JP2003338079A - 光学的情報記録媒体及びその光学測定方法及び光学的情報記録再生方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体及びその光学測定方法及び光学的情報記録再生方法

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Kenichi Nishiuchi
健一 西内
Naoyasu Miyagawa
直康 宮川
Rie Kojima
理恵 児島
Takashi Nishihara
孝史 西原
Noboru Yamada
昇 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の多層の光学的情報記録媒体では、レー
ザ入射側から見て奥の情報層に記録を行う場合、手前の
情報層の状態の影響を受ける可能性があった。 【解決手段】 2層の情報層2,3を有し、レーザ光が
情報層2,3のいずれかに集束して照射されることによ
って情報信号が記録再生される光学的情報記録媒体であ
って、レーザ光の入射側から見て最も遠い情報層3より
も手前に位置する情報層2が、光学的に検知しうる2つ
の状態間で変化する記録層を有し、前記記録層が状態a
の場合の前記手前に位置する情報層2の透過率をTc、状
態bの場合の透過率をTaとするとき、 0≦|Tc-Ta|/Tc≦0.1 とする。これによって、手前の情報層の記録・未記録に
かかわらず奥の情報層に情報を正確に記録再生すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクなどの
光学的情報記録媒体等に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学的に情報を記録する媒体とし
て、光ディスク、光カード、光テープなどが提案・開発
されている。その中でも光ディスクは、大容量かつ高密
度に情報を記録・再生できる媒体として注目されてい
る。
【0003】書き換え型光ディスクの一つの方式に相変
化型光ディスクがある。相変化型光ディスクに用いる記
録膜は、レーザ光による加熱条件および冷却条件によっ
てアモルファス状態と結晶状態のいずれかの状態にな
り、かつ2つの状態に可逆性がある。また、アモルファ
ス状態と結晶状態では記録膜の光学定数が異なる。相変
化型光ディスクでは、情報信号に応じて選択的に2つの
状態を記録膜に形成し、この結果生じる光学的変化(す
なわち、透過率または反射率の変化)を利用して情報信
号の記録・再生を行う。上記の2つの状態を得るため
に、以下のような方法で情報信号を記録する。
【0004】記録膜の温度を融点以上に上昇させるパワ
ー(これをピークパワーと呼ぶ)で光ディスクの記録膜
にパルス状に照射すると、レーザ光の通過とともに溶融
部分は急速に冷却されてアモルファス状態の記録マーク
になる。また、記録膜の温度を結晶化温度以上かつ融点
以下の温度まで上昇させる程度の強度のレーザ光(これ
をバイアスパワーと呼ぶ)を集束して照射すると、照射
部の記録膜は結晶状態になる。
【0005】さらに、近年、光ディスクの高密度化が強
く要求されている。それに伴って、ディスクの厚さ方向
に2層以上の情報層を有し、各情報層に対して情報を記
録再生できる多層記録媒体が提案されている(例えば特
許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−39657号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法でレーザ入射側から見て奥の情報層に記録を行う場
合、手前の情報層の状態の影響を受ける可能性があっ
た。
【0008】例えば、情報記録層の記録再生領域に信号
が記録されているか否かで、その層の透過率が異なる。
従って、奥の情報層で記録を行う際に、手前の情報記録
層上でのレーザスポット中に占めるアモルファス領域と
結晶領域との割合によって、奥の情報層に到達するレー
ザ光の光量が変化するために正確な記録ができないとい
う課題を有していた。
【0009】さらに、奥の情報層のデータを再生する場
合でも、手前の情報層の記録状態によって透過率が変化
するために、再生信号の品質が低下する課題を有してい
た。
【0010】本発明はこれら従来の課題を解決するもの
で、多層記録媒体の奥の情報層で正確にデータを記録再
生できる光学的情報記録媒体等を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、2層の
情報層を有し、レーザ光が前記情報層のいずれかに集束
して照射されることによって情報信号が記録再生される
光学的情報記録媒体であって、前記レーザ光の入射側か
ら見て最も遠い情報層よりも手前に位置する情報層が、
光学的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層を有
し、前記記録層が状態aの場合の前記手前に位置する情
報層の透過率をTc、状態bの場合の透過率をTaとすると
き、
【0012】
【数1】0≦|Tc-Ta|/Tc≦0.1 となる構成を有する光学的情報記録媒体である。
【0013】第2の本発明は、3層以上の情報層を有
し、レーザ光が前記情報層のいずれかに集束して照射さ
れることによって情報信号が記録再生される光学的情報
記録媒体であって、前記レーザ光の入射側から見て最も
遠い情報層よりも手前に位置する複数の情報層がそれぞ
れ、光学的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層
を有し、前記複数の情報層が有する各記録層がいずれも
状態aの場合の、前記複数の情報層の合成透過率をTc
前記複数の情報層の合成透過率が最小となる、前記各記
録層の状態の組み合わせの場合の、その合成透過率をT
min、前記複数の情報層の合成透過率が最大となる、前
記各記録層の状態の組み合わせの場合の、その合成透過
率をTmaxとするとき、
【0014】
【数2】 0≦|Tc-Tmin|/Tc≦0.1 且つ 0≦|Tc-Tmax|/Tc≦0.1 となる構成を有する光学的情報記録媒体である。
【0015】第3の本発明は、さらに、
【0016】
【数3】(Ta+Tc)/2≧0.4 となる構成を有する第1の本発明の光学的情報記録媒体
である。
【0017】第4の本発明は、前記レーザ光の入射側か
ら見て最も遠い情報層よりも手前に位置する情報層の有
する前記記録層が状態aの場合の前記記録層の吸収率を
Ac[%]、状態bの場合の吸収率をAa[%]とし、前記記録層
が状態aの場合の前記手前に位置する情報層の反射率を
Rc[%]、状態bの場合の反射率をRa[%]とするとき、
【0018】
【数4】Ac<Aa かつ Rc>Ra、あるいは、 Ac>Aa かつ Rc<Ra となる構成を有する第1又は3の本発明の光学的情報記
録媒体である。
【0019】第5の本発明は、前記レーザ光の入射側か
ら見て最も遠い情報層よりも手前に位置する情報層が、
少なくとも第1の誘電体層、相変化記録層、第2の誘電
体層、金属反射層を有し、前記各層は入射側から前記第
1の誘電体層、前記相変化記録層、前記第2の誘電体
層、前記金属反射層の順序で配置されている第3の本発
明の光学的情報記録媒体である。
【0020】第6の本発明は、前記レーザ光の波長を39
0nm〜430nmの範囲とし、前記金属反射層がAg、もしくは
Agを主成分とする合金からなり、前記相変化記録層の厚
さをta[nm]、前記金属反射層の厚さをtb[nm]とする
と、
【0021】
【数5】tb≦18 のとき ta≦12 18<tb≦22 のとき ta≦10 22<tb≦30 のとき ta≦32−tb となる構成を有する第5の本発明の光学的情報記録媒体
である。
【0022】第6の本発明は、前記レーザ光の入射側か
ら見て最も遠い情報層よりも手前に位置する情報層が、
少なくとも第1の誘電体層、相変化記録層、第2の誘電
体層、金属反射層、第3の誘電体層を有し、前記各層は
入射側から前記第1の誘電体層、前記相変化記録層、前
記第2の誘電体層、前記金属反射層、前記第3の誘電体
層の順序で配置されている第3の本発明の光学的情報記
録媒体である。
【0023】第8の本発明は、前記レーザ光の波長を39
0nm〜430nmの範囲とし、前記金属反射層が少なくともA
g、もしくはAgを主成分とする合金からなり、前記相変
化記録層の厚さをta[nm]、前記金属反射層の厚さをtb
[nm]とするとき、
【0024】
【数6】tb≦18 のとき ta≦12 16<tb≦18 のとき ta≦38−tb 18<tb≦20 のとき ta≦10 20<tb≦24 のとき ta≦30−tb 24<tb≦26 のとき ta≦28−tb となる構成を有する第7の本発明の光学的情報記録媒体
である。
【0025】第9の本発明は、前記レーザ光の入射側か
ら見て最も遠い情報層よりも手前に位置する情報層の有
する前記記録層が結晶の場合の前記相変化記録層の吸収
率をAc[%]、アモルファスの場合の吸収率をAa[%]とし、
前記記録層が結晶の場合の前記情報層の反射率をR
c[%]、アモルファスの場合の反射率をRa[%]とすると
き、
【0026】
【数7】Ac<Aa かつ Rc>Ra、あるいは、 Ac>Aa かつ Rc<Ra となる構成を有する第5〜8のいずれかの本発明の光学
的情報記録媒体である。
【0027】また、本発明に係る第1の光学測定方法
は、例えば次の第10の本発明である。
【0028】第10の本発明は、2層の情報層を有し、
レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されることによ
って情報信号が記録再生され、前記レーザ光の入射側か
ら見て最も遠い情報層よりも手前に位置する情報層が、
光学的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層を有
する光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前
記情報層のいずれかによって反射された前記レーザ光を
光検出器によって受光し、透過率変化を測定する光学測
定方法であって、前記手前に位置する情報層に含まれる
記録層の、前記レーザ光が透過する領域が状態aである
ときに、前記手前に位置する情報層を透過し、前記最も
遠い情報層によって反射された後前記手前に位置する情
報層を再び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前
記レーザ光の強度をSaとして前記光検出器によって測
定するステップと、前記手前に位置する情報層に含まれ
る記録層の、前記レーザ光が透過する領域の一部又は全
部が状態bであるときに、前記手前に位置する情報層を
透過し、前記最も遠い情報層によって反射された後前記
手前に位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記
録媒体から出た前記レーザ光の強度をSbとして前記光
検出器によって測定するステップと、前記SaとSbを基
に前記手前に位置する情報層の透過率変化を導出するス
テップとを備えた光学測定方法である。
【0029】第11の本発明は、3層以上の情報層を有
