JP2003336064A - 多価アルコール系安定助剤および塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
多価アルコール系安定助剤および塩化ビニル系樹脂組成物Info
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- JP2003336064A JP2003336064A JP2002145625A JP2002145625A JP2003336064A JP 2003336064 A JP2003336064 A JP 2003336064A JP 2002145625 A JP2002145625 A JP 2002145625A JP 2002145625 A JP2002145625 A JP 2002145625A JP 2003336064 A JP2003336064 A JP 2003336064A
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- vinyl chloride
- chloride resin
- polyhydric alcohol
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- Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 塩化ビニル系樹脂に対して優れた初期及び長
期の安定性を付与し、樹脂との相溶性も良好な多価アル
コール系安定助剤を提供する。 【解決手段】エリスリトール類エステル化合物100重
量部にジペンタエリスリトール50〜200重量部を溶
融混合した多価アルコール系安定助剤を配合することに
より、透明性、均一性に優れ、熱安定性が著しく改善さ
れた塩化ビニル系樹脂組成物を得る。
期の安定性を付与し、樹脂との相溶性も良好な多価アル
コール系安定助剤を提供する。 【解決手段】エリスリトール類エステル化合物100重
量部にジペンタエリスリトール50〜200重量部を溶
融混合した多価アルコール系安定助剤を配合することに
より、透明性、均一性に優れ、熱安定性が著しく改善さ
れた塩化ビニル系樹脂組成物を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂
用多価アルコール系安定助剤、および安定性の良好な塩
化ビニル系樹脂組成物に関する。
用多価アルコール系安定助剤、および安定性の良好な塩
化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、安価で耐久性など
優れた物性を有することから、水道管、建材、電線被覆
材、日用品、家具、玩具、自動車、家電、医療用輸液チ
ューブ等、様々な分野で使用されている。一般に塩化ビ
ニル系樹脂は、そのままでは熱や光などで劣化しやすい
ため、安定剤が使用されており、例えば鉛系、スズ系、
亜鉛系などの安定剤が使用されており、最近では環境安
全性の観点で、鉛系からスズ系や亜鉛系への移行が進ん
でいる。しかし亜鉛系安定剤を配合した塩化ビニル系樹
脂組成物は、一旦劣化が始まると塩化亜鉛が生成し、こ
の塩化亜鉛が樹脂の劣化を促進する触媒となるため、急
激に樹脂が劣化する亜鉛焼け現象を引き起こす。これを
抑えるため、従来より多価アルコール系安定助剤の添加
が効果を示すことが知られており、多価アルコール分子
にある複数の水酸基が、塩化亜鉛をキレートすることに
より不活性化すると推定されている。これらの多価アル
コール系安定剤としては、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトールなどの多価アルコールそのものの
他、樹脂との相溶性を上げるために、特開昭55−69
639号公報、特公昭57−61289号公報、特公昭
61−47866号公報に記載されるような多価アルコ
ールを各種カルボン酸で部分エステル化したものなどが
ある。しかしながらこれらの部分エステル化物のペンタ
エリスリトール:カルボン酸の反応におけるモル比は、
1:1〜3:1であり、安定性能に影響する水酸基価が
小さい。この問題を解決するため、特開平8−1437
04号公報では、多価アルコールを二塩基酸でエステル
化し、さらに残っている水酸基を縮合させることによ
り、上記モル比が3:1〜7:1でも未反応のペンタエ
リスリトールを減らし、安定化性能も改善している。上
記のような多価アルコールとカルボン酸のエステル化合
物は、塩化ビニル系樹脂に対して初期の熱安定性に寄与
し、長期安定性を付与するためにジペンタエリスリトー
ル単体を併用していることが多い。しかしながらジペン
タエリスリトールは融点が高いため、微粉砕したもので
も塩化ビニル系樹脂に相溶しにくく、その機能を充分に
引き出すことができなかった。
優れた物性を有することから、水道管、建材、電線被覆
材、日用品、家具、玩具、自動車、家電、医療用輸液チ
ューブ等、様々な分野で使用されている。一般に塩化ビ
ニル系樹脂は、そのままでは熱や光などで劣化しやすい
ため、安定剤が使用されており、例えば鉛系、スズ系、
亜鉛系などの安定剤が使用されており、最近では環境安
全性の観点で、鉛系からスズ系や亜鉛系への移行が進ん
でいる。しかし亜鉛系安定剤を配合した塩化ビニル系樹
脂組成物は、一旦劣化が始まると塩化亜鉛が生成し、こ
の塩化亜鉛が樹脂の劣化を促進する触媒となるため、急
激に樹脂が劣化する亜鉛焼け現象を引き起こす。これを
抑えるため、従来より多価アルコール系安定助剤の添加
が効果を示すことが知られており、多価アルコール分子
にある複数の水酸基が、塩化亜鉛をキレートすることに
より不活性化すると推定されている。これらの多価アル
コール系安定剤としては、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトールなどの多価アルコールそのものの
他、樹脂との相溶性を上げるために、特開昭55−69
639号公報、特公昭57−61289号公報、特公昭
61−47866号公報に記載されるような多価アルコ
ールを各種カルボン酸で部分エステル化したものなどが
ある。しかしながらこれらの部分エステル化物のペンタ
エリスリトール:カルボン酸の反応におけるモル比は、
1:1〜3:1であり、安定性能に影響する水酸基価が
小さい。この問題を解決するため、特開平8−1437
04号公報では、多価アルコールを二塩基酸でエステル
化し、さらに残っている水酸基を縮合させることによ
り、上記モル比が3:1〜7:1でも未反応のペンタエ
リスリトールを減らし、安定化性能も改善している。上
