JP2003347212A - SiC/Si間ヘテロ接合素子の作製方法及び同方法で作製した素子 - Google Patents
SiC/Si間ヘテロ接合素子の作製方法及び同方法で作製した素子Info
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Abstract
薄膜を作製する方法、Si/α−SiC間のヘテロ接合
により電子素子を作製する方法、及び同接合素子を提供
する。 【解決手段】 α−SiCターゲットと1300℃領域
の高温まで基板を加熱できる基板加熱機構を用いるパル
スレーザアブレーション方法による成膜方法により、p
型やn型に半導体化したSiの(111)単結晶面を主
に用いて、その上に高温型α−SiCのヘテロエピタキ
シャルや多結晶性薄膜を作製する方法、そのSiC/S
iヘテロ接合間に金属電極を取り付けて、p/n接合
や、ショットキー接合のI−V特性を有する素子を作製
することを特徴とするSiC/Siヘテロ接合素子の作
製方法、及び同方法により作製したSiC/Siヘテロ
接合素子。
Description
ためのα−SiCヘテロエピタキシャル薄膜等とSi間
のヘテロ接合の作製と、これに金属電極を接合すること
による素子の作製方法、及び同方法で作製した薄膜素子
に関するものであり、更に詳しくは、高電圧、高出力、
高周波数、高温及び耐放射線性等の特性を有する、ワイ
ドバンドギャップ半導体のエレクトロニクスやオプトニ
クスの分野における、α−SiCの積層薄膜素子の作製
技術に係るものであり、PLD方法によるp型又はn型
のSi単結晶基板上へのn型α−SiCのヘテロエピタ
キシャル薄膜素子又は多結晶薄膜素子の作製方法、及び
それにより得られるp/n接合ないしショットキーダイ
オード特性を有するp/n薄膜接合素子に関するもので
ある。
温型(α−SiC)は、SiとCの層状配列の繰り返し
周期の違いにより6H、4H、2H等の結晶構造異性体
があるが、c軸長が異なるのみで全て同じa軸長を持つ
六方晶系構造を有する。低温型(β−SiC)は、1種
類のみで立方晶系結晶構造を有する。β−SiCとα−
SiCは、それぞれ、2.2eVと2.9−3.3eV
のバンド間エネルギー分離幅を持つので、次世代のワイ
ドバンドギャップ半導体として期待されている。βから
αへの転移温度は約1600℃であるが、β、α共に融
点(明確な融点と言うより次第に分解・昇華する温度)
