JP2003335362A - 液体紙容器用積層体 - Google Patents

液体紙容器用積層体

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JP2003335362A
JP2003335362A JP2002141256A JP2002141256A JP2003335362A JP 2003335362 A JP2003335362 A JP 2003335362A JP 2002141256 A JP2002141256 A JP 2002141256A JP 2002141256 A JP2002141256 A JP 2002141256A JP 2003335362 A JP2003335362 A JP 2003335362A
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Hisashi Sakamoto
寿 坂元
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バリア性や密着性に優れた液体紙容器用積層
体を提供する。 【解決手段】 少なくとも、最外層、紙基材、中間層、
および、最内層を順次に積層した液体紙容器用積層体に
おいて、上記の中間層が、バリア性フィルムからなり、
更に、該バリア性フィルムが、基材フィルムの少なくと
も一方の面に、プラズマ気相成長法による珪素、酸素、
炭素、水素を膜組成成分として含有する酸化珪素の蒸着
薄膜層を形成した蒸着樹脂フィルムからなり、かつ、該
蒸着樹脂フィルムを構成する酸化珪素の蒸着薄膜層の上
に、エポキシ系樹脂を主成分とする組成物による硬化性
被膜からなる接着剤層ないし接着性樹脂層を設けた構成
からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体紙容器用積層
体に関し、更に詳しくは、中間層として、ガスバリア性
を有する酸化珪素の蒸着薄膜層を形成した蒸着樹脂フィ
ルムを積層し、特に、アルカリ性内容物、家庭用洗剤、
車用洗剤等の内容物成分として化学薬品を含有する内容
物を充填包装し、その保存性に優れた液体紙容器用積層
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バリア性が不可欠な内容物を充填
包装する液体紙容器を製造する液体紙容器用積層体の層
構成としては、ガス透過性が実質的にほぼ0のアルミニ
ウム箔を中間層として積層した積層体が主流を占め、例
えば、日本酒、焼酎、ワイン等のアルコール飲料や保香
性が要求される果汁飲料等を中心に充填包装され、その
包装製品が、広く流通している。
【0003】しかし、アルミニウム箔を積層した積層体
製の液体紙容器は、バリア性は格段に優れているが、ア
ルミニウム箔が再利用できないことや、その廃棄性に問
題があり、また、化学薬品を内容物成分として含有する
液体内容物では、ピンホールを通して浸透・透過してき
た成分により、アルミニウム箔が腐食、あるいは、アル
カリ性成分ではアルミニウム箔が溶解、消失する問題が
あり、化学薬品耐性を有する液体紙容器の開発が急務と
なっている。
【0004】例えば、有機系バリア材料として、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)を使用
し、これを積層した積層体を製函してなる液体紙容器が
提案されている。このものは、バリア性についてはアル
ミニウム箔には及ばず、また、液体紙容器用のバリア層
としては、水分の吸湿による酸素バリア性の劣化が著し
く、現実的には、長期保存性を要求される内容物、特に
化学薬品を含有する非食品を充填包装するには、そのシ
ェルフライフが長いため、使用することが不可能な状況
である。
【0005】また、真空蒸着法等の物理気相成長法によ
る酸化珪素(SiOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグ
ネシウム(MgO)等の無機酸化物の蒸着薄膜層をプラスチ
ックフィルム上に形成した蒸着樹脂フィルムをバリア性
フィルムとして使用し、これを積層した積層体からなる
液体紙容器は、この吸湿等によるバリア劣化の問題はな
く、バリア性のレベルも、上記のエチレン−ビニルアル
コール共重合体フィルム(EVOH)よりも優れており、紙
容器用積層体を構成するバリア性フィルムとして近年注
目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の蒸着樹
脂フィルムは、可撓性に劣り、屈曲や折り曲げ等、外部
応力に対して耐性がないという問題点がある。例えば、
液体紙容器では、罫線部分でバリア性が極端に悪化し、
容器全体のバリア性を格段に向上させることは困難な状
況である。また、有機物質であるプラスチックフィルム
基材上に無機酸化物の蒸着薄膜層を物理的に付着させて
いるため、無機酸化物の蒸着薄膜層と基材間の密着性
は、かなり悪く、特に、浸透性の高い内容物では、保存
中に無機酸化物の蒸着薄膜層の一方、あるいは両方の界
面で界面剥離が起き、液漏れ等の問題を起こすことがあ
る。特に、浸透性や拡散性に富む化学薬品等を含有する
内容物を充填包装する液体紙容器においては、この問題
が大きいため、まだ、その使用には制限がある。
【0007】すなわち、上記の真空蒸着法等の物理気相
成長法による蒸着樹脂フィルムを使用する紙容器用積層
体のバリア性や耐内容物性を改善し、化学薬品を含有す
る内容物を充填包装しても、優れた耐性を有する液体紙
容器を提供することは困難である。ところで、上記の真
空蒸着法等の物理気相成長法による蒸着樹脂フィルムの
欠点を改良する手段として、プラズマ気相成長法(PECV
D)等の化学気相成長法による蒸着樹脂フィルムに注目
されるものである。上記のプラズマ気相成長法(PECV
D)等の化学気相成長法による蒸着樹脂フィルムは、ま
ず、オルガノシロキサン系モノマーをプラズマ化し、基
材上に化学的に無機酸化物の蒸着薄膜層を積層するた
め、基材と無機酸化物の蒸着薄膜層との密着は、真空蒸
着法等の物理気相成長法による蒸着樹脂フィルムよりも
優れており、また、可撓性や耐屈曲性が、真空蒸着法等
の物理気相成長法による蒸着樹脂フィルムよりも格段に
優れ、更に、真空蒸着法等の物理気相成長法による蒸着
樹脂フィルムでは耐熱性を有する基材にしか適用できな
いが、プラズマ気相成長法(PECVD)等の化学気相成長
法による場合は、ポリプロピレンやポリエチレン等の耐
熱性の低い基材にも適用できるメリットがあるものであ
る。
【0008】しかし、プラズマ気相成長法(PECVD)等
の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜層の欠点
としては、バリア性が、真空蒸着法等の物理気相成長法
によるそれと比べてやや悪い点が指摘されている。これ
を解決するために、例えば、無機酸化物の蒸着薄膜層の
膜厚を厚くすることによって、真空蒸着法等の物理気相
成長法による無機酸化物の蒸着薄膜層並のバリア性を達
成できることは判明しているが、現実的には、蒸着速度
が遅くなり、生産コストの高騰を招き、現状では真空蒸
着法等の物理気相成良法による無機酸化物の蒸着薄膜層
よりもバリア性は悪いものである。そこで、プラズマ気
相成長法(PECVD)等の化学気相成長法による無機酸化
物の蒸着薄膜層の利点を生かして、化学薬品を含有する
内容物用の液体紙容器のバリア性フィルムとして使用す
る場合は、このバリア性を改良する必要があるものであ
る。
【0009】而して、蒸着樹脂フィルムのバリア性を改
善する方法として、同種あるいは異種の無機酸化物を2
層以上形成する方法があるが、バリア性は改善できる
が、可撓性や耐屈曲性は悪化してしまう。また、例え
ば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等の有機系のバ
リア性コーティング剤の薄膜を被覆する方法、アルコキ
シシラン化合物の加水分解物と有機成分との反応で得ら
れる有機−無機ハイブリッド膜を被覆する方法、ポリシ
ラザン等の無機膜コーティング層で被覆する方法等が提
案されているが、蒸着薄膜との密着性は依然として改善
できず、また、可撓性や耐屈曲性、さらには、加工適性
も必然的に悪くなるため、根本的な解決策は見出されて
いないものである。そこで本発明は、プラズマ気相成長
法(PECVD)等の化学気相成長法による無機酸化物の蒸
着薄膜層の利点を生かして、化学薬品を含有する内容物
等を充填包装し得る液体紙容器を製造するに有用なバリ
ア性フィルムを製造し、これを使用した液体紙容器用積
層体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、ガスバ
リア性を有するコーティング剤として、例えば、エポキ
シ−ポリアミン系のエポキシ系樹脂を主成分とする組成
物による硬化性被膜からなる接着剤層ないし接着性樹脂
層に着目し、このエポキシ系樹脂を主成分とする組成物
による硬化性被膜からなる接着剤層ないし接着性樹脂層
を蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着薄膜層の面に形
成すると、特に、プラズマ気相成長法(PECVD)等の化
学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜層の上に形成
すると、そのバリア性のみならず、その無機酸化物の蒸
着薄膜層との密着性が格段に向上し、更に、他の樹脂フ
ィルムとの複合化を行っても、その性能には影響を及ぼ
さないことを見出して本発明を完成したものである。
【0011】すなわち、本発明は、少なくとも、最外
層、紙基材、中間層、および、最内層を順次に積層した
液体紙容器用積層体において、上記の中間層が、バリア
性フィルムからなり、更に、該バリア性フィルムが、基
材フィルムの少なくとも一方の面に、プラズマ気相成長
法による珪素、酸素、炭素、水素を膜組成成分として含
有する酸化珪素の蒸着薄膜層を形成した蒸着樹脂フィル
ムからなり、かつ、該蒸着樹脂フィルムを構成する酸化
珪素の蒸着薄膜層の上に、エポキシ系樹脂を主成分とす
る組成物による硬化性被膜からなる接着剤層ないし接着
性樹脂層を設けた構成からなることを特徴とする液体紙
容器用積層体に関するものである。
【0012】而して、本発明においては、無機酸化物の
蒸着薄膜層のハイバリア化と密着性を達成するための手
段として、プラズマ気相成長法(PECVD)等の化学気相
成長法による無機酸化物の蒸着薄膜層の上に、エポキシ
系樹脂を有機系硬化剤で硬化させた熱硬化性被膜からな
る接着剤層ないし接着性樹脂層を形成することで、プラ
ズマ気相成長法(PECVD)等の化学気相成長法による無
機酸化物の蒸着薄膜層をさほど厚くしなくても、バリア
性が格段に向上し、バリア性改善の他に、更に、密着性
が優れているので、可撓性や後加工適性も従来の無機酸
化物の蒸着薄膜層の根本的問題を大幅に改善することが
できるという利点を有するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】上記の本発明について以下に図面
等を用いて更に詳しく説明する。図1は、本発明にかか
る液体紙容器用積層体についてその層構成の概略を示す
概略的断面図である。
【0014】まず、本発明にかかる液体紙容器用積層体
についてその一例を例示すると、本発明にかかる液体紙
容器用積層体Aは、図1に示すように、少なくとも、最外
層1、紙基材2、中間層3、および、最内層4を順次に積層
した構成からなり、更に、上記の中間層3が、バリア性
フィルム3aからなり、更に、該バリア性フィルム3aが、
基材フィルム11の少なくとも一方の面に、プラズマ気相
成長法による珪素、酸素、炭素、水素を膜組成成分とし
て含有する酸化珪素の蒸着薄膜層12を形成した蒸着樹脂
フィルム13と、該蒸着樹脂フィルム13を構成する酸化珪
素の蒸着薄膜層12の上に、エポキシ系樹脂を主成分とす
る組成物による硬化性被膜からなる接着剤層ないし接着
性樹脂層14とを設けた層構成からなるものである。
【0015】上記の例示は、本発明にかかる液体紙容器
用積層体についてその層構成の一例を例示するものであ
り、これによって本発明は限定されるものではない。例
えば、本発明においては、図示しないが、上記のような
積層体の構成において、バリア性フィルムを構成する酸
化珪素の蒸着薄膜層と接着剤層ないし接着性樹脂層の面
は、紙基材の面、あるいは、最内層の面のいずれの面に
対向させて積層してもよいものであるが、好ましくは、
紙基材の面に対向させて積層することが望ましいもので
ある。また、例えば、本発明にかかる液体紙容器用積層
体においては、図示しないが、液体紙容器の包装目的、
充填包装する内容物、その流通経路、用途等によって、
更に、他の基材を任意に積層して、種々の形態からなる
積層材を設計して製造することができるものである。
【0016】次に、本発明において、上記の本発明にか
かる液体紙容器用積層体を使用し、これを製函してなる
液体紙容器についてその一例を説明すると、図示しない
が、まず、上記の図1に示す液体紙容器用積層体を使用
し、該液体紙容器用積層体に、所望の液体紙容器の形状
に合わせて、常法により、縦あるいは横または斜め等に
折り罫を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部等を
有するブランク板を製造する。次に、常法により、上記
で製造したブランク板の端面に、内容物の浸透、液漏れ
等を防止するために、例えば、スカイブ・ヘミング処理
等を施して端面処理を行った後、糊代部の面に、上記の
ブランク板の他方の端部の面を対向させて重ね合わせ、
次いで、その層間に、例えば、フレーム処理、あるい
は、ホットエアー処理等を行い、上記の糊代部および他
方の端部の部分にある最内層あるいは最外層を構成する
