JP2003342220A - シトロネラールの製造方法 - Google Patents

シトロネラールの製造方法

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JP2003342220A
JP2003342220A JP2002155034A JP2002155034A JP2003342220A JP 2003342220 A JP2003342220 A JP 2003342220A JP 2002155034 A JP2002155034 A JP 2002155034A JP 2002155034 A JP2002155034 A JP 2002155034A JP 2003342220 A JP2003342220 A JP 2003342220A
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isopulegone
pulegone
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JP2002155034A
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Misao Yagi
操 八木
Noboru Sayo
昇 佐用
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Takasago International Corp
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Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】プレゴンを、異性化触媒の存在下で異性化
し、反応物からイソプレゴンを分取し、得られた当該イ
ソプレゴンを不均一系触媒でケトン部位を水素化して、
イソプレゴールとなし、更に熱分解することを特徴とす
るシトロネラールの製造方法。 【効果】 本発明によれば、天然物由来の原料を使用す
ることなく、香料等として有用なシトロネラールを、簡
単な操作で安全に、且つ高選択率、高収率で製造するこ
とができ、本発明方法は工業的に有利な製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、香料分野で有用
な、テルペン系香料の製造法に関する。具体的には、シ
トロネラール及びその製造中間体であるイソプレゴン並
びにイソプレゴールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シトロネラールの製造法は、天然のシト
ロネラ油を分留して製造する方法、ゲラニオール又はネ
ロールを水素化してシトロネロールとした後、酸化して
製造する方法がある。また、ミルセンから合成したゲラ
ニルジエチルアミンを不斉異性化しシトロネリルアミン
とした後、加水分解してシトロネラールに導く方法が報
告されている(K. Tani ら、J. Am. Chem. Soc., 1984
年、106巻、5208頁;特開昭61−27949号公報)。
しかしながら、いずれの方法も原料に天然物を用いてい
るため、安定な供給が得られなかったり、価格が不安定
であったりする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、純度
の高いシトロネラールを、天然物由来の原料を用いずに
安定に、簡単な操作で、安全で且つ収率よく製造できる
方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、シ
トロネラールを得るのに有用な中間体の効率のよい製造
法を提供することにある、
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討を行ってきた。その結果、プ
レゴンとイソプレゴンが熱的異性化平衡関係にあって、
プレゴンを特定の異性化触媒の存在下で加熱すると短時
間で異性化平衡状態に至らしめることができ、更に反応
蒸留装置を利用すればイソプレゴンが効率的に得られ、
イソプレゴンを不均一触媒を用いて水素化反応を行うと
選択的にケトン部のみが還元されてイソプレゴールが得
られ、次いで熱分解することによってシトロネラール
が、簡単に、収率よく、しかも高純度で得られることを
見出し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、プレゴンを、異性化
触媒の存在下で異性化し、反応物からイソプレゴンを分
取し、得られたイソプレゴンのケトン部位を不均一系触
媒で水素化してイソプレゴールとし、更に熱分解するこ
とを特徴とするシトロネラールの製造方法を提供するも
のである。本発明は、プレゴンを、異性化触媒の存在下
で異性化し、反応物からイソプレゴンを分取することを
特徴とするイソプレゴンの製造方法を提供するものであ
る。また、本発明は、イソプレゴンのケトン部位を不均
一系触媒で水素化することを特徴とするイソプレゴール
の製造方法を提供するものである。更に、本発明は、プ
レゴンを、異性化触媒の存在下で異性化し、反応物から
イソプレゴンを分取し、得られたイソプレゴンのケトン
部位を不均一系触媒で水素化することを特徴とするイソ
プレゴールの製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明のシトロネラールの製造方法は、以下に
示す反応式に従って行われる。
【0007】
【化1】
【0008】すなわち、プレゴン(1)を異性化触媒の
存在下に異性化し、反応物からイソプレゴン(2)を分
取することによってイソプレゴン(2)を製造する。次
いで、イソプレゴン(2)のケトン部位を不均一系触媒
の存在下で水素化してイソプレゴール(3)を製造し、
それを熱分解することによってシトロネラール(4)が
得られる。
【0009】本発明のイソプレゴンの製造方法は、プレ
ゴンを特定の触媒の存在下で加熱することにより、短時
間でプレゴン、イソプレゴンの異性化平衡状態に導き、
反応物からイソプレゴンを分取するものである。その異
性化の反応式を以下に示す。
【0010】
【化2】
【0011】斯かるプレゴンからイソプレゴンへの異性
化反応は、熱エネルギーだけでも進行するが、その速度
は極めて遅く、特定の触媒を使用すると異性化速度は飛
躍的に向上する。この異性化反応を熱エネルギーだけで
行うと、温度が180℃の場合48時間以上かかって異
性化平衡に達する。ところが触媒として例えばナフテン
酸セシウムを使用すると図1に示したように、180℃
で異性化はわずか約3分で平衡に達してしまう。プレゴ
ンからイソプレゴンへの異性化には触媒が極めて重要で
必要不可欠となる。
【0012】イソプレゴンはプレゴンに比較し沸点が低
く、平均相対揮発度は、温度によって変化するが、20
0℃の時プレゴンを1.0とするとイソプレゴンは1.