し、レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されること
によって情報信号が記録再生され、前記レーザ光の入射
側から見て最も遠い情報層よりも手前に位置する複数の
情報層が、光学的に検知しうる2つの状態間で変化する
記録層を有する光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を
収束し、前記情報層のいずれかによって反射された前記
レーザ光を光検出器によって受光し、透過率変化を測定
する光学測定方法であって、前記手前に位置する複数の
情報層の合成透過率が最小となる、前記記録層の状態の
組み合わせの場合を場合aとし、前記手前に位置する複
数の情報層の合成透過率が最大となる、前記記録層の状
態の組み合わせの場合を場合bとし、前記手前に位置す
る複数の情報層に含まれる各記録層の状態の組み合わせ
が前記場合aであるときに、前記手前に位置する複数の
情報層を透過し、その透過した情報層より奥にある所定
の情報層によって反射された後前記手前に位置する複数
の情報層を再び透過して前記光学的情報記録媒体から出
た前記レーザ光の強度をSaとして前記光検出器によっ
て測定するステップと、前記手前に位置する複数の情報
層に含まれる記録層の状態の組み合わせが前記状態bで
あるときに、前記手前に位置する複数の情報層を透過
し、前記最も遠い情報層によって反射された後前記手前
に位置する複数の情報層を再び透過して前記光学的情報
記録媒体から出た前記レーザ光の強度をSbとして前記
光検出器によって測定するステップと、前記SaとSb
基に前記手前に位置する複数の情報層の透過率変化を導
出するステップとを備えた光学測定方法である。
【0030】第12の本発明は、2層の情報層を有し、
レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されることによ
って情報信号が記録再生され、前記レーザ光の入射側か
ら見て最も遠い情報層よりも手前に位置する情報層が、
光学的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層を有
する光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前
記情報層のいずれかによって反射された前記レーザ光を
光検出器によって受光し、前記レーザ光の強度変化を測
定する光学測定方法であって、前記手前に位置する情報
層に含まれる記録層の、前記レーザ光が透過する領域が
状態aであるときに、前記手前に位置する情報層を透過
し、前記最も遠い情報層によって反射された後前記手前
に位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記録媒
体から出た前記レーザ光の強度をSaとして前記光検出
器によって測定するステップと、前記手前に位置する情
報層に含まれる記録層の、前記レーザ光が透過する領域
の一部又は全部が状態bであるときに、前記手前に位置
する情報層を透過し、前記最も遠い情報層によって反射
された後前記手前に位置する情報層を再び透過して前記
光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の強度をSb
として前記光検出器によって測定するステップと、前記
aとSbを基に前記レーザ光の強度変化を導出するステ
ップとを備えた光学測定方法である。
【0031】第13の本発明は、3層以上の情報層を有
し、レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されること
によって情報信号が記録再生され、前記レーザ光の入射
側から見て最も遠い情報層よりも手前に位置する複数の
情報層が、光学的に検知しうる2つの状態間で変化する
記録層を有する光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を
収束し、前記情報層のいずれかによって反射された前記
レーザ光を光検出器によって受光し、前記レーザ光の強
度変化を測定する光学測定方法であって、前記手前に位
置する複数の情報層の合成透過率が最小となる、前記記
録層の状態の組み合わせの場合を場合aとし、前記手前
に位置する複数の情報層の合成透過率が最大となる、前
記記録層の状態の組み合わせの場合を場合bとし、前記
手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録層の状態
の組み合わせが前記場合aであるときに、前記手前に位
置する複数の情報層を透過し、その透過した情報層より
奥にある所定の情報層によって反射された後前記手前に
位置する複数の情報層を再び透過して前記光学的情報記
録媒体から出た前記レーザ光の強度をSaとして前記光
検出器によって測定するステップと、前記手前に位置す
る複数の情報層に含まれる記録層の状態の組み合わせが
前記状態bであるときに、前記手前に位置する複数の情
報層を透過し、前記最も遠い情報層によって反射された
後前記手前に位置する複数の情報層を再び透過して前記
光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の強度をSb
として前記光検出器によって測定するステップと、前記
aとSbを基に前記レーザ光の強度変化を導出するステ
ップとを備えた光学測定方法である。
【0032】第12,第13の本発明では、透過率を求
めること無しに、前記手前に位置する情報層の透過率変
化の大小を容易に判定できる。
【0033】また、本発明に係る第2の光学測定方法
は、例えば、次の第14の本発明である。
【0034】第14の本発明は、2層の情報層を有し、
レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されて情報信号
が記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最も遠
い情報層よりも手前に位置する情報層が、光学的に検知
しうる2つの状態間で変化する記録層を有する光学的情
報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のい
ずれかによって反射された前記レーザ光を光検出器によ
って受光し、透過率変化を測定する光学測定方法であっ
て、前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前
記レーザ光が透過する領域が状態aであるときに、前記
手前に位置する情報層を透過し、前記最も遠い情報層に
記録された前記情報信号によって変調を受けた後前記手
前に位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記録
媒体から出た前記レーザ光の変調振幅をA1として、前
記光検出器によって測定するステップと、前記手前に位
置する情報層に含まれる記録層の、前記レーザ光が透過
する領域の一部又は全部が状態bであるときに、前記手
前に位置する情報層を透過し、前記最も遠い情報層に記
録された前記情報信号によって変調を受けた後前記手前
に位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記録媒
体から出た前記レーザ光の変調振幅をA2として前記光
検出器によって測定するステップと、前記A1とA2を基
に前記手前に位置する情報層の透過率変化を導出するス
テップとを備えた光学測定方法である。
【0035】第15の本発明は、3層以上の情報層を有
し、レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されて情報
信号が記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最
も遠い情報層よりも手前に位置する複数の情報層が、光
学的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層を有す
る光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記
情報層のいずれかによって反射された前記レーザ光を光
検出器によって受光する光学測定方法であって、前記手
前に位置する複数の情報層の合成透過率が最小となる、
前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合aとし、前
記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最大とな
る、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合bと
し、前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録
層の状態の組み合わせが状態aであるときに、前記手前
に位置する複数の情報層を透過し、その透過した情報層
より奥にある所定の情報層に記録された前記情報信号に
よって変調を受けた後前記手前に位置する複数の情報層
を再び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前記レ
ーザ光の変調振幅をA1として、前記光検出器によって
測定するステップと、前記手前に位置する複数の情報層
に含まれる各記録層の状態の組み合わせが状態bである
ときに、前記手前に位置する複数の情報層を透過し、前
記最も遠い情報層に記録された前記情報信号によって変
調を受けた後前記手前に位置する情報層を再び透過して
前記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の変調振
幅をA 2として前記光検出器によって測定するステップ
と、前記A1とA2を基に前記手前に位置する情報層の透
過率変化を導出するステップとを備えた光学測定方法で
ある。
【0036】第16の本発明は、2層の情報層を有し、
レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されて情報信号
が記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最も遠
い情報層よりも手前に位置する情報層が、光学的に検知
しうる2つの状態間で変化する記録層を有する光学的情
報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のい
ずれかによって反射された前記レーザ光を光検出器によ
って受光し、前記レーザ光の変調振幅の変化を測定する
光学測定方法であって、前記手前に位置する情報層に含
まれる記録層の、前記レーザ光が透過する領域が状態a
であるときに、前記手前に位置する情報層を透過し、前
記最も遠い情報層に記録された前記情報信号によって変
調を受けた後前記手前に位置する情報層を再び透過して
前記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の変調振
幅をA1として、前記光検出器によって測定するステッ
プと、前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、
