JP2003099980A - 光学情報記録媒体 - Google Patents

光学情報記録媒体

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JP2003099980A
JP2003099980A JP2002176334A JP2002176334A JP2003099980A JP 2003099980 A JP2003099980 A JP 2003099980A JP 2002176334 A JP2002176334 A JP 2002176334A JP 2002176334 A JP2002176334 A JP 2002176334A JP 2003099980 A JP2003099980 A JP 2003099980A
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thin film
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wavelength
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JP2002176334A
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English (en)
Inventor
Kenichi Osada
憲一 長田
Noboru Yamada
昇 山田
Nobuo Akahira
信夫 赤平
Kenichi Nishiuchi
健一 西内
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録が可能で、かつ、再生専用DVDの再生
機で再生可能で、さらにフォーカスサーボ特性が安定な
光学情報記録媒体を提供する。 【解決手段】 信号の記録時はプッシュプル法或いは機
械送りによってトラッキングの制御を行い、再生時は位
相差トラッキング法によりトラッキングの制御を行うこ
とで、位相差再生が可能でかつ、書き換え可能な相変化
型光ディスクが実現できる。また、位相差再生構造を有
する相変化光ディスクにおいて、未記録部分の反射率を
記録マーク部の反射率よりも高くすることによって、信
号再生時のサーボを安定に制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を用いて
高い記録密度で信号を記録及び再生する方式、及び、そ
のときに用いる光学情報記録記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光を用いて信号を再生する、いわ
ゆる再生専用の光学情報記録媒体に、コンパクトディス
ク(CD)と称される光ディスク,レーザディスク(L
D)と称される光ディスク、デジタルビデオディスク
(DVD)と称される光ディスク等がある。
【0003】現在、市販されている再生専用の光学情報
記録媒体のうち、もっとも高密度に信号が記録されてい
るものは、現状ではDVDである。
【0004】この再生専用DVDは直径120mmの光デ
ィスクで、記録面1層あたりのユーザ容量は最大で4.
7GBである。基板は厚さ0.6mm、直径120mmの円
盤状ポリカーボネートが専ら適用されている。
【0005】情報信号の再生は、波長650nm或いは6
35nm(実際には誤差を有するため630nm以上670
nm以下)のレーザ光の照射によって行う。DVDを再生
する際に再生レーザ光を記録信号列の中心に維持するい
わゆるトラッキングサーボ方式は、位相差トラッキング
・エラー信号(例えば、National Technical ReportVo
l.32 No.4 Aug. 1986 P72-80)を用いて行う(DVD−
ROMの規格書Ver.1)。
【0006】また、レーザ光を用いて信号を記録及び再
生することのできる光学情報記録媒体として、相変化型
光ディスク、光磁気ディスク、色素ディスク等がある。
この内、記録可能な相変化型光ディスクでは、通常、記
録薄膜材料としてカルコゲン化物を用いる。一般には、
記録薄膜材料が結晶状態の場合を未記録状態とし、レー
ザ光を照射し、記録薄膜材料を溶融・急冷して非晶質状
態とすることにより、信号を記録する。一方、信号を消
去する場合は、記録時よりも低パワーのレーザ光を照射
して、記録薄膜を結晶状態とする。
【0007】また、相変化光ディスクの記録密度向上を
目的として、再生レーザ光の波長λに対して、未記録部
と記録部それぞれからの反射光の間に位相差が生じるよ
うにディスク構造を決定することが提案されている(例
えば、日本特許第2773945号、日本特許第266
1293号、特開平6−4900号公報等)。通常の反
射率差再生構造に比べて、上記の位相差再生構造は、高
密度に記録しても良好な再生信号品質が得られる。
【0008】記録可能な光ディスクに信号を記録及び/
或は再生する際のトラッキングエラー信号を得るため
に、通常は、基板上に案内溝と呼ばれるスパイラル状、
或は同心円状の溝を有する基板が用いられる。具体的に
は、トラッキングエラー信号は、記録及び/或は再生す
るためのレーザ光の照射によって、例えばプッシュプル
法や3ビーム法によって得られる。その他、ウォブルピ
ットと呼ばれるちどり状にピットが配置された基板を用
いて、トラックウォブリング法によってトラッキングサ
ーボをかけることもある(例えば尾上守夫監修”光ディ
スク技術”ラジオ技術社出版 P86-97)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】現在、市販されている
中で最も高密度に信号が記録されている光学情報記録媒
体は、前述したように再生専用DVDである。しかしこ
の再生専用DVDに、ユーザが任意の情報を記録するこ
とはできない。
【0010】本発明の目的は、記録が可能で、かつ、再
生専用DVDの再生機で再生可能で、さらにフォーカス
サーボ特性が安定な光学情報記録媒体を提供することに
ある。
【0011】記録可能、かつ、再生専用DVDの再生機
で再生可能な光学情報記録媒体に求められる特性は、以
下の通りである。
【0012】1.再生専用DVDと同等の物理記録密度
(ビット長:0.267μm/bit、トラックピッチ:
0.74μm、信号の変調方式:8/16,RLL
(2,10))で記録できること。
【0013】2.信号を記録した光学情報記録媒体か
ら、位相差トラッキングエラー信号が得られること。
【0014】3.再生専用DVDと同等の反射率である
こと。
【0015】ただし、上述の3の反射率に関しては、D
