JP2003335520A - Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜の酸化処理による酸化チタンウイスカーの製造方法 - Google Patents

Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜の酸化処理による酸化チタンウイスカーの製造方法

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JP2003335520A
JP2003335520A JP2002145878A JP2002145878A JP2003335520A JP 2003335520 A JP2003335520 A JP 2003335520A JP 2002145878 A JP2002145878 A JP 2002145878A JP 2002145878 A JP2002145878 A JP 2002145878A JP 2003335520 A JP2003335520 A JP 2003335520A
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titanium oxide
alloy coating
photocatalyst
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Tadao Kaneko
忠夫 金子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒担体などとしての有用性を持った物質
の製造法の開発。 【構成】 Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜
を酸化性雰囲気中で加熱して該合金被膜の表面側から酸
化処理することにより該合金被膜の表面から酸化チタン
ウイスカーを成長させることを特徴とする酸化チタンウ
イスカーの製造方法。該合金被膜はスパッタリングで形
成した圧縮応力を有する被膜であることが好ましい。こ
の製造方法で基材表面に密集して形成した酸化チタンウ
イスカーに厚み数μm程度の薄いチタニアなどの光触媒
物質を強固に担持させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化チタンウイス
カーの新規な製造方法、該方法により得られた酸化チタ
ンウイスカー、さらに該方法により基材表面に密集して
形成した酸化チタンウイスカーに光触媒物質を担持させ
て光触媒層を形成する光触媒構造体の製造方法、該方法
により得られた光触媒構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に関する人々の関心は高
く、環境汚染物質の排出を抑制するなどの社会的問題ば
かりでなく、個人の生活環境改善を目的とした環境浄化
技術の開発も多方面で積極的に行われている。
【0003】酸化チタン光触媒などの半導体光触媒は、
紫外線照射下で酸化力の強い正孔を作り、防臭、防汚な
どの効果を発揮する。近時、二酸化チタン光触媒を活用
して、アルデヒド等の臭気物質や窒素酸化物などの有害
物質の分解除去方法が普及しつつある。
【0004】しかし、光触媒の強い酸化力のために光触
媒を担持している担体として樹脂を用いた場合は樹脂が
劣化するという問題がある。また、半導体光触媒の粉末
を基材に接着させて長期間に亘り接着力を強固に維持す
るのは困難である。さらに、光触媒層が超微粒子の凝集
体であることに起因する光触媒層自体の機械的強度不足
という問題も残されている。
【0005】そこで、担体の劣化を抑制しつつ基材との
接着性を向上させるために、アンダーコートを始め多様
な技術開発が行われてきた。例えば、光触媒を担持した
構造体において、光触媒層と担体との間に接着層を設け
た構造を有し、接着層として、シリコン変性樹脂、ポリ
シロキサン含有樹脂、又は、コロイダルシリカ含有樹脂
を使用するもの(再公表特許WO97/00134号公報)、基体
に無機ガラス層を介して粉体を担持するもの(特開2001
-219076号公報)、バインダーがゾルーゲル反応が途中
段階で停止して得られたものであり、かつ光触媒粒子に
接して、水溶性または揮発性高分子化合物の除去によっ
て生じた空隙が存在しているもの(特開2001-198474号
公報)などが知られている。
【0006】また、接着層の代わりに、金属基材の表面
に多孔性構造を有する多孔性金属被膜が設けられてお