5である。従って、精留塔を用いた蒸留分離によりこの
平衡を目的物であるイソプレゴンへ偏らせることが可能
である。具体的には反応蒸留装置を用いて、異性化と同
時に蒸留により原料のプレゴンと生成物のイソプレゴン
を分離し、イソプレゴンを反応系外へ導くことにより、
効率的にイソプレゴンを製造することができる。
【0013】本発明の異性化触媒を用いた異性化反応
は、反応基質であるプレゴン自体を溶媒として無溶媒で
進行する、従って、反応後の生成物の分離を考慮すれ
ば、無溶媒で反応するのが実用的であるが、必要に応じ
て、プレゴンより沸点の高い炭化水素系溶媒、エーテル
系溶媒又は芳香族系溶媒、例えばパラフィン、ポリエチ
レン、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、Ne
oSK−OIL(総研化学社製)等の一種又は二種以上
を用いることができる。この場合、溶媒の使用量は、プ
レゴン1容量部に対して0.5〜20容量部、特に経済
性と反応性を考慮して1〜5容量部が好ましい。
【0014】異性化の反応温度は、イソプレゴンは温度
が高ければ高いほど平衡に達した時の存在比が大きくな
るが、650℃以上だと樹脂化等の副反応を併発し好ま
しくなく、100〜300℃が好適である。また、工業
的には副反応を併発せず反応速度も速い200℃前後が
好ましく、特に経済性と反応性を考慮して150〜25
0℃が好適である。また、反応圧力には制限はなく、加
圧、減圧を問わないが、好ましくは減圧下で行うのがよ
い。減圧度は、10〜500mmHg(1330〜66
500Pa)が好ましい。
【0015】本発明の原料化合物であるプレゴンは、市
販品又は公知の方法(例えば、特開2002−3000
9)及びそれに準ずる方法により製造したものを用いる
ことができる。
【0016】異性化触媒としては、通常オレフィンの異
性化に用いられる触媒が使用できるが、好ましい触媒と
しては、例えば、酸触媒、固体塩基触媒、金属担持触
媒、均一系金属錯体触媒及び有機酸のアルカリ金属塩触
媒等が挙げられる。
【0017】酸触媒としては、一般的なブレンステッド
酸、固体酸が挙げられ、ブレンステッド酸としては、例
えばパラトルエンスルホン酸又は硫酸、固体酸として
は、例えばシリカアルミナ、硫酸−酸化ジルコニウム、
ニオブ酸等が挙げられる。尚、固体酸触媒は粉末でも成
型したものでもよい。酸触媒としては、パラトルエンス
ルホン酸、シリカアルミナ、硫酸−酸化ジルコニウムが
好ましい。酸触媒は一種又は二種以上を使用してもよ
く、使用量は、原料のプレゴンに対して0.001〜
0.5倍重量で、特に経済性と反応性を考慮すると0.
01〜0.2倍重量とすることが好ましい。
【0018】固体塩基触媒としては、アルカリ金属やア
ルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩を担体に担持した担
持触媒が挙げられる。ここで担体としては、シリカゲ
ル、アルミナ、炭素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等
が挙げられる。斯かる担持触媒の具体例としては、シリ
カゲル又は酸化ジルコニウムに水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化
ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジ
ウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムの水溶
液を混合後焼成することで得られる水酸化ナトリウム−
酸化ジルコニウム、水酸化カリウム−酸化ジルコニウ
ム、水酸化リチウム−酸化ジルコニウム、水酸化セシウ
ム−酸化ジルコニウム、水酸化ルビジウム−酸化ジルコ
ニウム、水酸化カルシウム−酸化ジルコニウム、水酸化
バリウム−酸化ジルコニウム、炭酸ナトリウム−酸化ジ
ルコニウム、炭酸カリウム−酸化ジルコニウム、炭酸セ
シウム−酸化ジルコニウム、炭酸ルビジウム−酸化ジル
コニウム、炭酸水素ナトリウム−酸化ジルコニウム、炭
酸水素カリウム−酸化ジルコニウム、水酸化ナトリウム
−シリカゲル、水酸化カリウム−シリカゲル、水酸化リ
チウム−シリカゲル、水酸化セシウム−シリカゲル、水
酸化ルビジウム−シリカゲル、水酸化カルシウム−シリ
カゲル、水酸化バリウム−シリカゲル、炭酸ナトリウム
−シリカゲル、炭酸カリウム−シリカゲル、炭酸セシウ
ム−シリカゲル、炭酸ルビジウム−シリカゲルや炭酸水
素ナトリウム−シリカゲル、炭酸水素カリウム−シリカ
ゲル等が挙げられる。担持触媒中のアルカリ金属やアル
カリ土類金属の水酸化物や炭酸塩の担持量は、0.1〜
50重量%、反応性を考慮すれば0.1〜10重量%が
好ましい。これらの触媒を焼成する時の焼成温度は10
0〜1000℃、反応性を考慮して200〜700℃が
好ましく、この焼成は減圧下、不活性ガス気流下又は乾
燥空気気流下のいずれでもよい。
【0019】また、固体塩基触媒としては、上記の担持
触媒の他に、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化
チタン等の金属酸化物が挙げられる。尚、当該金属酸化
物、例えば酸化マグネシウムは、市販の酸化マグネシウ
ムや水酸化マグネシウムを一般的な方法で焼成して反応
に供される。
【0020】固体塩基触媒としては、炭酸セシウム−シ