は高く、2700℃程である。素子の基となるSiCの
単結晶は、種結晶への低圧高温蒸発法あるいは有機シリ
コンと炭化水素の気相での高温熱分解やプラズマ分解堆
積(CVD)法等による結晶成長方法で作製されてい
る。
シリコンウェハーと異なり、超高温プロセスが必要とさ
れ、また、不純物の混入等の問題もあり、単結晶の作製
が容易でない。そのために、SiC基板は極めて高価
(SiCでは直径1−2インチ×厚さ0.3mmの円盤
状基板一枚で10−50万円以上)であり、それがSi
C素子開発の一つの障壁となっている。また、通常、上
記方法では、n型半導体であるSiC基板が得られる
が、SiCのp/n接合等の素子化において必要とされ
るp型SiCは、このn型SiC基板を用いて、それに
イオン打ちこみ(ドーピング)することにより作製され
る。しかし、イオン打ちこみした領域は、非晶質となる
ので、1600−1800℃という超高温で再結晶化さ
せないとp/n接合特性を得ることはできない。あるい
は、n型SiC基板の上に、p型化用のドーピング剤を
添加した有機シリコンと炭化水素の混合ガス系を用いた
CVD法によりp型のSiC単結晶薄膜を成膜する手法
が採られている。これらは、SiC単結晶基板の上に同
じSiC薄膜を作製するのでホモエピタキシャル成膜と
呼ばれているが、これらも超高温プロセスを要すること
が素子開発の障壁となっている。
て、他の安価な単結晶基板上にSiCの単結晶性薄膜を
成長させるヘテロエピタキシャル薄膜の作製方法や、そ
れによる素子化等が試みられてきた。これまでに、分子
ビームエピタキシー( MBE) 法、プラズマCVD法や
PLD法等によりSiCの成膜研究は行われている(文
献:「MBE法」:S.Kaneda, Y.Sakamoto, C.Nishi,
M.Kanaya, and S. Hannai, Jpn.J.Appl.Phys., Vol.25
(1986) 1307. 等;「CVD法」:H.Matsunami,T.Ueda,
and H.Nishino, Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.162 (19
90) 397.等;「PLD法」:Jamey S. Pelt, Matthew
E. Ramsey, Steven M. Durbin, Thin Solid Films,Vol.
371(2000) 72.等)。
ル薄膜の生成、及びCVD法とPLD法によるβ−Si
C多結晶薄膜やβ−SiCと炭素の混合した薄膜の生成
は知られているが、従来、高電圧までのp/n接合型の
電流−電圧(I−V)特性を持つような電子素子化を達
成したα−SiCのヘテロエピタキシャル薄膜素子の成
功例はない。また、α型はβ型より大きなバンドギャッ
プ値を有するので、より高出力、高温等の素子や短波長
の発光ダイオード(LED)及び短波長レーザ用の基板
等への応用が期待される。特に、高い転移点1600℃
以上の高温プロセスを必要とするα−SiCでは、低温
でのヘテロ薄膜の作製技術が望まれている。
でSiCの単結晶薄膜を成膜し、SiC/Siヘテロ素
子を作製できれば、その応用分野は広く、これまでに、
CVD法等によりSiC/Siヘテロ素子を作製する試
みがなされている。しかし、β−SiCのエピタキシャ
ル薄膜や多結晶薄膜の生成の報告はあるが、α−SiC
エピタキシャル薄膜は作製されていない。また、CVD
等で作ったSi(100)上のβ−SiC薄膜へのPイ
オンのインプランテーションによりp/n素子が作製さ
れているが、α−SiCのヘテロエピタキシャル素子は
作製されていない。以上のことから、当該技術分野で
は、α−SiCのエピタキシャル薄膜の作製と共に、高
品質で高出力や耐圧の高いα−SiC/Siヘテロ素子
の作製技術の開発が望まれている(文献:K. Sibahara,
T.Takeuchi, S. Nishino and H. Matsunami, J.J.App
l.Phys. 28,(1989) 1341.等)。
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、前記の従来
のβ−SiC薄膜ではなく、α−SiCのヘテロエピタ
キシャル等の結晶性薄膜のp/n接合やショットキーダ
イオードの作製方法を開発することを目的として創意工
夫と研究を積み重ねた結果、α−SiCのターゲットと
基板の高温加熱機構等を使うPLD方法を用いると共
に、p型又はn型半導体化Si単結晶を用いて格子の対
称性の整合を行い、その上に、SiCのエピタキシャル
や多結晶性の薄膜を成膜してSiC/Si接合を作製
し、更に、金属電極を取り付けることにより所期の目的
