間の熱膨張の差を
なるべく小さくすることが必要であるので、母材表面
に、応力を吸収出来る層として泡混入量をコントロール
して無機質の材料をライニングすることが好ましい。特
に材質としては琺瑯等で知られる溶融法により得られる
ガラスであることが良く、更に導電性金属母材に接する
最下層の泡混入量を20〜30vol%とし、次層以降
を5vol%以下とすることで、緻密でかつひび割れ等
が発生しない良好な電極が出来る。
【0068】また、電極の母材に誘電体を被覆する別の
方法として、セラミックスの溶射を空隙率10vol%
以下まで緻密に行い、更にゾルゲル反応により硬化する
無機質の材料にて封孔処理を行うことが挙げられる。こ
こでゾルゲル反応の促進には、熱硬化やUV硬化が良
く、更に封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次数
回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の
無い緻密な電極が出来る。
【0069】プラズマ処理を行う電極間の空間(処理
室)の圧力は特に調節せず、ガス導入後も含めて大気圧
又は大気圧近傍の圧力に保たれる。
【0070】図には示されていないが、プラズマ処理装
置の入り口側には、処理室に連続する予備室を設け、出
口側にも連続する予備室を設け、金属膜形成時に予備室
の内圧よりも処理室内の内圧が高くなるように調節し
て、圧力差を生じさせることにより、外部空気の混入を
防止し、気体中の反応ガスのプラズマ化を促進させるこ
とができる。調節方法としては、例えば吸引ファンや真
空ポンプなどを用いればよい。なお、予備室はなくても
よく、またその個数や大きさについては適宜変更可能で
ある。また、処理室は、混合ガスを導入するための給気
口、ガスを排出するための排気口を有する。
【0071】対向する2つの電極3、4間に搬入された
ビアホール用の孔を有する基板Fは、電極4に接触した
状態でプラズマ処理され、出口側から搬出されるように
なっている。即ち、処理室に導入された反応性混合ガス
・還元性混合ガスの存在下において、電極3に高周波電
源5より所定の周波数の電圧を印加し、放電プラズマを
発生させ、基板Fの銅箔6の表面及びビアホール用の孔
内壁に反応ガス由来の金属膜7を形成した後、出口側か
ら搬出される。
【0072】なお、図2に示した対向する平板電極を有
するプラズマ処理装置は、一例であり、本発明で用いる
プラズマ処理装置としては他の構成であってもよい。図
3に、2つの電極(3及び4)間には処理基材を設置せ
ず、電極間でプラズマ化したイオンなどを、電極近傍に
設置した基材に対して吹きつけるように構成された所謂
プラズマジェット型の大気圧プラズマ処理装置の一例を
示す。図3はこの様なプラズマジェット装置によって、
両面に銅箔6を有する基板表面及び該基板に形成された
ビアホール形成のための孔内壁に金属膜7を堆積させる
ところを示した図である。反応ガスを対向する2つの電
極間に流入させ、電極間でプラズマ化したイオン等を基
板Fに吹きつけるように構成されている。
【0073】前記プラズマジェット型の大気圧プラズマ
処理装置を用いて、ビアホール用の孔を処理する場合に
は、電極間でプラズマ化したイオン等を孔の開口のある
面に対し略直角となるように吹き付けるのがよい。この
場合孔内におけるガスの流れのレイノルズ数(Re)が
10以上となるようにするのがよい。1〜5程度のレイ
ノルズ数ではビアホール用の孔の内壁に均一な金属膜形
成が出来ない傾向がみられる。
【0074】このレイノルズ数は下記の式で表される無
次元数である。 Re=ρud/η(ρ;ガスの密度、u;ガスの孔内の
平均流速、d;孔の直径、η;ガスの粘度)ρとηはガ
スの種類と温度、圧力で決まる定数であり、結局、レイ
ノルズ数のコントロールは、孔内を流れるガスの流速を
制御することである。
【0075】また、金属膜形成に、プラズマジェット装
置を用いるとき、これを2つ用いて基板の上下から同時
に膜形成を行う製膜装置を用いると基板の両面が同時に
処理でき効率的であり、この例を図4に示す。また、デ
スミアから金属膜形成まで連続でできるような装置構造
とすることも好ましい。
【0076】この時、上下のジェットの配置はずらして
おくことで、孔の内壁へのガスの通過を妨げないことが
要求される。
【0077】また、デスミアから金属膜形成を1つのプ
ラズマジェット装置で原料ガスを切り替える方法と複数
のプラズマジェット装置を並べて配置する方法が考えら
れる。
【0078】又、金属膜の形成において、金属酸化膜の
形成(堆積)→還元処理(金属膜の形成)→金属酸化膜
の堆積→還元処理というように金属酸化膜の堆積と還元
処理を複数回繰り返す場合に、この様に複数のプラズマ
ジェット装置を並べて配置する方法が好ましい。
