JP2003338369A - 有機電界発光素子の製造方法及びそれに用いる転写材料並びに有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法及びそれに用いる転写材料並びに有機電界発光素子

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JP2003338369A
JP2003338369A JP2002143806A JP2002143806A JP2003338369A JP 2003338369 A JP2003338369 A JP 2003338369A JP 2002143806 A JP2002143806 A JP 2002143806A JP 2002143806 A JP2002143806 A JP 2002143806A JP 2003338369 A JP2003338369 A JP 2003338369A
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JP2002143806A
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Masato Yamada
真人 山田
Tomoyoshi Tateishi
朋美 立石
Nobuhiro Nishida
伸洋 西田
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機薄膜層を簡便に基板上に形成できるとと
もに、発光効率及び耐久性に優れ、発光面の欠陥が少な
い有機電界発光素子を効率良く製造する方法及びそれに
用いる転写材料並びにその製造方法により作製された有
機EL素子等の有機電界発光素子を提供する。 【解決手段】 仮支持体上に少なくとも1層の有機薄膜
層が形成された転写材料を用い、有機薄膜層側が基板の
被成膜面に対面するように転写材料を基板に重ねて加熱
及び/又は加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより有
機薄膜層を基板の被成膜面に転写する工程を有する有機
電界発光素子の製造方法であって、仮支持体の吸水率が
8質量%以下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフルカラーディスプ
レイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンター
等の光源アレイ等に有効に利用できる有機電界発光素子
の製造方法及びそれに用いる転写材料並びにその製造方
法により作製された有機電界発光素子に関し、特に有機
電界発光(EL)素子の製造方法及びそれに用いる転写材
料並びにその製造方法により作製された有機電界発光
(EL)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子等の有機発光素子は容易に面
状発光素子に適用し得るため、新たな光デバイスとして
注目されている。具体的には、固体発光型の安価な大面
積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用
途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に有
機発光素子は、発光層及び発光層を挟んだ一対の対向電
極(背面電極及び透明電極)から構成されている。有機
発光素子において、一対の対向電極間に電界が印加され
ると、有機発光素子内に背面電極から電子が注入される
とともに、透明電極から正孔が注入される。この電子と
正孔が発光層中で再結合し、エネルギー準位が伝導帯か
ら価電子帯に戻る際にエネルギーが光として放出され発
光する。
【0003】有機EL素子の有機薄膜層の多くは蒸着法に
より製造されている。特開平9-167684号及び特開2000-1
95665号は、マイカ又はフイルムの仮基板上に予め有機
層を均一に蒸着法により形成し、次いで基板と有機層を
近接させ、加熱蒸着する方法を提案している。しかしな
がらこれらの方法には、蒸着法を用いるために製造効率
が悪いという問題がある。また蒸着法を用いるために、
有機薄膜用に低分子有機化合物しか使用できないため、
フレキシブルなディスプレイ等に用いると耐屈曲性や膜
強度等の耐久性が不十分であるという問題があり、特に
大面積化した場合に問題になる。
【0004】また緑色の発光を示すポリパラフェニレン
ビニレン(「ネイチャー」、347巻、539頁、1990年)、
赤燈色の発光を示すポリ3-アルキルチオフェン(ジャパ
ニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス)、30
巻、L1938頁、1991年)、青色の発光を示すポリアルキ
ルフルオレン(ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプラ
イド・フィジクス)、30巻、L1941頁、1991年)等の高分
子の発光薄膜や、低分子化合物をバインダー樹脂に分散
させた発光薄膜を用いた高分子型の有機EL素子も知られ
ている。これらの高分子型素子は大面積化にも有利であ
り、フレキシブルなディスプレイ用途として期待されて
いるが、有機発光薄膜の形成に蒸着法を適応できないた
め、湿式法により基板上に直接薄膜を形成している。
【0005】しかし湿式法では、溶液の表面張力により
有機薄膜の膜厚均一性が不十分になることや、有機薄膜
層を積層する場合に各有機薄膜層が界面で溶解してしま
うという問題がある。このため、この方法により得られ
た有機電界発光素子には発光効率や素子耐久性に劣ると
いう問題があった。
【0006】WO 00/41893号は、有機薄膜と光熱変換層
を有するドナーシートを用いて、レーザにより熱転写す
る方法を提案している。ところがWO 00/41893号のよう
な熱転写の場合、有機薄膜層の接合界面に気体が巻き込
まれ、素子機能が悪化するという問題がある。また有機
薄膜層の界面の状態に応じて、有機EL素子の発光効率や
耐久性、更に発光面状の均一性が異なるという問題もあ
る。
【0007】またプリント技術分野で利用されている熱
ヘッドやレーザを用いたパターン状の熱書き込みの場
合、熱拡散性によりパターンの周辺に温度分布が生じ
て、有機薄膜パターンの輪郭がきれいにドナー側から切
断されない。このため発光量のばらつきが生じたり、ま
た電気的不良や薄膜破片による欠陥が起こり、更に耐久
性も悪くなるという問題がある。また基板と熱ヘッドや
レーザとの位置合わせの不良により、歩留まり低下の問
題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、有機薄膜層を簡便に基板上に形成できるとともに、
均一性及び良好な接合界面を有し、発光面の欠陥が少な
い有機電界発光素子を製造する方法及びその製造方法に
用いる転写材料を提供することであり、特に湿式法を用
いて均一な有機薄膜層を形成することにより、発光効率
及び耐久性に優れた有機電界発光素子を効率良く製造す
る方法及びそれに用いる転写材料並びにその製造方法に
より作製された有機EL素子等の有機電界発光素子を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は下記の構成により本発明の目的を
達成できることを見出した。 (1) 仮支持体上に少なくとも1層の有機薄膜層が形成さ
れた転写材料を用い、前記有機薄膜層側が基板の被成膜
面に対面するように前記転写材料を前記基板に重ねて加
熱及び/又は加圧し、前記仮支持体を引き剥がすことに
より前記有機薄膜層を前記基板の被成膜面に転写する工
程を有する有機電界発光素子の製造方法であって、前記
仮支持体の吸水率が8質量%以下であることを特徴とす
る有機電界発光素子の製造方法。 (2) (1)に記載の有機電界発光素子の製造方法におい
て、さらに前記有機薄膜層を転写した被成膜面と、電極
及び/又は有機薄膜層が形成された基板を貼り合せる工
程を有することを特徴とする有機電界発光素子の製造方
法。 (3) (2)に記載の有機電界発光素子の製造方法におい
て、前記貼り合せる工程に用いる2つの基板の少なくと
も一方の基板上に透明導電層を形成することを特徴とす
る有機電界発光素子の製造方法。 (4) (1)〜(3)のいずれかに記載の有機電界発光素子の製
造方法において、前記有機薄膜層が少なくとも発光性有
機化合物又はキャリア輸送性有機化合物を含有すること
を特徴とする有機電界発光素子の製造方法。 (5) (1)〜(4)のいずれかに記載の有機電界発光素子の製
造方法において、ホール輸送性有機薄膜層、発光性有機
薄膜層及び電子輸送性有機薄膜層を順次設けることを特
徴とする有機電界発光素子の製造方法。 (6) (1)〜(5)のいずれかに記載の有機電界発光素子の製
造方法において、前記仮支持体及び/又は前記基板が連
続ウエブであることを特徴とする有機電界発光素子の製
造方法。 (7) 仮支持体上に少なくとも1層の有機薄膜層を形成し
てなる有機電界発光素子用転写材料であって、前記仮支
持体の吸水率が8質量%以下であることを特徴とする有
機電界発光素子用転写材料。 (8) (1)又は(2)に記載の有機電界発光素子の製造方法に
より製造されたことを特徴とする有機電界発光素子。 (9) (8)に記載の有機電界発光素子において、少なくと
も一方が透明な陰極及び陽極よりなる1対の電極、並び