を達成し得ることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、前記の従来技術の問題点を解決し、Si
基板上にn型化α−SiCのヘテロエピタキシャル又は
多結晶性の薄膜の接合を作製し、それに金属電極を取り
付けることによりp/nないしショットキーダイオード
接合素子を得る方法と、本方法により得られる同α−S
iC/Siヘテロ接合素子を提供することを目的とする
ものである。
の本発明は、以下の技術的手段からなる。 (1)パルスレーザをターゲット物質に照射してその物
質を瞬間・パルス的にイオンやクラスター等の微粒子に
分解・剥離(アブレーション)させ、それを所定の温度
に温度制御した単結晶基板上に堆積させて、その基板上
にターゲット物質の薄膜を作製する方法(PLD法)に
よりSiCエピタキシャル薄膜とSi間のヘテロ接合を
作製する方法であって、高温型炭化ケイ素(α−Si
C)のターゲットないし他の元素を微量ドーピングする
ことによりn型に半導体化させたα−SiCのターゲッ
トを用いてアブレーションさせて、p型又はn型半導体
化ケイ素(p−Si、n−Si)の単結晶(111)基
板面上に、上記n型に半導体化させたα−SiCの単結
晶(ヘテロエピタキシャル)薄膜を堆積させることによ
り、n型SiC/p型Si又はn型SiC/n型Siの
接合を作製することを特徴とするSiC/Siヘテロ接
合の作製方法。 (2)上記PLD薄膜作製方法によりSiC多結晶薄膜
とSi間のヘテロ接合を作製する方法であって、α−S
iCのターゲットないし他の元素を微量ドーピングする
ことによりn型に半導体化させたα−SiCのターゲッ
トを用いてアブレーションさせて、p型又はn型半導体
化ケイ素の単結晶基板上に、上記n型に半導体化させた
α−SiCの多結晶薄膜を堆積させることによりSiC
/Siヘテロ接合を作製することを特徴とするSiC/
Siヘテロ接合の作製方法。 (3)基板を1100−1300℃の温度に制御するこ
とを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の方法。 (4)前記(1)に記載の方法により作製したSiC/
Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによりp/
n接合ないしショットキーダイオード特性を有するSi
Cエピタキシャル薄膜とSi間のヘテロ接合素子を作製
することを特徴とする薄膜素子の作製方法。 (5)前記(2)に記載の方法により作製したSiC/
Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによりp/
n接合ないしショットキーダイオード特性を有する多結
晶性SiC/Si間ヘテロ接合素子を作製することを特
徴とする薄膜素子の作製方法。 (6)前記(4)又は(5)に記載の薄膜素子の作製方
法により作製してなる、p/n接合ないしショットキー
ダイオード特性を有するヘテロエピタキシャル又は多結
晶性のα−SiC薄膜とSi単結晶基板間のSiC/S
i間ヘテロ接合素子。
説明する。本発明においては、Si基板上にn型α−S
iCの単結晶薄膜又は多結晶性薄膜を作製し、それに金
属電極を取り付ける。即ち、本発明は、p型又はn型に
半導体化したSi単結晶を用いると共に、その基板面を
選択し、α−SiC又はn型に半導体化したα−SiC
ターゲットと高温ヒータを用いるPLD薄膜作製方法に
より成膜し、更に、金属電極を取り付けることにより達
成される。
ようとするα−SiCないしn型に半導体化したα−S
iCのターゲットを真空チャンバー(容器)中にセット
しておき、外部から光学窓を通してパルスレーザ光を当
該ターゲットに集光照射してSiCを爆発的に分解・剥
離させて、高エネルギーを持ったイオン及びクラスター
等の微粒子に分解させる。そのプラズマ状(アブレーシ
ョンプルーム:炎)になった微粒子を、その対向する位
置にあって電気ヒータ等の加熱機構により一定温度に制
御された基板ホルダーにセットした基板に衝突させて、
その上にSiCの結晶を再構築させて、その結晶性薄膜
を作製する。本発明者らの研究から、PLD成膜の際
に、基板に衝突した微粒子系の運動エネルギーが熱エネ
ルギーに変換されて、それが基板の持つ熱容量と相まっ
て、結晶格子一層程をちょうど融解させ得る程度の温度
となるような条件を構成できれば、結晶性薄膜が作製で
きると推論するに到った。しかし、α−SiCは、極め
て高い融点(約2700℃)を有するので、1200−
1300℃程のかなり高温まで加熱できるヒータを使用
すると共に、高エネルギーのアブレーション炎が生じる
PLD条件とSi基板面の選択や、チャンバー内の窒素
圧の調整を行えば、n型半導体化したα−SiCの単結
晶薄膜や多結晶薄膜の作製が可能となる。