VDの再生機の再生ゲインを高める、或は回路ノイズを
下げる、或いは再生レーザ光の出力を上げる等の小改造
によって、反射率が低い記録媒体に対応させることが可
能である。
【0016】本発明のもう1つの目的は、上記特性を満
たす光学情報記録媒体に対して、再生専用DVDと同等
の物理密度の信号を記録し、かつ、再生することができ
る記録・再生方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために以下の構成とする。
【0018】本発明による光学情報記録媒体の記録・再
生方法の第1の構成は、案内溝を有する円盤状の基板上
に、レーザ光の照射によって非晶質状態と結晶状態との
間で相変化を生じる記録薄膜を少なくとも備えてなる光
学情報記録媒体を用い、情報信号に基づいたレーザ光を
照射し、前記基板の前記案内溝から得られるトラッキン
グエラー信号を用いてトラッキングサーボをかけなが
ら、前記記録薄膜に記録マークを形成することで所望の
信号を記録し、記録薄膜に記録マークが形成された光学
情報記録媒体にレーザ光を照射し、前記記録マークから
得られるトラッキングエラー信号をもとに、トラッキン
グサーボをかけながら信号を再生することを特徴とす
る。
【0019】本発明による光学情報記録媒体の記録・再
生方法の第2の構成は、鏡面状の記録領域を有する円盤
状の基板上に、レーザ光の照射によって非晶質状態と結
晶状態との間で相変化を生じる記録薄膜を少なくとも備
えてなる光学情報記録媒体を用い、基板を回転させなが
ら、記録信号の半径方向の間隔が一定となるようにレー
ザ光照射部を移動させながら、情報信号に基づいたレー
ザ光を照射し、前記記録薄膜に相変化を生じさせて記録
マークを形成することで所望の信号を半径方向の間隔が
一定となるように記録し、記録薄膜に記録マークが形成
された光学情報記録媒体にレーザ光を照射し、前記記録
マークから得られるトラッキングエラー信号をもとに、
トラッキングサーボをかけながら信号を再生することを
特徴とする。
【0020】本発明の光学情報記録媒体の記録・再生方
法は、上記のような構成とすることにより、再生専用D
VDと同等の物理密度の信号を記録し、かつ再生するこ
とが可能となる。
【0021】本発明による光学情報記録媒体の第1の構
成は、溝深さがd(nm)の案内溝を有する円盤状の基板
上に、レーザ光の照射によって非晶質状態と結晶状態と
の間で相変化を生じる記録薄膜を少なくとも備えてなる
光学情報記録媒体であって、前記記録薄膜に情報信号に
基づいた記録マークを形成するレーザ光の波長をλ1(n
m)、波長λ1における基板の屈折率をn1としたとき、
前記溝深さdとλ1及びn1との関係が、 0.05×λ1/n1≦d であり、記録薄膜に形成された記録マークを再生するレ
ーザ光の波長をλ2(nm)、波長λ2における基板の屈折
率をn2としたとき、前記溝深さdとλ2及びn2との関
係が、 d≦0.09×λ2/n2 であり、波長λ2のレーザ光に対する記録マークからの
反射光の位相φ1と、非記録マーク領域からの反射光の
位相φ2との関係が、 (2n+0.7)×π<φ2−φ1<(2n+1.3)×
π (ただし、nは整数) であり、波長λ2(nm)のレーザ光の入射に対する、前
記光学情報記録媒体の記録マークからの反射光の振幅強
度I1と、非記録マーク領域からの反射光の振幅強度I2
との関係が、 I1<I2 であることを特徴とする。
【0022】本発明による光学情報記録媒体の第2の構
成は、円盤状の基板上に、レーザ光の照射によって非晶
質状態と結晶状態との間で相変化を生じる記録薄膜を少
なくとも備えてなる光学情報記録媒体であって、前記光
学情報記録媒体に記録した信号を再生するために照射す
るレーザ光の波長λ2に対する光学情報記録媒体の記録
マークからの反射光の位相φ1と、非記録マーク領域か
らの反射光の位相φ2との関係が、 (2n+0.7)×π<φ2−φ1<(2n+1.3)×
π (ただし、nは整数) であり、波長λ2(nm)のレーザ光の入射に対する、光
学情報記録媒体の記録マークからの反射光の振幅強度I
1と、非記録マーク領域からの反射光の振幅強度I2の関
係が、 I1<I2 であることを特徴とする。
【0023】本発明の光学情報記録媒体は、上記のよう
な構成とすることにより、再生専用DVDと同密度の記
録が可能で、かつ、再生専用DVDの再生機で再生が可
能で、さらに、フォーカスサーボ特性の安定な光学情報
記録媒体を得ることができる。
【0024】上記構成において、記録薄膜を構成する主
元素はGeとTeとを含み、GeとTeの原子量の比(G
e:Te)が45:55から55:45の範囲にあること
が望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面に基づいて説明する。
【0026】(実施の形態1)図1は本発明の第1の実
施形態に係る光学情報記録媒体(光ディスク)10の積
層構成の概略を示す半径方向の断面図である。図1にお
いて、記録、及び再生を行うレーザ光は基板1の側から
入射させる。
【0027】基板1は、ポリカーボネート,PMMA等
の樹脂或はガラス等からなり、基板表面8は、スパイラ
ル又は同心円状の連続溝(案内溝,トラック)9で覆わ
れている。
【0028】保護層2,4の材料は、物理的・化学的に
安定であること、すなわち後述する記録薄膜の材料の融
点よりも、融点及び軟化温度が高く、かつ記録薄膜の材
料と相固溶しないことが望ましい。例えば、Al23
SiOx,Ta25,MoO3,WO3,ZrO2,ZnS,Al
x,BN,SiNx,TiN,ZrN,PbF2,MgF2
の誘電体或はこれらの適当な組み合わせからなる。ただ
し、保護層2,4は誘電体や透明である必要はなく、例
えば、可視光線及び赤外線に対して光吸収性をもつZn
Te等で形成してもよい。また、保護層2と保護層4を
異なる材料で形成すると、熱的及び光学的なディスク設
計の自由度が大きくなる利点がある。もちろん同一材料
で形成してもよい。
【0029】記録薄膜3は、記録のためのレーザ光の照
射によって結晶状態と非晶質状態との間で可逆的に構造
変化をおこす物質であればよく、例えばTe,In,また
はSe等を主成分とする相変化材料が例示できる。よく
知られた相変化材料の主成分としては、Te-Sb-Ge,
Te-Ge,Te-Ge-Sn,Te-Ge-Sn-Au,Sb-Se,S
b-Te,Sb-Se-Te,In-Te,In-Se,In-Se-T
l,In-Sb,In-Sb-Se,In-Se-Te等が挙げられ
る。これらの薄膜は通常、非晶質状態で成膜されるが、