【0079】又、プラズマジェット装置の位置を移動す
るように工程を組むことで、金属膜形成が必要な箇所だ
けに必要な時間だけ、金属膜形成を行うことができ効率
的な工程を組むこともできる。
【0080】本発明の製膜方法では、純粋な金属膜を得
るために、あるいは所望の不純物濃度を得るために、プ
ラズマ処理中、プラズマ発光スペクトルを発光分光装置
でリアルタイムでモニタリングし、プラズマ雰囲気中の
各成分を検出することが好ましい。
【0081】すなわち、プラズマ種により発光スペクト
ルの波長が異なることから、各波長の発光スペクトルの
強度を検出することでプラズマ雰囲気中に存在する粒子
種を知ることができる。例えば、金属酸化膜を還元処理
して純粋な金属膜を得ようとする場合、発光スペクトル
で酸素(代表的な波長777nm)を起因とするピーク
がなくなれば、還元処理が終了して純粋な金属膜になっ
たことが分かる。このようにモニターすることで、反応
の終了時を検出できる。また、ある種の不純物につい
て、プラズマ雰囲気中の発光強度と、得られた金属膜に
残る不純物の濃度との関係について予め検量線などを作
成しておけば、モニターしながらその不純物について所
定の発光強度となったところでプラズマ処理を止めれ
ば、得られた金属膜中に所望濃度で不純物を含有させる
ことができる。
【0082】モニターする波長としては、例えば各元素
の発光スペクトルを十分に含む200〜1000nmの
範囲である。
【0083】本発明の製膜方法で形成される金属膜とし
ては、特に、回路の配線や電極用として用いることので
きる導電性の材料であれば構わないが、Al、Ti、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、A
g、In、Sn、Ta、W、Pt、Auから選択される
一つ又は複数から形成することが好ましい。
【0084】形成される金属膜の膜厚としては、0.1
nm〜10μmの範囲である。また、大気圧プラズマ処
理法を用いデスミアを行う場合においても同様に、前記
プラズマジェット装置によって、孔の開口がある面に対
し、この場合も略直角となるように吹き付けるのがよ
い。この場合貫通構内におけるガスの流れのレイノルズ
数(Re)が10以上となるようにするのがよく、これ
以下ではスミアを充分に除去できない傾向がみられる。
【0085】デスミアに用いるプラズマ生起用ガス(反
応ガス)としては、酸素ガス、4フッ化炭素ガス(CF
4)、水素ガス、アルゴンガス、窒素ガスなどエッチン
グ性のあるものが挙げられ、これを前記金属膜形成用の
反応ガスに代えて用いることによりデスミアを同様に行
うことが出来る。励起ガスとしてはやはりヘリウムガス
等の不活性ガスが用いられ、特にヘリウムガスが好まし
く、ヘリウムガスと他のガスを混合する場合、普通、体
積比で99.8:0.2〜75:25程度の範囲である
が、これらに限らない。特に金属膜との密着性改善に
は、アルゴンガスや窒素ガスが単独でも有効である。
【0086】
【発明の実施の形態】次いで、本発明の大気圧、或い
は、大気圧近傍でのプラズマ処理法によって、ビアホー
ルを形成する本発明の方法について実施の態様を、以下
により詳細に説明する。図5は、前記のコア基板にビア
ホールを形成する工程の1例を示す。
【0087】図5(a)は金属膜例えば銅箔を有する両
面基板であり、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂銅張
積層板(松下電工(株)製 R1705 両面銅張)或い
はガラス布・ガラス不織布基材エポキシ樹脂銅張積層板
(松下電工(株)製 R1786 両面銅張)等が代表的
であり、両面銅の薄膜(銅箔)を有するガラスエポキシ
基板として入手が可能であり、これをコア基板として用
いた。基板材料としては、その他に、ポリテトラフルオ
ロエチレン系樹脂基板、ポリイミド系基板等がある。ま
た、金属膜としては、Cu,Al,Ni,Snなどの金
属膜で電極となりうるもので製膜可能なものがある。
【0088】図5(b)はこの様な銅張り積層板をコア
基板として用いて、基板の両面の電気的な接続を要する
部分にドリル又は短波長レーザー(例えば、エキシマレ
ーザー、炭酸ガスレーザー等)により孔あけ加工を行っ
たところを示している。この状態では孔の内壁に、いわ
ゆるスミア(図中Sで示す)が付着しているためこれを
例えば、前記図4のプラズマジェット装置を用いて、エ
ッチング性を有する混合ガスによって、内壁のデスミア
を実施する。混合ガスとしては、例えば、酸素ガス、C
4ガスとヘリウムの混合ガス(ヘリウム:酸素:4フ
ッ化炭素=400:5:2(流量比))を用いる。大気
圧プラズマ処理条件としては、周波数60kHz、供給
電力50Wで、処理時間は2分で行う。図5(c)がデ
スミアにより孔の内壁がクリーニングされたところを示
