JP2003346700A - イオン注入装置 - Google Patents

イオン注入装置

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JP2003346700A
JP2003346700A JP2002157334A JP2002157334A JP2003346700A JP 2003346700 A JP2003346700 A JP 2003346700A JP 2002157334 A JP2002157334 A JP 2002157334A JP 2002157334 A JP2002157334 A JP 2002157334A JP 2003346700 A JP2003346700 A JP 2003346700A
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slit
analysis
ion beam
slit plate
center position
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JP2002157334A
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English (en)
Inventor
Naoki Miyamoto
直樹 宮本
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分析スリット板のスリットの寸法を正確かつ
速やかに測定することができるようにする。 【解決手段】 分析スリット板24のスリット26を含
む領域の温度分布を測定して当該温度分布を表す温度デ
ータDを出力する赤外線カメラ36と、この赤外線カメ
ラ36からの温度データDを処理して、分析スリット板
24のスリット26の寸法を測定するデータ処理装置3
8とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、イオン源から引
き出したイオンビームを、分析マグネットおよび分析ス
リットを通して質量分析を行ってターゲットへ入射させ
る構成のイオン注入装置に関し、より具体的には、赤外
線カメラを用いて、分析スリットの寸法等の測定や、分
析スリットとイオンビームとの位置ずれの補正を行う手
段に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のイオン注入装置の従来例を図5
に示す。このイオン注入装置は、イオン源2から引き出
したイオンビーム8を、分析マグネット16および分析
スリット板24のスリット26を通して、イオンビーム
8から目的とするイオン種のみを選別して導出して、そ
れをターゲット(例えば半導体ウェーハ)28に入射さ
せてイオン注入を行うよう構成されている。
【0003】イオン源2は、プラズマを生成するプラズ
マ生成部4と、当該プラズマから電界の作用でイオンビ
ーム8を引き出す引出し電極系6とを備えており、これ
らはイオン源チャンバーと呼ばれる真空容器10内に収
納されている。
【0004】このイオン注入装置は、更に、引出し電極
系6を、イオンビーム8の引出し方向である±c方向
(ビーム進行方向)、それに直交する±a方向(左右方
向)および±b方向(上下方向)に機械的に駆動する
(即ち、動かす)電極駆動装置12を備えている。
【0005】分析マグネット16は、分析マグネットチ
ャンバーと呼ばれる真空容器14内においてイオンビー
ム8を磁界Bによって円弧状に曲げるものであり、イオ
ンビーム8の軌道を上下から挟む円弧状をした二つの磁
極18と(下側の磁極18のみ図に表している)、上下
の各磁極18の周りに巻かれていて上下の磁極18間に
上記磁界Bを発生させるコイル20(これは真空容器1
4外に配置されているので破線で示している)とを備え
ている。この分析マグネット16は、マグネット電源2
2からコイル20に供給される電流によって励磁されて
上記磁界Bを発生させる。この分析マグネット16は、
イオンビーム8を上記のように曲げることによって、分
析スリット板24と協働して、イオンビーム8から必要
とする特定のイオン種(これは、イオンの質量数および
価数によって特定することができる)のみを選別して取
り出すことができる(これは、質量分析または質量分離
と呼ばれる)。
【0006】分析スリット板24は、この例では、分析
マグネット16内の出口近くに配置されている。より具
体的には、分析マグネット16を構成する上下の磁極1
