JP2003330975A - 複合膜構造物の解析方法及び解析システム - Google Patents

複合膜構造物の解析方法及び解析システム

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JP2003330975A
JP2003330975A JP2002141526A JP2002141526A JP2003330975A JP 2003330975 A JP2003330975 A JP 2003330975A JP 2002141526 A JP2002141526 A JP 2002141526A JP 2002141526 A JP2002141526 A JP 2002141526A JP 2003330975 A JP2003330975 A JP 2003330975A
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composite membrane
membrane structure
strain
reinforcing cord
longitudinal elastic
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JP2002141526A
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English (en)
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Takeshi Moriyama
壮詞 森山
Toshifumi Sakata
利文 坂田
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Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire and Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有限要素法に基づく複合膜構造物の解析を行
うにあたり、大変形時においても座屈を考慮した精度の
よいシミュレーション解析を行うことのできる複合膜構
造物の解析方法を提供すること。 【解決手段】 弾性体が補強コードにより補強された複
合膜構造物を、有限要素法により解析する複合膜構造物
の解析方法であって、 複合膜構造物をモデル化し、補
強コードの縦弾性係数を補強コードの歪の値に応じて設
定し、複合膜構造物に作用する荷重条件を設定し、設定
された荷重条件において、複合膜構造物を構成する各ソ
リッド要素における補強コードの歪を算出し、 算出さ
れた歪が引張歪か圧縮歪かを判別し、夫々に対応した縦
弾性係数を選択し、選択された縦弾性係数を用いて補強
コードに作用する応力を演算し、ソリッド要素に作用す
る応力と補強コードに作用する応力とを加算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性体が補強コー
ドにより補強された複合膜構造物を、有限要素法により
解析する複合膜構造物の解析方法及び解析システムに関
する。
【0002】
【従来の技術】かかる複合膜構造物の1例として、空気
ばねが知られている。空気ばねとは、内部に保持された
圧縮空気を用いたゴム製のアクチュエータである。電車
や鉄道車両用の緩衝装置として用いられている。この空
気ばねは、膜状のゴム製であるが、強度を確保するため
に、補強コード(例えば、繊維製のコードである)によ
り補強される。このように、複数の素材が複合して膜状
に形成された構造物を複合膜構造物と定義する。
【0003】かかる複合膜構造物を設計・製造するにあ
たり、その特性をシミュレーションにより事前検討する
必要がある。そのため、有限要素法(FEM)と呼ばれ
る構造解析手法が用いられている。有限要素法とは、構
造物を仮想的に有限の大きさの要素に分割し、構造物を
要素の集合体として解析する応力解析手法のことをい
う。また、補強コードにより補強された複合膜構造物の
解析も、有限要素法により解析できることが知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、 複合膜
構造物を有限要素法により解析した事例は存在するが、
変形量が小さい範囲での事例に過ぎない。空気ばねのよ