レーザ光等のエネルギーを吸収して結晶化し、光学定数
(屈折率n、消衰係数k)が変化する。
【0030】反射層5は、Au,Al,Ni,Fe,Cr等
の金属元素、或はこれらの合金からなり、記録薄膜への
光吸収効率を高める働きをする。
【0031】保護基板7は、例えばスピンコートした樹
脂、基板と同様の樹脂板、ガラス板、或は金属板等を接
着剤6を用いて貼り合わせることによって形成する。さ
らには、2組の記録媒体を中間基板或は反射層を内側に
して接着剤を用いて貼り合わせることにより、両面から
記録,再生、消去可能な構造としてもよい。
【0032】記録薄膜,保護層,反射層等の各層の形成
方法としては、通常、電子ビーム蒸着法,スパタリング
法,イオンプレーティング法,CVD法,レーザスパタ
リング法等が適用される。
【0033】保護層2,4の膜厚、及び記録薄膜3の膜
厚の適切な設定により、光学情報記録媒体を再生するた
めのレーザ光の波長に対して、未記録領域(通常は結晶
状態)と記録マーク領域(通常は非晶質状態)との反射
光の位相差を、(2n+1)×π(nは整数)、或は
(2n+1)×π近傍とすることができる(例えば、日
本特許第2068311号、特開平6−4900号公報
等)。このいわゆる位相差再生構造の相変化光ディスク
は、通常の反射率差再生型の相変化光ディスクよりも、
高密度に記録した信号の再生に適している。また、記録
された情報信号を位相差再生することができるので、位
相差トラッキングエラー信号を検出することができる。
すなわち位相差トラッキングサーボをかけることが原理
的に可能である。
【0034】案内溝がない場合、または溝の深さが浅い
場合等のいわゆる案内溝の影響を考慮しない場合では、
位相差再生にとって最も望ましい位相差は(2n+1)
×π(nは整数)である。実際には、用いるレーザ光の
波長をλ2とすると、溝深さdは、d≦0.09×λ2
2の範囲にあれば、波長λ2のレーザ光の入射に対す
る、非晶質状態の記録薄膜領域からの反射光の位相φ1
と、結晶状態の記録薄膜領域からの反射光の位相φ2
の関係、及び、非晶質状態の記録薄膜領域からの反射光
の振幅強度I1と、結晶状態の記録薄膜領域からの反射
光の振幅強度I2の関係が、 (2n+0.7)×π<φ2−φ1<(2n+1.3)×
π (ただし、nは整数) I2/I1<3、より好ましくは、I2/I1<2 を満たしている限り、理想状態の60%以上の再生信号
振幅、及び良好な位相差トラッキングエラー信号が得ら
れた。
【0035】ただし、案内溝の溝深さdがd=0.07
×λ2/n2をほぼ満足する場合、溝上に記録する場合の
理想的な位相差は φ2−φ1=(2n−0.9)×π (ただし、nは整
数) 溝間に記録する場合の理想的な位相差は φ2−φ1=(2n+0.9)×π (ただし、nは整
数) であった。
【0036】振幅強度の比I2/I1が小さい方が好まし
い理由については、前述の特開平6−4900号公報に
詳細に述べられている。
【0037】しかし、実際に相変化光ディスクで位相差
再生構成を実現しようとすると、特に再生光の波長が6
50nm(DVDの規格で定められている再生光の波長)
に対して、高い反射率の構成を得ることは困難である。
後述するように、現在知られているカルコゲン材料を用
いて可能な限り高反射率の位相差再生媒体を作成したと
しても、その反射率はたかだか10%台である。このよ
うな場合には、理想的な再生ドライブ(回路ノイズや、
再生光ノイズを充分に抑えたドライブ)で再生しない限
り、フォーカスサーボの不安定性等が生じたり、再生信
号に回路ノイズが重なることになり再生ジッタ値の悪化
が生じて、その光ディスクがもっている本来の特性が発
揮できない。従って、このような理想的な再生ドライブ
で再生しない場合(例えばサーボ特性が理想状態より悪
い再生ドライブ、回路ノイズが理想状態よりも高い再生
ドライブ、または安価な再生ドライブ等を用いた場合)
には、他の特性を多少犠牲にしても、平均反射率が高く
なるように光ディスクの光学特性を設計した方が、良好
な再生特性を得られる。平均反射率を高めるのであれ
ば、記録マーク以外の反射率を高めた構成にすればよい
のであるが、この場合は、必然的に記録マークの反射率
は低くなる。すなわち、位相差再生構成の設計において
は、再生光の波長に対して振幅強度の比I2/I1を大き
くとった方が、再生ドライブのサーボ特性への許容度が
広がることになる。I1=I2と比べて、明らかに再生時
のサーボ特性が良好となるためには少なくとも、振幅強
度の比I 2/I1が1.3よりも大きいことが必要であっ
た。
【0038】ところで、位相差再生構造の相変化光ディ
スクであっても、当然未記録状態においては、位相差ト
ラッキングエラー信号は得られない。そこで、未記録領
域の光ディスクに記録する場合には、案内溝を用いてプ
ッシュプルトラッキング法を用いることを検討した。
【0039】プッシュプルトラッキング法を用いてトラ
キングサーボをかけて記録する場合、案内溝の溝深さd
(nm)が、記録用のレーザ光の波長λ1(nm)に対し
て、 d=0.125×λ1/n1 (ただし、n1は基板の
屈折率) となっている場合に、最も大きなトラッキングエラー信
号が得られる(例えば尾上守夫監修”光ディスク技術”
ラジオ技術社出版 P87)。このため、通常の相変化光
ディスクでは、溝深さdを0.125×λ1/n1近傍に
選んでいる。
【0040】しかし、本発明のように、記録の際には案
内溝を用いてプッシュプル法でトラッキングサーボをか
け、再生の際には記録した信号から得られる位相差トラ
ッキンングエラー信号を用いてトラッキングサーボをか
ける場合には、案内溝の溝深さdを別の観点からも吟味
しなければならない。
【0041】例えば、案内溝の溝深さが、0.125×
λ2/n2(ただし、λ2は再生用のレーザ光の波長、n2
は波長λ2に対応する基板の屈折率。以下も同じ)で
は、再生の際に不具合が生じる。なぜなら、位相差再生
の場合には、案内溝の深さは浅ければ浅いほど、再生信
号品質が高く、逆に、d=0.125×λ2/n2近傍
で、再生信号が原理的に極小となるからである。
【0042】そこで、プッシュプル法における溝深さと
トラッキングエラー信号振幅の関係を検討した。その結
果、溝深さ以外のパラメータが同じ場合、溝深さが0.
05×λ1/n1の場合に、トラッキングエラー信号振幅
は理想状態(溝深さが約0.125×λ1/n1)の信号
振幅の約50%となり、トラッキングサーボをかけるた
めの必要最低限であることがわかった。すなわち、記録
の際のトラッキングサーボから考えると、溝深さは0.