前記レーザ光が透過する領域の一部又は全部が状態bで
あるときに、前記手前に位置する情報層を透過し、前記
最も遠い情報層に記録された前記情報信号によって変調
を受けた後前記手前に位置する情報層を再び透過して前
記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の変調振幅
をA2として前記光検出器によって測定するステップ
と、前記A1とA2を基に前記レーザ光の変調振幅の変化
を導出するステップとを備えた光学測定方法である。
【0037】第17の本発明は、3層以上の情報層を有
し、レーザ光が前記情報層のいずれかに集束されて情報
信号が記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最
も遠い情報層よりも手前に位置する複数の情報層が、光
学的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層を有す
る光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記
情報層のいずれかによって反射された前記レーザ光を光
検出器によって受光し、前記レーザ光の変調振幅の変化
を測定する光学測定方法であって、前記手前に位置する
複数の情報層の合成透過率が最小となる、前記記録層の
状態の組み合わせの場合を場合aとし、前記手前に位置
する複数の情報層の合成透過率が最大となる、前記記録
層の状態の組み合わせの場合を場合bとし、前記手前に
位置する複数の情報層に含まれる各記録層の状態の組み
合わせが状態aであるときに、前記手前に位置する複数
の情報層を透過し、その透過した情報層より奥にある所
定の情報層に記録された前記情報信号によって変調を受
けた後前記手前に位置する複数の情報層を再び透過して
前記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の変調振
幅をA1として、前記光検出器によって測定するステッ
プと、前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記
録層の状態の組み合わせが状態bであるときに、前記手
前に位置する複数の情報層を透過し、前記最も遠い情報
層に記録された前記情報信号によって変調を受けた後前
記手前に位置する情報層を再び透過して前記光学的情報
記録媒体から出た前記レーザ光の変調振幅をA 2として
前記光検出器によって測定するステップと、前記A1
2を基に前記レーザ光の変調振幅の変化を導出するス
テップとを備えた光学測定方法である。
【0038】第16,第17の本発明では、透過率を求
めること無しに、前記手前に位置する情報層の透過率変
化の大小を容易に判定できるである。
【0039】第18の本発明は、前記レーザ光の変調振
幅A1の代わりに、零レベルと変調振幅の上側エンベロ
ープとの差異A1'を測定し、前記レーザ光の変調振幅A
2の代わりに、零レベルと変調振幅の上側エンベロープ
との差異A2'を測定し、前記A1とA2とに基づいて、前
記レーザ光の変調振幅の変化を導出するステップの代わ
りに、前記A1'とA2'とに基づいて、前記レーザ光の振
幅変調の上側エンベロープとの変化を導出するステップ
を備えた、第16又は17の本発明の光学測定方法であ
る。
【0040】さらには、本発明は、次のような特徴を有
する。
【0041】第19の本発明は、前記手前に位置する情
報層に含まれる記録層の、レーザ光が透過する領域が状
態bである状態で、前記最も遠い情報層に情報信号を記
録した後、変調振幅A2の測定を行う第14の本発明の
光学測定方法である。
【0042】第20の本発明は、前記状態aは結晶状態
であり、前記状態bはアモルファス状態である第10、
12、14,16又は19の本発明の光学測定方法であ
る。
【0043】第21の本発明は、前記Sb又はA2又はA
2' を測定するときは、前記手前に位置する情報層の記
録層は、アモルファス状態の多数の記録マークとその周
辺の結晶部とからなる状態である第20の本発明の光学
測定方法である。
【0044】第22の本発明は、前記状態aはアモルフ
ァス状態であり、前記状態bは結晶状態である第10、
12,14、16又は19の本発明の光学測定方法であ
る。
【0045】第23の本発明は、前記Sb又はA2又はA
2'を測定するときは、前記手前に位置する情報層の記録
層は、結晶状態の多数の記録マークとその周辺のアモル
ファス部とからなる状態である第22の本発明の光学測
定方法である。
【0046】第24の本発明は、前記第10の本発明の
光学測定方法で用いられた前記Sbを測定する時の前記
レーザ光が透過する面積に占める前記記録マーク部の面
積の割合をαとしたとき、
【0047】
【数8】0≦|1+(Sb/Sa)1/2|≦0.1α となる構成を有する光学的情報記録媒体である。
【0048】第25の本発明は、前記第14の本発明の
光学測定方法で用いられた前記A2を測定する時の前記
レーザ光が透過する面積に占める前記記録マーク部の面
積の割合をαとしたとき、
【0049】
【数9】0≦|1-(A2/A1)1/2|≦0.1α となる構成を有する光学的情報記録媒体である。
【0050】第26の本発明は、第1,3,4,5,
6,7,8,9,24又は25の本発明の光学的情報記
録媒体にレーザ光を照射することによって情報信号の記
録または再生を行う光学的情報記録再生方法であって、
前記光学的情報記録媒体の片側の面から2つ以上の情報
層のうちの一つに前記レーザ光を照射することにより、
情報信号を記録または再生する光学的情報記録再生方法
である。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を用いて本発明
をさらに具体的に説明する。
【0052】(第1の実施の形態)図1および図2は本
発明の第1の実施の形態に係る光学的情報記録媒体媒体
の概略図である。
【0053】図1における光ディスク1の断面を図2に
示している。図2は情報記録層が2層からなる場合の光
ディスク、およびそれにレーザ光を照射した状態を示
す。光ディスク1は、光源から見て手前に位置する第1
の情報層2と、奥に位置する第2の情報層3とを有す
る。各情報層は、基板4、5に溝または位相ピットをあ
らかじめ形成し、誘電体層、記録層、反射層等を成膜す
ることにより作製する。それぞれの基板を紫外線硬化樹
脂等で接着し、中間層6を形成する。
【0054】または、溝または位相ピットを形成した基
板4に第2の情報層3を構成する各層を成膜した後に、
溝または位相ピットを有する中間層6を形成し、第1の
情報層2を構成する各層を成膜してから基板5(カバー
層ともいう)を接着するものであっても良い。
【0055】基板4、5にはガラス・樹脂等の透明な平
板を用いる。または、樹脂を溶剤に溶かして塗布・乾燥
させたものでも良い。
【0056】図2は、図1でレーザ光の入射側から見て
手前の情報層となる、第1の情報層3の構成の一例を示
す断面図である。
【0057】基板5上の第1の誘電体層9、第2の誘電
体層10としてはSiO2、SiO、TiO2、MgO、GeO2等の酸化
物、Si3N4、BN、AlN等の窒化物、ZnS、PbS等の硫化物あ
るいはこれらの混合物が使える。
【0058】記録層11に用いる記録薄膜材料としては
アモルファス・結晶間の相変化をする材料、例えばSbTe
系、InTe系、GeTeSn系、SbSe系、TeSeSb系、SnTeSe系、
InSe系、TeGeSnO系、TeGeSnAu系、TeGeSnSb系、TeGeSb
系等のカルコゲン化合物が使える。Te-TeO2系、Te-TeO2
-Au系、Te-TeO2-Pd系等の酸化物系材料も使える。これ
らの材料の場合、結晶(すなわち状態aに相当)−アモ
ルファス(すなわち状態bに相当)の間で相変化を生ず
る。また、AgZn系、InSb系等の結晶(状態a)−結晶
(状態b)間の相変化を生ずる金属化合物であっても良
い。
【0059】反射層12としては、Au、Ag、Al、Cu等の
金属材料あるいは所定の波長における反射率の高い誘電
体多層膜等が使える。
【0060】これらの材料を成膜する方法としては真空
蒸着法やスパッタリング法等が使える。
【0061】なお、第2の情報層3については、レーザ
光により反射光の光学的変化が情報として検出可能なも
のであればどのような形態でもかまわない。第1の情報
層2と同様に相変化記録層を含む多層膜であっても良い
し、光磁気記録層や色素層を含む多層膜でも良い。ま
た、基板4に位相ピットとして記録されている形態であ
っても良い。
【0062】本発明のポイントは、上記構成において各
層の膜厚を適切に選ぶことにより、記録前後の2つの状
態(記録状態と未記録(消去)状態)における第1の情
報層2の透過率を同等にして、いずれの状態において
も、第2の情報層への記録再生時に到達するレーザ光の
光量を同等にすることである。また、第2の情報層に到
達するレーザ光の光量を記録再生に十分とすることであ
る。なお、以下の説明では一例として、未記録(消去)
部分が結晶状態で、記録部分がアモルファス状態の場合
について述べる。
【0063】第1の情報層2の透過率は、第1の情報層
を構成する各層の材料の光学定数および膜厚にから、マ
トリクス法と呼ばれる計算で求めることができる(マト
リクス法については、例えば久保田広著「波動光学」岩
波書店、1971年、第3章に記載されている)。
【0064】表1に、本実施の形態において試作したデ
ィスクの第1の情報層2の膜厚構成例と、計算したアモ
ルファス状態(Ta)および結晶状態での透過率(Tc)、アモ
ルファス状態(Ra)および結晶状態での反射率(Rc)、アモ
ルファス状態(Aa)および結晶状態での吸収率(Ac)、アモ
ルファス状態と結晶状態の透過率比(Tc-Ta)/Tcと、平均
透過率(Ta+Tc)/2を示す。
【0065】
【表1】
【0066】本実施の形態では、第2の情報層への記録
再生時に到達するレーザ光の光量をアモルファス状態と
結晶状態で同等にするために、透過率比(Tc-Ta)/Tcの絶
対値が小さいほど好ましい。また、平均透過率(Ta+Tc)/
2をできるだけ高くして、第2の情報層に到達するレー
ザ光の光量が記録再生に十分とすることがより好ましい
ことになる。本実施の形態では表1のように、記録層の
厚さta、反射層の厚さtb、第1の誘電体層の厚さt
1、第2の誘電体層の厚さt2を変化させることにより、
第1の情報層2の透過率比と平均透過率を種々異ならせ
た6種類のディスクを作成した。
【0067】ディスクの作製は以下のようにして行っ
た。基板4として、直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボ
ネート板を用い、表面にスパイラル状の幅0.25um、ピッ
チ0.32um、深さ20nmの溝を形成した。第2の情報層3は
この基板4の表面上に形成し、反射層AgPdCu(光学定数
0.32-2.06i)を100nm、誘電体層ZnS-SiO2(光学定数2.2
5-0.00i)を15nm、記録層GeSbTe(結晶状態の光学定数
1.78-3.51i、アモルファス状態の光学定数3.31-2.29i)
を12nm、誘電体層ZnS-SiO2を60nm、順番に成膜した。