リカゲル、水酸化セシウム−シリカゲル、水酸化ナトリ
ウム−シリカゲル、水酸化カリウム−シリカゲル、酸化
マグネシウムが好ましい。固体塩基触媒は、成型品であ
っても粉末であってもよい。固体塩基触媒は一種又は二
種以上を使用してもよく、使用量は、原料のプレゴンに
対して0.001〜0.5倍重量で、特に経済性と反応
性を考慮すると0.01〜20倍重量とすることが好ま
しい。
【0021】また、固体塩基触媒を使用する際は、反応
選択性を向上させる目的で分子量100以上のアルコー
ルを反応系内に加えることができる。使用するアルコー
ルは分子量が100以上であれば特に限定されず、例え
ばポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコ
ール400、ポリエチレングリコール600、ミオイノ
シトール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エ
タン等が挙げられ、また、数種類のアルコールを混合し
てもよい。このうち、経済性と反応性を考慮すると、特
にポリエチレングリコールが好ましい。尚、アルコール
の使用量は、プレゴン1容量部に対して0.001〜
2.0容量部、特に0.005〜0.5容量部が好まし
い。
【0022】金属担持触媒としては、元素周期律表(I
UPAC勧告1997)遷移金属7、8及び9に属する
金属、好ましくはルテニウム、レニウム又はロジウム、
より好ましくはルテニウム又はレニウムを、アルミナ、
シリカゲル、炭素、チタン酸化物等に担持したものが挙
げられる。また、金属担持触媒中の金属担持率は、0.
1〜20重量%で、特に経済性と反応性を考慮すると1
〜7重量%とすることが好ましい。
【0023】上記金属担持触媒は、これを酸化処理して
用いることもでき、例えばルテニウム担持体を酸化処理
してなるものが好ましく、例えば、シリカゲルにルテニ
ウムを担持した後、空気又は酸素で処理した触媒があげ
られる。ルテニウム−シリカ触媒を酸化処理する時の酸
化処理温度は10〜500℃で、特に20〜250℃が
好ましい。処理時間は温度や酸素濃度によって異なるが
0.5〜720時間、特に1〜240時間が好ましい。
ルテニウムの金属担持触媒への担持率は0.1〜20重
量%で、特に経済性と反応性を考慮すると1〜7重量%
とすることが好ましい。
【0024】金属担持触媒としては、レニウム−シリカ
ゲル、ルテニウム−シリカゲル、ルテニウム−シリカゲ
ル−酸化物が好ましい。金属担持触媒の形態は、成型品
であっても粉末であってもよい。金属担持触媒は一種又
は二種以上を使用してもよく、使用量は、原料のプレゴ
ンに対して0.001〜0.5倍重量で、特に経済性と
反応性を考慮すると0.01〜0.2倍重量とすること
が好ましい。
【0025】均一系金属錯体触媒としては、例えばルテ
ニウム−ホスファイト錯体、ルテニウム−ホスフィン錯
体、ロジウムーホスファイト錯体、ロジウムーホスフィ
ン錯体等が挙げられる。ルテニウム−ホスファイト錯
体、ルテニウム−ホスフィン錯体が好ましい。斯かる均
一系金属錯体触媒は、[MX2(Y)]2 錯体を原料と
して調製できる。ここで、Mは金属を示し、Xはハロゲ
ン原子を示し、Yはアレン化合物を示す。このうち、ハ
ロゲン原子は塩素、臭素又は沃素のいずれでもよいが、
経済性と反応性を考慮し、塩素又は臭素が好ましい。Y
のアレン化合物としてはパラシメン、キシレン、ベンゼ
ン等が挙げられる。
【0026】すなわち、[MX2(Y)]2を窒素下でア
セトニトリル又はベンゾニトリルの溶媒存在下に配位子
としてホスフィン又はホスファイト類を1〜20倍モ
ル、好ましくは2〜10倍モル加え加熱攪拌し、淡黄色
の均一な触媒溶液を得る。配位子としてはトリフェニル
ホスフィン、トリフェニルホスファイト、ビスジフェニ
ルホスフォニルアルカン((Ph)2P(CH2n
(Ph)2,n=2〜6)やビスアリルホスファイト類
((PhO)2PO(CH2nOP(OPh)2,n=2
〜6)を用いることができる(ここで、Phはフェニル
基、OPhはフェノキシ基を示す)。調製温度は50℃
〜300℃、好ましくは100℃〜250℃とする。触
媒の調製時間は0.1〜10時間、好ましくは0.1時
間〜3時間とする。このようにして得られた触媒溶液
を、そのまま又は溶媒を除去して異性化反応に用いる。
【0027】均一系金属錯体触媒の具体例としては、[R
uCl{(OPh)3P}(p-cymene)(PhCN)]Cl、[RuCl(Ph3P)(p-c
ymene)(PhCN)]Cl、[RuCl{Ph2P(CH2)2PPh2}(p-cymene)
(PhCN)]Cl、[RuCl{Ph2P(CH2)3PPh2}(p-cymene)(PhC
N)]Cl、[RuCl{Ph2P(CH2)4PPh2}(p-cymene)(PhCN)]C
l、[RuCl{(PhO)2P(CH2)2P(OPh)2}(p-cymene)(PhCN)]C
l、[RuCl{(PhO)2P(CH2)3P(OPh)2}(p-cymene)(PhCN)]C
l、[RuCl{(PhO)2P(CH2)4P(OPh)2}(p-cymene)(PhCN)]C
l等が挙げられる。また、好ましい具体例としては、[Ru
Cl{(OPh)3P}(p-cymene)(PhCN)]Clが挙げられる。均一
系金属錯体触媒は一種又は二種以上を使用してもよく、
使用量は、原料のプレゴンに対して0.0001〜0.