うな複合膜構造物の場合、薄膜のゴム製であるため、大
きな変形量が生じる状態での解析も重要である。しかし
ながら、これまで行われてきた複合膜構造物の解析にお
いて、大変形を生じる状態でのシミュレーション結果
は、実際の測定結果と大きくずれを生じることが多かっ
た。その理由としては、大変形が生じる状態では、複合
膜構造物を構成する素材に座屈現象が起こっているもの
と考えられるが、この座屈を考慮した解析が行われてい
なかったからである。複合膜構造物が荷重を受けて変形
した状態では、補強コードには引張や圧縮が生じる。こ
の補強コードには、より糸状の繊維コードが使用される
ことが多いが、引張応力を受ける時と圧力応力を受ける
時とでは、大きく特性が異なる。したがって、大変形時
における解析には、この特性の違いを考慮する必要があ
る。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、その課題は、有限要素法に基づく複合膜構造物の
解析を行うにあたり、大変形時においても座屈を考慮し
た精度のよいシミュレーション解析を行うことのできる
複合膜構造物の解析方法及び解析システムを提供するこ
とである。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明に係る複合膜構造物の解析方法は、弾性体が補強
コードにより補強された複合膜構造物を、有限要素法に
より構造解析する複合膜構造物の解析方法であって、複
合膜構造物をモデル化するステップと、補強コードの縦
弾性係数を補強コードの歪の値に応じて設定するステッ
プと、複合膜構造物に作用する荷重条件を設定するステ
ップと、設定された前記荷重条件において、複合膜構造
物を構成する各ソリッド要素における補強コードの歪を
算出するステップと、算出された歪が引張歪か圧縮歪か
を判別し、夫々に対応した前記縦弾性係数を選択するス
テップと、選択された前記縦弾性係数を用いて補強コー
ドに作用する応力を演算するステップと、ソリッド要素
に作用する応力と補強コードに作用する応力とを加算す
るステップとを有することを特徴とするものである。
【0006】この構成による複合膜構造物の解析方法の
作用・効果は、以下の通りである。まず、複合膜構造物
のモデル化を行う。モデル化は、複合膜構造物の構造条
件を設定することで行うことができる。また、複合膜構
造物に作用する荷重条件の設定を行う。これは、外部か
ら受ける力や圧力をモデル化するものである。さらに、
補強コードの縦弾性係数(ヤング率)を設定する。ここ
で縦弾性係数は、常に一定の値を設定するのではなく、
補強コードが圧縮歪を受けるか引張歪を受けるかにより
異なる値を設定する。これは、補強コードが圧縮される
場合と引張を受ける場合とでは、特性がかなり異なるか
らである。
【0007】そして、設定された荷重条件において、複
合膜構造物を構成する各ソリッド要素における補強コー
ドの歪を算出する。算出された歪が、圧縮歪か引張歪か
により、夫々に対応した縦弾性係数を選択する。そし
て、選択された縦弾性係数を用いて、補強コードに作用
する応力を演算する。ついで、 ソリッド要素に作用す
る応力と、補強コードに作用する応力とを加算演算す
る。これにより、各要素全体に作用する応力を求めるこ
とができる。以上のように、圧縮と引張で異なる縦弾性
係数を採用しており、実際の挙動に対応したシミュレー
ションを行うことができる。したがって、座屈を生じる
ような大変形時においても、実測に近い解析結果が得ら
れるようになる。その結果、有限要素法に基づく複合膜
構造物の解析を行うにあたり、大変形時においても座屈
を考慮した精度のよいシミュレーション解析を行うこと
のできる複合膜構造物の解析方法を提供することができ
る。
【0008】本発明の好適な実施形態として、前記縦弾
性係数は、複合膜構造物を補強した状態での数値が設定
されるものがあげられる。
【0009】補強コードの縦弾性係数は、単体での縦弾
性係数ではなく、構造物を構成した状態での縦弾性係数
を用いる。すなわち、 補強コード自身が弾性体により
拘束された状態での縦弾性係数を用いる。これは、同じ
引張や圧縮を受けるにしても、単体の状態と弾性体によ
り拘束された状態とでは、異なる変形をするからであ
る。以上のように設定することで、シミュレーション解
析を正確に行うことができる。
【0010】なお、前記縦弾性係数は、実験的に求める