【0068】次に、第2の情報層3の記録層を、レーザ
光の照射によりアモルファス状態から結晶状態に変化さ
せて初期化した後、基板4と同様の溝形状を転写した中
間層6を形成した。
【0069】さらに、第1の情報層2として反射層AgPd
Cuをtbnm、第2の誘電体層ZnS-SiO 2をt2nm、記録層Ge
SbTeをtanm、第1の誘電体層ZnS-SiO2をt1nm、順番に
成膜した。成膜後、第1の情報層3の記録層をレーザ光
の照射によりアモルファス状態から結晶状態に変化させ
て初期化した。
【0070】最後にポリカーボネートからなる基板5を
紫外線硬化樹脂により接着した。接着部の厚さと基板5
の厚さの合計は0.1mmとした。
【0071】これら6種類のディスクを用いて記録再生
実験を行った。ディスクを線速度5m/sで回転させ、波長
405nmの半導体レーザ光を開口数(NA)0.85の対物レンズ
で絞ってディスクのいずれかの情報層2または3に照射
した。
【0072】記録再生時の変調符号としては(8-16)変調
を用い、変調後の信号をマルチパルス化して半導体レー
ザを発光させた。3Tのマーク長は0.20umとした。
【0073】次に図3を用いて、記録パワーの設定方法
について説明する。第1の情報層2に未記録の状態で、
第2の情報層3に対してピークパワーを変化させて3T
周期信号を記録し、記録後に再生信号のC/Nを測定し
た。C/Nのピークパワーに対する依存性を図3のように
プロットし、(C/N飽和値−3dB)となるピークパワー
をP pthとして、情報の記録に用いる最適ピークパワーP
psを、
【0074】
【数10】Pps=Ppth×1.2 と定義して求めた。
【0075】なお最適バイアスパワーは、ピークパワー
を一定としてバイアスパワーを変化させて3T信号を記
録し、その後11T信号をオーバーライトし、最も消去率
の高くなるバイアスパワーPboとして求めた。
【0076】次に、光源から見て手前に位置する第1の
情報層が、奥に位置する第2の情報層に及ぼす影響につ
いて説明する。
【0077】第1の情報層2の最内周から最外周までに
ついて、半周分の領域にランダム信号を記録した。
【0078】さらに、第2の情報層3に対してピークパ
ワーをPps、バイアスパワーをPboとして3T周期信号を
1トラック1周分記録しこの信号を再生したところ、図
7に示すように、再生信号の振幅が第1の情報層2にお
ける未記録領域・記録領域に対応して半周ごとに変動し
た。この再生信号のエンベロープ(包絡線)の変動量を
測定し、第1の情報層2における未記録領域での再生信
号振幅を基準としてエンベロープ変動率を求めた。第1
の情報層2における未記録領域での再生信号振幅をA1
記録領域での再生信号振幅をA2をとして、エンベロープ
の変動率は、下式のように定義した。
【0079】
【数11】変動率=(A1-A2)/A1 同時に、再生信号のエラーレートを測定した。
【0080】各ディスクに対するエンベロープ変動率と
エラーレートの結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】ディスク(1)〜(3)では、一般的に認められ
ているエラーレートの閾値である1×10-4より小さい良
好なエラーレートが得られたのに対し、(4)〜(6)のエラ
ーレートは十分ではなかった。
【0083】またディスク(1)〜(4)では、エンベロープ
の変動率が5%以下と良好だったのに対し、ディスク
(5),(6)の変動率は大きかった。
【0084】さらに、各ディスクの第2の情報層3を再
生時の信号を、2値化回路・PLL(位相同期ループ)
回路からなる再生信号処理回路内で測定したところ、デ
ィスク(4)〜(6)ではエンベロープの変動が大きいために
2値化回路の動作が不安定になり、ディスク(4)〜(6)で
は再生信号品質が十分でないためにPLLが安定に動作
しなかった。
【0085】以上の結果が得られた理由は次のように考
えられる。ディスク(1)〜(3)は第1の情報層2の記録領
域の透過率と未記録領域の透過率の変化が小さいため
に、第1の情報層2の記録状態によって第2の情報層3
に到達するレーザ光の光量変化が小さく、エンベロープ
の変動が小さく2値化動作が安定になり、エラーレート
が低くなるものと考えられる。表2の結果より(1),(2),
(3)のディスクが良いことが分かり、その結果、表1よ
り、透過率比の絶対値が10%以下の場合に1×10-4より小
さい良好なエラーレートが得られていることがわかる。
【0086】また、ディスク(4)〜(6)では、第1の情報
層2の平均透過率が低いために、第2の情報層3の記録
再生時にこの情報層に到達するレーザ光の光量が少なく
なるので、再生信号品質が悪化してエラーレートが高く
なる要因となっていると考えられる。表2の結果より、
(4),(5),(6)のディスクが悪いことが分かり、その結
果、表2より、平均透過率が40%未満の場合にはエラー
レートが1×10-4より大きくなり十分に良好ではないこ
とがわかる。
【0087】以上のことから、ディスク(1)〜(3)では透
過率比(Tc-Ta)/Tcの絶対値を10%以下まで小さくし、第
1の情報層2の平均透過率(Ta+Tc)/2を40%以上に高く
したために、第2の情報層3に情報を良好に記録再生で
きることがわかった。
【0088】さらに、図2に示す構成において、平均透
過率(Ta+Tc)/2が40%以上になり透過率比(Tc-Ta)/Tc
絶対値を10%以下に小さくできる膜厚条件を、計算を用
いて詳細に調べた。図4(a)、(b)はその一例として、記
録層の厚さtaを10nm、反射層の厚さtbを10nmとし、第
1の誘電体層の膜厚t1と第2の誘電体層の膜厚t2とを変
化させたときの平均透過率(Ta+Tc)/2と透過率比(Tc-Ta)
/Tcの変化をそれぞれプロットした図である。図4にお
いて、レーザ光の波長は405nmとし、上誘電体と下誘電
体の膜厚はレーザ光の波長(λ)を基準とした光学長で示
している。
【0089】図4(a)で平均透過率(Ta+Tc)/2が40%以上
になる誘電体層の膜厚と、図4(b)で透過率比(Tc-Ta)/T
cの絶対値を10%以下に小さくできる誘電体層の膜厚が
両立できれば、この記録層・反射層の膜厚の組み合わせ
にて、第2の情報層3に情報を良好に記録再生できる第
1の情報層2が構成できることになる。
【0090】表3は、記録層の膜厚taを2〜32nm、反射
層の膜厚tbを2〜36nmまで変化させたときに、平均透過
率(Ta+Tc)/2が40%以上になり、透過率比(Tc-Ta)/Tc
絶対値を10%以下に小さくできる可能性を有する第1の
情報層2が構成できるか否かを示す表である。
【0091】図中の○印は、該当する膜厚ta、tbで、平
均透過率が40%以上になり、透過率比の絶対値を10%以
下に小さくできることを示している。なお、×印は、t
1,t2をどのように選んでも、平均透過率が40%以上に
なり、透過率比の絶対値を10%以下に小さくできる可能
性が無いことを示す。つまり、図4(a),(b)の平
均透過率が40〜50%で且つ、透過率比が−10〜+
10%であるエリアが全くないということを示す。
【0092】ここでは、各記録層・反射層のすべての組
み合わせに対して図4(a)および図4(b)と同様の計算を
行い、誘電体層の膜厚を変化させて平均透過率と透過率
比が両立できる点が存在すれば、条件を満たす第1の情
報層2が構成可能であるとしている。
【0093】
【表3】
【0094】この表から、以下の条件の膜厚で平均透過
率40%以上と透過率比の絶対値10%以下をみたす可能性
のある構成が得られることがわかる。
【0095】
【数12】tb≦18 のとき ta≦12 18<tb≦22 のとき ta≦10 22<tb≦30 のとき ta≦32−tb また表3は、記録層と反射層が共に薄い構成の場合に上
記の平均透過率と透過率比をみたす構成が得られること
を示している。これは、第1の情報層2で光学的吸収を
有する層が主として記録層と反射層であることを意味す
る。さらに、光源側から見て記録層の方が反射層よりも
手前にあることから、記録層の吸収率の方が反射層の吸
収率よりも大きく、記録層の膜厚を厚くすることの方が
反射層の膜厚を厚くすることよりも透過率に影響を与え
やすいこともいえる。
【0096】また、ディスク(1)、(3)についてアモルフ
ァス状態での記録層の吸収率Aaと、結晶状態での記録層
の吸収率Acの値を計算したところ、Aa>Acとなった。こ
れは(1)と(3)の反射率をRa<Rcとなるようにしたので、
透過率比の絶対値を小さくする(すなわち、TcとTaがほ
ぼ等しくなる)ためには、記録層の吸収率(≒100%−
反射率−透過率)をAa>Acとなるようにしたほうが構成
が容易だからである。逆にディスク(2)の場合のように
反射率をRa>Rcとなるようにしたときには、記録層の吸
収率はAa<Acとすると容易に上記の条件を満たす構成が
できることになる。A aとAcの大小関係は、情報層を構成
する各膜の光学定数および膜厚によって変化するが、記
録膜のアモルファス状態での光学定数をna-ika、結晶状
態での光学定数をnc-ikcとすると、
【0097】
【数13】na+ka<nc+kc の場合には、記録膜の吸収率をAa>Acとし、反射率をRa
<Rcとすると、TcとTaがほぼ等しくする構成が得やす
い。逆に、
【0098】
【数14】na+ka>nc+kc の場合には、記録膜の吸収率をAa<Acとし、反射率をRa
>Rcとすると、TcとTaがほぼ等しくする構成が得やすい
傾向がある。
【0099】なお、段落番号0067に記載した本実施
の形態の記録層ではna+ka<nc+kcの関係にあるので、記
録膜の吸収率をAa>Acとし、反射率をRa<Rcとすると、T
cとT aがほぼ等しくする構成が得やすいことになる。
【0100】以上要するに、光学定数がいずれの場合で
も、アモルファス状態での、RaとRcの大小関係に対する
TaとTcの大小関係が、結晶状態での、RaとRcの大小関
係に対するTaとTcの大小関係と異なることが望まし
い。
【0101】以上述べたように本実施の形態に係る光学
的情報記録媒体は、透過率比(Tc-Ta)/Tcの絶対値を10%
以下まで小さくし、第1の情報層2の平均透過率(Ta+
Tc)/2を40%以上に高くするように構成することによ
り、第2の情報層3に十分なレーザ光の光量を到達させ
ることができ、第1の情報層2の記録・未記録にかかわ
らず情報を正確に記録再生することができる。
【0102】(第2の実施の形態)図5は、図2でレー
ザ光の入射側から見て手前の情報層となる、第1の情報
層3の構成の一例を示す断面図である。第1の実施の形
態と異なるのは、反射層12の上に第3の誘電体層13
を設けている点である。図6は、記録層の厚さを10nm、
反射層の厚さを10nm、第3の誘電体層の厚さを10nmと
し、第1の誘電体層と第2の誘電体層の膜厚を変化させ
たときの平均透過率(Ta+Tc)/2と透過率比(Tc-T a)/Tc
変化をプロットした図である。図6と図4を比較する
と、記録層と反射層の厚さが同じにもかかわらず、第3
の誘電体層を設けることによって、透過率比(Tc-Ta)/Tc
の絶対値が10%以下になる領域が増加している。また、
