JP2003344238A - 希釈トンネル - Google Patents

希釈トンネル

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希釈トンネルを提供する。 【解決手段】 入口、出口、およびサンプルガスの内部
流路を備えたフロー室構造を有し、サンプルガスが入口
と出口との間でフロー方向に流れるように構成されてい
る、希釈トンネル。フロー室構造はフロー室構造の外側
の外部領域と内部流路との間を連通する複数の孔を有す
る。これらの孔は外部領域から内部流路内に希釈ガスを
導入するように構成されている。フロー室構造は、希釈
トンネルのフロー方向に変化する希釈トンネルの希釈率
を提供するように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エンジンまたは
他の発生源からの排気ガスのような、ガスをサンプリン
グする、より詳しくは、内部に含まれる粒子を分析する
ために、これらのガスをサンプリングするための希釈ト
ンネルに関する。
【0002】
【従来の技術】環境保護が益々重要視されることで、産
業界や政府は、新規の環境に優しい固定および移動発生
源を開発することだけでなく、既存の固定および移動発
生源の監視や規制により多大な資源を投じている。
【0003】例えば、排気ガスまたは動力付き車両から
の排出物質は、一定の最大汚染レベルを超えないように
米国連邦政府により規制されている。これらの規制のた
め、このような基準との適合性を調べるためにエンジン
を試験し、分析する益々より高度な試験設備が開発され
ている。例として、米国環境保護局(EPA)によって
制定された規制は、ディーゼルトラックエンジンのよう
な様々なタイプのエンジンに対する粒子状物質排出基準
を含む。規制される粒子状物質は、希釈後に収集できる
凝縮水以外の、排気ガス流内の物質である。これらの粒
子状物質は、凝集炭素粒子、吸着炭化水素、および硫酸
塩を含む。
【0004】このような規制に準拠させるために、発生
源の製造または使用に関わる産業界や、このような規制
を執行する政府関連機関は、排気ガスの希釈プロセスを
シミュレーションしようとするシステムに期待をかけて
いる。公知の方法は、希釈トンネルを有する制御された
サンプリングシステムを通して希釈空気を排気ガスに加
えることを含む。これらの方法を用いる重要な課題は、
希釈された排気ガスと希釈空気流に関して行われる測定
誤差の排除と、それらのそれぞれの流量を正確に制御し
なければならないことにある。
【0005】発生源のサイズ、より詳しくは、発生源か
らの排気ガスの質量流量が許せば、発生源からの総排気
ガス流が大量の希釈空気と混合される全サンプリング希
釈システム(full sampling dilut
ion system)を使用できる。但し、発生源の
サイズが大きすぎると、大きなサイズの対応する希釈ト
ンネルが必要となるため、全サンプリング希釈システム
を用いて行う試験が実用的でない場合、排気ガス流の一
部だけをサンプル抽出する、あまり大きな希釈トンネル
を必要としない比例サンプリングシステムが使用されて
も良い。
【0006】今日使用されている希釈システムの性能に
対する調査では、政府関連機関、試験機関、および発生
源製造者の間に極端なバラツキがあることが尚も指摘さ
れ続けている。このバラツキはマイナス効果となる。一
方で、試験機関間の相異は、結果判定の甘い機関が競争
上有利となる。他方で、観察された試験間のバラツキ
は、統計的に重要な結果を得るには多数の試験を実施し
なければならないので、試験の実施費用の増大となる。
試験間のバラツキに影響を及ぼす幾つかの粒子機構があ
るが、これらの最も重要な点は、熱泳動による、拡散、
重力沈殿および乱流のような機械的プロセスによる、お
よび付着粒子の再飛散や、付着した壁結合粒子との排気
ガス粒子の可溶性分の炭化水素気相交換による希釈トン
ネルおよびテールチューブ壁上への粒子付着である。従
って、付着機構の排除が最も望ましい。
【0007】特許文献1は、サンプリング装置の壁上へ
の熱泳動による粒子付着、およびこれらの壁結合粒子と
の対応炭化水素気相成分交換の排除を通じて試験結果の
バラツキを部分的に低減し、大規模な試験機関に匹敵す