05×λ1/n1以上であることが望ましい。
【0043】次に、信号を記録した光ディスクを位相差
再生する際の、溝深さと再生信号振幅、及び位相差トラ
ッキングエラー信号振幅の関係を検討した。その結果、
溝深さ以外のパラメータが同じ場合、溝深さが0.09
×λ2/n2よりも深いと、再生信号品質、トラッキング
エラー信号ともに、大幅に品質が落ちて実使用が困難で
あることがわかった。よって、再生の際のトラッキング
サーボ特性の観点から考えると、溝深さは0.09×λ
2/n2以下であることが望ましい。
【0044】λ1とλ2の大小関係が、λ1<λ2である
と、上記の関係式を満足する溝深さの範囲は広がる。ま
た、高密度に信号を記録する場合、記録のパワートレラ
ンスを広げる観点からも、再生用のレーザ光の波長より
も記録用のレーザ光の波長を短くする方が、その逆の場
合よりも望ましい。従って、λ1とλ2の大小関係は、λ
1≦λ2となる。
【0045】信号を案内溝上に記録するか、或は案内溝
間に記録するかの選択は、再生のためのレーザ光の入射
に対する、記録マークからの反射光の位相φ1と、記録
マークと記録マークの間の非記録マーク領域からの反射
光の位相φ2の関係によって、一義的に決定できる。す
なわち、 (2n+0.5)×π<φ2−φ1<(2n+1)×π (ただし、nは整数) の場合には、基板の溝間に信号を記録し、 (2n+1)×π<φ2−φ1<(2n+1.5)×π (ただし、nは整数) の場合には、基板の溝部に信号を記録する。この選択を
逆転させると、得られる再生信号振幅は正しい選択の場
合に比べて小さくなる。これは、案内溝の存在によって
生じる位相差の影響によって生じる。
【0046】ここまで説明してきた、発明の第1の実施
形態は、記録マークを記録薄膜の非晶質領域、未記録部
(非記録マークともいう)を結晶領域としているが、逆
に、記録マークを記録薄膜の結晶領域、未記録部(非記
録マーク)を非晶質領域としても構わない。この場合に
は当然、光ディスクの初期化(記録領域の全面結晶化)
作業は不要である。
【0047】また、記録機と再生機は本来1つのまとま
った装置、特にディスクを回転させる機構を共通化した
装置となっていることが好ましいが、別々の装置として
用いてもなんら支障はない。例えば市販のDVD再生装
置、或は、市販のDVD再生装置に小改造(例えば再生
ゲインを高める、再生光の強度を高める等のような、低
反射率の光学情報媒体に適応させるための改造)を加え
て、再生機とすることは実際的な対応である。
【0048】記録時のトラッキングはプッシュプル法に
限るものでなく、案内溝から得られるトラッキングエラ
ー信号を用いる他の方式、例えば3ビーム法でも同様の
効果が得られる。本発明の応用分野の1つとして、DV
Dのオーサリングツールを考えることもできる。
【0049】(実施の形態2)次に本発明の第2の実施
形態について説明する。
【0050】図2は本発明の第2の実施形態に係る光学
情報記録媒体(光ディスク)20の積層構成の概略を示
す半径方向の断面図である。図1の光ディスクとの根本
的な違いは、基板11において記録領域の基板表面18
が光学的に鏡面状で、案内溝が形成されていないことで
ある。その他の構成(例えば位相差再生構造であること
等)は、図1で示したものと同じである。即ち、基板1
1、保護層12、記録薄膜13、保護層14、反射層1
5、接着剤16、保護基板17は、それぞれ順に、第1
の実施の形態の基板1、保護層2、記録薄膜3、保護層
4、反射層5、接着剤6、保護基板7に対応し、これら
については詳細な説明を省略する。
【0051】ただし、本実施の形態では基板に案内溝が
ないので、信号再生において最も良好な位相差信号が得
られるのは、非晶質状態の記録薄膜領域からの反射光の
位相φ1と、結晶状態の記録薄膜領域からの反射光の位
相φ2との関係が、 φ2−φ1=(2n±1)×π (ただし、nは整数) となる場合である。
【0052】実際には、波長λ2のレーザ光の入射に対
する、非晶質状態の記録薄膜領域からの反射光の位相φ
1と、結晶状態の記録薄膜領域からの反射光の位相φ2
の関係、及び非晶質状態の記録薄膜領域からの反射光の
振幅強度I1と、結晶状態の記録薄膜領域からの反射光
の振幅強度I2との関係がそれぞれ、 (2n+0.7)×π<φ2−φ1<(2n+1.3)×
π (ただし、nは整数) I2/I1<3 を満たしている限り、理想状態の60%以上の再生信号
振幅、及び良好な位相差トラッキングエラー信号が得ら
れる。なお、振幅強度の比I1/I2が大きい方が好まし
い理由については、前述の特開平6−4900号公報に
述べられている。
【0053】しかし、実際に相変化光ディスクで位相差
再生構成を実現しようとすると、特に再生光の波長が6
50nm(DVDの規格で定められている再生光の波長)
に対して、高い反射率の構成を得ることは困難である。
後述するように、現在知られているカルコゲン材料を用
いて可能な限り高反射率の位相差再生媒体を作成したと
しても、その反射率はたかだか10%台である。このよ
うな場合には、理想的な再生ドライブ(回路ノイズや、
