JP2003337136A - 試験片容器およびその使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 試験片を分配するための装置および当該装置
の使用方法を提供する。 【解決手段】 本発明の装置は一定の基部および一定の
カバーを有することを特徴としており、このカバーは一
定の試験片選択要素を含む。さらに、本発明の装置は一
定の試験片保持手段を有することも特徴とすることがで
き、この保持手段は弾性的に変形可能な壁部を有する一
定のカバーおよび／または一定の重力制御型試験片保持
機構を有することができる。また、本発明の方法におい
ては、少なくとも１個の試験片を伴う一定の試験片容器
がその基部の中に収容されている少なくとも１個の試験
片を上記カバーの中に移動して単一の試験片を使用のた
めに選択するための一定の位置に供給および配置され
る。さらに、本発明の方法は一定の選択された試験片を
一定の位置に保持するための特定の配向に上記装置を位
置決めする工程を含むこともできる。本発明はまた上記
本発明の装置を含むキットも含む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明の分野は試験片容器で
ある。

【０００２】

【従来の技術】各種生理学的サンプル中の分析物濃度決
定は今日の社会においてその重要性を常に高め続けてい
る。このようなアッセイまたは定量は臨床実験用の試験
および家庭用の試験等を含む種々の適用環境において有
用であることが分かっており、この場合に、これらの試
験結果は種々の病状の診断および管理において傑出した
役割を果たす。関連の分析物は糖尿病の管理におけるグ
ルコース、および心臓血管の状況のモニターにおけるコ
レステロール等を含む。このように増大しつつある分析
物濃度決定における重要性に応じて、臨床用および家庭
用の両方における多様な分析物濃度決定のプロトコルが
開発されてきた。

【０００３】試験の開始が可能になる前に、一定の生理
学的サンプル中における分析物の存在および／または濃
度を決定することを求める各個人は先ず一定の試験片を
入手し、サンプルをこれに供給して一定の計器等により
手動的にまたは自動的に各種の結果を得る必要がある。
しかしながら、上記の手順を始めるための試験片を入手
することは困難さを必ず伴う。一定の試験片、特に複数
の試験片の中から単一の試験片を容易に入手する能力は
特に手および目の機能的協調または指の感覚が減少して
いる人々により使用される各種の容器および試験片にお
いて重要である。例えば、糖尿病に罹っている人は低下
した視力および減少した指の感覚またはその他の器用さ
の問題のいずれかまたは両方を一般的に有している。こ
のような人たちは一日に多数回にわたり自分の血糖量を
調べるために試験片を使用しなければならない。しかし
ながら、一般的な試験片はその幅および長さにおいて数
ミリメートルしかなく、それゆえ、操作が困難である。

【０００４】最も単純な試験片容器は単純な保管用の貯
蔵器であり、各試験片はこの内部に保持されて手動によ
り取り出される。しかしながら、このような容器から一
定の試験片を容易に抽出することは困難である。これら
の容器は通常的に複数の試験片を保持するため、および
これらの試験片をその内部に完全に収容して光、湿気、
および各個人の手からの油分等を含むその他の環境的な
汚染物質から試験片を保護するための形状および寸法を
有しており、この場合のこのような保護は各試験片の結
果の精度、正確さおよび全体的な完全性を保証するため
に必要である。

【０００５】上記のような単純な試験片容器の例示的な
態様が図１において示されている。一定の試験を開始す
るためにこの容器から単一の試験片を得るためには、各
個人はその試験片を取り出すために２種類の選択肢を有
する。一つの選択肢において、各個人は一定の試験片を
放出するためにその容器を単に逆さまに回転できる。こ
のことは、明らかに分かるように、その容器の中に保管
されている試験片の１個または全部が速やかにこぼれ出
て汚染または損傷する可能性があるので、相当に不都合
である。一方、第２の選択肢においては、各個人はその
過程においていずれの試験片も損傷または汚染すること
なく複数の試験片の中から単一の試験片を把持するため
にその容器の中に一定の指を入れる。しかしながら、こ
のような方法は損なわれている視力および低下した指の
感覚のいずれかまたは両方を有する各個人にとって困難
であり、多くの場合において、試験用または反応用の領
域（すなわち、試験試薬を有する試験片上の領域等）の
ような、触れてはならない試験片の部分に各個人が不用
意に接触してしまい、このような接触により汚染が伝わ
り、誤った試験結果が生じる可能性がある。同様に、別
の試験片も不用意に接触されて、これらの試験片におけ
る誤った試験結果がさらに生じる可能性がある。さら
に、このような容器は一定の試験片の容易な取り出しの
ために少なくとも１本の指に適応するのに適した形状お
よび十分に大きな寸法を有する必要がある。換言すれ
ば、この容器は一定の個人、すなわち、視力および／ま
たは器用さが損なわれている個人がいずれの試験片も損
傷または汚染することなく複数の試験片の中から一定の
試験片を取り出すことを可能にしなければならない。

【０００６】上記の容器はその機能を果たすために十分
な大きさの一定の寸法を維持しながらも、この容器の携
帯を可能にするために十分に小さくして、一定の個人が
一日の経過において試験に適応するために常にこの容器
を容易に担持できるようにする必要があることが理解さ
れると考える。上記のような形状および寸法の要求によ
り、従来の容器はその内部への少なくとも１本の指の挿
入に適応するために一般的に円筒形であり、一定の円形
の断面形状を有していて、約６０ｍｍの高さおよび約２
５ｍｍの直径を有しており、約２５個の試験片を内部に
保持している状態で市販されている。しかしながら、こ
のような寸法および形状はその容器の内部に多量の未使
用の空間部分を形成し、容器の形態性を低下して、容器
の費用を増加する。換言すれば、このような容器は各試
験片を簡単に保持するために必要以上に大きくなってお
り、それゆえ、その費用を増大して形態性を低下してい
る。

【０００７】さらに、上記のような単純な試験片容器に
伴う不都合点の一部を解消するためにさらに複雑な試験
片容器が開発されている（例えば、特許文献１乃至特許
文献４を参照されたい）。しかしながら、これらもまた
特定の不都合点を有している。例えば、これらの装置は
これらの容器を使用する特定の個人において欠けている
可能性のある一定の程度の身体的な器用さおよび視覚的
な鋭敏さを必要とする場合が多い。さらに、これらの装
置の複雑さ、すなわち、これらの容器を形成している部
品の数により、その製造コストが増大するために使用者
に対する費用が嵩む。

【０００８】

【特許文献１】米国特許第５，５７５，４０３号明細書

【特許文献２】米国特許第５，４８９，４１４号明細書

【特許文献３】米国特許第５，６３０，９８６号明細書

【特許文献４】米国特許第５，５１０，２６６号明細書

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】従って、試験片の分配
において使用するための新しい装置および方法の開発に
関心が寄せられ続けている。特に重要なことは、製造が
容易で安価であり、最少数の部品を有していて、特に視
覚的におよび器用さにおいて損なわれている各個人にお
いて使用が容易であって、携帯可能であり、内部に収容
されている各試験片に対する損傷および／または汚染を
最少にするような装置および方法の開発であると考えら
れる。

【００１０】

【課題を解決するための手段】試験片を分配するための
装置および当該装置の使用方法を提供する。本発明の装
置は一定の基部および一定のカバーを有することを特徴
としており、この場合のカバーは一定の試験片選択要素
を含む。さらに、本発明の装置は一定の試験片保持手段
を有することも特徴とすることができ、この保持手段は
弾性的に変形可能な壁部を有する一定のカバーおよび一
定の重力制御型の試験片保持機構の一方または両方を有
することができる。また、本発明の方法においては、少
なくとも１個の試験片を伴う一定の試験片容器がその基
部の中に収容されている少なくとも１個の試験片を上記
カバーの中に移動して単一の試験片を使用のために選択
するための一定の位置に供給および配置される。さら
に、この本発明の方法は一定の選択された試験片を一定
の位置に保持するための特定の配向に上記装置を位置決
めする工程を含むこともできる。本発明はまた上記本発
明の装置を含むキットも含む。

【００１１】

【発明の実施の形態】試験片を分配するための装置およ
び当該装置の使用方法を提供する。本発明の装置は一定
の基部および一定のカバーを有することを特徴としてお
り、この場合のカバーは一定の試験片選択要素を含む。
さらに、本発明の装置は一定の試験片保持手段を有する
ことも特徴とすることができ、この保持手段は弾性的に
変形可能な壁部を有する一定のカバーおよび一定の重力
制御型の試験片保持機構の一方または両方を有すること
ができる。また、本発明の方法においては、少なくとも
１個の試験片を伴う一定の試験片容器がその基部の中に
収容されている少なくとも１個の試験片を上記カバーの
中に移動して単一の試験片を使用のために選択するため
の一定の位置に供給および配置される。さらに、この本
発明の方法は一定の選択された試験片を一定の位置に保
持するための特定の配向に上記装置を位置決めする工程
を含むこともできる。本発明はまた上記本発明の装置を
含むキットも含む。

【００１２】本発明を説明する前に、本発明が以下に説
明する本発明の特定の各実施形態に限定されないこと、
従って、当然に、変更可能であることが理解されるべき
である。さらに、本明細書において使用されている各用
語が特定の各実施形態だけを説明することを目的として
いて、限定することを目的としていないこと、それゆ
え、本発明の範囲が本明細書において記載されている特
許請求の範囲のみにより限定されることも理解されるべ
きである。

【００１３】一定の値の範囲が与えられる場合に、その
範囲およびそれ以外に述べられているあらゆる範囲の上
限値と下限値との間における各中間の値、または上記述
べられている範囲内の各中間の値は、その内容が特別に
明示しない限り、その下方の制限値の１／１０の単位ま
で、本発明に含まれる。これらの比較的に小さい範囲に
おける上限値および下限値はそれぞれの比較的に小さい
範囲内に独立して含まれることが可能であり、上記述べ
られている範囲において特定的に除外される制限値とし
て本発明の範囲に含まれることもある。また、述べられ
ている範囲が上記制限値の一方または両方を含む場合
に、これらの含まれている制限値のいずれかまたは両方
を除外する範囲もまた本発明に含まれる。

【００１４】特別に定めない限り、本明細書において使
用されている全ての技術的および科学的な用語は本発明
が属する技術分野における通常の熟練者により一般的に
理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書に
おいて記載されている方法および材料に対して類似また
は等価である任意の方法および材料も本発明の実施また
は試験において使用可能であるが、好ましい方法および
材料を以下に説明する。本明細書において述べられてい
る全ての刊行物または公報はこれら刊行物の引用に関連
して上記方法および／または材料を開示および説明する
ために本明細書に参考文献として含まれる。

【００１５】本明細書および特許請求の範囲において、
単数の形態の「１個または一定の（a）または（a
n）」、および「上記または前記のまたはこの（the）」
はその内容が特別に明示しない限り複数の表現も含む場
合がある。従って、例えば、「一定の試薬（a reagen
t）」に対する表現は複数の同様の試薬を含む場合があ
り、「上記装置（the device）」に対する表現は１個以
上の装置および当該技術分野における熟練者において知
られているその等価物に対する表現等を含む場合もあ
る。