1倍重量で、特に経済性と反応性を考慮すると0.00
1〜0.05倍重量とすることが好ましい。
【0028】有機酸のアルカリ金属塩触媒において使用
する有機酸としては、脂肪族系であっても芳香族系であ
っても良く、例えば脂肪族系では、酢酸、プロピオン
酸、デカン酸、ナフテン酸等の脂肪酸、芳香族カルボン
酸が挙げられるが、何ら限定されるものではない。アル
カリ金属としては、ナトリウム、カリウム、セシウム、
ルビジウム等の水酸化物や炭酸塩を用いることができ
る。有機酸のアルカリ金属塩触媒は有機酸と同モルのア
ルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩を、水又はメタノー
ル、エタノール等のアルコール系有機溶媒中で混合する
ことにより調製できる。このようにして得られた触媒溶
液を、そのまま又は溶媒を除去して異性化反応に用い
る。有機酸のアルカリ金属塩触媒としては、ナフテン酸
カリウム、ナフテン酸ナトリウム、ナフテン酸セシウム
が好ましい。有機酸のアルカリ金属塩触媒は一種又は二
種以上を使用してもよく、使用量は、原料のプレゴンに
対して0.00001〜0.02倍重量とすることが好
ましい。
【0029】異性化触媒の存在下にプレゴンを加熱して
異性化した後、反応物から蒸留等によりイソプレゴンを
分取することもできるが、異性化と分取を同時に同時に
行う反応蒸留装置を用いて蒸留分取することにより、イ
ソプレゴンを他成分と分離して反応系外に導き効率的に
イソプレゴンを製造することができる。反応蒸留装置
は、一般的な蒸留精製用の蒸留装置を持った反応釜を有
する構造を備え、原料のプレゴンと生成物のイソプレゴ
ンとを分離できるものであれば特に限定されるものでは
なく、例えば、図2に示すような触媒が入った反応槽と
蒸留塔が一体となった反応蒸留装置が挙げられる。
【0030】ここで、蒸留塔の充填物は一般的に蒸留に
使用され得るものであれば特に制限はなく、例えばヘリ
パック、ポールリング、スルザーパッキング等を使用す
ることが好ましい。蒸留塔塔頂の真空度は、使用する装
置と異性化反応温度によって異なるが、0.1〜100
mmHg(13.3〜13300Pa)の範囲で、特に
反応性を考慮に入れると0.1〜40mmHg(13.
3〜5320Pa)が望ましい。また、蒸留塔の段数が
60以上であれば目的物のイソプレゴンとプレゴンをほ
ぼ完全に分離することができるが、60段以下の場合は
完全分離ができないため、反応蒸留と精製蒸留を別々に
行ってもよい。
【0031】上記した異性化反応において、光学活性な
プレゴンを使用することにより、ラセミ化することなく
シクロヘキサン構造の1−位メチル基の立体配置が保持
される。具体的には、(1R)−プレゴンを使用するこ
とにより、(1R)−イソプレゴンへと容易に導くこと
ができる。また、(1S)−プレゴンを使用することに
より、(1S)−イソプレゴンへと容易に導くことがで
きる。(1R)−プレゴンを用いるのが好ましい。
【0032】本発明のイソプレゴールの製造方法は、イ
ソプレゴンのケトン部を不均一系触媒の存在下に水素化
することによりを製造するものである。その反応式を以
下に示す。
【0033】
【化3】
【0034】イソプレゴンからイソプレゴールへの水素
化には、不均一系触媒が用いられ、その中でも銅系触媒
が好適に用いられる。銅系触媒は、少なくとも銅を含有
する触媒であり、銅の他にクロム、マンガン、コバル
ト、亜鉛、ルテニウム、チタン、鉄、ジルコニウム等の
化合物を、銅に対して約0.1倍重量以下の範囲で含有
することができる。
【0035】また、本反応で用いることができる銅系触
媒はアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属の
炭酸塩を含有していてもよい。アルカリ金属化合物とし
てはアルカリ金属の炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、炭酸水
素塩等があげられる。ここでアルカリ金属としては、リ
チウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム
等があげられる。好ましくはナトリウム又はカリウムの
炭酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩である。アルカリ金属化合
物のうちの一種を単独で用いてもよく、その二種以上を
併用してもよい。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、
例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バ
リウム等の炭酸塩があげられる。好ましくは、ストロン
チウム、カルシウム、バリウムである。アルカリ土類金
属の炭酸塩は一種を単独で用いてもよく、その二種以上
を併用してもよい。
【0036】本発明の不均一系触媒は、担体に担持させ
た形態で使用してもよく、又は担体を用いない形態で使
用してもよい。不均一触媒としては、具体的には、銅−
クロム触媒、銅−亜鉛触媒、銅−クロム−亜鉛触媒、銅
−クロム−マンガン触媒、銅−クロム−チタン触媒、銅
−クロム−ジルコニウム触媒等が挙げられ、特に銅−ク
ロム触媒等が好ましい。不均一触媒は、一種又は二種以
上を使用してもよい。