に少なくとも1層以上の有機薄膜層を有する有機電界発
光素子。
【0010】
【発明の実施の形態】まず本発明の有機薄膜層転写材料
を説明し、次いで有機電界発光素子の製造方法を説明
し、最後に有機電界発光素子を説明する。
【0011】[1] 転写材料 (1) 構成 有機薄膜層は仮支持体上に湿式法で作製するのが好まし
い。有機薄膜層を設けた転写材料は、個々独立した転写
材料として作製してもよいし、図1に示すように面順次
に設けても良い。すなわち、進行方法順に112a,112b,
112cと複数の有機薄膜層を1枚の仮支持体に設けても良
い。この転写材料110を使用すれば、転写材料の交換の
必要なしに、複数の有機薄膜層を連続的に形成すること
ができる。
【0012】また仮支持体上に2層以上の有機薄膜層を
予め積層した転写材料を使用すれば、1回の転写工程で
基板の被成膜面に多層膜を積層することができる。仮支
持体上に予め積層する場合、積層される各有機薄膜層の
界面が均一でないと正孔や電子の移動にムラが生じてし
まうので、界面を均一にするために溶剤を慎重に選ぶ必
要があり、またその溶剤に可溶な有機薄膜層用の有機化
合物を選択する必要がある。
【0013】転写材料は、例えば水分濃度及び酸素濃度
を低減した不活性ガス(窒素、アルゴン等)で置換した
グローブボックス内で作製するか、大気中で作製した後
真空乾燥器等で乾燥することにより得ることができる。
また、作製した転写材料は水分濃度100 ppm以下、かつ
酸素濃度100 ppm以下の密閉容器中で保管するのが好ま
しい。
【0014】(3) 仮支持体 本発明に使用する仮支持体は、化学的及び熱的に安定で
あって、可撓性を有する材料により構成する。具体的に
はフッ素樹脂[例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、
3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)]、ポリエステル
(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート(PEN))、ポリアリレート、ポリカーボネ
ート、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレン)、ポリエーテルスルホン(PES)等の薄いシー
ト、又はこれらの積層体が好ましい。仮支持体の厚さは
1μm〜300μmが適当であり、更に3μm〜200μmが好ま
しく、特に3μm〜150μmであるのが好ましい。
【0015】本発明の転写材料に用いる仮支持体の吸水
率は8質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であ
り、より好ましくは3質量%以下であり、特に好ましく
は2質量%以下である。ここで吸水率は23℃、24hr浸漬
時の吸水率であり、ASTM D570-63に従って測定できる。
【0016】吸水率が8質量%以下の材料としては、具
体的にはポリエステル(PET等)、フッ素樹脂、ポリオレ
フィン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテル
スルホン等が挙げられ、好ましくはポリエステル(PET
等)、ポリエーテルスルホン等である。
【0017】仮支持体の材料として吸水率の低い材料を
用いることにより仮支持体の含水量を低減することがで
き、これにより保管中に仮支持体内の水分が有機薄膜層
内に移行することによる有機電界発光素子の性能の悪化
を抑制できる。仮支持体は吸水率が8質量%以下である
とともに、さらに以下に述べる酸素透過性及び/又は透
湿度の基準を満たしたものであることが好ましい。
【0018】仮支持体は酸素透過性が低いことが好まし
く、具体的には300cc/100in2/mil/24hr/mm/1気圧25℃
以下であることが好ましい。酸素透過性はASTM D1434-6
3に従って測定できる。また、仮支持体は透湿度が低い
ことが好ましく、具体的には20g/100in2/24hr/mil25℃
以下であることが好ましい。透湿度はASTM E96-66に従
って測定できる。
【0019】(4) 仮支持体への有機薄膜層の形成 バインダーとして高分子化合物を含む有機薄膜層は、湿
式法により仮支持体に形成するのが好ましい。これに
は、有機薄膜層用材料を有機溶剤に所望の濃度に溶解
し、得られた溶液を仮支持体に塗布する。塗布法として
は、有機薄膜層の乾燥膜厚が200 nm以下で均一な膜厚分
布が得られれば特に制限はなく、スピンコート法、グラ
ビアコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコ
ート法、ロールコート法、バーコート法、エクストルー
ジェンコート法、インクジェット塗布法等が挙げられ
る。中でも、ロールツーロールによる生産性の高いエク
ストルージェンコート法が好ましい。
【0020】(5) 有機薄膜層 有機薄膜層は有機電界発光素子を構成する層であり、本
発明に用いる有機薄膜層は有機EL素子に用いることので
きる層を意味する。具体的には、それぞれの特質から発
光性有機薄膜層、電子輸送性有機薄膜層、ホール輸送性
有機薄膜層、電子注入層、ホール注入層等が挙げられ
る。また発色性を向上するための種々の層を挙げること
ができる。各層に用いる化合物の具体例については、例
えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機EL
ディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されてい
る。
【0021】有機薄膜層自体又はその中の成分のガラス
転移温度は40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下が好ま
しく、更に50℃以上で、かつ転写温度+20℃以下が好ま
しく、特に60℃以上で、かつ転写温度以下が好ましい。
また転写材料の有機薄膜層自体又はその中の成分の流動
開始温度は40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下が好ま
しく、更に50℃以上で、かつ転写温度+20℃以下が好ま
しく、特に60℃以上で、かつ転写温度以下が好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)によ
り測定することができる。また流動開始温度は、例えば
島津製作所(株)製のフローテスターCFT-500を用いて
測定することができる。
【0022】(a) 発光性有機薄膜層 発光性有機薄膜層は少なくとも一種の発光性化合物を含
有する。発光性化合物は特に限定的ではなく、蛍光発光
性化合物であっても燐光発光性化合物であってもよい。
また蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物を同時に用
いてもよい。本発明においては、発光輝度及び発光効率
の点から燐光発光性化合物を用いるのが好ましい。
【0023】蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサ
ゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチア
ゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル
誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニル
ブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘
導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾ
ール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シ
クロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘
導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チ
アジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳
香族ジメチリデン化合物、金属錯体(8-キノリノール誘
導体の金属錯体、希土類錯体等)、高分子発光性化合物
(ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリ
フェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等)
等が使用できる。これらは単独で用いても2種以上を混
合して用いてもよい。
【0024】燐光発光性化合物は、好ましくは三重項励
起子から発光することができる化合物であり、オルトメ
タル化錯体及びポルフィリン錯体が好ましい。ポルフィ
リン錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。燐
光発光性化合物は単独で使用しても2種以上を併用して
もよい。
【0025】本発明でいうオルトメタル化錯体とは、山
本明夫著「有機金属化学 基礎と応用」,150頁及び232
頁,裳華房社(1982年)、H. Yersin著「Photochemistr
y and Photophysics of Coordination Compounds」,71