記のような多価アルコールとカルボン酸のエステル化合
物は、塩化ビニル系樹脂に対して初期の熱安定性に寄与
し、長期安定性を付与するためにジペンタエリスリトー
ル単体を併用していることが多い。しかしながらジペン
タエリスリトールは融点が高いため、微粉砕したもので
も塩化ビニル系樹脂に相溶しにくく、その機能を充分に
引き出すことができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、塩化ビニル系樹脂に対して優れた初期及び
長期の安定性を付与し、樹脂との相溶性も良好な多価ア
ルコール系安定助剤を提供することにある。
する課題は、塩化ビニル系樹脂に対して優れた初期及び
長期の安定性を付与し、樹脂との相溶性も良好な多価ア
ルコール系安定助剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、鋭意検討した結果、エリスリトール類エステル化合
物にジペンタエリスリトールを溶融混合させることによ
り、性能バランスの優れた多価アルコール系安定助剤を
調製できることを見出し、本発明の完成に至った。すな
わち本発明は、以下のとおりのものである。 (1)下記(a)または/および(b)より選ばれるエ
リスリトール類エステル化合物100重量部にジペンタ
エリスリトール50〜200重量部を混融した多価アル
コール系安定助剤。 (a)二塩基酸のペンタエリスリトールまたは/および
ジペンタエリスリトールエステル、(b)二塩基酸およ
び一塩基酸の、ペンタエリスリトールまたは/及びジペ
ンタエリスリトール混合エステル、(2)塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して、亜鉛系安定剤0.1〜10
重量部および(1)に記載の多価アルコール系安定助剤
0.1〜10重量部を配合することを特徴とする塩化ビ
ニル系樹脂組成物。(3)亜鉛系安定剤が、カルシウム
−亜鉛系または/およびバリウム−亜鉛系安定剤である
(2)に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
め、鋭意検討した結果、エリスリトール類エステル化合
物にジペンタエリスリトールを溶融混合させることによ
り、性能バランスの優れた多価アルコール系安定助剤を
調製できることを見出し、本発明の完成に至った。すな
わち本発明は、以下のとおりのものである。 (1)下記(a)または/および(b)より選ばれるエ
リスリトール類エステル化合物100重量部にジペンタ
エリスリトール50〜200重量部を混融した多価アル
コール系安定助剤。 (a)二塩基酸のペンタエリスリトールまたは/および
ジペンタエリスリトールエステル、(b)二塩基酸およ
び一塩基酸の、ペンタエリスリトールまたは/及びジペ
ンタエリスリトール混合エステル、(2)塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して、亜鉛系安定剤0.1〜10
重量部および(1)に記載の多価アルコール系安定助剤
0.1〜10重量部を配合することを特徴とする塩化ビ
ニル系樹脂組成物。(3)亜鉛系安定剤が、カルシウム
−亜鉛系または/およびバリウム−亜鉛系安定剤である
(2)に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においてエリスリトール類
エステルの調製に用いる二塩基酸としては、1分子内に
カルボキシル基を2個有する炭化水素化合物であればよ
く、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、トリカル
バリル酸、セバシン酸等の脂肪族飽和二塩基酸、マレイ
ン酸、フマル酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和二塩基
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの炭素
環式二塩基酸を挙げることができる。これらの二塩基酸
は単独で使用してもよく、複数種を用いてもよい。また
本発明においては、これらの二塩基酸がペンタエリスリ
トールとエステル結合した生成物が得られればよいの
で、これらの二塩基酸の無水物を用いてもよい。エリス
リトール類エステルの調製に用いる一塩基酸としては、
1分子内にカルボキシル基を1個有する炭化水素化合物
であればよく、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル
酸、酪酸、イソ酪酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、ソルビ
ン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリ
ン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチ
ン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、オレイン酸、エ
ライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、
アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸などを挙げること
ができるが、樹脂との相溶性の観点からは、ラウリン
酸、あるいはステアリン酸が好適である。
エステルの調製に用いる二塩基酸としては、1分子内に
カルボキシル基を2個有する炭化水素化合物であればよ
く、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、トリカル
バリル酸、セバシン酸等の脂肪族飽和二塩基酸、マレイ
ン酸、フマル酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和二塩基
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの炭素
環式二塩基酸を挙げることができる。これらの二塩基酸
は単独で使用してもよく、複数種を用いてもよい。また
本発明においては、これらの二塩基酸がペンタエリスリ
トールとエステル結合した生成物が得られればよいの
で、これらの二塩基酸の無水物を用いてもよい。エリス
リトール類エステルの調製に用いる一塩基酸としては、
1分子内にカルボキシル基を1個有する炭化水素化合物
であればよく、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル
酸、酪酸、イソ酪酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、ソルビ
ン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリ
ン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチ
ン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、オレイン酸、エ
ライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、
アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸などを挙げること
ができるが、樹脂との相溶性の観点からは、ラウリン
酸、あるいはステアリン酸が好適である。
【0006】また、エリスリトール類エステルの調製に
用いるペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール
の形態は、溶融状態で反応させるため、粉末状、フレー
ク状などのいかなる形態であっても差し支えない。ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトールの添加量
は、二塩基酸1モルに対して1.5〜6.5モルで、こ
れより少ないと水酸基価が小さく安定化性能が低下し、
これより多いと特にペンタエリスリトールのエステルの
場合、未反応のペンタエリスリトールが多くなり、目的
とする多価アルコール系安定助剤中、さらには塩化ビニ
ル樹脂中に混入して昇華性増大による成形機の汚染など
が発生し易くなるため好ましくない。未反応のペンタエ
リスリトールの残存量は好ましくは15%以下、さらに
好ましくは10%以下である。
用いるペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール
の形態は、溶融状態で反応させるため、粉末状、フレー
ク状などのいかなる形態であっても差し支えない。ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトールの添加量
は、二塩基酸1モルに対して1.5〜6.5モルで、こ
れより少ないと水酸基価が小さく安定化性能が低下し、
これより多いと特にペンタエリスリトールのエステルの
場合、未反応のペンタエリスリトールが多くなり、目的
とする多価アルコール系安定助剤中、さらには塩化ビニ
ル樹脂中に混入して昇華性増大による成形機の汚染など
が発生し易くなるため好ましくない。未反応のペンタエ
リスリトールの残存量は好ましくは15%以下、さらに
好ましくは10%以下である。
【0007】このため、未反応のペンタエリスリトール
を減らす目的で、酸触媒を用いてペンタエリスリトール
を脱水縮合させることができる。酸触媒としては、エス
テル化及びエーテル化反応を促進するものであれば何ら
制限されず、例えばリン酸、硫酸、p−トルエンスルホ
ン酸、スルファミン酸など、あるいはテトラブチルチタ
ネートなどのルイス酸類が挙げられ、反応生成物中に残
存し、目的とする多価アルコール系安定助剤に混入して
も、性能への影響が少ないという観点から、p−トルエ
ンスルホン酸が好適である。酸触媒の添加量は、適当な
反応速度という観点から、ペンタエリスリトールに対し
て0.01〜5重量%である。これより少ないと反応速
度が著しく遅く、これより多くしても反応速度は速くな
らない。このようにして未反応のペンタエリスリトール
を減らすことができるが、この場合にもペンタエリスリ
トールの添加量を二塩基酸1モルに対して6.5モル以
上として無理に縮合させると、ゲル化することがあるの
で好ましくない。一塩基酸の使用量は、ペンタエリスリ
トールまたは/およびジペンタエリスリトール1モルに
対して0.1〜3モル、好ましくは0.5〜2モルであ
る。ペンタエリスリトールまたは/およびジペンタエリ
スリトールと二塩基酸および一塩基酸とのエステル化反
応は、これらの原料を加熱溶融することによって行う。
反応温度は、使用する原料によるが、通常約100〜2
80℃程度、好ましくは150〜240℃であり、これ
より低いと反応の進行が遅く、これより高いと縮合反応
を制御しにくくなるので好ましくない。
を減らす目的で、酸触媒を用いてペンタエリスリトール
を脱水縮合させることができる。酸触媒としては、エス
テル化及びエーテル化反応を促進するものであれば何ら
制限されず、例えばリン酸、硫酸、p−トルエンスルホ
ン酸、スルファミン酸など、あるいはテトラブチルチタ
ネートなどのルイス酸類が挙げられ、反応生成物中に残
存し、目的とする多価アルコール系安定助剤に混入して
も、性能への影響が少ないという観点から、p−トルエ
ンスルホン酸が好適である。酸触媒の添加量は、適当な
反応速度という観点から、ペンタエリスリトールに対し
て0.01〜5重量%である。これより少ないと反応速
度が著しく遅く、これより多くしても反応速度は速くな
らない。このようにして未反応のペンタエリスリトール
を減らすことができるが、この場合にもペンタエリスリ
トールの添加量を二塩基酸1モルに対して6.5モル以
上として無理に縮合させると、ゲル化することがあるの
で好ましくない。一塩基酸の使用量は、ペンタエリスリ
トールまたは/およびジペンタエリスリトール1モルに
対して0.1〜3モル、好ましくは0.5〜2モルであ
る。ペンタエリスリトールまたは/およびジペンタエリ
スリトールと二塩基酸および一塩基酸とのエステル化反
応は、これらの原料を加熱溶融することによって行う。
反応温度は、使用する原料によるが、通常約100〜2
80℃程度、好ましくは150〜240℃であり、これ
より低いと反応の進行が遅く、これより高いと縮合反応
を制御しにくくなるので好ましくない。
【0008】本発明の多価アルコール系安定助剤は、上
記のエリスリトール類エステル化合物とジペンタエリス
リトールを加熱溶融混合することで得られる。溶融混合
温度は通常約110〜300℃程度、好ましくは160
〜250℃程度であり、これより低いと各原料が融解せ
ず、これより高いと分解反応などが起こり好ましくな
い。溶融物が均一にほぼ透明になった時点で冷却する
が、この冷却時間があまり長すぎると、各成分の結晶が
成長し、混融状態を保持できなく恐れがあるため、2時
間以内に100℃以下に冷却することが好ましい。ジペ
ンタエリスリトールの混合比率は、エリスリトール類エ
ステル化合物100重量部に対して50〜200重量部
