JP2003332877A

JP2003332877A - 水晶振動子

Info

Publication number: JP2003332877A
Application number: JP2002139581A
Authority: JP
Inventors: Seiji Oda; 精司小田; Hiroshi Uehara; 博上原
Original assignee: Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
Current assignee: Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
Priority date: 2002-05-15
Filing date: 2002-05-15
Publication date: 2003-11-21

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、保持構造に起因したひずみの発生を
抑止して振動特性に優れ、高周波化及び高品質化を促進
する水晶振動子を提供することを目的とする。【構成】水晶片の両主面に対向して形成された励振電極
から一対の引出電極を前記水晶片の外周部に延出し、前
記一対の引出電極の延出端部を保持してなる水晶振動子
において、前記一対の引出電極の延出端部は、前記励振
電極と前記水晶片の一端部一点を結ぶ直線上にある構成
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は水晶振動子を産業上
の技術分野とし、特に水晶片の保持構造に起因したひず
みの発生を抑止する表面実装用の水晶振動子（以下、表
面実装振動子とする）に関する。

【０００２】

【従来の技術】（発明の背景）表面実装振動子は小型・
軽量であることから、特に携帯機器例えば携帯電話の周
波数や時間の基準源として使用される。近年では、高周
波化及び高品質化が一層求められ、これに起因して保持
構造等の見直が求められている。

【０００３】（従来技術の一例）第２図及び第３図は一
従来例を説明する図で、第２図（a）は表面実装振動子
の断面図、同図（ｂ）は水晶片の平面図、第３図は他の
例を説明する水晶片の平面図である。表面実装振動子
は、容器本体１に水晶片２を収容してカバー３を被せ、
水晶片２を密閉封入してなる。容器本体１は例えば凹状
とした積層セラミックからなり、内底面に水晶片２との
接続端子としての一対のメタライズ層（水晶端子とす
る）４を有する。外表面（底面及び側面）には、水晶端
子４と電気的に接続した表面実装用の図示しない実装電
極を有する。

【０００４】水晶片２は高周波化に対応して、一主面の
中央部に穴５を設けて外周よりも厚みの小さい振動領域
を形成する。振動領域の両主面には対向した励振電極６
を設け、互いに反対方向となる厚みの大きい両端部に引
出電極７を延出する。そして、他主面側からの引出電極
７は端面を経て一主面側に折返し、先端側に幅を広くし
た接続部としての延出端部７ａが水晶片２の両端側に形
成される第「２図（ｂ）」。あるいは、両主面の励振電
極６から一端部両側に外部接続用の引出電極７を延出
し、一方は折り返して他主面側の一端部両側に延出端部
７ａを形成する（第３図）。

【０００５】そして、両端部あるいは一端部両側の延出
端部７ａが、これに対応した内底面の水晶端子４に面対
向して、導電性接着剤８によって固着（保持）される。
なお、一端部両側が固着された断面図は省略する。さら
に、例えば容器本体１の開口端面に設けられた図示しな
い金属リングやメタライズ層に、金属カバー３をシーム
やビーム溶接によって接合してなる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】（従来技術の問題点）
しかしながら、上記構成の表面実装振動子では、容器本
体１の積層セラミックと水晶片２との熱膨張率を異にす
る。ちなみに、セラミック（Ａｌ₂Ｏ₃９２％の場合）の
熱膨張率は７．０×１０^-8／℃、水晶片は１４．５〜１
６．９×１０^-6／℃である。このため、表面実装振動子
が高温にさらされると、両者の膨張差によって水晶片２
にひずみを発生させる。

【０００７】例えば水晶片２の両端部を保持した場合に
は、第４図に示したように水晶片２の矢印で示す長さ方
向に応力を生ずる。そして、この例では、高周波化に対
応して、水晶片２の中央部に穴５を設けて厚みの小さい
振動領域を形成する。したがって、両端部間（延出端部
間）に発生する応力が厚みの小さい振動領域に集中し
て、振動領域でのひずみを大きくする。

【０００８】この場合には、特に両端部を結ぶ直線上
（応力発生方向）に振動領域（励振電極６）が存在する
ので直接的に影響し、特に常温２５℃近傍に変曲点を有
する三次曲線となる周波数温度特性を劣化させる。さら
に、他の振動特性にも悪影響を及ぼす。なお、第４図
（ａ）は水晶片の平面図、同図（ｂ）は模式的なＡ−Ａ
裁断図である。

【０００９】また、水晶片２の一端部両側を保持した場
合には、第５図に示したように水晶片２の矢印で示す幅
方向に応力を生ずる。この場合には、一端部両側を結ぶ
直線上に振動領域はないものの、一端部両側間で生じた
応力が他端部方向に伝播する。なお、この方向を応力伝
播方向とする。したがって、この場合でも、伝播した応
力によって、特に厚みの小さい振動領域の幅方向にてひ
ずみを生ずる。これにより、前述同様に、周波数温度特
性等の振動特性に悪影響を及ぼす。なお、第５図（ａ）
は水晶片の平面図、同図（ｂ）は模式的なＢ−Ｂ裁断図
である。

【００１０】また、ここでは導電性接着剤８によって水
晶片２の両端部あるいは一端部両側を固着するので、導
電性接着剤の熱硬化時の収縮による歪をも発生するの
で、これによる悪影響も生ずる。これらは、特に高周波
化（例えば１００ＭＨｚ以上）が進むほど、即ち水晶片
２が薄くなるほど影響は大きく、問題は顕著になる。ま
た、仕様等が厳しく高品質を求められた場合も同様であ
る。