ことが好ましい。これにより、現実に即した正確な数値
でシミュレーション解析を行うことができる。
【0011】本発明に係る複合膜構造物の解析方法の各
ステップは、好ましくは、コンピュータプログラムによ
り実行することができる。
【0012】また、本発明に係る複合膜構造物の解析方
法を行うためのシステムは、弾性体が補強コードにより
補強された複合膜構造物を、有限要素法により構造解析
する複合膜構造物の解析システムであって、複合膜構造
物をモデル化するモデル化手段と、補強コードの縦弾性
係数を補強コードの歪の値に応じて設定した縦弾性係数
ファイルと、複合膜構造物に作用する荷重条件を設定し
た荷重条件ファイルと、設定された前記荷重条件におい
て、複合膜構造物を構成する各ソリッド要素における補
強コードの歪を算出する歪算出手段と、算出された歪が
引張歪か圧縮歪かを判別し、夫々に対応した前記縦弾性
係数を選択する縦弾性係数選択手段と、選択された前記
縦弾性係数を用いて補強コードに作用する応力を演算
し、かつ、ソリッド要素に作用する応力と補強コードに
作用する応力とを加算する処理を行う応力演算手段とを
備えたことを特徴とするものである。
【0013】この構成において、モデル化手段、歪算出
手段、縦弾性係数選択手段、応力演算手段は、コンピュ
ータプログラムにより構成することが可能である。この
システムの作用・効果は、すでに述べた通りである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る複合膜構造物の解析
方法及びシステムの構成例を図面を用いて説明する。ま
ず、複合膜構造物の1例である空気ばねの構造を説明す
る。かかる空気ばねは、鉄道車両やその他の車両の車体
と台車との間に介在させるダイヤフラム型の空気ばねで
ある。図1は、空気ばねの全体構成を示す。 <複合膜構造物(空気ばね)の構成>図1において、下
側が台車側に相当し、上側が車体側に相当する。この空
気ばねは、積層ゴム1と、この積層ゴム1の上部に取り
付けられるバネ座7と、ゴム膜3(ダイヤグラム)とを
備えている。ゴム膜3は、その内部に空気を封入して膨
らませることができるようになっており、台車側ビード
部30と車体側ビード部が形成されている。各ビード部
はいずれも、その他の部分よりも肉厚に形成されてい
る。
【0015】積層ゴム1は、下部基板4と上部基板5の
間にリング状のゴム層1aと同じくリング状の挟みプレ
ート1bが交互に積層された構造となっている。下部基
板4には、中空の連結軸4aが一体形成されており、不
図示の台車が連結される。上部基板5に対してバネ座7
がボルト6により締結される。上部基板5も積層ゴム1
と同様に、リング状のプレートに形成されている。バネ
座7は、円筒状に形成された円筒部7aと、円筒部7a
に一体形成されたフランジ部7bとを有している。円筒
部7aには、バネ座7を上部基板5に対してボルト6に
より結合するための凹部7cが形成されている。
【0016】次に、ゴム膜3の台車側ビード部30の周
辺構造について説明する。台車側ビード部30は、図1
の下方向を向いた突出形状を有しており、嵌合部30a
として機能する。また、リング状に形成されたビードプ
レート8と、同じくリング状に形成されたゴム座9とを
備えており、このビードプレート8とゴム座9により、
嵌合部30aと嵌合可能な被嵌合部が形成される。ビー
ドプレート8は断面略L字状に形成されており、円筒部
7aの外径よりも大きな内径を有する円筒部と、フラン
ジ部とを備えている。ビードプレート8とゴム座9は、
接着等の適宜の方法により一体結合され、支持体として
機能するものである。この支持体に形成される被嵌合部
と、ゴム膜3に形成される嵌合部30aとが嵌合結合す
ることにより、ダイヤフラムユニットが形成される。
【0017】次に、ゴム膜3の車体側の取り付け構造に
ついて説明する。車体側には、不図示の車体が取りつけ
られる、上側プレート15と、上側プレート15の下面
に設けられたバネ座16と、保護用のゴム層17とが設
けられている。バネ座16の中心部には、空気穴付きの
連結軸16aが形成されている。バネ座16とゴム層1
7とにより形成される被嵌合部に、車体側ビード部に形
成された凸状の嵌合部が嵌合する。また、バネ座16に
は、リング状のビードストッパ18が、ボルト19によ
り締結されている。ビードストッパ18により、車体側
ビード部の脱落を防止する。