で、これより少ないと生成する多価アルコール系安定助
剤が長期安定性の点で好ましくなく、これより多いと生
成する多価アルコール系安定助剤の融点が高くなって樹
脂との相溶性が低下するため好ましくない。
記のエリスリトール類エステル化合物とジペンタエリス
リトールを加熱溶融混合することで得られる。溶融混合
温度は通常約110〜300℃程度、好ましくは160
〜250℃程度であり、これより低いと各原料が融解せ
ず、これより高いと分解反応などが起こり好ましくな
い。溶融物が均一にほぼ透明になった時点で冷却する
が、この冷却時間があまり長すぎると、各成分の結晶が
成長し、混融状態を保持できなく恐れがあるため、2時
間以内に100℃以下に冷却することが好ましい。ジペ
ンタエリスリトールの混合比率は、エリスリトール類エ
ステル化合物100重量部に対して50〜200重量部
で、これより少ないと生成する多価アルコール系安定助
剤が長期安定性の点で好ましくなく、これより多いと生
成する多価アルコール系安定助剤の融点が高くなって樹
脂との相溶性が低下するため好ましくない。
【0009】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物におい
て、使用される塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデンの単独重合物の他、エチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル等のオレフィンモノマーとの
コポリマーやこれらのポリマーのブレンド品であっても
良く、その重合度や粒径の大小は問わない。樹脂組成物
に配合される亜鉛系安定剤としては、亜鉛を含有する物
質であれば特に制限されないが、例えば、金属部分に亜
鉛を含有する金属石鹸を挙げることができる。すなわ
ち、脂肪酸部分が例えばステアリン酸、リシノレイン
酸、パルミチン酸、オクチル酸、安息香酸、サリチル酸
などであり、金属部分が亜鉛、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウムあるいはバリウムなどである金属石鹸
のうち、金属部分が亜鉛であるものとその他の金属石鹸
を、例えばナトリウムと亜鉛、カルシウムと亜鉛、マグ
ネシウムと亜鉛、バリウムと亜鉛等の様に組み合わせて
使用するか、市販の亜鉛系複合安定剤を使用すれば良
い。安定剤の形態は、液状、粉末状などとして特に限定
されない。
て、使用される塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデンの単独重合物の他、エチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル等のオレフィンモノマーとの
コポリマーやこれらのポリマーのブレンド品であっても
良く、その重合度や粒径の大小は問わない。樹脂組成物
に配合される亜鉛系安定剤としては、亜鉛を含有する物
質であれば特に制限されないが、例えば、金属部分に亜
鉛を含有する金属石鹸を挙げることができる。すなわ
ち、脂肪酸部分が例えばステアリン酸、リシノレイン
酸、パルミチン酸、オクチル酸、安息香酸、サリチル酸
などであり、金属部分が亜鉛、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウムあるいはバリウムなどである金属石鹸
のうち、金属部分が亜鉛であるものとその他の金属石鹸
を、例えばナトリウムと亜鉛、カルシウムと亜鉛、マグ
ネシウムと亜鉛、バリウムと亜鉛等の様に組み合わせて
使用するか、市販の亜鉛系複合安定剤を使用すれば良
い。安定剤の形態は、液状、粉末状などとして特に限定
されない。
【0010】樹脂組成物中の、亜鉛系安定剤の配合量
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0.1〜10
重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、多価アル
コール系安定助剤の配合量は塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5
重量部である。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、該
組成物の使用目的により、可塑剤を配合した軟質系にし
ても良い。その場合の配合量は、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対して、可塑剤を1〜150重量部である。
また可塑剤としては、ジオクチルフタレート(ジ−2−
エチルヘキシルフタレート)、ジイソデシルフタレート
等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル、アゼラ
イン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリオクチル等のリン酸エステ
ル、エポキシ化大豆油、塩化パラフィン、その他の可塑
剤が挙げられ、これらを単独または2種以上併用しても
良い。
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0.1〜10
重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、多価アル
コール系安定助剤の配合量は塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5
重量部である。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、該
組成物の使用目的により、可塑剤を配合した軟質系にし
ても良い。その場合の配合量は、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対して、可塑剤を1〜150重量部である。
また可塑剤としては、ジオクチルフタレート(ジ−2−
エチルヘキシルフタレート)、ジイソデシルフタレート
等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル、アゼラ
イン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリオクチル等のリン酸エステ
ル、エポキシ化大豆油、塩化パラフィン、その他の可塑
剤が挙げられ、これらを単独または2種以上併用しても
良い。
【0011】さらに本発明の塩化ビニル系樹脂組成物に