第3の誘電体層の厚さを適当に選べば、平均透過率を向
上させることも可能である。このように、第1の情報層
2の構成の自由度を上げる役割を有する。
【0103】表4に、本実施の形態において試作したデ
ィスクの第1の情報層2の膜厚構成例と、計算したアモ
ルファス状態(Ta)および結晶状態での透過率(Tc)、アモ
ルファス状態(Ra)および結晶状態での反射率(Rc)、アモ
ルファス状態と結晶状態の透過率比(Tc-Ta)/Tcと、平均
透過率(Ta+Tc)/2を示す。
【0104】
【表4】
【0105】本実施の形態では表4のように、記録層の
厚さta、反射層の厚さtb、第1の誘電体層の厚さ
1、第2の誘電体層の厚さt2、第3の誘電体層の厚さ
3を変化させることにより、第1の情報層2の透過率
比と平均透過率を種々異ならせたディスクを作成した。
【0106】ディスクは第1の実施の形態と同様にして
作成したが、第1の実施の形態と異なるのは以下の点で
ある。第1の情報層2として第3の誘電体層ZnS-SiO2
t3nm、反射層AgPdCuをtbnm、第2の誘電体層ZnS-SiO2
をt2nm、記録層GeSbTeをtanm、第1の誘電体層ZnS-Si
O2をt1nm、順番に成膜した。
【0107】次に表3に示す6種類のディスクを用いて
記録再生実験を行った。第1の実施の形態と同様にディ
スクを線速度5m/sで回転させ、波長405nmの半導体レー
ザ光を開口数(NA)0.85の対物レンズで絞ってディスクの
いずれかの情報層2または3に照射した。記録条件・測
定条件も第1の実施の形態と同じとした。
【0108】各ディスクに対するエンベロープ変動率と
エラーレートの結果を表5に示す。
【0109】
【表5】
【0110】ディスク(7)〜(10)では、1×10-4より小さ
い良好なエラーレートが得られたのに対し、(10)〜(12)
のエラーレートは十分ではなかった。またディスク(7)
〜(9)および(11)では、エンベロープの変動率が5%以下
と良好だったのに対し、ディスク(10)、(12)の変動率は
大きかった。
【0111】さらに、各ディスクの第2の情報層3を再
生時の信号を、2値化回路・PLL(位相同期ループ)
回路からなる再生信号処理回路の内部で測定したとこ
ろ、ディスク(11)、(12)ではエンベロープの変動が大き
いために2値化回路の動作が不安定になり、エラーレー
トが高くなっていた。また、ディスク(10)〜(12)では再
生信号品質が十分でないためにPLLが安定に動作して
いないことがエラーレートが高くなる要因となってい
た。
【0112】また表4および表5の結果より、透過率比
の絶対値が10%以下で、平均透過率が40%以上の場合に1
×10-4より小さい良好なエラーレートが得られているこ
とがわかる。
【0113】以上のことから、ディスク(7)〜(9)では第
1の情報層2の平均透過率(Ta+Tc)/2を40%以上に高く
し、透過率比(Tc-Ta)/Tcの絶対値を10%以下まで小さく
したために、第2の情報層3に情報を良好に記録再生で
きることがわかった。
【0114】さらに、図5に示す構成において、平均透
過率(Ta+Tc)/2が40%以上になり透過率比(Tc-Ta)/Tc
絶対値を10%以下に小さくできる膜厚条件を、計算を用
いて詳細に調べた。
【0115】表6は、記録層の膜厚taを2〜32nm、反射
層の膜厚tbを2〜36nmの範囲で変化させ、第3の誘電体
層の膜厚t3を10nmとしたときに、平均透過率(Ta+Tc)/2
が40%以上になり、透過率比(Tc-Ta)/Tcの絶対値を10%
以下に小さくできる第1の情報層2が構成可能か否かを
示す表である。また、記録層と反射層の膜厚を同様に変
化させ、第3の誘電体層の膜厚t3を30nmとしたものを表
7、50nmとしたものを表8、70nmとしたものを表9に示
す。
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
【表9】
【0120】これらの表から、記録層の厚さをta[n
m]、金属反射層の厚さをtb[nm]とすると、第3の誘電
体層の膜厚が10〜70nmのいずれであっても、以下の条件
の膜厚で上記の平均透過率と透過率比をみたす構成が得
られることがわかる。
【0121】
【数15】tb≦18 のとき tb≦12 16<ta≦18 のとき ta≦38−ta 18<ta≦20 のとき ta≦10 20<ta≦24 のとき ta≦30−ta 24<ta≦26 のとき ta≦28−ta また表6〜表9からわかるように、記録層と反射層が共
に薄い構成の場合に上記の平均透過率と透過率比をみた
す構成が得られている。これは、第1の情報層2で光学
的吸収を有する層が主として記録層と反射層であること
を意味する。
【0122】また、ディスク(7)〜(9)についてアモルフ
ァス状態での記録層の吸収率Aaと、結晶状態での記録層
の吸収率Acの値を計算したところ、Aa>Acとなった。こ
れは(7)〜(9)の反射率をRa<Rcとなるようにしたので、
透過率比を小さくする(すなわち、TcとTaがほぼ等しく
なる)ためには、記録層の吸収率(≒100%−反射率−
透過率)をAa>Acとなるようにしたほうが構成が容易だ
からである。
【0123】以上述べたように本実施の形態に係る光学
的情報記録媒体においても、透過率比(Tc-Ta)/Tcの絶対
値を10%以下まで小さくし、第1の情報層2の平均透過
率(T a+Tc)/2を40%以上に高くするように構成すること
により、第2の情報層3に十分なレーザ光の光量を到達
させることができ、第1の情報層2の記録・未記録にか
かわらず情報を正確に記録再生することができる。
【0124】最後に、前述の透過率TaやTcは一般に分
光器等の光学測定器で測定されるが、図7に示した様に
情報再生用のレーザ光を第2の情報層に当てたときに得
られる再生信号を利用することで、TcとTaの差を測定
することが容易となる。そのような光学測定法について
新たに図を使って説明する。
【0125】図9はそのような第1の光学測定方法の手
順を示す概略図で、上段はレーザ光の各情報層への照射
の様子を示した略式断面図であり、下段は第2の情報層
で反射されたレーザ光から得られる再生信号の波形図で
ある。
【0126】(ステップ1)まず図9(a)上段のよう
に、第1の情報層になにも記録されていない状態でレー
ザ光が第2の情報層に焦点を合わせて照射される。この
ときの照射位置は例えば1回転毎に元の位置に戻る、い
わゆるスチル状態にしておいて測定位置を特定出来るよ
うにしておくと、次のステップで測定した結果との比較
が容易でより好ましい。反射光量は信号再生用のフォト
ディテクタなどで電流や電圧に変換され、図9(a)下
段の様にほぼ直流の再生波形として観測される。実際の
波形は光ディスクの反射率等の様々なばらつきのため、
ある程度凸凹が見られるが、時間平均を取れば直流波形
と見て差し支えない。同図の縦軸の零レベルは、レーザ
光の光路上から光ディスクが取り外されたときのフォト
ディテクタの出力値を示してある。よって、図に示した
レベルSaが第1の情報層になにも記録されていない状
態での反射光量を示す。
【0127】(ステップ2)次に、図9(b)上段に示
すように、ステップ1でSaを測定した位置の真下に位
置する第1の情報層にランダム信号もしくはモノトーン
信号を記録していく。記録する範囲は、レーザ光を第2
の情報層に焦点を合わせたときに、そのレーザ光が第1
の情報層を通過する領域を全て含む様に指定する。レー
ザ光の波長405nm、対物レンズNA0.85、中間
層の厚み30um、中間層の屈折率1.60とすると、
第1の情報層におけるレーザ光の直径は約37.6um
になり、これに第1と第2の層の間の偏心を考慮する
と、200um程度の範囲にわたって記録すればよい。
【0128】(ステップ3)最後に、図9(c)上段の
ように、ランダム信号もしくはモノトーン信号が記録さ
れた第1の情報層を通してレーザ光が第2の情報層に焦
点を合わせて照射される。このときの照射位置はステッ
プ1で測定したトラックに一致させるのが測定精度が高
くなるのでより好ましい。反射光量は図9(c)下段の
様にほぼ直流の再生波形として観測される。図に示した
レベルSbが第1の情報層が記録済みの状態での反射光
量を示す。この図では、第1の情報層において記録済み
の状態の方が未記録の状態よりも透過率が低くなる場合
を示している。
【0129】(ステップ4)SaとSbより、第1の情報
層が未記録の状態と記録済みの状態との間で透過率の変
化を次の計算で得ることが出来る。すなわち、レーザ光
が第2の情報層に焦点を結んでいるときの第1の情報層
上レーザ光の断面において、記録マークがレーザ光断面
全てに対して占める面積の割合をαとすると、記録済み
の第1の情報層の等価的な透過率Ta’は
【0130】
【数16】 Ta’=(1−α)Tc+αTa=Tc−α(Tc−Ta) となる。未記録の第1の情報層の透過率はTcのままで
あり、かつ、Sa及びSbの測定ではレーザ光は第1の情
報層を2回透過するから、次の式が成り立つ。
【0131】
【数17】Sb/Sa=(Ta’/Tc2 これら2つの式より前述の透過率比は、
【0132】
【数18】 (Tc−Ta)/Tc=(1−(Sb/Sa1/2)/α … 式(1) から得ることが出来る。αは記録パワー等記録条件によ
って変化するが、通常略0.25の値をとる。
【0133】以上ステップ1〜4によって第1の情報層
が未記録の状態と記録済みの状態との間で透過率の変化
を、専用の測定器を使用すること無しに簡単に測定する
ことが出来る。
【0134】図10は第2の光学測定方法の手順を示す
概略図で、上段はレーザ光の各情報層への照射の様子を
示した略式断面図であり、下段は第2の情報層で反射さ
れたレーザ光から得られる再生信号の波形図である。
【0135】(ステップ1)まず図10(a)上段のよ
うに、第1の情報層になにも記録されていない状態でレ
ーザ光が第2の情報層に焦点を合わせて照射され、ラン
ダムもしくはモノトーン信号が第2の情報層の所定トラ
ックに記録される。次にそのトラックに記録された信号
は再生レベルのレーザ光で照射され、フォトディテクタ
などで電流や電圧に変換され、図10(a)下段の様に
一定の振幅を有したエンベロープ波形として観測され
る。図に示した振幅A1が第1の情報層になにも記録さ
れていない状態での再生信号振幅を示す。
【0136】(ステップ2)次に、図10(b)上段に
示すように、ステップ1でA1を測定した位置の真下に
位置する第1の情報層にランダム信号もしくはモノトー
ン信号を記録していく。記録する範囲は第1の光学測定
方法と同じである。
【0137】(ステップ3)最後に、図10(c)上段
のように、ランダム信号が記録された第1の情報層を通
してレーザ光が第2の情報層に焦点を合わせて照射され
る。このときの照射位置はステップ1で測定したトラッ
クに一致させる。再生信号は図10(c)下段の様に一
定の振幅を有したエンベロープ波形として観測される。
図に示した振幅A2が第1の情報層が記録済みの状態で
の再生振幅を示す。この図においても、第1の情報層に
おいて記録済みの状態の方が未記録の状態よりも透過率
が低くなる場合を示している。
【0138】(ステップ4)第1の光学測定方法で示し