【００１６】本明細書において記載されている各刊行物
または公報は本特許出願の出願日よりも前におけるそれ
ぞれの開示について引用されているのみであり、（この
引用を）、本発明が先の発明の効力により当該刊行物ま
たは公報よりも先行する権利がないという承認として何
ら解釈する必要はない。さらに、それぞれに与えられて
いる刊行物または公報の期日は実際の発表日と異なって
いる可能性があり、これらについてはそれぞれ別個に確
認する必要がある。

【００１７】本発明をさらに説明する場合に、本発明の
装置を最初に説明する。次に、本発明の方法の説明が行
なわれ、その後に、上記本発明の装置を含むキットの説
明が続く。

【００１８】装置 上記において概説したように、試験片を収容して分配す
るための装置が提供されている。特に、１個以上の試験
片を収容して一定の試験片を容易に分配するための装置
が提供されており、通常的に、この本発明の装置は複数
の試験片の中から単一の試験片の容易な分配を行ない、
あるいは、各試験片を別々に、または１回に１個の試験
片を分配する。

【００１９】本発明は、例えば、当業界において知られ
ているような電気化学式および比色定量式または光度測
定（すなわち、光学）式の試験片のような、任意の種類
の試験片を分配するために適しており、この場合に、こ
れらの試験片は広範囲の種々の異なる分析物の濃度決定
において有用であることが知られており、この場合の代
表的な分析物はグルコース、コレステロール、ラクテー
ト、アルコール等を含むがこれらに限らない。多くの実
施形態において、本発明と共に使用される試験片は、例
えば、間質液、血液、血液フラクション、およびこれら
の各種成分等のような、一定の生理学的サンプル中のグ
ルコース濃度を決定するために使用される。また、本発
明をさらに説明する場合に、本発明に対応する適当な基
礎を提供するために代表的な比色定量式（一般的に光度
測定式および光学式とも呼ばれている）および電気化学
式の各試験片の概説が記載されており、この場合に、こ
の概説は例示を目的としており、本発明の範囲の限定を
目的としていない。換言すれば、上記の代表的な比色定
量式および電気化学式の各試験片を含むがこれらに限ら
ない広範囲の種々の試験片が本発明と共に使用すること
に適し得ることが明らかになる。さらに、これらの適当
な試験片の概説に続いて、本発明の試験片容器および本
発明の方法が説明されている。加えて、最後に、本発明
の試験片容器装置を含むキットの説明が記載されてい
る。

【００２０】代表的な比色定量式試験片 本発明の各実施形態において採用される比色定量式また
は光度測定式または光学式（本明細書においては交換可
能に使用される）の試験片は一般に少なくとも以下の構
成部品、すなわち、一定のサンプルを受容するための基
材１１、一般的に一定の分析物酸化信号の１種類以上の
要素を含む試薬組成物（一定の構造的な部品として示さ
れていない）、および一定の支持要素１２により作成さ
れている。このような比色定量式の試験片は通常的に一
定の分析物の濃度を自動的に決定するための、以下にお
いて説明されているような、一定の自動化した計器の中
に受容されるために構成されて適合している。代表的な
比色定量式の試験片の例示的な態様が図２（Ａ）におい
て示されている。この図２（Ａ）は比色定量式試験片８
０を示しており、この場合に基材１１は接着剤１３によ
り支持要素１２の一端部に位置決めされている。一定の
穴１４が基材１１の領域内の支持要素１２の中に存在し
ていて、この穴１４の中において、一定のサンプルを基
材１１の一側側に供給することができ、一定の反応がこ
の基材１１の反対側において検出できる。次に、例示的
な比色定量式試験片におけるこれらの構成部品をさらに
詳細に説明する。

【００２１】基材 本発明における試験片において用いられている基材１１
は一定の不活性な基材であり、この基材は、以下におい
て説明されている、信号生成システムにおける種々の要
素、ならびに、当該信号生成システム、すなわち、指示
薬により生成される光吸収性または色素生産性の生成物
に対して一定の支持を与える。この基材１１は、例え
ば、血液等の生理学的サンプルの供給用の場所および上
記信号生成システムの指示薬により生成される光吸収性
の生成物の検出用の場所を提供するように構成されてい
る。従って、この基材１１はその中を通して水性流体の
流れを透過する材料であり、上記信号生成システムの化
学的な反応が生じるための十分な気孔空間を提供してい
る。種々の分析物検出アッセイにおいて使用するための
多数の異なる基材がこれまでに開発されており、これら
の基材はその材料、および寸法等において異なる可能性
があり、代表的な基材は米国特許第４，７３４，３６０
号、同第４，９００，６６６号、同第４，９３５，３４
６号、同第５，０５９，３９４号、同第５，３０４，４
６８号、同第５，３０６，６２３号、同第５，４１８，
１４２号、同第５，４２６，０３２号、同第５，５１
５，１７０号、同第５，５２６，１２０号、同第５，５
６３，０４２号、同第５，６２０，８６３号、同第５，
７５３，４２９号、同第５，５７３，４５２号、同第
５，７８０，３０４号、同第５，７８９，２５５号、同
第５，８４３，６９１号、同第５，８４６，４８６号、
同第５，９６８，８３６号および同第５，９７２，２９
４号において記載されている各基材を含むがこれらに限
らず、これらの文献の開示は本明細書に参考文献として
含まれる。原理的に、上記基材１１の性質は本発明にお
ける試験片に対して重要ではなく、それゆえ、試験片を
読み取るために使用される器具の性質および便利さ等を
含む別のファクターに関連して選択される。従って、上
記試験片の各寸法および多孔度は大幅に変更可能であ
り、この場合の基材１１は、例えば、そのサンプル供給
領域またはその近くに比較的に大きな気孔を有していて
検出領域には比較的に小さな気孔を有している等のよう
に、気孔および／または一定の多孔度の勾配を有してい
てもいなくてもよい。また、上記基材１１を製造できる
材料も変更可能であり、例えば、ポリスルホン、ポリア
ミド、セルロースまたは吸収紙等のポリマーを含み、こ
の場合の材料は上記信号生成システムにおける種々の要
素の共役的または非共役的な結合を行なうために官能基
化が可能であってもなくてもよい。

【００２２】信号生成システム 上記基材１１に加えて、本発明における試験片はさらに
分析物の存在に応じて一定の検出可能な生成物を生成す
る一定の信号生成システムにおける１種類以上の要素を
含み、この検出可能な生成物はアッセイ処理するサンプ
ル中に存在している分析物の量を導出するために使用で
きる。本発明における各試験片において、上記信号生成
システムにおける１種類以上の要素は上記基材の少なく
とも一部分（例えば、検出領域）、さらに多く実施形態
において、当該基材における実質的に全部に付随してお
り、例えば、共役的または非共役的に結合している。

【００２３】例えば、グルコースが関連の分析物である
ような、特定の実施形態において、上記信号生成システ
ムは一定の分析物酸化信号生成システムである。この分
析物酸化信号生成システムとは、サンプル中の分析物濃
度を導出するための検出可能な信号を発生する場合に、
その分析物が１種類以上の適当な酵素により酸化されて
当該分析物の一定の酸化された形態およびこれに対応す
るまたは比例する量の過酸化水素が生成されることを意
味する。その後、この過酸化水素は、さらに、１種類以
上の指示薬化合物により上記検出可能な生成物を生成す
るために用いられ、この場合に、その信号測定システム
により生成された検出可能な生成物の量、すなわち、信
号がさらに初期的なサンプル中の分析物の量に対して関
連付けられる。従って、本発明における各試験片におい
て存在している上記分析物酸化信号生成システムは過酸
化水素に基づく信号生成システムとしても正当に特徴付
けられる。

【００２４】上述したように、上記過酸化水素に基づく
信号生成システムは分析物を酸化して一定の対応する量
の過酸化水素を生成する一定の酵素を含み、この場合の
対応する量とは、上記生成される過酸化水素の量がサン
プル中に存在している分析物の量に比例することを意味
する。この第１の酵素の特異的な性質はアッセイ処理さ
れる分析物の性質に応じて必然的に決まるが、一般に一
定のオキシダーゼである。従って、この第１の酵素はグ
ルコース・オキシダーゼ（分析物がグルコースの場
合）、コレステロール・オキシダーゼ（分析物がコレス
テロールである場合）、アルコール・オキシダーゼ（分
析物がアルコールである場合）、ラクテート・オキシダ
ーゼ（分析物がラクテートまたは乳酸エステルである場
合）等とすることができる。さらに、上記およびその他
の関連の分析物と共に使用するための別の酸化酵素が当
該技術分野における熟練者において知られており、これ
もまた採用できる。従って、上記試薬試験片がグルコー
ス濃度の検出のために設計されている場合の好ましい実
施形態において、上記第１の酵素はグルコース・オキシ
ダーゼである。このグルコース・オキシダーゼは任意の
好都合な供給源、例えば、黒色アスペルギルス（Asperg
illus niger）またはペニシリウム属（Penicillum）等
の天然の供給源から入手可能であり、あるいは、（遺伝
子）組換えにより生成できる。

【００２５】上記信号生成システムにおける第２の酵素
は過酸化水素の存在下に１種類以上の指示薬化合物の一
定の検出可能な生成物への変換において触媒作用する酵
素であり、この反応により生成される検出可能な生成物
の量は存在している過酸化水素の量に比例する。この第
２の酵素は一般にペルオキシダーゼであり、この場合の
適当なペルオキシダーゼはホースラディッシュ・ペルオ
キシダーゼ（ＨＲＰ）、ソイ・ペルオキシダーゼ、組換
えにより生成したペルオキダーゼ、およびペルオキシダ
ーゼ活性を有する各合成類似体等を含む。例えば、Ｙ．
サイ（Y. Ci）、Ｆ．ワング（F. Wang），アナリティカ
・キミカ・アクタ（Analytica ChimicaActa），２３３
巻，（１９９０年）、２９９頁乃至３０２頁を参照され
たい。

【００２６】上記１種類以上の指示薬化合物、例えば、
各基質は上記ペルオキシダーゼの存在下において過酸化
水素により形成または分解されて所定の波長域における
光を吸収する指示薬色素を生成する物質である。好まし
くは、この指示薬色素は上記サンプルまたは試験試薬が
強く吸収する波長とは異なる一定の波長において光を強
く吸収する。この指示薬の酸化された形態は上記膜の試
験面における色の変化を明示する、一定の着色した状
態、または僅かに着色した状態、または無色の最終的な
生成物のいずれであってもよい。すなわち、このような
試験試薬は漂白されている一定の着色領域により、ある
いは、顕色している一定の無色領域によりサンプル中に
おけるグルコース存在を示すことができる。