り、その表面および多孔性金属被膜に存在する細孔の内
部に光触媒粉末を担持したもの(特開2001-303296号公
報、特開2002-95976号公報)も知られている。
【0007】ところで、特開2000-203998号公報には、
チタンを含む表面を有する基体を用意する第一の工程
と、前記表面にチタンとは異なる材料を離散的に配置す
る第二の工程と、チタンを酸化する雰囲気中で、前記第
二の工程を施した前記チタンを含む表面を熱処理して酸
化チタンウイスカーを形成する方法が開示されている。
そして、この方法で得られる酸化チタンウイスカーは太
さ数nm〜数μm、長さは数nm〜数百μmであり、電
子デバイスやマイクロデバイスなどの機能材料や構造材
料などとして、広い範囲で利用可能であり、特に機能材
料の例としては光電変換素子、光触媒素子、電子放出材
料などが挙げられている。しかしながら、上述の従来の
光触媒担体に変わり得るような光触媒層を支持、固定す
る担持体としての有用性や特殊なチタン合金により酸化
チタンウイスカーを成長できることについては言及され
ていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】バインダーで光触媒微
粒子を固定する方法では、バインダー中に光触媒微粒子
が埋もれて触媒活性が損なわれるのを防ぐためにバイン
ダーを多孔質にする必要があり、特に膜強度や付着強度
の改善が望まれる。
【0009】また、水洗して光触媒表面に付着したほこ
りなどの微粒子を取り除くといったことも実際上重要で
あり、光触媒を半永久的に使用するためには、担体との
接着力が強固であり、担体の劣化と光触媒層の強度不足
という問題を同時に解決する技術開発が必要である。さ
らに、光触媒反応は光触媒表面のみが関与する反応であ
ることから、通気性を改善することは重要である。本発
明は、このような課題の解決を可能にする光触媒担体な
どとしての有用性を持ったナノ構造材料の開発を目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、チタンにバナ
ジウムやモリブデンを合金化してチタンの拡散係数を大
きくした体心立方晶(β−Ti)のチタン合金薄膜を酸
化雰囲気中で加熱した場合、該合金薄膜の酸化膨張に伴
い酸化チタンウイスカー(針状単結晶)が成長するとい
う現象を本発明者が初めて見出したことに基づく。
【0011】すなわち、本発明は、基材にチタン−バナ
ジウム合金被膜またはチタン−モリブデン合金被膜を形
成し、該被膜を酸化性雰囲気中で加熱して該被膜の表面
側から酸化処理することにより該被膜の表面から酸化チ
タンウイスカーを成長させることを特徴とする酸化チタ
ンウイスカーの製造方法である。また、本発明は、チタ
ン−バナジウム合金被膜またはチタン−モリブデン合金
被膜を圧縮応力が生じる条件で形成することを特徴とす
る上記の酸化チタンウイスカーの製造方法である。ま
た、本発明は、チタン−バナジウム合金被膜またはチタ
ン−モリブデン合金被膜をスパッタリング法で形成する
ことを特徴とする上記の酸化チタンウイスカーの製造方
法である。また、本発明は、酸化処理により形成される
酸化バナジウムまたは酸化モリブデンの融点以上に加熱
することを特徴とする上記の酸化チタンウイスカーの製
造方法である。また、本発明は、合金被膜の厚さが1〜
5μmであることを特徴とする上記の酸化チタンウイス
カーの製造方法である。
【0012】また、本発明は、酸化処理により酸化チタ
ンウイスカーを成長させるとともにチタン−バナジウム
合金被膜またはチタン−モリブデン合金被膜を酸化チタ
ン結晶に変化させることを特徴とする上記の酸化チタン
ウイスカーの製造方法である。また、本発明は、上記の
いずれかに記載の製造方法により得られた酸化チタンウ
イスカーである。
【0013】さらに、本発明は、上記のいずれかの製造
方法で基材表面に密集して形成した酸化チタンウイスカ
ーに光触媒物質を担持させて光触媒層を形成することを
特徴とする光触媒構造体の製造方法である。また、本発
明は、基材と光触媒層との層間に通気性を有する隙間が
存在するように光触媒層を形成することを特徴とする上
記の光触媒構造体の製造方法である。
【0014】また、本発明は、基材が多孔体であること
を特徴とする上記の光触媒構造体の製造方法である。ま
た、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法により
得られた光触媒構造体である。
【0015】本発明の製造方法で得られた酸化チタンウ