【００１１】（発明の目的）本発明は、保持構造に起因
したひずみの発生を抑止して振動特性に優れ、高周波化
及び高品質化を促進する水晶振動子を提供することを目
的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、熱膨張差によ
る応力が直接的（両端保持の場合）にあるいは間接的
（一端部両側保持の場合）に作用して振動領域にひずみ
を発生させることから、直接的にも間接的にも振動領域
に応力が作用しない保持構造（電極構造）を着想した。
そして、この着想を、一対の引出電極の延出端部は励振
電極と水晶片の一端部一点を結ぶ直線上に形成すること
によって達成した。

【００１３】すなわち、本発明では励振電極と水晶片の
一端部一点を結ぶ直線上に、一対の引出電極の延出端部
を形成する。したがって、一対の引出電極を固着して熱
膨張差によって延出端部間に応力が発生しても、応力発
生方向間及び応力伝播方向に振動領域が存在しない。こ
れにより、振動領域でのひずみの発生を抑止する。以
下、本発明の一実施例を説明する。

【００１４】

【実施例】第１図は本発明の一実施例を説明する図で、
同図（ａ）は表面実装振動子の断面図、同図（ｂ）は水
晶片の一主面の平面図である。なお、前従来例と同一部
分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
表面実装振動子は、前述したように、穴５を設けて振動
領域が設けられた水晶片２を容器本体１に収容してカバ
ー３を被せてなる。そして、この実施例では、水晶片２
の振動領域に形成された両主面の励振電極６から、水晶
片２の長さ方向の一端部に一対の引出電極７を延出す
る。凹面（一主面）側の励振電極６からの一方の引出電
極７は、幅方向の中央部を延出して励振電極６と一端部
との中間に幅広の延出端部７ａを形成する。

【００１５】平坦面（他主面）側の励振電極６からの他
方の引出電極７は、幅方向の中央部を延出して端面を経
て反対面（一主面）側に折り返され、幅広の延出端部７
ａを形成する。そして、一方の引出電極７の延出端部７
ａと対向する。要するに、励振電極６と一端部中央を結
ぶ直線上に、一対の引出電極７の延出端部７ａを形成す
る。そして、容器本体１の一端側に長さ方向に並列した
水晶端子４に対面して、導電性接着剤８によって一対の
延出端部７ａを固着する。

【００１６】このような構成であれば、一対の引出電極
７の延出端部７ａはいずれも励振電極６と水晶片２の一
端部中央との間の直線上に存在する。したがって、容器
本体１と水晶片２との間に熱膨張差があっても、一対の
延出端部間に（応力発生方向間）には振動領域（励振電
極６）は存在しない。また、応力発生方向に直交する応
力伝播方向にも振動領域は存在しない。したがって、振
動領域には応力が作用しないのでひずみの発生を抑止す
る。これにより、特に周波数温度特性を含めた各振動特
性を良好に維持する。

【００１７】

【他の事項】上記実施例では、一対の引出電極７の延出
端部７ａは励振電極６と幅方向の中央部を結ぶ直線上に
形成したが、例えば励振電極６と角部を結ぶ直線上であ
ってもよく、要は励振電極６と水晶片２の外周部の一端
部一点を結ぶ直線上にあればよい。また、平坦面（他主
面）側の引出電極７は凹面（一主面）側に折り返して延
出端部７ａを形成したが、例えば導電性接着剤８を用い
る場合には折り返さなくてもよい。

【００１８】また、導電性接着剤８によって固着した
が、例えば共晶合金等を用いた熱圧着やバンプを用いた
超音波熱圧着等に任意の固着方式を採用できる。また、
水晶片２は振動領域の厚みを小さくした穴５を有すると
したが、単なる平板であっても適用できる。また、容器
本体１は凹状としたが任意に適用できる。

【００１９】

【発明の効果】本発明では一対の引出電極の延出端部を
励振電極と一端部一点を結ぶ直線上に形成して固着する
ので、延出端部間（応力発生方向間）及び応力伝播方向
に励振電極が存在しないことから、応力が作用すること
なくひずみの発生を抑止して振動特性に優れ、高周波化
及び高品質化を促進する水晶振動子を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を説明する図で、同図（ａ）
は表面実装振動子の断面図、同図（ｂ）は水晶片の一方
の主面の平面図である。

【図２】従来例を説明する図で、同図（ａ）は表面実装
振動子の断面図、同図（ｂ）は水晶片の他方の主面の平
面図である。

【図３】従来例を説明する水晶片の他方の主面の平面図
である。

【図４】従来例の問題点を説明する図で、同図（ａ）は
他方の主面の平面図、同図（ｂ）はＡ−Ａ断面図であ
る。

【図５】従来例の問題点を説明する図で、同図（ａ）は
他方の主面の平面図、同図（ｂ）はＢ−Ｂ断面図であ
る。

【符号の説明】

１容器本体、２水晶片、３カバー、４水晶端
子、５穴、６励振電極、７引出電極、７ａ延出
端部、８

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項1】水晶片の両主面に対向して形成された励振
電極から一対の引出電極を前記水晶片の外周部に延出
し、前記一対の引出電極の延出端部を保持してなる水晶
振動子において、前記一対の引出電極の延出端部は、前
記励振電極と前記水晶片の一端部一点を結ぶ直線上にあ
ることを特徴とする水晶振動子。
【請求項２】前記一対の引出電極における延出端部のう
ち、一方の引出電極の延出端部は一主面側から他主面に
折り返して形成された請求項１の水晶振動子。
【請求項３】前記水晶片は振動領域の厚みが、前記振動
領域の外周領域よりも小さい請求項１の水晶振動子。