【００２７】本発明において有用である指示薬化合物は
１成分系および２成分系の両方の比色定量式の基質を含
む。１成分系は芳香族アミン、芳香族アルコール、アジ
ン、およびテトラメチル・ベンジジン−塩酸等のベンジ
ジンを含む。また、適当な２成分系は一つの成分がＭＢ
ＴＨ、ＭＢＴＨ誘導体（例えば、本明細書に参考文献と
して含まれる米国特許出願第０８／３０２，５７５号に
おいて開示されている物質を参照されたい）、または４
−アミノアンチピリンであり、別の成分が芳香族アミ
ン、芳香族アルコール、共役アミン、共役アルコール、
または芳香族または脂肪族のアルデヒドである基質を含
む。例示的な２成分系は３−ジメチルアミノ安息香酸
（ＤＭＡＢ）と組み合わせた塩酸３−メチル−２−ベン
ゾチアゾリノン・ヒドラゾン（ＭＢＴＨ）、３，５−ジ
クロロ−２−ヒドロキシベンゼン−スルホン酸（ＤＣＨ
ＢＳ）と組み合わせたＭＢＴＨ、および８−アニリノ−
１−ナフタレン・スルホン酸アンモニウム（ＡＮＳ）と
組み合わせた３−メチル−２−ベンゾチアゾリノン・ヒ
ドラゾン・Ｎ−スルホニル・ベンゼンスルホン酸一ナト
リウム（ＭＢＴＨＳＢ）である。特定の実施形態におい
て、上記色素対のＭＢＴＨＳＢ−ＡＮＳが好ましい。

【００２８】さらに別の実施形態において、キヨシ・ザ
イツ（Kiyoshi Zaitsu），ヨースケ・オークラ（Yosuke
Ohkura），「ニュー・フルオロゲニック・サブストレ
ーツ・フォー・ホースラディッシュ・ペルオキシダー
ゼ：ラピッド・アンド・センシティブ・アッセイ・フォ
ー・ハイドロジェン・ペルオキシダーゼ・アンド・ザ・
ペルオキシダーゼ（New fluorogenic substrates for H
orseradish Peroxidase:rapid and sensitive assay fo
r hydrogen peroxide and the Peroxidase）」，アナリ
ティカル・バイオケミストリー（Analytical Biochemis
try），（１９８０年），１０９巻，１０９頁乃至１１
３頁において記載されている物質のような、蛍光検出可
能な生成物（または、例えば、蛍光のバックグラウンド
における検出可能な非蛍光物質等）を生成する信号生成
システムが使用できる。

【００２９】支持要素 基材１１は通常的に一定の支持要素１２に取り付けられ
ている。この支持要素１２は不要な屈曲または捩れを生
じることなく一定の計器等の自動化装置の中に挿入され
るのに十分な剛性を有する材料により形成することがで
きる。基材１１は、例えば、クランプ、および接着剤等
の任意の好都合な機構により支持要素１２に取り付ける
ことができ、図においては一定の接着剤１３により取り
付けられた状態で示されている。多くの実施形態におい
て、支持要素１２は、例えば、ポリエチレンまたはポリ
プロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレンまたはポ
リエステルのような材料により作成されている。結果的
に、この支持要素１２の長さが一般的に試験片の長さを
決めるかこれに相当する。

【００３０】上記支持要素１２の長さが試験片８０の長
さを決めるかこれに相当することの如何によらず、試験
片８０の全長は一般に約５ｍｍ乃至約８０ｍｍ、通常的
に約１５ｍｍ乃至約６５ｍｍ、さらに通常的に約４０ｍ
ｍ乃至約５５ｍｍの範囲であり、当該試験片８０の幅は
一般的に約２ｍｍ乃至約３５ｍｍ、通常的に約５ｍｍ乃
至約２０ｍｍ、さらに通常的に約７ｍｍ乃至約１５ｍｍ
の範囲であり、さらに、この試験片８０の厚さは一般的
に約０．２ｍｍ乃至約７．５ｍｍ、通常的に約０．４ｍ
ｍ乃至約２．０ｍｍ、さらに通常的に約０．６ｍｍ乃至
約１．５ｍｍの範囲である。

【００３１】上述したように、支持要素１２は通常的に
試験片８０が一定の計器と共に使用されてその中に挿入
されることを可能にするように構成されている。従っ
て、この支持要素１２、ならびにその試験片は一般的に
実質的に長方形または正方形の部材片の形態であり、こ
の場合の支持要素１２の各寸法は、当該技術分野におけ
る熟練者において明らかになるように、種々のファクタ
ーに従って変化する。

【００３２】上記のような比色定量式の試験片を使用す
る場合に、サンプルは当該サンプル中に存在している初
期的な量に比例する一定の量で存在する一定の検出可能
な生成物を生成するために上記信号生成システムにおけ
る各要素に対して反応可能になる。この試験片の基材１
１に導入されるサンプルの量は変更可能であるが、一般
に約０．１μｌ乃至２５μｌ、通常的に約５μｌ乃至１
０μｌの範囲である。このサンプルは任意の好都合なプ
ロトコルにより基材１１に導入することができ、この場
合に、このサンプルは注入可能であり、吸収することも
でき、あるいはこれ以外の方法により導入することも可
能である。その後、上記検出可能な生成物の量、すなわ
ち、上記信号生成システムにより生成される信号が決定
されて、初期的なサンプル中における分析物の量に関連
付けられる。特定の実施形態において、このような検出
および関連付けの各工程を実行する自動化した計器が用
いられる。これらの反応、検出および関連付けの各工
程、ならびにこれらの工程を実行する各器具が米国特許
第４，７３４，３６０号、同第４，９００，６６６号、
同第４，９３５，３４６号、同第５，０５９，３９４
号、同第５，３０４，４６８号、同第５，３０６，６２
３号、同第５，４１８，１４２号、同第５，４２６，０
３２号、同第５，５１５，１７０号、同第５，５２６，
１２０号、同第５，５６３，０４２号、同第５，６２
０，８６３号、同第５，７５３，４２９号、同第５，５
７３，４５２号、同第５，７８０，３０４号、同第５，
７８９，２５５号、同第５，８４３，６９１号、同第
５，８４６，４８６号、同第５，９６８，８３６号およ
び同第５，９７２，２９４号においてさらに説明されて
おり、これらの開示はそれぞれ本明細書に参考文献とし
て含まれる。

【００３３】上記のような本発明と共に使用できる比色
定量式の試薬試験片の例は米国特許第５，０４９，４８
７号、同第５，５６３，０４２号、同第５，７５３，４
５２号、同第５，７８９，２５５号において記載されて
いる試験片を含むがこれらに限らず、上記各特許の開示
はそれぞれ本明細書に参考文献として含まれる。

【００３４】代表的な電気化学式試験片 一般に、本発明を伴う使用に有用であることが分かって
いる電気化学式試験片は一定の薄いスペーサー層により
分離されている２個の対向している金属電極により作成
されている。多くの実施形態において、一定のレドック
ス（酸化還元）試薬システムがこの反応領域または区域
の中に配置されている。このような電気化学式の試験片
は一定の分析物の濃度を自動的に決定するための、以下
において説明されているような、一定の自動化計器の中
に受容されるために構成されて適合することができる。
図２（Ｂ）は典型的な電気化学式試験片の例示的な態様
の分解図を示している。この試験片６２は一定のスペー
サー層６０により分離されている基準電極６４および作
用電極６６を備えており、このスペーサー層６０は試薬
システムまたは組成物７２に近接している当該スペーサ
ー層の適用範囲内における一定の破断部分により定めら
れている各サイド・ポート７０に連絡している一定の反
応領域または区域を定めるために切除されている。

【００３５】上記作用電極６６および基準電極６４はさ
らに少なくとも上記試験片の電気化学的セルにおける反
応領域６９に面しているこれら電極の各表面部分が一定
の金属であることを特徴としており、この場合における
関連の金属はパラジウム、金、プラチナ、銀、イリジウ
ム、炭素（導電性カーボン・インク）、ドーピングした
酸化スズ、およびステンレス・スチール等を含む。な
お、多くの実施形態において、この金属は金またはパラ
ジウムである。

【００３６】原理的に、上記電極の全体を一定の金属に
より作成できるが、これらの電極はそれぞれ一般に一定
の不活性な支持材料により作成されており、この材料の
表面に各電極の金属成分の薄い層が存在している。任意
の好都合な不活性な支持材料が本発明における各電極に
おいて使用可能であり、一般的に、この材料は各電極さ
らに全体としての電気化学式試験片に対して構造的な支
持を与えることができる一定の剛性材料である。このよ
うな不活性な支持材料として採用できる適当な材料は、
例えば、ポリエチレン・テレフタレート（ＰＥＴ）、ポ
リエチレン・テレフタレート・グリコール変性体（ＰＥ
ＴＧ）、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレ
ン、シリコン、セラミック、ガラス等の可塑材料を含
む。一部の例において、上記支持体はそれ自体が金属、
特に上述した金属の一つにより作成できる。しかしなが
ら、一般に、上記電極は一定の金属および／または導電
性の被膜（パラジウム、金、プラチナ、銀、イリジウ
ム、炭素、導電性カーボン・インク、ドーピングした酸
化スズまたはステンレス・スチール等）により被覆され
ている一定の支持体による一定の複合体である。

【００３７】一定の金属被覆した支持体が用いられる場
合に、その厚さ（金属および支持体）は一般的に約０．
００２インチ乃至約０．０１４インチ（約５１μｍ乃至
約３５６μｍ）、通常的に約０．００４インチ乃至約
０．００７インチ（約１０２μｍ乃至約１７８μｍ）の
範囲であるが、この金属層の厚さは一般的に約１０ｎｍ
乃至３００ｎｍ、通常的に約２０ｎｍ乃至４０ｎｍの範
囲である。

【００３８】図示のように、上記作用電極６６および基
準電極６４は、それぞれ、細長い部材片の形態で概ね構
成されている。一般的に、これらの電極の長さは約０．
６４ｃｍ乃至約７．６ｃｍ、通常的に約２．０ｃｍ乃至
約３．８ｃｍの範囲である。さらに、各電極の幅は一般
的に約０．０２５ｃｍ乃至約０．７６ｃｍ、通常的に約
０．２５ｃｍ乃至約０．６７ｃｍの範囲である。特定の
実施形態において、これらの電極の内の一方の長さは他
方よりも短い。また、多くの場合において、上記電極お
よびスペーサーの幅は各要素を重ね合わせた場合に一致
する。特定の実施形態において、電極６４は約３．５ｃ
ｍの長さであり、電極６６は約３．８ｃｍの長さであ
り、それぞれが最大で６．４ｍｍの幅および最小で２．
６ｍｍの幅を有しており、反応領域６８および各ポート
７０は約１．６５ｍｍの幅であり、この反応領域６８は
約０．０４１ｃｍ² の面積を有している。さらに、上記
試験片の中に組み込まれているスペーサー６０は電極６
６の端部から、例えば、約７．６ｍｍだけ後方に設置で
きる。

【００３９】上記の活性が生じる反応領域または区域６
８は好ましくは少なくとも約０．１μｌ、通常的に少な
くとも約０．３μｌ、さらに通常的に少なくとも約０．
６μｌの一定容積を有しており、この場合の容積は１０
μｌ程度またはそれ以上にすることができる。また、上
記区域６８の大きさはスペーサー層６０の諸特性により
概ね決定される。このスペーサー層６０は上記の活性が
生じる一定の長方形の反応領域を定めるように示されて
いるが、別の形態も可能である（例えば、正方形、三角
形、円形、または不規則な形状の反応領域等）。このス
ペーサー層６０の厚さは一般に約２５μｍ乃至約５００
μｍ、通常的に約７６μｍ乃至１２７μｍの範囲であ
り、それゆえ、上記試験片（各電極およびスペーサー
層）の合計の厚さは一般的に約１２７μｍ乃至約１２７
０μｍ、通常的に約２５４μｍ乃至約７６２μｍ、さら
に通常的に約３８０μｍ乃至約５１０μｍの範囲であ
る。上記スペーサー層６０を切除する様式はさらに上記
各ポート７０の諸特性も決定する。これら入口側および
出口側の各ポート７０の断面積は反応領域６８に対する
流体の有効な入口または出口を提供するために十分な大
きさの範囲内において変更可能である。