は、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で、そ
の他の添加剤、例えば、亜鉛系安定剤以外の安定剤、有
機または無機の充填剤、有機または無機の顔料、染料、
滑剤、整泡剤、発泡剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、帯電防止剤、造核剤を1種または複数
種併用して添加することができる。亜鉛系安定剤以外の
安定剤としてはスズ系安定剤などが、充填剤としては、
ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの繊維類、ケイ
砂、ケイ石、カーボンブラック、黒鉛、酸化チタン、酸
化鉄黒、亜鉛黄、ベンガラ、ウルトラマリンバイオレッ
ト、亜鉛緑、酸化鉄黄等の顔料、合成ケイ酸塩、白亜、
炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、
硫酸バリウム、クレイ、タルク、シリカ、ワラストナイ
ト、ケイ酸カルシウム、石膏、アルミニウム粉、亜鉛
末、亜酸化鉛、MO・Fe2O3(MはBa、Sr、C
a、Mg、Zn、Pbの1種又は2種以上)からなるフ
ェライト磁性粉末、あるいは鉛などが、顔料としては各
種金属の酸化物、硫化物、あるいは硫酸塩などが、染料
としてはフタロシアニン系、キナクリドン系、あるいは
ベンジジン系のものなどが、滑剤としては脂肪酸、脂肪
酸の金属石鹸、あるいは脂肪酸アミドなどが、整泡剤と
してはシリコーン油、あるいは高級脂肪族アルコールな
どが、発泡剤としてはアゾビスイソブチロニトリルなど
が、難燃剤としてはハロゲン系化合物、リン化合物、三
酸化アンチモン、あるいは水酸化マグネシウムや水酸化
アルミニウムなどの水酸化物などが、酸化防止剤として
はハイドロキノン系、フェノール系、リン系、アミン
系、あるいは硫黄系化合物などが、紫外線吸収剤ないし
光安定剤としてはベンゾフェノン系、サリチル酸エステ
ル系、ベンゾトリアゾール系化合物などが、帯電防止剤
としてはアニオン系、カチオン系または非イオン系活性
剤、両性活性剤、あるいは活性剤混合物などが、造核剤
としてはアジピン酸や安息香酸ナトリウムなどが例示さ
れる。
は、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で、そ
の他の添加剤、例えば、亜鉛系安定剤以外の安定剤、有
機または無機の充填剤、有機または無機の顔料、染料、
滑剤、整泡剤、発泡剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、帯電防止剤、造核剤を1種または複数
種併用して添加することができる。亜鉛系安定剤以外の
安定剤としてはスズ系安定剤などが、充填剤としては、
ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの繊維類、ケイ
砂、ケイ石、カーボンブラック、黒鉛、酸化チタン、酸
化鉄黒、亜鉛黄、ベンガラ、ウルトラマリンバイオレッ
ト、亜鉛緑、酸化鉄黄等の顔料、合成ケイ酸塩、白亜、
炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、
硫酸バリウム、クレイ、タルク、シリカ、ワラストナイ
ト、ケイ酸カルシウム、石膏、アルミニウム粉、亜鉛
末、亜酸化鉛、MO・Fe2O3(MはBa、Sr、C
a、Mg、Zn、Pbの1種又は2種以上)からなるフ
ェライト磁性粉末、あるいは鉛などが、顔料としては各
種金属の酸化物、硫化物、あるいは硫酸塩などが、染料
としてはフタロシアニン系、キナクリドン系、あるいは
ベンジジン系のものなどが、滑剤としては脂肪酸、脂肪
酸の金属石鹸、あるいは脂肪酸アミドなどが、整泡剤と
してはシリコーン油、あるいは高級脂肪族アルコールな
どが、発泡剤としてはアゾビスイソブチロニトリルなど
が、難燃剤としてはハロゲン系化合物、リン化合物、三
酸化アンチモン、あるいは水酸化マグネシウムや水酸化
アルミニウムなどの水酸化物などが、酸化防止剤として
はハイドロキノン系、フェノール系、リン系、アミン
系、あるいは硫黄系化合物などが、紫外線吸収剤ないし
光安定剤としてはベンゾフェノン系、サリチル酸エステ
ル系、ベンゾトリアゾール系化合物などが、帯電防止剤
としてはアニオン系、カチオン系または非イオン系活性
剤、両性活性剤、あるいは活性剤混合物などが、造核剤
としてはアジピン酸や安息香酸ナトリウムなどが例示さ
れる。
【0012】
【本発明の作用】本発明により得られる効果は以下の機
構で発現するものと考えられる。従来から知られている
多価アルコールとカルボン酸のエステル化合物は、塩化
ビニル系樹脂に対して初期の熱安定性に寄与するが、長
期安定性付与効果においては劣るものであった。他方、
ジペンタエリスリトールは長期安定性を付与するが、融
点が高く、塩化ビニル系樹脂に相溶しにくいという問題
があった。これに対し本発明の混合溶融品は、ジペンタ
エリスリトールが、融点が低く相溶化剤のような効果も
有するエリスリトール類エステルに分子レベルで溶解し
ているため、融点が下がり、樹脂中に均一に相溶すると
考えられる。
構で発現するものと考えられる。従来から知られている
多価アルコールとカルボン酸のエステル化合物は、塩化
ビニル系樹脂に対して初期の熱安定性に寄与するが、長
期安定性付与効果においては劣るものであった。他方、
ジペンタエリスリトールは長期安定性を付与するが、融
点が高く、塩化ビニル系樹脂に相溶しにくいという問題
があった。これに対し本発明の混合溶融品は、ジペンタ
エリスリトールが、融点が低く相溶化剤のような効果も
有するエリスリトール類エステルに分子レベルで溶解し
ているため、融点が下がり、樹脂中に均一に相溶すると
考えられる。
【0013】
【実施例】次に、本発明について、その内容を実施例及
び比較例を挙げて詳細に説明する。なお、以下の実施例
は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の内容
をより明確に示すために記載されたものである。 (実施例1)多価アルコール系安定助剤の調製(1) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)146g、ペ
ンタエリスリトール(東京化成製)816g及びp−ト
ルエンスルホン酸(純正化学製)1.4gを仕込み、1
80℃で1時間加熱、さらに230℃で1時間加熱した
後、ジペンタエリスリトールを1kg投入し、反応液が
透明になるまで攪拌した。その後、この反応液をバット