〜77頁及び135〜146頁,Springer-Verlag社(1987年)
等に記載されている化合物群の総称である。オルトメタ
ル化錯体を形成する配位子は特に限定されないが、2-フ
ェニルピリジン誘導体、7,8-ベンゾキノリン誘導体、2-
(2-チエニル)ピリジン誘導体、2-(1-ナフチル)ピリジン
誘導体又は2-フェニルキノリン誘導体であるのが好まし
い。これら誘導体は置換基を有してもよい。またこれら
のオルトメタル化錯体形成に必須の配位子以外に他の配
位子を有していてもよい。オルトメタル化錯体を形成す
る中心金属としては、遷移金属であればいずれも使用可
能であり、本発明ではロジウム、白金、金、イリジウ
ム、ルテニウム、パラジウム等が好ましい。このような
オルトメタル化錯体を含む有機化合物層は、発光輝度及
び発光効率に優れている。オルトメタル化錯体について
は、米国特許20020055014A1号に具体例が記載されてい
る。
【0026】本発明で用いるオルトメタル化錯体は、In
org.Chem.1991年,30号,1685頁、同1988年,27号,3464
頁、同1994年, 33号, 545頁、Inorg. Chim. Acta 1991
年, 181号, 245頁、J.Organomet.Chem.1987年,335号,29
3頁、J.Am.Chem.Soc.1985年,107号,1431頁等に記載の公
知の方法により合成することができる。
【0027】発光性有機薄膜層中の発光性化合物の含有
量は特に制限されないが、例えば0.1〜70質量%である
のが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。
発光性化合物の含有量が0.1質量%未満であるか又は70
質量%を超えると、その効果が十分に発揮されないこと
がある。
【0028】発光性有機薄膜層は必要に応じてホスト化
合物、ホール輸送材料、電子輸送材料、電気的に不活性
なポリマーバインダー等を含有してもよい。なおこれら
の材料の機能は1つの化合物により同時に達成できるこ
とがある。例えば、カルバゾール誘導体はホスト化合物
として機能するのみならず、ホール輸送材料としても機
能する。
【0029】ホスト化合物とは、その励起状態から発光
性化合物へエネルギー移動が起こり、その結果その発光
性化合物を発光させる化合物である。その具体例として
は、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサ
ゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール
誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導
体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ア
リールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチ
リルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラ
ゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香
族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族
ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、アントラキ
ノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノ
ン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミ
ド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリル
ピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラ
カルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8-キノリノ
ール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾ
オキサゾール、ベンゾチアゾール等を配位子とする金属
錯体、ポリシラン化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)
誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポ
リチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導
体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘
導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。ホスト化
合物は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよ
い。発光性有機薄膜層におけるホスト化合物の含有量は
0〜99.9質量%が好ましく、0〜99.0質量%がより好ま
しい。
【0030】ホール輸送材料は、陽極からホールを注入
する機能、ホールを輸送する機能、及び陰極から注入さ
れた電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので
あれば特に限定されず、低分子材料であっても高分子材
料であってもよい。その具体例としては、カルバゾール
誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オ
キサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリ
ールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘
導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導
体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン
誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチ
ルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化
合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合
物、ポルフィリン化合物、ポリシラン化合物、ポリ(N-
ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオ
フェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、
ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフ
ェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙
げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合し
て使用してもよい。発光性有機薄膜層におけるホール輸
送材料の含有量は0〜99.9質量%が好ましく、0〜80.0
質量%がより好ましい。
【0031】電子輸送材料は、陰極から電子を注入する
機能、電子を輸送する機能、及び陽極から注入されたホ
ールを障壁する機能のいずれかを有しているものであれ
ば特に限定されない。その具体例としては、例えばトリ
アゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾー
ル誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン
誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、
チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、
フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘
導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸
無水物、フタロシアニン誘導体、8-キノリノール誘導体
等の金属錯体、メタロフタロシアニン、ベンゾオキサゾ
ールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、ア
ニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェ
ン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェ
ニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフ
ルオレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用し
ても2種以上を混合して使用してもよい。発光性有機薄
膜層における電子輸送材料の含有量は0〜99.9質量%が