【００４０】上述したように、多くの実施形態におい
て、一定の試薬システムまたは組成物７２が上記反応領
域の中に存在しており、この試薬システム７２はアッセ
イにおいて一定の流体サンプル中の各成分に対して相互
作用する。関連の試薬システムは一般的に一定のレドッ
クス対を含む。この試薬組成物におけるレドックス対
は、存在している場合に、１種類以上のレドックス対試
薬により作成されている。種々の異なるレドックス対試
薬が当業界において知られており、フェリシアニド、フ
ェナジン・エトサルフェート、フェナジン・メトサルフ
ェート、フェニレンジアミン、１−メトキシ−フェナジ
ン・メトサルフェート、２，６−ジメチル−１，４−ベ
ンゾキノン、２，５−ジクロロ−１，４−ベンゾキノ
ン、フェロセン誘導体、オスミウム・ビピリジル錯体、
およびルテニウム錯体等を含む。さらに、上記反応領域
内に存在できる別の試薬は、例えば、シトラコン酸塩、
クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、
「グッド（Good）」緩衝液等のような緩衝剤を含む。さ
らに、存在可能な別の物質は塩化カルシウムおよび塩化
マグネシウム等の二価のカチオン、トリトン（Trito
n）、マコール（Macol）、テトロニック（Tetronic）、
シルベット（Silwet）、ゾニル（Zonyl）、およびプル
ロニック（Pluronic）等の界面活性剤、およびアルブミ
ン、スクロース、トレハロース、マンニトール、および
ラクトース等の安定化剤を含む。本発明と共に使用する
ことに適している上記のような試薬試験片の例は米国特
許第６，１９３，８７３号および同時係属で同一所有さ
れている米国特許出願第０９／４９７，３０４号、同第
０９／４９７，２６９号、同第０９／７３６，７８８号
および同第０９／７４６，１１６号において記載されて
いる試験片を含み、これらの開示は本明細書に参考文献
として含まれる。

【００４１】上記のような電気化学式試験片を使用する
ために、一定の水性の液体サンプル（例えば、血液）が
上記反応領域の中に入れられる。この試験片の反応領域
内に導入される生理学的サンプルの量は変更可能である
が、一般に約０．１μｌ乃至１０μｌ、通常的に約０．
３μｌ乃至０．６μｌの範囲である。このサンプルは任
意の好都合なプロトコルにより上記反応領域内に導入可
能であり、この場合に、このサンプルは上記反応領域内
に注入可能であるか、当該反応領域内に吸収可能である
か、あるいは、これら以外の別の方法により上記各ポー
トを通して導入できる。これにより、分析される成分が
上記レドックス試薬の被膜に対して反応可能になり、当
該分析される成分（すなわち、分析物）の濃度に対応す
る一定の量で一定の酸化可能（または還元可能）な物質
を形成する。その後、存在しているこの酸化可能（また
は還元可能）な物質の量が一定の電気化学的な測定によ
り推定される。このようにして行なわれる測定は上記の
電気化学式試験片を採用しているアッセイおよび装置の
特定の性質に応じて（例えば、このアッセイが電量測定
式、電流測定式または電位測定式のいずれかに応じて）
変更可能である。上記試験片６２による測定は好ましく
は一定の自動化した器具または計器により達成される。
通常において、測定はサンプルの反応領域内への導入に
続いて一定時間にわたり行なわれる。このような電気化
学的測定を行なう方法は米国特許第４，２２４，１２５
号、同第４，５４５，３８２号および同第５，２６６，
１７９号、ならびに、ＰＣＴ国際公開第ＷＯ ９７／１
８４６５号および同第ＷＯ ９９／４９３０７号の各公
報においてさらに詳細に説明されており、これらの開示
はそれぞれ本明細書に参考文献として含まれる。

【００４２】上記のような反応領域内において発生した
電気化学的信号の検出に続いて、この反応領域内に導入
されたサンプル中に存在している分析物の量が一般的に
その電気化学的信号をサンプル中の分析物の量に対して
関連付けることにより決定される。この導出を行なう場
合に、通常的に各測定における電気化学的信号が一連の
既に得られている対照または基準の各値から発生される
信号に対して比較され、この比較に基づいて決定され
る。多くの実施形態において、上記電気化学的信号測定
の各工程および分析物濃度導出の各工程は上記試験片と
共に動作して、上述したように、当該試験片に供給され
た一定サンプル中の分析物濃度の値を生成するように設
計されている一定の装置により自動的に行なわれる。こ
のような使用者がサンプルを単に反応領域に供給して装
置から最終的な分析物濃度の結果を読み取るだけで済む
ような、上記各工程を自動的に実行するための代表的な
読取装置が１９９９年６月１５日に出願されている同時
係属の米国特許出願第０９／３３３，７９３号において
詳述されており、この開示は本明細書に参考文献として
含まれる。

【００４３】試験片容器 上述したように、本発明は上記の試験片の種類を含む、
一定の試験片を収容して容易に分配する装置を含み、こ
の場合の本発明の試験片容器の装置は最少の構成部品を
有していて、人の手等からの汚れおよび油分またはこれ
ら以外の汚染物を含む不都合な汚染物質に対する試験片
の接触を防止または最少にする。一般的に、この本発明
の装置は複数の凝集状態の収容されている試験片から単
一の試験片を分配する。通常的に、この本発明の装置は
１回に約１個乃至約５０個の試験片、さらに通常的に１
回に約５個乃至約４０個の試験片、さらに通常的に１回
に約１０個乃至２５個の試験片を保持するように構成さ
れているが、この本発明の装置は１回にさらに多いまた
はさらに少ない数の試験片を保持するように構成するこ
ともできる。また、この本発明の装置は、以下の説明に
より明らかになるように、付加的な試験片の容易な再装
填も可能にする。本発明をさらに説明することにおい
て、上記の種類の電気化学式の試験片が例示の目的のた
めに本明細書において用いられており、この例示は本発
明の範囲を限定することを目的としていない。

【００４４】次に、本発明の試験片分配装置を図面を参
照して説明し、これらの図面において、同一の参照番号
または符号は同一の構成部品または特徴部分を示してい
る。図３（Ａ）は一定の基部４および一定のカバー６お
よび一定の円筒形の形状を有している本発明の試験片容
器２の例示的な実施形態の外部を示している。カバー６
および基部４は任意の好都合な手段により互いに取り外
し可能に接続または結合しており、例えば、これらは対
応する各ねじ部、ヒンジ部、摩擦、スナップ嵌め等、ま
たはこれらの組み合わせにより結合でき、特定の実施形
態においてこれらの間に一定のガスケットを備えること
ができる。これらの基部４およびカバー６はカバー６が
基部４から容易に分離できるように結合されている。

【００４５】上記容器２の形状は種々のファクターに応
じて必然的に変化し、これらのファクターはその内部に
保持される試験片の種類、大きさおよび数等を含むがこ
れらに限らない。図３（Ａ）は一定の円筒形の形状を有
する試験片容器２を示しているが、別の形状も可能であ
る。従って、この容器２の形状は単純なものから複雑な
ものを含む多様な形状の任意のものを有することがで
き、この場合に、基部４の形状はカバー６の形状に対し
て異なることができる。例えば、上記容器２の基部４は
一定の長方形、正方形、円筒形、円形、楕円形または卵
形の形状、あるいは、実質的にこれらのような形状にす
ることができる。あるいは、上述したように、この基部
４の形状は実質的に不規則な形状またはその類似物のよ
うにさらに複雑にすることもできる。さらに、カバー６
の形状も基部４に関して既に説明したような種々の形状
を採ることができる。特定の実施形態において、カバー
６は図３（Ｂ）において示されているような実質的に不
規則な形状を採ることができる。この図３（Ｂ）はカバ
ー６における反対側の各面部に配置されている各テーパ
ー状の部分または凹み部分５による幾分に不規則な形状
を有する図３（Ａ）のカバー６を示しており、この場合
の各凹み部分５は一定の個人がカバー６を容易に把持お
よび保持することを可能にしており、特定の実施形態に
おいて、少なくともこれらの凹み部分５を含む各壁部が
以下においてさらに詳細に説明されているような弾性的
に変形可能な壁部である。

【００４６】同様に、試験片容器２の大きさもまたその
内部に保持される試験片の種類、寸法および数等のよう
な種々のファクターに応じて変更可能である。この容器
２は当該容器２が実質的に直立している時にこの容器２
における基部４の中に複数の試験片が保持されるように
構成されている。一般的に、この容器２は一定の個人に
より容易に保持されて輸送されるような寸法を有してい
る。例示のみを目的として限定を目的としない、特定の
実施形態において、上記容器２の長さは一般的に約１２
ｍｍ乃至約１００ｍｍ、通常的に約２５ｍｍ乃至約７５
ｍｍ、さらに通常的に約３５ｍｍ乃至約５１ｍｍの範囲
であり、当該容器の幅／直径は約１０ｍｍ乃至約４０ｍ
ｍ、通常的に約１５ｍｍ乃至約３５ｍｍ、さらに通常的
に約２０ｍｍ乃至約２５ｍｍの範囲である。

【００４７】上記容器２は種々の材料により製造可能で
あり、この場合の容器２における基部４およびカバー６
は同一または異なる材料のいずれにより製造することも
可能であるが、これらの材料は内部に保持されている各
試験片の試験試薬に対して実質的に干渉しないことが必
要である。特定の実施形態において、上記容器２の一部
分が一定の弾性的に変形可能なまたは柔軟な材料により
作成できる。例えば、特定の実施形態において、少なく
ともカバー６が、あるいは、少なくとも当該カバー６の
１個以上の壁部が容易に弾性的に変形可能なまたは柔軟
な一定の材料により作成可能であり、以下においてさら
に詳細に説明されているように、これら１個以上の壁部
が一定の個人によりこれらに供給されるわずかな圧力に
より変形することができ、当該各壁部がこれらに対する
圧力の解除時にそれぞれの元の形態を採る。上記本発明
の容器２において使用可能な代表的な材料はポリテトラ
フルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリカーボネート、およびこれらの混合物
等の高分子材料、ステンレス・スチール、アルミニウム
およびこれらの合金等の金属、テフロン（登録商標）
（Teflon（Ｒ））、例えば、ガラス材料等の珪質材料を
含むがこれらに限らない。

【００４８】本発明の容器の特定の実施形態において、
上記基部４およびカバー６は一定の密接した構成で結合
されて整合可能であり、上記装置はこのような密接した
構成にある時に空気および水分に対して実質的にまたは
完全に気密になる。換言すれば、上記容器２の内部はそ
の基部４およびカバー６が一体に結合して一定の密閉状
態の容器２を形成している時に実質的に空気および水分
に対して気密である。