樹脂層を溶融し、その溶融面を介して、フレームシー
ル、あるいは、ホットエアーシール等により胴貼りシー
ルして、筒状のスリーブを製造する。次に、上記で製造
した筒状のスリーブを、内容物を充填するメーカー等に
納入し、該筒伏のスリーブを内容物充填機に供給し、次
いで、内容物の充填に先立って、まず、筒状のスリーブ
のボトムの内面をホットエアーにより炙り、その内面の
最内層を構成する樹脂層を溶融させて、プレスシールを
行って底シール部を形成して、上方に開口部を有する包
装用容器を製造する。しかる後、上記で製造した包装用
容器の開口部から内容物を充填した後、トップの内面を
ホットエアーで灸り、その内面の最内層を構成する樹脂
層を溶融させて、プレスシールを行って、例えば、屋根
型トップシール部を形成して、内容物を充填包装した本
発明にかかる液体紙容器用積層体を使用して製函してな
る液体紙容器を製造するものである。上記の例示は、本
発明にかかる液体紙容器についてその一例を例示したも
のであり、これによって本発明は限定されるものではな
い。例えば、本発明においては、図示しないが、本発明
にかかる液体紙容器の形状としては、ゲーベルトップ型
のもの、ブロック型のもの、筒状型のもの、その他等の
任意の形状を取り得るものである。
【0017】次に、本発明において、本発明にかかる液
体紙容器用積層体、液体紙容器等を構成する材料、製造
法等について更に詳しく説明すると、まず、本発明にか
かる液体紙容器用積層体を構成する最外層としては、例
えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒート
シール性を有するポリオレフィン系樹脂、その他等を使
用することができる。具体的には、例えば、低密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を
使用して重合したエチレン−α-オレフィン共重合体、
ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイ
オノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重体、エチレン−メタクリル酸
共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エ
チレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ
ー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロ
ピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イ
タコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオ
レフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)ア
クリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他等の樹脂を使
用することができる。而して、本発明においては、上記
のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出
機等を用いて溶融押出して、例えば、紙基材の一方の面
に、アンカーコート剤層等を介して、溶融押出樹脂層を
溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような
樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂
のフィルムないしシートを製造し、その樹脂のフィルム
ないしシートを、紙基材の一方の面にラミネート用接着
剤層等を介してドライラミネート積層することにより、
あるいは、上記の溶融押出樹脂層を介して溶融押出積層
することにより、最外層を形成することができる。な
お、本発明において、最外層の厚さとしては、5〜200μ
m位、好ましくは、10〜100μm位が望ましいものであ
る。
【0018】次に、本発明において、本発明にかかる液
体紙容器用積層体を構成する紙基材としては、これが紙
容器を構成する基本素材となることから、賦型性、耐屈
曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することが
でき、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あ
るいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、そ
の他等の各種の紙基材を使用することができる。また、
本発明において、上記の紙基材としては、坪量約80〜60
0g/m2位のもの、好ましくは、坪量的100〜450g/m2位の
ものを使用することができる。なお、本発明において、
上記の紙基材には、例えば、文字、図形、絵柄、記号、
その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式にて任意に
形成することができるものである。
【0019】次に、本発明において、本発明にかかる液
体紙容器用積層体を構成するバリア性フィルムについて
説明すると、まず、バリア性フィルムを構成する基材フ
ィルムとしては、これに化学式SiOxCyHz(ただし、式中
xは、1.0〜1.4の数を表し、yは、0.1〜1.0の数を表し、
zは、0.1〜1.0の数を表す。)で表されるプラズマ化学
気相成長法による酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層を設
けることから、機械的、物理的、化学約、その他等にお
いて優れた性質を有し、特に、強度を有して強靭であ
り、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシート
を使用することができる。具体的には、本発明におい
て、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹
脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹
脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニト
リル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ
塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル
系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイ
ミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフ
タレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹
脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルス
ルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹
脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィル
ムないしシートを使用することができる。なお、本発明
においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないし
シートを使用することが好ましいものである。
【0020】本発明において、上記の各種の樹脂のフィ
ルムないしシートとしては、例えば、上記の各種の樹脂
の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト
成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その
他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製
膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用
して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上
の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方
法等により、各種の樹脂のフィルムないしシートを製造
し、更に、要すれば、例えば、テンター方式、あるい
は、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に
延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシートを使用
することができる。本発明において、各種の樹脂のフィ
ルムないしシートの膜厚としては、6〜100μm位、より
好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
【0021】なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ
以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルム
の加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、
抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗カビ性、電気的
特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々の
プラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、
その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目
的に応じて、任意に添加することができる。上記におい
て、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防
止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着
色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用
樹脂等も使用することがてきる。
【0022】また、本発明において、上記の各種の樹脂
のフィルムないしシートの表面には、後述する無機酸化
物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、必要に
応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができる
ものである。本発明において、上記の表面処理層として
は、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若
しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放
電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他
等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾ
ン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形
成して設けることができる。上記の表面前処理は、各種
の樹脂のフィルムないしシートと後述する無機酸化物の
蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施
するものであるが、上記の密接着性を改善する方法とし
て、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシー
トの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコ
ート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、
蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理
層とすることもできる。上記の前処理のコー卜剤層とし
ては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール
系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹
脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セ
ルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹
脂組成物を使用することができる。
【0023】次に、本発明において、本発明にかかる液
体紙容器用積層体を構成するバリア性フィルムを形成す
るプラズマ化学気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層
について説明すると、かかる酸化珪素の蒸着薄膜層とし
ては、例えば、化学気相成長法等を用いて、その1層か
らなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複
合膜を形成して製造することができるものである。而し
て、その酸化珪素の蒸着薄膜層の膜構成は、化学式SiOx
CyHz(ただし、式中xは、1.0〜1.4の数を表し、yは、0.