好ましく、0〜80.0質量%がより好ましい。
【0032】ポリマーバインダーとしては、ポリ塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメ
タクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステ
ル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタ
ジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、
ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹
脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステ
ル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルアセタール等が使用可能
である。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以
上を併用しても良い。ポリマーバインダーを含有する発
光性有機薄膜層は、湿式製膜法により容易に大面積に塗
布形成することができる。発光性有機薄膜層の厚さは10
〜200 nmとするのが好ましく、20〜80 nmとするのがよ
り好ましい。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇す
ることがある。一方10 nm未満であると有機電界発光素
子が短絡することがある。
【0033】(b) ホール輸送性有機薄膜層 有機電界発光素子は、必要に応じて上記ホール輸送材料
からなるホール輸送性有機薄膜層を有してよい。ホール
輸送性有機薄膜層は上記ポリマーバインダーを含有して
もよい。ホール輸送性有機薄膜層の厚さは10〜200 nmと
するのが好ましく、20〜80 nmとするのがより好まし
い。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇することが
あり、10 nm未満であると有機電界発光素子が短絡する
ことがある。
【0034】(c) 電子輸送性有機薄膜層 有機電界発光素子は、必要に応じて上記電子輸送材料か
らなる電子輸送性有機薄膜層を有してもよい。電子輸送
性有機薄膜層は上記ポリマーバインダーを含有してもよ
い。電子輸送性有機薄膜層の厚さは10〜200 nmとするの
が好ましく、20〜80 nmとするのがより好ましい。厚さ
が200 nmを超えると駆動電圧が上昇することがあり、10
nm未満であると有機電界発光素子が短絡することがあ
る。
【0035】有機薄膜層を湿式製膜法により塗布形成す
る場合、有機薄膜層の材料を溶解して塗布液を調製する
のに用いる溶剤は特に制限はなく、ホール輸送材料、オ
ルトメタル化錯体、ホスト化合物、ポリマーバインダー
等の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、
ハロゲン系溶剤(クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロ
メタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等)、
ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、n-プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン
等)、芳香族系溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン
等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸n-プロピル、
酢酸n-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチ
ル、γ-ブチロラクトン、炭酸ジエチル等)、エーテル
系溶剤(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アミド
系溶剤(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド
等)、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。有機
薄膜層用塗布液における固形分量は特に制限はなく、そ
の粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することがで
きる。
【0036】複数の有機薄膜層を形成する場合、転写法
以外に蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピン
グ、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、
ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビ
アコート法等の湿式製膜法、印刷法等を併用することも
できる。
【0037】[2] 有機電界発光素子の製造方法 本発明の方法は、仮支持体上に有機薄膜層を形成するこ
とにより転写材料を作製し、有機薄膜層側が基板の被成
膜面に対面するように転写材料を基板に重ねて加熱及び
/又は加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより有機薄
膜層を基板の被成膜面に転写するものである。転写材料
は1種であってもよいし、同一又は異なる組成の有機薄
膜層を有する2種以上の転写材料を使用してもよい。
【0038】剥離転写法は、転写材料を加熱及び/又は
加圧することにより有機薄膜層を軟化させて、基板の被
成膜面に接着させた後、仮支持体を剥離することによ
り、有機薄膜層だけを被成膜面に残留させる方法(転写
方法)である。好ましくは加熱と同時に加圧して転写を
行う。加熱手段としては、一般に公知の方法を用いるこ
とができ、例えばラミネータ、赤外線ヒータ、レーザ、
熱ヘッド、加熱ローラ等を用いることができ、好ましく
はラミネータ、赤外線ヒータ、加熱ローラを用いる。熱
ヘッドとしては、例えばファーストラミネータVA-400II
I(大成ラミネータ(株)製)や、熱転写プリント用の
熱ヘッド等を用いることができる。転写温度は特に限定
的でなく、有機薄膜層の材質や加熱部材によって変更す
ることができるが、一般に40〜250℃が好ましく、更に5
0〜200℃が好ましく、特に60〜180℃が好ましい。ただ
し転写用の温度の好ましい範囲は、加熱部材、転写材料
及び基板の耐熱性に関係しており、耐熱性が向上すれば
それにともなって変化する。加圧を行う場合、圧力は0.
05〜50 MPaが好ましく、0.1〜20 MPaがより好ましく、
0.1〜10 MPaがさらに好ましい。
【0039】複数の有機薄膜層を形成する場合、同一又
は異なる組成の有機薄膜層を有する2種以上の転写材料
を用いてもよいし、同一又は異なる組成の2種以上の有
機薄膜層を有する転写材料を用いてもよい。2種以上の
有機薄膜層は少なくとも1種の共通成分を含有している
のが好ましい。
【0040】有機薄膜層又はその高分子成分のガラス転
移温度又は流動開始温度が40℃以上で、かつ転写温度+
40℃以下であるのが好ましい。また転写する2種以上の
有機薄膜層は少なくとも1種の共通成分を含有している
のが好ましい。
【0041】転写前に基板及び/又は転写材料を予熱し
ておくのが好ましい。基板及び/又は転写材料の予熱温
度は30℃以上で、かつ転写温度+20℃以下であるのが好
ましい。また仮支持体を引き剥がす時の温度は10℃以上
で、かつ転写温度以下であるのが好ましい。
【0042】仮支持体を剥離した後で転写された有機薄
膜層を再度加熱するのが好ましい。仮支持体を剥離した
後の再加熱温度は、好ましくは転写温度±50℃の範囲で
あって、有機薄膜層のガラス転移温度又は流動開始温度
以上である。
【0043】転写材料及び/又は基板は連続ウエブであ
るのが好ましく、有機薄膜層を転写する基板は支持基板
とその上に形成された透明導電膜を有するのが好まし
い。また、基板側から順にホール輸送性有機薄膜層、発
光性有機薄膜層及び電子輸送性有機薄膜層を転写するの
が好ましい。
【0044】有機薄膜層が基板の被成膜面に対面するよ
うに転写材料を基板に重ねる際に、転写材料の基板に対
する進入角度を90°以下にするのが好ましい。また仮支
持体を基板上に転写された有機薄膜層から引き剥がす際
に、仮支持体の有機薄膜層に対する剥離角度を90°以上
にするのが好ましい。
【0045】本発明では、転写・剥離工程を繰返し行
い、複数の有機薄膜層を基板上に積層することもでき
る。複数の有機薄膜層は同一の組成であっても異なって
いてもよい。同一組成の場合、転写不良や剥離不良によ
る層の抜けを防止することができるという利点がある。
また異なる層を設ける場合、機能を分離して発光効率を
向上する設計とすることができ、例えば、本発明の転写
法により被成膜面に、透明導電層/発光性有機薄膜層/
電子輸送性有機薄膜層/電子注入層/背面電極、透明導
電層/ホール注入層/ホール輸送性有機薄膜層/発光性
有機薄膜層/電子輸送性有機薄膜層/電子注入層/背面
電極を積層することができる。このとき転写温度は、先
の転写層が次に転写層に逆転写されないように、先の転