イスカーは、上記の特開2000-203998号公報に記載され
ている酸化チタンウイスカーと同様にナノ構造体であ
り、電子デバイスやマイクロデバイスなどの機能材料や
構造材料としても適用可能である。しかし、本発明の製
造方法で得られた酸化チタンウイスカーはルチル型酸化
チタンで光触媒活性は低いので光触媒そのものとしては
適しない。光触媒物質としてはチタニアが最も優れてい
るが、紫外線を透過させる必要性から光触媒層の厚さは
通常数μm程度が限度、好ましくは1μm以下とされ
る。本発明の製造方法で得られた酸化チタンウイスカー
の形状、特に太さと長さはこのように薄い光触媒層を支
持、固定するのに特に適する。
【0016】酸化チタンウイスカーの一本一本は単結晶
なので機械的に非常に強く、また、基材表面に被着した
Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜の表面から
根元成長しているので該被膜と結晶構造的に強く接合し
ている。したがって、本発明の製造方法で得られた光触
媒構造体において、光触媒層中に先端から直立状に密集
して食い込んでいる多数本の酸化チタンウイスカーは、
光触媒層を強固に固定しており、しかも光触媒酸化物と
同じ酸化物であるから長期間に亘り光触媒層は劣化せず
活性を維持できる。
【0017】また、光触媒層裏面と基材表面との層間に
隙間を形成することによって、光触媒層の表面のみなら
ず、裏面からも臭気成分を含んだガス等の処理対象ガス
が光触媒微粒子表面に到達する割合を著しく増加させる
ことができるので光触媒活性を高めることができる。さ
らに、基材として多孔体を用いることにより、多孔体を
通して上記の隙間に処理対象のガスを供給することが可
能となり光触媒活性を高めることができる。
【0018】
【作用】基材にチタン−バナジウム(以下「Ti−V」
と記載する)合金被膜を形成し、酸化性雰囲気中で加熱
すると、Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜が
表面側から酸化されて酸化膨張する過程で、Ti−V合
金被膜またはTi−Mo合金被膜の表面から酸化チタン
ウイスカーが成長する。
【0019】純Tiの結晶構造は最密六方晶(α−T
i)であるが、体心立方晶(β−Ti)のチタン合金は
チタンの拡散係数が大きい。このような体心立方晶(β
−Ti)のチタン合金としては、Ti−V合金、Ti−
Mo合金、Ti−Nb合金が上げられる。Ti−V合金
は、酸化バナジウム(V25)からなる低融点酸化物
(融点690℃)を形成する。また、Ti−Mo合金
は、酸化モリブデン(MoO )からなる低融点酸化物
(融点795℃)を形成する。Nbの酸化物は低融点で
ないのでTi−Nb合金は適しない。
【0020】このTi−V合金被膜またはTi−Mo合
金被膜を用いることにより酸化チタンウイスカーが成長
する機構は、現時点では明確ではないが、以下のように
推定される。以下は、Ti−V合金被膜について説明す
るがTi−Mo合金被膜についても同様である。 Ti−V合金被膜を酸化すると酸化バナジウム(V2
5)微粒子が形成し、700℃では酸化バナジウム液滴
となる。ただし、酸化バナジウム(V25)微粒子が溶
解しない温度でも酸化チタンウイスカーの成長が観察さ
れるため、VLS結晶成長メカニズムによる成長とは異
なる。
【0021】Ti−V合金被膜中に存在する圧縮応力
が駆動力となり、Ti−V合金被膜中の酸化バナジウム
微粒子または液滴周囲にチタン原子が拡散によって供給
される。圧縮応力は熱膨張に伴って発生する他、Ti−
V合金被膜中に被膜表面から継続的に酸素が固溶するた
め発生する(酸化チタンウイスカーが成長していない部
分における酸化チタン表面から内部へ向かう酸素イオン
の拡散は、チタンが酸素を多量に固溶できることを考慮
すると、Ti−V合金被膜中に圧縮応力を生じさせる役
割を果たすと考えられる)。
【0022】酸化バナジウム微粒子または液滴周囲の
チタン原子は微粒子または液滴から酸素原子を奪い、酸
化チタン結晶を形成して酸化バナジウム微粒子または液
滴を被膜表面から押し上げる。酸化チタンウイスカー内
部では酸素イオン空孔に沿って酸素イオンが拡散するの
で、圧縮応力が駆動力として働いて、チタン原子がウイ
スカーの根元方向に拡散すると根元成長を続ける。 その後もこの部分の根元にチタン原子の拡散による供
給が継続し酸化チタンウイスカーが成長する。Ti−V
合金被膜が厚い場合途中でウイスカーの成長が止まった
