JP2003347212A - SiC/Si間ヘテロ接合素子の作製方法及び同方法で作製した素子 - Google Patents

SiC/Si間ヘテロ接合素子の作製方法及び同方法で作製した素子

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JP2003347212A
JP2003347212A JP2002158179A JP2002158179A JP2003347212A JP 2003347212 A JP2003347212 A JP 2003347212A JP 2002158179 A JP2002158179 A JP 2002158179A JP 2002158179 A JP2002158179 A JP 2002158179A JP 2003347212 A JP2003347212 A JP 2003347212A
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Hachizo Muto
八三 武藤
Takeshi Kusumori
毅 楠森
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α−SiCヘテロエピタキシャル等の結晶性
薄膜を作製する方法、Si/α−SiC間のヘテロ接合
により電子素子を作製する方法、及び同接合素子を提供
する。 【解決手段】 α−SiCターゲットと1300℃領域
の高温まで基板を加熱できる基板加熱機構を用いるパル
スレーザアブレーション方法による成膜方法により、p
型やn型に半導体化したSiの(111)単結晶面を主
に用いて、その上に高温型α−SiCのヘテロエピタキ
シャルや多結晶性薄膜を作製する方法、そのSiC/S
iヘテロ接合間に金属電極を取り付けて、p/n接合
や、ショットキー接合のI−V特性を有する素子を作製
することを特徴とするSiC/Siヘテロ接合素子の作
製方法、及び同方法により作製したSiC/Siヘテロ
接合素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SiCの素子化の
ためのα−SiCヘテロエピタキシャル薄膜等とSi間
のヘテロ接合の作製と、これに金属電極を接合すること
による素子の作製方法、及び同方法で作製した薄膜素子
に関するものであり、更に詳しくは、高電圧、高出力、
高周波数、高温及び耐放射線性等の特性を有する、ワイ
ドバンドギャップ半導体のエレクトロニクスやオプトニ
クスの分野における、α−SiCの積層薄膜素子の作製
技術に係るものであり、PLD方法によるp型又はn型
のSi単結晶基板上へのn型α−SiCのヘテロエピタ
キシャル薄膜素子又は多結晶薄膜素子の作製方法、及び
それにより得られるp/n接合ないしショットキーダイ
オード特性を有するp/n薄膜接合素子に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】SiCには、大別して2種類がある。高
温型(α−SiC)は、SiとCの層状配列の繰り返し
周期の違いにより6H、4H、2H等の結晶構造異性体
があるが、c軸長が異なるのみで全て同じa軸長を持つ
六方晶系構造を有する。低温型(β−SiC)は、1種
類のみで立方晶系結晶構造を有する。β−SiCとα−
SiCは、それぞれ、2.2eVと2.9−3.3eV
のバンド間エネルギー分離幅を持つので、次世代のワイ
ドバンドギャップ半導体として期待されている。βから
αへの転移温度は約1600℃であるが、β、α共に融
点(明確な融点と言うより次第に分解・昇華する温度)
は高く、2700℃程である。素子の基となるSiCの
単結晶は、種結晶への低圧高温蒸発法あるいは有機シリ
コンと炭化水素の気相での高温熱分解やプラズマ分解堆
積(CVD)法等による結晶成長方法で作製されてい
る。
【0003】しかし、このSiCの単結晶の作製には、
シリコンウェハーと異なり、超高温プロセスが必要とさ
れ、また、不純物の混入等の問題もあり、単結晶の作製
が容易でない。そのために、SiC基板は極めて高価
(SiCでは直径1−2インチ×厚さ0.3mmの円盤
状基板一枚で10−50万円以上)であり、それがSi
C素子開発の一つの障壁となっている。また、通常、上
記方法では、n型半導体であるSiC基板が得られる