【0037】また、本発明の水素化反応は、無溶媒又は
有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては水素化反応に
悪影響を及ぼさない溶媒、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化
水素溶媒;塩化メチレン等のハロゲン含有炭化水素溶
媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,
3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノー
ル、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系
溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等のヘテロ原子
を含む有機溶媒を用いることができる。そのうちでも、
メタノール、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラ
ンが、水素化反応が円滑に進行し、しかも操作性が良好
で且つ経済的に安価であることから好ましく用いられ
る。有機溶媒の使用量は、イソプレゴン1容量部に対し
て、約1〜10容量部、特に2〜5容量部であることが
好ましい。
【0038】本発明の水素化反応は、水素圧が約5〜1
00気圧(0.5〜10MPa)、好ましくは約10〜
50気圧(1〜5MPa)、反応温度が約0〜200
℃、好ましくは約50〜150℃及び触媒の使用量がイ
ソプレゴンに対して約0.0005〜0.1倍重量程
度、好ましくは約0.005〜0.05倍重量程度であ
る。また、反応時間は、反応基質濃度、温度、圧力等の
反応条件によって異なるが、通常30分〜10時間程
度、好ましくは1〜8時間程度の条件で実施される。
【0039】上記した水素化反応において、光学活性な
イソプレゴンを使用することにより、ラセミ化すること
なくシクロヘキサン構造の1−位メチル基の立体配置が
保持された、光学活性なイソプレゴールを得ることがで
きる。具体的には、(1R)−イソプレゴンを使用する
ことにより、(1R)−イソプレゴールへと容易に導く
ことができる。また、(1S)−イソプレゴンを使用す
ることにより、(1S)−イソプレゴールへと容易に導
くことができる。(1R)−イソプレゴンを用いるのが
好ましい。
【0040】本発明のシトロネラールの製造方法は、イ
ソプレゴールを熱分解することによりを製造するもので
ある。その反応式を以下に示す。
【0041】
【化4】
【0042】イソプレゴールからシトロネラールへの熱
分解による開環反応は、反応基質であるイソプレゴール
自体を溶媒として無溶媒で進行する、従って、反応後の
生成物の分離を考慮すれば、無溶媒で反応が実用的であ
るが、必要に応じて、イソプレゴールより沸点の高い炭
化水素系溶媒、エーテル系溶媒又は芳香族系溶媒、例え
ばパラフィン、ポリエチレン、ポリエチレングリコール
ジメチルエーテル、NeoSK−OIL(総研化学社
製)等の一種又は二種以上を用いることができる。この
場合、溶媒の使用量は、イソプレゴール1容量部に対し
て0.5〜20容量部、特に経済性と反応性を考慮して
1〜5容量部が好ましい。
【0043】反応蒸留装置は、一般的な蒸留精製用の蒸
留装置を持った反応釜を有する構造を備え、原料のイソ
プレゴールと生成物のシトロネラールとを分離できるも
のであれば特に限定されるものではない。ここで、蒸留
塔の充填物は一般的に蒸留に使用されるものであれば特
に制限はなく、例えば、ヘリパック、ポールリング、ス
ルザーパッキング等を使用することが好ましい。開環反
応の反応温度は、400〜600℃、特に経済性と反応
性を考慮して450〜550℃が適当である。開環反応
は温度が高いほど大きくなるが、開環反応温度が650
℃以上であると樹脂化等の副反応を併発し好ましくな
い。また、反応圧力は減圧下で行うのがよく、減圧度は
5〜100mmHg(667〜13332Pa)好まし
くは10〜30mmHg(1333〜4000Pa)で
行うのが効率的である。
【0044】上記した開環反応において、光学活性なイ
ソプレゴールを使用することにより、ラセミ化すること
なくシクロヘキサン構造の1−位メチル基の立体配置が
保持された、光学活性なシトロネラールを得ることがで
きる。具体的には、(1R)−イソプレゴールを使用す
ることにより、(3R)−シトロネラールへと容易に導
くことができる。また、(1S)−イソプレゴールを使
用することにより、(3S)−シトロネラールへと容易
に導くことができる。(1R)−イソプレゴールを用い
るのが好ましい。シトロネラールのうちでも、3−位メ
チル基の立体配置が保持された、(3R)−シトロネラ
ールは香料成分として一層優れている。本発明において
はプレゴンとして、(1R)−プレゴンを用い、これに
異性化触媒の存在下に異性化し、反応物から(1R)−
イソプレゴンを分取することによって(1R)−イソプ
レゴンへと容易に導くことができ、ついで該(1R)−
イソプレゴンを、不均一系触媒の存在下で水素化して、
(1R)−イソプレゴールへと容易に導くことができ、
該(1R)−イソプレゴールを熱分解することにより、
より香気特性に優れる(3R)−シトロネラールを容易
に得ることができる。