た計算でSaをA1に、SbをA2に置き換えることによ
り、第1の情報層が未記録の状態と記録済みの状態との
間で透過率比(Tc−Ta)/Tcを得ることが出来る。
【0139】以上ステップ1〜4によって、第1の情報
層が未記録の状態と記録済みの状態との間で透過率の変
化を、専用の測定器を使用すること無しに簡単に測定す
ることが出来る。また、図10で説明した方法では、反
射光量を比較するために再生振幅A1及びA2を用いてい
るため、たとえ第1の情報層からの反射光の一部が迷光
となってフォトディテクタに入射しても、振幅測定時に
キャンセルされるため、より精度良く透過率差を測定す
ることが可能となる。一方、図9で説明した方法におい
ても、フォトディテクタの大きさを十分小さくして迷光
量を例えば全入射光量の2%程度に抑えれば、透過率差
の精度を100分の2に抑えることが出来るので十分高
精度の測定が可能となる。
【0140】なお、本発明の第2の光学測定方法に関し
ては、図11に示すように、零レベルと変調振幅の上側
エンベロープとの差異A1'とA2'を測定し、第1の光学
測定方法で示した計算でSaをA1'に、SbをA2'に置き
換えることにより、第1の情報層が未記録の状態と記録
済みの状態との間で透過率比(|Tc-Ta|/Tc)を得ること
も出来る。
【0141】以上述べた光学測定法を用いれば式(1)
を通じて透過率比を簡単に求めることが出来る。先に説
明したように、第1の情報層として好ましい透過率比の
条件は10%以下であるので、式(1)を用いると、第
1の光学測定方法から得られるSa及びSbが、
【0142】
【数19】0≦|1-(Sb/Sa)1/2|≦0.1α を満たせばよいことになる。もしくは、第2の光学測定
方法から得られるA1及びA2が、
【0143】
【数20】0≦|1-(A2/A1)1/2|≦0.1α を満たせばよい。
【0144】なお、上述の実施の形態における媒体で
は、第1の情報層2の構成を図2に示すような4層構成
または図5に示すような5層構成としたが、各層の間に
界面層を有する多層構成であっても、上記の透過率比お
よび/または平均透過率を満たす条件になるように構成
すれば良い。また、反射層を有しない構成など、図2、
図5以外の構成としてもかまわない。各層の材料も本実
施の形態で用いたものに限定されるものではない。
【0145】また、上述の実施の形態では、媒体を2つ
の情報層を有する光ディスクとしたが、図8に示すよう
な3つ以上の情報層を有し、レーザ光の入射側から見て
最も遠い情報層よりも手前に位置する複数の情報層の合
成透過率が、上記の透過率比を満たす条件のものであっ
ても良い。
【0146】すなわち、この合成透過率は各情報層の透
過率の積となる。各層の記録・未記録状態の組み合わせ
により合成透過率が最小となる場合(この透過率をTmin
とする)と、最大になる場合(この透過率をTmaxとす
る)が存在することになる。情報層が2層の場合と同様
にして、これら複数の情報層より奥の情報層に到達する
レーザ光の光量変化を小さくするためには、
【0147】
【数21】 0≦|Tc-Tmin|/Tc≦0.1 且つ 0≦|Tc-Tmax|/Tc≦0.1 となるように構成すればよい。
【0148】ここでTcは、複数の情報層が全て未記録状
態のときの合成透過率である。
【0149】ただしこの場合、手前に位置するすべての
情報層について40%以上の平均透過率が得られない可能
性があるので、十分な信号品質を得るためには再生回路
のS/Nを向上させる必要がある。
【0150】また、上述した光学測定方法についても、
測定の対象となる媒体は3層以上の情報層を有するもの
であってもよい。このときには、レーザ光の入射側から
みて最も遠い情報層よりも手前に位置する複数の情報層
の合成透過率が最小となる場合(これを場合aという)
と、最大となる場合(これを場合bという)の反射光量
を測定すれば、手前に位置する複数の情報層についての
最大の透過率変動が測定できる。
【0151】さらに、上述の光学測定方法では、測定し
たSa(またはA1、A1')とSb(またはA2、A2')を
もとにしてステップ4で透過率比を導出するものとした
が、これらの測定した信号の変化を導出する方法とすれ
ば、透過率比を求めることなく、手前に位置する情報層
の透過率変化の良否を容易に判定することができる。
【0152】たとえば、信号の変化を表すパラメータと
して、(Sa−Sb)/Saまたは(A1−A2)/A1また
は(A1'−A2')/A1'を定義する。こうしたパラメー
タを導出することにより、透過率比(Tc−Ta)/Tc
を求めることなしに、手前に位置する情報層の、最も遠
い情報層の再生信号品質に与える影響の大小を見積もる
ことができ、手前に位置する情報層の透過率変化の良否
を容易に判定することが可能となる。
【0153】また、実際の測定では、ディスクの反射率
等のばらつきのために、Sa(またはA1、A1')とSb
(またはA2,A2')には多少の変動が存在するが、最
も変動に大きな影響を与えるのは手前に位置する情報層
の透過率変化である。
【0154】したがって、手前の情報層に局所的に信号
を記録しておき、その後手前の情報層を通して最も遠い
情報層からの反射光量の変化を測定し、その最大値をS
a 最小値をSbとして測定し、上記のパラメータを求め
ることとしても、手前に位置する情報層の透過率変化の
良否を容易に判定するのには実質的には問題ない。変調
振幅A1、A1'、A2、A2'を測定する場合でも同様であ
る。
【0155】さらに、上記の実施の形態で用いられる変
調方式、記録密度は上述した形態に限定されるものでは
なく、媒体自身や記録再生装置に応じた適切な形態とす
ることが可能であることは言うまでもない。
【0156】
【発明の効果】以上述べたように本発明にかかる光学的
情報記録媒体は、奥の情報層に十分なレーザ光の光量を
到達させることができ、手前の情報層の記録・未記録に
かかわらず奥の情報層に情報を正確に記録再生すること
ができる。
【0157】また、本発明にかかる光学測定方法は、記
録、未記録による手前の情報層の透過率変化を容易に測
定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光学的情報記
録媒体を示す外観・断面図
【図2】前記第1の実施の形態に係る第1の情報層を示
す断面図
【図3】前記第1の実施の形態に係るC/Nのピークパワ
ー依存性を示す図
【図4】前記第1の実施の形態に係る平均透過率および
透過率比の計算結果を示す図
【図5】前記第2の実施の形態に係る第1の情報層を示
す断面図
【図6】前記第2の実施の形態に係る平均透過率および
透過率比の計算結果を示す図
【図7】前記第1および第2の実施の形態に係る、第2
の情報記録層からの再生信号波形を示す図
【図8】本発明の別の実施の形態に係る光学的情報記録
媒体を示す外観・断面図
【図9】本発明の実施の形態に係る第1の光学測定方法
の手順を示す概略図
【図10】本発明の実施の形態に係る第2の光学測定方
法の手順を示す概略図
【図11】本発明の実施の形態に係る別の光学測定方法
の手順を示す概略図
【符号の説明】
1 光ディスク 2 第1の情報層 3 第2の情報層 4、5 基板 6 中間層 7 対物レンズ 8 レーザ光 9 第1の誘電体層 10 第2の誘電体層 11 記録層 12 反射層 13 第3の誘電体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮川 直康 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 児島 理恵 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西原 孝史 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 山田 昇 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D029 JB13 JB18 JB35 JB47 JC02 JC03 JC04 MA13 MA14 5D121 AA01 HH11 HH14

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2層の情報層を有し、レーザ光が前記情
    報層のいずれかに集束して照射されることによって情報
    信号が記録再生される光学的情報記録媒体であって、 前記レーザ光の入射側から見て最も遠い情報層よりも手
    前に位置する情報層が、光学的に検知しうる2つの状態
    間で変化する記録層を有し、 前記記録層が状態aの場合の前記手前に位置する情報層
    の透過率をTc、状態bの場合の透過率をTaとするとき、 【数1】0≦|Tc-Ta|/Tc≦0.1 となる構成を有する光学的情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 3層以上の情報層を有し、レーザ光が前
    記情報層のいずれかに集束して照射されることによって
    情報信号が記録再生される光学的情報記録媒体であっ
    て、 前記レーザ光の入射側から見て最も遠い情報層よりも手
    前に位置する複数の情報層がそれぞれ、光学的に検知し
    うる2つの状態間で変化する記録層を有し、 前記複数の情報層が有する各記録層がいずれも状態aの
    場合の、前記複数の情報層の合成透過率をTc、 前記複数の情報層の合成透過率が最小となる、前記各記
    録層の状態の組み合わせの場合の、その合成透過率をT
    min、 前記複数の情報層の合成透過率が最大となる、前記各記
    録層の状態の組み合わせの場合の、その合成透過率をT
    maxとするとき、 【数2】 0≦|Tc-Tmin|/Tc≦0.1 且つ 0≦|Tc-Tmax|/Tc≦0.1 となる構成を有する光学的情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 さらに、 【数3】(Ta+Tc)/2≧0.4 となる構成を有する請求項1に記載の光学的情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 前記レーザ光の入射側から見て最も遠い
    情報層よりも手前に位置する情報層の有する前記記録層
    が状態aの場合の前記記録層の吸収率をAc[%]、状態b
    の場合の吸収率をAa[%]とし、 前記記録層が状態aの場合の前記手前に位置する情報層
    の反射率をRc[%]、状態bの場合の反射率をRa[%]とする
    とき、 【数4】Ac<Aa かつ Rc>Ra、あるいは、 Ac>Aa かつ Rc<Ra となる構成を有する請求項1又は3に記載の光学的情報
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記レーザ光の入射側から見て最も遠い
    情報層よりも手前に位置する情報層が、少なくとも第1
    の誘電体層、相変化記録層、第2の誘電体層、金属反射
    層を有し、 前記各層は入射側から前記第1の誘電体層、前記相変化
    記録層、前記第2の誘電体層、前記金属反射層の順序で
