JP2008191009A - 船舶用鋼材の衝撃特性予測方法 - Google Patents

船舶用鋼材の衝撃特性予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】船舶が岩などに衝突して座礁し、破損に至るまでの衝撃特性(衝突時における吸収エネルギー)を正確に精度良く、且つ簡便に、予測または評価する方法を提供する。
【解決手段】船舶用鋼材の衝撃特性を予測する方法であって、補強部材で囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、下式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)とを包含している。
船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
=0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
式中、b :船舶用鋼材の短辺サイズ(mm)、
t :船舶用鋼材の板厚(mm)、
φ :剛球の直径(mm)である。
【選択図】なし

Description

本発明は、航行中の船舶が岩などに衝突して座礁し、破損に至るまでの衝撃特性(衝突時における吸収エネルギー)を予測または評価する方法、および耐座礁性に優れた船舶用鋼材の選定方法に関するものである。
船舶が岩などに衝突して座礁し、破損すると、船舶の外板が破れて燃料などの油が流出し、深刻な環境汚染を招くほか、機器などが破損するなどして火災などの二次災害に繋がる可能性がある。
そこで、船舶が岩などに衝突し、座礁しても船舶が破損しない耐座礁性(耐衝撃性)に優れた船舶用鋼材を提供するため、種々の検討がなされている。例えば、以下に示す特許文献1および特許文献2には、「耐座礁性に優れた船舶用鋼材を提供するには、船舶が破損に至るまでのエネルギー吸収量を大きくすれば良い」という考えに基づき、図11に示す応力−ひずみ線図(Stress−strain diagram、以下、「SS線図」と呼ぶ場合がある。)の面積が大きくなるように、船舶用鋼材の材質設計を行っている。
具体的には、特許文献1には、衝突時のエネルギーを吸収して船舶の破壊を防止し得る耐衝撃吸収性(耐座礁性と同義)に優れた鋼板について記載されている。ここには、(ア)衝突時の吸収エネルギーを高めるには、船舶用鋼材の伸び特性(破断伸び:EL)と強度特性(降伏応力YP,引張強度TS)の両方に優れていることが必要であること、(イ)そして、一般に鋼板が破断するまでのエネルギー吸収EAは、EA=[(YP+TS)×EL/2]で表されること(式中、YPは降伏応力、TSは引張強度、ELは破断伸びである)が記載されている。ここで、破断伸びELは、図11に示す全伸びと同義である。
また、特許文献2には、船舶の衝突時などの損害抑制に効果がある高い一様伸びを有する耐衝突性に優れた鋼材について記載されている。一様伸びは、図11に示す均一伸び(最高荷重点における伸び)のことである。ここには、(ア)耐衝突性に優れた鋼材を提供するためには、衝突時のエネルギーを鋼材自体に多く吸収させることが必要であること、(イ)従来は、衝突時のエネルギー吸収を、鋼材の強度−延性バランス(降伏応力と破断応力緩和層の平均)と全伸びの積として評価し、強度と全伸びの両者の向上によって吸収エネルギーの増加を図っていること、(ウ)しかし、全伸びによる吸収エネルギーの評価は、必ずしも船体構造の安全性の評価に繋がるとはかぎらず、耐衝突性を議論する場合には相応しくないこと、すなわち、引張試験における標点距離とは比べものにならない長大なスパンで防撓材に支えられている船体外板の伸び変形を評価するには、試験片形状の影響を受ける局部伸びを含んだ全伸びの評価は適しておらず、衝突時の吸収エネルギーを考える場合には、船体外板の伸び特性と相関が高いと判断される一様伸びで評価する必要があること、が記載されている。
特開平11−193448号公報 特開2001−262282号公報
このように、前述した特許文献の船舶用鋼材の耐衝突性向上技術は、いずれも、SS線図のみを考慮し、材料(船舶用鋼材)のエネルギー吸収量を高めれば良いという観点に基づき、提案されたものである。