る結果を得ることができる、完全に持ち運び可能なサン
プリングシステムを作るために希釈トンネルを小型化す
ることを目的とした希釈トンネルと、様々なエンジン動
作パラメータの監視、排気ガス回収率の自動制御、およ
び定常範囲の動作温度および圧力範囲内で事前選択され
たガイドライン内での空気希釈率の変更が可能なサンプ
リングシステムとを開示する。
【0008】特に、特許文献1は、エンジンの排気ガス
流内に配置されたサンプリングプローブ、清浄希釈空気
源、およびフィルタアセンブリを含む、希釈トンネルを
使用するガスサンプリングシステムを開示する。希釈ト
ンネルは、貫通する複数の分配穴を有する空気分配管ま
たはディフューザ管、複数の微細孔を有し、空気分配管
内に第1室を画成する多孔中心管、および空気分配管の
周囲に第2室を形成するハウジングを含む。第2室は希
釈空気源に連結され、中心管は、排気ガス流内のサンプ
リングプローブとフィルタアセンブリとの間に連結され
る。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,058,440号 明細
【0010】
【発明が解決しようとする課題】但し、公知のガスサン
プリングシステムは、ガスのサンプル流の希釈率を変更
する能力を欠いているので、これらのシステムによっ
て、様々な希釈プロセスについての正確なシミュレーシ
ョンを行うことができない。この欠点の程度を理解する
ためには、代表的な粒径測定結果のような、粒子分析の
正確な達成が、所与の用途に適していると見なされる場
合、大気希釈プロセスのシミュレーションに大きく依存
することを理解することが重要である。
【0011】例えば、トレーラを牽引する大型ディーゼ
ルトラックの排気管からの排気ガスは、排気管からの様
々な距離における一連の異なる希釈率を特徴とする以下
に特定する希釈プロセスを経る。(1)排気ガスが最初
に大気内に導かれる排気管近くの高速希釈率、(2)気
流が比較的安定、すなわち層流となるトレーラ部上の低
速希釈率、(3)気流が乱流となるトレーラ背後の中間
希釈率。他方で、発電所のような、固定発生源内では、
排気ガスは、排気管または排気スタックから出て来る時
間、および排気スタックからの距離の関数として主に決
定される異なる希釈プロセスを経る。
【0012】従って、所与の用途に対し実希釈プロセス
をより効果的にシュミレートする制御方法でサンプルガ
スを希釈できるように、希釈トンネルを使用するガスサ
ンプリングシステムに追加自由度を導入する必要があ
る。
【0013】本発明は、上述の1つまたはそれ以上の課
題を克服することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】ゆえに、費用対効果の高
い方法で、より正確な希釈シミュレーションを実行可能
にする追加自由度を加える希釈トンネルを提供すること
が望ましい。
【0015】本発明の一態様では、入口、出口、および
サンプルガス用の内部流路を備えたフロー室構造を有
し、サンプルガスは入口と出口との間でフロー方向に流
れるように構成される、希釈トンネルが提供される。フ
ロー室構造は、フロー室構造の外側の外部領域と内部流
路との間を連通する複数の孔を有する。孔は、外部領域
から内部流路に希釈ガスを導入するように構成されてい
る。フロー室構造は、希釈トンネルのフロー方向に変化
する希釈トンネルの希釈率を提供するように構成されて
いる。
【0016】本発明の他の態様では、入口および出口を
備えた多孔管、および多孔管、入口、および出口を通過
するフロー軸を有し、多孔管は入口と出口との間にサン
プルガス用の内部流路を画成し、フロー軸は内部流路を
通過するサンプルガスの軸流方向を画成する、希釈トン
ネルが提供される。多孔管は、多孔管の外側の外部領域
と内部流路との間を連通する複数の孔を有し、孔は希釈
ガスを内部流路に導入するように構成されており、希釈
トンネルのジオメトリは軸流方向に変化する。
【0017】本発明の他の態様では、多孔管の多孔率
は、軸流方向、およびフロー軸から放射状に外方へ広が
る半径方向のうちの少なくとも一方向に変化する。
【0018】本発明のさらに他の態様では、第1のガス
を分析するガスサンプリングシステムが提供され、希釈
トンネルおよび第2のガス源を有する。希釈トンネル