【0018】<複合材料のモデル化>上記のような空気
ばね(複合膜構造物)には、種々の力が作用し変形が生
じる。そこで、空気ばねを設計・製造するにあたり、あ
らかじめ、有限要素法に基づく応力解析を行う。特に、
ゴム膜の部分は厚さも薄く変形しやすいため、シミュレ
ーション解析は重要である。また、ゴム膜は、ナイロン
コードのような補強コードにより補強されており、ナイ
ロンコードを考慮した解析が必要である。さらに、ゴム
膜の変形量が大きくなると、座屈が起こるため、この座
屈を考慮した解析を行うことが重要である。
【0019】そこで、まず材料が圧縮歪を受ける場合の
理論的考察を行う。図2において、(a)は通常の材料
が圧縮歪を受ける場合を示す。この場合、材料の固まり
全体が圧縮される。(b)はナイロンコード等のコード
が圧縮歪を受ける場合を示す。コードは、より糸状に形
成されており、圧縮時は繊維がほぐれるため、繊維はパ
ンタグラフ状に変形する。従って、応力は非常に小さく
なる。(c)コードを弾性体でバインドした場合を示
す。かかる複合材料の場合は、圧縮歪が小さい時は、コ
ードのほとんど影響がない。しかし、圧縮歪が大きくな
ると、バインドされている弾性体があるため、パンタグ
ラフ状に変化できない。そのため、コードと弾性体の剛
性の差により、夫々に歪が生じて、その歪にかかるエネ
ルギー分、材料としての剛性が上昇する。よって、シミ
ュレーション解析においては、かかる複合材料の特性を
考慮する必要がある。また、この補強コードにより補強
された複合材料の特性は、圧縮と引張とでは大きく異な
る。よって、圧縮と引張の特性の違いをシミュレーショ
ン解析に反映させなければならない。
【0020】図3は、有限要素法におけるナイロンコー
ド(解析ソフトウェアABAQUS TMでは、要素に対し
て付加される要素をREBARと呼ぶ)により補強され
た1つの要素を示すモデル図(ABAQUSTMのマニュ
アルに基づき作成したもの)である。図3において、要
素は6面体でモデル化されている。6面体の大きさは、
3辺の長さにより定義される。コードの形成される平面
は、f11 、f3 3 、θ(コードの角度)により定
義することができる。このモデルにおいて、コードに関
しては、要素の中を貫くコード長さのみが考慮される。
すなわち、 荷重を受けて要素が歪んだ場合、その歪に
応じたコードの長さが算出される。そして、このコード
歪に応じた応力がソリッド要素の応力に加算される。
【0021】次にコード歪の算出について説明する。複
合材料の解析を行う場合は、要素単位でコードが圧縮と
引張のどちらの歪を受けているかを判別し、要素毎にコ
ードの縦弾性係数を決定する。空気ばねに使用されるコ
ードは、ナイロンコードが一般的であり、圧縮時は、よ
り糸がほどける座屈現象が起こっていると考えられる。
そこで、実際に測定を行ってみると、ナイロンコード圧
縮時の材料特性(縦弾性係数)は、引張時に比べると2
0%以下になることが分かった。なお、この測定は、ナ
イロンコードを弾性体でバインドした状態での、ナイロ
ンコードの特性である。以上のような、特性の違いを表
現するために、圧縮時の剛性と引張時の剛性とは、別々
に設定する。
【0022】以上の点を図4により説明する。この図4
において、荷重を受ける前のコードの位置をCで表わ
す。コードCは、垂直方向に向いている。そして、横方
向の荷重Fが作用すると、要素全体が変形し、これに伴
いコードもLやL’に示す位置に変形する。ここで、コ
ードがLの位置に変形したとする。この時のコードの水
平面に対する角度をαとする。この場合のコード歪は次
式で表わされる。なお次式において、E13とE33は、弾
性体の縦弾性係数を示す。E13とE33の2つの値を用い
ているのは、方向により値が異なるからである。コード
歪はσである。
【0023】
【数1】 上式で求められたσにより、コードテンションF
codeは、次の式で求められる。すなわちcode=Ecode・σ・・・・(2) ただし、σ<1の時 Ecode=E- σ≧1の時 Ecode=E+ すなわち、コードが圧縮歪を受けるか引張歪を受けるか
で、演算に用いるコードの縦弾性係数の値を変える。こ
れは、既に述べたように、圧縮と引張ではコードの材料
特性がかなり異なるからである。
【0024】<システムの構成>次に、複合膜構造物の
解析システムの構成を図5により説明する。この解析シ