1〜1.0の数を表し、zは、0.1〜1.0の数を表す。)で表
されるプラズマ化学気相成長法による酸化珪素を主体と
する蒸着薄膜層からなるものである。
【0024】本発明において、上記の化学気相成長法に
よる酸化珪素の蒸着薄膜層について更に説明すると、か
かる化学気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層として
は、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長
法、光化学気相成長法等の化学気相成長去(Chemical V
apor Deposition法、CVD法)等を用いて、酸化珪素を主
体とする蒸着膜を形成して構成することができる。本発
明においては、具体的には、基材フィルムの一方の面
に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料と
し、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガ
ス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとし
て、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利
用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素を
主体とする酸化珪素の蒸着薄膜層を形成することができ
る。上記において、低温プラズマ発生装置としては、例
えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波
プラズマ等の発生装置を使用することができ、而して、
本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るた
めには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用する
ことが望ましい。
【0025】具体的に、上記の低温プラズマイ化学気相
成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層の形成法についてそ
の一例を例示して説明すると、図2は、上記のプラズマ
化学気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層の形成法に
ついてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の
概略的構成図である。上記の図2に示すように、本発明
においては、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャン
バー22内に配置された巻き出しロール23から基材フィル
ム11を繰り出し、更に、該基材フィルム11を、補助ロー
ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に
搬送する。而して、本発明においては、ガス供給装置2
6、27および、原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不
活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、そ
の他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物
を調整しながら原料供給ノズル29を通して真空チャンバ
ー22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上
記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された基材フィル
ム11の上に、グロー放電プラズマ30によってプラズマを
発生させ、これを照射して、酸化珪素を主体とする蒸着
膜を製膜化する。本発明においては、その際に、冷却・
電極ドラム25は、真空チャンバー22の外に配置されてい
る電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却
・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプ
ラズマの発生が促進されている。次いで、上記で酸化珪
素を主体とする蒸着膜を形成した基材フィルム11は、補
助ロール33を介して巻き取りロール34に巻き取って、本
発明にかかるプラズマ化学気相成長法による酸化珪素を
主体とする蒸着薄膜層を形成することができるものであ
る。なお、図中、35は、真空ポンプを表す。上記の例示
は、その一例を例示するものであり、これによって本発
明は限定されるものではないことは言うまでもないこと
である。図示しないが、本発明においては、酸化珪素を
主体とする蒸着薄膜層としては、酸化珪素を主体とする
蒸着薄膜層の1層だけではなく、その2層あるいはそれ以
上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材
料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の
材質で混合した酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層を構成
することもできる。
【0026】上記において、真空チャンバー内を真空ポ
ンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Tor r位、
好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製する
ことが望ましいものである。また、原料揮発供給装置に
おいては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス
供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合
させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャ
ンバー内に導入されるものである。この場合、混合ガス
中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガス
の含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜
60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合
物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:1
7:14程度とすることができる。一方、冷却・電極ドラ
ムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真
空チャンバー内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極
ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成され、この
グロー放電プラズマは、混合ガス中の1つ以上のガス成
分から導出されるものであり、この状態において、基材
フィルムを一定速度で搬送させ、グロー放電プラブマに
よって、冷却・電極ドラム周面上の基材フィルムの上
に、酸化珪素を主体とする蒸着膜を形成することができ
るものである。なお、このときの真空チャンバー内の真
空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度
1×10-1〜1×10-2Torr位に調整することが望ましく、ま
た、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ま
しくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいもの
である。
【0027】また、上記のプラズマ化学気相成長装置に
おいて、酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層の形成は、基
材フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガス
で酸化しながら化学式SiOxの形で薄膜状に形成されるの
で、当該形成される酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層
は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となる
ものであり、従って、酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層
のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される
酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜層と比較し、はるか
に高いものとなり、更に、薄い膜厚で十分なバリア性を
得ることができるものである。また、本発明において
は、SiOxプラズマにより基材フィルムの表面が、清浄化
され、基材フィルムの表面に、極性基やフリーラジカル
等が発生するので、形成される酸化珪素を主体とする蒸
着膜と基材フィルムとの密接着性が高いものとなるとい
う利点を有するものである。更に、上記のように酸化珪
素を主体とする蒸着膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1
×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に
調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等
の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4
〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、
基材フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くす
ることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが
安定するものである。
【0028】本発明において、有機珪素化合物等の蒸着
モノマーガスを使用して形成される酸化珪素を主体とす
る蒸着薄膜層は、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガス
と酸素ガス等とが化学反応し、その反応物が、基材フィ
ルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄
膜を形成するものであり、通常、化学式SiOx(ただし、
xは、0〜2の数を表す。)で表される酸化珪素を主体と
する連続状の薄膜である。而して、上記の酸化珪素を主
体とする蒸着薄膜層としては、透明性、バリア性等の点
から、化学式SiOx(ただし、xは、1.3〜1.9の数を表
す。)で表される酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層であ
ることが好ましいものである。上記において、xの値
は、蒸着モノマーガスと酸素ガスのモル比、プラズマの
エネルギー等により変化するが、一般的に、xの値が小
さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性
を帯び、透明性が悪くなる。
【0029】而して、上記の酸化珪素を主体とする蒸着
膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、更に
は、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類
以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結
合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするも
のであり、少なくとも、化学式SiOxCyHz(ただし、式中
xは、1.0〜1.4の数を表し、yは、0.1〜1.0の数を表し、
zは、0.1〜1.0の数を表す。)で表されるプラズマ化学
気相成長法による酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層から
なるものである。例えば、C−H結合を有する化合物、Si
−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファ
イト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている
場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を
化学結合等によって含有する場合があるものである。具
体例を挙げると、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH
3シリル、 SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシ
ラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上
記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることによ
り、酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層中に含有される化
合物の種類、量等を変化させることができる。而して、
上記の化合物が、酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層中に
含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5
〜20%位が望ましいものである。上記において、含有率
が、0.1%未満であると、酸化珪素を主体とする蒸着膜
の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げな
どにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリ
ア性を安定して維持することが困難になり、また、50%
を越えると、バリア性が低下して好ましくないものであ
る。更に、本発明においては、酸化珪素を主体とする蒸
着薄膜層において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素
を主体とする蒸着薄膜層の表面から深さ方向に向かって
減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素を主
体とする蒸着薄膜層の表面においては、上記の化合物等
により耐衝撃性等を高められ、他方、基材フィルムとの
界面においては、上記の化合物の含有量が少ないため
に、基材フィルムと酸化珪素を主体とする蒸着膜との密
接着性が強固なものとなるという利点を有するものであ
る。
【0030】而して、本発明において、上記の酸化珪素
を主体とする蒸着薄膜層について、例えば、X線光電子
分光装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XP
S)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass S
pectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方
向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用し
て、酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層の元素分析を行う
ことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素を主体とする蒸
着薄膜層の膜厚としては、膜厚50〜4000Å位であること
が望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜100
0Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更
には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発
生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更に
は、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが
困難になることから好ましくないものである。上記にお
いて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線
分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメ
ンタルパラメーター法で測定することができる。また、
上記において、上記の酸化珪素を主体とする蒸着薄膜層
の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大
きくすること、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を
多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって
行うことができる。
【0031】次に、上記において、酸化珪素の蒸着薄膜
層を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスと
しては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサ
ン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラ
ン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、
メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジ
エチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オク
タメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用する
ことができる。本発明において、上記のような有機珪素
化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサ
ン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使
用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特
性等から、特に、好ましい原料である。また、上記にお
いて、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘ
リウムガス等を使用することができる。
【0032】次に、本発明において、本発明にかかる液
体紙容器用積層体を構成するバリア性フィルムを形成す
るエポキシ系樹脂を主成分とする組成物による硬化性被
膜からなる接着剤層ないし接着性樹脂層について説明す
ると、まず、エポキシ系樹脂としては、末端にエポキシ
基を有する分子量が300〜10,000程度のオリゴマー性樹
脂であり、製造原料の種類によって、グリシジルエーテ
ル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、そ
の他等を使用することができる。上記のグリシジルアミ
ン型は、分子中に窒素原子を有するが、その他のエポキ
シ系樹脂は、窒素原子を持たない。また、上記のグリシ
ジルアミン型は、安定性が悪く、硬化剤との反応の段階
でゲル化し易い問題があり、安定性の高いグリシジルエ
ーテル型あるいはグリシジルエステル型を使用すること
が望ましい。
【0033】上記において、上記のエポキシ系樹脂の中
で、グリシジルエーテル型は、アルコール性水酸基を有
するアルコール類あるいはフェノール類、また、グリシ
ジルエステル型は、カルボン酸を官能基として有する活
性水素含有化合物類をエピクロルヒドリンあるいはジク
ロルヒドリンでエポキシ化して得られる。通常、アルカ
リ存在下で反応を行い、一回の反応でエポキシ化する方
法や二回以上の反応を経てエポキシ化する。上記の反応
には、三級アミン、四級アミン、トリフェニルホスフィ
ン等の触媒を使同することもできる。他の方法として
は、二重結合を有する化合物を過酸化水素もしくは過酸
で液相酸化する方法、二重結合を有する化合物を空気酸
化する方法、イリド化合物を用いる方法等があるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0034】また、上記の反応は、ビスフェノールAと
エピクロルヒドリンとの反応では、ビスフェノールA 1
モルに対して、エピクロルヒドリンは2モル以上を必要
とするものである。上記の反応温度は、5〜150℃の範囲
で行うのが一般的であるが、これに限定されるものでは
ない。また、反応溶媒としては、原料が溶解する溶媒で
あればよいが、好ましくは、アルコール類が望ましい。
上記のアルコール類としては、メタノール、エタノー
ル、n-プロパノール等の低級アルコールの他に、2-メト
キシエタノール、2-エトキシエタノール等のグリコール
エーテル類、また、多価アルコール類も使用できる。
【0035】本発明においては、上記のようにして得ら
れるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、その
基本骨格から、ビスフェノールA型、ビスフェノールF
型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA
型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェ
ニル型、ナフタレン型、フルオレン型の分子中にエポキ
シ基を2個有する二官能エポキシ樹脂、フェノールノボ
ラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラ
ック型、トリス・ヒドロキシフェニルメタン型、テトラ
フェニロールエタン型の分子中にエポキシ基を3個以上
有する多官能エポキシ樹脂がある。
【0036】また、これらの芳香族エポキシ樹脂の他
に、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-
プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタン
ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等の2価以上の脂肪族アルコール類をエピクロルヒ
ドリン、あるいはジクロルヒドリンでエポキシ化した脂
肪族エポキシ樹脂も使用できる。
【0037】更にまた、グリシジルエステル型エポキシ
樹脂としては、分子中に、カルボキシル基(−COOH)を
2個以上有する芳香族、あるいは脂肪族カルボン酸とエ
ピクロルヒドリンあるいはジクロルヒドリンとの反応で
得ることができる。上記の芳香族では、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸のエポキシ化物等がある。これ
らのエポキシ樹脂は、1種類のエポキシ樹脂、あるいは2
種以上のエポキシ樹脂を混合して使用してもよい。上記
のエポキシ樹脂の分子量は、300〜10,000(数平均分子
量)、重合度(n)は、0.1〜20、エポキシ当量は、100
〜10,000g/eq、粘度は、20〜40,000ps(25℃)である。
【0038】次に、本発明において、エポキシ系樹脂と
反応させる硬化剤としては、例えば、重付加型ポリアミ
ン、重付加型酸無水物、重付加型ポリフェノール、重付
加型ポリメルカプタン、重付加型イソシアネート、重付
加型有機酸、触媒型硬化剤、縮合型硬化剤、その他等を
使用することができる。
【0039】上記の硬化剤の中で、反応性に富むポリア
ミン系硬化剤や有機酸やその誘導体(エステル、酸無水
物)が広く使用されているが、特に限定されるものでは
ない。上記において、ポリアミンとしては、例えば、ジ
エチレントリアミン、トリエチレントリアミン、メタキ
シリレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3-ビスアミ
ノメチルシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン等
の未変性ポリアミン、ポリアミド、ケチミン、エポキシ
変性体(エポキシアダクト)等の変性ポリアミン、有機
酸誘導体としては、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、
ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、シクロペンタ
ジエンメチルマレイン酸、ドデシルコハク酸、ジクロル
マレイン酸、クロレンジック酸、あるいはこれらのエス
テル体、無水物体等があるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0040】なお、本発明においては、反応を促進する
三級アミン等を極く少量添加してもよい。これらの硬化
剤は、1種あるいは2種以上の硬化剤を組み合わせてエポ
キシ系樹脂を硬化させる。而して、硬化剤とエポキシ樹
脂の反応により、樹脂被膜中に三次元架橋構造が形成さ
れ、エポキシ系樹脂の物性、特に、機械的強変、電気的
特性、耐熱性、耐薬品性、接着性、並びにガス遮断性を
効果的に改善することができる。
【0041】上記のエポキシ樹脂の硬化反応は、溶媒中
で行う。上記において、使用可能な溶媒としては、エポ
キシ樹脂と硬化剤が可溶化する溶媒であれば使用可能で
あり、例えば、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素