8間に、イオンビーム8に交差するように配置されてい
る。この分析スリット板24は、図6にも示すように、
この例では左右方向の幅Wよりも上下方向の高さHが大
きい矩形の(より具体的には細長い)スリット26を有
している。この分析スリット板24は、例えば、カーボ
ン製である。
【0007】分析マグネット16の磁界Bで曲げられた
イオンビーム8は、このスリット26を包含するように
分析スリット板24に当たる。分析スリット板24に当
たるイオンビーム8は、例えば図6に示すような楕円
形、あるいは長円形、矩形等の形状をしており、通常は
その中心がスリット26の中心に一致するように、スリ
ット26の部分に導かれる。そして、このイオンビーム
8を構成するイオンの内でスリット26の部分のイオン
だけが、即ちスリット26を通過する軌道を描く特定の
イオン種のみが、スリット26を通過して選択的に下流
側へ導出される。
【0008】なお、分析スリット板24は、この例のよ
うに、分析マグネット16内の出口近くに設ける場合も
あるし、分析マグネット16を出た近く、あるいは分析
マグネット16よりも下流側に設ける場合もある。いず
れにしても、分析スリット板24は分析マグネット16
と協働してイオンビーム8の質量分析を行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】分析スリット板24の
スリット26の部分には、上記のようにイオンビーム8
が当たるので、当該イオン注入装置の運転時間の経過に
伴って、イオンビーム8によってスリット26は徐々に
削られ、その寸法が、より具体的には幅Wおよび高さH
が、徐々に増大して行く。
【0010】スリット26の大きさは、イオンビーム8
の質量分析における質量分解能を決める重要な要素であ
り、スリット26の寸法が上記のように増大すると、当
該質量分解能が悪化する。それによって、不要なイオン
種が分析スリット板24から導出されるようになり、タ
ーゲット28に対する注入特性を悪化させる等の不都合
が発生する。
【0011】しかし上記のようなスリット26の寸法の
増大は、従来は、分析スリット板24を通過後のイオン
ビーム8のビーム電流の変化、あるいはターゲット28
に対する注入特性の悪化から推測するしかなく、しかも
注入特性等の状況が悪化してからでないと分からなかっ
たので、スリット26の寸法増大を正確かつ速やかに検
出することは困難であった。
【0012】また、スリット26の中心とそこに当たる
イオンビーム8の中心とが何らかの原因でずれると、や
はり分析マグネット16および分析スリット板24によ
るイオンビーム8の質量分解能が悪化するけれども、こ
れも従来は上記のように、分析スリット板24を通過後
のイオンビーム8のビーム電流の変化、あるいはターゲ
ット28に対する注入特性の悪化から推測するしかな
く、当該ずれを正確かつ速やかに検出することは困難で
あった。
【0013】そこでこの発明は、分析スリット板のスリ
ットの寸法を正確かつ速やかに測定することができるよ
うにすることを一つの目的としている。
【0014】また、分析スリット板のスリットの中心位
置と、当該分析スリット板に当たるイオンビームの中心
位置とを正確かつ速やかに測定することができるように
することを他の目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第1のイ
オン注入装置は、前記分析スリット板のスリットを含む
領域の温度分布を測定して当該温度分布を表す温度デー
タを出力する赤外線カメラと、この赤外線カメラからの
温度データを処理して前記分析スリット板のスリットの
寸法を測定するデータ処理装置とを備えることを特徴と
している(請求項1)。
【0016】イオンビームが分析スリット板に当たる
と、当該イオンビームの運動エネルギーによって、イオ
ンビームが当たった部分を中心として分析スリット板の
温度が上昇する。しかし、分析スリット板のスリット
は、イオンビームを通す穴であるので、温度変化はな
い。従って、前記赤外線カメラで測定する前記温度分布
によって、分析スリット板のスリットの寸法を判別する
ことができる。この判別を前記データ処理装置が行う。
即ち、前記データ処理装置は、赤外線カメラからの温度
分布を表す温度データを処理して、分析スリット板のス
リットの寸法を測定する。
【0017】このような寸法測定は、赤外線を用いて被
測定物そのものの寸法を物理的に測定する技術であるの
で、分析スリット板のスリットの寸法を正確にかつ速や
かに測定することができる。その結果、分析スリット板
のスリットの寸法増大を正確かつ速やかに検出すること