ステムは、コンピュータに解析プログラムをインストー
ルすることにより、構築することができる。
【0025】図5において、システムは、プログラムに
基づき演算及び制御を行うCPU21と、プログラムや
データを一時的に格納するRAM22と、解析を行うた
めの種々の表示を行うモニター23と、解析を行うため
のデータ入力等を行う入力手段24(キーワードやマウ
ス)とを備えている。
【0026】また、本システムの中核をなす有限要素法
解析プログラム25が備えられており、有限要素法に基
づき応力解析を行うことができる。解析プログラム25
は、ハードディスクに格納され、必要に応じてRAM2
2にプログラムデータを移動させる。この図5には、解
析プログラム25の機能の一部を例示している。すなわ
ち、 モデル化手段25aは、解析すべき複合膜構造物
を入力された条件に従いモデル化する。モデル化したデ
ータは、モデルファイル26として格納される。歪算出
手段25bは、複合膜構造物に作用する荷重条件におい
て、各ソリッド要素における補強コードの歪を算出す
る。縦弾性係数選択手段25cは、材料特性ファイル2
7に設定されている縦弾性係数のデータを選択する。応
力演算手段25dは、ソリッド要素やコードに作用する
押圧力を演算する。表示データ生成手段25eは、モニ
ター23に表示させるデータの生成を行う。
【0027】モデルファイル26には、解析すべき複合
膜構造物のモデル化データがファイルとして格納され
る。材料特性ファイル27には、解析すべき複合膜構造
物の補強コードの縦弾性係数のデータがファイルとして
格納される。既に述べたように、縦弾性係数は、圧縮と
引張とで別々のデータが格納される。これは、ナイロン
コードを弾性体でバインドした状態での縦弾性係数であ
る。荷重条件ファイル28には、解析を行うにあたり設
定される荷重条件のデータがファイルとして格納され
る。なお、縦弾性係数ファイル27と荷重条件ファイル
28とは、まとめて1つのファイルにしてもよく、これ
も本発明の枠内である。
【0028】<解析手順>次に解析手順について図6の
フローチャートを用いて簡単に説明する。まず、解析対
象である空気ばねをモデル化する(#1)。空気ばねの
寸法等は、例えば、CADデータを利用することができ
る。モデル化するにあたり、分割する要素数等の設定を
行う。また、空気ばねを構成する部品のうち、どの部分
をモデル化するかも設定することができる。モデル化し
た結果は、モデルファイル26として格納される。
【0029】次に、荷重条件の設定を行う(#2)。荷
重条件とは、空気ばねが外部から受ける圧力や内部から
受ける空気圧等をモデル化したものを言う。荷重条件を
設定する場合は、解析プログラム25の機能に基づき、
モニター23に設定画面を表示させて設定することがで
きる。具体的な値は、入力手段24により入力される。
次に、材料特性の設定を行う(#3)。材料特性とは、
応力計算を行うために必要な要素の物理特性値のことを
いう。ここでは、ソリッド要素である弾性体やコードの
縦弾性係数、密度等である。既に述べたように、弾性体
によりバインドされたコードの縦弾性係数は、圧縮と引
張とでは異なる数値が設定される。入力設定した材料特
性は、材料特性ファイル27に格納される。また、その
他の解析のために必要な項目、例えば、接触条件(空気
ばねが変形した際に他の構造物に接触するか否かを設定
する)等の設定を行う。
【0030】以上のように設定が完了すると、解析を行
う。解析そのものは、解析プログラム25の機能に基づ
いて、コンピュータにより自動的に処理される。まず、
ソリッド要素の各方向の歪を取得する(#4)。これ
は、解析プログラム25の歪算出手段25bの機能に基
づく。ソリッド要素の歪は、前述した数式に基づいて演
算される。次に、コードの角度θ、密度、剛性特性(縦
弾性係数)等のデータを取得する(#5)。これらのデ
ータは、材料特性ファイル27等から取得することがで
きる。
【0031】そして、ステップ#4にて演算されたソリ
ッド要素の歪と、ステップ#5にて取得されたコードの
情報とから、コード歪σを算出する(#6)。次に、算
出されたコード歪のデータと、剛性情報(縦弾性係数)
によりコードテンションを算出する(前述の数式
(2))(#7)。ここで、コード歪が圧縮歪か引張歪
かにより、縦弾性係数の値を選択する。演算された要素
方向のコードテンションの軸投影成分をソリッド要素の