しかしながら、現実には、座礁により船舶が大きく変形する領域は、衝突部(船舶の一部分)に集中し、引張試験片を用いて引張試験を行ったときのように、試験片全体が変形する訳ではない。従って、実際の衝突態様に鑑みれば、耐衝突性に優れた船舶用鋼材の提供に当たっては、上記の「材料のエネルギー吸収量」のみを考慮するのでは不充分であり、船舶の外板などを構成する船舶用鋼材が大きく変形する領域の大きさ、すなわち、「衝突部の変形領域の大きさ」も当然のことながら考慮すべきであるが、後者の要件も考慮したうえで船舶用鋼材の耐衝突性(耐座礁性)の改善を図った技術は、未だ、提案されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、船舶が岩などに衝突して座礁し、破損に至るまでの衝撃特性(衝突時における吸収エネルギー)を正確に精度良く、且つ簡便に、予測または評価することのできる船舶用鋼材の衝撃特性予測方法および船舶の衝撃特性評価方法、並びに耐座礁性に優れた船舶用鋼材の選定方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る船舶用鋼材の衝撃特性予測方法は、補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、下式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、を包含するところに要旨を有している。
船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
=0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
式中、TS:引張強度(MPa)、
YP:降伏応力(MPa)、
UE:均一伸び(%)、
b :船舶用鋼材の短辺サイズ(mm)、
t :船舶用鋼材の板厚(mm)、
φ :剛球の直径(mm)である。
また、上記課題を解決することのできた本発明に係る船舶の衝撃特性評価方法は、補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、上式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、上式(I)によって算出される前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較する工程(e)と、を包含するところに要旨を有している。
また、上記課題を解決することのできた本発明に係る耐座礁性に優れた船舶用鋼材の選定方法は、補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、上式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、上式(I)によって算出される前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較する工程(e)と、前記E1と前記E2との差(E1−E2)の絶対値(E0)が0超のとき、前記E1が前記E2と等しくなるように、前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS、YP,およびUEを変更する工程(f)と、を包含するところに要旨を有している。
また、上記課題を解決することのできた本発明に係る耐座礁性に優れた船舶用鋼材の選定方法は、補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、上式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、上式(I)によって算出される前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較する工程(e)と、前記E1と前記E2との差(E1−E2)の絶対値(E0)が0超のとき、前記E1が前記E2と等しくなるように、前記船舶用鋼材の短辺サイズb(mm)および板厚tを変更する工程(g)と、を包含するところに要旨を有している。
本発明の船舶用鋼材衝撃特性予測方法によれば、上式(I)に示すように、船舶用鋼材の吸収エネルギーを、SS線図を構成する引張特性パラメータ(船舶用鋼材のTS、YP、UE)と、「衝突部の変形領域の大きさ」を考慮した構造パラメータ(船舶用鋼材の短辺サイズ、板厚、当該船舶用鋼材に衝突する岩を模擬した剛球の直径)とに基づいて算出しているため、上式(I)によって予測される船舶用鋼材の吸収エネルギー(E1)は、現実の衝突時(座礁時)における船舶用鋼材の衝撃吸収エネルギーを、より相関性良く反映させたものとなる。
従って、上式(I)によって算出される船舶用鋼材の吸収エネルギー(E1)を用いれば、航行中の船舶用鋼材が座礁したときの衝撃特性を一層正確に精度良く、しかも簡便に評価することができる。
更に、上式(I)によって算出される船舶用鋼材の吸収エネルギー(E1)を利用すれば、船舶メーカーの設計指針などに最も適した船舶用鋼材の開発指針(引張特性からの開発指針、構造面からの開発指針)を提供することもできる。具体的には、上式(I)によって算出された吸収エネルギー(E1)を、船舶の設計指針に基づいて適宜設定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値(E2、メーカー側から通常提供される値)と比較し、E1がE2と一致しない(E1≠E2)ときは、両者が一致し得るように、船舶用鋼材の引張特性(TS、YP、UE)を適宜変更したり、船舶用鋼材の構造特性(b、t)を適宜変更するなどの開発指針を提供することが可能である。これにより、船舶メーカーの設計指針に最も適した、耐座礁性に著しく優れた安全氏の極めて高い船舶用鋼材を確実に選定することができるため、船舶用鋼材の開発効率が一層高められると考えられる。