に流し込み、室温まで冷却、粉砕して60メッシュパス
の篩いにかけて白色粉末を得た。以下、この反応物をP
E−1と称する。 (実施例2)多価アルコール系安定助剤の調製(2) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)146g及び
ジペンタエリスリトール(東京化成製)508gを仕込
み、180℃で1時間加熱、さらに230℃で1時間加
熱した後、ジペンタエリスリトールを1kg投入し、反
応液が透明になるまで攪拌した。その後、この反応液を
バットに流し込み、室温まで冷却、粉砕して60メッシ
ュパスの篩いにかけて白色粉末を得た。以下、この反応
物をPE−2と称する。
び比較例を挙げて詳細に説明する。なお、以下の実施例
は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の内容
をより明確に示すために記載されたものである。 (実施例1)多価アルコール系安定助剤の調製(1) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)146g、ペ
ンタエリスリトール(東京化成製)816g及びp−ト
ルエンスルホン酸(純正化学製)1.4gを仕込み、1
80℃で1時間加熱、さらに230℃で1時間加熱した
後、ジペンタエリスリトールを1kg投入し、反応液が
透明になるまで攪拌した。その後、この反応液をバット
に流し込み、室温まで冷却、粉砕して60メッシュパス
の篩いにかけて白色粉末を得た。以下、この反応物をP
E−1と称する。 (実施例2)多価アルコール系安定助剤の調製(2) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)146g及び
ジペンタエリスリトール(東京化成製)508gを仕込
み、180℃で1時間加熱、さらに230℃で1時間加
熱した後、ジペンタエリスリトールを1kg投入し、反
応液が透明になるまで攪拌した。その後、この反応液を
バットに流し込み、室温まで冷却、粉砕して60メッシ
ュパスの篩いにかけて白色粉末を得た。以下、この反応
物をPE−2と称する。
【0014】(実施例3)多価アルコール系安定助剤の
調製(3) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)146g、ジ
ペンタエリスリトール(東京化成製)508g及びステ
アリン酸(純正化学製)284gを仕込み、180℃で
1時間加熱、さらに230℃で1時間加熱した後、ジペ
ンタエリスリトールを1kg投入し、反応液が透明にな
るまで攪拌した。その後、この反応液をバットに流し込
み、室温まで冷却、粉砕して60メッシュパスの篩いに
かけて白色粉末を得た。以下、この反応物をPE−3と
称する。 (実施例4)多価アルコール系安定助剤の調製(4) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、無水フタル酸(純正化学製)12.4
g、ラウリン酸(純正化学製)16.8g、ジペンタエ
リスリトール(東京化成製)42.7g及びテトラブチ
ルチタネート(東京化成製)0.01重量部を仕込み窒
素気流下で180℃まで1時間かけて昇温し、180℃
で2時間加熱した後、ジペンタエリスリトールを100
g投入し、反応液が透明になるまで攪拌した。その後、
この反応液をバットに流し込み、室温まで冷却、粉砕し
て60メッシュパスの篩いにかけて白色粉末を得た。以
下、この反応物をPE−4と称する。
調製(3) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)146g、ジ
ペンタエリスリトール(東京化成製)508g及びステ
アリン酸(純正化学製)284gを仕込み、180℃で
1時間加熱、さらに230℃で1時間加熱した後、ジペ
ンタエリスリトールを1kg投入し、反応液が透明にな
るまで攪拌した。その後、この反応液をバットに流し込
み、室温まで冷却、粉砕して60メッシュパスの篩いに
かけて白色粉末を得た。以下、この反応物をPE−3と
称する。 (実施例4)多価アルコール系安定助剤の調製(4) 温度計、攪拌機、窒素導入入口及び還流管を備えた反応
フラスコ内に、無水フタル酸(純正化学製)12.4
g、ラウリン酸(純正化学製)16.8g、ジペンタエ
リスリトール(東京化成製)42.7g及びテトラブチ
ルチタネート(東京化成製)0.01重量部を仕込み窒
素気流下で180℃まで1時間かけて昇温し、180℃
で2時間加熱した後、ジペンタエリスリトールを100
g投入し、反応液が透明になるまで攪拌した。その後、
この反応液をバットに流し込み、室温まで冷却、粉砕し
て60メッシュパスの篩いにかけて白色粉末を得た。以
下、この反応物をPE−4と称する。
【0015】(比較例1)エリスリトール類エステル化
合物の調製(1) ジペンタエリスリトールを投入しないことを除いては実
施例1と同様にして白色粉末を得た。以下、この反応物
をPE−5と称する。 (比較例2)エリスリトール類エステル化合物の調製
(2) ジペンタエリスリトールを追加投入しないことを除いて
は実施例2と同様にして白色粉末を得た。以下、この反
応物をPE−6と称する。 (比較例3)エリスリトール類エステル化合物の調製
(3) ジペンタエリスリトールを追加投入しないことを除いて
は実施例3と同様にして白色粉末を得た。以下、この反
応物をPE−7と称する。 (比較例4)エリスリトール類エステル化合物の調製
(4) ジペンタエリスリトールを追加投入しないことを除いて
は実施例4と同様にして白色粉末を得た。以下、この反
応物をPE−8と称する。
合物の調製(1) ジペンタエリスリトールを投入しないことを除いては実
施例1と同様にして白色粉末を得た。以下、この反応物
をPE−5と称する。 (比較例2)エリスリトール類エステル化合物の調製
(2) ジペンタエリスリトールを追加投入しないことを除いて
は実施例2と同様にして白色粉末を得た。以下、この反
応物をPE−6と称する。 (比較例3)エリスリトール類エステル化合物の調製
(3) ジペンタエリスリトールを追加投入しないことを除いて
は実施例3と同様にして白色粉末を得た。以下、この反
応物をPE−7と称する。 (比較例4)エリスリトール類エステル化合物の調製
(4) ジペンタエリスリトールを追加投入しないことを除いて
は実施例4と同様にして白色粉末を得た。以下、この反
応物をPE−8と称する。
【0016】(実施例5)塩化ビニル樹脂組成物の調製
(1) ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ(株)製1000Z、
