JP2003344248A - 材料試験機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】環境測定データを自動的に取り込み、材料試験
データを環境測定データによりリアルタイムで補正しう
る材料試験機を提供する。 【解決手段】試験片１１の近傍、例えば引張試験機では
クロスヘッド７上に、環境状態を検出する温度センサ１
４、湿度センサ１５、振動センサ１６などを配設し、荷
重センサ１２、変位センサ１３と共に、これらの出力信
号を計測制御装置２０に取り込み、試験時応力−歪み特
性を求める演算処理を行うと共に、予め前記計測制御装
置２０に基準環境状態と試験環境状態での同一応力に対
する変位差を記憶しておき、前記試験時応力−歪み特性
を基準環境状態の応力−歪み特性に変換して表示する。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、企業や研究所にお
いて使用される、材料の評価試験を行う材料試験機に関
する。 【０００２】 【従来の技術】材料の機械的性質は、一般的には材料試
験機による引張試験、圧縮試験、曲げ試験などにより測
定され、その良否が評価される。例えば、材料の引張強
度を試験するには、図６に示すような材料試験機が用い
られる。この材料試験機は、モータ１、ギヤー２、３、
４、ネジ棒５、６及びクロスヘッド７からなるクロスヘ
ッド昇降機構と、前記クロスヘッド７及びテーブル８に
係着されたチャック９、１０からなる試験片把持機構か
ら構成される試験力負荷機構と、前記クロスヘッド７上
に配設され、試験力を検出するための荷重センサ１２
と、テーブル８の上部に配設され、例えばエンコーダの
ような変位センサ１３からなる試験力変位検出手段と、
前記荷重センサ１２および変位センサ１３からの荷重検
出信号１２ａおよび変位検出信号１３ａを計測し、オペ
レーションパネル１７やプリンタ１８に表示すると共
に、前記試験力負荷機構にモータ制御信号１ａを出力す
る計測制御装置１９から構成されている。この材料試験
機から得られた引張試験力に対応した変位、すなわち歪
みなどのサンプリングデータは、そのままデータ処理さ
れ図表に変換されて前記オペレーションパネル１７やプ
リンタ１８などに出力されている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】従来の材料試験機は、
上記のように構成されているが、試験片によっては負荷
をかけることなく温度変化によって大きく伸縮するもの
があったり、歪み発生部材とひずみゲージとを組み合わ
せて試験力を電気信号に変換するロードセルでは、出力
信号が周囲温度によりドリフトしたりする。また、変位
測定機にレーザを使用した場合、温度、気圧、振動など
により大きく影響を受けたりするため、試験された各材
料のサンプリングデータは同一環境条件で試験されたも
のでなければ、機械的性質の正確な比較評価が行えない
という問題がある。 【０００４】従来、同一環境条件で材料試験を行うため
には、材料試験機を恒温室等に設置する必要があるが、
そのためには大きなスペースを要し、当初の設置可能ス
ペースやレイアウトの変更などにより恒温室を設けるの
が困難な場合が多い。このような場合、材料試験後に材
料試験データを同一条件で比較するため、基準の環境状
態におけるデータに置き換えるための補正を行わねばな
らず、そのために多大の労力を必要とした。本発明は、
このような事情に鑑みてなされたものであって、試験力
や変位量などのサンプリングデータと共に環境測定デー
タを自動的に取り込み、材料試験データを環境測定デー
タにより補正することができる材料試験機を提供するこ
とを目的とする。 【０００５】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の材料試験機は、試験片に試験力を負荷する
試験力負荷機構と、該試験力を検出する荷重センサと、
該試験片の変位を検出する変位検出手段と、変位検出信
号から変位を計測し、計測結果を表示すると共に前記試
験力負荷機構を制御する制御信号を送る計測制御装置と
を備えた材料試験機において、環境状態を測定する測定
器と、試験実行のタイミングで環境測定データを自動的
に取り込む手段と、該環境測定データにより材料試験デ