再生光ノイズを充分に抑えたドライブ)で再生しない限
り、フォーカスサーボの不安定性等が生じたり、再生信
号に回路ノイズが重なることになり再生ジッタ値の悪化
が生じて、その光ディスクがもっている本来の特性が発
揮できない。従って、このような理想的な再生ドライブ
で再生しない場合(例えばサーボ特性が理想状態より悪
い再生ドライブ、回路ノイズが理想状態よりも高い再生
ドライブ、または安価な再生ドライブ等を用いた場合)
には、他の特性を多少犠牲にしても、平均反射率が高く
なるように光ディスクの光学特性を設計した方が、良好
な再生特性を得られる。平均反射率を高めるのであれ
ば、記録マーク以外の反射率を高めた構成にすればよい
のであるが、この場合は、必然的に記録マークの反射率
は低くなる。すなわち、位相差再生構成の設計において
は、再生光の波長に対して振幅強度の比I2/I1を大き
くとった方が、再生ドライブのサーボ特性への許容度が
広がることになる。I1=I2と比べて、明らかに再生時
のサーボ特性が良好となるためには少なくとも、振幅強
度の比I 2/I1が1.3よりも大きいことが必要であっ
た。
【0054】本発明の光学情報記録媒体に信号を記録す
る場合には、例えば図3に示したような記録機を用いて
信号を記録する。位相差再生構造の相変化光ディスク2
1は、スピンドルモータ22の上に固定し、回転制御を
かけながら回転させる。信号発生回路23からの信号に
基づいてレーザ光源24から放射された変調されたレー
ザ光は、送り機構25にとりつけられたミラー26で屈
折された後、対物レンズ27によって、記録薄膜に集光
され、情報が記録される。このとき、送り機構25の移
動速度は、記録した信号列の間隔が一定となるように制
御する。例えば、再生専用DVDと同密度の信号を記録
する場合には、信号列の間隔がおよそ0.74μmとな
るように半径方向の送り制御を行なう。この時、記録に
用いるレーザ光源24は、Arレーザ等のガスレーザを
用いてもよいし、半導体レーザを用いてもよい。フォー
カスサーボ28は、He-Neレーザ等を用いて行っても
よい。
【0055】このようにして信号を記録した光ディスク
は、再生のためのレーザ光を照射することによって位相
差トラッキングエラー信号を得ることができる。このト
ラッキングエラー信号を用いてトラッキングサーボをか
けることにより、位相差再生信号を検出できる。
【0056】また、高密度に信号を記録する場合、記録
のパワートレランスを広げる観点から、再生用のレーザ
光の波長よりも記録用のレーザ光の波長を短くする方
が、その逆の場合よりも望ましい。従って、λ1とλ2
大小関係は、λ1≦λ2となる。
【0057】次に、相変化光ディスクで位相差再生構造
を得るにあたって、記録薄膜として好ましい材料につい
て検討した結果を述べる。
【0058】記録及び消去可能な相変化光ディスクの記
録薄膜材料として一般的なものに、Ge-Sb-Teの3元
組成がある。この3元組成系のうち、結晶化速度が比較
的速い組成範囲は、GeTeとSb2Te3の2組成を結ぶ組
成を中心にして広がっている。そしてこの組成範囲内
に、これまでに実用化された相変化光ディスクの記録薄
膜組成が存在する。
【0059】そこでGeTeとSb2Te3の2組成を結ぶ組
成について、非晶質状態と結晶状態における波長650
nmにおける光学定数を調べた結果を図4に示す。図4
中、縦軸のnは屈折率を、kは消衰係数をそれぞれ意味
する。図4からわかるように、組成がGeTeに近づくほ
ど、光学定数の変化が大きくなる。相変化光ディスクに
おいて位相差再生構造を得ようとすると、非晶質状態と
結晶状態における光学定数の変化が大きいほど、反射率
の高い構成を選ぶことができる。
【0060】基板をポリカーボネート、記録薄膜10n
m、基板側保護層と反射層側保護層をともに屈折率2.
1の透明誘電体(ZnS-20mol%SiO2を想定)、反射層
をAu50nmとした場合、波長650nmの入射光に対し
て、非晶質からの反射光と結晶からの反射光の位相差が
πとなる構成のうち、両者の反射率が等しく、かつ最大
となる構成を光学計算によって探索した。結果を表1に
示す。
【0061】
【表1】
【0062】表1からわかるように、記録薄膜組成が、
GeTeに近づくほど高い反射率が得られる。この傾向は
記録薄膜の膜厚を変えても変わらない。ただし、記録薄
膜の膜厚が5nmより薄い場合、及び20nmより厚い場合
には、位相差がπとなる反射率は極端に低くなる、或は
存在しなくなり、実用化は困難である。
【0063】本実施の形態の光ディスクの場合、反射率
は高ければ高いほどよい。再生専用の光ディスクの反射
率に近づくからである。そこで、次に、Ge-Te2元系
組成において、GeTe近傍組成について検討した。その
結果を図5に示す。図5中、縦軸のnは屈折率を、kは
消衰係数をそれぞれ意味する。図5からわかるように、
Ge53Te47(組成比は原子量比で表現)近傍組成におい
て、最も光学定数の変化が大きくなる。
【0064】基板をポリカーボネート、記録薄膜10n
m、基板側保護層と反射層側保護層をともに屈折率2.