が可能になる。
【0018】この発明に係る第2のイオン注入装置は、
前記分析スリット板のスリットを含む領域の温度分布を
測定して当該温度分布を表す温度データを出力する赤外
線カメラと、この赤外線カメラからの温度データを処理
して前記分析スリット板のスリットの中心位置および当
該分析スリット板に当たる前記イオンビームの中心位置
を測定するデータ処理装置とを備えることを特徴として
いる(請求項2)。
【0019】前述したように、イオンビームが分析スリ
ット板に当たると、当該イオンビームの運動エネルギー
によって、イオンビームが当たった部分を中心として分
析スリット板の温度が上昇する。しかし、分析スリット
板のスリットは、イオンビームを通す穴であるので、温
度変化はない。従って、前記赤外線カメラで測定する前
記温度分布によって、分析スリット板のスリットの中心
位置のみならず、分析スリット板上でのイオンビームの
中心位置をも判別することができる。この判別を前記デ
ータ処理装置が行う。即ち、前記データ処理装置は、赤
外線カメラからの温度分布を表す温度データを処理し
て、分析スリット板のスリットの中心位置と、当該スリ
ット板に当たるイオンビームの中心位置とを測定する。
【0020】このような位置測定は、赤外線を用いて被
測定物そのものの中心位置を物理的に測定する技術であ
るので、分析スリット板のスリットの中心位置と、当該
分析スリット板に当たるイオンビームの中心位置とを正
確にかつ速やかに測定することができる。その結果、両
者の位置ずれを正確かつ速やかに検出することが可能に
なる。
【0021】前記データ処理装置で測定した前記スリッ
トの中心位置に前記イオンビームの中心位置が一致する
ように、前記マグネット電源を制御して前記分析マグネ
ットで発生させる磁場の強さを補正する補正制御装置を
更に設けても良い(請求項3)。
【0022】あるいは、前記データ処理装置で測定した
前記スリットの中心位置に前記イオンビームの中心位置
が一致するように、前記電極駆動装置を制御して前記イ
オン源の引出し電極系の位置を補正する補正制御装置を
更に設けても良い(請求項4)。
【0023】上記のような補正制御装置を更に設けるこ
とによって、前記スリットの中心位置と前記イオンビー
ムの中心位置とのずれを自動的に補正して、両中心位置
を自動的に一致させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るイオン注
入装置の一例を示す図である。図5に示した従来例と同
一または相当する部分には同一符号を付し、以下におい
ては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0025】前記分析スリット板24にイオンビーム8
が当たると、イオンビーム8の運動エネルギーによっ
て、イオンビーム8が当たった部分を中心として、分析
スリット板24の温度Tが上昇する。しかし、分析スリ
ット板24のスリット26は、イオンビーム8を通過さ
せる穴(空間)であるので、温度変化はない。この温度
Tの分布の一例を図2および図3に示す。両図2、3
は、イオンビーム8の中心8aとスリット26の中心2
6aとが一致している場合の例である。なお、両図2、
3(あるいは後述する図4)中のx、yの方向と、図1
中のx、yの方向とは、それぞれ同じものである。
【0026】図2では、イオンビーム8の輪郭を実線で
示し、温度Tの分布を等高線状に破線で示している。通
常、イオンビーム8はその中心部の密度が一番高い山形
の密度分布を有しているので、温度Tの分布も、図2お
よび図3に示すように、ビーム密度分布に応じた山形に
なる。しかし、スリット26の部分は、空間なので温度
は背景温度(室温)と同程度に低いままである。この温
度を、図3および図4では便宜上0として記載してい
る。
【0027】このイオン注入装置は、上記分析スリット
板24から放射される赤外線32を受けて、分析スリッ
ト板24のスリット26を含む領域の上記のような温度
分布を測定して、当該温度分布を表す温度データDを出
力する赤外線カメラ36を備えている。
【0028】より具体的には、この例では、真空容器1
4の壁面であって、分析スリット板24に対向していて
スリット26を含む領域を見通すことのできる位置に、
真空を保持しかつ赤外線32を透過させる窓板34を設
け、その外部の大気側に上記赤外線カメラ36を設けて
いる。
【0029】赤外線カメラ36は、この例のように、分
析スリット板24に正対するように設けるのが好まし
い。そのようにすれば、分析スリット板24の温度分布