は、入口および出口を有する多孔管、および多孔管、入
口、および出口を通過するフロー軸を含む。多孔管は入
口と出口との間に第1のガス用の内部流路を画成し、フ
ロー軸は多孔管を通過する第1のガスの軸流方向を画成
する。多孔管は多孔管の外側の外部領域と内部流路を連
通する複数の孔を有し、孔は内部流路内に第2のガスを
導入するように構成されている。希釈トンネルのジオメ
トリは軸流方向に変化する。
【0019】本発明のまた他の形態では、ガスサンプリ
ングシステム内の多孔管の多孔率は、軸流方向、および
フロー軸から放射状に外方へ広がる半径方向のうちの一
方向に変化する。
【0020】本発明の他の態様では、第2のガスで第1
のガスを希釈する方法が実行され、第1の領域のフロー
軸に沿ってフロー方向に第1のガスを第1の領域に通過
させるステップと、第2の領域に第2のガスを通過させ
て、第1および第2の領域が多孔構造によって分離され
るステップと、第1のガスのフロー方向に変化する多孔
構造によって決まる可変率で第2のガスを第1の領域に
導入させるステップとを含む。
【0021】本発明のさらに他の態様では、希釈トンネ
ルは、それぞれが、少なくとも1つの多孔管のジオメト
リおよび多孔率によって画成される異なる希釈率を有す
る複数の多孔管を提供するステップと、各多孔管からそ
れぞれのセクションを切断するステップと、それらのセ
クションを互いに直列に連結して内部流路を画成する単
一多孔管を形成するステップとから製造される。
【0022】この発明の上述および他の特徴と利点を、
添付図を参照して以下で説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、様々な改造や代替形式
が可能だが、本明細書にはそれらの特定の実施形態が、
実施例として図示され、詳細に記述される。開示された
特定の形式に本発明を限定するものではない。
【0024】本発明は、例えば、エンジン排気から抽出
される、サンプルガス内の粒子状物質を分析するための
ガスサンプリングシステム内で使用する希釈トンネルに
関する。希釈トンネルは、清浄空気のような、希釈ガス
をサンプルガス内に導入することによってサンプルガス
を希釈するように構成される。この希釈プロセスを実行
するために、希釈トンネルは、サンプルガスと希釈ガス
とを制御された方法で混合させる多孔管を含む。希釈さ
れたサンプルガスは、次に分析されてガス内の粒子の量
や性質のような特性を決定する。希釈プロセスは、限定
されないが、固定発生源または移動発生源から大気への
排気ガスのシミュレーションなどを含め、多用途に使用
される。以下で詳述されるように、追加的自由度が、サ
ンプルガスの流路に沿って変化するサンプルガス希釈率
を提供する変化ジオメトリおよび/または多孔率を有す
る希釈トンネルを使用して、希釈プロセスに導入され
る。これらの追加的自由度によって、費用対効果の高い
方法で、より正確な希釈シミュレーションを実行可能に
する。
【0025】図1および2で示されるように、本発明に
より構成されたガスサンプリングシステム100は、フ
ロー室の入口と出口との間でフロー方向に排気ガスを通
過させる内部流路を画成するフロー室構造を有する希釈
トンネル110を含む。図1に例示されるように、フロ
ー室構造は、多孔管の入口111aと出口111bとの
間で延び、多孔管、入口および出口を通過するフロー軸
Xを有する細長い多孔構造体または管111である。多
孔管111は、入口111aと出口111bとの間にサ
ンプルガス流用の内部流路113を画成する壁(または
複数の壁)112を有する。フロー軸Xは、内部流路1
13を通過するサンプルガスの軸流方向を画成する。孔
114(限定されないが、例えば、口径0.5ミクロ
ン)は、壁112内に形成され、多孔管111の外側の
外部領域116を内部流路113と連通してガスを内部
流路に導入する。多孔管111は、正確に制御された所
望の多孔率を提供する複数の孔114を有する焼結ステ
ンレス鋼から製造可能である。
【0026】希釈トンネル110は、多孔管111の周
囲に第1の環状室(外部領域)116を画成することが
できるように、多孔管111の周囲に形成されたディフ
ューザ管115を包含しても良い。ディフューザ管11
5は、希釈トンネル110の中心領域118内で放射状