【００４９】本発明の容器２は乾燥剤、またはシリカゲ
ル等の吸水性の試薬または成分をさらに含むことがで
き、このような材料は保管されている各試験片の周囲の
環境から水分を吸収できる。このような吸収性の試薬ま
たは成分は上記カバー６および／または基部４の内側に
配置されている１個以上の区画部分の中に固定できる。

【００５０】上述したように、本発明の試験片容器は使
用において１回に単一の試験片を分配することができ
る。従って、この本発明の装置の特徴は本発明の容器２
の中に収容されている単一の試験片３０ａを選択可能に
してこれを使用可能にするような一定の試験片選択要素
２０（図４を参照されたい）の存在である。すなわち、
本発明の容器２が複数の試験片を収容している場合に、
上記試験片選択要素２０は単一の試験片３０ａを容易に
選択することができ、この単一の試験片３０ａを別の複
数の試験片３０から分離してこの試験片３０ａを使用の
ために位置決めする。この試験片選択要素２０は本発明
の容器２の単純な操作または取り扱いにより動作し、一
定の個人がこの装置を作動することまたはそのための部
品を全く必要とせず、それゆえ、受動的に動作するの
で、特に、指先の感覚が減少しており、さらに／また
は、視覚的に損なわれている器用さにおいて不都合のあ
る一定の個人に対して十分に適している。

【００５１】従って、上記試験片選択要素２０は上記容
器２が地面に対して特定の配向に位置決めされる時に使
用するための一定の試験片３０ａを選択して位置決めす
る。特に、この試験片選択要素２０は容器２を実質的に
逆さまの位置に単純に回転または旋回することにより一
定の試験片３０ａを選択して位置決めする。多くの実施
形態において、本発明の容器２はさらに、一定の試験片
選択要素により選択された試験片のような、一定の試験
片をカバー６に対して一定の位置に保持するための試験
片保持手段も備えている。この試験片保持手段もまた一
定の個人がこの装置を作動することまたはそのための部
品を全く必要とせず、それゆえ、受動的に動作する。次
に、上記試験片選択要素２０をさらに詳細に説明し、続
いて、上記本発明の試験片保持手段を説明する。

【００５２】試験片選択要素 上述したように、上記試験片容器２は上記カバー６の中
に配置されている試験片選択要素２０を備えている。多
くの実施形態において、この試験片選択要素２０は、以
下においてさらに詳細に説明されているように、一定の
試験片保持手段により保持されるように一定の試験片３
０ａを選択する。上記容器２が複数の試験片３０を収容
している実施形態において、試験片選択要素２０は単一
の試験片３０ａを複数の集合状態の試験片３０から選択
または分離する。特に、試験片選択要素２０は連続的に
減少している直径または連続的に減少している断面積を
有する一定の領域またはキャビティ２５を含む。従っ
て、このキャビティ２５の形状は実質的に円錐台の形状
として特徴付けることができる。さらに、このような実
質的に円錐台形状のキャビティ２５は第１の端部２１お
よび第２の端部２３を有している。加えて、この円錐台
形状のキャビティ２５はその第２の端部２３において開
口しており、この開口部は基部４に連絡していて、この
開口部を通して、容器２の基部４の中に予め収容されて
いる、少なくとも１個の試験片、さらに通常的に複数の
試験片が移動し、単一の試験片が上記試験片選択要素２
０の第１の端部２１において選択できるようになってい
る。換言すれば、この試験片選択要素２０はその実質的
に円錐台形状のキャビティ２５の中に少なくとも１個の
試験片を集中して、最終的に当該試験片選択要素２０に
おける一定の開口部またはスロット２２の中に単一の試
験片３０ａを選択する。一方、残りの試験片３０は上記
試験片選択要素２０を通りスロット２２に到る通路全体
を通過することが妨げられており、それゆえ、一定の個
人によるその後の使用において選択されるまで試験片選
択要素２０のキャビティ２５および／または基部４の中
に留まる。

【００５３】上記のように連続的に減少しているキャビ
ティ２５の断面形状は、このキャビティ２５が少なくと
も１個の試験片をその中に集中させることができるとい
う制限だけを伴って、分配される試験片の寸法および形
状等の種々のファクターに応じて変更可能である。例え
ば、この実質的に円錐台形状のキャビティ２５の断面形
状を長方形、正方形、円形、楕円形等にすることができ
る。従って、本明細書に開示されている実質的に円錐台
形状のキャビティ２５の例示的な各実施形態の断面形状
は例示を目的としているのみで、本発明の範囲を限定す
ることを目的としていない。

【００５４】次に、図５において、この図は実質的に直
立の位置にある図４のカバー６の拡大図を示しており、
試験片選択要素２０がこのカバー６の中に形成されてい
て、容器２が適当に位置決めされると、基部４の中に保
持されている各試験片３０が試験片選択要素２０の中に
移動する。この適当な位置決めとは、上記装置が実質的
に逆さまに位置決めされることを意味する。すなわち、
上記装置が実質的に直立の配向でその元の状態に配向さ
れていれば、この装置を回転または旋回することによ
り、この装置が実質的に逆さまになる。この実質的に直
立な状態とは、容器２の長手軸Ｌ₂ が地面Ｇに対して垂
直に配置されていて、カバー６が地面Ｇに対して位置決
めされている位置よりも基部４が地面Ｇに対して近い場
合に、容器２が上記容器２の長手軸Ｌ₂ に対して約−３
０°乃至約＋３０°の範囲内にある一定の角度β（図９
（Ａ）を参照されたい）にあることを意味する。また、
実質的に逆さまであるとは、容器２の長手軸Ｌ₂ が地面
Ｇに対して垂直に配置されていて、基部４が地面Ｇに対
して位置決めされている位置よりもカバー６が地面Ｇに
対して近い場合に、容器２が上記容器２の長手軸Ｌ₂ に
対して約−２０°乃至約＋２０°の範囲内にある一定の
角度γ（図９（Ｂ）を参照されたい）にあることを意味
する。

【００５５】図５において示されているように、試験片
選択要素２０はスロット２２を含む第１の端部２１、基
部４に直接的に連絡しているカバー６の開口部７に位置
決めされている第２の端部２３、およびこれら第１の端
部２１および第２の端部２３の間に位置決めされている
一定の実質的に円錐台形状のキャビティ２５を有してい
る構造として特徴付けることができる。この試験片選択
要素２０はカバー６に対して一体の部材片の構成可能で
あってカバー６の中に成形可能であり、あるいは、溶
接、接着剤、摩擦、スナップ嵌め等、およびこれらの任
意の組み合わせを含む任意の好都合な手段によりカバー
６の内部に取り付けられる一定の分離している部品とす
ることもできる。一般的に、この試験片選択要素２０は
カバー６に対して一体の部材片の構成になっている。

【００５６】上述したように、上記試験片選択要素２０
のキャビティ２５は実質的に円錐台形状または漏斗状で
あり、その第１の端部２１のスロット２２に向かって傾
斜している、例えば、一定の円錐状の形状の壁部を有し
ているが、このキャビティ２５はその各壁部がスロット
２２に向かって内側に傾斜していれば、必ずしも円筒形
の形状である必要はない。図５において示されているよ
うに、試験片選択要素２０の直径または断面積はその第
２の端部２３からその第１の端部２１のスロットに向か
って徐々に減少している。すなわち、この試験片選択要
素２０の直径は単一の試験片だけに適応してこれを通過
できる一定の最終的な直径または面積まで減少してい
る。

【００５７】図６は単一の試験片３０ａが複数の試験片
３０の中からスロット２２の中に選択されている状態の
一定の実質的に逆さまの位置にある図５の試験片選択要
素２０の拡大図を示している。図示のように、上記の実
質的に円錐台状または漏斗状の形状のキャビティ２５
は、上記装置が適当に位置決めされている場合に当該キ
ャビティ２５の中に適合し得る試験片の数が上記第２の
端部２３から第１の端部２１にかけて減少しているの
で、試験片選択要素２０がそのスロット２２の中に単一
の試験片３０ａを選択することを可能にしており、最終
的に１個の単一の試験片３０ａが凝集状態の試験片３０
から分離されて、図４、図５および図６において示され
ているように、スロット２２の中に選択される。このよ
うに選択された試験片３０ａは、当該試験片３０ａの一
部分がスロット２２の中にあり、他の一部分がキャビテ
ィ２５の中に延在するように、スロット２２の中に位置
決めされる。

【００５８】スロット２２は１回に単一の試験片のみを
選択して通過可能にするような寸法および形状を有して
いる。しかしながら、スロット２２の寸法および／また
は形状は１個の試験片の寸法／形状に必ずしも対応して
いる必要はなく、このスロット２２の寸法および／また
は形状は、当該スロット２２が単一の試験片を選択可能
にする限りにおいて、一定の試験片の寸法および／また
は形状（幅）と異なっていてもよく、例えば、一定の試
験片が長方形の形状であって、スロット２２が長方形以
外の形状であってもよい。例示のみを目的として限定を
目的としていない、上記容器２が約７ｍｍ乃至約７６ｍ
ｍの範囲の長さ、約１．３ｍｍ乃至約７．６ｍｍの範囲
の幅、および約１２７μｍ乃至約１２７０μｍの範囲の
厚さを有する複数の試験片と共に使用される特定の実施
形態において、上記スロット２２の長さは一般的に約３
ｍｍ乃至５０ｍｍ、通常的に約５ｍｍ乃至約２５ｍｍ、
さらに通常的に約６ｍｍ乃至約１０ｍｍの範囲内にな
り、当該スロット２２の幅（この実施形態においては上
記試験片の狭い部分に適応するように構成されている）
は一般的に約０．０２６ｃｍ乃至約１．０ｃｍ、通常的
に約０．２５１ｃｍ乃至約０．７５ｃｍ、さらに通常的
に約０．３ｃｍ乃至約０．８ｃｍの範囲になり、当該ス
ロット２２の深さまたは厚さは一般的に約１２８μｍ乃
至約２４００μｍの範囲になる。

【００５９】本発明の特定の実施形態において、上記試
験片選択要素２０の内部はさらに一定の試験片配向要素
２７を含み、上記漏斗状のキャビティ２５の内部はその
中に少なくとも１個の試験片を配向するための一定の構
造を含む。例えば、一連の隆起部分または突出部分、ス
タッド、リブ、段部、尾根部、または棚部等を上記試験
片選択要素２０の内部に配置することにより、試験片を
スロット２２に向けて配向して別の試験片から単一の試
験片を分離することが補助できる。この配向要素２７は
任意の適当な様式で配置できる。例えば、一連の隆起部
または段部により試験片選択要素２０の内部全体を囲む
ことができ、当該試験片選択要素２０の２個の対向面部
等のようなその内部における一部分に位置決めすること
も可能である。対向している各端部は１個の段部の上部
が対向している別の段部の隆起部分に対応するように段
階的に変化させるかずらすことができる。図７は、試験
片選択要素内のキャビティ２５から取り出された試験片
３０ａを含む図５における試験片選択要素２０の線ｘ−
ｘに沿う断面図のような、一定の例示的な試験片選択要
素の断面図を示しており、配向要素２７をさらに良好に
示している。図７は試験片選択要素２０の内部における
少なくとも２個の対向面部上に位置決めされている一連
の段部または隆起部２７を有する試験片選択要素２０を
示している。