ータを自動的に補正する手段を備えているものである。
本発明の材料試験機は上記のように構成されており、環
境条件の異なる材料試験データを同一環境条件のデータ
に変換して取得することができ、試験データの正確な評
価が行える。 【０００６】 【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳細
に説明する。図１は、本発明の材料試験機により試験片
１１の引張試験を行う場合の構成を示す概略構成図であ
る。図において、従来の材料試験機と同様な構成要素に
は同一の符号を付している。本材料試験機は、モータ
１、ギヤー２、３、４、ネジ棒５、６及びクロスヘッド
７からなるクロスヘッド昇降機構と、前記クロスヘッド
７及びテーブル８に係着されたチャック９、１０からな
る試験片把持機構とから構成される試験力負荷機構と、
前記クロスヘッド７上に配設された試験力を検出するた
めの荷重センサ１２と、温度センサ１４、湿度センサ１
５、振動センサ１６等の環境状態を検出するセンサ群
と、テーブル８の上部に配設された、例えばエンコーダ
のような変位センサ１３と、計測制御装置２０から構成
されている。 【０００７】図２は、前記計測制御装置２０の構成を示
したもので、前記変位センサ１３からの変位検出信号１
３ａは信号変換器２１により変位、すなわち歪みに比例
したディジタル信号に変換され、また前記荷重センサ１
２、温度センサ１４、湿度センサ１５及び振動センサ１
６からの荷重検出信号１２ａ、温度検出信号１４ａ、湿
度検出信号１５ａ及び振動検出信号１６ａはマルチプレ
クサ２２で順次切り替えられ、サンプリングホールド回
路２３でサンプリングホールドされた後、ＡＤコンバー
タ２４によりディジタル信号に変換される。 【０００８】前記信号変換器２１及びＡＤコンバータ２
４の出力信号は、入力インターフェース２５を介して演
算処理を実行するＣＰＵ３１、演算制御プログラムを格
納したＲＯＭ３２、演算パラメータやデータを記憶して
おくＲＡＭ３３及び材料試験データを環境測定データに
基ずいて補正するための情報を記憶させておくフロッッ
ピーディスクなどの記憶媒体を用いる記憶装置３４をコ
モンバスにより結合して構成された演算制御部３０に入
力される。演算制御部３０で演算処理された材料試験デ
ータは入出力インターフェース２６を介してオペレーシ
ョンパネル１７に出力されて、画面上に表示され、モー
タ制御信号１ａは出力インターフェース２７を介して前
記モータ１へ出力される。 【０００９】前記試験片１１に加える荷重Ｗに比例する
試験力により発生対応する変位（歪み）δは、試験片１
１の周辺の温度ｔ、湿度ｈ、振動ｖの関数として、次式
で表される。 δ＝ｆ（Ｗ、ｔ、ｈ、ｖ） （１） また、基準状態での変位量をδ０、温度をｔ０、湿度を
ｈ０、振動をｖ０とすると、変位δ０は次式で表され
る。 δ０＝ｆ（Ｗ、ｔ０、ｈ０、ｖ０） （２） 上記（１）、（２）式より、基準状態時での変位δ０と
試験状態時での変位δとの変位差Δδは、次式で表され
る。 Δδ＝ｆ（Ｗ、ｔ、ｈ、ｖ）−ｆ（Ｗ、ｔ０、ｈ０、ｖ０） （３） 【００１０】上記変位差Δδは、試験片周辺の温度、湿
度、振動が種々変化した時に発生する変位差であるの
で、本発明では、予めこの変位差Δδを測定して収集し
ておくか、経験的あるいは理論的に求められた補正式か
ら算出できるようにしておき、これらの情報を前記記憶
装置３４に記憶させておき、この情報を前記ＲＡＭ３３
に移し変えて材料試験を行う。 【００１１】計測制御装置２０からのモータ制御信号１
ａによりモータ１を低速度で回転させると、その回転力
はギヤー２を介してギヤー３、４に伝達され、このギヤ
ー３、４の回転軸に結合されたネジ棒５、６を回転さ
せ、一定速度でクロスヘッド７を昇降させる。このクロ
スヘッド７の直線的な昇降運動により、テーブル８とク
ロスヘッド７に係着されたチャック９、１０を介して把
持された試験片１１に試験力が負荷される。この試験片
１１に働く試験力はクロスヘッド７に取り付けられた荷
重センサ１２の荷重検出信号１２ａにより、周囲温度は
温度センサ１４の温度検出信号１４ａにより、周囲湿度
は湿度センサ１５の湿度検出信号１５ａにより、試験片
１１に加わる振動は振動センサ１６の振動検出信号１６