す。この工程は例えば前記酸素の存在下での紫外線照射
法や酸、アルカリ及び溶剤等を用いた洗浄処理でも良い
が、大気圧プラズマ処理法が、ドライ処理であること
や、基板の損傷がなく、後の大気圧プラズマ処理法を用
いての金属膜形成によるビアホール形成を連続して行え
好ましい。
【0089】次いで、プラズマ発生の条件を変更して、
図5(d)に示すように、基板両面及びビアホール用の
孔の内壁に、大気圧プラズマ処理法によって金属膜7と
して銅の膜を形成し、基板を貫通するビアホールVHを
形成した。
【0090】プラズマ処理条件としては、例えば、高周
波電源5として高周波電源JRF−10000(日本電
子製)を用い、電極間に13.56MHzの周波数、1
0W/cm2の出力を有する電圧を印加した。プラズマ
発生には、ガス種Aにガス種Bを合流させたものを用い
た。ガス種Bは、ガス種Aに対し1/3の割合(体積
比)で供給した。その後、ガス種A、Bをガス種Cに切
り替え、還元処理を15秒間行った。この作業を数回繰
り返し、銅の薄膜(厚さ略1000nm)を得ることが
できる。
【0091】また、上記のプラズマ処理の間、プラズマ
処理装置のプラズマ空間(電極3、4間)から5cm離
れた位置に、発光分光装置(浜松ホトニクス社製)のス
ペクトル検出用のプローブを設置し、酸素の発光スペク
トルのピーク(777nm)強度をリアルタイムで観察
し、酸素の除去具合をモニタリングする。最後の還元処
理時には酸素のピーク強度が検出されない。
【0092】 ガス種A アルゴンガス:水素ガス=99.1:0.9 ガス種B アルゴンガス:hfa・Cu・tmvs=95:5 (アルゴンガスに対しhfa・Cu・tmvsをエステック製気化器により混 合して供給した) ガス種C アルゴンガス:水素ガス=97:3 なお、前記発光分光装置のプローブとプラズマ雰囲気と
の距離は、2〜50cmが好ましい。プローブの焦点は
レンズで調整する。
【0093】ビアホール形成により基板の両面は電気的
に接続される。無電解メッキに比べ、短時間で均一な欠
陥のない膜が得られ、優れた導電膜となる。この場合両
面銅張り積層板を使用しているので、形成した金属膜の
膜付きは基板表面については問題ないが、ビアホールに
おける金属膜の膜付きが無電解メッキ等に比べ強固であ
り、均一性にも優れており、後述の電解メッキに対する
シード層としても良好である。
【0094】図5(e)は、大気圧プラズマ処理法によ
って形成した前記の銅膜をシード層として、更にこれを
銅の電解メッキで膜厚略20μm迄成長させたところを
示す。
【0095】大気圧プラズマ処理法によれば、形成した
金属膜をシード層として用いるのみでなく、金属膜を更
に成長させその後の電解メッキに代えて用いることもで
き、ビアホール形成の金属メッキが全てドライプロセス
で行え効率がよい。
【0096】ビアホール形成後、例えば、レジストを形
成してエッチングにより金属膜をパターニングすること
で、基板両面に形成された高細精な電気回路同士を電気
的に接続するビアホールを有するコア基板を得ることが
出来る。
【0097】更に、この様にして形成された回路上に、
前記のように、更に絶縁フィルムを用いてラミネート層
を形成し、ラミネート形成された絶縁層の3次元接続を
行うべき部分に対し、短波長レーザーを用いて選択的に
孔あけ加工を行い、ラミネート層上への金属膜形成及び
ビアホールの形成を行って金属膜と孔あけ部(ビアホー
ル)の導通化とを同時に行い、更に、ラミネート層上に
レジストを用い、微細回路をパターニング形成すること
により、コア基板上の電気回路とラミネートした絶縁層
上の回路とがビアホールにより接続された回路基板が形
成される。更に同じ工程を繰り返すことで微小な3次元
接続を有する高細精多層配線回路基板を得ることが出来
る。
【0098】この様な絶縁層間の接続を行うビアホール
形成の1例を示す概略図を次に示す。
【0099】図6(a)はパターニングにより電気配線
層が形成されたコア基板の状態を示す側方断面図であ
る。図6(b)はコア基板上に有機物からなる絶縁層2
をラミネートしたところを示す。
【0100】図6(c)は、絶縁層の導通をとるべき部
分にレーザー光のスポットを入射させ、アブレーション
加工によってここに電気配線層まで達するビアホール用
の孔vを形成した段階を示す図である。次いで、前記同
様の酸素ガス、4フッ化炭素ガス、ヘリウムガスの混合
ガスを用いて大気圧プラズマ処理法によってデスミアを
行う。
【0101】図6(d)は更に、前記同様に条件を変え
て、反応ガスとして前記同様、式(2)の銅化合物、h
fa・Cu・tmvsを反応ガスとして、また還元ガス
として水素ガス、不活性ガスとしてアルゴンを用いて、
同じ装置で大気圧プラズマ処理法によってビアホールv
h及びワイヤリング用の例えば銅配線膜8を絶縁層全面