炭素ヒータを使用したが、その他にも、高融点を有し、
超高真空や真空中でも蒸発しないタングステン、モリブ
デン、タンタル又はシリコンカーバイト等のヒータを使
用することが可能である。成膜には、Nd:YAGレー
ザの4倍波(266nm)を用いて、PLD条件の最適
化を行った処、サファイア(0001)とSi(11
1)単結晶基板上に格子欠陥が少なく、それぞれ、絶縁
体と絶縁体に近いSiCのエピタキシャル薄膜を作製で
きた。本発明では、そのPLDの最適条件から成膜速度
を早める方向へ条件をシフトさせるか、レーザエネルギ
ー、フルーエンス又はレーザ周波数を高くするか、ある
いは窒素を流し、真空度を少し(1−2桁)落とすと、
n型の電気伝導性を示す半導体化したSiCのエピタキ
シャル薄膜を生成できる。他方、あまり大きく条件をず
らすと、SiCの多結晶薄膜が生成する。なお、窒素の
ような5価の元素をドープしたターゲットを用いても、
n型半導体化SiC薄膜を作製できる。更に、最適化P
LD条件下でも、Si単結晶基板の(100)や(11
0)面上には多結晶性SiC薄膜が生成する。
/Si(111)接合体やn型SiC多結晶薄膜/Si
(111)接合体について、下部のSi基板と上部の薄
膜とに銀等の金属で電極を取り付け、電圧(V)を印加
して電流(I)の変化を測定したところ、高電圧までp
/n接合やショットキー接合に特有なV−I非線形特性
を示す素子となることが明らかになった。
明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定され
るものではない。以下に、Si基板上へのn型α−Si
C薄膜の成膜と金属電極を含めたSiC/Siヘテロ接
合素子の作製に関する一実施例を具体的に説明する。本
発明の成膜の一実施例として、α−SiCターゲットと
高温ヒータを用いるYAGパルスレーザ蒸着法により、
(A)n型ないし、(B)p型のSi(111)単結晶
基板上に、n型のα−SiC(0001)エピタキシャ
ル薄膜の作製を行った例と、(C)p型のSi(11
1)基板上に、SiCの多結晶薄膜の作製を行った例を
示す。更に、(A)、(B)、(C)の試料について、
電極を取り付け素子化した試料のI−V電気特性に関す
る結果を示す。
ットを真空チャンバー中のターゲットホルダーにセット
しておき、外部からパルスレーザ光をそれに集光照射し
てターゲット物質を爆発的に分解・剥離させて、それを
対向する位置にあって電気ヒータ等により一定温度に制
御された基板ホルダー上の基板に衝突させて、基板上に
その物質の薄膜を作製した。
パルスレーザの4倍波(波長266nm)を使用した。
なお、YAGレーザの基本波、2倍波、3倍波、5倍波
でも結晶性は低いがα−SiC薄膜が作製できたので、
レーザの種類を限定するものではなく、エキシマーガス
レーザを用いてもα−SiCの成膜が可能である。4倍
波を用いて、条件を変化させてSi(111)基板上へ
のPLD成膜の最適化実験を行った。その結果、SiC
本来の性質である絶縁体(格子欠陥が少ない)に近い良
質な単結晶薄膜を作製するための最適成膜条件は、レー
ザエネルギー:30−40mJ/パルス、フルーエンス
(レンズを用いてターゲット上へ集光したレーザの照射
エネルギー密度):約0.5−1.2J/cm2 /パル
ス、レーザ周波数:1−2Hz、ターゲット−基板間距
離:30mm、真空度:1×10-7Torr、基板をセ
ットした基板ホルダーの温度Th :1300℃、等であ
った。
Si(111)単結晶基板上に作製したSiC(000
1)エピタキシャル薄膜と、(B)n型のSi(11
1)単結晶基板上に作製したSiC(0001)エピタ
キシャル薄膜と、及び(C)p型のSi(111)単結
晶基板上に作製したSiC多結晶薄膜について、その結
晶特性と金属電極を取り付けて素子化した試料について
の電圧−電流特性に関する結果を説明する。まず、図3
に、(A)試料の赤外線吸収スペクトルを示す。Si−
C結合による基準伸縮振動(波数:約795cm-1)の
みが観察された。また、(B)、(C)試料についても
これと同様の、Si−C結合による基準伸縮振動(波
数:約795cm-1)のみが観測されことから、これら
が、SiC薄膜であることは明らかである。
−2θ掃引により測定したX線回折パターンを示す。基
板であるSiの(hhh);h=1−3のX線回折(X
RD)線の外にα−SiCの(000m);m=n、2
xn(nH六方晶系)あるいは、β−SiCの(hh
h);h=1,2に由来するXRD線のみが観測されて
いる。(B)試料についても同様のX線回折パターンが
観測された。これらは、試料(A)、(B)共に、基板
面垂直方向にc軸が配向したα−SiC(0001)単
結晶薄膜ないしは(111)方向に配向したβ−SiC