系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、あるいはアル
コール系溶媒が使用できる。溶媒は、単独、あるいは2
種以上の溶媒を混合してもよい。アルコール系溶媒で
は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプ
ロパノール等の低級アルコールの他に、2-メトキシエタ
ノール、2-エトキシエタノール等のグリコールエーテル
類、また、多価アルコール類も使用できる。
【0042】上記の硬化反応は、常温、あるいは加温し
ながら行う。本発明においては、概ね、50℃〜150℃の
範囲で行うが、温度が高すぎるとゲル化反応が起こり、
硬化反応後のコーティング性が悪くなる。なお、必要に
応じて、窒素気流を反応容器に導入し、酸素ガスの影響
を除く。また、硬化剤の添加量は、エポキシ系樹脂のエ
ポキシ基の数で任意に選択されるが、酸無水物の場合
は、触媒的効果も有するので、0.1〜0.5エポキシ当量が
一般的である。ただし、硬化剤の量は、三次元構造を決
定し、硬化膜の物性に影響を及ぼす因子なので、その量
には注意を払う必要がある。
【0043】なお、上記で硬化剤で硬化させたエポキシ
系樹脂は、ややもろいという欠点がある。特に、本発明
では、被膜を形成する披着材が蒸着フィルムの蒸着なの
で、曲げ弾性係数が大きい樹脂被膜は効果が少ない。可
撓性を付与する方法としては次の方法があるが、これら
の方法に限定されるものではない。例えば、可塑削を添
加し、硬化物中に未反応物として長鎖伏の化合物を残存
させる方法がある。上記の可塑剤としては、ジブチルフ
タレート、有機酸のエチレングリコールのエステル、テ
トラヒドロフルフリルアルコールのエチレンオキシド付
加物等を使用することができる。次に、硬化時に長鎖状
化合物をエポキシ基とが反応するような物質(可撓性付
与剤)を添加する方法ある。更に、希釈剤を使用する方
法があり、而して、希釈剤としては、ブチルグリシジル
エーテル、アリルグリシジルエーテル、ジグリシジルエ
ーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル等を使用す
ることができる。また、充填剤を使用する方法があり、
而して、充填剤としては、マイカ粉末、シリカまたは石
英粉末、炭酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸ジルコニウ
ム、酸化鉄、ガラス粉末等を使用することができる。更
にまた、プラスチック樹脂を添加する方法があり、而し
て、プラスチック樹脂としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリ
オレフィン、ポリアミド、その他等を使用することがで
きる。
【0044】次に、本発明において、エポキシ系樹脂を
主成分とする組成物を前述の酸化珪素の蒸着薄膜層の面
にコーティングする方法としては、例えば、エポキシ系
樹脂を主成分とする組成物を、必要ならば、溶媒に希釈
して蒸着樹脂フィルムを構成する酸化珪素の蒸着薄膜層
の面にコーティングして、接着剤層ないし接着性樹脂層
を形成することができる。上記において、使用する溶媒
は、アルコール系溶媒が最も好ましいが、酢酸エチル、
メチルエチルケトンの他、水/アルコール混合溶媒で中
に分散させてコーティングを行ってもよい。必要に応じ
て、乳化剤等も使用する。
【0045】上記において、コーティング方法として
は、公知のコーティング法で行うことができる。例え
ば、ダイレクトグラビアロール法、グラビアロール法、
エアドクタコート法、ロッドコート法、キスコート法、
リバースロール法、フォンテン法、トランスファーロー
ル法等の方法の他、スプレーコート法、ディップコート
法も使用できる。上記において、そのコート量は、0.1
〜50μm、好ましくは、0.5〜5μm(乾燥状態)が望まし
い。本発明において、ガスバリア性は、上記のコート量
の厚みに依存するが、あまりコート量が多いと透明性や
柔軟性、可撓性が悪くなるので好ましくない。
【0046】次に、本発明において、本発明にかかる液
体紙容器用積層体を構成する最内層について説明する
と、かかる最内層としては、前述の最外層と同様に、例
えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒート
シール性を有するポリオレフィン系樹脂、その他等を使
用することができる。具体的には、例えば、低密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を
使用して重合したエチレン−α-オレフィン共重合体、
ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイ
オノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重体、エチレン−メタクリル酸
重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチ
レン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、
ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレ
ン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコ
ン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフ
ィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリ
ル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他等の樹脂を使用す
ることができる。而して、本発明においては、上記のよ
うな樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等
を用いて溶融押出して、例えば、バリア性フィルムの一
方の面に、アンカーコート剤層等を介して、溶融押出樹
脂層を溶融押出積層することにより、あるいは、上記の
ような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これか
ら樹脂のフィルムないしシートを製造し、その樹脂のフ
ィルムないしシートをバリア性フィルムの一方の面にラ
ミネート用接着剤層等を介してドライラミネート積層す
ることにより、あるいは、上記の溶融押出樹脂層等を用
いて積層する溶融押出積層法等により、最内層を形成す
ることができる。なお、本発明において、最内層の厚さ
としては、5〜200μm位、好ましくは、10〜100μm位が
望ましいものである。
【0047】ところで、本発明において、本発明にかか
る液体紙容器用積層体を構成する最内層としては、メタ
ロセン触媒を使円して重合したエチレン−α-オレフィ
ン共重合体層から構成することが好ましいものである。
上記のメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α
-オレフィン共重合体としては、例えば、二塩化ジルコ
ノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等
のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる
触媒、すなわち、メタロセン触媒を使用して、エチレン
とα-オレフィンとを共重合してなるエチレン−α-オレ
フィン共重合体を使用することができる。上記のメタロ
セン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサ
イト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一である
ことからシングルサイト触媒とも呼ばれているものであ
る(以下、メタロセン触媒は、シングルサイト触媒と同
等の意味である。)。具体的には、メタロセン触媒を使
用して重合したエチレン−α-オレフィン共重合体とし
ては、三菱化学株式会社製の商品名「カーネル」、三井
石油化学工業株式会社製の商品名「エボリュー」、米
国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商
品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル
(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティー(AFFI
NITY)、商品名「エンゲージ(ENGAGE)」等のメタロセ
ン触媒を用いて重合したエチレン−α-オレフィン共重
合体を使用することができる。而して、本発明におい
て、上記のようなメタロセン触媒を用いて重合したエチ
レン−α-オレフィン共重合体層からなる最内層として
は、バリア性層の面に、例えば、アンカーコート剤層等
を介して積層する溶融押出積層法、あるいは、ラミネー
ト用接着剤層等を介して積層するドライラミネート法等
の通常の積層法を用いて形成することができる。本発明
において、最内層の膜厚としては、10〜300μm位、好ま
しくは、20〜100μm位が望ましい。
【0048】なお、本発明において、本発明にかかる液
体紙容器用積層体を構成する材料として、その他、例え
ば、水蒸気、水等のバリア性を有する低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシート、ある
いは、酸素、水蒸気等に対するバリア性を有するポリビ
ニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共
重合体、MXDポリアミド系樹脂、ポリナフタレンテレフ
タレート系樹脂等の樹脂のフィルムないしシート、樹脂
に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混
練してフィルム化してなる遮光性を有する名種の着色樹
脂のフィルムないしシート等を使用することができる。
これらの材料は、1種ないしそれ以上を組み合わせて使
用することができる。上記のフィルムないしシートの厚
さとしては、任意であるが、通常、5〜300μm位、更に
は、10〜100μm位が望ましい。
【0049】また、本発明においては、通常、包装用容
器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれること
から、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装
適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピン
ホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生
性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本
発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を
任意に選択して使用することができ、具体的には、例え
ば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸
エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリ
ル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブチン系
樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、
ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリ
ロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニト
リル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポ
リエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢
酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系
樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニ
トロセルロース、その他等の公知の樹脂のフィルムない
しシートから任意に選択して使用することができる。本
発明において、上記のフィルムないしシートは、未延
伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれの
ものでも使用することができる。また、その厚さは、任
意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使
用することができる。更に、本発明においては、フィル
ムないしシートとしては、押し出し成膜、インフレーシ
ョン成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよ
い。その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等