写材料を加熱する温度を次の転写材料を加熱する温度以
上とするのが好ましい。
【0046】基板に転写した有機薄膜層に対して、ある
いは先に転写した有機薄膜層に転写した新たな有機薄膜
層に対して、必要に応じて再加熱するのが好ましい。再
加熱により有機薄膜層は基板又は先に転写した有機薄膜
層にいっそう密着する。再加熱時に必要に応じて加圧す
るのが好ましい。再加熱温度は転写温度±50℃の範囲で
あるのが好ましい。
【0047】先の転写層が次の転写層に逆転写されない
ように、先の転写工程と次の転写工程の間で、被成膜面
に密着力を向上するような表面処理を施してもよい。こ
のような表面処理としては、例えばコロナ放電処理、火
炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理
が挙げられる。表面処理を併用する場合、逆転写しなけ
れば先の転写材料の転写温度が次の転写材料の転写温度
未満であってもよい。
【0048】有機電界発光素子の製造装置は、仮支持体
上に湿式法により有機薄膜層を形成した転写材料を送給
する装置と、転写材料を加熱しながら基板の被成膜面に
押し当てることにより、有機薄膜層を基板の被成膜面に
転写する装置と、転写後に仮支持体を有機薄膜層から引
き剥がす装置とを有する装置を用いることができる。製
造装置は、転写装置に送給する前に転写材料及び/又は
基板を予熱する手段を有するのが好ましい。また転写装
置の後段に冷却装置を有するのが好ましい。
【0049】転写装置の前面には、転写材料の基板に対
する進入角度を90°以下にする進入角度調整部が設けら
れているのが好ましい。また転写装置又は冷却装置の後
面には、仮支持体の有機薄膜層に対する剥離角度を90°
以上にする剥離角度調整部が設けられているのが好まし
い。以上の有機電界発光素子の製造方法及び装置の詳細
については特願2001-089663号等に記載されている。
【0050】本発明では、仮支持体に有機薄膜層を形成
した転写材料を用いて剥離転写法により基板上に有機薄
膜層を転写する工程と、剥離転写法により設けた有機薄
膜層上に電極、透明導電層及び有機薄膜層の少なくとも
1種が形成された基板を貼り合せ法により貼り合せる工
程とを有していてもよい。貼り合せ法は、少なくとも2
つの面の界面同士を密着、圧着、融着等により接合する
方法である。具体的には被成膜面に転写された有機薄膜
層と、電極及び/又は有機薄膜層が形成された基板とを
重ね合せた後、加熱及び/又は加圧することにより有機
薄膜層を軟化させて、電極及び/又は有機薄膜層が形成
された基板に接着させる方法である。貼合せ方法は、加
熱と加圧をそれぞれ単独で使用しても、またこれらを組
み合せて使用してもよい。加熱及び加圧は剥離転写法と
同様の手段により行うことができる。
【0051】[3] 有機電界発光素子 (1) 構成 有機電界発光素子の全体構成は、支持基板上に透明導電
層/発光性有機薄膜層/背面電極、透明導電層/発光性
有機薄膜層/電子輸送性有機薄膜層/背面電極、透明導
電層/ホール輸送性有機薄膜層/発光性有機薄膜層/電
子輸送性有機薄膜層/背面電極、透明導電層/ホール輸
送性有機薄膜層/発光性有機薄膜層/背面電極、透明導
電層/発光性有機薄膜層/電子輸送性有機薄膜層/電子
注入層/背面電極、透明導電層/ホール注入層/ホール
輸送性有機薄膜層/発光性有機薄膜層/電子輸送性有機
薄膜層/電子注入層/背面電極等をこの順に積層した構
成、これらを逆に積層した構成等であってよい。発光性
有機薄膜層は蛍光発光性化合物及び/又は燐光発光性化
合物を含有し、通常透明導電層から発光が取り出され
る。各層に用いる化合物の具体例については、例えば
「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機ELディ
スプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されている。
【0052】(2) 支持基板 本発明において支持基板は特に限定されることはない
が、有機化合物層から発生する光を取り出す側の支持基
板は、光を散乱又は減衰させないことが好ましい。支持
基板は、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラ
ス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の
ポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ
エーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコー
ルカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、
ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、
テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−
ポリエチレン共重合体等の高分子材料等からなるもので
あってよい。支持基板は単一材料で形成しても、2種以
上の材料で形成してもよい。
【0053】支持基板は可撓性及びガスバリア性を有し
ているのが好ましく、その線熱膨張係数は20 ppm/℃(2
0×10-6/℃)以下であるのが好ましい。線熱膨張係数
は、一定速度で加熱したときの試料の長さの変化率であ
り、TMA法による測定結果から求めたものである。線熱
膨張係数が20 ppm/℃より大きいと、熱履歴中の加熱時
に電極にクラックや剥離が生じ、発光素子の耐久性悪化
の原因となる。線熱膨張係数が20 ppm/℃以下の材料と
しては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、
銀箔等の金属箔や、ポリイミド、液晶性ポリマー等のプ
ラスチックシート等を挙げることができる。
【0054】支持基板の水分透過率は0.01 g/m2・day・
atm以下であるのが好ましく、また酸素透過率は0.01 cc
/m2・day・atm以下であるのが好ましい。水分透過率はJ
ISK 7129;1992法に準拠した方法(主としてMOCON法)
により測定できる。また酸素透過率はJIS K 7126;1987
法に準拠した方法(主としてMOCON法)により測定でき
る。支持基板の水分透過率及び酸素透過率を上記レベル
に抑えることにより、発光素子内に耐久性悪化の原因と
なる水分や酸素が侵入するのを防止することができる。
【0055】上記物性条件を満足し、かつ電極を形成し
て発光素子を作製した時に短絡しない可撓性支持基板と
して、金属箔の片面又は両面に絶縁層を設けた基板が好
ましい。金属箔は特に限定されず、アルミニウム箔、銅
箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔を用いること
ができる。中でも加工の容易さ及びコストの観点からア
ルミニウム箔又は銅箔が好ましい。金属箔の厚さは10〜
100μmであるのが好ましい。金属箔が10μmより薄く
すると、支持基板の水分透過性及び酸素透過性が大きく
なり、ガスバリア性が乏しくなるので、発光素子の耐久
性が悪化する。また金属箔が100μmより厚いと、支持
基板は可撓性が不十分になり、取り扱いに不便が生じ
る。
【0056】金属箔の片面又は両面に設ける絶縁層は限
定的でなく、例えば無機酸化物や無機窒化物等の無機物
や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポ
リスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネー
ト、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン
樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリイミ
ド等のプラスチックにより形成することができる。絶縁
層の上に金属製の陰極を設けるので、絶縁層の線熱膨張
係数が陰極金属及び金属箔の線熱膨張係数と同等である
のが好ましい。この観点からも、絶縁層の線熱膨張係数
は20 ppm/℃以下であるのが好ましい。これより大きい
と、加熱経時でのクラックや剥離が生じ、耐久性悪化の
原因となる。
【0057】線熱膨張係数が20 ppm/℃以下の無機絶縁
層としては、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛、
酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化銅等の金属酸化物
や、窒化珪素、窒化ゲルマニウム、窒化アルミニウム等
の金属窒化物が好ましく、これらを1種又は2種以上組
合せて用いることができる。
【0058】無機絶縁層の厚さは10〜1000 nmであるの
が好ましい。無機絶縁層が10 nmより薄いと絶縁性が低
すぎる。また無機絶縁層が1000 nmより厚いと、支持基
板にクラックが生じやすくなり、ピンホールができて絶
縁性が低下する。
【0059】金属酸化物及び/又は金属窒化物の絶縁層
を製膜する方法は限定的でなく、蒸着法、スパッタリン
グ法、CVD法等の乾式法や、ゾル−ゲル法等の湿式法、
又は金属酸化物及び/又は金属窒化物の粒子を溶剤に分
散し塗布する方法等を利用することができる。