単結晶薄膜が作製されていることを示している。
−SiCの(10−13)面について測定したX線回折
のφ極軸回転依存性を示す。この回折は、β−SiCで
は起こらない(存在しない)回折線であり、これが観測
されたことは、この試料がα−SiC(0001)単結
晶薄膜であることを証明している。(B)試料も同様の
α−SiC(0001)単結晶薄膜であると考えられ
る。他方、試料(C)では、θ−2θ掃引X線回折測定
によりSi基板からの回折線のみが観測された。赤外線
吸収スペクトル測定によりSi−C伸縮振動が検出され
たことと、後記の反射型高速電子線回折(RHEED)
測定の結果から、(C)試料は、SiCの多結晶薄膜で
あることを確認した。
料について測定したRHEED像を示す。RHEED法
とは、結晶性薄膜の膜面に対して2−3°の低角度で1
0−30KeVの高速電子線を照射することにより膜の
表面に近い低角度での電子線回折像を測定して、それよ
り膜面の結晶構造や平滑度を知る方法である。ナノメー
タ(10-9m)次元の表面平滑度を持つ良質な薄膜結晶
の場合には、結晶の対称性を有する方向へ電子線を照射
してRHEEDを測定すると、回折点が結晶膜面垂直
(ここでは紙面上下)方向に立ったストリークと呼ばれ
る縦棒状の輝線が何本か対称的に並んだパターンが観測
される。これらの輝線の間隔は、結晶格子の間隔に逆比
例する(逆格子の間隔に比例する)ので、結晶格子長の
情報を得ることができる。
れており、ナノ次元の平滑度を持つ良質な薄膜であるこ
とが分かる。更に、解析の結果、これはα−SiC薄膜
の(11−20)方向の電子線回折パターンであり、従
って、この膜は、膜面(即ち、基板面)垂直方向に加え
て、膜面内でも配向している、即ち、単結晶(エピタキ
シャル)薄膜であることが明確に示されている。試料
(B)でも、同様にエピタキシャル薄膜であることが分
かった。他方、試料(C)では、図5bに示すように、
同心円状のRHEED像が得られ、ストリーク像は観測
されなかった。これは、多結晶薄膜の場合に観測される
典型的なDebye−Scheerパターンと呼ばれる
ものであり、これにより、(C)試料では、SiCの多
結晶薄膜が生成していることが明らかである。
を、約1mm2 程度のサイズに切り出した小片試料を作
製し、図2のように、簡便のために銀(Ag)ペースト
を用いてSi(111)とSiC薄膜の両面へ銀により
銅電線を接続して電極を取り付けて素子化した。なお、
これらの素子では微小な素子断面積を通して大電流が流
れる。そのために、ある程度の発熱を伴うので、ヒート
シンク(熱の吸収・放出材)として真鍮の板材を用い、
下部のSi面は銀ペーストを使い、銀電極を取り付ける
と同時にヒートシンク材の真鍮板に銀で接着した。
したα−SiCのエピタキシャル薄膜の小片素子(A)
について測定したI−V曲線を示す。典型的なp/n接
合ないしショットキーダイオードの特性を示すと共に、
以下のように、高い破壊電圧を有している。逆バイアス
(負の印加電圧)方向では、−250Vでわずかに電流
が流れ始めるが(リーク電流)、−300Vでも電圧破
壊は起こらなかった。いくつか素子を作製して試験した
が、破壊電圧は−300〜−100Vの範囲であった。
順バイアス方向で電流の立ち上がりが遅いのは、用いた
金属電極と素子間のショットキーバリアーによるもので
あり、電極用の金属を選択することにより減少させるこ
とが可能である。
したα−SiCのエピタキシャル薄膜の素子(B)につ
いて得られた電気特性を示す。(A)の場合と類似した
I−V特性を示しているが、特性は低い。即ち、逆バイ
アス方向の−50〜―60Vあたりで少し電流が流れ始
め、−100V付近で破壊している。数個の小片素子を
作製して試験したが、破壊電圧は−50〜−100V程
度であった。SiCは、ホウ素やアルミニウム等のn型
化のための3価の金属元素等をドープしない限り、n型
半導体となるので、(B)素子では、p/n接合とは考
えられず、ショットキー型の接合ができているものと推
定される。
に作製したα−SiCの多結晶薄膜の小片素子(C)に
ついて、測定したI−V曲線を示す。非線形I−V曲線
を示すが、(A)及び(B)の場合と異なり、特性は大
幅に悪い。これは、多結晶による欠陥、空孔、炭素等の
不純物の混入等により膜の一部分に電流リーク(漏電)
パスが生じているためであると推定される。しかし、多
結晶SiC/Si素子は、(A)p型Si基板や、
(B)n型Si基板上のエピタキシャル薄膜の素子に比
べると、p/nやショットキー接合によるI−V特性は
良くないが、800℃程度の比較的低温でも容易に作製
できるので、安価なセンサー等への応用が可能である。
α−SiCのターゲットやドーピングによりn型に半導