重合度1050)100重量部、ジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート(花王(株)製、ビニサイザー80)50
重量部、ステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、GP)
1重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)
製、GP)1重量部、および実施例1で得られたPE−
1の1重量部を、155℃で5分間、加熱ロールで混練
した後、155℃、100kg/cm2で5分間、加熱
プレス機にてプレスして厚さ1mmのシートを得た。こ
の段階でシートの透明性を目視にて観察した。また、こ
のシートをギアオーブン中180℃で加熱して熱着色を
10分間隔で目視にて観察し、茶色に変色した時間を確
認した(表1)。
(1) ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ(株)製1000Z、
重合度1050)100重量部、ジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート(花王(株)製、ビニサイザー80)50
重量部、ステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、GP)
1重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)
製、GP)1重量部、および実施例1で得られたPE−
1の1重量部を、155℃で5分間、加熱ロールで混練
した後、155℃、100kg/cm2で5分間、加熱
プレス機にてプレスして厚さ1mmのシートを得た。こ
の段階でシートの透明性を目視にて観察した。また、こ
のシートをギアオーブン中180℃で加熱して熱着色を
10分間隔で目視にて観察し、茶色に変色した時間を確
認した(表1)。
【0017】(実施例6)塩化ビニル樹脂組成物の調製
(2) PE−1の代わりにPE−2を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (実施例7)塩化ビニル樹脂組成物の調製(3) PE−1の代わりにPE−3を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (実施例8)塩化ビニル樹脂組成物の調製(4) PE−1の代わりにPE−4を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。
(2) PE−1の代わりにPE−2を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (実施例7)塩化ビニル樹脂組成物の調製(3) PE−1の代わりにPE−3を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (実施例8)塩化ビニル樹脂組成物の調製(4) PE−1の代わりにPE−4を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。
【0018】(比較例5)塩化ビニル樹脂組成物の調製
(5) PE−1の代わりにPE−5を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (比較例6)塩化ビニル樹脂組成物の調製(6) PE−1の代わりにPE−6を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (比較例7)塩化ビニル樹脂組成物の調製(7) PE−1の代わりにPE−7を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (比較例8)塩化ビニル樹脂組成物の調製(8) PE−1の代わりにPE−8を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。
(5) PE−1の代わりにPE−5を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (比較例6)塩化ビニル樹脂組成物の調製(6) PE−1の代わりにPE−6を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (比較例7)塩化ビニル樹脂組成物の調製(7) PE−1の代わりにPE−7を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。 (比較例8)塩化ビニル樹脂組成物の調製(8) PE−1の代わりにPE−8を使用すること以外は実施
例5と同様にしてシートを作成し、透明性と熱着色を目
視にて観察した(表1)。
【0019】(比較例9)塩化ビニル樹脂組成物の調製
(9) PE−1の代わりに、ジペンタエリスリトール(東京化
成製)を粉砕し60メッシュパスの篩いにかけたものを
使用すること以外は実施例5と同様にしてシートを作成
し、透明性と熱着色を目視にて観察した(表1)。 (比較例10)塩化ビニル樹脂組成物の調製(10) PE−1を1重量部の代わりに、PE−5を0.5重量
部及びジペンタエリスリトール(東京化成製)を粉砕し
60メッシュパスの篩いにかけたものを0.5重量部使
用すること以外は実施例5と同様にしてシートを作成
し、透明性と熱着色を目視にて観察した(表1)。 (比較例11)塩化ビニル樹脂組成物の調製(11) PE−1を1重量部の代わりに、PE−7を0.5重量
部及びジペンタエリスリトール(東京化成製)を粉砕し
60メッシュパスの篩いにかけたものを0.5重量部使
用すること以外は実施例5と同様にしてシートを作成
し、透明性と熱着色を目視にて観察した(表1)。実施
例5〜8および比較例5〜11の実験結果は表1に示す
とおりであり、本発明の安定助剤は樹脂との相溶性がよ
いためにこれを配合した実施例5〜8のシートは、エリ
スリトール類エステル化合物(比較例5〜8)あるいは
ジペンタエリスリトール(比較例9)を配合したものに
比較して初期透明性に優れ、熱着色に対する安定化性能
においても顕著に向上する。
(9) PE−1の代わりに、ジペンタエリスリトール(東京化
成製)を粉砕し60メッシュパスの篩いにかけたものを
使用すること以外は実施例5と同様にしてシートを作成
し、透明性と熱着色を目視にて観察した(表1)。 (比較例10)塩化ビニル樹脂組成物の調製(10) PE−1を1重量部の代わりに、PE−5を0.5重量