【0060】線熱膨張係数が20 ppm/℃以下のプラスチ
ック材料としては、ポリイミドや液晶ポリマーが好まし
い。これらのプラスチック材料の性質等の詳細について
は「プラスチック・データブック」(旭化成アミダス
(株)「プラスチック」編集部編)等に記載されてい
る。ポリイミドを絶縁層として用いる場合、ポリイミド
シートとアルミニウム箔を積層するのが好ましい。ポリ
イミドシートの厚さは10〜200μmであるのが好まし
い。ポリイミドシートが10μmより薄いと積層時のハン
ドリングが困難である。またポリイミドシートが200μ
mより厚いと可撓性が損なわれ、ハンドリングが不便に
なる。
【0061】絶縁層は金属箔の片面だけに設けても良い
が、両面に設けても良い。両面に設ける場合、両面とも
金属酸化物及び/又は金属窒化物からなる絶縁層であっ
ても良く、また両面ともポリイミドシートのようなプラ
スチック絶縁層であっても良い。また一方の片面が金属
酸化物及び/又は金属窒化物からなる絶縁層であり、他
方の片面がポリイミドシート絶縁層であっても良い。
【0062】以上のようにして作製した支持基板は水分
透過性及び酸素透過性がともに小さく、かつ優れた可撓
性を有する。可撓性支持基板の形状、構造、大きさ等に
ついては特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応
じて適宜選択することができる。一般には支持基板は板
状である。
【0063】(3) 電極 陰極及び陽極の一方又は両方は透明導電層からなる。陰
極及び陽極の一方が透明導電層からなる場合、いずれを
透明電極とするかは有機電界発光素子の構成によって決
まる。
【0064】(a) 陽極 陽極としては通常有機薄膜層にホールを供給する陽極と
しての機能を有していればよく、その形状、構造、大き
さ等については特に制限はなく、有機電界発光素子の用
途及び目的に応じて公知の電極から適宜選択することが
できる。
【0065】陽極の材料としては、例えば、金属単体又
はその合金、金属酸化物、有機導電性化合物又はこれら
の混合物が挙げられ、仕事関数が4.0 eV以上の材料が好
ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドー
プした酸化錫(ATO,FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化イ
ンジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジ
ウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、
ニッケル等の金属、これらの金属と導電性金属酸化物と
の混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の導電性無機
物質、導電性金属酸化物又は金属化合物の分散物、ポリ
アニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電
材、これらとITOとの積層物等が挙げられる。
【0066】陽極は、その材料に応じて、例えば印刷
法、コーティング法等の湿式方法、真空蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法等の物理的方法、
CVD法、プラズマCVD法等の化学的方法等によって基板支
持体上に形成することができる。形成方法は材料の適性
を考慮して適宜選択すればよい。例えば、陽極材料とし
てITOを用いる場合には、直流又は高周波スパッタ法、
真空蒸着法、イオンプレーティング法等を用いればよ
い。また陽極材料として有機導電性材料を用いる場合に
は、湿式製膜法を用いてよい。有機電界発光素子の大面
積化や生産性の観点から、湿式製膜法を用いるのが好ま
しい。
【0067】陽極層のパターニングはフォトリソグラフ
ィー等による化学的エッチング、レーザ等を用いた物理
的エッチング等により行うことができる。またマスクを
用いた真空蒸着法やスパッタリング法、リフトオフ法、
印刷法等によりパターニングしてもよい。
【0068】陽極層の厚さはその材料に応じて適宜選択
すればよいが、通常10 nm〜50μmであり、好ましくは50
nm〜20μmである。陽極層の抵抗値は106Ω/□以下と
するのが好ましく、105Ω/□以下とするのがより好ま
しい。抵抗値が105Ω/□以下の場合、バスライン電極
を設置することにより性能の優れた大面積発光素子を得
ることができる。透明陽極とする場合、陽極は無色透明
であっても有色透明であってもよい。透明陰極を設ける
場合、陽極は無色透明、有色透明及び不透明のいずれで
もよい。透明陽極から発光を取り出すためには、その透
過率は60%以上とするのが好ましく、70%以上とするの
がより好ましい。透過率は分光光度計を用いた公知の方
法に従って測定することができる。
【0069】また「透明導電膜の新展開」(沢田豊監
修、シーエムシー刊、1999年)等に詳細に記載されてい
る電極も本発明に適用できる。特に耐熱性の低いプラス
チック基板支持体を用いる場合は、透明導電層材料とし
てITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜するの
が好ましい。
【0070】(b) 陰極 陰極は、通常有機薄膜層に電子を注入する電極としての
機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等に
特に制限はない。有機電界発光素子の用途及び目的に応
じて、公知の電極から適宜選択することができる。
【0071】陰極は単層構造及び積層構造のいずれでも
よい。陰極を形成する材料としては、金属単体又はその
合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物
等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4.5 eV以
下の材料を用いる。具体例としては、アルカリ金属(L
i、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca等)、
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合
金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合
金、インジウム、希土類金属(イッテルビウム等)等が
挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、安定性
と電子注入性とを両立させるためには2種以上を併用す
るのが好ましい。
【0072】上記材料の中で、電子注入性の観点からは
アルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、保存安
定性の観点からはアルミニウムを主体とする材料が好ま
しい。ここでアルミニウムを主体とする材料とは、アル
ミニウム単独のみならず、アルミニウムと0.01〜10質量
%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金又は混
合物(リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−ア
ルミニウム合金等)を指す。陰極の材料としては、特開
平2-15595号、特開平5-121172号等に詳述されているも
のも使用できる。
【0073】陰極側から光を取り出す場合は透明陰極を
使用する必要がある。透明陰極は光に対して、実質的に
透明であればよい。この場合、電子注入性及び透明性を
両立させるために、陰極を薄膜の金属層と透明な導電層
の2層構造としてもよい。薄膜の金属層の厚さは1〜50
nmであるのが好ましい。1nm未満であると、均一な金
属薄膜を形成することが困難であり、また50 nmより厚
いと透明性が低下する。
【0074】透明導電層に用いる材料としては、導電性
又は半導電性を有する透明材であれば特に限定されず、
上記陽極に使用した材料を好適に用いることができる。
中でも例えばアンチモンやフッ素等をドープした酸化錫
(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸
化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等
を挙げることができる。透明導電層の厚さは30〜500 nm
であるのが好ましい。透明導電層が30 nmより薄いと導
電性又は半導性が劣り、また500 nmより厚いと生産性が
悪い。
【0075】陰極の形成法は限定的ではなく、公知の方
法を採用することができるが、真空機器内で行うのが好
ましい。例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオン
プレーティング法等の物理的方法、CVD法、プラズマCVD
法等の化学的方法等から、陰極の材料との適性を考慮し
て適宜選択する。例えば陰極材料として金属等を選択す
る場合、1種又は2種以上の金属を同時に又は順次スパ
ッタすることにより、薄膜化することができる。また陰
極材料として有機導電性材料を用いる場合には、湿式製
膜法を用いてよい。陰極層のパターニングは陽極層と同
様に行うことができる。
【0076】陰極と有機薄膜層との間にアルカリ金属又
はアルカリ土類金属のフッ化物等からなる誘電体層を0.