このように、本発明によるシミュレーション法は、航行中の船舶の衝撃特性を、極めて精度良く正確に、且つ簡便に評価し得るものとして、大いに期待される。
耐座礁性に優れた船舶用鋼材を提供するためには、船舶が破損に至るまでの衝撃特性(衝突時の吸収エネルギー)を正確に精度良く予測し得る技術(具体的には、船舶用鋼材吸収エネルギー算出手段)の確立が極めて重要である。精度の高い技術が構築されれば、それを利用して、航行中の船舶の耐衝撃特性(安全性)を評価することができるし、また、船舶メーカーの設計指針などに最も適した船舶用鋼材を選定(選別)することも可能だからである。
ところが、従来の船舶用鋼材吸収エネルギー算出手段は、前述したように、SS線図のみを考慮して決定されたものに過ぎず、吸収エネルギーの算出に大きな影響を及ぼす「衝突部の変形領域の大きさ」については全く考慮していない。そのため、従来の方法は、実態を反映させたものとはいえず、正確さや精度の点で不充分である。
このような観点に基づき、本発明者は更に検討を進めた。その結果、船舶用鋼材の吸収エネルギーを、下式(I)に示すように、引張特性パラメータ(TS、YP、UE)と、「衝突部の変形領域の大きさ」を考慮した構造パラメータ(t、b、φ)とに基づいて算出すれば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
=0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
式中、TS:引張強度(MPa)、
YP:降伏応力(MPa)、
UE:均一伸び(%)、
b :船舶用鋼材の短辺サイズ(mm)、
t :船舶用鋼材の板厚(mm)、
φ :剛球の直径(mm)である、
このように、本発明の最大の特徴は、耐座礁性に優れた船舶用鋼材を提供するための重要な評価基準である「船舶用鋼材の吸収エネルギー」を、引張特性パラメータ(船舶用鋼材のTS、YP、UE)と、「衝突部の変形領域の大きさ」を考慮した構造パラメータ(船舶用鋼材の短辺サイズb、板厚t、当該船舶用鋼材に衝突する岩を模擬した剛球の直径φ)とに基づいて定めたところにある。
以下、上式(I)を特定するに至った基礎実験を踏まえ、本発明を詳細に説明する。
(1)船舶用鋼材の吸収エネルギー予測用モデル
本発明では、船舶用鋼材の吸収エネルギーを正確に精度良く、且つ簡易に予測するために、図1に示す船舶衝突を模擬した解析モデルを用いた点に特徴がある。
この解析モデルは、「衝突によって船舶が変形する領域は、船舶全体ではなく、その一部分である衝突部に集中する」という船舶座礁の実態を考慮して作成されたものであり、図1および図2に示すように、有限領域を有する平板1の一部分に対し、剛球2を押し付けるというものである。このような剛球を用いた解析モデルを用いることにより、解析材料(船舶用鋼材)の吸収エネルギーだけでなく、衝突によって大きく変形する領域寸法(衝突部の寸法)も考慮された、材料(船舶用鋼材)が破損に至るまでの吸収エネルギー量を決定することができる。
以下、図1および図2を参照しながら、本発明に用いられる解析モデルについて、詳しく説明する。
図1は、船舶が岩と衝突したときの様子を模擬したものであり、平板1の中央部近傍に剛球2が衝突したときの様子を模式的に示す図である。ここで、平板1は、船舶の外板を模擬したものであり、長辺a、短辺b、板厚tからなる直方体である。平板1の周囲(外周)は、補強部材3で囲まれている。これは、通常、船舶の外板は格子状に補強(完全拘束)されていることを考慮したものである。また、剛球2は、船舶に衝突する岩を模擬したものである。
図2(a)は、平板1に剛球2が押し込まれて平板1が変形する様子を模式的に示す図であり、図2(b)は、図2(a)のA方向からみた様子を模式的に示す図である。
すなわち、本発明では、「船舶用鋼材の吸収エネルギーが最も小さくなる(すなわち、船舶が最も破損しやすくなる)のは、補強部材で囲まれた平板1の中央部に岩がぶつかるときである」ことを考慮し、破損が最も発生しやすい条件下でのモデルとして、図1に示す解析モデルを定めた次第である。裏返せば、図1に示す解析モデルは、安全性を最も重視して作成されたものであり、当該解析モデルに基づく本発明の衝撃特性予測方法は、船舶の衝突事故による破損を最小限に抑えることが可能な方法であると位置づけられると考えられる。
(1a)平板