も使用することができる。
【0050】次に、本発明においては、本発明にかかる
液体紙容器用積層体を構成する材料のいずれかに所望の
印刷模様層を形成することができるものである。上記の
印刷模様層としては、例えば、上記のバリア性塗布膜の
上に、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ
組成物、凸版インキ組成物、スクリーンインキ組成物、
その他のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷
方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスク
リーン印刷方式、その他の印刷方式を使用し、例えば、
文字、図形、絵柄、記号、その他からなる所望の印刷絵
柄を形成することにより構成することができる。上記イ
ンキ組成物について、インキ組成物を構成するビヒクル
としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプ
ロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メ
タ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸
ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ
化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポ
リビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹
脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不
飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリ
ル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、フェノール系樹脂、キシリレン系樹脂、マレイ
ン酸樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセ
チルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロース
などの繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴムなどのゴム系
樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼインなどの天然樹脂、
アマニ油、大豆油などの油脂類、その他の樹脂の1種な
いし2種以上の混合物を使用することができる。本発明
において、上記のようなビヒクルの1種ないし2種以上を
主成分とし、これに、染料・顔料などの着色剤の1種な
いし2種以上を加え、さらに必要ならば、充填剤、安定
剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの光安定
剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋
剤、その他の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤など
で充分に混練してなる各種の形態からなるインキ組成物
を使用することができる。
【0051】次に、本発明において、上記のような材料
を使用して本発明にかかる液体紙容器用積層体を製造す
る方法について説明すると、かかる方法としては、通常
の包装材料をラミネートする方法、例えば、ウェットラ
ミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ド
ライラミネーション法、押出ラミネーション法、Tダイ
押出成形法、共押出ラミネーション法、インフレーショ
ン法、共押出インフレーション法、その他等で行うこと
ができる。而して、本発明においては、上記の積層を行
う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、プラズマ処
理、オゾン処理、その他等の前処理を任意に施すことが
でき、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン
系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機
チタン系等のアンカーコート剤、あるいは、ポリウレタ
ン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、
ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネー
ト用接着剤等の公知のアンカーコート剤、ラミネート用
接着剤等を任意に使用することができる。
【0052】本発明において、本発明にかかる液体紙容
器用積層体を製造する方法について、具体的に述べる
と、例えば、ラミネート用接着剤によるラミネート用接
着剤層を介して積層するドライラミネーション法、ある
いは、溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層を介し
て積層する押出ラミネーション法などで行うことができ
る。上記において、ラミネート用接着剤としては、例え
ば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビ
ニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエス
テル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ
系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、
エマルジョン型などのラミネート用接着剤を使用するこ
とができる。上記ラミネート用接着剤のコーティング法
としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート
法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバース
ロールコート法、フォンテン法、トランスファーロール
コート法、その他の方法で塗布することができる。その
コーティング層としては、好ましくは0.1〜10g/m2(乾
燥状態)位、より好ましくは1〜5g/ m2(乾燥状態)位
である。なお、上記ラミネート用接着剤には、例えば、
シランカップリング剤などの接着促進剤を任意に添加す
ることができる。
【0053】また、上記において、溶融押出接着性樹脂
としては、前述のヒートシール性樹脂層を形成するヒー
トシール性樹脂を同様に使用することができ、具体的に
は、例えば、低密度ポリエチレン、特に、線状低密度ポ
リエチレン、酸変性ポリエチレンまたはポリプロピレン
等を使用することが好ましい。上記の溶融押出接着性樹
脂による溶融押出樹脂層の膜厚は、好ましくは5〜100μ
m位、さらに好ましくは、10〜50μm位である。なお、本
発明において、上記の積層を行う際に、より強固な接着
強度を得る必要がある場合には、アンカーコート剤など
の接着改良剤などをコートすることもできる。上記アン
カーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートな
どの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系
アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコー
ト剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、その他の水
性または油性の各種のアンカーコート剤を使用すること
ができる。本発明においては、上記アンカーコート剤
を、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デ
ィップコート、スプレイコート、その他のコーティング
法でコーティングし、溶剤、希釈剤などを乾燥して、ア
ンカーコート剤層を形成することができる。上記アンカ
ーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)
が好ましい。
【0054】次にまた、本発明において、本発明にかか
る液体紙容器用積層体を使用し、これを製函してなる液
体紙容器としては、例えば、ブリックタイプ、フラット
タイプあるいはゲーベルトップタイプ等の液体用紙容器
等を製造することができる。また、その形状は、角形容
器、丸形等の円筒伏の紙缶等のいずれのものでも製造す
ることができる。更に、本発明において、本発明にかか
る液体紙容器には、例えば、各種の飲食品、接着剤、粘
着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品、その他等
の種々の物品を充填包装することができるものである。
而して、本発明において、本発明にかかる液体紙容器
は、特に、例えば、酒、果汁飲料等のジュース、ミネラ
ルウォーター、醤油、ソース、スープ等の液体調味料、
あるいは、カレー、シチュー、スープ、その他等の種々
の液体飲食物を充填包装する包装用容器として有用なも
のである。
【0055】
【実施例】上記の本発明について実施例を挙げて更に具
体的に説明する。実施例において、酸素透過度の測定、
酸化珪素の蒸着薄膜層の膜厚の測定、および、酸化珪素
の蒸着薄膜層の元素組成分析は、それぞれ、下記のよう
にして測定した。 (酸素透過度の測定)これは、本発明にかかる液体紙容
器用積層体について、温度23℃、湿度90%RHの条件で、
米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクス
トラン(OXTRAN)〕にて測定した。 (酸化珪素の蒸着薄膜層の膜厚の測定)これは、蒸着樹
脂フィルムについて、蛍光X線分析装置(株式会社理学
製、機種名、RIX 3000)を用いて、ファンダメンタルパ
ラメータ法で測定した。 (酸化珪素の蒸着薄膜層の元素組成分析)これは、蒸着
樹脂フィルムについて、エスカ(ESCA)を用いて、酸化
珪素の蒸着薄膜層の組成分析を行って測定した。珪素と
酸素については、組成比率(Si:O比率)を正確に測定
した。
【0056】次に、蒸着樹脂フィルムについては、下記
のとおり製造した。 (蒸着樹脂フィルムの製造例1)二軸延伸ナイロンフィ
ルム(厚さ15μm、東洋紡株式会社製、製品名、N2100、
片面コロナ処理品、ONy)のコロナ処理面に、PECVD法で
酸化珪素の蒸着薄膜層を形成して、蒸着樹脂フィルムを
製造した。ガス組成は、ヘキサメチルジシロキサン/酸
素ガス/ヘリウム=1/3/3.5(単位:slm)とした。蒸
着速度は、100m/minで行ったところ、酸化珪素の蒸着薄
膜層の膜厚は、180Åであった。蒸着樹脂フィルムの酸
化珪素の蒸着薄膜層の面は、グロー放電プラズマ処理装
置を用いて、酸素プラズマで表面処理を行った。蒸着薄
膜層の表面張力は、プラズマ処理前が、35dyn、処理後
は、65dynであった。
【0057】(蒸着樹脂フィルムの製造例2)二軸延伸
ナイロンフィルム(厚さ20μm、東レ合成株式会社製、
製品名、1401、片面コロナ処理品、ONy)のコロナ処理
面に、PECVD法で酸化珪素の蒸着薄膜層を形成して、蒸
着樹脂フィルムを製造した。ガス組成は、ヘキサメチル
ジシロキサン/酸素ガス/ヘリウム=1/3/3.5(単
位:slm)とした。蒸着速度は、80m/minで行ったとこ
ろ、酸化珪素の蒸着薄膜層の膜厚は、200Åであった。
蒸着樹脂フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層の面は、グロ
ー放電プラズマ処理装置を用いて、酸素プラズマで表面
処理を行った。蒸着薄膜層の表面張力は、プラズマ処理
前が、37dyn、処理後は、68dynで あった。
【0058】次に、エポキシ系樹脂を主成分とする組成
物を下記のようにして調製した。 (エポキシ系樹脂を主成分とする組成物の調製例1)510
gのビスフェノールAのグリシジルエーテル誘導体を反応
容器に入れ、2Lの1-エトキシ-2-プロパノールを加え、
窒素ガスを導入しながら、マグネチックスターラーで攪
拌し、80℃で徐々に溶解した。溶解後、温度を80℃に維
持したまま、83gのトリエチレンテトラミンを1Lのn-プ
ロパノール溶液に添加し、マグネチックスターラーで攪
拌しながら、エポキシ樹脂を硬化させた。反応は1時間
行い、反応終了後、温度を120℃に上げ、過剰の溶媒を
減圧下で留去し、ポリアミンを付加重合させたエポキシ
樹脂の5%溶液(n-プロパノール)からなるエポキシ系
樹脂を主成分とする組成物を調整した。
【0059】(エポキシ系樹脂を主成分とする組成物の
調製例2)550gの1,4-ブタンジオールのグリシジルエー
テル誘導体を反応容器に入れ、1Lの2-ブトキシエタノー
ルを加え、窒素ガスを導入しながら、マグネチックスタ
ーラーで攪拌し、65℃で徐々に溶解した。溶解後、温度
を100℃に上げ、55gのヘキサヒドロフタル酸無水物を0.