1の透明誘電体(ZnS-20mol%SiO2を想定)、反射層
をAu50nmとした場合、波長650nmの入射光に対し
て、非晶質からの反射光と結晶からの反射光の位相差が
πとなる構成のうち、両者の反射率が等しく、最大とな
る構成を光学計算によって探索した結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】表2からわかるように、記録薄膜組成が、
Ge53Te47(組成比は原子量比で表現)近傍組成におい
て最も高い反射率が得られる。又、Ge濃度が45at%
から55at%であれば、再生光波長650nmに対応した
位相差再生構造を得ることができる。この傾向は記録薄
膜の膜厚を変えても変わらない。ただし、記録薄膜の膜
厚が5nmより薄い場合、及び20nmより厚い場合には、
位相差がπとなる反射率は極端に低くなる、或は存在し
なくなり、実用化は困難である。
【0067】上記のように、記録薄膜を構成する主元素
がGeとTeであって、GeとTeの原子量比が45:55
〜55:45の範囲とすることが好ましい。ここで、主
元素とは、記録薄膜を構成する原子量比が相対的に高い
元素を意味し、主元素がGeとTeであるとは、記録薄膜
を構成する原子量割合が高い元素の上位2つがGeとTe
であることを意味する。
【0068】このように、光学的にはGe濃度が45at
%から55at%の範囲にあるGe-Te、より好ましくは
Ge53Te47近傍組成を記録薄膜材料とすれば、より高い
反射率の位相差再生媒体が得られる。
【0069】ただし、記録薄膜材料を決定するにあたっ
ては、光学的特性以外にも、記録線速度に対応した結晶
化速度を有していることが重要である。今回の検討結果
では、記録線速度が2.6m/sから8m/sまでの範囲にお
いて、Ge濃度が52〜55at%、或は45〜48at%
の時に、良好な記録マークを形成できた。
【0070】さらに、記録薄膜の結晶化温度を高めて再
生光劣化特性の改善を図るため、Ge-Te2元合金に対
して、他の元素を添加することを検討した。その結果、
希ガス元素及び(B,C,Al,Si,Ti,V,Cr,M
n,Fe,Co,Ni,Zr,Ni,Se,Nb,Sb,Ta,
W,Au,Pb,Bi)から選ばれる元素の少なくとも1
種を適当量添加することによって特性改善効果がみられ
た。
【0071】ただし、上記元素のうちGeとTe以外の元
素の原子量が、GeとTeの原子量の和に対して10%よ
り多くなると、光学特性の変化量が小さくなり、反射率
を大きくとることができなくなる傾向を有する場合があ
った。よって、これらの元素の添加量は、GeとTeの原
子量の和に対して10%以下とすることが好ましい。
【0072】以上説明した記録薄膜の組成は、本発明の
第1の実施の形態に係る光学情報記録媒体の記録薄膜に
も同様に適用できる。
【0073】ここまで説明してきた、発明の第2の実施
形態は、記録マークを記録薄膜の非晶質領域とし、未記
録部(非記録マーク)を結晶領域としているが、逆に、
記録マークを記録薄膜の結晶領域、未記録部(非記録マ
ーク)を非晶質領域としても一向に構わない。この場合
には当然、光ディスクの初期化(記録領域の全面結晶
化)作業は不要である。
【0074】又、記録機と再生機は本来1つのまとまっ
た装置、特にディスクを回転させる機構を共通化した装
置となっていることが好ましいが、別々の装置として用
いてもなんら支障はない。例えば市販のDVD再生装
置、或は、市販のDVD再生装置に小改造(例えば再生
ゲインを高める、再生光の強度を高める等のような、低
反射率の光学情報媒体に適応させるための改造)を加え
て、再生機とすることは実際的な対応である。DVDの
オーサリングツールも本発明の応用分野の1つとして考
えることができる。もちろん、本発明は再生専用DVD
にのみ限定されるものではなく、より高密度な記録フォ
ーマットにおいても有用な記録・再生方法、及び光学情
報記録媒体である。
【0075】以下、具体例をもって、本発明をさらに詳
しく説明する。
【0076】(実施例1)表面が、ピッチ0.74μ
m、溝深さ26nmの凹凸の案内溝で覆われている半径1
20mm、厚さ0.6mmのポリカーボネートを基板とし
て、その上に順次、ZnS-SiO2、Ge53Te47、ZnS-
SiO2、Auをそれぞれ、70〜140nm、10nm、3
9nm、50nmの厚さにマグネトロンスパッタ法で形成し
た。成膜した光ディスクに、紫外線硬化樹脂を用いて同
じ形状のポリカーボネート基板をバックカバー(保護基
板)として貼りあわせた。ポリカーボネート基板の屈折
率は、波長650nmにおいて1.59であった。この光
ディスクの波長650nmに対する光学特性の実測値(溝
による回折の影響を除去するため、光学特性は、案内溝
のない鏡面基板を用いて測定した)は、基板側ZnS-S
iO2層の厚さが104nmの時に、記録薄膜が非晶質状態
における反射率、及び記録薄膜が結晶状態における反射
率がともに10%であった。基板側ZnS-SiO2の厚さ
が104nmより薄くなればなるほど結晶状態における反
射率は高くなり、逆に非晶質状態における反射率は低く
なる。ただし、いずれのディスクにおいても、結晶にお
ける反射光と非晶質における反射光の位相差が0.9π
と同じである。これは位相差が主に反射層側のZnS-S
iO2膜厚に依存するからである。結晶における反射光と
非晶質における反射光の位相差は、干渉顕微鏡を用いて
実測した。これら光ディスクは初期化処理を施し、記録
層の結晶状態を未記録状態、記録層の非晶質状態を記録
マークにあてた。
【0077】これらの光ディスクに、図6に示す記録・
再生機を用いて、信号を記録・再生した。光ディスク2
9をスピンドルモータ30の上に固定し、回転制御をか
けながら回転させる。信号の記録は、レーザ光源31か
ら放射されたレーザ光を、対物レンズ32によって、記
録薄膜に集光して行う。信号の再生は、レーザ光源31
から放射されたレーザ光を、対物レンズ32及びハーフ
ミラー33を経由してフォトディテクター34で検出す
ることにより行う。なお、図中、符号35はトラッキン
グサーボを、符号36はフォーカスサーボをそれぞれ示
している。
【0078】記録及び再生に用いたレーザ光源31は波
長650nmの半導体レーザ、対物レンズ32のNA(開
口率)は、0.6である。記録過程において、トラッキ
ングはプッシュプル法を用い、案内溝の溝間に記録し
た。 図7に記録パルスの変調波形を示す。記録情報
は、8/16,RLL(2,10)の変調方式で変調し
て記録した。この時、記録線速度は3.5m/s、記録信
号の線密度を0.267μm/bitとした。記録パル
スdutyを30%とした場合には、ピークパワーを
7.1mWとすることで、信号を記録することができた。
記録した信号を再生する場合には、位相差トラッキング
エラー信号を検出してトラッキングサーボをかけた。再
生光のパワーは0.8mWとした。
【0079】表3にドライブの状態を2種類に切り替え