平板1の大きさは、適用される船舶の種類などに応じて適宜変更可能であるが、おおむね、長辺a:1000〜2000m×短辺b:1000〜10,000mの範囲内であることが好ましい。
上式(I)では、平板1の短辺bのみを規定し、平板1の長辺aは規定していない。長辺側に比べて短辺側の方が拘束部に近いため、大きな応力が発生しやすいことを考慮すると、平板1の短辺bのみを規定すれば充分と考えられるからである。
また、平板1の板厚tは、適用される船舶の種類などに応じて適宜変更可能であるが、おおむね、5〜20mの範囲内であることが好ましい。
(1b)剛球
本発明では、船舶に衝突する岩を模擬して剛球2を用いている。「剛球」とは、一般には、剛性(曲げやねじりの力に対して寸法変化の小さいこと)を有する球体を意味するが、本発明では、平板の板厚に比べて充分に大きい径(おおむね10倍以上)を有する中実の球体を意味する。本発明では、最も安全な評価手段・予測手段を提供するために、上記の剛球を用いることにした。
なお、本発明において、上記のように「球体」とした理由は、技術的なものではなく、本発明による評価方法を用いて材料選定を行なうに当たり、材料間の比較が容易になるなどの「簡便性」に基づくものである。実際には、岩の形状は球状でなく、様々な平面形状を有する多面体などから構成されているため、例えば、岩の形状をも考慮した形状とすることも考えられるが、そうすると、例えば、船舶メーカーの設計指針などに適した材料を選択するときの比較が複雑になり、簡便な評価方法とはいい難い。そこで、便宜上、「球体」と定めることにした。
なお、岩の形状、大きさ、材質などに関するデータベースを船舶メーカーなどから入手できる場合は、当該データベースを参考にして、剛体の形状を変更することも可能である。これにより、より定量的な評価が可能となる。
剛球2のサイズは、適用される船舶などの種類に応じ、想定される岩のサイズを考慮して適宜変更可能であるが、おおむね、直径が500〜1000mmの範囲内であることが好ましい。
また、剛球2と平板1とのサイズの比は、例えば、剛球2の直径φに対する、平板1の短辺サイズbの比が1以上であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる剛球2は、上記要件を満足する剛球であれば良く、他の要件、例えば、剛球2の重量、剛球2が平板1に衝突するスピードなどは考慮しなくても良い。剛球2の重量は、通常、材料の衝撃特性を決定するのに重要でないと考えられる。また、現実に、船舶が岩に衝突するときのスピードは、ほぼ、0に近いことを考慮すれば、衝突時のスピードは無視してよいと考えられる。
(2)引張特性パラメータ(船舶用鋼材のTS、YP、UE)の算出
本発明も、従来と同様、図11に示すSS線図に基づいて引張特性パラメータ(TS、YP,伸び特性)を算出し、得られた各パラメータを用いて、上式(I)を設定している。本発明では、特に、(ア)伸びの指標としてUE(均一伸び)を用いており、塑性変形までを考慮に入れたSS線図を設定している点、(イ)YP(降伏応力)が小さい程、船舶の吸収エネルギーは小さくなることを明らかにした点に、特徴がある。
このうち、上記(ア)については、前述した特許文献2にも記載されている。全伸びではなく均一伸びを用いた理由は、前述した特許文献2とほぼ同様の観点に基づくものであり、材料の歪が均一伸びを超えると、局所伸びが発生するためにエネルギーを殆ど吸収することができなくなると考えられるからである。そのため、本発明では、平板中の相当塑性ひずみの最大値が均一伸びに達する時点を「材料の破壊点」として設定した。
一方、上記(イ)の知見は、本発明者によって初めて見出されたものである。前述した特許文献のいずれにも、以下に示すように、当該知見と全く逆のことが記載されている。
すなわち、前述した特許文献の方法は、いずれも、「耐座礁性に優れた船舶用鋼材を得るためには、伸び特性[特許文献1では破断伸び(=全伸び)、特許文献2では一様伸び(=均一伸び)]を確保しつつ、強度特性である降伏応力YPと引張強度TSとの和(YP+TS)を上昇させれば良い」という観点に基づき、提案されたものである。換言すれば、船舶用鋼材の吸収エネルギーを高め、耐座礁性に優れた船舶用鋼材を得るためには、UEもTSもYPも、すべて、大きければ大きいほど良い、というものである。
しかしながら、以下に示す本発明者の基礎実験によれば、驚くべきことに、上記の引張特性パラメータ(UE、TS、YP)のうち、YPのみは全く逆の傾向を示し、上式(I)に示すように、UEは、むしろ小さい方が良く、これにより、船舶用鋼材の吸収エネルギーは大きくなることが明らかになった。この知見は、従来の評価方法では到底得られないものであり、特筆すべき事項である。
(3)上式(I)について
上記背景のもと、本発明では、図1に示す解析モデルを使用し、平板1に剛球2が押し込まれて平板1が変形したときの引張特性(TS、YP、UE)を測定し、上式(I)を特定した。