7Lのn-プロパノール溶液に添加し、マグネチックスター
ラーで攪拌しながら、エポキシ樹脂を硬化させた。反応
は10時間行い、反応終了後、温度を130℃に上げ、過剰
の溶媒を減圧下で留去し、硬化剤を付加重合させたエポ
キシ樹脂の7%溶液(n-プロパノール)からなるエポキ
シ系樹脂を主成分とする組成物を調整した。
【0060】実施例1 上記の(蒸着樹脂フィルムの製造例1)で製造した蒸着
樹脂フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層の面に、上記の
(エポキシ系樹脂を主成分とする組成物の調製例1)で
製造した組成物を厚さ0.5g/m2のコート量(乾燥重量)
でグラビアコート法でコーティングし、次いで、120℃
で5時間熱硬化を行って、接着剤層を形成した。次に、
上記で接着剤層を形成した蒸着樹脂フィルムの二軸延伸
ナイロンフィルムの面に、ポリエステルウレタン系接着
剤(大日精化工業株式会社製、商品名、E−304/C−75
N、溶媒:酢酸エチル、DL)を4g/m2のコート量(乾燥重
量)の割合でコーティングし、次いで、そのコート面
に、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルム(大日本
樹脂株式会社製、商品名、SKL、LDPE)を積層した。次
いで、上記で製造した積層フィルムの蒸着樹脂フィルム
の接着剤層の面に、その両面に20μmの低密度ポリエチ
レンフィルム層(LDPE)を有する紙基材の一方の低密度
ポリエチレンフィルム層(LDPE)の面を対向させ、その
層間に、押出ラミネーション法で溶融押出した厚さ25μ
mの低密度ポリエチレン層(住友化学工業株式会社製、
商品名、スミカセンL430、LDPE)で溶融押出積層した。
接着剤層と低密度ポリエチレン層との間には、アンカー
コート剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A3200/A
3012、AC)をコーティングした。層構成として、外側か
ら内側に向かって、LDPE20/紙320g/m2/LDPE20/LDPE2
5/AC/接着剤層/SiOx/ONy/DL/LDPE60からなる液体
紙容器用積層体を作製した。
【0061】実施例2 上記の(蒸着樹脂フィルムの製造例2)で製造した蒸着
樹脂フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層の面に、上記の
(エポキシ系樹脂を主成分とする組成物の調製例2)で
製造した組成物を厚さ0.8g/m2のコート量(乾燥重量)
でグラビアコート法でコーティングし、次いで、120℃
で16時間熱硬化を行って、接着剤層を形成した。次に、
上記接着剤層を形成した蒸着樹脂フィルムの二軸延伸ナ
イロンフィルムの面にアンカーコート剤(東洋モートン
株式会社製、商品名、EL−510、AC)を0.5g/m2のコート
量(乾燥重量)の割合でコーティングし、次いで、その
コート面と厚さ60μmのメタロセン系LLDPE(東セロ株式
会社製、商品名、TUX−FSC)を溶融押出した厚さ20μm
の低密変ポリエチレン層(住友化学工業株式会社製、商
品名、スミカセンL430、LDPE)で積層した。次いで、上
記で製造した積層フィルムの蒸着樹脂フィルムの接着剤
層の面に、その両面に20μmの低密度ポリエチレンフィ
ルム層(LDPE)を有する紙基材の一方の低密度ポリエチ
レンフィルム層の面を対向させ、その層間に、押出ラミ
ネーション法で溶融押出した厚さ25μmの低密度ポリエ
チレン層(住友化学工業株式会社製、商品名、スミカセ
ンL430、LDPE)で溶融押出積層した。接着剤層と低密度
ポリエチレン層との間には、アンカーコート剤(武田薬
品工業株式会社製、商品名、A3200/A3012、AC)をコー
ティングした。層構成として、外側から内側に向かっ
て、LDPE20/紙320g/m2/LDPE 20/LDPE25/AC/接着剤
層/SiOx/ONy/AC/LDPE20/LLDPE60からなる液体紙容
器用積層体を作製した。
【0062】実施例3 上記の実施例1において、蒸着樹脂フィルムを構成する
酸化珪素の蒸着薄膜層と接着剤層の積層方向を反対に、
それ以外は、上記の実施例1と同様にして、層構成とし
て、外側から内側に向かって、LDPE20/紙320g/m2/LDP
E20/LDPE25/AC/ONy/SiOx/接着剤層/DL/LDPE60か
らなる液体紙容器用積層体を作製した。
【0063】上記の実施例2において、蒸着樹脂フィル
ムを構成する酸化珪素の蒸着薄膜層と接着剤層の積層方
向を反対に、それ以外は、上記の実施例2と同様にし
て、層構成として、外側から内側に向かって、LDPE20/
紙320g/m2/LDPE20/LDPE25/AC/ONy/SiOx/接着剤層
/AC/LDPE20/LLDPE60からなる液体紙容器用積層体を
作製した。
【0064】比較例1 上記の(蒸着樹脂フィルムの製造例1)で製造した蒸着
樹脂フィルムの二軸延伸ナイロンフィルムの面に、ポリ
エステルウレタン系接着剤(大日精化工業株式会社製、
商品名、E−304/C−75N、溶媒:酢酸エチル、DL))を
4g/m2のコート量(乾燥重量)の割合でコーティング
し、次いで、そのコート面に、厚さ60μmの低密度ポリ
エチレンフィルム(大日本樹脂株式会社製、商品名、SK
L、LDPE)を積層した。次いで、上記で製造した積層フ
ィルムの蒸着樹脂フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層の面
に、その両面に20μmの低密度ポリエチレンフィルム層
(LDPE)を有する紙基材の一方の低密度ポリエチレンフ
ィルム層(LDPE)の面を対向させ、その層間に、押出ラ
ミネーション法で溶融押出した厚さ25μmの低密度ポリ
エチレン(住友化学工業株式会社製、商品名、スミカセ
ンL430、LDPE)で溶融押出積層した。接着剤層と低密度
ポリエチレン層との間には、アンカーコート剤(武田薬
品工業株式会社製、商品名、A3200/A3012、AC)をコー
ティングした。層構成として、外側から内側に向かっ
て、LDPE20/紙320g/m2/LDPE20/LDPE25/AC/SiOx/O
Ny/DL/LDPE60からなる液体紙容器用積層体を作製し
た。
【0065】比較例2 上記の比較例1において、二軸延伸ナイロンフィルムの
代わりに、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ム(PET)を使用し、それ以外は、上記の比較例1と同様
にして、層構成として、外側から内側に向かって、LDPE
20/紙320g/m2/LDPE20/LDPE25/AC/SiOx/PET/DL/
LDPE60からなる液体紙容器用積層体を作製した。
【0066】比較例3 上記の(蒸着樹脂フィルムの製造例2)で製造した蒸着
樹脂フィルムの二軸延伸ナイロンフィルムの面にアンカ
ーコート剤(東洋モートン株式会社製、商品名、EL−51
0、AC)を0.5g/m2のコート量(乾燥重量)の割合でコー
ティングし、次いで、そのコート面と厚さ60μmのメタ
ロセン系LLDPE(東セロ株式会社製、商品名、TUX−FS
C)を溶融押出した厚さ20μmの低密度ポリエチレン層
(住友化学工業株式会社製、商品名、スミカセンL430、
LDPE)で積層した。次いで、上記で製造した積層フィル
ムの蒸着樹脂フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層の面に、
その両面に20μmの低密度ポリエチレンフィルム層(LDP
E)を有する紙基材の一方の低密度ポリエチレンフィル
ム層の面を対向させ、その層間に、押出ラミネーション
法で溶融押出した厚さ25μmの低密度ポリエチレン層
(住友化学工業株式会社製、商品名、スミカセンL430、
LDPE)で溶融押出積層した。接着剤層と低密度ポリエチ
レン層との間には、アンカーコート剤(武田薬品工株式
会社製、商品名、A3200/A3012、AC)をコーティングし
た。層構成として、外側から内側に向かって、LDPE20/
紙320g/m2/LDPE 20/LDPE25/AC/SiOx/ONy/AC/LDP
E20/LLDPE60からなる液体紙容器用積層体を作製した。
【0067】比較例4 二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm、ユニチカ株式
会社製、片面コロナ処理品、ONy)のコロナ処理面に、
一酸化珪素(SiO)を蒸着源として、EBガンで蒸着源を
加熱し、真空蒸着法で膜厚500Åの酸化珪素の蒸着薄膜
層を形成して、蒸着樹脂フィルムを製造した。蒸着速度