に貫通する複数の分配穴117、およびこのような穴が
無い対向端部119および120を有するステンレス鋼
の細長い管または同等のものが好ましい。分配穴117
は、多孔管111の周りに所望フロー分布を要望通りに
促進させるようなサイズに加工され、配置される。
【0027】希釈トンネルがディフューザ管115を包
含する場合、多孔管111はディフューザ管115の長
さにまで延びる。この場合、一対のディフューザ管密封
リング121および122は、ディフューザ管115と
多孔管111とにそれらの両端で固定される。
【0028】希釈トンネル110は、ディフューザ管1
15の中心領域118の周囲に第2の環状室131を形
成するハウジング130も含む。一対のハウジング密封
リング132および133は、ハウジングのそれぞれの
カラー134aおよび134bを、中心領域118なら
びに両端部119および120の中間にあるディフュー
ザ管115に連結固定する。入口ポート135は、ハウ
ジング130を通過して放射状に形成され、参照番号1
36で略指示されている希釈ガス(例えば、清浄空気1
42)の制御された流量源と連通している。好ましく
は、希釈ガス源136は、直列配置順に、加圧希釈空気
リザーバ137、フィルタ138、オイルおよび/また
は炭化水素を除去するスクラバー139、過剰な水分を
除去する乾燥フィルタ(desiccant filt
er)すなわち乾燥ユニット140、好ましくは調節可
能である第1の質量流量制御装置141、および希釈プ
ロセスを実行するために清浄空気142をハウジング1
30に導入するのに必要な他の任意装置または配管を含
む。例えば、ディフューザスクリーン143は、多孔管
111またはディフューザ管115の周囲の清浄空気の
流れを促進させるために、ゆえに希釈室内の空気分子の
滞留時間を所望レベルまで低減するために入口135の
近くに設置されても良い。
【0029】ディフューザ管115を包含しない場合、
多孔管111は、ハウジング130の長さまで延び、一
対のハウジング密封リング132および133が、ハウ
ジングのそれぞれのカラー134aおよび134bを多
孔管111に直接に相互連結固定しても良い。
【0030】多孔管111は、図示されない任意の従来
の連結または配管方法でサンプリングプローブ150に
連結される。サンプリングプローブ150は、次いで発
生源の排気管160に伸ばすことができる。プローブ1
50は、矢印Aに対して排気ガス流161の上流方向に
面する入口経路152を画成するノーズ部分151を有
する。ゆえに、参照番号162で指示されるように、粒
子混じりの排気ガス流161の比例サンプルは、リング
121に近い多孔管111の入口端部内部に導入され
る。ガスサンプリングシステムが排気ガス流161の比
例サンプルを分析すると、ガスサンプリングシステム
は、比例抽出希釈ガスシステムとして特徴付けられる。
あるいは、全サンプリング希釈ガスシステムは、プロー
ブ150が総排気ガス流161を捕集するサイズに形成
され、そのシステムが大量の希釈ガスで捕集された流れ
を希釈する場合に使用できる。
【0031】多孔管111の反対すなわち出口端部は、
リング122において、遮断弁170およびフィルタ1
80に連結される。フィルタ180は、粒子サンプリン
グを行う重量フィルタであっても良い。粒子測定を実行
する他の粒子分析装置(例えば、非限定的な2つの例と
して粒度測定装置またはリアルタイム粒子測定装置のよ
うな)は、重量フィルタ180の代わりに、または共に
使用されても良い。このような粒子測定デバイスは、粒
子スキャナ(例えば、走査型モビリティ粒径分析装置、
SMPS;または電子低圧インパクター、ELPI)を
含むことができる。
【0032】フィルタ180の出口は、好ましくは調節
可能である第2の質量流量制御装置187と直列に連通
している。吸入ポンプ189は、第2の質量流量制御装
置187の出口と直列に連結される。
【0033】サンプル分岐191〜193は、必要なと
きにガスサンプリングシステム100内に包含されても
良い。例えば、分岐191は、空気のサンプルmの質
を試験するために入口ポート135の前に提供されても
良い。分岐192および193も、ガス流m,m
割合についてそれぞれの粒子スキャナ194および19