以下、上式(I)に到達した基礎実験について、詳細に説明する。
(3a)基礎実験(解析)
まず、長辺a=2000〜20,000m、短辺b=2.5〜10m、板厚t=5〜20mmの直方体からなる種々の鋼製平板、および直径φ=0.5〜2mの種々の鋼製剛球2を用意する。平板1の周囲は、すべて、板厚:約100mm、板幅:約1mの補強部材3(YP:350〜500MPa材)で被覆されている。
次に、図2に示すように、平板1の中央部近傍に剛球2を、1mm/min以下の十分に低いスピードで押し込み、平板1を変形させた。
このときの引張特性(TS、YP、UE、EL)を以下の条件で測定した。平板の板厚1/4部位からJIS Z2201で規定されている14号試験片(平行部径は10mm)を用い、JIS Z2241で規定されている「金属材料引張試験方法」に基づいて、TS、YP、UE、およびELを測定した。引張試験時の試験速度は0.5mm/秒とした。なお、本発明法ではELの測定は不要であるが、ここでは、以下に示すように、従来法との対比検討を行なうため、測定した。
更に、平板1が破壊するまでの吸収エネルギーE(実測値、N・m)を算出した。吸収エネルギーEは、押込み荷重−押込み変位線図において、平板1が破壊するまでの線図面積として求めた。
得られた結果を表1および表2に示す。表1には、式(1)を構成する引張特性パラメータおよび構造パラメータを示し、表2には、前述した特許文献1に記載の吸収エネルギー算出式を構成する引張特性パラメータを示している。
Figure 2008191009
Figure 2008191009
図3〜図8は、上記表の結果に基づき、作成したグラフである。このうち、図3〜図5は、横軸に引張特性パラメータであるTS、YP、UEのいずれかをとり、縦軸に吸収エネルギーEをとってグラフ化したものであり、図6〜図8は、横軸に構造パラメータである平板の短辺b、板厚t、剛球の直径φのいずれかをとり、縦軸に吸収エネルギーEをとってグラフ化したものである。
これらの図より、TS及びUEの引張特性と、b、t、およびφの構造特性とは、いずれも、平板の吸収エネルギーと正の相関関係を示している(図3、図5〜図8を参照)のに対し、YPの引張特性は、平板の吸収エネルギーと負の相関関係を示しており(図4を参照)、YPの引張特性のみ、他のパラメータと異なる挙動を有していることが分かる。
詳細には、図3は、YP=350MPa、UE=0.1%、b=2.5m、t=9mm、φ=1mにおける、TS(引張強度)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。図3に示すように、TSとEとは、ほぼ、正の相関関係を示しており、最小二乗法に基づけば、TS2とEとは、高い相関関係を有していた。
図4は、TS=500MPa、UE=0.1%、b=2.5m、t=9mm、φ=1mにおける、YP(降伏応力)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。図4に示すように、YPとEとは、ほぼ、負の相関関係を示しており、最小二乗法に基づけば、YP-1とEとは、高い相関関係を有していることが分かった。
図5は、TS=500MPa、YP=350MPa、b=2.5m、t=9mm、φ=1mにおける、UE(均一伸び)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。図5に示すように、UEとEとは、ほぼ、正の相関関係を示しており、最小二乗法に基づけば、UE1.5とEとは、高い相関関係を有していることが分かった。
図6は、TS=500MPa、YP=350MPa、UE=0.1%、t=9mm、φ=1mにおける、b(平板の短辺長さ)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。図6に示すように、bとEとは、ほぼ、正の相関関係を示しており、最小二乗法に基づけば、b0.5とEとは、高い相関関係を有していることが分かった。
図7は、TS=500MPa、YP=350MPa、UE=0.1%、b=2.5m、φ=1mにおける、t(平板の板厚)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。図7に示すように、tとEとは、ほぼ、正の相関関係を示しており、最小二乗法に基づけば、tとEとは、高い相関関係を有していることが分かった。
図8は、TS=500MPa、YP=350MPa、UE=0.1%、b=2.5m、t=9mmにおける、φ(剛球の直径)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。図8に示すように、φとEとは、ほぼ、正の相関関係を示しており、最小二乗法に基づけば、φ2とEとは、高い相関関係を有していることが分かった。