    配置されている請求項3に記載の光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記レーザ光の波長を390nm〜430nmの範
    囲とし、 前記金属反射層がAg、もしくはAgを主成分とする合金か
    らなり、 前記相変化記録層の厚さをta[nm]、前記金属反射層の
    厚さをtb[nm]とすると、 【数5】tb≦18 のとき ta≦12 18<tb≦22 のとき ta≦10 22<tb≦30 のとき ta≦32−tb となる構成を有する請求項5に記載の光学的情報記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 前記レーザ光の入射側から見て最も遠い
    情報層よりも手前に位置する情報層が、少なくとも第1
    の誘電体層、相変化記録層、第2の誘電体層、金属反射
    層、第3の誘電体層を有し、 前記各層は入射側から前記第1の誘電体層、前記相変化
    記録層、前記第2の誘電体層、前記金属反射層、前記第
    3の誘電体層の順序で配置されている請求項3に記載の
    光学的情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記レーザ光の波長を390nm〜430nmの範
    囲とし、 前記金属反射層が少なくともAg、もしくはAgを主成分と
    する合金からなり、 前記相変化記録層の厚さをta[nm]、前記金属反射層の
    厚さをtb[nm]とするとき、 【数6】tb≦18 のとき ta≦12 16<tb≦18 のとき ta≦38−tb 18<tb≦20 のとき ta≦10 20<tb≦24 のとき ta≦30−tb 24<tb≦26 のとき ta≦28−tb となる構成を有する請求項7に記載の光学的情報記録媒
    体。
  9. 【請求項9】 前記レーザ光の入射側から見て最も遠い
    情報層よりも手前に位置する情報層の有する前記記録層
    が結晶の場合の前記相変化記録層の吸収率をAc[%]、ア
    モルファスの場合の吸収率をAa[%]とし、 前記記録層が結晶の場合の前記情報層の反射率をR
    c[%]、アモルファスの場合の反射率をRa[%]とすると
    き、 【数7】Ac<Aa かつ Rc>Ra、あるいは、 Ac>Aa かつ Rc<Ra となる構成を有する請求項5〜8のいずれかに記載の光
    学的情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 2層の情報層を有し、レーザ光が前記
    情報層のいずれかに集束されることによって情報信号が
    記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最も遠い
    情報層よりも手前に位置する情報層が、光学的に検知し
    うる2つの状態間で変化する記録層を有する光学的情報
    記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のいず
    れかによって反射された前記レーザ光を光検出器によっ
    て受光し、透過率変化を測定する光学測定方法であっ
    て、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域が状態aであるときに、前記手前
    に位置する情報層を透過し、前記最も遠い情報層によっ
    て反射された後前記手前に位置する情報層を再び透過し
    て前記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の強度
    をSaとして前記光検出器によって測定するステップ
    と、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域の一部又は全部が状態bであると
    きに、前記手前に位置する情報層を透過し、前記最も遠
    い情報層によって反射された後前記手前に位置する情報
    層を再び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前記
    レーザ光の強度をSbとして前記光検出器によって測定
    するステップと、 前記SaとSbを基に前記手前に位置する情報層の透過率
    変化を導出するステップとを備えた光学測定方法。
  11. 【請求項11】 3層以上の情報層を有し、レーザ光が
    前記情報層のいずれかに集束されることによって情報信
    号が記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最も
    遠い情報層よりも手前に位置する複数の情報層が、光学
    的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層を有する
    光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情
    報層のいずれかによって反射された前記レーザ光を光検
    出器によって受光し、透過率変化を測定する光学測定方
    法であって、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最小と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合aと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最大と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合bと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録層の
    状態の組み合わせが前記場合aであるときに、前記手前
    に位置する複数の情報層を透過し、その透過した情報層
    より奥にある所定の情報層によって反射された後前記手
    前に位置する複数の情報層を再び透過して前記光学的情
    報記録媒体から出た前記レーザ光の強度をSaとして前
    記光検出器によって測定するステップと、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる記録層の状
    態の組み合わせが前記状態bであるときに、前記手前に
    位置する複数の情報層を透過し、前記最も遠い情報層に
    よって反射された後前記手前に位置する複数の情報層を
    再び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前記レー
    ザ光の強度をSbとして前記光検出器によって測定する
    ステップと、 前記SaとSbを基に前記手前に位置する複数の情報層の
    透過率変化を導出するステップとを備えた光学測定方
    法。
  12. 【請求項12】 2層の情報層を有し、レーザ光が前記
    情報層のいずれかに集束されることによって情報信号が
    記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最も遠い
    情報層よりも手前に位置する情報層が、光学的に検知し
    うる2つの状態間で変化する記録層を有する光学的情報
    記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のいず
    れかによって反射された前記レーザ光を光検出器によっ
    て受光し、前記レーザ光の強度変化を測定する光学測定
    方法であって、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域が状態aであるときに、前記手前
    に位置する情報層を透過し、前記最も遠い情報層によっ
    て反射された後前記手前に位置する情報層を再び透過し
    て前記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ光の強度
    をSaとして前記光検出器によって測定するステップ
    と、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域の一部又は全部が状態bであると
    きに、前記手前に位置する情報層を透過し、前記最も遠
    い情報層によって反射された後前記手前に位置する情報
    層を再び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前記
    レーザ光の強度をSbとして前記光検出器によって測定
    するステップと、 前記SaとSbを基に前記レーザ光の強度変化を導出する
    ステップとを備えた光学測定方法。
  13. 【請求項13】 3層以上の情報層を有し、レーザ光が
    前記情報層のいずれかに集束されることによって情報信
    号が記録再生され、前記レーザ光の入射側から見て最も
    遠い情報層よりも手前に位置する複数の情報層が、光学
    的に検知しうる2つの状態間で変化する記録層を有する
    光学的情報記録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情
    報層のいずれかによって反射された前記レーザ光を光検
    出器によって受光し、前記レーザ光の強度変化を測定す
    る光学測定方法であって、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最小と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合aと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最大と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合bと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録層の
    状態の組み合わせが前記場合aであるときに、前記手前
    に位置する複数の情報層を透過し、その透過した情報層
    より奥にある所定の情報層によって反射された後前記手
    前に位置する複数の情報層を再び透過して前記光学的情
    報記録媒体から出た前記レーザ光の強度をSaとして前
    記光検出器によって測定するステップと、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる記録層の状
    態の組み合わせが前記状態bであるときに、前記手前に
    位置する複数の情報層を透過し、前記最も遠い情報層に
    よって反射された後前記手前に位置する複数の情報層を
    再び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前記レー
    ザ光の強度をSbとして前記光検出器によって測定する
    ステップと、 前記SaとSbを基に前記レーザ光の強度変化を導出する
    ステップとを備えた光学測定方法。
  14. 【請求項14】 2層の情報層を有し、レーザ光が前記