応力に加算する(#8)。これは、応力演算手段25d
の機能に基づくものである。
【0032】以上のように、補強コードにより補強され
た空気ばねのシミュレーション解析を行うことができ
る。また、コード歪が圧縮歪か引張歪かにより、縦弾性
係数を変えているので、座屈を生じるような大変形が生
じた場合でも、精度の良いシミュレーション解析を行う
ことができる。
【0033】<実験装置及び実験結果>次に、補強コー
ドの縦弾性係数を実験により求める方法を説明する。図
7は、サンプル30を上下方向からつかみ部材31によ
り挟持した状態で、上下方向に引っ張る装置である。サ
ンプルは、弾性体(ゴム)を補強コード(ナイロンコー
ド)により補強したものを用いる。サンプルの大きさ
は、100×100×10mmである。引張歪速度は
0.05/秒である。
【0034】図8は、サンプル32を左右方向からつか
み部材33,34で挟持した状態で、せん断歪を測定す
る装置である。右側のつかみ部材33を上方向に、左側
のつかみ部材を下方向に移動させる。サンプル32の大
きさは、100×32×10mmである。せん断歪の速
度は0.03/秒である。
【0035】図9は、サンプル35を上下方向からつか
み部材36,36で挟持した状態で、曲げ歪を測定する
装置である。つかみ部材を所定の軸芯周りに回転させる
ことで、サンプルを曲げることができる。サンプル35
の大きさは、100×100×10mmである。曲げ歪
速度は0.05/秒である。
【0036】図10は、図7の装置により引張実験を行
った結果を示すグラフである。このグラフで70゜80
゜90゜とあるのは、水平方向に対するナイロンコード
の角度を表わしている。グラフには、 夫々の角度にお
ける解析値と実測値とを比較している。引張の場合は、
解析値と実測値とがほぼ合致している。
【0037】図11は、図8の装置によりせん断実験を
行った結果を示すグラフである。(a)はナイロンコー
ドの角度が80゜の場合の実測値と理論値とを比較して
いる。(+)方向Rebarとあるのは、正のせん断方
向に対して、ナイロンコードが圧縮を受ける向きを指し
(−)方向Rebarとあるのは、同様に引張を受ける
向きを指す。(b)は(a)と同様であるが、理論値と
解析値とを比較している。(b)における+と−は
(a)と同じである。(a)における理論値では、ナイ
ロンコードの縦弾性係数は、引張と圧力で同じ値を使用
している。そのため、(−)方向の理論値は実測とかな
りかけ離れている。また(b)において、理論値と解析
値とがよく合致している。
【0038】図12は、図9の装置により、曲げ実験を
行った結果を示すグラフである。このグラフは、90゜
曲げ試験を行った結果を示す。(a)は、100%解析
値と実測値とを比較したものである。ここで100%解
析値とは、ナイロンコードの圧縮時の縦弾性係数が引張
時の縦弾性係数の100%であることを示す。すなわ
ち、 圧縮時も引張時も同じ縦弾性係数を使用した場合
の結果を示す。グラフから明らかなように、解析値と実
測値とは、かなりかけはなれている。
【0039】(b)は、実測値と0%、5%、10%、
15%、20%解析値とを比較したものである。%の意
味は(a)と同様であり、圧力時と引張時とで縦弾性係
数を異ならせている。5%〜10%の値を使用すること
で、実測値とほぼ合致した結果が得られることがわかっ
た。このように、圧縮時と引張時とで、縦弾性係数の値
を変えることで、実測に合致したシミュレーション解析
を行うことができる。
【0040】図13は、空気ばねの解析をABAQUS
TMに基づいて行った結果の1例を示している。(a)
(b)ともナイロンコードの角度が84度であり、
(a)はせん断変形量が90mm(b)は80mmであ
る。一番上に、実際の空気ばねの写真を示している。写
真に示される形状と、シミュレーション解析を行った結
果の形状とが比較的よくマッチングしていることが分か
る。
【0041】<別実施形態>本発明に係る解析システム
は、空気ばねの場合に限定されるものではなく、ゴムホ
ース等のその他の複合膜構造物の場合にも応用できる。
補強コードはナイロンコード以外の種々のコード材料を
用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気ばねの全体構成を示す断面図
【図2】材料が圧縮歪を受ける場合の状態を示す図