後もTi−V合金被膜の酸化が進む。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の酸化チタンウイスカーの
製造方法および光触媒構造体の製造工程について以下に
詳しく説明する。まず、基材にTi−V合金被膜または
Ti−Mo合金被膜を形成する。基材としては、アルミ
ナ、アルミナシリカ、炭化珪素等のセラミックス、ステ
ンレス鋼、チタン合金等の金属、その他の無機、有機材
料であり、Ti−V合金またはTi−Mo合金層を形成
できるものであれば、特に基材の材料、形態などに制限
はない。
【0024】Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被
膜の形成方法は、特に限定されず、スパッタリング方
法、イオンプレーティング法、蒸着法等適宜の方法を採
用できる。ただし、被膜に圧縮応力が生じる条件で成膜
した方が酸化チタンウイスカーの成長にとって好まし
い。被膜中に引張応力が残留するか圧縮応力が残留する
かは成膜条件によって決まるが、一般に蒸着法よりスパ
ッタリング法の場合が圧縮応力が残留することが多いこ
とが知られている。したがって、スパッタリング法は好
ましい。他に、基材を引張応力状態でTi合金被膜を形
成するか基材に引張応力の膜を形成してその上にTi合
金被膜を形成して該被膜に圧縮応力を生じさせるなどの
方法てもよい。
【0025】Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被
膜の厚さは薄すぎては酸化チタンウイスカーが成長し難
いので1μm以上が好ましい。光触媒層を担持させるた
め酸化チタンウイスカーを形成するには厚みは5μ程度
以下でよい。被膜の厚さは5μm程度を超えて厚くして
も構わないがTi−V合金被膜またはTi−Mo合金被
膜の成膜時間が長くなる。
【0026】被膜を形成するTi−V合金またはTi−
Mo合金としては、VまたはMoの酸化物の融点付近で
β相(体心立方構造)となりチタンの拡散係数が大きく
なる組成であればよく、VまたはMoの含有量が15wt
%以上の合金組成が好ましい。
【0027】Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被
膜を、大気中または不活性ガスで希釈した空気中などの
酸化性雰囲気中で加熱すると、被膜が表面側から酸化膨
張する過程で、酸化チタンウイスカーが被膜の表面から
成長する。成長する酸化チタンウイスカーの長さ、直
径、密集の程度などは被膜の層構造、酸化処理条件等に
よって調整することが可能である。
【0028】アルゴンなどの不活性ガスで希釈せず大気
中で加熱するとウイスカーは、太さ約0.1〜0.5μ
m程度、長さ約3μm以下で、太さのバラツキが大きく
なる傾向がある。また、密集の程度も少なくなる傾向に
あるが面積1平方μm当たり数〜数十本程度成長する。
【0029】酸化性雰囲気中での加熱温度が酸化バナジ
ウムまたは酸化モリブデンの液滴を形成しない温度でも
酸化チタンウイスカーは成長する。ただし、加熱温度が
低くなるほど成長速度が遅くなり、しかも、酸化物が蒸
発により飛散しないで残留してしまうので、好ましく
は、加熱温度は650℃程度以上とする。
【0030】また、加熱温度が約850℃を超えると酸
化チタンウイスカーが成長し難くなり、酸化チタンのフ
ァセット面が形成するようになるので、加熱温度の上限
は850℃以下、好ましくは800℃以下とする。合金
被膜内に形成される酸化バナジウム微粒子結晶の大き
さ、密度を昇温速度により変化させることができる。酸
化処理中に形成される酸化バナジウムまたは酸化モリブ
デンは融点が低く、最終的には蒸発してしまうのでTi
−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜中にはほとんど
残らない。
【0031】酸化チタンウイスカーが成長し、かつTi
−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜の表面の酸化に
より形成された酸化チタン層の表面に次工程で光触媒層
を形成する方法としては、光触媒コーティング剤を塗布
する方法でも、他の化学的または物理的な気相成長法で
も良い。又、ゾルゲル法により光触媒物質層を高温で焼
成して強固な光触媒層を形成することも可能である。
【0032】さらに、本発明は、ウイスカーの生成条件
および光触媒層の形成方法を目的に合わせて選択するこ
とで、基材表面のTi−V合金被膜またはTi−Mo合
金被膜の酸化により形成された酸化チタン層と光触媒層