【００６０】試験片保持手段 上述したように、本発明は、例えば、試験片が一定の試
験片選択要素により選択された後に、この試験片を上記
カバー６に対して一定の位置に保持するための少なくと
も１個の試験片保持手段も含む。実施形態の一例におい
て、この試験片保持手段は弾性的に変形可能な壁部（図
１７を参照されたい）を有する一定のカバーを有してい
る。また、別の実施形態において、上記試験片保持手段
は重力により制御される一定の試験片保持機構（図８
（Ａ）を参照されたい）を有している。さらに、このよ
うな試験片保持手段が上述したような試験片選択要素２
０により選択された一定の試験片３０ａを保持すること
に関連して本明細書において説明されている。しかしな
がら、この説明は例示のみを目的としていて、本発明の
範囲を限定することを目的としていないことが理解され
ると考える。すなわち、上記試験片保持手段は任意の好
都合な手段により一定の適当な位置に配置されている任
意の試験片を保持するために使用できる。次に、上記の
各試験片保持手段をさらに説明する。

【００６１】弾性的に変形可能なカバー 上述したように、本発明の特定の実施形態は弾性的に変
形可能な壁部を有する一定のカバーにより作成されてい
る一定の試験片保持手段を含む。図１７は弾性的に変形
可能な壁部１７および１８を有するカバー６の例示的な
実施形態を示している。この変形可能とは、一定のカバ
ーにおける１個以上の壁部、一般的に少なくとも２個の
対向している壁部がこれらに一定の適当な力を加えた時
に同時に内側に押し込めるか押しつぶせることを意味す
る。さらに、弾性的に変形可能とは、上記のような変形
が永久的ではなく、上記の各壁部がこれらに対する力の
解除時にそれぞれの元の形態を採り得ることを意味す
る。本明細書において説明されている本発明のカバーの
任意のおよび全ての実施形態は凹み部分５をそれぞれ有
する図１１において示されている各壁部１７および１８
のような、弾性的に変形可能な１個以上の壁部を有する
ことができる。

【００６２】従って、弾性的に変形可能なカバー６にお
ける少なくとも２個の対向している壁部は、上述した各
材料のような、当該壁部に対して一定の個人によりわず
かな力が加えられる時に弾性的に変形可能な一定の材料
により作成されている。

【００６３】上記少なくとも２個の対向している壁部１
７および１８はこれらの間の一定の位置に一定の試験片
が保持できる程度に変形することが可能である。すなわ
ち、これら少なくとも２個の壁部はこれらの間に一定の
試験片を保持または把持するために同時に押しつぶすこ
とができる。

【００６４】試験片保持機構 上述したように、本発明の装置の特定の実施形態は一定
の重力制御型の試験片保持機構を有する試験片保持手段
を備えている。図８（Ａ）において示されているよう
に、試験片保持機構１０は上記試験片選択要素２０のス
ロット２２に近接して配置されている一定の通路１２を
有しており、この場合に、少なくとも１個の摺動可能な
接触要素１４がこの通路１２の中に配置されている。図
８（Ｂ）は図８（Ａ）における試験片保持機構１０の拡
大図を示している。上記通路１２は一定の開口状の基端
部１２ａおよび先端部１２ｂを有しており、この場合の
先端部１２ｂは開口状であっても閉じていてもよい。図
示のように、接触要素１４が通路１２の開口状の基端部
１２ａに近接して配置されている場合に、この接触要素
１４はわずかに基端部１２ａから突出して、この接触要
素１４の一部分が通路１２から突出する。このような様
式において、わずかに突出している接触要素１４は、上
記試験片選択要素２０のスロット２２により既に選択さ
れている一定の試験片３０ａのような、一定の試験片に
対して直接的に接触することができる。また、複数の接
触要素１４を採用している実施形態においては、通路１
２内におけるこれら接触要素１４の数は変更可能であ
り、一般的に約１個乃至約２０個、通常的に約１個乃至
約１０個、さらに通常的に約１個乃至約４個の範囲内で
あるが、さらに多数または少数の接触要素１４も存在可
能である。

【００６５】上記試験片保持機構１０はスロット２２の
中に位置決めされている一定の試験片３０ａ（この試験
片３０ａはかつて上記基部４の中に収容されていた）に
対して重力により各接触要素１４が押し当てられる場
合、すなわち、各接触要素１４が、図８（Ａ）および図
８（Ｂ）において示されていて、且つ、以下においてさ
らに詳細に説明されているように、上記基端部１２ａの
近くに摺動可能に移動するように上記装置を操作する場
合に、この試験片３０ａに対して各接触要素１４が係合
または接触する点において重力制御型である。従って、
この試験片保持機構１０は重力制御型であり、上記容器
２を上述したような一定の実質的に直立した位置に移動
する時に重力により１個以上の接触要素１４が通路１２
の中に摺動または移動して、これにより、各接触要素１
４が一定の選択された試験片３０ａに接触して、この試
験片３０ａをカバー６に対して一定の位置に保持する。

【００６６】従って、上記重力制御型の試験片保持機構
における通路１２は上記カバー６が適当に位置決めされ
ている時に各接触要素１４が当該通路１２の中において
摺動可能に移動できるようにカバー６の中において一定
の角度で位置決めされている。すなわち、上記試験片保
持機構１０は、図８（Ａ）において示されているよう
に、上記カバー６の長手軸Ｌ₁ に対して一定の鈍角αを
定めている。すなわち、この角度αは、図８（Ａ）にお
いて示されているように、容器２が実質的に直立状態で
ある時に、重力が上記各接触要素１４に作用してこれら
の接触要素１４を上記通路１２における開口状の基端部
１２ａに向かう方向に摺動可能に移動するように定めら
れている。従って、この角度αは各接触要素１４の構造
における寸法、形状、重量および材料等を含むがこれら
に限らない種々のファクターに従って変わる。一般的
に、この通路１２の角度αは上記カバー６の長手軸Ｌ₁
に対して約１２０°乃至約１７０°の範囲であり、さら
に一般的に約１３５°乃至１５０°の範囲である。

【００６７】上記１個以上の接触要素１４の形状は本発
明において重要ではなく、この形状は、各接触要素１４
が通路１２の中において摺動または移動できる限りにお
いて、球形のボール・ベアリング等の球形、棒状、管
状、丸形、正方形、球状、長方形、プレート状、円筒形
等を含み得るがこれらに限らない。

【００６８】また、上記接触要素１４の寸法はこれによ
り保持される試験片の寸法および形状、上記カバーの寸
法、各構成材料等を含むがこれらに限らない種々のファ
クターにより変化する。例示を目的として限定を目的と
しない、特定の実施例において、５個の球状の接触要素
１４が一定の試験片３０ａを保持するために用いられて
おり、この試験片は約０．６４ｃｍ乃至約７．６ｃｍの
範囲の長さ、約０．２５ｃｍ乃至約０．７６ｃｍの範囲
の幅、および約１２７μｍ乃至約１２７０μｍの厚さを
有している。従って、各球形の接触要素１４の直径は一
般的に約０．０２５ｃｍ乃至約０．７６ｃｍ、通常的に
約０．１ｃｍ乃至約０．６７ｃｍ、さらに通常的に約
０．２ｃｍ乃至約０．４ｃｍの範囲であり、この場合の
各接触部材の重量は一般的に約７×１０^-5グラム乃至約
１．８グラム、通常的に約０．００４グラム乃至約１．
２７グラム、さらに通常的に約０．０３３グラム乃至約
０．２６３グラムの範囲である。

【００６９】上記試験片保持機構１０の特徴は上記各接
触要素１４が上記試験片選択要素２０のスロット２２に
より選択された試験片３０ａに係合するように構成され
ていて、この試験片３０ａを上記容器２が地面に対して
一定の適当な配向に位置決めされるようにこれを単に取
り扱うか操作することによりスロット２２の中における
一定の位置に保持することであり、それゆえ、この試験
片保持機構１０は受動的に動作して一定の試験片３０ａ
に係合してこれを保持する。特に、この試験片保持機構
１０は上述したように重力制御型であり、上記容器２の
特定の様式での取り扱い、すなわち、容器２を実質的に
直立状態の配向に位置決めすることにより、重力が上記
各接触要素１４に作用して、これら接触要素１４が試験
片選択要素２０により選択された一定の試験片３０ａに
係合してこれを保持する。

【００７０】システム 上記の各装置はこれら本発明の装置および、一定のサン
プル中における分析物の濃度を決定するための、上述し
たような種類の、少なくとも１個の自動化した計器、お
よび１個以上の試験片を備えている各システムにおいて
有用であることが分かる。

【００７１】方法 本発明により単一の試験片を選択するための方法も提供
されている。特に、例えば、視覚的におよび／または器
用さにおいて損なわれている一定の個人により単一の試
験片が使用できるように、その試験片を容易に選択可能
にする方法が提供されている。本発明によれば、通常的
に複数の試験片の中から単一の試験片が選択される場合
に、本発明の一定の試験片容器が当該装置のカバーの中
にこれらの試験片を移動させる様式で供給および取り扱
いまたは位置決めされる。特定の実施形態において、本
発明の方法はさらに、例えば、上記カバーにおける１個
以上の壁部を弾性的に変形することにより、さらに／ま
たは、上記容器のカバーの中に単一の試験片が保持され
る一定の様式で当該容器を単に取り扱うか位置決めする
ことにより、一定の選択された試験片等のような上記カ
バーの中における一定の試験片を保持する工程も含む。
従って、本発明の方法は好都合にも一定の様式で本発明
の装置を単に取り扱うか位置決めすることにより単一の
試験片を使用のために選択可能にし、さらに、上記カバ
ーにおける１個以上の壁部を押しつぶし、且つ／また
は、上記容器を地面に対して特定の配向に取り扱うか位
置決めすることにより、一定の選択された試験片等のよ
うな一定の試験片を一定の位置に保持することも可能に
する。

【００７２】従って、第１の工程は一定の試験片容器を
供給することであり、この場合の容器は、内部に複数の
試験片３０が保持されている一定の基部４および一定の
カバー６を備えている上記の試験片容器２のように、そ
の内部に少なくとも１個の、さらに可能性の高い態様と
して複数の試験片を保管するように構成されている。こ
のカバーは一定の試験片選択要素２０および、例えば、
少なくとも１個の弾性的に変形可能な壁部および／また
は重量制御型の試験片保持機構等を含む一定の試験片保
持手段の一方または両方を備えることができる。