5で測定を行うために希釈トンネルの出口と重量フィル
タの入力との間に提供されても良い。
【0034】さらに、温度センサ196のようなセンサ
が、希釈プロセスが適切な温度で実行されていることを
確認するために、または他の物理的パラメータを確認す
るために排気ガスのサンプルの流動経路に沿って配置さ
れても良い。このような監視は、所望のコントロールプ
ロセスがシステムで実行されているかを確認する重要な
帰還を提供できる。
【0035】要求される限り、第1および第2の質量流
量制御装置141および187は、高度電気制御式質量
流量制御装置であっても良い。第2の質量流量制御装置
187は、総流量制御装置であり、第1の質量流量制御
装置141は、ハウジング130内への希釈ガス流を正
確に制御するための電気制御式スレーブ質量流量制御装
置であっても良い。この場合、第1および第2の質量流
量制御装置141および187は、マイクロプロセッサ
200に電気的に連結されても良い。従って、排気ガス
内の粒子の測定は、第1の質量流量制御装置141を通
過する清浄空気の質量流量Mと、プローブ150を通
過する排気ガスの比例サンプルの質量流量Mとの合計
(すなわち、M+M)から、第2の質量流量制御装
置187を通過する質量流量Mと、分岐m1、2、
を通過する任意の質量流量とシステムから出て来る
任意の残留質量流量Eとの合計(すなわち、M+m
+m+m+E)を引くことによってマイクロプロセ
ッサで決定される。
【0036】図1に示された本発明の第1の実施形態で
は、希釈トンネル110の多孔管111は、フロー軸X
を中心軸にした円錐体の形状であるので、希釈率は、多
孔管のジオメトリ、この場合、フロー軸と直交する方向
についての多孔管111の断面積の関数として、サンプ
ル排気ガス162の流れに沿って軸方向に変化する。フ
ロー軸Xと直交する方向についての多孔管111の断面
積は、内部流路の断面積と多孔管の壁の厚みとの合計を
含む。
【0037】円錐多孔管111が延びると、内部流路1
13の断面積が増加するのと同様に、多孔管の外部面積
(または多孔管表面積)も増加し、それによって希釈率
を増加させる。図1でも示されるように、包含される場
合には、ディフューザ管115は、サンプル排気ガス1
62の流れに沿って軸方向に一定断面積を有することが
できる。同様に、ハウジング130も、サンプル排気ガ
ス162の流れに沿って軸方向に一定断面積を有するこ
とができる。
【0038】他方、図2に示されるように、円錐体の形
状で、多孔管111と同心でもあるディフューザ管30
1が使用されても良いので、ディフューザ管が軸流方向
に膨張できる。従って、ディフューザ管は、サンプル排
気ガス162の流れに沿って軸方向に変化する断面積を
有することになる。同様に、円錐体の形状で、多孔管1
11と同心でもあるハウジング130も、使用されても
良いので、ハウジングも軸流方向に膨張できる。従っ
て、ハウジングも、サンプル排気ガス162の流れに沿
って軸方向に変化する断面積を有することとなる。従っ
て、多孔管表面積に対する希釈空気体積の一定比率が、
サンプル排気ガス162の流れに沿って軸方向に維持さ
れる。
【0039】図3に示されるように、第1の円錐体30
2aが、サンプル排気ガス162の流れの方向に収縮す
る第2の円錐体302bと合流するまで、サンプル排気
ガス162の流れの方向に膨張する、2つの円錐体の形
状の多孔管302が使用されても良い。従って、多孔管
の内部流路の断面積は軸流方向に増加し、次いで減少す
る。再び、対応する形状を有するハウジング303が多
孔管302と組み合わせて使用されても良い。図示して
いないが、対応する形状を有する拡散管が付加されても
良い。
【0040】前述の例は、希釈トンネルの一定の好まし
いジオメトリ構造を表すが、それらは、本発明が意図し
た全ての予想されるジオメトリ構造を総記するものでは
ない。明らかに、多数の他の予想される構造も残ってい
る。例えば、排気ガス流の方向に膨張する円錐体の形状
の多孔管は、排気ガス流の方向に収縮する円錐体の形状
のディフューザ管およびハウジングと組み合わせられ
る。尚、多孔管、ディフューザ管、およびハウジング
は、排気ガス流の方向への希釈率の変動を可能にする
か、または所与の流動条件下で一定希釈率を維持する任
意の他のジオメトリ構造を呈しても良い。他方、排気ガ