の裏面との層間の隙間の有無、隙間の大きさの程度を制
御できる。
【0033】光触媒コーティング剤の粘性が低く、酸化
チタンウイスカーとの濡れ性が良い場合には酸化チタン
層と光触媒層との層間に隙間が形成されにくくなるが、
粘性が高い場合は隙間を形成することが容易になる。
【0034】光触媒としては、酸化チタン、V
ZnO、CuO、Fe,SnOなど種々の半
導体光触媒を使用できる。光触媒物質を担持させた後に
加熱処理してこれらの酸化物を酸化チタンウイスカーに
固溶させてもよい。
【0035】さらに、図1に模式的に示すように、多孔
性セラミックス、セラミックス繊維、耐熱金属繊維等の
多孔体を基材1として、基材1にTi−V合金被膜また
はTi−Mo合金被膜層2を形成して、上記のとおりに
酸化チタンウイスカー3を成長させ、光触媒層5を酸化
チタンウイスカー3によって隙間4が形成されるように
支持することができる。このようにすることにより、光
触媒層の表面6における処理対象ガスとの接触のみなら
ず、基材1の表面に形成したTi合金被膜層2に形成さ
れた通気孔8を通して基材1の多孔体から隙間4へガス
を通気させることが可能となり、光触媒層の裏面7にも
処理対象のガスを接触させることができるので光触媒と
ガスとの接触効率を大幅に改善することができる。
【0036】Ti−V合金被膜またはTi−Mo合金被
膜の酸化処理に伴い、ウイスカーの成長ばかりでなくT
i−V合金被膜またはTi−Mo合金被膜の表面に凹凸
が形成する。これはウイスカー状でない酸化チタン結晶
であるが、光触媒層をこの酸化処理により形成された酸
化チタン結晶層に密着させて形成すれば、この凹凸もア
ンカーとして機能する。このように、隙間を必要としな
い場合には、短いウイスカーと表面凹凸を利用したアン
カー効果で光触媒層を強固に固定することができる。
【0037】
【実施例】実施例1 Ti−20wt%V合金製ターゲットを使用してアルミ
ナ質の基材にスパッタ成膜した。得られたTi−V合金
被膜は、厚み2〜3μmで、通常のスパッタ金属膜と同
様の柱状結晶構造であった。次いで、Ti−V合金被膜
の酸化処理を行った。この際には、アルゴンガスで1%
程度に希釈した空気中で約3時間かけて徐々に700℃
まで昇温し、その後700℃で22時間保持した。
【0038】酸化処理後のTi−V合金被膜の表面を走
査電子顕微鏡で観察すると、図2に示すように、数μm
の長さの酸化チタンウイスカーが基材の全面に面積1平
方μm当たり数十本程度密集して成長した。酸化チタン
ウイスカーのX線回折測定を行ったところ、ルチル型酸
化チタンの回折線のみが得られた。
【0039】実施例2 基材をステンレス鋼基材とした以外は実施例1と同様に
スパッタ成膜した後、大気中で700℃、20時間の酸
化処理を施した。得られた薄膜表面を走査電子顕微鏡で
観察すると、図3に示すように、数μmの長さの酸化チ
タンウイスカーが面積1平方μm当たり数十本程度密集
して成長した。ただし、不活性ガスで希釈していないた
め、実施例1に比べてウイスカーの長さは短かった。
【0040】実施例3 実施例1により酸化チタンウイスカーを形成した基材に
アンダーコートは行わず、直接、炭化水素系溶剤に酸化
チタン粉末5.0wt%を含有させた光触媒コーティン
グ剤(ビストレイタ−L:日本曹達(株)製)中に基材
ごと浸してから引き上げ、60℃、30分加熱して乾燥
した。
【0041】図4示すように、走査電子顕微鏡で観察す
ると厚い光触媒層5中に酸化チタンウイスカーの先端3
Aが入り込んで光触媒層5を支持しており、基材(図1
の写真には写っていない)表面のTi−V合金被膜2の
酸化により形成された酸化チタン層の表面と光触媒層の
表面との層間には隙間4が見られた。
【0042】
【発明の効果】上述のとおり、本発明は新規な酸化チタ
ンウイスカーの製造方法を提供するものであり、得られ
た酸化チタンウイスカーは従来公知の用途に適用できる
他に、特に基材への支持、固定が難しい光触媒層の担持
体として利用することにより、光触媒層を基材に強固に
固定でき、しかも、長期間に亘り劣化しない光触媒構造
体を提供するものであり、さらに、光触媒層裏面と基材
表面との間に隙間を設けることによって、処理対象のガ
スが光触媒微粒子表面に到達する機会を著しく増加させ
て光触媒活性を増大させることができるので、光触媒の
機能を長期間に亘り極めて効率的に発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光触媒構造体の形成方法の一
実施形態を概念的に示す模式図である。