部及びジペンタエリスリトール(東京化成製)を粉砕し
60メッシュパスの篩いにかけたものを0.5重量部使
用すること以外は実施例5と同様にしてシートを作成
し、透明性と熱着色を目視にて観察した(表1)。 (比較例11)塩化ビニル樹脂組成物の調製(11) PE−1を1重量部の代わりに、PE−7を0.5重量
部及びジペンタエリスリトール(東京化成製)を粉砕し
60メッシュパスの篩いにかけたものを0.5重量部使
用すること以外は実施例5と同様にしてシートを作成
し、透明性と熱着色を目視にて観察した(表1)。実施
例5〜8および比較例5〜11の実験結果は表1に示す
とおりであり、本発明の安定助剤は樹脂との相溶性がよ
いためにこれを配合した実施例5〜8のシートは、エリ
スリトール類エステル化合物(比較例5〜8)あるいは
ジペンタエリスリトール(比較例9)を配合したものに
比較して初期透明性に優れ、熱着色に対する安定化性能
においても顕著に向上する。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上のように、本発明の多価アルコール
系安定助剤は塩化ビニル系樹脂との相溶性がよいため、
同安定助剤を配合した塩化ビニル系樹脂組成物は、透明
性、均一性に優れ、熱安定性が著しく改善される。
系安定助剤は塩化ビニル系樹脂との相溶性がよいため、
同安定助剤を配合した塩化ビニル系樹脂組成物は、透明
性、均一性に優れ、熱安定性が著しく改善される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4H025 AA01 AA12 AA13 AA14 AC01
4J002 BD041 BD061 BD081 BD091
BD101 EG046 EG076 EH047
EH077 EH097 EH107 EH147
FD066 FD067 GL00
Claims (3)
- 【請求項1】 下記(a)または/および(b)より選
ばれるエリスリトール類エステル化合物100重量部に
ジペンタエリスリトール50〜200重量部を溶融混合
した多価アルコール系安定助剤。 (a)二塩基酸のペンタエリスリトールまたは/および
ジペンタエリスリトールエステル、(b)二塩基酸およ
び一塩基酸の、ペンタエリスリトールまたは/およびジ
ペンタエリスリトール混合エステル、 - 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、亜鉛系安定剤0.1〜10重量部および請求項1記
載の多価アルコール系安定助剤0.1〜10重量部を配
合することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。 - 【請求項3】 亜鉛系安定剤が、カルシウム−亜鉛系ま
たは/およびバリウム−亜鉛系安定剤である請求項2記
載の塩化ビニル系樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002145625A JP2003336064A (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | 多価アルコール系安定助剤および塩化ビニル系樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002145625A JP2003336064A (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | 多価アルコール系安定助剤および塩化ビニル系樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003336064A true JP2003336064A (ja) | 2003-11-28 |
Family
ID=29704856
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002145625A Withdrawn JP2003336064A (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | 多価アルコール系安定助剤および塩化ビニル系樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003336064A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009069491A1 (ja) | 2007-11-28 | 2009-06-04 | Adeka Corporation | 塩素含有樹脂用安定剤及び塩素含有樹脂組成物 |
WO2012169081A1 (ja) * | 2011-06-09 | 2012-12-13 | リケンテクノス株式会社 | 塩化ビニル樹脂組成物 |
-
2002
- 2002-05-21 JP JP2002145625A patent/JP2003336064A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009069491A1 (ja) | 2007-11-28 | 2009-06-04 | Adeka Corporation | 塩素含有樹脂用安定剤及び塩素含有樹脂組成物 |
US8372907B2 (en) | 2007-11-28 | 2013-02-12 | Adeka Corporation | Stabilizer for chlorine-containing resins and chlorine-containing resin composition |
WO2012169081A1 (ja) * | 2011-06-09 | 2012-12-13 | リケンテクノス株式会社 | 塩化ビニル樹脂組成物 |
JP2012255104A (ja) * | 2011-06-09 | 2012-12-27 | Riken Technos Corp | 塩化ビニル樹脂組成物 |
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---|---|---|---|
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Effective date: 20050117 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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