ａにより、また、試験片１１の伸びは変位センサ１３に
よって検出される変位検出信号１３ａにより前記計測制
御装置２０に入力される。 【００１２】図３は、前記計測制御装置２０において、
演算処理される手順をフローチャートで示したものであ
る。本材料試験機に試験片１１を把持して引張試験をス
タートさせると、計測制御装置２０からのモータ制御信
号１ａにより一定の速度でモータ１が駆動され、試験片
１１も一定の速度で変位しながら伸びていく（ＳＴ
１）。この状態で一定時間毎に各センサから変位δ、試
験力Ｗ、温度ｔ、湿度ｈ、振動ｖが短時間内にサンプリ
ングされ、ＣＰＵ３１に取り込まれる（ＳＴ２）。次に
ＲＡＭ３３に記憶されている環境状態に対応した変位差
Δδのデータあるいは補正式よりΔδを読み出して（Ｓ
Ｔ３）、基準状態での変位δ０（＝δ−Δδ）を算出し
てＲＡＭ３３メモリに記憶する（ＳＴ４）。試験力が破
壊応力に到達しない場合は、ＳＴ２に戻り処理を繰り返
し、到達した場合にはＳＴ６に進む（ＳＴ５）。サンプ
リングした荷重Ｗ、変位δと算出された変位δ０とを用
いて例えば図４に示すような弾性限界、降伏点、破壊点
位置を示す応力−歪み特性図や図５（ａ）、（ｂ）に示
すような試験データと、降伏応力や破壊応力などを記載
した特性値表などの図表を作成し（ＳＴ６）、これらの
図表をオペレーションパネル１７やプリンタ１８に表示
する（ＳＴ７）。 【００１３】上記実施例による材料試験機においては、
試験片の引張試験を行う場合について示しているが、本
発明は、圧縮や曲げなどその他の試験を行う場合にも適
用されるものであり、環境センサの種類においても前記
温度センサ１４、湿度センサ１５、振動センサ１６に限
定するものではなく、例えば気圧センサなど必要に応じ
てその他の環境センサを用いることもできる。また環境
センサの配置位置は、チャック９、１０に取り付けられ
た状態の試験片１１に近いことが望ましく、例えばチャ
ック９、１０自体に取り付けても良い。 【００１４】 【発明の効果】本発明による材料試験機は、環境の変化
をリアルタイムでサンプリングデータと共に自動的に取
り込み補正を行うので、データ処理結果に差があった場
合、原因究明が容易にできる。また、環境測定データを
同時に保存することにより、試験空間の環境変化を確認
することができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の実施例による材料試験機の概略構成図
である。 【図２】実施例に係わる計測制御装置の構成図である。 【図３】計測手順を示す概略フローチャート図である。 【図４】材料試験機で出力される試験片の応力−歪み特
性図である。 【図５】材料試験機で出力される試験片の特性値表を示
す図である。 【図６】従来の材料試験機の概略構成図である。 【符号の説明】 １…モータ １ａ…モータ制御信号 ２、３、４…ギヤー ５、６…ネジ棒 ７…クロスヘッド ８…テーブル ９、１０…チャック １１…試料片 １２…荷重センサ １２ａ…荷重検出信号 １３…変位センサ １３ａ…変位検出信号 １４…温度センサ １４ａ…温度検出信号 １５…湿度センサ １５ａ…湿度検出信号 １６…振動センサ １６ａ…振動検出信号 １７…オペレーションパネル １８…プリンタ １９、２０…計測制御装置 ２１…信号変換器 ２２…マルチプレクサ ２３…サンプリングホールド回路 ２４…ＡＤコンバータ ２５…入力インターフェース ２６…入出力インターフェース ２７…出力インターフェース ３０…演算制御部 ３１…ＣＰＵ ３２…ＲＯＭ ３３…ＲＡＭ ３４…記憶装置

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】試験片に試験力を負荷する試験力負荷機構
   と、該試験力を検出する荷重センサと、該試験片の変位
   を検出する変位検出手段と、変位検出信号から変位を計
   測し、計測結果を表示すると共に前記試験力負荷機構を
   制御する制御信号を送る計測制御装置とを備えた材料試
   験機において、環境状態を測定する測定器と、試験実行
   のタイミングで環境測定データを自動的に取り込む手段
   と、該環境測定データにより材料試験データを自動的に
   補正する手段を備えていることを特徴とする材料試験
   機。