ス流の方向に均等断面積を有する多孔管が、円錐体の形
状、または他のジオメトリ構造のハウジングまたはディ
フューザ管と組み合わせて使用されても良い。
【0041】但し、本発明の第1の実施形態の共通の特
徴は、排気ガスの流れと実質的に直交する方向について
の、1つまたはそれ以上の多孔管、ディフューザ管、お
よびハウジングを含む、希釈トンネルのジオメトリの変
化、好ましくは希釈トンネルの一部または全ての断面積
の変化である。断面積のこの変化は、希釈トンネルを使
用してガスをサンプリングする能力を高める追加自由度
となる。
【0042】図4に示されるように本発明の第2の実施
形態では、多孔管304の断面積は、サンプル排気ガス
162の流れに沿って軸方向に一定であっても良いが、
孔114のサイズまたは密度(すなわち、単位面積また
は体積当たりの孔数)のような、多孔率は、その方向に
変化する。例えば、変化率で希釈プロセスを実行するた
めに、サンプル排気ガス162の流れの始めの孔114
のサイズは、0.5ミクロン程度であり、流れの終わり
で4〜5ミクロン程度まで増加する。孔サイズの変化
は、所望の希釈プロセスを実行するために必要な線形ま
たは非線形であっても良い。
【0043】さらに、多孔率は、フロー軸から放射状に
外方へ膨張する多孔管の半径方向に変化できる。例え
ば、図5に例示されるように、多孔管305は、孔のサ
イズが多孔管305の中心から放射状に外方へ減少する
ように半径方向に異なる大きさで圧縮されている焼結ス
テンレス鋼から形成されても良い。あるいは、多孔率の
この変化は、各層が異なるサイズの孔を有する多孔材料
の異なる層から多孔管を形成することによって達成され
ても良い。
【0044】さらに、図示しないが、孔の密度は、サン
プル排気ガス162の流れに沿って軸方向に、または多
孔管の半径方向に変化できる。
【0045】多孔率の前述の変化は、希釈トンネルの一
定の好ましい構造を表すが、それらは、本発明によって
意図した全てのこのような予想される構造の全てを総記
するものではない。但し、この第2の実施形態で共通す
る特徴は、多孔管の多孔率が、サンプル排気ガス162
の流れに沿って軸方向に、多孔管111の半径方向に、
または両方に変化することである。多孔率のこの変化
は、希釈トンネルを使用してガスをサンプリングする能
力を促進させる追加自由度をも提供する。
【0046】前述の2つの実施形態を別々に説明した
が、本発明は、これらの実施形態の組合せをも意図して
おり、それによって希釈プロセスを実行するための自由
度をさらに追加できる。例えば、円錐体の形を有し、多
孔管の小径端部からその大径端部に向かってサイズが増
加する孔を有する多孔管が使用される。このような多孔
管は、多孔管の膨張方向に希釈率が劇的に増加する。
【0047】従って、希釈トンネルのジオメトリおよび
/または多孔管の多孔率の変化は、希釈トンネルの希釈
率が希釈トンネルの軸方向に変化するように与えられ
る。
【0048】図6に示されるように本発明の第3の実施
形態では、希釈トンネルは、様々な直径、多孔率、また
はそれらの組合せの短い多孔管セクションを用いて、こ
れらのセクションを共に軸方向に連通するように溶接し
て所望全体形状を成すように製造される。例えば、図6
に示されるように、第1の多孔管セクション310は、
第1の直径Dを有し、補充用の管材307から長さL
に切断される。同様に、第2および第3の多孔管セク
ション311および312もそれぞれ第2および第3の
直径DおよびDを有し、異なる管材308,309
からそれぞれの長さLおよびLに切断される。各多
孔管材307〜309は、そのジオメトリおよび/また
は多孔率が画成された異なる希釈率を有する。続いて、
各多孔管セクションは、直列に結合されて、内部流路を
画成する、例えば、円錐体の形状の単一多孔管314を
形成する。これらのセクションは、溶接によって共に直
接結合されるか、またはそれらは他の任意方法を利用し
て結合され、各セクション間に中間部分を包含できる。
【0049】このセクション化製造プロセスを用いる
と、ゆえに、それぞれの均等断面積および均等孔サイズ
を有する標準多孔管セクションが可変断面積を有する多
孔管を形成するために使用され、それによって製造コス
トを低減できる。本発明によって意図されるものとして