【図2】図2は、実施例1で製造した酸化チタンウイス
カーの走査電子顕微鏡観察像を示す図面代用写真であ
る。
【図3】図3は、実施例2で製造した酸化チタンウイス
カーの走査電子顕微鏡観察像を示す図面代用写真であ
る。
【図4】図4は、実施例3で製造した光触媒構造体の走
査電子顕微鏡観察像を示す図面代用写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年6月13日(2002.6.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
フロントページの続き Fターム(参考) 4G047 CA02 CB04 CC03 CD05 4G069 AA03 AA08 BA01A BA01B BA04A BA04B BA18 BA48A BB04A BB04B BC54A BC54B BC59A CA01 CA11 CA17 EA03X EA03Y EA07 EA11 EB15X EB15Y EC28 FA01 FA04 FB02 FB40 4K029 AA07 BA02 BA17 BA48 CA05 DC04 GA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材にチタン−バナジウム合金被膜また
    はチタン−モリブデン合金被膜を形成し、該被膜を酸化
    性雰囲気中で加熱して該被膜の表面側から酸化処理する
    ことにより該被膜の表面から酸化チタンウイスカーを成
    長させることを特徴とする酸化チタンウイスカーの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 チタン−バナジウム合金またはチタン−
    モリブデン合金被膜を圧縮応力が生じる条件で形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の酸化チタンウイスカー
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 チタン−バナジウム合金被膜またはチタ
    ン−モリブデン合金被膜をスパッタリング法で形成する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の酸化チタンウ
    イスカーの製造方法。
  4. 【請求項4】 酸化処理により形成される酸化バナジウ
    ムまたは酸化モリブデンの融点以上に加熱することを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化チタ
    ンウイスカーの製造方法。
  5. 【請求項5】 チタン−バナジウム合金被膜またはチタ
    ン−モリブデン合金被膜の厚さが1〜5μmであること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の酸化
    チタンウイスカーの製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化処理により酸化チタンウイスカーを
    成長させるとともにチタン−バナジウム合金被膜または
    チタン−モリブデン合金被膜を酸化チタン結晶に変化さ
    せることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記
    載の酸化チタンウイスカーの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの製造方法で基
    材表面に密集して形成した酸化チタンウイスカーに光触
    媒物質を担持させて光触媒層を形成することを特徴とす
    る光触媒構造体の製造方法。
  8. 【請求項8】 基材と光触媒層との層間に通気性を有す
    る隙間が存在するように光触媒層を形成することを特徴
    とする請求項7記載の光触媒構造体の製造方法。
  9. 【請求項9】 基材が多孔体であることを特徴とする請
    求項7または8記載の光触媒構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし6のいずれかに記載の
    製造方法により得られた酸化チタンウイスカー。
  11. 【請求項11】 請求項7ないし9のいずれかに記載の
    製造方法により得られた光触媒構造体。
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