【0045】上記により得られるシトロネラール、その
合成中間体であるイソプレゴン及びイソプレゴールは、
その香気特性を活かして、香粧品、トイレタリー製品、
入浴剤、飲食品、医薬品等の各種用途に用いることがで
きる。
【0046】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の例によって何ら限定されるのも
ではない。
【0047】参考例1 ピペリテノンの合成 1Lの4つ口フラスコにメシチルオキシド688mL
(6.0mol)を仕込み、炭酸カリウム13.82g
(0.1mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムク
ロリド2.28g(10mmol)を加え80℃まで加
熱した。メチルビニルケトン166.48mL(2.0
mol)を80℃に保ちながら1時間かけて滴下し、滴
下終了後30分撹拌した後、反応溶液を減圧下、蒸留を
行い、ピペリテノン186gを得た。収率62%。
【0048】参考例2 (1R)−プレゴンの合成 500mLのオートクレーブに、参考例1で得たピペリ
テノン150g(1mol)、[Rh(cod)2]PF6 18.
6mg(0.04mmol)、(S)-DTBM-SEGPHOS 4
7.2mg(0.04mmol)、BrPPh3(CH2)4PPh3Br
14.8mg(0.02mmol)、酢酸エチル7.
5mLを加え、水素圧3MPa、50 ℃で20時間反
応した。反応終了後、水素をパージし、反応溶液を濃
縮、減圧下蒸留を行い、(1R)−プレゴンを147.
4g得た。 収率98%。光学純度97.8%ee [Ph(cod)2]PF6は、ビス(1,5−シクロオクタジエ
ン)ロジウム(II)ヘキサフルオロホスフェート、(S)-
DTBM-SEGPHOSは、[(4S)−[4,4'−ビ−1,3
−ベンゾイドキソール]−5,5'−ジイル]ビス[ビ
ス[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メ
トキシフェニル]−ホスフィンを示す。
【0049】実施例1(1R)−イソプレゴンの合成 撹拌用回転子を入れた300mLの丸底フラスコに参考
例2で得た(1R)−プレゴン100gと下記表1に示
した触媒を1g入れ、反応容器を窒素置換後180〜2
00℃に加熱、撹拌しながら反応を行った。2.5、
5、10、20、40、80、160分後にサンプリン
グを行いカスクロマトグラフィー分析(カラム:Neu
traBond−1;0.25mm × 30m、昇温
条件:75〜250℃、2℃/min)し、目的物(1
R)−イソプレゴンと原料成分(1R)−プレゴンの計
2成分が異性化平衡反応になるまでの時間を調べた。ま
た、比較例として触媒を使用しない、熱だけで異性化し
た時の結果も下記表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】1)パラトルエンスルホン酸:ナカライテ
スク社製 2)シリカアルミナ:富士シリシア社製 3)硫酸−酸化ジルコニウム:ジャパンエナジー社製 4)3重量%炭酸セシウム−シリカゲル:50mLのビ
ーカーに0.2gの炭酸セシウムと9.8mLの水を入
れて2重量%水溶液を調製し、これにナカライテスク社
製のシリカゲル7.0gを加えた。これを電気炉に入れ
て500℃、2700パスカルの減圧下で3時間焼成し
た。 5)3重量%水酸化セシウム−シリカゲル:0.2gの
水酸化セシウムを用いて4)と同様に焼成し調製した。 6)3重量%水酸化ナトリウム−シリカゲル:0.2g
の水酸化ナトリウムを用いて4)と同様に焼成し調製し
た。 7)3重量%水酸化カリウム−シリカゲル:0.2gの
水酸化カリウムを用いて4)と同様に焼成し調製した。 8)酸化マグネシウム:関東化学社製 9)ナフテン酸カリウム:1gのナフテン酸(三井化学
株式会社製: NSA-185)の5mLメタノ−ル溶液に炭酸
カリウム0.228gの5mLメタノ−ル溶液を混合し
た、カリウム濃度0.337mmol/mLの溶液。
(mol比=ナフテン酸/K=1/1) 10)ナフテン酸ナトリウム:1gのナフテン酸(三井化
学株式会社製: NSA-185)の5mLメタノ−ル溶液に炭
酸ナトリウム0.175gの5mLメタノ−ル溶液を混
合した、ナトリウム濃度0.337mmol/mLの溶
液。(mol比=ナフテン酸/Na=1/1) 11)ナフテン酸セシウム:1gのナフテン酸(三井化学
株式会社製: NSA-185)の5mLメタノ−ル溶液に炭酸
セシウム 0.549gの5mLメタノ−ル溶液を混合
した、セシウム濃度 0.337mmol/mLの溶
液。(mol比=ナフテン酸/Cs=1/1) 12)5重量%レニウム−シリカゲル:エヌ・イー・ケム
キャット社製 13)5重量%ルテニウム−シリカゲル:エヌ・イー・ケ
ムキャット社製 14)5重量%ルテニウム−シリカゲル−酸化物:エヌ・
イー・ケムキャット社製 15)[RuCl{(PhO)3P}(p-cymene)(PhCN)]Cl:温度計と
攪拌装置のついた200mLの丸底反応フラスコに[RuC
l2(p-cymene)]2(ジクロロ(p-シメン)ルテニウムダイマ
ー) 0.15gを仕込み窒素でフラスコ内を置換後ベ
ンゾニトリル10mLとトリフェニルホスファイト
0.31gを仕込み、更に攪拌しながら190℃で10
分加熱後、溶媒を減圧下で除去した粉末(収量0.45