を分析スリット板24の真っ正面から測定することがで
きるので、温度分布の測定やそれに基づくデータ処理が
簡単になる。しかし、赤外線カメラ36を分析スリット
板24に斜めに対向するように配置しても構わない。そ
のようにすると、分析スリット板24上の温度分布を赤
外線カメラ36で斜めから測定することになるけれど
も、それでも分析スリット板24上の温度分布を測定す
ることはできる。また必要に応じて、データ処理時に補
正をかけても良い。
【0030】窓板34は、赤外線32の透過率の高い材
質のものを用いるのが好ましい。例えば、石英ガラスを
用いるのが好ましい。
【0031】窓板34の内側には、開閉式のシャッター
44を設けておくのが好ましい。シャッター44は、こ
の例では、真空容器14外に設けられた駆動部46によ
って矢印Rのように回転させられて開閉される。赤外線
カメラ36を使用しないときにこのシャッター44を閉
じることによって、イオン源2から流入する原料ガス等
が窓板34に付着して窓板34が汚れるのを防止するこ
とができる。
【0032】赤外線カメラ36から出力される温度デー
タDは、より具体的にはこの例では、複数の測定点の座
標(x,y)の情報と、各測定点における温度Tの情報
の組から成り、(x,y,T)で表すことができる。即
ち、D≡(x,y,T)である。測定点の数は、例え
ば、x座標上で320点、y座標上で240点であり、
合計で76,800点である。各測定点、即ち各座標
(x,y)における温度Tの階調は、例えば256階調
である。但し、赤外線カメラ36の仕様はこれに限られ
るものではない。
【0033】このイオン注入装置は、上記赤外線カメラ
36からの温度データDを処理して、分析スリット板2
4のスリット26の寸法を測定するデータ処理装置38
を更に備えている。より具体的には、前述したように、
温度データDから、例えば図3(A)に示すようなy=
0でのx軸上の温度分布、および図3(B)に示すよう
なx=0でのy軸上の温度分布をそれぞれ得ることがで
きる。前述したように、それぞれの温度分布で、原点付
近で温度が0になっている部分が、スリット26の位置
および寸法を示している。このような温度分布のデータ
から、スリット26の寸法を、より具体的にはx軸方向
の幅Wおよびy軸方向の高さHを、計算によって求める
ことができる。その際、赤外線カメラ36で撮影するス
リット26の寸法と実際のスリット26の寸法との間の
関係は、赤外線カメラ36の特性および赤外線カメラ3
6と分析スリット板24との間の距離に応じて一定の比
率関係にあり、この比率は予め分かっているので、その
比率を考慮すれば良い。データ処理装置38は上記のよ
うなデータ処理を行う。
【0034】なお、図3のような温度分布をデータ処理
装置38のディスプレイ40に表示させても良い。それ
と共に、あるいはそれの代わりに、スリット26の寸法
(より具体的には幅Wおよび高さH)を数値でディスプ
レイ40に表示させても良い。
【0035】上記赤外線カメラ36およびデータ処理装
置38による分析スリット板24のスリット26の寸法
測定は、赤外線32を用いて被測定物(ここではスリッ
ト26)そのものの寸法を物理的(より具体的には光学
的)に測定する技術であるので、従来のようにターゲッ
ト28に対する注入特性の悪化から推測する場合と違っ
て、スリット26の寸法を正確にかつ速やかに測定する
ことができる。その結果、スリット26の寸法増大を正
確かつ速やかに検出することが可能になる。
【0036】このようなスリット26の寸法測定は、当
該イオン注入装置の運転中は、即ちイオン源2からイオ
ンビーム8を引き出して分析スリット板24を通過させ
ている間は、いつでも任意の時に行うことができる。ま
た、運転直後も、分析スリット板24の温度はしばらく
は上昇しているので、その間であれば測定することがで
きる。
【0037】例えば、スリット26の寸法測定を、当該
イオン注入装置の運転中に常時、あるいは所定間隔で行
い、スリット26の幅Wおよび高さHの少なくとも一方
が規定値よりも大きくなったことを判定手段で判定し、
あるいはオペレーターに判定させ、その判定結果に基づ
いて当該イオン注入装置の運転を止めて分析スリット板
24を交換するようにしても良い。そのようにすれば、
イオン注入装置の運転中にスリット26の寸法や分析ス
リット板24の交換の必要性が分かるので、分析スリッ
ト板24の交換のための装置停止を必要最小限にするこ
とができ、装置の処理効率(スループット)を向上させ
ることができる。
【0038】なお、スリット26の寸法測定は、この例