    情報層のいずれかに集束されて情報信号が記録再生さ
    れ、前記レーザ光の入射側から見て最も遠い情報層より
    も手前に位置する情報層が、光学的に検知しうる2つの
    状態間で変化する記録層を有する光学的情報記録媒体
    に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のいずれかによ
    って反射された前記レーザ光を光検出器によって受光
    し、透過率変化を測定する光学測定方法であって、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域が状態aであるときに、前記手前
    に位置する情報層を透過し、前記最も遠い情報層に記録
    された前記情報信号によって変調を受けた後前記手前に
    位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記録媒体
    から出た前記レーザ光の変調振幅をA1として、前記光
    検出器によって測定するステップと、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域の一部又は全部が状態bであると
    きに、前記手前に位置する情報層を透過し、前記最も遠
    い情報層に記録された前記情報信号によって変調を受け
    た後前記手前に位置する情報層を再び透過して前記光学
    的情報記録媒体から出た前記レーザ光の変調振幅をA2
    として前記光検出器によって測定するステップと、 前記A1とA2を基に前記手前に位置する情報層の透過率
    変化を導出するステップとを備えた光学測定方法。
  15. 【請求項15】 3層以上の情報層を有し、レーザ光が
    前記情報層のいずれかに集束されて情報信号が記録再生
    され、前記レーザ光の入射側から見て最も遠い情報層よ
    りも手前に位置する複数の情報層が、光学的に検知しう
    る2つの状態間で変化する記録層を有する光学的情報記
    録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のいずれ
    かによって反射された前記レーザ光を光検出器によって
    受光する光学測定方法であって、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最小と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合aと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最大と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合bと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録層の
    状態の組み合わせが状態aであるときに、前記手前に位
    置する複数の情報層を透過し、その透過した情報層より
    奥にある所定の情報層に記録された前記情報信号によっ
    て変調を受けた後前記手前に位置する複数の情報層を再
    び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ
    光の変調振幅をA1として、前記光検出器によって測定
    するステップと、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録層の
    状態の組み合わせが状態bであるときに、前記手前に位
    置する複数の情報層を透過し、前記最も遠い情報層に記
    録された前記情報信号によって変調を受けた後前記手前
    に位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記録媒
    体から出た前記レーザ光の変調振幅をA 2として前記光
    検出器によって測定するステップと、 前記A1とA2を基に前記手前に位置する情報層の透過率
    変化を導出するステップとを備えた光学測定方法。
  16. 【請求項16】 2層の情報層を有し、レーザ光が前記
    情報層のいずれかに集束されて情報信号が記録再生さ
    れ、前記レーザ光の入射側から見て最も遠い情報層より
    も手前に位置する情報層が、光学的に検知しうる2つの
    状態間で変化する記録層を有する光学的情報記録媒体
    に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のいずれかによ
    って反射された前記レーザ光を光検出器によって受光
    し、前記レーザ光の変調振幅の変化を測定する光学測定
    方法であって、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域が状態aであるときに、前記手前
    に位置する情報層を透過し、前記最も遠い情報層に記録
    された前記情報信号によって変調を受けた後前記手前に
    位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記録媒体
    から出た前記レーザ光の変調振幅をA1として、前記光
    検出器によって測定するステップと、 前記手前に位置する情報層に含まれる記録層の、前記レ
    ーザ光が透過する領域の一部又は全部が状態bであると
    きに、前記手前に位置する情報層を透過し、前記最も遠
    い情報層に記録された前記情報信号によって変調を受け
    た後前記手前に位置する情報層を再び透過して前記光学
    的情報記録媒体から出た前記レーザ光の変調振幅をA2
    として前記光検出器によって測定するステップと、 前記A1とA2を基に前記レーザ光の変調振幅の変化を導
    出するステップとを備えた光学測定方法。
  17. 【請求項17】 3層以上の情報層を有し、レーザ光が
    前記情報層のいずれかに集束されて情報信号が記録再生
    され、前記レーザ光の入射側から見て最も遠い情報層よ
    りも手前に位置する複数の情報層が、光学的に検知しう
    る2つの状態間で変化する記録層を有する光学的情報記
    録媒体に、前記レーザ光を収束し、前記情報層のいずれ
    かによって反射された前記レーザ光を光検出器によって
    受光し、前記レーザ光の変調振幅の変化を測定する光学
    測定方法であって、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最小と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合aと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層の合成透過率が最大と
    なる、前記記録層の状態の組み合わせの場合を場合bと
    し、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録層の
    状態の組み合わせが状態aであるときに、前記手前に位
    置する複数の情報層を透過し、その透過した情報層より
    奥にある所定の情報層に記録された前記情報信号によっ
    て変調を受けた後前記手前に位置する複数の情報層を再
    び透過して前記光学的情報記録媒体から出た前記レーザ
    光の変調振幅をA1として、前記光検出器によって測定
    するステップと、 前記手前に位置する複数の情報層に含まれる各記録層の
    状態の組み合わせが状態bであるときに、前記手前に位
    置する複数の情報層を透過し、前記最も遠い情報層に記
    録された前記情報信号によって変調を受けた後前記手前
    に位置する情報層を再び透過して前記光学的情報記録媒
    体から出た前記レーザ光の変調振幅をA 2として前記光
    検出器によって測定するステップと、 前記A1とA2を基に前記レーザ光の変調振幅の変化を導
    出するステップとを備えた光学測定方法。
  18. 【請求項18】 前記レーザ光の変調振幅A1の代わり
    に、零レベルと変調振幅の上側エンベロープとの差異A
    1'を測定し、 前記レーザ光の変調振幅A2の代わりに、零レベルと変
    調振幅の上側エンベロープとの差異A2'を測定し、 前記A1とA2とに基づいて、前記レーザ光の変調振幅の
    変化を導出するステップの代わりに、前記A1'とA2'
    に基づいて、前記レーザ光の振幅変調の上側エンベロー
    プとの変化を導出するステップを備えた、請求項16又
    は17に記載の光学測定方法。
  19. 【請求項19】 前記手前に位置する情報層に含まれる
    記録層の、レーザ光が透過する領域が状態bである状態
    で、前記最も遠い情報層に情報信号を記録した後、変調
    振幅A2の測定を行う請求項14記載の光学測定方法。
  20. 【請求項20】 前記状態aは結晶状態であり、前記状
    態bはアモルファス状態である請求項10、12、1
    4,16又は19記載の光学測定方法。
  21. 【請求項21】 前記Sb又はA2又はA2' を測定する
    ときは、前記手前に位置する情報層の記録層は、アモル
    ファス状態の多数の記録マークとその周辺の結晶部とか
    らなる状態である請求項20記載の光学測定方法。
  22. 【請求項22】 前記状態aはアモルファス状態であ
    り、前記状態bは結晶状態である請求項10、12,1
    4、16又は19に記載の光学測定方法。
  23. 【請求項23】 前記Sb又はA2又はA2'を測定すると
    きは、前記手前に位置する情報層の記録層は、結晶状態
    の多数の記録マークとその周辺のアモルファス部とから
    なる状態である請求項22記載の光学測定方法。
  24. 【請求項24】 前記請求項10に記載の光学測定方法
    で用いられた前記Sbを測定する時の前記レーザ光が透
    過する面積に占める前記記録マーク部の面積の割合をα
    としたとき、 【数8】0≦|1+(Sb/Sa)1/2|≦0.1α となる構成を有する光学的情報記録媒体。
  25. 【請求項25】 前記請求項14に記載の光学測定方法
    で用いられた前記A2を測定する時の前記レーザ光が透
    過する面積に占める前記記録マーク部の面積の割合をα
    としたとき、 【数9】0≦|1-(A2/A1)1/2|≦0.1α となる構成を有する光学的情報記録媒体。
  26. 【請求項26】 請求項1,3,4,5,6,7,8,
    9,24又は25に記載の光学的情報記録媒体にレーザ
    光を照射することによって情報信号の記録または再生を
    行う光学的情報記録再生方法であって、 前記光学的情報記録媒体の片側の面から2つ以上の情報
    層のうちの一つに前記レーザ光を照射することにより、
    情報信号を記録または再生する光学的情報記録再生方
    法。
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