g)[RuCl{(PhO)3P}(p-cymene)(PhCN)]Cl触媒。
【0052】実施例2 反応蒸留法による(1R)−イ
ソプレゴンの合成 攪拌用回転子を入れた500mLの丸底フラスコに直径
25mmで高さ550mmのガラス管に20段相当のス
ルザーラボパッキング(住友重機械工業社製)を充填し
た蒸留塔を取付け、プレゴン150g(純度99.2
%)と前述の均一系ナフテン酸セシウム塩メタノ−ル溶
液6mmolを入れ、メタノ−ル除去後、減圧下加熱攪
拌し反応蒸留を行った。丸底フラスコ内の液温が200
℃前後になるように蒸留塔塔頂の減圧度を30〜103
Pa前後に調整し、液体が蒸留塔塔頂に上がってから1
時間、蒸留塔内の物質組成を安定化させるために全還流
を行った。その後1時間に8g前後の割合で反応物を流
出させた。反応生成物である留出物中には目的物である
(1R)−イソプレゴンがおよそ95重量%とプレゴン
がおよそ5重量%含まれていた。反応蒸留で生成した物
を別の蒸留塔で目的物である(1R)−イソプレゴン
と、原料として再利用できるプレゴンとに別け、後者の
リサイクルを繰り返すことによりプレゴンにほぼ定量的
に変換することができた。
【0053】実施例3 (1R)−イソプレゴンの合成 シリカアルミナ触媒に代えて2%水酸化ナトリウム水溶
液10gにシリカゲル7.0gを浸析後2.7×103
Paの減圧下500℃で3時間焼成した触媒を使用した
以外実施例2と同様の方法を用い、(1R)−イソプレ
ゴンを128.7g(理論収率85.8%)得た。
【0054】実施例4 (1R)−イソプレゴンの合成 シリカアルミナ触媒に代えて酸化マグネシウム(関東化
学社製)を触媒として使用した以外実施例2と同様の方
法を用い、イソプレゴンを30g(理論収率20%)得
た。
【0055】実施例5 (1R)−イソプレゴンの合成 シリカアルミナ触媒に代えてシリカゲルに5%ルテニウ
ムを担持した触媒(エヌ・イーケムキャット社製)を使
用した以外実施例2と同様の方法を用い、(1R)−イ
ソプレゴンを136.6g(理論収率91.1%)得
た。
【0056】実施例6 (1R)−イソプレゴンの合成 シリカアルミナ触媒に代えて実施例1で使用した[RuCl
{(PhO)3P}(p-cymene)(PhCN)]Cl触媒を使用した以外実
施例2と同様の方法を用い、(1R)−イソプレゴンを
90g(理論収率60%)得た。
【0057】実施例7 (1R)−イソプレゴールの合
成 200mLのオートクレーブに銅−クロム触媒1g、エ
タノール50mLを加え、水素圧20気圧(2MP
a)、150℃で一時間撹拌し活性化を行った。オート
クレーブを冷却後、(1R)−イソプレゴン10gを加
え、100〜120℃、水素圧30〜40気圧(3〜4
MPa)で6時間撹拌した。(1R)−イソプレゴール
の選択性は90%であった。収量8.5g(収率85
%)。
【0058】比較例1(1R)−イソプレゴンの水素化
反応 イソプレゴン10g(65.8mmol)、RuCl2(Ph
3P)2(propanediamine)10.1mg(0.013mmo
l)、tert-BuOK 29.2mg(0.26mmo
l)、2―プロパノール 10mLを100mLのオー
トクレーブに入れ、水素圧30気圧(3MPa)、30
℃で2時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーで分析し
たところプレゴン46.1%、プレゴール44.3%と
目的物であるイソプレゴールは得られなかった。
【0059】本発明の不均一系の銅系触媒を用いて反応
を行うと、イソプレゴールを選択率90%、収率85%
と高選択率、高収率で得ることができた。一方、比較例
1の不均一系の銅系触媒の代わりに均一系としてRuCl
2(Ph3P)2 (propanediamine)を用いる方法(特開200
2−30009)で反応させた場合には、二重結合が異
性化したプレゴン及びそのケトン還元体であるプレゴー
ルを生成するのみで、目的とするイソプレゴールは得ら
れなかった。本発明の製造方法では、イソプレゴールを
高選択率、高収率で円滑に得ることができる。
【0060】実施例8 (3R)−シトロネラールの合
成 No.4ヘリパックを充填した直径25mm、高さ40
0mmの石英反応管を100mLの反応フラスコにセッ
トした。この石英反応管にヒーターをセットし中心部を
500℃に加熱し、系内を10〜20mmHg(133
3〜2666Pa)に減圧した。200℃のオイルバス
に反応フラスコを浸け、(1R)−イソプレゴンを減圧
下に滴下し、上部より留出する(3R)−シトロネラー
ルを冷却下に補集した。シトロネラールが収率90%で
得られた。 (1R)−シトロネラールをキラルGCカラム(β-DEX-
225)で分析したところ光学純度は95.3%eeであっ
た。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、天然物由来の原料を使
用することなく、香料等として有用なシトロネラール
を、簡単な操作で安全に、且つ高選択率、高収率で製造
することができ、本発明方法は工業的に有利な製造方法
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】プレゴン異性化速度の経時変化を示す図であ
る。
【図2】反応槽と蒸留塔が一体となった反応蒸留装置の