1〜5nmの厚さで設置してもよい。誘電体層は真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によ
り形成することができる。
【0077】(4) パターニング 微細パターン状有機薄膜層の形成には、微細パターン状
の開口部を有するマスク(微細マスク)を使用する。マ
スクの材質は限定的でないが、金属、ガラス、セラミッ
ク、耐熱性樹脂等の耐久性があって安価なものが好まし
い。またこれらの材料を組み合わせて使用することもで
きる。また機械的強度及び有機薄膜層の転写精度の観点
から、マスクの厚さは2〜100μmであるのが好ましく、
5〜60μmがより好ましい。
【0078】転写材料の有機薄膜層が正確にマスクの開
口部の形状通りに下地の透明導電層又は他の有機薄膜層
に接着するように、マスク開口部は基板側より転写材料
側の方が大きくなるようにテーパしているのが好まし
い。
【0079】また、凹凸パターンが形成された転写材料
の表面を基板に重ね合わせ、転写材料の凸部に形成され
た有機薄膜層を基板上に転写するパターニング方法も好
ましい。転写材料の仮支持体の上に形成された有機薄膜
層の表面に所定のパターンの凹凸が形成された押圧部材
を押圧することにより、押圧部材の凹凸に対応するパタ
ーンを転写材料の表面に形成することができる。転写材
料は異なる組成の有機薄膜層により複数の転写材料を形
成してもよい。従って、基板上に複数の転写材料を用い
て転写を繰り返すことにより、複数の異なる組成の有機
薄膜層が形成されたパターン状有機薄膜層を作製するこ
とができる。
【0080】(5) その他の層 有機電界発光素子を構成する層として、発光性能の劣化
を防止するために保護層や封止層を設けるのが好まし
い。さらに転写材料においては発光性能に影響しなけれ
ば、転写性を向上するために仮支持体と有機薄膜層の間
に剥離層を設けたり、有機薄膜層と被成膜面の間に接着
層を設けてもよい。
【0081】(a) 保護層 有機電界発光素子は、特開平7-85974号、同7-192866
号、同8-22891号、同10-275682号、同10-106746号等に
記載の保護層を有していてもよい。保護層は有機電界発
光素子の最上面に形成する。ここで最上面とは、例えば
支持基板、透明導電層、有機化合物層及び背面電極をこ
の順に積層する場合には背面電極の外側表面を指し、ま
た例えば支持基板、背面電極、有機化合物層及び透明導
電層をこの順に積層する場合には透明導電層の外側表面
を指す。保護層の形状、大きさ、厚さ等は特に限定的で
ない。保護層をなす材料は、水分や酸素等の有機電界発
光素子を劣化させ得るものが素子内に侵入又は透過する
のを抑制する機能を有しているものであれば特に限定さ
れず、例えば一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、一酸化ゲル
マニウム、二酸化ゲルマニウム等が使用できる。
【0082】保護層の形成方法は特に限定はなく、例え
ば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリン
グ法、分子センエピタキシ法、クラスターイオンビーム
法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズ
マCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等が
適用できる。
【0083】(b) 封止層 有機電界発光素子には水分や酸素の侵入を防止するため
の封止層を設けるのが好ましい。封止層を形成する材料
としては、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種の
コモノマーとの共重合体、共重合主鎖に環状構造を有す
る含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロ
エチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロト
リフルオロエチレン又はジクロロジフルオロエチレンと
他のコモノマーとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性
物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、金属(In、Sn、P
b、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等)、金属酸化物(MgO、Si
O、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O 3、T
iO2等)、金属フッ化物(MgF2、LiF、AlF3、CaF2等)、
液状フッ素化炭素(パーフルオロアルカン、パーフルオ
ロアミン、パーフルオロエーテル等)、液状フッ素化炭
素に水分や酸素の吸着剤を分散させたもの等が使用可能
である。
【0084】外部からの水分や酸素を遮断する目的で、
有機化合物層を封止板、封止容器等の封止部材により封
止するのが好ましい。封止部材を背面電極側のみに設置
しても、発光積層体全体を封止部材で覆ってもよい。有
機化合物層を封止でき外部の空気を遮断することができ
れば、封止部材の形状、大きさ、厚さ等は特に限定され
ない。封止部材に用いる材料としては、ガラス、ステン
レススチール、金属(アルミニウム等)、プラスチック
(ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエステル、ポ
リカーボネート等)、セラミック等が使用できる。
【0085】封止部材を発光積層体に設置する際には、
適宜封止剤(接着剤)を用いてもよい。発光積層体全体
を封止部材で覆う場合は、封止剤を用いずに封止部材同
士を熱融着してもよい。封止剤としては紫外線硬化樹
脂、熱硬化樹脂、二液型硬化樹脂等が使用可能である。
【0086】さらに封止容器と有機電界発光素子の間の
空間に水分吸収剤又は不活性液体を挿入してもよい。水
分吸収剤は特に限定されず、具体例としては酸化バリウ
ム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、
硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、
五酸化リン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化
銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、
臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸
化マグネシウム等が挙げられる。不活性液体としてはパ
ラフィン類、流動パラフィン類、フッ素系溶剤(パーフ
ルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエ
ーテル等)、塩素系溶剤、シリコーンオイル類等が使用
可能である。
【0087】有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に
直流電圧(必要に応じて交流成分を含んでもよい)(通
常2〜40V)、又は直流電流を印加することにより、発
光させることができる。有機電界発光素子の駆動方法に
ついては、特開平2-148687号、同6-301355号、同5-2908
0号、同7-134558号、同8-234685号、同8-241047号、米
国特許5828429号、同6023308号、特許第2784615号等に
記載の方法を利用することができる。
【0088】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらにより限定されるものではな
い。なお、実施例における転写材料及び有機EL素子の作
製は窒素置換グローブボックス内で行った。
【0089】実施例1 (A) 転写材料Aの作製 ポリエーテルスルホン(アイ・シー・アイ製、VICTRE
X)の仮支持体の片面上に、下記組成: ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部 トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体): 1質量部 ジクロロエタン: 3500質量部 を有する発光性有機薄膜層用塗布液をバーコータを用い
て塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ40 nmの発
光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した転写材料Aを作
製した。仮支持体の吸水率は0.4質量%であった。
【0090】(B) 転写材料Bの作製 ポリエーテルスルホン(アイ・シー・アイ製、VICTRE
X)の仮支持体の片面上に、下記組成: ポリビニルブチラール(Mw=50000、アルドリッチ社製): 10質量部 下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部 1-ブタノール: 3500質量部
【0091】
【化1】
【0092】を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液を