のようにx、y両方の二次元(より具体的には幅Wおよ
び高さH)で行うのが好ましいけれども、それに限られ
るものではなく、一次元でも良い。例えば、イオンビー
ム8によってスリット26が削られやすい方向の寸法
(例えば幅W)のみを測定しても良い。
【0039】ところで、分析スリット板24のスリット
26の中心26aと、当該分析スリット板24に当たる
イオンビーム8の中心8aとがずれると、分析マグネッ
ト16および分析スリット板24によるイオンビーム8
の質量分解能が悪化することは前述したとおりである。
図4は、イオンビーム8の中心8aがスリット26の中
心26aから、−x方向および−y方向にずれた場合の
温度分布の例を示す。このような課題に対しては、次の
ようにして対処することができる。
【0040】赤外線カメラ36から出力される温度デー
タDをデータ処理装置38で処理することによって、上
記のように分析スリット板24のスリット26の寸法を
測定することができるだけでなく、スリット26の中心
26aの位置(より具体的にはx、y両方向の中心位
置)を測定することもできる。上記のようにして測定し
たスリット26の幅Wの中心の座標がスリット26のx
軸上での中心位置であり、高さHの中心の座標がスリッ
ト26のy軸上での中心位置だからである。
【0041】また、分析スリット板24の上記のような
温度分布のピーク位置と、当該分析スリット板24に当
たるイオンビーム8の中心位置とは、前述したように通
常は一致しているので、赤外線カメラ36から出力され
る温度データDをデータ処理装置38で処理することに
よって、分析スリット板24に当たるイオンビーム8の
中心8aの位置(より具体的にはx、y両方向の中心位
置)を測定することもできる。スリット26の部分の温
度分布は0付近に低下しているけれども、外挿法や補間
法等を用いることによって、スリット26がないとした
場合の温度分布のピーク位置を演算によって求めること
ができる。
【0042】この例のデータ処理装置38は、上記のよ
うな分析スリット板24のスリット26の中心位置の測
定と、当該分析スリット板24に当たるイオンビーム8
の中心位置の測定とを行うこともできる。
【0043】上記のような位置測定は、上記スリット2
6の寸法測定の場合と同様、赤外線32を用いて被測定
物(ここではスリット26およびイオンビーム8)その
ものの中心位置を物理的に測定する技術であるので、従
来のようにターゲット28に対する注入特性の悪化から
質量分解能の悪化ひいては相互の中心のずれを推測する
場合と違って、両者26、8の中心位置を正確にかつ速
やかに測定することができる。その結果、両者26、8
の位置ずれを正確かつ速やかに検出することが可能にな
り、ひいては、分析マグネット16および分析スリット
板24によるイオンビーム8の質量分解能の悪化を速や
かに検出することが可能になる。
【0044】なお、スリット26の中心位置とイオンビ
ーム8の中心位置の測定は、この例のようにx、y両方
の二次元で行うのが好ましいけれども、一次元でも良
い。例えば、分析マグネット16によってイオンビーム
8を偏向させるx方向(スリット26の幅W方向)のず
れが質量分解能に大きく影響するので、このx方向にお
ける中心位置のみを測定しても良い。
【0045】この例のように、上記のようにしてデータ
処理装置38で測定したスリット26の中心位置とイオ
ンビーム8の中心位置のデータに基づいて、両中心位置
のずれを補正して両者を一致させる補正制御装置42を
更に設けておいても良い。この補正制御装置42は、こ
の例では、(1)スリット26の中心位置にイオンビー
ム8の中心位置が一致するように、前記マグネット電源
22を制御して分析マグネット16で発生させる磁界B
の強さを補正する機能と、(2)スリット26の中心位
置にイオンビーム8の中心位置が一致するように、前記
電極駆動装置12を制御してイオン源2の引出し電極系
6の位置を補正する機能とを有している。この二つの機
能を詳述すると次のとおりである。
【0046】(1)磁場Bの強度補正 イオン源2から引き出されたイオンビーム8は、図1に
示すように、分析マグネット16において、イオンビー
ム8の進行方向に見て右(即ち+x方向)に曲げられて
いるものとする。このとき、イオンビーム8の中心8a
がスリット26の中心26aから右(即ち+x側)にず
れている場合は、イオンビームの曲げ方を弱めて分析マ
グネット16におけるイオンビーム8の曲率半径を大き
くする必要があるので、分析マグネット16で発生させ
る磁界Bの強さを小さくする。反対に、イオンビーム8