体化したα−SiCのターゲットを用い、かつ1100
−1300℃程の高温に基板を温度制御できるヒータを
用いるパルスレーザアブレーション方法によって、p型
又はn型のSi(111)単結晶基板上に、n型の伝導
性を持つα−SiCのエピタキシャル薄膜や多結晶薄膜
を成膜することができる。また、上記基板と薄膜の間に
金属電極を取り付けることにより、SiC/Siを含む
ヘテロ接合を作製することで、p/n型ないしショット
キー接合型の素子を作製することが可能となる。また、
本発明の素子は、従来のものよりも、低温で、簡便、か
つ短い行程で作製可能であり、そのエピタキシャル性の
品質の程度や膜の厚さ等により、種々の耐圧や整流出力
等の素子やセンサーを構築できるので、エレクトロニク
スやオプトニクスにおける素子化への応用が可能とな
る。
キシャル薄膜や多結晶薄膜を作製するためのPLD成膜
の一方法を示す概略図である。
るために、金属電極及びヒートシンクを接続する一方法
を示す概略図である。
ピタキシャル薄膜について測定した赤外線吸収スペクト
ルを示す。
ピタキシャル薄膜について、a)θ−2θ掃引により測
定したX線回折パターンと、b)α−SiC結晶なら観
測される筈の(10−13)面からの回折線に関して測
定したX線回折のφ極軸回転依存性、を示す。
より作製したα−SiCの、a)ヘテロエピタキシャル
薄膜、b)多結晶薄膜、について測定した反射型高速電
子線回折(RHEED)像、を示す。
ャル薄膜/p型(111)Si基板間接合に金属電極を
取り付けて素子化した試料のI−V特性を示す。
ャル薄膜/n型(111)Si基板間接合に金属電極を
取り付けて素子化した試料のI−V特性を示す。
/p型(111)Si基板間接合に金属電極を取り付け
て素子化した試料のI−V特性を示す。
Claims (6)
- 【請求項1】 パルスレーザをターゲット物質に照射し
てその物質を瞬間・パルス的にイオンやクラスター等の
微粒子に分解・剥離(アブレーション)させ、それを所
定の温度に温度制御した単結晶基板上に堆積させて、そ
の基板上にターゲット物質の薄膜を作製する方法(PL
D法)によりSiCエピタキシャル薄膜とSi間のヘテ
ロ接合を作製する方法であって、 高温型炭化ケイ素(α−SiC)のターゲットないし他
の元素を微量ドーピングすることによりn型に半導体化
させたα−SiCのターゲットを用いてアブレーション
させて、p型又はn型半導体化ケイ素(p−Si、n−
Si)の単結晶(111)基板面上に、上記n型に半導
体化させたα−SiCの単結晶(ヘテロエピタキシャ
ル)薄膜を堆積させることにより、n型SiC/p型S
i又はn型SiC/n型Siの接合を作製することを特
徴とするSiC/Siヘテロ接合の作製方法。 - 【請求項2】 上記PLD薄膜作製方法によりSiC多
結晶薄膜とSi間のヘテロ接合を作製する方法であっ
て、 α−SiCのターゲットないし他の元素を微量ドーピン
グすることによりn型に半導体化させたα−SiCのタ
ーゲットを用いてアブレーションさせて、p型又はn型
半導体化ケイ素の単結晶基板上に、上記n型に半導体化
させたα−SiCの多結晶薄膜を堆積させることにより
SiC/Siヘテロ接合を作製することを特徴とするS
iC/Siヘテロ接合の作製方法。 - 【請求項3】 基板を1100−1300℃の温度に制
御することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 - 【請求項4】 請求項1に記載の方法により作製したS
iC/Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによ
りp/n接合ないしショットキーダイオード特性を有す
るSiCエピタキシャル薄膜とSi間のヘテロ接合素子
を作製することを特徴とする薄膜素子の作製方法。 - 【請求項5】 請求項2に記載の方法により作製したS
iC/Siヘテロ接合に金属電極を取り付けることによ
りp/n接合ないしショットキーダイオード特性を有す
る多結晶性SiC/Si間ヘテロ接合素子を作製するこ
とを特徴とする薄膜素子の作製方法。 - 【請求項6】 請求項4又は5に記載の薄膜素子の作製
方法により作製してなる、p/n接合ないしショットキ
ーダイオード特性を有するヘテロエピタキシャル又は多
結晶性のα−SiC薄膜とSi単結晶基板間のSiC/
Si間ヘテロ接合素子。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-05-30 JP JP2002158179A patent/JP2003347212A/ja active Pending
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