は220m/minで行った。蒸着膜の表面張力は、70dynであ
った。この蒸着樹脂フィルムを用いて、上記の実施例1
と同様にして、その層構成として、外側から内側に向か
って、LDPE20/紙320g/m2/LDPE20/LDPE25/AC/SiOx
/ONy/DL/LDPE60からなる液体紙容器用積層体を作製
した。
【0068】比較例5 二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm、東洋紡株式会
社製、製品名、N2100、片面コロナ処理品、ONy)のコロ
ナ処理面に、酸化アルミニウム(Al2O3)を蒸着源とし
て、EBガンで蒸着源を加熱し、真空蒸着法で膜厚200Å
の蒸着層を形成して、蒸着樹脂フィルムを製造した。蒸
着速度は、480m/minで行った。蒸着樹脂フィルムは、40
℃、90%RHの加湿条件で24時間エージングを行った。こ
のエージング処理により、蒸着面の表面張力は、58dyn
から72dynに向上した。この蒸着樹脂フィルムを用い
て、上記の実施例1と同様にして、その層構成として、
外側から内側に向かって、LDPE20/紙320g/m2/LDPE20
/LDPE25/AC/A12O3/ONy/DL/LDPE60からなる液体紙
容器用積層体を作製した。
【0069】実験例 上記の実施例1〜4、および、比較例1〜5で製造した液体
紙容器用積層体を使用し、まず、その酸素透過度(バリ
ア性)とラミネート強度を測定した後、その液体容器用
積層体を使用し、これに罫線入れ打抜き機で打抜き加工
を行い、液体紙容器用のブランクシートを作製した。こ
のブランクシートは、次に、フレームシール機でサイド
シールを行い、スリーブを作製し、ホットエア方式の充
填成形機で一辺が70mm角、高さが135mmの500ml容の液体
紙容器を作製するとともに、内容物として、市販床用洗
剤(pH13、無機アルカリ2%、モノエタノールアミン2%
含有)を350ml充填して、製缶した。成形温度は、ボト
ム温度、トップ温度とも260〜320℃であった。試料は、
40℃で3月間保管し、容器物性として、酸素透過度(バ
リア性)とラミネート強度を経時的に測定した。なお、
ラミネート強度の測定は、テンシロン試験機(オリエン
テック株式会社製、機種名、STA−1150)を使用し、サ
ンプルを15mm巾にカットし、剥離界面に対してT字剥離
となるようにして剥離強度を測定した。上記のテスト結
果について下記の表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】上記の表1に示す結果から明らかなよう
に、酸素透過度については、実施例1〜4のものは、比較
例1〜5のものと比較して優れていた。特に、実施例1〜4
のものは、いずれも、1cc/m2以下のハイバリア性を達成
でき、これは、接着剤層が、酸化珪素の蒸着薄膜層を保
護し、更に、その相乗効果的にバリア性を高める機能を
有するものであると推定される。また、ラミネート強度
については、3月経過しても実施例1〜4のものは、外観
上の変化は確認されなかった。これに対して、比較例
1、3のものは、実施例1〜4のものと比較して、それ程の
差異は認められなかったが、比較例2、4、5のものは、
デラミを主要因とする変化が明確に観察された。また、
実施例1〜4のものは、強度的に見ても、実施例では剥離
はするが、その強度は液体紙容器の強度としては充分で
あり、特に、顕著に低下する傾向は確認されなかった。
なお、剥離箇所は、接着剤層、あるいはアンカーコート
剤層の凝集破壊であり、蒸着薄膜層と基材間、あるい
は、蒸着薄膜層と接着剤層との層間の剥離現象は全く確
認されなかつた。比較例では、例えば、比較例2と比較
例4で、蒸着薄膜層と基材間の界面剥離現象が確認さ
れ、真空蒸着法による欠点である蒸着薄膜層と基材間の
密着性不足に起因する問題が確認された。
【0072】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、ガスバリア性を有するコーティング剤として、例え
ば、エポキシ−ポリアミン系のエポキシ系樹脂を主成分
とする組成物による硬化性被膜からなる接着剤層ないし
接着性樹脂層に着目し、このエポキシ系樹脂を主成分と
する組成物による硬化性被膜からなる接着剤層ないし接
着性樹脂層を蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着薄膜
層の面に形成すると、特に、プラズマ気相成長法(PECV
D)等の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜層
の上に形成すると、そのバリア性のみならず、その無機
酸化物の蒸着薄膜層との密着性が格段に向上し、更に、
他の樹脂フィルムとの複合化を行っても、その性能には
影響を及ぼさないというものである。更に、本発明にお
いては、無機酸化物の蒸着薄膜層のハイバリア化と密着
性を達成するための手段として、プラズマ気相成長法
(PECVD)等の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着
薄膜層の上に、エポキシ系樹脂を有機系硬化剤で硬化さ
せた熱硬化性被膜からなる接着剤層ないし接着性樹脂層
を形成することで、プラズマ気相成長法(PECVD)等の
化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜層をさほど
厚くしなくても、バリア性が格段に向上し、バリア性改
善の他に、更に、密着性が優れているので、可撓性や後
加工適性も従来の無機酸化物の蒸着薄膜層の根本的問題
を大幅に改善することができるという利点を有するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる液体紙容器用積層体についてそ
の層構成の一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】プラズマ化学気相成長装置についてその概要を
示す概略的構成図である。
【符号の説明】
A 積層材 1 最外層 2 紙基材 3 中間層 4 最内層 3a バリア性フィルム 11 基材フィルム 12 酸化珪素の蒸着薄膜層 13 蒸着樹脂フィルム 14 接着剤層ないし接着性樹脂層
フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 AB01 AD02 BA04 BA13 BA14 BA15 BB05 BB74 CA29 DA08 4F100 AA20D AH00H AK01C AK06A AK06E AK48C AK53E AT00A AT00E BA05 BA07 BA10A BA10E CA02E DA01 DG10B EH66D EJ38C GB16 JD03 JK06 JL11E JM02D YY00 YY00D YY00E

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、最外層、紙基材、中間層、
    および、最内層を順次に積層した液体紙容器用積層体に
    おいて、上記の中間層が、バリア性フィルムからなり、
    更に、該バリア性フィルムが、基材フィルムの少なくと
    も一方の面に、プラズマ気相成長法による珪素、酸素、
    炭素、水素を膜組成成分として含有する酸化珪素の蒸着
    薄膜層を形成した蒸着樹脂フィルムからなり、かつ、該
    蒸着樹脂フィルムを構成する酸化珪素の蒸着薄膜層の上
    に、エポキシ系樹脂を主成分とする組成物による硬化性
    被膜からなる接着剤層ないし接着性樹脂層を設けた構成
    からなることを特徴とする液体紙容器用積層体。
  2. 【請求項2】 酸化珪素の蒸着薄膜層が、膜厚100Å〜1
    000Åからなることを特徴とする上記の請求項1に記載
    する液体紙容器用積層体。
  3. 【請求項3】 接着剤層ないし接着性樹脂層が、膜厚が
    0.1〜10μmからなり、更に、少なくとも分子中にエポキ
    シ基を2個以上有する有機系硬化剤で硬化させた被膜か
    らなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1
    項に記載する液体紙容器用積層体。
  4. 【請求項4】 液体紙容器用積層体が、1.0cc/m2・day・a
    tm以下(23℃/90%RH)の酸素透過度を有することを特徴と
    する上記の請求項1〜3のいずれか1項に記載する液体紙
    容器用積層体。
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