た場合の、各ディスクの再生ジッタを示す。第1のドラ
イブ状態は、再生系の回路ノイズを可能な限り低減させ
たもの、第2のドライブ状態は、故意に再生系の回路に
ノイズを与えたものである。
【0080】
【表3】
【0081】表3で反射率比が高いディスクは、初期反
射率、及び記録後の平均再生反射率が高いことを意味す
る。反射率比が高いと、ノイズの高い再生系においても
安定なフォーカスサーボ動作が得られる等の理由によ
り、良好な再生ジッタが得られる。ただし、反射率比が
高すぎる(3を越える)場合には、再生の安定性以前
に、位相差再生の信号品質が劣化するために再生ジッタ
は劣化する。
【0082】試みに、案内溝上に信号を記録したとこ
ろ、どのような記録条件で記録しても、案内溝間に記録
した時に得られた再生ジッタよりも大きな値の再生ジッ
タしか得ることができなかった。
【0083】ここでは、初期状態(未記録状態)を記録
薄膜の結晶状態としたが、結晶化処理を施さずに、非晶
質状態を未記録状態として、結晶化による記録を行った
場合にも、表3と同様の結果が得られた。
【0084】(実施例2)表面が、ピッチ0.74μ
m、溝深さ26nmの凹凸の案内溝で覆われている半径1
20mm、厚さ0.6mmのポリカーボネートを基板とし
て、その上に順次、ZnS-SiO2、Ge53Te47、ZnS-
SiO2、Auをそれぞれ、70〜140nm、10nm、4
8nm、50nmの厚さにマグネトロンスパッタ法で形成し
た。成膜した光ディスクに、紫外線硬化樹脂を用いて同
じ形状のポリカーボネート基板をバックカバー(保護基
板)として貼りあわせた。ポリカーボネート基板の屈折
率は、波長650nmにおいて1.59であった。この光
ディスクの波長650nmに対する光学特性の実測値(溝
による回折の影響を除去するため、光学特性は、案内溝
のない鏡面基板を用いて測定した)は、基板側ZnS-S
iO2層の厚さが104nmの時に、記録薄膜が非晶質状態
における反射率、及び記録薄膜が結晶状態における反射
率がともに10%であった。基板側ZnS-SiO2の厚さ
が104nmより薄くなればなるほど結晶状態における反
射率は高くなり、逆に非晶質状態における反射率は低く
なる。ただし、いずれのディスクにおいても、結晶にお
ける反射光と非晶質における反射光の位相差が1.1π
(別の表現をすると(2−0.9)×π)と同じであ
る。これは位相差が主に反射層側のZnS-SiO2膜厚に
依存するからである。結晶における反射光と非晶質にお
ける反射光の位相差は、干渉顕微鏡を用いて実測した。
これら光ディスクは初期化処理を施し、記録層の結晶状
態を未記録状態、記録層の非晶質状態を記録マークにあ
てた。
【0085】これらの光ディスクに、図6に示す記録・
再生機を用いて、信号を記録・再生した。記録及び再生
に用いたレーザ光源は波長650nmの半導体レーザ、対
物レンズのNA(開口率)は、0.6である。記録過程
において、トラッキングはプッシュプル法を用い、案内
溝の溝上に記録した。
【0086】図7に記録パルスの変調波形を示す。記録
情報は、8/16,RLL(2,10)の変調方式で変
調して記録した。この時、記録線速度は3.5m/s、記
録信号の線密度を0.267μm/bitとした。記録
パルスdutyを30%とした場合には、ピークパワー
を7.1mWとすることで、信号を記録することができ
た。記録した信号を再生する場合には、位相差トラッキ
ングエラー信号を検出してトラッキングサーボをかけ
た。再生光のパワーは0.8mWとした。
【0087】表4にドライブの状態を2種類に切り替え
た場合の、各ディスクの再生ジッタを示す。第1のドラ
イブ状態は、再生系の回路ノイズを可能な限り低減させ
たもの、第2のドライブ状態は、故意に再生系の回路に
ノイズを与えたものである。
【0088】
【表4】
【0089】表4で反射率比が高いディスクは、初期反
射率、及び記録後の平均再生反射率が高いことを意味す
る。反射率比が高いと、ノイズの高い再生系においても
安定なフォーカスサーボ動作が得られる等の理由によ
り、良好な再生ジッタが得られる。ただし、反射率比が
高すぎる(3を越える)場合には、再生の安定性以前
に、位相差再生の信号品質が劣化するために再生ジッタ
は劣化する。
【0090】試みに、案内溝間に信号を記録したとこ
ろ、どのような記録条件で記録しても、案内溝上に記録
した時に得られた再生ジッタよりも大きな値の再生ジッ
タしか得ることができなかった。
【0091】ここでは、初期状態(未記録状態)を記録
薄膜の結晶状態としたが、結晶化処理を施さずに、非晶
質状態を未記録状態として、結晶化による記録を行った
場合にも、表4と同様の結果が得られた。
【0092】(実施例3)記録領域の基板表面が鏡面で
ある半径120mm、厚さ0.6mmの鏡面状のポリカーボ
ネートを基板として、その上に順次、ZnS-SiO2、G
e53Te47、ZnS-SiO2、Auをそれぞれ、70〜14
0nm、10nm、44nm、50nmの厚さにマグネトロンス
パッタ法で形成した。成膜した光ディスクに、紫外線硬
化樹脂を用いて同じ形状のポリカーボネート基板をバッ
クカバー(保護基板)として貼りあわせた。この光ディ
スクの波長650nmに対する光学特性の実測値は、基板
側ZnS-SiO2層の厚さが104nmの時に、非晶質状態
における反射率、及び結晶状態における反射率がともに
10%であった。基板側ZnS-SiO2の厚さが104nm
より薄くなればなるほど結晶状態における反射率は高く
なり、逆に非晶質状態における反射率は低くなる。ただ
し、いずれのディスクにおいても、結晶における反射光
と非晶質における反射光の位相差が1.0πと同じであ
る。これは位相差が主に反射層側のZnS-SiO2膜厚に
依存するからである。結晶における反射光と非晶質にお
ける反射光の位相差は、干渉顕微鏡を用いて実測した。
これら光ディスクは初期化処理を施し、記録層の結晶状
態を未記録状態、記録層の非晶質状態を記録マークにあ
てた。
【0093】この光ディスクに、図3に示す記録機を用
いて、信号を記録した。記録に用いたレーザ光源は波長
650nmの半導体レーザ、対物レンズのNA(開口率)
は、0.6である。記録過程において、対物レンズの半
径方向の送り速度は、記録した信号列の間隔が0.74
μmで一定となるように制御した。図7に記録パルスの
変調波形を示す。記録情報は、8/16,RLL(2,
10)の変調方式で変調して記録した。この時、記録線
速度は3.5m/s、記録信号の線密度を0.267μm/
bitとした。記録パルスdutyを30%とした場合
には、ピークパワーを6.9mWとすることで、信号を記
録することができた。
【0094】記録した信号を再生する場合には、図6に
示した記録・再生機を用いた。レーザ光源は波長650
nmの半導体レーザ、対物レンズのNA(開口率)は、
0.6である。位相差トラッキングエラー信号を検出し
てトラッキングサーボをかけた。再生光のパワーは0.