エクストルージョン型塗布機を用いて塗布し、80℃で2
時間真空乾燥することにより、厚さ60nmの電子輸送性有
機薄膜層を仮支持体上に形成した転写材料Bを作製し
た。
【0093】(C) 転写材料Cの作製 ポリエーテルスルホン(アイ・シー・アイ製、VICTRE
X)からなる仮支持体の片面上に、下記組成: 下記構造で表されるホール輸送性化合物(PTPDES): 40質量部
【0094】
【化2】
【0095】 下記構造式で表される添加剤(TBPA): 10質量部
【0096】
【化3】
【0097】ジクロロエタン: 3200質量部 を有する有機薄膜層用塗布液をエクストルージョン型塗
布機を用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ
40 nmのホール輸送性有機薄膜層を仮支持体上に形成し
た転写材料Cを作製した。
【0098】(D) 有機EL素子の作製 5cm角(厚さ:30μm)のアルミニウム箔の両面にポリ
イミドシート(ユーピレックス50S、厚さ50μm、宇部興
産(株)製)を接着剤を用いて積層し、支持基板を作製
した。
【0099】得られた支持基板上に蒸着法により250 nm
の膜厚でAlを製膜し、陰極を設けた。更にこの上に蒸着
法によりLiFを3nmの厚さに積層した。この基板のLiF層
の上面に転写材料Bの電子輸送性有機薄膜層側を重ね合
わせ、0.3MPaの加圧力の1対のローラー(一方が160℃
の加熱ローラー)の間を0.05 m/分の速度で通すことに
より転写材料Bの仮支持体側から加熱しながら加圧し
た。次いで仮支持体を引き剥がすことにより、陰極及び
LiFが形成された基板に電子輸送性有機薄膜層を転写し
た。
【0100】同様に電子輸送性有機薄膜層の上面に転写
材料Aの発光性有機薄膜層側を重ね合わせ、0.3MPaの加
圧力の1対のローラー(一方が155℃の加熱ローラー)
の間を0.05 m/分の速度で通すことにより転写材料Aの仮
支持体側から加熱しながら加圧し、仮支持体を引き剥が
すことにより、電子輸送性有機薄膜層の上面に発光性有
機薄膜層を形成した。
【0101】更に、発光性有機薄膜層の上面に転写材料
Cのホール輸送性有機薄膜層側を重ね合わせ、0.3MPaの
加圧力の1対のローラー(一方が150℃の加熱ローラ
ー)の間を0.05 m/分の速度で通すことにより転写材料C
の仮支持体側から加熱しながら加圧し、仮支持体を引き
剥がすことにより、発光性有機薄膜層の上面にホール輸
送性有機薄膜層を形成した。
【0102】以上のようにして設けた有機化合物層の上
にDCマグネトロンスパッタリング法により200 nmの膜厚
でITO(インジウム/錫のモル比=95/5)を成膜し、
陽極の透明導電層を得た。次に陽極及び陰極よりそれぞ
れアルミニウムのリード線を出して積層構造体を形成し
た。更にリード線以外の部分をスパッタリング法により
窒化珪素により被い、封止膜を作製して有機EL素子を作
製した。
【0103】以上のようにして得た有機EL素子を以下の
方法により評価した。東洋テクニカ(株)製のソースメ
ジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子
に印加し、発光させた。200 Cd/m2時の発光効率
(η200)を外部量子効率とした。また欠陥の程度を1m
m2の面積での個数により評価した。評価基準は下記の通
りである。 5個以下 A 20個以下 B 21個以上 C
【0104】実施例2 仮支持体をPETに変更した以外は実施例1と同様に転写
材料を作製した。仮支持体の吸水率は0.8質量%以下、
酸素透過率は7cc/100in2/mil/24hr/mm/1気圧25℃、透
湿度は1.7g/100in2/24hr/mil25℃であった。得られた転
写材料を用いて実施例1と同様にして有機EL素子を作製
し、評価した。結果を表1に示す。
【0105】実施例3 仮支持体をポリカーボネートに変更した以外は実施例1
と同様に転写材料を作製した。仮支持体の吸水率は0.35
質量%、酸素透過率は300cc/100in2/mil/24hr/mm/1気
圧25℃、透湿度は11g/100in2/24hr/mil25℃であった。
得られた転写材料を用いて実施例1と同様にして有機EL
素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0106】実施例4 仮支持体をセルローストリアセテートに変更した以外は
実施例1と同様に転写材料を作製した。仮支持体の吸水
率は4.5質量%、酸素透過率は150cc/100in2/mil/24hr/m
m/1気圧25℃、透湿度は30g/100in2/24hr/mil25℃であ
った。得られた転写材料を用いて実施例1と同様にして
有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0107】実施例5 仮支持体をポリイミドに変更した以外は実施例1と同様
に転写材料を作製した。仮支持体の吸水率は2.9質量
%、酸素透過率は25cc/100in2/mil/24hr/mm/1気圧25
℃、透湿度は5.4g/100in2/24hr/mil25℃であった。得ら
れた転写材料を用いて実施例1と同様にして有機電界発
光素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0108】比較例1 仮支持体をセルロースアセテートに変更した以外は実施
例1と同様に転写材料を作製した。仮支持体の吸水率は
9質量%、酸素透過率は150cc/100in2/mil/24hr/mm/1
気圧25℃、透湿度は30g/100in2/24hr/mil25℃であっ
た。得られた転写材料を用いて実施例1と同様にして有
機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0109】比較例2 仮支持体をナイロン6に変更した以外は実施例1と同様
に転写材料を作製した。仮支持体の吸水率は9.5質量
%、酸素透過率は2.6cc/100in2/mil/24hr/mm/1気圧25
℃、透湿度は5.4g/100in2/24hr/mil25℃であった。得ら
れた転写材料を用いて実施例1と同様にして有機EL素子
を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】本発明の効果は、上記凹凸パターンが形成
された転写材料の表面を基板に重ね合わせ、転写材料の
凸部に形成された有機薄膜層を基板上に転写するパター
ニング方法による貼り合わせ素子でも同様に確認でき
た。
【0112】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の製造方法
は、仮支持体の吸水率が8質量%以下の転写材料を用い
るので、優れた発光効率及び耐久性を有し、発光面の欠
陥が少ない有機EL素子等の有機電界発光素子を従来法
(蒸着法や塗布法による有機薄膜層の形成)と比較して
効率よく製造することができる。また本発明は転写材料
を用いて有機薄膜層を形成するため基板や有機薄膜層の
欠陥(表面の平滑性等の物理的障害)等が存在してもそ
の影響が低減され、面状発光が良好となる等の効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による複数の有機薄膜層を
面順次に有する転写材料を示す。
【符号の説明】
110 転写材料 112 有機薄膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 伸洋 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB11 AB18 DB03 FA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮支持体上に少なくとも1層の有機薄膜
    層が形成された転写材料を用い、前記有機薄膜層側が基
    板の被成膜面に対面するように前記転写材料を前記基板
    に重ねて加熱及び/又は加圧し、前記仮支持体を引き剥
    がすことにより前記有機薄膜層を前記基板の被成膜面に
    転写する工程を有する有機電界発光素子の製造方法であ
    って、前記仮支持体の吸水率が8質量%以下であること
    を特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の有機電界発光素子の製
    造方法において、さらに前記有機薄膜層を転写した被成
    膜面と、電極及び/又は有機薄膜層が形成された基板を
    貼り合せる工程を有することを特徴とする有機電界発光
    素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 仮支持体上に少なくとも1層の有機薄膜
    層を形成してなる有機電界発光素子用転写材料であっ
    て、前記仮支持体の吸水率が8質量%以下であることを
    特徴とする有機電界発光素子用転写材料。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の有機電界発光素
    子の製造方法により製造されたことを特徴とする有機電
    界発光素子。
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