が、SiCのp/n接合等の素子化において必要とされ
るp型SiCは、このn型SiC基板を用いて、それに
イオン打ちこみ(ドーピング)することにより作製され
る。しかし、イオン打ちこみした領域は、非晶質となる
ので、1600−1800℃という超高温で再結晶化さ
せないとp/n接合特性を得ることはできない。あるい
は、n型SiC基板の上に、p型化用のドーピング剤を
添加した有機シリコンと炭化水素の混合ガス系を用いた
CVD法によりp型のSiC単結晶薄膜を成膜する手法
が採られている。これらは、SiC単結晶基板の上に同
じSiC薄膜を作製するのでホモエピタキシャル成膜と
呼ばれているが、これらも超高温プロセスを要すること
が素子開発の障壁となっている。
【0004】そのために、SiC単結晶基板の代用とし
て、他の安価な単結晶基板上にSiCの単結晶性薄膜を
成長させるヘテロエピタキシャル薄膜の作製方法や、そ
れによる素子化等が試みられてきた。これまでに、分子
ビームエピタキシー( MBE) 法、プラズマCVD法や
PLD法等によりSiCの成膜研究は行われている(文
献:「MBE法」:S.Kaneda, Y.Sakamoto, C.Nishi,
M.Kanaya, and S. Hannai, Jpn.J.Appl.Phys., Vol.25
(1986) 1307. 等;「CVD法」:H.Matsunami,T.Ueda,
and H.Nishino, Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.162 (19
90) 397.等;「PLD法」:Jamey S. Pelt, Matthew
E. Ramsey, Steven M. Durbin, Thin Solid Films,Vol.
371(2000) 72.等)。
【0005】MBE法によるβ−SiCのエピタキシャ
ル薄膜の生成、及びCVD法とPLD法によるβ−Si
C多結晶薄膜やβ−SiCと炭素の混合した薄膜の生成
は知られているが、従来、高電圧までのp/n接合型の
電流−電圧(I−V)特性を持つような電子素子化を達
成したα−SiCのヘテロエピタキシャル薄膜素子の成
功例はない。また、α型はβ型より大きなバンドギャッ
プ値を有するので、より高出力、高温等の素子や短波長
の発光ダイオード(LED)及び短波長レーザ用の基板
等への応用が期待される。特に、高い転移点1600℃
以上の高温プロセスを必要とするα−SiCでは、低温
でのヘテロ薄膜の作製技術が望まれている。
【0006】安価なSi基板上に、低温かつ簡便な方法
でSiCの単結晶薄膜を成膜し、SiC/Siヘテロ素
子を作製できれば、その応用分野は広く、これまでに、
CVD法等によりSiC/Siヘテロ素子を作製する試
みがなされている。しかし、β−SiCのエピタキシャ
ル薄膜や多結晶薄膜の生成の報告はあるが、α−SiC
エピタキシャル薄膜は作製されていない。また、CVD
等で作ったSi(100)上のβ−SiC薄膜へのPイ
オンのインプランテーションによりp/n素子が作製さ
れているが、α−SiCのヘテロエピタキシャル素子は
作製されていない。以上のことから、当該技術分野で
は、α−SiCのエピタキシャル薄膜の作製と共に、高
品質で高出力や耐圧の高いα−SiC/Siヘテロ素子
の作製技術の開発が望まれている(文献:K. Sibahara,
T.Takeuchi, S. Nishino and H. Matsunami, J.J.App
l.Phys. 28,(1989) 1341.等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、前記の従来
のβ−SiC薄膜ではなく、α−SiCのヘテロエピタ
キシャル等の結晶性薄膜のp/n接合やショットキーダ
イオードの作製方法を開発することを目的として創意工
夫と研究を積み重ねた結果、α−SiCのターゲットと
基板の高温加熱機構等を使うPLD方法を用いると共
に、p型又はn型半導体化Si単結晶を用いて格子の対
称性の整合を行い、その上に、SiCのエピタキシャル
や多結晶性の薄膜を成膜してSiC/Si接合を作製
し、更に、金属電極を取り付けることにより所期の目的
を達成し得ることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、前記の従来技術の問題点を解決し、Si