上記の表、および図3〜図8の結果より、平板の吸収エネルギーE1(予測値)は、上記の引張特性パラメータ(TS、YP、UE)および構造パラメータ(b、t、φ)を用いて、下式(I)のように表される。
船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
=0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
図9は、上記のようにして導き出された上式(I)の吸収エネルギーE1(予測値)と、吸収エネルギーの実測値Eとの関係を示すグラフである。図9に示すように、E1とEとは、高い相関関係を有していることから、上式(I)を用いれば、平板の吸収エネルギー(実測値)を極めて精度良く、正確に予測・評価することができる。
参考のため、図10に、前述した特許文献1に記載されていた、材料の引張特性のみを考慮して算出される吸収エネルギーEA(EA=[(YP+TS)×EL/2]であり、式中、EL=全伸びである)と、平板の吸収エネルギー(実測値)との関係をグラフ化して示す。
図10に示すように、従来の算出方法によって予測される吸収エネルギーEAは、実測値Eとの相関関係が極めて低いことが分かる。
このように、本発明によって導き出される、上式(I)による吸収エネルギーの予測値E1は、従来の算出法に比べ、実測値Eと極めて高い相関関係を有していることが、上記実験からも確認された。
(4)上式(I)を用いた応用例
更に、上式(I)によって算出される吸収エネルギーの予測値E1は、例えば、以下の態様に応用することもでき、このような態様も、本発明の範囲内に包含される。
(4a)船舶の安全性評価方法
上式(I)によって算出される船舶用鋼材の吸収エネルギーの予測値E1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較することにより、船舶の安全性を間接的に評価することが可能である。
ここで、吸収エネルギーの基準値E2は、例えば、各船舶メーカーなどから提供してもらえば良い。通常、船舶メーカーは、船舶の設計指針に基づき、各メーカーごとに、独自の吸収エネルギー算出方法を採用していることが多く、安全性の指標となる「吸収エネルギーの基準値E2」にしても、各メーカーが、過去の履歴や実績などに応じて独自の安全性基準を設定していることが多い。本発明は、各メーカーによって任意に設定され得る吸収エネルギーの基準値E2を決定することまで包含しているものではなく、E2は、各メーカーから提供される値をそのまま利用することにし、このE2と、本発明によって導き出されるE1とを対比することにより、船舶の安全性を簡易に評価しようというものである。
具体的には、本発明法によって得られる予測値E1を、例えば、船舶メーカーに提供するなどし、船舶メーカーにおいて、吸収エネルギーの基準値E2と対比すれば、提供された解析モデル(船舶用鋼材)が、当該船舶メーカーの設計指針に合致するかどうか、すなわち、船舶メーカーの安全性基準に合致した船舶用鋼材であるかどうかを、簡便に、且つ、精度良く、評価することが可能である。
例えば、上式(I)によって算出される吸収エネルギーの予測値E1=600kN・mであり、船舶メーカーによる吸収エネルギーの基準値E2=600kN・mであるとき、E1=E2であるから、上記予測値E1を満足する材料(船舶用鋼材)は、当該船舶メーカーの設計指針に合致し、耐座礁性に極めて優れた安全性の高いものであるということが評価できる。
同様に、例えば、上式(I)によって算出される吸収エネルギーの予測値E1=700kN・mであり、船舶メーカーによる吸収エネルギーの基準値E2=600kN・mであるとき、E1>E2であるから、上記予測値E1を満足する材料は、当該船舶メーカーの設計指針を充分満足し得、安全性に極めて優れていると評価できる。
これに対し、上式(I)によって算出される吸収エネルギーの予測値E1=500kN・mであり、船舶メーカーによる吸収エネルギーの基準値E2=600kN・mであるとき、E2>E1であるから、上記予測値E1を満足する材料は、当該船舶メーカーの設計指針を満たさず、耐座礁性に劣り、安全性の低いものであると評価できる。
このような場合は、後記する(4b)に示すように、船舶用鋼材の引張特性パラメータや構造パラメータを適宜変更するなどし、E1≧E2となるように、当該船舶用鋼材の吸収エネルギーの予測値E1を高めることによって、船舶メーカーの設計指針に適した、安全性に優れた船舶用鋼材とすることが可能である。
(4b)耐座礁性に優れた船舶用鋼材の選定方法
(4b−1)引張特性パラメータの変更に基づく選定方法
上記の材料選定方法は、上式(I)によって算出される船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較し、E1とE2との差(E1−E2)の絶対値(E0)が0超のとき、E1がE2と等しくなるように、船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS、YP、およびUEを変更するというものである。