の中心8aが左(即ち−x側)にずれている場合は、イ
オンビーム8の曲げ方を強めてその曲率半径を小さくす
る必要があるので、磁界Bの強さを大きくする。これに
よって、スリット26の幅W方向におけるイオンビーム
8の位置ずれを補正して、スリット26の中心位置にイ
オンビーム8の中心位置を合わせることができる。この
ような制御を補正制御装置42が行う。この制御をまと
めると表1のようになる。
【0047】
【表1】
【0048】(2)引出し電極系6の位置補正 イオンビーム8の中心8aがスリット26の中心26a
から右(即ち+x側)にずれている場合は、分析マグネ
ット16を通過するときのイオンビーム8の軌道半径を
大きくする必要がある。このとき、引出し電極系6をイ
オンビーム8の進行方向に見て右(即ち+a側)に移動
させると、プラズマ生成部4と引出し電極系6との間の
電界の分布が右にずれるように歪み、イオンビーム8は
引出し電極系6からわずかに左(即ち−a側)向きに引
き出されて分析マグネット16に導入され、それによっ
て分析マグネット16におけるイオンビーム8の軌道半
径が大きくなることが実験によって確かめられている。
従ってこの場合は、引出し電極系6を右(即ち+a側)
に移動させる。反対に、イオンビーム8の中心8aが左
(即ち−x側)にずれている場合は、引出し電極系6を
左(即ち−a側)に移動させる。これによって、スリッ
ト26の幅W方向におけるイオンビーム8の位置ずれを
補正して、スリット26の中心位置にイオンビーム8の
中心位置を合わせることができる。
【0049】スリット26の上下(即ち±y)方向につ
いても、上記と同様の理由から、イオンビーム8の中心
8aがスリット26の中心26aから上(即ち+y側)
にずれている場合は、引出し電極系6を上(即ち+b
側)に移動させる。反対に、イオンビーム8の中心8a
が下(即ち−y側)にずれている場合は、引出し電極系
6を下(即ち−b側)に移動させる。これによって、ス
リット26の高さH方向におけるイオンビーム8の位置
ずれを補正して、スリット26の中心位置にイオンビー
ム8の中心位置を合わせることができる。
【0050】上記のような上下方向および左右方向の制
御を補正制御装置42が行う。この制御をまとめると表
2のようになる。
【0051】
【表2】
【0052】なお、補正制御装置42には、この例のよ
うに、上記(1)に示した磁界Bの強度補正を行う機能
と、上記(2)に示した引出し電極系6の位置補正を行
う機能の両方を持たせておいて、両機能を併用するのが
好ましいけれども、(1)、(2)のどちらか一方だけ
の機能を持たせておいても良い。また、前述したように
イオンビーム8のx方向のずれが質量分解能に大きく影
響するので、引出し電極系6の位置補正は、x方向にお
ける位置補正のみを行うようにしても良い。
【0053】分析スリット板24は、前述したように、
この例と違って、分析マグネット16を出た近く、ある
いは分析マグネット16よりも下流側に設ける場合もあ
り、その場合は、当該分析スリット板24の位置に応じ
て赤外線カメラ36を設ける位置も変えれば良い。
【0054】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0055】請求項1記載の発明によれば、上記のよう
な赤外線カメラおよびデータ処理装置を備えていて、赤
外線を用いて被測定物そのものの寸法を物理的に測定す
ることができるので、分析スリット板のスリットの寸法
を正確にかつ速やかに測定することができる。その結
果、分析スリット板のスリットの寸法増大を正確かつ速
やかに検出することが可能になる。
【0056】請求項2記載の発明によれば、上記のよう
な赤外線カメラおよびデータ処理装置を備えていて、赤
外線を用いて被測定物そのものの中心位置を物理的に測
定することができるので、分析スリット板のスリットの
中心位置と、当該分析スリット板に当たるイオンビーム
の中心位置とを正確にかつ速やかに測定することができ
る。その結果、両者の位置ずれを正確かつ速やかに検出
することが可能になる。
【0057】請求項3および4記載の発明によれば、上
記のような赤外線カメラおよびデータ処理装置に加え
て、上記のような補正制御装置を更に備えているので、
分析スリット板のスリットの中心位置と、当該分析スリ
ット板に当たるイオンビームの中心位置とのずれを自動
的に補正して、両中心位置を自動的に一致させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るイオン注入装置の一例を示す図