基板上にn型化α−SiCのヘテロエピタキシャル又は
多結晶性の薄膜の接合を作製し、それに金属電極を取り
付けることによりp/nないしショットキーダイオード
接合素子を得る方法と、本方法により得られる同α−S
iC/Siヘテロ接合素子を提供することを目的とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段からなる。 (1)パルスレーザをターゲット物質に照射してその物
質を瞬間・パルス的にイオンやクラスター等の微粒子に
分解・剥離(アブレーション)させ、それを所定の温度
に温度制御した単結晶基板上に堆積させて、その基板上
にターゲット物質の薄膜を作製する方法(PLD法)に
よりSiCエピタキシャル薄膜とSi間のヘテロ接合を
作製する方法であって、高温型炭化ケイ素(α−Si
C)のターゲットないし他の元素を微量ドーピングする
ことによりn型に半導体化させたα−SiCのターゲッ
トを用いてアブレーションさせて、p型又はn型半導体
化ケイ素(p−Si、n−Si)の単結晶(111)基
板面上に、上記n型に半導体化させたα−SiCの単結
晶(ヘテロエピタキシャル)薄膜を堆積させることによ
り、n型SiC/p型Si又はn型SiC/n型Siの
接合を作製することを特徴とするSiC/Siヘテロ接
合の作製方法。 (2)上記PLD薄膜作製方法によりSiC多結晶薄膜
とSi間のヘテロ接合を作製する方法であって、α−S
iCのターゲットないし他の元素を微量ドーピングする
ことによりn型に半導体化させたα−SiCのターゲッ
トを用いてアブレーションさせて、p型又はn型半導体
化ケイ素の単結晶基板上に、上記n型に半導体化させた
α−SiCの多結晶薄膜を堆積させることによりSiC
/Siヘテロ接合を作製することを特徴とするSiC/
Siヘテロ接合の作製方法。 (3)基板を1100−1300℃の温度に制御するこ
とを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の方法。 (4)前記(1)に記載の方法により作製したSiC/
Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによりp/
n接合ないしショットキーダイオード特性を有するSi
Cエピタキシャル薄膜とSi間のヘテロ接合素子を作製
することを特徴とする薄膜素子の作製方法。 (5)前記(2)に記載の方法により作製したSiC/
Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによりp/
n接合ないしショットキーダイオード特性を有する多結
晶性SiC/Si間ヘテロ接合素子を作製することを特
徴とする薄膜素子の作製方法。 (6)前記(4)又は(5)に記載の薄膜素子の作製方
法により作製してなる、p/n接合ないしショットキー
ダイオード特性を有するヘテロエピタキシャル又は多結
晶性のα−SiC薄膜とSi単結晶基板間のSiC/S
i間ヘテロ接合素子。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明においては、Si基板上にn型α−S
iCの単結晶薄膜又は多結晶性薄膜を作製し、それに金
属電極を取り付ける。即ち、本発明は、p型又はn型に
半導体化したSi単結晶を用いると共に、その基板面を
選択し、α−SiC又はn型に半導体化したα−SiC
ターゲットと高温ヒータを用いるPLD薄膜作製方法に
より成膜し、更に、金属電極を取り付けることにより達
成される。
【0010】図1に、PLD成膜法を示す。膜を作製し
ようとするα−SiCないしn型に半導体化したα−S
iCのターゲットを真空チャンバー(容器)中にセット
しておき、外部から光学窓を通してパルスレーザ光を当
該ターゲットに集光照射してSiCを爆発的に分解・剥
離させて、高エネルギーを持ったイオン及びクラスター
等の微粒子に分解させる。そのプラズマ状(アブレーシ
ョンプルーム:炎)になった微粒子を、その対向する位
置にあって電気ヒータ等の加熱機構により一定温度に制
御された基板ホルダーにセットした基板に衝突させて、
その上にSiCの結晶を再構築させて、その結晶性薄膜
を作製する。本発明者らの研究から、PLD成膜の際