具体的には、上式(I)によって算出される吸収エネルギーの予測値E1=500kN・mであり、船舶メーカーによる吸収エネルギーの基準値E2=600kN・mのときは、E2≧E1となるように、例えば、TSおよびUEを大きくしてE1を高めたり、あるいは、YPを小さくしてE1を高めるなどすれば良い。
なお、本発明は、引張特性の指標を提供するだけであって、このような特性を満足し得る材料を提供することまで、意図している訳ではない。従って、鋼材メーカーなどは、上記の引張特性を満足するように鋼中成分や組織などを適宜適切に制御すれば良い。
(4b−2)構造パラメータの変更に基づく選定方法
上記の材料選定方法は、上式(I)によって算出される前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較し、E1とE2との差(E1−E2)の絶対値(E0)が0超のとき、E1がE2と等しくなるように、船舶用鋼材の短辺サイズb(mm)および板厚tを変更するというものである。
具体的には、上式(I)によって算出される吸収エネルギーの予測値E1=500kN・mであり、船舶メーカーによる吸収エネルギーの基準値E2=600kN・mのときは、E2≧E1となるように、例えば、平板の短辺サイズbや板厚tを大きくしてE1を高めることが有用である。
図1は、船舶が岩と衝突したときの様子を模擬したものであり、平板1の中央部近傍に剛球2が衝突したときの様子を模式的に示す図である。 図2(a)は、平板1に剛球2が押し込まれて平板1が変形する様子を模式的に示す図であり、図2(b)は、図2(a)のA方向からみた様子を模式的に示す図である。 図3は、YP=350MPa、UE=0.1%、b=2.5m、t=9mm、φ=1mにおける、TS(引張強度)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。 図4は、TS=500MPa、UE=0.1%、b=2.5m、t=9mm、φ=1mにおける、YP(降伏応力)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。 図5は、TS=500MPa、YP=350MPa、b=2.5m、t=9mm、φ=1mにおける、UE(均一伸び)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。 図6は、TS=500MPa、YP=350MPa、UE=0.1%、t=9mm、φ=1mにおける、b(平板の短辺長さ)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。 図7は、TS=500MPa、YP=350MPa、UE=0.1%、b=2.5m、φ=1mにおける、t(平板の板厚)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。 図8は、TS=500MPa、YP=350MPa、UE=0.1%、b=2.5m、t=9mmにおける、φ(剛球の直径)と吸収エネルギーの実測値Eとの関係をグラフ化したものである。 図9は、式(I)によって算出される吸収エネルギーE1(予測値)と、吸収エネルギーの実測値Eとの関係を示すグラフである。 図10は、[(TS+YP)×EL/2]の式(式中、EL=全伸び)によって算出される吸収エネルギーEAと、吸収エネルギーの実測値Eとの関係を示すグラフである。 図11は、応力とひずみとの関係を示す図(SS線図)である。
符号の説明
1 平板
2 剛球
3 補強部材
a 平板の長辺
b 平板の短辺
t 平板の板厚
φ 剛球の直径

Claims (4)

  1. 船舶用鋼材の衝撃特性を予測する方法であって、
    補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、
    前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、
    船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、
    下式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、
    船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
    =0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
    式中、TS:引張強度(MPa)、
    YP:降伏応力(MPa)、
    UE:均一伸び(%)、
    b :船舶用鋼材の短辺サイズ(mm)、