【００７３】一定の適当な容器２の供給が完了して、少
なくとも１個の試験片がその中に収容されると、この容
器２はその基部４の中に収容されている試験片３０をカ
バー６の中に移動させる一定の様式で位置決めされる。
すなわち、容器２は当該容器２が実質的に逆さまの状態
になるように位置決めされる。図９（Ａ）および図９
（Ｂ）は一定の実質的に直立の位置および一定の実質的
に逆さまの位置にある容器２をそれぞれ示している。こ
の実質的に直立とは、容器２の長手軸Ｌ₂ が地面Ｇに対
して垂直に配置されていて、カバー６が地面Ｇに対して
位置決めされている位置よりも基部４が地面Ｇに対して
近い場合に、容器２が上記容器２の長手軸Ｌ₂ に対して
約−３０°乃至約＋３０°の範囲内にある一定の角度β
にあることを意味する。また、実質的に逆さまとは、容
器２の長手軸Ｌ₂ が地面Ｇに対して垂直に配置されてい
て、基部４が地面Ｇに対して位置決めされている位置よ
りもカバー６が地面Ｇに対して近い場合に、容器２が上
記容器２の長手軸Ｌ₂ に対して約−２０°乃至約＋２０
°の範囲内にある一定の角度γにあることを意味する。

【００７４】次に、それぞれ本発明の各工程をさらに詳
細に示している図１０乃至図１６において、図１０は容
器２が実質的に逆さまの位置にある時にその基部４の中
に収容されている各試験片３０がカバー６の中に移動す
るように、手により把持されて、実質的に逆さまの位置
に位置決めされている容器２を示している。従って、容
器２が最初に一定の実質的に直立の位置にあれば、この
容器２は実質的に逆さまの位置になるように回転または
旋回されている。次に、図１１において示されているよ
うに、容器２が一定の試験片保持機構１０を備えている
場合には、このような実質的に逆さまの位置において、
各接触要素１４は上記通路１２の先端部に向かって、す
なわち、当該通路１２の基端側の開口部１２ａから離れ
て配置されている。

【００７５】さらに、容器２がこの様式において、すな
わち、実質的に逆さまの状態で位置決めされている時
に、単一の試験片３０ａが残りの試験片３０から選択さ
れて分離される。特に、これらの試験片３０は基部４か
ら試験片選択要素２０の中に移動しており、このような
試験片３０は上記試験片選択要素２０における連続的に
減少している直径の部分により、例えば、特定の例にお
ける一定の配向要素２７によりさらに分離されている。
さらに、図１０および図１１において示されているよう
に、試験片３０ａの少なくとも一部分が上記キャビティ
２５の中のスロット２２の中に配置されるように、単一
の試験片３０ａが複数の試験片３０から最終的に分離さ
れて、スロット２２により選択される。

【００７６】特に、容器２が試験片３０をカバー６に向
けて移動させるための一定の様式で位置決めされている
時に複数の試験片３０が基部４から連続的に減少してい
る直径のキャビティ２５における第２の端部２３の中に
移動し、これらの試験片３０がさらに上記第１の端部２
１に向かって移動する時に、この試験片の数が選択要素
２０におけるキャビティ２５の漏斗状の部分またはテー
パー状の各壁部（さらに、存在している場合の一定の配
向要素）により徐々に減少する。最終的に、単一の試験
片３０ａが上記試験片選択要素２０における漏斗状の部
分により残りの試験片３０から分離されて、スロット２
２により選択される。特定の実施形態において、上記容
器２は試験片の選択を容易にするために−γ乃至＋γ
（図９（Ｂ）を参照されたい）により定められる面に沿
って穏やかに揺動される。

【００７７】単一の試験片３０ａが試験片選択要素２０
におけるスロット２２の中に選択されると、一定の個人
はその選択された試験片３０ａを使用可能にする一定の
適当な様式で容器２を単純に取り扱う。例えば、一定の
試験片保持手段が存在していない場合の、本発明の方法
の実施形態の一例において、上記容器２は、図１２にお
いて示されているように選択された試験片３０ａが試験
片選択要素２０におけるスロット２２の中に保持されて
いる状態で他の複数の試験片３０を基部４の中に戻すよ
うにするための一定の程度まで、単に地面に対して実質
的に水平な位置に位置決めされる（この装置の長手軸Ｌ
₂ は地面Ｇに対して実質的に平行に位置決めされる）。
さらに、選択された試験片３０ａに対して接触するため
に、基部４はカバー６から分離される。

【００７８】本発明の方法の特定の別の実施形態におい
て、上記選択された試験片３０ａは上述したような一定
の試験片保持手段によりスロット２２内の一定の位置に
保持できる。すなわち、一定の選択された試験片３０ａ
は上記カバー６における１個以上の壁部を弾性的に変形
することにより、さらに／または、重力制御型の一定の
試験片保持機構１０によりスロット２２内の一定の位置
に保持できる。

【００７９】上記カバー６の１個以上の壁部、を弾性的
に変形することにより一定の試験片を保持する実施形態
においては、一般的に２個の対向している壁部が、図１
３において示されているように、互いに向かってこれら
を押圧することにより係合および弾性的に変形して一定
の試験片３０ａをその間に保持し、容器２が他の複数の
試験片３０をその基部４の中に戻すように位置決めされ
（地面に対して実質的に水平か実質的に直立の位置に位
置決めされ）、さらに明らかなように、これらの工程の
順序を逆にすることも可能である。例えば、図１３にお
いて示されているように、一定の個人がカバー６におけ
る各凹み部分５の弾性的に変形可能な壁部１７および１
８をつかみ、これらの間に一定の試験片３０ａを保持す
るか挟むための一定の程度でこれら弾性的に変形可能な
壁部１７および１８を同時に押圧するために一定の力を
加えることができる。このような各壁部を弾性的に変形
してこれらの間に一定の試験片を保持するために必要と
される力は各壁部の構成材料、および試験片の各寸法等
のような種々のファクターにより変わる。しかしなが
ら、この必要とされる力は一定の器用さが損なわれてい
る個人がこの装置を容易に使用することを可能にする最
小のまたはわずかな程度にすることができる。

【００８０】図１４において示されているように、上記
試験片３０ａがカバー６における弾性的に変形可能な各
壁部１７および１８により一定の位置に保持されると、
この試験片３０ａがカバー６の中に保持されている状態
でこの試験片に接触するように、カバー６が基部４から
除去または分離される。図１４において示されているよ
うに、一定の力がカバー６における各壁部１７および１
８に加えられてこれらを弾性的に変形している状態にお
いて、試験片３０ａは当該試験片３０ａの一部分がスロ
ット２２から延出していて他の一部分がスロット２２の
中、さらに具体的には、試験片選択要素２０における円
錐台形状のキャビティ２５の中に位置決めされている状
態で変形されている各壁部１７および１８の間において
カバー６の中に保持されている。一般的に、上記キャビ
ティ２５の中に延在している部分は一定の計器に対して
接触する試験片３０ａにおける領域である。従って、一
定の個人は、試験片３０ａが弾性的に変形されている各
壁部１７および１８により保持されるように、一定の力
をカバー６に加え続けることにより試験片３０ａをカバ
ー６の内部に残したまま、当該試験片３０ａを一定の計
器に連結した状態でカバー６がその試験片に対応する一
定のハンドルまたはグリップとして作用するような態様
を選択することもできる。このような様式において、一
定の個人は試験片３０ａが一定の計器に対して係合して
いる間および次のサンプル供給の間においてその試験片
３０ａに触れることまたはこれを操作することを必要と
しない。また、試験片を一定の計器に連結する前にその
試験片にサンプルが供給可能である場合の実施形態にお
いては、その試験片の特定の種類および構成により、上
記キャビティ２５の中に延在しているこの試験片の部分
はサンプルを供給する試験片の部分とすることができ、
これにより、使用者は試験片にサンプルを供給するため
に試験片をカバーから取り外す必要がなくなり、そのカ
バーはこの場合に一定のハンドルまたはグリップとして
も使用できる。

【００８１】あるいは、または、さらに上記に加えて、
一定の個人は上記カバー６を基部４から分離した後にい
つでも試験片３０ａをカバー６から取り外すことを選択
できる。すなわち、一定の計器に対する連結の前または
後に、例えば、指または毛抜き等により、例えば、試験
片３０ａの各エッジ部分をつかむ等により、さらに／ま
たは、上記の弾性的に変形可能な各壁部に圧力を解除す
ることにより、試験片３０ａをカバー６から単に把持し
て取り外せる。従って、このカバー６における各壁部１
７および１８に加えられてこれらを弾性的に変形するた
めの力が解除されることにより、これらの壁部１７およ
び１８により試験片３０ａに加えられていた保持力が解
除される。その後、この試験片３０ａは穏やかに引き抜
かれるか引き動かされてカバー６から取り外される。

【００８２】カバー６に対して一定の位置に一定の試験
片を保持するための重力制御型の試験片保持機構１０を
使用している実施形態においては、弾性的に変形する壁
部を備えている一定の試験片保持手段に加えて、または
この代わりに、容器２が図１１において示されているそ
の実質的に逆さまの位置から図１５において示されてい
る実質的に直立の位置まで単に回転または旋回される。
この様式において容器２を取り扱うことにより、重力が
１個以上の接触要素１４を通路１２における開口状の基
端部１２ａに向かう方向に摺動させて、これらがこの開
口状の端部１２ａの近くに静止する。この開口状の端部
１２ａの近くに配置されると、最も基端側の接触要素１
４、すなわち、開口端部１２ａに対して直接的に対応し
て配置されている接触要素１４はこの端部から一定の適
当な距離だけ突出してスロット２２内の試験片３０ａに
係合し、これにより、この試験片３０ａを一定の力で押
圧して、この試験片３０ａを開口端部１２ａの中に配置
されている接触要素１４とスロット２２の壁部との間に
おけるスロット２２の中の一定位置において保持する。
上記接触要素１４が突出する距離は一定の試験片を一定
の位置に保持するために十分な距離であり、この距離は
当該接触要素の寸法、形状および重量、通路１２の中に
配置されている接触要素の数、および通路１２の各寸法
等のような種々のファクターにより変化する。

【００８３】試験片３０ａをスロット２２の中の一定位
置に保持するために当該試験片３０ａの一部分に上記重
力誘導型の試験片保持機構１０により加えられる力は一
定の試験片を一定の位置に保持するために十分な一定の
力であり、その試験片の寸法、および各接触要素１４の
大きさ、形状および重量および構成材料等のような種々
のファクターにより変化する。

【００８４】図１６において示されているように、試験
片３０ａが重力制御型の試験片保持機構１０により一定
位置に保持されると、カバー６が基部４から取り外され
るか分離されて、試験片３０ａがカバー６の中に保持さ
れてこれに対する接触が行なわれる。例えば、容器２を
実質的に直立の位置に維持しながら、一定の個人はカバ
ー６における各凹み部分５を把持してこのカバー６を基
部４から分離できる。図１５および図１６において示さ
れているように、カバー６が実質的に直立の位置の状態
において、試験片３０ａの一部分がスロット２２の中に
配置されていて、他の部分が試験片選択要素２０におけ
る実質的に円錐台形状のキャビティ２５の中に配置され
ているかこれから延出するように、試験片３０ａがカバ
ー６の中に保持されている（すなわち、この試験片３０
ａは重力制御型の試験片保持機構１０により保持されて
いる）。一般的に、このキャビティ２５の中に延在して
いる部分は一定の計器に対して接触する試験片３０ａに
おける領域である。従って、一定の個人は、カバー６が
試験片３０ａに対する一定のハンドルまたはグリップと
して作用するように、重力制御型の試験片保持機構１０
により保持された状態で、試験片３０ａをカバー６の内
部に残すことを選択できる。この様式において、一定の
個人は試験片３０ａを一定の計器に係合する間および次
のサンプル供給の間にこの試験片３０ａに触れることま
たはこれを操作することを必要としない。試験片が一定
の計器に連結される前に一定の試験片にサンプルが供給
可能である実施形態において、その試験片の特定の種類
および構成により、上記キャビティ２５の中に延在して
いるこの試験片の部分はサンプルを供給する試験片の部
分とすることができ、これにより、使用者は試験片にサ
ンプルを供給するために試験片をカバーから取り外す必
要がなくなり、そのカバーはこの場合に一定のハンドル
またはグリップとしても使用できる。