に、基板に衝突した微粒子系の運動エネルギーが熱エネ
ルギーに変換されて、それが基板の持つ熱容量と相まっ
て、結晶格子一層程をちょうど融解させ得る程度の温度
となるような条件を構成できれば、結晶性薄膜が作製で
きると推論するに到った。しかし、α−SiCは、極め
て高い融点(約2700℃)を有するので、1200−
1300℃程のかなり高温まで加熱できるヒータを使用
すると共に、高エネルギーのアブレーション炎が生じる
PLD条件とSi基板面の選択や、チャンバー内の窒素
圧の調整を行えば、n型半導体化したα−SiCの単結
晶薄膜や多結晶薄膜の作製が可能となる。
【0011】そのために、本発明では、BNコートした
炭素ヒータを使用したが、その他にも、高融点を有し、
超高真空や真空中でも蒸発しないタングステン、モリブ
デン、タンタル又はシリコンカーバイト等のヒータを使
用することが可能である。成膜には、Nd:YAGレー
ザの4倍波(266nm)を用いて、PLD条件の最適
化を行った処、サファイア(0001)とSi(11
1)単結晶基板上に格子欠陥が少なく、それぞれ、絶縁
体と絶縁体に近いSiCのエピタキシャル薄膜を作製で
きた。本発明では、そのPLDの最適条件から成膜速度
を早める方向へ条件をシフトさせるか、レーザエネルギ
ー、フルーエンス又はレーザ周波数を高くするか、ある
いは窒素を流し、真空度を少し(1−2桁)落とすと、
n型の電気伝導性を示す半導体化したSiCのエピタキ
シャル薄膜を生成できる。他方、あまり大きく条件をず
らすと、SiCの多結晶薄膜が生成する。なお、窒素の
ような5価の元素をドープしたターゲットを用いても、
n型半導体化SiC薄膜を作製できる。更に、最適化P
LD条件下でも、Si単結晶基板の(100)や(11
0)面上には多結晶性SiC薄膜が生成する。
【0012】次に、このn型エピタキシャルSiC薄膜
/Si(111)接合体やn型SiC多結晶薄膜/Si
(111)接合体について、下部のSi基板と上部の薄
膜とに銀等の金属で電極を取り付け、電圧(V)を印加
して電流(I)の変化を測定したところ、高電圧までp
/n接合やショットキー接合に特有なV−I非線形特性
を示す素子となることが明らかになった。
【0013】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定され
るものではない。以下に、Si基板上へのn型α−Si
C薄膜の成膜と金属電極を含めたSiC/Siヘテロ接
合素子の作製に関する一実施例を具体的に説明する。本
発明の成膜の一実施例として、α−SiCターゲットと
高温ヒータを用いるYAGパルスレーザ蒸着法により、
(A)n型ないし、(B)p型のSi(111)単結晶
基板上に、n型のα−SiC(0001)エピタキシャ
ル薄膜の作製を行った例と、(C)p型のSi(11
1)基板上に、SiCの多結晶薄膜の作製を行った例を
示す。更に、(A)、(B)、(C)の試料について、
電極を取り付け素子化した試料のI−V電気特性に関す
る結果を示す。
【0014】実施例1 図1及び前述のように、膜を作ろうとする物質のターゲ
ットを真空チャンバー中のターゲットホルダーにセット
しておき、外部からパルスレーザ光をそれに集光照射し
てターゲット物質を爆発的に分解・剥離させて、それを
対向する位置にあって電気ヒータ等により一定温度に制
御された基板ホルダー上の基板に衝突させて、基板上に
その物質の薄膜を作製した。
【0015】ここでは、レーザ光として、Nd:YAG
パルスレーザの4倍波(波長266nm)を使用した。
なお、YAGレーザの基本波、2倍波、3倍波、5倍波
でも結晶性は低いがα−SiC薄膜が作製できたので、
レーザの種類を限定するものではなく、エキシマーガス
レーザを用いてもα−SiCの成膜が可能である。4倍
波を用いて、条件を変化させてSi(111)基板上へ
のPLD成膜の最適化実験を行った。その結果、SiC
本来の性質である絶縁体(格子欠陥が少ない)に近い良
質な単結晶薄膜を作製するための最適成膜条件は、レー
ザエネルギー:30−40mJ/パルス、フルーエンス
(レンズを用いてターゲット上へ集光したレーザの照射
エネルギー密度):約0.5−1.2J/cm2 /パル
ス、レーザ周波数:1−2Hz、ターゲット−基板間距
離:30mm、真空度:1×10-7Torr、基板をセ