である。
【図2】図1中の分析スリット板のP視図であり、イオ
ンビームの中心とスリットの中心とが一致している場合
のイオンビームおよび温度分布の概略例を併せて示す。
【図3】イオンビームの中心とスリットの中心とが一致
している場合の分析スリット板の温度分布の一例を示す
図であり、(A)は分析スリット板のy=0でのx軸上
の温度分布、(B)は分析スリット板のx=0でのy軸
上の温度分布を示す。
【図4】イオンビームの中心がスリットの中心からずれ
ている場合の分析スリット板の温度分布の一例を示す図
であり、(A)は分析スリット板のy=0でのx軸上の
温度分布、(B)は分析スリット板のx=0でのy軸上
の温度分布を示す。
【図5】従来のイオン注入装置の一例を示す図である。
【図6】図5中の分析スリット板のP視図であり、イオ
ンビームの断面を併せて示す。
【符号の説明】
2 イオン源 6 引出し電極系 8 イオンビーム 12 電極駆動装置 16 分析マグネット 22 マグネット電源 24 分析スリット板 26 スリット 28 ターゲット 36 赤外線カメラ 38 データ処理装置 42 補正制御装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン源から引き出したイオンビーム
    を、分析マグネットおよび分析スリット板のスリットを
    通してターゲットへ入射させる構成のイオン注入装置に
    おいて、前記分析スリット板のスリットを含む領域の温
    度分布を測定して当該温度分布を表す温度データを出力
    する赤外線カメラと、この赤外線カメラからの温度デー
    タを処理して前記分析スリット板のスリットの寸法を測
    定するデータ処理装置とを備えることを特徴とするイオ
    ン注入装置。
  2. 【請求項2】 イオン源から引き出したイオンビーム
    を、分析マグネットおよび分析スリット板のスリットを
    通してターゲットへ入射させる構成のイオン注入装置に
    おいて、前記分析スリット板のスリットを含む領域の温
    度分布を測定して当該温度分布を表す温度データを出力
    する赤外線カメラと、この赤外線カメラからの温度デー
    タを処理して前記分析スリット板のスリットの中心位置
    および当該分析スリット板に当たる前記イオンビームの
    中心位置を測定するデータ処理装置とを備えることを特
    徴とするイオン注入装置。
  3. 【請求項3】 イオン源から引き出したイオンビーム
    を、分析マグネットおよび分析スリット板のスリットを
    通してターゲットへ入射させる構成をしており、かつ前
    記分析マグネットを励磁するマグネット電源を備えるイ
    オン注入装置において、前記分析スリット板のスリット
    を含む領域の温度分布を測定して当該温度分布を表す温
    度データを出力する赤外線カメラと、この赤外線カメラ
    からの温度データを処理して前記分析スリット板のスリ
    ットの中心位置および当該分析スリット板に当たる前記
    イオンビームの中心位置を測定するデータ処理装置と、
    このデータ処理装置で測定した前記スリットの中心位置
    に前記イオンビームの中心位置が一致するように、前記
    マグネット電源を制御して前記分析マグネットで発生さ
    せる磁場の強さを補正する補正制御装置とを備えること
    を特徴とするイオン注入装置。
  4. 【請求項4】 引出し電極系を有するイオン源から引き
    出したイオンビームを、分析マグネットおよび分析スリ
    ット板のスリットを通してターゲットへ入射させる構成
    をしており、かつ前記引出し電極系を動かす電極駆動装
    置を備えるイオン注入装置において、前記分析スリット
    板のスリットを含む領域の温度分布を測定して当該温度
    分布を表す温度データを出力する赤外線カメラと、この
    赤外線カメラからの温度データを処理して前記分析スリ
    ット板のスリットの中心位置および当該分析スリット板
    に当たる前記イオンビームの中心位置を測定するデータ
    処理装置と、このデータ処理装置で測定した前記スリッ
    トの中心位置に前記イオンビームの中心位置が一致する
    ように、前記電極駆動装置を制御して前記イオン源の引
    出し電極系の位置を補正する補正制御装置とを備えるこ
    とを特徴とするイオン注入装置。
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