    t :船舶用鋼材の板厚(mm)、
    φ :剛球の直径(mm)である、
    を包含することを特徴とする船舶用鋼材の衝撃特性予測方法。
  2. 船舶の衝撃特性を評価する方法であって、
    補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、
    前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、
    船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、
    下式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、
    船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
    =0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
    式中、TS:引張強度(MPa)、
    YP:降伏応力(MPa)、
    UE:均一伸び(%)、
    b :船舶用鋼材の短辺サイズ(mm)、
    t :船舶用鋼材の板厚(mm)、
    φ :剛球の直径(mm)である、
    上式(I)によって算出される前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較する工程(e)と、
    を包含する船舶の衝撃特性評価方法。
  3. 耐座礁性に優れた船舶用鋼材を選定する方法であって、
    補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、
    前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、
    船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、
    下式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、
    船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
    =0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
    式中、TS:引張強度(MPa)、
    YP:降伏応力(MPa)、
    UE:均一伸び(%)、
    b :船舶用鋼材の短辺サイズ(mm)、
    t :船舶用鋼材の板厚(mm)、
    φ :剛球の直径(mm)である、
    上式(I)によって算出される前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較する工程(e)と、
    前記E1と前記E2との差(E1−E2)の絶対値(E0)が0超のとき、前記E1が前記E2と等しくなるように、前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS、YP,およびUEを変更する工程(f)と、
    を包含する船舶用鋼材の選定方法。
  4. 耐座礁性に優れた船舶用鋼材を選定する方法であって、
    補強部材で周囲が囲まれた船舶用鋼材を用意する工程(a)と、
    前記船舶用鋼材の引張特性パラメータであるTS:引張強度(MPa)、YP:降伏応力(MPa)、およびUE:均一伸び(%)を求める工程(b)と、
    船舶に衝突する岩を模擬した剛球を用意する工程(c)と、
    下式(I)に基づき、前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を算出する工程(d)と、
    船舶用鋼材の吸収エネルギーE1(N・mm)
    =0.8×(TS2×UE1.5×b0.5×t×φ2/YP)・・・(I)
    式中、TS:引張強度(MPa)、
    YP:降伏応力(MPa)、
    UE:均一伸び(%)、
    b :船舶用鋼材の短辺サイズ(mm)、
    t :船舶用鋼材の板厚(mm)、
    φ :剛球の直径(mm)である、
    上式(I)によって算出される前記船舶用鋼材の吸収エネルギーE1を、船舶の設計に基づいて決定される船舶用鋼材の吸収エネルギーの基準値E2と比較する工程(e)と、
    前記E1と前記E2との差(E1−E2)の絶対値(E0)が0超のとき、前記E1が前記E2と等しくなるように、前記船舶用鋼材の短辺サイズb(mm)および板厚tを変更する工程(g)と、
    を包含する船舶用鋼材の選定方法。
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