ットした基板ホルダーの温度Th :1300℃、等であ
った。
【0016】実施例2 基板温度1300℃で、PLD法により、(A)p型の
Si(111)単結晶基板上に作製したSiC(000
1)エピタキシャル薄膜と、(B)n型のSi(11
1)単結晶基板上に作製したSiC(0001)エピタ
キシャル薄膜と、及び(C)p型のSi(111)単結
晶基板上に作製したSiC多結晶薄膜について、その結
晶特性と金属電極を取り付けて素子化した試料について
の電圧−電流特性に関する結果を説明する。まず、図3
に、(A)試料の赤外線吸収スペクトルを示す。Si−
C結合による基準伸縮振動(波数:約795cm-1)の
みが観察された。また、(B)、(C)試料についても
これと同様の、Si−C結合による基準伸縮振動(波
数:約795cm-1)のみが観測されことから、これら
が、SiC薄膜であることは明らかである。
【0017】次に、図4aに、(A)試料について、θ
−2θ掃引により測定したX線回折パターンを示す。基
板であるSiの(hhh);h=1−3のX線回折(X
RD)線の外にα−SiCの(000m);m=n、2
xn(nH六方晶系)あるいは、β−SiCの(hh
h);h=1,2に由来するXRD線のみが観測されて
いる。(B)試料についても同様のX線回折パターンが
観測された。これらは、試料(A)、(B)共に、基板
面垂直方向にc軸が配向したα−SiC(0001)単
結晶薄膜ないしは(111)方向に配向したβ−SiC
単結晶薄膜が作製されていることを示している。
【0018】次に、図4bに、(A)試料に関して、α
−SiCの(10−13)面について測定したX線回折
のφ極軸回転依存性を示す。この回折は、β−SiCで
は起こらない(存在しない)回折線であり、これが観測
されたことは、この試料がα−SiC(0001)単結
晶薄膜であることを証明している。(B)試料も同様の
α−SiC(0001)単結晶薄膜であると考えられ
る。他方、試料(C)では、θ−2θ掃引X線回折測定
によりSi基板からの回折線のみが観測された。赤外線
吸収スペクトル測定によりSi−C伸縮振動が検出され
たことと、後記の反射型高速電子線回折(RHEED)
測定の結果から、(C)試料は、SiCの多結晶薄膜で
あることを確認した。
【0019】次に、図5a及びbに、(A)と(C)試
料について測定したRHEED像を示す。RHEED法
とは、結晶性薄膜の膜面に対して2−3°の低角度で1
0−30KeVの高速電子線を照射することにより膜の
表面に近い低角度での電子線回折像を測定して、それよ
り膜面の結晶構造や平滑度を知る方法である。ナノメー
タ(10-9m)次元の表面平滑度を持つ良質な薄膜結晶
の場合には、結晶の対称性を有する方向へ電子線を照射
してRHEEDを測定すると、回折点が結晶膜面垂直
(ここでは紙面上下)方向に立ったストリークと呼ばれ
る縦棒状の輝線が何本か対称的に並んだパターンが観測
される。これらの輝線の間隔は、結晶格子の間隔に逆比
例する(逆格子の間隔に比例する)ので、結晶格子長の
情報を得ることができる。
【0020】図5aでは、ストリークパターンが観測さ
れており、ナノ次元の平滑度を持つ良質な薄膜であるこ
とが分かる。更に、解析の結果、これはα−SiC薄膜
の(11−20)方向の電子線回折パターンであり、従
って、この膜は、膜面(即ち、基板面)垂直方向に加え
て、膜面内でも配向している、即ち、単結晶(エピタキ
シャル)薄膜であることが明確に示されている。試料
(B)でも、同様にエピタキシャル薄膜であることが分
かった。他方、試料(C)では、図5bに示すように、
同心円状のRHEED像が得られ、ストリーク像は観測
されなかった。これは、多結晶薄膜の場合に観測される
典型的なDebye−Scheerパターンと呼ばれる
ものであり、これにより、(C)試料では、SiCの多
結晶薄膜が生成していることが明らかである。
【0021】次に、(A)、(B)、(C)の3試料
を、約1mm2 程度のサイズに切り出した小片試料を作
製し、図2のように、簡便のために銀(Ag)ペースト
を用いてSi(111)とSiC薄膜の両面へ銀により
銅電線を接続して電極を取り付けて素子化した。なお、
これらの素子では微小な素子断面積を通して大電流が流
れる。そのために、ある程度の発熱を伴うので、ヒート
シンク(熱の吸収・放出材)として真鍮の板材を用い、