は、このセクション化製造プロセスを利用してのディフ
ューザ管およびハウジングの製造も含まれる。
【0050】本発明の第4の実施形態では、ガスサンプ
リングシステム100は、それぞれが異なる希釈率を有
し、ガスサンプリングシステム内に着脱自在に配置され
るように構成された交換可能なカートリッジである複数
の希釈トンネルを備えても良い。図7に示されるよう
に、この特徴は、例えば、カートリッジ315および3
16がハウジング317内に着脱自在に挿入されるよう
に構成され、そのハウジング317が、次に、これらの
カートリッジ315および316を収容するように構成
される、これらの多孔管カートリッジ315および31
6を使用することによって達成される。あるいは、これ
らのカートリッジは、多孔管およびディフューザ管また
は多孔管と、ディフューザ管およびハウジングとを包含
しても良い。カートリッジを使用する利点は、単にカー
トリッジを交換し、必要に応じてマイクロプロセッサに
指示を与えるだけで異なる所定の希釈プロセスを実行で
きることにある。
【0051】(産業上の利用可能性)本発明の希釈トン
ネルは、均等ジオメトリおよび多孔率を有する従来型希
釈トンネルと比べて幾つかの利点を提供する。特に、本
発明の希釈トンネルは、希釈プロセスを実行する際の追
加自由度を提供する。
【0052】例えば、トレーラを牽引する移動トラック
のような、移動発生源の場合、希釈率は、典型的に中間
まで急から緩に変化する。これらの希釈率は、対応する
変化率でトラックからのサンプル排気ガスを希釈する変
化ジオメトリおよび/または多孔率を備えた、本発明に
よる希釈トンネルを有するガスサンプリングシステムを
使用して試験機関または現場で正確にシュミレートされ
る。
【0053】このような正確なシュミレーションは、ト
ラックエンジンの研究や開発で使用されてこれらのエン
ジンの新設計がEPA規制によって制定された基準に確
実に準拠またはそれらを上回るようにする。あるいは、
シュミレーションが、現在使用されているトラックがこ
れらの基準に準拠しているかを確証するために使用され
る。
【0054】発電所のような、固定発生源の場合、排気
ガスの希釈率は、排気スタックから出て来る時間および
排気スタックからの距離の関数として変化する。これら
の希釈率は、同様に対応する変化率で排気スタックから
のサンプル排気ガスを希釈する変化ジオメトリおよび/
または多孔率を備えた本発明による希釈トンネルを有す
るガスサンプリングシステムを使用して現場で正確にシ
ュミレートされる。
【0055】ゆえに、本発明の有利な効果は、正確且つ
費用対効果に見合う方法で異なる希釈プロセスを実行す
るための追加自由度を提供する希釈トンネルの準備にあ
る。
【0056】前述の点から、主題の希釈トンネルは、第
1のガスを第2のガスで希釈するための改良された機構
を提供できることが容易に明らかであろう。
【0057】本発明の態様、目的、および利点は、図、
開示および特許請求の範囲の検討から得られよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による希釈トンネルを
有するガスサンプリングシステムの部分断面略図であ
る。
【図2】本発明の第1の実施形態による希釈トンネルの
部分断面略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による希釈トンネルの
部分断面略図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による希釈トンネルの
部分断面略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による多孔管の断面図
である。
【図6】本発明の第3の実施形態による希釈トンネルを
製造する方法の概略図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による希釈トンネルの
概略図である。
【符号の説明】