8mWとした。ここで、再生ドライブの回路ノイズを可能
な限り低減したものと、故意にノイズを高めたもので、
各ディスクの再生特性を比較した。結果は、再生光の波
長(650nm)に対して、反射率の比I2/I1が1.3
以上の時に、再生時の安定性、特にフォーカスサーボの
安定性が高まり、良好なジッタが得られた。ただし、反
射率比I2/I1が3を越えるディスクについては、フォ
ーカスサーボは安定に得られるが、肝心の位相差再生信
号の品質の劣化がみられた。
【0095】(実施例4)実施例3で示した光ディスク
と同じ構成の光ディスクに、図3に示す記録機を用い
て、信号を記録した。記録に用いたレーザ光源は波長4
58nmのArレーザ、対物レンズのNA(開口率)は、
0.55である。記録過程において、対物レンズの半径
方向の送り速度は、記録した信号列の間隔が0.74μ
mで一定となるように制御した。図7に記録パルスの変
調波形を示す。記録情報は、8/16,RLL(2,1
0)の変調方式で変調して記録した。この時、記録線速
度は3.5m/s、記録信号の線密度を0.267μm/b
itとした。記録パルスdutyを30%とした場合に
は、ピークパワーを7.3mWとすることで、信号を記録
することができた。
【0096】記録した信号を再生する場合には、図6に
示した記録・再生機を用いた。レーザ光源は波長650
nmの半導体レーザ、対物レンズのNA(開口率)は、
0.6である。位相差トラッキングエラー信号を検出し
てトラッキングサーボをかけた。再生光のパワーは0.
8mWとした。
【0097】再生信号のジッタは実施例3と比べると、
同じディスクで1〜2%良好なジッタが得られた。ま
た、実施例3と同様に、再生光650nmにおける反射率
2/I1が1.3以上の時に、再生時の安定性、特にフ
ォーカスサーボの安定性が高まり、良好なジッタが得ら
れた。ただし、反射率比I2/I1が3を越えるディスク
については、フォーカスサーボは安定に得られるが、肝
心の位相差再生信号の品質の劣化がみられた。
【0098】以上に説明した実施の形態及び実施例はあ
くまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のもの
であって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解
釈されるものではなく、その発明の精神と請求の範囲に
記載する範囲内でいろいろと変更して実施することがで
き、本発明を広義に解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光学
情報記録媒体の積層構成の概略を示す半径方向の断面
図、
【図2】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る光学
情報記録媒体の積層構成の概略を示す半径方向の断面
図、
【図3】図3は、本発明の光学情報記録媒体に信号を記
録する場合に使用する記録機の構成例を示す図、
【図4】図4は、GeTeとSb2Te3の2組成を結ぶ組成
の、波長650nmに対する光学定数を示す図、
【図5】図5は、Ge−Te2元系材料のGeTe近傍組成
の、波長650nmに対する光学定数を示す図、
【図6】図6は、本発明の光学情報記録媒体に信号を記
録・再生する場合に使用する記録・再生機の構成例を示
す図、
【図7】図7は、本発明の実施例において光ディスクに
情報を記録する際の記録パルスの変調波形の一例を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西内 健一 大阪府枚方市招堤平野町6番22号 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA32 EA43 FA12 FA14 FB04 FB05 FB07 FB09 FB10 FB12 FB15 FB16 FB17 FB21 FB23 FB28 FB29 FB30 5D029 JA01 JB18 JC02 JC05 WB17 WC05 WD10 5D090 AA01 BB05 CC12 CC14 DD02 FF11 GG01 GG07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溝深さがd(nm)の案内溝を有する円盤
    状の基板上に、レーザ光の照射によって非晶質状態と結
    晶状態との間で相変化を生じる記録薄膜を少なくとも備
    えてなる光学情報記録媒体であって、前記記録薄膜に情
    報信号に基づいた記録マークを形成するレーザ光の波長
    をλ1(nm)、波長λ1における基板の屈折率をn1とし
    たとき、前記溝深さdとλ1及びn1との関係が、 0.05×λ1/n1≦d であり、記録薄膜に形成された記録マークを再生するレ
    ーザ光の波長をλ2(nm)、波長λ2における基板の屈折
    率をn2としたとき、前記溝深さdとλ2及びn2との関
    係が、 d≦0.09×λ2/n2 であり、波長λ2のレーザ光に対する記録マークからの
    反射光の位相φ1と、非記録マーク領域からの反射光の
    位相φ2との関係が、 (2n+0.7)×π<φ2−φ1<(2n+1.3)×
    π (ただし、nは整数) であり、波長λ2(nm)のレーザ光の入射に対する、前
    記光学情報記録媒体の記録マークからの反射光の振幅強
    度I1と、非記録マーク領域からの反射光の振幅強度I2
    との関係が、 I1<I2 であることを特徴とする光学情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 波長λ2(nm)のレーザ光の入射に対す
    る、前記光学情報記録媒体の記録マークからの反射光の
    振幅強度I1と、非記録マーク領域からの反射光の振幅
    強度I2との関係が、 1.3<I2/I1<3 であることを特徴とする請求項1に記載の光学情報記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 記録マークにおける光学情報記録媒体の
    記録薄膜が非晶質状態であり、非記録マーク領域におけ
    る光学情報記録媒体の記録薄膜が結晶状態であることを
    特徴とする請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 記録マークにおける光学情報記録媒体の
    記録薄膜が結晶状態であり、非記録マーク領域における
    光学情報記録媒体の記録薄膜が非晶質状態であることを
    特徴とする請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 記録薄膜を構成する元素として、希ガス
    及び(B,C,Al,Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,C
    o,Ni,Zr,Ni,Se,Nb,Sb,Ta,W,Au,P
    b,及びBi)からなる群から選ばれた少なくとも1種の
    元素を含み、かつ、これらの元素のうちGe及びTeを除
    く元素の原子量の和が、Ge及びTeの原子量の和に対し
    て10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    光学情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 基板上に保護層,記録薄膜,保護層,反
    射層をこの順に有し、かつ記録薄膜の膜厚が20nm以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の光学情報記録
    媒体。
  7. 【請求項7】 記録薄膜を構成する主元素がGeとTeで
    あって、GeとTeの原子量比が45:55から55:4
    5の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の光学
    情報記録媒体。
JP2002176334A 1997-03-27 2002-06-17 光学情報記録媒体 Pending JP2003099980A (ja)

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