下部のSi面は銀ペーストを使い、銀電極を取り付ける
と同時にヒートシンク材の真鍮板に銀で接着した。
【0022】図6に、p型Si(111)基板上に作製
したα−SiCのエピタキシャル薄膜の小片素子(A)
について測定したI−V曲線を示す。典型的なp/n接
合ないしショットキーダイオードの特性を示すと共に、
以下のように、高い破壊電圧を有している。逆バイアス
(負の印加電圧)方向では、−250Vでわずかに電流
が流れ始めるが(リーク電流)、−300Vでも電圧破
壊は起こらなかった。いくつか素子を作製して試験した
が、破壊電圧は−300〜−100Vの範囲であった。
順バイアス方向で電流の立ち上がりが遅いのは、用いた
金属電極と素子間のショットキーバリアーによるもので
あり、電極用の金属を選択することにより減少させるこ
とが可能である。
【0023】図7に、n型Si(111)基板上に作製
したα−SiCのエピタキシャル薄膜の素子(B)につ
いて得られた電気特性を示す。(A)の場合と類似した
I−V特性を示しているが、特性は低い。即ち、逆バイ
アス方向の−50〜―60Vあたりで少し電流が流れ始
め、−100V付近で破壊している。数個の小片素子を
作製して試験したが、破壊電圧は−50〜−100V程
度であった。SiCは、ホウ素やアルミニウム等のn型
化のための3価の金属元素等をドープしない限り、n型
半導体となるので、(B)素子では、p/n接合とは考
えられず、ショットキー型の接合ができているものと推
定される。
【0024】次に、図8に、p型Si(111)基板上
に作製したα−SiCの多結晶薄膜の小片素子(C)に
ついて、測定したI−V曲線を示す。非線形I−V曲線
を示すが、(A)及び(B)の場合と異なり、特性は大
幅に悪い。これは、多結晶による欠陥、空孔、炭素等の
不純物の混入等により膜の一部分に電流リーク(漏電)
パスが生じているためであると推定される。しかし、多
結晶SiC/Si素子は、(A)p型Si基板や、
(B)n型Si基板上のエピタキシャル薄膜の素子に比
べると、p/nやショットキー接合によるI−V特性は
良くないが、800℃程度の比較的低温でも容易に作製
できるので、安価なセンサー等への応用が可能である。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
α−SiCのターゲットやドーピングによりn型に半導
体化したα−SiCのターゲットを用い、かつ1100
−1300℃程の高温に基板を温度制御できるヒータを
用いるパルスレーザアブレーション方法によって、p型
又はn型のSi(111)単結晶基板上に、n型の伝導
性を持つα−SiCのエピタキシャル薄膜や多結晶薄膜
を成膜することができる。また、上記基板と薄膜の間に
金属電極を取り付けることにより、SiC/Siを含む
ヘテロ接合を作製することで、p/n型ないしショット
キー接合型の素子を作製することが可能となる。また、
本発明の素子は、従来のものよりも、低温で、簡便、か
つ短い行程で作製可能であり、そのエピタキシャル性の
品質の程度や膜の厚さ等により、種々の耐圧や整流出力
等の素子やセンサーを構築できるので、エレクトロニク
スやオプトニクスにおける素子化への応用が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si単結晶基板上にα−SiCのヘテロエピタ
キシャル薄膜や多結晶薄膜を作製するためのPLD成膜
の一方法を示す概略図である。
【図2】α−SiC薄膜/Si単結晶間接合を素子化す
るために、金属電極及びヒートシンクを接続する一方法
を示す概略図である。
【図3】p型Si(111)基板上に作製したSiCエ
ピタキシャル薄膜について測定した赤外線吸収スペクト
ルを示す。
【図4】p型Si(111)基板上に作製したSiCエ
ピタキシャル薄膜について、a)θ−2θ掃引により測
定したX線回折パターンと、b)α−SiC結晶なら観
測される筈の(10−13)面からの回折線に関して測
定したX線回折のφ極軸回転依存性、を示す。
【図5】p型Si(111)単結晶基板上にPLD法に
より作製したα−SiCの、a)ヘテロエピタキシャル
薄膜、b)多結晶薄膜、について測定した反射型高速電
子線回折(RHEED)像、を示す。
【図6】PLD法により作製したα−SiCエピタキシ