に一様に形成したところを示す。
【0102】この絶縁層全面に形成された銅配線膜を、
フォトリソグラフィーを利用してパターニングすること
で、ビアホール底部のコア基板の導電層に対し良好に密
着し接続された銅の回路配線を得ることが出来る。
【0103】この様に、多層回路基板の複数の配線層間
での接続をとるビアホールについてもレーザーによる孔
加工を接続をとる配線層或いは接続パッドの表面におい
て止める以外は前記コア基板におけるビアホール形成と
基本的には同じである。
【0104】本発明は、回路基板へのビアホール形成の
工程、即ち、ビアホール用の孔加工を行うドリル工程、
孔の内壁に付着するスミアを除くデスミア工程、大気圧
プラズマ処理法により金属膜の形成を孔の内壁に行って
ビアホールを形成する工程、更に、ビアホール内壁に形
成した金属膜を大気圧プラズマ処理法により、或いは、
電解メッキによって成長させ導電性の金属膜を形成する
工程のうち、少なくともビアホール用の孔の内壁への金
属膜形成またはこれを成長させ導電性の金属膜を形成す
る工程を大気圧プラズマ処理法によって行うことでビア
ホールを形成することに特徴があるが、デスミア工程を
やはり大気圧プラズマ処理法によって行うのが、同様の
装置で、反応ガスを替えることで連続して処理が出来る
ことから好ましい。
【0105】孔加工の後、内壁のデスミア工程、更に、
デスミア工程後の、孔の内壁に金属膜を形成する工程
を、大気圧プラズマ処理法によって行い、金属膜の成長
についても電解メッキを用いることなく総て大気圧プラ
ズマで行えば、従来ウエットプロセスで作られていたプ
リント基板がドライプロセスで製造可能となる。
【0106】以上、実施の形態に即して本発明を説明し
たが、この発明は上記の実施形態に限定されるものでは
ない。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、複数の配線層を有する
プリント基板等の高密度多層回路基板において、ビアホ
ール形成を、ドライの処理で、且つ、小型の装置を用
い、容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層ビルドアップ基板の構成の概略を示す図で
ある。
【図2】対向する平板電極を有するプラズマ処理装置を
用い基板にビアホールを形成したところを示す図であ
る。
【図3】プラズマジェット型の大気圧プラズマ処理装置
の例を示す図である。
【図4】プラズマジェット装置を2つ用いて基板の上下
から同時に膜形成を行う製膜装置の一例である。
【図5】コア基板にビアホールを形成する工程の1例を
示す概略図である。
【図6】絶縁層間の接続を行うビアホール形成の1例を
示す概略図である。
【符号の説明】
1 両面配線(コア回路)基板 2 絶縁層 3,4 電極 5 電源 6 銅箔 7 金属膜 VH,vh ビアホール S スミア F 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/42 610 H05K 3/42 610A Fターム(参考) 5E317 AA24 BB02 BB12 CC31 CC44 CC51 CD01 CD25 CD32 GG16 5E343 AA02 AA07 AA12 BB24 BB71 DD22 EE08 EE36 FF23 GG20 5E346 AA06 AA12 AA15 AA43 BB01 CC02 CC08 CC32 DD15 DD32 EE33 FF03 FF17 GG15 GG17 GG22 HH32 HH33

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層間絶縁層により隔てられた2層以上の
    配線層を有する回路基板の絶縁層に、任意の配線層間を
    接続して電気回路を形成するための、層間または貫通ビ
    アホール用の孔をあけ、該孔の内壁に大気圧下でのプラ
    ズマ処理法により金属膜を形成して配線層間を電気的に
    接続することを特徴とするビアホール形成方法。
  2. 【請求項2】 孔加工後に、デスミア処理及び金属膜形
    成を、同一もしくは連続した大気圧下でのプラズマ処理
    法により行うことを特徴とする請求項1に記載のビアホ
    ール形成方法。
  3. 【請求項3】 大気圧下でのプラズマジェット装置を用
    いることを特徴とする請求項1または2に記載のビアホ
    ール形成方法。
  4. 【請求項4】 2層以上の配線層を有する回路基板がビ
    ルドアップ基板であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか1項に記載のビアホール形成方法。
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