概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 49/647 C07C 49/647 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC27 AC28 AC41 AC45 AD13 BA02 BA05 BA07 BA10 BA14 BA16 BA18 BA19 BA22 BA29 BA32 BA44 BA48 BA66 BA68 FC22 FE12 4H039 CA20 CA60 CA62 CB20 CH70 CJ10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレゴンを、異性化触媒の存在下で異性
    化し、反応物からイソプレゴンを分取し、得られたイソ
    プレゴンのケトン部位を不均一系触媒で水素化してイソ
    プレゴールとし、更に熱分解することを特徴とするシト
    ロネラールの製造方法。
  2. 【請求項2】 プレゴン、イソプレゴン及びイソプレゴ
    ールのシクロヘキサン環構造の1−位メチル基の立体配
    置が(R)であり、シトロネラールの3−位メチル基の
    立体配置が(R)である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 プレゴンを、異性化触媒の存在下で異性
    化し、反応物からイソプレゴンを分取することを特徴と
    するイソプレゴンの製造方法。
  4. 【請求項4】 プレゴン及びイソプレゴンのシクロヘキ
    サン環構造の1−位メチル基の立体配置が(R)である
    請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 イソプレゴンのケトン部位を不均一系触
    媒で水素化することを特徴とするイソプレゴールの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 イソプレゴン及びイソプレゴールのシク
    ロヘキサン環構造の1−位メチル基の立体配置が(R)
    である請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 プレゴンを、異性化触媒の存在下で異性
    化し、反応物からイソプレゴンを分取し、得られたイソ
    プレゴンのケトン部位を不均一系触媒で水素化すること
    を特徴とするイソプレゴールの製造方法。
  8. 【請求項8】 プレゴン、イソプレゴン及びイソプレゴ
    ールのシクロヘキサン環構造の1−位メチル基の立体配
    置が(R)である請求項7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 イソプレゴンの分取を、反応蒸留により
    行うものである請求項1、2、3、4、7又は8に記載
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 異性化触媒が、酸触媒、固体塩基触
    媒、金属担持触媒、均一系金属錯体触媒及び有機酸のア
    ルカリ金属塩触媒からなる群から選ばれる一種又は二種
    以上である請求項1、2、3、4、7、8又は9に記載
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 酸触媒が、ブレンステッド酸及び固体
    酸から選ばれる一種又は二種以上である請求項10記載
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 固体塩基触媒が、アルカリ金属若しく
    はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩を担体に担持
    した担持触媒及び金属酸化物から選ばれる一種又は二種
    以上である請求項10の製造方法。
  13. 【請求項13】 金属担持触媒が、ルテニウム又はレニ
    ウムの担持体及びルテニウム担持体を酸化処理してなる
    ものから選ばれる一種又は二種以上である請求項10記
    載の製造方法。
  14. 【請求項14】 均一系金属錯体触媒が、ルテニウム−
    ホスフィン錯体及びルテニウム−ホスファイト触媒から
    選ばれる一種又は二種以上である請求項10記載の製造
    方法。
  15. 【請求項15】 有機酸のアルカリ金属塩触媒が、脂肪
    酸及び芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩から選ばれる
    一種又は二種以上である請求項10記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 不均一系触媒が、銅系触媒である請求
    項1、2、5、6、7又は8記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 銅系触媒が、クロム、マンガン、コバ
    ルト、亜鉛、ルテニム、チタン、鉄、ジルコニウムから
    選ばれる一種又は二種以上の金属を含有する同系触媒で
    ある請求項16記載の製造方法。
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