ャル薄膜/p型(111)Si基板間接合に金属電極を
取り付けて素子化した試料のI−V特性を示す。
【図7】PLD法により作製したα−SiCエピタキシ
ャル薄膜/n型(111)Si基板間接合に金属電極を
取り付けて素子化した試料のI−V特性を示す。
【図8】PLD法により作製したα−SiC多結晶薄膜
/p型(111)Si基板間接合に金属電極を取り付け
て素子化した試料のI−V特性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/165 H01L 29/165 29/47 29/48 D 29/872 Fターム(参考) 4G077 AA03 BE08 DA03 EA02 ED02 HA06 SA04 SA07 4K029 AA06 AA24 BA56 BB08 BB09 BD01 DB20 EA08 4M104 AA03 AA07 BB08 CC03 GG03 5F103 AA10 DD17 GG01 HH03 JJ01 JJ03 RR10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルスレーザをターゲット物質に照射し
    てその物質を瞬間・パルス的にイオンやクラスター等の
    微粒子に分解・剥離(アブレーション)させ、それを所
    定の温度に温度制御した単結晶基板上に堆積させて、そ
    の基板上にターゲット物質の薄膜を作製する方法(PL
    D法)によりSiCエピタキシャル薄膜とSi間のヘテ
    ロ接合を作製する方法であって、 高温型炭化ケイ素(α−SiC)のターゲットないし他
    の元素を微量ドーピングすることによりn型に半導体化
    させたα−SiCのターゲットを用いてアブレーション
    させて、p型又はn型半導体化ケイ素(p−Si、n−
    Si)の単結晶(111)基板面上に、上記n型に半導
    体化させたα−SiCの単結晶(ヘテロエピタキシャ
    ル)薄膜を堆積させることにより、n型SiC/p型S
    i又はn型SiC/n型Siの接合を作製することを特
    徴とするSiC/Siヘテロ接合の作製方法。
  2. 【請求項2】 上記PLD薄膜作製方法によりSiC多
    結晶薄膜とSi間のヘテロ接合を作製する方法であっ
    て、 α−SiCのターゲットないし他の元素を微量ドーピン
    グすることによりn型に半導体化させたα−SiCのタ
    ーゲットを用いてアブレーションさせて、p型又はn型
    半導体化ケイ素の単結晶基板上に、上記n型に半導体化
    させたα−SiCの多結晶薄膜を堆積させることにより
    SiC/Siヘテロ接合を作製することを特徴とするS
    iC/Siヘテロ接合の作製方法。
  3. 【請求項3】 基板を1100−1300℃の温度に制
    御することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法により作製したS
    iC/Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによ
    りp/n接合ないしショットキーダイオード特性を有す
    るSiCエピタキシャル薄膜とSi間のヘテロ接合素子
    を作製することを特徴とする薄膜素子の作製方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の方法により作製したS
    iC/Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによ
    りp/n接合ないしショットキーダイオード特性を有す
    る多結晶性SiC/Si間ヘテロ接合素子を作製するこ
    とを特徴とする薄膜素子の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載の薄膜素子の作製
    方法により作製してなる、p/n接合ないしショットキ
    ーダイオード特性を有するヘテロエピタキシャル又は多
    結晶性のα−SiC薄膜とSi単結晶基板間のSiC/
    Si間ヘテロ接合素子。
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