100 ガスサンプリングシステム 110 希釈トンネル 111 フロー室構造、より詳しくは、多孔管 111a フロー室構造の入口 111b フロー室構造の出口 112 多孔管の壁 113 多孔管の内部流路 114 多孔管の孔 115 ディフューザ管 116 第1の環状室(外部領域) 117 ディフューザ管の分配穴 118 希釈トンネルの中心領域 119 穴のないディフューザ管の一方の端部 120 穴のないディフューザ管の他方の端部 121 ディフューザ管密封リング 122 ディフューザ管密封リング 130 ハウジング 131 第2の環状室 132 ハウジング密封リング 133 ハウジング密封リング 134a ハウジングのカラー 134b ハウジングのカラー 135 入口ポート 136 希釈ガス源または清浄空気源 137 希釈ガスリザーバ 138 フィルタ 139 炭化水素フィルタ(スクラバー) 140 乾燥フィルタすなわち乾燥ユニット 141 第1の質量流量制御装置 142 清浄空気 143 ディフューザスクリーン 150 サンプリングプローブ 151 プローブのノーズ部分 152 プローブの入口経路 160 排気管 161 排気ガス流 162 排気ガス比例サンプル 170 遮断弁 180 重量フィルタ 187 第2の質量流量制御装置 189 吸引ポンプ 191 サンプル分岐 192 サンプル分岐 193 サンプル分岐 194 粒子スキャナ 195 粒子スキャナ 196 温度センサ 200 マイクロプロセッサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G052 AA02 AC20 AD02 AD42 BA14 CA04 CA38 EA03 FD01 GA09 HA15 HA17 HC04 HC26 HC28 JA23

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希釈トンネルであって、 入口および出口を有する多孔管と、前記多孔管、入口、
    および出口を通過するフロー軸とを具備し、 前記多孔管は入口と出口との間にサンプルガス用の内部
    流路を画成し、 フロー軸は内部流路を通るサンプルガスの軸流方向を画
    成し、 前記多孔管は前記多孔管の外側の外部領域と内部流路と
    の間を連通する複数の孔を有し、 前記孔は外部領域から内部流路に希釈ガスを導入するよ
    うに構成され、 希釈トンネルのジオメトリは軸流方向に変化する希釈ト
    ンネル。
  2. 【請求項2】 希釈トンネルのジオメトリは、フロー軸
    と直交する方向で、希釈トンネルの少なくとも一部の断
    面積であり、 断面積は内部流路のものであり、かつ断面積は軸流方向
    に増加し、 さらに、断面積は軸流方向にも減少し、 前記多孔管の周囲に軸流方向に膨張するハウジングと、
    前記多孔管の周囲にある軸流方向に膨張するディフュー
    ザ管とをさらに含む、請求項1に記載の希釈トンネル。
  3. 【請求項3】 希釈トンネルであって、 入口および出口を有する多孔管と、前記多孔管、入口、
    および出口を通過するフロー軸とを具備し、 前記多孔管は入口と出口との間にサンプルガス用の内部
    流路を画成し、 フロー軸は前記多孔管を通るサンプルガスの軸流方向を
    画成し、 前記多孔管は該多孔管の外側の外部領域と内部流路との
    間を連通する複数の孔を有し、 前記孔は外部領域から内部流路に希釈ガスを導入するよ
    うに構成され、 前記多孔管の多孔率は、軸流方向およびフロー軸から放
    射状に外方へ膨張する半径方向のうちの少なくとも一方
    向に変化する希釈トンネル。
  4. 【請求項4】 前記孔の少なくとも1つのサイズは軸流
    方向に変化し、 前記孔のサイズは半径方向に変化し、 前記孔の密度は軸流方向および半径方向のうちの少なく
    とも一方向に変化する請求項3に記載の希釈トンネル。
  5. 【請求項5】 希釈トンネルの製造方法であって、 それぞれが多孔管のジオメトリおよび多孔率のうち少な
    くとも1つによって画成された異なる希釈率を有する複
    数の多孔管を提供するステップと、 各多孔管からそれぞれのセクションを切断するステップ
    と、 それぞれのセクションを互いに直列結合して、内部流路
    を画成する単一の多孔管を形成するステップとからなる
    方法。
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