【図3】有限要素法におけるナイロンコードにより補強
された1つの要素を示すモデル図
【図4】要素中のナイロンコードのモデル化を説明する
【図5】複合膜構造物の解析システムの構成を示す図
【図6】解析手順を説明するフローチャート
【図7】サンプルに引張歪を作用させる装置を示す図
【図8】サンプルにせん断歪を作用させる装置を示す図
【図9】サンプルに曲げ歪を作用させる装置を示す図
【図10】図7に示す装置による実験結果を示すグラフ
【図11】図8に示す装置による実験結果を示すグラフ
【図12】図9に示す装置による実験結果を示すグラフ
【図13】空気ばねの解析を行った結果を示す図
【符号の説明】
3 ゴム膜 25 解析プログラム 25a モデル化手段 25b 歪算出手段 25c 縦弾性係数選択手段 25d 応力演算手段 25e 表示データ生成手段 26 モデルファイル 27 縦弾性係数ファイル 28 荷重条件ファイル

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性体が補強コードにより補強された複
    合膜構造物を、有限要素法により構造解析する複合膜構
    造物の解析方法であって、 複合膜構造物をモデル化するステップと、 補強コードの縦弾性係数を補強コードの歪の値に応じて
    設定するステップと、 複合膜構造物に作用する荷重条件を設定するステップ
    と、 設定された前記荷重条件において、複合膜構造物を構成
    する各ソリッド要素における補強コードの歪を算出する
    ステップと、 算出された歪が引張歪か圧縮歪かを判別し、夫々に対応
    した前記縦弾性係数を選択するステップと、 選択された前記縦弾性係数を用いて補強コードに作用す
    る応力を演算するステップと、 ソリッド要素に作用する応力と補強コードに作用する応
    力とを加算するステップとを有することを特徴とする複
    合膜構造物の解析方法。
  2. 【請求項2】 前記縦弾性係数は、複合膜構造物を補強
    した状態での数値が設定されることを特徴とする請求項
    1に記載の複合膜構造物の解析方法。
  3. 【請求項3】 前記縦弾性係数は、実験的に求められる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の複合膜構造物
    の解析方法。
  4. 【請求項4】 弾性体が補強コードにより補強された複
    合膜構造物を、有限要素法により構造解析する複合膜構
    造物の解析システムであって、 複合膜構造物をモデル化するモデル化手段と、 補強コードの縦弾性係数を補強コードの歪の値に応じて
    設定した縦弾性係数ファイルと、 複合膜構造物に作用する荷重条件を設定した荷重条件フ
    ァイルと、 設定された前記荷重条件において、複合膜構造物を構成
    する各ソリッド要素における補強コードの歪を算出する
    歪算出手段と、 算出された歪が引張歪か圧縮歪かを判別し、夫々に対応
    した前記縦弾性係数を選択する縦弾性係数選択手段と、 選択された前記縦弾性係数を用いて補強コードに作用す
    る応力を演算し、かつ、ソリッド要素に作用する応力と
    補強コードに作用する応力とを加算する処理を行う応力
    演算手段とを備えたことを特徴とする複合膜構造物の解
    析システム。
  5. 【請求項5】 前記縦弾性係数は、複合膜構造物を補強
    した状態での数値が設定されることを特徴とする請求項
    4に記載の複合膜構造物の解析システム。
  6. 【請求項6】 前記縦弾性係数は、実験的に求められる
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の複合膜構造物
    の解析システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107957979A (zh) * 2017-11-23 2018-04-24 三江瓦力特特种车辆有限公司 一种h型纵梁焊接收缩量的确定方法
JP2022524734A (ja) * 2019-03-21 2022-05-10 青▲島▼海▲尓▼洗衣机有限公司 衣類処理装置における内槽強度検出方法、内槽及び衣類処理装置

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