【００８５】あるいは、または、さらに上記に加えて、
一定の個人は上記カバー６を基部４から分離した後にい
つでも試験片３０ａをカバー６から取り外すことを選択
できる。すなわち、一定の計器に対する連結の前または
後に、例えば、指または毛抜き等により、例えば、試験
片３０ａの各エッジ部分をつかむ等により、実質的に直
立状態のカバー６から試験片３０ａを単に把持して、こ
の試験片３０ａを穏やかに引き抜くまたは引き動かすこ
とにより、さらに／または、上記接触部材１４が試験片
３０ａから離れるような一定の位置にカバー６をわずか
に回転または旋回することにより、重力制御型の試験片
保持機構１０から離脱させ、この時点において、この試
験片３０がカバー６から容易に除去可能になる。

【００８６】キット さらに、本発明を実施するためのキットが提供されてい
る。この本発明のキットは少なくとも１個以上の本発明
の試験片分配装置を含む。多くの場合において、複数の
本発明の装置が含まれている。この本発明のキットは１
個以上の試験片、通常において複数の試験片も含むこと
ができる。さらに、このキットは一定の試験片に供給さ
れた一定の生理学的サンプル中の少なくとも１種類の分
析物の存在および／または濃度を自動的に決定するため
の一定の計器を含む。さらに、この本発明のキットは一
定の生理学的サンプルを入手するための一定の要素を含
む。例えば、この生理学的サンプルが血液である場合
に、本発明のキットは指を突刺すための一定のランス、
および一定のランス作動手段等のような一定の血液サン
プルを入手するための要素を含むことができる。加え
て、本発明のキットは、例えば、一定の対照溶液または
基準物質、例えば、一定の既知のグルコース濃度のよう
な一定の既知の分析物濃度を有する一定の対照溶液等
の、上記器具を較正するための一定の較正手段を含むこ
とができる。また、上記キットは試験片を分配するため
の本発明の装置を使用するための各説明書および指示書
も含むことができ、一定の試験片に供給される一定の生
理学的サンプル中の少なくとも１種類の分析物の存在お
よび／または濃度を決定するための各説明書または指示
書も含むことができる。これらの説明書または指示書は
紙またはプラスチック材等の一定の支持体に印刷でき
る。従って、これらの説明書または指示書は上記キット
またはその各部品の容器のラベル中における一定のパッ
ケージ・インサートとして（すなわち、パッケージまた
は補助パッケージに付随して）、上記キット内に存在さ
せることができる。また、別の実施形態において、これ
らの説明書または指示書は、例えば、ＣＤ−ＲＯＭ、ま
たはデイスケット等の適当なコンピューター読取可能な
保管媒体において存在する電子保管データ・ファイルと
して存在する。

【００８７】上記の説明および議論から明らかなよう
に、上記の本発明は簡単で、迅速且つ好都合な試験片の
分配方法を提供する。上記の本発明は容易で低コストの
製造、最少の部品、携帯性、特に視覚的におよび器用さ
において損なわれている各個人に対する使用の容易さ、
および一定の個人の手からの汚染物による最少の試験片
の損傷を含むがこれらに限らない多数の利点を提供す
る。従って、本発明は当該技術分野に一定の有意義な貢
献を提供する。

【００８８】本発明はその最も実用的で好ましい実施形
態と考えられる形態で本明細書において図示および説明
されている。しかしながら、これらの変形および変更が
これらに基づいて行なうことが可能であり、これらの変
形および変更もまた本発明の範囲内に含まれ、さらに、
このような明らかな変更例が本明細書における開示を読
むことにより当該技術分野における熟練者において自然
に考え出せることが認識されると考える。

【００８９】本明細書において開示されている特定の装
置および方法は例示的であり制限的ではないと考えられ
る。従って、関連の技術分野における熟練者において容
易に考え出せると考えられる態様のような、上記の例示
的であり制限的でないという意味に該当して上記におい
て開示されている各概念における種々の等価物の範囲に
含まれる各種変更例は本明細書において記載されている
特許請求の範囲およびその実施態様の範囲に含まれると
考えられる。

【００９０】

【発明の効果】従って、本発明によれば、試験片の分配
において使用するための新しい装置および方法が提供で
き、特に、製造が容易で安価であり、最少数の部品を有
していて、特に視覚的におよび器用さにおいて損なわれ
ている各個人において使用が容易であって、携帯可能で
あり、内部に収容されている各試験片に対する損傷およ
び／または汚染を最少にできる装置および方法が提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の試験片容器の例示的な態様の側面図を示
している。

【図２】図２（Ａ）は本発明と共に使用することに適し
ている典型的な比色定量式の試験片の例示的な態様の斜
視図を示している。図２（Ｂ）は本発明と共に使用する
ことに適している典型的な電気化学式の試験片の例示的
な態様の分解図を示している。

【図３】図３（Ａ）は本発明による主体の試験片容器の
例示的な実施形態の斜視図を示している。図３（Ｂ）は
カバーに凹み部分を有する図３（Ａ）の試験片容器の斜
視図を示している。

【図４】本発明の試験片選択要素を有する本発明の試験
片容器の斜視図を示している。

【図５】上記試験片選択要素により選択された一定の試
験片を有する図４のカバーの拡大図を示している。

【図６】実質的に逆さまであり、内部において選択され
た単一の試験片を有している図５の試験片選択要素の拡
大図を示している。

【図７】本発明による一連の段部を有する主体の試験片
選択要素の断面図を示している。

【図８】図８（Ａ）は本発明の重力制御型試験片保持機
構を有する本発明の試験片容器の斜視図を示している。
図８（Ｂ）は図８（Ａ）の重力制御型試験片保持機構の
拡大図を示している。

【図９】図９（Ａ）は一定の実質的に直立の位置にある
本発明による例示的な装置の斜視図を示している。図９
（Ｂ）は一定の実質的に逆さまの位置にある本発明によ
る例示的な装置の斜視図を示している。

【図１０】一定の適当な位置にある本発明の装置の例示
的な実施形態を示しており、この位置において、上記装
置の基部の中に収容されている複数の試験片が上記カバ
ーの試験片選択要素の中に、すなわち、一定の実質的に
逆さまの位置に移動する。

【図１１】一定の重力制御型試験片保持機構を有してい
て、上記基部の中に収容されている複数の試験片を上記
カバーの試験片選択要素の中に、すなわち、一定の実質
的に逆さまの位置に移動するために適当に位置決めされ
ている本発明の装置の例示的な実施形態を示している。

【図１２】一定の選択された試験片が接触可能になるよ
うに上記カバーが上記基部から分離されている状態の図
１０の装置を示している。

【図１３】一定の選択された試験片を間に保持するため
に弾性的に変形されている各壁部を有する図１０の装置
を示している。

【図１４】一定の選択された試験片が接触可能になるよ
うに上記カバーが上記基部から分離されている状態の図
１２の装置を示している。

【図１５】上記重力制御型試験片保持機構により一定位
置に保持されている一定の選択された試験片を伴う一定
の実質的に直立の位置にある図１１の装置を示してい
る。

【図１６】一定の選択された試験片が接触可能になるよ
うに上記カバーが上記基部から分離されている状態の図
１５の装置を示している。

【図１７】弾性的に変形可能な壁部を有する本発明のカ
バーの例示的な実施形態の斜視図を示している。

【符号の説明】

２ 容器 ４ 基部 ５ 凹み部分 ６ カバー １０ 試験片保持機構 １７，１８ 変形可能な壁部 ２０ 試験片選択要素 ３０，３０ａ 試験片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ギャリー・オタケ アメリカ合衆国、94587 カリフォルニア 州、ユニオン・シティ、マクケオウン・ス トリート 33024 Ｆターム(参考） 2G058 CC09 CC11 CE02 CE03 CF28 GA02 GA11

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも１個の試験片を収容して１回
   に単一の試験片を分配するための装置において、 （ａ）一定の基部、および （ｂ）一定のカバーを備えており、当該カバーが、 （ｉ）一定の連続的に減少している断面積を有する一定
   の試験片選択要素、 （ｉｉ）一定の重力制御型の試験片保持機構、および （ｉｉｉ）弾性的に変形可能な壁部、の内の少なくとも
   １個を有している装置。
2. 【請求項２】 前記装置が、 （ｉ）一定の連続的に減少している断面積を有する一定
   の試験片選択要素、 （ｉｉ）一定の重力制御型の試験片保持機構、および （ｉｉｉ）弾性的に変形可能な壁部、の内の少なくとも
   ２個を備えている請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】 前記装置が、 （ｉ）一定の連続的に減少している断面積を有する一定
   の試験片選択要素、 （ｉｉ）一定の重力制御型の試験片保持機構、および （ｉｉｉ）弾性的に変形可能な壁部、の３個全てを備え
   ている請求項１に記載の装置。
4. 【請求項４】 前記試験片選択要素がさらに当該試験片
   選択要素の中において前記単一の試験片を配向するため
   の一定の配向要素を有している請求項１、請求項２また
   は請求項３のいずれかに記載の装置。
5. 【請求項５】 前記装置がさらに少なくとも１個の試験
   片を備えている請求項１乃至請求項４のいずれかに記載
   の装置。
6. 【請求項６】 少なくとも１個の試験片を収容して１回
   に単一の試験片を選択するための方法において、 （ａ）請求項５に記載の一定の装置を供給する工程、お
   よび （ｂ）前記単一の試験片を前記基部から前記カバーに移
   動させるために、前記装置を地面に対して位置決めする
   工程を含み、 前記単一の試験片が前記カバーの中において選択される
   方法。
7. 【請求項７】 さらに、一定のサンプルを前記選択され
   た試験片に供給する工程を含む請求項６に記載の方法。
8. 【請求項８】 さらに、前記サンプル中の少なくとも１
   種類の分析物の濃度を決定する工程を含む請求項７に記
   載の方法。
9. 【請求項９】 さらに、前記少なくとも１種類の分析物
   の濃度を自動的に決定するための一定の計器の中に前記
   選択された試験片を挿入する工程を含む請求項７に記載
   の方法。
10. 【請求項１０】 少なくとも１個の試験片を収容して１
    回に単一の試験片を分配するためのキットにおいて、 （ａ）請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の少なく
    とも１個の装置、および （ｂ）前記少なくとも１個の装置を使用するための説明
    書を含む一定の支持体を含むキット。